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#1
第142回国会 文教委員会 第4号
平成十年三月十八日(水曜日)
    午前九時二分開議
出席委員
  委員長 高橋 一郎君
   理事 稲葉 大和君 理事 小川  元君
   理事 河村 建夫君 理事 田中眞紀子君
   理事 肥田美代子君 理事 藤村  修君
   理事 富田 茂之君 理事 西  博義君
      今井  宏君    小此木八郎君
      大野 松茂君    奥山 茂彦君
      久野統一郎君    熊谷 市雄君
      小杉  隆君    佐田玄一郎君
      下村 博文君   田野瀬良太郎君
      中山 成彬君    西川 公也君
      野田 聖子君    林  幹雄君
      矢上 雅義君    山本 公一君
      渡辺 博道君    安住  淳君
      粟屋 敏信君    中野 寛成君
      鳩山 邦夫君    池坊 保子君
      旭道山和泰君    松浪健四郎君
      石井 郁子君    山原健二郎君
      保坂 展人君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 町村 信孝君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 小野 元之君
        文部大臣官房総
        務審議官    富岡 賢治君
        文部省初等中等
        教育局長    辻村 哲夫君
        文部省育助成
        局長      御手洗 康君
        文部省高等教育
        局長      佐々木正峰君
        文部省学術国際
        局長      雨宮  忠君
        文部省体育局長 工藤 智規君
        文化庁次長   遠藤 昭雄君
 委員外の出席者
        人事事務総局
        公平局調整課長 遠藤 宣男君
        外務大臣官房外
        務参事官    赤阪 清隆君
        大蔵省理財局資
        金第二課長   湖島 知高君
        厚生省健康政策
        局看護課長   久常 節子君
        文教委員会専門
        員       岡村  豊君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十八日
 辞任       補欠選任
  今井  宏君     矢上 雅義君
  大野 松茂君     熊谷 市雄君
  金子 一義君     西川 公也君
  佐田玄一郎君     久野統一郎君
 田野瀬良太郎君     林  幹雄君
  野田 聖子君     小此木八郎君
同日
 辞任       補欠選任
  小此木八郎君     野田 聖子君
  久野統一郎君     佐田玄一郎君
  熊谷 市雄君     大野 松茂君
  西川 公也君     山本 公一君
  林  幹雄君    田野瀬良太郎君
  矢上 雅義君     今井  宏君
同日
 辞任       補欠選任
  山本 公一君     金子 一義君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一七号)
 日本育英会法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一八号)
     ――――◇―――――
#2
○高橋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野松茂君。
#3
○大野(松)委員 おはようございます。自由民主党の大野松茂でございます。国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、何点かお尋ねをさせていただきます。
 今、我が国は、世界にたぐいを見ない急速なスピードで人口構成の高齢化が進んでおりまして、福祉や保健医療を取り巻く環境もあわせて大きく変化をいたしております。中でも、増大する需要に対応できるよう、人的資源の中核をなす看護婦の確保等が緊急の課題となっております。殊に、近年の医学、医療の進歩発展に伴うところの高度な専門的知識や技術、そして豊かな人間性や的確な判断力を持つ資質の高い看護婦を養成することが強く要請されてもおります。
 今回の法律案は、岡山大学と鹿児島大学の医療技術短期大学部を廃止して、それぞれ医学部の保健学科を整備していくためのものでございますが、学部への転換は、このたびの両大学を加えて既に八大学になります。現在、国立大学における保健学科の整備状況はどうなっているのか、また、医療技術短期大学を置く十五の国立大学について今後の見通しはどうかをまずお伺いいたします。
#4
○佐々木政府委員 先生御指摘のとおり、我が国においては急速な高齢化が進展しておりますし、また保健医療を取り巻く環境の変化も著しいものがございます。そういった中で、看護婦等の医療技術者の資質の向上ということが強く求められておりまして、医療技術者を大学レベルで育成をするということが重要な課題となっております。
 そこで、国立大学につきましては、これまで二十三大学に医療技術短期大学部が設置されておったわけでございますが、平成五年度から順次これを医学部保健学科等として改組・転換してきております。これまでに六大学の転換を行い、今回の法律案におきましては、さらに二大学の転換を行おうとしております。
 また、短期大学部がなかった十四のいわゆる新設医科大学につきましても、平成五年度以来、十一大学に看護学科を設置し、平成十年度には一大学に設置を行う予定としております。
 なお、これとは別に、平成五年以前に保健学科等を設置しておりました大学が七大学ございます。
 文部省といたしましては、医療技術者の大学での人材養成に対する要請が極めて強い、これを踏まえまして、国の行財政事情等を勘案しながら、引き続き国立大学における保健学科等の整備に努めてまいりたいと考えております。
#5
○大野(松)委員 それを踏まえて、今後のことでもございますが、将来的には十八歳人口が減少してまいりまして、さまざまな分野で多様な変化が余儀なくされております。
 看護婦のように社会的需要の高い人材の養成につきましては、国公私立大学を通じて積極的に養成が必要と考えるわけであります。国公私立を通じた看護系大学、また、こうした看護系大学の整備に伴いまして看護系大学院の充実も期待されるところでございますが、看護系大学また大学院の整備の状況、あるいは今後の整備方針はどうかをお尋ねいたします。
#6
○佐々木政府委員 看護婦の育成につきましては、平成四年に看護婦等の人材確保の促進に関する法律が制定されております。これに基づきまして、文部省、厚生省及び労働省の共同により、看護婦等の確保促進措置に関しての基本方針が策定をされております。
 そこでは、資質の高い看護婦等の養成を行う看護教育の充実を図ること、看護婦養成所等における教員など指導者の育成を図る、そういった観点から、看護系大学の整備充実を一層推進していく必要があるというふうにされておるところでございます。
 文部省といたしましては、この基本方針に沿って国立大学における看護学科等の整備を進めておりますし、また、公私立大学の設置認可におきましても、この分野については大学新増設の抑制の基本方針の例外として取り扱い、それを通して看護系大学の整備に努めておるところでございます。
 この結果、看護系の大学は、平成三年度には国公私合わせて十一大学でございましたが、平成十年度には、新設予定も含めまして、国公私合わせて六十五大学というふうに急増が見込まれるところでございます。
 また、看護系大学院につきましては、今後ますます必要とされます大学等の教員や研究者の育成を図るために積極的に進めておりまして、平成三年度には、修士課程が五、博士課程が二でございましたが、平成十年度には、設置予定も含めまして、修士課程が二十二、博士課程が七となる予定でございます。
 今後とも、厚生省など関係省庁と十分連携を図りながら、国公私立大学を通じて、看護系大学及び大学院の整備に積極的に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
#7
○大野(松)委員 そうした対応をしていただきます中で、地域福祉の充実の上でも、将来にわたって十分な医療サービスの提供に必要な看護婦等を確保していくために、大学、短期大学あるいはまた専修学校などの教育機関で人材養成を現に行っております。
 そうした中で、看護婦養成の全体計画とこれまでの達成状況、あるいは今後の達成の見通し、これらにつきましては、今後とも厚生省と文部省が十分連携をして看護婦等の養成を推進することが肝要だ、こう思っておりますが、厚生省の対応につきましてお伺いいたします。
#8
○久常説明員 看護婦等の人材確保につきましては、平成三年に策定されました看護職員需給見通しにおきまして、平成十二年に百十五万九千人で需給が均衡することになっております。平成四年に制定されました看護婦等の人材確保の促進に関する法律及び基本指針に基づきまして、その達成に向けて各般の人材確保の対策を講じております。
 看護婦等の養成に関しましては、養成数が平成三年には約四万一千人でございましたけれども、平成九年には五万二千人と、その拡充を図ってきております。平成八年には、看護職員の需給見通しを少し上回りまして百三万三千人と、その需給見通しも順調に推移してきております。今後も、引き続きまして、看護職員の確保対策を推進することにしていきたいと思っております。
 また、看護婦等の養成に関しましては、先ほど先生もおっしゃいましたように、今後の十八歳人口の減少、さらには高学歴志向を踏まえますと、看護系大学等における看護職員の養成確保は非常に重要な役割を担うと思いますし、我が国の非常に重要な課題であります医療の抜本改革に関しましても、医療の効果を進めていくには、諸外国でも我が国の先駆的な病院等でも、修士課程を出ました専門看護婦の役割が非常に重視されております。
 そういうことを考えますと、今後とも、文部省との連携を密接に図りつつ、看護職員養成を進めていくことが非常に重要であると考えております。
#9
○大野(松)委員 そうした整備充実をさらにお願いしたいと思うわけでございますが、今、少子・高齢化社会を迎えまして、実は、各市町村におきましては、住民の多様なニーズに対応した、身近で利用頻度の高い保健医療・福祉サービスを提供していくことが求められております。
 それぞれの地域の健康問題を把握して、それを解決するために、保健婦の果たす役割が極めて大きくなっております。人生八十年の時代を迎えまして、生涯健康、生涯福祉、生涯学習のシステムを確立することも大事でございますが、その意味で、保健婦に期待するものは極めて大きいものがあるわけでございます。
 現実は、人材は非常に不足をいたしておりまして、文部省としても、保健婦の養成に積極的なかかわりが必要ではないかと思いますが、いかがでしょう。
#10
○佐々木政府委員 御指摘のとおり、保健医療を取り巻く環境の変化等に伴いまして、健康に対する国民のニーズというものも非常に多様化してきております。とりわけ、地域社会における住民の健康の維持向上を図る上で、保健婦に求められる役割というものが非常に大きくなってきておるわけでございます。
 文部省といたしましては、保健婦につきましては、従来、一部の看護系短期大学の専攻科において主として養成を行ってきたわけでございますが、近年の保健婦に対するニーズの高まりに対応するためには、量を確保するとともに、質の高い保健婦の養成が重要である、そういう考え方に立ちまして、看護系大学での養成を進めているところでございます。看護系大学においては、そのほとんどに保健婦養成課程が設置されていることから、卒業時に保健婦の受験資格も取得できることとなっております。
 今後とも、看護系大学における保健婦養成を推進し、質の高い保健婦の育成に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
#11
○大野(松)委員 ありがとうございます。
 それと、現に看護婦として勤務されている方々の中には、近年の医療の高度化等に伴いまして、さらに四年制大学でより高度な教育を受けたい、こう望んでおられる方も多いように仄聞をいたしております。
 現職の看護婦のためには、例えば編入学などについても容易にするなどの工夫が必要ではないかと思いますが、お考えはいかがでしょうか。
#12
○佐々木政府委員 現職看護婦の大学への進学希望にこたえるべく、看護系大学におきましては、社会人特別選抜を実施したり、あるいは編入学定員を設定するなどして、現職看護婦の学習意欲にこたえる取り組みを実施しております。
 大学への編入学は、現在のところ、看護系短期大学卒業生について認められておるわけでございますが、今回、一定の専門学校卒業者についても編入学を認めることが適当である、そういう観点に立って、学校教育法の所要な改正を行うための法律案を今国会に提出しておるところでございます。
 看護婦分野については従来から多数の専門学校が存在しており、これを卒業した現職の看護婦から、大学への編入学を求める強い御要望があったところでございまして、今回の改正は、こうした要望にこたえることになろうかと考えておるところでございます。
 今後とも、各大学において、社会人特別選抜や編入学制度を活用し、現職の看護婦の学習意欲にこたえていくよう、さらに再教育等の機会が充実されるように、文部省としても適切な対応をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#13
○大野(松)委員 今回のこの法律案は、短大を廃止して大学学部へ移行するものでございますが、最近こうした傾向が多いように見受けられます。
 高学歴志向、より高度な教育内容を求める背景などによりまして、こうした短大から大学学部へという変化だろうと思いますが、その一方で、統計などによりますと、短大の進学率は一三%で、専門学校への進学率は一六%、こういうような数字も出ております。殊に専門学校については、専門士の称号を与えることによりまして関心や志向が高まっているようでございます。
 今後の短期大学のあり方というのも改めて考える必要があるのではないかと思いますが、この点につきましてお示しいただきたいと思います。
#14
○佐々木政府委員 現在、十八歳人口の減少に伴いまして、高等教育機関への進学者数というものが減少しております。また、高学歴志向ということで、四年制大学への志向も非常に強うございます。と同時に、専門的な資格を求める観点から専門学校を希望する学生も非常にふえておる。そういう中で、短期大学といたしましては、率直に申し上げて、学生数の確保に苦労しておる現状にございます。
 したがいまして、短期大学といたしましては、例えばでございますけれども、需要の高い学科分野、例えば情報処理関係に学科構成を変更するとか、あるいはより高次の資格が求められるように科目内容を変えていくとか、さらには、四年制への編入学を幅広く認めるとか、それぞれの短期大学が個性というものをより強く打ち出して、学生のニーズにこたえていくような工夫、改善を図っていくことが必要であろうと考えておるところでございます。
#15
○大野(松)委員 最後に、文部大臣にお伺いをさせていただきます。
 医療サービスの完璧を期していくためには、患者の状況に的確に対応して、医療に携わるところの人たちが一体となって取り組む、言うなればチーム医療が欠かせない、こう思っております。また、介護の需要の増大等に伴いまして、今後一層、医療と保健、福祉との連携が重要となるはずでございます。
 このようなチーム医療、医療と保健、福祉との連携をより円滑に実施できるようにしていくためには、大学における養成の段階から、医療関係学部における教育内容の改善充実が必要だと考えております。大臣の御所見をお伺いいたします。
#16
○町村国務大臣 大野委員、大変重要なポイントを御指摘いただいたと思っております。
 チーム医療、あるいは保健、福祉と医療との連携というのは、今御指摘にあったような介護の問題を初め、さまざまな分野においてこれが求められているという社会状況にあると私どもも受けとめております。
 こうしたことを背景にいたしまして、文部省では二十一世紀医学・医療懇談会というものを設置をしておりまして、平成八年そして平成九年、二回にわたりましてその御報告をいただいております。その中では、育成段階から各職種間に共通の価値観を育てていくということが重要であろう、そういう観点に立ちまして、福祉、医療、保健に関する職種間の連携強化を図るための教育内容の改善というものを具体的に御提言いただいております。
 各大学の医療学部関係者でも、そのことを受けましていろいろな工夫をしていただいておりまして、入学後のできるだけ早い時期に老人保健施設等で介護の体験をしてみるといったようなこと、あるいは異なる学科の学生が共通に履修する科目を設けるといったようないろいろな工夫が始まっている状況でありまして、私も大変意を強くしているわけであります。
 今後とも、文部省もこうした方向で、先生御指摘のような人材が育ちますように、さらに一層の改善充実のために努力をしてまいりたい、そうした指導も行ってまいりたいと考えております。
#17
○大野(松)委員 ありがとうございました。
 時間が参りましたので、本法案の成立を期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#18
○高橋委員長 次に、肥田美代子君。
#19
○肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。
 ただいま提案されております国立学校設置法一部改正案に関連いたしまして質問させていただきます。
 本法案の趣旨は、医療の高度化、専門化等によって看護教育の四年制課程の人材の育成が必要になったということでございましょうが、平成五年より九年までの間で結構ですから、四年制看護大学の設置状況について教えてください。
#20
○佐々木政府委員 平成五年度に看護系大学の数は二十二校でございましたが、平成九年度には五十四校となってございます。そして、平成十年度には、新設予定を含めまして六十五校となる予定でございます。
#21
○肥田委員 七年、八年の数はお持ちじゃありませんか。
#22
○佐々木政府委員 平成七年度は四十一校、平成八年度は四十七校でございます。
#23
○肥田委員 年々確かにふえてきていると思います。
 日進月歩する先端医療に対応するためには、四年制看護大学はこういうふうに増加していくことが国民のニーズであろうと私は思います。
 国民の疾病構造の変化もございますし、患者の皆様のニーズの多様化ということもございます。それを考えますと、医療従事者に対する教育の充実は我が国の重大な課題である、そして教育課程の延長を含む対策はもちろん当然のことであろうと私は思います。
 ところで、薬剤師教育も私は例外ではないと思うわけでございます。この間、私は本委員会で何度か、薬剤師教育について六年制にすべきではないかという質問をさせていただいております。平成九年二月二十六日の本委員会で、小杉文部大臣から、「修業年限の延長も視野に入れながら検討を進めてまいりたい」という積極的な御答弁をいただきました。
 それからおおよそもう一年がたっておりますが、その「修業年限の延長も視野に入れながら」という答弁に、事務方の方ではどういうふうに忠実にこの一年間作業を進めてくださったかということを私は伺いたいと思います。
#24
○佐々木政府委員 文部省といたしましては、薬学教育の改善のため、当面、大学院の整備、学部カリキュラムの改善及び実習の充実に努めておるところでございます。
 具体的には、薬学系大学院の整備につきましては、平成十年度に大学院の医療、薬学系専攻を三国立大学に設置することとしているほか、四私立大学においても設置をされる予定となっております。
 また、学部カリキュラムの改善につきましては、文部省の薬学教育の改善に関する調査研究協力者会議の最終まとめに示されたモデルカリキュラムを参考としつつ、現在、各大学において改善充実に向けた取り組みが行われているところであり、文部省といたしましては、その改善状況、あるいは改善に当たっての各大学の課題の把握に努めているところでございます。
 さらに、病院や薬局での実務実習につきましては、関係団体で構成される薬学教育協議会が取り組んでいる一カ月の実務実習の実施に向けた研究、調整等に対応をすべく、各国公私立大学附属病院長に対して、薬学部学生の積極的な受け入れについて要請するなどの支援を行っているところでございます。
 文部省といたしましては、これらの薬学教育改善の進捗状況、あるいは医療現場のニーズの動向なども見ながら、教育年限の延長も視野に入れつつ、薬学教育の充実方策について引き続き検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#25
○肥田委員 大変御努力いただいていると思います。
 ただ、今御答弁の大学院の新設、実務実習、それからカリキュラムについての改善、この三つのどれが修業年限の延長も視野に入れたということになるのでしょうか。
#26
○佐々木政府委員 六年制にするということになりますと、現在、四年制の教官あるいは施設設備ではこれを実現することがやはり困難でございます。
 具体的には、薬学部の入学定員が七千七百人ほどあるわけでございますけれども、これがそのまま修士課程レベルの教育を受けるということになるわけでございます。そうしますと、現在の修士課程の入学定員が千六百人強でございますので、その修士課程というものが充実をされませんと、四年を六年に年限延長するということがなかなか困難なわけでございまして、文部省といたしましては、積極的に修士課程の拡充を図る、そういった施策というものがまず必要であるというふうに考えておるところでございます。
#27
○肥田委員 今すぐにはちょっと無理ですよというような雰囲気の御答弁のようでしたけれども、看護大学もこうやって年々かなりの数でふえております。文部省がその気になれば整備充実というのは率先して進めていけると私は思うのです。ですから、余りできない理由をお探しいただかずに、もう少し前へ進めていただきたいと思うのですけれども、大臣、いかがでしょう。
#28
○町村国務大臣 肥田委員、かねてより薬学教育の充実につきまして大変な御熱意とまた御意見をいただいておりますことをよく承知いたしております。昨年の小杉大臣の答弁も、私も改めて議事録をよく読ませていただきました。
 その委員と小杉大臣とのやりとりも踏まえてお答えをさせていただきますが、今局長が答弁を申し上げましたように、確かに学部の学生の数と修士のところにいささかまだギャップがあるなということは感じているわけでありまして、すぐにというところにはなかなかまだ踏み切る状況にはないのかなと思っております。
 ただ、明らかに方向としては、小杉大臣の答弁もありますように、教育年限の延長も視野に入れながらということで進めてまいりますし、また、大学院全体のあり方につきまして大学審議会で目下精力的に御審議をいただいておりますが、その中でも多分皆さん方から相当出ております議論は、薬学の分野を含めて、大学院の抜本的な充実、量的拡大、もちろん質も伴わなければなりませんが、そういう方向性が多分間違いなく打ち出されてくるであろう、こう私どもは思っておりまして、そうした大きな流れの中に薬学教育の話も位置づけられて、今後鋭意取り組んでいくべき課題であろう。
 ただ、もう一つは、それぞれの大学の判断というのもまたありますので、余り文部省がどうですか、どうですかと、もちろん方向はお示しいたしますが、各大学の方でもそれを受け入れる体制なり心構えなりというものもまた順次整備されていかなければならない。その辺の実態と目標が相まってこれから進められていくべき大きな課題であろう、かように受けとめております。
#29
○肥田委員 医師については、現在、医師法において卒後臨床研修の努力義務が課せられております。
 先般、厚生省の健康政策局長は、医師法を改正して医師の卒後臨床研修の義務化を進める、そういうふうに発言していらっしゃって、大学関係者とも意見調整をなさっている、来年の通常国会で改正について検討してもらえるよう準備を進めたいという報道もございました。
 この卒後二年の研修を受けなければ医者として仕事が始められないという意味においては、実質的には医師教育は八年になるというふうに文部省は理解されますか。
#30
○佐々木政府委員 御指摘の点は、あくまで卒後の臨床研修ということでございますので、医師養成のための教育としては従来どおり六年であるというふうに文部省は認識しておるところでございます。
#31
○肥田委員 私は、文部省は、看護婦とか医師の教育年限についてかなり積極的な御議論もいただいているし、姿勢も感じられるように思います。今大臣のお話もございましたように、昨年よりは一歩進めていただいたかなというふうには感じますけれども、この議論はもう十年、二十年続いております。厚生省も積極的な姿勢を見せているわけでございますから、文部省も頑張っていただきたい。
 薬剤師法の改正によりまして、平成九年四月から、薬剤師は調剤時における患者に対する情報提供を義務づけられております。それから、平成九年の十二月十七日には改正医療法が公布されまして、いわゆるインフォームド・コンセント、すなわち医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療の担い手は患者に対して十分な説明をしなければいけないというふうに規定されております。要するに薬剤師は、薬剤師法と医療法の両面から患者に対する薬剤情報提供、服薬指導、そういうことを行うことが義務づけられたわけです。
 ただ私は、この国が大変不幸な道をたどってきたと感じておりますのは、これは委員会で何度も申し上げましたが、実は医薬分業が完全にできていない国はG7の中で日本だけなのです。この完全医薬分業ができなかった理由はさまざま、歴史的なこともございますけれども、やはり薬剤師がその能力を生かし切れていなかったこの国の姿があると思うのです。
 これまで薬剤使用の不幸な事件が起きたことや、医療保険の中で薬剤費の割合がうんと高くて保険がパンク寸前であるという状況を生み出した一つの理由は、やはり薬剤師のチェック機能がこの国では十分に働いていなかったのだと私は思うわけでございますが、薬剤師はこの国で十分に能力を発揮できているかどうか、大臣は、このことに関してはどうお考えでしょうか。
#32
○町村国務大臣 私、たまさか昨年一年間厚生委員長という役割を仰せつかりまして、その折にも肥田委員を初め大勢の皆さん方が薬剤師の重要性について指摘をしておられるそのやりとりなども勉強させていただきましたし、また地元に帰りますと薬剤師会の皆さん方といろいろ話し合ったり、また教えていただく機会もございます。
 そういう中のささやかな体験で申し上げますので当を得ていないかもしれませんが、確かに日本の医療の中で薬剤師の役割というものが十分であったかどうかといえば、先生御指摘のように、もっともっとその能力が発揮できる体制が整備されていてもよかったのだろうな、こう思います。
 そういう中で、例えば医薬分業のお話がございました。なかなか、例えば冬の北海道で本当に医薬分業が、お医者さんを出てまた遠くの薬局まで行くのはこれは実際大変だというような実態も見たりいたしますと、一律にいいのかなと思ったりもしておりました。
 ただ、基本的な方向は、やはりそうあるべきであろうと私もそのように受けとめておりますし、今後さらに薬剤師の果たす医療におけるより大きな役割というものを私も期待をしているところでございますし、そういう方向に沿って先ほど来からのお尋ねであろう、こう思っておりますので、引き続き努力をしてまいりたい、教育の分野での努力もさせていただきたいと思っております。
#33
○肥田委員 医薬分業のドアが数年前にやっとあいたという感じを私は持つわけでございます。
 今まではどうしてもそこまで踏み込めなかった医薬分業ですが、やはりこの国にとって大切であるということで、この数年どんどん分業率がふえております。もう今三〇%ぐらいでございますが、恐らく五〇、六〇%といくのはそう年数がかからないことだと思っております。
 これは、まさに社会の中で必要な状況が当然起きてきたのだというふうに私は思うわけでございます。しかし今でもなお、大臣も多分地元でティッシュペーパーを売っているとか洗剤を売っている薬剤師の姿をごらんになっていらっしゃるのではないかと思いますし、お医者様の方には、医薬分業はしたいのだけれども、何だか薬を任せられないよという大変な不安もあるわけです。
 そういう状況の中で、やはり今どうしても薬学教育六年制に踏み切っていただかなければ、例えばカリキュラムの改善、卒後の研修、学生の間の研修をふやしていただいたとしても、いつまでたっても抜本的な解決にならないと私は思うのです。
 町村文部大臣から大変積極的な御意見をいただいていることを私はしっかりと頭にたたき込ませていただきたいと思いますが、薬剤師に自助努力をさせるだけでは、医療の今の状況というのはやはりなかなか改善しないと私は思います。
 先ほども申し上げましたけれども、医療保険の中で薬代がどんどん高くなった理由の一つには、薬剤師が十分その役目を果たせなかったことがあったと思います。
 繰り返し申し上げますが、この薬学教育六年というのは、私は単に薬剤師のエゴで主張していることではないと思いますので、しっかりともう一度考え直していただきたく、最後に町村文部大臣に誠実なお答えを求めまして、質問を終わります。
#34
○町村国務大臣 薬剤師の重要性は、決してそれらのエゴとかいうことではなくて、まさに日本の医療の中でさらにより大きな役割を薬剤師の皆さんにも果たしていただきたいという期待を込めて申し上げたわけでございます。
 そのようなことを含め、今委員の御指摘のようなこと、私どもも大変重要な課題である、こう受けとめておりますので、今後とも誠実に対応してまいりたいと考えております。
#35
○肥田委員 ありがとうございました。
#36
○高橋委員長 次に、池坊保子さん。
#37
○池坊委員 新党平和の池坊保子でございます。
 国立学校設置法の一部を改正する法律案について、二、三伺いたいと思います。
 平成五年からことしにかけて八校が三年制から四年制に移行いたしました。まだ十五校が残っているわけでございますけれども、その十五校も逐次移行なさるおつもりなのか。
 それと、移行なさるには確たる理由があるからだと思います。ただ三年から四年にしたら高度な専門的な知識が養われる、そして質の高い看護婦さんが養成されるというのは、これは当然のことですけれども、それならば三年でも四年でも、四年からもう一年、五年にしてもいいということになってしまうわけで、これはどうしてもそうしなければならないという確たる理由がおありになるのではないかと思いますので、それを伺いたいと存じます。
#38
○佐々木政府委員 我が国においては急速な高齢化が進展しておるわけでございますし、また、身近で医療が受けられる地域医療というものの充実を図っていくことも極めて大切なわけでございます。そういった中において看護婦の果たす役割というものが非常に大きなものとなってございまして、高度な医療に対応した看護婦や、自宅での訪問看護を行う資質の高い人材というものが求められておるわけでございます。
 そういった看護婦につきましては、四年制大学においてこれを養成する必要があるという考え方に立って、現在、国立大学医療技術短期大学部を順次医学部保健学科等として改組・転換を進めておるところでございます。平成五年度以降これを進めておるわけでございまして、平成十年度、二大学の転換を行いますれば全体として八大学の転換が終わり、御指摘のように残る医療技術短期大学部は十五大学となるわけでございます。
 これにつきましても、質の高い看護婦の養成というものが極めて高い、大学での人材養成に対する要請が強いということを踏まえまして、引き続き保健学科等に転換を進めてまいりたい、条件の整ったところから整備してまいりたいと考えておるところでございます。
#39
○池坊委員 大学での人材養成の中で質の高さが求められるとおっしゃいましたが、それは確かにそうですけれども、三年でもしっかりと質の高さは求められていると思います。
 厚生省の認可の看護婦学校は三年でございますけれども、その三年制の厚生省の認可との整合性はどのようになっているのでございましょうか。
#40
○佐々木政府委員 大学、短期大学、あるいは看護婦を養成する施設等において看護婦の養成が行われておるわけでございますが、基本的な業務内容といたしましては、病院等において患者の観察や療養上の世話あるいは診療の補助を行うことを業務内容とするわけでございまして、その点におきましては、大学卒の看護婦と短期大学卒の看護婦において質的な差異があるわけではございません。
 今回、大学卒の看護婦が強く要請されますのは先ほど申し上げましたところでございますが、例えば、今後、自宅での訪問看護を行う、そういうことが十二分にできる看護婦の養成というものが必要でございますし、また、看護婦養成所等において看護婦を育成する仕事、そういった指導に携わる人材というものも必要でございます。そういった観点から大学における看護婦養成を進めておるところでございます。
#41
○池坊委員 受け皿は多分病院になると思いますけれども、その場合、三年で出ても四年で出ても同じ看護婦の資格を取って入っていくわけですけれども、そのときに受け皿の方でいろいろな摩擦が起こるというようなことはないのでしょうか。
#42
○佐々木政府委員 数字的なことを最初に申し上げさせていただきますが、平成九年三月の看護系大学卒業直後の進路状況を見ますと、看護婦等として就業している者が千五十一人でございますが、そのうち病院で勤務している者が七百八十三人となってございます。また、今後、大学卒業をした看護婦を採用したい、そういう希望を持っている病院が平成七年の調査では六七・四%となっております。
 このように、病院等医療現場での大学卒業の看護婦に対するニーズは非常に高うございまして、それぞれの病院においては、大学卒業をした看護婦と、それ以外の経路で看護婦になった方とをそれぞれの人事方針に従って採用し配置をしておるところでございまして、両者の間に特に問題があるというふうには聞いておらないところでございます。
#43
○池坊委員 わかりました。
 では、ちょっと質問を変えさせていただきます。
 先日、大臣は、所信表明の文化の振興の中で、昨年十月に開場した新国立劇場の整備拡充を含めた芸術文化創造活動の基盤整備を図りたいというふうにおっしゃいました。
 多分、そのようなお考えだからだと存じますけれども、新国立劇場は維持費として五十三億の予算が組まれております。これは一〇〇%稼働しても五十三億だということで、私はぱっと見ましたとき、高いなという印象を受けました。高い、安いというのはその人の価値観でございますから、高くないのだと言われたらそれまででございますけれども。
 五十三億というのは一体一般的にはどういうお金かと申しますと、私は京都に住んでおりますが、その郊外にございます丹波町は九千二百二十九人の人が生活しております。その一年間の予算が五十五億でございます。隣の滋賀県の土山町には九千六百三十九人の人がいて、その町は五十三億が一年間の予算である。また、京都の宇治田原町では九千五百十七人の人間が五十五億の予算の中で生きている。つまり、約一万人の町の予算が新国立劇場と同じだと思ってもいいわけでございまして、そういうことを考えて、大臣はどのようにお考えになるかお聞かせいただきとうございます。
#44
○町村国務大臣 この新国立劇場、長い長い関係者の御努力、先般ある方から聞きましたらば、藤原義江先生は昭和二十年代からこの新しい国立劇場の創設ということで動いておられたというお話を聞きまして、昨年の十月十日の日にこけら落としに至った。関係者の大変な御努力と喜びであったのだろうと思っております。
 今五十三億というお話がございました。内訳は必要あらば局長から御説明をさせますが、私は、まさにこれを高いと見るか低いと見るかということについては、相当これは価値判断が分かれるのだろうなと思っております。
 確かに、ヨーロッパとアメリカとでは、この行き方が相当違っていると思います。ヨーロッパは、国であれ地方自治体であれ、オペラでありますとかそういう舞台芸術その他に相当国や何かがお金を出します。極端に言うともう丸抱えと言ってもいいぐらい。それに対してアメリカ方式というのは、国は一切そういう分野には極力関与しない、努めて劇団あるいは劇場が独立採算でやっていく。
 日本は、じゃ、いずれの道をたどるのかということがしばしば議論になるわけでございますが、何となくいいかげんなことを言いますと、その中間なのかなということでありますが、私は、これからの時代を考えましたときに、より多く国がそうしたものに関与をしていくということであってもいいのではなかろうか。もちろん財政の制約その他ございますが、私は、そういう方向でいいのではないかな、こう思っております。したがいまして、五十三億が、それは大きなお金ではございますけれども、極端に多いかといわれればそうではないと思います。
 ただ、そういう中にあって、もちろん、むだがあったり、あるいは何でこんなものにということであってはならないわけでありまして、その中で最大限の合理化を図っていくという努力をすること、これは当然であろうというふうに考えております。
#45
○池坊委員 確かに、パリやウィーンにございますオペラ座も多額な基金が出ているわけですけれども、ヨーロッパの場合ですと、オーケストラとか合唱団など、つまりソフトの部分にお金がかかっているのです。
 日本の場合は何かというと、ハードと人件費にお金がかかっている。この五十三億の中の人件費は十二億、職員は百四十四名いて十一億七千五百万円。そして役員は四人で一億だ。つまり、ソフトには全然お金をかけていなくて、建物の維持と人件費だけにかかっているということが私は問題なのではないかというふうに思っております。
#46
○遠藤(昭)政府委員 お答えいたします。
 人件費につきましては、役員が五人、職員が百四十四人でございまして、今百四十九人、それらの者に対して十二億八千万ほどの給与を払っておるということでございますが、これは特殊法人の日本芸術文化振興会の職員の給与に準拠をしている。国立劇場と分野は違いますが、役割的には同じような役割を担う仕事を財団にお願いしておりますので、それに準拠をしている。
 ただ、役員につきましては、この特殊法人の役員の給与よりはワンランク下げておりまして、つまり財団の理事長の給与は芸文振の理事の給与というふうにワンランクずつ、一つ落としておりまして、そういった面ではできるだけ努力するようにしておりますが、やる内容からいいまして、特殊法人並みの水準でいかせていただいている。
 しかもそれは、新国立劇場の役割から考えますと、やはり現代舞台芸術の振興の拠点となる。しかも、年間に二十五作品を自主公演する。年間二百六十五回公演をすると十年度考えておりますが、自主公演をこれだけするというのは、我が国ではまず例がないわけでございまして、それだけ大変な仕事をやるためには、これだけの人、それから経費も必要になるのだというふうに理解をいたしております。
#47
○池坊委員 自主公演だからお金がかかるということでございますけれども、例えば別に劇団を抱えている、そのことのためにお金がかかるということだとわかりますけれども、私が調べましたところ、この職員百四十四名の中にはそのような養成の人間がいるというふうには考えられないと思います。
 民間の場合を例にいたしますと、例えば、大阪のフェスティバルホールでは十四億五千万円でやっておりまして、社員は十六名でございます。そして座席数は二千七百九席、新国立劇場は三千二百十でございます。また日生劇場の場合には、千三百三十席ですけれども、収入も支出もちゃんととれるようにしておりますし、理事長は三千万円の年額を取っておりますが、理事三人は名誉職ということで七十四万ということでございます。それから、財団法人京都市音楽芸術振興財団がやっております京都コンサートホールは、理事、監事、評議員入れまして四十八名。でも、こちらは六十名あって、この評議員というのは、ただ名誉職だけであるかと思いますけれども、年間の予算は六億六千二百万円でございます。そして、役員の報酬は、ちなみに、一人常住専務理事がいるだけであって、年間七百五十六万八千円ということでございます。
 ですから、特殊法人でみんな同じだとおっしゃいましたけれども、つまり、特殊法人というのは高額を取っているんだなという確認を今改めてさせていただいた感じがいたします。
 こけら落としが十月十日にございましたけれども、そのとき無料券を五百枚、それから五千円と三千円の席があって、一千五百枚の招待券を所管の官庁でお配りになったという話を伺っておりますけれども、それについてちょっと伺いたいと思います。
#48
○遠藤(昭)政府委員 ちょっと手元に具体的な資料を持ち合わせておりませんが、私の記憶によりますと、演劇の部分につきまして、当初予定していたよりもかなり原稿ができるのが遅くなりまして、なかなか宣伝が行き渡らなかった。観客の入りが、正直申しまして、当初はなかなかよくなかった。
 せっかく、空席にしておくのはもったいないということで、それを関係する方々のところに、宣伝の意味も兼ねて配布をしたというふうに聞いておりまして、文部省の方にも、そのうちの一部が来ておりまして、文部省の方では福利厚生費として、買える分はできるだけ買うという形でそれを購入させていただいた。演ずる方にしてみましても、できるだけ多くの人が入っている方が熱演をするというか力が入るという面もございますので、この件に関しましては、そのような対応をさせていただいたということでございます。
#49
○池坊委員 日本の文化振興をなさるということでございますから、一人でも多くの民間人に日本の文化、オペラが日本の文化だとは思いませんけれども、文化すべて、オペラにしてもいろいろなお芝居にしても、広範にわたって知ってほしいということだと思いますので、それが、あきができちゃった、切符が余っちゃった、だから省内でさばくのだというのでは、これは五十三億が泣くのではないかというふうに思っております。
 それで、五十三億も年間援助をしているわけですから、じゃ、多くの人たちが入れるのかというと、入場料が必ずしも安くはございません。「建・TAKERU」をなさったときには一万八千円でしたし、「アイーダ」は二万三千円でございます。それから、十年度公演の「セヴィリアの理容師」は一万八千円。これは決して安くない。何でも外国並みにするんだとおっしゃるなら、外国はもっともっと安い席が手に入るわけですから。この辺はどのようにお考えになっているのか。このまま民間と入場料は一緒にする、そして維持費だけは国が援助するというのでは、ちょっと承服しかねるなという気がいたします。
#50
○遠藤(昭)政府委員 お答えします。
 入場料の件でございますけれども、物によって、何をやるかによりまして入場料というのは違ってまいります。
 今、先生もおっしゃいましたように、「建・TAKERU」の場合には、これはS席でいいますと一万八千円、「アイーダ」ですと二万三千円というふうになっております。ただ、これらの価格を設定する場合に、この劇場の趣旨でございます、できるだけ高い水準のものを国民の方にできるだけ安くごらんいただきたいという基本的な発想がございますので、比較は非常に難しいのですが、一般的に見てみますと、民間の場合よりは若干低目にしているというふうに私ども承知をしております。
 また、世界の例になりますと、これはまたとる国によってもいろいろ違いますけれども、私どもの見ている限りでは、バレエとかオペラ、S席なんかの値段で比べると、平均的に考えるとそんなに高くない。同じかそれよりちょっと下ぐらい。もちろん出し物によって、「アイーダ」のようにたくさんお金のかかるものはちょっと高くなりますけれども、一般的に言うとそんなに高くない、同じかちょっと下ぐらいかなという感じでございます。
 劇場として収入も上げなければいけない一方、基本的な役割もございますので、先生おっしゃるようにできるだけ安い値段でごらんいただく。S席のほかにもいろいろな席がございますので、そういった席も活用して、多くの方にごらんいただくように今後とも努力したいと思っております。
#51
○池坊委員 何か長々と御説明いただきました。
 たくさんのことを申し上げたいのですけれども時間が参りましたので、最後に大臣に、日本の文化の振興に対してどのようなお考えを持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
 と申しますのは、いつも教育指針の中で、総理も大臣も日本の文化の振興の重要性を説かれていらっしゃいます。私も文化に長いこと携わってきた人間でございますから、あらゆる分野において文化が振興されていってほしいというふうに願っております。
 多くの日本の誇るべき伝統文化は、大衆に支えられ、自助努力によって今日まで続いてまいりました。でも、伝えるべきすばらしい型を持ちながらも、みずからの力で支えることができなく消えてしまった伝統文化がございます。もし、そのときに行政がちょっと手をかしておあげになったならば、それはすばらしい文化として次の世代に受け渡していくことができるのにと思って、私は残念に思っております。
 日本の文化振興は、何も立派な器をつくることではなくて、きめ細やかな、地方に生きている例えば盆踊りだとかお祭りとか民謡とか、そういうことを保護することこそが私は文化の振興ではないかというふうに思っております。それを思いますときに、具体的にそのような施策がなされていることはまず少ないのではないかと残念に思いますので、その辺も含めて大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#52
○町村国務大臣 委員がまさにその生涯をこれまでも、日本の伝統の華道あるいは茶道、あるいはそれ以外のいろいろな伝統演劇等々もございましょう、そうした分野に大変な御努力をしてこられたことを私は高く、またありがたく思っているところでございます。
 そうした伝統的なもの、あるいはバレエでありますとかオペラでありますとか、そういうむしろ新しい舞台芸術の分野、あるいは今御指摘のあったような地域に根差したさまざまな文化活動、そういうものにこれからどのように国として取り組んでいくかという大変大きな課題であろうと思っております。
 私も所信の中で、文化大国を目指したいということを申し上げました。今まで、ややもするとやはり戦後の中で経済復興が最優先をされ、国の予算もそちらの方にずっとシフトしてきたのは間違いはないのだろうと思いますが、そろそろ二十一世紀を目前に控えまして、今までの大きな日本の予算配分のあり方というものも、そうしたハードをつくるということよりは、オペラ劇場の一つぐらいあってもいいと私は思っておりますが、それを含めて、子算一つとっても、ハードよりはいろいろな、文化でありますとかあるいは医療でありますとか福祉でありますとか、そういうソフトの分野にだんだんこれからシフトしていくのが国の大きな流れの変化であるべきだし、またそのように持っていくことが私ども政治家の務めではないだろうか。
 そのような大きな流れの中に立ってこれからも、文部省もややもすると文化庁という一つの組織があることにちょっと甘えていた面もあるかもしれませんが、その中身の充実、これからの施策の展開ということに大いに努力をしていって、そして文字どおり日本は、本当に伝統文化もあるいは現代文化もすばらしいと世界の方々から評価をされるような、そんな国づくりに邁進をしてまいりたいと考えております。
#53
○池坊委員 文化大国を目指すにふさわしい振興をしていただけますよう祈って、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#54
○高橋委員長 次に、西博義君。
#55
○西委員 自由党の西博義でございます。私は、国立学校設置法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、特に高等教育の改革等について、大臣並びに関係の皆さんに御質問申し上げたいと存じます。
 今国会、中央省庁等改革基本法案が提出されております。その中で、国立大学の改革が盛り込まれているわけでございます。さらに平成九年十月三十一日、大学審への諮問において、町村文部大臣は、国立、公立、私学の役割分担について検討するように、こういう指示を出されました。特に、組織運営面で各大学の自由度を高めて、そして自律的な運営を行えるようなシステム、また大学の評価システムについて検討するように、こういう指示を出されました。
 そこで、大学がよりその自律性を発揮できる方法として、従来から国立大学の独立法人化、エージェンシー構想というのが提唱されております。今回提出されましたこの基本法案では、独立行政法人制度の導入をも視野に入れたと思われる改革というのが盛り込まれております。この国立学校の独立法人化について、まず大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#56
○町村国務大臣 昨年十二月の行政改革会議の最終報告の中では、一つの選択肢となり得る可能性はあるけれども早急に結論は出せない、こういう独立法人化に関する一定の結論に達したわけでございます。
 この独立法人化の議論、いろいろな、またそれぞれのイメージがあるのだろうと思いますが、少なくとも昨年、あの行政改革会議を中心に議論されておりました独立行政法人のイメージというものは、ややもすると定型化した業務をそこで独立採算に、ある三年なり五年なりの間に持っていくというようなことがやはり大変強く議論をされておりました。
 例えばということで郵政云々というのもその中で出たわけでありますけれども、私は大学のあり方を考えてみたときに、定型的な業務であるかといえば、これは非常に多種多様、またそれぞれの大学の独自性、自主性というものも尊重していかなければならないという意味でなかなか定型業務ではないだろう。あるいは一つの研究を始めるとやはり五年、十年、そしてその成果が常にいいパフォーマンスが出るかというと、それは結果として失敗に終わるかもしれない。仕事もいろいろ幅広くやることによって、だからこそやはり大学の存在価値がある、こんなふうに考えますので、いわゆる独立採算的な意味合いを色濃くした独立行政法人化という議論には私は反対であるということを申し上げましたし、結論も大体そういう方向におさまったのかな、こんなふうに受けとめております。
 しかし、だからといって、各大学の自律性、自主性というものを尊重しないでいいかといえばそうではありませんで、人事とか会計とか財務とかいろいろな面でもっともっと努力をする必要があるし、同時にそれぞれの大学も、ある意味では文部省のいろいろな指示でありますとか方針に、どうせおれたちは国立大学なんだということで安住してもらっては困るので、場合によれば、ちょっと表現は悪うございますが、今後ともそれぞれの大学が今の形で維持できるかどうかわからない大変厳しい状態にありますよという厳しい自覚は持っていただきたいということは別途大学に申し上げたい、そんな思いを込めて昨年十月の諮問を行ったところでございます。
#57
○西委員 独立法人化がいわゆる定型化をイメージしているのか、もっと自律性を高めるための独立法人化かという議論が根底のところであるんだろうと思うんですが、そのことを視野に入れまして、場合によっては、これはすべてを一律に独立法人化するということではなくて、例えば、地域における大学の配置の偏りを是正するという観点から大都市部の大学をやるとか、採算がとれる大学というか、そういう見方も一部あるのではないかというふうに思います。
 私、そんなことも視野に入れながら、仮に国立大学を今後存続させるというか、そのまま国立という形に持っていくその基準として三つを考えたいと思っているんです。
 一つは、基礎研究それから高度な研究を行うという観点、それから、バランスのとれた地域配置に考慮した部分で国立と、こういう感覚、それから、時代の要請に機敏に対応できる、今議論になっている看護とか情報とかいうことも一つだと思うんですが、そういう三つの観点が国立という意味での重要な視点ではないか、こう考えておりますが、大臣の御所見をお願いしたいと思います。
#58
○町村国務大臣 今、国立大学存続の三つの視点という貴重な御提言をいただきました。確かに今言われた三つは、それぞれ現実に今それだけの機能を十分国立大学が果たしているかということをちょっと置いて考えますと、期待なり方向としては今先生御指摘のとおりだろうと思います。
 特に博士課程等々になりますと、どうしてもこれは国立大学が重要な役割を果たさざるを得ないというのが今の姿でありますし、それから地域別に見たときに、私立大学の大部分、八割ぐらいが三大都市圏に集中をしておりまして、それ以外の地域には国公立がやはり役割を果たしていくという姿、遠くに、大都会に子供を国内留学をさせて高い親の仕送りというのはやはり余りいい姿ではないのだろうなと、こう思ったりもいたしております。
 それから、理工系でありますとかあるいは医療系でありますとかあるいは情報関係とか、そういった特に新しいニーズがあるところ、そして同時に、地域の活性化に役立つような、地域に開かれた、今まで少し地域に閉ざされた国立大学というイメージがありましたが、これからはもっと開かれていかなければなりません。
 そういう意味で私は、今委員御指摘のこの三つの視点というのは非常にこれからの国立大学のあり方として重要であろうし、また、そういう意識で今それぞれの国立大学でも改革を進めていただいていると思っておりますが、まだまだその取り組みが足らないと思われる大学もあるようでございますので、一層の努力を促してまいりたいと考えておりますし、さらにいい何か御議論があるかどうかということで、今大学審議会でも御検討いただいているところであります。
#59
○西委員 大変積極的な大学改革に関する大臣の御所見をちょうだいいたしました。
 先ほどちょっと議論になりましたけれども、次に、大学院のことについて若干御質問を申し上げたいと思います。
 大臣は、先ほど申し上げました昨年十月の大学審においても、このようにおっしゃっておられます。これは「二十一世紀の大学像と今後の改革方策について」というタイトルがついておりますが、その中で、大学院について、「全体として見れば、欧米の先進諸国に比して質・量ともに低い水準にある」という現状認識を話された上で、この質、量の充実強化を目指して、「例えば二〇一〇年に在学者数三十万人を目標とするなどの具体的整備目標について御検討いただきたい」、非常に厳しいながらも、これからの将来像を見据えた諮問を提案されました。
 もちろん大臣は十分御承知のことだと思いますが、オーバードクター等が常に約二割程度でしょうか、いるという、こういう就職の問題が一つ出てまいります。大学院の量的な拡充を図れば、ますますこの卒業者の就職問題というのが大きくなっていくだろう、こう思っておりますが、このことに関する現状認識と、それから今後の雇用のことに関して見通しをお願いしたいと思います。
#60
○佐々木政府委員 平成九年の三月のデータでございますけれども、大学院修士課程卒業者の就職率は六八%でございます。また、博士課程卒業者の就職率は六三%でございます。
 その博士課程につきましては、従来からいわゆるオーバードクターが問題となっておるわけでございますが、近年、博士課程在学者が急速に増加しているのに対しまして、オーバードクターの数は漸次減少の傾向にはございます。
 オーバードクターとして学内にとどまっている事情というのは必ずしも一様ではございませんで、例えば、研究を続けながら適切な就職の機会というものを探しているというようなケースもございますれば、学位論文の準備を進めているというようなケースもございます。いろいろな理由があるわけでございますけれども、我が国社会経済の発展あるいは学問の進展にとって貴重な人材が、このような状態で長くいるということには問題があるというふうに考えておるわけでございます。
 この問題につきましては、社会のニーズにこたえ得るような魅力ある大学院というものをまず構成していくということが基本的に重要でございますし、さらには、例えば、科学技術基本計画のポストドクター等一万人支援計画に基づく、研究者として活躍できる場の確保を進めるといったことも大事でございますし、さらには、きめ細かい就職指導を大学院生について行っていくということも大事でございます。
 こういった点、さまざまな施策を進めておるわけでございますが、引き続き、これら施策の充実を図りまして、大学院生の就職ができる限り適切かつ順調に進むよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#61
○西委員 このことに関しまして、文部省の統計資料の学校基本調査、統計がずっと並んでいる資料がございますが、これを過去五年間ほどずっと眺めてみました。この中で、大学院を卒業した後にどういう進路をたどっているかということを追跡したわけですが、大きく分けて三つのポイントが挙げられると思います。
 一つは、「無業者」という項目がございます。就職はしない、もしくはできない人ということだろうと思うんですが、この人たちがどんどん増加をしておるわけでございます。平成八年度で申しますと、修士、博士課程で五万六千七百人卒業しているんですが、七千七百人が「無業者」という分類項目になっております。過去五年間、最近五年間の卒業生の無業者の率をちょっと挙げてみますと、七・三%から一一・五%という急速な高まりを示しております。これが一つです。
 二つ目は、特に文系を専攻している女子の大学院卒業生が、修士課程では二割から三割、博士課程では四割から五割の人が就職できないという結果が出ております。
 三つ目が、「無業者」とは別に「その他」という項目がありまして、ここがまた悩ましい。中身のちょっとわかりにくいところなんですが、お聞きしたところが、それぞれのいろいろな理由があってそこの項目に入っているんだ、こういう文部省のお答えでした。死亡なさったり、それから不詳、追跡できない、こんな結果も含まれているようでございます。
 これらの方が修士、博士課程合わせて年間三千五百人ぐらいいるんですが、この人が全部亡くなったとはおよそ考えられませんので、中途退学をしたりということで修士、博士のこのグループから飛び出ちゃったということがかなり多いのではないか、こういう感じを持っております。特に博士課程では一割以上が「その他」項目で出ている、こういう状況がございます。
 先ほど答弁がありましたように、一万人の計画にも限界があるのですね。既にかなり充足しておりまして、これも先々そんなに見通しが明るいわけではございません。
 そんな意味で、大臣の諮問なさった、二〇一〇年までに三十万人というこの計画は、どちらかというと学部を少し縮減して大学院レベルを充実しよう、こういう計画なんですが、まず質の充実ということを中心に行っていただいて、量の充実については、社会的な動向等十分勘案しながら慎重にやるべきだ、私はこう思っておりますが、御答弁をちょうだいしたいと思います。
#62
○佐々木政府委員 大学院につきましては、研究者養成という側面と、それから社会において活躍する高度な専門的職業人の養成という側面、その二つがあるわけでございます。どちらかというと、従来の大学院は研究者養成に傾いておったわけでございまして、必ずしも社会のニーズにこたえるような専門的職業人の養成がなされていたかという点から見ると、疑問なしとしないわけでございます。
 したがいまして、今後の大学院改革においては、社会の多様な要請にこたえ得る、そして職業人として十二分に活躍し得る人材を養成できるような教育内容あるいは教育方法の工夫改善を図っていくということがまず必要であるというふうに考えておるところでございます。
 そういった大学院の役割ということを考えた場合に、大学院について、国際比較等も勘案しながら、どの程度その量的拡大を図っていくのか、妥当な大学院の規模ということについて、御指摘の大学審議会において御議論をいただきたいと思っておるわけでございます。あわせて、学部レベルをどの程度の規模とするのかということについても御議論をいただきたいと思っておるわけでございます。
 その際、大学院の量的拡大を図る場合に、学部レベルの規模ということについて、現状のままでいいのか、縮減ということも視野に入れる必要がないのかということについても御検討をお願いをしておるところでございます。
#63
○西委員 時間が残り少なくなってまいりましたが、最後に、大学の総枠のもう一つの視点として、社会人の皆さんの枠と外国人の留学生のことについて御質問をしたいと思います。
 大学改革において、特に大学院の改革という面においては、留学生と社会人の受け入れというのは大変重要な施策だというふうに私は考えております。創造性という芽は、豊かな土壌、また幅広いいろいろな人の集まりによって育っていくものだ、こういうふうに思っておりますが、その豊かさというのは、文化の異なる留学生とさまざまな経験を積んだ社会人の皆さん、こういう人たちの集団が相まってできていくものだ、こう思うのです。そういう意味では、大学院の質的な向上を図るために社会人の特別選抜制度の大幅な拡充を図っていくべきだ、こう思うわけです。
 もう一つは、留学生に関しては、二十一世紀初頭までに留学生を十万人にするといういわゆる十万人受け入れ計画があるわけですが、ここ二年ほど逆に下がりぎみである、こういう現実がございます。
 それ以上に、最近のアジア経済情勢によって、アジアを中心とした留学生は、ほとんどの皆さんがそうなんですが、大変厳しい状況に置かれております。それに対して、平成十年度の政府予算では、国費の留学生受け入れ計画、四千五百四十五人分二百十六億円、私費留学生八千五百四十人への学習奨励費として五十七億円、留学生を直接支援する費用としては、合計で二百七十三億円を計上しておるというデータがございます。
 この留学生を直接支援するための予算二百七十億円をもっと増額して、倍額ぐらいの予算をつけていくべきだ、それが近隣諸国に対する信頼であって、ちょっと我が国の経済事情が思わしくなくなったらイの一番に計画を縮減する、または現状維持でとどめるというようなことをやっている限りは信頼が得られない、私はこう思いますが、大臣の前向きな答弁をお願いしたいと思います。
#64
○町村国務大臣 今、西委員御指摘の社会人入学あるいは留学生の受け入れ、非常に大きな課題でございまして、積極的に進めていかなければいけない、こう思っております。
 先ほどちょっと大学院の関係でもそのことを局長が触れましたが、例えば、一年間でMBAといいましょうか、そういった経営の修士号を取れるようにするとか、今後さまざまな工夫、努力をしてまいりたい。しかも、よく聞きますのは、社会人の人ほどむしろ一生懸命勉強する、そのことがまた、遊びほうけているとは言いませんが、やや安直に流れている若い学生さんにいい刺激を与えるといったようなこともあるようでございますので、そうした副次効果も含めて、今後大いに進めてまいりたい。
 あるいは、留学生につきましても、ちょっとこれも残念ながら十万人に対して五万人、足踏み状態という状況、今委員御指摘のとおりでございます。なかなか財政が厳しいものですから、留学生予算、現状維持が精いっぱいといったような状況で来ております。
 例えば今非常にアジアの通貨が混乱をしているということで、韓国あるいはASEAN諸国の私費留学生が非常に困っているという状況もありましたので、先般、年度内の緊急対策ということで、一律、ささやかではございますけれども、一時金五万円を九千人の留学生に差し上げるべく今作業をやっておりまして、今月中には何とか支給をしたい。
 これは当面の対策として急速作業中でございますが、さらに十年度におきましても、私費留学生に対する学習奨励費の受給者数の確保、こうしたことを含めまして、とりあえず留学生交流予算、現状維持ではございますけれども確保させていただきましたが、今後最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
#65
○西委員 終わります。
#66
○高橋委員長 次に、石井郁子さん。
#67
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 今回の国立学校設置法の一部を改正する法律案は、医療短大部を学部に再編、昇格させることなどに伴う法改正でありまして、我が党は賛成するものであります。
 私は、きょうは国立大学附属病院の看護婦不足問題について質問をしたいと思っています。
 私は、先月末に大阪大学医学部の附属病院を訪れました。職員組合の方々と懇談をする機会を得まして、その阪大附属病院の職員の話を伺いました。いろいろな話があったのですけれども、その中で、看護婦さんたちが過酷な勤務実態に置かれているということで、大変驚きました。
 阪大病院は、九三年に大阪中之島から今の吹田市に移転したわけですね。その移転後にますます労働条件が悪くなっているわけです。職員組合が九五年十二月に実施したアンケートがございます。その中から実態を幾つか申し上げたいと思います。
 一つは、二人夜勤月八日以内という例の二・八体制、これは三割だということなんです。言うまでもなく、病院は入院患者を診るために日勤、準夜勤、深夜勤と三交代勤務です。深夜労働は人間の生態リズムに有害であることは自明ですから、その負担を軽減するために回数を少なくしなければなりません。ところが、阪大病院では、この準夜、深夜の勤務回数が月に八日以内というのは三割台で、九日以上が七割近くあるんですね。文部省の調査でも、移転前の九二年の夜勤回数は平均で月七・五日です。移転後の九六年には月八・二日にふえています。
 二つ目は、準夜勤では休憩時間が三十分しかとれないということなんです。人事院規則では、八時間を超える場合は一時間の休憩時間がとれることになっていますが、その実態は、準夜勤の場合、十六分から三十分以内だ、そう答えた方が五〇%おりました。食事も満足にとれないし、走り回っているという姿が浮かぶではありませんか。
 また三つ目には、年休がとれないのです。公務員の場合は二十日の年休がございますね。四二%の看護婦さんはその半分の十日以下なんですね。これも、文部省の資料でも、九二年では平均十四・二日取得されていました。それが九六年では十三・四日に低下しているんです。
 それから、サービス残業の問題ですね。今大学は、事務職員含めてこういうサービス残業が当たり前のようなことにもなっていますけれども、看護婦さんの場合、残業が二十時間以上が四三%。驚くことに、五十時間以上が五・四%もあります。半数の看護婦さんが長時間労働をしている。深夜勤が朝八時半に明けますけれども、その後、残業が十一時半まで続く。超勤手当は二時間ですから、いわばサービス残業しているということになるわけですね。
 以上、このような実態を申し上げましたけれども、これは看護職員が不足していることに起因するものです。
 文部省に伺います。こういう実態を把握しておられますでしょうか。
#68
○佐々木政府委員 病院における看護婦の夜勤回数あるいは年休の取得状況等については、例えば大阪大学については、御指摘のように、夜勤回数でいえば、平成四年度に七・五回であったものが、平成八年度には八・一回になっている、年休取得日数については、平成四年度十四・二日が、平成八年度十三・四日になっている、そのような事実は把握しておるところでございます。
#69
○石井(郁)委員 人事院にお聞きしたいと思います。
 二人夜勤、月八日以内といういわゆる二・八判定ですね、これは今から三十二年前の一九六五年の五月に出されたというふうに記憶していますけれども、簡潔にその経緯、行政措置要求と判定内容の要旨並びに判定勧告後の達成状況を御報告ください。
#70
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御質問のありました昭和四十年の判定、いわゆる二・八判定でございますけれども、これは、全日本国立医療労働組合委員長から昭和三十八年四月十九日付で提出された看護婦、准看護婦及び助産婦の夜間勤務規制等に関する行政措置要求について、昭和四十年五月二十四日に判定したものでございます。
