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#1
第142回国会 農林水産委員会 第13号
平成十年四月十六日(木曜日)
    午前九時四十一分開議
出席委員
  委員長 北村 直人君
   理事 赤城 徳彦君 理事 鈴木 俊一君
   理事 松岡 利勝君 理事 小平 忠正君
   理事 木幡 弘道君 理事 宮地 正介君
   理事 一川 保夫君
      石破  茂君    小野寺五典君
      大石 秀政君    金田 英行君
      熊谷 市雄君    佐藤 剛男君
      園田 修光君    高鳥  修君
      中山 成彬君    仲村 正治君
      丹羽 雄哉君    萩山 教嚴君
      二田 孝治君    御法川英文君
      宮本 一三君    矢上 雅義君
      石橋 大吉君    今田 保典君
      鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君
      漆原 良夫君    木村 太郎君
      佐々木洋平君    菅原喜重郎君
      西川太一郎君    中林よし子君
      春名 直章君    藤田 スミ君
      北沢 清功君    岩浅 嘉仁君
 出席国務大臣
       農林水産大臣   島村 宜伸君
 出席政府委員
       農林水産大臣官
       房長       堤  英隆君
       農林水産省経済
       局長       熊澤 英昭君
       農林水産省構造
       改善局長     山本  徹君
       食糧庁長官    高木 勇樹君
 委員外の出席者
       農林水産委員会
       専門員      黒木 敏郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十四日
 辞任
  奥田 敬和君
同日
           補欠選任
             春名 直章君
同月十六日
 辞任        補欠選任
  木部 佳昭君     大石 秀政君
  中尾 栄一君     佐藤 剛男君
  二階 俊博君     西川太一郎君
  前島 秀行君     北沢 清功君
同日
 辞任        補欠選任
  大石 秀政君     木部 佳昭君
  佐藤 剛男君     中尾 栄一君
  西川太一郎君     二階 俊博君
  北沢 清功君     前島 秀行君
    ―――――――――――――
四月十六日
 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第九五号)
同月十日
 林業・木材産業の振興に関する請願(逢沢一郎
 君紹介)(第一三〇七号)
 生ごみなど未利用有機物の資源化に関する請願
 (田中眞紀子君紹介)(第一三六四号)
 国有林野事業の累積債務処理に関する請願(村
 井仁君紹介)(第一三六五号)
同月十六日
 生ごみなど未利用有機物の資源化に関する請願
 (菅直人君紹介)(第一五〇三号)
 小麦の民間流通移行反対、価格安定と品種改良
 による国内小麦振興に関する請願(児玉健次君
 紹介)(第一六三六号)
 同(中林よし子君紹介)(第一六三七号)
 同(藤田スミ君紹介)(第一六三八号)
 同(松本善明君紹介)(第一六三九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出第七
 四号)
 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第九五号)
     ――――◇―――――
#2
○北村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、農地法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。
#3
○小野寺委員 おはようございます。自由民主党の小野寺です。
 きょうは、農地法について質問をさせていただきます。
 まず、日本の農地でありますが、御存じのとおり、世界的に比較してみましても、非常に農地が小さいということが前から指摘されています。例えば、一人当たりの農地でありますが、日本では一人四アール、これはアメリカと比較しますと四十分の一、アメリカでは百六十二アールであります。また、ドイツは二十一アール。本当に、日本の食糧はこのままで大丈夫なのか、そういうふうな非常に心配な状況にあります。
 そういう中で、この農地法というのが、食糧生産の基本であります農地を守る重要な法律として位置づけられているわけでありますが、きょうは、まず今回、農地法の改正、特に、地方分権あるいは行政改革の流れで、この許可権限の移譲というのが今後なるべく現場に近い形で県に移動される、あるいは今まで通達でありましたこの許可基準が、今後、今回の法律改正で法制化される、そういうふうなことの趣旨といいますか、その意義について初めにお伺いしたいのですが。
#4
○島村国務大臣 お答え申し上げます。
 農地転用許可制度につきましては、優良な農地の確保に配慮しつつ、平成八年十二月、地方分権推進委員会第一次勧告等におきまして、二ヘクタールを超え四ヘクタール以下の農地転用許可は、都道府県知事に移譲するとの勧告がなされております。地方分権を推進していく観点から、許可権限を都道府県知事に移譲することが、その意味で我々も重要と考えまして、このたびこの改正をお諮りするところであります。
 また、これとあわせまして、行政事務の基準をより一層明確化することも必要となっております。
 今回の改正におきましては、農地転用許可制度について、四ヘクタール以下の農地転用許可権限を農林水産大臣から都道府県知事へ移譲するとともに、従来通達で定められておりました農地転用の許可基準を法律上明確化することとしたものであります。
 なお、これによりまして、農地転用許可制度の一層円滑かつ適切な運用が図られるものと考えております。
#5
○小野寺委員 今の地方分権推進委員会、私の恩師であります西尾勝先生がいろいろな形で一生懸命今回の農地の問題についてもお話を進めていたというふうに、先生から伺っております。
 その中で、実際、こういうふうに、農地の転用について都道府県知事の権限を拡大するというような背景といいますか、近年の農地転用の状況で
すね、これが許可権者別でどのような状況になっているのか、また、こういう形で農地転用の許可の事務が都道府県にまたさらに加わるということによって、都道府県の負担というのはどういうふうになっているのか、その辺の実際のデータをちょっと教えていただきたいのですが。
#6
○山本(徹)政府委員 農地転用許可の許可権者別の許可の実績でございますけれども、平成八年の統計で見てみますと、全体の許可件数が十五万件に上ります。このうち都道府県知事許可がその大部分、九九%以上でございまして、農林水産大臣許可が十五万件のうち二百四十七件、〇・二%でございまして、大部分が知事許可でございます。
 これが知事の負担になってはいないかというような御指摘でございますけれども、今、県ではいろいろな工夫をされまして、例えば、本庁ではなくて出先の事務所の専決でこれを処理するというような県も相当見られますし、また、特に、都道府県における転用の許可事務の実施に要する経費につきましては、地方交付税交付金の基準財政需要額に算入されておりまして、現在の転用許可事務は県の農政の重要な事務の一環でございまして、都道府県にとって特段の負担になっているとは考えておりません。
#7
○小野寺委員 具体的に、例えば、ざっと大づかみでいいのですが、申請をされた場合、その申請というのは大体すべてそのまま許可をされるのか、あるいは内部で、申請に当たっては審査の上で、ちょっとこれは転用は難しい、そういうふうな判断をされるのか、そういう比率というのはどのぐらいなんでしょうか。
#8
○山本(徹)政府委員 転用申請された事案でこれは許可されないというのはほとんどございませんで、許可されるのが、これも九九%以上だと思っております。ただ、これは、正式の許可申請をスムーズにするために、事前に行政部局と転用の申請者がいろいろ相談してその許可基準に合うようにして申請されるというのが通常である面もございます。
 しかし、いずれにしても、許可申請が公式、非公式にあるものについては、九九%以上が許可されているという実態にございます。
#9
○小野寺委員 今のお話でありますと、申請しても九九%が許可される。
 ちょっと現地を歩いて伺いますと、どうも現場では、実際に転用の申請を出すというときに当たって、市町村の農業委員会がかなりその裁量を持っている。しかも、それが県に上がった段階で九九%認められるということになりますと、今、都道府県の権限という形になっていますが、現場では、むしろ第一義的には市町村の農業委員会の役割というのがかなり重要じゃないか。
 そうすると、今回、確かに分権で都道府県の権限は広がりましたが、これは、市町村、農業委員会の権限が広がるということを今後もっと検討すべきじゃないかと実態を踏まえて思うのですが、その辺、いかがでしょうか。
#10
○山本(徹)政府委員 農地の転用許可権限を市町村あるいは農業委員会に移譲してはどうかという御提案でございますけれども、農地の転用許可というのは、しばしばその地域にとって経済的にも政治的にも非常に大きな課題でございまして、この農地転用許可の適正な判断というのは、転用許可基準に基づきまして、ある程度開発行為と距離を置いた行政機関が行うことが適当であると考えております。
 このために、農地法だけではございませんで、都市計画法あるいは森林法など他の開発許可制度を見ましても、許可権者は、市町村段階の機関ではなく都道府県知事となっておりまして、現在のような農地制度の仕組みは適当であると考えております。
#11
○小野寺委員 ですが、九九%がそのまま申請の中で農地転用を認めるというような状況でありますよね。そうすると、今言ったようなお話は確かに理解はできるのですが、それでも、すべて、農振地域であれば一括して四ヘクタール以下の農地転用に関しては都道府県がその権限を持つ、それについてはちょっと現実にそぐわないのじゃないかと思うのです。例えば、もっと小規模な農地転用であれば市町村の農業委員会でその権限を持つとか、そういうふうな今後の展開というのは考えられないのでしょうか。
#12
○山本(徹)政府委員 農業委員会は、実際に、知事への農地の転用許可申請に当たりましての窓口及び転用の許可に関する意見を付するということになっておりまして、こういった重要な行政事務を行っておられますが、この許可権限を農業委員会に移譲するということにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、やはりその地域と距離を置いた行政機関の方がより適切な判断ができるという点、それから、これは先ほど申し上げましたように、ほかの法律でもそういうようになっておりますし、また、ごくわずかといえども不許可の案件がございますし、また、転用許可を実際に手続をスムーズにするために、いろいろな事前の相談がございます。そういった相談あるいは不許可案件について適切に処理できるのは、やはり現在のように知事あるいは農林水産大臣であると考えております。
#13
○小野寺委員 ですが、現地の農業委員会の方々のお話には、そういうふうな意向は余りこちらでは聞こえてこないのです。
 ちょっとお伺いしたいのですが、農業委員会の役割というのでしょうか、立場というのは、これはいわゆる行政委員会という形で考えていいものなのか、その位置づけについて、あるいはその意味について少し教えていただきたいのですが。
#14
○山本(徹)政府委員 農業委員会は、農業者の代表として公選法に基づき選挙されました農業委員さんを中心に、一部学経の委員さん等を含めて構成されておりまして、行政機関でございまして、行政機関として農地の利用あるいは地元の農業の振興に責任を持っておられる機関でございます。
 具体的な行政処分権としては、農地法第三条に基づき農地の利用権の設定についての許可を行っておられますが、これは、その農業委員会の管内の農地をどのように農地として利用するのがその地域の農業振興を考えた場合に最も適切かという点で、農業者の代表の方々が御検討なり具体的に許可という行政行為を行われるわけでございます。
 四条、五条の農地の転用につきましては、これは経由機関あるいは意見を具申される機関ということでございますけれども、この転用ということは相当大規模な事業、工事を伴う場合がございますし、その地域にとっては非常に経済的、政治的にも大きな影響を持っておりますので、これについては現在のように知事また農林水産大臣がこれを処理するのが適当であり、地元の農業あるいは農地の実情を最もよく御存じの農業委員会がこれに対して意見を具申していただくというのが適当であると考えております。
#15
○小野寺委員 今のお話ですと、農業委員会というのは基本的に地元の農業をよく知っている農業者から選ばれている、しかも行政機関に準ずるものである。これだけ意味合いがすごく重い機関にもかかわらず、どうも、お話の中では、全体に余り信じられないから都道府県の権限にとどめておくべきだという矛盾するようなお話と私は承るのですが、ちょっとその辺、もう少し整理して教えていただければと思うのですが。
#16
○山本(徹)政府委員 農業委員会は市町村の農業者の代表から構成されている機関でございまして、その市町村の農業のあり方をこれからどうしていくか、農地の利用をどうしていくかということを検討される機関でございますが、農地の転用ということになりますと、その農地が優良農地で将来とも守っていかなければならない農地であるかどうか、これはもちろん判断が必要でございます。あるいは、転用に適した、転用やむを得ない農地であるかという判断とともに、転用先の目的、例えば道路をつくる、あるいは病院、学校をつくるというような比較的公共性の高い事業であるか、それから、一般の住宅あるいは工場、事業場あるいはレクリエーション施設等のような一般
の住民の方々の需要に対応する転用であるか、あるいは一般の商業的な需要であるかどうか、さまざま需要がございます。
 したがって、今度はそういった転用先が地域の経済あるいは生活にとって非常に重要であるかどうかという別途の判断が必要でございまして、こういった判断については、もちろん農業の代表者としても十分な御意見を承るようになっているわけでございますけれども、より中立的かつ幅広い視野から検討していただける総合的な行政機関である都道府県知事、あるいは規模に応じては農林水産大臣がこれを処理するのが適当であるという考え方から現在のような制度となっておるわけでございます。
#17
○小野寺委員 制度的な理解とすれば今のような御答弁にならざるを得ないのでしょうが、現在の現実的な状況から見ますと、もう少し農業委員会の立場ということを理解して、例えば権限の移譲というのをさらに都道府県から農業委員会に進めるというような検討も今後必要じゃないかというふうに私は考えています。
 それから、今回、農地転用の問題について法改正、法案が出ておりますが、さらに農地の権利の移動といいますか、農地法の第三条、土地の権利、農地の権利を移動する、そういうことに関しても、現在、都道府県知事の権限ということになっておりますが、これも農業委員会にもっと移譲すべきじゃないかというふうに私は考えています。
 といいますのは、農村地域に行きますと、どうしても市町村規模が小さい。そうすると、例えば、私の町と隣町という形であっても、隣町に自分のおじさんの土地がある、その農地を今度自分が買いたい、歩いていってもすぐ五分か十分で行ける、そこの農地を自分が移転したいのだけれども、実は市町村をまたがる権利移動に関しましては都道府県知事の許可が必要だということで、非常に煩雑な作業になる、そういうふうな現場の実態があります。この第三条の問題についても少しお伺いしたいのですが。
#18
○山本(徹)政府委員 農地法第三条の許可の権限は、原則としてその市町村の農業者を代表される機関である農業委員会に属しているわけでございます。これは、その市町村の中で権利が設定され、移動される場合でございまして、これが今お話しのように隣町の農地を買うとかあるいは借りるということになりますと、隣町の農地の買い手の農業経営の実情、あるいはこれからの農業への取り組みに対する考え方等を掌握する必要がございます。これにつきましては、この農業委員会は、その代表される農業者が住所を持っておられる市町村の農地あるいは農業者の実情については十分把握していただけるわけでございますが、隣町の農業者あるいは農地の実情というのは、今の農業委員会の構成上、事実上これを十分掌握することが困難でございます。
 したがって、市町村を越える場合には都道府県知事の権限となっておりますけれども、これは、都道府県知事は当該市町村と隣町を両方管轄する機関であるということから、両方の農地、農業の実態を掌握できる知事の権限となっているわけでございます。
#19
○小野寺委員 ぜひもうちょっと現場を歩いていただきたいというのが私の率直な感想でありまして、少なくとも農村地域におきまして隣接する隣の町、ほとんど農地は一体化しています。そういう中で、親戚も多いですし、隣の農地、農業の状況というのは地元の農業委員会の方が一番よく知っています。むしろ県にわざわざ権限を預けてそこで調査するというよりは、隣近所の土地のことについては一番よく農家の方が知っているというのが現状でありますから、ここの農地がどういう状況であるか、その町をどういうふうに農業的に今後振興していこうかということは、かえって現場の方が知っているというふうに私は認識しておりますので、非常に不都合が多い、県知事の許可であってもこういう不都合が多く出ているというのが現在の農地法の現場の声だというふうに思っています。
 農地法の転用の許可につきましては、全体的にやはり手続がわかりにくいとかあるいは時間がかかるというような意見が大分あります。ですから、今後、このような形でどんどん分権化を進めていく中で、ぜひ使いやすい農地法という形にしていただければというふうに思っています。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 実は直接今回の法改正の問題には関係しないかもしれませんが、現在、昨年からずっと議論されています、また昨年の十二月には両論併記の答申が出たかと思うんです。株式会社の農地取得の問題、このことについて現場から、あるいは農業者、農業生産法人の方からいろいろな声が出ておりますが、今どのようなお考えで株式会社の農地取得について取り組まれようとしているのか、そのことについて少しお伺いしたいんですけれども。
#20
○山本(徹)政府委員 ただいま先生御指摘の株式会社の農地取得の問題、これは農業関係者の中でもさまざまな意見がございますし、また、農業外部にもいろいろな関心を持たれ、意見がございます。
 この問題につきましては、食料・農業・農村基本問題調査会、ここでも昨年四月以来大変熱心な御議論がございまして、昨年十二月の中間取りまとめにおきましても両論が併記されるという形になっております。情報力あるいは技術開発力、マーケティングのノウハウなどの導入によって、株式会社に農地を取得させることにより農業全体が活性化するという賛成意見がございますが、一方では、投機的な農地取得を完全に排除できないという反対意見もございます。
 この問題につきましては、この調査会での御議論を引き続き承りつつ、私どもとしては、これからの二十一世紀に向けた日本農業の担い手の姿をどう描いていくか、また、農業、農村の活性化のためにはどのような担い手がいいのか、また、土地利用、農地の効率的な利用はどうあるべきかといったような農政全体にかかわる事柄として多面的に検討してまいりたいと考えております。
#21
○小野寺委員 農業生産法人の導入に当たりましても株式会社形式ということが一度議論されたというふうに伺っております。その中で、株式会社という形で法人が成り立つということになりますと、当然農地を取得した後に、その株の売買、株の移動によってその株式会社自体が農地を今後どう活用するかということで非常に大きな問題が生ずる可能性がある。要するに、開発をどんどん進めるということにつながってしまうんではないかというような危惧があるということを承っております。
 その中で、どうしても効率化を進めなければいけないという二つの相反するジレンマの中で今いろんなことを検討されていると思うんですが、どうしても私の率直な感想からしますと、従来の株式会社という形で設定されてしまいますと、農地がある面でますます開発にさらされてしまうんではないか、現在、国民一人当たり四アールしかない農地というのがさらに違った形で利用されてしまうんではないか、そういうふうな危険性をすごくはらんでいる問題かと思っています。ですから、ぜひこの点については大変慎重に取り扱っていただきまして、できれば、従来の株式会社とは全然違った形で考えるか、あるいは株式会社の農地取得に関しては相当慎重に取り組んでいただきたいというふうに考えております。
 最後に、きょういろんな質問をさせていただきました。ちょっと厳しい質問もさせていただきましたが、いずれにしましても、現在地方が抱える、あるいは地方の農村が抱える問題というのはかなり根深い問題がたくさんあります。その中で、この農地の問題、農地を基盤とする食糧問題、国民に対してこれからどのようにして食糧を安定的に供給していくのか、あるいはどのようにして優良な農地をこれから守っていくのか、そのことが大変重要だと思います。その辺の決意についてぜひ農林水産大臣にお伺いしたいんです。
#22
○島村国務大臣 お答えいたします。
 農地の転用につきましては、社会経済上必要なものはこれを認めつつ国民に対する食糧の安定供給の確保を図る観点から、優良な農地についてはこれを確保していく必要があります。このため、農用地区域として指定された区域内の農地や集団的に存在する農地、その他の良好な営農条件を備えている農地については原則として農地転用の許可を行わないこととし、将来にわたって農地として確保することとしているところであります。
 なお、優良な農地は、今後とも、農地制度及び農業振興地域制度の運用によりまして適切に保全してまいりたい、こう考えております。
#23
○小野寺委員 きょうずっといろいろな話をした中で、私の方で主張したいことが二点あります。
 それは第一点は、農地の転用の問題でありますが、この権限というのを、今回は都道府県でありますが、もっと使いやすい形で、現場で一生懸命頑張っています農業委員会、ここがその一義的な適否審査を現在行っております。結局、ここでの適否審査によって農地転用というのが一義的に判断され、それが都道府県を経て農地の転用ということが認められる、そういう実態になっています。ですから、この農業委員会の立場ということ、あるいは地位ということをしっかりと認識していただいて、地方分権の流れでもありますから、現場の農業委員会に今後権限を移譲する、一部の権限は移譲するというような方向をぜひ見出していただきたいというふうに考えています。
 またさらに、先ほど第三条の問題を申し上げました。いわゆる権利の移動であります。権利の移動につきましても、これは農地の集約化あるいはこれから広域的な農業生産を農業生産法人あるいは意欲的な農家が行うに当たってもますます活用しやすいように、今のようなすぐ隣の農地、自分の親戚の農地、そこを借りて、あるいはそこを買って使いたい、そういうときにも、また都道府県知事のところまでその審査を仰がなければいけない、こういう煩雑な現状が現場にはあります。今後さらにこの第三条の問題についても少し現場の意見を聞いていただいて対応していただければというふうに思っています。
 また、株式会社の農地取得の問題でありますが、これは本当に地域の農地、特に農家は経済基盤が弱い状況にあります。そんな中で、本当に資本が農業に投下された場合、農地を一括して株式会社が大量取得をする、将来その農地がずっと農地であり続けるかどうかということはよほど慎重に考えないと危険性が大分ある、そのようなことをはらむ問題でもありますので、ぜひ慎重に考えてこの問題を取り扱っていただければというふうに思っています。
 いずれにしましても、日本の農業は今本当に厳しい状況にあります。そんな中で、農業の基本であります農地法ということは大変重要な意味を持ちますし、また、今回の改正、私は完全ではないと思いますが、地方分権の流れに沿って、あるいは通達を明確に法律で基準として、この許可基準を法定化したこと、この意義というのは確かにあると思います。半歩前進といいますか、今後この農地法の意義がさらに高まることを期待しまして、きょうの質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#24
○北村委員長 これにて小野寺五典君の質疑は終わりました。
 次に、堀込征雄君。
#25
○堀込委員 農地法の質問に入る前に、ちょっと一点だけ、例のインドネシアヘの米支援の問題であります。
 外務省筋の発言が新聞報道されたりいろいろされていますが、きょうは正式な委員会の場でありますので、この問題について最初に、援助方式あるいは財政方式などについての検討状況をまず食糧庁に一点だけお伺いして農地法の質問に入りたいと思います。その点、お願いをしたいと思います。
#26
○高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまお尋ねの件でございますが、既に御案内のとおり、インドネシアにおける食糧事情が厳しい状況にあるということで、去る二月二十日の閣議決定におきまして、食糧支援、特に米を早期に具体化するというふうにされたわけでございます。その後、大臣の御指示を受けまして、具体的な検討を急いでいるところでございます。
 その検討の状況でございますが、私どもとして、政府米を活用する場合ということを念頭に置いて、まずその仕組みにつきましては、農林水産省として、具体的な政府内での議論を行うために、食糧援助に係る財政負担を平準化する機能等を有する国内における一定の機関、こういったものによって支援をする、こういうことでたたき台をつくり、政府部内で調整をしております。この考え方については、大枠について合意に至りつつあるかな、こう思っております。さらに、運営ルールについて詰めを行っているという段階でございます。
 もう一つの問題は、支援数量でございます。この支援数量につきましては、四月九日にWFP・FAOの合同調査の結果が出ておりますが、こういったことも踏まえまして、さらにはインドネシア政府からの具体的な話も待って決めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございまして、今現在、そういった検討状況にございます。
 今申し上げたような状況の中で、手おくれにならないように、きちんと支援ができる具体的な判断をきちんとするように、また政府内での調整を急いでまいりたいというのが今の状況でございます。
#27
○堀込委員 ありがとうございました。
 それでは、きょうの農地法の関連の質問に入ります。戦後農政というか、少し幅広く議論をさせていただきたいし、また御指導もいただきたいと思いますので、お許しをいただきたいと思います。
 この法案が提出をされた背景、農村社会の変化だとか、あるいは農地制度の変化だとか、いろいろな状況がありますが、やはり規制緩和、そして地方分権の流れというようなことが一つあるように思うわけであります。
 そういうふうに考えますと、戦後日本のシステムがいよいよ立ち行かなくなったような状況があるのではないか。これだけ順調に発展してきた日本経済、そして世界第二位の生産力を誇る国にまで発展したけれども、今まさに、そのうまく作用してきたシステムが問われている。終身雇用制を中心とした日本型企業のあり方、あるいは中央省庁の統制による業者行政といいますか、そういうもののあり方、あるいは金融でいえば統制的な間接金融、税制でいえば直接税中心の源泉徴収制度を初めとした仕組み、そういったことが抜本的に問われるようになってきた。
 実は、こういう制度というのは日本国有の制度みたいに言われているけれども、戦時の総動員体制のもとでつくられたのだという指摘を一橋大の野口教授なんかはしているわけであります。つまり、四〇年代体制といいますか、そういう指摘があるわけであります。日銀法初め金融諸法もそうでありますし、総力戦遂行のための総動員体制みたいなのができた、この昭和十六、七年ごろ、大体四〇年代にそういう仕組みができてくるわけであります。
 農業問題あるいは食糧問題を見ましても、食管法がこの時期に制定をされる、あるいはきょう議論をされる農地法も、その昭和十六年の臨時農地等管理令を源流としておるということを見ますと、私ども、農業政策なり、この基本がやはりこのころできたのだなと。日本の特徴として、そういうものははるか昔からあって、江戸時代の藩や家の制度からあったのだなんという議論もありますけれども、実は考えてみると、この五十年間こそ変形であったという議論があるわけでありまして、それは戦時の総力戦遂行のための総動員体制あるいは統制経済であったのだと。例えば、日本の米の市場なんかは、長年自由市場でやってきたけれども、食管法ができた、そしてこの時期に、有史以来、長年にわたってあった地主と小作人の
関係が本質的変化をこの時代に遂げてきたというふうに言われているわけであります。
 そういうふうに考えますと、今、食管法が改正をされ、市場原理が導入されてきた。農地法も徐々に見直されようとしている。そういう意味では、戦時体制というか四〇年代体制というか、そういう農業政策、農地政策というものの転換がいや応なしに迫られているのではないか。
 私は、この改正案提案の背景を見ますと、規制緩和計画の閣議決定を受けてとか、地方分権推進委員会の一次勧告を受けてとか、どうも受け身のような姿勢が見えて仕方ないわけでありまして、農業サイドでもう少し積極的に、この五十年間の時代は何であったのか、そして、これからそういう統制型、規制型の農政をどう転換させていくかという、何というか主体的な意思みたいなものがはっきり見えていく必要があるのではないか、こう思うわけであります。
 多少アバウトな質問で申しわけありませんが、その辺の基本的な考え方について、大臣に伺っておきたいと思います。
#28
○島村国務大臣 お答え申し上げます。
 社会情勢の変化や国際化の進展に対応いたしまして、新たな基本法の制定を含む農政の改革が必要となっております。その意味で、現在、食料・農業・農村基本問題調査会において議論が進められているところでありますが、調査会におきましては、昨年十二月、中間取りまとめが行われまして、本年夏ごろをめどに、いよいよ具体的な施策の方向について最終答申をいただくことに予定をいたしております。
 今後、調査会での議論を踏まえまして、国民的な合意を形成しつつ、二十一世紀における我が国農業、農村の発展と国民生活の向上を図るために、農政の全般にわたる抜本的な見直しを積極的に進めてまいりたい、こう考えております。
#29
○堀込委員 私は、この農地法の議論をする場合に、農地法が一体どういう役割を果たしてきたのだろうか、そして、これからどういう役割を果たしていくべきであろうかという議論が大切だと思うわけでありまして、そういう意味では、今申し上げたような総括的な議論というのを深める必要があるのだろうというふうに思います。単なる規制緩和論ではなくて、さりとて単純に、農業を守れみたいな反対論ではなくて、冷静に、この農地法の果たしてきた役割というものを見詰めながら議論を深める必要があるのだろう、こういうふうに思うわけであります。
 先ほど申し上げましたように、昭和十六年に臨時農地等管理令を制定されている。そして、昭和二十七年にこの農地法が制定をされるわけでありますが、この間に、いわゆる農地改革というのがなされるわけであります。
 戦前の日本は小作が一般的でありまして、調べてみますと、一九四一年時点で、全耕地の約半分が小作地で、耕地を全く持たない純小作人というのが全農家の三分の一を占めていた。ところが、四六年に公布をされた自作農創設特別法、改正農地調整法という二つの法律によって、この不在地主の全貸付地、それから在村地主の貸付地で一定限度を超える農地は、国が強制買収をして小作人に売り渡し措置をとるわけでありまして、これによって、小作地の八割に当たる、当時のデータでは百九十三万町歩が解放された。こうした経緯を見ますと、農地法というのは、自作農体制といいますか、そういう意味では大きな役割を果たしてきた。したがって、農業生産力の向上に大きな役割を果たしてきたのだろうというふうに思うわけであります。
 二つ目に、この農地法は、権利移動統制というものをやっておりますから、農地の所有権あるいは利用権を取得、保持する者がその地域に居住している、そしてみずからがその耕作に従事していなければならない、こういう社会的実態というようなものもつくり出してきた。そういう意味では、農村共同体社会を維持する上で極めて重要な役割を果たしてきたのだろう、こういうふうに思いますし、あるいは、転用規制や賃貸借規制を中心に農地の所有権や利用権、農業生産の手段としてきちんと法的に規制している、このことが、他の土地一般とは非常に区分して、農地問題については行政が直接的に関与、介入できる姿をつくってきたのだろうというふうに思うわけであります。
 そういうふうに見てみますと、都市的な土地利用に対する無制限な拡大、そういうものをきちんと抑止をしてきた、無秩序な開発防止や国民食糧確保のための農地確保に大きな役割を果たしてきたというふうに思うわけでありまして、そもそも経済的規制というよりも社会的規制、こういうふうに言えるのだろうと思うわけであります。
