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#1
第142回国会 外務委員会 第7号
平成十年四月十日(金曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 中馬 弘毅君
   理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君
   理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君
   理事 玄葉光一郎君 理事 松沢 成文君
   理事 東  祥三君
      柿澤 弘治君    河野 太郎君
      阪上 善秀君    櫻内 義雄君
      下地 幹郎君    田中 昭一君
      野呂田芳成君    宮本 一三君
      森  英介君    森田 健作君
      八代 英太君    島   聡君
      藤田 幸久君    丸谷 佳織君
      山中 Y子君    西田  猛君
      古堅 実吉君    松本 善明君
      伊藤  茂君    井上 一成君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 小渕 恵三君
 出席政府委員
        化学技術庁研究
        開発局長    青江  茂君
        外務大臣官房長 浦部 和好君
        外務大臣官房審
        議官      海老原 紳君
        外務省総合外交
        政策局軍備管理
        科学審議官   阿部 信泰君
        外務省総合外交
        政策局国際社会
        協力部長    上田 秀明君
        外務省アジア局
        長       阿南 惟茂君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   天江喜七郎君
        外務省条約局長 竹内 行夫君
 委員外の出席者
        外務大臣官房領
        事移住部長   内藤 昌平君
        大蔵省国際金融
        局開発機関課開
        発企画官    小口 一彦君
        外務委員会専門
        員       宮本 吉範君
    ―――――――――――――
四月三日
 インドネシア民主化支援に関する請願(保坂展
 人君紹介)(第一二〇七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子力の平和的利用における協力のための日本
 国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルラ
 ンド連合王国政府との間の協定の締結について
 承認を求めるの件(条約第五号)
 民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナ
 ダ政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政
 府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の
 間の協定の締結について承認を求めるの件(条
 約第七号)
     ――――◇―――――
#2
○中馬委員長 これより会議を開きます。
 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 本件に対する質疑は、去る一日に終局しております。
 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
#3
○松本(善)委員 私は、日本共産党を代表して、日英原子力協定に反対の討論を行います。
 本協定に基づいて使用済み核燃料の海外再処理委託が行われますが、反対理由の第一は、使用済み核燃料再処理によって大量の高レベル廃棄物が発生し、我が国における高レベル廃棄物の貯蔵量をますますふやすことになるからであります。しかも、高レベル廃棄物の処分技術いまだ確立されず、処分の展望は全くありません。このような現状で、無責任に高レベル廃棄物を生み出し続けることは許されません。
 第二に、使用済み核燃料再処理の海外委託を引き続き行うことは、我が国の進める核燃料リサイクル政策を推進することになるからであります。核燃料リサイクル政策は、九五年の「もんじゅ」事故、昨年の動燃東海再処理工場の事故でその危険性と破綻が明らかになりました。破綻が明らかになった政策を転換することなく推進することは許されません。
 第三に、核燃料リサイクルからの撤退が世界の趨勢になっているにもかかわらず、日本はこれに学ぼうとせず核燃料リサイクル政策に固執しているからであります。日本とともに高速増殖炉開発に最後まで残っていたフランスも、高速増殖炉開発から撤退をいたしました。日本でも、核燃料リサイクル政策の破綻がだれの目にも明らかになりつつあります。この核燃料リサイクル政策の抜本的な転換を求めて、討論を終わります。(拍手)
#4
○中馬委員長 これにて本件に対する討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#5
○中馬委員長 採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○中馬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#8
○中馬委員長 次に、民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナダ政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松沢成文君。
#9
○松沢委員 皆さん、おはようございます。民友連の松沢成文でございます。
 提案されております民生用国際宇宙基地協力協定の問題並びに国際情勢について、幾つか外務省当局にお伺いをしたいと思います。
 この協定は、新たにロシアがこの協定に加わることによって現行協定に所要の改定を加えたものであるということであります。この改定によって、単にロシアが加わったという理由による改定のほかに、例えば第二十二条ですか、刑事裁判権のように、現行協定で定められている内容とは基本的に異なる内容を盛り込んでいるということも特徴だと思います。
 そこで、お伺いしたいのですけれども、今回、宇宙基地内で犯罪が起きた場合のその被疑者の刑事裁判権が被疑者の帰属する国と改定された理由、及びそうした懸念が現行協定作成時には議論されなかったのか、ここは変わっているところなんですけれども、現行の協定が作成されたときはこの問題については議論されなかったのか、まず御説明を願いたいと思います。
#10
○阿部政府委員 今度の新しい協定で、刑事裁判権につきましては属人主義をとるということが決められたわけですが、これについては、宇宙飛行士の活動について当然ながら非常に高い関心が払われておるわけでございまして、その宇宙飛行士について、万が一の刑事事件を起こした場合にどこが裁判をするかということについて、出身の国以外のほかの国の刑事裁判権にゆだねられるということは、この協力の精神からいって必ずしも好ましくないということで、このたび、基本的には宇宙飛行士の国籍のある国にこれをゆだねるということで合意したわけでございます。
 前回の現行の協定では、この点については、犯罪者の、容疑者の国籍の国と、それからその事件を起こした場所の施設を持っている国との間で競合する状態にあったわけで、それについて特段の調整の規定がなかったわけでございますけれども、その意味においては、これは改善が図られたというふうに考えております。
#11
○松沢委員 次に、本協定の第十五条二項には、この協定に基づいて各参加主体の資金上の義務について規定されています。宇宙基地建設に関しては、その開発費用だけでも各国の分を合わせると四兆円以上にもなると言われていまして、実際に宇宙基地が完成した後の維持費等々を考えますと、一説には、日本の負担分だけでも、日本実験棟の開発費が三千百億円、この十年程度の運用期間中の維持費等も含めた総費用は一兆円を超えるとも言われているのです。こうした莫大な資金の負担は、各国の財政にとっても、日本も含めて、かなりの重荷になると思われると思うのです。
 もし仮に、参加主体のいずれかの国が、予算上宇宙ステーションの建設費用を縮小せざるを得なくなった場合、例えばロシア等々まだまだ経済的に不安定な国もありまして、そういう意味では日本の財政もかなり厳しいのかもしれませんが、そういう国内の政治上の中で予算措置がかなり厳しくなった、こういう場合も起こり得ると思うのですね。そうなった場合に、当然宇宙ステーション全体の計画の変更を余儀なくされる可能性も出てくると思うのです。
 こういう場合の対応については、参加国間の中でどのような対応が講じられるのか。その辺については何かこの協定作成時にお話があったのでしょうか。
#12
○阿部政府委員 御指摘のように、各国ともそれなりの厳しい財政状況の中で、しかしながら、意義のある協力ということでこの宇宙基地協力を進めようとしているわけでございますが、議論の過程で、資金上の負担が無制限に増加するということは防ぐべきであるということで、このことは協定に明文で、宇宙基地の運用経費を最小限にとどめるよう努力するという規定が置かれております。
 さらに、それにもかかわらず万一いずれかの参加主体について協力に影響を及ぼすような可能性のある予算上の問題が生じた場合には、他の参加主体にこれを通報して協議をするということも十五条の3に書いてございます。
 さらに、その上でも、なおかつ万が一、予算の支出に支障が生じたという場合については、その参加主体につきまして、場合によってはその参加主体の、利用権の配分があるわけでございますけれども、その配分を変えるということによって対処することもあり得るということが、これは了解覚書でございますけれども、第九条の8に記されております。
#13
○松沢委員 そういう柔軟な対応がとり得ることになっているということで、一面安心をいたしました。この協定については以上で質問を終わります。
 次に、ペルーの日本大使館占拠事件というのですか、襲撃事件の関連についてお伺いしたいと思います。
 私、先日の本会議においてこの問題を取り上げまして総理の考え方をただしたわけですけれども、全く納得のいく御答弁が得られなかった。直接私の質問に対して答えてもいただけなかったということで、外務省並びに外務大臣にちょっと御見解をただしていきたいと思うのです。
 一昨年の十二月ですか、トゥパク・アマルというゲリラによって天皇誕生日のパーティーをやっていたペルーの日本大使館が襲撃に遭って、百名以上の人質がとらわれて、私、本会議の質問で五カ月間と間違えてしまいましたが、百二十三日だったかと思いますが、約四カ月以上にわたって占拠されて、途中、赤十字等々さまざまな交渉で人質の解放が少しずつは行われましたけれども、最終的にも数十名の方々が四カ月間そこに閉じこめられて、死と隣り合わせの恐怖の中で、大変精神的にも肉体的にも極限の状況の中で、押し込められたという事件でありました。
 その解決は、フジモリ・ペルー大統領のリーダーシップによって、ペルー軍の特殊部隊が入念な作戦を立てて、一挙に突入をして解決を図る。数名の死亡者が出ましたけれども、ほとんどの人質は無事救出をされた。
 本当にそういう意味では、日本の人質もたくさんとられておりましたので、このフジモリ大統領の救出の仕方、さまざまな議論がありましたが、結果を見る以上、大変すばらしい救出作戦をやっていただいて、私たちはある意味で感謝をしなければいけないというふうに思っております。
 その中で、もう四月ですから約一年たつわけでありますけれども、私は、この間日本政府が、捕虜、人質になった皆さんに対して、大変な御迷惑をかけたわけでありますが、どのようなアフターケアをしてきたのか、ここに大きな疑問点があるのです。
 確かに、この事件は、第一義的には、在外公館の安全を保障するのはペルーの日本大使館だったらペルー政府にあるわけですから、そういう意味での第一義的な責任というのはペルー政府が負うべきだと思うのです。
 しかし、同時に、テロ多発国家と言われているペルーで、ある意味で極めて無防備にパーティーを開催されて、天皇誕生日のパーティーの招待状が来たら、現地の企業の方もあるいは他の大使館の方もやはり万障繰り合わせて、お祝いでありますし、日本大使館からの招待だということで参加すると私は思うのです。こういう参加していただいたパーティーの中でこういうことが起きた。日本政府、日本大使館、外務省においても、法的な責任はないとしても、私は、政治的、道義的な責任というのは大きなものがあると思います。
 したがって、これで苦しめられた人々には、その後、ある意味で十分なアフターケアが必要だと思いますし、またそれは日本政府の責務だとも私は思っているのです。
 そこで、政府、外務省が日本人の人質になった方にどういう対応をとってきたかということでお尋ねをしていきたいと思います。
 まず第一問目ですが、この事件に巻き込まれて四カ月以上にわたって人質として究極の生活を強いられた方々、こういう人たちが解放されたとき、けがをされている方も大分いるのですけれども、そういう状況はきちんと把握をされているのか。また、大けがをした人もいます。両足骨折という方もいます。やけどをした方もいます。こういう方に対しては何らかの対応をされたのか。そして、けがをされた方は医師の診断書も提出していると思います。また、警視庁の事情聴取にも応じていると思います。外務省は、こうした人質の皆様の被害状況をどのように把握されたのか、まず御報告をしていただきたいと思います。
#14
○内藤説明員 お答えします。人質にとらわれていた期間、政府としましては、この人質の方々の心身の状況の把握、それから万一の場合の対応という体制を整えるために現地に医師、看護婦を常駐させておりました。
 解放の暁でございますけれども、直ちに人質の方々の身体の診断及び必要な治療も行っております。それぞれ一人一人の方の症状も記録がございます。さらに、現地からと日本サイドの各人質の関係企業等に対しても、即時に結果を報告してございます。事件の解決後、その後の時期でございますが、政府としましては、特に尾を引くおそれのある精神的なケアの問題については御相談に応じる体制をとっております。
#15
○松沢委員 そういう対応をしてきたということでありますけれども、人質の中にはかなり日本企業の方がたくさん含まれていたのです。
 企業の方は、長い方は四カ月間、中にいたわけで、救援とか連絡あるいはその家族のケアのためにそれぞれの企業が大変な体制をとっているのです。日本からも当然そういう連絡も含めたケアをする職員を派遣しておりますし、さまざまな出費を重ねているわけですけれども、各企業がそういう意味で出費も含めた相当の物的損失をしたと思いますけれども、企業がどれぐらいのことをやってきたのか、そういうことについては外務省は把握されているのでしょうか。
#16
○内藤説明員 政府として、人質の親元企業の物的損失そのものに関する調査は行っておりません。しかし、人質の方々がどういう損失を、人質でいる間にどういうものをなくされたかというのは、アンケートも行いまして、ペルー政府にその回収方要求もしております。一方、親元の企業さらには御家族の方々との関係は、事件の間を通じまして、政府として支援をする面で、できる限りの対応は行ったつもりでございます。それから、事件発生後にも、それぞれの企業、関係者と、一どきに、あるいは個別に説明会あるいは話し合いを行いまして、要望事項を聴取しております。
 以上でございます。
#17
○松沢委員 こうして海外で起きた事件、それも日本政府が直接的な責任はなくても絡んでいた事件、こういう被害者に対して救援をする法的な処置というのは考えられないのでしょうか。
 例えば、これは日本の国が責任があった場合ですけれども、国家賠償法みたいなものはありますけれども、この適用は難しいと思うのです。あと、国援法というのがあって、これは移民の方が帰国した場合なんかの生活の立ち上がりを援助するような法律だと思うのですが、この法律も難しいのかもしれません。あるいは、企業に聞きますと、治療に労災も適用されなかったというのですね。労災にはさまざまな規定があって、その規定に入らなかったということだと思うのですが、何らかの法律をつくって政府の方から支援をするというようなことは難しかったのでしょうか。そういう適用される法律というのはなかったのでしょうか。
#18
○内藤説明員 現時点で、そのような被害に遭われた方々に対する支援の法的制度はございません。
#19
○松沢委員 法的制度がないとなると、あとはこういう方にどういう対応をとるかというのは、政府の誠意の問題になってくると思うのです。
 そこで、私は総理に対して、少なくともお見舞いの書状、あるいはもうお金の多寡が問題ではないのですが、できれば見舞金等のやはり気持ちをあらわして、一義的には政府の責任ではないけれども、これだけ日本大使館の事件で迷惑をかけた方々に何らかの気持ちをあらわしても当然だと思うのですね。
 私自身、企業を幾つか調査させていただきました。そうすると、どこも物すごい御立腹です。何の対応もない、それで警察の事情聴取には応じろ、応じてきました、どうしてこうなってしまうのかと非常に御立腹なのです。私は、やはり少なくとも総理あるいは外務大臣の名前で書状ぐらいは出して見舞いの気持ちをあらわす、最低限これぐらいは政府として誠意があってもいいのではないかと思うのですが、外務大臣、いかがでしょうか。
#20
○小渕国務大臣 今回のペルーの事件は予想を超える大事件となりまして、そのために多くの邦人を含めて被害を受けたわけであります。そうした方々に対しまして、委員御指摘のように、誠意を示すべきだということでございますが、物の面からの誠意の示し方というのはいたしておらなかったかもしれませんが、当時の外務大臣がその御本人並びに御家族に対しましても大変その労苦をねぎらい、また総理自身も、参議院の本会議で、昨年五月九日に「すべての方々に対し、政府の最高責任者として、この場をかりて改めておわびを申し上げます。」ということを申し述べておりますと同時に、また昨年暮れには、日本人元人質の方々を含むすべての方々に対して総理自身クリスマスカードを送って、改めて最高責任者として、御苦労をされた皆さんの労をねぎらったということであります。
 御指摘にもございまして、私自身も、この事件が事件として解決をいたしましたのは、以来ここ四月二十二日をもって一周年を迎えるわけでございますが、しかし、事件としての決着は一応見ておるものの、今御指摘のように、当時の人質にとりましてはその傷まだいえずということもありましょうし、その方々の勤務しておった企業体におきましても、みずからの企業の職員ですから、いろいろな面での対応に苦労をされたのではないかと思います。
 できれば、時間もありませんけれども、ちょうど一周年ですから、この事件を振り返って、やはり二度と再びこうした事件が、世界で我が邦人がこうした問題に巻き込まれないようにという反省も込めて、また当時のことを、一年たちましたからかなり冷静になっておられるのだろうと思いますから、客観的にいろいろなお話を承るような機会があってもいいのではないかと、今御質問を承りながら私自身考えさせていただいた次第でございます。
#21
○松沢委員 私、本会議でも言いましたけれども、橋本総理が、その事件の当時外務省にできた対策本部にあんパンを差し入れたというのが非常にマスコミに取り上げられまして、それをちょっとやゆされたような報道もあったのですけれども、私はそれ自身悪いことだと思いません。外務省の職員の方は昼夜を徹してこの事件の対応に当たられたのですから、その労をねぎらうというのは当然のことだったと思うのです。
 ただ、本当に思いますのは、外務省の職員も大事だけれども、この四カ月間本当に生死の境で、肉体的にも精神的にも物すごいつらい目に遭ったと思うのですね、人質になった方は。やはり外務省の職員の労はねぎらうけれども、出てきた人質の方には何の手紙の一本もない。実は、ある企業の方がこういう表現を使って私に訴えたのですね、随分政府は冷たいのですねと。私もそれを聞いて、ああ、なるほどな、こんなふうに感じられているのか、これはいかぬなと思って、ぜひとも外務大臣や総理にこのことはお伝えしなければいけないと思いまして質問をしているわけなのです。
 そこで、政府が、これまで日本人が加害者となって外国の現地の人に迷惑をかけた場合、政治的な判断で、見舞金というのでしょうか、というのを出していることもあるのです。これも相当前になりますけれども、テルアビブの乱射事件で、これは日本の民間人、岡本公三さんだと思うのですが、この方が乱射をして、イスラエルの方を相当死傷させている。これは政府の責任ではありませんけれども、やはり日本人がこういうことをしたということで、政府は、イスラエルに対して、あるいは御迷惑をかけた方に対してでしょうか、私はよく把握しておりませんが、こういうお金を支出している例があるのです。私は、見舞金を出せばいいというわけでは全然ないのですが、やはり政治の判断で、こういう気持ちのあらわし方もできるのではないかと。
 そこで、外務大臣、一年間たってこの機会に何らかの形を考えたいというふうに思うというのであれば、政治家としての判断で、見舞金、それが無理なのであれば一度皆さんを集めて慰労をする、あるいはしっかりと書状を送って政府の気持ちをあらわす、こういうことを一年たったこの機会に具体的にやっていただきたい、何らかの形でやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#22
○小渕国務大臣 いずれの方法をとるかは別にいたしまして、今申し上げたように、ちょうど一周年を迎えるわけですね。ですから、このような事件が二度と起こってはいけないという立場で、そのときに貴重な体験をされた方々の御意見も拝聴しながら、政府というのは日本国民すべてにわたっての生命財産に対して責任を負っているわけですから、そういった中で、極めて希有な体験をされた方々ですから、こうした方々の声も聞く機会があっていいのではないか、こう思いますので、どういうことをするかにつきましては考えさせていただきたいと思いますが、ぜひこうした方々に対しての、忌憚のない意見を政府としても聞いていいのじゃないか。そうでないと、いろいろなマスメディアを通じましてみんなそれが発表されると、それを逐一フォローアップすることもできませんから、やはり一番いいのは、本人から聞くことがいいのじゃないかと思いますので、その機会を得られたらと念願しています。
#23
○松沢委員 関連してもう一点伺いたいと思いますが、このペルーの大使館事件の反省を踏まえて、今後在外公館の警備を強化するなり、こういう事件が再発しないように、外務省としてはどのような対策を講じてきたのか。あるいは、きのう成立しました今年度の予算案にも、そういう対応の部分で、どういう予算を使って対応を立てていくのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
#24
○浦部政府委員 まさにペルー事件発生直後の平成八年度の補正、それから九年度予算、十年度予算と一貫して、やはり危機管理を重点にして、我々は在外公館のあり方あるいは本省のあり方を考えてきております。
 例えば、人的な側面で申し上げますと、警備官を、平成八年度、事件の起こる前は百五十一人でございましたが、この十年度予算をお認めいただきまして百九十九人、四十八人の増加ということを見ております。また、人的な側面でいいますと、現地で警備関係の人たちが、現地人の方がおられます。そういう方々を大幅に増強いたしまして、二十四時間の警備体制ができるようにということで、特にこれは平成九年度の予算でございましたが、三百七十人という抜本的な増強をしていただきました。
 また、物的な面で申し上げますと、いわゆる爆弾の探知装置であるとか、あるいはそれに類するいろいろな施設整備について、特に、言い方はあれでございますが脅威がある、それもかなり高いと思われる七十ぐらいの公館については、そういうものを緊急に特別手配をしたというようなことも行いました。
 さらに、もちろん基本的には情報収集、あるいはそれをどう評価していくかというようなシステムについても、しっかりこれをつくっていく必要があるわけでございまして、そういう面での人的な配備の強化あるいは本省内部でのそういう体制の強化、さらには職員の訓練、現地での訓練、東京での教育というようなことについても、特別の配慮をさせていただいているところでございます。
#25
○松沢委員 ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、化学兵器禁止条約に絡んで、旧日本軍の中国における遺棄化学兵器の問題についてお伺いをしたいと思います。
 化学兵器禁止条約、日本も批准をして、私はそのときの外務委員会のメンバーでありましたから、私も当然賛成をして、化学兵器禁止条約に日本は加わったわけであります。この条約は、簡単に言いますと、自国内にある化学兵器、あるいは自国でないけれども、外にあってもその国が遺棄してきた化学兵器については、十年以内にその国の責任においてすべて処理をするということが盛られている条約でありまして、私は、こういう特殊兵器、危険な大量破壊兵器の一つであります化学兵器がこういう形で処理される、あるいは縮小されるということは大変意義のあることだと思いまして、当時外務委員会の一人としてこれに賛成をしたわけであります。
 さて、今、日中間で懸案になっている旧日本軍が遺棄したと言われる化学兵器の処理問題に関して、化学兵器禁止条約に基づく義務として、我が国がこの中国の化学兵器の処理をするということになっているのです。この問題に関して、昨年の十一月二十六日の当外務委員会において、そちらにいらっしゃいます東委員がこのように質問をしているので、ちょっと長くなりますが引用します。
 我が国は、完全なる武装解除を求めたポツダム宣言を受諾して降伏した。降伏に当たっては、旧満州にいた関東軍はソ連軍に、シナ派遣軍は中国軍に降伏した。そこで、膨大な量の戦車、大砲等の武器弾薬を引き渡した。これをもって武器弾薬の所有権はソ連もしくは中国に移ったはずである。また、ポツダム宣言を受諾して降伏した以上は包括的な武装解除が行われたと考えるのが普通であり、それこそ同条約に言う同意に当たるのではないかと質問をしているのです。
 この同意というのは、化学兵器禁止条約の二条の6にあります「「遺棄化学兵器」とは、千九百二十五年一月一日以降にいずれかの国が他の国の領域内に当該他の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器」、つまり、旧日本軍とソ連軍あるいは中国軍との間に、これは武器を渡しましたよという同意があったのじゃないのか、この同意に当たるのじゃないかというのが、東委員からの質問の趣旨であります。
 それに対して、政府は、ポツダム宣言は旧日本軍が武装解除すべき旨を一般的に規定しているが、この規定は、日本国軍隊は完全に武装解除された後各自の家庭に復帰し平和的かつ生産的の生宿を営む機会を認められるべしという極めて一般的な規定であり、このことのみをもって、中国が本件化学兵器の遺棄に関して、化学兵器禁止条約に言う同意を与えたということは言えない。そういう状況から、我が国の遺棄化学兵器の廃棄義務を否定することはできないというふうに答弁をされているのです。これは、まず事実ですね。
#26
○阿南政府委員 ただいま委員が引用されました政府委員の答弁は、そのとおりでございます。
#27
○松沢委員 昭和二十年の九月二日に日本国政府は降伏文書に調印しています。同時に、降伏文書と一般命令第一号が、政府及び大本営の布告として一般に公布されました。陸海軍は同日、前記の、今言った降伏文書及び一般命令第一号に基づいて、全軍に対して降伏命令を発した。大本営陸軍部の発令した降伏命令は、
 1 敵対行為を直に終止し、武装を解除し且現
  態勢の変更を中止す
 2 兵器及装備を関係聯合国指揮官の指定する
  時期及場所に於て現状の儘且安全良好なる状
  態に於て該指揮官又は其の指定者に交付すこういうふうになっているのですね。
 そこで、関東軍総司令官及びシナ派遣軍総司令官にも同命令が発令されていまして、この命令によりますと、兵器及び装備を当該指揮官またはこの指定者に引き渡すことになっているわけです。つまり、関東軍総司令官は極東ソ連軍最高指揮官に、そしてシナ軍総司令官は中国国軍の、国民党車ですね、蒋介石に兵器及び装備を引き渡したと考えられますけれども、まずこの点の事実関係について、外務省、把握していたら御説明をいただきたいと思うのです。
#28
○阿南政府委員 終戦当時の武装解除につきましては、今委員の方から詳しく既に御発言がございましたので、その部分は繰り返すことはいたしませんが、この兵器、装備等が具体的にいかなる形で引き渡されたかについて、その詳細を必ずしも把握しているわけではございませんが、通常の兵器、装備等につきましては、基本的に、御指摘のように連合軍最高司令官一般令書第一号によって行われたものと考えております。
#29
○松沢委員 政府は、このポツダム宣言は旧日本軍が武装解除するべき旨を一般的に規定しているが、この規定は、日本国軍隊は完全に武装解除せられた後各自の家庭に復帰し平和的かつ生産的の生活を営むの機会を認められるべしという極めて一般的な規定であると答弁していますけれども、ここで言う武装解除というのは具体的にどのようなものか、御説明をいただきたいと思います。
#30
○阿南政府委員 ポツダム宣言第九項で、日本国軍隊が武装解除するべき旨を一般的に述べているわけでございますが、どのような方法によるか等、武装解除の詳細については一切言及がないことから判断いたしましても、この規定は一般的な意味で武器を放棄すべきことを述べた趣旨であるというふうに考えておりまして、その後段の趣旨、軍隊の構成員は俘虜、労働力として提供されることなく、みずからの家庭に復帰し、平素の生業に従事すべきであるとの趣旨を述べたもの、このように理解をしております。
#31
○松沢委員 一般的なこういう判断だということでありますけれども、さらに政府は、中国が本件の化学兵器の遺棄に関して化学兵器禁止条約に言う同意を与えたとは言えないとしているのですね。遺棄に対して中国が同意を与えるということは、私は考えられないと思うのです。むしろ、大量の兵器弾薬とともに引き取ることに対して同意をしたのじゃないかと思うのですね。つまり、大量の兵器弾薬が、ポツダム宣言の降伏によって、大本営から発表された武装解除をするということによって、所有権がすべて中国側あるいはソ連側に移ったのじゃないか、それに同意をしたのじゃないかというふうに思われまずけれども、ここはいかがでしょうか。
#32
○阿南政府委員 この点につきましては、委員もおっしゃいましたように、中国側は同意をしていないわけでございますが、ポツダム宣言第九項の規定、先ほども申し上げましたので繰り返すことはいたしませんが、この規定をもって、中国が本件化学兵器を他の兵器弾薬とともに引き取ることに対して同意したということは言えないと考えます。
 したがいまして、遺棄化学兵器の我が国による廃棄義務を否定することはできないと考えている次第でございます。
#33
○松沢委員 当時、中国には中華民国軍、中国軍のほかに共産軍もいたわけです。国民党軍と共産党軍とで内戦もやっていたわけです。このため、正式の降伏の前後において、双方が随所で武器の引き渡しを要求したのです。日本の武器が欲しかったわけですね、両方とも。このことは、当時のシナ派遣軍からの伝聞によれば明らかです。中国は、これらの武器弾薬を国共内戦で使用しており、化学砲弾のみを選んで旧日本軍に遺棄させたとは考えられないと思うのです。
 改めてお伺いをいたしますけれども、中国は旧日本軍から引き渡しを受けた膨大な量の武器弾薬の中から化学兵器のみを旧日本軍に遺棄させ、残りの武器弾薬のみを接収した、こういうふうに考えるのでしょうか。
#34
○阿南政府委員 先ほども申し上げましたが、武器弾薬等の引き渡し、その具体的な対応については必ずしも明らかでないわけでございますが、これまで我が方が累次にわたって現地調査を行いました。そういう際の鑑定、さらにはこういう遺棄化学兵器が中国で発見された当時の状況等、詳細に検討してみれば、これらの化学兵器、砲弾が、終戦当時、通常の武装解除に基づいて、ソ連軍ないしは中国軍に引き渡されたものとは認められないと言わざるを得ません。
 そういう判断でございます。
#35
○松沢委員 私は、何も旧日本軍が遺棄したと言われている化学兵器の処理に反対をしているのじゃありません。こんな危険なものが中国の山奥にたくさんあって、確かに被害者も出ている。何らかの形で処理をしなければいけないとは思うのです。
 ただ、この化学兵器の処理には膨大なお金がかかるわけです。見方によると一兆円ぐらいかかるのじゃないかと言われているのです。その負担は日本がやるということであれば、日本国民が負うわけなんです。ですから私は、国民はいかなる理由によってこの費用を負担しなければならないのかということを知る権利があると思うし、また、政府はそれをきちっと国民に説明をする義務があると思うのです。
 政府は、日中共同声明、日中平和友好条約の精神及び化学兵器禁止条約に基づいて、本件の処理に誠実に取り組むとしておりますけれども、先ほどアジア局長の方からもお話がありましたけれども、調査をしているということですが、いかなる事実に基づいて当該化学兵器が旧日本軍により遺棄されたものと認定するに至ったか、もう一度、総括的にわかりやすく御説明いただきたいと思います。
#36
○阿南政府委員 我が国がこの責任を負う以上、その理由を明確にすべしという点は委員のおっしゃるとおりでございます。
 そういう観点から、一九九一年以来、これまで九回にわたりまして中国各地で現地調査を行ってまいりました。現地調査におきましては、専門家による砲弾の鑑定、測定等を実施いたしましたが、その際にサンプル調査を行った砲弾は、外形上の様子、形態等から、旧日本軍の化学兵器が遺棄されたものであることが確認されたわけでございます。
 ちなみに、これまでの調査の結果、サンプル調査と同様の化学弾が約七十万発、中国に存在していると推定をしております。
#37
○松沢委員 この七十万発という数字を推定する、七十万発が出てきて数えたわけじゃないと思うのですね。これはどうして、どういう調査で何カ所くらい現地を回ってこの七十万発という数字も出てきているのか。あと、種類、地域、この辺、九回の調査をやっていると思うので、もう少し詳しく現地の視察調査の概要を、あとどういう視察団で行っているのか。
 一部に、自衛隊の職員が行くのは中国が反発しそうだからいろいろ考えたとか、いろいろ報道もされておりますし、あるいは科学技術庁とかほかの省庁の専門家も集めて調査に行ったとかいろいろ言われておりますけれども、どういう形で九回の調査をやってきて、その結果、今おっしゃったような七十万発という数字が導き出されているのか、もう少し詳しく御説明いただけますでしょうか。
#38
○阿南政府委員 第一回から第九回まで一々詳細を御報告申し上げると時間もかかりますので、概略申し上げますと、今お話がございましたように、関係省庁からも御協力をいただいて、こういう調査をこれまで九回行っているわけでございますが、七十万発と申しましても、その大宗は吉林省のハルバ嶺というところに調査の結果約六十七万発あるということが言われたわけでございまして、中国はそれ以前は中国全土に約二百万発あるのではないかということを九二年のジュネーブ軍縮会議等の資料としても言っていたわけでございます。
 この点につきましては、日中共同で調査をいたしました結果、大体七十万発以下、六十七万発ぐらいではないかという数字が出たわけでございまして、これには中国の専門家も参加しておりましたが、中国側は従来大きな数字を言っていた経緯もございますので、その調査の結果は結果として、実際はやはり掘ってみないと正確な数字はわからぬのじゃないかというようなことで、今のところ、まだその最終数字については双方で調整をしている、全国、全体で何発ということについてはさらに調査を要する面もございます。
 この調査自体は、もちろん全部を掘り出して数を数えたわけではございませんが、大体、仮埋蔵と申しますか、そういうところにこのくらい埋まっているということで、相当級密な計算をした上で割り出した数字でございまして、ハルバ嶺に関して六十七万発というのは現在考えられる一番信頼できる数字かと思っております。
 簡単でございますが、そういうような調査をやっております。
#39
○松沢委員 一九九六年の五月に実施された日中共同現地調査の結果、今御説明がありましたように、日本政府は約七十万発の化学兵器が中国国内に遺棄されていることが判明したというふうに発表しているのです。これも御説明がありましたが、これに対して中国側は、砲弾は約二百万発、化学剤で約百トンが遺棄されていると主張していて、双方のこの食い違いというのは大きいのですね。三倍近い。三倍以上ですね。
 このことに関して、外務省の資料、「中国遺棄化学兵器問題(概要)」というのを取り寄せました。そこには、こう書いてあるのです。「当初中国側は砲弾約二百万発、化学剤で約百トンが遺棄されていると主張していた」という過去形になっているのですね。「当初」、「主張していた」と過去形になっているということは、以前主張していたけれども、双方の食い違いがあっていろいろ議論したら、一応コンセンサスができた、こういうことなんですか、過去形になっているということはいかがなんでしょうか。
#40
○阿南政府委員 中国側の二百万発という数字は、先ほどの調査、結果が出るまで中国側が主張しておりました。これは先ほども申し上げましたが、吉林省のハルバ嶺という一番大宗が残っているところでございますが、そこについては、中国は百八十万発ということを言っていたのです。それが、調査の結果六十七万発。共同調査でございますから、そういうことで、そこに非常に差があるわけでございます。
 今後、中国側とさらに確実な総数を共同で割り出す努力をしておりますが、私、先ほど申し上げましたように、この調査の一応推計値ということだとは思いますけれども、これは現在最も信頼できる数字である、中国側も参加した調査の結果でございます。
#41
○松沢委員 もう一点、現地調査とともに、例えば旧日本軍のこういう化学兵器の製造並びに使用にかかわった方々からの聞き取り調査とか、そういうことも同時並行でやられているのですか。
 ある専門家の調べによると、この七十万発とか百万発とかそういう数字は、日本のシナ派遣軍の軍隊の規模から考えると、とてもつくれる、保持できる量じゃない、多過ぎる。特に、化学兵器というのは特殊兵器です。普通の砲弾なら物すごい量をつくって、物量作戦で戦争をやるのでしょうけれども、こういう危険な兵器を百万発単位で、当時百万ぐらいいたのでしょうか、派遣シナ軍。持てるわけがない。これはあくまでもおかしな数字であるという主張もあるのです。
 だから、現地の調査でも、埋められているものでこれをひっくり返して全部調べるのは大変でしょう、予測をするのも。こういうことにかかわった方々からも、どういうふうに日本軍はこれを製造していたのか、こういうこともきちっと調べているのでしょうか。
#42
○阿南政府委員 今委員もおっしゃいましたように、こういう兵器の砲弾の性格ということもございますので、積極的に聞き取り調査というようなことは行っておりませんが、既にそういう関係者の方からいろいろな資料を提供いただいたり投書をいただいたりしておりまして、実質的には当時の関係者の方からも事情を伺っているというのが実情でございます。
#43
○松沢委員 さて、今の政府の方針のように、中国の旧日本軍が遺棄したという化学兵器を日本政府が処理をしていくという方向で考えますと、この化学兵器禁止条約に沿ってやっていくわけですね。
 条約では、期限を四段階に分けて廃棄するように規定されている。第一段階では、条約の発効後三年以内に一%以上を廃棄することになっている。最終的には十年以内にすべてを廃棄することになっているわけです。
 現在までに判明している、仮に約七十万発としますと、この化学兵器を処理するのには、これは一日平均で二百発を処理していかなければならない計算になるのです。大変なことだと思います。
 それで、処理方法及びこの廃棄のペース、条約に入ってしまった以上、これはもう十年後までにやらなければいけないのですから。それで、日本は日本の責任だと言ってしまっているのですから。どういう方法で、どういうペースでやっていくのか。また、これは現地に処理工場をつくってやっていく方向とも聞いておりますけれども、この辺、現実的にどうやっていくのか、そのプランはできているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#44
○阿南政府委員 条約に定められました手続とか期限とか、委員がおっしゃったとおりでございますが、何分にも、中国における遺棄化学兵器につきましては、その大部分がまだ地中に入っているという状況でございますし、化学弾の種類、数量等も完全にはまだ把握できていない段階でございまして、また、さらには、現在必ずしも確立された処理技術が存在していない、いろいろな消極的な要因がございまして、化学兵器禁止条約が規定しているとおりの段階的なスケジュールに完全に従うことは、御指摘のように、なかなか難しい面がございます。
 ただ、我が国といたしましては、中国側、そして条約によって設置された化学兵器禁止機関と密接に協議を行いつつ、安全や環境面に配慮した処理技術の選定を行いまして、最終的には十年以内という目標、これで廃棄を行えるように、十年以内の廃棄を目指して、引き続き努力をしてまいる所存でございます。
 それから、現地に処理工場をつくる計画かという御質問もございましたが、このような具体的な今後の処理の対応については、現在まだ検討中ということでございます。
#45
○松沢委員 これも報道によりますと、日中両国政府は、処理作業に中国の人民解放軍を正式に参加させる方向で原則合意したというふうに報道をされています。この事実関係はどうなっているのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
 もし、相当の化学兵器があって、それに解放軍の軍人さんたち、専門家が相当加わるということになると、人民解放軍に対して相当の費用を日本政府が払わなければいけなくなると思うのです。それが、うがった見方をすると、回り回って、ある意味で中国の軍拡につながって、我が国の安全保障まで影響を与えるといううがった見方もできなくはないわけです。この辺の事実関係はどうなっているのでしょうか。
#46
○阿南政府委員 これまでの現地調査で、中国人民解放軍の協力を得ていることは事実でございます。現地の調査と申しましても、なかなか、大変厳しい、難しい条件のもとで、大量の砲弾等を直接取り扱う作業を安全に実施していくということが要求されますので、そういう意味では、調査の面で引き続き人民解放軍の協力が不可欠であると思っております。
 他方、将来の廃棄処理の段階で、ここが膨大な経費を要するところでございますが、解放軍の参加を必要とするのか、求めるのか、そういうことについては、現在まだ全体の枠組みをつくる中で検討しているところでございます。
 また、人民解放軍に膨大な資金が流れて、中国の軍事力の近代化に資することになるのではないかという御指摘がございましたが、これまで現地調査のために人民解放軍が協力してくれている、これに対して対価として支払っておりますのは実費でございまして、まさに常識の範囲内ということだと思います。御指摘のような、これで人民解放軍の近代化が急速に進むというような額ではございません。
#47
○松沢委員 時間も迫ってまいりましたので、最後に二問、ちょっと大臣の御見解を賜りたいと思うのです。
 これまでアジア局長の方から、るる私の質問に対して御答弁をいただきました。それでまず、旧日本軍が廃棄したというふうに政府が判断しているこの大量の遺棄化学兵器をこういう形で、七十万発あるいは百万発あるかもしれない、処理をしていくとしたら物すごい費用がかかるのです。もう新聞報道なんかでは、一発につき幾らかかるから掛けると何千億だなんという誇大な宣伝がされています。それで、例えば米国の処理施設、これを今後つくっていくとしたら、米国なんかでは三百二十万発を処理するのに百億ドル、一兆三千億円が必要であるなんというのも報道の調査結果としてあるのです。我が国の場合も、もう数千億円から一兆円は超すだろう、ある意味では確実だろうと言われている。
 この費用の捻出について、もちろんこれは外務省予算でやるのはほぼ不可能だと思います、十年間の中で一兆円をこれだけに使えというのは。これは大変な出費になりますが、外務大臣として、この遺棄化学兵器の処理に関する費用を日本国としてどういうふうに負担をしていくべきなのか。外務省でどこまでやれるのか。あるいは、一説によると、ODA予算の中から拠出すべきだという意見もあります。やはり政治家として、外務大臣として、これはもう緊急の課題でありますから、どのように考えるのか。まず、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
#48
○小渕国務大臣 現時点では、何ら具体的な数字を政府として算出しているわけではありません。政府として、今後、現地調査団を引き続いて派遣すること等により、できるだけ早く我が国として全体処理のための基本計画を策定するとともに、費用分析をも含めていく所存でございます。なお、具体的な費用の支出方法については、今後、全体処理計画の具体的な内容を見きわめながら対応を検討してまいりたいと考えております。
 私も、この問題についていつぞやNHKの特番がありまして、これを拝見していまして、これはえらいことだと思いました。戦争を一回行えば、その遂行中にも莫大な戦費が要るわけでありますが、終わって五十二年、こういった問題を抱えて、この処理について考えなければならぬということを考えますと、実にもう想像にかたいほどの問題だろうと思います。
 しかし、日本も、こうした化学兵器遺棄の問題についての禁止条約について、これを調印いたしておるわけでございますし、これから中国との関係において調査が進むにつれまして、その処理に対する費用というものははかり知れない。御指摘の数字が必ずしも算定できるわけではありませんが、かつてテレビを見ておりまして、米国もそうですし、世界じゅうの状況、特にドイツなんかもそういう問題を抱えておるようでございまして、なかなか普通の弾薬と違いまして化学兵器の処理というものがいかに難しく、かつ多くの費用を要するかということを若干勉強させていただいております。
 そこで、しからばどういうことかということになりますと、今の時点では先ほど答弁申し上げたようなことでございますが、やはり国民の皆さんにも現実をよく知っていただきながら、どのような支出を考えていったらいいかということについては、慎重に検討させていただきたいと思います。
#49
○松沢委員 時間ですので最後の質問にしますが、きょう私は質問の中で、中国の遺棄化学兵器の処理の問題を問題提起させていただいたのは、確かに今日本政府は、これは旧日本軍の責任だということで、条約に従ってこれを処理しなければいけないという方向で準備を進めていると思うのです。
 それを否定するわけではないのですが、根本論として、中国にこれだけ残された遺棄化学兵器、中国はもう十数年も前から、こんなに日本が残していった兵器がある、危なくてしょうがない、早く処理しろと言ってきているのですね。日本も戦争に対しては非常に加害者意識がありますから、それは申しわけないということで応じてしまったわけなのですが、私は、もう一度歴史的事実と法律に照らして、これは絶対に日本が処理しなければいけないものなのかというのは、もう一度原点から議論を、今遅きに失した感はありますが、すべきだったのではないかと思うのです。
 ポツダム宣言の受諾をして、我が国は無条件降伏をして、日本軍はすべて武装解除されたのですね。そのときに、すべての兵器弾薬は、アジアにおいては中国軍、ソ連軍に接収されているわけです。渡しているわけです。その時点で所有権が移っているわけです。もしかしたら、中国軍も共産党軍もあるいはロシア軍も、化学兵器も含めて、ああ、これはいいものをいただいた、今後の戦争で使えるかもしれないということで、だって、すべて武器や大砲や戦艦は、全部その後中国軍が使っているわけですからね。
 そうやって自分たちのものにしておいて、化学兵器に対しては、時がたつにつれて、これはやばいものをもらってしまった。これは、押せばすぐ妥協する、ちょっとおどせばすぐびびる日本をもう一回おどして、金もあるのだから処理させよう、そうするにはどうしたらいいかなと考えたかもしれないのです。
 これは中国を非難することになりますから、言葉は慎みますが、どうしてかといいますと、中国は、この化学兵器禁止条約ができるときに、みずからは参加するということは言わずに、この条約は海外に残した化学兵器もその国の責任において処理させるという条項を入れろ、入れろと騒いだのです。これを考えてみましても、中国は日本に、域内に残した化学兵器は処理をさせよう、今から言うには、この条約にこの条文を入れてこれを使おうという魂胆があったという、うがった見方もできる可能性もあるのですね、私はちょっと疑い深いですからね。
 外務大臣、確かに条約にのっとって、もし我が国が責任があると感じたならばそれをやることは必要でしょうが、私は、本当に大人の外交として、中国に対して、ポツダム宣言受諾、無条件降伏、武装解除、そのときに武器弾薬の移転というのはあったのではないか。所有権が変わっているのではないか。だから、すべて日本に処理しろというのはおかしいのではないか。歴史的事実と法律にのっとって、もう一度中国にそのことを話してみるということは大変難しいと思いますが、私は、本当に日本が主体的な外交を進めるとしたら、ある意味で必要なことではないかと思うのですけれども、外務大臣の御見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#50
○小渕国務大臣 松沢委員の意見は意見として拝聴いたしました。
 ただ、少なくとも、過ぐる大戦において我が国は残念ながら戦いに敗れました。その結果、こうした問題をなお引きずっておることは事実でありまして、この化学兵器なるものは、当時の環境の中でこれは化学兵器でございますと言って存置したものであるかどうかもわかりません。
 したがいまして、新たなる事実が明確に、委員の御研究も含めまして、あらわれるということであればでございますが、政府としては、基本的な方針に基づいて対処いたしていくこととなると思っております。
#51
○松沢委員 終わります。ありがとうございました。
#52
○中馬委員長 続いて、山中Y子君。
#53
○山中(Y)委員 山中Y子でございます。
 きょうは、まずこの宇宙基地の協定につきまして質問をさせていただきまして、後ほどインドの国際会議についてちょっと触れさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、この宇宙協定についてでございますけれども、先ほど松沢委員の方からも少し触れられましたけれども、経費の問題でございます。
 日本の実験棟の開発に要する予算というのは明確になっておりますけれども、これから計画の中で十年間それを維持していく、あるいはそのほかに共同で利用する資源の配分、これが日本は一二・八%でございますけれども、こういったものあるいはシステムの運用の共通部分の負担、こういったものが総額どのぐらいになるかということがほとんど見通しがないという話ですけれども、そういう中で、果たしてこの計画が実施できるのかどうかということがちょっと不安になります。
 一つは、日本のことだけではなく、アメリカの経済状態が、十年先、あるいはもしできれば十五年まで延ばしたい、そういう利用計画があるとすればそこまでに一体どういう状況になるのか。もう一つは、ロシアが資金的に非常に苦しんでいる、そういう中で、ロシアを入れて、ことしの六月にロシアが打ち上げるということが本当にできるのだろうか。
 そういうふうなことを考えますと、冷戦後の国際協調のシンボルであるこの計画が実行できずに、もし途中でいろいろな問題が起こったりすることになると、かえってマイナスの要素もあるのではないかというふうに思っておりますが、この点について、御判断いかがでいらっしゃいますか。まず資金計画についてお願いします。
#54
○阿部政府委員 この宇宙ステーションにつきましては、米国だけの関係経費でも日本円にして三兆円を超えると言われておりまして、日本の打ち上げます試験棟、これについても三千億円を超える程度の経費がかかると言われておりますが、各国ともそれぞれの財政事情がある中でも、なおかつこの協力を大変意義のあるものとして進めようということで、ことしの初めに署名をしたところでございます。
 先般も、我が国とロシアとの間で宇宙協力に関する協議がございまして、この点にも触れましたが、ロシアは六月に最初の打ち上げをするということで準備を進めているということを言っておりますので、各国とも予定どおりこれを進めようということで努力をしておるところと承知しております。
#55
○山中(Y)委員 ロシアの参加のためにこの法が改正されるわけですけれども、説明を受けた段階で私が承知しておりますのは、この図も見せていただきましたし、この表も見せていただきまして、ロシアというのは独立した形で自己完結型に参加する、ほかの国は協調して参加する、こういうふうなあり方で、一体ロシアがここに参加してくる意味というのは、宇宙科学の方では、アメリカにとっては、アメリカと違うアプローチのロシアが入ることで大変大きなメリットがあるというふうに聞いておりますけれども、日本にとってはどういった具体的なメリットがあるのでしょうか。
#56
○阿部政府委員 確かに、委員のおっしゃいましたように、完成しました暁には、ロシアが提供しますエネルギー部門あるいはロシアの居住区、ロシアのエネルギー部門というものは第一義的にはロシアが利用するということで進められております。これは経緯からしまして、残りの部分はそもそもロシアを除く現行の協定でおのおの分担を決めて既に作業を進めていたという経緯もございますものですから、そのような仕分けになっております。
 全体が完成するまでの途中の段階におきましては、ロシアがまず最初にエネルギー部門を打ち上げますし、それから万が一の場合の、緊急の帰還のための宇宙船の小さいものがございますけれども、そういったものはロシアが先行しますので、それはほかの国もロシアのものを利用させてもらうということで計画が進んでおります。したがいまして、非常にその意味ではロシアを入れた協力の意味は大きいということが言えるかと思います。
#57
○山中(Y)委員 完成した後あるいは完成する時点でもっと一緒に協調できるような、活動自身がそういった形になるような計画をこれから展開していただきたいというふうに思います。
 私が一番気にしておりますことの一つは、宇宙飛行士の安全性の問題であります。先日、土井飛行士が最初一回出るという予定が二回出る、そういうこともございましたけれども、現在私が承知しているところによりますと、NASAの基準に沿って船外の活動などの安全性を担保しているというふうに聞いておりますが、それでよろしゅうございますか。
#58
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 先般の土井宇宙飛行士の船外活動につきましての安全のトータルシステムにつきましては、NASAの枠組みの中で処理がされておるというところでございますけれども、土井宇宙飛行士は、御案内のとおり宇宙開発事業団の職員でございます。その活動の安全性ということにつきましては、宇宙開発事業団が責任を持って審査をするという体制になってございまして、具体的に、今回の船外活動につきましても審査をいたしまして、了といたした上で船外活動を行った、こういう状況でございます。
#59
○山中(Y)委員 そうしますと、日本の場合とNASAの場合と基準の違うところというのはあるのでしょうか。
#60
○青江政府委員 基本的な枠組み、今申し上げましたとおり、NASAの安全のシステムの枠組みの中でございまして、その中に沿いまして宇宙開発事業団がそれ相応の安全審査体制というのを組んでございまして、その間の意思のそごとでも申しましょうか、そういったものというのは一切ございません。
#61
○山中(Y)委員 今までは非常に選ばれて訓練されて、これからしばらくもそうだと思いますけれども、そういう人たちが宇宙飛行士として同じ基準で動いているというのは大変わかるところでございます。今後、先のことになりますけれども、こういうふうにステーションができ、そして多くの人たちがいろいろな形でこの計画に参画していく。つまり、今までよりも多様なバックグラウンドのさまざまな人たちにも参加の機会を与えるというのは大変いいことですし、そういうモチベーションによっていろいろな活動が触発されるということも大変いいとは思いますけれども、例えば、アメリカで処方されるお薬は私は飲めません。それは基準が強過ぎるのですね。例えば、アルコールを吸収する吸収の度合いというようなものも、民族性というようないろいろな場合によって、さまざまな条件によって世界全員が一律ではないと思うのです。
 そういうことを考えていきますと、一つは、そういった個体の差だけではなくて、いろいろな民族的な差というようなものをこれからきちんと考えながら、それぞれの人がいい形で船外の活動も含めて宇宙の開発に参画していくということのためには、日本がこれに中心の一つとして参画しているからには、今後やはり日本の宇宙飛行士あるいは日本人に対する適応性ということの基準をしっかり決めて、そして、NASAとそれをきちんと認めてもらう話し合いをしながら、日本は日本の独自性と協調性をバランスをとっていく、そういう視点は不可欠だというふうに思うのですが、その辺、これからのこととして。
 もう一点は、私は、アメリカという国は非常に信頼している国の一つですけれども、しかし、ガルフベビーというように、アメリカ人自身が、国のもとで動いていることによってさまざまなリスクを知らないうちに自分が受けていて、それが解明されない、判明されないというようなさまざまなレポートなどを聞いていますと、これもまた、これはベストを尽くしているとしてもいろんなことがあり得るわけで、一つの国に頼るということはその危険性を見逃すことになって、別の視点で見ることによってそれを補完していく、そういう作用も国際協調の大事なところだと思います。
 実際の基準が云々というのは、これは科学技術の分野ですけれども、そういった国際的な考え方ということで、小渕外務大臣、飛行士も含めて日本の安全基準というものをきちんとつくっていくということによる国際的な協調というのに対して、どうお考えでいらっしゃいますか。
#62
○小渕国務大臣 宇宙開発の問題につきましては、米国が群を抜いてといいますか、もちろん現ロシアもソビエト時代から大変熱心に取り組んできたところでございますが、日本としてはNASAの計画の中で、日本人宇宙飛行士も訓練を受けながらそれに適応してきたんだろうと思います。しかし、今委員御指摘のように、日本人は、その身体におきましても日本人としてまたあるわけでございますので、そういった点で、日本人としてのまた訓練の方法その他もあるのかもしれませんが、基本的には私は、NASAの多年の経験とあらゆる訓練機具を駆使しての訓練というものを中心にしていくことの方がいいのではないかという素人考えをするんですが、さりながら、それぞれの国の特色というものがあるんだろうと思います。
 したがって、今次、この宇宙ステーションにつきましては、参加国の皆さんの英知を絞ってさらによりよきものを目指しているということですから、そういった意味で、この飛行士の問題につきましても、それぞれの国々において開発してきたよき諸点についてはこれをすり合わせしながらすばらしい成果を上げることが望ましい、このように考えます。
#63
○山中(Y)委員 日本が参加して、日本と申し上げているのですが、多分アジア全体にそれはアプライ、モンゴロイドにアプライできる、そういう側面もありまして、今その中で参加している日本というものが、日本の独自性をある程度、もちろんNASAと別々にというわけではないですが、その特性を生かす基準を持つことを将来目指すということは、私は非常に大事な点だと思いますが、そういうふうにはお考えになりませんでしょうか。
#64
○青江政府委員 御説明させていただきます。
 今基本的な考え方というものは外務大臣から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、生理的な問題というのは、確かにそういう問題というのはあろうというふうに思ってございます。日本人ないしモンゴロイドの生理的な問題というのはあろうと思ってございます。
 ただ、御案内のとおり、大変残念なことながら、我が国のいわゆる有人活動といいましょうか宇宙医学と申しましょうか、その辺の経験というのはこれは大変、大変残念なんでございますけれども、希薄ということでもちまして、今回の宇宙ステーション計画、こういったものを通じましても、経験の蓄積を図りつつ、今先生の御指摘のような方向というものも目指していきたい、かように考えてございます。
#65
○山中(Y)委員 宇宙医学の分野、これから日本が開発していくわけですから、ぜひその辺の視点も実際の実験の中に意識的に入れていっていただく、そういう意味で将来に向かっていけるのではないかと思いますので、ぜひそういう方向を御検討いただきたい。
 それから次に、宇宙の環境の問題についてちょっと触れさせていただきたいと思いますが、今回のこの国際宇宙基地というのが十年の計画ですが、できれば十五年ぐらい使用したいということですが、使用後の回収計画その他はどうなっていますでしょうか。
#66
○青江政府委員 まだ今時点におきまして、その使用後につきましてどのような処理を行うのかということにつきましては、確定をいたしていない状況にございます。今後の課題でございます。
#67
○山中(Y)委員 十年というのはすぐたつと思います。物事というのは、準備があって実際に活動して後始末をする、そこまでが一つの仕組みの中に入っているというふうに私は思うのです。
 私が申し上げるまでもなく、皆さん当然御存じのように、スペースシャトルのコロンビアでも、さまざまな耐熱のタイルの破損状況、そういったことも含めまして、スペースデブリと言われているものが、一九九七年の十月のNASAの人工物体の監視追跡調査によりましても、人工物体が現在八千六百八十個、そのうち運用中の衛星というのは約三百五十個にすぎない、そういうことで、大部分がデブリとして、高度約三万六千キロメートルの静止軌道で毎秒三キロですか、それから高度二千キロメートル以下の低軌道の場合には毎秒七・五キロメートルという報告を読みましたけれども。
 こういったことで、今まではスペースシャトルは斜めにして保護をして活動していたということも聞いていますが、宇宙ステーションになると、保護をするというようなことが難しいような多角的なところで宇宙飛行士が活動をしているわけで、宇宙飛行士そのものが常に危険と隣り合わせの状態というようなことになっていると思います。
 私は、宇宙開発の発展を目指すということは、これからやはり、宇宙の環境保全を図るということが非常に大事なキーポイントになるというふうに思っております。使用期間が終了後、宇宙ステーションをどう取り扱うか、その回収も含めて、予算もあると思いますが、やはりこの点、まだ検討中ということなのか、まだ決まっていないということなのか。
 ひょっとしたら、今までそういう視点で余り話されていないのかもしれませんが、地上の環境というのも気がついてみれば大変な状態になっている、宇宙の環境というのも当然、もう今予測されているわけですから、その宇宙の環境ということに関して、COP3というのは地上の環境であっても宇宙の環境と非常に密接に響いていきますから、日本が外交の場でも、宇宙の環境保全についてイニシアチブをとるというようなお考えはございませんでしょうか。
 外務大臣お願いいたします。
#68
○阿部政府委員 委員御指摘のように、宇宙活動が盛んになるにつれまして、大変多くの数の人工衛星その他が打ち上げられ、またそれに伴いまして、いろいろな、推進用ロケットとか多い部品などが宇宙に漂うという状態になっております。
 これについては、国際的にも関心が高まっておりまして、国連の宇宙平和利用委員会というところで、目下真剣に議論が進められております。これについてどのような対処をすべきかということで、今三年がかりで調査研究を行っておりまして、近くその報告書が出て、実態の解明、危険度の分析、あるいは最終的にどうやってそれを予防するのかということについて意見が出されることになっております。
 我が国としましても、この作業に目下精力的に協力しておりまして、情報の提供あるいは議論に積極的に参加するということで協力を行っております。
#69
○山中(Y)委員 地雷の除去の技術というのは日本も進んでいますし、そういったことも含めて、日本の科学技術がそういった分野で大いに発揮されることによって、日本がこの宇宙ステーションの計画に参画する、一つの大きな日本の顔が見えてくる、そういった視点でぜひイニシアチブをとっていっていただきたいと思います。
 この宇宙に関連して最後に私が御質問申し上げたいのは、宇宙の平和利用ということでございますが、この項目のもちろん一番最初のところに、「この協定は、国際法に従って平和的目的のために」と書いてあります。平和的目的ではなくてやると言っている国はもちろん一つもありません。それは当たり前のことで、みんな平和を目指しているわけですが、平和を獲得するやり方というのか、あるいは認識の仕方、判断の仕方、それは非常に国によって違っている、そういった現実があるのだと思います。
 そういう中で、大変ショックを与えている報道というのが、昨年の十月に、寿命の過ぎたまま宇宙を飛行中の空軍の衛星をねらって、陸軍が大型の最先端レーザー装置を照射実験したということが実際にアメリカで起こっておりまして、これはアメリカの国内的な、国内の衛星を国内の陸軍が撃っているわけですけれども、このときに国防総省の声明としては、米国の衛星を防護するコンピューターモデルの改善をするためのデータの収集である、そういうふうに言っています。
 しかし、アメリカの科学者連盟のスティーブン・アフターグッドという上級研究員は、衛星に対する破壊行動のタブーが破られたというふうに非難をしております。また、複数の専門家は、ミラクルの照射実験というのは、他国の衛星を破壊あるいは麻痺させる機能を確立するということをねらっているものではないかというふうに指摘もしております。国防総省のベーコン報道官は、すべての国際条約、米ロ合意などに違反するものは一つもない、そういうふうに強調しています。
 現在の状況ということ、つまりスペースシャトルというのが、ある意味では、軍事的目的の実験に使われているというのは、既にみんなが承知のことでございます。また、軍事衛星が各国への拡散を実際にされている、こういう状況であるということも、私どもは認識しておかなければいけません。さらに多くの国が参画してくる可能性があるこういう共同の国際的な計画の中で、いろいろな国の中には国際情勢として不安定要素を抱えている国も多々あるわけでございます。
 そういう中で、米国に触発される形でレーザーやミサイルというものを用いる、対衛星兵器の開発とか、あるいは互いの猜疑心が広がるというようなことがあり得ないとは言えないわけで、そういう意味で、対衛星兵器の開発の禁止に向けて国際的な合意形成を図っていく、日本が平和外交を続けていき、さらに目指していくという意味で、そういった国際的な合意形成を図っていく。同時に、先ほどのベーコン氏の発言のように、今の法では何も歯どめがかからないということを逆に意味しているわけですから、そこにどういつだ歯どめか、法的な歯どめをかける方策も検討する。
 これはなかなかタフな仕事だとは思いますけれども、日本が今後、日本は平和的に使うということは、私は確信を持って思っているわけですが、外の国も、日本は軍事的に使わないだろうということを、やはりある程度そういう信頼を得てきている日本だからこそ、そういった国際的な合意形成を図るイニシアチブがとれるのではないかというふうに思っております。
 この辺の行動というものを、また改めて、宇宙ステーションの建設と同時に日本が積極的に推し進めるというように私は願っておりますが、小渕外務大臣、いかがでいらっしゃいますか。
 済みません、これは大臣に。お気持ちだけお聞きできれば結構でございます。
#70
○小渕国務大臣 衛星に対する、それを攻撃するための兵器の開発というものにつきまして、私も定かにいたしておりませんが、何はともあれ、宇宙は平和利用のために行われなければならないということでございますので、そうした各国の状況について十分留意をしながら、時にはそのイニシアチブをとるということも必要ではないかというふうに思っております。
#71
○山中(Y)委員 できれば、時にはではなくて、常にイニシアチブをとる形で活動をしていくというのが、一つの日本のまたあり方を示していくというふうに思いますので、御努力を期待申し上げます。
 それでは、あと五分になりましたけれども、次の話題に移らせていただきます。
 四月の一日、二日、三日、インドのデリーで、世銀、国連開発計画、国連環境計画の今までの積み重ねの中で初の総会というのがございました。このことについては大臣はお聞きになっていらっしゃると思いますけれども、その代表の決め方ということについての過程を、今回は大蔵省の方が代表だったということで、ちょっと簡単に御説明いただけますか。
#72
○小口説明員 お答えいたします。
 地球環境ファシリティー、GEFでございますが、委員御指摘のとおり、地球問題に取り組む開発途上国を支援する資金メカニズムでございまして、世界銀行の中に信託基金を設けまして、世界銀行、UNDP、UNEPがともに運営する仕組みとなっております。
 このように、GEFは、世界銀行と密接な関係を保ちつつ開発途上国の支援を行うという性格を有するために、国際金融・援助政策の一環として対応するという観点から、GHFの実質的な意思決定機関でございます評議会の代表としても、大蔵省が代表を、そして外務省が代表代理を出して対応しているということでございます。また、GEFの運営に関する日本政府の方針については、当然のことながら、大蔵省、外務省、環境庁が密接に協議を行っております。
