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1996/12/17 第139回国会 参議院 参議院会議録情報 第139回国会 法務委員会 第3号
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1996/12/17 第139回国会 参議院

参議院会議録情報 第139回国会 法務委員会 第3号

#1
第139回国会 法務委員会 第3号
平成八年十二月十七日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
十二月十三日
   辞任         補欠選任
    萱野  茂君      菅野 久光君
十二月十六日
   辞任        補欠選任
    服部三男雄君      平田 耕一君
    伊藤 基隆君      本岡 昭次君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   委員長          続  訓弘君
   理 事
                久世 公堯君
                前田 勲男君
                浜四津敏子君
                橋本  敦君
   委 員
                遠藤  要君
                岡  利定君
                志村 哲良君
                下稲葉耕吉君
                中原  爽君
                林田悠紀夫君
                平田 耕一君
                大森 礼子君
                山崎 順子君
                及川 一夫君
                照屋 寛徳君
                菅野 久光君
                本岡 昭次君
   国務大臣
      法 務 大 臣   松浦  功君
   政府委員
       法務大臣官房長  頃安 健司君
       法務省民事局長  濱崎 恭生君
       法務省矯正局長  東條伸一郎君
       法務省人権擁護
       局長       大藤  敏君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  石垣 君雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
   説明員
       総務庁長官官房
       地域改善対策室
       長        川邊  新君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部人権難民
       課長       川田  司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○人権擁護施策推進法案(内閣提出、衆議院送付
 )
○治安維持法犠牲者国家賠償法(仮称)の制定に
 関する請願(第五六三号外一三件)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(続訓弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十三日、萱野茂君が委員を辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。
 また、昨日、伊藤基隆君及び服部三男雄君が委員を辞任され、その補欠として本岡昭次君及び平田耕一君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(続訓弘君) 人権擁護施策推進法案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○前田勲男君 質問をさせていただきます。
 人権擁護施策推進法案が提案をされまして、まさに二十一世紀に向けて日本の人権政策というものが大きく進歩するということを期待し、また確信をするものでございます。よく二十一世紀は人権の世紀というような活字も目にする昨今でございます。人権がやはり世界各国、人類の共通の課題となっておるわけでございますが、我が国にありましてもあらゆる人権は政治政策の基本である、かように思っておりますし、人権があるところに恐らく悲惨な戦争はないと私は確信をいたしますし、平和の基本はあるいはあらゆる政策の原点、出発点は人権にあると、かように思っております。
 そこで、我が国の人権に関する施策の過去を振り返り、また将来について政府の基本的なスタンス、考え方をお聞きしたいと思います。
 まず、基本的人権を保障した日本国憲法制定半世紀を経た今日、過去を振り返りまた今後の将来に対してどのような所見をお持ちか、法務大臣に伺いたいと思います。
#5
○国務大臣(松浦功君) まことに広範な御質問でございまして、恐らく前田委員と私の間に考え方の相違はないと思いますけれども、私は少なくとも人権というものが徹底的に守られて、その結果平和な世の中ができ上がっていくということが基本になるのではないかというふうに考えております。
#6
○前田勲男君 大体、我が国の歴史を振り返りましても、日本は幸いにしてと申しますか、過去、歴史の中で、諸外国と比べて多民族社会ではない、あるいは独自性の強い宗教が多いという国でもない、国民同士が人権の面でぶつかり合うという機会が非常に少ないという、世界の中ではある意味では恵まれた環境にあろうと思います。
 しかし、逆から言うと、人権に関する関心、取り組みというのが少し積極さに欠けるのではないかという逆の懸念もあるわけでして、その辺はどのようにとらえておられましょうか。
#7
○国務大臣(松浦功君) まことに御指摘のとおりだと思います。現在より以上、人権を尊重するという世の中の空気というものを拡充して世の中の人権問題が全廃されるようなことになっていったらいいなと、そしてみんな仲よく暮らせる平和な世の中がつくれたら非常に幸せだなと、こんな感じを持っております。
#8
○前田勲男君 人権、特にこれは心の中の、人の心の持ち方の問題ということもあります。やはり国が大変積極的な姿勢、スタンスでない限り、また熱心な地道な国の行動がない限り、人のまさに心の中まで変えることは難しい。これがある意味では人権の難しさの最大のものではないかという気がいたしますが、そうした観点からはどんなお気持ちでこれから法務行政にお取り組みでしょうか。
#9
○国務大臣(松浦功君) 御指摘をいただきましたように、人権の擁護などということが言われないで済むような、そういう種類の問題が全然存在しない世の中にしていくために、法務省としても機構を充実いたしまして、十分国民の皆様に御理解をいただくべく慎重な姿勢をもって臨んでまいりたい、こんな気持ちでいっぱいでございます。
#10
○前田勲男君 少し広い視野から申し上げておるわけでございますが、特に最初に申し上げた人権の世紀の中で、昨今、国際的な外交の舞台でも人権外交という言葉がもう既に定着をいたしておるわけでございます。
 こうした中で、今、日本の置かれた地政的な位置から申し上げても、欧米型の人権とアジア型の人権というのはいささかやはり異なったところがあるわけでございまして、地理的にもその間にある日本という我が国が、これから世界の場で、さっき申し上げたあらゆる政治、外交の原点である人権というものを強くアピールし、そしてアジアと欧米の橋渡しをする役割が求められる、あるいは求められていると思いますが、こうした問題についてどういうふうにお取り組みをいただく御決意があるか、あるいは政府としてのお考えをお知らせいただきたいと思います。
#11
○国務大臣(松浦功君) 全く御指摘のとおりでございます。
 先ほど申し上げましたように、より力を入れて人権確保の行政に当たってまいる。外交面においても、政府としては当然その問題を取り上げていくという姿勢でいくべきではなかろうかというふうに思っております。
#12
○前田勲男君 特に、人権外交という言葉も定着をいたしておる中で、やはり我が国の政府がまず人権外交という言葉を踏まえて外交の場でもひとつ展開をしていただきたい、かように思う次第でございます。
 さてそこで、人権の大事な点というのはるる申し上げてきておるわけでございますが、国際化の社会の前に、まず足元である国内の問題について伺ってまいります。
 特に、我が国の人権問題の中で大宗を占めております我が国固有の人権問題と申しましょうか同和問題は、昭和四十年の同対審以来三十年近く経過をいたしております。しかし、この問題が依然として現在も残り、我が国の人権上重要な課題となっておることは大臣も御承知のとおりでございます。やはり我が国の中においては、この同和問題というものが一日も早く完全に解決されることが我が国にとって極めて大事なことだと、かように思っております。
 そこで、我が国の同和問題解決に向けて特に内閣としてどのように取り組んでおられるのか、あるいは国の責務というふうにお考えでございますが、その辺はどのように理解されておるのか、伺いたいと思います。
#13
○国務大臣(松浦功君) 現在、随分努力をしてまいりましたけれども、まだ非常に大きな問題が差別意識の問題として結婚問題等を中心に残っていることは事実でございます。早くこれらを解消して人権問題について決着をつけるということが基本の方針でございますけれども、それには行政の主体性の欠如の問題とか、同和関係者の自立向上の精神の酒養の視点の軽視だとか、えせ同和行為の横行だとか、同和問題についての自由な意見の潜在化傾向が存在している、そういったような問題が非常に大きな阻害の要因になっていると思います。これらの阻害要因を除去していくように十分なPRを進めるとともに、国民の大方の御理解をいただいてこういった問題に対して対処していきたい、こういうふうに考えております。
#14
○前田勲男君 今、大臣の御答弁の中で一番大事なのは、国民の御理解をいただいてという言葉がございましたが、この問題が国民一人一人のみずから考えてもらう課題になり切れていないというところに、私は、大きな問題が今なお存在しておると。
 その原因となるものは、大臣もおっしゃいましたが、例えば、この三十年弱、行政の主体性の欠如、まさに行政がこの問題から、時に逃げがちであった。そして、その結果、また今日までの同和運動のあり方、これも熱心さが災いしたと申しますか、熱心さの余りと申しますか、時に国民に恐怖心を与え、国民みずからの頭の中で考えることが遠ざかってしまったという大きな反省があろうと思います。そうして、こうした問題の原点の中から、それを悪用したえせ同和という問題も出てきた。かように、短く総括をすると反省すべき点としてはそんなことがあるような気がいたしますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
#15
○国務大臣(松浦功君) 全く委員御指摘のとおりだと存じます。
#16
○前田勲男君 この同和問題の解決の中で、繰り返すようですが、国民一人一人がみずからのものとして心を開いて、そして同和問題はあってはならない差別だとみずからが積極的に理解する環境をつくること、これが何よりも私は大事であろうと思っております。
 そこで、いろいろな考え方もございましょうが、例えば法律で罰則をつくり強制力で、それによって、例えば落書きですとか、時に差別発言ということは抑えることはできるかもしれませんし、できることも多いでしょう。しかし、今日までの歴史を踏まえると、それだけで心の中まで変えることが法律や罰則でできるんだろうか。こうした点を踏まえると、やはり頭の中までは罰則や規制では変えることはなかなか難しい。このように私は基本的には考えて、そうした罰則や強制力に訴えることは、むしろ差別そのものを潜在化してしまう、そういう懸念を持っておりますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
#17
○国務大臣(松浦功君) この問題は、あくまで同和問題に対する国民の理解を深めることが最重要の問題だと思っております。先生御指摘のように、罰則等で縛るということが我々が考えている人権問題の解決に直ちにつながるものであるとは考えておりません。
#18
○前田勲男君 それでは、これは総務庁に伺いますが、平成五年度同和地区実態調査を行われたわけですが、同和問題を解決するための考え方、啓発、教育のあり方についてアンケート調査を行っておりますが、この結果はどのように出ておるか、御説明を願います。
#19
○説明員(川邊新君) 意識調査におきましては、同和地区の内外いずれにおきましても、同和問題を解決するための考え方につきましては、人権尊重の意識を高めることが重要というふうに考えている方が最も多かったわけでございます。また、今後の教育、啓発のあり方につきましても、人権全体の教育、啓発の一環として同和問題を取り上げていくべきであるというふうに考えている方が最も多いという調査結果でございます。
 以上でございます。
#20
○前田勲男君 ただいまの総務庁の実態調査、アンケート調査の結果を踏まえまして、法務省はどのように受けとめておられましょうか。