 ですから、私が申し上げたいのは、一般的な経済的規制であれば、単純な規制緩和議論だとか地方分権議論の中でなじむのでありましょうが、農地法の場合は、やはりそういう社会的規制的な性格が非常に強いがゆえに、規制緩和論や地方分権論のそういう議論になじむものではなくて、農業政策の確立、あるいは国民生活上大切な課題として、もっときちんとした本質的な議論がやはり必要なのではないか、こういうふうに思うのですが、見解はいかがでしょうか。
#30
○山本(徹)政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、現在の農地制度は、自作農体制、また、農村の共同体を維持するために大変重要な役割を果たしているわけでございまして、このような現在の農地制度の基本的な枠組みはこれからも維持するということは重要であると考えております。
 今回の改正というのは、四ヘクタール以下の転用について知事に移譲をするという点が第一点でございます。これも、単に規制緩和あるいは他方分権というよりは、最近の農業の実態から見て、この二ヘクタール以下を知事の許可権限にしたときには、農道あるいは用排水路で区画された全国の農地の平均的な面積が二ヘクタール以下でございました。これが一つの営農、農作業の単位となっていたわけでございまして、この単位以下であれば知事の権限とするのにふさわしいであろうという判断が一つあったのでございます。今回これを四ヘクタールに引き上げましたのは、現在の営農の実態からして、これをいわゆる圃区と言っておりますけれども、一つの営農単位としての農道あるいは用排水路で区画された農地の集団の面積が現在では四ヘクタール程度に拡大しております。これは圃場整備、用排水路の整備等々が進んだことによるものでございますけれども、そういった営農の実態にかんがみて、これを知事に移譲するのが適当であろうという判断から今回の権限移譲を行ったわけでございます。もちろん、これに対しては、一挙に二倍になりますので、当分の間、知事は、農地転用を許可されるときには事前に農林水産大臣に協議していただくこととなっておるわけでございます。
 それからまた、もう一点は、許可基準を法定化することにしたわけでございます。これはこれまで事務次官通達等で定められていたわけでございますけれども、これをいわば法律の基準として格上げすることによりまして農地の無秩序な転用についての歯どめをかけるという効果があるものと考えておりまして、私どもは、現在の営農の実態、またこれからの優良農地の確保の方向性と今回の改正はまさに合致しているものであると考えております。
#31
○堀込委員 ちょっと質問と少し何かずれていたような気もしますけれども、いずれにしても、そういう農地法の社会的規制法としての性格というものをきちんと踏まえながら今後対応をいただきたいなというふうに思います。
 そこで、農水省は、一生懸命この構造政策ということで、農地の集積、大規模経営を追求してきたわけでありまして、農用地の利用増進事業から経営基盤強化法へと、いろいろ農地を流動化させ、規模拡大の道を追求してきたわけでありますが、なかなかうまくいっていない、こういう状況があるわけであります。
 構造政策の推進にあわせて、農地法も何回かの改正を経て対応を図ってきたわけでありますが、
期待どおりに農地流動化、規模拡大が進んでいない。この原因はそもそも農地法にあるのではないかという議論があるわけであります。
 私は、単純にそうではなくて、やはりこの時代に公示地価が非常に高くなった、したがって農地の資産的保有の性格が極めて強くなった、あるいは在宅の兼業が進んでしまった、あるいは農業生産が他産業の所得に比べて著しく低いとか一そういうことが主要因であって、構造政策がうまく進んでいない理由は農地法がネックになっているのではないかという粗っぽい議論がありますけれども、もう少し根っこの深い問題ではないか、こういうふうに思いますが、これはちょっと農水省の見解を伺っておきたいと思います。
#32
○山本(徹)政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、構造政策、農地の流動化が進まない原因は、地価が右上がりにこれまで上昇してまいりました。農地もこの例外ではございませんで、かつ、我が国では非常に土地が狭小であり農地も資産的な価値が大変大きいということから農地の流動化が進まないという点、また、営農技術的にも、在宅で兼業をしながら営農するということが大変要因になってきている、また、農業だけで現実に生計を維持するということがなかなか他の産業の成長等との兼ね合いから難しくなっている面もあるといったような諸点から、私どもも、農地流動化が進みにくいという面はあるかと思っております。
 私ども、こういった事態に対応するために、農地の賃貸借を無理のない形で進めていただいたり、また、作業受委託という形で、大型の機械を効率的に利用しながら効率的な営農を実現するという方向にも施策を展開しているわけでございまして、所有権のほかに、賃貸借、作業受委託、この三つを合わせて、規模拡大あるいは構造政策を鋭意推進しているところでございます。
#33
○堀込委員 いろいろ努力をして構造政策を進められているわけであります。しかし現実には、高齢化、そして後継者不足、農作物価格が低迷をして、あるいは輸入食糧増大によって農業者は将来展望を喪失しておる、耕地利用率が低下をし、遊休、耕作放棄地が拡大をしておる、結果として食糧自給率が低下をしているわけであります。何というか、農地余り現象みたいな現象も現に起きているわけであります。
 そういう中で、九二年に新政策を打ち出した。経営体育成策を前面に出して、一方で、農業、農村の多面的機能を重視した地域政策だとか環境保全政策、今後そういうことをやろうということを打ち出したわけでありまして、経営基盤強化促進法、特定農山村法という具体的な法律でそういう方向を打ち出したわけであります。
 いろいろ議論してきた経過もわかりますし、問題意識もよくわかるわけでありますが、日本の農地、そしてそれを利用する農業、特に土地利用型農業が成立をしていく可能性というのは一体何だろうかというふうに考えてみますと、今答弁がありましたようないろいろな政策の努力、そして土地集積、規模の拡大を図るという努力はよくわかるのですが、全体としてやはり農業生産が成り立つということが必要なんだろう。
 そういうふうに考えますと、一定の国境措置というようなこと、農業政策全体としての国境措置というようなことが前提にないと、日本における土地利用型農業というのは成立し得ないのではないかという印象を私持つのですが、見解はいかがでしょうか。
#34
○山本(徹)政府委員 御指摘のとおり、農地の狭小な我が国では、土地利用型農業を専業的な経営として実現するというのは大変困難な面がございます。しかしながら、二十一世紀に向けて、国民に安定的に責任を持って食糧を供給するためには、認定農業者を中心とした体質の強い土地利用型農業の経営者を育てていく必要がございます。このためには、私ども、さまざまな方法を講じながら、無理のない形で農地を認定農業者等に集積する活動をそれぞれの地域において実践していただくようにいたしておるわけでございます。
 具体的に申し上げれば、農業委員会のあっせん、あるいは農地流動化推進員、これを農業委員さんあるいは農協、市町村の関係者等々にお願いしておりますが、これによる農地流動化のためのいわゆる掘り起こしの活動とか、さらに農地の利用集積が行われた場合に集団等に対して助成金を交付する制度、また農地保有合理化事業等々、さまざまな施策で体質の強い土地利用型農業の経営者の育成に努力しているところでございます。
#35
○堀込委員 よくわかるのですが、ただ、私は何か、日本の農業経営がだめになったから、だから法人経営にしよう、そしてそれに合う法律に変えていこうみたいなところが少しあるのではないか、やはりそこのところをきちんとしておかなければいけないのじゃないかということで、日本の農業経営のスタイルといいますか、家族農業というようなものをどういうふうに位置づけておくかということは大事なのだろうというふうに思います。
 特に、二十一世紀の世界的な食糧不足への懸念がある。自給率がこれ以上低下することは極めて心配だなという懸念がある。それから、国土と社会の全体均衡をどうやって維持していくのだろうか、環境や国土や景観の問題などさまざまな視点から、一定の農地総量の確保というものが不可欠なのだろう、こういうふうに考えるわけであります。
 そういう意味では、農地法の果たす、そういう今当面している課題に対する役割というのは極めて大きいのだろう。国民の方は、安くて安全な食糧の供給を求めていますし、同時にまた、将来の食糧の安定確保だとか、環境あるいは景観等に配慮した社会づくりを求めておるのだろうというふうに思うわけであります。
 そうした視点から見ると、やはり、農地法が基盤にあった家族主義といいますか家族農業経営、そしてそれに基づく農地政策というのが基本にあるべきではないのだろうか。アメリカのように少数の農業者が広大な農地を所有して生産する方式というのは、日本に、将来とも可能性がないし、そういう政策はとるべきでもないと思うわけであります。
 そうはいっても、今経営している農家世代のレベルと後継者の世代が要求している経営レベルの格差というのも、また非常に開いているのでありましょうから、だから、そういうことを追求せずに、何か家族農業経営がだめになったから法人経営でというような新政策の印象を受けるわけであります。農地政策でもその辺は、やはりこれからも日本の農業、家族農業が基盤なんですよというところは見ておく必要があるのではないかというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
#36
○山本(徹)政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、アメリカのように、集落がなく、非常に広大な農地を利用して農業経営ができるというようなところは、企業的な経営が十分成り立つわけでございますけれども、日本のように、農村には広く集落があり、また集落の中で狭い土地を効率的に利用しながらさまざまな作物の組み合わせによって所得を上げるという自然条件、また農村の成り立ちを考えますと、これからも、家族農業経営がこれからの農業経営の中核を占めるものであると私どもは考えております。
 しかしながら、このような家族農業経営も、さらに二十一世紀に向けて、若者がこういった農業にどんどん魅力ある産業として参入し、また農業を続けていくためには、効率的、安定的、また近代的な農業経営、家族経営といえどもそういった農業経営でなければならないと思っております。
 具体的に申し上げると、家族経営であっても、家計と経営をできるだけきちんと分離する、また休日とか勤務時間あるいは農業労働に対する適切な報酬といったようなことも家族の中できちんと取り決めを行う、また婦人等々の役割も明確化するといったような、家族経営の中でも経営の近代化を図ることが大変大事だと思いますが、そのためには、この家族経営を法人化するということが一つの大きな近代化への有効な手段であると考え
ております。
 現に、現在、農業法人、これは約九千五百で、戸数としては〇・四%程度、また面積にしても二・七%程度でございます。全体としてはごくわずかでございますが、この農業法人の中でも、約半数は家族経営を法人化された一戸一法人、家族経営の法人でございまして、このような法人化というのは、農業の近代化のための、あるいは若者にとって魅力のある農業経営を実現するための一つの有力な方策であろうと考えております。
#37
○堀込委員 少し議論したいのですが、時間の関係もありますから。
 そこで、先ほども出ましたが、規制緩和、要するに株式会社の農地取得の問題であります。いろいろな議論があるわけでありますが、できれば少し農水省も明確な意見を表明いただきたいわけであります。
 農地法の規制が新規参入を妨げているのだ、ひいては農業生産の発展を妨げているのだ、ここから、転用規制の緩和だとか、農地取引の自由化だとか、株式会社の農地取得論、相次いで出されているわけであります。私は、第一に、農地法の耕作者主義と株式会社の土地所有というのは、そもそも相入れるものだろうかという点の見解を聞きたいわけであります。
 資本と経営が分離をする、あるいは株式の自由移動を原則とする株式会社が農地を取得する、これは農地法の規定している耕作者主義と真っ向から反するのではないかという見解があるわけですね。つまり、もしこれを認めれば、もう耕作者主義ではなくて自然人である個人の農地取得もどんどん自由ということにしないと、法理論上理屈が成り立たぬではないかという懸念をするわけであります。この点について一つございます。
 それから、規制緩和小委員会の議論を見ますと、株式会社による土地投機が心配なら、せめて賃貸借だけでも認めるべきではないかというような議論とか、株式会社の農地取得に用途制限を加えたらどうかというような議論がされておりますが、実際に日本の土地利用規制のもとでそういうことが可能なのだろうか。利用目的の違いで、利用規制や私権の制限が果たして農地法の方からそういうことができていくのだろうかということを懸念するわけであります。
 逆に、そういうことになりますと、日本の農地法の仕組み上、農地法そのものの法的な基本といいますか、そういうものが崩れていくのではないか、こういう感じを私はしているのですが、見解をちょっと聞かせてください。
#38
○山本(徹)政府委員 株式会社の農地取得の問題については、基本問題調査会の御意見を承りながら、私ども、多面的な角度から検討しているところでございますので、そういった前提でお答えをさせていただきますと、まず第一点の耕作者主義とどう調和するのかということでございます。
 耕作者主義というのは、農地の利用のあり方にとって大変大事な価値であると思っておりまして、現在、家族経営等を含めた法人経営についても、構成員は過半が農業者であり、また執行部、経営責任者も過半が農業者でなければならないとされておりまして、したがって、その法人も実質的に農業者が運営される法人でなければならないこととされております。
 株式会社の場合には株式の譲渡が原則として自由でございますので、当初は農業者が運営している株式会社であっても、ある時期にこれが支配者、運営責任者が変わっているのではないかという問題があるという御指摘でございまして、これが株式会社に対する消極論の一つでございます。また、積極論者からは、これは定款で歯どめをかける、あるいは何らかの歯どめをかける方法があるのではないかというような御意見があるところでございます。これらについて、私ども、慎重に制度について考えてまいりたいと思っております。
 それから二番目には、株式会社を導入する際に、賃貸借に限る、あるいは転用を禁止する、用途制限をかけたらどうかという御指摘でございます。これについて、賃貸権といえどもこれは権利でございまして、農地の資産的価値が大きいだけに、賃貸借もそれなりの財産権としての価値を持ち、これを何らかの転用目的で一たん賃貸借権を取得された場合に、やがて所有権にまでこれが移ってくるのではないかとか、賃貸借を通してその買い占め、転用につながるのではないかというような議論がございます。
 また用途制限、すなわち一切の転用を禁止するということが現実的かどうかといいますと、日本のような狭小な国土、また狭小な農地では、例えば現在も、農地制度上は国などが事業主体になる国営の事業等では、これは許可除外、農地の許可が必要でないとなっておりますし、非常に公益性、公共性の高い転用案件については、優良農地も転用を認めるということになっておりまして、例えば新幹線とか高速道路が株式会社の取得した農地を通るときに、そこを迂回して高速道路や鉄道を敷設させるということが現実に可能かどうかというような問題がございまして、永久農地論の現実性についてはかなり疑問であるという意見が率直に言って強いのが現実でございます。
#39
○堀込委員 私は、これは農地法の存立の根幹の問題になってくるのではないかという懸念をしているわけでありまして、議論の過程で、またぜひそういう点も踏まえて深めていただきたいというふうに思います。
 そこで、少し角度を変えますが、結局、農地の問題というのは、国としての土地政策全体の問題になるわけであります。
 一つは、都市における土地政策、それから住宅政策、そして農地政策という三つが絡まってうまくいかないと、日本の農地政策というのはうまくいかないだろう。とりわけ、都市における土地政策ということをしっかりやることが、住宅政策や農地政策をやる上で極めて大切なのだ、そういう考え方が七〇年代にドイツでは確立をされた、こういうふうに聞き及んでおります。
 なかなか都市側の土地政策において、農業的な土地利用に対して影響を全然与えない都市的な土地利用、例えばそういう議論はない。つまり、農業的土地利用に対して有害な影響を抑制するシステムといいますか、そういうものについては、もう農地法と農振法にゆだねられている、こういう現状があるわけでありまして、先進国では、どうもこれは日本特有のものらしいのです。ですから、幾ら農業サイドで開発規制、転用規制をしても、それは転用後の土地利用規制だという話になってくるわけでありまして、つまり土地利用計画、全体の計画としての機能を有しないという側面があるのではないか。