 今般のGEFの総会におきましては、以上のような点を勘案いたしまして、関係省庁が協議の上で、代表団代表は、大蔵省におきまして国際金融の経験の長い、前財務官でございますが、加藤隆俊大蔵省顧問を代表といたしまして、そして代表代理を、外務省の担当課でございます地球規模問題課の津曲課長にさせていただいた、そして随員として環境庁が加わるということになりました。
#73
○山中(Y)委員 私は、その中のパネルのパーラメンタリアン、グローバルエンバイロンメントのパネリストとしてお招きいただいて行きました。私は自費で参りましたが。
 それはそれとして、せっかくそういうような代表をお決めになったのですけれども、その代表の方の五分間ずつのスピーチのスピーカーのリストを見ますと、たくさんありますから、順番に十番まで申し上げますと、インドは環境森林大臣、それからデンマークは開発協力大臣、それからウガンダも自然資源の大臣、日本はミスター加藤です。五番目はトーゴ、ここも環境森林大臣ですし、ジョージアも環境次官、それからセントラルアフリカも環境大臣、そしてナイジェリアも環境大臣ということになっていまして、マリは大蔵大臣、そういうことで、ほかの国は大臣クラスの方が来ています。アメリカはそうではありませんけれども。
 これは、数年間の事前準備の後、アジアで初めて総会が開かれるということで、インドが大変頑張っておりまして、私は、実は行きまして、ここでパネルのディスカッションの打ち合わせのときに、あなたは議員なのに何で代表じゃないのかと随分突っ込まれまして、ふと考えたのですけれども、先日、ダボスの会議に行っていらした経済人の方々からも何人も、日本も国会議員を出して、そしてきちっとスピーチをするなり討論をするなり、そういう形でないと、日本だけ顔が見えないというふうに言われました。
 実は私、この発表をずっとオブザーバー席で聞いていまして、私自身は、心配したのは、ひょっとして日本はこの会議、そしてインドのこの状況というのを余り重視していないのじゃないかという印象を受けられたのではないか。つまり、そこに、政策あるいは将来の展望ということではなくて、日本の実績が話されたという現状もございます。
 私は、どのレベルでこういう決定がなされていったかをお聞きしましたときに、日本の場合にも、きちんと、ほかの人が不思議に思うように、政府、つまり、立法府と官僚の方、行政府が一緒になって政府ですから、全部の会議に出るわけにいきませんけれども、このようにバジパイ政権ができた、新しいインドということもありますし、COP3の議長国であった環境の会議で調べていただきましたところ、あとは東京でアフリカ関係の会議があるのみで、ことしはアジアではこの会議しかない。こういった会議に、全部の行程でなくても、行って、スピーチをして、そして交流を深めて、そういう方たちの、大臣主宰のいろいろな会議もありますから、そういう中に入っていくのに、環境大臣が難しければ環境次官も難しかったのでしょうか。それとも、環境委員会のメンバーも行けなかったのか。もしくは、外務大臣はあちらへ行っていらしても、外務次官がいらっしゃれなかったのか。
 予算も成立した後ですから、急速日本からそういった方が行けると言えば、向こうは大喜びで、私のような一介の議員で行っても、大蔵大臣、外務大臣、環境大臣そしてメディアの大臣とも個別にお会いすることができました。
 そういった意味で、顔の見えない日本というのは、もしかしたら、今までのそういった発想の中で、ちゃんとプログラムに組み込まれているそういうパーラメンタリアンの会議があるという視点、そういったことの判断のできるところで判断をして、そしてどういう人を送るかということ、ぜひ今後の会議のときに、もっと議員外交というものも含めて、日本の外交の一角に新しくいろいろな顔の見える日本の議員外交というものを積極的に推し進めるということが、これは必要なことではないかということを痛感して帰ってまいりました。
 これは、もう時間がございませんので、このことに関して大臣の御感想なりお気持ちを伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。
#74
○小渕国務大臣 大変いい御示唆をいただいたと思っております。
 私自身、今、この大臣職にありますけれども、外務省、大臣として出席しなければならない会合もあまたありますし、最近、もちろんグローバルな、この地球の中であらゆる国際会議その他の回数というものは、これははかり知れぬと思うのです。
 ですから、一度あらゆる会議を総括的に調査をして、少しリストアップしまして、その重さもあるかと思いますけれども、ぜひそういったものの中で、可能な限り、どういう人がどういうふうに出席したらいいかという、少し検討をしておいた方がいいのじゃないか。それで、行政府のある人ばかりでなくて、今委員御指摘のように、ここに森山先生なんかもおられますが、時々あらゆる会合に出ていただいていますけれども、そういったことを少し整理整とんしながら、できれば、それこそ現地に行って我が国の立場を十分説明をするということのできる人たちに、あらゆる機会に出席していただくようにひとつ研究する必要があるのじゃないか、そういうふうな御示唆をいただいたものと理解しております。
#75
○山中(Y)委員 きょうの今の大臣のお言葉を聞いて、私はいろいろな思いを持って帰ってきたそのかいがあったと思います。
 五分間の発表というのをできる、何もパーフェクトな英語で話すよりも、もっとその人柄のにじみ出るそういった発表をすることが日本の顔となるというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
#76
○中馬委員長 続いて、東祥三君。
#77
○東(祥)委員 外務大臣、おはようございます。自由党の東祥三です。
 新宇宙基地協力協定が本委員会の本題でございますが、この協定の質疑に入る前に、国際情勢について質問させていただきます。
 イラク情勢についてでございますが、三月二十六日から行われておりました国連特別査察団によるイラクの大統領施設八カ所に対する基礎査察が、四月三日に終了したと聞いております。イラク側は全面協力の姿勢を見せて、本年二月末に調印されましたアナン国連事務総長とイラクの査察合意は最初の大きな関門を越えたと理解しております。
 しかし、報道によりますと、査察に同行をいたしました多くの各国外交官らは、イラクの誠意を評価し、早くも制裁解除論がささやかれ始めているというふうに報道されております。我が国も、外交官二名を今回の査察に派遣しておりますが、査察に対するイラクの姿勢について日本国政府としてはどのように評価しているのか。
 そしてまた、この査察終了を受け、イラク側も当然経済制裁の早期解除を求めてくると思われますが、イラクに対する経済制裁の解除の見通しについて、日本国政府の見解をまず伺わせていただきたいと思います。
#78
○小渕国務大臣 結論から申し上げますと、この査察に参加された我が国の代表からまだ正式な報告は上がっておりませんので、その報告を詳細に私自身把握をいたしまして、その上で、我が国としてどのような対処をするかということについて結論を出したいと思っております。
 今委員御指摘のように、経済制裁の解除というようなことも一部どこかの国の代表の皆さんが話しておられるようなことは記事としては拝見しましたが、日本としても、せっかくに責任者を出しておりますので、その報告を受けた上で対処してまいりたいと思っております。
#79
○東(祥)委員 今のお話ですと、日本から派遣した人の正式な報告をまだ受けていないということでございますが、それを受けられた後、またこの本委員会において、それはどういうものであったのかということについて報告する機会を持てるように、理事会でも委員長に要請させていただきたいと思います。
#80
○天江政府委員 ただいまの大臣の御発言を若干補足させていただきますと、今回終わりましたのは国連の特別グループの査察でございまして、そのグループが第一回の査察を終了したことの後で、グループ全体としての報告書を国連安保理に提出するとなっております。その査察の報告を見た後でないと、どういう対応をするかということは検討できないという点でございます。
#81
○東(祥)委員 他方、今回の査察を前に、イラクは既に疑惑物質を海外へ移し、査察に備えていたとも言われております。
 今回の査察のみによって、イラクの疑惑解消とすることはできないのではないかと、私は個人的に思っております。しかし、査察についてもその限界論が浮上していることも一方にあり、今後、新たな兵器開発を阻止するための監視システムを各国が協力し、また整備し、常にその監視を続けていくための体制を確立していく必要があるのではないのか、このように考えます。
 今後、我が国はイラクの大量破壊兵器開発に対してどのようにかかわっていく方針なのか、小渕外務大臣の見解を伺っておきたいと思います。
#82
○小渕国務大臣 これは、申すまでもなく、この特別グループの査察活動が行われまして、八カ所の大統領関連施設の最初の査察を無事に終えて、今回の査察結果が安保理に報告をされるわけでございますので、そうした報告ということも十分検討させていただきまして、今後の方針については日本も責任を持ってその対処をいたしていく、こういうことになるのだろうと思います。
#83
○東(祥)委員 したがって、まだ正式なる報告を受けていないということですから、それを踏まえた上で、第二番目の質問ですけれども、今、大量破壊兵器に対して日本としてどのようにかかわっていったらいいのか。この点に関しても、ぜひこの外務委員会で外務大臣から、日本国政府の方針と言えるのかどうかわかりませんが、そのことを含んだ上で、報告していただける機会を持たせていただきたい、このように思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本題に入ります。
 本協定締結に当たりまして、日本とアメリカ、また日本とロシアの交渉担当者の間で平和的目的に関する書簡が交換されており、審議の参考資料として配付されております。現行協定締結の際にも、米国との間において今回と同様の書簡が交換されております。我が国の現行協定を締結する際の審議におきましても、米国との交換書簡により、宇宙ステーションの国防総省による利用の道をあけておくことになり、日本の宇宙平和利用の原則に反するとの議論が活発に、かつて十年弱前ですけれども、当外務委員会で行われた経緯もございます。
 今回、再び前回同様の書簡が交わされましたが、書簡を交換するに当たりまして、我が国政府として、過去のこうした国会での議論を踏まえた上で、アメリカ及びロシアの立場を理解した上で受け入れを決定したのだと推察します。また、宇宙ステーションの利用について、本協定の目的、趣旨を十分に達成するためには、平和的利用についての各参加国主体間の共通認識を確立すべきであったと私は考えておりますけれども、政府の見解はどのようなことなのか。外務大臣からお伺いしたいと思います。
#84
○小渕国務大臣 宇宙基地協力協定は、平和目的のために宇宙基地の開発利用を行うことを規定いたしておりますが、この協定上、平和的目的の定義に関する明文の規定はなく、その解釈及び適用については各参加主体が判断することとされております。
 ただし、この協定は同時に、宇宙基地の利用等は国際法に従って行うことを規定いたしておりまして、したがいまして、例えば宇宙条約で禁止されているような利用を行うこと、すなわち核兵器等の大量破壊兵器を宇宙空間に配置するようなことは認められていないという点については、共通の認識があると考えております。
#85
○東(祥)委員 基本的には、平成元年六月十四日に同じような議論がなされているのですけれども、当時丹波政府委員からの御説明と全く同じ御説明であったというふうに思います。
 そこで、なぜまたこの問題を当委員会で申し上げるかといえば、基本的に新宇宙基地協力協定、具体的に日本、アメリカ、ロシア、カナダそしてヨーロッパの諸国が共同で宇宙基地ステーションをつくろう、またそれが具体的な見通しの段階に差しかかっている、そういうときに、新宇宙基地協力の大前提であります利用目的、この目的に関して、参加国間にその目的に対する定義、目的に対する解釈、ここにそごがあればそもそもの枠組みが崩れてしまうのではないのか、こういう問題意識に基づいて質問をさせていただいております。
 そうしますと、本協定は、その目的において、国際法に従い、平和的目的のために民生用の設計、開発、運用及び利用を行うことに関する参加主体間の長期的な国際協力の枠組みを、真の協力関係を基礎として確立するとしているわけです。国際法に従い、また平和的目的のために、あるいはまた民生用というこの言葉が羅列されているわけでございます。
 この目的を着実に実行するには、平和的目的についての各国の理解が異なっている場合、平和的利用についての共通の理解を図る必要があるのではないのか。参加主体間の協力によって建設され、また運用される宇宙ステーション、この宇宙ステーションについての共通の目的認識を持つべきなのではないのか、このように思うわけでございます。
 ところが、今回交わされた日米、日ロ、前回もそうですけれども、平和的目的に関する交換書簡は、「国家安全保障上の目的のため、自国に配分されるものを利用する権利を有することを確認する。」としておりまして、国家安全保障上の目的のための宇宙ステーションの利用が可能となっております。
 私は、それはだめだとかそういうことを言っているのじゃありません。ところが、日本の場合は宇宙開発事業団の設立第一条に、平和的利用、この意味は何かといえば、非核、非軍事だというふうに言っているわけです。平和イコール非核、非軍事だと言っているわけです。そうすると、アメリカあるいはロシアが、自分たちが打ち上げる実験棟、これはちゃんと協定に書かれているとおり、自分たち帰属の国の管理、所有権になりますよ。したがって、それをどういうふうに使おうが、それは勝手でしょうと。日本は日本のこの開発事業団の第一条に定義されている平和的利用、つまり非核、非軍事、これに基づいて利用する、その面においては何らそごがないじゃないですか。したがって、この共通の枠組みである協定に関する解釈あるいは運用は、各国参加主体国間においてそれぞれの違いがあっても構わない、このように政府答弁は、前回平成元年も、今の外務大臣もおっしゃっているわけです。
 私が申し上げているのは、そうであるとするならば、別に共同で五カ国以上の国々が一緒に集まってやる必要ないじゃないか、このように思うわけです。もし共通の、共同して宇宙ステーションというものをつくろうとするならば、その宇宙ステーションをどのように利用していくのかという、まず目的に関する定義、これを共通の土壌に置いておくべきではないのか、このように思うわけですが、外務大臣、いかがですか。
 外務大臣。外務大臣が答えられるように僕は話をしていますから。技術的な話は一切していません。
#86
○小渕国務大臣 平和的な目的に関して共通の認識があるのか、また、それがなければそれぞれの国が自分でこの宇宙ステーションをつくったらいいじゃないかというふうなお考えでの御指摘かと思います。しかし、前の協定のときに、それぞれ平和的目的に関しましては、解釈及び適用については、参加主体の判断で余地が残されているということで結ばれておるわけでございます。
 したがいまして、我が国としては今委員御指摘のように、この平和的目的の解釈は、実験棟を提供する我が国としては、今委員が御指摘した宇宙開発事業団法並びに国会決議に照らして、我が国としては実験棟建設についての資金の提供とこの打ち上げについて責任を持っておる、こういう立場で、改めて今回の協定につきましては、前回の協定を結ばれたことに関しまして、新しい協定はロシアの参加ということでありますので、従来の考え方で対処しておる、こういうことでございます。
#87
○東(祥)委員 外務大臣、米国、ロシアが「国家安全保障上の目的のため、自国に配分されるものを利用する権利を有することを確認する。」との内容の書簡の交換を行いました。日本はアメリカの立場を理解することができますよ、ロシアに対しても理解することができますよ。ところが、この宇宙ステーションに関して、その究極の目的に関する理解に日本とアメリカと、それから日本とロシアとの間に違いがあるのですか。この点についていかがですか。
 海老原審議官、いいです。外務大臣。
#88
○中馬委員長 補足説明。海老原審議官。
#89
○海老原政府委員 委員長の御指名を受けまして、まずちょっと私から、補足的な御説明をさせていただきます。
 この平和的目的につきましては、委員が先ほどから御指摘しておりますように、必ずしも参加国間で完全な統一的な解釈が一致しておるということはございません。と申しますのは、これはそもそも、一般国際法におきまして、宇宙法体系の中におきまして平和的目的というものについての定義といったものがないということでございます。
 例えば、宇宙法体系の中の最も典型的な条約でございます宇宙条約におきましても、前文におきまして平和的目的ということをはっきりうたってはおります。他方、中の規定はどうなっておるかということを見ますと、第四条におきまして、核兵器その他の大量破壊兵器を宇宙空間において配置することはできないということは明文の規定で禁止しておりますけれども、それ以外の点につきましては、国連憲章を含む国際法に従って宇宙空間の利用を行うということのみが規定されているということでありまして、平和的目的の解釈につきましては、宇宙条約におきましても一定の幅が与えられる余地が残されているということがございまして、このような一般国際法上の事情を背景といたしまして、このような規定になっておるということでございます。
#90
○東(祥)委員 外務大臣が答えやすいように質問を変えます。
 アメリカとロシアは日本との交換文書で、繰り返しますけれども、「国家安全保障上の目的のため、自国に配分されるものを利用する権利を有することを確認する。」これで基本的に合意しているわけですけれども、日本は、国家安全保障上の目的のため、自国に配分されるものを利用する権利を有する、そういう立場に立ちますか。どうですか。
#91
○小渕国務大臣 我が国といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、「国際法に従って平和的目的のため」ということは、解釈権は我が国にありまして、宇宙開発事業団法並びに国会決議に照らして判断していく、これに尽きると思います。
#92
○東(祥)委員 それはわかるのですよ。それはわかった上で聞いているので、アメリカもロシアも、国際法上、国連憲章以下の国際法の体系に基づいて、これで問題ないと言っているわけです。したがって、それは日本も、アメリカ、ロシアの立場はわかりますと言っているわけでしょう。では、日本は、アメリカとロシアの、ここで言っている「国家安全保障上の目的のため、自国に配分されるものを利用する権利を有する」、この立場に立ちますかと言っているのです。日本の解釈として立ちますかと言っているのです。どうぞ。
#93
○小渕国務大臣 最初のこの協定が結ばれるときに、先ほど委員も言及をされておりました丹波政府委員の答弁にありますように、合衆国の権利について正しく述べていることについて本書簡において確認するということでございまして、さらに、日本国は同協定第九条3の(b)に従いまして、自国の要素の企図される利用が平和的目的のためでないと決定する場合には、そのような利用は行われないことを確認いたしたところ……(東(祥)委員「済みません、もう一度」と呼ぶ)
 この最初の協定の審議の過程で丹波政府委員が申し上げておりますように、アメリカが従来から交渉の途次説明した、アメリカとして考えるこの協定上の建前を従来どおり述べていますねということを確認したものであり、重ねて申し上げますが、合衆国の権利について正しく述べていることを本書簡において確認しておるこういうことであります。
#94
○東(祥)委員 質問は、アメリカの立場を日本は認めているんですよ、それはいいのです、日本の解釈はアメリカの立場に立ちますかということを言っているわけです。
 丹波さんは、「日本の解釈はいかんというお尋ねであれば、これは宇宙開発事業団法第一条の平和目的あるいは国会決議の平和目的、そういうことをめぐりましていろいろ議論がございましたけれども、」国会でですね、「そういう国会における論議その他を念頭に置いて対処するというのが日本の立場となるということになろうかと思います。」明言していないんですよ。だから私は聞いているのです。アメリカが言っているこの立場、日本はこの立場にくみしますかどうですかということを聞いているのです。イエスかノーかで答えてください。
#95
○海老原政府委員 先ほど大臣が御答弁されたことを若干私の方から敷衍させていただきたいと思いますけれども、書簡におきましては、我が方の書簡におきまして、アメリカの書簡において述べられていることはアメリカの立場を正しく述べているというものとして認めているということでございます。
 じゃ、正しく述べているというのはどういうことかということでございますが、これは別にアメリカ側の言っておる解釈が絶対的に正しいという意味ではございませんで、アメリカが交渉の過程においてこれは自分の考え方だというふうに述べたところを正しく表現していますねという意味で、正しく述べておるというふうな表現になっておるわけでございます。したがいまして、アメリカの考え方を全面的にこちらが正しいというふうに考えておるというのとは違うわけでございます。
 しからば、日本側の考え方はどうかということにつきましては、先ほど東委員がお述べになったとおりでございまして、我が国は、平和的目的につきましては個々のケースに沿って判断していくということになりますが、その判断を行うに当たりましては、この宇宙基地協力活動というものが宇宙開発事業団によって行われるということから、宇宙開発事業団法第一条に言う「平和の目的に限り、」という文言の解釈、あるいは宇宙空間の平和利用に関する国会決議の平和の目的に限りという文言の解釈に照らして判断してまいるというのが日本側の考え方でございます。
#96
○東(祥)委員 日本が打ち上げる実験棟を国家安全保障上の目的のために利用することはできますか。いかがですか。
#97
○海老原政府委員 先ほど申しましたように、今のような日本の実験棟の利用につきましては、個々のケースに照らして判断するという立場でございまして、具体的に申しますと、実際に日本実験棟を利用するという場合には、利用計画というのが出てまいります。これは、今後五年間の利用計画を提出するということになっておりまして、この利用計画に照らしまして詳細に検討を行うということで、その際には宇宙開発事業団法及び国会決議を十分念頭に置いて対処するということでございますので、今の委員の御質問については、一概には申せませんけれども、そのような利用計画が出てまいったときに、このような基準に照らして判断を行うということになることと思います。
#98
○東(祥)委員 今回、日米、日ロ間で交換された平和的目的に関する交換書簡によりまして、国家安全保障上の目的のための利用が可能となり、本協定の目的で言うところの平和的目的のためという日本の解釈と乖離が出てきてしまうのではないのか、それをまず僕は危惧いたします。
 そしてまた、今日、極めて多くの汎用的なものが軍事にも使われているという現実を考えれば、今アメリカが、この配付されております予想される国際宇宙基地の図、これを見て、これを軍事的に利用しようだとか、そういうふうには僕は思っていないのだろうと思うのです。日本ももちろんそうです。ところが、やはり長い戦略あるいは戦術というものを考えていったときに、国際社会がどのように変化してくるかわからない。したがって、平和利用あるいは民生用であったとしても、これを全く安全保障上の観点を閉ざしておけば、どのようになるかわからない。国として当たり前の論理を僕は展開しているのではないのか。
 つまり、安全保障という問題を考えた場合、これは国民の生命と財産を守るということでしょう。当然私たちが打ち上げる実験棟というのも、これも国の財産になるのではないのですか。それが何らかの形で危害が及ぶというような、そういう状況になったときにどうするのですか、こういう問題もある。さらにまた、そこで宇宙ステーションがつくられ、そこで数々の実験が行われ、そして地上においてはなかなか製造することが難しいものができるようになった段階において、それが現実の地上における軍事物資として、軍事技術として採用されるという可能性だってあるのではないのか。
 そういう観点から考えたときに、日本が、国家安全保障上の目的、こういう視点に立ってこの宇宙基地の利用ということも当然考えられますよ、それは日本が今まで言っている平和的利用と何ら相矛盾するものではない、どうしてこういう形で政府は積極的に言ってこないのですか。日本は、余り時間がありませんから言いませんけれども、常にこういう問題に対してあいまいもことさせてきているのではないのか。
 僕は、それは政府の問題ではないと思います。あくまでも、外務大臣、政治家なんですから、まさにそういう問題を議論するのがこの外務委員会の立場であり、さらにまた本会議であり、予算委員会なんだろうというふうに思うのですが、私はそういう主張を持ちますけれども、外務大臣、いかがですか。
#99
○小渕国務大臣 この平和的目的に合致して我が国としてはこれに参加しておる、また平和的目的ということは、これは国家安全保障上の問題でもあると私は思うのですね。
 ですから、日本では、軍事的とか平和的とかという論議を進めてまいりますと、これが二分化して話されるものですから、なかなか本格的な議論に相なっていないということは事実だろうと思うのです。
 しかし、今回の協定にして言えば、我々としては、あくまでも日本は日本としての平和的利用ということで、先ほど申し上げましたような二つの問題についてきちんと認識をし、このことを国民に理解を求めて、この協定をこの国会で批准をお願いしておる、こういうことでございます。
#100
○東(祥)委員 もう時間が来てしまいましたので、僕は、それでは外務省にお願いいたします。
 この宇宙基地協定に参加している国、日本、アメリカ、ロシア、カナダ、そして欧州諸国、十五カ国あると思うのですが、それぞれの国の平和的利用、平和的目的に関しての定義を全部出していただきたいというふうに思います。要請させていただきます。いかがでしょうか、外務大臣。
#101
○阿部政府委員 いろいろな場所で議論されている問題でございますので、それらをまとめまして、御報告申し上げたいと思います。
#102
○東(祥)委員 よろしくお願いします。
 終わります。
#103
○中馬委員長 古堅実吉君。
#104
○古堅委員 新宇宙基地協定の締結に当たって、アメリカとロシアとの間で交換された書簡によりますと、民生用国際宇宙基地のすべての利用を国際法に従って平和的目的のために行うことを規定する同協定に従い、合衆国が国家安全保障上の目的のため、自国の要素を利用し及び宇宙基地の基盤施設から得られる資源であって自国に配分されるものを利用する権利を有する権利を確認するとなっています。これは、米国書簡もロシアの書簡も同様の内容になっています。一方、日本の書簡は、米国側書簡が本協定のもとでの「合衆国の権利について正しく述べていることを本書簡において確認する。」と述べています。
 この問題をめぐって、先ほど私が質問しようとしているものと別の観点からの御質問もございましたが、この書簡をもって確認された米国の言う国家安全保障上の目的の利用とはどんな利用が含まれるか。例えば米国防総省の使用が含まれますか。
#105
○阿部政府委員 現在、私どもの承知している限りでは、アメリカの国防省がこの宇宙ステーションを具体的に利用するという計画はないと承知しております。
 ただ、理論的に申し上げますと、この協定によって規定されている国際法に基づく平和的目的の利用ということは、米国はできるわけでございまして、その米国要素の利用に関する米国の決定というのは、最終的に米国の判断によるということがこの書簡で確認されているところであります。
#106
○古堅委員 今読み上げた書簡でも明確なように、「国家安全保障上の目的のため」ということが言われておりまして、日本はなぜ宇宙基地のアメリカやロシアの軍事利用を容認したのですか。
#107
○阿部政府委員 これは容認したとかどうかという問題よりも、むしろそれまでの現行の協定でも確認されておりますところの、おのおのの管理する施設の利用に関する平和目的ということの解釈についての相互の理解を、今回も同様の書簡で確認したということでございます。
#108
○古堅委員 国防省が直接、打ち上げる宇宙基地を利用するかどうかということについては言及はざれませんけれども、米国防省が行う研究のためにJEMを利用する、そういうことについては日本政府はそのまま認めるという立場ですか。
#109
○阿部政府委員 この協定に基づきまして、日本の実験棟の利用については、日本が平和的目的のものであるかどうかということを決定する権限を持っておりまして、その際には、この実験棟を打ち上げます宇宙開発事業団、その宇宙開発事業団法の規定に基づきまして、平和目的であるかどうかということを判断して、日本として独自の判断としてそれを認めるかどうかを決めるということになると思います。
#110
○古堅委員 研究のためのJEMを利用するということについて、今のような検討の立場から、それを拒否するという考えもあるのですね。
#111
○阿部政府委員 そこは日本の判断に基づくということが確認されておりますので、日本の判断において、それが日本の解釈する平和的目的というものにそぐわないと判断する場合には、それを断るということはあり得ると思います。
#112
○古堅委員 どういう場合が判断の基準になるのですか。
#113
○阿部政府委員 これは、具体的な研究の内容を検討しまして、その都度判断することになると思いますが、基本的には、宇宙開発事業団法一条の平和利用の規定、それから関連の国会の決議、こういったものを踏まえて判断するということになるかと思います。
#114
○古堅委員 直接に軍事利用ということではないという意味で、基礎的な研究の問題は容認されるような、そういう考えもありますか。
#115
○阿部政府委員 これは、具体的な研究そのものについて、具体性が出てきたときに検討しないと、なかなかはっきりは申し上げられないと思いますけれども、あからさまにそれが事業団法一条とか平和目的をうたった国会決議などに反する場合には、これはもう認められないということかと思います。
#116
○古堅委員 アメリカの九七年国防報告は、基礎研究は将来の技術開発の土台である、国防省の基礎研究の目的は軍事的可能性がある科学または工学分野で知識を生み出すことである。国防省の基礎研究投資は、軍事機能または活動に潜在的に関係がある十二の専門分野、すなわち物理、化学、数学、コンピューター科学、エレクトロニクス、材料科学、力学、地球化学、海洋学、大気圏・宇宙科学、生物科学、認知・神経科学に焦点が置かれているとあります。このように、宇宙科学分野における基礎研究を軍事的可能性の面から重視しております。
 こういう基礎研究で利用しようということについて、日本政府ははっきり拒否できますか。
#117
○阿部政府委員 現実問題としまして、仮に米国防省が軍事的な目的の研究をしょうという場合には、米国は自分自身の研究棟も、この宇宙ステーション上に持っておるわけでございまして、また、そのほかにも、現在既に使っているスペースシャトルというものも利用することもできるわけでございまして、常識的に考えまして、わざわざロシア、日本、その他各国の飛行士も一緒に乗っている船で、見るから軍事目的という研究をあえてするかなという感じはいたします。
 なお、基礎研究についてどうであるかということを御質問でございますが、基礎研究という事柄の性格上、そのものから即軍事的な利用というのは考えられないのが基礎研究かと思いますが、それでは、それから、むしろ事後的に何らかの形でそれが軍事的なものに全く利用されないことはあり得るのかといいますと、これはやはり基礎的研究というものの性格から判断すると、なかなかそこまでは言えないのではないかなと思います。
 ただ、もちろん研究をする段階において、目的はもう明らかにそこにあるという場合には、それは日本に関する限りはできないということかと思います。
#118
○古堅委員 基礎的な研究ということで、すぐに拒否の対象にするのではないという立場もある、あるいは、それが明らかに軍事目的というふうなことになれば、それは同意するというわけにはいかぬ、今おっしゃっていることをそのように理解してよろしいですか。
#119
○阿部政府委員 計画が上がってきた段階におきまして、既に軍事的な利用の目的が考えられる、明白であるというものについては、当然これは日本の平和目的に反するということでお断りするということになると思いますが、その研究から派生じまして、将来の将来、先の先に、万が一これは軍事的なものに使えるかもしれないというものについて、あえてその段階において、すべて可能性を排除するということは実際上は難しいのではないかなと考えられます。
#120
○古堅委員 実際上は、先ほど国防報告の内容の一部を引用いたしましたけれども、基礎研究というのが軍事の面でどんなに重要視されているかということについて指摘したわけなんですが、その前提に立っても、なお基礎研究というだけでそれを拒否するというわけにはいかないという立場を表明しておられるのですね。ということは、そういう意味合いにおいては、この協定と書簡によって、日本は宇宙全体の軍事利用につながる方向を認めたということにほかならないのじゃないですか。
#121
○阿部政府委員 先ほどの平和的目的に関するいろいろな議論でおわかりでございますように、現在の宇宙空間の平和利用ということにつきましては、各国の間でいろいろな議論が行われておりまして、唯一確定した国際法としてありますのは、宇宙条約におきますところの大量破壊兵器を宇宙に配備しないということ等でございますけれども、それを超えてどうあるべきかということについては、アメリカ、ロシア、ヨーロッパの各国などで、いろいろ意見が違うわけでございます。それを踏まえて、現在ジュネーブの軍縮会議で宇宙空間の軍縮という問題について議論が行われているわけでございます。
 先進国の中では日本が一番、そういう意味では厳格な平和目的という解釈をしておると思いますが、その各国の違う立場を踏まえて、平和目的の文民用の宇宙ステーションをつくるということで協定をつくったわけでございまして、その段階ですべて見解を統一できれば理想的であったかもしれませんが、そこは端的に申し上げれば、現在の意見の違いをそのまま踏まえて、いわば写真を撮って協定にしたということで、最終的な、おのおの国が管理する試験棟の管理、判断は、その持っている国が判断する、こういう取り決めになったわけでございます。
#122
○古堅委員 実際上は、今指摘したようなものを認めたようなものですよ。宇宙基地の軍事利用を容認した本協定に参加するということは、先ほどいろいろと引用して、別の説明のために使っておりますけれども、宇宙利用を非軍事、非核を内容とする平和の目的に限定した一九六九年五月の、わが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する国会決議や、宇宙事業団法一条にも反するという意味で許されないということを指摘して、次の質問に移ります。
 次は、経費について伺います。
 宇宙基地計画とその関連経費の見積もりはどのくらいになりますか。
#123
○阿部政府委員 宇宙基地の全体の経費でございますが、まず日本の打ち上げます日本の実験棟、この開発経費は、概略三千百億円というふうに見込まれております。それから、その打ち上げのために五百数十億円程度の経費がかかるであろうと言われております。
 ほかの国の経費につきましては、例えば米国が必要とします経費は、円にしまして三兆六千億円程度、ヨーロッパが二千九百億円、カナダが千二百四十億円程度というふうに承知しております。ロシアにつきましては、明らかな数字は承知しておりません。ただ、その規模につきましては、実験棟、居住棟それからエネルギー部門もありますので、相当程度、米国に匹敵する規模のものでありまして、費用がかかるかと思いますが、この点は為替レートの問題などもありますので、必ずしも三兆円というふうになるかどうかははっきりいたしません。
#124
○古堅委員 今言われたものの上に莫大な運用用の経費も加わるようであります。
 アメリカでは、宇宙基地計画に対する風当たりが非常に強いものがあります。議会関係を見ましても、九〇年議会では政府要求の二十四億五千万ドルの予算を十九億ドルに減額修正し、九一年には、米下院歳出委員会の小委員会で宇宙ステーション予算を否決しました。これは、そのときのいろいろなやりとりの中で、計画の縮小を条件にようやく予算支出を可決したといういきさつはあります。九四年には、上院で宇宙基地計画を停止させる案を一票差で否決するというふうな事態も出ています。
 なぜこのような状況にあると考えますか。
#125
○阿部政府委員 米国も、八〇年代には相当の財政赤字に何回も悩んだという経緯がございまして、そういうこともありまして、米国内の議論において、この経費を何とか削減できないかという議論がいろいろあったと承知しております。
 ただ、最終的にはこの宇宙ステーション開発の経費は認められておりまして、今のところ、米国がこの計画に参加し続けていくということについては、特段の支障はないと承知しております。
#126
○古堅委員 確かに財政事情のこともありましょう。しかし、そういうことだけではないのですよ。
 全米科学アカデミーによって設立された民間団体の国家研究評議会の宇宙委員会がこのように言っています。ステーションで興味深い幾つかの研究を行うことは可能だが、予想される収穫はその施設の全費用に見合ったものではない、このように警告している。
 こういうことに見られるように、巨額の費用負担になるが、宇宙基地計画は当初考えられていたほど科学的に大きな意義がある計画ではない、このように考えられております。米議会によって中止されたSSC計画も同じような批判がなされておりました。
 一般論としては、そこから得られる自然科学の成果を否定するものではもちろんございません。しかし、得られる成果がその巨額の費用に見合うものではない、こういう批判についてどう考えるか。これは大臣からお聞きしたい。
#127
○小渕国務大臣 認識の相違だと思います。
#128
○古堅委員 時間が参りました。
 我が国の財政は危機的な状況にある一このように強調されています。そういう状況のもとで、我が国のこの計画で負う負担というのは、今のままでも最終的に一兆円にもなろうかという巨大なプロジェクトで、しかも当のアメリカで費用対効果さえ疑問視されており一その上軍事利用も排除されないようなこのような計画への参加は国民からの理解も得にくい、こういう問題だと考えております。計画を抜本的に見直すべきではないか、このように考えますが、大臣からもう一度。
#129
○小渕国務大臣 先ほど認識の相違と申し上げましたが、宇宙基地は、微小重力、高真空等を利用して、地上で行えない活動を可能にし、我が国、ひいては人類全体にとって、産業、医療等の広範な分野における技術進歩の機会を大きく開くものであり、また我が国の有人宇宙活動における技術を向上させる絶好の機会でございます。このことにかんがみれば、委員御指摘ではございますが、我が国の宇宙基地協力への参加は大きな意義のあるものと考えております。
 我が国は、この宇宙基地協力を進める上で、この協定が定められるように、費用を最小化すべく努力するということは言うまでもありませんが、いずれにいたしましても、我が国を含む各参加主体が既に進めている宇宙基地要素の開発を今後とも遂行し、宇宙基地を完成させ、宇宙基地における種々の研究活動から得られる先端科学技術の恩恵を広く還元できるようにしていくことは、これまで行われてきた宇宙基地協力を実りあるものとするため極めて重要であり、我が国としても、世界の先進国たる地位から考えまして、この計画につきまして積極的に参加すべきものと考えております。
#130
○古堅委員 指摘したものについて、基本的にまともに答えておりません。そのことを述べて、時間が参りましたので、終わります。
#131
○中馬委員長 これにて質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#132
○中馬委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。古堅実吉君。
#133
○古堅委員 私は、日本共産党を代表して、新宇宙基地協定に反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、本協定が国民に巨額の負担を押しつける国際宇宙基地計画を推進するものであるからです。
 国際宇宙基地計画に日本は現在まで三千三百六十八億円を支出しており、今後引き続き数千億円もの負担が必要となります。しかも、巨額の費用負担に見合う成果が得られる保証がないのであります。財政構造改革を言うなら、このような計画こそ見直すべきであります。
 反対理由の第二は、本協定が宇宙基地の軍事利用の可能性を排除していないからであります。
 日本政府は、アメリカ、ロシア政府との書簡で国際宇宙基地の国家安全保障目的の利用を容認しています。しかも、国際宇宙基地の軍事利用を認める約束を国会承認の対象とならない書簡の形で行ったことは、甚だしい国会軽視であります。
 以上で反対討論を終わります。(拍手)
#134
○中馬委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#135
○中馬委員長 採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#136
○中馬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#137
○中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#138
○中馬委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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