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#1
第142回国会 外務委員会 第12号
平成十年五月十五日(金曜日)
    午前九時四十二分開議
出席委員
  委員長 中馬 弘毅君
   理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君
   理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君
   理事 玄葉光一郎君 理事 松沢 成文君
   理事 東  順治君 理事 東  祥三君
      柿澤 弘治君    河野 太郎君
      阪上 善秀君    櫻内 義雄君
      下地 幹郎君    田中 昭一君
      野呂田芳成君    宮島 大典君
      宮本 一三君    森  英介君
      森田 健作君    八代 英太君
      島   聡君    藤 田幸久君
      丸谷 佳織君    山中 Y子君
      西  博義君    古堅 実吉君
      松本 善明君    伊藤  茂君
      井上 一成君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 小渕 恵三君
 出席政府委員
        法務大臣官房審
        議官      古田 佑紀君
        外務大臣官房審
        議官      海老原 紳君
        外務省総合外交
        政策局長    加藤 良三君
        外務省総合外交
        政策局軍備管
        理・科学審議官 阿部 信泰君
        外務省アジア局
        長       阿南 惟茂君
        外務省北米局長
        事務代理    田中 信明君
        外務省欧亜局長
        事務代理    飯村  豊君
        外務省経済局長
        事務代理    横田  淳君
        外務省経済協力
        局長事務代理  堂道 秀明君
        外務省条約局長 竹内 行夫君
 委員外の出席者
        外務大臣官房領
        事移住部長   内藤 昌平君
        大蔵省銀行局保
        険部保険第二課
        長       藤塚  明君
        通商産業省産業
        政策局産業組織
        課長      板東 一彦君
        外務委員会専門
        員       宮本 吉範君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十五日
 辞任         補欠選任
  河野 太郎君     宮島 大典君
  権藤 恒夫君     西  博義君
同日
 辞任         補欠選任
  宮島 大典君     河野 太郎君
  西  博義君     権藤 恒夫君
    ―――――――――――――
五月十四日
 社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国と
 の間の協定の締結について承認を求めるの件
 (条約第一九号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 サービスの貿易に関する一般協定の第五議定書
 の締結について承認を求めるの件(条約第一六
 号)
 国際商取引における外国公務員に対する贈賄の
 防止に関する条約の締結について承認を求める
 の件(条約第一七号)
 社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国と
 の間の協定の締結について承認を求めるの件
 (条約第一九号)(参議院送付)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
#2
○中馬委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 御承知かと思いますが、インドネシアの状況、邦人が、子弟が日本人学校から帰れないといったような状況も含めて、非常に不安な状況が現出いたしております。
 そういうこともございますので、まず冒頭に、外務大臣の方から、特にインドネシア情勢に関してひとつ発言を求めたいと思います。外務大臣小渕恵三君。
#3
○小渕国務大臣 ここ数日、インドネシア情勢が緊迫の度合いを増しておりまして、我が国としても重大な関心を持って事態の推移を注視いたしておるところでございます。
 特に、インドネシアには一万三千人以上の在留邦人が滞在していることもあり、我が国といたしましては、この事態に対処するため、本日午前一時、柳井事務次官を本部長とするインドネシア情勢外務省対策本部を設置いたしました。同本部におきましては、随時現地との連絡をとりつつ、二十四時間体制で情報収集と分析及び政策の決定を行うこととなりました。
 私自身も、けさ七時半、この会合に出席をいたしまして、万遺漏なきを期していくべく本部員を激励を申し上げ、なおかつ、けさ、その場所から現地川上大使に電話をいたしまして、情勢の最も新しい事態についての報告を受けたところでございます。
 現在のインドネシアの情勢に関しましては、ここ数日、首都ジャカルタの複数箇所で相当規模の暴動が発生しており、市内各地で略奪等が頻発しているほか、数カ所で放火による火災が発生いたしております。高速道路も一部閉鎖されており、特に空港へのアクセスに支障を来しております。このような事態の推移を憂慮しており、昨日、海外危険情報の危険度二、観光旅行延期勧告を発出いたしたところでございます。
 昨日の暴動におきましては治安部隊と暴徒との大規模な衝突はなかった模様でありますが、本日以降の状況につきましては予断を許さないものがあります。
 今のところ、ジャカルタ市内の在留邦人の多数居住する地域は平穏であり、在留邦人の生命に危険が及んだ事態は報告されておりません。昨日、ジャカルタの日本人学校の生徒が、道路の封鎖により帰宅することができず、学校で夜を明かす事態となりましたが、本日早朝になり、徐々に帰宅を始めておりまして、スクールバス五十五台を配置いたしておるところでございますが、既に、すべて全員、無事に帰宅いたしたという報告を今受けたところでございます。
 いずれにいたしましても、私として、在留邦人の安全に全力を尽くすとともに、事態が早急に平穏化することを強く希望いたしておるところでございます。
#4
○中馬委員長 どうも御苦労さまです。
     ――――◇―――――
#5
○中馬委員長 次に、サービスの貿易に関する一般協定の第五議定書の締結について承認を求めるの件及び国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丸谷佳織君。
#6
○丸谷委員 おはようございます。よろしくお願いいたします。
 質問通告はしておりませんけれども、ただいま外務大臣の方からインドネシア情勢の御説明をいただきましたので、若干関連をさせて質問させていただきたいというふうに思います。通告しておりませんので、お答えいただける範囲でお答えいただければと思うのです。御説明にありましたように、現在非常にインドネシアが緊迫の度合いを深めている中、邦人救出のためにどうするかということをまた考えていかなければいけないときなのだろうというふうに思うわけなのですけれども、現在、政府専用機または自衛隊機の派遣はあり得るのかどうかお伺いします。
#7
○小渕国務大臣 事態が刻々変化をするのではないかということでございまして、けさほど来の情勢につきましてはただいま報告したとおりでございますが、昨晩は一応平穏に戻ったという報告を得ているのです。しかし、朝になりましてまた状況がどういうふうに一変するかわかりかねるところでございますので、実はこの委員会が終わりましたら午後早々にでも関係閣僚に集まっていただきまして、実は外務省としては先ほど御報告いたしたように本部をつくりましたが、内閣としても危機管理監という制度が発足をいたしておりますので、内閣として十分各省庁と連絡をとってそれぞれ対応すべきだということで、今御質問ありましたのは自衛隊機のお話でございますが、防衛庁長官、またもし民間の飛行機を利用せざるを得ないということになりますれば運輸省等の関係の大臣にお集まりをいただきまして、情勢の分析とそれに対する対応につきまして、午後会議を開かせていただくということになっておりますので、今後、午前中どういうふうな変化があるかということを見極めなければならぬかと思います。
 万が一といいますか、最悪の事態といいますか、そういうことを常に想定しながら、それに対して十分適切な迅速な対応をしなければならぬと思いますので、おっしゃっておられるような自衛隊機というものも自衛隊法百条八の項目によって出動させることはできることに相なっておりますので、そういう事態が、その事態をどう考えるかでありますが、念のため防衛庁の方にその準備の方はお願いしなければならぬかとは思っております。
#8
○丸谷委員 どうもありがとうございました。
 ただいま御説明ありました自衛隊法第百条の八の適用、生命、身体の保護が必要な邦人がいること、航空機の安全が確保されていることというのが前提になると思うのですけれども、刻々と変化しているインドネシア情勢というものを踏まえて、例えば飛行場が封鎖されてしまうような場合にはやはり航空機では邦人の救出が不可能になってくるわけです。また、一万三千人という在留邦人の数を考えましたときに、自衛隊艦船も出動しなければいけないような状況になり得ることも考えられるというふうに思うわけです。ただ、そういった場合に艦船が出動できるような法的根拠が今まだ整っていないということを踏まえまして、素早い御決断とまた判断、情報収集というのが必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#9
○小渕国務大臣 法的にも、仮に自衛隊の艦船ということになれば、これは整備されているわけではございませんので、そんなことはあり得ないと思いますし、また艦船となりますと、今度、港その他に至る間の移動その他も、混乱の時期に可能性があるのかどうかという問題もありますので、現時点では実は考慮いたしておりません。
 なお、航空機につきましては、飛行場は機能いたしておるようでございますが、それと同時に、現在、民間の飛行機も離発着しておられるようでございますので、それぞれの方々がこうしたものを今利用できる環境にはありますが、戻りますが、船については今のところ検討いたしておりません。
#10
○丸谷委員 ありがとうございました。
 現在は飛行場がまだ封鎖されていないという状況でも、今後そういった状況に陥るかもしれないということも考えまして、措置をお願いしたいというふうに思います。
 では、続きまして、今回の二つの条約について、まず質問をさせていただきます。
 サービス貿易に関する一般協定第五議定書の方の質問からさせていただきたいというふうに思います。
 本議定書は、ことしの二月二十七日に作成されたばかりでありまして、四月一日現在、まだ受諾を済ませた国はないわけです。第二議定書の批准状況を見てみますと、当初予定をされていました九六年の七月末から一カ月余りおくれまして、一部に未受諾国を残したまま発効をしているというような状況です。また、今回は前回に比べて参加国も多いということを考えますと、今予定されています九九年一月末の発効が可能になってくるのかどうか危惧されるものがありますが、その発効時期の見通しについてお伺いします。
#11
○横田(淳)政府委員 お答え申し上げます。
 この議定書は、関係加盟国による受諾のために、一九九九年、来年の一月二十九日まで開放されております。そして、すべての関係加盟国が受諾した日の後三十日目の日に効力を生ずることになっております。仮にその日までにすべての関係加盟国が受諾しなかった場合には、その時点で受諾しております関係加盟国が集まって、その後三十日以内にその効力の発生に関する決定を行うことができるようになっております。
 現在ですが、関係加盟国内において、この議定書を締結するための国内手続が鋭意進められておると承知しておりますが、私どもとしては、早期に発効要件が満たされることを期待しております。我が国といたしましても、WTOのサービス貿易理事会の場などを通じまして、未受諾国に対して第五議定書を速やかに締結するように働きかけてまいる所存でございます。
#12
○丸谷委員 続きまして、外国公務員に対する贈賄防止条約について質問させていただきます。
 この外国公務員に対する贈賄防止条約なんですけれども、これは、外務省が作成しました日本語訳での正式名称は、国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約というふうになっています。この条約の正文は英語及びフランス語となっておりますので、この日本語の名称は仮訳というふうに承知をしておりますけれども、英語のテキストと日本語のこの名称の部分で、日本語では贈賄の防止という部分が、英語ではコンバッティング・プライバリーというふうになっておりまして、このコンバットの部分を素直に直訳をしますと、闘うというかなり強い意味合い、ニュアンスを持ってくるのかなというふうに思います。
 この日本語訳の防止という日本語に、コンバットのニュアンスがちょっと感じられないのが残念なわけなんですけれども、この外国公務員に対する贈賄を断固廃絶していくんだという、政府のコンバットする姿勢といいますか、闘う姿勢というのを、まず外務大臣にお示しいただきたいというふうに思います。
#13
○小渕国務大臣 英語の本文に、そうした英語が使われておるということでございまして、御指摘のように、闘うといいますか、そうしたことを起こしてはならぬという趣旨も感ぜられますので、そういう、この条約を我が国として適用するということになりますれば、そうした考え方で対処することは、ある意味では、至極当然のことだろうと思っております。
#14
○丸谷委員 続きまして、本条約の作成の段階で、経団連が外国公務員贈賄問題ワーキンググループというのを組みまして、我が国の政府に対して、我が国刑法上の贈賄罪にはない概念である、贈賄を通じて得た収益の没収並びに法人に対する処罰は条約に盛り込まないよう要請したというふうに伺っておりますが、実際にはこの二つとも条約の方には盛り込まれております。政府側としまして、経団連のこの要請をどのように受けとめ、またどのような経緯で条約に盛り込まれることになったのか、お伺いします。
#15
○横田(淳)政府委員 お答え申し上げます。
 本条約の交渉の過程におきましては、随時、経団連を初めとする経済界との意見交換をしつつ交渉に臨んだ次第でございます。我が国経済界からは、各国との横並びの確保が必要であることを中心に、御指摘の点も含めまして、各種の意見が寄せられたわけでございますけれども、これらにつきましては、我が国経済界の意見として参考にしつつも、基本的には外国公務員に対する贈賄を抑止する実効的な条約を作成すべきであるとの考えから、交渉に臨んだわけでございます。
 現在、我が国の経済界としても、条約の最終的な内容については、特段の異論はないものと承知しております。
 そこで、法人処罰についてでございますが、この条約が対象とする国際商取引における外国公務員に対する贈賄とは、行為者限りの判断で行われるというよりは、むしろ何らかの形で行為者の属する法人が関与している場合があり得ると考えられますことから、締約国に対しまして、このような贈賄について、自国の法的原則に従って、法人の責任を確立するために必要な措置をとることを求めることになった次第でございます。
 また、収益の没収につきましては、わいろ及び外国公務員に対する贈賄を通じて得た収益を押収もしくは没収することによって、外国公務員に対する贈賄を抑止することを実現しようとするものでありますけれども、同時に、かかる措置をとることができない締約国につきましては、同様の抑止的効果を有する金銭的制裁措置をとることでもよいとの考え方が採用されているわけでございまして、その旨の規定が設けられた次第でございます。
#16
○丸谷委員 では、法人に対する処罰の場合なんですけれども、通産省にお伺いします。
 不正競争防止法改正案によりますと、最高三億円の罰金刑を科すことになっておりますけれども、この最高三億円という金額は、贈賄を通じて得た収益の没収と同等な効果を有する金銭的な措置として十分な金額とお考えなのかどうか、お伺いします。
#17
○板東説明員 御説明申し上げます。
