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#1
第142回国会 本会議 第32号
平成十年四月二十四日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十号
  平成十年四月二十四日
    午後一時開議
 第一 電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 日程第一 電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
 建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

    午後一時四分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 玄葉光一郎君から、四月二十九日から五月七日まで九日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第一 電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
#5
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長坂上富男君。
    〔坂上富男君登壇〕
#6
○坂上富男君 ただいま議題となりました電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、民間活動に係る規制がもたらす負担の軽減及び行政事務の合理化を図るため、国際電信電話株式会社法を廃止するほか、電気通信事業法及び電波法について、第一種電気通信事業者の提供する役務に関する料金の規制を原則として届け出制とするとともに、無線設備の技術基準適合証明制度等における民間能力の一層の活用を図る等の改正を行おうとするものであります。
 本案は、去る四月八日本委員会に付託され、翌九日自見郵政大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十三日質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#9
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、建築基準法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。建設大臣瓦力君。
    〔国務大臣瓦力君登壇〕
#10
○国務大臣(瓦力君) 建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、規制緩和、国際調和、安全性の一層の確保及び土地の合理的利用の推進等の要請に的確に対応した新たな建築規制制度を構築するため、民間機関による建築確認検査制度の創設、建築基準への性能規定の導入を初めとする単体規制の見直し、建築確認の円滑化のための新たな手続制度の整備、中間検査制度の創設、一定の複数建築物に対する建築規制の適用の合理化等の措置を講ずるものであります。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 第一に、建設大臣または都道府県知事の指定を受けた民間機関が建築主事と同様に建築確認及び検査を行うことができるものとするとともに、当該民間機関において建築確認及び検査を実施する者の資格検定及び登録の制度を設けることとしております。
 第二に、建築物の構造規制等について満たすべき性能基準を明示し、これに適合することが一定の検証方式により確かめられるか、または建設大臣があらかじめ定めた仕様に適合するものでなければならないものとする新たな方式を導入することとしております。
 第三に、建築物の安全性を確保するため工事の施工中に検査を行う中間検査制度を創設することとしております。
 第四に、既存の建築物と連担して建築物を建築する場合において、各建築物の位置及び構造について安全上、防火上及び衛生上支障がないものと認定したときは、これらの複数の建築物を同一の敷地内にあるものとみなして容積率制限や建ぺい率制限等の建築規制を適用することとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、建築基準法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#11
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。桑原豊君。
    〔桑原豊君登壇〕
#12
○桑原豊君 私は、民主党を代表いたしまして、ただいま提案されました建築基準法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 我が国は、現在、国民の嗜好の多様化、経済社会の成熟化、国際競争の激化、技術の高度化等の構造変化の過程にあります。このような時代背景のもとで、建築行政においても、戦後間もなく組み立てられ、一定の役割を果たしてきた制度について抜本的な改革が求められております。国民が安心感を持って生活をしていくために安全な住居が必要なことは、平成七年に発生した阪神・淡路大震災を見ても明らかであります。また、日本が戦後の飛躍的な経済的発展を遂げたにもかかわらず、今もなお、国民生活にゆとりや豊かさが実感できないでいる大きな要因として、住宅の貧困さがあることも否定しようのない事実だと考えています。
 本来、国民の経済社会活動や家庭生活の基盤である建築物の安全性を確保することや良好な市街地環境の形成を図ることは、国民の生命、健康、財産を保護するために不可欠なものであり、そのための社会的な規制は、経済社会構造の変化に的確に対応したものであることが必要であります。
 我々民主党は、自由であって安心できる社会を創造するために集まった集団であり、今般の建築基準法の改正は、国民にとってかけがえのない生活基盤である住宅を規定する基本法の戦後初めての抜本改正として、その方向性については、あらゆる角度から十分に審議していく必要があると考えています。国民生活に密着した法律を、当面の経済対策に絡めて安易に扱うことは許されません。あくまでも国民生活が一層安全に、そして豊かさを実感できる方向で検討されるべきであり、その意味で、本法案は玉石混交と言ってもよい状態で提案をされており、その賛否については、委員会における十分な審査の上で判断していくべきだと考えております。
 さて、まず第一に、この建築基準法の根本的な問題点についてお伺いをいたします。
 建築基準法は、大正八年に制定された市街地建築物法に淵源を有し、戦後、新憲法の理念を取り入れて昭和二十五年に制定をされました。制定当時は本法律も簡素でありましたが、その後、三十六回に及ぶ改正を行い、現在では複雑きわまりない法律となっております。
 一つ一つの改正に意味がなかったとは思いませんが、これだけの改正を重ねると、この建築基準法が全体として何を目指し、何を規定しようとしているのか、法律を読めば読むほどわからなくなってまいります。しかも、本法律は、先ほど申し上げましたように、国民に最も密着した住宅を規定する法律であります。これが行政の一部の専門家以外だれにもわからない法律となっていることは、その目的がたとえ崇高なものであったとしても、問題があるというふうに言わざるを得ません。
 その上、この住宅と密接な関係を持つ都市計画法あるいは国土利用関係法などと重ね合わせて考えますと、この国の国土はどう利用され、その上にどのような建築物が建つのか、また建ててよいのか全くわかりません。
 非常に複雑な建築基準法でありますが、一方で、この法律は従来よりざる法としても有名であります。現実を見ても、日本の都市環境の改善は遅々として進まず、違法建築のみならず、適法であってもその地域の環境や風景になじまない建築物は枚挙にいとまがございません。
 この複雑にしてざる法というのは、一見不合理であって、実は当然なのであります。法律で百二条、施行令で百四十九条、その他省令、通達を含めたらどれだけあるかもわからない法律をだれが読むというのでしょうか。結果的に、建築物の数に比べたら圧倒的に少ない行政の担当者しか法に接しないことが、この法律をざる法としているのであります。
 この傾向は、この建築基準法にとどまりません。どの法律も、少しずつ少しずつ合理的な改正を積み重ねながら、結果的に木を見て森を見ない不合理な法律となっています。この法律のインフレとも言ってよい状況を、総理はどのようにお考えでしょうか。役人よりも法律に詳しいと言われる総理の御意見を伺いたいと思います。
 また、建築基準法や都市計画法など、複雑さでは筆頭格の法律を所管される建設大臣には、国民に身近な法律がこのような状態でよいと思っておられるのか、御意見を伺います。
 次に、地方分権との関係でございます。
 現在の建築基準法は、当然のことながら、全国一律の基準を法律によって適用しています。しかし、だれもがわかっているように、北海道と沖縄とは気候が全然違います。私は瓦建設大臣と同郷の石川県の出身でございますが、北陸のように大変湿気の多いところもございます。まさに全国さまざまであります。ここに同じ基準を当てはめることが果たして合理的なのでありましょうか。雪の多い地域や海風の強い地域など、それぞれの地域環境に即した建築基準があってもよいのではないでしょうか。
 また、地域によっては、歴史的建築物が多数現存し、これによって町の景観をつくり上げているところもあります。しかし、建築基準法が適用されることによって、この貴重な文化遺産を喪失した例もございます。
 確かに、現在は規制緩和の時代です。建築基準についても、国内統一の基準であった方が単純明快なことはわかります。しかし、国民の良好な住環境の維持や文化的施設の保全のための規制は必要なのであります。そして規制する側の主体は、国ではなく、地域で住民に密着して行政を行っている自治体であるべきであります。現在は多様化の時代であり、地方分権の時代でもあります。地域の多様性、独自性を高める意味でも、建築基準における地方分権を一層進める必要があると考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、今回の改正案についてお伺いいたします。
 第一に、連担建築物設計制度であります。
 これは、現行制度では敷地ごとに行っている容積率制限を、隣接地の場合に、所有者の異なる敷地であっても公道を越えない範囲で一団の土地と扱うことによって、土地の有効利用を図ることを目的とし、その延長線上に容積率の売買を可能とする制度であります。
 この容積率の緩和は、バブルの崩壊以降幾たびも繰り返されてまいりました。平成六年には地下室の容積率を不算入といたしました。その結果、本来なら高層マンションの建つはずもない第一種低層住宅専用地域に大型マンションが建つようになりました。第一種低層住宅専用地域には高さ十メートル以上の建築物は建てられません。そこに高さ二十メートルのマンションが建つのであります。からくりは地下室にあります。傾斜地に建てるマンションは、地盤面のとり方次第でその半分以上が法律上地下室となり、この地域でも高層マンションの建築が可能となったのであります。これは各地で住民の反発を招いております。
 確かに、地下室の容積率不算入がこのような結果を招くことを建設省が当初から予想していたとは思いません。しかし、建設省の提案した法改正によってこのような事態を招いたのも事実です。
 さらに、容積率は、平成七年そして昨年も緩和されております。そして今回の緩和であります。容積率は都市計画の基本であり、このように野方図に緩和を続けることに疑問があります。また、その理由が土地の有効利用といえば聞こえはよいのですが、まさに容積率を商品とする行為であります。今回の改正では、これがきわまって、ついに容積率の売買まで可能となっております。
 そこでまず、総理にお尋ねをいたします。
 このように、容積率を商売の道具として使うことは、総理の望むところでございますか。このような容積率の相次ぐ緩和は国民の安心した生活を脅かすことにならないのか、お尋ねをいたします。
 また、総理も御存じのように、バブルのころには地価を下げるための容積率緩和が叫ばれました。現在は地価を上げるために容積率緩和が叫ばれております。結局、容積率は常に緩和の方向に向かっております。一体、政府は容積率を緩和して地価をどのようにしようとしているのか、お尋ねをいたします。
 建設大臣には、さきに述べた地下室の容積率不算入で生じている現在の状況をどうとらえているのか、都心部の容積率が十分に活用されていない現在において、さらに緩和を行おうとしているのはなぜなのか、お伺いをいたします。
 次に、建築基準の性能規定化についてであります。
 今回の改正案では、これまで仕様書的に定められていました建築基準が、性能基準として規定されることになっております。そうなりますと、建築材料、建築部材、建築設備、建築工法等について建築基準との適合性に関する性能試験等を実施し、建設大臣の認定を受けようとする者が増加することが予想されます。これらの要請に円滑に対応するためには、材料、部材等の性能について試験、評価等を行う機関の拡充が求められますが、どのように対応していくのか。特に、これらの試験機関、評価機関等の多くが首都圏にあると思われます。地方における対応はどのようにするのか、大臣にお尋ねをいたします。
 最後に、建築確認の民間への開放についてであります。
 建築行政においては、単にその建築計画が建築基準法の定める建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準に適合することを担保することのほか、建築計画の周辺の環境に及ぼす影響などの問題の調整も期待されると考えられています。現に自治体が、自治体独自の宅地開発指導要綱や町づくり条例を制定して地域の個性を守ってきたのは、建築確認や開発許可申請の機会を活用して、この指導要綱や条例で定めた基準に適合させたり、あるいは周辺住民への説明を義務づけたりすることができるからでありました。
 しかし、今回の建築確認の民間開放によって、この貴重な機会が失われかねません。民間業者は、建築基準法の新たに定められる性能規定にのっとり、この規定に適合していれば、その建築物が周辺環境にどのような影響を与えるかを考慮せず建築確認を与える可能性が強くなってまいります。民間であれば、当然のごとく、建築確認を速やかに与えるというのも一つのサービスとなり得るので、あっという間に建築確認がおりるかもしれません。結果として、周辺住民には何も知らされないまま、突然特異な建築物が出現をするということにもなりかねません。このような事態は当然に予想されることですが、この点を建設省はどう考えているのか、あるいはどうやってこの事態を防ごうとしているのか、御回答をお願いいたします。
 この建築確認の公正公平な民間開放自体は、推進すべき方向だと考えています。しかし、前提に、建築基準がその地域に細やかな対応をしている必要があると思います。そのためには、建築行政における地方分権が不可欠であります。さきに述べましたように、建築行政においても、地方分権の徹底的な推進は時代の要請であり、必然であります。
 議場の皆さんもお気づきのように、我が国はどこへ行っても同じような建物が建ち並び、同じような町並みとなっています。これが、戦後我が国の建築行政及び都市計画行政がもたらした一つの結果であります。町はその地方の独自性があって初めて美しいのであり、それこそが心に残る風景を築き上げるのであります。そのためには、現在の建築・都市計画行政を根本的に改め、町づくりを地域にゆだねる必要があるのです。この点を改めて確認をさせていただいて、私の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 桑原議員にお答え申し上げます。
 まず、現在の建築基準法の体系についてお尋ねがありました。
 建築基準法は、議員も触れられましたけれども、制定以来、その時々の社会的な要請を踏まえて、逐次、法改正を行ってまいりました。今回の改正は、二十一世紀に向けた新たな建築規制を構築するために、建築確認等の基本的な手続及び基準の規制方式等、建築基準体系そのものを抜本的に見直そうとするものでございます。
 次に、建築基準の地方分権についてお尋ねがございました。
 建築物の安全性等に関する最低限の基準は国が制定することとしながら、町づくりに関する基準等、議員が触れられましたような点、言いかえるならば地域の事情を反映すべきもの、こうした点については、地方公共団体がそれぞれの地域の実情に即して定めることといたしております。
 次に、容積率の緩和は、これを商売にすることではないか、どう思うか、こういう御指摘をいただきました。
 容積率規制の見直し、これは土地の有効かつ適正な利用を促進するという観点から、随時実施してまいりました。今回の改正による措置、これは単に容積率を緩和するということよりも、建築規制の適用の合理化を図るものであり、土地の集約的利用による有効利用を通じて国民生活の向上に寄与するものと考えております。
 また、容積率と地価の関係についてもお尋ねをいただきましたが、今回の措置につきましては、その対象となる土地の価格が、利用価値の増大を反映して、ある程度上昇することはあり得ると思います。しかし、その周辺の地価水準に大きな変動が生ずることは見込まれない、そのように考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣瓦力君登壇〕
#14
○国務大臣(瓦力君) 桑原議員から幾つかの質問をちょうだいいたしました。
 現在の建築基準法の内容が極めて複雑である、かような御指摘をちょうだいしたわけでございますが、建築基準法は建築物の構造の安全性に関する技術的な基準を定めるものでございまして、その性格上、ある程度複雑なものとなることはやむを得ないと考えております。
 しかし、今回の改正では、経済社会の構造的変革に対応いたしまして、建築基準体系を明確でより合理的なものへと抜本的に見直すことといたしました。具体的には、民間機関による建築確認検査制度の創設など基本的手続の見直しを行うとともに、性能規定の導入、基準の明確化など基準の規制方式を新たなものへと改めることといたしました。
 次に、地下室の容積率不算入制度とマンション建設の現状についてお尋ねでございますが、住宅の地下室に係る容積率の合理化は、居住形態の多様化を受け、土地の有効利用に対する要請の高まり、建築技術の進展等を踏まえまして、規制の見直しを図ったものでございます。また、本制度の適用は、地上部分において従来と同様の市街地環境の確保を図った上で地下部分を利用するものでございまして、それぞれの土地の特性に対応いたしまして建築が行われること自体は差し支えないものと考えます。
