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#1
第142回国会 本会議 第34号
平成十年四月三十日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十二号
  平成十年四月三十日
    午後一時開議
 第一 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第二 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第四 国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第二 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第四 国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 松永大蔵大臣の大蔵省職員と民間金融機関等との関係に関する調査及び処分についての発言
 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

    午後一時四分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長笹川堯君。
    〔笹川堯君登壇〕
#4
○笹川堯君 ただいま議題となりました出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、外国人の出入国の状況にかんがみ、旅券として取り扱う文書の範囲を拡大しようとするもので、その主な内容は、旅券の範囲に、日本国政府、日本国政府の承認した外国政府または権限のある国際機関が発行した旅券等のほか、政令で定める地域の権限のある機関の発行したこれらに相当する文書を追加すること等であります。
 本案は、参議院先議に係るもので、去る十日同院において原案のとおり可決され、本院に送付されたものであります。
 委員会においては、去る二十四日下稲葉法務大臣から提案理由の説明を聴取した後、審査を行い、去る二十八日質疑を終了し、直ちに採決を行った結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#7
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長北村直人君。
    〔北村直人君登壇〕
#8
○北村直人君 ただいま議題となりました農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における我が国の金融を取り巻く環境の著しい変化にかんがみ、貯金者等の保護の一層の充実と信用秩序の維持を図るため、農水産業協同組合貯金保険制度を改善しようとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、政府は、農水産業協同組合貯金保険機構の農林中央金庫または日本銀行からの借り入れに係る債務の保証を行うことができることとしております。
 第二に、経営困難な組合との合併により自己資本の状況が悪化した受け皿組合に対し、自己資本の充実を図るため、主務省令で定める基準に適合する場合には、同機構が劣後特約を付した資金の貸し付けを行うことができることとしております。
 委員会におきましては、四月十六日島村農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、二十三日に政府に対する質疑を行い、二十八日には参考人から意見を聴取するなど慎重な審査を行いました。
 同二十八日質疑を終局し、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#11
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第三、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長加藤卓二君。
    〔加藤卓二君登壇〕
#12
○加藤卓二君 ただいま議題となりました風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、本案の主な内容を申し上げます。
 第一に、風俗営業の規制の合理化を図るため、設備を設けて客にダンスをさせる営業のうち、一定の要件に該当するダンス教授業を風俗営業から除外すること等としております。
 第二に、風俗営業等に関して行われる売春事犯等の防止に資するため、風俗営業の許可の欠格事由を追加するとともに、営業者の遵守事項を強化すること等としております。
 第三に、無店舗型性風俗特殊営業者及び映像送信型性風俗特殊営業者について、公安委員会に対する届け出を義務づけるとともに、年少者を客とすることを規制すること等としております。
 本案は、参議院先議に係るもので、去る四月二十一日本委員会に付託されました。
 委員会におきましては、二十三日上杉国務大臣から提案理由の説明を聴取し、二十八日風俗営業等の規制のあり方、風俗営業から除外するダンススクールの要件、プロバイダーに対する規制の運用方針、青少年の健全育成のための措置等について質疑を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#15
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第四、国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生委員長柳沢伯夫君。
    〔柳沢伯夫君登壇〕
#16
○柳沢伯夫君 ただいま議題となりました国民健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、近年の高齢化の進展等を踏まえ、老人医療費拠出金について現行制度のもとにおける所要の見直しを行うとともに、一層の医療費の適正化を図るため、診療報酬の不正請求防止のための措置及び病床過剰地域等における保険医療機関の指定のあり方等に関して必要な措置を講じようとするもので、その主な内容は、
 第一に、医療保険制度等の抜本改革が行われるまでの間、退職被保険者等に係る老人医療費拠出金について、その額の二分の一を退職者医療制度において負担すること、また老人加入率の上限を現行の百分の二十五から百分の三十に改めること、
 第二に、保険医療機関の指定取り消しに係る再指定等を行わないことができる期間を現行の最長二年から最長五年に改めるとともに、不正請求に係る返還金に対する加算金の割合を現行の一〇%から四〇%に改めること、
 第三に、病床過剰地域内の新たな病床などの全部または一部について保険医療機関の指定等を行わないことができることとすること
等であります。
 本案は、去る三月三十一日の本会議において趣旨説明が行われ、同日付託となり、小泉厚生大臣から提案理由の説明を聴取し、四月三日質疑に入りました。同月十日及び十四日には参考人から意見を聴取し、二十八日には橋本内閣総理大臣に対し質疑を行い、同日質疑を終了いたしましたところ、自由民主党及び社会民主党・市民連合から、本年四月一日となっている施行期日を公布の日とする等の修正案が提出され、討論、採決の結果、本案は修正案のとおり賛成多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#18
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(大蔵省職員と民間金融機関等との関係に関する調査及び処分について)
#19
○議長(伊藤宗一郎君) 大蔵大臣から、大蔵省職員と民間金融機関等との関係に関する調査及び処分について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣松永光君。
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#20
○国務大臣(松永光君) 大蔵省においては、金融関連部局に在籍した職員を中心に民間金融機関等との関係について調査を行ってきたところでありますが、この結果、多数の職員において民間金融機関等との間に行き過ぎた結果があったことが判明しました。まことに遺憾であり、深くおわび申し上げます。
 調査の結果に基づき、これまでの国会での御論議も踏まえつつ、四月二十七日、厳正な処分を行ったところであります。
 その内容は、国家公務員法上の懲戒処分である停職が一名、減給が十七名、戒告が十四名、内規に基づく処分である訓告が二十二名、文書厳重注意が三十三名、口頭厳重注意が二十五名、合計百十二名であります。このほか、国家公務員法上の懲戒処分対象者ではありませんが、辞職した者が一名おります。これはかつて例を見ないものであり、まことにざんきにたえません。
 また、証券局長外一名から辞職の申し出があり、これを受理いたしました。このほか、近畿財務局長外四名を二十七日付で官房付に更迭したところであります。
 このような行き過ぎがあったことを深く反省するとともに、綱紀の厳正な保持を図り、信頼回復に向けて職務に邁進することを決意し、私と両政務次官、事務次官を初め幹部職員は、俸給の一部を国庫に返納することといたしました。
 さらに、処分を受けなかった者も含め、私から職員一人一人に対し、このような結果を厳粛に受けとめ、綱紀の緩みがなかったかどうかをみずから問い直すとともに、正すべき点は正し、一層の倫理観と使命感を持って職務に当たるよう求めたところであります。
 我が国経済が困難な状況にある中にあって、行政の停滞は一刻たりとも許されません。大蔵省の行政のあり方そのものについても、世の中の流れ、新しい時代の要請を踏まえて、転換を図っていく必要があります。
 私としては、職員の先頭に立って、綱紀の厳正な確保を図るとともに、新しい時代の要請を踏まえて、真に国民の負託にこたえられるよう全力を尽くしていく決意であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#21
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣村岡兼造君。
    〔国務大臣村岡兼造君登壇〕
#22
○国務大臣(村岡兼造君) 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律附則第三条の規定に基づき、これまでの派遣の教訓、反省を踏まえ、同法の見直し作業を行った結果、国際連合を中心とした国際平和のための努力に対して適切かつ効果的に寄与するため、国際的な選挙監視活動、人道的な国際救援活動のための物資協力及び武器の使用の三点に関して改正を行うものであります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 その第一点は、協力の対象に国際的な選挙監視活動を加え、国際的な選挙監視活動のための国際平和協力業務の実施及び物資協力を行うことができることとするものであります。
 第二点は、人道的な国際救援活動のための物資協力に関して、当該活動が国際連合難民高等弁務官事務所等の一定の国際機関によって実施される場合には、停戦合意が存在しない場合であってもこれを行うことができることとするものであります。
