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1996/11/12 第138回国会 参議院 参議院会議録情報 第138回国会 環境特別委員会 第2号
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1996/11/12 第138回国会 参議院

参議院会議録情報 第138回国会 環境特別委員会 第2号

#1
第138回国会 環境特別委員会 第2号
平成八年十一月十二日(火曜日)
   午前十時二十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         千葉 景子君
    理 事
                狩野  安君
                成瀬 守重君
                山下 栄一君
    委 員
                石川  弘君
                河本 英典君
                鴻池 祥肇君
                佐藤 泰三君
                馳   浩君
                足立 良平君
                常田 享詳君
                寺澤 芳男君
                長谷川 清君
                有働 正治君
                峰崎 直樹君
                末広真樹子君
   国務大臣
       国 務 大 臣  石井 道子君
      (環境庁長官)
   事務局側
       第二特別調査室  林 五津夫君
       長
   説明員
       環境政務次官   鈴木 恒夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (派遣委員の報告)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(千葉景子君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 理事の選任について御報告いたします。
 去る七日の本委員会におきまして、一名の理事につきましては、後日委員長が指名することとなっておりましたが、去る八日、理事に山本正和君を指名いたしました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(千葉景子君) この際、石井環境庁長官及び鈴木環境政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。石井環境庁長官。
#4
○国務大臣(石井道子君) 去る十一月七日に国務大臣環境庁長官及び地球環境問題担当大臣を拝命いたしました石井道子でございます。何とぞどうぞよろしくお願いを申し上げます。
 今日、環境問題は地球規模において、また世代間を越えて影響の及ぶ大変重要な問題となっております。環境問題の先進国として、日本の環境行政を担う責任の重さに身の引き締まる思いがいたしております。
 私といたしましては、環境基本計画が目指す環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を目指し、明年十二月に我が国で開催されます地球温暖化防止京都会議を成功させること、また、中央環境審議会において精力的に検討されております環境影響評価制度の法制化を含めた見直しに対して全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
 委員長初め皆様方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
#5
○委員長(千葉景子君) 続きまして、鈴木環境政務次官。
#6
○説明員(鈴木恒夫君) 十一月八日、環境政務次官を拝命いたしました鈴木恒夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今、大臣のお話のとおり、環境問題は非常に重要なテーマでございまして、二十一世紀までの間にこの数年間何をするか、とても大事な時期だと考えております。
 来年の京都会議を初め、もろもろの諸問題に石井大臣を補佐いたしまして一生懸命努力をするつもりでございますので、委員長の千葉先生初め各先生方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(千葉景子君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、派遣委員の報告を聴取いたします。成瀬守重君。
#8
○成瀬守重君 去る八月二十八日から三十日までの三日間、国立公園等の自然公園及びラムサール条約登録湿地の管理状況等の自然環境保全対策に関する実情調査のため、千葉委員長、山下理事、竹村理事、馳委員、有働委員、末広委員及び私、成瀬の七名で東北海道を訪れ、釧路湿原国立公園、阿寒国立公園、網走国定公園等を視察してまいりました。
 北海道環境白書九六年度版によれば、「私たちの住む北海道には、雄大な景観や多様な生物が生息する素晴らしい自然環境が残されています。」、「この優れた環境をより良いものへと発展させ、将来の世代に引き継いていくことが、現代に生きる私たちの責務」でありますと述べられております。
 このような環境も、昭和三十年代後半からの高度経済成長、リゾート開発等によってさまざまな問題が生じ、その後の環境問題に対する機運の高まりの中で、現在はこの重要な自然環境財産の継承と持続的発展を可能にする環境重視型社会の実現を目指し、北海道の環境基本条例の制定に向けた取り組みなど、各種施策を推進しているとのことであります。
 このような状況にある北海道の自然環境保全対策のうち、東北海道の湿原の保全、野生生物の保護、国立公園等の管理と利用などについて御報告いたします。
 まず、湿原の保全対策について申し上げます。
 我が国のラムサール条約登録湿地十カ所のうち五カ所が北海道にあり、さらにサロベツ原野の登録について環境庁と協議しているとのことであります。道ではラムサール条約のワイズユースの基本理念に基づき、平成六年六月に「北海道湿原保全マスタープラン」を策定、これに基づき八年三月に「釧路湿原保全プラン」を策定しております。
 今回視察した釧路湿原は、昭和五十五年に我が国がラムサール条約に加入すると同時に登録した湿原で、平成五年には釧路市において同条約の第五回締約国会議が開催され、湿原保全の重要性を認識させる上で意義ある役割を果たしました。登録湿地七千七百二十六ヘクタールは国立公園の特別保護地区の区域とほぼ重なり、この登録湿地を囲んで国立公園の区域となっており、タンチョウの主な繁殖地であり、カモ類を初めハクチョウ類の越冬地、渡りの中継地であるほか、シマフクロウ等の大型鳥類も生息しております。
 この湿原の規模は、昭和初期には三万ヘクタールほどであったのが、現在は約一万八千ヘクタールに減少しており、湿原の乾燥化等の実情、原因、対策について質疑が行われました。
 環境庁東北海道地区国立公園・野生生物事務所の説明では、この湿原は釧路川の最下流に位置し、上流域の生活、農業開発等の影響を受け、土砂、汚排水等の流入による環境悪化、乾燥化等が問題になっている。最近、河川の直行化改修工事による流速の変化が土砂量に影響を与えているとの指摘もあり、湿原生態保全のためのモニタリングを実施して変動要因を解析しているが、原因が公園区域外にあるため対策を難しくしているとのことでありました。
 一方、北海道からは、昭和三十年代から五十年代にかけて、酪農推進のため湿原を水抜きして牧草地にした。このような湿原の回復には百年から二百年の期間が必要とされる。昨年度策定した「釧路湿原保全プラン」等に基づき、中長期的に対応していく必要があるとの説明がありました。
 第二に、野生生物の保護対策について申し上げます。
 東北海道地区国立公園・野生生物事務所では、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づく保護業務を平成六年七月に開始し、管内で生息が確認されている希少野生動植物種十一種のうち、タンチョウ及びシマフクロウについては保護増殖事業計画が策定され、これに基づく保護増殖事業を行っているとのことであります。
 タンチョウは約六百羽が生息しておりますが、最近数の増加が停滞している。原因としては、従来不適とされた地区での繁殖も見られることから、従来の生息湿原での生息数が限界に来ていると推測され、新たな生息地の確保が課題となっているとのことであります。
 今回は釧路市丹頂鶴自然公園、鶴見台等において生態を視察いたしました。
 タンチョウの保護増殖事業は、環境庁のほかに、北海道、地元市町村、団体等によって行われてきておりますが、運営の中心となってきた人たちの高齢化と後継者対策等の課題を抱えております。トラストサルン釧路の代表者との面談の席上、同席した日本野鳥の会鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ担当のレンジャーから、タンチョウの約四分の三が集まる同サンクチュアリの運営の中核を担ってきた伊藤さんの引退による今後の冬場の給餌活動体制や飼料費の値上がりによる資金確保が課題になっている旨の話がございました。
 また、シマフクロウは、現在約百羽程度の生息が推定されているだけの絶滅に近い鳥の一種であります。保護対策は昭和五十九年から行われていますが、平成五年度から野生生物センターのケージで雄二羽、雄一羽を飼育しているのを視察してまいりました。保護増殖事業に当たっての問題、必要な面積についての質問に対し、大径木のある森林と魚影の濃い水辺が生息に不可欠であり、一支流に一つがいの広大な適地の確保、必要な予算等の措置や専門家の採用が課題であるとのことであります。さらに、民間ボランティアの活動状況やアマチュアカメラマンの横行問題について説明がありました。また、希少野生動植物種と天然記念物との関係について質疑が行われました。
 第三に、東北海道地区国立公園・野生生物管理事務所管内の国立公園及び網走国定公園の管理状況について申し上げます。
 年間利用者数は、平成六年度で阿寒が六百六十一万七千人、知床が二百四十八万九千人、釧路湿原が八十七万四千人、網走国定公園で八十八万二千人を数え、特に釧路湿原は、平成元年度の六十二万人と比べ大幅な増加となっています。
 このような状況を踏まえ、環境庁としては、人と自然との豊かな触れ合いの実現に力を入れている。そのため、より快適な利用を確保するため、自然公園核心地域総合整備事業、いわゆる緑のダイヤモンド計画、また子供たちが自然と触れ合い、自然を学ぶことができる中核施設の整備を目的とするエコ・ユージアム整備事業を実施しているとのことであります。エコ・ミュージアム事業については、釧路湿原国立公園の塘路湖地区、阿寒国立公園の川湯地区に計画しており、塘路湖畔視察の際、予定地を見ることができました。また、阿寒国立公園の屈斜路湖畔和琴の園地及び野営地の整備・管理状況を視察いたしました。なお、同公園の針葉樹が、エゾシカのほかにヤツバキクイムシの被害を受け、有効な対策が見つからず、苦慮しているとのことであります。
 利用者に対するこのようなビジターセンターを初めとする施設面での整備と同時に、自然観察会の開催等、利用に当たってのソフト面の充実も不可欠であり、管理官事務所のレンジャー増員とともに、ボランティア等の活用と組織化が求められるところであります。その実情についての質問に対し、現在、管内において、パークボランティアが三公園四地区で百七十三名が登録され、ビジターセンター等を拠点に活動を行っているとの説明がありました。
 このような自然環境保全に対しては、ナショナルトラスト等のNGOの活動も行われております。
 東北海道の国立公園の場合、現在、私有地が阿寒で十二・八%、知床で四・三%、釧路湿原で三一・九%を占めており、周辺部分を含めた保全を確実なものとするため、ナショナルトラスト活動が行われております。現在、北海道には十一の団体があり、前田一歩園財団のように阿寒に三千七百ヘクタールの土地を有する団体や、知床の百平方メートル運動などがあります。今回は、釧路湿原で活動しているトラストサルン釧路の代表者及び日本野鳥の会鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ担当のレンジャーと面談しました。
 席上、トラストサルン釧路の代表者から、同団体は、釧路湿原周辺十一ヘクタールの土地を確保し、達古武沼の生態調査を行うなどの活動を行っているが、法人格がないため、トラスト財産の管理や課税に苦慮している旨の話があり、会員数三百人に占める地元会員の割合、運営費の類とその使途などについて質疑が行われました。
 最後に、エゾシカによる食害について申し上げます。
 北海道の説明によれば、東北海道に集中し、十二万頭を数えるエゾシカによる被害額は平成七年度四十億円を超えている。中でも、林業の被害額は全体の五%と少ないが、共済制度がないため被害全額を負担しなければならない。毎年四万頭を駆除しているが、残り八万頭の半分に当たる雌の出産により一向に数が減らない状況にあるとのことであります。阿寒国立公園の針葉樹にも被害の跡がそこここに残り、問題の深刻さを実感いたしました。対策についての質問に対し、道では「適正管理指針」を策定し、駆除数の目安としたいとのことであります。
 以上のほかに、阿寒ではマリモの保護状況、網走では原生花園等湖沼と海岸砂丘地帯の織りなす景観の保全状況などを視察したことをつけ加えておきます。
 終わりに当たり、今回の調査に御協力をいただいた環境庁の現地事務所、北海道並びに関係各位にお礼を申し上げ、報告を終わります。
#9
○委員長(千葉景子君) 以上をもちまして派遣委員の報告は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#10
○委員長(千葉景子君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 公害及び環境保全対策樹立に関する調査につき、ましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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