 ただいま委員御質問のとおり、この条約の実施法といたしまして、不正競争防止法の改正を今国会に提案させていただいております。その内容は、御説明ありましたとおり、ただいま不正競争防止法は、法人の処罰は一億円を罰金の上限としておりますが、これを三億円に引き上げる、こういう内容でございます。
 この三億円が十分かどうかという御質問でございますけれども、まず、この三億円という水準は、我が国の刑事法の法人の罰則では非常に重い部類に属する、最高の部類に属する刑罰でございます。
 さらに、実は、このような法人の処罰だけではございませんで、個人に対しましても、そのような犯罪行為を行いますと、懲役三年以下または三百万円以下の罰金がかかることになっております。
 さらに、もとよりこのような形で有罪判決がおりますと、いわば企業の対外イメージも落ちますし、そういう意味での社会的な制裁もあるわけでございまして、こういういわば法人、個人、そういう事実上のイメージ、こういった三つを勘案いたしまして、これで十分に目的は達せられるのではないか、このように考えているわけでございます。
#18
○丸谷委員 ありがとうございました。以上で条約に対する質問を終わらせていただきまして、先日の委員会でもインドの核実験につきまして各議員から質問がありましたけれども、私からも幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。
 今週の十一日に実際に三種類の地下核実験をインドは行い、また、我が国そして世界各国からも非難を浴びる中、十三日には一キロトン以下の規模の二種類の地下核実験を実際にインドは行っております。
 我が国政府としまして、まずインドが行った核実験の総規模について詳細な情報を得ているのか得ていられないのか、またどの程度の規模であったと推定されるのか、御説明をお願いします。
#19
○阿部政府委員 インドが二回にわたりまして合計五回の核実験を行ったわけでございますが、その詳細については公表されておりませんので推測の範囲になりますが、十一日に行われました実験についてはTNT火薬で五ないし二十キロトン程度のものというふうに言われております。それから、十三日に行われました実験につきましては、インド側の方でもこれは一キロトン規模以下のものというふうに言っております。
#20
○丸谷委員 ただいま推測で二十キロトンぐらいであったのではないかという御説明をいただきましたが、広島型の原爆ですと十五キロトンということですから、それよりも大きな規模の爆発力があったのではないかと思ったときに、新聞の報道で首相のコメント等を見ておりますと、環境に影響は全くなかった核実験であったというようなコメントが目に入りまして、本当に環境に全く影響がないような核実験なんというものがあるのだろうかというふうに私は思いました。
 例えば、地下でありますと水系に影響を及ぼす可能性が考えられます。実際にフランスがムルロア環礁で一九九五年九月五日に行いました実験、これも二十キロトン級であったということなんですけれども、フランス側のコメントとしましては、核爆発地点の周囲の岩石は溶解した後にちょうどガラス化をしてしまい、核物質を閉じ込めた形になるので放射能が漏れることはなかったというふうに説明している一方、核実験に懸念を持つ科学者は、ムルロア環礁の地下には過去の核実験によって多くの亀裂が生じている、ここにしみ込んだ海水を通じて五百年、一千年後には放射能が漏れてくる危険があるのではないかというふうなコメントも出ているように、決して環境に影響がない核実験などはないというふうに私自身は思っております。
 また、中国の核実験実施に抗議しました日弁連の声明を読みますと、「地下核実験であっても、地上への放射性物質の放出が避けられないことはアメリカ・旧ソビエトの核実験場周辺の放射性物質漏れの事故と環境汚染と住民の間の深刻な健康被害の事実が証明しているところである。」こういった内容が声明の方に盛り込まれている次第であります。
 その点を実際にきょうは質問をしょうと思いまして、昨日質問通告をしまして、環境庁、防衛庁それから科学技術庁に来ていただきまして、インドの軍事機密になりますから非常に詳しいデータを得ることは無理だというのは私もわかりますし、そういったデータをもとに詳しい情報を、また影響の推測をいただきたいと言ったわけではないのですけれども、核実験といったものが実際に環境に影響しないということが言えるのかどうかという質問をさせていただきたいときのう通告をしたのですが、どの庁も答えていただけなかったわけなんです。
 環境庁に関しましては、放射能が環境に与える影響は所管ではないというお答えをいただきました。また、防衛庁は、実際に核を持っていないのでわからない。科学技術庁は、日本にその影響があるかどうかという範囲まではわかるが、核が環境に与える影響というものはわからないというふうなお答えもいただきまして、実際に首相が今バーミンガム・サミットに行かれまして、各国のリーダーシップをとって核廃絶に向けて訴え、またインドを非難するという立場にあるときに、こういつたことで日本はいいのだろうかなというふうにも思ったという経緯がございます。
 外務大臣は、今回のような爆発を伴いました地下核実験が環境汚染を招かないということは科学的に考えられるというふうに思いますかどうか、お伺いします。
#21
○小渕国務大臣 今回の核実験が環境に影響があったか否かについては、我が国としては確たることを申し上げることのできる調査、そういうことができないのでお許しいただきたいと思いますが、一般論として言えば、核実験は放射能漏れ等により環境を汚染しがちなものでありまして、特に、御案内のCTBT、包括的核実験禁止条約の前文におきまして環境の面での意義を強く言及しておるということを考えますと、やはり環境の問題というのは非常に重要だ。それゆえに、微少な放射性物質の検出がCTBTに基づく核実験の検証、探知技術の一つとして開発をされておるということからも、極めて重要な問題であるというふうな認識はいたしております。
 ただ、インドの場合には、二回のいずれの実験におきましても大気中への放射能漏れはないと、インド政府はそれを確認しておるということを発表いたしておることはおりますが、いずれにしても、申し上げたように、環境問題というのは極めて重要な問題だと考えております。
#22
○丸谷委員 この実験が環境に与えます影響は、実際に百年、二百年単位というよりは、五百年、一千年単位というまた視点を持って訴え、取り組んでいかなければいけない問題だというふうにも思いますので、今後も、日本の確固たる姿勢でインドに対応していっていただきたいというふうに思います。
 この実験につきましてインドは、米ソの冷戦を引き合いに出しまして恐怖の均衡を強調しているのですけれども、この核兵器が通常兵器の延長線で考えてはいげないという点と、また、人類にとっては運命的な兵器であり、また黙示録的な兵器である以上、一国家の安全保障という観点から人間の安全保障という大局に立った議論が必要になってくるだろうというふうにも思われます。
 その意味で、インドのみならず、各国に核全廃に向けたメッセージを日本が送っていくことの意義は大変に深いというふうに思います。また、特に、早ければ十七日にも核実験の実施があるのではないかというふうに言われていますパキスタンに橋本総理のメッセージを送ったことは非常に意義が深いことだというふうに思いますので、その内容と、またパキスタンの反応をお伺いします。
#23
○阿部政府委員 今度のインドの核実験の結果、近隣諸国、特にパキスタンが、これに触発されまして核実験をするのではないかということが深く憂慮されております。
 こういうことがありまして、私から二回、東京におりますパキスタンの臨時代理大使に対しまして懸念を表明しております。また、現地の大使からも、先方の大統領以下に何度も申しております。また、けさほど早く、小渕大臣から、先方のアユブ・カーン外務大臣に対しまして書簡を出しております。
 この中で、日本としましては、。パキスタンが最大限の自制を働かせるということを、強い希望を表明しておりますけれども、パキスタン側では、自国の安全保障というものも極めて重要である、したがって、パキスタンとしては、最終的には自分らの主権としていかなる選択も行う権利があるということを申しておりましたけれども、私どもからは、にもかかわらず、パキスタンの将来のためにそこは賢明に考え、最大の自制をしてほしいということを重ねて申しておきました。
#24
○丸谷委員 インドに対する制裁としまして日本政府がとりました無償資金協力停止のほか新規円借款の供与の凍結、また世銀など国際機関を通じました対インド融資停止などの制裁は、残念なことですけれども、現在のインドに対しては必要な措置だというふうに認識しております。しかし、将来これらの措置を解除するときがあるとしましたら、インドがどのような状況になったときだというふうにお考えになるのか。日本がインドとの外交の中で納得できる到達点というものを一つ設けておかなければいけないのではないかなというふうに思います。
 例えば、CTBT、抜け道だというふうに言われていますCTBTを世界的に改正していくという方向性、世界的な流れもあるでしょうし、またインドに対しましては、これ以上核実験をしない、また、核を保有しない、そしてCTBTの無条件の署名等の要求が日本としては考えられますけれども、そこを、納得できる対話の到達点をどこに置かれるのか、お伺いします。
#25
○阿南政府委員 インドに対してとりました措置、これをどういう状況下で解除するかということは、なかなか難しい判断でございます。こういう要件ならばという一定の基準のようなものを定めるということは難しいわけでございますが、当然のことながら、今回のインドに対する措置、これを発表した際の官房長官の談話の中にもございましたが、核実験の即時停止、NPT、CTBTへの早期加入というようなことをインドに言っているわけでございます。こういうことも踏まえ、また、この措置の趣旨、目的、そういうものも十分に踏まえた上で、状況に応じ、インド政府の対応を勘案しつつ判断するということにならざるを得ないと思っております。
#26
○丸谷委員 バーミンガム・サミットの声明を受けてということもあるとは思うのですけれども、実際に、本当にインドがこれ以上核実験をしないということですとか、核を持たない、核兵器開発を行わない、またCTBTを無条件に署名するという一つ目標みたいなものを掲げておいた方が、実際に今後の交渉等また対話の中で、それが一つの到達点として生きてくるのではないかなというふうに思います。
 では、時間もなくなってまいりましたので最後の質問をさせていただきますが、本会議また以前の委員会の中で何回かお尋ねさせていただいておりまして、しつこいようなのですけれども、これで最後にさせていただきたいのですが、大臣に確認をさせていただきたい件があります。
 四月二十四日の外務委員会で、小渕外務大臣に対しまして、PKO改正案が原案のまま成立した場合に、OSCEが実施しますボスニアの選挙監視に自衛隊の派遣はあり得ますかという趣旨の質問をさせていただきまして、大臣から、選挙監視につきましては、通過した場合、これはPKO改正案が通過した場合だというふうに思いますけれども、通過した場合、その可能性は認められると思いますが、その事態に対応して派遣するかしないかは、そのときの政府の判断にゆだねられるものと思っておりますと御答弁をいただきました。
 我が国の法律上は、選挙監視に自衛隊を派遣することは排除していないということは承知の上で確認をさせていただきますが、選挙監視という仕事はやはり文民が行うものであるというのが国際慣習上、世界の共通認識としてつくり上げられているというふうに認識をしていても、我が国は、時の政府の政策判断いかんによっては選挙監視のために、国際的には軍隊と認識される自衛隊を派遣することもあり得ると外務大臣はお考えなのかどうか、この点を明確に御答弁願います。
#27
○小渕国務大臣 たしか二回目のお尋ねに対してお答えをいたしたかと思いますが、重ねて申し上げれば、ボスニアの選挙における選挙監視団への自衛隊または自衛隊隊員の派遣につきましては、我が国の法令上、自衛隊の部隊を監視団として派遣することは不可能であります。
 ただ、自衛隊員を個人の資格において派遣することは、理論的には排除されておりませんが、選挙監視活動はその性質上もまた実際上も、専ら文民によって行われる活動でありまして、自衛隊は、過去二回のボスニア選挙においては派遣されておりません。今回の選挙におきましても自衛隊員を派遣する考えはございません。
#28
○丸谷委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#29
○中馬委員長 松沢成文君。
#30
○松沢委員 皆さん、おはようございます。
 民主党の松沢成文です。
 協定と条約についての御質問をさせていただきますが、その前に、外務大臣の方からもインドネシア情勢についての御報告がありました。大変厳しい状況になっていると思いますので、もう少し詳しく政府の情報収集の状況と見解をお聞かせいただきたいと思います。
 まず、インドネシア情勢について、外務大臣からも御報告ありましたが、首都ジャカルタを中心にかなり暴動が激しくなってきているということでありますけれども、邦人が一万三千人前後いて、それで、ジャカルタには九千人前後の邦人がいるということであります。今までの暴動の報道を見てみますと、ジャカルタだけでなく、むしろ地方都市、スマトラ島のメダンとかあるいはジャワ島の東の方にありますジョクジャカルタ、こういうところでの暴動もかなりこれまであった、ひどい状況だということですけれども、この反政府暴動の状況をもう少し詳しく、ジャカルタだけでなく地方都市も含めて、また、その暴動の内容を、民主化をへ政治改革を叫ぶ学生たちが大学で集会等々をやったりして、それが市民に波及して一都市民が暴徒化して、それで華人を襲ったりしているというふうに新聞情報等で判断をしていますが、どんなふうに暴動が起こっているのか、その内容等についても政府はどう把握されているか、まずお聞きしたいと思います。
#31
○阿南政府委員 インドネシアの経済危機に端を発しまして、特に最近では五月四日に公共料金の値上げ、ガソリンの値上げというようなことで、北スマトラのメダンから始まりました。そういう限りで見ますと、やはり経済が苦しい一般の人たちがそういう動機で華人、中国人系の商店を襲うというようなことがございました。
 他方、それとはまた少し違う、恐らく政治的動機も持った学生の運動というのがずっと構内で行われていたのでございますが、これがやはり五月の初旬から表面化するという形で、メダン等で、地方でそういう状況があったのが、いよいよ首都ジャカルタで発生する、学生が構内から外へ出ていく、そういう状況の中で、警察や軍がこれをコントロールしょうという中で一般市民もそれに加わるという、それが相当無秩序な状態を醸し出してきているというふうに考えております。
 ただ、けさ、スハルト大統領がカイロから帰ってこられまして、どういう対応を決断されるかということを今私どもは注目して見守っているところでございます。
 と申しますのも、インドネシアの政治、統治形態というとあれでございますが、現実は、スハルト大統領は相当いろいろなことを一人でお決めになる。大統領が海外、G15の会議に出席しておられる間、国軍は、相当首都ジャカルタで学生や市民が表で騒いでいるのに対して、戒厳令をしくとかそういう強い措置に出ていない。対話をしょうとか、十二日に不幸にして学生が四名ないし五名亡くなったという状況はあるんですが、それに対しても非常に哀悼の意を表するというような格好で、今のところ冷静に対応しているわけでございます。スハルト大統領が帰ってこられて、そういう姿勢を続けていくのか、それとももうちょっと秩序回復に向けて力を使うということになるのか、今そういう状況、きょうあした、どういうふうに当局が出ていくかということを注目しているという段階でございます。
#32
○松沢委員 その中で、日本人の方がたくさんいらっしゃる、日本企業もたくさんあるということで、日本企業の中には、こういう状況になって駐在員や家族を国外に避難を始めているという情報がありますけれども、その辺はどう把握されているのか、その状況、そして政府は、大使館を通じて、何らかの形でできれば国外退去をみずからしてほしいというような指令はもう出しているのかどうか、この辺についてお伺いしたいと思います。
#33
○内藤説明員 暴動の激化したジャカルタにおきましては、在留邦人に対しては、基本的に自宅や事務所等に待機ということで、かねてからそういう了解になっております。かつ、総領事館のFM放送を通じてその点の周知を図りつつあります。しかしながら、観光旅行延期勧告が出た現状にかんがみまして、短期観光客につきましては速やかな出国を呼びかける予定でございます。他方、在住の方々の中にも出国を希望する方がおられるということは、大使館の方でも把握しております。
#34
○松沢委員 今、自宅待機ということでお願いをしているということでありますが、暴徒の一つの行動の中に、華人の商店を襲うというのが報道されておりますけれども、当然、暴徒化してくると、今までの積年の恨みも爆発して、人種的な亀裂、あるいは貧富の差、華人とインドネシア人との間の貧富の差もあったでしょうからこういう状況になると思うんですが、銀行にはお金がたくさんあるわけで、邦銀、大都市には大分出ていると思うんですけれども、こうした銀行、特に日本の銀行が襲われる可能性もゼロではないと思うんですね、今後の暴徒の状況によっては。この邦銀に対しては何らかの指令を政府として出しているんでしょうか。
#35
○内藤説明員 邦銀に対する被害というのは、まだ我々は把握しておりません。ただ、それ以外の地域で銀行に対する襲撃があったということは、情報を流しております。したがいまして、邦銀の方々もその危険については十分承知の上で対応策を講じておられるものと承知しております。
 なお、ちなみに、けさのジャカルタは、大使館のインドネシア人職員も通常のバスを使って出勤してきております。
#36
○松沢委員 政府は、邦人救出のために自衛隊機派遣も検討しているということでありますけれども、この邦人救出に自衛隊機等々あるいは政府専用機あるいは民間機を使うような事態になるかもしれませんが、この邦人救出をするときの決断というのはどういう状況になったときでしょうか。
 まだ現在では、自宅待機で様子を見よう、あるいは、スハルト大統領が帰ってきてその後どういう動きがあるのかによってこの反政府暴動も状況が変わるかもしれないということですが、この邦人救出を決断するときというのはどういう状況になったときと考えておられますでしょうか。
#37
○内藤説明員 海外における危険状況については、いろいろな段階がございます。
 現在は観光旅行延期勧告でございますが、今後さらに事態が悪化した場合には、危険度三、渡航延期勧告を発出し、国内での移動の安全を確認しつつ家族等事情の許す者の出国を進め、事情の許さない方は準備を進めるということになりますが、その際は、定期便がまず活用されるべきでございます。さらに、定期便が利用できない場合、あるいは困難な場合には、臨時便、チャーター便という、いずれも民間航空機がまず活用されます。
 さらに事態が悪化した場合、これは危険度四、家族等退避勧告、あるいは危険度五、退避勧告というレベルになります。その場合には、定期便が利用できない場合、臨時便、チャーター便の派遣も困難である場合には、自衛隊機の派遣についても検討することとなる、そういう段取りになってございます。
#38
○松沢委員 こちらの派遣の状況ではなくて、インドネシアの情勢がどういう状況になったときに政府は邦人救出を決断するのか、そこをお聞きしたい。
#39
○内藤説明員 基本的には、邦人に対する危険の切迫度をこれから判断することにかかってくると思われます。
#40
○松沢委員 さて、今回のこの暴動の原因の一つに、インドネシアの経済通貨危機、これに対するIMFからの改革の勧告があって、それが一つの原因になっているわけです。なぜかといいますと、先ほどもお話ありましたように、その政治改革や経済構造改革、IMFから注文が出されて、その中の一つに、食糧費や燃料に対する補助金、これをやめなさいということがあったわけです。それに従ってインドネシア政府が補助金をカットした。そうすると当然、燃料費、物価が上がってきます、公共料金が上がってきた、それに怒って市民が暴徒化した、こういう方向で来ているわけです。
 そうしますと、外務大臣、このIMFの改革要求、これが一つの暴徒の原因になってしまっているのであれば、この暴動をある意味で一時的に鎮静化させるためには、このIMFのインドネシアに対する改革要求について少し猶予をするとか、そういう考えも成り立つわけなんですね。
 ただ、インドネシアの経済構造改革、将来を考えればこのIMFの改革要求は大変重要でありますけれども、さて外務大臣、このIMFのインドネシアに対する改革要求については今後どう対応すべきと考えますか。日本もインドネシアに対しては相当な支援もしているわけでありますし、投資をしているわけでありますし、大変関連があるわけでありますが、外務大臣としてはどうお考えでしょうか。
#41
○小渕国務大臣 今、松沢委員御指摘のように、今回のインドネシアにおいて各種の暴動その他が発生しておる原因の一つとして、生活防衛的な点が起こってきておるということも大きな一つの原因であろうと思います。あるいは、経済全体が悪いために、通貨ルピアがきのうあたりは一万一千ぐらいに下落をしておるということでございまして、問題は、そうした経済の根本的な状況を何とか打開をするために、通貨、金融不安を解消して安定した経済に取り戻す意味でのIMFの対応でありへそれに対してのコンディショナリティーである。
 しかし、それのために物価が上がって暴動を起こしたということですが、経済的な原因だけに帰するのかどうかというような問題も実はあるのではないか、こういう思いがいたしておりまして、まさにこれはインドネシア最高の責任者、あるいはまた政府そのものがどういう判断をするかということでして、IMFのコンディショナリティーが余りにもきついために起こってきたということも原因の一つで、そうなった結果起こってきて、物価が上昇して貧困層が大変厳しい環境にあるということは事実でございますけれども、暴動を起こしておる方々はそういう方ばかりでなくて、御案内のように、学生たちが非常にこの問題に取り組んでいるというような考え方をしますと、そういうものの原因の除去ということがどういうことか、こうなりますと、なかなか事はそう簡単じゃないような気がいたしております。
 しかし、御指摘のように、経済状況の中で、余りにも急激な物価高というようなことによって、これがIMFのコンディショナリティーのこれを忠実に履行するということにあるとすれば、その問題についてどう考えるべきかということについて、恐らく主要先進国会議等におきましてもお話があろうかと思いますが、これだけに絞って今IMFに対して我が国が対処すべきかということについては、まだその状況をもう少し踏まえなければ、ちょっと対処を日本としてはできかねるのではないかな、ちょっと歯切れが悪い答弁でございますけれども、なかなか難しいところであると思っております。
#42
○松沢委員 スハルト大統領がカイロの、何というのでしょうか、途上国サミットというのですか、それに参加をされていて、本国が大変な状況になってきたので少し早く帰るということになって、きのうの晩に出たということですから、もう恐らくジャカルタに戻っている時刻ではないかと思うのです。
 昨晩の報道によりますと、このスハルト大統領が、民衆が私を望まないのであればやっている必要がないみたいなことで、ある意味で素直に辞意をほのめかすような発言をしたというふうに報道されておりますが、外務省はその情報を何らかの形でつかんでおられますでしょうか。
 また、スハルト大統領がジャカルタに着いたときに、空港の周りを暴徒が囲むのではないかといううわさがジャカルタでは流れているという報道もありましたけれども、そういうことには現在なっているのかどうか。ちょうど今ごろだと思うのですけれども、その辺の情報収集の状況を教えていただきたいと思います。
#43
○阿南政府委員 委員最初に御指摘になりました報道、これは十四日のインドネシアの各紙に報じられました。確かにおっしゃったような内容が報道されたわけでございますが、その後でアラタス外務大臣が、そういう真意で大統領が発言されたわけではないと若干訂正された経緯もあったように承知をしております。その辺の真意のほどを私どもが確認するすべはないわけでございますが、必ずしもそういう、辞任を示唆されたということではないという外務大臣からの訂正が後ほどあったということも事実のようでございます。
 スハルト大統領は、けさ未明にもうジャカルタに到着されまして、私どもが承知しておりますところでは、一般の国際空港ではないところの空港に、特別機で行かれたと思いますので着かれたようでございますが、何ら混乱なく私邸に戻られた、状況はそういうことのようでございます。
#44
○松沢委員 こういうことは予想したくないわけでありますけれども、もし今後、インドネシアの暴動が激しさを増して、完全に政権転覆のような形になって、これは予想の話でありますけれども、インドネシアが無政府状態のようなことになって大混乱をきわめる、そういう可能性もゼロじゃないと思うのですが、そうなった場合、マラッカ海峡あるいは南シナ海の、これは日本にとっては重要なシーレーンでありますけれども、この船舶に通航の不安が生じたり、あるいはこの地域は大変海賊が多いところなんですね、こういう無政府状態に乗じて船舶を襲うような、こうしたシーレーンでの大混乱に陥る可能性もゼロじゃないと思っております。
 今、折しも政府の方は、周辺事態法、ガイドラインを具現化する法律として周辺事態法を閣議決定をして、これから国会で審議ということでありますけれども、このマラッカ海峡及び南シナ海、こういう地域で、インドネシアの政情不安あるいは政権転覆によって混乱状況に陥った場合、そこにアメリカが、第七艦隊あるいはそうしたアメリカ軍が出動をしてこの海峡の治安を守るという活動に出た場合、今回の政府提案の周辺事態法において、そうなった場合は周辺事態と認定がされるのかどうか、外務大臣はその辺についてはどうお考えでしょうか。
#45
○小渕国務大臣 今回の周辺事態安全確保法の問題の中で、周辺事態とは何ぞやということはもうしばしば政府として答弁いたしておるわけでございまして、今委員のお尋ねは、この周辺事態は、あくまでもこの日本並びに周辺における事態が我が国の安全とこの周辺の安定に危険を及ぼすという段階において認定するわけでございますので、その事態というものがどういうものか、要するに、マラッカ海峡を通る民間の船が通れないか通れるか、海賊に遭ったとか遭わないとかということでその認定をどうするかということにかかわることだろうと思いますが、一般的に言えば、日本の並びにその周辺の安全保障という意味で、そのことにまで及んで認定するかどうかについては、その事態を十分把握しないとできかねるということだと私は考えております。
#46
○松沢委員 これは仮定の話でしにくいのですけれども、私、ある意味で、事態をクリアに仮定をしていきたいと思うのです。マラッカ海峡の日本のシーレーン、この船舶が、インドネシアの政情不安あるいは政府転覆、無政府状況によってその船舶の運航が完全に脅かされている、安全運航が脅かされる、あるいは海賊が出るかもしれません、こういう状況というのはかなりクリアに仮定されています。それは日本の安全あるいは日本の周辺の安全にとってはかなりの影響がある事態ですよね。
 こういう事態は、むしろ私は周辺事態法を、これまでのガイドラインの議論を考える限り、やはり米軍が出動してそこの治安を守るという場合は、日本の死活的な安全保障にかかわる事態になっていると思うので、ある意味でこれは周辺事態の認定になるのかな、私はそう考えておりますけれども、外務大臣はいかがですか。
#47
○竹内政府委員 答弁を申し上げます。
 しばしば申し上げていることは繰り返しはなるたけ避けますけれども、周辺事態に当たるかどうかということは、日本を主体的に見まして、日本から見て、その平和と安全に重要な影響を及ぼすかどうかということでございます。
 その際、あくまでも、周辺事態における安全確保と申しますのは、日米安全保障条約の枠内での日米協力ということでございますので、前提となりますのは、やはり日本に対して、軍事的な問題を中心といたしまして脅威といいますか、平和と安全に重要な影響があるかどうか、こういうことだろうと思います。
 今先生がおっしゃいました具体的な状況というのは、本当の意味で、具体的にいろいろ判断をして、総合的に判断しないと結論は出せないわけでございます。
 ただ、一つだけ申し上げますと、例えば海賊が出て日本の船舶の航行が妨げられるというような状況というのは、これはまさに状況によりますけれども、恐らくそれは一種の、安全保障というよりは警察行動といいますか、海上における治安の問題ということではなかろうかと思います。なかろうかと思いますといいますか、むしろそういう状況が主であろうというふうに思われますので、そういうときに自衛隊と米軍とが共同で対応するとか、それに対応する米軍に対して、これを周辺事態における安保条約のもとの後方支援というようなことはちょっと想定しにくいのではなかろうか、これは事実の問題として想定をしにくいのではなかろうかというふうに、御質問の趣旨をちゃんとわかっているかどうかわかりませんけれども、とりあえずそういう感じがいたします。
#48
○松沢委員 これは仮定の話でありますので、そうならないことを祈りますし、また、今後の周辺事態法等の法律の審議の中で、しっかりと詰めていきたいと思います。
 それでは、提案されております、まず外国公務員贈賄防止条約について、幾つかお伺いをしたいと思うのです。
 この条約は、国際商取引に関連して行われる外国公務員に対する贈賄行為を罰することによって公正な競争を確保することを目的としているということでありますけれども、まずお伺いしたいのは、この場合の外国公務員とは、具体的にどういう人たちを指しているのか。条約の本文の中にあると思いますが、その定義を御説明いただきたいと思います。
#49
○横田(淳)政府委員 外国公務員の定義でございますけれども、委員まさに御指摘のとおり、条約そのものの中に定義が置いてあります。
 第一条の4でございますけれども、まず第一条の4のbに、「外国」というものを定義しておりまして、「「外国」には、国から地方までのすべての段階又は区分の政府を含む。」とあって、その上で、「「外国公務員」とは、外国の立法、行政又は司法に属する職にある者(任命されたか選出されたかを問わない。)」となっております。それから、「外国のために公的な任務を遂行する者(当該外国の公的機関又は公的な企業のために任務を遂行する者を含む。)及び公的国際機関の職員又はその事務受託者」であると定義されております。
 したがいまして、例えば、外国の中央政府の職員はもちろんのことでございますけれども、外国の国会議員や地方公務員、さらに地方議員や中央銀行のような公的機関の職員も含まれるということになっております。
#50
○松沢委員 私ども日本の国会議員も、この条約に入りますと、この対象になるということなんですけれども、この外国公務員の定義には政党職員というのは入っていないのですね。もちろん、この条約は、まずOECDの中でやっていこうということで、先進国ばかりでありますが、例えば、社会主義国なんかは政党独裁政府みたいなところがあって、政党の職員というのが物すごく権力を持っているという国もあるわけです。私は、この条約をつくるのであれば、むしろ政党の職員なんかも含めた方がいいのではないか、政党職員も対象とすべきであると私は思いますけれども、政党人として、外務大臣、その辺はいかがお考えでしょうか。
#51
○小渕国務大臣 今ほど事務当局から御答弁申し上げましたが、国会議員というものも入っておる場合に、その国々において政党の主要な構成員は条約の適用の対象となるということでございますが、この政党というものをどういうふうに定義するかということはなかなか難しくて、我が国におきましても、我々も長い間、政党法の成立というようなことも勉強したことがありますが、なかなか難しゅうございますし、今委員御指摘のように、ある意味で一党独裁というような国における政党のこともございます。
 したがって、御答弁を申し上げるとすれば、政党の法的な、厳密な定義がなかなか困難なゆえをもちまして、慎重な対応が必要と考えられておりますが、OECDにおきましては、各国の政党に関連した贈賄行為等の問題につきさらに検討を続けてまいる、こういうことになっておるようでございますので、我々としても、そうしたOECD等においての政党に対しての本条約の適用というようなことについてのいろいろな論議をひとつ注目をしながら、今後検討してまいりたい、このように考えております。
#52
○松沢委員 次の質問も極めて政治的な質問なので、外務大臣の政治家としての立場でお答えいただきたいのですけれども、本条約の締約国である外国の企業が、我が国の国会議員に対して贈賄行為を行った場合、その企業は、本条約で定める犯罪を行ったとして処罰されることになります。
 しかし、今与党内で検討中の仮称政治倫理確立法案があります。これは自民党案で国会提出のようですけれども、国会議員のあっせん利得であっても、政治資金規正法に基づく届け出を行えば、もうこれは適用対象外ということにしているのですね。つまり、我が国企業が我が国の国会議員に対してあっせん料を支払ってもよいことになる、よいというのはおかしいけれども、罰せられないことになるのです。
 この法案はまだ国会提出になっていませんけれども、もしこのような規定のまま法律となれば、我が国の国会議員に対するあっせん料の支払いは、本条約の締約国の外国企業であれば犯罪となって、日本企業であれば、政治献金であれば問題なしということになってしまうのです。
 これでは、公正な商取引を実現するという本条約の目的には、国内的にはその目的が達成できないことになると考えますけれども、外務大臣、いかがお考えでしょうか。少し嫌らしい質問ですが。
#53
○小渕国務大臣 現在、政治倫理確立法案につきましては、与党内で検討いたしておるところでございまして、どのようにあっせん利得なるものについて法的に刑罰措置を講ずるかどうかについて、いろいろ議論をされておるところでございますので、今、私、この段階で、今の御質問に対して是非を御答弁することは控えさせていただきたいと思います。
#54
○松沢委員 まあ、まだ法律にはなっていませんから仕方がありません。
 本条約の実施のためには、政府としては、不正競争防止法の一部を改正しなければいけない、国会に提出されております。
 不正競争防止法は、改正後も属地主義をとっておりまして、例えば、日本企業の一社員が海外に出張して個人の裁量で交際費等から現地の公務員、外国の公務員に対して贈賄行為を行ったとしても、当該社員を罰することはできないことになります、個人の裁量でやった場合。これでは、本条約及び改正後の不正競争防止法の実効性に疑問を抱かざるを得ないと思いますけれども、政府の見解はいかがでしょうか。
#55
○横田(淳)政府委員 この条約の目的は、外国公務員に対する贈賄が国際商取引における競争条件をゆがめているという側面に着目いたしまして、先進国を中心とする締約国が率先して、自国の法的原則の範囲内で、可能な限りかかる行為を犯罪化して処罰する措置をとることによって、国際商取引における公正な競争を確保することにございます。
 そこで、委員の問題意識は、我が国が自国民の国外犯につき裁判権を設定しないというところに問題点を指摘しておられると考えますけれども、我が国では、例えば日本人駐在員が現地限りの判断で外国公務員に対して贈賄を行った場合には、御指摘のように、日本の法律上は、基本的にその駐在員を処罰できないことになってしまいます。
 しかし、このような特殊なケースは配慮されませんが、この条約は締約国間の密接な相互援助及び犯罪人引き渡しに関する規定を結んでおりまして、締約国間で外国公務員に対する贈賄に有効に対処するための協力関係が形成されることになっております。したがいまして、この条約を締結することは、外国公務員に対する贈賄を抑圧し、防止する上で効果があるというふうに考えております。
 また、一社員が現地の公務員に贈賄を行うような事案につきましては、通常であれば、本国の本社から許可とか指示とかそういうものが出ている場合が多いと考えられまして、かかる場合には、一定の範囲内で、日本国は裁判権を設定する可能性があるわけでございます。
#56
○松沢委員 日本の企業というのは、非常に家族主義というのでしょうか、個人の判断よりも組織の論理で動くということで、そういうことは少ないのではないかというのですが、現にあるのですね。私の友人も、アメリカで金融機関のアメリカの支店を任されていて、全く自分の判断で、立身出世をねらったのでしょうか、不正融資をしまして今懲役二十年でロサンゼルスの刑務所に入っていますけれども、これは会社は全く関係なく、自分の判断でやったということで、こういうことも立身出世を目指して、あり得ますので、可能性としては私は否定できないと思います。
 そうしますと、この条約がOECDでつくられている以上、贈賄行為が主として行われると考えられる発展途上国のほとんどは非締約国となるわけです。途上国では、贈賄行為というのは逆に当たり前だなんということでやられています。そうしますと、締約国が属人主義をとらない限り、各国企業間の公正競争を確保するための実効性は余り期待できないというふうに私は考えますけれども、これは政府の見解はいかがでしょうか。
#57
○横田(淳)政府委員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、この条約の目的は、まず先進国が率先いたしまして、自国の法的原則の範囲内で、可能な限りかかる贈賄行為を犯罪化して処罰する措置をとることによって、公正な競争を確保するというところにあるわけでございます。
 先ほどもちょっと一例を挙げましたけれども、もうちょっと敷衍して申し上げますと、我が国は、条約の第四条2の規定を踏まえまして、国民の国外犯を処罰しないわけでございますけれども、条約を締結することによりまして、以下のようなケースを処罰することができるようになります。
 幾つか例を申し上げますと、例えば国内におきまして外国公務員に対する贈賄が行われるケースは当然でございます。それから、国内から、電話等によって、国外の外国公務員に対してわいろの約束または申し出を行うということも取り締まりの対象となるわけでございます。それから、外国公務員に対する贈賄を行うことを、国内で共謀した上で、社員が出張いたしまして現地で実行するというケース。さらに、国内から海外支店の社員や現地のエージェントに対して外国公務員に対するわいろを行うよう指示があって、その上で現地で実行に移されるケース。これらのケースにつきまして、処罰することが可能となるわけでございます。したがいまして、実体的には、一定の範囲で国外に及ぶ贈賄を取り締まることができますので、実効性が上げられるというふうに考えております。
 また、この条約は、締約国間の密接な相互援助及び犯罪人引き渡しに関する規定を含んでおります。それから、外国公務員に対する贈賄に有効に対処するための締約国間の協力関係が形成されることになりますので、我が国を含めまして締約国数が増せば増すほど、外国公務員に対する贈賄の罪を抑圧する効果及び各締約国における取り締まりの実効性が高まることとなる次第でございます。
#58
○松沢委員 この条約のもう一点の問題点を指摘したいと思うのです。
 同条約では、外国公務員に対する贈賄側を罰するわけです。収賄側、つまりここで言う外国公務員の罪については一切触れられていないわけです。我が国の国内法においては、わいろは収賄、贈賄とも刑法で罰せられるわけです。なぜ、この条約では贈賄側のみを罰するように決まったのか。OECD内での収賄罪についての議論はあったのか否か、この辺についてお聞かせいただきたいと思います。
#59
○横田(淳)政府委員 OECDにおきましては、収賄側を罰する必要があるのではないかという議論は早目の段階でございました。しかし、条約作成の段階におきましてはもうその問題は決着がついておりまして、改めて蒸し返されなかったという経緯がございます。
 なぜそういうふうになったかという点を御説明申し上げますと、まず第一に、各国の公務員の行う収賄行為につきましては、本来その国の国内問題である。したがって、それぞれの国が、自国の公務員の廉潔性確保の観点から処罰すべきものであるという原則が一つございます。それから第二番目に、非締約国の外国の公務員が行う一定の犯罪につき、締約国が十分な裁判権を設定することが困難であるというふうに考えられた次第でございます。
 このような次第でございますので、収賄側につきまして条約上の規定を置くということはなかったわけでございます。
#60
○松沢委員 条約の目的は、外国公務員に対する贈賄行為を取り締まることで国際商取引における公正な競争を確保するということであるわけですけれども、先ほども言いましたけれども、多くの開発途上国では、公務員がわいろを要求する行為が習慣化しているということをよく言われます。いろいろな例もあるようであります。国際商取引において公正な競争を確保するためには、贈賄行為を行った側を取り締まると同時に、やはり収賄側に対しても毅然とした態度が要求されてしかるべきだと私は思うのです。
 そこで政府は、今後、収賄側である外国公務員も罰することができるように、将来的に本条約を改正するような運動を起こしていくべきだと私は考えますけれども、いかがでしょうか。
#61
○横田(淳)政府委員 収賄側の罪につきまして規定をこの条約内に置くということにつきましては、先ほど申し上げました二点の理由で断念されたわけでございます。かつ、このような条約ができますことによって、民間の経済界の方からは、例えばわいろを要求されたときに、このような条約がありますから自分たちはできませんというふうに断る口実となる、口実と言っては変でございますけれども、断る理由となるということで歓迎しておるわけでございます。
 先ほどの二点のような理由がございます結果、私どもといたしましては、御指摘のような条約の改正につきましては現時点では考えておりません。
#62
○松沢委員 次に、サービス協定第五議定書について一問だけお伺いしたいと思うのです。
 今回のサービス協定締結に向けての交渉において、最後まで交渉を左右したのはアメリカの動きだったというふうに聞いております。アメリカは、マレーシアを初め一部途上国の自由化約束に不満を示して、特に外資規制の強化方針を打ち出したマレーシアに対しては、WTOの原則である最恵国待遇を適用せず、二国間の相互主義に基づき今後も圧力をかけ続けるような意向を示しております。こうしたアメリカの姿勢は、金融サービス分野で国際的なルールを確立して、これまで二国間で制裁を片手に繰り広げられてきた折衝をWTOという多国間の交渉の場で活用していこうというWTOの活性化の流れに逆行するのではないかというふうに私は思います。
 多角的貿易体制を支える基本原則の一つであって、特に遵守されるべき最恵国待遇原則を、二国間で相手国市場のさらなる自由化を求めるための手段として利用しようとしているアメリカの姿勢、日本も随分これでやられたわけですけれども、今後の自由化交渉において少なからず影響を与えると思いますけれども、政府はこのアメリカの姿勢に対してはどういう見解をお持ちでしょうか。
#63
○横田(淳)政府委員 最恵国待遇の義務からの免除でございますが、これは、サービス協定上の特徴でございますが、協定上認められた権利でございます。
 さはさりながら、私どもといたしましては最恵国待遇義務につきましては非常な重きを置いておりまして、今回米国が、分野が極めて限定されているとはいえ、一部追加的に最恵国待遇義務からの免除登録を行ったことは、私どもといたしましては、金融サービスにおける多角的自由化の成果を減じるものであり、非常に遺憾に思っております。しかし、全体として見れば、米国を含むすべての主要国が、最恵国待遇義務を基本的に維持しつつ自由化約束を行うことに合意したわけでございまして、WTOに基づく多角的な自由貿易体制をさらに強化するものであり、我が国及び世界経済にとり重要な成果であったと思っております。
 我が国は、従来より最恵国待遇の義務の原則に基づく多角的枠組みのもとでサービス貿易を自由化することを最も重視しまして、その実現に向けて最大限の努力を行ってきている次第でございますし、このような立場は開発途上国を含む多くの加盟国から支持されているところでありまして、我が国といたしましては、このような立場を今後ともWTOの場で訴えていく所存でございます。
#64
○松沢委員 最後十分ほどありますので、インドの核実験について幾つかお伺いをしたいと思います。
 二回、一連のインドの核実験が強行されたわけでありますけれども、これでインドも核実験のさまざまなデータが収集できて、今後は、コンピューター技術によって未臨界実験、これはCTBTでは禁止されていないわけですが、こういうのも使いながらさらなる核開発技術を推進できるという方向になったのではないかと思うのです。
 それで、インドはこの実験が終わった後、CTBTに加入する可能性が強い、あるいはインドの政府の方々もそのようなことをほのめかしているということでありますけれども、インドがCTBTに加入する動きに出た場合、日本政府としては、CTBTの発効により近づくということでそれを歓迎するのか否か、まずお伺いしたいと思います。
#65
○小渕国務大臣 かねて、NPT、CTBTについて、その加盟についてインド側に強く要請をいたしてきたところでございまして、こういう核実験を実施しない前にきちんと入っていただかなければならなかったわけですが、今日そういう事態が生じてきております。厳然たる事実としてそうしたことを行っておるわけでございまして、それに対して、現時点では、日本政府としてはこの実験そのものに対して強い抗議の意を示し、かつ、今後どのような対応をとるか、核開発をもう中止するのか、そうしたことの状況をこれからよく見通さなければならないかと思います。
 ですから、原則的には、それは国際的な条約に入って考えていただかなければなりませんが、申し上げましたように、こうした実験をしないためにもともと加盟していただきたいということを言っておった時点でございますので、今日の時点ではへ日本側としては、今回の実験についてどのように日本側としても対処し、かつインド側がどのようにこれから対応するかというところを見きわめながら慫慂していきたいというふうに思っています。
#66
○松沢委員 今外務大臣もおっしゃいましたけれども、NPTとCTBTに両方入ってくれれば、これはいいわけです。核管理ができるわけですね。ところが、インドは絶対NPTには入りません。NPTというのは、五カ国で核保有国を決めて、それを固定化して、それ以上ふやさないようにしようという方向ですからね。それにインドが入ることになると六カ国にふやすことになりますから、恐らくはかの国も、ある意味でアメリカなんかは歓迎しないのでしょう。もう自分たちは核実験のデータは集まった、だからこれ以上は核実験はやらないで済む、未臨界実験でやれば今後開発できるんだということで、CTBTだけに入る、こういう方向になってきてしまうと思うのです。そこが難しいことだと思うのです。
 もしCTBTの加入だけを日本は歓迎して拍手をして、一つでも入ってくれればいいやということで認めてしまうと、パキスタンも同じようなやり方をしますね。パキスタンもNPTには入っていません、両方の条約に入っていませんけれども、当然核実験をやった方が得だ、やって情報が集まったら、これ以上やりませんからCTBTに入れてください、こうなって、第二のインド、第三のインドを誘発してしまう可能性もある。
 思い返してみますと、中国、フランスは、NPTには入っておりますけれども、CTBTが発効する前にとにかくやってしまって、やってデータが集まったら、もうこれ以上実験しないというCTBTに入ったわけですね。このあしき例をインドは利用したとも見えるわけです。ですから私は、国際社会が持つ核軍縮への期待を見事にまで裏切ったインドのCTBT加盟を、政府はそういう観点にも立って認めてしまうのかどうかについてお伺いしたいと思います。
#67
○阿部政府委員 インド政府の方から、ある条件が満たされればCTBTに加入することも考えるというようなことを言っているようでございますが、CTBTにそういう条件をつけて入るということは、そもそもほかの署各国としては受け入れがたいところでありまして、米国などは既に無条件でCTBTに加入することということを要求しております。
 したがって、私どもとしても、無条件で入るということが条件でございますし、また大臣からも申し上げましたように、NPTにそもそも入るべきであるということを日本としては引き続き要求していくということでございます。
#68
○松沢委員 きのりきょう、インドの隣の国でありますパキスタンの核実験の可能性を報道する記事が新聞に幾つか載っております。このパキスタンの核実験の可能性、一説によると、十七日じゃないか、あるいは今週中じゃないか、いろいろ出ておりますが、かなり確度の高い情報だという報道もございます。
 政府として、このパキスタンの核実験の近日中に行われるという可能性については、どう情報を集めて把握されているのか、お聞かせください。
#69
○阿部政府委員 御指摘のパキスタンの動きに関する報道ですが、主としてアメリカの情報機関から出された情報に基づくものと承知しております。私どもも承知しているところでは、パキスタンが実験を行うような準備を進めているというふうに伺っております。
 物理的には、早ければおっしゃったような時期に可能になるということでございますが、残る問題はパキスタン政府としての政治的な判断であるということでございまして、その政治的判断を誤らないように、日本側から最大限の努力をしているという状況にございます。
#70
○松沢委員 日本は、原爆を落とされたというか、被爆を経験した唯一の国であって、核軍縮あるいは核拡散に反対する立場でどこの国よりも積極的にやるんだというのが日本のある意味の国是の一つだとは思うのですけれども、そうであれば、では、このパキスタンの核実験の可能性があるということに対して、パキスタンの大使を呼んで要請するなりいろいろなことをやっていると思うのですが、今具体的に、これを防止するためにどういう行動をとっていらっしゃいますか。
#71
○阿部政府委員 日本政府がとっております行動としましては、パキスタンの大使がちょうど今東京におりませんものですから、臨時代理大使に対しまして、私から二度、直接働きかけております。また、現地で我が方の大使からも働きかけておりますが、けさほど、小渕外務大臣から向こうの外務大臣に強い書簡を送っております。また総理からも、先方の大統領にあてる書簡を発出する準備を今進めております。
 そのほかは、私どもが承知をしておりますのは、米国は、タルボット特使を現地に派遣して説得努力をしているというふうに承知しております。
#72
○松沢委員 今の答弁で、私、象徴的に日本の外交のことをあらわしていると思うのですが、アメリカはもう人を送ったのですね、特使を。日本はなぜそれをやらないかと思うのです。核軍縮というのは、もう日本は一番力を入れていることでしょう。パキスタンにも恐らくかなりの援助を出していると思います。インドが核実験やって、これだけの制裁も決めたわけです。日本の外交の顔が見えないというのはまさしくそこなのです。機を見て敏で、人がばあんと動いていかない。大使を呼んで言いました、向こうの大使も政府の要人に会って要請しました、どんな国でもやります、そんなことは。
 日本の外交がきちっと動くためには、世界から顔が見えるためには、アメリカより先にやはり人を送って、外務大臣が忙しければ政務次官がいるじゃないですか。高村政務次官に、おまえ行ってこいとすぐやって、やはりそういう体で絶対にパキスタンの核実験は阻止するんだと、そういう形を見せない限り、日本の外交というのはいつまでたっても見えない、ほかの国と同じようなことをただだらだらやっていくだけと私は思えてならないのです。今の御答弁の中で、日本はこうこうやっています、でもアメリカは特使を送っています、この違いがあるのです。
 さて、小渕大臣、十七日までまだあと一日、二日あります。それぐらいのことを外務大臣として決断をして、日本の特使をパキスタンに突っ込んで、体を張ってこの核実験を阻止する、こういうお考えはないでしょうか。
#73
○小渕国務大臣 昨日も実は、今委員が御指摘のような点も含めまして、パキスタンそれからインドに対してだれかを派遣して我が国の立場を強くお話しすべきでないかということで、実は総理ともきのう話しておったのですが、話して、やらないうちに御指摘いただいて大変残念に思いますけれども、パキスタンについては、三月十日、十一日にアユブ・カーン外相が来られまして会談がありました。
 そのときに、今日起こってくるような事態を想定したということばかりではありませんが、印パの関係というものは非常にきつい状況だし、インドが核実験を行うのではないかという何らかの予兆といいますか客観的情勢を政治家の一人として判断しましたので、パキスタンにその自制を強く申し上げておったのです。
 しかし、その後、御案内のように、パキスタン側が核弾頭を載せて運べるロケットの実験をしたというようなこともあり、今度はインド、インドがやればパキスタンと、こういうことになりがちでありまして、そういった意味で、実は、御承知のようにインドに対する経済制裁等を昨日の段階でいたしました。
 ある意味では、インド側としては想定を超えるような日本側の対応だという認識も聞こえてこないではないのです。ですから、同じことはパキスタンについても当然考え、もし万々一そんなことになりましたら、日本側としてとるべき対抗手段というのはある意味ではそうした行為だということで、そのメッセージは強く発しておるつもりでございますが、改めて正式にということであることが、より効果的であるかどうかについては十分検討させていただきます。そして、やるべきことがあるとすれば迅速に対応したいと思っております。
#74
○松沢委員 よろしくお願いします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#75
○中馬委員長 八代英太君。
    〔委員長退席、福田委員長代理着席〕
#76
○八代委員 自民党の八代英太でございます。きょうは、大臣を初め、いろいろなアジアの情勢等々を伺ってまいりたいと思います。
 きょうはほとんどがインドの核実験の強行に対する怒りの質疑があったろうと思っておりますし、また冒頭は、委員長から、インドネシアの暴動、騒動、これについての質問もあったように伺っておるわけでありますが、南アジアでは、ごらんのように、このインドの核実験、一回ならず二回も、国際世論に反発するかのようなこの核実験。それに対してパキスタン、イスラムの教えでは、目には目を、こういう教えもありますから、それも近日やるのではないかというような、そういった危険な情報。それにまた東南アジアにおいては、経済の危機に伴うインドネシアのここ二、三日の本当に目に余る暴動、スハルト体制の揺らぎ、こういうこともあります。また一方、我々の周辺の極東におきましては、やはり朝鮮半島、あるいはまた北朝鮮の例えば拉致疑惑等々も、もう一切耳をかさずというような強硬な姿勢、ここにも懸念がないわけではありません。
 こうして見ると、この地球上の五つのブロック、アフリカブロックがあり、ヨーロッパブロックがあり、そしてアメリカブロックがあり、そしてアジア太平洋ブロックというものがあって、そこには地球の大体六割の人口がいるわけです。今、まさにアジアが、連日のようにこの地球上の大きな焦点になっているということを考えてみますと、小渕外交といたしましても連休中にはASEAN何カ国かもお回りになったということも伺っておりますし、それにまた私たちも、実は自由民主党の訪米団を編成いたしまして、牧野隆守理事も御一緒でございましたが、中山太郎元外務大臣を団長にいたしまして、連休中ワシントンへ行ってまいりました。いろいろなことを通じて、アジアのこの経済危機がやはりその基本にあるということを考えますと、これからますます日本がアジアのリーダーシップをとる国として、雁行ではありませんが、ガンの先頭に日本がいて、後はその方向にアジアの国々が走っているという、こういう状況を見ましても、また一方では日本の責任も大変大きい。
 こういう南アジアの、インドにまつわる核実験の問題、あるいはインドネシアの、東南アジアにおける経済危機が引き起こした中における庶民の暴動の問題、国民の暴動の問題、あるいは極東における、今ロシアとは非常にいい関係になりつつあるとはいえ、これも二〇〇〇年までのもろもろの平和条約の締結にはなかなか道のりは険しいだろう、こう思います。
 きょうも開会前に、訪ロされた中馬委員長以下、皆さんのお話を聞きましても、なかなか本音がわからない。なかなか二十一世紀までの日本の外交は難しいなどいう思いを私も抱くわけでありますが、今はアジアが焦点でありますから、外務大臣、こういう一連の南アジア、東南アジア、あるいは極東アジア、こうした流れをどのように大臣として把握をして、またお考えをお持ちか、まず冒頭伺っておきたいと思います。
#77
○小渕国務大臣 この連休のとき、私、タイ、マレーシア、シンガポール、三国を訪問いたしました。そして、現下、東アジアにおける経済危機に対して、どのように今それを乗り越えるべくそれぞれの国が対処しているかということを肌身で勉強させていただきたいということで参りました。
 その後、ロンドンにおける外相・蔵相会議が開かれましたので、その場合、アジアを代表するわけではありませんが、アジアからは一カ国しか参加をしておりません、ロシアをどう見るかという問題もありますが、いずれにしても、東南アジアについて我が国がコミットメントしておることからかんがみまして、アジアの立場を説明するためにも、そうした国々の基本的考え方を十分掌握してきたいということで行ってまいりました。
 経済の状況は非常に困難ではありますけれども、また、国によりましていささか状況は変わっておりまして、先ほど来、インドネシアの状況、極めて難しい状況になっておることでありますが、タイなどはIMFコンディショナリティーを非常に忠実に履行しつつありまして、チュアン首相も、自信を持って、回復させていきたいと。ただ、言われるように、欧米といいますか、そういうところの考え方というのは、クイックレスポンスがないとなかなか承知をしない、アジアというのはそう簡単にいきかねる、そういう気持ちを伝えてほしいというようなことも言っておられまして、それはロンドンでも申し上げておったところでございます。いずれにしても、かってない状況の中で、アジアも再び経済も含めて再生をしょうという感じを非常に強くいたしたところでございます。
 それから、先ほど雁行というお話ございまして、これはしばしば我が総理もかりがねの先頭に立ってというお話もされておりますが、そうしたことに対してこうした国がどう感じておるかなという気がしたのです。もともとこの言葉はシンガポールの首相ゴー・チョクトンさんがお話しされたということでございますが、行ってみて、改めて日本に対する非常に強い要請、いわばこの経済危機になってみて、そう言っては失礼ですが、ヨーロッパ勢は引き揚げるときも非常に引き揚げが早い、しかし日本は、いよいよこれだけしっかりした、地に足をつけてそうした国々と深い関係があると、今さらながらに日本との関係をより緊密にしていかなきやならぬという強い気持ちを受けとめましたし、それにこたえていかなきやならぬ、こう思った次第でございます。
 アジアも広いわけでございますから、今言った、インド亜大陸のところもございますし、中国もありますし、今御指摘の北東アジアの問題もありますが、いずれにしても日本としては、それぞれの地域の問題を的確に掌握し、分析し、それに対して日本としてとるべきことはきちんとやっていくということが改めて大切だという認識を深くいたしたところでございます。
#78
○八代委員 そういう意味では、アジアの、雁行を例えるならば、まさにこれが護送船団民族ということも言えるのではないかと思いますが、この辺がつまりアングロサクソン系の人たちには理解は難しいのですよね。
 私たちは、そういう意味では、この経済危機を乗り越えていくために十六兆円という大きな補正予算を今審議をしているわけでありますし、このアジアの経済危機の中において、いち早く日本は既に四百二十億ドルももうこのアジア危機に対して、韓国の百億ドル等が大きくなっていますが、そういうものをいろいろな国際機関を通じてやっている。そして、日本の経済も厳しいのだけれども、その日本の経済のやはり厳しさから再生していかなきやならないという我々のまた努力も大変必要になってくるということでありますが、その辺が、アメリカの議会へ行っても、アメリカの高官たちにもなかなかわかってもらえていなかったというものを、私たちは訪米いたしまして、牧野理事初め痛感したところなんです。
 太平洋は小さな池かなと思っている時代だと思ったが、やはり太平洋は遠い。しかも、アメリカあたりにある地図を見てみますと、真ん中に中東があって、左側にアメリカの北アメリカ、南アメリカがあって、それからロシアがあって、それから、ファーイーストですから一番遠い東に、日本の北海道は地殻の囲いからこぼれたようなところに日本がある。まさに日本とアメリカは、近そうであるという思いを私たちは持っていたけれども、非常に遠い感じがしたなという思い、それには、日米という基軸を考えていくと、これからもっともっと私たちは積極的な日米外交をやはり新たな視点に立ってやっていかなければならぬということを痛切に感じたわけです。
 今後の日米外交についての重要性は、これはもうだれしもわかっていることでありますが、大臣はまたどのようにこの日米外交の二十一世紀へ向けてのお考えをお持ちか、伺いたいと思います。いかがでしょうか。
#79
○小渕国務大臣 外交演説でも申し上げさせていただきましたが、一部誤解があったかと思いますが、日中米ロ四カ国、この関係をより緊密にしていかなければならないということで演説をさせていただきましたが、その前提はやはり日米、この基軸というものが、これをきちんと継続していくことがまず大前提にあるべきものだということにおいては変わらないと思っております。
 そういう意味では、日米間につきましては、現在はいろいろ経済摩擦も含めまして個々の問題は生じておりますけれども、しかし、基本的にはよきパートナーとしてお互い理解し合っているということですから、これは間違いないことだと思います。
 ただ、ことしの連休にも我が方からワシントン、ニューヨーク等にたくさん行っていただいて、我が国の立場も議員各位も主張していただいておりますが、逆に、アメリカの方から来られる方々が最近非常に少なくなっておるのです。もちろん政府間のことは十分話し合っていますけれども、できれば議会も、アメリカ側も、いま少しく我が国の立場を実感していただくためにも日本に来ていただいて、十分な理解を持って両国の関係を深めていく必要があるのじゃないかなということをやや実感しておるところでございます。
#80
○八代委員 今大臣が後段でおっしゃいました、まさにその議員交流、私たちも連休でなければ徒党を組んで諸外国を回れないというこの国会の仕組みというか、我々日本の外交の弱いところでもあるのですけれども、大体政府高官というのは政治家じゃないわけです、それぞれのエキスパートがブッシュ時代からクリントン時代にはがらっと全部がかわっちゃうわけですから、日米におきましては、それぞれやはり心の中にもいろいろな違いみたいなものを私たちも感じたのですね。
 特に、サマーズなんというのは、かなりちょっと横柄なところもあったりいたしまして、余りそんなことは本当はこういうところで言うといけないかもしれぬが、やはりそれでも本音の中で話をしていると、だんだんそれが笑顔になっていくという経過を見ていきますと、やはりもっともっと、政府高官には政府高官なりの我々の一つの対話方式もあるだろうし、あるいはまた議会というものもアメリカでは重要でありますから、議会の交流をやろうということで、ギングリッチ下院議長との間では、長年の懸案であった日米議員交流の公式な枠組みを決めようじゃないかということで、十八人のチームをそれぞれがつくって、一年置きにお互いの国へ必ず訪問して、これはもう国が予算化をして、そしてその準備委員会はちょうど真ん中のハワイあたりでやったらいいじゃないかとか、こういう新しい提案もあります。こういうことを考えていくと、ますます日本とアメリカのきずなを考えていけば、やはりそういう議員間交流というのは積極的にやるべきだと思います。
 これがことしの十月一日以降から始めることで合意したということも大変大きな成果のような気がするのですけれども、いずれにいたしましても、そういう中で日本がこの十六兆円の大きな補正予算を組んで、まず日本の内需を拡大をして、規制緩和も含めた経済改革をして、そしてアジアの厳しい状況をやはり日本が救っていく責任があるというのが大体大方のみんなの意見ではありました。
 しかし、我々はこういうことをやっている、そして、こういうことをやりながらアジアと一緒に私たちは歩んでいくんだということで、ヨーロッパはやはりユーロというものになった、一つはドルというエリアが世界を席巻している、では、円というものをもっとアジアの基軸通貨にしながらやったらどうだ、ユーロ、円、そしてドルがあって新しい二十一世紀の経済を考えていったらどうかというような意見もあった。あるいは、今度クリントンさんが中国に行くけれども、やはり日米というきずなを考えれば、なぜクリントンさんが日本を素通りして中国へ行くんだ、日米というものはもっと強いことじゃないか、親しき仲にも礼儀ありで、日本に立ち寄るぐらいのことは当然のこととしてやるべきではないかと、言うべきことは我々は言いながら、この一週間の会議というもの、あるいはワシントンでの説明というものを終わりまして、やはり行って話さなければだめだなということを痛感いたしました。また後日、大臣にも我々のまとめのレポートをぜひごらんいただきたい、このように思っております。
 時間ももうありませんので、あと、いろいろ聞きたいところでございますが、条約審議でありますから、条約のことも聞かなければいけないと思いますが、サービスの貿易に関する一般協定の第五議定書の締結について承認を求めるの件なんですけれども、これは、アメリカは第二議定書あたりでは不参加だったのですね。今度、第五議定書になってアメリカが参加をしてきた、こういうことらしいのですけれども、これは非常に重要だし、意味があると思うのですが、アメリカが今度この議定書に参加するその経緯というのをちょっと聞かせていただきたいと思います。これを最後にしたいと思います。
    〔福田委員長代理退席、委員長着席〕
#81
○横田(淳)政府委員 委員御指摘のとおり、ウルグアイ・ラウンドが終わった後の金融サービスに関する継続交渉というのがあったわけでございます。その中で、アメリカは、一部の途上国の自由化約束が不十分であるということを理由にいたしまして、広範な最恵国待遇の免除登録を行ったわけでございます。そのために交渉が難航いたしました。その結果、我が国やEUを初めとする国々は、米国抜きのまま、最恵国待遇義務の適用を基本的に維持しつつ、第二議定書というものをつくったわけでございます。
 今回、この第五議定書に関する交渉というのは九七年の四月に再開されたわけでございますが、各関係加盟国から実質的な改善を伴う高水準の自由化約束が提示されました結果、アメリカも含む七十一カ国が合意に参加いたしまして第五議定書が作成されたものでございます。
 したがいまして、このような自由化約束の内容の改善という結果、アメリカも参加することになった次第でございます。
#82
○八代委員 最後になりますが、つまり、これもアメリカ・スタンダードというか、アメリカの考え方に近くあればこういう議定書には参加しましょうということだと思いますね。
 インドの核実験も踏まえて、アメリカも核実験をして、そしてインドを説得しても、それは説得力がない。ロシアも説得力はない。中国も説得力はない。こういうところはもう核実験をやっているわけで、イギリスも説得力はない。そういうことを思うと、唯一の被爆国である日本が一番説得力があるわけですね。一番日本が説得力がある。
 あの第二次世界大戦で、八月六日、九日、振り返ったって、あのときはもう日本は負けることは一〇〇%わかっていたにもかかわらず、あえて広島、長崎に原子爆弾が落とされた、洗礼を受けたというか、多くの人が犠牲になったという、一つの大きな日本のこの歴史はやはり永遠に我々は忘れてはならないし、それゆえにこのアジアの中において核実験がまた二度と起きないように、やはり日本の外交はしっかりとインドにも、それからパキスタンにも自制を求めることをぜひ努力としてやっていただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#83
○中馬委員長 東祥三君。
#84
○東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。
 条約の質疑に入らせていただく前に、インドの核実験の問題に関して幾つか御提案をさせていただきたいと思います。
 今回のインドの核実験、これに対して世界各国いろいろな反応を見せております。明らかに今回の行為というのは、世界の核軍縮あるいはまた核管理の流れに逆行した、認めることのできない行為である、このように思います。しかしながら、過去、中国やフランスが多くの国々の非難の声を浴びながら核実験を強行してきたことを見ても、単に行動を非難していれば問題が解決するというものでもないというのも現実である。
 そういう視点から考えますと、今回のインドの行為というのはやはりNPTに基づく核不拡散体制に対する国際社会への挑戦である、そういう視点でとらえる必要があるのではないのか。その上で、日本国政府がインド政府に対して一連の制裁措置をやることは当然である。新規の円借款、これも停止になる運びだろうと思いますし、無償資金協力に関しても、人道的な側面を除けば、これも停止させていくのが順当だろうと思いますし、また輸銀あるいはまた世銀の融資というのも停止させる、そういう圧力をかけていくということは極めて重要なことであり、またその方向に沿って日本政府が今行おうとしていることに対しては、私は評価いたします。
 ただ、問題は、先ほど申し上げましたとおり、国際社会への挑戦である以上、国際社会のこの問題に対しての一つの合意形成といいますか、そちらの方向に持っていかなければならない。そういう意味におきましては、日本政府が余り得意とすることではないのかもしれませんけれども、外交的イニシアチブを発揮する必要があるのではないのか、このように思います。
 その上で、一つは、もう既に総理大臣がバーミンガムのサミットに参加されるということで現地に到着された、このように聞き及んでおりますが、そのバーミンガム・サミットにおきましてこの問題を取り上げていただく。のみならず、私はぜひとも推進していただきたいと思うのは、国連安保理に、今議長国が日本でありますし、また世界的にその見識が評価されております小和田大使が議長をやられているわけですから、日本国政府の発案として、この安保理場裏におきましてこの問題をぜひ取り上げていただいて、安保理の場でどういう合意を形成していくのか、そこにはいろいろな異論も出てくると思います、その場で意見を闘わせるということが重要なのだろう、これがまず一点でございます。
 二点目は、これは一つは中国に関して、中国も今回のインドのこの行為に対して重大な憂慮を感じているという、そういう発言をされております。アジアにおける最大国であります核保有国である中国と、外務大臣が、ある意味で、日中首脳会談レベルみたいな形で今回の問題について意見を交換させるということが極めて重要なことなのではないのか。それは、ただ単にインドのみならずパキスタンとの関係もございます。この問題について日本と中国の首脳が話し合うということをぜひ提唱させていただきたい。
 第三番目といたしましては、五月二十日から、いわゆるASEANリージョナルフォーラムというものが次官級会議で設定されていると聞き及んでおります。それに基づいて、七月に閣僚級の会議でアジアの安全保障体制について議論する、そういうことが今スケジュールに上がってきているわけですけれども、残念ながら、ここにはパキスタンが入っておりません。五月二十日から行われる次官級会議において、日本政府のイニシアチブとして、ASEANリージョナルフォーラムのメンバーではありませんパキスタンも交えた上で、このインドの核実験の問題について、アジア各国の代表と話し合う場を持てばいいのではないのか、結論はいろいろあると思いますけれども。
 まず、そういう国際場裏、あるいはまた地域レベルにおけるそういう各国が集まった中で、ただ単に日本が今までの体験を踏まえてインドと直接やるということではなくて、国際社会における重大な挑戦であるという認識を明確に国際社会にアピールすると同時に、その国際社会において日本がイニシアチブを持って、このインドの行為に対してどういう国際世論を形成していくか、そういう面において、ぜひとも日本政府の外交イニシアチブを期待したいと思います。
 以上、三つの提案をさせていただきましたが、外務大臣の御見解を承り、また、可能であるならば、ぜひやっていただきたいと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
#85
○小渕国務大臣 人類にとりまして、核の存在、核兵器の存在というものはまことに悲劇的なことでありまして、究極の廃絶を目指して努力を続けていかなければなりませんし、そのため、我が国がイニシアチブをとることについて、恐らく国際世論もそのことは理解を深くいたしておるところだろうというふうに思っております。
 そういう意味で、今後とも日本としては全力で、我が国が唯一の被爆国としての立場で、核兵器につきまして、ある意味では開発する能力を問われれば技術的に我が国としては相当の力を持っていると世界に理解をされておる目から見ても、あえて三原則をもって対処しているということについては、崇高なこの理念については、恐らく世界各国といえども否定し得ないところだ、その前提に立って努力をしていくということが必要だと思っております。
 そこで、三つの御提案がありましたが、サミットにつきましても、時あたかもインドの核実験が行われたということでもございます。ただ、御案内のとおり八カ国については、四カ国は核保有国である、四カ国はそうでないという中で、今委員からもお話ありましたが、今回の実験に対しての経済制裁については、それぞれ微妙な差異があること、これがまさに国際政治の現実だろうと思います。しかし、申し上げましたように、我が国の立場は堂々と主張してしかるべきことであると思いますし、恐らく橋本総理においても、そうした信念のもとで今回バーミンガムに臨んでおるというふうに理解しております。
 それから、安保理につきましては、日本は議長国を実は四月に譲りましたけれども、今のような立場で考えれば、安保理において、やはり究極はしっかりとした合意のもとでの決議というものができ上がるべく努力をすることはよろしいかと思いますが、今申し上げたように、P5のそれぞれの国に微妙なことがありまして、全会一致の建前をとる委員会としてのなかなか困難性はあるかと思いますが、主張はいたしていくべきものだと思っております。
 それから、中国につきましては、いろいろな機会があろうかと思いますので、今回のインドの実験につきまして、若干の間を置いてではありますけれども、中国としての立場は表明しておるわけでございますので、そういった意味で、基本的な考え方に差異はあるとは思いませんので、こうした重要な問題についてもお話し合いがあれば望ましいというふうに思っております。
 それから、ARFにつきましては、パキスタンの参加がまだ見込まれておらないということですが、どういう形でどういう会議に持っていったらいいかという極めて重要な問題で、アジアにおいて近隣する両国が核開発について積極的に対処しておるというような事態に対して、他のアジア諸国は非常に大きなおそれと不安を持っておるのだろうと思います。そういった意味で、地域としてそれぞれの諸国とどう話し合っていくという場としてのARFの問題もございますので、この問題も、ある意味で重要な問題として取り上げることの可能性をぜひ模索をしていきたいというふうに思っております。
#86
○東(祥)委員 外務大臣、よろしくお願いいたします。
 それでは、条約の質疑に入らせていただきますが、一つは、サービス貿易一般協定第五議定書についてでございます。
 日米保険協議の合意によって、本年七月一日までに、自動車保険及び火災保険の保険料を自由化することになっております。自動車保険につきましては、これまで年齢だとか排気量により分かれていた保険料が、さらに性別あるいは地域、運転歴、安全装置の有無等によって細分化されることになり、保険料が人によっては下がる人もあり、またこれまで以上に上がる人も出てくる。つまり、自由化により必ずしも保険料が引き下げられるとは限らない。そういうことからも、保険料が高騰して任意保険への加入をしない人がふえて、人身事故等で十分な補償ができないなどの社会的な問題が起こる可能性も否定できません。
 報道によりますと、保険料が自由化されている米国では、全体の一七%が無保険車であるとも言われております。また、アメリカの場合ですと、地域別に異なっている。例えばカリフォルニア州、こういうところでは、基本的には自動車を長距離にわたって使う人たちが多いので、基本的に保険料が非常に高い。自由化を進めることは消費者の利益の観点から積極的に進められるべきものであると思いますが、自由化を進めることで、今回の自動車保険の自由化のように、逆に無保険車の増加という事態をもたらす可能性もあるのではないのか。
 政府は、自由化を進めるとともに、自由化の推進によって引き起こされる問題への対策を同時に進めなければ、自由化のメリットは半減してしまうのではないのか。自動車保険の保険料の自由化に伴い、恐れられる一懸念される無保険車問題について、どのように政府としてお考えになっているのか、また、どのような対策が講じられているのか、この点についての説明をいただきたいと思います。
#87
○藤塚説明員 お答えいたします。
 ただいま先生の御指摘の保険分野の特に損害保険料率の自由化につきましては、競争の促進を通じまして消費者利益、消費者利便の向上が期待されるところでございますが、他方、先生御指摘のように、自由化によりまして料率が高騰するのではないか、そういった懸念もあるところでございます。
 こうした点につきまして、昨年六月の保険審議会報告におきまして、料率や商品の多様化に伴う一部保険料の高騰等の懸念のみをもって自由化を否定することは適当でない旨を述べられているところでございまして、また、自由化の弊害に対する対応につきまして、同報告書では、料率の高騰等が特に発生しそうな分野については、その発生が懸念される間、商品・料率認可に係る最低限のガイドラインを設け、社会的混乱を回避しつつ、自由化の進展を促すというふうに述べられているところでございます。
 この報告書に沿いまして、具体的に、任意自動車保険につきまして、昨年六月末、いわゆるリスク細分型自動車保険に関しまして、料率格差の上限、また引き受け拒否の原則禁止、これを規定したガイドラインを設けまして、保険の安定供給に支障の発生が懸念される間は、商品・料率の認可を通じて適切に対応できるように措置しているところでございます。
 保険につきましては、法令に基づく認可審査により必要最小限の監督というものを継続することにもなっております。
 今後とも、先生御指摘のように、消費者、契約者保護、これに十分に配慮しながら消費者利益の向上に資する自由化の進展を促してまいりたい、かように考えているところでございます。
#88
○東(祥)委員 そうすると、大蔵省としては、自動車保険に関連して、今回の自由化によって無保険車は増加しない、そのように見られているのですか。
#89
○藤塚説明員 お答えいたします。
 いわゆるリスク細分型の自動車保険というものが登場して、また、損害保険料率の自由化ということでございますけれども、そういう自由化によりましてどういう影響が出るかというのは、今なかなか見通すことが難しいということで、その影響というものを見きわめていかなければならないというふうに考えております。
 一方で、今まで算定会の使用義務というのがございまして、保険料率などが一定になっていた。これも規制が強過ぎたということで、そこの自由化というものも、やはり適正な競争を促進して消費者のニーズにこたえていくということも重要であろうということで、今回このような保険料率の自由化ということで国会に御審議をお願いしているわけでございます。
 いずれにしましても、保険の安定供給というものは非常に重要なことでございますので、任意自動車保険につきましては、先ほど申し上げましたようなガイドラインの運用によって必要な間適正に対応していきたいと考えておりますし、また、日本には自賠責保険というものがございまして、基本的に無保険車はないというふうに考えられているところでございます。
#90
○東(祥)委員 難しく言われるので、何を言っているかよくわからなくなってしまうのです。僕の質問しているのは、今回の自由化によっていろいろな影響が出てくる、それはそのとおりだと思います。その上で、具体的に質問させていただいているわけです。
 保険料金が、人によって、また性別によって、またこれまでの経歴によっていろいろ異なってくる。その結果として、ある人に関しては保険料が上がるかもわからない、ある人にとってみれば下がるかもわからない。上がった人にとってみれば、出ているいろいろなデータを見ると、今まで平均すると任意保険ですと年間大体六万ぐらいですか、それが、例えばアメリカの場合ですと、カリフォルニア州あたりだと二十万円ぐらいになってしまうわけです。そうなると当然、任意保険に加入しないで自動車を運転するという人が出てくるのではないのか。そういう無保険車が出てくるのではないのか、こういうふうに政府として見通されているのか、それともそういうのは出てこないというふうに踏んでおられるのか。もしそういう無保険車が増加する可能性があるとするならば、それに対してどういう対策を打とうとしているのか。具体的に聞いているのですから、それに対して、まだ検討していない、まだよくわからない、検討する、そういう形でちゃんと答えてください。
#91
○藤塚説明員 お答えいたします。
 自由化によって料率が上がる場合もあるし下がる場合もある。それによりまして無保険車がふえるかどうかということにつきましては、今の段階で見通すことはなかなか難しいということでございます。それは見きわめていかないといけないというふうに考えております。
 ただ、そういう任意自動車保険、保険料率の自由化ということによりまして料率高騰とかそういう懸念というものは指摘されているわけでございまして、昨年の六月末に、先ほど申し上げましたリスク細分型自動車保険に関するガイドラインというものを設けまして、いろいろな料率格差、何倍まで料率を設定できる、例えば男女ですと一・五倍以内とか、そういう格差を設けまして、その範囲内で料率設定ができるというふうにしているわけでございます。そのガイドラインの運用等によりまして、先生御指摘のような無保険車の急増とかそういうことのないように努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#92
○東(祥)委員 次に、外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約について質問させていただきます。
 条約では、処罰について、「外国公務員に対する贈賄には、効果的で、均衡がとれたかつ抑止力のある刑罰を科する。刑罰の範囲は、自国の公務員に対する贈賄に適用されるものと同等のもの」とするとなっております。三条一項でこのことが書かれているわけですが、今回の不正競争防止法の改正によりまして、日本企業等が外国公務員に対して不正な利益供与を行ったと判断された場合、処罰として、企業に最高三億円、個人に最高三百万円の罰金または三年以下の懲役を科すということですけれども、確認ですけれども、これは国内の国家公務員に対して贈収賄を行った際の処罰のレベルと同じなのかどうなのか、この点についていかがでしょうか。
#93
○古田(佑)政府委員 お尋ねの件につきましては、現在日本の公務員に対して贈賄を行った場合の法定刑は、三年以下の懲役または二百五十万円以下の罰金でございまして、おおむね同じラインということになるわけでございます。
#94
○東(祥)委員 条約の加盟国はみんなそれぞれ自国の公務員に対する国内法で措置をとることになると思うのですが、各国の処罰の範囲にはかなりの差があるのではないのか。例えばG7の他の六カ国の罰金、懲役の最高レベル、これはどういうふうになっているかわかりますか。
 さらに言えば、各国が皆ばらばらな処罰措置をとっていれば、法の抑止力のレベルが当然違ってくるのではないのか。処罰の基準をある程度合わせないと問題が生じてくる可能性があると考えられるわけですけれども、なぜ今回OECDの中でその基準をセットしなかったのか、この点について説明をお願いしたいと思います。
#95
○横田(淳)政府委員 この条約は、国際取引における公正な競争の確保を目的といたしまして、各国における法体系の基本原則を尊重しつつ、締約国に対して、外国公務員に対する贈賄を犯罪とし、またその裁判権設定のために必要な措置をとることを求めるものでございます。
 すなわち、この条約では、締約国が一致して外国公務員に対する贈賄を取り締まることから得られる積極的効果が重視されておりまして、制裁の内容等、各締約国のとる具体的な措置については締約国の間で確保すべき一定の枠を定めるにとどめております。各国がその枠の中で自国の法体系に見合った適切なものを判断し選択すればよいとの考え方がとられております。したがいまして、締約国間でその法体系の差異に基づいて量刑にある程度の幅が生じても、それは条約がそもそも想定していた範囲内と言えることと思います。
 ただし、条約は、締約国の範囲の拡大も念頭に置きつつ、締約国のとる措置が妥当な幅におさまっているということを監視し確保するために、第十二条で「監視及び事後措置」の規定を置いているところでございます。
 なお、G7諸国の国内法制上の制裁措置につきましては、現在各国におきまして、この条約の担保をするための法律制定の手続が進められているところでございまして、制裁の内容の詳細についてはまだ明らかではございません。
#96
○東(祥)委員 条約で言っております外国公務員というのは、条約に基づけば、「外国の立法、行政又は司法に属する職にある者(任命されたか選出されたかを問わない。)、外国のために公的な任務を遂行する者(当該外国の公的機関又は公的な企業のために任務を遂行する者を含む。)及び公的国際機関の職員又はその事務受託者をいう。」と定義されているわけです。しかし、ここには政党やあるいは候補者は含まれていないということで、お読みになったかわかりませんけれども、五月十日のワシントン・ポストではこの点について批判しているわけですが、なぜ政党あるいは候補者がここには含まれなかったのか、その理由について、もし政府にわかれば説明願いたいのですけれども。
#97
○横田(淳)政府委員 お答え申し上げます。
 外国公務員の範囲につきましては、委員まさに御指摘のとおりの規定が置かれているわけでございます。御指摘の、外国の政党職員でございますけれども、政党職員であってもこの定義に該当する者は当然範囲に含まれるわけでございます。他方、これらの定義に該当しないで単に政党職員というだけでございますと、定義の仕方が非常に難しいわけでございます。
 例えば、国会議員でありますと、国会議員であるという外形的な、任命行為ないし何らかの外形的な行為がありまして、それが手がかりとなって範囲が確定されるわけでございますけれども、単にどこかの党のどこかの職員であるというだけでは範囲がはっきりしないということが一番の問題となりまして、今回につきましては、少なくとも政党職員を含めることは見送られたわけでございます。
 それから、外国の政治的役職に立候補している者につきましても、本条約の交渉の過程でそのような者を外国公務員の範囲に含めるよう提案がなされたことは事実でございますが、これにつきましては、国内法制を理由として反対した国があったため受け入れられなかった経緯がございます。したがいまして、立候補者であっても、既にどこかの公職にあるような場合には当然対象になるわけでございますけれども、単に立候補者であるというだけでは、この条約の対象とするということについてはやはり見送られた次第でございます。
#98
○東(祥)委員 一九七七年にアメリカで、フォーリン・コラプト・プラクティセス・アクトという、何と訳していいのかわかりませんけれども、外国人の汚職防止法とでも訳したらいいんでしょうか、それでは、企業に対する罰金は最高二百万ドル、今の換算レートでいくと約二億六千万円、日本の三億円とそれほどの差はないのですけれども、個人に対する処罰は、アメリカの場合、最高十万ドル、約一千三百万円、または五年以下の懲役であります。つまり、罰金は日本の最高三百万円の四倍以上になっている、懲役期間は日本の三年以下、これに比すと約一・五倍。処罰がきついんではないのか、こういう印象を私は受けるんです。
 ただ単にこういう単純な比較をして何か結論を出すということはなかなか難しいと思うんですけれども、日本のその処罰制度における罰金レベルというのは必ずしも低いというわけではないと思うんですけれども、問題は、日本の処罰は贈賄または収賄を抑止するのに十分な力を持つと考えていらっしゃるのかどうなのか、この点についていかがでしょうか。
#99
○古田(佑)政府委員 ただいまお尋ねの件につきましては、刑罰の抑止力をいわば発揮させるのにどの程度の刑が適当かという問題だと思われるわけです。これにつきましてはやはり、いろいろな法体系でございますとか、社会的ないろいろな制裁の問題、あるいはそれの背景にある経済的な実情、そういうふうなものが、種々交錯して考えるべき問題だろうと思われるわけです。
 日本は、御存じのように、ドイツなどと並びまして大陸法系の国に属しているわけでございますが、アメリカなどはこれは英米法系の国に属しているわけでございまして、刑罰の体系というのがかなり違った面がございます。それから、その運用につきましても、種々違った面がございます。
 そういうことから考えまして、今回この法案で定められる予定の刑につきましては、日本の法体系あるいはその運用を前提として考えます限り、日本での贈賄等についての抑止力と同様の抑止力は十分あるものと考えております。
#100
○東(祥)委員 どうもありがとうございました。
 時間が来ましたので、これで終わらさせていただきます。
#101
○中馬委員長 古堅実吉君。
#102
○古堅委員 最初に、サービス協定についてお尋ねします。
 一つは、交渉における政府の対応についてです。報道では、日本政府としては、当初は日米の保険合意や金融合意を協定で追加約束するつもりはなかったと言われています。しかし、結局は米欧の要求のままになってしまいました。そして、この追加約束は、大蔵省国際金融局国際調整室の窪田課長補佐が書いたものによりますと、「最も厚みのある追加的約束」、このように言っておるのであります。こうしてみると、日本は米欧の圧力に屈して突出した約束をさせられたというのが交渉の経過ではなかったか、このように思います。いかがですか。
#103
○横田(淳)政府委員 お答え申し上げます。
 今回の金融サービス交渉の焦点の一つとなりましたのは、一九九六年に行われました日米保険協議及び九五年の日米金融協議の成果を追加的な約束としてその中に盛り込むかどうかという点でございました。
 交渉の過程でさまざまなやりとりが行われたわけでございますけれども、我が国といたしましては、この重要な交渉を成功裏に終結させるために、我が国がイニシアチブをとることが有益と判断いたしまして、アメリカ、EC等が追加的な約束を行うことを条件といたしまして、我が国も追加的な約束を行うことにしたわけでございます。
 その結果、米国も我が国と同様、先ほど申し上げました日米協議におきます米側の措置を、さらにECも、我が国の追加的な約束に相応する措置を、それぞれ追加的な約束といたしまして約束したわけでございます。さらに加えまして、カナダ、スイス等も、我が国の追加的な約束に対応してさらなる約束を行ったわけでございます。
 以上のごとくへこの交渉におきまして我が国のみが一方的に妥協して追加的な約束を行ったものではございません。むしろ、我が国が行った追加的約束は、今回の交渉における主要国の自由化水準を全体的に引き上げる役割を果たしたと言えると考えております。
#104
○古堅委員 とんでもありません。米欧の圧力に屈した結果、日本国民はさまざまなしわ寄せを今以上に受けることになろうかと思われます。
 例えば、損害保険の分野ですが、日本には料率算定会制度が機能し、安定した保険制度を維持してきたことは御存じのとおりです。その料率算定会制度をこの議定書は適用しないことにしました。この制度そのものが意義を失ったと考えているのかどうか、また、料率を自由化すれば、保険の引き受け拒否や保険料の高騰なども懸念されるが、アメリカなどではどうなっているのか、調査はしてみたのか、説明をお願いいたします。
#105
○横田(淳)政府委員 まず、後者の点からお答え申し上げます。
 アメリカにおきまして、自動車保険に加入していない自動車の運転者あるいは自動車が存在するということは、新聞報道等により承知いたしておりますけれども、外務省といたしましては、そのような観点からの特段の調査は行っていないところでございます。
 また、前者の点につきましては、金融行政に直接かかわる問題でございますので、外務省としては直接お答えする立場にないと思います。
#106
○古堅委員 消費者にとっては重大な問題がアメリカでも起きています。料率自由化で、損害保険の保険料は一九八二年からの十年間で実に平均二・一倍に上がりました。保険が払えなくなり無保険車となった台数が一千七百万台。したがって、事故の補償不能が社会問題化しています。災害が頻繁に発生する地域では住宅保険の引き受けを拒否され、大きな問題ともなっておるのです。
 金融自由化の行く末は結局は消費者に大きなしわ寄せをもたらすことになることは、こうした事例からでも明らかではありませんか。絶対にそうならないということが言えますか。これは大臣からお聞きしたい。
#107
○横田(淳)政府委員 先ほども申し上げましたように、御質問の点は金融行政に直接かかわる問題でございまして、私どもとして必ずしもお答えする立場にないわけでございますけれども、算定会制度の改革によります保険料率等の実質的な自由化後におきましても、政府当局が必要最低限の監督を継続いたしまして、保険契約者等の保護や保険会社の健全性確保の観点から、商品や料率に関しまして法令の審査基準に照らしたチェックを行うなど、自由化措置の結果、事故補償等に支障が生じないように適切に対応していくものと承知いたしております。
#108
○古堅委員 適切な措置などとも言われまずけれども、小手先で被害発生を抑えることなどできるはずはありません。協定による金融自由化の推進は消費者、国民の利益に反する、そういうものでしかないということを厳しく指摘しておきます。
 次に質問を移ります。
 沖縄海兵隊が出した三月二十四日付海兵隊ニュースは、「北部訓練場は新しい名称…ジャングル戦闘訓練センターとなる」との見出しで、三月二十三日に北部訓練場がジャングル戦闘訓練センターに変わったことを報道しています。そして、太平洋海兵隊司令官や沖縄海兵隊司令官などのテープカットで正式に開設されたということを伝えておるのであります。
 北部訓練場の名称が変更になり、新しい軍事機能を持つ基地に変えられたが、日米合同委員会で合意されたのか、あるいは、外務省はその内容について報告を受けておるか、お答えください。
#109
○田中(信)政府委員 お答え申し上げます。
 日本によって提供されております施設・区域におきまして、米軍が練度とか即応性の維持向上という目的のために種々の訓練を行ったり、それからまた必要に応じて米国自身が施設の整備を行うというのは、当然想定されているところであります。このような措置は、当該施設・区域の使用目的とか使用条件の範囲内である限りにおいては、その一々につきまして日本政府との協議を要するものではございません。
 ただいま委員御指摘のジャングル戦闘訓練センターでございますが、これは、従来の北部訓練場の使用目的それから使用条件、その範囲内で、米軍部隊の戦闘能力を高めるということを目的として、幾つかの訓練過程を設けるとともに、米軍におきまして所要の施設の整備を行ったもの、こう理解しております。したがいまして、日米合同委員会での協議は行われておりません。また、そういうことは必要ないと考えております。
#110
○古堅委員 米軍自体が名称変更になったということを言っています。日米合同委員会にかけなければ施設の名称変更はできないということとのかかわりで、重大です。
 この中で、第四海兵連隊の指揮官ラーソン大尉は、個人から大隊、中隊規模の、西太平洋における他のすべての部隊のための唯一の機会を提供するものと説明するとともに、都市地域における軍事作戦を含むとも述べています。都市型戦闘訓練は現在グアムで行われているようでありますが、それを沖縄で行うということになります。
 第四海兵連隊の作戦将校であるヘドラー少佐は、二十一世紀の海兵隊のために、目標は世界におけるこの第一級のジャングル戦闘訓練センターを構築することだとも述べて、基地機能の強化をもたらすものであることを明らかにしています。
 これは、沖縄を海兵隊の殴り込み機能強化のために恒久基地化する動きにほかなりません。これが海上基地建設と結びついたものであることも明らかです。県民が挙げて海兵隊の縮小、撤退を求めているときに、この米軍基地強化措置を大臣はどうお考えか。容認されるんですか。
#111
○田中(信)政府委員 ただいまの委員御質問の点に関連してでございますが、北部訓練場の使用目的、提供している使用目的と申しますと、そういう条件といたしましては、海兵隊師団及びその支援部隊に編成上割り当てられるすべての兵器の実弾射撃は本施設・区域内の指定射撃場内で認められるとか、あるいは水陸両用部隊が通常使用し得るすべての兵器の空砲射撃は認められる等々、従来から使用目的あるいは使用条件というものがついておりまして、今回のまさにジャングル戦闘訓練センターという単に名前を新しくしただけのものにつきましても、これは従来からの使用目的、使用条件の範囲内であるというふうに私ども考えておりまして、何らそれは私どもとして一々云々するものではないと考えております。
#112
○古堅委員 とんでもない言い分です。単なる名称を変えただけじゃない、それがどんなに強化されるか、アメリカ自身が世界的な規模で第一級のジャングル施設にしていこうなどというものを、事情もよくわからないままに規定するなどということは許されません。
 大臣、きょうがどういう日であるかは御存じだと思います。五月十五日、沖縄の施政権が返還されて二十六周年目を迎えました。アメリカの占領下二十七年、過酷なものでありました。施政権は返還された。しかし、核も基地もない、平和で豊かな沖縄をという県民の願いを踏みにじられる少女暴行事件が起きた。基地あるがゆえだということで立ち上がって今日に至った。それに対する日米両政府の答えは、SACOの合意に基づいて県内の基地のたらい回し、二十一世紀にかけて基地と共存、共生しろという代物でした。これが認められるはずがありません。本日、大田知事が七回目の訪米をし、基地の整理縮小を求め、普天間基地無条件返還を内容として、早期返還しろということなどを求めて米国にいろいろと努力のため展開されます。今度の十七日には、復帰を喜ぶなどという行事がないだけじゃなしに、あの普天間基地の返還を求めて包囲行動が展開されます。
 そういう沖縄県民の切実な願いに日本政府はこたえて、SACOの合意などをもう一度見直し、アメリカに対して県民の願いを体して交渉をやり直す、そういう立場をとるべきだと、大臣、思いませんか。
#113
○小渕国務大臣 沖縄県における基地の整理、統合、縮小ということは常に考慮していかなければならない問題でありまして、そのためにSACOの最終報告というものをまとめ上げておるわけでありまして、政府としては、この報告に基づきまして着実に一つ一つ解決に向けて努力することが現実的な方途である、そのように考えておる次第でございます。