 今、株式会社の農地取得の問題もありましたが、結局は、都市における土地政策なり都市における土地利用計画というようなものがしっかりしないと、優良農地を守るとか景観とか、いろいろな問題が農地政策だけでは限界があるのではないかというふうに考えるわけであります。
 これは、本当は建設省がいれば建設省に聞きたいのですが、答弁は簡単でいいですが、考え方ございますか。
#40
○山本(徹)政府委員 御指摘のとおり、都市において守るべき農地は守りながら計画的な土地利用を図るというのは、大変重要なことだと考えております。
 日本の憲法以下の法令に基づく私的な所有権、土地所有権を含めた権利に対する保護の厚さ、それから土地の資産的な保有の意識が大変国民に強いということを考えますと、私ども、計画的な土地利用というものが悲願でございますけれども、現実の制度あるいは運用面では、なかなかこれが苦戦しているというのが現実でございます。
#41
○堀込委員 少し角度を変えて質問させていただきます。
 いわゆる地方分権議論というのがあるわけであります。今度の法案も多少そういうものを受けて、地方分権の考え方が取り入れられているというふうに思うわけであります。一体、地方分権というのはいかなるものなのだろうか。本質的議論
というのをやはりやっておく必要があるのだろうというふうに思います。
 冒頭申し上げましたように、戦時体制と言われる中央集権あるいは一極体制のシステム、それから中央省庁中心の官治システムといいますか、官僚システム、そういうものが立ち行かなくなったから今規制緩和をするのですよ、民間活力を導入し、自由な社会経済のシステムをつくり上げていかなければ日本の未来は極めて危ないのですよ、こういう議論があるわけでありまして、実際、それは正しいのだろうというふうに思います。
 そのためにも、規制をなるべく小さくする、中央省庁の権限をなるべく地方自治体に移す、権限、財源も地方にできるだけ移しながら、人員もスリム化して小さな政府を目指していく、こういう方向なのだろうというふうに思いますし、橋本行革もいよいよ行革の審議に入りますが、そういう方向は基本的にそうなんだろうというふうに思うわけであります。
 しかし、この法案を見ますと、地方分権推進委員会の提案や閣議決定を受けた、何となくそういう方向は受けてはいるのですが、権限を少しだけ知事に移したというような感じがいたしまして、そういう発想とはちょっと違うなという感じを受けるのです。それでいいのだろうというふうに私は思います。つまり、土地制度の基本にかかわることについては、この後質問いたしますが、そういう規制緩和や地方分権とは少し違った議論をすべきなんだろうというふうに思います。
 私は、農林省行政全般として、補助金や公共事業、たくさんあるわけでありますから、順次これを地方に移していく、できるだけ中央省庁である農林水産省の権限を縮小しながらスリム化していく、こういう考え方はやはりきちんとしながら農政全般をこれから進めていく必要があるのだろう、こういうふうに思いますが、農水省業務の分権化について大臣の見解を伺っておきたいと思います。
#42
○島村国務大臣 お答えいたします。
 国と地方公共団体の役割につきましては、政策の目的あるいは性格に応じまして分担しているところであります。また、農業政策については、例えば国民食糧の安定供給の確保は国家の存立にかかわる政策でありますし、基本的には国が重要な役割を担うべきものと考えておるところであります。
 一方、我が国農林水産業は、まさに寒帯から亜熱帯にかけて、いわば気象とか地形とかそれぞれの地域のもつ歴史とか、地域差が非常に大きいことから、それぞれの地域の自主性あるいはまた創意工夫を生かしながら農政を推進しているところであります。
 このような基本的な考え方のもとに、農林水産省といたしましては、これまでにも、国の権限の地方への移譲、また必置規制の見直し、さらには国庫補助金の一般財源化や統合メニュー化など国庫補助負担金の整理合理化、そして採択基準の引き上げによる公共事業の重点化など、可能な限り地方分権を推進してきたところでありまして、今後ともさらに進めていきたいと考えております。
#43
○堀込委員 そこで、そういう分権の流れと農地政策という問題であります。
 私は、この農地法というのは国家権力を究極の根拠として転用統制を図っている、そして自治体の土地利用計画というのはこれはまた自治体が決めているわけでありまして、権限的にもこの二つというのは一体化できるものではないのだろう、またいずれか一方で足りるというものでもないのだろう、両方相まって初めて有効な土地政策、農地政策というのはできるのだろうというふうに思うわけであります。
 今、大臣からも答弁がありましたように、戦時体制と言われる農政の枠組みを新しい農業、農村政策を進めるために変えていかなければならない。それはそうなんですけれども、社会的規制法たる農地法、やはり今後とも規制が必要なんだろうというふうに私は思うわけであります。
 つまり、国家権力に基づく農地法による国の一筆統制というのが一つある、それから農振法に基づく自治体のゾーニングというのが一つある。これによって転用規制が成っているわけでありまして、この規制は決して相反するものではなくて、あるいは並列的なものではなくて、やはり規制は農地法なんだ、そしてその運用規定が農振法というような関係に法体系上なっているのではないかという見方を私はしているわけであります。そう見ますと、農地法の持っている転用統制それから自治体の土地利用計画というものは、相互補完的なものとして今後も機能していかなければならぬな、こういうふうに思うわけであります。
 この農地の問題については、そういう意味で単純に地方分権していくという構図になじまないのではないかという考え方を持っているのですが、見解はいかがでしょうか。
#44
○山本(徹)政府委員 優良農地の確保という課題は、国民への食糧の安定供給を図るために大変重要な課題でございます。したがって、これは国の利益にかかわることでございますので、先生御指摘のとおり、単純に地方分権あるいは規制緩和という観点で考えるべきものではないと考えております。
 また、御指摘のように、農地法と農振法というのは、相互に補完関係を持ちながら、優良農地を確保し、また農村の計画的な土地利用を図るために大変重要であると考えております。
#45
○堀込委員 いろいろ議論してまいりましたが、そうは申しましても、農業者側の変化、特に農業者の土地に対する意識の多様化、あるいは農村社会の混住化が物すごく進んでしまっている、こういうことを考えますと、農地法のあり方なり農地政策のあり方は極めて難しい局面に立っているなという感じもするわけであります。
 確かに農地を大切な生産手段として考える農家もあれば、単なる財産としか考えない農家も中にはあるわけであります。農家と非農家の間の意思疎通もだんだん難しくなって疎遠になってくる、地域農業に対する合意形成というのはますます難しくなってきたな、そういう時代に入っているのだろうと思います。しかも農村の内部には、規模拡大志向農家もあれば、兼業農家、高齢農家、非農家なども混住している。
 仮にこの新政策によって、例えばそういう状況ではありますが、農地の賃貸借や利用権あるいは流動化が進んだとしても、農村のインフラである水路や畦畔や農道といったような、こういうインフラを一体だれが守るのかという問題が残るわけであります。豊作を祈願する春祭りはだれがやるのか。豊作に感謝する秋祭りをやる、そういう農村共同体社会は一体残るのであろうか。何か、皇居でしか田植えと稲刈りが行われなくなるのではないか、お祭りが行われなくなるのではないかということも懸念するわけであります。
 そう考えますと、今の農村社会は、だれでもが農家で、だれでもが農村社会のインフラやお祭りに責任を持つ、そういうことが当然であるという時代が確実に終わりつつあるのだろう。そこで、農地法の理念を再検討する必要があるのだろうというふうに思います。
 私は、そういう意味では、規制緩和とか地方分権とかあるいは経済活動からの要請ではなくて、むしろ農業サイドから、あるいは農村内部から検討すべき時代が来ているのだろうというふうに思わざるを得ないわけであります。やはり農家の側、農業サイドが、農地所有権というのは、私有財産として厳然としてあるということは認めますけれども、土地利用というのは公共性がそもそも絡むものなんだ、したがって農地所有者には社会的にも合理的な土地利用を行う義務があるのですよ、そういうことをやはり明確にし、権利も明確にしますが、そういう義務も明確にするようなことを検討していく時代に入っているのではないか。
 これは、もう経済界とかいろいろからの追求ではなくて、まさに農村内部から、農業者サイドあるいは農業団体内部からそういう議論を進めるべ
きときに来ているのではないかという印象を実は持っていますが、いかがでしょうか。
#46
○山本(徹)政府委員 先生御指摘のとおり、農地は、私有財産であるとともに、食糧供給の貴重な資源としての公益性、また、食糧供給のみならず国土保全、水源涵養等々のさまざまな価値を持っている貴重な公共的な財産である側面もございます。
 そういった意識が一方では高まりつつあるのも事実でございまして、農振制度による農用地区域の編入、また優良農地の農地法による一筆統制といったものも農業者の理解を得ながらきちんと運用し、守るべき農地は守り、これを農業生産の場として効率的に利用してもらう、そのかわりに国も、土地改良投資等々さまざまな優遇措置を講じながら、これを農業生産、農業経営の場として維持、また発展させていくということは私どもの大事な課題であると思っております。
#47
○堀込委員 やはりこの農地問題に対する規制緩和委員会なり地方分権推進委員会、いろいろな議論が出てくると思うのですね。それを受けて議論することもいいのですが、農業サイドもそういう状況になっている、あるいはさまざまな多くの問題を抱えてしまっていることも事実でありますから、むしろ農業者としての義務をどういうふうに果たしていくのかというような議論を、これは農業サイドあるいは農業団体も含めてもっと積極的な議論を展開してほしいものだという印象を私は持っております。
 そこで、法案の中身について二、三点お伺いをいたします。
 先ほども出ましたが、四ヘクタール以下の農地転用の許可権限を都道府県知事に移管をする、しかし当分の間二ヘクタールを超え四ヘクタール以内の農地の転用を許可しようとするときは知事は大臣と協議せよ、こういうことになっていまして、何かおどおどと権限移譲しているなという感がするわけであります。権限を移譲したけれども大臣ともう一回協議しなさいよということはどういうことなんでしょうか。つまり、都道府県知事に移すけれども当分の間は大臣と協議しないと認めませんよと、この発想はどういうところから来ているのですか。
#48
○山本(徹)政府委員 これは、知事の権限を二ヘクタールから一挙に二倍の四ヘクタールに拡大することにいたしたわけでございますけれども、こういった大規模な案件につきましては、一方では開発の政治的、経済的な圧力も大変強い場合がございます。多分、知事さんはこの権限を適正に行使されると思っておりますけれども、一挙に二倍になるだけに、当面、許可に当たっては農林水産大臣に事前に協議していただくことにし、この権限が適正に行使されるということを見きわめたいという考え方でございまして、これは地方分権推進委員会でも、こういう規定を設けることが勧告の内容となっておるところでございます。
#49
○堀込委員 閣議決定で規制緩和推進計画、あるいは去年の十一月十八日、経済対策閣僚会議では、二十一世紀を切りひらく緊急経済対策、四ヘクタール以下のものは早急に都道府県知事に移管する、こういう決定をしてありますが、今の特別条項というのはこの閣議決定には違反しませんか。趣旨に反しませんか。
#50
○山本(徹)政府委員 ただいま御指摘の閣議決定は規制緩和に関する計画ということで、この地方分権推進委員会の勧告のりち、権限を移譲するという点についてこれに着目して整理されたものでございまして、事前協議を義務づけるという規定は計画にはございませんが、これは必要ない、これは閣議決定に反するという趣旨ではないと考えております。
#51
○堀込委員 それで、もう一つ。その当分の間というのはどの程度のことを想定しているのですか。
#52
○山本(徹)政府委員 これは、知事さんが二倍に拡大されました転用の権限を適正に実施されるということが見きわめられる時期ということでございまして、特別何年先というようなことは現段階では定められてはおりません。
#53
○堀込委員 何かよくわからぬけれども、無期限もあり得るということですな。
 そこで、もう一つ。知事と大臣の協議が調わない場合、こういうケースはどういうふうになるのですか。
#54
○山本(徹)政府委員 農林大臣に事前協議された場合に、多分大臣と知事との協議が調うと考えておりますけれども、当然調わない場合も想定されます。その場合には、地方自治法の百五十条がございまして、農地転用に関する事務、これは国の事務を知事に委任した事務でございまして、この地方自治法百五十条の規定に基づきまして、主務大臣である農林水産大臣の指揮監督に服するものとされております。したがって、農林水産大臣の立場として、知事さんが適正にこの権限を行使していただけるように指揮監督できることになっておりますので、これを通じて農林水産大臣の、国の意思を反映させることができるということになっております。
#55
○堀込委員 要するに、大臣に権限が残っているのですね、移していないのですよ、これ。そういうことなんでありまして、よくわかりました。わかりましたというか、あれですが。
 そこで、転用許可基準の法定化の問題であります。これは事務の明確化を図るという御説明でございますが、何か今までの通達ではぐあいが悪い、そういう点があって法定化をするのですか。いかがですか。
#56
○山本(徹)政府委員 転用基準の法定化は現在通達の内容をそのまま法律に規定したものでございまして、この趣旨、目的は、国民の方々に対して、通達でございますとどうしても、官報で告示されるというような手続もございませんので、ややもすれば見落とされるような場合もございますけれども、法律でございますと、国民一般の方々が広くこれをごらんになり、これを通じて基準が明確になり、またこの基準に従って関係の行政機関も適切な転用事務を実施されるということが期待されるわけでございます。
#57
○堀込委員 実際の行政の運用の問題、運用といいますか、ちょっと具体的な質問をさせていただきます。
 農業委員会の事務処理の迅速化というようなことをよく言われておりまして、総務庁の行政監察も平成七年七月に公共用地の関係で監察結果を出しております。施行規則にない隣接農地所有者の同意書だとか付近の農地の所有者や住民の同意書を付与したり、要するにちょっと時間がかかるのじゃないか、少し事務を改善したりスピードを速めなさい、こういう勧告も出しておりますけれども、この点はどのように改善されておりますか。あるいは今後どのように運用されていきますか。
#58
○山本(徹)政府委員 先生ただいま御指摘の平成七年の行政監察の勧告でございますけれども、この勧告を受けまして、平成七年七月二十八日付をもちまして都道府県、農政局に対しまして、転用許可申請を行うに当たって農地法施行規則等に定められていない添付書類の提出を求めないように、申請者に対して過重な負担をかけないようにという指導をいたしたところでございまして、これは私どもも折に触れて機会あるごとに適切な転用行政また申請事務の御指導を申し上げているところでございます。
#59
○堀込委員 最後に、農業委員会の問題について質問させていただきます。
 農協なんかも今二段階議論で事業改革が進められております。この農業委員会、それぞれ選挙委員、選任委員が選ばれておるのであります。都府県では十アール以上、北海道三十アール以上の耕作者、しかもその同居の配偶者、親族、これが選挙権を持っているわけでありまして、今六百万人ちょっと、六百五十万人ぐらいいるのですか、しかし大体三年に一度、三十万か四十万人ずつどんどん減ってきている。ところが、農業委員の方は今六万九百九十七人ですか、選挙委員が大体四万五千人、選任委員が一万五千人、こういう状況です。
 単純に割りますと、大体有権者百人に農業委員一人。ですから、これは世帯でいきますと、三十世帯から四十世帯に農業委員さんが一人いる、こういう現状でございまして、このほか、県の農業会議、国の農業会議所というのがあるわけであります。組織改革を検討しているということも聞いておりますが、やはりそれなりに改革について議論をされ、進めるべきは進めなければならないのではないか、こういうふうに思うわけであります。
 本当は、これは家族主義の法体系自体が私は問題だと思うのですけれども、その点にはきょうは入らずに、農業委員会の当面の改革の問題について、どのような進行状況か、お聞かせください。あるいは、これからの進め方についてお聞かせください。
#60
