くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第142回国会 本会議 第5号
平成十年一月二十三日(金曜日)
    ―――――――――――――
  平成十年一月二十三日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員辞職の件
 平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案(内閣提出)、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


    午後一時四分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員辞職の件
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 議員金子原二郎君から辞表が提出されております。これにつきお諮りいたしたいと思います。
 まず、その辞表を朗読させます。
    〔参事朗読〕
    辞 職 願
  今般一身上の都合により衆議院議員を辞職い
 たしたく御許可願います。
   平成十年一月二十三日
          衆議院議員 金子原二郎
  衆議院議長 伊藤宗一郎殿
#4
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 金子原二郎君の辞職を許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案(内閣提出)、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#6
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。大蔵大臣三塚博君。
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#7
○国務大臣(三塚博君) ただいま議題となりました平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案の趣旨を御説明申し上げます。
 本法律案は、当面の金融経済情勢に対応するため、平成十年分の所得税について、特別減税を実施するものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 この特別減税は、平成十年分の所得税について、定額による特別減税を実施することといたしております。この特別減税の額は、本人について一万八千円、控除対象配偶者または扶養親族一人について九千円の合計額としております。ただし、その合計額がその者の特別減税前の所得税額を超える場合には、その所得税額を限度としております。
 この特別減税の具体的な実施方法に関しましては、給与所得者については、平成十年二月一日以後最初に支払われる主たる給与等に対する源泉徴収税額から特別減税額を控除し、控除し切れない部分の金額は、以後に支払われる主たる給与等に対する源泉徴収税額から順次控除することによりまして実施することといたしております。最終的には、平成十年分の年末調整の際に、年税額から特別減税額を控除することにより精算することとしております。
 次に、公的年金等の受給者については、給与等の特別減税に準じた方法により実施することとし、最終的には、来年の確定申告の際に、特別減税の額を精算することといたしております。
 また、事業所得者等については、原則として、平成十年分の所得税として最初に納付する平成十年七月の予定納税額から特別減税額を控除し、控除し切れない部分の金額は、第二期の予定納税額から控除することにより実施することとしております。なお、予定納税の必要のない者を含め、最終的には、来年の確定申告の際に、特別減税の額を精算することとしております。
 以上、平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 自治大臣上杉光弘君。
    〔国務大臣上杉光弘君登壇〕
#9
○国務大臣(上杉光弘君) 地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 まず、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 本法律案は、当面の経済状況等を踏まえ、個人住民税について平成十年度限りの措置として定額による特別減税を実施するとともに、その減収額を埋めるため、地方債の特例措置を講じるものであります。
 以下、その概要について御説明申し上げます。
 まず、個人住民税について平成十年度限りの措置として特別減税を実施することといたしております。この特別減税の額は、所得割額の範囲内で八千円に、控除対象配偶者または扶養親族一人につき四千円を加算した金額とすることといたしております。また、この特別減税においては、税負担の軽減効果が早期に実現することとなるよう、徴収方法についても特例措置を講じることといたしております。
 また、個人住民税に係る特別減税による減収額を埋めるため、地方債の特例措置を講じることといたしております。
 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 今回の補正予算につきましては、平成十年分の所得税の特別減税等に伴い、平成九年度分の地方交付税は二千二百二十一億円余減少することとなりますが、地方財政の状況にかんがみ、当初予算に計上された地方交付税の総額を確保する必要があります。
 このため、平成九年度分の地方交付税の総額の特例として、同額を地方交付税の総額に加算するとともに、平成十三年度から平成二十年度までの各年度において、当該年度分の地方交付税の総額に加算する額を変更することとしております。
 以上が、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案(内閣提出)、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#10
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。北橋健治君。
    〔北橋健治君登壇〕
#11
○北橋健治君 私は、民友連を代表いたしまして、ただいま提案のありました平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案について、橋本総理及び関係大臣に質問を行います。
 今日、我が国は、深刻な経済金融危機に陥っております。失業率は史上最高の三・五%に達し、雇用不安は高まるばかりであり、企業倒産もとどまるところを知りません。また、金融不安の増大も極めて深刻であります。
