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#1
第142回国会 本会議 第2号
平成十年一月十三日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二号
  平成十年一月十三日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員中山利生君に対し、院議をもって功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)
 国務大臣の演説に対する質疑


    午後一時四分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(伊藤宗一郎君) お諮りいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました中山利生君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。
 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員中山利生君は衆議院議員に当選すること八回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○議長(伊藤宗一郎君) この際、中山利生君から発言を求められております。これを許します。中山利生君。
    〔中山利生君登壇〕
#6
○中山利生君 ただいま、院議をもちまして在職二十五年の表彰を賜りました。議会人としてこの上ない光栄であり、感激のきわみであります。この栄誉に浴することができましたのは、ひとえに郷土の皆様や先輩、同僚、友人、多くの方々の御指導、御支援のたまものであります。改めて心から御礼を申し上げます。(拍手)
 私は、父が昭和二十一年、大選挙区連記制という戦後初めての本院選挙に初当選しましたが、翌年の新憲法下第一回の選挙中にはパージになり、パージ解除後も当落を繰り返すような議員でありましたが、戦中戦後を通じて、農民や遺家族など恵まれない人々に対する支援を貫き、それはまさに鬼気迫るようなものがありました。
 妻も兄弟もなく、かばんも看板も地盤もなく、その上健康まで失った父を助け、私はまだ学生でしたが、昭和二十一年の新憲法制定議会当時から国会の周辺居住者でありました。昭和四十四年、病身の父にかわって第三十二回選挙に当選、以後八勝二敗、実に五十年に余る政界の変遷をこの目で見てきたわけであります。すごい体験だったな、多分に乱視的であったかもしれませんが、今さらのように感激をしております。
 生殺与奪の権を持った占領軍に対して真っ向から挑んだ憲法論議、幾ら議論をしてもどうにもならない無力感も漂う中で、一人一人の議員の国民への必死な責任感と熱気が重く国会議事堂を包んでおりました。
 これが私の初めての政治体験でありましたが、事実このときの議論が我が国の今日までの命運を定めたのであります。戦後の復興、幾多の危機や変化への対応など、いずれの場合にも国会が国権の最高機関であるにふさわしい役割を果たしてまいりました。
 それから五十年の今日、当初の国民共通の課題はおおむね達成され、逆に衣食足りて礼節を失ってしまうような事態にはなっていないでしょうか。みんなが共通の目標を見失って、考えるのは自分のことだけ、他の者はすべてシカトする、無視し認めない、政も官も財もマスコミも含めて、子供たちを嗤えない状態なのではないでしょうか。
 世界じゅうが新しい時代に向けて大きな変革期にある今日、日本国民を代表する国会が、本来持っているパワーを目いっぱい発揮しようではありませんか。(拍手)
 在職は長きがゆえにとうとからず、いささかざんきの思いに駆られている国会議員が国会を激励申し上げまして、感謝の言葉といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#7
○議長(伊藤宗一郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。菅直人君。
    〔菅直人君登壇〕
#8
○菅直人君 私は、統一会派民主友愛太陽国民連合を代表し、平成九年度補正予算案などに関して、内閣総理大臣に対して質問をいたします。
 明治元年から数えてことしは百三十年目に当たります。この百三十年間、我が国は欧米に追いつくために開発独裁型の中央集権の国の形をとり、戦争を挟んだ今日まで基本的には官僚中心の政治を続けてきました。それが行き詰まっていることは、今だれの目にも明らかであります。
 私たちは、これからの社会は官僚中心の政治から国民の手による政治に変えていかなければならない、明治以降の中央集権国家を、江戸の幕府と藩の関係を参考にして、財源の七割程度が地方に分配され、三割程度が中央に上納されるという形の分権連邦国家に変えていかなければならない、このように考えております。
 また、橋本政権誕生から満二年が経過をいたしました。私自身、最初の十カ月は閣内で行動をともにさせていただきました。当時私は、橋本総理に対して構造改革に向けてのリーダーシップを期待いたしておりました。しかし、昨年の行政改革会議の最終報告に至る経過を見ていて、残念ながら自由民主党という政党は、日本の将来の国の形を考えるよりも、目先の既得権益擁護の族議員集団であって、橋本自由民主党政権に構造改革を求めるのは木によりて魚を求めるがごとく全く不可能である、このように残念ながら幻滅をいたした次第であります。(拍手)
 私は、こうした自民党政権の行き詰まりに対して、かわるべき政権の姿を国民に示す必要があると考えます。そこでまず、新進党の解党に伴い、自民党政権に対峙しようという六党がより強力な国会活動を行うために統一会派を結成いたしました。我々六党はもともと政策的にも近い関係にあり、会派結成に先立つ政策合意も相当幅広いものができました。与党三党のように、考え方が大きく異なる政党が自民党政権を維持するため、国会内での過半数確保というただその一点で数合わせをしているのとは全く意味が異なります。(拍手)
 さて、今日の金融不安、景気の低迷は、こうした自民党政権に対する国民の不信、そして少子・高齢化社会という日本の将来に対する不安、この不信と不安が根本原因になっていると考えます。昨日、総理は、国民の皆様にはどうぞ安心していただきたいと述べられましたが、株価は逆に大幅に下落し、国民は不安をますます募らせているのではありませんか。私は、この不信と不安に対する抜本的解決策を提案しながら、政府のとろうとしている政策について、以下、順次質問をさせていただきます。
 第一に、今日の金融システムの不安を招いた原因と責任についてであります。
 金融不安の原因は、一九八五年プラザ合意後のバブルの発生、そして崩壊、その後の不良債権処理のおくれにあることは明らかであります。バブルの発生当時、中曽根内閣の大蔵大臣は宮澤さんでありました。バブル崩壊当時、海部内閣でその引き金となった不動産融資総量規制を行ったときの大蔵大臣は橋本現総理であります。
 不良債権の処理については、歴代大蔵省銀行局長が不良債権を過小に見積もった上で、低金利政策によって、国民が本来得るべき金利を金融機関に与えて穴埋めさせていこうという政策をとりました。こうしたやり方をとれば、政治家も行政も銀行経営者もだれも責任を問われない。まさに責任逃れのための処理スキームと言わざるを得ません。しかし、過小な不良債権の見積もりを前提としたこのスキームも、今日完全に破綻したことは明らかであります。
 昨日、新しい基準に基づく銀行の不良債権額が七十六兆円を上回っていることを大蔵省は公表いたしました。こうした内容をこれまで隠していたことだけでも、大蔵省そして大蔵大臣の責任は重大だと考えますが、総理、いかがお考えでしょうか。
 そこで、我々は、改めて金融システムの安定化のために次のような抜本的な改革が必要であると考えているところであります。
 その第一点は、不良債権の内容を徹底的に開示する。金融機関だけではなく、例えばゼネコンや商社など不良債権を大きく抱えている企業の実態も明らかにしていくことです。
 第二点は、金融行政の責任、貸し手である銀行経営者の責任、借り手の責任をそれぞれ明確にし、刑事、民事上の責任を法的に問うていくことであります。
 そして第三点、これが特に重要であります。つまり、こうした責任を明確にしつつ、不良債権そのものを銀行などから公的な債権回収機関、いわば日本版RTCに移していくということであります。この公的債権回収機関は、中坊さんが率いる住宅金融債権管理機構のように、銀行のためではなく、国民の負担をできるだけふやさない、そのために国民のための回収機関としてその強い権限を認めていくことが必要だと考えます。
 その上で、第四点として、銀行に対しては徹底したリストラを行わせ、不良債権を持たない効率的な銀行として再生させる、生き返らせることであります。
 第五点として、不良債権となった都市の虫食い状態の土地について、地区計画などの手法によって利用可能な土地に変えることであります。
 そして第六点として、不良債権の引き受けに必要な資金に公的資金を充てるということを、国民の皆様に真摯に説明をし、理解をしてもらうことであります。導入された公的資金は、債権回収によって可能な限り返済されることになるのであります。不良債権を切り離すこうしたやり方を実行すれば、金融システムの不安定な状態、状況を根本的に解決していくことができると考えるわけであります。
 これに対して、政府が今提案している処理スキームは、余りにも不透明で不徹底であります。まず、幾つかの問題点をお聞きしておきたいと思います。
 一つは、早期是正措置に続いて、二〇〇一年四月からのペイオフも先送りするのではないかと一部で伝えられていますが、本当でしょうか。そんなことをしても、当面のびほう策にはなるかもしれませんが、抜本的な解決にはなり得ません。総理の明確な答弁を求めます。
 また、金融機関が所有する不動産を時価で再評価し、自己資本に繰り入れることを検討すべきと考えますが、総理はいかがお考えですか。
 日銀の特別融資についても、本来返済見込みのない債務超過の金融機関には融資できないはずなのに、ほとんど検査をしないまま安易に特別融資が行われ、拓銀などのように後からの検査で巨額の債務超過が判明するという事態になっているわけであります。経営者だけでなく行政までもモラルハザードを起こしている、こうした点をどうお考えか、総理の明確な答弁を求めます。
 政府の金融安定化緊急対策によりますと、補正予算関連で提出される預金保険法の改正など二法案に基づいて十兆円の交付国債を発行し、加えて補正予算の予算総則で二十兆円の債務保証を預金保険機構に与えて日銀からの借り入れを行う。補正予算関連で合計三十兆円の公的資金を投入する提案になっているわけであります。
 この十兆円の交付国債というのは、実際には単なる見せ金ではないのでしょうか。大蔵省は、交付国債は国債整理基金特別会計の保有残によって必要なお金は措置されると説明をしていますが、十兆円ものお金が現在の国債整理基金に一体あるのでしょうか。たしか、ないはずであります。結局のところ、将来改めて国債発行の予算措置が必要になるということであれば、単なる見せ金と言われても仕方がないと思いますが、総理、いかがお考えですか。
 補正予算の予算総則にある二十兆円の政府保証についても、これは将来二十兆円までの財政支出を認めるということを意味すると思いますが、総理、そういう理解でよろしいのでしょうか。そうだとすれば、この補正予算は合計三十兆円を超える財政支出を認めるかどうかということを内容とするものであるということであります。この巨額な補正予算の審議は、いわば本予算にまさるとも劣らないほど重要な審議であり、十分な審議時間の確保が必要であることをあらかじめ申し上げておきたいと思います。(拍手)
 政府案のスキームの中で、預金保険機構と協定を結んで債権回収を委託されることが予定されている整理回収銀行は、二信組の処理のためにつくられた法律に基づかない一般銀行であります。この整理回収銀行に公的な回収機関としての法的な位置づけを行うのかどうか。例えば、罰則つきの立入検査権を直接に持てるようにするのかどうか。現在の社長は大蔵省のOBが務めております。トップに大蔵省のOBや日銀のOBではない有能な人物を起用する考え方があるのかどうか。総理の明確な答弁を求めるところであります。
 また、金融機関が発行する優先株などを預金保険機構の委託でこの整理回収銀行が買い上げるというスキームになっておりますが、これが破綻すべき銀行を救うことにはならないと繰り返し政府や与党関係者は言われております。しかし一方で、大蔵省が出した説明文書によれば、金融機関等の連鎖的な破綻を発生させるおそれがある場合にはこうした優先株を発行させて引き受けることができると書かれております。自己矛盾をするのではないでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。
 政府案は、端的に言えば、不良債権というがん細胞を金融機関の体の中に残したまま優先株という栄養剤を打ってリハビリをさせようということであります。しかし、それでがんが治るわけではありません。今必要なのは、がん細胞を外科手術で摘出することです。金融機関に大量にたまっている不良債権を取り出して、それを国民の負担をできるだけふやさないという立場から公的な回収機関が回収していく。不良債権が残ったままで幾ら栄養剤を補給しても、銀行の貸し渋りなどは解消されないと私は見ております。この点について、総理の見解を伺いたいと思います。
 こうした金融改革については、国民の信頼を失った大蔵省任せではなく、国会に強力な権限を持った特別委員会を設け、そのもとに専門家のスタッフを臨時で集めて、金融機関の資産状況を一斉調査し、国民から見える形で資産内容を評価した上で、政府に早期是正措置の発動を勧告できるようにすることを検討すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。(拍手)
 政府・与党の金融対策を取りまとめた大蔵省OBの新井将敬議員が、借名口座で日興証券から不正に利益供与を受けていた疑惑について、その真相を徹底究明するのは今国会の最重要課題の一つであります。新井議員はもちろん、泉井疑惑の真相究明のために自民党の山崎政調会長についても証人喚問を行うべきと考えますが、総理はこれに前向きに対処されるお考えか、自民党総裁としての見解を伺います。
 山一証券の飛ばしについて、九一年暮れに当時の役員が大蔵省に報告をしていたという報道があります。当時大蔵大臣であった橋本総理は、こうした事実の報告を受けておられたのでしょうか。御存じないとすれば、早急に事実関係を調査して国会に報告するとお約束をしていただけますか。その点、総理に明確な答弁を求めます。
 次に、金融監督体制について伺います。
 九一年の証券不祥事のときに、当時の橋本大蔵大臣は、大蔵省官房金融検査部と証券取引等監視委員会をつくって、これでもう不祥事は起こさないと胸を張られました。その官房金融検査部の初代部長が証券会社や銀行の接待を受け便宜を図っていたと報道され、刑事的措置がとられるのではないか、このように言われております。大蔵省と金融業界の癒着の根を絶つためにも、大蔵省から金融機関への天下りは全面的に禁止し、特殊法人などの財務に責任を持つポストへの天下りも禁止すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、減税と財政再建について伺います。
 私たち民友連は、特別減税に加えて、平成十年度からの所得・住民税三兆円と法人税などを合わせて合計六兆円の恒久減税を提案いたしております。
 私が代表する民主党のさきの国会での主張と考え方が変わったのではないかという御指摘をいただいております。今日の厳しい国際経済情勢を踏まえて、私たちは、財政再建の目標を平成十五年ではなく、もう少し長い期間で財政再建を実現するよう時間的な枠組みを変えたわけであります。そして、その間は、行政改革による将来の歳出削減など償還財源のめどをつけた国債の発行は認めていくというのが民主党の現在の主張であり、今回の六党合意にもこうした基本姿勢は盛り込まれているところであります。
 これはさきの国会でも民主党としても申し上げてきましたが、赤字国債と建設国債の区別は本来意味を持ちません。赤字国債であっても、それが減税に用いられて、そして景気浮揚効果を伴った場合には将来の税収増につながるかもしれません。建設国債であっても、全くむだなものをつくって維持費ばかりを食っているものもたくさんあります。
 赤字国債と建設国債の区別はなくし、財政再建は、国と地方を合わせた一般政府の公債発行等の総額を管理、抑制していくことで達成するという方法が適切であると考えますが、総理の見解を伺います。
 政府は、昨年暮れになって急に二兆円の特別減税を実施すると発表されました。もともと二兆円減税については私たちも必要だと主張してきたわけでありますから、そのこと自体は評価をしたいと思います。しかし、この特別減税は単年度にとどまり、その場限りの減税では景気刺激効果も乏しく、市場も反応はいたしておりません。そこで、平成十年度以降の減税の恒久化を行う考えがあるのかどうか、総理に明確な答弁を求めます。
 また、構造改革の障害になっている財政構造改革法の分野別キャップや平成十五年度までに赤字国債の発行をゼロにするという目標を変えないのかどうか、総理に伺います。
 政策転換をされたのならされたで、きちんと国民の前に説明すべきであります。それをあいまいにしたまま、変えたように見られても仕方がないといったような答弁では、これは国民に対する説明にはならないわけであります。明確な答弁を求めるところであります。そして、この場合には、財政再建の目標はどのようになるのかもあわせて明確にしていただきたいと思います。
 そして、さらにあわせて、金融対策の三十兆円の政府保証や国債発行が財政再建の考え方とどう関連をするのか説明をいただきたい。別枠で全く別に考えるのか、それとも財政再建の内側で処理するのか、この点も明らかにしていただきたいと思います。
 また、住都公団補給金などを補正予算に計上するのは財政法上不適切であり、財政の構造改革につながらないと考えます。総理の見解を伺います。
 次に、国民が抱いている将来……
#9
○議長(伊藤宗一郎君) 菅直人君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#10
○菅直人君(続) 次に、国民が抱いている将来への不安の中で、特に医療、年金、福祉、介護といった分野について国民負担の増加が心配されています。私は、公共事業の中に含まれる大きなむだを省けば、この分野での毎年数兆円規模の国民負担の軽減が可能であり、福祉に振り向けることができると考えております。
 また、介護や福祉活動においては、家族間で行われてきた助け合いを社会の仕組みの中に位置づけていくことによって、経済的な負担増ではない形による福祉の向上が可能だと考えています。
 例えば、高校、大学の卒業資格や公務員の受験資格の中に一定期間の福祉活動を入れることで、若い人たちの福祉活動への参加が推進されていくと思います。高齢者についても、知恵を出し合って、一たんリタイアした人たちが地域の福祉活動に参加しやすい条件をつくっていく。生きがいや社会の評価を与えて、そこに光を当てていく。お金を出し合っての助け合いだけではなく、互いに汗をかく互助的な考え方を加えることによって、大きな負担を招かない福祉サービスの向上をしていけると思っております。
 最後に、本日、イギリスのブレア総理大臣にお会いをしてまいりました。ブレア総理は、二十一世紀に向かってのイギリスを、まさに新しい国づくりをやっていきたいと述べられておりました。
 私たち国会議員は、目先だけではなく、将来の日本をつくるために頑張っていかなければならない。その先頭に民友連も立つことをお約束をいたしまして、私の代表質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 菅議員にお答えを申し上げます。
 まず、不良債権額についてのお尋ねがございました。
 現在、早期是正措置の実施に向け、各金融機関におきまして自己査定を試行的に行っており、大蔵省では、昨年末、その結果をいわゆる全国の銀行から報告を受けたと聞いております。制度や客観性から見て集計を行うことには問題があるとも考えられましたが、できる限りデータを明らかにするとの観点から、集計し公表することにいたしました。御指摘のように、従来の分類と定義が異なることもありまして、責任というような事柄ではないと思っております。
 次に、ペイオフの実行時期についてのお尋ねがございました。
 現時点におきましては、ディスクロージャーが充実の途上にあること、金融システムの安定に細心の注意を払う必要がありますことから、破綻処理において、預金者に直接御負担を求めることは困難な環境にあると考えており、この問題については、二〇〇一年までのできるだけ早い時期に環境整備がなされるよう努めているところでございます。
 次に、不動産を再評価して自己資本に繰り入れることについてのお尋ねがありました。
 これにつきましては、私も関心を持ち、自民党に対し検討を既に指示しているところであります。その結果を待ちたいと考えております。
 次に、日銀特融が安易に行われて、行政がモラルハザードを起こしているのではないかというお尋ねがありました。
 今般の破綻金融機関などへの特融につきましては、預金者や健全な融資先などに支障が生じないよう、資金繰りのための必要不可欠な資金の供給を行っているものであります。日銀の財務の健全性にも配慮しつつ、信用秩序維持のために必要な業務として適切に行われており、行政がモラルハザードを起こしているという御指摘は当たりません。
 次に、十兆円の国債交付は単なる見せ金ではないかという御意見をいただきました。
 しかし、この十兆円の国債は、預金保険機構に発生する損失の補てんなど、機構が必要とする場合に適時適切に財政資金を投入することの裏づけとなる要求払い債券であり、見せ金という御指摘は当たりません。
 この国債につきましては、NTT株式の売却収入や国債整理基金の準備資金が償還に充てることのできる財源と考えておりますけれども、いずれにせよ、その時々の歳入歳出全般の状況を見ながら、この国債の償還に支障のないよう適時適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
 次に、政府保証と財政支出についてのお尋ねがございました。
 政府保証資金は、不良債権の買い取りや優先株等の引き受けのための資金繰り資金でありますところから、その限りにおいて国民負担につながるものではなく、最終的に国民負担が生じ得るのは、預金保険機構において損失が確定した場合に限られるものであります。したがって、政府保証二十兆円は、二十兆円の財政支出を認めることをそのまま意味するものではありません。
 いずれにせよ、我が国経済と国民生活のために、補正予算及び関連法案の一日も早い成立に御賛同くださるよう強くお願いを申し上げるところであります。
 次に、整理回収銀行についてのお尋ねがございました。
 今回の対策におきましては、公的機関である預金保険機構に、いわゆる住専の債権だけではなく、一般金融機関から買い取った債権につきましても罰則つき財産調査権を付与するとともに、機構の回収体制の強化を図り、いわゆる住専と同様に強力な回収を行うことといたしております。
 また、整理回収銀行のトップは、それにふさわしい専門的知識と識見を備えた人物がその任に当たっているものと考えております。
 次に、優先株などを預金保険機構が引き受けるスキームについてお尋ねがございました。
 今般のスキームは、経営に失敗をし破綻に直面した金融機関を救済するのではなく、基本的にきちんとした金融機関を対象とするものであります。
 具体的には、破綻処理における受け皿金融機関となることで悪化した自己資本を改善しなければ信用秩序の維持及び地域経済の安定化に大きな支障が生じる場合、また一般金融機関において、優先株などの引き受けにより自己資本が改善されなければ、例えば内外の金融市場における資金調達が極めて困難な状況に至るなどにより我が国の金融の機能に著しい障害が生ずるおそれがある場合、あるいは金融機関の連鎖的な破綻を発生させることなどにより当該地域、分野の経済活動に著しい障害を生ずる、そのおそれがある場合に考えられます。
 御指摘のケースは、我が国金融システムに対する信頼が低下する中、例えばある金融機関の自己資本の充実を図らなければ、その機関の財務内容が健全でありましても資金調達難に陥るおそれがあり、それをきっかけにその他の金融機関の連鎖的な破綻が発生するようなおそれがある場合、こうした場合に対処しようとするものであり、自己矛盾ではありません。
 次に、不良債権を公的な回収機関が回収すべきであるというお尋ねがございました。一つの御見識として拝聴をいたします。
 ただ、民間金融機関の抱える債権は、基本的に民間ベースで処理されるべきものであり、やはり、金融機関の破綻が生じ、預金者保護のために破綻処理を円滑に進める必要がある範囲に限り公的機関が回収に乗り出すことが基本ではないかと考えております。
 次に、金融改革の進め方、なかんずく早期是正措置の発動についての御意見をいただきました。国会で特別委員会をというお話でございます。
 早期是正措置は、金融機関が開示する自己資本比率の区分に応じて大蔵大臣が、また金融監督庁設置後は金融監督庁長官が、あらかじめ定められた基準にのっとって監督上必要な措置を講ずるなど、透明性の高い行政手法であります。
 今後は、この手法を的確に活用していくことによって、金融機関の監督に適切に対応するなど、金融改革が着実に進められるものと思います。
 次に、証人喚問についての御意見をいただきました。
 法に違反するようなことがあれば当局が厳正な対応をするものと考えておりますけれども、証人喚問それ自体については国会でお決めいただくべきものと思います。
 その上で、私は、国民の政治不信の払拭のためには、政治家が常に自戒し、襟を正さなければならないと考えておりますし、その意味で、明らかにしなければならないことは適切な場で政治家みずからの判断で明らかにされるべきもの、そのような考え方は繰り返し述べてきたところであります。
 次に、山一証券の飛ばしについてお尋ねがございました。
 まず第一に、九一年の暮れは、私は損失補てん問題の責任をとって既に大蔵大臣の職を辞しておりましたので、御指摘のような報告があったかどうかは私は存じません。今回御質問があるということから、改めて大蔵省に尋ねましたところ、九一年には損失補てんの問題があったこともあり、その後さまざまな調査を行うとともに、証券会社にも自主点検を求めたが、今回の山一証券の簿外債務については明らかにされなかったということでありました。
 大蔵省からは、山一証券から昨年十一月十七日に簿外債務の存在について報告を受け、現在関係部局により検査が行われており、徹底的な実態解明を踏まえて厳正に対処してまいります。
 また、大蔵省職員の再就職についての御意見がありましたが、金融機関への再就職を全面的に禁止するということ、これは、公務の公正な執行の確保という要請と職業選択自由との、基本的な人権との調和を図りながら、制度全体の中で論ぜられるべきだと思います。
 また、特殊法人等の役員人事については、各界から適材を幅広く求めていくべきだと考えておりますが、仮に議員が御指摘のような事実が、また、報道されているようなことが事実であるとすれば大変残念なことでありますし、この際、特殊法人の職員のモラルについても、なお厳しいものを求めていかなければならないと考えております。
 次に、赤字国債と建設国債の区別についての御意見をいただきました。
 財政法は、健全財政主義という原則のもとに、負担の世代間公平という考え方に立ち、公共事業などに限って例外的に建設公債の発行を認めております。こうした原則から離れて、建設公債とは基本的な相違のある特例公債との区別をなくすこと、これは私は特に慎重でなければならないと思います。
 なお、先般成立した財政構造改革法では、国、地方を合わせた財政赤字対GDP比を三%以下とする、こうした考え方のもとに公債依存度を下げることを当面の目標としておりまして、これらを踏まえて国債発行総額の抑制を図っていきたいと考えております。
 次に、特別減税の恒久化についての御意見をいただきました。
 二兆円の特別減税は、直接的には、家計の可処分所得の増加を通じて消費の回復に役立つと考えられますし、間接的には、生産活動の活発化などを通じて経済全体の拡大に資するものと考えられます。当面の景気対策として実施するこの二兆円規模の特別減税が、平成十一年度以降も必要となるような状況にならないように全力を尽くしていきたいと考えております。
 次に、財政構造改革法のキャップ、特例公債脱却目標、さらには財政構造改革に係る路線転換のお尋ねがありました。
 私は、財政構造改革の必要性は何ら変わるものではないと思います。同時に、経済の実態や金融システムの状況、さらにはアジア等を初めとする世界経済の状況を考えながら、その時々の実情に応じて臨機応変の対策や措置をとっていくことも当然のことだと思います。財政構造改革と景気対策は二者択一の問題ではありません。中期の目標と当面の対応というタイムスパンの異なるものであります。このような考え方のもとに、特別減税を含む補正予算を提出したところでありますし、また、平成十年度予算につきましても近々提出させていただきたいと思っております。
 次に、金融対策の三十兆円の資金と財政再建の関係についてお尋ねがございました。
 十兆円の国債と二十兆円の債務保証、合わせて三十兆円の資金は、預金者などの保護、また金融システム全体の危機管理に緊急の、またかつ時限的な措置として考えたものであり、財政構造改革との整合性を図りながら、経済金融情勢の変化に対応して、国際情勢にも応じ、断固たる対応を図るものと考えております。
 次に、住都公団補給金などの補正予算計上についてお尋ねがありました。
 平成九年度の補正予算につきましては、住都公団の平成八年度分決算の確定を受け、できる限り早期に措置する必要のあります本補給金を含め、財政法二十九条の規定に則し、所要の予算を計上いたしております。
 なお、住都公団につきましては、今後、分譲住宅からの撤退、補給金制度の見直しなどを含めた行財政改革に資する抜本的な見直しを進めていく予定であります。
 最後に、公共事業と社会保障の財源の御議論をいただきました。
 公共事業につきましては、コストの縮減、費用対効果分析の実施、再評価システムの導入などにより、一層の効率的、効果的実施に努めてまいりたいと考えております。また、社会保障につきましては、少子・高齢化が進行する中で、構造改革を推進し、制度の効率化、合理化を進めながら必要な給付を確保していきたいと考えており、十年度予算におきましても、主要な経費ごとのめり張りのきいた量的縮減目標に向け、その編成を行ったところであります。公共事業関係費につきましては七・八%のマイナスとする一方、社会保障関係費につきましては二・〇%の増額を確保しているところであります。
 また、介護や福祉活動について、お互いに助け合う仕組みというものについての御提言がありました。
 地域の人々が生涯にわたって安心して暮らせる豊かな福祉社会を築くために、公的な社会福祉施策の推進を図ると同時に、地域における助け合いの活動が活発になりますようにボランティア活動などの振興に努めてまいります。
 最後に、女性の社会参加についての御意見をいただきました。
 労働基準法におきましては、広い観点から見直しを今行っておりますが、男女の労働者が充実した職業生活及び家庭生活を営むことができるよう、必要な改正を行う法案を今国会に提出したいと考えております。
 民法改正につきましては、国民の御意見が分かれております。今後の世論の動向なども見据えながら引き続き検討してまいりたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(伊藤宗一郎君) 保岡興治君。
    〔保岡興治君登壇〕
#13
○保岡興治君 私は、自由民主党を代表し、橋本総理並びに三塚大蔵大臣の昨日の演説に対して質問いたします。
 まず、現下の経済金融情勢についての政府の認識と対応についてお伺いいたします。
 昨年の十一月の大型金融機関等の相次ぐ破綻により、金融システムに対する不安や経済の先行きへの不透明感が一気に広がり、企業マインドや消費を萎縮させ、株価の低迷や為替の円安傾向など、我が国の経済はまさに重大な局面に立たされていると思います。
 こうした厳しい状況は、アジアの通貨・金融危機と連動するおそれもある。また、それが世界規模に広がることを世界各国は深刻に受けとめていると思います。そして、世界第二位の経済規模である日本の金融システムの安定並びに経済の回復は、アジアや世界にとって極めて重大な要因であります。
 政府としては、アジア経済や我が国経済、金融の現状をどのようにとらえ対処されようとしておられるのか、まず総理にお伺いしたいと思います。
 次に、金融システム安定化対策についてお尋ねいたします。
 我が自民党は、今の金融の危機に対応して、昨年十一月に宮澤元総理を本部長とする緊急金融システム安定化対策本部を設置し、徹底的な議論を尽くし、心血を注いで三十兆円規模の金融システム安定化対策を取りまとめてまいりました。
 まず、先ほども概観したとおり、現在の日本の金融が著しく危機的状況に立たされていることや、その内外に与える影響の深刻さを考えれば、今回の金融安定化対策で忘れてはならないことは、対策が適正なものであること以上に、政府の断固たる決意を内外に明確にメッセージすることであります。
 また、金融安定化対策の内容においても、日本の金融市場に異常な状況をつくり出し、健全な金融機関や企業が連鎖して倒産するような、いわゆる日本売りの動きに対して、わずかといえどもすきを見せてはならないことであります。
 さらに重要なことは、一日も早く法案や予算を成立させ、具体的に対策を実行してみせることにあります。(拍手)したがって、通常国会の召集を例年より一週間前倒ししたのであります。
 総理並びに大蔵大臣はいかにお考えでしょうか、お伺いいたします。
 次に大切なことは、国会の審議を通じて、その対策の内容や意義について、国民を初め内外に対しこれを明らかにしていくことであります。
 金融安定化対策のうち、特に、健全な金融機関に対する資本注入については、本対策のうち最も危機管理の性質が強く、すぐれて政治の責任と決断によって行われるものであり、また、公的資金を活用して対応することにかんがみ、国民の理解が不可欠なものだからであります。また、外国に対する我が国の金融システムの安定に対する信認を得るためにも、対策の安定化への有効性や確実性についてよく理解を得る必要があります。
 そこで、対策の内容に関してでありますが、総理も述べられたとおり、金融安定化の根本は信頼であると思います。まず第一に、預金者の保護について、全額保護を徹底すると述べられました。あえて徹底すると言われた意味を国民によく説明していただければと存じます。
 また、預金保険制度において、公的資金を投入する対象を一般金融機関に広げることや、整理回収銀行の機能を強化することも金融安定化対策上とても大切であり、なかんずく破綻金融機関の不良債権の回収を徹底して進めることと、その中で経営者の刑事的、民事的な責任を峻烈に追及することは極めて重要なことだと思います。三塚大蔵大臣にわかりやすく御説明をいただければと存じます。
 橋本内閣が推進する六つの改革の中の一つの金融改革は、フリー、フェア、グローバルの理念に象徴されるように、自由で国際的な開かれた市場で日本の金融を能力の高い、強い存在にしていこうとするものであります。そのスタートラインとなる東京金融ビッグバンは、本年の四月に迫っております。この日本が未来に対して大切にすべき自由の大原則からすると、優先株による公的資金の資本注入は真正面からぶつかるようにも見えます。
 しかし、一たん、一つの銀行の破綻がきっかけとなって多くの健全な銀行が次々に倒れ、金融システム全体が麻痺してしまうようなことが万が一起これば、日本経済はおろか、通貨危機に見舞われているアジアの国々や世界経済に深刻な結果をもたらすことになるのであります。
 政府は、そのような事態になれば、金融のためにも経済のためにも打つ手がなくなってしまうものであります。要は、そのような事態をわずかでも予測できるような状態であれば、それを未然に防がなければならない政治の責任があるのは自明の理であります。このような場合、預金者保護や破綻した銀行の受け皿支援の手段では、事態回避は不可能であります。その結果、健全な銀行に対する公的な資金の注入という緊急、一時的な、例外的な、非常の手段をとらざるを得ないと考えているのであります。
 そこで、総理にお尋ね申し上げたいことは、日本の金融システムが破綻すれば重大な影響を受けるアジアやヨーロッパ、アメリカの国々が、自由市場を尊重する立場をとる国でありますが、この資本注入の仕組みをどのように見て、どのように受けとめているか、お答えを賜りたいと存じます。
 次に、私の承知しているところでは、この資本注入の審査をする委員会は、日本の金融システムを守るとりでになる性質のものであります。したがって、そのメンバーへの内外の信認は極めて重要であります。また、資本注入を受ける銀行が、みずから持つ金融システム全体を防衛する公的責任を果たすためにこの仕組みを利用する意思があるかどうか、非常に大切であります。審査委員会の公正さや金融機関のモラルハザードを起こさないために、どのようにその手続を確保するかについて、総理、大蔵大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
 また、金融のシステミックリスクが発生しないために、保険、証券に対する公的支援もぜひ必要と思いますが、いかがお考えか。さらに、中小・中堅企業に対する貸し渋り対策や、今朝もマスコミが一斉に大きく取り上げましたが、現在の金融経済不安の最大の元凶になっている不良債権を徹底的に処理する対策が打たれる必要があると存じますが、その対策について大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。
 次に、不良債権の早期処理、証券市場の公正性確保等のために、司法及び準司法の機能強化は焦眉の急であると存じます。
 そもそも司法は、規制緩和の流れの中で、二十一世紀の大競争時代、ルール社会における国家の基礎として極めて重要でございます。したがって、我が党でも、昨年、総裁や山崎政調会長の御理解を得て、司法制度特別調査会を発足し、昨年秋、司法改革のグランドデザインをまとめました。総理が会長を務められ、御苦労をされてまとめられた行政改革会議の最終報告にも、政府において司法の人的及び制度的な基盤の整備に向けて本格的な検討を早急に開始する必要があると結論づけられているところでございます。
 東京ビッグバンがいよいよ四月からスタートしますが、司法インフラのない東京ビッグバンは地獄だと言われています。また、一連の金融不祥事に見られるとおり、我が国は、法律を遵守する意識が希薄で、建前と本音を使い分けるダブルスタンダードの国と言われております。
 政府におかれましては、ポスト行政改革、国会改革に次いで、三権の一翼を担う司法の二十一世紀に向けた検討をするための機関をぜひとも設置していただきたく、また、予算面でも、昨年六月に決めた財政改革の基本方針において、前年度以下に極力抑制すべき「その他の経費」という項目に入っていますが、質的、量的な拡充を必要とする司法、準司法の予算面での取り扱いについても、ぜひともしかるべき結論を得ていただきたいと存じます。この点について、総理の御所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、経済対策についてお伺いいたします。
 現在の我が国の金融経済の危機的な情勢を考えた場合、これを最大限の対応が必要であることは論をまちません。
 我が自民党は昨年の十月末から三次に及ぶ緊急国民経済対策を策定し、政府もまた十一月中旬に緊急経済対策を打ち出し、大胆な土地や情報通信等の規制緩和を行い、また、一千万円のマル経融資制度や、中小・中堅政策金融の拡充や創設、利子軽減措置の延長、県保証協会の保証枠の倍増、保証料率の引き下げ、対象業種を小売、建設関連業種へ大幅に拡大するなど、思い切った中小・中堅企業対策を打ち出し、暮れには、橋本総理の強いリーダーシップで二兆円規模の特別減税、法人税三%、法人事業税一%の引き下げ、土地税制の思い切った緩和や地価税の停止、買いかえ特例の要件の緩和、住宅譲渡損の繰越控除制度の創設、有価証券取引税を半分にするなど、国、地方合わせて八千四百億円の減税、九年度補正予算では、災害復旧事業など約一兆円規模の公共事業の追加や、一兆五千億規模のゼロ国債を確保しました。
 昨年秋から、これだけ多くの、しかも大胆な、思い切った対策が決定され、これから具体化していけば相当大きな経済効果が確実に生まれるはずでございます。しかし、そのためには、金融安定化関連法案が成立し、金融への信頼が確立されることが大前提かつ不可欠であります。これらの諸対策を動かす平成九年度補正、平成十年度予算や関係の法律をまずは一日も早く成立させ、企業経営者や消費者が安心して仕事し、生活できるようにする必要があると存じます。
 これらの諸対策の効果並びに今後の経済の見通しと対応について、総理にお伺いいたします。
 最後に、総理が進める六つの改革を実現し、二十一世紀に向かって見事な国づくりができるかどうか、まず第一の正念場が訪れたと存じます。
 橋本総理におかれては、日本発の金融恐慌は決して起こさない、安心していただきたいと国民の皆様にされた約束に命をかけ、予想されるいかなる事態に対しても柔軟かつ強靱に対応できるよう万全の対策を念頭に、国の最優先課題としてこの危機、国難を将来に向けて見事に乗り切っていかれるよう、心から頑張っていただきたいと思います。
 まさに、橋本総理の強い政治のリーダーシップと政府・与党の対応に二十一世紀の日本がかかっていると思います。与野党とも真剣に論議を尽くし、金融安定化並びに経済回復の諸対策を一日も早く実現し、国民と一体となってこの難局を乗り切るよう強く求めて、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 保岡議員にお答えを申し上げます。
 まず、アジア及び我が国経済の、また金融の現状についてお尋ねがございました。
 アジアでは昨年夏以来、幾つかの国で通貨・金融市場に大きな変動が生じ、現在もなおインドネシアは厳しい動きにさらされ、他の国にもその影響が及び、不安定な状況にあります。この中で、各国ともに、それぞれ状況は異なりますものの、経済状況は予想した以上に困難なものとなっております。
 また、我が国におきましても、昨年秋以来金融機関などが相次いで破綻したことによりまして、金融システムに対する信頼が低下をいたしました。こうした中で、景気の状況は厳しく、このところ足踏み状態が続いており、家計や企業の景況感は一層厳しさを増しておりますし、個人消費や設備投資にも影響を及ぼしております。
 政府としては、昨年十二月に、大規模な規制緩和、土地対策を初めとする緊急経済対策を発表いたしました。また、アジアの中に位置し、我が国の経済動向がアジア全体の経済に大きな影響を与えることを踏まえまして、我が国経済の力強い回復を実現するためにも、二兆円規模の特別減税を本年二月から実施することを決断いたしました。これに加え、十年度税制改正、九年度補正予算において、景気に思い切って配慮し、議員から御指摘がありましたように、さまざまな施策を盛り込んでおります。これらの施策は、金融システム安定化対策などと相乗的な効果を発揮して、我が国経済の力強い回復をもたらすものと確信をいたしております。
 また同時に、アジア地域の金融・通貨市場の変動に対しまして、世界経済の動向に大きな影響を及ぼすことのないよう、IMFを中心とする国際的な支援の枠組みの中で我が国としても積極的に支援を実施いたしております。
 今後とも、関係各国及びIMF、世界銀行、アジア開発銀行などの国際金融機関とも密接に連携しながら適切に対応していく考えであり、昨日もスハルト大統領と電話でお話をし、きょうクリントン大統領から電話をいただき、昨日のスハルト大統領との会談の内容をお知らせしたところであります。
 次に、金融安定化で一番大切なことは、断固たる決意、具体的な対策を一日も早く実行することではないかという御意見をいただきました。
 政府としても、まさにそのような観点から、今般、預金の全額保護の体制を整備すると同時に、金融危機時における金融システム安定化のための制度を創設し、また、九年度補正予算におきましても所要の措置を講じることとしたところでありまして、これらにより預金者、投資家を初めとする内外の市場の信認を回復するよう、全力を挙げて取り組む決意であります。
 この施策を緊急に実行に移しますためにも、国会におかれましても、ぜひとも本対策の緊急性、重要性について御理解をいただきまして、迅速な御審議をお願いを申し上げたいと心から願っております。
 次に、預金者の保護についてお尋ねがございました。
 預金者の保護は金融システム安定の基本であり、まずもって、国民の皆様に安心して預金をしていただくことが極めて大事なことです。こうした認識のもとに、政府としては、金融機関の相次ぐ破綻により預金者に不安とまた動揺が広がる中で、仮に金融機関が破綻した場合でありましても必要な預金の払い出しが全額スムーズに行われるなど、預金の保護に万全の対応をなし得るよう、預金保険機構の財源強化を図ることといたしました。そのため、公的資金を投入する対象を信用組合から一般の金融機関にまで広げるなど、体制整備を図ったものであります。
 次に、金融システム安定化対策の諸外国の受けとめ方についてお尋ねがございました。
 私は、御指摘のとおり、フリー、フェア、グローバル、その理念のもとに金融システム改革を推し進めて、国際的に開かれた、真に自由な市場を構築しようと考えておりますが、時として市場の行き過ぎによって金融システムに対する信頼が低下することがあります。現在のような金融危機の状況のもとでは、例外的な緊急措置でありますが、金融システム安定化のために断固とした対応を行う必要があると思います。
 現在のグローバル化した金融市場におきましては、我が国の金融システムの安定が世界の金融・資本市場に大きな影響を与えます。そのため、我が国の金融システムの安定につきましては諸外国からも強く要請がなされておりまして、例えば、既にアメリカ政府からは、今般の金融安定化策に公的資金の導入が含まれていたことを評価する旨伝えられております。
 また、今般の対策は、こうした諸外国からの要請にこたえるものであると同時に、我が国金融システムの安定性を確保し、内外からのこれに対する信頼を確保するためにも極めて重要であります。昨日行われた日英首脳会談及び日・EU定期首脳協議におきましても、この点につき高い評価と支持が表明をされました。
 政府としては、公的資金を活用して金融システムの安定性を断固として守る、その姿勢に対し、内外から評価が得られるものと確信をいたしております。
 また、優先株などの引き受けとモラルハザードの問題について御意見をいただきました。
 優先株などの引き受けに当たりましては、今回の自己資本充実策が金融危機管理上の緊急対策であることを踏まえまして、公正、中立な委員から成る審査委員会における厳正な審査基準に基づいて議決をされ、さらに閣議を経て決定することといたしております。また、金融機関に対しましては、引き受けの申請に際し、将来に向けて責任ある経営が行われるよう、経営の健全性確保のための計画の提出を義務づけているところでありまして、モラルハザード防止のための措置を講ずることとしております。
 次に、司法改革についての御意見をいただきました。
 今後、規制緩和を初めとするさまざまな改革を進めていく、そして金融システムを安定化していく上でも、司法及び準司法の機能を充実強化していくことは極めて重要であることは御意見のとおりだと思います。政府としては、このような認識のもとに、二十一世紀に向けて関係機関とともに司法改革に積極的に取り組んでまいります。また、機能の質的、量的な拡充につきましては、議員の御指摘を踏まえて、今後とも適切に対処していきたいと考えております。
 最後に、一連の対策の効果と今後の経済の見通しについてお尋ねをいただきました。
 我が国の経済を回復軌道に乗せるためには、経済の動脈である金融システムをまず安定させることが必要であります。このため、破綻金融機関の処理、そして金融機関の自己資本の充実に、十兆円の国債と二十兆円の政府保証、合わせて三十兆円の資金を活用できるようにいたします。
 また、貸し渋り対策として、早期是正措置の運用の弾力化を行うなど、また、中小・中堅企業を対象として政府系金融機関に新たな融資制度を創設することなどによりまして、信用保証分を合わせて総額約二十五兆円の資金を準備いたします。
 同時に、景気回復のため、大規模な規制緩和を初めとする緊急経済対策を実施していきます。
 また、税制面におきましては、議員から御指摘をいただきましたように、二兆円の特別減税の実施とともに、法人課税の税率の引き下げ、有価証券取引税の半減、地価税の課税停止などを含む幅広い措置をとることといたしております。さらに、九年度補正予算におきましては、災害復旧事業など約一兆円規模の公共事業を追加するほかに、一兆五千億円規模の国庫債務負担行為を確保しております。
 こうしたさまざまな取り組みのすべてが相まって、我が国の経済の力強い回復に結びついていくと私は確信しておりますし、平成十年度の我が国経済は国内総生産の実質成長率が一・九%ぐらいになるものと見込んでおります。
 我が国の将来に向けて、私は今六つの改革を訴えております。同時に、経済の実態や金融システムの状況、さらにはアジアを初めとする世界経済の状況を考えながら、その時々の実情に応じて臨機応変の対策、措置をとっていくこともまた当然のことであります。
 財政構造改革と景気対策は二者択一の問題ではなく、中期の目標と当面の対応というタイムスパンの異なるものでありますし、今年は、改革と、この十年来の困難を克服して、力強い回復と新たな将来に向かって出発する年であると考えており、将来を見据えながら、日本発の金融恐慌は絶対に起こさないということ、どうぞ安心していただきたい、そうした決意で乗り切ってまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#15
○国務大臣(三塚博君) ただいま金融安定化に関する決意とその具体策についての保岡議員の御質疑でございました。
 アジアはもちろんG7各国、日本の金融システム安定に対するその進捗度に深い関心と期待を寄せておることは御指摘のとおりでございます。
 既に、総理大臣から、本件についての具体的な表明、また決意が申されたところでございます。大蔵大臣としても、政府としても、断固たる決意を持って、首相のこの決心をしっかりとサポートすることがこの国とこの国民のためになることと信じ、全力を尽くしてまいりたいと存じます。(拍手)
 預金の全額保護のための体制を整備するというのは当然のことであります。改めて、その完璧な対応をしてまいることを申し上げます。
 金融危機時における金融システム安定化のための制度を創設することといたしたところであります。また、そのために九年度補正予算において所要の措置を講ずるといたしたところであり、これらにより、内外市場の信認を回復するよう全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。国会におかれましても、ぜひとも本対策の緊急性、重要性につき御理解を賜り、一日も早い成案を得させていただきますようにお願いを申し上げる次第であります。
 不良債権の回収と責任追及についてのお尋ねでございます。
 破綻に至った責任を明確にするため、破綻金融機関の経営者や借り手の民事、刑事上の責任を厳正に追及していくことは極めて重要なことであります。このため、今般の預金保険法改正においては、強力な回収のため、預金保険機構に、住専債権と同様に罰則つき財産調査権を付与することを検討いたしておるところであります。また、預金保険機構内に責任追及のための特別の委員会を新設するとともに、この委員会の指示に基づき具体的に調査を行う部署を整備することについても検討いたしておるところでございます。
 次に、審査委員会の公正さ等に関するお尋ねでございます。
 優先株等の引き受けについては、公正を期するため、民間の有識者三名を含む公正、中立な委員から成る審査機関を設置し、厳正な審査基準に基づき審査した上で全員一致により議決をいたし、さらに閣議を経て決定することといたしておるところであります。
 また、優先株等を発行する金融機関に対しては、引き受けの申請に当たって、将来にわたり責任ある経営が行われるよう、経営の健全性確保のための計画を提出させ、審査機関はこれを適当と認める場合に限り引き受けの議決ができることとするとともに、議決した場合には基本的にこれを公表するなど、モラルハザードを防止する措置を講ずることといたしておるところであります。
 保険、証券に対する公的支援についてのお尋ねでありますが、保険契約者や証券投資家の保護を図るための制度を創設すべく、所要の法案を今次通常国会に提出をし、御審議をいただきたいと考えております。これらに関連した公的支援につきましては、保険、証券の機能や、現在論議されておるさまざまな御意見を踏まえまして検討していきたいと考えておるところでございます。
 最後に、貸し渋り対策及び不良債権の処理についてのお尋ねでございますが、いわゆる貸し渋りに対応するため、金融機関に対する早期是正措置の運用を弾力化するなどの措置を講ずるほか、政府系金融機関における新たな融資制度の創設などの措置を講じまして、平成九年度及び十年度において、信用保証を含め、約二十五兆円の資金量を確保することといたしております。
 また、不良債権の処理については、引き続き各金融機関に不良債権の早期処理を促すとともに、今般の金融安定化策におきましても、預金保険機構の回収体制の強化を図っておるところでございます。
 また、現在、不動産等資産の流動化に関する法律案について、今国会に提出すべく準備をいたしておるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(伊藤宗一郎君) 神崎武法君。
    〔神崎武法君登壇〕
#17
○神崎武法君 私は、新党平和並びに改革クラブの統一会派であります平和・改革を代表して、橋本総理並びに三塚大蔵大臣の演説に対し、質問をいたします。
 まず最初に、去る十日、中国河北省北部で発生した地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。ちょうど三年前の阪神・淡路大震災の折には中国の方々からも多大な御支援をいただいており、その友情にこたえるためにも、今回の震災に際し、我が国として最大限の援助をしていくべきであります。政府におかれましても、迅速かつ積極的な対応をされることを望むものであります。(拍手)
 私たちは、政党・会派の名称に「平和」を掲げました。そこで、まず若干の所信を申し述べ、総理の御意見を伺いたいと思います。
 現在の世界情勢、日本国民を取り巻く環境は、平和とはほど遠いものと言わざるを得ません。確かに、冷戦の終結によって全面的な核戦争の危険性は低下しましたものの、地域紛争、テロ、さらには核兵器、生物・化学兵器の拡散などの不確実性はむしろ高まってきております。また、地球環境問題、貧困、飢餓、難民、エイズなどの地球的諸問題は深刻の度を増しております。
 一方、我が国は、現在のところ戦争、紛争が起きる危険性は極めて低いものの、国民生活を見たとき、将来に対する先行き不安、凶悪犯罪の増加、いじめなど教育の荒廃、薬物乱用問題など、平和社会とは言いがたい、根の深い原因を有する現象が広く存在しております。
 著名な平和学者ヨハン・ガルトゥング博士の、戦争や紛争などの直接的暴力の根源には、抑圧とか搾取とかの構造的暴力が存在し、さらには、それらを正当化するところの文化的暴力があるとの考え方は、極めて本質を突いたものと考えます。我が国の現実を客観視したとき、そこには博士の主張する構造的、文化的暴力の傾向性も少なくなく、それらを防止する強い決意が必要であります。
 我が国が今進めております経済活動に対する規制撤廃や緩和は、大競争時代を創出し、優勝劣敗の厳しい社会を覚悟しなければなりません。人が生きるには、経済原理だけではない、別の原理をもまた必要といたします。大競争時代に入る我が国において、もし仮に競争に任せ、政治が温かい手を差し伸べることをしなければ、せっかくの改革も構造的暴力を発生させる懸念があります。
 政治は、今こそ公正な機会と情報を与えるとともに、弱い立場にある生活者や中小企業者の自助努力に加えて、共助、公助の社会的なセーフティーネットをつくることとあわせて、国民が将来の生活に安心できるための明確なビジョンを打ち出すことが肝要だと考えます。(拍手)
 平和・改革会派は、我が国社会をあらゆる面で大競争時代に耐え得る平和社会として建設するために、全力で取り組む決意であります。
 若干の所信を申し述べました。私たちは、こうした認識は政治に携わる者の基本的な認識であるべきだと考えております。総理の御見解を賜ります。
 以下、順次、最重要課題に絞り御見解を伺います。
 まず最初に、国民生活に関してであります。
 国民は今、少子・高齢社会を迎える中で、将来の老後のみならず、毎日の生活を憂い、大きな不安を抱いたまま生活を送っています。日々深刻な経済危機の到来におびえ、金融不安によって、刻々の株価や為替の動向に神経をとがらせております。空前の超低金利の継続で利益を銀行に最大限に提供する傍ら、年金生活者などの預金者の生活費を大幅に目減りさせました。こうした中で、国民はみずからの生活防衛のために消費を極力抑えているというのが我が国経済社会の現状であります。
 一方、企業活動も史上最悪の倒産を記録し、失業は増大の一途。金融機関は、不良債権の一層の増大や早期是正措置の導入によって信用は収縮し、貸し渋りは甚だしく、中小企業は資金繰りのために完全に苦境に陥っております。要するに、企業も個人生活もすべてが萎縮してしまい、我が国すべてが縮こまってしまっているのであります。
 我が国経済社会がこのような危機的状況に陥ることは事前に十分予測できたことであります。現に、一昨年の臨時国会以来、我々は幾度となくそのことを指摘してまいりました。約九兆円に上る国民負担の増大と公共投資の削減を含む平成九年度デフレ予算、そして金融機関ではない普通の民間企業である住専に対して血税を注ぎ込み、金融機関は最も経営体質の脆弱な信用組合と農協系金融機関だけを救済した金融政策の誤り。今日の経済金融危機は、橋本内閣のこうした、ことごとくと言ってよい経済失政のいわば当然の結末と断ぜざるを得ません。(拍手)
 さらに、今日、グローバルエコノミーの進展は驚異的であります。特に金融の分野においては、その技術革新とも相まって、一日に一兆ドルもの巨額のマネーが地球の裏側までも駆けめぐるという段階に至っております。こうしたマネーの世界と実物経済とが相互に影響し合っているのが現在の国際経済の実態であります。にもかかわらず、政府の認識は旧態依然として、何か金融分野にまで従来と同じようにコントロールすることが可能だと錯覚しているとしか受け取れません。それが護送船団方式を継続するという今回の措置となっているのであります。
 総理、みずからを省みて、国民生活よりも国の財布を優先したとの反省はないのでしょうか。現在の経済金融危機を招いた責任をどう感じておられるのか。さらには、経済財政運営における時代おくれと先見性のなさ、そして、その結末に対し恥じるところは全くないのでありましょうか。(拍手)総理の率直な御見解をお伺いしたいのであります。
 次に、当面する金融システム安定化策並びに経済財政運営について伺います。とりわけ特別減税、公的資金の導入についてであります。
 今回の政府の措置は、これはまさに財政赤字削減最優先路線の破綻そのものを示すものと言わざるを得ません。
 従来、政府は、財政均衡の観点から、景気対策としての財政出動はしない、大幅減税も行わない、金融機関に公的資金を投入することはしない、また大手銀行はつぶさないと繰り返し明言してきました。しかし、さきの北海道拓殖銀行や山一証券の破綻、また今回措置する二兆円の特別減税法案や、さらには十兆円の交付国債と二十兆円の政府保証を使った金融システム対策等を見ても、政府はこれら従来言ってきたことすべてを覆しております。しかも、これほどの巨額の税金を使う対策を講じたにもかかわらず、従来の政策路線に変更はないと繰り返し説明しております。総理、これは一体どう理解すればいいのでしょうか。
 そもそも今回の補正予算は、一体何のために編成されたのでしょうか。さきの財政構造改革法の審議の際には、景気対策として財政出動することはないと明言したにもかかわらず、今回は景気対策として補正予算を組む、朝令暮改そのものであります。どう見ても財政運営の路線変更だと思えるにもかかわらず、そうではないと言われる。しかも、緊急性があるとは到底思えないウルグアイ・ラウンド対策費までも計上されている。これは、九年度の補正予算では措置しないと三塚大蔵大臣は明言してきたのではなかったのでしょうか。橋本内閣は、言ってきたこととやっていることが余りにも違い過ぎると言わざるを得ません。金融システム対策として予算総則へ盛り込んだのは、見せ金という意味なのか、緊急性があるということなのですか。この二つは両立し得ない要素だと考えます。それぞれにつき、総理並びに大蔵大臣の明確な答弁をお願いいたします。
 公的資金の導入について、具体的に伺います。
 一昨年の住専処理の際、六千八百五十億円の税金を金融機関ではない住専につぎ込んで、九割を超える国民の猛烈な反対を受けました。以来、連立内閣は、一貫して不良債権処理における公的資金は信用組合以外には投入しないと公約としてきました。現に法律もそうした仕組みとなっております。
 ところが、今回突然、橋本内閣は、従来の方針を一変して、三十兆円もの巨額の税金を、これまで否定してきた銀行救済に充てようとしております。まず、大蔵検査や日銀考査の結果を公表すべきであります。これら不良債権の全容についての情報公開もなく、政治や行政の責任、銀行などの経営責任などについても全く追及されないまま、また今回の措置の具体的な必要性や必要額に対する根拠の説明も何らないままに、税金を銀行救済に使うことに政策を百八十度変更いたしました。これは、国民や国会に対する明らかな公約違反であります。しかも、内容的には、優先株購入についての権限など、従来の護送船団方式を継続するだけでなく、一層強化拡充する内容となっております。まさに、橋本総理が言ってきた金融改革、金融ビッグバンへの逆行であります。(拍手)
 橋本内閣にはみずからの不明を恥じるけじめも節度もないのでしょうか。住専処理のときと同じく、こうした国民無視の問答無用の銀行救済などの政策変更は、食言そのものであります。総理の見解を伺います。
 私たちは、金融システム対策としての公的資金は破綻金融機関の経営救済に使うのではなく、預貯金の支払い資金の不足分だけに投入し、その上で、不良債権の強力な回収によって投入額を極力小さくすべきだと考えます。そうした構想の一つが、二年前に私たちが提案した不良債権整理公社案であります。今からでも決して遅くはありません。速やかに日本版RTC、不良債権処理公社を設立するなど、経営責任の追及と表裏一体となった公的資金投入の枠組みをつくるべきであります。総理の御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、特別減税について伺います。
 まず何よりも伺いたいことは、昨年の通常国会で、私たちが提出いたしました二兆円の特別減税の継続法案を廃案に追い込んだにもかかわらず、今回、全く同じ二兆円規模の特別減税法案を提出する理由は何かということであります。
 同じく連立与党によって廃案に追い込まれた消費税率の据え置きとあわせ、この二兆円の特別減税を昨年から継続していれば、我が国経済はこれほどまでに落ち込まず、株価や円相場もここまでは下がることはなく、金融機関の破綻も見ることはなかったと思うのであります。この一年間のおくれは、我が国にとって取り返しのつかない経済的な損失をもたらしたと言わざるを得ません。現在だけでなく、将来の国民に対しても多大な禍根を残す失政であります。
 さらに言えば、二兆円の特別減税といっても、単年度限りであり、その効果も五月雨的にしかあらわれないことは明らかであります。しかも、再び増税になることを予告したものであります。
 私たちは、経済効果の点からも、グローバルスタンダードの点からも、また今後の税体系のあり方から考えましても、この特別減税は恒久減税として制度化すべきであり、その規模につきましては、トータルな税制改革として、所得税、法人税減税など、合わせて六兆円規模とすべきであると考えます。総理の御見解を伺います。
 また、ここ数日の報道によれば、森総務会長など自民党の最高首脳からも、恒久減税化の必要性が示されております。さらには、加藤幹事長は、国債の分類について、建設国債、赤字国債の区分基準をなくす見解を示されたと伝えられております。もしこれが事実だとすれば、それは、私たちが厳しく反対してきた財政構造改革法そのものを、推進者である与党の責任者みずからが否定することになります。これらの点について、橋本総理並びに三塚大蔵大臣の明確な御見解を伺うものであります。
 いずれにしろ、今回の二兆円特別減税や銀行などへの公的資金の投入は、間違いなく政府・自民党の政策の方針転換であり、これまでの判断とそれに基づく政策の誤りを認めたことをみずから証明するものであります。橋本総理は、そう受け取っていただいても結構だなどと逃げ口上を打っておりますが、そうした姿勢こそが問題なのであります。
 まさに、現在の金融破綻は、株、為替、インターバンクなどの内外の市場から発せられた橋本内閣の経済失政に対するいわば退陣の布告であり、その意味で、まさに日本売り、橋本売りだということを強く認識すべきであります。(拍手)
 総理、結論して言うならば、橋本総理は、その責任を自覚するならば退陣しかあり得ません。政権の判断ミスに基づく政策のおくれと、それがもたらした甚大な経済的、社会的な損失の責任についてどう認識しておられるのか、みずからの進退に関する御見解も含めて、総理の明確な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 神崎議員にお答えを申し上げます。
 冒頭、中国における地震に対する、その被害のお見舞いの言葉とともに、政府にも速やかな対応を求めるという御要請をいただきました。この点に対し敬意を表します。同時に、政府は、既にけさの閣議におきまして、直ちに必要な資金、資材の提供を閣議決定をし、伝達済みであることを申し添えさせていただきます。いずれにせよ、この点について冒頭敬意を表したいと思います。
 御質問の冒頭、ガルトゥング博士の考え方を引用されながら、政治の基本認識についてのお尋ねがありました。
 私は、大競争時代を乗り越えることのできるシステム、個人の創造性とチャレンジ精神が生かされる経済社会ということをつくり上げていきたいと前から申し上げております。このためには、個人の自立を基本とするとともに、家族や地域社会などがともに助け合い、さらに必要に応じて公的な支援を行うという共助、公助のセーフティーネットワークをつくることが必要であると思います。このような考え方に基づき、社会保障を初めとする六つの構造改革に取り組んでおります。
 国民生活よりも国の財布を優先したのではないかという御指摘をいただきました。
 私は、健全な財政なくして国民生活を守ることができないことも御理解をいただけるのではないかと思います。そして、財政構造改革が、短期的には痛みを伴うものの、中長期的には国民負担率の上昇を抑えること、あるいは公的部門の簡素合理化などにより経済の活性化に資するものであることを申し上げたいと思います。
 次に、現在の経済金融危機を招いた責任をどう感じているか、恥じるところはないのかというお尋ねをいただきました。
 バブルの生成から発展そして消滅、今日に至るプロセスの中で、見通しや対応が万全であったと申し上げるつもりはありません。
 我が国の経済につきましては、経済社会の構造問題に加えて、夏以降のアジアの通貨・金融不安、秋以降の金融機関の経営破綻などの影響があり、家計、企業の景況感に厳しさが見られ、それが実体経済に影響を与えております。
 こうした状況に対応するために、二兆円の特別減税を含む予算、税制面の措置や、金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など、財政、金融両面にわたるさまざまな措置を講ずることとし、こうした取り組みのすべてが相乗効果を持って我が国経済の力強い回復をもたらすものであり、政府として責任を持って適切な経済運営に努めていきたいと思います。
 次に、金融機関などの破綻及び公的資金の投入の拡大についてお尋ねがありました。
 一般の金融機関においても大規模な破綻が相次いで発生していることから、金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らいで、信用秩序、経済に重大な影響が懸念されるという現状認識のもとに、今般、公的資金の活用を含めて、預金の全額保護の徹底を図るとともに、金融システムの安定化を図るとの断固たる姿勢を示すことが必要と考え、所要の措置をとったものであります。
 これまでの政府の見解についてのお尋ねもございましたが、夏以降のアジアの通貨・金融不安、秋以降の我が国の金融機関の経営問題などの影響によって家計、企業の景況感の悪化が見られる、先ほど申し上げたとおりでありまして、こうした中で、国民の不安感を払拭するために臨機応変に対応することこそが国政を預かる者としての責務と考えて、特別減税の実施を決断いたしました。
 財政構造改革の路線の変更についても御意見をいただきました。
 財政構造改革法は、危機的な状況にある我が国の財政を健全化するとともに、安心で豊かな福祉社会、そして健全で活力ある経済の実現の課題に十分対応できる財政構造を実現するためのものでありまして、その必要性は何ら変わるものではありませんが、同時に、経済金融情勢の変化に機敏に対応し、国際状況に応じて財政、税制上の必要な措置を講じていくことは当然であります。
 財政構造改革と景気対策は、二者択一の問題ではなく、中期の目標と当面の対応というタイムスパンの異なるものである、このような考え方のもとに金融システム安定化対策や減税を行ってまいりました。
 景気対策としての補正予算についてのお尋ねがございました。
 先ほど申し上げましたように、経済金融情勢の変化に機敏に対応し、国際状況に応じて、財政、税制上必要な措置を講じていくことは当然であり、九年度補正予算におきましても、特別減税等に加え、災害復旧事業など約一兆円規模の公共事業を追加するほか、一兆五千億円規模の国庫債務負担行為を確保しており、これらの施策は、財政構造改革との整合性を図りながら景気に最大限配慮したものでありまして、適切なものだと考えております。
 また、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策につきまして、三塚大蔵大臣は、財政法第二十九条に基づき、農水大臣と十分協議の上、内閣として適切に処理すると申し上げてきたと記憶をいたします。今回の補正予算におきましては、米をめぐる危機的事態に対処するために、稲作と転作の高度化、効率化などを緊急に進める緊急米関連対策経費を財政法第二十九条に基づき計上するものであります。
 次に、金融システム対策が見せ金なのか、緊急性があるかとのお尋ねがございました。
 金融機関の破綻処理に当たりましては、処理スキームに預金保険の財源の裏づけがあることが不可欠であります。したがって、現下の金融情勢にかんがみれば、九年度補正予算及び関連法案においてその手当てを緊急に行うことが必要だと考えております。
 十兆円の国債は、機構が必要な場合には財政資金を投入することの裏づけとなる要求払い債券であり、見せ金との御指摘は当たらないと思います。
 また、今回の公的資金投入は食言であると御批判をいただきました。
 今回の公的資金による金融システム安定化策は、我が国金融に対する内外の信頼低下により信用秩序と国民経済に重大な支障が生じるという緊急事態に対応するものであり、このような断固たる姿勢を示すことが、我が国金融システムの信頼と安定を確保して、日本発の金融恐慌を引き起こさないことを期するとともに、自由化、国際化時代の基盤をより強固なものにすると考えております。護送船団方式の継続などというものは考えておりません。
 金融機関の破綻に際しましては、預金者の保護に万全を期する一方、破綻金融機関について存続を許さないとの方針は変わっておりません。金融機関のディスクロージャーの強化を推進するとともに、破綻した金融機関の経営責任等についても厳格な追及を期していくことは当然であります。
 また、経営責任の追及と表裏一体となった公的資金投入の枠組みをつくるべきであるという御指摘をいただきました。
 金融機関の破綻処理につきましては、破綻金融機関を存続させない、経営者に対し厳格な責任追及を行うなどの一貫した方針に従って、特別資金援助の方式により、預金者保護、信用秩序の維持に万全を期しているところであります。今回の対策においては、公的機関である預金保険機構に罰則つき財産調査権を付与するとともに、機構の回収体制の強化を図り、いわゆる住専と同様、強力な回収を行うこととしております。
 次に、大規模減税について御意見、お尋ねをいただきました。
 平成十年分の所得税及び平成十年度分の個人住民税について二兆円規模の特別減税を行うなど、財政、金融両面にわたる幅広い措置を講ずることにより、夏以降のアジアの通貨・金融不安や、秋以降の金融機関の経営破綻が生じている状況に適切に対処することとしております。
 議員御指摘の大規模減税につきましては、我が国の経済金融情勢などを真摯にお考えになった上での貴重な御意見と拝聴いたしましたが、我が国の租税負担率は欧州諸国に比し低いなど、税負担のあり方としての問題もあり、そうしたことを御指摘をしながら、御意見は御意見として承らせていただきました。
 次に、財政構造改革法を与党の責任者が否定しているのではないかという御指摘がありました。
 二人がどのような発言をされたか正確には存じませんけれども、財政構造改革そのものを否定しているとは考えておりません。その上で、財政構造改革という中期の目標のもとでどのような当面の対応をとるべきかというオープンで真摯な議論は、何ら封ぜられるべきものだとは思っておりません。
 最後に、私の責任について厳しい御指摘をいただきました。
 国際経済情勢あるいは市場の動向などにより変動する経済の実情に即し、機動的な政策運営を行うことが求められているという判断から、特別減税や金融システム安定化策などを取りまとめてきました。一刻も早く金融システムの安定と景気の回復を図ることにより、みずからの責任を果たしてまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#19
○国務大臣(三塚博君) 最初に、景気対策についての補正予算についてのお尋ねでございますが、基本的な考え方は総理から先ほど御答弁があったとおりでございます。
 私からは、財政構造改革など二十一世紀に向けた構造改革を着実に推進することが我々の責務であると考えておりまして、その基本方針を堅持しながら、緊急の事態に臨みましては、危機管理を念頭に置きながら、有効かつ的確な措置を講じてまいる決意でございます。
 平成九年度補正予算及び平成十年度所得税の特別減税は、財政構造改革を着実に推進する中で、当面の経済情勢に対する最大限の配慮を行うものでございまして、これらの諸施策は、金融システムの安定化のための措置などと相まちまして、我が国の景気回復軌道への復帰に大きく寄与するものであると確信をいたしておるところでございます。
 次に、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策についての御質問であります。
 総理が答弁されましたとおり、私は、財政法第二十九条に基づき、農林水産大臣と十分協議の上、内閣として適切に処理すると答弁してまいりましたことは御指摘のとおりでございます。
 今回の補正予算における緊急米関連対策費として、一千七百一億円を計上いたしております。本件は、米をめぐる危機的状況に対処するため、稲作と転作の高度化、効率化等を緊急に進める経費として計上させていただきました。
 すなわちその危機的状況とは、四年度にわたる豊作が、自由米市場において米の価格の暴落をもたらしてまいりました。それと同時に、農家、農民は、需給調整をみずからやらなければならないということで、全耕作面積に対しまして三五・五%の減反、いわゆる生産調整をあえて断行するということに相なりました。
 第一次産業、また文化、伝統の継承地である農山村が健全でありますことが、我が国経済、我が国の全体の政治の進め方において重要でありますことは、どなたも異論のないところであろうと存じます。
 次に、金融システム対策が見せ金なのかというお尋ねでございます。緊急性があるのかという言も交えての御質疑でございました。
 金融機関の破綻処理に当たりましては、破綻公表時に預金者の動揺や金融市場の混乱を招かないよう、処理スキームをあわせて発表する必要がございます。その際、スキームとして、預金保険の財源の裏づけがありますことは当然であり、不可欠な要件であると存じます。
 したがいまして、現下の金融情勢にかんがえてみれば、九年度補正予算及び関係法案において、その手当てを緊急に行うことが必要と考えておるところであり、補正予算の予算総則の中にこの金額を明示をいたし、また、やがて提出をされます安定新法、仮称でありますが、この新法と預金保険法改正法等に明示をするということに相なっておるところであります。
 次に、財政構造改革法、与党の幹部が言われておるということを御紹介をいただきながら御質疑でございます。
 与党の幹部は、財政構造改革会議に、昨年の正月からスタートを切り、六月三日に最終結論を得たところでございましたが、党代表として何回もお出ましになり、与党三党とともに論議を闘わしてまいった方々でございまして、自由民主党を代表してこの成案作成に当たり、また三党の代表者との協調を進めながら、構造改革会議の中において推進の役を果たされてきたことは御承知かと存じます。そういうことで、構造改革法の基本的理念にはたがうようなことはないと理解をいたしておるところであります。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#20
○副議長(渡部恒三君) 加藤六月君。
    〔加藤六月君登壇〕
#21
○加藤六月君 私は、自由党を代表いたしまして、橋本総理並びに三塚大蔵大臣の演説に対し、質問をいたします。
 まず、中国の地震について、心よりお見舞い申し上げます。
 さて、質問に先立ちまして、一言申し上げます。
 私たちはこのたび、衆参五十四名の同志とともに、自由党を結党いたしました。新進党時代にまとめた日本再構築宣言に盛られた基本理念を実践するため、改めて理念と政策の一致した同志が集まったものであります。
 歴史的に、自由党という名称は明治七年の民選議院開設要求に始まり、日本全国からほうはいとして沸き起こった、一大国民運動の名にふさわしい広がりと深さを持った自由民権運動がありました。我々は、この国民運動の生の息吹を現代によみがえらせる正当な継承者たらんとするものであります。日本の政党政治の原点がまさにここにあるのであります。日本の近代化を推進した明治の自由民権運動と、戦後の廃墟から復興の足がかりをつけた自由党の精神に学び、前進し、より多くの同志を糾合し、第三の開国を乗り切る政治体制をつくり上げていきたい決意であります。(拍手)
 自由党が目指す社会は、平和で安全で公正かつ透明な社会であり、国民が主役の社会であります。自己責任を確立し、機会均等、選択の自由、情報公開の三つの原則に基づき、個人の創造的な活動、自由で創意あふれる民間活動が活発に行われる社会であります。
 我々自由党は、国民とともに、かの自由民権運動の若々しいエネルギーを燃焼し尽くし、勇気を持って、我が国の再構築に向け、積極果敢に取り組む決意であります。
 三年余りにわたり、新進党に対し、参議院議員選挙、衆議院議員選挙を初めとする各種選挙活動や国会活動などにおきまして、厚い支持と激励を受けたことを国民各位に幾重にも感謝いたします。今後の自由党の活動の中で、これまで寄せられた国民皆様の期待にこたえていく決意であります。何とぞ自由党の掲げる理念に御理解、御賛同をいただき、倍旧の御支援を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
 さて、平成十年を迎え、国民は、今深刻な経済危機を憂い、金融不安、生活不安におびえております。
 政府は、経済の見通しを誤り、我々の、財政再建のためにもまず経済再建、日本経済を回復軌道に乗せるために減税という主張を全く無視して、特別減税の打ち切り、消費税率の引き上げなど、約九兆円の国民負担増を柱とするデフレ型の平成九年度予算を強行し、国民の夢と希望をたたきつぶしたのであります。その結果、九年度はほぼ〇%成長に落ち込んでしまい、倒産、失業の激増、年金生活者の困窮、金融機関の破綻とそれに伴う預貯金、信託、金融債、保険金の不安など、国民生活の安定は根底から脅かされているのであります。
 第四十一回総選挙以来の橋本内閣の政策の失敗は、日本国民に取り返しのつかない経済的ロスと苦渋をもたらしたのであります。総理は、演説において、金融の根本は信頼である、政治の責任は国民の暮らしの安寧をいかに確保するかにあると言われましたが、市場から一番信用されていないのが橋本総理であり、今日の国民の生活不安をもたらしたのは橋本内閣自身であり、橋本内閣の退陣こそ最大の景気対策であるとまずもって自覚すべきであります。(拍手)
 以下、順次質問いたします。
 今回の補正予算の目的は、金融システム安定化策と特別減税の実施であります。
 一昨年十月の総選挙の際、我々の属していた新進党は、所得税、住民税等を半減し、十八兆円の大減税を行うと国民と契約いたしました。総理は、これを否定されました。その総理が、みずから招いた政策判断ミス、失政による大不況、金融危機に対処するために、財源も明確でない三十兆円を準備されるようであります。
 総理の政策は誤っております。
 第一に、あのとき十八兆円減税を否定して、今なぜ三十兆円でありますか。
 第二に、十八兆円減税を実施していれば、景気は当然上向き、税収も上がり、株価や地価は安定し、内需は拡大したのではないでしょうか。
 第三に、総理は赤字国債発行による十八兆円減税など論外とされたが、三十兆円は赤字国債につながらないのでありますか。はっきりしていただきたい。
 第四に、日経平均株価が千円上がれば、市中銀行の含み益は二・四兆円程度ふえます。十八兆円減税を実施して、株価が二万円台を回復すれば十七兆円、実際はもっと回復して三十兆円の資本注入と同じ効果が出たのではないでしょうか。お答えをお願いいたします。
 昨年の通常国会において、我々は、恒久化を視野に入れた特別減税の継続を強く主張し、法案として国会に提出しましたが、政府・与党の反対により廃案となりました。その結果、景気は冷え切ったのであります。
 第一に、我々が昨年の通常国会で主張したとおり、特別減税を継続し、消費税の据え置きを実行すれば、日本経済はこれほどまでに落ち込まず、株価もここまで下がらず、金融機関の経営はこんなに悪化せず、金融危機は発生しなかったのではないでしょうか。
 第二に、昨年四月に特別減税をしなかったのはなぜでありますか。本当に打ち切っても景気が回復すると思ったのでありますか。その責任は重大であります。
 第三に、今なら財政赤字はふえないと考えたのですか。
 第四に、九年度の特別減税を、年度初めに決めず、年度末に決めたという経済的ロスはまことに莫大であり、減税規模も二兆円では不十分であります。