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。
 確かに、先生今御指摘のとおり、市町村段階における農業委員会、県段階における農業会議、それから全国段階では全国農業会議所でございますけれども、こうした農業委員会系統組織は、先ほど来御論議いただいておりますように、農地の権利調整に加えまして、農地の流動化あるいは担い手の育成、そういった方面で役割を果たしてきたということは御理解いただけると思います。
 ただ同時に、先生今御指摘になりましたような組織の問題を含めまして、各方面からいろいろな御意見をちょうだいいたしております。そこで、現在、全国農業会議所が中心となりまして、構造政策の効率的、効果的な推進に資する、そういう視点に立ちまして、関係機関との連携あるいは農業委員会系統組織の再編を含む問題につきましては、農業委員会系統内部で論議が既に始まっておりますので、私ども、農業委員会系統組織と十分連携をとりながら、そうした改革、改善の方向について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#61
○堀込委員 終わります。
#62
○北村委員長 以上で堀込征雄君の質疑は終わりました。
 次に、木村太郎君。
#63
○木村(太)委員 早速でありますが、今回の改正についてでありますけれども、私、一言で言えば、地方分権あるいはまた規制緩和というものに重点を置いたという印象を持ちました。
 先ほど来続いておる議論の中でもありましたとおり、自作農主義あるいはまた土地の農業上の効率的利用、こういった農地法の目的に沿って今回の改正はどういうメリットがあるのか、ひいては我が国の農業、農村あるいは農家にとってどういったメリットがあるのか、まず確認させてください。
#64
○島村国務大臣 お答えいたします。
 今回の改正は、農地の重要性に十分配慮しつつ、地方分権を推進していく観点から、二ヘクタールを超え四ヘクタール以下の農地転用許可権限を都道府県知事へ移譲するものであります。この内容につきましては、現在通達で定めております農地転用の許可基準を法律上明確にするということを内容とするものであります。
 今回の改正におきましても、自作農主義に変更はなく、また、農地転用許可基準の法定化によりまして、今後の農業の振興に必要な優良な農地は確保しつつ、地域の活性化等のために社会経済上必要な土地需要に適切に対応することによって、土地の農業上の効率的な利用に一層資することとなると考えております。
    〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
#65
○木村(太)委員 ただいま大臣の答弁があったそのことを、やはりいつまでも我々は大事にしていかなければならない、こう思っております。
 そこで、具体的に問いたいのですが、先ほど堀込先輩の質問にもありましたので、予定していたことをちょっと省きます。四ヘクタールとした理由というものを聞きたかったのですが、先ほど答弁がありましたので割愛します。
 ただ、当分の間は、これまでどおり二ヘクタール以上はあらかじめ大臣に協議しなければならないとしておりますけれども、この当分の間というのはどのくらいの期間を指しているのか、あるいはまた、仮に協議が調わなかった場合にはどう対応されるのか、御説明を願います。
#66
○山本(徹)政府委員 まず、当分の間でございますけれども、これは知事さんからの事前協議の運用の実態を勘案しまして、特にこの運用に支障が生ずるようなことはないと判断される状況に立ち至るまでの間ということでございまして、現段階で、将来何年後というような特定の期間を想定しておるわけではございません。
 それから、事前協議が調わなかった場合の措置でございますけれども、地方自治法百五十条の規定に基づきまして、これは、知事に委任してあります農地転用許可に関する事務は主務大臣である農林水産大臣の指揮監督に服するという規定がございまして、この大臣の指揮監督権を通じて、農地転用許可事務を知事さんの方で適正に実施していただくように措置することにいたしております。
#67
○木村(太)委員 そこで私、ここで確認したいのですけれども、今回の改正によりまして、農地転用の許可基準というものが法定化されて明確になってくる。だとすれば、各自治体における主体性ある農業、農村づくりを進めるためにも、ある面では、考え方を変えれば事前協議というものをなくしてもいいような印象というか認識も私持ちます。いわゆる権限移譲をすべきではないかという意見が出てきても当然だというふうに思うのですが、その点はどう思われますでしょうか。
#68
○山本(徹)政府委員 主要な先進国で、我が国は食糧の自給率が最も低い水準にございます。この日本の食糧自給を確保するためには、優良農地の確保ということは大変重要な国としての課題でございまして、そういった観点から、農地の転用基準を今回法律上に明記させていただいて、この基準に沿って、適切に知事さんはこの権限を行使していただいて、我が国の優良農地を確保していただくとともに、また、地域における具体的な転用の実需に対しては適切に対応していただけるように期待しているところでございます。
#69
○木村(太)委員 その適切に対応するということが、答弁としてもっと具体的にいただければなと思うのですが、もう一回、もう少し踏み込んで答えはありませんか。
#70
○山本(徹)政府委員 今回法定化をさせていただきます基準によりますと、まず、優良な農地、集団的な優良な農地については、これは原則として転用していただかないようにし、転用の順位としては、市街地にある農地とかあるいは市街地周辺の農地から、計画的に秩序ある転用をしていただくという考え方を基本に転用基準を定めているわけでございます。
 こういった計画的な農地の転用というのは、それぞれの地域における計画的な土地利用を図る観点からも大変重要であると考えておりまして、このような基準を法定化させていただいたところでございます。
#71
○木村(太)委員 これまでも、農地転用の円滑化、つまりは透明、あるいはまた簡素、あるいはまた敏速、こういったことは、ある面では課題というふうにもとられてまいりました。今回、この改正そして措置されることによりまして、さらに円滑化が進んでいくということになるのかどうか確認させていただきたいと思います。
 また今後、いわゆる周知徹底ということに対してはどう取り組んでいくのか、御答弁願います。
#72
○山本(徹)政府委員 今回、知事さんの権限を二ヘクタールから四ヘクタールに拡大するとともに、転用基準を、従来通達でございましたが、これを法律上明記することによって、広く国民の皆様方が農地はどういう基準で転用されるかということを御理解いただけると考えております。
 また、転用の迅速化、簡素化等については、さらに実施の段階でよく関係行政機関を御指導申し上げたいと思いますけれども、既に昨年の十一月に、私ども、農地の転用の問題についてはさまざまな御意見があるところから、この転用の事務の簡素化、迅速化また透明化を図るための転用の相
談あるいは苦情処理窓口、国の機関また都道府県の機関を明記させていただき、さらに農地転用、農振の運用の基準のマニュアルをつくらせていただきまして、広くこれをお配りしているところでございます。
 この新しい農地法の制度につきましても、全国会議、あるいはいろいろな文書、マニュアル等を発行いたしまして、迅速な周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
#73
○木村(太)委員 次に、担い手不足や高齢化が進行している中で、耕作者によります農地所有から耕作者への農地利用権の集積という構造変化というものが現実に私はこれからも加速していくのじゃないかなというふうにも思っております。こういった現実に即しても、地域農業の受け皿のすそ野を広げておく必要も積極的に検討していく必要がある、私はこう思います。もちろん、検討して結論を出していけばいいことですから、検討することは私は今後積極的に取り組んでいただきたい、こう思っております。
 例えばですが、広域合併した農協、この農協の合併というものも農林水産省は推進している立場でありますので、農協が地域農業を束ねる機関としても、農地の利用集積に主体的な役割を果たすという機能をストレートに持たせることも検討してみてはどうかなというふうにも思います。
 現行制度でも、土地保有合理化法人の資格などの取得については限定的に認められている、限定的に農地の利用調整というのは認められているわけでありますけれども、今までふえてきております耕作放棄地の有効利用ということも考えた場合に、地域ぐるみで農地の利用あるいはまた調整するシステムというものをやはりきちっとした形を構築する、整えていくということが一層求められているし、急がれてしかりだというふうにも私は思っております。
 農協が直接農地を取得して生産活動も行えるような制度というものを今後検討されるべきと思うかどうか。もちろん、先ほど言ったように、答えというのは検討した上で出てくるわけですので、その辺の必要性をどう感じておりますか。
#74
○山本(徹)政府委員 農地の利用集積につきましては、市町村の農業委員会があっせん活動あるいは許可事務の運営等を通じましてこれの責任を持っておられるわけでございますけれども、農業者の組織としての農協もこの利用集積に対して最近大変意欲的に取り組んでおられるようになっております。
 十年前から農地保有合理化事業の実施主体として農協もこの事業を推進しておられまして、現在、農地保有合理化法人として農地の売買、賃貸借ができる農協が五百四十五を数えるに至っております。また平成五年には、この農地保有合理化事業の一環として^農協法上、農協も保有した農地を管理するという形で農業経営ができるとされたところでございまして、これからも合理化法人として農協がさらに利用集積のために活動していただくことを期待いたしております。
 また平成十年度の予算におきまして、農協が農地の利用集積活動を実施された場合に、新たにこれに対して助成金を、これは十アール当たり八千円から四万五千円でございますけれども、要件によって違いますが、こういった助成金を交付する制度も創設させていただいたところでございます。
 私ども、こういった活動を通じて、農協が地域の農業づくりのために農地の集積に大きな役割を果たしていただくことを期待しております。
#75
○木村(太)委員 期待するということでありますので、農林水産省としてできることをまた積極的に、一方では農協の合併というものを推進しながら、単に形を一つにするというわけでなくして、その中で機能として、果たせる機能は何なのかということも、ある面では今回の農地法改正との関連性ということも考えて、農地のあり方も含めて、一方では農協の合併推進を考え、また一方では農地のあり方の中での農協の果たすべき役割というものをぜひ積極的に打ち出していただきたいなというふうに思います。
 次に、先ほど来議論がありましたけれども、株式会社の農地取得問題ということをお聞きしたいと思います。
 基本問題調査会の中間報告では、結論はまだ出しておりませんで、引き続き検討するというふうに聞いております。先ほど小野寺委員もおっしゃっておりました。メリット・デメリット、相反する意見があることも事実でありますし、先ほどそれに対しての考え方、答弁もありましたので、ここも割愛しますけれども、株式会社の農地取得問題について二つ聞きたいのです。
 例えば、意欲ある農業者内部から発展した株式会社と外部から参入した株式会社とは区別できるものなのかどうか、また区別されるべきと思うのかどうか。あるいはまた、株式会社の農地取得というのが仮に進んでいくとしたならば、法的にも区別できるのか、されるべきなのか。どう考えておられるか、現時点での考え方をお示しいただければ。
#76
○山本(徹)政府委員 株式会社の農地保有を認めるかどうかという議論は別といたしまして、今先生御指摘の意欲ある農業者がつくった株式会社と、そうでない全く外部の者がつくった株式会社と、農業を行う場合に区別できるかどうかということでございますが、ごく一般的に申し上げますと、その株式会社、法人が農業に取り組む、あるいはその農地を継続的に利用する面でおのずから差が出てくる場合が多いのではないかと考えております。
 しかしながら、農業と関係なくても、今農業外部から若者が農業に参入される、農業に一生をかけてみようという方も多くなっておりますので、そういった本当に日本の農業を支えていこうというお気持ちがあれば、農業外部から参入された法人であってもこれからの農業の担い手として期待できるのではないかと考えておりまして、これはあくまでケース・バイ・ケースによって判断することになるのではないかと思っております。
#77
○木村(太)委員 ケース・バイ・ケースということでありますが、今の答弁のことがそのまま実施されれば株式会社の農地取得というのは別に問題ないわけであります。しかし、そうならない可能性もあるのじゃないかという意見、やはり現時点でもかなり心配する声があるわけですので、この点慎重に議論しながら、我々も真剣に考えていきたいし、また、多分基本問題調査会でも慎重に議論しながら結論を出していくと思いますので、農林水産省も慎重なる姿勢で取り組んでいただきたいなというふうにも思います。
 そして、もう一つ聞きたいのですけれども、仮に、認定農業者などのいわゆる農業者内部から株式会社になりたいというニーズというものはどのくらいあると考えておりますか。
#78
○山本(徹)政府委員 認定農業者等、農業者内部の方で株式会社になりたいというお話も承らないわけではございませんけれども、数としてどれぐらいあるかというのを私ども把握いたしていないのが実態でございます。
 なお、農業生産法人は現在四千九百二十五ございまして、現在の有限会社等の生産法人でいいとお考えの方、また、制度上可能であれば株式会社になりたいという方、これも、もし制度化された場合にその要件との関係もあると思いますけれども、農業者あるいは法人の方も、これからの経営のあり方についてさまざまなお考えを持っておられると考えております。
#79
○木村(太)委員 具体的な数字はなかなかつかめないというのはもちろん私もそう思っております。ただ、株式会社の農地取得、株式会社になっていくということをやはりある程度進めるべきか、やらない方がいいのかということを結論を出すためにも、農林水産省として、農業者サイドの考え方、意見というのがどのぐらいあるのかということをある程度つかんでおく必要があると私は思います。また、それは大切なことだと思います。
 あるいはまた、ある面では、仮に株式会社とい
うことが進んでいくとすれは、こういった姿になればいいのではないかというような理想的な姿というものも、農林水産省としてある程度考え方を示しておいてもいいのではないかなと私は思います。別に私は、具体的な数字、何人いるのかとか、そういうことを聞きたくて今聞いたわけではありませんので、その辺も慎重に議論しながら、結論を出すためにも、農林水産省の考え方を示しておくことをぜひお願いしたいと思います。
 次に、先ほど堀込先輩も聞いておられたことにちょっと関連しますけれども、優良農地の確保のためにはこれまでももちろん努力してきたと思います。ただ、現実には、先ほど来お話ししてきたように、耕作面積の減少あるいはまた放棄地の増加が進行している、これが現実であります。いろいろな原因があると思います。今提案されているこの農地法のみならず、大きく考えれば、土地基本法や国土利用計画法などを初め都市計画法などいろいろな法律、こういったことが多様に複雑に仕組まれているというのが我が国日本の土地の現実というか、あるいはまた、土地利用制度というものがある面では縦割り的な運用をされているという側面も否定できない。またそれも、ある面では、優良農地確保、あるいは逆に耕作面積の減少や放棄地の増加が進行していることの一因として考えられるのではないかなというふうにも私は思っております。
 ですので、いま一度全体をチェックする必要もあるだろう。もちろん、農林水産省だけでチェックしなさいとか、チェックできるものとは思いません。しかし、こういう点も、内閣の中で、農林水産大臣がリーダーシップを発揮していただいて、ぜひ主張し、また行動していただければなというふうにも思っております。そのことが優良農地の確保にも結びついていくと思うのですが、この点、大臣、御認識いかがでしょうか。
#80
○島村国務大臣 御指摘の点はごもっともと思いますので、そのように心して行動したいと思います。
#81
○木村(太)委員 大変ありがたい、積極的な御答弁だと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 また、ここでもう一回確認したいのですけれども、農林水産省は、国は、優良農地はどのくらいあればいいと考えているのか、必要な農地面積というのはどのくらいあればいいと考えているのか、具体的な数字で答えていただければなと。
