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#1
第142回国会 本会議 第47号
平成十年六月十五日(月曜日)
    ―――――――――――――
  平成十年六月十五日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 平成十年度一般会計補正予算(第1号)
 平成十年度特別会計補正予算(特第1号)
 平成十年度政府関係機関補正予算(機第1号)

    午後四時三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○田野瀬良太郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 平成十年度一般会計補正予算(第1号)、平成十年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#4
○議長(伊藤宗一郎君) 田野瀬良太郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 平成十年度一般会計補正予算(第1号)
 平成十年度特別会計補正予算(特第1号)
 平成十年度政府関係機関補正予算(機第1号)
#6
○議長(伊藤宗一郎君) 平成十年度一般会計補正予算(第1号)、平成十年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。予算委員長越智通雄君。
    〔越智通雄君登壇〕
#7
○越智通雄君 ただいま議題となりました平成十年度一般会計補正予算(第1号)外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、補正予算の概要について申し上げます。
 一般会計予算については、去る四月二十四日に決定された総合経済対策を実施するため、歳出において、社会資本の整備について、環境・新エネルギー特別対策費、情報通信高度化・科学技術振興特別対策費等の経費を追加計上し、政策減税等の実施について、臨時福祉特別給付金等を追加することとしております。そのほか、土地流動化対策費、中小企業等特別対策費等、雇用対策費、アジア対策費等の経費を追加計上しております。
 歳入においては、特別減税の追加実施等による租税及び印紙収入の減収等を見込む一方、その他収入の増を計上するほか、公債金及び特例公債金の増額を行うこととなっております。
 この結果、平成十年度一般会計補正後の予算の総額は、歳出歳入とも当初予算に対し四兆六千四百五十五億円増加して、八十二兆三千百四十六億円となっております。
 特別会計予算については、一般会計予算の補正に関連して、国立学校特別会計、道路整備特別会計など十七特別会計において所要の補正を行うこととなっております。
 政府関係機関予算については、国民金融公庫など七政府関係機関において所要の補正を行うこととなっております。
 この補正予算三案は、去る五月十一日本委員会に付託され、六月十一日に松永大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行い、本日質疑終局の後、討論、採決をいたしたものであります。
 質疑は、補正予算編成のあり方、我が国経済の現状認識と今後の見通し、円安の原因とその対策、恒久減税の必要性と財革法再改正との関係、不良債権等金融問題の対応方針、雇用情勢とその対策のあり方、核廃絶に向けての取り組み方針、ODA並びにアジア支援策のあり方等、国政の各般にわたって行われたのでありますが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
 本日、質疑終局の後、補正予算三案を一括して討論に付しましたところ、自由民主党を代表して伊藤公介君から政府原案に賛成、民主党を代表して高木義明君から、平和・改革を代表して西川知雄君から、自由党を代表して中井洽君から、日本共産党を代表して矢島恒夫君から、それぞれ政府原案に反対、社会民主党・市民連合を代表して上原康助君から政府原案に賛成の意見が述べられました。
 討論終局後、採決の結果、平成十年度補正予算三案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。五島正規君。
    〔五島正規君登壇〕
#9
○五島正規君 私は、民主党を代表して、平成十年度一般会計補正予算、平成十年度特別会計補正予算及び平成十年度政府関係機関補正予算に反対する立場から討論を行います。
 本補正予算案に反対する第一の理由は、二兆円の減税が一時的な特別減税であり、景気浮揚効果が極めて限定的であることです。
 特別減税を繰り返すことは、総理みずからも国会審議の中で愚の骨頂と答弁されたはずであります。どうして今になって、みずからがかつて愚の骨頂と指摘された特別減税の繰り返しを主張されるのか、全く理解に苦しみます。
 総理は、財源を理由に恒久減税が困難だとおっしゃるかもしれませんが、財源が心配だから抜本的な対策がとれず、その結果歳入欠陥が生ずるというこれまでの悪循環を断ち切るつもりがないということになります。第一、そんなに財源が心配なら、分権の視点を取り入れた行政改革の導入などにより、徹底的に行政のむだなコストを削減すべきではありませんか。さらに言えば、歳入欠陥の明確な見通しも国民に明確に説明できない橋本内閣に、財源を理由に恒久減税に反対することなど許されません。
 総理、ここは我々民主党が主張しているように三兆円の所得税恒久減税を行い、将来にわたって手元にお金が残るという安心感を国民に与えるべきであります。そうした安心感があって初めて、国民の消費もやる気も出てくるものです。なお、民主党の提案している制度減税は、当面、課税最低限は現行のまま据え置くというものであることを一言つけ加えておきます。
 本補正予算に反対の第二の理由は、本案が新型公共事業をうたいながら、実態は旧態依然のままなことです。
 予算書をめくってみると、環境・新エネルギー特別対策費、情報通信高度化・科学技術振興特別対策費、福祉・医療・教育特別対策費、物流効率化特別対策費などの、名称だけは新しそうな見出しのもとに、並んでいるのは道路整備事業費であり、治山治水対策事業費であります。国民を欺くにもほどがあります。
 断言します。この補正予算は、不況に苦しむ国民の不安心理を利用して、自己の権益を拡大しようとする官庁と、従来型公共事業を選挙対策に使おうともくろむ自民党の、火事場泥棒的な談合予算以外の何物でもありません。(拍手)経済団体の中からも、従来型の公共事業について、財政構造改革の本質をゆがめ、中央主導を強めるものだとの批判の声が上がっているほどです。
 民主党は、環境破壊型で景気波及効果の低い従来型公共事業から、福祉、情報、環境などの面で日本の構造改革を進め、かつ、分権を促進する未来への投資へと公共事業を転換しなければならないと考えています。我々は、地方自治体が、生活、福祉、環境、エネルギー、情報通信などの目的に自由に使える四兆円の予算を用意し、将来的な包括補助金制度の導入も展望して、特別の補助金の形で地方自治体に交付します。こうした新しい発想で新しい日本をつくる気概を橋本自民党内閣に望むことは、そもそも無理な注文かもしれません。
 第三に、我々は、橋本内閣が本補正予算を人質に省庁再編成法案を通したやり方を許すことができません。しかも、このようなこそくな国会運営によって橋本内閣が行おうとしている補正予算や行政改革の中身は、非常にお粗末です。また、本来もっと重要視されるべき政治倫理問題への取り組みは及び腰なままです。
 橋本自民党内閣が、日本にとって現在最も重要な課題である景気対策、補正予算の審議を会期末ぎりぎりまで引っ張ったということは、政府・自民党にとって、景気対策やこの国の将来よりも国会対策が大事だったということにほかなりません。景気対策を最優先するという立場に立てば、補正予算の審議を真っ先に行い、正々堂々と、我々とあるべき景気対策について議論すべきだったのです。
 本補正予算に反対の理由は枚挙にいとまがありませんが、最後に、我々が補正予算に反対する最大の理由を申し上げます。それは、本補正予算が橋本内閣によって提出されたものであるからです。橋本内閣に補正予算提出の資格はありません。橋本内閣は即刻総辞職すべきであります。
 私たちは、党利党略や言葉の遊びで言っているのではありません。総理、現在の日本の経済、外交を含めた全般的停滞ムードは、何が根本原因だとお思いですか。総理は、不良債権のせいだ、アジア危機のせいだ、インド、パキスタンのナショナリズムのせいだとおっしゃるかもしれません。そうです。あなたはいつでもそのようにやって都合の悪いことは人のせいにして、御自分の責任を決して認めず、総理のいすにしがみついている。私に言わせれば、日本が閉塞感から抜け出せないのは、日本じゅうに無責任という疫病が蔓延しているからであります。
 世の中を見渡してみると、責任ある地位についている人に責任感の欠如している例が余りにも多い。銀行、証券は不良債権の処理に失敗して赤字決算のオンパレードですが、不祥事で辞任に追い込まれた人を除けば、直接の責任をとってやめた頭取、会長、社長が何人いますか。銀行監督行政に失敗して国民の貴重な税金を使ったことに対して、責任を問われた大蔵官僚がどこにいますか。日本が主体的な核軍縮外交をこれまで展開してこなかったことに対してざんげした外務官僚が一人でもいますか。
 しかし、彼らには彼らなりの言いわけがあるのです。何だと思いますか。橋龍を見ろ。日本をこんなにしてもまだ居直っている。彼が総理でいる限りは、おれたちが居座ってもだれも責めない。こんなつぶやきが聞こえてきませんか。
 そうです。橋本総理、日本国の最高指揮者であるはずのあなたが、日本にモラルハザードをもたらしている根本的原因なのです。日本を今日の停滞に追い込んだ最大の責任者である総理は、国民にみずからの不明をわびるべきです。しかし、あなたは逆に居直っている。それでいて、国民に対しては、羊頭狗肉の六つの改革を提案して、改革のための努力を呼びかけている。こんなことで、まじめな国民が日本の改革のために立ち上がり、努力することを期待するのは、政治家として厚顔無恥のきわみであります。総理、日本一無責任なあなたがそのいすに一日長くしがみついていればそれだけ日本じゅうに無責任の病が伝染してしまいます。
 ここまで申し上げても、総理は、首相にとどまって対策を打つことが御自分の責任のとり方だとおっしゃるかもしれません。しかし、日本全国、だれもそんなふうには思っていません。不信任案が否決されたことを、国民があなたの続投を支持していることと勘違いしないでいただきたい。
 現在、マーケットは、円安、株安、債券安と、現在の日本政府の経済対策に完全な不信任を突きつけています。所得税恒久減税、法人税の速やかな四〇%程度への引き下げ、そのための財革法の凍結、不良債権の抜本的かつ透明な処理、規制緩和の断行、いずれも民主党が主張している提案ですが、これこそマーケットが求めているものであります。
 しかし、橋本内閣にこのような政策は絶対とれない。なぜか。今申し上げた、日本が本当に必要としている政策転換をしたら、橋本総理のメンツがつぶれるからであります。さらに、橋本総理のいすの陰にいる官僚たちが責任追及されることを恐れるからであります。
 総理、もう一度言います。あなたにこの国のことを思う気持ちがあるなら、後のことは御心配なさらず、潔くやめられるべきであります。
 以上で、私の補正予算に反対する討論を終わります。(拍手)
#10
○議長(伊藤宗一郎君) 石川要三君。
    〔石川要三君登壇〕
#11
○石川要三君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております平成十年度補正予算三案に対し、賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 平成十年度補正予算は今般の総合経済対策を実施するためのものであり、現下の経済情勢及び国民生活に欠くことのできないものであります。
 以下、本予算に賛成する主な理由を順次申し述べます。
 賛成の第一の理由は、本予算が、現下の厳しい経済状況に対応し、我が国経済を力強い回復軌道に乗せ、我が国経済に対する内外の信頼を回復するための過去最大の総合経済対策を実行するためのものである点であります。
 本対策においては、国内需要の喚起を図ると同時に、豊かで活力のある経済社会の構築に向け、二十一世紀を見据えて真に必要となる社会資本の整備に配慮し、国、地方合わせて総額七兆七千億円程度の事業を実施することとしております。
 具体的には、環境・新エネルギー、情報通信高度化・科学技術振興、福祉・医療・教育、物流効率化、緊急防災及び中心市街地活性化等民間投資誘発のための事業を実施するほか、災害復旧等のための事業に加え、地方単独事業についても追加を要請することとしております。
 また、税制面では、国、地方合わせて二兆円規模の特別減税を既に実施中でありますが、これにさらに二兆円規模の特別減税を追加し、定額方式により、できる限り早期に実施をしてまいります。さらに、来年も二兆円規模の特別減税を継続することとしております。また、投資や住宅取得の促進を図るために、中小企業投資促進税制の創設、住宅取得促進税制の拡充等の措置を講じております。
 賛成の第二の理由は、本予算は、土地、債権の流動化や中小企業等の貸し渋り対策に対応するなど、経済発展の障害となっている問題に的確に対処しているものであることであります。
 金融は、経済活動に必要な資金を供給するという、経済全体にとっていわば動脈ともいうべき役割を担うものであり、金融システムの安定性確保とその活性化を図っていくことは極めて重要な課題であります。
 本予算においては、債権債務関係の迅速、円滑な処理のための環境整備や土地の整形、集約化を行うなど、土地、債権の流動化を促進するための総合戦略に従って、不良債権問題の解決に取り組むこととしております。
 また、中小企業、中堅企業を初めとする各経済主体への資金供給の円滑化により経済構造改革に資するとともに、最近のいわゆる貸し渋り問題にも対応していくため、中小企業金融公庫等の政府系金融機関に対して、追加出資、融資の拡充等の措置を講じております。
 賛成の第三の理由として、本予算がアジアの経済安定のための施策を講じている点でございます。
 昨年夏以降、通貨・金融市場の変動が続いていたアジア諸国では、成長率の低下、失業者の増加といった厳しい経済状態が続いております。これらの諸国が持続的な経済成長軌道に戻ることができるよう、我が国としても、本予算においてアジア諸国の経済安定化や構造改革支援のための措置を講ずることとしております。
 以上、賛成理由を申し述べましたが、私は、本予算が、このように現下の経済情勢にかんがみ、必要不可欠な施策を実行するためのものであるとして、賛成の意を表明するものであります。本予算を初めとするさまざまな取り組みが、相乗効果をもって我が国経済の回復をもたらすものであり、そのためにも、本予算の一日も早い成立を期することがぜひとも必要であります。
 また、政府におかれましても、本予算の成立の後は、諸施策の速やかな、着実な実施をされますように強く要望をいたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#12
○議長(伊藤宗一郎君) 山中Y子君。
    〔山中Y子君登壇〕
#13
○山中Y子君 山中Y子でございます。
 新党平和・改革クラブを代表して、以下の三点を中心に、平成十年度補正予算案に反対の意見を述べます。
 第一点は補正予算のあり方そのものの問題、第二点は補正予算の目的と内容の問題、第三点は政治のリーダーシップの問題です。
 まず、毎年の慣行となっております補正予算のあり方そのものが、財政法第二十九条の拡大解釈となっている点です。すなわち、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補う」のでも、また「特に緊要となつた経費の支出」でもなく、「予算作成後に生じた事由に基づいて、」編成されるのでもないのに、膨大な補正予算が、毎年相変わらず発想の転換もせずに繰り返されてきました。特に本年度の補正予算においては、本来の予算に組み込むべきものを、海外からの圧力に屈する形で、補正予算という手段を本来のあり方から完全に逸脱して利用していることは明らかです。
 高度成長期には有効であった経済構造、社会構造、教育制度などが機能しなくなり、グローバル化の中で、社会全体にさまざまなひずみが顕在化している日本の現状を直視すれば、予算のあり方そのものを改善しなければならないところまで立ち至っていることは、だれの目にも明らかです。
 日本は、これまで法の拡大解釈の中でさまざまなことがあいまいのうちに進められてまいりました。しかし、今こそ、もう一度基本に戻って、日本の将来のために法を遵守する姿勢で新たな出発をしなければなりません。補正予算は、財政法に定める補正予算の基本に立ち戻るべきです。もし予算そのもののあり方に不都合があるなら、制度を見直すことも検討すべきでしょう。
 多年度予算のあり方、一種の回転資金の性格を有する予備費、予算超過支出の追認制度、予算超過支出または予算外支出は同じ個別予算のほかの支出により均衡を保つというような方法をとっている国々もあります。基本予算と補正予算の枠組みは財政法によってきちんと守りつつ、予算そのものの編成に当たっては、むだをなくし、費用対効果の追跡調査を客観的に行い公表し、国にとっての優先順位を明確にするような予算編成のあり方が求められているのです。
 第二点目は、目的と内容です。
 平成十年度補正予算の総説の冒頭部分に、二十一世紀における活力ある我が国経済社会を実現するための総事業費十六兆円超の経済対策を実現するためとあります。今回の十六兆円超のその総合経済対策で、本当に二年半後に迫った二十一世紀に活力ある我が国が実現するのでしょうか、疑問です。
 今こそ、経済界も含め多くの国民が望む恒久的な所得税、法人税の減税実施を決断すべきです。また、情報通信、福祉、医療、教育などの新たな分野へ増額したとはいいながら、実際の予算内容や事業内容を見れば、建設国債を中心とした一般公共事業がそのほとんどを占めています。
 例えば、心の教育、カウンセリングルームの整備が追加されていますが、部屋はできても、現状では、ソフトの面では年間一校四十一万円の予算しかなく、専門的知識と経験を持ち合わせた本当に役に立つカウンセラーの雇用はできません。
 この点では、北欧に比べおくれている米国でさえ生徒約三百人に一名のカウンセラーの割合ですが、日本は単純計算では、生徒約一万三千人に一名の割でしか配置されておりません。また、専門のカウンセラーの数自体も極めて少ない現状です。そこで、例えば大学を卒業し、子育てをしながら通信教育で資格を取り、子供が少し大きくなったら実習に入るというシステムの構築に予算を割けば、新しい雇用をつくり出し、同時に専門家の養成ができ、さらに子育ての環境としても改善されるのではないでしょうか。
 未来に向けてできることはたくさんあります。二十一世紀はバランスの時代になるでしょう。環境と開発、グローバリズムと地域主義、情報化とプライバシー、物と心、中央と地方、集団と個人、仕事と余暇に至るまで、そして高齢化と少子化という均衡を失った事象も含め、国としてどうバランスをとっていくか、その道筋をつけること、すなわち自立した人間をはぐくむことが最大の責務だと思います。二十一世紀に、世界の一員として考え行動できる日本人を育てることは急務です。それが二十一世紀の活力に連動していくのです。
 今、日本は、戦後最低の経済成長率マイナス〇・七%、失業率四・一%、出生率一・三九人という数字が示すように、将来への不安が深刻です。
 六月十日に平和・改革は、総理に雇用問題緊急対策に関する申し入れをいたしましたが、本補正予算においては、その手当ても極めて不十分です。早急な対応が求められる雇用対策こそ、補正予算に盛り込まれるべき内容と思われます。そういう視点で見ると、松永大蔵大臣が十一日の予算委員会で「やはり安定した経済を実施するためには将来に向けての安心感が大事」と発言しておられますが、この補正予算は、二十一世紀へ向けての安心感を与えるものとは到底思われません。
 第三番目は、政治のリーダーシップについてです。
 例えば不良債権問題を、実態を情報公開もせず、また金融機関の経営者の責任追及もあいまいのまま、公的資金の導入、不良債権の無税償却を明確に是認する措置をとることは、到底国民の支持を得られるものではありません。カンフル剤は一時的に効果はあっても、結局病を重くするのです。政治の決断力が求められているのです。
 本年一月に来日の折、英国のトニー・ブレア首相が東京での講演の中で、英国は我々が誇れる国になるでしょう、欧州の中で再び世界をリードできる国になるために困難な決定もすると言いました。当たり前のことを言っているのですが、そこには未来への建設的な明るさと断固とした意思があります。これこそが政治のリーダーシップなのです。
 日本の政治の最高リーダーとして、橋本総理大臣初めここにおそろいの全閣僚の方々は、この補正予算を提示することにより、胸を張って、誇れる日本になることでしょうと述べられますでしょうか。あるべき姿へ向けての政治のリーダーシップが十分発揮されていれば、このような従来型の予算になるはずはありません。
 長期的展望、総合的視座、そして背景哲学の欠如による失政は、国民を不安感の中に漂流させ、将来を担う子供から笑顔を消しています。
 経済学者のガルブレイス教授とハーバード大学でお会いしたときに、日本と米国は高品質の製品を生産するのには大成功しましたが、私たちが果たしてハッピーピープルを生み出すのに成功したかどうかは疑問ですとおっしゃいました。
 私たちが、真のハッピーピープルを生み出し、国内的にも国際的にも温かい思考のできる国として信頼される日本を次の世代に手渡すようにするために、今こそ、確固たる信念と認識力、判断力、洞察力、決断力、実行力というすぐれた政治のリーダーとしての資質が問われているのです。
 以上申し上げ、反対討論を終わります。(拍手)
#14
○議長(伊藤宗一郎君) 青山丘君。
    〔青山丘君登壇〕
#15
○青山丘君 私は、自由党を代表して、平成十年度補正予算案に対し、反対の立場から討論を行います。(拍手)
 反対する第一の理由は、橋本内閣の予算に対する対応が支離滅裂であることであります。
 本補正予算案は、五月十一日に提出されているにもかかわらず、一カ月近くたなざらしにされておりました。橋本総理は、本予算審議の際、常に、一刻も早く成立させていただきたいと言われてきましたが、一刻も早く総合経済対策が必要であるなら、一カ月前、提出と同時に審議をするのが当然であります。
 そもそも本予算が不十分であれば、撤回の上、再提出すべきでありました。平成十年度予算案審議の際、我々自由党を初めとする野党は、本予算が不十分であるならば、撤回の上、再提出すべきであると主張をいたしました。が、橋本総理は、本予算案が最善のものであると言い続けて、与党も補正予算など一切検討していないと回答しておりました。我々が提出した予算組み替え要求も否決をしたのであります。総理が我々の主張を虚心坦懐に受け入れて予算を修正しておれば、補正予算など必要なかったはずであります。総理は、この危機的な経済状況下にあっても、我が国の行く末、国民生活、国民経済よりみずからのメンツの方を大切にしておられます。失政の帳じり合わせ以外の何物でもなく、許しがたい行為であります。
 反対する第二の理由は、補正予算が総理の公約違反だからであります。
 総理は、昨年末の臨時国会において、我々がとめるのも聞かずに強引に財政構造改革法を成立させました。その審議の際、予定されていない経済政策について直ちにそのことが補正要因になるとは考えるべきではないと繰り返し答弁をされ、特に集中三カ年においては景気対策としての補正予算を編成しないことが財政構造改革法にかなう原理であると答弁をしているのであります。みずから成立させた財政構造改革法さえ、たった六カ月も守れずに補正予算を編成せざるを得なくなった、このことは明らかに総理の経済運営が破綻したことであります。
 第三の理由は、みずから招いた不況にいまだに謝罪もなければ反省もないことであります。
 今日の不況は、不可抗力、天災によるものではありません。我が国経済が立ち直りかけつつあった昨年、我々は、財政再建のためにもまず経済再建、そして日本経済を回復軌道に乗せるために減税を主張いたしました。橋本総理がこれを否定した上で自信満々に行ってきた数々の施策の結果が、このありさまであります。平成八年度に三・二%成長まで回復した日本経済は、二十三年ぶり戦後最悪のマイナス成長にたたき落とされたのであります。まさに橋本不況であります。
 橋本総理の対応が正しければ倒産しなくてもいいはずの企業が倒産をし、失業しなくてもいいはずの人が失業しているのであり、自殺者も急増しております。この人たちの苦しみに、何の反省も謝罪もありません。補正予算を言う前に、みずからの過ちを認め、これらの人々へ謝罪をするべきであります。
 第四にして最大の理由は、日本経済に対する認識の甘さ、危機感の欠如であります。
 この補正予算においても根本問題はすべて先送りされており、公共事業中心の経済対策であれば、再来年度以降の民間需要主導型の持続的成長につながる期待が持てないため、九九年度以降の反動減は深刻となるのは明らかであります。内容も目先の需要追加に重点を置いた従来型であり、選挙目当てのばらまきの域を出ておりません。
 また、いまだに特別減税でこの日本の危機的な状況が救えると考えており、見識を疑います。特別減税は、期間限定、減税が終われば増税が待ち構えている増税予告つき減税であり、しかも財源はみずから否定していた赤字国債であります。内外からの我が国に対する先行き不安は、特別減税では解消することはできません。むしろ、赤字国債を財源とする特別減税は、将来の大増税につながるという懸念から消費に回らず、景気浮揚効果もなければ財政の悪化を招くのみであり、かえって先行き不安をあおっているのであります。何回延長しても景気浮揚効果はありません。
 いずれも、今までの手法の延長線上のものであり、規模、内容ともに構造改革の一環では全くありません。今日の日本の経済危機は日本の産業経済の構造的要因にあるのであって、その産業経済の構造的改革をしなければ、日本経済の再生はあり得ません。先送りされており、過去最大を売り物にするなど恥の上塗りであります。
 自由党は、民間活力が最大限に発揮でき、世界経済とも調和を可能とする経済を根本から再構築すること、つまり、民間活力、民力の回復のための構造改革案として、すぐに所得課税六兆円、法人課税四兆円、計十兆円の恒久減税を、三、四年後に所得税、住民税を半減することを提唱しております。
 もはや、我が国経済は、政府の提出する小手先の景気対策により立ち直るような状況ではありません。二十一世紀までの残された三年間は経済構造改革、経済再建のための三年間とし、経済のあり方を、民間中心として国民が主役の社会へと改革しなければなりません。政府の経済対策は、我々の所得税、法人税の恒久減税十八兆円という考え方とは全く相入れないものであります。国が国民から金を吸い上げてばらまくといういびつな構造を温存しております。
 実際、株式市場は半年先の経済を予見すると言いますが、株式相場は一万五千円を割り込み、為替相場は七年ぶりに百四十五円まで下落しております。総理の総合経済対策が全く評価されていないのみならず、もはや橋本総理が評価されていないのであり、経済対策なら、補正予算よりも総理辞任の方が効果的であります。
 さらに総理は、一九八八年八月、中国政府の招待により中国に行かれ、公務員の通訳を含む便宜を中国から供与されたようでありますが、これは、日本のODA資料からも明らかなように、ベチューン医科大学への日本政府のODA援助に関連した招待であります。つまり、援助を受ける側が援助を出す側を招待し、総理に通訳を含む便宜を供与したのであります。そして、事実、我が国政府は二十六億円の無償援助をベチューン医科大学に支出したのであります。
 しかし、この構図は、我が国刑法に照らせば立派な贈収賄ではないでしょうか。賄賂に関する我が国の大審院以来の判例は、賄賂とは有形、無形を問わず、およそ人の欲望や需要を満たす一切のものと定義しております。したがって、我が国は、芸者の踊りを見るのも収賄であるとして現実に裁きを行ってまいったのであります。
#16
○議長(伊藤宗一郎君) 青山丘君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#17
○青山丘君(続) 総理が我が国のODA事業に関し、極めて有能な通訳を含む便宜を中国から受けるということは、すなわち立派な収賄であると断ぜざるを得ないのであります。この一点を見ても、総理は責任をとって退陣してしかるべきであります。
 以上、補正予算案に反対する理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
#18
○議長(伊藤宗一郎君) 春名直章君。
    〔春名直章君登壇〕
#19
○春名直章君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました平成十年度補正予算三案に対して、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 本補正予算案に反対する理由の第一は、それが、橋本内閣による昨年の九兆円負担増政策以来の一連の経済失政を反省すらせず、一層深く、抜け出し困難の失政の道へと突き進んでいくものだからであります。
 昨年度の経済成長率がついにマイナス〇・七%に確定し、日本経済は戦後最悪の状態に陥っています。このように落ち込んだ最大の要因が、個人消費でマイナス一・二%とかつてない不振だったことが、厳然とした事実として明確となりました。個人消費の不振の原因は、昨年四月からの消費税率五%への引き上げ、昨年九月から医療費の負担増を強行したこと、さらには社会保障の連続的な切り下げを義務づけた財政構造改革路線によって国民に追い打ちをかけた将来生活への不安、これら悪政の連続にあったことは既に明白であります。(拍手)
 国民生活の安定、向上に最優先の責任を負うべき内閣として、日本経済失速の原因が負担増政策による消費不況にあることをみずから認め、この原因に見合う対策を講じるべきは政治の常道であります。しかるに橋本内閣は、国民が直面している現下の苦境、不安を解決しようとの意欲も方向も何ら打ち出さず、大銀行救済のための支援には税金を投入するという逆立ちした政治を続けているのであります。
 反対する第二の理由は、本補正予算案には、消費不況打開の有効策は何ら盛り込まれておらず、既に破綻が明らかな大手ゼネコン向けの浪費的公共事業の積み増し、大銀行支援のための不良債権対策が中心となっているからであります。この道は、国と地方の財政赤字をますますふやし、むだと浪費を拡大するだけであります。
 公共事業予算の積み増しは三兆五千億円、前年度当初比七%削減どころか逆に二五%増にも達し、歳出増分の実に七五%を占めているのであります。こうした公共事業費の積み増しは、国債のさらなる増発につながり、九八年度国債発行額が二十一兆六千七百五十億円、九六年度に次ぐ史上二番目にまで膨れ上がるのであります。これでは財政改革どころか、財政危機をますます深刻化させる以外の何物でもないではありませんか。
 まともな景気対策はなおざりにする一方で、大銀行と大手ゼネコンに対しては、公的資金をつぎ込んででも不良債権解消のための救済策を行おうとしていることは断じて許されません。政府の緊急経済対策は、不良債権解消対策を柱に掲げ、既に立法化など具体化に向け走り出しています。本補正予算案にも、例えば、住宅・都市整備公団や民間都市開発推進機構などに多額の出資金を回し、バブル時代に投機に走りその後塩漬けとなっている未利用地など、銀行やゼネコンの不良債権化した土地を買い取らせる対策を盛り込んでいるのであります。しかも、予算審議で明らかになったように、銀行が不良債権を処理する際に、特別の処理機関をつくる、税金をまけてやるなど至れり尽くせりの対策が予定されているのであります。
 反対の第三の理由は、財政構造改革における根本的に誤った路線について反省もなく、引き続き継続しようとしている問題であります。
 本補正予算案は、わずか六カ月前に野党の反対を押し切って強引に成立させたばかりの財政構造改革法、この骨格部分を修正することによって編成されたものであります。財革法案が目指した聖域なき歳出削減目標という骨格部分を、本補正で巨額の公共事業予算追加で根本から崩しながら、一方、社会保障関係はキャップ制を外したのは九九年度だけ、二〇〇〇年には計画どおりの削減という、国民生活関連予算削減という道筋には一切変更を加えていないのであります。
 橋本内閣は、社会保障公費負担は二十兆円、国、地方を合わせた公共投資は五十兆円という欧米諸国にはないゆがんだ財政構造を温存したままであります。財政の構造改革を言うなら、財政危機の真の原因である公共投資や軍事費の浪費に思い切ってメスを入れ、社会保障二十兆円、公共投資は五十兆円という逆立ちした財政構造を根本的に改めることによって、景気の回復と財政再建を進めることでなければなりません。
 反対の討論の最後に、私は、景気対策というなら、今こそ消費税減税に踏み出すべきだということを強調するものであります。
 最近のどの世論調査を見ても、橋本内閣の景気、経済対策に失望し、やるなら消費税減税だという声が圧倒的多数の国民の声になってきているのであります。橋本内閣が強行した昨年の九兆円負担増政策こそ今日に至る未曾有の消費不況を引き起こした元凶であることは、既に明白な事実であります。日銀の報告書、「一九九七年度の金融および経済の動向」でも、「九七年度の消費マインド後退には、消費税率引き上げ、医療保険制度改革の実施や年金制度改革を巡る議論の高まりなどが、将来的な家計の負担増を連想」させたと明確に認めているのであります。
 今緊急にやるべき景気対策は、消費税をまず三%に戻して冷え込んでいる消費を直接温めること、庶民に手厚い所得減税を恒久化すること、昨年九月からの医療費値上げを改悪前に戻すこと、銀行の貸し渋りをやめさせること、中小業者への緊急融資、中小業者への官公需の引き上げ、また、首切り自由化、サービス残業合法化という労働法制の改悪を中止することであります。
 私は、このことを強く主張いたしまして、補正予算三案に対する反対討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#21
○議長(伊藤宗一郎君) 三案を一括して採決いたします。
 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#22
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#23
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十八分散会

ソース: 国立国会図書館
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