 第五に、十年度は、財政構造改革法により、本年度以上のデフレ予算が強行されようとしております。また、総理も明言しておるとおり、この特別減税は臨時の一時的措置であって、特別減税が終われば増税が待ち構えており、まさに増税予告つきの二兆円減税であって、景気刺激効果はないのではありませんか。
 以上、明確な答弁をお求めいたします。
 次に、金融システム安定化策について伺います。
 我が国の経済危機の最も深刻な問題が金融システムの不安定化にあり、これがさらに経済危機を深めていることは論をまちません。
 一昨年の住専処理以来、我々は、公的資金は金融機関の経営救済に使うべきではなく、破綻処理は法的ルールにのっとって行うべきであり、公的資金は預金者、貯金者保護のためにのみ使うべきであると主張してまいりました。また、不良債権を早期に強力に回収し、同時に破綻金融機関の経営者の厳正なる責任追及をするために、日本版RTCを設立するべきであると強く主張してまいりました。
 我が国の金融システムは、アメリカやEUに比べて大変おくれており、透明性も欠けていると非難されております。世界最大の債権国であり、最大の外貨準備高を持っている我が国が、ジャパン・プレミアムをなぜ課せられるのでしょうか。残念でなりません。
 橋本総理、あなたの金融行政は破綻しています。(拍手)
 第一に、まず素直にみずからの失政を認め、国民に謝罪をするべきであります。
 第二に、今回の金融システム安定化策では、預金保険制度における公的資金の投入対象を一般金融機関にまで拡大するとしておりますが、これまで橋本総理は、公的資金は住専処理と信用組合の破綻にしか使わないと述べておられました。こんなにおくれて政策変更に至った経緯と責任の所在をはっきり御説明いただきたい。明確な答弁を求めます。
 大蔵大臣にお伺いいたします。
 第一に、優先株式等の引き受けを行政の裁量で決めるのであれば、悪名高い護送船団方式の拡充強化でしかありません。何よりも大切なのは、すべての国民が納得できる透明で客観的な基準の確立と、関係者の責任の明確化であります。
 第二に、証券・金融業界には、総会屋への不正利益供与事件や官僚への過度の接待、新井代議士等の一任勘定取引疑惑等々、信じがたい事件が頻発しておりますが、これこそが裁量行政が生む政官業癒着の結果ではないでしょうか。
 第三に、優先株式引き受けの基準を健全な受け皿銀行に限定するなど、基準を具体的に明確化しなければ金融機関のモラルハザードを引き起こすのみと考えますが、いかがですか。
 第四に、引き受けた優先株等が売却できない場合や発行機関が破たんした場合、どのような責任が発生するのでしょうか。また、だれが責任を負うのでしょうか。
 早期是正措置の弾力運用について、大蔵大臣にお伺いいたします。
 第一に、適用基準が恣意的であれば裁量行政のそしりを免れませんが、徹底した情報開示をどのように担保するのですか。
 第二に、金融危機を克服し、金融機関の自己資本を充実するための最善策は、何よりも景気対策ではありませんか。景気が回復し、株価が上昇し、円が適正な水準になり安定すれば、金融機関の自己資本比率が上昇するのは自明の理であります。
 御答弁をお願いします。
 対外関係につきまして、総理と大蔵大臣にお伺いいたします。
 第一に、今日のアジア通貨危機の安定策は何でありますか。円安と日本の金融機関の資金引き揚げが関係しておるのではありませんか。
 第二に、安定策を講ずる場合、日本として、何百億ドルという援助資金は、どこから、だれの責任において捻出してくるのですか。また、これを国会に詳しく報告するのでありますか。
 第三に、本年の米国経済は成長鈍化が言われておりますが、その場合、日米の貿易インバランスの拡大が、経済摩擦に拡大する可能性が一段と高まるのではありませんか。
 以上三つのことは、橋本内閣の失政に伴う円安や貿易黒字の拡大が世界に多大な迷惑をかけているということではありませんか。明確にお答えをいただきます。
 最後に、総理にお伺いいたします。
 橋本総理は、一昨年十月の総選挙後、国民負担増加型緊縮型財政再建至上主義を貫いてこられました。我々とは全く政策態度を異にしてきたわけでありますが、政治家としての御自身の見識、信念に基づいてのことであろうと考えておりました。
 その橋本総理が、昨年末、二兆円の特別減税の再実施を表明されたのであります。
 第一に……
#22
○副議長(渡部恒三君) 加藤六月君、申し合わせの時間が過ぎましたから、簡単にお願いします。
#23
○加藤六月君(続) 総理は、財政赤字の削減は景気対策に優先するというかたい信念に基づいて政策判断をされたはずであります。それは間違いだったのでしょうか。
 第二に、総選挙以来の政策を大幅に変更するのであれば、総辞職をし、野党に政権を渡すべきであります。そうでなければ、議会を解散し、橋本内閣の政策転換を有権者が納得するか、信を問うのが当然であります。
 以上、総理の御高見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 加藤議員にお答えを申し上げます。
 まず、三十兆円の公的資金を必要とする理由いかんというお尋ねがございました。
 金融機関の破綻が相次ぎ、預金者に不安と動揺が広がる中において、我が国金融システムに対する内外の信頼が揺らぎかねない状況のもとにおいて、金融システムに対する信頼を一刻も早く回復させ、経済全体が危機に陥る事態を防ぐために断固たる手だてを尽くすとの観点から、今般、国債と政府保証合わせて三十兆円の公的資金を活用できる枠組みを、時限的な緊急対策として措置したものであります。
 次に、十八兆円減税と景気についての御意見をいただきました。
 しかし、御指摘のような大規模の減税の実施が、後世代への負担の先送りである特例公債の大量発行を伴うこと、我が国の財政への信認を失わせる危険など、かえって弊害が多いと考えております。また、我が国の租税負担率は欧州諸国に比べてかなり低い水準にあります中で、税負担のあり方としても問題があると考えております。
 三十兆円は赤字国債につながらないかとの御指摘もございました。
 二十兆円の政府保証が預金保険機構の資金繰りのための仕組みであります一方、十兆円の国債は、機構がその業務上必要な場合に適時適切に財政資金を投入することの裏づけとなるものであります。この国債の償還財源につきましては、財政構造改革を進めていく中において、その時々の歳入歳出全般の状況を踏まえながら、その償還に支障のないよう適時適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
 次に、十八兆円の減税と株価についての御意見もございましたが、私は、かえって弊害が多く、現実的な政策ではないと考えていることを申し上げました。
 次に、平成九年の特別減税についてのお尋ねですが、これは、当時の経済財政事情を踏まえて実施をしないこととしたものであります。今回提案しております平成十年の特別減税は、夏以降のアジアの通貨・金融不安や秋以降の我が国の金融機関の経営問題などの影響による家計、企業の景況感の悪化などに対応するものであります。また、消費税率の引き上げは、少子・高齢化の進展という構造変化に対応した税制改革の一環として行われたものであり、真に必要な改革であると考えております。
 次に、特別減税は財政赤字をもたらさないのかというお尋ねがありました。
 今回の特別減税は特例公債によって賄わざるを得ないことは御指摘のとおりであります。一方、アジアの金融経済情勢には極めて厳しいものがあり、我が国においても金融システムや経済の先行きに対する国民の不安感を早急に払拭することが重要になっております。特別減税は、こうした状況を踏まえて、財政構造改革との整合性を図りながら、内外の緊急事態に対する思い切った措置としてとったものであります。
 その効果についてもお尋ねがございました。
 今回の二兆円規模の特別減税の実施は、法人課税、有価証券取引税、地価税の減税などの内容を盛り込んだ十年度税制改正や、金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など、財政、金融両面にわたるさまざまな措置と相まって、家計や企業の経済の先行きに対する不透明感が払拭され、我が国経済の力強い回復をもたらすもの、そう確信しております。
 また、金融システムについても御意見をいただきました。
 金融は、我が国経済の動脈ともいうべき重要な役割を果たしており、政府としては、引き続き、金融システムの安定性確保に万全を期しますとともに、今後、市場規律と自己責任原則を基本として、検査・監視機能の強化を図るなど、透明性と信頼性の高い金融システムの構築を目指してまいります。
 次に、公的資金の投入対象の拡大についても御意見をいただきました。
 一般の金融機関におきましても大規模な破綻が相次いで発生いたしましたことなどから、金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎ、信用秩序と経済に重大な影響が懸念されております状況のもとで、今般、公的資金の活用を含め、預金の全額保護の徹底を図るとともに金融システムの安定化を図るとの断固たる姿勢を示すことが必要と考えたところであります。
 また、アジア経済、通貨変動についても御意見をいただきました。
 現在起きております事象、その原因はそれぞれの国によっても異なっておりますから一概には言えないものでありますが、今後の経済、通貨安定のためには、それぞれの国が、IMFなどとのプログラムに沿った適切な経済政策を遂行し、市場の信認を回復することが何より重要だと考えております。
 友人として、また隣国としてこれらの国々の経済構造改革を支援するために、政府としては、輸銀融資あるいは外貨準備を用いた第二線準備的支援といった二国間支援をコミットしているところであり、これらによりアジア地域の経済が早期に安定を取り戻すことを期待いたしております。
 次に、日米の貿易不均衡の拡大について御心配をいただきました。
 今般、審議をお願いいたしております補正予算、関連法案、そして近く提出させていただきます平成十年度予算には、金融システムの安定と内需の拡大を図るための措置が盛り込まれているところでありまして、これらは国際収支の黒字の拡大抑制に資するものと考えておりますが、なお為替レート、米国経済の動向など不確定要因もありますため、その推移を注意深く見守っていきたいと考えております。
 次に、財政赤字削減と景気対策の優先度について御意見をいただきました。
 財政構造改革の必要性は、何ら変わるものではありません。また、経済の実態や金融システムの状況、さらにはアジアを初めとする世界経済の動向などを考えながら、その時々の実情に応じて臨機応変の対策や措置をとることも当然であります。
 財政構造改革の堅持か放棄かといった二者択一の問題ではなく、中期の目標と当面の対応というタイムスパンの異なるものであり、このような考え方のもとに特別減税を実施したいと考えております。政策の空白をつくることなく、一刻も早く金融システムの安定と景気の回復を実現することにより、責任を果たしてまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#25
○国務大臣(三塚博君) 私に対する質問は九問であります。総理とダブりませんように申し上げさせていただきます。
 まず、今般の対策における審査基準と関係者の責任についてでありますが、審査基準は、公正、中立な委員で構成される審査機関により策定されてまいります。今回の自己資本充実策が金融の危機的状況に対処するための措置でありますことを踏まえまして、法律上その基本的な枠組みを制定いたしますとともに、審査の透明性を確保するため議事録等も公表することといたしており、行政の裁量で決められる余地はございません。
 また、引き受けを申請する金融機関に対しては、当該金融機関の経営が将来にわたって責任ある体制のもとで行われるよう、経営の健全性確保のための計画を提出させ、これを公表することといたしておるところであります。
 次に、証券・金融業界の不祥事及び裁量行政についてのお尋ねでございます。
 証券・金融行政は、既に、事前予防的な監督行政から事後的な監視行政への転換を図っておることは御承知のとおり。今後とも、金融システム改革の中で検査・監視体制の強化等を通じ、不正があれば必ずこれに厳正に対処してまいります。
 次に、優先株等の引き受けの基準についてのお尋ねでございますが、公正、中立な審査機関が策定する審査基準の具体的な枠組みは、今回の対策の趣旨を踏まえまして、破綻処理の際の受け皿金融機関の場合や金融の危機的状況下において金融システムを守るため不可欠な場合に法律上限定するとともに、これを公表することといたしておるところであります。
 また、優先株等の引き受けを申請する金融機関に対しては、将来に向けて責任ある経営が行われますよう経営の健全性確保のための計画を提出させることを求めることといたしており、モラルハザードの防止のための措置を講じられているところであります。
 優先株が売却できない場合の責任に関してでありますが、優先株等の引き受けに係る審査基準について、当該引き受けが公的資金を活用するものでありますことにかんがみ、発行金融機関が破綻する蓋然性が高くないと認められること、また引き受け後相当の期間内に処分することが著しく困難でないと認められることも要件とすることにより、御指摘のような事態が生じませんように措置いたしますとともに、経営の健全化確保のための計画の提出を求めることによりまして、国民の財産が毀損するような事態を極力防いでまいりたいと考えておるところであります。
 早期是正措置の弾力的運用が裁量行政になるのではないかというお尋ねであります。
 早期是正措置は、金融機関が開示する自己資本比率の区分に応じ、大蔵大臣が、あらかじめ定められた基準にのっとり監督上必要な措置を講ずるなど、透明性の高い行政手法であります。早期是正措置の弾力的な運用については、国内基準適用行について、経営改善計画により一年以内に自己資本比率が四%以上に達することが確実と認められました場合に限り、一年間措置の発動を猶予するというものでございまして、裁量行政との御批判は当たらないものと考えておるところであります。
 金融危機を克服することなどの最善策は景気対策であるとの御指摘でございましたが、我が国経済を回復基調に乗せるためには、経済活動の根幹である金融システムを安定させることが不可欠であると同時に、景気の回復は金融システムの安定を図る上で極めて重要であると考えておるところであります。
 こうした観点から、二兆円の特別減税を含む予算、税制面の措置や、金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など、財政、金融両面にわたるさまざまな措置を講じますことは当然であり、そのように措置をいたしておるところであります。
 次に、アジアの最近の通貨、経済の変動については、総理から詳しく説明をされたところ、答弁をされたところで御理解をいただけると存じます。
 一点だけ、IMFと合意いたしましたプログラムは、各国が誠実に、着実に実施することが肝要であるという仕組みでございます。我が国とすれば、今後についても関係各国また機関と密接に連携をしながら適切に対処をし、通貨の安定のために努力をしてまいりたいと考えます。
 また、安定策を講ずる場合の援助資金についてのお尋ねでございます。
 最近のアジア通貨の動揺に際し、我が国政府として、これらの国の経済構造改革を支援し、地域経済の安定性を確保するため、例えばタイに対しましては輸銀からの融資、インドネシア及び韓国に対しましては外貨準備を用いてスワップ取り決めという形で、IMFからの支援に加え、最大限二国間の資金支援をコミットいたしたところでございます。
 このような支援の態様につきましては、これまで、国会における答弁を初め、私の談話あるいは記者会見等を通じまして明らかにいたしておるところでございます。今後とも、国民各位に御理解を得られますように御説明に努めてまいりたいと考えます。
 今後の日米の貿易インバランスの拡大についてのお尋ねであります。
 今後の見通しについては、確たることを申し上げますことは極めて困難でありますが、我が国経済の構造変化の基調は当面変化しないものと考えられますと同時に、二兆円の特別減税を含む今回の一連の措置の実施によりまして、我が国の景気回復が図られますれば輸入増加が見込まれることなどにより、貿易・サービス収支黒字の大幅な増加はないものと考えるところであります。
 なお、米国との間では随時互いの経済状況について緊密に意見交換を行ってまいってきておるところでございますが、我が国といたしましては、規制緩和や財政、金融にわたるさまざまな措置によって引き続き内需主導型の経済成長を達成し、良好な日米関係を維持してまいる所存であります。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○副議長(渡部恒三君) 志位和夫君。
    〔志位和夫君登壇〕
#27
○志位和夫君 日本共産党を代表し、不況対策と金融問題について橋本総理に質問します。
 まず第一にただしたいのは、不況のもとで、国民に巨額の負担増を押しつける政策をこのまま続けていいのかという問題であります。
 今日の不況の深刻化の原因が、消費税増税を初めとする九兆円もの負担増を国民に押しつけたことにあることは、だれも否定できない事実であります。
 我が党は、昨年の国会論戦で、景気回復の二大主役ともいうべき個人消費と中小企業の回復が著しくおくれていること、このもとで巨額の国民負担増を押しつければ、景気は底割れし、日本経済のかじ取りを根本から誤ることになることを強く警告いたしました。総理は、それに耳をかさず、四―六月期に影響があるが、それ以後は景気は回復していくとしてこれを強行しました。しかし、今では、それが大失政だったことは明白ではありませんか。(拍手)特別減税実施という国民負担増政策の一部手直しを年末になって慌てて発表せざるを得なくなったこと自体、みずからの経済政策の破綻を認めるものではありませんか。
 海外からも、IMF、国際通貨基金は、消費税率引き上げが景気回復が不十分な中では明らかに急激過ぎたと橋本内閣の政策ミスを批判しています。米紙ニューヨーク・タイムズは、総理を一九二九年の大恐慌の際に経済無策ぶりを批判されたフーバー大統領になぞらえ、フーバー・橋本のもとでの日本経済の運営の失敗の程度は現代の大テーマの一つである、最も破滅的な誤りの一つは消費税を三%から五%に引き上げる決定をしたことにあったと痛烈に批判しています。
 総理は、不況のもとで九兆円の負担増を国民に押しつけた重大な誤りと政治責任を認めますか。そうおっしゃりたければ、おっしゃっても結構などという先日の記者会見の発言のような無責任な居直りではなくて、国民の前にはっきりとその間違いを認めるべきであります。明確な答弁を求めます。
 その上で、私は、深刻な不況から国民生活を防衛するために、次の二つの緊急課題について、総理の姿勢をただしたいと思います。
 一つは、大幅の庶民減税に踏み切ることであります。
 二兆円の特別減税は、それ自体は当然のことでありますが、規模が小さい上に一時的措置であり、とても冷え込んだ個人消費を暖める力はありません。所得税減税を恒久化するとともに、消費税を五%から三%に戻すことが、家計消費を暖めるためには最も効果があります。首相は、合わせて七兆円規模の庶民減税に踏み込むことを直ちに決断すべきであります。
 いま一つは、社会保障の連続改悪の計画を中止することです。
 医療費の連続負担増、年金制度の大幅切り下げ、介護保険導入に伴う福祉施策の切り捨てなど、国民生活の支えを土台から掘り崩す計画のもとで、国民は人生設計に見通しが持てず、老後の不安を募らせています。将来への不安が家計と消費を萎縮させ、不況を一層深刻なものとしています。社会保障の負担増などによって、個人消費が今後十年間、毎年〇・六%程度押し下げられるという民間研究所の試算もあります。
 総理に伺いますが、総理は、社会保障の負担増が経済と家計に与える影響をどう認識しているのですか。社会保障の負担増の計画は、今日の経済情勢とのかかわりでも緊急に見直すべきではありませんか。
 総理は、国民負担増の政策を財政危機を理由に合理化しています。しかし、公共事業や軍事費などの浪費の構造には、本格的なメスは入れられていないではありませんか。例えば、各分野の公共事業の長期計画を見ますと、どれも前の計画より膨張しています。全国各地で浪費が大問題になっている港湾整備長期計画の総投資額は、五兆七千億円から七兆四千九百億円へと二兆円近く膨らんでいます。景気対策か財政再建かの二者択一でなく、浪費の構造にメスを入れることでそれを両立させる道を探求することが、未来に責任を負う政治家の務めではないでしょうか。(拍手)
 次に、政府が、国民の税金を使って三十兆円もの銀行業界支援の計画を進めようとしていることについて質問いたします。
 まず、総理にただしたいのは、今日の金融不安をもたらした責任がどこにあると認識しているかという問題です。
 北海道拓殖銀行にしても、山一証券にしても、この間の一連の金融機関の破綻の原因はバブル時代からの乱脈経営による不始末にありました。その責任は、まず何よりも乱脈経営を行った直接の当事者に、さらにバブルに踊った金融業界の全体に、そして金融業界の乱脈を奨励し放置してきた歴代政府と大蔵省にあることは明らかではありませんか。国民には責任は一切ありません。バブルの不始末を国民の税金で穴埋めすることは、罪なき人を罰するものであり、断じて納得できない。総理は、この多くの国民の声にどうお答えになりますか。
 政府は、預金者保護を税金投入の第一の口実にしています。
 しかし、銀行が破綻した際の預金者保護は、国民の税金ではなく、銀行業界の共同の責任で行うというのが、一昨年の住専国会での総理自身の公約だったではありませんか。住専処理への税金投入に対して国民の怒りが燃え広がる中で、総理は、銀行の破綻処理については、金融システム内の負担により対応することが原則、すなわち国民の税金は一切使わないと、この本会議場ではっきり言明していたではありませんか。総理は、この国会と国民への公約をほごにするつもりですか。
 しかも、政府はその当時、銀行業界が共同の責任で対応すべき理由として、一つ、全体として不良債権額に対し十分な償却財源があること、二つ、米国においても、SアンドL以外の金融機関の破綻処理については金融システム内で対応したことを挙げていました。この二つの理由が今日では通用しなくなったというのですか。全国銀行協会の佐伯会長自身が、不良債権処理は終わりに近づいている、銀行業界は全体として見れば不良債権処理の体力を持っていると言っているときに、なぜ銀行業界の共同責任で対処させるという当たり前のことができないのですか。
 政府も認めているように、アメリカでは、預金者保護は銀行業界の責任と負担で行われています。一九九一年に、銀行の大型倒産が相次ぎ連邦預金保険公社の基金が底をつく事態となったときに、連邦議会で大論争が行われ、税金投入を禁止する大原則が打ち立てられました。アメリカの銀行の保険料負担は当時の日本の二十倍にまで引き上げられ、一時的に国際競争力が低下しましたが、銀行業界が自己責任原則の筋を通したことが金融システムへの信頼を回復させたと言われています。
 総理、アメリカでできたことがどうして日本でできないのですか。明確な答弁を求めます。
 第二に、中小企業への貸し渋り対策ということも税金投入の口実とされています。
 大銀行がやっていることは、貸し渋りなどという生易しいものではありません。優良な中小業者からも強引に資金を回収し、一方的な利子の引き上げや担保の積み増しを要求し、倒産に追い込むという横暴勝手がまかり通っています。六千万円の借入金を繰り上げ返済すればそれを上回る新規融資を出すと銀行から言われた中小業者が、必死の金策で資金を工面して返済したら、手のひらを返すように融資の話を取り消され、だまし討ちのような形で倒産に追い込まれたケースも伝えられました。
 銀行の持つ公共的役割に照らして、どんな理由があれ、こういう横暴勝手は許されません。銀行法でも、資金供給についての報告を求め、立入調査を行い、業務改善命令などの行政措置をとることは可能であります。政府は、銀行の横暴勝手を正すどのような実効ある行政指導を行っているのですか。形式的なお願いをするだけで、何一つ有効な手段をとっていないではありませんか。
 政府系金融機関の融資の充実は当然でありますが、自分の収益のためには中小業者がどんなに苦しんでも構わないという銀行の横暴勝手にこそメスを入れるべきです。それもやらずに、この問題を税金投入の口実にするなど絶対に許されるものではありません。(拍手)
 第三に、金融危機への対処を口実に、銀行の資本強化、体力増強のためにも巨額の税金が使われようとしています。東京三菱銀行を初め海外拠点を持つ大手銀行をその対象とする方針が伝えられましたが、なぜ日本一の富を蓄えている銀行にまで税金を使って体力増強か、国民のだれも納得ができるものではありません。
 日本の金融業界と金融行政が内外から不信を招いているのは、体力ではなく無法な体質の問題であります。金融システムの安定というのなら、一連の金融機関の破綻で明るみに出た乱脈融資、簿外債務、損失補てん、総会屋や暴力団との癒着などの無法な体質を正し、国民に情報を公開させることこそ急務であります。自民党議員への利益供与、道路公団理事や大蔵省金融検査官への接待疑惑、自民党への巨額の政治献金、金融業界への天下りなど、政官財癒着の体質を断ち切る改革を図ることこそ急務であります。
 総理は、こうした体質をそもそも異常だと認識されていますか。それを正すためにどんな具体的な方策をお持ちですか。無法な体質を正さずに、国民の税金で体力を強化する、悪い体質のものを体力を強化することは、銀行業界の一層のモラル破綻を招くだけであり、最悪の護送船団行政と言うほかないではありませんか。
 結局、三十兆円の銀行支援の計画とは、一握りの巨大銀行に世界的規模で新たな大もうけをさせるために、銀行がみずからつくったバブルの不始末を税金で穴埋めし、銀行の当然の責任である預金者保護を税金で肩がわりし、その上税金で大銀行の直接の体力増強まで図ってやろうというものではありませんか。
 既に銀行業界には巨額の公的支援が行われています。経済企画庁の試算によっても、超低金利政策のもとで、この六年間で二十八兆六千八百億円もの利子所得が家計から吸い上げられ、その多くが金融機関に移転されました。この上国民の血税をびた一文たりとも使う道理はありません。負担増と低金利で庶民の体力を奪い、大銀行の体力増強に庶民の税金を注ぐ、これほど逆立ちした政治はありません。
 日本共産党は、血税を使っての三十兆円の銀行支援という空前の暴挙を撤回することを強く求めるものです。政府があえてこれを強行したいというのであれば、国民の信を問うべき重大な性格の問題です。景気対策、金融問題について、日本のかじ取りはこれでいいのかを問うために、解散・総選挙によって国民の審判を仰ぐべきであることを強く主張して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 志位議員にお答えを申し上げます。
 まず、消費税率の引き上げなどについてのお尋ねがございましたが、消費税率の引き上げは、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に対応した税制改革の一環として行われたものであります。また、医療保険制度改革は、医療保険制度の破綻を防ぎ、安定した運営を確保していくために給付と負担の見直しなどを行ったものであり、これらの改革は、我が国にとって真に必要な改革であったと考えております。
 次に、大規模減税についての御意見をいただきましたが、平成十年分の所得税及び十年度分の個人住民税について二兆円規模の特別減税を行うほか、法人、金融、土地などの減税を含む幅広い措置を講じます。これらの措置は、我が国経済社会が直面する諸課題に税制面から十分こたえるものであります。
 御指摘の大規模減税につきましては、我が国の租税負担率は欧州諸国に比べかなり低い水準にある中で、税負担のあり方としても問題があると思います。
 次に、社会保障負担増のお話がございました。
 少子・高齢化が進行する中、安定した制度を構築するため、給付と負担の均衡を図るとともに、制度の効率化、合理化に取り組んでおります。今後とも、負担増等につきまして国民の皆様に十分に御説明をしながら、所得の低い方々など社会的弱者の方にもきめ細かな配慮を行うとともに、経済構造改革との整合性を保った形で、医療、年金などの制度改革を進めてまいります。
 それから、公共事業など浪費の構造にメスを入れろという御指摘をいただきましたが、財政構造改革法を踏まえ、公共事業長期計画については、計画期間の二年延長などにより投資規模の実質的縮減を図るとともに、十年度の公共事業予算については、対前年度比マイナス七・八%とし、あわせて効率化、透明化を図るなど、財政構造改革の推進に取り組んでおるところであります。
 金融不安をもたらした責任というものについても御指摘がございました。
 政府としては、これまで個別金融機関の経営問題が発生したときに、その時々の状況に応じて、預金者の保護及び信用の秩序の維持に最大限の努力を払ってまいりました。しかし、先ほど他の議員の方にもお答えしたことですが、バブルの生成から消滅、そして今日に至る過程で、見通しが不十分であったことも考えられますし、また、現在、我が国の金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎかねない状況にあることから、預金者保護及び信用秩序の維持に万全を期して、その責任を果たしていきたいと考えております。
 今回の公的資金投入に対する御批判もございましたが、今回の公的資金の投入は、我が国金融システムに対する内外の信頼低下により信用秩序と国民経済に重大な支障を生じるという緊急の事態に対応するものであり、このような断固たる姿勢を示すことによって、我が国の金融システムの信頼と安定を確保し、日本発の金融恐慌を起こさないことが、我が国に与えられた責務だと考えております。
 次に、預金者保護についての御指摘もございましたが、今回の公的資金の措置を伴う金融システム安定化対策は、金融機関の相次ぐ破綻により、預金者に不安と動揺が広がるとともに、我が国の金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎかねない状況に対して、金融システムに対する信頼を一刻も早く回復させて、経済全体が危機に陥る状況を防ぐための時限的な緊急対策であります。
 銀行業界の共同責任で対処できないのかというお尋ねでありましたが、預金保険の保険料率につきましては、平成八年度からそれまでの七倍に引き上げをいたしました。
 保険料負担につきましては、我が国金融機関の置かれている状況や国際的な信認との関係などにも留意しながら、中長期的な観点から検討していくべきものと思います。
 また、金融機関の破綻処理の日米比較についてお尋ねがありました。
 米国では、一九八〇年代の後半、SアンドL危機に際して大規模な公的資金の導入を含む対策を講じました。一方、一般の商業銀行に関しては、破綻件数が一時的に増加をし、またクレジットクランチという状況も生じたと言われておりますが、その後収益の回復が見られたこともあり、システム全体に対する不安を招く状況にはなかったと理解しています。
 これに対し、我が国では、大手金融機関の破綻が相次ぐなど金融システムに対する内外の信認が損なわれかねない状況になっており、その安定化のため断固たる措置が必要だと考えております。
 銀行の貸し渋りに対し実効ある行政指導を行うべきだという御意見をいただきました。
 金融機関が融資態度を必要以上に萎縮させ、健全な中小企業などへの資金供給に弊害が生じる事態は避けなければなりません。
 民間金融機関の融資対応については、基本的には金融機関の経営判断により決定すべきことではありますけれども、政府としては、健全な中小企業などへの資金供給に弊害が生じないよう、先般、早期是正措置の弾力的運用など広範な施策を内容とする貸し渋り対策を講じたところであり、また、政府系金融機関の活用を図っていることも申し添えたいと思います。
 次に、金融業界や金融行政の体質についてのお尋ねがございました。
 総会屋への不正融資など昨年発生いたしました金融業界の不祥事につきましては、まことに遺憾なことだと痛感をいたしております。
 また、金融業界と金融行政の癒着、もたれ合いという御批判を受けました。真摯にこれを受けとめ、改善すべき点は改善していかなければならないと考えております。
 その金融業界や金融行政の体質を正すための具体的方策という点についても御質問がありました。
 金融業界の不祥事の再発防止につきましては、さきの国会において金融関係の罰則強化法の成立を見たところでありますが、今後さらに、検査・監視体制の強化などを通じて、不正があれば必ずこれに厳正に対処してまいります。
 また、金融行政と金融業界のもたれ合いという御批判等につきましては、本年四月の早期是正措置の導入や金融監督庁の設置などにより、市場規律に立脚した透明性の高い金融行政に転換していくこととしており、同時に、公務員の綱紀粛正にも昨年来特段の意を用いてまいりましたが、今後とも厳しい態度で臨んでまいりたいと考えております。
 今回の緊急対策は大銀行の体力増強を図るためのものだという御意見がありました。
 今般の対策は、金融機関の相次ぐ破綻によって、預金者に不安と動揺が広がるとともに、我が国の金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎかねない状況に対して、金融システムに対する信頼を一刻も早く回復させ、経済全体が危機に陥る事態を防ぐための時限的な緊急措置として行うものでありまして、日本発の金融恐慌を防ぐという断固たる政府の決意を示すものであることを改めてお答え申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○副議長(渡部恒三君) 伊藤茂君。
    〔伊藤茂君登壇〕
#30
○伊藤茂君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、橋本総理並びに三塚大蔵大臣に質問いたします。
 まことに重大なときでございますので、与党の一員ではございますが、率直かつ端的に思うところを申し上げ、お答えをちょうだいしたいと思います。
 私どもは、市民との絆の精神でありまして、国民の声を受けて率直に主張し、そして与党間で真剣に議論し合って新しい合意をつくっていく、それが閣外協力の立場にある社会民主党の責任であると考えております。
 私どもは、かつてない熱い思いを込めまして新しい年を迎えました。昨年末にある人が、日本の現状は年末、世紀末、時代末と言っておりました。私は、そういう閉塞の時代を超えて新しい日本の夜明けをいっときも早く迎えたいと思います。それを願っております。私たちの国は、また日本の国民は、それができる力と能力と可能性を持っていると私は確信をいたしております。
 そういう思いを込めながら、私どもが念じている三つの新しい発想を、三つの新戦略とも申しましょうか、提起して御見解を伺います。
 その第一は、経済の新しい戦略であります。
 橋本総理にまず申し上げたいのは、経済、景気、財政、財政再建、それらにつきまして新しい中期戦略を鮮明に整理し、鮮明に語るべきだと私は思います。未曾有の困難に直面した今日の経済の中で、一番大事なことは、先が見えない不安をどう乗り越えるのかということであります。
 率直に申しまして、私も、昨年一年の経過を真剣に振り返りまして、さまざまのことを振り返ります。経済企画庁の言う、楽観した誤った経済見通しの問題、急激な国民負担増を避けるように与党の中でも懸命に主張してまいりましたが、もっと頑張るべきだったのかなという思い、財政再建に集中したが、もっと生きた経済の現実を考えるべきだったということなどございます。
 それらを考えますと、昨年の発想だけではなくて、これから数年間通用する、言うならば九七年型ではない、九八年型の新しい戦略展開をはっきりとすべきだと思いますが、どうでしょうか。
 経済にどう夜明けを迎えるのか、私は、国民生活の視点を基本にすることが中心だと思います。
 今日の社会は、サプライサイドの経済から新時代のディマンド対応経済というべきものでございまして、国民が今求めているのは、中期的な生活の安定、健康、福祉、雇用、環境などだというのが私の考えであります。そういう時代目標と国民のニーズに合った努力をしなければなりません。そういう意味でも、急激な負担増は是正されるべきであります。
 総理は、二兆円減税を恒久化することは不可能だと言われましたが、私は違うと思います。二つの理由があります。
 その一つは、財政構造改革法は改革の第一歩と総理は言われましたが、私は一歩にすぎないと思います。本当の構造改革へさらに大胆に踏み込まなければなりません。そうして財源をつくるのであります。
 もう一つは、経済はまさに生き物ですから、バランスある執行をしなければなりません。そうでないと、打つ手打つ手がみんな外れになってしまいます。そういう効果的な知恵を積極的に大胆に絞り合いたいと考えますが、いかがでしょうか。
 私は、税制改革、特に消費税改革についての社民党の意見を提起します。それは重点政策として昨年末に幹事長、政調会長など六者でも確認した課題でございます。生活と消費に展望をつくるためには、消費税の食料品などの軽減税率の導入を強く求めます。これらの議論を実行する責任のあるものとして展開すべきだと思いますが、いかがでしょう。
 さらに最も緊急なのは金融の新戦略であります。事態は重大であります。まず確認すべきことは、公的資金投入についての三つの原則、すなわち預金者保護であって破綻金融機関の救済ではないこと、徹底的な情報公開を行うこと、徹底的な責任追及であります。そのためにはさまざまの新たな努力をしなければなりませんし、厳しくルールを展開しなければなりません。大蔵大臣、どう具体的に考えておりますか。
 先日、ある本で住管機構社長の中坊公平さんが、新たな公的資金投入に関連をいたしまして、「リメンバー住専」と言われておりました。私は検査・監督の対応について、特に大蔵省の重大な責任を指摘しなければなりません。むしろ、責任を果たさず、混乱をつくり、検察のお世話になるとしたら重大な問題であります。大蔵大臣に伺いますが、こういう状態に対する責任をどう自覚しておりますか。また、制度自体を改めて厳しいものに改革をしなければなりませんが、どう考えておられますか。
 また、貸し渋り打開の問題が重要であります。私は、効果的な措置を講じないと、中小企業、地場産業の皆さんが厳しい状態の冬になることを深刻に懸念しております。当面の対応が金融システムの抜本改革と矛盾しないように、また公的機関が全面的に回転するよう強く求めるものでありますが、大蔵大臣、いかがですか。
 私は、特にここで財政と金融の分離について触れます。現在、この問題の打開について大詰めの協議が行われております。今まで大蔵省改革は住専問題やバブル、ポストバブルの厳しい総括をベースに過去への反省が大きな課題でありましたが、今日の金融不安、今日の状況を考えますときに、将来の責任が問われていると思います。大蔵省を中心にした金融システムは、今世界の不信を買っております。信用がありません。それどころか、検察当局の捜査の対象にもなっているという恥ずかしい状態であります。大胆に大蔵省と分離した責任ある金融庁をつくることが急務である、政治的に鮮明な判断をすべきであります。それは日本の信頼にかかわる問題だと思いますが、総理、いかがでしょう。
 もう一つ申し上げたいと思います。それは政治改革の問題であります。
 土井党首の提唱で、新党さきがけの皆さんと一緒に、自民党の皆様と三党首直轄の政治改革協議を行っております。もう締め切り間近でありますが、結論は見えておりません。私どもの思いは、誇りある、きれいな政治の日本をつくりたいという一点であります。今までの協議で幾つかの小さな前進はありました。しかし、政治資金規正法附則九条、十条の規定を、既に国会で決定されているそういうものをどう早急に具体化するかということも進展しておりません。まさか平成六年以前の政治に戻ろうということはないと思いますが、私どもが提起したあっせん利得罪の発想なども実現すべきであります。
 総理、決断しましょう。日本の政治に、ブレアさんもおっしゃるように、マネースキャンダルのもうないことを宣言するようにしたいと思いますが、いかがでしょう。
 最後に私は、平和の新しい戦略についてどうしても触れなければなりません。
 年末に沖縄の海上ヘリポート建設についての名護市民の住民投票が行われ、反対が多数になりました。ところが、市長は条例違反で、賛成すると言って辞職をしました。私は、これから沖縄県にどういう対応をするのか、極めて重要な局面を迎えると思います。
 私が心を込めて訴えたいのは、沖縄県に平和の展望をつくることであります。
 朝鮮半島にも新たな展開が期待されています。韓国の新しい大統領に金大中さんが就任をします。日韓関係の発展と南北首脳会談を提唱しております。北朝鮮も困難をようやく超えて国家体制を整えつつあります。米、中、南北朝鮮の四者会談は正式にスタートをしました。日ロを加えた六者協議になるよう私は期待します。日朝国交正常化交渉もすぐ始まろうとしております。新しいアジア・ビジョンを大胆に日本が提起すべきだと思います。
 名護市長選挙がもうすぐ行われます。沖縄問題はことしの大きな外交課題になります。私は、そのかぎは、海兵隊が縮小、撤退し、沖縄にいなくなる、そういう状態をつくる以外にない、真剣にそういう思いを深くいたしております。長年の宿願である普天間基地の返還、平和利用、沖縄国際都市構想、これらを実現するためにも、その進路を切り開く以外にはありません。米国内でも、海兵隊の必要性について賛否両論あることは御承知のとおりであります。
 沖縄県民の心を真剣に受けとめて、小指の痛みは全身の痛みという言葉がございますが、そういう目標と展望を示すよう、新時代の外交の新しい展開が必要であります。そういう展開こそが二十一世紀の世界とアジアを生きる日本の証明ではないでしょうか。
 あえて重大な課題として提起をいたしました。見解を求めます。
 以上、質問を申し上げました。
 橋本内閣はもう二年、村山内閣から始まった三党連立の政治は四年近くになります。この間にさまざまの努力をいたしてまいりました。しかし、日本の政治は、いまだ過渡期の混迷の中にあります。もう目の前に来た二十一世紀のドアを私たちは新しい政治の力であけなければならないと思います。思い切ってその新しい政治をつくるために友人の皆さんとともに我が党は力を尽くすということを表明をいたしまして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#31
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 伊藤議員にお答えを申し上げます。
 まず、将来の展望を切り開く経済戦略という点から説き起こされました。
 政府としては、景気の足踏み状態、特に金融システムに対する信頼の低下という事態への対処なども含め、二兆円の特別減税を含む予算、税制面の措置、金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など、財政、金融両面にわたるさまざまな措置を与党三党の御協力をいただきながらまとめてまいりました。
 そして、こうしたさまざまな取り組みのすべてが、相乗効果をもって我が国経済の力強い回復をもたらすものと確信をいたしております。
 同様に、今、私は、国の将来に向け、御党を初め与党の協力を得ながら、六つの改革というものを進めております。同時に、経済の実態や金融システムの状況、さらに、アジアを初めとする世界経済の状況などを考えながら、そのときそのときの実情に応じて臨機応変の対応、措置をとっていくことも当然のことだと思います。
 財政構造改革と景気対策というものは、私は、二者択一の問題ではない、中期の目標と当面の対応というタイムスパンの異なる問題だ、先ほど来そうお答えを申し上げてまいりました。
 今年は、改革と、この十年来の困難を克服しながら、力強い回復と新たな将来に向かって出発する年にしたいと議員と同様に考えております。将来を見据えながら、日本発の金融恐慌を決して起こさない、どうぞ安心していただきたい、そうした断固たる決意で乗り切っていきますので、ぜひお力添えをお願い申し上げます。
 次に、歳出の改革によって恒久減税ができるのではないかという御指摘をいただきました。
 平成十年度予算におきましては、一般歳出を対前年度比五千七百億円を超えるマイナスに抑えますとともに、例えば公共事業について、いわゆる時のアセスメントの導入、あるいはシェアの大幅な見直しを行うなどの改革をおかげさまで実現することができました。今後とも、こうした努力を続けながら、財政のこれ以上の悪化による我が国経済への悪影響を回避することは大切だと思います。
 恒久的な減税というものにつきましては、アジアの状況も考えて、ぎりぎりの対策として二兆円の特別減税を決断をいたしましたが、これが平成十一年度以降も必要となるような状況にならないように、まず全力を尽くしていきたいと考えております。
 また、消費税改革について御意見もちょうだいをいたしました。
 消費税の食料品軽減税率の問題につきましては、国会におきましても長く論議をされてまいりましたし、与党間でも十分これまで御議論をいただいてきたと存じますが、そうした御議論を踏まえて、今後の消費税を含む税体系の見直しの中において、将来的な課題として慎重に検討されるべきものだと考えております。
 また、財政と金融の分離について御意見をちょうだいいたしました。
 この問題につきましては、既に日銀法改正により日銀の独立性の強化や、金融監督庁の設置による検査・監督の大蔵省からの分離を行ったところでありますが、その上で、この問題につきまして、現在与党三党が自分たちでこの問題の結論を出すといって協議をしていただいている、そういう状況でありまして、私は、これを注意深く見守っております。同時に、この御結論を待っておる状況でございます。
 また、与党における政治改革協議についてお尋ねがございました。
 三党の政治改革協議会は、議員御承知のとおり、非常に精力的に協議を進められながら、一定の合意は得てきましたが、昨年中にすべての結論を見出すことができず、今年も引き続き協議を続けていただいているところでありますし、自由民主党としてもできるだけ早く方向性を出すという方針で臨んでおり、努力をしていると報告を受けております。
 まず、企業・団体献金につきましては、三党ともそれぞれ意見があり、その後議論を行っておられると承知しており、これを見守っていきたいと考えております。
 もう一点、社民党が提案しておられるあっせん利得罪の導入につきましては、法制化ができるかどうかは別として、現在その構成要件そのものについて、三党で厳密な検討を加えながら協議を進めていると理解をいたしております。
 最後に、沖縄を真剣に考えることなしに日本の平和の戦略はないということから、強い御主張をいただきました。
 沖縄問題を踏まえてのアジア外交、我が国は、日米安保体制というものを堅持しながら、ARFを初めとする各種の安保対話や地域協力を通じてアジア太平洋地域の信頼醸成に努めている、御承知のとおりであります。
 こうした中におきまして、沖縄県の問題も、国政の中の最も重要な課題の一つとして村山党首から引き継ぎを受け、今後とも米軍施設・区域の問題などに全力を挙げて取り組んでまいらなければなりません。
 その中におきまして、海兵隊の縮小・撤退、また沖縄国際都市構想の実現等についての御意見をいただきました。しかし、大変残念ながら、この点については、議員のお考えに必ずしも沿うお答えを申し上げることにはならない、そう思います。
 我々は、まずSACO最終報告の内容を着実に実施していく、そして沖縄の地理的特性や伝統文化を生かした振興策に最大限努力をしていかなければなりません。今日、海兵隊の撤退あるいは削減を求めるという状況にはない、私はそのように考えておりまして、この点については、SACOの最終報告を推し進めていくということでぜひ御協力を賜りたいと思います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#32
○国務大臣(三塚博君) 公的資金投入に関連いたしまして、大蔵省の検査・監督の対応、責任についての御質疑でございます。
 大蔵省としては、市場規律を基軸とした透明性の高い金融行政の確立及び厳正で実効性のある検査の実施によりまして、我が国金融システムの安定性と内外からの信認を確保すべく、その職責を果たすべく全力を尽くしておるところでございます。また、大蔵省職員の綱紀の保持については、平成八年十二月に制定いたしました大蔵省職員倫理規程の遵守を初め、その趣旨のより一層の徹底を図りまして、実を上げるよう努めてまいっておるところでございます。
 政府系金融機関による中小企業、中堅企業対策についてのお尋ねでございますが、民間金融機関におけるいわゆる貸し渋りに対応いたしますため、政府系金融機関における新たな融資制度の創設などの措置を講じまして、平成九年度及び十年度において、信用保証を含め約二十五兆円の資金量を確保いたすことといたしたところであります。今後とも、政府系金融機関において、中小企業、中堅企業の資金需要に十分対応するよう適切に対処してまいるつもりであります。ちなみに、年末年始、政府機関、休みを返上いたしまして、窓口をつくり、懇切に対応し、今後にも処しておるところでございます。
 金融制度についてのお尋ねでございますが、我が国経済の根幹であります金融システムへの内外からの信頼を確保いたしますため、今後、金融行政については、市場規律と自己責任原則を基本とし、諸外国の状況等も参考に、検査・監視機能の強化など、引き続きその透明性と信頼性の向上を図るとともに、金融機関に対してもその社会的責任についてさらなる自覚を求めてまいりたいと考えておるところであります。(拍手)
#33
○副議長(渡部恒三君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#34
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十九分散会


ソース: 国立国会図書館
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