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#1
第142回国会 本会議 第35号
平成十年五月七日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十三号
  平成十年五月七日
    午後一時開議
 第一 都市計画法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 国土利用計画法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 研究交流促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員辞職の件
 日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案、国有林野事業の改革のための特別措置法案、国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律案、森林法等の一部を改正する法律案、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案を審査するため委員四十人よりなる日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会を設置するの件(議長発議)
 日程第一 都市計画法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 国土利用計画法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 研究交流促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案(内閣提出)、国有林野事業の改革のための特別措置法案(内閣提出)、国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)、森林法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

    午後一時四分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員辞職の件
#3
○議長(伊藤宗一郎君) 議員細川護熙君から辞表が提出されております。これにつきお諮りいたしたいと思います。
 まず、その辞表を朗読させます。
    〔参事朗読〕
    辞 職 願
  今般一身上の都合により衆議院議員を辞職い
 たしたく御許可願います。
   平成十年四月三十日
          衆議院議員 細川 護熙
  衆議院議長 伊藤宗一郎殿
#4
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 細川護熙君の辞職を許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 特別委員会設置の件
#6
○議長(伊藤宗一郎君) 特別委員会の設置につきお諮りいたします。
 日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案、国有林野事業の改革のための特別措置法案、国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律案、森林法等の一部を改正する法律案、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案を審査するため委員四十人よりなる日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 ただいま議決されました特別委員会の委員は追って指名いたします。
     ――――◇―――――
 日程第一 都市計画法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 国土利用計画法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、都市計画法の一部を改正する法律案、日程第二、都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案、日程第三、国土利用計画法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長遠藤乙彦君。
    〔遠藤乙彦君登壇〕
#9
○遠藤乙彦君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、都市計画法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、地域の実情に的確に対応した市街地の整備の推進を図るため、特別用途地区の多様化及び臨港地区に関する都市計画の決定権限の見直しを行うとともに、市街化調整区域における良好な居住環境の維持及び形成を図るため、地区計画の策定対象地域及び開発許可の対象範囲の拡大を図る等の措置を講じようとするものであります。
 次に、都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、民間活力による市街地の再開発を促進するため、都市再開発方針の策定対象区域の拡大、市街地再開発事業における特定事業参加者制度及び優良な再開発事業計画の認定制度の創設を図るとともに、臨時の措置として、一定の大都市における都市計画道路に係る都市開発資金貸付金の償還期間の延長を行おうとするものであります。
 最後に、国土利用計画法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、最近の地価動向等を踏まえ、土地取引規制を合理化し、取引の円滑化に資するため、大規模な土地取引について事前届け出制から事後届け出制へ移行するとともに、地価の上昇の状況に応じ機動的に事前届け出とすることができるよう所要の措置を講じようとするものであります。
 三案は、去る四月十六日本委員会に付託され、同日都市計画法の一部を改正する法律案及び都市再開発法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案は瓦建設大臣から、国土利用計画法の一部を改正する法律案は亀井国土庁長官から、それぞれ提案理由の説明を聴取し、十七日質疑に入り、昨六日質疑を終了、討論、採決の結果、いずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、都市計画法の一部を改正する法律案には附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(伊藤宗一郎君) 三案を一括して採決いたします。
 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 研究交流促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#12
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第四、研究交流促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。科学技術委員長大野由利子君。
    〔大野由利子君登壇〕
#13
○大野由利子君 ただいま議題となりました研究交流促進法の一部を改正する法律案につきまして、科学技術委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、科学技術に関する国の試験研究について、国と国以外の者との間の交流を一層促進するための措置を講ずるもので、その内容は、国以外の者であって、試験研究機関等国の機関と共同して行う研究に必要な施設を当該機関の敷地内に整備し、当該施設においてその研究を行おうとするものに対し、その者が当該施設において行った研究により得た記録、資料その他の研究の結果を国に提供することを約するときは、当該施設の用に供する土地の使用の対価を時価よりも低く定めることができるものとすることとしております。
 本案は、去る三月十三日本院に提出され、四月二十一日本委員会に付託されました。
 委員会におきましては、同月二十二日谷垣国務大臣から提案理由の説明を聴取し、五月六日に質疑を行い、質疑終局の後、討論を行い、採決いたしました結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#15
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#16
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第五、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長笹川堯君。
    〔笹川堯君登壇〕
#17
○笹川堯君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、渉外的法律関係の一層の安定を図る等のため、外国法事務弁護士となるための職務経験要件の緩和、外国法事務弁護士の職務範囲の拡充及び外国法事務弁護士と我が国の弁護士との共同の事業の目的に関する規制の緩和等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、外国法事務弁護士となる資格の承認の基準の一つである外国弁護士としての職務経験について、必要とされる職務経験の年数を三年以上とするとともに、資格取得国以外の外国において資格取得国の法に関する法律事務を行う業務に従事した経験についても、右の期間に算入できることとしております。
 第二に、外国法事務弁護士の職務範囲を拡充し、指定法に関する法律事務以外の特定外国法に関する法律事務についても、一定の要件を満たす外国弁護士等の書面による助言を受けて、これを行うことができることとしております。
 第三に、外国法事務弁護士と弁護士との共同の事業について、目的に関する規制を緩和し、外国法の知識を必要とする法律事務等を共同事業の目的とすることができることとしております。
 以上が、この法律案の要旨であります。
 本案は、参議院先議に係るもので、四月三日同院において原案のとおり可決され、本院に送付されたものであります。
 委員会においては、四月二十八日下稲葉法務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、五月六日これを終了し、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#19
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案(内閣提出)、国有林野事業の改革のための特別措置法案(内閣提出)、国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)、森林法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#20
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案、国有林野事業の改革のための特別措置法案、国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律案、森林法等の一部を改正する法律案、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。運輸大臣藤井孝男君。
    〔国務大臣藤井孝男君登壇〕
#21
○国務大臣(藤井孝男君) 日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 日本国有鉄道清算事業団が抱える国鉄長期債務等の額は、平成十年度首には約二十八兆円に達する見込みであり、日本国有鉄道清算事業団の資産の売却収入等によって毎年の金利及び年金等の負担を賄いつつ債務の償還等を行うという従来の処理スキームは、もはや破綻をしております。したがって、国鉄長期債務等の本格的処理を早期に実施することは、緊急の課題となっております。
 このため、政府におきましては、一昨年十二月の閣議決定において、平成十年度より国鉄長期債務等の本格的処理を実施することとし、平成九年中にその具体的処理方策の成案を得る旨を定めたところであります。そして、昨年十二月の閣議決定において、政府・与党の財政構造改革会議において決定された具体的処理方策に基づき、平成十年度より国鉄長期債務等の処理の実現を図ることを定めたところであります。
 本法律案は、このように日本国有鉄道清算事業団における土地その他の資産の処分等による債務等の処理が困難となっている事態に対処して、当該債務等の抜本的な処理を図ることが緊急の課題となっていることにかんがみ、政府による日本国有鉄道清算事業団の債務の承継その他、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理を図るために必要な措置を定めるものであります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、政府は、平成十年十月一日に日本国有鉄道清算事業団の有利子債務を一般会計において承継することとし、このうち政府の貸付金及び引受債については、平成十年度末までに償還を行うこととしております。
 第二に、政府は、日本国有鉄道清算事業団の政府に対する無利子債務を免除することとしております。
 第三に、国鉄改革により日本国有鉄道清算事業団の負担とされた恩給及び年金追加費用は日本鉄道建設公団が負担することとし、鉄道共済年金の厚生年金への統合のため日本国有鉄道清算事業団の負担とされた移換金負担については、国鉄改革によりJR等の社員となった者の分はJR等が、その他の者の分は日本鉄道建設公団が負担することとしております。
 第四に、日本鉄道建設公団は、特例業務として、日本鉄道建設公団が負担することとされた年金追加費用等の支払い、その支払いのため日本国有鉄道清算事業団から承継する資産の処分等の業務を行うこととしております。
 第五に、日本国有鉄道清算事業団は、平成十年十月一日に解散することとしております。
 以上が、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(伊藤宗一郎君) 農林水産大臣島村宜伸君。
    〔国務大臣島村宜伸君登壇〕
#23
○国務大臣(島村宜伸君) 国有林野事業の改革のための特別措置法案、国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律案、森林法等の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置に関し承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 森林は、国土の保全等の公益的機能を有し、豊かな国民生活の実現に重要な役割を果たしており、このような森林の機能に対する国民の要請も一層多様化、高度化しております。
 このような中で、国有林野事業は、それぞれの時代の要請に対応しつつ、国有林野を管理経営してまいりましたが、林業をめぐる諸情勢の著しい変化による収入の減少、債務の累積等により、現在、危機的な財務状況に直面しており、財政の健全性を回復し、国有林野を将来にわたって適切かつ効率的に管理経営する体制を確立し、国有林野事業の使命を十全に果たすため、その抜本的改革が急務となっております。
 このような状況を踏まえ、国有林野事業について抜本的な改革の趣旨及び全体像を明らかにし、あわせて改革に必要な措置を講ずるとともに、森林の有する公益的機能を重視しつつ、地域の実情に即したきめ細かな森林整備を推進するため、これらの法律案等を提出した次第であります。
 次に、これらの法律案等の主要な内容について御説明申し上げます。
 まず、国有林野事業の改革のための特別措置法案についてであります。
 第一に、国有林野の管理経営の方針を、公益的機能の維持増進を旨とするものへと転換するとともに、国民の意見を反映した管理経営の実施、民間事業者への業務委託の推進等を図ることとしております。
 第二に、効率的な事業実施体制を整備するため、職員数を業務に応じた必要かつ最小限のものとするとともに、組織の再編を図ることとしております。
 第三に、財務の健全化を図るため、約二兆八千億円の債務を一般会計に帰属させるとともに、残りの債務について、五十年間で着実に処理することとしております。
 続きまして、国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律案についてであります。
 第一に、国有林野法を改正し、その題名を国有林野の管理経営に関する法律に改めるとともに、管理経営の目標を定めるほか、管理経営基本計画、地域管理経営計画及び国有林野を公衆の保健の用に供するための計画の策定、指定調査機関への調査業務の委託等に関する規定を整備することとしております。
 第二に、国有林野事業特別会計法を改正し、国有林野事業を公益的機能の維持増進を基本としつつ運営することを目的に加えるとともに、一般会計からの繰り入れに関する規定の整備を行うこととしております。
 第三に、農林水産省設置法を改正し、営林局を森林管理局に、営林署を森林管理署に再編することとしております。
 続きまして、森林法等の一部を改正する法律案についてであります。
 第一に、間伐の適切な実施と複層林施業等の公益的機能を重視した施業を推進するため、森林所有者が作成する森林施業計画について計画的な間伐の実施を認定要件に追加する等の改善を図ることとしております。
 第二に、地域の実情に即した森林整備を推進するため、市町村森林整備計画を、造林から伐採に至る総合的な計画へと拡充するとともに、森林施業計画の認定、施業の勧告等の権限を都道府県知事から市町村の長に移譲することとしております。
 最後に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置に関し承認を求めるの件についてであります。
 国有林野の管理経営を行う機関として、現在、全国に九の営林局及び五の営林支局が設置されておりますが、今回、国有林野事業の抜本的改革を図るため、これを七つの森林管理局に再編することとし、管轄区域が拡大する東北森林管理局及び関東森林管理局をそれぞれ秋田市及び前橋市に設置することについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づく国会の御承認を求めようとするものであります。
 以上、国有林野事業の改革のための特別措置法案、国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律案、森林法等の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置に関し承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○議長(伊藤宗一郎君) 大蔵大臣松永光君。
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#25
○国務大臣(松永光君) ただいま議題となりました一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 我が国財政は危機的な状況にあり、我が国経済社会を健全で活力あるものとし、安心で豊かな福祉社会を実現していくために、財政構造改革は先送りの許されない重要な課題であります。財政構造改革を推進していくためには、国鉄長期債務及び国有林野累積債務の処理に本格的に取り組むことが不可欠であり、将来世代に安易に負担を先送りすることのないよう、抜本的な処理を行うこととしたところであります。
 本法律案は、その抜本的処理の一環として長期債務等を一般会計へ承継等することに伴い一般会計の負担が増加するため、一般会計の財源を補完する観点から、郵便貯金特別会計から一般会計への特別繰り入れ及びたばこ特別税の創設等の措置を定めるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、平成十年度から平成十四年度までの各年度において、郵便貯金特別会計から、二千億円を限り、一般会計に繰り入れること等を規定しております。
 第二に、税制上の措置として、平成十年十月一日からたばこ特別税を創設することとしております。
 たばこ特別税は、課税物件を製造たばことし、課税標準を製造たばこの本数とし、税率は原則として千本あたり八百二十円としております。
 第三に、たばこ特別税の収入は、国債整理基金特別会計の歳入に組み入れること等を規定しております。
 以上、一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案(内閣提出)、国有林野事業の改革のための特別措置法案(内閣提出)、国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)、森林法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#26
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。細川律夫君。
    〔細川律夫君登壇〕
#27
○細川律夫君 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案及び一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案につきまして、総理大臣、大蔵大臣並びに運輸大臣に対して質問をいたします。
 初めに、国鉄清算事業団の長期債務の処理法案についてお尋ねをいたします。
 総理、あなたは昭和六十二年の国鉄改革当時、運輸大臣として国鉄の分割・民営化を積極的に推進をしておられました。その総理が今回このような法案を提出することにつき、私には到底理解できないものがございます。
 自主自立を基本理念として断行されました国鉄改革は、経営やサービスの面で大きな成果を上げてまいりました。しかし、JRはいまだに約十二兆五千億円の債務を抱え、北海道など旅客三社と貨物会社は株式上場のめどすら立っておりません。やっと軌道に乗りつつあるそのJRに新たに三千六百億円の負担を課すことは、総理、あなたが進めてきた国鉄改革に逆行し、JRの経営者や職員の懸命な努力に水をかけるものではありませんか。
 また、このJR負担は海外の投資家からも批判をされております。JR本州三社は、株式市場に上場されている私企業であります。そこに法律をもって強制的に負担を課すということになれば、日本はやはりグローバルスタンダードと異なる奇妙な国と思われ、それが株式市場に対する不信感につながってまいります。この責任を総理はどのようにお考えでございますか、お答えを願いたいと思います。
 JRに負担をさせます三千六百億円の根拠としております年金移換金の問題につきましては、法的に見ましても、あるいは社会常識に照らし合わせましても、甚だ正当性に欠けるものであります。わずか二年前の国会において厚生年金保険法等の改正が行われ、鉄道共済年金の厚生年金への統合に伴い、移換金の支払いが決まりました。その不足額九千四百億円のうち、清算事業団が約七千七百億円、JR各社が約千七百億円を負担いたしました。JR各社が既に決着済みと考えていたのも当然であり、今になって清算事業団の分をさらにJRに三千六百億円を支払え、こう言うのは、まさに朝令暮改そのものであります。これを法律的に強制することは、憲法二十九条の財産権を侵害する疑いも濃厚であります。
 具体例でこのことを説明してまいりたいと思います。
 例えば私が橋本洋品店で千七百円のシャツを買ったといたしましょう。ところが、わずか二日後にその橋本洋品店から連絡があり、あれはちょっと安く売り過ぎた、あと三千六百円払ってくれ、払わないと違法行為になります、うちは法律がつくれるのでありますから、こう言われたといたしましょう。総理、こんな業者がいたらどうお思いですか。今政府がやろうとしていることは、このくらい非常識きわまりないものであります。
 政府は、年金統合の審議の際、何度も過去の閣議決定を引用し、移換金債務についても最終的には国において処理する、こう繰り返してまいりました。今さら、国において処理するとは国が負担するという意味ではないなどと詭弁は弄さないでいただきたい。私は、この長期債務処理法案から、JR負担の部分を即刻削除するよう求めるものであります。(拍手)
 国鉄清算事業団の債務は、平成十年度初めで約二十七兆八千億円に達しております。これは国民一人当たり二十二万円を超えるものであります。一体、なぜ長期債務がこのような巨大な金額に膨れ上がったのか、そしてその責任はどこにあるのか、国民の前にはっきりさせるべきであります。
 国鉄改革当初、清算事業団の長期債務のうち土地や株式を処分してもなお残る十三兆八千億円については、国民の負担を求めざるを得ないとされておりました。それがおよそ二倍の二十八兆円の金額に膨れ上がったのが今日の姿であります。その債務増加の最大の原因は、政府がこの問題を安易に先へ先へと先送りをしたことにあります。そして、雪だるまのごとく債務がふえ続けたのでございます。
 前にも総理から、この点につきましては、その時々の情勢の中で最善と考えられる措置を講じてきた、このように答弁がございました。総理、政治というものは結果について責任を負うべきものであります。約二十八兆円という膨大な額を前にして、その時々最善を尽くしたから責任はないということは、余りにも傲慢な言い方ではないでありましょうか。もう一度伺います。なぜこのような巨額の債務になったのか、また政府はどう責任をとるのか、さらに、巨額の負担を求めるに当たって国民に対しどう謝罪をするのか、ぜひ誠意ある回答をいただきたいと思います。
 次に、債務承継財源確保法案について伺います。
 この法案は、国鉄清算事業団の長期債務などの処理のために、郵便貯金特別会計から毎年二千億円合計一兆円、さらに、たばこ特別税を新たに設け、毎年二千六百億円程度を一般財源に繰り入れるとのことであります。しかし、総理、長期債務とたばこの間に一体どのような関係がありますか。特に喫煙者に対し長期債務の負担を求めるという理由があるならば、はっきりとお聞かせください。郵便貯金についても同様であります。
 一般会計の財源が不足するための措置だ、こうおっしゃるのかもしれません。それならば、なぜこの法案の第一条にわざわざ長期債務の問題に触れ、さらに、たばこ特別税については、その収入を一般会計を経ずに直接国債整理基金特別会計の歳入にするのでありましょうか。これは、たばこ特別税が目的税であることを明示しているものとみなさざるを得ないのであります。目的税であるならば、その歳出と歳入の間に相当の関係がなければならないのは当然であります。
 このようなことは郵便貯金についても言えることであります。もし特別会計に余剰があるとするならば、それは郵便事業の中に使い道を見出すのが本来の趣旨であります。大蔵大臣、余っているから持ってくる、あるいは取りやすいところから取る、こういうことでは財政の公平性あるいは課税の公平性はどうなるのでありましょうか。
 また、たばこ特別税はどう見ても喫煙者に対する大衆課税そのものであります。総理、橋本内閣は「増税なき財政再建」という看板をいつから外したのでございますか。
 日本たばこ株式会社、いわゆるJTもJR同様民間企業であります。特別税の賦課により需要が減った場合、当然会社経営を圧迫し、株主に損失を与えることになります。大蔵大臣、幾ら政府が三分の二の株式を保有しているからといって、何ら因果関係のない課税によって他の株主に損害を与えることが許されるのでありましょうか。また、JR同様、専売民営化に向けたJTの経営者、職員の努力を裏切ることになるのではありませんか。
 この国鉄清算事業団の長期債務処理関連法案は、どの角度から見ましても大変無理の多い法案であります。
 総理、社会常識に反するやり方、あるいは課税の公平性に反することはやめるべきであります。このような継ぎはぎの処理策で国民の理解が得られると思ったら、それは大間違いであります。まず、政府みずから責任を明らかにした上で、本当の行政改革、地方分権、むだな公共事業の中止、事業費の縮減などにより、一般会計の健全化の中から財源を見出す努力をすべきであります。
 この巨額な長期債務の処理に当たり、安易な民間負担や大衆課税によるのではなく、政府の責任のもとで経費の圧縮に努めるべきである、このように主張いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 細川議員にお答えを申し上げます。
 まず、厚生年金移換金のJR負担について、さまざまな御指摘をちょうだいいたしました。
 JR社員分の厚生年金移換金、これはJRの社員の年金給付のための負担でありまして、これを一般国民の負担とするのではなくJRの負担とすることには合理性があり、憲法が保障する財産権を侵害するものではないと思います。したがって、こうした特定企業の社員の福利厚生のための負担、これを事業主であるJRが負担をせず一般国民の負担とすることは不適当だと思います。国鉄改革以来の政府の方針も、このような性格の負担まで一般国民の負担にする、そうしたものではありません。JRの社員分をJRの負担とする今回の措置は、こうした従来の方針に反するものではないと申し上げておきたいと思います。
 この措置は、以上のような合理性のあるものでありまして、海外の投資家や我が国の株式市場との関係でも御説明のできることであると思います。
 なお、今回の具体的な処理に当たりましては、昭和六十二年の国鉄改革によりまして事業団が負った債務は、すべて国及び鉄道建設公団の負担で処理することとしておりまして、JRには一切負担を求めておりません。また、厚生年金移換金のうち、JR社員以外の分の四千百億円につきましても、国庫補助金等を裏づけに、鉄道建設公団が負担することも指摘しておきたいと思います。
 次に、国鉄清算事業団の債務の増加とその責任についてお尋ねがございました。
 国鉄長期債務の処理につきましては、昭和六十三年の閣議決定に基づいて、まずは資産の処分に全力を挙げて取り組んでまいりました。収入面では、土地売却の見合わせや株式市況の低迷、阪神・淡路大震災の影響等から、結果的に思いどおりに進まなかった、この点は御指摘のとおりであります。一方、支出面におきまして、国鉄改革により負担することとされました債務や年金等の支払いに加えて、改革後に新たに年金関係の負担を負ったこともあり、その結果、債務が増加することに至った点、遺憾であると申し上げます。
 政府としても、これまで約一兆六千億円に上る国庫補助金の交付や一般会計による事業団の有利子債務の承継など、その時々の情勢の中で、国鉄長期債務の処理にさまざまな措置を講じてまいりました。事業団の債務について、国民に負担を求めながらその本格的処理を実施することは、国鉄改革の総仕上げとして避けて通れない課題であります。また、事業団の資産が減少した今日、その本格的処理を早急に実施することは極めて重要な課題だと考えておりまして、こうした事業団の債務の本格的処理の必要性について、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
 また、国鉄長期債務及び国有林野累積債務の処理とたばこ特別税及び郵便貯金との関係についてもお尋ねがございました。
 たばこ特別税の創設は、国鉄長期債務及び国有林野累積債務を一般会計に引き継ぐことが財政赤字のさらなる拡大要因となることに対処するため、財政構造改革の趣旨を踏まえて、特殊な嗜好品であり、景気動向に比較的左右されがたく、安定的な財源を確保できるいわゆる財政物資でありますたばこにつき、最近の価格に占めるたばこ税の負担割合の低下を回復する範囲で税負担を求めることといたしました。
 また、郵貯特会の特別繰り入れ措置は、財政構造改革会議企画委員会等におけるあらゆる処理方策の検討の中で、国の財政が非常事態にあることにかんがみ、郵貯特会の積立金の性格や状況等を総合的に勘案した上、財源確保のための特例措置として定められたものであります。
 次に、債務承継財確法案の第一条の趣旨についてお尋ねがございました。
 この法律案は、一般会計における一般的な財源不足に対する財源確保を図るものではなく、国鉄長期債務等を一般会計に承継すること等に伴う一般会計の負担増に対して、その財源の補完を図る措置を定めるものでありまして、第一条におきまして、こうした法律の趣旨を明らかにしたものであります。
 また、たばこ特別税の税収の経理についてもお尋ねがございました。
 たばこ特別税は、国鉄長期債務等の一般会計への承継に伴い特例的に創設されるものでありますことから、課税標準等が同じたばこ税との混同を避けて、たばこ特別税の税収が一般の歳出財源に充てられるものではないことを納税者に対して明確にする趣旨で、特例的に国債整理基金特別会計に直入することといたしているものであります。
 たばこ特別税は、喫煙者に対する大衆課税ではないかというお尋ねもございました。
 私自身、大変な喫煙者でありまして、その点はしばしばおしかりの対象になりますけれども、今回の措置は、最近の価格に占めるたばこ税の負担割合の低下を回復する範囲で税負担をお願いするものであります。
 なお、平成十年度税制改正におきましては、他方、所得税等について思い切った減税も行っており、財政再建目標達成のために増税を行うものではないことも、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#29
○国務大臣(松永光君) 細川議員にお答えいたします。
 国鉄長期債務及び国有林野累積債務処理の財源についてのお尋ねでありますが、財政構造改革会議が取りまとめた処理方策においては、まず自助努力によってできるだけ返済し、残る債務を一般会計に承継することとし、その上で歳出の削減、郵貯特会からの特別繰り入れなど可能な限りの財源捻出努力を行い、どうしても足らざる部分について、たばこ特別税という形での税負担を求めることとしたところであります。
 たばこ特別税の創設は、国鉄長期債務及び国有林野累積債務を一般会計に引き継ぐことが財政赤字のさらなる拡大要因となることに対処するため、財政構造改革の趣旨を踏まえ、特殊な嗜好品であり、景気動向に比較的左右されがたく、安定的な財源を確保できるいわゆる財政物資であるたばこについて、最近の価格に占めるたばこ税の負担割合の低下を回復する範囲で税負担を求めることとしたものであります。
 また、郵貯特会の特別繰り入れ措置は、財政構造改革会議企画委員会等におけるあらゆる処理方策の検討の中で、国の財政が非常事態にあることにかんがみ、郵貯特会の積立金の性格や状況等を総合的に勘案した上、必要財源を確保するための特別措置として決められたものと承知しております。
 たばこ特別税と日本たばこ産業株式会社に関してのお尋ねでありますが、先ほども申したとおり、今回の処理策においては、国鉄長期債務及び国有林野累積債務の一般会計への承継等を実施することとしておりますが、これに伴い、これらの債務の利払い等により一般会計の負担が増加し、財政赤字のさらなる拡大要因となることから、一般会計の財源を補完するため、いわゆる財政物資であるたばこについて、最近の価格に占めるたばこ税の負担割合の低下を回復する範囲で税負担を求めることとしたものであります。日本たばこ産業株式会社としては、一層の経営努力により需要の確保を図り、競争力強化に努めることとしていると聞いておるところであります。(拍手)
    〔国務大臣藤井孝男君登壇〕
#30
○国務大臣(藤井孝男君) 細川議員にお答えを申し上げます。
 国鉄清算事業団の債務のうち、JR社員分の厚生年金移換金をJRの負担とすることについてお尋ねがございました。
 先ほど総理からもこの点につきましては御答弁で触れられておりますが、今回、JRの負担とするものの中身は、昨年四月に鉄道共済を厚生年金に統合するに当たって必要になった移換金のうちJRの社員分でありますが、この移換金は、国鉄改革においては予定されていなかった負担であります。また、事業団の負担分を最終的にだれが負担するかは、いまだ決定されていない問題であります。この分もだれかに負担していただかざるを得ない問題でありまして、結局、これを一般国民に負担していただくのか、その社員の事業主であるJRの負担とするのかということが問題になっているわけであります。
 JRの社員分の移換金は、JRの社員の年金のための負担でありまして、JRにとって自分の社員の福利厚生のための費用であります。JRは、平成八年度まで、年金のために毎年二百二十億円を任意で負担してきましたが、今回もそれと同様に自分の社員の福利厚生のための年金の負担を行うものであります。
 政府といたしましては、このような特定企業の社員の福利厚生のための費用まで一般国民にその負担をお願いするわけにはいかないと判断いたしまして、また、年金の問題は当事者である関係事業主で処理をするという年金制度の原則に従って、事業主であるJRの負担とすることが適当であると判断した次第であります。
 また、御指摘の、閣議決定において国において処理するとしたことが、こうしたJRの負担とすることが合理的なものまで一般の国民の負担とすることを意味するものではありません。
 以上のように、今回の措置は、民間企業が社員の福利厚生のために負担する合理的な負担であり、国鉄改革等の方針に反して国が民間企業に対して不合理な負担を強制したり、憲法に反するような措置を講ずるものではなく、また、海外投資家を含め株主の正当な利益や信頼を損なうというものではないと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○議長(伊藤宗一郎君) 赤羽一嘉君。
    〔赤羽一嘉君登壇〕
#32
○赤羽一嘉君 新党平和の赤羽一嘉でございます。平和・改革を代表し、ただいま議題となりました日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案等につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 冒頭、まず申し上げたいことは、本法案を修正することなく成立させることは、行財政改革の模範的モデルである国鉄改革に大きく傷をつけてしまうということであります。
 そもそも、旧国鉄長期債務は、抜本的な行財政改革の一環として処理すべきものであるはずでございます。本法案のように、理屈も何もなく、負担させやすいところに負担を強いることは、国鉄民営化の意義を風化させてしまうばかりか、内外から信用を失墜させかねない悪法であります。自民党内にも大いに異論があるとのことでありますから、今からでも撤回をすべきものであると、まず強く指摘するものであります。
 以下、具体的問題点について質問をさせていただきます。
 今回、処理が求められている長期債務の本体、つまり昭和六十二年の国鉄民営化の折に国が承継した債務二十二・七兆円が約二十八兆円に膨らんだ原因が、国鉄民営化直後の六十二年十月、旧国鉄所有の土地売却凍結を政府が決定したことにあったことは間違いのない事実であります。
 先日の予算委員会において、橋本総理は、土地売却凍結一年後の世論でさえ旧国鉄用地の売却再開を許す雰囲気ではなかったとの答弁がありました。なるほど、当時のバブルによる土地急騰を助長したくなかったということは、理解できないことではありません。しかし、国鉄清算事業団の収入の手だてが土地と株式の売却しかなく、それらが債務返済の唯一の方法であったことを考えれば、少なくとも、土地売却の凍結と同時に、債務を膨張させないための対策を速やかに講ずるべきであったはずであります。
 二十二・七兆円もの債務を放置しておけば毎年一兆円前後の利子がかさむのは、小学生でもわかる理の当然であります。当時の政府は、金利レートより資産インフレの方が大きいと甘く見ていたのではないでしょうか。この失政の責任を明らかにせずに安易に国民に負担を求めることは、まさに責任転嫁の見本であると言わなければなりません。当時の運輸大臣であり、現政府の最高責任者であられる総理の明確な御見解を伺います。
 次に、JRに追加負担を求めている年金移換金三千六百億円の問題であります。
 鉄道共済年金と厚生年金の統合において発生した移換金債務の九千四百億円の分担に関しては、平成八年当時の厚生委員会において議論がなされ、野党各委員より、七千七百億円もの負担に国鉄清算事業団はたえられるのかとの懸念が表明され、大変激しい論戦が展開されました。が、結局、旧国鉄期間分の七千七百億円は国鉄清算事業団が、JRになってからの期間分の一千七百億円はJR各社が負担することが決定されました。また、将来返済できずに終わる移換金債務については、事業団の既存の債務と同様に、最終的には国において処理するとの決定がなされ、あくまで国の債務として、JRに負担を求めないことが決められたのであります。
 このような経緯の末に決定されたにもかかわらず、二年もたたぬうちにその負担区分を変更し、JRに三千六百億円の追加負担を求めているのが今回の法案であります。これは、当時の議論を全く無視した国会軽視そのものであり、余りに御都合主義が過ぎるものであると思います。
 総理は、過日の予算委員会の場で、JRの皆さんが過去の自分たちのOBの分の負担は嫌だ、それは一般国民の税金で負担をしろと言われるのは随分乱暴だと正直思うと発言されました。また、運輸大臣は、移換金の問題は、本来当事者である共済関係事業主で処理し解決すべき性格の問題である、JR社員分の移換金はその事業主であるJRの負担とすることが合理的であり、この分まで一般国民の負担とするわけにはまいらないと発言されております。
 このお二人の御発言の真意は、先ほどの御答弁にもありましたが、企業年金は事業主が負担するのが当然であり、事業主のJRが負担することが筋であるとの趣旨であると思いますが、この御発言には二つの大きな問題があります。
 まず、問題の一つは、旧国鉄時代の事業主体をあたかもJRであるかのように考えている点であります。