#21
○政府委員(大藤敏君) 今、実態調査の結果が明らかにされたわけでございまして、それを踏まえまして、やはりあらゆる人権についての人権擁護行政を一層推進していく、そういう方向性が重要であると考えております。
#22
○前田勲男君 ことしの五月十七日に地対協の意見具申が出ておるわけでございますが、その中の特に「差別意識の解消に向けた教育及び啓発の推進」という項目がございます。
 まず、大臣にお伺いいたしますが、この地対協の意見具申、これは政府がこの具申に沿って、具申の答申を最大限尊重するという立場におありだと私は認識をいたしておりますが、そのとおりでよろしゅうございましょうか。
#23
○国務大臣(松浦功君) 前田委員御指摘のとおりでございます。
#24
○前田勲男君 その最大限尊重される意見具申の中で、特に教育、啓発について示唆をされておるわけであります。
 この教育、啓発の手法には、法のもとの平等、個人の尊重といった普遍的な視点からのアプローチ、そしてそれぞれの差別問題の解決につなげていく手法が一つと、それから差別問題の個別的な視点からアプローチしてその差別解消につなげていく手法と二通りある。しかし、この両者は対立するものではなくて、両者相まって人権意識の高揚が図られるべきである、かように書いてあります。
 また今後、差別の解消を図るに当たっては、これまでの同和教育や啓発活動の中で積み上げられてきた成果とこれまでの手法への評価を踏まえて、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築すべきと考えられると、かように意見具申が書いておるわけでございます。
 この教育、啓発については発展的に再構築するべきである、かように書いてあるわけでございますが、この意見具申に対して、これは人権擁護局長で結構です、どのようにお考えか、伺いたいと思います。
#25
○政府委員(大藤敏君) ただいま御指摘のような地対協の意見具申を踏まえまして、すべての人権について総合的な推進を図っていく必要があると考えております。
 もう少し具体的に申し上げますと、学校教育、社会教育、地域、職域における教育、啓発等の総合的な推進、さらには人権教育のための国連十年の総合的な推進、さらに、個々の人権問題の個別的な対応だけではなくて、それらを通じた全体的な推進、そういったものが考えられると、こういうことを念頭に置いてこれから積極的に推進してまいりたいと考えております。
#26
○前田勲男君 ただいまの御答弁であらかた、よくわかりましたが、この法案によって設置される人権擁護推進審議会において人権全般を取り扱う、そしてその中の大宗を占める同和問題に対しても差別意識解消のために最大限の努力をされる、このような基本的なお考えであろうと理解をいたします。
 また、昨今、最初にも申し上げましたが、人権意識の高まりの中で、例えば先般のO157の問題が起こっても、子供たちあるいは社会の中で差別問題、人権問題が起きる。また、まさにいじめの問題も今社会問題として深刻な問題でございますが、これまたある意味では人権意識の欠如から発生している問題の一つであろうと考えておりますし、また最近では、特に我が国におられる在留外国人の人権の問題等々、やはり広い視野から国民一人一人が人権に対して心を開いて、そしてみずからのものにしていくところにこれからの人権の大きな課題があろうと思いますが、審議会の今後の運営ということも国民に与える影響も非常に大きゅうございます。審議会のこうした基本的な運営に臨む法務省の所見というものをお伺いいたしたいと思います。
#27
○政府委員(大藤敏君) 委員御指摘のとおり、審議会において審議される事項は人権教育、啓発という極めて重要かつ広範な問題でございますし、さらに言えば、人権侵害による被害者の救済につきましても、行政と司法の役割分担あるいは行政権の権限の行使のあり方の問題等々、極めて専門的で難しい問題が含まれているわけでございます。こういう問題について審議する審議会の運営につきましては、国民各層からできる限り広い範囲にわたって学識のある方を選任した上、その審議の内容につきましてはできるだけ国民全体に周知されるような透明性の確保に努めてまいりたいと考えております。
#28
○前田勲男君 この審議会における審議というのはまさに自由闊達に行われなければならないと思いますし、政府におかれてもこうした環境づくりに配慮をされる必要があると思います。
 この委員会の委員の人選でございますが、基本的にどのようにお考えになっておられるか。また、私は、政治の場としてはこの人選にはとかく口出しをすべきでない、まさに行政権の侵害、三権分立のもとで行政権の侵害になりかねない、かようなこともございまして、法務省のまさに良識ある人選に期待をしておるわけでございますが、この人選について、特に法務大臣の御決意、お考え等があれば伺っておきたいと思います。
#29
○国務大臣(松浦功君) 特定の分野の人権問題に関する関係者を重視するなどというやり方は、私は適当でないと思っております。そういう点を配慮しながら、あくまで広い学識経験と専門的な知識を有すると認められる方の中から選任をして、審議会が公正公平に運営されるように努めてまいりたいと思っております。
#30
○前田勲男君 あと、公開の問題で、透明性を高めることは極めて私も大事だと思いますが、例えば委員会において具体的な人権侵犯事件等々、これは議論がされることもあり得る話でございまして、そうしたときに個人のプライバシー等々はどのようになるのか、その辺はちょっと参考までに伺っておきたいと思います。
#31
○政府委員(大藤敏君) 基本的には、平成七年九月二十九日付の閣議決定で審議会の透明性の確保についての指針が示されているわけでございまして、これに基づいて運営されなければならないと考えております。
 ただ、委員今御指摘のとおり、個別の人権侵犯事件についてのプライバシーにかかわる問題につきましては、これは別途特別な事由があるとして、公開の例外として扱う必要が出てくる場合もあろうかと思っております。
#32
○前田勲男君 総務庁に伺いますが、先ほどのアンケート調査の中で、実際に差別を受けたと受け取っておられる方はどのぐらいあったのか、調査結果で教えていただきたいと思います。
#33
○説明員(川邊新君) 平成五年の同和地区実態調査、アンケート調査の結果では、同和地区の関係者の約三割の方が過去に人権侵害を受けたことがあるという調査結果が出ております。
#34
○前田勲男君 その三割の方がどのような行動をとられたかと申しますか、相談に行ったとか、そうした結果は出ておりますでしょうか。
#35
○説明員(川邊新君) その調査結果では、例えば、相手に抗議したというのが約二割、身近な人に相談したというのがこれもまた二割でございます。民間団体等に相談したのが四・五%、法務局または人権擁護委員に相談したのが〇・六%、市役所や町役場に相談したのが三・一%、警察に相談したのが〇・三%、黙って我慢したというのが四六・六%というような結果でございます。
#36
○前田勲男君 そうしますと、相談をされた中で、法務局等々に相談したというのが極めてわずか〇・六%、市町村、地方自治体ですな、これが三・一%、それから運動団体がこれも非常に少なくて四・五%。予想をいずれも下回る小さな数字だと私は思いますが、法務局の〇・六%というのは、これはなぜこんなに少ないのか、その辺どのように受けとめていらっしゃいますか。
#37
○政府委員(大藤敏君) 今御指摘のとおり、法務局や人権擁護委員に相談したとする回答が極めて少ないということで、私どもとしてはこれを謙虚に受けとめているわけでございます。その原因としましては、やはり一番大きなものは、法務局の中に人権相談ができるそういうシステムがあるということが必ずしも国民の間に広く周知されていないのではないかというふうに考えておりますので、これからさらにこの点について十分な周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
#38
○前田勲男君 まあ周知徹底、知られていないということが大きな原因だと、こういうことになるんでしょうが、それでは、知られれば体制としては十分だとお考えでしょうか。
#39
○政府委員(大藤敏君) もちろん、周知されるのは第一段階でございましく実際に相談に見える方に十分相談の期待にこたえ得る資質、能力を法務局の職員なり人権擁護委員が備えていなければならないわけでございます。そのためには、それぞれの資質、能力のみではなくて、人権擁護局あるいは法務局、人権擁護委員の人権擁護制度全体の体制の充実強化がやはり必要であろうと思っております。
#40
○前田勲男君 当面、例えば電話による人権一一〇番だとか、すぐにでもできるというような仕組みもないわけではありませんが、しかし今日、人権問題が国際的にも大きな課題になり、二十一世紀は人権の世紀と言われるまさにその直前にある時期に、今、我が国の人権擁護の主たる職務を務めておられる法務省人権擁護局、また法務局、地方法務局、ここで人権擁護の仕事に携わっておられる職員の数、これは実は私も聞いて驚いた次第ですが、人権擁護局が本省で十五名、それから法務局、地方法務局が全部で二百八名。これではなかなか、対応に人的にも極めて厳しいものがあるということが十二分にわかるわけでございまして、今後この体制の充実強化、理念も大事ですが、やっぱり人もなければこれはできません。
 そうした意味で、この体制強化を図るために、ひとつ大臣の御決意を聞かせていただき、また二十一世紀の人権は必ずこうなるというお話も伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#41
○国務大臣(松浦功君) 私も実は前田先生と同じような感覚を持ったわけでございます。もう少し何とか人的な面でも物的な面でも強化をして、少しでも人権擁護の施策が進むようにしていかなければいけないなと思っております。ただ、行政改革という一つのこういうムードの中で、なかなか難しい問題はあろうかと思いますけれども、ぜひ積極的に取り組んでまいりたいということをお誓い申し上げたいと思っております。
#42
○前田勲男君 終わります。
#43
○大森礼子君 平成会の大森礼子です。人権擁護施策推進法案について質問させていただきます。
 この法案、人権擁護に少しでも役立つのであればこれを否定する理由はないわけなんですけれども、しかしながら幾つか法文の中身について私自身よくわからないことがございます。この点について、法案の内容につきまして法務省の方にお尋ねしたいと思います。
 まず、第一条で「目的」というものが出ているわけなんですけれども、「人権の尊重の緊要性に関する認識の高まり、」とありますけれども、これは例えば背景となる事実としてはどういうことが挙げられるのでしょうか。
#44
○政府委員(大藤敏君) 背景となる具体的な事情といたしましては、第一に、地域改善対策協議会の意見具申がことしの五月十七日に出されたわけでございますが、その意見具申におきまして、「差別意識の解消に向けた教育及び啓発の推進」、「人権侵害による被害の救済等の対応の充実強化」を「今後の重点施策」として提言したことがございます。
 第二に、平成六年の十二月に人権教育のための国連十年が国連総会で採択をされまして、我が国においても、平成七年の十二月に閣議決定によりまして本件十年の推進本部が内閣総理大臣を本部長として設置されたことでございます。
#45
○大森礼子君 いわゆる同和問題を経緯とするということ、それから国連人権教育十年ということと理解いたします。
 それで、この第一条に「社会的身分、門地、人種、信条又は性別による不当な差別の発生等」と、「等」という文字が書いてあるんですけれども、これは何か特に意味があるわけでしょうか。
#46
○政府委員(大藤敏君) 御質問の「等」と申しますのは、「社会的身分、門地、人種、信条又は性別による不当な差別」以外のさまざまな態様の人権侵害を意味しておりまして、具体的に申しますと、子供に対するいじめ、体罰、幼児や高齢者に対する虐待、プライバシーの侵害等のさまざまな人権侵害を念頭に置いたものでございます。
#47
○大森礼子君 そういたしますと、例示のところでは憲法十四条をもとにした人権かなと思うわけなんですけれども、この「等」が入ることによりまして、今おっしゃったように、言ってみればあらゆる人権が含まれる、このように理解してよろしいわけでしょうか。
#48
○政府委員(大藤敏君) 御指摘のとおりでございます。
#49
○大森礼子君 次に、「社会的身分、門地」、この順序なんですけれども、普通、憲法十四条ですと「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」という順序になっております。そして、例えば国家公務員法二十七条、地方公務員法十三条などでもこれと同じ順序になっているわけですね。教育基本法三条もそういうふうになっております。
 大体日本の法律の場合には、差別に関する規定を置く場合、憲法のこの順序になっているのが普通であり、広い概念から狭い概念に行くのかなという気がするわけです。世界人権宣言にいきますと、今度は人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、それから国民的もしくは社会的出身、財産、門地とかとなりまして、国際人権規約などでも大体こういうふうな順序になっておるわけなんです。