 というのは、俗に言う自給率なんかも今低下している、あるいはまた、先ほども言ったように耕作面積なんかも減少してきている。国はたしか長期の見通しとしても自給率というものをこうあるべきだという考え方を示しているはずであります。だとすれば、それに必要な農地の面積というのがあってしかるべきだと思いますので、ここで具体的な数字でお答えいただければと思います。
#82
○山本(徹)政府委員 御指摘の、どの程度日本で農地を確保すべきかという目標を示すべきであるという点でございますけれども、これは、国土の狭小な我が国において、農業外の土地需要、高速道路をつくるとか新幹線を敷くとかそういったような、あるいは住宅等々の土地需要との関係もございます。そこで、転用の基準を法律上今回明定させていただいたわけでございますけれども、そういった土地需要があり、その結果、毎年二、三万ヘクタール程度転用されているわけでございまして、一方では、造成される面積は現段階では千ヘクタール単位で非常に少なくなっております。
 そういった状況にございまして、その面積を示すということは実際に困難であると考えておりますけれども、これからも私どもは、優良農地を確保し、日本の食糧の自給を図るために、農地制度、農振制度の適正な運用、また基盤整備事業によって農地の整備、保全を図りながら、優良農地の確保のために一層の努力をしてまいりたいと考えております。
#83
○木村(太)委員 その優良農地確保のためなのですけれども、もう一つお聞きしたいのです。
 一例として言えば、公共転用の許可なんかを初め、法律的にも例外的なことも実際にはあるわけですね。何が何でも規制緩和をすればいいというものでもないと私も思います。国とか地方自治体がお金を費やしてせっかく整備した優良農地というのは、やはり守っていくんだ、優良農地なんだというようなことで、ある面では規制強化ということも私はきちっと考えておく必要があると思います。
 こういった、ある面では相反することへの整合性というものをどう考えているのか、優良農地の確保のために今後どう対応されていくのか、お答えをいただきたいと思います。
#84
○山本(徹)政府委員 今先生御指摘の、優良農地を確保するということを基本にしながら、必要な公共的な転用その他、転用需要には適切に対応していくということもまた、国民の生活、経済のために重要な側面がございます。
 そういったことから、農地の転用基準を今回法律上明記させていただきまして、集団的な優良農地は原則として転用を認めないという基準を掲げるとともに、一方では、市街地にあるような農地については、これを弾力的に認めるという基本的な基準を示しながら、これを個別事案について適切に対応し、運用していくということを行政機関に期待しているところでございます。
#85
○木村(太)委員 ぜひ優良農地の確保に万全を期すということも、これからも大事にして対応していただきたいと思います。
 時間がなくなってまいりましたので、次に、先ほどもありましたけれども、農業委員会の役割ということで一つだけお尋ねします。
 今回の改正によって市町村の農業委員会の果たすべき役割、これが大きくなる、私はそう思っております。そのためにも一層正確な調査や情報収集というのが農業委員会にも求められていくと思いますし、それがあってまたこれまで以上の総合的な判断が必要になってくると思っております。
 この市町村の農業委員会の今後の果たすべき役割についての国としての指導的なもの、あるいはまた対応というものをどう考えているのか。先ほども周知徹底ということではマニュアルをつくってという答弁がありましたけれども、ある面では、この市町村農業委員会等に対してもマニュアル等を作成して、農林水産省として最大限きちっとした農業委員会が判断できるためのバックアップをする必要もあるのじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。
#86
○山本(徹)政府委員 御指摘のとおり、マニュアルの作成や各種会合の場等を通じまして、市町村の農業委員会に今回の改正の趣旨を周知徹底したいと考えております。
#87
○木村(太)委員 ぜひお願いします。
 時間がなくなりましたので、最後に一点だけお聞きします。
 先ほど言ったように、基本問題調査会は、ことしの夏に最終答申を行う予定だというふうに聞いております。それを踏まえていわゆる新農業基本法が具体的に策定されていくというふうに思いますけれども、この新農業基本法の中での今議論しておりますこの農地法のあり方、位置づけというものを農林水産省はどう考えているのか、これを最後にお伺いして終わりたいと思います。
#88
○山本(徹)政府委員 今後の農地制度のあり方につきましては、基本問題調査会での御議論も踏まえながら、農地は農業生産にとって最も基礎的、重要な資源であるという観点に立ちまして、優良な農地を確保する、また認定農業者等、農業の担い手への利用集積を図る、また基盤整備を推進し、農地を整備、保全して農業生産の効率化を図るという三点を基本にしながら、農業の一層の振興が図られるように、農地制度、農振制度等のあり方を検討してまいりたいと考えております。
    〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
#89
○木村(太)委員 ありがとうございました。終わります。
#90
○北村委員長 これにて木村太郎君の質疑は終わりました。
 次に、菅原喜重郎君。
#91
○菅原委員 私は、これまで自由化されても食える日本農業の確立を主張し、このためには、優良農地整備のための基盤整備と水の確保のダムやため池をつくるかんがい排水の完備は、国土改造の上からも国の責任で行うべきであることを一貫して求めてまいりました。こういうことの上で、農地に何を植え、何を売ろうと、農業にもコンペティションが働くような農政に持っていかなければならないと思っていたわけであります。
 今、我が国の農地面積は五百万ヘクタールを割り込み、平成九年度は約四百九十五万ヘクタールとなり、毎年三万ヘクタール近い農地が減少しております。このままでは、農業生産の基盤である農地の確保が危惧されるという状況であります。食糧自給率はカロリーベースで四二%まで落ち込み、先進国では最低の水準であり、食糧安全保障の観点からも、将来にわたって我が国農業を維持、発展させるためにもどうしても必要な優良農地は、その確保に国が責任を持つべきであり、その緊急度は猶予できない状況であります。
 そこで、集団的優良農地確保のための基盤整備や国営かん排事業等の一層の促進は、猫の目農政と言われる中でも農政の大根幹となって強力に進められなければならないと思いますので、まずこの点に関しての大臣の所信を伺い、同時に、食糧安全保障上どうしても必要な農地に対して国が責任を持って土地基盤整備を行うことについて、今地方自治体分も入れると九〇%からの補助率にもなっておりますが、その現状と将来見通しについて、まず答弁をお願いしたいと思う次第でございます。
#92
○島村国務大臣 農林水産省といたしましては、優良農地を確保するために、まず農振制度において優良な農地を農用地区域として指定し、農用地区域内における農地転用は認めない。同時に、農用地区域以外の農地についても、農地転用許可制度により、優良農地は原則として転用を認めないことといたしております。
 また、確保された農地の有効利用を図るために、農用地区域内において圃場整備事業等の基盤整備事業を実施し、優良農地を整備、保全するとともに、担い手への農用地の利用集積を図るなど、各般の施策を推進しているところであります。
 今後とも、農地制度及び農業振興地域制度の適正な運用と基盤整備事業の推進を通じて優良農地の確保に努めてまいりたいと考えております。
#93
○山本(徹)政府委員 必要な農地に対して国が責任を持って土地基盤整備を実施すべきであるという御指摘でございます。
 この基盤整備事業につきましては、水田の三十アール程度以上の整備率、これを平成十八年度までに七五%程度にする、それからまた一ヘクタール程度以上の大区画化については三〇%を目標とするという内容の第四次の土地改良計画に沿って計画的な事業実施を進めているところでございます。
 この事業の実施に当たって、国はこれに対して積極的に補助を行い、また地方公共団体の負担もお願いしながら実施しているところでございまして、事業によって差はございますが、例えば圃場整備事業で申し上げますと、標準的な負担割合は、都道府県が二七・五%、それから市町村が一〇%、農家が一二・五%というような水準でございまして、農家負担の軽減を図ってきているところでございます。
#94
○菅原委員 将来見通しについての展望、もうちょっと詳しく聞きたかったわけですが。
 いずれにしても、今回、都道府県、地方に四ヘクタールの転用許可権限をゆだねるわけですが、一応農振制度の計画やいろいろな点でこれを監視といいますか、したとしましても、集団的優良農地確保を阻害する農地のスプロール化が起こる懸念があるわけでございます。この点についてはどのようになされる、また指導するつもりですか。
#95
○山本(徹)政府委員 今回の改正は都道府県知事の転用許可権限を二ヘクタールから四ヘクタールに拡大いたしますけれども、許可の基準は、これまで通達でございましたものを法律上明記するということにいたしておりまして、行政の明確化を図ることを目的といたしておりますけれども、これは基準を変更あるいは緩和したものではございませんので、農地のスプロール化が進むというようなことはないと考えております。
#96
○菅原委員 私は、昭和五十八年に当選したとき、ちょうど三百万ヘクタール近い水田があったわけでありまして、当時から、早急に二百万ヘクタールは手を打てば十分にアメリカの水田農業にも対抗できる優良農地ができるんだということを主張してきました。それも十年以内にすべきだ、それには農林省だけではだめですから、都市計画地域内の水田十七、八万ヘクタールは建設省にやって宅地並み課税をかけさせても、農林省、建設省、国土庁が力を合わせて早急に二百万ヘクタールの優良水田を確保すべきだ、そういう主張を一貫して持ってきたわけでございます。
 そこで、農水省として、国際競争に打ちかつためにはどの程度の優良水田面積を今確保できると考えているのか、またすべきと考えているのか。私は、現時点では百二、三十万ヘクタール確保できるかどうかというように危惧しております。当時だったら二百万ヘクタールは確保できると思っておりましたが。この点について、ひとつ答弁をお願いいたします。
#97
○山本(徹)政府委員 水田面積の確保の目標につきましては、農業外の土地需要等との関係もございまして、その具体的な面積を示すということは困難でございますけれども、今後とも、農振制度の適正な運用、また基盤整備事業の推進によって優良農地の確保に全力を挙げてまいりたいと思っております。
#98
○菅原委員 優良農地の造成は、都市計画法では減歩率の制度も導入しておりますので、農地の基盤整備にも減歩制度を導入するような考えが必要じゃないかということも再三言ってきたわけですが、いずれにしても、優良農地の確保だけは緊急の要でございますので、よろしく対応していっていただきたい、こう思います。
 さらに、私は当時、大体中山間地帯の七、八十万ヘクタールは水田の専業、農業はできない地域でありますから、しかし、十アール以上の基盤整備は、必ず国もこれに整備を行ってあげて、ここに施設農業、中山間地帯は花卉、インゲンを中心とした農業を推進していくべきだ、そういう主張を続けてきたわけでございます。
 今、中山間地帯における農業の実態は、後継者不足や高齢化により、それを取り巻く状況は非常に厳しくなっております。そこで、農林省は平成十年度予算において、棚田地域等緊急保全対策事業を新規に創設し、中山間地帯の総合的な基盤整備等の従来の施策を補完するものとして棚田等の条件不利地域を対象とした施策を講じることとしております。
 しかし、今申し上げましたように、中山間地帯の農業全体に対する展望は必ずしも明らかではないわけでございます。稲作以外も含めた総合的な中山間農業活性化のための展望を示すべきじゃないか。そういう意味で今私の意見も言ったのですが、政府の考えをひとつ答弁いただきたいと思います。
#99
○山本(徹)政府委員 ただいま先生御指摘のように、中山間地域は条件が不利な面もございますけれども、一方では、平地に比べて冷涼な気象条件があるとか、あるいは豊かな水資源を持っているというような特性もございまして、そういった特性を生かした形で、花あるいはインゲン等の野菜等々特色のある作物の導入ということが大変重要であると考えておりまして、こういった作物の導入や棚田等の自然条件を生かした基盤整備等を推進して中山間地域の活性化を図ってまいりたいと思っております。
#100
○菅原委員 中山間地帯の活性化を図る、また中山間地帯に適応した農業の振興策を図るといたしましても、施設農業にとって一番問題になってくるのはいや地病でございます。そのいや地病をなくすのは一年間水耕栽培に転換すればいいわけで
ありますので、この水の確保というのは平地農業にも中山間地帯の農業にも大切ですので、ひとつかんがい排水、国土改造の立場から、ダム、ため池をつくり、水を平らに流す、国土内の水を平らに流す対策を十分に進めていっていただきたい、こう思うわけでございます。
 次に農業委員会についてですが、農業委員会は、農業者の代表として公選で選出された農業委員で組織される市町村の行政委員会であります。その業務としては、法律で規定された専属的な権限とされる法令業務と任意業務があり、法令業務としては、一、農地法に基づく農地の権利移動の許可、例えば農地の転用など都道府県知事が許可する場合の申請書の受理、進達及び意見書の添付ということ等であり、二として、農業経営基盤強化促進法に基づいて農用地利用集積計画の作成を行うなど、農地の利用関係の調整を行うこととされております。
 そこで、全体として、農業委員会の最近の法令業務の処理件数はふえているのか減少しているのか、お聞きしたいと思います。
#101
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。
 農業委員会の法令業務の処理件数でございますけれども、平成七年では全体で六十一万二千件になっておりますが、全体としては件数は減少傾向にございます。ただ、その中で、農業経営基盤強化促進法に基づきます農用地利用集積計画の決定等の業務の比重が増加しているという状況にございます。
#102
○菅原委員 そのような状況でございますなら、一応農業委員会の事務局は独立の農業委員会室を持っているわけでございますが、この農業委員会の事務を市町村部局の職員と併任した方が経費も節減できるのではないか、こう思っているわけなんですので、職員の併任の状況がどうなっているのか、お聞きしたいと思います。
#103
○熊澤政府委員 農業委員会の職員数でございますけれども、平成八年の十月時点では、総数として一万九百九十六人でございますが、そのうち専任の職員の方が六千四百九十九人、兼任の職員の方が四千四百九十七人となっておりまして、兼任職員の占める割合が約四一%でございます。
 先生御指摘のとおり、基本的にはやはり市町村と農業委員会の連携、協力関係の推進というのは大変重要でございますので、兼任を含めまして、私ども、そうした協力関係の推進について指導してまいりたいというふうに考えております。
#104
○菅原委員 それで、今現状をお伺いしたのですが、併任の推進ということについては政府はどのように考えておりますか。
#105
○熊澤政府委員 先生御指摘のとおり、農業委員会の事務局と市町村担当部局の連携の強化というのは大変重要だというふうに私どもも考えております。そういう意味でいえば、現実に約四割の職員が兼任をしているという実態にはございます。
 私どもといたしましては、こうした兼任も含めまして、市町村の部局と農業委員会部局との連携について、さらに連携を強めるように指導してまいりたいというふうに考えております。
#106
○菅原委員 次に、この農業委員会の行う任意業務としては、農業者と団体、行政との調整、橋渡し役として、農地の流動化や担い手の育成など構造政策の推進を中心とした業務を行う、そういうようなこともありまして、一応公選制ということになっているわけでございます。
 しかし、現在のこの公選制のもとでも、実際には投票に至らないケースが多くなっておりますので、この実態はどうなっておりますか。
#107
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。
 農業委員会の選挙は、先生御承知のとおり三年ごとに行われておりまして、最近では平成八年の七月に行われております。
 その平成八年七月の選挙の際の対象委員会、行われた委員会が二千二百二十一委員会ございますが、そのうち実際に投票が行われましたのは二百九委員会ということで、約一割の委員会で実際に選挙の投票が行われたというのが実態でございます。
#108
○菅原委員 大体一割選挙が行われて、九〇%が行われていないというなら、いわゆる農業委員の選出方法については、むしろ公選制ではなく任命制にした方が適任者が農業委員となれるのではないかとも考えられます。そのためには、考えられるのは、農業団体からの推薦人、議会あるいは学識経験者、地方自治体の首長、いろいろな点からの適任者の任命的な選出方法が考えられるわけですが、こういう選出方法の見直しについてはどのようにお考えですか。
#109
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。
 確かに、先生が御指摘になられましたように、実際の投票が行われる委員会の選挙が約一割という実態にございます。そういう中で、今先生から御指摘のような任命制にしたらどうかという御意見もいただいておりますし、私ども、そういう御意見があることも承知をいたしております。
 農業委員会系統につきましては、全国農業会議所を中心といたしまして、農業委員会系統組織として、農業委員会あるいは県の農業会議、さらに全国農業会議所、そうした農業委員会系統組織のあり方について、現在委員会系統の内部で議論をしているところでございます。
 私ども、そういう意味でいえば、全国農業会議所等と十分連携をとりながら、農業委員会制度のあり方についても検討してまいりたいというふうに考えております。その中で、この選挙制度についても議論の対象として検討してまいりたいというふうに考えております。
#110
○菅原委員 こういうことは選挙を受ける議員の側からなかなか言えないことですので、私、大胆に言っているわけなので、よろしく御検討のほどお願いしたい、こう思うわけでございます。
 次に、平成九年七月八日付で公表された地方分権推進委員会第二次勧告では、農業委員会について幾つかの指摘がありました。
 例えば、一つ、農業委員会の設置を不要とする場合の基準の引き上げ、二として、農地主事の必置規制や資格規制の廃止、三として、農業委員会の選挙委員の定数基準について、地域の実情に応じて弾力的に設定できるよう、定数基準を緩和することなどがあります。
 これらについての政府の見解はどうなのですか、お伺いします。
#111
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。
 平成九年七月の、今先生から御指摘のありました第二次勧告につきましては、私ども、全面的にその内容について誠実に実施に努めていきたいというふうに考えております。設置基準の緩和、農地主事の必置規制の廃止、定数基準の弾力的な設定、そうした点については、勧告の内容に沿って誠実に実施してまいりたいというふうに考えております。
#112
○菅原委員 同勧告では、国と地方の経費負担の原則の明確化と人件費補助に係る交付金などの一般財源化などにも触れております。農業委員会交付金についても、交付基準をより客観的指標にしてよいのではないかということも指摘されているわけでございますので、こういうことに対応しての方針はどうなっていくわけでございますか。
#113
○熊澤政府委員 お答え申し上げます。
 先ほど御指摘のございました第二次勧告の中で、農業委員会の交付金の配分基準につきまして、客観指標の比率の引き上げということが指摘をされております。私ども、この勧告に沿いまして、客観的な事情に基づくものの比率を引き上げるということで現在検討し、その方向で進めたいというふうに考えております。
#114
○菅原委員 いずれにいたしましても、この農業委員会制度についても、現実に合った検討をされていかれんことを要望いたしまして、私の質疑を終わります。
 どうもありがとうございました。
#115
○北村委員長 以上で菅原喜重郎君の質疑は終わりました。
 次に、藤田スミさん。
#116
○藤田(ス)委員 農地法一部改正案についてお伺いをいたします。
 今回の農地法一部改正案は、二ヘクタールから四ヘクタールの農地転用について、これまでの転用許可権限を都道府県知事に移譲するとともに、転用許可の際には農林水産大臣との協議を行うことになっています。
 実は、この農地法一部改正案とリンクしている法律が、四月十日に国会で議員立法という形で賛成多数で成立をいたしました、日本共産党は反対をいたしましたが。それが優良田園住宅の建設の促進に関する法律であります。法律名を聞いておりますと、大変のどかな印象を受けるわけですが、その法律のねらいは驚くべきものであり、農地法の根幹にもかかわる問題であるためにただしていきたいと思います。
 この優良田園住宅建設促進法の自民党の出していらっしゃる説明資料を見ますと、四百兆円プロジェクト構想として打ち上げられておりまして、この優良田園住宅建設促進法が成立することによって、「約千二百八十八万ヘクタールの土地で宅地開発が可能になる。最低敷地面積百坪の住宅一千万戸の分譲に必要な土地の面積は公共用地を含めて五十万ヘクタール程度であり、それからも今後長期にわたり安定的に宅地の供給が可能になる。」ということで、「一戸平均二千万円として、年間直接的な住宅投資、五十万戸が十兆円、誘発的な需要で十兆円、合計二十兆円の内需が毎年創出され、二十年間では四百兆円もの需要が期待できる。」としているわけであります。
 また、この文書は大変あけすけに、「郊外での大量の住宅建設に新規雇用も約百万人期待できるという大量の雇用創出もまたとない選挙対策のひとつになる。」として、参議院選挙向けの対策であることも記載されております。
 農水大臣、この優良田園住宅建設促進法と四百兆円プロジェクトについてどのように受けとめていらっしゃるのか、明らかにしてください。
#117
○島村国務大臣 お答えいたします。
 優良田園住宅の建設の促進に関する法律におきましては、市町村が定める基本方針において、農林漁業の健全な発展との調和に際し配慮すべき事項を定めること、市町村が優良田園住宅建設計画を認定するに当たっては、都道府県知事に協議を要し、さらに、二ヘクタールを超える農地を含む場合等においては、当該知事は農林水産大臣に協議することとされていること、第三に、優良田園住宅を建設する際には、従来どおり農振法上の農用地区域の除外手続、農地法上の転用許可手続を要することなどから、優良農地の確保に支障を生ずることはない、こう考えております。
#118
○藤田(ス)委員 大変解説的な、しかし大変甘い認識を披露されたと思うのですが、この自民党の文書を見ますと、この優良田園住宅建設促進法というのは、自民党議員が百六名賛同して、推進議員連盟を結成して骨子を作成されたそうです。その百六名の中に、大臣、大臣のお名前も入っております。
 この文書の中では、この法律が成立すると、「宅地開発が厳しく規制されていた市街化調整区域と農業振興地域ではかなり自由に宅地開発が可能になる。」あるいはこうも書いています。「市街化調整区域や農業振興地域は、建設省や農水省が宅地開発を規制してきた場所である。」「長い間タブーとされてきた問題が一気に解決に向かい始めたともいえる。」そこまで言っているのです。
 そして現に、現在国会に出されております都市計画法改正案では、地区計画を立てた場合は、従来二十ヘクタール以上であった市街化調整区域での開発許可をそれ以下でも認めるということにしたわけであります。市街化調整区域内での小規模の開発が進むことは言うまでもありません。
 農地制度の基本的枠組みを維持する、先ほどの御答弁も大変この言葉の前では空疎であります。これで一体、優良農地を守ることができるとお考えですか。
#119
○山本(徹)政府委員 先ほど大臣から御答弁がございましたように、この法律の基本的な仕組みにおきまして、市町村が、優良田園住宅を計画的に建設するための基本方針、これを知事と協議して定められます。この基本方針においては、農林漁業の健全な発展との調和に関する事項を定めなければならないとされております。
 この基本方針に沿って、優良田園住宅を建設しようとする方は建設計画を作成していただきまして市町村の認定を受けるわけでございますが、これは、住宅の用に供する土地の所在等から、住宅用地とすることが適当であるかどうかということを市町村が判断して認定されるわけでございます。
 さらに、市町村は、都道府県知事にこの計画を協議することになっておりまして、知事は、計画は優良農地の確保等の点から適当であるということを判断されますし、また、知事は、計画区域に二ヘクタールを超える農地がある場合あるいは土地基盤整備事業完了後八年未満の農地がある場合には、農林水産大臣に協議をしていただくことになっております。
 このように、市町村、県、大臣がこの計画を吟味しながら、これが計画的に優良田園住宅を建設するものであるかどうかということを審査し、計画的な住宅を建設をしようとするものでございまして、決して優良農地の無秩序な壊廃につながるものではないと考えております。
 また、都市計画法の地区計画の御指摘がございましたけれども、これは都市計画制度上の制度でございますが、この地区計画が制定されました後にも、農振法の農用地区域については、当然、この地区計画の区域の開発については農用地区域の除外手続が必要でございますし、また、あわせて農地法の転用許可が必要でございまして、私どもは、この農振法、農地法の適切な運用により、優良田園住宅建設促進法、また地区計画の制度についても、優良農地の確保という目的と調和させながら運用することが可能であると考えております。
#120
○藤田(ス)委員 そんなふうにおっしゃっても、結局、農地保全のための有効な果たすべき機能というものがもうどんどんとられてしまっているのです。だから優良農地の壊廃につながらない、この住宅建設促進法はそういうものではないと言っても、この法律の中に、先ほど御説明があったように、「二ヘクタールを超える農地が含まれるときその他農林水産省令で定める事由があるときは、あらかじめ、農林水産大臣と協議しなければならない。」というふうに農地転用の際の協議は確かに規定しています。
 しかし、その後の第五条では何と書いてありますか。国の行政機関または地方公共団体の長は、優良田園住宅の用に供するため、農地法、都市計画法等の許可その他の処分を求められたときは、当該優良田園住宅の建設の促進が図られるよう適切な配慮をするものとする。一体これで、二ヘクタールから四ヘクタールまでの優良田園住宅促進法に基づく農地転用について、明文で住宅の建設の促進が図られるように適切な配慮をするものにすると規定されていて、農地転用でノーと言えますか。
#121
○山本(徹)政府委員 ただいま先生が御指摘になりました条文につきましては、既に農村工業導入法等の地域整備の六法、これは農村の活性化を図るための法律でございますけれども、こういった六つの法律にも規定がございます。
 この規定の趣旨は、むしろ無秩序な農地の開発が行われないように、例えば工業導入でいいますと、あらかじめ計画の作成の段階で農業部局と適切な計画をつくっていただいて、この段階で優良農地の確保という視点から適切な計画をつくっていただいて、その計画に即した農地転用についてはこれを転用上配慮するという規定でございまして、今回の優良田園住宅法につきましても、あらかじめ市町村、知事、大臣と協議していただいてきちんとした計画をつくっていただく。
 これは、事業の実施の段階で無秩序な農地の開発が行われたり、あるいは建設が手戻りになったりということがないように、計画の段階であらかじめ調整していただく、この調整された計画に沿って実際に優良田園住宅が建設されるに当たっ
ては農地法等の適切な配慮を行うとするものでございまして、これはむしろ、こういった農村工業導入法、また今回の優良田園住宅法は、優良農地の無秩序な壊廃を未然に防止し、計画的に優良田園住宅を建設するための法律でございまして、優良農地の確保にも役立つ法律であると考えております。
#122
○藤田(ス)委員 大変重要なことをおっしゃったと思うのです。計画段階であらかじめ協議をして決めるということは、結局、この田園住宅法に定められているように適切な配慮をするものとするということで、もう農地転用はノーと言わないということを意味するわけであります。
 しかも、六法で規定している、無秩序に行われぬよう計画に即した転用を行うんだ云々かんぬんと御説明がありましたが、そうすると、その御説明は、いわゆる地域整備六法、テクノポリス法だとかリゾート法だとか、そういう地域整備六法に基づくものを準用する、そういうことですか。
#123
○山本(徹)政府委員 地域整備六法と同じような考え方で、あらかじめ優良農地は確保しながら計画的に、例えば農村の工業導入をする、あるいは優良な田園住宅を建設していただくために、計画段階で農業サイドと開発のサイドとがよく相談をして計画を作成する、この計画に沿った事業については農地法等で配慮するということで、事前に十分な調整をして優良農地を確保しようとする内容、目的を持っているものでございます。
#124
○藤田(ス)委員 私は、それはもう相当の規制緩和を意味するものだというふうに受けとめざるを得ません。農地壊廃の未然の防止なんというようなものは口実にすぎないわけでありまして、これは結局、優良農地でも転用許可ができるということになるわけであります。自民党の説明文書と同じであります。
 私は、農林水産大臣、つまり農地を守るべき所管の大臣が、わざわざこの推進議員連盟に所属をされ、そういうことを百も承知で、今日、今回の法案についても出されている。今回の法案は農地法の改正で、二ヘクタールから四ヘクタールの転用は、当面の間、国と知事の協議事項とされているわけですが、しかし、この協議事項が農地保全のために有効な機能を果たすものでないということは、これは先ほどの答弁からも、またこのリンクされている住宅建設促進法を見ても明らかであります。
 問題は農地だけではないのです。私は、こういうふうにして住宅がずうっと広がっていく、それ自身が農業環境を大きく変えるという点でも大変重要だと思います。
 莫大な飲料水が必要になります。当然、農業用水の利用に影響を与えざるを得ないでしょう。また、膨大な生活雑排水が出てまいります。現在の集落排水でそれが処理できるのかどうかという問題、これも新たな問題になります。それから、ごみ、それを焼却する施設が農村地域に十分あるはずもなく、ダイオキシンの排出は極めて深刻になり、そのダイオキシンによって農作物の汚染は今以上に広がる可能性があります。
 また、私は、こういう地域でどんなふうに宅地開発されていくことによって農業がつぶされたかということを、その地域に住んでいてよくわかっておりますが、例えば農薬を散布するにしても、これについても農作業上の制約がいっぱいかかってくる。一体農業生産条件が守れるのかどうかという極めて深刻な問題であります。
 そういうことも一体真剣に検討されたのか。私は、参議院選挙対策として打ち出されている、露骨にこの文書に書かれている、これを見て本当に大きな怒りを持たざるを得ません。
 この問題については、私は、最後に大臣の御答弁を求めたいと思いますが、もう一つ、時間の制約がありますので質問をしておきます。
 昨年の自民党の第四次景気対策を打ち出す過程の中で、農地転用問題が一貫して取り上げられてきたことは大臣も御承知のとおりです。その中で、農林水産省も農地に関するプロジェクトチームをつくってそれに対応してこられました。
 しかし、その中身を見せていただきましたけれども、農地の転用は現行制度でも結構やれますよ、そういうものでありました。そして、農用地区域内農地についても、原則転用不許可になっているけれども、広範な例外規定があり、十分開発行為が可能になっている、そういうことになっているのです。
 私は、これでは農地転用のテンポを高め、優良農地はとても守れないということを改めて強く感じました。まして、これまで進めてきた規制緩和の通達を今回の改正で法定化するものであります。
 大臣、本来、農地は食糧自給率を引き上げるために不可欠なものであります。大臣御自身も、食糧自給率を引き上げる、そういうことを何度も口にしていらっしゃるわけでありますが、それならば、食糧自給率引き上げのためにはこれだけの農地がどうしても必要である、だから、これ以上の農地つぶしをやめ、農地を拡大、効率的利用の方向に転換をさせていく、そのことが大事なんだ。農林水産大臣としては、そういう立場に立ってそのために役割を果たしていく、それが筋というものじゃないでしょうか。大臣の御答弁を求めます。二つあります。
#125
○島村国務大臣 御質問が多岐にわたっておりますからすべてにお答えをしたいのですが、まず、田園住宅建設推進議員連盟、これに参画いたしましたのは、私は、農地を守る立場というよりは、農山漁村を守り、また農林水産業を営む方々に将来的ないわば希望と夢を持っていただくための環境整備をするという意味合いを実は担っている、こう認識をいたしております。そういう意味合いからいたしますと、さきのOECDの閣僚会議等でも大変な議論を呼びましたように、農林水産業というのは単に農産物、林産物、水産物を生産するだけではなくて、農業、林業、水産業が存在し、そこに定着することによって得るいろいろな公益的な、いわば利益といいましょうか、機能といいましょうか、そういう面も無視できないわけであります。
 近年、農山漁村は、過疎化あるいは高齢化に大変苦しんでおりまして、都会に比べて二十年も進んでいるというようなことが言われますけれども、やはり都市に住む人たちも、その一方では高い地価や住宅事情等によって、ウサギ小屋に一生住まなければいけないという気持ちに閉じ込められている面もあるわけですから、両者がそれぞれに潤うためにこういう道を開くということは、国全体の活性化のためにも、また国隅々へいわば活力がみなぎるためにも、むしろ進んでやるべきではないか、その意味では、革新政党を標榜される共産党の皆さんにもそういう御理解をいただきたい、私はこう思うところであります。
 そういう意味で、農地転用につきましても、我々は別に、何もかにも野放しにしたということは全くございませんで、例えば、学校とか鉄道とか、あるいは道路、あるいは排水溝その他、土地収用の対象となるようなものについては、今までのように何でもかんでも不許可であるというような縛りを解いて、それで、将来に向かっての、農山漁村が健全な発展を遂げるためのいわば弾力的な対応をした、こういうところでございます。
#126
○藤田(ス)委員 私ども日本共産党は、あなた方のおっしゃっていることをとても理解することはできません。農業の本当の進展というものについて、大臣は一体どういうふうに考えていらっしゃるのか。
 私は、経済対策、そういう視点を持つなら、日本の農業が本当にやっていけるような、そういう農政に転換することだというふうに思うのです。農業を困難に陥れるようなやり方で、農地を壊廃させていくやり方で、どうして本当に地域の活性化などやっていけるでしょう。私は、今までのように農地転用不許可でないという、そういうお言葉を大臣から聞かされるとはゆめゆめ思いませんでした。もう一度よくごらんください。どんなことだってほとんど不可能なものではないということを、わざわざ農水省のプロジェクトチームは随
分詳しくこういう文書で出しているではありませんか。先ほどもマニュアルの話がありましたけれども、あのマニュアルを見てもこの解説文書を見ても、もう本当にノーと言えるようなところはないなということを思いました。あの手この手の上に、今回農地法の改正でさらに風穴をあけていくということに対して私は断固抗議をしながら、この質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#127
○北村委員長 以上で藤田スミさんの質疑は終わりました。
 次に、北沢清功君。
#128
○北沢委員 社民党の北沢でございます。
 基本的には、このたび提案された法案については賛成という立場でございます。ただ、今回の主たる理由というのはいわゆる地方分権と規制緩和ということでございますが、特に、地方分権推進委員会の第一次勧告の中で三通り出しまして、「二ヘクタール以下の農地転用許可を自治事務とすることの可否については、許可事務が現に都道府県で実施されていることを基本に、地方分権の推進の観点に立って、国民への食糧の安定供給の観点にも留意し、現に進められている農業基本法の見直しを踏まえ予定されている農地制度の見直しの際に、検討することとする。」ということになっておりまして、この「農地制度の見直し」とはどういうものを指すかということになりますが、現に行われております新基本法の制定に向けての各部会における中間取りまとめの中の意見として、特に株式会社の農地取得ということが出されて、両論併記ということになっています。きょうの各党のそれぞれの主張、論議の中では、このことについては相当な懸念といいますか、を持たれているということだけは、農林省は十分にひとつわきまえてやってもらいたい。
 私どもはかつて農業法人化ということには積極的に取り組んだけれども、いわゆる株式会社が土地を持つということは、戦後五十年における農業を築いた中で、どんな事態が出るかということですね。ですから、いわゆる効率主義というか、経済効率主義という形で、既にアメリカではそういう考え方でやったことが失敗しているわけです。それはいわゆるアメリカの農地における多肥多農薬という形の中での土壌の砂漠化ということですね。そういうことを踏まえてくると、やはり今後日本の中で、そういう形のものが果たして成立するかどうかということは非常に難しい。これからは環境保全型の農業であり、またアメリカ自身も家族農業というものに返っておりますから、そういう面で、このことに私は非常に関心を持っているし、また、このことについてはむしろ反対をしなければいかぬという立場に立っております。
 これらについて、農水省の基本的な考え方について、今どのような審議が進められているか等を含めて御答弁をいただきたいと思います。
#129
○山本(徹)政府委員 株式会社の農地取得の問題につきましては、基本問題調査会におきましても大変熱心な議論が闘わされまして、御案内のとおり、十二月の中間取りまとめでは両論併記という形で、賛否両論ございました。ただいま先生の御指摘のように、集落機能が破壊される、投機的な農地取得を排除できないというような反対論もございましたし、また、農業の活性化につながるという賛成もございました。
 私どもとしては、さらに調査会での議論を踏まえながら、これからの、二十一世紀に向けての日本農業の担い手の姿というものをどう考えていくか、また農業、農村の活性化にはどういう方策があるのか、また効率的な土地利用のあり方というのはどういうものかという、農政全般にわたる幅広い視点からこれを検討して結論を出してまいりたいと考えております。
#130
○北沢委員 熱心に論議をされておられるということですけれども、やはり農村の現状とか、農業を積極的に進めるという意味で、効率というか何といいますか、市場経済主義で進むならば、農業そのものは成り立たぬと私は思いますね。ですから、そういう意味で、学者や評論家の皆さんの論議も大事かもしれぬが、現に農村に生きている皆さんの立場というものをよく考えていかないと、農林省が農林省でなくなってくる、農政がなくなってくるわけですね。だから、ただ単なる手続機関になってくるわけですから、そういう点は十二分にきょうの論議を踏まえて対応されるように、特に要請をしてまいりたいと思います。
 それから最後に一つだけ、短いですから申し上げたいのですが、いわゆる今の世界の食糧事情の中で、日本の自給率というのは先進国では最低ですね。そういう中で、これからの自給率というものをどうするかということになると、戦後、日本の農地の壊廃というのは、二百万ヘクタールが解放されている、それから増反といいますか、開拓とか干拓等において百万ヘクタールをされたということですが、最近どんどんと農地が減っておりまして、日本のこれからの農地の適正な所有、残さなければいけないというのは五百万ヘクタールだというふうに言われております。それも割る形で年々減っているわけですが、これでは日本の農業なり、将来の人口の増加、環境の変化、それからインドネシアのような、ああいう気象条件の変化ということで、これは本当の意味で、日本の食糧というものが大変な問題になると思うわけですから、この件について、農林大臣として、五百万ヘクタールを守るという面でのお考えについて、決意をお伺いいたしたいと思います。
#131
○島村国務大臣 お答えいたします。
 我が国の農地は極めて狭隘でありまして、しかも中山間地域がその四割を占めるという大変厳しい状況に置かれております。先進国との比較の中でも、極端に狭い我が国の農地でございますし、食糧の自給率におきましても、世界的な比較の中では極端に劣悪な状況にあります。
 これらの状況にかんがみまして、我々は、まず農地の転用につきましては、社会経済上必要なものについてはこれを認めつつ、国民に対する食糧の安定供給の確保を図る観点から、優良な農地についてはこれを確保していこう、これをまず基本に置いております。
 このため、農用地区域として指定された区域内の農地や、あるいは集団的に存在する農地その他の良好な営農条件を備えている農地については、原則として農地転用の許可を行わないこととし、将来にわたって農地として確保することとしているところであります。
 優良な農地は、今後とも、農地制度及び農業振興地域制度の運用によりまして、適切に保全してまいりたい、こう考えております。
#132
○北沢委員 私は、今の田園都市の問題等もございますが、いろいろと景気対策というふうに言われております。これから農業というものが、あらゆる面で、評論家だとか学者だとか、または企業側とか、そういう形で農業を広く論議することはいいのですけれども、基本的には日本の農政というもの、農業というものをどういうふうに守るかということについてはもっと幅広い論議も必要でありましょうけれども、規制緩和という名のもとにすべてが解体される、規制緩和も、いい規制緩和と悪い規制緩和があると私は思いますから、そういう点を踏まえて、今後農地問題については対処をしていっていただきたいということを要望して、質問を終わります。
#133
○北村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#134
○北村委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。中林よし子さん。
#135
○中林委員 私は、日本共産党を代表して、農地法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行います。
 本法案に反対する理由の第一は、農地転用の許可権限を都道府県知事に移譲する範囲をこれまでの二ヘクタール以下から四ヘクタール以下に拡大することによって、農地転用をさらに促進することであります。
 財界は、農地法さえ改正すれば、ぱっと目の前
が開けるように事業の機会が出てくる、経済の突破口としての国土利用の改善は急務だなどと言って、一貫して農地転用の規制緩和を求めています。また、この間、多くの自治体では、ゼネコン奉仕の大型公共事業を中心とした開発計画が推進され、農地が大幅に削られる事態も生まれております。今回の改正は、地方分権推進委員会の勧告等に名をかりて、財界の要求にもこたえる安易な農地転用の拡大に結びつくおそれがあり、我が党はこれに反対するものであります。
 また、食糧自給率を高める目標も持たずに、農地転用の許可権限のみを緩和することは、食糧の安定供給に対する国の責任を緩めるものであり、賛成できません。
 反対する第二の理由は、農地転用の許可基準が法定化されることであります。
 一般的には、政令による許可基準を法律にすることは、行政の透明性を高める上で評価できることだと考えます。
 しかし、農地転用の許可基準は、一九五九年に作成された「農地転用許可基準の制定について」以来、開発許可が得られにくい市街化調整区域でも、集落地区計画に従えば転用を許可するなどの規制緩和が進められてきました。今回の改正は、こうした後退させられた通達の内容を法制化し、固定化するものにほかなりません。
 最後に、今回の改正で、当面の間、二ヘクタールから四ヘクタールの転用は国と知事の協議事項とされていますが、これが農地を保全するために有効な機能を果たすとは到底考えられないことを申し添え、反対討論を終わります。(拍手)
#136
○北村委員長 これにて本案に対する討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#137
○北村委員長 これより採決に入ります。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#138
○北村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#139
○北村委員長 この際、本案に対し、小平忠正君外五名から、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党、社会民主党・市民連合及び岩浅嘉仁君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。宮地正介君。
#140
○宮地委員 私は、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党、社会民主党・市民連合及び岩浅嘉仁君を代表して、農地法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    農地法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  最近の我が国農業を取り巻く状況は、農業就業人口の減少と高齢化、農産物の輸入増大等に伴う食料自給率の低下、農地面積の減少等一層厳しさを増している。
  こうした中で、農地は農業生産にとって最も基礎的な資源であり、二十一世紀に向け食料供給力の維持・確保と担い手の育成を図る上でその確保と有効利用は不可欠の課題となっている。
  よって政府は、本法の施行等に当たり左記事項の実現に努めるべきである。
      記
 一 本法に基づく農地転用許可制度や農業振興地域の整備に関する法律、地域整備関連の諸法律等の運用に当たっては、無秩序な開発の防止に努め、優良農地の確保に万全を期するよう厳正に対処すること。
 二 農地転用許可基準の法定化については、関係者にその趣旨・内容を周知徹底するとともに、適正な運用が行われるよう指導すること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
#141
○北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#142
○北村委員長 起立多数。よって、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣島村宜伸君。
#143
○島村国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後、最善の努力をいたしてまいります。
    ―――――――――――――
#144
○北村委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#145
○北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#146
○北村委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣島村宜伸君。
    ―――――――――――――
 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する
  法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#147
○島村国務大臣 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農水産業協同組合貯金保険制度は、信用事業を行う農協、漁協等の組合の貯金者の保護を図るため、これらの組合が貯金の払い戻しを停止した場合に必要な保険金の支払い等を行うほか、経営が困難になった組合との合併に対し適切な資金援助を行い、もって信用秩序の維持に資することを目的とする制度であります。
 我が国の金融を取り巻く環境につきましては、本年四月からの早期是正措置の導入等種々の金融システム改革が進められる一方、昨年秋以降、金融機関の破綻が相次いで発生する中で金融の機能に対する内外の信頼が大きく低下し、信用秩序の維持と国民経済の円滑な運営に重大な支障が生ずることが懸念されております。
 このような状況に対応し、我が国金融システムの一翼を担う農漁協系統金融におきましても、貯金者等の保護の一層の充実と信用秩序の維持を図るため、農水産業協同組合貯金保険制度を改善することとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
 第一に、政府が、農水産業協同組合貯金保険機構の農林中央金庫または日本銀行からの借り入れに係る債務の保証を行うことができることとしております。
 第二に、経営困難な組合との合併により自己資本の状況が悪化した受け皿組合に対し、自己資本の充実を図るため、一定の基準に適合する場合には、農水産業協同組合貯金保険機構が劣後特約を付した資金の貸し付けを行い得ることとしております。
 第三に、経営困難な組合との合併を援助するため、農水産業協同組合貯金保険機構が経営困難な組合の資産を直接買い取ることができることとしております。
 第四に、農漁協系統の相互援助取り決めにより、農水産業協同組合連合会の子会社が経営困難
な組合から資産の買い取りを行う場合に、その農水産業協同組合連合会に対し農水産業協同組合貯金保険機構が資金援助を行い得ることとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#148
○北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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