 旧国鉄出身のJR社員は一つの人格でありますが、雇い主の旧国鉄は国の企業であり、JRは民間企業なのであって、両者は全くの別人格であります。国鉄の時代の分は国の責任であることは法的にも政治的にも既に決着がついていることであり、旧国鉄時代の移換金をJRの負担とすることに合理性は私は全くないと言わざるを得ないのであります。
 にもかかわらず、JR各社に、JR社員のための年金だからといって旧国鉄時代の期間分を今回追加負担させることは、政府がいまだにJRを国の子会社であるかのように錯覚し、この程度なら許されると考えている証拠であります。この考え方をあいまいにすることは、今後の行財政改革に多大なる禍根を残すものであると危惧いたします。総理並びに運輸大臣の御見解を伺います。
 発言の問題の二つ目に、もし今でも政府が、年金移換金についてはJRが追加負担を受け入れるのが筋であるとあくまで主張されるのであれば、平成八年度の鉄道共済年金と厚生年金の統合の際に、なぜ政府の主張どおりの負担区分を決定しなかったのでしょうか。二年前には異なる主張をしておきながら、今改めて、本当はこうあるべきであったなどということは、理念不在、朝令暮改もきわまれりだと言わなければなりません。既に確定した国鉄清算事業団の債務の一部を、JRの同意なくして、法律によって一方的にJRに転嫁することは許されないことであると思いますが、あわせて総理並びに運輸大臣の御見解を伺います。
 第三の問題点は、民間企業に追加強制負担を求めることがいかにナショナルスタンダードに適合しないかということであります。
 JR各社の年間利益が二千億円強しかない状況で、急に三千六百億円もの追加借金を背負わせることは、業績の悪化につながり、JRという企業の経済価値を下げ、その結果、JR株の下落を招くことは必然であります。JRの株主の合理的な予測を超えた理不尽な追加負担を株主総会も開かずに決定することは、株主代表訴訟の対象となることが予想されます。
 また、株主、投資家への裏切りとも言える民間企業JRへの追加負担を国が政治主導で行うことは、日本の会社の株は危なくて買えないということになり、国際社会において、日本という国はまともな国ではないという信用失墜の評価を受けてしまうのではないでしょうか。
 JRは、これまで投資家への情報開示も積極的で、本来ならば株価上昇は間違いなく、二次売却すれば一兆円の収入が見込めると言われております。しかし、JR株が政治的なリスクを抱えていることが本件を機に明らかになれば、二次売却は困難になり、NTTなど他の政府保有株式の売却にも大きな影響が出ることが予想され、この点からも、今回のJRに対する追加負担は避けるべしと考えますが、総理の御見解を伺います。
 第四の問題点は、恣意的な財政運営ではないかということであります。
 本法案では、郵便貯金特別会計から特例繰り入れとして一兆円、さらに、たばこ特別税を創設して二千三百四十五億円をこの債務処理に充当することとしております。国有林野の債務処理にも、たばこ特別税より単年度三百五十五億円充当することとしております。これらはまさに理屈も何もなく、取れるところから取ろうとするものであります。たまたま郵便貯金特別会計に黒字があるからといって、預金者に還元することなくそれを充当したり、因果関係のない新税を借金の穴埋めのための目的税として創設するというのでは、国民はたまったものではありません。
 財政の論理も節度も無視し、またなりふり構わずにけじめのない財政運営をする、そうした姿は、まさに政府・与党みずからの財政政策が破綻したことを示す以外の何物でもないと考えますが、総理の明確な御見解を伺います。
 第五の問題点は、毎年度、元本償還のための財源として、四千億円の捻出について、当面、一般歳出の歳出歳入両面にわたる努力により対応することとしている点であります。国有林野の債務処理においても、毎年度、元本償還のため、四百七十億円を同様に捻出努力することとしております。
 現在の橋本連立内閣の手法では、この実現性は到底不可能だと断じざるを得ません。財政構造改革法によってキャップ制が導入され、上限が決められている上に、さらに、歳出削減等によって約四千五百億円もの財源を捻出することなど、一体どうしたら可能だと言うのでしょうか。あるいは、これは、今、与党内で議論百出と伝えられておりますように、事実上、財政構造改革法のキャップ制をすべてなくしてしまうことを意味しているのでしょうか。そうでない限り、結局は国民への新しい負担増を求める以外に財源がないことは明らかであります。新たな財源捻出の方法を明言できるのであれば、どうかお示しいただきたい。それこそが財政民主主義というものではないでしょうか。
 こうした見切り発車的な法律の提出は、当面をごまかすためのまやかしの手法でしかないと言わざるを得ないのであります。キャップ制を外すことを想定しているのか、新たな増税を意味しているのか、総理の明確な答弁をお願いするものであります。
 最後に、今回議題となりました長期債務の処理と財政構造改革法の改正並びに行政改革の推進は、相互に密接に関係しております。長期債務の処理は、国、地方を挙げた行財政改革の一環として明確に位置づけられて処理されるべきであります。その意味から、財政構造改革法の改正法案が提出されようとしている中で、本法案だけ修正することなく成立させることの妥当性を疑うものであります。この点につき総理の御見解をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#33
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 赤羽議員にお答えを申し上げます。
 まず、国鉄清算事業団の債務の増加とその責任についてのお尋ねがございました。
 国鉄長期債務の処理につきましては、昭和六十三年の閣議決定に基づき、まずは資産の処分に全力を挙げて取り組んでまいりました。収入面では、土地売却の見合わせや株式市況の低迷、阪神・淡路大震災の影響等から、結果的に思いどおりに進まなかったのは御指摘のとおりです。一方、支出面で、国鉄改革により負担されることとされました債務や年金等の支払いに加えて、改革後に新たに年金関係の負担を負ったこともあり、結果的に債務が増加するに至ったことは、まことに遺憾でありました。
 政府としても、これまで約一兆六千億円に及ぶ国庫補助金の交付あるいは一般会計による事業団の有利子債務の承継など、その時々の情勢の中で、国鉄長期債務の処理にさまざまな措置を講じてまいりました。事業団の債務について、国民に負担を求めながらその本格的処理を実施することは、国鉄改革の総仕上げを行う上で避けては通れない課題であります。また、事業団の資産が減少しました今日、その本格的処理を早急に実施することは極めて重要な課題であると認識しており、こうした事業団の債務の本格的処理の必要性については、ぜひ御理解をいただきたいと考えております。
 次に、国鉄期間分の年金の問題とJRの関係についてのお尋ねがありました。
 国鉄改革では、共済年金については共済制度を継続し、年金制度の原則に従って鉄道共済において過去の国鉄期間分の年金を支えるということとしておりました。したがって、国鉄清算事業団が負担する厚生年金移換金のうちJR社員分を共済の関係事業主であるJRが負担することは、国鉄改革に合致するものだと考えております。
 これに関連し、平成八年度における厚生年金移換金の取り扱いについても御意見をいただきました。
 厚生年金移換金の不足分は共済の関係事業主が負担することとされましたために、平成八年には国鉄清算事業団とJRが負担することといたしましたが、この移換金も含めて事業団の債務については、国において具体的処理方針を決定し実施することが国鉄改革以来の方針であり、まさに今回、そのための措置を講じようとするものであります。
 JR社員分の厚生年金移換金はJRの社員の年金給付のための負担であります。これを一般国民の負担とするのではなくJRの負担とすることには合理性があり、憲法が保障する財産権を侵害するものではないと考えています。したがって、こうした特定企業の社員の福利厚生のための負担を事業主のJRが負担せず一般国民の負担とすることは不適当だと考えております。国鉄改革以来の政府の方針も、このような性格の負担まで一般国民の負担にすることとしたものではなく、JR社員分をJRの負担とする今回の措置は、そうした従来の政府の方針に反するものではありません。
 また、JRの追加負担は我が国の株式市場への信用等から問題があるのではないかという御指摘もいただきました。
 今申し上げましたように、JR社員分の厚生年金の移換金はまさにJRの社員の年金給付のための負担でありますことから、JRの負担とすることについての合理性については、海外の投資家や我が国の株式市場との関係においても御説明ができるものと考えております。
 さらに、その負担につき、今回の負担がその株価に及ぼす影響というお尋ねもございましたが、これを特定することは困難でありますが、JRの取締役が株主代表訴訟によって責任を負うことにはならないと私どもは考えております。
 次に、国鉄長期債務及び国有林野累積債務の処理とたばこ特別税及び郵便貯金との関係についてお尋ねがございました。
 たばこ特別税の創設は、国鉄長期債務及び国有林野累積債務を一般会計に引き継ぐことが財政赤字のさらなる拡大要因となることに対処するために、財政構造改革の趣旨を踏まえて、特殊な嗜好品であり、景気動向に比較的左右されにくく、安定的な財源を確保できるいわゆる財政物資であるたばこにつきまして、最近の価格に占めるたばこ税の負担割合の低下を回復する範囲で税負担を求めることといたしました。
 また、郵貯特会の特別繰り入れ措置につきましては、財政構造改革会議企画委員会等におけるあらゆる処理方策の検討の中で、国の財政が非常事態にあることにかんがみ、郵貯特会の積立金の性格や状況等を総合的に勘案した上で、財源確保のための特例措置として定めたものでございます。
 また、長期債務の処理についてのお尋ねもございましたが、国鉄長期債務及び国有林野累積債務の元本償還につきましては、たばこ特別税の一部を財源に充てるほか、当面は一般会計の歳出歳入両面にわたる努力による対応をしていくこととし、最終的には利払い費及び年金負担の縮小に伴い確保される財源や将来の国有林野特会の剰余金により確保される財源等により対応することといたしております。いずれにいたしましても、国鉄長期債務及び国有林野累積債務につきましては、一般会計に承継した後、元本も含め一般会計の債務として処理していくこととしておりまして、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
 次に、財政構造改革法の改正あるいは行政改革と国鉄長期債務等の処理との関係についてもお尋ねをいただきました。
 財政構造改革法の改正につきましては、現下の我が国の経済の状況を踏まえて、財政構造改革を進めながらも、その時々の状況に応じて適切な財政措置を講じ得るような枠組みを整備するとした考え方で対応しようとするものでありますが、財政構造改革を中期的に進めていくことの必要性は何ら変わるものではなく、財政構造改革の推進のためにも国鉄長期債務等の処理に本格的に取り組むことが不可欠であり、将来世代に安易に負担を先送りすることのないような根本的な措置を行おうとするものでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣藤井孝男君登壇〕
#34
○国務大臣(藤井孝男君) 赤羽議員にお答え申し上げます。
 JRは国鉄期間分の年金には無関係であるとの御指摘でありますが、国鉄改革では、鉄道の経営形態や労働関係については国鉄とJRを明確に断ち切る一方で、共済年金という職員の福利厚生の問題につきましては、職員の利益を守るために共済制度を継続して国鉄期間との連続性を確保し、年金制度の原則に従って鉄道共済において過去の国鉄期間分の年金を支えることとしたものであります。現に、これまでのJRによる毎年二百二十億円の任意の負担も、国鉄期間分を含めた年金の給付に充てられてきたものであります。したがって、国鉄清算事業団が負担する厚生年金移換金のうちJR社員分を共済の関係事業主であるJRが負担することは、こうした国鉄改革に合致する措置でございます。
 また、先ほど細川議員の御質問でお答えを申し上げましたけれども、また、総理からも御答弁を既に申し上げたところでありますが、政府といたしましては、特定企業の社員の福利厚生のための費用まで一般国民にその負担をお願いするわけにはいかないと判断いたしまして、また、年金の問題は当事者である関係事業主で処理するという年金制度の原則に従って、事業主であるJRの負担とすることが適当であると判断した次第であります。
 御指摘の、国において処理するとしたことが、こうしたJRの負担とすることが合理的なものまで一般の国民の負担とすることを意味するものではございません。今回の措置は、民間企業が社員の福利厚生のために負担する合理的な負担でありまして、国鉄改革等の方針に反して国が民間企業に対して不合理な負担を強制したり、憲法に反するような措置を講ずるものではないと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#35
○議長(伊藤宗一郎君) 木幡弘道君。
    〔木幡弘道君登壇〕
#36
○木幡弘道君 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました国有林野二法及び関連法案について、総理及び関係大臣に質問をいたします。
 国有林野は、戦後、国有財産法によって企業用財産と位置づけられ、特別会計の性格も国有林野特別会計法で独立採算の企業特別会計に位置づけられましたことは、既に御承知のとおりでございます。国有林野事業が破綻したそもそもの原因はこの辺にあります。七百五十万ヘクタールを超える広大な国有林野を、国土環境保全や保健休養といった国民のための公共用財産とはせず、富を生み出す企業財と認識したことに、今日の膨大な累積債務を生み出す根本原因があったと言わざるを得ません。
 国策で文字どおり金のなる木と位置づけられた国有林は、昭和三十年代以降の高度成長期には樹木の成長のサイクルを度外視して過剰に伐採され、そのために職員も大幅に増員をされていきました。こうしたことが原因となって、その後の国内木材資源の減少や価格の高騰を招き、さらには外国産材の輸入拡大という今日の地球環境破壊の元凶の一つとも言える我が国の輸入木材依存体質のきっかけをつくったことを考えあわせれば、この放漫経営のツケは、我が国の財政のみならず、地球全体に損害を与えていると言っても過言ではありません。
 林野庁は、昭和五十三年から国有林野事業の改善計画をスタートさせ、ピーク時には八万八千人を超えていた国有林野職員を一万五千人にまで削減をいたしました。これはこれで労使双方の血の出るような努力を評価しております。しかし、この改善計画は幾度も変更され、しかも、経営は残念ながら改善されるどころかますます悪化の度合いを深め、累積債務額は既に三兆八千億円にまで膨らもうとしているわけでございます。
 その原因は明らかであります。ある時期から、だれがどう見ても独立採算が見込めなくなった国有林野事業経営に対して、財政当局が一般会計からの繰り入れ拡充を渋り、財投の借りかえすら認めず、職員の削減だけで経営危機を乗り切ろうとしたこと、そして国有林を公共用財産とは認めない現行法体制の見直しを政府が長年にわたって放置してきたことに、その主たる原因があると言わざるを得ないわけであります。
 今回の政府案は、これらの責任を棚上げし、なし崩し的な政策転換と国有林野職員のさらなるリストラで事態を乗り切ろうとしております。また、一般会計に承継される二兆八千億円については、元本処理方策が極めてどんぶり勘定的に不明確な上、その利払いについては、国有林野債務と全く関連性のないたばこ特別税からの繰り入れという、無責任なものであると言わざるを得ません。
 この問題の解決には、一般会計からの支援や職員のある程度の削減は避けて通れない課題であることは認識をしておりますが、しかし、そうであれば、だれがこれらの長期にわたる失政の責任をおとりになるのか、国民の前に明らかにしなければなりません。責任を明確にしないまま国民の血税をツケの支払いに回すことは、さらに国政と行政に対する不信感を強めることにしかなりません。総理の御所見をお伺いいたしたく存じます。
 しかも、今回の改革案では、表面的には公益的機能維持増進を旨とする管理経営への転換をうたっていますが、国有財産上の位置づけは相変わらず企業用財産のままで、特別会計の性格も企業型の特別会計のままであります。そのため、一兆円の債務を引き継ぐことになる国有林野事業特別会計では、今後、新たな累積債務が生まれる可能性が極めて高いと言わざるを得ません。名実ともに、国民の森林とするとの林政審議会の基本精神からは、今回の政府案はほど遠いと言わざるを得ません。政府は、心から公益的機能重視への転換を図る決意がおありなのかどうか、この点も総理にお尋ねをいたしたく存じます。
 また、この国有林野事業特別会計が引き継ぐ債務の返済に関しても、その見通しは極めてあいまいであります。今後五十年で累積債務一兆円を返済するという林野庁の収支見通しでは、今後の人件費や事業費の物価上昇あるいは林産物価格の低迷等が全く考慮されておりません。このような見通しのまま債務返済計画を実行に移せば、遠からず計画が破綻するであろうことは明白であります。完全に経営破綻を来しているものに対して、一兆円もの借金を抱えさせたまま、さらに頑張って経営再建をしなさいというのは余りにも無謀かつ無責任な方針と言わざるを得ないのであります。このような債務返済方針で真に国有林野改革が可能とお考えなのかどうか、ぜひ大蔵及び農水両大臣にお聞かせをいただきたいと存じます。
 私は、この際、国営企業である国有林野事業の不良債権は国が責任を持って処理し、国民の共通財産として、国有林野を再生させるべきであると考えております。そして、そのためには、国有林野は当然国有財産法上の公共用財産と位置づけ、会計制度の性格も管理特別会計とすべきであります。国有財産法上の位置づけ並びに会計制度の性格について政府はどのように考えておられるのか、大蔵、農水の各大臣にあわせてお伺いをいたします。
 ことしの林業白書を見ると、何らかの形で森林づくりに参加の意向を有する者の比率は七割に増加しているとあります。一方で、緑の羽根運動の積極推進や緑の少年団の育成、あるいは数限りない森林をテーマにしたイベントが行政及び民間で開催されておりますが、山は荒れる一方であります。国有林もしかり、とりわけ民有林の荒廃は年を追うごとに深刻な状況となっております。最大の原因は、山を守る意識はあっても、その財源の十分なる裏づけがないことであります。申し上げるまでもなく、民有林の林家や所有権者は、他のだれよりも国土の保全と自然環境の維持増進の意識が高くとも、日々の経済生活に追われ、経済採算性のない山に資本や労働の投入はできないのであります。
 山を守る財源はどこに求めるべきであるのか、国民全体としてこの際考えなければならないときであると存じます。とりわけ、現行税制下における国家予算のみにこの財源を求めることを続ければ、景気の動向やあるいは行政需要の増加や多様化等により、百年先を見据えて取り組まなければならない森林行政予算が直近の行政需要に脅かされないと言い切ることはできないのであります。
 これらを考えるとき、かつて竹下内閣時代、国際会議においてブラジルを初めとする国々から提案のあった環境税の創設が思い出されます。山を守るための安定財源確保の見地から、仮称緑の税創設の構想や、あるいは従来から検討されている水源税や環境税の創設等について、政府は地球エコロジー再認識の時代にあって、これらの税制をどのように考え、どのように取り組もうとなさっているのか、この際、大蔵大臣及び環境庁長官にお聞かせをいただきたいと存じます。
 また、和歌山県本宮町長が提案し、全国の七百を超える市町村が参加し、国に要請をしている森林交付税の創設も、山を守る最先端の現場の責任者の市町村において、安定した特定財源の確保といった意味では極めて重要な提案と認識をしておりますが、これに対する農林水産大臣のお考えについてもお聞かせをいただきたく存じます。
 荒れた山はほうっておいては再生しません。人間が山と共生するためには、治山や造林あるいは保全管理などさまざまな形で直接的にかかわらなければなりません。特に地球温暖化防止に向けた取り組みの機運が世界的に高まる中、世界最大の木材輸入国である我が国の森林行政には、世界じゅうの関心が集まっていると言っても過言ではありません。今後の我が国の森林・林業政策のあり方について総理自身のお考えを伺って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#37
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 木幡議員に御答弁を申し上げます。
 まず、国有林野事業の経営責任というお尋ねがありました。
 国有林野事業におきましては、組織・要員の合理化等できる限りの経営改善努力を行ってまいりました。しかし、木材価格の低迷等により現在極めて厳しい状況となっており、その使命を十全に果たしていくために、国民の理解を得ながら抜本的な改革に全力で取り組んでいきたいと考えております。
 経営方針の転換についてお尋ねがございました。
 今回の国有林野事業の改革におきましては、国有林野の管理経営を公益的機能重視に転換するとともに、一般会計繰り入れを前提とした特別会計制度に移行することとしており、国有林野は国民共通の財産であるとの認識に立って、抜本的改革の実現に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 今後の我が国の森林・林業政策のあり方についてもお尋ねがございました。
 議員御指摘のように、森林は、ただ単に木材の供給といった機能以外に、国土保全や水資源の涵養あるいは二酸化炭素の吸収等、大きな公益的役割を果たしており、国民の生活にとっても重要な役割を担っております。このためにも、林業の担い手の育成確保を図りながら、治山、造林等さまざまな手法を通じた多様な森林整備の推進、林業、木材産業の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#38
○国務大臣(松永光君) 木幡議員にお答えいたします。
 国有林野改革と約一兆円の債務との関係についてのお尋ねですが、国有林野事業特別会計が返済する約一兆円の債務は、組織・要員の徹底した合理化等を行い、最大限効率的な経営を行うことを前提として、将来にわたって事業を健全に運営できる限度で債務を負担するとの考え方のもとに、長期収支見通し等を踏まえつつ算出されたものであります。したがって、約二・八兆円の債務の一般会計への承継、組織・要員の徹底した合理化等によって今般の抜本的改革が実現すれば、国有林野事業は、約一兆円の債務について円滑かつ確実な償還を行いつつ健全な経営を確保し、その使命を十全に果たすことが可能となると考えられておるのであります。
 次に、国有林野の性格等についてのお尋ねですが、国有林野特会は、今般の抜本的改革により、独立採算制を前提とした特別会計から、公益林の適切な管理等のための一般会計繰り入れを前提とした特別会計に移行することとしております。しかしながら、今後とも木材を生産し造林等の投資も行うこと、今後五十年間に生じる剰余金で約一兆円の債務を円滑に償還していく必要があること、これからして、できる限り効率的に運営するため、企業会計原則により経理を行い、企業的に運営していくことになるものと考えております。
 また、国有林野の国有財産としての位置づけにつきましても、こうした特会の財産として、引き続き企業用財産とすることが適切と考えております。
 最後に、森林保全や水源確保あるいは環境のための税制に関する御指摘がありました。
 仮に、国民に新たな税負担を求めるということであれば、まず、どのような目的で、どのようなものに負担を求めるのか、こういう点について十分な議論がなされ、国民の幅広い理解と納得が得られることが重要であり、そうした点についての慎重な議論、検討が必要であると考えております。いずれにせよ、環境問題に関する税制面での対応のあり方については、環境基本法や環境基本計画の趣旨を踏まえ、環境問題に対する総合的な政策の一環として、国内外での議論の進展を注視しつつ、引き続き調査及び研究を進めていきたいと考えておるところであります。(拍手)
    〔国務大臣島村宜伸君登壇〕
#39
○国務大臣(島村宜伸君) 木幡議員にお答え申し上げます。
 まず、国有林野事業特別会計が負担する債務の返済についてのお尋ねでありますが、今後の国有林野事業の長期収支につきましては、一、収穫量は、今後の資源の成熟、長伐期化等、公益的機能重視への転換を踏まえ将来的に増加すること、二、木材価格は、これまでの価格動向を踏まえ、今後も横ばいに推移すること、三、林野・土地等の売り払いについては実績等を踏まえて算定すること、四、公益林については、その管理等に係る経費に対し一般会計からの繰り入れを行うことなどの前提のもとに試算した結果、今後五十年間で約一兆円の剰余が見込まれるところであります。
 このような長期収支の試算結果を踏まえ、国有林野事業が負担する債務を約一兆円とし、その利子については一般会計からの繰り入れにより債務の累増を防止した上で、今後五十年間で返済することとしているところであります。
 次に、会計制度の性格等についてのお尋ねでありますが、国有林野事業特別会計につきましては、森林の有する公益的機能の維持増進を基本としつつ企業的に運営される特別会計に移行することとしております。この特別会計は、独立採算制を廃止し公益林の管理等のための一般会計繰り入れを前提としておりますが、一方では、今後とも木材を生産し必要な造林等の投資も行うこと、五十年間に生じる剰余金で一兆円の債務を円滑に処理する必要があることなどから、企業的に運営していくこととしております。
 また、国有林野の国有財産としての位置づけについても、このような特別会計に属する財産として、引き続き企業用財産とすることが適切と考えております。
 次に、森林交付税の創設についてのお尋ねでありますが、森林交付税は、現在の地方交付税とは別枠で、森林面積等に応じて市町村に対して交付する交付金構想であると聞いております。また、森林・林業に対して地方財政措置を含む多様な支援措置が講じられることは望ましいと考えておりますが、平成五年度以降、森林・林業に対する地方財政措置が拡充強化されてきている状況のもとで、さらに森林交付税という形での支援措置を講じることについては、財源及び使途等の面で慎重な検討を要するものと考えております。(拍手)
    〔国務大臣大木浩君登壇〕
#40
○国務大臣(大木浩君) 環境との関連についての、言うなれば目的税を導入することをどう考えるか、こういう御質問だと思います。
 環境との関連での目的税、いろいろありますが、大きく二つに分けて考えてみますと、一つは、例えば温暖化防止の、言うなれば温暖化ガスを抑制するためのそういった効果をねらっての税、それからもう一つは、きょう御質問もありましたけれども、森林のようにこれからむしろ環境をよくするためのいろいろな政策の一つとしての税、こう二つあると思います。
 前者につきましては、これは今のところすぐに私ども環境庁としてはそういった税、例えばよく言われておる炭素税というようなものを導入することは予定はしておりませんけれども、将来の問題として、これから例えば温暖化防止のために日本が国際的にも約束いたしました六%減というようなものを実施するに当たって、どうしてもほかの方法だけでは不十分であるといったような場合には、そういった目的税も一つの選択肢として十分に検討に値するものだと考えております。
 二つ目の、むしろ積極的に例えば森林を保護しよう、それはもちろん環境に非常に大きな影響があるわけでございますが、これは、言うなれば全般の農林政策の一つの中でどうやって森を維持していくか、発展させていくか、こういう問題でございますので、これを目的税の形で導入するのがいいのか、あるいはほかの一般的な政策として通常の予算の中で解決をしていくのがいいのか、その辺についてはいろいろと御議論があるところだと思いますので、今直ちにこれを環境税という形でどうだということにつきましてはにわかには判断が難しいわけでございますけれども、これも一つの検討課題として私どもも頭に置いて勉強は続けたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#41
○副議長(渡部恒三君) 江崎鐵磨君。
    〔江崎鐵磨君登壇〕
#42
○江崎鐵磨君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となっております一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案を初めとする五法案について、総理並びに関係各大臣に御質問をいたします。
 橋本総理は、旧国鉄を分割し民営化する際、運輸大臣であり、国鉄債務処理スキームの策定に当たられたこと、つい先ごろのように私どもは思い起こしております。
 国鉄清算事業団は、分割当初、昭和六十二年の緊急土地対策要綱により、地価高騰を助長するという理由で旧国鉄用地売却の道を密閉されたのであります。需給バランスに照らし合わせても、土地を売却することは、地価高騰を助長するのではなく、供給をふやして地価を抑える方法であったのではなかったのか。公開競争入札を凍結して抑えられる地価対策のメリットと、公開競争入札で土地を売った利益で借金を返済できるメリット、いずれのメリットがまさっていたのか、まずもって総理の御見解をお伺いいたします。
 また、橋本総理は、大蔵大臣として不動産融資への総量規制を実施し、不動産市場を冷え込ませてしまいました。つまり、国鉄清算事業団の資産売却を妨げる政策をとり続けてこられたのが橋本総理であります。このような政策判断についていささかも責任をお感じにならないのか、総理の今日の御心境を伺う次第であります。
 次に、政府は、土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る債務について、最終的には国において処理することを昭和六十三年に閣議決定しております。また、平成元年の閣議決定では、土地の処理は平成九年度までに終わるとしたのであります。なぜもっと早く抜本的な処理を行わなかったのか。当時、国民負担となるのではといった心配額は十四兆円弱であったのが、問題を先送りし、財投によって追い貸しをした結果、収入以上に利払いがかさみ、今や二十八兆円と膨れ上がったのであります。完済は不可能と知りながら、財投により高金利の金を融資し、抜本的解決策を先延ばししていたのであれば、経済犯罪にも等しい許されない行為であります。橋本総理の答弁を求めます。
 このように、ずさんな当初計画を策定し、抜本処理を先送りしてきた橋本内閣は、国鉄債務に対する責任をどうおっしゃられようが免れることはできないのであります。また、バブル崩壊後のキャピタルロスは一千兆円を超えております。これでは国鉄、林野債務を返済することなどとても不可能であります。経済再建なくして債務処理はあり得ません。目先の財政帳じり合わせにだけ目を向け、根本的経済構造改革を行わない橋本内閣のもとでは、今後顕在化してくる財政投融資機関、特殊法人の債務を含めた財政再建は全く期待できないのであります。これらについて、橋本総理の明確な御答弁を求める次第であります。
 次に、一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案について伺います。
 今回、一般会計に承継された債務は、たばこ特別税の創設と郵便貯金特別会計からの特別繰り入れにより賄うとありますが、そもそも目的税は受益と負担の関係が明確でなければなりません。ましてや、本法案によるたばこ特別税は、借金の利子と元本の一部返済に用いられるだけのものであります。財政規律、課税原則をないがしろにする融通無碍な方策は、決して私ども認められるものではありません。たばこ特別税という目的税の負担と受益の関係、なぜたばこ税がありながら借金返済のみを目的とする目的税をつくるのか、その経緯について大蔵大臣に御質問をいたします。
 また同様に、郵便貯金特別会計から五年で一兆円の特別繰り入れを行うこととあります。郵便貯金は、財政投融資の原資ではありますが、その金は黒字も含めて紛れもなく貯金者のものであります。何をもって郵便貯金特別会計から国鉄と林野の赤字返済に使われるのか、この特別繰り入れは五年以上に及ぶことがあるのか、また、将来郵便貯金特別会計に返済されるものかどうか、三点について大蔵大臣に、貯金者である私ども国民に対し納得のできる説明を求めるものであります。
 国鉄、国有林野債務は、一般会計に承継される以上、他の債務と同様に処理をするのが当然であり、特定分野への課税を行うべきものではありません。たばこ特別税創設等の増税や国民負担によるのではなく、経済再建による租税増収と行財政の見直しにより財政再建をするべきものであります。しかも、債務の利払いしか念頭に置いておらず、元本はその他の方策により六十年で返済するとするだけでは、既に破綻を予感せざるを得ないのであります。これらについて大蔵大臣の答弁を求めます。
 国鉄長期債務は、約二十八兆円にも膨れ上がっております。この額は、平成十年度予算の約三八%に当たります。例えば、一戸建て二千万円の住宅であれば三百八十八万戸の建設が可能であり、地方道路であれば地球を半周する長さの約二万五千キロメートル、そして高速道路でも五千キロメートルもの建設を可能にするものであります。この額がいかに巨額なものかを如実に物語っているのであります。国鉄清算事業団には、もはやこのような巨額の債務の返済や年金の支払いを続けていく能力はとてもなく、処理策には一刻の猶予も許されない状況であるとき、総理並びに運輸大臣の御見解をお聞かせ願います。
 国鉄清算事業団の二十三兆五千億円の累積債務を処理するための国庫負担は、年間一兆六百億円に上ります。しかも、元本分四千億円の負担は今後六十年間の長期に及ぶとしておりますが、国民に対してこのような巨額の負担を求める政府案について、総理御自身はその責任をどう国民に説明されるのか、お尋ねいたします。あわせて運輸大臣の御見解もお聞かせ願います。
 今回、国鉄清算事業団が抱える厚生年金移換金の負担のうち、JRの社員分については、これをJRの負担とするのか、それとも国民の負担とするのかが焦点になっております。この負担をJRの負担とする基本的な考え方について、まず橋本総理の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 JR負担については、さまざまな論議がなされております。
 第一に、国鉄民営化に際して、その債務は政府負担とJR負担に区分されており、さらに、鉄道共済年金を厚生年金に統合するに当たっての年金の積み立て不足分についても、政府とJRの負担割合を決めており、分担のルールは決着済みと理解されております。
 第二に、既に国から独立した法人で、独自に経営努力に努め、株式も公開されているJRに対して、責任がなくなったはずの無関係な移換金を改めて負担させるべきではなく、国が負担すべきであるとも言われております。
 第三に、この処理の仕方は海外の不信を招くことにはならないのか。せっかく民営化して株を上場し経営努力で利益を上げても、その増益分が株主に還元されず、国に吸収されてしまうという印象を与えかねない。日本の民営化政策に対する海外の不信を強めることになるのではないか。
 これらの点について運輸大臣はどのような御見解をお持ちなのか、お尋ねいたします。
 また、JRに負担が転嫁されるのではないかという点であります。今回の措置によって負担者を明確に決定する以上、将来、JRにその一部を負担させるようなことがあってはならないと考えますが、橋本総理の将来を見据えた明確な、約束できる御見解をお聞かせいただきたいものであります。
 また、今回の移換金の負担は、JRの経営に深刻な打撃を与えているのではないかといったことであります。特に、経営体質の弱い北海道、九州、四国の三島会社とJR貨物は、赤字から抜け出せなくなるおそれがあります。また、株式を上場したJR東日本、西日本、東海に未公開株が残っており、株売却収入が減る可能性が強いと思われますが、これらの点について運輸大臣はどのような認識をお持ちなのか、お尋ねいたします。
 清算事業団は本年九月末をもって解散することになっておりますが、千四百人を超す清算事業団職員の再雇用が現在話題になっております。再雇用先の決まっている職員はまだ百人足らずと聞くときに、実情はどうなのか。政府は雇用対策に万全を期すべきであると考えますが、運輸大臣の対応をお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、国有林野事業の経営の改善についてお伺いいたします。
 林野特別会計が抱えている債務は、約三兆八千億円にも上っております。この債務も一朝一夕に膨れ上がったのではありません。昭和五十年以降、輸入木材量の増大、木材価格の低迷、伐採可能材の減少等により国有林野事業は毎年度赤字を計上し、だれもが財政状況は改善されることはないと知りつつも何ら抜本的な対策をとらずして、結果としてこのような膨大な累積債務が生じたのであり、もはや国有林野事業特別会計単独でこの債務を処理することはとても不可能であります。
 その間、確かに農林水産省も四次にわたり国有林野事業改善計画を策定、変更し、要員規模の適正化、事業組合の統廃合、事業運営の合理化などを実施してこられたようですが、根本的問題である累積債務処理についてだけは先送りし続けてきたのであります。もっと早い段階で債務を一般会計で処理するなどの抜本的対策をとっておけば、三兆八千億円とも言われる債務にはならなかったのではないか、総理の見解をお伺いいたします。
 なお、今回の法案では、国有林野事業の累積債務のうち、林野事業特別会計で返済不能な額を約二兆八千億円、先ほども島村農林大臣から返済可能な額を約一兆円としておられましたが、いかなる根拠で返済可能な額を一兆円とされたのか。
 さらに、返済可能とした一兆円については、国有林野事業特別会計が一般会計による利子補給を受けつつ、民間借り入れによる借りかえなども行いながら約五十年かけて返済していく計画と伺いましたが、返済がうまくいかなければ、この一兆円がまた利子を生み続け、結果として、国有林野事業特別会計はまたしても膨大な額の負債を抱えたままになる可能性も十分に予想されるのであります。総理並びに農林水産大臣の御見解をお尋ねして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#43
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 江崎議員にお答えを申し上げます。
 まず、地価高騰時における旧国鉄用地の売却凍結についての御意見をいただきました。
 緊急土地対策要綱に基づく旧国鉄用地の売却の見合わせにつきましては、当時、大都市を中心として地価が急激に高騰する事態に対応するための措置であり、この措置は、当時の国家的緊急課題でありました地価対策の観点と国鉄長期債務に係る国民負担の軽減との観点を総合的に勘案して講じたものと考えております。
 また、総量規制の国鉄清算事業団の土地売却への影響についてもお尋ねをいただきました。
 総量規制も含め、各種施策の実施を通じて我が国の地価が下落し、その結果として事業団の土地売却が思うように進まなかったことは事実でありますけれども、土地関連融資に係る総量規制につきましては、当時大きな社会問題になっていた地価の高騰に対し、金融面から適切に対処することを目的に講じた措置でございました。
 国鉄清算事業団の債務の抜本的な処理を行わなかった理由についてもお尋ねがありました。
 国鉄長期債務の処理につきましては、昭和六十三年の閣議決定に基づいて、まず事業団の土地その他の資産の処分に全力を挙げてまいりました。そして、この間の事業団の借り入れにつきましては、毎年の資金調達規模が巨額に及びますことから、調達条件、貸付期間などを総合的に勘案し、各年度において有利な借り入れを行うよう努力してまいりました。また、政府としても、約一兆六千億円に及ぶ国庫補助金の交付、また一般会計による事業団の有利子債務の承継など、その時々の情勢の中で、国鉄長期債務の処理に最善と思われる措置を講じてきたところであります。
 国鉄清算事業団の債務の処理のための当初計画についても御意見をいただきました。
 昭和六十三年の閣議決定、今、既に議員も引用されましたように、事業団の自主財源を充ててもなお残る債務については、最終的には国において処理することとなることから、まずは事業団の土地その他の資産の処分を進めることとしたものでありまして、資産の処分に全力を挙げて取り組んできたところであります。
 バブル崩壊後のキャピタルロスと債務処理との関係についても御意見をいただきました。
 国鉄清算事業団の土地処分収入については、バブル経済の崩壊等により、結果として思いどおりに進まなかったことは御指摘のとおりでありますが、事業団としては、厳しい状況の中で土地処分の推進に最大限の努力を行ってきました。そして、最終的に残る事業団の債務については、昭和六十三年の閣議決定に基づいて本格的処理を実施するものであります。
 また、国有林野事業につきましても、平成三年に策定された経営改善計画におきまして、債務処理の財源として林野・土地売り払い収入を見込んでおりましたところですが、バブル経済の崩壊などにより林野・土地売り払い収入が予定を下回ったことが、財務状況の悪化の一因となったものと考えております。今般、昨年十二月十七日の財政構造改革会議決定を受けて、累積債務の本格的処理を行うことといたしたところでございます。
 抜本的な経済構造改革を行わなければ財政再建は不可能、そのような御指摘もいただきました。
 経済構造改革は、我が国経済の活力を向上させようとするものであり、税や歳出のさまざまな側面を通じて、健全な財政の確立に資するものであります。その一方、現在の財政構造をこのまま放置すれば、経済の活力が低下することも明らかであり、経済構造改革と財政構造改革はまさに車の両輪と言えるとも考え、今後とも、経済構造改革を推進しながら財政構造を改めていきたいと考えております。
 また、国鉄清算事業団の債務の処理は一刻の猶予もないという御指摘をいただきました。御指摘のとおり、事業団の債務の本格的処理は、国家的な課題として早急に実施すべきであると考えております。
 また、国民に負担をお願いすることについても御意見をいただきました。
 事業団の債務について、国民に負担をお願いしながらその本格的処理を実施することは、国鉄改革の総仕上げを行う上で避けては通れない課題でありまして、また、将来世代へ負担を先送りする形での処理を行うことは回避すべきであります。御指摘のとおり、事業団の債務や年金負担を処理するためには国民に負担をお願いしなければなりませんが、こうした事業団の債務の本格的処理の必要性について、ぜひ御理解をいただきたいと考えております。
 厚生年金移換金のJR負担についてのお尋ねもございました。
 厚生年金移換金は、国鉄改革においては予定されていない負担でありました。また、この処理を行う場合には、最終的にだれが負担することが一般国民との関係で最も合理的であるかを判断する必要があると考えております。JR社員分の厚生年金移換金は、JRの社員の年金給付のための負担であることからしますと、JRの負担とすることが合理的であり、こうした特定企業の社員の福利厚生のための負担を一般国民の負担とすることは不適当と判断をいたした次第であります。
 また、国鉄清算事業団の債務や年金負担のうち、今回JRの負担としないものについて、将来に対しての考え方を述べよという御指摘をいただきました。
 政府としても、議員御指摘のように、これらにつきましては、今回、その負担者を国及び鉄道建設公団とし、JRの負担とはしないことを明確に決定いたしております。
 次に、国有林野債務の問題についてお尋ねがありました。
 これまでも要員の合理化や事業の効率化、一般会計繰り入れの拡充等経営改善努力を尽くしてまいりましたが、木材価格の低迷等から財務状況が予想を上回って大幅に悪化し、従来どおりの方策では国有林野事業の使命が果たせなくなるおそれが極めて大きいと考えられたことから、その抜本的改革を行おうとしているところであります。
 次に、国有林野事業の債務の返済についてお尋ねがございました。
 今後、国有林野事業が負担する債務につきましては、事業の健全な運営を確保するという観点に立ち、伐採量の見通しや木材価格の動向等を踏まえながら長期収支を試算し、この結果等を踏まえ、約一兆円としたものでありまして、その利子に対する一般会計からの繰り入れ措置を講じながら、今後五十年間で返済することとしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#44
○国務大臣(松永光君) 江崎議員にお答えいたします。
 一般会計に承継された債務の財源としてのたばこ特別税についてのお尋ねでありますが、あらゆる選択肢についての検討の結果、国鉄長期債務及び国有林野累積債務の処理方策においては、まず自助努力によってできるだけ返済し、残る債務を一般会計に承継することとし、その上で可能な限りの財源捻出努力を行い、どうしても足らざる部分について、たばこに税負担をお願いすることとしたものであります。
 このような税制上の措置は、国鉄長期債務及び国有林野累積債務の一般会計の承継に伴い、これらの債務の利払い等により一般会計の負担が増加し、財政赤字のさらなる拡大要因となることから、一般会計の財源を補完するために講ずるものでありますが、その趣旨を納税者に明確にする観点等から、特別立法によるたばこ特別税として創設するものであります。たばこと国鉄、林野の債務との間に受益、負担関係を認めて負担をお願いするものではないことを御理解いただきたいと思います。
 なお、たばこ特別税は、特殊な嗜好品であり、景気動向に比較的左右されない安定的な財源を確保できるいわゆる財政物資であるたばこについて、最近の価格に占めるたばこ税の負担割合の低下を回復する範囲で負担を求めることとしたものであることも、あわせて御理解を願いたいと思います。
 郵便貯金特別会計の特別繰り入れ措置の趣旨及びその特例措置の期限についてのお尋ねでありますが、この特別繰り入れ措置は、財政構造改革会議企画委員会等における国鉄長期債務についてのあらゆる処理方策の検討の中で、郵貯特会の積立金の性格や状況等を総合的に勘案した上、国の財政が非常事態にあることにかんがみ、一般会計が承継する国鉄清算事業団の有利子債務の利払い財源の確保のため、平成十年度から平成十四年度までの五年間における特例措置として決められたものであります。
 また、この特別繰り入れについては、将来郵貯特会に戻すのかとのお尋ねでありますが、今般の特別繰り入れは一般会計の財源確保のためのものであり、この特別繰り入れに対応する繰り戻し規定は設けておりません。
 次に、国鉄長期債務及び国有林野債務の問題は税収増と行財政の見直しによる財政再建を通じて処理すべきであるとの御指摘でありますが、国鉄長期債務及び国有林野債務のこの問題は、財政構造改革をなし遂げる上で何としても円滑に処理していくことが必要であり、先送りの許されない重要な課題であります。今回の処理方策においては、まず自助努力によってできるだけ返済し、残る債務を一般会計に承継することとし、その上で可能な限りの財源捻出努力を行い、どうしても足らざる部分について、たばこ特別税という形でたばこに負担をお願いすることとしたものであります。
 一般に、財政構造改革を進めるに当たっては、行政の各分野においてまず歳出の改革と縮減に取り組むべきであることは当然のことと考えており、それが、同時に財政構造改革を進める上での国民の皆さん方の理解につながるものと考えております。
 次に、国鉄長期債務及び国有林野累積債務の元本償還の財源についてのお尋ねでありますが、国鉄長期債務の元本償還に要する財源については、たばこ特別税の一部を充てるほか、当面は一般会計の歳出歳入両面における努力により対応することとし、最終的には利払い費及び年金負担が縮小していくことに伴い確保される財源等により対応することとしております。
 また、国有林野累積債務についても、当面は一般会計の歳出歳入両面にわたる努力により対応することとし、最終的には将来の国有林野特会の剰余金により確保される財源により対応することとしております。
 いずれにせよ、国鉄長期債務及び国有林野累積債務については、一般会計に承継した後に、元本も含め一般会計の債務として処理していくこととしており、御理解をいただきたいと思う次第であります。(拍手)
    〔国務大臣藤井孝男君登壇〕
#45
○国務大臣(藤井孝男君) 江崎議員にお答えいたします。
 まず、国鉄清算事業団の債務の処理は一刻の猶予もないとの御指摘でありますが、まさにそのとおりでございます。事業団が抱える債務の償還や年金負担の支払いを適切に行っていくためには、その本格的処理を行うことは緊急を要する課題であり、このため、政府といたしましては、本年十月一日にその実施をお願いすることとしたものでございます。
 次に、国鉄清算事業団の債務の処理のために一般国民に負担をお願いすることについてのお尋ねがありました。
 総理からもこの点につきましては御答弁がありましたが、国鉄改革におきましては、鉄道を健全な姿で再生するため事業団に巨額の国鉄長期債務等を残すこととしたものであり、その債務が結果として増大したことにつきましてはまことに遺憾であると存じておりますが、その本格的処理を行うことは国鉄改革の総仕上げを行う上で避けては通れない課題であります。また、将来世代へ負担を先送りするという形での処理を行うことは回避すべきであります。御指摘のとおり、事業団の債務や年金負担を処理するためには一般国民に負担をお願いしなければなりませんが、こうした国鉄長期債務の本格的処理の必要性について、ぜひとも御理解を賜りたいと考えております。
 次に、厚生年金移換金のJR負担に関するさまざまな論議についてお尋ねがございました。
 第一に、移換金は既に国が負担することが決定されているとの論議でありますが、移換金は国鉄改革では全く予定されていない負担であり、また、事業団が負担する移換金を最終的にだれが負担するのかは、いまだ決定されていない問題であります。
 第二に、JRは国鉄期間分の年金には無関係であるとの論議でありますが、国鉄改革では、共済年金という職員の福利厚生の問題につきましては、職員の利益を守るために共済制度を継続して国鉄期間との連続性を確保し、年金制度の原則に従って鉄道共済において過去の国鉄期間分の年金を支えることとしたものであります。
 第三の御質問でございますが、今回の措置が我が国の民営化政策に対する海外の信頼を失うのではないかという論議でありますが、JR社員分の移換金はJRの社員の福利厚生のための負担であることからすれば、民営化された企業として自分で負担することが合理的な負担であり、今回の措置は、民営化政策に反するようなものではないと考えております。
 次に、今回の移換金の負担がJR北海道、JR四国、JR九州及びJR貨物の経営に与える影響についてのお尋ねでございますが、今回の移換金負担は、その分がJR各社の経費増となり、その場合、JR北海道、JR四国及びJR九州につきましては、平成十三年度までに株式上場が可能な経営状況になるという経営目標達成に、またJR貨物については、平成十三年度までに完全民営化に向けての黒字体質の定着を図るという経営目標達成に影響を与えることは否めないところであります。このため、運輸省といたしましては、JR北海道等四社について、各社の経営目標達成に配慮し、従来からの支援策に加え、経営基盤の強化等を図る観点から、新たに日本鉄道建設公団からの無利子資金貸付制度を創設する等の措置を講ずる所存であります。
 次に、今回の移換金の負担がJR株式の株価に与える影響についてのお尋ねでありますが、株価はさまざまな要因を背景に自由な市場の需給関係で決まってくるものであることから、今回の事業団の債務の処理方策の株価への影響を特定することは困難でございます。
 最後に、国鉄清算事業団職員の雇用対策についてのお尋ねでありますが、事業団職員の雇用対策については、平成八年十二月の閣議決定に基づき、平成九年度より既に対策を実施してきておりまして、この結果、事業団プロパー職員数は、平成八年度首の千九百名から平成十年度首には約一千百名まで減少したところであります。事業団の廃止に当たっては、その職員の雇用の安定確保が何よりも重要と認識しており、今後とも、関係各方面の協力も得ながら、事業団職員の雇用対策に万全を期してまいる所存でございます。(拍手)
    〔国務大臣島村宜伸君登壇〕
#46
○国務大臣(島村宜伸君) 江崎議員にお答えいたします。
 私に対する御質問は、国有林野事業特別会計が負担する債務の返済についてでありますが、今後の国有林野事業の長期収支につきましては、一、収穫量は、今後の資源の成熟、長伐期化等、公益的機能重視への転換を踏まえ将来的に増加すること、二、木材価格は、これまでの価格動向を踏まえ、今後も横ばいに推移すること、三、林野・土地等の売り払いについては実績等を踏まえて算定すること、四、公益林については、その管理等にかかる経費に対し一般会計からの繰り入れを行うこと、五、経営改善努力による支出の節減を図ることなどの前提のもとに試算した結果、今後五十年間で約一兆円の剰余が見込まれるところであります。
 このような長期収支の試算結果を踏まえ、国有林野事業が負担する債務を約一兆円とし、その利子については一般会計からの繰り入れにより債務の累増を防止した上で、今後五十年間で返済することとしているところであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#47
○副議長(渡部恒三君) 平賀高成君。
    〔平賀高成君登壇〕
#48
○平賀高成君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案、国有林野事業の改革のための特別措置法案及び国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律案、森林法の一部を改正する法律案、東北森林管理局及び関東森林管理局の設置に関し承認を求める件、一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置法案の六法案について質問をいたします。
 旧国鉄長期債務の処理スキームの特徴は、巨額な長期債務のほとんどを何の責任もない国民に負担を転嫁することにあります。長期債務は、この十年間で減るどころか、二十五兆五千億円の債務が二十八兆円に膨れ上がっております。処理スキームは、有利子、無利子債務二十三・五兆円のすべてを一般会計に移し、六十年間かけて償還するというものです。これは、利子を含めると数十兆円を超える巨額の負担を国民にツケ回しするものであり、絶対に認めるわけにはいきません。(拍手)
 国鉄の分割・民営化の最大の課題は、旧国鉄長期債務の解消ということでした。当時、運輸大臣であった橋本首相は、国民の負担を圧縮すると約束していました。ところが、国民負担は圧縮どころか二倍にふえているではありませんか。橋本首相の責任ある答弁を求めます。
 さらに、処理スキームは、長期債務の大半を一般会計に移しかえるだけであり、何ら抜本的処理策にはなっていないものです。毎年一兆円近い国債費が上積みされ、財政危機をさらに深刻化させるものです。財政構造改革法のもとでは、このツケは大幅な歳出削減につながり、社会保障費や教育費、中小企業関連予算など、国民生活関連予算に大きな影響を与えることは明らかです。そうではないと言えるのですか。橋本首相の答弁を求めます。
 そもそも旧国鉄の長期債務はなぜ発生したかということです。それは、歴代自民党政府が国鉄を高度成長政策に奉仕させ、巨額の設備投資を借金で行わせてきたこと、道路には巨額の予算を投入してモータリゼーションを促進しながら、国鉄に赤字を理由に運賃値上げとサービス切り捨てをやらせ乗客離れを引き起こしてきたこと、大企業貨物に対する出血サービス、資材購入や工事発注でのゼネコン、大企業言いなりなど、国鉄を大企業の食い物にしてきたことにあります。
 その上に、債務処理計画そのものが土地とJR株式の高値売却を当てにしたバブルを前提にしたものであり、当初から計画が狂い、金利負担に追われ、そのために借金を繰り返すなど、債務を累増させていきました。
 この間、新幹線をJR三社に譲渡した後、新幹線の譲渡収入の一部を債務返済に充てず整備新幹線建設費に流用するなど、政府は極めて無責任な対応に終始をしてきました。債務の元本償還も、当面歳出で対応するというもので、何ら具体的になってはおりません。国民への新たな負担なしに抜本的処理対策を行うべきです。橋本首相の明確な答弁を求めます。
 私は、昨年四月の衆議院本会議で、長期債務の発生要因に即して債務処理の解決を図るべきであるとして、国民に負担を転嫁することは認められないという立場から、緊急策として、借入金の低利借りかえを行い債務負担を軽減する、JR本州三社に応分の追加負担を求める、抜本対策として、道路特定財源などを繰り入れた総合交通特別会計を創設して解決を図るという債務処理の三つの方向を提案をいたしました。この方向こそ解決の道であることがいよいよはっきりしてまいりました。
 今回、財投資金分についての繰り上げ償還を行うことにより年間二千五百億円の金利負担が軽減されることは、一歩前進と言えるものです。我が党はいち早く低利借りかえを求めてきましたが、政府はもっと早くこうした措置をとるべきでありました。
 JRの追加負担については、年金債務の負担という手段ではなく、長期債務発生の原因と経過に照らして応分の負担を求めるべきであります。JR北海道、四国、九州の三社には、もともと債務を承継させないことになっています。同時に、この三社とJR貨物は赤字構造のもとで経営破綻を来しております。こうしたJR四社に年金債務の追加負担をさせ、その穴埋めのための新たな支援措置を行うというのは、政府の自己矛盾にほかならないものです。運輸大臣の答弁を求めます。
 JR本州三社は、国鉄改革法によって債務を承継する法的責任を持たされています。承継債務額は、各社の経営見通しの試算に基づいて、営業収入の一%から二%程度の利益が生まれることを前提に決められています。ところが、本州三社の実際の経営は試算よりもはるかに大きな利益を上げ、営業収入も大幅に超えています。さらに、承継債務額の決定は、JRが承継した資産とは何ら関係なく行われたものです。優良資産や事業の承継規模からしても、分割・民営化時の債務承継額は明らかに過少な負担であったものです。
 JR本州三社は、優良な資産を帳簿価格で承継しました。こうして国民の財産をただ同然で手に入れ、駅ビルやホテル、百貨店などの事業に活用して大もうけできる仕組みをつくったのです。現に、JR移行後の九年間で、JR東日本は四十二の駅ビルを建設、改良しています。しかも、簿価で手に入れた鉄道事業用地を時価で売却するなど、国民の財産をもうけのために切り売りしています。JR本州三社には負担すべき道理も追加債務を受け入れる体力もあり、応分の負担を求めることは当然のことであります。橋本首相及び運輸大臣の見解を求めます。
 抜本的処理策を立てるためには、道路特定財源を含む総合交通特別会計をつくることです。歴代自民党政府は、道路投資などに巨額の国費をつぎ込んできました。国鉄の場合は、九割以上が借金で賄われてきました。こうした道路投資偏重政策のゆがみにメスを入れるべきです。今深刻な財政危機のもとで、限られた財源を道路、鉄道、港湾、空港にバランスよく配分することは避けて通ることができない課題になっています。そのためには、揮発油税など道路特定財源や港湾整備・空港整備特別会計、鉄道予算を一本化した総合交通特別会計を創設することが不可欠です。こうしてこそ、旧国鉄長期債務を国民への新たな負担なしで処理する展望を切り開くことができるのです。
 国有林野事業の三兆八千億円に及ぶ累積債務の原因と責任は政府・自民党にあることは明らかです。国有林野事業に独立採算制を押しつけたまま木材の輸入自由化を進めたことが、累積債務発生の第一の原因です。一九五六年からの一連の木材の輸入自由化によって安価な外材が大量に輸入をされ、国産材の価格が低下し、国有林野事業の経営収支の恒常的赤字発生の基本的な原因となったのです。自民党政府は、国有林野事業を単独で採算がとれない環境に追い込んでおきながら、独立採算制を押しつけてきたのです。
 第二の原因は、国有林野事業の赤字対策に財投資金を投入してきたことです。七八年度に制度化された改善計画で財投資金の導入が積極的に位置づけられ、その後、財投資金投入が一気に進み、八四年度には利払いだけでも一千億円を超え、八七年度からは財投資金による償還金の借りかえも始まり、泥沼化しました。しかし、自民党政府は、累積債務の原因である根幹的枠組みをそのまま続け、累積債務を三兆八千億円に拡大してきました。
 このように、累積債務の原因と責任は自民党政府にあることは明瞭であります。橋本首相の見解を問います。
 さらに、国有林野事業の木材生産からの撤退と民間委託で一万五千人の職員を大幅に削減するとともに、営林局と営林署の最終的再編を行い、営林局は森林管理局にして半減化し、二百二十九の営林署は九十八の流域単位の森林管理署に縮減されることになります。これは国有林野事業の事実上の機能停止であり、営林署の廃止は、深刻な状況に置かれている過疎地域の経済に打撃を与えるものではありませんか。農林水産大臣の答弁を求めます。
 国有林野事業特別会計は、企業的運営を維持しながら一兆円の累積債務を引き継ぐことになります。その元本償還には国有林野事業からの収益を充てることになりますが、木材生産からの撤退の中では、収益源は国有林野の資産売却しかなく、国有林野の切り売りが続くことになり、それは国有林野の一層の荒廃を招くものです。国民が求めているのは、国有林野の荒廃ではなく、公益的機能を十分に発揮させることであります。
 債務処理の償還財源も重大です。たばこと旧国鉄や国有林野事業の債務とは何の関係もないものであり、郵便貯金の累積黒字は、本来預金者に還元されるべきものであります。道路特定財源の活用など道理ある方策を否定する一方で、国民に新たな税負担を求めるやり方には何の道理もなく、取りやすいところから取るという以外に、合理的な負担理由は見当たらないものです。これらを債務処理の財源とすることは到底認められないものです。たばこ特別税の新設は、新たな税負担を国民に求めるものです。なぜたばこと郵便貯金に負担を求めるのか、大蔵大臣の明確な答弁を求めます。
 最後に、法案は、歴代の自民党政府の失政である旧国鉄長期債務や国有林野事業の累積債務のツケを、何の責任もない国民に負担を転嫁するものであり、容認できないことを強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#49
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 平賀議員にお答えを申し上げます。
 まず、国鉄清算事業団の債務の増加とその責任についてのお尋ねがありました。
 国鉄長期債務の処理につきましては、昭和六十三年の閣議決定に基づき、まず資産の処分に全力を挙げてまいりました。収入面では、土地売却の見合わせや株式市況の低迷、阪神・淡路大震災の影響等から、結果的に思いどおりに進まなかったことは御指摘のとおりです。一方、支出面で、国鉄改革により負担することとされました債務や年金等の支払いに加え、改革後に新たに年金関係の負担を負ったこともあり、その結果、債務が増加をすることに至りました。遺憾だったと存じます。
 そして、政府としても、これまで約一兆六千億円に上る国庫補助金の交付や一般会計による事業団の有利子債務の承継など、その時々の情勢で、国鉄長期債務の処理にさまざまな措置を講じてまいりました。事業団の債務について、国民に負担を求めながらその本格的処理を実施することは、国鉄改革の総仕上げを行う上で避けて通れない課題であります。また、事業団の資産が減少した今日、その本格的処理を早急に実施することは極めて重要な課題だと考えております。こうした事業団の債務の本格的処理の必要性について、御理解をぜひ願いたいと思います。
 次に、処理スキームについてもお尋ねがありました。
 国鉄長期債務の処理策につきましては、昨年六月の閣議決定、すなわち「財政構造改革の推進について」におきまして、将来世代に負担を先送りするという形での安易な処理を回避するため、国民の理解と納得が得られるよう、あらゆる方策につき個別具体的に検討を行い、平成九年中に成案を得ることとするとされ、これを受けて、あらゆる選択肢を視野に入れながら財政構造改革会議の場で議論をいただいてきました。
 その結果、取りまとめられた処理策は、それぞれ困難な事情がある中で、歳出の削減、郵貯特会からの特別繰り入れなどのさまざまな財源を確保していただくと同時に、最終的には、ぎりぎりの努力を行っても埋められない財源不足の部分を税負担という形でお願いをすることといたしております。
 次に、国鉄長期債務の処理の経緯及び今後の処理財源というお尋ねがありました。
 国鉄長期債務の処理のための資産処分につきましては、地価高騰問題に対応するための土地売却の見合わせなどからなかなか思いどおり進まず、結果的に債務が増加したことは事実であります。その間、政府としても、でき得る限りの措置を講じてまいりました。
 また、新幹線の譲渡益につきましては、我が国の幹線鉄道の高速化の要請にこたえていくため、国会における御審議を経て整備新幹線の建設財源に充てることとしたものであります。
 さらに、国鉄長期債務の元本償還に要する財源については、たばこ特別税の一部を充てるほか、当面は一般会計の歳出歳入両面にわたる努力に対応することとしますが、最終的には利払い費及び年金負担が縮小していくことに伴い確保される財源などにより対応することとしております。いずれにせよ、一般会計へ承継した後に、元本も含め一般会計への債務として処理していくこととしており、御理解をお願いを申し上げます。
 次に、JRの本州三社に応分の負担を求めるべきだという御指摘をいただきました。
 国鉄改革時の債務につきましては、JRは、当時の予測に基づいて、最大限の債務を負担して発足をいたしました。結果として経営が好調であることをもって、その債務の一部をさらにJRの負担として追加することは適当ではないと思います。
 次に、国有林野債務の問題についてお尋ねがありましたが、債務の累増は、木材価格の低迷、森林資源の減少などに起因するものと考えております。輸入自由化は、木材価格低迷の遠因ではございますが、当時の旺盛な国内需要に対応するためにはやむを得ない措置であり、また、財投資金については国有林野事業改善特別措置法などに基づいて国有林野事業の経営改善に資するために借り入れたものであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣藤井孝男君登壇〕
#50
○国務大臣(藤井孝男君) 平賀議員にお答え申し上げます。
 まず、JRの追加負担は、長期債務発生の原因と経過に照らして応分の負担を求めるべきであるという御指摘についてでありますが、既に総理から御答弁申し上げております。
 国鉄改革時におきましては、JRは、当時の予測に基づき、最大限の効率的経営を行うことを前提に、当面収支が均衡し、かつ将来にわたって事業等を健全かつ円滑に運営できる限度の国鉄長期債務を負担したところであります。したがいまして、その後の結果として利益が見通しよりもよかったことをもって、JRの負担として追加することは適当でないと考えております。
 次に、JR北海道、四国、九州及び貨物による厚生年金移換金の負担についてのお尋ねでありますが、JRの社員分の移換金は、JRの社員の福利厚生のための負担であることからすれば、この負担自体は、JR各社が応分の負担を負わざるを得ない性格のものであると考えております。他方で、御指摘のJR四社につきましては、完全民営化の実現及びその株式の処分の推進を図ることが必要であり、このため、年金関係の負担の問題とは別問題として、必要な支援措置を講じようとするものであります。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
#51
○国務大臣(松永光君) 平賀議員にお答えいたします。
 国鉄長期債務及び国有林野累積債務処理の財源についてのお尋ねですが、財政構造改革会議が取りまとめた処理方策においては、まず自助努力によってできるだけ返済し、残る債務を一般会計に承継することとし、その上で歳出の削減、郵貯特会からの特別繰り入れなど可能な限りの財源捻出努力を行い、どうしても足らざる部分について、たばこ特別税という形での税負担を求めることとしたところであります。
 たばこ特別税の創設は、国鉄長期債務及び国有林野累積債務を一般会計に引き継ぐことが財政赤字のさらなる拡大要因となることに対処するため、財政構造改革の趣旨を踏まえ、特殊な嗜好品であり、景気動向に比較的左右されない安定的な財源を確保できるいわゆる財政物資であるたばこについて、最近の価格に占めるたばこ税の負担割合の低下を回復する範囲で税負担を求めることとしたものであります。
 また、郵貯特会の特別繰り入れ措置は、財政構造改革会議企画委員会等におけるあらゆる処理方策の検討の中で、国の財政が非常事態にあることにかんがみ、郵貯特会の積立金の性格や状況等を総合的に勘案した上、必要財源を確保するための特別措置として決められたものであります。(拍手)
    〔国務大臣島村宜伸君登壇〕
#52
○国務大臣(島村宜伸君) 平賀議員にお答えをいたします。
 国有林野事業の組織・要員についてのお尋ねですが、今後の国有林野事業につきましては、これまでの木材生産等の事業を主体としたものから、公益的機能の維持増進に重点を置いた森林管理等の業務を主体としたものに移行することとしております。また、事業の運営に当たっては、その効率的な実施を図るために、伐採、造林等の事業の実施は全面的に民間に委託するとともに、国の業務は民間では担えない保全管理等の業務に限定することとし、組織・要員の合理化、縮減を図っていく考えであります。
 なお、営林署の再編に当たっては、地域の実情等も十分に考慮しつつ実施することといたしております。
 このような考え方のもとで、今後とも国有林野事業がその使命、役割を十全に果たすことができるよう適切に対処してまいる考えであります。(拍手)
#53
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#54
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十九分散会

ソース: 国立国会図書館
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