 また、都心部の容積率について御質問でございますが、容積率が十分に活用されていない背景の一つといたしまして、敷地が狭小で道路等の基盤の整備が必ずしも十分でないという我が国の市街地の状況があります。連担建築物設計制度は、かような現状を踏まえまして、単なる容積率の緩和ではなく、適切な設計調整がなされた建築計画のもと、複数建築物について容積率制限等の建築規制を一体的に適用することによりまして、土地の有効利用に資するものと考えております。
 さらに、性能の評価等を行う機関についてお尋ねもありました。
 今回の改正では、性能規定が円滑に活用されるよう、建築基準への適合性の認定や新しい建築材等の性能の評価を、高度な技術審査能力を有し、公正中立な審査体制を有する適切な法人に行わせることといたしております。地域のいかんを問わず、国内外を問わず、幅広く指定してまいりたいと考えております。
 最後に、建築確認の民間開放についてお尋ねでありますが、地方公共団体の条例や要綱に基づく行政指導等は、建築基準法による建築行政とは独立の行政指導等でありながら、従来、一体のものとして受け取られ、このような行政指導等のあり方について批判的な御意見などもあることを認識いたしております。今回の建築確認検査の民間開放により、法による規制、手続が国民にもより明確に示されることになるため、要綱に基づく行政指導につきましても、その規制の根拠や手続等について、より一層明確化することが必要となるものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(伊藤宗一郎君) 井上義久君。
    〔井上義久君登壇〕
#16
○井上義久君 新党平和の井上義久です。平和・改革を代表し、ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案並びに関連をして我が国の住宅政策について、橋本総理並びに建設大臣に質問をいたします。
 初めに、我が国における住宅政策のあり方について、総理並びに建設大臣の見解をお伺いいたします。
 我が国の住宅事情は、ウサギ小屋等とやゆされるがごとく、欧米先進国に比べてかなり劣悪な状況にあることは周知の事実であります。一人当たりの床面積で比較すると、アメリカの六十平米に比べ、我が国は三十一平米とおよそ二分の一の水準にとどまっております。特に借家の一戸当たり床面積は、アメリカの百十一平米、イギリスの八十八平米、フランスの七十七平米に比して、日本は四十五平米と著しく劣っており、豊かさを実感できる水準には遠く及ばないと言わざるを得ません。
 十二年前の一九八六年、OECD経済協力開発機構は、我が国に対する都市政策レビュー勧告で、日本の住宅ストックはOECD諸国に比べ低水準にあり、これを改善していこうとするならば、日本政府は住宅問題をもっと優先的に扱う必要があるとの指摘を行いました。それ以降、我が国でも種々の住宅政策が打ち出され、居住水準の改善が行われてきているものの、日本の国民総生産及び一人当たりの国民所得を考えると、住宅に関して言えばいまだに生活小国と言わざるを得ないのが実情であります。
 憲法第二十五条の生存権及び国の社会保障的義務規定を受ける形で、公営住宅法は、健康で文化的な生活を営むに足る住宅を建設しと居住権の保障をうたっております。公営住宅はもとより、個人住宅においても健康で文化的な生活を営むに足る住宅に居住することは国民の基本的人権の一つであると明確に位置づけた上で、それを保障するような国の住宅諸施策を展開することが重要であります。
 しかしながら、我が国のこれまでの住宅政策は、個々人の住宅確保を自己責任に帰し、一方、購入すべき住宅の価格は市場原理にゆだねたままにしてきました。その結果、経済大国であるにもかかわらず、豊かさを実感できない我が国の住宅事情がつくり出されたのではないでしょうか。人生を謳歌するための基本的な拠点であるはずの住宅確保のために二十年から三十年もの長きにわたって重いローンを背負わなければならないこと、さらに、ローン返済の破綻が人生の破綻に直結するような状況は異常な事態と言わざるを得ません。
 総理、生活大国を標榜するのであれば、優良な住宅に居住する権利を基本的人権の一つとして位置づけること、そして住宅の確保を自己責任と市場原理にゆだねてきたこれまでの住宅政策を抜本的に改め、国の責任を明確にした積極的な住宅政策に転換すべきではないでしょうか。生活大国を実現するとの観点から、我が国の住宅政策の現状をどう考えているのか、また今後の課題としてあるべき我が国の住宅政策についてどのような認識を持っておられるのか、橋本総理の御見解をお伺いしたいと思います。
 さきに述べましたように、廉価で優良な住宅を国民に供給することは、基本的人権を守る国の責務と考えます。住宅政策を遂行していく上で、達成目標とともに、客観的な指標が必要ではないかと思います。我が国における住宅の豊かさの指標、また住居費負担はどの程度が適正と考えているのか、さらにどのような住宅が優良な住宅と考えているのか、建設大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、今回提案されております建築基準法改正に関連して、何点か政府の見解をお伺いしたいと思います。
 平成七年一月十七日に発生した阪神・淡路大震災は、平成八年の消防白書によれば、死者六千三百十人、全壊家屋九万三千百八十一棟、半壊家屋十万八千四百三十九棟という大変大きな被害をもたらしました。今なお、二万世帯を超える家族が仮設住宅で不自由な生活を余儀なくされており、また被災者の多くが崩壊した生活基盤を回復できずに苦しんでおります。後で述べますけれども、この震災による家屋倒壊の原因の一端が国の施策にあったことを考えますと、住宅の確保や生活支援金の給付など、被災者の生活支援対策を速やかに実施すべきであると考えますが、総理いかがでしょうか。
 この阪神大震災の被害について、警察発表では、死者の八九%は倒壊家屋等の下敷きになり圧死、とりわけ木造家屋の圧死事故が多かったとのことであります。その原因については、筋交い不足、壁配置の偏り、基礎部の接合不備等々施工上の構造欠陥ではないかと指摘する声もあります。一方、構造審査が比較的厳しい木造三階建て個人住宅は、相当厳しい揺れがあった地域でもほとんど無傷で残っていたとの報告を勘案いたしますと、同震災における家屋倒壊の原因は、単に都市を直撃した異常な地震力のみではなくて、建築基準法あるいはその運用に瑕疵があったのではないかと考えることが自然であります。
 建築基準法は、その一条にその目的として「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、」このように定めております。国民の生命を守るという最も重要な目的を建築基準法は達成できなかったと指摘せざるを得ないのであります。今回の中間検査制度の導入等の建築基準法の改正は、この阪神・淡路大震災の反省の意を含んだものと理解しておりますけれども、総理の見解をお伺いしたいと思います。
 関連して、今回導入される中間検査制度について、何点かお伺いしたいと思います。
 多額のローンを背負い、やっとの思いで建築、購入した我が家が、欠陥住宅とわかったときの被害者の衝撃と精神的苦痛を考えるとき、今回改正の中間検査制度の導入は大きな前進であります。建ってしまってからでは、その欠陥は判断しがたいというのが住宅の特性であります。それを考えますと、事前の建築確認、完成時の完了検査とあわせて、建設途中における中間検査制度の導入は、住宅の施主や購入者にとって大いに歓迎すべき制度であると思います。
 しかしながら、同制度の内容を吟味いたしますと、今回の制度は、大きく二つの点で骨抜きになっているのではないかとの懸念を持たざるを得ません。その一つは、すべての建築物に中間検査を行うのではなく、特定行政庁の指定する区域、期間、建築物の構造、用途、規模を限りという限定つきの導入であることであります。もう一つは、戸建て住宅の中間検査は、建築士の監理報告書の提出によって一部簡略化されていることであります。
 欠陥住宅を防ぐには、先ほども指摘しましたように、建ってからでは既に遅いわけでありますから、したがって、中間検査は、あらゆる建物、特に個人が主に購入する戸建て住宅に関してはぜひとも必要な制度であります。にもかかわらず、せっかくの制度から大骨二本が抜かれ、結果として名ばかりということになってしまったのでは、制度を導入する意味はありません。
 なぜ中間検査の対象を限定的なものにしたのか、明確な御答弁をいただきたいと思います。また、将来的にすべての建築物を中間検査の対象とする方向を考えているのかどうかも、あわせてお答えをいただきたいと思います。
 次に、建築確認検査の民間開放についてお伺いしたいと思います。
 今回の改正の背景として、建築物の着工件数に比べ、建築主事等の職員の絶対数が不足し、完了検査や違反建築物の取り締まり等を的確に行うことが困難な状況にあることが挙げられております。このことは、違反建築が常態化し、欠陥住宅が横行していることの証左でもあります。このような事態について、政府はどのような認識を持って今日まで建築行政を進めてきたのか、またなぜこれまでそういう状態を放置してきたのか、その責任についてどう考えているのか、建設大臣の明確な見解をお伺いしたいと思います。
 また、建築確認検査の民間開放については、指定確認検査機関の中立性、公平性が第一の問題であります。建設省の案では、公正中立な民間機関を指定することとなっておりますが、建設省が示しております指定要件では、ゼネコンやハウスメーカーの何社かが集まって指定確認検査機関をつくることができるようになっております。また、同機関は株式会社でもいいということでありますけれども、営利目的で活動することを考えますと、公正中立な確認検査が本当に担保されるのか、お手盛りの建築確認検査で今以上に違反建築や欠陥住宅がふえるのではないかとの懸念も指摘されております。
 こうした民間開放に伴う懸念に対して大臣はどのような見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。また、どう公正、中立性を担保していくのか、あわせて運用方針についてもお伺いしたいと思います。
 次に、建築基準の性能規定化等基準体系の見直しについてお伺いしたいと思います。
 建築技術の革新や規制緩和の観点から、性能規定化は評価できると考えております。しかしながら、性能基準を確認するための検証方法が確立されておらず、やり方によっては安全性に欠ける住宅ができ上がってしまう心配があります。こうした懸念について建設省はどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
 最後に、総理に、補正予算、経済対策について、住宅関係に絞ってお伺いしたいと思います。
 冒頭でも述べましたが、良好な居住環境を整備することは国民の基本的人権を守る国の責務であるという立場に立って、住宅政策に取り組むべきだと考えます。
 特に、今回の経済対策では、少子・高齢化社会に対応した多様な住宅政策を推進すべきと考えます。具体的には、一つは新婚家庭への家賃補助制度の創設、二つ目は住宅資金融資利子補給制度による持ち家の促進、三つ目は住宅取得に係る減税の拡充などのファミリー向けの施策であります。さらに、四つ目はシルバーハウジングプロジェクトの推進、五つ目は高齢者向け優良賃貸住宅制度の推進などの高齢者対策であります。これら生活大国実現のための諸施策について、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
 さらに、住宅供給を促進する施策として、定期借地権つき住宅の普及を図ることも重要であります。そのために、普及の足かせとなっております定期借地権の底地の評価額を普通借地権並みに引き下げることが必要であります。政府としても早急に結論を出すべきだと考えますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。
 以上、建築基準法の改正に関連して、政府の住宅政策について種々お伺いしましたが、総理初め関係閣僚におかれましては、今後とも、生活者の視点に立った、安心で豊かさが実感できる住宅政策を遂行していただくよう要望し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 井上議員にお答えを申し上げます。
 まず、生活大国を実現する上での住宅政策の現状及びあるべき住宅政策という問いかけをいただきました。
 住宅というものが、人生を過ごす上で大切な生活空間であり、美しい町並みを構成する、そういった意味でも重要な要素であることは、そのとおり、私もそう思います。そして、生活大国を実現していくためには、特に大都市を中心に立ちおくれた住宅事情を改善していく必要があることも御指摘のとおりです。また、今後の少子・高齢化というものを展望しながら、国民一人一人が、適正な負担のもとに、それぞれの人生設計にかなった住まい方を自由に選択し、実現できるよう住宅政策を進めていく必要があると考えております。
 次に、阪神・淡路大震災関連のお尋ねがございました。
 政府としては、これまでも被災者の方々の生活支援のために、公営住宅の大量供給とその家賃の大幅な引き下げ、阪神・淡路復興基金を活用した生活再建支援金の給付に対する地方財政措置など、さまざまな支援策を講じてまいりました。今後とも、政府としては、被災者の生活再建に向けてこれらの支援策を着実に実施していきたいと考えております。
 また、中間検査導入の背景についてのお尋ねがございました。
 阪神・淡路大震災の被害調査によりますと、倒壊等の被害に至りました建築物の多くのものは古いものでありましたが、施工の不備が原因と見られる新しい建築物も含まれていたという指摘がございます。こうした指摘も念頭に、このような被害の発生を防ぐために中間検査制度を導入することといたしました。
 次に、幾つかの御提言を含め、少子・高齢社会に対応した住宅政策というお尋ねをいただきました。
 国民がライフステージや人生設計にかなった住まい方を選択することができるようにすること、これが重要な点だと認識しております。このため、高齢の方々が不安なく住み続けられるよう、福祉施策と連携した住宅政策の拡充やバリアフリー住宅の整備、あるいはゆとりを持って子供を育てることのできる住宅整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、定期借地権の底地の評価、恐らく相続税評価のことだと思いますけれども、これについての引き下げを御提言いただきました。
 しかし、私は、この評価を政策的に引き下げることは課税の公平などの観点から適当ではない、そう思います。しかし、いずれにいたしましても、定期借地権住宅に係る底地の評価につきましては、現在、定期借地権等の実態調査を行っておりますけれども、こうしたものなどの結果も踏まえて、一層の適正化の観点から、普通借地権の底地の評価なども参考の要素にしながら検討を進めて、できるだけ速やかに結論を得るようにしていきたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣瓦力君登壇〕
#18
○国務大臣(瓦力君) 井上議員にお答えいたします。
 適正な住居費負担や優良な住宅につきましては、それぞれの世帯構成や価値観などによって異なりまして、一律に論ずることは困難でございますが、例えば住居費負担につきましては、勤労者世帯の平均年収の五倍程度を目安に住宅取得が可能となるよう各種対策を講じているところでございます。
 また、目指すべき住宅の目標につきましては、世帯構成に応じたゆとりある住宅規模、良好な住環境を備えていること等が望まれることから、住宅建設五カ年計画におきましては、居住水準等の誘導すべきガイドラインを定めているところでございます。
 中間検査制度の対象の限定等についての御質問でございますが、建築物の安全性のためには適切に施工がなされることが基本と考えており、このため、工事監理の責任の明確化、手続の厳格化等を図る一方で、これとあわせて、新たに中間検査制度を導入することといたしているものでございます。
 その実効性を上げるため、その対象を真に必要なものから実施することといたしておりまして、こうした観点から、戸建て住宅等につきましては、工事監理等が比較的簡易に行い得ることを勘案いたしまして、建築士による的確な工事監理がなされることを前提に、中間検査を簡略化することとしているものでございます。
 的確な工事監理の実施と中間検査制度が相まって、建築物の安全性の確保が図られることになると考えております。将来的には、今回の改正案の施行状況を踏まえつつ、適宜、総合的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、違反建築物対策についての御質問でございますが、建築規制制度の実効性を確保し、建築物の安全性と良好な市街地環境の確保を図るためには、違反建築物対策の充実強化が必要であると考えております。
 今回の改正におきましては、官民の役割分担のあり方を見直し、民間機関が行う道を開くことといたしております。これによりまして、行政は違反是正、処分等の本来行政でしかできない業務に重点を置くことができ、違反対策の推進のための体制の強化に資するものであり、この体制のもと、総合的な違反対策を進めてまいる所存でございます。
 また、建築確認を行う民間機関の公正、中立性の確保についてお尋ねでございますが、指定に当たり、役職員の構成や業務内容の中立性を審査するほか、役職員に公務員と同様の罰則を適用する措置を講ずることといたしております。民間機関の行う建築確認につきましては、行政庁に対する報告義務を課し、不適法なものについてはその効力を失わしめる等の措置を講じ、違反建築物の防止に万全を期す所存でございます。
 御指摘の公正、中立性の確保につきましては、制度の根幹にかかわることでありまして、今後、その運用方針について、各界の御意見を参考にしつつ慎重に検討してまいりたいと考えております。
 最後に、建築基準の性能規定化に伴い導入される検証方法と安全性の担保についての御質問でございますが、検証方法につきましては、建築物に係る既に確立された科学的、技術的知見によることを基本とすることといたしております。具体的には、例えば、厳格な実用試験を経て既に確立し国際的に普及しているなど、科学的、技術的チェックを経たもののみを、政令及び告示によりまして明確に示すことといたしております。
 したがいまして、このような検証方法の内容、手続両面の厳密さを踏まえれば、必要な安全性は当然に確保できるものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#19
○議長(伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#20
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五十九分散会

ソース: 国立国会図書館
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