 こういうことを踏まえますと、最初に「社会的身分、門地」からスタートしたということは、ほかの法律の規定の仕方とちょっと違うわけなんですけれども、ここに特に何か意味があるんでしょうか。
#50
○政府委員(大藤敏君) 今、委員御指摘のとおりでございまして、そのようなお考えも十分理解できるわけでございますが、ただ、本件の法案につきましては、先ほども申しましたような地対協の意見具申が一つの重要な経緯になっているということがございます。それは、従来、昭和四十四年以降二十七年間にわたって同和問題についての行政施策が講じられてきた、それが契機になったということを念頭に置いて規定したものでございます。
#51
○大森礼子君 確かに同和問題を経緯とするということでこの法案の提案理由も説明されておりますので、そういうことかなという気がするんです。
 法務大臣によるこの法案の提案理由説明の中でも同和問題ということが非常に強調されております。何カ所か出てきております。この提案理由説明の中では、「同和問題等社会的身分や門地による不当な差別、」と、ここで一つ区切りまして、それから「人種、信条、性別による不当な差別その他の人権侵害」というふうな言葉で説明されておりました。それから、特に同和問題につきましては、先ほどおっしゃった地域改善対策協議会から意見具申がなされ、とありまして、それからまた教育及び啓発に関する施策、それから人権侵害の場合の被害者の救済に関する施策、これを推進していくことが同和問題の早期解決のために不可欠というふうに、この提案理由説明の中ではこの点が非常に強調されているわけなんです。
 もしそうであるとするならば、単純に考えまして、提案理由説明の中にありました「同和問題等社会的身分や門地」と、それが大きな比重を占めるのでありましたら、むしろそういう文言を入れた方が目指すものが明らかになるのではないかという気がするんですけれども、そういう「同和問題等」といったような言葉を入れなかったのは何か理由があるのでしょうか、この点についてお尋ねいたします。               
#52
○政府委員(大藤敏君) 地対協の意見具申では、同和問題を人権問題の重要な柱ととらえた上で、同和教育、同和啓発に関しては、人権教育、啓発として発展的に再構築するとともに、人権侵害の被害の救済等の充実強化に関しましては、現行の人権擁護制度を抜本的に見直すべきであると提言していることがございまして、このような点に配慮して規定したものでございます。
#53
○大森礼子君 この法案を最初見せていただきましてよくわからなかったのは、入り口といいますか、確かに最初、国連人権教育十年ということもありましたけれども、これは後で申しますように、この提案理由説明の中には国連人権教育十年という文言は、文言といいますかその言葉は一言もなかったわけで、同和が強調されているんです。そこが入り口である。
 ところが、でき上がった法案というものは、あらゆる人権、これを含むものであると。そうしますと、立法する場合にはその目的、目指すものというのがあるわけですけれども、その動機で入りながら、でき上がったものがそのような形になっていないという、何か非常に変な感じがしたわけなんです。この点、ちょっと質問の趣旨がはっきりしないかもしれませんが、法務省の方は特にこういう立法の仕方について問題はないというふうにお考えなんでしょうか。
#54
○政府委員(大藤敏君) 別に問題はないというふうに思っております。あくまでも同和問題は本法案の立法の経緯であるという位置づけでございます。
#55
○大森礼子君 経緯と言われれば、国連人権教育の十年も提案理由説明の中に入れてほしかったなという気もするんですけれども。
 それでは、次の条文になるんですが、先ほどの「不当な差別の発生等の」の後に「人権侵害の現状」という言葉がございます。「にかんがみ、」と続くわけなんですけれども、法務省としましては早急に解決すべき人権侵害としましてどのような問題を把握しておられるのでしょうか。
 なぜこういうことを聞くかといいますと、こういうことの認識がありませんと、幾ら審議会を設置しても法務大臣が諮問のしようがないのではないかと思いましてこのような質問をさせていただくわけです。
#56
○政府委員(大藤敏君) 人権侵害といたしましては、例えば、同和はもちろんでございますが、それ以外に子供へのいじめ、体罰、子供に対する虐待あるいは女性に対する暴力、あるいは障害者、外国人等に対する不当な差別等々を含んでいるも一のでございます。
#57
○大森礼子君 それから、さっきもちょっと触れたんですけれども、この前の法務委員会で法務大臣の方から法案提案理由説明がされたわけなんですけれども、人権教育のための国連十年決議、これについての言葉が一切なかったわけなんですが、先ほどその背景にあるというふうにおっしゃったんですけれども、この法案と一九九四年十二月二十三日の国連総会決議との関連というのはどのようになるんでしょうか。
#58
○政府委員(大藤敏君) 本法律によって設置される審議会におきましては、人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策のあり方を調査審議することとされておりますけれども、そのこと自体が人権教育のための国連十年の趣旨に沿う取り組みでございます。
 また、この審議会の意見が国連十年推進本部の本部長であります内閣総理大臣に対してなされ、その取り組みに反映されることが期待されるわけでございまして、この法律と本件十年の取り組みとは密接な関連を有していると考えております。
#59
○大森礼子君 だからこの法案を解釈するに当たりまして、どういう法案なのかと。先ほどの同和問題、これは理解できました。その中にやはり国連人権教育の十年、事務総長の行動計画とかありますけれども、これがベースにあるのかどうかということで理解の仕方は変わってくると思うんです。今の御説明ですと、それも入っているということでよろしいわけですね。
 さて次に、この法令のタイトル、細かいことかもしれませんが、これがちょっと気になるんです。
 「法令作成の常識」という林修三さんが書かれた本があるんですが、題名をつけるについて留意すべき事項が二点あると。その一は、「その法令の内容の全貌をよく表現しているということであり、」と、こういう記述があるわけなんです。
 それで、人権擁護施策推進法案と、こういうふうに聞きますと、何か人権擁護のための施策推進の具体的な内容が非常に詰まっているんじゃないかなというふうに一般国民の人は考えるのではないかなと思うんです。私もこの法案のタイトルを見まして最初そう思ったわけなんです。中身を見ましたら、「目的」、それから「国の責務」、それから「審議会の設置」、「審議会の組織」と四条で終わっているんです。
 だからどうなんだと言われたら困るのですけれども、むしろ審議会設置法というふうにした方がよかったんじゃないかなと思うわけなんです。だから、審議会設置法案というふうにした方が実態に即しているのではないかなというふうに思います。これは私の意見です。
 それから、再び法文に戻りまして、第一条で「目的」のところで、「国の責務を明らかにするとともに、必要な体制を整備し、もって人権の擁護に資することを目的とする。」とあるわけなんです。
 それで、「国の責務を明らかにする」という「目的」のために、これを受けて第二条で「国の責務」というものが規定されてございます。一見して、この条文というものは単なる確認規定のようなものにも思われるのですね。明文化されようがされまいが、こんなの国の当然の責務じゃないかというふうな考えもあるわけなんです。
 この責務をこのような形で規定したということについては特に何か意味があるのでしょうか。
#60
○政府委員(大藤敏君) 今、委員御指摘になられましたように、人権に関する教育、啓発及び人権侵害に対する被害者救済に関する施策を推進することは、申し上げるまでもなく国が従来から有する責務でございます。基本的人権の尊重は憲法の基本理念でございますし、人権は当然に擁護されるべきものでございますけれども、人権の尊重の緊要性に関する認識の高まりや人権侵害の現状その他の人権の擁護に関する内外の情勢にかんがみまして、この法律の制定に当たりまして国の責務を特に規定し確認したものでございます。
#61
○大森礼子君 今の単なる確認規定にとどまるのかどうかということは、こういうことなんです。例えばこの「国の責務」という条文がある。教育、啓発の施策と人権侵害救済の施策を推進するというのですけれども、このことは、例えば審議会で調査審議するというほかに、国に施策推進の具体的な義務というものを課する、そこまでの意味を含んでいるものなのかどうかということなんです。そういう実体的な意味があるのかどうか。
 言い方をかえますと、例えばそういうことをやらなければ国民から国に対して不作為責任を問えるような、そういうふうな性質の規定なのか、それとも単に審議会設置のための橋渡し的な文言なのか、その点はいかがでしょうか。裁判規範のもととなるような具体的な義務、これを規定したものなのかどうかということでございます。
#62
○政府委員(大藤敏君) この二条の「責務」は、当然裁判規範の根拠になり得るような具体性を持ったものとはにわかには考えられないと思いますけれども、しかし、憲法で明定された人権擁護の施策を推進する責務をここにもう一度確認的に宣言したものでございます。
#63
○大森礼子君 そうなると、具体的な義務までは言っていないんだという、そういう理解でよろしいのですか。
#64
○政府委員(大藤敏君) そのような趣旨でお答えいたしました。
#65
○大森礼子君 それから、もう一度一条の方に行くんですけれども、「必要な体制を整備し、」という言葉があるんですね。その前に出てくる「国の責務を明らかにする」ということについては、二条がこれを受けている形になると。そうすると、この「必要な体制を整備し、」、この文言に対応する内容というのは一体何になるんでしょうか。単に第三条、つまり審議会設置に対応するだけの意味なのか、それとも、先ほどの質問と関連しますが、この文言があることによって、国は人権擁護の施策推進について、審議会設置以外に、広く必要な体制を整備することを義務づけられるという意味なのか、この点いかがでしょうか。
#66
○政府委員(大藤敏君) 「必要な体制を整備し、」の一環として三条、四条の「人権擁護推進審議会の設置」をしているということでございます。
#67
○大森礼子君 要するに、「必要な体制を整備し、」という「目的」に対応する部分が審議会設置でありまして、それ以上の意味はないということでございましょう。そうしないと、逆に五年と区切っているのがおかしくなるわけですから。こういう理解でよろしいですか。
#68
○政府委員(大藤敏君) 「必要な体制を整備し、」の内容として三条と四条を規定したということでございます。
#69
○大森礼子君 それから、さっき審議会設置法とした方がいいんではないかと言ったのは、要するに「目的」、これはどの法律でもあります。それから「国の責務」、それから「審議会の設置」と、要するにこれだけの中身なわけなんです。こういうふうな構成の法律があるのかなと思ってちょっと見てみましたら、ないことはないんです、あるんですね。
 例えば、国会等の移転に関する法律がございます。これは前文がありまして、立法に至る経緯なんでしょうか、書いてありまして、それから「目的」、「国の責務」、それから「国会等移転調査会の設置」というものがあるわけです。その中に、三条から十一条、第二章としまして「検討指針」というものがあるわけなんです。「検討指針」というものが示されていることによって、何をこの調査会で審議するのかというその方向性といいますか、内容というのが明らかになってくるわけなんです。
 本法案の場合、教育、啓発それから人権救済についての施策と限定されるとはいえ、非常にいろんな人権を含むわけですから、私が法務大臣だったらどういう方を選んでいいのかわからないみたいな、これは私だけの問題かもしれませんが、そんな気がいたします。この審議会で何をするのかということが非常にわかりにくくなっているんではないかという気がするんです。だから、先ほど言いましたが、とりあえず今問題となっている人権侵害の現状等とかを踏まえますと、むしろそういうものを例示としてでも入れた方が、それに沿った検討をすることができるのではないかなという気もするわけなんです。
 だから、重要な人権等につきまして検討指針を示すような形をとってもよかったのではないかなという気がするんですけれども、そこまでお考えにならなかったのは何か理由があるのか、あるいは立法技術的に無理だったのか、その点はいかがでしょうか、簡単で結構です。
#70
○政府委員(大藤敏君) 御指摘のように、大変包括的で広範な審議事項であるということだろうと思いますが、それだけに人権にかかわる審議事項でございますので余り事前に拘束をするようなことはできるだけ避ける、すべて審議会でいわば広い範囲で自由闊達な御議論をいただくという趣旨でこのようにさせていただいたものでございます。
#71
○大森礼子君 自由闊達な場合でも多少限定があった方がいいという気がしますが、それはそれとしまして。
