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1996/12/03 第139回国会 参議院 参議院会議録情報 第139回国会 本会議 第2号
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1996/12/03 第139回国会 参議院

参議院会議録情報 第139回国会 本会議 第2号

#1
第139回国会 本会議 第2号
平成八年十二月三日(火種日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成八年十二月三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る十一月二十九日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。林寛子君。
   〔林寛子君登壇、拍手〕
#4
○林寛子君 私は、参議院平成会を代表して、橋本総理大臣の所信表明演説に対し、橋本総理に質問を行います。
 質問に先立ちまして、本院の議員であり我が会派に所属しておりました友部参議院議員が設立したオレンジ共済が強制捜査を受け、多くの方々に御迷惑をかけ、また、多くの被害者を出したことはまことに遺憾であり、本院の権威を著しく傷つけたことを、私は、平成会を代表して衷心よりおわび申し上げます。平成会及び新進党としても、本人並びに関係者から事情聴取を行い、議員辞職の勧告を行ったところでありますが、再びこのようなことが起こることのないよう全力を挙げて国家国民のために身をささげてまいることを平成会を代表して誓わせていただきます。
 さて、総選挙では、御承知のとおり、投票率が五九・六五%と戦後最低を記録いたしました。また、去る十一月十七日に行われた参議院兵庫選挙区補欠選挙での投票率は、何と二一・一九%という惨たんたる結果に終わっております。総選挙では十人のうちの四人が、兵庫参議院補欠選挙では十人のうち何と八人が貴重な一票の行使をみずから放棄したわけであります。特に総選挙においては、小選挙区比例代表並立制という全く新しい選挙制度のもとで行われたにもかかわらず、このような低投票率に終わったことの持つ意味は大きいと言わざるを得ません。有権者の皆様が棄権することによって政党、政治に対する不信感を表明したのだとすれば、戦後最低の投票率を記録した今回の総選挙は、有権者から戦後最高の政治不信を突きつけられた選挙でもあったと言うことができるのではないでしょうか。
 このことはすべての政党、政治家が重く受けとめなければならない事実ですが、中でも政権政党である自民党、その自民党によって構成されている橋本内閣の責任は重いと考えます。総理はこの点についてどのように受けとめられているか、またあわせて、国民の皆様が今、政治をどのようなまなざしで見詰めておられると考えているのか、お聞かせください。
 橋本総理御自身、国民の政治に対する不信感が極めて深刻な事態に至っていることはお認めになられると思います。今、我が国は大きな岐路に立たされております。内にあっては、長引く不況のもとで、中小企業を中心にこの国の経済の未来に絶望感が広まっており、その一方では、人類史上例を見ない高齢化社会が着実に近づく中で、経済、社会などあらゆる面での改革が迫られております。冷戦の崩壊、国際化、情報化の急速な進展など内外情勢の急激な変化に伴い、我が国には、外にあっては、言うまでもなく百年に一度、二百年に一度と言われるほどの大きな変革の波が押し寄せているのです。
 こうした情勢の中で、我が国は、行政改革、経済構造改革などあらゆる面での改革を今すぐにでも断行しなければならない事態に直面しております。
 これらの改革はいずれも、関係者のみならず国民の各界各層にさまざまな形で痛みを及ぼすものであることは言うまでもありません。そうした改革を実現するために最も重要なことは、国民の政治に対する信頼であります。政治が国民から大きな不信感を持たれている中で、国民の皆様に犠牲や痛みを分かち合う改革を進めることなど絶対に不可能です。政治に対する国民の信頼回復があらゆる改革の前提であり、出発点であります。
 今日のような政治不信の中では、あらゆる改革もかけ声だけで消え去ってしまうでしょう。にもかかわらず、総理は、所信表明において政治不信の解消について何の言及もなく、何らの具体策も打ち出そうとはしておりません。しかも、今回の厚生省にかかわる一連の不祥事についても、「政治の責任も痛感しております」の十四文字のみ、まるで他人事のように述べているだけであります、これでは総理の言われる改革は国民から信頼されず、日本は衰退と混乱の中に埋没してしまうのではないでしょうか。総理の見解を伺います。
 では、こうした不信感が一体どこから来るのか、私は幾つかの指摘をさせていただきたいと思います。
 まずその第一は、政治家がうそをつくことです。
 国民は、政治家の言葉が当てにならないものだということを骨身にしみて感じているはずです。今回の総選挙でも、自民、民主、さきがけ、社民の四党は、党の選挙公約で消費税の五%への引き上げを認めて選挙に臨みました。しかし、総選挙で当選したこれらの衆議院議員のうち、比例の単独候補を除く二百五十八人のうち、選挙公報や演説で消費税の五%への引き上げを正面から約束していた議員はわずか五十人程度だったとの事実があります。
 また、現政権の閣僚の方々の中にも、選挙中、「延期」、「先に行革」、あるいは「税率の再検討」を選挙公報あるいは新聞のアンケート等で明確にお答えになっております。この方たちは、ある意味で国民にうそをついて当選されてきたと言われても仕方がありません。
 総選挙後、橋本総理は、私は二%上げさせていただきたいと国民に訴えてきたとして、税率の引き上げが国民から信任されたかのように主張されていますが、これは全くのまやかしであります。
 自民党、橋本政権は、まず、多くの自由民主党議員が選挙で有権者に対し、党の税率引き上げという方針とは違った考えを示し当選してきたという事実を認め、これらの議員に対し厳正な処分を科すか、税率引き上げを白紙に戻すかを明確にしていただきたいと思います。
 明確に党の公約に反する約束を多数の議員が有権者に示しながら、選挙が終わったらすっかり忘れたふりをして増税路線を推し進めるという自民党の現在の姿勢こそ、政治不信を招く行為そのものではないでしょうか。自民党の総裁として、総理の御所見をお伺いいたします。
 第二は、政治腐敗の問題です。
 さて、私は、平成元年五月に自民党の政治改革委員の一人として、当時の政治改革大綱作成の一員でもありました。
 その中には、例えば「リクルート疑惑をきっかけに、国民の政治にたいする不信感は頂点に達し、わが国議会政治史上、例をみない深刻な事態をむかえている」といった危機感、あるいは「いまこそ事態を深刻かつ率直に認識し、国民感覚とのずれをふかく反省し」、「党の再生をなしとげて国民の信頼回復をはたさなければならない」との決意、そして「政治と金の問題は政治不信の最大の元凶である」というまことにもっともな指摘が盛り込まれていたのであります。以来、つい最近まで政治改革は政治の主要テーマとして重要な位置を占めてきました。
 さて、そうした政治改革の歩みの中で何がどう実現されたのでしょうか。大きな歩みと言えるものは、細川政権のもとで実現した選挙制度改革と政治資金制度の改革以外にありません。政治改革大綱で改革実現により党の再生を誓った自由民主党は、この間どのような自己改革を行い、政治改革のリーダーシップをとったのでしょうか。国民の政治に対する不信感は解消されたのでしょうか。国民感覚とのずれをどのように反省し、是正してきたでしょうか。
 政治と金の問題はなくなったのでしょうか。総選挙の投票率でも明らかなように、政治不信はますます深まり、自民党の加藤幹事長と共和とのやみ献金疑惑を初め、脱税で逮捕された大阪の石油商からの政治献金問題、元厚生省課長補佐への贈賄容疑で逮捕されたほか、厚生省前事務次官への巨額利益供与疑惑もある社会福祉法人の関連会社の大株主で元役員が関係する政治団体からの橋本総理や小泉厚生大臣への献金問題と、政治と金の問題は途切れることなく噴出し続けております。
 適法に処理しているからといって、何の問題もないのでしょうか。直接の関係がないからといって、福祉予算を食い物にした社会福祉法人とつながる可能性のある政治団体から献金を受けていながら、記者の質問に対して、どうして問題があるのと反発するのが総理大臣としての正しい対応でしょうか。総理がこうした事件を引き起こした官庁、官僚に激しい怒りを感じるのと同様に、国民は、法律上の問題ではなく、こうした社会的に指弾を受けるような行為を行った人物や団体、その関係者からも政治家が資金提供を受けたという、その点に激しい怒りを感じているのです。そうした国民の意識を酌み取れない政党や政治家にこの国の命運を託すわけにはいきません。
 また、さきの総選挙で、自民党はその選挙公約の本文に政治改革の項目を設けませんでした。本文中にはただの一言も政治改革がありません。前文で「私たちは選挙制度を含む抜本的な政治改革を断行しました」と述べていますが、これは細川政権が断行したものであって、自民党の実績ではありません。自民党はいつから他者の実績を横取りするほど落ちぶれてしまったのでしょうか。
 選挙での公約の本文に政治改革が一言も触れられていないという事実、しかも自民党のこの方針を受け、総理の所信表明においても政治改革について全く言及がなかったという事実は、自民党及び橋本内閣のこの問題に対する姿勢を明確にあらわしていると思います。あの政治改革大綱をつくり上げたときと今日の状況を引き比べてみても、政治改革の必要性はふえこそすれ、減ってはおりません。今日噴き出している問題の多くは、あの当時、あるいはもっと過去から端を発しているものなのです。総理は、政治改革がもはや不要だとお考えなのでしょうか。総理の見解を伺います。
 第三に、政治不信を招く大きな要因の一つに官僚の腐敗の問題があります。
 国民は、今日の政治が官僚主導で進められていること、政官業の癒着構造がこの国の進路をゆがめていること、結局は政治家と官僚は一蓮托生であることをしっかりと見きわめています。官僚の腐敗は政治の責任そのものであると考えざるを得ません。
 一九八八年に発覚したリクルート事件で文部省と労働省の前事務次官が逮捕されて以来、いわゆる高級官僚のスキャンダルが続出しております。昨年は大蔵省の高級官僚金銭スキャンダルが相次いで発覚、そしてまた、ここに来て脱税で摘発された大阪の石油商と通産官僚を中心とする癒着、厚生省の前事務次官や元課長補佐と社会福祉法人の代表との福祉を食い物にした信じられないような腐敗、癒着、その関係が発覚しております。
 総理は、厚生省前事務次官の疑惑が発覚したとき、気分の緩みという以外の何物でもないと述べられたようですが、気分の緩みで何千万もの資金を提供してもらったり、女性同伴の海外旅行の経費を出してもらったり、ただで車を提供してもらえるものでしょうか。その程度の認識でこの問題に対応しておられるとすれば、こうした腐敗が今後も根絶できるとはとても思えません。総理並びに関係閣僚の皆様は、こうした事態に対しどのような対策を講じられるおつもりなのか。今後、他の省庁でも再発はあり得ないと断言できるのでしょうか。また、官僚の最高責任者としてどう責任をとられるつもりなのか、伺いたいと思います。
 ついでながら、収賄容疑で逮捕された厚生省の元課長補佐は、さきの総選挙で自民党公認として立候補されました。このような人物を公認し、総理みずから応援に出向き有権者に支持を訴えられたことをどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
 また、選挙戦の最終日には、梶山官房長官、加藤自民党幹事長のお二人がこの元課長補佐の応援に出向き、この候補者の言うことには全責任を持つと演説されたようですが、改めてどう責任を持つのか、あわせてお伺いいたします。
 国民の政治不信につながるもう一つの問題は、いわゆる官官接待だと思います。国民の血税を、時には中央官庁の官僚の接待に、時には内部の会合に、あるいは単なる遊びのための宴会に湯水のごとく使っていたという事実が全国的に明らかになり、国民の憤激を買っております。先ごろ、知事公邸の池のコイのえさ代まで食糧費で賄っていたという某県知事が辞意を表明しましたが、これなどはまだまだ氷山の一角にすぎません。東海地方のある知事などは、事態がここまで深刻になっているにもかかわらず、あるマスコミのインタビューに答えて、必要な会合をしているだけ、じっくり話したいときがどうしてもある、それを全部悪く言われてもね、現状ではとても官官接待を全廃なんかできませんなどと公言しています。
 こうした。不正と言えないまでも非常識な官僚の振る舞いが全国的に蔓延している理由はどこにあるのか。公僕としての精神を忘れ、一般国民の犠牲の上にあぐらをかき、飽食をむさぼるこれらの官僚たちに使命や責任という意識を取り戻させる方法を今直ちに講じなければ、国民の政治、行政に対する信頼感は完全に失われてしまうでしょう。
 今回、一連の官官接待の実態を明らかにしたのはほとんどが一般の市民グループ、いわゆるオンブズマンでした。自浄能力を発揮するために置かれている監査委員は全くと言っていいほど機能しなかったのです。しかし、それも当然です。全国の都道府県と政令指定都市の監査委員の内訳を調べてみると、驚くべき実態が明らかになります。各都道府県、指定都市の大半が議会選出の二人以外の監査委員に都道府県職員のOBや元県議を充てているのです。監査する側と監査される側が仲間である以上、厳しいチェックなどできるはずがありません。
 そこで、高級官僚の腐敗や常軌を逸した官官接待といった事態を二度と引き起こさないために、立法府の立場から行政府の活動を日常的に監視する機関、ヨーロッパで創設され世界に普及しているオンブズマン制度の導入を早急に実現すべきではないでしょうか。
 現在、行政の監視する機関としては総務庁の行政監察局がありますが、同局も行政府の一員である以上、限界があります。そこで、国会議員の活動を補佐する機関として国会に独自の調査会を設置し、強大化した官僚機構を厳しくチェックすることが最も適切だと考えます。この機関は、既に参議院には行財政機構及び行政監察に関する調査会を平成七年八月四日に設置し、既にこの間、二十時間五十四分の議論もし、十名の参考人にも御意見をいただき、超党派で論議を重ねていますので、六年間の任期があり、じっくりと取り組むことができる参議院にこそ設置すべきだと私は思います。この点を含め、官官接待に象徴される官僚のモラルの低下、倫理観の喪失にどのような対応をされるおつもりか、お答えをいただきたい。
 次に、行政改革について質問をいたします。行政改革の問題で二点お伺いをいたします。
 第一は、補助金と並んで地方の独自の発展を妨げ、民間経済の自由な活動を妨げている許認可権限の問題を取り上げます。
 我が国には、許認可と呼ばれる規制が平成七年三月三十一日現在で一万七百六十件も存在しています。高度経済成長時代までの経済が未成熟で発展途上の段階では、過当競争の防止や安全性の確保など、その有効性も確かに認められておりました。しかし、日本経済も成熟した段階を迎え、ボーダーレス時代、大競争時代に突入した現在では、自由な経済活動を妨げ、日本経済発展の大きな阻害要因となっているだけではなく、世界最高と言われる日本の物価の要因である高コスト構造を生み出しており、結果として国民から豊かな生活を奪っております。
 日本と世界の経済構造自体が変化した現在では、低金利政策や公共事業を行うための大型予算を組んで波及効果を期待するという従来型の景気対策はもはや限界に達しています。かつてない苦しい財政状況のもと、経済再建、生活向上の切り札としての規制撤廃に対する国民の期待は非常に大きいものがあります。
 そこで、総理に質問並びに提案いたします。
 これまで臨時行政調査会、行政改革推進審議会、行政改革委員会などを通じた三十年以上もの取り組みもほとんど生かされることなく、いまだに一万件以上もの許認可を残したままになっております。総理は、今までと同様のやり方を続けて、今後、許認可が減少するとお考えでしょうか。真に大胆な規制緩和を断行するおつもりならば、従来の方法を根本的に改め、経済的規制は原則廃止、社会的規制は必要最小限という方針のもと、ゼロベースからの見直しをされるべきではないでしょうか。総理の御所見を伺います。
 次に、橋本総理御自身の行革に対する態度について御質問いたします。
 総理は、第二次内閣の組閣に際して、火だるまになってでも行政改革を断行すると発言され、行革に対する並々ならか決意を示されました。もしもその決意が本当であれば、結党以来一貫して行革を訴え続けてきた我が党にとっては、心から歓迎の意を表したいところであります。
 しかし、組閣後の各大臣の記者会見で、亀井建設大臣が、公共事業はもういいじゃないかという議論はおかしいと発言したり、郵政事業民営化構想について問われた堀之内郵政大臣が、国民から預金部分を民営化せよという意見はないと発言したり、国土庁の再編・統廃合について問われた伊藤国土庁長官が、国土政策が国の政策の中心なのだから、国土庁が国の中心として育っていくべきだと発言したかと思うと、稲垣北海道・沖縄開発庁長官は、北海道は本州にある各地域の都道府県とは別、これを一省庁の統合の中に組み入れて十把一からげにやるというのはいかがなものかと発言するというように、総理が選んだばかりの新閣僚からは、火だるまになってでも行政改革を阻止するのではないかと思われる発言が次々と飛び出しております。これが総理が火だるまになって行革をやると言った橋本内閣の実態であります。行政改革を進めるどころか、閣内不一致ではありませんか。このような橋本内閣に行政改革などできようがありません。総理の見解を伺います。
 次に、産業空洞化についてお尋ねいたします。
 米ソ冷戦が終結し、東欧やアジア諸国も参加する世界的マーケットが誕生じ、メガコンペティションと言われる大競争時代が始まりました。国が企業を選ぶ時代から企業が国を選ぶ時代へとさま変わりしました。日本はこのレースで大きくおくれをとり、八〇年代の日本脅威論は影を潜め、諸外国では我が国の凋落や衰退を哀れむ声ばかりが目立ちます。
 規制が多くコストの高い日本市場は国際的にも魅力を欠き、海外企業は我が国に投資しないばかりか、邦人企業は次々に海外に生産拠点を移しています。製造業の海外生産比率は八五年に七・四%だったのが、九五年には二〇・三%にはね上がりました。既にカラーテレビは約八割、ビデオは約五割、自動車は約三割が海外で生産されています。
 産業の空洞化は我が国の経済活動の活力をそぎ、人々の職を奪っています。雇用情勢は極めて厳しく、失業率がいまだ三・四%という高い水準にあり、十五歳から二十五歳の失業率は実に六・五%に達しています。にもかかわらず、経済情勢を楽観視し、抜本的な空洞化対策を講じない橋本内閣は、無責任きわまりないと断ぜざるを得ません。
 産業空洞化の原因ははっきりしています。
 第一は、経済的規制が余りにも多く、コストが高く、国際的に通用する市場メカニズムが確立されていないことです。我が国全体の約四割においで経済的規制がかかっており、新規産業・雇用の創出が全く進んでいません。しかも、規制が多い分野ほど国内で保護され、賃金も高いという皮肉な現象が起きています。平成八年度国民生活白書では大学教育の投資効果を試算していますが、大蔵省の護送船団で守られた金融業に就職したケースが一番高い収益率となっています。
 第二は、法人税などの企業の公的負担が国際的に高いことであります。法人関係諸税の実効税率は、米国が四一・〇五%、英国は三三・〇%となっているのに対し、我が国は四九・九%と異常に高くなっています。成長の目覚ましいアジア諸国に目を向けると、法人税率は香港が一六・五%、シンガポールは二六%と極めて低くなっています。
 さらに、我が国には有価証券取引税、地価税などの特別の税金があって、証券取引、土地取引にもマイナスに働いています。公共料金を初めとするさまざまなコストが高いことも我が国の産業基盤を揺るがしています。
 第三は、教育です。金太郎あめのような画一的な人間しか育てられない日本型教育では、受験秀才ばかりがふえて、個性あるおもしろい人間ははみ出し者として扱われる嫌いがあります。基礎研究やおもしろい産業が十分に振興される土壌ではありません。
 日本とは対照的に、今、アメリカては情報通信、コンピューター、半導体などの分野で次から次へと新規産業が育っています。ビル・ゲイツ氏がマイクロソフトをつくったのは十九歳のときでした。インテルのアンドリュー・グローブ社長はハンガリーからの難民でした。個性を大切にする教育や移民を受け入れる体制が確立している米国ならではのことと言えます。
 我が国の英語教育のおくれも問題です。ビジネスやインターネットの共通語は英語であります。英米のみならず、アジア諸国の人々との交流にも今や英語が不可欠です。
 第四は、科学技術、ベンチャーを思い切って育てる土壌が確立していないことです。米国の大挙の研究室は新産業の宝庫であり、ベビーブーマー世代のクリントン大統領、ゴア副大統領みずからが情報通信の振興に陣頭指揮をとっています。NASDAQなどの店頭市場が育っている米国と依然として銀行中心の日本では、ベンチャーが育つ環境にも雲泥の差があります。
 さきの衆議院選挙で我が党が提唱した国民との五つの契約は、経済を初めとする構造改革に大なたを振るい、産業空洞化を克服し、新規産業・雇用を創出するための起爆剤であります。
 まず、国民生活や企業活動を立て直すために、消費税率は今世紀は三%据え置き、さらに十八兆円の大幅減税に取り組みます。我が国の所得税体系では、働けば働くほど厳しい税が課せられます。例えば、年収五百万円で所得税、住民税は約十五万円ですが、稼ぎが倍になると税金は約百十二万円と七・五倍になります。この税体系は、能力のある人、やる気のある人のモラールを低下させ、産業空洞化に拍車をかけています。その意味でも、所得税、住民税は思い切って半減し、さらに企業の法人税は実効税率を五〇%から四〇%に下げ、土地の塩漬けや金融の根詰まり状況を解消するために地価税や有価証券取引税の廃止を実行します。
 我が国の高コスト体質を改善するために、国際的に二割から五割高い公共料金は、経営体系の見直しや料金制度の見直しなどで国際水準並みに引き下げ、産業の活性化を図ります。
 経済的規制は徹底して撤廃します。経済企画庁の試算でも、大胆に規制を緩和すれば、年平均で経済成長率は約二%、労働需要は約三十四万人ふえるとされています。国の規制も地方の規制も経済に関するものは全面的に撤廃します。
 さらに、ベンチャービジネスが資金を調達できるよう、米国のNASDAQのように赤字でも自由に登録ができコンピューターでの自由な取引を認める証券市場をつくり、創業者利得による完全なストックオプション制度を創設し、また、大学などにおける飛び級、理工系大学院・研究所の定員増と研究施設近代化を進めるとともに、個性を育てる教育を確立すべきであります。
 以上、我が国が抱えている最大の危機である産業空洞化の克服に関する我が党の哲学と具体的対策を提唱いたしました。
 橋本総理は、小手先のびほう策ではなく、新進党流の抜本的対策に取り組むべきだと考えますが、見解を伺いたいと思います。
 次に、青少年の覚せい剤乱用問題についてお伺いいたします。
 総理、若者、とりわけ中学・高校生の間で覚せい剤の乱用が急激に広がっています。千葉県松戸市で小学生までが使用していた事件は記憶に新しいところですが、深刻なのは高校生の乱用が倍々ゲームの急増の渦中にあることであります。補導数が昨年、一昨年に比べて一挙に倍増を記録、ことしはさらに一月から十月までで昨年一年間の補導数を上回り、現時点で一昨年の補導数の実に四倍に達するという恐るべき事態であります。
 警察庁によると、乱用で補導された青少年は、岩手県を除く全都道府県に及んでいます。しかも、これは氷山の一角との見方で関係者の意見は一致しています。低年齢化のほかに、教室内の友達同士で売買が行われていること、数回の使用分の微量で売られて、しかも一万円という子供たちのお小遣い程度で購入が可能になっていること、懲役十年以下と重大犯罪との認識がないこと、麻薬乱用の恐ろしさに対する意識が希薄なことなどが急増の原因となっています。
 総理、日本の将来を担う青少年が薬物に汚染されている実態を真剣にお考えいただきたい。学校教育の危機というより、日本社会の危機であります。我が国が麻薬汚染先進諸国の仲間入りをするかどうかの瀬戸際に立っているという危機意識が総理におありかどうか、まずお伺いをいたします。
 私は、橋本内閣にはこの問題に対する危機意識が全くないのではないかと疑わざるを得ません。例えば、政府内には薬物乱用対策推進本部があります。官房長官を本部長、警察、法務、外務、大蔵、文部など十四省庁の局長級を本部員として構成されています。ところが、ここ数年、年に一回の本部会議に官房長官を初め局長はだれ一人として出席していないというではありませんか。
 また、肝心なのは、覚せい剤対策について、文部省はことし七月になってようやく各県教育委員会へ通知を出しました。しかし、それは教師用の指導資料作成、研修会の開催などの平成九年度の施策を例示し、薬物乱用防止教室の開催、児童生徒の実態把握、乱用を発見した場合の学校側の通報など、乱用事故が多発しても文部省が責任を問われないための、いわば文部省のアリバイづくりにすぎません。
 公立高校だけにわずか各校一本配付される薬物乱用防止ビデオが完成するのは来年の後半であります。一体いつごろ生徒はこのビデオによって乱用防止教育を受けられるのでしょうか。各中学・高校に配付されるパンフレットの部数も各学校わずか一クラス分であり、一クラスの講習が終わると回収して次の講習で再使用しなければなりません。まことに中途半端なものであります。文部省の不徹底な対策を象徴するように、警察などの薬物乱用防止教室開催の呼びかけに対しても、学校長や教頭は、寝た子を起こすようなものだとか、乱用者がいると思われると困るなどと消極的な反応が大半のようであります。
 しかし、我が国がこのまま手ぬるい対応を続けるならば、教室内で覚せい剤乱用が爆発的に広がり、学校教育は大混乱に陥るだけではなく、多くの青少年が卒業後も本格的な麻薬中毒から抜けられず、結局は犯罪に手を染め、人生を台なしにしてしまう結果に終わることは、先進国の前例からも明らかではありませんか。文部省や学校当局は、なぜそのような可能性に想像が及ばないのでしょうか。
 若者は、今後数十年、いや応もなく麻薬の国際的な流入圧力や大人の巧みな誘惑、マスコミ、映画などの薬物情報の洪水の中に身をさらして生きていかなければならないのです。薬物の恐ろしさも何たるかも知らない教師のもとで無防備でいる若者を思うと、寝た子などとのんきなことを言う学校関係者はもはや教育者として失格と申し上げても過言ではないでありましょう。もし学校内で覚せい剤乱用事件が起きた場合、このような校長や教頭はどのような言いわけをするつもりなのでしょうか。私は、学校に事なかれ主義、そして文部省に著しい危機意識の欠如を見るのであります。
 そこで、私は次のような薬物乱用防止対策を提案いたします。
 一つは、現在の薬物乱用対策推進本部を総理を本部長とし閣僚を本部員とする体制に格上げして、十年計画で我が国の麻薬汚染絶滅対策を推進すること。
 二つは、学校教育の薬物乱用防止教室用に大きな効果が期待できるキャンペーンカーを全国の七ブロックに各一台、できれば全都道府県に各一台設置すること。
 三つは、厚生省の麻薬取締官OBを総動員して、その協力を得て学校の乱用防止教育体制を確立すること。
 四つは、乱用防止教育用のビデオテープやパンフレット類を無償で十分に学校や教育団体に提供すること。
 以上四つの点であります。
 幸いに、我が国は、これまで警察など関係当局の努力や国民の賢明なる見識によって大規模な麻薬汚染から逃れてきた数少ない先進国であります。私は、荒れた教室で教師の言うことなど平気で無視する児童生徒が少なくないことを知らないわけではありません。しかし、ここは教育者としてどんな苦労をしても、また、行政も当初は少々の予算を投入しても、乱用が広がってからの事後対策を考えるならば、国民の経済負担や子供たちの人生にとってどれほど幸せをもたらすことか、はかり知れません。私の提案に対する総理の所見を伺います。
 次に、阪神・淡路大震災の復興対策についてお伺いいたします。
 平成七年一月十七日午前五時四十六分、阪神・淡路大震災の発生以来、一年十一カ月。しかし、神戸の地には今も三万九千百八十五戸の仮設住宅に約七万五千人の被災住民が寒く厳しい二年目の歳末を迎えようとしています。
 国は、外国の自然災害の復興援助には多額のODA予算を投入、沖縄の米軍基地整理・縮小では予算の特別枠を設定するが、阪神・淡路大震災で壊滅的な被害を受けた国民に対してだけはなぜ政治の光が及ばないのでしょうか。国民の九〇%が反対する住専には国民の税金投入を数の力で押し通しながら、国民の九〇%が賛成する阪神・淡路大震災になぜ援助の手が差し伸べられないのでしょうか。
 報道によりますと、自民党の加藤幹事長は先月二十七日、「(予算編成の)箇所付けや重点の置き方で(自民党と)接触の度合いが強いところの意見が反映することはあり得る」と、さきの衆議院選での自民党の敗北地域をターゲットにした報復予算による伺喝の口火を切り、続いて森総務会長も、「政党政治である以上、(総選挙で勝利した)政党が強く主張するものが優先するのは当然だ」と、自民党敗北地域への予算を減額することを露骨に再確認しています。
 総理、この伝でいくと、今回の総選挙で新進党が完全勝利を果たした神戸・淡路地区の復興予算は大幅に削減されることになるのでしょうか。発言は、いまだ復興の手だてを持たず、将来の生活再建のめども立てられない阪神・淡路地区の被災住民にとって、余りといえば余りの残酷非道な差別発言ではありませんか。
 私は、法のもとの平等をうたった憲法第十四条、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」ことを明記した憲法第十五条の条文をあからさまに踏みにじる発言と確信いたしますが、総理の見解をしかとお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(橋本龍太郎君) 林議員にお答えを申し上げます。
 まず、投票率が低かったこと、また政治不信、そして国民の政治へのまなざしについてのお尋ねがありました。
 私は、その危機感は議員と意識を同じくしているつもりであります。内外の環境変化の中で我が国が大きな転換期にあるとき、政治の責任によってさまざまな課題に対応していかなければならないことは当然であります。そして、そのためには、国民の皆様に政治に関心を持っていただけるように我々政治家は不断に努力をしなければなりませんし、国民が政治を見られるまなざし、その背後にある政治課題というものを真剣に問うていかなければならないという点は御指摘のとおりであります。
 そして、それは私はすべての政党が共有すべき課題であり、我々はこの点については全力を挙げていかなければならないと思います。そして、その政治不信を解消していく、そのために、私自身は五つの改革を国民に訴えてまいりました。この五つの改革を実行していくことが政治の責任であり、国民の政治への信頼を得られる努力を常に心がけながら、透明で民主的な政治、将来を考える政策中心の政治に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 また、消費税率について、自由民主党の方針、当選議員についてお尋ねがございました。
 国民の皆様に税に関する理解あるいは関心を高めていただきますために自由な議論をした。それを理由に処分をいたすつもりはありませんし、白紙撤回をするつもりもありません。そして、消費税率の引き上げを含む増減税一体の税制改革は、平成六年の秋に議論を行い、国会において可決成立をしたものであります。私自身、選挙期間中に訴え続けてまいりましたように、これを確実に実施していくことが国民の政治への信頼を得る道だと考えております。(発言する者あり)今、二枚舌と言われましたが、私自身は二%の引き上げをお許しいただきたいということを申し上げ続けてまいりました。
 次に、政治改革についての御論議がありましたが、政治改革というものは、国民の政治への信頼や関心を得て民意を的確に政治に反映させるためには不断に続けていくべきものであり、私自身お約束をしてきたそれぞれの改革を着実に実行することをその本旨にしたいと思います。
 次に、官僚の腐敗についての御質問がございました。そして、その気分の緩みという発言を御指摘になりましたが、最初に報道されました新聞記事の中に、車の提供というものが出ておりました。それだけでも気分の緩み以外の何物でもない、私は確かにそのようにその時点で答えました。その後、事件の詳細が報告され、そうした感じ以上のものに私は今、問題をとらえております。
 そして、大阪の石油商と通産省職員との関係につきましては、現在、通産省において職員の具体的な接触状況について調査が行われていると承知しており、綱紀の一層の保持を図るように閣議でも強く指示をしてまいりましたが、その調査結果を踏まえた上で適切に処置してまいります。
 また、厚生省につきましては、その事実関係を確認した上で、厳正な処分を行うとともに、綱紀の粛正の一層の徹底を図り、また、社会福祉施設整備費等の仕組みが悪用されたことにつきましては、事実関係を究明した上で、再発防止策に早期に取り組むことといたしております。
 さらに、再発の防止あるいは私の責任にもお触れになりました。
 先般、異例でありますが、事務次官会議に官房長官と私とで出席をし、厳しくその綱紀粛正方に注意を喚起したところでありますが、現在、各省官房長が総務庁長官の指示において具体的な対策を立てるべく検討を続けております。この検討されております真に実行される綱紀粛正の方策について結論を得て、綱紀粛正の徹底を図ることにより再発防止に万全を期してまいります。
 しかし、根本的には、むしろ官の権限が縮小していくことによりこうした問題を減らすという視点も必要なことであり、そのためにも規制緩和を初めとした諸施策を一方では進めてまいります。
 次に、厚生省の元課長補佐の公認と私自身及び他の方の応援についてお尋ねがありました。
 これは私自身、前職の間に犯していたことを全く見抜けなかったこと、そして党として公認をし、私ばかりではなく他の方が応援をいたしましたこと、この不明をおわびいたします。
 次に、参議院に行政府を監視する機関を設置することを含めて、官僚のモラルの低下についての御質問がございました。
 私は、国会にいかなる組織を設けるかは国会が判断されることであると思いますが、国会が行政の監視機能のあり方を検討され、強化されることは大切なことだと思います。
 また、官僚のモラル、倫理観、これはまさに一人一人の公務員の自覚にまつ部分が大きいわけでありますが、先ほど申し上げましたように、官房長会に対し総務庁長官から指示をおろしております結論が出てまいりますことを、早急にこの結論を得ることを今、求めております。それを見ながら、すべての公務員が国民全体の奉仕者としての自覚を高めながらその職務を尽くすことを求めてまいりたいと考えております。
 次に、規制緩和あるいは規制の廃止というものについての御意見がございました。
 経済的な規制というものは原則排除しながら、社会的規制は白地から見直して必要最小限のものに絞り込んでまいります。ただ、そのプロセスにおきまして、例えば一つの例でありますけれども、かつての電気通信事業の独占を廃止いたしましたときのように、根本的な規制を緩和し、あるいは撤廃をした結果、独占という強い規制から弱い規制に移るその移行期に当たって件数がふえた。そうしたケースもございました。私は、そういう事実もあることを申し上げた上で、原則排除という経済的規制についての議員の御意見は同様に考えております。
 また、行政改革について閣内不一致、こうしたお尋ねがございました。
 しかし、初閣議におきまして、私から各閣僚に対して、所管の行政担当大臣である以前に国務大臣として、国政全般に対する高い識見を発揮するとともに行政改革に取り組むよう徹底しており、現在、内閣を挙げて行政改革に取り組んでおり、御指摘は当たらない、そう考えております。
 次に、産業空洞化の克服に関する新進党のお考え、すなわち高コスト構造是正のための経済的規制の撤廃・緩和、法人税など企業の公的負担の軽減、公共料金の国際的水準への引き下げ、個性を大切にする教育、殊に英語教育を例示に挙げられながらの御意見、そして新規産業の創出について、御意見とともにお尋ねがありました。
 確かに、今、私どもは産業の空洞化というものを深刻にとらえております。そして、それは生産拠点として大企業の工場が海外に移ることのみではなく、それに伴い大きな取引先を失う中小零細企業、すそ野を支える産業群の空洞化が懸念をされる、この点についても、我々は非常に心配をしております。それぞれの地域に事業集積の高じこうした産地を我々は失うわけにはまいりません。
 その空洞化に対応するかぎと申しますならば、まず、やはり我々は新規産業をいかにつくり出していくかということに重点を置くべきであり、そのためには、一つは資金、いかにしてハイリスク・ハイリターンという中での資金提供がなされるか、また、科学技術研究開発といった分野における新しい産業の投資をどう生き返らせるか、そして人材をどう確保するか、三つの観点の対策が必要だと思っております。
 さらに、産業活動の魅力のある日本というものを取り戻してまいりますためには、まさに徹底した規制撤廃・緩和などが必要であること、高コスト構造の是正を図っていく必要があることは私も全く同様に思います。
 同時に、我が国の環境というものを魅力のある産業活動の舞台とする観点からは、企業の負担についても考えなければなりませんが、他方、現在の厳しい財政事情を考えますと、例えば例示に挙げられました法人税などの減税財源を他の税の引き上げあるいは赤字公債の発行によって賄うということは困難だと考えております。法人課税につきましては、課税ベースの拡大によって財源が得られるのであれば、税率の引き下げを行うことが適当だと思います。
 また、公共料金につきましては、参入規制の緩和、価格設定方式の改革などを通じ今までも努力をしてまいりましたが、事業の活性化を一層促進し、公共料金の低廉化を図っていく所存であります。
 そして、教育につきましては、議員の述べられましたことを要約すれば、私は、一人一人の個性と創造力を十分に伸ばしながら、豊かな人間性を持つ活力にあふれた人材を育てていく、そういう言葉に要約できるかと思います。そうした教育を推進し、また、英語教育につきましても、コミュニケーション能力を一層重視するなど、さらなる充実を図ってまいりたいと思います。
 また、麻薬、覚せい剤等の薬物乱用に対して警鐘を乱打されましたことには、私自身、敬意を表します。
 かつて私自身が、麻薬犯罪と覚せい剤犯罪に対し、量刑が違っておる、覚せい剤犯罪に対する量刑が低かった時代に、この量刑を引き上げることにより、殊に営利常習に対する量刑を引き上げて麻薬と同じ位置づけにすることによって何とかこれが抑えられないか、そうしたことに努力した時期がございました。そして今、にもかかわらず、残念ながら我が国に流入する麻薬、覚せい剤の総量というものは摘発されたものだけでもふえております、
 こうした状況の中で、確かに欧米のような深刻な状況にはまだ至っていないというものの、覚せい剤事犯あるいは来日外国人による事犯が増大化の傾向にあること、特に薬物乱用が御指摘のように若年化の傾向が見られることは、非常に憂慮すべき点と私どもも感じております。
 政府としては、関係機関との連携を密にする、水際での取り締まりを一層強化していく努力をする、当然ながら青少年等に対する予防啓発活動に今後とも一層積極的に取り組んでまいります。
 議員から、薬物乱用対策本部を総理自身が本部長で閣僚を本部員にという御指摘をいただきましたことは、私は、これはその御指摘も受けながら、今、薬物乱用への対策強化の中で積極的に検討させていただきたいと思います。
 また、そのほかにも、麻薬取締官OBを総動員する、こうした御提言も非常に貴重なもので、私どもとして積極的に検討させていただきたいと思います。
 最後に、阪神・淡路地区の復興予算及び憲法第十四条についての御指摘がありました。
 これは、かた苦しい言い方をいたしますなら、内閣は予算を作成し、国会に提出し、その御審議を受け、議決を経なければならない。その作成、執行に当たっては、政策目的などに対し厳正かつ公正に行われるべきものであり、憲法違反のような事態が起こることはあり得ないものと存じます。
 そして、恐らく現時点におきましても、兵庫県並びに関係市との間には補正予算に対して盛り込むべき今年度になりましてからの阪神・淡路の復興対策に必要な経費の御相談も申し上げております。
 内閣総理大臣として、国の予算配分、執行に当たり、厳正公正に対処する、そのことだけはきちんと申し上げておきたいと存じます。(拍手)
     ─────・─────
#6
○議長(斎藤十朗君) ここで御紹介いたします。
 本院の招待により来日されましたチリ共和国上院議長セルヒオ・ディエス・ウルスア閣下の御一行がただいま貴賓席にお見えになっております。
 ここに、諸君とともに心からなる歓迎の意を表します。
   〔総員起立、拍手〕
     ─────・─────
#7
○議長(斎藤十朗君) 大木浩君。
   〔大木浩君登壇、拍手〕
#8
○大木浩君 私は、自由民主党を代表して、先日の橋本総理大臣の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 なお、今国会から、参議院改革の一環として国会審議を活性化するために、代表質問においてはできるだけ論点を絞り、また、必要に応じ複数の議員が分担して質問することといたしました。自由民主党としては、私のほかに二人の同僚議員がそれぞれ行政改革、介護・医療問題について質問の予定でありますので、私は外交・防衛及び経済の分野における構造改革の問題を中心に質問をいたしたいと思います。
 さて、他の質問に先立ち一言申し上げますが、総理が所信表明の中で触れられたように、最近、若干の省庁においてトップレベルを含めた官僚の汚職容疑事件が相次ぎ、行政に対する国民の信頼を大きく損ねましたことはまことに残念であります。
 これは疑惑の対象となった公務員個人の倫理観の欠如だけではなく、権力の行使になれた一部の官僚組織のおごりを象徴する出来事であり、形式的な綱紀粛正通達や特定個人の懲戒処分だけでは済ますことのできない問題と考えます。
 そもそもこのような官僚の汚職事件を生み出した背景を考えれば、国民の血税を原資とする膨大な政府資金が適正なチェックも受けないまま支出されることを許した現在の補助金制度やその運営にも遠因があり、これを監視すべき我々政治家としてもその責任を痛感する次第であります。
 総理としては、行政府の最高責任者の立場から、また一人の政治家として、今回の一連の不祥事件をどのように受けとめておられるのか、率直な御所見をお伺いしたいと思います。
 なお、参議院におきましては、従来から、予算委員会と並んで決算委員会の役割を重視し、各党各派の協力を得て同委員会の審議の充実を図っているところでありますが、今後とも政府資金の適正な使用が行われるよう、国民の代表の立場からオンブズマン的機能を強めてまいりたいと考えます。
 さて、本論に戻りまして、まず最初に、橋本第二次内閣としての国政運営の基本方針についてお伺いしたいと思います。
 去る十月二十日、新制度のもとに衆議院選挙が実施され、我が自由民主党は多数の国民の御支持を得て二百三十九議席まで議席数をふやしましたが、残念ながら過半数には達しませんでした。
 私どもは、このような選挙結果を踏まえて、時局多端の折から、政治的空白や混乱を来すことなく直面する諸問題を解決していくために、従来の社会民主党、新党さきがけとの連立政権の経験を生かして、随時三党の政策協議を行い、与党として協力し合うことを確認いたしました。さらに、状況に応じて他の政党とも幅広い相互理解と国会運営についての協力関係が得られるように努めているところであります。
 しかしながら、国民の目からすれば、総選挙前後の時期における諸政党の離合集散が余りにも複雑であったために、各政党がそれぞれどのような政策を掲げて国政を推進していこうとしているのか十分にはわかりかねているのが実情ではないかと思います。
 他方、橋本自民党総裁としては、総選挙に臨む自民党のスローガンとして、オープンな政治の推進を強調し、党としての政策をできるだけ明確に国民に向かって説明していく姿勢を明らかにされました。今回、第二次橋本内閣をスタートされた総理としては、オープンな政治という目標をどのような形で実現していかれるのか、まずこの点についてお尋ねしたいと思います。
 次に、外交の分野について若干の質問をいたします。
 総理は、本年一月の御就任以来、各国首脳との相互訪問、国際会議への出席等、文字どおり東奔西走の活躍を続けてこられました。主な外国出張だけでも、二月の日米首脳会談とタイにおけるアジア欧州会合を皮切りに、四月のロシアにおける原子力安全サミット、六月の韓国訪問とリヨンの先進国サミット、八月の中南米訪問、九月の国連総会出席、そして最近のフィリピンにおけるAPEC会議出席と、まさに席の暖まるいとまもない日程をこなしてこられ、外交の橋本として内外の期待と信頼を集めておられることに、まずもって敬意を表したいと思います。
 ところで、APECの場でもある程度の話し合いが行われ、当面我が国として最も深い関心を持つべき三つの点について、総理のお考えを改めて伺いたいと思います。
 まず第一は、我が国の外交の基本となる日米関係であります。
 日米安保条約は、日米友好協力関係の根幹をなすばかりではなく、アジアの平和と安定にも大きな役割を果たしているという認識は大多数の国民が共有するところだと思います。しかしながら、日米関係を常に揺るぎないものとして維持するためには、変動する国際情勢の中で不断にこれを点検し、必要に応じてこれを補強する努力が必要であります。そのような見地から、総理が一月の御就任の直後にクリントン大統領との首脳会談を行い、日米安保体制の堅持を確認すると同時に、沖縄の米軍基地の整理・縮小について基本的な合意を得られたことは、まさに総理としてのリーダーシップを遺憾なく発揮された活動でありました。
 今回のマニラにおけるクリントン大統領との会談で、総理は改めて沖縄基地の問題に言及されたと伝えられておりますが、今後どのようなペースで基地についての具体的話し合いを進められるのか、最大の懸案であります普天間基地の移転問題も含め、その見通しをお聞かせいただきたいと思います。
 なお、我が参議院自民党におきましては、安全保障等に関するプロジエクトチームを設置いたしまして、日米安保条約の運用を含め、我が国の平和と安全にかかわる諸問題について各方面の意見を聴取しておりますが、このような過程において私どもが非常に残念に思いますのは、在日米軍であれ自衛隊であれ、およそ国家防衛の任に携わる部隊というものは、緊急の事態に備えて適切に配置され、常時必要な整備と訓練を続けていなければ、抑止力として有効にその機能を発揮することはできないという事実が国民の間でいまだ十分に理解されていないという点であります。
 沖縄に米軍基地が過度に集中し、県民の生活にも種々の影響を与えている事態については、総理がその解決のために率先努力しておられますが、同時に、政府としては、日米安保条約に基づく基地・演習場等の提供は、我が国が米国と真に双務的な友好協力関係を保持していくための最も効果的で、しかも不可欠な要素であることを全国民を対象として十分にPRする必要があるのではないでしょうか。
 防衛庁長官は御就任早々沖縄米軍基地の実情を視察され、また、防衛庁当局としては、全国の米軍基地・演習場の移転先候補地の責任者と話し合いを重ねておられると存じますが、今後、必要な基地・演習場の確保のためにどのような手順ないし方策を考えておられるのか。昨日、日米特別行動委員会SACOの報告書も既に提出された折から、現段階における長官の御方針をお尋ねしたいと思います。
 次に、経済の分野では、今回のAPEC会議におけるクリントン大統領の最大関心事は半導体やコンピューターの関税撤廃であったと報じられております。このことは米国が輸出市場としてアジア地域をいかに重視しているかの証左であり、また、大統領がみずからセールスマンとして経済・貿易問題で陣頭指揮をとる強い姿勢がうかがわれます。
 日米保険協議など最近の個別分野における政府間交渉の進行状況ともにらみ合わせ、総理としては、今後、日米経済関係についての話し合いをどのように進めていく御方針であるかを伺いたいと存じます。
 第二の質問は、最近アジア全域において積極的活動が注目される中国の動向を政治的、経済的にどのように評価し、日中関係をいかなる外交理念のもとに形成していくのかという問題であります。
 今回のマニラにおける米中会談を見ても、近い将来における両国首脳の相互訪問を取り決めるなど、米国が対中関係の改善を意図していることは明らかだと思いますが、そのような動きに対応して日本としては今後どのような日中外交を展開していくのか、総理の基本的な考え方をお示しいただきたいと思います、
 なお、今回のAPEC会議では必ずしも中心的課題ではありませんでしたが、朝鮮半島の平和と安定が日本の外交・防衛にとって重要な意味を持つことは言うまでもありません。マニラでの米中首脳会談では、江沢民主席がいわゆる四者協議への参加の意思を改めて表明したと伝えられ、さらに最近、米国と北朝鮮との間で双方の首都に連絡事務所を設ける話し合いが進んでいるような報道も一部では行われております。
 今後、日本としては対朝鮮半島外交をどのような手順で進める方針であるのか、この点は外務大臣から御説明願いたいと思います。
 第三は、アジア地域との経済関係を日本としては今後いかなる方向に発展させるお考えであるかという点であります。
 今回のAPEC会議には米国を初め関係各国から多くの財界人も参加しましたが、フィリピンやインドネシアなどを含めたASEAN諸国がいわゆるNIESと言われる韓国、香港、台湾等に続いて経済的テークオフに成功しつつあり、東アジア地域全体が世界でも最も活力に満ちた有望な市場として期待されていることを改めて実感させた会議でありました。
 かつては日本にとって経済援助の主たる対象国であったアジア諸国が徐々に自立の道を歩み始め、むしろ最近では投資対象地域としてのウエートを増しつつあるわけでありますが、一方では日本の製造業の海外流出という現象も起きております。
 このような現象を日本経済の空洞化と見て対応策を考えるのか、あるいはボーダーレスエコノミーの自然な流れとして容認するのか、これは本来は個々の企業の判断の問題かとも考えますが、近くシンガポールで世界貿易機関WTOの閣僚会議が開かれることでもあり、今後、日本の対アジア外交にとっても大きな課題になると思われますので、政府としての基本的な考え方を総理から伺いたいと存じます。
 次に、構造改革の問題に移りますが、総理は、去る十一月七日、第二次橋本内閣の初閣議において、行政改革、経済構造改革、金融システムの改革、財政構造改革及び効率的で質の高い社会保障・福祉の実現の五つの課題に取り組む方針を明らかにされ、内閣の命運をかけて不退転の決意でその達成に努めると述べられました。
 今回の経済分野における構造改革の成否のかぎは、一言で言えば、これから実施される種々の規制の緩和や撤廃が真に経済の活性化や財政の合理化につながるものかどうかにかかっていると思われますが、いずれにしても、その実現のためには強力な政治のリーダーシップが求められます。
 戦後五十年の我が国経済復興の歴史を振り返ってみますと、まさに奇跡とも言われる見事な立ち直りであり、それぞれの時点における政府の思い切った経済政策や特定の産業セクターに対する選別的支援措置が大きな役割を果たしたことも事実であります。
 戦争の直後には、灰じんと帰した日本産業の再生のために、まずエネルギーの確保に焦点を置いたいわゆる傾斜生産が実施されました。一九五〇年代、六〇年代には、外貨獲得のために種々の輸出振興策が実施されました。また、経済の多くの分野で国内企業の保護と育成のために各種の規制措置がとられました。これらの措置は、それぞれの時代には日本経済の発展のために大きな効果をもたらしたことは否定できない事実であります。
 しかしながら、戦後半世紀を経過し、国際的にも経済活動の自由化が大きく進捗した現在、従来は意味のあった多くの規制がその効用を失い、むしろ経済のさらなる発展を阻害する場合も多いことが次第に明らかになりづつあります。
 このような社会経済の変遷の中で、我が国の財政は、多年にわたる制度のいわゆる金属疲労とバブル経済の崩壊という大きな波の影響を受けて、現在、極めて厳しい状況下に置かれております。
 具体的な数字を眺めてみますと、国債残高が平成八年度末までには約二百四十兆円、また、国と地方を合わせた長期債務残高は同じく今年度末で約四百四十兆円を超えるものと見込まれ、これはGDP比八八・八%に当たります。さちに、今年度の国、地方を合わせ左財政赤字はGDP比七・四%と、いずれも主要先進国の中では最悪の状況となっており、まさに財政の改革は一刻の猶予も許されない課題となっております。
 私は、我が国が一方において世界有数の個人所得水準を誇る富裕国となりながら、他方、国及び地方の借金総額約四百四十兆円、すなわち子供も含めた国民一人当たり実に三百五十二万円にも及ぶ借金を背負い込むに至った事情について、政府が正確な分析を行い、その実情と対策をできるだけわかりやすく国民に説明する、そのことがまさに行政府としての仕事の出発点ではないかと思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
 目を海外に転じますと、財政再建の必要に迫られているのは日本ばかりではなく、欧米諸国もまたそれぞれ財政改革問題に取り組んでおります。
 EU諸国におきましては、一九九九年の通貨統合を控えて、財政赤字の対GDP比率を三%以下にするとの共通基準を達成するために厳しい財政規律が求められておりますが、フランスでは、先般、蔵相が、二十一世紀初めにはこの比率を二%まで引き下げ、最終的には赤字ゼロを目指すとの方針を発表いたしました。イタリアも、先月二十四日のEUの蔵相・中央銀行総裁会合において、イタリア・リラを欧州通貨制度の為替相場メカニズムヘ復帰させるために所要の財政改革措置を進めることを約束しております。
 また、米国では、経済の持続的な成長を図りつつ、四年連続で財政赤字の減少に成功し、さらに二〇〇二年度には財政収支の均衡を目指すとしております。今回クリントン大統領が再選を果たし得たのも、財政の改善と経済の好況が最大の要因であったとの見方が強いようであります。
 このように欧米の主要先進国が軒並み財政・経済の改革、再建に努力している時期だけに、日本としても規制緩和を含む適切な改革を実行し、相携えて世界経済の活性化に寄与すべき国際的な環境が整備されつつあると思いますが、総理は現状をどのように判断しておられるでしょうか。
 日本経済の将来を論ずるに当たり、製造業の空洞化と並んでもう一つ懸念されるのは、金融証券業の空洞化であります。
 最近、日本の二、三の金融機関が外国で違法な活動を行い、刑事事件を引き起こした事例がありましたが、これらの事件が起こった周辺の事情を調べてみますと、海外における日本の金融機関の情報収集能力や営業活動のレベルが意外に低いのではないかという疑問を持たざるを得ません。
 ちなみに、欧米の専門家やジャーナリストの多くは、今回、橋本内閣が着手しようとしている金融制度の規制緩和・自由化を日本経済の置かれたし状況から見て当然の流れととらえ、むしろ米国や西欧と比較して十年ないし二十年のおくれがあると指摘しております。金融市場としての東京の地位が、ロンドンやニューヨークに大きく水をあけられたばかりでなく、アジア地域においても香港やシンガポールの急追を受けているという以上、今回は真剣に規制緩和の措置を進めるのではないかとの観測が述べられております。
 欧米の金融筋が日本の金融・証券制度の改革をビッグバンの日本版ととらえて大きな関心を示すのは、当然のことながら、我が国の一千兆円を超すと言われる巨大な個人金融資産の運用に参加することにより、みずからの活動範囲を広げることを意図しているものと考えられますが、国際金融市場としての東京の地位の向上は、日本の金融機関にとってもホームグラウンドでの活動の活性化を意味するものであり、ひいては日本の金融機関の国際競争力を高めるものではないでしょうか。
 総理は、所信表明の中で、二〇〇一年を目標としてニューヨーク、ロンドンに並ぶ国際金融市場としての東京の復権をうたっておられます。大蔵大臣として既に豊かな経験をお持ちの橋本総理が、今回は行政の最高責任者としてその実現に努力されるわけであります。目標達成についての総理の御決意のほどを伺いたいと存じます。
 国際化時代の日本経済の進路を考えるに当たり、物、金といった要素に加えてもう一つ明確な対応を求められるのが、人、すなわち雇用・労働の問題であります。
 我が国企業の一部が海外に生産拠点を移すのに加えて、外国からの製品輸入も増大の傾向にあり、二重の意味で国内産業の空洞化と雇用の減少が憂慮される事態が生じております。特に、学校を卒業し新しく社会人として巣立っていく若者たちが、その能力を発揮すべき職場を容易に見出し得ない状態が続いているのは重大な社会問題であります。
 今後、我が国の社会経済の活力を維持発展させていくためには、新規産業の育成による雇用の創出、労働環境の整備など、「働く日本人」に対する配慮が必要と考えますが、この点について労働大臣の御所見を伺いたいと思います。
 次に、当面の補正予算編成についてお伺いいたします。
 本年春のG7の蔵相会議において、各国は財政赤字の縮減に努めることを合意しましたが、日本に対しては、むしろ景気回復を優先し、内需拡大策の推進に重点を置くべしとの強い要請があったと理解しております。その後、景気回復の傾向は緩やかながら認められるものの、雇用情勢や中小企業をめぐる環境は依然として厳しいものがあり、国内においては改めて景気刺激策としての補正予算の成立を求める声が強くなっております。
 財政再建論議の真っただ中において、いかにして赤字縮減の基本方針に背反しないような予算を組むか、まさに内閣の腕の見せどころかと思いますが、大蔵大臣から補正予算編成の基本方針について御説明を願いたいと存じます。
 次に、政府は平成九年度予算を財政構造改革元年の予算と位置づけ、公共事業の見直し、補助金へのサンセット方式の導入等を検討中と伝えられます。しかし、これまでの経過を振り返ってみますと、縦割り行政の中で公共事業費の省庁別シェアが長期間にわたって固定している問題は依然として克服されておりません。社会経済の急速な変化に対応できるような柔軟な財政政策の実施が強く求められるゆえんでありますが、この点、大蔵大臣としてはどのような方策を考えられておられるのか、現段階では細目についてなお検討中でありましょうが、とりあえず基本的なお考えだけでもお示し願いたいと思います。
 次に、税制改革の問題について伺います。
 健全なる財政の実現を期するためには、歳入歳出両面の思い切った見直しが必要であり、我が党が選挙前から主張してきた消費税の三%から五%への引き上げについても、そのような見地から国民の皆様の御理解をお願いしているところであります。来るべき高齢・少子化社会におきまして、景気の変動に左右されない安定的な財源を確保しておくことは国の責務であり、また、世界の先進国の大部分がそのような税制を採用していることから見ても、やはりこの種の間接税への依存度が高まることはやむを得ないものと考えます。
 ただし、消費税の徴税方式の一層の合理化や低所得者に対する特別措置など、消費者の立場に十分配慮した税制として定着することを期待するものであり、この点についてのさらなる御検討を要望したいと思います。総理の御見解はいかがでしょうか。
 平成九年度の税制改正において大きな関心を集めておりますのは、三十年ぶりの改正が話題となっている法人税の問題であります。
 実効税率ベースで計算した我が国の法人税率は五〇%近くになっており、諸外国と比べましても高い水準となっております。ボーダーレスエコノミーの拡大によって今や企業の競争相手も国際化しており、過重な法人税の賦課は日本経済の活力を失わせ、産業の空洞化を招くことになります。
 法人税率の引き下げは対象となる税額の規模が大きいだけに、財政当局としてはなかなか踏み切れないという事情もあり、政府税制調査会における審議においても慎重論が多いようでありますが、企業活動が活発化すれば総体としての税収入はふえる道理であります。
 最近は大企業ばかりでなく中小企業も海外へ進出しており、国際競争に打ち勝つために懸命に努力していることを考慮して、今後の日本経済の持続的発展を図るために政府が前向きの対応をされるよう期待する次第でありますが、総理の御方針をお伺いしたいと思います。
 以上、内外の諸問題について政府の御方針をただしましたが、最後に、橋本総理が火だるまになる覚悟で実現に努めると述べておられる五分野での改革に参議院自民党といたしましても全力で取り組む決意を表明して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大木議員の御質問に対して御答弁を申し上げます。
 冒頭、一連不祥事件についてのお尋ねがございました。
 公務員の最高幹部として行政の先頭に立つべき者の不祥事が続いておりますこと、まことにざんきにたえません。とりわけ、行政改革に政府を挙げて取り組もうとしておりますやさき、こうした事態が発生をいたしましたことは本当にゆゆしき事態であり、事務次官会議に官房長官ともども出席をし、全省庁に対し綱紀の粛正の徹底を図るという努力をいたしますとともに、特に小泉厚生大臣に個別に指示をし、今、率先して厚生大臣が省を挙げた綱紀粛正と再発防止に取り組んで、政府全体としても断固たる取り組みを図ろうといたしております。殊に、今、官房長官に対し実効ある綱紀粛正の策を求めておりますが、こうしたことを貫きながら全力を挙げてこの問題を解決していくように努めたいと思います。
 同時に、やはり私は、例えば官民の役割の見直し、あるいは地方分権を進めていくこと、そして規制緩和等により、官の役割を基本的に減少させていくことがこうした事件をなくしていくためにも大切なこと、そのように考えております。
 また、オープンな政治というお話がございました。
 私は、目前にある問題が困難であればあるほどその解決に真っ正面から取り組んでいく、そしてそのプロセスにおきまして国民の皆様に問題の所在を率直にお話をしながら、自由に議論を願い、解決策をともに考えていく。今掲げております五つの大きな改革にいたしましても、また沖縄のこれからの問題につきましても、こうした姿勢で解決をしていさたい、そのように考えております。
 次に、先般の日米首脳会談におきましては、幾つかの話題の中におきまして、SACOの成功裏の終結に向けての努力というものをお互いに認め合いました。そうした中から、沖縄の米軍基地の問題につきまして、昨日の日米安全保障協議委員会におきまして、施設・区域、その整理・統合・縮小、また、地位協定の運用に係る諸問題の改善についての合意が達成をされました。
 個々の施設・区域の返還につきましては、何といいましても、これは地元の御理解と協力がなければ進められるものではありません。その努力を継続しながら、SACOの最終報告とともに示された時期までに返還を実現すべく、米側及び沖縄県との協力を一生懸命に行いながら最大限努力してまいりたいと考えております。
 なお、普天間の代替ヘリポートにつきましては、新たに設置される普天間実施委員会におきまして、おそくとも明年十二月までに実施計画を策定することといたしております。
 そして、この首脳会談でも多少の議論をいたしました日米経済関係についてのお尋ねでありますが、両国の経済関係は現在は双方の努力によりまして安定的に推移をいたしております。その中におきまして当面の問題とされるもの、一つは保険の問題であり、また、我々が求めておりますのは、米国のオープンスカイ政策とは違った。自由な、前提を置かない立場での航空協議の問題でありますが、こうした問題につきましては、双方の解決のために引き続き真剣に努力をしていくとともに、両国間の緊張の種とならないよう努めていく所存でございます。
 今後、日米間で生じ得る経済問題、これは今後も常に起こり得る可能性は秘めておりますが、国際ルールにのっとって早期かつ冷静に解決していきたい、そのように考えております。
 また、米国の対中関係改善の意図を踏まえて、どうとらえていくのかという御指摘がございました。
 我々は、米中間の関係が非常に緊迫をしておりました時期、この事態を大変心配いたしておりました。そして、アメリカ側に対しても中国との友好裏な話し合いというものを求めておりましたが、今回、対中外交がまさにスービックにおきまして、またマニラにおきまして、アメリカとの間に大きく変化をしたこと、これ自体を我々としては非常によい方向と、そのようにとらえております。そして、日米中三国の安定的な関係というものは、私は、間違いなしにアジア太平洋地域、ひいては世界の平和と繁栄のためにも大切なことであり、米中関係の進展というものもこのような観点から受けとめております。
 同時に、中国をより国際社会に積極的に参加させる、そのためにもWTOへの早期加盟を支持するという努力を今日までも続けてまいりました。今、APECの会合におきましても、また非公式首脳会合におきましても、そうした方向で各国の意見がそろってまいりましたことは今後のために大きなことだと考えております。
 日中間につきましても、今後ともに相互信頼に基づく両国関係を一層発展させていくために努力するつもりでありまして、先般のマニラでの日中首脳会談におきまして、江沢民国家主席と私との間で相互の訪日、訪中を招請いたしました。日中両国民が明年の国交正常化二十五周年を心から祝福できますようにこれからも努力していきたいと考えております。
 次に、アジア経済の現状から、製造業の海外移転に伴う状況というものについての見解をお尋ねいただきました。
 製造業の海外移転というものについて基本的に申し上げますなら、これは、グローバル化しております国際経済の中で国際的に企業が展開を行うということは、一般的には適切な国際分業というものを構築していく、そうした視点から好ましいものであると思います。
 しかし、我が国の現状を考えますとき、この製造業の急速な国際展開というものの背景として、さまざまな規制の存在による、そればかりではありませんけれども、規制の存在等によります我が国の高コスト構造というものが原因になり、企業が国を選ぶ時代として非常に市場の魅力を減らしつつある状況がございます。
 そして、産業の空洞化、その懸念が深刻化しておることは議員御指摘のとおりであり、そのためにも経済構造改革のための総合的な対策を早急に講じることが必要であると同時に、我々は新しい産家を生み出していくための努力、すなわち科学技術、研究開発等への投資を進めていく、その中から新しい産業の芽を育てていく努力も欠くことのできないもの、そのように考えております。
 次に、政府債務の増加の背景についてお尋ねがございました。
 高齢社会への対応など財政需要は増大する中でありますが、バブル崩壊後の景気後退局面以降、景気の下支えなどのための累次にわたる対策を講じてまいりましたことは、我が国の財政を急速に悪化させる一つの大きな要因であったことは事実であります。
 その財政赤字というものが経済に及ぼす影響を考えますと、また、その弊害を考えますとき、豊かな国民生活を実現するためには、我々は、一時期極めて厳しい状況がありましても財政構造改革というものに真正面から取り組むことが喫緊の課題となっており、国民の幅広い御理解と御協力をいただきながら、こうした改革を行政改革等とともに進めていかなければなりません。
 そして、規制緩和を含む適切な改革、財政再建への取り組み、こうした点についての御指摘もいただきましたが、まさに我が国の経済の将来の展望を開くためには、規制緩和を初めとする経済構造改革、財政再建などの改革を内閣を挙げて断行していく必要があります。さらに、新産業を生み出す努力も、繰り返すようでありますが、我々としてどんなことがあっても欠くことはできません。
 財政再建につきましては、主要先進国におきましても健全化に向けた努力がされているところであります。我が国におきましても、中期的な財政再建目標の設定あるいは財政再建のための法律の検討を初めとして、引き続き財政構造改革を一層強力に進めてまいりたい、そのように考えております。
 次に、金融システム改革についての御意見をいただきました。
 今、基軸通貨がドル一本建てでありました時代から、欧州に新たにユーロという基軸通貨が生まれようとしている時代におきまして、しかも欧米の金融市場というもの、システムは極めてダイナミックに変革をしております。
 そうした中で、国際通貨としての円の地位の向上を図りますためにも、国民の資産の有利な運用を考えていきます上でも、また、次代を担う成長産業への資金供給、さらには世界への円滑な資金供給など、こうしたことが重要だという観点からも、何としても私自身強い決意を持って、規制緩和だけではなく法制度までも含めて金融システムについては総合的な改革を果断に進めていかなければなりません。我が国金融市場が国際的な市場として復権できるように全力を尽くしてまいります。
 また、消費税につきましては、いわゆる益税問題について、来年四月の消費税率の引き上げと同時に限界控除制度を廃止するなど中小特例措置を大幅に縮減することとしておりまして、また、真に手を差し伸べるべき弱い立場の方々に対して臨時給付金の交付など必要な措置を講じてまいります。こうしたさまざまな配慮により、消費税の定着を図っていきたいと願っております。
 次に、法人税について御指摘がございました。
 確かに、我が国を魅力のある産業活動の舞台とするため、その観点からは企業の負担というものについて考えなければならないという御指摘は、私もそのとおりだと思います。
 しかし、同時に、平成九年度におきましては、消費税の引き上げを行わさせていただかなければならないほかに、現在の厳しい財政事情を考えますと、法人税の減税の財源というものを他の税の引き上げあるいは赤字公債の発行に頼るということは私は困難だと思うのです。ですから、法人課税につきましては、課税ベースの拡大によって財源が得られるなら税率の引き下げを行うことが適当でありますし、これが企業の活力の発揮など経済構造改革の推進にも役立つものと、それは議員の御指摘のとおりだと私は考えます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣久間章生君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(久間章生君) SACO最終報告の今後の手順等についてのお尋ねですが、防衛庁としましては、普天間飛行場の返還や県道一〇四号線越え実弾射撃訓練の本土への移転等の実施に当たりましては地元の意向が重要であると認識しており、地元関係者の御理解と御協力を得られるよう最大限努力してまいる所存であります。また、新たに御負担をおかけすることになる地元の要望等については、誠意を持って対応してまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣池田行彦君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(池田行彦君) 大木議員の私への御質問は今後の対朝鮮半島外交についてでございましたが、我が国といたしましては、韓国との友好協力関係を基本として、この地域の平和と安定に向け努力をしてまいりたいと思います。このために、米韓両首脳が提案しております四者会合を支持すると同時に、KEDOの活動に引き続き積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 韓国との友好協力関係は、両国にとってのみならず、北東アジア全域の平和、安定のために不可欠のものでございますので、今後とも過去を直視した上で未来志向の関係を築いてまいる決意でございます。
 日朝関係につきましては、国交正常化交渉再開の具体的時期についてのめどは立っておりませんけれども、我が国として、今後とも、さきの大戦後の日朝関係の不正常な関係は正す、同時に朝鮮半島の平和と安定に資するものとする、この二つの観点を踏まえまして、韓国等と緊密に連携しながら対応してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣岡野裕君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(岡野裕君) 先輩大木議員からは、今置かれました経済構造改革の中における雇用の問題、これにつきまして御質問をいただきました。この席からお答えを申し上げ、御理解を得ます機会、これを得ましたことを非常にうれしく存じております。
 先ほど既に総理からもお話がありましたように、今のこの世界は国際的に非常に大きな競争市場時代、これに突入をしております。我が国におきましても、相手先国の賃金水準、あるいは税制、あるいは規制の現況等々を勘案しまして企業が海外にどんどん出てまいっておりますことを、これを引っ張るというわけにはまいらない、こう思っております。
 ただ、生産業、製造業等が集積をしました中で、大きな企業が海外へ出ていくということになります。これは経済の空洞、産業の空洞化でありますが、ひとしく私ども労働行政から見ますと、雇用の空洞化というような現象をもたらしております。そうして、企業のあとに残された。言いますならば下請でありますとかあるいは中小企業、これには極めて優秀な技術でありますとか技能でありますとか、これを身につけた働く皆様が非常に大勢おいでになるということで、その雇用の確保という面が非常に大きな問題になってまいります。
 やはりその有能な技能、技術を生かすべく新たな分野の企業というものをそこに育てて、技能、技術というものが退化をしてしまうということにならないように努力をする、そのためには職能学校というようなものを整備し、どんどん先端技術を身につけるということも考える、そして失業のない労働移動ということを現出させていくというようなもろもろの配意のもとに、今、頑張ってまいっているところであります。
 議員お話しの新規卒業者につきましても、やはり非常に多くの情報というものを大学、学校当局にお送り申す、あるいは集団的な説明会を開く、その中には女性の方、あるいは身体障害者の方、あるいは高齢の方等々おいでになりますので、そういった皆さんが働けるような環境整備、これまた雇用の確保拡大のためには必須の条件だと、こう心得ております。
 これらにつきましては、今後、法的措置あるいは予算等々、これらも必要になるかと存じますが、よろしく御協力を賜りますようお願いを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(三塚博君) 補正予算編成の基本方針についてのお尋ねでございます。
 我が国経済の現況を見ますと、景気は緩やかに動いておると言われております。しかし、雇用の面で厳しさもあると。いずれにいたしましても、八年度補正予算については、追加や変更が必要な要因などをしっかりと把握した上におきまして取り組んでまいる所存でございます。
 次に、平成九年度予算編成に当たっての考え方の御質問でございますが、我が国財政は、八年度予算において十六兆円を超える国債費が財政を圧迫いたしたことは御案内のとおり。よって、十二兆円の特例公債を含む二十一兆円の公債発行を余儀なくされました。大木議員御指摘のとおり、いわゆる危機的な状況にありますこと、御案内のとおりであります。
 また、急速に進展をいたしております少子・高齢化などの社会経済状況の変化を見据えれば、来るべき二十一世紀に向けて我が国の経済社会の活力を維持するため、速やかな財政構造改革に取り組んでまいりますことが喫緊の課題でありますこと、御理解をいただけると思います。
 よって、平成九年度予算編成に当たっては、財政構造改革元年にふさわしいものとしてまいりますため、三兆円以上の公債減額を実現するよう最大限努力をして、中期的な財政健全化に向けた第一歩といたしたいと考えておるところであります。また、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しを行い、限られた財政資金の重点的そして効率的な配分に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
#14
○議長(斎藤十朗君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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