 第三点は、部隊として国際平和協力業務に従事する自衛官等の武器等の使用について、その一層の適正を確保するため、現場に上官があるときは、生命または身体に対する侵害または危難が切迫し、当該上官の命令を受けるいとまがない場合を除き、その命令によらなければならないこととするものであります。
 この場合において、現場にある上官は、統制を欠いた武器等の使用によりかえって生命もしくは身体に対する危険または事態の混乱を招くこととなることを未然に防止し、当該武器等の使用が自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛するという目的の範囲内において適正に行われることを確保する見地から、必要な命令をするものといたしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#23
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。石井紘基君。
    〔石井紘基君登壇〕
#24
○石井紘基君 私は、民主党を代表して、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案に関し、総理大臣、官房長官、防衛庁長官並びに大蔵大臣に質問をいたします。
 まず、政府は、今回の法律案提出に当たって、今までの国連平和維持活動、いわゆるPKOへの派遣に関する教訓や反省を踏まえての法改正であるとうたっているわけですが、この反省する点というのは具体的にどのようなことなのか、総理に伺います。
 次に、上官命令による武器使用について伺いたい。
 今までにPKOに参加した自衛隊員が武器を使用しなければいけなかった事態は、幸いなことになかったと聞いています。今回の見直しでは、PKOに参加した自衛隊員の個人の判断での武器使用は個々の隊員の心理的負担が大きいなどの声にこたえて、上官命令による武器使用に改正することになったということであります。自衛隊は部隊単位で行動し、指揮官の命令に従うことで統制がとられているにもかかわらず、武器使用の判断を個人にゆだねたこと自体、実は無理があったのではないか。一九九二年当初、政府はPKO派遣を急ぐ余り、武器使用に関する矛盾を残したまま隊員を派遣していたことになるのではないか。それらの点について、総理の見解を求めます。
 次に、人道的な国際救援活動のための物資協力について、停戦合意の要件を除外する点について聞きたいと思います。
 政府は、PKO活動への参加を開始して以来、PKO参加五原則を掲げてきたわけでありますが、今回の改正で、活動を停戦合意がある場合に限るという原則が崩れるのではないか。停戦合意がない地域への物資協力とは、物資の提供だけを指すのか、それとも物資を現場まで輸送する活動をも含むのか、官房長官に説明をいただきたい。
 また、停戦合意がないところでは、二つ目の原則である紛争当事者の同意を得ることが困難ではないのか。さらに、第三の原則である中立的立場を守れるかどうかについても懸念が残る。武器弾薬を除くにしても、停戦合意がない状態で物資が配布されれば、だれの手に渡るかがあいまいとなり、間接的には紛争当事者の一方に加担してしまうケースも起こり得るわけであります。この改正によってPKO参加への五原則を見直すことになるのか、見直すのであればどのような原則に新たになるのか、総理に説明を求めるものです。
 次に、PKO法改正とガイドライン関連の国内法整備の関係について伺いたい。
 この改正案で実施されることになる上官命令による武器使用や停戦合意なしの人道的物資協力は、日米ガイドラインのもとで実施される対米協力やそれ以外の対米協力にも適用できるのではないか。むしろ、そのような意図があるのではないか。二十八日に政府が提出した周辺事態安全確保法案には、上官命令の武器使用や停戦合意がない場合での後方支援についての規定はない。しかし、ガイドラインの後方支援もPKO協力法に倣って運用上実行可能とお考えなのではないか。この点について、防衛庁長官の見解を確認しておきます。
 ガイドライン関係の対米協力は一切国会承認を求めていない。同じくPKO派遣でも、国会に対しては単に報告を求める規定しかない。一方、PKFは国会承認の規定が入っている。PKFに国会承認があり、PKOやガイドライン関連の対米協力にそれを不要としている理由について、防衛庁長官は、さきに、PKFの国会承認要件は国会が法案を修正して決めたことなので、自分はどうして国会承認が必要なのかはわからないという答弁をしておりますが、しかし、たとえ国会承認要件を追加修正したのは国会であっても、防衛庁長官は法の執行責任者であります。そんな他人事のような解釈は通らないのではないでしょうか。国会承認の要否の基準について改めてお答えいただきたい。
 次に、PKOへの参加を我が国の外交の一環として考えるべきだという観点から、今後のPKO参加のあり方について伺いたいと思います。
 政府は、今回の改正で、隊員を派遣できる活動対象に選挙監視活動を追加し、人道的援助に関する停戦合意要件をなくすことを提案しております。そうなると、日本が行える活動の範囲は明らかに広がることになります。政府は、国連から要請があり、PKO協力法の要件に当てはまる活動なら無分別にすべて参加すべしと考えているのか、総理に見解を求めます。
 また、一部の国から、日本は国連の安保理入りを望んでいるのにPKFに参加しないのはおかしいではないかと言われているようでありますが、政府はPKF凍結解除を検討しているのでしょうか。PKF凍結解除は日本が安保理入りするための必要要件だと考えておられるのかどうか、総理に伺います。
 PKOへの派遣は主として日本とその地域との関係の重要性をもって判断すべきであって、人道的援助の名のもとにどこにでも要請されるままに隊員を派遣し活動を実施することは、少々無原則に過ぎるのではないか。むしろ我が国独自の外交姿勢を鮮明にして、その観点から、特に必要な地域において活動に参加するべきではないか。そして、PKO活動が終了した後においてもODA等の協力を継続していく方が、より有効な外交効果を発揮し得るのではないか。国際貢献といえども、ただ何かすればいいというものではありません。
 PKO活動については、派遣前に実施計画が出され、活動終了後もしくは途中で国会に報告が提出されるわけですが、活動の実態について国会での精査が必ずしも十分に行われてこなかったのではないか。PKOへの参加要請は国連から日本の国連代表部を通して日本政府に打診されるけれども、外務省はどのような要請があって、何については断っているのか明らかにしておりません。日本がどのような協力をしていくべきか考える上で、そうした情報を公開するべきではないのか、総理に見解を伺います。PKOのあり方や活動の内容については、国会中心に検討するように強く求めたいと思います。
 さて、先ほど大蔵大臣から報告がありました大蔵省職員の民間金融機関からの過剰接待に関する処分について、これは極めて重要な問題でありますから、質問をいたします。
 四月二十七日、大蔵省は民間金融機関からの接待に関する調査結果と百十二名の処分を発表いたしました。しかし、これは少なくとも金融関連の限られた職員のみの、しかも民間金融機関だけを対象とした接待に限って調査したというものでありまして、大蔵省疑惑のごく一部分を公表したにすぎないものであります。
 国民の税金を吸い上げ、予算の配分を担当する大蔵省の救いがたい腐敗ぶりに対して、国民の怒りは心頭に発しているのであります。この不信感はあまねく政治と行政全般にまでわたって、もはや沸騰点に達しているのであります。この調査と処分をもって国民の皆さんの怒りにこたえることができると思うのか。大蔵大臣、大蔵省の腐敗の全般にわたってさらに一層の調査究明を進めるつもりがあるのかどうか。官と官、中央と地方、特殊法人や公益法人、そして政治家との間の接待関係など、あるいは日銀の腐敗との関連も含めて、引き続き調査を徹底する必要があるのです。御答弁をいただきたい。
 大蔵大臣、そもそもこの調査は、三塚前大蔵大臣の辞任のときから、野党の徹底調査の要求の中で開始されたはずであります。この程度の調査結果にしては時間がかかり過ぎる、遅過ぎる。あなた方は、こそくにもこの連休のタイミングを待っていたのではないのか。そうに違いない。真相究明のための真剣な姿勢に全く欠けていると申し上げなければなりません。
 大蔵大臣、あなたはなぜ、言われるところの接待魔王長野証券局長、接待大魔王杉井銀行局担当審議官の辞表をあっさり受理してしまったのか。懲戒免職にして退職金の支払いをなぜ拒否しなかったのか。その理由を言ってください。また、退職金をどうしても支払うというのであれば、両氏がその受け取りを辞退するような勧告をするつもりはないのか、お答えください。
 さらに、今回の処分の基準は全般に極めてあいまいであります。接待先の団体名や職務との関連などとともに、処分の判断基準を明確にしていただきたい。
 松永大蔵大臣、あなたは就任直後の国会答弁の中で、新たな不祥事が発覚したときには責任をとると言われたはずです。今回、部分的に明らかになったことは、明らかに大蔵省の新たな不祥事であります。これほどの前代未聞のスキャンダルが単なるおわびで済むと思うのか。そうだとしたら、この国はよほどおめでたい国だということになってしまう。どんな悪いトカゲでも、しっぽさえ切ればそれでいいということになるのではありませんか。みずからの言動に責任を持って進退をお考えになるおつもりはございませんでしょうか。(拍手)
 さて、橋本総理大臣、あなたこそ行政の最高責任者です。処分を行う人は、少なくてもあと二人いるんじゃありませんか。一人は大蔵大臣、もう一人はだれでしょう。ここで総理から総理御自身に対する厳しい処分の言葉が聞けるならば、この国の危機は救うことができるでしょう。政治と行政への信頼回復につながっていくことでしょう。日本がよみがえるような、目が覚めるような、この点についての御答弁をぜひ聞かせていただきたいと思います。もし総理に最大限の責任がないとおっしゃるなら、その理由も伺いたいものだと思います。
 総理、ついに我が国の完全失業率は、この三月期で三・九%という過去最悪を更新してしまいました。経営の行き詰まりによる自殺者は連日増すに増すばかりであります。この勢いはなおとどまるところを知らないという状態です。橋本内閣の経済政策、金融政策は、よくもこんなに間違うものだと感心するくらい、やることなすこと失敗ばかり。あなたが頼りにしてきた大蔵省は、案の定、腐敗、退廃、汚職のるつぼであった。最近の各種世論調査においても、橋本内閣への不支持率は軒並み五〇%を超えてしまっている。この事態を一体どのように受けとめているのか、あわせて伺わなければなりません。
 大蔵省のたび重なる根深い腐敗は、今回の処分で一掃できるとお考えでしょうか。大蔵の再生につながるとお思いなのですか。そもそも、この腐敗のよって来る温床は、大蔵の強大な権限保持にあるのではありませんか。金融機関や業界、企業の生き死にを決める無数の権限を振りかざしたところのゆすり、たかり、おどし、そしていじめ、一方ではそれに貢がされる者、これは小学校、中学校におけるいじめや自殺の見本そのものではないですか。こうした腐敗、汚職の根深い病巣を取り除くことこそ今必要なのです。にもかかわらず、今般審議中の行政改革と称する法案のどこを見ても、大蔵省などの巨大権限を排除し改める姿勢がありますか。
 あなたは、今回の処分に対するコメントを求められて、今後は死に物狂いで働いてくれと言ったそうですけれども、大蔵省の仕事のあり方をこれまでどおりに放置しておいて、死に物狂いで働けとは一体どういうことか。あなたの言葉を換言すればこうなります。大蔵省の職員よ、引き続き許認可や裁量の強大な権限を行使するために死ぬほど頑張れ、こういうことになるではありませんか。
 あなた方は、むしろ大蔵省に権限を握らせて、その裁量を利用し、都合のいい予算配分をやってきたんじゃないですか。我田引水の公共事業をやってきたんじゃないんですか。政治家がそのために大蔵の高級官僚を接待したということはないのか。橋本総理は、裁量行政の打破、省庁権限の大幅な縮小について明確な考えを示すべきであります。お聞かせください。
#25
○議長(伊藤宗一郎君) 石井紘基君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#26
○石井紘基君(続) 最後に私は、政治家、公務員の心得として松野頼三先輩が最近私にある資料を送ってきてくれました。それを紹介させていただきたいと思います。
 それは、明治三十二年三月二十八日に公布された文官分限令、この第二条は次のように記しています。「官吏ハ刑法ノ宣告、懲戒ノ処分又ハ本令ニ依ルニ非サレハ其ノ官ヲ免セラルルコトナシ」。また、その他の関連法令では、公務員たる者の品位を保つ義務、浪費の禁止など、私生活に至るまでの厳しい心得を求めているのであります。
 公務員というものは、明治の昔からこのように位置づけられ、社会、公共に奉仕する崇高な志のもとに、清貧に甘んじても国家国民の未来のためにささげる存在としてその制度を社会に定着させてきたのだと思うのです。そうだとするなら、今日の大蔵省を初めとする官僚の中の風紀の乱れに対して、いかにこれを正し対処していくのか、総理のお考えを伺って質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#27
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 石井議員にお答えいたします。
 まず、PKO派遣に関する具体的な反省点についてお尋ねがありました。
 カンボジア、ザイール等での活動を通じ、武器使用のあり方を含め、要員等の安全確保及び具体的な安全対策の一層の充実の必要性や、人道的な国際救援活動における迅速かつ柔軟な派遣体制確立の必要性等の教訓、反省が得られております。
 そもそも、武器使用を個人判断としたこと自体、無理があったのではないかというお尋ねもありました。
 法案審議当時、国際平和協力法上の武器の使用の判断は個々の隊員の判断にゆだねることが適切であるという答弁をいたしましたが、いまだ派遣の経験のなかった当時の判断としてはやむ得ないものだったと考えており、その後の派遣の経験等を踏まえ、今回、所要の法改正を行いたいと考えております。
 次に、停戦合意がなければ、物資協力が一方の紛争当事者に加担することとなるのではないか、また、この改正は五原則の見直しにつながるかという御指摘がありました。
 今般の改正は、停戦合意が存在しなくても、その活動の不偏性への評価が保たれている一定の国際機関自身によって実施される人道的な国際救援活動のための物資協力を実施できるようにすることであり、このような国際機関に対する我が国の協力が、一方当事者に加担することとなり中立性を欠くものと評価されることは考えられません。加えて、今般の法改正は人道的な国際救援活動全般に係る諸原則を変更するものではなく、また、国際連合平和維持活動への協力の前提も何ら変更するものではありませんので、いわゆる五原則の見直しにつながるものとも考えておりません。
 参加する活動の判断基準についてお尋ねがありました。
 政府としては、今後とも、憲法、法律の枠内で行われるべきこと、国内及び国際社会から評価されるものであること、派遣が効果的にかつ安全に行われるよう支援体制を整えること、我が国が適切に対応することが可能な分野であることなどの観点から、総合的に判断していく考えであります。
 次に、いわゆるPKF、平和維持隊本体業務の凍結の解除と日本の安保理入りについての御質問をいただきました。
 まず、PKF本体業務の凍結解除の問題と国際平和協力法の見直しとは、法律上別途規定されているものであり、この凍結業務の取り扱いについてはさまざまな御意見があるところでありますが、政府としては、国会等におけるこの問題の御議論にも十分耳を傾けながら、今後、検討していくべきものと考えております。また、我が国は、憲法が禁ずる武力の行使は行わないという基本的な考え方のもとに、多くの国々の賛同を得て、安保理常任理事国として責任を果たす用意があるとの立場を国連総会等累次の機会に表明してまいっておりますが、PKFの凍結解除が安保理常任理事国入りの必要条件だとは考えておりません。
 また、これまでのPKO活動についての国会での御議論についての御質問がありました。
 これまでも、国際平和協力法の規定に従い、国際平和協力業務の実施の状況や実施の結果を国会に報告いたしてまいっております。また、今後も、国際平和協力業務の実施に当たっては、これらの報告などを踏まえた国会における御議論の内容を適切に反映していくことは当然と考えております。
 次に、PKOへの参加要請についてお尋ねがございました。
 正式要請の前に各国に対して行われる国連の非公式な打診につきましては、国連側としては一切対外的に公にしないという方針で臨んでおります。したがって、個別具体的な打診の内容、これを断った例について情報を公開することは、国連との関係から差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、大蔵省の処分に関連し、私自身の責任と支持率についての御意見をいただきました。
 私としては、その時々の状況に応じて、財政、金融両面にわたる措置をとってまいりました。また、大蔵省に対する御指摘については、まず大蔵省の諸君には今回の事態を深く反省し、一層の倫理観と使命感を持って職務に邁進してもらいたいと考えます。私の責任は、一刻も早く行政に対する国民の信頼を回復するとともに、国政を停滞させずに、構造改革を進めながら景気回復に努めることにあると考えており、今後とも全力を尽くしてまいります。(拍手)
 次に、大蔵省の不祥事と行政のあり方というお尋ねがございました。
 金融行政については、事前指導的な裁量行政から事後チェック型の行政への転換を図ることが重要であり、金融監督庁設置による大蔵省からの検査・監督の分離、金融システム改革の推進による徹底的な規制緩和・撤廃など、改革を進めております。さらに、財政と金融のあり方について、行政改革会議並びに与党間で議論が尽くされた結果を、現在、国会で御審議いただいている中央省庁等改革基本法に忠実に盛り込んでおります。
 最後に、公務員の倫理を明治の文官分限令に例をとられながら御意見をちょうだいいたしました。
 政府としては、いわゆる公務員倫理法の制定を期して、与党と密接に連携を図りながら、鋭意検討を進めてまいりました。そして、先般、与党において国家公務員倫理法大綱が取りまとめられました。今後はできるだけ速やかに法案化作業を進め、今国会において早期に成立されるよう万全を期したいと考えております。
 同時に、それ以前の問題として、公務員一人一人が国民の奉仕者としての自覚を新たにし国民の信頼確保に努めるよう、努力を促してまいりたいと思います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣村岡兼造君登壇〕
#28
○国務大臣(村岡兼造君) お答えを申し上げます。
 まず、本改正で五原則が崩れるのではないか、また物資協力には輸送まで含むのかどうかとのお尋ねでございますけれども、物資協力についての今般の法改正は、物資協力及び要員派遣を含めた人道的な国際救援活動全般に係る原則を変更するものではなく、また国際連合平和維持活動への協力の前提を何ら変更するものではないので、御指摘は当たらないと考えております。
 また、そもそも物資協力とは、物品を無償または廉価にて譲渡することでありまして、物資を現場まで輸送する活動は含まれておりません。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣久間章生君登壇〕
#29
○国務大臣(久間章生君) 石井議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、改正法案と新指針の対米協力等との関連についてですが、国際平和協力法は、同法附則第三条の規定に従い、平成七年八月以来、法の実施のあり方について見直しを行った結果、その改正案を先般国会に提出したものであり、新指針における対米協力等に適用するとの意図に基づくものではございません。
 次に、周辺事態安全確保法案についてのお尋ねですが、同法案における後方地域支援は、周辺事態において我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲で行われるものであり、国連平和維持活動のように、他国の領域で停戦合意を前提に行われるものではありません。また、後方地域支援の実施に際して、同法案の規定に基づき武器を使用することはありません。
 最後に、国会承認についてのお尋ねですが、国連平和維持活動への協力は、防衛出動や治安出動のような我が国にとっての重大な事態への対応でなく、国民の権利義務に直接関係するものではありません。また、周辺事態への政府の対応は、武力の行使を含むものではなく、国民の権利義務に直接関係するものではなく、迅速な決定を行う必要性があるものであります。これらの点を総合的に勘案し、これらの活動については、国会に遅滞なく御報告し議論の対象としていただくことが適当と考えたところであります。
 なお、いわゆる平和維持隊、PKF本体業務の実施についての国会承認は、法案審査の際に種々議論され、立法府において、より多くの賛成を得るとの点なども考慮した上で修正案が提出され、法案が修正されたものと理解しております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#30
○国務大臣(松永光君) 石井議員にお答えいたします。
 今回の内部調査についてのお尋ねですが、調査の結果、多数の職員において民間金融機関との間に行き過ぎた関係があったことが判明し、問題のあった職員に対して厳正な処分を行ったところであります。まことに遺憾であり、深くおわびを申し上げます。大蔵省職員一同、これを契機に、綱紀の厳正な確保を図るとともに、新しい時代の要請を踏まえて、真に国民の負託にこたえられるよう全力を尽くしていく決意であります。
 さらに、民間金融機関との関係以外にも調査を進めるつもりはないかとのお尋ねですが、今回の調査は、個々の職員について、民間金融機関との間の節度を超えた関係により公務員としての信用が損なわれていないかを調査し、問題のある者に対して厳正な処分を行うということを目的として行ったものであります。なお、今後、仮に具体的な疑惑が明らかになった場合には、調査をし、厳正な処分を行う所存であります。
 今回の処分及び退職金の取り扱いについてのお尋ねですが、私としては、長野前局長を初め、今回辞職した元職員に対して停職あるいは減給という厳正な処分を行ったところでありますが、これに対し、長野前局長などから、民間金融機関とのみずからの関係を省みて職を辞したい旨の申し出があったために、これを受理したものであります。
 退職金の取り扱いについては、法律上は自己都合退職としての退職金ということになりますが、まずは本人の気持ちを聞いてみたいと考えております。
 処分の判断基準についてのお尋ねですが、処分については、調査結果に基づきまして、倫理規程等の制定時期との関係、職務上の関係者との関係、同一の者との会食等の反復継続度合いなど、さらには管理監督の地位、こういった点を中心に総合的に勘案を行い、民間の金融機関等との節度を超えた関係により公務員としての信用が失われていないかどうかを判断し、その程度に応じ、厳正な処分を行ったところであります。
 接待先の団体名等につきましては、相手方があることでありますので、公表は差し控えさせていただきたいと考えております。
 私の責任についてのお尋ねですが、今回の調査の結果、多数の職員において民間金融機関等との間に行き過ぎた関係があったことを深く反省するとともに、私としては、職員の先頭に立って、綱紀の厳正な確保を図り、信頼回復に向けて職務に邁進し、新しい時代の要請を踏まえて、真に国民の負託にこたえられるよう全力を尽くしてまいる決心であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○議長(伊藤宗一郎君) 赤松正雄君。
    〔赤松正雄君登壇〕
#32
○赤松正雄君 新党平和の赤松正雄でございます。会派平和・改革を代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣提出の国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆるPKO法改正案につきまして、総理大臣ほか関連大臣に質問をいたします。
 ただ、今も石井紘基議員から質問がございましたように、この法案の質問に先立ちまして、私からも、大蔵省の今回の不祥事に対する百人を超える処分者を発表した点に関連して、総理に御質問をいたします。私、一昨日、大蔵委員会で大蔵大臣にいろいろ質問をいたしましたので、今からはエッセンスのみ質問をいたします。
 まず、今回のようなこうした過剰接待の実態は、本質的には、大蔵省が持つ、政府の中の政府とまで言われる強大な権限に由来するいわば構造腐敗だと考えるものであります。行政改革の観点からいいまして、権限の分散が必要であり、その意味から、大蔵省は、予算編成、財政、金融、税制等、おのおの分野に応じて分割すべきが妥当だと考えます。国民感覚からすれば身内に甘いと思われる今回の処分内容、いわゆる天下りがもたらす弊害あるいは構造的な腐敗に関する認識、さらには大蔵省分割についていかがお考えか、また他の行政部局に関してこうした内部調査を行う考えはないかどうか、お聞きしたいと存じます。
 あわせて、さきの大蔵省に関する不祥事としては、中島元主計局次長や田谷元東京税関長の不祥事の際も、その詳細かつ具体的な調査報告は一切なされておりません。欧米では、こうした場合、詳細な調査報告書が作成されることが当然だと聞きます。今回の大蔵不祥事も含めて、一連の大蔵省関係の事件に関して、具体的な経緯、原因、今後の対処等について国民の前に明らかにする意味からも、詳細な調査報告書を作成すべきだと考えますけれども、総理の御見解を伺います。(拍手)
 さて、PKO法は、九〇年代劈頭の湾岸戦争をきっかけに、日本の国際社会への貢献についての議論が起こり、まさに大騒ぎの末に九二年六月十五日に成立、同八月十日に施行されたものであります。この間の歳月を振り返りますと、同法案成立は、いわば国際社会における日本の市民権獲得的な側面があったと言えます。あのとき、衆参本会議での牛歩戦術のあげくにバッジ返上騒動まで起こして反対した当時の社会党が、今は自民党と政権を組んでおられるわけですけれども、まさに隔世の感がいたします。
 成立時に三年後には見直すとの条項が入っていたにもかかわらず、六年たった今日に、ようやく三点だけの改正案がいわば恐る恐る提出されたことは、一体どういうわけでありましょうか。いささか遅過ぎますし、見直しの中身も小ぶり過ぎると言わざるを得ません。社民党と名を変えられたとはいえ、あれだけ反対した人々がパートナーだけに、政府・自民党にとって、大きな改正を持ち出すには危険がつきまとう、用心するにこしたことはないということの結果なのではないのかと疑念を持たざるを得ないのであります。
 先ほど、イラクに対するアメリカの武力攻撃の可能性が取りざたされたとき、再びあの湾岸戦争の際のように、日本への多国籍軍参加の要請が来るといったふうに発展するのではないかとの悪夢がよぎった向きもあったのではないでしょうか。幸いなことに、アナン国連事務総長らの仲介によって一応事なきを得ていますが、いつ何どき再燃するかもしれません。このことは、去る二十八日に閣議決定を見たばかりの日米ガイドラインの見直しに伴う関係法整備の問題とはまた違った意味で、極めて重要な問題だと言えます。
 つまり、日本の平和を直接脅かすような事態が起きたときにどうするのかが日米安全保障論議、具体的には日米ガイドライン関係論議だとすると、この国際社会の一員としてどう義務を果たすか、いわば警察的行動ともいうべきテーマにどうかかわるかが国際安全保障論議であると言えます。日本に直接かかわることは、周辺事態などといった新しい概念の導入もあり、日米ガイドライン関連法に関心が高まっておりますけれども、のど元過ぎれば熱さ忘れるのことわざどおり、国際安全保障の分野については忘れられがちであります。このことは、PKOというと、政府の政策不況も相まって、プライス・キーピング・オペレーションと間違う向きが多いことなどが何よりも裏づけているのではないでしょうか。日米ガイドライン論議も、またPKO論議も、双方とも日本にとって極めて重要な問題であることをここで改めて強調したいと思います。
 九〇年代の国際社会は、湾岸戦争とともに幕があけました。あのときに日本という国が問われたのは、まさに激動を続ける世界の中でどう生きていくのかということでありました。それまでの日本は、ともかく平和であればいい、戦争に巻き込まれなければいいという、いわば一国平和主義とでもいうべき姿勢だったのですが、それでよいのかということが突きつけられたわけであります。平和が壊れた、世界がその平和を回復しようというときに、日本は何ができるのか、何をするのかが問われたのであります。
 そうした中で、九十億ドル支援というお金による国際貢献論やら、また国連平和協力法案という国連の決議があれば海外での武力行使も正当化されることをねらいとした法案などが、当時の自民党政府によって提出をされました。特に、この法案をめぐっては、多国籍軍への後方支援がどこまで可能か、どこからが武力行使と一体となるか、つまり憲法が禁止している集団的自衛権の行使につながるかどうかということが論争の的となったわけであります。当時の公明党などが、国連の一員としてでも自国の防衛目的以外のために海外で武力行使をすることは憲法上許されないとの主張を貫き、廃案に追い込んだのでありました。
 それから約一年の論議の結果、PKO法が成立しました。この法律によって日本が協力することにしたPKOとは、直接的な武力行使で紛争を抑える集団的安全保障に位置づけられるものではなく、むしろ紛争が終わった後に再発を防止するためのものであるがゆえに、冷戦下、米ソ対立で国連軍が機能しないため、集団的安全保障の補完的なものとして国際社会で高く評価されていました。しかし、日本では、それまで全くと言っていいほど関心が寄せられていませんでした。世界の紛争には、終わった後にせよ何にせよ、ともかくかかわりたくないという一国平和主義の悪弊が色濃く反映していたからであります。
 粘り強い与野党折衝の末に、当時の公明党などの主張が受け入れられ、一つは停戦合意の成立、二つは紛争当事国の受け入れ同意、三つはPKOの中立、四つは三つのいずれが欠けても任務を中断、撤退する、五つは武器の使用は護身に限定するといったPKO参加五原則が法律そのものに盛り込まれました。あわせて、当面日本が参加するPKOは、後方支援に限り、停戦監視、武装解除監視といったPKF、国連平和維持隊本体業務については凍結することになったのであります。その後の展開は、残念ながらボランティアの中田さんらのとうとい犠牲もありましたけれども、明石康国連事務次長らの活躍もあって、カンボジアPKOへの協力を初めとして、それなりの評価を得ることにつながっていったことは周知の事実であります。
 以上、申し上げまして、この法案についての問題点を、時に日米ガイドライン関連法との関係性もあわせて具体的にお聞きしたいと思います。
 まず第一に、今回の法改正の最大のポイントである武器使用をめぐって、個人判断から原則上官の判断に変えるということについて、かつて自己防衛なので個人判断で可能としていたのを今回のように変える政府答弁の整合性の食い違いをどう考えられるのか、改めて明快にお示し願いたい。この法律が最初に論議された当時、個人としての正当防衛が結果としての部隊、組織防衛になる可能性があり、その際における憲法との整合性が不明確だとの主張がなされましたけれども、今度の改正では、まさに直接その危険性が起きてくるのではないかという点であります。
 さらに、上官の判断に従うというのが世界の軍事における常識であるという点でありますけれども、では、上官の判断にゆだねるとどういうことが起こりかねないかといいますと、極端な例かもしれませんけれども、今話題の麻生幾さんの小説「宣戦布告」で詳細に描かれていますように、上の指示を待っている間に、瞬く間に攻撃の的にされてしまい、悲惨な状態を招かないのかどうか。創立以来戦ったことのない、誇るべき気の毒な軍隊ではない軍隊の我が自衛隊だけに、心配されるわけですけれども、いかがでしょうか。
 橋本総理と思われる諸橋太郎という名のかなり短気な総理大臣がこの本には登場しますけれども、総理は読まれておられると思いますけれども、かの戦闘場面についての著述への御意見も含めて、ぜひお考えをお聞きしたいと思うのであります。
 また、武器の組織的使用が、状況の新たな展開の中で結果的に武力の行使につながっていく可能性なしとしないと思います。どういうケースが武力の行使と認定されるのか。憲法の禁止するところの武力の行使について、改めて、この場合に即して定義を示していただきたい。
 さらに、武器使用について、周辺事態法案との連動性についてお聞きしたい。
 まず、周辺事態法では武器の使用は上官の命令で行うことが明記されていませんけれども、これはどういう理由か。今回のPKO法改正内容と合致させることが自然ではないのでしょうか。
 また、船舶検査活動、いわゆる臨検に当たっては、事の性質上、当然のことながら、艦砲でありますから、射撃を伴うこともあり、PKOの陸上での個人あるいは部隊対応と違って、武力行使に発展する可能性が高いと判断されます。先般、衆議院安全保障委員会で防衛庁長官に私がそのあたりについてお尋ねをしましたけれども、長官からは、相手船がこちらの臨検を阻止して逃げてしまったらそれはしようがないとの答弁がありました。
 改めてここで確認をいたしますが、臨検に当たる自衛艦は、ほかの国連加盟国海軍と同じように実弾を使用して阻止行動を行えるのかどうか。もし行えないということなら、検査を拒否する船舶は我が海上自衛隊の担当する海域に競って集まってくるという極めて異常なことになるのではないでしょうか。この点について明確な考え方をお示し願いたい。
 とともに、臨検について、総理は、国連安保理の決議に基づく集団安全保障としてのものだから憲法に抵触するものではないという答弁を、日米ガイドラインをめぐる参議院本会議の質疑の中でされておりますけれども、その場合の集団安全保障への参加なら武力行使は許されると考えておられるのではないかとの疑念が強く起こってまいります。この点についても明快な答弁を改めてお示し願いたいと存じます。
 次に、人道的国際救援活動に限って、停戦合意がなくても緊急物資が送れるように改正することについては、五原則の一つを外すわけでありますから、強い自覚が必要であると思います。歯どめ外しについては、慎重であるべきだからであります。
 五原則が法律に盛り込まれているということは極めて重要で、これからも遵守されなければならないと思いますけれども、停戦合意をめぐって、カンボジア派遣の際、特に第二次隊の場合に、その後に派生した状況の変化により、かなり見解が分かれた場面がありました。現地で停戦監視員が、国内と現地の乖離という言葉を使って物議を醸しましたけれども、この際、改めて停戦の合意についての定義をはっきりさせるべきだと考えますが、お尋ねしたいと思います。
 さて、次に、施行後六年たってのこの法律をめぐる問題点を若干指摘したいと思います。
 まず、カンボジアPKO派遣の際に、我が国のPKOの目標は道路、橋のかけかえであったのに、第一次隊の場合、着くとすぐに物資の補給やら水の輸送、さらには駐屯地の建設などの任務についたり、第二次隊のときは、選挙支援のために完全に道路補修が中断され、さらには凍結されている任務のはずの巡回までしていたことが、現地を実際に見たジャーナリストたちによって指摘をされております。
 任務と参加領域の実質的な拡大がなし崩し的に進められていたことをどう認識しているのかどうか、お尋ねしたい。これはまた、凍結されているPKFへの実質的な接近を意味しているのではないか。今日までのPKO参加の経緯の中で、PKFに日本も参加、協力してほしいとの要請はなかったかどうかについても、あわせてお聞きしたい。
 日本がPKF本体業務の凍結を解除したとしても、他の国のPKFと同じようにいわゆる警護活動ができるということではないということは、護身という武器使用の原則がPKO法全体にかかっているために当然のことであります。しかし、それではPKF凍結を解除しても不十分ではないかとか、逆にPKF凍結解除をすると極めて危険であるという、双方の立場からの誤解が生じてきております。
 このことは、ともに、五原則がこの法律全体を覆っているということを十分に理解されていないところから起こっております。一部に、今のPKFは解除すべし、単に解除しただけでは役に立たないから五原則を見直せという主張があるようでありますけれども、私たちは、五原則を外すということは、即憲法の問題につながり、危険であるということがあると思います。このあたりのことについて総理はどう考えられるか、改めてお伺いしたいと思います。
 PKO大国と言われるカナダでさえ、今大きな挑戦を強いられ、試練を受けつつあると言われる状況の中で、PKOへの積極的取り組みを積み重ねることが日本の国際貢献の名を高めることになることは間違いありません。また、この地上でのさまざまな紛争の発生に際して、日本も人的な貢献をすべきだ、多国籍軍にも参加してほしいといった、いわば日本への無理な要請をPKOでの実績がはねのけることになると私には思われます。この点について、つまり日本のPKOへの協力についての根本的な認識について、改めて総理の考え方をお聞きしたいと存じます。
 さて、日米ガイドライン関連法案の閣議決定をめぐって、元自民党の政府有力高官からでさえ、この時期になぜ日米安保は強化なのか、国民にはわかりにくいとの声が上がっております。日米関係強化への気遣いの余り、米軍のアジア太平洋戦略への追従から、さらに進んで世界戦略への無批判な迎合へと進むかに見える橋本政権の外交・防衛姿勢には大いに問題あり、こう指摘をさせていただいて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#33
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 赤松議員にお答えを申し上げます。
 まず、構造的な腐敗、また今回の大蔵省の処分についてのお尋ねがございました。
 大蔵省におきまして、調査結果に基づいて、かつて例を見ない厳しい内容の処分を行ったと聞いております。大蔵省の諸君には、今回の事態を深く反省し、一層の倫理観と使命感を持って職務に邁進してもらいたい、心から願っております。
 他の行政部局に関する調査のお尋ねには、仮に具体的な疑惑が明らかになりましたときには、厳正な処分を行ってまいります。
 また、調査報告書というお尋ねがございましたが、今回の処分につきましては、大蔵省において報告書を取りまとめ、公表しております。また田谷、中島氏の問題につきましては、私的な交際の問題とはいいながら、東京協和信用組合の高橋理事長から供応を受けたこと等により、大蔵省において平成七年に処分を行っておりますが、両名とも既に退職しており、処分の内容についても当時発表されておるところでございます。
 天下りの問題は、公務員制度全体の問題とし、公務員制度調査会を初め、関係機関に速やかな検討を指示いたしております。
 また、大蔵省を分割すべきではないかというお尋ねをいただきましたが、予算編成、財政と金融、税制等に関する国家行政組織のあり方につきましては、行政改革会議、さらに与党間で議論が尽くされました結果を、現在、国会において御審議をいただいております中央省庁等改革基本法に忠実に盛り込んでいるところでございます。
 次に、武器使用について、過去の答弁や憲法との整合性についてのお尋ねをいただきました。
 法案審議当時、国際平和協力法上の武器の使用の判断は個々の隊員の判断にゆだねる、これが適切である旨の答弁をいたしておりましたが、いまだ派遣の経験のない当時の判断としてはやむを得なかったと考えています。しかしながら、カンボジア、ザイール等への派遣の経験等から、部隊参加した自衛官等による武器の使用について、その一層の適正を確保するために、原則として、具体的な状況に応じて最も適切な判断をすることができる現場にある上官の命令による使用へと法律を改正したいと考えており、その限りにおきまして、法案審議当時の政府答弁を改めさせていただきたいと考えております。
 また、今般の改正法案は憲法解釈を変更するのではないかというお尋ねもいただきましたが、何ら変更するものではないと考えております。
 すなわち、今般の改正案は、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体の防衛という、いわば自己保存のための必要最小限の武器の使用という点について何ら変更を加えず、これを維持することとしております。また、これまでも、命令に基づく武器の使用に関し、例えば生命身体を防護するためにやむを得ない必要があるとき、集団的に行ったから憲法上問題があるということにはならない旨の答弁をいたしているところであります。
 今般の改正法案におきましても、生命または身体に対する侵害または危険が切迫し、現場にある上官の命令を受けるいとまがないときには、隊員各人の判断による武器の使用を認めているところであり、武器使用と上官の命令に関しては適切な対処が可能になったと考えております。
 なお、個々の小説の内容の論評は差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、船舶の検査等についてのお尋ねがございました。
 昨年十二月三日の参議院本会議における私の答弁は、我が国が行うことを想定しております船舶の検査が国連安保理決議に基づく集団安全保障措置であり、交戦国の国際法上の権利の行使ではないということを述べたものでありまして、議員が御指摘になったような趣旨の答弁を行ったものではございません。
 次に、いわゆる平和維持隊本体業務の凍結の解除についてお尋ねがございました。
 この取り扱いについてはさまざまな御意見がありますが、政府としては、国会等における御議論にも十分耳を傾けながら、今後検討していくべきものと考えています。
 また、五原則につきましては、我が国が国連平和維持隊に参加するに当たって、憲法で禁じられた武力の行使をするという評価を受けることがないことを担保する、そうした意味合いで策定をされました本法の重要な骨格でありますので、慎重な取り扱いを必要とするものだと考えております。
 次に、PKOの協力についての評価のお尋ねがございました。
 我が国は、国際平和協力法施行以降、各地の国連平和維持活動に参加し、国際的にも高い評価を得てまいりました。国連を中心とした国際平和のための努力に対して、人的な面でも積極的に貢献することが我が国の地位と責任にふさわしい協力のあり方だと考えており、今後とも、国際社会の期待にこたえながら、国連平和維持活動等に積極的に参加していく所存であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣村岡兼造君登壇〕
#34
○国務大臣(村岡兼造君) 赤松議員にお答え申し上げます。
 まず第一点は、武器の使用と武力の行使の関係についてのお尋ねでありますけれども、政府はこれまで、国際平和協力法に関連して、一般に、憲法第九条第一項の武力の行使とは、我が国の物的、人的、組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいいますが、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛することは、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものであるから、そのために必要な最小限の武器使用は憲法第九条第一項で禁止された武力の行使には当たらないとしており、また、命令に基づく武器の使用に関して、例えば生命、身体を防護するためにやむを得ない必要があるとき、集団的に行ったから憲法上問題があるということにはならない旨の答弁をしているところであります。
 第二点でございますが、停戦合意のお尋ねですが、停戦合意は武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意であり、例えば停戦協定などがこれに該当すると考えます。停戦合意の原則が満たされているか否かについては、活動が展開している地域全体の具体的状況に照らし、総合的に判断すべきものと考えております。
 次に、第三点でございますが、カンボジアにおける業務の拡大についてのお尋ねでありますが、我が国は、国際平和協力法や閣議において決定または変更される実施計画に基づき、カンボジア国際平和協力業務を実施したところであり、業務の拡大をなし崩し的に進めてきたことはなく、また、実施した業務は、いわゆる凍結業務に当たるものではございません。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣久間章生君登壇〕
#35
○国務大臣(久間章生君) 赤松議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、周辺事態安全確保法案の武器使用に関するお尋ねでございますが、同法案における武器の使用は、いわば自己保存のための自然権的権利であるという点については国際平和協力法上の武器の使用と同様ですが、武器を使用する場面は極めて限定された職務を行う際に限られているため、武器の使用に関する命令について自衛隊の通常の職務形態からあえて切り離す等の必要はなく、自衛隊法第五十七条の適用があることを前提として、上官の命令については特に規定いたしておりません。
 次に、船舶検査活動についてのお尋ねですが、自衛隊による船舶検査活動の実施において、航行不能化射撃等の実弾の使用を伴う措置は考えておりません。諸外国におけるこれまでの対象船舶への検査等の実績等にかんがみれば、自衛隊が行う措置による検査は、経済制裁の実効性を確保するための措置として実質的に有効に機能すると考えており、御指摘のような事態が起こるとは想定されません。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣小渕恵三君登壇〕
#36
○国務大臣(小渕恵三君) 私に対するお尋ねはPKFに対しての参加要請についてでございますが、いわゆるPKF本体業務につきましては、もちろん憲法上の問題はございませんが、内外の一層の理解と支持を得るため、別に法律で定める日まではこれを実施しないこととされております。この点を含めまして、我が国の国際平和協力法につきましては、これまで国連側に十分説明し、理解を得ているところでございます。
 したがいまして、これまで国連より我が国に対し、いわゆるPKF本体業務に対する参加、協力の要請はございません。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#37
○副議長(渡部恒三君) 西村眞悟君。
    〔西村眞悟君登壇〕
#38
○西村眞悟君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりましたいわゆるPKO法改正案の審議に関して、総理大臣に対し、その不可欠の前提問題から質問いたします。
 今議題になっておりますのは、他国への国際貢献でございます。しかし、我が国の今直面する最重要の課題は、他国への国際貢献の前提としての我が国国家の再生をいかに図るかという問題でございます。そうでなければ、PKO部隊として海外で活動している我が国の青年の祖国、つまり我が日本がその背後で燃えている、他国のPKO部隊が来ているという事態が生じかねないからでございます。
 個人でも国家でも、ある歴史的段階においては、厳しくみずからを点検し、改革を行わなければ、足が地についていないものとなり、その存在自体が周囲に迷惑を及ぼし、動乱をもたらす結果を生じせしめることがあります。反対に、我が国が国家としての尊厳を回復し、みずからを保持する強い気概と力を回復すれば、我が国国民の安泰のみならず、東アジアの将来にわたる安定をも確保することができるのです。そして、これ自体が既に海外に青年を派遣するにまさる国際貢献なのでございます。
 私がなぜこの前提から始めるのか、その理由は明らかでございます。三年前の阪神大震災において、国家に緊急事態対処の体制なく、内閣に何ら決断なきことにより、政府は六千名の死者を出す国内の大惨害を前にして、呆然とそれを眺めていただけだったのでございます。この我が国政治の惨状は、外国のマスコミをして「政府の無策による大虐殺」という見出しで報道されたのでありました。危機において我が国国民の命を救えない体制を放置して国際貢献を語る、この欠落に、震災時の閣僚であった総理大臣においてはぼつぼつお気づきいただきたいのでございます。
 言うまでもなく、阪神大震災で実証された危機対処の鉄則は、現実に発生した危機よりもより大きな危機対処の体制をもってしなければ、その危機は克服できないということでございます。よって、国家は、想定される最大の危機に対処する体制を整備して、国民の安寧を将来にわたって保持する責務があるのでございます。そして、これはすなわち国防の体制にほかなりません。
 橋本内閣には、六千名の悲惨な国民の犠牲を前にして、この政治の責務を全うする時間は十分にありました。しかも、総理は、国家行政改革という志を表明されておるのでございます。ではなぜ、この危機において国民の命を守るという国政最大の責務を無視するかのように、今に至るも有事法制を制定しようとしないのか、お答えいただきたいと存じます。そして有事法制の要である国家機構、つまり国防省を設置せず、国防の責務の中枢をエージェンシーになぜとどめ置くのか。総理は、国政の真の責務から、社民党との連立のゆえをもって目をそらし、羊頭を掲げて狗肉を国民に売っておられるのか、その理由を明らかにしていただきたいと存じます。
 また、総理は、他国への国際貢献を言う前に、そもそも我が国国民と領土を守る意思と気概がございますか。この点に関し、総理の口から出る言葉と現実の総理の行動との乖離ほど甚だしいものはございません。
 総理は、沖縄といえば大田知事の名を出される。事もあろうに先日の防衛大学校の卒業式においても、大田知事の名を出されて基地の問題を語られる。あたかも、日本国の安全と防衛に関する総理の最高顧問が沖縄県知事であるかのごときでございます。しかし、そもそも大田知事は、基地問題に関し、沖縄県民の総意を述べておるのでしょうか、大田知事の考えで国家は安泰なのでしょうか、この点、御答弁いただきたい。
 総理は、沖縄本島のはるか南五百キロの八重山群島や先島群島の漁民の声を聞いたことがございますか。彼らの漁場には、一昨年三月、中国のミサイルが撃ち込まれ、既に年中行事のように中国政府の海洋調査船が、ここは中国の海である、本船には何ら違法はないと我が海上保安庁の巡視船に応答して、平然と調査をしております。今現在も領海を侵犯した中国の船がおるのでございます。
 この事態に対し、彼ら漁民はどう言っているか。私たちは国境の島と国境の海で生きている。国境を守るのは自衛隊でしょう。軍隊でしょう。なぜ、この国境の島に自衛隊の姿がないのですか。それとも政府は我々を日本国民と思っていないのですか。これが国境で生きる我が国民の声でございます。
 江沢民中国主席は、台湾の武力併合を明言しております。そして、台湾沖北方百七十五キロの東シナ海の尖閣諸島は、中国から見て、台湾併合の橋頭堡なのでございます。したがって、我が国が尖閣諸島を強く確保しなければ、東アジアに動乱が発生するのでございます。国際貢献を言う前に、我が国が動乱の種をまくことになるのでございます。
 私は、この観点から、我が国南西方面における自衛隊の配備と装備は極めて不十分と認識しております。自衛隊の最高指揮官であり、かつ我が国の安全と東アジアの安定に責任を持つ総理は、自衛隊の配備を南西方面に強化する決断をされるべきであると強く要請いたします。いかが決断されますか、御答弁をいただきますようにお願いします。
 ところで、本日午前三時二十分から同五十七分まで、さらに午前六時三十六分から八時五十一分まで、中国海洋調査船が大正島付近の我が国領海に侵入し、海洋調査を行い、現在我が国排他的経済水域において調査を続行しております。この船は、海上保安庁の現場の諸君の懸命の制止の努力を平然と無視しながら、あたかも中国の海を調査するかのように振る舞っているのでございます。これは我が国の主権を無視する許されざる無礼な挑戦でございます。
 もはや、言うべきことははっきりと言うべきと存じます。仮に、総理において、中国に対して萎縮しなければならない事情があり、そのために中国に言うべきことを言えないのであれば、もはや日本国の総理の資格はありません。総理は、海上保安庁が我が国排他的経済水域で彼らを発見した四月二十八日午前八時五十四分以来、この主権を無視する無礼な行動に対し、どう対処されてきたのか、今現在も居座る彼らに、これからどう対処しようとするのか、御答弁いただきたい。
 総理は、みずからの在任中に、北朝鮮に、十三歳の横田めぐみさんを初め、多数の日本国民が拉致されたということが国民の知るところとなったときに在任中の総理大臣でございます。国民の救出という国家の最高の任務から見て、ペルーの大使公邸人質事件をはるかに上回る覚悟を持って、横田めぐみさん初め国民の救出に、総理みずから取り組まねばならない事態に遭遇されているわけでございます。
 フジモリ大統領は北朝鮮にはおられません。なぜなら、この拉致の犯人こそが北朝鮮の政府そのものであるからでございます。レバノン政府においても、自国民が拉致されたことに対し、北朝鮮に強硬に抗議し、国民を救出しているではありませんか。これは、国の大小ではなく、また事務方に任せる問題でもございません。総理の気概と決断の問題でございます。拉致された日本国民救出にいかなる決断を持って臨まれるのか。我が国からかの国を維持するために北朝鮮に行く人と物資の流れをとめる決断をなさるのか、それとも他の方策を決断なさるのか、方策なしで済まされる問題ではございません。救出を待つ家族と国民の前に、総理の決断を明らかにしていただきたい。
 そうでなければ、領土を奪われ、妹や娘を他国に拉致されながら、しかも自力救出に取り組もうとしない祖国を後にして、どうして我が国の青年に、海外に出て国際貢献しろと総理が指示できるのでしょうか。
 さらに、我が国の現在の病状は、単に行政機構の改革で完治するものではございません。深刻でございます。それは大蔵大臣の報告にもあらわれております。つまり、行政を担うエリートの節度と気概の喪失の問題でございます。政治がこれを今さらのように慨嘆し、かつ非難することは簡単でございます。しかし、我が国の惨状は、果たして政治にそれを非難し慨嘆する資格ありやなしやということでございます。
 さはさりながら、本件の救いは、彼らみずからの調査によって、この病状が国民の前に明らかになったことでございます。少なくとも、節度と公僕であるという気概を回復する出発点は明らかになったのでございます。
 さて、橋本総理大臣は、行政の長として、彼らを非難し懲戒する資格を保持しておられるのか否か。つまり、私は、総理大臣が、大蔵官僚が民間業者から接待を受けそれゆえに行政機能が毀損されたというならば、この際、みずからが今まで中国政府からいかなる接待を受け、それゆえに我が国対中国外交がいかなる影響を受けたのか、国益の名において国民の前に弁明されるべきだと確信しております。
 仮に、大蔵官僚が民間ではなく外国政府から節度を超える接待を受け、それにより我が国行政が毀損されたとするならば、これは国を売る行為でございます。したがって、我が国総理にただそうとする問題は、単に党派の問題ではなく、党派を超えてひとしく守らねばならない国益に関する問題なのでございます。
 橋本総理大臣、多くを申しません。総理はみずから、中国衛生部の通訳として初めて出会った人物に、以後、大変苦労をかけたので慰労もしたし、ともに食事をしたと認められました。しかし、その後、その人物の我が国裁判所における証言によって、その人物は北京公安部に所属していたことが明らかになったのでございます。衛生部と公安部。いずれにしても、その人物は中国の公務員であったことは事実でございます。公務員とは、我が国の官僚がそうであるように、国の命を受け国の指示のもとに動く職業人でございます。従って、その人物が総理と出会うことが既にその国の指示でありました。総理はこの単純かつ自明のことを軽視されてはなりません。
 五月一日に発売される雑誌では、「橋本首相「中国人女性」とODA二十六億円の闇」と題する論文が掲載されますが、そのサブタイトルは「”深いクレバスに陥ちた”愚相の顛末」とあります。
 さて、その中では、中国政府高官が実名で、「彼女に与えられた最大の任務は、中日間の巨大プロジェクトであるベチューン病院の建設を成功に導くことでした。そのために彼女は、表面上は衛生部の通訳として橋本先生を担当したのです。」と述べており、また、他の高官が彼女のことを、「国家への貢献度はきわめて高い。何しろ個人を犠牲にして国家のために貢献したのだ」と述べたことが紹介されております。この発言が何を意味するか、議員諸兄姉の御判断にお任せいたします。
 総理は、その人物は今人の奥様でプライバシーがあると私の質問を遮ろうとされました。しかし、総理が交際されていた時点においてもその人物は既に人の奥様であり、総理との交際のゆえに離婚に至ったと、前の夫は日本の裁判所で明らかにしたのでございます。世界じゅうで、夫のいる外国の公務員と交際し、その夫から、自分たちの離婚原因はまさにその交際にあると裁判で指摘されている総理大臣をいただくのは、我が日本国と日本国民だけでございます。
 総理、その中国の公務員との交際の実態はいかなるものであり、それは節度を超えているのかいないのか、中国政府はその交際から総理のいかなる情報を得たのか、総理の対中国姿勢に影響があったのか否か、国益と日本国総理大臣の気概と誇りにかけて、この場で国民の前に弁明していただきたい。
 最後に、法案の細部の問題は委員会審議に譲るといたしまして、なぜ本案は本法成立時の見直しの期限から一年半も遅滞して提出されておるのか、また、見直しというならなぜいわゆるPKF本体業務の凍結を解除しないのか、その理由を御答弁いただきたい。
 推察するに、その理由は、本法成立時、牛歩または議員辞職のパフォーマンスまでして反対した社民党と連立を組んでいるからでありましょうか。そうであるならば、ここにおいてもまた、国際貢献という国家の責務と名誉よりも党派の利益を優先する橋本内閣の本質があらわれているのでございます。総理は、みずからの内閣の連立の構造と、それにより国と人が生きながら腐る病理をいかに把握されているのか、また、党派のためではなくて国家国民のための内閣であると国民に明言できるのか、御答弁いただきたい。
 以上、国際貢献の前提問題について質問してまいりました。指摘させていただいた課題を勇気を持って受けとめ、実行する総理大臣にして初めて、行政改革法案であれPKO法案であれ、それを提出する真の正当性が付与されるものと確信するものでございます。
 そして、このようにして以上の問題に取り組まれるならば、今や政治経済及び国家としての気概自体が麻痺し、壊死しようとしている我が国家の再建に、与野党の立場から国を思う心を一にして力を合わせることができ、我が国の、真の国際貢献を果たす資格のある国家が再建できるものと確信しております。
 私は、この場で、御批判のやじもありましょうけれども、国家のために橋本総理大臣に諫言を申し上げておるのでございまして、私心はございません。したがって、橋本総理大臣には、単にこの質問の時間をそつなくやり過ごそうとする姿勢ではなくて、さらに、平時の総理大臣ではなくて、もはや国家緊急時の宰相であるという自覚を持って、また、二十一世紀に向かう我が国の再建の起点はあのときの総理大臣の勇気ある弁明と出処進退の決断にありと歴史をして語らしめる覚悟を持って御答弁されますよう、切にお願い申し上げます。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#39
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 西村議員にお答えを申し上げます。
 まず、国民の生命を守る体制づくりという議論を展開されました。
 想定される最大の危機に対処する体制を整備する、国の安全と繁栄を維持し、国民の生命と財産を守ることは政府の最も重要な責務であり、我が国の安全保障体制を、外交努力も含め、一層堅固なものとするための努力を今後とも引き続いて責任を持ってまいります。
 有事法制、国防省の問題、さらには社民党の連立についても御意見、お尋ねがありました。
 有事法制は重要な問題であり、政府としてもこれまでも研究してきたところでありますが、現実に法制化を図ることについては、高度の政治判断に係る問題であり、さらに取り扱いについての検討が必要であると考えております。
 防衛庁の省移行につきましては、行革会議でもさまざまな御議論がなされましたが、新たな業務の追加がないこと等から、現状どおりといたしました。
 次に、米軍基地問題についても御意見をいただきました。
 政府としては、沖縄県における基地の問題、これはSACOの最終報告の内容を着実に実施していくことが沖縄県民の方々の御負担を軽減するための最も確実な道であると考えており、その実現に向けて、地元の理解が得られるように引き続き粘り強く取り組んでいきたいと考えております。その一環として、私自身、大田知事ともこれまで何度も会談をし、この問題について協議をしてまいりました。
 次に、自衛隊の配備について御意見がありました。
 我が国としては、防衛大綱における基盤的防衛力構想に基づいて、防衛上必要な各種の機能を備え、後方支援体制を含めて均衡のとれた態勢を保有することを主眼とし、我が国の地理的な特性等を踏まえ、防衛力を整備し組織してきているところであり、かかる考え方に基づく現在の自衛隊の配備を直ちに変更する必要はないと考えております。
 なお、台湾をめぐる問題については、中国政府は中国人同士の問題として平和的解決を目指していると承知をしており、我が国としても、本問題が当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望しているところであります。
 次に、中国の調査船についてお尋ねがありました。
 二十八日、中国海洋調査船が尖閣諸島魚釣島付近の我が国排他的経済水域において視認され、調査と見られる活動を行っていることが確認されております。
 我が国としては、外交ルートを通じ、直ちに中国側に対し、我が国の同意なく我が国の排他的経済水域内において海洋調査を行うことは認められない旨申し入れを行ったところでありますが、いずれにせよ、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いのないところでありまして、今後とも、政府として適切に対処していきたいと考えております。
 次に、北朝鮮による拉致疑惑に関するお尋ねがございました。
 本件は、我が国国民の生命と安全にかかわる重要な問題であるとの認識に立って、従来から外交的にも北朝鮮側の真剣な対応を求めてまいりました。
 今後とも、北朝鮮側の真剣な対応を粘り強く求め、問題の解決に向けて最大限の努力を払う決意であり、この場をかり、北朝鮮側、とりわけ最高指導者に対して、改めて問題解決に向けての真剣な対応を呼びかける次第であります。
 我が国の国際貢献についても御議論をいただきました。
 世界が大きな変革期を迎え、二十一世紀に向けて平和と安全の新しい秩序が模索される中で、国連の機能と権威を高めること、そうした努力によって平和を確保することが従来になく強く求められており、我が国憲法は国際協調のもとに恒久の平和を希求しておりますが、こうした平和主義の理念を具現化するためにも、世界平和を守る秩序づくりの国際共同作業に我が国としても積極的に参加していくことが必要だと考えております。こうした観点から、国連を中心とした国際平和のための努力に人的な面で積極的に寄与することをぜひとも行っていかなければならないと思います。
 次に、中国との関係についてお尋ねがありました。
 たびたびお答えを申し上げておりますが、中国衛生部の通訳の方につきましては、私が中国に行き、また中国衛生部の要人が来日する機会に、中国衛生部の通訳として働いてもらいました。御苦労さんという意味で食事をしたことがある、ごちそうしたことがあるということも申し上げております。
 なお、通訳として彼女が知り得たことは別として、政治家として、あるいは閣僚として、国益を損なうような話をその方にしたことはございません。
 同時に、初めて訪中した当時から中国に対する私の姿勢は一貫しており、今日もその中国への姿勢は何ら影響を受けておらないことは当然であります。
 次に、国際平和協力法の見直しと、いわゆる平和維持隊本体業務の凍結の解除についてのお尋ねがありました。また、あわせて社民党との連立についてもお尋ねをいただきました。
 政府としては、平成七年八月に同法に規定する見直し時期を迎えて以来、これまでの派遣の経験を踏まえて法の実施のあり方について見直しを行った結果、先般、改正法案を国会に提出いたしました。
 なお、いわゆる平和維持隊本体業務の凍結解除の問題と国際平和協力法の見直しとは、法律上別途規定されております。
 この凍結業務の取り扱いにつきましては、さまざまな御意見があるところであります。政府としては、国会などにおけるこの問題の御議論にも十分耳を傾けながら、国家国民のことを考え、今後とも検討していく考えであります。こうした判断のもとに、今回、本法案を提出いたしました。党派の利益の優先という御批判は当たらないものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○副議長(渡部恒三君) 東中光雄君。
    〔東中光雄君登壇〕
#41
○東中光雄君 私は、日本共産党を代表して、PKO協力法改正案について質問します。
 今回の自衛官の武器使用原則の変更は、憲法九条にかかわる政府解釈、そして政策の極めて重大な変更であります。断じて容認できません。
 六年余り前のPKO協力法制定当時の審議において、私は、このPKO協力法は、戦後初めて公然と武装した自衛隊の部隊が海外に出動し、PKO、国連平和維持軍の武力行使を伴う活動に参加するもので、憲法原則からいって断じて許されないことを強調してまいりました。
 これに対して、当時の海部首相、さらに宮澤首相は、武力行使の目的を持って自衛隊を海外に出動させることは憲法上許されない、しかしPKOは武力行使を目的としたものではなく、PKO参加五原則の厳しい制約をつけており、隊員の生命防護以外の武器使用はしないから憲法違反の武力行使には当たらないんだ、こう明言したのであります。
 政府は、PKO法の核心である自衛隊の武器使用について、部隊として指揮命令によって組織的に使用するのではなく、個々の隊員の判断で刑法の正当防衛、緊急避難に当たるときに使用できるんだ、こういう説明をしたのであります。自分の命が危なくなってきたときに自己保存のための自然権的な権利の発動として対応するものだ、武器を使用する判断は自衛官個々人ということではっきりそこに歯どめをかけているんだ、武器使用について上官の指揮権は排除されている、だからいいんだ、これが政府の一貫した答弁、態度であります。
 ところが、今回の改正案は、武器の使用は、現場にある上官の命令によらなければならないとしているのです。現場にある上官とは、部隊として行動している自衛隊の指揮命令権限を持つ上官であり、その命令によって組織的に武器を使用するというのであります。しかも、使う武器というのは、部隊装備としての武器、それは自動小銃はもちろん、機関銃やバズーカ砲まで入るというのが政府の立場であります。
 これは、政府自身が歯どめと言ってきた武器使用の原則を根本的に変えるものではありませんか。指揮命令による自衛隊の部隊としての武器使用が武力の行使であることは明白であります。重大な憲法九条違反であり、断じて容認することはできません。総理の答弁を求めます。(拍手)
 防衛庁は、改正理由として、武器の使用を個々の自衛官の判断に任せると統制がとれず、かえって危険が増大したり事態の混乱を招くおそれが大きいことを挙げていますが、この点は、本法制定当時の審議において、私も野党議員もこぞって指摘したところであります。そのとき、政府はどう言ったか。海外での平和協力であり、あくまで武力行使は行わないとの大前提から個人個人の判断に任せるのだ、こう答えたのです。
 防衛庁長官、個々の自衛官による武器の使用が、かえって危険が増大したり事態の混乱を招くのであれば、自衛官の個々の武器の使用そのものをやめるべきではありませんか。
 この自衛官の武器使用規定は、もともと重大なごまかしと矛盾に満ちたものであります。自衛官の武器使用は、刑法三十六条の正当防衛、三十七条の緊急避難に該当する場合以外は人に危害を加えてはならないと規定しているのであります。政府は、これを超える場合には刑法上の責任を自衛隊員が問われる、こういう答弁をしたのであります。およそ上官の命令で組織的に機関銃や自動小銃等の武器を使用するいわゆる戦闘行為を行う場合に、それが刑法三十六条や三十七条に該当するということはそもそもあり得ないのではありませんか。担当大臣の法務大臣の答弁を求めます。
 防衛庁長官、上官の命令によって自衛官が武器を使用し相手方を殺傷した場合、この規定で、その行為が刑法上の正当防衛、緊急避難に該当しないときは、命令した上官、それに従って武器使用をした自衛官の刑事上の責任はどうなるのでしょうか。責任はあるのですか、ないのですか、明確な答弁を求めます。
 政府は、改正の理由として、PKOに参加している各国の実情からも二十四条の改正が適当と言っておりますけれども、法制定時の審議で、私は、各国の実情や国連の武器使用規定SOPを示して、PKOは、生命身体の防衛だけではなく、PKOの任務遂行のために武力行使をすることになっていると指摘した。それに対して、宮澤首相は、我が国には我が国の憲法がある、そうでない国と同じような条件で参加するわけにはまいらない、こう答弁したのであります。ところが、今回の改正は、こうした立法当時の答弁を翻して、各国並みに合わせて武力行使に近づけるというのでありましょうか。それはまさに憲法違反を認めることになるのではありませんか。
 国連は、九五年の十月にPKOに関するガイドラインというのを出しました。ここでも、自衛の範囲は、生命の防護にとどまらず、陣地や輸送車両、武器の防護、任務遂行に対する妨害とし、各国のPKO部隊が単一の一体となった部隊行動をする必要性を改めて規定をしております。今回の改正は、こうした国連の基準に合わせる形で、武器使用の範囲を拡大しようとするのではありませんか。さらには、PKF凍結を解除しようとするのではありませんか。総理の答弁を求めます。
 今回の自衛官の海外における武器使用原則の変更は、新ガイドラインを実行するための周辺事態措置法案等における自衛官の武器使用規定に符牒を合わせるものではありませんか。
 すなわち、周辺事態法では、周辺事態における戦闘行為によって遭難した米兵等の自衛隊の捜索救難活動、あるいは相手国の軍艦等を除く船舶に対する自衛隊の臨検活動、こうした場合に、自衛官の武器使用の名目で、本PKO協力法におけると同様、命令による部隊としての武器の使用を行うことになるのではありませんか。それは憲法が禁ずる海外における武力の行使そのものではありませんか。答弁を求めます。
 さらに、周辺事態措置法案の重大問題二点について伺います。
 政府はこれまで、日本周辺地域はどの地域かということについて、周辺事態は地理的概念ではないなどとして答弁を一貫して回避してきましたが、今回、極東とその周辺とすることに決したということが報道されております。それならば、周辺事態が極東ということになりますから、台湾有事も含まれるということではありませんか。さらに、極東の周辺とはどの地域までか。それはアジア太平洋地域ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 周辺事態の認定について、三月十二日政府は、周辺事態の発生の認定は日本が自主的に必要な国内手続を踏まえながら判断する、その上で支援するかどうかを決定する、こう答弁したのであります。
 ところが、今度の法案では、その最も肝心な点について日本政府は判断しない仕組みになっているのであります。日本政府が決定するのは、米軍への後方支援の規模や内容を盛り込む基本計画だけではありませんか。アメリカが周辺事態だとして武力行使、軍事行動を行えば、日本は自動的に米軍の軍事行動を支援、協力するということではありませんか。
#42
○副議長(渡部恒三君) 東中光雄君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#43
○東中光雄君(続) まさにアメリカ有事の自動参戦法ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 以上、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#44
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 東中議員にお答えを申し上げます。
 まず、武器の使用と武力の行使の関係についてお尋ねがありました。
 今般の改正法案は、これまでの憲法解釈やいわゆる五原則を何ら変更するものではないと考えております。
 すなわち、今般の改正案は、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体の防衛という、いわば自己保存のための必要最小限の武器の使用という点について何ら変更を加えず、これを維持することとした上で、その一層の適正を確保するため、原則として、現場にある上官の命令によることとするものであります。
 政府はこれまでも、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛することは、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものであるから、そのために必要な最小限の武器の使用は憲法第九条第一項で禁止された武力の行使には当たらないとしており、また、命令に基づく武器の使用に関して、例えば生命、身体を防御するためやむを得ない必要があるとき、集団的に行ったから憲法上問題があるということにはならない旨の答弁をいたしております。
 今般の法改正が武力の行使に近づけるものなのかというお尋ねもありましたが、今申し上げたとおり、本改正は、武器の使用と武力の行使の関係についての憲法解釈を何ら変更するものではありません。
 また、今般の法改正が武器使用範囲の拡大やPKFの凍結解除に道を開くものではないかという御意見ですが、繰り返し申し上げてまいりましたように、今般の法改正は、これまでの武器使用についての憲法解釈は何ら変更するものではなく、法第二十四条に定める武器使用を、個人判断から、一層の適正確保のために、原則として、現場にある上官の命令によると変更したものであります。
 また、PKF本体業務の凍結の解除の取り扱いについてはさまざまな御意見があるところでありますが、政府としては、国会等におけるこの問題の御議論にも十分耳を傾けながら、今後検討していくべきものと考えております。
 次に、今回の国際平和協力法の改正と、いわゆるガイドライン関連法案並びに憲法の関連についてもお尋ねがありました。
 国際平和協力法は、同法附則第三条の規定に従って、平成七年八月以来、法の実施のあり方について見直しを行った結果、その改正案を先般国会に提出したものであり、同法の武器使用に関する規定の改正がいわゆるガイドライン関連法案における武器使用の規定と関連して行われるものではありません。さきにも申し上げたとおり、この改正は、武器の使用と武力の行使の関係についてのこれまでの憲法解釈を何ら変更するものではありません。
 また、周辺事態についてのお尋ねがございました。
 周辺事態が、極東及び極東の周辺と同じ概念として同様の地理的範囲を意味するということはなく、周辺事態の発生し得る地域の範囲はあらかじめ地理的に確定し得るものではありません。また、特定の事態がこれに該当するかどうかは、事態の態様、規模等を総合的に勘案して判断するものであり、議員御質問の点についてお答えをすることは困難であります。また、我が国が台湾をめぐる問題の関係当事者の話し合いでの平和的解決を強く希望していることも、累次申し上げているとおりであります。
 いわゆる極東の周辺地域がどこかということは、極東の区域に対する攻撃または脅威の性質のいかんにかかわるものであり、その地理的範囲をあらかじめ特定しておくことはできません。
 周辺事態と対米協力についてもお尋ねがありました。
 ある事態が周辺事態に該当するかどうかは、日米両国政府がそれぞれ主体的に判断することになります。また、周辺事態においていかなる活動及び対米支援を行うかも、我が国が主体的に判断を行います。したがって、米軍があるいは米国が周辺事態と判断すれば我が国は自動的に米軍に協力することになるといった御指摘は当たりません。
 残余の質問については、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣久間章生君登壇〕
#45
○国務大臣(久間章生君) 東中議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、武器の使用と憲法についてのお尋ねでございますが、これは先ほど総理からも述べられましたように、今般の法改正は、現在は各人の判断とされている、部隊参加した自衛官等の国際平和協力法第二十四条に規定する生命または身体を防衛するための武器の使用について、その一層の適正を確保するため、原則として、現場にある上官の命令によるものとするものでありまして、武器の使用と武力の行使の関係についてのこれまでの憲法解釈を何ら変更するものではございません。
 政府は、これまでも、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防衛することは、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものでありますから、そのために必要な最小限の武器の使用は、憲法第九条第一項で禁止された武力の行使には当たらないとしており、また、命令に基づく武器の使用に関しましては、例えば生命、身体を防護するためにやむを得ない必要があるとき、集団的にこれを行ったから憲法上問題があるということにはならない旨の答弁をしているところであります。
 次に、自衛官の武器の使用をやめるべきではないかとのお尋ねですが、国際平和協力法に基づく国連平和維持活動等は、停戦後あるいは紛争周辺国において混乱した状況のもとで行われることがあり得ることから、生命または身体の防衛といういわば自己保存のための必要最小限の武器の使用を認める必要があると考えております。また、自衛官による武器の使用に当たっては、生命、身体に対する危険や事態の混乱を招くことを未然に防止すべきであり、今回の改正案もその点を考慮したものであります。
 次に、違法な武器の使用と刑法上の責任についてのお尋ねでございますが、今般の法改正は、自己保存のための必要最小限の武器の使用について、その一層の適正を確保するため、原則として、最も適切な判断をすることが期待できる現場にある上官の命令によることとするものであり、改正法案のもとで違法な武器の使用がなされることは想定しがたいところであります。
 なお、一般論として申し上げれば、万一違法な武器の使用があれば、その立場に応じて、懲戒処分、さらには刑事罰の対象となることがあり得ます。(拍手)
    〔国務大臣下稲葉耕吉君登壇〕
#46
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 東中議員にお答え申し上げます。
 自衛官が上官の命令により武器を使用することが刑法上の正当防衛や緊急避難に該当するかどうかは、個々具体的な事実関係に基づいて判断されるべきものであります。
 一般論として申し上げますならば、刑法三十六条や三十七条の要件を満たす場合には、正当防衛や緊急避難に該当することになろうかと思われます。(拍手)
#47
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#48
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十二分散会

ソース: 国立国会図書館
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