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1996/12/13 第139回国会 参議院 参議院会議録情報 第139回国会 国民生活・経済に関する調査会 第1号
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1996/12/13 第139回国会 参議院

参議院会議録情報 第139回国会 国民生活・経済に関する調査会 第1号

#1
第139回国会 国民生活・経済に関する調査会 第1号
平成八年十二月十三日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員氏名
    会 長         鶴岡  洋君
    理 事         小野 清子君
    理 事         片山虎之助君
    理 事         牛嶋  正君
    理 事         水島  裕君
    理 事         三重野栄子君
    理 事         聴濤  弘君
                上杉 光弘君
                大野つや子君
                太田 豊秋君
                金田 勝年君
                鈴木 省吾君
                中島 眞人君
                橋本 聖子君
                平田 耕一君
                三浦 一水君
                海野 義孝君
                小林  元君
                浜四津敏子君
                林 久美子君
               日下部禧代子君
                角田 義一君
                朝日 俊弘君
                笹野 貞子君
                水野 誠一君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十九日
    辞任         補欠選任
     三重野栄子君     松前 達郎君
 十二月二日
    辞任         補欠選任
     松前 達郎君     三重野栄子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         鶴岡  洋君
    理 事
                小野 清子君
                片山虎之助君
                牛嶋  正君
                水島  裕君
               日下部禧代子君
                聴濤  弘君
                朝日 俊弘君
    委 員
                大野つや子君
                太田 豊秋君
                金田 勝年君
                中島 眞人君
                橋本 聖子君
                平田 耕一君
                三浦 一水君
                海野 義孝君
                小林  元君
                浜四津敏子君
                林 久美子君
                角田 義一君
                三重野栄子君
                笹野 貞子君
                水野 誠一君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        林 五津夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事選任及び補欠選任の件
○国民生活・経済に関する調査
 (海外派遣議員の報告)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○会長(鶴岡洋君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十一月二十八日、山本正和君及び前川忠夫君が委員を辞任され、その補欠として日下部禧代子君及び角田義一君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○会長(鶴岡洋君) 次に、理事の選任についてお諮りいたします。
 今期国会における理事の数が六名から七名にふえておりますので、その一名の選任及び委員の異動に伴う理事一名の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に日下部禧代子君及び朝日俊弘君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○会長(鶴岡洋君) 国民生活・経済に関する調査を議題といたします。
 先般、本院から、欧米先進諸国における社会資本整備に関する制度・施策の調査並びに各国の政治経済事情等視察のため、海外派遣が行われました。
 その調査の結果につきましては、議院運営委員会に報告されることと存じますが、この際、派遣議員から報告を聴取し、本調査会の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方といたしましては、まず、派遣議員を代表して牛嶋正君から報告を聴取した後、派遣議員のうち御意見等のある方から順次御発言いただく方法で行いたいと存じます。
 それでは、最初に牛嶋君から報告をお願いいたします。牛嶋正君。
#6
○牛嶋正君 それでは御報告申し上げます。
 平成八年度海外派遣特定事項調査議員団第二班は、先進諸国における社会資本整備に関する制度・施策の調査のため、去る七月三十日から八月十一日まで、ドイツ、デンマーク、イギリス及びフランスに派遣されました。
 派遣議員は、本調査会の鶴岡洋会長を団長として、太田豊秋議員、山本正和議員、聴濤弘議員と私、牛嶋正の五名であります。
 今回の派遣目的は、先進諸国における社会資本整備に関する制度・施策の調査でありますが、短い日程の中での調査であるため、主に住宅・生活関連、交通関連及び福祉関連の社会資本等について調査を行ってまいりました。
 現地におきましては、在外公館から説明を聴取するとともに、資料の収集、高齢者福祉施設等関係施設の視察を行いました。
 以下、調査の概要を御報告申し上げ、今後の調査の参考に供したいと存じます。
 まず、ドイツですが、ベルリンの壁が崩れ東西ドイツが統一してから六年になります。現在、ドイツが直面している最大の課題は、旧東独地域の復興と失業問題であります。旧東独地域の復興は、通信インフラ分野においては着実に進展が見られますが、輸送インフラ面では依然として弱い。また、同地域の住宅の維持修繕の問題も大きな課題であります。
 それでは、ドイツの社会資本の整備状況等について申し上げます。
 まず、住宅・生活関連基盤でありますが、住宅の整備状況及び居住水準を見ると、依然として旧東独地域の住宅の立ちおくれが見られます。住宅政策として連邦及び州は、一定金額未満の収入の世帯に対して家賃補助を行い、それとは別に一般世帯のマイホーム取得のために補助金、優遇税制などの措置がなされております。
 また、ドイツが住宅政策で直面している最大の課題は、旧東独地域の住宅問題であります。旧東独では、財源上の問題から住宅の維持修繕が十分になされていなかったため、住宅の建設のみならず、既存住宅の維持修繕が大きな問題となっております。首都ベルリンだけでも、過去二十年間に旧東ベルリンに建設され七十万人が住むプレハブ住宅があり、この維持修繕に今後二十年間で百七十億マルクの費用が必要とされ、さらにそれ以前に建設された建物も数多くあり、その維持修繕も多額の費用を要すると言われております。ちなみに、百七十億マルクでございますが、今一マルク七十円で換算いたしますと、約一兆千九百億円ということになります。
 次に、交通関連基盤であります。
 欧州では、欧州連合統合の推進のため、交通網の整備を急いでおります。その中で、省エネルギー、環境保全の観点から高速鉄道網の整備が重視されております。
 ドイツにおいても、連邦政府は、輸送需要への対応と環境への負荷の小さい交通機関として鉄道の整備を重視して、一九九二年に九二年連邦交通網計画を策定し、その中でICEなど全国的な高速鉄道網の整備が重点項目の一つとされ、計画期間、一九九二年から二〇一二年までの鉄道インフラへの投資額は二千百三十六億マルクと見積もられており、現在、この計画に基づきケルン―フランクフルト間のICEの新線建設等が進められております。また、二千百三十六億マルクは十四兆九千五百二十億円になります。
 また、現時点での緊急の課題としては、旧東独地域内及び東西を連絡する幹線鉄道の近代化であり、複線化、電化、高速化のための整備が行われているところでございます。
 次に、情報通信基盤についてであります。
 本年七月、新電気通信法が議会を通過し成立したことにより、本年夏よりドイツテレコムにかわる代替インフラの設置、運用が自由化されるとともに、九八年一月からは電話サービスの自由化が行われることになりました。
 なお、ドイツは、九〇年のドイツ統一に当たって旧東独の電気通信インフラを西独並みに整備するためのテレコム二〇〇〇計画を策定し、九七年までに総額六百億マルクを投資することとしております。旧東独地域の通信インフラ整備には計画を上回る進展が見られ、時代おくれの通信設備の残存がかえって幸いし、一足飛びに光ファイバー等の先端技術導入によるインフラ整備が進み、旧東西ドイツ地域の格差は九六年末には解消すると言われております。
 次に、福祉関連基盤についてであります。
 ドイツでは、介護に関しましては、在宅介護サービス、施設介護サービスとも公費負担による日本の措置制度に相当する制度は存在せず、利用者とサービス事業者の間の契約に基づいてサービスが提供され、費用についても利用者の自己負担が原則とされておりましたが、九四年四月に第五番目の社会保険として要介護リスクの社会的保障に関する法律、介護保険法が成立し、在宅介護サービス、施設介護サービスとも社会保険で給付されることになり、在宅介護サービスについては九五年四月から、施設介護サービスは本年七月から保険で給付されることになりました。
 要介護度は、介護の必要に応じて三段階に分類され、要介護判定はMDK、州単位で疾病金庫が共同で設置する独立の審査機関の職員が被保険者の住宅を訪問し、統一指針に従って行うことになっております。介護サービスの供給主体は、公的セクターに限定されず、地方公共団体のほかに民間福祉団体、教会等の民間の非営利団体や営利団体等多岐にわたっております。民間福祉団体としては、労働者福祉団、ドイツ・カリタス等の六つの大きな団体があり、これらの団体がドイツ全土にネットワークを有し、福祉サービスの中核的役割を担っております。
 在宅サービスの担い手としては、ソーシャルステーションがあり、ソーシャルステーションが訪問看護、在宅介護、家事援助、相談等の保健、医療、福祉にわたり総合的にサービスを提供しております。ドイツ全土で約三千九百カ所のソーシャルステーションが設置されております。
 施設サービスといたしましては、老人居住ホーム、老人ホーム、老人介護ホーム、老人複合施設などがあります。
 マンパワーの確保につきましては、介護関連職種としては看護婦それから看護士、老人介護士等の資格制度があるが、社会的評価の低さ、待遇面での問題から絶対量が不足しているようであります。特に、専門的な知識、技能等を必要としない業務につきましては、徴兵拒否者が社会奉仕に従事するツィビルディーンストやボランティアが大きな役割を担っているとのことであります。
 次に、ボン市内での視察先の概要について申し上げます。
 最初に、ソーシャルステーションについて申し上げます。
 ボン市内にある十二のソーシャルステーションのうち、民間福祉六団体の一つである労働者福祉団が経営するソーシャルステーションを訪問いたしました。そのソーシャルステーションは、介護人を自宅に派遣し、要介護者の身体衛生、食事、移動等のサービスを提供し、介護保険の在宅介護給付の担い手として機能しております。
 まず、同ステーションの概要について事務長から説明を聞きました。
 労働者福祉団は公益法人で、ボン市内で在宅ケア、施設ケア両方を行っている。そのソーシャルステーションでは、現在、看護婦四名、介護士六名、ツィビルディーンスト一名、その他パート等で要介護者九十四名に介護サービスを提供しているとのことでありました。
 議員団からは、介護認定、ケアプランの作成、人材確保、介護保険実施後の状況、職員の給与等についてただしたところ、介護認定はMDKが行う、ケアプランは、患者のニーズを聞き、ソーシャルステーションでつくっている。人材確保は口コミもあるが、介護学校や実習生の中からも採用している。介護保険が導入されてから夜間、週末のサービス利用がふえた。現物給付がふえたのは家族が専門家に任せた方がよいと考えるようになったからではないか、給与は労働協約により一定の給与が保障されている旨説明がありました。
 なお、提供できる介護サービスは、全身洗浄等二十六種類あるとのことでした。
 次に、ヴィルヘルミーネ・リュプケ・ハイムについて申し上げます。本施設は、我が国の養護老人ホーム、特別養護老人ホームに相当するボン市立の施設で、老人ホームと老人介護ホームから成る老人複合施設であります。この施設では、高齢者に対して食事、身の回りの世話等生活全般についてサービスを提供し、要介護高齢者に対しては介護サービスを提供しております。この施設の定員は百四十人、そのうち四十六人分の介護用ベッドが用意されているとのことであります。
 まず、議員団は副所長の案内で施設を視察いたしました。この施設は現在改築中であるため、入所者から騒音やほこりなどについて苦情が出るということでございました。
 最初に、老人介護ホームにヴァイラーさんという方がおいでになりまして、そのヴァイラーさんの部屋を訪問いたしました。ことし九十五歳になる彼女は、七十四歳で夫と死別し、昨年十月にこの施設に入所したんですが、子供が六人、孫十二人に恵まれているということでございます。部屋の中には施設の備えつけのベッド、洋服ダンス、棚がありますが、そのほかの物の持ち込みも可能とのことであり、彼女は家族の写真や絵を置き、花で飾るなど自分の家で生活しているような雰囲気でした。彼女にホームでの生活について聞いたところ、糖尿病を患っているが快適に暮らしている、楽しみはテレビを見ることと毎週一回みんなと一緒に歌を歌うことであるとのことでした。
 なお、施設には夜眠れない者のために夜間の喫茶室を整備しているとのことでした。
 次に、同じ建物の中の一階にある老人ホームの居住室及び食堂等を視察いたしました。
 部屋は個室になっており、ベッド、洋服ダンスなどは施設の備えつけでありますが、そのほかは持ち込みが自由であるとのことでした。また、ホームでの食事のメニューは、入居者の代表と料理長が協議して決めている、一般的にはドイツの家庭料理が多いとのことでありました。
 なお、ベルリンにおきましては、現在フンボルト大学日本語学科の附属施設となっております森鴎外記念館に立ち寄った際、ボランティアで同館の維持に努めている日本の女性から、日独文化交流のため同館の維持について要望がございました。
 次に、デンマークについて申し上げます。
 住宅・生活関連基盤に関し、デンマークの高齢者住宅について申し上げます。
 世界で最も福祉の進んだ国と言われるデンマークは、一九八七年に高齢者住宅の設計指針、国、自治体の補助、融資等を内容とした高齢者身体障害者住宅法を制定しております。同法の設計指針によれば、面積は廊下などの共有面積を含めて六十七平方メートル以下で、バス、トイレ、台所がついており、車いす対応、二十四時間緊急通報システム、平家でない場合はエレベーター設置が条件となっております。
 高齢者住宅は、地方自治体、非営利住宅協会、年金協会が建築主となり経営し、国による補助及び自治体による無利子融資が行われているということでございます。政策のスローガンも「いつまでも、可能な限り自分の家で」を掲げ、施設から在宅ケアへ転換し、老人介護施設、プライエムの新設をストップし、高齢者住宅建設に力が注がれております。
 次に、交通関連基盤に関してであります。
 デンマークの鉄道は国鉄が路線の約八〇%を、民鉄が地方線を主として約二〇%を受け持っております。
 現在、計画中のものといたしましては、一九九七年の夏にデンマークの国土を二分する大ベルト海峡を橋と海底トンネルによる連絡鉄道が開業する予定となっております。この計画は、デンマークの三大架橋計画の一つで、首都コペンハーゲンのあるシェラン島とユトランド半島をつなぐグレートベルト連結計画で、八八年着工、完工は鉄道九七年、自動車道は九八年の予定となっています。現在、ヨーロッパ大陸側のユトランド半島とシェラン島の間の鉄道輸送は、フェリーに列車を積み込んで行われておりますが、連絡鉄道の完成により、海峡をわずか七分で渡れるようになり、一時間以上の時間短縮が見込まれるとのことでありました。
 次に、福祉関連基盤についてであります。
 デンマークは、地方分権が徹底しており、高齢者保健医療福祉システムは県と市によって運営され、医療分野は主として県が、福祉分野は主として市が責任を負っており、その財源はどちらも租税をもって賄われております。
 デンマークの高齢者保健医療福祉については、一九八二年に打ち出された継続性の原則、自己決定の尊重、残存能力の活用の三原則によって、これまでの施設サービス重視から在宅サービス重視へと政策の転換が行われております。その結果、現在ではプライエムの新設は禁止され、その一方、在宅サービスの充実が進められております。
 デンマークの九四年現在の高齢者福祉施設数は、全国で千七百八十九施設、登録利用者数約二十万四千人、職員数九万一千人となっており、利用者対職員数の比が約二対一というように非常に手厚い介護が行われております。
 次に、議員団はコペンハーゲン市内にある高齢者福祉施設「ディ・ガムレス・ビュ」、「老人の街」と言われておりますけれども、を視察いたしました。御報告いたします。
 最初に、看護婦長から施設の概要について説明を聞いた後、老人性痴呆症者用の住宅を視察いたしました。
 この施設は、一八八二年にコペンハーゲン市によりナーシングホームとして開園され、百年以上たっております。「老人の街」の総面積は約九ヘクタールで十一棟の建物から構成されておりますが、一九九〇年から高齢者集合住宅として改築中であり、改築に当たっては、市の政策としてバスつき、二部屋住宅ということになっているとのことであります。
 現在の住宅は、一般高齢者用、身体障害者用、アルコール中毒者用、老人性痴呆症者用に分かれておりますが、そのほかにショートステイの棟も併設されており、各棟には棟つきの看護婦、看護アシスタント、ヘルパーがいるが、配置職員の数は居住棟の種類によって異なっております。居住者は一般高齢者三百九十名、老人性痴呆症者百十名、アルコール中毒者三十名、計五百三十名であり、職員は看護婦、ヘルパー、療法士など一部パートを含めて総職員七百三十名である。また、「老人の街」には郵便局、教会があり、施設の中にはキオスク、職員のための幼稚園もあるとのことでした。
 なお、議員団から入居希望者の待機期間、年金受給額、費用負担、入居者の平均年齢などについて質問がありました。
 次に、イギリスについて申し上げます。
 イギリスについては、住宅・生活関連基盤に関し、同国の住宅政策について申し上げます。
 イギリスの住宅政策は、サッチャー政権の誕生後、保守党の持ち家政策の重視、財政の逼迫等により公営住宅の維持管理費の節減等を目的として、公営住宅建設戸数の大幅削減、公営住宅の払い下げの促進、民間賃貸住宅の家賃補助制度の導入など、住宅供給における公共部門の役割が相対的に後退しております。持ち家取得促進政策としては、住宅購入のローンの利子に対する所得税の軽減措置を実施しています。
 また、八九年に策定されたロンドン都市計画の戦略的方針によると、二〇〇一年までに二十六万戸の住宅建設を目標とし、これは主として民間でございますが、主にインナーシティーの再開発によって必要な住宅を供給できるよう開発規制を緩和していく方針をとっているが、ロンドン郊外のグリーンベルト、宅地開発規制区域における無秩序な市街地の拡大は避けることとしております。
 次に、視察先のミルトン・キーンズ・ニュータウンについて申し上げます。
 まず、イギリス政府環境省ニュータウン開発委員会から、ミルトン・キーンズ・ニュータウンの概要について説明を聞きました。
 ニュータウンは、ロンドンの北西約八十四キロのところに位置し、面積九千ヘクタールで、山手線内面積の約一・五倍、多摩ニュータウンの約三倍の面積を有するニュータウンであります。一九七〇年に政府は開発計画を策定し、バッキンガム州の三つの町と十三の村を統合いたしました。計画の目的は、ロンドンのベッドタウンというよりも、職住近接を目指すとともに、職・住・遊・学の多機能を備えた自給自足型都市の建設を目指すことでありました。開発は、開発公社を設立し、公社が借入金で土地を買収し、道路、上下水道のインフラ整備を行い、造成した宅地用地や産業用地を分譲することによって経営する独立採算方式でありました。
 ニュータウン内には、一キロメートルごとに格子状に幹線道路が通り、この格子が都市づくりのフレームとなっております。歩道、自転車道は区別してつくられ、建物、工場等は幹線道路からは見えないように工夫した、住宅については一般の住宅や高齢者対応住宅、省エネ住宅等の先駆的な住宅建設にも取り組んでいるところでございます。
 ニュータウンの現状は、人口約十五万人、住宅約六万戸で、将来さらに人口六万人、住宅三万戸、雇用四万から五万人の増加を見込んでおるとのことでした。
 なお、日本からの進出企業は二十社、日本人学校は八七年に開校した暁星国際学園があります。その他、大ショッピングセンター、スポーツ施設などすばらしい生活環境を有しております。
 次に、フランスについて申し上げます。
 まず、住宅・生活関連基盤に関し、フランスの住宅政策について申し上げます。
 同国では、一九七〇年代に住宅政策の転換が行われ、住宅建設の促進を目的とした建設援助から、既存住宅の効率的利用を図る家賃補助を強化することとされました。ミッテラン政権では、住宅政策推進のため都市住宅省を設置し、住居費補助率の引き上げや住宅援助貸し付けの貸付枠の拡大を図り、シラク政権では、賃貸住宅居住者の持ち家取得を一層促進するため、住宅援助貸付制度を改正し、融資限度額を低くし融資対象層の拡大を図り、さらに住宅融資金融機関をフランス不動産銀行一行から全金融機関へと拡大を図っております。
 次に、交通関連基盤について申し上げます。
 フランスのTGV整備計画と現状について見ますと、一九八一年に南東線、パリ―リヨン間で最初のTGVの運行が始まり、その後、大西洋線等が順次開業し、九六年一月現在、開業しているTGV、ユーロ・スターを含む、は五路線であります。九五年十一月にシャルル・ドゴール空港駅が開業し、リール、リヨン方面からパリを経由せずにTGVで直接空港へのアクセスが可能となりました。
 今後のTGV整備計画は、九一年五月に国土開発関係閣僚会議で決定された国内高速鉄道基本計画によると、現在開業中の五路線に加えて新たな東線など十六路線を建設し、最終目標として、二〇一五年から二〇二五年ころには総延長四千七百キロメートルの整備を行う計画となっております。
 次に、福祉関連基盤について申し上げます。
 フランスの高齢者保健福祉サービスは在宅介護を基本としております。在宅サービスとしては、家事援助、在宅看護、緊急通報サービスなどがあり、施設サービスとしては、高齢者住宅、老人ホーム、長期療養施設があります。在宅看護を提供する在宅看護サービスセンターは全国に千四百カ所あり、約五万二千人が受給しております。
 次に、視察先のパリ郊外にあるレオポルド・ベラン老人医療センターについて申し上げます。
 まず、センターの所長から施設の概要について説明を聞きました。
 この老人医療センターは、公益法人で老年者の医療活動を主に行っております。施設は、長期療養施設、在宅看護、それから医療全般を扱う医療センターから構成されております。また、高齢者の自立確保のため、予防健康センターも設けております。さらに、本年九月からショートステイを開始する予定とのことでした。
 入所者は軽度から重度までおり、症状に応じて対応しております。ベッド数は長期看護用三百十四床のほかにアルツハイマー入所者用のための百六十床、それから職員は医師、看護婦等で二百名であります。在宅看護は現在六十四名受け持っております。施設では、医療を行うだけでなく、入所者の外でのレクリエーションにも力を注いでおりますが、昨年の九五年は百五十人のボランティアの応援を受けたとのことでした。
 このセンターの医療体制は、すべての病気を診る内科医二人が常駐し、二十四時間対応しております。また、高齢者は歯に問題が多いので、老人歯科の経験豊かな医師が週一回来ているとのことでした。そのほか、車いすのまま診療が行える眼科室や泌尿器科診療室が設けられております。
 次に、アルツハイマーの高齢者四十名が入所している一階の棟を視察いたしました。議員団から家族の面会についての問いに対し、身寄りのない高齢者が多い、また子供の方も高齢化していて面会はそう多くないとのことでした。
 なお、そのほか、議員団から、長期療養施設、在宅看護、ショートステイ、予防健康センターのサービスエリア及び費用負担について質問がありました。
 そのほか、ラ・ヴィレット再開発、パリ環状大下水道を視察いたしました。
 以上が調査の概要であります。
 社会資本整備に関しては、国によりその歴史や自然的、社会的条件の違いはあるものの、これら先進諸国の社会資本の整備に比べ、我が国の社会資本の整備はおくれております。我が国は、戦後目覚ましい経済的発展をなし遂げてまいりましたが、国民生活の実感からすると、経済力に見合った豊かさとゆとりを実感できないという不満も多い現状があります。その一因として、生活関連等の社会資本の整備のおくれが挙げられていることからも、これらの整備促進を一層図っていく必要があることを実感いたしました。
 終わりに、今回の調査に当たり多大な御協力をいただいた関係省庁、在外公館及び視察先の関係者各位に対し心から感謝申し上げ、報告を終わります。
#7
○会長(鶴岡洋君) 以上で報告の聴取は終わりました。
 派遣議員のうち、御意見等のある方は順次御発言願います。
#8
○牛嶋正君 私は、せっかくの調査でございましたので幾つか私なりのテーマを持って派遣に参加させていただいたわけですけれども、きょうはその中から、先ほども紹介いたしましたドイツの社会保険法が導入されて、その後の様子と、それから今衆議院に提出されております介護保険法との関連について特に関心を持ちまして、いろいろな資料を集め、そしてまた質問をしてきたのでございます。私なりのそのときの報告書をまたまとめたいと思っておりますけれども、きょうは時間も制限がございますので、感想だけ申し上げさせていただきたいと思います。
 先ほどの報告の中でも説明いたしましたけれども、やはりドイツの介護サービスの供給体制というのは、民間の六団体を中心にいたしまして長年にわたって着実に整備されてきております。これが前提にあるということを私はよく考えておかなければならないのではないかと思います。
 先ほども説明いたしましたように、従来はそういった供給に対しまして自己負担でありました。そして、自己負担のときに重度の方の介護負担がどれぐらいかかるのかというふうにお尋ねいたしますと、日本円に直しますと大体一月三十万円ぐらいかかったようです。最初のうちは自己負担でいけるんですけれども、やっぱり蓄えがだんだんなくなってまいります。そうなりますと、結局は、日本の生活保護費を受けるという形になって、公費負担に切りかわっていくわけであります。
 そういった状況がありまして、社会保険でもってみんなでその分を助け合おうというふうなことですから、私は非常にすんなり制度が定着していったというふうに思っております。一年たっての私たちの訪問でしたけれども、最初、現金給付等についていろいろなトラブルがあったようですけれども、大体一年たちまして非常に運営は安定した形で行われているというふうな印象を持ちました。
 もう一つそのとき感じましたことは、ドイツ人と日本人の国民性と申しますか、その違いにそういった介護保険制度を考える場合に特に注目しておかなければならないのではないかと思います。
 ドイツ人というのは非常に定住意識が強いわけであります。ですから、自分が生まれたところで学び、働き、そして老後をそこで過ごしていくということであります。そういたしますと、高齢者の方の同居率を日本と比較いたしますと非常に低いです。日本は大体五〇%から六〇%ぐらいですけれども、ドイツの場合は一〇%を切っております。ですから、高齢者の夫婦世帯というのは非常に多いわけです。しかし、今申しましたように、定住意識が強いわけで、余り移動しておりませんから子供たちも全部周りに一緒に住んでいるということであります。ですから、同居率が低いからといって家族のきずながそれほど弱いわけではございませんで、むしろ私はそれぞれの生活を尊重しながらうまく一定の地域の中で生活をされているということを感じました。
 ですから、夫婦の場合にはずっと在宅でいくわけであります。在宅ケアでいきます。そして、先ほどの御訪問した老人の方もそうでしたけれども、夫と死に別れる、あるいは妻と死に別れる、それで一人になったときに施設に入られるわけです。でも、施設に入りますけれども、日本のようにおば捨て山に送るというような感じはないわけであります。同じ地域の中の施設に入るわけですから、今まで自分の家に住んでいたのが施設に移っただけというふうなことであります。
 こんなことを考えますと、やはり介護保険制度を導入するに当たりましても、そういった国民性の違い、そして高齢者の生き方の違い、そういったものも十分考慮して制度をつくっていかなければならないのではないか、そんなことを感じました。
#9
○聴濤弘君 ことしの夏に行われました社会資本整備に関するヨーロッパ視察で、特に強く私の印象に残った点を各国ごと一言ずつ感想的に述べて、私の意見陳述としたいと思います。極めて簡単に申し上げます。
 まず、ドイツですけれども、昨年からドイツで介護保険制度が導入されたことは周知のことですが、私たちが訪問したソーシャルステーションや施設の活動を見てみますと、先ほど牛嶋先生も御指摘になりましたけれども、介護保険制度が導入される以前から地方自治体の努力などによって相当程度のホームヘルパー網や施設などがつくられ、かなりの程度の基礎ができてサービスも相当行われている。これ以上のことをするのには、やはり保険制度を導入しないと財政的にやっていけない、そういうことで踏み切っているという印象を私は強く受けました。保険制度を導入してからホームヘルパーを整えたり、施設やサービスの中身をつくっていくというのではないという印象を持ちました。
 我が国でも介護保険制度の導入が問題になっておりますが、この導入に当たって、保険あって介護なしというような状況が起こらないようにすべきであるというふうに私自身強く感じた次第でございます。
 次に、デンマークですが、年金、福祉、それから医療、社会保障、教育等々すべて公費で行われ、いわばただで行われているということで、内容も極めて充実したものでありました。
 訪問した老人ホームで聞いた説明では、お年寄りの最低年金は月額十五万円、特養老人ホームの支払いなど全部済ませてなお四万円の小遣いが残るという説明でありました。
 しかし、税金が極めて高い。直接税で最低五〇%、消費税率二五%というけた違いの高い税金でした。それでも最近の世論調査によると、これらの年金制度、福祉制度、介護制度等々現在ある制度がきちっと充実していればこの税金でいいという世論が多数だという説明を受けました。
 私は、日本ではこういう国づくりはできないと思いますし、またそれがいいとは思いません。それが一点。同時に、税金は使途が明確で国民が納得できるものでなきゃならぬと、二つの点を特に強く感じました。
 イギリスでミルトン・キーンズ・ニュータウンを訪問いたしました。これをつくるに当たっての発想の説明がございました。
 この発想は、不動産市場に任せておくとロンドンは外へ外へと膨張していって、ロンドンの周りにある緑が早晩なくなってしまう。それを防がなきゃならぬ。そのために政府が投資をし、ロンドン郊外、郊外といっても八十キロぐらい離れておりますが、そこに自給自足できる独立した町をつくる必要がある、そういうことから生まれたんだという説明を受けました。企業誘致など他の目的があるものの、環境保全への国の努力として大変興味深く私は説明を聞きました。
 フランスでは、パリの地下水道を視察したのが私にとっては極めて印象的でした。
 率直に言って、十九世紀にああいうすごいものを建てたというのはやはり大したものだということを率直に思いました。全長二千キロメートルだと。私は、数字が間違いじゃないか、二百キロじゃないかと言いましたが、いやそうじゃない、二千キロだと言いました。二千キロに及ぶ下水道がつくられ、そこには上水道の管も一緒に通っている。そのほかに、今流でいえばファクスに当たるような線もその中にある。光ファイバーが今問題になっているけれども、ここを十分に利用することができるという説明でありました。
 日本の道路ほじくり型公共事業というんですか、ああいうのは改めて総合的なものにしなきゃならぬのじゃないかということと、それから日本の公共事業はもっと国民生活重視型に切りかえる必要があるということを感じました。
 最後ですけれども、訪問したすべての国に共通したこととして、車社会の見直しということが問題になっていて、牛嶋先生の報告にもございましたが、環境保全の観点から鉄道の重要性を改めて各国とも強調しているということが共通しておりました。そして、自動車道路より鉄道の建設に重点を各国が置くように変わってきているということがわかりました。これは先進国の新たな問題として大変重要なことだと思いました。
 実際、ロンドンでもパリでも自動車の音が物すごくうるさくて、一晩じゅうよく眠れなかったということも一言つけ加えて私の感想といたします。
 以上です。
#10
○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。
 他に御発言もないようですので、海外派遣報告についての意見表明は終了させていただきます。
 派遣議員の皆様におかれましては、貴重な御報告、御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。
    ―――――――――――――
#11
○会長(鶴岡洋君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民生活・経済に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○会長(鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○会長(鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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