くにさくロゴ
1996/11/28 第138回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第138回国会 農林水産委員会 第2号
姉妹サイト
 
1996/11/28 第138回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第138回国会 農林水産委員会 第2号

#1
第138回国会 農林水産委員会 第2号
平成八年十一月二十八日(木曜日)
    午前十時七分開議
出席委員
  委員長 石橋 大吉君
   理事 原田 義昭君 理事 松岡 利勝君
   理事 松下 忠洋君 理事 山本 有二君
   理事 北村 直人君 理事 実川 幸夫君
   理事 宮本 一三君 理事 小平 忠正君
      植竹 繁雄君    大島 理森君
      金田 英行君    亀井 善之君
      川崎 二郎君    瓦   力君
      木部 佳昭君    熊谷 市雄君
      栗原 博久君    鈴木 宗男君
      滝   実君    丹羽 雄哉君
      野呂田芳成君    牧野 隆守君
      御法川英文君    茂木 敏充君
      森  英介君    井上 喜一君
      池坊 保子君    一川 保夫君
      木幡 弘道君    古賀 一成君
      佐々木洋平君    笹山 登生君
      城島 正光君    菅原喜重郎君
      堀込 征雄君    矢上 雅義君
      安住  淳君    鉢呂 吉雄君
      春名 直章君    藤田 スミ君
      前島 秀行君    石破  茂君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  藤本 孝雄君
 委員外の出席者
        環境庁水質保全
        局水質規制課長 畑野  浩君
        外務省経済協力
        局無償資金協力
        課長      奥田 紀宏君
        厚生省生活衛生
        局水道環境部環
        境整備課産業廃
        棄物対策室長  仁井 正夫君
        厚生省薬務局安
        全課長     植木 明広君
        農林水産政務次
        官       保利 耕輔君
        農林水産大臣官
        房長      高木 勇樹君
        農林水産省経済
        局長      堤  英隆君
        農林水産省構造
        改善局長    野中 和雄君
        農林水産省農産
        園芸局長    高木  賢君
        農林水産省食品
        流通局長    中須 勇雄君
        食糧庁次長   阿部  修君
        水産庁長官   嶌田 道夫君
        運輸省運輸政策
        局環境・海洋課
        海洋室長    武藤  浩君
        農林水産委員会
        調査室長    黒木 敏郎君
    ―――――――――――――
委員の異動十一月二十五日
 辞任         補欠選任
  岡田 克也君     井上 喜一君
  島津 尚純君     一川 保夫君
  白保 台一君     北村 直人君
  達増 拓也君     古賀 一成君
  玉置 一弥君     佐々木洋平君
  冨沢 篤紘君     笹山 登生君
  西  博義君     実川 幸夫君
  畑 英次郎君     城島 正光君
  堀込 征雄君     菅原喜重郎君
  増田 敏男君     仲村 正治君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  茂木 敏充君     鈴木 宗男君
同月二十八日
 辞任         補欠選任
  丹羽 雄哉君     森  英介君
  野呂田芳成君     滝   実君
  村岡 兼造君     茂木 敏充君
  木幡 弘道君     池坊 保子君
  仲村 正治君     堀込 征雄君
同日
 辞任         補欠選任
  滝   実君     野呂田芳成君
  茂木 敏充君     村岡 兼造君
  森  英介君     丹羽 雄哉君
  池坊 保子君     木幡 弘道君
  堀込 征雄君     仲村 正治君
同日
 理事岡田克也君及び増田敏男君同月二十五日委
 員辞任につき、その補欠として北村直人君及び
 実川幸夫君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十一月十二日
 一、農林水産業の振興に関する件
 二、農林水産物に関する件
 三、農林水産業団体に関する件
 四、農林水産金融に関する件
 五、農林漁業災害補償制度に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 農林水産業の振興に関する件等(平成九年産米
 穀の政府買入価格等)
 食糧・農業関連援助の拡充に関する件
     ――――◇―――――
#2
○石橋委員長 これより会議を開きます。
 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴いまして、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○石橋委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に
      北村直人君 及び 実川 幸夫君
を指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○石橋委員長 次に、農林水産業の振興に関する件等について調査を進めます。
 この際、平成九年産米穀の政府買い入れ価格の米価審議会への諮問について政府から説明を聴取いたします。阿部食糧庁次長。
#5
○阿部説明員 おはようございます。米価の諮問につきまして御説明いたします。
 食糧法のもとでの米穀の政府買い入れ価格は、自主流通米が制度的にも実態的にも米流通の主体となったことを踏まえまして、自主流通米の価格動向を反映させるほか、生産コスト等を参酌し、米穀の再生産を確保することを旨として決定することとされまして、このための新たな算定方式を昨年の十二月に米価審議会の意見を聞いて設定したところでございます。
 平成九年産米穀の政府買い入れ価格の決定に関しまして、この新たな算定方式に基づきまして算定した試算値につきまして、本日の米価審議会に諮問を行いましたので、その概要を御説明申し上げます。
 まず、「諮問」を朗読いたします。
    諮問
 平成九年産米穀の政府買入価格の決定に関し、米穀の需給事情・市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営を図るとの観点に立って算定を行い、この算定に基づき決定することにつき、米価審議会の意見を求める。
  平成八年十一月二十八日
        農林水産大臣 藤本 孝雄
 次に、「諮問の説明」を朗読いたします。
     諮問の説明
 「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」においては、自主流通米が米流通の主体となり、政府が買い入れる米穀は、備蓄の円滑な運営を図るためのものとされるとともに、生産調整実施者から買い入れることとされております。また、その価格は、自主流通米の価格動向その他の米穀の需要及び供給の動向を反映させるほか、生産条件及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産を確保することを旨として定めることとされております。
 このような政府が買い入れる米穀の意義・役割にかんがみ、政府買入米価につきましては、昨年十二月、米価審議会の意見を聴いて、自主流通米の価格の変動率及び生産コスト等の変動率を基礎として、需給事情・市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営が図られる方式を導久したところであり、平成九年産米穀の政府買入価格につきましても、引き続き、この算定方式により算定することとしてはどうかということであります。
 続きまして、お手元にお配りしてございます。「平成九年産米穀の政府買入価格の試算」につきまして御説明申し上げます。横長の資料でございます。
 めくっていただきますと、目次がございまして、次は一ページということで、一ページから入らせていただきます。
 「平成九年産米穀の政府買入価格の試算」について御説明いたします。
 まず、1の「政府買入米価の算定の考え方」でございます。
 (1)で、自主流通米価格形成センターにおいて形成される自主流通米の入札価格の動向の比較により価格の変動率を求めるとともに、農林水産省の統計情報部がつくっております生産費調査に基づきます米販売農家の全算入生産費の動向の比較により生産コスト等の変動率を求めまして、これらの変動率を均等のウエートにより基準価格に乗じるとともに、ちょっと後から具体的に御説明いたしますけれども、来年四月一日からの消費税値上げの影響を米価に適切に反映させるという観点から、消費税調整係数を乗じまして「求める価格」を算出しております。
 この場合、基準価格でございますが、前年産米穀の政府買い入れ価格としております。それから自主流通米価格の変動率の算出に当たりましては、自主流通米価格形成センターで上場されるすべての上場銘柄の加重平均価格を用いております。それから生産コスト等の変動率の算出でございますが、前年産米穀の価格決定時から直近までの物価・労賃の動向及び単収の動向を織り込んであります。
 右の方にその算式がございます。
 求める価格イコールPO――POは基準価格でございます、これにA、これは自主流通米価格の変動率それにW1、この場合は〇・五というふうになっております、それからB掛ける――Bは生産コストの変動率でございます、それにW2ということで〇・五を掛けまして、それにαを掛ける――αは消費税調整係数であります。
 次に、二ページでございます。
 政府買い入れ米価につきましては、需給事情なり市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営を図るというような観点から、まず一つは、この先ほどの自主流通米価格の変動率を求めるに当たりましては、移動三年平均により比較を行っております。その際、需給変動による価格への影響を緩和するため、生産調整面積の変更を決定した年の年産に係ります自主流通米の入札価格の平準化を行っております。
 若干ここのところについて御説明いたしますと、この入札価格の平準化でございますが、近年の豊凶変動ということで、お米の生産費なり在庫数量が、変動が大きいわけでございまして、自主流通の価格も毎年変動が大きいというふうな状況にございます。このような入札価格で形成される価格を行政価格でございます政府買い入れ価格に適切に反映していくために、一定の価格の平準化を行うものでございます。具体的には、著しい需給の変動は当該年の秋に決定いたします来年の生産調整面積の増減にあらわれるというふうに考えまして、これを基準といたしまして、生産調整面積の変更を決定した年の年産に係ります自主流通米価格の入札価格の平準化をしておるところでございます。
 それから、Aに書いてございますように、また、生産コスト等の変動率を求めるに当たりましては、移動三年平均によって比較を行っております。これも安定性のある算定をやるというようなことで、単収につきましても平準単収を用いております。
 また、(3)でございますが、平成九年産米穀の政府買い入れ価格の算定でございますが、来年の四月一日から消費税率が三%から五%に引き上げられるというようなことを考慮いたしまして、この消費税の適正な転嫁というような観点から、消費税引き上げの影響を米価算定に反映させておるところでございます。
 2が「算定」でございます。
 今申し上げましたようなもので算定いたしました九年産の政府買い入れ価格でございますが、六十キログラム当たり一万六千二百十七円、前年の価格に比べまして百七十五円のマイナス、マイナスの一・一%というようなことになります。右の方に数字が書いてございますが、この価格は(注)に書いてございますように、ウルチの一−五類、一−二等平均、包装込み、生産者の手取り予定価格という性格のものでございます。
 三ページでございます。ここから「算定要領」に入るわけでございます。
 まず、基準価格のPOでございます。この場合、基準価格は前年産の米穀の政府買い入れ価格を使っておるわけでございます。昨年十二月に決定いたしました八年産の政府買い入れ価格一万六千三百九十二円というのを使っております。
 それから、次に自主流通米価格の変動率Aのところでございます。この自主流通米価格の変動率につきましては、自主流通米価格の中期的なトレンドを反映させるといった観点から、すべての上場銘柄の加重平均価格の直近三カ年平均とその前年の三カ年平均を比較することによって求めております。
 この場合、生産調整面積の変更を決定した五年産から七年産までの各年産の価格につきましては、各年産の加重平均価格と、その年産の入札取引におきます基準価格との平均値を用いております。
 右の方に「自主流通米価格の変動率の算出」というふうに書いてございますが、平成五年から七年が二万一千七百六円、平成六年から八年平均が二万一千百四十九円というようなことで、比率といたしまして九七・四三%というようなことになっております。
 それから、四ページでございますが、ここは生産コストの変動率Bを求めておるところでございます。このコストの変動率につきましては、生産費調査に基づきまして、家族労働費、これには労賃なり家族労働時間の変化率、それから物財・雇用労働費、農家購入価格及び十アール当たりの投入量の変化率、それから単収、収量の変化率でございます。それぞれごとにそれぞれの変化率を求めまして、家族労働費と物財・雇用労働費につきましては全算入生産費に占めますそれぞれの割合によってウエートづけを行っておりまして、最後に単収の変化率で割り戻すというようなことで、生産コスト全体の変動率を求めるというようなことになっております。
 右の方にその式が書いてございますが、ちょっと説明は省略させていただきたいと思います。そういうふうにいたしますと、生産コストの変動率が九八・六五%というようなことになります。
 それで、五ページでございますが、ここはただいま説明いたしました算式のそれぞれの要素を若干細かく説明した部分でございます。
 まず、労賃の変化率でございます。これにつきましては、労働省の毎月勤労統計調査に基づきまして、生産費調査におきます賃金評価である建設業、製造業及び運輸・通信業の事業所五人以上三十人未満の賃金の、直近一年平均とその前年の一年平均との比較ということによって求めております。具体的な算定は右の方に書いてあるとおりでございます。
 それから(2)でございますが、十アール当たり家族労働時間の変化率でございます。この家族労働時間の変化率につきましては、生産コスト等の動向の中期的なトレンドを反映させる、それから客観性、連続性ある算定を考慮するというような観点から、米販売農家の十アール当たり家族労働時間、これには間接労働も入るわけでありますが、それの直近三カ年平均とその前年の三カ年平均とを比較することによって求めております。具体的な算定は右のとおりでございます。
 それから六ページでございます。これは、(3)ということで、物財・雇用労働費の農家購入価格等の変化率でございます。これは、米パリティー指数と申しまして、稲作経営にかかわります物財等のいわば物価指数のようなものでございますが、それによりまして、当年の一月から直近月までと、その前年の同期間の物価水準とを比較することによって求めております。
 それから(4)、これが十アール当たりの物財・雇用労働費等投入量の変化率でございます。この投入量の変化率につきましては、米販売農家の十アール当たり物財・雇用労働費、これの直近三カ年平均とその前年の三カ年平均を比較することによって求めております。この場合、投入量の変化率とするために、デフレーターによりまして価格を修正しておるというような手順を踏んでおります。
 右の方の算定は省略をいたしまして、七ページでございます。旧ということで、十アール当たり全算入生産費に占めます家族労働費の割合でございます。これは、基準年産の十アール当たり全算入生産費に占めます家族労働費の割合によって求めております。具体的には右のようなことになっております。
 それから(有)の十アール当たり収量の変化率でございますが、これも、客観性、安定性のある算定を考慮するというような観点から、米販売農家の十アール当たり収量を平準化した収量の、直近三カ年平均とその前年の三カ年平均とを比較することによって求めております。具体的な算定は右の方にあるとおりでございます。
 それから、最後に八ページでございますが、消費税調整係数αでございます。これは、来年四月から消費税率が三%から五%に引き上げられるというようなことから、物財費に係ります消費税率引き上げの影響を米価に適切に反映させるため、消費税率の引き上げに伴います物財費の増加率を米価に占めます物財費割合に乗じるというようなことによりまして米価への影響率を求めた上で、これに一を加えて求めておるというふうにあります。
 右の方に消費税調整係数の算出がありますが、米価に占めます物財費割合は四六・二六%と、約半分ぐらいでございます。消費税引き上げの影響はこの部分にあらわれるということで、米価に対しましてプラスの〇・九というようなことで、調整係数は一・〇〇九というようなことを使っております。
 それから、最後のページ、九ページでございます。類別、等級別価格の算定でございます。以上でずっと求めてまいりました。ウルチ一−五類、一−二等平均の包装込み、生産者手取り予定価格を基礎にいたしまして、銘柄間格差、等級間格差を前提に、ウルチ三類一等裸価格、我々はへそ価格といっておるのですが、これを算定いたします。それで、右側に類別、等級別の価格一覧を掲げておるところでございます。この右の方の説明は省略させていただきたいというふうに思います。
#6
○石橋委員長 以上で説明は終了いたしました。
 この際、藤本農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣藤本孝雄君。
#7
○藤本国務大臣 農林水産大臣を拝命いたしました藤本孝雄でございます。
 私は、十一月十二日から十七日まで、イタリアのローマで開催された世界食料サミットに出席してまいりました。サミットの場では、世界の食糧安全保障への取り組みにつきまして議論が行われ、私からもその重要性について訴えてきたところでございます。
 本日は米の問題につきまして御審議いただくとともに、次期臨時国会には農協関係二法案の提出を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 さて、我が国の農林水産業、農山漁村は、国民生活に欠かすことのできない食糧の安定供給や、国土自然環境の保全にとって極めて重要な役割を担っております。私は、農林水産行政の責任者として、我が国の農林水産業、農山漁村が期待されている役割を十分に発揮し得るよう誠心誠意職務に精励する決意でございますので、委員長初め委員各位の御支援のほど、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○石橋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
#9
○栗原(博)委員 ただいま米審で九年産の政府買い入れ価格について諮問されているわけでありますが、昨年十一月一日に新食糧法が施行されまして、米の生産あるいは流通の規制を大幅に緩めた中で、つくる自由と売る自由という中で新しい法律ができておるわけであります。
 そういう中で、今回一年間を経過して平成九年産米の米価決定を迎えているわけでありますが、私は、新食糧法の施行により二十五年前と何が変わっただろうか。もうずっと生産調整を継続してやっておりますし、米価の実質的な値段も約二十年間変わっていない。一物三価制で、新食糧法では政府米それから自主流通米、計画外流通米という三つの米の値段が設定されているわけでありますが、こういう中で、きょう、平成九年の政府米買い入れの価格決定を迎えているわけであります。新食糧法では、米の需給の見通しに基づいて減反面積の目標を生産農家に示すということになっておるわけでありますから、その中での生産調整というものはいかがなものかということになると思うのです。
 さて、そういう中でまず一つお聞きしたいのでありますが、先ほど、食糧庁次長からるる平成九年産米の米価の試算内容について御説明がございました。昨年度はたしか〇・六%、九十五円差があるということでございましたが、新制度を円滑に推進する、あるいはまた生産調整の実効性を担保するということで、九十五円を加算して前年度米価と同じ値段で決定を見たと思うのであります。
 ことしは、今の説明を承りますと、本来一・四%ですか、二%ですか、マイナス。だけれども、消費税が二%今度上回りますから、そういう中での消費税の影響を加味する等の数値計算でマイナス一・一%であるということであります。こういう中で、私は、やはり政府米の買い入れというものは、私どもは新潟でございますが、大半が、九九%自主流通米でございます。しかしながら、新潟の農家の方々がこぞって言うことは、政府米の値段は、自主流通米あるいはまた計画外流通米の値段の下支えという大きな効果を持つので、米全体の価格形成にとっては欠くことのできないものでございます。
 この中で、御説明がいろいろあり、種々の対策の中で実質的な減はないと言うけれども、マイナス一・一%という今までなかった米価の引き下げは、大変心理的な面を含みながら農家に対する大きな影響力を及ぼすと思うわけであります。これを払拭していただかねばならないし、その中で、今回の平成九年産米の諮問に当たりまして、どのような点に留意され、御決定されたか。
 あるいはまた、今後、生産調整、前年度と同じということで大変なお示しもいただいております。しかしながら、本来生産調整は農家の方の自主的な判断でやるのだけれども、WTO等の外圧の中に生産調整というものがやはり義務づけられているわけであります。その中で、私は、国内で生産調整をやるに当たりまして、生産調整をする農家としない農家に対して、ある程度のめり張りのついたものをちゃんと担保しなきゃならない、こういうことを考えるわけでありまして、お聞きしたい点は、平成九年産米の決定に当たり、諮問するに当たりましての一番留意点、どの点について御配慮いただいたかということ。
 そして、もう一つは、生産調整を実行するに当たりまして、それを円滑にし、そしてまた、農家の方々に隣近所にけんかを起こさないような、そういう中でどのように生産調整というものをやるかという、この二つの点についてお聞きしたいと思うわけでございます。
#10
○藤本国務大臣 幾つかの御質問がございました。
 まず、平成九年度産米の政府買い入れ価格、これにつきましては、委員御承知のように、食糧法のもとで、昨年の秋、米価審議会の意見を聞きまして、新たな算定方式を設定いたしました。これは、御承知のように、自主流通米の価格動向を反映させる、また、生産コストなどを参酌して米穀の再生産を確保するということを旨として決定されるわけでございますが、このような考え方に立ちまして新たな算定方式が決定したわけでございます。
 この算定方式によりまして計算をいたしますと、対前年マイナス一・一%、六十キロ当たり一万六千二百十七円という試算値が出るわけでございまして、これを米価審議会におかけをした。こういうことでございます。
 いずれにいたしましても、九年産の生産者米価につきましては、今、米価審議会、行われておるわけでございまして、この答申を踏まえまして適正に決定してまいりたい、かように考えております。
 それから、この生産調整を達成したものと達成しないものとの間の不公平感、これは極めて私も重大に受けとめております。やはり現場におきまして生産調整に協力していただかなければこれは達成できないわけでございまして、そういう点は十分に念頭に置いておる次第でございます。
#11
○栗原(博)委員 私は、要望といいますか、現場の声を考えながらお願いがあるのですが、これからやはり生産調整に協力しない市町村等について、ある程度のものをお考えだと思うのですが、ペナルティーはあってはならない。あってはならぬが、実際問題、市町村等に対してやっているわけでありまして、国が逃げまして、県にそういうペナルティーだけ先にさせまして、後で国の方では、いや、我々ペナルティーはしていないんだ、そういう傾向があるんですね、市町村が受ける傾向は。
 だから、私は、生産調整はやはり国の責任でございますから、国がちゃんと表に立って、ちゃんとそれに対して政策的に、いろいろな政策導入の決定に当たっては責任を持ってやるということを、大臣から、しかと頭に入れていただきたいということを御要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。
#12
○石橋委員長 次に、金田英行君。
#13
○金田(英)委員 限られた時間でありますので、今回米審に答申されております内容については先ほど御説明がありました。本当に今年度の米価の関係につきましては、大変難しい状況の中でこの議論が進められたわけであります。
 まず、九年産米の価格決定につきましては、その意義でありますけれども、まず、新食糧法に移行後初めての米価であるというようなことであります。また、過去六年来米の値段が据え置かれたままになってきている中で、この新食糧法の体系の中でまたぞろそのままでいいのかという問題がありました。
 また、米の需給の緩和基調がある。そういった中で、ことしも一〇四という作況で、水余りの状況を呈している中で米価を決めなきゃならない、そういう問題があったわけであります。
 また、多大な生産調整を今全国国土の中で行っているわけでありますが、この生産調整が、これ以上強化することができないというような難しい情勢の中での生産調整の決定をしなきゃならない。すなわち、生産調整をこれからどうしたらいいのか。これはまた、価格とも連動してきておりまして、価格を下げれば、もう米をつくっていてもしょうがないなという形で、作付面積が減るという様子が価格を下げることによって出てくるわけでありますが、それをどの程度に見るのか。
 あるいはまた、価格を下げた場合に、むしろおれたちがあれだけ一生懸命価格を下げないために減反に協力したのにもう下がったじゃないか、だからもう減反には協力しないよという、同じ下げても、減反をしないという状況で、それにマイナス効果が出てくるというような状況もまたどういうふうに判断したらいいのかというようなことであります。
 また、今年度は、生産調整未達の府県が十二府県発生したわけでありまして、来年度以降も生産調整が必至でございますが、その生産調整をどのように来年度実施する担保ができるのか。すなわち、正直者が減反をして、その減反を守った正直者がばかを見る、そういったことがないように何らかの措置をこの際講じなきゃならない、そういう難しい問題も出ておったのであります。だから、このために、減反した人に対するメリット措置をどうしたらいいのか。
 それから、何といっても新食糧法の中では、今までの、何というか、計画経済的な、とにかく作付から米の値段まで全部政府が決めてしまうというような、そういった体制から大きくずれた。市場価格に準拠した形で、自由な形の中で新しい新食糧法が策定されたわけでありますので、その新しい新食糧法の中でどういった価格をあるいは生産調整なりに見通しをつけるのかという、こういった難しい状況の中で行われた米価審議であったというふうに思うわけであります。
 そこで、今回米審に諮問された内容では一・一%の、六年ぶりの米価の引き下げが諮問されているわけであります。まず、これは国の持ち出しにして三十八億円余の持ち出し減ということになるわけですけれども、メリット対策を何とか講じなければならないというような形で措置されたのが百億円に当たるというふうに聞いておるわけであります。そういったことであれば、実質農家の手取りを保障された。確保した形の中で、本当に、まさに芸術的な米価と申しますか、まさに自画自賛ではありますけれども、減反はしなければ大変なことになる、市場価格もまたこれは取りまなければならない、そういった中で、まさに農家の手取りでいえば六十キロ当たり百七十五円減るわけでありますが、そういった需給調整措置ということで三百円値上げしてやったというような形で、農家の皆さん方が本当に、なるほど上手など申しますか、現状を混乱させない中で、また農家の皆さん方の意欲をそがない中で極めて適切な米価あるいは需給見通し、生産調整にかかわる見解が示されたという形で、まさに大臣の御苦労に本当に敬意を表する次第であります。本当に御苦労さまでございました。
 まさにこれから新しい、米の大きな変革の時代を迎えることになってまいります。つらつら考えてみますと、多くの世界の各国が社会主義経済、計画経済から自由主義経済に移行をしておるわけであります。まさに二大社会主義国家が市場原理を取り入れた中で制度改革、社会改革を行っております。二つの国、ロシアともう一つは中国であります。ロシアは、まさにその改革を急ぐ余り政治的な安定をなくしてしまいました。私は与党なものですから、もう十分に大臣とは議論が済んでおりますから、そういったことで、ロシアの経済改革、まさに政治的な不安定を引き起こしながらの改革が進んでおります。しかし、中国はまた一方別な行き方をしておりまして、天安門事件等々の政治的な混乱を何とかして、まず政治の安定が必要だ、その中で、安定した政権の中で徐々に市場主義原理を取り入れていくというような改革手法、まさに二つの国のその手法が大きく異なるわけであります。
 我々政権政党として、何としてもや怠り混乱を回避しながら、現実を踏まえながら改革を進めていくということがまさに国民に対する責任だというような観点に立って、今回の米価審議につきましては、まさに混乱を回避しつつ市場原理を徐々に導入し、そして農家の意欲をそがないというような形、本当にあらゆる面に配慮された米価審議であった。米価の諮問であったということにつきまして本当に敬意を表する次第であります。まさに混乱を回避しながら、中国流に政権の安定を図りつつ徐々に徐々に市場主義原理をこの米価の中に取り入れていくという政府の姿勢については、賛意を表する次第であります。
 そこでお尋ね申し上げますが、今回の米審につきまして、どうしても米価を下げなければならないというような農林水産省の意向が本当に働いておったのか。まさに改革を進める中で、いつまでも固定した政治圧力の中で米価を、政治加算等々今までいろいろなことがあったわけでありますが、そういった政治的な圧力は圧力としながらも、何とかして筋を通して市場価格を反映させる米価にしなければならないという形についてどの程度御腐心をされたのか、そこいら辺について若干お尋ね申し上げたいと思います。
#14
○藤本国務大臣 金田先生よく御承知のとおりでございまして、政府買い入れ米価の算定につきましては去年来経緯がございます。一定のルールに従って算定をする、その結果が一・一%の減、こういうことになったわけでございまして、新食糧法施行一年目で、その結果に基づいて米価審議会に諮問をさせていただいて、その後適正な米価を決定したいというふうに考えております。
 それから、先ほどお話がございました生産調整一〇〇%された方々とそれから一〇〇%協力されていない方々との間の不公平感で、生産調整を一〇〇%された方々に対するメリットというものをどう評価するかという御要望も非常に強くあったわけでございますし、そういう点で先ほど御発言がございました百億円の財政措置を考えた次第でございます。
 それから、減反面積の問題についてはいろいろな議論がございました。しかし私どもは、この減反に協力していただくためには現場の声というものが非常に重要でございまして、この現場の声というものが、もう減反はこれは限界だ、こういう声が非常に強かったわけでございまして、そういうことも十分に配慮した上で、米価はルールどおり決めさせていただく、それから減反の面積については据え置き、そしてその減反に協力した方々に対するメリットは百億円で考えさせていただく、こういうことでやらせていただいたわけでございます。
#15
○金田(英)委員 時間が来ましたので終わります。けれども、一・一%米価を久しぶりに下げたという形で、農家の皆さん方の心情が決してマイナス方向に向かうことがないように、農林省としてもしっかりとした附帯措置を講じての一・一%の減なんだよということをしっかりと宣伝していただいて、農家の皆さん方が不安を生ずることがないように配慮していただくことをお願いして、私の質問を終わります。
#16
○石橋委員長 次に、菅原喜重郎君。
#17
○菅原委員 閣僚経験、行政手腕も豊富な藤本農林水産大臣を迎えたことを欣快としておりますし、山積する農政の課題解決に大いなる期待を寄せております。同時に、私たちも協力して日本農林業の振興のためには全力を尽くしていく覚悟でありますが、まずもって大臣の就任を心からお祝いさせていただきます。
 さて、大臣も御承知のように、日本の農林漁業を取り巻く諸条件は年々厳しくなっております。特に専業農家数の減少や後継者難の対策には妙手もなく、山野の環境保全も放任の状態となってきております。内外の情勢がどのように変動しようと、農山漁村の健全な振興を図ることは国家の重要な責務であります。殊に食糧供給確保が世界的な課題になっている中で、国民の食糧の確保ということは政治の最重要施策であります。
 このため、日本農業の基幹作目である米の安定的な生産を確保するとともに、農業者に明るい展望と意欲を持たせてこれからの経営に取りませるため、国民経済の中ばかりではなく、二十一世紀の国づくりの基本に農業、農村を正しく位置づけして日本農業の将来を明示する新基本法の制定が必要になっていると思います。昭和三十六年に農業基本法が制定されて以来のことでありますが、これには平成四年六月、農業基本法を補完する意味での新食料・農業・農村政策の方向、すなわち新政策が発表され、さらに平成五年十二月にガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う農業施策に関する基本方針も出されまして、この中で農業基本法の見直しも指摘されているわけでございます。
 このような現状にありまして、大臣はどのようなお考えを持っているか、所信をお伺いいたします。
#18
○藤本国務大臣 今委員御指摘の農業基本法の経緯につきましては、お話しのとおりでございまして、農業を取り巻く環境が大きく変わった。しかも今の農業基本法というのは昭和三十六年に制定されたわけでございますから、これからの日本の農林水産業、また農山漁村の振興、活性化のためには、今の社会情勢の変化や国際化の進展という状況の変化も十分に念頭に入れ、さらに平成六年十月に決定されましたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱、この大綱におきまして、新たな基本法の制定に向けて検討を着手することにしたわけでございます。
 それを受けまして、農林水産省におきましては、今の農業基本法の今日的な評価について検討を行っておりますが、昨年の九月に農業基本法に関する研究会を発足させまして、検討を進めております。ことしの九月十日にこの検討結果が報告されましたので、農林水産省といたしましては、これを契機にいたしまして、省内に新基本法検討本部を設置いたして、新たな基本法の制定に向けた本格的な検討を今開始いたしておるところでございます。
 この新たな基本法の制定の問題は農政の根幹にかかわる極めて重要な問題であると認識しておりまして、この検討に当たりましては、食料、農業、農村に対する国民的な理解が得られませんと成功はできない、達成できないというふうに考えておりますので、国民各界各層の意見も聞きながら十分な議論を積み重ねてまいりたいと思っております。
 ちなみに、農業基本法に関する研究報告がことしの九月に出ておりますが、新たな基本法の制定に向けた検討に当たっての考慮すべき視点として八つの視点を考えております。食料の安定供給の確保、食品産業の活性化、消費者の視点の重視、新しい農業構造の実現、自由な経営展開の推進、農業経営の安定の確保、農業の有する多面的機能の位置づけ、農村地域の維持発展、この八つの視点を今考えているわけでございます。
#19
○菅原委員 次にお尋ねしますが、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律、いわゆる新食糧法が施行されて一年が経過した現在、その結果として問題点が浮かんできたとすればどのようなことが指摘されるかを伺ってみたいと思います。
 この法律の具体的な対応は、備蓄米の運営とミニマムアクセス米の取り扱いにかかわるものですが、法の内容としたものは、米の需給の安定と競
争原理が機能してくるものとであったと思います。
 そこで、平成八年・九年の米穀年度の需給見通し表を見ますと、七年十月末の持ち越し在庫量は、自主流通米において四十三万トン、政府米百十八万トンで、合計百六十一万トン、八年十月の同在庫量は、自主流通米四十五万トンから五十五万トン、政府米が百七十五万トンから百八十五万トン、合計が二百二十五万トンから二百二十五万トンであり、九年十月の在庫量の推定は、自主流通米が六十五万トンから七十五万トン、政府米が二百十五万トンから二百二十五万トンで、合計二百九十万トンから三百万トンが推定されております。
 この政府米は、平均しましてトン当たり二十七万円です。自主流通米は、平均して六十キロ一俵二万円ぐらいですから、トン三十三万円です。ちなみに、魚沼コシヒカリは六十キロ三万一千円ぐらいですから、トン当たり五十万円で、需要は逼迫しているわけであります。
 こう見ますと、安い米ほど余ってきて、需給の安定どころか過剰になり、売れるものをつくるという競争原理の機能が働いていません。もちろん需要の減退とか天候に左右される豊作の問題もありますが、しかし、作柄指数一〇四の八年度産米を見る限り、五十七万トンの増収でありますから、このことだけでしたら備蓄運営の対応で処理できる数量だと思います。しかし、政府在庫米が二百九十万トンから三百万トンになりますと、既に生産調整も備蓄の限度も上限になってきているのじゃないか、破綻していくのじゃないか、こう思うわけでございます。
 そこで、今後の重要課題としてこの新食糧法の趣旨をどのように機能させていくのかお伺いしたいと思います。
#20
○阿部説明員 新食糧法におきましては、従来の食管法にかわりまして、先生御指摘のように市場原理をより導入するというのが一つの精神になっておるわけでございまして、私ども、ちょうど新食糧法が施行されましてから一年たったわけでありますけれども、そういった目標に向かいまして着実に進めておるつもりでございますし、今後とも進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
 先生広範な指摘がございましたから、一点だけ、価格についてちょっと例に挙げまして申し上げたいというふうに思っております。
 新しい食糧法におきましては、自主流通米が実態的にも米の流通の主体であるというようなことで、自主流通米の価格の形成につきましてもより一層の透明性なり公平性が求められる。さらに、そうした中で需給の実勢をより反映させていくというようなことが重要なわけでございまして、こういった自主流通米につきましては、その価格形成の場でございます自主流通米価格センターを法的に位置づけまして、具体的な入札の仕組みにおきましてもより市場実勢を的確に価格に反映させるというような観点から、取引回数の増加なり、それから上場の仕方におきましても地域別の区分をして上場するというようなことを行いまして、産地、品種、銘柄ごとの実態、需給実勢に応じました価格の形成を図っていこうというようなことに努めておる次第でございます。
#21
○菅原委員 市場実勢あるいは価格形成面で生産者に対する銘柄の指導を本当に生産調整と同じくらいに強く指導していかなかったら、この在庫量の数字は雄弁に、備蓄でも、それから生産調整米の限度も上回ってきているわけですから、その点を強力に御配慮願いたいな、こう思います。
 次に、私は二十代に農業に従事しておりまして、ノルウェーの農学校、園芸学校にも一時期留学しましたから、農産物の国際自由化がなされてもそれに対抗できる日本農業の確立を図るべきだと主張し、またそれができると今でも自信を持っているものでございます。
 殊に、米作においては圃場の基盤整備とかんがい排水施設の完備がなされますと、二百万ヘクタールから二百十万ヘクタールの水田はアメリカの米作農業に負けないと考えております。それで、昭和五十八年の日本の総水田面積は二百八十万ヘクタールありましたから、この中の、今申し上げました二百万から二百十万は国家が責任を持ってこの事業を実施すべきだと主張してまいったわけでございます。これに見合うところの予算は十年間で三十兆円と試算しまして、一年間で三兆円の事業予算ですが、これには建設省、国土庁、農林省、三つが手を合わせないとこの予算をつくることはできないと思っております。
 それで、これらの事業は国土の大改造事業でもありますから、都市計画地域内の十七、八万ヘクタールの水田は農振法から外して建設省にやって、三省が力を合わせてこの事業に当たるべきだ。さらに、中山間地帯の六、七十万ヘクタールは果樹園芸やハウス農業ができる基盤整備を行い、付加価値の高い農業へ指導すべきことも申し添えていたわけでございます。そうなりますと、私は自由化されても負けない日本農業が創設されてくるものと思っております。
 ですから、平成六年の補正から六兆百億円のウルグアイ・ラウンドの対策費予算を政府が約束されたわけでありますので、競争力のある日本農業を育成するためには、私から見ますとまだまだ足らない予算ではありますが、しかし、この対策の推進は重要であると考えております。それで、このウルグアイ・ラウンドの予算、対策の進捗状況、またこれからこの予算の確実な確保という点について、ひとつ御所見をお伺いしたいと思うわけでございます。
#22
○高木(勇)説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘いただきましたウルグアイ・ラウンドの農業合意関連対策の実施状況でございますが、御承知のとおり六年間の総事業費六兆百億ということで、今二年度を経過したところでございます。これまでに総事業費ベースで約二兆三千億円、国費で約一兆一千億円ということでございます。
 さらに、九年度が三年度目に当たりますので、この予算についても確実に確保をいたしまして、このウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の農業や農村地域に与える影響というものを極力緩和し、またいわゆる農業の体質強化、農村地域の活性化ということに力を注いでまいるという観点から、特に御指摘のあった圃場整備とかかん排事業といった。いわゆる基盤整備に重点を置いて実施をしているところであります。所要の予算については極力きちんと確保して、着実な実施をしてまいりたいというふうに考えております。
#23
○菅原委員 もみ貯蔵あるいは備蓄の検討をすべきだという点についてお伺いしますが、このことにつきましては、私が昭和五十八年に初当選して以来主張してきたものでございます。米の貯蔵や備蓄に当たっては、ぜひもみ貯蔵を検討してもらわなければならないという思いが今強くなっております。
 このことについてちょっと申し述べてみたいと思いますが、もみ貯蔵ですと米は五年たっても十分食糧に供用できます。十年以上たってきますと商品にはなりませんが、それでも立派に食べることはできます。しかし、玄米にしてしまいますと三年目には全然食べられなくなります。
 今、政府米、トン二十七万円として一年間の貯蔵のための金利、倉敷料はトン一万三千円から一万五千円かかりますので、三年間でトン三十万円以上のコストになります。そしてこれは四年目には家畜の飼料として、これも下の飼料としてトン二万円から三万円以下でしか売れなくなっているのでございます。ちなみに、五十万トン処理しますと一千五百億円相当が消えていっているわけであります。
 もみの体積は玄米の倍になりますが、換気さえよければ常温倉庫で十分間に合います。今玄米の保管は冷温倉庫に入れておりますが、これは常温倉庫の一・五倍の倉敷料になっています。ですから、あと〇・五倍の倉敷料を加算しただけでいつまでたっても緊急用にも備えられる食糧として貯蔵できるわけであります。
 今、国の各地にカントリーエレベーターが建設され、岩手の江刺市農協においても、もみ貯蔵を行い、その都度精米し、今ずり米の銘柄として人気を集めております。三年たったもみでも精米直後はおいしく食べられるものでありますから、米需要の喚起のためにもぜひこのもみ貯蔵を検討していただきたいと思うわけでございますが、この点に関しまして御意見をお伺いしたいと思います。
#24
○阿部説明員 お米のもみ保管の件でございます。
 先生御指摘になられましたように、常温保管の場合でございますと、玄米で保管するのに比べまして品質保持という面では大変すぐれているというような長所があるというふうに私ども認識しておるわけでございます。しかし、低温の場合どうなのかということにつきましては、若干不明な点もあるわけでございます。
 したがいまして、私どもこういったもみ保管を総合的に検討するということで、平成六年から三年間の計画で、カントリーエレベーター等におきまして、そこで低温でのもみの長期保管の有効性と申しましょうか、それにつきまして、今基礎的調査を実施しておるわけでございます。この調査におきましても、単に物理的な保管というだけではなくて、コストなりそういう面も総合的に含めた形で調査結果を今待っておるというような状況でございます。
#25
○菅原委員 まだ質問を残して時間が切れましたのでこの辺でやめますが、このもみ貯蔵だけはぜひ前向きに検討していただきたいことを要望して質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#26
○石橋委員長 次に、小平忠正君。
#27
○小平委員 民主党の小平であります。
 大臣、御就任おめでとうございます。我が国の農業情勢は、申すまでもなく大変厳しいの一語に尽きる、その状況がここ数年続いておりますが、そういう中で我が国は、苦渋の選択によって米の部分自由化を認め、そしてWTO体制に移行し、さらには長年続いた食管法を改正し、新しい新食糧法、これも始めて、これから二十一世紀に向かって、一億二千万以上の大変な国民が存在する我が国において、我が国が我が国の独立と安全をしっかり守っていくために、生命にとって基幹の食糧をどうやって維持していくかという、これについて、今大事なスタートのときにある、そんなふうに私どもは思っておりますけれども、そのときに大臣、御就任されました。ぜひ全力を挙げて我が国の農林水産業の振興のために頑張っていただきたいと思っております。
 その中で、就任早々まず第一の大きな仕事として、過般ローマに行かれて、言うならば世界食料サミット、ローマ会議に出席されてまいりましたが、実は、今回急に決まったこの農水委員会であり、私も事前に質問通告をする時間がございませんでした。したがって、今大臣のお心の中にある、お気持ちにあることをそのままお話しいただけばいいと思います。
 ローマに行かれて、大臣も我が国政府を代表して演説をされた。そのことも私は報告を受けております。そういう中で、まず冒頭に、大臣の就任に当たっての御決意と、そしてこのローマ会議に出られたことを含めてお話をお伺いしたいと思います。簡潔で結構です。
#28
○藤本国務大臣 御指摘の、今我が国の農林水産業、まさに試練の時代を迎えておると思います。ただ、私が感じておりますことは、二十一世紀はこの食糧問題が極めて、ローマ会議でもそういう議論がございましたけれども、食糧増産という基本的な物の考え方が国際的に大変大きな潮流として進んでいくと思っておりますので、そういう点は、今世紀は試練の年でございますけれども、二十一世紀に向かっては明るい展望が開ける、また、そういうふうに持っていかなきゃならぬというふうに思っております。
 ローマ・サミットでは、この世界の食糧の安全保障の達成につきましていろいろな議論があったわけでございますが、この点について三つの大きな流れがございまして、一つは、輸出国が、この食糧の安全保障という問題については国際的な分業の貿易を中心にやるべきだ、それから日本のような食糧輸入国におきましてはそうではなくて、主な食糧の自給については国内生産を中心にして、足らざるところは貿易、さらには備蓄、この三つの組み合わせでやるべきだ、それから発展途上国においては、食糧援助に対する強い要望と、また食糧を自給していくための援助、技術援助、そういう要望があったわけでございまして、そういうことを考えながら、我が国としては、世界最大の食糧輸入国として世界の食糧の安全保障に大きくこれから貢献していかなきゃならぬ、そういう使命感を私は今持っておるわけでございます。
#29
○小平委員 就任早々、大事な国際会議に出席されて、重責を担ってのことでありましたので、本当に御苦労さんでございました。
 ただ、今大臣のお話にあった。二十一世紀に向かっては希望の持てる、そういう未来があると。それをつくるもつくらないも、それこそどうやってしっかりとした我が国の農政をつくっていくかということにかかっている。それがなければ、明るい未来どころか我が国は独立すら危うくなる大変な状況に陥ると私は大変危惧をいたしております。したがって、そこのところはそう楽観的に見られては困ると思います。
 そこで、ローマ会議でありますが、食糧輸出国のそういう国と、我が国のようなバランスをとった農政というものが必要な国と、また後進国、言うならば飢餓の状況にある国、こういうふうに大別されますが、確かにアメリカを初め、この国際分業論というか、比較優位原則でそういうことを主張してくる、そういう中にあって、我が国は国内生産の重要性、また備蓄をしっかり保つということ、そして足らざるを安定輸入によって補って、しっかりと我が国の国民の生命の安全のために頑張るという、このことは当たり前のことであります。
 しかし、今回それなりの結論が出たようでありますが、そういう中で、依然として世界には八億人以上の飢餓・栄養不良人口が存在している、しかもその五億人以上がアジア、太平洋州に集まっている。この中で我が国がなすべき役割というものは、敢然として我が国は食糧というものを大きな戦略にして、このアジア・太平洋を中心に食糧の供給国としてその役割を果たして、世界の皆さんに喜んでもらえる、このことが我が国は今できる状況にあると私は思います、特にお米を中心にして。しかし、今回のローマ・サミットの結果によっては、何ら我が国の主張はまだ十分に主張しておらない、私はその点についてまだまだこれからであると思っております。
 と同時に、後進国、そう言えば怒られましょうけれども、食糧不足の国からは、我が国に対して、十万トン、何か六万トンぐらいが決まって四万トンはこれからで、十万トンぐらいの米の援助の要請があったそうであります。これは多分にそれなりの外交努力もあったのでしょうけれども、私から言わせれば、こんなことは単に現行の国際協約やあるいはガットの規定の中ででき得る範囲のものであって、こんなことではまだまだ不十分である。我が国はなぜもっと持っている力を発揮して、もっともっと国際的にその使命を果たす、もっとこの姿勢に打って出ないかということです。
 いろいろなお話がございます。余りやり過ぎればアメリカを中心にそういう食糧輸出国の反発を買う。非常にやりづらい。あるいは内外価格差もある。でも、ほとんどのいわゆる先進食糧輸出国は、輸出補助金という名のもとに自国の生産農産物に補助を与えて、そして海外に輸出をしているのが実態ですよね、アメリカの小麦やトウモロコシを初め。我が国も内外価格差がある中でしっかりとそこに予算措置を設けて、もっと広く海外に食糧の供給をするという、このことを私はぜひ大臣に頑張ってもらいたい、こう思います。
 午後の政府に対する質疑の中で、これについてもう少し数値をもって政府当局にお尋ねしますので、大臣にはこのことを申し上げておきたいと思います。
 さて次に、今回のこの来年度に向けての政府米価であります。政府買い入れ価格。
 今、阿部次長から説明がございましたように、一・一%減の一万六千二百十七円ですか、まあこれで諮問は出たようでありますが、大臣、確かにここ数年来、お米の価格は据え置かれてきました。そして、確かに生産者や農家の皆さんの自助努力によって合理化が進み、生産費というものがそう従来よりはかかってこなくなってきている。このことは一方でありますけれども、しかし同時に、物財費というか、いろんな諸費用がこの物価高騰の中で上がってきている。これを両方とれば、これは完全に出費増になっている。こういう中で、生産者の懐はますます減っているのが実態であります。
 そういう中で、言うならば新食糧法のもとでいろいろなことが変わってきて、それをもとにして、その新しい生産費調査でもって出せばこういうことになる。しかも、お聞きするところ、来年四月から消費税が上がる。それによって、物財費等がかることを勘案して、実際はもっと引き下げになるところを一・一%に抑えた。何かそういうことの配慮があったような言い方をされておるようでありますけれども、私から言わせればとんでもない話であって、これではますます米価は下がる、そして消費税は上がる。そういう中で、実際の米価は、百七十五円下がって一万六千二百十七円ではなくて、もっと下がっているのが実態であります。その数値がここには出ておりません。
 このことを思うときに、私は、この数値はもうこの時間には全国津々浦々稲作の生産者の皆さんには行き渡っていると思います。きょうは落胆の気持ちで皆さんお仕事にいそしんでいると思います。
 そういうことを思うときに、今米審会場でいろいろと審議の途上でありますけれども、当委員会としても、大事なこのきょうの委員会も、我々も非常に重苦しい気持ちで、重苦しい雰囲気で今私も質問させてもらっております。そこにおられる政府当局の高官の皆さんも、正直な気持ちは同じではないかと思います。しかし一方では、財政的にも大蔵省初め大変な抵抗があり厳しいというのは、そういう中で頑張ってこられたことも私は理解します。
 しかし、過般の住専国会のように、あのような大きなむだが使われて、そして大変な血税が、もうけた違いの血税がまさしくどぶに捨てる状況で処理されている。それと比較して、今回、在庫がふえるからといって、たかがそんなことに要する諸費用はどれだけになります。
 今質問にもあったようですけれども、一トン当たり、一年間の倉敷を含めて倉庫にかかる費用は一万二、三千円、それぐらいです。十万トンにして約十二億円、百万トンでも百二十億円です。よ。我が国の、今までいろいろな面で、この行政、地方自治体を含めてむだがある中で、こんなお金は微々たるものじゃないです。しかも、正直者が損をするという、まさしくこういうことがまかり通るのでは、営々と努力されて国民の食糧を提供するために頑張っておられる、そのことを思うときに、本当に正直に頑張って仕事をしている皆さんに報いるのが政治であって、こんなことではどうやって生産者の皆さんにお話をするのか、私は非常に苦しい思いでいっぱいであります。
 こんなことを申し上げながら、時間も来ましたので、大臣、最後にそこのところの大臣のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
#30
○藤本国務大臣 よく御存じの先生でございますから多くは申し上げませんが、今の米の流通は自主流通米が実態上も中心でございまして、政府買い入れ米価は備蓄米の米でございます。そういう現実からいたしますと、政府買い入れ米価の算定に当たりましては、自主流通米の価格動向であるとか、生産コストであるとか、また米の再生産を確保する、そういうことを旨として決定をする、こういうことで新しい方式でやっておりますので、その点については御理解をいただけていると思います。
 ただ、お話しの正直者がばかを見ないように、これは確かに、減反に協力していただいている方、一〇〇%協力して生産調整に協力していただいている方、またそうでない方、これはまさに正直者がばかを見ない、またそういう減反に協力をしていただいている方のメリットをどうやって出していくかということについては、今度の百億円のこの奨励金の中で十分に今回は配慮させていただいたというふうに考えております。
#31
○小平委員 時間が来ましたので終わりますが、正直言って、大臣の御答弁は私はもっと踏み込んでいただきたいと思います。また、助成措置が百億円ということのようでありますけれども、それは私から言わせれば微々たる額であって、これは、一県ならまだわかりますよ、一つの県なら。例えば北海道だけならまだ評価できる。全国でしょう。こんなのはもう広げてしまったら微々たるものだ、こんなふうに思いながら、時間が来ましたので、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#32
○石橋委員長 次に、藤田スミ君。
#33
○藤田(ス)委員 大臣、世界食料サミットヘの御出席御苦労さまでございました。
 私も、食料サミットNGOフォーラムに参加をし、IPU主催の世界食料サミット議会人デーで発言をさせていただきました。
 これらの会議で明らかになりましたように、今日、世界の飢餓の克服と世界の食糧不安への対策、食糧の安定的生産が国際的な課題になっているとき、日本が食糧自給率を抜本的に引き上げることは、日本の国民にとって切実な課題であるだけではなく、国際的にも大きく貢献するものだと考えるわけであります。大臣も、食料サミットの演説で持続可能な国内生産推進ということを強調されたわけでありますが、この点では私も全く同じ思いです。
 そして、食糧自給率を引き上げるためには、その担い手である農業者に何としても継続的に農業を営んでもらい、なおかつ新規に農業に参入してもらうことが不可欠であると考えるわけであります。
 米について言えば、稲作農家を守り存続させることは、日本の食糧自給率問題において決定的であります。なぜなら、日本の農業経営というのは単一経営が七六・八%を占めておりますが、その中でも稲作の単一経営農家は五四二一%、半分以上がそういうことになっています。
 したがって、日本の農業の担い手である稲作農家が生産意欲を持てる政策をこの米価決定や減反面積の決定に際しても打ち出さなければならないと私は考えるわけでありますが、大臣のお考えをお聞かせください。
#34
○藤本国務大臣 ローマの食料サミットは御苦労さまでございました。いろいろと応援をいただきまして、ありがとうございました。