 なぜこのような状況に立ち至ったのか。それは、野党の強い反対を押し切って、橋本内閣が、消費税率の引き上げや特別減税の打ち切り、廃止、医療の保険料や自己負担の引き上げなど、国民に約九兆円もの負担増をもたらすデフレ予算を編成したからであります。
 さらに、その後の対応においても、我が国の厳しい経済金融情勢を甘く分析し、小出しの対策を後手後手に回してきたからにほかなりません。これは、思い切りアクセルを踏まねばならないときに急ブレーキを踏んでしまうような、決定的な政策路線の過ちを繰り返してきたのであります。
 また、橋本内閣は、今金融不安の問題を重視されておりますが、もともと預金者のいないあの住専に国民の税金を無理矢理投入して国民の厳しい批判を浴び、その後も、時間があったにもかかわらず、預金者保護を柱とする金融システムの抜本的改革という本来的な課題を先送りしてきたために、いたずらに金融危機の拡大を許してきているのであります。
 さらに政府は、そのような厳しい経済環境の中で、さきの臨時国会において財政構造改革推進特別措置法を提案しました。この法律は、二〇〇三年までの間、硬直的な財政均衡を優先させ、毎年度の赤字削減を義務づけるものであります。
 この国会審議において、我々は、産業と雇用を守り、不況から国民生活を守り抜くために、特別減税を初めとする減税要求を何度となく繰り返してきたわけでありますが、この間一貫して総理は、財政再建を理由に、財源難を盾に我々の減税要求をかたくななまでに拒否し続けたのであります。
 こうした状況のもとで、橋本総理は昨年十二月十七日、突如記者会見を行われ、景気対策として、何と赤字国債を財源に二兆円規模の所得税、住民税の特別減税を実施すると表明されました。
 この減税の決定自体は、遅きに失したとはいえ我々が強く要求してきたところであり、国民にとっては一応は歓迎すべきものであると思います。
 しかしながら、今日のこの深刻な経済不況を招いた総理の政治責任を不問に付することは決してできません。総理は記者会見において、このたびの特別減税を決断した理由の一つに日本の現在の厳しい経済不況を挙げておられますが、その経済不況を理由にされることは、橋本内閣のこれまでの失政をみずから国民の前で認めたことにほかならないではありませんか。(拍手)
 同時にまた、この補正予算と金融安定化対策と称する三十兆円の公的資金の投入は、これまでの財政再建路線を、無責任にして、一夜にして転換するものと断ぜざるを得ません。これだけの政策転換を図る以上、しかるべき政治責任をとらなくては、政治不信は増幅し、到底国民は納得できないものと思います。
 民友連は、橋本内閣の退陣を求め闘っておりますが、総理みずからその政治責任をどのようにお考えか、お聞かせを願いたいと思います。
 さて、質問の第二は、特別減税の決定の過程で、米国政府の強い要請に我が国政府が左右されたのではないかという問題であります。
 総理は、特別減税決定に当たり、要求を続けてきた我々野党に何の相談も釈明もしなかったばかりか、与党である社民、さきがけ両党にも、そしてまた前日まで大綱をまとめるために活躍しておられた自民党税調の皆さんにも、大蔵省にも相談せずに決断をされたと聞いております。そして、その記者会見の直後には、米国のクリントン大統領とは電話で話し合い、日本の方針を説明されたと聞いております。また、これに先立つ一週間前、サマーズ米国財務副長官が、斉藤駐米大使に対して強力な内需振興策を求めたと報道されました。さらに、年初には額賀官房副長官の訪米と続いていくのであります。
 この一連の政府の動きを見守っていれば、総理が、自国の国会での審議や民主主義のルールを軽視し、米国など外国の要求に左右された印象を多くの国民に持たれたとしても決して不自然ではありません。
 総理の毅然たる御意見、反論があればお聞かせを願いたいと思います。
 また、橋本総理は、十二月十七日の記者会見でも、ASEAN首脳会議において、マハティール首相を初め、アジアの経済、通貨危機の深刻さが決断をした大きな理由の一つだと言われております。そして、クアラルンプールで考え抜かれて決断をされたと言われております。本当にアジアの経済危機を心配されているならば、アメリカ政府と同じように、総理みずからアジアの指導者にも速やかに説明をして、さらに緊急の経済対策会議の開催を呼びかけてもよかったのではないでしょうか。この点について、総理の明快なる御所見を承りたいと思います。
 さらに、本年一月七日、米国を訪問した額賀官房副長官は、スパーリング大統領補佐官を初めとする米国政府高官との会談で、日本政府が早ければこの四月にも特別減税の継続と所得減税の積み増しを中心とした九八年度の大型補正予算に着手するという意向を米国に伝えていたと報じられたのであります。もしもこの報道が事実であるとするならば、重大な政治問題に発展することは論をまちません。
 四月大型補正の編成という額賀官房副長官の米国政府への発言は事実か否か。仮に事実でないとするならば、政府は、平成十年度予算案成立後、米政府に伝えたと報道されたような補正予算は編成しないと約束していただけるか否か。以上の点について、総理から明確な御回答をいただきたいと思います。
 また、外務省は、額賀副長官と米国政府要人との会談には、当然ながら外務省職員を随行させたと思いますが、会談の際、会議録を作成しているかどうか、また会議録が存在するならば、この真相を解明するためにも直ちに本院に提出するよう強く要求するものであります。政府の方針をお伺いいたします。
 質問の第三は、減税の効果についてであります。
 まず、特別減税の経済効果について、信頼できる世論調査があります。減税分を消費に回すと答えた人はわずかに三二%にとどまっています。そして、金融安定化対策とセットに実施されたとしても景気は回復しないと答えた人は、実に七五%に達しているのであります。氷のように一たん冷え切ってしまった消費者マインドは、時期を逸した減税ではとても回復し得ないことを総理は率直に認められてはどうでしょうか。
 また、我々は、二兆円減税については、そもそも規模が小さ過ぎる、そして一過性のものである、すなわち終われば即増税感をもたらし、ゆえに景気回復への心理的効果は少ないと考えてきました。既に与党首脳からは特別減税の継続を示唆する発言が出てきたことは当然だと思います。
 特別減税の継続について、総理は、九九年度以降も必要となるような状況にならぬようまず全力を尽くしたいと答弁されましたが、継続に踏み切るよう、私は強く求めるものであります。総理の御所見をお伺いいたします。
 さて、今回の減税を通じまして、一つの問題点が惹起されております。それは、今回の特別減税あるいは臨時福祉特別給付金の対象にもならない年金受給者の方が膨大な数になるということであります。
 超低金利政策を続けているために、国民の利子収入は大きく落ち込み、生活は相当の打撃を受けてきました。ある人たちは、低金利でさんざん金融機関を太らせておいて、さらに国民の税金を投入するのかという批判が最近渦巻いてきましたが、これも当然であります。政府は、この際、高齢者を初めとする預金者の利子収入落ち込みに対して、ここらあたりで基本的な見直しに入るお考えはないか、お伺いしたいと思います。
 次に、平成十年度の税制改正について質問いたします。
 法人税減税について、今回、実効税率の四%引き下げにしかならない改正にとどまっております。これでは産業、雇用の空洞化、あるいは企業の競争力低下には私は歯どめはかからないと思います。自民党税調の中でも、実効税率は諸外国と比べて一〇%程度高いと指摘されたと思います。このグローバルスタンダード、世界標準に近づけるためには、今政治家のリーダーシップによって大胆な決断をするときだと思います。
 また、有価証券取引税、取引所税は二段階方式で、初年度は半分にするだけの改正となっていることは納得できません。これでは株価低迷を防げないばかりか、海外に資金が逃げることは必至であります。土地の譲渡益課税の軽減も従来から我々が強く求めてきたものであり、遅きに失したものと言わざるを得ません。
 二兆円の今回の特別減税、そして総額八千五百億円の平成十年度税制改正、これを実施しても果たして、手ごたえのある経済波及効果は期待し得ないのではないでしょうか。政府は、この程度の減税で本当に九八年度こそは実質一・九%の経済成長の目標を達成することができるとお考えでしょうか。総理の明快なる答弁をいただきたいと思います。
 最後に、私は、六兆円規模の減税を柱とする民友連の提言を申し上げ、これについての政府の見解をお伺いしたいと思います。
 私たち民友連は、経済金融危機の打開こそ今政治家に課せられた緊要の使命であると考え、六党が一致結束をして、健全なる改革勢力を結集したところであります。そして、その方策として、中長期的には財政再建の達成について責任と良識ある態度を貫きつつ、短期的には景気対策、経済再建を優先する基本方針を確認して税制論議を深めてまいりました。
 厳しい今日の経済環境を打開するためには、最高税率の引き下げなど、税率構造の簡素化を中心とした所得税、住民税減税で三兆円、企業の国際的競争力を引き出すための法人関係税の減税で二兆円、住宅減税の拡充や有価証券取引税の即時撤廃等で一兆円、総額六兆円規模の恒久減税を実施することが不可欠であると信ずるものであります。この税制改正の道こそ今日の我が国の危機を打開する最適の税制改正の選択だとお訴えをしているところであります。
 これに対する総理の見解を求め、そして、私ども民友連はこの六兆円減税の実現に向かって今後国民の皆様とともに闘い抜くことをここで表明いたしまして、私の質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 北橋議員にお答えを申し上げます。
 まず、金融システム安定化や特別減税などの諸施策、そして財政構造改革との関係についてのお尋ねをいただきました。
 財政構造改革の必要性は今後とも何ら変わるものではありませんが、同時に、経済金融情勢の変化に機敏に対応し、国際状況に応じて財政、税制などの措置を講じていくことは当然のことであり、私は二者択一の問題とは思いません。今回の金融システム安定化対策、特別減税を初めとする諸施策、このような考え方のもとに断固たる対応をとるものであります。
 また、特別減税の決断についてのお尋ねがございました。
 昨年十二月のASEAN首脳との会合におきまして、アジアの通貨・金融不安の影響の大きさと日本の役割を改めて痛感をいたしました。また、秋以降の我が国の金融機関の経営問題等の影響により、家計、企業の景況感の悪化が見られております。こうした中で、日本発の経済恐慌は決して起こさない、そうした決意のもとに、国民の不安感を払拭するために臨機応変に対応することこそが国政を預かる者の責任と考え、二兆円規模の特別減税を実施をいたしました。
 また、アジア通貨危機への我が国の取り組みについてのお尋ねがございましたが、アジア地域の通貨の安定は、我が国ばかりではなく世界経済全体にとって重要であります。
 首脳会議というお話もありましたが、このような観点から、この問題についてはAPEC非公式首脳会合の場でも議論を行いました。そして、十二月のASEANプラス3、プラス1でも議論をし、必要に応じて各国首脳と緊密に連携をとり合っております。今後とも、関係各国や、IMFなど国際機関とも緊密に連携をしながら適切に対処していく考えであります。
 次に、額賀副長官の発言に対する報道などについてお尋ねがありました。
 副長官から国会閉会中に訪米したいという申し出がありまして、許可をしたことは事実であります。帰国後、訪米報告を受けましたが、報道のような発言をしたとは聞いておりませんし、御本人が報道に対して抗議をしておると承知をいたしております。
 私が知っております最新の状況は、朝日新聞から副長官に対しまして、記事の掲載に当たり、額賀副長官に直接取材しなかった点は配慮に欠けておりましたが、記事全体の趣旨については日米両国の関係者から裏づけをとって掲載したものであり、本社としては事実と確信しておりますという回答があり、これに対し、副長官が引き続き抗議をし、訂正を求めておると承知をしております。
 いずれにいたしましても、政府としては、平成十年度予算が今最善の必要なものと考えておりまして、九年度補正予算及び十年度予算の成立に向けて全力を傾けているところでありまして、何とぞ御理解を賜りますように心からお願いを申し上げます。
 なお、補正予算の取り扱いにつきましては、財政法二十九条の趣旨を厳正に判断し、適切に対処していきたいと考えます。
 次に、特別減税の効果とその継続についてお尋ねがございました。
 二兆円の特別減税を含みます予算、税制面の措置や金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など財政金融両面にわたるさまざまな措置のすべてが相乗効果をもって消費者マインドを変えていくと考えられ、このような状況におきまして特別減税の実施は効果的に作用し、我が国経済は回復軌道に復帰していくもの、そう考えております。
 特別減税が平成十一年度以降も必要な状況にならないよう、景気の回復に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 また、低金利についてのお尋ねがございました。
 公定歩合の操作等金融政策は日本銀行の専管事項でありますが、低金利のもとにおいて、貯蓄に対する利子が少なくなり、その影響を受けておられる方々に対してお気の毒な状況にあると考えております。こうした状況を解消していくためにも、特別減税などの予算、税制面の措置、金融システム安定化策等を一日も早く実施することにより景気の回復を図ることが重要だと考えております。
 次に、今回の税制改正の経済効果についてのお尋ねがございました。
 今回の税制改正におきましては、この特別減税に加え、平成十年度税制改正におきまして、法人課税の税率の引き下げ、有価証券取引税、取引所税の税率半減、地価税の課税停止など幅広い措置をとることとしており、これらの措置は、先ほど申し上げました金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など財政、金融両面にわたるさまざまな措置と相まって効果を発揮するものと考えております。
 次に、九八年度の実質成長率一・九%程度は本当に達成できるのかというお尋ねがございました。
 政府は、今も申し上げましたような財政、金融両面にわたるさまざまな措置を講ずることとしております。こうした取り組みのすべてが相乗効果をもって我が国経済の力強い回復をもたらすものと考えており、政府経済見通しの平成十年度の実質経済成長率一・九%程度は達成可能であると考えておりますし、また、達成させなければなりません。
 次に、六兆円の恒久減税の実施についてのお尋ねがございました。
 我が国の租税負担率が欧州諸国と比べましてかなり低い水準にある中で、税負担のあり方としても問題があると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣小渕恵三君登壇〕
#13
○国務大臣(小渕恵三君) 額賀副長官の会談につきましては、ただいま総理から御答弁もございましたが、私自身その報告は受けております。しかし、報道されましたような発言は行われておりません。
 また、額賀副長官の米国要人との会談記録は作成はいたしておりますが、外国政府とのやりとりの詳細につきましては、相手国政府との関係もあり、これを明らかにすることは適切でないと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(伊藤宗一郎君) 並木正芳君。
    〔並木正芳君登壇〕
#15
○並木正芳君 改革クラブの並木正芳です。統一会派平和・改革を代表し、ただいま趣旨説明のありました所得税特別減税法案外二法案につき、橋本総理に質問いたします。
 私たち改革クラブは、結党に当たり、「信頼と希望の政治」の旗を掲げました。
 たび重なる政界の不祥事が、官界、経済界の不祥事とともに日本のリーダーシップに対する信頼を地に落とせしめたばかりか、今また泉井石油商事件、証券利益供与疑惑などが発覚し、現在の政治に対する国民の不信はますます高まるばかりであり、経済不況とも相まって、国民は、子育てにしろ老後にしろ不安がいっぱいの希望の持てない日々を送ることを余儀なくされております。
 今こそ、この先の見えない苦境にある国民の心を痛切に感じ、国民の意思を反映した、国民に対して透明で誠実な政治を行い、政治への信頼を回復するとともに、国の未来に国民が夢と希望を持つことができるようにしていかなければなりません。
 総理、今は、あなたの巧みな弁舌でこれまでの経済的見通しの誤りを言いくるめることや、なし崩し的に政策の方向転換を行うことではなく、虚心坦懐に、誤りは誤りとしての反省の上に、思い切った景気対策、経済対策を打ち出すべきときではないでしょうか。総理の正直な言葉こそが国民の信頼を得、国民を元気づけるメッセージであろうと考えますが、いかがでしょうか。
 昨年の通常国会で、総理は私どもの提出した二兆円の所得税、住民税減税の法案を廃案にしておきながら、今国会では突然二兆円減税を打ち出してきたわけであります。所得税減税は財政再建に反し、景気浮揚効果もないと言っていた総理御本人が、今は、景気をよくし財政構造改革とは矛盾しないと主張しているのであります。
 また、経済企画庁長官は、財政削減と所得税減税をセットで行った場合は景気対策にはマイナスの効果の方が大きいとまで言っておられたのです。
 財政構造改革法が公布されて二カ月とたっていないさなか、その法律のもとで現在、九八年度の予算案が政府の手で編成されている折も折、今年度中の補正処理という形で赤字国債の積み増しによる特別減税が復活したわけであり、まさに朝令暮改とのそしりは免れ得ないと断ぜざるを得ません。(拍手)
 総理、この二兆円減税は、多くの国民の常識からして、これまでの政策の百八十度の転換であり、九七年度にデフレ予算を編成し、消費税率の引き上げ、特別減税の廃止、医療保険料の自己負担引き上げというトリプルパンチで国民に九兆円以上の負担増を強い、ようやく軌道に乗りかけてきた日本経済の景気回復の芽を摘んでしまったという、みずからの失政が今にして招いたものであると考えます。
 この点、総理はどのように国民の皆様に弁明するおつもりなのか、明快な御答弁をいただきたいと思います。
 減税の実施で怒る国民は少ないかもしれません。しかし、この二兆円減税は、総理の弁明によっては、あなたの定見のなさをあらわし、朝令暮改、すなわち信頼の欠如という日本の政治にとってはかり知れない大きな代償と負債を負うことになるということをしっかりと自覚すべきであります。しかも、これが適切な措置であり、減税額であるかは甚だ疑問であります。
 言うまでもなく、特別減税の政策目標は景気の下支えであります。しかしながら、景気は昨年の通常国会時よりはるかに後退しており、国民実感とかけ離れた経済企画庁の報告でさえ、緩やかな回復から足踏み状態、すなわち景気の停滞を認める表現となっております。
 二兆円規模の一年限りの特別減税で、しかも時期を分散しての減税では、増税実施がこの一年間に国民に多大の困難をもたらし、日本経済にはかり知れない損失をもたらしてしまった現状にかんがみ、悪化し過ぎた景況感を払拭するには余りにも少額であると断ぜざるを得ません。
 減税発表後、株価は一時的に上昇しましたが、翌日には反落してしまったという証券市場の冷淡な反応、そして新たな景気対策を期待して維持されている昨今の証券市場の動きが何よりそれを物語っているのではないでしょうか。
 私ども平和・改革は、法人税減税を含めて六兆円規模の減税の実施を強く求めているところであります。
 しかも、迫りくる高齢化社会の中で、年金を初め社会保障システムが家計負担増、給付削減の方向で見直されようとしていることに国民が大きな不安を感じていることからして、減税を景気対策につなげるためには、恒久減税、つまり制度減税としてこれからも減税が続くという見通しをつけなければ国民の財布のひもは緩まないと考えますが、いかがでしょうか。総理の御見解を伺います。
 時あたかも、先ほどの北橋議員の質問にもありましたが、一月七日に米国を訪問した額賀官房副長官は、当然ながらその役職上総理の意思を体しているものと思われますが、米国政府高官との会談において、日本政府は早ければこの四月にも特別減税の継続と所得減税の積み増しを中心とした九八年度の大型補正予算の編成に着手するとの意向をアメリカ政府に伝えたとの朝日新聞の報道がありました。
 そうであるとするなら、二兆円減税が不十分で、その効果は疑問であるとの見解を認めたものであり、それゆえ、率直に私ども平和・改革の六兆円恒久減税の主張を是とするべきであります。それとも、米国政府の要請は是としても、国会での議論は極めて不透明なままあいまいに済ますのでしょうか。国会軽視も甚だしいわけで、しかるべくお答えをいただきたいと思います。
 現在、これが誤報であるかのごとき官房副長官の言葉もあり、一方新聞社は、先ほどの総理の言葉のように、日米両国の関係者から裏づけをとって掲載した事実であるとコメントしていますが、政府にとっても真実を報道すべき新聞社にとっても、また国際的にもまことにゆゆしき問題であります。国民に不信を抱かせることのないよう、総理から再度明確にしていただきたいと思います。
 さて、二兆円規模での恒久減税化については、自民党幹部の口からも聞こえてくるところでありますが、総理はどのようにお考えか、党との相違についても、その御見解をお聞きいたします。
 恒久減税により思い切って歳入を減らすことで、現状の財政改革の収支のみにこだわるやり方からいや応なしに抜本的な財政構造改革に踏み込まざるを得ないという効果も考えられ、思い切って恒久減税を実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 総理は、我が国の租税負担率は欧州諸国に比べて低いとして、大型減税には否定的な見解でもあるようです。私どもは、あくまで六兆円規模の恒久減税を要求しますが、総理のおっしゃるあらゆる方法で経済を立て直すとのシナリオの一つとして、消費への課税を直接減税するという点で消費マインドを回復させ、個人消費の活性化に向けて期待の持てる消費税減税、すなわち消費税率の五%から三%への引き下げを行ってはいかがかと改革クラブは考えます。
 そもそも、この議場におられる大方の議員は、平成八年十月の総選挙で消費税三%据え置きを訴え、当選されたのではありませんか。そのときの国民の気持ちと皆様の約束を思い起こしてみてください。
 当時は、バブル後遺症の中にありながら、民間の血のにじむリストラなどの努力により、確かに景気は頭をもたげつつありました。そのタイミングでの特別減税打ち切り、消費税増税は、せっかく風邪が治りつつある患者に水を浴びせ、肺炎を起こさせるようなものであると私どもが再三指摘いたしましたが、まさにそのとおりでした。
 過ちを改むるにはばかることなかれと申します。総選挙時の原点に返り、やり直すべきなのです。それが国民の信頼をいささかなりとも取り戻すことでもあると考えます。
 私ども改革クラブは、迫りくる高齢化社会を見据えて、消費税の必要性や直間比率の是正という税の流れは容認するものでありますが、一年間なりに期限を限定し、時限的な税率引き下げとして、実務的にも大きな混乱や困難を引き起こさない、もとの税率である三%に戻すことを提案するものであります。減税により一時的に減収しても、消費が伸びれば、それに伴い税収の増加も可能であるわけであります。この点につき、総理の御見解をお聞きいたします。
 既に、この景気低迷に耐えられなくなった自民党の幹事長からも、財革法の目標年限を先に延ばし景気対策を最優先すべきとの明確な政策転換を示唆する発言もなされていますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
 私どもは、今日までの経済見通しの甘さと失政を率直に認め、景気対策最優先路線への政策の転換を明確に宣言し、六兆円の恒久減税、期限限定的消費税率三%への引き下げを含め、日本経済再生のためにあらゆるシナリオを強力に実行されるよう強く要求いたします。
 以上で質問を終わりますが、最高責任者たる総理の明快な御答弁をお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 並木議員にお答えを申し上げます。
 まず第一点、景気対策、経済対策を強く打ち出せ、そういう御指摘をいただきました。
 金融システムへの信頼低下など現下の経済金融情勢にかんがみて、二兆円の特別減税を含む予算、税制面の措置や金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など、財政、金融両面にわたる幅広い措置を講ずることとしておりまして、こうしたさまざまな取り組みなどのすべてが相乗効果をもって我が国経済の力強い回復をもたらすものと考えております。
 次に、一連の制度改正等についてお尋ねがありました。
 消費税率の引き上げは少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に対応した税制改革の一環であり、医療保険制度改革は医療保険制度の破綻を防ぎ安定した運営を確保するものであり、いずれも我が国にとって真に必要な改革であったと考えております。
 また、平成九年の特別減税は、私どもとしては、当時の経済財政事情を踏まえて実施しないという判断をいたしました。今回の特別減税は、経済金融情勢の変化に機敏に対応し、国際状況に応じて講じるものとしたものであります。
 また、特別減税についてのお尋ねは、これを継続せよという御指摘もございました。今申し上げましたように、経済金融情勢の変化に対応する、そして国際状況に応じて講ずるものとしたものでありまして、金融システム安定化の公的資金活用等、現在政府が提案をさせていただいております財政、金融両面にわたるさまざまな措置と相まって、我が国経済の力強い回復をもたらすと考えております。証券市場等の動向につきましては、今後とも注視してまいります。
 また、景気対策として恒久減税をすべきではないかという御指摘をいただきました。
 アジアの状況も踏まえながら、ぎりぎりの対策として二兆円の特別減税を行うことを決断いたしました。これが平成十一年度以降も必要となるような状況にならないように、景気の回復に最大限努力をしていきたいと考えております。
 また、額賀副長官訪米に関する報道を引用されての特別減税についてのお尋ねもございました。今申し上げましたように、先ほども御答弁をしたところでありますが、報道のような発言をしたとは聞いておりませんし、報道に対して抗議を行っていると承知をいたしております。
 そして、特別減税は、法人課税、有価証券取引税、地価税の減免などの内容を盛り込みました十年度税制改正、また金融システム安定化のための公的資金の活用など、財政、金融両面の相まつ措置と組み合わせられ、家計や企業の先行きに対する不透明感を払拭していくもの、私はそう考えております。
 また、自民党幹部からということを置かれまして、恒久減税と歳出の改革についてお尋ねがございました。
 財政構造改革というものは、安心して豊かな経済社会、福祉社会、そして健全で活力のある経済を実現していく、そうした課題に十分に対応できる財政構造を実現するためのものであり、今後とも改革の努力を続け、効率的な政府の実現を目指さなければなりません。
 恒久減税につきましては、先ほどもお答えしたところでありますが、平成十一年度以降も必要となるような状況にならないように努力をしてまいります。
 また、先ほど、平成八年十月の総選挙のことも引用されながら、消費税を期間限定をして引き下げろという御提案をいただきました。
 私自身、自分の時間のとれる限り全国を遊説してこの選挙戦を戦い抜きましたが、そのとき、どの会場におきましても、私は二%引き上げをさせていただきたいということを国民に訴え続けておりましたことを改めて申し上げます。
 その上で、期間限定の消費税の引き下げ、これは、引き下げ実施までの間の買い控えあるいは再引き上げ後の反動減というものをどう見るかという問題があろうと思います。また、消費税の税率を短期間に改定をいたしますと、これは、各種の料金の変更などに伴います社会経済的なコストが生じ、経済に悪影響を与える可能性もあります。景気対策としては適切でないと私は思います。
 最後に、財革法の目標を先に延ばして景気対策を優先すべきという御趣旨の御意見をいただきました。
 しかし、財政構造改革の必要性というものは、先ほども御答弁を申し上げましたように、私は今後とも変わるものではないと思います。同時に、経済の実態あるいは金融システムの状況などを考えながら臨機応変の措置をとっていくのも、これまた私は当然必要なことだと考えております。いわば、二者択一の問題ではなく中期目標と当面の対応というタイムスパンの異なる問題だ、そのように私は考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#17
○副議長(渡部恒三君) 谷口隆義君。
    〔谷口隆義君登壇〕
#18
○谷口隆義君 私は、ただいま議題となりました平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案を初めとする特別減税関係法案について、自由党を代表して質問いたします。
 九兆円の国民負担増加と公共投資削減を含む本年度の超デフレ予算は、九六年、三・九%の成長まで回復した日本の景気を本年度はゼロ%成長というどん底に突き落としました。このことは、我々が九六年の臨時国会から指摘していたとおりであり、それを予見できなかった総理の失政という以外何物でもありません。
 これに対し政府は二兆円の特別減税復活を含む九七年度補正予算を提出されましたが、二兆円特別減税法案の審議もまだ始まらないうち、ましてや九八年度の当初予算も上程されないうちに、先ほどから質問にもございましたように、先般渡米した額賀官房副長官が、アメリカ政府高官に対し、四月にも九八年度の補正予算を編成すると伝えたとの報道が朝日新聞により報じられました。
 このような景気対策追加の報道を受けて、市場では海外投資家を含む買い注文が広がり、先日の株価の六日連騰と円高が起きております。ところが、額賀副長官御自身や保利自民党国対委員長は、この事実を予算委員会の席上や書面により明確に否定されました。もしそうだとすれば、今の日本の市場は、間違った情報によって踊らされ、大きな損失をこうむりかねないゆがんだ価格形成がなされているということになります。もし逆に、報道が正しく、九八年度の補正予算を本当に四月に編成するのであれば、九八年度当初予算案は欠陥予算案ということになります。
 総理、一体どちらが本当なのですか。九八年度の補正予算を景気対策として四月に実施されないとすれば、ゆがめられたマーケットの正常化のため、今ここできっぱりと否定していただきたい。もし、朝日新聞社が主張しているとおり、報道が事実とすれば財政構造改革法に抵触しますが、その責任はどうおとりになるのですか。この際、明確にお答えを願いたい。
 次に、特別減税についてお伺いいたします。
 総理は、昨年末、ASEANの会議からお帰りになり、アジア経済が予想外に悪いという口実を設けて、突然、特別減税の再実施を表明されました。それまでの総理、蔵相、自民党幹部の言を信じていた人々にとって、まさに青天のへきれきであります。
 我々は、昨年の通常国会において恒久化を視野に入れた特別減税の継続を主張し、法案として国会に提出しましたが、政府・自社さ連立与党に加え、野党の民主党までも反対して廃案となりました。また、その後も、総理、大蔵大臣は、財源を特例公債によらざるを得ない特別減税を実施することは適当でないと繰り返し答弁してこられました。それを、財政構造改革法成立後の今になって突然、赤字公債を財源とする特別減税を実施すると言い出すとは、一体どういうことなんですか。
 今回の特別減税実施ほど橋本内閣の支離滅裂さを露呈したものはありません。なぜ昨年四月に特別減税を継続しなかったのですか。我々が一昨年の臨時国会と昨年の通常国会で主張したとおり、消費税率の引き上げを延期し、特別減税を継続すれば、日本経済はこれほどには落ち込まず、株価もここまでには下がらず、金融機関の経営はこんなに悪化せず、三洋、拓銀、山一の経営破綻を初めとする金融危機は発生せず、アメリカからの内需拡大要求も出なかったはずであります。我々は、一年以上も前にこの事態を予見して警告をしておったわけであります。総理は、特別減税を打ち切っても日本経済は自律的に回復すると言い続けていましたが、その見通しの甘さ、先見性のなさが白日のもとにさらされ、みずからの無能を全世界にアピールされたわけであります。(拍手)
 年初の継続決定と年度末の復活決定では、減税の経済に対するインパクトが決定的に違います。経済は生き物であり、一度景気後退に弾みがつけば、それを逆転させるには、当初の景気を続けていく以上の大きなエネルギーが要ります。既に在庫減らしの生産調整が進行しており、時間外手当とボーナスの落ち込み、失業の増加で、自律的な景気後退が始まっております。今となっては、減税規模が二兆円では、景気を逆転させて回復に向かわせるには不十分であることは明白であります。海外でよく言われるように、ツーレート・ツーリトル、遅過ぎる上に規模が小さ過ぎるのであります。総理の明確な答弁を求めます。
 次に、特別減税の恒久化についてお伺いします。
 総理も明言しているとおり、今回の特別減税は臨時の一時的措置であって、特別減税が終われば、十年度中にも同額の増税が待ち構えており、加えて十年度は、財政構造改革法により、本年度以上の歳出削減というデフレ予算が強行されようとしております。
 たとえ特別減税で本人に二万六千円、扶養家族に一万三千円の税金が還付されても、目前に同額の増税が迫り、歳出削減のデフレ効果が迫ってくれば、だれが消費に回すでしょうか。増税や不況に備えて貯蓄に回すのではありませんか。
 自由民主党の山崎政調会長は、NHKの討論で、景気が回復しなければ来年度も特別減税を実施すればよい、このように言われました。また、自由民主党の森総務会長も、特別減税継続に言及されました。しかし、何度繰り返しても、直後に増税が予想されている一時的措置である限り、効果は限られるわけであります。
 今回の特別減税は、望ましい中期的な税体系に対する理念、哲学もなく、全く行き当たりばったりのばらまきであります。減税は、望ましい中期的税制に向かって制度を変える恒久減税でなければなりません。二兆円の財源を使えば、最高限界税率を国際的に例のない高率の六五%から五〇%に引き下げ、税率構造のフラット化と簡素化を実現して、すべての税率を下げることができます。
 特別減税の二兆円を使って、経済をサプライサイドから構造的に改革する恒久的制度減税を実施するお考えはありませんか。それなら、増税の予想がなくなるので、景気刺激効果はずっと大きくなります。今のままでは、増税予告つきばらまき減税であり、厳しい財政事情のもとで、貴重な税金のむだ遣いになります。総理の明確な御答弁を求めます。
 最後にお伺いします。
 橋本総理は、さきに行われた本会議の演説の中で、二兆円の特別減税復活と三十兆円の金融安定化対策によって、力強く景気が回復すると述べられました。
 しかし、総理の判断は間違っております。金融危機が貸し渋りなどを通じて景気悪化を招いたのは事実でありますが、景気悪化の要因はこのほかにもたくさんあります。金融安定化対策だけでは景気は回復しません。逆に、デフレ予算強行などによる景気の悪化こそが、現在の金融危機の唯一の原因であります。
 今や日本経済は、景気の悪化が株安、円安を通じて自己資本比率を引き下げ、不良債権の処理をおくらせて金融危機を招き、その金融危機が景気悪化を加速するという悪循環により、地獄行きの超特急に乗っているような状態であります。金融危機の拡大を抑えてみても、不況は直りません。今回の金融システム対策で、たとえ三十兆円を積んでみせても、早期是正措置を弾力運用してみても、抜本的に解決しないのであります。
 九兆円の負担増で冷え込ませた景気をてこ入れするためには、法人課税と所得課税の制度減税を行い、企業と個人にやる気を起こさせ、経済をサプライサイドから活性化させ、自律的な景気後退のメカニズムに歯どめをかけなければなりません。金融機関に対する資本注入のために用意した十三兆円の貸し渋り対策の効果は、景気回復で日経平均株価が五千円も上昇し、円相場が十円も回復すれば、たちまち評価益などの形で金融機関の内部に自然発生するわけであります。十三兆円の公的資金は不必要であり、その一部を景気対策に使えるではありませんか。
 世論調査によれば、橋本総理の金融、景気の取り組みを評価しない人は半数を超え、七二%が橋本内閣のもとでは景気は回復しないと悲観的な見方を示しております。他方、特別減税については過半数が継続を求めているのであります。景気がここまで悪化し、政策も評価されないのは、橋本総理の信用が失墜しておるからであります。
 橋本内閣の退陣こそがまさに最大の景気対策であり、市場が総理の辞職を求めていると言われるゆえんであります。総理は、株価に一喜一憂するだけではなく、国民の声に真摯に耳を傾けるべきであります。
 もはや橋本内閣はこの経済危機を克服する能力も責任も持ち合わせておりません。潔い引き際を期待し、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 谷口議員にお答えを申し上げます。
 まず、額賀副長官の発言の報道についてのお尋ねがありました。
 先ほどもお答えを申し上げたことでありますが、副長官から、国会閉会中に訪米したいという申し出があって、許可をしたことは事実であります。そして、帰国後訪米報告を受けましたが、その報道のような発言をしたとは聞いておりませんし、御本人が報道に対して抗議をしていると承知をいたしております。
 そして、その上で、先ほども申し上げたことでありますけれども、朝日新聞から副長官に対し、記事の掲載に当たり、額賀副長官に直接取材しなかった点は配慮に欠けておりましたが、記事全体の趣旨については日米両国の関係者から裏づけをとって掲載したもので、本社としては事実と確信しておりますという回答があり、これに対し、副長官が引き続き抗議し、訂正を求めているということであります。
 いずれにいたしましても、政府は平成十年度予算は最善のものであると考えておりますし、九年度補正予算及び十年度予算の成立に向けて全力を傾けているところでもありまして、何とぞ御理解を賜るようお願いを申し上げます。
 また、これまでの政府の見解についてお尋ねがございました。
 夏以降のアジアの通貨・金融不安や秋以降の我が国の金融機関の経営問題などの影響により、家計、企業の景況感の悪化が見られております。こうした中で、国民の不安を払拭するために、臨機応変に対応することが国政を預かる者の責任と考え、特別減税の実施を決断いたしました。
 そして、財政構造改革と景気対策、私は、二者択一の問題ではない、タイムスパンの異なるものだということをしばしば御説明を申し上げております。
 そして、なぜ平成九年度の特別減税をという御意見がございました。これは、当時の経済財政事情を踏まえて実施しないということとしたものであります。
 今回の特別減税は、先ほど申し上げましたような理由で決断をしたものでありまして、金融システム安定化のための公的資金の活用など、現在政府が提案している財政、金融両面にわたるさまざまな措置と相まって、我が国経済の力強い回復をもたらすものと考えております。
 また、特別減税につきまして、サプライサイドから構造的に改革する考え方をとるべきではないか、そうした御指摘をいただきました。
 私どもは、今も申し上げたことでありますけれども、金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用など、財政、金融両面にわたるさまざまな措置と相まって、消費者マインドを好転させると考え、このような状況において特別減税の実施は効果的に作用するものと見込んでおります。特別減税が平成十一年度以降も必要となるような状況にはならないように、景気の回復に最大限努力してまいる決意であります。
 そして、大規模な制度減税についての御意見がございました。
 政府は、特別減税を行いますとともに、金融システム安定化のための公的資金の活用など措置を講じておりますこと、御承知のとおりであり、これは、アジアの通貨・金融不安や金融機関の経営破綻が生じている状況に適切に対応することといたしております。
 御指摘のような大規模減税、これは、我が国の租税負担率が欧州諸国に比べかなり低い水準にあります中で、税負担のあり方として問題があると考えております。
 私自身に対する御忠告は、ありがたくちょうだいをいたしておきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○副議長(渡部恒三君) 矢島恒夫君。
    〔矢島恒夫君登壇〕
#21
○矢島恒夫君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました減税関連法案について質問いたします。
 今日の深刻な不況は、消費税増税を初めとする九兆円負担増に最大の原因があったことは、今では政府の白書も認める国民的常識であります。
 日本共産党は、景気の二大主役というべき個人消費と中小企業の回復がおくれているもとで巨額の国民負担増を強行すれば、景気は底割れし、日本経済のかじ取りを誤ることになると繰り返し警告してきました。ところが、橋本内閣は、この警告を無視しただけではなく、社会保障を初めとする国民生活関連予算大幅削減の悪法、財政構造改革法を強行して、さらに消費を冷え込ませました。こうした経済運営がいかに間違っていたかは、財政改革を理由に拒み続けてきた特別減税を、総理自身の突然の年末決断で実施せざるを得なくなったことで明白になったのではありませんか。
 我が党は、五兆円の消費税減税と恒久的な二兆円の所得減税、計七兆円の減税を提案しております。ところが、政府の提案は、九八年に限った減税措置でしかありません。なぜ九八年限りなのですか。これだけ消費不況がはっきりしているではありませんか。なぜ継続することができないのですか。明確な答弁を求めます。
 首相は、予算委員会で、継続しないでも大丈夫な経済状態にしたいなどと楽観論を繰り返しただけで、具体的な根拠は何ら示し得ませんでした。マスコミによる最新の世論調査でも、景気は橋本内閣のもとでは「回復しない」が七二%にも達しています。こうした声に橋本首相はどうこたえますか。アメリカのウォールストリート・ジャーナルも、「小さ過ぎ、遅過ぎる」「財政赤字だけ膨らませるおそれがある」と社説で指摘しています。継続しないでも大丈夫な経済状態にしたいなどと楽観できる証拠は何ですか。はっきりと答えていただきたい。(拍手)
 次に、消費税問題について質問します。
 日本共産党が代表質問で三%に引き下げるべきと質問したのに対して、首相は、真に必要な改革であった、税負担のあり方としても問題があるなどと、引き下げ拒否を言明しました。しかし、消費税増税が消費者の購買意欲を急速に冷え込ませた最大の原因であったことについては何も答えていません。九兆円負担増のうち、五兆円が消費税五%への大増税です。これをそのままにして、景気回復の最大の柱である個人消費の回復をどうして期待できるのですか。三%に引き戻す消費税減税こそ、個人消費回復の最も有効な手だてではありませんか。首相の明確な答弁を求めるものであります。
 次に、大銀行支援の三十兆円投入計画についてであります。
 一昨年の住専国会で、政府は、公的資金は住専と信用組合までとし、一般金融機関は金融業界の共同の責任で処理し、税金は一切使わないと公約したのであります。十三日の本会議で、我が党の志位書記局長が、この公約をほごにするのかどうか、政府の責任ある答弁を求めたにもかかわらず、首相は、日本発の金融恐慌を起こさないなどという言い方で、まともに答弁しませんでした。国会と国民に対して明確に約束した問題について、もしこれを変更するというのなら、政府としての統一した見解を示して、それなりの責任を明確にすることが議会制民主主義の本筋ではないですか。責任ある答弁を求めます。
 今、国民は、懐を直接温める大幅減税、阪神大震災の被災者への公的支援こそ待ち望んでいるのであります。ところが、政府がやろうとしていることは体力ある大銀行への支援策であり、全く逆立ちしたものと言わざるを得ません。
 私は、三十兆円投入計画を撤回し、この特別減税を来年以降も継続する、その決断を強く求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 矢島議員にお答えを申し上げます。
 まず、経済運営についての御意見がございました。
 今回の特別減税は、アジアの通貨・金融不安や我が国金融機関の経営問題などの影響により、家計、企業の景況感の悪化が見られる中で、日本発の経済恐慌は決して起こさないという決意のもと、実施することといたしました。
 昨年の消費税率の引き上げや財政構造改革の推進などの諸施策は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化や危機的な財政状況などに対する対応措置であり、適切なものであったと考えております。
 また、二兆円減税を継続すべきだという御意見をいただきました。
 アジアの状況も考えた上、ぎりぎりの対策として二兆円の特別減税を行うこととしたものでありまして、これが平成十一年度以降も必要となるような状況にならないように、最大限の努力をしていきたいと考えております。
 また、景気回復についてのお尋ねがございました。
 金融システムへの信頼低下など、現下の経済金融情勢にかんがみ、この特別減税を含む予算、税制面の措置、また金融システム安定化のための公的資金の活用など、財政、金融両面にわたる幅広い措置を講ずることとしており、こうしたさまざまな取り組みなどのすべてが相乗効果をもって我が国経済の力強い回復をもたらすと考えています。
 楽観という言葉をお使いになりましたが、楽観していないからこそ、一日も早い成立をとお願いを申し上げておるわけであります。
 次に、消費税についてのお尋ねがありました。
 昨年四月の消費税率の引き上げは、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に対応した税制改革の一環として行われたものでありまして、我が国の将来にとって極めて重要な改革だったと考えております。したがって、消費税率を三%に引き下げることはとり得ないと考えます。
 最後に、今回の公的資金導入は公約違反ではないかというお尋ねがありました。
 住専処理といわゆる金融三法の制定当時におきましては、信用組合の破綻が相次いで発生していたことなどを踏まえ、住専と信用組合の破綻処理について公的資金を伴う措置を行いました。その後、一般の金融機関まで相次いで破綻が発生し、預金者に不安と動揺が広がるとともに、我が国の金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎかねない状況に立ち至り、こうした金融危機的状況に対処して、政府として、預金者の保護と金融システム安定化のために断固たる対応をとることが我が国の国益にかない、また責務であると考えまして、今回の緊急対策を御提案申し上げている次第でありまして、各位の御理解をお願い申し上げます。(拍手)
#23
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#24
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十二分散会


ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト