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#1
第142回国会 本会議 第29号
平成十年四月十四日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十八号
  平成十年四月十四日
    午後一時開議
 第一 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 第二 民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナダ政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件
 第三 社会保険労務士法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第五 原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第七 司法試験法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    …………………………………
  一 国務大臣の演説(経済対策について)に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 山下徳夫君の故議員愛野興一郎君に対する追悼演説
 日程第一 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第二 民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナダ政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第三 社会保険労務士法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第五 原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第七 司法試験法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案(議院運営委員長提出)
 衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案(議院運営委員長提出)
 国務大臣の演説(経済対策について)に対する質疑

    午後一時四分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 御報告することがあります。
 議員愛野興一郎君は、去る三月二十日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 愛野興一郎君に対する弔詞は、議長において去る四月十日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに文教委員長外務委員長石炭対策特別委員長の要職につき また国務大臣の重任にあたられた懲罰委員長議員正三位勲一等愛野興一郎君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
    ―――――――――――――
 故議員愛野興一郎君に対する追悼演説
#4
○議長(伊藤宗一郎君) この際、弔意を表するため、山下徳夫君から発言を求められております。これを許します。山下徳夫君。
    〔山下徳夫君登壇〕
#5
○山下徳夫君 ただいま議長から御報告がございましたとおり、本院議員愛野興一郎先生は、去る三月二十日、郷里佐賀県鹿島市の御自宅において、肝不全のためその生涯を閉じられました。六十九年の生涯、幾多の艱苦をはねのけてこられた凜烈の闘志も病魔には勝てず、生命の炎は余りにも早く燃え尽きてしまいました。
 殊に、あなたの衆議院在職二十五年表彰記念の祝賀会が佐賀市で盛大に行われてわずか五日後のことだけに、突然の訃報に接したとき、ただただ驚愕と愁傷とで言う言葉もありませんでした。
 私があなたと最後にお会いしたのは、二月の下旬に病院を訪ねたときのことでした。私が病室に入ると、あなたはベッドから起き上がり、御不自由なお体にもかかわらず、冷蔵庫からジュースを取り出してみずからグラスに注いでくださいました。しばし懇談の後、帰り際にあなたの手を握り、「佐賀県ではあなたと私が先輩格になってしまいましたな、たとえ政党は異にしていても二人で力を合わせていけば郷里の人たちも喜んでくれるでしょうな」と語りかけると、私の手を握り返し、感情を込めて「ありがとう、ありがとう」と言われました。
 今、御生前の遺徳を追慕して永訣の辞をささげるとき、得がたい友を失った寂寥のみが骨身にしみるばかりであります。まして、あらん限りの御看病に当たられた奥様を初め、御遺族の胸中をお察しするとき、お慰め申し上げる言葉もございません。
 私はここに、ありし日のあなたの面影をしのび、諸君の同意を得て、議員一同を代表し、万斛の思いを込めて哀悼の言葉をささげます。(拍手)
 あなたは、昭和三年、父時一郎氏、母すみれ様の長男として、神奈川県横浜市にお生まれになりました。父君は、故三木武夫元首相の一期先輩に当たられ、帝国議会当時から、人格、識見ともにすぐれ、郷土の誇る政治家として御活躍なさいました。また、現在佐賀県を中心にバス事業を展開している祐徳自動車の創業者としても知られ、公共性の高い交通事業を通じて地域住民に多大な貢献を果たされた方でもございます。
 愛野先生は、このように偉大な父君の教えと賢夫人の誉れ高い御母堂の薫陶を受けながら少年時代を過ごされ、旧制鹿島中学校を経て中央大学法学部に進まれました。学生時代は、文武両道をモットーに、学業に励まれる傍ら特技の柔道にも激しいけいこを積まれました。その腕前は六段で、卒業してからも、忙しい中、母校の後輩たちの指導に当たられたのであります。
 昭和二十六年、大学を卒業されたあなたは、社会人修業のため、父君の友人が経営される運送会社に勤められました。そこでの仕事はまさに修業という名にふさわしく、漁船から水揚げされた魚をトラックで運ぶのが主な仕事で、船が入ると、真夜中の午前三時には起き出て、長靴を履き、腰に手かぎを下げて、船着き場での作業に従事されたのであります。それが一段落すると、事務所に一人残って、明け方まで細かな給料の計算等を担当されるなど、大変厳しいものでありました。このみずから汗して得るお金のとうとさを身をもって知らされた先生は、不労所得のかけごとには一切手を出されませんでした。このような厳しい生活の中でも、仕事仲間としょうちゅうを酌み交わしながら将来の夢を語り合うことを楽しみにしておられたと伺っているのであります。このときの苦しくも楽しい体験が、政治家愛野先生の原点の一つになったことだと存じます。
 その後、父君の急逝により、地元鹿島市に戻って家業の経営に当たられることになりましたが、今日、これらの事業はすべて順調に拡張の一途をたどっております。その基本は、あなたが事に処するに知略を用いず、才に走らず、ひたすらなる誠実をもって携わってこられたその結実であり、何よりも祐徳バスの車体に誠の字を稲穂で包んだ図柄の社章が大きく描かれていることでも明らかであります。
 あなたは、父君から、常々政治家として跡を継げと言われたことはなかったそうでありますが、ただ、息を引き取られる間際に初めて、「政治家になって世のために働け」と一言言われたと伺っております。
 この父君の期待にこたえて、昭和四十三年、佐賀県議会議員としてその第一歩を踏み出され、次いで、昭和四十七年、第三十三回総選挙に自由民主党公認として勇躍出馬し、見事本院に議席を得られたのであります。
 国政の壇上に立たれてからは、父親譲りの才覚と県会議員時代から培われてこられた卓越した行動力と洞察力、さらに経営者として会得された決断力と危機管理能力なども十分に駆使して国政の審議に携わってこられました。
 初当選から五年後の昭和五十二年には、福田内閣の外務政務次官に抜てきされ、時の園田外務大臣とともに、日中友好条約の締結に尽力されました。
 その後、第二次大平内閣の総務副長官、本院の文教委員長、外務委員長、また、自由民主党においては内閣部会長、政務調査会副会長などの要職を務められ、平成元年一月には、竹下内閣の経済企画庁長官に就任されましたが、その在任中は、消費税導入に伴う便乗値上げの抑制等に非常に御苦労されたのであります。
 また、とりわけ尽力されたのは、国会冒頭の経済演説で説かれました、真に豊かさを実感できる国民生活の実現についてでありました。これは、年間労働時間の短縮と雇用安定対策、居住環境の改善、さらには地方の創意工夫を生かした地域経済の活性化対策等の諸施策から成り、そのいずれをとっても国政の根幹に触れる重要な課題ばかりでありましたが、それらの実現に積極的かつ早急に取り組む必要のあることを強く強く主張しておられたのが、ついこの間のように思い出されてなりません。
 また、あなたは、一貫して政治改革の実現に情熱を燃やしてこられました。あなたはこのことを、「金がかからず、権力に左右されず、しかも政官財の癒着のない、正義感をモットーとする政治をつくることだ」こう決意表明の中でも述べられております。
 いつか先生に、「テレビはどんなものを見るの」とお尋ねしたところ、あなたはオウム返しに、「水戸黄門のような時代劇やアメリカの西部劇が大好きですな、なぜならば、必ず正義が勝つから後味がいいですよね」こう答えられたことを私は今でも忘れておりません。
 このようにあなたは、武道で培われた愛国心を基盤に、一言千鈞ともいうべき鉄壁の信義、上下を隔てぬ温かい義理人情をわきまえ、真に涙を知る人でもありました。あなたの歌も折に触れて聞かせてもらいましたが、得意な歌は人情物が多く、特に「柔道一代」はあなたの持ち歌の中でも最も愛唱された歌であり、この歌をほほを染めて歌われるときこそ、真に人の情けを知るあなたの偽らざる姿でありました。(拍手)
 先生はこの後、平成四年、自由民主党政治改革本部の政治倫理部会長に就任され、すべての国会議員を対象とした資産公開制度の導入、政治倫理審査会の積極的活用を熱っぽく主張されたのもそのゆえんであったのでありましょう。その成果の一つが、その年の十二月に制定された政治倫理確立のための国会議員の資産公開法であったことは、改めて申し上げるまでもありません。
 平成五年の総選挙に当たって、先生は、政治改革の新しい風を起こすべく、新たな保守勢力づくりへの第一歩を踏み出すとの強い決意を固めて、新生党の結党に尽力されました。その後、新進党、「国民の声」を経て民政党の結党に参画されましたが、また、期を一にして院においても衆議院懲罰委員長としてその重責を果たされたのであります。
 この間、愛野先生は終始一貫して「政治に愛を、政策に真心を」という信念を胸に、連続九期の議員活動を続けてこられました。
 そして、昨年十月には、この議場で、議員在職二十五年の永年表彰の栄誉をお受けになられました。先生はその謝辞で、「二十一世紀は茨の道か、薔薇の花咲く道なのか、極端に激しい変化の時代では皆目見当がつかない。私は二十五周年を迎え、若き政治家の諸君が今こそ、この日本国を有史以来の美しい栄光ある国たらしむべく、一生懸命頑張ってくれるよう私も政治生命の続く限り応援をして行きたい」と述べておられます。
 まさに、この言葉こそが、政治家愛野先生の御心情をあらわしたものでありましたが、その生涯を政治にかけて残された数々の御功績は、光彩陸離として後世まで語り継がれることでありましょう。(拍手)
 今や、我が国をめぐる内外の諸情勢は激しく揺れ動いており、かつて経験したことのないような幾多の試練や難問に直面いたしております。それゆえ、我々立法府に課せられた使命と責任は極めて重くかつ大きくなっている現在、愛野先生のような有為な政治家を失ったことは返す返すも残念であり、惜しみてもなお余りあると申さざるを得ません。
 今はもう、この議場で、愛野先生のあの温顔に接することも、そのお声を聞くこともかないません。まことに痛恨のきわみであります。
 最後に、私は、長きにわたってあなたを苦しめた病魔を心から憎みます。そして、その憎むべき病魔と最後までけなげに対決してこられたあなたに賞賛と敬意の念を表し、この病魔の撲滅に向かって、我々一同も全力を挙げて取り組むことをかたくお誓い申し上げます。
 ここに、哀悼の言葉を連ね、満堂の同僚諸君とともに心からなる御冥福をお祈りして、追悼の辞といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第二 民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナダ政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件
#6
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日程第二、民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナダ政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長中馬弘毅君。
    〔中馬弘毅君登壇〕
#7
○中馬弘毅君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、日英原子力協定について申し上げます。
 日英両国政府は、昭和四十三年に現行原子力協定を締結しましたが、現行の原子力協定が本年十月に終了するのに伴い、現行原子力協定締結後の原子力利用の分野における進展を反映させることが適切であることを認識し、昨年より交渉を重ねた結果、平成十年二月二十五日、東京において本協定の署名が行われました。
 本協定は、核物質等は平和的非爆発目的にのみ使用されること、核物質等の供給を行うに当たっては、我が国については我が国と国際原子力機関との間の保障措置協定、英国については英国、欧州原子力共同体及び国際原子力機関の間の保障措置協定がそれぞれ実施されていることを条件とすること、この協定の適用を受ける核物質は一定の水準に従って防護の措置がとられること等について規定しております。
 次に、新宇宙基地協力協定について申し上げます。
 これまで宇宙基地に関する国際協力は、平成四年一月に効力を生じた現行協定の枠組みのもと、アメリカ合衆国、欧州参加主体、カナダ及び我が国により進められてまいりました。
 平成五年十二月、現行協定の四つの参加主体がロシアに対し宇宙基地協力への参加を招請し、ロシアがこれを受け入れたことから、ロシアを加えた新たな枠組みについての交渉が行われ、その結果、ロシアを加えた五つの参加主体の間で新たな協定について合意が見られ、平成十年一月二十九日、ワシントンにおいて、我が国を含む十五カ国が本協定に署名をいたしました。
 本協定は、ロシアの参加に伴う所要の改正等を現行協定に加えたものであり、その主な内容は、
 各参加主体は、自己が提供する飛行要素を宇宙物体として登録し、登録する要素及び宇宙基地上の自国民に対して管轄権を保持すること、
 宇宙基地の運営は多数者間で行うこと、
 参加国は、宇宙基地協力活動から生ずる損害について一定の場合を除き損害賠償責任に関する請求を相互に放棄すること
等であります。
 日英原子力協定は、去る三月二十七日外務委員会に付託され、四月一日小渕外務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終了いたしました。次いで、十日討論の後、採決を行いました結果、多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 また、新宇宙基地協力協定は、四月一日外務委員会に付託され、同日小渕外務大臣から提案理由の説明を聴取し、十日質疑を行い、討論の後、引き続き採決を行いました結果、本件は多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 両件を一括して採決いたします。
 両件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#9
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第三 社会保険労務士法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#10
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第三、社会保険労務士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。労働委員長田中慶秋君。
    〔田中慶秋君登壇〕
#11
○田中慶秋君 ただいま議題となりました社会保険労務士法の一部を改正する法律案について、労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、社会保険労務士試験の試験事務の全国社会保険労務士会連合会への委託、社会保険労務士の行う事務の範囲の明確化等の措置を講じようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、主務大臣は、社会保険労務士試験の実施に関する事務を、合格の決定に関するものを除き、全国社会保険労務士会連合会に行わせることができることとしております。
 第二に、試験事務を同連合会に行わせる場合における、その適正な実施確保のための規定を整備することとしております。
 第三に、社会保険労務士の業務を拡充して、社会保険労務士が労働社会保険諸法令に基づく不服申し立てに関する代理を行うことができること等、制度の充実を図ることとしております。
 本案は、去る四月七日労働委員会に付託され、翌八日伊吹労働大臣から提案理由を聴取し、同月十日の委員会において全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#14
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第四、商品取引所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長斉藤斗志二君。
    〔斉藤斗志二君登壇〕
#15
○斉藤斗志二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、先物取引を行う商品取引市場をめぐる内外の経済的環境の変化に対応し、我が国の商品市場の健全な発展を図るため、委託者保護の強化を図りつつ、商品先物市場の利便性及び信頼性を向上させるための措置を講じようとするものであります。
 第一の利便性の向上につきましては、商品の試験上場について許認可基準を緩和するとともに、商品取引員の許可制度の改善、委託手数料の自由化等を行うこと、
 第二の信頼性の向上につきましては、一般委託者に対る不適当な勧誘の禁止等を行うとともに、自主規制機関である商品先物取引協会の機能を整備すること、さらに商品取引所の中に市場取引監視委員会を設置をすること
等を主な内容とするものであります。
 本案は、去る四月八日本委員会に付託され、同月十日堀内通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行った後、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#17
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#18
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第五、原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。科学技術委員長大野由利子君。
    〔大野由利子君登壇〕
#19
○大野由利子君 ただいま議題となりました原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、科学技術委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、動力炉・核燃料開発事業団がたび重なる事故やその後の虚偽報告等により国民の信頼を失墜したことから、同事業団の抜本的な改革を図るため、その業務を整理縮小するとともに、経営の刷新や機能強化を図り、核燃料サイクルの技術的な確立に向けた開発やこれに必要な研究を行う法人に改組するなどの措置を講ずるもので、その主な内容は、
 第一に、改組後の法人の名称を核燃料サイクル開発機構に改めることとしております。
 第二に、原子力施設の立地地元重視の観点から、同機構の主たる事務所を茨城県に置くこととしております。
 第三に、業務運営の透明性を確保し社会等との乖離を未然に防止するため、同機構に、内閣総理大臣の認可を受けて理事長が任命する十五人以内の委員により構成される運営審議会を設置することとしております。
 第四に、同機構は、これまで同事業団が行ってきた業務のうち、新型転換炉に関する開発、ウラン濃縮を含む核燃料物質の生産を行う等の業務を整理縮小することとし、核燃料サイクルを技術的に確立するために必要な、高速増殖炉、核燃料物質の再処理、高レベル放射性廃棄物の処理及び処分等に関する開発並びにこれらに必要な研究を行うとともに、その成果の普及等の業務を行うこととしております。
 なお、縮小することとなる新型転換炉に関する開発等の業務は、同機構の業務の特例として、適切な期限を設けて業務の廃止に向けた準備を行うとともに、その後においても、当分の間、それら業務に伴い発生した放射性廃棄物を管理する業務、施設を廃止する業務やその措置に関する技術の開発等を行うこととしております。
 第五に、同機構は、その業務を行うに当たっては、安全の確保を旨としてこれを行い、適切な情報の公開により業務の透明性を確保するとともに、適正かつ効率的な運営に努めなければならないこととしております。
 第六に、同機構の業務は、原子力委員会の議決を経て内閣総理大臣が定める基本方針に従って実施されなければならないこととしております。
 第七に、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 ただし、同事業団の役員に関する経過措置等についての規定は、公布の日から施行することとしております。
 本案は、去る二月十日本院に提出され、三月二十七日本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。
 委員会におきましては、同二十七日谷垣国務大臣から提案理由の説明を聴取し、四月一日から質疑に入り、同月六日、八日の両日には茨城県及び福井県に委員を派遣し、いわゆる地方公聴会を開催し、現地において意見を聴取いたしました。
 同月十日質疑を終了いたしましたところ、民友連の辻一彦さん外二名及び平和・改革の斉藤鉄夫さんから、それぞれ同機構の情報公開に関する修正案が提出されました。原案及び修正案について討論を行い、採決の結果、修正案はいずれも否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#21
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第六 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第七 司法試験法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#22
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第六、裁判所法の一部を改正する法律案、日程第七、司法試験法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長笹川堯君。
    〔笹川堯君登壇〕
#23
○笹川堯君 ただいま議題となりました両案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 初めに、裁判所法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、時代の要請に適応した法曹養成制度を構築する観点から、司法修習生の修習期間を短縮するほか、司法修習生が国庫から給与を受ける期間について所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は、
 第一に、司法修習生の修習期間を少なくとも一年六月とすること、
 第二に、司法修習生が国庫から給与を受ける期間に関し、修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間を超える部分を除外すること
等であります。
 次に、司法試験法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、司法試験第二次試験の試験科目の適正化を図るため、論文式による試験及び口述試験の試験科目について所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は、
 第一に、論文式による試験の試験科目について民事訴訟法及び刑事訴訟法を必須科目とし、法律選択科目を廃止すること、
 第二に、口述試験の試験科目を憲法、民法、刑法、民事訴訟法及び刑事訴訟法の五科目とすること
等であります。
 委員会においては、両案を一括して議題とし、去る三日下稲葉法務大臣から提案理由の説明を聴取した後、去る十日には参考人から意見を聴取する等慎重に審査を行い、同日質疑を終了し、直ちに採決を行った結果、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、両案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○議長(伊藤宗一郎君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#26
○田野瀬良太郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 議院運営委員長提出、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案及び衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案の両案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
#27
○議長(伊藤宗一郎君) 田野瀬良太郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案(議院運営委員長提出)
 衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案(議院運営委員長提出)
#29
○議長(伊藤宗一郎君) 衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案、衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事大島理森君。
    〔大島理森君登壇〕
#30
○大島理森君 ただいま議題となりました衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案並びに衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案でありますが、これは、調査局を設置するなど調査機能及び行政監視機能の強化のため、本年四月から事務局職員の定員を十人ふやし、一千七百二十六人とするものであります。
 次に、衆議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案でありますが、これは、法制企画調整部を設置するなど立案機能及び行政監視機能の強化のため、本年四月から法制局職員の定員を二人ふやし、七十四人とするものであります。
 以上両案は、本日、議院運営委員会において起草し、提出したものであります。
 何とぞ御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○議長(伊藤宗一郎君) 両案を一括して採決いたします。
 両案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説(経済対策について)に対する質疑
#33
○議長(伊藤宗一郎君) これより国務大臣の経済対策についての演説に対する質疑に入ります。伊藤英成君。
    〔伊藤英成君登壇〕
#34
○伊藤英成君 私は、民主党を代表して、経済対策について、橋本総理大臣及び関係大臣に質問を行います。
 六兆円減税の実施等を柱とした我々の組み替え要求には一切耳を傾けず、政府・与党は平成十年度予算を原案のまま成立させました。その翌日四月九日、橋本総理は、恥も外聞もなく官邸で記者会見を行い、九八年分の二兆円の所得税、住民税の特別減税についてさらに二兆円上積みし、九九年も二兆円規模で継続する、経済対策の財政出動は計十兆円規模にする、赤字国債発行枠の弾力化などにより財政構造改革法を改正する等の考え方を明らかにして、公然と路線転換を行いました。
 総理は、新方針を打ち出した理由について、財政構造改革の必要性は変わらないが、深刻な経済情勢にかんがみ、財革法の骨格は維持しながら、緊急避難的にどう対応するかを早急に検討すべきだと強弁し、政治責任の追及を恐れ必要な政策を推し進めなかったらその方が政治責任と政策転換への批判をかわし、国民の審判を受けることが責任を明らかにする最大の道だと参議院選挙などで信を問う考えを示しました。
 橋本総理は、経済財政運営において、五つの大罪を犯しました。その責任を明らかにせず、軽々しく路線転換を行い、政権の座に居座り続けることは言語道断と言わざるを得ないのであります。(拍手)
 総理が犯した第一の大罪は、我が国の厳しい経済金融情勢について誤った分析をし、対策を後手後手に回してきただけでなく、消費税率引き上げ、医療の保険料や自己負担の引き上げなど国民に負担増を強要し、日本経済を未曾有の危機に陥れたことであります。
 第二は、金融機関の破綻が相次いだ昨年の秋に、しかも構造改革に値しない目先の財政均衡を推し進める財政構造改革法の成立を強行し、景気に冷水を浴びせたことであります。
 第三は、金融不安を加速させたことであります。橋本内閣は、住専に加えて、汚職にまみれた金融機関救済のためにも責任を不明確にしたまま公的資金を投入する仕組みをつくり、我が国の金融市場に対する信頼をかえって損ねました。
 第四は、国会の審議をないがしろにし、政治に対する信頼を損ねたことであります。国の最高指導者の総理が、最善の予算だと言っておきながら、その直後に手のひらを返したように方針を変えるのでは、国民が政治を信用しなくなるのももっともであります。自民党が予算案の審議中に十六兆円を超える規模の総合経済対策の基本方針を決定したり、予算成立の翌日に総理が路線転換を明確にしたことは、予算作成後緊要となった経費支出等に限定して補正予算を作成できるとする財政法二十九条を破るものでもあります。
 第五は、傷口を自分で広げておいて、小手先の対策ばかりに終始していることであります。景気対策をちびり、経済を悪化させ、びほう策を重ねているだけです。橋本総理のやり方は、まさにツーリトル・ツーレートであります。昨年暮れ二兆円の特別減税を表明して、今回さらに二兆円を追加して減税を積み増す方策は、愚かしいと批判せざるを得ません。
 総理は、これらの五つの大罪を犯したことをどう考え、どのように責任をとろうとしているのかを答弁していただきたい。
 我が国の憲政史上に汚名を残すこれだけの失態を犯した総理は、辞任に値するものであります。路線転換をしたということは、総理が誤りを犯したということです。なぜこのことを正直に国民におっしゃらないのか。深刻な不況を招いた自分の政治責任を棚上げし、アジアの金融経済の混乱などをだしにして、内外の悪条件が重なったと人ごとのように強弁する橋本総理の姿勢は、卑劣きわまりないと断ぜざるを得ません。
 かつてなかったことでありますが、最近、世界のリーダーたちやマスコミが、橋本総理や日本政府の政策策定、遂行能力に公然と疑念と不信感を表明してきているのは、極めて残念な事態であります。日本丸がタイタニック号のごとく氷山に激突することがわかっていても、経済の方向を速やかにシフトさせることができずにきた船長橋本総理と日本の政治ということであります。
 総理は、一月十九日の衆議院予算委員会で、「本当に私がやめれば途端にぽんと景気が回復して、株価も上昇し、すべてがよくなるというんだったら、即刻でもかわります。」と答弁されました。四月八日の東京外為・株式市場で一時橋本辞任説が流れ、相場がこれを歓迎して上昇したと聞いております。景気対策としても、橋本総理の辞任が一番であります。総理は、この場で潔く辞任を表明すべきであります。いかがでありますか。
 さて、大本営発表を続け、甘い経済分析を続けてきた経済企画庁の責任も極めて重いものであります。
 尾身長官は、今月十日の月例経済報告閣僚会議に四月の月例経済報告を提出し、これまでの景気は停滞しているという表現に、「一層厳しさを増している。」とつけ加え、総括判断を一段と後退させました。
 尾身長官といえば、桜の咲くころには景気は回復すると公言をしてきた人物であります。東京の桜は散っているのではありませんか。週刊東洋経済の三月二十一日号でも長官は、「四月から景気は回復軌道に乗る」と大見えを切って発言をされております。この責任をとって、尾身長官には桜とともに散っていただく、すなわち辞任をしていただくしかないと考えますが、いかがですか、答弁をいただきたい。(拍手)
 次に、政府・自民党がまとめつつある経済対策、補正予算の内容について質問いたします。
 我々は、一日も早く日本を経済・金融危機から脱出させることこそが今政治に課せられた喫緊の課題であると考えます。我々は、本来、経済政策は、一過性のばらまきに頼るものではなく、恒久的な構造改革を伴った減税や社会資本整備を断行し、民間支出主導による自律的経済成長を達成することが基本であると確信をいたします。しかるに、政府・自民党が取りまとめている経済対策は、参議院選挙目当てのばらまきと言わざるを得ません。
 まず、特別減税そのものが減税のばらまき版であります。特別減税は一過性のものであること、すなわち、終われば即増税効果があり、景気回復への心理的効果は少なく、むしろ逆効果であります。今の我が国の税体系では、夫婦、子供二人の標準世帯で勤労者の年収が五百万円から七百万円になると、所得税、個人住民税額は一挙に二倍になります。このように累進性が高く勤労者の勤労意欲をそぐ税体系のひずみを正すことが先決であり、最高税率六五%の引き下げなど、抜本的な税率構造の見直しを中心とした減税を行うことを提言いたします。
 総理は、法人税の実効税率は三年以内に国際的水準に引き下げると記者会見をいたしましたが、我々が主張したように、平成十年度改正で一挙にやることこそ必要だと考えます。所得税、法人税も含めて、少なくともトータルで六兆円の制度減税を実施しなければ、景気回復は望めません。
 また、橋本総理は、公共事業に関して、真に必要な社会資本を整備したいと語って、ダイオキシン問題などの地球環境対策や少子・高齢化対策、科学技術、情報通信分野に重点配分すると会見で述べましたが、これまで自民党政府が根幹から公共投資の配分を変えたことはありません。結局、今度の景気対策も土木を中心としたばらまき型公共投資が中心となることは、火を見るより明らかであります。質量ともに二十一世紀の日本のための投資にしなければなりません。
 さらに、我々は、包括交付金制度の導入によって公共事業の主体を地方に移すことを提唱しております。一々霞が関の役人が地方の公共事業にまで口を出す今のシステムを変えていかなければなりません。景気対策においても、財源を地方に回し、地方に社会資本整備の権限の重点を移すべきと考えます。
 政府・自民党が打ち出している経済対策には市場もろくに反応をしておりません。例えば先週末には円安を食いとめるために、二千二百億ドルの外貨準備の中で日銀は一日に百億ドル、約一兆三千億円という膨大な規模の介入を行っていますが、大した効果も上がっておりません。為替レートを持続的に維持するためには、こうした小手先の介入ではなく、まともな政策を打ち出すことこそ必要であります。
 今月十五日から始まるG7、十六日の二十二カ国蔵相・中央銀行総裁会議、十カ国蔵相・中央銀行総裁会議、国際通貨基金暫定委員会、十七日の世界銀行・IMF合同開発委員会と続きますけれども、橋本総理が表明した景気対策を持っていったぐらいで松永大蔵大臣は我が国に対する諸外国の不信感を払拭できるでありましょうか。
 当初、政府は大蔵大臣のG7等への欠席を決めましたけれども、我が国が国際的責務を果たし国際批判を浴びないためにも、我が民主党を初めとする野党の要求によって、政府は判断ミスを改め、大蔵大臣の出席を決めました。それだけに、大蔵大臣には十分な成果を上げていただきたいと考えます。
 以上の諸点について、総理及び大蔵大臣の御所見を求めます。
 次に、財政構造改革法の改正についてお尋ねをいたします。
 橋本総理は、九日の記者会見で、財革法について、深刻な経済情勢にかんがみ、財革法の基本は変更せずに、緊急避難的に最小の修正を行いたいと述べました。
 そもそも財革法は、二〇〇三年までの間、硬直的な財政均衡を優先させ、毎年度赤字削減を義務づけるものであり、およそ財政構造改革とは無縁のものであります。国と地方の財政の役割分担、公共事業の配分、大蔵省主導の予算編成制度など、本質的な構造改革には全くメスが入っておりません。赤字国債だけを悪者にし、建設国債には歯どめをかけず、自民党が売り物としている公共事業には抜け道を残したずさんなものと言わざるを得ません。
 菅直人代表が昨日の質問でただした際も、橋本総理は、みずからが言った財革法の基本ということが何かさえも明確にできず、他方、財政構造改革会議での議論に中身までもゆだねることを認めるなど、矛盾に満ちた答弁に終始をいたしました。
 総理が記者会見で当初述べた赤字国債発行枠の弾力化程度の修正ではお話になりません。目先の特別減税の積み増しだけを切り抜けるために、赤字国債の発行額を前年度より削減する義務だけを何とかしたいというのが本音なのでしょうか。我々は、短期的には経済再建を最優先する一方、中長期的には財政再建を追求しなければならないと考えます。当面、二、三年間は財革法を凍結するとともに、その間に真の改革に値する新しい財革法を抜本的に再構築することを提唱いたします。
 以上の我々の提言にどうこたえるのか、総理の御見解を伺います。
 今、我が国においては、国民は不安な気持ちで日々を送っております。右肩上がりの経済成長、官主導の経済システム、年功序列・終身雇用制度が揺らぎ、未曾有の経済金融危機が起こっております。政治、経済、行政システム、至るところでほころんでおります。安心、安全な社会の神話も壊れ、少子・高齢社会、累増する財政赤字への対応もままならない状況であります。大蔵官僚が汚職で捕まり、子供がナイフで教師や警官を襲撃した事件に見られるように、我が国の社会は明らかに病んでおります。ちょっとした景気対策をやったところで、リストラの不安におののいている勤労者、異常な超低金利政策によって生活を脅かされている年金生活者が消費をふやすことはまずあり得ないと考えます。安心、安全な社会が確立していない限り、経済対策を実施したとしても効果は期待できません。
 例えば、現在審議している国民健康保険法の一部を改正する法律案は、財革法に無理やり合わせるために老人医療拠出金の負担の見直しで三百六十億円、老人加入率上限の特例の見直しで二百億円の削減など、乾いたぞうきんをさらに絞り取るような財源捻出のための改正案であります。
#35
○議長(伊藤宗一郎君) 伊藤英成君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#36
○伊藤英成君(続) 単なる国民への負担の押しつけとなる改正案であります。しかし、今回橋本総理が示したような選挙対策も含むばらまきの補正予算を組む余裕があるなら、わずか五百六十億円にすぎない老人医療拠出金の負担の見直しなど全く必要ないではありませんか。
 いずれにしても、政府があらゆる人に安心、安全を保障することがなければ、換言すれば、国民が将来に対して信頼、確信が持てなければ、どんな景気対策も効果がなく、結局画餅に終わってしまうと考えます。総理の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#37
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 伊藤議員にお答えを申し上げます。
 まず、消費税率の引き上げを含む一連の制度改革についてのお尋ねがありました。
 これまでも繰り返し申し上げてまいりましたが、一連の制度改革が九年度経済に与える影響を否定するものではありません。しかし、消費税率の引き上げを含む平成六年秋の税制改革及び医療保険制度改革は、我が国にとって真に必要な改革であったと考えております。
 次に、財政構造改革法についてのお尋ねがございました。
 この法律は、個別の主要な経費ごとのめり張りのきいた枠を設定することを初めとして、歳出面で強力かつ明確な見直しの方向性を打ち出すなど、中期的に財政構造を改革していく上で極めて重要な法律だと考えております。この必要性はいささかも変わるものではなく、内外の経済金融情勢の変化に対し臨機応変の措置をとることも当然と私は申し上げてまいりました。
 先日、私は、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることを決意し、国民の皆様にその基本的考え方を発表したところであります。これは、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣として政治決断をしたものであります。
 次に、金融機関への公的資金投入に対する御批判をいただきました。
 今回の金融安定化のための措置は、個々の金融機関救済のためのものではなく、我が国金融システムの安定性の確保に対する政府の断固たる決意を内外に示すことによって金融不安を解消し、我が国金融システムの安定に大きく寄与するものであると考えております。
 突如方針を転換するなど国会審議をないがしろにした、政治に対する信頼を損ねたという御指摘をいただきましたが、従来から、財政構造改革の必要性はいささかも変わるものではなく、同時に、内外の経済金融情勢の変化に応じて臨機の措置をとることも当然と申し上げてまいりました。こうした考え方のもとに、平成十年度予算においても、経済情勢に応じ財政、金融両面にわたる措置をとってきたところであります。
 また、経済対策については、今申し上げたとおりであります。
 びほう策を重ね、経済を悪化させたとの御指摘もありました。
 私は、経済の停滞から一日も早く抜け出し力強い日本経済を再建するために、昨年来の経済状況に対応し、既に実施している緊急経済対策、特別減税、九年度補正予算に加え、金融システム安定化対策の迅速かつ的確な執行に努めるなど、時々の経済情勢に応じ措置をとってまいりました。
 以上、議員御指摘の五点につき御答弁を申し上げましたが、責任を持って構造改革を進めながら景気の回復に努力をしてまいります。
 また、政策の誤りの責任をとって辞任すべきだという御意見がございました。
 今回の措置も、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣として政治決断をしたものであり、今後も、責任を持って構造改革を進めながら景気回復に努めてまいりますとともに、今この大事な時期に政治空白をつくるべきではないと考えております。(拍手)
 次に、政府・自民党の経済対策は参議院選向けのばらまきではないかという御指摘をいただきました。
 私は、日本の今の状況の中で、経済の停滞から一日も早く抜け出すとともに力強い日本経済を再建するためにも、金融システムの安定と景気の回復を図るとともに、経済構造改革を初めとする構造改革を進めてまいりました。
 先日発表いたしました経済対策の基本的考え方におきましても、二十一世紀を見据えて、豊かで活力のある経済社会の構築に向けて、真に必要となる社会資本等を整備すること、税は国民や企業の意欲と活力を引き出すものでなければならないという考え方から、所得課税及び法人課税のあり方について見直しを行うことなどが必要であるということを申し上げたところであります。
 特別減税の効果、個人所得課税や法人課税の見直しについても御意見をいただきました。
 私は、国民の皆様の景気をよくしてほしいというその強い要請と期待にこたえるために、構造改革を推進しながら我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するため必要かつ十分な規模の経済対策を講じることを決意し、特別減税の追加等を行うことといたしました。
 個人所得課税につきましては、さまざまな課題について幅広くきちんとした検討を行い、公正、透明で国民の意欲を引き出せるような制度改正を目指したい。法人課税については、今後三年間の間にできるだけ早く総合的な税率を国際的な水準並みにしたいと考えております。
 こうした措置は、豊かで活力のある経済社会の構築に向けて本当に必要な社会資本の整備など各般の施策と相まって、消費者マインドを高め、景気に効果的に作用するものと考えております。
 また、公共事業についてお尋ねがございましたが、今回検討を行う経済対策におきましては、二十一世紀を見据えて、ダイオキシン問題や地球環境問題に対応するための投資、少子・高齢化社会に対応するための施設整備など、将来の世代が整備しておいてくれてよかったと喜んでもらえるような社会資本整備を重点的に行いたいと申し上げております。
 また、補助金制度につきましては、すべての公共事業について地方公共団体に財源を一括して交付するというのは多少問題があると思いますけれども、基本的には、国の事業を限定し、できる限り、個別の補助金などにかえて適切な目的を付した統合的な補助金などとしていく必要があると考えております。
 経済対策で市場や諸外国の不信感が払拭できるのかというお尋ねがございました。
 私は、構造改革を進めながら我が国の経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策をと繰り返し申し上げ、その基本的な考え方を明らかにしてまいりました。これは、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣として政治決断をしたものであります。
 財政構造改革法を凍結して、新しい財政構造改革法を再構築せよという御提言をいただきました。
 財政構造改革法につきましては、個別の主要な経費ごとのめり張りのきいた枠を設定することを初めとして、歳出面で強力かつ明確な見直しの方向を打ち出すなど、中期的に財政構造改革を推進していく上で極めて重要な法律であると考えております。したがって、今般、経済対策を講ずるに当たりましても、財政構造改革法の基本は変更せず、緊急避難的に必要最小限の修正を行うにとどめたいと考えております。
 最後に、社会保障改革についてのお尋ねがございました。
 少子・高齢化が進行する中における国民生活のセーフティーネットとしての役割、すなわち社会保障の持つ役割というものは、今後もますます重要になると思います。将来にわたって安定した制度を構築していくために、個人の自立を支援する仕組みを重視しながら、国民各層に対して必要な給付を確実に保障する一方、制度の効率化等を図るなど、引き続き社会保障構造改革に取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#38
○国務大臣(松永光君) 伊藤議員にお答えいたします。
 今回、総理が表明された経済対策が諸外国の不信感を払拭できるのかという御質問でございますが、総理は、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることを決意し、国民の皆様にその考え方を発表されたところであります。これは、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえつつ総理が政治決断されたものであり、必ずや皆様に御理解をいただけるものと確信しております。
 また、私は、国会のお許しが得られれば、G7に出席し、その場においても、理解が得られるよう説明に努めてまいる所存であります。(拍手)
    〔国務大臣尾身幸次君登壇〕
#39
○国務大臣(尾身幸次君) 景気の回復時期について、私がこれまで申し上げてきた発言に関する御質問がございました。
 私は、桜の咲くころに景気が回復軌道に復帰し始めると申し上げてまいりましたが、これは、昨年末から本年初めに見られた金融システムについての不安感が金融システム安定化対策等の実施によりほぼ解消してきていることや、三月まで続いた早期是正措置を控えての貸し渋りが四月以降緩和されると期待されることに加え、十年度予算及び税制関連法案などの予算関連法案のほか、電気通信事業、労働者派遣事業、土地の有効利用などに関する規制緩和の法案が四月から五月にかけて順調に成立することになれば、経済は次第に順調な回復軌道に復帰し始めるということを期待したものであります。
 主として二月の経済指標が出ております四月発表の月例経済報告では「景気は停滞し、一層厳しさを増している。」としておりますが、四月の経済指標が発表されてまいりますには、なお一、二カ月先になるわけでございます。
 今後の経済動向につきましては、十年度予算が成立したことに加え、規制緩和等の法案が今後成立し実行に移されること、さらに、橋本総理の基本方針に沿って、政府として経済回復のために有効適切な減税、社会資本整備を含む経済対策を取りまとめて早急に実施していくこととしており、これらの政策により、徐々に経済は順調な回復軌道に復帰し始めると考えております。
 私といたしましては、一日も早く経済を順調な回復軌道に乗せることに全力で取り組むことにより、経済企画庁長官としての責任を果たしてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○議長(伊藤宗一郎君) 石井啓一君。
    〔石井啓一君登壇〕
#41
○石井啓一君 新党平和の石井啓一でございます。平和・改革を代表いたしまして、ただいま議題となりました橋本総理の経済財政運営に関し質問をいたします。
 総理は、先日、経済財政運営の基本的な路線を変更することを明らかにされました。従来かたくなに固執してきた目先の財政赤字削減という基本路線を、何のまともな説明もないままに、突如記者会見によって変更したのであります。
 その変更自体は、当然過ぎるほど当然のことであり、逆に、余りにも遅きに失したと言わざるを得ません。しかし、従来からの態度を突如変更したその理由や、今日の経済の危機的な事態を招いたみずからの責任に対する反省など、全くうかがえないのであります。しかも、表明されたその内容たるや中途半端なもので、その手法は小出しでこそくそのものであります。しかも、子細に内容に接するとき、内外から厳しく求められている景気対策の要請に対して十全にこたえるものとは到底言えません。これでは総理としての資質を問わざるを得ないのであります。
 以下、順次具体的に伺います。
 私どもは、今国会において、冒頭から、この未曾有の経済危機から脱するためには思い切った対策を講ずるべきであり、そのために財政構造改革法を修正すべきだと提案してまいりました。もちろん経済政策の誤りの指摘は今国会だけにとどまりません。我々は、財政再建はまず経済再建からだと強く主張してまいりました。しかし、政府は一顧だにしてこなかったのであります。
 住専国会は言うに及ばず、政策不況の直接的な引き金となった九兆円国民負担増の平成九年度予算審議の際も、また昨年の秋の財政構造改革法審議の際も、幾度となく政府の経済運営の誤りを具体的に強く指摘してきました。その都度、政府は詭弁と強弁を繰り返し、我々野党の反対を強引に押し切って誤った施策を強行してきたのであります。
 橋本内閣の重大な経済失政を数え上げれば切りがありません。住専への税金投入、消費税率の引き上げ、大型減税を実施するしないという問題、予算編成のあり方、財政構造改革法、金融機関救済のための公的資金導入、景気認識の誤り等々、橋本内閣の成立以来、その経済政策はまさに間違いの連続だと言わなければなりません。(拍手)そして、その根っこには、目先の財政赤字の削減をすべてに最優先するという硬直的、近視眼的な経済財政政策があるのであります。
 総理は、今日の深刻な経済状況をもたらした原因をどのように認識されているのか。金融機関の破綻やアジア経済の破綻等外的要因に責任を転嫁し、今でもみずからの政策運営を正しかったと思っていらっしゃるのか、明確に伺いたいのであります。
 次に、政策変更を表明するに至ったその具体的な理由、経緯であります。
 総理は、経済の現状認識として、内外の悪条件が一斉に重なり、我が国経済は極めて深刻な状況にあると述べられています。その認識はいつなされたのでしょうか。
 去る四月八日に平成十年度当初予算が成立いたしました。その審議の間は一貫して最善の予算と主張し、翌九日には、経済が極めて深刻な状況と説明し景気対策を講じると言われる。四月の八日から九日へとたった一日日付が変わる間に、それほど急激な景気動向が変わるような変化があったのでしょうか。景気が悪化しているのははるか以前からであります。株価、地価、為替相場などの経済的数値が示すとおりであります。景気は後退ではなく停滞であるとしてきたのは、政府ただひとりであります。総理は、いつの時点で経済の深刻な状況を認識したのか、また、そのように認識するに至った根拠は何か、明確な答弁を求めます。
 総理は、自身の政治責任について、政治責任の追及を恐れて必要な対策を講じない方が政治責任があると述べられました。しかし、むしろ全く逆であります。これまで政治責任の追及を恐れて必要な対策を講じてこなかったのは、総理自身であります。
 総理は、昨日の予算委員会で、追加の景気対策について考え始めた時期に関し、インドネシアとIMFとの対話を継続させる努力のプロセスの中でと答弁をいたしました。本年一月ごろの早い時期であるかと思いますが、それにもかかわらず、予算成立まで平成十年度当初予算が最善のものと言い続けてきたのは、自身の政治責任の追及を恐れたからではないでしょうか。
 総理がそうしたこそくな態度をとっているからこそ、内外の信用を失い、総理の辞任説が市場を駆けめぐっただけで株価が好感し、高騰するのであります。経済政策の路線変更の記者会見では、その翌日に株価が下がり、総理の辞任説が流れると、逆に急騰する。市場の橋本内閣に対するノーの声に率直に耳を傾けるべきであります。いかがお考えか、見解を伺います。
 次に、経済対策の具体的内容についてであります。
 総理は四兆円を上回る大幅減税を表明しましたが、その内容は、二兆円の特別減税をことしじゅうに追加し、来年も継続することが中心であります。しかし、この特別減税の実施方法は大いに疑問であります。そもそも、先行して実施した二兆円特別減税の景気浮揚効果をどのように把握しておるのでしょうか。本年二月の消費性向は、特別減税が実施され所得がふえたにもかかわらず、過去最低の六八・四%を記録いたしました。二兆円特別減税の効果が上がっていないことが明らかになっています。先行実施した二兆円特別減税の景気浮揚効果についての見解をまず伺います。
 経済は生き物であり、心理的効果が大きく影響いたします。総理御自身も、昨日の予算委員会で、特別減税の景気浮揚効果に関して、減税を求める心理的要因を考慮してほしいと答弁をされております。心理的効果を考えるとするならば、同じ減税を実施するにしても、一時に大幅な減税を実施すべきであり、減税を小出しに細切れに行えば、心理的効果は損なわれます。こういった点についてどうお考えか、見解を伺います。
 また、今回のように、いわば三段階に実施するのでは、課税最低限が一たん上がった後に、さらに特別減税を重ねることになります。さきの特別減税を実施する前は平均的世帯で三百六十一万円だった課税最低限が、実施後は四百二十三万円となり、その分だけ、今後の特別減税ではさきの特別減税より所得が高くないと減税効果が及ばないのであります。所得が高くなるほど消費性向は低くなりますので、継続される特別減税の効果は、さきの特別減税の効果より小さくなります。さきの特別減税自体、目立った効果がないと指摘されているのでありますから、継続される特別減税の効果が極めて小さいことは明らかであります。こういった点に関して、総理並びに大蔵大臣の見解を伺います。
 これらの問題点を解決するために、私どもは、特別給付金を主張しております。平成九年度当初予算によって九兆円を超える規模を家計から吸い上げたことが消費を冷やす直接的な引き金となっているのでありますから、この景気を回復するには、家計に直接戻す措置を講じなければ意味がありません。十兆円規模減税を通じて大幅に可処分所得をふやす措置を講ずるべきだと考えます。少なくとも消費を喚起し、経済社会構造改革のための六兆円規模の恒久減税とあわせて、四兆円規模の給付による特別戻し金の実施が必要だと考えます。当面する危機を克服し、二十一世紀の我が国社会を確かなものと切り開くための措置として、恒久減税六兆円、特別戻し金四兆円を実施するお考えはないか、総理の答弁を求めます。
 関連して、教育、福祉等の政策減税についてはどう対応するつもりか伺います。
 いかなる状況であれ、国民生活向上のための施策は追求していく、それは国政に携わる者の当然の責務だと考えます。少子・高齢化社会の到来を踏まえれば、そのための施策は最重要課題であり、政策減税はそのための重要な施策の一つであります。具体的には、象徴的な施策として子育て減税を実施すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 また、総理は、所得税や住民税のあり方について幅広い観点から深みのある見直しを行いたい、あるいは法人税については今後三年のうちにできるだけ早く総合的な税率を国際的な水準にしたいと今後の恒久減税の検討について述べております。しかし、総理の発言の延長線上で恒久減税を実施するつもりならば、その財源をどうするつもりなのか、総理並びに大蔵大臣に答弁を求めます。
 恒久減税の財源を歳出の削減あるいは増税で賄うつもりであればともかく、特例公債で賄うつもりであれば、財政構造改革法との関連を整理する必要があります。総理はどのようにお考えになっているのか、明確にお示しをいただきたいと思います。
 次に、社会資本整備の具体的な内容について伺います。
 私は、今最も必要な社会資本の整備は、構造改革につながる投資、生活関連や二十一世紀を安心した社会に導くことに真に必要な社会資本の整備であると思います。従来型の公共事業を大規模に実施することは、その分の経済に対するカンフル剤になることはあったとしても、産業構造のおくれを温存する結果に陥り、カンフル効果がはげた後は、また景気の落ち込みが生ずるのであります。総理は、環境、福祉、科学技術、情報関連等に言及をしておられますが、何をどれほどの規模でやるのか、一切明らかにされておりません。大半が従来型のばらまき公共投資に終始し、経済対策に名をかりた参議院選挙対策になるのではないかと考えます。総理の見解を伺います。
 最後に伺いたいことは、総理は巨額の経済的な損失をもたらした責任をどうとられるのかということであります。
 総理、政権延命とメンツのためにいたずらに時間を費やしている間に、どれほどの多くの犠牲を生じさせたとお考えでしょうか。中小企業を初めとした企業の倒産は深刻で、平成九年度だけで倒産企業の負債総額は戦後最悪の十四兆二百十億円に上ります。失業者は二百四十六万人を超え、完全失業率も三・六%を超える、いずれも昭和二十八年以来の戦後最悪の数字であります。
 企業は厳しい貸し渋りに苦しめられており、また預金者、生活者の犠牲を強いる傍らで、銀行等には超低金利という事実上の公的資金を導入し空前の業務純益を計上した上に、金融機関の救済に投入する公的資金は三十兆円もの巨額を準備いたしました。地価も七年連続で下落の一途であります。しかも、アジア各国への邦銀の融資の総額は二十兆円を超えると指摘されておりますが、この大半が不良債権化しかねないと指摘をされております。政府の経済政策の失敗により、そして政策転換のおくれにより、巨大な経済的損失が生じてしまったのであります。総理、あなたにはこうした経済危機を招いたという責任の自覚がないのでしょうか。
 総理は昨日の予算委員会で、政治責任のとり方について、責任を回避するつもりはなく、日々責任を感じている、あるいは責任のとり方は与えられた職責の中で全力を尽くしていくことであると答弁をされました。今日の経済危機をもたらした反省もなく、居直りとも受けとめられる発言であります。経済運営の失敗について、総理御自身一体どう総括し、反省をしておられるのか、改めて見解を求めます。そして、その責任の自覚の深さ、大きさについて、国民のだれの目にも明らかにわかるようなけじめのつけ方を求めます。総理の見解を伺います。
 総理、今や多くの国民が、そして市場の評価が総理の続投を望んではおりません。総理の退陣こそが、当面する最大の景気対策であり、責任ある政治のあり方と言わざるを得ません。いたずらに言を左右にせず、国家国民のために明確な意思表示を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#42
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 石井議員にお答えを申し上げます。
 まず、今日の経済状況をもたらした原因と政策運営についてのお尋ねがございました。
 我が国の経済の現状を見ますと、バブルの後遺症といった経済社会の構造問題に加えて、アジアの通貨・金融不安や我が国金融機関の破綻による金融システムへの信頼低下などの影響もある中において、昨年来厳しさを増した家計や企業の景況感が実体経済全般にまで影響を及ぼしており、一層厳しさを増しております。
 政府としては、こうした状況に対応して、既に実施している緊急経済対策、特別減税、九年度補正予算に加えて、金融システム安定化対策の迅速かつ的確な執行に努めてまいりました。さらに、私は、国民の皆様の景気をよくしてほしいという強い要請と期待にこたえるため、構造改革を推進しながら我が国の経済及び経済運営に対する内外の信頼を確保するに必要かつ十分な経済対策を講ずる決意をし、その基本的な考え方を発表をいたしました。これは、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣としての政治的決断をしたものであり、御理解を賜りたいと存じます。
 また、我が国経済の認識という点についてもお尋ねがございました。
 今申し上げましたような状況の中で、本年に入りましてからも、年度末を控えて、いわゆる貸し渋りを企業は一層厳しく感じるようになりました。また、アジアではインドネシアの経済の先行きについて不透明感を増しておりました。こうした中において、昨年来厳しさを増した家計や企業の景況感は一層厳しさを増していると申し上げたとおりであります。
 政治責任の追及を恐れて必要な対策を講じてこなかったという御指摘をいただきました。
 私は、確かに、平成十年度予算を何とか年度内に成立をさせていただきたい、年度を超えましてからは、一日も暫定期間が短くて済むように早期に成立をさせていただきたいというお願いをし続けてまいりました。そして、それは、暫定予算では政策的な新規事業に手がつけられない、その性格があることは御承知のとおりです。それだけに、一日も早く新しいものが実行できる平成十年度予算の成立を願っておりました。そして財政構造改革の必要性、そして内外の経済金融情勢の変化に対応する、その措置をとることの当然性も繰り返し申し上げております。
 また、先日、経済対策について、国民の皆様にその基本的な考え方を発表いたしましたが、これは、必ず私は国民の御理解をいただけると確信しております。政治責任の追及を恐れて必要な施策ができないとなれば、それこそ私は政治責任だと思っています。
 次に、特別減税の効果についてお尋ねがございました。
 この特別減税は、平成十年度税制改正や金融システム安定化のための三十兆円の公的資金の活用などさまざまな措置を通じ、我が国経済の回復に役立つものと考えております。個人消費について見ると、二月の特別減税の効果が一部に出ていると見られますが、今後ともその消費動向を注視してまいります。
 次に、特別減税の内容や実施方法と関連し、その効果につき、及び御党の御提案になる恒久減税六兆円、特別戻し金四兆円の実施ということについてのお尋ねがございました。
 現在実施されております二兆円の特別減税に加えて、今般、特別減税の追加、継続を行うこととしたのは、現在の深刻な経済状況にかんがみ、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するためであり、豊かで活力のある経済社会の構築に向け真に必要となる社会資本の整備など各般の施策と相まって、必要かつ十分な対策と考えております。
 今般の特別減税の具体的な方法、内容につきましては、今後、真に景気対策として有効な施策を幅広く検討していく中で、政府及び党の税制調査会において、税負担のあり方等を考慮しつつ検討が行われると考えております。
 また、個人所得課税につきましては、二度にわたる抜本的な税制改革により、大半のサラリーマンは生涯一〇ないし二〇%の税率が適用されるなど、最高税率などの問題を除けば、フラット化が進められております。一方、累次にわたる減税の結果、課税最低限が諸外国に比して高いことなどから、所得税負担全体としては主要先進国中最低となっております。こうした問題に加えて、資産性所得課税の適正化や年金課税のあり方など、個人所得課税についてはさまざまの議論があると承知をしております。こうしたさまざまな課題について、幅広く、きちんとした検討を行い、公正、透明で国民の意欲を引き出せるような制度改正を目指していきたいと考えております。
 政策減税につきましては、さまざまな方々がさまざまな御意見を持っておられることを承知いたしております。議員からも子育て減税という具体的な例を挙げての御指摘がありました。
 私は、政策減税について、当面の社会経済情勢等に対応するためのものとしての施策の緊急性、効果の程度、手段の妥当性や税制になじむかどうか、総合的な観点から真剣な検討を行う必要があると考えています。いずれにせよ、真に意味のある措置にしていきたいと考えていますが、具体的にどのような施策を講ずるかについては、今後、税制調査会において、こうした方向を踏まえながら検討を行っていただけるものと考えております。
 恒久減税の財源と財政構造改革法の廃止、修正についても御意見をいただきました。
 個人所得課税及び法人課税については、今も申し上げましたようなさまざまな課題について、幅広く、きちんとした検討を行いたいと考えており、既に要請をいたしましたが、今後、政府及び党の税制調査会において総合的な検討が行われるものと考えます。
 財政構造改革法については、中期的に財政構造改革を進めていく上で重要な法律だと考えております。したがって、このたびの経済対策を講ずるに当たりましても、その基本は変更せず、緊急避難的に必要最小限の修正を行うにとどめたいと考えております。
 次に、社会資本整備の具体的な内容あるいは内訳等についてのお尋ねがございました。
 今回検討を行う経済対策におきましては、二十一世紀を見据えて、例えばダイオキシン問題や地球環境問題に対応するための投資、少子・高齢化社会に対応するための施設整備や科学技術の振興と情報通信の高度化、将来を担う人材の教育など、将来世代が整備しておいてくれてよかったと言っていただけるような社会資本の整備を重点的に行いたいと考えております。
 具体的にどのような事業を対象とするかにつきましては、与党の総合経済対策の基本方針をもとに、必要性や事業効率などを踏まえながら、今後、早急に検討を行ってまいります。
 最後に、政策運営についての反省という御質問をいただきました。
 政府としては、その時々の経済情勢に応じて、適切な措置と考えられる手段を講じてきました。今回の措置も、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ総理大臣として政治決断をしたものであります。今後とも、責任を持って構造改革を進めながら景気回復に努めてまいりたいと考えております。
 なお、私は、今この大事な時期に政治空白をつくるべきではないと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#43
○国務大臣(松永光君) 石井議員にお答え申し上げます。
 特別減税の効果についての御質問でございますが、総理からも答弁がありましたけれども、私からも答えさせていただきます。
 昨今の個人消費の低迷については、先行きの不安感などマインドの問題が大きいと考えております。今般の特別減税に関する総理の断固たる思い切った決断は、こうした国民のマインドにも好影響を与えるものと考えております。
 さらに、この特別減税は、良質な社会資本の整備等他の施策との相乗効果をもって家計や企業の経済の先行きに対する不透明感を払拭し、我が国経済の回復に役立つものと考えております。
 次に、恒久減税をした場合の財源についてのお尋ねでございますが、この点についても総理からお答えがありました。
 私からも答えさせていただきますが、個人所得税、法人課税の今後の見直しについては、総理の発言を踏まえ、政府及び党の税制調査会において、総合的な、腰を据えた検討が行われるものと考えております。恒久減税を行うためには、新たな恒久財源が必要であります。財政を預かる大蔵大臣としては、この実施については慎重に考える必要があると考えておるところであります。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#44
○副議長(渡部恒三君) 二見伸明君。
    〔二見伸明君登壇〕
#45
○二見伸明君 私は、自由党を代表して、総理の経済対策に関連して若干の質問をいたしたいと思います。
 私は、残念ながら、総理の経済政策の大失敗とそれをごまかそうとする態度に対して、冒頭に朝三暮四という故事を呈しなければなりません。
 朝三暮四とは、宋の国の狙公という人が猿をたくさん飼っていたが、費用がかさんでやり切れなくなり、えさを減らすことにして、猿にこれからはドングリの実を朝三つ夕方四つ与えようとしたところ猿が怒り出したので、それでは朝四つ夕方三つ与えようと言ったら喜んだという故事であります。これは人を口先でうまくだますあるいは詐術をもって人を愚弄するということであります。これは一国の宰相が最も忌み嫌うべきことであり、絶対にしてはならないことであります。
 総理は九日の記者会見で、財政構造改革法について、深刻な経済情勢にかんがみ、現在の改革の基本的な骨格は維持しながら緊急避難的な対策を早急に検討すべきだ、特例国債発行枠の弾力化を可能にする措置は考えられてもよいと発言されました。
 我々自由党は、赤字国債の脱却は大事な課題だと認識しております。そして、二十一世紀の少子化・高齢化社会を明るい基盤の強いものにするために、当面の対策として、資産デフレの要因である不良債権の早期処理、各分野で規制緩和の徹底、個人、企業のやる気を刺激する所得税、住民税、法人税、事業税の大幅減税などによって日本経済そのものを活性化させる、体力、民力をつけることを大前提として財政構造を改革すべきであると私たちは主張してまいりました。ところが、政府はそうではなかった。二〇〇三年に何が何でも赤字国債発行をゼロにすればよいのだというデフレ予算を編成したのであります。
 我々は、経済情勢が厳しい現在、経済政策の手足を縛っていいのか、こんなデフレ予算を組んでは大変なことになる、角を矯めて牛を殺すことになると主張してまいりました。
 昨年十月二十日の財革法の特別委員会で、我が党の野田幹事長の厳しい質問に対し、当時の三塚大蔵大臣は、「集中三カ年ということで、この三カ年において我が国の財政が健全な体質を回復をし、国民の期待におこたえをできる、こういうことでありますから、まさに三カ年はそのペースでいかざるを得ない、また、いくことが財政構造改革特別措置法にかなう原理である」と、三塚さんは大見えを切られたわけであります。
 ことし二月二十五日の予算委員会では、私が、財革法の枠組みを崩さずに財政出動は可能かとただしたときに、総理は、そういう意味での余力を残していないわけではないと答弁されたわけであります。財革法を改正しなくても景気対策は可能だというわけであります。
 ところが、記者会見では、日本経済は極めて深刻な状態にあるので財革法を改正すると言う。日本経済の深刻な状況は、四月九日に明らかになったのではありません。昨年、一昨年から私たちが警告し続けてきたことであります。とするならば、四月九日以前の総理の発言は何だったのか。経済音痴の発言なのか、あるいは食言なのか。私は、この点は厳しく弾劾されなければならないと考えております。総理の見解を伺いたいと思います。
 きのうの予算委員会では、改革の基本的な骨格は維持するという記者会見の発言の中身については明言されませんでした。
 二月二十五日、松永大蔵大臣は私の質問に答えて、二〇〇三年度の時点で赤字国債がゼロになること、国、地方の財政赤字がGDP三%以下になっていることが主たる柱だと述べられております。
 私は、総理が言を左右にし、基本的な骨格の定義を明らかにしないことは恐ろしいことだと思っております。もし、二〇〇三年度時点で赤字公債ゼロ、GDP三%が骨格だと定義づければ、それでは経済の立て直しはできないと国民から総スカンを食ってしまいます。これは基本的な骨格ではないと定義すれば、それならばまさに責任をとるべき路線転換だと非難をされます。定義を明らかにしないことは、国民に要らざる期待を抱かせるばかりではありません。どんな改正案であろうと、これが私の言う基本的な骨格の維持だと言い抜け、責任逃れをすることができることになるわけであります。総理並びに松永大蔵大臣の見解を承りたいと思います。
 補正予算について申し上げたい。
 きのうの予算委員会で、自民党の深谷委員は、野党について申し上げたい、政府がいささかでも方向転換しようとすると、けしからぬ、責任をとれ、やめろという話になってくる、これでは国民のための結論、すばらしい議論ができない、こう深谷さんは言われた。冗談ではありません。こんな予算ではだめだ、出し直せ、政策転換しろと言い続けたのは我々野党であります。それに対して、最善の予算だ、政策転換の必要はないと言い続けたのは橋本総理大臣ではありませんか。
 橋本総理大臣も、きのうの委員会では、野党の国対委員長の方々からそれはけしからぬというお申し入れをいただく結果になりました、ですから議論がそこでとどまらざるを得ませんでしたと述べられました。政策転換を妨害したのは野党だと言わんばかりであります。これも甚だしく誤った認識であります。
 私たちは、終始一貫、政策の大胆な転換、財革法の廃止・凍結、予算の出し直し、組み替えを要求してきました。私は二月二十五日、総理に、予算案を棚上げして、与野党で知恵を出し合って、日本のためになる、国民のためになる、アジアの経済危機に対処できるよい予算をつくろうと申し上げました。拒否されたのは橋本総理大臣であります。最善の予算だと言って予算修正などの議論を拒否したのは自民党じゃありませんか。この反省を、自民党はしてしかるべきでありましょう。
 それが、予算が成立した翌日に、今までの前言を翻して、事業規模十六兆円の補正を表明されました。これは、国会では国民の知りたい本当のことは言わない、本当のことを言うと、最善の予算だと言っているのが実は欠陥予算だということを暴露してしまうので、口先三寸でごまかしてしまえという国会無視であります。これはまさに民主主義、議会主義の否定であります。私は、総理の見解を求めたいと思います。
 真水十兆円について伺いたい。
 自由党は、当面の景気対策のみならず、日本経済を救う最大の方策は所得税、法人税等の大幅な恒久減税だと考えております。所得税、住民税は、あわせて最高限界税率を六五%から五〇%以下に引き下げる、法人税も実効税率を四〇%に引き下げるべきであると考えております。そのほか、NPOに対する寄附金の所得控除等々によって当面は十兆円、中長期的には十八兆円の減税をすべきであり、それは可能だと考えております。
 一昨年の衆議院選挙の際、我々の考えは無責任、人気取りとの非難中傷を受けました。しかし、今では総理、我々の主張が正しかったということが認められております。認識されています。私たちの主張を政府が真摯に受け入れていれば、あるいは小沢自由党政権が誕生していれば、日本は奈落に陥ることなく、金融安定化のための三十兆円の公的資金など不要になっていたはずであります。(拍手)
 私は、真水十兆円が大幅な、抜本的な恒久減税を中心としたものであれば、評価するにやぶさかではありません。しかし、恐らくそうはならないでしょう。参院選を当て込んだ旧来型の公共事業のばらまきと特別減税という、見方を変えれば単年度主義の増税予告つき減税とちまちました政策減税が関の山だと私は思います。であるならば、現状の景気にはほとんど効果もなく、しかも財政構造を一層悪化させることにもなりかねません。二十一世紀に適応した新しい産業基盤をつくることもできません。深刻な雇用状況を解決することにもなりません。真水十兆円について、総理の見解をお伺いしたいと思います。
 私は、橋本総理大臣の最大の政治責任は、昨年四月以降の日本経済の景気後退を、一時的な、踊り場的なものという誤った認識をし、今でもその認識から一歩も抜け出せずにいるということであります。国民に九兆円負担増を強制し、財革法を成立させて、今年度も超デフレ予算を強行に成立させたのは、まさに誤った経済認識そのものであります。
 政策の誤り、認識の誤りは、今後の年金医療を初め日本のあらゆる分野に暗い影を投げかけています。
 例えばビッグバンであります。ビッグバンには光の部分と影の部分があります。経済政策が適切であれば、影の部分は薄く、少なくなります。しかし、現状は非常に厳しいと言わざるを得ません。また、今のような超低金利を続けざるを得ない環境をつくったのは総理自身であります。生保業界では、何社生き残れるのか、大変深刻な状態に陥っております。例示した年金、生保の未来は暗いものがあります。総理の展望をお示しいただきたいと思います。
 総理、言葉は命です。昔人は言霊と言ったほどです。親の言葉を子供が信じなくなれば、その家庭は崩壊します。会社の社長の言葉が信じられなくなれば、その企業はつぶれます。総理の言葉が信じられなくなれば、その国は滅びます。総理の「政治責任の追及を恐れて必要な政策を実施できなければ、その方が政治責任と思う。」との発言は、国民から見れば、自分を正当化しようとする開き直りとしか受けとめられません。
 昨年十二月の経済見通しをIMFは下方修正しました。IMFは、今年度の日本はゼロ成長だと予測しています。私は、まさに日本を悪性デフレというアリ地獄に落とし込もうとしている二年有半の政治責任を率直に国民に謝罪し、退陣されることこそ、リーダーに残された唯一の道であると確信しております。総理の見解を伺い、質問を終わります。
 最後に、やじは議場の花であります。品のいい、品位をお願いしたいところだけれども、自民党の一部から聞くにたえないやじの出たことを、私は心から遺憾に思うことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#46
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 二見議員にお答えを申し上げます。
 まず、財政構造改革法の突然の改正は食言ではないかという御指摘をいただきました。
 しかし、財政構造改革の必要性はいささかも変わるものではない。同時に、内外の経済金融情勢の変化に臨機の措置をとることも当然と繰り返して申し上げてまいりました。平成十年度予算におきましても、財政構造改革法の枠組みの中で、内外の厳しい経済金融情勢に対し臨機応変の措置を講じており、これを一刻も早く成立をさせていただきたい旨を申し上げてまいりました。
 さらに、現下の極めて深刻な経済状況にかんがみて、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じ、それに必要な補正予算を編成することこそ、今真に必要な判断であると考えております。また、今回の措置は、あくまで緊急避難的対応であり、財政構造改革の骨格を維持するものであります。
 次に、財政構造改革法の修正についてお話がございました。
 財政構造改革法については、個別の主要な経費ごとのめり張りのきいた枠を設定することを初めとして、歳出面で強力かつ明確な見直しの方向性を打ち出すなど、中期的に財政構造改革を推進していく上で極めて重要な法律だと考えております。したがって、このたびの経済対策を講ずるに当たりましても、量的縮減目標や財政健全化目標といった財政構造改革法の基本は変更せず、緊急避難的に必要最小限の修正を行うにとどめたいと考えております。
 予算成立の翌日前言を翻したのはけしからぬとおしかりをいただきました。
 ただいま、財政構造改革の必要性や臨機応変の措置についての考え方、十年度予算における措置についても申し上げました。
 先日、私は、現下の深刻な経済状況にかんがみ、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることを決意し、国民の皆様にその基本的な考え方を発表させていただいたところであります。これは、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら政治決断をしたものであり、必ずや御理解をいただけると確信をいたしております。
 また、いわゆる真水と財政に与える影響について御意見をいただきました。
 減税や社会資本整備の財政負担の内訳については、今後経済対策の取りまとめの過程において具体的に詰めていくことになります。また、社会資本整備については、豊かで活力ある経済社会の構築に向けて真に必要となる社会資本等を整備することとしたいと考えており、将来の世代が整備してくれてよかったと喜んでいただけるような分野を重点といたします。いずれにせよ、今回の措置は緊急避難的対応であり、財政構造改革の骨格は維持してまいります。
 最後に、政策運営の誤り、経済認識の誤りについて御意見をいただきました。
 これまでも繰り返し申し上げてきましたが、一連の制度改革が九年度経済に与える影響を否定するものではありません。しかし、消費税率の引き上げを含む平成六年秋の税制改革及び医療保険制度改革は、我が国にとって真に必要な改革だったと考えております。そして、経済の停滞から一日も早く抜け出し力強い日本経済を再建するために、昨年来の経済状況に対応して既に実施している緊急経済対策、特別減税、九年度補正予算に加え、金融システム安定化対策等迅速かつ的確な執行に努めるなど、それぞれの措置をとってまいりました。
 議員からは、医療あるいは年金、さらに金融システム改革の将来についての御懸念を示されましたが、社会保障構造改革と金融システム改革を初めとした六つの改革に全力投球をし、明るい未来を開いていきたいと考えます。生命保険に関しましては、現在、生命保険会社を取り巻く環境は厳しいものがありますが、既に保険会社は、これらの状況に対応するため、自己資本などの充実等に努めていると考えております。
 いずれにせよ、今この大切な時期に政治の空白をつくるべきではないと考え、責任を持って構造改革を進めながら経済運営に当たってまいります。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#47
○国務大臣(松永光君) 二見議員にお答えいたします。
 財政構造改革法の修正に関してでありますが、総理から答弁がありました。
 私も、総理の答弁されましたように、財政構造改革法は、個別の主要な経費ごとのめり張りのきいた枠を設定することを初めとして、歳出面で強力かつ明確な見直しの方向性を打ち出すなど、中期的に財政構造改革を推進していく上で極めて重要な法律であると考えております。
 したがいまして、財政を預かる大蔵大臣としては、このたびの経済対策を講ずるに当たっても、量的縮減目標や財政健全化目標、こういった財政構造改革法の基本は変更せず、緊急避難的に必要最小限度の修正を行うにとどめたい、そう考えており、現在、財政構造改革会議において御議論をいただいておるところであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#48
○副議長(渡部恒三君) 穀田恵二君。
    〔穀田恵二君登壇〕
#49
○穀田恵二君 私は、日本共産党を代表して、当面の経済対策に関し、橋本総理に質問します。
 総理は、最善の予算と言い張ってきた九八年度予算が成立するや、その翌日、記者会見で、その予算を大幅に補正する新たな経済対策を発表しました。しかも、内閣の最重要法案と言ってわずか四カ月前に強引に成立させた財政構造改革法も改正すると言いました。
 そこで、私は、まず率直にお伺いしたい。一体、国会におけるこれまでの審議は何だったのでしょうか。
 予算審議中に与党の幹部がこぞって補正発言を行い、九八年度予算に欠陥の烙印を押す事態が続出しました。それでも、総理、あなたは、最善の予算、一刻も早く成立をという答弁を、一度や二度でなく何回も繰り返してきました。党の立場と政府の立場、国内向けと海外向けを使い分け、国民を欺き、国会を愚弄し続けてきました。ところが、予算が成立するや、総理は、公共事業の追加など十兆円の財政出動を行うことを、国会ではなく記者会見で発表。しかも、政策転換の理由として、総理は、これまで国会審議で我々が一貫して具体的に指摘してきたように、我が国経済は極めて深刻な状況にあり、国民の皆様の景気をよくしてほしいという要請と期待にこたえるものだと言いました。たった一夜で不況が深刻化するはずがないではありませんか。それとも、一夜にして認識が変わったとでも言うのでしょうか。
 中小企業経営者の相次ぐ自殺や、公的支援の手が差し伸べられない中、仮設住宅での二百人を超える孤独死など、痛ましい事件が後を絶ちません。不況を打開し、景気をよくしてほしいの願いがわからなかったのですか。児童扶養手当という命綱を切られる母子家庭の憤り、治療費自己負担の導入で難病患者の、私たちに死ねということかの悲痛な叫びが聞こえないのですか。なぜ、本予算の審議の中でこれらの期待にこたえなかったのですか。今日の国民の苦しみと怒りを全く理解していないと言わざるを得ません。野党の予算組み替えや修正を退けながら、成立後直ちに大型補正が必要な欠陥予算を最善の予算と、国会と国民を欺いてごり押しした総理の政治責任は重大であります。明確な答弁を求めます。
 橋本総理は、政策転換の責任追及に対し、仮に政治責任の追及を恐れて必要な政策を実施できないなら、それの方が政治責任だと述べました。居直り以外の何物でもありません。大体、政治責任の追及を恐れてやるべきことを拒否し、決断を回避し、政権延命にきゅうきゅうとしてきたのが、橋本総理、あなたではありませんか。(拍手)
 橋本総理の責任逃れの最たるものは、総理自身が戦後最悪としている今日の不況の原因を、アジアの通貨危機とか拓銀や山一の破綻など専ら予期しなかった内外の諸事情を挙げていることであり、政府が行った経済政策の誤りの結果であること、その反省が国会報告において一言もなかったことであります。
 今、国民生活が直面している未曾有の不況の契機となったのが、消費税増税、医療費値上げなど、九兆円の国民負担増が家計を直撃したためであることは国民の常識であります。今日の不況の特質が消費不況であることは論をまちません。政府の国民生活圧迫の政策で、国内総生産の六割を占める個人消費が凍りついたのです。中でも買い物をするたびにかかる五%への消費税増税は、国民の毎日の売り買いに直接現場で響き、消費支出にブレーキをかけるもので、決定的でした。消費税増税が国民の財布のひもをかたくしていることは疑う余地のないものであります。これでも総理は、消費税増税が消費不況の原因になったと認めないのですか。答弁を求めます。
 しかも、重大なことは、総理が専ら今日の不況の原因としているアジア通貨危機が表面化した後の九月に医療費の値上げを実施し、大型金融機関の破綻後にもなお、社会保障制度の連続改悪や教育予算、中小企業予算など、国民生活予算を切り捨てる財政構造改革法の成立を強行したことです。このことが、政府がよく言う消費マインドの冷え込みに拍車をかけたのです。政府の政策の一つ一つが、景気の回復に水をかけるばかりか、景気悪化に拍車をかけ、不況をより深刻にしてきたことは明白ではありませんか。(拍手)
 財政構造改革法審議の際に、我が党は、国民生活関連予算の削減が国内総生産の六割を占める個人消費をどの程度引き下げるのかと追及したのに、政府は最後まで答弁できませんでした。また、国民の負担だけがふえる、社会保障や医療予算を削れば国民の命と健康が危うくなる、経済情勢にも否定的影響を及ぼすものであり、財革法案は廃案にすべきだとの主張に対し、政府は、今後の経済運営は安易に財政に頼らず、民間需要中心の自律的成長を図っていくことが基本だなどと強弁し、それを拒否したのです。
 こうした無責任な態度のまま、総理、あなたはその財革法に基づく国民生活圧迫の予算を編成し、そして組み替え要求も修正要求も拒否して原案のまま成立を強行したのです。橋本総理の責任は、単に見通しを誤ったなどという判断ミスにとどまりません。まさに橋本内閣の経済政策そのものが不況を深刻化させたのであり、失政そのものではありませんか。総理、今あなたに厳しく突きつけられているのは、九兆円の国民負担増と財政構造改革路線の二つが、実際の経済情勢の中でその破綻が明らかになったことです。この失政の責任を明確にすることこそが不況対策の出発点ではありませんか。答弁を求めるものです。
 責任逃れと居直りからは有効な景気対策など望むべくもありません。減税を実施しても、総理の政策転換が信用されない限り、国民は財布のひもを緩めようがありません。今回の対策に対して、肝心の与党幹部からも、特別減税で景気がよくなったという話は聞こえてこない、これから二兆円を出してどの程度効果があるか疑問だの声が出るほどです。為替や株の市場は既に見抜いています。何よりも、総理が不況と国民生活の危機をつくり出した最大の要因である消費税に指一本触れようとしないことが、転換が本物でないことを裏づけています。
 今や、消費税減税要求は国民多数の世論であるとともに、政府税調の専門委員からも、そして財界の中内功ダイエー社長も、消費税を三%に引き下げるなど国民にわかりやすい施策を断行せよと述べているほどです。減税しても預貯金に回ることのない、消費しなければ減税されない、そして低所得者層ほど負担が重く、中小企業にも重圧となっている消費税の減税を、なぜ景気対策として実施しようとしないのか。改めて決断をすることを求めるものです。それとも、消費税減税が景気対策として効果がないと考えているのか。明確な答弁を求めます。
 逆に、あなたは、法人税の国際水準化や、所得税、住民税の深みのある見直しなどと言っていますが、結局は、大企業と大金持ちに対する減税は行うが、国民に対しては、消費税を打ち出の小づちとして、増税の道を残しておくつもりではないのですか。
 一方、財政出動十兆円中六兆円と、対策の中心は公共事業となっています。総理は、ゼネコン奉仕型で浪費だとの批判をかわそうと、しきりに地球環境問題の投資とか少子化・高齢化社会対応の施設、科学技術の振興と情報通信の高度化、将来を担う人材の教育などの分野を重点にするとしています。しかし、将来の世代に整備してくれてよかったと感謝してもらえる分野の公共投資なら、なぜ本予算で、しかも借金ではなく一般財源で重点的、計画的に整備しないのですか。
 大体、公共事業について、補正予算案でまさに異常な拡大を図ろうとしていること自体、財政削減に一切聖域を持たないと総理自身が繰り返し強調した財革法の骨格そのものが、国民を欺くものであったことを裏づけるものではありませんか。また、重点と言うが、九五年九月の十四兆円にも及ぶ経済対策でも、情報通信重視などと言われながら、その事業規模は一兆円にも満たず、全体の七%にしかすぎませんでした。その先例があるだけに、従来型の隠れみのではないかと思うわけです。
 総理が表明した経済対策は、まず十六兆円の規模だけ決めて、その中身についてはこれから決めるというものです。結局は、さきに発表された五全総で、東京湾に第二の横断道路をつくるなど、採算のとれない巨大プロジェクトに国民の税金をやみくもにつぎ込もうというものではありませんか。このような公共事業は、景気対策として効果がないばかりか、我が国の財政危機をさらに進めるものです。答弁を求めるものです。
 財革法の改正についても、骨格を維持しながら緊急避難的な対応と強弁していますが、既に財革法は公共事業の異常な拡大によってその骨格そのものが崩され、破綻しているのです。その上、赤字国債発行の制限を緩和、つまり、財政再建の目標そのものの先送りや棚上げをしながら、社会保障や国民生活予算カットだけはそのまま貫徹するというのでは、国民にとっては、財政も悪化し景気もよくならない、負担だけを負わされるという、踏んだりけったりと言わざるを得ません。当面の景気対策に効果がないばかりか、今日の財政危機を生み出した公共事業偏重の財政構造を何ら変えるものでない財革法は、この際、きっぱりと廃止する以外にありません。
 総理、あなたは、みずからの失政の責任をとろうとしないから、何をやっても信頼されないのです。国民だけでなく、国際的な信用も地に落ちています。責任をはっきりさせることが景気対策の大前提です。橋本内閣は、失政とそれによる不況の深刻化の責任、そして、国民と国会を欺いた責任をとって、直ちに退陣すべきです。
 総理は、国民の審判は重い、選挙以上の審判はないとも発言をしています。もしその言葉に一片の真実があるのなら、国民の審判を直ちに受けるべきです。国民の審判を受けるときは今です。失政、悪政がもたらした苦難の日々にあえいでいる国民の信を問うべきです。衆議院を解散して総選挙を行うことを要求し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#50
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 穀田議員にお答えを申し上げます。
 まず、認識がいつ変わったかというお尋ねがございました。
 我が国経済の認識についてのお尋ねでありますけれども、我が国の経済の現状を見ますと、アジアの通貨・金融不安、我が国の金融機関の破綻による金融システムへの信頼低下などが影響を及ぼしております。今年に入りましてからも、年度末を控え、いわゆる貸し渋りを企業は一層厳しく感じるようになりました。また、アジアではインドネシアの経済の先行きについて不透明感を増しておりました。こうした中で、昨年来厳しさを増してきた家計や企業の景況感が実体経済全般にまで影響を及ぼしており、一層厳しさを増しております。
 また、十年度予算を最善の予算として国民を欺いたという御指摘をいただきました。
 従来から、財政構造改革の必要性はいささかも変わることなく、また、内外の経済金融情勢の変化に応じて臨機の措置をとることも当然と申し上げてきたところであります。
 先日、私は、現下の深刻な経済状況にかんがみて、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分、そうした規模の経済対策を講じることを決意して、国民の皆様にその基本的な考え方を発表したところであります。これは、国会を初めとする国民の皆様の声、国際社会の声を踏まえながら政治決断をしたものであり、御理解をいただけると考えております。
 政策運営についてまた御指摘をいただきました。
 そのとき、そのときの状況に応じて適切と思われる措置をとってまいりました。現下の経済対策については今申し上げたとおりであり、今後とも責任を持って景気回復に努めてまいります。
 また、消費税についてお尋ねがありました。
 消費税率の引き上げを含む平成六年秋の税制改革は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、先行していた所得税減税とも並行し、我が国にとって真に必要な改革だったと考えております。したがって、消費税率の引き下げは考えておりません。
 なお、消費税率引き上げが九年度経済に与えた影響を否定するものではありませんけれども、昨年秋以降景気が停滞するに至った原因としては、バブルの後遺症といった経済社会の構造問題に加えて、我が国金融機関の相次ぐ経営破綻やアジア通貨・金融不安といった予期せざる事態のもとでの不安感の広がり、国民が消費や設備投資に慎重になられたとの事情があると考えます。
 また、九兆円の負担増と財政構造改革路線の責任を明らかにしろという御指摘をいただきましたが、今申し上げましたように、消費税率の引き上げは、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に対応した税制改革の一環であります。
 医療保険制度改革は、医療保険制度の破綻を防ぎ、安定した運営を確保していくために、給付と負担の見直しを行ったものであります。
 財政構造改革について、その中期的な必要性は何ら変わるものではございません。この基本は維持をいたします。
 いずれにせよ、現在の深刻な経済状況にかんがみて、我が国経済及び経済運営に対する内外の信頼を回復するに必要かつ十分な規模の経済対策を講じることを決意し、その基本的な考え方を国民の皆様に発表したところであり、これは必ずや皆様の御理解をいただけると考えております。今後とも、責任を持って構造改革を進めながら景気回復に努めてまいります。
 それから、法人課税や所得課税の見直しは大企業と金持ち優遇ではないかという御指摘がありました。
 国民の皆様の景気をよくしてほしいという強い要請にこたえる中において、私どもは、必要かつ十分な経済対策を講じる、その中に法人課税や所得課税の見直しも行うことにしております。こうした措置は、必ず皆様方に御理解がいただけるものと考えております。
 なお、財政構造改革を推進する中で、まず歳出の改革と縮減に最大限の努力を傾注すべきであり、当面の目標を達成するため増税をお願いする環境にはないと考えております。
 また、公共事業につきましてお尋ねがございましたが、先ほど申し上げましたように、十年度予算におきましても、経済構造改革関連や国民生活の質の向上に直結する分野への重点化を行っているところです。今回の経済対策においては、公共投資の追加を行うに当たって、さらに緊急性等を勘案の上、ダイオキシン問題や地球環境問題に対応するための投資など、将来の世代が喜んでいただけるような分野を重点に考えたいと考えております。
 公共事業偏重の財政構造を変えない財政構造改革法を廃止すべきということであります。
 この財政構造改革法につきましては、公共事業などの個別の主要な経費ごとにめり張りのきいた枠を設定することを初めとし、歳出面で強力かつ明確な見直しの方向性を打ち出すなど、中期的に財政構造改革を進めていく上で極めて重要な法律だと考えております。したがって、このたびの経済対策を講ずるに当たっても、その基本は変更せず、緊急避難的に必要最小限の修正を行うにとめたいと考えております。
 また、政策運営についての責任という御指摘を繰り返しちょうだいをいたしました。
 政府は、そのときそのとき必要な施策をとってまいりますが、同時に、政治的な責任の追及を恐れ必要な政策が打てなければ、それこそが政治責任であると考えておりますし、同時に、今この大事な時期に空白をつくるべきではありません。今後とも、責任を持って景気回復に努めてまいります。(拍手)
#51
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#52
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十八分散会

ソース: 国立国会図書館
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