#114
○古堅委員 大臣、このSACO合意を押しつけるということでは、県民が願ってきた、基地あるがゆえにこうなるのだ、それを何とか解決せぬといかぬという方向に行くどころか、県内のたらい回しで、二十一世紀のはるかかなたまで、屈辱きわまりないそういう状況のもとで県民に犠牲が押しつけられる、だからこれは認められぬというのが沖縄県民の願いであるし、心です。
 それを体して知事が本日訪米されて、約半月にわたるいろいろな努力を展開されましょう。七回に及びますよ。この県民の願いを背にした知事の訪米、いわゆる直訴などとか言われてきたこの行動というのは、言ってみれば日本政府に県民の願いにこたえるだけのことをしてもらえないがゆえに、外交権のない一地方の知事がそういうことまでもしなくてはいけないということにならざるを得ないのです。
 そういうものに対して心の痛みも感じませんか。SACOで合意している、努力しているというだけで、沖縄県民にこれからもその合意をのめというふうにして押しつけるお考えですか。大臣のそういうお気持ちを聞かせてほしい。
#115
○小渕国務大臣 押しつけるというお言葉でございますけれども、沖縄県のために、政府といたしましては、先ほど申し上げましたように、現実的に沖縄県の中における基地というものを整理、縮小、統合していくためには、一歩一歩これを進めるためにその合意を誠実に行っていくことが一番結論的に言えば早道ではないかと思いまして、最善の努力をしていくということをお約束し、また努力をいたしておるところでございます。
#116
○古堅委員 許せません。
 日本国憲法のもとでアメリカ言いなりの基地国家づくり、それが本当に我が国の戦後の政治を大きくゆがめてまいりました。その象徴的な状況として置かれているのが沖縄です。そのことが沖縄県民に対してどれだけ屈辱きわまりない犠牲と不幸を押しつけてきたものになったか。もうそれ以上説明する必要もない問題です。憲法の大原則に照らしても、日本政府のアメリカ言いなりのこういう態度というものは絶対許せない。
 この復帰二十六周年のこの日に当たって、私は改めて怒りを込めて抗議を表明して、質問を終わります。
#117
○中馬委員長 伊藤茂君。
#118
○伊藤(茂)委員 まず、WTOに関連しまして、まとめて済みませんが、三点質問をさせていただきます。
 一つは、WTO事務局での日本人職員の位置づけ、それから数というのは、我が国が国際的に持っている、またさまざま貢献している役割からいたしますと、非常に少ないというお話を伺うわけであります。行革に関連をした外務省の定員の問題もございます。それから、やはりそういう非常に大事な場所ですから、また日本にとっても重要なかかわりを持つ場所でありますから、そういうことを立派にやれるだけの人材育成の努力も進めなければならぬというふうなことだろうと思いますが、そういう展望についてどのようにお考えになっているかということが一つであります。
 それから、WTOの今後に関係いたしまして、さまざまな今議論や相談が行われております。WTOに関連して二つ目に伺いたいのは、二〇〇〇年に始まる新ラウンドの交渉対象をさらに拡大するという方向についての議論ですね。また、それらについて、外務省だけの所管ではありませんが、四極通商会議、来年は日本で開催をされるという目標もあるようでありますが、さまざまなこれらの先の展望について報道などございますけれども、どのようにお考えになっているのかということが二つ目であります。
 それから三つ目に伺いたいのは、中国のWTO加盟の問題、これは日本政府も前向きに促進をしたいという意思表示をいろいろな場でなさっているというわけでございますけれども、現状どうなのか。例えば、目標年次のめどとかということにはまだ至らないということなのかどうか。
 まとめて恐縮ですが、WTOに関連をして三点お答えをいただきたい。
#119
○小渕国務大臣 たしか来週月曜日、WTO五十周年の記念式典を迎えると聞いております。そういう時期に当たりまして、ますますこの機関の重要性にかんがみまして、我が国としても積極的な参加をしていかなければなりませんが、第一点の御指摘いただきました日本人職員につきましても、御指摘をいただきまして、私自身も改めてその数字の少ないことを思わざるを得ませんが、現在事務局に専門職以上二百四十人のうち我が日本人職員は四名、こういうことのようでございます。
 したがいまして、今後どのようにいたしていくか、具体的な問題、第二、第三の問題につきましては事務局からちょっと答えさせていただきたいと思います。
#120
○横田(淳)政府委員 補足してお答え申し上げます。
 私どもといたしまして、WTO事務局における日本人職員の数をふやすことの重要性については十分に承知しております。そして、そのための努力も鋭意行っているところでございます。
 具体的には、まずWTO事務局長ルジェロでございますけれども、ルジェロ自身へ何度か働きかけを行っております。
 それから、WTO事務局の人事部長がおりますが、これを政府といたしましてこれまで二回、まず平成七年の五月、それから平成九年の三月、日本に招待いたしております。そして、単に招待しただけではなくて、政府、民間の就職希望者との面接を実施しております。それから、政府、民間の人事担当者との懇談も開催いたしております。
 それから、第三番目に、政府、民間の応募者についてのジュネーブ代表部を通じたWTO事務局人事部への働きかけを行っておるところでございます。
 最後に、外務省の国際機関人事センターを通じまして、各方面へ空席情報を提供いたしております。
 以上のような努力を行っている次第でございますけれども、最近、WTOは非常に人気の高い機関となっておりまして、空席をめぐる競争が極めて厳しい状況でございます。実際に、ことしの初めに貿易政策審査部の一名のポストに四百人の応募があったという次第でございまして、なかなかこの競争に打ちかつのは困難な状況になっております。
 それで、もう少し中長期的な観点からでは、外務省といたしましては、WTOを初めとする各国際機関における日本人国際公務員の少ない現状に対応するため、昨年、有識者による邦人国際公務員の増強のための懇談会というものを開催いたしました。その報告書の提言を踏まえ、官界、経済界、大学等の協力を得まして、人材ネットワークの構築等に取り組んでいるところでございまして、今後とも、幅広い人材を発掘して国際機関へ送り込む努力を継続いたしたいと考えております。また、長期的に国際公務員の増加を図るために人材の育成を図っていきたいと考えています。
 それから、第二の、WTOにおきます今後の自由化交渉についての御質問でございます。
 今後の自由化交渉のうちの一部につきましては、すなわち農業とサービス貿易につきましては、既にウルグアイ・ラウンドの最中に行われている合意に基づきまして、二〇〇〇年から交渉が行われることになっております。それにタイミングを合わせまして、どのような自由化交渉を行っていくかにつきましては、今現在WTOでさまざまな話し合いが行われているところでございまして、御承知のように、日本は先般の四極閣僚会議におきまして、鉱工業製品も含めた幅広い自由化交渉をやっていこうではないかというふうに提案いたしました。
 ヨーロッパ、EUはもともとがらそういう提案を行っております。片や、アメリカの方は、個別の分野でできるところがらやっていこうという、分野別の自由化交渉の推進ということを提案いたしております。カナダはその中間的な態度をとっているわけでございます。これらをどのように意見を調整していくかということは今後の課題といたしまして、まず、来週行われますWTOの閣僚会議におきまして、それらをどのような方法で行っていくか、その手続的な決定が行われるというような見込みになっているところでございます。
 最後に、中国でございますが、中国につきましては、中国自身、一九八六年にWTOの加入申請、当時はガットでございますけれども、行って以来、もう十二年近く交渉が行われているわけでございます。
 一番最近、中国加入の作業部会が開かれたのは、ジュネーブにおきまして、四月の冒頭開かれたわけでございます。ここで中国が鉱工業製品約五千七百品目につきまして関税のオファーというのをいたしました。これは、平均関税率で一〇・八%になるという、中国としては思い切ったオファーをしたと思われます。そのオファーにつきまして、各国が今詳しい分析を行っているところでございます。今後の交渉の見通してございますが、今申し上げましたのは鉱工業製品でございまして、農業についてはまだ進捗状況がはかばかしくない状況にあります。
 それから、サービスにつきましては、さらに交渉がまだ初歩的な段階というふうに言えるのじゃないかと思います。したがいまして、残された問題は多いわけでございますし、今具体的にいつをめどにするといったような合意もWTOの加盟国の中では存在していないというふうに言えると思います。
 以上でございます。
#121
○伊藤(茂)委員 ありがとうございました。
 それにしても、今、日本、アジアの経済、金融の危機、私どもにとりましても大きな課題ですが、またグローバルスタンダードということがよく言われますけれども、いろいろな意味でやはり大きく構造が変わる。そういう中で、一体日本がどういう政策展開をしていくのかということをさらに懸命に努力を、また勉強しなくてはならぬときだという気がいたしますので、質問をさせていただきました。
 もう一点だけ質問をさせていただきたいと思います。
 国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約に関連いたしまして、締結各国の法体系、それぞれ違いがございます。また、現状、歴史の違いがございます。また、これらをどう執行していくのかという中で、同等性の達成の努力ということも言われているわけであります。ビッグバンではありませんが、オープン、フェア、グローバルとかいう、言葉は簡単なんですが、こういう努力をどうしていくのかということがこれから国際的にスムーズな関係になるためにも大事なことではないかというふうに思いますが、さらにどういう努力をしていかれますか、お伺いしたい。
#122
○海老原政府委員 今委員から御指摘のありましたように、各国がとる措置の同一性を達成するということは非常に重要なポイントでございまして、これは条約の前文においても規定がされております。
 他方、なるべく多くの国にこの条約に入ってもらうことによって条約の適用の普遍性を確保するということも重要でございます。すなわち、先ほどまさに委員が御指摘になりましたように、各国は例えば刑罰体系にいたしましても非常に異なった制度を持っております。したがいまして、条約におきまして余りに厳格な基準あるいは定義というようなものを設けますと、それによりまして国内法との整合性から条約に入れない国というものがかなり出てくるということになります。
 したがいまして、この条約におきましては、そのような基準あるいは定義というものにつきましては一般的な形にとどめておきまして、それによりまして、なるべく多くの国が条約を締結することによってこの条約の目的であります国際商取引における公正な競争の確保という目的を達成するための国際的な体制をつくり上げるという形になっているわけでございます。.したがいまして、日本といたしましても、このような条約の趣旨に沿って、今後とも同質性の達成を含めまして、努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#123
○伊藤(茂)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
#124
○中馬委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#125
○中馬委員長 これよりサービスの貿易に関する一般協定の第五議定書の締結について承認を求めるの件に対する討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。古堅実吉君。
#126
○古堅委員 私は、日本共産党を代表して、サービス貿易に関する一般協定第五議定書に反対の立場で討論を行います。
 反対の理由の第一は、本議定書が、保険料の高騰、無保険車の問題を引き起こす損害保険料率の自由化を約束するものだからであります。既に損害保険料率が自由化されているアメリカでさまざまな問題が起こっていることを認識しながら、実態を調査せず、アメリカの圧力に屈して自由化を進めるのは許せません。
 反対の理由の第二は、本議定書が、厚生年金基金などの運用規制を緩和し、よりリスクの高い株式など投機的な運用手段での運用を可能にするものだからであります。元本割れが頻繁に起こるような運用を認めるならば、国民の老後の生活資金は保障されません。
 反対の第三の理由は、本議定書が、外国為替取引の自由化を進める改正外為法を反映したものであるからです。為替取引自由化によって為替取引の投機性は高まり、さらに投機性資金の移動の監視が難しくなり、有効な手段をとることが難しくなります。
 反対の第四の理由は、本議定書が、アメリカやEUの圧力に屈して、日本のみが突出した自由化、規制緩和の約束を行っているからであります。最初は拒否していたにもかかわらず、アメリカやEUの圧力に屈し、日本国民を犠牲にする約束を行ったことは言語道断です。
 以上で反対討論を終わります。
#127
○中馬委員長 これにて本件に対する討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#128
○中馬委員長 これより採決に入ります。
 サービスの貿易に関する一般協定の第五議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#129
○中馬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#130
○中馬委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#131
○中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#132
○中馬委員長 次に、社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣小渕恵三君。
    ―――――――――――――
 社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国と
  の間の協定の締結について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#133
○小渕国務大臣 ただいま議題となりました社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、従来から、ドイツとの間で日独間の人的交流に伴って発生する公的年金保険制度への二重加入等の問題に関する協議を行ってきましたが、この問題の解決を図ることを目的とする協定を締結することでドイツ側と一致し、平成七年九月以来、このための政府間交渉を行ってきたところ、平成十年四月二十日に東京において、先方エルベ駐日大使との間でこの協定に署名を行った次第であります。
 この協定は、国際間の人的交流に伴って発生する公的年金保険制度への二重加入等の問題の解決を図ることを目的として、日独間で年金保険制度の適用の調整を行うことを定めるものであります。
 具体的には、年金保険制度への加入に関し、就労が行われている国の関係法令のみを適用することを原則としつつ、一時的に相手国に派遣される被用者等の場合には、原則として五年間は自国の法令のみを適用する等の特例的な扱いを行うこととしているほか、一方の締約国の年金を受給する権利を取得するために必要とされる資格期間を計算する際に、他方の締約国の年金保険制度に加入していた期間も合わせて計算することにより、当該一方の締約国の制度の期間のみでは給付が受けられないようなケースについても給付の実現を図ること等を定めております。
 我が国にとって、この種の協定としては初めてのものとなるこの協定の締結によって、我が国とドイツとの間で年金保険制度への二重加入等の問題の解決が図られ、保険料負担が軽減されること等により、日独間の人的交流が円滑化され、ひいては、経済交流を含めた両国間の関係がより一層緊密化されることが期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
#134
○中馬委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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