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1996/12/04 第139回国会 参議院 参議院会議録情報 第139回国会 本会議 第3号
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1996/12/04 第139回国会 参議院

参議院会議録情報 第139回国会 本会議 第3号

#1
第139回国会 本会議 第3号
平成八年十二月四日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成八年十二月四日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。梶原敬義君。
   〔梶原敬義君登壇、拍手〕
#4
○梶原敬義君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、橋本内閣総理大臣を初め、関係各大臣に御質問申し上げます。
 まず最初に、現代の日本人の心のあり方についてお尋ねしたいと思います。
 私は、今年の夏、本院国際問題調査会の一員として、東南アジア諸国、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンを訪問してまいりました。各国の状況は、まさに我が国が戦後の経済復興から高度成長へと走り続けた時代を見る思いでありました。我が国を手本にして、追いつけ追い越せと、地域全体が燃えている姿を見てまいりました。
 確かに、現在の日本は平和で経済的に大変豊かであり、さらに言えば、我が民族の歴史始まって以来、最も物質的に恵まれている時代ではないかと思うのであります。しかし、一番大切な人の心はその逆になっていると思わざるを得ないのであります。
 例えば、オウムの事件を初め、残忍な事件が相次いております。最近、金のために余りにも簡単に人を殺す事件が頻発しておりますし、パチンコに夢中になった母親が我が子を死なせる事件や、さらには小学生、中学生にまで覚せい剤汚染が広がっていると言われております。また、さきのバブル景気の折には、国民全体も浮かれましたが、住専で見られるように、かたいはずの銀行までが本来の業務を超えて不動産投資に熱中するなど見境がなくなってしまい、踊り狂いました。
 今は余りにも物、金優先の社会になり過ぎ、大切な人間の心のことがおろそかにされた社会に陥っていると思うのであります。来る二十一世紀は、政治がリードし、物より心の時代、心が満たされる時代に重点を移していくべきだと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 そのためにも、二十一世紀を生きる子供たちの教育のあり方を見直す必要があります。偏差値によって選別する教育をどう改めるのか。大学入試、就職問題も絡むこの状況を改革しなければならないと思いますが、教育の現状についての総理の御認識と教育改革への御抱負をお尋ねいたします。
 次に、我が国を取り巻く石油エネルギーと食糧の問題についでであります。
 どちらとも今はお金さえ出せば何不自由なく手に入れることができますが、三十年ぐらい先を見渡したときに、現在のこの状態と繁栄が一体どこまで続くのかと暗たんたる気持ちになるのであります。
 その一つが石油資源の問題であります。
 最も権威があると言われておりますアメリカのオイル・アンド・ガス・ジャーナルの指摘によれば、現状の石油生産と消費を前提にすると、石油資源はあと四十四年、天然ガスは六十三年しかもたないというのであります。中国は既に石油輸入国となりました。東南アジアも目覚ましい経済発展を続け、車も急激に増加しております。この分でいけば、世界の石油消費量は加速度的に増加することは火を見るよりも明らかであります。ガス・ジャーナルの予測よりも石油危機の日はもっと早まっていることを予知しなければなりません。本当に石油のなくなる日が近づいていると思うのであります。国民生活に与える打撃は想像を絶するものがあると考えます。
 もう一つは食糧問題であります。
 アメリカのワールドウォッチ研究所のレスター・ブラウン氏は、食糧問題の切り口から、これまた次のような興味深い指摘を行っております。
 例えば、中国の経済が順調に成長すれば、国民の食生活も向上し、穀物浪費型の肉牛などの消費がふえることになる。しかも、工業が発展し、一方で耕地がこのまま減少していくなら、中国は食糧の大量輸入国となり、世界規模の食糧危機の引き金にならざるを得ないと注意を喚起しております。
 しかも、食糧だけではなく、生活水準の向上に伴いエネルギー大量消費の社会になると、エネルギー危機が顕在化し、大規模な環境破壊も起こり得る。さらに、中国だけではなく、アジア各国も先進国入りを目指す。現在、世界の先進国人口が十億人前後でありますが、現在のようなシステムを続けたままアジアの三十億の人々が一度に先進国の仲間入りをすると、地球は完全に破産するとの大胆な推測も展開をしております。
 大変な事態がそう遠くない将来において予想され得るにもかかわらず、このような警鐘を杞憂とみなす傾向が我が国に根強いのは、深刻な認識が欠けているからではないでしょうか。今こそ、エネルギー、環境、食糧問題をしっかりと国家戦略に位置づけるべきだと考えますが、いかがですか。
 まず、エネルギー問題については、資源小国である日本だからこそ、石油等の化石燃料にかわる太陽光を初めとするグリーンエネルギー及び省エネルギーの研究開発に国力を注ぎ、その成果をもって二十一世紀の地球規模的な繁栄に貢献すべきだと考えます。総理並びに佐藤通産大臣の見解をお伺いいたします。
 また、我が国の食糧自給率は先進国の中でも極端に低水準にあり、最大の食糧輸入国の一つでもあります。我が国は、食糧自給率の向上に取り組むとともに、飢餓国への食糧援助や技術支援を初め国際的食糧備蓄機構づくり等で大きな役割を果たすべきだと思いますが、総理大臣にお尋ねいたします。
 言うまでもなく、自給率の向上には安全で安定的な食糧の供給確保が不可欠の要件になっております。この観点からも、我が国の広範な中山間地域を活性化する取り組みを不断に進めなくてはなりません。
 我が党は、このような見地と、中山間地域が国土と環境を守る上で決定的役割を持っていることを踏まえ、与党三党の合意事項にもなった中山間地域における日本型デカップリング制度の導入を強く求めます。
 この制度は、今では西欧先進国では導入されている制度であり、条件不利地域における直接所得補償という意味を持っております。我が個の農政の基本が今までの価格保障から所得補償の段階に来ていることにかんがみても、この制度の導入が必要であると考えますが、農林大臣、食糧問題での国際貢献と国内農政への直接所得補償政策についての前向きな答弁をお願いいたします。
 行政改革は国民から求められている喫緊な重要課題であるてとは、さきの総選挙でも我が党を初め各党がこぞって選挙公約に掲げたことからも明らかであります。国、地方を通じた財政の現状は、単位後の財政赤字が国内総生産比七%の水準にまで達するなど、先進国の中でも圧倒的に高い数値を示しております。したがって、財政構造の抜本改革を進める一方で、肥大化した行政機構のスリム化を是が非でも断行しなければなりません。
 行政改革の最大のポイントは、そのよって立つ理念、つまりなぜ行革をやるのか、行革を行うことによって日本の国はどのように変わっていくのかというグランドデザインを描くことではないかと思います。まず、この点について総理みずからが国民に向けて明らかにする必要があると考えますが、総理の御見解をお示しください。
 わけても、今般の与党の政策協議で合意したとおり、大蔵省改革、中でも金融行政改革には、戦後五十年にわたる行政システムの行き詰まりの現状を大胆に見直していく象徴的な意味合いが込められており、橋本行革の試金石とも言えるものであります。
 金融の検査及び監督については、密室での行政指導を繰り返す不透明な金融行政と制度的に決別しなはればならないことは、疑問の入る余地がありません。金融新時代に対応できる改革とするためにも、検査と監督機能を一体として大蔵省から切り離すとともに、その対象は農林系統やノンバンクのみならず、証券も含めた全金融分野を網羅した機構にすべきだと考えますが、総理の御所見をお尋ねいたします。
 あわせて、開かれた独立性確保を柱とする日銀法の改正問題は、日銀にもっとしっかりした金融政策を行ってもらい、物価の安定はもとより、健全な金融市場を再生させるという観点からも同様に重視されるべきものであります。しかしながら、例えばさきの総理直属の中央銀行研究会の報告にあるように、政府の議決延期請求権の採用等はこの時代の要請に逆行するものと言わざるを得ません。現行のような日銀予算の事前承認制の肝確な変更も含めて、総理御自身が考える日銀の独立性のあり方について率直な御答弁をお願いいたします。
 次に、公務員の綱紀粛正についてであります。
 今回の厚生省の官僚による汚職事件は、まことに許されざ各事件であります。岡光前次官をめぐる高額な金銭の授受事件については、いずれ捜査当局によって解明されることになるでしょう。しかし、過去のリクルート事件、佐川急便事件や大蔵官僚事件などを振り返ってみても、この種の事例がまれであるとはもはや言い切れないのであり、構造的な病根が官僚機構に巣くっていることは明らかではないでしょうか。行政に対する国民の信頼失墜はもとより、行政の遂行にも支障が生じかねません。公務員の綱紀の引き締めを早急に行うべきと思うが、いかがでしょうか。
 現在の刑法では、職務に関して金品を受け取ったということでなければ、倫理的に問題はあっても罪に問われることはありません。国民全体の奉仕者であるべき公務員の責務の重大性にかんがみ、例えばアメリカ等の例に倣い、一定額以上の金銭の受領の報告義務を負わせ、そして故意にその報告書の提出を怠ったかまたは虚偽の報告を行った者を罰則の対象にできる公務員倫理法をぜひ制定すべきと考えます。総理の前向きな御答弁をお願いいたします。
 あわせて、最近のマスコミ報道に見られますように、出資法違反の疑いのあるオレンジ共済や福祉を食い物にした彩福祉グループ通産石油行政と深いかかわりを持った泉井疑惑の中で、多くの国会議員への献金問題も表面化しておりますが、政治家もいま一度襟を正すべきではないでしょうか。さらに、政治改革を徹底して行い、とりわけ企業献金の禁止を前倒しして早急に実施に移すべきと思いますが、いかがですか、総理にお尋ねをいたします。
 さて、現下の最大の政治課題の一つである消費積率の引き上げ問題についてであります。
 消費税の持つ最大の問題点は、年金生活者や低所得者層が支払い能力のあるなしにかかわらず一律に負担させられるところにあります。同時に、支払った税金が必ずしも国庫に入らない仕組みになっていることでもあります。
 本院においても、今臨時国会において行財政改革・税制等に関する特別委員会を設置し、幅広く税制全般について、なかんずく消費税のあり方について議論する場が設けられたことは御承知のとおりであります。政府としても、委員会における審議が充実したものになるよう、資料の提出等積極的な御協力をお願いいたします。
 私は、この問題に関して少し違った角度から意見を申し述べ、質問をいたします。
 消費税の引き上げに対する国民的アレルギーは、負担がふえ、弱者に対しては厳しい税制であることはもちろんですが、現行税制の所得把握機能のゆがみから生ずる不公平感や、福祉さえ食い物になっている等の税の使途に関する不信感も大きな要因になっていると思うのであります。
 税率を五%に引き上げるかわりに、低所得層の方々や低額の年金受給者に対して、給付金を支給する制度か還付金制度を新設することを早急に検討するべきではないでしょうか。そうすることが消費税の持つ最大の欠陥である逆進性を緩和することになります。
 その場合、納税者番号制度の早期導入による適正な所得把握が前提とならない限り、本来の機能を果たしていくことができません。納税者番号制の導入について、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 さらには、消費税制を国の税制の骨格の一つに据えるというのであれば、人が生きていく上において所得の多少にかかわらず消費をし負担し続けなければならない飲食料品等に関しては、税率をゼロにするか軽減する仕組みの導入は避けて通れないと思います。これこそ国民と血の通った政治というものではないでしょうか。総理並びに大蔵大臣のお考えをお尋ねいたします。
 私が次にお聞きしたいのは、国民の皆さんの大きな関心事である高齢者介護の問題、なかんずく国民の期待にこたえる公的介護保険制度の創設についてであります。
 極めて残念なことでありますが、この問題についてお尋ねする前に、今、大きな問題となっておりますさきに触れました社会福祉法人彩グループによる厚生省幹部を巻き込んだ汚職疑獄事件に触れざるを得ません。
 我々はこの間、二十一世紀の高齢社会に向け高齢者介護基盤の整備を急がねばならないということで、ゴールドプラン、さらには新ゴールドプランを策定し、厳しい財政状況の中でも格段の配慮を持って最優先の政策課題として取り組みを進めてきたところであります。また、高齢社会における福祉を支えるべく、消費税を初めとした税制改革に真っ正面から取り組み、国民の皆さんにも御理解を訴えてまいりました。介護保険法案もようやく今臨時国会に上程され、これから本格的な議論の始まろうとする矢先だけに、激しい憤りを覚えます。
 これは国民の皆さんも同じであろうし、だれよりも真率に活動を続けておられる大多数の社会福祉法人の皆さん、第一線で御苦労されている福祉関係の皆さんが本当につらい思いをされていることだろうと、察して余りあるものがあります。
 厚生省は、他にも福祉を食い物にしているところがないのか、早急に全国の実態調査を含め今回の事件の究明をしっかりと行うべきであります。不正再発防止に向け具体的にどのような取り組みを進めているのか、厚生行政に対する国民の信頼回復を図っていこうとしておられるのか、厚生大臣の率直なお答えをお願いいたします。
 そうした信頼回復への最大限の努力を果たした上で、国民的な要望である介護を社会的に支える新しい介護制度の確立を早急に図ることは、私たちの念願であり、責務であると認識をしております。改めて、公的介護保険制度の創設と円滑な実施に向けた厚生大臣の決意のほどをお伺いいたします。
 橋本総理大臣は、さきのフィリピンにおけるクリントン米大統領、江沢氏中国国家主席、金泳三韓国大統領との首脳会談を踏まえ、日米関係の緊密化、中国、韓国との未来志向の関係構築を柱とした外交を展開する考えを示しておられます。
 そこで、昨年八月十五日、戦後五十周年の節目に当たり村山前総理が発表された談話を思い起こしていただきたい。この談話の中で、我が国は、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたことについて深い反省に立ち、独善的なナショナリズムを排し、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進し、平和の理念と民主主義を推し進めることを表明しております。
 先般の自由民主党、社会民主党、新党さきがけによる三党政策協議で、歴史認識については、一九九五年八月十五日の村山総理談話を基本に据え、残された課題に関しても引き続き検討することで合意をいたしましたが、政府はこの基本姿勢を土台に外交を展開すべきだと思いますが、総理の歴史認識と外交姿勢についてお尋ねいたします。
 次に、沖縄問題についてお聞きします。
 現在の我が国の平和と繁栄を思うにつけても、沖縄の方々が払われてきた犠牲の重さに粛然とせざるを得ません。先般、私は、同僚議員六名で沖縄県を訪れ、米軍基地の整理・縮小と、アジア諸国との交流拠点として自立的な経済発展を願う沖縄県民の皆さんの切実な気持ちを肌で感じてまいりました。
 沖縄県からは、基地返還のアクションプログラム、国際都市形成構想、規制緩和を初め産業振興特別措置の具体化などの要望が出されております。これらの切実な要望を重く受けとめ、さらに米軍基地の整理・縮小のための経費についても、中期防衛力整備計画の減額修正によってその財源を確保すべきであると考えます。さらに、米軍基地のより一層の縮小に向けて、まず海兵隊の縮小・撤退に向材て米国との交渉を強く行うべきものと考えますが、いかがですか。
 沖縄県は、その地理的、歴史的な特色を生かし、北東アジアの結び目として、二十一世紀のアジアで生きていく我が国のモデルとなる地域でもあります。沖縄県の振興開発に関する基本的な考え方について、総理のお考えをお示し願いたいと思います。
 あわせて、人にやさしい政治という理念について多言を用いずとも理解をしていただける数少ない保守政治家としての橋本総理に、阪神・淡路大震災対策に係る拡充等に向けどのようにリーダーシップを発揮されようとするのか、補正並びに本予算編成を控えた時期でもあり、被災者の方々の心に届くお答えをぜひお願いしたいと存じます。
 我が国が人権先進国としての地位を獲得するにふさわしい内実を備えているかどうかを問う人権擁護施策推進法案は、閣議決定され、今臨時国会に提出されることになりましたが、この法案について、御承知のとおり、本法案につきましては同和問題の解決のための法案であることを明確にすることを与党で合意しております。今後、人権擁護施策推進法のもとで同和問題を解決していくための具体的方策について、総理の御見解をお尋ねいたします。
 また、人権教育のための国連十年の国内での推進のために総理を本部長とする推進本部が設置されているところでありますが、国内行動計画の策定を初め具体的な取り組みは大幅におくれていると言わざるを得ません。今後、これまでの作業のおくれを取り戻し、どう推進していくのか、総理の御見解をお伺いいたします。
 あわせて、アイヌ民族問題への対応については、既に新法案を次期通常国会に提出するよう与党として政府に要望しておりますが、法案策定作業の進捗状況についてお伺いをいたします。
 最後に、橋本総理に閣外協力のことについてお伺いをいたします。
 我が党は、さきの衆議院総選挙の結果を踏まえ、今回の第二次橋本政権の樹立に際して、幾多の困難を乗り越えて初めての閣外協力を選択いたしました。自由民主党、社会民主党、新党さきがけ三党による政策協議は十項目について合意をし、八項目については残念ながら合意に至らなかったが、引き続き協議を重ねていくことを確認いたしました。合意事項の早期実現のために、お互いに真摯な努力をしなければなりません。そのためにも橋本総理の指導力を期待したいと思います。
 また、与党三党の代表による確認書では、冒頭で、日本国憲法の目指す平和と民主主義を守り、この困難な時局に政治的空白、混乱を来すことなく重大な責務を果たしていくためには、今日までの三党連立政権の成果と継続性を踏まえ新たな課題に挑戦していくとうたいとげ、確認をしております。
 この基本姿勢を基調にしながら、与党間においても対政府間においても、なれ合いに陥ることなく、よいものはよい、悪いものは悪いと率直にしかも激しく議論し合える運営が保障されなければなりません。特に、多数派である自由民主党がおごることなく、謙虚な姿勢をとることが第二次橋本連立政権を安定、継続されることになると思いますが、橋本総理の所感をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(橋本龍太郎君) 梶原議員にお答えを申し上げます。
 まず、議員から、物より心の時代という御指摘がありました。私も議員と同感に思います。そして、私が常々申し上げております国民一人一人がみずからの将来へ夢や目標を持てるような社会ということは、まさにそのような思いを込めてのものでありました。しかし、同時に私は、昨年の阪神・淡路大震災における多くの国民がボランティアとして現地に赴き、本当に一生懸命活動していただいている姿を見て、絶望をするには当たらない、私は、日本という国はやはりすばらしい要素を持った国であり、すばらしい国民だと思っております。これはいかにしてその気持ちを引き出すことができるかを我々が考えなければならないことではないか、そのような思いを持った次第でありました。
 そして、そうした中で、教育改革についてもお触れをいただいたわけでありますが、確かに現在の教育につきましては、その過度の受験競争でありますとかいじめの問題等、そしてそれに起因する部分もありましょう、登校拒否の問題など、さまざまな問題を抱えております。そうした中において、いわゆるゆとりのある教育ということがよく言われますけれども、どうすれば、例えば今提案され検討がされております中にも、中高一貫教育のような新しい試みを実行に移す、そうした土台も既に芽生えております。
 二十一世紀に向けて豊かな人間性をはぐくんでいけるような、同時に、教えられたことに答えを出すのではなく、みずから問題をつくり出しそれに挑戦するような、そうした教育が生まれることを心から願っておりますし、教育の現場にある方々にもそうした思いで児童の育成に当たっていたたきだいもの、制度的な検討は我々もこれから一生懸命進めてまいりますけれども、要は現場の教育者の方々にもぜひ御工夫を願いたい、そのように思っております。
 次に、資源の問題にお触れになりました。
 まさに議員が御指摘になりましたように、アジア太平洋地域が成長センターと二十一世紀に位置づけられながら、昨年、APECの議長国としての日本自身がこの非公式首脳会合を前にして提起をいたしましたように、二十一世紀のアジア太平洋地域の制約要因として考えられるものに、人口の爆発的な増大とそれに伴うエネルギーの消費、食糧の供給の問題、さらにこれに伴う環境汚染の問題がございます。
 昨年、我が国が提起をいたしましたこれらの問題につきましては、APECとしても既に検討の過程に入ってまいりました。そして、そうした中で、クリーンエネルギー及び省エネルギーの研究開発につきましては、まさに枯渇性の資源であります化石燃料にかわり得るものが何であるのか、あるいは深刻化しつつある地球温暖化問題への適切な対応などを考えていく上で、こうした研究開発というものは極めて大きな意味があるものであります。
 同時に、議員はお触れになりませんでしたけれども、我々は、安全の上にも安全ということを考えながら、やはり将来を考えますとき、我々のエネルギーとして原子力というものを全く無視することはできないと考えております。エネルギー問題はまさに世界の国々の人々が直面する人類共通の課題でありますし、地球規模での取り組みに対しても我が国としても積極的に貢献をしていかなければなりません。新エネルギーや省エネルギーの研究開発を推進してまいります。
 また、食糧自給率の向上の必要性あるいは海外に対する農業の技術支援の問題等につきましても、まさにAPECで我々自身が提起をいたした課題として、こうした方向に向けての努力を今後ともに続けていく必要がある。議員の御意見と同様に考えております。
 次に、行政改革実現のポイント、それはその理念の明確化だという御指摘をいただきました。
 私は、内外の環境変化の中で深刻な限界を露呈しております今の経済社会システム、これをいかにすれば二十一世紀にふさわしいものに再構築できるか、そしてその中において行政がいかなる役割を受け持ち得るか、また受け持たなければならないのか、我が国の未来を見据えて議論をしていくことが大切なことであると考え、将来求められる国家の機能、行政の機能は何であるかということを問い直すところから、時代の変化に対応ができ、国民のニーズに合ったサービスを効率的に提供できる行政を実現すること、これが行政改革の目標と申し上げて過言ではないと思います。
 当然のことながら、その実現のためには、地方分権を進めていくこと、さらに規制緩和、官民の役割の見直し等によってその方向を支えていくこと、こうしたことが必要になることは当然のことであると思います。
 次に、金融行政改革に当たりまして御意見をいただきました。
 私は、御意見の趣旨は基本的に同意をしつつ、現在、与党三党において検討が進められておるところでありまして、その与党三党とも十分御相談をしながら、先般の政策合意を踏まえて、できるだけ早期に具体的な結論を得、次期通常国会に所要の法律案を提出させていただきたいと考えております。
 また、中央銀行研究会報告について、議決延期請求権の採用が時代の要請に逆行するという御指摘がございました。
 しかし、この点は私は議員と意見を異にいたします。政府の経済政策と日銀の金融政策の整合性を確保する、こうした観点は今後においても必要なものではなかろうか、私はそのように思っております。また、予算の認可権につきましては、この報告書におきまして、日銀の公的な性格から、経費を公的にチェックすることは必要とされております。
 この報告書は、開かれた独立性を実現するために基本的な方針を示していただいており、この方針を踏まえて月銀法改正法の作成の作業を進めてまいりたいと思います。
 次に、公務員の綱紀粛正、倫理の問題に御指摘をいただきました。去る十一月二十一日、大変異例なことでありますが、官房長官とともに事務次官等会議に出席をし、綱紀の粛正の徹底を指示し、また、総務庁長官も同日、各省官房長会議を開いて、真に実効の上がる綱紀粛正策を一カ月以内に策定するよう指示してまいりました。
 これ自体が大変情けない、こうしたことをしなければならないこと自体が大変情けないことでありますが、政府部内で現在鋭意検討を進めておりまして、早急に結論を得て、綱紀の粛正の徹底を図ってまいりたいと今考えております。
 御指摘の新たな公務員倫理法については、これを踏まえて考えたいと存じておりますが、政治家も襟を正せという御指摘は、そのとおり私自身も素直に伺わなければならない、そしてみずからを律しなければならないこと、そのように思います。
 そして、企業・団体献金の禁止の前倒しについての御意見は、先般の三党の政策合意において、「政治資金規正法附則九条、十条において、法律施行後五年を経過した場合、資金管理団体に対する寄附の禁止、政党・政治資金団体に対する寄附のあり方の見直しを定めていることを踏まえ、政治資金のあり方について今後さらに協議を進める」こととされており、その協議の方向を見守ってまいりたいと思っております。
 次に、消費税に関して御意見をいただきました。
 消費税率を五%に引き上げる措置について、新たな給付金の制度化という御意見をいただきましたが、これは私は年金などの物価スライド制との関係で大変歎しいと思います。しかし、既に決定されている臨時福祉給付金のほかにどのような配慮が可能であるのか、御議論の推移を注視していきたいと考えております。
 また、軽減税率につきましては、税率五%のもとでは価格低下の効果に疑問のあること、その範囲を合理的に定めることが難しいという問題点が以前から指摘されており、既に来年四月以降の準備、対応が進められております状況の中で、軽減税率の問題は将来の課題として慎重に検討されるべきものではないかと思います。
 なお、ゼロ税率につきましては、消費一般に広く負担を求めるという税の性格が根本から崩れ、大きな税収減をもたらす、こうした問題もあり、その採用は将来ともに困難ではなかろうかと思っております。
 次に、歴史認識と外交姿勢についてのお尋ねであります。
 政府といたしましては、一九九五年八月十五日の村山内閣総理大臣談話というものを基本として、関係諸国との信頼関係を一層強化していくとともに、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進し、それを通じて平和の理念と民主主義を推進していくという立場であります。
 次に、沖縄県の問題に関連して御指摘をいただきました。
 まず、SACOの関連経費と中期防との関係についてでありますが、私は、SACOの関連経費につきましては、本年七月三十日に行いました平成九年度の概算要求に係る閣議の了解として、「沖縄関連の措置に係る経費の平成九年度における取扱いについては、予算編成過程で重点的に検討する」としております。この趣旨に沿って適切に対処していこうとしているところであり、全力で努力してまいりますが、中期防との関係でコメントできる段階ではないと思います。
 次に、海兵隊の駐留につきまして御意見をいただきました。
 政府としては、在日米軍の存在は日米安全保障条約の目的達成にとって不可欠であり、また、我が国に駐留する海兵隊につきましても、その有する高い機動力や即応性等を通じて在日米軍の重要な一翼を担っておると考えておりまして、現時点において海兵隊の縮小や撤退を求めることは考えておりません。
 また、現在、関係各大臣、これに沖縄県知事に正式のメンバーとして加わっていただき構成している沖縄政策協議会におきまして、沖縄振興策を具体的に検討していただいております。同時に、沖縄米軍基地所在市町村に関する官房長官の私的懇談会からも先般提言をいただきました。
 今後とも、これらの場における検討の結果を踏まえながら沖縄の振興のための課題の解決に向けて引き続き強い決意を持って全力で取り組んでまいります。ぜひ御協力を賜りたい、そのように考えております。
 次に、阪神・淡路大震災の問題について御質問をいただきました。
 被災地の復興につきましては、現内閣の最重要課題の一つである、そのように認識しておりますし、私自身、住宅建設について、現地に参上しましたとき、家賃の問題など御指摘をいただきましたものを、今までもその声を受けて解決に努力をしてまいりました。今後ともに政府が一丸となって被災地の一日も早い復興に向けて全力を挙げてその対策に取り組んでまいります。
 今後、被災地の復興に必要となります経費については、補正予算への計上を検討するなど、その確保につき適切に対処していくつもりであります。
 次に、人権擁護施策推進法案などについてお尋ねがございました。
 まず、人権擁護施策推進法案につきましては、この法律により設置される審議会では、同和問題を含め、人権に関する教育及び啓発並びに人権が侵害された場合の被害者救済に関する施策のあり方につき御審議をいただくこととしております。
 審議会の答申などがなされますまでの間、人権の擁護に関する施策を推進してまいりますし、答申等がなされました場合には、これを尊重し、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
 次に、人権教育のための国連十年への対応についてでありますが、内閣総理大臣を本部長とする人権教育のための国連十年推進本部を内閣に設置し、これまで関係省庁が協力しながら国内行動計画を検討してまいりましたが、近くその取りまとめを行うこととしております。人権が守られ、差別のない公正な社会の実現に向けて、この人権教育のための国連十年は極めて意義のあるものであり、今後とも人権の教育、啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、アイヌ新法の法案策定作業の進捗状況についてお尋ねをいただきましたが、現在、ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会の報告を受けまして、新たな施策を具体化するためにアイヌ関連施策関係省庁連絡会議を設けてその検討を深めております。法案の提出時期についてまだ確定的なことを申し上げられる段階にはございませんが、政府としては次期通常国会に関係法案を提出できるよう努力してまいりたい、そのように考えておるところであります。
 最後に、自由民主党に対し、おごることなく謙虚な姿勢でという御指摘がございました。
 自由民主党及び社会民主党、新党さきがけは、十月三十一日、選挙後の新たな連立政権の枠組みを展望して政策合意を結びました。私は、その合意などを踏まえ、三党連立のもとに五つの改革や沖縄に関する問題に対して全力で取り組んでいく、そして謙虚に取り組んでいく責任がございます。
 その過程におきましては、いろいろな抵抗や困難、摩擦が伴いますし、意見の対立も生じましょう。また、既存の制度や枠組みの中で、これまで当然と思われてまいりましたことが問い直される大きな変化や厳しい現実に直面することもあると思います。しかし、私たちはこれを乗り越えて、私たちの世代においてこうした改革を実行していかなければなりません。全力を尽くしてまいりますので、皆様方の協力をぜひお願い申し上げます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣佐藤信二君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(佐藤信二君) 私に対する質問は、クリーンエネルギー及び省エネの研究開発についての御質問でございました。既に総理から御答弁がございましたが、私なりにお答えさせていただきます。
 まず、議員の御賢察に敬意を表します。
 御指摘のように、我が国におけるエネルギー供給の六割弱程度を占める石油は枯渇性の資源でございます。また、化石燃料の消費は、深刻化しつつある地球温暖化問題等の環境問題に影響を与えることも事実でございます。そのため、政府といたしましては、我が国の技術を生かして太陽光等の新エネルギー及び省エネルギーの研究開発を強力に推進し、地球的規模のエネルギー問題の解決に向けて全力を注ぎ、積極的に貢献していきたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣藤本孝雄君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(藤本孝雄君) 梶原議員の御質問にお答えをいたします。
 いわゆるデカップリングについてのお尋ねでございました。EU型の直接所得補償制度いわゆるデカップリングを導入することにつきましては、国民的なコンセンサスが得られるかどうか、非農業者も相当数存在する中で農業者のみを支援することの妥当性、規模拡大が進んでいるEUと異なり、零細な農業構造の助長につながる懸念等の問題があると考えております。
 しかし、中山間地域の問題は極めて重要な問題と認識しておりますので、幅広い取り組みが必要であり、現在行っております新基本法の検討の中で何らかのよい知恵がないか、対応策の検討を行っていきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(三塚博君) 梶原議員にお答えを申し上げます。
 消費税引き上げに伴う給付金についてのお尋ねでございますが、平成六年九月に、生活保護世帯、老齢福祉年金等の受給者に一万円の臨時福祉給付金を支給するほか、低所得の在宅寝たきり御老人に対しまして三万円の臨時介護福祉金を支給することが決定されておるところであります。
 次に、納税者番号制度についてお尋ねでございますが、政府税調等の場でただいま検討をいただいておるところでございます。同制度は、国民生活に少なからぬ影響を及ぼすものであるとともに、その効果には一定の限界があることなど、また、プライバシーの問題、資金シフトの問題等が指摘されておりますことも議員御承知のとおりでございます。今後とも、国民の受けとめ方を十分に把握しながら、幅広い観点から論議を深めてまいりたいと考えております。
 次に、ゼロ税率、軽減税率についてのお尋ねでございますが、軽減税率については先ほど総理から述べられましたとおりであります。
 新たな事務負担によるコストが価格にはね返るので、税率五%のもとでは価格低下の効果に疑問がございます。また、軽減税率の範囲は合理的に定めることが極めて難しいといった指摘の点などがこれあり、民間経済におきましても、既に法律で定められました五%の単一の税率を前提に来年四月以降の準備、対応が進められておりますなどの点を踏まえますと、軽減税率は将来的な課題として慎重に検討すべきものと考えております。
 なお、ゼロ税率につきましては、EC諸国においてもこれを否定する考え方がとられておりますように、消費一般に広く負担を求めるのが消費税の性格でありますが、この基本が根本から崩れ、巨額の税収滅をもたらすといった大きな問題がございます。したがいまして、ゼロ税率を採用することは将来とも困難と考えられます。深い御理解を賜りたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(小泉純一郎君) 厚生省幹部の不祥事についてのお尋ねですが、厚生省としては、事実関係の確認をした上で関係職員の厳正な処分を行うとともに、職務関係者等との会食等の全面禁止など、省を挙げた綱紀粛正の徹底に取り組んでおります。
 また、今回の事件において社会福祉施設整備費補助金等の仕組みが悪用されていることについては、施設整備などの業務全般に関する再点検を行い、問題点を解明した上で再発防止策を早急に取りまとめることとしております。これらの取り組みを通じて、厚生行政に対する国民の信頼を回復できるよう全力を尽くしてまいります。
 また、介護保険制度についてのお尋ねですが、内容については、九月に市町村に対する財政面、事務面での支援の強化等を内容とする修正事項が与党の間で取りまとめられ、その合意を踏まえた法案を今国会に提出したところであり、その成立に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
 また、介護保険制度の円滑な実施に向け、新ゴールドプランの確実な達成など介議サービス基盤の整備を積極的に推進するとともに、要介護認定等の試行や財政面、事務面での支援により、市町村における事務執行体制の整備等に努力してまいります。(拍手)
#10
○議長(斎藤十朗君) 上田耕一郎君。
   〔上田耕一郎君登壇、拍手〕
#11
○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。今回の総選挙は、小選挙区比例代表並立制による初めてのものでしたが、戦後最悪の選挙制度であったことが立証されました。
 第一は死票のひどさで、何と五四・六%、約三千九十万票が死票でした。
 第二は大政党の圧倒的有利きです。小選挙区では自民党が三八・六%の得票で五六%、百六十九議席を独得した一方、私ども日本共産党は、その三分の一近い一二・五%の得票を得ながらわずか〇・六%、二議席でした。民意の歪曲ぶりは、「正当に選挙された国会における代表者」という憲法前文違反の疑いさえあります。
 さらに重大な問題は、五九・六%という戦後最低の投票率です。これは三年間の連立政権時代の説明なしの公約放棄、住専問題を初めとする悪政の連続、政党の離合集散と政治家の無節操に対する痛烈な批判のあらわれでもありました。この結果、第二次橋本内閣は全有権者の二割の支持しか得ていません。
 総理はこの三つの問題点をどう考えるか、まずお聞きしたい。
 有権者の最大の批判は、公約違反の消費税の税率アップに向けられました。
 国会として問題にしなければならないのは、政府が六月二十五日の閣議で、消費税改正法附則第二十五条に基づき検討した結果として五%施行を勝手に決定したことです。しかし、一昨年十月の衆議院税制特別委員会で武村大蔵大臣は、国会が判断することですと答弁しています。この国会無視、閣僚答弁じゅうりんの暴挙について総理の責任ある答弁を求めます。
 国民の怒りに押されて、総選挙では自民党の候補者中五%支持はわずかに五人に一人でした。公約は政治家にとって命です。閣僚中、例えば亀井建設大臣の公約は「再検討」で、三塚大蔵大臣はある新聞アンケートでは「延期」、別の新聞には「決定どおり」でした。
 大蔵大臣、真っ向から矛盾した公約乱発という無責任な態度と、消費税担当大臣としての方針との関係についてお答えいただきたい。
 今回の消費税増税は、四人家族で平均十一万円の負担を十八万円にふやすもので、年金生活者、低所得者には死活問題です。国内総生産の六割は家計消費ですから、景気にとっての影響は甚大です。減税こそ必要なとき、逆に五兆円の増税、所得税、住民税の特別減税打ち切りを加えますと七兆円の大増税となり、景気対策としても最低の愚策です。
 私どもが呼びかけました消費税税率引き上げ中止の署名は現在三百五十二万、中止決議を行った自治体は四百を超えました。この世論にこたえて、私どもは参議院で各派共同の三%据え置き法案を提出する準備を行っておりますので、ぜひ各位の御賛同を心からお願いいたします。
 私は、国民生活の擁護、景気回復のために、消費税税率アップの即時中止、所得税、住民税の制度減税化を強く要求し、総理の答弁を求めたい。
 次に、行政改革について質問いたします。
 総理は、みずから行政改革政権と名乗り、所信表明でも「身を燃焼させ尽くしても」と、火だるま風の決意を強調されました。
 我が国の行政機構が中央、地方を問わず、その存在理由を問われるほどの構造的危機にある深刻な事態が多くの都道府県での官官接待、巨額の裏金づくり、大蔵省、通産省、厚生省などの高級官僚の汚職続発で衝撃的に暴露されました。特に厚生省汚職は、政官財の大がかりな癒着で国民のための福祉行政を食い物にしてきた驚くべき事態として、かつてない憤激を国民の間に巻き起こしています。
 ここでは閣僚にかかわる問題を取り上げます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 八九年秋の臨時国会中、消費税の理由づけとして厚生省にゴールドプランの急遽作成を指示されたのは当時の橋本蔵相だったと報じられています。老人保健福祉部長が岡光氏でした。総理には小山容疑者からの献金は一切なかったのかをお尋ねします。
 事件の元凶となった彩福祉グループにかかわる人物が代表者となっている日本病院寝具協会、日本医療食協会の関連政治団体などから、総理の政治団体には合計七百五十万円、三塚蔵相系には千百五十万円、小泉厚相系には三百五十万円の政治資金が提供されていました。適正に処理されている、どこに問題があるの、という総理の言葉には、問題の所在も国民感情もわからない言葉として暗然たる思いであります。
 なぜなら、両協会はかつて医療福祉関係の乱脈営業で公正取引委員会から警告や排除勧告を受けていたからです。総理らが受け取った政治献金が、その時期からいっても、特権的な優遇措置や診療報酬引き上げなどに絡む厚生族議員としての尽力との引きかえでなく、また、国民の税金や健康保険を悪用した法外な暴利の一部でなかったとどうして言えますか。
 総理として、また元厚生大臣として、みずからと閣僚の献金問題も含め、厚生省汚職に対してどういう具体的方策をとる決意なのか、お聞きいたします。
 昨日、衆議院で不破委員長の追及に対し、スポーツなどへの寄附と同じとこじつけた苦し紛れの企業献金合理化論を展開された小泉厚生大臣には、受け取った政治献金が何らかの見返りでなかったかどうか、明らかにしていただきたい。
 私どもの調査によれば、あなたは元厚生大臣でありながら、九二年から九三年、さらに九五年五月から今回三回目の厚生大臣に就任した十一月七日まで、当の日本病院寝具協会の会長でした。ですから、九四年の公正取引委員会の独禁法違反警告について一番よく御存じのはずです。こういう福祉関係の利権行為をどうやって改革するのか、反省も含めてお答えいただきたい。
 通産省汚職は、三菱石油の油田開発などに絡む巨額の政治献金だった疑惑があり、自民党の山崎政調会長にパーティー券一千万円の泉井マネー流入も報道されています。
 今こそ金権腐敗の仕組みそのものにメスを入れ、莫大な企業献金を財源とした政官財の癒着を根絶して、国民の求める行政改革をから取らなければならないときです。
 今回の総選挙は、総自民党勢力と、私ども国政改革を願う勢力との二つの流れの対決でした。行政改革も、政官財の癒着を維持しつつ国民に犠牲を負わせようとする流れと、癒着を根絶し、公共事業と軍事費、特権的減免税の巨大なむだを省いて真に国民に奉仕する行政を実現しようとする流れとの二つの道の対決となっています。
 橋本内閣は、首相直属の行革会議に、豊田経団連会長、諸井日経連副会長、飯田三菱重工相談役と、財界首脳を任命しました。これでは国民の望む行革ができるわけがないではありませんか。
 総理は、所信表明で省庁再編を行政改革の中核と位置づけ、首相官邸の機能強化を挙げました。しかし、財界から莫大な献金をもらい続け、政官財の癒着は放置しっ放しのままで、政府・与党と首相官邸が財界の要求に屈しない制度的、法的保障は一体どこにあるのですか。
 政官財癒着の根絶のために、私ども日本共産党は、企業・団体献金禁止法案、天下り禁止法案、情報公開法案の大綱を公表しました。政府と自民党は、直ちに選挙制度審議会が過去三回にわたって答申した企業・団体献金の禁止に勇気を持って踏み切るべきです。私どもは、企業献金を一切もらわずに、政党助成金も受けずに、旺盛な政党活動を展開しています。自民党という政党は財界献金なしには存続できないのですか、お伺いします。
 天下り禁止も緊急課題です。業界団体や特殊法人を禁止の対象に加えることを初め、抜け穴だらけの現行法を抜本的に改革すべきです。
 以上の各問題について、総理、逃げないで答弁をいただきたいと思います。
 他方、行政改革の名による国民生活に対する攻撃はすさまじいものがあります。
 日本共産党は、全国の都道府県で進行しておりますリストラ地方行革の実態調査を九月に行いました。浮き彫りになった共通の特徴は、大型開発中心の公共事業にはほとんど手を触れずに、保健所の統廃合、老人福祉手当の削減や切り捨て、公共料金の値上げ、職員の削減など、みみっちいほどの福祉と教育、住民サービスの切り下げであります。
 厚生省は通常国会に、独占大企業の異常に高い薬価や医療機器価格にはメスを入れないで、患者負担だけを三倍にする医療保険改悪法案を提出しようとしています。これでは赤字と国民負担増の悪循環が続くだけであります。次官を先頭に福祉を食い物にしてきた厚生省にこんな法案を提出する資格はどこにあるのですか。厚生大臣、いかがですか。
 行政改革、中でも規制緩和に対する財界の要求は傍若無人のものがあります。日経連が六月五日に行政改革委員会に提出した要望には、残業に関する三六協定の届け出の廃止、労働基準法の所定労働時間における八時間規定の削除、罰則の廃止など、とんでもない要求が列挙されています。これは世界でもまれなルールなき資本主義の道をさらに突き進もうとしているものでしかありません。
 今、変形労働時間を悪用した長時間労働の強要が多くの職場で広がっています。既に、郵便局のニュー夜勤という連続夜勤では過労死三十一名という悲惨な事態が生まれており、国立病院での看護婦二交代勤務制も患者の命と看護婦の健康にかかわる危険が指摘されています。この上、女性の深夜労働の保護規定切廃止や労働基準法の原則の緩和が行われれば、女性の職場進出はより困難になり、労働者の健康と家庭生活の破壊はとどまることを知らないでしょう。政府は、財界の法外な要求を受けての改悪を一切やめるべきです。総理の考えをお聞きしたい。
 超低金利による銀行くの所得移転、産業空洞化による下請中小企業の深刻な状況、減反に悲鳴を上げる農民、小売店の全国的減少と衰退など、長い不況の中で国民生活の苦しみは加重されるばかりであります。総理はこのような国民生活の具体的な改善策はお持ちなのか、あれば示していただきたい。
 法人税は減税、他方、国民には消費税増税、福祉、教育は無残に打ち切る。アメリカと財界の要求に屈した軍事費とゼネコン型の公共事業放漫拡大のために国債を野方図に発行し続けた結果が今の財政危機、なぜそれを国民の犠牲だけで脱出しようとするのですか。総理の選択は決定的に誤っています。それぞれの問題に答弁を求めたい。
 次に、阪神・淡路大震災被災者への個人補償問題について質問します。
 被災者の窮状は、百名を超える孤独死、自殺者の続出と、言語を絶するものがあります。私どもは被災者の生活再建支援法案大綱を公表しました。家屋全壊の方で住宅と生活再建に一千万円という内容です。憲法上無理という政府の主張は論拠がありません。憲法第二十五条に生存権と政府の努力義務が規定されているからです。災害救助法第二十三条一項七号には、「生業に必要な資金、器具又は資料の給与又は貸与しと規定しており、個人補償は現行法でも可能でございます。
 個人補償問題について研究してみたいという態度を表明された伊藤国土庁長官に研究の中間報告をいただければと思います。
 次は、沖縄・安保問題であります。
 沖縄の軍事基地の整理・縮小問題では、普天間飛行場問題でも、百五十五ミリりゅう弾砲の実弾射撃訓練でも、基地たらい回しという政府の方針では何も解決しません。那覇軍港の返還が二十二年たって一歩も前進しないのは移設条件つきだからであります。今回の最終報告が了承しました代替ヘリポートの海上施設計画、これには新たな基地建設と環境破壊に対して地域住民と自治体、沖縄の漁業組合がこぞって強烈な反対運動を展開しているではありませんか。政府はあくまで強行するつもりなのですか。
 在沖縄米軍の六割を占め、少女暴行事件など米軍犯罪の主役となっております米海兵隊の撤去こそ基地縮小の本丸であります。
 沖縄海兵隊は、日本防衛には全く無関係で、西太平洋から東アフリカまでが守備範囲、師団規模の米海兵隊の海外基地は日本だけてあります。琉球新報、沖縄タイムズも海兵隊撤去を主張しています。来年の戦力構造見直しを控えて米軍内部にさえ海兵隊縮小・撤去論があるのに、日本がなぜその主張ができないのですか。総理の考えをお聞きしたい。
 日米の外交・防衛当局の間で進行中の日米安保共同宣言に基づく日米防衛協力の指針の見直しについて質問いたします。
 十一月の日米共同演習キーン・ソード97では、米軍と自衛隊機が米空母インディペンデンスの防衛訓練を行いました。ガイドライン見直しで、日本有事でなく、日本周辺有事の際の自衛隊の対米協力の中に、米軍艦船の護衛や対潜哨戒、機雷の樹海、AWACSやP3Cなどによる監視・警戒活動、情報収集などが含まれる可能性があるのかどうか、久間防衛庁長官の答弁を求めます。
 日米軍事協力の拡大を先取りした昨年の新防衛計画大綱について、アメリカの議会調査局の報告書は、現在の憲法解釈を超えるものと評価しています。明白な憲法違反のガイドラインの見直しは中止すべきであります。総理の答弁を求めます。
 本年九月、アメリカは、イラクが不当な軍事行動をとったとしてミサイル攻撃を強行しました。橋本首相は、攻撃のその日の夜、いち早く支持コメントを公表しました。
 そこで、お聞きしたいのは、アメリカの軍事行動の国際法上の根拠は何なのかという問題です。
 国連憲章のもとでの武力の行使は、国連の決議に基づくか、憲章第五十一条の個別的、集団的自衛権に基づぐかの二つ以外に承認されておりません。前者については、米軍の軍事行動はどの国連決議も認めておらず、国連安保理事会も承認しませんでした。後者については、今回、アメリカも同盟国もイラクから何らの武力攻撃を受けておりません。アメリカのイラク攻撃は国際法を全く無視した違法のものであります。
 だとすると、アジア太平洋地域でも、安保再定義とガイドライン見直しによって、日本が何らの武力攻撃を受けていないにもかかわらず、国際法を無視したアメリカの軍事行動に日本が巻き込まれ、自衛隊が憲法違反の軍事行動に出る現実の危険が生まれるではありませんか。だからこそ日本共産党は、平和と安全のために日米安保条約第十条の終了通告による日米軍事同盟の解消を求めているのであります。
 日本が当面している深刻な危機的状況は、二十一世紀を迎えて日本が選ぶべき進路は何かという問題を全国民の前に提起しています。日本共産党は、今回の総選挙で「国民の声が生きる政治で二十一世紀の新しい日本を」と訴えて奮闘いたしました。非核・非同盟、国民本位の民主的改革という道以外に進路はないという確信を述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(橋本龍太郎君) 上田議員にお答えを申し上げます。
 まず、今回の総選挙に関してのお尋ねでありますが、小選挙区比例代表並立制につきましては、御指摘の死票などの問題点も含めましてさまざまな角度から長期間にわたる論議を重ねた結果、政権の選択についての国民の意思が明瞭な形で示される小選挙区制と、多様な民意を反映する比例代表制を並立的に組み合わせようという見地から導入されたと承知をいたしております。
 さきの総選挙が低い投票率にとどまったことは極めて残念であり、その背景として指摘されている政治的無関心の増大、政治不信の増大等の御意見を真摯に受けとめながら、政治に課せられた幾多の課題の解決に全力で取り組んでまいる所存であります。
 次に、去る六月二十五日の閣議決定につきましては、消費税率五%への引き上げは、平成七年から先行実施している所得税、個人柱氏税の恒久減税とおおむね見合うものであり、平成六年秋に議論され、国会での御審議を経て法律で定められたものであります。去る六月の閣議決定はこの法律の規定どおりに施行することを確認したものであり、国会無視といった御指摘は当たらないと思います。
 来年四月からの増税を中止せよという御指摘でありますが、この増減税一体の税制改革は、高齢化の進展に税制面から対応するものとして我が国の将来にとって極めて重要であると考えております。このため、来年四月の消費税率の引き上げは法律どおり実施していくべきであると考えております。
 所得税、個人住民税の特別減税を恒久化せよという御指摘でありますが、恒久的な新たな財源を必要とするもので、現在の財政状況を考えますと、これはとり得ないと思っております。
 また、小山容疑者から私への献金の有無及び厚生省汚職への対応について御質問がありました。
 まず、小山容疑者という方からの献金はございません。
 次に、私の政治献金について一部で報道されましたので事実関係を申しますなら、九〇年以降、日本病院寝具政治連盟及び日本メディカル給食政治連盟、合わせて計七百万円の寄附を受けており、政治資金規正法上適正に処理してまいりました。
 今回の一連の不祥事の発生により、改めて政治資金規正法に基づく寄附の厳正かつ適正、透明性のある処理、その重要性を認識した次第であります。
 次に、厚生省の不祥事につきましては、その事実関係を確認した上で厳正な処分を行うとともに、綱紀の粛正の一層の徹底を図り、また、社会福祉施設整備費等の仕組みが悪用されましたことについては、事実関係を究明した上で再発防止策に早急に取り組むことといたしております。
 次に、行政改革の推進につきましては、広く国民各界各層の御意見を伺ってこれを集約するとともに、幅広い支持を受けることが極めて大事だと考えており、行政改革会議は内閣総理大臣である私自身が会長となるとともに、委員の人選につきましても、各界各層の広い有識者の方々の英知を結集するという観点から、関連する審議会等の会長にもお入りをいただき構成をいたしました。
 官邸機能の強化につきましては、行政改革の検討に当たり、まず国家や行政が何を求められているのか、そうした点から根本的に間い直しながら、その上で、複雑多岐にわたる行政課題に縦割り行政の弊害を超えて国民本位で的確かつ効率的に対応できる組織体制をつくらなければならないと考えております。
 このため、この行政改革会議におきましては、まず二十一世紀における国家機能のあり方から幅広く議論をするとともに、これを踏まえた行政機関の再編のあり方や官邸機能の具体的な強化策について検討し、一年以内に成案を得ることといたしております。この過程におきましては、委員以外の方々からも幅広く御意見を伺っていきたいと思います。
 企業・団体献金の禁止及び自由民主党への献金について御指摘がありましたが、企業・団体献金につきましては、先般の三党政策合意におきまして、「政治資金規正法附則九条、十条において、法律施行後五年を経過した場合、資金管理団体に対する寄附の禁止、政党・政治資金団体に対する寄附のあり方の見直しを定めていることを踏まえ、政治資金のあり方について今後、さらに協議を進める」こととされておると承知しており、その動向を見守ってまいりたいと考えております。
 なお、社会に実在する企業が政治的意思を表明する手段の一つとして節度を保ち透明性を高める形で政党に献金することは否定されるべきではないと思います。
 次に、いわゆる天下りについてのお尋ねがございました。
 公務員の再就職につきましては、行政に対する国民の信頼確保の観点にも配慮しながら、公務員のライフサイクル全般にわたる制度運用の問題として適切な解決策を見出すべき課題だと考えております。
 なお、再就職に関する法律上の制限を拡大することにつきましては、職業選択の自由などとの関係あるいは知識経験の有効活用といった点もありまして、慎重に対応する必要があると考えております。
 次に、労働基準法制の見直しについてお尋ねがございました。
 政府としては、働く方々が意欲を持って働き、その能力を十分に発揮しながら、評価されるような環境を形成していくという観点から見直しや検討を進めることが必要であると考えております。この問題につきましては、現在、公労使三者から成各関係審議会において御議論をいただいておりまして、その結果を踏まえて対処してまいりたいと考えます。
 次に、国民生活の改善策というお尋ねがありました。
 急速な高齢化の進展や産業空洞化などの懸念の問題に対し豊かな国民生活を実現しようとするためには、経済構造改革を総合的に進める必要があります。特に、質の高い雇用機会の確保を図ることが基本であり、そのためにも新規産業の創出、規制緩和などを強力に推進してまいります。また、我が国の産業競争力を支えて地域の経済と雇用の担い手であります地域の技術集積を活性化する対策もあわせて進めてまいります。
 また、我が国における財政危機についてのお尋ねがございました。
 我が国財政は、厳しい税収動向の続きます中で、バブル崩壊後の景気の下支え等のために累次にわたって対策を実施したこともありまして、公債残高が急増し、八年度予算も二十一兆円に上る公債発行に依存せざるを得ませんでした。しかし、二十一世紀に向けてこのような財政の状況を放置することはできません。今後、歳出全般につき制度の根本にまでさかのぼって洗い直しを行うことが重要な課題であると考えており、財政構造改革に強力に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、普天間飛行場返還に伴う代替ヘリポートの建設問題についてのお尋ねでありますが、二日開催されました日米安全保障協議委員会におきまして、海上施設案というものを追求して、新たに設置する普天間実施委員会が遅くとも来年十二月までに実施計画を作成することになりました。
 今後、建設候補水域の特定を含む実施計画の作成に当たりましては、地元の理解と御協力をいただくことが何より重要と考えており、政府としてはそのために最大限の努力を払っていくつもりであります。
 次に、政府としては、在日米軍の存在は日米安保条約の目的達成にとって不可欠であり、また、我が国に駐留する海兵隊についても、その有する高い機動力、即応性というものを通じ在日米軍の重要な一翼を担っていると考えており、現時点において海兵隊の撤退を求めることは考えておりません。
 次に、日米防衛協力のための指針の見直しについて、これはこれまで進められてまいりました日米間の防衛協力を基礎として、新しい時代におけるより効果的な日米の防衛協力関係を構築することを目的としており、あくまで日本国憲法の枠内で行うものでありまして、我が国の憲法に関する政府の解釈を変更するものではございません。
 次に、順序を変えて関連して申し上げますが、その見直しについて、国際法を無視したアメリカの行動に云々というお話がございました。
 日米安保共同宣言とそれに基づく指針の見直しは、これまで進めてまいりました日米間の防衛協力を基礎として、新しい時代におけるより効果的な日米の防衛協力関係を構築するものであり、あくまで憲法の枠内で行うものと繰り返してお答えを申し上げます。
 最後に、アメリカのイラク攻撃の国際法上の根拠についてお尋ねがございました。
 イラクに対し、特にクルド人居住区におけるイラク民間人に対する抑圧を非難し、この抑圧を直ちに中止すべきことが安保理決議により定められており、イラクの北イラク進攻はこれに反するものと考えます。
 このようなイラクの安保理決議違反に対する米軍の行動は、イラクに関する累次の安保理決議全体の規定に照らし、これに整合するものと認められると考えております。
 残余の質問は、関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(三塚博君) 上田さんの御質問でございます。
 総選挙に当たりましてさまざまな取材を受けたことは事実でございますが、どのようなことなのか、まとめられた経過なども含めて判然といたさぬ感じを受けました。
 私は、総選挙近しという新政策研究会の総会、旧清和会と言っておりますが、議員団、衆参合わせまして七十五名でありますけれども、消費税の重要性、財政再建の重要性、少子・長寿社会に向けての給付と負担の問題、これらを深刻に受けとめながら、政府決定、三党決定の五%は守り、国民の理解、有権者の理解を求めるべく頑張ってまいろうではありませんかと、週に一回開かれる総会でありますが明言をいたしております。
 ちなみに、この総会は自由民主党詰めの記者諸君二十余名いつでも出席であります。また、総選挙公示の前日、地元におきまして合同記者会見、各社全員であります。明確に消費税五%の重要性を申し上げております。そういうことで御理解を賜ります。(拍手)
   〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(小泉純一郎君) 政治献金についてのお尋ねですが、政治資金規正法にのっとり適正に処理されている献金があたかも不正であるかのように言われるのは甚だ迷惑であります。
 上田議員は企業・団体献金を一切禁止せよという主張でありますが、現実の社会を見ると、企業の寄附、協力なしにいろいろな活動が果たして成り立っているのかということを考えますと、スポーツ、例えば野球にしてもサッカーにしてもゴルフにしても、音楽、芸術、クラシック、ポピュラー、オペラ、その他芸術関係にしても、テレビ、新聞にしても、企業の寄附、協力なしにその活動が成り立っているものはないと言ってもいいぐらいであります。
 一方、政党や政治家は、本来、地域の住民の福祉の向上や国家国民の発展のために献身的活動をしているのが政治家や政党のあるべき姿であります。そういう政治家や政党が一定の規制のもとに企業献金、団体献金を受けることが必ずしも私は悪だとは思いません。政党や政治家を育てるのは国民であります。その政党や政治家の自由で活発な政治活動を支える資金がどうあるべきか、それは各党各会派でじっくりと冷静に御議論をいただきたいと思います。
 御指摘の日本病院寝具協会についてでありますが、平成五年及び平成六年の公正取引委員会からの勧告、警告を十分踏まえ、今後とも公正な競争を阻害するようなことがないよう関係団体にこうした趣旨を伝えていくとともに、必要があれば制度自体の改善も行ってまいりたいと思います。
 医療保険改革についてのお尋ねですが、二十一世紀の本格的な少子・高齢社会を控え、今後とも良質かつ適切な医療を安定的に提供していくためには、それを支える医療保険制度を安定的に運営していくための改革は避けて通れないと思います。
 このため、社会保障構造改革の一環として、医療提供体制と医療保険制度に関する改革を総合的かつ段階的に進めていくこととしており、その第一段階として、平成九年においては医療保険制度の抜本的な見直しに着手するとともに、緊急の課題である医療保険の財政収支の均衡を図るため、給付と負担の見直しを初めとする医療保険改革が必要であると思います。御理解をいただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣伊藤公介君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(伊藤公介君) 阪神・淡路大震災の被災者に対します個人補償についての検討の結果はどうであるかという御質問でございました。
 これまで政府は、震災で住宅や家財を失った被災者の方々の生活再建をするために、公営住宅を大量に供給をし、そしてまた、それらの家賃の大幅な引き下げなど、被災者の方々の生活再建に対しましてあらゆる政府のでき得る可能な限りの対策を講じてきたところでございます。
 私有財産制度のもとで個人の補償を政府がするということにつきましては極めて困難なことだと私は考えておりますけれども、しかし被災者に対して限りなく光を与え続けることは政治の大きな責任だと、こうした立場に立って、今後も地元の自治体の皆さんの声もしっかりと承りながら、そしてまた、被災者の生活再建に向かってこれからも最大の努力をし、検討していくことをお答えを申し上げたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣久間章生君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(久間章生君) 日米防衛協力のための指針の見直しに関するお尋ねですが、主な研究・協議事項のうち、日本周辺地域において発生し得る事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力については、先ほど総理もおっしゃいましたように、憲法の枠内で今後具体的な機能及び分野を抽出し、日米防衛協力の今後のあり方について検討を行うこととしており、現時点でその具体的内容について申し上げることは困難であります。(拍手)
#17
○副議長(松尾官平君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#18
○副議長(松尾官平君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。笹野貞子君。
   〔笹野貞子君登壇、拍手〕
#19
○笹野貞子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、橋本総理大臣の所信表明に対する質問を行います。
 私たち民主党・新緑風会は、今国会で結成された新しい会派です。さきの総選挙では、戦後最低の投票率という形で国民の政治不信が表明されました。私たちの会派には、この国民の政治不信に対する強い危機感を共有した議員が結集いたしました。私たちの目指すところは、国民の政治への信頼回復です。
 この政治不信を増幅しているのは、古くはロッキード、リクルート、近くは厚生省を舞台とした福祉を食い物にする補助金汚職や泉井マネー疑惑、オレンジ共済問題など、とどまるところを知らない政官業の癒着と腐敗の構造です。
 国民の政治への信頼回復のキーポイントは、政治家がいかに政官業の癒着構造を打ち破るか、政治がいかに二十一世紀に向けた我が国の改革にリーダーシップを発揮するかであります。私たちは、参議院の良識の府としての役割を十分果たし、改革のリーダーシップを発揮して、国民の負託にこたえる所存です。
 この間の構造汚職について、総理は公務員に自戒と自覚を促しています。これほど国民の行政不信、官僚への怒りとかけ離れた筋違いの処方せんはありません。
 総理、今回の総選挙の低投票率を一体どのように受けとめているのですか。公務員の不祥事の根源がどこにあると認識しているのですか。そして、国民の行政と政治に対する信頼を具体的にどのように回復しようとしているのか、お答えください。
 次に、消費税について伺います。
 政府は、来年四月からの消費税の税率五%への引き上げを六月に閣議決定いたしました。四兆八千億円からの負担を新たに国民に背負っていただこうという重大な問題です。これを国会での十分な議論もないまま、九月末の見直し期限を待たず早々と決定しました。にもかかわらず、自民党の国会議員や閣僚の中には、税率の三%凍結を主張して今回の総選挙を戦った方がいます。五%への引き上げでは戦いづらかったお気持ちはお察しいたします。
 さて、消費税の税率引き上げについては、消費税法附則において、福祉などの社会保障の財源確保や財政状況とともに、行革の推進状況や消費税に係る課税の適正化の状況などを勘案することになっております。抜本的な行政改革の断行や消費税制の見直しなくして税率引き上げは許されません。特に、消費税は制度に手をつけないまま税率五%というのでは、余りにも弱者に対する配慮がなさ過ぎます。逆進性の是正、益税の解消のために消費税制改正を早急に行うべきだと考えます。総理及び大蔵大臣のお考えを重ねてお聞きいたします。
 さて、世界各国の国際競争力を比較したスイスの世界経済フォーラムの世界競争力報告書によれば、一九九三年まで九年間にわたって世界のトップを占めていた我が国の国際競争力は、昨年は四位、そしてことしは十三位と大幅に後退しています。その主な原因は国際貿易、金融面での閉鎖性にあり、経済の自由化が広がっていかない限りトップに返り咲くことはないと指摘しています。
 ドイツ政府がドイツの地位の維持発展のための産業立地政策を実施しているように、今、欧米各国法財政改革と競争力強化のためのプランに取り組んでいます。我が国も縦割り行政を是正して、行財政改革、税制改革から、研究開発、教育改革に及ぶ日本版競争力強化戦略とも言うべき総合的、体系的な計画を早急に策定すべきと考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。
 例えば、競争力強化のための見直しが求められている問題の一つに法人税改革があります。今回の政府税調法人課税小委員会の報告は、競争力強化や産業構造の転換という明確なメッセージが感じられません。課税ベースの拡大と言いながら、二十年以上も続いている租税特別措置にすらメスが入らない状況で放置されています。高度成長期の税制からの転換、国際化の対応と新産業創出といった明確な理念の見える改革が行われるべきだと思います。
 理念なき改革の一例が賞与引当金や退職給与引当金制度などの廃止と縮小という案です。これらに踏み込もうとするならば、日本型雇用制度の見直しという課題に労使が本格的に取り組むことが先決です。しかも、日本型の長所をどう生かすか、あるいは日本型と欧米型のベストミックスについても視野におさめた議論が必要です。単年度予算の整合性や財政の論理のみにきゅうきゅうとするのではなく、産業構造改革の理念とビジョンに沿った計画的な改革プログラムを提示すべきではないでしょうか。総理の所見をお伺いします。
 次に、補助金行政についてお伺いいたします。
 食糧費流用、官官接待、そして補助金汚職など、連日のように報じられる公務員の不祥事は目を覆いたくなります。その温床の一つに補助金行政があります。
 本年度の補助金などの件数は二千二百二十四件、約二十兆に上ります。政府は、住専処理関係を除いても本年度新たに約千八百億円もの補助金をつくり出しています。伝えられるところによると、大蔵省は、福祉施設関係の補助金を見直すと言います。しかし、今回露呈した問題は福祉施設関係に限ったことではありません。この際、族議員を巻き込む補助金行政のあり方を抜本的に見直し、補助金の大幅削減と一般財源化を断行すべきだと思いますが、大蔵大臣はいかがお考えでしょうか。
 次に、行革の一丁目一番地というふれ込みで始まった大蔵改革について一言お尋ねいたします。
 そもそも与党三党は、九月、金融機関の検査・監督機能を一体的に大蔵省から完全分離することを合意したのではなかったでしょうか。ところが、今、大蔵省の巻き返しなどもあり、国税庁型や総理府外局型が飛び出したり、検査機能のみの分離案が自民党内で浮上して、論議は迷走しています。
 密室での恣意的な大蔵行政を改革し、透明度の高い効率的、合理的な金融システムを確立するという原点に立ち返って、両機能を大蔵省から完全に分離・独立させるべきだと考えます。総理が慎重論の旗頭のようにも報じられています。この際、真意を明らかにしていただきたい。
 次に、阪神・淡路大震災の復旧・復興対策についてお聞きします。
 震災の被害に見舞われた方々が三回目の冬を迎えようとしています。予算をめぐっては、与党の一部から選挙の報復などという心ない声が上がっているようですが、国会議員にあるまじきことです。仮設住宅では、だれにもみとられず孤独死をされた方がいるのです。
 一年十一カ月を経た今日、被災地にはようやく緩やかながらも産業復興の兆しか見えてきました。しかし、雇用情勢は厳しく、また、住宅、医療など被災者の生活分野については再建のおくれが目立ちます。これからの復興対策の重点を個人の生活の自立のための支援に置くべきです。
 そこで、まず補正予算においてどのような復旧・復興対策を考えているのか、また、その財源見通しについてお示しいただきたいと思います。
 被災の状況、自立の道筋など、きめ細かい支援策が必要です。個人に対する公的支援を何らかの方法で実施すべきだと考えますが、政府はどのような対策を検討されているのか、総理にお伺いいたします。
 あわせて、国が関与する形での住宅地震共済制度の創設について、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
 次に、公共事業についてお尋ねいたします。
 今回の補正予算については、政調会長や幹事長が選挙中に五兆円規模の景気刺激型予算構想を打ち出すなど、自民党内に公共事業のばらまきの非常に強い圧力があるようです。しかし、道路、河川、港湾、農業などの公共事業予算は、昨年度は消化できずに大幅な繰り越しか出たではありませんか。しかも、従来型の公共事業は、その景気対策としての経済効果に多くの学者から疑問が投げかけられています。
 総理は、補正予算のあり方、公共事業の見直しについてどのようにお考えになっておられるか、明らかにしていただきたいと思います。
 次に、厚生省の汚職疑惑について伺います。
 総理は、五大改革の一つとして社会保障改革を提唱されています。ところが、これを主管する厚生省では、前事務次官初め多数の官僚の汚職疑惑が噴き出す始末です。この一連の汚職疑惑に対する明確なけじめなしにはいかなる改革案も国民に支持されないことは明白です。いかなる措置をとられるのか、総理及び厚生大臣に明らかにしていただきたい。
 次に、厚生省の不祥事で行方が危ぶまれている公的介護保険制度についてお尋ねします。
 超高齢社会を目前にして、国民は政府提出の法案について期待と不安を持って注目しています。この法案については、世代間の社会的連帯に基づく福祉制度の確立という意味でも極めて大きな意義を持つと認識しています。しかし、各論では、介護サービスの範囲や費用負担のあり方、サービス給付の基盤整備、サービスの質の確保のためのオンブズマン制度の導入などといった観点等も踏まえて十分に論議していかなければなりません。
 国民合意の制度確立を目指して、国会審議では議論を尽くし、政府も真摯に国民の意見に耳を傾けて、与野党一体となってよりよい制度をつくり上げていくという姿勢が欠かせないと思います。政府の基本姿勢を厚生大臣にお尋ねします。
 次に、医療改革について伺います。
 総理は、医療保険改革法案を次期通常国会に提出する考えを示されました。しかし、国民は医療改革の全体像について何も知らされていません。三時間待って三分の診療や薬漬け医療がいかに解消されるのか、医療サービスの向上や医療の効率化がいかに図られるのか、こうした国民の医療に対する不満や不信に対して何らの見通しも示さないまま、ただ財政の論理で保険料の引き上げや患者負担をふやす法案を提出しようとしているのですか。
 医療保険制度改革の早期実施の最大の理由は、政管健保の財政破綻にあると言われています。しかし、例えば政管健保の国庫補助繰り入れの特例措置は、平成六年度までの合計額が運用益を含んで約九千五百億円に達しています。これをもってすれば来年度の赤字は穴埋めが可能です。医療保険改革法案は、拙速を避け、良質で効果的な医療体制を実現する医療改革のトータルプランを示して十分な論議を尽くすべきです。総理に再考を求めますが、いかがでしょうか。
 次に、総理も指摘されている改革に伴う摩擦についてお聞きします。
 経済社会の活力の源泉は勤労者にあります。改革の名のもとに労働者を物的資本と同列に扱うとすれば、経済活力と社会的安定を損ない、中長期的に我が国の国際競争力を低下させることになるでしょう。高度産業社会を支える技能、教育、知能など人的資本を大競争時代の中心要素と位置づけることが必要です。
 アメリカのクリントン政権の労働長官は、米国企業の安易な人員削減による減量経営を批判し、職業訓練や再雇用制度の整備など雇用確保や労働条件改善の企業努力を促すために、法人税の減免等の優遇税制を提案したことがあるといいます。今、米国では、教育とOJT、すなわち職場内訓練、人材・能力開発等の人的資本育成の重要性が指摘されています。
 総理は、質の高い雇用機会をつくり出すために、企業と労働に関する諸制度の改革や人の効率的な移動を支える基盤整備を行うと表明されました。質の高い雇用機会の創出、そして失業なき労働移動のためには、教育改革と職業能力開発にしかるべき公費を投入すべきだと考えます。総理のおっしゃる基盤整備の具体的な内容をお示しいただきたいと思います。
 最後に、男女共同参画型社会の実現について伺います。
 国連開発計画の人間開発報告書によれば、日本は、健康や教育、所得などの基本的な分野において男女平等の度合いが世界十二位にとどまっています。また、議員や行政職・管理職、専門職・技術職における男女の比率では世界で三十七番目です。政治や経済への参加や意思決定の重要分野での平等が極めて立ちおくれているということを示しています。
 女性の社会参加の促進、働く女性がその能力と実績で評価される公平な社会の実現は、まさに時代の要請です。目前に迫っている超高齢化社会に向けて活力ある社会を維持するためには、女性の意欲、能力を十分に生かす社会条件を整備することが急務です。
 女性を補助的な労働力とみなす経営はもはや通用しません。先ごろなされた芝信金差別事件訴訟の判決はこれを端的に示すとともに、現行の男女雇用機会均等法の限界を示しています。現在、同法の見直しか行われていますが、差別の禁止規定を強化するとともに、調停機関の機能や権限を強化するなど実効性ある法制度を確立すべきだと考えますが、総理はいかがお考えですか。
 また、女性の社会進出の妨げになっている封建的な古い家族観を見直し、民主主義の原点である個人を基本単位とする諸制度に切りかえることが必要です。例えば、配偶者にかかわる税制や社会保障制度、企業の諸手当、また、働く女性にとって不便を生ずる夫婦の氏の問題等、婚姻制度などの改革が必要です。
 年内に策定されるという男女共同参画型社会の実現のため、新しい国内行動計画にはぜひこうした性差別につながる制度・慣行の改革を盛り込むべきだと考えますが、総理はいかがお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(橋本龍太郎君) 笹野議員にお答えを申し上げます。
 まず、低投票率、公務員の不祥事、そして国民の行政と政治に対する信頼の問題についてのお尋ねがありました。私も強い危機感を持っております。
 今、非常に厳しい内外の情勢を踏まえて、日本自身が大きく変わらなければならない、あらゆる分野においての変革を求められておりますときに、行政の、また政治の信頼が大きく傷つく、あるいは不信が表明される、こうした事態は何としても改善していかなければなりません。
 そして、そのためには国民の皆様に政治に関心をまず持っていただく、そして信頼をしていただけるようになるために、私ども政治家自身が不断に努力をしなければなりませんし、行政も襟を正し、使命感を持って職に当たってもらわなければなりません。
 国民の政治を見る目、そしてその背後にある政治課題すべてに対し、私たち政治家自身、政党会派が真剣に問うていかなければならないと思っております。そして、そのためにも行政改革を初めとする五つの改革の問題について真正面から取り組んでまいりたい、そのように考えております。
 次に、消費税率についてのお問い合わせがございました。
 逆進性の是正あるいは益税解消のためにというお尋ねでありますが、平成六年秋の税制改革におきましては、新ゴールドプランなど福祉の充実のための財源を確保しております。また、真に手を差し伸べる必要のある弱い立場の方々に対し、臨時給付金の交付など必要な措置を講じてまいります。また、益税問題におきましては、四月の消費税率の引き上げ七同時に限界控除制度を廃止するなど中小特例措置を大幅に縮減することとしておりまして、益税問題は相当程度解消すると考えております。
 次に、日本の国際競争力の強化という点から四点の御指摘をいただきました。
 まさに、国際競争力の強化の時代におきまして世界経済が大競争時代に入っている、そうした認識について私は議員と意見を異にするものではありません。我が国が産業空洞化の懸念、財政の危機的状況等、山積する課題に直面しておることもまた事実であります。
 そして、こうした状況を克服しながら我が国の経済の活力を今後ともに維持していくためには、私ども自身、我が国の経済社会システムを抜本的に見直していく必要がございます。そのために、財政構造改革、経済構造改革など、この五つの改革を政府全体で強力に推進していき、また、国会からも御支援を願わなければなりません。
 法人課税につきましては、現在、税制調査会で議論されているところでありますが、税の公平中立等の基本的な視点に加えで、我が国の産業構造の変化などの観点も踏まえながら、課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げるという基本的な方向に沿って見直しを行うことが適当であると考えております。そして、この方向その見直しは企業活力の発揮の上にも、また、新規産業の創出のためにも役立つものだと思います。
 賞与あるいは退職金制度など我が国の雇用をめぐる制度につきましては、基本的には私は労使の間の自主的な話し合いによって決められるべき問題である、そのように思います、
 また、産業空洞化、高齢化等の問題に対応して経済活力を維持していくために、経済構造改革を総合的に進めていかなければなりません。具体的には、新規産業の創出や魅力のある事業環境の整備などに向けまして、規制緩和、企業と労働に関する諸制度の改革、技術開発などを推進してまいります。これらの政策を政府全体で強力に推進していくために、経済構造の変革と創造のためのプログラムを今月半ばにも策定したいと努力をいたしております。
 次に、金融監督行政の問題についてお触れになりました。
 先般来お答えを申し上げておりますけれども、金融の検査、監督体制のあり方につきまして、現在、与党三党において検討が進められているところであります。与党とも十分御相談をしながら、先般の政策合意を踏まえましてできるだけ早期に具体的な結論を得て、次の通常国会に所要の法案を提出したいと考えております。
 次に、阪神・淡路大震災に関連してお尋ねがございました。
 まず、今後被災地の復興に必要となります経費については、補正予算も視野に入れながら、その確保につき適切に対処していきたいと考えております。財源の見通しにつきましては、今後検討していくべき課題であると思います。
 次に、被災者の生活再建に向けた公的支援策につきましては、これまでにもさまざまな施策を讃してまいりました。住宅等につきましても、地方自治体と御相談をしながらその数を決め、既に八割程度、多分もう少し今は超えていると思いますが、用地を確保していただき、着工にかかっている状況でございます。また、その場合の家賃につきましても、私自身、現地の声を聞きまして対応をさせていただいてきました。現在、自治体との間で被災者の方々の健康・福祉あるいは生きがい対策など、きめ細かな対策の拡充に向けて検討を行っているところでございます。
 それから、住宅地震共済保険制度の創設につきましては、例えば兵庫県が提唱しておられる新しい住宅地震災害共済保険制度のような構想は、今回の被災体験を踏まえた一つの貴重な御提案だと受けとめております。しかし、大震災に起因する各種のリスクにどう対応するかという点につきましては、阪神・淡路地域の復興だけではなくて全国的な観点も含めながら、中長期的な視点に立ち、さまざまな角度から幅広く検討する必要があると考えております。
 次に、公共事業について、関連して補正予算のあり方等についてのお尋ねがありました。
 まず、公共事業についてのお尋ねでありますが、これまで限られた財源の中で国民生活の質の向上や経済構造改革に資する分野などへの重点的、効率的な配分に努めてまいりました。今後ともに施策の優先順位の厳しい選択や投資効果の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、補正予算につきましては、その時々の社会経済情勢に応じ、必要となる財政需要に対応するため、適切に編成をしたいと考えております。
 次に、厚生省をめぐる疑惑に対するけじめについてのお尋ねをいただぎました。
 公務員の最高幹部として行政の先頭に立つべき者が不祥事を起こす、こうした事態が続いておりますことはまことにざんきにたえませんし、国民に対してはおわび以外の方法がありません。
 特に、行政改革あるいは社会保障構造改革に取り組もうとしているやさき、こうした事態が生じておりますことは本当にゆゆしき事態でありますし、全省庁に対し綱紀の粛正の指示を徹底すると同時に、特に小泉厚生大臣には個別に指示をいたしました。これを受けて、小泉厚生大臣に但率先して省を挙げた綱紀粛正と再発防止に取り組んでいただいており、政府全体としても断固たる取り組みを図ってまいります。
 また、医療保険改革について御意見をいただきました。
 今後ともに国民に良質かつ適切な医療を提供してまいりますためには、医鷹を効率化していくと同時に、医療保険制度の安定化を図る必要があります。このためには、医療提供体制と医療保険制度に関する改革但総合的かつ段階的に進めていかなければなりません。
 議員の御意見のような考え方は私は一つの考え方とは思いますけれども、同時に、その措置は深刻な状況を先延ばしにするだけではないでしょうか。近年の深刻な赤字構造に陥っております政府管掌健康保険の立て直しのためにも、抜本的な措置としての医療保険改革はぜひとも必要でありますし、改革の第一段として給付と負担の見直しを初めとする医療保険改革法案を次期通常国会に提案したいと私どもは考えております。
 続いて、高度産業社会を支える人的資本という観点からの御指摘をいただきました。
 大競争時代における人的資源、これはまさに御指摘のように、質の高い雇用機会をつくり出すために企業と労働に関する諸制度の改革を進めることが必要であります。このため、職業能力開発の推進体制の整備など労働・雇用制度の改革、企業組織制度の改革などを積極的に進めていきたいと思います。
 人の効率的な移動を支える基盤整備につきましては、特に高付加価値化、新分野展開を担う高度な職業能力を備えた人材の育成が急務となっております今、高度技能労働者等を育成する職業訓練体制の充実など公共職業訓練の高度化、創造性に富む人材を育成するための自己啓発の促進について、必要な法的整備を含め施策の充実を図ってまいりたい、このように思います。
 また、男女雇用機会均等法の見直しについてのお尋ねでありますが、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保を一層図ること、これは重要な課題だと考えています。こうした観点から、男女雇用機会均等法ど労働基準法における女子保護規定について、現在、婦人少年問題審議会において見直しか進められているところであります。政府としては、その検討結果を踏まえながら、次期通常国会への法案提出を目指したいと考えております。
 また、男女共同参画社会の実現のための新しい国内行動計画につきましては、各種の社会制度・慣行を見直しながら性別による偏りのない社会システムを構築することは、男女共同参画社会というものを推進していく上で極めて重要な課題だと思います。
 議員が御指摘になりました税制、社会保障制度並びに企業の諸手当につきましては、男女共同参画社会を形成させ前進させていく上で重要な制度・慣行であると考えておりますし、こうした観点を新たな国内行動計画に十分反映させてまいりたいと思います。
 なお、夫婦別姓問題につきましては、国民の間にもさまざまな論議がなされておるところでありまして、政府といたしましても、国民の御意見を幅広く聞きながら適切に対処していきたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(三塚博君) 総理から基本的な方針は披瀝されたところでありますが、私からは、逆進性の是正や益税解消のための消費税改正についてのお尋ねでございます。
 平成六年秋の税制改革においては、高齢者介護の基盤となる新ゴールドプランなど福祉の充実のための財源を確保いたしておるところであります。その完全実施に努めることといたしております。さらに、真に手を差し伸べるべき弱い立場の方々に対して、臨時給付金の交付など必要な措置を講ずることといたしておるところであります。
 また、消費税のいわゆる益税問題については、来年四月の消費税引き上げと同時に、限界控除制度を廃止するとともに、簡易課税制度の適用上限の引き下げ、みなし仕入れ率の改正など、中小特例措置を大幅に縮減することといたしております。さらに、免税事業者の適正な転嫁についても広報、指導等を実施することといたしておるところであります。こうした措置によりいわゆる益税は相当解消されるものと存じます。
 補助金行政のあり方についてでありますが、抜本的に見直し、補助金の大幅削減と一般財源化を断行すべきであるというお尋ねでございます。
 補助金等については、地方行政の自主性の尊重、財政資金の効率的な使用の観点から不断の見直しが必要でございまして、毎年度の予算編成の中で、一般財源化を初めとした補助金等の整理合理化を積極的に推進いたしてきておるところであります。今後とも引き続きその整理合理化に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(小泉純一郎君) 厚生省をめぐる疑惑についてのけじめですが、厚生省としては、職務関係者との会食などを全面的に禁止するなど、省を挙げて綱紀粛正策に取り組んでおります。また、この関係者の事実関係が確認された上で厳正な処分を行いたいと思っております。そして、社会福祉施設に対する補助金の仕組みが悪用された点については、これらの業務を再点検してその問題点を解明した上で、補助金選定手続きの見直しなどを柱とする再発防止策を早急に取りまとめる考えでありますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
 また、介護保険制度についてですが、この制度立案に当たっては、老人保健福祉審議会、与党のワーキングチーム等の場において十分御議論をいただきました。さらに、ことしの夏には全国各地で説明会を開催し、直接国民の方々の御意見を伺い、こうした各方面からの御意見を取り入れて法案を取りまとめたものであります。
 法案審議に当たっては、制度立案に至るこのような経緯を踏まえ、制度案について十分御理解をいただくことに努めるとともに、幅広い観点から御意見を賜りたいと考えております。よろしく御指導を。お願いします。(拍手)
#23
○副議長(松尾官平君) 宮澤弘君。
   〔宮澤弘君登壇、拍手〕
#24
○宮澤弘君 私は自由民主党を代表いたしまして、第二次橋本内閣の最大の課題である行政改革を中心に質問をいたします。
 質問に先立ち、一言申し上げます。
 昨日、かねて指名手配されておりましたオウム事件の重要被疑者が警察に逮捕されました。警察の地道な努力を多とし、感謝の意を表するものであります。
 さて総理、総理は、身を燃焼させ尽くしても行政改革をやり抜く、行政改革なくして日本の明日はないとさえ言われました。その力強い御決意の表明に深い敬意を表し、また、その実現に大きな期待を寄せるものであります。
 先般行われました総選挙において、我が党はもとより、多くの党が押しなべて行政改革の推進を選挙公約に掲げました。その結果、行政改革という言葉は国民の間にかなり浸透し、第二次橋本内閣が行革内閣であるという認識も一般化しつつあるように思われます。しかしながら、率直に言って、行政改革という言葉だけが先行している感があります。行政改革とは何か、行革の目的いかん、財政危機に対処するものなのか、それとも不祥事が続く役所のあり方を正すのが目的なのか、行革によって国民生活がどう変わるのか、どんなメリットがあり、またどんな痛みを伴うのか、国民各位の理解は必ずしも十分ではないように見受けられます。
 そこで、まず総理、総理の口から行政改革の意義について改めて国民にわかりやすく語りかけていただきたいのであります。
 さて、これまで我が国においては、第二次臨時行政調査会、いわゆる土光臨調以来、幾たびか行政改革が試みられましたが、今回の橋本行革がそれらと明らかに異なる点が二つあると私は思います。
 その一つは、審議会等の第三者機関を設けて検討を任せる臨調方式によらず、官僚OBを擁し、総理みずからが行政改革会議を率いでみずからの責任で事を決する立掛に立たれたこと。もう一つは、一年以内に行政改革会議で具体案をまとめ、九八年の通常国会に関連法案を提出し、二〇〇一年から新しい体制に移行を開始したいと明言された点であります。終期を切って、いわばみずからの退路を断って行革の実現を期する強い御決意をうかがい知ることができるのであります。
 ところで、土光臨調以来のたび重なる行革の試みが、国鉄の民営化等幾つかの改革はありましたものの、残念ながらさしたる成果を上げることができなかったのはなぜでありましょうか。私は、その最大の理由は、常に実現可能な答申が求めうれ、行われてきたことにあったと思います。
 実現可能ということは、言葉をかえますならば、関係省庁が改革に同意するということでありました。それでは見るべき改革が行われないことは当然であります。行革のプロをもって任じられる総理は先刻御承知のところでありましょう。
 そこで、総理に伺います。
 これまでの行革が大きな成果を上げることができなかった理由はどこにあったと考えられますか。そして、それらの教訓のもとで今回の橋本行革をどうリードしていかれるおつもりですか。
 次に、今回設けられた行政改革会議について伺います。
 総理は、行政改革会議においては国家機能のあり方、省庁の再編成策、官邸の機能強化の三点を中心に審議していく考えを示されました。これまでの行革では、国家機能のあり方の検討が極めて不十分だったと私はかねてから考えておりました。行革の基本は、公の行政として何をなすべきか、また何をなすべきでないかということを検討し、官と民との間の線引きをすることから出発すべきであります。その上で、政府の任務とされることもなるべく地方政府に任せることとし、かくして富より民へ、中央より地方へが行革の二枚看板となるのであります。
 こうして中央政府の行うべき行政の量と質とが定まることによって、それをどのような組織で行うかという省庁の再編成の課題が出てまいります。国家は、行政は、二十一世紀において何をなすべきかという命題がまさに原点であり、この際、議論を尽くすべきものと考えますが、総理の御認識を伺いたいと思います。
 行政改革会議に関してもう一点質問いたします。
 総理が会長である行政改革会議は、今回の行革の最高の決定機関であり調整機関であると思われますが、既に活動中の行政改革委員会や地方分権推進委員会とはどのような関係に立つものでありましょうか。また、総理は、行政改革と並んで経済構造改束等四つの改革の推進を指示しておられますが、これも行政改革会議の協議対象でありましょうか。これらは一体的な把握が必要な面が多いと思われますが、どういう道筋になるのか明らかにしていただきたいのであります。
 次に、既に進行中の行政改革に係る具体的な問題について質問します。
 まず、地方分権の推進に関して、機関委任事務制度について伺います。
 機関委任事務制度とは、国が知事や市町村長等を国の下部機関とみなして国の事務を委任して執行させる制度でおり、知事、市町村長等は主務大臣の指揮監督を受けるものであります。この制度は、国と地方公共団体とを上下・主従の関係に置くものであり、地方自治の本旨に反することは明らかであります。地方分権推進委員会は、従来の上下・主従の関係から対等・協力の関係へと新しい国と地方との関係を構築すべく現在審議を続けており、年末には同委員会から勧告が出ることが予定されております。勧告が出ました際には、ぜひとも機関委任事務制度の廃止に向けて積極的な取り組みをしていただきたい。総理の御見解を伺います。
 次に、金融行政の改革について伺います。
 金融機関の検査・監督をめぐる大蔵省の組織改革の問題は、我が党の選挙公約において言及され、また、選挙後の三党政策合意においてもその方向が示されたところであり、今回の行政改革のいわば試金石として国民ひとしく注視しているところであります。
 この問題については、大蔵省所管の金融機関だけではなく農協系などをも一本化してその対象とするのか、新機関を置くのは総理府か大蔵省が、新機関は合議制の委員会型か、それともいわゆる庁型か、新機関の任務は検査だけにとどまるのか、検査と監督の両方を行うのか等について議論があります。これらの論点については、先般の記者会見で総理のお考えの一端が示されたように報道されております。
 大蔵省改革は行政改革のスタートとも言うべきものであり、政治主導のもとで速やかに方向づけがなされるべきものと考えますので、この際、さきに指摘しました論点について、総理の基本的な考え方を承りたいのであります。
 最後に、私は、自省の念を込めて、行政改革における政治家の責任と役割について触れたいと思います。
 官僚主導政治を排し、政治主導のもとで行革に当たれというのが世論であります。官僚主導と申しますが、官僚は本来、行政事務の専門家として政治家を補佐する立場にあり、政策を決定することは政治家の責任であったはずであります。それを、時に政策決定を官僚任せにし、官僚の独走、官僚主導の政治を招いた政治家の側にも多々反省すべきものがあったように考えます。今回の行政改革の成否は、我々政治家が官僚を自在に動かすだけの力量と見識とを示せるかどうかにかかっていると申しても過言ではありません。
 一方、我々もみずからを顧み、議員定数、選挙制度等国会改革の検討を急ぎ、国民各位の負託にこたえなければならないと思います。
 行政改革が政治家全員の責任であるという認識のもとに、国会を挙げて推進されることを祈念して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(橋本龍太郎君) 宮澤議員にお答えを申し上げます。
 まず、行政改革の意義というお尋ねがございました。そして、それは財政危機への対処か、あるいは役所のあり方を正すことか、あるいはそのメリット・デメリット、そうした点からの御指摘であります。
 私は、行政改革の目的は、二十一世紀になりましてもこの日本という国がなおかつ活力を持った社会であり続けるためにどうしてもなし遂げなければならない政策目標、そのように思っております。
 今日、我々は内外に大きな行き詰まりを抱えております。それはただ一つ行政の問題だけではなく、財政構造にいたしましても経済構造にいたしましても、また、社会保障構造、金融のシステム、あらゆる分野にそうした課題を抱えているわけであります。そして、その中に共通するのは行政がいかにあるべきかという課題であり、私は、二十一世紀に向けてこの国が活力を維持し続けるためにいかなる国家の機能をいかなる行政組織が果たしていくか、これを問われているのが行政改革である、そのように考えております。
 そして、土光臨謝以来の過去の行革ということにお触れになりましたが、私は、第二臨調以来、国鉄を初めとする三公社の民営化、約四万三千人に上も国家公務員の純減、あるいは一定の規制緩和等の成果を上げてきたと思っておりますけれども、これで足りるというものではございません。行政改革を進めていく上で全力を挙げて政治がそのリーダーシップをとっていかなければならない、そのような思いで今これに取り組んでおります。
 そして、その検討に際して何から考えるんだというお話でありました。
 私は、行政改革会議におきまして、まず二十一世紀における国家機能のあり方、それはいかなるものか、そしてその国家機能のあり方というものの上に立って、それを踏まえた行政機関のあるべき姿について議論をしていく、結論を得たい、そのように考え、一年以内に成案を得たいと委員各位にお願いを申し上げている次第であります。
 まさに、国家あるいは行政が何をなすべきなのか、国家機能という議論が先行しなければなりません。そして、その中におきまして、議員御指摘のように、官と民の役割の問題、あるいは中央と地方との間の権限の分離の問題、こうした視点を踏まえなければならないことは当然のことであります。
 そうした点から、現在の政府の業務を当然のものとするのではなく、規制緩和あるいは地方や民間への業務と権限の委譲により行政をスリム化していく、それを土台にして中央省庁の再編に取り組む、そう考えておりまして、現在、規制緩和や官民活動分担の見直しを御審議いただいております行政改革委員会、地方分権の具体化を審議されております地方分権推進委員会との積極的な連携を図ってまいります。
 当然のことながら、五つの改革はそれぞれに関連をしている、御指摘のとおりであります。しかし、行政改革会議そのものにおきましては、私はやはり二十一世紀における国家機能のあり方と、それを踏まえた中央省庁の再編という問題及び官邸機能の強化という点に議論を絞り込んでまいりたいと思います。その過程において、行政改革委員会あるいは地方分権推進委員会、さらには経済審議会等々関連する各委員会における御議論を反映していく、これは当然我々がしていかなければなりません。
 また、機関委任事務の廃止に向けた取り組みにつきましては、年内に地方分権推進委員会から機関委任事務制度の見直しを中心とした第一弾の勧告が行われる予定であります。政府としては、この勧告をいただき次第、速やかに実効の上がる推進計画の策定に着手いたし、来春予定されております補助金、税財源、地方行政体制のあり方などについての第二弾の勧告とあわせまして、地方分権推進法の趣旨に沿って総合的かつ計画的な地方分権を推進してまいります。
 最後に、金融行政機構の改革についてのお尋ねがございました。
 現在、与党三党で御論議をいただいておりますことは議員御承知のとおりでありますが、私は、改革後の機構は、現在大蔵省が所管しております金融機関だけではなく、さまざまな金融機関をその対象とすることが望ましいと考えておりますし、その場合、これを大蔵省に設置するという選択肢はございません。総理府に置くということになるのではないか、そのように想定をいたしております。また、この場合、金融システム改革、これを実現していくためにも工夫をしていただきたいと考えております。
 ただ、いずれにいたしましても、この金融の検査及び監督体制のあり方につきましては、現在、与党三党においての検討が進められているところでありましで、与党とも十分御相談を申し上げながら、先般の政策合意をも踏まえ、できるだけ早期に具体的な成案を得て、次期通常国会に所要の法律案として提出させていただきたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○副議長(松尾官平君) 宮崎秀樹君。
   〔宮崎秀樹君登壇、拍手〕
#27
○宮崎秀樹君 私は、自由民主党を代表して、介護保険法案及びこれからの社会保障制度のあり方について、この分野に卓見をお持ちの総理及び関係大臣にお伺いいたします。
 現在、我が国の高齢化率は超スピードで増加しており、当然のことながら、介護を必要とする老人も増加の一途をたどっております。今、高齢者にとって介護は痛切な問題であり、特に介護を行っている人の三人に一人が六十五歳以上のお年寄りという現実は、いわゆる老老介護であり、一刻も早い介護保険制度の導入が待たれるものであります。
 総理も閣僚の皆さんも、そして議員の皆さん方も、この介護保険だけにはお世話になりたくないとお思いでございましょうが、将来十分にお世話になる可能姓があるのであります。
 不幸にしてお年寄りが要介護者となっても、自立した生活を送って、みずからの人生を人間としての尊厳を守りながら生きることのできる社会的支援システムを構築することが大切であります。家族のあり方も含め、夢の持てる豊かな高齢社会をどのように構築していくのか、今後国会において十分な論議を重ねていく必要があると存じます。そのためにも、以下、問題点を何点かお伺いいたします。
 介護保険制度創設に当たり、財源は社会保険方式でやるべきか、公費方式、すなわち租税で賄うべきか、議論のあったところでございますが、本法案は高齢者を対象とした四十歳以上の国民の保険料負担による制度となっております。これは大きな基本理念の問題と存じます。なぜ社会保険方式となったか、総理のお考えをお伺いいたします。
 法案では、平成十二年度から在宅及び施設介護サービスが同時にスタートすることになっていますが、介護保険制度が導入されれば、国民は介護を受けることをみずからの権利であると思うのは至極当然のことだと思います。そして、要介護の申請をする人が増加していくことは必至であります。国民が介護保険をバラ色の制度であると思い描いたとき、実際の介護サービスとの格差が生じれば、国民は介護保険制度に大いに失望しかねないという心配が起きます。
 また、介護保険の保険料及び利用者負担は一体どのくらいなのか、高齢化が進展していく中でどのくらい国民の負担は上昇していくのか、また、その負担でどの程度のサービスが受けられるのかなと、国民にわかりやすく周知することが何よりも大切なことだと思います。
 介護保険が絵にかいたもちにならないためにも、介護保険制度がどのようなものなのか、国民の理解と十分な啓蒙を行うことが必要だと思うのでありますが、厚生大臣、いかがでございましょうか。
 次にお伺いするのは、基盤整備の充実についてであります。
 介護保険制度を確実なものとするためには、介護施設やホームヘルパーなどマンパワーの充足は欠かすことのできないものであり、ニーズに見合ったサービスを確保していくことが極めて重要であります。財源の確保を図りながら、新ゴールドプランの整備目標をできる限り短期に達成し、制度の円滑な実施のための基盤整備を進めることが必要であります。市町村老人福祉計画が地域によって格差が生じていると言われる今日、質量ともに不足が指摘されている基盤整備を平成十二年の本制度の発足時までに整えることができるのか、厚生大臣にお伺いいたします。
 次にお伺いするのは、要介護認定基準についてであります。
 介護保険制度は、要介護と認定されなかった場合、公的介議サービスは受けられないという、いわゆる掛け捨て保険の性格があるわけでありますが、この場合、国民から不満が生じないためにも、介護認定審査会の構成メンバーまた認定の基準については、国民の目から見ても納得のいく、不公平のない、しかも地域による格差の生じないものとしなければなりません。いやしくも保険あって介護なしといったことにならないような配慮が必要ですが、この要介護認定基準の設定はどのようなものか、厚生大臣にお伺いいたします。
 次にお尋ねするのは、障害者介護との関係であります。
 介護保険は、四十歳以上の障害者は介護保険料を負担しなければなりませんが、一部の疾病を除いて六十五歳以上にならなければ給付の対象となりません。要介議障害者の介護サービス内容と高齢者介護サービスとの格差が生じることになると大きな問題となります。福祉国家として障害者プランの充実が必要と思いますが、この点に関し厚生大臣はいかなる対応するのか、お伺いいたします。
 次にお伺いするのは、医療保険制度との整合についてであります。
 介護保険導入により高齢者の心身の特性に応じた総合的な医療介護サービスが提供され、同時に医療保険制度から介護関連給付として約二兆円の負担が軽減される古言われておりますが、果たして現実問題としてそうなるのか、厚生大臣にお伺いいたします。
 いわゆる社会的入院なるものを解消するといっても、その受け皿の整備がなければ不可能です。また、これまで潜在していた要医療、要介護者が介護保険導入により顕在化し、一気に増加する可能性があります。要介護者は何らかの医学的管理が必要で、人に対して介護給付、医療給付を行うことが原則でなければ血の通った福祉とは言えません。この点に関し、総理、厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
 また、医療保険について、財源難から負担増を求める動きがあります。制度疲労からくる医療保険制度の抜本的改革を行うときに来ていると思いますが、小手先だけの改正で患者に負担増を求めることは問題であります。医療費は、公費、保険料、患者負担と三者三様の痛みによって財源不足を補うべきであります一時に私は、弱者である老人が病を得たときの心情を考えますと、定率負担がいかに心細く感ずるか、察して余りあるところであります。きょうは幾らなのか、あすは幾らなのか、不安を持って療養するのは耐えられないことであります。国民の側に立った政策こそ今求められていることと痛感しますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
 次に、社会保障制度についてお尋ねします。
 社会保障に要する国民の負担も年々増加することは必定であり、高齢化のピークと言われる西暦二〇二五年には、国民所得の伸び率にもよりますが、国民負担率は五五%に達すると言われております。一方、社会保障給付費は、高齢化・少子化社会が進めば当然高い伸び率となり、財源悪化は深刻なものとなります。財政再建が叫ばれている今日、現在の社会保障制度のままでは高齢化社会に対応できないと思われます。
 総理は、自民党総裁として橋本ビジョンを示し、国民負担率について、上限は極力五〇%を超えることのないよう、四五%程度にとどまることを目指すべきだと表明されましたが、橋本ビジョンのとおりに抑えるためには、もはや壁にぶつかったとも言える社会保障全般にわたる構造改革、すなわち行政改革などをあわせ効率的で質の高い社会保障、福祉の実現を行わなければ難しいのではないかと思うのであります。どうか橋本総理のリーダーシップで年金、医療、福祉を通じた制度横断的な再編成を行い、最大多数の最大幸福を目指し、十年、二十年後を見据えた新たな福祉ビジョンを早急に示していただきたいと存じます。
 また、介護保険制度のみならず医療や福祉施策を推し進めていけば、最終的にはどうしてもその第一線にある地方公共団体の行財政能力を強化していかなければならないと思うのであります。地方分権が言われている今日、福祉施策から見た地方自治のあり方についてどのようにお考えか、長期的な視野に立った自治体の再編成も含め、総理並びに自治大臣にお伺いいたします。
 最後に、現在、議員立法によりまして提出される予定法案、臓器移植法案を速やかに審議をされまして、我が国で一日も早いこめ法案の成立を待ち望んでおります患者さんの期待にこたえることを強く望みまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(橋本龍太郎君) 宮崎議員にお答えを申し上げます。
 まず、介護保険の仕組みそのもの、財源についてのお尋ねがございました。
 私どもは、介護サービスというものの財源を安定的に確保してまいり意すためには、給付と負担の組み合わせが明確であり、国民の理解の得やすい保険料と税金を組み合わせた社会保険方式が適当という選択をいたしました。そして、社会保険方式を採用することによりまして利用者によるサービスの自主的な選択が可能となりますし、多様な事業主体の参入によって民間活力の活用が進む、そうした効果をも考えております。
 また、介護保険に備えた基盤整備について御意見をいただきました。
 利用者の増加や社会的入院の解消などに対応するために、新ゴールドプランの確実な達成を図るなど総合的な基盤整備に努めていかなければならない点は御指摘のとおりであります。
 また、要介護者に対して何らかの医学的管理が必要であり、人に対する介護給付、医療給付を行うべしという御指摘をいただきましたが、この介護保険における給付に当たりましては、利用者一人一人の心身の状況などに応じ、適切な保健医療サービス及び福祉サービスを総合的に提供することが重要だと、そのように考えております。
 次に、新たな福祉ビジョンというお尋ねがございました。
 急速な少子・高齢化の進展に伴う国民のニーズの変化、これに適切にこたえながら、二十一世紀における医療、年金、福祉等を通じた給付と負担の均衡のとれる、なおかつ経済活動と両立し得るサービスの選択、民間活力の発揮といった考え方に立脚をしながら、効率的で安定した社会保障制度を確立するための構造改革を我々は進めていかなければなりません。
 昨日、産業構造審議会におきましても作業の結果の御報告をいただきましたが、現在の制度をそのままに将来まで引き続いた場合、人口の構造の変化と相まって破滅的な将来を予測する数字等も示されており、こうした構造改革の努力は我々はどうしても払っていかなければならないことであります。
 現在、社会保障関係の審議会会長会議におきましても、今般、社会保障構造改革の方向が示されておりまして、政府としては、介護保険制度の創設を第一歩として、医療、年金などの改革に順次取り組んでまいりたい、そのように考えております。
 また、介護保険ばかりではなく、医療あるいは福祉施策というものを進めていった場合、地方公共団体の行財政能力を強化する必要がある、こうした御指摘をいただきました。
 確かに、福祉施策から見ました地方自治のあり方について、保健福祉サービスにつきましては、多様化する住民のニーズにきめ細かい対応ができるように、住民に最も身近な市町村を中心として国と都道府県がこれを支援するといったそれぞれの役割を果たしていく必要があると考えます。このためにも、国と都道府県、さらに市町村の役割分担、同時に広域的な行政体制のあり方についてはさらに検討を進めながら、地方公共団体の自主性、自律性を高めるなど地方の役割の強化を図ってまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(小泉純一郎君) 私に対する質問はかなり多く、細部にわたっておりますので、順次整理してお答えしたいと思います。
 介護保険の保険料等についての国民の理解に関するお尋ねですが、介護保険導入後の費用については、二十四時間対応が行えるような水準を目指し、段階的にその水準を引き上げていくこととし、要介護度に応じた一定のサービスモデルを前提に費用推計を行っており、平成七年度価格で、平成十二年度で約四・二兆円、平成二十二年には約六・九兆円になり、それに応じて全国平均の被保険者一人当たり保険料も月額約二千五百円から三千五百円に上昇するものと見込んでおります。
 介護サービスの基盤整備についてですが、介護サービスの基盤整備は介護保険を導入する際の重要な条件の一つであり、このため、平成十二年からの介護保険の実施に向け、当面、新ゴールドプランを着実に推進することとしております。
 特に、基盤整備のおくれている地域においては重点的な整備を図るとともに、在宅サービスを中心に既存施策の拡充、既存資源の活用、民間活力の導入等多様な手法を活用することにより、マンパワー対策を含めたサービス基盤の整備を積極的に推進していきたいと思います。
 要介護認定基準の設定についてですが、要介護認定は被保険者の心身の状況に関する調査及びかかりつけ医師の意見をもとに行われるものであり、その基準については、実際に特別養護老人ホーム等に入所している者に関する必要な介護量の実態調査を踏まえ、国が全国共通の客観的なものを定めることとなると思います。
 また、審査及び判定については、専門職種の委員で構成される専門機関である介護認定審査会において取り扱うこととしており、被保険者について適正な要介護認定が行われ、必要な保険給付が確保されるような仕組みとしております。今後、施行に向け、円滑に適正な要介護認定が行われるよう基準の作成等の準備を行ってまいりたいと思います。
 障害者の介護サービスに関するお尋ねですが、介護保険制度は老化に伴って生ずる介護の必要に適切にこたえることを目的とするものでありますが、一方、障害者の介護サービスについては、公の責任として公費で実施すべきとの関係者の認識が強いことなどを踏まえ、従来どおり公費によるサービス体制により対応していくこととしております。
 障害者に対する介護サービスについては、昨年末に決定された障害者プランの着実な推進を図る等により、高齢者と要介護障害者のサービスに格差が生ずることのないよう十分に配慮していきたいと思っております。
 総合的な医療介護サービスの提供及び医療保険制度の負担軽減についてのお尋ねですが、まず介護保険制度は要介護者等に対し必要な保健医療サービス及び福祉サービスを提供することを目的としており、医療との連携が図られ、これらの介護サービスが適切に提供されるふう運用面でも十分配慮していきたいと思います。
 また、介護保険制度の創設により、従来、老人保健制度等において対象としてきた療養型病床群や老人保健施設等のサービスが介護保険に移ること等から、平成十二年度で推計すれば総費用で約二・五兆円、医療保険者負担額で約一・二兆円、これはいずれも平成七年度価格ですが、これが老人保健制度等の給付対象外となると見込まれております。
 介護保険に備えた基盤整備についてですが、介護保険は、老人医療と老人福祉に分立している現行制度を再編成し、利用者負担や利用手続の不均衡を解消することにより、いわゆる社会的入院の解消の条件整備を図ることとしております。また、介護保険制度の導入により、介護サービス利用の意向の高まりやサービス水準の向上が予想されるところであります。
 このような社会的入院の解消や介護ニーズの増加に対応するためには、在宅、施設にわたる介護サービスの基盤整備が前提であり、今後、新ゴールドプランの確実な達成を図るなど積極的な基盤整備を推進していきたいと思います。
 また、介護保険における給付については、要介護状態の軽減や悪化の防止に資するよう、利用者一人一人の心身の状況等に応じてふさわしい保健医療サービス及び福祉サービスが総合的に提供されることが必要と考えており、要介護認定やサービスの提供に当たっては医療との連携にも十分配慮してまいりたいと思います。
 二十一世紀の本格的な少子・高齢社会を控え、今後とも良質かつ適切な医療を安定的に提供していくためには、それを支える医療保険制度を安定的に運営していくための改革は避けて通れないと思います。
 医療費については今後とも増大し続けることが見込まれており、これについては、保険料、公費、患者負担の適切な組み合わせにより賄っていくことになりますが、医療保険制度を安定的に運営していくためには、医療提供体制及び医療保険制度の両面にわたる総合的かつ段階的な改革に取り組んでいくことが必要であると考えております。その一環として、老人の負担についても検討しているところであります。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣白川勝彦君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(白川勝彦君) 宮崎議員からの私に対する質問は、福祉施策から見た地方自治のあり方いかんということであります。
 福祉の諸施策は、住民に封ずる現実のサービスの提供という性格の最も強い行政の一つだと思います。今後ますます増加する福祉のニーズに対し、地域の実情に合ったきめ細かなサービスを提供していくためには、議員御指摘のとおり、地方公共団体、とりわけ市町村の行財政能力を強化していく必要があると私も考えます。
 そのために、私は、市町村の自主的な合併、広域連合制度の活用による行政体制の整備、都道府県と市町村の連携協力関係の強化、そして地方税財源の充実などを積極的に推進してまいります。
 以上であります。(拍手)
#31
○副議長(松尾官平君) 牛嶋正君。
   〔牛嶋正君登壇、拍手〕
#32
○牛嶋正君 私は、参議院平成会を代表して、橋本総理大臣の所信表明演説に対し、橋本総理に質問を行います。
 十一月の月例経済報告ではやや前向きの表現になっていましたが、政府はこの二年間、表現に若干の差はあるものの、我が国経済の現状を景気は緩やかな回復基調にあると言い続けてきました。しかし、こうした政府の無為無策を如実に示す報告でかえって国民活力はそがれ、経済の見通しに最も敏感な株式市場も低迷を続け、民間企業の投資動向を反映する長期金利も一段と下がっています。また、企業業績も下期は減速が予想されており、これをこのまま放置して二十一世紀を迎えることになれば、これまで我が国経済の発展を支えてきた潜在的成長力が低下し、本当に立ち直ることができなくなるのではという危惧を禁じ得ません。
 しかも、こうした景気の低迷を粉飾し、予算編成の前提となる翌年度の経済見通しを立てるとき、緩やかではあるが回復基調にあるという現状把握に基づいて常にやや高目の成長率を想定し、税収の過剰見積もりによる予算編成を行ってきたのであります。しかし、実際には景気の停滞が続いて税収が見通しどおりには伸びず、財政赤字は拡大してきました。
 さらに、シーリング方式の名のもとで当初予算の歳出の伸びを低く抑え、その後補正予算で拡大するといったやり方を平成九年度も続けていることは、財政再建とは全く逆行するものであります。現下の極めて厳しい財政状況のもとで五兆円の補正予算案を打ち出した自民党の無責任体質こそ、先進国中最悪の財政状況に我が国をおとしめた最大の原因であります。
 こうした予算編成を続けていて、財政再建の足がかりをつかみ得ないことは明らかです。総理の予算編成改革と財政再建への取り組みの決意を改めて国民に明らかにしていただきたい。
 さて、国民経済と財政との関係は、歳出と歳入を通じて相互依存関係にあることは今さら言うまでもありません。それと同時に、景気対策と財政再建とはなかなか両立が難しいというのが通説であります。
 例えば、昭和五十六年の三月に設置されたいわゆる第二臨調が打ち出した「増税なき財政再建」では、財政再建を進めるため、歳出を抑制し、その間に税収増を待って財政収支のギャップを埋めていくことをねらったのでありますが、歳出を抑えることで経済活動の方も抑えられてしまい、税収が思うように伸びず、結局バブルの到来を待たなければ赤字国債は解消されなかったのであります。
 しかし、平成二年に赤字国債依存財政から脱却したのもつかの間、バブル以降の長期停滞において、公共投資をふやし、まず景気を立ち直らせ、それによって税収増を期待しながら財政収支ギャップを埋めるという図式を描いてきましたが、景気の回復がいつまでも本格化せず、財政赤字だけが残ってしまったというのが実態であります。
 総理は今、財政再建に真剣に取り組もうとされておりますが、それを一歩でも進めるためには、税収の見込みを非常に厳しく設定し、それに基づいて歳出をゼロベースから査定し、今求められている構造改革の推進に重点を置き、必要なものに予算を重点配分するという積極予算を組み込み、結果として税の自然増収をつくり出していくという予算編成の姿勢をとらなければならないと考えますが、総理の決意のほどをお尋ねします。
 また、総理は先般、数値目標を設定する一方で財政再建法を制定すをという二段構えの財政構造改革方針を明らかになさいましたが、ここでも族議員の介在や縦割り行政などの省益を完全に排除しなければ画餅に帰することは明らかであります。この点は総理の指導力が問われる重大な問題でありますので、対応の決意をお聞かせください。
 次に、国民経済が個人、企業及び公共体の三つの経済主体によって構成されていることを考えるとき、経済構造の変化といっても、それは構成メンバーとしての個人や企業の意識、行動の変化に伴って具現化するものであります。例えば、多くの個人の生活意識は、所得水準の全般的上昇と自由時間の延長に伴って、これまでの横並び思考から自分の生き方を大切にする自立の方向に変わってきておりますし、企業もこれまでのシェア拡大主義から、国際的協謝を重んじ、環境問題に対しても積極的に取り組む姿勢をとらざるを得なくなるなど、時代の流れに注目する必要があります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 そして、景気回復の本格化をおくらせている直接の原因が個人消費需要の伸び悩みと企業の経済活動の低迷にあるとすれば、個人の生活意識、行動の変化や、企業の経営理念の変化などを十分に見きわめておかなければ、国民経済と財政の相互依存関係の変化を正しくとらえ、適切な経済・財政政策の展開ができなくなるものと考えられます。
 今、総理が進めようとされている財政再建優先論は(この点の見きわめが欠如しているのではないかと懸念しております。それゆえ我々は、消費税率を据え置いて、歳出経費を厳しく査定する一方、積極的に構造改革を進めるという大胆な財政運営を強く主張してきました。これは、まず我が国の経済を立ち直らせ、それに伴って財政再建を図っていくという経済再建優先諭の考え方であります。
 これに対して、政府が当面の財政収支の改善のみを考えて、消費税の引き上げ、特別減税の見送り、さらに法人税のゼロ減税を断行すれば、日本経済は腰折れしてマイナス成長さえ懸念され、財政破綻の道を歩むことになると考えます。この点についての総理の見解をお尋ねします。
 個人消費の伸び悩みや企業の投資活動の低迷の最大の原因は、将来に対する不安や二十一世紀における進路のあいまいさにあるとも言われています。そうだとすれば、これから進められる改革は人々の先行き不安を払拭するものでなければなりません。そして今、人々が切に求めているものは、改革そのものではなくて、改革が進められていった後どのような社会が建設され、そこで自分たちがどのような生活を営むことができるかといった二十一世紀の自分たちの生活の姿であります。その意味で、人々の先行き不安を払拭するためには、改革は足元を固めた上で出される必要があり、また、その内容は明確かつ具体的なものでなければならないと言えます。
 しかるに、先般、総理は日本版ビッグバンとも言うべき金融改革案を打ち出しました。しかし、阪和銀行の破綻に見られるように、金融機関、ノンバンク等の不良債権処理は全くめどが立っておりません。加えて、住専処理についても、情報開示もないままに、譲渡資産の目減りで将来の財政補てんの拡大が懸念され、足元の固まっていないこの時期に日本版金融改革を打ち出したとしても国民の理解は得られないと言えます。
 現下の山積する課題の処理と総理の打ち出す数々の改革とがどのように関連づけられ、また、どのようなタイムスケジュールでそれを進めていくかを国民に明確に示さなければ国民の支持は到底得られないと考えますが、総理の見解をお尋ねします。
 国民経済を構成する個人、企業、公共体のうち、古い体質から抜け出せずその意識や行動に全く変化の見られないのが公共体、すなわち役人の世界であります。
 大蔵、厚生、通産各省と民間とのもたれ合いや、自治体の食糧費問題などの不祥事を次々聞かされる国民の怒りは極度に達しています。そして、一方でこの縦割り行政を助長する省益を守ってきた幾つかの要因が今も健在であります。
 その一つは、多くの情報が官僚によってひとり占めされていることであります。その二は、シーリング方式で省庁間それから部局間の横並びが守られていることであります。そしてその三は、いわゆる族議員の存在であります。
 今、行政を各種の行政サービスの生産、供給とみなすとき、行政サービスの需要者である個人や企業の方に意識や行動に変化が見られるのに、供給側の公共体の方にほとんど変化が見られないため、当然、行政サービスの需要と供給をめぐってミスマッチが生ずることが避けられません。そのことが高級官僚の不祥事や過度の規制行政あるいは不適切な公共投資など、国民の不信を募らせる問題を引き起こしている占言えます。
 このようなミスマッチを取り除くために、国民経済の構造変化に合わせて制度や組織を見直していくことが行政改革の目標の一つとすれば、縦割り的な省益の打破こそ行政改革の第一の課題であることは言うまでもありません。
 そのためには、中央省庁の統廃合といった表面的な改革にとどまらず、省益不可侵を容認してきた三つの要因を取り除いていかなければなりませんが、とりわけ省庁間の横並びでおのおのが省益を守ってきたシーリング方式と政官癒着構造の改革は難しい問題ではありますが、これをやらなければ真の行政改革とはなり得ないと考えます。この点についての総理の取り組みをできるだけ具体的に示してください。
 高齢社会が成熟社会として活力の相対的低下は避けられないとすれば、人々ができるだけ連帯感を持つことは共存のための必須の条件と考えられます。そして、この連帯感をはぐくむ場が地域社会である限り、だれもが社会の維持に参加できる開かれた地域社会でなければなりません。とりわけ、二十一世紀の高齢社会を支える主役は地域社会が受け持たねばならない虚言われておりますが、参加型地域社会であれば十分にその責任を果たし得るはずであります。
 例えば、年金、医療、介護の三分野を考えてみても、参加型地域社会であれば、地域の実情や人々のニーズを十分に勘案しておのおの独自のシステムをつくり、だれもがそれにかかわりを持つことで老後の安心を確かなものにできるはずであります。その意味では、参加型地域社会の建設は、二十一世紀の高齢社会のビジョンを描くとき、極めて重要な部分を構成するはずであります。
 このような参加型地域社会が各地で建設されていくためには、二つの条件が必要不可欠であります。
 その一つは、計画機能及び行政水準の決定権をできるだけ国から地方へ移し、地域住民の意見が行政にストレートに反映されなければならないということであり、その二は、できるだけ市町村の財政的・行政的基盤を強化し、いずれの市町村も国から委譲された計画機能を十分に発揮できなければならないということです。そして、これらの条件のいずれもが地方分権の推進によって整えられることを考えますとき、今こそ行政改革以上に地方分権の推進を図らねばならないときと考えますが、総理の地方分権に対する決意のほどをお聞かせください。
 今、地方分権の推進に当たって最も大きな障害は地域格差であります。戦後の高度成長期に長く続いた地方から大都市への人口集中とその後の経済の不均衡発展がもたらした地域格差は、個人の所得水準から市町村の行政あるいは財政面の格差に及び、今では高齢化率にも大きな地域格差が見られます。その中で地方分権を進める上で最も大きな障害となっている地域格差は、もちろん市町村間の財政力及び行政能力の格差であって、国から権限を委譲する場合の受け皿として最も財政的・行政的基盤の弱い市町村を基準に考えるとき、委譲できる権限の幅は非常に狭いものになってしまうからであります。
 しかし、現行の市町村制度を前提として、できるだけ基盤の弱い市町村の財政力及び行政能力の強化を図り地域格差を是正するとしても、非常に時間がかかることでもあり、また、幾ら時間をかけても実現は難しいのかもしれません。したがって、二十一世紀までにできるだけ地方分権を進め、参加型地域社会の建設に少しでも近づいていこうとすれば、市町村の合併統合を進め、市町村の財政・行政基盤の強化を図る以外に方法はないと思われます。さらに、これまで国が行ってきた事業の計画立案が各市町村で行われるようになれば、それだけで中央省庁のスリム化と再編成は進むものと考えられます。その意味では、市町村の合併統合の推進はまさに地方からの行政改革と考えられます。
 今、我が国を覆っている閉塞状態を打ち破っていくためにはこのような発想の転換が必要であると考え、あえて地方からの行政改革を提案させていただきますが、最後にこの提案に対する総理の見解をお尋ねして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(橋本龍太郎君) 牛嶋議員にお答えを申し上げます。
 まず、税収見積もりの適正化から予算編成のあり方についての御意見をちょうだいいたしました。
 各年度の予算編成に当たりましては、これまでも社会経済情勢の変化に即応しながら財源の重点的、効率的な配分を行う一方で、制度施策の見直し、あるいは歳出の削減合理化に努めてまいったつもりであります。
 議員自身御指摘になりましたように、我が国の財政は先進国中最悪と言える状況に立ち至っておりますし、財政構造改革は喫緊の課題であります。今後とも国会やあるいは財政制度審議会等の御議論を踏まえ沌がら財政構造改革に強力に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、財政再建そのものについての御論議をいただいたわけでありますけれども、現在の財政構造をこのまま放置いたしましたならば、現在既に二十・一兆円に上っております歳出歳入のギャップがさらに年を追うごとに拡大していき、公債残高は急激に累増していくことになります。私どもは、二十一世紀に向けてこのような財政構造を放置することは許されないと考えておりますし、財政構造改革を強力に進めてまいりたいと思います。
 そうした考え方のもとに、九年度予算編成に当たりましては、財政構造改革元年とも言えるような状況にすべく各般の制度改革に努力をいたしますとともに、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しをそれこそ聖域を設けることなしに行いながら、限られた財政資金を必要な部分に重点的、効率的な配分をしていくべく取り組んでまいりたいと考えております。さらに、中期的な財政健全化目標の設定に積極的に取り組み、財政再建のための法律についても検討を進めていきたいと考えているところであります。
 また、国民経済と財政の相互依存関係の変化を正しくとらえていないのではないかという御指摘をいただきました。
 すなわち、恐らく仰せの意味は、消費税率の引き上げなどによって日本経済が失速するのではないか、そしてそれが財政破綻への道を加速するのではないかといった御趣旨であろうと思います。しかし、消費税率の引き上げは、少子・高齢化社会、その進展という中で、我が国の構造変化に対応じた税制改革の一環であることは事実であり、また、法人税を見直していく、それは経済活動に対する中立性を確保するとともに、我が国の経済活力を維持向上させるものであります。
 また、特別減税の実施につきましては、年末にかけて最終的に判断をすべき事柄でございますけれども、やはり危機的な財政状況をさらに悪化させ、国民経済の健全な発展を阻害するおそれがある、こうした点にも留意をいたさなければなりません。
 私どもは、一時的に大変厳しい状況を迎えるかもしれませんが、しかしこうした考え方で進むことは、日本経済を失速させるというよりもむしろ中長期的な観点からは我が国の経済の活性化に資する、そのように考えております。
 また、金融システムの問題についてもお尋ねがございました。
 確かに、不良債権等の山積しております課題、そして金融システム改革を関連させながら本当に安全に物を進めていくことに大変な苦労があることは私もそのとおりだと思います。しかし、同時に、そうした問題が解決するまで金融システム改革が待てるかということになりますと、私は、そこまでの時間的余裕は我々に与えられておらないと思います。なぜなら、ユーロが新たに誕生じ、基軸通貨が二つになる状況の中に、果たして現在の金融システムのままで日本が行けるでしょうか。
 私は、円の価値というものを考え、これを安定化させていく沈めんば、金融システム改革はどんなことがあってもなし遂げていかなければならないと思います。そして、我が国の金融市場の再生を図ることによって、今後の経済の中でも日本はよりしっかりした足場を持たなければならないと考えております。
 そうした点から考えますと、金融システム全体の安定には細心の注意を払いながらも、改革と不良債権処理を車の両輪として進めていかなければなりません。そして、遅くとも二〇〇一年までに完了するという明確な期限を付してこの決意を私は公表しており、各方面において検討が進められる中から、結論の得られたものから速やかに実施していきたいと考えております。
 また、行政改革は、内外の環境変化の中で深刻な限界を露呈している我が国の経済社会システムを二十一世紀にふさわしいものにするために避けて通れないものでありますが、議員が御指摘になりました概算要求基準、確かに我々もこれにかわるものがないかと随分今までも考えてみました。しかし、各省庁の要求の総枠を示しながら、その枠内で政策の優先度の選択を行い効率的な要求を行うという仕組み、今、これにかわるべき新たなものを私自身残念ながら思いつきません。
 九年度におきましては、特に既存の歳出を思い切って見直す、そして経済構造改革特別措置を設け、その中でまた新たな産業育成に役立つようなものを拾い上げるといったいろいろな努力を、新しい対応として工夫を行っていきたいと考えます。
 いずれにいたしましても、行政改革をしようとした場合、さまざまな御批判も出ましょうし、困難もございます。しかし、全力を尽くして取り組んでまいりたいと思います。
 次に、地方分権の推進についての御意見をいただきました。
 高齢化社会に対応するにつきましても、住民に身近な行政はどできるだけ住民に身近な地方公共団体に担っていただく、これを基本として地方分権を進めていくことは、議員御指摘のとおり、極めて重要なことであります。この推進は最重要課題の一つと考えておりまして、私としても、実りのある成果が上げられるように強い決意で取り組んでまいりたいと思います。
 その場合に、その最大の障害が地域格差である、そしてその分権を進めるためには市町村の合併統合を進め、市町村の行財政基盤を強化する、こうした御指摘をいただきました。私も、地方からの行政改革、その考え方には同感をいたします。しかし、住民の意思を無視した合併統合というものもまた現実にはでき得ないところであります。
 私どもは、地方分権推進の観点から、その行財政基盤を市町村が強化していく、そうしたことが必要であると考えておりまして、自主的な合併を初めとする地方行政改革を進めるために努力をいたしてまいりますので、ぜひお力添えを心からお願い申し上げます。(拍手)
#34
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十八分散会
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ソース: 国立国会図書館
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