 その内容の概要を申し上げますと、まず一つ目は、一人夜勤で足りると考えられる看護単位につきましては、突発事態の発生などに備えた措置などを講じれば足りる、その他の看護単位については、計画的に一人夜勤を廃止すること。これが一つ目でございます。二つ目として、月間の平均夜勤日数、これを約八日を目標とすることなどを示して、それへ向けての努力を促したものということでございます。
 この判定を踏まえまして、関係省庁において目標達成に向けて努力がされてきているものと承知しております。
#71
○石井(郁)委員 それで、文部省にお聞きしたいのですけれども、厚生省の管轄である国立病院では基本的に達成されているんじゃないでしょうか。同じ国立の機関である文部省管轄下の国立大学附属病院では未達成だというのはどういうわけなんでしょう。厚生省とは全く違う何か正当で合理的な理由が文部省にはあるのかどうか。なぜそう言われるのでしょうか、お聞きしたいと思います。
#72
○佐々木政府委員 国立大学の附属病院につきましても、従来から、人事院の二・八判定に基づき、夜勤体制について、複数体制、月八回以内とすることを目標に看護婦の増員を図ってきたところでございます。この結果、平成四年度には、複数夜勤体制となった看護単位数が九四・二%、一人当たり月の夜勤回数が八・七回であったわけでございますが、平成八年度には、それぞれ九七・一%、八・四回と、漸次改善が図られてきておるところでございます。
 国立大学附属病院においては、高度医療の提供を一つの使命としておりますことから、重症患者の比率が高く、場合によっては三人以上の夜勤体制を組む必要がある。二人勤務体制のうち約四割が三人以上の勤務体制でございます。そういう状況があることから、現在のところ、複数夜勤で月八回の夜勤体制を達成するには至っておらない状況にございます。
 今後、国立大学附属病院における看護婦の定員の充実に努めることを通しまして、複数夜勤で八回の夜勤体制の実現に向けて、さらなる努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#73
○石井(郁)委員 二・八体制というのは最低の条件だと思うのですね。今お話しのように、国立大学附属病院は高度医療ということを目指していますから、そういう意味ではもっと、二人じゃなくて三人にもしなきゃいけないというのは当然だと思うのですけれども、三人でしているからまだ達成できないというのでは、これは理由にならないわけですよ。だから、その状況について、文部省はもっと努力をする必要があるというふうにまず思います。
 人事院にもう一度お尋ねしますけれども、人事院がみずから妥当だとした二・八判定が、今もって達成できていないというか、ないがしろにされているわけですから、それについてどうお考えなのか。
 国家公務員の場合には、争議権が取り上げられたかわりに行政措置、この要求権が与えられているわけですね。その要求に対して、妥当だ、こういう判定が下されているわけですから、こういう今の実態、ないがしろにされていることを見て見ぬふりをし続けるつもりなのかどうか。
 この点は、私は大阪病院の例を引きましたけれども、今、全国四十二カ所の国立大学附属病院の実態は似たり寄ったりだと思うのです。人事院は権限を持っているわけですから、やはり一斉に全部の大学病院を再調査すべきだ、厳しく再勧告をする、そのぐらいの取り組みをしていただきたいと思いますけれども、人事院いかがですか。
#74
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 今御質問のこの問題は、定員枠、それから医療の内容を含む看護体制のあり方、病院の勤務環境等種々の現実的な条件と密接に関係する極めて難しい問題であるとは思いますけれども、関係省庁におきまして、人員増がなされるなど、目標達成に向けてできる限りの努力がされているものと承知しております。
 今後とも、それらの改善状況を見守りながら、引き続き関係各機関の御努力をお願いしたい、このように考えております。
#75
○石井(郁)委員 次に、財政構造改革法の関係でちょっとお尋ねしたいのですけれども、昨年末、私どもは反対しましたけれどもこれは成立したわけですが、この法律によって、国立学校特別会計への一般会計の繰り入れば前年度同額かそれ以下に抑えられてしまうわけですね。この法律どおりに施行されるならば、大学病院が一層収益を上げるように今以上に稼働率アップが要求されることになる。一方で、支出削減のための人減らしが進むのではないかというふうに思います。
 ちょっと数字でお願いしたいのですけれども、文部省に阪大病院から増員要求というのは何名出されているのか。あるいは、この五年間で実際どのくらい増員されたのでしょうか。また、第九次の定員削減計画では何名減らされるのか、お聞きしておきたいと思います。
#76
○佐々木政府委員 大阪大学からの増員要求が何名かということについては、ちょっと手元に資料がございませんが、大阪大学に措置された数といたしましては、五年間でございますが、平成六年度から平成八年度まではそれぞれの年次に二人でございます。それから、平成九年度は一人、平成十年度も一人の予定でございます。
 次に、第九次の定削の関係でございますが、平成九年度からの五年間で、大阪大学につきましては三名の削減を予定しておるところでございます。
#77
○石井(郁)委員 大学の定員削減というのは大変厳しいもので年々来ているわけですが、これ以上進んだら本当に大変なことになるというふうに私たちは考えているところです。
 最後に文部大臣の御決意を伺っておきたいのですけれども、国立大学附属病院は、他の一般医療機関と違いまして、臓器移植など高度先端医療の研究、治療、開発、また医師の教育、養成など社会的に大きな役割を果たさなければならないわけであります。しかし、今私が申し上げましたとおり、その現場で働くスタッフである看護婦さんの労働条件は大変劣悪であります。これは何も阪大だけには限りません。
 私どものところには日本共産党九州・沖縄ブロック事務所がございまして、そこの小沢和秋事務所長から、元衆議院議員ですけれども、九大の附属病院も本当に全く同じような状態だ、どうし
てこういう状態が大学の中であるのかということで、本当に怒りを込めたというか驚くような報告も寄せられているのですね。
 実態はほかにもございますが、私はきょうは申し上げませんけれども、ぜひ大臣に伺いたいのは、三十二年前に人事院から勧告された二・八判定がいまだに達成されていない。しかもその当時、職員団体が一九六三年に出した行政措置要求では二・六体制なんですね。二人で月六回までだという要求だったわけです。
 三十五年経過して、この間、本当に日本の社会状況は変わりました。労働基準法や国家公務員勤務時間法も大きく変わりました。週四十時間制となっている。そのほか、介護、育児休業法、看護婦確保法が次々と制定されてまいりました。
 だから、三十二年もたってまだ達成できていないということについては、やはり文部省はもっと責任を感じていただきたいというふうに思うのですね。こういう状態でいけば重大な医療事故さえ発生しかねない、現場はそういう危機感さえ持っておられます。
 そういう点で、一日も早くこの体制を達成するためにどうされるのか。看護職員の増員の決意をお聞きいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#78
○町村国務大臣 ただいま石井委員から、阪大を例にとられまして、その附属病院における看護婦さんたちの厳しい勤務条件の様子を教えていただきまして、ありがとうございました。
 二・八体制の確立ということでいろいろ努力もしてまいっております。今、なかなか財政も厳しいし定員も厳しい中で、国立病院全体の増員の中では看護婦さんに重点的にそれを充ててきているという過去の取り組みもあるわけでございますが、現実、それでは二・八体制の確立ができているか、そこまでいっているかというと、委員御指摘のとおり、未達の状態であることは率直に認めなければならない、かように考えておりますので、今の委員の御指摘も踏まえながら、また、それぞれの病院の現場の実情もよく伺いながら、看護婦の増員に向けて今後ともさらに重点的に対処してまいりたい、かように考えております。
#79
○石井(郁)委員 終わります。
#80
○高橋委員長 次に、保坂展人君。
#81
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 本日は、日本の国立大学にぜひ変わっていただきたいという趣旨で、とりわけ外国人学校の生徒の受け入れの問題に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 「論座」という雑誌、ことしの三月号ですが、横浜中華学院の校長の杜國輝さんという方がこのようなことを書いておられます。これは朝日新聞の記事を引用しているのですが、
  ――信州大学が一九九〇年度から九三年度にかけて、台湾系の外国人学校である東京中華学校の生徒や卒業生に留学生枠での受験を認め、計四人が入学していたことがわかった。外国人学校は各種学校のため、文部省が大学入学資格を認めないとしており、国立大学は受験の門戸を閉ざしてきた。信州大学は現在、「受験や入学を認めたのは誤りだった。来年度以降は受験を受け付けない」としている。文部省大学課は「大学に事情を聴き指導したい」と話している。ただし、すでに卒業した四人について合格は取り消さない方針だ――。
横浜の中華学校の先生ですが、学校内で驚きの声が上がったということを書かれておられます。
 そして、この先生は、もしこの記事が、国立大学ではなく公立や私立の大学であったなら全く驚かなかった。なぜなら、全国の公立あるいは私大の多くが既に外国人学校の高三の生徒や卒業生に入学資格を与えているからである。何も外国人学校の生徒を日本の高校生より有利な条件で国立大学に入学させろと言っているわけではない、公立や私立の大学と同様に受験のチャンスを与えてほしい、こういうふうに言われているわけです。
 このことについていろいろ細かく聞いていきたいのですけれども、これまでの文部省の説明によれば、学校教育法施行規則第六十九条一号において、外国において学校教育における十二年の課程を修了した者については、国立大学は受験できるんだということなんですね。
 そこを具体的にお聞きしたいのですが、ドイツあるいはフランスで十二年間の課程を修了していれば、例えばアビトウア、バカロレアなどの試験を通過しなくても日本の大学に入学資格がある。ただし、日本にあるドイツ人学校の卒業だけでは、今度はアビトウアを通らなければいけない。それはちょっと矛盾するように思うのですが、いかがでしょうか。
#82
○佐々木政府委員 外国において学校教育における十二年の課程を修了した者に我が国の大学入学資格を認めておるわけでございますが、これは、各国の学校教育制度体系が異なる現状にありますので、国際交流の観点から、外国における十二年の課程の修了をもって我が国の初等中等教育修了と同等の学力があると認められる、そういう考え方によって認めておるものでございます。
 したがいまして、御指摘のように、ドイツあるいはフランスにおいて学校教育の十二年の課程を修了していれば、アビトウア資格の有無にかかわらず、我が国の大学入学資格を認めておるところでございます。
 これに対しまして、我が国にあるいわゆる外国人学校につきましては、我が国の国内にある限りは、我が国の法令、制度によってその施設が位置づけられているわけでございます。その場合、これらの外国人学校は各種学校あるいは無認可の施設でございますので、その修了者に大学入学資格は認めることはできない、そういう扱いになってございます。
 したがいまして、これらの修了者につきましては、アビトウア資格というものあるいは国際バカロレア資格というものの取得がなされれば、これについて大学入学資格を認める扱いとなっておるところでございまして、その両者の取り扱いに特段の矛盾は存しないと考えておるところでございます。
#83
○保坂委員 なるべく簡潔に答弁をお願いします。
 矛盾がないというお答えでしたけれども、それでは、親が海外に赴任した関係で海外の学校に行かなければいけないという日本人の子供たちが海外のインターナショナルスクールを卒業した場合、日本の大学の入学の資格はあるのかということで、文部省の説明ですと、国際バカロレアを取ればいいということがございます。
 ただし、どうしてもバカロレアがなければならないということではなくて、事実上その国の教育体系の中に準拠している学校であれば日本の大学を受験する資格として認めるというふうに聞いているのですが、間違いないでしょうか。
#84
○佐々木政府委員 外国のインターナショナルスクールについてはさまざまな位置づけがなされておりまして、一律な扱いとはなっておらないわけでございます。
 国外のインターナショナルスクールがその国において学校教育における十二年の課程に正規に位置づけられておる場合には、我が国の大学入学資格が認められますし、そのような正規の位置づけがなされていない場合、国際バカロレア資格を取得している場合には我が国の大学入学資格が認められるということでございます。
#85
○保坂委員 今言われたように、マレーシアのインターナショナルスクールはマレーシアの大学に入れる、したがって、バカロレアの取得の必要はないということを文部省の方から聞いております。文部省あるいは中教審等々でも、国際化の時代である、そして大いに交流をして学ぶ、こういう時代になっているということは再三繰り返されているわけです。
 視点を移しまして、例えば韓国の子供がマレーシアのインターナショナルスクールを出れば、マレーシアの学校は受験できるのです。ところが、日本のインターナショナルスクールを出ても日本の国立大学は受験できない。これは矛盾しないでしょうか。簡潔にお願いします。
#86
○佐々木政府委員 マレーシアにおけるインターナショナルスクールの位置づけについては、詳細には承知しておらないところでございますけれども、仮にそのインターナショナルスクールがマレーシアの学校教育における十二年の課程に位置づけられているものであれば、我が国の大学入学資格というものが認められるわけでございます。
#87
○保坂委員 ということは、今おっしゃったように、インターナショナルスクールといっても、世界四十カ国百二十校もあって、十二年制、十何年制とさまざまな体系があるということでございまして、国際バカロレアをクリアすれば大丈夫だということなんですが、この資格がない場合、あるいは今言われたように、その国の教育体系に準拠していない場合というスタイルもあるようです。
 そうすると、同じインターナショナルスクールでも、例えば二年ごとに赴任地を変わっていくような商社マンのお子さんだとしたならば、たまたまどこの国で終わったのかによって日本の国立大学を受験する資格がある場合とない場合が出てくるということになると思うのですけれども、日本人の生徒が海外でインターナショナルスクールを卒業した場合は、一応全部認めているというふうに解釈してよろしいでしょうか。
#88
○佐々木政府委員 それは、そのインターナショナルスクールのその国における位置づけの問題でございまして、その国において学校教育における十二年の正規の課程として位置づけられているというインターナショナルスクールであれば、我が国の入学資格が認められるということでございます。
#89
○保坂委員 ちょっとよく質問を聞いてほしいのですけれども、そのことはもう再三伺ってわかっているわけです。
 そうではなくて、御存じのように、インターナショナルスクールにはさまざまなスタイルがあるわけです。したがって、どの国でどうだともう細かく言わないで、国立大学においては、インターナショナルスクールに十二年いたのであればもう認めるということが現実に行われてはいませんかということを聞いているのです。御存じないならないというふうにはっきり書ってください。
#90
○佐々木政府委員 国立大学においては、そのような扱いとはなっておりません。
#91
○保坂委員 これは、実はある国立大学の大学入学資格、文部省と細かく詰めていった文書なんですけれども、これによると、原則は、先ほどから言われているように外国に十二年だ。そしてインターナショナルスクールにおいても、学校教育における十二年の課程を修了した者が原則であるというふうになっているのですが、例えばアメリカンスクールというふうになってくると、これは在留する国の教育制度で大学受験を認めているかどうかが問題となる。もし在留国でも認めるとすれば我が国でも認めてよいと解する、こういう理解。
 しかし、そういうふうになってくると、東南アジアに在留している子供たちの場合はアメリカンスクールの卒業が多くて、在留国によってバランスを欠いてしまう、いろいろな扱いが違ってしまうということで、募集要項には明文化しないけれども、もう帰国子女としてアメリカンスクールも認めてしまう。
 その後、インターナショナルスクールについても、先ほど言ったようにIB資格をインターナショナルスクールで取得する人は少ないので、十二年課程のインターナショナルスクールであれば、これはもうアメリカンスクールと同様の判断で認めていこうという扱いになっているという文書なんですが、いかがですか。
#92
○佐々木政府委員 現在、そのようなことを規定しておるということについては、承知しておりません。
#93
○保坂委員 ここで文部大臣にも伺いたいのですけれども、こういうことなんです。
 要するに、日本の子供たちは海外のインターナショナルスクールを出て、そして事実上国立大学にも入っているわけなんですね。ところが、海外の子供たちあるいは日本人の生徒で、日本のインターナショナルスクールを出ても国立大学の資格が得られない。これは、国際化の時代の中でもう考えてよいのではないかと思うのですが、率直な御感想をお願いしたいと思います。
#94
○町村国務大臣 私は、委員のように大変専門的にこの分野、余り詳しくないので、なかなか申し上げるのは難しいのでありますが、私の知り得る限りで言いますと、国内の外国人学校はほとんどが各種学校だということで、確かに各種学校といわゆる学校教育法一条校とはいろいろな意味で資格要件が異なっております。
 したがいまして、それを一律に同じように扱えるかどうかというと、そこにはやはりどうしても違いが出てくることはやむを得ないのだろうなと思っておりますので、これは、我が国の教育体系というものがもう少し弾力的であり、複線化してもいいと私は思いますが、この一点はなかなか根幹にかかわる部分でございますので、やはり慎重に考えなければいけないのではないかなというふうに、今のやりとりを聞きながらもなおそう思ったところでございます。
#95
○保坂委員 もう一度町村文部大臣に伺いますけれども、例えば在日韓国人のお子さんで、小中は東京韓国学校で過ごして、そして高校は韓国。そうすると、日本の国立大学には入れるわけです。ところが、韓国人で、小中は本国で、高校に来て東京韓国学校を卒業しても、これはだめだ。教育の内容は実質的に同じではないかということなんですけれども、いかがでしょうか。
#96
○佐々木政府委員 御指摘のように、外国において学校教育における十二年の課程を修了した者については、我が国の大学入学資格が認められておりますので、韓国において十二年の課程を修了していれば、高等学校段階のみであっても大学入学資格は認められるわけでございます。
 他方、我が国において外国人学校を修了した者につきましては、繰り返しになるわけで恐縮でございますけれども、我が国の国内にあるというゆえに、我が国の法令、制度によっての位置づけが各種学校あるいは無認可の施設ということでございますので、その修了者には大学入学資格が認められないという扱いとなっておるところでございます。
#97
○保坂委員 それじゃ伺いますけれども、文部省に国際教育室がございますよね。今、文部省の原則を繰り返し言われましたけれども、文部省の国際教育室が、各種学校として位置づけられている外国人学校の数、小中高で例えばどのくらいあって、その体系、教育の仕組みはどのようになっているのかというのをどの程度把握されていますか。調査されて、いつも把握して見ているのでしょう。
#98
○雨宮政府委員 我が国におきます外国人学校の設置状況についてのお尋ねでございます。
 平成九年の五月一日現在で、各種学校として認可を受けている学校といたしましては、合計で百三十ということでございまして、韓国等の系統のものがそのうちの百ということでございます。
#99
○保坂委員 私の調べた学校教育基本調査報告書平成九年版によると、百三十五というふうに見えるのですけれども。
 それじゃ、今、小中高のそれぞれの学生数、そして、どういう教育のカリキュラムで運営されているのか。例えば授業時間が年間二千八百時間という専修学校高等課程での基準があるようですが、外国人学校の高等部の年間授業時間などは把握されておりますか、どうでしょう。
#100
○雨宮政府委員 まず在籍数でございますが、一つ前の年で恐縮でございますが、二万九千九百二十一人ということになっております。小中高の内訳につきましては、現在資料を持っておりません。約三万人ということでございます。
 それから、カリキュラムにつきまして、御案内のように、各種学校につきまして、もともと、こういうカリキュラムでどうこうという規定もないわけでございますし、文部省としても所轄庁の立場に立っておらないということもございますので、私どもとして、いかなる教育内容がそれぞれの外国人学校で行われているかということについては承知しておりません。
#101
○保坂委員 文部省設置法施行規則十八条の十二によると、学術国際局国際企画課は、外国人に対する教育の振興及び普及に係る企画、調査及び連絡調整に関する事務を処理するため、国際教育室を置くというふうになっているようですが、今の御答弁では、どうでしょう、ちょっと不十分じゃないでしょうか。
 町村大臣、いろいろな原則があるという話はわかりましたけれども、三万人近いお子さんたちがいて、何のカリキュラムも把握していないということでよろしいでしょうか。
#102
○町村国務大臣 各種学校というものに対する考え方、位置づけではなかろうかなと思っております。ありとあらゆることを文部省が知っている必要もないし、特に各種学校、そういうものは、ある意味では余り政府のいろいろな制約とかその他もないかわりに、自由にどうぞ教育をしてくださいという逆のメリットもありますから、必ずしも、そこらでどういう教育がされているかということについて、詳細な報告を求めたり何なりということが果たして必要なのかどうなのか。逆に、そういうことをやりますと、かえって各種学校のよさが失われるという面もあるのではなかろうかと私は思います。
#103
○保坂委員 もう一度大臣に伺いますが、長い歴史の中で、そして事実上の教育を受けて、しかもこれは、さっき読み上げたように、推薦入試とか、無条件に大学に入れてくれと言っているわけではないのですね。
 そうではなくて、例えば慶応大学だとか早稲田大学だとか、多くの私大が、じゃ、入試はどうぞ受けてください、それで、合格すれば入れますよという取り扱いを行っているわけですね。公立の大学でもそうです。ただ、国立大学だけが、ここにこだわってやってない。ここは少し一工夫というか、これはぜひ大臣の肉声でお願いしたいのですね。
 全くこれを見直さないと、国際社会の中で、それぞれの国同士のおつき合いの中でもいろいろ困った面も出てくると思いますが、いかがでしょうか。
#104
○町村国務大臣 教育制度というのは、それぞれの国の歴史があり、それぞれの考え方があってできているのだろうと思います。
 でありますから、確かに日本は戦後、六・三・三・四という、基本的にはアメリカの形を入れましたけれども、じゃ、その実態はどうかというと、相当違っております。したがいまして、外国がこうだから、日本もこうだというぐあいにはなかなかなってこない。まさに教育というのは、それぞれの国の文化なり歴史なり考え方を反映する制度でございますから、必ずしもそこは、私は、保坂委員のおっしゃるとおりであっていいのかな。
 ということは、やはり国立大学と私立大学は、そこは違いがあることもまた現実でありましょうし、やむを得ないし、であるがゆえに、また、国の助成の仕方といいましょうか、財政的な支出の面、それぞれやはり変わってきているわけでございます。
#105
○保坂委員 町村大臣、実は、私立大学あるいは公立大学は受け入れている。そして、実質学ぶ機会を、受験を認めて、学生になって、ちゃんと社会人になっている。そこの現実をやはり尊重していただきたいし、そこを尊重すれば、国立大学の扱いも、少なくとも再考ぐらいはしていいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#106
○町村国務大臣 日弁連でございましたか、要請書もいただきましたので検討はしておりますが、これはまさに根幹にかかわる話としてなかなか難しいのではなかろうか、こう考えております。
#107
○保坂委員 じゃ、外務省にお願いしておりますので。
 国連子どもの権利条約の二十九条(b)で、この日弁連の勧告書にも同様の点が指摘をされているわけですけれども、ことしジュネーブで国連子どもの権利委員会が開催されて、多分政府としても、文部省としても、この事態を報告しなければいけない。そして、NGOのカウンターパートナー、いろいろ意見を言うでしょう。そして恐らく、今のこのやりとりをもっと進展させていただかないと、なかなか国際社会での理解が得られないのではないかと思いますが、外務省の方、いかがでしょうか。
#108
○赤阪説明員 今御指摘のとおり、ことしの五月の下旬に、児童の権利委員会におきまして、平成八年五月に我が国が提出いたしました児童の権利条約に関する政府報告書の審査が行われる予定でございます。ジュネーブで行われます。
 政府としましても、児童の人権尊重の重要性にかんがみまして、児童の権利委員会との建設的な対話を行うべく、誠意を持って報告書審査に臨むこととしております。
 また、児童の権利条約の趣旨に従いまして、この条約の実施に向けた民間レベルでのさまざまな活動についても、その重要性を十分認識しているところであります。
 外務省といたしましても、非政府関係機関との継続的な対話、報告書作成過程におきまして多くの民間団体等からも寄せられました意見を参考とさせていただきまして、今回のジュネーブでの報告書審査に向けても関係の非政府関係機関等との意見交換を行っていきたいと考えております。
#109
○保坂委員 最後になりますが、こういう制度のおかげで、大臣、日本のインターナショナルスクールに例えば十一年在学して一年だけどこか海外に行くという場合に、要するに全体で十二年の換算で入学資格が取れちゃう、ずうっといると取れないというような矛盾があります。
 今、外務省のお答えでも、これは非政府組織NGOとの意見交換もしつつそういう論議をしていこうという趣旨でございましたので、ぜひ大臣も、いろいろ難しい点を含みながらも、やはり論議を始めていただきたいということをちょっと一言、論議をしていただけるかどうかぜひお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
#110
○町村国務大臣 一定の論議を、私はこれは論議するとかしないとかいうことをあらかじめ申し上げるつもりはございません。
#111
○保坂委員 それでは、これで終わります。
#112
○高橋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#113
○高橋委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、国立学校設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#114
○高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#115
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#116
○高橋委員長 正午から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時六分開議
#117
○高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、日本育英会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥山茂彦君。
    〔委員長退席、河村(建)委員長代理着席〕
#118
○奥山委員 私は、自由民主党の奥山でございま
す。文教委員会に入らせていただいて初めての質問でありますので、どうぞよろしくお願いします。
 ところで、先日、大臣がNHKの教育討論会でいろいろな議論をされておりました。現在の刃物殺傷事件とか、青少年の心の教育の問題、いろいろな議論が出ておりまして、私もずっと最後まで拝見をさせていただいたわけであります。
 最近、教育をめぐるいろいろな事件を思うときに、現在、戦後教育が五十年を経過いたしまして、その教育制度の総括を一遍しなければならない、そんな状態になっておるのじゃなかろうかと思います。特に、この制度が疲労を起こしておるというようなことが、日本の経済と同じように、いろいろ言われておるわけであります。
 我々は、日本が貧しかった時代の教育をずっと受けてきたわけであります。私自身も小学校時代は、空襲の焼け跡、あるいはまた麦飯を食べたり、そういうふうなこともよく覚えておりますし、隣近所でカキをとってみたりブドウをとってみたりとかいうことで近所のおやじからよく怒られたり、そういうこともあったわけであります。
 そして、これはもうほとんどの小学校にそうだと思うのですが、二宮尊徳の銅像が置いてありました。また、親孝行も頑固にやはり教えてくれる先生もおられたわけであります。我々も、親の言うことは絶対だということで聞いてきたわけであります。
 こういう時代の教育から――最近私のところにある親が相談に来られて、実はうちの息子がバイクに乗ってスピードを出し過ぎて検挙された、このままいくと免許取り上げや、何とかしてもらえませんか、こんな話であったわけであります。
 私はそのお父さんといろいろ話をする中において、その家が新しく建った、家が建つとともに家具も新しくなって、息子には新しい車とバイクを買うてやった。まだ二十になるかならぬかの息子はそのバイクを乗り回して、スピード違反でたびたび捕まって、免許取り消しになった、こういうことであります。
 結局はそのお父さんに私も、そのバイクを買ったのはお父さんですやろと。息子を甘えさせておる、しかもまた息子が免許取り消しになる、それを親が頼みに来る、こういうふうな家庭は少ないとは私は思いますけれども、しかし、往々にしてこういう親が多いわけであります。
 そんなこととともに、最近は、学校においていじめの問題とかあるいは生徒間のトラブルとかそういう問題に遭っても、なかなか子供は先生に相談をしない、こんなことをよく現場でも聞くわけであります。
 我々、こういうことをいろいろ考えるときに、豊かな時代の教育観というのですか倫理観、そういうものが今もって確立されておらないように私は思います。現在の日本社会が政治的、経済的な閉塞状態になっているということがずっと言われてまいりまして、戦後教育の中で、知識の詰め込みや、あるいはまた現在の受験戦争を中心とする過剰な競争社会の中で、何か日本人全体が、高学歴でないとなかなか一人前と認めてくれない、今そんな社会の体質が蔓延しているわけであります。
 こういう中で、今回の中央教育審議会の答申の中でこんな言葉がありました。高等教育において、大学進学のときに人生レースの勝負が決まるような制度ではなくして、回り道も十分評価されるような方向を目指す、こういうことでありました。
 かつてイギリスのチャーチル首相もあるいはワシントン大統領も落第生であったというような話を我々は聞いたわけでありまして、こういう豊かな時代の中の教育というものは果たしてどういう姿でなければいけないかということを、一度大臣のお考えを聞きながら奨学育英制度の問題に入らせていただきたいと思います。
#119
○町村国務大臣 奥山委員から大変大きな御質問をいただきました。多分、これをしゃべっていると三十分ぐらい時間を費やしてしまうことになりますので、ごく簡単に、断片的になるかもしれませんが、考えていることを申し上げさせていただきます。
 確かに、今委員御指摘のように、豊かな時代の教育、もっと言いまずと、豊かな時代に我々日本人がどう生きていったらいいのか、これは多分日本人全体の課題でもあるのだろうと思います。我々はどうしても、貧しい時代にでき上がったいろいろな制度、奨学金制度もその一つかもしれませんが、もろもろの制度、もろもろの考え方、貧しいとか行き渡らないということを前提にすべて考えてきた。しかし今は、御指摘のように、もうお父さんは何でも子供に買ってあげられる、すべてではないにしても、かなりそういう豊かさが出てきたということであろうかと思います。
 したがいまして、私は、豊かな時代であればあるほど、例えば家庭の中で子供の言いなりに物を買い与えたり、あるいは、どこかに行こうと言えば必ず行くとかいうことではなくて、やはり子供には子供にふさわしい接し方あるいは物の買い与え方、だめなものはだめとはっきり言うというようなことであるとか、そういう親子の新しい関係、もしかしたら新しくない、昔からの関係かもしれない、それをもう一度見直そうといったようなことなどを今、中教審の中でも御議論をいただき、近々中間答申もいただこうと思っております。
 また、学校の中もそうだろうと私は思います。物がない昔の時代の子供たちよりは、かえって今の子供たちの方がある意味では心が病んでいる。周りに自然がないから、兄弟の切磋琢磨がないからという中でありましょうから、子供と接するのが逆に難しくなっている面も今出てきているかなと。したがって、そういう意味では、カウンセリングを今まで以上にやるとか、幾つかの教育現場でそうした豊かな時代への新しい対応をやっていくということがいろいろ出てくるんだろうなと。その一環として、今回の育英会の奨学金のあり方というようなことも検討をされてしかるべきなんだろう、このように考えております。
#120
