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1996/12/03 第139回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第139回国会 本会議 第3号
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1996/12/03 第139回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第139回国会 本会議 第3号

#1
第139回国会 本会議 第3号
平成八年十二月三日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  平成八年十二月三日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続)
    午後二時三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きま
 す。
     ――――◇―――――
#3
○議長(伊藤宗一郎君) この際、御紹介申し上げます。
 ただいま欧州議会議長の御一行が貴賓席にお見えになっております。クラウス・ヘンシュ議長並びに御一行の皆様を諸君とともに心から歓迎いたします。
    〔拍手〕
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続)
#4
○議長(伊藤宗一郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。石田幸四郎君。
    〔石田幸四郎君登壇〕
#5
○石田幸四郎君 私は、新進党を代表して、橋本総理大臣の所信表明演説に対し、経済問題、行財政改革の問題等を中心として質問をいたします。
 さて、今回の岡光前事務次官を頂点とする厚生官僚とその所管する社会福祉法人との贈収賄事件ほど、行政に対する国民の信頼を失墜させている事件はありません。国の補助金の配分権限を利用し、国民の切実な要求である福祉を利権の食い物にし、公務員は国民全体に奉仕するという憲法の規定に反し、行政の不公正な運営の実態が明らかになったのであります。薬害エイズ問題で厚生行政が信頼を失った直後だけに、問題は深刻でございます。
 我々は、行政に対する国民の信頼を一日も早く取り戻すために、徹底的に事件の真相を解明し、真因を突きとめ、再発防止に全力を挙げなければなりません。総理の、事件の真相解明に対する決意をまずもってお伺いいたします。
 今回の事件に関係し、橋本総理は綱紀粛正の大号令をかけられました。これまで不祥事があるたびに綱紀粛正の大号令が出され、閣議決定などがなされてきました。綱紀粛正を幾ら繰り返してもその効果がないことは、今回の事件を見れば明らかであります。
 米国においては、ウォーターゲート事件に端を発する公務員の不祥事件の再発防止のため、政府倫理法を定め、その中で公務員への利益供与を厳しく規制して、高潔性を強く求めているのであります。我が国においても同趣旨の公務員倫理法の立法化を検討すべきだと考えます。昨日の西岡幹事長の質問に対して、総理は、現行法の公務員法の規定を徹底させると答弁されましたが、これで成果か上がるとは到底考えられません。いま一度答弁を求めます。
 また同時に、他の補助金に対しても同様の危惧が感ぜられることから、すべての補助金支出について適正か否かを総点検する必要があります。国民の行政への不信を払うためにも、この際、徹底した点検をしなければならないと思います。総理の答弁を求めるものでございます。
 経済財政問題についてお尋ねします。
 日本経済は表向きは回復基調にあると言われておりますが、未曾有の不況から受けた傷は大きく、経済危機は依然として深刻です。雇用情勢は極めて厳しく、失業率がいまだ三・四%という高い水準にあり、中高年は言うに及ばず、十五歳から二十五歳の失業率は実に六・五%に達しています。
 規制が多くコストの高い日本市場は魅力を欠き、企業は次々に海外へ逃げ、日本そのものの空洞化が進んでいます。とりわけ競争力の弱い中小企業は窮地に立たされており、いまだに毎月一千件を超える倒産が続いています。
 また、多額の不良債権による金融システムの行き詰まりも日本経済をむしばんでいます。先日の阪和銀行に対する業務停止命令に見られるように、金融機関のモラルハザードは目を覆うばかりであります。
 東京の証券市場は元気がなく、マルチメディアなどの新産業に刺激を受け、高値を続けているニューヨーク市場とは対照的であります。長期金利ももっとはね上がっていいのに二%台半ば、市場が日本経済の先行きに悲観的な見通しをしていることは明らかであります。さて、今回の不況に対しこれまで六回にわたる総額六十六兆円の景気対策が講じられてきましたが、さしたる効果はあらわれず、土木事業を中心とした公共投資はもはや景気対策の主軸ではあり得ないという強い反省が求められております。他方、低金利政策も逆効果になっています。公定歩合〇・五%という異常な低金利は、ここまで来ると国民の生活を苦しめるといったマイナス要因しかありません。
 この現状に加えて、二兆円の特別減税の中止、四月からは消費税率を五%に引き上げ、保険料の引き上げなど国民消費構造から約九兆円の金を引き揚げては、景気の回復は全く考えられないのであります。民間研究機関の見通しでも、来年度の経済成長率は一%、悪い予測ではゼロ%台になるという結果が出ています。
 特別減税中止と消費税増税で、GDPの六割を占める個人消費は間違いなくダウンします。消費税と低金利のダブルパンチで、年金に頼る高齢者の生活が窮地に陥ることは確実であります。そこへ公共事業一辺倒の補正予算を組めば、政府の規模はいたずらに大きくなり、民間の活力を奪い、財政悪化を招来するだけの結果となるでありましょう。
 この未曾有の不況から脱するためにい我が新進党は日本再生の基本戦略と基本戦術が必要だと考えます。
 そのために、我が党は基本戦略として、最優先の政策目標に「民間支出主導型の自律的な三ないし四%成長軌道」を掲げ、産業構造、企業経営、雇用、財政赤字等、構造的問題解決の諸条件を整えなくてはならないと考えております。
 また、その実現のための基本戦術として、第一に、中期的に民間市場経済の活性化を目指し、大幅な規制緩和、所得税、法人税の減税を断行し、民間、国民生活の現場からやる気、活気を取り戻す。第二に、行政は、いわゆる小さな政府を目指し、組織の改廃、経費削減を図るため、中央省庁の再編、特殊法人整理、地方分権の推進は勇断を持って臨む。また、これらの達成期限は二〇〇〇年度と強く決意しているところであります。
 総理の日本再生の基本戦略、基本戦術を明確にされることを求めます。
 次は、行財政改革について質問をいたします。
 まず、橋本総理の行政改革に臨む姿勢についてであります。
 橋本総理は、今回の総選挙の結果、改革を求める国民の一致した要求にこたえ、「火だるまになってでも行政改革を断行する」と決意表明をされましたが、私はこれを素直に受けとめることができません。
 第一の理由は、自社さ連立政権の時代において、行政改革を内閣の最重要課題と言いつつ、本来の行政改革にはほとんど手をつけず、特殊法人の一部整理統合などでお茶を濁しただけでありました。第一次橋本内閣でも何か行政改革の実績があったでしょうか。何もしてないではないですか。
 第二の理由は、第二次橋本内閣になって、総理が「火だるまになってでも行政改革を」と豪語されている内容の中心は、総理直属の行政改革会議を設置し、中央省庁の再編や国家機能のあり方、首相官邸機能の強化等について一年以内に具体案をまとめ、再来年の通常国会に関連法案を提出するというものであります。しかしながら、土光臨調以来、第三者機関による行政改革の論議は既にほぼ出尽くされているのであります。あとは政治家が国家国民の立場に立っていかに決断し実行するかであります。幸い、今回の総選挙において各党とも行政改革の実行を公約しており、国会の論議を通じてその具体化を図る基盤は十分に整っているのであります。このようなときに当たり、今さらなぜ総理直属の第三者機関をつくらなければならないのか、全く理解できません。(拍手)
 いかにも行政改革に取り組んでいるかの姿勢を示しつつ、実態は屋上屋を重ね、単なる機構いじりに終始し、結局は問題を先送りするにすぎないのではないかという懸念を抱くのは、果たして私だけでありましょうか。
 さて、今回の総選挙において国民が強く求めたことは、民間経済が現下の厳しい経済情勢に対応するため血のにじむようなリストラを行っているように、政府も安易な増税に頼るのではなく、行政改革努力によって徹底した歳出削減を図れというものでありました。
 私ども新進党は、国民のこの要求にこたえ、国民との五つの契約において、大胆な行政改革、地方分権、規制の撤廃を断行し、国と地方の経費を二十兆円以上減らす提案を行ったのであります。それは十分可能であります。
 しかるに、橋本内閣の行政改革は、霞が関改革、大蔵省改革といったものが中心となっており、機構いじりが先行し、行政の質的転換の姿が見えてきません。今必要なのは質の転換です。
 その一例として申し上げれば、歳出における一律シーリング方式であります。今日まで、歳出削減については一律シーリング方式に頼っております。一律シーリング方式は、行政機関が平等に我慢することが優先されるため、歳出構造の改革には全くつながっていないばかりか、現在の制度を温存するマイナスの結果となっています。橋本内閣は、歳出削減をシーリング方式に頼る従来のやり方を改め、我が党が提案したような大胆な行政改革により、行政経費の大幅な削減を図るべきであります。その努力なくして、消費税を五%に引き上げることは絶対に認められません。歳出削減への決意と政治手法を示していただきたい。
 ある意味で、行政改革の論議は一歩前進をしてきました。行政改革委員会、地方分権推進委員会の努力がそれであります。この十二月中旬には、行政改革委員会より規制緩和に関する第二次答申、情報公開要綱案等が政府に提出されることになっております。また、年内にも、地方分権推進委員会からも機関委任事務に関し第一次勧告がなされようとしています。論議が煮詰まった結果として答申、勧告が提出されるのでありますから、あとは実施あるのみであります。各答申、勧告の実施への具体的な手順、スケジュールをどう考えているのか、明示されたいと思います。
 特に地方分権推進委員会で年内にも報告されるであろう第一次勧告、すなわち機関委任事務の改革は、地方分権を進めるための突破口であり、分権全体像がそろわなければ実行に移せないでは、地方分権は大きく挫折してしまうのであります。政府は直ちに機関委任事務改革を実行するその決意ありや否や、伺いたいと存じます。
 また、地方分権を進める上で不可欠の課題は、国庫補助金制度の改革であります。約十五兆円に及ぶ地方向けの国庫補助金の存在は、今日、全国を画一化し、地方の特色ある発展を妨げていると同時に、その配分をめぐって、官官接待や陳情行政といった形で国民の税金の膨大な浪費を招いております。また、申請等の手続にも複雑さと経費増を招き、公務員削減へのブレーキとなっています。今回の社会福祉法人と厚生省官僚との贈収賄事件、与党議員による関連業界に対する恫喝的なやり方に見られるように、補助金の配分は今や政官業癒着の不正を生む土壌を造成しているのであります。抜本的な改革が求められています。
 総理、自民党は総選挙の公約において奨励的補助金廃止の方向を打ち出されましたが、それでは甚だ不十分であります。この際、国全体として統一した行政水準を確保することが必要な事業を除き国庫補助金は全廃し、その財源を一括交付することとすべきであります。橋本内閣は国庫補助金改革を断行するのかどうか、改革を断行するのであればいつこれを明示されるのか、総理の明快な答弁を求めます。(拍手)
 次は、規制緩和の思い切った推進についてであります。
 民間経済が成熟の段階に達し、キャッチアップ型経済の転換を求められている今日、官主導の経済運営は単なる民間経済への介入にすぎず、企業家の自由な活動とエネルギーの発揮を妨げ、我が国経済の活力を奪っております。これでは、国際的な大競争時代を乗り切り、二十一世紀日本の明るい未来を切り開くことは不可能であります。これからは、経済の目標を我が国自身が選択し、国際競争力のある技術や商品をみずから開発していかなければならない時代となっております。したがって、官主導ではなく、規制を撤廃・緩和し、民間の創意と自由な競争での対応が不可欠となっております。
 「経済的規制は原則撤廃、社会的規制は最小限」の原則は確立されていますが、法律にはこの両者が混在しているケースもあり、厳格な精査が必要です。しかも、許認可の規制は恒常的にふえる性格を持っています。規制は法律に裏打ちされて実施されるものであり、しかもその法律は毎年四十本前後ふえているのです。規制をふやしているのは、まさに行政府であり、立法府なのです。この増加傾向にどんな措置を講じようとするのかもお答えをいただきたいと存じます。
 また、行政改革委員会より情報公開要綱案及び官民役割分担に関する意見具申がなされます。情報公開法の制定は行政の質を変える力を持っています。その重要性は改めて言うまでもありません。あとは政治決断。実施への手順をどうするか、伺いたいと存じます。
 次は、公共事業の問題であります。
 公共事業は、国と地方を合わせ約三十五兆円という膨大な額に及んでおります。もちろん、私は、今後の高齢化社会に対応し、社会資本の整備を着実に進めていくことの必要性を認めるものであります。
 問題は、その予算配分のシステムであります。下水道、道路、公園、漁港・港湾など各種公共事業には、例えば第何次整備五カ年計画といったように、それぞれ年限を定めた計画が定められておりますが、それら公共事業が、社会的必要性の変化や地域の実情を考慮することなく、期限が来るたびに自動的に継続されていることであります。この結果、公共事業の比率はほとんど固定化し、国民の税金の浪費と資源の適切な配分を妨げているのであります。また、地価や資材価格の下落とともに民間の事業については予算単価の見直しが行われているのに対し、公共事業についてはその見直しも行われておりません。
 今や、国が各種公共事業について計画を定め、社会資本の整備を図る時代は既に終わっております。各種公共事業の必要性は各地域において異なっており、各地域がその実情に応じた公共事業をみずから選択できるシステムに改めるべきであります。
 私は、この観点から、大規模災害対策、国際的なハブ空港、ハブ港湾など国が直轄で実施しなければならない事業を除き、他の公共事業は地方自治体にゆだね、その財源を地方に一括交付する制度に改めることを提案するものであります。(拍手)また、地価動向に照らし、事業単価の大幅見直しをやるべきであります。この点について総理の見解を求めるものでございます。
 次は、財政投融資と特殊法人の問題についてであります。
 民間経済がいまだ不十分な力しか持たなかった時代において、国民の生活を豊かにするために、社会資本の整備、福祉、環境、生活などの分野においても、住宅などに見られるように民間企業の対象となる分野についても国が特殊法人をつくり、郵便貯金や年金基金などを原資として対応してきました。
 しかし、民間経済が発達し、財政投融資に頼っていた行政の補てん的な事業の中にも、特殊法人が実施しなくても民間レベルで十分国民のニーズにこたえられるものも見られます。特殊法人は、既にその役割を終えていると思われるものも数多いのではないでしょうか。官主導の典型とも言える財政投融資のあり方も根本的見直しが必要とされております。
 しかしながら、現状は、特殊法人の整理合理化は一向に進まず、膨大な財政投融資を利用し、社会的需要の動向を無視した事業が継続され、しかも公営という独占的立場を利用し、各特殊法人は事業関連の子会社、孫会社をつくり、収益を上げ、所管する省庁の公務員の天下り先にしているなど、まことにゆゆしき実態を招いているのであります。
 我が党は、特殊法人は五年後すべて廃止し、特に必要が認められるものについて新たな法律によって存続を図ることといたしております。財投見直しをしなくて、民主導経済体制には転換はできません。財政投融資制度は、民主導の経済体制の大きな障害となりつつあります。総理の見解を求めるものでございます。
 大蔵省改革とあわせて金融・証券制度の改革について伺います。
 行政改革を最大の課題とする橋本第二次内閣の、その決意の真偽のほどを占う試金石が大蔵省と金融制度の改革にあることは論をまちません。膨大な不良債権の処理、国際化への立ちおくれなど、我が国金融界は多くの問題を抱え、世界の市場から大きく立ちおくれています。これらの問題が根源的には護送船団方式と言われる行政に根差していることは、今や自明の理とさえ言えます。その解決はまさに焦眉の急となっています。
 総理は、先ごろ「二〇〇一年東京市場の再生に向けて」と題する金融・証券制度改革案を指示されました。しかし、その総論、方向性に比べ、示された内容は旧来の方針を改めて確認するばかりで、特に目新しいものが盛り込まれているわけではありません。今回、総理が提示された案には、そうした護送船団方式からの脱却に対する明確な意思表示や、あるいは郵便貯金、簡易保険、政府系金融機関など公的金融のあり方については触れられておりません。
 また、金融制度改革の処方せんは、総理直属の機関だけでも、経済審議会の答申がなされ、またせんだっては、総理みずからが直属の機関として設置し、既に報告を得ている中央銀行研究会の報告など、既に幾つも提示されております。にもかかわらず、中央銀行研究会で得た報告書を、今度は大蔵省銀行局長の諮問機関である金融制度調査会でもう一度審議するというのであります。これでは、一体何のための総理直属機関なのかという批判もあるのであります。
 今回の改革案の指示も、金融制度調査会、証券取引審議会、保険審議会、企業会計審議会、外国為替等審議会等々、幾つもの審議会で審議される、相も変わらぬ審議会方式への依存という旧来の手法の踏襲であります。どれだけの審議会で答申を得れば、改革は実行に移されるのでしょうか。
 当面の大蔵省の改革については、大蔵省金融三局の金融行政局への統合等や、予算編成権や税の賦課・徴税権のあり方の見直しとあわせて、抜本的に改革すべきだと考えます。特に総理の考える金融改革案と大蔵省改革の兼ね合いについて、改めて、大蔵省改革についても断じておろそかにしないことをここで明言をしていただきたいのであります。
 さて、金融改革の柱として、中央銀行の独立性の確保は不可欠であります。とりわけ日銀総裁の解任権と予算の認可権について伺います。
 諸外国の事例から見ても、これは政府当局の監督権限から除外すべきだと考えます。大蔵大臣を長く務められた総理御自身、財政金融の専門家として、これらの課題は審議会にゆだねなくとも、政治家としての見識は既に十分お持ちだと考えます。御見解を伺いたいのであります。
 また、金融機関の検査・監視機関のあり方については、政府・与党の中にはまだ議論が整理されていないように見受けられますが、総理の明確な方針をお示しいただきたいと思います。
 自民、社民、さきがけ三党の合意事項では、検査権限について独立性の高い公正取引委員会型の三条機関で設置することを合意しておりますが、この合意は履行されるものと理解してよいのか、改めて御確認をお願いいたします。
 最後に、今回の選挙における自民党の態度について、一言申し上げておきたいことがあります。
 今回の選挙において、行革、消費税についての一部の政策論争がありましたが、それにも増して、競争相手をなりふり構わず攻撃するネガティブキャンペーンがその一つの特徴であったと言えます。その最大なものは「宗教団体の政治支配を許すな」とのネガティブキャンペーンでありました。政治ビラとして何千万枚もばらまかれ、選挙妨害を自民党はあえて強行したと言っても過言ではありません。(拍手)私たち新進党は、東京、大阪、愛知、福岡などで告訴して対応しました。
 また、「新進党に応援する者は公共事業配分において地獄を見る」という極めて恐喝的なキャンペーンを自民党の一部幹部が展開をしたことであります。
 橋本総理は、今後の政治行政の上で、この二つの大きな問題を含む手法を継続的に行使されようとするのか、所信をただしておきたいと思います。
 まず第一は、宗教団体が政治上の活動をしてはならないとお考えなのか、各団体が政権を批判する権利をどうお考えなのか、批判する団体や勢力は常に弾圧の対象とお考えなのか、所信を明らかにされたいと思います。(拍手)
 また、十一月二十五日の自民党の役員会では、政権に反対の結果を出した大阪や愛知に対し、予算の配分に差別すべきなどの発言が相次いだという報道があります。この問題について、昨日、我が党の西岡幹事長が代表質問で具体例を挙げて、政権与党である自民党の恫喝政治についてただしました。これに対し総理は、みずからは発言をしていない、考えておらないとのみ答弁をされました。しかし、これでは恫喝政治に対する国民の不安や自治体及び各種団体の困惑を払拭するに足るものではありません。
 一体、税金はだれのものなのか、予算はだれのためにあるのでしょうか。総理、政権を批判すれば自民党はすべて報復的な態度で対応するのですか。これでは暗黒政治の始まりではありませんか。(拍手)憲法の保障する思想信条の自由はどこへ行ったのか、法のもとの平等の意識はないのか、自民党は新たな差別をつくろうとするのかと疑わざるを得ません。かかる強圧的政治手法は即刻やめるべきで、民主政治を根底的に覆す政治手法に私は強く抗議し、総理の誠意ある答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#6
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 石田議員にお答えを申し上げます。
 まず、今回の厚生官僚に係る事件の真相解明についての決意をただされました。
 厚生官僚に係る贈収賄事件につきましては、既に司法当局が捜査中のものもございますし、厚生省におきましても事実関係の確認を急ぐとともに、これを踏まえた厳正な処分、再発防止策に早急に取り組むことといたしております。私としても、徹底した真相解明を行うとともに、再びこのような事態が生ずることのないよう、再発防止を図り、国民の行政に対する信頼を取り戻すよう全力を尽くす所存であります。
 また、昨日の西岡幹事長の御質問にも関連し、公務員倫理法の制定について再度お尋ねがございました。
 昨日もお答えを申し上げましたように、公務員の服務は既に公務員法制で規定されておりまして、これが守られておりましたなら、このような事件は起こらなかったはずであります。まず、これらの規定や従来の決定事項を一人一人に遵守させることが大切だと思います。
 私は、去る十一月二十一日、異例のことではありますが、官房長官とともに事務次官会議に出席をし、綱紀粛正の徹底を指示するとともに、同日、総務庁長官の指示によりまして直ちに各省庁官房長会議を開き、真に実効の上がる綱紀粛正方策を一カ月以内に策定するよう指示いたしました。
 現在、政府部内で右方策についての検討を鋭意進めており、早急に結論を得て、綱紀粛正の実を上げたいと考えております。御指摘の新たな公務員倫理法が必要か否かにつきましては、それを踏まえて考えてまいりたいと思っております。
 次に、補助金の総点検を実施せよという御指摘がございました。
 補助金は、一定の行政水準維持などの政策遂行上重要な機能を担っております一方で、地方行政の自主性の尊重、財政資金の効率的な使用という観点から不断の見直しが必要であり、毎年度の予算編成の中で個々にその制度内容について厳しく見直しを行い、補助基準や単価の適切な設定に努め、その執行についても厳正を期してまいったつもりであります。今後もその姿勢を貫いてまいります。
 次に、経済構造改革について、新進党の御主張を踏まえて御意見がございました。
 私は、経済構造改革を進めていくために、経済活力を維持していく上で企業の活力がいかにすれば最大限に発揮できるか、そのためにはまさに規制緩和等を初めとした経済構造改革を総合的に進めていくとともに、労働に関する諸制度の改革などを進めていく必要があると思います。また、中長期的な経済発展の基盤をつくり出していくためには、我々は新たな産業を育てなければなりません。その新規産業の創出に向けて、個別産業ごとの分野をよくにらみながら、人材育成、技術開発などを強力に推進していこうとしております。
 次に、歳出削減についてのお尋ねがございました。
 当然のことながら議員が御惜摘のように、行政の質的転換を伴うような規制緩和、地方分権等を進めていく一方で、私どもはこの問題に取り組まなければなりません。まず、九年度予算の編成に当たりましては、財政構造改革元年という位置づけをすべく各般の制度改革の実現に努力をしますとともに、議員が御指摘になりました、行政経費のみではなく、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しを聖域を設けることなく行いながら、限られた財政資金の重点的、効率的配分に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、行政改革委員会の規制緩和に関する意見につきましては、これが提出されましたならば最大限尊重し、来年三月末までに規制緩和推進計画を再改定してまいります。
 次に、地方分権推進委員会の機関委任事務制度の見直しを中心とした第一弾の勧告につきましては、これをいただき次第、速やかに、実効の上がる推進計画の策定作業に着手をし、来春に予定されております補助金、税財源、地方行政体制のあり方などについての第二弾の勧告とあわせて、地方分権推進法の趣旨に沿い、総合的かつ計画的に地方分権を推進してまいります。当然のことながら、その中で前倒しのできるものはできる限り前倒しをしてまいります。
 また、国庫補助金改革という視点からの御指摘がございました。
 補助金などの中には、議員が御指摘になりましたように、例えば生活保護あるいは義務教育のように、国が一定の行政水準を維持する目的を持つものがあります。また、特定の政策目的を持つそうしたものもございます。他方、先ほども申し上げましたけれども、補助金などは、地方行政の自主性の尊重、財政資金の効率的な使用という観点から、不断の見直しが必要であり、毎年度予算編成の都度に、この補助金等の目的を踏まえながら、個々にその性格、内容について厳しい見直しを行ってまいりました。今後とも一層その整理合理化に努めてまいります。
 また、許認可などの規制の増加傾向に対する措置についてお尋ねがございました。
 政府は、規制緩和推進計画に基づいて、規制の新設について厳しい審査を行いながら、原則として一定期間後に見直しを行い、規制を新たに設ける法律については、その趣旨や目的などに照らし適当でないものを除いては、一定期間の経過後、見直す旨の条項を設けております。規制の新設抑制は重要な課題であり、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 また、情報公開法の実施手順については、現在御審議をいただいております行政改革委員会からは年内に御意見をいただけると思います。政府としては、その意見具申をいただきました後は直ちに立案作業に着手し、全力を挙げて情報公開法の早期制定に取り組んでまいります。
 公共事業につきましては、議員が御指摘になりましたように、国の直轄事業、しかしそれ以外にも例えば広域的な事業などで国として関与することが望ましいものもございます。これは、地方公共団体に補助を行うことによって整備を促進していく必要もありましょう。ただし、国及び地方の役割分担、費用負担のあり方につきましては、今後とも、補助対象の見直し、補助金の一般財源化などの取り組みが必要と考えております。そして公共事業のコストにつきましては、建設省において、一昨年十二月に公共工事の建設費の縮減に関する行動計画を策定いたしました。これに基づいて、建設費の縮減を推進するなど、用地費に限らず全般的なコスト削減に積極的に努めてまいります。
 次に、特殊法人についてお尋ねがございました。
 私は、これを一律に全廃することについては、さまざまな形態のあること、また種々の政策遂行の継続性、安定性を考えますとき、適当ではないと思います。しかし、特殊法人について不断の見直しを続けていくことは必要でありますし、政府としては、昨年定めた法人の統廃合などの整理合理化方針に基づく改革を着実に実施してまいる所存であります。
 また、財政投融資について、民主導の経済体制への転換を阻害しつつある、こうした御指摘をいただきました。
 財政投融資には確かに見直すべき点がございます。同時に、財政政策の中で有償資金の活用が適切な分野に対応する制度でもあります、その基本的な役割、必要性というものは、私は将来にも残ると思いますが、財政投融資の受け持つ役割も社会経済情勢の変化などに応じて変わっていくことは当然でありますし、対象分野・事業を不断に見直していく必要があることは御指摘のとおりであります。
 また、大蔵省改革について御指摘がございました。金融システム改革と大蔵省改革の兼ね合い、金融機関の検査・監督機関のあり方及び与党三党の合意事項についてのお尋ねであります。
 金融行政機構のあり方につきましては、金融の検査及び監督体制のあり方について、現在、与党三党において検討が進められているところでありまして、与党とも十分御相談をいたしながら、先般の政策合意を踏まえて最大限努力し、次期通常国会に所要の法案を提出したいと考えております。
 なお、金融システム改革については、私自身が強い決意を持って、法制度までを含め総合的な改革を実施していきたいと考えております。
 予算編成権のあり方など金融行政以外の大蔵省改革につきましては、我が国の行政機構のあり方の根幹にかかわるものであり、与党三党の報告でも述べられておりますように、中央省庁の改革を初めとする一連の行政改革全体の中で検討すべき課題と考えております。
 次に、日銀に対する監督権限につきましては、先般の中央銀行研究会の報告書におきまして、総裁を初めとする役員に対し政府と意見が異なることを理由とする解任権を認めない、日銀の公的性格から経費を公的にチエックすることが必要とされております。政府としては、この報告書の基本的な方針を踏まえ、日銀改革の実現に向けて最大限努力をするとともに、次期通常国会に所要の法案を提出したいと考えております。
 次に、宗教団体の政治活動についての御意見がございました。
 憲法の定める政教分離の原則は、信教の自由の保護を実質的なものにするため、国及びその機関が国権行使の場面において、宗教に介入し、または関与することを排除する趣旨、そう解しておりまして、それを越えて宗教団体が政治的活動を行うことをも排除している趣旨のものではないと考えます。また、憲法が言論の自由を保障している趣旨にかんがみましても、宗教団体が政治上の選択をする自由や政権を批判する自由も保障されるべきものと考えております。
 最後に、選挙結果と地域の予算とのかかわりについてお尋ねがございました。
 国の予算の配分、執行は、その政策目的などに照らし厳正かつ公正に行われるべきことは当然であります。昨日も西岡議員にお答えをいたしましたように、例えば愛知万博に関して、博覧会事務局の調査団が先月来日しましたときにも、私自身が会談を持ち、その実現に努力をいたしました。種々の報道があったことは承知をしておりますが、私どもは、国の予算の配分、執行に当たっては、その政策目的、効果などを踏まえ厳正公正に対処いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(伊藤宗一郎君) 不破哲三君。
    〔不破哲三君登壇〕
#8
○不破哲三君 私は、日本共産党を代表し、橋本首相及び関係閣僚に質問いたします。
 まず第一は、厚生省にかかわる疑惑の問題であります。
 今、通産省関係の泉井疑惑、年金生活者を犠牲にしたオレンジ疑惑など、多くの金権腐敗事件が問題になっています。中でも、国民の怒りが際立っているのは厚生行政をめぐる疑惑です。首相は公務員の綱紀粛正を強調しましたが、これはその言葉だけで済む問題ではありません。
 国民の怒りが特に厚生省疑惑に集中しているのは、これが国民の福祉と命を守るべき厚生行政そのものが生み出した金権疑惑だからであります。その中身も、厚生省の中枢を握っていた一部の官僚と特定の企業や業界団体とが結びついて厚生行政を動かし、自分たちの利益を図ったというものであります。贈収賄にしても政治献金にしても、突き詰めれば、結局は税金など国民の負担金がその財源になっているのであります。福祉の事業は、全体としてはこれにかかわる多くの人々の善意と献身に支えられています。今回の一連の疑惑は、これらの善意の努力を傷つけるものとなっている点からいっても重大であります。
 今浮かび上がっている二つの問題を見てみましょう。
 特別養護老人ホームの建設をめぐる疑惑は、彩福祉グループと名乗るグループが厚生省の一部官僚の応援を受けて、埼玉、山形の両県で八カ所のホーム建設の許可を得、国と県から合計百億円を超える補助金を獲得したという問題であります。そして、その工事を自分の経営する企業に発注した後、基準を大幅に割り込んだ安い工費で別の建設会社に丸ごと下請させ、その差額を横取りしたというのであります。福祉の名のもとに高齢者を犠牲にしたその手口は言語道断であります。このグループが横取りした補助金の総額は二十億円を超えるとも推定され、それがこのグループの不当なもうけをなすと同時に、わいろの財源ともなったのであります。
 もう一つは、病院向けの医療食及び寝具の業界からの多額の献金の問題です。
 これは、直接的には汚職ではなく政治献金の問題でありますが、特定の企業が厚生省との関係を利用して、病院向けの販売ルートなどを事実上独占し巨額の利益を上げてきたという問題であり、厚生行政を足場とした不当なもうけが問題になっている点では、特養ホーム疑惑と共通であります。さらに、彩福祉グループで中心の役割を果たしてきた人物が医療食と寝具の業界で重要な地位を同時に占めていることも、見過ごすわけにはいかない点であります。
 医療食の場合には、厚生省が決めた検定制度を利用して販売ルートを独占する体制を築いた上、医療用という名目を口実にして、市販の一般商品と質の変わらないものに平均して市価の一倍半の高値をつけていたというのですから、これも手口は悪質であります。報道によると、このルートでの販売額は年間二百八十五億円にも上り、価格のつり上げによる暴利だけでも九十億円を大きく超える計算になります。高い医療食を買った病院には健保で加算金が支給される仕組みになっていて、健保会計からこのために年間百七十五億円が支出されています。いわば厚生行政を最大限に利用した悪徳商法であります。
 この独占商法は公正取引委員会から独占禁止法違反として告発され、政府はこの四月に検定制度の廃止を決めました。これは、この制度が有害無益の制度であったことを政府自身が事実上認めたのと同じであります。ところが、その有害無益の制度のために、健保財政から、最近では一年に百七十五億円、制度発足以来を合計すれば一千数百億円にも上る公金が支出され、特定の企業に法外のもうけを提供してきたのであります。
 病院寝具の業界でも、状況はほぼ同じであります。
 今問題になっているのは、この二つの業界から、俗に厚生族と呼ばれる政治家たちに巨額の政治献金が行われてきたことであります。この献金の財源が健保会計からの支出にかかわるものであることは明瞭であって、これも厚生行政の根幹につながる重大問題と言わなければなりません。
 ここから幾つかの問題が出てきます。
 第一に、これらは厚生行政が特定の企業やそのグループのもうけのための道具となり、補助金や健保会計からの支出が、福祉を食い物にする利権集団に不当に横取りされてきたという問題であります。これは、検察側の調査に任せて済む問題では決してありません。政府には、行政のどこにゆがみがあったのか、どこに不当な支出があったのかなどを全面的に調査して、事の真相を国会と国民に報告する義務があります。
 今回の二つの問題では、企業の側にも厚生行政の側にも、疑惑の中心に同じ人物が絡んでいました。同じようなゆがみが厚生・福祉行政のほかの分野に及んでいないかどうかの総点検が必要であります。医療食や寝具の場合と同じような仕掛けが在宅福祉サービスなどの他の分野にもつくられ、同じグループの企業がそこから巨額の不当利益を得ているという疑惑も指摘されています。高齢者へのサービスを売り物にしながら、厚生行政を不当な利益の道具とするような悪徳商法の横行は、絶対に許せません。これを今根絶しなければ、これからつくろうという介護保障の制度も悪徳業者の利権の場に変えられる危険が大きくあります。
 私は、疑惑にかかわる真相の全面的な解明と、厚生行政の総点検に取りかかることを政府に強く求めるものであります。首相と厚生大臣の見解を伺いたいのであります。
 第二の問題ですが、首相は所信表明演説で、今、医療保険の改革法案を用意していると述べました。この法案では、健保会計の赤字を理由に本人負担を二倍にすることなど、国民負担の大幅な増額が計画されています。
 ところが、その健保会計の赤字の一部に疑惑の事業に絡む不当な支出が含まれているということが、まさに今問題になっているのではありませんか。さらに、製薬会社と厚生行政の癒着が薬価の負担を不当に大きくし健保会計を圧迫しているという疑惑も、各方面から指摘されてまいりました。そういううみを一掃し行政の責任による事態打開の努力を最大限に図る、これが今日政府に課せられた最優先の任務であって、まず国民の負担増をというやり方は、逆立ちの、道理のないものであります。この際、負担増を柱にした健保改悪などの計画は取りやめるべきであります。
 三つ目は、政治献金の問題です。
 医療食や病院寝具などの業界から橋本首相と小泉厚生大臣を含む政治家が巨額の政治献金を受けていたことは、大きく政治道義にかかわる問題であります。届け出てあるからといった言いわけは成り立ちません。政治道義の基準に照らしての是非、事のよしあしこそが問題だからであります。福祉関係の企業や団体といえば厚生行政と直接の利害関係を持つ団体であり、その多くは福祉予算や健保会計などからの支出をその財政の最大の基盤としている団体であります。
 私は、政治家がこういう企業や団体からの政治献金を受けること、とりわけ厚生行政に深い関係を持つ政治家が政治献金を受けることは、政治資金規正法による手続がどうとられようと、政治倫理に照らして重大な問題があると考えます。この点について、献金を受けていた当事者として、首相と厚生大臣の見解をただすものであります。
 首相は綱紀粛正を言いますが、あなた方が政治家としてみずからの綱紀を正す姿勢を明確に示さないで、官僚と業界との金権的なつながりを断つ大胆な改革にどうして取り組めるでしょうか。責任ある見解を求めたいのであります。
 最後に、厚生行政までが官僚や政治家への政治献金で汚染されていたという状況が明るみに出てきた今日、企業・団体献金の禁止はもはや一刻の猶予も許されない日本の政治の緊急課題となっています。この問題を避け通したままで、政府が幾ら「国民本位の行政改革」を唱えても、「国民本位」の形容詞は空文句とならざるを得ません。この問題に対して、首相の責任と勇気ある見解を聞きたいのであります。
 我が党は、今、企業・団体献金の禁止法案を国会に提出する準備を進めています。国民の熱い要望にこたえ、その実現のために奮闘するものであります。(拍手)
 次に、消費税問題であります。
 首相は、消費税率の引き上げは「予定どおり来年四月から実施させていただきます。」と言明しました。まず伺いたいのは、あなたは、消費税増税の方針がこの総選挙を通じて国民の信任を得たと認識しているのかという問題であります。
 自民党は、確かに総選挙で消費税増税の政策を掲げました。しかし、選挙で第一党になり単独で内閣をつくったとはいえ、支持票は有権者の二〇%、増税路線が国民の信任を得たとはとても言えない数字であります。
 しかも、自民党の多くの候補者は、選挙戦で別の立場を有権者に訴えました。有力な幹部でさえそうだったのであります。私は選挙中の公約を一人一人調べてみましたが、第二次橋本内閣に入閣した衆議院議員十八名の中でも、増税の立場を表明した方は七人、逆に凍結や延期、行政改革先行、見直し論など、要するにこのままの形で四月から増税することには賛成しないとの立場を表明した方が八人、灰色や沈黙が三人という状態であります。こういう構成の第二次橋本内閣に消費税、増税を国民に押しつける資格がないことは明らかではありませんか。(拍手)
 消費税問題では、国民多数の意思は明白であります。投票日翌日のNHKの電話世論調査では、増税反対が六四%と圧倒的多数を占めました。この声には、震災対策、住専問題、薬害エイズ問題、農業対策など、さまざまな分野で国民の要求に背を向けながら、増税で国民の負担増だけを追求するやり方への大きな怒りが結びついています。
 最近の一連の事件で、一部の官僚や企業が国民の税金を食い物にしてきた実情が改めて明らかになったことは、増税への国民の批判を一層強烈なものにしています。日本共産党の国会議員団が扱っている増税反対の国会への請願署名は、最近三週間に寄せられた分だけで既に三百五十万に達しています。この国民の声に真剣に耳を傾け、四月からの増税を中止する措置をとることを政府に強く求めるものであります。(拍手)
 今回の五%への税率アップは、政府・自民党の増税計画からいえば、増税の終着駅ではなく、税率一〇%台という、より大型の消費税増税への通過駅にほかなりません。このことは、選挙戦の中で論じ合ったことでした。それだけに、この増税路線をこのまま進めてよいのかどうかにつき、消費税のそもそも論も含めて国民的な論議を改めて起こすことが今大切であります。
 消費税の理由づけとしてこれまでに政府・自民党が持ち出してきた議論は、すべて事実の前に崩れ去っています。特に、消費税導入の最大の論拠とされた「これは高齢者福祉のための財源だ」という議論は、完全に破綻しました。
 実績を見てみましょう。
 八九年の導入以来の八年間に徴収された消費税のうち、国庫に入った分の総額は累計三十一兆円余に上ります。そのうち、どれだけの金額が高齢者向けの新たな施策に振り向けられたでしょうか。私の計算では、消費税を財源として新たな施策を講じたと言えるのは、総額一兆八千八百億円、消費税徴収額国庫分のわずか六%でしかありません。高齢者対策を充実拡大するための税金ということが偽りの看板であったことは、政府の行動自体を通じて証明されているではありませんか。このような偽りの宣伝はもうやめるべきであります。
 ここで重要なことは、消費税を導入してから、国の財政の上で無責任な浪費、いわゆる放漫財政がひときわ激しくなってきたことであります。収支のバランスをとるという健全財政の基本はとうに投げ捨てられ、今では五十兆円台の税収に対して支出は七十兆円台、赤字は二十兆円以上ということが毎年の普通のことになっています。将来は一〇%台への消費税増税が必要という議論の陰には、財政のこの放漫、浪費には手をつけず、破綻を専ら増税で穴埋めしようとする意図が見え見えであります。これは、国民にとって危険きわまりない道であります。
 我が党は、消費税増税に反対すると同時に、破綻した財政を積極的に立て直すために財政再建十カ年計画を発表しました。消費税増税に頼ることなく、浪費と放漫の根本にメスを入れることで財政を再建の軌道に乗せようという計画であります。この取り組みの中でこそ消費税を廃止する道も開けるのであります。
 これに対して、安易な増税方針をとる政府・自民党が、財政危機の根本に目を向けようとせず、財政の浪費と放漫を拡大しようという無責任な立場に今なお立っていることは重大であります。その点、具体的に聞きたいと思います。
 第一は、軍事費の問題です。
 世界の大勢が軍縮の流れにある中で日本が軍事費を年々拡大していることは、国際的にも突出した姿となっています。政府は、軍備の増強を五年ごとに区切る中期防方式をとっていますが、その五カ年計画の経費は、八〇年代後半の計画が十八兆四千億円、九〇年代前半の計画が二十二兆七千五百億円、九〇年代後半の現在の計画が二十五兆二千六百億円、十年間で実に三七%増、絶え間ない軍拡の流れは数字の上でも明白であります。首相は、世界の流れに逆らった軍事費増大の道をいつまで歩き続けるつもりですか。この軍拡の流れを軍縮の方向に大胆に転換することこそが今求められていると考えますが、見解をただしたいのであります。
 第二に、浪費の規模からいってさらに重要な問題は、ゼネコン型の大型開発を柱とした公共事業費の膨張の問題です。
 野放しの開発優先政策のもとで、公共事業費はこのところ膨張に次ぐ膨張を続け、国民総生産に占めるその比重は、ついに欧米諸国に比べて二倍から三倍という異常な水準に達しました。この公共事業の重点を国民生活に直結する生活基盤型の事業に思い切って移し、その部分は必要な拡充を図りつつ、全体としての規模は日本の経済と財政の現状に合わせて合理的な圧縮を図る、このことは財政再建にとって避けるわけにいかない急務となっています。
 ところが、自民党は、さきの総選挙で発表した政策でも六百三十兆円の公共投資計画の前倒し実施をうたうなど、無責任な公共事業拡大政策に今なお固執しています。これがそのまま政府の政策に反映するとすれば、日本の財政と経済の前途を危うくするものと断ぜざるを得ません。
 目的も定かでない首都機能移転の計画が、何の財政的な裏づけもなしに強調されているのもその一つであります。この推進に当たってきた財界の代表者は、この計画には本体部分だけで二十五兆円の費用がかかるだろうとの予想を示しながら、公共投資を六百三十兆円も予定しているのだからこれぐらいはできるだろうと国会で言明しました。
 そこで伺いたいのであります。
 政府・自民党は十年間に六百三十兆円の公共投資なるものを動かしがたい既定の計画にしているようですが、この数字は、国民生活と国民経済の現実の必要から積み上げられた数字とはとても思えないのであります。一体いかなる根拠からはじき出された数字なのか、御説明願いたい。
 私は、これは過去の実績に一定の係数を掛けて机の上ではじき出しただけの数字、具体的な根拠や財源の裏づけがある話ではないと聞いています。政府は、六百三十兆円はアメリカとの対外的な約束だからということもよく言いますが、根拠も裏づけもない計画を勝手に他国との約束事とし、これを既定の事実として日本の政治経済に持ち込むやり方こそが政府の勝手横暴というべきではありませんか。(拍手)
 私は、根拠のないこのような数字的な目標はきっぱりと白紙に戻し、国民生活の現実の要求を最優先する立場で、公共事業計画の全般的な再検討に当たることを強く主張するものであります。首相の見解をただすものです。
 次に、安保・沖縄問題について伺います。
 沖縄への米軍駐留が悲劇的な事件を引き起こしてから、既に一年余りがたちました。しかし、基地問題では何らの本質的な解決は見られず、本格撤去第一号と宣伝された普天間基地の問題も、沖縄県内での移設というたらい回し案から一歩も出ないままです。日米政府間の協議では海上ヘリポート建設が現在の結論だとされていますが、沖縄の関係自治体はこぞってこの計画に反対の態度を表明しています。こういう状況のもと、地元の関係自治体の合意なしに海上基地の建設にゴーサインを出すようなことは、絶対にあってはならないことだと考えます。首相の明確な見解をただしたい。
 政府の安保堅持論の背景には、アメリカは世界平和のために行動している、だからそれに協力するのは当然の国際的義務だという議論、アメリカ正義論とでもいうべき議論があります。これは政府の安保政策の大前提となっていますが、この前提そのものが世界政治の現実とはかけ離れた空論だというところに、実は安保条約をめぐる最大の問題があります。
 この問題を、アメリカが戦争行動をとった最も新しい経験に照らして吟味してみましょう。
 それは、この九月に行われたアメリカのイラク攻撃であります。その武力攻撃は、国連の決定などとは全く無関係に、アメリカ政府が専ら自分の意思で行ったものでした。攻撃の後、アメリカの意を受けたイギリス政府が、国連の安全保障理事会にアメリカの軍事行動を支持する決議案を提案しましたが、フランス、ロシア、エジプト、中国、インドネシアなど多くの国々の反対に遭い、イギリスも結局取り下げざるを得ませんでした。アメリカの武力攻撃は国際社会の承認を得られなかったのであります。
 国連憲章は、国連の決定に基づかない軍事行動は認めていません。ただ一つ例外とされているのは、国連加盟国が他国から武力攻撃を受けた場合にこれに反撃する軍事行動だけであります。アメリカはこの憲章を無視して、自分の勝手な思惑からイラクを攻撃したのですから、国際社会がこれを承認しなかったのは当然のことでした。
 重大なことは、このイラク攻撃に対して日本の米軍基地が全面的に利用されたことであります。爆撃機部隊は、沖縄・嘉手納基地の空中給油部隊の支援のもとにイラクヘのミサイル攻撃を行いました。海上からミサイル攻撃をした駆逐艦は横須賀を母港とする在日米軍の一部、攻撃に参加した戦闘爆撃機群も青森県三沢基地に配備されていた部隊です。国民が知らない間に、日本はイラク攻撃の前線基地として二重にも三重にも利用されていたのであります。
 そこで伺いたい。
 政府は、日本の基地がこういう形でイラク攻撃に利用されたことをいつ知ったのですか。アメリカからその通告はあったのですか。あったとすれば、それは攻撃の前ですか、後ですか。そして、その通告に対して日本政府はどういう態度をとったのですか。そしてまた、そもそもイラクを攻撃するという行動自体について、アメリカから話し合いや通告が日本政府に対して事前にあったのですか。もし事前の協議もなしに日本の基地が他国への武力攻撃に利用されていたのだとしたら、そしてこれが安保条約の実態だとしたら、それは日本の主権にとっても世界の平和にとっても危険きわまりない状態ではありませんか。
 しかも、その武力攻撃は、国連も承認しないアメリカの勝手な戦争行動でした。アメリカが他国への勝手な戦争行動のために日本の領土を自由勝手に利用できる、今日の世界でこのような自主性のない立場に甘んじている国は、サミット諸国の中はもちろん、国連加盟の百八十五カ国の中でも、日本以外にどこも見つけることは難しいでしょう。
 この危険な状況から抜け出す努力こそが平和への責任ある大道であります。ところが、政府の行動は全く逆の方向を向いています。日米間で開始されたガイドライン見直しの作業では、周辺有事、すなわちアメリカが他国に対して戦争行動をとるときに、日本がどんな軍事協力を行うかが主題の一つとなっています。検討項目の中には、米軍への後方支援の項目も確認されていますが、その焦点となっているのは、具体的に言えば、米軍への物資の提供、武器などの輸送、民間の空港や港の使用、軍事情報の提供、機雷掃海作業への参加などなどです。これらは、すべて米軍の戦争行動に日本が参加するという内容ばかりではありませんか。
 現在、基地の事実上の自由使用権を米軍に保障していること自体、極めて異常でかつ重大な問題ですが、この協議の行き着く先は、アメリカの戦争、すなわちアメリカの国益のためにアメリカが起こすどんな戦争行動に対しても無条件で軍事協力するのが日本の義務になる、こういうさらに危険な立場に日本を引き込むことにほかなりません。これは、日本の主権、安全をも世界の平和をも損なう道であります。日本共産党は、ガイドラインをめぐるこの危険な協議の打ち切りを政府に要求するものであります。
 日米安保条約のもとで日本が置かれているこうした従属関係を打破することは、二十一世紀を前にして解決を迫られている最も重要な国民的な課題の一つであります。我が党は、この問題を、安保条約を廃棄し米軍基地を全面撤去することで根本的に解決することを目指しています。
 これは、非現実的な展望では決してありません。日米安保条約には、日本の政府が条約廃棄の意思を持ってそのことをアメリカに通告すれば、一年後に条約が自動的に終了するという廃棄の手続が定められています。つまり、日本の国民が安保条約廃棄の意思を固め、政府が国民のその意思を代表する行動をとるならば、アメリカ側の都合や思惑がどうあろうと安保条約は終わりになるという取り決めが日米間に現に存在するのであります。
 安保条約を廃棄するということは、アメリカとの間に敵対関係を持ち込むということではありません。戦前の敵対関係とも戦後今日までの従属関係とも違う、対等平等の立場に立った友好関係がこれによって初めて現実のものとなるのであります。
 世界及びアジアとの関係でいえば、アメリカの軍事的な同盟者というこの枠組みから離れることによってこそ、そして日本が世界の大多数の国が参加している非同盟中立諸国の中に参加することによってこそ、日本がアジアと世界の平和に自主的かつ積極的に貢献できる大きな道が開かれることをここで強調しなければなりません。
 もちろん、この問題の解決には、国民の間での広く深い討論としっかりした国民的合意が必要であります。日本共産党は、国民的な討論を広く呼びかけながら、安保条約の廃棄、非同盟中立の道への国民多数の合意をかち取るために粘り強い努力を尽くすことを最後に表明して、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#9
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 不破議員にお答えを申し上げます。
 まず、特別養護老人ホーム疑惑等についてのお尋ねであります。
 厚生省において、一連の不祥事に関し事実関係を確認した上で、厳正な処分を行うとともに綱紀の粛正の一層の徹底を図り、また社会福祉施設に関する疑惑については、事実関係を究明した上で、再発防止策に早急に取り組むことといたしております。
 次に、医療保険改革についてのお尋ねであります。
 今後とも国民に良質かつ適切な医療を提供していくためには、医療を効率化し、医療保険制度の安定化を図る必要があります。このため、社会保障構造改革の一環として医療提供体制と医療保険制度に関する改革を総合的かつ段階的に進めていく必要があり、平成九年におきましては、改革の第一弾として、給付と負担の見直しを初めとする医療保険改革法案を次期通常国会に提出させていただく考えであります。
 次に、政治献金についてのお尋ねがございました。
 御指摘に耳を傾けさせていただきながら、政治資金規正法にのっとり適正に処理しておりますけれども、常にみずからを政治倫理に照らして戒めなければならないと考えております。
 また、企業・団体献金の禁止についてのお尋ねがありました。
 先般の三党政策合意におきまして、政治資金規正法附則第九条、十条において、法律施行後五年を経過した場合、資金管理団体に対する寄附の禁止、政党、政治資金団体に対する寄附のあり方の見直しを定めていることを踏まえ、政治資金のあり方について今後さらに協議を進めるとされていることでありまして、この動向を見守ってまいりたいと考えております。
 次に、消費税率引き上げの方針に関する国民の信任というお尋ねがございました。
 さきの総選挙を通じ、私は、我々の子供や孫の世代にこれ以上ツケを残してよいのか、またお年寄りや障害者が安心して支え合うような暮らし、そうした仕組みをつくる必要はないか、こうしたことを国民の皆様に問いかけ、訴えながら、消費税率の引き上げの必要性を訴えてまいりました。これは、まさに国の将来を私は真剣に訴えてまいったつもりであります。
 また、閣僚の意見と消費税率の引き上げとの関係についてのお尋ねがありました。
 税制については、国民の理解と信頼が重要であることは言うまでもありません。選挙中の発言については、国会での論議や行革の実行などを通じて税に対する国民の御理解と信頼を高めていくことが重要だという趣旨だと理解をいたしております。いずれにいたしましても、内閣として、所得税、個人住民税の恒久減税と一体になった消費税率の引き上げを来年四月から実施させていただきたいと考えております。
 また、来年四月からの増税を中止せよというお尋ねであります。
 消費税率五%への引き上げは、平成七年から先行実施しております所得税、個人住民税の恒久減税とおおむね見合うものであり、平成六年秋に議論され、法律で定められたものであります。この増減税一体の税制改革は、高齢社会の進展という我が国の構造変化に対し税制面から対応するものとして、我が国の将来にとって極めて重要なものだと考えております。
 次に、消費税を高齢者対策のための税金だという宣伝はやめろと言われましたが、消費税というものは、景気の変動を受けにくい、また高齢社会で一層必要な社会保障などの公共サービスの安定的な財源としてすぐれており、またお年寄りや障害者が安心して暮らせる社会を皆で支えていくのに適していることから、高齢社会にとって不可欠な税であると考えております。
 また、来年四月の消費税率の引き上げは、そのうちの一%が地方財源とされ、残る一%の中から、所得税の恒久減税の財源のほか、高齢者介護などの福祉の充実のための財源となっております。
 また、中期防についてお尋ねがございました。
 中期防ごとの所要経費や各国の防衛費を単純に比較することは極めて困難であります。現中期防は、防衛力の規模及び機能についての見直しを行い、その合理化、効率化、コンパクト化を一層進めることを初めとした防衛大綱に示された防衛力の内容を実現することを目指したものでありまして、軍拡との御指摘は当たらないと思います。
 次に、公共投資基本計画について御質問がありました。
 この計画は、今後の社会資本整備の基本的方向を取りまとめたものでありまして、本格的な高齢社会の到来を間近に控えながら、豊かで質の高い生活を支える発展基盤を構築するとの見地から、社会資本が二十一世紀初頭にはおおむね全体として整備されることを目標といたしております。このような目標のもとで、経済全体とのバランスを考慮しつつ投資の規模の検討を行った結果、計画期間中の公共投資総額を弾力枠の三十兆円を含め、おおむね六百三十兆円といたしました。
 この計画の具体的な実施に対して、財政の健全性を確保しながら、各時点での経済財政状態を踏まえて機動的、弾力的に対応することは申すまでもありません。こうした考え方を踏まえた上で、国民生活の質の向上に直結する分野、次世代の発展基盤となる分野への重点化を図りながら、社会資本整備の着実な推進に努めてまいる所存であります。この計画は、我が国の長期的な社会資本整備についての考え方を、あくまでも自主的に取りまとめたものであります。
 次に、普天間飛行場の返還に伴う代替ヘリポート建設問題につきましては、昨日の日米安全保障協議委員会におきまして、海上施設案を追求し、新たに設置する普天間実施委員会が遅くとも来年十二月までに実施計画を作成することになりました。今後、建設場所の選定を含め実施計画を策定するに当たりましては地元の御理解を得ることが当然のことながら重要なことであり、政府としてはそのため最大限の努力を払ってまいります。
 次に、米国のイラク攻撃に関するお尋ねがございました。
 米軍は、運用の効率性等の観点から世界的な規模で部隊の配備の交代や調整を行っており、在日米軍の部隊も他の地域に移動することがございますが、これは安全保障条約上何ら問題はありません。政府は、かかる在日米軍の移動について随時情報は得ておりますが、その詳細をすべて知る立場にはございません。いずれにせよ、今回の米軍の行動が日米安全保障条約による事前協議の対象ではなかったと承知をいたしております。
 なお、米軍がイラクに攻撃を行うに際し事前通報があったかどうかという御質問につきましては、日本時間におきまして九月三日の午前、東京及びワシントンにおいて米側から事前通報を得ております。
 また、日米防衛協力のための指針の見直しにつきましては、日米安保体制が我が国の安全にとって必要不可欠であるとともに、アジア太平洋地域の平和と繁栄のために重要な役割を果たしていることにかんがみ、日米間の安保面での協力を促進するとの観点から行われているものでありまして、政府としては今後ともこの作業を積極的に進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣より御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣小泉純一郎君登壇〕
#10
○国務大臣(小泉純一郎君) 厚生行政をめぐる疑惑についてのお尋ねでありますが、今回の不祥事に関与しているおそれがある職員から事情聴取等を行い、事実関係の確認をした上で厳正な処分を行うこととしております。また、職務関係者等との会食等の全面禁止など、厚生省を挙げて綱紀粛正の徹底に取り組んでおります。
 さらに、社会福祉施設整備補助金や社会福祉法人制度が悪用されていることについては、施設整備など業務全般に関する再点検を行い、問題点を解明した上で、補助金選定手続の見直しなどを柱とした再発防止策を早急に取りまとめることとしております。
 また、政治献金についてでありますが、政治資金規正法にのっとり適正に処理されている政治献金があたかも不正であるかのように言われるのは甚だ迷惑であります。現実の社会を見ると、スポーツ、例えば野球やサッカーやゴルフにしても、あるいは音楽、クラシックやポピュラーやオペラにしても、テレビや新聞にしても、企業の寄附、協力なしに成り立っているものはありません。
 本来、政治家や政党は地域住民の福祉のためや国家国民の発展のために献身的活動をするのが政治家であり政党のはずであります。(拍手)その政党や政治家が一定の規制のもとに企業献金や団体献金を受けることが必ずしも悪だとは思っておりません。政治家や政党を育てるのは国民であります。政治活動を支えていくために、政治家や政党の自由で旺盛な政治活動を支えるための政治資金はいかにあるべきか、私は各党各会派でじっくりと冷静に議論していただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(伊藤宗一郎君) 伊藤茂君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔伊藤茂君登壇〕
#12
○伊藤茂君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、橋本総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 総選挙を終わって最初の国会論議でございますので、私は社会民主党の新たな決意を一冒申し上げます。
 私たち社民党の今の気持ちを、土井党首は「ゼロからの出発」と表現をされました。私たちは、総選挙結果の厳しい現実から、勇気を奮い起こし、志を高く持って、ヨーロッパで私たちの友党が中心的な政治潮流をつくっているように、日本の社会民主主義の新しい展開と大きな結集を目指して、ひたむきに進む決意であります。(拍手)
 また、土井党首は「市民との絆」を私たちの合い言葉にいたしました。女性、高齢者、障害者、子供たち、働く人々とのかたいきずなを原点に、熱い思いを込めて前途を切り開いてまいります。
 社会民主党は、第二次橋本政権の出発に当たり、同じ三党連立であった村山内閣の実績を大きく評価するとともに、新たな視点から三党政策協議を行い、第二次橋本内閣の与党として協力することといたしました。(拍手)また、先般の自民党と新党さきがけの三党政策協議では、合意する点、合意に至らない点を整理し、これをベースにして閣外協力の道を選びました。これは、私どもの選挙公約を最も効果的に実現し、また社民党の政策を鮮明にして対応するという立場であります。
 社民党は、三党政策協議で合意した内容を自民党、新党さきがけの皆さんとともに協力しながら誠実に実行します。(拍手)さらに、合意に至らない点はさらに徹底した議論を行ってまいります。一致できない政策を政府が決定した場合には、議会の場で国民に責任を持つ選択をすることになるでありましょう。総理、三党合意に今後どう具体的に対応されますか。
 これに関連して、橋本総理に率直に意見を申し上げ、決意を伺わなければなりません。
 最近、村山内閣時代の自民党とは違った、容認しがたい動きが目立ちます。選挙の報復予算ともいうべき発言、集団的自衛権についての憲法解釈を変更せよとの声、在日外国人の権利問題での帰化せよという発言など、単独政権だった昔の風景というか、おごりが見えます。
 政治は自民党のためにあるのではなく、国民のためにあるのであります。私たちは、かつての自民党単独政治時代へ歴史の歯車を逆に回すことは絶対に容認しません。それは連立の基本にかかわると考えます。それを一番強く認識しておられるのは総理御自身でしょう。私たちは、自己改革を忘れる人たちを助ける意思はありません。絶えず真剣にお互いに自己改革をしながら、新しい日本へのドラマを共同で展開するのが共通の目標であります。総理、どう認識されますか。
 あとわずかの年月で二十一世紀、言うならば二十一世紀のドアをあける日への確かな設計と準備が求められております。それは、政府、政党、政治家の使命であり、橋本首相が所信表明で述べられました五つの改革もそういう展望にお立ちになってのことと思います。社会民主党は、新世紀へのビジョンと希望を語ることにおいて、他の党に負けない努力をいたしてまいります。
 そういう気持ちを込めながら、私は、社民党が公約した重点政策について、総理の考えを伺いたいと思います。
 第一は、行政改革についてであります。
 各党の代表もここで言われましたが、まず、現在の国民の怒りにどう毅然として対処し、どう信頼を取り戻すのかを問わなければなりません。総選挙が終わった直後から、さまざまの不祥事、スキャンダルが連続しています。国民の怒りと抗議は、厚生省など個別の問題だけでなく、行政全体への不信となっており、さらに政治への不信となっております。事態は重大であります。
 公務員の綱紀粛正に厳しい対策をとるのは当然です。しかし、それだけではなくて、腐敗の発生する構造そのものをえぐり取る基本的な対策を決断しなければならないと考えます。そのためには、アメリカの政治腐敗防止法をモデルにした公務員倫理法、企業、労組等の団体献金の禁止など、政官の腐敗防止の抜本的な制度改革を急がなければなりません。これは、政治と行政に国民の信頼を得られるか失うかの重大問題だと考えます。それは、三党政策合意にある官に対する政の指導力を発揮することでもあります。そのためにも大胆な国会改革が求められます。総理、与党内で私たちは真剣に大胆な改革の政策を提起します。総理の毅然たる姿勢を語ってください。
 私は、行政改革の出発点は、国民に信頼される行政、国民とともに新しい世紀を語ることにあると思います。行政改革は、そのための理念と目標が重要です。総選挙の中でも私は非常に疑問を感じましたが、政府は中央省庁の図面づくりに熱中しているように見えました。これは行革のあるべき理念と目標を矮小化したものと思います。
 それも大事ですが、今求められている行政改革の基本は、国民と行政のきずなを信頼をもって結ぶこと、官僚のコントロール時代からの民の時代への転換、さらに新世紀の日本の形を分権をベースに大胆なシステムチェンジを図ることだと思います。国民の皆さんに信頼と誇りある国づくりへのシグナルを鮮明に示すことだと思います。首相直属の行革会議で、私は、まずそういう点を国民の皆さんにわかるように、合意が得られるように議論すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 国民視野で行革を考えるならば、今やるべきことをすぐ実行することが必要であります。まず、先行すべきは情報公開法と大蔵省改革であります。
 大蔵省改革につきましては、選挙後の自民党内の揺り戻しが見えます。私は、改革にちゅうちょのない、先見性ある決断が今求められていると考えます。日本銀行法の五十年ぶりの大改正は、総理の私的勉強会、中央銀行研究会でほぼ論点を整理したと思います。さらに、銀行局と証券局を廃止して金融部局を一本化することは、総理のいわゆる日本版ビッグバン構想からしても、まさに時宜に適したものとなりました。
 与党内で協議中の検査・監督の改革につきましては、大蔵省からの独立、検査・監督の一元化、監督・検査の一体での大蔵省からの分離という改革を橋本行革の突破口として、また橋本行革の象徴として決断すべきだと思います。自由で活性化した市場と独立した監督の存在、財政と金融の分離は今後の新しい構造の原理であります。与党同僚議員の御協力を得て、与党の大蔵省改革プロジェクトチームの座長を務めさせていただきました私といたしましては、特にこの点について総理の明快なお考えを伺いたいのであります。
 情報公開法も作業は進んでいるのですから、ちゅうちょすることなく、国民の知る権利を原点にした内容を国会に提出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。それなくして国民の不信は消えないと思います。
 第二は、税財政改革、特に消費税についてであります。
 村山内閣で、深刻なポストバブルの不況の中で、多くの勤労者の要望にこたえる大規模な所得税減税の先行実施、分権時代に向けた地方財源の強化など、精いっぱいの努力で法改正が行われました。しかし、総選挙での国民の皆様の声を見ましても、一層の改善をすることが求められております。この世論にこたえる真剣な努力をすることが誠実な政治の態度だと思います。
 消費税の大胆な改革という三党合意に基づいて、私は三つの緊急改革を来年四月一日から実施したいと考えます。次に述べますその内容は、昨日やきょうの本会議場での新進党の皆さんの提案のような現実性の全くない提案とは違った、責任ある提案であります。(拍手)
 日々消費税を支払っている国民の皆様に対して今求められているのは、逆進性の解消策、益税解消策、生活必需品への複数税率導入であり、そのために現実的かつ大胆な措置を実行すべきであります。
 そのために、まず第一に、臨時特別交付金のような制度を新しい仕組みに変えることだと思います。消費税は広く薄く御負担を求める制度ですが、それによって特段にしわ寄せを受ける階層の皆さんに特別の対応をするのは、税の公平性からいって当然のことであります。そういう意味で、一回だけ特別の恩恵を与えるようなことではなくて、金額も数倍の規模でこれを実施することが必要であると思います。
 第二に、いわゆる益税問題につきましても、短期間のうちにこれを解消する制度確立の努力を開始すべきであります。
 第三に、与党で原則的に合意している複数税率導入についても、遠い将来ではなくて、品目を特定してでも急いで現実化することが必要だと思います。これは私ども社会民主党としての重点課題と考えておりますが、どう対応するのか、総理に、また具体的な構想を大蔵大臣に伺います。
 私は、税制民主主義、税決定のシステムを変えることが重要と思います。この夏、私ども与党政策調整会議は介護保険制度の公聴会を各地で開催し、百人近い各界の御意見を直接に伺い、その御意見に基づいて与党修正をまとめました。私にとりましても貴重な経験であります。そういう努力を展開して、「負担とこれからの社会」の国民的な対話を行うことが大切ではないでしょうか。その姿勢で、税財政の将来、財政構造改革、それらを語り合うことが必要であります。その視点から、税制決定の現在のシステム、運営も改革が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 臨時国会が終わりますと、すぐ政府予算案の編成の作業に入ります。膨大な累積債務を抱え、超高齢化社会を前にして、展望ある財政政策は政治の大きな責任であります。公的介護保険法の早急な導入、医療保険、年金制度など、山積する課題を打開するためにも財政のビジョンを鮮明にしなければなりません。財政構造改革元年の予算編成の考え方、財政構造改革の具体的なアクションプログラムの策定、場合によっては必要な法律の策定、第二の予算と言われながら改革が指摘されている財投の改革などを国民に示す責任があります。大蔵大臣の見解を伺います。
 また、阪神・淡路大震災の一日も早い復興のために、補正予算で必要な対応をすると同時に、復興基金の上積みなど各種の対策を講じ、被災者の皆さんの生活を支援する新たな法制度を検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 第三には、外交戦略、私は特に、鮮明なアジア・ビジョンを宣言する、これを提案したいと思います。
 沖縄、中国、朝鮮半島、また日米関係を考えますときに、二十一世紀への日本の外交戦略が求められております。骨太な日本の外交戦略と日本のアイデンティティー、日本が世界に送るメッセージ、これを鮮明にしなければなりません。また、現在進行中の日米安保ガイドラインの検討が、憲法の枠を超えて冷戦時代の発想に絶対戻らないよう強く求めます。総理、いかがでしょうか。
 私は、沖縄の将来は平和日本の象徴だと思います。村山内閣で昨年秋以来、真剣な共同の努力をして、政府と沖縄県との協議機関の設置、日米間のハイレベルの協議など成果が生まれたことを評価します。昨日、日米行動委員会の最終報告が出ましたが、問題はこれからであります。私は、沖縄県の提起した三つのビジョン、すなわち基地返還アクションプログラム、沖縄国際都市形成構想、規制緩和の先行実施による経済発展計画、この三つを政府が重く受けとめ努力することを強く求めます。この認識は、三与党政策合意の事項でもございます。
 その実現のために、私はもっと大胆に、沖縄と日本とアジア、その将来展望を鮮明にすることが最も強く求められていると思います。沖縄県民の皆さんは、今ここでとどまるのか、どのような展望を切り開くのか、その展望と希望を語ることを強く求めている。大田県知事の発言もそのように言われております。未来に希望を語ることは政治の最大の使命であります。沖縄県民にそれを語ることが、今私どもに強く求められているのであります。
 普天間の代替基地を七年間で建設する、報道で見ますとその耐用年限は五十年とも書かれております。今後、長期に海兵隊が沖縄に駐留しなければならない、そういう状態を認めていくのでありましょうか。そういうことでは、積極的な外交戦略、アジア・ビジョン、そしてまた新しい時代の充実した日米関係の構想もないことを意味するのではないでしょうか。率直な見解と展望を総理に求めます。
 以上、三点について質問をさせていただきました。
 私たち社会民主党は、憲法を守り抜く党として、また社会的弱者を守る党として、平和軍縮時代を切り開く党として、力を尽くしてまいります。政治の現実はまさに多難であります。未来を開く勇気を持って政府が全力を挙げるよう願って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 伊藤議員にお答えを申し上げます。
 議員から御指摘がありましたが、政治は国民のためにある、このことを忘れるつもりは毛頭ありません。冒頭、このことを申し上げたいと思います。
 まず、三党合意及び自己改革についての御意見がございました。
 自由民主党、社会民主党及び新党さきがけは、十月三十一日、選挙後の新たな連立政権の枠組みを展望して、政策合意を結びました。私は、この合意などを踏まえて、三党連立のもと、五つの改革や、特に御指摘のありました沖縄県に係る問題などに全力を挙げて取り組んでまいる決意であります。
 この過程におきましては、いろいろな抵抗あるいは困難、摩擦が伴うと思います。また、既存の制度や枠組みの中で、これまで当然と考えられてきたことが問い直される、大きな変化あるいは厳しい現実に直面する場合もあると思います。しかし、これを乗り越えていかなければなりません。皆様方の御協力を心からお願い申し上げる次第であります。
 次に、腐敗の発生する構造そのものをえぐり取るために公務員倫理法の制定をという御意見をいただきました。
 私は、先ほど来、大変残念なことに、この会場でそれを申し上げると笑いが漏れますけれども、本来、現在の公務員制度に基づく法制がきちんと守られていればこうした問題は起こらなかったものと思います。そして、こうしたことをまずきちんと徹底させなければなりません。
 同時に、その遠因としてあるものは、官と民のかかわりであり、あるいは国の持つ行政権限であり、地方分権との接点、こうしたところに問題があったわけであります。我々は、行政改革あるいは地方分権さらに規制緩和を進めていくことにより、その温床を取り除くことも考えなければなりません。
 現在、政府部内でこうした視点からの方策を、総務庁長官より各省官房長会議に対し、実効が上がる綱紀粛正策を一カ月以内に策定するように求めておりますが、これを見た上で私はその判断を、すなわち新たな公務員倫理法が必要か否かについてはそれを踏まえて判断をしたいと思います。しかし、それ以前に、こうした議論がされること自体を公務員諸君が恥と受けとめてくれることを私は願わずにはいられません。
 また、企業、労働組合などの団体献金の廃止については、先般の三党政策合意におきまして、政治資金規正法附則の第九条、十条において、法律施行後五年を経過した場合、資金管理団体に対する寄附の禁止、政党、政治資金団体に対する寄附のあり方の見直しを定めていることを踏まえ、政治資金のあり方について今後さらに協議を進めるとされておることを考え、その動向を見守らせていただきたいと存じます。
 そして、国会改革につきましては、本来国会がお決めになることであり、私が申し上げるべきことではないのかもしれません。しかし、三党政策合意に基づきまして、自由民主党自身も、効率的、有効な改革に向け積極的な国民的論議の行われる中に入れていただこうと思います。
 次に、行政改革についての理念と目標といった御議論をいただきました。
 現在、既に行政改革委員会において官民の役割分担また規制緩和についての検討が進められており、地方分権につきましても地方分権推進委員会が作業を鋭意進めておられます。当然のことながら、これを受けまして、行政改革会議におきましては、二十一世紀における国家機能のあり方そのものを議論する、そしてそれに基づいた中央省庁のあり方というものを考えていきたい、そのように位置づけておる次第であります。
 中央省庁だけに限定をして行政改革をするつもりはありません。分権推進委、行政改革委員会等の御議論をそのままに反映しながら、その上で、私どもは二十一世紀の国家にふさわしい行政機構をつくりたい、そのように考えておる次第であります。
 また、大蔵省改革につきまして、縦割りの行政を御指摘がございました。
 縦割りの業態あるいは業法の枠を超えて規制緩和を進めなければならないという観点から、銀行局と証券局を廃止し、金融部局を一元化する方向で真剣に検討を進めたいと考えております。
 また、金融の検査及び監督体制のあり方につきましては、議員も御指摘のように、与党三党において検討を進めていただいているところでありまして、与党とも十分に御相談をいたしながら、先般の政策合意を踏まえ、できるだけ早期に具体的な成案が得られるよう努め、次期通常国会に所要の法律案を提出いたしたいと考えております。
 さらに、財政と金融の分離など金融行政以外の大蔵省改革についての御指摘をいただいたわけでありますが、これは我が国の行政機構そのものの根幹の中にもかかわってくる問題でありまして、与党三党の報告でも述べられておりますように、中央省庁の改革を初めとする行政改革全体の中で検討すべき課題だと考えております。
 それから、情報公開法の早期提出についてお話がございました。
 情報公開法の制定について御審議をいただいております行政改革委員会からは、年内に御意見をいただくことになっております。この意見をちょうだいしました後は、直ちに立案作業に着手し、全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、消費税率の引き上げに伴う措置について御意見をちょうだいいたしました。
 臨時特別給付金の制度化につきましては、私は年金などの物価スライド制との関係で難しいと思いますが、既に決定されております臨時福祉給付金などのほかにどのような配慮が可能であるか、御議論の推移を注視していきたいと思います。
 また、いわゆる益税問題については、来年四月の消費税率の引き上げと同時に、限界控除の廃止など中小特例措置の大幅縮減を実施することとしております。今後、これらの改革の効果や、中小事業者の事務実態などを把握しながら、議論を深めてまいりたいと思います。
 また、軽減税率につきましては、税率五%のもとで価格低下の効果には私自身少々疑問がございます。また、その範囲を合理的に定めることが難しいといった問題点が以前から指摘をされ、既に事業者におきましては来年の四月以降の準備対応が進められておりますことも含めて考えますと、将来的な課題として慎重に検討されるべきものだと思います。
 また、税制決定のシステムにつきましてお尋ねがございました。
 税制につきましては、毎年度、国民の皆様の御意見を踏まえながら、税制調査会などでの議論を経て策定をされております改正案が法案として国会で御審議を受ける、私はこのような手続は民主的な手続だと思っておりますけれども、国民からより一層信頼される税制というものを目指し、税制調査会における審議の運営などにつきましても不断の努力を重ねていきたいと考えており、先刻介護保険をまとめるについての、地方で、政党として、国会としてとられた行動等、お述べをいただきましたものを我々もまた参考にさせていただきたいと思います。
 それから、阪神・淡路大震災の被災地の復興のために補正予算を早期に編成すべきこと、復興基金の上積みなど被災地対策の充実を図るべしとのお尋ねをいただきました。
 今後、被災地の復興に必要となる経費につきましては、補正予算も視野に入れながら、その確保については適切に対応していきたいと考えております。また、被災者の生活再建に向けた支援策につきまして、現在、地元の自治体との間に、被災者の健康、福祉や生きがい対策など、きめ細かな対策の拡充につきまして検討を行っておる最中でありまして、そうしたものも当然生かしながら考えてまいります。
 それから、外交について、アジア・ビジョンというお尋ねをいただきました。
 我が国は、この地域の平和と安定にとって不可欠な一つの役割というものを従来から担ってまいりました。それは、米国の関与を確保しながら、アジア諸国との友好関係の増進、各種地域協力への参画を通じて、地域の発展に積極的な役割を果たすということであります。今般の所信表明演説でも述べてまいりましたようなこの基本政策は、これまでも我が国としてさまざまな形で説明してまいりました。引き続き明確な形で示してまいりたいと考えております。
 また、これに関連して、日米防衛協力のための指針の見直しにつきましても御意見をいただきました。
 この見直しは、これまで進められてまいりました日米間の防衛協力を基礎として、新しい時代におけるより効果的な防衛協力関係を構築することを目的としており、あくまで日本国憲法の枠内で行われるべきものであります。
 先般行われました日中首脳会談におきましても、この点が一つの論点になりました。そして、このような性格を中国側にも私から説明をいたすと同時に、それだけで疑念が晴れるとは思わないけれども、この指針の見直しの作業そのものを、作業のプロセスを透明化することによってその疑念を払拭する努力をしたいということを私は申しました。見直しのプロセスは、日米両国の国内及び地域における理解を増進するために、透明性のあるものといたしてまいります。
 また、沖縄に係る諸問題について、三つのビジョンを引用されながら御意見をいただきました。
 私どもは、沖縄の方々が背負ってこられたその重荷というものを国民全体で分から合う、そうした姿勢に立ちながら、引き続き内閣を挙げてその解決に努力をしてまいります。政府は、御指摘の沖縄県の御要望を踏まえながら、沖縄県知事をメンバーとする沖縄米軍基地問題協議会、沖縄政策協議会を設置し、基地の整理、統合、縮小、同時に沖縄経済の発展のために全力を挙げてまいりましたが、今後とも、これらの場におきまして、県のお考えを伺い、尊重しながら、施策の具体化を図ってまいりたいと思います。
 また、普天間飛行場の代替ヘリポートの建設についての御意見がございました。
 昨日の日米安全保障協議会において追求することが決定されました海上施設案、これはその必要性が失われたときには撤去可能なものであります。私はぜひこの点を御理解いただきたいと思います。そして、普天間の基地がこのまま残ることよりも、これをどうすれば撤去できるか、しかもそれが固定化をしないかという視点から、こうした努力を積み重ねてまいりました。
 同時に、政府としては、アジア太平洋地域の諸国との安保面での対話の強化を図るなど、この地域における安全保障環境を改善するために、二国間及び多数国間の努力を今後とも追求してまいる方針でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#14
○国務大臣(三塚博君) ただいま税制、財政再建について総理から基本的な答弁がありましたが、具体的にということでございますから申し上げさせていただきます。
 消費税引き上げに伴う臨時特別給付金についてのお尋ねでございますが、真に手を差し伸べるべき方々に対し、平成六年九月に、御案内のように、生活保護世帯、老齢福祉年金等の受給者に一万円の臨時福祉給付金を支給するほか、低所得の在宅寝たきり御老人に対しては三万円の臨時介護福祉金を支給することが決定されております。
 臨時特別給付金を一回限りではなく制度的に支給することについては、先ほど総理も述べられましたとおり、消費税の影響は十年度以降物価スライド制により年金額に反映されることなどから、適当でないと考えられますが、そのほかにどのような配慮が可能であるか、議論の推移を注視いたしてまいりたいと思っております。
 次に、消費税のいわゆる益税問題、総理からも触れられました。
 来年四月の消費税率引き上げと同時に、限界控除制度を廃止するとともに、簡易課税制度の適用上限の引き下げ、みなし仕入れ率の改正など、中小特例措置の大幅縮減を実施することといたしております。また、免税業者の適正な転嫁について、広報、指導等を実施することといたしておるところであります。こうした措置により、いわゆる益税は担当に解消するものと思います。今後、これらの改革の効果や中小事業者の事務の実態等を把握しながらいわゆる益税問題について議論を深めてまいりたいと存じます。
 軽減税率については、新たな事務負担によるコストが価格にはね返るものでございますから、税率の五%という今日的課題のもとでは、価格低下の効果に疑問があると言われます。軽減税率の範囲を合理的に定めることは難しいといった指摘もございます。
 さらに、民間経済においては、既に法律で定められた五%の単一税率を前提に来年四月以降の準備対応が進められておるところであり、こうした点を踏まえると、軽減税率は将来的な課題として検討されるべきものと考えますが、ただいまの社民党代表伊藤議員の御指摘もこれあり、難しい問題ではありますが、真剣に今後の大きな課題として取り組んでまいりたいと思っておるところであります。
 税制決定のシステムについての御質問でございます。
 税制は、御案内のとおり政治の根底であります。同時に、税制は、広く国民の意見を反映し、国民からも信頼されるものでなければならないことは論をまちません。毎年度の税制改正においては、税制改正案は、国民の皆様の意見を踏まえ、すなわち各界代表、労働界、さらには消費者代表、そして各般の各位に御参加をいただいてつくられております政府税制調査会におきまして真剣な論議を行われた上に策定をされ、答申を得るところということになっております。
 これを受けて、今日で申し上げますと、三党協議をし、意見の交換の中で最終改正案としてこれを成案とし、国会に提出をされるわけであります。もちろん、租税法定主義のものでございますから、この国会の場において、各政党の論議、各議員の論議はそこで行われること、また当然であるところであります。このように、税制は民主的手続を経て決められております。今後とも、国民から一層信頼される税制を目指し、不断の努力をしてまいる所存でございます。
 予算編成の考え方についてのお尋ねでありますが、九年度の予算編成に当たりましては、財政構造改革元年にふさわしいものとして、総理の強い指示である三兆円以上の公債減額を実現するよう最大限努力をいたし、中期的な財政健全化に向けた第一歩としてまいりたいと存じます。また、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しを行い、限られた財政資金の重点的、効率的配分に取り組んでまいる所存でございます。
 財政健全化のための目標設定と目標実現に向けての具体的方策につきましては、幅広い議論を求めつつ検討を進め、財政制度審議会、当然国会における論議等を踏まえ、積極的に取り組んでまいるところであります。財政構造改革法につきましても、その検討の一環として、国会における御議論など幅広い御意見をいただきながらまいりたいと存じます。
 財政投融資についてのお尋ねでございますが、財投について、財投の融資先である特殊法人につきましては、その事業のあり方を含めさまざまな声が各方面から寄せられておりますこと、伊藤議員の御指摘のとおりであります。私は、これを重く受けとめながら、九年度財政投融資計画の策定に当たりましては、公的な有償資金を国民のために活用するという財政投融資制度の政策目的の推進のため、より一層重点化、効率化を図ってまいります。
 制度に完璧なものはございません。絶えず改革と改善を行ってこそ成果が上がるものと信ずるものであります。
 以上、答弁を終わります。(拍手)
#15
○副議長(渡部恒三君) 国務大臣梶山静六君。――ないそうでございますので、これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#16
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十四分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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