 今お話がございましたように、日本の国の食糧、特に、主な食糧についての自給率を上げていく、これは非常に大事なことでございまして、御指摘のとおりでございます。食糧自給率の維持、引き上げというこの問題については、私も就任以来、非常に大事なことだという受けとめ方をいたしておりまして、今この内容について勉強しておるわけであります。
 食糧自給率の推移を見てみますと、これは供給熱量ベースでございますけれども、昭和六十年が五二%、平成六年が四六%。率直に申し上げまして、この食糧自給率をこれ以上低下させない、これが一番の、当面の最大の課題だというふうに私は思っておるわけでございまして、目標としては、相当長期な目標になりますが、平成十七年にはこの自給率の目標を四四から四六%、つまり、今の自給率を維持していく、そういう目標を掲げて、そしてその達成のためにいろいろな施策を講じていかなきゃならぬというふうに考えておりま
す。
 稲作農家の生産意欲を高めるような政策を打ち出すことも、これも当然のことでございまして、特にその点については、大河川流域のような平たんな地域におきましては、大規模経営の育成によりまして大規模な稲作の農業が展開できるように、大体これが全体の七割ぐらいの面積になるわけでございます。それから、三割ぐらいが中山間地域でございますので、これについては、有機栽培米の生産やモチ米の産地加工などの付加価値の高い稲作の展開を進めていきたいというふうに考えております。
#35
○藤田(ス)委員 それでは質問に入っていきたいと思います。
 新食糧法が施行されて一年たちました。日本共産党は、新食糧法は政府の米の供給責任を放棄するものであり、米価の低落をもたらし、米生産を衰退させるものだと反対をいたしました。私も、この委員会の場で再三、米価の下支え機能のない新食糧法のもとでは米価の下落は必至だということを指摘し続けてまいりました。大変残念ですが、その指摘どおりの状況になっているのじゃないでしょうか。大臣や食糧庁は、生産調整を柱に、備蓄、調整保管で全体需給を調整すれば価格は安定するとの答弁を繰り返してきました。しかし、私は、この一年の経過でそれは全く根拠がないものであるということがはっきりしたと思うのです。
 米価の下支え機能を持たない新食糧法のもと、価格維持のためと十万ヘクタールもの減反面積の拡大を行い、生産者を一〇〇%実施に駆り立てたにもかかわらず、米価安定どころか、自主流通米価格は九四年以降平均一〇%も下落しました。そのために、九五年度の農家の稲作所得は前年比一九・五%も減少し、農家経営は大きな打撃を受けています。さらに、過剰だと生産調整面積の拡大を図ろうというのでは、農家の生産意欲を奪い、米づくりを継続することは全くできなくなります。まさに新食糧法は価格下落対策がない冷酷な制度、日本の稲作構造が崩れるおそれがある、そういう批判まで招く事態になっている。私は、この政府の責任は重大だと考えます。新食糧法の抜本的な見直しか今求められていると考えるわけでありますが、どうでしょうか。
 私たち、二十六日に、日本共産党国会議員団として大臣にも申し入れを行いました。ことしの政府米の価格は最低限二万円に引き上げ、生産者米価の下支えの仕組みを直ちに確立すること、政府買い入れ数量をふやし、自主流通米の低落時には不足払いの実施をすべきだというふうに申し入れをしました。この際、明確にお答えをいただきたいと思います。
#36
○藤本国務大臣 今藤田先生の御意見の中で、政府買い入れ価格は下支え機能を持っていない、こういう御指摘がございましたけれども、私どもは、政府米の買い入れは備蓄運営等の特定の政策目的のために行われることでございまして、確かに量的には限定されておりますけれども、政府買い入れの現在の運営の実態からいたしますと、政府買い入れ米価は一定の下支え機能を持っているというふうに考えております。
 それから、新食糧法につきまして欠陥だらけの新食糧法だという御指摘がございましたが、私どもはそのようには考えておらないわけでございまして、最後につきましては事務当局から御説明させていただきます。
#37
○阿部説明員 ちょっとつけ加えまして、細かい点を御説明させていただきます。
 一つは、政府買い入れ米価は最低限二万円にすべきではないかという御指摘がございましたわけでございますけれども、先ほど説明しております。ように、新食糧法のもとにおきましては、先ほど説明いたしましたような算定方式でやるというようなことでやっておりまして、そういったものを無視いたしまして二万円というのは適当ではないのではないかなというふうに私は思っております。
 それから、もう一点でございますけれども、不足払いが必要、自主流通米に対する不足払いはどうかというような御指摘もございました。新食糧法におきましては、自主流通米を中心といたします米の価格の安定を図っていくというようなことで米の全体の需給バランスをとにかく図っていこうというような観点から、生産調整なり、備蓄なり、調整保管、さらには計画流通制度のもとでの安定流通の実施というようなことで、こうした制度を的確に運用することにいたしまして価格の安定を図っていくというようなシステムになっておるわけでございまして、不足払いを導入するというようなことは考えていないわけでございます。
#38
○藤田(ス)委員 その考え方ではもう日本の稲作はつぶれてしまうということを私は言っているわけであります。ことしのJA中央会から出されている要求の中でも、水田農業の将来展望の確立のために価格下支えの仕組み等の制度の確立ということが入っております。大臣、新食糧法が一年たって結局大きな欠陥を持っているということが明らかになっているわけです。だから、この時期とは言いません、時期はともかくとしても、この新食糧法という法律は、やはりもっと稲作を発展できる方向で改正していかなければならない、そういうふうには考えられませんか。
#39
○藤本国務大臣 せっかくの御指摘でございます。けれども、この食糧法は、今後とも、米の需給と価格の安定を通じて主食である米を国民の皆様に安定的に供給をしようという目的でつくられた法律でございまして、見直しの点についてはもう考えておらないわけでございます。
    〔委員長退席、小平委員長代理着席〕
#40
○藤田(ス)委員 私は、持続可能な国内生産の推進と国際舞台でうたわれた大臣の答弁とは思えないのです。それでは稲作はもう本当につぶれてしまいます。私は真剣に考えなければいけないと思う。減反すれば、需給調整すればやれると言いながら、実際には米価は下がり、稲作農家の所得が落ち、もう米やっていけない、どこまで落とせば気が済むんだ、こういう状態になっているということは、これはこの新食糧法の欠陥を露呈した現実の姿になっている。そのことをぜひとも考えていただきたいと思います。
 もう一つの問題は、生産調整の問題であります。一方でミニマムアクセス米を四十一万トンも輸入しながら、過剰だと減反を拡大、強制することに対して、生産者団体も含めてもう限界だと強い反発が起こっています。ことしは一〇〇%実施したというものの、先ほどから言われているように十二府県では生産調整目標を達成できず、二十九府県が九五年度の生産調整実施率を下回ったことは、これはもう事実で限界ということを示しているわけであります。米どころの新潟でも、もうこのままでは米を柱とした集落維持は難しくなる、こういう厳しい批判の声が出ているわけであります。
 政府は、ミニマムアクセス米に伴う転作強化を行わないと約束しているわけですから、輸入しながらの減反拡大はやめるべきであります。そして、補助事業の優先採択という実質的なペナルティー措置で農家に強制することは、これは人権を侵害し、生産調整参加の任意性を原則とする世界の流れですね、アメリカでは生産調整もうやめました。EUでは、これは休耕といいますが、休耕はもうやめにする、大幅に、休耕は一五%から現在一〇%というふうに、もうずっと生産調整は縮小されてきています。そういう世界の流れに反するものじゃありませんか。
 したがって、大臣、生産調整の実施は、地域や農家の自主性を尊重し、そして未達成の自治体や農家に対する強制的なペナルティー措置はやめるとともに、十分な転作補償を行い、生産者が自主的に選択できる条件をつくることが必要だと考えますが、簡単にお答えください。
#41
○高木(賢)説明員 端的にお答え申し上げます。
 いわゆるペナルティー措置としての補助事業の不採択措置ということは、ことしからの生産調整対策においてはやめました。今もお話のあります補助事業の優先配慮措置ということでございます
けれども、やはりこれは公平確保ということを考えますと、生産調整に積極的に取り組んで生産調整の目標を達成している市町村、これからの要請を優先することは、事業の性格から見て当然のことであるというふうに考えております。
 それから、経済的な意味では助成金を支出しておりますし、地域の話し合いをもとにした共補償事業を支援するということで、最高額五万円の措置も講じております。
 また、計画流通助成は生産調整を実施した人のみに支給する、あるいは、政府の買い入れ価格が今問題になっておりますけれども、生産調整実施者のみを買い入れ対象とする、このような措置を総合的に講じているところでございます。
#42
○藤本国務大臣 今局長が答弁いたしたとおりでございますし、また、昨年の農水委員会で藤田議員が同様の、よく似たペナルティーの御質問を、議事録で私も拝見してよく承知をいたしております。今答弁したようにそういう事実はない。
 それから、食糧法についての補足をさせていただきますけれども、やはり米の需給見通しを立てで、それに基づいて需給調整を適切に行うことによりまして需給と価格が安定する、これは基本的なことでございまして、それによって生産者には大きな経営的な安定が図られる、こういうことはぜひ御理解いただきたいと思います。
#43
○藤田(ス)委員 もう時間が参りましたのでやめますが、実際問題として、もう一度本当にアメリカやEUの取り組んでいる実態というのも見てください。そして、全国の農民の声をよく聞くことです。そして、危機感を持って取りまなければいけないと思います。
 私は、せっかくの時間、食糧援助、農業技術援助を初めとする食糧増産のための世界に対する、飢餓の後進国に対する支援の強化を質問しようと思っておりましたが、時間がありません。申し入れの中にも書いておりましたので、お酌み取りをいただきたいと思います。終わります。
#44
○小平委員長代理 次に、前島秀行君。
#45
○前島委員 大臣、就任おめでとうございます。
 時間に制限がありますものですから、私、在庫処理の問題と需給調整、この点だけに絞って一、二質問させていただきたいと思います。
 政府の出しております見通しによりましても、八年産で二百九十四万トン、九年で三百から三百十万、十年でも二百八十万トンから二百九十万トンが在庫持ち越しになる。この問題をどう処理するかということに緊急に対応しませんと、私は、今度の食糧法といいますか、現在の中心をなしております自主流通米の価格にも影響することは間違いない。自主流通米が大きく崩れできますと、現在の新食糧法の体系そのものも崩れてくるということになるだろうと思っているところであります。そういう面では、過剰米といいましょうか、在庫処理というのは緊急の課題ではないだろうか、こういうふうに思っているところであります。
 そこで、在庫処理、過剰米処理というのは、国内的にどうするかという問題と、もう一つ、思い切って国際的にどうやっていくかということまで踏み込まなくてはいかぬ時期に来ているのではないだろうか、こういうふうに思います。
 そこで、国内的にどうしようかという考え方をただすと同時に、今国内で減反を言う皆さんの意見というのは、いわゆる銘柄地域、平場地域では、自主流通米は売れるんだから思い切ってつくらせろ、何で制限するんだ、こういう意見が圧倒的です。同時にまた、中山間地域における水田農業をどうするかという課題で苦労されていることも間違いない、事実だろうと思います。
 そういう状況の中で、この過剰米処理と生産調整をどうしていくかということについて、思い切った考え方を展開していかなくてはいかぬ時期ではないだろうか。
 今までは地域的にも銘柄的にもそんなに差はない。確かに、多少の減反の率は変えたり、あるいは農家の自主性というのは尊重する方向にはなっているけれども、やはり一律的な減反の適用ということはどうしても崩されていないだろう、そういうふうに思います。そうすると、この際、もうここまで来ているのでありますから、現に、平均的にやっていけば減反の拡大はもうできないので、ことしは同じように維持でいこう、いかざるを得ない。正直言って、価格だけで、市場原理だけで水田農業の方向を決めることもまたできない現実があるだろうと私は思っています。
 そうすると、この過剰米処理と需給調整、減反政策を考えると、やはり思い切って平場地域、銘柄地域と中山間地域というところを区別して、減反の適用というものを中山間地域に絞っていく。そして、その中山間地域には、単に奨励金という形ではなくて、デカップリング的な、所得補償的な意味でもって減反協力者には手当てをしていく。こういう思い切った発想でないと、この過剰米処理、それから需給調整という方向に整理ができないではないだろうかというふうに思っているところであります。
 そういう面で、緊急を要するこの過剰米処理と需給調整等々の考え方はどうなのか。私たちが与党政策調整会議の中でも主張している中山間地域の減反協力者に対する思い切った補償措置、デカップリング的発想を適用していったらどうだろうか。
 そういう、中山間地域と平場、銘柄地域を分けて、一律主義はやめていくという考え方について、大臣あるいは事務当局の考え方を聞かせていただきたい、こういうふうに思います。
    〔小平委員長代理退席、委員長着席〕
#46
○高木(賢)説明員 前島先生の御指摘は一つの重要な考え方を示されていると思いますけれども、現実に中山間地域のウエートがどうかということと、水田以外といいますか、米以外のものをつくる可能性ということをあわせて考えますと、釈迦に説法でありますけれども、中山間地域の水田の割合は三八%、一方需給ギャップが三割ばかりあります。したがって、ほとんどもうすべて、中山間地域ということになりますと、米以外のものをつくる余地がないということになるのではないかと思います。
 それでは中山間地域は米に不適かということになりますと、気象条件、気温の較差を通じたおいしい米もできますし、それぞれの産地の特徴を生かした水もできますし、現にそういったことで、有名な魚沼コシヒカリが代表的でございますけれども、中山間地域ならではのものができていると思います。
 したがいまして、何かお金でやって、それで中山間地域は米から撤退していただくのがいいのかどうかということにつきましては相当慎重な考慮が要るのではないかというふうに実は思っておるわけでございます。
#47
○前島委員 そういうところにこだわっていきますと、枠を超えない限り、結局、減反地域を拡大するかどうかと、価格の追っかけっこみたいな議論を乗り越えられないし、そのことが在庫につながっていって、またもとに戻ってくるということになるだろうと私は思っているところであります。
 やはり、積極的に水田農業を展開させていくという意欲のある人たちにはかなり思い切ったものをやらせていくという意味で、何も中山間地域に水田以外にないなんということはあり得ないわけでありますし、そういう地域的特徴を生かした対応を思い切ってしていきませんと、できないではないか。同時に、単に減反を奨励するという発想ではなくして、いわゆる所得補償方式、デカップリング方式を中山間地域にやっていく、その一つの例として減反政策を適用していくのだという考え方に踏み込んでいきませんと、減反の拡大ができない現状の中で、どうしても限界が来ているのではないだろうか、こういうふうに私は思いますので、ぜひその辺のところを今後も検討をお願いしたいと思います。
 それから、過剰米処理と需給調整の問題で、どうしても外に向かって、国際的なところに踏み込
む必要があるのではないかという議論を私たちはしているところであります。これは与党調整会議の中でも我が党の方から提案し、ひとつみんなで検討してみようではないかというところに来ているだろうと私は思っています。
 そこで、アジア全体でいくのか、世界全体でいくのか、あるいは援助という方法でいくのか、いろいろな方法論はあるだろうと思っていますけれども、現実に可能であって同時に日本の過剰米を処理していくという目的等々もいろいろ配慮すると、東アジア地域において相互に調整し合うという考え方で臨むことが現実的に可能であり、同時に我々日本の事情から見て過剰米処理がまた可能ではないだろうか。そのことが今、問題になるであろうWTOだとかFAO等にも触れないし、現実的に可能ではないかといって、私たちは議論し、与党の中でもそういう提案をし、大筋、大体考え方は違わないな、具体的に議論してみよう、やってみようというところまで来ているだろうと思います。
 先ほど小平先生の方からも援助という発想も含めてという提案もありましたけれども、思い切って外に向かって踏み出すということの必要性を私たちは感じているわけであります。その辺のところの認識をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#48
○藤本国務大臣 先ほどの中山間地域の、いわゆる生産性が低い地域の問題については、まさにこれから挑戦すべき重要な課題だと思っております。EU型の直接所得補償制度をとるかどうかは別として、これは大きな課題だと思っております。
 それから、今お話しの、先生御指摘の構想につきましては、今まで自民党の江藤議員、それから保利政務次官からも同様な構想の発言がございまして、非常に私も注目をいたしておるわけで、お時間をいただいて、御意見、お考えを十分お聞かせいただきたい、率直にそう思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
#49
○前島委員 時間が来ましたので、答弁は要りませんが、最後に要望しておきたいのは、今回最終的に米価が引き下がった場合のさまざまな影響というところをぜひ私は考えなくてはいかぬのではないだろうかな、こう思っています。
 いわゆる新食糧法の考え方として、市場原理導入ということに私たちは必ずしも否定はしません。しかし、農業が、とりわけ米が市場原理だけで処理できないことも間違いないだろうと思います。そういう面で、市場価格だけではなくして政策価格の存在というものがあって今日までやってきたのだろうと私は思っています。
 そういう面で今回の、もし米価が引き下がった後の、例えば乳価だとか、畜産等々の政策価格への影響について十分な配慮を今後もやっていただきたい。これを機会にそういうものが一挙に影響していくということになると、米だけではなくして、日本の農業全体に大きな影響を与えると思いますので、その辺のところの十分な配慮を要望をし、お願いをして終わりたいと思います。
#50
○藤本国務大臣 ごもっともな御指摘でございまして、十分考えながら進めてまいりたいと思います。
#51
○前島委員 終わります。
#52
○石橋委員長 次に、石破茂君。
#53
○石破委員 公約に関する件でございますので、大臣以外の御答弁は要りません。
 大臣、小選挙区で選挙が行われて、自民党単独政権ということになって初めての米価でございます。自由民主党さんがこの選挙においてどういう公約をなさったのか。特に農産物価格、所得政策の部分でございます。現在の農産物価格安定制度を守っていくことは必要だ。行革、規制緩和が進行する中にあっても、必要な農業政策はしっかりと堅持しながら、構造政策を進めつつ生産性向上に努めることが肝要である、これが自民党の政策であります。
 ですから、この内閣というのはこの公約を実現するためにある内閣のはずでありますし、大臣はこの公約を実現されるために大臣に御就任になったということであろうというふうに私は思っております。
 ここ十年間、いろいろな議論をしてきたことでございますが、私は三年半前の状況と今の状況というのは本当にがらっと変わったと思っておるのです。三年半前に、与党であれ野党であれ何を公約して選挙をしたかというと、ミニマムアクセスも含めて米は入れない、食管制度は守る、米価は維持する、大体この三つをみんな言ってきて選挙をしたはずであります。だけれども、この三つはほとんど守られることがなく今回の選挙になった。だとすれば、それにかわるものは何なのかということだったはずですが、これがそれにかわるものだということは、残念ながらどの党からもはっきり出てこなかったと思います。
 同時に、恐らく我々の任期の間に、きょうも御議論があったことですが、新しい農業基本法というものをつくるという話。昭和三十六年の農業基本法は選択的拡大ということがキーワードだった。それにかわるキーワードというものは何であるかということであります。
 そういうようなもろもろのものをにらんで今回の米価決定があったと思うのですが、やはり価格を下げていかなければ規模拡大というのは起こらないのではあるまいか。しかし、価格を下げて一番最初に参ってしまうのは二種兼業農家ではなくて、本来育てるべき大規模農家が困ってしまうからそんなに価格は下げられないねという話の中で、どうも膠着状態が続いたまま、元気の出る米価だとか、再生産可能だとか、何だとかかんだとか言って何となくその場しのぎでやってきた面は私は否めないだろうと思っております。
 私がお尋ねをしたいのは、価格政策と構造政策というものの接点いかんということなのです。どこまで下げたら規模拡大が進むのか。そうなったときに、大規模農家が真っ先に参らないようにするためにはどうしたらいいか、その部分を私は一番間いたいと思っておるのです。ずっと十年間問うてきたけれども、どなたもきちんとしたお答えを出してくださらなかった。大臣、どのようにお考えでいらっしゃいます。
#54
○藤本国務大臣 一般論として考えてみますと、所得をふやす場合に、価格政策に頼るというのが一番手っ取り早いです。ところが、この価格政策というのは明らかに限界があるわけです。ですから、長い目で見れば、構造政策を中心に考えて、その構造政策を遂行していく上で所得をふやしていく、こういうことになっていくかと思うのです。
 今言われました構造政策と価格政策の問題は、構造政策を、つまり規模拡大をすることによって価格が下がってくるという、そういう関係ではないだろうかなというふうに、御意見を聞きながら私は今考えておったわけでございます。
 それから、自民党内閣でございますから、我が党の政策を、公約を政府として実現していくために全力を挙げていくということは、これはもう当然のことでございまして、今後そういうことを念頭に入れて十分にやってまいりたいと考えております。
#55
○石破委員 この問題はどこかで結論を出さなければしょうがないことだろうと思っております。農業基本法の改正というものを視野に入れますと、今回この方向でいくということを明示しない限り二十一世紀の日本の農業は本当にあり得ない。
 新政策というものをつくりましたときに、何で新政策というのをつくったかというと、このままいけば、ほっておいても農業の担い手というものはいなくなる。ほっておいてもいなくなる。だから、担い手というものを確保するために新政策というものをつくり、新食糧法案というのもそういうものと一連のものであったというふうに私は理解をしておるわけです。
 ですから、二種兼業農家というのは、月曜日から金曜か土曜まで工場とか会社で働いて、土曜、日曜にお百姓さんをやるのだというふうにみんな
理解をしておったわけですが、実際、今はそうはなっていないわけです。土曜、日曜にお百姓さんをやっているのは、月曜から金曜、土曜まで働いている人たちではなくて、土曜、日曜に農作業をやっている人たちは、やはり高齢者なのです。本当にこのままいくと次の時代には担い牛そのものがいなくなる。構造政策と価格政策の接点をどうするかということを、本当に今結論を出していかなければいけない。そうでなければ政治の名に値しない。
 自民党さんの政策というのは、読んでみますと確かにそうなのだけれども、総花的で、どういう方向を目指すのかということは書いていないのです。明らかに書いていないです。わざと書かなかったのだろうと思います。ですけれども、そのことをずっと続けていくことによって、結局、新政策というものも実現できない。私はそれを大変危惧する人間でございますので、どうか大臣におかれましては、こういう農政問題、与党、野党というようなことを言っておっても仕方がない。本当に次の時代の担い手をつくる、価格政策と構造政策の接点をきちんと見出す、そのことを心からお願いいたしまして、質問を終わります。
 以上です。
#56
○石橋委員長 以上で農林水産大臣への質疑は終わります。
 質疑を続けます。
 次に、堀込征雄君。
#57
○堀込委員 きょう米審に諮問がなされた米価並びに米の生産調整、需給などについて質問させていただきます。
 私はまず、きょうも実はここへ生産及び出荷の指針の農林省の資料をいただいておるわけであります。あるいはまた、農林省は基本計画を立てて、いろいろな米の生産、消費の計画を立てられるわけであります。しかし、去年立てた計画がことし大きな狂い、需給について狂いが生じたわけです。一年目にしてそういう事態があるわけであります。
 転作面積についても、農家からすれば三年間はこれでいきますよというふうに決めたはずだ。今度、けさ据え置きになったからいいわけでありますけれども。ところが、一年目にして計画の狂いが生じたからもう一度考え直してくれよというようなことが、あるいは民間備蓄をふやすとか、いろいろな計画の狂いがすぐ出てくるわけです。
 一体一こういうことは計画樹立の段階で予測できないことなのか、できなかったことなのかどうかということなのです。そういうことを予測しつつ計画に含んでいるのかどうかというところを質問してみたいのです。
 つまり、作況一〇四、これはやはり常識的に考えれば、基本計画などを立てるときにあり得べき想定の範囲内の話なのです。あるいは消費の減退、多少減ってきている、これも需給計画を立てるとき、あるいは基本計画を立てるときにある程度の範囲内で当然予測されなければならない。しかし、法律が一年もして、十一月になって、そのときになってみたら、ちょっと私どもの見通しと変わっていたから、また変えますよということになる。そうなりますと、やはり農家側から見ますと、三年間はこういうことで一生懸命つくって、こういうふうにやればいきますよというふうに思っていたのがどうも勝手が違うということになるわけで、やはり農政の不信というものを招いてくるのじゃないか。
 私はこの計画を見て、何か計画は立てればいいのだ、とり過ぎたらそのときはそのとき、不作になったらそのときはそのとき、その場で対応すればいいのだ、売れ残ったらそのときに何か考えましょうというような計画に見えて仕方がないのです。これは膨大な行政コストをかけてやっている仕事ですから、やはりもう少し、少なくも三年なら三年という範囲で一応計画を示しているわけですから、きちんとした食糧行政をこういう計画の中で確立をすべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#58
○阿部説明員 基本計画なり指針におきます需給見通しが、確かにことしの場合、幾つかの要因によりましてそのとおりになっていなかったというような事情にあるわけでございます。
 それで、若干事情を申し上げさせていただきますと、まず国内産の主食用のお米でございますけれども、ことしの十月末の持ち越し在庫、この三月につくりました基本計画では二百二十万トンと見ておったわけでありますけれども、全部天気の影響にするわけではもちろんございませんけれども、夏場が非常に暑くて、お米からめん類へ需要がシフトしたというようなこと、それから、市場が非常に緩んでおりますもので卸売業者の在庫が少なくなったというような要因もございまして、先ほどの基本計画の見込みを四、五十万トン上回るというような状況になってしまいました。また、ミニマムアクセス米も四十一万トンというような数量を入れたわけでございますけれども、外国のお米であるということでなかなか使いづらいというようなこと。それから、私ども力を入れてやっておるわけでございますけれども、新規用途の開発もなかなか進まないというようなことで、三十万トン程度の在庫が残っておるというような状況でございます。
 私ども、この需給見通しをつくるときにおきましては、いろいろな要因をできる限り現状分析いたしましてつくるように心がけ、また計画をつくった後も、その計画がきちんと実施されるように努力するわけでございますけれども、ことしの場合は先ほど申しましたような理由になって、計画と実績が大分違ってきたというような事情にあるわけでありまして、今後、こういった反省も踏まえまして、的確な計画をつくるように努力したいというふうに思っております。
#59
○堀込委員 けさ未明に決着をしたというふうに伝えられている内容ですと、生産調整面積は据え置く、昨年並みとするということでございます。現場から見ますと、これ以上の生産調整はとても無理なので妥当な決着かなというふうには思っております。
 そこで、農家側からの感情としますと、米づくりをして果たしてこれ来年はどうなるのかな、来年以降どうなるのかなという不安があるわけですね。今の答弁、ちょっと事情が狂ったというお話はそれでわからないわけじゃないんです。さっきいただきましたこの生産及び出荷の指針、これも例えば、十米穀年度、米の生産量九百七十八万トン、需要量は主食と加工で加えますと一千四十五万トンから一千六十万トン、これは、生産量は比較的抑えて需要量は多くなるだろうという見方なんじゃないかという印象を受けるわけです。ことし並みに作況がなって需要量が、消費が特に下がっていった場合、この数字どうなります。
 私はやはりそういう意味ではこの計画は、しかも今私が申し上げたことは来年も十分にあり得ることじゃないかというふうに思うんです。非常に何か無理してつくっているという印象を持つわけですが、いかがです。
#60
○阿部説明員 指針の生産なり需給の見通してございますけれども、生産の方で申しますと、天気が平年並みと申しましょうか、作況指数の世界で申しますと一応作況は一〇〇という前提で計算しておる次第でございます。それから、消費量の方につきましても、今までのトレンドと申しましょうか、そういった傾向を踏まえまして推計しておるわけでございます。
 来年の需要量はちょっと多いんじゃないかというような御指摘でございますけれども、ことしの需要量、先ほど申しましたように非常に夏場が暑かったとか、卸売業者の在庫量が随分市場に出回ったというような特殊的な要因もあるわけでございまして、来年はそういった要因が解消されるとすれば、これまでの長期的なトレンドのラインに沿っていくのではないかというふうに見て計画をつくっておるわけでございます。
#61
○堀込委員 つまり、余り米はとれないで作況一〇〇でおさまってほしいという計画になっているわけですよ、言葉をかえて言えば、悪いんだけれ
ども。とれ過ぎでは困る、消費が減っては困る、暑い夏じゃ困るんだ、やはりそれなりに平年並みの気温で、米の消費も適切にあるような気候であってほしい、今の答弁を聞きます。つまり、そういう計画になっておるわけです。これは狂うとやはり大変なことになるという計画なんです。よ。だから、そういう意味でもう少し農家が安心してつくれるような仕組み、仕掛けというようなことをもう一度抜本的に考えてみる必要があるんじゃないかという気がいたします。
 そこで次の質問に移りますが、生産調整の実効性をどう確保するかという非常に重要な問題があるわけであります、据え置いたからそれでいいわけであります。十二県で実は現在でも未達の都道府県がある。いろいろな県がありますけれども、総じて大都市近郊の県が転作面積未達の県になっておる。
 これは私は、今の転作がやはり集落単位で相当消化をされておる。つまり、農村の共同社会、そういう仕組みの中で集落ごとに消化をされているということのあらわれではないか。やはり大都市近郊県というのは、水田所有者と耕作者が比較的分離している率が高いのではないかというふうに想定をするわけであります。つまり、集落の共同体的機能といいますか、そういうものがなかなか働かなくなっている現状があるのではないか。受委託なんかも多い。そうすると、受託者は、片っ方に計画外流通というものがありますから、あえて転作しなくてもいいのではないか、こういう風潮が出ておるのではないかというふうに見るわけであります。
 そういう意味で、私は、大消費地を抱えた近郊の県、市町村、こういうものはやはりそういう傾向に行くのではないか。これは、転作が全国の共同歩調でなされている中ではゆゆしき問題となってくるのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。
#62
○高木(賢)説明員 御指摘になりましたように、いわゆる未達の十二県は、秋田県を例外とすれば大都市近郊の都道府県ということになろうと思います。
 その原因は、先生御指摘の一つといたしまして、やはり消費地が近い、したがって販路を独自に開拓している場合が多くて、つくれば売れる、こういうふうに考えている農家が生産調整に参加しない、こういったウエートが他県に比べて多いというふうに見ております。
 また、そもそも転作目標の水田に対する割合が高い。これは今までの良質米地帯では必ずしもないというような経過から、かなり目標面積の割合が高いというのも事実でございます。
 そういった中で、兼業農家や規模の小さいいわゆる飯米農家、こういった方々への生産調整の趣旨の徹底ということが、昨年の場合まだいまいちであったかというふうに思っております。
 こういった大きく三つの原因ではないかというふうに見ておりますけれども、特に一番の点について申し上げれば、商系の業者の指導の強化ということも必要でございますし、先般来大臣からお答えを申し上げましたが、今般の緊急の需給改善措置を推進するというようなことで何とかさらに御理解が得られないかというふうにも思っておりますし、また個別具体的に市町村レベルでの原因を分析いたしまして、それに対する的確な対応方針を立ててこれに当たる、このようなことを今考えているわけでございます。
#63
○堀込委員 生産調整の実効性を確保するためにいろいろな方策がとられておる。奨励金もある。それから、補助事業の、何といいますか、優先配慮措置というようなこともなされています。これはさっき藤田議員から御質問があって、答弁がありましたので、ちょっと飛ばさせていただきます。
 そのようないろいろな、必死になって政策をとられ、現場も必死になって努力する中で米の需給が保たれてきているわけであります。そういう中で、いろいろなペナルティーなんかをどうするかという問題も、この転作の中では随分と議論されてきたわけであります。
 そこで、ペナルティーの話になって、保利政務次官、このような農業情勢のときに、我が国農政の第一人者の方が次官になって腕を振るっていただくという局面になりましたことを私は本当にうれしく思うわけでありますが、また期待も申し上げるわけでありますが、きょうはちょっと残念な質問を一つだけ、今のペナルティーに関連してさせていただきたいわけであります。
 けさの新聞は一斉に、予算配分につきまして自民党内で、選挙勝利地域に手厚く、しかも加藤幹事長の記者会見で、新進党が大勝した県に対しては九七年度予算の配分で差をつける方針を役員連絡会で確認したことを明らかにしたというような報道も実はあるわけでございまして、よもやとは思うわけでありますが、いかにこの国の民主主義が未成熟が、あるいは政党政治が未成熟かということを感ずるわけであります。
 よもや農林予算配分に当たってそういうことはないだろうというふうに思いますが、せっかく政権与党の自民党内のそういう議論があるということでありますから、この予算配分に対する次官のこの報道と絡めた考え方を二言お聞かせをいただきたいと思います。
#64
○保利説明員 委員御指摘の報道については、私はその発言の御当人ともお会いをいたしておりませんし、実際どのような発言があったのか、その事実関係について承知をいたしておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと存じますが、私は、やはり国土の均衡ある発展というのが非常に大きなプライオリティーを持って政策の上に来る、それは否めないことであろうと考えております。
#65
○堀込委員 これはまた別な機会にいろいろな質問があると思いますから、先へ移らせていただきます。予算編成期でございまして、各知事、市町村長さんも農水省へ、次官を初めいろいろ陳情に行くと思いますから、そういう意味でぜひ配慮をいただきたいというふうに思います。ゆゆしき問題だというふうに私どもは考えておりまして、ぜひこのようなことのないように、お互いに政党政治でありますから、切磋琢磨して前進したいものだ、こういうふうに思うわけであります。
 さて、時間がありませんので、ミニマムアクセス米について、ちょっと質問させていただきますが、これはことしから二〇〇〇年に向かって、四%から八%にずっとふえていくわけでありまして、この処理を、実はことしも四十一万トン、来年からだんだんまたふえていくということで、なかなか大変だと思うのです。なかなか実需者の方の人気も低いというようなこともありまして、この処理方策、ひとつどうするか。
 それから、せっかく保利政務次官いらっしゃって、ガットのウルグアイ・ラウンドのときから大変な御苦労、WTOのときも御苦労いただきましたし、私どももあのときの議論、お聞きをしておるわけでありますが、二〇〇一年以降、いかなる立場で私どもは対応していくのか。ミニマムアクセス八%以上というようなことを継続するのか。あるいは関税化を受け入れた場合は、関税率の引き下げはどういうふうに要請されるのか。関税化を受け入れない場合の追加的措置はどのようなものが想定されるかというようなことを議論しながら、やはりあるべき姿を今から議論していくことが必要なのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、次官からその辺の見解をお伺いをしたいと思います。
#66
○保利説明員 二〇〇一年以降の取り扱いにつきましては、これから私どもとして鋭意検討いたしていくところでございますけれども、現在私ども、関税化というものは念頭にありません。そのことは明確に申し上げておきたいと思います。
 その上で、それではその後どうするかということについては、この問題は、日本国全体として受け入れたミニマムアクセスであるということを考えつつ、これで果たして日本のいわゆる食糧政策上、これはあえて農業政策とは申しませんが、食糧政策上これで本当にいいのかという論議を国民
的に起こしていかなければならない。そのことについてはぜひ御協力もいただきたいと思いますが、そういう中でこれからの方向性を見出していかなければならないと思っております。
 特に、私どもといたしましては、藤本農林大臣がローマでも申し上げましたとおり、国内産を、いわゆる自給を中心とした政策をとっていくのだということは明言をいたしておるところでございますから、その線に沿って、今後世界の各国を説得しつつ日本のとるべき方針というのを決めてまいりたい。鋭意、私自身も含めまして政府全体として取り組んでいく。また国会におかれましても、いろいろこの点については御論議をいただき、御指導も賜りたいものだと思っております。
#67
○堀込委員 終わります。
#68
○石橋委員長 次に、矢上雅義君。
#69
○矢上委員 新進党の矢上雅義でございます。
 本日、米価の集中審議ということでございますが、大変申しわけなく思っております。実は、堀込代議士の時間を少しいただきまして、今緊急の問題として挙がっております真珠貝の大量死、その事件について、大量死の被害についてきょう質問いたしたいと思います。特に、今回の質問は細かく技術的なことにも入ってしまいますので、答弁していただく方は水産庁長官が中心になりますが、何しろ環境問題にも波及する大きな問題でございますので、最後にもし時間がありますれば、保利政務次官に御意見等をお聞きできればと思っております。それでは、まず質問の一に入ります。
 今現在、真珠母貝であるアコヤガイが、愛媛県、三重県、大分県、長崎県、熊本県などにおきまして大量に死亡するという被害が特に今春から目立っております。愛媛県におきましては約百億円、三重県におきましては八十億円近い被害が出ておると言われております。また、その原因等についても、なかなか地元の養殖業者等では原因究明ができない。しかし被害額が大きい。そういう大変な事態がことしの春から進んできておりますが、なかなか対策が打てないままでおります。
 そこで、真珠養殖業を初め養殖業全般を所管している水産庁として、これらの被害についてどの程度把握しておられるのか、現状の説明をお願いしたいと思います。
#70
○嶌田説明員 ことしの夏以降、アコヤガイのへい死が例年以上に大量に見られているところでございます。この状況につきまして、真珠養殖業者の全国団体でございます全国真珠養殖漁業協同組合連合会、全真連と言っておりますが、それと、それからもう一つはアコヤガイの主産県でございます愛媛県の漁業協同組合連合会が、十一月初めに全国のへい死状況を取りまとめております。
 その取りまとめによりますと、核入れ前の育成中のアコヤガイにつきましては、例年のへい死率が一〇%のところが本年は四八%、核入れ後のアコヤガイにつきましては、例年のへい死率が三〇から四〇%のところが本年は四八%となっております。
 なお、被害額でございますが、全国の被害額につきましては現在調査中でございます。ただ、真珠母貝の主産地でございます愛媛県の被害額は、今先生言われましたように、愛媛県の漁業協同組合連合会の調査によりますと、約百億円というふうに推定されております。
#71
○矢上委員 私どももお聞きした範囲によると、五割、七割の死亡率に達している。特に作業員におきましては、ひどいところでは八割ぐらい死亡率が高まっているところもございます。
 この原因につきまして、近年、これからの水産業というものは、つくり育てる漁業、養殖業がこれからの水産業の主役となると言われておりますが、その反面、漁業関係者また省庁の皆様方からも、もう既に日本近海の海が瀕死の状況にある、果たしてその養殖業がこれからの水産業を担えるのかという疑問もお聞きしております。
 そこで、今回の大量死というものがどのような原因で発生したのか、ぜひ水産庁の御意見をお聞きいたしたいと思います。
#72
○嶌田説明員 真珠関係者の話によりますと、核入れ後のアコヤガイのへい死率、これは一九七〇年代から高まっておりまして、核入れ後一年間のへい死率は、先ほど申しましたように、近年です。と三〇から四〇%ということで推移してきているわけでございます。
 へい死率につきましては経営体間の格差が大きいわけでございますが、その要因としましては、従来から、一つは過密養殖による自家汚染や生活排水などによります他からの汚染の程度、それから二番目といたしましては、アコヤガイの日常の飼育管理技術の水準、それから三番目といたしましては、使用するアコヤガイの品質などが複合的に影響しているというふうに言われてきたところでございます。
 しかしながら、先生今言われましたように、本年のへい死は、核入れ前のアコヤガイが非常に高い率でへい死しているという非常に特異な現象になっております。
 このようなことから、水産庁といたしましても、十一月二十日から二十二日にかけまして、水産庁の研究所、水研でございますが、そこの担当官をアコヤガイの主産地であります愛媛県に派遣いたしまして、県の水産試験場とともに現地調査を実施したところでございます。
 現在のところ、この調査結果の分析を行っているところでございますけれども、被害県の水産試験場等の関係者の話を総合いたしますと、現在のところ、今回のアコヤガイの大量へい死の要因といたしまして言われておりますことは、一つは夏場の高水温、それから二番目は少雨及び黒潮の変動によるえさの不足、それから三番目といたしましては過密養殖による環境の悪化、四番目といたしましては飼育管理の問題などが要因として考えられるというふうに言われております。
#73
○矢上委員 真珠貝の養殖というものは、相当歴史は長いと思います。専門的な職業で、きのうきょう始められる仕事ではございませんので、飼育管理に問題があるのではないか、この辺、どう重点として置くか。黒潮の問題、これは避けられない自然現象でもございますし、またもう一つの飼育管理の問題を余り重点的にしますと、ただ調査はしましたが、結局皆さん方が悪いのじゃないですか、そういう印象を与えてしまいますが、どうお考えでしょうか。
#74
○嶌田説明員 今回のへい死率の要因につきましては、今申し上げましたように、いろいろな要因が複合しているというふうに考えておりまして、必ずしも一つではないというふうに思っております。そういうようなこともございますので、現在、水産庁におきましても、いろいろな面から検討しているという状況でございます。
#75
○矢上委員 ところで、長官より御説明がありました被害が、西日本全域に及ぶ広域的な問題でありますし、また先ほど答弁にございました原因も、多面的また複合的な要素を帯びておる、そういうことから、現地の利害関係者、養殖業者等におきましても、個人個人ではなかなか、どういうプロセスで科学的に解明していっていいのか、またある程度原因が推測できたところで、なかなか個人対個人では相手に物を申し上げにくい、いろいろな問題がございます。
 また、各地方自治体におきましても、水産業に重きを置くところ、重きを置かないところ、それぞれ立場もございますでしょうし、その個別の県、市町村また個別の関係当事者だけに任せておいてはなかなか話が進まない。今現在地元でも非常に紳士的に、各関係業者が集まって自分たちで何とか努力しようとやっておられますが、先ほど申しましたような壁が非常に存在しております。
 今の段階では、ただ研究所の職員の方が水産庁から派遣されて、現場の研究員の方々と個別にそれぞれ対応されておられるような状況ですが、水産庁全体の取り組みとしては今後どのような対応が考えられるのでしょうか、プランの段階で結構でございますので、ぜひお聞かせ願えればと思います。
#76
○嶌田説明員 先ほど申しましたように、今般のアコヤガイの死因につきまして、関係県の水産試験場を中心にいたしましていろいろやっているわけでございますが、水産庁の研究所といたしましても、養殖研究所、これは三重県にございますが、それとあと南西海区水産研究所、広島にございますが、それとの連絡をとりながら、現在究明に努めてきているというところでございます。
 なお、水産庁の予算といたしまして、これは真珠だけではないわけですが、当然真珠も含みます。漁場環境の保全などを目的とした基礎調査を行う事業がございまして、その事業の中で、今回の大量へい死の原因とへい死率の削減問題を含めまして、全国的な検討会を開催することにいたしまして、近々その第一回目をやる予定にしております。
 なお、従来から水産庁といたしましては、近年アコヤガイのへい死率、これは先ほど言いましたように七〇年代以降高まってきておりますので、そういうことも踏まえまして、アコヤガイのへい死にかかわります技術的課題、例えば漁場環境に強いアコヤガイの育成でありますとか、そのようないろいろな技術的課題につきまして、関係団体とともにその対応策を現在検討しているところでございます。
#77
○矢上委員 至急検討会等を含め体制を整えていただくことを要望いたします。
 続きまして、質問の二と申しますか、ちょっと別の角度からの質問をさせていただきます。
 実は、今回の被害が起きてからですけれども、地元の各地域の真珠養殖業者の方々から、また地域の方々から上がってきておる御意見がございます。
 実は、今トラフグ等の養殖が盛んになってきておりますが、真珠貝がへい死する、大量に死亡する地域においては、トラフグ養殖場も隣接しておることが多い。そして、そのトラフグ養殖場において、寄生虫ですか、えらに付着する寄生虫の駆除のためにホルマリンが使われておる。このホルマリンが使われておったということがアコヤガイが大量死する原因の一つとして考えられるのではないかということが取りざたされております。これは新聞またテレビでも三十分、一時間番組で各局特集しておりますし、また私の地元の天草地域では、ホルマリンの使用を差しとめるようにというように現在訴訟が行われております。
 このように、問題が真珠養殖業者からも取りざたされておりますし、提起されておりますし、またトラフグの養殖業者の組合におきましても、ホルマリンの使用を自主的に禁止するという決議が行われております。
 私自身、最初テレビ、新聞で見たときは、トラフグ業者さんと真珠業者さんの業界の問題ではないか、そういうふうに受けとめておったわけでございますが、テレビを見たある有権者の方から、私たちが家を建てるときに、ふろの水を河川に流すな、台所の水を河川に流すなということで、合併浄化槽の義務づけ、また公共下水道への接続を義務づけられておるが、あのホルマリンが海に流せるのですかと、単純明快な質問をぶつけられてしまいました。これは大きな問題だな。水産行政にかかわる問題だけでなく、より大きな問題を含んでおる。薬事法の水産用医薬品にも指定しておらないホルマリンが結果として使われておる。また、医薬品として指定しておりませんので、対象としては毒物及び劇物取締法の対象になるかと思います。
 そこで、非常に大きな問題だと思いますので、問題の本質でもございますホルマリンとはいかなる物質であるか、毒物及び劇物取締法に指定しておる薬品でもあることから、その毒性及び取り扱い上の留意点について、厚生省の担当の方にお聞きしたいと思います。
#78
○植木説明員 お答えいたしたいと思います。
 ホルマリンの毒性とその取り扱いについての御質問でございますが、ホルマリンとは、ホルムアルデヒドという化学物質を二〇ないし四〇%程度含有する水溶液でございます。四〇%のホルムアルデヒド含有のホルマリンを三十ないし九十cc程度飲みますと大人を死に至らしめる、そういう報告もでざいます。したがいまして、このホルマリンの毒性にかんがみまして、毒物及び劇物取締法では、一%を超えるホルムアルデヒドを含有する製剤を劇物として指定しているところでございます。
 毒物、劇物の使用あるいは取り扱いに当たりましては、保健衛生上の危害をもたらすことのないように、毒物劇物取締法に基づく規制の遵守等十分な配慮が必要である、そのように考えております。
#79
○矢上委員 私がいろいろ地元で調査しました情報によりますと、このホルマリンの毒性、非常に高いものですから、取り扱い上注意するために、販売するときにも免許が要りますし、また、買う人も住所、氏名、捺印と要ります。ただこれはまだあくまでも情報の範囲ですが、どこから売られてきたのか売り元がはっきりしない容器が見つかる、また、その容器には水産用には使わないでくださいときちんと指定してあるとか、非常に矛盾した情報も上がってきておりますし、また、マリンサワーといいますか、別の薬品ですけれども、ちゃんと水産用医薬品として指定しておる薬の容器の中にホルマリンが入って、それを使われておったらしいという情報もございます。
 このホルマリンの使用というものが、非常にアンダーグラウンド的に使われておって、仮にその寄生虫に有効であるとしても、どのような使用基準で使うのか、また、その管理、そして使用した後の環境汚染を生じさせないような処理の基準等がないままでアンダーグラウンド的に使われておるというような状況もございます。そういう非常に重要な問題であるということの御認識をしていただいた上で、次の質問に移らせていただきます。
 次に、劇物として取り扱われているホルマリンが食品産業でもある魚類の養殖に使われていたという事実について、水産庁としてはどのようにお考えですか、また、これまでこの問題に対してどのような対策を歴史的にとられてきたのか、水産庁長官にお聞きいたします。
#80
○嶌田説明員 ホルマリンを養殖業において薬剤として使用することにつきましては、魚介類が食品となった場合の残留性や、排水によります環境への影響などが十分解明されていないということもございまして、昭和五十六年に水産庁の長官通達を出しております。
 その内容でございますけれども、一つといたしましては、代替薬となる水産用医薬品がない場合であって、食用に供せられるおそれのない魚卵や稚魚の消毒などにやむを得ず用いるとき以外には使用しないこと、それから二番目といたしましては、また、やむを得ず水産用医薬品以外のものを使用する場合におきましては、薬剤として使用したものを吸着し、または中和するための措置を講ずるなど、環境の汚染が生じないよう十分配慮することということで指導しているところでございます。
 このように水産庁といたしましては従来から指導を行ってきたところでございますけれども、海面養殖業者の団体でございます全国かん水養魚協会というのがございまして、それが今般の問題を非常に重要視いたしまして、ホルマリンの使用を禁止する旨の決議をことしの七月に行っております。
 このようなこともございまして、水産庁といたしましても八月に、ことしの八月でございますが、先ほど言いました昭和五十六年の長官通達の趣旨のさらなる徹底を図るよう再度通達を出したところでございます。
#81
○矢上委員 水産庁の通達としましては、昭和五十六年が第一回目、平成三年が第二回目、そして平成八年の八月と約三回の通達がなされておりますが、研究所の段階では早くからホルマリンの危険性に着目して、自粛するように、そういう申し入れがなされております。
 この通達の中で一つ気になりますのは、「水産
用医薬品以外の物を、魚介類に対し、薬剤として使用することは極力避けること」となっております。これはどういう意味か。
 また、質問いたしますが、一般の、普通の素人の考え方では、水産用医薬品に指定してある薬品なら使ってもいいが、指定を受けていなければ使えないのではないだろうかと思うのが一般的な考え方だと思っております。それが普通人の文章を読むときの考え方でございますが、この辺の論理的な展開というものはどうなっておるのか。
 また、「極力避けること」としてやりながらも、例外的に認めた以上、先ほど申しましたように、使用上の基準、また薬の使い過ぎを防ぐための休薬の期間を定める基準、使用後の処理基準等が結果的に不明確になる、そういう矛盾が生じてきたということは念頭に入れておいていただきたいと思います。これは質問というよりも指摘でございます。
 時間が五十七分まででございますので、とりあえず先の方に進ませていただきます。
 以前から農林水産省におきましても危険性がわかり、できるだけ影響を避けるために通達を何度も出して努力しておられましたが、結果として現場で守られていない。なぜ守られていないのかということで、マスコミの報道、また地元の意見におきましては、通達は通達であって罰則がない、法的な規制力がないためにこういう結果を招いてしまって残念でしょうがない、そういう声が出ております。
 また、薬用として使った後のホルマリンはごみでございますから、海に関係する部門として運輸省、そしてごみに関係する部門として厚生省、そして海洋環境全般に対して環境庁の方にその法的な規制についてちょっとお聞きしたいと思います。
 まず運輸省に、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に関連してでございますが、これはこの法律で法的に対応できるのかどうか、構成要件等について明快に御返答いただきたいと思います。
#82
○武藤説明員 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律は、船舶などから排出されます油、それから貨物として輸送されます有害液体物質、そのほかに、ごみなどの人が不要とする廃棄物、この三つについて排出を規制をして海洋汚染防止あるいは環境の保全ということに貸すという法律でございます。
 今回御議論のございます、養殖のためになされるホルマリンの使用ということにつきましては、貨物にもならないし、また廃棄物にも該当しないということでございまして、私どもはこの法律の規制の対象にはならないというふうに考えております。
#83
○矢上委員 続きまして厚生省の方に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に関連して、構成要件上対応できるかどうか御意見をお聞きいたします。
#84
○仁井説明員 お答えいたします。
 廃棄物処理法では、その対象とする廃棄物として、「汚物又は不要物であって、固形状又は液状のものをいう。」とされておるところでございます。
 お尋ねのホルマリンにつきましては、フグに寄生虫がつく、これを予防するために海水中に添加するといういわば有用なものとして環境中に置かれるものと考えております。そういったことから、廃棄物として観念できるものではないというふうに思っております。
#85
○矢上委員 厚生省の方にちょっと付随してお聞きしたいのですけれども、薬を消毒のために投入する時点では有用な品物でございますが、フグの消毒が終わった後はごみでございます。しかも、例えば廃棄物の処理法に関する条項の中で「特別管理産業廃棄物」という項目がございます。例えば爆発性がある、毒性がある、感染性がある、そのようなごみに当たるのではないか。例えば、よく病院の注射針、使われたガーゼ、おむつ等が産業廃棄物でなく一般廃棄物として投棄されておる。そのような観点からの対応はどうでしょうか。
#86
○仁井説明員 お答えいたします。
 お尋ねのホルマリンの使用につきましては、いわば環境の一部としての海域にその時点で効果を期待して置かれるものというふうに考えておりますので、その後という形での廃棄物としてのとらえ方というのは困難ではないかというふうに考えております。
#87
○矢上委員 続きまして、環境庁にお聞きいたします。
 水質汚濁防止法に関連しての構成要件の該当性、対応をお聞きいたします。
#88
○畑野説明員 お答えを申し上げたいと思います。
 水質汚濁防止法は、工場、事業場というものから海域を含めました公共用水域というものに排出される水が公共用水域を汚染することを防止すること等を目的とした法律でございます。
 具体的には、規制の対象となります工場、事業、場から、排出水がいわば排出口において排水基準に適合することを求めております。このため、本件のような養殖施設からの汚染物質の環境、水中への流出につきましては、現行の水質汚濁防止法の規制手法にはなじまないもの、かように考えております。
#89
○矢上委員 いろいろな角度から御質問してみまして、直ちに法的な規制が困難であるということが確認できると思います。これは現地でもまた報道の方が努力されましたが、やはり同じようなお答えでございます。
 ただ、この問題の特質としまして、緊急の対策が必要であるということは疑うべくもありません。そしてまた、水産庁の通達そして養殖業者の組合の全面使用禁止の自主決定を受けまして、それをいかに実効性を持つように担保していくか、それが今一番必要なことではないかと思っております。特に、ホルマリンの使用自粛を厳格に守らせるような有効な行政指導を改めて行うとともに、またその遵守に関してへ現地に業者、利害関係者、地方自治体、国等を含めた強力な監視委員会等を設けて監視体制の強化を図ることが必要ではないかと思います。
 また、この問題の原因であります、フグの養殖になぜホルマリンが使われたか。それは、一つは効き目があること、また値段が安いということでございます。ぜひ効き目がい一い安全な薬を至急国の努力で、国の研究機関の努力で予算をつけていただいて早急に開発を始めるとともに、その移行期間としましては、国、県、市町村を含めまして、どうしても今ある薬剤が高いということでございますので、一時的に、暫定的に薬代の助成等を含めてバックアップがお願いできればと思っております。
 また他方、真珠貝の業者さんとしましても、真珠貝の大量死により何百億という被害を受けておりますので、低利もしくは無利子の金融支援策。また、経営不振に陥ったことから大量の解雇者が出ております。やむを得ず解雇された皆様方の雇用問題に対する支援も必要となるのではないでしょうか。
 これから海洋の環境保全を図りつつ、そして水産業の一翼を担う養殖業全般の振興を図るためにも、今、改めて勇気ある決断が必要ではないかと思っております。
 総括でございますが、これらの点に関して、水産庁長官の御答弁と、最後に保利政務次官の御意見とをお聞かせ願えればと思っております。
#90
○嶌田説明員 いろいろ先生の方から御指摘があったわけでございますが、そのうちの代替薬の開発の話でございますが、トラフグのえらにつきますヘテロボツリウムという寄生虫がございまして、その駆除を行うためのホルマリンにかわる医薬品の開発を早急に行うことが極めて重要であるというふうに考えておりまして、現在、動物用医薬品を対象といたしまして、ホルマリンにかわる水産用医薬品につきまして、いろいろ学識経験者などの御意見も聞きながら調査を進めているとこ
ろでございます。
 あと、融資等でございますけれども、養殖業に対する融資制度といたしましては、公庫資金、近代化資金、経営維持安定資金などいろいろございまして、当面それらの活用を図ることが考えられるわけでございまして、これにつきましては、また県の方とも十分御相談していきたいというふうに考えております。
 総論的に言いますと、何といいましても、今後この真珠養殖業が健全に発展していくためには、やはり今回の原因を究明することが来年以降にもつながるわけでございますので、まず、今回の大量へい死の原因究明につきまして、今一生懸命やっているところでございます。そういう意味ではもう少し時間をおかしいただきたいというふうに考えております。
#91
○保利説明員 ただいま御質疑を通じまして、アコヤガイの問題を中心に、また海洋汚染、ホルマリンの問題等いろいろお聞かせをいただきました。確かに大変な問題でございますし、私の地元にもこの問題がございまして、私自身強い関心を持っております。
 今、各省庁からいろいろ説明、答弁等がございましたけれども、なお各省庁間の連絡を密にしていただきまして、総合的に対策をとるのと同時に、また海洋汚染全体についても、これはもう少し高い見地からでございますが、海洋の環境維持という観点からいろいろな施策を考えていかなければならない、そのように私は感じておるわけでございます。
 いろいろな対策等につきましては、なおよく当局を督励いたしまして、適正な対策がとれるように努力をしてまいります。
#92
○矢上委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
#93
○石橋委員長 次に、小平忠正君。
#94
○小平委員 民主党の小平忠正であります。
 午前中は藤本農水大臣に質問をいたしましたが、午後は保利農林水産政務次官に御出席いただいております。
 まず、最初の委員会で、御就任おめでとうございます。私も前任者として、まことに微力でありましたが、農林水産行政の振興に頑張らせていただきましたが、今度はまさしく大物の政務次官で、我が国の農林水産行政、本当に大いに発展していただける、このように心から期待をしておりますし、そう信じさせてもらいたいと思っております。
 そういう中で、就任早々大きな作業にぶつかりました。言うならば、来年度に向けてのお米の生産調整、これをどうするか。もう一つは、来年、平成九年の政府買い入れ米価、これについてもけさ未明までかかっての作業をされておりましたが、今諮問に行かれております。
 そういうわけで、先ほど食糧庁の阿部次長よりその説明をいただきました。来年度に向けては百七十五円、約一・一%ダウンをする、そういうことで報告がありました。と同時に、今質疑の中で、生産調整は現状を維持する、そういうことが私どもにも漏れ伝わっておりますが、当委員会ではそのことについての説明はいただいておりませんので、この質疑の中で質問をしながらそこに至った経緯を私からもお聞きをしたいと思うのであります。本来ならば、このことは質問時間の中ではなくて、事前に政府からこれについての説明をいただければこの質問時間を有効に使える、こう期待しておったのですが、それもままならず、この形で質問をこれからさせていただきます。
 まず冒頭に、保利政務次官、就任に当たっての決意、抱負、簡潔で結構ですから、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
#95
○保利説明員 先日、就任に際しましても委員会でごあいさつをさせていただきましたけれども、藤本農林水産大臣を補佐いたしまして、我が国の農業、水産、林業行政がスムーズに行われますように、国民の期待に沿ってまいりますように誠心誠意努力をしてまいりたい、これが就任に当たりましての決意であります。
#96
○小平委員 先日、文書を読み上げての御就任ごあいさつをされましたので、きょうは肉声でお聞きをしたかったのであえてお伺いした次第であります。
 次に、農蚕園芸局長にお伺いしたいのでありますが、今回の生産調整、これを現状を維持し、来年度に向けてもそれでいくという、これについて、ここに至った経緯、その決定、そのところをまず御説明をいただきたいと思います。
#97
○高木(賢)説明員 ことしの米の作況が一〇四ということが明らかになりまして、大体それによりまして五十万トン程度生産量がふえるということが明らかになりました。
 そうなりますと、いろいろ在庫が多くなって不都合なことが起こりかねないということで、需給事情からいたしまして、生産調整の面積の増大の検討が必要ではないか。一方では、しかしながら現場におきます限界感、さらには営農の安定という見地からしていかがなものであろうか。この両方の要請といいますか、要素を勘案しながら検討してきたわけでございますが、やはり現場におきます限界感なり営農の安定化の要請が現時点では強いということを考慮いたしまして、生産調整面積は前年度と同様とする、こういう判断に至ったわけでございます。
#98
○小平委員 その際、局長、そうしますと、もちろん来年の作況もあります。これは神のみぞ知るで我々の及ぶところではありませんが、平年作としましても、来年に向けては三百万トンを超える、そういうことが予想されますね、在庫については。そういう中でも、これを現状を維持されたことについては、私は、私の主張するとおりであってそれは評価をしたいと思います。
 言うならば、わずかその百万トン足らずのオーバーを言ったところで、金額にしてもそれは微々たるものであると。その意味は、けさほども大臣に申し上げましたけれども、それは金額だけをとればいわゆる億という単位の数字になりますけれども、しかし一方では、いろいろな不祥事、あるいは住専においてのあのような血税をみすみすどぶに捨てるような処理もされた。そんなようなことにおいても国民各位のいわゆる政治、行政に対するシビアな見方というものはあるわけです。
 そういう中で、私は、農水省としては、このようないわゆる人知の及ばざるところでもってこういう豊作によって生じた余剰在庫、これにあたふたするのではなくて、慌てふためかないで、強くしっかり腰を据えて、どういうふうにマスコミの意見があろうと、ただ単年度の在庫がふえた減った。そんなことに迷わされずにしっかりと長期的な展望に立ってしていくことが大事なことであって、そうすることが、言うならば今後に向けて、万一不作とかあるいは何らかの国際環境の変化とかそういうことを考えた場合に、この一億二千万以上の国民を擁する我が国としては、このことを、しっかり備蓄体制を保っていけば国民のいわゆる生命や安全を保障できる、そういう観点から私は今回現状を維持したことば評価できると思います。
 ただ、そこで一点私は指摘をしておきたいことは、今回このように在庫状況をいろいろと、今私の手元にいただいた数値においてもこのトン数のあれが出ております。そして私は、昨日急なこの委員会等の決定の中で政府に対して質問通告を詳しくする時間がありませんでしたので、その点は御容赦をいただきたいと思うのでありますが、それは皆さん御専門の方でありますからそんなことは必要ないと思いますので、ちょっと指摘をしたいと思うのであります。
 過去の我が国のこういう生産状況の中で、平成八年のライスイヤーというか米穀年度までをとってみると、平成五年ライスイヤーで二十三万トンの在庫があった。その年にあのような大凶作があり、平成六年ライスイヤーの末にはわずか二万トンの在庫になった。ほとんどゼロである。そして、翌年の平成六年には一転して大豊作になり、作況指数一〇九ですか、そういう中で一転百五十
五万トンの在庫が生じた。それがことしに至っては二百六十三万トンとこういう数値であり、これがさらに来年に向かっては三百万トンを超える、こういうことであるといいます。それで間違いないですね、それでよろしいです。
 さて、その中で私は特に指摘したいのは、平成五年の不作のときに政府は二百五十九万トンという米を海外から緊急輸入をしております。そして、この用途、使途については私も数値の報告を受け、ここに手元に持っております。そういうところで海外に対する、当時は北朝鮮に対する緊急援助、正式な国交もない国に対しても人道的見地から二回に分けての大量な援助もし、また国内的にもいろいろと主食用や加工用あるいは飼料用等々を含めて処置をして、一応政府は二百五十九万トン全量消化した。このように報告がされております。
 しかし私は、このときに、数字上はこの緊急輸入米の処置はできたとなっておりますけれども、実際には、平成五年から平成六年へと向かうこの端境期を境にして、早場米を通じて、言うならば平成六年の生産が前倒しに出てくる中において、この実際のいわゆる国内米のみをとった場合の米の不足状況は、ある程度翌年の大豊作、天候のよい状況によって、稲刈りが早くできた。したがって、平成五年から平成六年に向かってはこれはスムーズにつながった。このように私は私なりに分析をいたしております。
 そういう中で、実際に緊急輸入米の存在があることによって、国内米がそこでもう既に在庫という大幅な処理をしなければならない。数値ではわずか二万トンになっております。しかし、実際には抱える在庫がもっとあったことによって、それが一つのスタートになって、今日のこの予定以上の在庫になってきた。このように見ておるのですが、そこのところについては、これは食糧庁です。か、御意見とうです。
#99
○阿部説明員 ただいま緊急輸入米と需給との関係につきまして御指摘があったわけでございますが、若干ちょっと御説明させてもらいたいというふうに思っております。
 確かに、五年産の大不作というようなときに、私どもの手持ちは二十三万トンしかございませんで、とても間に合わないというようなことで、秋から緊急輸入をしていったわけであります。それで、結果的には二百五十九万トンぐらいの輸入がされたわけでございますけれども、どう我々はその当時見ておったかと申しますと、六年の三月なり、それから夏になりましても気象庁の予報はいいことを言いませんで、非常に冷夏が予想されるというふうな状況であったわけでございます。私ども、大変心配いたしまして、とにかくお米を確保しなぐてはいけないというようなことで手を尽くしたわけであります。(小平委員「経過はわかっていますから、その数値だけ言ってください」と呼ぶ)はい。
 それで、確かに、早食いの関係でございますけれども、六年産、大変な大豊作ということで、七十四万トンの早食いがございました。これはもう八月の初めからずっと出てまいりまして、通常ですと五十万トンぐらいの早食い量でございますけれども、二十万トンを上回る早食いが行われております。
 したがいまして、この早食いの関係で緊急輸入米の方は全く売れなくなりまして、本当に数万トンしか売れていないというような状況でございまして、結果的にそれも一因となりまして過剰在庫がたまったというようなことになったわけでございます。
#100
○小平委員 時間があれば今のことを少し議論したいのですけれども、私は、当時のことを振り返ってみて、その緊急輸入米の処置はそれなりにされてきたのだけれども、そのことが平成六年の作況の、いわゆる大豊作と重なって、当時から既に国内米のだぶつきがあり、この二万トンという数値は一応出していますけれども、実態はこうでない。このときからもう既にそういう状況がある。したがって、緊急輸入米というものをし過ぎたのじゃないか。そういう責任のあり方なり、あるいは見通しの誤り、こういうことを私は指摘したいのでありますけれども、もう時間がありません。私は、今回のことは単に今年度の豊作によって余剰がさらに広まる、そこだけじゃないということを指摘をしておきたかったのです。きょうは時間が余りないので、先に進みます。
 きょう、外務省見えています。先般のローマ会議でも、世界食料サミットでも、そういうことでけさほども大臣にいろいろお聞きしましたが、何か十万トンという海外援助をするということを取りつけてきた。そして六万トン具体的にそれが決まっている、そういうことです。
 そこで、私は、この十万トンというのは、今回のことでは、今我が国が現在の国際協約、ガットあるいはWTO、こういう中で、これが今の制度の中での最大限の努力であることは、私はそれなりに見ているところであります。しかし、問題は、これだけでは不十分だ。私は、大事なことは、これから外務省は特に食糧輸出国、アメリカを初めそういう国のいわゆる反発もあるでしょう。外交的な圧力もあるでしょう。しかし、それをはねのけてどこかで突破口を開いていかないと、今既にもうこれだけの在庫を抱えている我が国においては、そうすると来年が平年作以上にいけば、さらに在庫もふえていく、そういう中で、ではまた生産調整しなければならぬ、強化しなければならぬ、これでは生産者はたまったものではない。もう一方、何がある。生産調整を強化することとか、あるいはお米を廃棄する、どっちかしかないわけでしょう、具体的にそれするとしたら。それは両方ともそんなことできませんよ。
 そのときに、海外に我が国は単に、八億を超える飢餓・栄養不良人口、これに対して食糧援助をするということだけじゃなくて、我が国は、もう今の日本の立場では、アジアでも既に五億人に上る大変な飢餓・栄養不良人口があるわけですよね。そういう中で、そういう国に向かって、あるいはさらに食糧の輸出国として、供給国としてその姿をつくっていかなければ、私はこの解決はできない、もう国内処理ではできないと思うのです。
 そのために外務省はどんな努力をされているか。現状のままじゃいかぬということは、もうその認識はあると思うのです。でも、従来のような言うならば弱腰外交でなくて、例えば、言うならば今までのケネディ・ラウンドでも、我が国は小麦換算三十万トンの海外援助をする権利を有していましたよね、義務じゃなくて権利を。それも、現物じゃなくてお金でもって今までは処理をしていた。やっとここに来て何とかお金じゃなくて現物で、食糧で援助をしようという方向に来ました。これは一歩前進です。でも、そんなことだけじゃ生ぬるい。それをさらに打ち破って、日本外務省としてそこを果敢に突破口を開いていくということを、そういうことを今検討されているのですか、そこはどうなのです。
#101
○奥田説明員 世界の飢餓問題に対して外務省として、今のお米の状況も踏まえて、どのように考えておるのかという御質問だと思いますけれども、まず、飢餓の問題といいますものは、我々といたしましても、国際社会における大きな問題であるというふうに認識しております。
 それでまず、我が国としては、食糧援助の中におきまして、御案内のとおり、食糧援助規約で三十万トンを最低、小麦換算で……(小平委員「それはわかっている」と呼ぶ)はい。それを上回る量を、四十万トンというものを目指して食糧援助の方をやっております。
 それから次に、開発途上国の食糧問題解決のためには開発援助国自身の努力というのも重要だということから、我が国は食糧増産援助というのもやっております。今後とも、財政の御配慮をいただきながら、食糧問題の解決に向けて応分の貢献を行っていきたいと思います。
 それから、現在の日本のお米の需給状況というものも踏まえまして、おっしゃいましたように、いろいろ、WTOとの関係とかその他の国際ルー
トの関係とか、大分苦労したところでありますけれども、今般、全体で約十万トンを了承ということで始めたわけでございますけれども、今後につきましては、なかなか、御案内のとおり、輸出国との関係でありますとか被援助国との関係でありますとか、今現在この十万トンにつきましても外交的な努力をしているところであります。
 したがって、今後のことにつきましては、当然、国内の需給状況ということも見ながら考えていくということだと思いますけれども、食糧援助のあり方というものについては、引き続きこのような検討、努力をさせていただきたいと思っております。
#102
○小平委員 今の状況ではその答弁でしょうけれども、私はもっと世界に、日本外務省ここにありと、もっとしっかりとやっていただきたい、そのことを強く要請しておきます。
 時間も来ましたので、最後に一点、今回のこ一の米価、一・一%の減になりました。そしてこれは、来年の消費税のアップを見越して、実際にはもう少し生産調整をやればダウンだったものをそこまで圧縮した。そういうことの御報告でありますけれども、私は、消費税が来年四月以降アップする中においてはいろいろなコストはさらにもっとかかっていく、そうなると、実際には、今回のこのいわゆる米価の減少は、ダウンはマイナス百七十五円、一・一%、これだけではない、実際の数値はもっと下がっている、そのように言えると思うのです。
 そのことを踏まえて、きょうのこのニュースが国内に飛び交う中で、生産者は大変落胆の気持ちでいっぱいだと思います。そんなことを思うときに、政務次官、どうですか、これについて、これから言うなれば達成地域に対する百億円の助成措置もするそうでありますけれども、私から言わせたら、そんなものは微々たるものだ。そういう中で、これからの予算編成を含めていろいろな作業の中において、さらにこの対策の充実強化に向けて取り組んでいってもらいたい、このことを強く、長くなってあれでありますけれども、最後に政務次官、そのことを、簡潔で結構です、御意見をいただきたいと思います。
#103
○保利説明員 前職の政務次官からのお話でございますので、真摯に受けとめて、今後対策等について十分に考えていかなければならないと思っております。
 一つだけ申し上げますが、消費税のはね返り分〇・九%の部分というのは、今考え得る役所のベースでの計算上これは正しいのではないかと思っております。そのことはつけ加えさせていただきます。その上で、今度の米価によっていろいろな問題が出てまいりますが、よく注視をしながら、よく観察をしながら、今後の対策も考えていかなければならない。いろいろ御協力をいただくこともあろうかと思いますが、何とぞよろしくお願いいたします。
#104
○小平委員 終わります。
#105
○石橋委員長 次に、春名直章君。
#106
○春名委員 今度新しくこの委員会に所属することになりました日本共産党の春名直章です。どうぞよろしくお願いします。
 最初、質問に入る前に、ODA予算のあり方で一言述べておきたいと思います。
 政府は、二十六日の閣議決定で六万トンの米を無償援助することを決めました。我が国のODA予算から見ればこれは微々たるもので、飢餓と栄養不良に苦しむ発展途上国への食糧援助、食糧増産のための技術援助を抜本的な強化をすべきだと考えています。FAOの予測では、発展途上国の食糧増産のためには年間百五十億ドルの援助が必要とされています。しかし、我が国は、世界一のODAを実施しておりますけれども、食糧援助は二国間の援助のわずか〇・四%にすぎない、こういう状況にあります。ODAの予算の大部分が特定の大国の戦略、世界戦略に沿ったものだという状況ですし、日本の大企業の海外進出や進出先での経済活動を保障するために使われているという現状を改めなければならないと考えます。食糧援助、農業技術援助を初めとする食糧増産のための支援を強化して、世界の飢餓克服のために日本が貢献できるように、外務省に対してもODA予算のあり方の抜本的な見直しも要求する方向で頑張っていただきたいと思います。
 私は、最初に質問したいことは、米価の問題、新食糧法の制度という問題であります。
 私は、四国から選出をされたのですが、この間、農村地域をくまなく回ってまいりました。なぜ輸入しながら減反なのか、農業は自分の代でもう終わらなければならない、減反しても転作する作物がない、見通しが持てない、このような怒りと不安で満ちあふれています。特に、過酷な減反を押しつけられる一方で、米価が下落の一途をたどっている、このことへの不安と怒りは非常に大きいわけです。あすの未来が見えないわけです。
 自主流通米、九四年以降ですけれども、このように、全国的に自主流通米の価格は平均一〇%程度下落をしてまいりました。全国の稲作農家が、この売り上げが年間千五百億円も減少しているという調査もあります。九五年度の十アール当たりの農家の稲作所得が前年比で一九・五%も落ち込んでいる、こういう状況が報道されています。そして、九六年産も、輸入米、そして政府古米の大量売れ残りなどによりまして、一層の下落が予想されているという状況があります。大変な事態になっています。
 そこで、私は政務次官にお聞きしたいと思いますけれども、この間、政府は、生産調整をきちっとやれば価格は安定するということを言っておられました。この言い分が事実で崩れてしまったわけですが、この点はお認めになっていただけますか。
#107
○高木(賢)説明員 米の価格の安定にとりまして生産調整が重要な手段である、非常に大きな意味を持つということはかねがね申し上げておりますが、作況の問題とか需要の動向とか、そういう問題がございますので、生産調整の目標を達成すれば価格がすべて維持される、こういうことを言っているわけではございません。総合的なものだと思っております。
#108
○春名委員 結局、一〇〇%本当に苦労して減反に応じてきたのに、こういう深刻な事態が今引き続いて起こっているという大もとにあるのは、やはり米価の下支えの機能がない、これを放棄するような新しい食糧法、新食糧法、これが大きな欠陥があるということが露呈されてきているというふうに私は思います。このもとでは、際限のない米価の下落が放置をされるということになるのじゃないでしょうか。
 自主流通米の低落を反映させて、今一万六千二百十七円という政府米のお話がありましたけれども、政府米も価格が下げられるということになります。こういうことがもし続いていけば、特に産地間の競争でおくれをとるような条件不利の地域、こういうところでは死活問題になってきて、もう稲作ではやっていけない、農業はもうやっていけない、米づくりはできない、こんなことになりかねない事態があると思います。
 そこで、払お聞きしたいのですけれども、新食糧法の欠陥というのが非常にくっきりしてきたということであります。八月二十三日付の日本農業新聞で、「論説」の中でこのように述べています。「今年は大幅に拡大された減反面積も苦労の末、ほぼ一〇〇%達成見通しにあるし、備蓄や調整保管機能も活用しているが、それでも下落が続くとしたら、間違いなく制度的欠陥である。」こういう指摘をしているところであります。
 私は、その声、こういう怒りの声を真剣に受けとめて、制度の見直し、改善に着手をしていくという決断が必要になっているのじゃないかと思いますが、この点での見解を伺いたいと思います。
#109
○阿部説明員 新食糧法におきましては、従来の食糧管理法と違いまして、需給の安定を果たす中で価格の安定を維持していこうというのが基本的なねらいであるわけでございます。
 先ほど先生御指摘になりましたように、自主流通米の値段が下がっておるというようなことでご
ざいますけれども、一方で、先ほど申しましたように、需要がずっと思わざる減少をしている中で生産の方がまた大豊作であるというような、需給関係が非常に緩んでまいりました関係上、米の値段が緩くなってきておるということでございまして、私ども、米の値段を一定に維持するということを目的といたしますと、どうしてもこの需給関係をきちんとしなくてはいけないというようなことで、生産調整なり、さらには備蓄なり調整保管というようなことで一生懸命やっておるわけでございまして、この新食糧法におきましてはそういったことを通じまして安定していこうというような制度でございますので、今このシステムを変えていこうというようなつもりはございません。
#110
○春名委員 やはり、考え方の根本が農家、農村を守る、生産者を守る、そこから出発しないと、一年間たってこれだけ深刻な事態があるという厳然たる事実がやはりあるわけですから、その点で本当にそこに視点を置いてこれから検討していただきたいと心からお願いしたいと思います。
 次に、大きな問題になっている減反問題について質問したいと思います。
 例えば、私の地元の事例でいいます。こういうことが生じております。規模拡大のために何人もの人から田んぼを借りまして耕作している農家があります。借りた田んぼを荒らすわけにはいきませんので自分の田んぼを減反に充てたのですが、一減反率が四割前後という過酷なものになっていますので自分の田んぼだけでは減反面積をカバーし切れない。こうした矛盾の中で、借りたところから貸してもらったところに返している。しかし、貸したところも、老齢化したり、それを作業をする人がいないので返してもらっても困る。こんな具体的事例が生まれたりしています。
 政府は今、新農政で規模拡大という政策を進めておられますけれども、そういうこととも矛盾するような事態が生まれてきているわけであります。こうした状況ですから、ほとんどすべての農業関係者の皆さんの中からもこれ以上の減反上乗せは絶対に認められないという怒りの声が上がっていますが、今回、この声にどうこたえるか。据え置く、上乗せしないという方向が伝えられておりますが、これをこの場でもう一度確認をしていただきたいと思います。
#111
○高木(賢)説明員 生産調整の問題につきましては、基本的な問題として、やはり三割にも及ぶ需給ギャップがあるということをぜひ御認識をいただきたいと思います。これは、一方で需要、米の消費が残念ながら年々減退をしておる、一方で生産力が着実に上がっておる、こういう中で需給ギャップが常にある、三割もの需給ギャップがあるということでございます。
 そういう中でありますから、いろいろと現場で御苦労いただいているということにつきましては私どもも十分認識しております。大規模な方にもいろいろなしわが寄るということは承知しておりますが、逆に需給を安定させ、価格が維持といいますか、より下落することを防止するという意味合いにおきましての生産調整のメリットを受けるのもまた大規模農家であるということも事実でございますので、そういったことの御理解もいただきながら、いわば稲作生産者、皆三割の需給ギャップをどうしょっていただくか、こういうことだと思いますので、そのように御理解をいただくようにやってまいっているわけでございます。
 ことしにつきましては、さはさりながら、なかなか需給事情からしますと荷物が重くなって価格に悪影響が及ぶという事情はあるわけですけれども、現実実態として限界感がある、こういうことでございますので、その点を重視して、営農の安定にも配慮して、これは前年度と同様とする、こういうことにいたしたい、こういうことでございます。
#112
○春名委員 需給ギャップがあるということはわかりますが、それではなぜ外米をこれほど輸入するのかという大問題にぶつかってくるわけであります。
 私は、この量の問題も非常に深刻な事態があるわけですけれども、そのやり方、減反の強制という問題も今農民の心に大きな傷となってあらわれてきているということを指摘をしたいというふうに思うのです。
 共補償という制度がありますが、これはすべての農家が参加をすることが条件になっています。ところが、それには参加したくない、部落で話し合ってそういう意見になった人もいます。そういう人に対して、そんなことでは困るということで大混乱になる、そんな事態も生まれたわけですね。そこで、その事態を見ていたまじめな年をとった農家の方がこう言いました。こんなに農家が乱れるのであれば、何ぼ米が下がっても構わないから私は好きな稲をつくりたい、米をつくりたい、こういうふうに叫んだと言われています。
 新食糧法では、割り当て、そして強制、こういうことにはなっておりません。農家に示すということにはなっていますけれども、強制するというものではこれはないわけであります。
 しかし、水田にかかわる補助事業の実施に際して、減反目標を達成した市町村を優先するとか、こういうやり方がとられていますので、実際には強制的な機能が働いていくということになっていくわけだと思います。そして、やはり未達成の農家とか自治体に対する強制的なペナルティー措置、こういうのもやめる必要があります。やはり、つくる自由、売る自由、こういうことが新農政で言われているわけですから、つくる自由も――減反全部やめとか、そんなことは私も思いませんけれども、しかし、農家の心がすさぶようなこんな強制的なやり方はやはり考え直す必要があるんじゃないかというように私は思いますけれども、この点ではいかがでしょうか。
#113
○高木(賢)説明員 まず初めに、共補償につきまして誤解をされている面があるのじゃないかと思いますので、それを申し上げたいと思いますが、共補償は、二万円補助するコースでは四分の三の参加、一万二千円補助するコースでは三分の二の参加ということが要件でございまして、団体が運動として全員できるだけ参加してくださいということをやっていることは事実だと思いますが、全員参加を強制しているというシステムではないわけでございます。
 いずれにいたしましても、それぞれの農家にはね返る問題でありますから、やはり御理解をいただいて、これは主体的な取り組みが大事ではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。そのためにいろいろな助成措置も講じておりまして、その円滑な推進方を図っているわけでございます。
 そういう一方で、そうやってまじめにといいますか、生産調整をやった方々がいる一方で、そうやらない方がいる。これをどうするか。価格維持なりメリットは享受する、こういう方々に対しての不公平感、ただ乗りしたんじゃないかとか、こういう問題がむしろ重大な問題だというふうに私ども思っておりまして、これにつきまして、一層指導の強化なり、今般の需給改善対策によりまして、より一層の実効が上がるようにしてまいりたい、このように考えているわけでございます。
#114
○春名委員 この量といい、それからやり方といい、なかなか大きな矛盾を抱えたこの減反政策なんですけれども、その減反をやっていく上で、転作などを受け入れていく条件を拡大していくということもしっかり保証しなければ、やれやれと言うだけでは矛盾が広がっていくことになります。
 そこで、私は、その転作を受け入れる条件をつくるという点でどうしてもきょうお聞きしておきたいことは、野菜にしても中国などから大変な輸入ラッシュの状況が生まれています。価格が下落をするというようなことで、何をつくっていいのかわからないという声が聞こえてくるわけであります。
 この転作の条件を大きく広げていくということ
と関連しまして、セーフガードの発動、これに真剣に取り組んでもらいたいということを強く要望したいと思います。特にショウガやニンニクについては急激な輸入増で作付面積も大きく後退をするという状況がありますし、国内の価格が暴落をする、大打撃を及ぼしています。
 農水省の皆さんにお話を聞きましたら検討を開始しているということをお伺いしておりますが、ぜひこれについて、セーフガードを発動するということで通産省や大蔵省にさらに強力に働きかけてもらって、まず調査を実施するということだけでも、少なくともやっていくということで強力に推進してもらいたいと思いますが、この点ではいかがでしょうか。
#115
○中須説明員 御指摘のとおり、平成五年以降生鮮野菜の輸入が大変増加をいたしまして、特にニンニクとショウガにつきましては、輸入の増加によって国内産の価格が落ちるということで、平成七年には作付面積が大幅に減るといった国内生産に大きな影響が生じました。
 こうした事態に対処するための一つの方策としてのセーフガードの問題につきましては、一般セーフガード措置の発動については、輸入急増と国内産業への重大な損害、因果関係の立証の問題であるとか、利害関係国との補償交渉、補償措置等に関する協議だとか、いろいろ厳しい要件がございます。現在、セーフガードの発動に関する政府調査の開始について関係省庁と協議を行っている、そういう状況にあります。
 一方、このニンニクとショウガということに限りますと、我が国への輸入はほとんどが中国から行われている、こういう状況にあります。このため、現実的な解決を図るというような見地から、輸出国である中国との間で、政府間で輸出の安定化ということを求めて現在協議を行っております。先週も行ってまいりましたが、できるだけ早期にこの方法での解決が得られるよう努力をしてまいりたいと、こんなふうに思っております。
#116
○春名委員 ぜひ努力して、私たちも頑張りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後になりますが、政務次官にぜひお聞きしたいと思います。
 本院の予算委員会や農水委員会などで食糧問題を何度となく政務次官取り上げていらっしゃいました。その会議録も一端を拝見させていただきました。共感しながら読ませていただいた部分がかなりあるわけです。
 例えば九四年五月二十五日の予算委員会の中での総括質問なんですが、日本が世界から米を買って、そして自分のところで抱え込んで古くして、えさに流していくというようなことは、飢えに苦しんでいる人類に対する犯罪であるかもしれない、やはり自由貿易万能の姿で日本が押しまくられているという姿が印象に残って仕方ありません。世界をマネージしていく論理というのは自由貿易だけではありませんよということを声高らかに叫んでいただきたいと、こういう質問をされておられます。
 世界をマネージしていく論理というのは自由貿易だけではありませんという指摘は、本当にそのとおりだと思います。近い将来、先ほどの質問の中でも出されていましたが、世界的な食糧不足、今現時点の問題になっている。環境問題、これをどうするかということもあります。
 ですから、そういう価値観もしっかり踏まえて、やはりきょう私言いたいのは、WTO協定の改定という問題を本気で取り組む必要があるんじゃないか、そういう方向で努力をするときに来ているんではないかということを痛感をするわけであります。
 世界食料サミットが開催された後ですから、その点でのリードをとるという政務次官の決意などもお聞きできたらと思います。よろしくお願いします。
#117
○保利説明員 私が予算委員会で当時野党として質問をいたしましたが、その内容について御紹介をいただいて、ありがたく思います。その気持ちは今も全く変わりません。私は、その相手は外国であろうかと思っておりますので、外国に対していかに働きかけていくかというのが我々にかけられた一つの大きな課題であろうかと、そんな認識を持っておるわけでございます。
 したがいまして、今後、関係省庁あるいは国会の先生方、皆様方の御協力を得ながら、こういった問題について、我々の輸入国としての懸念、そういうものをぜひやはり伝えていく必要があるのではないか、その中でこそ日本の農業というのは確固として残されるのではないかと、その信念には変わりないことを申し上げさせていただきます。
#118
○春名委員 時間が参りましたので。やはり、日本の農業がこれからどうなるのかという岐路に今立たされていると思いますし、世界の食糧不足という問題も一刻も猶予ならない問題になってきていますので、全力を尽くして、日本の農業の立て直し、そして世界の飢餓をなくしていくために頑張っていきたいということを決意も申し述べまして、質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
     ――――◇―――――
#119
○石橋委員長 この際、松下忠洋君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び21世紀の共同提案による食糧・農業関連援助の拡充に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。松下忠洋君。
#120
○松下委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び21世紀を代表して、食糧・農業関連援助の拡充に関する件(案)の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    食糧・農業関連援助の拡充に関する件(案)
  現在、アジア、アフリカを中心として、世界中で八億人以上の人々が栄養不良と飢餓にさらされており、これら栄養不良と飢餓に苦しむ国々に対する援助が強く求められている。先頃開催された「世界食料サミット」においては、世界の食料安全保障達成とすべての国における飢餓撲滅の努力を継続し、そのために各国が協調すべきことを謳った「ローマ宣言」が採択されたところである。
  かかる状況にかんがみ、政府は、広く人道的見地に立って飢餓と栄養不良人口撲滅のため、今後一層の食糧・農業関連援助の拡充に努めるべきである。また、その際、現下の国内の米の需給状況に配慮して在庫米を有効に活用すべきである。
  右決議する
 以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#121
○石橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 松下忠洋君外五名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#122
○石橋委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。
 この際、ただいまの決議につきまして政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産政務次官保利耕輔君。
#123
○保利説明員 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を踏まえ、関係省庁との連携を図りつつ、今後十分努力してまいる所存でございま
す。
#124
○石橋委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#125
○石橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト