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#1
第142回国会 本会議 第28号
平成十年四月十日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十七号
  平成十年四月十日
    午後一時開議
 第一 食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 橋本内閣総理大臣の経済対策についての発言
 日程第一 食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法案(内閣提出)
 中央省庁等改革基本法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

    午後一時四十二分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(経済対策について)
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 内閣総理大臣から、経済対策について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣橋本龍太郎君。
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#4
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 昨日私が記者会見で発表した内容について、その概略を御報告申し上げます。
 バブル経済の生成及びその崩壊後、我が国経済はいまだその後遺症から抜け切れておりません。昨年は、この端的なあらわれとして、大型金融機関の破綻が相次ぎました。また、アジアの幾つかの国の金融、経済の混乱など、内外の悪条件が一斉に重なり、我が国経済は極めて深刻な状態となっております。
 私は、今、国民の皆様の景気をよくしてほしいという強い要請と期待にこたえるため、構造改革を推進しながら、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることとし、次の点を基本に経済対策を編成してまいりたいと思います。
 まず第一に、私は、四兆円を上回る大幅減税を行いたいと考えております。(拍手)
 所得税、住民税について、今年既に二兆円の減税を実施中ですが、さらに今年中に二兆円の減税を上積みし、来年も二兆円の特別減税を継続します。このほか、政策減税についても検討していきたいと考えております。
 また、個人の負担する所得税や住民税のあり方について、公正で透明な税制を目指し、幅広い観点から、深みのある見直しを行いたいと考えております。
 同時に、法人に対する課税について、私は、今後三年のうちに、できるだけ早く総合的な税率を国際水準並みにしたいと考えております。
 こうした問題について、政府及び党の税制調査会に対し、早急な検討を開始するよう要請したいと思います。
 また、本日から、私が議長を務める財政構造改革会議を開催し、財政構造改革法について議論を始めたいと思います。
 財政構造改革の必要性はいささかも変わるものではありません。しかしながら、今の深刻な経済情勢にかんがみ、私は、現在の財政構造改革の基本的骨格は維持しつつ、緊急避難的にどのような対応をとるべきかを早急に検討すべきだと考えます。このような緊急対応としての性格を明確にして、特例国債発行枠の弾力化を可能とする措置を導入するということが考えられてよいと思います。
 第二に、二十一世紀を見据えて、豊かで活力のある経済社会の構築に向けて、真に必要となる社会資本等を整備することとしたいと思います。その際、将来の世代が整備してくれてよかったと感謝してもらえるような分野を重点といたします。
 いわゆる真水という議論がありますが、私は、最も有効な経済対策は何かということを真剣に熟考し、そのため真に必要な財政負担は大胆に計上する決意であります。その結果、国と地方の減税や社会資本整備の財政負担が合計で十兆円規模となることも当然にあると予想しております。そして、総事業規模は十六兆円を超える、上回る、過去最大のものといたします。
 今回の措置は緊急避難的対応であり、財政構造改革の骨格を維持いたします。政治責任の追及を恐れて必要な政策が打てないということならば、それこそが政治責任であると考えております。国民各位の御協力、御支援をいただきたいと思います。
 以上のような趣旨を、昨日、予算成立後の記者会見において申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○田野瀬良太郎君 国務大臣の発言に対する質疑は延期し、来る十四日午後一時から本会議を開きこれをされることを望みます。
#6
○議長(伊藤宗一郎君) 田野瀬良太郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第一 食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法案(内閣提出)
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長北村直人君。
    〔北村直人君登壇〕
#9
○北村直人君 ただいま議題となりました食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における食品の衛生及び品質に対する国民の関心の高まり等にかんがみ、国として、HACCP手法の導入を前提とした食品の製造過程の管理の高度化の方向づけとなる基本方針を定めるとともに、それに即した施設の整備を促進するための金融、税制上の支援措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、四月二日島村農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、八日に政府に対する質疑を行い、翌九日には参考人から意見を聴取するなど慎重な審査を行いました。
 質疑終局後、日本共産党より修正案が提出され、内閣の意見を聴取し、採決いたしましたところ、修正案は否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 中央省庁等改革基本法案(内閣提出)の趣旨説明
#12
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、中央省庁等改革基本法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣小里貞利君。
    〔国務大臣小里貞利君登壇〕
#13
○国務大臣(小里貞利君) 中央省庁等改革基本法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国の行政システムは、戦後、効率的に経済を発展させるという明確な政策目標のもとでは有効に機能してきたのでありますが、近年、複雑多岐にわたる行政課題に直面し、限界を見せつつあります。我が国の将来を見据え、活力と自信にあふれた社会を創造するためには、戦後五十年を経過して時代に合わなくなってきたこのシステムを抜本的に改め、新しい「この国のかたち」を構築し、より自由かつ公正な社会を形成するにふさわしい二十一世紀型の行政システムへの転換を果断に実施する必要があります。
 この目的に向け、内閣機能の強化、新たな中央省庁のあり方、行政機能の減量、効率化、公務員制度の改革等、広範にわたる内容を盛り込んだ行政改革会議の最終報告が御承知のとおり平成九年十二月三日に提出をされ、政府は、これを受けて直ちに、同報告を最大限に尊重する旨の閣議決定を行い、同報告に基づいて本法律案の策定作業を進め、ここに本法律案を提出申し上げる次第であります。
 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、中央省庁等の改革に関する基本理念、国の責務、新体制への移行の目標時期等であります。
 さらに、基本理念は、当然のことその基本に加えてありますが、中央省庁等の改革は、内外の社会経済情勢の変化を踏まえ、国が本来果たすべき役割を重点的に担い、かつ、有効に遂行するにふさわしく、国の行政組織並びに事務及び事業の運営を簡素かつ効率的なものとするとともに、その総合性、機動性及び透明性の向上を図り、これにより戦後の我が国の社会経済構造の転換を促し、もって自由かつ公正な社会の形成に資することを基本として行われるものとしております。
 また、中央省庁等の改革を推進する国の責務について規定し、新体制への移行の目標時期については、遅くともこの法律の施行後五年以内に、できれば平成十三年一月一日を目標として新たな体制への移行を開始するものとしております。
 第二は、内閣機能の強化であります。
 内外の情勢変化や危機に機動的に、弾力的に対応できる行政をつくり上げていくためには、国政運営に当たり最高の責任を持つ内閣の機能を高めるとともに、内閣総理大臣の国政運営上の指導性をより大きく明確なものとし、さらに、内閣及び内閣総理大臣を補佐し支援する体制を整備していく必要があります。
 このような内閣機能の強化を図るため、内閣総理大臣の発議権、国務大臣の数、内閣官房の任務及び組織のあり方、内閣府の設置並びにその任務及び組織のあり方、担当大臣の設置、その他内閣機能の強化に関する措置について定めることとしております。
 第三は、国の行政機関の再編成であります。
 社会経済情勢の変化や多様な政策課題に対し、国の行政が本来果たすべき機能を十全に発揮し、国民の期待にこたえ、内外の主要な行政課題に的確かつ柔軟に対応し得る省庁体制をつくり上げるため、国民の立場に立って総合的に政策を展開できるよう中央省庁を行政目的別に大くくりし、総務省等の新たな十省の編成を行うこととしております。この十省については、それぞれその名称、主要な任務及び主要な行政機能を定めるとともに、各省の編成方針を定めることとしております。
 また、政策の企画立案機能と実施機能の分離を基本とした内部部局及び外局の担うべき機能のあり方、国の行政機関の間における政策についての協議及び調整のための制度の整備、客観的な政策評価機能の強化、審議会等の整理合理化等の措置について定めることとしております。
 第四は、国の行政組織等の減量、効率化等であります。
 簡素で効率的な行政をつくり上げるため、国の事務及び事業の見直しを積極的に行い、国の行政組織並びに事務及び事業の減量、その運営の効率化並びに国が果たすべき役割の重点化を積極的かつ計画的に推進することといたしております。
 その具体化のための措置として、現業については、郵政事業に関し国営の新たな公社を設立するために必要な措置を講ずること、国有林野事業に関しその抜本的な改革を推進すること、並びに造幣及び印刷事業に関しその経営形態のあり方を検討することとしております。
 また、事務事業の自律的、効率的な実施を図る見地から、独立行政法人制度を創設することとし、これに係る基本的事項について定めることとするほか、国の施設等機関等の見直し、国の規制及び補助金等の見直し、地方支分部局の整理及び合理化、公共事業の見直し、国の行政組織の整理及び簡素化等について定めることといたしております。
 第五は、関連諸制度の改革との連携であります。
 中央省庁等改革の達成のために必要となる国家公務員制度の改革、行政情報の公開、地方分権等の関連諸制度の改革について定めることといたしております。
 第六は、中央省庁等改革推進本部であります。
 中央省庁等改革による新たな体制への移行の推進に必要な中核的事務を集中的かつ一体的に処理するため、この法案を可決、成立させていただきましたら、直ちに内閣に中央省庁等改革推進本部を置くこととし、その所掌事務、組織等について定めるとともに、その設置期間を設置の日から三年間とすることとしております。
 なお、この法律は、中央省庁等改革推進本部に関する規定を除き、公布の日から施行することとしております。
 以上が、中央省庁等改革基本法案の趣旨であります。
 本法律案を行政改革の具体化に向けての確固たる指針とし、その具体化の過程においては、国会における御論戦を十分踏まえて、さらに磨きがかかり、行政改革が画期的に前進する実効あるものとなることを期するものであります。(拍手)
     ――――◇―――――
 中央省庁等改革基本法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#14
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。牧野隆守君。
    〔牧野隆守君登壇〕
#15
○牧野隆守君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました中央省庁等改革基本法案につきまして、質問をさせていただきます。
 まず私は、このたびの大改革は、来るべき二十一世紀を目前に控え、我が民族の心を改めて確立し、我が国の姿を形づくる極めて大きな意義を有するものであると考えるものであります。(拍手)
 橋本総理は、高い志を持って「変革と創造」をスローガンとし、六大改革の実行を示されました。これは、二十一世紀にふさわしい経済社会システムを創造するために、政府みずからの改革を率先して行うことが不可欠であるとの考え方によるものと信じております。国民の皆さんは、これを平成の大改革と認識され、二十一世紀の未来に新たな日本の姿を想像し、明るい希望を持てるものと大きな期待を寄せておられます。
 この六大改革のうち、第一に着手されたのは財政構造改革法であります。この法律の基本的な考え方については、どなたにも異論がなかったものと記憶いたしております。現下の経済情勢のもとで新たな財政出動の動きが急でありますが、私は、これはあくまで臨時の措置であって、財政構造改革の基本路線は中長期的にぜひとも堅持していくべきものと考えております。
 そして、これに引き続くものとして、きょう中央省庁等改革基本法案が国会に上程されることになりました。六大改革の中でも特に行政改革については、総理みずからが行政改革会議の会長に就任され、十分なイニシアチブを発揮されて、中央省庁等の改革についての絵姿をみずから描かれたわけであります。この行政改革会議の最終報告を受けたこの基本法案は、まさに行政改革の今後の全体的な方向を示す座標軸となるものであります。
 この急激な変革の時代に我が国が的確に対処していくためには、改革の実施を急がねばなりません。改革の目標時期とされる二〇〇一年まで、残された時間は決して多くはありません。速やかに改革への準備に着手する体制を整えるためにも、今国会において本法案を一刻も早く成立させるべきであると考えております。
 そこで、まず総理に対し、今回の改革の意義をどうとらえておられるか、また、この改革の先にある我が国の将来をどのように描いておられるかについて、改めてこの国会の場で、御所見を国民の皆さんに訴えていただきたいと思います。
 次に、改革に当たっての基本姿勢についてお尋ねをいたします。
 今回の中央省庁の改革は、現在の一府二十一省庁を一府十二省庁に再編するという大がかりなものでありますが、国の仕事の中身を抜本的に見直し、スリム化を図ることこそが行政改革の本旨であり、それなくしては単なる組織いじり、看板のかけかえとの批判を免れないのであります。この点についてどのような考え方でおられるか、行政改革担当大臣の御所見を伺いたいと思います。
 引き続き、本法案の内容について幾つかお尋ねをいたしたいと思います。なお、本法案の内容は多岐にわたり、今後の委員会における審議の中で十分な質疑がなされるものと存じますので、私は基本的なことに限ってお伺いをいたしたいと存じます。
 まず、私は、このたびの改革の最大の眼目は、総理のリーダーシップの強化を図るための内閣機能の強化にあると考えております。現在の制度のもとでは、突発的な事件、災害、さらには内外のさまざまな情勢の変化に対し、官邸がイニシアチブをとって機動的、弾力的な対処をすることは、時には困難と言わざるを得ません。このたびの改革を機に、総理のリーダーシップを十分に発揮できるように、内閣法の改正等、諸制度の見直しを的確に行っていただきたいと思いますが、この点について中央省庁等改革基本法案においてはどのような考え方が示されているのか、行政改革担当大臣にお伺いしたいと思います。
 次に、現在の大蔵省の扱いについてお伺いをいたします。
 昨今の大蔵行政にいろいろな問題が生じていることは、皆様御承知のとおりであります。このたびの改革においては、政府全体の中における大蔵省の権限の扱いについて、どのようなバランス感覚で臨むかということが一つの課題であると考えます。具体的には、財政と金融の分離についてどのようなお考え方で臨むのでしょうか。また、予算の作成権限は本来内閣に属するものであり、予算編成についても総理のリーダーシップをもっと発揮できるようにすべきではないでしょうか。これらの点について、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、郵政事業の改革に関連してお伺いをいたします。
 このたびの改革により、郵政事業は新たに公社化され、特に郵便貯金の資金運用部への預託が廃止され、二百兆円を超える膨大な資金の運用が自由化されることとなります。折しも金融ビッグバンがスタートする中で、この巨大資金を日本の金融、経済の浮揚にどのように生かしていこうと考えておられるのか、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、社会秩序の維持、法秩序の維持についてお伺いをいたします。
 我が国は、安全度の高さという点において、世界に誇り得る社会をこれまで築き上げてまいりました。二十一世紀に向けてこの美点をぜひ維持し、後世に伝えていかなければなりません。この点から見ますと、昨今の犯罪の状況には非常な危惧を感じるものがあります。特に、犯罪に対する毅然とした対応という点において、政府の対応には憂慮の念を禁じ得ません。一つの例を挙げれば、なぜ、オウムのサリン事件のような凶悪犯罪に対し、無期懲役の求刑しか出てこないのか。また、公的な職にある者の汚職に対して毅然とした対応が求められることも、言うまでもないことであります。これらの点について、特に法務大臣の明確な御所見をお伺いいたしたい。
 次に、教育問題についてお伺いをいたします。
 このたびの中央省庁等改革の中で、文部省は科学技術庁とともに、教育科学技術省を新たに構成することになると伺っております。このことは、今後、科学技術開発に関する国際競争がますます激化する中で、学術と科学技術研究の調和と総合性を確保し科学技術立国を目指すのは、極めて意義深いことであると考えます。しかし、昨今の教育の荒廃、それに伴う少年犯罪の続発、この現在の状況について、新たな体制のもとにおいても、教育行政は従前以上により深いものとならなければなりません。教育改革は六大改革の一つの柱であり、我が国を今後支えることとなる若者諸君を伸び伸びと育て、誇り高く、しかも他を思いやる心を涵養するという極めて重要な役割を担うものであります。このような重要な行政分野について、このたびの改革によりどのような方針で取り組んでいこうとされるのか、総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、環境行政の充実強化についてお伺いをいたします。
 このたびの改革により、環境問題を専門に取り扱う環境省が新たに独立の省として設置されることとされております。地球温暖化問題の取り組みや廃棄物対策等、環境をめぐる諸問題は今後ますます大きな行政テーマとなってくるものと考えられます。今回の中央省庁の再編に伴い、環境行政の抜本的な充実強化を図るべきであると考えますが……
#16
○議長(伊藤宗一郎君) 牧野隆守君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#17
○牧野隆守君(続) この点についても総理の御所見をお伺いしたいと存じます。
 さて、私は、このたびの改革が、官僚諸君にいま一度奮起を促す絶好の機会であると考えております。総理は、この春に新たに国家公務員となられた若者たちに対し、国民の高い信頼を得られる公務員、国民の視点に立った行政、二十一世紀の新しい行政組織にふさわしい公務員の三点を訓示されたと伺っております。官僚諸君が、このたびの改革に対し、受け身になることなく積極的に取り組むとともに、国家及び国民に奉仕するというその役割についていま一度認識を新たにすることが、このたびの改革を実りあるものとするために必要不可欠であると考えますが、この点についても総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 最後に、このたびの改革の重要性について一言触れさせていただきます。
 より自由で公正な社会を築き上げるために、また、国民に対し明るい希望と期待感を持っていただくために、絶対にこの国会の場におきまして十分の議論をしていただき、ぜひとも着実に実施されることを心から希望するものであります。この法案の早期成立についての総理の御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 牧野議員にお答えを申し上げます。
 まず、今回の改革の意義及び我が国の未来をどう描いているかとのお尋ねがございました。
 今回の改革は、我が国の戦後型の行政システムを改め、簡素、効率的かつ透明な行政システムに転換するという意義を有しております。この改革をいわば突破口として、我が国の社会経済システムの転換を促し、自立した個人を基礎としたより自由、より公正な社会の実現を目指します。
 次に、大蔵省の財政と金融、予算編成についてお尋ねがございました。
 財政と金融の分離問題につきましては、与党間で誠心誠意議論が尽くされ、その結果として合意が取りまとめられました。また、予算編成体制につきましては、行政改革会議最終報告におきまして、内閣総理大臣を長とする内閣府のもとに経済財政諮問会議を置き、予算編成の基本方針等について審議すること等の指摘がなされております。政府としては、これら与党合意並びに行政改革会議最終報告の内容を中央省庁等改革基本法の中に忠実に盛り込み、国会において御審議をいただこうとしております。
 次に、郵便貯金の資金運用についてのお尋ねがございました。
 全額自主運用に移行することに伴う資金運用の具体的なあり方につきましては今後検討していくことになりますが、公社債等の安全確実な資産を中心とした運用を行うことを基本として、郵便貯金事業の健全経営を確保していく考えでございます。市場を通じる資金が増加することにより、日本経済全体での資金循環の効率化が期待されるところであります。
 次に、教育につき、学術と科学技術研究の調和と総合性はよいが、青少年の健全育成についてはどうかという御指摘をいただきました。
 これは、御指摘のとおり、極めて大事な問題であります。基本法案におきましても、青少年健全育成行政に関する総合調整を内閣府の任務として位置づけるとともに、総務庁の事務のうち内閣府に移管する総合調整以外の事務は教育科学技術省が担うこととし、教育科学技術省や国家公安委員会など関係省庁の緊密な連携により対処することとしており、全政府的に取り組み得る体制を整えているところでございます。
 次に、環境行政を充実強化すべきだという御意見をいただきました。
 今回の改革では、環境問題を二十一世紀の主要政策課題として特に重視し、独立の環境省を設置することといたしました。御指摘の課題を初めとする環境問題に強力に取り組めるよう、基本法案に盛り込まれた環境省の編成方針の具体化の中で、環境行政の充実強化を図ってまいります。
 次に、公務員諸君の改革への取り組みについてお尋ねをいただきました。
 今回の改革を実りあるものにするためには、行政の組織、運営の担い手である公務員が、国民全体の奉仕者としての使命感のもとに、改革の意義を深く理解し、二十一世紀にふさわしい行政の実現に取り組むことが必要不可欠であり、公務員諸君がこの改革に積極的に取り組むよう強く期待をいたしております。
 最後に、法案の成立についての決意のお尋ねがございました。
 今後必要となる作業は極めて膨大なものであり、二十一世紀初頭の新体制移行を目指す上で、今国会でぜひとも本法律案を成立させていただきたいと心からお願いを申し上げます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣小里貞利君登壇〕
#19
○国務大臣(小里貞利君) 中央省庁の再編はただ単に看板のかけかえだけに終わっちゃいかぬぞ、いわゆる国の権限や仕事を大幅に厳粛に整理してかかる必要がある、そういうお話でございますが、まさに御指摘のとおりであります。今回の改革は、簡素で効率的な行政、そして機動的で効果的な政策遂行を実現するために、規制緩和や地方分権、官民分担等を徹底的に行い、ただいま申し上げました国の権限と仕事の減量を進めるものでなければなりません。
 なおまた、余計なことを申し上げるようでございますが、このようなことについては、これから国会の論戦を通じまして徹底的に、皆様方の御提言、あるいはまた御説明を申し上げていきたいと思っております。
 さらに、今後の各省庁設置法の立案作業と並行して、さらに具体化を図るために、ただいま御発言の趣旨を実現しつつ、二十一世紀において国家が担うべき機能や課題に的確に対処するべく省庁の再編を行おうとするものでありまして、決して、ただいまお話がありましたように、単なる省庁の数の削減や名称の変更にのみ終わらせるものであってはならない、かように思っておる次第でございます。
 次に、総理大臣のリーダーシップ、これは内閣機能の強化に通ずる最も大きな要諦ではないかというお話でございますが、まさに御指摘のとおりであります。内閣総理大臣の国政に関する基本方針の発議権も、この機会に明確化することにいたしました。提案をいたしました内閣法の改正を行う中にも、そのことがきちんとうたってあります。あるいはまた内閣と内閣総理大臣の補佐、支援体制の強化のために、内閣官房についても総理の職務を直接に補佐する機能の強化を図ることも明確にいたしておりますし、新しく内閣府を創設いたしまして、内閣総理大臣及び内閣を補佐、支援する戦略的趣旨をもちまして体制を組んでおりますことも、御承知のとおりでございます。(拍手)
    〔国務大臣下稲葉耕吉君登壇〕
#20
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 牧野議員にお答えいたします。
 法秩序の維持、国民の権利の保全こそ、まさに政治、経済を初めとするあらゆる社会活動や国民生活の基盤であり、毅然として維持していかなければなりません。犯罪が国際化し、かつ複雑、巧妙化する中において、法秩序の維持に当たる者として、その職責の重大さを認識し、あらゆる困難を克服し、最善の努力を尽くしてまいる決意であります。その点からも、今国会に組織的な犯罪に適切に対処するための法案を提案している次第であり、その一日も早い成立をお願いいたしたいと存じます。
 御指摘の、オウム地下鉄サリン事件等の一被告人に対する求刑についての御意見がございましたが、このような悲惨な事件は二度とあってはならないことであります。検察は、地下鉄サリン事件等の犯行は極めて悪質、重大なものであると十分認識しております。その上で、この被告人の供述状況、遺族の感情など、あらゆる事情を総合的に考慮して求刑したものと承知いたしております。
 また、一連の、公職にある者の汚職事件に対しましては、検察は、当然のことながら、議員御指摘のとおり、今後とも厳正、公平、不偏不党を旨とし、法と秩序に基づいて厳正に対処するものと思いますし、法務大臣といたしましても、検察を信頼いたしております。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(伊藤宗一郎君) 鳩山由紀夫君。
    〔鳩山由紀夫君登壇〕
#22
○鳩山由紀夫君 私は、民友連を代表し、議題となりました中央省庁改革基本法案に対しまして質問いたしますが、その前にまず、橋本総理が、本日も、また昨日の記者会見でも、深刻な不況を招いたみずからの失政に対する反省もなく政策転換を表明されたことに関して、総理の政治姿勢をただしたいと存じます。いわば、まさにこれは宣戦布告でございます。
 橋本総理は、今国会中に補正予算案を提出して、四兆円以上の所得減税を含む真水で十兆円規模の景気対策を実施する財政構造改革法の改正案も今国会に提出するという方針を打ち出しました。これは明らかに、第二次橋本内閣発足以来総理が掲げてきた財政構造改革路線を放棄するという経済政策の百八十度の転換でございます。
 総理は、昨年度の予算で九兆円の負担増を国民に強いた上に、アジアの通貨危機が起き景気の悪化が経済指標にあらわれ始めた秋の臨時国会でも、私たちが反対をした財政構造改革法案を強行に成立させました。その上、デフレを助長する緊縮型の予算をベストの予算だと三カ月以上も強弁し、野党の組み替え要求を無視して強引に成立させました。それからわずか二十時間もたたないうちの政策転換の表明です。舌の根も乾かないうちにというのは、まさにこのことであります。総理自身の言葉が一日ももたないこと自体が、我が国の政策に対する国際的な信頼感、市場の信認を失う原因になっているのです。予算審議を通じて国民にうそをつき続け、国会を軽視した総理の責任は極めて重いと言わざるを得ません。(拍手)
 しかも、会見で総理自身が戦後初めてと言っていい厳しい状況にあると認めている現在の深刻な不況を招いた二年越しのデフレ政策の失敗について、何ら反省の言葉は聞かれませんでした。それどころか、政策転換が後手に回っていることやみずからの政治責任を棚上げして、必要な政策を推し進めることが政治責任をとることと開き直るのでは、政策転換のメッセージは伝わりません。わずか三十分の記者会見の間に円・ドル相場が一円も下がったということ、また、きょうも株価を下げておりますが、市場の反応がノーであることは明らかであります。
 総理の二年越しのデフレ政策の失敗は、まさに明らかです。政策ミスを自覚していないあなたには、バーミンガム・サミットに出席する資格はありません。私たちは、総理に速やかな退陣を求めます。そして、憲政の常道にのっとって、野党第一党に政権を譲って自民党は下野すべきです。総理自身の退陣と自民党の下野こそが、今求められている最大の景気対策になると私たちは信じています。
 総理は、政権維持のために、今後も、国民に犠牲を強い国際社会に日本発世界恐慌の心配をかける政治を続けようとなさるのか。それとも、国益と国際社会への貢献を最優先として、この場でみずからの出処進退を明らかにされるのか。総理の御決断を伺いたいと思います。
 総理は、昨日の会見でも、国民の審判を受けることが責任を明らかにする最大の道だと繰り返し強調されました。であれば、何も参議院選挙を待つ必要はありません。総理がなおも政権の座に恋々とされるのであれば、直ちに衆議院を解散して、国民の信を問うべきであります。(拍手)新しい民主党として、いつでも受けて立ちますが、総理にその御覚悟がおありか、伺いたい。
 次に、橋本総理の中央省庁改革基本法案に対して質問するとともに、私たちの行政改革に対する考え方を申し述べ、古い思考と利権構造から抜け出せない政府・与党の行革基本法の問題点を国民に明らかにしたいと思います。
 率直に言って、総理提案の第一印象は、行政改革をぜひ実現したいという気概が全く伝わってこないということであります。官僚文書そのままの退屈な、政治哲学を欠いた提案であり、迫力に欠けるというだけでなく、そもそも、なぜ今行政改革なのかという肝心の姿が見えてこない。逆にさまざまな疑問が次々とわき起こってまいりますが、それがこの法案の特徴ではないかと思っています。
 一体なぜ私たちは行政改革にチャレンジしなくてはいけないのか、この一点が何よりも大事なのです。それは、明治の近代化以来の古い政府の役割を終わらせ、新しい時代にふさわしい政府の役割を発見し、これにこたえる行政の形をつくり出すことにほかなりません。権限を持った国があり、それに依存する国民がいるといった今日までのお上依存、官僚主導の政治や政府のあり方を転換し、自立しようとしているたくさんの国民を政府が支える社会の実現を目指すという歴史的大事業を達成しようというものです。すなわち、保護ではなく自立を支援する政府への転換、護送船団方式から自己決定方式への転換、そして、利己的利権政治から共生と友愛の政治への転換を図ることが行政改革の目的にほかならないのです。
 この新しい政府の役割は、行政依存の人間をたくさんつくり出すのではなく、国民、市民一人一人の自立と自尊心を大切に、その自立しようとする人々を支援することです。それは、何よりも人間の尊厳と誇りに基礎を置いた政府を樹立することであります。
 行政改革とは、単に省庁の数や規模をいじり、右から左に、左から右にカードを動かすようなことではありません。官僚主導の政策形成、政策管理システムを転換し、保護主義が生み出す自立を阻害する政治・行政の仕組みを一掃して、保護と依存の構造から国民一人一人を解き放つことにあるのです。
 このためにも、中央政府の役割は、外交・防衛、司法などのルール設定・監視、年金を初めとするナショナルミニマムの確保などに限定して、その他のものは自発的な市民の手に、市場の自律的活動に、そして地域の自治に振り分けて中央政府のスリム化を図り、二十一世紀を展望した新たな政治・行政システムをつくり出すことが求められているのです。
 しかし、総理御自身が今行政改革として提案しているものは、一言で言えば、官僚の官僚による官僚のための行政改革にすぎないものとなっています。何のための改革か、だれのための改革かという視点を全く欠いてしまっています。官僚が国民を上から統治する形の中央集権型行政機構が社会に適合しなくなり、市民のために存在するはずの行政が国民から遊離してしまっている現実に対して、何の反省も見られないではありませんか。省庁の再編案に至っては、このような現在求められている行革に真っ向から反する巨大省庁が提案されています。総理は本当に、この単なる袋の詰めかえを、胸を張って行政改革だとおっしゃるのですか。
 まず行うべきは、徹底した地方分権と規制緩和です。省庁再編は、これを実現した後、残った事務をその目的別に大くくりするのでなければ、国民の求める行政改革は実現しません。しかし、政府はこのための努力を何ら行うことなく中央省庁の再編のみに取り組んだため、政府案は、二十世紀最後の、そして最悪の行政改革になり果てたと言わなければなりません。
 そこで、本法律案の提案責任者であり、法案の中身をつくってこられた橋本総理御自身にお伺いをいたします。
 まずは、地方分権に関してであります。
 本法律案では、実際にどのような仕事をいつまでに自治体に移譲するか全く不明瞭でございます。地方分権推進委員会の勧告は国の関与の整理が中心であり、具体的な事務の移譲にはほとんど触れておりません。今後、中央のどの仕事を地方に移譲し、これに応じた地方税財源の拡充をどのように行うのか、それはだれが決めて、中央省庁再編が始動する時期までに間に合うものなのか、具体的に御回答願います。
 次に、規制緩和について伺います。
 規制緩和は、政府が長年かけて膨大な作業を行ってまいりました。しかし、政府のスリム化は進展せず、また規制の数もかえってふえているという奇妙な状況にあります。規制緩和による行政のスリム化はどういった形で実現され、それはこの省庁再編にどのように反映されるのでしょうか。また、一層の進展を図るために、規制対象経済活動の対GDP比の引き下げなど、具体的な数値目標を持って規制緩和に臨むのも一つの手だとは思いますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
 省庁再編案の中身では、特に大蔵省のあり方についてお伺いします。
 今回の中央省庁再編の発端は一昨年の大蔵省改革であり、与党三党において金融と財政の分離を明確にするという合意まで行ったものであります。さらに、金融行政の破綻、大蔵省における不祥事の続発を見れば、財政と金融の分離の必要性は十分明らかなのではないでしょうか。そこで、改めて、金融危機管理等に関する企画立案をなぜ財務省に残されたのか、現在の大蔵省の不祥事の続発を目の前にして、なおこの案を再検討するお考えはないのか、お伺いしたいと思います。あわせて、総理は、昨年八月の行革会議の集中討議で国税庁の分離を提案されておられましたが、このねらいは何だったんでしょうか、そしてなぜそれを撤回されたのかを御説明願いたいのでございます。
 次に、国土交通省について伺います。
 これはまさに行政改革とは全く裏腹の存在であります。定員五万人、年間予算十兆円、補助金三兆三千億円、許認可数二千五百という巨大な開発官庁が二十一世紀の我が国社会において本当に必要だと総理はお考えになっておられるのでしょうか。とりわけ、局長だけでも十数人にも及ぶであろうこの巨大な役所を一人の大臣が監督することが可能だと考えておられるのでしょうか。さらに、法律案四十六条に記載されている公共事業の見直しについては、国が担う公共事業として具体的にどのような事業を念頭に置き、この見直しをどのような手順で行っていくのかもあわせてお聞きしたいと思います。
 本法律案の最大の問題点は、現在我が国にあるさまざまな問題点に対して何らの解決策となっていない点であります。この法律案によって景気がよくなることはありません。学校におけるいじめがなくなることも、公共事業に依存する地方経済が自立することも、衰退する一方の地方の商店街や農業が活性化することも、ましてや国民が将来の日本に対して夢を持つこともできないのであります。これらの具体的な課題に対する回答もないままに、ただ単に役所の機構のみをいじり、これをもって行革と称することに国民はあきれているからこそ、本来国家改造にも等しいはずのこの法案を国民は冷ややかに見ているんじゃありませんか。
 総理は、行革会議の第一回会議のあいさつにおいて、今回の行政改革では将来求められる国家、行政の機能を根本的に洗い直すことが重要として、その実行は強い政治的意思なくしては到底できませんとおっしゃっていました。その結果がこの法案なのでしょうか。一国の宰相たる総理の重い言葉の結末がこれでは、国民は一体何を信じればよいのでしょうか。
 政治にとって言葉は命です。政治に対する国民の信頼は、民主主義社会にとって何物にもかえがたい社会的財産であります。しかし、総理は今まさに、この法案を行革と強引に称することによって、この貴重な財産を失おうとされています。国全体が目標を失い、今後の方向性を決めかねている現在、だれよりもその方向性を語るべき政治に対する信頼を失ってしまっては、だれがこの国の将来について責任を持てるというのですか。
 総理の基本姿勢に強い不安と疑念を表明して、私の質問と行政改革についての見解の表明を終わらせてもらいます。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#23
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 鳩山議員にお答えを申し上げます。
 まず、財政構造改革を初めとする政策運営の誤りについての責任を明らかにせよという御指摘を受けました。
 従来から、財政構造改革の必要性がいささかも変わるものではない、同時に、内外の経済金融情勢の変化に対応し臨機応変の措置をとることも当然と申し上げてまいりました。こうした考え方のもとで、昨日、私は、我が国の経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることを決意して、その基本的な考え方を申し述べました。これは、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣として政治的な決断をいたしたものであります。
 今、この大切な時期、政治の空白をつくることなく、必要なときに必要な政策を講じることによって責任を果たしてまいりたいと考えております。
 次に、行政改革について、総理の行政改革は官僚の官僚による官僚のための行政改革と言われました。
 しかし、よくお考えをいただきたいのでありますが、今回の行政改革会議、民間人を中心メンバーとしながら、私自身会長を務めた行政改革会議の最終報告にのっとったものであります。そして、最終報告全体をお目通しをいただければおわかりのとおり、官僚主導のものではございません。また、規制緩和や地方分権あるいは官民の分担を徹底しながら、国の権限と仕事の減量を進めた上で省庁の再編を行おうとするものであり、単なる省庁の組みかえではありません。
 その再編の進め方についてもお尋ねがありましたが、規制緩和や地方分権、そして官民分担を徹底することにより、国の権限と仕事の減量を進めると同時に、国の行政組織の整理簡素化と定員削減を行うことを大前提として省庁の大ぐくり再編を行おうとしております。再編のみを先行させているものではないことは、最終報告あるいはこの法律案で明らかにいたしております。
 次に、地方分権と地方税財源の拡充等についてもお尋ねがありました。
 地方分権推進委員会の勧告を最大限に尊重する中で、第四次までの勧告につきましては、現在、地方分権推進計画をまとめ、今国会中にこれをまとめたいと考えております。同時に、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体が担っていくことを基本として、国と地方の役割分担を踏まえながら、国と地方の税源配分のあり方について検討もしながら、地方税財源の充実確保を図ってまいります。政府としては、地方分権の推進が中央省庁再編の前提であることを十分踏まえながら、今国会中できるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成するということを申し上げてまいりました。
 次に、今後の規制緩和の進め方についても御意見をいただきました。
 去る三月三十一日、新たな規制緩和推進三カ年計画を決定しているところでありまして、規制の撤廃・緩和は中央省庁の改革を進める上でも不可欠の前提となるものであり、新計画に基づいて積極的に取り組んでまいる考えであります。
 議員から、数値目標という御提案がございました。
 まず、規制対象の経済活動がGDPに占める比率という御議論は、一つの参考となるものではありますけれども、規制対象経済活動のとらえ方が十分技術的に解決をされていない点があること、直接的な規制、すなわち許認可については、事後チェック型の行政に転換していく中で中長期的に減じていくべきものでありますけれども、例えば許可制を届け出制に改めましても許認可の数としては変わらない。いずれにしても、直ちに数値目標として掲げるのは、規制緩和の実効を上げるという点で必ずしも適切ではないように思います。
 次に、財務省に関連してのお尋ねがございました。
 まず、財政と金融の分離問題につきましては、与党間で議論を尽くされ、その結果としての合意が取りまとめられました。国税庁につきましては、行政改革会議におきまして、国と地方を通じる徴税の一元化や徴税における中立性、公正性の確保を図る観点等からさまざまな議論が行われましたが、最終報告において財務省の外局と位置づけられるとともに、税制の簡素化等の指摘がなされました。政府としては、これら与党合意並びに行政改革会議最終報告の内容を中央省庁等改革基本法案の中に忠実に盛り込み、国会において御審議をいただこうとしているところであります。
 次に、国土交通省に対するお尋ねでございます。
 今回の省庁大ぐくりの一環として、国土の総合的な開発利用、交通政策の推進等を図るために国土交通省を設置することとしたものであり、公共事業全般について、国と地方との適切な役割分担の確立、本省の権限の地方支分部局への委譲などの見直しを行うことにより、議員御懸念のような事態にならぬようにしていきたいと考えております。
 公共事業の見直しに関しましては、本基本法案に基づく公共事業の見直しを、国と地方との適切な役割分担の確立等の考え方に立ち、直轄事業及び補助事業を含むすべての公共事業を対象として行っていくものであり、その見直しの具体化につきましては、今後、改革推進本部等において検討してまいります。
 最後に、政治が国民の信頼を失っているというお尋ねがございました。
 内外にさまざまな問題を抱えて行政のあり方の今問われている、そうした中におきまして、であればこそ、制度疲労を起こしている我が国の行政システムを改めて、新しい時代に合ったものに改革していく今回の省庁改革をぜひともなし遂げていかなければなりません。この基本法はまさにその方向性を示し、プログラムとして皆様に御審議を願おうとしております。改革は多大な困難と痛みを伴いますけれども、政治の主導性のもとに、この行政改革を実行していくことこそが国民の負託にこたえるものだと信じております。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○議長(伊藤宗一郎君) 冨沢篤紘君。
    〔冨沢篤紘君登壇〕
#25
○冨沢篤紘君 冨沢篤紘でございます。
 私は、平和・改革を代表して、上程されました中央省庁等改革基本法案について、橋本総理に質問をいたします。
 基本法案の質問に先立ち、昨夜の総理の記者会見について伺います。
 日本発の世界恐慌を危惧し、路線転換を求める内外からの強い圧力に抗しかねて、総理はついに経済財政運営の路線転換に踏み切られたのであります。しかし、その実態は、真に必要な対策からはほど遠いものと言わざるを得ません。今日の経済危機が、橋本内閣が招いた政策不況であるという反省が何ら見られない。打ち出された政策は、肝心の所得減税二兆円の上積みとその二年間の継続であり、手法は相変わらずの小出しでありました。効果が大きく期待できるものではありません。党内外の責任追及を恐れて、現行の財政構造改革法の許容する範囲にとどめたということなのでしょうか。率直に言って、落胆の一語に尽きます。
 総理、政権延命とメンツのためにいたずらに時間を費やしている間に、どれほど多くの被害者や犠牲が生じたとお考えですか。中小企業を初め多くの企業倒産、失業者の増大、貸し渋りの増進、アジア経済の危機等々、まさに巨大な経済的損失が生じてしまったのであります。総理、あなたはこの経済危機を招いたという責任の自覚がないのでありましょうか。
 我々は、今国会の冒頭から、この未曾有の経済危機から脱するために思い切った対策を講ずるべきで、そのために財革法に弾力条項を導入すべきだと提案してまいりました。少なくとも、消費を喚起し、経済社会構造改革のための十兆円程度の減税の実施が必要であります。あわせて、二十一世紀を安心した社会にするために、ハード、ソフト両面での思い切った社会的インフラ整備が必要だと考えます。財政構造改革法の今国会提出、遅過ぎた路線転換の責任、国民に対する謝罪の意思とあわせて、総理の見解をお示しください。
 本論に入ります。
 行政改革の目的は、二十一世紀の「この国のかたち」をつくるところにあります。一昨年の総選挙、行政改革に取り組みますとみんな公約して出てきた。国民の行革への期待には熱いものがあります。あわせて、行革は、簡素で効率的な政府をつくることから、財政構造改革と表裏一体の関係になります。
 総理は、総選挙後、みずから行革会議を主宰され、昨年九月、行革中間報告を発表されました。これを見た国民は、事によると、この国も一定の行革ができるのかなという夢を抱いたのであります。内閣支持率も六割まではね上がりました。
 残念なことは、それ以降の経過であります。最終報告までの三カ月間、国民の前に繰り広げられた自民党と官界、業界とのどたばた劇は、とどのつまり、行革の大骨、小骨を抜き取り、内容を大幅に後退をさせるという予想どおりの筋書きで幕を閉じたのであります。冨沢篤紘、これを題して行革征伐田舎芝居と称する。芝居の舞台には、何にも指導力を発揮できない無能な総理大臣と、本当の行革にストップをかける自民党族(ドク)議員、官僚の醜悪な姿が見事に浮き彫りにされたのであります。国民は、二つの姿を次の国政選挙の判断材料にするでありましょう。
 議場の皆さん、総理が大蔵官僚の言いなりになって制定をした財政構造改革法は、時代錯誤の大悪法、朝令暮改を余儀なくされております。換骨奪胎の中央省庁等改革基本法案は、全くの期待外れ。教育改革に至っては、火事場のがまぐち、口ばっかり、政策はゼロ。その間、学校現場はどんどん荒れてしまう。
 一体、この総理に日本改革の器量と資質があるのだろうか。内閣の支持率の超低空飛行は、国民の不安と不信を実によく物語っているのであります。
 そこで伺いますが、中間報告から最終報告に極めて大きな落差がある。私は、この落差を行革の大後退と厳しく指摘をしながら、何ゆえこんなに後退をしてしまったのか、行革会議会長である橋本総理の御見解を求めるものであります。
 次に、行革への取り組み姿勢について伺います。
 最初に省庁再編ありきという発想は、順序が逆、間違いであると申し上げます。官庁の仕事の中身に手をつけないで、二十二省庁を一府十二省に、局の数を百二十八から九十に削減しても、単なる省の数合わせではありませんか。
 特に、公務員の定数は、十年かかって一割削減にすぎない。橋本総理の政策不況で、民間は血を吐く思いでリストラに取り組んでいる。二割、三割カットというならわかりますよ。十年で一割削減、笑止千万な目標だ。こんなものは何も省庁再編成などしなくたって減らせる数字ですよ。これが改革か。納税者は怒りますよ。総理の見解をお示しください。(拍手)
 もっと足りないことは、この行革で一体幾らの行政経費が節約できるのか、税金のむだ遣いがどのくらいなくなるのか、国民の素朴な疑問に何も答えていない。この点も御答弁を願います。
 要は、政府機能と官民の役割を見直して民営化をする、分権を進める、やらなくてもよいことは廃止をする、その結果としてスリムな中央政府が実現をする、これこそ行政改革の王道であります。なぜこの手順がとれないのか、総理の見解をお示しください。
 地方分権との関連も弱く、整合性もありません。今、地方分権推進委員会が七名のメンバーで運営をされています。この委員会は、何と国は二十二省庁、四十七の都道府県、三千二百に余る市町村を前提に改革案をまとめているのではありませんか。同じ政府、同じ総理大臣のもとで、改革基本法は一府十二省、地方分権推進委員会は二十二省を前提としている。どう見たってちぐはぐですよ。整合性はとれません。私にわかるようにひとつ御説明を願います。
 さて、行革の目玉は郵政三事業の民営化にあります。官は民の仕事はやらない、これが原則だ。しかし、基本法案では、五年後も郵政公社として国営事業の貯金、簡保が残る。中間報告から大幅に後退をいたしました。一体、先進国の中で、国家が貯金、保険を直営している国がどこにあるのか。今、日本は金融ビッグバンのさなかにある。橋本総理が幾ら公的資金を注入しても、銀行も証券会社も青息吐息で苦しんでいる。二十一世紀に向かって生き残れる金融機関が幾つこの日本にあるのか、本気で心配をされているのであります。
 総理、よくお聞きなさい、金融機関がまさに危機に瀕している。国家が貯金、保険を直営して、市場から三百三十兆円もの資金を吸い上げて運用している。都市銀行の総預金だって二百二十兆円ですよ。お国が民業を圧迫している。これでは足腰の強い金融機関が日本に育つわけはない。この構図にメスを入れること、これが本当の行政改革であり、政治家の仕事であると考えます。総理の御所見を求めます。
 もう一つの行革の目玉は大蔵省だ。権力の異常に集中している大蔵省改革は、行革最大の課題になります。基本法案はほとんどこの点にこたえておりません。行革会議では、金融、財政の二つの機能を分離するという議論がされたと聞いている。この点をまず確認をしておきます。御答弁を願います。
 でき上がる財務省は、財政、金融が分離しない財務省になってしまいました。これが二十一世紀のこの国の姿なのでしょうか。財務省の仕事は予算編成と税制の企画の二つだけ。この専門能力を持つプロ集団がいればよい。それ以外の財務省は要りません。総理のお考えをお示しください。
 もう一つ、国税庁の分離も実現しません。行革会議では、国税庁を大蔵省から切り離し、内閣府の外局にする案があった。課税、徴税というのは権力の代表行為でありまして、それゆえに、本来査察機関として独立した存在でなければなりません。
 権力がいかに強いか、例を挙げてみましょう。
 税務調査、こいつは大蔵官僚の最後の切り札だ。政治家が大蔵省に不利な案件を決定しようとする、大蔵省は税務調査というカードをちらつかせる、泣く子も黙る政治家といえどもそれだけで沈黙してしまうと伝えられています。三権分立どころか、大蔵省の一省支配ではありませんか。
 また、予算編成のとき、税は国家、国民のものなのですよ。しかし、徴税は大蔵省がやっている。だから税金は大蔵省が好きに使っていい、こんな大蔵エリートの錯覚があるじゃありませんか。
 これらいろいろな弊害を予防するために、行革会議では、大蔵省からの国税庁分離、内閣府の外局にするという賢明な案が検討された。大蔵官僚がこれをぶっつぶしたと聞いている。国税庁を大蔵省から分離すること、これこそこの国の姿なのではありませんか。御答弁を願います。
 公共工事についても一言申し上げたい。
 中央の直轄事業を極力少なくすること、不必要な工事はなくす、事業については、市町村、地域の自主決定のもとに施行されるべきであります。
 基本法案では、国土交通省という巨大官庁を誕生させ、この官庁が公共工事を統合することになる、これは分権とは逆の動きであります。さらに、地方の出先機関に権限を委託しても国土交通省という本省の権限がなくなることはありません。市町村、県、国の出先機関、国土交通省、屋上屋に屋を重ねる四層陳情行政が誕生してしまうのではありませんか。これが行政改革でしょうか、御答弁を願います。
 まだある。いろいろある。二十一世紀の日本の産業は情報産業だ。しかし、通信、放送、コンピューター行政が総務省、経済産業省に二分割されているという大きな問題。あるいは、基本法五十二条で改革推進本部が設置されるが、実際に本部を動かすのは行政機関の役人、泥縄式で改革ができるのかという課題。
#26
○議長(伊藤宗一郎君) 冨沢篤紘君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#27
○冨沢篤紘君(続) 限られた時間は、冨沢篤紘に十分な論議をさせません。これらは、あわせて来週からの行革特別委員会に持ち越します。
 さて、既得権益を何としても守ろうという勢力、指導力の全くない総理大臣が、醜態をさらしながら中央省庁等改革基本法案をまとめました。内容はといえば、まさに、竜頭蛇尾どころか、ほとんど改革の名に値しない法案、国民の行革への期待を打ち砕きました。我々は、この法案に賛成することはできません。
 皆さん、今日本は病んでいる。医者と薬の必要な重病人だ。ドクター橋本は改革法という薬を出したが、この薬はちっとも薬の役を果たさない。病人にとってこんな不幸はありません。しかし、我々は大きな希望がある。実によく効く薬を持っている。薬の名前は日本再構築宣言。ここからこっち、こっちは外れている。みんなで参加して、議論を重ねてまとめ上げた政策集。これこそ日本を改革する処方せんである。
#28
○議長(伊藤宗一郎君) 冨沢篤紘君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#29
○冨沢篤紘君(続) このことを申し上げながら、代表質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#30
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 冨沢議員にお答えを申し上げます。
 まず、経済危機を招いた責任を自覚し、国民に謝罪すべきではないかという御指摘をいただきました。
 従来から、財政構造改革の必要性は繰り返し申し上げながら、内外の経済金融情勢の変化に応じて臨機応変の措置をとるということも当然と申し上げてまいりました。そうした考え方の中で、昨日、私は、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることを決意して、その基本的な考え方を発表いたしました。これは、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえつつ、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣として政治決断をしたものであります。
 今回の措置は、緊急避難的な対応であり、財政構造改革の骨格を維持します。政治責任の追及を恐れて必要な政策が打てないということであるならば、それこそが私は政治責任であると考えております。財政構造改革法の改正につきましても、その基本は維持しながら、緊急避難的に最小限の修正を行うにとどめたいと考えております。
 同時に、社会的インフラ整備についても、将来世代が整備してくれてよかったと感謝してもらえるような社会資本の整備を重点的に行うことを考えております。
 減税につきましての御指摘もありましたが、今般、所得税、個人住民税につき、さらに今年中に二兆円の減税を上積みし、来年も二兆円の特別減税を継続するなど、四兆円を上回る大幅減税を行うことを発表いたしました。
 次に、行革会議の中間報告から最終報告に向けてなぜ大幅な後退を余儀なくされたのかという御議論をいただきました。
 この二つの報告の中に一部異なる部分が生じておりますのは、中間報告の取りまとめの後、行政改革会議においてさらに議論を深めるとともに、与党との間で真剣な意見交換を行う等、広く国民の御理解を得るための調整を行った結果であり、後退という御批判は当たらないと考えます。
 次に、単なる数合わせという御指摘もいただきました。
 今回の改革は、簡素で効率的な行政、機動的で効果的な政策遂行を実現するために、既に進行しております規制緩和あるいは官民分担、地方分権というものを徹底し、国の権限と仕事の減量を進めた上で、二十一世紀において国家が担うべき機能、課題に的確に対処すべく省庁の再編を行おうとするものであります。
 次に、中央省庁等改革による行政経費の節減の額についてお尋ねがありました。
 改革による歳出削減効果を全体として定量的にお示しすることは困難ですが、今後、規制緩和や地方分権、官民分担を徹底し、国の権限と仕事の減量を進めることにより、財政的な面でも効果が出てくると考えます。
 また、手順についてのお尋ねもございました。
 今回の中央省庁改革におきましては、規制緩和や官民分担、地方分権というものが先行しているということは繰り返し申し上げてまいりました。その上で省庁の再編を行い、簡素でスリムな行政、機動的また効果的な政策遂行を実現していこうとしております。
 次に、地方分権推進委員会の審議あるいは勧告について御意見をちょうだいをいたしました。
 地方分権の推進と中央省庁再編との関係であります。中央省庁再編改革を進めていく上で分権が大事だということは当然のことであり、行政改革会議の最終報告におきまして、「地方分権推進委員会の勧告については、遅くとも平成十二年三月三十一日までに法律の整備を完了し、着実に実行するもの」とされております。
 なお、地方分権推進委員会の四次にわたる勧告、これは一府二十一省庁体制を恒久的な枠組みととらえて提言されたものではなく、今後、政府において中央省庁の再編が行われましても、勧告内容を実現し分権を推進していく上で問題を生ずるものではないと考えておりますが、政府としては、まずは地方分権委員会の四次にわたる勧告を最大限に尊重し、今国会が終了するまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成してまいります。
 次に、郵貯、簡保についてのお尋ねがございました。
 行政改革会議におきましては、民営化も含めてさまざまな観点から議論が行われたところでありますが、最終的には、利用者の利便性に配慮しながら、国民が真に望んでおられる改革とは何かを十分に検討した結果、郵政事業の実施部門は郵政事業庁とした後、さらにこれを国営の新たな公社に移行することとして、民営化等の見直しを行わないという結論に至りました。
 郵貯、簡保の事業運営に当たりましては、限度額を設けるとともに、金融自由化に対応し、市場金利に即した金利設定を行うなどの措置をとってきたところであり、金融市場と整合性を図りつつ運営されており、今後もそうした方向で進めてまいります。
 次に、大蔵省の財政、金融そして国税についてお尋ねがございました。
 財政と金融の分離問題につきましては、行政改革会議並びに与党間で論議を尽くされて、その結果として合意が取りまとめられました。
 また、国税庁につきましては、行政改革会議最終報告において財務省の外局と位置づけられますとともに、徴税の中立性、公正性の確保を図る観点から、税制の簡素化等の指摘がなされております。政府としては、これら与党合意並びに行政改革会議最終報告の内容を中央省庁等改革基本法案の中に忠実に盛り込み、国会においての御審議を願おうとしておるところでございます。
 また、国土交通省について御質問か御意見か、大変失礼でありますが、よくわかりませんでした。しかし、あえてこれについて申し上げたいと思いますのは、公共事業全般について、国と地方との適切な役割分担を確立していくこと、本省権限の地方支分部局への委譲、直轄事業に対する業務の効率化、事業決定の過程の透明化及び評価の適正化等の見直しを図ることとしておりまして、議員御指摘のような事態にならぬことにしていきたい。四層陳情行政という御意見に対し、そうした事態にならぬようにしていきたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○議長(伊藤宗一郎君) 江崎鐵磨君。
    〔江崎鐵磨君登壇〕
#32
○江崎鐵磨君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となっております中央省庁再編基本法案について、総理並びに関係大臣に御質問をいたします。
 質問に先立ち、昨日の総理の記者会見についてであります。先ほども極めて簡単な経済対策について三分間述べられました。昨日の記者会見では三十分時間をかけられたといったことを伺うとき、これは国会軽視も甚だしいものであります。一言申し上げなければなりません。
 総理は、昨日、二兆円特別減税の上乗せを発表されました、一昨日まで本予算案が最善のものであると言っておられたにもかかわらず。総理は国会と国民にうそをつき続けてこられたのですか。これはもはや政策以前、橋本総理の人間性にかかわる問題であります。
 また、みずから強引に成立させた財政構造改革法も改正して、弾力化条項を盛り込まれるとも述べられました。何をか言わんやであります。
 財政構造改革法を成立させたときでさえ、我が国経済は危機的状況にあり、山一証券、三洋証券は破綻し、アジアの通貨危機は深刻となっておりました。このような状況を全く無視し、デフレ予算を義務づける財政構造改革法を強引に成立させたのは、橋本総理、総理自身であります。その際、集中改革期間である当初三年は機械的に予算を削減し、景気対策を目的とした補正予算を編成することはしないとたびたび明言されておったのであります。
 財政構造改革法は、十年前にできた法律ではありません。つい四カ月前に成立したものであります。橋本総理に財政構造改革法改正を語る資格はとてもありません。もはや政策転換であるとかないとかいう問題でなく、それ以前の、橋本内閣に政権を担当する能力があるのかないのかといった問題であります。
 橋本総理は、今日の経済危機の本質が構造問題にあることを全く理解しておられないのではないでしょうか。従来の延長線上でしか物事を考えられず、経済規模だけ売り物にしているその姿はまことに遺憾であり、みずから橋本政権の無策を世界に露呈しただけであります。
 市場はまことに正直であります。九八年度予算が参議院で通過する直前、橋本総理辞任とのうわさが飛び交って、株価は四百円、円は一円近く上昇いたしました。昨日の橋本総理会見後、円は見る見る下がり、一円安となったことは御案内のとおりであります。株価も同様、極めて不安定であります。
 橋本総理、過去最大の景気対策を発表されるよりも、政策不況を招いた失政を謙虚に認め、みずから潔く責任をおとりになることが、何にもまさる景気対策であると私は確信するものであります。(拍手)
 昨日の会見で、総理は、日本の景気の現状について、バブル崩壊の後遺症から抜け切れず、極めて深刻な状況にあると言われました。人ごとではありません。今までおわかりにならなかったのですか。これまで何をしておられたのですか。深刻な状況にあるのは、橋本総理の宰相としての資質であります。
 また、総理は、とるべき政策をとらないことの方が責任が大きいと言われました。責任の問題ではありません。総理御自身の先見性と洞察力の欠如であります。わずか二、三カ月先のことも見通せない総理に、この日本国のかじ取りをゆだねるわけにはまいりません。
 これらの諸点について、総理の見解をまずお伺いいたします。
 私は、このような橋本内閣に、国の仕組みを根幹から変え、既得権益のしがらみから特に抵抗の強い行政改革など、至難のわざとしか言いようがありません。
 以下、順次法案に関し質問をいたします。
 さて総理、なぜ今、我が国経済がこのような状況に置かれているさなか、中央省庁の機構いじり、看板のかけかえをやって、どのようなメリットがあるのか。官僚の自己保存機能に火をつけ、手足を縛り、行政機構を麻痺させるだけではありませんか。我が国経済がまさに国難ともいうべき状況にあり、官民を問わず、国民の総力を挙げて困難の克服が必要とされているとき、機構いじりや看板のかけかえ程度で甘んじている余裕は片時もございません。
 総理、行政改革ほど戦略的手法を必要とする課題はありません。行政改革には必ず痛みが伴うと言われております。これまでの行政で保護、利益を受けてきた人にとっては、厳しい試練にさらされることは間違いございません。例えて言うならば、病院で手術を受ける場合、その人の体力の回復を待って手術を行うように、行政改革を成功させるためには、これらの人々が対応しやすくなるための、まず経済環境の整備が必要不可欠であることは御案内のとおりであります。
 総理、政府として今取り組むべきことは、自由党の主張、大型減税の実現などを柱とし、我が国経済を自律的成長の軌道に乗せる経済構造改革を推し進めるとともに、官から民へ、中央から地方への考えに基づき、規制の撤廃・緩和、地方分権などを強力に推進することにより、民間経済に活力を与え、地方の活性化を図る行政改革を断行することがまず先決であるのではないでしょうか。我が国経済がかつてない厳しい状況にある今日、中央省庁の機構をいじり、行政の機能を麻痺させかねない橋本内閣の行政改革は最悪の選択であります。この点についての総理並びに総務庁長官の見解を求める次第であります。
 次に、行政改革でやるべきことは、陳情政治や利権政治の温床となり、与党の集票システムの一環と化している今日の裁量行政の仕組み、一連の官僚による不祥事を初め政治腐敗を生む元凶となっている仕組みを根底からつくり変えなければなりません。政治家や役人に取り入るのではなく、自立した個人が自己責任を持って正々堂々と胸を張って活動できる社会、地方自治体が自由で透明で効率的な行政を行える社会につくり変えることにあります。それによって初めて、政官業の癒着を断ち切り、利権政治をなくすることができるのではないでしょうか。
 大きな政府か小さな政府かの判断基準は、財政の規模や公務員の数の大小によるものではなく、民間活動への介入の度合いが大きいか小さいかが判断の基準になるべきであります。ところが、橋本内閣にはその考えが全く見えてこないのであります。橋本内閣の誕生以来顕著となった、政府・自民党幹部による予算や公共事業の配分を利用した利益誘導発言、いわんや報復予算などといった暴言を放置している姿勢からも、それは明白であります。
 今回の中央省庁再編案では、公共事業に携わる巨大官庁が誕生することになっており、これではますます権限、財源が一つの省に集中し、政官財癒着の構造は今以上に強化されるおそれさえあります。総理は、陳情政治、利権政治の現実をどうお考えか、どう改められる方針か、また公共事業にかかわる巨大官庁の誕生が利益誘導政治、陳情政治の悪弊をさらに加速することになるのではないか、総理の御見解を伺います。
 中央省庁の権限の縮小は、政官業癒着の構図を断ち切るのみではなく、経済政策においては市場原理の尊重ということでもあります。昨今の我が国を含めたアジアの金融・通貨危機の原因の一つに、政府主導の経済運営が挙げられています。つまり、政府の過剰な市場の介入によるマーケットメカニズムのゆがみが金融危機の本質であるにもかかわらず、与党幹部は、郵貯、簡保などの公的資金によって株価をつり上げたり、不動産担保証券を購入することに何のためらいもなく言及しております。このような状況を見ましても、政府・与党には行政改革を行うなどとても不可能であると言っても過言ではありません。
 橋本総理は、今、あいまいもことした態度でみずからの責任を回避したまま、経済政策の転換を図ろうとされておられます。橋本行革では総理官邸の機能強化が言われておりますが、経済政策を最終的に責任を負って行う大臣は一体だれになるのか。今回の政策不況による橋本総理の責任とあわせて、再編が行われた場合の経済政策の失政の責任はだれが負うのか、お聞かせ願います。
 また、国と地方でどのように役割分担をするのか、権限を移譲する自治体がどうあるべきかという視点が欠落しております。肥大化するのみの公共事業官庁で、どのように効率よく社会資本の整備を行うのか。構造改革に大胆にメスを入れない限り、それこそ利権の巣窟になってしまうのではないでしょうか。公共事業は、国が責任を持って行う大規模事業とそれ以外とに峻別をするべきものであります。国の直轄事業以外は個別の補助金を廃止して、地方自治体に一括交付金として交付し、自治体の裁量によって、自治体が真に必要とする事業が自由に行えるようにしなければなりません。これによって初めて、国、地方の役割分担、効率よい社会資本整備が可能となるわけであります。
 また、地方自治体も体力をつけるため三百程度に再編する必要があるのではないか、総理の御所見をお伺いいたします。
 また、この法律案には数値目標が一切ないこと、御案内のとおりであります。財政構造改革法では帳じり合わせのために歳出一律削減を規定しておきながら、なぜ行政改革による歳出削減目標がないのか、全く理解できません。六つの改革がすべて場当たり的であり、相互にリンクしていない証拠ではないのでしょうか。総務庁長官の答弁を求めます。
 今、我が国は、政治、行政、経済、社会のすべてにわたる構造改革を断行しなければなりません。民間活力が最大限に発揮でき、世界とも調和のできる国民が主役の社会を確立するため、根本からの再構築が必要であります。つまり、民力の回復のための政策が必要であります。
 改革はすべて一体のものとして行わなければなりません。肥大化した官が民から金を吸い上げ使い道を決めるのではなく、国民がみずからの才覚と英知をもって自己責任で金の使い道を決めることを可能とするよう、制度改革を実行するべきであります。行政改革により削減した支出を減税財源とすることにより、金の流れるルートを改革しなければなりません。減税を景気対策としてとらえ、財源論や租税負担率論によって否定し続けた政府・与党は、我が国の置かれた状況、構造改革の必要性を全く理解しておられないのではないでしょうか。
 改革とは、どれ一つとっても命がけであり、政治生命をかけて行わなければ達成できるものではございません。行政改革会議最終報告は、族議員、官僚の抵抗に遭い最後の最後までもめ続けたことも、自民党の諸君御案内のとおりであります。みずからリーダーシップを発揮することなく、常に状況を追認する総理の政治姿勢には、行政改革会議の委員諸氏からも不平不満が募ったと言われております。
 総理、行政改革は機構をいじることや看板をかけかえることではありません。そんなことでは構造改革を妨げるのみであり、まさに画竜点睛を欠く行政改革ならば行わない方がましではないかといったことであります。
 これら諸点についての総理の御見解をお伺いし、私の質問とさせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#33
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 江崎議員にお答えを申し上げます。
 まず、総理としての能力について御指摘をいただきました。
 私は、従来から、内外の経済金融情勢の変化に臨機応変の措置をとることも当然と申し上げてまいりました。こうした考え方のもとに、昨日、私は、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講ずることを決意し、その基本的な考え方を発表いたしました。これは、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣として政治決断をしたものであります。
 次に、経済構造改革に取り組むべきだという御指摘もいただきました。
 経済の停滞から一日も早く抜け出して力強い日本を再建するためには、金融システムの安定と景気回復を図るとともに、経済構造改革を初めとする構造改革を必要とすることは当然であり、これを進めてまいりました。
 昨日発表した経済対策の基本的考え方においても、二十一世紀を見据えて、豊かで活力ある経済社会を構築していくために、真に必要となる社会資本等を整備すること、税は国民や企業の意欲と活力を引き出すものでなければならないという考え方から、所得課税及び法人課税のあり方について見直しを行うことなどが必要だと申し上げたところであります。
 機構いじりより、民間、地方の活性化が先だというお尋ねもありました。
 今回の改革は、単なる省庁の組みかえではなくて、官から民へ、国から地方へという基本理念にのっとって、規制緩和や官民分担、地方分権を徹底させることにより、簡素で効率的な行政と機動的かつ効果的な政策遂行を実現して、あわせて民間や地方の創造性や活力の発揮を促すものであります。
 また、陳情政治、利益誘導政治というお言葉をお使いになり、公共事業に対する御意見がございました。
 公共事業に関連するこうした分野では、本基本法案に基づいて、公共事業について決定過程の透明化、評価の適正化、国と地方の適切な役割分担の確立等の見直しを行うことを通じ、事業が適正に決定、実施されるよう努めてまいります。
 また、政策不況の責任という御意見、冒頭の私の能力に対するお尋ねと同様のお尋ねがありました。そして、これに対しては先ほど申し上げましたが、省庁再編後に経済政策の失政の責任を負う大臣はだれかというお尋ねがありました。すなわち、改革後の経済政策に対する責任の所在というお尋ねであろうと思います。
 経済政策に関しましては、新たな体制のもとにあっては、関係各省庁がそれぞれの分担に応じて責任を果たしつつ、内閣一体となってその責任を負うべきところ、そのように考えており、政府全体の総合調整に関しましては、内閣官房及び内閣府がその衝に当たることといたしております。
 また、公共事業の官庁という視点からの御議論もいただきました。
 本法律案におきましては、公共事業について、国が直接行うものを限定するとともに、個別の補助金等についても国の直轄事業に関連する事業等に限定し、加えて地方公共団体に裁量的に施行させることが可能となるよう、できる限り適切な目的を付した統合的な補助金等を交付すること等により、効率的な社会資本整備を図ってまいろうとしております。
 次に、地方自治体、すなわち市町村を三百程度に再編すべきというお尋ねがありました。
 市町村合併等により行財政基盤を強化することは大変重要でありますけれども、それぞれの地域の実情に応じて市町村のあり方を考えることが必要であり、市町村の数を初めから強制的に定めるということは私は適当ではないと思います。政府としては、市町村合併について、機運の醸成に努めるとともに、地方制度調査会の御意見などを伺い、実効ある方策を取りまとめて、自主的な市町村合併を積極的に支援していこうと考えております。
 また、私自身の政治姿勢に対し、また最終にも御批判をいただきました。そして、これにあわせて今回の行政改革の内容についてのお尋ねであります。
 単なる省庁の組みかえにとどまらず、規制緩和や地方分権、官民分担を徹底しながら、国の権限と仕事の減量を進めた上で省庁の再編を行い、もって簡素でスリムな行政、機動的で効果的な政策遂行を実現することを念頭に置いておるところであり、まさにこの法律案はそのためのプログラム法、基本法であります。これは各分野における構造改革の着実な推進に資するものと考えており、早期の成立を心から願っております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣小里貞利君登壇〕
#34
○国務大臣(小里貞利君) 私に対する質問の第一点は、ただいま総理の方からもお話がございましたから重複は避けるつもりでございますが、議員は、要するに地方やあるいは民間に活力を持たせるべきではないかというそのお話をなさったわけでございますが、私は原則的には、それは賛成でございます。しかしながら、前置きといたしまして、今次の中央省庁再編がただ単純なる機構いじりではないかという前置きがございまして、これは私どもの立場からいいますと相入れざること著しい話でございまして、これからの議論を通じまして、いろいろ整えていかなければならぬと思う次第であります。
 ただいま総理の方から話がありましたように、今回の改革は、単なる省庁の組みかえではなく、まさに時代が正面から求める一つの、言うなれば官から民へあるいは国から地方へという基本理念にのっとった規制緩和やあるいは官民分担、地方分権を徹底することがその基本にあることを御理解いただきたいし、若干譲りまして申し上げまするなれば、あわせて民間や地方に対する国の行政の過剰な介入は断固として排除しなければなりませんし、私どもは、今までもこの法案の作成の過程におきまして相当な抵抗や摩擦がありましたけれども、それを十分心得ながら、民間の創造性や地方の活力の発揮を促すものであるということを基礎に置いて判断をしてまいったつもりでございます。
 それから、今次の行政改革におきまして、言うなれば歳出削減効果が数値で出ていないではないかというお尋ねであったろうと思うのでございます。
 先ほどから申し上げておりまするように、今次のこの基本法案は、言うなれば行政組織及び制度の改革、その基本的な理念あるいは方針、あるいは具体的にこれからの行政改革を進める一つの日程を示しておるものでありまして、その基本を御理解いただきたいと思う次第であります。
 もとより、歳出削減など国の財政運営の方針については、別途財政構造改革法がその目標を定めているところでありまして、御承知のとおり、行政改革、財政改革、その他の六大改革がそれぞれ強力なる連携をしつつその目的を達成することにより、全体としての改革の成果が十全なるものとしてあらわれてくると私どもは確信をいたしておるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#35
○議長(伊藤宗一郎君) 松本善明君。
    〔松本善明君登壇〕
#36
○松本善明君 私は、日本共産党を代表して質問をいたします。
 ただいま、総理の新たな景気対策、財政構造改革路線の転換についての発言がありました。記者会見で、先に突如発表したことも重大な国会軽視でありますが、発言の内容には、景気の深刻化をもたらした九兆円負担増政策の誤りについても、政策転換についても、全く反省がありませんでした。総理には、国会を欺いて九八年度予算を、さらに財革法も強行したなど、数々の重大な責任があることを指摘いたしまして、ただいま議題となっている中央省庁再編法案についての質問に入ります。
 本法案は、内閣機能の強化、省庁再編成、行政組織・事務の減量を図るとしております。そこで、まず第一に、首相権限の強化、内閣官房の抜本的拡充など、内閣機能の強化について質問をいたします。
 法案では、首相が国政に関する基本方針を閣議にかけることができることを法制上明記する、内閣官房が首相の職務を直接補佐する機能を持たせる、さらに危機管理機能などを新たに付与するなど、まさに内閣機能の強化の骨格としてトップダウン方式が強調をされておりますが、問題は、首相のトップダウン政治が何をもたらすかであります。
 首相は、九兆円の国民負担増を押しつけ不況を深刻にさせながら、最善の予算と言って九八年度予算を強行する。ところが、予算成立翌日には補正予算の編成の方向を記者発表する。財政構造改革法についても、野党の反対を押し切って強行しながら、四カ月で修正を言う。文字どおり、国会と国民を欺く悪政の連続であります。(拍手)こうした事実が示しているのは、トップダウン政治が民意の無視、国会の軽視であり、国会による行政の監視機能強化に逆行するものだということであります。総理の答弁を求めます。
 さらに重大な問題は、新ガイドラインに沿った、有事に即応できる軍事優先の強権的国家体制をつくる一環であるということであります。現に、首相が了承した新ガイドラインの具体化の法整備では、国会の承認を得ないまま、閣議決定だけで、米軍支援計画を発動できるとしております。政府が周辺事態と認めれば、国会に報告するだけで、米軍の戦争への参加、協力について国民や国会が歯どめをかける規定がありません。これは国権の最高機関である国会を無視し、ひいては国民主権をないがしろにする重大な憲法違反であります。国民が知らないうちに日本が参戦するということになるのではありませんか。答弁を求めます。
 また、外務省の編成方針には、外交政策と防衛政策を初めとした関係府省との密接な連携を掲げております。これと不可分の関係にあります。アメリカの要求を実施するために各省を動員するかなめとしての外務省の役割を明確にし、憲法の禁じている軍事力を背景とした日本外交を展開することを公然と示したものではありませんか。答弁を求めます。
 第二は、各省の編成についてであります。その特徴は、ゼネコン奉仕の利権構造を拡大、温存させながら、国民生活部門を縮小していることであります。
 新設の国土交通省は運輸省と建設省、国土庁などを合体させるもので、公共事業予算規模の七割を占める一大公共事業官庁となります。六百三十兆円の公共事業の総量や道路、河川、港湾などの長期計画のあり方、特別会計制度などを見直さないでこのようなことをすれば、大規模な浪費型公共事業推進の体制を二十一世紀に引き継ぐことになりませんか。総理の答弁を求めます。
 また、行政改革会議の最終報告は、四百兆円から五百兆円の膨大な財政赤字に象徴される負の遺産を問題にしております。しかし、これはすべて戦後半世紀の自民党的政治が、苫小牧東部開発、むつ小川原開発に代表される膨大な浪費的公共事業を推進してきたからではありませんか。こうした利権が行政機構の腐敗も生み出しております。総理は、このことについてどのような反省をしておられますか。答弁を求めます。
 このように、ゼネコンの利権構造を温存したまま、他方、国民生活部門の縮小、民営化の方向を露骨に示しております。過去最悪の深刻な雇用情勢が日本経済を土台から崩している今日、労働省は、雇用の確保や少子化対策として子供の産みやすく育てやすい女性の労働条件の形成など、ますます重要な役割が期待されています。社会保障が切実な要求となり、景気対策としても重要なことは言うまでもありません。労働省と厚生省の統合で効率性、スリム化を図ろうとしておりますが、行政目的の異なる行政機関を統合しても、それは到底期待できないばかりか、国民生活を守る責任の放棄につながるのではありませんか。総理の答弁を求めます。
 財務省の編成方針には財政構造改革を、労働福祉省の編成方針には社会保障制度の構造改革を推進することが明記されております。財政構造改革は、社会保障や医療、教育、中小企業、農業予算を容赦なく削減できるようにしたものであります。社会保障制度の構造改革は、保険あって介護なしの介護保険、医療保険制度の抜本的改革、年金制度の全般的改悪など、社会保障制度の連続切り捨てをねらったものであります。本法案が成立をすれば、財政構造改革法案と相まって、今以上の国民生活破壊が推進されることになるのは必至ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 経済産業省の編成方針には、中小企業の保護またはその団体の支援を行う行政の縮小が盛り込まれております。中小企業基本法では、国の役割について、中小企業の果たすべき重要な使命にかんがみ、中小企業の経済的社会的不利を是正して、その成長発展を図り、従業者の地位向上に資することとされております。経済産業省の編成方針は、中小企業基本法で定められた国の役割に反しているのではありませんか。これはまた、今塗炭の苦しみに陥っている中小企業に一層の打撃を与えることにならざるを得ないのではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。
 農水省の編成方針には、食糧自給率向上が一言も触れられていないばかりか、生産性の高い農業を実現するためには農業構造の改善を推進するとして、十ないし二十ヘクタールの大規模農家に農業政策を絞り込むいわゆる新政策がうたわれております。言うまでもなく、この新政策は農家の九割以上を切り捨てる政策であり、農業経営の株式会社化に道を開くものであります。国の財政支出を削減する国、地方公共団体、生産者の役割分担論と新政策を農林水産省の編成方針に据えるということは、家族経営中心の日本農業を崩壊させ、残された規模の大きい農業者にもさまざまな負担が強化され、ひいては食糧自給率を引き下げることになるのではありませんか。総理の答弁を求めます。
 第三に、この法案が国民生活にかかわる公共の分野を減量という名で徹底的に切り捨てる仕組みづくりを目指している点についてであります。
 新しく創設する独立行政法人が行う事務事業は、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務事業が一つの要件になっております。ところが、独立行政法人は運営面で徹底した企業効率が求められています。一定の期間終了後、所管大臣は独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織のあり方など全般的検討を行うことを規定しており、非効率の法人の廃止を前提にしております。一方で確実に実施されることが必要な事業と位置づけながら、片方で廃止を図るというのは、国民を欺くものではありませんか。答弁を求めます。
 独立行政法人の対象になっている国立研究機関の協議会は、国立研究機関の多くが効率化を眼目とした独立行政法人にはなじまないと言っております。この方式の採用は、基礎研究や公共的、長期的視野に立った研究、環境、安全、農業などの研究がないがしろにされ、日本の科学研究を世界から大きく立ちおくらせることになるのではありませんか。また、全国各地において地域医療で役割を果たし、民間の医療機関では担うことが困難な政策医療や臨床研究、研修等を行っている国立病院・療養所などが国の行政から切り捨てられるのではありませんか。総理の明確な答弁を要求します。
 財政投融資制度の抜本的改革は、金融ビッグバンに郵貯、簡保、年金積立金など財投資金を対応させるため、郵貯、年金資金の資金運用部への預託を廃止し、全額自主運用させるものであります。全額を自主運用ということになりますと、国民の財産を失敗や懸念のある市場にゆだねることになり、そのツケが国民に回ることは明らかであります。さらに、財投資金を活用してきた住宅、福祉、中小企業対策、文教、地方財政など、国民生活に密接にかかわる分野への公的資金の供給が大幅に断ち切られることになりかねません。そのような危険について総理はどう考えているのか、質問をいたします。
 郵政事業民営化は、国民生活、特に過疎地の年金、恩給の受給者の生活などに重大な影響があります。国営の新型公社について有力閣僚が、これは郵政民営化にレールを敷いたものだと発言をしております。もしそうでないとすれば、「国は、郵便貯金として預入された貯金の払もどし及びその貯金の利子の支払を保証する。」と規定をした郵便貯金法三条、郵便事業の国家独占を定めた郵便法五条の削除をしないと総理は明言をすることができるかどうか、質問をするものであります。
 第四は、今回の行革の位置づけについてであります。
 最終報告は、「この国のかたち」の再構築は、「経済構造改革や財政・社会保障改革、教育改革などの諸改革が併せて実行されてはじめて実現するものである。」と述べております。法案は、いわば橋本六大改革推進の一環として中央省庁再編を図ろうとするものでありますが、財政構造改革の破綻はもはやだれの目にも明白になっております。これは、あなたが示す六大改革の土台が崩れたことを示しているのではありませんか。答弁を求めます。
 以上、若干の問題点について質問をいたしましたが、今国民の求めている行政改革の課題は、政官財の癒着構造を抜本的に打破し、憲法が行政に課した国民全体の奉仕者という本来の責務に立った行政改革を図ることであります。国づくりは、国民主権、平和と福祉の国家の方向であります。橋本行革はこれに逆行し、国民を暗黒の二十一世紀に導くものであります。
 史上最悪の経済状況に追い込んだ橋本内閣に行政改革を語る資格は全くありません。橋本内閣は、この法案の撤回とともに、その責任をとって退陣し、解散総選挙を行うことが総理のとるべき道であることを述べて、私の質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#37
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 松本議員にお答えを申し上げます。
 冒頭の御意見は確かに承りました。その上で、御質問にお答えを申し上げます。
 まず、内閣機能の強化に関するお尋ねがございました。
 本法案によります内閣機能の強化は、内閣が国務を総理するという任務を十全に発揮して、緊急事態に対しては機敏に行動し、多様な政策課題に対して戦略的な判断を下せるような体制を構築するとともに、国政運営の上で、国会で指名された内閣の首長である内閣総理大臣がリーダーシップをより発揮しやすい仕組みを整えたものであり、議員の御指摘は当たらないものと考えております。
 次に、指針の法整備についてのお尋ねがございました。
 法整備の大要におきましては、周辺事態において我が国が実施する活動に関する基本計画を閣議決定後遅滞なく国会に御報告することとしております。これは、基本計画が国民の権利義務に直接関係するものではなく、迅速な決定を行う必要があること等を総合的に勘案したことによるものであります。
 次に、外務省の編成方針に関連し、我が国外交についてのお尋ねがございました。
 我が国外交の基本目標は、みずからの安全と繁栄の確保であり、これは、国際社会全体の繁栄と安定の中でのみ実現可能であります。したがって、我が国は、日米安保体制を堅持し、節度ある防衛力の整備に努めるとともに、我が国を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力を行うことを安全保障政策の基本としており、この基本的考え方を今後ともに堅持していく方針であります。
 次に、公共事業のあり方に関するお尋ねがありました。
 本基本法案に基づき、公共事業の仕組みについて国と地方との適切な役割分担の確立等の見直しを図ることとしているほか、財政構造の改革を推進する見地をも踏まえ、その重点的、効率的な実施を図ることとしており、議員が御指摘になるような浪費型の体制を二十一世紀に引き継ぐことにはならないと考えております。
 次に、最終報告の中における負の遺産についてどう反省しているかというお尋ねがありました。いわゆる五百兆に上る長期債務に対する反省についてのお尋ねであります。
 これまで種々の財政健全化の努力にもかかわらず財政赤字の拡大がもたらされた要因としては、まず、人口の高齢化等の構造的な要因が考えられます。また、バブル崩壊後の景気下支えのための累次にわたる経済対策も要因として考えられます。今後とも、危機的状況にある我が国の財政を健全化するとともに、安心で豊かな福祉社会及び健全で活力ある経済の実現に向け、財政構造改革の着実な推進が必要であると考えております。
 次に、労働省と厚生省という行政目的の異なる機関の統合は後退を意味する、そのような御指摘がありました。
 しかし、雇用の確保、労働条件の整備、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上増進をむしろ一体的、総合的に推進するとともに、関係施策及び事務事業の効率化などを目指すものであり、御指摘は私は当たらないと考えております。
 また、本法律案の成立が国民生活に及ぼす影響というお尋ねがございました。
 このたびの改革は、社会保障制度の構造改革、教育改革等を進めていくことと相まって、真に国民の求めるサービスを的確かつ効率的に提供できる体制を確立することを目的とするものであり、国民生活に大きなメリットをもたらすものだと考えております。
 次に、中小企業に対するお尋ねがございました。
 中小企業は我が国経済活力の源泉という認識のもとに、経済情勢に的確に対応した中小企業施策の展開に努めてまいりました。今後とも、安易な保護などではなくて、新規産業の創出のための環境の整備への重点化などを図りながら、変革を図る意欲的な中小企業の強化、活性化のための諸施策を総合的に講じ、我が国中小企業の成長発展を図ってまいります。
 次に、農林水産省の編成方針についてのお尋ねがありました。
 我が国農業の体質強化とその発展のためには、規模が大きく生産性の高い農業経営が相当部分を占める農業構造を実現することが重要であります。このような構造改善を進めるに当たりましては、地域の農業者の合意を基礎にしながら経営規模の拡大等を進めて、生産性の向上と食糧自給力の強化を図ることが重要だと考えております。
 次に、独立行政法人の業務の見直しについてでありますが、独立行政法人が担う業務につきましては、社会経済情勢や国民の意識の変化に応じ、その必要性や実施主体のあり方を定期的に見直すことが必要であり、これにより、不必要な業務・組織の継続、膨張を防ぎ、真に国民のニーズに合致した効果的、効率的な業務やサービスの提供等が可能になるものと考えております。
 国立試験研究機関の独立行政法人への移行に関する点につきましては、国立試験研究機関への独立行政法人制度の導入につき、各研究機関の多様性を尊重し、自律性、柔軟性、競争性を高めることを通じて、基礎研究を含む試験研究機能の一層の向上を図るとの観点から具体的検討を進めることとしておるものであり、御意見は当たらないものと考えております。
 また、国立病院・療養所についてお尋ねがございましたが、国として担うべき医療を行う機関として位置づけられており、独立行政法人に移行した場合、地方自治体や民間では担いがたく、国の医療政策として行うべき医療を引き続き遂行していくことに変わりはないものであります。
 次に、郵貯資金、年金積立金の資金運用部預託の廃止に関するお尋ねがございました。
 自主運用への移行に伴う資金運用の具体的なあり方につきましては、安全確実な運用を基本に今後検討していくこととしており、また、財政投融資についても、財政政策の中で有償資金を適切な分野に活用するという基本的な役割を踏まえつつ、その抜本的改革を進めてまいります。
 次に、郵便貯金法及び郵便法の措置についてのお尋ねがございました。
 郵政事業については今後とも国営を維持することとしておりますので、基本的には現行の国の保証と同様に考えていくことが適当ではないかと考えております。また、郵便法第五条に関しどのような手当てを行うべきかについては、今後の検討結果を踏まえて決めるべきものと考えております。
 最後に、財政構造改革についてのお尋ねがございました。
 その必要性はいささかも変わるものではなく、今後とも、二十一世紀における活力ある豊かな経済社会を築き上げるためには、六つの改革を一体として引き続き推進していくことが必要だと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#38
○議長(伊藤宗一郎君) 中西績介君。
    〔中西績介君登壇〕
#39
○中西績介君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、ただいま議題となりました中央省庁等改革基本法案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 社会民主党は、分権、透明の視点を基本に、憲法の理念を生かした市民のための行政改革を強調してまいりました。明治以来の中央集権、官主導の行政から、地方分権、情報公開の徹底等により国民に開かれた、主権在民にふさわしい行政に転換することが何よりも求められています。社会民主党は、行政関与のあり方を徹底的に見直し、官民の役割分担を明確にすることが必要との立場から、与党行政改革協議会において本法案の準備作業にかかわってまいりました。
 総理は、本法案を、国の権限と仕事を絞り込み、二〇〇一年一月には一府十二省体制への移行を開始することを目指し、内閣機能の強化と中央省庁改革のための基本法案と位置づけられ、そのための前提として地方分権と規制緩和を挙げておられます。
 私は、まず申し上げたいのは、中央省庁改革に至る論議の手順が前後していたのではないかということであります。
 国から地方への地方分権、官から民への役割分担の見直し、ガラス張りの行政を目指す情報公開などを徹底することによって、おのずと新たな省庁の役割や仕事が決まっていくべきと思います。しかし、本法案の土台を協議した昨年の行政改革会議の論議は、初めに中央省庁半減、すなわち一府十二省体制ありきだったのではないでしょうか。時間をかけて、すべての行政の事務事業についての悉皆的な検討が必要だったのではないかと考えますが、総理の御見解をお尋ねします。
 また、地方分権や、弱者を除く規制緩和の進展とともに、中央省庁の役割は不断に変化すべきものであり、その都度見直すべきものであると考えますが、あわせて御見解をお伺いいたしたいと存じます。
 中央省庁の大くくり再編を行った場合、巨大省が出現し、権力の集中、情報独占といった弊害が予想され、行政が三権における優位性を持ちかねません。行政に対し政治がリーダーシップを持ち、国民の声を反映させていくべきであると考えますが、総理の御見解はいかがでしょうか。
 また、これまでよりも多くの局を擁する組織の長となる大臣の管理能力は、全省に及ぶのでしょうか。例えば複数の副大臣等の導入などによって行政に対する政治のリーダーシップを確保し、総合性、戦略性、機動性を確保すべきであると考えますが、これらについての総理の御認識を伺います。
 社会民主党が提唱した環境省の創設についてお尋ねいたします。
 環境省は、環境保全のための政策の企画・立案・推進、基準などの策定、行政の総合調整、政府の施策が適切に環境に配慮されているかどうかを厳格にチェックするなどの機能を有します。環境省がその本来の目的を的確に達成できるよう、環境省を設置する法律案の立案までに十分な検討が行われることを期待しますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 行政における垂直的減量、アウトソーシング及び質と効率性、透明性、自律性などを確保した独立の法人格を持った独立行政法人制度が提案されています。与党三党は、昨年十二月の「行政改革会議「最終報告」に関する確認」において、「独立行政法人については、制度設計にとどめられたものであると理解する。その適用にあたっては、職員団体等、各方面の十分な理解を求めつつ行い、一方的な適用は行わないこと」とするとの確認を行っています。独立行政法人の対象となる業務及びその職員の身分等を決定するに当たっては、これまで維持されてきた良好な労使関係に配慮し、職員の理解と納得を得て行うべきであります。また、その際には、いささかも雇用不安を招来することがないよう、雇用問題に万全を期すべきであると考えます。これらについての総務庁長官の御認識をお伺いいたします。
 国よりも効率的で、特殊法人よりも透明性が高いとされる独立行政法人ですが、現在その弊害が指摘されている特殊法人との違いは余り明確とは言えません。独立行政法人においては、特殊法人に比べて主務大臣及び国会のコントロールはかなり希薄なものになるのではないかと懸念されていますが、これらの点についての総務庁長官の御認識を伺います。
 また、官民の役割分担の検討を行った行政改革委員会の政府法人の概念との調整は行われたのでしょうか。行革委では、官から民にゆだねられるものは極力市場原理に任せることとしていますが、垂直的減量における政策立案機能と実施機能との組織的分離との連関はどのように考えられているのか、総務庁長官にお尋ねします。
 相次ぐ不祥事によって、国民の行政への不信はかつてないほど高まっています。誠実かつ不断の改革を通じ、行政もまた、失われた信頼を取り戻し得るのではないでしょうか。国民から批判されている補助金漬けや通達行政等は、政官業の癒着の温床と言われています。これらの弊害の克服は当然ですが、行政とともに、政治家や事業者もまたモラルを厳しく問われています。行政改革には政治のリーダーシップが不可欠ですが、数合わせや官僚バッシングなどで国民感情をあおることは許されません。政治家みずからも襟を正していかなければ、信頼される行政改革は行えないでしょう。公務員倫理の確立とともに、政治倫理の確立と政治腐敗防止の実現が必要と考えますが、総理の御見解はいかがでしょうか。
 これからの行政は上から与えられるといったものではなく、透明、公正で、国民に信頼される開かれた行政でなければなりません。本法案にも明記されている行政情報の公開に対しては、国民の多くの期待が寄せられています。今国会に提出されているいわゆる情報公開法についても、早期制定が図られることを強く期待するものであります。総理の御見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#40
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 中西議員にお答えを申し上げます。
 まず、行政改革会議の議論が初めに一府十二省庁体制ありきではなかったかという御指摘をいただきましたが、議員よく御承知のように、既に先行して地方分権の作業をしておられました地方分権推進委、規制緩和を議論しておられました行政改革委からそれぞれ行政改革会議にメンバーをお送りをいただき、その間の連携を図りながら議論を進めてまいりました。
 そして、行政改革会議の最終報告においては、簡素、効率的、透明な政府を実現するために、行政機能の減量、効率化等を進めるとされたわけでありますが、これは、十分に御論議をいただいたものを土台に移しかえた、そしてその上で中央省庁の議論をした、この点はぜひ御理解を賜りたいと存じます。
 そして、地方分権等の今後の進展を踏まえて、省庁の役割を見直すべきではないかという御指摘をいただきました。
 今回の改革におきましては、簡素でスリムな行政と機動的で効果的な政策遂行を実現するために、規制緩和や官民分担あるいは地方分権を徹底し、国の権限と仕事の減量を進めた上で省庁の再編を行うことといたしております。
 また、官庁の巨大化と政治のリーダーシップについてのお尋ねがございました。
 今回の改革案では、中央省庁の大ぐくり再編による行政の総合性の向上を図りますとともに、各省行政の徹底したスリム化、効率化と内閣機能の強化を進め、政治の強いリーダーシップによって国民本位の行政を実現させていかなければなりません。
 副大臣制の導入を含む政治のリーダーシップのあり方につきまして、政治の主導性の確保は私は当然必要だと考えますが、副大臣制の導入につきましては、立法府と行政府の関係、政治と行政の関係、行政の中立性の要請、組織の簡素化、効率化の観点等も十分留意しながらの検討が必要だと考えております。
 次に、環境省のあり方についての御意見をいただきました。
 環境省の創設は、今回の改革の中で私自身も特に力点を置いたものの一つでありますが、環境省の機能の具体化につきましては、環境省の設置法等の立案に当たり、環境保全の観点から環境省がその本来の目的を的確に達成できるよう、十分検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、政治倫理の確立と政治腐敗の防止について、公務員の倫理の確立と並んで、この実現が必要であるという御指摘をいただきました。
 この問題につきましては、昨年九月三十日の政治倫理等に関する三党確認に基づいて与党政治改革協議会が設置され、収賄罪に係る有罪確定議員の被選挙権の停止期間の延長等について既に合意が得られたものと承知しております。その他の件につきましても、現在、与党政治改革プロジェクトチームなどの場におきまして、政治腐敗防止のための立法措置等の課題の取りまとめに向け鋭意検討がなされているものと承知をしており、その議論を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、情報公開法につきましても、議員御提起のとおり、早期制定が図られることを心から私も期待をいたしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣小里貞利君登壇〕
#41
○国務大臣(小里貞利君) 今次の行政改革を進めるに当たりまして、最も重要な仕組みと申し上げましょうか要素の一つである独立行政法人に関連してお尋ねでございます。
 まず最初に、独立行政法人の対象業務やあるいは職員の身分等の決定に当たっては、その関係者あるいは職員と十分話し合いをしなさいよというお話でございますが、その点は当然のことであろうと思っております。
 あるいはまた、その独立行政法人に行わせる業務あるいは職員の身分等につきましても、これまで維持されてまいりました良好なる労使関係等にも十分配慮する必要がありますよというお話でございますが、私どもも、それは当然心得ていくべきことであろう、さように思っております。
 さらにまた、独立行政法人に対する所管大臣やあるいは国会のコントロールについてのお尋ねでございますが、これは御承知のとおり、独立行政法人は国の行政機関とは別に法人格を有する法人をつくるわけでございまして、その法人格を有する法人に担わせる、そして明確な目的と責任のもとに自律的、弾力的な運営を行わせることにより、効率化あるいは質の向上、透明性の確保を図ることを基本といたしておるものでございます。
 この基本のもとに、特殊法人が所管大臣の一般的な監督権に服しているのに対し、独立行政法人においては、所管大臣が独立行政法人に監督等の関与を行うことができる事項を法令で定めるものに限る一方、所管大臣が目標を付与し、業務の評価を行うなど、その達成を厳しく求める仕組みを導入することといたしております。これによりまして、独立行政法人の趣旨を十分生かしながら、所管大臣やあるいは国会による必要なコントロールを確保してまいらなければならないと思う次第でございます。
 さらに、独立行政法人と行政改革委員会の政府法人との関係についてのお尋ねであったと思うのでございますが、行政改革会議において独立行政法人について検討するに当たりましては、その行政改革委員会から提唱されておりました趣旨は十分参考にして協議を進めてまいった経緯がございます。
 最後に、垂直的減量と、政策立案と実施の分離との関連についてのお尋ねでございますが、中央省庁等改革におきましては、この両者をともに重視して進めることにより、総合的かつ効率的な行政組織の実現を目指すことができると思っております。
 まず、垂直的減量、すなわちスリム化につきましては、官民の役割分担、地方分権、民間能力の活用の見地から、事務事業の見直しを徹底的に進めた上で行政組織の再編を行うこととしております。これにあわせ、行政組織の中で混然一体となっておりまする政策の企画立案機能と実施機能を分離をいたしまして、国の本省庁の機能を政策の企画立案に重点化、高度化するとともに、実施機能については独立行政法人や外局に移しまして、明確な目的と責任のもとに、自律的、弾力的な運営を行わせようとするものでございます。(拍手)
#42
○議長(伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#43
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十六分散会

ソース: 国立国会図書館
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