 次に、「国の責務」の中でも出てきます、それから審議会の調査審議の対象としても出てくるところの人権侵害を受けた場合の被害者救済に関する施策というものがございますね。これは施策であって、方法とかそういうのではない、「施策」という言葉が使われてある。これがどういうことを意味するのかということをお尋ねしたいわけなんです。
 というのは、普通、一般に人権侵害というものがありますと、それはもうともかく救済すべきだと、人権救済措置というのは必要なんだと、それは法的強制力をもっても積極的に国が取り組むべきなんだという考え方もあるかもしれません。しかし、人権の中には、例えば自由権あるいは社会権という区別もございますし、それから国家対国民の間での人権侵害もありますし、それから国民の間での人権侵害ということもあると思うんです。
 人権侵害の救済措置ということで余り国が関与しますと、やはり国民との間に対立を生むのではないか、あるいは国民同士の権利を侵害する結果になるのではないかという懸念があるわけなんです。人権教育によって国民一人一人の人権意識を高めることを推進するという趣旨の法案だと思うんですけれども、国民の人権意識が高まり、それに目覚めますと、ある意味で時の政府の政策を批判する能力を備えることにもなるわけでありまして、人権施策を進めれば進めるほど国家と国民との間の緊張感が高まると、こういう場面も想定できると思うわけなんです。
 そういう意味で、国が司法以外の分野におきまして人権侵害の被害者救済に手を触れるということは危険性もはらんでいるわけです。そういった意味で被害者救済に関する施策というものはどういうものを描いておられるのか、この点についてお尋ねいたします。
#72
○政府委員(大藤敏君) 人権の尊重の理念を国民の中に涵養していくということでございまして、国民の心の問題ということでございますから、みだりに行政機関が私人間の紛争に介入するということは極力差し控えるべきであろうと思っております。
 人権侵害の被害者救済の審議につきましては、人権侵犯調査処理の問題、それから人権相談の問題、さらには人権擁護委員制度の問題等が考えられるかと思います。
#73
○大森礼子君 そうしますと、今おっしゃったものを施策として考えているということでよろしいわけですね。
 次に、この法案、時限立法と言われておりまして、附則の二で「五年」とありますけれども、これはなぜ五年なのか、その根拠はという質問です。例えば人権教育のための国連十年では、一九九五年から二〇〇四年までなんです。法案の五年ですと、これ二〇〇二年に終わることになるんでしょうか。残り二年しかないといいましょうか、二〇〇四年まで。施策段階に時間をかけ過ぎるのではないかという言い方もできると思います。
 それから、国連人権教育の十年の行動計画、事務総長報告ですが、この九十三項に、二〇〇〇年に人権高等弁務官と国連人権センターが中間評価をすると。この中間年にどこまで各国がその目的を達成するか、非常に重要であるというふうに言っておるわけなんです。
 そうしますと、教育、啓発に関する施策については、日本では審議会の方向性が出た程度の段階で、この中間年には被害者救済の施策はまだまだ結論を得ていないかもしれないということになりますので、この国連人権教育十年の動きとも照合しますと、ちょっと日本のスピード、遅いのではないかなという気がするんですが、いかがでしょうか。
#74
○政府委員(大藤敏君) 人権教育のための国連十年の国内行動計画の推進を十分やっていくと、その一環として審議会の設置が本件の審議会でございますから、十年の行動計画の推移を十分見きわめつつ、できるだけそれと連動させながら審議会を運営していくことが望ましいと思います。
 ただ、教育、啓発につきましてはおおよそ二年を目途に、それから被害者救済につきましては五年を目途に意見を出していただく予定でございますが、特に被害者救済の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、極めて専門的な難しい問題もございますので、どうしても五年は必要であろうという考え方をとったものでございます。
#75
○大森礼子君 次は、審議会のことについてお尋ねいたします。
 審議会の調査審議事項というのは、三条の二項に規定されてあります。「教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項」、それから「人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策の充実に関する基本的事項」ということなんですが、これに限定されるというふうに理解してよろしいのかどうかということです。
 なぜこういう質問をするかといいますと、先ほど引用しました国会等の移転に関する法律では、十三条に調査会の所掌事務等の規定があるわけなんです。一号からずっとありまして、六号のところに、「前各号に掲げる事項に関連する事項」と。だから、五号までに掲げた事項に関連する事項ですから、非常に広がるわけなんですね。このような条文が本法案にはございません。これは、先ほど言ったその「目的」というものに限定する趣旨であると考えてよろしいのかどうか。
#76
○政府委員(大藤敏君) 委員御指摘のとおりでございます。
#77
○大森礼子君 次に、平成七年九月二十九日の閣議決定、「審議会等の透明化、見直し等について」との関連でお尋ねするわけなんですけれども、「いたずらに審議会等を設置することを避ける。」とあるなんです。その中では、「専門知識が必要なものについては専門官の育成、公正の確保のためには公聴会及び聴聞の活用、利害の調整のためには関係団体の意見の聴取等を図り、」と。いたずらに審議会をするな、最後の手段にしなさいよという趣旨だと思います。
 本法案での審議会なんですけれども、この閣議決定に示されました審議会設置についての考え方、この流れに逆行するのではないかと、一応皆考えるわけなんですね。そこで、いやそうじゃないんだ、どうしてもこの審議会設置が必要なんだ、ほかの方法では不十分なんだということをお聞きしたいんですけれども、これはどういう理由になりますでしょうか。
#78
○政府委員(大藤敏君) やはりいろいろ検討いたしましたけれども、ここに新たに人権に関する施策の推進について審議していただく審議会を設置していただく必要性が高いということで本法案を上程させていただいたわけでございます。法務省の中にある既設の審議会についても検討いたしましたけれども、いずれもそれにはなじまないということでございます。
#79
○大森礼子君 一に、審議会の中身がどうなるかということにかかってくるんだろうと思います。
 それで、この審議会、審議委員二十人以内ですね、それから任期は五年間ですから、多分同じ方が五年間委員を務めることになるんだろうと思います。そうすると、非常に広範な人権を扱うわけですから、どういう方が委員になるかということがとても大事だと思うんです。
 審議会をめぐる問題については、例えば、審議会という形で意見を聞いたのだから、これは国民の民意を反映しているんだと言われるわけですが、時にはそれが民意反映ということが余りに擬制され過ぎまして、もしその審議会の委員の考えというものが国民の多くの考えを反映していない場合には、審議会の存在によっても民意が反映しないということにもなるわけなんです。要は人選なんだろうと思うわけなんです。
 この法案ですと、目的は教育、啓発とか限定されますが、対象となるべき人権が無限定なんです。そうすると、学識経験者といっても、何を基準に選ぶのか、非常に疑問に思えるんです。何か我々、学識経験者と聞いただけでほっとするようなところがあるんですけれども、実際は、人権いろいろありますから、広く人権問題に精通している人が深く精通しているとは限らないわけでありまして、広いものをわずか二十人に絞るのは難しい作業であろうと思います。この場合の人選の基準というのはどういうことになるんでしょうか。
#80
○政府委員(大藤敏君) やはり人選につきましては、広い学識経験と専門的な知識を有している方を選任する、そしてその選任が国民全体から妥当として支持されるようなそういう方法になるのではないか、そういう方法をとるべきであろうというふうに思っております。
#81
○大森礼子君 ちょっと何か明確なお答えではないなという気もするんですけれども。この基準が非常に難しいだろうという気がします。
 それから、私、学識経験者の定義というものがよくわからないんです。例えば大学卒業して何か研究していなきゃいけないのかとか。学歴がないとしても、ある人権問題に長く取り組んでおられて、そこには精通しておられる方もいらっしゃるわけなんです。この学識経験者というものは大体どういう人を指すのか、簡単に教えていただけませんでしょうか。
#82
○政府委員(大藤敏君) これは法務大臣がお決めになることだろうと思いますが、事務レベルで申し上げれば、やはり人権万般にわたって精通された方が最も望ましいというふうに思っております。
#83
○大森礼子君 万般に精通している方というのは非常に数が限られるんじゃないかなという気がするんですが、それはさておき、私はこのような法案での審議会というもの、教育、啓発それから被害者救済のための施策とか、こういうものを審議する審議会でありましたならば、学識経験者も必要かもしれませんけれども、大事な視点は、いわゆる人権侵害を受けた当事者といいますか、こういう人をむしろ入れるべきではないかと思うんです。というのは、人権擁護のために何をしていくかということは、知識よりもむしろ人権というものに対する感受性の方が優先するのではないかなという気がするわけなんです。
 人権感覚って一体何かといいますと、簡単に言えば、他人の痛みがわかるということなんだと思います。自分が痛みを感ずれば、他人の痛みもわかるというのが普通だと思うんです。昔、何かで読んだんですが、正確に再現できるかどうかわかりませんけれども、こういう表現があったんです。「人は皆自分をかけがえのない存在であると思っている、他人もまたそう思っていると認識することから他者への思いやりというものが生ずる」という、こういう趣旨の文章を読んだことがあって、非常に感銘したことがあるんです。
 こういう人権問題を扱うについては、やはり人権侵害等とかで悩んだ人が、あるいはそういう人たちと一緒に活動した人が問題の所在、解決方法というものをよく知っているんではないかなという気がするわけなんです。
 例えば、先ほど何か人権擁護局への相談が少ないというのがありましたね。そのときに、その理由として、国民にそういう相談を受けていることが知られていないからではないかとおっしゃいましたけれども、私なんかは、もしかしたら、まあ相談に行っても、こっちの気持ちをわかってくれないから行くまいかという方も多いのではないかなという気がするんです。
 例えば在日韓国人の差別問題とかありましたけれども、今の日本の法律ですと、人権擁護委員というものは選挙権を有する者からとありますから、こういう在日韓国人の当事者の方は委員となれないわけなんですね。もし仮にこういう方が委員となっていれば、在日韓国人の方でも相談に行く方がふえるかもしれないと、こういうふうに思うわけなんです。
 ちょっと前置きが長くなってしまったんですけれども、審議会の委員にこういう当事者を入れるということについてはどういうふうなお考えをお持ちでしょうか。
#84
○政府委員(大藤敏君) 特定の分野の人権問題に関する例えば団体等の関係者の中から委員を選任することにつきましては相当ではないと考えております。もちろん、こうした関係団体の意見等につきましては、調査審議の過程におきまして必要に応じてヒアリング等を実施して審議に反映するように努めてまいりたいと考えております。
#85
○大森礼子君 今の、審議会の中に要するに実際に痛みを感じた人等をどんどん入れるべきではないかということについて、法務大臣はどのようにお考えでしょうか。
#86
○国務大臣(松浦功君) ただいま政府委員から御答弁申し上げたとおりでございますが、特定の民間団体等の意見を代表するという形での選任ということは決して好ましい方法ではないと私も考えております。
#87
○大森礼子君 特定のが入るといけないからということであれば、個別の事案というのはわからないのではないか。むしろ審議委員のスケジュールみたいなものをきちっと決めて、任期を五年としないで半分は流動的にかわるとかですね、そういうことにすればいろんな意見が公平に吸収されるのではないかと思います。
 もう最後の質問になりますけれども、国連人権教育の十年が二〇〇四年を目指して、二十一世紀を人権の世紀とすべくスタートしております。これを受けて「国内行動計画(中間まとめ)」も出たところであります。ちょっと遅かったかなという気もするんですけれども。それから、一九九八年は世界人権宣言五十周年の年になります。二十一世紀に向かう国際社会の流れの中で、人権擁護を推進する役所として法務省の果たす役割というのはますます大きくなっていくと思うんですけれども、日本が人権国家として国際社会の中で名誉ある地位を占めるためにこれから法務省が果たす責務等につきまして、法務大臣、どういうふうに取り組んでいこうとされるか、その御決意のほどをお聞かせ願えればと思います。
#88
○国務大臣(松浦功君) 極めてこの問題は重要な問題であると考えておりますので、法務省といたしましても、十分先生の御意見も承りながら、確実に世の中が進んでいくように努力をしてまいりたいと思っております。
#89
○大森礼子君 さっきの国連総会決議でも「人権教育は女性の権利の擁護・促進を通じて平等な機会を保障するための重要な手立てになる」ともしております。それから、「中間まとめ」でも、「重要課題への対応」のところで第一に「女性」ということが挙げられております。
 今多くの女性が、人権感覚が欠如しているんじゃないかなと思われる男性の反対を受けながら、いわゆる夫婦別姓選択制というものを望んでおります。それで今、民法改正案を提出しても否決されるかもしれないと言われていますけれども、まず国会の論議にのせるということが、人権教育の対象には国連によりますと国会議員も入っておりますので、国会議員に対する最高の人権教育の場でもあるのではないかなと思います。マスコミも取り上げる。そういうことについて考えることが国民の間での人権教育になるんだろうと思います。中には、みんな別姓になると思い込んで選択制だと正しく理解していない人もいるわけなんです。国会にその法案を提出しましてこの法務委員会の席で、通常のこういうやりとりではなくて、例えば反対派、賛成派とでディベートをする。こういう議論のやり方を工夫することによってさらに人権意識の高まりというものも期待できるかもしれません。
 そこで、女性の側としましてはぜひこの民法改正案を早く提出していただきたいと思うんですけれども、次回の通常国会への法案提出について法務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#90
○国務大臣(松浦功君) この問題は非常に多くの機会に論議をされておりますけれども、先般の世論調査等の結果を見ましても国民の御意見が二つに割れてしまっておる。こういう状況では、どういう形で国会に提案するかということについても十分検討しなきゃいけません。国会に提案する以上は、皆様方の御賛成を得られるような形に持っていくということを考えております。いましばらく時間をおかしいただきたい、こう思います。
#91
○大森礼子君 国民を教育、啓発するという意味で国会の場で議論すればいいではないですかともう一度申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#92
○照屋寛徳君 社会民主党の照屋寛徳でございます。
 かつて、沖縄、朝鮮、部落というのが差別の対象でありました。我が国はそういう痛苦の歴史を持っておるわけであります。
 私は、戦後五十一年余り、基地の島沖縄で生きてまいりましたけれども、私のふるさと沖縄は、戦争が終わって五十一年余が経過したわけであり、ますが、今なお膨大な米軍基地が存在をするがゆえの差別や犠牲を強いられております。
 この差別問題というのは、やはり差別を受けたことのある者あるいは現に受けている人でなければなかなかその痛みがわからないという面もあるわけであります。私は、いかなる者も人間が人間であるがゆえに大事にされなければならない基本的な人権を侵してはならないし、また侵されてはならないというふうに思っております。
 同和問題の基本は差別の撤廃であるというふうに私は考えております。そういう点で、本人権擁護施策推進法に私は賛成をし、同時に、本国会で速やかに成立することを希望申し上げまして、幾つか大臣に御質問もさせていただき、その他の質問については法務省の政府委員の方からお答えをいただければありがたいなというふうに思っております。
 我が国固有の人権問題である同和問題は、日本国憲法が保障する基本的人権の侵害にかかわる深刻かつ重大な問題でございます。私は、同和問題の解決は国の重大な責務であると同時に、国民的な課題であるというふうにお互い認識を強く持たなければいけないのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。
 そこで法務大臣に、平成八年七月二十六日の「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」と題する閣議決定を受けて、本法案との提出とも絡んで、同和問題解決へ向けた御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
#93
○国務大臣(松浦功君) 基本的には、先生御指摘のとおり、閣議決定を受けておるということは間違いないわけでございます。
 いずれにいたしましても、法務省の所管事項でもございますし、そういった人権十年の行動計画等もあるわけでございます。それら関係部門の御意見を十分尊重しながら、法務省としては全力を挙げてこの問題の解決に努力をしていきたいという決意でございます。
#94
○照屋寛徳君 本法案が提案されるに至ったのは、これまで与党三党において部落差別の解消に向けたさまざまな協議が進められてきたことが大きな背景にあると私は理解をいたしております。本法案は、そういう意味で同和問題の解決を経緯とするものであります。
 提案理由にも述べられておりますけれども、我が国憲法の基本的人権尊重主義の理念に照らして、今日なお同和問題など社会的身分や門地による不当な差別が現に存在をし、同時に、同和問題の早期解決のために教育及び啓発に関するさまざまな施策の重要性に照らして本法案が提案をされたというふうに私は理解をするわけでありますが、その契機ともなりました本年五月十七日の地域改善対策協議会の意見具申、大臣はこれをどのように受けとめておられるのか。同時に、その意見具申を受けて、これから法務大臣として同和問題の早期解決へ向けたお取り組みの御決意のほどをお伺いさせていただきたいと思います。
#95
○国務大臣(松浦功君) 御指摘をいただきました先ほどの閣議決定あるいは五月の地域改善対策協議会の意見具申、こういったものを下敷きにして、そしてこの法案をつくっているわけでございますから、当然それらのものを尊重するということが前提になっております。そういう意味で、これらのものと一体になって法務省、従前からの所掌事務、それの拡充によってぜひ皆様に愛される、人権の問題が生じないような世の中、こういったものをつくってまいるように努力をしてまいるつもりでおります。
#96
○照屋寛徳君 大臣の力強い御決意をお伺いいたしまして、私も安心をいたしました。ぜひ地域改善対策協議会の意見具申等を踏まえて、一層力強い、省を挙げて、大臣が先頭になりまして同和問題の早期解決のために御奮闘いただきたいと御希望申し上げておきたいと思います。
 そのことと、直接法案との関係で、大臣もしくは人権擁護局長の御回答で結構でございますが、私は、先ほど大森先生からも御質問ありましたが、この法案で言う審議会委員の選任のあり方というのは非常に重要になってくるんではないかなと、こういうふうに思うわけであります。
 申し上げるまでもなく、審議会の運営の透明性の確保は、これまたおろそかにされてはいけません。同時に、審議会の委員の選任に当たっての学識経験者というものは、いかなる学識でありいかなる経験なのか、そういうことについてまず法務省の御認識をお伺いいたしたいと思います。
#97
○政府委員(大藤敏君) 先ほども申し上げましたように、やはり広範でかつ専門的な審議事項でございます。しかも、取り扱う問題が国民の内心に語りかけるという啓発にかかわることでございますし、それだけに委員の選任については、広い学識経験を有する、人権全体に通じておられる、そういう方を選任するのが相当ではないかと考えております。
#98
○照屋寛徳君 この審議会委員の人選に当たっては、私は、抽象的な意味での学識経験者という枠組みではなくして、少なくとも本法案の目的に照らして、人権や差別問題に精通した学識経験者、こういうふうな配慮を選任に当たってはするべきだというふうに考えておりますが、いかがなものでございましょうか。
#99
○政府委員(大藤敏君) 一般論としては、人権に精通している方が妥当であるということは言えるかと思いますが、さらに進んで、特定の人権問題について特定の団体等の代表者というような形になりますれば、これは相当ではないと考えております。
#100
○照屋寛徳君 私は、特定の団体の代表ということは申し上げておりませんで、少なくとも学識経験者という抽象的な枠組みではなくして、人権や差別問題に精通した者、こういうふうに申し上げているわけであります。
 それで、あと一点、平成七年九月二十九日に、例の「審議会等の透明化、見直し等について」と題する閣議決定がございました。この閣議決定の趣旨を踏まえて、私は、本法案での審議会の会議の公開、それから議事録等の公開について法務省はどのように考えておられるのか。少なくとも平成七年九月二十九日の閣議決定をしっかり踏まえれば、尊重すれば、会議の公開や議事録の公開はお約束をしていただけるのではないかと思いますが、いかがなものでございましょうか。
#101
○政府委員(大藤敏君) 今御指摘の平成七年九月二十九日の閣議決定を踏まえて、審議会の運営について透明性を図るように努めてまいりたいと思いますが、今御指摘の会議の公開と議事録の公開につきましては、もう少し慎重に検討させていただきたいと思います。
#102
○照屋寛徳君 当法案との関係で、私は、審議会における審議に当たっては、本法案が同和問題の解決を経緯とするものであるということを踏まえて、不当な差別を受け人権を侵害された人々の思いが届くような、反映されるような、そういうふうな審議会運営を担保していただきたいということを強く御要望申し上げておきたいと思います。
 それでは次に、現在、同和問題に絡む人権侵犯事件は何件ぐらい発生をしているのか。それは恐らく事件として立件されたもの、あるいは差別落書き事件のように相手方が特定できないような事案もあるやに予想されるわけでございますが、例えば平成七年度分だけでも結構でございますので、お教えいただけたらありがたいなと思います。
#103
○政府委員(大藤敏君) 平成七年では七百二十七件でございます。
#104
○照屋寛徳君 この平成七年度で結構でございますから、その人権侵犯事件の態様について、あらましお教えください。
#105
○政府委員(大藤敏君) 平成七年におきましては、就職に関するもの、それから近隣等の交際に関するもの、さらに差別言辞言動に関するもの、差別落書きに関するもの、差別文書に関するもの等が主なものでございます。
#106
○照屋寛徳君 今御報告ありました同和問題などの人権侵犯事件に対するこれまで被害者救済の施策をとられてきたと思いますが、その被害者救済のあり方、施策にどのような問題点があったのか、それをどのように改善せんとしておられるのか。
 これはやはり、先ほど申し上げましたように、現に差別を受け、不当にも人権を侵害された者に対する有効な被害者救済、迅速な被害者救済というのは大変大事なことだと私は思うわけであります。果たしてこれまでの被害者の救済の面で有効な対応が図られたのかどうなのか、お答えを願いたいと思います。
#107
○政府委員(大藤敏君) 人権擁護機関が行います人権侵犯事件の調査処理は、関係者に対して人権尊重の意識を啓発することによって人権侵犯の状態を除去し、あるいは改善することを第一義とするものでございます。強制力を伴う法的措置を要する場合は、裁判等の他の制度によることを予定している制度でございます。また、人権侵犯の事件調査の場面におきましても、あくまでこれが関係者の任意の協力に基づいて行われるものであるために、相手方が調査に全く応じない場合、あるいは相手方が確信犯であるために啓発を繰り返し行っても人権侵犯の状態を除去し得ない場合等があり、被害者救済の観点からすると必ずしも十分であるとは言えないと思います。
 本審議会におきましては、人権侵害に対する簡易迅速、かつ有効適切な対応の実現を図る見地から、これらの問題点を含めて、人権侵犯事件の調査処理制度のあり方、人権擁護委員制度のあり方等、改善すべき点について幅広く御審議いただきたいと考えております。
#108
○照屋寛徳君 人権侵犯事件についての具体的な救済というのは、理念だとかあるいはお役所的なマニュアルだけではなくして、本当に心のこもったというか、より具体的で迅速で実効性のある救済処置がとられなければいけないというふうに私は考えております。そういう点で、ぜひ今後もお力を入れていただきたいというふうに考えております。御要望申し上げたいと思います。
 最後に、現在行われている人権相談業務の実績についてお伺いいたしますが、窓口の整備は十分でございましょうか、また人権擁護委員の対応能力の向上等についてはどのようにお考えなんでしょうか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

#109
○政府委員(大藤敏君) 人権相談の体制につきましては、法務局、地方法務局及びその支局におきまして、土曜、日曜及び祝祭日を除いた毎日相談に応じる常設相談、それから特定の日に市区町村役場、公民館、デパート等地域住民の身近な場所において行う特設相談、そして人権擁護委員の自宅において相談に応じる自宅相談によって行っているところでございます。
 これらの相談に応じる職員並びに人権擁護委員の資質の向上につきましては、研修等の充実を図りながら今後とも積極的に推進してまいりたいと考えております。
#110
○照屋寛徳君 以上で終わります。
#111
○橋本敦君 言うまでもありませんけれども、憲法と民主主義の基本的な理念からして、あらゆる意味で差別など人権侵害が許されないことは言うまでもありません。しかし、実際には多くの課題が残されていることも事実であります。
 その一つとして、私は、大企業による憲法違反の思想差別の問題が近年最高裁で明確に判断が下されましたので、その問題から一つは議論をしていきたいと思います。
 わざわざ最高裁にお越しをいただきまして恐縮ですが、判決を正確を期するためにお越しをいただきました。
 いわゆる関西電力の人権差別事件と私ども呼んでおりますが、平成七年九月五日に最高裁が判決をいたしました。
 事案はどういうことかといいますと、関西電力が共産主義を忌み嫌いまして、共産党員またはその同調者と見られる職員、従業員に対して、職制等を通じてその思想を非難して転向を迫る、聞かなければ尾行する、ロッカーをあけて私物を検査する、あらゆるそういった差別的扱いを強要してきたわけであります。
 こういうことに対して最高裁は、これらの行為は、被上告人らの職場における自由な人間関係を形成する自由を不当に侵害する、それとともにその名誉を毀損するものであり、またプライバシーを侵害する行為でもあって、これら一連の行為がまさに不法行為を構成するものと言わざるを得ない、こういうことで原審の判断を支持して、この関西電力の労働者に対する思想を理由とするこういった人権侵害を厳しく断罪いたしました。
 最高裁がこういう趣旨の判決をしたことは間違いないでしょうね。
#112
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) ただいま委員から御指摘のありました最高裁判決におきまして、今指摘をされましたような判示部分があるということは事実でございます。
#113
○橋本敦君 それに先立って大阪高裁判決は平成三年九月二十四日に出されておりますが、ここでは法律論を具体的に展開いたしまして、「憲法一四条は国民の法の下の平等を規定して、信条等による差別待遇を禁止し同法一九条は思想の自由を保障しているが、右各規定は、もっぱら国又は公共団体と個人との間の関係を規律するものであり、私人相互間の関係を直接規律するものではないと解されるから、私人間において思想・信条による差別がなされ、或は思想の自由が侵害されたとしても、直ちに右規定を適用ないし類推適用することはできない」けれども、具体的に、労働基準法三条は、使用者による労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由とする賃金、労働時間その他の労働条件についての差別的取扱を禁止しており、右法条の趣旨に照らすと、企業は、「その優越的地位を利用してみだりに労働者の思想・信条の自由を侵すことがあってはならない」ということで、結局企業の中にも憲法を生かすべきであるという立場でこの事件について会社側のとった態度を厳しく批判しているんですが、この点も間違いありませんね。
#114
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 御指摘の大阪高裁の判決は、第一審の判決を引用している部分が多いわけでございますが、御指摘のような判示がなされていることは事実でございます。
#115
○橋本敦君 まさに職場における思想を理由とし一転向を迫り、聞かなければ尾行し、強要し、村八分に遭わせる、こういった状況について最高裁は明白に人権侵害として断罪をしたわけです。これは当然のことと思いますが、人権を守る立場から法務大臣としてこの最高裁の判断については当然憲法に照らして受けとめるべきであるというお考えかと思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
#116
○国務大臣(松浦功君) 御指摘のとおりでございまして、思想のいかんによってとかくの問題を起こすというようなことは許されざる行為だと思っております。
#117
○橋本敦君 ところが、関西電力はこの判決に対して、自分たちの主張が入れられなかったことは残念だとか、あるいはこの問題について一向に反省をして謝罪もしなければ、労働者の要求に応じて賃金、昇格その他の差別の一切の改善をしようとしていない。
 こういう人権侵害に対して、人権擁護局長、一体どういう処置かとられ得ると思われますか。何らかの処置を当然とってもらいたいと労働者は要求していますが、どうお考えですか。
#118
○政府委員(大藤敏君) ただいまの御指摘の件につきましては、所管の法務局に対して人権侵犯の申し立てがされたかどうかについては確認いたしておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
#119
○橋本敦君 申し立てをすれば当然、最高裁判決に従って是正処置を含めた処置がとれるという御趣旨のお話ですか。
#120
○政府委員(大藤敏君) 申し立てがされますれば、それを受けて本来の人権侵犯調査処理手続にのっとって事実関係を調査し、最終的な処分を行うということになると思います。
#121
○橋本敦君 今度の法案によって、こういった日本の大企業での思想差別による人権侵害、これを一掃していくという展望が出てくるというように法案提出者としてお考えですか。
#122
○政府委員(大藤敏君) 法務省の人権擁護機関は現在も私人による人権侵害についても対処しているところでございますし、今回の審議会の審議の内容について具体的に申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、私人間の人権侵犯事件についてもできるだけ一掃されるように、そういう審議会の答申であることを期待したいと思います。
#123
○橋本敦君 つまり、こういった憲法や民主主義の理念に反する、そういった社会的な状況が私人間や企業の中で行われているという状況については、これはこの法律を制定したからといって直ちに解消し改善されるという展望と保証はないんですよ。
 基本的には、日本の民主主義がどの程度発展をするかという国民的合意の上で、憲法と民主主義の理念をすべて国民がどのようにそれぞれ受けとめて発展するかということが課題なんです。日本の大企業はたくさんあります。そして人権侵犯事件が起こった場合に、一体大企業に対してその人権侵犯事件排除するためにどうするかという具体的な処置を個別的にやるなんということは容易なことじゃないんです。私は、国民の運動と憲法と民主主義を守る正しい理念をまさに自主的に国民が民主主義を発展させる立場で進めることがやっぱり基本だと思うんです。
 私は、上からの国の行政によってあるいはこの審議会の答申によってそう簡単に進むという保証はないと思います。それで、しかもこの法案が一体どういう経過で出されてきたかということになりますと、もう提案理由ではっきり示されておりますように、先ほどから議論がありますが、同和問題が主体でしょう。だから、提案理由でも、この同和問題につきましては、地対協からの同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本的な在り方について、意見が出された、これを契機にして、そしてこれを中心にして法案をつくったのがこれだと、こういうことですから、まさにこの法案は今私が指摘したような日本社会のすべての人権問題ということより、むしろ同和問題についての一定の解決を図るためだという、そういう方向での特定団体の意向なども反映されながらつくこれてきているという、そういう状況だということは私は払拭し切れないと思うんです。
 この点について、まさに同和問題が重要な契機であるということ、したがって、先ほども同僚委員からお話がありましたように、憲法十四条で「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」という、こう書いてある順番をわざわざこの法律では冒頭に「社会的身分、門地」、これを持ってきたと。そういった経過も、まさに地対協のこういう意見具申から出てきたということでそうなったということは間違いないというお話があったと思いますが、そのとおりなんでしょう。
#124
○政府委員(大藤敏君) ことしの五月の地対協の意見具申におきましては、「今後の重点施策の方向」として、差別意識の解消に向けた人権教育及び啓発の推進、人権侵害による被害の救済等の対応の充実強化を挙げておりまして、これら重点施策の推進については、法的措置の必然性を含めた各般の措置について具体的に検討するように提言しているところでございまして、これを契機として本法案を上程したものでございます。
#125
○橋本敦君 事実上、お認めになったような答弁なんですね。
 それで人権局長、もう一つ考えてもらいたいことは、差別をなくさなくちゃなりません。特に部落差別をなくすということは大事な課題です。しかし、その差別をなくすということについてこれまで重大な運動上の障害があったんではありませんか。
 有名なのは八鹿高校事件判決です。あそこで、まさに差別を理由として教育現場で特定団体から熾烈な糾弾行為が行われて社会的な大問題になりました。これも裁判になったから御存じのとおりでありますけれども、八鹿高校事件の大阪高裁六十三年三月二十九日判決というのがありますが、ここではどう言っているかといいますと、
  本件が部落解放運動のためとはいえ、所論のように多数の被害者に暴力の行使を含む執ようでし烈な集団的、組織的糾弾行為を加え、被害者らの心身に多大な打撃を与えるとともに、地域住民にも非常なる衝撃を与えた重大事犯であって、その最高総責任者であった同被告人の刑事責任は誠に重いものがある
という判示をしている。まさに重大事件であって、しかも被害者の心身に多大の打撃を与える集団的糾弾行為としての人権侵害だというんでしょう。
 検察官はこの問題についてどう論告しているか。検察官は、
 本件のように解同の意向に反する者を即差別者と断じ、糾弾の名の下にあえて法を無視し、暴力的手段に訴えて強制的に自己の方針に従わせようとすることは、法秩序に挑戦し民主主義社会をじゅうりんする暴挙であって、差別を憎む国民の厳しく非難するところであり、その責任は厳しく追及されなければならない。 
こう言っているわけです。
 だから、まさに人権侵害なんですよ。差別をなくすということで人権侵害を行う、こういう無法な行為が許されるならば国民融合を大きく妨げる、そういう障害にこれはなるということで厳しく批判されなきゃならぬと私は思うんです。
 こういった問題について、二度とこういうことを起こしてはならぬというのは当然のことだと思いますが、二度とこういうことが起こらないようにしてこそ差別をなくす国民融合の道も前進すると思いますが、法務大臣、いかがお考えでしょうか。
#126
○国務大臣(松浦功君) 全く委員御指摘のとおりだと私も思います。
#127
○橋本敦君 そこで局長、審議会の構成ですが、ここではその審議会に公正な人選をするということは、当然そうでなくちゃなりません。しかし、この部落解放運動を含めて、本当に国民融合をどう進めていくかという問題についてはいろいろな意見があり、国民的な議論が自主的にまだまだ必要な部分があります。部落民以外はすべて差別者だという観念から今指摘したようなこういった糾弾行為が再び繰り返されてはならないことは言うまでもない。
 そこで、部落解放運動の特定の団体からのメンバーや、あるいはそれが推薦するというそういう形での審議会の委員の任命については、これは重大な問題があると私は思いますが、ここらあたりについて、公平な任命ということについてはっきりした考えを聞かせていただきたいんですが、どうですか。
#128
○政府委員(大藤敏君) 委員が御指摘になりましたとおり、審議会の委員は、その設置の趣旨、目的に照らしまして、人権に対してさまざまな角度から公平公正な審議が行われるような体制とする必要があります。したがいまして、委員の人選に当たりましては、この点に十分考慮しながら、広い学識経験と専門的知識を有する者を選任したいと考えております。具体的な人選に当たりましては、本審議会に多様な国民の意向が正しく反映されるように慎重に行っていくこととしたいと考えております。
#129
○橋本敦君 先ほど、特定の団体からの代表は入れないというお話も同僚委員の答弁にありましたが、それはそうなんですか。
#130
○政府委員(大藤敏君) そのとおりでございます。
#131
○橋本敦君 それで、もう一つの問題で、先ほどから同僚委員も議論いたしました。いやしくも人権問題を議論するなら、これはまさに公開の原則を守らなくちゃならぬ、審議録の公表も必要であるということは私は当然だと思います。人権という問題は、まさに憲法と民主主義の基本にかかわる、国民全部が正しい認識と意識を持たなきゃならない、国民全体が自主的に議論ができる環境づくりというのは必要なんですよ。
 そういう意味では、先ほどからのお話、答弁では私は納得できないんですが、なぜ公開の原則は必ず守りますと答弁できないんですか。なぜ議事録は必ず公表しますと言えないんですか。それによって人権に関心を持つ多くの国民からの自由な論議が起こり、それが反映されるじゃありませんか。その点どうですか。
#132
○政府委員(大藤敏君) 人権擁護推進審議会の審議とその議事録を公開するべきであるかどうかにつきましては、これは最終的には審議会が決定すべき事項でありますが、この審議会の委員には自由闊達に論議をしていただくことが期待されるわけでございまして、これを全面的に公開することによって自由な議論が尽くされなくなるおそれがあるといたしますれば非公開もやむを得ないものと考えております。しかしながら、仮に特別の事由によりやむを得ず審議及びその議事録を非公開とする場合におきましても、議事要旨を公開するなどの方策をとるなど、透明性の確保に努めてまいりたいと考えております。
#133
○橋本敦君 はっきり公開の原則を貫くということが答弁できないのは問題だと私は思います。自由闊達な意見が言えないというのはおかしいですよ。国民の前に自由闊達に意見を言ってもらわなくちゃ、そうでしょう。そうでなきゃ国民はまさに知る権利を阻害されますよ。そして、国民の正しい意見を反映することができないじゃありませんか。
 最後に私はもう一つ、この法案を出すということの現実の必要性がない問題について指摘しておきたいんですが、地対協の意見具申の積極的な側面としては特別対策の終了、一般対策への移行ということを打ち出されました。これは私はまことに当然だと思うんです。
 一九六九年に同和対策事業特別措置法を制定して以来今日まで、全体事業費として約十三兆円を投入いたしまして、地区住民の努力とも相まって、一般地区の生活状況及び社会経済的な一般水準と比較して、同和地区なるがゆえに解決されずに残っていたという問題は基本的には大きく解決されてきました。それ自体はいいことであります。そして、そのことを受けて政府の調査でも、同和地区の混住状況がずっと進みまして、近年同和関係者の比率が急減をしている、他地域からの移住者の比率が急増しているという状況で、そういった混住による国民融合の方向も進み始めているのも事実であります。
 結婚差別について先ほどお話がありました。約七〇%以上が地区同士の結婚であったというお話がありましたが、若い層を調べてみますと、二十九歳以下では反対に地区外との結婚がもう七〇%以上にもなっているんです。だから、結婚は最大の障害だと、なるほど深刻な問題でした、早くなくさなきゃなりませんが、若い人ではこれは解決の方向に大きくもう向かっているわけです。
 そして、それだけではありませんで、被差別意識の問題について言うならば、被差別体験ということで先ほどもお話がありましたが、この十年間で見た場合に被差別体験者は全体のわずか一二・四%ということで大変減ってまいりまして、十年間で見た限り十人に九人弱が被差別体験はありません、こうなっているんです。私は、これは日本全体の民主主義の発展にとって本当に希望の持てるいいことだと思うし、ここまで来た関係者の努力も大変なものだと思います。
 そして、こういう状況のときに、まさに国民融合、国民合意で進めていかにゃいかぬときに、法的処置を含めて啓発啓蒙ということでそういった処置を国がとるということになりましたならば、自主的な運動よりもむしろ逆に強制的な国民の内心に踏み込んだ啓発を国民に強要する、あるいはそれを一つの口実にしてまた新たな間違った差別解消という名の運動が起こりはしないか、そういう心配すら私はなきにしもあらずと思っているんです。
 基本的に私は、法律や法の強制によってやるのではなく、もはやこれからの国民融合は、国民の憲法と民主主義を願うそういう良識を自主的に広める、そういう方向を強めてこそ本当に解決していくんだと思いますが、こういう面について局長のお考えなり、そしてまた大臣のお考えなりを最後に伺って、終わりたいと思います。
#134
○政府委員(大藤敏君) 同和問題に関する国民の差別意識につきましては、昭和四十年に同和対策審議会の答申がなされて以降今日までの間にさまざまな施策が行われてきた結果、着実に解消に向けて進んできたものの、結婚問題を中心に依然として根強く存在しているわけでございます。また、残念ながら今なお差別事象が発生しており、速やかに解決しなければならない重要な人権問題であると考えております。先ほどの地対協の意見具申でもこの点を特に指摘し、同和問題についての従来の経緯を踏まえて、今後人権の重要な柱として差別意識の解消を一層推進するようにという趣旨を述べているところでございます。
#135
○橋本敦君 政府の意識調査によりますと、御存じと思いますけれども、関心のある人権問題は何かということで、いじめ、体罰が最も多い八二・四%、次いで障害者問題の差別が六九・二%、在日外国人問題が四五・四%、女性差別問題が四〇五%、同和問題が三六・一%、アイヌ問題が一八・六%、こうなっているんですね、これ、政府の調査資料で。いいですか。だから、国民の人権意識が大きく前進していることを基本的に政府はもっとしっかりととらえて信頼すべきですよ。それにもかかわらず、今あなたがおっしゃったように、地対協の意見具申で依然として部落差別問題、これが人権問題の中心課題だというとらえ方は、人権そのものを全体としてとらえるというとらえ方から見て私はこれは正しくないと思います。
 最後に法務大臣の御意見を伺って、終わりたいと思います。
#136
○国務大臣(松浦功君) 同和問題は、全体の人権問題の中の一つの重要な問題だという意識でございます。必ずしも同和問題が中心であるということを私は考えておりません。ほかにも時代の変遷によって大きな問題が生じてくる可能性が十分ある、こう思っております。
#137
○橋本敦君 終わります。
#138
○本岡昭次君 私が用意しておりました質問、ほとんど出尽くしております。そこで、大臣なりあるいは局長の答弁に反論するというふうなことを交えながら質問させていただきます。
 私は、今の橋本委員と全く反対の立場に立ちます。同和問題こそ日本の人権問題を解決していく軸にすべきだという立場なのであります。したがいまして、この法案の推進によって不当な差別や人権侵害問題を解決しようとする、そのことは法案の提案理由説明に「同和問題」という言葉が四カ所にわたって書いてあります。そういう意味で、趣旨説明のところでははっきりと、同和問題の差別意識の解消と人権侵害による被害の救済、これを進めることによって日本の人権問題全体にかかわっていこうという認識であるというふうに読み取りました。
 しかし、先ほど、また別の委員がおっしゃいましたように、法律案の中にはそのことが書かれていない。これはどうしたことかということを私も問題意識を持ちました。特に、法案の第三条で設置された審議会が調査審議する事項として特定されてありますけれども、この議論は、先ほどの答弁によりますと、何か幅広く自由闊達にということで人権全般に各般にわたってやっていただければいいんだということで、提案の趣旨説明に書かれてある趣旨と法案の中に書かれてあることが乖離というのか混乱というのか、私はそこに今の難しい問題状況をかいま見るような気がいたします。
 そこで、端的にお伺いをします。この審議会、これは法案提出の経緯から、同和問題の調査審議を行い、同和問題の差別意識の解消と人権侵害による被害の救済について答申または意見具申をするというふうに確認してよろしいか。
#139
○政府委員(大藤敏君) 先ほど来申し上げておりますように、本法案は広く人権一般の観点から人権の擁護に資することを目的としており、あらゆる人権問題を対象とするものでございますが、同和問題は依然として我が国における重要な課題であると同時に、この法案策定の経緯になったものでありまして、審議会においても我が国における重要な課題であるとの認識のもとに御議論いただけるものと考えております。
#140
○本岡昭次君 私の持っております資料、これは会議録ではありませんので正確でないかもしれません。あなたは衆議院において次のように答弁されております。これは自民党の委員の質問に対する答弁です。同対審答申を踏まえ今日までの施策の推進で成果を上げてきたが、いまだに差別事象が起こっており、部落問題の解決を重要な柱として審議会でも質の高い論議をし、審議会の答申を最大限尊重しながら法的措置を含めた取り組みを進めていくことを明確にしたというふうに答弁されています。
 それで、今、私の質問に対しても、この部落問題、いわゆる同和問題の解決の審議をというふうにはっきりおっしゃいましたが、この衆議院の自民党の委員に対する答弁と私に対する答弁、これは間違いないですね。
#141
○政府委員(大藤敏君) 御指摘のとおりだと思います。
#142
○本岡昭次君 私はこの法案提出の経緯をずっと見てみますと、この地対財特法が平成九年三月、来年の三月に切れるということに端を発しておるんです。これがなければこの法案誕生の経緯というものは私はないと見ておるんですよ。これがあるから出てきたんです。これがまだ五年後ということだったら、恐らく今この時点で我々はこの論議をしていない。だから、はっきりと、これは同和問題にこのきっかけがあり、そしてその同和問題を解決するための一つの方策としてこの法案は出されたと言うのがこれはもう当然でありまして、それをそうでもないとか一般であるとか、ああでもないとかこうでもないとか、いわば同和問題は解決しよるんだとかいうふうな議論はやはり私はおかしいと思うんです。
 だから、政府の方もこの期限切れに対応するために地域改善対策協議会が総括部会を設置した。総括部会は三月二十八日に、「同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本的な在り方について」地域改善対策協議会に報告した。地域改善対策協議会は、この総括部会の報告を受けて五月十七日に総理と関係大臣に意見具申をする。七月二十六日に「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」閣議決定を行うというふうに、すべてそういうところに土台を、基礎を置いてこの法案が生まれてきたというところを絶対に見失ってはならぬと思うんです。その経緯を大切にして審議会は調査審議し、意見具申または答申をすべきであるというふうに私は考えます。法務大臣、一言御見解をお願いします。
#143
○国務大臣(松浦功君) いろいろと御答弁を申し上げておりますとおり、この法案は人権一般についての問題を規定している。同和問題が非常にその中の重要な問題であるということは認識をしつつも、そのほかの人権一般の問題も抱え込んでいる法律だというふうに理解をしております。御理解を願いたいと思います。
#144
○本岡昭次君 いや、今の大臣の答弁は、これは人権一般をどう解決するかという法律であると、最初にこうおつしゃつて、そして後で部落解放運動、私は同和なんて言いたくないんですが、この部落解放の問題、同和問題をどう解決するかということも重要だと、こういうふうに二段構えにされているんです。
 そうすると、この同和問題の解決をどうするかということからずっと審議が進んでいって、そして閣議をやって、そして法律をつくるときには、この同和問題のいろいろ人権侵害であるとか差別の問題であるとかいうのはもうほぼ解決したから人権一般をやって、その中に同和問題、部落解放の問題を入れればいいというふうになったと、こうおっしゃるように聞こえたんです。それでは話が逆転しておるんじゃないんですか、経緯から。私はもう絶対それは逆転しておると思うんですよ。だれが素直に考えても、部落解放の問題、同和問題からスタートして、それで最後になっらそれが入れかわっておるというふうなことは、私はごまかし以外の何物でもないと思うんですよ。
#145
○政府委員(大藤敏君) 今、大臣がお答えになられました趣旨は、先ほどから申しておりますように、地対協の意見具申が一つの契機になっている、しかもそれを踏まえた上で人権一般についての教育、啓発を推進する、そういう施策を審議会において検討していただくという趣旨だろうと思います。
#146
○本岡昭次君 私はもう絶対納得できません。今の経緯はおかしいと思う。ごまかしたと思う。だけれども、ここで議論しても、私に与えられた時間はわずかですから、とても議論し尽くせませんので、私はこれは法案自体には賛成なんですから、法案が成立された後にまた議論をする時間をいただいて議論いたします。
 そこで、今のような議論を踏まえた上で、先ほどから、一体審議会の委員の人選はどうしたらええのやというのを聞いておって、特定の団体、特定の特定のって、こういうことを好きな人はたくさんおりますが、この特定の団体、特定というのは一体どこのことを指して特定の団体特定の団体と言っているんですか。ちょっと特定してくださいよ。
#147
○政府委員(大藤敏君) これは例えば民間運動団体と言われる同和問題にかかわる団体を初め、子供の人権問題あるいは外国人の人権問題、その他もろもろの人権問題にかかわる団体を総称しているわけでございます。
#148
○本岡昭次君 そうすると、今まで同和問題にかかわっていろんな審議会とか対策協議会とかいうものがございました。地域改善対策協議会もそのうちの一つであります。ここに委員がいます。また総括部会にも総括部会のメンバーというのがいます。このメンバーの人は今おっしゃっている特定と言われる人ではないんですね。
#149
○政府委員(大藤敏君) 地対協の委員が特定の団体の代表者であるとは私は理解いたしておりません。
#150
○本岡昭次君 もう一つはっきりさせますが、そうすると、地域対策協議会のメンバーとして今日まで御苦労いただいた方、総括メンバーにも入っておられる方、こういう方はあなた方のおっしゃっている特定の団体を代表するメンバーと考えていないというふうに理解してよろしいですか。
#151
○政府委員(大藤敏君) そのとおりでございます。
#152
○本岡昭次君 そうすると、その地域対策協議会のメンバーの中から私は委員に、今日までのずっと経緯を踏まえて、全部を入れかえろとは言わぬけれども、やはり一定の人数が当然確保されなければ、同和問題を契機としてこの法律までせっかくこぎつけてきたそのつながりがない。だから、学識経験者が広く人権に精通する人なんというようなところで、私は、地域対策協議会の審議とそこで断絶させるべきでない。それはやはりそこの中で積み上げてきた人を大切にすべきだと、こういうふうに私は思うんですが、大臣いかがでございましょうか。
#153
○国務大臣(松浦功君) 広い学識経験を有する方であるという判断で取り扱いたい、こう思っております。
#154
○本岡昭次君 そこで、ことし七月十六日に「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」という報告が自民党、社民党、新党さきがけの三党による与党人権と差別問題に関するプロジェクトチームから出されています。
 この中に、いろいろ書いてあるんですが、第U項に、「差別意識の解消に向けた教育および啓発の推進、人権侵害による被害の救済等の対応の充実強化に関する法的措置等について」という大きな項目の第五項に、「人権侵害を受けた際の提訴手続きを規定した国際人権規約B規約の選択議定書の批准について検討する。」というのがありました。
 私は小躍りして喜びました。いよいよこういうことについての議論まで来たかと。私にすれば十年来の、中曽根総理に本会議で、これをやらぬとアジアから日本は人権問題で孤立するよ、今に韓国もフィリピンもどこも皆するよと言って、皆してしもうたですよ。アジアのどこもしていないから日本はしないんだと言うたら、皆やった。私はいらいらしておりました。ところが、こういうものが出てきたから、ああよかったと思って七月二十六日の閣議決定を見ると、見事にこの項目は外れているんです。どういう経緯でこれが削除されたのか、お願いします。
#155
○説明員(川邊新君) 御指摘のとおり、七月十六日の与党プロジェクトチームの合意におきまして、「人権侵害を受けた際の提訴手続きを規定した国際人権規約B規約の選択議定書の批准について検討する。」という項目がございます。ただ、これにつきましては、この問題については今後与党として検討していく趣旨だということで、七月二十六日の閣議決定には入れていないということでございます。
#156
○本岡昭次君 もう一度確認しますが、それは当時の与党として検討していくことであって、閣議決定とすべき内容まで煮詰まっていないということであったということですか。
#157
○説明員(川邊新君) 今後与党でこの問題について検討するということでございますので、私ども七月二十六日の閣議決定の案文につきましては、与党のプロジェクトチームにも事前に御了解をいただいているところでございます。
#158
○本岡昭次君 それは与党三党の方から自主的にそういうふうにされたんですか。そういうことはないと思うんです、与党三党はそれを書いて出したんですから。それを削った側は、与党三党で占い側が削った。どこが削ったんですか。
#159
○説明員(川邊新君) 検討をするという趣旨が与党として今後検討していく趣旨であるというふうに伺っておりましたので、政府の閣議決定につきましてはその部分はのせていないということでございます。
#160
○本岡昭次君 政府の閣議決定の原案はどこがつくるんですか。
#161
○説明員(川邊新君) 総務庁が中心になって作詩いたしました。
#162
○本岡昭次君 そうすると、総務庁がそれを削ったということですか。
#163
○説明員(川邊新君) この閣議決定の案文につきましては、事前に与党のプロジェクトチームの御了解を得ているところでございます。
#164
○本岡昭次君 経過はわかりました。
 そこで、外務省も来ていただいておりますが、一体この人権B規約の選択議定書はいっになつから批准をするんですか。先ほども、この委員会の冒頭・二十一世紀は人権の世紀になるかもしれないというところから議論がずっと進んできたんです。しかし、この国際人権問題にかかわっては外務省は終始逃げ腰であって、一年に一つずつ順番に寄っていって何かやっているようで、一体いつになったらこの選択議定書の番が回ってくるのか、私は心待ちにしておるんですが、いっになればこの批准の順番が回ってくるんですか。
#165
○説明員(川田司君) お答えいたします。
 先生には何度も申し上げているんですけれども、本件制度は人権の国際的保障のための制度として注目すべき制度というふうに考えております。しかしながら、この制度につきましては、いわゆる司法権の独立を侵すおそれがないかという点を含めまして、司法制度の関係等慎重に検討していくべきであるという指摘がございます。現在、こういった指摘も踏まえて、関係省庁間で鋭意検討しているところでございます。
#166
○本岡昭次君 いや、鋭意検討はずっと、十年前に中曽根総理から私は本会議で聞いたんですよ。当分の間というのが三十年も当分の間でおれるしいうのやから、それはまだまだいけると思い止す。だけど、もういいかげんにしてほしいですね。来年の春、桜の花が咲くころとか、秋のもみじの散るころとか、そういう季節の話句も入れてでもいいからひとつ言ってください、はっきり。
#167
○説明員(川田司君) 今、関係省庁間で検討しているところでございまして、ちょっと時期についてここで申し上げるのは早いかと思います。
#168
○本岡昭次君 いつになったら言えるんですか。
#169
○説明員(川田司君) 先ほど申し上げたようないろんな問題がございますので、もう少し検討させていただければと思います。
#170
○本岡昭次君 あなたは日弁連に招かれてそこで講演されました。日弁連は選択議定書の早期採択を求めておりますね。そこであなたは、私は会議録で知ったんですが、このことを国会でやかましく言っておるのは本岡だけやとおっしゃっていますね。
 それは確かに私だけかもしれない。だけれども、今度は私だけでなくなった。与党三党がこのことの検討をすると言い始めたんですよ。私は重大なことやと思っておる。非常に喜んでいる。それは、今までは私だけやと言ってあなたがそういうことを言えるような状態であったかもしれないけれども、一方で人権全般にわたって議論をしようというその片一方の極に国際人権という問題があって、国連の人権諸規約をどう日本が批准していくかという、それが国際的な日本の人権のレベルを決めていくんですよ。そのレベルにおいては日本は物すごい低いでしょう。だから、日本は経済大国であるけれども人権の面ではまだまだ後進国だというふうに言われる。悔しいけれども、どれだけの人権諸規約を批准したかというところで物差しを当てられるからそうなる。その中の大きなものが選択議定書なんですよ。
 あなたは課長だから、ここで、はいと言う立場にないことはわかっているけれども、きょうのこの議論を踏まえて外務省として、与党三党がこのことを検討するということになったんだから、そのタイミングをとらえて来年じゅうに、通常国会、臨時国会ある、そこで選択議定書の批准というものをしていく。そのほかまだまだ残っている人権関係の諸規約があるわけで、そういうことをやっていくことが人権問題に対して政府の姿勢というものがいかなるものであるかということを国内外に示すことになると私は思います。だから、そういうことについてしっかりやっていただきたいと思います。
 最後、これでもう時間どおり終わりますから、法務大臣、えらいやかましく言いましたけれども、部落問題を、同和問題をやはりこの法案の中心に据えて問題解決に向かって法務省が頑張っていただくというふうになったことは私は喜んでおるんです。今まで、この人権問題、部落解放問題はどこへ持っていったらいいのかわからぬということもあったんです。今度は法務省がきっちりとこの法案をもとにして受けとめるということを示していただいた、それだけでも私はよかったと、こう思っているんです。
 私の意見は意見でございますけれども、これをどうかひとつ尊重していただいて、この法案が目指すところ、間違いのないようにお願いをしたいと思いますので、最後に一言お願いします。
#171
○国務大臣(松浦功君) 若干意見の食い違うところもあるようでございますけれども、本岡委員の御指摘を十分頭に置いてこの政策を進めてまいりたいと思っております。
 ただ、この法案が同和問題をすべての問題だという考え方については、残念ながら同調できませんということを申し上げます。
#172
○本岡昭次君 そう言うとまた反論したくなるから困るやないの。もう終わりますと言ってもまだ時間はあるんです。だけれども、私が黙っておると私が納得したということになりますから、ひとつ同和問題を中心にやっていただきたいということを要望して、終わります。
#173
○委員長(続訓弘君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 人権擁護施策推進法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#174
○委員長(続訓弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、浜四津敏子君から発言を求められておりますので、これを許します。浜四津敏子君。
#175
○浜四津敏子君 私は、ただいま可決されました人権擁護施策推進法案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合及び民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    人権擁護施策推進法案に対する附帯決議(案)
  「人権の世紀」とも言うべき二十一世紀に向けて、同和問題をはじめとする人権問題解決のため、政府は、人権擁護施策を一層推進、強化するとともに、次の諸点につき格段の努力をすべきである。
 一 すべての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、学校教育、社会教育、公務員の研修等の分野において、「人権教育のための国連十年」の国内行動計画等を踏まえ、人権教育、人権啓発に努めること。
 二 人権尊重の理念に関する教育及び啓発の基本的事項については二年を目途に、人権侵害の場合の被害の救済施策については五年を目途になされる人権擁護推進審議会の答申等については、最大限に尊重し、答申等を踏まえ、法的措置を含め必要な措置を講ずること。
 三 人権擁護推進審議会委員の人選に当たっては、人権問題に精通した学識経験者を選任するよう配慮すること。
 四 審議会の運営に関しては、透明性の確保に努めること。
 五 人権擁護施策の一層の推進のため、人権擁護体制を充実、強化すること。
 六 人権関係条約の批准について、積極的に検討すること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#176
○委員長(続訓弘君) ただいま浜四津君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#177
○委員長(続訓弘君) 多数と認めます。よって、浜四津君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、松浦法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。松浦法務大臣。
#178
○国務大臣(松浦功君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#179
○委員長(続訓弘君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#180
○委員長(続訓弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#181
○委員長(続訓弘君) これより請願の審査を行います。
 第五六三号治安維持法犠牲者国家賠償法(仮称)の制定に関する請願外十三件を議題といたします。
 今国会中本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#182
○委員長(続訓弘君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
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#183
○委員長(続訓弘君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#184
○委員長(続訓弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#185
○委員長(続訓弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十三分散会
         
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ソース: 国立国会図書館
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