くにさくロゴ
1996/12/16 第139回国会 参議院 参議院会議録情報 第139回国会 本会議 第5号
姉妹サイト
 
1996/12/16 第139回国会 参議院

参議院会議録情報 第139回国会 本会議 第5号

#1
第139回国会 本会議 第5号
平成八年十二月十六日(月曜日)
   午後零時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
    ―――――――――――――
  平成八年十二月十六日
   正午 本会議
    ―――――――――――――
 第一 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会
  との合併等に関する法律案及び農業協同組合
  法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 農林中央金庫と信用営業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 両案について提出者の趣旨説明を求めます。藤本農林水産大臣。
   〔国務大臣藤本孝雄君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(藤本孝雄君) ただいま議題となりました農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 農協系統は、農業者の協同組織として、農業の振興や農村地域の活性化に大きな役割を果たしてきたところでありますが、近年、農業農村をめぐる状況が大きく変化する中で、農協は、これまで以上に農業者に対して良質のサービスを低コストで提供できるよう、経営体質を改善することが求められております。特に、信用事業につきましては、金融の自由化等が急速に進展する中で、一層の事業機能の強化と効率化、健全化を図っていくことが急務となっております。
 このような状況を踏まえ、信用事業を中心とする農協系統の事業・組織の改革を推進するため、この二法案を提出した次第であります。
 まず、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 農協系統の事業・組織の改革の一環として、都道府県連合会と全国連合会の統合による組織二段の推進が大きな課題となっておりますが、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会の統合は、現行法上できないこととなっております。このため、この法律案では、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会につきましても合併及び事業譲渡を行うことができるようにすることとし、これに伴う所要の手続を定めることとしております。次に、農業協同組合法等の一部を改正する法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農業協同組合法を改正し、農業協同組合の業務執行体制の強化、自己資本・内部留保の充実、監査体制の強化等を行うことといたしております。さらに、農協貯金の健全な運用に資するため、資金運用規制を緩和することとしております。
 第二に、農業協同組合合併助成法を改正し、農業協同組合の合併経営計画の認定期限を平成十三年三月三十一日まで延長することとしております。
 第三に、農林中央金庫法を改正し、非居住者向け貸し出しの規制緩和等を行うこととしております。このほか、農業信用保証制度の充実を図るなど、農協改革に関連して関係法律の規定を整備することとしております。
 以上、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。高橋令則君。
   〔高橋令則君登壇、拍手〕
#6
○高橋令則君 平成会の高橋でございます。
 平成会を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案並びに農業協同組合法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 このいわゆる農協改革二法案は、さきの通常国会における審議等を通じて明らかになった農協系統の問題、特にも、信用事業の抱える課題に緊急に対処するためその組織及び事業の改革を推進しようとするものであり、その趣旨とするところは基本的には理解できるところであります。
 すなわち、住専問題の国会審議を通じて、農協系統金融機関の経営における専門的、効率的な業務処理能力の不足、自己責任の不徹底、リスク管理の不十分さといった問題点が次々と明らかにされました。
 我が国農業農村における農協の役割の重要性並びにこれらを取り巻く現下の厳しい情勢にかんがみ、これらの問題は早急に解決されなければならないものであり、そのために所要の改革が速やかに推進されなければなりません。
 しかしながら、当面するこれらの問題の背景にはより深刻な構造的な問題があり、それに対する冷厳な認識と今後に対する確かな展望がなければ、理念なき対症療法的な改革にとどまってしまうおそれなしとしないのであります。
 現在、我が国農業農村は、社会経済構造の激しい変化の波にさらされており、農協もまた、貿易自由化、食管制度の改革、金融自由化の影響をもろに受けてその存立の基盤が脅かされております。農業基本法の抜本的な見直しの必要性が叫ばれ、現にその取り組みが進められていること、それに伴って関係法の大幅改正が想定されることも当然と申せましょう。まさに構造的な改革が必要とされる時期に立ち至っているのであります。
 そこで、まず我が国農業農村の抱える課題に対する認識と今後の展望並びにこれを前提とする農政の基本方向について、総理の御所見をお伺いいたします。
 また、我が国農業農村における農協の位置及びその果たすべき役割について、農林水産大臣の御見解をお聞かせください。
 次に、住専に関してでありますが、前段述べましたように、これによって露呈した農協系統金融機関の経営上の欠陥は重大かつ深刻なものであります。今年度予算で六千八百五十億円の血税が住専問題処理のために投入されましたが、住専問題を含む金融危機は、今なおノンバンクやゼネコンの経営危機が取りざたされるなど、到底解決したとは思われません。住専処理の現状と見通し並びに不良債権等による金融危機の現状認識、さらに金融機関が破綻した場合の処理の方法、そして農協が破綻した場合にはどうするのか、このようなことについて大蔵大臣並びに農林水産大臣の御見解をお伺いいたします。
 以上の点を前提として、以下二法案の内容についてお尋ねいたします。
 第一に、農協の組織のあり方についてであります。
 今回提出されている二法案の根底に、単協の合併を促進し、現在の三段階組織を二段階にすることにより、組織をスリムにし、経費の節減と経営の機動化を図り、農協の経営危機を打開しようとするねらいがあることは明らかであります。
 しかしながら、昭和三十六年の農協合併促進法の施行以来今日まで三千件を超える合併が行われているにもかかわらず、農協の職員数はむしろ増加しており、合併が果たして真の経営合理化につながるかどうか大いに疑問があります。
 また、信用事業、共済事業にとどまらず、経済事業を含めて県連組織を廃止することは、地域性を生かした事業展開を妨げることになるのではないか、さらには、広域にわたる合併農協では、営農指導等農業者に密着した農協本来の事業が手薄になり、農業者の組合員意識の希薄化を招き、農家の農協離れを促進するものではないかといったことが懸念されます。合併による規模の利益と効率性の向上というメリットは理解しながらも、他面このような懸念が現実のものとなれば、農協の存立基盤を揺るがすもめとなりましょう。
 JAグループは去る七月、JA改革の取り組み指針を定め、JA統合連合組織の組織二段、労働生産性三〇%向上を実現するための職員数五万人削減等の目標を定めました。
 総理は、さきの国会において農林系統金融機関について、「これを機に、農林栗金融機関の事業、組織のあり方につきましても抜本的な見直しを行い、大胆なリストラを進めていくことが必要であると考えております」と表明されました。
 総理はこのJAの改革案をどのように評価されますか。すなわち、これが総理の表明された事業・組織の抜本的な見直し、大胆なリストラに合致し、必要かつ十分なものと思われますか。御見解をお伺いします。
 また、単協の広域合併及びいわゆる組織二段の推進に伴ってささやかれる疑念や懸念について、農林水産大臣はどのように思われ、かつ対処されますか。あわせて、目標年次までの実現の見通しをお聞かせください。
 第二に、業務執行体制の強化についてであります。
 近年、農協の事業の高度化、専門化が進み、これに対処できる業務執行体制の強化が求められております。特にも、高い社会公共性を持つ信用事業における経営専念体制の整備は急務であり、このたびの改正案による常勤役員の兼職・兼業の制限はその趣旨に出るものと理解するものでありますが、具体的にどのような形態の兼職・兼業が制限されるのか。また、例外とされる「行政庁の認可を受けた場合」とはいかなる場合か。国、地方自治体の各級議員は制限の対象となるのか、これを明らかにしていただきたいのであります。次に、経営管理委員会制度の選択的導入についてでありますが、いわば組織と経営の分離という画期的な試みとしては評価できるものの、その実現、活用の見通しについては疑問の残るところであります。
 すなわち、これまでも学識経験を有する員外理事枠が認められており、平成四年の農協法改正ではそれが理事定数の三分の一に拡大されているのでありますしかるに、現在、員外常勤理事は一組合当たりわずか〇・一人にとどまっており、現行制度のねらいはほとんど達成されていないのが実情であります。
 このようなことでは、せっかくの経営管理委員会制度も画餅となりかねません。実現の見通しについて、屋上屋とならない適切な運用の工夫など導入後の指導のあり方を含めて、農林水産大臣にお尋ねいたします。
 第三に、監査体制の強化についてであります。
 このたびの改正案では、信用事業を行う農協については員外監事及び常勤監事を必置すること、さらに一定規模以上の農協については中央会の監査を義務づけることとされ、中央会はその監査に関し公認会計士と契約することになっています。
 しかし、六月に成立した金融機関等の経営の健全性確保のための関係法律の整備に関する法律により、信用金庫、労働金庫、信用協同組合等には会計監査人によ各外部監査が導入されており、これに比して後退し大印象はぬぐい得ないのであります。また、地方制度調査会は去る十日、都道府県、政令指定都市、中核市に外部監査を義務づけることを柱にした監査制度の具体策をまとめたとされております。
 会計監査人による外部監査を導入しなかった理由は何か、改正案で外部監査と果たして同等の効果が期待できるのか、そのための措置をどのように講じようとしているのか、農林水産大臣にお尋ねいたします。
 第四に、監督・検査体制の充実についてであります。
 住専問題は、そのあり方についても反省を迫るものでありました。このことは、国会審議の経過、そして金融制度調査会金融システム安定化委員会の審議報告において、「特に、農協系統金融機関については、不動産業向け融資の総量規制が行われた前後において、その融資が増加している。一方、行政当局も、住専は預金取扱金融機関とは異なるものであるが、住専の急激な事業者向け融資への傾斜に十分な指導を行いえなかった」と記されていることからも明らかであります。
 大蔵省及び農林水産省の監督・検査体制の充実をどのように図っていくのか、都道府県についてはどうするのか、また、現在大蔵省改革の一環として論議されている金融検査の一元化との関係はどうなるのか、総理並びに大蔵大臣及び農林水産大臣の御見解を伺います。
 第五に、資金運用規制の緩和についてであります。
 改正案では、農協については員外貸出しの割合及び対象の拡大、農林中金については資金運用規制の緩和を行うこととされておりますが、これによって住専等のような特定業種への資金集中が再び生じないか、非居住者向けの業務を拡大することは協同組合原則との関連において問題が生じないか、また、資金運用能力が果たして十分がなどの懸念のあることも指摘されるところであります。
 農林中金については、系統金融機関としての特典を享受しながら、他業態と同様の運用を行うことが金融秩序の面から見て問題がないのかという疑問もあり、このような点について、大蔵大臣並びに農林水産大臣の御見解をお伺いいたします。
 第六に、資金の農業分野への活用についてであります。
 このたびの信用事業の危機は、平成六年度末で農協二七・八%、信連一九・九%、農林中金四〇%という他業態に比して異常に低い貯賃率に招き寄せられたものと言って決して過言ではありません。それが第五で触れた資金運用規制緩和の必要性に結びついてくるのであります。しかしながら、協同組合金融本来のあり方からして、農業貸し出しの拡大が最も重要であることは改めて申し上げるまでもありません。そのための工夫、努力は果たして十分なのでありましょうか。
 農業法人あるいは生産組織に対する運用資金の貸出体制の充実、農村の高齢者福祉対策への資金活用等を指摘する声があります。さらには、JA資金が不足の時代には確かに財政資金を原資とする公庫融資は意味があったが、JA資金が資金運用策に苦慮しなければならないような時代には、政策融資の原資にJA資金を充てることも信用事業の安全性を優先させながらの拡充策として検討されていいのではないかとする意見もあります。これらについて、農林水産大臣の御見解をお伺い。いたします。
 最後に、この二法案は、政治、行政による農鶴改革のためのいわば環境条件の整備という性格のものであります。
 農協改革の中身は、農協自身がみずからの課題として自主的、主体的にこれに取り組み、具体化していくべきものであります。農協改革の成否は、結局、当事者である農協自身の取り組みいかんにかかっていることを強調しておきたいと思います。
 私ごとにわたり恐縮ではありますが、岩手の山深い里において先祖代々農業を営んできた家に生をうけ、今なおその地を住まいとする者として、我が国農業の発展を願い、その原動力の一つである農協の回生を祈る心情のまことに切なるものであることを申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(橋本龍太郎君) 高橋議員にお答えを申し上げます。
 昨年のAPEC経済首脳宣言の中にもございましたように、二十一世紀を考えました場合に、我々は食糧問題に懸念なしとしておりません。言いかえれば、我々自身が今後を考えますとき、食糧自給率をいかに維持していくか、そうした懸念が必要であることは間違いのないところであります。
 その上で議員から、我が国の農業農村の抱える課題、また、それに対しての認識というお問い合わせをいただぎました。
 現在、覆いがたい問題として、担い手の減少、高齢化、過疎化、さらにWTO体制のもとでの国際化などの課題が山積いたしております。こうした諸課題に対応しながら新たな基本法の検討を進める中におきまして、農業を魅力のある産業として確立をし、活力ある農村地域を実現するために各般の施策を展開してまいりたいと思います。
 次に、今回の農協の示した改革についてのお尋ねがございました。
 信連と農林中金の統合といった組織の再編と業務執行体制の強化など経営の健全化、効率化策を盛り込んでおり、農協系統の事業・組織の抜本的な改革だと私は思います。
 御審議いただいております法律案により、農協系統の改革が本格的に進むことを心から願っております。
 次に、検査実施率の向上などこの体制の整備に努めていくとともに、都道府県にも同様の指導を行ってまいりたいと考えております。
 また、金融の検査・監督につきましては、農協等を含め一元的に所掌する機関が望ましいと考えておりますが、いずれにいたしましても、現在、金融の監督及び検査体制のあり方につきましては与党三党においての検討が進められており、我々は、与党とも十分御相談をしながら、先般の政策合意を踏まえて早期に具体的な成案が得られるよう努力してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣藤本孝雄君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(藤本孝雄君) 高橋議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、農協の役割についてのお尋ねでございますが、農協は、御承知のように、農業者の協同組織として農業農村の振興に重要な役割を担っているものと考えております。
 次に、農協の破綻についてのお尋ねでありますが、農協につきましても、他の金融機関と同様、自己責任という原則のもとで経営の健全化を図っていくことが必要であると考えております。農協が経営困難に陥った場合でも、それぞれの経営内部での適切な処理を基本とした上で、必要な場合には貯金保険制度の活用等により貯金者保護と信用秩序の維持を図ってまいる考えであります。
 次に、単協の広域合併及び組織二段についてのお尋ねでありますが、組織再編は、これを契機として組織のスリム化と事業能力の向上ほどを図り、農業者の営農支援をより的確に行えるようにすることをねらいとしているものであります。また、実現の見通しにつきましては、今回の改正によりまして組織再編に向けて大きく前進するものと考えております。
 次に、役員の兼職・兼業の制限についてのお尋ねでありますが、その運用につきましては、他の金融業態の運用を踏まえて検討することといたしております。
 次に、経営管理委員会制度についてのお尋ねでありますが、この制度は、協同組織性を踏まえ、的確なマネジメントを行うことをねらいといたしておりまして、制度の普及と適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
 次に、監査体制についてのお尋ねでありますが、これを強化するために、監査のノウハウを有し、監査士資格者が千三百人いる中央会監査を公認会計士の関与によりましてさらにレベルアップをした上で、中央会監査を農協に義務づけることといたしております。
 次に、農協に対する監督・検査についてのお尋ねでありますが、検査実施率の向上などその体制整備に努めたいと考えております。都道府県も同様の対応が必要と考えております。
 また、先ほど総理からの御答弁にもございましたが、金融の監督・検査体制のあり方につきましては、現在、与党を中心として議論が行われているところでございまして、その動きを私どもも注意深く見守っておるところでございます。
 次侵資金運用規制の緩和についてのお尋ねでありますが、農協につきましては、業務執行体制、監査体制の強化などにより資金運用能力を向上させていく必要があると考えております。また、農林中金につきましては、協同組織としての産格を踏まえまして、非居住者貸し出しの拡大等、可能な範囲の措置を講じてまいりたいと思っております。
 最後に資金の農業分野への活用についてのお尋ねでありますが、系統金融の中心的機能は、御承知のように、農業農村への資金供給であります。これを十分に発揮していく必要があると考えておるわけでございます。また、系統資金の制度資金への活用につきましては、民間資金としての性格などから、一定の限度があるものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(三塚博君) 住専処理の現状や金融危機の現状認識及び金融機関の破綻処理への対応についてのお尋ねでございますが、まず住専処理については、住宅金融債権管理機構の立ち上げ段階の諸手続がほぼ完了いたしまして、本格的な回収段階に入っているどころであります。今後とも預金保険機構と一体となりまして強力かつ効率的な回収の成果を上げ、国民負担の軽減につながってまいりますよう政府としても積極的に支援してまいる所存でございます。
 次は、農協系統金融機関に対する監督・検査体制についてのお尋ねでありますが、農林系統の信用事業の監督・検査については、基本的には農林水産省主導で行っておりますが、大蔵省としても、今後とも監督・検査が効果的、効率的に行われますよう緊密な連携を図ってまいりたいと存じます。
 次は、金融行政機構の改革との関係についてのお尋ねでありますが、金融行政機構の改革につきましては、迅速的確で責任のある行政、専門的人材の確保、行政改革の大原則など、検討すべきさまざまな論点はほぼ出尽くされておるものと存じます。しかしながら、現段階におきましては、農水大臣言われましたとおり、与党三党で検討が進められておるところでありますところから、私といたしましては、その議論を見守りたいと考えておるところであります。
 最後に、農協及び農林中金の資金運用規制の緩和についてのお尋ねでございますが、今般の農協についての主たる資金運用規制の緩和は、組織二段階化に伴い信連の業務を引き継ぐ比較的大規模かつ経営基盤・審査体制の整備された農協、いわゆる指定農協と言われておりますが、について適用されるものでございます。
 農林中金の資金運用規制の緩和は、農林中金の農林系統組織における資金の運用機関としての役割に着目したものでありますが、協同組織金融機関としての性格を変えるものではございません。
 以上であります。(拍手)
#10
○議長(斎藤十朗君) しばらくお待ちください。答弁の補足があります。三塚大蔵大臣。
   〔国務大臣三塚博君登壇〕
#11
○国務大臣(三塚博君) 追加答弁をさせていただきます。
 高橋議員の金融機関の不良債権問題の現状についでということでありますが、不良債権の総額や要処理見込み額はともに減少してきておるものと考えております。金融機関全体としてはこの問題を克服する能力を持っていると思われますが、個別あるいは業態別に見た場合には、真剣に考えていかなければならないところも残されておると考えられるところであります。
 金融機関が仮に破綻した場合には、さまざまな状況を総合的に勘案いたしまして対応してまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、今後とも預金者保護及び信用秩序の維持に万金を期してまいりたいと考えております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(斎藤十朗君) 須藤美也子君。
   〔須藤美也子君登壇、拍手〕
#13
○須藤美也子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案と農業協同組合法等の一部を改正する法律案に対して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 今、日本農業は危機的な状況にあります。WTO協定受け入れによる米を初め農畜産物市場の全面的な輸入自由化や、新食糧法によって政府買い入れ米価の一・一%引き下げ、自主流通米価格の下落、減反の押しつけなどが農家経営の困難を一層深刻なものにしています。にもかかわらず、総理は、今国会の所信表明の中で農業については一言も触れませんでした。日本農業新聞が、「首相が農業にそっぽを向き、基本姿勢やビジョンを何も語らなかったことは、農業分野への冷淡さを露呈したと受け取られても仕方がない」と論評したほどであります。
 私は、さきにローマで開かれた世界食糧サミットに参加してきましたが、飢餓、栄養不足にあえぐ八億人を超える人口を二〇一五年までに半減させるために、主要食糧を含む食糧の増産に着手することなども内容とするローマ宣言と行動計画が採択されました。
 総理、我が国はWTO協定を受け入れて農畜産物市場を全面的に開放した結果、食糧自給率では世界でも百六十三カ国中百四十三番目で、最低の水準になっています。このような国際的な立場からも、さらに国民の食糧の安定供給という基本的な問題から見ても、今、我が国の農政に求められていることは、国内農業生産の発展、食糧自給率の向上に全力を挙げることにあると考えますが、いかがお考えでしょうか。
 また、日本農業の衰退は農協の経営にも重大な問題をつくり出しています。住専問題で明らかになったとおり、系統農協の金融機関が農業とは全く関係のない住専などへ貸し込んで投機的なやり方に走ったのは、農協の原点を逸脱した経営に責任があります。しかし、同時にその背景として、二七%という極めて低い貯賃率にもあらわれているように、資金の貸出先がないほど農業を衰退させてきたことが指摘されています。日本を世界一の食糧輸入国にしてしまうほど日本農業を後退させてきた農政のあり方こそ厳しく問われなければなりません。あわせて総理の見解を求めます。
 次に、本法案について質問いたします。
 第一に、今、行政と系統組織は、一体となって上から押しつける形で、現在二千二百四十二ある農協を二〇〇〇年までに五百五十の農協に広域合併しようとしています。しかし、広域合併によって支所などの統廃合と職員の削減により、最も大切な営農指導や経済事業が弱まっているのが現状です。農水省の調査でも明らかなように、こうした大規模農協ほど組合員の利用率は低下し、信用事業においても経営が健全だと言えない状態になっています。
 施設・店舗の効率化と不採算部門の切り捨てによって、農家の農協離れが進んでいます。地域農業の発展にとっても深刻な事態となっています。このような現状をこれでよいと考えておられるのか、農水大臣の見解をお聞きいたします。
 第二は、農協の業務執行体制にかかわって経営管理委員会を導入することです。特に問題なのは、経営管理委員会は農協の代表権を持つ理事を選任し、その理事は正組合員に限らなくともよく、資格は問わないというものです。その結果、正組合員でない実務家、例えば金融機関から出向した者やOBなどが理事となり農協の業務を執行することができるようになります。これでは、企業のやり方を農協に持ち込み、組合員こそ主人公とする原点を大きく後退させることにはなりませんか。
 このことは、「組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を打ってはならない」と定めている農協法第八条の基本理念に反するものではありませんか。農政審報告に基づく「経営の合理化・効率化」という名目で、生き残るためなら農協も民間企業に負けない企業になれ、そのためには農協本来の原点をゆがめてもよいということにつながるのではありませんか。農水大臣の明確な答弁を求めます。第三に、今回の改正で農林中金は海外物どのような企業・団体等への貸し出しもできることになります。しかし、農林中金自身も、みずから設立した住専を破綻させ、その他の住専七社に対しても八千億円を超える融資を行い、重大な社会問題となりました。まず、その経営責任が厳しく問われるべきであります。その責任を農水大臣はどのように認識しているのか、明らかにしていただきたいと思います。
 そして、今回の措置は、国際金融市場において農家等から預かった資金を支すます投機的に運用し、リスクの拡大を沼ぐ危険があります。そうならない保証はあるのですか。農水大臣の答弁を求めます。
 第四に、農林中金と信違との合併・事業譲渡についてです。
 農水大臣は、信連が抱える膨大な不良債権の処理について、不良債権は農協系統内で適切に処理されるものと答弁していますが、農家組合員に負担を押しつけないようにすべきだと考えます。明確に答弁してください。
 また、農政審報告では、合併等による信連職員などの人減らし合理化を、統合に当たって満たすべき基準として作成するよう求めています。このため、関係する労働者から雇用不安の声が上がっています。合併等に当たっては、雇用の確保を図り、労働強化にならないようにすべきです。組合員こそ主人公という農協の原点を発展させ、協同の力で組合員の要求を実現していくべきであります。あわせて答弁を求めるものであります。
 最後に、私は、今こそ日本農業再建のためにWTO協定を改定し、食糧自給率を高めることが真の食糧安全保障であり、国際貢献につながるものであることを申し上げて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(橋本龍太郎君) 須藤議員にお答えを申し上げます。
 まず、国内農業生産に対する取り組みについてでありますが、中長期的な世界の食糧需給については、需要面、生産面で不安定な要素があり、逼迫する可能性もあると考えております。したがって、今後の農政の推進に当たりましては、国内生産体制を強化し、それに加え、輸入及び備蓄を適切に組み合わせることにより食糧の安定供給確保を図ってまいりたいと考えております。
 次に、農政のあり方につきましては、農業政策についてはこれまでもそのときそのときの情勢に対応しつつ各般の施策を展開してまいりました。今後とも、我が国経済社会の成熟化、国際化が進む中で、農業農村が着実に発展していけるよう努力をしてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣藤本孝雄君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(藤本孝雄君) 須藤議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、農協会唯についてのお尋ねでありますが、合併に当たりましては、農協と組合員の結びつきを強め、また、組合員ニーズに応じた営農指導を行うなど、地域農業の発展に資するよう配慮すべきであると考えております。
 次は、経営管理委員会制度についてのお尋ねであります。
 組合員代表から成る経営管理委員会が業務執行に関する重要事項を決定するとともに、理事を任命いたしまして日常的な業務執行を行わせるものであります。農協は、御指摘のように、組合員のものであるということでございまして、この協同組織性を堅持しながら的確なマネジメントを行うためのものであると考えております。
 次は、住専に関する農林中金の経営責任についてのお尋ねでありますが、系統が設立した住専につきましては、農林中金が中心となってみずからの責任において経営改善に取り組んでいるところであります。また、その他の住専につきましては、農林中金はその経営に全く関与してこなかったことから、農林中金にその経営責任を問うことはできないと考えております。次は、農林中金の非居住者貸し出しについてのお尋ねでありますが、農林中金は審査体制の充実強化に努めていることから、非居住者貸し出しのリスク防止が図られているものと考えております。
 次は、信連の不良債権の処理についてのお尋ねでありますが、これにつきましては、農協系統内で十分に協議が行われ、適切に処理されるべきものと考えております。
 最後に、合併等に伴う信連職員等の雇用問題についてのお尋ねでありますが、この問題につきましては、労使間で十分協議されるべきものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(斎藤十朗君) 国井正幸君。
   〔国井正幸君登壇、拍手〕
#17
○国井正幸君 私は、民主党・新緑風会を代表して、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案並びに農業協同組合法等の一部を改正する法律案について、橋本内閣総理大臣及び藤本農林水産大臣に質問を行います。
 我が国農業は、国際化の進展や農畜産物価格の低迷、さらには米の需給不均衡による生産調整の実施、後継者不足と農業就業者の高齢化など大変厳しい状況にあります。特に中山間地域においては、規模拡大の困難さと相まってこの傾向は顕著であります。こうした状況の中にあって、安全な食糧の安定的確保はもちろんのこと、農林業の持っている国土保全機能や環境浄化機能など多面的な機能を再評価し、我が国農業を再生させるため、明確な将来ビジョンに基づく「新たな農業・農村基本法」の制定が各方面から強く求められているところであります。
 さきの食糧サミットでも明らかなように二十一世紀における国際政治の最大の課題の一つが人口と食糧問題であると言われている中にあって、金種の安定確保対策を含め、我が国農業の将来像を明示した新たな農業・農村基本法の制定要望に対しどのようにお考えか、まず橋本内閣総理大臣の御見解をお伺いいたします。
 次に、農協系統は、厳しい農業情勢の中にあって農業者の自主的な協同組織として、農家組合員の社会的、経済的地位の向上を目指し、懸命の努力をされているところであります。そして、経済事業、信用事業、共済事業、指導・利用事業などを総合的に行うことによって、農業の振興はもちろんのこと、地域社会の発展のためにも大きな役割を果たしてきているところであります。
 しかし、農協系統も、農業農村の変化や金融の自由化など社会経済情勢が変化する中にあって、これまた大きく変革を迫られていることも事実であります。したがって、全国農業協同組合中央会を中心にJA改革本部を設置し、単位農協の合併促進と組織二段階への統合を柱としたJA改革要綱を設定するなど、組織整備、経営の改善改革に取り組んでいるところであり、私はこれを基本的に評価するものであります。しかし、農協の大型合併などにより、農協と農家組合員との結びつきの希薄化や、事業分量の増大による経営管理体制のさらなる強化など、早急に解決をしなければならない課題が山積しているのも事実であります。また、農協の地域社会における今日的存在を考えたとき、その社会的責任は極めて重大であり、特に信用事業を行う以上は、業務執行体制の強化、自己資本・内部留保の充実、員外監事の設置と外部監査の実施、そしてディスクロージャーの実行といった点で他の金融機関と同等の措置を講じることが、我が国金融システムの一員としてこれまた必要なことであります。
 そうした意味で、このたびの法改正は時宜にかなったものであり、一定の評価をしたいと存じますが、以下何点かについてお伺いをしたいと存じます。
 まず、経営管理委員会制度の選択的導入について伺います。
 業務執行体制の強化を図るため、経営管理委員会を選択的に導入できるようにしたわけでありますが、平成四年の法改正で、同様の目的のもと、員外理事の登用の枠を三分の一まで拡大したところでありますが、現実には員外常勤理事は一組合当たりわずか〇・一人にとどまっているという状況にあります。協同組合の自主性にかんがみ、可能規定であることはよしとしても、法改正の趣旨に照らし、甚だ遺憾であると考えます。経営管理委員会制度の導入と員外理事登用に対する農林水産省の指導方針について伺います。
 次に、経営の健全性を確保するため員外監事を必ず置くことを義務づけ、もろもろ規定しているところでありますが、その具体像は必ずしも明確ではないと考えます。経営の健全性といった観点からすると、むしろ公認会計士または監査法人の監査を義務づけた方がより的確ではないかと考えますが、なぜそうしなかったのか、その理由をお伺いいたします。
 第三点は、農林中央金庫法の改正について伺います。
 私は、連合組織は農協の補完機能であるとの協同組合論からして、農林中央金庫を農協法に基づく協同組合組織に改組すべきと考えておりますが、それはさておき、農林中央金庫はとかくお役所的などの風評を耳にいたしております。理事の構成を調べてみると、十七名中、会員からの組織代表は四名、他の十三名は、農林水産省、大蔵省、日本銀行のOB、そして農林中央金庫のプロパーということであります。これでは会員の意思を十分に反映し得る執行体制とは言えないのではないかと考えます。
 私は、農協は組合員のものである、そして連合会は会員のものであるとの協同組織性を堅持しつつ、より高度な、より専門的な業務を的確に執行し会員並びに組合員の負託にこたえるためには、役員候補を推薦するだけの現行の農林中央金庫の管理委員会では不備であると考えております。より会員の意思を経営全般にわたり反映させるためには、少なくともこのたびの改正農協法案に定める経営管理委員会程度の機能を、定款ではなく法律に明記して付与すべきと考えております。
 さらにつけ狙えるならば、農林中央金庫法第十二条に定める審議委員こそ、その任務にかんがみ、高度な専門的知識を持った有識者を充て、経営の健全性を確保すべきと考えております。
 このたびの農林中央金庫法改正は、非居住者向け貸し出し規制の緩和などであり、農業協同組合組織である信連と合併をするという現実に照らし、農協法改正の趣旨が農林中央金庫法の改正に生かされていないと考えております。
 大臣の率直な御答弁をお願いし、農業協同組合組織のさらなる健全な発展を祈念し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国井議員にお答えを申し上げます。
 私への御質問は一問、新たな農業・農村基本法の制定要望についてどう考えているかということであります。
 農業農村をめぐる情勢の変化、これは議員御自身も御指摘になりました。新たな時代に対応し得る食料・農業・農村政策の構築に向け、新たな基本法の制定に向けまして、本格的な検討が行われております。
 なお、食糧の安定確保につきましては、昨年のAPEC経済首脳の行動宣言におきましても、アジア太平洋地域において急増する人口及び急速な経済成長により食糧への負担が急激に増大すると予想されるとされたところでありまして、今後の農政の推進に当たりましては、国内生産体制を強化しながら、これに加えて輸入及び備蓄を適切に組み合わせることによって食糧の安定供給確保を図ってまいりたい、そのように考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣藤本孝雄君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(藤本孝雄君) 国井議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、経営管理委員会制度についてのお尋ねでございました。
 この制度は、協同組織性を踏まえ、的確なマネジメントを行うことをねらいとしておりまして、制度の普及と実務家理事の登用など適切な運用に努めてまいりたいと思っております。
 次に、監査体制についてのお尋ねでありますが、これを強化するため、先ほど御答弁申し上げましたように、監査のノウハウを有し、監査士資格者が千三百人おります中央会監査をさらに公認会計士の関与によりましてレベルアップをした上で、中央会監査を農協に義務づけることとしたものであります。
 最後に、農林中金への経営管理委員会制度の導入についてのお尋ねでありますが、農林中金につきましては、既に制度上、実態上、会員の意思を反映しながら実務家が日常的業務執行に当たるという体制が確立しているものと考えております。(拍手)
#20
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト