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#1
第142回国会 本会議 第26号
平成十年四月七日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十五号
  平成十年四月七日
    午後一時開議
 第一 平成十四年ワールドカップサッカー大会特別措置法案(内閣提出)
 第二 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第三 公職選挙法の一部を改正する法律案(第百四十回国会、石井一君外三名提出)
 第四 公職選挙法の一部を改正する法律案(第百四十回国会、内閣提出)
 第五 大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案(内閣提出)
 第六 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 平成十四年ワールドカップサッカー大会特別措置法案(内閣提出)
 日程第二 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三 公職選挙法の一部を改正する法律案(第百四十回国会、石井一君外三名提出)
 日程第四 公職選挙法の一部を改正する法律案(第百四十回国会、内閣提出)
 日程第五 大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案(内閣提出)
 日程第六 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 橋本内閣総理大臣のアジア欧州会合(ASEM)に関する報告及び質疑

    午後一時三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 平成十四年ワールドカップサッカー大会特別措置法案(内閣提出)
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、平成十四年ワールドカップサッカー大会特別措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。文教委員長高橋一郎君。
    〔高橋一郎君登壇〕
#4
○高橋一郎君 ただいま議題となりました平成十四年ワールドカップサッカー大会特別措置法案につきまして、文教委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、平成十四年に開催されるワールドカップサッカー大会に対する支援の一環として、大会の円滑な準備及び運営に資するため必要な特別措置を定めようとするもので、その主な内容は、
 第一に、この大会の組織委員会が調達する準備及び運営に必要な資金に充てることを目的とした寄附金付郵便切手などを発行することができる特例を定めること、
 第二に、組織委員会に出向する公務員が退職手当等の計算上不利益をこうむらないよう措置すること、
 第三に、組織委員会の役員及び職員を、刑法などの罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすこと
などであります。
 本案は、三月三十一日本委員会に付託され、四月一日町村文部大臣から提案理由の説明を聴取し、同月三日質疑を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#7
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長村上誠一郎君。
    〔村上誠一郎君登壇〕
#8
○村上誠一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、国際通貨基金の第十一次増資に伴い、政府が同基金に出資することができる金額の範囲を、現行の八十二億四千百五十万特別引き出し権に相当する金額から、百三十三億千二百八十万特別引き出し権に相当する金額に引き上げる等、所要の改正を行うものであります。
 本案は、参議院先議に係るもので、去る三日松永大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、質疑を終局いたしました。
 次いで、採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 公職選挙法の一部を改正する法律案(第百四十回国会、石井一君外三名提出)
 日程第四 公職選挙法の一部を改正する法律案(第百四十回国会、内閣提出)
#11
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第三、石井一君外三名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、日程第四、内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員長葉梨信行君。
    〔葉梨信行君登壇〕
#12
○葉梨信行君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、公職選挙法改正に関する調査特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 両案は、いずれも、国外に多数の国民が居住している現状にかんがみ、これらの者について選挙権行使の機会を保障するため、在外選挙人名簿の登録制度及び在外投票制度を創設しようとするものであります。
 まず、石井一君外三名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案について、その主な内容を申し上げます。
 第一に、在外選挙人名簿の登録についてであります。
 年齢満二十年以上の日本国民で、引き続き三カ月以上国外に住所を有するものであって、将来国内に住所を定める意思を有すると認められるものは、領事官を経由して、国外転出後五年を経過するに至っていない場合には最終住所地の市町村の選挙管理委員会に、国外転出後五年以上経過している場合には申請時における本籍地の市町村の選挙管理委員会に、在外選挙人名簿の登録の申請をすることができることといたしております。また、市町村の選挙管理委員会は、登録の申請をした者が当該市町村の在外選挙人名簿に登録される資格を有する者である場合には、その者を在外選挙人名簿に登録するとともに、在外選挙人証を交付することといたしております。
 第二に、在外投票についてであります。
 在外選挙人名簿に登録されている選挙人で衆議院議員または参議院議員の選挙において投票しようとするものは、衆議院議員または参議院議員の選挙の期日の公示または告示の日から原則として選挙の期日前五日までの間に、みずから在外公館の長の管理する投票を記載する場所に行き、在外選挙人証等を提示して投票することができることといたしております。また、在外投票を行う在外公館の所在地から遠隔である地域にその住所を有する等の事由のある者は、郵便により投票を行うことができることといたしております。
 なお、これらの選挙人が一時帰国等により国内にいる場合には、不在者投票に準じた方法により、国内において投票を行うことができることといたしております。
 第三に、選挙人名簿に登録されている選挙人の在外投票についてであります。
 選挙人名簿に登録されている選挙人が国外転出後三カ月未満である等の場合には、国内の選挙人名簿に基づき、在外投票に準じた方法により、国外において投票を行うことができることといたしております。
 第四に、在外投票の対象とする選挙についてであります。
 衆議院小選挙区選出議員または参議院選挙区選出議員の補欠選挙については、当分の間、在外投票を行わないことといたしております。
 次に、内閣提出の公職選挙法の一部を改正する法律案について、その主な内容を申し上げます。
 第一に、在外選挙人名簿の登録についてであります。
 年齢満二十年以上の日本国民で、その者の住所を管轄する領事官の管轄区域内に引き続き三カ月以上住所を有するものであって、将来国内に住所を定める意思を有すると認められるものは、領事官を経由して、最終住所地の市町村の選挙管理委員会に、その者がいずれの市町村の住民基本台帳にも記録されたことがない者等である場合には本籍地の市町村の選挙管理委員会に、在外選挙人名簿の登録の申請をすることができることといたしております。また、市町村の選挙管理委員会は、登録の申請をした者が当該市町村の在外選挙人名簿に登録される資格を有する者である場合には、その者を在外選挙人名簿に登録するとともに、在外選挙人証を交付することといたしております。
 第二に、在外投票についてであります。
 在外選挙人名簿に登録されている選挙人で衆議院議員または参議院議員の選挙において投票しようとするものは、衆議院議員または参議院議員の選挙の期日の公示または告示の日から原則として選挙の期日前五日までの間に、みずから在外公館の長の管理する投票を記載する場所に行き、在外選挙人証等を提示して投票することができることといたしております。また、在外公館における投票を行うことが著しく困難である者として政令で定める者は、郵便による投票を行うことができることといたしております。
 なお、在外選挙人名簿に登録された選挙人が帰国した場合は、一定の期間、市町村の選挙管理委員会において投票を行うことができることといたしております。
 第三に、在外投票の対象とする選挙についてであります。
 在外投票は、当分の間、衆議院比例代表選出議員選挙及び参議院比例代表選出議員選挙に限って行うことといたしております。
 以上のほか、両案とも、国外における選挙の公正を確保するため、買収罪、選挙の自由妨害罪、詐偽投票罪、公務員等の選挙運動の制限違反の罪及びこれらに類する罪は、国外においてその罪を犯した日本国民にも適用することといたしております。
 また、施行期日につきましては、両案とも、公布の日から起算して一年を超えない範囲内で政令で定める日から施行することといたしておりますが、在外投票については、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。
 両案は、第百四十回国会に提出され、本委員会に付託となり、委員会において提出者及び自治大臣から提案理由の説明を聴取いたしましたが、継続審査となり、第百四十一回国会においては、提出者及び政府に対する質疑並びに参考人からの意見聴取を行いましたが、継続審査となって、今国会に至ったものであります。
 去る三日の委員会において、両案に対する質疑を終局いたしました。
 次いで、内閣提出の公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案が、自由民主党及び社会民主党・市民連合から提出され、その趣旨の説明を聴取いたしました。修正案の内容は、在外選挙人名簿の被登録資格について、将来国内に住所を定める意思を有する者と認められる者に限るとの要件を削ること等であります。
 次に、石井一君外三名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案について、内閣の意見を聴取した後、採決をいたしました結果、賛成少数をもって否決すべきものと決しました。
 続いて、内閣提出の公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案及び修正部分を除く原案について採決をいたしました結果、いずれも全会一致をもって可決され、同案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、内閣提出の公職選挙法の一部を改正する法律案に対して附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第三、石井一君外三名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○議長(伊藤宗一郎君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
 次に、日程第四、内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案(内閣提出)
 日程第六 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#16
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第五、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案、日程第六、特許法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長斉藤斗志二君。
    〔斉藤斗志二君登壇〕
#17
○斉藤斗志二君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案は、大学等における技術研究の成果の民間事業者への移転を促進するため、特定大学技術移転事業を実施する者に対する産業基盤整備基金を通じた政策的支援並びに移転を受けた中小企業者への中小企業投資育成株式会社による出資の特例等の措置を講じようとするものであります。
 次に、特許法等の一部を改正する法律案は、独創的な技術開発の成果に対する迅速かつ十分な保護の要請に対処するとともに、工業所有権制度の国際的調和を図るため、特許法等の工業所有権関係法律について、第一に損害額の算定方式の見直し、第二に創造的デザインの保護強化、第三に電子手続の拡大、加えて特許料の引き下げ等の措置を講じようとするものであります。
 両案は、去る三月三十日本委員会に付託され、四月一日堀内通商産業大臣からそれぞれの提案理由を聴取し、四月三日両案について質疑を行いました。
 最初の、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律案については、討論を行い、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 次の特許法等の一部を改正する法律案については、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第五につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#19
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第六につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(アジア欧州会合(ASEM)に関する報告)
#21
○議長(伊藤宗一郎君) 内閣総理大臣から、アジア欧州会合(ASEM)に関する報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣橋本龍太郎君。
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 二日から四日までロンドンで開催された第二回アジア欧州会合について報告いたします。我が国からは、首脳会合に私が、閣僚会合に小渕外務大臣が出席しました。
 一昨年のバンコクの第一回会合が、アジアと欧州の首脳が一堂に会したこと自体が画期的であったのに対し、今回の第二回会合は、幾つかのアジアの主要国が経済金融危機に直面し、欧州は一つの通貨の導入を間近に控えた時期に開催されました。会合における議論では、これらの問題につき各国首脳と率直な意見交換を行い、相互の理解を深め、信頼を高めることができ、有意義であったと考えております。
 特に、ASEM参加各国が強い関心を示したアジア経済情勢については、首脳間でアジア諸国が市場の信認を回復するための構造調整措置を断行する決意を表明したことを歓迎するとともに、アジアの危機という状況のもとでも、保護主義を排除し、貿易・投資の自由化を一層推進することの重要性について共通の認識が得られ、議長声明とは別建ての声明が発出されました。欧州側からも、この問題にみずからの問題として取り組んでいくとの意思が確認された意味は大きいと思います。
 また、政治対話として、アジアと欧州が共通の関心を有する朝鮮半島、ボスニア・コソボ情勢、カンボジア等の国際・地域情勢についても忌憚のない意見交換が行われました。
 ASEMの新規参加問題については、二〇〇〇年にソウルで開催される第三回首脳会合に向け、今後、外務大臣会合及び高級実務者会合において議論を進めていくこととなりました。
 小渕外務大臣の出席した閣僚会合では、アジア金融経済危機及びカンボジア情勢、環境など広範囲な政治情勢や地球規模問題について自由な意見交換が行われました。
 以上、今回のASEMは、アジア経済情勢という現下の重要な課題について、アジア、欧州が一致して取り組む決意を国際社会全体に示すとともに、政治対話についても、前回会合に比べ一層広範なテーマについて、より掘り下げた議論を行うことができました。
 我が国としては、アジアに属し欧州との関係も深いとの立場から、またタイとともにアジア側の調整国の一つとして会議の成功に向け積極的な努力を行いました。
 このようにして、今次会合は経済、政治、文化・人的交流という各面において、アジア、欧州間の対話と協力を深めるというASEMの目的にかんがみ、極めて建設的かつ有意義な会議であるとともに、我が国としても所期の目的を達成することができたと考えております。
 また、今次ASEMの機会に、韓国、中国、英国、フランス、スペインの首脳と二国間で会談する機会を得、忌憚のない意見交換を通じ、これらの国々と一層の友好関係を深めることができたことをあわせ御報告申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(アジア欧州会合(ASEM)に関する報告)に対する質疑
#23
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。安倍晋三君。
    〔安倍晋三君登壇〕
#24
○安倍晋三君 自由民主党の安倍晋三であります。
 私は、自由民主党を代表いたしまして、アジア欧州会合報告について、橋本総理と小渕外務大臣に質問をいたします。
 九六年に開かれた第一回のASEM首脳会合は、アジアと欧州の首脳が一堂に会することそれ自体が成果であると言えたと思います。また、当時、アジアは年平均八%の成長を続けており、東アジアの奇跡と称されるほど、アジア経済の活力に対する欧州側の期待が高かったと記憶をいたしております。
 翻って、今回の第二回首脳会合は、昨年夏のタイでの通貨危機に端を発するアジアの経済危機の中で開かれたわけであります。まさにASEMの存在意義が問われる会合であったと思います。
 このような中で、我が国は、ASEMのアジア側の調整国として極めて重要な役割を果たし得たと思います。そしてまた、総理のリーダーシップにより、アジア経済の今後の方向性につき前向きなメッセージを出すことができたということは私は大変大きな成果であったと思いますが、今次会合の具体的成果について総理にお伺いをしたいと思います。
 現在、我が国自体が経済的困難を抱えているとはいえ、アジア諸国が、現下のアジア経済危機において我が国に大きな期待を寄せていることも事実であります。こうした期待にこたえ、アジア経済復活のために、我が国は種々のアジア諸国に対する支援策を決定いたしましたが、各国の反応は果たしてどうであったか、総理にお伺いをいたします。
 また、橋本総理は、我が国の総合経済対策を初めとする一連の経済、景気対策について説明をされ、また、各国から強い関心と期待が示されたと伺っております。これを踏まえ、総理は、今後の五月のG8サミットに至る一連の重要な国際会議において、今後どのように我が国の経済対策について説明をしていかれるのか、お伺いをしたいと思います。
 また、ASEM首脳会合の場で総理がアジア経済回復の道筋を議論されておられるまさにそのときに、世界のトップ企業の会長が日本経済は崩壊寸前と発言され、大変大きな反響を呼んだのでありますが、私は、この発言に驚きを禁じ得ません。そもそも日本経済が崩壊寸前という状況では全くないと考えておりますが、景気はこのような発言にしばしば影響されてしまうという側面があります。この発言に対する総理の御見解をお伺いをしたいと思います。
 今回のASEMについては、アジア経済情勢の中でも、特にインドネシア情勢が大変重要なポイントであったと思います。先月の総理のインドネシア訪問や、それに続いてのハビビ副大統領の訪日、さらには、ロンドンにおける総理とスハルト大統領との電話会談を踏まえ、総理は各国首脳とインドネシア情勢について意見を交換されたことと思いますが、総理のインドネシア経済情勢に対する御認識をお伺いをいたしたいと思います。
 また、ロンドンにおいては、二国間会談もあわせて行われました。特に、中国の朱鎔基首相、トウカセン外相との初めての日中首脳、外相会談、金大中大統領との同じく初めての日韓首脳会談が重要であったと思います。
 韓国につきましては、私は、最近の日韓関係は、漁業交渉の問題だけではなく全般的に停滞ぎみであったと思います。新たに発足した金大中政権との間では、未来志向の前向きな関係をぜひとも築いていかなければなりません。
 金大中大統領にとっては、今回のASEM出席は初めての外遊であり国際会議への出席ということで、期するものもあったと思いますが、日韓首脳会談ではどのようなことが話し合われたのでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
 小渕外務大臣は、中国の知日派の代表格であるトウカセン外相との間で日中外相会談を行い、さらにボスニアに飛ばれるという精力的な外交を展開されました。日中外相会談、そしてボスニア訪問の成果について小渕外務大臣にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 安倍議員にお答えを申し上げます。
 まず、ASEMでの具体的成果というお尋ねがございました。
 最大の論点でありましたアジア経済問題につきまして、首脳は、アジアの金融経済情勢を世界経済全体に影響する問題としてとらえ、アジア、欧州が一致協力してこの問題に対処するという見解の一致を見ることができました。
 具体的には、世銀、アジア開発銀行の日本特別基金を通じるアジア諸国の金融セクター改革支援を柱とする我が国の協力強化、ASEM信託基金の設立に賛意が示されましたほか、アジア地域にハイレベルのビジネスミッションを派遣することで意見の一致を見ることができました。また、首脳間で忌憚ない政治対話を行えたこともあり、相互理解の増進が果たせたことも成果であると思います。
 次に、ASEMにおける我が国のアジアの支援策の説明と各国の反応についてお尋ねがございました。
 私は、各国首脳に対し、ともに発展してきたアジア諸国に、隣人として親身になって対処するという考え方に基づいて、これまでにIMFを通じた支援を行うとともに、二月二十日に閣議決定をいたしました緊急対策を含め総額三百七十億ドルを超える世界で最大の資金協力を含む広範な協力を行ってきている旨、説明をいたしました。各国首脳からは、このような我が国の貢献に対し、改めて大きな評価が与えられたものと考えております。
 次に、我が国の経済対策についてお尋ねがございました。
 私は、今般、ASEMに出席をし、我が国の景気回復に対する各国の期待の強さを改めて感じてまいりました。そこで、先般、与党三党が策定されました総合経済対策の基本方針を政府としても早期に具体化し、必要に応じて大胆な措置をとっていく考えであります。今後の一連の国際会議では、こうした我が国の取り組みを説明していきたいと考えております。
 次に、日本経済に関する御発言についてお尋ねがありました。
 その御発言が仮に日本経済にしっかりしてもらわなければ困るということであるならば、私としても、経済の停滞から一日も早く抜け出して、力強い日本経済を再建する必要性を十分理解しております。我が国は、ネットの対外資産を約八千億ドル、外貨準備も二千二百億ドル以上保有しておりまして、このような国が崩壊寸前とは言えないものと考えております。
 次に、インドネシア情勢についてお尋ねがございました。
 現在、極めて厳しい情勢と認識しておりますけれども、インドネシアとIMFとの間で話し合いが行われておりまして、最終段階にあると承知をいたしております。この話し合いが早急に妥結し、新しい合意が実施されることによってインドネシアの経済情勢が回復することを願っておりますし、我が国としても、できる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、日韓首脳会談についての御質問がございました。
 今回、金大中大統領と初めてひざを突き合わせた会談を行い、日韓関係全般、韓国経済、漁業、対北朝鮮政策などについての意見交換を行いました。また、金大中大統領の国賓としての訪日を招請し、大統領の快諾を得ました。
 今回の首脳会談、そしてASEMの全体会合の中で、二十一世紀に向けた新たなパートナーシップ構築の重要性について共通の認識が得られたと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣小渕恵三君登壇〕
#26
○国務大臣(小渕恵三君) お答え申し上げます。
 ロンドンでの日中外相会談についてのお尋ねでございますが、トウカセン外交部長との会談におきましては、お互いに相手の訪日、訪中を招請するとともに、今月の胡錦濤国家副主席、秋の江沢民国家主席の訪日のため周到に準備を行い、本年の日中関係を一層発展させていくことで意見の一致を見ました。特に、胡錦濤副主席の訪日につきましては、今月の二十一日より二十六日まで日本を公式訪問することで合意をいたしました。
 今回の会談は、トウカセン部長との初めての外相会談でありまして、今後の日中間の交流につきまして極めて有意義な意見交換ができたと考えております。
 次に、ボスニア訪問の成果についてのお尋ねでありますが、ボスニアにおきましては、イゼトベゴビッチ大統領・評議会議長を初め、中央政府及びスルプスカ共和国政府の首脳など、各三民族の代表と会談をいたしました。また、地雷処理の現場及び難民収容施設を緒方国連難民高等弁務官とともに視察をいたしました。
 各会談におきましては、私より、デイトン和平合意の履行のための当事者の一層の努力を求めました。特に、難民帰還の促進、九月の選挙を通じた真の民主主義の確立を強く要請いたしました。同時に、このような和平履行の努力に対し、我が国としても今後とも積極的に貢献していく考え方を表明いたしたところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(伊藤宗一郎君) 松沢成文君。
    〔松沢成文君登壇〕
#28
○松沢成文君 民政党の松沢成文でございます。
 私は、民友連を代表し、アジア欧州会合首脳会議(ASEM)の総理報告に関連して、アジア経済危機を初め世界経済に影響を及ぼす我が国の経済対策等について、橋本総理並びに小渕外務大臣に質問をいたします。
 さて、政府・与党指導部のこの一年余りの経済、財政への取り組みを見ていますと、ツーリトル・ツーレイトという言葉に象徴されるような対応のみで、大胆かつ有効な対策が全く見られません。いたずらに問題を先送りし時を過ごす姿勢は、国民のみならず諸外国からも大きな不信を招き、結果として日本発世界不況の引き金にならないかという不安が募っております。
 こうした状況の中で、今回のASEMでは、アジア経済危機に関連しておよそ次の三点に集約される議長声明が採択されました。
 まず第一に、アジア経済危機を、地域を超えて世界全体に影響を及ぼす問題と位置づけ、欧州諸国もみずからの問題と認識し、日米両国と協力する姿勢を打ち出したことであります。
 第二に、アジア諸国に対しては、国際通貨基金IMFと協調した改革努力を着実に進めることが重要と指摘し、自助努力とともにIMFの経済改革プログラムの完全なる実行を促しております。
 第三に、アジア経済の回復のためには世界的な貿易・投資の拡大が重要として、アジアの一部に見られる関税の引き上げや欧州国内のアンチダンピング措置の発動が懸念される中で、欧州とアジア双方が貿易自由化に向けての努力を続けていくことの重要性を確認したことであります。
 アジア経済危機に冷淡と見られていた欧州側が危機克服にはっきりと協力する姿勢を示したことが、今回のASEMにおける一応の成果と言えるでありましょう。
 その中で橋本総理は、アジア経済危機への日本の取り組みとして世界銀行の日本特別基金などへの積み増しを表明し、アジア諸国に対し、貿易、金融面で支援することを明言いたしました。しかしながら、参加各国からは、日本自身の景気回復を実行することがアジア地域の経済危機を乗り越えるために極めて重要であるという意見が相次いだと報道されております。
 さて、橋本総理、あなたは今回のASEMにおいてどのようなリーダーシップを発揮されたのか、また、参加各国によって日本に突きつけられたこうした強い要求についてどのようにお受け取りになられたのか、まずお伺いいたします。
 ところで、橋本総理がASEMに出席するためロンドンに旅立った四月二日、日銀が発表した三月の企業短期経済観測調査いわゆる日銀短観は、企業の景況感が大幅に悪化し、消費低迷や金融不安による貸し渋りが複合して、景気をさらに後退させている状況にあることを示しました。
 これを受けて三日の東京株式市場平均株価の終わり値は、前日比ことし最大の下げ幅を記録し、一万五千七百二円九十銭と、約二カ月ぶりに一万六千円を割り込みました。
 また、アメリカの格付会社ムーディーズは、日本の国債の格付を安定的からネガティブに見直すことを発表し、格下げを示唆しているのであります。その理由は、課題となっている経済政策と財政収支の改革を図るための政策を政府が達成できるか不確定性が高いからとしております。山一証券はムーディーズ社の格付ダウンで一気に企業倒産まで追い込まれてしまったことは記憶に新しいところです。
 さらに、為替相場も、円安が進行して六年ぶりの一ドル百三十五円台に達しました。
 今、日本経済は、株安、円安、債券安のトリプル安で、まさに破綻の危機とも言える状況であります。こうした中、政府・与党は補正予算で十六兆円規模の景気対策を打つと伝えられておりますが、遅きに逸したと言うほかありません。今年度の予算編成において、経済成長率や景気回復の見通しを大きく見誤り、野党各党が示した大幅減税を初めとする実効的な政策提言には全く耳を傾けず、市場原理を無視した口先だけの株価操作を続けた結果が、今日のトリプル安という危機的状況を招いていると断言しなければなりません。市場の反応は、経済無策の橋本不況内閣への不信任のあらわれであり、速やかな退陣を求めている天の声だと言わざるを得ないのであります。
 このように、日本経済の実態と政府の経済政策はASEM参加各国の期待感と余りにもかけ離れておりますが、橋本総理、あなたはこの市場の反応をどのように受けとめられているのでしょうか、お伺いをいたします。
 さて、ASEMの議長国イギリスの高級紙ガーディアンは、橋本総理の到着を待つかのように、一面トップで日本経済崩壊という見出しをつけました。また、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙は、クリントン大統領が五月のサミットまでに日本が大型減税を含む一段の景気対策を打ち出せとあからさまな表現で警告したことを伝えております。さらに、フランスのシラク大統領は、橋本総理との会談で、日本経済はどれぐらいの時期まで待てばダイナミックな成長ができるのかと述べ、日本経済の先行きに大きな懸念を示しました。これに対して総理は、いつということを明言せず、どういう政策を打ち出すことができるのかを考えているところだと答えたそうであります。まことに内容が乏しく、スピードとタイミングがずれているとしか言いようがありません。
 ASEMでの共同声明を実現していくためには、まず、一日も早く財政構造改革法を見直し、大胆な所得税と法人税の減税、土地税制の改正、そして大幅な規制緩和など、内需拡大のための積極的景気対策を待ったなしに実行しなければなりません。改革はスピードとタイミングが重要です。日本経済を速やかに立て直してこそ欧米諸国の信頼をかち取り、アジア危機への信頼ある対応ができるのであります。
 そこで、総理にお伺いいたしますが、今後打ち出す政府の経済対策はどれぐらいの規模で、どのような内容になるのでしょうか。
 さらに、我々野党や諸外国の要望にこたえて大型減税を打ち出すとすれば、総理がこれまで堅持、推進してきた財政構造改革法の改正は避けられないと考えますが、いかがでしょうか。
 そして、こうした大幅な政策転換は橋本総理の政治責任に直結する問題と考えますが、総理はどうお考えでしょうか。私たちは、総理は責任をとって辞職すべきと考えます。さらに自民党内の一部にも同様の声が上がっているようですが、この問題についての総理の見解を求めます。
 次に、この際に日本が取り組むべき重要かつ緊急の外交課題であります北朝鮮による日本人拉致疑惑問題に対する政府の対応についてお伺いをいたします。
 これまで、北朝鮮による日本人拉致疑惑問題が解決へ向けて進展しない限り日朝国交正常化交渉や本格的な食糧支援は行わないという姿勢が、政府・自民党も含めた超党派的コンセンサスとして存在しておりました。
 しかし、去る三月下旬に派遣された自民党訪朝団は、今後拉致という表現は使わず、行方不明者という言葉を使うことで北朝鮮側と一致したと伝えられています。さらに、日航機よど号ハイジャック犯の帰国が実現すれば、ピョンヤンに日本政府の連絡事務所を開設するとの構想を北朝鮮側に提起したとも報道されております。このような不可解な態度は、北朝鮮に対する我が国の立場を弱める以外の効果を持たないものと考えますが、自民党訪朝団が北朝鮮で行った約束について、政府としてはどのように受けとめていくつもりなのか、小渕外務大臣の見解を伺います。
 北朝鮮による日本人拉致疑惑への新たな展開として、先月下旬、北朝鮮の元工作員で平成五年五月に韓国に亡命した安明進氏が来日いたしました。安氏は、北朝鮮による外国人拉致工作の実態について、報道機関のインタビューなどさまざまな場で、拉致工作の実態について生々しい証言をしております。その証言の内容を分析すれば、北朝鮮政府や朝鮮総連の言うようなでっち上げとは全く考えられません。これまでの警察当局や民間人が調査収集してきた情報とほとんどの点で一致しているのであります。
 その一方で、北朝鮮による拉致被害者家族会など諸団体が、米国の有力紙であるニューヨーク・タイムズに拉致疑惑に関する意見広告を掲載し、拉致被害者の救出に向けた世界的な流れをつくるべく行動を始めました。
 しかしながら、被害者の家族の声を吸い上げ、真っ先に行動を起こすべきは日本政府ではありませんか。日本国民の生命と人権を守ることなくして、国家の責務を果たしたと言えるのでしょうか。被害者の家族は、政府がまさに国益をかけて、正面からこの問題の解決に当たることを強く望んでいるのです。
 政府は、これまで集めた捜査資料を公表し、具体的な根拠を、国内だけでなく国連人権委員会を初め世界に向けても明らかにして、国際世論に訴えていくことが重要ではないでしょうか。さらに、北朝鮮に最も影響力のあるアメリカ、中国に対して拉致の根拠を具体的に示し、協力を求めていくべきではないでしょうか。
 国家というものは国民を守るものです。理不尽な暴虐の犠牲となって泣いて暮らす自国民が目と鼻の先にいるのに、彼らを助け出すことのできない国が国家といえるのでしょうか。
 これまで、国交がないからという言いわけがしばしば使われてきましたが、北朝鮮は、国交がない日本、アメリカ、さらには休戦状態の韓国からも、人道を理由に莫大な食糧・経済援助を取りつけているのです。なぜ日本政府は、同じ理由で北朝鮮に対して、拉致被害者の所在確認、救出を断固要求できないのでしょうか。我が国政府としては、北朝鮮政府に対し、これまで以上の強い姿勢で拉致疑惑問題解決に向けて交渉すべきと考えますが、政府の今後の取り組み方について、その決意と方針を小渕外務大臣にお聞きいたします。
 最後に、総理の政治姿勢に対して一言苦言を申し上げます。
 早いもので、ペルー日本大使館公邸占拠事件がペルー軍特殊部隊の救出作戦によって解決を見てから一年がたとうとしています。この不幸な事件に対する第一義的な責任は、駐在大使館の安全を保障すべきペルー政府にあります。しかし、それと同時に、テロ多発国家において余りにも無防備にパーティーを開催した日本大使館、すなわち日本政府としてもその責任の一端を負うべきことは言うまでもありません。
 にもかかわらず、政府は、この事件に巻き込まれ、五カ月以上にわたり人質として死と隣り合わせの極限の生活を強いられた方々に対して、解放後、何ら対応をとっていないのであります。人質の中には日本企業の関係者も多く、企業はその対応に多額の出費を強いられました。こうした方々に対して、政府・外務省から見舞金はおろか見舞いの言葉すらありません。関係者からは強い不満や批判の声も上がっていると聞いております。
 橋本総理は、当時、外務省内に設けられた対策本部にあんパンを差し入れて激励をいたしました。それも結構なことでしょうが、しかし、人質として極限の生活を強いられた方々に対しては、何の見舞いの言葉もないというのは一体どういうことでしょうか。外務省の職員の労はねぎらうが、被害者の方々には何のねぎらいもないというのはどうしてでしょうか。こうした橋本総理の誠実さに欠ける態度に、私は強い憤りを覚えるのであります。
 ペルー日本大使館事件で人質となられた邦人の方々に、なぜ政府はこの一年間、何の対応もされなかったのか、総理の御意見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 松沢議員にお答えを申し上げます。
 まず、ASEMにおける我が国のリーダーシップ及び景気回復についての各国の要求というお尋ねがございました。
 我が国は、アジア側の調整国の一つとして、インドネシア情勢の討議、また、韓国などアジア地域へのビジネスミッションの派遣に少なからぬ貢献を行ったと考えております。そのほか、欧州側が必ずしも積極的ではなかったアジアの金融経済情勢について、別建ての声明の発出に努力するなど、アジアと欧州の橋渡し役を務めました。
 また、我が国の景気回復策については、我が国がこれまで多大な努力を行ってきたこと及びこれがアジア各国の経済に貢献することを説明いたしました。各国首脳は、これを歓迎するとともに、我が国が、引き続き、このような役割を果たすことに期待を表明した次第であります。
 経済無策という御指摘をいただきました。
 私は従来から、内外の経済金融情勢の変化に臨機応変の措置をとると申し上げてきたところであり、このような考え方に沿い、このたびのアジア欧州会議において、与党三党から提案をされております総合経済対策の基本方針を重く受けとめながら、政府としてどういう景気対策を打ち出すのか真剣に考えている旨を申し上げてまいりました。
 今後打ち出す経済対策の規模と内容についてもお尋ねがございましたが、今申し上げましたように、与党三党の基本方針を重く受けとめながら、政府としてどのような景気対策を打ち出すべきかを真剣に考えており、国内の状況と先行き、そしてアジア、欧米等の現状や我が国への期待などを見きわめつつ検討をいたしております。したがって、経済対策の規模及び内容についてのお尋ねについて今お答え申し上げることは適当でないと考えております。
 次に、大型減税を打ち出すために財政構造改革法を改正するなら、政治責任を明らかにせよという御指摘がございました。
 財政構造改革の必要性は何ら変わるものではないということはたびたび申し上げ、同時に、内外の経済金融情勢の変化に対応し臨機応変の措置をとることも当然と従来から申し上げてまいりました。このような考え方に従って、与党三党による総合経済対策の基本方針を重く受けとめながら、政府としての考え方を真剣に今考慮中であります。したがって、減税の取り扱いについて今お答えを申し上げることも適当ではないと考えます。
 今後とも、内外の状況を見きわめながら、このような考え方のもとに必要な施策を講じ、景気の回復と財政構造改革に向け責任を持って取り組んでいきたいと思います。
 次に、北朝鮮による拉致疑惑に関してお尋ねがございました。
 政府としては、捜査当局における総合的な検討の結果を踏まえ、外交ルートを通じ、米国等関係国政府とも連絡をしながら対処しているところであります。政府としては、本件は我が国国民の生命の安全にかかわる重要な問題であるという認識に立ちこれまでも努力をしてまいりましたが、今後とも、北朝鮮側の真剣な対応を求め、問題の解決に向けて最大限の努力を払う考えであります。
 次に、ペルー事件に対する対応の御批判をいただきました。
 昨年五月九日の参議院本会議におきまして、「すべての方々に対し、政府の最高責任者として、この場をかりて改めておわびを申し上げます。」と述べ、公式にも、人質となった方々を含め、すべての方々に対する私の気持ちは表明をいたしてまいりました。
 なお、昨年六月に取りまとめた調査委員会の報告書を踏まえ、政府として、情報収集・分析体制の改善、在外公館警備の強化、テロ対策のための国際協力などさまざまな措置を講じてまいりましたが、引き続き一層の危機管理意識を持ち、海外における邦人の安全確保、テロの防止のために全力を尽くしていきたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣小渕恵三君登壇〕
#30
○国務大臣(小渕恵三君) 北朝鮮による拉致疑惑についてのお尋ねでございますが、総理から総括的にお話しされましたが、本件につきましては、日本政府といたしましては、捜査当局におきまして総合的に検討をした結果、この疑いが持たれる事件は、七件十名、また拉致が未遂であったと思われるものは一件二名であると判断いたしておるものと承知をいたしております。
 こうした判断に基づきまして、政府としては、本件は我が国国民の生命の安全にかかわる重要な問題であるという認識に立ちまして、北朝鮮側に対しこの問題をしっかりと取り上げてきております。正常化交渉におきましても、こうした問題につきまして、相手方に対しましても十分我が国の立場を主張いたしておるところでございます。
 先般の自民党の訪朝団につきましての御言及もございましたが、このような認識に基づきまして、あらゆる機会を通じて先方にこの問題を提起いたしまして、解決のため努力を要請したものと承知をいたしております。
 また、この問題につきまして国連の関係者に、私自身、大臣に就任いたしましてから提起をいたしておるところでございまして、国連におきましてもこうした問題をできる限り取り上げていただくように、なお努力をいたしております。
 また、御家族の方々の切々たるお話も直接お伺いをいたしました。この拉致疑惑にかかわる関係者の皆さんと直接お話をするということにつきましては、若干ちゅうちょせざるを得ませんでした。と申し上げますのは、言うまでもなく人命にかかわる問題でございましたが、関係される御家族の皆さんも、あえて日本の国民の皆さんにもお訴えをしたいということでございましたので、私自身この切々たるお話を直接お伺いをいたし、なお努力いたさなければならない気持ちを強くいたしたところでございます。
 政府の取り組みといたしましては、外交ルートを通じまして各国政府等より情報収集や協議を行うとともに、従来より、警察当局と緊密な情報交換を初め関係機関と連携、対処いたしておるところでございます。
 また、十一月の与党訪朝団の結果も踏まえまして、政府といたしましては、日朝赤十字連絡協議会等におきまして、北朝鮮側に対し、早急かつ真剣な調査を要請してきているところでございます。しかしながら、残念ながら今のところ納得できる結果は得られておりません。
 しかし、政府といたしましては、今後とも本件につきましては北朝鮮側の真剣な対応を求め、問題解決につきましてあらゆる機会をとらえて最大限の努力を払っていく考え方であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○議長(伊藤宗一郎君) 丸谷佳織君。
    〔丸谷佳織君登壇〕
#32
○丸谷佳織君 新党平和の丸谷佳織でございます。
 私は、平和・改革を代表して、ただいま議題となりましたASEMの帰朝報告について、橋本総理及び小渕外務大臣に質問をさせていただきます。
 四月二日から開催されたASEMにおいて、橋本総理が精力的に各国首脳と会談をされ、未来志向の外交対話で友好を深められたことに心から敬意を表するとともに、三日間という短い日程での激務、大変にお疲れのこととお察し申し上げます。しかし、ハードスケジュールよりも総理の疲労感を増幅させたのは、ロンドンに向け出発された日の夕刊の見出しだったのではないでしょうか。
 日経新聞の一面を飾ったフレーズは「日銀短観 主要製造業二〇ポイント落ち込み 景気腰折れ裏付け」、読売と毎日が「景況感、大幅に悪化」、朝日は「日銀短観、大幅に悪化」、産経は「景気、後退局面に」、そして東京新聞が「企業心理総崩れ」等々、大手六紙すべてが日本経済の危機を強く訴え、総理の経済対策が誤っていたことを浮き彫りにしたからです。アジア通貨危機が最大のテーマとなるASEMに出発された直後、このニュースを聞かれたときの総理の率直なお気持ちをまずお聞かせください。
 また、総理が日本御不在の間、円売りは進み、一時百三十五円台を記録しました。一九九一年以来のことです。株価も公的資金導入のかいもむなしく低迷をきわめ、円安、株安、債券安のトリプル安としてとどまる気配を見せません。
 ここまで日本経済が疲弊してしまったのは、その場しのぎの策しか講じてこられなかった政府の責任力不足と景気判断の誤りが原因だったと、ここで率直に御認識いただきたいと存じますが、総理の御所見をお伺いします。(拍手)
 さて、現在、アジアは依然として深刻な経済危機に見舞われ、通貨統合を間近に控えた欧州にもその暗い影が及んでおります。ASEAN各国への海外直接投資は減少し、九七年の投資認可額は、マレーシア、ベトナム、ミャンマーで前年比三〇%以上の落ち込み、タイでは二〇%の減少となっています。特に、日系企業の投資減少が目立つ中、本年の投資も鈍るであろうことは容易に想像がつきます。
 ASEM開催中、総理は、国際舞台で各国の追及を回避したいがために、内需拡大に向けて十六兆円という経済対策を打ち上げ、そして大型の減税にも言及されました。アジア経済危機に対しては世界最大の資金協力を含む支援措置を行ったなど、苦しい経済状況下でずば抜けて大きな役割を果たしてきたと主張されましたが、参加各国は我が国の政策と実績を相応に評価をしたのでしょうか。評価を得られたというよりは、逆に日本経済がアジアの危機を加速しているとの不満の声の方が大きかったのではないでしょうか。
 では、なぜ国際社会で相応の評価を得られないのか。それは、遅過ぎ少な過ぎの特別減税と同じで、後手後手、タイミングの悪さ、つまりは判断力の欠如が原因と言っても過言ではありません。
 大型減税についても、今言及されるのはやはりタイミングが違うのではないでしょうか。なぜなら、参議院で平成十年度予算案が審議されている今の段階で、早期の補正予算を伴うような経済対策は、みずからの政策を否定するのと同時に国会軽視と言わざるを得ないからです。
 総理、責任政党の総裁としても、今本予算を修正し、大型減税を実施するのが正しいタイミングだとお考えになりませんか。
 私には、総理の耳に市場が発している最後のメッセージが届いているか、大変疑問に思えます。今月末に迎えるOECD閣僚会議に続き、バーミンガム・サミット、WTO閣僚会議、APEC貿易担当大臣会合と重要な外交日程が控えています。アジア経済の牽引力と期待されている我が国が国際社会から正当な評価を得るためにも、景気浮揚に効果の薄い政策ミスは二度と許されません。総理の御所見をお伺いします。
 それでは、ASEM全般についてお伺いします。
 アジア、欧州各国の首脳が一堂に会し広く意見交換が行われたことは大変喜ばしく思います。従来、ともすれば結びつきの弱かったアジアと欧州が政治対話の場を設け、今後も関係を強化していく姿勢は、冷戦の終結後ますます必要とされると感じております。ASEMは今回でようやく二度目と誕生して間もなく、我が国内でもまだなじみの薄いことは否定できません。
 採択された議長声明によりますと、時期は盛り込めなかったものの全メンバー国のWTO加盟など多角的自由貿易体制の強化を強く打ち出しており、今後も共通の規範作成が進むことは間違いないでしょうが、真の交流を確立するには、ASEMのような国際会議の場を単なる話し合いに終わらせることなく、互いの存在をかけた、信念と信念がぶつかり合う真の対話の場とし、時として対立を生み、差異を際立たせたとしても、現存する利害の不一致を乗り越えた政治対話で二十一世紀をつくっていくべきだと思います。それには、依然多くの問題が未解決のまま存在しております。また、加盟国数を見ましても、欧州の十五カ国に対しアジアは十カ国にとどまっています。オーストラリアを初めとする幾つかの国の加盟を日本は推していたと承知しておりますが、実現がならなかったのは残念です。
 以上の点を踏まえ、日本はASEMをどのようにとらえ、またアジアの代表として欧州とのかけ橋になるべくいかにリーダーシップを発揮すべきと考えているのでしょうか。総理の御見解をお聞かせください。
 次に、韓国との関係及び大統領の訪日が予定されているロシアとの関係などについて、順次御見解をお伺いします。
 総理は、首脳会議に先立ち、韓国の金大中大統領との初の首脳会談を行い、日韓の政治、経済、文化などの分野での包括的な協力関係を初めてうたう日韓パートナーシップの策定に向けて作業を開始することで合意しました。金大中大統領との会談は、余り具体的な内容というより二十一世紀に向けた新たな日韓パートナーシップの構築のための話し合いなど、両国間に横たわる山積した問題についての討議は大統領の訪日時に先送りされた感があります。
 ただ、この会談の中で大統領は、就任時にも述べていらっしゃったように、我が国と北朝鮮が交流をするのは望ましいが、北朝鮮が韓国との関係を改善せずに、米国、日本との関係改善を図るのは望ましくないと述べたと報じられています。この金大中大統領の考え方と、韓国の頭越しに北朝鮮と関係を進めるのを否定してきた金泳三前大統領の考え方とはどのような相違があるととらえて、今後の対北朝鮮関係改善に向けた外交を行おうと考えていらっしゃるのか、総理の御見解をお伺いします。
 これに関連して、先日北朝鮮から帰国した自民党の訪問団は、よど号事件の容疑者グループの帰還をきっかけに国交正常化の準備などをする連絡事務所をピョンヤンに設置することで朝鮮労働党と一致したと発表されています。韓国と北朝鮮との関係は休戦状態のままで連絡事務所は開設されておらず、両国の対話は板門店あるいは北京などで行われている現状で、我が国が連絡事務所の設置に向けた行動を起こすことは、韓国の感情を逆なですることになりはしないかと懸念するものであります。また、日本人拉致疑惑の解明が進まないために政府間協議が暗礁に乗り上げている中、拉致疑惑解明という人道問題とよど号事件の容疑者帰還問題とは次元が違うという異論もあります。この懸念、異論に対する総理の見解をお伺いします。
 日本と韓国は、もはや、安全保障はもちろんのこと、経済関係でも運命を共有しております。次の世代の繁栄のため、二〇〇二年サッカーワールドカップの成功や天皇陛下の御訪韓の実現など、さらなる相互理解を推進していただきたいと思います。
 次に、ロシア関係についてお伺いをします。
 ASEMの拡大に関してロシアも参加を表明していますが、我が国とロシアとの対話の機会をふやし、平和条約の締結にも好影響を与え、我が国の長年の懸案であった北方領土問題の解決にも大いに貢献するものと歓迎をします。
 ただ、ここに来て、その対話の好機であるエリツィン大統領の訪日が一週間延期されることになりましたが、同大統領の健康状態などによりさらなる延期もあるのではないかと取りざたされています。
 私は、北海道出身の議員として、この成り行きに大いに関心を抱いている者の一人でありますが、橋本総理及び政府の姿勢は、この平和条約締結問題の進捗を大統領一人に余りにも頼り過ぎているのではないかと感じられます。もっと幅広くほかのロシアの政治家と協議を行い、全体としてこの問題を進めていく必要があるのではないでしょうか。総理の御見解をお伺いします。
 また、ビザなし交流の枠を拡大することを十日の閣議で決定し、ロシア人島民の理解をより得やすくするための環境整備として、九四年の北海道東方沖地震で受けた被害の救済に限っていた緊急人道支援を、ほかの災害にも拡大する方針で、近い将来実現するものと期待しております。その際、北方領土問題解決に向けどのように話し合われるおつもりなのか、総理の御所見をお伺いします。
 最後に、小渕外務大臣にお伺いします。
 ASEMの閣僚会合に出席された外務大臣は、その足でボスニア・ヘルツェゴビナを訪問されました。九月に予定されているボスニア統一選挙に日本から選挙監視要員を派遣する方針を表明されましたが、その規模と、自衛隊員派遣の有無についてお答えください。
 また、中央政府が地雷撤去のために近く設置を予定しているボスニア・ヘルツェゴビナ地雷センターへの資金援助についても表明されました。同地には、現在も約三百万個の地雷が埋設されていると言われています。これに関連して、昨年、外相の強いリーダーシップのもと、御自身の手で署名された対人地雷全面禁止条約は、いまだその承認のために国会に提出されていません。小渕外務大臣、いつごろ国会に提出されるおつもりですか。また、ほかの国の締結状況はどうなっていますか。
 さらに、署名式の演説で、普遍的かつ実効的な対人地雷の禁止を目指すため、ジュネーブ軍縮会議で早期に条約交渉を開始すべきだと述べられていますが、その後の同軍縮会議での進捗状況もあわせてお伺いします。
 以上、ASEMに関連する質問をさせていただきましたが、今回のASEMの主役の一人は、メンバーではないもののクリントン米国大統領ではなかったかとの報道もありました。そのクリントン大統領は、三日、日本の景気浮揚策について、大胆な対策をとる必要がある、日本のビジネス界も支持している方策に政府官僚は反対していると指摘した上で、橋本首相は勇気を持ってこの闘いを勝ち抜くと思うと総理にエールを送られました。
 他方、国際的な格付機関であるムーディーズは日本の国債の格付見通しを下方修正するなど、もはや世界の市場は橋本総理に不信任案を突きつけております。
 日本には、負けるが勝ちということわざがありますが、この際、総理は景気対策の手おくれの責任、それ以上に政策不況の責任をみずからおとりになり辞任をしていただくことで、総理の株も上がるものと思われますし、同時に日本株、円の下落も食いとめられると確信し、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#33
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 丸谷議員にお答えを申し上げます。
 まず、経済対策の誤りに関する新聞報道についてのお尋ね、そして日本経済が疲弊したのは政府の責任力不足と景気判断の誤りが原因という御指摘をいただきました。
 政府としては、その時々の経済情勢等に応じ適切な措置をとってきたところでありますし、現下の経済金融情勢に対しては、金融システム安定化対策や十年度税制改正など、財政、金融両面にわたる措置を講じております。また、与党の総合経済対策の基本方針については、政府としてはこれを重く受けとめて、必要に応じ大胆な措置をとっていく考えでありますが、今後とも、景気回復に向け責任を持って取り組んでまいりたいと思います。
 次に、ASEMにおける我が国のアジア支援策に対する評価について、評価されたのかというお尋ねがございましたが、評価はされました。そして、我が国が世界最大の資金協力を含む広範な協力を行ってきていることに対し、各国首脳から改めて高い評価が得られております。また、我が国の一連の内需拡大策や規制緩和の推進がアジア諸国の経済にも貢献することを説明しましたところ、各国首脳はこれを歓迎し、引き続き、こうした役割への期待を表明されました。
 次に、経済対策についての御質問がございました。
 私は、従来から、内外の経済金融情勢の変化に対応して臨機の措置をとるとは申し上げてきております。そして、このような考え方に沿って、与党三党による総合経済対策の基本方針を重く受けとめながら、政府としてどういう景気対策を打ち出すのかを真剣に考えているということを申し上げました。いずれにいたしましても、平成十年度予算を一日も早く成立をさせていただくことが、現時点において景気のため最大に必要なことであることは変わりがなく、御理解をお願いをしたいと思います。
 また、ASEMにおける我が国のリーダーシップについて御意見をいただきました。
 私は、ASEMをアジアと欧州の関係強化を図る重要な場と認識をしております。そして、今回の会合でも、アジア側の調整国の一つとしてアジア側首脳会合を主催するなど、アジアの共通認識の形成に努めてまいりました。今後とも、アジアに属し欧州との関係も深い日本の立場から、アジアと欧州の橋渡しの役を果たしていきます。
 次に、金大中大統領との会談に関し、北朝鮮政策についてお尋ねがありました。
 金大中大統領は、南北の平和共存のもとで対話と交流、協力を進めるという考えを持っておられ、北朝鮮が日本及び米国との関係を進めることも支持するが、南北関係の前進とともに行われる必要があるとの考え、そのように承知をいたしております。私は、南北関係の進展を期待し、北朝鮮との関係は、今後とも韓国と緊密に連絡をとりながら進めたいと考えております。
 次に、先般の自民党訪朝団についてお尋ねがございました。
 政府としては、よど号ハイジャック事件の犯人らが帰国した場合、法律に基づき厳正に措置すべきものと考えております。連絡事務所の設置は、国交正常化交渉が再開されれば、その中で検討されていくものと考えます。日朝関係につきましては、今後とも韓国などと緊密に連携しながら対処していく方針は、今申し上げたとおりであります。
 また、北朝鮮による拉致の疑いが持たれている事件について、我が国国民の生命の安全にかかわる重要な問題であるとの認識に立って、今後とも北朝鮮側の真剣な対応を求め、問題の解決に向けて最大限の努力を払う考えであります。
 次に、日ロ関係に関連し、平和条約締結問題の進捗をエリツィン大統領一人に頼り過ぎているのではないかという御指摘をいただきました。
 昨年十一月の私とエリツィン大統領との間のクラスノヤルスク合意を前進させるために、平和条約締結問題日ロ合同委員会が設置をされ、既に両国の外相の間でも交渉が行われております。政府としては、この委員会を含め、今後予定されている一連の要人往来の機会をも通じて、平和条約締結に向けて努力をしていきたいと考えております。
 次に、日ロ首脳会談についてのお尋ねがございましたが、次回の会談では、エリツィン大統領とくつろいだ雰囲気の中で胸襟を開いて話し合いながら、その信頼関係を一層強いものとしたいと考えております。そして、クラスノヤルスク合意を着実に具体化しながら、領土問題については、二〇〇〇年までに東京宣言に基づいて平和条約を締結し、両国関係を完全に正常化するよう最大限努力をしたいと思います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣小渕恵三君登壇〕
#34
○国務大臣(小渕恵三君) お答え申し上げます。
 三点のお尋ねがあったかと存じますが、まず最初に、ボスニアの選挙における選挙監視要員の派遣についてでございますが、ボスニア選挙につきましては、現在、その準備と実施に当たる欧州安全保障協力機構が、監視の方法、必要とされる要員の規模等につき計画を策定中でございます。我が国監視要員の規模と構成につきましては、その結果等を踏まえまして、自衛隊員の派遣の有無をも含めまして具体的に検討をいたしてまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、我が国としては積極的に協力をしてまいりたいと思っております。
 次に、対人地雷全面禁止条約の国会提出の時期と各国の締結状況についてのお尋ねでございますが、我が国といたしましては、この条約の詳細な検討とあわせて、安全保障の確保や国内法制の整備等について現在検討を行っておるところでございまして、各国の締結の動きも考慮いたしまして、できる限り早くこの条約を国会に批准を求めたいと考えております。
 なお、条約発効のためには四十カ国の批准が必要でございまして、現在のところ、七カ国がこの条約を締結していると承知をいたしております。
 次に、軍縮会議についてでございますが、オタワ・プロセスを完結させなければならないという意味からも、この進捗について大変関心を深くいたしております。三月二十六日の会議におきまして、対人地雷禁止の交渉開始に向けまして、参加国間の見解を調整する特別調整者を任命することが決定をされました。我が国といたしましては、普遍的かつ実効的な禁止の実現のため、米国、ロシア、中国等も参加している軍縮会議におきまして、早期に条約交渉を開始すべく、関係国とともに、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#35
○副議長(渡部恒三君) 久保哲司君。
    〔久保哲司君登壇〕
#36
○久保哲司君 自由党の久保哲司でございます。
 私は、自由党を代表して、ただいまのアジア欧州会議に関する橋本総理の報告について、総理並びに外務大臣に質問をいたします。
 本題に入る前に、橋本総理にぜひお聞きしておきたいことがございます。
 この四日、五日の土曜、日曜、総理の訪英中でしたが、私は大阪の地元を歩き回って、事業主やら自営業者やらサラリーマン等多くのおっちゃん、おばちゃんたちと会うてきました。
 ある集まりで「おい、久保はん、橋本にどないかせんかいときつう言うといて」、こない言われました。私はそのおっちゃんに「おっちゃん、わし自民党ちゃうねん、自由党や。今は野党やけどな」、こう言いました。その人は「ほなら余計ええやん。選挙でけんかする相手やねんから、質問するなりなんなり思い切りやってんか。とにかく、おいらはほんまに苦しんでんねん」、こういう訴えをいただきました。幸い、本日、質問の機会をいただきましたので、この国民の声を直接訴えさせていただきます。(拍手)
 また、たこ焼きを焼いている御夫婦が言うていた話ですけれども、「お客さんが、おまえのところよそより安いよってにええわ、こう言うてた。景気の悪さは百円、二百円のたこ焼きにまで響いてまっせ」と。早い話が、世の中むちゃくちゃです。お先真っ暗というのが実態であります。さらに別の方は「今ごろ十六兆円、それ何やねん。一年半前に新進党は十八兆円言うてたやないか。何やるにも時期を逸したらあかんわな」と。こんな声を次から次と聞いて、正直なところ、私は疲れ果てました。
 そこへもってきて、きのうの参議院予算委員会での総理の答弁、責任は参議院選の国民審判で、気楽過ぎます。国民は、日本社会は、今まさにのたうち回っています。新聞では、総理の政府専用機でのフライトが今回で二十回目、スタッフからの、さらに多く御使用いただけるよう云々とのあいさつに、総理もにっこりとありました。SPつきで公用車での移動、専用機での海外も結構ですけれども、その前に、御自分が最高責任者である日本国の、最も大事な国民お一人お一人の苦しみを取り除くことに専心すべきではないのでしょうか。
 まず、こういった町の実態、国民の大変な現状についてのお考え、感想をお伺いしたいと思います。
 次に、本題に入ります。
 今回の会議は、二年前にアジアと欧州の歴史的な出会いとして各国が期待しバンコクで開催された初の首脳会合とは打って変わって、極めて低調で内容のないものであったという印象が否めません。今回のアジア欧州会議が低調であったことの一因に、我が国のアジアにおける政治的プレゼンスの低下があることは明白な事実であります。
 私は、日本経済のファンダメンタルズが、巷間言われるほど弱いものであるとは思いません。しかしながら、アジアの通貨危機の原因が橋本内閣がとり続けるデフレ政策にあり、日本の景気後退が通貨危機に拍車をかけているのは紛れもない事実であります。政策不況は、今やアジアを覆っているのであります。橋本総理が訪英中に、英国の新聞に「日本経済は崩壊寸前」という見出しが躍り、米国の格付機関が日本の格付をネガティブに変更するなど、まさに国辱物でありますが、これらはすべて、橋本総理がアジア通貨危機に対し何ら有効な施策を講じていないことに対する批判であり、不信任であります。
 橋本総理がアジアの通貨危機をただ傍観しているのみであるのに、通貨統合を控え緊縮財政路線をとるEU各国が、アジアを本格的に支援することなどあり得るはずがありません。我が国がアジアに対し、即効性、実効性のある施策をとっておれば、EUに対してももっと積極的な提言ができたのではないでしょうか。
 今回の会議では、IMFの機能強化が議長声明に盛り込まれております。さきのG7におけるIMFの内需拡大要求を拒んでいる日本が、IMFの機能強化を言う資格があるのでしょうか。総理は今回のアジア欧州会議に何を目的として行かれたのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
 政府・与党は、年明け以来、その場限りのびほう策ばかりを繰り返してきました。その典型が、総理訪英前に発表された自民党の総合経済対策基本方針であります。我が国の経済危機は単純な景気後退にとどまらず、資産デフレなど構造的諸要因に基づくものであるという認識が全く欠如しております。いたずらに十六兆円という数字を売り物にしているだけで、財政出動額が明らかになっておらず、景気浮揚効果さえも甚だ疑問であります。まさしく口先介入の域を出ておりません。
 自民党幹部が公約としていた、年度末株価一万八千円台乗せも実現できておりません。政府・与党は市場経済を全く理解しておられない。総額十六兆円の単純な景気対策を実施しても、公共事業による需要創出が中心であれば、その効果は短期にとどまり、かえって財政を悪化させるのみであり、再来年度以降の民需主導型の持続的成長につながる期待が持てません。公共部門から民需へのバトンタッチのための政策がなければ、九九年度以降の反動減が深刻となるのは当然であります。民間シンクタンクは早くも、十六兆円の景気対策を織り込んでも九八年度の成長率はゼロ%台との予測を出しております。
 もはや我が国経済は小手先の景気対策で立て直せる状況ではありません。政府の役割は、マーケットメカニズムと調和しつつ、足らざる部分を補うというのが本来の役割であるにもかかわらず、莫大な公的資金により市場に介入しようとするなどは、時代錯誤も甚だしいと言わざるを得ません。また、構造的な経済危機の要因に対する視点が一切なく、根本問題はすべて先送りされており、従来型、選挙目当てのばらまき型景気対策に終始しております。
 国が景気対策に名をかりて公共事業をばらまくのであれば、納税者の負担が重くなるだけであります。橋本総理は、不見識な政策の羅列による相場操作が内外の信用を失墜させていることにまだお気づきになっておられないのですか。このような目くらましの景気対策をEU、アジアの首脳に説明するなどは甚だ礼を失しており、バーチャルポリシーとの批判は当然であります。
 報道によれば、総理は、景気対策実施のために財政構造改革法の改正に着手すると伝えられております。なぜ総理は外圧をてこにしないと政策転換が図れないのですか。昨年も、国会閉会中にアジア通貨危機を理由として二兆円特別減税を復活しました。今回もまた、予算案審議中の国内には補正など考えていないと言いつつ、海外に向かっては大規模景気対策に言及しています。
 今国会、ほとんどの質問者が口をそろえて、総理の退陣こそが最大の景気対策、このように言っておられます。大規模経済対策、財政構造改革法の改正を言う前に、総理はみずからの過ちを認めて国民に謝罪し、その政治責任を明らかにすべきであると思いますが、いかがお考えですか。
 自由党が以前から主張しているとおり、経済対策は、民需主導型の持続的成長につなげるため、所得課税、法人課税の十兆円減税、不良債権の早期処理など、民力の回復に向けた施策でなければなりません。過去十年間、我が国とアジアは経済面での相互依存を深め、垂直的分業から水平的分業体制に移行しております。もはや日本とアジアは一蓮托生であるにもかかわらず、何ら有効策を打ち出せない橋本内閣は、経済のグローバル化が何たるかを全く理解していないと言わざるを得ません。総理の御所見を伺います。
 次に、EU、英国との外交関係について伺います。
 一九九九年から欧州単一通貨であるユーロが導入され、EUは経済的にも政治的にも大きな地位を占めることになります。我が国として、これらの地域との関係を強化し、世界の平和と繁栄に向けて協調して努力していくことが求められております。とりわけ地球的規模の環境問題、飢餓・貧困の問題、移民問題、犯罪やテロ、核兵器・生物化学兵器の拡散問題などに協力することが求められておりますが、統一されていく欧州が、内向きの政策調整ばかりでなくこれらの問題にも積極的にかかわっていくよう求めていくべきであると考えますが、総理の対EU関係についての基本認識をお伺いいたします。
 また、今回の議長国であった英国は、EU首脳会議の主催国として、またバーミンガム・サミットの主催国としても重要な役割を果たすことになり、英国に対して我が国の考え方を十分説明するとともに、相互理解を深めることが国益上も重要なことであります。日本から英国への直接投資は米国に次ぐ大きな投資量であり、英国の対米投資は日本の対米投資を上回り、世界一の投資量であります。英国は日本の国際的役割に期待し、その一つとして日本の安保理常任理事国入りを支持しております。日本としては、アジアにおけるスペシャルパートナーとして、英国との協力関係を二国間を超えたグローバルなものとして拡大していくことが必要であると考えます。
 本年は日英の修好通商条約締結百四十周年に当たり、五月には天皇陛下の英国訪問が予定されております。また、日本各地では英国フェスティバルも開かれております。これを契機に日英関係の一層の友好促進を図るべきであると考えますが、総理並びに外務大臣の御見解をお聞かせいただきたい。
 EUとアジアの貿易量が、EUと米国の貿易量をかなりの程度上回っていることに見られるように、EUとアジアの関係は深まってきております。国際化が進展し、相互依存関係が深まる中で、両者の関係の障害になりかねないのが主観の相違、すなわち欧米的な価値観とアジアのそれとの微妙な相違であります。アジア諸国は日本に対して、アジアの一員として、またリーダーとして欧州を説得し、アジア的価値観を伝えるべきだとの期待を持っております。
 総理は、先月、インドネシアを訪問され、スハルト大統領に経済支援を約束されましたが、その後来日したインドネシアのハビビ副大統領が小渕外相に、インドネシアの実情をG7に説明してもらいたいと述べたように、日本に欧米の不信を払拭することを期待いたしました。また、昨年七月にASEANに正式加盟したミャンマーとラオスは、ASEMへの参加を強く望んでいましたが、人権問題を理由とした欧州の反対により今回の参加はかないませんでした。
 橋本総理は、これら諸国の声をどのように受けとめ、欧州諸国に対しどのように臨まれたのか、また、ASEAN各国の経済危機にどのように対処していかれようとされるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 また、ASEAN側からも要請の強い、我が国のミャンマーへの円借款供与について、今後どのように行っていくおつもりなのか、外務大臣の御見解をお願いいたします。
 さて、今回のASEMには、中国の朱鎔基首相と韓国の金大中大統領が出席し、国際舞台に初登場いたしました。総理は両首脳と首脳会談を行ったと伝えられておりますが、中韓両国は、アジアの大国として、また我が国の隣国として重要な位置を占めております。
 朱鎔基首相は初の外遊であり、天安門事件後初の中国首相の訪英でありました。イギリスの報道機関にも大きく扱われたと伝えられております。全世界の人口の四分の一を抱え、世界最大の潜在的国内市場を持つ中国経済の動向は、今後の世界の繁栄と安全保障に大きな影響を与えることは明らかであります。同じアジアの国として、中国が世界の経済に協調して歩んでいくように努めることは、我が国の役割として重要であります。EUは、先月になって新たな対中基本方針を示すなど、これまでの対中方針を転換し、人権政策の改善を評価した上で、経済的、政治的パートナーとして迎え入れようとしておりますが、我が国としても、中国のWTO加盟とG8への参加を働きかけていくべきであると考えます。
 もちろん、その前提として、さらなる民主化の問題や、行政、金融、国有企業の三大改革の推進について、我が国は筋を通し、言うべきは言う対中外交姿勢を堅持すべきであります。この秋には江主席の訪日が予定されているところですが、総理はどのような認識で朱鎔基首相と会談され、どのような姿勢を示されたのか、お尋ねいたします。
 また、韓国とは漁業協定交渉をめぐり関係が冷却化しておりましたが、金大中大統領との初の会談で、新漁業協定交渉への道筋はついたとお考えなのか、また二十一世紀に向けた新たなパートナーシップを築く足がかりはついたとお考えなのか。その際、先ほども申し上げた対中関係と同様、韓国に対しても、漁業協定交渉はもちろん、歴史認識をめぐる問題や竹島問題、従軍慰安婦問題などについて、我が国として言わなければならないことははっきり言う、こういう姿勢を貫くべきであると考えますが、総理の御所見を伺います。
 二十一世紀を暴力と覇権と民族対立の世紀にしてはなりません。そのためには、ASEMを通じて欧州とアジアが、経済関係ばかりでなく政治的、文化的なあらゆる交流を深め、進めていくことが重要であります。希望するすべての欧州とアジアの国々がASEMに参加し、協調的世界秩序の構築に向け、一層の協力関係を築き上げていくことが非常に重要なことであることを強調し、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#37
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 久保議員にお答えを申し上げます。
 まず、冒頭、町の実態あるいは国民の実情などにつき、御批判をあわせながら私の感想をお尋ねになりました。
 私は、経済の停滞から一日も早くに抜け出し、国民の将来に対する不安を払拭しながら力強い日本経済を再建しなければならないと考えておりますし、そのためにも、町の声、国民生活の現状等に常に注意を払いながら、必要なときには必要な施策を講じてまいります。
 なお、政府専用機の乗員あるいはSPの諸君、職責をもって対応しております部分については、私は、彼らの責任を果たしている姿、それを見ていただきたいと申し上げたいと思います。
 次に、EUに対する積極的な提言というお尋ねがございました。
 我が国は、アジアに対して世界で最も積極的に支援を行っておりますし、その実績を説明しながら、欧州に対し、例えばアジアの経済金融危機に対するASEMとしての取り組みの決意を示すように別建ての議長声明の発出をするように求めて、これが実現いたしました。ほかにも拾いますなら幾つかのものがありますけれども、ASEM出席の目的というお尋ねでありますから、アジア経済問題についてアジア、欧州が一致して努力する必要性につき認識を共有すること、あるいは忌憚のない政治対話による相互理解の増進等が目的でありましたが、例えばEU拡大に対するアジア側の懸念を率直に伝え、EU側の回答を受ける等、いずれの点でも所期の目的を果たしたと思っております。
 次に、IMFの機能強化を言う資格があるかというお尋ねがございました。
 我が国としては、アジアの通貨危機を踏まえ、IMFの機能強化に積極的に取り組むこと、IMFを中心とする国際的支援の枠組みを強化することが必要だと考えております。
 なお、IMFから我が国の経済運営をめぐりさまざまな意見があることは承知をいたしておりますけれども、それに拘束されるものではないと思います。
 次に、政府の政策が不見識だという御指摘をいただきました。
 政府としては、その時々の経済情勢等に応じながら、適切な措置をとってきておりました。現在の経済金融情勢に対しましては、金融システム安定化対策や十年度税制改正など、財政、金融両面にわたる措置を講じております。
 また、与党の総合経済対策の基本方針についてもお触れをいただきましたが、政府としてはこれを重く受けとめ、必要に応じ大胆な措置をとっていく考えであります。今後ともに、景気回復に向けて最大限努力するとともに、こうした政策に対する内外の理解が得られるよう努めてまいります。
 また、外圧による政策転換という話をいただきましたが、従来から、内外の経済金融情勢の変化に応じて臨機応変の措置をとると申し上げてきたところであり、こうした考え方のもとに、このたびのアジア欧州会議におきまして、与党三党による総合経済対策の基本方針を重く受けとめながら、政府としてどういう景気対策を打ち出すのかを真剣に考えているということを申し上げてまいりました。いずれにいたしましても、現時点におきまして、平成十年度予算を一日も早く成立させていただくことが最大の景気を安定させるもとである、この点には変わりはないと思っております。
 次に、大規模経済対策や財政構造改革法の改正を言う前に、その政治責任を明らかにせよという御指摘をいただきました。
 財政構造改革の必要性は何ら変わるものではありませんし、内外の経済金融等の情勢の変化に応じ臨機応変の措置をとることも当然ということは、従来から申し上げてまいりました。このような考え方に沿って、先ほども申し上げましたように、与党三党による総合経済対策の基本方針を受けとめ、真剣に考えております。内外の情勢を見きわめながら、こうした考え方のもとに、必要な施策を講じてまいりたいと思います。
 次に、統一されていく欧州が、内向きの政策調整だけではなく、地球的規模の問題に積極的にかかわっていくよう求めるべきではないかという御指摘をいただきました。
 私は、議員御指摘のとおり、ASEMばかりではなく、さまざまな協議の場を通じ、統合を進めているEUが内向きにならないようにということを求め続けております。本年の日・EU首脳会合でもそうでありましたが、日・EU関係の基本となる一九九一年の日・EC共同宣言におきましても、日本、EU双方は、世界的な課題への対処に向けての貢献をうたっております。
 次に、日英関係の友好促進を官民挙げて幅広い形で図るべきという御意見をいただきました。全く同感であり、本年一月、ブレア首相と私は、現在の良好な日英関係を、アジア、欧州まで広げた関係強化の上に、またグローバルな課題の解決に役立てていくことで合意をいたしました。
 御指摘のとおり、本年は、両陛下の御訪英を初め、両国関係強化の機運に満ちておりますし、このような機運を生かして、日英関係を一層強化拡大していきたいと考えております。
 また、アジア諸国の声をどう受けとめて欧州諸国に対し臨んだかというお尋ねがありました。
 我が国は、アジア側の調整国であります。そして欧州との関係も深いという立場から、会議の成功に向けて両地域の橋渡し役を積極的に果たしてまいりました。その結果、最大の論点でありましたアジアの金融経済問題につきまして、アジア側の希望どおり別建ての声明が発出され、欧州側もみずからの問題として取り組んでいくという意思が確認されました。また、当初予定されておりませんでした韓国等アジア地域へのビジネスミッションの派遣につきましても、欧州側との橋渡しに努め、合意を得たところであります。
 ASEAN各国の経済危機への対処はどうするのだという御指摘を受けましたが、我が国は、IMFを中心とする国際的枠組みを基本として、積極的に支援を実施してまいりました。また、特に、これら地域におきまして困難な状況にある国等に対し、東南アジア経済安定化等のための緊急対策を二月二十日閣議決定をいたしましたところであり、今後も関係各国及び関係国際機関と密接に連絡をとりながら、適切に対処していきたいと考えております。
 対中外交についてお尋ねがございました。
 我が国が中国のWTO加盟に対して積極的にこれを慫慂しておることは御承知のとおりであります。同時に、さまざまな問題について我が国としての立場を明確に主張してきており、こうした姿勢は今後とも堅持していく考え方であります。
 今回の朱鎔基総理との会談は大変短時間でありましたけれども、江沢民国家主席、胡錦濤国家副主席の訪日等を通じ、日中平和友好条約締結二十周年に当たります本年の両国関係を一層発展させていくことで意見の一致を見るなど、有意義な意見交換を行うことができました。
 次に、日韓首脳会談についての御質問をいただきました。
 漁業問題につきまして、新しい協定締結に向け努力することで一致したほか、二十一世紀に向けた両国の新たなパートナーシップ構築の重要性について、共通の認識を得ることができました。日韓両国の間では、意見の相違がある場合もありますけれども、真摯で率直な話し合いを通じ、相互理解を深めていきたいと考えております。
 残余の御質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣小渕恵三君登壇〕
#38
○国務大臣(小渕恵三君) 日英関係につきましては、ただいま総理からも御答弁ございましたが、改めて申し上げるまでもなく、この関係の一層の発展を図るべきとの御意見につきましては、私も全く同感であります。
 長い協力の歴史を有する日英両国は、近年、援助協調、PKOなどの分野で具体的な協力を行ってまいっております。また、先般、イラクの大量破壊兵器の査察受け入れ問題に関しましては、日英が安保理決議の共同提案国となりまして、外交努力を通じた解決のため緊密に協力をいたしてまいりました。これらは地球規模で広がる日英のパートナーシップの好例であると考えております。
 御指摘のとおり、本年五月には、天皇、皇后両陛下の御訪英が予定されております。また、英国フェスティバルの幾つかの行事には私も参加しておりますが、日本の方々が現在の英国を知る上で極めて意義あるものと考えておりまして、これら好ましい流れを背景に、私はクック外相と会談をしてまいりましたが、今後とも友好協力関係の一層の促進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、ミャンマーへの円借款の供与についてでありますが、民主化や人権状況の面で引き続き問題があると認識をいたしております。当面、新規の供与は適当でないと考えておりますが、既往継続案件につきましては、民主化及び人権状況の改善を見守りつつ、ケース・バイ・ケースで検討の上、実施する方向で対処いたしてまいりたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#39
○副議長(渡部恒三君) 佐々木陸海君。
    〔佐々木陸海君登壇〕
#40
○佐々木陸海君 日本共産党を代表して、橋本首相に質問します。
 アジア欧州会議では日本が不名誉な主役だったと論評した新聞がありました。現地からの報道が「アジアと欧州の首脳が一堂に会するアジア欧州会議で、アジア経済危機のさなかに深刻な景気低迷から抜け出せない日本に対し、政策責任を問う声が広がっている。」と伝えたように、まさに日本政府の責任が問われた会合でありました。
 実際、二日の日銀短観では、すべての指標が劇的に悪化し、ムーディーズは三日、日本政府の円建て債務格付の将来見通しについて、従来の安定的からネガティブに変更いたしました。その理由として、経済成長と財政収支の改善が達成できるかどうか不確実性が高まっているためと説明しています。これを受けて、三日午前の東京市場は、円、債券が売られ、株が乱高下するトリプル安の展開となりました。そして、それを伝える新聞が同じ紙面で、首相の滞在するロンドンからの報道として、現地の新聞ガーディアンが「日本経済は崩壊寸前」と題する記事を一面トップに掲載したと伝えました。これらは一体何を意味するか。景気や経済への日本政府の無策無能ぶりが内外から厳しく告発されているのであります。
 そこでお聞きしたい。三十兆円の銀行支援策、参議院で審議中の今年度予算、そしてその成立後の計画として出されている十六兆円の経済対策、これらすべてが、今の日本経済への対応策として市場から、世界から強烈な不信認を受けている。首相はそのことを謙虚に認め、責任を明らかにすべきではありませんか。(拍手)
 一体なぜ信認されないのか。それは、首相も戦後最悪と認めざるを得なくなった不況深刻化の原因について、政府が市場の常識、国民の常識、世界の常識からかけ離れた立場に固執しているからであります。
 消費税増税を中心とする九兆円の負担増、医療保険や年金の改悪など、国民の将来の生活への不安が消費を極度に冷え込ませていることが今の経済の最大の問題であり、不況深刻化の重大要因であります。ところが、政府は、専ら金融不安やそれに伴う消費マインドなどに問題をすりかえ、深刻な国民生活の実態を見ない誤った立場に固執してまいりました。それは市場の常識に合致しないというだけではありません。そこからは不況克服へのまともな対策が出てこないのです。事態がここに至っても、政府は依然としてそういう誤った立場に固執し続けるのでしょうか、お伺いします。
 首相は、ロンドンでの記者会見で、九八年度予算成立後できるだけ早く財政構造改革会議を招集すること、与党の十六兆円の経済対策を参考にしながら景気回復のためにやるべきことを大胆にやること、税による手当てについても判断することなどを認めました。これらは国際公約ともとられていますから、それに関して聞きます。
 首相は、昨年暮れ、ASEANの会議で得た感触を理由に、それまで否定していた特別減税の実施を突然打ち出し、なし崩しの政策転換を図りました。今回もまた、いわゆる外圧も利用しながらなし崩し転換を図ろうというのでしょうか。首相の臨機応変というのは、結局、責任回避の場当たり政治にほかならないのではありませんか。
 九八年度予算成立後、直ちに大胆、大規模な景気対策を検討するということは、まさに九八年度予算そのものが、日本の景気と経済の現状に合わない、欠陥を持つものであったということをみずから認めるものであります。不況深刻化の原因についての誤った立場への固執が、こうした欠陥予算への固執となり、必要な景気対策を何カ月もおくらせることになったということになります。その重大な責任を首相はどう考えるのですか。
 さらに、その景気対策の中身です。与党が出している十六兆円の経済対策は、大手建設会社ゼネコンが喜ぶ従来型の公共投資中心の対策の延長線上のものであります。こうした対策は既に九〇年代に入ってから何回も繰り返されてきたものであり、それではだめだということが今日の不況の深刻化と財政危機の深刻化によって立証されているのであります。今必要なことは、こうした従来型景気対策との決別ではありませんか。首相にはその認識があるのでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
 景気対策としての減税はどうか。既に、首相のロンドンでの記者会見発言を受けて、与党の幹部の中には、法人所得課税の実効税率を四〇%に近づける、現行六五%の所得、住民税の最高税率を引き下げるといった減税策をぶち上げている者もいます。まさしくあからさまな大企業と大金持ちのための減税そのものであります。首相は、こういう減税が今の不況回復に役立ち、国民の期待に沿うものとお考えでしょうか、明確にしてください。
 財政構造改革会議を招集するといいますが、その会議で、今求められている不況対策、経済対策を論議するということになれば、これまでの財政構造改革路線、財政構造改革法の修正が避けられなくなるはずです。首相は、その点をどう考えているのでしょうか。
 財政構造改革法の枠を超える、あるいはその法にとらわれないと称する大きな規模の財政出動ということになるのでしょう。与党の幹部がそれを公言しています。財政に思い切りブレーキをかけておいて、まだ五カ月にもならないのに今度はアクセルを踏み込む。それも大企業への大盤振る舞いの分野でアクセルを極限にまで踏み込みつつ、医療や福祉、中小企業、教育、農業など国民生活にかかわる分野では一層強くブレーキを踏み込む、そういうことになりかねないのではありませんか。これでは臨機応変どころか、でたらめ運転ではありませんか。財革法に関して首相が今やるべきことは、不況に拍車をかけた財革法の失敗を率直に認めて、これを廃止することしかないのではありませんか。明確な答弁を求めます。
 そもそも大企業に大もうけを保証すれば、設備投資がふえて中小企業への発注量もふえる、それが雇用をふやして、所得をふやし、消費を拡大する、こういう経済拡大の循環方式を首相は今も有効であるとお考えでしょうか。
 既に近年の経験が示しているように、この方式は完全に行き詰まっています。今求められているのは、個人消費の拡大を積極的に図り、それを消費財を中心とした生産の拡大、雇用の増大につなげて所得の増加を図るという経済拡大の方向であります。さらに、中小企業への支援を手厚く講じて、下請中小企業や中小小売業の仕事をふやし、中小企業労働者の雇用と所得をふやす、そのことを通じて消費を拡大するという方向を追求することであります。
 そのためにも、そして九兆円負担増が今日の不況深刻化を招いているという経過からいっても、税率を五%から三%に戻す消費税の五兆円減税を減税の軸に、当面の不況対策の中心に据えて実行することが肝心であります。それは、何よりも消費の拡大に即効性を持ちます。さらに、消費税を転嫁できずに苦しんでいる広範な中小商工業者にも直接の恩恵をもたらします。首相はさまざまな行きがかりを捨てて、こういう減税に踏み切るべきであります。その意思がありますか。
 首相にはっきり申し上げたい。九兆円負担増で最悪の不況を招いた責任、財政構造改革法でそれをさらに深刻にした責任、その法律を修正せざるを得ない政策破綻の責任、そうした責任を何一つ明確にとろうとせずなし崩しの政策転換を図る無責任、これではまもとな方向など出てこないし、内外の信頼など得られるわけがないではありませんか。
 みずから戦後最悪と認める不況を招いておきながら、そして中小業者の相次ぐ自殺などせっぱ詰まった国民の現実が進行しているもとで、政治責任は七月の参議院選挙で判断するなどという態度は、無責任と国民無視のきわみであり、言語道断であります。我々は、首相の即時退陣を強く要求いたします。今や首相の退陣こそが日本の景気回復への最善の道であり、アジアと世界の経済への日本の貢献になると確信します。
 そのことを厳しく指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#41
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 佐々木議員にお答えを申し上げます。
 まず、政府・与党の政策に対する不信について御指摘がありましたが、政府・与党としては、経済の停滞から一日も早く抜け出し、力強い日本経済を再建しなければならないと考えております。そうした観点から、政府としては、金融システム安定化対策や十年度税制改正等、財政、金融両面にわたる措置を講じてまいりました。また、与党の総合経済対策の基本方針については、これを重く受けとめ、必要に応じ大胆に措置をとっていく考え方であります。
 次に、不況深刻化の原因についてお尋ねがございました。
 バブルの後遺症といった構造問題に加え、アジアの通貨・金融不安や我が国の金融システムへの信頼低下などの影響もある中で、家計や企業の景況感の厳しさが個人消費や設備投資などに大きく影響を及ぼしていると考えております。消費税率の引き上げや医療保険制度改革などの諸改革は、我が国にとって真に必要な改革であったと考えており、御指摘は当たらないと考えております。
 経済運営について、なし崩しの政策転換との御指摘がありました。
 私は、従来から、内外の経済金融情勢の変化に対応して臨機応変の措置をとると申し上げてきたところであり、このような考え方は、いかなる場合でも当然ではないかと思います。
 平成十年度の予算及び景気対策についてお尋ねがありました。
 今申し上げたとおり、内外の経済金融情勢の変化に応じ臨機応変の措置をとると申し上げてまいりました。そして、本年度、新年度を迎えます前に、例年より早期の国会召集をお願いし、特別減税、九年度補正予算等を御審議いただき、また、金融システム安定化対策など幅広い措置を講じていただきました。その上で、与党三党による総合経済対策の基本方針を重く受けとめながら、政府としてどういう景気対策を打ち出すのかを真剣に考えている旨申し上げてきたところであります。いずれにいたしましても、今、平成十年度予算を一日も早く成立させていただくことが、現時点において一番必要と考えております。
 また、その与党三党の総合経済対策について御批判をいただきましたが、私としては、ただいま申し上げたとおり、これを重く受けとめながら、政府としてどういう景気対策を打ち出すのかを真剣に考え、検討しているところであります。
 また、減税についてもお尋ねがございましたが、減税の取り扱いについてのお尋ねにつきましては、今申し上げたような中で、お答えを申し上げることは適切でないと考えております。
 また、財政構造改革法の修正や廃止についてもお尋ねがありました。
 財政構造改革の必要性は何ら変わるものではないということ、経済金融情勢の変化に応じて臨機応変の措置を大胆に講じていく、そして景気回復を図ることも当然、繰り返しお答えを申し上げてきたとおりであり、今後とも内外の状況を見きわめながら、必要な施策を講じ、責任を持って取り組んでいきたいと思います。
 次に、経済循環についての御質問がありました。
 政府として別に大企業を特別に優遇した施策をとっているわけではありませんけれども、規制緩和を初めとした経済構造改革などを通じて、企業の規模を問わず、企業活動がより一層活発になれば、雇用や所得がふえる、そして消費も拡大する、経済の好循環が生じて我が国の経済の回復に役立つものだと考えております。
 次に、消費税率の引き下げに踏み切る気はあるかというお尋ねがございました。
 消費税率の引き上げを含む平成六年秋の税制改革は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、我が国の将来を考えるときに極めて重要な改革だったと考えており、引き下げは考えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○副議長(渡部恒三君) 中川智子君。
    〔中川智子君登壇〕
#43
○中川智子君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、第二回ASEMに出席されました橋本総理に対しまして、今会合の意義、我が国の意欲及び景気対策について質問をいたします。
 二年前の一九九六年三月一日、バンコクにおいて初めてのASEMが開かれ、その際、アジアとヨーロッパの共通の未来像が共同コミュニケとしてまとめられ、そして東南アジア十カ国が締結した非核兵器地帯条約に留意し、完全な軍縮を究極目標としまして世界的な核兵器削減のために最大限の努力を追求する決意を再確認いたしました。これは、アジア、欧州の各国が、アメリカの一極支配に不安を抱き、多極的な関係を維持しながら、今までにない平和的な共存関係を生み出していこうという意思のあらわれにほかなりません。
 また、大戦後のアジアに影響力を行使し続けたアメリカの手法が、自国の利益優先、そして価値観の強引な押しつけにあって、このくびきから脱することがアジア各国の独立した豊かな社会の発展のために必要だという認識が、EUとの連携への熱意となったことは明白であります。
 しかし、今日見られるアジアの金融危機、通貨危機の原因の多くは、各国の金融財政の制度の不備、バブル的な経済発展による富の偏重というアンバランスに起因するものでした。それだけに、各国はIMF体制の主導国であるアメリカの顔色をうかがわざるを得ない状況があり、それはASEMにおけるアジア側の足並みの乱れに象徴的に見られました。
 先週のロンドンでの第二回会合は、アジアの通貨危機に代表される金融経済危機に対して主に議論が集中し、ブレア首相の提唱したASEM信託基金、IMFに六〇%を出資するASEMのイニシアチブなどが提案されたものの、いずれも明確な方向性を打ち出すまでには至りませんでした。
 そこで、総理に伺います。冒頭述べました第一回のASEMの志を踏まえ、アジアの一国であり、同時に先進経済国日本に、どのような役割と責任が求められたと思われますか、お聞かせください。
 次に、今回のASEMはインドネシアのスハルト大統領、フィリピンのラモス大統領は欠席でした。それゆえ人目についたというような皮肉な結果となりましたが、このアジアの足並みの乱れについては、総理はどのような感想をお持ちでしょうか、そしてまた、その原因はどこにあるとお考えでしょうか、お伺いいたします。
 続いて、インドネシア情勢について伺います。
 私はインドネシアとは個人的に深い深いきずなで結ばれておりまして、かの地にはたくさんの友人がいて、現状況下での生活不安が生の声として私のもとに届いております。その多くはスハルト政権下でのファミリー企業への怒りであり、その理不尽な抱え込み政策です。
 そこで伺いますが、スハルト体制のファミリー企業の実態に対し、IMFを含め、改革が求められています。同国に公私ともに大きな権益を有する日本政府は、この問題にどのように対応していくのか、明確な姿勢を示していただきたいと思います。
 続いて、外交問題についてお尋ねいたします。
 今回のASEMにおいては、アジア、欧州の新しい指導者が顔をそろえたわけですが、とりわけ中国の朱鎔基首相、韓国の金大中大統領らの活発な外交が報道を通じて関心を呼んでおります。総理自身、その場に出席されて、どのような感想をお持ちになりましたか、ちょっとお聞かせください。
 特に、金大中大統領は、日韓の新しいパートナーシップを築くことを積極的に提案しました。多くの悔恨を残す両国の過去の問題に対しても、積極的に両政府が関与し、解決に向けて努力していくことで新しい関係をつくり出そうという姿勢には、感動すら覚えました。
 そこで総理に伺います。総理は、この中国、韓国、そして北朝鮮の意欲的な外交姿勢に対し、どのようにこたえ、連携しながら、北東アジアの新しい秩序にかかわっていこうとされているのか、お聞かせください。
 また、ASEAN各国との関係を強めていくために、日本は、中国及び韓国とのパートナーシップはもとより、アジアの新しい秩序づくりに積極的に乗り出していく必要があると思われますが、いかがでしょうか。
 社会民主党は、従来から、この北東アジアでの非核地域構想を軸に新しい共存の枠組みを各国各方面に打診していますが、政府としても、一歩踏み出した外交を展開する時期に来ていると考えています。総理の御意見を伺います。
 さて、総理、景気対策でございますが、今回、ロンドンにおいて総理は、景気対策に対する方向転換を図り、十六兆円規模の大型の補正予算を組むことを表明され、ASEMにおいても各国に約束されました。しかし、その方向は、景気対策のかなめであります消費マインドを刺激するものでないと意味がないと私どもは考えております。これまで二兆円の所得減税を実行しましたが、残念ながら、それは全くと言っていいほど消費マインドを刺激するには至りませんでした。一方、銀行の貸し渋りの中で、中小零細企業へのしわ寄せは、おぼれた人間がわらさえつかめないような最悪の状況となっています。
 社会民主党は、この状況に対し、消費者の怒り、中小零細業者の絶望的なうめきを率直に受けとめ、大型所得税減税の継続と消費税の飲食料費にかかわる税の免税策を実現することで景気浮揚を図ることが、最大にして緊急の課題だと確信いたします。この双方を実現すれば、減税で四兆円、消費税分の戻し税で一兆円から一兆五千億円が可能であり、国民には最高十八万円規模の還元が実現いたします。
 また、貸し渋り対策として政府系金融機関の貸出枠増額措置がとられていますが、実際には、貸し出し条件を緩和しなければ借りられないという苦情が多く寄せられています。この条件を緩和して貸し出すことで、中小零細業者の救済が求められます。
 総理に伺います。景気対策として、消費を促進するために、減税のみならず消費税の戻し税措置による内需拡大政策を大胆に実行すべきだと考えますが、いかがでしょう。やりましょうという一声をお待ちしております。政府系金融機関の貸し出し条件の緩和策についてはどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
 そして、公共事業の支出に対しても、従来のプロジェクト方式を改めて、生活関連施設への補助金創設など、人々の暮らしの向上に密接に関連し、それが消費へと導かれるような事業を展開していくべきだと思いますが、総理はいかがお考えでしょうか。
 最後に総理、外は桜が満開です。しかし、ことしの花見はいつものように心楽しく見られないという国民のこの生活不安をどれだけ深刻に、また重く受けとめていらっしゃるでしょうか。
 新聞で、首相の一日というのを時々拝見いたしますが、どこで、いつ、だれと語らって人々の苦しい思いを、生活の大変さを受けとめていらっしゃるでしょうか。マーク・トウェーンの「王子と乞食」の王子のように、そして「ローマの休日」のオードリー・ヘップバーンが演じた王女のように町に出てみてください。いつもと違う髪型にしてサングラスなどをかけてポロシャツで電車に乗って、そして町に出てみてください。下町の商店街、機械油や汗のにおいの漂う零細工場のひしめく町で懸命に働いている人々の声を実際に聞いてみてください。その人たちの声を受けて、今私たちは重大な決断をし、一歩一歩前に進んでいくべきではないでしょうか。それが国民の信頼を回復する手だてになると私は思います。
 一国の長である総理に心からのお願いを込めて、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#44
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 中川議員にお答えを申し上げます。
 まず、ASEMにおける我が国の役割と責任というお尋ねがありました。
 第一回の会合以来、アジアに属し欧州との関係も深い我が国には、アジアと欧州の橋渡しとしての役割が求められてきました。今回のASEMにおきましては、日本はタイとともにアジア側の調整国の一つとして中心的な役割を担い、ロンドンでアジア側の首脳会合を主催し、そこでまとめ上げた意見を持って総会に臨む等、会合の成功に向けての努力を行ってまいりました。
 また、ASEMの会合におけるアジア側の足並みの乱れというお話がありましたが、本会合に先立ち、アジア側の首脳のみでの会合を持って、アジア経済、ユーロ、新規参加問題、さらにEUの拡大等に対するアジア側の懸念なども含めまして、アジア側の方針を調整した上で本会合に臨みましたので、アジア側で足並みが乱れたという事実はありません。
 また、スハルト大統領とラモス大統領にかわり出席をされたハビビ副大統領、ゴンザレス上院議長は、それぞれ立派に職責を果たしておられたと私は思います。
 次に、インドネシアのファミリー企業の改革についての御質問がありました。
 インドネシアは、現在、IMFとの間で経済構造などさまざまな課題につき話し合いを行っており、話し合いがその最終局面にあると聞いております。インドネシアはこのような話し合いなどを踏まえ、みずからの意思でさらにさまざまな改革に取り組んでいくと承知をしております。我が国としては、インドネシア国民のために今後ともできる限りの支援を行っていく決意です。
 また、アジアの新しい秩序についてのお尋ねがございました。
 中国、韓国の新しい首脳とは今回のASEMの機会に会談をし、その会談だけではなく、会合全体においても有意義な意見交換を行うことができました。今後とも、アジアの平和と安定にとって不可欠なアメリカの関与と存在を確保しながらも、中国、韓国との関係の一層の増進を図り、地域の秩序づくりに積極的にかかわっていきたいと考えております。その場合、我が国は日米安保体制を堅持しながら地域協力に積極的に参加してまいります。
 今後とも、東アジアの平和と安定にとり必要な米国の関与と存在を確保しながら、アジア諸国との友好関係の増進あるいはAPEC、ARFを初めとする各種の協力への参画を通じて、地域の秩序づくりに積極的な役割を果たしていきたいと考えております。
 また、東アジア非核兵器地帯構想について御質問がございました。
 東アジアにおきましては、域内の対立、緊張関係が継続をしていること、複数の核保有国が存在すること等により、非核地帯実現のための現実的な環境はまだ整っていないと考えています。我が国としては、域内の安全保障環境の改善のために安全保障対話の促進の努力を継続していきたいと考えております。
 次に、消費税の戻し税措置などについてのお尋ねがございました。
 御提案の具体的な内容を承知しておりませんけれども、これまでの税制改革の趣旨や我が国の税負担のあり方の問題等、慎重に検討する必要があると思います。いずれにいたしましても、消費税の飲食料品に関する特例制度などにつきましては、これまでの議論の経緯を踏まえ、今後、消費税を含む税体系の見直しの中で、将来的な課題として検討されるべきものだと思います。
 次に、貸し渋り対策としての政府系金融機関の貸し出し条件の緩和というお話がありました。
 貸し渋りによる中小企業の資金調達の厳しい状況を踏まえまして、政府系金融機関に特別の相談窓口を設置し、返済猶予などの条件緩和に弾力的に対応するとともに、別枠の新たな融資制度を創設する、信用力が不足する中小零細企業に対応した無担保無保証融資の限度額の引き上げなどの措置を講じてまいりました。
 次に、公共事業についてお尋ねがございましたが、平成十年度予算案におきましても、経済構造改革関連の社会資本につき物流効率化に資するものを中心として重点化を図る、あるいは相対的に立ちおくれている生活関連の社会資本について真に整備がおくれている分野、地域への重点化を図っております。
 次に、大胆な景気対策をとるべきではないか、そして町に出ろというお勧めをいただきました。
 先日、久しぶりに私は、大田区で製造現場の姿を見る機会を得ました。これからもそうした機会はぜひつくりたい、つくらせていただきたいと思いますし、それだけの時間のゆとりを国会からもお与えをいただきたいと思っております。そして、そうした中で、真剣な町の声、国民生活の現状などに注意を払いながら、アジア、欧米等の現状、我が国への期待などを見きわめつつ検討をし、一日も早く経済の停滞から抜け出せるよう、全力を尽くしていきたいと考えております。(拍手)
#45
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#46
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十二分散会

ソース: 国立国会図書館
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