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#1
第142回国会 本会議 第15号
平成十年三月十日(火曜日)
    ―――――――――――――
  平成十年三月十日
    午後零時三十分 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 与謝野馨君の故議員新井将敬君に対する追悼演説
 平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)、法人税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後零時三十四分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(伊藤宗一郎君) この際、新たに議席に着かれました議員を紹介いたします。
 第四百五十四番、長崎県第四区選出議員、宮島大典君。
    〔宮島大典君起立、拍手〕
     ――――◇―――――
#4
○議長(伊藤宗一郎君) 御報告することがあります。
 議員新井将敬君は、去る二月十九日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 新井将敬君に対する弔詞は、議長において去る二月二十四日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
衆議院は 多年憲政のために尽力し さきに消費者問題等に関する特別委員長の要職にあたられた議員新井将敬君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
    ――――――――――――― 
 故議員新井将敬君に対する追悼演説
#5
○議長(伊藤宗一郎君) この際、弔意を表するため、与謝野馨君から発言を求められております。これを許します。与謝野馨君。
    〔与謝野馨君登壇〕
#6
○与謝野馨君 ただいま議長から御報告がありましたとおり、本院議員新井将敬君は、去る二月十九日逝去されました。前日まで君のお姿をお見かけいたしておりましたので、この余りにも突然の訃報に言葉もなく、ただただ今もって信じがたい思いであります。しかしながら、今こうして議場を見渡しても君の姿を見出せない現実にひとしお痛惜の念を覚え、さらに、君が愛してやまなかった真理子夫人を初め残された御遺族のお気持ちに思いをめぐらすとき、新たな悲しみに包まれるのであります。
 私は、ここに諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し上げたいと存じます。
 新井君は、建設業を営む御両親の一人息子として、昭和二十三年一月大阪市北区にお生まれになり、新井君御自身が本院予算委員会において御発言されましたように、在日韓国人として生まれ、十六歳で日本国籍を取得されました。御両親に非常にかわいがられ大切に育てられた君は、負けん気は強いが他人を攻撃するわけではなく、自分にいつも目標を掲げ突っ走るタイプであったと言われるような少年時代を送り、その後、地元の中学校から大阪府立北野高等学校に進学され、在学中はバスケット部で御活躍されながら成績は常に学年の上位一割、まさに文武両道の道を歩まれ、当時の同級生は、女の子と一緒の姿を見かけることもなく硬派だったと振り返っております。
 その後、東京大学理科T類へ進学されましたが、当時、安田講堂事件に象徴されるように、いわゆる全共闘世代による学生運動が全国の学園を席巻しておりましたが、この学生運動を通じマルクス経済学に強く興味を示された君は、みずからが目指していた物理学者への道から経済学部へと転部されたのであります。
 大学卒業後、新日本製鐵広畑製作所勤務の後、国家公務員上級職試験に合格され、昭和四十八年大蔵省に入省、主計局総務課を振り出しに、大臣官房、大阪国税局勤務を経て、厚生省に出向されました。医務局の係長として医師優遇税制の見直しを手がけられた君は、当時の故渡辺美智雄厚生大臣から電話がかかると資料をそろえて大臣室に飛び込まれ、「新井だけは大臣室にフリーパス」と言われたほど懸命に職務に励まれたのであります。このとき、渡辺先生の知遇を得たことが、後年、君の政界進出の契機となったと承っております。
 その後、大蔵省に戻られた君は、酒田税務署長、銀行局総務課課長補佐などを経て、渡辺美智雄大蔵大臣の秘書官に抜てきされ誠心誠意職務を果たされた後、昭和五十七年五月大蔵省を退官し、政界を目指されたのであります。昭和五十八年、第三十七回総選挙が行われるや、新井君は、総選挙のたびに各党の有力候補が激しく議席を争う激戦区と言われた旧東京都第二区から勇躍立候補されました。
 当時は、後援会もなく余り顔も知られていない君は、御自身が納得できる選挙運動を心がけられ、JR大森駅や蒲田駅の駅頭に立ち、ハンドマイクを片手にサラリーマンや中小企業者の減税などを何時間もひたむきに訴え、また、自転車を押して路地から路地へとくまなく回るなど、御夫妻が相携えて熱心に運動を展開されたのであります。しかしながら、まさにゼロからのスタートであった新井君は、新人候補として健闘したとはいえ、涙をのみ、次点に甘んじたのであります。
 昭和六十一年七月六日、衆参の同日選挙であった第三十八回総選挙に再度挑戦され、孤軍奮闘する君の姿に地元の方は「蒲田のロッキー」と呼び、絶大な支援を送ったのであります。そして君は、十万票余りを獲得し、見事初当選の栄冠をかち取られたのであります。
 かくして本院議員に当選すること四回、在職十一年八カ月に及んだ君は、この間、大蔵、外務、科学技術委員会等の各委員及び理事として、精通した経済知識を生かし、若手の政策通として御活躍をされました。
 新井君が科学技術委員会理事としてその職責を全うされていた平成二年当時は、私がちょうど科学技術委員長を務めていたときでございます。同年七月、新井君を初め他の委員の方々と、欧州各国の科学技術調査及び原子力施設視察のためフランス、ドイツ等を訪問をいたしましたが、新井君はフランスの再処理工場等を熱心に御視察され、エネルギー関係高官との懇談においても積極的に御発言されるなど、政策に明るい君のはつらつとした姿を思い出します。
 また、平成八年一月、消費者問題等に関する特別委員長に就任された君は、誠実に公正、円満な委員会運営に努められ、委員長の重責を果たされたのであります。
 一方、自由民主党におきましては、国際局次長、国民運動本部推進部長、通信部会副部会長等の要職を歴任され、党の政策立案に寄与されました。
 平成四年の佐川急便事件を契機に「党の信頼回復を考える会」を結成し代表を務められるなど、政治改革に熱心に取り組まれた君は、政界再編の流れの中で一時、自由民主党を離れ、私と政治理念を異にした時期もありましたが、平成八年十月の第四十一回総選挙には、小選挙区比例代表並立制の新制度のもと、無所属候補として東京都第四区から出馬、見事四回目の当選を果たされたのであります。
 当選された後、「政党の支援がないと天と地の開きがあり、右手を縛って相撲をとったようだ。」と述べられておりますが、選挙区の差異こそあれ、同じ東京都内で選挙を戦った者として、この言葉から君の苦労をうかがい知ることができるのであります。
 君はまた、学生時代から愛好されたバスケットボールを初め、スキー、テニスなど何でもこなされ、音楽でもクラシックからポップスまで精通されており、まさに多才な趣味の持ち主でありました。マスコミのインタビューでは、政治、経済だけでなく、家族や趣味などについても積極的に語られ、新しいタイプの政治家と言われたのであります。
 思うに君は、御自身の著述からもうかがえるように、政治の究極にあるものを真摯に追求され、「葉隠」を愛読するなど、物静かで淡々としている中にも強い信念をお持ちの政治家でありました。
 ここに、同僚議員としてまことに苦渋に満ちた気持ちで触れるわけですが、証券会社の利益供与事件にかかわる経緯は、議員一同既に御承知のとおりでございましょう。
 君は、みずからの矜持、理念、そして責任等、深い苦悩と心の葛藤の中にあったのではないでしょうか。しかし、私にはその深遠をうかがい知ることはできません。まことに残念に存じます。
 人生八十年と言われる現在、政治家にとってこれからという五十歳の若さでの御逝去は惜しみても余りあるものがあり、君の胸中を察するに、その無念さはいかばかりでありましょう。今は、天にあって安らかにお眠りのことと存じます。
 ここに、謹んで新井将敬君の御冥福をお祈りするとともに、奥様を初め御遺族の皆様に深く哀悼の意を表しまして、追悼の言葉といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)、法人税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#7
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣松永光君。
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#8
○国務大臣(松永光君) ただいま議題となりました平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について御説明申し上げます。
 平成十年度予算につきましては、財政構造改革法に従い、歳出全般について聖域を設けることなく徹底した見直しを行いつつ、限られた財源を重点的、効率的に配分したことにより、前年度当初予算に対して一般歳出について五千七百五億円、一・三%の縮減を達成するとともに、公債減額一兆千五百億円を実現するなど、財政構造改革のさらなる一歩を進めたところであります。
 その中で、特例公債については、前年度当初予算における発行予定額から三千四百億円減額したものの、引き続き平成十年度においても発行せざるを得ない状況にあります。
 本法律案は、以上申し上げましたように、厳しい財政事情のもと、平成十年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置及び厚生保険特別会計年金勘定への繰り入れの特例に関する措置を定めるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、平成十年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができること等としております。
 第二に、平成十年度における一般会計からの厚生保険特別会計年金勘定への繰り入れのうち経過的国庫負担については、七千億円を控除した金額を繰り入れるものとするとともに、後日、将来にわたる厚生年金保険事業の財政の安定が損なわれることのないよう、七千億円及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れることとしております。
 次に、法人税法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、近年の経済社会の変化や国際化の進展にかんがみ、企業活力の発揮に資する等の観点から、法人税率の引き下げを行うとともに、法人税の課税所得の計算の適正化等の措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 まず、法人税率について、基本税率を三七・五%から三四・五%に、中小法人の軽減税率等を二五%に引き下げることとしております。
 次に、法人税の課税所得の計算について、賞与引当金等の廃止、貸倒引当金の繰入限度額の計算方法の見直し、長期工事の収益計上方法の見直し等、所要の経過措置を講じた上、その適正化を図ることとしております。
 また、所得税についても、法人税に準じて課税所得の計算の適正化を図るほか、特定扶養親族に係る扶養控除額の引き上げ等を行うこととしております。
 次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、最近における金融経済情勢を踏まえつつ、経済社会の構造的な変化及び諸改革に対応するため、金融関係税制、土地住宅税制等について適切な措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、金融関係税制について、有価証券取引税及び取引所税の税率の半減、特定の株式の取得に係る経済的利益の非課税制度の改組、銀行持株会社に係る措置の創設等を行うこととしております。
 第二に、土地住宅税制について、地価税の臨時的な課税停止、個人、法人の土地譲渡益課税の大幅な軽減、事業用資産の買いかえ特例の拡充、居住用財産の買いかえに係る譲渡損失の繰越控除制度の創設等を行うこととしております。
 第三に、沖縄の経済振興や中心市街地の活性化に資する措置を講ずるほか、既存の特例措置の整理合理化等による課税の適正化を行うこととしております。
 そのほか、いわゆるオフショア勘定において経理された預金等の利子の非課税措置、揮発油税及び地方道路税の税率の特例等適用期限の到来する特例措置について、これを延長する等の措置を講ずるほか、阪神・淡路大震災の被災者等が取得した特定の土地の所有権等の移転登記に係る登録免許税の免税措置の創設等及びしょうちゅう等の酒税の税率改正時期の変更等を行うこととしております。
 以上、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)、法人税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#9
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。藤田幸久君。
    〔藤田幸久君登壇〕
#10
○藤田幸久君 私は、民友連を代表し、ただいま提案のありました平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案について、総理及び関係大臣に質問いたします。
 後世の歴史家は、二度の世界大戦や世界規模での冷戦などに代表される戦乱と覇権争いに明け暮れた二十世紀を振り返り、日本という特異な国の興亡に目を寄せることがあるかと思います。三世紀にわたる鎖国から明治維新をなし遂げた日本は、今世紀に入り、富国強兵の道を常軌を逸して突っ走り、大やけどをした後は、冷戦と平和の最大の受益者としての恵まれた環境を生かして経済大国となりました。
 しかし、その経済大国は、世界を凌駕する技術と人材とそして資金を一時期擁しながら、そのお金はだぶついて世界じゅうにあふれ出て、個々の国民や社会インフラを飛ばして、使われることなく、一過性のバブルのごとく消え去ってしまったという姿です。国民飛ばしはこうして起こったのであります。
 そして、この戦後日本の半世紀近くを動かしたシステムの中心がMOF、大蔵省であります。MOFは、今外国人の間で、ミニストリー・オブ・フェイク、つまり偽りあるいは粉飾の省、あるいはミニストリー・オブ・フェーリアー、失敗の省とも呼ばれております。
 フェーリアー、つまり金融行政の失敗については、一九八五年のプラザ合意後、低金利による金融政策だけに頼った景気刺激策を続けてバブルを生じた失敗。さらには、バブルが崩壊し、銀行の不良債権が問題になった後も超低金利政策だけに頼った失敗。一方、時価主義をとる世界の流れに反して、保有株の評価の原価法を認めたり、証券会社の飛ばしを実質的に指導するなどのフェイク、つまり粉飾を行うなど、さまざまな失敗を行って今日に至りました。
 このMOFに代表されるシステムや最近その一部が暴露されてきた汚職体質そのものを抜本的に改めない限り、日本全体が粉飾国家のレッテルを張られ、後世の歴史家の評価にたえられない存在となると思いますが、総理、いかがでしょうか。
 こうしたフェーリアーやフェイクが続く中、今日、我が国の経済、景気はますます氷のように冷え込んでいる様相を呈しております。銀行の貸し渋りや雇用不安などの中で、若い善良な経営者の自殺も相次ぐ昨今の厳しい状況を、総理はどうお感じなのでしょうか。
 総理は、二兆円特別減税実施を決断して以来、財政構造改革と景気対策を両立しつつ、臨機応変の対応を行うと強調しておられます。ところが、自民党首脳からは、まさに予算審議をしているそのさなかに、財政構造改革についての政策転換や予算成立直後の十兆円の景気対策を含む補正予算編成が声高に叫ばれております。国民に向かって、これまでの政策判断の誤りとその責任を認めることもせず、その場しのぎの場当たり的対応をいつまで続けていくおつもりでしょうか。
 今求められているのは、イギリスのファイナンシャル・タイムズがストリップティーズとからかっているような、世界の気を引きながら時間稼ぎの対策を小出しにちらつかせたり、外国向けと国民向けで説明を使い分けるようなやり方ではありません。現在の冷え切った消費マインドに直接インパクトを与えるとともに、我が国の中長期的な経済構造改革につながる抜本的対策として、既に民友連が提案しておる六兆円規模の恒久減税等を大胆に実行していくことであると私は確信しております。
 自民党の山崎政調会長は、減税は公共事業よりも効果が薄い、消費性向が低いので減税しても消費には回らないと述べております。これは、国民一般に回る減税よりも、建設業界からの票や政治献金の還流が期待できる公共事業への強い思い入れを述べたものではないでしょうか。私は、むしろ恒久減税によって将来の所得機会が確保され、さらに望むべくは、政権交代が実現すれば、消費の著しい回復が実現すると思います。総理のお考えをお聞かせください。
 以下、それぞれの法案の内容に関連して、具体的にお尋ねいたします。
 平成十年度特例公債法案では、予算総則に書かれた七兆一千三百億円の範囲内で特例公債を発行できることとしております。これまでの政策判断の誤りや、行政改革による歳出削減の不徹底が、これだけの将来世代へのツケ回しを余儀なくさせております。
 こうして歴代政権が招いた巨額の財政赤字の中で大幅な減税を実行しようと思えば、現状ではやはり特例公債にある程度依存せざるを得ません。問題は、公債を建設国債に限定している現在の財政法と、これを前提として財政をがんじがらめに縛っている財政構造改革法のあり方にあると考えます。これらの法律の規定は、景気対策の柱となるべき減税を困難にすると同時に、恩恵に偏りがある従来型の公共事業を野方図に繰り返す効果しか生んでいないのではありませんか。
 政府は、補正後の九年度予算との比較で、特例公債発行にまだあと一兆三千億円余りの余裕があると表明しておりますが、これこそまさにその場しのぎの苦しい弁明にほかなりません。それとも、初めから大型の十年度補正予算編成を行うことを念頭に置いて、駆け込みで九年度補正での特例公債追加発行を行って天井を引き上げたのでしょうか。総理は、公債発行についての財政法の規定について、どのようにお考えでしょうか。また、現行の財政構造改革法から逸脱することなく抜本的な景気対策が本当に可能とお考えなのでしょうか。御見解をお示しください。
 続いて、いわゆる隠れ借金とされる一般会計からの厚生保険特別会計年金勘定への繰り入れの特例についてお尋ねします。
 法案によれば、政府は、厚生年金のいわゆる経過的国庫負担について、現在の厳しい財政状況のもとでの特例措置として、来年度七千億円を繰り延べするとしております。その結果、厚生年金の繰り延べ総額は約二兆七千百九十億円となり、国民年金の繰り延べ約一兆七千五百五十億円とあわせ、国は年金会計全体に四兆四千七百四十億円もの借金をすることになります。私は、この繰り延べについて、ある程度やむを得ないとも考えますが、その返済方法が問題であります。
 この法案には、「後日」返すとしか書いてありません。過去、昭和五十七年度から平成元年度分までの繰り延べ分約二・七兆円については、折しもバブル経済による自然増収のおかげで、二度の補正予算で返済することができましたが、現在の経済状況下では、この四・五兆円もの累積債務繰り延べ額の返済は相当に困難をきわめるものと思わざるを得ません。私は、「後日」返すというのではなく、期限と方法を明記して計画的に返済すべきであると考えます。この点、大蔵大臣の明確な御答弁を求めます。
 次に、税二法案についてお尋ねいたします。
 企業活力の発揮や新規産業、企業の創出等を通じた生産効率の向上など、我が国の経済構造改革を進めていくためには、法人課税の課税ベースや税率を思い切って見直していくことが重要であり、この点で、今回の法人税法改正案は、方向性において評価できるものであると考えます。
 しかしながら、政府案においては、地方税を含めた法人に対する実効税率は、四九・九八%から四六・三六%へと、わずか三%余りの引き下げにとどまっており、平均して四〇%前後と見られる欧米諸国と比べると、依然高いと言わざるを得ません。大蔵省は、少なくとも国税部分だけで見れば、既に米国よりも低い水準であると弁明しておりますが、この際、国税部分の表面税率を三〇%程度まで思い切って引き下げ、経済活性化を目指すべきではないでしょうか。総理の御所見をお示しください。
 我が国金融・証券市場が、フリー、フェア、グローバルな市場として発展するためにも、金融市場の整備にあわせて、課税の適正、公平の観点も踏まえつつ、金融・証券税制のあり方について、さらに検討を行う必要があります。
 この点、特に今回の改正案では、取引流通コストを高めている現行の有価証券取引税、取引所税を半減することとしており、また、政府の税制改正要綱では、平成十一年末までに見直し、廃止するとの方向性も示しております。しかし、今後一層拡大するであろうデリバティブ等の新しい金融商品、取引にとって、これら流通税の存在が大きなネックとなることは明白であり、本年四月には改正外為法が施行されることもあわせて考えれば、我が国金融・証券市場の国際競争力向上の観点から、二年後の見直しではなく、即刻廃止すべきではないでしょうか。
 同時に、株式譲渡益課税については、現在のみなし譲渡益率を用いる源泉分離課税や申告分離課税との選択制を抜本的に改め、実際の譲渡益課税に応じた源泉分離課税や納税者番号制度の導入による総合課税化について、早急に具体化を検討すべきであると考えます。大蔵大臣の所見をお示しください。
 経済構造改革の推進が我が国の最重要政策課題とされている中で、自動車関係諸税の特例については、今回の法案の中で五年延長することとしております。しかし、今日、既に国の道路特定財源は消化し切れずに余っており、財政構造改革の重要な柱の一つである公共投資の重点化、効率化の要請にも真っ向から反し、資源配分を著しくゆがめております。道路特定財源制度のような悪弊は、この際、思い切って廃止すべきではありませんか。
 また、租税特別措置の整理合理化については、今回、廃止一件に対して新設五件であり、企業関係租税特別措置全体でわずか二百億円程度の増収にとどまっております。新設項目については沖縄関係等が主ではありますが、法人課税ベース見直しの観点からは、既存の措置の全廃に近い、思い切った見直しが必要であると考えます。
 これら二点の問題について、大蔵大臣の御所見をお示しください。
 今回の法案とは直接関係ございませんが、先週NPO法案がようやく参議院で修正可決され、本院に送付されました。ともかく一歩を踏み出すことが重要でありますが、NPOへの優遇税制導入などが今回の大きな課題として残されております。この点について、現時点で、大蔵大臣としてどのようにお考えか、御所見を賜りたいと存じます。
 さて、最後になりましたが、金融問題に関連してお尋ねいたします。
 大蔵省が構造的汚職の全容解明をなおざりにしたままで強引に進めた三十兆円の公的資金導入、とりわけ銀行への横並び的資本注入は、大蔵省による護送船団行政の復活そのものです。今与党の中からも、危機に瀕している銀行からまず公的資金を導入すべきとする梶山私案が提起され、また、福岡銀行頭取ら地方の銀行経営者からも公然と批判が出ております。
 しかし、実際には、アジアに過剰投資した日本の都市銀行がアジアの経済危機によってそれまでの含み益を大幅に失ったその補てんの意味が大きいと思われます。この点について、総理、逃げずに率直なお答えをいただきたいと思います。
 一方、公的資金、つまり国民の血税をこれだけ金融機関に投入するなら、まず阪神・淡路大震災の被災者を優先すべきだというのが国民の多くの声と思いますが、総理はこうした声に聞く耳をお持ちでしょうか。
 ところで、金融検査官らの逮捕、起訴に続き、大蔵省証券局のキャリアが相次いで逮捕され、けさは銀行局幹部への接待が報道されるに至りました。私は、これらの逮捕によって、山一証券の飛ばし、簿外債務問題への松野元証券局長を初めとする大蔵省の関与、大蔵省幹部職員の日常的、構造的な腐敗、癒着の真相が具体的に司法の手を待つばかりでなく、大蔵省自身も内部から自浄作用を発揮すべきだろうと思います。それが、ミニストリー・オブ・フェーリヤーやミニストリー・オブ・フェイクをミニストリー・オブ・フェアネス、公正の省にして、国民、市場、そして世界から信頼を得る道と思います。フェアな日本をつくるための総理の取り組みをお尋ねして、私の質問を終わります。
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 藤田議員にお答えを申し上げます。
 まず、大蔵省に代表されるシステムを抜本的に改めるべきだという御指摘がありました。
 私は、御指摘を相当程度、感を同じくいたします。なぜなら、この十年来の経済困難を克服し、また、制度疲労を起こしております我が国のシステム全体を改革することが必要だと考えているからであります。我が国がより安定、発展を続けていきますために、各般の改革を内閣の総力を挙げて進めてまいります。
 汚職体質という点についての御指摘がございました。
 今般、特定の人間に対する利益の供与から端を発しました今回の事件、現在もなお捜査が続いております。この中から我々はきちんとその教訓を受けとめ、今後の行政に生かしていかなければなりません。綱紀の一層の保持、透明性の高い行政に転換を図ってまいります。
 また、銀行の貸し渋りや雇用不安についても御指摘がございました。
 政府としては、特別減税また九年度補正予算に加え、いわゆる貸し渋り対策や金融システム安定化対策など、財政、金融両面にわたるさまざまな措置の実施が経済の先行きに対する不透明感を払拭し、我が国経済の回復に資するもの、そのように考えておる次第であります。
 次に、経済、財政の運営についてのお尋ねがございました。
 私は、財政構造改革の必要性は何ら変わるものではないと思っております。同時に、経済の実態や金融システムの状況等を考えながら、臨機応変の措置をとっていくことも当然必要なことだと思います。こうした考え方のもとに政府が講じております財政、金融両面にわたるさまざまな措置、それは相乗効果を持って、我が国経済の回復に寄与していくと考えております。
 委員から御指摘のありました大規模な減税につきましては、この実施が後世代への負担の先送りである特例公債の大量発行を伴うという問題がございます。また、我が国の租税負担率が欧州諸国に比べてかなり低い水準にある中において、税負担のあり方としても問題があると考えております。
 次に、公債発行についての財政法の規定についてお尋ねがありました。
 財政法は、健全財政主義の原則のもとに、世代間の負担の公平の観点から合理的と考えられる範囲内において、例外的に建設公債の発行を認めております。こうした原則から離れて、建設公債と特例公債の区分をなくすことにつきましては、公債発行が安易に流れるおそれがありますことから、慎重でなければいけないのではないか、そう思います。
 なお、予算におきましては、公債発行対象経費であるかどうかということにかかわらず、それぞれの経費の必要性を精査しながら、重点化、効率化に努めてきました。これからもそうした努力を払っていきたいと思います。
 次に、九年度補正予算における特例公債の追加発行についてお尋ねがございました。
 九年度補正予算につきましては、特別減税の実施や最近までの収入実績等を勘案し、税収減を見込み、その他収入の増加などを見込んでもなお不足する歳入につきまして、やむを得ざる措置として公債を追加発行し、特例公債につきましては、既に議員御承知のように、特別減税、臨時福祉特別給付金などに係る財源として、一兆四百八十億円を追加発行することといたしました。
 また、財政構造改革と景気対策について繰り返しお尋ねでありますけれども、財政構造改革の必要性、また、経済、金融情勢の変化に即応した臨機の措置、これは私は二者択一の問題ではないと考えております。
 次に、法人税の税率についてのお尋ねがございました。
 法人課税の水準につきましては、国際水準に近づけていくことが重要であると考えております。その一環として、今回、法人課税につき、課税ベースを適正化しながら、法人税の基本税率を三四・五%、法人事業税の基本税率を一一%にそれぞれ引き下げることといたしました。今回の引き下げにより、法人税の基本税率は他の主要先進国並みか、またはそれ以下の水準になります。
 こうした改革は、企業活力の発揮など、経済構造改革の推進に資するものと考えておりますが、今後の法人課税のあり方については、当面、法人事業税における外形標準課税の検討が、法人課税の実効税率の議論にもつながることを念頭に置きながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、資本注入策についての異論がある、こうした点についてのお尋ねがございました。
 金融安定化緊急措置法に基づく優先株や劣後債などの取得につきましては、金融の危機的な状況に対処して金融システムの安定化を図るために行うものでありまして、個別金融機関の救済とならぬよう、金融危機管理審査委員会が公正な手続により審査基準を策定し、現在、各金融機関からの申請に対し厳重な審査を行っておられるものと承知しています。
 審査委員会におきましては、梶山私案のような御提言を初め、さまざまな考え方に耳を傾けながら、適切に判断され、金融システム安定化策を進めていかれるものと考えています。
 次に、阪神・淡路大震災関連のお尋ねがございました。
 政府としては、これまでも公営住宅の大量供給とその家賃の大幅な引き下げ、阪神・淡路復興基金を活用した生活再建支援金の給付に対する地方財政措置など、さまざまな支援策を講じてまいりました。これからも政府は、被災者の生活再建に向け、関係地方公共団体とも御相談をしながら、これらの支援策を着実に推進してまいります。
 最後に、大蔵省の不祥事は、司法の手を待つばかりではなく、自浄作用を発揮すべき、そのような御意見をいただきました。
 この一連の不祥事につきまして、事実解明を急ぐことにより、なぜこのような事件が起きたのかを国民の前に明らかにしてまいらなければなりません。
 そのために、現在大蔵省において行っております内部調査につき、できる限り早期にその結果を取りまとめるとともに、問題のある者がおりました場合には厳正な処分を行わなければならないと考えており、松永大蔵大臣を中心に一生懸命努力をしてくれていると信じております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#12
○国務大臣(松永光君) 藤田議員にお答えいたします。
 厚生年金国庫負担の繰り入れの特例についてのお尋ねですが、今回及び過去の繰り延べ措置に関する返済の時期、方法等返済の具体的内容については、今後の国の財政状況等を勘案する必要があり、現時点で明らかにすることは困難ですけれども、政府としては、運用収入相当額も含めた繰り延べ分を、国の財政状況を勘案しつつ、できるだけ速やかに繰り入れすることとしたいと考えておるところでございます。
 次に、有価証券取引税及び取引所税についてのお尋ねですが、これらの税については、その税率を本年四月から半減し、さらに、平成十一年末までに、金融システム改革の進展状況、市場の動向等を勘案しつつ見直しをし、株式等譲渡益課税の適正化とあわせて廃止することとしております。
 株式譲渡益課税についてのお尋ねですが、源泉分離課税を選択すると一定部分を上回る部分の譲渡益が課税対象から外れることは否定できず、このため、平成十年度答申において、申告分離課税への一本化が適正化の方向とされているところであります。いずれにせよ、今後の証券市場の状況や金融システム改革の進展状況等を踏まえつつ、適正化を進めていく必要があると考えております。
 なお、総合課税については、総合課税と分離課税のメリット、デメリットを勘案しつつ、納税者番号制度の検討状況を見ながら、幅広く国民的な議論を行っていくのが適当であると考えております。
 特定財源制度についてのお尋ねですが、特定財源は、特定の歳出に結びつくことにより財政の硬直化を招くという問題がある反面、特定された公共サービスの受益と負担との間にかなり密接な対応関係が認められる場合に、一定の合理性を持つものと考えております。
 なお、道路整備については、自動車重量税に係る歳出面での取り扱いについて、道路関係社会資本への活用を図ることにより、その運用の見直しを行っているところであります。
 租税特別措置についてのお尋ねですが、平成十年度の税制改正におきましても、現下の重要な政策課題に対応する一方、既存の諸措置については、その政策目的、効果等を十分に吟味しつつ、さらには法人税の課税ベースの見直しの観点をも踏まえ、整理合理化に努めたところであります。
 今後とも、租税特別措置については、ただいま申し上げました観点を踏まえながら、その整理合理化を徹底していくことが重要であると考えております。
 NPOの優遇税制の導入についてのお尋ねですが、今後、NPO法人に対する税制上の支援措置を検討する際には、実際にどのような団体がNPO法人としての資格を取得することになるのか、どのような活動が展開されるのか、その実態を見きわめた上で慎重に対応する必要があると考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(伊藤宗一郎君) 若松謙維君。
    〔若松謙維君登壇〕
#14
○若松謙維君 私は、平和・改革を代表して、税制改正関連三法案につきまして、橋本総理並びに関係大臣に質問いたします。
 税制を論議する前に、私は、三月五日の証券局総務課長補佐榊原容疑者の逮捕に関して触れないわけにはまいりません。松永大蔵大臣は、大臣就任後間もなく開かれた二月三日の大蔵委員会で、大蔵省の中でまた司直の手が及ぶというケースが出てきた場合の対応について聞かれました。そのとき大臣は、政治家としてのきちっとした身の処し方をしたいと答えられましたが、この意味は辞表を出すことが一般的な理解と考えますが、大蔵大臣の見解をお尋ねします。
 また、近日中に大蔵省キャリアから追加逮捕が出るとの報道も出回っています。昨日の予算委員会でも、現職証券局長が八百六十万円の接待贈与を受けているという議論がありました。司直の手が及ぶ前に、大臣みずから接待等の贈与を受けた職員を処分するお考えがあるのか伺います。
 さらに、今までの大蔵省体質から考えて、新たに追加逮捕が出るものと認識しているのかお伺いします。そしてそうなった場合、大臣みずからの責任をどうとられるのか、あわせて伺います。
 それだけではなく、近日中に日銀幹部の逮捕もあると伝わっています。もしそれが事実となれば、国民は大蔵省不信だけでは済まず、金融の番人である日銀からも逮捕者が出れば、大蔵大臣だけの辞任では到底不十分であり、元大蔵省事務次官であった日銀総裁の辞任も当然と考えます。そうなったら、国民はもうだれを信用してよいのかわからず、混乱のきわみとなります。そのときは、結局総理大臣を筆頭に、大蔵大臣、日銀総裁の同時辞任しか金融財政の信頼を回復する方法はありません。
 昨年以来官僚をかばい続けた総理の認識の甘さ、そして責任は極めて重大であります。大勢の国民を代表して伺っておりますので、総理の責任ある答弁を聞かせてください。
 さて、税制という、国民にとって極めて関心の高い法律を扱う大蔵省は、どの省庁よりも高い倫理性が求められるのは当然であり、また、今後の大蔵省不祥事を阻止し、早急にその信頼回復を得なければなりません。このため、私たち全野党は、国家公務員の接待贈与及び資産に関する報告に欠陥が明らかになったときには懲役または罰金の規定を盛り込んだ国家公務員倫理法案を二月二十七日衆議院議長へ共同提出いたしました。
 一方、政府・与党も同様の法案を準備していると聞きますが、具体的な中身が見えません。単なる口約束なのか、または野党提案より厳しいものなのか、総理の答弁を求めます。
 また、国会議員の株取引についても一言申し上げます。
 本年一月に訪米された額賀官房副長官の発言により、一万四千円台だった株価が一挙に一万七千円台にまで上昇しました。このほかにも、意図的に株価の操作をねらった、いわゆる口先介入もことしに入って数多く見られます。こうした状況を踏まえれば、政治家、特に与党の幹部や閣僚は、政策立案過程の最高の責任ある当事者であるため、インサイダー当事者と解釈するのが妥当ではないかと考えます。このため、新党平和の三十七名の所属議員全員は、既に国会議員在職中の株取引を行わない旨の誓約書を神崎代表に提出しています。
 私は、アメリカでの法規制のように、国会議員及び高級官僚は何らかの制約が、道義的だけではなく法的にも必要と考えますが、総理のお考えをお尋ねいたします。
 さて、税制を議論する前に、私は、総理が突然決断された二兆円減税について触れないことはできません。
 総理は、与党が税制大綱を決定した直後に、突如二兆円の所得税、住民税減税を指示されたわけですが、総理の減税決断について、政府税調会長の加藤寛氏の談話が、ある雑誌に次のように紹介されています。ASEAN非公式首脳会合に出席された総理は、ASEAN各国の状況の深刻さを改めて思い知らされました。さらに、アメリカの要求もあり、減税をひそかに決断され、与党に持ちかける前に加藤さんに大丈夫だろうかと相談、そこで加藤さんは、これはサッカーで言うとロスタイムの一発シュート逆転ですよと答えられたというのです。これは補正予算のことを言っているようですが、そのとき総理は、でも、あのときは監督が交代したじゃないかと言われました。
 我々野党が、昨年からあれだけ強く個人所得税の恒久減税、法人税の一〇%引き下げ等を主張し、そして今回、総理が首を横に振り続けてきた所得税減税を決断した以上、政策の誤りを素直に認め、責任をとっておやめになる。そうです。監督交代こそが、日本経済だけでなく、世界にとっても最高の選択であると確信しますが、総理の御見解を伺います。
 そして、五月のバーミンガム・サミットに向けて、海外の圧力に配慮し、政府・与党は大型減税もしくは財政出動による補正予算を組むお考えがあるように見受けられます。例えば、野中自民党幹事長代理は、実質的に財政構造改革法の枠から出た行動を既に示している、アナウンスなき政策転換と言っていいと明言されたと伝えられています。
 財政構造改革と景気対策は矛盾しないなどの口先だけの逃げ口上に終始したり、補正予算は財革法の制約を受けないなどと法の抜け道を探すようなこそくなやり方は、一国の首相がとるべき態度ではありません。政策転換したのなら、男らしくはっきりとお示しいただきたい。そして、これまでの失政を認めた上で、平成十年度予算案を抜本的に修正すべきであります。総理のくれぐれも男らしい答弁を求めます。
 引き続き、今回提出された公債発行特例法案に関しまして、加藤自民党幹事長が述べた、特例公債と建設公債の区分をなくすことの議論の内容について、総理に伺います。
 財政構造改革法では、明確に特例公債と建設公債について法律を分けて規定していますが、この法律作成に関与した張本人は加藤幹事長自身であり、余りにも無責任な発言であります。総理は、特例公債と建設公債の区分をなくすことについてどのようなお考えをお持ちなのか、また、加藤氏の発言に従うなら財革法を改正しなければなりませんが、総理がそういう意思がおありなのか、御答弁願います。
 続きまして、天然資源はなくとも経済、資産大国となった日本が、今後さらなる人材育成を図り、投資つまり消費を促すシステムを構築するための今後の税制の方向性について、二点について提言しますので、総理の御所見を伺います。
 まず一点目に、現在、世界経済は、インターネット等により情報のグローバル化が加速度的に進んでいます。一方、これらの情報の言語の約八割が英語であり、日本語は一%未満であります。このような現状を考えますと、二十一世紀の日本をさらなる高付加価値創出国家へと飛躍させるためには、語学教育投資とコンピューター等の情報教育投資が絶対不可欠の条件と考えます。そこで、これらの教育投資支出に対して、医療費控除制度と同じように個人に所得控除を認める制度を導入すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 これまでの日本の税制は、事業者中心の優遇政策をとり続け、個人税制には際立った優遇政策が見当たりません。個人所得税には、サラリーマン所得控除制度として一定額の所得控除を認めていますが、個人の能力向上のための投資に対する税制のインセンティブが不足しております。今回改正となる中堅所得者層への税負担の配慮として、基礎控除額が五万円増額されましたが、これではめり張りのある内容とは言えません。教育投資に対する所得控除制度の創設に関して、ぜひとも前向きの答弁を期待します。
 二点目は、昨年十二月のCOP3京都会議で二酸化炭素削減目標が辛うじて合意となりました。しかし、環境と持続可能な企業活動を促進するには、ISO14000シリーズに見られるEMSと呼ばれる環境管理システムを、企業が率先して導入する必要があると考えます。また、日本企業の環境管理システム導入がおくれると、欧米企業にますます差をつけられてしまいます。このため、このEMS投資コストに対して割り増し償却制度または税額控除制度等を創設して、環境企業の育成、そして環境先進国日本の地位をさらに高めるべきと考えますが、答弁をお願いします。
 続きまして、議題となっております税制法案に関し、三点について大蔵大臣に質問します。
 一点目は、退職給与引当金の累積限度額基準を今後五年間で四〇%から二〇%に引き下げますが、その理論的根拠を見出すことが極めて困難です。従来は、退職金の要支給額の四〇%が、運用利回りを考慮して現在価値に直した金額としてきました。近年の低金利下で運用利回りが低い現状では、要支給額の二〇%だけを損金として認めるのは財政当局の御都合主義であります。それなら、要支給額を未払い費用として全額損金と認めるべきであり、それを認めないとするのは、大蔵省が現在の税務申告の根幹であります確定決算主義を放棄したとしか考えられません。明快な答弁を求めます。
 二点目は、少額資産の取得時償却基準額を二十万円未満から十万円未満に引き下げる措置をとりましたが、これが実施されると、例えばパソコンを購入したときに全額一時償却ができなくなります。情報化時代を推進する必要のある企業並びに個人事業者にとって極めて大きなマイナス効果が生ずるものと懸念せざるを得ません。
 三点目は、これから提出される法案になりますが、コンピューター時代では帳簿書類として電子データを活用するのが常識となり、そのための安価で利用しやすい経理ソフトが市販されています。そのような中、本年七月より、税務署長の承認を受けた場合にのみ電子データ等による保存を認めるという時代錯誤の制度を大蔵省は導入しようとしています。この程度のものは届け出制度で十分であり、相変わらずの事前監視行政の意図がありありと見られます。電子データ制度の簡素化を求めますが、お考えを尋ねます。
 最後に、二点質問します。
 一点目は、年金に関し、二重課税防止国際租税条約に相当する国際年金通算協定のことです。現在、年金協定を欧米諸国は既に十数カ国と締結しているにもかかわらず、日本はまだ一カ国ともこの国際年金通算協定を締結しておりません。現在ドイツと交渉中とのことですが、海外で勤務する日本人はいつになったら年金の二重払いが回避できるのですか。厚生大臣及び外務大臣に伺います。
 二点目は、私は税理士登録をしており、税務署で無料申告相談をこの二月にも二日間行いました。この程度の相談はボランティアの感覚で喜んで引き受けられるのですが、現在、税務署の要請で、個々の会計事務所に相談を希望する納税者を送り、税理士の方々に無料納税相談を受けさせています。これでは、まさに国税庁が自由職業会計人にまで公務員と同じように税務署の下請をさせている現状を見るにつけ、どこまで国はのぼせているのかと怒りを覚えます。大蔵大臣はどのように認識しているかお答え願います。
 最後になりますが、五月のバーミンガム・サミットを控え、内需拡大中心の景気対策を世界に公約せざるを得ない状況下において、政府・与党は明らかに時代認識を欠いている緊縮財政政策を転換させる動きを具体化させています。しかし、従来の垂れ流し的な公共投資増加政策では単なる選挙目当てとしか映りません。バブル崩壊後の幾つかの政権が実験に失敗し、景気対策にさほど貢献しなかったことは歴史の教訓であり、かえって財政悪化を加速したことを今こそ思い浮かべるときです。
 今回の平成十年度予算案を、旧新進党時代から我々が一貫して主張してきた六兆円大型減税と行革断行を盛り込んだ内容に修正するよう再度強く要請します。それが大勢の自民党幹部の発言とも一致するものと確信し、代表質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 若松議員にお答えを申し上げます。
 まず、官僚の不祥事に関連した責任のとり方、そうしたお尋ねがございました。
 現在、御承知のように、総会屋への利益提供に端を発しました一連の事件がなお捜査が進行し続けております。その間、自殺された方があり、また、大蔵省OBを含め、現職の官僚の逮捕もございました。
 今後どうなるのか、その場合どうするのかということについては私はお答えは保留させていただきたいと思いますけれども、いずれにせよ、こうした問題が今捜査が続いております。この捜査が厳正に行われ、捜査当局として、これ以上の法に反するものがないというところまできちんと事実解明を行っていただきたい。
 そして、今一方で、大蔵省に進めてもらっております、法に触れる触れないという以前の問題としての調査、これが明らかになりました中において、どうしてこうした事件が起きたのかをきちんと国民の前に明らかにしていきたいと思います。
 同時に、こうした中におきましても国政を停滞させることは許されず、国民の日々の暮らしに御迷惑をかけないように努力をしてまいりたいと考えておりますし、私の責任は、こうした努力を通じて一刻も早く行政に対する国民の信頼を回復し得るよう、再発防止のための抜本的な対策を講じていくところにあると思います。
 関連して公務員倫理法についてもお尋ねがございました。
 現在、不祥事根絶の抜本的な対策として、この公務員倫理法についてさまざまな角度から鋭意検討を行っております。法案につきましては整理すべき論点も多くございますし、法律的な議論をきちんと詰め、その内容を固めたいと考えておりますが、いずれにせよ、与党とも連携をとりながら早急に作業を進めていきたいと考えております。
 次に、国会議員及び高級官僚の株取引についての制約という点からのお尋ねがありました。
 現在、閣僚及び政務次官につきましては、就任時の及び退任時の資産公開とともに、在任中の株の取引を自粛する、そして、保有する株式の預け入れを行っていることは御承知のとおりであります。
 また、国会議員につきましては、現在、与党の政治改革プロジェクトチームにおいても、また自由民主党の政治改革本部においても検討がなされておるところでありまして、その結果を待って適切に対処していきたいと考えておりますが、私は、むしろ公開という手法が望ましい、予算委員会においても御答弁を申し上げてまいりました。
 国家公務員につきましては、平成七年九月の事務次官等会議の申し合わせにおきまして、「自己の所属する部局が所管する企業の株式の取引については、当該職員に対し、当該企業に係る職務との関係等に応じ、取引の自粛等の適切な措置を講じること。」などとされており、この効果をも見てみたいと思います。
 次に、今回の特別減税は政策転換ではないか、また、加藤寛さんの意見を聞いたのかというお尋ねをいただきました。
 加藤寛さんは私の慶応の大先輩でありますけれども、この問題について、お目にかかっておりませんが、私は、財政構造改革を進めるその一方において、経済の実態や金融システムの状況などを踏まえ、臨機応変の措置をとることは当然のことだと思っています。その上で、私は、日本発の経済恐慌は決して起こさないという決意のもとに、二兆円規模の特別減税の決断をいたしました。
 いずれにしても、政府としては、現在御提案申し上げ御審議を願っている平成十年度予算、ぜひ早期に成立をと、お願いを申し上げております。
 次に、建設国債と赤字国債の区別についてのお尋ねがありました。
 これはもう議員よく御承知のように、財政法で健全財政主義の原則のもとに、世代間の負担の公平の観点から、合理的と考えられる範囲において例外的に建設公債の発行を認めているものであります。こうした原則から離れて、建設公債と特例公債の区分をなくすことについては、公債発行が安易に流れるおそれがあることから、慎重であらねばならないと考えております。
 また、財政構造改革法の改正についてもお尋ねがありましたが、財政の状況を考えますとき、財政構造改革を進める必要性は何ら変わるものではないと思っております。
 最後に、教育投資支出に係る所得控除の制度を導入すべきではないかというお尋ねがございました。
 我が国の所得課税の負担水準は、諸外国と比べて既に相当低い水準になっております。税制のあり方として、新たな所得控除制度の創設について、制度がいたずらに複雑になりはしないか、また、特定の家計支出などを抜き出して税制上しんしゃくするにはおのずからの限界があるのではないかと考えます。
 また、EMS、環境投資管理システムについて特例措置のお尋ねがございました。
 租税特別措置などにつきましては、従来から、その整理合理化に努めてきているところでありますし、新規の措置を検討するに当たりましては、その政策課題の緊急性、効果の有無、手段としての妥当性などの観点から十分吟味する必要があると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#16
○国務大臣(松永光君) 若松議員にお答えいたします。
 まず、私の身の処し方についてのお尋ねですが、さきの金融検査部の職員の逮捕に引き続いて、今回新たに二名の職員が逮捕されたことは、まことに遺憾であり、深くおわびを申し上げるものであります。
 私は、大蔵大臣就任時に総理から、大蔵改革を断行して、大蔵省を生まれ変わらせることによって、国民の信頼を回復するよう強く指示されました。この総理の指示を受けて、綱紀粛正を徹底するとともに、いわゆるMOF担の存在を必要としない行政に転換していくことが私の使命であり、一身をかけてこれに邁進してまいる所存であります。
 次に、追加逮捕者が出ると認識しているかどうかという話でございますが、私の立場でその点について軽々しくコメントすべきではないと考えておりますので、その点についての答弁は差し控えさせていただきます。
 また、司直の手が及ぶ前に接待等を受けた職員を処分する考えはあるかとのお尋ねですが、現在行っております内部調査については、可能な限り正確なものでなければならないという要請はあるものの、できるだけ早い時期に結果を取りまとめて、問題のある者については厳正な処分を行う所存であります。
 いずれにしても、大蔵大臣としての私の責務は、綱紀の粛正、大蔵省の改革に全力を尽くし、国民の信頼を回復することであると考えております。
 退職給与引当金についてのお尋ねですが、退職給与引当金は、退職給与というものが、退職という事由が発生して初めて確定する、いわゆる条件つき債務であり、しかも相当期間経過後に支払いがなされるものであることから、こうした費用の先行計上については、本来抑制的に考えるべきではないかなどの考え方を踏まえて、今回その累積限度割合を引き下げることとしておるわけであります。
 なお、法人税の課税所得計算については、今後とも商法、企業会計原則にのっとった会計処理に基づいて算定することを基本としながらも、必要に応じ、税法固有の適正な課税を行う観点から、商法、企業会計と異なった取り扱いをすることが適当と考えております。
 少額減価償却資産の取得価額基準についてのお尋ねですが、今回の改正は、現行の取り扱いによって多額の償却費が一時に計上される結果、課税ベースが狭められているといった点などを考慮し、主要先進国の取り扱いも参考にしながら措置するものであります。
 今回の法人税制改革は、このような課税ベースの適正化とともに法人税率の引き下げ等を行うものであり、これらが全体として企業活力の発揮や新規産業の創出に寄与し、経済構造改革の推進に資するものと考えております。
 次に、国税関係帳簿書類の電子データ保存制度についてのお尋ねですが、帳簿書類は申告納税制度の基礎となる重要なものでありますから、納税者の負担に配慮すると同時に、適正、公平な課税が損なわれることのないような制度とする必要があります。
 そのため、記録の真実性や可視性を確保するために必要な一定の要件と、税務署長による事前承認のもとで電子データ保存ができる制度としているところであり、これを届け出制にした場合、適正、公平な課税の確保が損なわれるおそれがあると考えております。
 最後に、税理士の無料納税相談についてのお尋ねですが、税理士の無料納税相談は、各税理士会が傘下の会員の協力のもとに主体的に実施しているものであり、これによって納税者の信頼にこたえ、納税義務の適正な実現に寄与していると私は理解をしているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣小泉純一郎君登壇〕
#17
○国務大臣(小泉純一郎君) 若松議員にお答えいたします。
 国際年金通算協定についてのお尋ねですが、ドイツとの間については、日独社会保障協定の締結に向け、来月にも署名が行えるよう、現在両国政府部内で最終調整を行っているところであります。協定の署名が行われ次第、協定案とともに、協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等を定めた国内法案を国会に提出したいと考えております。
 この協定の締結は、我が国の年金制度の国際化への第一歩となるものでありまして、引き続き、我が国と人的交流の多いアメリカ及びイギリスについても、今後協定締結に向けた取り組みを鋭意進めてまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣小渕恵三君登壇〕
#18
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま厚生大臣からも御答弁がございましたように、本件につきましては、ドイツとの間での締結交渉を行っておりまして、最終段階に来ておりますので、一日も早くその協定を締結いたしたいと考えております。
 なお、ドイツ以外の国の間では、我が国との人的交流の特に多いアメリカ、イギリスとの間で協定の締結を視野に入れた協議を行ってきておりまして、今後とも協定締結に向けた取り組みを鋭意進めていく考え方でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#19
○副議長(渡部恒三君) 西田猛君。
    〔西田猛君登壇〕
#20
○西田猛君 自由党の西田猛でございます。
 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました三法案について質問をいたします。
 質問に先立ちまして、大蔵委員会における資料要求の件について伺います。
 本法案が付託される大蔵委員会は、全会一致により、金融と証券取引に関する資料、特に、あさひ銀行、第一勧業銀行、三和銀行、北海道拓殖銀行に対する大蔵省の検査報告書等の資料の提出を内閣に要求することと決し、右を二月二十四日、大蔵委員長名で内閣総理大臣あてに行いました。職務上の秘密に関する書類の証人としての提出につき監督庁承認を求めるの件を議院証言法第五条に基づいて要求したのであります。
 要求された資料は、提出されるか、拒否されるかのどちらかしかありません。しかるに、三月三日、内閣から提出されようとしたものは、四銀行からの融資先など、大蔵委員会で調査する必要があると議論された、最も重要な部分が黒く塗りつぶされているとのことです。
 改ざんされたものを閲覧せよなどとは、憲法に定められた国会の国政調査権をないがしろにしようとするものであり、国権の最高機関である国会に対する行政府の挑戦であります。
 また、改ざんされたものの閲覧で事足れりとしようとした大蔵委員長村上誠一郎君を初め自民党、社民党の委員諸君は、みずからが主権者たる国民によって直接選ばれた代表であり、国権の最高機関たる国会の構成員であるという重大な責務を忘却し、憲法と国会をみずから汚そうとしているのであります。
 昨日の予算委員会総括質疑において、自民党の山本有二委員も、銀行の情報開示の不備を指弾しています。このように心ある議員も数多くある中、自民党、社民党の大蔵委員諸君及び内閣に対し、ここに国民の前で猛反省と謝罪を求めます。
 政府は直ちに要求された記録をそのまま提出してください。これは憲法第六十二条に定める国政調査権の発動であって、記録の取り扱い、各種の配慮は、調査権限を有する国会が判断するものです。
 どのようにしたら現下の経済不況、金融不安を克服していけるか、国会が法律制定等により国民の代表として議論を行っている今、これらの資料が必要不可欠であることを衆議院大蔵委員会は全会一致で決定し、その提出を内閣に命じております。内閣は直ちに要求された資料を提出してください。橋本総理大臣に具体的な反論をお伺いしたい。反論なくば直ちに提出していただきたい。
 さて、我が国の今日の不況の原因が、自民、社民、さきがけ三党の理念、政策の一致なき連立政権、そして経済の見通し、政策に失敗を重ねてきた橋本内閣総理大臣自身にあることは、今や、我が国のみならず、米国を初め世界各国の政府、議会、経済界の認めるところであります。我が国経済が立ち直りかけつつあった昨年前半、我々当時の新進党は、財政再建のためにもまず経済再建を主張しました。それを継ぐ我々自由党の今日までの警告、提言を否定し、橋本総理が自信満々に行った平成九年度のデフレ予算、九兆円の国民負担増加、たび重なる経済見通しの誤り、不良債権処理の現状認識の甘さ、そして、単なる歳出の一律削減法にすぎない財政構造改革法の制定が招いたのがこの不況であり、まさに橋本不況であります。
 橋本総理みずから否定していた特別減税を平成十年度にずれ込ませながら、しかもわずか二兆円規模を行っても、金融二法を強引に成立させても、大型倒産はとまらず、中小企業経営者の方が経営に行き詰まり、みずから命を絶つという悲劇も後を絶ちません。総理はこの現実に胸が痛まないのでありましょうか。
 私は、国民が不安、不信を抱いているのは、橋本内閣の政策の失敗はもちろんのことながら、我が国民も世界各国も抱いていることは、内閣及び今の与党は政策の失敗を重ねてきた、そしてその失敗はこれからも繰り返されるであろうという修復不能な不信感であります。この不信感が存置する限り、本邦銀行の自己資本比率を数%上乗せせしめるがごとき莫大な公的資金を注入しても、本邦銀行が世界の資本市場において資金を調達しにくいとの状況はなくなりません。
 橋本内閣はまた失敗するだろうとの不信感がある限り、小出しの減税を行っても、また、本来景気対策とは何ら関係なく、国家の基盤、インフラ整備のために効率的かつ計画的に行わなければならない公共投資を無理矢理、従来どおりばらまき的に行っても、国民が我が国の将来に明るい見通しを持っていない今、全くむだであり、むしろ二十一世紀に向け本当の構造改革を行わなければならない我が国の税制、財政、金融システム、産業構造にとって大きな害悪となるとせざるを得ません。
 総理、残念ながら、今の自民、社民、さきがけの三党連立与党及び橋本内閣は、既に日本国民そして世界からこの不信のレッテルを張られてしまっているのです、今の内閣、三党与党はそれだけのことをしてきたのですから。総理、この根本的問題につき、反論がおありであれば具体的に御反論いただきたい。
 さて、橋本内閣は、先月強引に成立をさせた金融二法により、金融機関に三十兆円もの公的資金を投入する仕組みをつくりました。今回の法人税改正では、減収額は、初年度八千百九十億円、課税ベースの拡大により、実質では三千二百六十億円の減税でしかありません。大手十八行に投入される公的資金は二兆円とまで言われており、これでは余りに不公平ではありませんか。
 戦後日本の奇跡的な経済成長を支えてきたのは製造業、しかも数多くの中小企業であります。総理の経済見通しと政策判断の誤りが今、この不況と金融不安、それに伴う貸し渋り、それを生み、他の産業にしわ寄せがなされていることはさきに述べたとおりです。世間の批判が集中している金融機関が公的資金により救済される中、厳しい年度末を迎える製造業を初めとする他の産業、中小企業について、総理はどのような感慨をお持ちか、お答えを賜りたいと思う。
 自由党はかねてより、連結納税制度を導入し、法人関係税の実効税率を一〇%引き下げ四〇%とすることを主張しております。産業界からも同様の要望が出ておりますが、グローバル化の加速する経済状況にあっては当然のことであります。少子・高齢化社会にあっても、民間活力が最大限に発揮され、国際経済とも調和のとれる税体系を構築しなければなりません。
 そのためには、課税ベースの適正化もさることながら、国、地方をあわせた体系的な税制、行政、財政の真の構造改革が必要であります。
 また、法人課税との均衡、世界各国の税制を考慮し、所得税、住民税の最高限界税率を六五%から五〇%に引き下げ、税率の簡素化、フラット化を初めとした大幅制度減税を実施するべきであります。法人課税実効税率の引き下げが約三・六%程度にとどまり実質一%程度の引き下げでしかないのは、今回の平成十年度税制改正案が、大胆な改革を避け続けているためにほかならないのであります。総理の御所見を伺います。
 本来、有価証券取引税は、我が国証券市場の空洞化を防ぎ、活性化を図るのが目的であれば全廃とするべきところ、我々もかねてより主張してまいりました取引所税についても同様であります、なぜ半減でしかないのでしょうか。これは、財政構造改革法により減税財源が縛られているため、思い切った政策がとれなかったからではないのですか。明確に答弁願います。
 また、有価証券取引税、取引所税は、キャピタルゲイン課税とあわせて今後見直すとのことですが、本年四月一日にも第一波が始まる金融ビッグバンに間に合うのでしょうか。橋本内閣の危機感のなさがここにもあらわれているとしか思えません。大蔵大臣の御所見を伺います。
 地価税の凍結、個人の長期保有土地譲渡益課税の軽減、法人の土地譲渡益重課の停止、廃止など、今回の土地税制改正案は、すべて我々がかねてより主張していたものばかりであります。政府が今になって、財政構造改革法に縛られながら憶面もなくこれらの施策を実行しようとするなど、まことに支離滅裂であります。行き過ぎたバブル対策税制の見直しは、余りにも遅きに失しております。
 土地取引の活性化に主眼を置くのであれば、地価の下落、二極化に伴い、土地不動産市場が売り手市場から買い手市場へシフトしている現状を踏まえ、需要喚起策を実行するべきであります。
 大蔵大臣の御所見を伺います。
 総理は、昨年の財政構造改革の推進等に関する特別委員会において、当時の三塚大蔵大臣の、予定されない経済政策について直ちに補正要因になるとは考えられない、考えるべきではないとの発言を受けて、私もさように考えますと述べておられます。また、補正予算についても、財政法第二十九条を厳格に運用すると再三述べておられます。
 補正予算を編成する際に財政法二十九条を厳格に運用するなど当然であります。ましてや今はあなた自身が強引に通した財政構造改革法があります。公債特例法により、七兆一千三百億円の赤字公債を発行できるとしても、平成十年度は集中改革元年のはずであります。その平成十年度に多額の赤字公債を発行することは、財政構造改革法の趣旨に真っ向から反するものではありませんか。
 また、我々の再三の減税要求に対し、総理は、財源を特例公債に求めることはできないと答弁しています。大規模補正を行わないのであれば、それで結構です。しかし、もし大規模補正を編成するのであれば、赤字公債以外の財源は一体何なのでしょうか。
 総理、ここで明確にしていただきたいと思います。
 総理の六つの改革の中に含まれていないものが、まさしく税制改革であります。総理の言う改革は、行政改革にも見られるように、全く理念を欠いた小手先のものであることは明らかですが、特に税制改革について、私がさきに述べた税制改革提案のように、法人税見直しは我が国産業構造の変化を反映し、日本のあるべき産業構造の姿を描くものでなくてはならず、国民経済の活力を十分発揮できるような所得、消費、資産の均衡ある課税体系が必要であると考えますが、総理の見解をお伺いいたしたい。
 財政構造改革法によって、財政の目先の帳じり合わせのみに血道を上げた結果、景気対策を税制にしわ寄せし、場当たり的な改正のみに終始し、国家百年の大計の議論を行わなければならない税制構造をゆがめてしまったあげく、赤字国債削減目標も達成できない橋本内閣には、まさに不信のレッテルが張られてしまっているのです。財政構造改革法は、単に歳出一律削減法であるよりさらにあしく、抜本的税制改革を阻害するものであります。
 財政構造改革法の廃止、凍結のための政府提出法案をメンツを捨てて用意されたい。さもなくば、不信のレッテルしか見えない橋本内閣は、みずからけじめをつける最後の決断をされるべきではありませんか。総理、いかがでしょう。
 以上、総理の決断を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 西田議員にお答えを申し上げます。
 冒頭、大蔵委員会からの資料要求についてお尋ねがございました。
 金融システムの安定化が課題となっております現下の状況におきまして、御要求のありました四銀行の検査結果を開披することになりました場合に、その取引先、預金者等に不測の損害を与えるおそれがあるほか、信用秩序の維持に重大な影響を及ぼすおそれがあります。このため、四行の取引先、預金者の実名などを除き、去る三月三日、大蔵大臣より関係書類を提出させていただきました。
 次に、政府・与党の政策に対する不信感について御指摘がございました。
 政府・与党としては、経済の停滞から一日も早く抜け出し、力強い日本経済を再建しなければならないと考えております。
 そのためには、まず金融システムの安定と景気の回復が必要であり、同時に、経済構造改革、財政構造改革など、各般の構造改革が必要であります。今後とも、各般の構造改革を推進しながら、景気回復に向け最大限の努力を行い、こうした政策に対する内外の理解が深められるよう努めてまいりたいと思います。
 次に、自己資本充実策が不公平という御指摘がございました。
 今回の対策は、金融システムが我が国経済の基盤であり、その安定が我が国経済の景気回復軌道への復帰には必要不可欠と考えました上、金融システムの安定化を図るために断固として行う緊急対策であります。同時に、いわゆる貸し渋りの解消など、取引先企業などへの円滑な資金供給の効果も期待できるものであることを考えますと、御指摘は当たらないのではないかと思います。
 次に、金融機関以外の産業あるいは中小企業についての御指摘がございました。
 景況感の厳しさが設備投資などに影響をもたらし、景気が停滞する中において貸し渋りという状況が見られ、企業活動に深刻な影響が及んでおることを承知しております。けさ、経済四団体、お集まりをいただき、意見交換をいたしました中でも、さらに新しいデータもちょうだいをいたしました。
 政府としては、実体経済、なかんずく中小企業が力強い回復に向かいますよう、総額二十五兆円の資金を用意する貸し渋り対策など、各般の対策を講じてまいります。
 次に、抜本的な税制改革を実現すべきであるという御意見をいただきました。
 平成十年度税制改正におきましても、各般の改革にあわせて、法人課税、金融関係税制等につき、広範かつ思い切った措置を講じており、今後とも、経済社会の構造変化に対応し、適時適切に望ましい姿を考えていく必要があると考えております。
 議員御指摘のような大規模な減税につきましては、この実施が後世代への負担の先送りである特例公債の大量発行を伴うという問題がありますし、我が国の租税負担率が欧州諸国に比べかなり低い水準にある中で、税負担のあり方としても問題があると考えております。
 十年度予算が財政構造改革法の趣旨に反するのではないかという御指摘もございました。
 十年度予算におきましては、財政構造改革法の規定に沿い、歳出の改革と縮減を進め、公債減額一兆一千五百億円、特例公債減額三千四百億円を達成いたしました。現下の経済金融情勢を考えれば、財革法成立後初めての予算としてしかるべき公債減額を達成できたと考えております。
 なお、補正予算につきましても御意見がございましたが、財政法第二十九条の趣旨を厳正に判断し、適切に対応していきたいと考えています。
 次に、財革法と抜本的税制改革についてのお尋ねがございました。
 財政構造改革の必要性は何ら変わるものではありません。今後ともその着実な推進は必要なことであると考えております。こうした中におきまして、集中改革元年であるこの平成十年度の税制改正におきましても、各般の改革にあわせて、法人課税、金融関係税制などにつき、広範かつ思い切った措置を講ずることとしており、今後とも経済社会の構造変化に対応し、適時適切に、より望ましい税制を考えていく必要があると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#22
○国務大臣(松永光君) 西田議員にお答えいたします。
 有価証券取引税及び取引所税についてのお尋ねですが、これらの税については、金融システム改革を推進し、金融・資本市場の活性化を図るという政策的観点、金融のグローバル化に伴う金融取引の海外シフトの可能性の拡大といった状況や、これらの税の金融・証券税制全体の中での役割等を総合的に勘案し、税率を半減することとしておるわけであります。さらに、平成十一年末までに、金融システム改革の進展状況、市場の動向等を勘案して見直し、株式等譲渡益課税の適正化とあわせて廃止することとしております。
 次に、土地税制についてのお尋ねですが、平成十年度税制改正においては、有効利用に向けた土地取引の活性化に資するため、個人、法人の土地譲渡益課税の大幅な軽減措置に加え、不動産の証券化等を促進するために創設された特定目的会社、SPCに対応する特別措置の創設など、適切な措置を講ずることとしております。
 また、平成九年度税制改正において、登録免許税、不動産取得税の課税標準の軽減措置を三年間継続するとともに、その課税標準となる固定資産税評価額が大幅に引き下げられたことから、既にその税負担は大幅に軽減されておるところであります。
 以上でございます。(拍手)
#23
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#24
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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