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#1
第142回国会 本会議 第8号
平成十年二月五日(木曜日)
    ―――――――――――――
  平成十年二月五日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 橋本内閣総理大臣の大蔵省不祥事に関する中間報告及び質疑

    午後一時三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(大蔵省不祥事に関する中間報告)
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 内閣総理大臣から、大蔵省不祥事に関する中間報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣橋本龍太郎君。
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#4
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 去る一月二十六日、大蔵省大臣官房金融検査部に所属する職員二名が収賄の容疑で逮捕され、大蔵省に強制捜査が入りました。
 このような事態は、大蔵省、ひいては公務員全体に対する信頼を著しく傷つけるものであり、まことに遺憾であります。今回の事態を厳粛に受けとめ、皆様に心よりおわびを申し上げます。
 まず、事実関係について御説明いたします。
 金融証券検査官室長宮川宏一に対する被疑事実の要旨は、金融検査部による検査に関し、便宜な取り計らいを受けたいなどの趣旨のもとに、あさひ銀行総合企画部次長らから十八回にわたる代金合計約百八十万円相当の接待等の供与を受けるとともに、マンションの一室を購入した際、四百四十万円の値引きを受け、同額の利益の供与を受け、また、第一勧業銀行企画部副調査役らから十七回にわたる代金合計約七十九万円相当の接待等の供与を受け、もって自己の職務に関して収賄したものであると聞いております。
 金融検査部管理課課長補佐谷内敏美に対する被疑事実の要旨は、前同様の趣旨のもとに、三和銀行企画部部長代理らから四十回にわたる代金合計約百六十一万円相当の接待等の供与を受けるとともに、六回にわたり、被疑者の飲食代金合計約二十五万円を支払わせて同額の利益の供与を受け、また、北海道拓殖銀行顧問らから十二回にわたる代金合計約三十九万円相当の接待などの供与を受け、もって自己の職務に関して収賄したものであると聞いております。
 本件については、今後、捜査当局の捜査状況も踏まえつつ、徹底的に事実関係を明らかにし、被疑者に対する行政処分はもちろんのこと、関係監督者に対する処分についても厳正に行わせます。
 また、私はこれまで、いわゆる公務員倫理法が必要とならないように、公務員倫理規程によって公務員がみずからの行動をきちんと律してくれるものと信じていましたが、今回の事件で倫理規程だけでは完全に徹底できないことが明らかになったのは極めて残念であります。したがって、この際、公務員の不祥事を根絶するための抜本的な対策として、公務員倫理に関する法制化等の検討を官房副長官に指示したところであり、二月二日、政府部内に公務員倫理問題に関する検討委員会を設け、第一回会合を開催したところであります。早急に作業を進めてまいりたいと考えております。
 公務員諸君には、今回のような事態に至った原因について深く思いをいたし、みずからの行動を省みて襟を正し、国民全体の奉仕者として、使命感を持ってそれぞれの部署で勤務に全力を尽くすよう改めて強く求めたいと思います。
 さらに、大蔵省出身の道路公団理事が逮捕された事件を契機として、退職した公務員のモラルのあり方やいわゆる天下り問題について御批判があることも承知しております。そこで、先般、官房長官を通じ、天下り問題を含めた公務員制度の見直しについて、関係機関に対し速やかな検討を指示したところであります。
 なお、大蔵省においては、今回の事件への反省を踏まえ、綱紀の保持を徹底するため、新たに金融服務監査官を大臣官房に設置したところでありますが、金融関連部局の職員と金融機関の関係について、徹底した内部調査を実施させるよう指示いたしました。
 金融服務監査官は、民間の金融機関等の検査・監督に従事する職員について、綱紀の保持状況の監視、調査を行うほか、弁護士に顧問を委嘱し助言を求めることとされており、この制度の活用により、綱紀の保持の一層の徹底が図られるものと期待しております。
 内部調査については、できるだけ速やかに結果を取りまとめ、その結果、問題のある者及び関係監督者については、厳正な処分を行わせます。
 さらに、この際、金融行政に対する信頼を回復するため、検査体制、行政手法などに関し抜本的な改革を進めてまいります。
 金融検査については、検査の基本的あり方を転換し、厳正で実効性ある検査体制、手法を確立するため、早期是正措置の導入を契機として、金融機関による自己査定を前提としつつ、事後的なルール遵守状況等の把握に重点を置いた新たな金融検査のあり方の検討を進めるとともに、民間専門家の登用、研修の強化充実、主要国監督当局との人材交流等について検討を進めていくと聞いており、今後、早急に具体策を取りまとめ、実施を図らせることといたします。
 また、金融行政は明確なルールに沿った透明性の高い手法に移行しつつありますが、こうした中で、さらに、金融機関から意見を聴取したり、行政の考え方を説明するため、定例の金融連絡会を新たに設置します。これは、いわゆるMOF担の存在を必要としない行政に転換するとともに、行政の透明性を確保するための措置であります。
 以上、概要を御報告いたしましたが、大蔵省の担当する業務は、国民の生活に多大な影響を与えるものであります。それだけに、国民の大蔵省に対する見方も大変厳しいものがあります。職員一人一人がそのことを深く自覚し、今回の事件を教訓として、みずからを厳しく律していく必要があると考えます。
 そして、松永新大臣のもと、綱紀粛正の徹底を図るとともに、改革を大胆かつ速やかに実施し、国民の皆様に信頼される新しい大蔵省をつくり上げるために、職員一同、死に物狂いで努力しなければなりません。
 私としても、皆様の御協力も賜りながら、行政への信頼回復に全力を尽くしてまいりたいと考えております。(拍手)
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(大蔵省不祥事に関する中間報告)に対する質疑
#5
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。稲葉大和君。
    〔稲葉大和君登壇〕
#6
○稲葉大和君 自由民主党の稲葉大和であります。ただいま、大蔵省の不祥事に関する橋本総理の御報告を承り、自由民主党、社会民主党・市民連合並びに新党さきがけを代表して、総理並びに大蔵大臣に御質問いたします。
 去る一月二十六日、大蔵省の金融検査部の職員二人が収賄の容疑により逮捕され、大蔵省に東京地検の強制捜査が入ったことは、大蔵省のみならず行政全体に対する国民の信頼を著しく損なうものであります。
 今回の事件は、金融機関に対する検査が官民のなれ合いのもとで行われていると同時に、一連の金融破綻や金融不祥事について検査が有効に機能していなかったと申し上げてもあながち誤りではありません。善良なる市民は、大きな憤りを持って、政府がどのように今回の事件に対処するのか注目しております。
 大蔵省は、深く反省し、総ざんげという気持ちを持って、このような事態が二度と起こることのないよう綱紀の保持の一層の徹底を図るとともに、透明性のある行政運営に邁進し、国民の皆さんの信頼を回復すべく全力を尽くさなければなりません。
 このような事態に至った責任をとって三塚前大蔵大臣が辞任し、新たに松永大臣が御就任されましたが、この事態をどう受けとめ、どのように対応していくのか、総理と大蔵大臣の御見解をお伺いいたします。
 事件についてはいまだ東京地検において捜査中でありますが、逮捕された職員に対する行政処分及びこれらの者に対する監督者の責任についてはどのような形で明らかにするおつもりなのかお聞かせください。
 さらに、今回の事件のみならず、大蔵省の金融関連部局と金融機関等の役職員との関係について、さまざまな疑惑が取りざたされております。この際、直ちに全容を解明して、その結果を国民の皆さんに明らかにすることが大蔵省の責務であると考えますが、総理並びに大蔵大臣はいかがお考えでしょうか。
 大蔵省は、今回逮捕された検査官についても内部調査を行ったようでありますが、実態を把握できませんでした。これまでのような内部調査では不十分なのであります。しっかりとした内部チェックシステムを確立することにより、綱紀粛正を図り、職員による不祥事を未然に防止する必要があります。
 大蔵省は、今回の事態に当たり新たな監督制度を導入したようですが、その概要はどのようなものなのか、具体的にどのような役割を担うものなのかお示し下さい。
 その際、外部の者によるチェックを受けられるような仕組みはどのようになっているのか、御答弁願います。
 また、金融機関の検査・監督については、本年六月に新設される金融監督庁に移管されることになっていますが、監督庁における監督制度はどのようなものでしょうか。
 金融、財政の分離について与党内での意見がありますが、総理はその点をどのようにお考えでしょうか。
 さらに、綱紀粛正を徹底する観点から、将来的には、大蔵省で設けた服務監察官制度を、その機能、権限を強化して、各省庁すべてを統括する独立機関として新たに設けてはいかがでしょうか。総理並びに大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 いずれにせよ、しっかりとした制度を構築し、行政に対する国民の皆さんの信頼を取り戻すよう最大限の努力を払ってください。
 政府・与党においては、今回の事態を踏まえて、公務員倫理について公務員倫理法制定に向けた動きもありますが、この点についてはどのようにお考えなのか、総理にお尋ねいたします。
 今回大蔵省の職員が逮捕されたことは、本来厳正に行われるべき金融検査に対する信頼を著しく損なうものであります。金融検査については、これまでも、第一勧業銀行の総会屋への融資や山一証券の簿外債務が発見できなかったことが批判されてきております。今回の事件をも踏まえ、この際、金融検査のあり方を抜本的に見直し、厳正で実効性ある検査体制、手法の確立こそが緊急の課題であります。
 例えば、今回の事件では、本来抜き打ちに行われるべき検査日程が事前に漏えいされたことが問題となっております。
 金融行政については、これまでは、いわゆるMOF担当と呼ばれる担当者が行政当局の担当者との間で個別的な意思の疎通を図り、情報を収集するといった不透明な関係が現存し、それが大蔵省との癒着体質をつくり出し、護送船団行政とか密室行政とか言われるような批判の根源となっております。このようなもたれ合いの体質を根絶するには、行政当局の者がMOF担当に対し予告通知をしてから検査を行うというようなことは絶対にやめさせなければなりません。今後、効果的、効率的な金融検査制度を確立するため、どのような方策を講じられるのか、その御所見をお伺いいたします。
 今後は、新たな時代に対応した自己責任原則と市場規律にのっとった金融機関経営を前提とし、明確なルールに沿った透明性の高い行政手法をとっていかなければなりません。
 他方、例えば、個別金融機関の破綻処理といった課題に対応しつつ、金融システムの諸制度の改革などを進めていくためには、金融機関と行政当局の間で適切な情報開示がなされるべきことは当然です。
 このような要請を満たしつつ、いわゆるMOF担当の存在の必要のない透明性の高い行政に転換していくにはどのような手だてが可能であるのか、総理並びに大蔵大臣のお考えをお聞かせください。
 今回のような事態に至ったその根底には、お中元、お歳暮等の社交的な贈答品授受の習慣があり、それゆえに、日常的な社会通念上認められるような贈答品に対して官僚は安直になり過ぎております。しかしながら、それが儀礼的な日本の習慣にかなうものであっても、公務員の職務に関して行われた場合にはわいろとなります。にもかかわらず、公務員の職務に対しての中立性、社会からの信頼性を損なうに至るまでの接待を限りなく受けていたのであります。
 また、官庁の中の官庁とも言われている大蔵省の職員は、広範囲にわたるその職務権限の上にあぐらをかいてきたのであります。この際、行政機構全般に対してはもちろんですが、とりわけ大蔵省の機構には抜本的な改革のメスを入れ、二度と再びこのような事態が生じないように万全を期すことは、政治の責任でもあります。
 快刀乱麻を断つがごとくの総理の腕前に大いに期待しつつ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 稲葉議員にお答えを申し上げます。
 まず、大蔵省職員が収賄容疑で逮捕されたことについてどう受けとめるかという御指摘をいただきました。
 本件については、まことに残念でありますし、遺憾な事態であり、今回の事態を厳粛に受けとめて、心からおわびを申し上げます。
 今後、徹底的に原因を解明し、その結果を公表するとともに、被疑者に対する行政処分はもちろんのことですが、関係監督者に対しまする処分についても厳正に行わせます。
 大蔵省として今回の事件を深く反省し、綱紀の保持に努めることはもちろんのことでありますが、金融行政を明確なルールに沿った透明性の高いものに転換するなどの大改革が必要であり、職員一同、自覚を新たにし、一丸となって、国民の信頼を回復するために、松永大臣の指揮のもとに大蔵改革に取り組んでいかなければならないと考えております。
 また、省内調査についてのお尋ねがございました。
 現在、金融検査部、銀行局、証券局などの金融関連部局に在職しておりました職員につき、過去五年間にさかのぼって、金融機関等との関係についての調査を行っております。
 調査対象者は五百五十名を上回る上、地方あるいは海外勤務者もおります。このような大規模な調査は今まで実施をしたこともありませんので、どのぐらいの期間がかかるか確たることは聞いておりませんが、できるだけ早期にこの結果を取りまとめ、公表されるものと考えております。
 また、金融監督庁における監査制度についてもお尋ねがありました。
 金融監督庁におきましても、綱紀の厳正な保持に努め、金融機関の検査・監督に対する国民の信頼を確保していく観点から、服務監査制度の整備を含め、具体的な綱紀保持策について真剣な検討が行われるべきものだと考えております。
 また、財政と金融の分離問題についてお尋ねがございました。
 この問題につきましては、先般、与党間でまとめられました合意、これ自身、与党三党間で誠心誠意御論議を尽くされた結果と承知をしておりまして、政府は、これを重く受けとめ、現在、鋭意作成作業を進めております中央省庁再編等のための基本法案にその内容を忠実に盛り込むこととしております。
 また、公務員の綱紀粛正を徹底する観点から、その服務監察官制度を各省庁すべてを統括する独立機関として設けてはどうかという御提案をいただきました。
 去る二日、政府部内に、公務員倫理問題に関する検討委員会を設けまして、公務員倫理に関する法制化などの検討を始めました。その内容については今後の検討にゆだねられますけれども、綱紀の保持の実効性を確保するための方策につきましても幅広い検討をしていくものと思います。
 なお、独立した監察組織を有している省庁は既にございますし、捜査権限を付与され、服務の監察を行っております者は、警察庁長官官房首席監察官、国税庁長官官房監察官、郵政省大臣官房首席監察官、これらは捜査権限までを付与されております。また、捜査権限は付与されておりませんが、専ら服務の監察を行っております者としては、海上保安庁総務部首席監察官、大蔵省財務局監察官、あるいは大蔵省税関監察官等が既にあることも申し添えたいと思います。
 公務員倫理法の制定についてお尋ねがありました。
 先刻申し上げましたとおり、政府は、公務員倫理に関する法制化等の検討を開始したところであり、与党三党とも連携をとりながら、早急に作業を進めたいと考えております。
 次に、金融行政の手法についてのお尋ねがございました。
 今、金融行政は、明確なルールに沿った透明性の高い手法に移行しつつあるわけであります。こうした中で、さらに、金融機関から意見を聴取したり、行政の考え方を説明するために定例の金融連絡会を新たに設置をいたします。これは、いわゆるMOF担の存在を必要としない行政に転換をしていきますとともに、行政の透明性を確保するための措置であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#8
○国務大臣(松永光君) 稲葉議員にお答えいたします。
 今回の事態をどう受けとめ、行政処分等をどのように行うかのお尋ねでございますが、本件についてはまことに申しわけないことであり、今回の事態を厳正に受けとめ、おわびを申し上げるものであります。そして、どうして今回のような不祥事が起こったのか、その原因を徹底的に解明して、その結果を公表するとともに、被疑者に対する行政処分はもちろんのこと、関係監督者に対する処分についても厳正に行う所存であります。
 このため、新たに設置された金融服務監査官を最大限に活用するとともに、いわゆるMOF担の存在を必要としない、そういう行政に転換し、行政の透明性の確保を図ってまいりたい、こう考えているところであります。
 次に、省内調査に関するお尋ねですが、現在、金融関連部局に過去五年間にわたって在職した者約五百五十名、これにつきまして、大規模な調査を今実施中であります。そして、できるだけ早くその調査を終えて結果を公表したい、そう考えております。
 新たな監査制度についてのお尋ねですが、今回、金融検査部幹部の逮捕という事態を踏まえて、新たに金融服務監査官室が設置されたところであります。金融服務監査官は、民間金融機関等の検査・監督に従事する職員の服務に関し、みずから積極的に情報の収集、そして分析、職員の身上把握等を行い、非行事件の未然防止を図るとともに、非行事件が発生した場合には、調査に当たり、必要な処分を行うことについての助言を行うことになっております。また、外部の意見を踏まえて厳正な活動を行うという立場から、弁護士を顧問に委嘱して助言を求めることにいたしております。
 さらに、金融服務監査官は、綱紀の保持に関する問題を把握した場合には、大蔵省全体の綱紀の保持の徹底のために設置されておる紀律保持委員会の開催を求めるとともに、同委員会に出席して意見を述べることができることになっております。
 なお、金融監督庁の設置に伴い、金融機関等の検査・監督権限は金融監督庁に移管されることになりますが、金融監督庁における監査制度については、総理府において検討さるべき事項でありますが、綱紀保持の徹底のために適切な方策がとられるものと思料いたしております。
 効果的、そして効率的な金融検査の確立の方策についてのお尋ねですが、今回の事件を踏まえて、早期是正措置の導入を契機として、金融機関による自己査定を前提としつつ、また、事後的なルール遵守状況等の把握に重点を置いた新たな金融検査のあり方の検討を進めるとともに、グローバルスタンダードにのっとり、国際化、高度化の著しい金融取引等を的確に把握するため、民間の専門家の登用、研修の強化充実、主要国監督当局との人材交流について検討を進め、早急に具体的方策を取りまとめて実施してまいります。
 金融機関と行政当局との間の情報交換に関する点でございますが、総理からも答弁がありましたように、当局と金融機関との間の意思疎通のあり方を見直して、新たに定例の金融連絡会を設置して、いわゆるMOF担の存在を必要としない行政への転換を進め、行政の透明性確保に努めてまいりたいと思います。
 最後に、大蔵改革に取り組む決意についてのお尋ねですが、私は、今回の事件を重大に受けとめ、深く反省するとともに、綱紀粛正の徹底に努めますとともに、金融行政を明確なルールに沿った透明性の高いものに転換する等の大改革を大胆かつ速やかに実施し、国民の皆様に信頼される新しい大蔵省をつくり上げるために、職員とともに死に物狂いで努力してまいる決意であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(伊藤宗一郎君) 上田清司君。
    〔上田清司君登壇〕
#10
○上田清司君 私は、民友連を代表いたしまして、ただいま報告のありました大蔵省不祥事に関する中間報告に関し、質問をいたします。
 総理は、去る一月十二日の経済演説におきまして、金融システムに対する内外の信頼の低下を憂い、万全の対策を講じ、金融システムを断固として守るという決意を表明されました。そして、金融の根本は信頼であるということを述べられたのであります。まさしく金融政策を監督指導する大蔵省への信頼はその前提となるものであります。
 私は、一月二十日の本会議で、大蔵省は灰色高官の養成所になっているのではないかと申し上げました。事実そのとおりになっているように思います。率直な国民の声は、こんな大蔵省に国の経済や国民の税金は任せられないというものであります。今回の不祥事に対して、総理はどのように国民の批判を受けとめ、みずからの責任をとろうとされているのか、まずお伺いをいたします。ただ大蔵大臣を辞任させて事足れりというような問題ではないと思います。大蔵省そのものの構造、体質、運営が問われているのであります。真相の究明に対する総理の決意をお伺いいたします。
 今お聞きした大蔵省不祥事に関する中間報告では、深刻に受けとめ、徹底した真相究明をしようという熱意と迫力が見られません。
 大蔵省の金融検査官は、検査の対象となる銀行や証券会社から常識を超えた接待を受け、収賄容疑で現職の検査官が逮捕されるという前代未聞の不祥事が明らかになりました。接待を受けていた大蔵官僚は、証券局、銀行局のかなり広範囲に及んでおり、常識を超えた高額の接待を受けていたというのであります。接待を受けた検査官は、検査の日時を事前に漏らしたり、不良債権の分類などで事前に内容を話していたという事実も明らかにされているのであります。検査する方が検査を受ける方から接待を受けるというのでは、なれ合い検査、手抜き検査になることは必然であります。これで適正な検査が可能と言えるでしょうか。
 こうした不明朗な官民の癒着は、決して一時的に起こったものではなく、しかも一部の者が引き起こした不祥事というものではありません。大蔵省の長年の慢性的な汚職体質が表面化したのであるというふうに断言できるのであります。私は、まず総理と大蔵大臣に対し、今回の事件が官僚の構造的な汚職体質から発生した事件であるという認識を持っておられるかどうかを明らかにしていただきたいと思います。
 我が会派の同僚議員が、去る一月十九日、この問題を予算委員会で取り上げました。その際、三塚大蔵大臣は、平成七年の五月に綱紀粛正の通達を出してあります、なお、一昨年、すなわち平成八年の十二月、さらに通達を倫理規程という形に変えて、外部の皆様との接触、会食についての禁止等について厳しく厳命をいたしたところであります、一昨年の倫理規程後、さようなことは全くないということでした、また、調査をした結果そういう行き過ぎた事実は認められていませんでした、法に触れるようなことはないという報告であると明確に報告を受けておりますと述べておられます。
 要するに、総理や大蔵大臣に、大蔵官僚は全く虚偽の報告をしていたということではないでしょうか。逆に言えば、総理や大蔵大臣は、大蔵官僚の監督は何もできないし、何もわからない。ただ報告をうのみにするだけという仕組みになっていると言わざるを得ません。この点に関して、総理の認識を明らかにしていただきたいと思います。
 また、虚偽の報告に対する内部の処分はどのようにされたのか、またされるのか、具体的に答弁をしていただきたいと思います。
 昨年の七月、第一勧業銀行に対する一九九四年の検査を実施した前後に、当時の管理課長と上席検査官が、ゴルフや飲食の接待を受けていたとして戒告処分を受けました。処分当時の監督責任者と事実が起こったときの監督責任者はいかなる処分と責任を負ったのかを明らかにしていただきたいと思います。また、二年前には、大蔵省の当時の主計局次長と東京税関長が、東京の信用組合の元理事長から過剰な接待を受け、訓告処分を受けたこともまだ記憶に新しいところであります。この事件に関し、真相も十分に究明されず、処分も軽過ぎたのではないかという指摘がありますが、改めてこの訓告処分が適切であったのかどうか、総理、大蔵大臣の御判断をお聞きしたいと思います。
 表面に出てきただけでも相当な問題があります。ましてや表面化しない業界との癒着、犯罪に至らない不当な行為は数限りないということは容易に予想されるのではありませんか。再三にわたってこうした問題が起こったにもかかわらず、大蔵省の姿勢は全く反省も見られません。さらに、事件の教訓が全く生かされておらず、接待を受けることが当たり前のこととして、見つかったのはたまたま運が悪かったというような、国民を恐れぬ思い上がった姿勢が今日の構造的な腐敗を招いたことは明らかであります。
 こうした実態について、総理はどのように認識されているか、国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 景気の長期低迷が続いている中で、昨年は消費税が強行採決で二%引き上げられました。また、特別減税は打ち切られ、さらに医療費が値上げされ、国民の負担増は実に九兆円に上っております。しかも加えて、雇用不安、低金利、老後への不安など、国民の生活は困難をきわめ、じっと辛抱し、毎日を頑張っているのであります。しかし、国民のとうとい税金を預かり、税金を配分する大蔵省の高官が汚職にまみれていたのでは、国民は全く浮かばれません。失われた信頼を回復するためには、まず総理が責任を明確にすることが第一であると考えますが、総理はどのような責任をおとりになるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 大蔵省の構造汚職問題をあいまいにしたまま、いわゆる金融二法に係る三十兆円の公的資金の導入、突き詰めれば国民の負担になるわけですが、このことも説得力がありませんし、また、平成十年度予算の審議を行うことは国民に理解を得られない、このように考えます。さらに、約二十八兆にも上る旧国鉄の債務を国民に負担してくれとどうして言えるのか、銀行の貸し渋りで経営難に陥っている中小企業にどのような説明ができるのか、このことについて総理の御所見を伺います。
 さて、具体的な問題について若干お伺いします。
 第一に、今回の汚職事件の真相の究明はどのような手段で実施されようとしているのでしょうか、具体的な御説明をお願いいたします。また、いつまでにどのような形で国会に報告するつもりなのかも明らかにしていただきたいと思います。私は、接待を受けた者の実名、接待の内容と接待者を場合によっては明らかにすべきだと思いますが、総理はどうお考えでしょうか。
 昨年夏の大蔵省金融検査部の内部調査は、全体を調査したと説明しておきながら、実際は一割の職員しか調査していなかったという実態も伝えられておりますが、余りにもいいかげんな調査の仕方ではありませんか。事実関係はいかがであったのか、御答弁をいただきたいと思います。
 第二に、日常的な業者との癒着によって、これまで行政がゆがめられたという事実はなかったのかどうか、国民の前に明らかにすべきであります。
 例えば、北海道拓殖銀行等の検査、不良債権の内容について、その検査が不十分なために金融機関の実態把握がおくれ、十分な監督業務を果たしていなかったのではないかという疑問に対しても調査を改めてすべきであります。
 昨日の大蔵委員会におきまして、参考人として出席した松野元証券局長は、山一証券の飛ばしについて、早い段階から相談を受けていたこと、さらに事実上黙認していたことを明らかにしております。この問題に対する橋本総理の、調査したが、なかったという一月十三日の菅民主党代表の質問に対する国会答弁とは大きな食い違いがあります。本会議での答弁の重さを何と考えるのか。この点についても改めて明らかにしていただきたいと思います。
 第三に、大蔵行政の信頼を失墜させたのは何も現在の幹部だけにとどまるものではありません。これまで多くの高級幹部が金融界に天下りし、業界との癒着が言われているのでありますが、過去にさかのぼって実態について調査をし、国会に報告することを要求したいと思います。
 第四に、平成八年末に厚生省の汚職事件が起きたとき、公務員倫理法の制定の動きがあったにもかかわらず、お茶を濁して倫理法をつくろうとしませんでした。今回、国民の間からこれだけ怒りの声が高まって初めて法案の策定に動き出しておりますが、我々は既に公務員倫理法の提出を準備しておりますが、ぜひとも早急に成立させることを国民に約束していただきたいと思います。そして、この問題についての見通しが甘かったことについても反省をしていただきたいと思います。
 第五に、金融と財政の分離は早急に実施することは当然であります。この点についても総理のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
 次に、新井将敬氏の問題についてであります。
 平成十年度本予算の審議を前に、与党の新井将敬氏が約一年半にわたって大手の証券会社日興証券から株などの違法な一任勘定で借名口座を開設し、四千百万円の利益を受けていたことが既に明らかになっています。政治家が総会屋と同じ手口である利益のつけかえによって不当な利益を得ていたという事実は、国会として看過できない問題であります。
 さきに、予算委員会において新井氏のほか日興証券関係者二名が参考人として招致され、質疑が行われましたが、不明朗な実態は十分解明されず、疑惑は一段と深くなったというべきであります。この問題も政治に対する国民の信頼を損なう重要な問題であり、国会の責任において徹底的に真相を究明し、政治的、道義的な責任を明らかにすべきだというふうに思います。
 こうした立場から、我々は、新井氏並びに日興証券関係幹部三名を予算委員会での証人喚問を行うことを強く要求しているところであります。総理並びに与党の御協力を強く要求しておきたいと思います。
 また、この問題に対し総理並びに大蔵大臣は、日興証券に対し、監督する立場から事実関係を調査し、国会に報告すべきだと思いますが、大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
 私は、この際、もう一つの問題について言及したいと思います。それは、昨年来の国会で懸案になっている泉井疑惑に対する自民党の山崎政調会長の証人喚問についてであります。
 既に泉井氏の証人喚問は行われ、山崎氏の疑惑は一段と深まっております。民間人は簡単に証人喚問をし、疑惑の政治家はなかなか証人喚問に応じないということでは、国民の政治家に対する不信は高まるばかりであります。(拍手)ましてや政治家は、原則非公開の政治倫理審査会を駆け込み寺としているという批判が既に起こっています。山崎氏はみずから証人として証言し、国民が納得できる説明を行うべきであります。
 今、橋本内閣の支持率は低下の一途をたどり、政治や行政に対する国民の深い憤りと不信が高まっております。これを取り除き、信頼を回復することが政治に課せられた最優先の課題であることを申し上げます。
 最後に、今後、政府高官が一名でも逮捕されるような事態があれば、総理はどのような責任をとられるのかを伺って、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 上田議員にお答えを申し上げます。
 まず、今回の大蔵省疑惑の真相解明に対する私自身の決意というお尋ねがございました。
 行政の信頼を国民から回復するため努力をすることが私の責任でありますし、今回の事件についても徹底的に事実関係を解明していき、再発防止のために必要な対策を講じるつもりであります。
 また、官僚機構が信頼を失っている現実への所信というお尋ねがございました。
 後ほどまた改めて触れますけれども、倫理規程だけでは公務員の行動をきちんと律することができない、これが明らかになったことを私は本当に残念に思います。そのため、公務員の不祥事を根絶するための抜本的な対策として、公務員倫理に関する法制化などの検討を既に指示したところであり、政府部内に設置いたしました公務員倫理問題に関する検討委員会などを通じ早急に作業を進めてまいります。
 また、今回の事件は大蔵省の構造的な汚職体質である、そういう認識を持っているかというお尋ねがありました。
 この事件は本当に遺憾でありますし、厳粛に受けとめております。同時に、基本的には、私は、まず本人の倫理観の著しい欠如によるものではありますけれども、大蔵省として今回の事件を深く反省し、綱紀の保持に努めることはもちろんでありますが、金融行政を明確なルールに沿った透明性の高いものに転換するなどの大改革が必要であり、職員一同自覚を新たにし、一丸となって、国民に対する信頼の回復のために、松永大臣の指揮のもと、大蔵改革に取り組んでいかなければならないと考えております。
 大蔵省を初めとする各省庁の公務員諸君が、今回のような事態に至った原因について深く思いをいたし、みずからの行動を省みて襟を正し、国民全体の奉仕者として使命感を持って、それぞれの部署で勤務に全力を尽くすことを改めて求めたいと思います。
 また、虚偽の報告をしても何もわからない仕組みでは大蔵官僚の監督はできないのではないかという御意見をいただきました。
 今、公務員倫理法についてはその必要性を痛感し、作業を急がせておりますし、大蔵省自身が今回の事件の反省を踏まえて金融服務監査官を設置し、綱紀の保持状況の監視体制の強化を図ったところであると承知をしております。
 次に、昨年七月の第一勧業銀行に対する処分についてのお尋ねがございました。
 検査官が接待を受けておりました当時の官房長である小村前事務次官に対し、大蔵大臣から文書厳重注意処分が行われたと聞いております。
 また、二年前、当時の主計局次長と東京税関長が処分を受けた件について、真相解明が不十分ではないか、処分も軽過ぎたのではないかという御指摘を受けました。
 この問題は、私的な交際の問題とはいいながら、東京協和信用組合の高橋理事長から供応を受けたことなどにより、社会的批判を受けるに至ったことについて関係者に自戒を促すために、当時、大蔵大臣から、平成七年三月に田谷、中島本人及び監督者に対し、また同年九月、監督者に対して処分が行われたと聞いております。
 田谷につきましては、訓告処分とするとともに東京税関長から更迭し、大臣官房付としたところであり、その後、七年十二月に辞職をいたしました。
 中島につきましては、訓告処分といたしましたが、その後、七月二十八日に漢方薬に関する契約書に署名していた問題が発覚したため、大臣官房付に更迭し、同日辞職をいたしました。
 中島につきましては、さらに、外部の人間から資金提供を受け、資金運用を行っていたことが辞職後に明らかになりましたが、在職時の事情聴取においては、本人はこれらのことは全く陳述をせず、把握できなかったと聞いております。このため、監督責任として、同年九月八日に篠沢元事務次官を減給処分としたほか、二名についても厳正な処分を行ったと報告を受けております。
 次に、大蔵省の表面化しない業界との癒着、犯罪に至らない不当行為が数限りなくあるという御指摘をいただきました。
 私は、大蔵省は、今回の事件を深く反省し、綱紀の保持に努めることは当然のこととして、金融行政を明確なルールに沿った透明性の高いものに転換するなどの大改革が必要だと考えておりますし、職員一同自覚を新たにし、一丸となって国民の信頼を回復するためにも、松永大臣のもとにおいて大蔵改革に取り組んでいくと考えております。
 なお、現在、金融関連部局に過去五年以内に在籍していた職員に対する内部調査を行っており、できる限り早くその調査結果を取りまとめ、厳正な処分を行わせます。
 失われた政治、行政への信頼の回復のためにお前の責任はどうかという御意見もありました。
 今回の事件について徹底的に事実関係を明らかにしていくこと、再発防止のために的確な対策を講ずること、それが私の役割だと思います。そして、御指摘がありました税金の問題を含めまして、大蔵省の担当する業務は国民生活に重大な影響を与えるものばかりでありますし、それだけ国民の大蔵省に対する見方も大変厳しいものがあります。その職員が、そのことを深く自覚して、今回の事件を教訓としてみずからを厳しく律する必要があると思います。
 同時に、今回の汚職問題と予算及び金融二法の御審議についての御指摘もございました。
 不祥事件につきましては、大蔵省の内部調査は調査として当然進行させていくわけでありますが、同時に、捜査当局の捜査も進行中であります。その結果を踏まえて厳正に対処してまいりたいと考えておりますが、今我が国の金融の危機的な状況に対し、我が国の金融システムの安定を図るための対策を、また経済を考えましたときに、政府として責任を持ってこれに対応していきますためにも、今回の緊急対策、そして予算を御提案し、ぜひ早く御審議をいただきたいとお願いをしているところであります。
 また、その調査の手法ということでお尋ねがありました。
 大蔵省は、捜査に対して全面的に協力していくとともに、徹底的に原因を解明し、その結果を公表し、二度とこのようなことが生じることのないよう大蔵改革を断行すると聞いております。被疑者本人に対する行政処分はもちろんのことでありますが、関係監督者に対する処分についても厳正に行わせます。
 また、現在行っております金融関連部局に在籍した職員に対する内部調査につきましても、できるだけ早く調査結果を取りまとめ、厳正な処分を行わせます。
 次に、菅議員に対する答弁の中で、私がうそを言ったというような御指摘をいただきました。
 「御質問があるということから、改めて大蔵省に尋ねましたところ、九一年には損失補てんの問題があったこともあり、その後さまざまな調査を行うとともに、証券会社にも自主点検を求めたが、今回の山一証券の簿外債務については明らかにされなかったということでありました。」その報告をそのとおりに申し上げた次第であります。
 そして、松野元局長自身、昨日の参考人質疑におきまして、違法な簿外処理を示唆したり指導したことはないという答弁をしていると聞いております。
 また、公務員倫理法について繰り返しお尋ねをいただきましたが、先刻も申し上げましたように、公務員倫理に関する法制化等の検討を政府としてもスタートさせております。早急に作業を進めてまいりたいと考えております。
 また、財政と金融の分離問題につきましては、与党間で議論が尽くされ、その結果として、先般合意が取りまとめられました。政府はこれを重く受けとめて、現在鋭意作成作業を進めている中央省庁再編等のための基本法案にその内容を忠実に盛り込むことといたしております。
 最後に、仮定の御質問をちょうだいをいたしました。
 今回の事態を厳粛に受けとめ、徹底的に原因を究明し、再発防止のために的確な対策を講ずること、そのプロセスにおいて、捜査もなお継続され、よりはっきりと原因を究明していかれるものと私は思います。これに対する対応を的確に進めていくことで行政に対する国民の信頼を回復するとともに、院の御協力を賜り、一刻も早く金融システムの安定と景気の回復を図ることに私の責任を果たしてまいりたいとお答えをさせていただきます。
 残余の質問については、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#12
○国務大臣(松永光君) 上田議員にお答えいたします。
 今回の事件は官僚の構造的な汚職体質ではないか、そういう認識を持っているかという御質問でございますが、私は、大蔵省の多くの職員は、それぞれ身を律し一生懸命仕事をしておると思いますが、今回の不祥事を機会に、職員一人一人がみずからの行動を省みて襟を正し、国民全体の奉仕者として、使命感を持ってそれぞれの部署に全力を尽くして勤務してくれるよう強く求めたいと思います。
 今回の大蔵官僚の虚偽の報告に対して内部処分がなされたのかという御質問でございますが、今後、今度の事件に関連して、捜査当局の捜査状況を踏まえつつ、徹底的に事実関係を明らかにし、被疑者に対する行政処分はもちろんのこと、関係監督者に対する処分についても厳正に行いたい、このように思っております。
 次に、二年前の元主計局次長と元東京税関長との問題については、お尋ねがございましたが、総理から御答弁がありましたとおりであります。
 昨年夏の金融検査部の内部調査、この関係で、全体を調査したというふうに説明しておきながら実際は一部しか調査しなかったのじゃないか、そこにうそがあるという御指摘がございましたが、実は、第一勧銀の検査忌避事件の関連で、平成六年にこの第一勧銀の検査に携わった者、そして接待を受けたとの疑惑が生じた者、その関連で検査官十七名から検査期間中を中心として事情を聞くとともに、第一勧銀にも確認をとりました。
 その結果、七月二十九日付で検査当時の日下部管理課長と宮川上席検査官を懲戒戒告処分にし、他の検査官八名を口頭厳重注意処分にしたものでありますが、これについては、処分当日に秘書課長が、処分内容や前提となった事実、その調査方法を記者レクで詳細に説明しておるところであり、金融検査部の職員全体を調査したとは言っていないわけであります。
 また、三塚大臣の八月六日の定例の記者会見での答えも、第一勧銀の検査に当たった検査官全体を調査したところ、処分された者以外に問題になる者はなかったという趣旨で三塚前大臣は申したわけであります。
 なお、金融関連部局に在職した職員について、過去五年間にさかのぼって金融機関等との関係を現在調査中でありまして、できるだけ速やかに結果を取りまとめて公表する所存であります。
 大蔵省と金融業界との関連についてのお尋ねですが、現在行われておる金融関連部局に在職しておった職員と金融機関との関係についての調査等を通じて、問題とされておる金融機関等に対する検査・監督に問題があったかなかったかを含めて、事態の究明のため、徹底して調査を進めていきたい、こう考えているところであります。
 最後に、新井議員の関係での御質問がございました。
 新井議員の証券取引については、証券取引の公正を損なう法令違反行為があるのであれば、証券取引等監視委員会等、関係当局において適切な対処がなされるものと考えております。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(伊藤宗一郎君) 石田勝之君。
    〔石田勝之君登壇〕
#14
○石田勝之君 私は、統一会派平和・改革を代表し、大蔵省検査官及び大蔵省OBの道路公団幹部による接待収賄事件に関し、橋本総理及び関係大臣に質問をいたします。
 大蔵省の幹部及びOBによる一連の接待収賄事件によって、国民は、大蔵省に対する信頼を根底から失墜させています。その責任は、歴代の大蔵省首脳にあり、突き詰めれば橋本総理にあると思います。
 一連の接待について、接待は慣行だと思っていたと、大蔵省の元局長で接待収賄で逮捕された井坂道路公団理事は述べています。一方、業界トップの東京三菱銀行首脳も、接待が全くなかったわけではないと証言しています。総理、官僚一人当たり数百万円にも達すると言われる官界と業界の接待の常識は、一体どうなっているんでしょうか。国民は、余りに世間離れした実態に驚くばかりであり、大蔵省は伏魔殿ではないかと疑っています。
 総理、この点について、どのような調査結果になっているのか、さらに具体的にお示しいただきたいと存じます。
 さらに、厚生省の岡光元事務次官に対する彩福祉グループや、大蔵省や通産省の高級官僚に対する石油卸商泉井被告による接待漬けの事例を見ても、このような接待を通じた贈収賄の慣行が他の省庁をも広く汚染し、今回のように公正であるべき行政をゆがめている実態が十分予想されています。したがって、今回大蔵省に対してなされた調査を全省庁に対して実施すべきと考えますが、総理の決断を伺うものであります。(拍手)
 現在、国会において、銀行の自己資本比率向上のためを理由として、十三兆円の公的資金を投入する金融システム安定化法案が議論されています。しかし、こんな接待漬けで、その見返りに不正融資や不良債権を見逃すというなれ合いべったりの大蔵検査を前提に、国民の血税の投入がなされていいものでありましょうか。また、そのようなことで、行政を監視する役割を国民から負託された私ども国会議員は責務を果たせるものでありましょうか。幾ら金融システムの安定化を大義名分にするとしても、私はこれでは国民の理解は得られないと思うのであります。総理は、十三兆円を投入せよということでありましょうか。御見解を伺いたいと存じます。
 逮捕された宮川金融検査部検査官は、一九九五年にも上席検査官として飲食やゴルフなどの供応を受けていたことが大蔵省の調査で明らかになっていたのに、今回逮捕理由となった銀行からの接待について、当時はなぜ公にならなかったのか。武藤大蔵省官房長は、当時の調査が甘かった、大変申しわけないと陳謝しております。しかし、それで不問に付せる話ではないと思いますが、総理の言うように金融服務監察官を設置しても、こうしたずさんな調査、監察が放置されているならば、事態は何も改善されないのではないですか。この点について、新大蔵大臣の御見解を伺うものであります。
 また、問題を指摘されている大蔵検査の結果、示達書及びこれに対する金融機関の回答を国会に報告すべきだと思いますが、あわせて大蔵大臣に伺います。
 また、今回明らかになった銀行の接待漬けよりも、証券会社による接待攻勢はさらにすさまじいという話が巷間ささやかれています。金融行政の公正を期するために、証券会社を初め他の金融機関からの接待についても、調査の上、国会に報告すべきだと考えますが、大蔵大臣の御所見を求めます。
 次に、次官辞任に至った経緯について、総理と大蔵省との間で若干発言が食い違っています。辞任した小村次官の側は、辞任を自発的に表明したと言っています。しかも、それを総理から慰留されたとしています。これに対して総理の側では、とんでもない、こちらが辞任を諭して初めて責任を自覚したと激怒しているそうであります。つまり、小村元事務次官は最初は全く辞任のつもりはなかったわけであります。全くみっともない話であります。しかも、武藤官房長は、事実解明のためとして、その職にとどまる決定を行われましたが、今回の辞任でなぜ官房長は外れたのか、総理の見解を伺います。
 これほど天下り批判が高まっているにもかかわらず、大蔵省から特殊法人への大量の天下りの実態が連日報道されています。こうした天下り及び道路公団で明らかになった接待漬けは、大蔵省の権限が巨大であればこその不祥事であります。今こそ、天下り全面禁止の措置が、行政の信頼を取り戻す意味からも必要だと思いますが、総理の見解を伺うものであります。
 なお、天下り互助会と称される、大蔵省金融検査部のOBや現役検査官らで組織する霞桜会の名簿を国会に提出すべきだと考えますが、あわせて大蔵大臣の見解を求めるものであります。
 さて、今回の接待乱発は、世間の常識を大きく逸脱したものであり、司法の厳正な処分が求められるところです。しかし、これは大蔵省の権限が余りに巨大化した一つの結果であり、役所の中の役所と言われる大蔵省の権限を分散化することが政治・行政改革の最大のかぎになりつつあります。
 大蔵省のパワーの最大の源は何でありましょうか。私は、法律に明記されない事柄に関し、通達等によって民間企業のはしの上げ下げまでコントロールするいわゆる通達行政、裁量行政こそやめさせなければならないと考えます。通達行政、裁量行政は大蔵省による一種の行政の私物化ではないでしょうか。その一例が、昨日の衆議院大蔵委員会の参考人質疑において明らかになりましたが、九一年当時、松野元証券局長が山一証券の飛ばし取引について相談を受けた事実であります。
 しかしながら、松野元局長は、当時、飛ばしの存在について公的に全く言及した形跡がなく、法に触れない形で、簿外取引につながりかねない海外企業への損失引き受けの方法を示唆あるいは指導したのであります。国会で追及されてやっとこのような経緯が明らかになること自体、大蔵省の業界への裁量行政がいかに深く浸透しているかを物語っています。大蔵大臣がこの件について、どう事態を把握しているのか、お尋ねをいたします。
 そこで、総理に提案をするわけでありますが、大蔵省の通達行政を改めるため、現在、官報に掲載されていない通知、通達を、今後すべて掲載することにしてはどうかと思うのであります。ビッグバンを控え、通知、通達は極力廃止すべきでありますが、不透明な行政を排除する観点から決断を求めるものであります。総理の答弁を求めます。
 さて、総理、私はちょうど一年前、一月二十八日の衆議院予算委員会総括質問の場において、埼玉の彩福祉グループ贈収賄事件に端を発した岡光元厚生省事務次官の逮捕を受けて、公務員倫理法の制定を総理に明確に提言をいたしました。そのときの総理の答弁は、「法律をもって律しなければならないこと自体が恥」であると思うとまで大見えを切るものであり、結局、法制定の道は退けたのであります。
 しかし、その答弁をした後に、大蔵省の当時の涌井官房長が泉井被告から絵画を受領したり、今回逮捕された二人の検査官がマンションを値引きしてもらったり、MOF担から演劇や会食、ゴルフなどの接待を受けたりした事実が次々と発覚したものであります。
 昨年の通常国会で、当時の新進党から公務員倫理法を提出したにもかかわらず、廃案にされました。もしあのとき総理が公務員倫理法を決断していれば、大蔵省も今日ほど信用を地に落とすことはなかったかもしれません。つまり、総理は政治の最高責任者として、やるべきときに、やるべきことをやらなかったのであります。総理の対応の誤りが官僚腐敗をここまで深刻化させ、この一点だけでも総理の政治責任は重いと言わざるを得ません。このような指摘をこの壇上でしなければならないこと自体、総理の言葉をかりるならば、「恥」と言わなければなりません。総理の見解を伺うものであります。(拍手)
 余りの不祥事の連続に、行政の自浄はできないだろうと国民はあきらめています。さらに、いかがわしい飲食店の接待を要求するに至っては、もう完全に国民の笑い物になっているではありませんか。今、総理や大蔵省が、何の保証もなく二度と不祥事を起こさないと表明しても、国民のだれも信用しないところまで、不信は極限に達しています。これでは国の台所を任せることはできません。結局、総理がその責任をとって人心の一新を図ることが最大の綱紀粛正ではないかと思いますが、総理の御所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 石田議員にお答えを申し上げます。
 まず、官界と金融業界の接待の常識というお尋ねがございました。
 現在、大蔵省におきまして、金融検査部、銀行局、証券局などの金融関連部局に在職しておりました職員につき、過去五年間にさかのぼって、金融機関等との関係についての調査を実施中であります。調査対象者が五百五十名を超えます上、地方あるいは海外勤務者もおりまして、これほど大規模な調査をこれまで実施したこともありませんために、どのくらいの期間がかかるか確たることは申し上げられませんけれども、できる限り早期に結果を取りまとめて公表させていただきたいと思います。
 また、公務員の接待慣行についてのお尋ねがございました。
 各省庁の公務員倫理規程は関係業者との接待等を禁止しておりますが、これが守られなかったということは本当に残念であります。今回の事件の直後、去る一月二十七日の閣議で、官房長官から各省庁に対し、綱紀粛正の徹底を改めて指示したところでありまして、各省庁において御指摘の接待問題を含めて総点検を行っているものと承知をしております。
 また、金融検査のずさんさが判明したにもかかわらず、なぜ公的資金による優先株の引き受けを行うのかというお尋ねがございました。
 先刻来申し上げてまいりましたけれども、金融検査については、厳正で実効性のある検査体制、手法というものを確立すべく、具体的方策の検討を進めて、これを早急に実現するように努めてまいります。
 しかし、他方、金融の危機的な状況の中で、これに対処し、我が国の金融システムの安定化を図るために政府として断固たる対応をとることが、我が国の国益にかない、また責務であると考え、今回の緊急対策を御提案申し上げている次第であります。
 次に、大蔵省幹部の責任問題についてのお尋ねがございました。
 大蔵省の金融検査部職員二名が収賄容疑で逮捕をされ、また一名の自殺者を出し、結果として十分な事実解明が過去においてできていなかったことが明らかになりました。
 先般、私は臨時代理を務めながら、大蔵大臣を兼務いたしました時点で、大蔵省官房長に対し、調査を徹底的に進めて、厳正な処分を行うようにという指示をいたしております。今後、徹底的に原因を解明し、その結果を公表すると同時に、被疑者に対する処分は当然のことでありますけれども、関係監督者に対する処分についても厳正に行わせてまいります。
 また、今回の不祥事を招いた裁量的な金融行政を根絶すべきである、また、透明な行政に転身するなら、通達を官報に掲載すべきという御指摘をいただきました。
 今後の金融行政は、自己責任原則と市場規律にのっとった金融機関経営、言いかえれば、事前にすべてを管理する今の仕組みではなく、事後チェックを中心としたものに変わらなければなりませんし、そうした金融機関経営を前提として、明確なルールに沿った透明性の高い行政に転換をいたします。具体的には、いわゆるMOF担というようなものの存在を必要としない、当局と金融機関との間の意思疎通のあり方については、いわば目に見える場所で正々堂々と行えるような行政にこれを変えてまいりますし、そのルールについてさらに徹底を図っていき、そうした努力を払いたいと思います。
 なお、天下りの問題に言及をされたわけでありますけれども、これは公務員制度全体のあり方の中で、定年制の関係とか、そうした問題とあわせて検討をさせていただきたい。既に公務員制度調査会にお願いをいたしているテーマであります。
 次に、公務員倫理法について、自分たちが提起をしたとき法律をつくっておくべきであったというおしかりをいただきました。これに対しては甘受いたします。
 同時に、私は、倫理を法で縛るようなものが必要とならないように、公務員諸君がみずからの行動を律してくれると、そう思っておりました。しかし、それでは徹底できないことを思い知らされ、私自身が一番無念です。そして、倫理規程だけで足りないなら法をつくるしかない、そう判断をし、公務員倫理に関する法制化などの検討を開始したところであります。早急に作業を進めてまいります。
 最後に、私の進退等についても御忠告をいただきました。
 こうした事態を厳粛に受けとめて、徹底的に原因を調べ上げ、再発防止のために的確な対策を講ずることを通じ、行政に対する国民の信頼を回復すると同時に、院の御協力をお願いしながら、一日も早く金融システムの安定と景気の回復を図ることにより、その責任を果たしたいと考えております。
 残余の御質問につきましては、関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#16
○国務大臣(松永光君) 石田議員にお答えいたします。
 まず、大蔵省の内部調査、これは不十分ではなかったか、今までの分は。任意の調査でありますからやむを得ぬ点もあったわけでありますけれども、必ずしも十分じゃなかったということは認めざるを得ません。
 しかし、今後は、大蔵省の中に金融服務監査官室という新たな制度をつくって、そして外部の専門家の協力も得て、徹底して内部調査を進めていくわけであります。厳正に、かつスピーディーにそれを進めて、その結果についても公表し、また厳正な処分も行っていく所存であります。
 霞桜会の名簿を提出せよという話でありますが、議員も御承知のとおり、この霞桜会というのは金融検査部に在籍した者の親睦を図る目的でつくられておる任意団体でありまして、基本的にはその霞桜会の総会の議が必要ではないかと思いますけれども、申し出の趣旨は私の方から会の方にお伝えしたい、このように存じております。
 それから、今回の不祥事を招いた理由は裁量的な金融行政、そこに原因があるのじゃないかという御指摘であります。
 この点については総理から御答弁がありました。私も全く同じ考え方でありまして、今後は、明確なルールに沿った透明性の高い行政に転換するとともに、当局と金融機関との間の意思疎通の図り方についても見直しをして、いわゆるMOF担の存在を必要としないそういう行政へ転換してまいる所存であります。
 最後に、いわゆる山一証券の関連での飛ばし問題でございますが、この件については証券取引等監視委員会で調査中であると承知しておりますので、その調査を待ちたい、こう思っております。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#17
○副議長(渡部恒三君) 中村鋭一君。
    〔中村鋭一君登壇〕
#18
○中村鋭一君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいまの総理の中間報告に関連して質問をいたします。
 まず、今日の経済的危機を招いた橋本内閣の政治責任の問題であります。
 さきに三塚議員は大蔵大臣をおやめになりました。遅きに失したとは言い条、職を辞した点につきましては一定の評価をするものであります。しかしながら、私はこのことに一抹の物の哀れを感ぜずにはおれません。それは何ゆえか。
 巷間、三塚氏の辞任に関して、トカゲのしっぽ切りとの声を耳にいたします。トカゲの頭切りと言う人もいます。しっぽの場合は頭は橋本総理大臣であり、頭切りの場合はその胴体は広く大蔵官僚全般を指しているのではないでしょうか。人のよい三塚さんを血祭りに上げて、こうかつな大蔵官僚がこれでよかったとほっと胸をなでおろしているのではないか。これでは三塚議員が余りにもかわいそうではありませんか。(拍手)
 「物いわじ父は長等の人柱、きじも泣かずば討たれざらまし」という歌がありますけれども、三塚議員も、大蔵官僚にいいように操られたあげくの果てに人柱にされてはたまったものではございません。「巨悪は眠らせない」、これは東京地検特捜の有名な言葉でありますが、今回の大蔵不祥事について、この間の消息や徹底した調べについて下稲葉法務大臣にお伺いすると同時に、松永新大蔵大臣の所感をお伺いするものであります。
 さらに、私は、三塚氏の辞任によってみずからの政策の失敗の責めを免れようとする橋本総理の責任は、まことに大きいものであることを指摘をしなければ相なりません。
 総理は政治の最高責任者であり、相次ぐ政策の失敗により今日の経済危機と金融不安を招き、失業率の上昇、倒産の多発、超低金利の持続などにより、国民にこの上ない苦しみを強いている責任があります。みずからはその責任を省みず、三塚氏の辞任をもって事足れりとしているその総理の姿勢に、いすにしがみついているその姿に、総理、あなたは良心の呵責を感じませんか。(拍手)
 総理は、過日、衆議院予算委員会におきまして、「私がやめれば途端にぽんと景気が回復して、株価も上昇し、すべてがよくなるというんだったら、即刻でもかわります。」と答弁されました。橋本総理に政治の最高責任者としての自覚と誇りと先見性があるなら、この答弁を直ちに実行に移し、即刻やめるべきであります。そうすれば、政策の抜本的転換を予期して株価と円相場は上昇し、年度末を控えて金融機関の自己資本比率も上昇し、金融不安は和らぐでありましょう。間違いなく景気はよくなります。それが国民とその生活を守る唯一の道であります。(拍手)
 また、額賀官房副長官のアメリカ政府高官に対する大型補正の約束報道、野中自民党幹事長代理の六兆円景気対策発言など、政府・与党幹部による九八年度予算案の補正に係る発言が相次いでおります。成立後直ちに修正することが決まっているいわば欠陥予算案を我々に審議させようというのですか。総理は、我々国民や野党をそこまで侮辱をするおつもりですか。議会制民主政治を冒涜するも甚だしいと言わねば相なりません。まことに、言語道断、許しがたいところであります。(拍手)九八年度予算案は直ちに撤回し、出し直すべきであります。同時にまた、強引に成立をさせた財政構造改革法も、弾力条項を加える等の改正案を提出すべきであります。それでなければ、審議には到底入ることはできません。
 これら諸点についての総理の見解をお伺いいたします。
 次は、行政の頂点に立ち、官僚の中の官僚と言われる大蔵省の腐敗が構造的体質としてしみついていることについてであります。
 現在大蔵省は、マスコミ等から、腐敗臭が漂う大蔵とまで酷評をされております。大蔵省に対する週刊誌の報道で、現職大蔵官僚に関する記事だけでも、長野証券局長の五億円豪邸疑惑、中村主計局主計官の収賄疑惑、口にするのもはばかられるしゃぶしゃぶ疑惑等々、数え切れないほどであります。検察がねらう疑惑の大蔵官僚十二名との記事も掲載されましたが、その中から二名の逮捕者と一名の自殺者を出したことは、まことに遺憾きわまることであります。
 逮捕者は大蔵省大臣官房金融検査部所属でありますが、そもそも、この金融検査部設置を決めたのは、当時大蔵大臣であった橋本総理御自身でありました。
 平成三年、橋本総理が蔵相当時、御自身の秘書が関与した富士銀行不正融資事件で引責辞任をした際に、再発防止を名目として、ただでさえ権力の肥大が懸念されておりました大蔵省に新たに権限を与える金融検査部の設置を決め、およそ一年後にこれを発足させたのであります。
 金融検査部最初の取り組みとなったのは富士銀行不正融資事件でありますが、真相は全く解明をされず、そればかりか、初代部長は今回の日本道路公団汚職で逮捕され、そして、ついには現職検査官の逮捕に至ったのであります。
 大蔵官僚、ひいては橋本内閣に対する不信は頂点に達しています。国民は、このような橋本総理に疑惑の解明と再発防止ができるとは思っておりません。全く期待をいたしていないのであります。何が官に冠たる大蔵省か。続発する大蔵省不祥事についての総理の見解をお伺い申し上げるものであります。(拍手)
 次は、総理自身の疑惑、つまり富士銀行の不正融資事件についてであります。
 橋本総理は、九一年、証券不祥事と富士銀行不正融資事件の責任をとり大蔵大臣を辞任されました。富士銀行不正融資事件は、総理みずからの秘書が赤坂の料亭「尾花」への不正融資に関与した事件であり、この料亭「尾花」へは総理もたびたび通い、その女性経営者とも懇意であったと伝えられております。
 この富士銀行不正融資事件はいまだに係争中であり、全容が解明されたとは言えませんが、事件発生当時から最大の関心の的は、橋本総理自身の関与であり、現在大蔵省大臣官房審議官の太田省三氏の名前が検事調書に登場する事実であります。
 本件に関与した小林豊機氏は、確かに不正融資事件の際に橋本総理の秘書を辞任はしておりますが、以後も、復帰、辞任を繰り返した後、橋本総理の後援会「溜池倶楽部」の代表に就任していたことがあったはずであります。総理と小林豊機氏との今の関係、小林氏の現在の消息を明確にお答えいただきたいと思います。
 総理が大蔵大臣を辞任された理由の一つに、自分の秘書の監督責任があったはずであります。小林氏が事件後も橋本総理の周辺にいた、この事実は、やはり総理と小林氏の間に他人に知られてはならない何かがあるのではないかと推測をされても当然であると思います。
 また、この不正融資が迂回し、あるいは直接関与した多くの企業が住専の借り手であり、あなたの秘書であった小林氏は、これら企業や人たちと密接な関係を持っていたのではないでしょうか。一昨年の住専国会におきまして、日本興業銀行頭取や桃源社社長の参考人質疑の際に、小林氏が桃源社への融資を興銀に働きかけたとしてまたもや名前が挙がっていたのであります。火のないところに煙は立たぬ、このことわざを思い出すゆえんであります。
 総理は、さきの証券不祥事では、再発防止策をつくるのが自分の務めであるとしておられました。しかしながら、その後も大蔵省、金融業界の不祥事は一向に減る気配を見せません。昨年破綻した山一証券に至っては、いわゆる飛ばしがその引き金となっており、その海外への飛ばしを示唆したのが当時橋本大蔵大臣の部下の松野証券局長であったとの報道さえなされているのであります。
 小林氏、松野元証券局長、太田省三官房審議官の例を見るまでもなく、不祥事は、橋本総理が大蔵大臣、総理大臣在任中に集中をしており、問われるべきは、まさに橋本総理自身の政治姿勢であります。(拍手)
 御自身の秘書や当時の部下がこれだけ事件に関与していた以上、元来あなたは総理になるべきではなかった。あなたが総理になったのがそもそも大きな間違いと言わねば相なりません。
 この点について、総理の御所見をお伺いいたします。
 次は、総理と中国人女性との交際疑惑についてであります。
 当の中国人女性は、中国北京公安局に勤務したことを我が国の法廷で認めております。また、橋本総理御自身も、同女性との交際は認めているのであります。
 海の向こうで国を挙げて問題になっておりますクリントン大統領の女性問題とは次元が違い、総理の行為ははるかに重大であると言わなければ相なりません。なぜならば、これは我が国の公安問題と安全保障の根幹を揺るがす重大問題だからであります。
 イギリスやアメリカでは、このような疑惑が報道され、それに正面から弁明できなければ、国の責任者は即刻辞任をしなければ相なりません。かつて英国のプロヒューモ陸相は、交際相手の女性がロシアの武官とも交際があったというだけで、その職を辞せざるを得なかったのであります。ノーブレスオブリージュとはこのような場合に用意をされた言葉であります。だからこそ、欧米のマスコミでも、橋本総理の疑惑は非常な関心を持って報道されているのであります。
 総理は、国益のために、逃げも隠れもせずに、同人との交際の一部始終を改めてこの議場におきまして国民に説明すべきであると思います。
 こういった事例を見て痛感することは、総理、あなたが軽い、いかにも軽いということであります。いかに軽薄短小がもてはやされる時代とはいえ、二千有余年の歴史を誇る我が国の首相としては、私は、重厚長大なる指導者をよしとするものであります。
 よくその人の職務や素性を確かめもせず外国の女性と交際をする。人に言われたといって外国に対して簡単に謝り、事もあろうに女性のセミヌードカラー写真を載せた大衆紙に謝罪文を掲載する。我が党の西村眞悟議員の質問に対し、あなたは、その国で、その国の首相とどのような会話が行われるかによっても異なるものであろうと存じますと答弁をされております。ということは、相手次第で、国会や国民に相談もなしに謝ることもあり得るということになりはしませんか。
 このような際に、あなたは、世界に冠たる日本国の閣僚としての自覚がなかったのですか。いやしくも日本国の宰相の印綬を帯びる者として、あなたの背後に一億二千万人の国民がいることを失念していたのですか。まことに情けない限りと言わなければ相なりません。
 試みに、明治以来、名宰相、名首相とうたわれ、国民の尊敬と信頼を一身に集めた幾多の先人を思い起こしていただきたい。伊藤博文、大隈重信、原敬、吉田茂、石橋湛山、池田勇人、佐藤栄作、三木武夫など、まさに赫々たる大政治家がきら星のごとく名を連ねているのであります。あなたは、これらの人々に伍して御自身が青史にその名を残し得るとお考えでございますか。
 これらの先輩が、総理大臣としてのあなたを見て一体どういう評価をし、どのような感懐を抱くかは、想像にかたくありません。
 総理、願わくは、石橋湛山氏のあのすばらしい出処進退を思い起こしていただきたい。傾国の総理として汚名を千載に残すよりは、さすがに引き際だけはきれいだったと評価をされるように、潔く職を辞されることを心から慫慂するものであります。これら先人と比較してのあなた御自身の感想と率直な御答弁をお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 中村議員にお答えを申し上げます。
 まず、大蔵省の不祥事の責任問題についてお尋ねがありました。
 今回の事態を厳粛に受けとめて、徹底的に原因を究明し、再発防止のために的確な対策を講ずることを通じ、行政に対する国民の信頼を回復するとともに、院の御協力をいただいて、一刻も早く金融システムの安定と景気の回復を図ることに全力を尽くしたいと考えております。
 また、平成十年度予算案を撤回すべきという御指摘がありました。
 政府といたしましては、現在御提出申し上げております平成十年度予算が最善のものであると考えて提出をいたしております。その速やかな成立に向けて全力を尽くしてまいるところでありまして、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
 また、財政構造改革法に経済情勢による弾力条項を追加すべきという御指摘がございました。
 財政構造改革法、また財政構造改革の必要性は今さら申し上げるまでもなく、今後とも我々は財政構造改革を仕上げていかなければなりません。御提案は、立法技術的にも、あらかじめ危機的な状態というものをどう定義するか、なかなか難しい点が含まれていると思います。
 また、私自身の大蔵省疑惑という言葉をお使いをいただきましたが、私は、大蔵省の職員が収賄容疑で逮捕をされたことはまことに残念です。遺憾ですし、この事態を厳粛に受けとめております。そして、おわびも申し上げております。そして、松永大臣のもとで大蔵省の諸君は全力を尽くしてその汚名挽回のために努力をしてくれると思います。
 なお、行政改革審議会から御意見をいただき、証券取引等監視委員会や、銀行局検査部の官房検査部への改組など、その方針を決定したのは私の在任中でありますが、組織変更の実施あるいは井坂容疑者の部長就任は私の在任中のことではございません。
 また、富士銀行の問題をお尋ねがございました。
 これまでもたびたび国会で御答弁を申し上げてまいりましたが、預金証書偽造事件、そしてそれを使用した不正融資の事件と私は全くかかわりはありません。同時に、私の秘書の、当時の、名前をお挙げになりましたが、その人間は、現在私の後援会の一つの代表を務めております。
 そして、なぜ辞任したのかというお取り上げがありましたが、五年前、退任の辞でも申し上げましたけれども、大蔵大臣であります政治家の秘書という立場にある者が融資を希望する人を軽率に銀行員に紹介したということ自体、適当でなかったと考え、当時、小林秘書の辞職を認めました。そして同時に、その監督に至らない点がありましたこと、それは責任を痛感いたしましたし、当時起きておりましたその状況の中で、私は蔵相を辞任いたしたものでございます。
 ただ、その上で、小林の名誉のために申し上げておきたいと存じますが、いわゆる偽造預金証書を担保とした富士銀行の元行員による不正融資に彼がかかわっていたのではありません。彼は正規の銀行員として赤坂支店に在籍し、課長としてその席に座っておりました。そうしたことはまさか全く知らないままに、その人間に対して別の融資案件の紹介をしていたということであります。しかし、これはやはり軽率なことであった、そうした思いを持ち、監督責任を感じて、私は一つのけじめをつけました。
 次に、中国衛生部の通訳の方についてお尋ねがございました。
 他家の奥様のことでもありますし、できる限りきちんとお答えはいたしますけれども、御本人のプライバシーについても意をお配りいただきたいと思います。その上で、中国に参りまして、衛生部の要人があるいは来日する機会に、中国衛生部の通訳として間違いなしに通訳をしていただき、何回もお目にかかった方であります。御苦労さんという意味で食事をごちそうしたこともありますということも申し上げております。
 同時に、通訳という存在でありますから、あらゆる会議に列席をいたしております。そして、その会議における内容というものはすべてを、当然ながら、会話の通訳をしておるわけでありますから、聞いておるということは事実です。
 それから、ちょっと騒音でよく聞き取りづらかったのですが、恐らく「サン」への寄稿の問題をおっしゃったように思います。これは、一月十二日の日英首脳会談においてブレア首相からの示唆を受けて、いたしました。その際、「サン」が約四百万部と発行部数が英国で最大であり、影響力も大きいため、英国の一般の方々に現在の良好な日英関係を知ってもらうのに効果的であり、ブレア首相自身及び与野党のさまざまな政治家もこの「サン」への寄稿を行っているという紹介を受けました。
 同時に、元戦争捕虜の問題が英国において引き続き関心を持たれている問題でありまして、今回の首脳会談におきまして……(発言する者あり)覚えております。忘れられるものではありません。イギリス側から、現在の日英関係のとげという表現で提起をされましたので、九五年の村山総理談話を受け継いでいるという現内閣の立場を英国の新しい首相に直接説明をいたしたと同様のことであります。
 また、石橋湛山先生を、また大先輩のお名前を挙げられながら、出処進退についての御注意をいただきました。御忠告はありがとうございます。
 残余の質問は関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#20
○国務大臣(松永光君) 中村議員にお答え申し上げる前に、先刻の石田議員に対する答弁の中で答弁漏れがありました。ここで答弁をさせていただきます。
 大蔵検査の結果、示達書及びこれらに対する金融機関の回答を国会に報告すべきであると考えるが、大臣の見解を問うという点についてでありますが、個別の金融機関等の検査結果を公表することは、金融機関等の取引先などに不測の損害を与えるおそれがあるほか、プライバシー侵害の問題が生じること、さらに、検査時という特定時期における生の情報を公開することは、場合によっては信用不安を惹起し、預金の流出等による不測の事態を招きかねない、信用秩序維持に重大な影響を及ぼすおそれがあることなどの理由から問題があります。また、米、英、仏、独等の海外当局においても公表されておりません。そのような事情を御理解願いたいと存じます。
 次に、中村議員にお答えいたしますが、今回の不祥事について、大蔵大臣はおわびし、厳正に調査した結果を報告すべきではないかという御意見であります。
 私は、今回の大蔵省の不祥事は、大蔵行政はもとより、我が国の行政全体についての信頼を著しく傷つけたものでありまして、この事態を厳しく受けとめて、深くおわびするとともに、再発防止のために懸命に努力していきたい、こう考えておるわけであります。
 そして、検察当局によって逮捕された者については、当局の捜査の結果を待って、そのほかに金融関連部局に在職した者、五年前にさかのぼってその全員について内部で調査をして、特にその調査については金融服務監査官という新たな制度ができましたので、その仕組みを十二分に活用して徹底した調査を行って、その結果を公表すると同時に、厳正な処分を行いたい、こう考えておるところでございます。
    〔国務大臣下稲葉耕吉君登壇〕
#21
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 中村議員にお答え申し上げます。
 大蔵省職員に係る事件の捜査及び今後の見通しについての御質問でございました。
 先ほどの総理大臣の中間報告にもありましたが、検察当局におきましては、本年一月二十六日、金融検査部管理課金融証券検査官室長及び同管理課課長補佐をいずれも収賄の事実により逮捕し、現在鋭意所要の捜査を進めているものと承知いたしております。
 具体的事件についての今後の見通しにつきましては、法務大臣としての発言は差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、検察当局は、法と証拠に基づき、厳正に対処していくものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○副議長(渡部恒三君) 佐々木陸海君。
    〔佐々木陸海君登壇〕
#23
○佐々木陸海君 私は、日本共産党を代表して、大蔵不祥事についての橋本首相の報告に対し、総理と大蔵大臣に質問をいたします。
 大蔵省金融検査部の二人の幹部が収賄容疑で逮捕され、大蔵大臣と事務次官が責任をとって辞任し、銀行局からは痛ましい犠牲者も出る、これだけを見ても、大蔵省をめぐる現在の事態は、まさにこの省始まって以来と言っていい重大事態であります。病巣に徹底的なメスを入れ、うみを出し切らなければ、大蔵行政への国民の信頼が得られるものではありません。日本の政治そのものが問われているのであります。
 今回の事態のきっかけは、金融検査をめぐる汚職であります。そもそも金融検査は、金融機関の経営の健全性、適切性を確保するために行うとされているものであります。ところが、その検査に責任を負う者が銀行の接待攻勢を受けてこの目的を踏みにじり、経営の健全性の確保どころか、検査に手心を加えてきた。そればかりか、破綻金融機関の乱脈経営の隠ぺいに加担してきた、そういうところにまで問題は発展しています。
 山一証券の破綻の直接的な原因は、巨大な簿外債務の発覚でありました。大蔵省はこの簿外債務を知る立場になかったという弁明が、これまで繰り返しなされてきました。しかし、今回の大蔵省の一連の不祥事と並んで、この簿外債務と大蔵省のかかわりの問題が急速に明るみに出てまいりました。
 松野允彦元証券局長は、昨日の大蔵委員会での参考人質疑で、証券局長在任中の一九九一年十二月ごろ、山一証券の当時の三木淳夫副社長から飛ばしに絡むトラブルの報告と相談を受けたことがあると認めました。この案件は、現実に山一証券破綻の原因となった簿外処理に含まれているものであり、相談を受けた証券局の責任は免れるものではありません。松野氏は、不法な指示はしていないと強調していますが、山一側の複数の関係者が、このトラブルを簿外処理するよう示唆され、それを実行したと言い、翌月には松野局長に報告したという報道もあります。
 大蔵省が山一証券の簿外債務にお墨つきを与えたということになると、まさに、大蔵省が山一証券破綻の原因をつくったということになるではありませんか。さらに、大蔵省がこの簿外での処理を代々隠ぺいしてきたということになると、その責任ははかり知れないものになります。総理は、この問題がはらんでいる事態の重大性を認識しておられるかどうか、まずお聞きしたいと思います。(拍手)
 私たちは、松野元証券局長や山一証券関係者を証人喚問して事実を究明することを求めていますが、政府として、松野元局長だけでなく、必要な関係者や事実の調査を行って、事態を解明し、国会と国民にそれを報告すべきであります。それを実行すると総理、お約束できますか。
 次に、同じく破綻した北海道拓殖銀行にかかわる問題であります。この拓殖銀行への大蔵省の金融検査が、贈収賄によってゆがめられたという問題であります。
 最大の焦点は、拓銀が巨大な不良債権を抱えて経営が大きく傾いていた九四年八月に実施された、この拓銀への金融検査であります。この検査が適正だったか、わいろや接待でゆがめられたか否かという問題は、結局、拓銀の今日の破綻が避けられたのではなかったかという問題にもつながる問題であります。総理は、そういう重大性を認識しておられますか。
 私たちは、このときの調査に関する資料の提出を強く要求していますが、拓銀の破綻につながった、カブトデコムやエイペックス、たくぎんファイナンスなどへの拓銀の乱脈融資がこのときの検査でどのように把握されたか、それにかかわってどのような指示、示達が大蔵省から拓銀に出されたか、そしてそれに対して拓銀がどのような回答をしたか。大蔵大臣、九四年の拓銀への金融検査について、少なくとも以上の点を今明確にしていただきたいと思います。(拍手)
 さらに、犯罪の捜査とは別に、行政の責任の問題として、検査が適正だったのかどうかを、拓銀だけでなく、第一勧銀、あさひ銀行、三和銀行についても徹底的に調べる、国会と国民に報告する、その義務と責任が政府にはあると考えますが、総理の見解はいかがでしょうか。
 政府は、北海道拓殖銀行や山一証券の破綻の発生で、預金者に不安と動揺が広がるとともに我が国における金融の機能に対する内外の信頼が大きく低下し云々と言い、それに対する緊急の特例措置だとして、今回の三十兆円の銀行支援策を説明してまいりました。つまり、この二つの破綻は三十兆円投入計画の引き金になっているものであります。その二つの破綻に大蔵省がかかわっていた、深くかかわっていた疑惑が提起されているわけであります。どんな責任を大蔵省は負っているのか。この問題は、その意味で三十兆円投入計画の前提にもかかわる重大問題であります。
 その解明などはそっちのけ、金融破綻に何の責任もない国民に負担をかぶせる三十兆円投入法案をしゃにむに強行するなどということを、国民は断じて許しません。総理の見解をお聞きしたいと思います。
 大蔵官僚と関係業界の癒着は、過去幾たびも問題となり、綱紀粛正の通達が重ねられてきました。七九年の鉄建公団の空出張による裏金を使った大蔵省幹部接待という事態を受けて官房長通達が出されてから、一昨年十二月の職員倫理規程に至るまで、幾ら倫理規程を置いても不祥事は根絶されてこなかったのであります。総理は、その原因が一体どこにあるとお考えでしょうか。
 これは、結局のところ、接待などの個々の行為の大もとにある癒着の構造に手をつけてこなかった結果であります。総理は、公務員倫理に関する法制化の検討を指示したと言われましたが、それだけで癒着の根は絶てるものではありません。
 ここでは二つの問題をお聞きしたいと思います。
 まず第一に、官僚の業界団体への天下りの問題であります。
 今回の贈収賄事件でも、北海道拓殖銀行に天下った検査官OBの行員が、逮捕された検査官の接待に深く関与したとされています。
 政府は盛んに、公務員の再就職の機会を奪うことはできないと言いますが、大蔵省の天下りは、個人的な再就職の問題ではなく、大蔵省内に担当する部門もあって、天下り先の紹介、あっせんを行うという組織的なものになっているのではありませんか。大蔵大臣、その点を明確にしていただきたい。
 我が党は、大蔵汚職の根を絶つ手だての一つとして、各省庁の局長、部長クラスは離職前五年間の仕事と関連のある企業には永久に就職できないようにすることや、一たん業界団体や特殊法人に天下り、その後関係企業に天下る行為の禁止など、実効性ある天下り禁止法を制定すべきだと考えますが、総理の見解をお聞きしたいと思います。
 癒着の根を絶つもう一つの問題は、金融業界からの政治献金を禁止することであります。
 既に、自民党が住専問題で銀行業界からの献金を自粛すると表明して以降、九六年度にも七億円の献金を受け取っていることが明らかになっていますが、銀行からの借金を返すためだなどということで合理化することは絶対に許されません。
 右手で銀行から献金を受け取りながら、左手で三十兆円の支援策を銀行に差し出すというのでは、三十兆円は献金の見返りではないか、これも結局わいろ政治ではないかと国民が考えても当然ではありませんか。この国民の疑念に総理は一体どうお答えになりますか。
 また、公務員には新しい法律で接待を受けることなどを厳しく禁止しつつ、政治家への献金には手をつけないのでは、全く理屈が通らないではありませんか。今日の事態を受け、企業・団体からの献金、特に銀行業界からの献金の受け取りはやめるべきであります。この点について総理の明確な答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 佐々木議員にお答えをいたします。
 まず、松野元証券局長の発言についてのお尋ねがありました。
 同氏の発言は、山一証券との面会が平成三年十一月か十二月ごろであり、その際、顧客とのトラブルは基本的に当事者間の訴訟などで、松野元局長は証券事故として処理という言葉を使っていたようですが、解決されるべきであり、当局として判断するような問題ではないと考えていたのでそういう旨を伝えたといった趣旨であったと聞いております。
 いずれにいたしましても、山一の簿外債務、これは、その発生の過程も含め、関係部局による特別検査が行われているところであります。
 次に、拓銀に対する平成六年八月の金融検査についてのお尋ねがありました。
 逮捕された検査部職員が、平成六年八月の拓銀に対する金融検査に関連し、検査期日などの漏えいを行っていたとの報道が行われていることは承知しています。これら報道されているところが事実であるとするなら、まことに遺憾という以外の何物でもありません。
 このような点を含め、御指摘のような具体的事実関係につきましては、今後捜査当局によって解明されるところでありますし、また大蔵省としても、同行に対する検査に問題がなかったかどうかを含めて、当該検査に関連する者への事情聴取等を通じ、事態の究明のための調査を行うと聞いております。これら捜査や内部調査の結果などを踏まえ、厳正に対処してまいりたいと思います。
 また、拓銀に加えて、第一勧業、あさひ、三和の各銀行に対する検査についてもお尋ねがありました。
 今回の大蔵省の事件に関連し、御指摘の四行が問題となっていることは承知をいたしております。そして、先ほども拓銀の検査についてお答えをいたしましたが、今後の捜査当局による解明に加え、大蔵省において、これらの銀行に対する検査に問題がなかったかどうかを含め、事態の究明のための調査を行うと聞いております。これら捜査や内部調査の結果などを踏まえ、厳正に対処してまいります。
 金融二法の成立を主張する前に拓銀と山一の破綻に関する大蔵省の関与などについて解明すべきという御指摘がありました。
 この点については、先ほど御答弁を申し上げたとおり、捜査当局の捜査や内部調査の結果などを踏まえ、厳正に対処してまいりたいと考えております。
 同時に、金融システムの危機的な状況というものにつきましては、我が国の金融システムの安定化を図るために断固たる対応をとる必要があることは、お認めがいただけると思います。それがまた国益でもあります。そして、我々の責務でもあると考え、今回の緊急対策を御提案申し上げている次第であります。
 また、大蔵省の不祥事の原因、繰り返されるその理由は何か、そうしたお尋ねがございました。
 大変まことに残念なことでありますし、大蔵省自身が、今般設置します金融服務監査官制度を最大限に活用することを初めとして、的確な対策を通じ、綱紀の保持に努めていくものと考えます。しかし、本質というならば、私は、やはり護送船団方式と言われた事前管理システム、そこに私は一つの問題があったのではないかと思いますし、今後、事後チェックに変わっていく中で、より透明性を高め、当然のことながら変化していくと考えます。なお、現在行っております金融関連部局に在籍した職員に対する内部調査、できるだけ早く結果を取りまとめ、厳正な処分を行わせます。
 次に、いわゆる天下りの問題についてお尋ねがありました。
 これについては、関連した公務員制度などの見直しについて、速やかな検討を指示しております。公務員の退職あるいは再就職のあり方というものは、ライフサイクル全体に係る問題、検討を必要とする問題でありますし、現在、公務員制度調査会において調査審議をいただいているところであります。
 また、銀行からの政治献金などについてお尋ねがありました。
 金融の危機的な状況に対し、我が国金融システムの安定化を図るために政府として断固たる対応をとることが、我が国の国益にかない、責務であると考え、今回、三十兆円の公的資金を活用した緊急対策を御提案いたした次第です。
 なお、政治資金規正法におきましては、政治活動に関する寄附について、特定の分野を対象とした規制は定められておりませんけれども、自由民主党は、金融システムの安定のために公的資金が投入されることにかんがみ、過去における借入金の返済に充当するものを除いて、銀行業界からの政治献金を改めて自粛することにいたしました。
 また、企業・団体献金を禁止すべきとの御指摘でありますが、企業、労働組合などの団体献金については、平成六年の政治改革における政治資金規正法の改正により規制が強化され、さらに、改正法附則により、施行後五年を経過した場合に、団体献金のうち資金管理団体に対するものについては禁止する措置を、政党及び政治資金団体に対するものについては、政治資金の個人による拠出の状況を踏まえて、政党財政の状況等を勘案して、そのあり方の見直しを行うとされております。
 この問題については、与党政治改革協議会において真剣な検討が重ねられてきていると承知をしておりますが、各党各会派においても十分御論議をいただきたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#25
○国務大臣(松永光君) 佐々木議員にお答えいたします。
 拓銀の検査結果に関する御質問でございますが、個別の取引先に係る情報を公表することは、個別の取引先に不測の損害を与えるおそれがあり、また、プライバシーの問題も生じることのほか、守秘義務の観点からも差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、大蔵省退職者の再就職の関係を、大蔵省は組織的にやっているのではないかというお尋ねでございますが、退職者が再就職するまでの態様はさまざまでありますけれども、最終的には本人と企業と、両当事者間の合意に基づくものと承知いたしております。(拍手)
#26
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#27
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十七分散会

ソース: 国立国会図書館
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