○奥山委員 最近、小学校あるいは中学校で、大きなスローガンとして、生きる力の育成ということが教育の現場では言われておるわけでありまして、それが一つの目標ということにはなっておるのですが、この言葉はある意味でいったら非常に抽象的な言葉になるのですが、実際にはその反対で、現在の子供たちは、何かもやしつ子に近いような、そういう中で勉強を受けている。そして、その子供たちが社会人となって社会に出てから、その厳しさになじめずに脱落をしていく、そんなケースが非常に多いというふうに思います。
 それともう一つは、高学歴社会になって、やはり高い学歴を持っていなければなかなか一人前の社会人として認めてもらえない、そういう風潮が最近は非常に強いし、これが当たり前になっているように私は思います。
 これは私のことで大変恐縮なんですけれども、私は、定時制の高校を卒業し、それから就職をし会社へ行ったわけであります。そうしますと、定時制であっても、その扱いは中学生としての扱い、中学卒の扱いでありました。最近はそうでないというふうに思いますけれども、我々の時代はまだそういう傾向が非常に強かったわけでありますし、最近は特にそういった高学歴志向という状態であって、みんながそれに向けて、大臣もよくおっしゃるのですけれども、日本人は、一つの方向を向けと言ったら一斉にそこへ走り出すというような社会になっておるのです。
 ところが、いろんな能力というものは、必ずしも学校の勉強だけで十分に発揮される、引き出せるものじゃなくして、いろんな選択によって、またいろんな挑戦をすることによって引き出されてくる、そういうふうな社会また教育制度にしていかなければならないと思いますので、そういう点をもう一度だけ大臣にお尋ねしたいと思います。
#121
○町村国務大臣 確かに、高学歴社会志向というのが強まってきているということは、まさに今の社会の風潮だろうと思います。
 しかし、今委員御指摘のように、学歴が高いから、間違いなく人生一生幸せに暮らせるかというと、私は余りあちこちで例に引き過ぎて悪いのかもしれませんが、例えば、私の地元でありますが、北海道で幸せの図式というのは、北海道大学を卒業して北海道拓殖銀行に勤めることだったのです。なぜならば、拓銀は北海道で一番お給料がいいのです。ところが、その幸せの図式が今もろくも崩れ去ってしまいました。拓銀が倒産をいたしました。ある意味では、親御さんたちにとって、学生にとっても大変ショックなんですね。
 しかし、考えてみると、これは昔からそうであって、それは山一にしてもどこにしても立派な会社がつぶれるのは残念なことでありますが、また、そこに働いていて職を失う方々の厳しさはいかばかりかと思いますが、考えてみると、どこに勤めたか、立派な会社に入ったということがもともと一生幸せだということを何ら保証するものでないということは、もとからそうだったのだろうと思うのです。ただ、ある確率を持って、それは高度成長期には言えた事実だろうと思います。
 そうじゃないよということがだんだんわかってきたし、まして、大学を出てどこか一流会社へ入ることよりも、例えば、自分は調理の能力があって料理の鉄人とでも言われて、そうやって稼いだ方が、もしかしたら所得という面だけから見ればはるかに高いかもしれない、それから社会的な尊敬も受けるかもしれない。委員が言われるような多様な価値尺度というものがもっともっとこの世の中になければならないし、そういう社会をつくっていくことが非常に重要なのだろう、私はこう思っております。
 したがって、委員がさっき言われたように、大学の進学の時点で人生の一生が決まってしまうなんという、そんなばかなことがあってはならないし、そうでない社会を、我々、さまざまな努力をしてつくり上げていく、そういう努力をしていくことが必要なんだろうな、かように思っております。
#122
○奥山委員 ありがとうございました。
 そこで本来の、日本育英会法の一部を改正する法律案について少しばかり入ってまいりたいと思います。
 教育基本法の第三条に、「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。」ということになっております。それに基づいてこの奨学金制度というものがつくられているわけでありますが、これも、発足してからもう五十年近いことになるのですね。
 かつては、やはり苦学生というものがたくさんいたわけであります。しかし最近は、いわゆる苦学生と言われるような、授業料を日々払うのが非常に難しい、しんどい、こういうふうな学生は最近は非常に少ないのじゃないかと思います。親からのあり余るほどの仕送りを受けて、今、学生は、どっちかというと比較的優雅な生活をしておるケースが多いと思います。それは学生は、一方においては積極的にアルバイトしたり、そういうことをしているわけでありますけれども、どちらかというと小遣い稼ぎをしているというような時代にやはり入ってきたわけであります。
 そういう中での奨学制度はどういう方向に持っていかなければならぬかということになるわけでありますが、そういった点で、この奨学制度を今後、存続させるのであれば、どういう制度として存続させていくのか、どういう内容にしたらいいのかということがやはりこれからの課題であろうかと思います。その辺についてお尋ねをしたいのです。
#123
○町村国務大臣 この日本育英会は、昭和十九年という、まさに終戦直前の年にできた。当時の人は大変な決断をしたものだなと私も思ったりもしておりますが、それから五十有余年、非常に世の中は変わってまいりました。
 委員御指摘のとおり、本当に厳しい経済の時代から、所得がかなり豊かな時代になってきたといったような変化、あるいは、大学の進学率一つとりましても相当ふえてまいりまして、大学、短大含めて四十数%という時代にも変わってきたりとか、あるいは、にもかかわらず、やはりいろいろな意味でトータルの学費が、例えば地方から東京に学生さん一人を私立大学に送ると百万円以上仕送りがかかるというのは、決して親にとっては少なくない負担なんだろう、こう思ったりもしております。それから、だんだん大学院に行く人の数がふえてまいりました。これもまた新しい奨学金需要としてはふえてきている。
 こんなさまざまな変化を踏まえながら今日の奨学金があるわけでありまして、確かにこの辺で一度、基本的な奨学金のあり方についての頭の整理をやらなければいけない時代に来ているなと思っておりました。
 たまさか今度、財投のあり方というのを見直すということで、資金運用審議会だったと思いますが、そこの報告が出されており、この教育の分野は、これからも引き続き財投資金を活用できる分野ではないか、そんな御指摘も実はいただいておりますので、私ども少しくそうしたことを踏まえながら、新しい時代における奨学金のあり方、まだきちんと実は整理ができていないので申しわけないのでありますが、今後鋭意、まずその辺の基本的な考え方に立って、どういう施策をさらに強化していくのかということを、もう一度頭の整理をやっていきたいと思っております。
#124
○奥山委員 そこで今回、この改正案で、教職員は返還が免除されているのですが、この制度が廃止になる、これは今の時代の趨勢の中ではもうやむを得ぬのじゃないかというふうに私は思います。
 ただ、ここで少し数字的な話もあるのですが、この返還免除制度の廃止ということで、実際にどの程度の返還金の増額が見込めるのかということが一つと、それから、今回のこの制度の改正によって、すぐには返還金の増に結びつかないものも多いわけでありますから、将来的な財源の確保を見込んでいく中におきまして、この奨学金の使い道ですね。
 現在、高校でしたら夜間高校がありますし、大学でいいますと二部、あるいは通信制とか、この間からもいろいろな団体の要望を聞く中において、専修学校なんかからは、もっとこの制度を充実してほしい、増額をしてほしい、こういうふうな要望も出されているわけであります。
 そういうことももろもろ考えて、この制度、具体的にどういう形で給付の方をしていかれるのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
#125
○佐々木政府委員 現在御審議いただいております法案におきまして、返還免除制度の廃止につきましては、平成十年度入学者から適用することとしております。
 したがいまして、例えば大学学部では、平成十四年度から年々約七億円ずつ返還金が増加すること等により次第次第に返還金が増加していくわけでございまして、平成二十八年度以降は、年間でございますが、全体で約百十億円の増加が見込まれるところでございます。
 お尋ねにございました大学の夜間部の関係でございますが、これにつきましては、大学の昼間部の学生と何ら区別することなく採用を行っておるところでございまして、平成八年度においては、一年生の採用が、全体で七万五千六百七十人ございましたが、夜間部学生は二千九百十六人の採用となっておるところでございまして、一年生全体の貸与率で申しますれば、八・一%の貸与率となっておるところでございます。
 なお、平成十年度の予算におきましては、貸与人員の増を図ることといたしておりまして、専修学校の専門課程につきましても、千六百人の貸与人員の増を図る等の措置を講じておるところでございます。
 今回の制度改正による返還金の増額分につきましては、今後、育英奨学事業を拡充する財源として活用してまいりたいと考えておるところでございます。
#126
○奥山委員 いずれにいたしましても、特に夜間部とか大学の二部とか専修学校とか、そういうところは、中には、やはり夜間部ですと、昼落ちて夜来ている生徒も最近は大分多いのですけれども、まだまだ勤労学生もたくさんいるわけであります
ので、ある程度の条件を満たすことであれば、そういう学生に対して手厚い給付体制をひとつ考えていただけたらと思います。
 それから、朝の質問の中にもあったのですが、これは奨学制度とは直接つながらないのですけれども、留学生の生活支援とか学費の支援、そういう面の充実、こういう返還金をうまくそういう方面にやはり充当することはできないか、そんなこともあわせてお尋ねをしたいと思います。
 それと、少し気になるのは、この返還が本当に一〇〇%されているのかどうか、滞納になっておるようなケースがかなり出ておるのかどうか、その辺もあわせてお尋ねをしたいのです。
#127
○雨宮政府委員 まず、留学生に関するお尋ねにつきましてお答え申し上げたいと思います。
 外国人留学生を取り巻く生活環境でございますけれども、御案内のように大変厳しいものがございます。特に、東南アジア諸国等で相当な通貨危機があるわけでございまして、その関係でいわゆる仕送り分というものがかなり目減りしておるという状況がございます。
 したがいまして、今年度の中の緊急措置といたしまして、私費で来ている留学生で学業継続が困難だというように認められる者に対しましては、日本国際教育協会を通じまして、緊急措置といたしまして五万円の支給を行っているところでございます。
 また、恒常的なものといたしまして、私費留学生に対しまして、学習奨励費ということで八千五百人余りを措置してきているわけでございます。
 また、学費につきましても、私立大学で、私費留学生に対して学費を幾分免除をするというところもあるわけでございまして、こういう大学に対してもやはりある程度の分を補助するというような施策もとっているわけでございます。
 財政状況が大変厳しいものですから、ふやすということはなかなかしにくうございますけれども、しかし、今年度に比べて実質は確保して、極力留学生の生活条件の改善と申しますか整備に役立ててまいりたいというように考えているところでございます。
#128
○佐々木政府委員 奨学金の滞納の件でございますが、育英会の奨学事業は卒業生の返還金を次代の奨学生の原資とするという貸与制により実施しているものでございます。したがいまして、奨学金がきちんと返還されるということが円滑な運営あるいは充実に不可欠でございます。
 平成八年度末までの累積の日本育英会が回収すべき額は一兆六百二十三億円でございますが、このうち九七・八%に当たる一兆三百九十九億円は回収をしてございます。したがいまして、平成八年度末の滞納額は約二百二十四億円となっているところでございます。
 日本育英会におきましては、奨学生の返還意識の徹底を図ること、口座振替による月賦払いを推進すること、滞納者や保証人に対して返還を早期に督促する体制を整備すること等、さまざまな工夫、努力をいたしまして、滞納者を減らし、滞納額を減らすため努力をしておるところでございます。
 文部省といたしましても、奨学金の返還が適切に行われるよう、日本育英会に対して強く指導してまいりたいと考えておるところでございます。
#129
○奥山委員 この奨学制度の中から、やはり教職員として今現場で頑張っておられる先生方は非常に多いわけでありますし、その先生方がこれからもまたこの制度の趣旨を生かして頑張ってもらえるように、我々も期待をしながらこの制度の行方を見守ってまいりたいと思います。
 ところで、教職員の問題ということになりますと、今一番問題になっております栃木県で起こった中学一年生による女教師の殺傷事件を取り上げてみても、先生がいわゆる生徒たちの心の相談となってやれる、いわゆるカウンセリングの能力を十分に持っておられたならばあるいは対応が違った対応になっておったのではなかろうか、こういう声を我々現場の先生からも聞いたわけであります。
 現在、学校の現場でいじめとかあるいはいろいろな問題行動が多発をしておるわけであります。私もPTAをやっている時代によく校内暴力が起こって、そのたびに学校に駆けつけて、学校の周辺のパトロールをしたりいろいろなことをやった経験があります。
 その中でいろいろ言われていることは、やはりなかなか先生が生徒の心をうまくつかみ切れない、信頼関係がないというところに一番の問題、悩みがあるのじゃなかろうかと思います。文部大臣もそういう点では非常に心配をされておるわけでありまして、暴力的な行為をする子供はどちらかというと余り行きませんけれども、やはり心に悩みを持っておる子供あるいは登校拒否に近いようなところまで追い込まれている子供たちは、ややもすると学校の保健室へ逃げ込むわけであります。
 そして、今やその保健室が駆け込み寺のような状態になっておるわけでありますが、その養護教員が十分なカウンセリングの能力を持っておるかといったら、必ずしもそうでないということがいろいろ言われているわけであります。我々も、基本的には先生は、もう全員がカウンセリングの能力を今は身につけておかなければならぬのじゃないかというふうなことを思うわけであります。
 こういう点でいろいろ対策を考えてもらっているわけでありますが、ひとつ文部省としてどういう対応をされていくのか、お尋ねしたいのです。
#130
○工藤政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のように、子供たちはいろいろな悩みを抱えてございまして、子供を取り巻くすべての関係者が手をとり合いながら温かく育てていかなければいけないわけでございますが、学校現場におきましては、学級担任ばかりでなく、今御指摘ございましたように養護教諭というのが配置されておりまして、保健室登校に見られますように、いろいろ子供たちの悩みの相談なども受けとめているわけでございます。
 昨今のようなことを考えますと、ますます養護教諭の役割も重要になってきているわけでございまして、私ども、養護教諭の資質、能力の向上という意味で、現にいる養護教諭の方々に対してはいろいろな研修会を充実いたしまして、特に本年度から初任者研修、それから経験者研修含めて抜本的に拡充したところでございますが、そういう研修を通じた中でのカウンセリングマインドの持ち方でございますとか、あるいは特に保健室での相談体制のあり方についての研修事業ということもやっておりますし、また御参考にしていただけるような手引書の発行などもしておるわけでございます。
 それからさらに、これから養護教諭になられるような方につきましては、実はこれは養護教諭だけの問題ではございませんで、先生おっしゃいましたようにすべての教員が持っていなければいけないことでございますので、養護教諭も含めて、教育職員養成審議会の御答申を受けて、目下国会に御提出してございますけれども、教育職員免許法を改正しながら、そういう教職における基礎的なカウンセリングマインドの持ち方について充実すべく盛り込んだ法改正を予定してございますので、またよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#131
○奥山委員 これは養護教員の団体からもいろいろな希望が出されておるわけであります。
 特に、最近のいじめあるいは薬物乱用とか性の逸脱行為とか、特に中学生になるとやはりこういう問題が出てまいります。こういった心の健康の深刻化ということが言われているわけでありますので、こういう面の機能が充実できるようにひとつ考えてほしい、こういうふうなことが言われて希望として出されているとともに、養護教諭が直接授業もある程度担当したい。先ほどの話にもありました。こういうことも希望として出されているわけでありますので、十分ひとつ考えてもらいたい。
 そして、基本的には、やはり全教職員が生徒一人一人の心の悩みというものを十分受けとめられ
るような能力をもっともっと養ってもらいたいと思います。
#132
○御手洗政府委員 まず、養護教諭が実際に子供たちの指導にもっと活躍できるようにという御指摘でございますけれども、先ほど体育局長から御答弁申し上げました、今国会にお願いをしてございます教育職員免許法の一部を改正する法律案におきましては、今御指摘のように、いじめ、登校拒否あるいは薬物の乱用や性の逸脱行動等の問題に適切に対応するため、三年以上の養護教諭の経験を有する方につきまして、その勤務する学校におきまして保健の授業を直接子供たちに指導することができるようにというような内容も盛り込んで改正案をお願いしてございますので、ひとつよろしく御審議をお願いいたしたいと思います。
 また、養護教諭のみならず、すべての教職員が御指摘のようなカウンセリングマインドをしっかり身につけて子供の指導に当たるべきだという御指摘、ごもっともでございます。
 このため、文部省といたしましても、すべての初任の教員が受講します一年間の初任者研修の中におきまして、全員に、全都道府県で、四日程度でございますけれども専門的な生徒指導関係の研修を行っておりますし、また十年目あるいは二十年目等の該当する全職員が受けます研修におきましても、平成八年度からこれを拡充いたしまして、必ずそのカリキュラムの中に生徒指導や教育相談等についての研修を行うようにということで指導しているところでございますので、今後ともよろしくお願いいたします。
#133
○奥山委員 余り時間がありませんので、もう二つばかりあと申し上げたいのですけれども、一遍にお願いいたします。
 一つは、やはり教職員というのは、子供を教える以上、教育する以上、いろいろな能力といろいろな経験を持っていなければならないわけであります。しかし、先生は大学を出てそのまま教職につかれるわけでありますので、どちらかというと社会的な体験というのが十分でない。ということになってくると、それを補う意味もあって、社会人講師の採用を今度大幅にその枠を広げられる、こういうことであります。これはこれで非常に歓迎するわけであります。
 ただ、現在子供たちがいろいろ言うのには、授業がおもしろくないという子供が多いわけです。そういう意味で、特に社会人講師が持っておる経験というものはユニークなものが当然あるであろうと思いますので、おもしろく、興味の持てるような授業内容になるように考える必要があるのではなかろうかと思います。
 それからもう一つは、これは中教審の中間答申の中で、警察官らの警ら活動が学校においてもできるように、こういうふうなことを容認していく、こういうことであります。私も初め、新聞だけ見まして、これはアメリカのニュースかと思いましたら、日本のニュースでありましてびっくりしましたのですけれども。
 現在、これは文部大臣もおっしゃっておられたのですが、教育現場というのは、教育を神聖化して、何か侵すことができないような、よそから口出しができないようなそういう雰囲気が非常に強いわけであります。世の中のルールというものは学校の中でもやはり同じだということを大臣もおっしゃっているわけであります。
 この間も校長にこの話で聞きますと、警察官をもし導入するというふうになったら、我々は敗北感を持つ、こういうふうな受け取り方が現場では非常に強いわけであります。それだけこういうことは現場の抵抗も強いと思うのですが、私はやはりきちっとしたけじめをつけるということが非常に大事なことであろうと思いますので、こういう点は大いに、積極的にやれと言うわけじゃないのですけれども、やはりこれは考えておくことが必要でなかろうかと思いますが、もし大臣、このことでも何か御意見ございましたらお聞きしたい。
#134
○町村国務大臣 まず、社会人による特別非常勤講師制度という点でございますが、十年度予算の中でもこれを一層推進したいということで、予算面の措置を拡充するということにしてございます。
 また、この国会で後ほど御審議をいただこう、こう思っておりますけれども、教育職員免許法の改正案の中でこの特別非常勤講師制度を拡充できるように、今までですと、例えば小学校は音楽とか図画工作とか家庭とか体育とか、特定の教科だけに限っていたのですが、これを全教科いいことにしましょう、こういったことを内容とするような教職員免許法の改正を今国会でまた御審議をお願いすることにしておりますので、ひとつそういう意味からもよろしくお願いします。
 それから、確かにおもしろくない授業、それは、知識の詰め込みというのはつまらないですよ。何でも覚えさせようとする。そうではなくて、やはりできるだけ自分の頭で考えてレポートをまとめて発表する、できるだけそういうような授業形態に持っていけるように、もちろん最低限の知識といいましょうか、読み書きそろばんといいましょうか、それはやはり必要でしょうが、すべてのことを何でも覚えさせようというのはいささか、授業方法も大いに改善をしていく必要があるのだろう。これは個々の先生方の力にまつところもかなりあるのかな、こう思っております。
 それから、中教審の方で警官の校内の巡回を容認するということでございます。もとより、それは警察だって忙しいわけですから、本当は学校に行かないで済むのならそれにこしたことはないというのが基本的な、警察の立場からしてもそうでしょうし、学校の方も、先ほど委員言われたように、それは警察官の力をかりなければならないのは残念だと思う気持ちもまた当然の気持ちだろうと思います。
 ただ、非常に特殊なケースとして、やはりナイフとか覚せい剤が頻繁に持ち込まれているとか、あるいは目に余る暴力行為があってもう先生方の力ではとめようもない、そしてこのままでは学校のまず基礎である安全が保てない、こんな折には、校長先生の判断によりまして警察官に訪問をしてもらう、あるいはいろいろな形で協力をしていくというようなことが、必要があればこれもこの際あり得るだろう。御指摘のような雰囲気が今まで学校にありましたから、もうそれは忌むべきことである、こういう感じだったと思いますが、その辺はもう少し頭を切りかえてもいいのではないのかな。
 ただ、その場合、やはり学校は教育の場であるということは、警察の方にも、先生方はもちろんでありますが、親の方も含めてそういう前提の上に立って、必要あればそういうこともあり得る、今、中教審の方で御審議をいただいているというふうに聞いております。
#135
○奥山委員 終わります。
#136
○河村(建)委員長代理 次に、藤村修君。
#137
○藤村委員 民友連の藤村修でございます。
 きょうは、日本育英会法の一部を改正する法律案、この質問につきまして主として時間を使わせていただきます。
 まず、先ほどの話にもございました、日本育英会というのは、昭和十七年に当時の衆議院の国民教育振興議員連盟が教育の機会均等を強調した建議を出された。これは、永井柳太郎代議士の名演説があって、全会一致で議決され、それを受けて昭和十八年に財団法人大日本育英会というものが創立をされ、そして平成五年において五十年を迎えられた歴史ある日本の育英奨学制度でございます。
 この五十年を迎えた育英奨学制度は、昭和五十九年でしたかに日本育英会法の全面改正というものがございまして、言葉の片仮名遣いを平仮名にするなどだけでなしに、もちろん内容的にも相当大きく変えられたわけであります。それは、先ほども議論がございました、やはりそのときそのときの社会情勢に応じて日本育英会奨学金制度もそれに見合った形でそれなりに変えていったのだろうと思います。
 先ほどのお話で大臣がお答えになったのは、貧しい時代にできた奨学金制度であった。つまり戦
前、戦中、戦後、その辺のところを想定されたのだと思いますが、それが、時代が大きく今変わってきた中で、昭和五十九年の日本育英会法全面改正で相当大きく変わった。しかし、もうそれからさらに十二年たってまいりました。
 そこで私、冒頭に問いたいのは、五十周年を迎え、半世紀を過ぎ、そして昭和五十九年に大きな改正があったけれども、またそれから十年余りをたった今日、この日本育英会が果たす社会的役割とは何か、最も主要な現在での役割は何か、そういう認識をお伺いしたいと思います。
#138
○町村国務大臣 委員御指摘のように、五十年余がたちまして、本当にかなり変わってきているのだろう、こう思います。
 先ほど奥山議員の御質問にもございましたように、もちろん中にはなかなか厳しい生活を強いられている学生さんもいると思いますが、総じて言えば、いわゆる苦学生タイプの人というのは非常に数が少なくなってきたのだろうと私も思います。そういう中で、今日的な意義は何なんだろうかというお問い合わせでございます。
 学費がかからないかといえば、やはり相当な家計の負担になっているという事実は、豊かな時代になったけれどもあるのだろうと思っております。しかし日本の場合は、御承知のように、ほとんど親のすねかじりで行くというケースが多いと思います。もちろんそうでない学生さんもいますけれども。そうすると、親は豊かになったけれども、じゃ子供に全部出せるかというと、そうでもないという状況。
 例えば発想を転換して、そもそも、もう大学以上になったら、子供が自分たちで働いて稼いで、それで学費を払う、あるいは奨学金をもらって、そして将来、働きながら返す。どっちがいいのかなというと、これはどっちと一律に決められないかもしれませんが、特に大学以上になりましたら、自分でこれからは働いて、例えば大学に入る前に働いて一定の学資をためる。そこで一定の社会人経験をするというのは、私は大変その人の生育にとっても重要だと思います。
 しかも人生八十年ですから、何も慌てて二十二歳で卒業しなくてもいいのではないのだろうか。事前に一年ぐらい働いて、そこで学資をためて、そしてそれから大学に行く。ただ、どうしても早く就職したいという方には奨学金を必要な範囲で差し上げる。例えば、こういう頭の切りかえというのもあってもいいのかもしれない。そんな議論を今ちょっと内部ではやっておるのでありますが、なかなかまだそこまで行っておりませんけれども、そんなような大きな変化を踏まえなければいけないのかなとも思います。
 あるいは、先ほどちょっと申し上げましたが、大学院に対する奨学金の拡充というのは、これはますますふえてまいりますし、率直に言いますと、私大の学生さんへの奨学金も少のうございますし、あるいは専修学校に対するそうした援助もまた少ない。そういう意味では、これから対象として拡充していく分野あるいは条件面での改善すべき分野は、これからもまだまだあるのだろうな、こう考えております。
#139
○藤村委員 今の大臣答弁は、主にやはり高等教育分野に少し考えていこう、特に大学まで行ったときには、親のすねかじりでなしに、必要な人は、自分が奨学金をお借りして、将来働きながら返していく、それが後輩にまた回っていく、こういう制度にしたいというお話の趣旨に多分近いと思うのです。昭和五十九年に第二種といういわゆる有利子貸与を設けたのは、多分その辺の発想が当然十二年前からあっているわけですね。
 ただ、もう十二年たっているわけですから、やはり今日的意義というのは見直す、あるいは考え直す必要があるわけで、今回法案が出てきたのは、返還免除の部分はもうぼちぼち必要ないのじゃないか。私ども、賛成いたします。ただ、賛成をするからには、それだけ変わったことをちゃんとはっきり認識をしないといけないわけであります。
 例えば昭和五十九年は、これは全面改正ですから、相当長々とたくさんの議論がなされました。その結論として附帯決議が国会ではっけられまして、例えばその附帯決議の一項目には「返還免除制度は堅持するよう努めること。」あるいは「育英奨学事業は、無利子貸与制を根幹としてその充実改善に努めるとともに、有利子貸与制度は、補完措置とし財政が好転した場合には検討すること。」、十二年前にそう附帯決議しております。つまり五十九年の全面改正における時点では、まだあくまで有利子貸与というのは補完的であって、それは財政が厳しいからだ、こういう認識であったし、返還免除は堅持するという認識でありました。
 ところが、もう十年以上経て、今日的意味というのは、先ほど大臣のおっしゃった、特に高等教育部分において、親のすねかじりなしに借りたい人が借りて行けるというふうにこれは変わった、そう思います。あるいは、変わらねばならないと思います。
 昭和五十九年当時にもいろいろな議論があり、それであのときも多分、今後の育英奨学事業のあり方について研究協力者などの議論が交わされたのだろうと思います。それから十年を経て、平成八年も同じように、今後の育英奨学事業のあり方について、これも研究協力者会議に文部省でお願いをして、平成八年の五月からたくさんの会議を重ねられまして、昨年の六月にそれなりのお答えを出されたと聞いております。
 私、その中で一生懸命議論をしていただいて、それなりにたくさんの成果を上げられたと評価をいたしますとともに、一つ大変根幹の部分で逃げていると思うのです。つまり、こういうことなんです。
 「国の行う育英奨学事業自体の基本的方向として「育英」的要素」、これは優秀な人を育てるというようなこと、それと「「奨学」的要素」、これは奨学金を出すんだという要素、「のいずれを重視すべきか、」云々とありまして、「引き続き検討」とあるのですよね。これは、もうこの辺の根幹の部分を引き続き検討で先送りしてはいけないと思うのです。
 文部省は、審議会やいろいろな研究協力者の会合を持たれて、大抵の質問に対して大臣は、審議会に諮りましてとかおっしゃいますが、これは諮っても答えが出なかったら意味がない、こういうことであります。この審議会とか研究協力者会議ですか、この辺に対して私はそういう注文をしたいのですが、どう思われますか。
#140
○町村国務大臣 私も詳細な議論まではよく承知をしておりませんが、今委員御指摘のような育英という部分、奨学という部分、二つの基準、家計基準と学力基準というのでしょうかね、二つの基準で現実に今セレクトをしている、選抜をしているということ。
 要するに、結局、何か基準がないとすべての人に奨学金を差し上げられないものだから、一定の財政の制約という中でどこかで割り切っていく、この二つの基準の合致した人にお出しをするという形で対象者が絞られているということなんだろうと思います。ですから、どちらかの基準、例えば奨学という意味が仮になくても、例えば育英というふうに仮に絞るのであれば、対象者はある意味ではもっと広がるのかもしれませんね。
 そうすると、今それができる状況かというと、今の財政では難しいということになってまいりますので、多分にそこは大議論があった結果、財政制約が今はっきりしているものだから、当面この二つの基準を維持しましょうということで、多分そういう結論に達したのだろうと私は理解をいたします。
 率直に言って、文部省の中でも、財政を仮に抜きにしても、その辺まだなかなか割り切れない部分がありますので、先生方とのこうした議論も踏まえながら、いずれかの時点でもう少しすっきりとした答えを出していかなければならない性格のものであろうとは考えております。
#141
○藤村委員 昭和五十九年、十二年前に大議論をやったわけです。そのときも育英か奨学か、日本育英会じゃなしに日本奨学会に変えたらどうかと、これもたくさん議論されました。それから十年を経て、研究協力者会議がそこでまだ育英的か奨学的かと、それをまた結論を先送りするような研究協力者会議のあり方を私は一つ問うておきます。
 そして私は、提案するならば、この育英的部分を当然持っていく必要があると思います。それは、あの五十九年の大改正で一種というものを残しました。無利子貸与ですね。本来は給与がいいのです。しかし、歴史の中では日本は給与になっていなかったから、無利子の貸与をこれはこれで残した。そして二種をあのときつくった。ここは奨学的部分ですね。そこではっきり二つの路線ができたのです。これを認識して今やはり検討すべきだと思うのです。
 そこで私は、第二種の奨学金部分についてもう少し具体的に説明していきたいと思いますが、先ほど文部大臣は、学費負担が大変だ、特に大学に地方から学生を出したら仕送りは百万を超すという御認識でありましたが、百万を超すという認識よりは二百万に近いと考えられた方がいいと思います。
 つい先日、東京地区私立大学教職員組合連合会というところが調査を発表いたしました。関東の私立大学に下宿などから通った昨年の新入生にかかった費用ということで、これは何と三百二十三万二千九百三十六円、これは初年度、最初の年ですからこれだけかかったようであります。実はこれは減っているのですよ、不況だから。おととしの方がまだ二、三万円高かったようであります。つまり、今一人の子供を地方から東京の私立にやったら、最初の年は三百万超のお金がかかると。これは大変な親の負担でありまして、仕送りが大変どころか、子供と親の二人三脚で何とか教育費を捻出している。
 ですから、この教育費の捻出の仕方からいいますと、小学校から順に親は教育ローンというか貯金をためていって、その部分と、それからやはりさらにお金を借りる部分、これは相当多いのですね。そうしてやっと何とか工面している。こんな現状でございまして、これは当初の、戦前の大日本育英会発足のときの教育の機会均等どころではない、教育費による家計破綻が起こりかねないのではないか、私はそういう危惧を持っております。
 そこで、育英会の原点でもありますが、新たに教育の機会均等の原点に立って考えるときに、現在の日本育英会の、すぐれた学生及び生徒で経済的理由により修学に困難がある人たち、これは第一種で、第二種はこれらをすべて外して、まさに日本奨学会という方向を十分に考える必要があるので、先般の質問でもこのことを申しましたが、もう一回大臣の認識を、先ほどの話も大体そういうことをおっしゃったと思いますが、お願いしたいと思います。つまり、一種が育英、そして二種は奨学だ、これは借りたい人が借りられるんだという方向を目指す、こういうことでありますが、いかがですか。
#142
○佐々木政府委員 先ほど御指摘がございました、今後の育英奨学事業のあり方について検討いたしました文部省の調査研究協力者会議の報告でございますが、この中では、特に大学学部段階について、人材養成という観点から、学業を重視する育英の観点よりも、いわば能力と意欲のある者に経済的援助を与える、経済的困難度を重視する奨学の観点に重点を置いた運営を図るべきであるとの意見もあるが、このような育英奨学事業の基本的あり方については、高等教育全体の進展の状況、国の行う育英奨学事業の規模等、全体の枠組みを検討する中で検討する必要があるというふうにされておるわけでございます。
 確かに、育英の観点及び奨学の観点というものを調和させつつ育英奨学事業を発展させる一つの方途として、御指摘のような点は一つの考え方であろうというふうに受けとめておるところでございますが、現下、非常に厳しい財政状況もございます。そういった点も総合勘案しながら、今後の課題として引き続き検討してまいりたいと考えておるところでございます。
#143
○藤村委員 だから、余り先送りをしないようにぼちぼち、だって、昭和五十九年のときも多分そういうことはしたんじゃないですか。十二年たっているわけです。その間にまた協力者会議もやって、協力者会議でもまたその点は何か検討すると。検討していただくことは当然必要なんですが、しかし結果を出していただくことも必要である、こういうことを申し上げたいわけであります。
 それで、今、財政事情という言葉が出ましたし、先ほどの大臣答弁でも、前の委員の御質問のときでしたか、財投という言葉が出ました。これは財投でということで。私も前回、若干その話をしたように覚えておりますが、ただ、よくよく財投の抜本的改革についてなどの資料を見始めますと、本当に財投をうまく引き出せるのかなということはまだ疑問でございます。
 例えば平成九年六月三日の閣議決定によれば、財投については、「民業補完や償還確実性の徹底等、スリム化を目指した財政投融資の見直し」とある。これだけ聞くと、財投の規模を少しスリムにします、縮減します、こう聞こえます。
 それから、例えば平成九年七月八日の閣議で、これは総理大臣発言でありますが、財政投融資については、民業補完や償還確実性の徹底等、スリム化を目指した見直しを推進する見地から、各省庁においてこの趣旨を要求に極力反映することとする。各役所は今までの財投の規模じゃなしにちょっと縮めて考えなさいよと総理大臣が発言されたようにも聞こえます。
 例えば去年の九月九日の大蔵大臣閣議発言では、財投につきましては、対象事業の徹底した見直しを行い、重点化、効率化を図りつつ、社会経済情勢に適切に対応するよう編成していきたい。ここで重点化、効率化ということが出てきて、では何を重点にするのかなというところは期待が持てるところであります。
 それで、資金運用審議会懇談会が昨年十一月にその辺を少し整理されて、「財政投融資の抜本的改革について」というまとめを出され、その中の「対象分野・事業の見直し」というところで、きょうまでの住宅や中小企業、農林水産、社会資本、環境、産業・技術、国際協力、地方といったそれぞれの分野を見直すんだ、ただ、「二十一世紀の少子・高齢化社会の進展等に対応し、医療・福祉、教育等、有償資金の活用が期待される分野が存在することに留意する必要がある」と。
 ですから、これを総合的に考えますと、一方で財投の規模全体はスリム化する、縮減する、各省庁もそう考えてちょうだいよと。ただ、重点的な部分というのは当然あります。その重点的な部分の中に今の「教育等」ということで入ってはいる。特に日本育英会への財投も来ております。
 となれば、文部省は、ほかに私学の関係とそれから国立学校の関係、三つ来ていますよね。その中で、過去のあれを見ると、育英奨学資金の方は財投の投資が少し右肩上がり、ほかは上がっていませんから、そうすると、やはり育英奨学事業に留意しているのだろうなとは思うのですが、その辺はっきりした考え方を、大蔵省理財局の方にも来ていただいていますので、財投の育英奨学資金に対する考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#144
○湖島説明員 お答え申し上げます。
 財政投融資の関係でございますけれども、御承知のとおり、日本育英会に対する財政投融資は、五十九年度以降、有利子貸与事業を対象としておるわけでございます。
 平成十年度の財政投融資計画におきましては、一般財政投融資全体が対前年度比マイナス六・八%になっておりますが、一層のスリム化を図ることとしている中にありまして、日本育英会に対する財政投融資は対前年度一四・七%増の四百九十八億円を計上しておりまして、自己資金と合わせまして所要の事業規模を確保し、育英奨学事業の円滑な運営に十分配慮をしたものとなっているものと考えておるところでございます。
 財政投融資制度全般につきましては、今お話がございますように、昨年の暮れの行革会議の最終報告や、これを踏まえ作成されました、二月十七日国会に提出しております中央省庁等の改革基本法案におきまして、抜本的に改革するということとされております。
 今先生が御紹介になりました、昨年十一月二十七日の資金運用審議会の懇談会で取りまとめた報告におきまして、改革の基本理念としまして、財政投融資の「基本的な役割、必要性は将来においても残る」が、「その具体的役割は、社会経済情勢の変化等に応じて変わっていくことが必要」であり、「財政投融資のスリム化に積極的に取り組む必要がある。」とされ、さらに、財政投融資の対象分野としまして、先ほど先生が御紹介になりました「教育等」を初めといたしまして、「有償資金の活用が期待される分野が存在することに留意する必要がある。」とされております。
 また、「財政投融資の機能」のうち「外部経済等への対応」というくだりにおきまして、「奨学金のように、国が国民に対し教育を受けることを人的資本への投資として政策的に奨励する場合もある。」と指摘されているところでございます。
 私どもとしましては、今後とも、このような議論を踏まえまして、社会経済情勢の変化に的確に対応し、財投資金の重点的または効率的な配分を行ってまいりたいと考えております。
#145
○藤村委員 理財局にも来ていただいているものですから、私のプランを一つ。
 前回簡単に御説明しましたが、理財局にも聞いておいてもらいたいのは、今方向として、人的資源への投資という意味で、育英資金というのは、日本育英会を通じて国がやっているわけですから、そして返還は確実でありますから、その意味では非常に有用な今後の投資の対象であるという考え方は多分お持ちでありましょう。
 一つの試算でありますが、特に高等教育、大学、短大等に行っている人たちの中では、現在貸与人員は三十万人ちょっとです。それから、在籍者数といいますと、これは二百八十三万人ぐらいいます。
 その中で、育英奨学金は、何ら制限なく、いわば奨学制度として借りたい人が借りられるというふうにしたらどうかというと、おおむね推計百二十七万人ぐらいの人が応募するであろうと見られます。これは多目に見ております。すると、現在三十万人ですから、増加分というのは九十七万人ぐらい。この人たちに今の制度で、もちろん二種ですから有利子ですよ、貸与しますと約六千二百億円ぐらいです。この六千二百億円ぐちいの規模で財投からお借りをして育英奨学金に回すということは、財投の規模からすると、そんなにまたこれは大きな規模でもありません。短大、大学等へ進学する人は、親のすねかじりでなくて、これでまさに自分でお借りをして行ける。それで、将来返すんだ、こういう制度になるわけであります。
 文部省としては、六千二百億円借りて、当然利子補給が必要になってきますので、過去の預託金利の借入利率平均四・五%で推移すると仮定した場合は、これを有利子奨学金として出して、償還二十年で計算しますと、年々九百七十七億円ぐらいの利子補給をすればいい。いわば文部省予算としてはこういう規模である。このことで、育英的部分の無利子貸与を残しつつ、そして奨学的部分の、借りたい人はだれでも借りられるという制度ができ上がるわけであります。
 私は、日本育英会を今後本当に存続させ、あるいは発展させようという声が皆さんの声であるなら、当然こういう方向を目指すべきだということを主張しておきたいと思いますので、この点だけは前回の繰り返しになります。
 そこで、第二種の奨学金制度をもうちょっと細かくお伺いしたいと思います。
 有利子貸与でどういう差があるんですかというと、第一種奨学金よりやや緩やかな基準で、同じく、つまり優秀でかつ経済的に修学困難、どっちも条件は同じについていて、やや緩やかな程度であります。この差というのは全然必要ないということをさっきから言っているわけです。
 さらにそれに加えて、これはいい制度だと思うのですが、希望する人は、特に医学部、歯学部、薬学、獣医ですかには、有利子貸与の部分で増額貸与を受けられるのですね。これは希望する人であります。当然金利がつきます。これをどうして医、歯、薬、獣医に限定する必要があるのかということ。
 それから、増額貸与を受けた部分についてば金利が高くなっていまして、これは平成九年度の場合、たしか四・八%。固定ですよ。なぜこの差があるのか、この辺、説明してください。
#146
○佐々木政府委員 いわゆる増額貸与制度についての件でございますが、昭和五十九年度に有利子貸与制度を導入した際に、私立大学の医、歯、薬学部の学生納付金が他の学部に比べて著しく高いこと等を考慮いたしまして、医、歯それから薬学系について、基本的な奨学金の額に加えて、学生の希望に応じて増額貸与を行うこととしたものでございます。その後、平成九年度からは、同様な理由におきまして、獣医学系についても増額貸与制度を導入したところでございます。
 現在も、授業料あるいは他の学生納付金も他学部に比べると高額であるということから、その制度を継続し現在に至っているところでございます。
 次に、増額貸与の部分については、これは奨学生の希望に応じて、基本的な貸与部分に加えて貸与する、そういう特別な措置でございますことから、一般の有利子貸与の利率より高い、財投からの借入利率の加重平均によって利率を設定しているところでございまして、平成十年度には四・五%というふうに考えられるところでございます。
#147
○藤村委員 いや、事実はわかっているのです。
 つまり、増額貸与部分は高くして当然だという御認識なのか、それとも、やはりもちろん枠があるので若干制限的にしているんですかということです。どっちなんでしょうか。
#148
○佐々木政府委員 増額貸与部分につきましては、基本的な部分に上乗せして、しかも奨学生の希望に応じて特別に措置をするということでございますので、そういう特別措置であるということから、一般の有利子貸与の利率より高い、そういう扱いにすることが適当であるという考えに立っているところでございます。
#149
○藤村委員 昭和五十九年の日本育英会法全面改正のときは、そもそも有利子貸与はとんでもない、こういうことから大変な議論をされて、しかしそれを認め、全面改正になった。そこで有利子貸与というものができたわけでありますから、有利子貸与というのはもう少し単純化した方がいいんじゃないか。
 あるいは、今ここへ来て、むしろ私なんかは、無利子貸与の育英的部分と有利子貸与の奨学的部分とに分けて、いわば二つの路線でいく、これが今の認識、時代を反映した育英会のあり方ではないかと考えておるわけです。ただ、増額貸与については、希望する人でありますし、返すお金でありますから、その意味では余り制限的に、今の医、歯、薬、もちろんお金がかかることはわかりますが、じゃ、私立の工学部だってそれなりにかかります。
 さっき例を挙げたように、今私立の東京の学校に下宿で通った場合、平均でありますが、初年度三百二十三万円という大変なお金がかかるわけでありますから、それは、最初の一年だけでも例えば増額を受けられるようにするとか、この辺は答申でも出ていますよね、弾力的にある程度奨学金のあり方を多様化するというのが。こういうことを具体的にやはり考えていっていただきたいということを希望したいと思います。
 それからもう一点は、そもそもこの育英奨学制度の発足当初は、いわゆる進学できることを保障する、高等教育を自分も来年から受けられる、だからことし予約をしていただくというところからスタートをした制度であります。ただ、戦後の一時期、いわばみんなが貧しくて、みんなが食べられない時代、行っている学生さんが本当に学校をやめないといけないようなそんな現状があったものですから、昭和二十三年度に、新制高等学校発足に伴って予約採用方式を中止したわけですね。今そのままずっと来ているのです。
 しかし、これはその時代に対応した一時的な方向であって、進学を保障する、つまり、今や高等教育の部分で、来年大学へ行きたいんだ、ただお金の面でなかなか大変だというときに、その前年、高校三年生のときに予約奨学生を採用するという本来の制度をやはり拡充すべきではないか。
 現在は、予約三割、在学七割であります。私は、戦後のあのときに一時的にそういうことになって、そのまま戻さずに来ているように思うのですね。今またこれを逆転させるべきではないか、予約を七割、在学三割、このぐらいになっておかしくないのじゃないかと思いますが、この辺、お考えはございますか。
#150
○佐々木政府委員 御指摘のように、制度発足当初は進学保障の観点から予約採用を原則としておったわけでございますが、戦後の学生生活の危機的状況の中で、在学生救済が急務となったことを背景といたしまして、在学生採用が原則となる、それが現在に至っているという歴史的な経緯があるわけでございます。
 そういう状況の中で、御指摘のとおり、大学学部等へ進学希望を持つ者が安心して進学のための勉学に取り組むことができるようにするということは極めて大切な観点でございまして、大学学部等の奨学金については予約採用に比重を置いて拡充を図っていくことが適当であると考えておるところでございまして、平成十年度予算案におきましては、予約採用人員につきまして二千人の増員を図っているところでございます。
 今後とも、予約採用に比重を置きつつ、その充実に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#151
○藤村委員 二千人の増員、方向としてよろしいと思いますが、それで予約と在学は何割何割になりますか。
#152
○佐々木政府委員 二千人増ということによって、先生御指摘いただきました三対七の比率ということが直ちに変更するものではございません。
#153
○藤村委員 教育改革を総理は唱えていらっしゃいます。改革をしようというのですから、これは結果として数字の上でも相当に変わらないと……。
 ですから、方向は正しいのですよ。二千人予約をふやされる、これはこれで大変結構なことだと思います。ただ、その二千人がどのぐらいの規模かというと、全体でいいますと微々たるものですというのではどうも改革というものには値しないのじゃないかと思うのですけれども、文部大臣、いかがですか。
#154
○町村国務大臣 昔から大蔵省がよく言う、予算に飛躍なしというわかったようなわからないような原則もあったりいたしまして、しかし、さはさりながら、今委員からいろいろ御指摘もいただいておりますし、より抜本的な、例えば二種の考え方といったような御指摘も大変傾聴に値する御意見だろう。また、他の党からもこの奨学金のあり方についてもいろいろな御提言も出されているところでございますから、私どもとしても、そういう御意見を真摯に受けとめながら対応してまいりたいと考えております。
#155
○藤村委員 真摯に受けとめていただくことを期待して、あと一問だけ。
 これは大臣に答えていただくほどのことではないのですが、お聞きいただいて最後にお答えいただきたいと思うのです。
 現在、日本育英会の事業の中に補導事業というのがあるのです。これはどんなことをしているかというと、具体的には、学業成績報告、生活状況報告書の提出を求める、学業成績不振者の督励をする、奨学生からの作品募集、表彰、奨学生との面接並びに相談、奨学生手帳、機関誌、育英返還の手引の配布、返還説明会の開催、こんな内容の事業であります。これを補導という言葉でくくっているのです。
 文部省は、やはり言葉は重要だと思います、学生に対する影響もあります。補導というのを広辞苑で引きますと、「少年などを正しい方向にたすけみちびくこと。」こう書いてあります。それから、補導というと、すぐ警察を思い出しますね。警察庁に聞きますと、「刑事生活安全ハンドブック」の中に「少年補導の意義」と書いてあります。「少年補導とは、健全育成の精神にのっとり、少年の非行を防止し、その福祉を図るための適切な処遇を行う活動をいう。」
 日本育英会は何も非行を防止するような団体ではないし、奨学を督励するといいますか、皆さんに学校へ行っていただき、教育を受けていただく、教育の機会均等を保障するような一助を担うわけであります。そこにこの補導事業という言葉、これは最初から変わってないのだと思います。
 しかし、時代が大きく変化して、先般もありましたけれども、切れるという言葉は、昔は立派な人のことを言っていたけれども今は違うと。やはり時代が変わり、言葉の持つ意味が変わる、しかしこの補導は変わってない。中身とえらい違うのじゃないか。もっと適切な言葉はないのか、あるいは変えられないのかということをちょっとお聞きしておきたいと思います。
#156
○佐々木政府委員 御指摘にございますように、昭和十九年以来の言葉として補導という言葉が使われておるわけでございまして、現在育英会が行っております指導助言業務を総称する意味でこの言葉が使われておるわけでございます。
 ただ、御指摘にもございましたように、例えば警察庁組織令では二十九年に補導というような言葉を使って今日に至っておるというふうなこともございます。
 言葉の持つ意味、語感というものが時代の変化に伴って変わってくるということでございますので、今後の課題として検討させていただきたいというふうに思っております。
#157
○藤村委員 今後の課題として検討いただく、当然そうしていただきたいわけで、もっと早くに結論を出していただきたい。私、修学支援事業なんという言い方はどうかと思うのですが。
 大学の学生部とかいう言葉も、あれは、アメリカからウェルフェア・アンド・ガイダンスとかいう言葉が来たようですね、それを多分どうもそのまま翻訳した。ガイダンスの訳が補導になったから、いまだに補導を使っている、どうもこういうことの経緯があるようです。
 ですから、やはり言葉が大切な文部省でありますし、そして大学奨学金を出すような、高等教育に対して奨学生を募集する育英会がこの補導という言葉でまだいいのですと言っていては、ちょっとこれは本当に頭かたいなと思われますので、大臣、一言。
#158
○町村国務大臣 御指摘の点よくわかりますので、次回法律改正までにはいい答えを出したいと思っております。
#159
○藤村委員 終わります。
#160
○河村(建)委員長代理 次に、安住淳君。
#161
○安住委員 同僚の藤村委員の関連で、日本育英会法の問題を三点ほど質問させていただきます。
 高等教育に関する行政監察結果に基づく勧告というのが平成七年六月に総務庁から出されておりますけれども、今回の返還免除制度の見直しというのは、ここで指摘されていた経緯等を踏まえて改善措置を講ずるというふうに理解をしておりますけれども、実はこのときにもう二つほど総務庁から指摘をされた事項がございます。
 その一点は、奨学生の採用枠の国公立、私立大学の配分等の見直しをもう少し検討してはどうかということが一つ。それから、日本育英会の支所及び支部について、もう少し効率化、合理化を図るべきではないかという勧告を受けておりますけれども、こうした点についての文部省の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
    〔河村(建)委員長代理退席、委員長着席〕
#162
○佐々木政府委員 まず、国公私立大学別の配分等の見直しでございますが、現在、国公立大学が約十二万三千人であるのに対して、私立大学は約十六万人となっております。貸与率で見ますと、国公立大学が二一%であるのに対し、私立大学が約八%という数字になってございます。
 文部省といたしましては、私立大学の貸与率がいまだ低いということを踏まえまして、平成十年度予算案において、私立大学の貸与人員について一千人の増を図ることとしておりまして、引き続き私立大学の貸与率を高める努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、日本育英会の地方組織の見直しでございますが、育英会の事業を円滑に実施していくためには、育英会の運営体制の整備というものが不可欠でございます。
 そこで、育英会におきましては、業務自体の効率的運営に一層努めるとともに、現在、本部、支所、支部の三つの組織により実施されている業務執行体制を見直し、例えば、事業に関する総合的企画機能の充実と地域における奨学サービスの効率的実施体制の整備を図る等、その組織運営体制について見直しを行うなど、事業運営が効率的に実施できるよう努めておるところでございまして、引き続きその努力を重ねるよう指導してまいりたいと考えておるところでございます。
#163
○安住委員 去年、実はこの行政監察のあり方というのが大変問題になって、勧告をしてもなかなか各省庁が一向に改善する気配が見られないということから、去年の通常国会では、行政監察局そのもののあり方を、我が党の場合であれば行政監視院法案というのを、残念ながら廃案になりましたけれども出した。本来であれば、日本育英会の運営については、外部からこういう指摘をされるのではなくて、やはりみずから改善をしていく努力というのがぜひ必要だと思います。これは実は余り通告をしなかったので、大変局長には申しわけありませんでした。
 私は、財政難で厳しい折に、この勧告どおり、大学の教職員に従事する者、特殊学校等の教職につく者など政策的に配慮が必要な人を除き、その縮小・廃止のあり方を検討すべきだということに対して、短期間に改正案を出すということは一定の評価をいたしますが、今私が指摘をさせていただきました国公立、私立の実態調査をした段階での割り当て基準は改善をすべき点があろうかと思います。
 さらに、組織の効率化についても、できれば来年度中にもやはり組織の改正をしないと、逆に言えば、財投を使うということは行政改革にも密接にかかわる問題でありますから、その効率的な運用を求めたいと思いますが、いかがでございますか。
#164
○佐々木政府委員 育英会の組織につきましては、これまでも業務の必要性あるいは重要性に応じて適時見直しをしてまいったところでございます。
 今後、育英奨学事業を拡充する、そういう方向の中でいかなる業務執行体制をとるのが適切であるかということについては、真剣な検討を重ねていかなければならないと思っておるところでございまして、文部省としても、育英会とともに引き続き努力してまいりたいと考えておるところでございます。
#165
○安住委員 それからもう一問だけ。
 いただいた関係資料の中に書いてあるのですけれども、会計検査院の決算検査報告では、平成七年末現在で実は滞納額が二百億円余りというふうになっていまして、こういう制度ですから、絶えず滞納額をどうするかというのは非常に頭の痛い問題なんですね。これも国民からいただいている税金といいますか、財投でいえば、それも国民の皆さんからお預かりしている金でありますから、滞納している額の効率的な回収といいますか、そういうことはやはり何とかやっていかないといけないと思うのです。
 これは毎年のように会計検査院の決算報告で指摘をされているようでございますが、何らかの改善策というのは御検討なさっていらっしゃるのでしょうか。
#166
○佐々木政府委員 平成八年度末までの累積の日本育英会の要回収額は一兆六百二十三億円でございます。このうち九七・九%に当たる一兆三百九十九億円を回収しておりますけれども、残る約二百二十四億円が滞納額となっております。この率自体はここ数年このような数字で推移しておるわけでございますけれども、育英奨学金の額というものが漸次改善を図られてきたということもございまして、滞納額としてはその額が増加する傾向にございます。
 育英会は貸与制によって運用をするものでございますので、卒業生の返還金を次代の奨学生の原資にする、そういう仕組みで運用しております関係上、きちんとした形で返還が行われるということは極めて大切なことでございます。
 文部省といたしましても、育英会に対して種々指導もしておるところでございまして、育英会といたしましても、返還意識の徹底を図ること、それから口座振替による月賦払いでやるということを、平成九年度をもって貸与が終了する学生全員について勧めるというふうな改善も行うことといたしておりますし、また滞納者や保証人に対する督促も従来よりは時期を早めてこれを行う等の措置を講じております。
 そのようなことを通して滞納者を減らす、そういう対策を強化をしておるところでございまして、さらにこの点充実するよう、文部省としても育英会とともに努力をしてまいりたいと思っております。
#167
○安住委員 最後に大臣、この問題については藤村委員からも質問がありましたけれども、実は育英資金なのか奨学資金なのかという基本の問題に対してきちっとした方針を出していかないと、五十万近い人たちがこのお金をもらっているわけですから、やはりそのお金の性質というのは非常に重要な問題であって、文部省なり大臣の見解というのは、非常にこの先の奨学金制度、育英資金制度のあり方を私は決めるのだと思います。
 そのことについては、先ほども質問があったように、昭和五十九年以来実は先送りをしてきた経緯がありますから、このことについて、先ほどのお話ではまだあいまいさがあるわけでありますけれども、できれば今きちっとした方針を出すおつもりがあるのかないのかだけお伺いをしたいと思います。
#168
○町村国務大臣 ただいまこの場ですぐ一定の結論を出すというのは、正直言ってまだ難しい段階にはございます。
 ただ、先ほど、藤村委員の御指摘どおり、およそ希望者にはほぼ全員みたいな感じでやりますと、なかなか悩ましいのは、それだけでも有利子の分について約百億近い一般会計からのお金が出ております。仮に、先ほどの藤村方式とでもいいましょうか、それでやると、これが約一千億に拡大をする。それだけの利子補給をしなければその三%との差は埋め切れない、こういうことになってまいりますので、率直に申し上げまして、財政の制約等々のある中でなかなかそこまで思い切った決断を出し得る状況に今ないということでございます。
 ただ、事の性格として、これだけ豊かになった時代の中で、今までと同じ考え方でいいのかと言われれば、それはやはり抜本的な見直しが必要であろう。そのような意味で、引き続き、大変大きな課題として受けとめさせていただき、検討は必死になって続けていかなければならない課題であろう、こう思っております。
#169
○安住委員 それでは、きょうはこの後、学校の教職員の不祥事が大変最近頻発をしておりますので、その関連の問題と、それから幼保一元化の問題の二間について、半分半分ぐらいの時間を割いて質問をさせていただきます。
 それに先立って、大臣、先ほど、午前中にもどなたかが触れていましたが、二月に起きた中学生の警察官を襲った事件、これは警察の言葉で言うと、バタフライを使用した強盗殺人未遂事件と言うそうでございますが、その被疑少年の家裁の判決がどうも出たようです。初等少年院に送ることになったという話を、私もまだ判決文を詳細に見たわけではありませんが、要約をした文章を報道機関から手に入れましたけれども、非常に裁判長の話がショッキングというか、私はちょっと残念だったのです。実は、この判決文の中でこういうふうに言っているのですね。
 この犯罪を犯した子供に対して、反省の跡が全く見られない。なぜ警察官を襲ったかというと、その襲っていく過程といいますか、事件を起こす背景には、格闘技なんかのアニメやビデオ等刺激的なものをずっと見ている中で、仮想の、空想の存在から実存の銃というものを、本物の銃を使いたくなって、警察官を襲って本物の銃を手に入れようと思ったというふうに書いてあるというか、裁判長がそういう話を朗読したということで、今現在も反省の姿が見られないので初等少年院に送るのが適当であるというふうな話なわけでありますね。これは、いろいろな思いというのはあるわけです。
 先週に引き続きで恐縮ですけれども、まだ詳細なお話ができる立場でないのは承知でございますが、まず、このことを聞いてどのように思われるか、大臣の所見を伺いたいと思います。
#170
○町村国務大臣 私も今、十分ほど前に情報を入手したところでございますから詳細はよくわかりません。多分、今安住委員が言われたような内容であると概略承知をいたします。
 少年の反省が十分でないということから少年院送りになったという結論は、権威ある裁判所でお出しになったことですから、それはそれで私は尊重をしたいと思っております。
 その理由の方までについては私もちょっと詳細よくわかりませんが、もし、委員が言われるような、そうしたアニメであるとかあるいはビデオですか、そういうものの中から仮想と現実との違いがよくわからなくなってきた、あるいは仮想に刺激をされて、それを現実化してみたくなったというようなことであるのであれば、一般的に言われております有害情報の子供に与える影響の大きさというものを感じるわけでありまして、そうしたものが余りにも今野放しになっている現状というのはやはりいかがなものかな、こんな感想を持ったところであります。
#171
○安住委員 これは先週、委員会の中でかなり議論をさせていただきましたけれども、学校で幾らいろいろなことをやっても、やはり外の世界が、ある意味では、ビデオにしてもCDにしても規制が全くなくて野放しの状態だということになってしまいますと、やはりそこに何らかの規制措置をとる必要性を、こういう事件の判決文なんかを読んでいても私は非常に感じるわけでありまして、何とかその点については善処をしていただくというか、法規制を含めてやはり配慮をしていただきたいというふうに思います。
 さて、最近の文教委員会は子供の不祥事の話ばかりかといえば、今度は教職員の不祥事ということで、そういう意味では楽しい話ではございませんが、この教職員の最近の不祥事について少し文部省のお話をお伺いしたいと思います。
 先週もたしか覚せい剤を使用した女子教員が逮捕された。それから、わいせつビデオの収集をしていた中年の教職員が逮捕された事案がある。それから、淫行条例に違反をした教職員もいる。最近の新聞の社会面もニュースも、学校現場の子供の不祥事か教師の不祥事という、そういうふうな見出しが非常に躍るといいますか、最近はショックを通り越してむしろ何か当たり前みたいになってきたような風潮があって、非常に残念だなと私は思っております。
 これは多分大臣も同じような認識といいますか、町村大臣が就任なさってからこういう話ばかりで本当に御心痛だと思いますけれども、子供に対するメッセージというのを大臣が先週言われて、日曜日あたりはテレビで随分いろいろな方々から意見を伺っているのを拝聴しましたけれども、この教職員の不祥事というのも、決して子供だけ責められないというか、もしかすると、これは大臣、教職員に対してもメッセージを出さないといけないような状況なんじゃないかなと思っておるのですけれども、いかがでございますか。
#172
○町村国務大臣 それらがもう全く言語道断の行動であることというのは論をまたないところでありまして、いろいろな研修を通じて、もっとも研修以前の問題、人間性の問題かなとも思いますが、いろいろな努力を、文部省あるいは各教育委員会等を通じて、服務規律の徹底、持つべき人間としての、社会人としての常識というようなものは徹底しているはずなのでありますが、なかなかそれが徹底し切らない。
 どこの社会にでもあるじゃないか、一定の比率でこういうものは起きるものだと言ってしまえばそれまででありますが、学校の先生に限ってやはりそういうことは許されないのだろうと私は思っておりますので、さらにさらに、各研修等々の場を通じまして、しっかりとした服務規律が徹底できるような努力を続けていくしがなかろう、かように思います。
#173
○安住委員 最近の事件というか、こういう不祥事の傾向というのはつかんでいらっしゃるのだとは当然思いますけれども、今、大臣の言葉だけではちょっと何をするのかよくわからないのです。
 具体的に文部省として、教職員の今の不祥事といいますか、私は印象としてはかなり多いなと思っているのですけれども、こうしたことに対する具体的な対策を何か考えていらっしゃるのでしょうか。
#174
○御手洗政府委員 教職員の服務監督権は、基本的には市町村の教育委員会あるいは学校を設置する都道府県の教育委員会にございますし、また任命権は都道府県あるいは政令市等の適切な行使の中にあるわけでございますので、文部省が直接的に個々の職員を服務監督し、あるいは処分等を行うという立場にはないわけでございますけれども、各都道府県や政令市等におきます懲戒処分等の状況につきましては、その具体的な、類型的な態様等につきまして文部省として毎年報告をいただきまして、それを任命権者に全体としてお示しするというようなことで、教職員の服務監督等の徹底の参考等の資料にしているわけでございます。
 ちなみに、平成八年度で懲戒処分を受けた公立学校の教員数は、地方公務員法の規定に基づいた懲戒処分が六百三十五人、そのほかに諭旨免職が二十六人、あるいは教育委員会の注意処分としての訓告等が千八百六十七人ということで、二千五百二十八人、これは、四十七都道府県並びに十二の政令市が任命権を行使しております九十六万ほどの教職員全体の中で、多いか少ないかという点はいろいろ議論があろうかと思います。
 いやしくも教員がこういった非違行為をするということがあってはならないという基本的な立場のもとに、私どもも、担当の課長会議あるいは教師さんが集まった場所あるいは人事担当者の研修会等におきまして、さまざまな情報交換を含めながら、まず服務規律の徹底を図るということと同時に、初任者研修、あるいは経験十年目、二十年目の研修といったような研修会、あるいは校長や教頭、管理職になるときの人事管理の研修会、さまざまな場所を通じてこういった点につきまして、各都道府県におきまして服務規律と人事管理の徹底を図るよう私どもとしてはお願いをしているところでございまして、今後ともこういった努力は引き続き行ってまいりたいと考えているところでございます。
#175
○安住委員 二千五百人が多いか少ないかということが問題ではなくて、やはり二千五百人もそういう教師がいるということは現実だと思うのですよね。それで大臣、事件を起こしたのは大人ですから、そんなことは同情する余地もないし、文部省にどうこうしろという話にはならないと私は思うのです。
 しかし、私、先週もちょっとお話ししたのですけれども、ほかの産業や職業と違って、まさに教育だけはこれはもう人ですから、つまり立派な校長先生のいるところの学校はやはり立派になるし、非常に人間味あふれる立派な教師がいれば、毎年その教師は学校を卒業した人たちの同窓会に呼ばれるし、呼ばれない、圧倒的に声をかけられない人もいる。そういう意味では、まさに人が人を育てるわけですよね。この認識は私はいいと思うのですよ。
 そういうときに、私が最近どうも気になるのは、私の地域だけではなくて全体に、管理をするというふうに今御手洗局長おっしゃいましたけれども、学校長を初め教頭先生、ある意味で管理職と言われるような人たちが、これは大臣もテレビでそういうお話をなさっていたようですけれども、どこかに依存心が非常に強くて、自分の学校をどういうふうにしていこうかという意識が、やはり公立の場合、私立よりも非常に欠落をしていて、どこか都合のいいところは文部省や県の教育委員会、そういうところのひな形に合わせた形のことだけをただやっていて、言い方は失礼ですけれども、無事定年を迎えればいいような発想の人がどうも多いのではないだろうか。
 だから、改革をしようとか子供たちに何かをしようという熱意みたいなものが伝わってこないのが教職員にも伝染しますと、どうしても学校全体が沈んでいく。そういうことが顕著に出ていて、たしかテレビのときに、大臣に質問されていた方が、どなたかわからないのですけれども、私立は非常に学校の先生の権限が強くて、何かあったらすぐ退学にもさせられる力があるんだけれども、公立の教師というのはそういうところがないから生徒に逆に軽く見られるんだみたいな話をしていた。
 しかし、こんなものを文部大臣に言うこと自体、認識としてどうかなと私は思うのですね。そんなことは自分で判断して、自分たちの教育委員会や自分たちの市町村の学校にいるところでやればいいだけの話です。
 しかし、それをそういうふうに教育現場の人が言うくらい、教育というのは文部省が管理しているんだという意識を持っているというのは、文部省が本来いろんな意味で自主性でやってくださいと言っているものの、現場がそれをよく理解していない。だから、そこに管理者の大きな問題というか誤解がある。そのことについて、まず最初に大臣の認識を聞かせていただきたいと思うのですね。
#176
○町村国務大臣 戦後の教育の中で、教育委員会制度というのを新しく入れたわけであります。まさにそれは地方自治の原点の一つともいうべき性格のものであったと思いますし、特に小中学校についてはそこが現場ですよと、そして文部省はそれに対して指導助言という立場であったわけなんです。基本的な構造はそうであり、そういう中で、国として指導要領の基本を定めるとか幾つかのところはあります。
 それが、どうもこの戦後五十年余の間で、ややもすると文部省がすべての責任を負う。実際、法令上その他はそうなっておりませんし、現実も必ずしもすべてがそうではないのでありますが、ややもするとそういう印象を持つ。そして、学校の現場の校長さん初め、何か事があれば教育委員会の方を見る、あるいは文部省の指示を仰ぐという指示待ち体質と言われているような部分が確かに悪弊として指摘されてもやむを得ないような実態なり精神的な風土ができてきてしまったのだろうと思います。
 そこで今、私ども、中央教育審議会にお願いをして、その辺の地方教育行政のあり方、地方分権ということを前提にしながら、国が見るべき部分はできるだけエッセンス、限定をして、できるだけ都道府県、市町村の教育委員会にお任せをする、そして、そこからさらに教育委員会も、人事であるとか予算であるとか学内の規則の制定であるとか、いろいろなことについてできるだけ学校の現場にそれを渡していくという方向で具体的な議論をお願いしておりまして、ぼつぼつその断片的なものが一部新聞報道などもされております。
 私は、学校づくりの基本、原点は、やはり学校の現場にあるし、学校の現場で生き生きとした教育をやってもらうためには、それなりのまた努力と責任をお願いをしていく、こういう方向で、教育改革の大きな柱の一つである生き生きとした学校づくり、創造性のある学校をいかに地方分権という中でつくっていくのか、今これを柱に大作業をやり、六月ごろには答申をいただければ、こう思って作業をお願いしているところであります。
#177
○安住委員 今度の国会で教職員免許法の改正案が出てきますが、一つ危惧をするのは、言おうとする趣旨がもし伝わらなかったら誤解を受けるのでわかりやすく言いますと、もっとユニークな人材というか、やはりいろいろな価値観を持った人が先生でいるべきだと私は思うのです。
 アメリカでもそうだしフランスでも、数学しか私は教えないけれども、人格の問題は関係なく教え方は非常にうまいとか、いろんなバラエティーに富んだ先生が本来あって、そして、管理者と言われる学校長というのはそれこそ、私は民主主義のことをとやかく言えるような立場ではありませんけれども、権利権利ばかり主張しているのじゃなくて、それは当然責任や義務が伴うわけで、自由にいろんなことをやってもいいですけれども、最後は学校長、あなたが責任をとりなさいよという非常に厳しいルールをもう少し確立をした上で、そこを前提とした上で、学校の運営についてはもっと自由にやりなさい、創造性を持ってやってくださいというようなことを、これは中央から指導すると言うとちょっと矛盾があるんですけれども、ある意味ではそういうことを実は文部省は今言わないといけない時期かなと。
 ですから、初任者研修とかそういうことで、最低限のルールというか、管理するときに必要なノウハウは、そういうことは私は構わないと思いますけれども、思い切った自己責任型の教育のあり方というのを公立学校の学校長等にも、植えつけさせると言ったら変ですけれども、そういう自覚を持たせることは、教育改革を待たなくても今でも実はできる。
 それから、教職員の採用の仕方も、旧師範学校の割合がどうもふえそうな感じに今度なるような気もしますから、しかしそれとは別に、やはり外部の血をちゃんと入れられるような仕組みというものもやはり考える時期だと思います。時間がないのであわせて御答弁をいただきたいと思うのです。
#178
○町村国務大臣 学校がややもすると閉鎖社会になってしまわないようにというような意味で、社会人の登用でありますとか周辺の地域の方々との交流でありますとか、あるいはそういう方々をアドバイザーとして迎え入れるとか、いろいろな方法はあるだろうと思います。
 そういういろいろな外部との接触を保ちながら学校も存在してもらいたいし、また、個々の学校の特色をいかにつくり上げていくかという努力をしていただくことがとても大切なので、その場合には、個々の先生もまた特色があっていいし、学校そのものも特色があっていい。
 そのために今いろいろな形で、一応法制的に人事権はどこにあるとか物事がいろいろ決まっておりますけれども、その法制上あるいは政省令その他で決まっているものをどれだけ現場にあるいは地方におろせるかという具体的な法律改正等々、実際法律改正を出すのは来年の国会にならざるを得ないかと思いますが、そうしたことも含めての今作業を進めているということを申し上げさせていただきます。
#179
○安住委員 私は、思い切って学校長なんか公募して、民間の管理職をやっていらっしゃる方とか、そういう人がつけるようなやり方も一つあっていいのだと思うのです。学校の先生だからといって優秀な学校長とはとても思えないような人はかなりいるのかなという気がいたしますから、思い切ったことをぜひそういう意味で来年度やっていただきたい。
 それから、教職員の不祥事についても、任命権はないにしても、そうはいっても、これは文教行政にとっては非常にゆゆしい事態でありますから、どういうふうな形にするのかは私は専門家でないからわかりませんけれども、こうしたことを未然に防ぐというか、こういう教職員が本当にいるのかいないのか、ぜひ厳重に全国を、検査をすると言ったら変ですけれども、やはりもう一回チェックしていただきたいことを要望しておきます。
 それでは、ちょっと限られた時間で大変申しわけないのですが、次に、幼保の一元化の問題について少しお伺いをしたいと思います。
 私は、最初の文教委員会の質問のときもこの問題をやらせていただいたのですけれども、やはり少子化時代を迎えて、今もこの三月期というのは、幼稚園の経営者の方々から見れば、就学前児童の確保というものに大変四苦八苦されている時期であります。いろいろな問題について本当は質問したかったのですけれども時間がございませんから、まず大臣に基本的な考え方を伺います。
 大臣は就学前教育のあり方というのはどうあるべきだとお考えでありますか。
#180
○町村国務大臣 それこそ夫婦が結婚をして、子供ができた、その妊娠の瞬間から教育は始まる、いわゆる胎児教育という言葉もあるわけであります。そして、出産を経て学齢に達するまでの間、幼稚園、保育所というのがありますが、やはりもうすべてこれは子育て、言葉をかえて言えばそれは教育ということであろうと思っておりまして、その重要性が改めて問われている昨今の状況ではないだろうか、こう思っております。
 したがいまして、ちょっと先走るようで恐縮ですが、やはり幼稚園、保育所、たまたま分かれておりますが、実際に果たしている機能は非常に似通ってきていると私は思っておりますので、そういう意味で、そこに大きな乖離があってはいけないし、何も文部省は、三歳児が就園してから後のことしか考えておりませんというわけでもなくて、家庭教育ということについてこれからもまたしっかりと取り組む、その取り組みをさらに強めていく必要があるというのが基本的な考え方であります。
#181
○安住委員 十一月に質問をしたときよりはかなり前進をしているのかなという前向きな答弁をいただきましたけれども、あの教育改革プログラムでいくと、三月中には厚生省との具体的な方針について協議をするという話になっていますけれども、今のところの具体的な進みぐあいを簡潔にお答え願えますか。
#182
○辻村政府委員 昨年の先生の御質問に、厚生省と文部省両省で施設の共用化の実態について調査をし、集計を急いでおりますというお答えを申し上げたわけでございますが、その後、私どもその実態調査の集計を踏まえまして両省協議をいたしまして、三月十日付で厚生省と文部省両省の局長名で、「幼稚園と保育所の施設の共用化等に関する指針について」の通知を発したところでございます。
 施設設備の相互活用、あるいは園具、教具の相互活用、あるいは運用の創意工夫、それから幼稚園教諭と保母の合同研修の実施等、第一歩ではあるわけでございますけれども、そのような指針を通知したところでございまして、先ほど大臣の御答弁にもございましたけれども、今後、幼稚園における子育て支援のあり方とか、あるいは幼稚園と保育所での教育内容、保育内容のあり方等につきまして検討をさらに進めてまいりたい、そういう状況でございます。
#183
○安住委員 私が心配しているのは、経営基盤の非常に弱い幼稚園というのは結構多いと思うのです。結局、行政が行政の側の理由で改善をやっているように見えますけれども、現場を見ますと、今のお話では私はちょっと遅いのではないかと思うのです。やはり経営基盤を安定してもらわないと、私も小さな子供がいますけれども、親御さんにも大変な心配をかけるし、私は幼稚園教育というのはやはりそういう意味では私学助成という観点からも非常に重要だと思っています。ただ野放しにしていいとも思いません。
 ですから、厚生省と文部省がそれぞれの領域の中で少しずつ改善をしていくということはわかりますけれども、少しずつ改善していく間にばたばたつぶれたのでは私は意味がないと思いますから、そこは思い切って、前も申し上げましたけれども、やはりそういうふうな局長同士の話し合いをできるような環境がもうできた以上は、ことしじゅうには私は行政の窓口の一元化というものはやはり不可欠ではないかな、これは行政改革にも見合った話でありますから、そういうことをやるためにはこれはやはり政治決断ではないかなと思いますので、最後にこのことについて文部大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#184
○町村国務大臣 先ほど局長が答弁を申し上げましたように、施設の共用化というのはあくまでも第一歩だと私ども考えております。
 今後さらにこれを進めていく方向は、先ほど御答弁を申し上げましたように、教育の内容とか、あるいは教師とか保母の養成の段階、いろいろな面で共通化を図っていく、そこから委員言われたような一元化という方向性も出てくるのだろうと私は思っておりますが、どこまで今の制度を前提にしてやれるかということを早急に今詰めているところでございまして、小泉大臣とも相談をいたしまして、今作業のスピードアップを図っている段階でございます。
 なお、行政の窓口というお話がございましたが、そういうアプローチの仕方もあるのだろうと思いますからそれも一概には否定いたしませんが、まず実態的にどこまでやれるのかなというところに今力を注がせていただければ、こう思っているわけであります。
#185
○安住委員 ぜひ子供の側に立ってこういう行政をやってほしい。つまり、保育所を持っている厚生省のエリアがどうだとか文部省の幼稚園の方の団体がどうだではなくて、預けている子供のことを考えればもっと急いで私はしかるべきだと思いますから、最後にこのことを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#186
○高橋委員長 次に、旭道山和泰君。
#187
○旭道山委員 新党平和の旭道山です。大臣、胸をかりるつもりで質問しますので、関係各位、よろしくお願いします。
 本日議題になっている法案の質疑に入る前に、何回も何回も聞いていますけれども、青少年の問題について質問させてもらいます。
 町村文部大臣初め文部省の担当各位には、青少年犯罪や薬物乱用の増加など、特に学校現場を中心とした教師、生徒における事件が相次ぐ中で、これらの問題解決に向け努力されていると思っております。よく、子供たちの心が病んでいる国は、国が滅ぶ前兆であると言われています。私は、決して議論のあり方を否定するわけではありませんが、これまでのような役所的な議論ではなく、もっと現場の声を聞くべきだと思います。
 私も昨年の当委員会において、心の教育の大切さや、問題が起きたとき教育委員会から報告を受けるだけでなく、実際に現場へ足を運んで対話をするようにと主張してきました。二十一世紀の日本を担っていく青少年の希望ある未来の実現のために、生きた政策による子供たちへの提言をお願いしたいと思います。
 これまでも同様の質問を数多く受けていると思いますが、一連の事件を踏まえ、子供たちの心をよみがえらせる教育の実現と、今問われている大人の責任と役割をどのように受けとめ、それを果たしていくのか、まず大臣の御見解をお願いします。
#188
○町村国務大臣 委員から、教育行政に当たる基本的な心構えについてのお話をいただきました。この点は委員も同様であろうと思いますが、大変に悲惨な、また衝撃的な事件が相次いでおります。何か伝染病のようにともいうべき広がり方で、大変心を痛めているわけでございます。
 当面の対応ということで委員の御指摘もございました。私も、当該学校ではございませんが、他の中学校に足を運んだり、あるいは中学校の先生方に十数名集まっていただいてお話をしたりというようなことを通じ、できるだけ直接現場の声を伺うようにということで努力をしてまいりました。当該問題を起こしている学校に文部大臣まで足を運んでしまうと、現場の混乱が一層拡大してはという気持ちもちょっとあったものですから、そこはむしろあえて控えさせていただいたわけでございます。
 いずれにいたしましても、緊急対応として、とにかくナイフとかそういった凶器を学校に持ち込まないようにということ、そして心の大切さ、今の大切さというものを、それぞれの学校現場で今急いでもう一度緊急的に教えていただきたいということを再三お願いをし、さらに、それはあくまでも緊急対応でございますから、もう少し中長期で見た場合には、ゆとりのある教育、あるいは生きる力のあるたくましい子供たちをどう育てるのか、そのための学校づくり、指導の内容でございますとか学校のあり方、どういう運営をしていったらいいかとか、あるいは先生の養成でありますとか、いろいろな面について、まさにこれは教育改革の一番の大きな中心テーマだろうと思っていろいろな施策を、これは即効性はないかもしれませんが、そうした対策を今一生懸命考え、一つずつ実行に移している。その幾つかの法律を今回、この国会でもまた御審議をいただくということにしているわけでございます。
#189
○旭道山委員 ありがとうございます。町村大臣、いろいろと現場へ行っていると思いますけれども、本当にまたお願いします。
 一連のナイフによる事件で、刺した方も刺された方も本当に多大な衝撃を受けていると思います。特に、いろいろと被害を受けた人間の心のケアもやはり必要だと思います。だから、そういう現場でも心のケアの重要性というのがやはり問題になると思います。
 今、青少年の事件は、毎週のようにメディアを通じて国民に衝撃を与えています。大臣が全国の子供に呼びかけたように、これ以上悲劇を繰り返さないためにも万全の努力をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 では、これから本題に入ります。
 まず最初に、人材育成のために一貫して奨学金制度の充実に向け御努力を続けてこられたことを評価したいと思います。しかし、我が国の奨学金制度は、特に経済的に困難な家庭への支援体制は必ずしも十分ではないのが現状だという実感を持っています。
 私は中学卒業しかできませんでした。中学を卒業後、十五歳で角界に入門しました。しかし現実には、関取になりたいとか、あるいは将来の期待を受けてスカウトされ角界に入門したわけではありません。
 私は、物心ついたころから女手一つで育てられました。母親の事業による収入で生活が成り立っていたのもつかの間、交通事故で被害者となって、後遺症に悩まされ、働く機会を失ってからは一転して経済的に厳しい状況に変わりました。
 当時、小学生だった私は、長男ですから、わずかなアルバイトで一家五人の生活を支えなければいけないという時期が続きました。そして小学校、中学校の休みの日には、時間があればアルバイトをしていました。そういう経済的に厳しい環境に置かれた子供は、その中から生きるすべを見つけなければいけないのです。
 私の場合は、幸いにもスポーツによる高校進学の道が開けましたが、推薦によって私自身の学費はかからない条件がありながらも、最終的には、家族を支えるだけの経済力がだれにもない状況では、私が高校進学を断念しなければならなかったのです。私が高校進学を希望することは考えられない状態でした。それで結局、生きていくためには高校進学をあきらめたというのが事実です。
 私のように、進学を希望しても、現実を考えた場合あきらめざるを得ない人はほかにもたくさんいるはずです。直接法案の改正案の趣旨とは違いますけれども、経済的に進学が困難な状況に置かれている家庭に対する育英奨学事業以外の経済的支援措置の充実について、御意見をお聞かせ願います。
#190
○佐々木政府委員 まず、高校生に対する奨学金でございますが、日本育英会は、平成十年度予算案で、十二万二千五十一人の生徒に対し貸与することとしており、また、都道府県や公益法人等による育英奨学事業については、これは平成七年度の数字でございますけれども、十三万一千人の生徒に対し支給がなされているところでございます。
 次に税制面の関係でございますが、教育費の負担の重い中高年層に対する税負担の軽減を図るため、十六歳以上二十三歳未満の扶養親族に係る扶養控除額を割り増しする特定扶養控除制度が現在講じられておりまして、十年度からさらに割り増しをすることとしておるところでございます。
 次は経常費助成でございますが、私学振興助成法に基づき、教育条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減等に資するため、都道府県が行う私立の高等学校の経常費助成に対し国が補助をするという仕組みをとっておりまして、これらを通じまして各都道府県の私学助成の充実ということを図っているところでございます。
 そのほかの措置といたしましては、母子及び寡婦福祉法による修学資金貸与の制度がございますし、また、生活福祉資金貸付制度による修学資金貸し付けが実施をされておるところでございます。
 文部省といたしましては、関係省庁とも連携をしつつ、経済的理由により高校進学を断念せざるを得ない、そういうことのないように、育英奨学事業の充実を含め、必要な措置、対応をしてまいりたいと考えているところでございます。
#191
○旭道山委員 そのようにやはり柔軟にやってほしいのです。本当によろしくお願いします。
 ところで、今回の改正案の中心となっている教育職の返還免除制度を含め、学校教育という分野に優秀な人材を確保するという意味では、確かにその役割は薄れてきていると思います。むしろ私は、現在の日本育英会の事業をさらに発展的に継承する奨学金制度として大幅な改善をしていくことこそが必要だと思っています。
 教育費や生活費は年々増加する上、長期化する不況による年収の減少によって仕送りの減少や、その上、倒産、失業、解雇という現実が追い打ちをかけているのが現状ではないかと思います。必要とする学部学生や大学院生が利用できるように、より積極的に、より開かれた奨学金制度にすべきであると思いますが、大臣の御意見をお願いします。
#192
○町村国務大臣 委員御指摘のとおり、今の育英会制度、かなりの機能を果たしておりますが、ではそれで十分かと言われれば、私は、まだまだ改善の余地は確かにあると思います。
 今、新しいニーズとしては、例えば大学院にも行く人がふえておりますので、そうした方々へのものでありますとか、あるいは専門学校、専修学校というあたりも率直に言って不足をしております。あるいは、先ほど別の方の御議論で既に御指摘がございましたけれども、私立と国公立の差でいいますと、私立の方々の受ける割合が低いなどなど。あるいは返還の条件でありますとか、あるいは金額でありますとか、もう少しこの育英会の財政にゆとりができますれば、やりたいこと、やらなければならないことはたくさんあるな、こう思っておりますが、一遍にあれもこれもできませんので、可能なところから、とにかく最大限そうした新しいニーズにもこたえられるようにしっかりやっていきたいと思っております。
#193
○旭道山委員 その辺、やはり柔軟に動いてもらうことをお願いします。
 これまでの奨学金制度の充実はもちろんのことですが、私自身のことに置きかえて考えてみた場合、もしスポーツにすぐれていなかったら、実際に進学する場合の最大のネックになったのは入学金だと思います。経済的に困難な状況の家庭においては、たとえ高校や大学に合格しても、高額な入学金を納めることは大変厳しいことであると思います。
 入学金については現行の奨学金の制度では認められておりませんが、入学金が高額で大きな家計負担となってる上、教育ローンなどを利用しなければならない人が増加しているという現状を考えると、私は、新たに入学金の貸与制度を創設すべきだと思いますが、御見解をお願いします。
#194
○佐々木政府委員 入学に際しましては、授業料だけではなくて、入学料等の学生納付金のほか、例えば下宿に入る、さらには所要の学用品をそろえる等、相当の費用が要るというのは事実でございます。その負担軽減のために入学時の費用に対して育英会として対応してはどうかという御指摘も、まことにもっともな面があるわけでございますが、このことにつきましては、既に、入学時の一時金等を対象として国民金融公庫等の教育ローンというものが広く実施をされているわけでございます。
 文部省といたしましては、日本育英会の奨学金については、大学学部の貸与人員の増を図る、あるいは大学院についてさらなる充実をするという貸与人員の増が一つ課題としてございますし、また同時に、平均的な生活費の増額に対応して貸与金額を充実していくということも、他方の大きな課題としてあるわけでございます。
 そういった状況も勘案をいたしますと、既に国民金融公庫等の教育ローンが存在をするということでありますので、育英会の奨学金を入学金の貸与にまで広げていく、そういう制度を創設するということは、直ちには困難な問題であるというふうに考えているところでございます。
#195
○旭道山委員 本当に入学金というのはやはりでかいですから、できればそういうものにまで広げてもらうような前向きな検討をお願いします。
 さて、次に奨学金の貸与が終了した後の返還期間の延長問題について質問いたします。
 例えば大学院の修士課程の返還期間は、かつて十六年間の返還であったが、現在は十四年間の返還期間と定められています。教育費、生活費の増加などに伴い貸与される金額も上昇し、二年間の貸与額は総額約二百万円にもなっています。私の事務所の秘書は、修士課程に在学していた当時の二年間に貸与を受けた奨学金総額は百四十四万円であったと聞いています。それを年一回の年賦払いで九万円ずつ、十六年間返済したと言っていました。
 総額がふえることに伴って返還期間が延長されるのであれば理解できますが、貸与総額がふえた上、逆に返還期間が短縮されては、返還に関して大きな負担を感ずるのではないでしょうか。どのような根拠に基づいて返還期間を短縮されたのか、お聞きしたいと思います。
#196
○佐々木政府委員 奨学金の返還期間についてでございますが、従来から、卒業をしました奨学生の返還負担能力等を考えまして、適正な期間を設定してきたところでございます。
 現在の返還期間につきましては、平成五年の育英奨学制度に関する調査研究会の報告に基づくものでございまして、その報告では、奨学金の返還期間については、昭和五十八年に平均約十年であった返還期間が、その後の貸与月額の増加に伴い、平成四年では平均十五年と長期化しているが、資金の効率的運用を図る観点から、その間の卒業奨学生の返還負担能力の向上を勘案しつつ返還期間の短縮を図るべきである、そういう指摘をいただいたわけでございます。
 これを受けまして、平成六年度返還者から約一年ないし二年の返還期間の短縮を行ったものでございまして、大学院の修士課程については、昭和五十八年に返還期間が平均十三年でございましたが、平成四年では平均十五年になっており、これを平成六年に十四年にしたものでございます。
 今後とも、事業資金の効率的運用、貸与月額の増による返還期間の長期化、さらには卒業奨学生の初任給の上昇等の社会的情勢にも十分配慮しながら、この問題について適切に対応してまいりたいと考えております。
#197
○旭道山委員 また、国公立大学の自宅外、私立大学の自宅の人の無利子貸与の奨学金の総額は、大学院修士課程の総額より高いにもかかわらず同じ十四年間の返還になっています。大学の学部卒業生と大学院修士課程を修了した人の初任給では、当然大学院の修士課程を修了した人の方が高いわけです。いずれにしても、返還すべき総額が高い人とそれよりも総額が低い人の返還期間が同じというのはおかしいと思います。
 現在、奨学金の返還滞納額は、無利子の第一種と有利子の第二種を合計すると約二百億円と聞いています。返還期間を短縮するような、返還する人の現状を無視したような実態が滞納の要因ともなっていると思いますし、こうした状態を改善することがまず大事じゃないかと思います。滞納者に対する請求方法を考えることも大切ですが、まず負担を軽くし返還しやすい状況をつくることこそ重要なことだと思います。それぞれ答弁をよろしくお願いします。
#198
○佐々木政府委員 平成九年度の入学者の奨学金の貸与総額について申し上げますと、国公立大学に自宅外から通学する場合の卒業までの貸与総額が二百二十万八千円でございます。私立大学に自宅から通学する場合の卒業までの貸与総額は二百三十五万二千円でございます。大学院修士課程の貸与総額は百九十九万二千円となってございます。
 これらの奨学金の返還方法についてでございますが、これにつきましては、貸与を受けた奨学金の総額、貸与総額に応じて最低年賦額を卒業生の返還負担能力と資金の効率的運用等を総合勘案して決めておるところでございます。最低年賦額を決めるということで対処しておるわけでございます。
 その結果、国公立大学自宅外の場合は、年賦額が十五万円であることから返還年数が十四年間となってございます。私立大学自宅の場合も、同様の考え方で年賦額が十六万円ということで十四年間で返還をするということでございます。大学院修士課程の場合は、年賦額が十四万円で十四年間で返還をするということでございまして、この三者いずれの場合も返還年数が十四年となっているところでございますが、年賦額が異なることから、返還総額が違っても同じ返還年数になっている、そういう結果となっているものでございまして、資金の効率的運用等を考えた場合にはやむを得ないものではないかと考えておるところでございます。
 なお、返還月額をそれぞれについて見ますと、順次一万三千百四十二円、一万四千円、一万一千八百五十七円となっておりまして、いずれも一万円台前半の数字、返還額となってございます。
 こういった点から見ますと、このような返還方式自体、特に不合理なものとも言えないようにも考えられるところでございます。
 また他方、返還方法についてでございますが、平成七年度からは、返還者の負担軽減の観点から、月賦による口座振替制度を導入しているところでございまして、毎月無理なく自動引き落としによる返還を可能としたところでございます。
 これらの工夫改善を通しまして、奨学金が滞納することがないように、引き続き対応してまいりたいと考えておるところでございます。
#199
○旭道山委員 今の答弁で、やはりそういう十四年という年数を動かせないということですけれども、この点を考えただけでも返還期間の改善の必要性があると思います。
 私はこの際、二十年以内となっている返還期間を三十年以内に延長し、ただし繰り上げの返還を認めるような弾力的な制度の改革をすべきではないかと考えています。もしよろしければ御意見をお願いします。
#200
○佐々木政府委員 返還期間につきましては、例えば私学の自宅外の学部学生が修士課程までの貸与を受ける、あるいは博士課程で貸与を受ける、いずれも返還期間は二十年以内の返還期間となっておるわけでございまして、月賦あるいは半年賦、年賦のいずれかの方法を選択をして返還をするということとなっておるところでございます。
 この返還期限を延長することについてでございますが、返還金を財源として奨学事業を実施する、奨学金に充てるという資金の効率的な運用から見て期間がどうであるかということがございますし、さらには返還金を確実に回収する、そういう観点から見た場合、余り長期にわたるということはいかがであろうかというふうなこともございまして、御指摘の点につきましては慎重に検討をすべきものと考えているところでございます。
#201
○旭道山委員 答弁、本当にありがとうございました。
 例えば六年間貸与を受けた場合、合計で四百八十万円になる、そして返還期間は最長二十年となっていますが、それをやはり本当に弾力的にやってくれれば、また違った意味で御の字かと思います。
 今、大学院への進学が増加して、国としても若手研究者の育成に力を注がれていると思います。大学院の学生は、学生という側面だけではなく、実質的には若手の研究者という側面も持っています。このような役割を持つ大学院の学生に対し、特に研究費の充実という点については制度的な面を含めて検討すべきだと思います。
 幾ら奨学金の貸与を受けても、当然それだけでは十分ではありません。特に大学院の場合は、学生に聞いたところ、予想以上に専門書などの文献をみずから購入しており、その負担が大きいという現実があります。こうした学術研究に携わる若い研究者のために、奨学金制度の充実とともに、研究費についてもあわせて改善をしていくべきではないかと思いますが、御意見をお願いします。
#202
○雨宮政府委員 大学院は、学術研究の中心でございますし、また、研究者の養成ということでも大変重要な役割を果たしていることは、委員御指摘のとおりでございます。
 また、大学院の学生の地位、役割ということを考えた場合に、先ほど御指摘のように、研究指導を受けるといういわば学生たるの地位ということが一つあるわけでございますが、特に博士課程の場合などになってまいりますと、ある程度独立した研究者としての状況に近づきつつあるわけでございます。
 もちろん、いわゆる一気に碩学泰斗のような研究成果が出るわけではございませんけれども、しかし、将来の研究活動の基礎をなすような、そういう重要な時期にも当たるわけでございまして、その間におきます研究活動を何らかの形で支援していくということは大変重要なことであるわけでございます。
 平成八年の七月に、ポストドクター等一万人支援計画というのが閣議決定も見ておるわけでございまして、これは、いわゆる大学院を既に出た者も対象にしているわけではございますけれども、あわせまして大学院の博士課程に在籍している者、これもまた対象にしておるわけでございます。
 具体的には、日本学術振興会の特別研究員制度というのがございまして、平成十年度予算案でこれを見てまいりますと、総採用者数二千四百四十人という規模でございます。一人当たり月額で二十万二千円を支給する。また、あわせまして、科学研究費補助金の一部をその方々にも支給するというような扱いもしておるわけでございます。
 また、平成八年度からは、リサーチ・アシスタント制度というような制度も設けておりまして、これは、優秀な大学院の博士課程在学者をいわば研究補助者として参画させる、それに対する一つの待遇ということでございますけれども、二千五百六十二人に対しまして月額八万八千円を支給するというような施策を講じているわけでございまして、御趣旨のような方向で今後とも関連施策の充実に配慮してまいりたいということでございます。
#203
○旭道山委員 現場の方に本当にお金が回るようにできるだけ努力をお願いします。
 続いて、返還期日について質問いたします。
 返還期日はいつから開始になると決められているのでしょうか。私の手元に、秘書が持っている奨学生手帳があるのですけれども、ちょっと読ませてもらいます。
  貸与終了後六か月経過した、一年以内に第一
 回目の返還期日を定めればよいが、なるべく十
 二月又は六月のいずれか都合のよい月を選ぶこ
 と。
  第二回目以降は毎年その定めた月が返還月と
 なる。となっていますけれども、返還方法については、年一回の振り込み方法から幾つかの改善がなされていますが、開始時期についてはどのように規定されているのか、答弁をよろしくお願いします。
#204
○佐々木政府委員 奨学金の返還開始時期につきましては、日本育英会法施行令の第六条において、貸与期間の終了した月の翌月から起算して六カ月後と規定されているところでございます。したがって、先生御指摘いただいた点については変更がございません。
#205
○旭道山委員 これまではやはり年賦払いが滞納の要因だと私は思っています。平成七年十月より、年一回の振り込みだったのが、口座振替にしたことにより、自分で返還しやすいと思われる方法で返還できるシステムが導入されました。さらに今後、段階的に拡充されると聞いております。
 借りたら返すのは当然のことです。しかし、これは先ほど質問した返還期間の延長とあわせて、より返還しやすい制度にするために、今後もっと議論をしていただきたいと思います。
 私は、こうした返還方法の改善にあわせて、返還期日の開始日について改善すべきだと思います。初任給が毎年上昇しているとはいえ、一年目から返還するのは、現実、結構厳しい状況であると思います。月賦にせよ年賦にせよ、かなり負担となるのは変わりません。就職一年目では、ボーナスにしても勤続年数との関係で少なく、さらに業種によって給与の差もあるわけですから、せめて収入の安定してくる二年目を第一回目の返済日にしてほしい、それを私は提案したいのですけれども、御意見をよろしくお願いします。
#206
○佐々木政府委員 返還方法につきましては、従来、ボーナス時等の年賦払いでございまして、一回の返還額がまとまった金額となる、その意味で、返還が大変であるということもございますので、口座振替による月賦払いを主な返還方法にするという方針で、平成十年三月に貸与を終了する者については全員が郵便局や銀行での口座振替による月賦払いをするよう、その返還手続等を改善しておるところでございます。
 返還開始時期についてでございますが、貸与期間の終了した月の翌月から起算をして六カ月を経過した後ということでございますので、これは半年は返還が猶予されているというふうにも見ることができるわけでございまして、六カ月を経過した後であっても、職につくためにさまざま真剣な努力をしたにもかかわらず就職ができない、そのために収入がない、そういうような場合には、真にやむを得ない事由により返還が著しく困難になったときとして、願い出ることによって一年以内の返還を猶予する、そういう制度もございます。そういう弾力的な取り扱いも行っているところでございます。
 御指摘のように、返還開始時期を一般的に二年目以降とすることについては、返還金を奨学金のいわば原資とする、そういう資金の効率的運用を図る点で問題があるのではないかというふうにも思われますし、また、卒業後、返還開始までに長い期間を置きますと、返還の滞納を誘発するおそれがあるというような点もございまして、返還金の回収上問題もあるのではないかと考えられるところでございまして、現時点で一般的に二年目以降とすることは困難であると考えているところでございます。
#207
○旭道山委員 だから、急に職につく人間もいないと思いますので、やはり柔軟な考えを少し持ってくれれば払う人間も助かると思いますので、よろしくお願いします。
 次に、日本育英会の余裕金の実態と運用状況についてお聞きします。
 日本育英会など政府関係機関などの運用先については、銀行への預金または郵便貯金と限定されていますが、規制緩和という観点から、今後の運用のあり方についてどのように考えているかお聞かせください。
 それと、最近、金融機関の不祥事により、金融機関への信用は失墜していると言っても過言ではありません。余裕金の運用について厳正にしなければならないと思います。
 ところで、これまで余裕金の運用先金融機関には北海道拓殖銀行も含まれておりました。現在、その扱いはどのようになっているのか、また運用先の決定においてはどのような基準を設けているのかお聞きしたいです。あわせて御答弁をよろしくお願いします。
#208
○佐々木政府委員 日本育英会の余裕金についてでございますが、余裕金は、業務遂行に際し、資金繰りの都合上、一時的に生ずる資金でございまして、主として、月ごとの奨学金の貸与を行うための政府貸付金から発生するものでございます。
 この余裕金につきましては、日本育英会法第三十五条に基づいて運用をされておりまして、御指摘のとおり、法律上、銀行への預金または郵便貯金等に運用先が限定をされているところでございます。
 実態といたしましては、すべて銀行への預金により運用をされておりまして、平成八年度では、延べ約一千四十八億円を、平均運用日数二十九日、平均利率〇・六%で銀行に預け入れ、約五千三百万円の運用益を得ているところでございます。
 今回の法改正に際しましては、全国信用金庫協会、全国信用金庫連合会からの、余裕金の運用規定に関する規制緩和のための改正要望等を踏まえまして、また特殊法人の余裕金の運用方法についての最近の立法例に倣いまして、余裕金の運用方法について、文部大臣の指定する金融機関を追加することといたしておるところでございまして、現在、信用金庫及び信用金庫連合会を運用できる機関として指定することを考えておるところでございます。
 御指摘のございました北海道拓殖銀行の件でございますが、同行につきましては、平成九年六月以降、運用先とはしていないところでございます。
 具体的にどのような形で運用先を決定するのかということでございますが、日本育英会では、育英会からの通知に応じて入札をしてきた銀行の中から最も条件のよい銀行を選ぶ、そういう方法で余裕金を預け入れる銀行の決定を行っているところでございまして、その決定に当たっては、開示されている銀行の経営状態、報道等を勘案しながら、余裕金を安全かつ確実に運用できるように行っているところでございます。
 先ほど申し上げましたように、余裕金というのは、主に毎月の奨学金の貸与資金について、返還金が見込みより多かった場合等に生ずるものでございまして、預けておく期間も二十九日という短い期間となっておるところでございます。
#209
○旭道山委員 最初の質問にまた戻りますけれども、奨学金制度は成績などの規制が多く、経済的に困難な人に対して事実上条件が厳しくなっているのが実態だと思います。奨学金を必要とする一人でも多くの人に貸与できるようにするために、奨学金の採用については、成績重視から経済的困難度を重視する観点に重点を置いて運営していくべきではないかと思います。
 そして、奨学金の貸与を受けている大学生の親の収入基準の設定についてはどのようになっているのか。実は、収入認定のあり方との関係で採用、不採用の決定に不公平があるのではないかと聞いています。例えば自営業の場合、どこまでが必要経費として認められ、収入としての確定をしているのか、教えていただきたいと思います。
 また大学院は、基本的に親の家計からの独立性が高いという観点から、修士課程では採用に当たって成績がかなり重要視されているが、大学院に進学するためにさらに高いハードルを越えるわけです。若い優秀な学生であることに変わりありません。今後の日本の学術研究などの発展のためには、国として、安定して勉強に専念できるような体制を整え、若い研究者を育成していかなければいけないと思います。大学院へ進学する学生が今急増している状況でもありますが、やはり成績重視から経済的困難度を重視していくようにすべきと思います。
 そういう意味では、日本の奨学金制度を根本から意識改革して、教育を受けるための奨学金制度、例えば教育奨学金制度というような大幅な改善、拡大を行い、必要とする学生がきちんと採用されることが必要であると思いますが、大臣各位の御意見をお願いします。
#210
○佐々木政府委員 家計収入の基準につきましては、世帯の収入総額から控除額を差し引いた額を基準といたしまして、奨学生の選考、採用を行っておるところでございます。
 世帯の収入総額については、給与所得者の場合は源泉徴収票等で、事業所得者の場合は確定申告書の控えなどで確認を行っておるところでございます。
 また控除額につきましては、給与所得者の場合は、当初は所得税と同様の控除額としておりましたが、昭和六十一年以降、所得税上の控除額が改正されなくなったことから、その後の消費者物価指数や家計収入の上昇を踏まえた日本育英会独自の給与所得控除を設けており、事業所得者である場合と不公平とならないよう配慮してきているところでございます。
 大学院についての御指摘がございましたが、大学院につきましても、人物、学業ともにすぐれた学生であって、経済的理由により修学が困難な者を対象としておるわけでございまして、学力基準につきましては、第一種奨学金の場合、大学、大学院における成績が特にすぐれ、将来、教育研究者、高度の専門性を有する職業人として活躍する能力があると認められる者等としており、学部学生に比べて弾力的なものとなっております。
 また家計基準につきましては、平成四年度から親等の家計基準ではなく本人の収入に基づき判断をする等の工夫をし現在に至っておるところでございまして、大学院の場合、博士課程で約五割、修士課程で約三割の貸与率となっているところでございます。
#211
○町村国務大臣 委員から数々の運用面あるいは制度面の改善についてのいろいろな御提言をいただきましたことを心から感謝いたしております。特に、返還の期間、返還方法あるいは入学金貸与制度の創設、いろいろなアイデアを盛り込まれての御提言でございました。
 今の日本育英会の奨学金、先ほど藤村議員の方からも御提起がございましたが、今のところは一応、学力基準と家計の基準といういわば二つの基準で選考することによって、限られた資金の配分というものを考えるという建前になっております。これをこの際、今旭道山委員言われたように、少しく抜本的に見直してはどうか、そしてその中でいろいろな改善を図っていったらどうかという、発想の転換を含めての御提言もあったわけでございます。
 今、なかなか財政状況が厳しいということで、財政が厳しいと発想が貧困になるというのは大変悲しいことでございますが、もう少し財政のゆとりが出てくることを前提にして、いろいろ前向きに考えなければならないこと、根本的にまた見直さなければならないこと、多々あるなと、今委員の御議論を伺いながら受けとめていたところでございます。
 今後の大きな宿題として受けとめさせていただきたいし、これからも改善すべき点は率直にどんどん改善をしていかなければいけない、かように考えているところであります。
#212
○旭道山委員 大臣の前向きな答弁で、本当にそういう不公平がなくなるようによろしくお願いします。
 この前、アメリカのクリントン大統領が言った言葉がありまして、ちょっと述べさせてもらいます。アメリカでは、本年一月のクリントン大統領の一般教書演説で、大統領は次のように提言しています。
 私は、ふさわしい学生には無償の奨学金を与える二十二万人対象の新ベル奨学金の設立を提案し、議会に承認していただいた。
 学生ローンについては、既に金利が下がり、返済しやすくなっているが、新たにこの金利分を控除することにする。米国全土の家庭は、これからは預金を、無税の新たな教育IRA(個人退職預
金口座)に回すことができる。
 また、ことしからは、大学生を持つ家庭は、入学後最初の二年間、千五百ドルの税額控除を受けることになるだろう。これはコミュニティーカレッジの大半の授業料を賄うホープ奨学金のことである。また、大学三年と四年、大学院生並びに職業訓練生向けには生涯学習融資がある。
 さらに、私は、この演説に耳を傾けておられるすべての家庭の皆さんに伝えたいことがある。お子さんたちは大学へ行けます。もし貧しい家庭の子供を御存じなら、あきらめないで、大学に行けるよと言ってほしい。もし借金で首が回らず、子供を大学に上げられないと心配している若夫婦を御存じなら、あきらめないで、大学には行けますよと伝えてほしい。どん底の仕事から抜け出せず、これからの人生のためにもつとよい仕事を得るために必要な授業を受けられないと恐れている人を御存じなら、あきらめないで、大学には行けますよと言ってほしい。
 大学を二十一世紀には、現在のハイスクール同様、普遍的なもの、身近なものにすることができる。それは、アメリカの顔、その将来を変えることになるだろうと述べています。
 アメリカは、世界一の教育大国を目指し、アメリカを担っていく若い人材を育成するために前進しようとしています。同じように、日本の将来を担っていく世代のためにも、教育の機会を拡大し、支援していく姿こそが重要なことであると考えていますし、それは文部大臣としての使命ではないかと思います。それがひいては日本の発展につながると確信いたします。
 もしよろしければ、答弁をよろしくお願いします。
#213
○町村国務大臣 日本は伝統的に教育を大切にしてきた国だ、こう思っておりますし、また国民の皆さん方の教育に対する大変な熱意というものもあります。
 しかし最近、ややもすると、学歴という方にばかりこの教育の熱意がいささか向き過ぎているのかなという感じもしておりまして、むしろそうではなくて、生涯を通じて、学びたいときにだれでもいつでも学べる、そういう生涯学習ということを今私どもは訴えているわけでございます。
 そういう形で、しかもそれが、経済的困難によって学びたいという意欲が摘み取られることがあってはならないということを踏まえながら、私どもさらに、委員の先ほどの御指摘も踏まえながら、奨学金制度のより一層の改善に努力をしてまいりたいと考えております。
#214
○旭道山委員 もう時間が来ましたので、最後に、重ねて奨学金制度の思い切った拡大を強く要望します。
 大臣の本当に前向きな今の答弁、ありがとうございます。これから日本を担っていくのはやはり教育だと思います。そのためにもやはり大臣というのはそれだけ重要なポストでもあります。また、大臣も体にお気をつけて、本当によろしくお願いします。きょうはどうもありがとうございました。
#215
○高橋委員長 次に、松浪健四郎君。
#216
○松浪委員 自由党の松浪健四郎でございます。
 日本育英会法の一部を改正する法律案について御質問をさせていただく前に、暗い話ばかりがこの文教委員会で論じられてきたような気がいたしますけれども、けさほどの読売新聞の関西版に心打たれる記事がございました。この記事を御紹介させていただき、そして大臣の御所見をいただければと思います。
  書きかけの卒業論文を残して、帝塚山学院大の女子大生が昨年十二月、がんで亡くなった。残り少ない命の中で卒業を強く望んでいた彼女のために、ボーイフレンドが論文を仕上げ、同級生らも後押し。大学は特例を認め、二十日の式で母親に卒業証書が手渡されることになった。
 この大学の大谷晃一学長は卒業式でこう述べられるそうであります。大病に負けず、最後まで授業に出た美樹さんのために、この女子大生の名前は髭美樹さん、最後まで授業に出た美樹さんのために、大学は温かい心で規則を破った。彼女の分まで卒業生は生きてほしいとはなむけの言葉を贈るそうであります。
 中央教育審議会の中間答申案で、豊かな心を持った子供をつくろう、このように言われているわけでございますけれども、教育者自身のこのような広い心、そして価値観というものがどこにあるのか。私は、やはり教育の場は美しい心、豊かな心、ここにあるような気がしてこの新聞を紹介させていただいたわけであります。
 「天国のあなたに贈ります」このように見出しで書かれてありますけれども、このような特例で卒業式が行われる。かつて大学の教壇に立っておりました一人として、ほのぼのとした話題である、私はこのように思いますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#217
○町村国務大臣 私も最近、ナイフの話ばかりが何か文部大臣の仕事のような感じがしておりました折でございますから、松浪委員の今のお話、私も大変すばらしいお話だなと思って承らせていただきました。そういう柔軟さと優しさ、温かさ、それは大学であろうと小中学校であろうと変わることのない本来の学校のあるべき姿を指し示していただいた、かように思っておりますし、そういうすばらしいお話を御紹介いただいた松浪委員に心から感謝を申し上げます。
#218
○松浪委員 どうもありがとうございました。
 これからは高等教育局長並びに体育局長に御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、育英会法の一部を改正する法律案についてでございますけれども、実は、私は五年間日本育英会から奨学金を受けて、そして大学の教壇に立ち、返還を免除された経験を持つ者であります。したがいまして、今回の法律改正は、自分は免除されたけれども、これから教職につかれる人が免除されなくなる。自分たちだけがいい思いをして、これから教職につく人たちが返還をしなければならない。私自身からしますとちょっとぐあい悪い法律改正だなというふうな気がするわけであります。
 いずれにしましても、この制度は人材確保策としても有用なものでありました。私は、大学院を出てから四年間浪人することになりました。毎年返還猶予願というものを提出する必要がありまして、四年間待っていただき、そして努力しなければ研究職あるいは教員職につけないのだということで努力をしたことを思い起こしますけれども、教員や研究職につくことによって返還が免除されるということは、その道を志す若い人からすれば努力目標としてこの制度があったのではないのかというふうな気がするわけですが、とりあえず、この制度を廃止されるその理由についてお伺いしたいと思います。
#219
○佐々木政府委員 教育職の返還免除制度は、戦前の師範学校の給費制度を戦後日本育英会の返還免除制度として引き継いだものでございます。学校教育分野に優秀な人材を確保する上でこれまで重要な役割を果たしてきたというふうに考えているところでございます。
 しかしながら、その一方で、例えば近年の公立学校教員の採用状況を見ますと、採用選考試験の競争倍率というものは非常に高くなっており、教職を希望しながら教員に採用されないという方も非常にふえておるわけでございます。
 また、教員給与も人材確保法を通じまして一般の公務員と比較して優遇される、そういう状況になっております。そういう意味で、奨学金の返還免除が教員の人材確保を図る上で果たす役割というのは薄れてきておるということは否めないだろうと思います。そういった観点から、これまでその見直しが指摘されてきたところでございます。
 そのような状況を踏まえ、育英会の奨学金が本来貸与制であることも考慮いたしまして、厳しい財政状況の中で奨学金に充てる資金の効率的運用を図る必要があることから、今回、大学学部等の返還免除制度を廃止をすることとし御審議をお願いしているところでございます。
#220
○松浪委員 今回の制度改正の趣旨は、育英奨学
事業の充実のため、資金の効率的運用を図るというものなんですけれども、その一方で、本来の回収がちゃんとできていない状況がある。先ほどの御説明ですと、どうも毎年二百二十四億円の未納金があるというふうにお聞きしているわけであります。
 私は、なぜそんな未納金が出るのだろうかと不思議に思うわけであります。と申しますのは、奨学生手帳の中の「奨学金貸与の条件」この第十一の項目を読みますと、
  連帯保証人は、本人と連帯して弁済の責を負
 うものとする。借用証書に署名する保証人は、
 本会が本人及び連帯保証人の所在を調査しても
 知ることができないとき、また本人及び連帯保
 証人が返還を履行できないとき、本人に代って
 弁済の責を負うものとする。つまり、保証人がいて、連帯保証人がいる、そして本人がいるわけであります。
 本人が死亡した場合は免除されるわけですけれども、保証人と連帯保証人がいながら、なおかつ年間二百二十四億円の未納金があるというのは、もしかしたらば真剣に回収するという作業を積極的に行っていないのではないのかという疑念が私にございますけれども、そのことについてお尋ねしたいと思います。
#221
○佐々木政府委員 御指摘のとおり、平成八年度末の滞納額は約二百二十四億円となっております。滞納者につきましては、日本育英会といたしましてもあとう限りの努力をしておるところでございます。
 幾つか御紹介させていただきたいと思いますが、何といっても返還者の意識というものを徹底する必要があるわけでございます。これにつきましては、従来から返還の重要性というものの周知徹底を図り、また返還説明会の開催なども行っておったわけでございますが、新たに出願説明会で返還についての説明を開始する、あるいは返還説明会用のビデオを作成するというふうな工夫もいたしております。また、当該学生の属する学校に対しましては滞納率の通知等も発して、学生に対する返還意識を学校サイドから高める努力もしておるところでございます。
 また、返還の方法でございますけれども、従来はボーナス時等の年賦払いであったわけで、一回にまとまった支払いをする、返還をするということから滞納につながりやすいという側面もございましたので、口座振替による月賦払いを主な返還方法にするということで、平成十年三月に貸与を終了する者全員にこの手続等の改定を行っておるところでございます。
 三点目といたしましては、滞納者あるいは連帯保証人等に対する早期督促体制でございます。従前は、連帯保証人に対する督促は二年以上滞納した場合に行っておったわけでございますけれども、これを一年で督促をするということといたしております。また、三年未満の滞納者に対しては督促状を送付していただけでございましたけれども、六カ月以上滞納した場合には速やかに電話で督促をするということで、早期の督促体制というものを整えたというふうなこともございます。
 また、育英会の組織といたしましても、請求を担当している課や係の体制を見直して、直接請求を行う要員の確保を図る、その意味での事務処理体制の整備も行っておるところでございまして、貸与制の趣旨に沿って返還金が確実に回収されるよう、育英会としても引き続き努力はしてまいりますし、文部省としても、育英会に対しさらに強く指導をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#222
○松浪委員 この日本育英会法の一部を改正する法律案が通ったとすれば、どれだけのお金が余ってくるのか、ちょっと教えていただけますか。おおよそで結構です。
#223
○佐々木政府委員 育英会への返還は、大学を卒業後返還を行っていくことになりますので、平成二十八年に大体全額、トータルが見えてまいるわけでございますが、トータルでは百十億円という数字でございます。
#224
○松浪委員 この改正する法律案を見せていただいたとき、私は、年間二百二十四億円取ることができない、だからどこかで損失を補てんするためにお金を取ってこなければいけない、そこでこのように改正されるのかというふうな疑問を持っておりましたけれども、るる御説明を聞いていて、やむを得ない事情にあるということを理解するものですが、いずれにしましても、奨学金は借りた金である。返すのは当然でございます。滞納している者に対しては厳しく制裁を加える、あるいは必要な催促をして回収する、この努力をお願いしておきたい、こういうふうに思います。
 加えて、奨学金をいただいたけれども、不幸にして途中で亡くなられるという人がかなりいらっしゃろうかと思うのですが、それは何人ぐらいいらっしゃるか、おわかりになりますか。
#225
○佐々木政府委員 今、ちょっとそれについてのデータが手元にございませんが、亡くなった場合には返還免除制度が適用されるということになります。
#226
○松浪委員 そこで、私たちはいろいろなところでお金を借りるのですけれども、その際、生命保険を掛ける、そして亡くなったときにその保険でという形になっております。私は、この奨学金を借りるときにも、余りいい制度ではないかもしれませんけれども、そのお金を次の多くの人たちにまた借りていただくという視点からすれば、生命保険を掛けるという発想があってもいいのではないのかという気がしているのですが、局長、いかがですか。
#227
○佐々木政府委員 一般的に申しまして、返還途中に不幸にしてお亡くなりになるというケースがそれほど多いというふうには考えられないところでございます。また、学生が奨学金を借りる場合には学業基準と家計基準によるわけでございまして、経済的な困難性ということに着目して奨学金の貸与が行われるわけでございます。
 その際、加えて生命保険の掛金を負担するというようなことが妥当かどうかということについても、この問題は考えなければならないと思っておるところでございまして、一つの御提案として受けとめてまいりたいと思っております。
#228
○松浪委員 今回の返還免除制度の改正が、取りやすいところから取るという批判を受けないためにも、滞納となっている分をしっかり回収するよう努力されることを切望いたします。
 つきましては、ちょっと不安になっているといいますか、気になっていることがございます。大学の学生の貸与率というのは、国公立、私立合わせて一〇%から一二%の平均でずっと推移してきているわけですけれども、大学院にありましては、昭和五十九年度の修士課程で三五・三%がピークであり、現在は二四・四%。そして、ドクターコースにありましては、五十九年度の六五・七%がピークであり、現在は四八・七%、マイナス一七%貸与率が落ちてきております。
 このことは、学生の数がふえてきている、これはよくわかるわけですけれども、少なくとも大学院で高等教育の研究をする上において、書籍あるいはフィールドワーク等で大変なお金がかかる。研究にはお金がかかるわけですが、借りる率が、この貸与率が落ちてきているということは、数がふえてきたから落ちてきているというふうに理解してよろしいですか。
#229
○佐々木政府委員 近時、貸与人員の増加につきましては、主として大学院の博士課程及び修士課程を中心に増員を図っておるところでございます。それにもかかわらず、博士課程について貸与率が落ちた。その原因といたしましては、大学院博士課程の拡充によるものというふうに考えておるところでございます。
#230
○松浪委員 このパーセンテージを高めるように、またこの改正が寄与できるように願うものであります。いずれにいたしましても、研究にはお金がかかる。この育英会法の一部改正が役立つよう願ってやまないものであります。
 話を変えまして、今度は体育局長にお尋ねしたいと思います。
 昨今、子供の体力が落ちてきた、これはもはや初等教育機関でのまくら言葉にもなっておりますけれども、なぜ子供の体力が落ちてきたのか。私は、このことは大変大きな問題であるというふうに認識する一人であります。と申しますのは、衆議院議員四百九十九名のうち、体育学士の称号を持つのは私一人だけでございますので、私はその視点から杞憂の念を持つものでありますが、体力テストの見直しが初めて行われる。そこで、懸垂と逆上がりが体力テストからなくなってしまう。これは九八年度に試行し、九九年度に導入しようということでありますけれども、局長、その理由をお尋ねします。
#231
○工藤政府委員 体力・運動能力調査につきましては随分古くからやってございまして、特に小学校段階のものは昭和三十九年からでございます。これまで毎年のテストで累積のデータはあるわけでございますけれども、御承知のように三十九年でございますから、随分前からのものがそのまま使われていいのかどうか、専門家の方々のお知恵をいただいて見直しをいたしました。その結果、ある程度の年齢段階のくくりでございますとか、テストの内容でございますとかいうことにつきまして、試行しながら現代的なものに改めていこうということでございます。
#232
○松浪委員 近代的なものに改めていくということですけれども、懸垂や逆上がりが姿を消すのは、子供たちは一回もできないから、もはやテストをする必要がないということなんですね。
 文部大臣、我が国の子供は鉄棒で懸垂ができない、逆上がりができない、だから体力テストからそれをやめるというのです。このことについてちょっと所見をお伺いできますか。
#233
○町村国務大臣 私も小さいころからやや体重がオーバーぎみでありまして、率直に言うと余り懸垂は得意ではございませんでしたが、上手な方もたくさんいたのを覚えております。
 今、種目を入れかえるというようなお話で、私も先般ちょっとその話を聞きました。率直に言って不思議だなと思ったわけでございますが、皆さんがある意味ではよりやりやすい種目に変えるということならば、それもやむを得ないのかなと思ったりもいたしました。
 ただ、だからといって懸垂に必要な、逆上がりに必要な筋肉を鍛えなくていいとか、そういうことではないので、やはり人間としてバランスのいい、健康を保つための体じゅうのバランスのとれた筋肉の発達とでもいいましょうか、そういうものが必要であることは、別に入れかわったからといって変わるものではないのだろう、かように受けとめております。
#234
○松浪委員 大臣の答弁のとおりであると言えるわけですけれども、専門家の立場からしますと、懸垂というのは自分の力で自分の体を支える、逆上がりは自分の力で自分の体をコントロールする。自分の体を自分でコントロールできない者は、自分の心を自分でコントロールできなくなる。プッツンする、キした、このような言葉が新聞紙上を躍らせておりますけれども、その前に、我が国の子供は自分の体をコントロールできないでいるということを忘れてはならない、私はこのように思うわけであります。そして、そのことに対して初等教育機関の先生方は何の疑問も持たれていない。
 御案内のように、昨今、初等教育機関におきましては、先生の比率は女性の先生が増加してまいりました。喜ばしいことであります。しかしながら、体育の授業がある。そして学習指導要領というものがある。果たして女性の先生方がきちんとこの学習指導要領にのっとって体育を指導することができるだろうか。私は、難しい一面があるのではないのか。そして、体育という科目は、芸術、いわゆる美術、音楽、これらと同じように小学校においても専科教員を置かないことにはきちんとした体育の指導ができないのではないのかというふうに痛感しております。
 そこで、文部省からいただいた資料によりますと、現在、小学校の体育の専科教員がどれぐらいいるのか。小学校ですが、全教員数四十一万三百七十四人のうち、体育の専科教員は全国でわずか八百名であります。比率からすれば〇・二%にしかすぎません。子供がきちんとした体育の授業を学習指導要領にのっとって受けることができないでいるということに、私は大変な危機感を持っておりますし、昨今のナイフ等の殺傷事件、暴力事件、あるいは薬物によるような事件等は、きちんとした身体教育が初等教育機関の中で行われていないところに起因するのではないのか、このように思うものであります。
 そこで、小学校の体育の専科教員を本気になってふやさなければならない、私はそのように考えるわけですけれども、文部大臣に所見をお尋ねしたいと思います。
#235
○工藤政府委員 やや細かいことになりますので、私の方から御答弁させていただきます。
 御承知のように、小学校の教科の御指導は、小学校段階では、一人の先生が、器用にと言っては語弊があるかもしれませんが、すべての教科を一応担任するということになっているわけでございますが、そうはいいましても、美術でございますとか図工でございますとか、先生御指摘の体育のような部分については、一部専科教員という制度をとっているわけでございます。
 八百人、約〇・二%という数字が多いか少ないかというのはございますけれども、日ごろ専科教員でなくてもいろいろ御指導いただいている部分があるわけでございますし、また、既に御承知のように、外部の指導者の方を学校にお迎えして教えていただく、御指導いただくという制度も、特別非常勤講師制度あるいは特別免許状制度という形であるわけでございます。
 そういう制度も活用しながら、しかも子供たちの体力、運動能力の低下というのはゆゆしいお話でございますし、また、先生が御提案議員となっていらっしゃって、もっと地域のスポーツの振興を図ろうじゃないかといろいろ御心配、御支援いただいておるわけでございますけれども、子供たちのこれからの体力、運動能力の向上を考えますと、単に学校だけではなくて地域におけるスポーツ環境の充実も含めまして、私ども、今後とも努力してまいりたいと思っております。
#236
○松浪委員 いずれにいたしましても、小学校の体育の専科教員をふやす、そういう方向で努力をしていただきたいと要望しておきます。
 と申しますのは、先生がすばらしい演技を見せてくれた、技術を見せてくれた、これが一つの感動となって、子供たちの大きな動機づけとなります。この動機づけがきちんとできないから、懸垂ができない、逆上がりができない子供たちが当たり前になってしまった。このことを私は大変残念に思いますし、やはり知識だけではなくて体力というものも極めて大切であるということを、これは文部省の皆さん方は十分御認識であろうかと思うわけです。
 そこで、学習指導要領における保健体育の内容等を見ますと、一年生から六年生まで、この指導要領の中にゲームという項目はあるのですが、格闘技が一つも入っていない。わかりやすく言えば、今の日本の小学校では相撲をとらない、とらなくても構わないというふうになっております。つまり、小さいときから子供たちが暴れっこする、もちろん鬼ごっこは入っておりますけれども、体と体を接して遊ぶというような種目は体育の授業ではないのです。
 つまり、このスポーツ、これをやらないと、友達がどれだけの体力があるのか、強さがあるのか、技術があるのか、これを理解することはできない。また、自分はどういうことができるのか、どの程度の力があるのか、能力があるのか、これもわからない。常に友達と距離を置いてつき合わなければならない、そういうふうな学園生活になっております。
 体育の授業の中で、体と体がきちんと接するようなスポーツ種目、一言で言うならば、相撲をなぜ入れないのか。昔はその必要はなかったかもしれません。なぜならば、家に帰ればたくさんの兄
弟がいた。だから兄弟で相撲ごっこをしておれば済んだわけですが、現在は子供の数がうんと少なくなってきた。一人の女性が産んでくれる子供の数はわずか一・四三人であります。東京都においてはわずか一・一というふうな数字もございますから、生涯、日本人でありながら相撲をとらないで終わってしまうということになってしまう。
 今、いろんな器具がありまして、体育館の中でも相撲をとろうと思えばとることができる、そういう簡便な土俵も売られているわけですけれども、なぜ指導要領の中に国技とうたわれる相撲を、肌と肌を接するスポーツをきちんと明示しないのか。もしかしたならば女性の先生方が多いから相撲を入れることができないのか。
 これはお聞きするまでもありませんけれども、私の方から、相撲をきちんと学習指導要領に入れていただきたい、このようにお願いするわけでございますが、体育局長、いかがでしょうか。
#237
○工藤政府委員 あるいは事前に先生にお届けした私どもの資料が必ずしも十分でなかったかもしれませんが、御承知のように、学習指導要領は、教科といいましょうか学校でのカリキュラムの大綱を定めてございまして、その中で、小学校低学年、中学年につきましての体育の枠組みにつきましては、大きく二つ、つまり、先ほど先生がおっしゃいましたゲームというほかに基本の運動というカテゴリーがございます。
 その基本の運動の中で、力試しの運動あるいは器械・器具を使っての運動、走る、跳ぶの運動とかいろいろあるわけでございますが、そういう運動を子供の発達段階に応じていろいろやっていきましょうというのが学習指導要領の趣旨でございまして、それを幾らかかみ砕いたものにそれぞれの教科の指導書というのがございます。
 指導書の中で、各学校にかみ砕いてお話ししておりますのは、今申し上げました基本の運動の中での力試しの運動というカテゴリーがありますけれども、そこの中で、小学校の低学年について申し上げますと、第一学年、第二学年での力試しの運動の例といたしましては、人や物を腕や体で力いっぱい押したり引いたりして力試しをする、その例としまして、例えば片足相撲といいましょうか、けんけんしながら押し合いするような「片足ずもう」という例も一つ出しているわけでございます。中学年の例では、相撲の関係で申しますと、「押し合いずもう」という例示がございます。また高学年、五、六年の学年については、「押し、突き、寄りを用いてのすもう」という例示がございまして、相撲に類似した運動は推奨しているところでございます。
#238
○松浪委員 日本人が相撲をとらずに類似した相撲しかとれない、これでは日本人ではない。
 きのう、私はモンゴルの大使とお話をしておりました。大使は馬に乗れるのですか、このようにお聞きしますと、代議士、それは失礼です、私はモンゴル人ですから馬に乗れるのは当たり前ですし、ボフという蒙古相撲にも興じます、こう言われました。あなたは日本人ですか、日本人です、相撲をとられますか、いいえ、押し相撲だけです、これでは日本人とは言いがたい、こういうふうに思いますし、私たち日本人が日本の身体文化を初等教育機関で理解しないというのは甚だ残念であるというふうに言わせていただきます。
 次に、小学校三年生、四年生では、ポートボール、ラインサッカー、ハンドベースボールというものを球技として行います。このハンドベースボールというのは何かと申しますと、自分の腕を伸ばして、これをバットがわりにして野球をする。大きなボールでやるわけですが、これが初めて野球あるいはソフトボールらしいものに接する最初のスポーツであります。
 我が国がなぜこれだけ高度経済成長をなし得たのかといえば、実は日本人の手の器用さ、手の文化がもたらした遺産であります。大きな物をこの器用さで小さく加工し、そしてそれを諸外国に売ることによって、この国が栄えてまいりました。手の文化の国でありました。
 ということは、ゲームの中にも手の器用さをうたう、その象徴的なものが実はこの国では野球でありました。これを早くからやらせることによって、機転がきいたり、あるいはいろんな運動神経を助長させることができるし、器用さをも、チームワークをも身につけることができる。日本人にかなったスポーツだというふうに認識しておりますけれども、きちんとした野球、それを教える前のソフトボール、そして安全なそういったソフトボールに類似したゲーム、これが今世界的に、また我が国でも盛んに行われております。
 それはティーボールと言われるゲームでありますけれども、このティーボールは室内でもできる、それぐらい安全なボールゲームでありますし、柔らかいボールを使っております。私は、小学校三年生、四年生の中で、このハンドベースボールと同時にティーボールの導入を考え、早く男性も女生徒もこれらのゲームに親しむような計らいをしていただきたいというお願いでございますが、局長、いかがでしょうか。
#239
○工藤政府委員 先ほどの御答弁にちょっと補足いたしますと、相撲を全く取り上げていないということではございませんで、学校での正規の体育の授業といいますと、個に応じた教育でございますから、学校のそれぞれの工夫でいろいろな教育活動ができるわけでございますけれども、少なくとも小学校段階、低学年から高学年にかけては結構発育の状況等にも個人差が多うございます。
 そういう中で、ばらばらに行うという部分もございますけれども、ある程度、それぞれの発達の程度に合わせたカリキュラムはどうあったらいいかということで先はどのような指導書の体系になっているわけでございまして、御承知のように、少年少女相撲大会というのも、学校単位ではございませんけれども、全国レベルで毎年開かれているような状況もございますし、小学校段階での相撲ファンも大変多いわけでございます。
 それから、今お話にありました、手の器用さを培うためにもソフトボールやティーボールをというお話でございます。これも、小学校段階でどういうスポーツ種目をやっていただくか、それはそれぞれの学校での工夫でございますけれども、小学校段階でございますと、ある程度発達段階を考えます。
 ソフトボールあるいはティーボールについて申し上げますと、打つとかとるとか、あるいはソフトボールの場合には投げるとかということも含めて、ほかの種目に比べますと比較的高度な技能が要求される種目でございまして、今のところは、ソフトボールについては高学年の位置づけになっているわけでございます。
 ティーボールも、アメリカを中心に随分盛んであるということは承知しておるわけでございますが、いろいろなスポーツ種目については、私どももいろいろな機会に御紹介しながら、その普及の度合いに応じて、各学校でどうお取り上げになるか、あるいは地域のスポーツクラブ等でどうお取り上げいただくか、私どももその後押しをしてまいりたいと思っております。
#240
○松浪委員 指導要領の中に入れることができなければ、少なくとも指導書の中に入れていただいて、そして、国際的に広がっている種目、これらを児童に親しんでもらう、そして日本人が器用さを保つ、そして将来にわたって野球を愛する国民をつくっていただきたいというお願いをしておきます。器用さを培うということは非常に大切であるということをもあわせて認識していただければありがたい、こういうふうに思います。
 いろいろと申しましたけれども、私は、時間が参りましたので、きょうの質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#241
○高橋委員長 次に、石井郁子さん。
#242
○石井(郁)委員 育英会奨学金の拡充が緊急に必要であることは、これまでの議論でもいろいろ示されたところでございます。とりわけ地方から都市部の大学へ子供を進学させております家庭にとりましては、奨学金を受けられるかどうかというのは、もうせっぱ詰まった問題になっていると私たち思います。
 読売新聞の「最近教育費事情」、この連載では、「年収の半分一挙に消える」、こういう見出しで、子供三人を大学に進学させた会社員の例が紹介されておりました。
 奨学金の充実とともに高学費の抑制が切実に求められているのです。ところが、文部省は九九年度の国立大学の授業料値上げに同意しまして、在学中にも授業料値上げができるスライド制導入まで踏み切ろうとしています。これは大変重大な問題ですので、まず授業料値上げについてお聞きをいたします。
 財政構造改革法の審議の際に、私は高学費に拍車をかけるものではないかと繰り返し質問いたしました。町村文部大臣からは、なかなかそれはお認めになっていただけなくて、学費のあり方については大学審に諮問すると答弁をされたと思います。ところが、この審議の直後にこのスライド制導入、授業料値上げの予算案が出されたわけであります。文部省はこれについて、当委員会での説明は今まで一切ございません。
 大臣に伺います。
 なぜ、国立大学授業料へのスライド制導入なんでしょうか、お聞かせください。
#243
○町村国務大臣 国立大学の授業料につきましては、従来から、教育の機会の均等という理念を踏まえながら、いろいろな社会経済情勢の変化、所得の上昇、あるいは物価情勢等を勘案しながら、適宜改定を行ってきたところでございます。
 今回の国立大学の平成十一年度入学者の授業料につきましては、消費者物価動向を勘案しながら、上昇率も極めて低い状態でございますから、年額九千六百円の改定を決めさせていただいたところでございます。改定額は、前回は二万一千六百円ということでございましたので、額において半分以下、改定率も二%と戦後最低の引き上げ幅というようなことにいたしました。
 こうしたことを踏まえまして、平成十一年度からの入学者については、在学中に仮に授業料改定が行われる場合には、それらの在学生にも新しい授業料を適用するというスライド制を導入をしようということを決めさせていただきました。
 ただ、委員が御心配のように、今国立大学と私立大学の入学料の差というのが、かつては数倍ありました。今は二倍を切って、平成九年度の水準で大体一・六倍という状態になってまいりました。一体どこまでこの水準を考えたらいいのかということについては、なかなか難しいところもあります。極端な議論でいえば、一対一でいいじゃないかという議論もありますし、いやいや、そうではないという議論ももちろんあります。
 そんなこともあるものですので、先ほど石井委員お話しをいただいたようなことで、今、大学審議会の中で少しく専門家の方々にも集まっていただいて、そこで集中的な大学におきます授業料のあり方、水準についても目下鋭意議論をしていただいており、近々中間的なお取りまとめをいただく、このように聞いております。
#244
○石井(郁)委員 学費の負担が今でも相当に重い、これはもう言うまでもありません。
 学生は、今、学費値下げを求める請願署名をしておりますけれども、総数で二十二万を超えたというふうに私たち聞いています。この署名には、大学入試会場、合格発表の会場などではもう行列ができるほどです。
 ところが、今御説明いただきましたそのスライド制ですけれども、九九年度以降も授業料の値上げを繰り返していくということの宣言になるかと思うのですね。だから、これからずっと授業料がどうなっていくのかという点では、学生と父母の皆さん、家庭の大きな不安があるわけでございます。今の御説明でも、やはり際限なく授業料の値上げを続けるということになると思うのですよね。
 私立大学では、学費が高くなり過ぎて、スライド制というのを廃止したり、授業料値下げに踏み切った大学もあるわけです。ですから私は、まずこの点でも、スライド制の導入は今からでも撤回すべきだということをまず主張したいと思うのてすが、文部省の方では値上げの幅を小さくしたということが強調されています。
 では、ちょっと伺いますが、九九年度程度の値上げ幅がいわば隔年で続いていくということになりますと、どうなっていくのでしょうか。私の計算では、今年度の入学生の授業料、四十七万八千八百円ですね。三年時には四十八万八千四百円、大学院入学時には四十九万八千円、博士課程で五十万七千六百円、博士課程を順調にいって、最終年度で五十一万七千二百円、だから、合計四百四十六万二千八百円もの授業料負担が必要となるというふうに思われるわけです。これは学生と父母へもう大変な負担を押しつけるものだというふうに思います。
 一方で、授業料の収入総額はどうなるのか。八〇年代以降の授業料改定の中で最も値上げ幅が大きかったのが、八七年度の四万八千円と思います。このときの授業料値上げによる増収額は幾らになっているでしょうか。ちょっとお聞かせください。
    〔委員長退席、河村(建)委員長代理着席〕
#245
○佐々木政府委員 昭和六十二年度の授業料でございますけれども、年額四万八千円の改定でございますが、その際の増収額は、単年度で約五十一億円でございます。
#246
○石井(郁)委員 五十一億円という額が示されましたけれども、スライド制によって、全学年の授業料が、九九年度と同じく九千六百円値上げされた、そういうときの増収額がどうなるかを計算してみたのです。
 九七年度の学生数で見ましたら、四年制の大学だけで六十八億六千六百三十万四千円です。この大幅値上げのときの増収額をはるかに上回っているのじゃないでしょうか。そういう増収がやはり保障される、これがスライド制だというふうに理解できるわけです。ですから、学費負担が重いということを認めた上で、その学費収入を確実にこれまで以上に獲得するというやり方、これはもう学費収奪だと言ってもいいやり方だと言わなければならないと思います。
 それで、国立学校特別会計の一般会計からの繰入率というのは、七〇年度には八三%を超えていました。ところが、九八年度予算では過去最低で、五八%まで落ちているわけです。ですから、やはりこのことを見直して授業料の値下げを行うべきだ、このことを私はやはり繰り返し指摘をしたいというふうに思います。
 さて、そこで次に、奨学金の問題に移らせていただきますけれども、この学費が高いという指摘の中で、大臣の方は、奨学金制度の充実を図りたいという御答弁もされてきたところでございますけれども、今回の改正法案の内容は、やはり奨学金制度の充実を図るというようなものではないと言わなければなりません。これは、教育職への返還免除制度を大幅に縮小するという内容を持っているからでございます。
 そもそも返還免除制度は優秀な人材確保を目的としてとられてきた施策で、当文教委員会では、衆議院、参議院ともに、一九六一年、八四年の二回にわたって、この制度の拡充、堅持を求める附帯決議がつけられています。文部省も、この制度が有効であり、継続が必要という見解を示してきたはずでございます。
 それが、今回は、昨年六月の育英奨学事業の在り方に関する調査研究協力者会議報告が出されまして、これを受けての法改正ということですよね。私は、これは、こういう報告がつくられて、これが先にありきで、やはり国会審議を軽視するものではないのかというふうに言わざるを得ません。いかがでしょうか。
    〔河村(建)委員長代理退席、委員長着席〕
#247
○佐々木政府委員 教育職の返還免除制度が、学校教育の分野に優秀な人材を確保する上で、これまで重要な役割を果たしてきたということは、これは紛れもない事実でございます。
 しかしながら、近年の公立学校教員等の採用状況を見た場合に、非常に志願者が多く、教員として採用される者の割合、数というものが非常に少なくなっておるわけでございます。また、教員給与につきましても、人材確保法による改善によりまして、一般の公務員と比較して優遇されたものとなっておるわけでございます。
 このような諸般の状況を見ますと、奨学金の返還免除制度が教員の人材確保を図る上で果たす役割というのは薄れてきているということが言えようかと思うわけでございまして、その見直しについては、これまで再三、臨調以来指摘がなされているところでございます。
 今回、法改正をお願いしておりますのは、こういった状況を踏まえ、かつ奨学金が本来貸与制であることも考慮をし、厳しい財政状況の中で、育英奨学事業の充実を図るため資金の効率的運用を図る必要がある、そういう観点から、大学学部等の返還免除制度を廃止することといたしておるものでございます。
#248
○石井(郁)委員 その提出された経緯といいますか趣旨といいますか、そのことをお尋ねしたのじゃなくて、国会審議との関係で、政治的な判断として、これは大臣にぜひ御答弁いただきたかったのですが、そのことをお尋ねしたのですね。大臣、いかがでしょう。
#249
○町村国務大臣 私ども、いろいろな政策を決める際に、関係する方々あるいは専門家の声を幅広く聞きながら政策を決めていく、そして最終的には、予算なりあるいは法律改正なりという形で、当然のことではございますが、衆参両院の委員の皆様方に御審議をいただき、お決めをいただくということでありますから、そういう専門家の意見を聞いて物事を決めるのはいかぬと言われますと、なかなかこれは、文部行政は、もう執拗にというのはちょっと余りいい表現ではないですな、かなり丁寧にいろいろな審議会その他で各界の御意見を聞いて物事を決めるという意味では、極めて民主的な意思決定をとっている、こう思っておりますので、その手法がどうもいかぬと言われると、いささか返答に窮するわけでございまして、そこは民主的なプロセスを経て政策が決まるという意味でひとつ御了解をいただければと思っております。
#250
○石井(郁)委員 私は、もちろんそういう調査研究協力者会議、専門家の会議を否定するものではございませんけれども、しかし今、審議会のあり方とか、それから行政との関係だとかというのは厳しくいろいろ検討はされてしかるべきではないのかという点もありますので、これは指摘させていただきました。
 さて、教育職への返還免除制度は、極めてハードルの高い給費の奨学金制度だというふうに思うのですね。大学卒業から二年以内に教職につく。十五年間継続して勤務して初めて全額免除となるわけであります。これは大変な努力を要することだというふうに思います。私も、免除がある職に就職した者なんですけれども。
 ですから、このハードルを低くする。例えば返還免除職を広げる。研究職についても、学部や高等専門学校での貸与分を免除するなど、ハードルを低くすることこそ日本の奨学金制度に求められているのではないかというふうに私は考えるわけでございます。
 アメリカの例なども先ほど来るる出ておりますけれども、アメリカでは奨学金四兆円の予算で、学生の九割以上、千三百万人が受給しているわけであります。五百三十万人が給付です。イギリスでは、学生総数の七割が給費の奨学金を受けている。ドイツでは半額が給費です。フランスはすべて給費制。しかも、イギリス、ドイツ、フランスは、授業料徴収はないというわけであります。
 日本では、高い学費のもとで、育英会奨学生が学生数の約一割であります。欧米並みの奨学金制度こそ必要だというふうに思います。給費の奨学金、奨学生を大幅にふやす。これは、どうすればそういうことができるかということを今真剣に検討するときではないかというふうに思うのですけれども、この将来の方向についての御見解を伺っておきたいと思います。
#251
○町村国務大臣 きょう一日の御議論を通じまして、それぞれのお立場から、今の日本の奨学金のあり方について、その不十分さ、あるいは改善を要すべき点につきましての御指摘をいただきました。
 率直に言いまして、私も今の日本の奨学金の姿が決してこれで十分であるとは思っておりません。量的にもまた質的にも、さらに拡充強化を図っていきたいというふうに思っているところでありまして、ささやかではあるかもしれませんが、本年度の予算の中でも、大学院の貸与人員の増三千四百名とか、あるいは高校在学中に奨学金を予約する予約採用の増二千人、あるいは私立大学の貸与人員増千人、専修学校専門課程の貸与人員の増千六百人、こうした改善も図っているところでございます。
 ただ、絶対的な水準でいえば、委員御指摘のように、これで十分であると私どもも考えておりませんので、そもそも奨学金のあり方という根本的な考え方を見直してはどうかという貴重な御指摘も、きょう各委員からいただきました。そうしたことも含めて、さらに真剣にこの問題を考えていき、できるだけ早い機会にいい答えをつくらなければいけないな、こう思っているところであります。
#252
○石井(郁)委員 返還免除制度の拡充というのは、緊急の措置としても必要だというふうに思われます。研究職の場合、引き続き免除職ではありますけれども、指定された研究職のポストが少ないのです。なかなか就職できません。返還免除制度によりますと、卒業後二年、特例で五年以内に免除職につけないと適用されません。就職できず、収入も不安定であります。ところが、奨学金の返済は迫られるわけですね。
 この返済金額がまた非常に多額であります。修士課程の貸与だけでも二百万円でしょう。修士、博士課程とも貸与を受ければ六百万円ですね。学部でも貸与を受けていれば八百万から九百万に上るというわけです。こんなことなら奨学金を受けなければよかったという声さえ大学院生の間から寄せられています。
 私は、これでは人材育成どころか研究への意欲もそぐ、もう借金地獄に若き研究者を突き落とすようなものだと言わざるを得ません。大学の先生方に伺っても、大学に進みたいという希望はあっても、経済事情、そういう奨学金の事情等々で断念をする、有能な学生が断念することに本当に心痛むというお話をよく伺っています。
 文部省は、今、研究職を大変重視しているわけですから、あるいは大学院の養成を重視しているわけですから、本気でそういう人材育成しようということだったら、救済措置としても、就職期限の延長だとか、あるいは博士課程については給費とするだとか、あるいは学部の貸与分も免除の対象とするなど、いろいろな救済的な措置を考えるべきではないのかというふうに私は提案したいと思うのですけれども、そういう検討をする余地がおありかどうかということをぜひ伺いたいと思います。
#253
○佐々木政府委員 まず、免除職への就職期限でございますが、原則として卒業後一年以内に就職することとされ、本人の意思によらず就職できないような場合にはさらに一年以内で就職期限を延長できる、こういう扱いとなっておるところでございます。
 さらに特例といたしまして、大学などで研究を直接補助している者、外国の学校に在学し、または研究している者、日本学術振興会の特別研究員の場合については、卒業後五年間までの猶予が認められているところでございます。
 この就職期限を弾力化すること、あるいはその範囲を拡大することについては、免除職への人材誘導の効果というものについて十分考慮しながら、さらに必要な場合があるかどうか検討してまいりたいと考えておるところでございます。
 なお、博士課程に係る奨学金について、貸与制ではなくて給費制にしてはどうかというふうな御意見もあるということは承知はしておるわけでございますが、厳しい財政状況の中で、大学院の学生を中心に貸与人員の増を図っていくことが喫緊の課題であるというふうに現在考えておるところでございまして、貸与制のもとで人員の拡充及び貸与月額の増額についてさらに努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#254
○石井(郁)委員 大学院生の奨学金の貸与の額というのは本当に大きなものでございますから、私は何とかして救済の道を考えなければいけないと思うのですね。二年後に就職して免除される方と免除されない方とでこの開きというのはどう表現していいかわからない、天と地の差ほどあるわけでしょう。これは院生自身だってこんな不合理なことはないと思っているのですね。だから、何とかここら辺は知恵を尽くしていただきたいというふうに思います。
 次の問題ですけれども、返還免除を縮小して回収額をふやすということですが、奨学生の採用数の増に直結するのかという疑問もあるわけでございます。無利子の第一種奨学金の事業費に占める政府貸付金の割合の推移はどうなっているでしょうか。お示しいただきたいと思います。
#255
○佐々木政府委員 無利子の奨学金に占める貸付金の割合でございますが、平成元年度が五五・七%、平成五年度が四八・八%、平成十年度が四四・四%と、次第に低下をしておるわけでございます。
 他方、貸付金の額は年々増加をいたしております。これは、返還回収金の増が貸付金の増を上回っていることから、無利子奨学金の事業費総額に占める貸付金の割合が減少している。その結果、先ほど申しましたような形でパーセンテージが低下をしておるということでございます。
#256
○石井(郁)委員 今数字をお示しいただきましたように、育英会の回収額がふえるにつれまして政府の貸付金の割合は減少しているということが如実にあらわれています。
 返還金から貸与に回した額は、八九年が約五百七十八億円、九八年が予定額で約千百十四億円で、五百三十六億円の増額なんですね。それに対して政府貸付金は約七百二十五億円から八百九十一億円で、わずか百六十六億円の増にすぎません。返還免除制度が縮小されて返還金が増加すれば、さらに政府の貸付金の割合が少なくなって、それどころか減額するのではないかという危惧の声も一部に聞かれるわけであります。
 奨学生の増加が必要だということが強調されておりますけれども、政府貸付金の割合を減らしたり減額するということはそのためにないということをお尋ねしておきたいと思います。
#257
○佐々木政府委員 御案内のように、一種奨学金の事業は政府からの貸付金と奨学卒業生からの返還金によって行われておるわけでございます。その両者を合わせた額が事業費総額として貸与事業に回るわけでございますが、平成元年度で申しますれば、事業費総額は一千三百二億円、平成五年度は千五百六十二億円、平成十年度は二千五億円となってございます。
 このように、政府貸付金の額を充実をすると同時に、その貸付額が多くなっております。それに伴いまして返還金もふえておる、そういう相互作用の中で事業費総額が年々増加が図られておるところでございまして、文部省といたしましても、引き続き貸付金の増に努めつつ、返還金の着実な回収を図る、それを通して事業費総額がさらに拡大するように努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
#258
○石井(郁)委員 経済大国日本と言われてきましたが、学費は最高、しかし奨学金は最低という水準というのは情けない限りでありまして、このままでいくと、二十一世紀の高等教育がどうなるのかという思いがいたすわけであります。教育予算は未来への投資ですから、抜本的な改革が必要だということを改めて申し上げまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#259
○高橋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#260
○高橋委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。田中眞紀子さん。
#261
○田中(眞)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、日本育英会法の一部を改正する法律案の賛成の討論をいたします。
 高等教育の規模の拡大が急速に進み、現在、大学への進学率は五〇%に迫っております。子を持つ親の教育費の負担を軽くする上でも、学生本人が借りて学生本人が返すという日本育英会の奨学金の重要性は高まってきております。
 また、学術研究の進展に対応した研究者養成や、社会、経済の変化に対応した高度な専門的職業人の養成のニーズも高まっており、大学院についての育英奨学事業の充実も求められております。
 このように、日本育英会の奨学金に対する期待は高まっており、今後とも、貸与人員の拡充や貸与月額の増額など、育英奨学事業のより一層の改善充実を図っていくことが急務となっております。
 日本育英会から貸与される奨学金は、原則として卒業後一定の期限内に返還することとされておりますが、特例として、大学、高等専門学校で貸与を受けた者が教育職についた場合に返還を免除できることといたしております。この返還免除制度は、戦前の師範学校の給費制度を引き継いだものであり、これまで、学校教育分野に優秀な人材を確保する上で大きな役割を果たしてきたところであります。
 しかしながら、近年の公立学校教員等の採用状況や、教員の給与が一般の公務員と比較して優遇されていることを考えると、さらに、これに加えて奨学金の返還免除まで行わなければ教員に人材を確保できないという状況ではなくなってきております。
 また、財政構造改革の推進が求められるなど、現下の厳しい財政状況の中で育英奨学事業の改善を図っていくためには、資金を効率的に運用する必要があり、返還免除の廃止により、返還金をふやし、将来の学生のための資金として使うことが不可欠となっております。
 今回の制度改正は、大学または高等専門学校において貸与を受けた奨学金について返還免除制度を平成十年四月入学者から廃止し、返還金を今後の育英奨学事業を充実するための資金として活用しようというものであり、まことに時宜にかなった適切なものであると信じます。
 この制度改正によって、今後、育英奨学事業がさらに改善充実されることを確信いたし、政府提出原案に賛成する次第であります。以上です。(拍手)
#262
○高橋委員長 次に、山原健二郎君。
#263
○山原委員 私は、日本共産党を代表して、日本育英会法の一部を改正する法律案に反対の討論を行うものです。
 反対の第一の理由は、教育職には優秀な人材の確保が引き続き必要であり、この目的で長年にわたりとられてきた返還免除制度を縮小することは、不合理きわまりないということであります。
 育英会奨学金の返還免除制度により、奨学金の全額または一部の返還が免除された者は、制度創設の一九五三年度から九三年度まで、約四十七万七千人に上り、人材確保の面で大きな役割を果たしてきました。
 本制度をめぐっては、拡充あるいは堅持を求める附帯決議が本委員会及び参議院の文教委員会において繰り返しなされ、文部省においてもその有効性を認めてきたところであります。
 不登校、いじめ、また不幸にして広がりを見せている子供たちの殺傷事件など、学校教育をめぐる状況は困難さを増しており、教職につく者を支援する意味でも返還免除制度は堅持すべきであります。
 本来、育英奨学事業は、給与で行われるべきであります。欧米諸国では、奨学金は給与が基本であり、奨学生の人員も日本をはるかに上回る規模となっております。
 しかるに我が国では、貸与制を基本とし、八四年には三%の利子をつけて返還するという有利子の奨学金を導入したのであります。その上に今回、事実上の給与であった返還免除を学部及び高等専門学校での奨学金について廃止するというのであります。まさに奨学金制度の後退に次ぐ後退であり、諸外国の流れにも逆行するものと言わなければなりません。
 教育基本法が言う教育の機会均等の確保の上からも、育英会奨学事業の量、質ともの拡充を強く要求しまして、反対討論を終わります。(拍手)
#264
○高橋委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#265
○高橋委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、日本育英会法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#266
○高橋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#267
○高橋委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、河村建夫君外五名から、自由民主党、民友連、平和・改革、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。富田茂之君。
#268
○富田委員 私は、自由民主党、民友連、平和・改革、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    日本育英会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、育英奨学事業の重要性にかんがみ、左記事項の実現に適切な措置を講ずるべきである。
 一 憲法、教育基本法の精神にのっとり、教育の機会均等の実現のため、育英奨学制度の拡充に努めること。
 二 育英奨学事業の予算の増額を確保し、貸与人員、貸与月額の拡充に努めるとともに、貸与金額・貸与方法の多様化についても検討すること。
 三 大学等への進学の希望を持つ者が安心して進学のための勉学に取り組めるよう予約採用に比重を置いた拡充を行うとともに、奨学生の選考については、経済的基準についてその収入限度額を大幅に引き上げるよう努めるとともに、学力基準の弾力化に努めること。
 四 奨学金受給者数の国公立と私立との格差の是正に努めること。
 五 研究者の養成・確保が、我が国が科学技術創造立国として存立するための最優先課題とされ、大学院に優秀な学生を確保するための経済的支援の充実が緊急の課題となっていることにかんがみ、大学院学生に対する育英奨学事業の一層の充実を図ること。
以上であります。
 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#269
○高橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#270
○高橋委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村文部大臣。
#271
○町村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#272
○高橋委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#273
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#274
○高橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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