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1996/12/12 第139回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第139回国会 本会議 第5号
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1996/12/12 第139回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第139回国会 本会議 第5号

#1
第139回国会 本会議 第5号
平成八年十二月十二日(木曜日)
    ―――――――――――――
  平成八年十二月十二日
    正午 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件
 裁判官訴追委員辞職の件
 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙
 裁判官訴追委員の選挙
 検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員の選挙
 北海道開発審議会委員の選挙
 国土審議会委員の選挙
 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案(内閣提出)及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後零時三分開議
#2
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件
 裁判官訴追委員辞職の件
#3
○議長(伊藤宗一郎君) お諮りいたします。
 裁判官弾劾裁判所裁判員綿貫民輔君から、裁判員を辞職いたしたいとの申し出があります。
 また、裁判官訴追委員小沢辰男君から、訴追委員を辞職いたしたいとの申し出があります。
 右申し出をそれぞれ許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙
 裁判官訴追委員の選挙
 検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員の選挙
 北海道偶発審議会委員の選挙
 国土審議会委員の選挙
 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
#5
○議長(伊藤宗一郎君) つきましては、裁判官弾劾裁判所裁判員及び裁判官訴追委員の選挙を行うのでありますが、この際、あわせて、検察官適格審査会委員及び同予備委員、国土開発幹線自動車道建設審議会委員、北海道開発審議会委員、国土審議会委員及び日本ユネスコ国内委員会委員の選挙を行います。
#6
○荒井広幸君 各種委員等の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
#7
○議長(伊藤宗一郎君) 荒井広幸君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおりまりました。
 議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に中山正暉君を指名いたします。
 次に、裁判官訴追委員に左藤恵君を指名いたします。
 次に、検察官適格審査会委員に
      玉沢徳一郎君    谷垣 禎一君
      畑 英次郎君 及び 鳩山 邦夫君
を指名いたします。
 また、
 古屋圭司君を玉沢徳一郎君の予備委員に、
 河村建夫君を谷垣禎一君の予備委員に、
 村井仁君を畑英次郎君の予備委員に、
 横路孝弘君を鳩山邦夫君の予備委員に
指名いたします。
 次に、国土開発幹線自動車道建設審議会委員に
      加藤 紘一君    森  喜朗君
      山崎  拓君    村岡 兼造君
      西岡 武夫君    二階 俊博君
      粟屋 敏信君 及び 小沢 鋭仁君
を指名いたします。
 次に、北海道開発審議会委員に
      鈴木 宗男君    中川 昭一君
      北村 直人君    長内 順一君
   及び 佐々木秀典君
を指名いたします。
 次に、国土審議会委員に
      小渕 恵三君    奥野 誠亮君
      東家 嘉幸君    西田  司君
      実川 幸夫君    堀込 征雄君
      二見 伸明君    石井 紘基君
   及び 佐々木憲昭君
を指名いたします。
 次に、日本ユネスコ国内委員会委員に
      河村 建夫君    粟本慎一郎君
      岡島 正之君 及び 山元  勉君
を指名いたします。
     ――――◇―――――
#9
○荒井広幸君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#10
○議長(伊藤宗一郎君) 荒井広幸君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#12
○議長(伊藤宗一郎君) 著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。文教委員長二田孝治君。
    〔二田孝治君登壇〕
#13
○二田孝治君 ただいま議題となりました著作権法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、著作権制度をめぐる内外の情勢の変化及び我が国の占める国際的地位にかんがみ、著作権及び著作隣接権の適切な保護を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、写真の著作物の保護期間に係る特例を廃止し、一般の著作物と同様に、著作者の死後五十年まで保護することとすること、
 第二に、著作権等の侵害に係る訴訟において、裁判所が損害の計算に必要な書類の提出を命ずることができる旨の規定を設けるとともに、罰金額の上限を引き上げること、
 第三に、国際的な協調を図る観点から、国内及び世界貿易機関加盟国に係る実演、レコード及び放送について、他の諸国と同様に、五十年前に行われたものまでを保護するとともに、旧著作権法による保護を受けていた実演等について所要の経過措置を講ずること、
 第四に、この法律は、公布の日から三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること
などであります。
 本案は、十一月二十九日本院に提出され、同日本委員会に付託されたものであります。
 本委員会におきましては、本日小杉文部大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案(内閣提出)及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#16
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。農林水産大臣藤本孝雄君。
    〔国務大臣藤本孝雄君登壇〕
#17
○国務大臣(藤本孝雄君) ただいま議題となりました農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 農協系統は、農業者の協同組織として、農業の振興や農村地域の活性化に大きな役割を果たしてきたところでありますが、近年、農業・農村をめぐる状況が大きく変化する中で、農協はこれまで以上に農業者に対して良質のサービスを低コストで提供できるよう、経営体質を改善することが求められております。
 特に信用事業につきましては、金融の自由化等が急速に進展する中で、一層の事業機能の強化と効率化、健全化を図っていくことが急務となっております。このような状況を踏まえ、信用事業を中心とする農協系統の事業・組織の改革を推進するため、この二法案を提出した次第であります。
 まず、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 農協系統の事業・組織の改革の一環として、都道府県連合会と全国連合会との統合による組織二段の推進が大きな課題となっておりますが、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との統合は現行法上できないこととなっております。
 このため、この法律案では、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会につきましても、合併及び事業譲渡を行うことができるようにすることとし、これに伴う所要の手続を定めることといたしております。
 次に、農業協同組合法等の一部を改正する法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農業協同組合法を改正し、農業協同組合の業務執行体制の強化、自己資本、内部留保の充実、監査体制の強化等を行うことといたしております。さらに、農協貯金の健全な運用に資するため、資金運用規制を緩和することといたしております。
 第二に、農業協同組合合併助成法を改正し、農業協同組合の合併経営計画の認定期限を平成十三年三月三十一日まで延長することといたしております。
 第三に、農林中央金庫法を改正し、非居住者向け貸し出しの規制緩和等を行うことといたしております。
 このほか、農業信用保証制度の充実を図るなど、農協改革に関連して関係法律の規定を整備することとしております。
 以上、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案(内閣提出)及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#18
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。矢上雅義君。
    〔矢上雅義君登壇〕
#19
○矢上雅義君 私は、新進党を代表して、ただいま提案されました農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案に対する質問を行います。
 まず、二法案の具体的な内容に入る前に、農政及び金融政策についてお伺いいたします。
 第一は、農政の基本方針、そして農政における農業協同組合の位置づけについてであります。
 現在、日本の農業は、国際的には農産物自由化の圧力にさらされ、国内的には産業・社会構造の大転換の中で、耕作放棄地の増加や後継者不足に直面し、大きな転換を迫られております。このような状況を背景に、政府は平成四年にいわゆる新政策を打ち出し、平成七年には新食糧法が施行されるなど、政権が交代を繰り返す中でも現状を打開するための新たな農政の方向性が模索されました。
 しかし、先般の政府備蓄米の買い入れ価格及び米の生産調整の決定を見ましても明らかなように、米という日本農業の基幹作物に関してさえも現政権の方針は一貫せず、日本農業の将来のビジョンも不明確なままであります。これではとても農業者が納得し確信を持って営農にいそしめるわけがありません。
 また、新食糧法下での米管理は、別名農協食管とも呼ばれております。農協系統組織が、水稲の生産調整のみならず米の流通管理にまで、従前にも増した積極的な役割を果たすことになっております。このことは、農業生産に関する生産者の自主的努力として高く評価できる反面、ややもすると生産者団体による農業生産の強制的な統制となり、農業者の自立と自由な事業展開を促進する立場からは疑問なしとは言えません。
 このような状況の中で、政府は、日本経済の発展の方向を踏まえた農政の基本方針及び農政の中における農協の役割についてどのような認識と政策をお持ちなのか、総理並びに農林水産大臣にお伺いいたします。
 第二は、今回のいわゆる農協改革二法案の提出の背景となった農協金融のあり方及び農協金融の諸問題を深刻化させ、表面化させる契機となった住等間魁についてであります。
 農協系統組織は、信用事業及び農林中央金庫の債券発行により、約百兆円の資金を運用しております。そして、この農協系統組織の信用事業が、共済事業とともに、多くの総合農協において営農指導部門及び経済事業部門の赤字をカバーする収益源ともなっていることは、周知の事実であります。
 しかし、融資先が乏しく、他の金融機関と比べて貯賃率が極めて低いという構造的体質を抱えつつ、急速に進展する金融の自由化、そして国際化の波にさらされております。今、農協の信用事業は、そのあり方を根本的に見直す時期に差しかかっていると言わざるを得ません。
 その必要性を示す象徴的な事件が、バブル経済の中で不動産投資に狂奔した住専に対して、信連を中心として巨額な貸し付けを行った結果、住専各社の破綻の影響をもろに受けたことであります。そこには、農協系統の信用事業における審査能力の欠如と責任体制のあいまいさが示されていると考えざるを得ないからであります。
 政府は、金融の自由化、国際化が進展する中での農協系統金融のあり方についてどのような基本的見解をお持ちなのか。また、他業態の金融機関については、先般の通常国会において住専問題の処理策と同時に問題の再発を防ぐための法改正が提案されたのに対して、農協系統の信用事業についての再発防止のための法改正の提案が今日までおくれたのはなぜか。この二点について、総理並びに大蔵及び農林水産大臣の御見解をお伺いいたします。
 以上の点を踏まえた上で、以下、二法案の内容についてお伺いいたします。
 第一は、二法案提出の前提となっている単位農協の合併と組織の二段階化についてであります。
 今回提出されている二法案の根底には、単位農協の合併を促進するとともに、現行の三段階組織を二段階にすることにより、農協系統組織をスリム化して経費の節減と経営の機動化を図り、農協の経営危機を打開しようとする思想が存在しております。しかしながら、昭和三十六年の農協合併促進法の施行以来、三千件を超える合併が行われているにもかかわらず、農協の職員数はむしろ増加しております。果たして合併が真の合理化につながるのかどうか、大いに疑問であります。
 また、農協系統の県連組織を廃止し、単位農協と全中、全農等の全国連との二段階にすることは、確かに流通経路の短縮につながるとは言えます。しかし、合併による単位農協の広域化と全中、全農等の機能強化は、単に農協の総合商社化を促進するのみに終わるのではないか。また、本来農協に要求されている農業者に対する営農指導等の事業が手薄になり、協同組合としての目的から遠ざかっていくのではないかとの疑問を禁じ得ません。
 そもそも合併の目的は、規模の利益と効率性の追求と言われております。しかし、農協合併の現場においては、そのメリットを実感することができず、不良債権を抱えた単位農協の整理統合にすぎないのではないのかという疑問さえささやかれております。
 本来ならば、組織二段階制や合併のメリットである経営の健全化、生産資材の供給価格の低減、手数料軽減による農産物販売の手取り額の増加などが農業者に実感できるような方向でなければならないのではないでしょうか。(拍手)
 政府は二法案の基本思想についてのこれらの疑問点についてどのようにお考えなのか、総理及び農林水産大臣にお伺いいたします。
 第二は、業務執行体制の強化についてであります。
 政府案によれば、信用事業を行う農業協同組合の代表理事並びに常勤の役員及び参事については、行政庁の認可を受けた場合を除き、他の組合や法人における兼職等を禁止することとしております。
 そもそもこの趣旨は、合併による単位農協の事業規模の拡大、農協系統と他業態との競争の激化、金融の自由化等によるリスクの増大の中で、単位農協及び連合会の適切な業務執行体制の確立にあります。具体的には、主たる役員等が当該農協と利益が相反するような役職と兼職せず、かつ、農協経営の専門家として職務に忠実に専念することを期待しているものであります。しかしながら、行政庁の認可を受けた場合を除くという例外を設けたことから、この規定の運用次第では骨抜きにされるのではないのかという疑問が生じてまいります。さらに、兼職禁止の対象として各自治体や国政における首長や議員等は含まれるのか。政治的な影響を受けやすい農業団体の特性を考えると、政治家が主たる役員を兼務することが中長期的に見て農業者の利益と合致するのか、疑問の残るところでもあります。
 また、政府案によれば、農協に経営管理委員会制度を新設し、理事会を専門家による日常業務の執行の場とすることができることとしております。正組合員のみから構成される経営管理委員会により、農業者の声を農協経営に反映させるとともに、理事による日常業務の専門的執行体制を実現するという点では高く評価できるとしても、幾つかの疑問が残ります。
 まず、この制度が任意の選択制であること。果たしてどれだけの農協がこの制度を採用するのか、見通しが全く立っておりません。また、本制度を利用しないこととなった農協において、現行でも認められている学識経験者から成る員外理事制度が本当にこれから活発に利用されていくのか。これらの規定の運用次第では絵にかいたもぢになるおそれがあります。さらに、経営管理委員会がこれからの合併に伴う理事OBの天下り先になるのではないかなど、屋上屋を重ねる結果を招かないとも限りません。
 政府としては、経営管理委員会と理事会との職務分担等について、より明確な基準を設けるおつもりであるのか。政府は業務執行体制の強化に関する以上の疑問点についてどのようにお考えなのか、農林水産大臣にお伺いいたします。
 第三は、監査体制の強化についてであります。
 政府案によれば、信用事業の不良債権増加等をチェックするために、信用事業を行う農協については員外監事及び常勤監事を必ず置くこと、さらに、一定規模以上の農協については中央会の監査を義務づけることとしております。しかし、さきの通常国会に政府から提案され成立した金融機関の経営の健全性確保法案においては、信用金庫、労働金庫、そして信用組合という協同組織金融機関に対しても、公認会計士ないし監査法人による外部監査を義務づけております。これらと比べ、今回の農協法改正案は大きく後退していると言わざるを得ません。
 たとえ総合的な業務監査を行うために中央会監査が必要であるとはいえ、会計面については、身内の監査とは別に外部監査を行うべきことは時代の要請でもあります。実際の監査が中央会の単なる職員にすぎない監査士だけで行われるのであれば全く意味がなく、身内の監査と言われても仕方がありません。公認会計士と中央会の監査士とが必ず共同で監査する体制をつくり上げるべきです。
 監査体制の充実に関するこれらの諸点についての政府の御見解を、大蔵大臣及び農林水産大臣にお伺いいたします。
 第四は、行政検査の充実についてであります。
 政府案では、行政が検査できる対象を拡大することができるとされていますが、国及び都道府県による行政検査の回数、陣容、内容等が充実していれば、住専への過剰な貸し込みも防止できたはずです。今後、国と都道府県の検査体制を一層充実強化するためにどのように対処していかれるおつもりか。そして、その際、現在大蔵省改革の一環として論議されている金融検査の一元化との関係をどのように整理していくのかが大きな課題であります。
 行政検査の充実をめぐるこれらの課題についての政府の見解を、総理並びに大蔵及び農林水産大臣にお伺いいたします。
 第五は、信用事業及び農林中央金庫の資金運用規制の緩和についてであります。
 政府案では、農協については員外貨し出しの割合及びその対象を拡大し、農林中金については資金運用規制の緩和を行うこととされております。しかし、農協について、与信についての審査能力が伴っているのか。農林中金については、系統金融機関としての特典を維持しつつ他業態と同様の運用を行うことが金融秩序の面から見て問題がないのかどうか。
 資金運用に関する以上の疑問点についての政府の見解を、大蔵及び農林水産大臣にお伺いいたします。
 第六は、政府の農業関係融資が農協を委託先にしているということであります。政府案では、農業信用保証保険法、農業改良資金助成法等が付随的に改正されることになっております。このことは、政府の農業関係融資がほとんど農協を通じて供給されていることを示しており、農業者は農協と関係を持たずして農業を行うことが極めて困難な環境がつくられていることを物語っております。しかし、農協はあくまで任意の協同組織であることを考えるならば、政府資金が農協をほとんど唯一の窓口としていることは例外的な状態であります。農業者の価値観や経営方針が多様化する今日、政府資金の融資の窓口についても柔軟な対応が必要ではないでしょうか。
 政府資金の供給ルートに関する以上の疑問点についての政府の見解を、農林水産大臣にお伺いいたします。
 最後に、私の質問は、日本農業の発展と農業者の未来のために、農業協同組合が本来の姿に立ち返り、その重要な役割を誤りなく果たすためを願ってのものであることを一言申し添えまして、新進党を代表しての質問を終了いたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 矢上議員にお答えを申し上げます。
 まず、農政の基本方針と農協の役割についてのお尋ねでありますが、我が国の経済社会の成熟化、国際化の進む中におきまして、農業・農村を次代に受け継いでいくために、各般の施策を展開するとともに、新たな基本法の検討とあわせて所要の対応を図る所存であります。農協につきましても、農業者の相互扶助組織としての役割を果たすべきものと考えております。
 次に、農協系統金融のあり方につきましては、組合員に対して金融サービスを提供するとともに、我が国金融システムの一員としての役割を的確に果たしていくことが必要だと考えます。
 次に、農協改革二法案の提出時期についてのお尋ねがございました。
 農協は信用事業以外の事業も行っておりますこともあり、その事業・組織のあり方を含めまして農政審議会において御審議をいただく必要がありましたため、今日に至ったものであります。
 次に、農協金融二法案の基本思樹は経費節減と経営機動化により経営危機を打開することだと考えているという御指摘がございました。
 まさに、農協再編を契機として、農協系統組織のスリム化と事業能力の向上を図っていき、経営の健全化を進めることによりまして、農協が農業者の営農支援をより的確に行えるようにすることがこのねらいであります。
 次に、農協検査についてのお尋ねがございました。
 検査実施率の向上など、その体制の整備に努めていきたいと思います。同時に、御指摘の点も含めながら、金融の検査及び監督体制のあり方につきまして、現在、与党三党においての検討が進められております。与党とも十分相談をしながら、先般の政策合意を踏まえて、早期に具体的な成案が得られるよう努めたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣三塚博君登壇〕
#21
○国務大臣(三塚博君) 矢上議員にお答えをいたします。
 農協系統金融のあり方についてのお尋ねでございますが、農林系金融機関も我が国金融システムを構成する一員として、自己責任の確立、また市場規律の発揮を基本とした、より効率的で責任ある業務執行体制の整備を進めることが必要と考えております。
 農協改革法案の提出時期についてでありますが、総理も述べられましたとおり、農協の事業・組織のあり方について農政審議会において御審議をいただいたところ、今日に至ったことと承知をいたしております。
 監査体制の強化についてでございますが、農協系統に対する中央会監査も、公認会計士の設置の義務づけ等により、他業態における外部監査と同様の効果を期待できるものと考えておるところであります。
 農協に対する国の検査体制についてのお尋ねでありますが、農林系統の信用事業の検査については、基本的に農林水産省主導で行っておりますが、大蔵省としても、今後とも検査が効果的、効率的に運営されますよう緊密な連携をとってまいります。
 次に、金融行政機構の改革との関係についてのお尋ねでございます。
 金融行政機構の改革につきましては、迅速的確で責任のある行政、専門的人材の確保、行政改革の大原則など、検討すべきさまざまな論点はほぼ出尽くされたのではないかというふうに考えます。しかしながら、現段階におきましては、総理もおっしゃったとおり、与党三党で検討が進められておりますところから、私からは、その議論を見守りたいという考えでおりますことのみ申し上げます。
 農協の審査能力についてのお尋ねでありますが、今般の農協についての主たる資金運用規制の緩和は、組織二段階化に伴い信連の業務を引き継ぐ比較的大規模かつ経営基盤、審査体制等の整備されております農協について適用されるものであります。
 次に、農林中金の運用についてのお尋ねでありますが、今般の資金運用規制の緩和は、農林中金の農林系統組織における資金の運用機関としての役割にも着目したものでありますが、協同組織金融機関としての性格を変えるものではございません。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣藤本孝雄君登壇〕
#22
○国務大臣(藤本孝雄君) 矢上議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、農政の基本方針と農協の役割についてのお尋ねでございますが、これは総理から御答弁がございましたとおりでございまして、特に農協につきましては、今後とも農業者の相互扶助の組織としての役割を果たすべきであると考えております。次に、農協系統金融のあり方についてのお尋ねでございますが、総理から先ほど御答弁がございましたとおりでございます。
 次に、法案の提出時期についてのお尋ねでございますが、農協は信用事業以外の事業も総合的に行っていることもあり、その事業・組織のあり方について農政審議会の御審議をいただいていく必要があったため、今日に至ったものであります。
 次に、法案の基本思想についてのお尋ねでございますが、組織再編を契機として、農協組織のスリム化と事業能力の向上を図るとともに、経営の健全化を進めることにより、農業者の営農支援をより的確に行えるようにするのがそのねらいであります。
 次に、役員の兼職、兼業の禁止についてのお尋ねでありますが、その運用につきましては、他の金融業態の運用を踏まえて検討することといたしております。
 次に、経営管理委員会制度についてのお尋ねでありますが、この制度は、農協の協同組織性を堅持しつつ、高度化、専門化する業務執行を的確に行うためのものであります。
 次に、監査体制についてのお尋ねでありますが、監査のノウハウを有している監査士資格者が千三百人もいる中央会監査を、公認会計士の関与によりレベルアップした上で、中央会監査を農協に義務づけることといたしております。
 次に、農協に対する検査についてのお尋ねでありますが、今後とも検査実施率の向上など体制整備に努めたいと考えております。また、金融の検査・監督体制のあり方については、現在、与党を中心として議論が行われているところでございまして、その動きを注意深く見守ってまいる考えでございます。
 次に、資金運用規制の緩和についてのお尋ねでありますが、農協の審査体制については、審査部門の分離や職員の審査能力の向上等に努めているところでございます。また、農林中金につきましては、協同組織としての性格を踏まえ、非居住者貸し出し等可能な範囲の措置を行うものであります。
 最後に、政府資金の融資窓口に関するお尋ねでありますが、農林公庫につきましては、系統金融機関のほか、銀行、信用金庫等を通じた貸し付けが行われております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(伊藤宗一郎君) 安住淳君。
     〔安住淳君登壇〕
#24
○安住淳君 私は、民主党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました農協改革二法案について質問いたします。
 まず、本論の質問に入る前に、農政全般についての政府の基本的姿勢をお伺いいたします。
 今日、我が国農村社会は、過疎、高齢化の進展、深刻な後継者不足など、厳しい環境にあります。次の時代に我が国農業が産業として生き残ることができるのかどうか、極めて疑問に感じざるを得ません。
 先般も、来年度米価と米の生産調整が深夜に及ぶ政治折衝で決まりました。しかし、新食糧法が施行され、新しい時代の農政がスタートしたにもかかわらず、その決定過程は残念ながら旧来と何ら変わりがありませんでした。新食糧法では、市場実勢を反映する透明な米価決定方式を導入しているにもかかわらず、新しい法律の趣旨を十分に生かすことができたとは思えない結果になりました。
 私は、東北の農村社会に生きる一人として、今こそ、一連の政治決着に見られる戦後農政に終止符を打ち、米の備蓄や減反政策のあり方、さらには自由化や国際化時代に向けて、我が国農業のあり方を政治も勇気を持って根本から論議するべきときが来たと思っております。
 二年前、政府は、米の市場開放に当たり、六年間で六兆百億円のガット・ウルグアイ・ラウンド対策費を計上いたしました。この対策費は、本来、我が国の農業基盤強化と国際化に対応できる農業への体質の改善を図ることを目的とした予算であったと認識しております。しかし、今日の我が国農業・農村の実態を見る限り、この特別対策費が有効に機能しているのかどうか極めて疑問であります。農業再建のかなめとなる後継者対策一つとっても、状況は一向に改善をされておりません。
 今日の硬直した予算構造やそれに連なる補助金行政、複雑な価格制度などが、農業に新たなビジネスチャンスを求める人々にとって大きな参入障壁になっていることは間違いありません。二十一世紀に向けた我が国農業の構造改革を断行するには、ガット対策期間である今の時期を逃してほかにはないのではないでしょうか。
 食糧需給が世界的に逼迫基調にあると言われる中、世界的な食糧不足時代の到来が懸念される今日、農政の構造改革をどのように進めるのか、食糧の安定供給の展望をいかに指し示すのか、まず橋本総理大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、今後の農協系統金融機関のあり方についてお尋ねをいたします。
 住専問題を契機として、農協系統金融機関に対しては、その経営体力の脆弱さや業務執行体制の不備が指摘され、国民から大きな批判を浴びることになりました。こうした批判に端を発し、系統金融に対する不信感はますます増大しており、農協の貯金残高が一貫して減少するという事態が端的に示すとおり、その信頼を大きく失墜させるまでに至っております。農協系統の信用事業は、まさに危機的状況にあると言っても過言ではありません。
 それゆえ、農協系統金融機関に対しては、それが我が国金融システムの一部であることを強く自覚するとともに、組合員はもとより、国民の信頼を早急に回復するため、効率的で健全な責任ある経営体制を早急かつ着実に整備することが不可避のものとなっております。
 今回提出された農協改革二法案は、このような点を踏まえ、信用事業を中心とした事業・組織の体制整備と機能の強化に主眼が置かれているものでありますが、今回の改正が、住専問題に対する謙虚な反省のもとに、二度とこのような問題が農協系統に生じることのないよう万全の措置を講じたものになっているのかどうか、農林水産大臣の率直なお考えをお聞かせください。
 また、これに関連し、現在農協系統金融機関が抱える不良債権のディスクロージャーの推進、そしてその解消に向けて具体的にどのように行おうとしているのか。また、市場原理に基づき一層の競争激化が想定される中で、系統金融に対しては、今後どのような方向に活路を見出して事業を展開していくことが求められているのか、これも農林水産大臣の明確な答弁を求めます。
 続きまして、両法律案の主な内容に関連した質問をさせていただきます。
 第一に、農林中金と信連との統合についてであります。
 今回の新たな法案は、農協系統信用事業につき組織二段化を推進して、その効率化及び健全な運営の確保を図ることを目的としたものでありますが、その内容は、農林中金と信連とが合併または事業譲渡を行うための所要の手続等を規定したものであり、実際の統合に当たっては、あくまでも当事者が自主的に取り組むことが必要条件となっております。つまり、本法の統合のスキームというのは系統組織に対して何ら強制力を有していないのであり、その実効性は農協系統組織自身の取り組みにゆだねられていると言っても過言ではありません。
 こうした点にかんがみ、本法の制定により、農協系統組織みずからの手により信用事業の組織二段化がどの程度促進されることになると見込んでおられるのか、その法的効果について農林水産大臣の御所見を伺います。
 また、さきの住専問題では信連の不健全な経営実態が露呈することとなり、一部の報道からは信連の経営危機が伝えられることとなりましたが、このことに関連し、国民の中には、今回の措置は経営不振に陥った信連の救済を目的としたものにすぎないという疑念を抱いておられる方も少なくないと思います。そのような救済は農林中金の経営体力を著しく弱め、ひいては農協信用事業全体に重大な影響を及ぼすおそれがあるのではないかと危惧をいたしております。この点に対する農林水産大臣の明確な答弁を求めます。
 第二に、経営管理委員会制度の導入についてであります。
 今回の改正により、組合は、新たな組合の執行機関として経営管理委員会制度を選択肢として導入することにしておりますが、その目的及び仕組み等についてはいまだ十分な説明が行われておらず、関係者においても理解されていないのが実情ではないでしょうか。そこで、経営管理委員会制度は現行の理事制度と具体的にどこがどう違うのか、農林水産大臣に明確な答弁を求めます。
 第三に、組合に対する監査制度についてでありますが、今回の改正では、内部監査に関しては、組合に員外、常勤の監事を置かなければならないこととしておりますが、監査体制が一層充実強化されることになるよう政府の十分な指導を求めるものであります。
 また、外部監査に関しては、組合は中央会による監査を受けなければならないこととしておりますが、私は、組合に対し適切な監査を実施するためには、他業態同様、直接組合に対し公認会計士による監査を義務づけることが必要であると考えております。また、一歩譲って、今回の法律に明記してあるとおり、中央会の監査において公認会計士を活用するとしても、その関与の度合いを具体的にどのように高めていくのか、この点について農林水産大臣の所見を伺いたいと思います。
 最後に、私は、これまでの農政の延長に我が国農業の抜本的な解決策はないと思っております。今我々の目の前に映し出されている農村の姿に、将来への明るい展望を見出すことはできません。米政策に代表されるように、言うなればその場しのぎの場当たり的な対応を政治も行政も幾度となく繰り返してきたツケが、今の農村に重くのしかかっております。今こそ、次の時代を見据えた我が国農業のあり方を真摯に議論するときであります。私と同じ世代の若者にとって、エネルギーと活力にあふれた働きがいのある産業に農業をよみがえらせるために、惜しみない努力をされんことを政府に強く望み、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 安住議員にお答えを申し上げます。
 まず、農政の構造改革についてのお尋ねでありますが、農業・農村を発展させていきますためには、効率的、安定的な担い手が生産の相当部分を占め、住みやすく活力ある農村づくりに努めるということが重要だと考えております。このため、担い手に対する支援を柱としたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策などを展開しているところでありますが、今後、新たな基本法について検討していく中において、既存の法制度、予算などの見直しを行ってまいる所存であります。
 次に、食糧の安定的供給の展望についてのお尋ねがございました。
 中長期的な世界の食糧需給につきましては、需要面、生産面で不安定な要素がありますし、逼迫する可能性もあると思います。この点は、昨年日本が議長国を務めましたAPECの非公式首脳会議の経済首脳の行動宣言におきましても、また非公式首脳宣言におきましても、アジア太平洋地域における急増する人口及び急速な経済成長により、食糧及びエネルギーの需要並びに環境への負担が急激に増大すると予想されているところであります。したがって、今後の農政の推進に当たっては、国内生産体制を強化し、それに加えて輸入及び備蓄を適切に組み合わせることによって、食糧の安定供給確保を図ってまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣藤本孝雄君登壇〕
#26
○国務大臣(藤本孝雄君) 安住議員の御質問にお答えいたします。
 まず、生産者米価の問題について御意見がございましたが、この生産者米価の決め方につきましては、議員も御承知のように、食糧法に基づきまして、一定のルールに従ってその結果を算出することにいたしております。その結果に従って米価審議会に諮問をいたしたわけでございまして、その答申を受けて私が決定をいたした。その答申どおりでございますから、ここには政治加算はないというふうに御理解いただきたいと思います。
 住専問題の反省についてのお尋ねでありますが、住専問題を契機に系統金融についての見直しを行い、これを踏まえて、信連と農林中金の統合、業務執行体制の強化を法案に盛り込んでいるところであります。
 次に、農協系統の不良債権についてのお尋ねでありますが、そのディスクロージャーについては、今後、計画的に開示することといたしております。また、不良債権の処理がそれぞれの経営内部において適切に行われるべきものと考えております。
 次に、農協系統信用事業の展開方向についてのお尋ねでありますが、金融の自由化の中で、金融システムの一員としてその役割を果たしていくためには、経営体制を確立し、また健全な資金運用に努めていくことが重要と考えております。
 次に、信用事業の組織の二段化についてのお尋ねでありますが、既に十五の県連から統合の意向が示されているところであり、今回の改正によりこの動きを大きく前進させることになると考えております。
 次に、経営不振信連との統合についてのお尋ねであります。
 信連と農林中金との統合によって系統信用事業全体の経営基盤が弱体化することのないよう、十分留意した制度としております。
 次に、経営管理委員会制度についてのお尋ねでありますが、現行の理事会は単一の業務執行機関であるのに対しまして、経営管理委員会を置いた場合には、この委員会が業務執行に関する重要事項を決定する一方、理事会は経営委員会の決定に従って日常的な業務執行を行うことになります。
 最後に、監査体制についてのお尋ねでありますが、監査のノウハウを有している監査士資格者が千三百人もいる中央会監査を、公認会計士の関与によりレベルアップした上で、中央会監査を農協に義務づけることといたしております。
 以上であります。(拍手)
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#27
○議長(伊藤宗一郎君) 藤田スミ君。
    〔藤田スミ君登壇〕
#28
○藤田スミ君 私は、日本共産党を代表して、農協法等一部改正案及び農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案について、総理及び農林水産大臣に質問をいたします。
 十一月に開かれた世界食料サミットで明らかになったことは、世界の飢餓の克服と食糧の安定的生産が国際的な課題になっているとき、日本の食糧自給率を抜本的に引き上げることが、日本国民にとって切実な課題であるだけでなく、世界の食糧の生産と消費の安定にも大きく貢献することになるということでありました。今こそ、日本農業の再建に真剣に取りまなければなりません。私は、その立場で以下ただすものであります。
 今回の農協法等一部改正案では、新たに、正組合員で構成される経営管理委員会制度を導入することにしています。この経営管理委員会は、農協の代表権を持つ理事を選任することができ、しかもその選任される理事は資格要件は全くないというものです。つまり、経営管理委員会が選任すれば、銀行など大企業の経営者が農協の代表権を持つ理事にもなれるわけであります。これでは、農協の企業化を一層促進するとともに、協同組合活動の基本原則を大きく後退させるものと言わざるを得ません。これに対する歯どめがあるのかどうか、総理及び農林水産大臣の御見解を明らかにしてください。
 さらに、本法案では、農協合併助成法の合併期限を二〇〇一年三月末まで延長することにしています。現在、農協系統組織では、農協の広域合併を二〇〇〇年までに、全国二千二百六十余の農協を五百五十にする目標で推進しています。こうした広域合併によって農協の資金規模は大きくなりますが、農協と農協組合員との関係はますます希薄化し、日本農業を守り発展させる上で大切な役割を果たしている農協の営農指導が後退するおそれが多分にあると指摘せざるを得ません。
 そのときに、日本農業再建の役割を担っている農協が十分な営農指導の役割を果たせなくなるとしたら、それは日本農業の再建にとってもマイナスになるでしょう。そうならない保証があるのか、農林水産大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、農林中央金庫と信用農業協同組合違合会との合併等に関する法律案について伺います。
 さきの住専国会で、大銀行がみずからの子会社である住専に追加負担をせず、その結果、住専処理に国民の血税を六千八百五十億円も投入させ国民の強い怒りを呼んだことは、記憶に新しいものです。その教訓から学ぶべき点は、みずからの放漫経営でつくった不良債権はみずからの責任で処理し、国民には迷惑をかけないという点であります。経理の御認識をお聞かせください。本法案は、農林中央金庫と鍾との合併、事業譲渡を可能にする法案で、農政審答申では「経営不振信違の救済を目的とするものではない」としています。しかし、不良債権額だけでも王八百五十億円、さらに、投資信託の含み損も約三千億円もあるとされている全国の信連が、農林中金との合併、事業譲渡対象になっているわけであります。農協系統組織は二〇〇〇年までに信連と農林中金との統合を行うとの目標を持っていますが、不良債権処理が二〇〇〇年までのわずか三年で処理できないことは、あの住専処理機構が不良債権処理期間として十五年を置いていることからも明らかであります。
 法案では、合併後の農林中金の経営の健全性が確保されることを合併認可基準にするとともに、農林水産省は、信連の不良債権は県内処理が前提と説明していますけれども、これでは、信連と農林中金との合併の推進は、不良債権の農協や農協組合員への押しつけになるのではないでしょうか。信連の不良債権を農協や組合員に押しつけることがあってはならないはずであります。総理及び農林水産大臣の明確な御答弁を求めます。
 最後に、農協運動の主人公は組合員であり、農協事業の原点は組合員の要求実現のための協同活動であるとの協同組合活動の基本原則が、今後とも貫かれることが農協再生の道であるということを申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 藤田議員から、私に三点のお尋ねがございました。
 まず、経営管理委員会制度についてのお尋ねであります。
 これは、組合員代表から構成される経営管理委員会が、業務執行に関する重要事項を決定するとともに、理事を任命し日常的な業務執行を行わせるものでありまして、協同組織性を踏まえながら日常的マネジメントを的確に行うことをねらいとするものであります。
 次に、不良債権問題への対応についてのお尋ねがございました。
 住専の処理につきましては、財政資金の投入もやむを得ない、そう判断をいたしましたが、金融機関において不良債権の処理を進めるためには、まず経営の合理化、効率化など最大限の自助努力を重ねることが求められると考えております。
 最後に、信連の不良債権についてのお尋ねでありますが、信連の不良債権につきましては、農協系統内において適切に処理されるべきものだと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣藤本孝雄君登壇)
#30
○国務大臣(藤本孝雄君) 藤田議員の御質問にお答えをする前に、安住議員に、先ほどお名前を間違えまして、大変失礼いたしました。おわびをいたしまして、訂正をさせていただきます。
 御質問にお答えいたしますが、まず、経営管理委員会制度につきましてのお尋ねでありますが、この制度は、組合員代表から成る経営管理委員会が、業務執行に関する重要事項を決定するとともに、理事を任命し日常的業務執行を行わせるものでありまして、協同組織性を踏まえつつ的確なマネジメントを行うことをねらいといたしております。
 次に、農筋合併についてのお尋ねでございますが、合併に当たっては、農協と組合員の結びつきを強め、また、組合員ニーズに応じた営農指導が行われるよう配慮すべきであると考えております。
 最後に、信連の不良債権についてのお尋ねでありますが、これにつきましては、農協系統内におきまして適切に処理されるべきものであると考えております。(拍手)
#31
○議長(伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
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#32
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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