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1995/11/01 第134回国会 参議院 参議院会議録情報 第134回国会 科学技術特別委員会 第2号
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1995/11/01 第134回国会 参議院

参議院会議録情報 第134回国会 科学技術特別委員会 第2号

#1
第134回国会 科学技術特別委員会 第2号
平成七年十一月一日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月一日
    辞任         補欠選任
     山本 正和君     三重野栄子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         長谷川 清君
    理 事
                鹿熊 安正君
                吉川 芳男君
                石田 美栄君
                川橋 幸子君
    委 員
                海老原義彦君
                岡部 三郎君
                沓掛 哲男君
                河本 三郎君
                志村 哲良君
                楢崎 泰昌君
                松村 龍二君
                友部 達夫君
                林  寛子君
                山崎  力君
                三重野栄子君
                峰崎 直樹君
                阿部 幸代君
                立木  洋君
                佐藤 道夫君
   衆議院議員
       発  議  者  尾身 幸次君
       発  議  者  原田昇左右君
       発  議  者  今村  修君
       発  議  者  渡海紀三朗君
       発  議  者  鮫島 宗明君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       浦野 烋興君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      石井 敏弘君
       科学技術庁長官
       官房審議官    青江  茂君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   落合 俊雄君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   工藤 尚武君
       科学技術庁研究
       開発局長     加藤 康宏君
       科学技術庁原子
       力局長      岡崎 俊雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    宮林 正恭君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        塩入 武三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術基本法案(衆議院提出)
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (核燃料リサイクル政策に関する件)
 (アジア諸国における原子力開発利用に関する
 件)
 (戦略的基礎研究推進制度に関する件)
 (国際熱核融合炉計画に関する件)
 (高レベル放射性廃棄物の処分に関する件)
 (原子力発電所の安全性に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(長谷川清君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山本正和君が委員を辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(長谷川清君) 科学技術基本法案を議題といたします。
 発議者衆議院議員尾身幸次君から趣旨説明を聴取いたします。尾身幸次君。
#4
○衆議院議員(尾身幸次君) 科学技術基本法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 我が国は、科学技術に関して、いわゆるキャッチアップの時代、すなわち目標となる先進国が常に存在し、かなりの分野で技術導入が可能であった時代の終えんを迎えております。今後は、フロントランナーの一員として、みずから未開の科学技術分野に挑戦し、創造性を最大限に発揮し、未来を切り開いていかなければならない時期に差しかかっております。
 とりわけ、天然資源に乏しく、人口の急速な高齢化を迎えようとしている我が国が、経済の自由化、国際化に伴う経済競争の激化と相まって直面することが懸念されている産業の空洞化、社会の活力の喪失、生活水準の低下といった事態を回避し、明るい未来を切り開いていくためには、独創的、先端的な科学技術を開発し、これによって新産業を創出することが不可欠であります。
 また、環境問題、食糧・エネルギー問題、エイズ問題など人類の将来に立ちはだかる諸問題の解決に対し科学技術への期待は大きく、この面での我が国の貢献が強く求められているところであります。
 さらに、科学技術は、我々の自然観や社会観を大きく変え、新しい文化の創成を促すという側面を有するため、これを人間の生活、社会及び自然とのかかわり合いの中でとらえていく必要があり、このような視点も踏まえ、新たな視点に立った科学技術を構築していくことが求められております。
 翻って我が国の科学技術の現状を見ると、まことに憂慮すべき状態にあります。特に、独創的・先端的科学技術の源泉となる基礎研究の水準は欧米に著しく立ちおくれており、基礎研究の担い手たるべき大学・大学院、国立試験研究機関等の研究環境は欧米に比べ劣悪な状況に置かれております。また、科学技術の高度化、専門化に対応して総合的、学際的な取り組みが緊要となっているにもかかわらず、大学、国立試験研究機関、民間等の研究者が、組織や専門分野の壁を超えて十分に有機的に連携しているとは言いがたい状況にあります。さらに、将来の我が国の科学技術を担う若者に科学技術離れの現象が見られることは、国の将来にとってゆゆしいことであります。
 以上の基本認識に立って、将来にわたり先進国の一員として世界の科学技術の進歩と人類社会の持続的発展に貢献するとともに、真に豊かな生活の実現とその基盤たる社会、経済の一段の飛躍を期するためには、科学技術創造立国を目指し、ここに改めて新たな視点に立って、科学技術の振興を我が国の最重要政策課題の一つとして位置づけ、科学技術振興の方針と基本方策を明らかにするとともに、関連施策の総合的、計画的、かつ積極的な推進を図ることが不可欠であり、このため、本法案を提案した次第であります。
 次に、本法案の主な内容を御説明申し上げます。
 第一に、科学技術振興の基本方針として、科学技術が我が国及び人類社会の将来の発展のための基盤であり、科学技術に係る知識の集積が人類にとっての知的資産であることにかんがみ、研究者等の創造性の発揮を旨として、人間の生活、社会及び自然との調和を図りつつ、その振興を積極的に行うこと、広範な分野における均衡のとれた研究開発能力の涵養、基礎研究、応用研究及び開発研究の調和のとれた発展に留意することを定めております。
 第二に、科学技術振興に関する国及び地方公共団体の責務を規定しております。
 第三に、国及び地方公共団体による大学等に係る施策の策定等に当たっては、大学等の研究活動の活性化を図るとともに、研究者の自主性の尊重などその研究の特性に配慮することとしております。
 第四に、政府は、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、科学技術会議の議を経て科学技術基本計画を策定することとしております。
 また、政府は、科学技術基本計画について、その実施に関し必要な資金の確保を図るため、必要な措置を講ずるよう努めることとしております。
 第五に、国は、多様な研究開発の均衡のとれた推進、研究者、技術者及び研究支援者の確保、研究施設の整備、研究開発に係る情報化の促進、研究開発に係る交流の促進、研究開発に係る資金の効果的使用、研究開発の成果の公開、民間の努力の助長、国際的な交流の推進、科学技術に関する学習の振興等に必要な施策を講ずることとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその主な内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(長谷川清君) 以上で本案の趣旨説明は終了いたしました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○鹿熊安正君 科学技術基本法制定の趣旨について質問をいたします。
 このたび四党共同提案の議員立法で科学技術基本法が提案されました。科学技術基本法は長年にわたって関係者が待ち望んでいたものであり、今日に至るまでの各党の提案者の皆さんの精力的な御努力に対しまして、まず初めに敬意を表します。
 それではまず、今なぜ基本法なのか、科学技術基本法提案の趣旨についてお伺いいたします。
#7
○衆議院議員(尾身幸次君) ただいま提案理由でお話を申し上げましたとおり、我が国の科学技術は、今まではいわゆるキャッチアップの時代でございまして、目標となるべき先進の国々が常に存在をいたし、技術の動向や需要動向に関する予測可能性が高く、かつかなりの分野で技術導入が可能でございました。そして我が国は、このような後発の利点を生かして、欧米からの先進技術を取り入れて、その改良、改善を重ねてすぐれた技術をつくり上げてきたのが実情でございます。
 しかし、現在に至りますと、いわゆるキャッチアップの時代から今後はフロントランナーの一員として、みずから未開の科学技術を開発し、そして創造性を発揮して未来を切り開いていかなければならない、そういう時期に到達したと思っているわけでございます。
 とりわけ、人口の急速な高齢化あるいは国際競争に直面する我が国が、産業の空洞化あるいは社会の活力の喪失、生活水準の低下といったような事態を回避して、真に豊かな生活を実現し、社会、経済の一層の発展を期する、そのためには科学技術の果たす役割がますます増大すると考えている次第でございます。
 しかし、現実には、この独創的・先端的科学技術の源泉ともなるべき基礎研究の水準は欧米に比べまして大変におくれておりまして、また、その関係の施設等も非常に貧弱な状況にあるわけでございます。
 そこで、このたび科学技術基本法を制定いたしまして、科学技術創造立国を目指すという我が国の基本的なスタンスを明らかにし、そして科学技術の振興を我が国の最重要政策課題の一つに位置づける、それによりまして科学技術の振興、発展を図り、今後の二十一世紀に向かいまして我が国経済、社会の一層の発展、そしてまた世界に対する貢献を実現していきたい、そういうのがこの法律を提案した趣旨でございます。
#8
○鹿熊安正君 科学技術基本法案の検討経緯についてお伺いいたしたいと思います。
 特に、立案過程ではさまざまな要望やあるいは意見などが学界や業界、また各党からあったとお聞きしておりますが、どのような点が主要な論点であったのか、またどのような形で法案に反映されてきているのか、お伺いをいたします。
#9
○衆議院議員(尾身幸次君) この科学技術基本法の立案に当たりましては、各党の間で協議をいたしましたほかに、関係方面、各界の方々と話し合いをし御意見を拝聴して、それを織り込んできたところでございます。
 その意見を拝聴した中には、日本学術会議の幹部の方々、経団連の経済技術委員会の方々、科学技術会議の政策委員の皆さん、マスコミの方々、連合の幹部の方々、あるいは国立大学協会、国公労連、商工会議所の幹部の方など、関係方面の大勢の方の御意見を伺ってきたわけであります。いろんな方々がいろんな有益な御意見、御示唆をいただきました。
 その中の主なものを申し上げますと、第一は政府の研究開発投資を抜本的に拡充すべきであり、このために、資金的な裏づけのあるような基本計画をつくることが必要であるという意見がございました。
 この点につきましては、この法律の中心ともいうべき科学技術基本計画を定めました第九条第六項におきまして、「政府は、科学技術基本計画について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上する等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」、そういうことを規定しております。そして他方、できる限り詳細に資金規模あるいは必要な施策等を基本計画の中に盛り込み、そしてこの盛り込まれた基本計画が政府によって有効に実現できるような配慮をしているということでございます。
 二つ目が、独創的・基礎的研究の強化が重要であり、研究支援者を含めまして研究人材の確保や養成あるいは研究施設・設備の整備、研究交流などいわゆる研究環境の整備充実が必要であるという御意見が関係方面からございました。
 これにつきましては、第二条で、基礎研究、応用研究及び開発研究の調和のとれた発展に配慮しなければならないということを定めますとともに、第五条で、「基礎研究の推進において国及び地方公共団体が果たす役割の重要性に配慮しなければならない。」ということを定めております。また、人材確保等につきましては、十一条で、研究者等の確保等に必要な施策を講ずるものとすることを定め、研究環境の整備充実につきましても、基本計画で政府がこの整備充実について定めるべきであるということを規定しているわけでございます。十二条以下に研究施設の整備とかあるいは情報化の促進、研究交流の促進など必要な施策を講ずることにしているわけでございます。
 第三の問題点は、人文科学についても基本法の対象にすべきであるという意見がございました。
 これにつきましては、基本法の立法者の趣旨として、科学技術のうちで人文科学のみに係るものを除くというふうにして対象を決めているわけでございますが、第二条におきまして、自然科学と人文科学の不均衡な発展ということが心配される点にかんがみまして、自然科学と人文科学の調和ある発展に留意しなければならないということを定めた次第でございます。
 それから第四に、科学技術の平和目的の利用という観点を織り込むべきではないかという御意見もございました。
 これにつきましては、この科学技術基本法といえども平和国家を理念とする日本国憲法のもとにあるわけでございまして、これを逸脱することはないわけでございますので、この法文の中では明記をいたしませんでしたが、この点につきましては、立法府の意見として、衆議院におきましては附帯決議でそのような趣旨を決定したところでございます。
 それから五番目に、科学技術の利用に当たりまして、安全確保など科学技術と人間社会との調和の考え方を盛り込むべきであるという御意見もございました。
 これにつきましては、第二条に、科学技術の振興は、人間の生活、社会及び自然との調和を図りつつ、積極的に行うことを定めるとともに、十六条に、研究開発の成果の「適切な実用化の促進」と定めまして、この「適切な」という表現で安全性にも十分留意しながら実用化を進めるという考え方を盛り込んだところでございます。
 それから、情報公開の考え方を盛り込むべきであるという御意見もございました。
 十六条におきまして、研究開発の成果の公開、研究開発に関する情報の提供等その普及に必要な施策を講ずるものとすることを定めているところでございます。
 それから七番目に、大学の活性化と科学技術教育の充実等についての御意見もございました。
 大学の活性化につきましては、第六条で、大学等における研究活動の活性化を図るよう努めることを定め、また教育につきましては、第十九条で、学校教育及び社会教育における科学技術に関する学習の振興等を定めることにしているわけでございます。
 以上、各方面からの御意見とそれに対応する条文について御説明を申し上げましたが、科学技術創造立国を目指すということにつきましては、関係方面で非常に多くの、ほとんど全部の方々の御賛成をいただきまして、大変に前向きな御意見をいただき、その大部分をこの法案の中に織り込み得たものと考えている次第でございます。
#10
○鹿熊安正君 ただいま資金の問題について少し触れられましたが、重ねて資金の確保の問題についてお伺いいたします。
 法案作成に当たって一番問題になっている点は、今後、政府が基本計画を策定し、実施するに当たって最も大切なことは資金の確保の問題だと考えます。
 政府の研究開発投資の抜本的拡充は、今後の我が国の科学技術振興に当たり極めて重要でありますが、一方、我が国の予算は厳しいシーリングに縛られており、この壁を打ち破る必要があります。多くの関係者が科学技術基本法に期待しているのもこの点にあると思います。
 その意味で、科学技術基本計画の資金についてどのように定めるかが重要であり、国会としての意思を明確にしておく必要があると考えますが、立法者側はこの点についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
#11
○衆議院議員(尾身幸次君) ただいま鹿熊先生のおっしゃいましたことは、この法案の立法過程において大変議論になりました重要な問題点でございまして、研究開発に要する資金の確保を図るという問題はこの法律の最大のポイントの一つでございました。
 もとより、国の財政との調整は必要でございますが、基本計画の実施に要する経費に関しまして、必要な資金の確保を図るため、先ほども申し上げましたが、第九条の第六項を設けまして、計画の中に盛り込まれた計画についての必要な資金につきましては、「毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上する等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」という規定を入れたところでございます。
 そこで、基本計画にどういうような内容のものを盛り込むかということでございますが、これは所要の手続を経て、基本計画を議論する過程でいろいろと決めていただくわけでございますが、その中で資金についての決め方というのは大変重要であるというふうに考えております。
 私どもといたしましては、基本計画は十年程度を見通した五年間の計画とし、その作成に当たりましては、この当該基本計画に基づき、我が国が科学技術創造立国を目指すために政府の研究開発投資額の抜本的拡充を図るべきであり、その計画の中に、例えば講ずべき施策とか資金規模等を含めまして、できるだけ具体的な記述を行うよう努めるべきであると考えておりまして、こういう形で基本計画をつくってもらいたいというのが私ども提案者の意図でございます。
 そして、それと同時に、先生、先ほどおっしゃいましたように、今、いわゆるシーリング制度のもとで科学技術に関する予算が必ずしも私どもが思っているほどの伸びを示していないのも正直なところ実情でございまして、この基本法の成立によりまして、国全体として科学技術創造立国への基本的な方向性が打ち出されたならば、当然、政府におきましても、また与党内部におきましても、このシーリングについての見直しをし、科学技術関係予算の抜本的な拡充、増大が図られるものと私ども期待しているわけでございます。
#12
○鹿熊安正君 次に、民間の研究開発についてお伺いをいたします。
 我が国の研究開発投資総額の八割程度を民間が担うなど、我が国の研究開発における民間の果たす役割は大変重要なものがあります。このため、基本計画では民間の研究開発及び民間の研究開発投資額についても定め、民間の研究開発の促進を図っていくことが必要であると考えますが、立法者側はこの点についてどのように考えておられますか、お尋ねいたします。
#13
○衆議院議員(原田昇左右君) まさに委員のおっしゃるとおりでございまして、我が国においては、民間の研究投資が八割程度という大変大きなウエートを占めておるわけであります。したがいまして、基本計画をつくる場合におきましても、民間の研究開発の促進のための最低限所要の施策を体系的に書き込む必要があると思うわけであります。民間ですから、投資の規模をずばり金額で政府がつくるわけにもまいりませんから、期待額を書いて、そしてそれを実現するために必要な施策をぜひとも打ち出していただく、こういうことで私どもは考えてこの基本計画の条項をつくった次第でございます。
 よろしくお願いします。
#14
○鹿熊安正君 それでは次に、関係省庁の基礎研究についてお尋ねをいたします。
 今後の我が国は、欧米先進国からの技術導入を中心としたキャッチアップ体制から脱却し、独創的・基礎的研究を強化し、みずから未開の科学技術を切り開いていかなければなりません。このような研究開発体制の展開に当たっては、どこか特定の省庁だけが推進すればよいというわけではなく、まさに政府一体となって関係省庁の総力を挙げて取り組むことが必要であります。
 その意味からすれば、科学技術庁や文部省だけでなく、農林水産省、通商産業省など科学技術に関係するほかの省庁における基礎研究についても基本計画の中に位置づけ、適切な配慮を行うべきだと考えますが、基本法ではその点とうなっておりますか、お伺いいたします。
#15
○衆議院議員(渡海紀三朗君) 先生の御意見、もっともだと思います。衆議院でも同じような議論が展開されたわけでございますけれども、先ほどの趣旨説明の中でもございましたように、キャッチアップ型からこれからはどちらかというとフロントランナーとして独創的な分野を切り開いていかなきゃいけない、まさに総合力を発揮して日本の科学技術というものを進めていかなければいけないということでございまして、このために本法案の中では、第五条に、「基礎研究の推進において国及び地方公共団体が果たす役割の重要性に配慮しなければならない。」ということで、どういいますか国とか地方とか、大きな範囲でその責任を明快にさせていただいたところでございます。
 なお、基本計画の策定に当たって、当然でございますけれども、先ほど御指摘がございましたような農水、通産等の関係各省のこの基礎研究分野における役割というものも非常に大事でございますし、この制度全体としてそのことを考えていくということも当然なされるべきであると考えております。
 なお、余談になりますが、衆議院でも同じような議論がございまして、衆議院の中で一つ議論になりましたのは、今後、科学技術会議がどういう役割を果たしていくかというふうな議論もなされたわけでございまして、科学技術会議も従来さまざまなところの調整機能という部分も非常に強く持っておったわけでありますから、この科学技術会議をより抜本的な充実と活性化を図るようにというふうな附帯決議を衆議院ではつけさせていただいた次第でございます。
#16
○鹿熊安正君 次に、地方公共団体における科学技術振興についてお尋ねいたします。
 近年では、地方公共団体においても地域活性化のかぎとして科学技術に対する期待が高まっており、科学技術振興に向けた働きも盛んになってきておると聞いております用地方に存在する人材等を活用し、国全体の科学技術振興につなげていく意味からも、このような働きを国としても促進していくことが重要ではないかと考えます。
 特に公設試験研究機関は、地方における科学技術振興の中核的機関として注目されながらも人材面や資金面等ではまだまだ弱体であります。国として公設試験研究機関の行う研究開発に関して支援すべきではないかと考えますが、この点について基本法ではどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
#17
○衆議院議員(今村修君) 御指摘をいただいたように、地方公共団体における支援対策というんですか、地方公共団体でも例えば県立の大学、地方の試験研究施設、数多く抱えているわけであります。そしてこれらの試験研究機関が、国の基本的なあるいは独創的な、先端的な科学技術の開発、この成果を受けて、それぞれの地域に合った独創的な科学技術の創設、地域経済の活性化、地域住民の生活の質の向上、こういう役割に大きな役割を果たしているものだと思っています。
 同時に、これら地域における科学技術の振興そのものは国全体の科学技術水準を上げると、こういう点ではこの公設試験研究機関が行う研究に国がどう支援するかというのは大きな課題だと思っています。
 私どもはそんな問題を含めて、第四条において、「地方公共団体は、科学技術の振興に関し、国の施策に準じた施策及びその地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」と明記をしたわけであります。さらに、基本法で初めて「自主的な施策」と規定したのも、地域における科学技術の振興を重視するという考え方を盛り込んだものでもあります。
 科学技術基本法成立後、政府において科学技術基本計画を策定することになるわけでありますけれども、その際には、地域における科学技術の振興という観点も含めて私どもは検討をぜひともしてもらいたい、こう考えております。そして、そのような観点が盛り込まれた基本計画のもとで、公設試験研究機関への支援を含め地域科学技術振興のための諸施策が強力に講じられていくことを私どもは期待しています。
 以上であります。
#18
○鹿熊安正君 いろいろとお聞かせをいただきましてありがとうございました。
 最後に、科学技術基本法の成立を受けて、科学技術行政に責任を持つ科学技術庁長官の決意をお伺いさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
#19
○国務大臣(浦野烋興君) 超党派の議員立法という形でこの基本法は制定されようといたしておるわけでございますけれども、この科学技術行政につきまして私ども責任を負っておるわけですが、そうした立場からはまことにありがたいことだと心強く受けとめさせていただいておるところでございます。
 提案理由の説明、この中にもうたわれておるところであり、また、ただいまの審議におきましても、我が国戦後五十年、キャッチアップの時代はもう終えんをしておる。未開の科学技術、これに力を入れる中で、これからの時代といいますか、我が国のあり方というものを切り開いていかなければならぬ、こういうことはまさにそのとおりであろうと思うんです。言うまでもないことなんですけれども、我が国は天然資源がございませんし、国土が狭い。最大の資源とすれば日本人、我が国民の英知、これこそ最大の財産といっていいだろうと私は思っております。
 そうした観点から、このような基本法が成立を見る、このことは科学技術行政の枠組みをつくるということでございまして、我々にとっても先ほど申し上げましたように大変心強い限りであるわけなんです。
 これを踏まえて基本計画というものが審議されていくわけでありますが、そうした点につきましても科学技術庁の担当する任務、これは極めて重大なものと受けとめておるわけでありまして、そうした立場からも誠心誠意、懸命に私どももその役割を果たしてまいらなければならぬと思っておるところでございます。
 以上でございます。
#20
○鹿熊安正君 どうもありがとうございました。
 以上で終わります。
#21
○林寛子君 長い間かかって科学技術立国が叫ばれながら、我が国には科学技術基本法、かつて閣法で出されましたけれども、これは成立いたしませんでした。そして、我が国が科学技術を振興して、皆さんの御努力あるいは産業界の努力、あらゆることでどうにか今日まで来たわけでございます。御存じのとおり、冷戦の終結に伴って、私どもは新産業の創出、そしてまた雇用の確保あるいは環境問題の解決など世界的に大きな課題が、現在は各国がそれに関して注目しているところでありますけれども、今までと違って目先の成果にとらわれない、あるいは革新的な研究を推進する体制が今こそ必要なんだと私たちは痛感しております。
 今までの日本の科学技術の開発というもの、あるいは研究開発というものは、先ほどもお話に出ましたように、研究開発の八割は産業界保の負担、そしてまた大学や国立研究機関の研究費の政府負担は二割。欧米に比べて政府の負担は約半分。日本の産業政策というものは今日まであったとしても、科学技術政策がなかったと言われても仕方がないような証拠の数字が出ているんだろうと思います。そして私は、今まで科学技術は経済面だけが前面に出て、文化的側面は皆無であったと言っても過言ではないと思います。
 しかも今、鹿熊委員と提案者の質疑を拝聴しておりまして特に感じたことは、科学技術基本法というのは国の根本的な政策である、科学技術政策は長期的なもので単年度では終わらない、そういうものが国の基本計画であれば、なぜこれが閣法でなかったのか、なぜ政府提出でないのか、なぜ議員立法にしなければならなかったのか。そこに私は日本の科学技術政策の貧困さがあらわれてきているのではないか。あるいは科学技術庁が政府の中において単独で提案するに足りる力がないのか。あるいは現状の政府が縦割りで、科学技術基本法は各省庁の縄張り争いで提出できないような状況にあるのか。この基本法というものを議員立法にしなければならなかったそれこそが、私は日本の科学技術政策の貧困の一因であると今痛感しております。
 そういう意味で、努力せられた提案者の皆さん方に、なぜ議員立法であったか、そして今日まで基本法がなくて来たのに、なぜ科学技術基本法なのかということを、できれば端的にお答えいただきたいと思います。
#22
○衆議院議員(尾身幸次君) 我が国におきます科学技術政策のあり方の根幹にかかわる問題でございますが、今までのいわゆるキャッチアップの時代からフロントランナーの時代に入って、これからますます科学技術の発展のために力を入れなければならない、そういう時代に入ってきたという認識は議会においても行政府においても共通のものであるというふうに考えている次第でございます。
 しかしながら、今までの科学技術政策の実情を見ますと、何といっても予算の制約その他もあり、俗に言うシーリングの問題もあり、特に、パブリックセクターの科学技術に関する研究開発投資が少なかったというのが実情でございます。大ざっぱに言いまして、全体を戸として、日本の場合には二割がパブリックセクターであり八割が民間のお金である。欧米の諸国が四割・六割になっているのと比べまして、全体としての科学技術研究開発投資の額そのもの、率そのものはそう遜色がないわけでありますけれども、パブリックセクターの比率が低かったというのも実情でございます。
 そういう現状を打破するために、いわゆる今までの行政府の間の力関係をもってしてはなかなかこれが実現できないわけでありまして、むしろ政治主導でこの点についての科学技術創造立国の方向への大きな転換を実現していきたいというのがこの科学技術基本法を提案させていただいた理由でございます。
 なぜ政府提案できなかったかということにつきましてはいろんな状況があると思います。しかし、今回は各党共同提案という形で超党派でこういう基本法が提案できまして、昭和四十三年のときの状況と比べまして、やはり国全体に科学技術創造立国を目指していかなければ我が国の将来はない、そういうコンセンサスができ上がっていたためであると考えている次第でございます。そういう意味でぜひこの法律を成立させ、そしてその法律のもとでこれからの科学技術の振興を目指して、我が国官民挙げて一体となって努力をしていただきたい、このように考えている次第でございます。
#23
○林寛子君 趣旨なりお気持ちなり、皆さんの御努力は歩といたしますけれども、今必要なのは、例えば予算一つとってみても御存じのとおり、あるいは科学技術庁、文部省、通産省等々、あらゆる省庁が先ほど申しましたように縦割りの取り扱いになっております。
 そういう壁を取り払って、企業や大学あるいは国立研究所等の枠を超えて日本の研究システムの全体像を新しい視点から見直すこと、それが今一番重要だというのは今の趣旨から拝聴いたしましてよくわかっておりますし、私どももその件に関してはもちろん異議はございません。けれども、日本が十年後、二十年後どんな国になろうとしているのか、あるいはまたどんな科学技術を必要としているのか、そういうことを明確にする科学技術の政策といいますか戦略といいますか、そういうものを議論するのが私は重要なことであろうと思います。
 そういう意味では、そのために科学技術会議や日本学術会議あるいは学術審議会など、新しくそういうものの役割の見直しあるいは改革の議論をしていくべきだと私は思います。今おっしゃったようなこの趣旨説明の将来像のためには、この法案が成立後、日本の科学技術の展望あるいは戦略がどう変わっていくであろうということを端的にお示しいただき保たいと思います。
#24
○衆議院議員(渡海紀三朗君) 先生の先ほどの冒頭の御発言を聞かせていただいておりまして、私どももじくじたるものがございます。ただ、政府に対するお言葉だというふうに受けとめさせていただいて、だからこそ、今その現状を打破するためにも我々は立法府という立場から、また国民の声を代表する政治家という立場からこの法律をつくらせていただいたんだということを、冒頭余談でございますが、つけ加えさせていただきたいと思います。
 ただいまの質問でございますけれども、既にもう議論で明らかになっているところでありますが、これからの日本の科学技術は確かに変化をしていかなければいけない。これはキャッチアップからフロントランナーにということで総称されると思いますけれども、このためにはやはりそういった環境をつくり出していかなきゃいけない。研究者の環境をきっちりとそろえて活性化していく、これが重要と考えております。
 そして基本計画の中で、当然、先ほどから議論となっております政府の研究開発投資、こういうものを抜本的に拡充していくということも非常に重要でございますけれども、同時に産学官といいますか、そういったさまざまな分野の相互の交流が図られ、またさまざまな情報が有効に利用されるためのデータベースをきっちりとネットワークとして整備したり、先ほど申し上げましたが、研究者の支援体制をしっかりつくるために、特に意欲のある若い研究者が研究開発の成果、こういったものを十分に活用できるようなそういうシステムをつくっていかなきゃいけない。そういった環境をつくるという意味で、先ほど先生がおっしゃいましたようなさまざまなそれをバックアップする体制、科学技術会議もその一つでございましょう、そういうものも含めてこれから一層努力をしていく、我々も一緒に努力をしていきたい、こういうことでございます。
#25
○林寛子君 私どもも努力することにやぶさかではございませんけれども、本年は戦後五十年の記念の年である、そう認識した途端に、私たちは普通に手に入る化学物質からサリンを合成するという恐ろしさを見せつけられました。しかも、若い理科系の頭脳が続々と特異な教団に誘い込まれて、先端技術を操って日本の安全神話を崩壊せしめた。私たちはこの記念の年に恐るべき現実を見たわけでございます。
 他方、先ほどもお話がちらっとございましたけれども、大学が疲弊し切った、あるいは若者の科学技術離れが声高に言われる昨今でございますけれども、今日までの科学技術が経済的な繁栄しか考えないで、しかも経済の道具としてしか見てこなかったツケがその辺に来ているのではないかなと私は大変危惧しております。
 そういう面でも、今後は教育面で、今までのように自然科学のみならず、人文、社会科学を含めた幅広い視野を持った人材育成というものが必要であろうと思います。また、十分な予算もなく劣悪な研究環境、競争原理が働かないで、すぐれた研究者を評価するシステムがほとんどない。瀕死の状態にある大学の再生が可能なのかどうか。
 しかも、私、今手元に持っておりますけれども、時間がありませんから一つだけ言っておきますけれども、国立大学及び国立研究所の二十年以上たった施設というものは、国立大学で全体の四割以上、国立研究所に至っては三割以上。しかも教育研究用施設の耐用年数を超過したものが全体の四二・四%。更新の見通しのある施設は二五・八%にしかならない。使用耐用年数が過ぎた研究施設が既に五〇%近くにも上っているという事実を私ども見るときに、果たして今のこの基本法の成立てそれがよくなるのであろうか。学生たちの科学技術離れ、若者の科学技術離れをこれによって補うことができるのであろうか。再び日本から将来のノーベル科学賞受賞者等が出るような学校体制、大学体制ができるのかどうかということに関してもちょっとお知らせをいただきたいと思います。
#26
○衆議院議員(鮫島宗明君) 確かに委員おっしゃるとおり、科学技術あるいは研究を行うのは人でありますから、何といってもその研究を担う人材というのがこの世界に忌憚なく投入されてくることが必要なんだろうというふうに思います。
 近年、我が国の科学技術を担うべき若者の間にともすれば科学技術に対する関心の低下が見られるなど、若者の科学技術離れが各方面で懸念されておりまして、これを放置すれば国の将来にとってゆゆしいことと私どもも認識しております。
 本法案の中では第十九条において、国は科学技術の教育をしっかりやりなさいということがうたわれておりまして、また第十一条において、研究者の処遇の確保、研究者の職務が魅力あるものとなるよう適切な措置をとるようにということがうたわれておりますが、この法律の中にそう書いてあったからといって、すぐ若者の科学技術離れがおさまるとは思えません。むしろこの法案の中にうたわれてある趣旨、初めてこの法案によって日本の近代史の中でサイエンスに市民権が与えられるというその意味を、教育現場の方々があるいは社会の研究開発の管理に携わる方々が深く認識していただきたいというふうに思います。
 例えば子供の理科教育においても、私は四年半ほど沖縄にいたことがありますけれども、すべて全国共通の理科の検定教科書を使っていますと、一月の小学校六年生の理科の実験は、たとえ沖縄においても雪の結晶を観察するということになっております。むしろ一月の沖縄ですと、海の温度が十度以下になるとサンゴ礁の魚が凍死して浮き上がってくるとか、それから一番寒い時期には三日ごとにサトウキビの茎の中の糖の濃度が一%上がるというようなおもしろい現象がたくさんあるわけですけれども、そういうことは今の理科教育の中では教えられない。子供たちが、なぜ蛍は光るんだろうか、あるいはなぜ鳥は空を飛ぶのだろうか、そういうなぜと思えるような心が大事にされるような教育が大事ではないかというふうに思います。
 また社会の、特に民間の部門において研究者の処遇というのが非常に不安定でして、私の多くの友人、かつて民間の研究所で働いておりましたけれども、研究所に入ったはずが、その会社の業績の変動によって突然営業に回されるというようなことは日本では珍しい例ではありません。やはり研究者がその夢を果たせるように、安定した処遇のもとで、一生研究がしたいなら一生研究できるような環境を、民間と大学あるいは国の研究機関、それぞれの異なるセクター間での移動の自由を保障しつつ、そういう日本人の研究を志す頭脳が自由に躍動できるような条件を整えることが大変大事なことだろうというふうに思っております。
#27
○林寛子君 きょうは限られた時間でもございますし、超党派での提案ということでわずかな質疑時間しか与えられておりませんけれども、私は、きのうの衆議院の附帯決議案を拝見いたしまして、超党派であればもっとスマートな附帯決議案が出せなかったのかなという大変残念な、各党が言いたいことを列記しただけの附帯決議案ではないかと。議員立法で超党派であるならば、もっと私は附帯決議案らしい附帯決議案にしてほしかったなと思うことを、きのう衆議院の附帯決議を見て、これは感想でございますから今さら何を申すわけではございませんけれども、超党派の超党派たるゆえんというものをあの附帯決議からは感じられませんということをやっぱり一言申し上げておきたいと思います。
 そして私は、科学技術の政策というものは本当に長期的な計画であり、しかも、そのときの国際情勢あるいは世界じゅうとの比較あるいは政策の優先順位、そういうものを見ながら、しかもまだ、先ほどおっしゃいましたように、予算の確保はというお話ございましたけれども、予算だって当然単年度ではなくて長期継続で膨大な費用になることも確かでございます。
 しかも、今後も日本政府の行政が縦割りであることを是正されるような状況にあるとは思えない現状、そういう中で、私ども参議院は特に任期が六年でございますから、こういう長期的な科学技術政策というものに対しては、衆議院に先んじて参議院が先議として今後取り扱っていくべき大事な参議院の役目であろうと私は思います。
 また、今申しましたように、行政の縦割りが是正されるようなものが私ども国会議員の目から見て見えないという現状であるならば、少なくとも、国権の最高機関であるこの国会の中に総合的に研究や投資の重要性について監視をしたりあるいは見直しをしたりする、例えば、私も随分外国のあれを調べましたけれども、アメリカのOTA、技術評価局のようなテクノロジーアセスメントというものを設置すべきで、そして、この基本法に対して行政がどの程度実行していけるか、また今後のためには実行しなければならないか、そういうものをこの国会の中に設置することを、時間でございますから答弁は結構ですけれども、促進するということを、私は、皆さん方と協力して今後やっていくべきであろうということを提言申し上げて、質問を終わります。
#28
○川橋幸子君 社会党の川橋と申します。与えられた時間、十五分間でございますけれども、何点か質問させていただきたいと思います。
 もう既にお二人の委員の方々から、なぜ今基本法なのかとかなぜ閣法ではなくて議員立法であったのか、それぞれ質問がございまして、それぞれ御答弁をちょうだいしているところでございます。私もそういう同じ思いを持ちながらも、議員立法で、しかも四党の間でいろいろなお話し合いをなさって妥協点を見つけられてここまでおまとめいただきました提案者の皆様方に、大変感謝と御礼を申し上げたいと思います。ということを前置きにいたしまして、質問させていただきたいと思います。
 提案理由の中にも、キャッチアップから今度はフロントランナーになるんだ、未知の分野に挑戦して創造性を最大限に発揮していきたいと、こういう趣旨が述べられているわけでございます。今まで、日本ではキャッチアップ型に偏っていたせいでしょうか、模倣はうまいけれどもオリジナルが少ないというようなことを言われがちでございました。今回、この基本法はそういう意味で今までの日本の科学技術に対する姿勢を一段と飛躍させたいと、そういうお気持ちではないかと思います。
 さて、この法案の中では、こうした研究者の創造性、自主性というものはどのように位置づけられてうたわれているのでございましょうか。
#29
○衆議院議員(今村修君) これまでもそれぞれ議論されてきたわけでありますけれども、私どももこの研究者の自主性、創造性を尊重することがこれからの日本の科学技術にとって大変重要だと思っているわけであります。
 振り返ってみると、ノーベル賞が創設をされて今日まで、自然科学でノーベル賞を受けたのが世界的に四百二十人いる。しかし、日本人が受賞したのはわずか五人だけだ、こういう結果になっているわけであります。ここに日本の抱えている科学技術の悩みがあるのではないか、こう私自身思っているわけであります。
 そういう点では、今後、我が国はみずから未開の科学技術分野に挑戦をし、創造性を発揮して未来を切り開いていかなければならない。そのためには、科学者の自主性、創造性を尊重するということが最も大事だ、こう思っているわけであります。
 この基本法の第二条において、科学技術の振興は、研究者及び技術者の創造性が十分に発揮されることを旨として、積極的に行われなければならないこと、同時に第六条においても、大学等に係る施策の策定等に当たっては、研究者等の自主性の尊重その他大学等における研究の特性に配慮しなければならないことを定めており、御指摘の研究者の自主性、創造性の尊重、その考え方を私どもはこの法律の中に織り込んでいるわけであります。
 御理解のほどお願いを申し上げたいと思います。
#30
○川橋幸子君 条文のようにしっかりと位置づけられているということでございますが、ぜひこの法律の施行に当たっては、科技庁におかれましてもこうした自主性、創造性というものを最大限に引き出されるように施策に反映していただきたい、これは要望でございます。
 さて、二点目の質問でございますが、今の自主性、創造性と同じような発想でさらにお伺いしたいと思いますけれども、自主性、創造性というのは、ちょっと枠を外れて変わっている研究というんでしょうか、万人が、これが役に立ちそうだとマジョリティーが認めることではなくて、ごく少数の方が熱心にやっていて、きっとそれが思いがけない発見、新しい発見に結びつくということではないかと思います。
 社会党の方では、今回のこの法律案、議員立法の法律案に対しまして、一見すぐに役立ちそうに思われないようなそんな分野であっても軽視しないでほしいと。今までのキャッチアップの社会の中では、どちらかというと実用性ということが尊重される。それはそれで必要なことかと思いますが、やはりこれからフロンティアに挑戦するには、すぐに役立ちそうにないもの、つまり非常に基礎的な研究分野、これが日本では欠けている、おくれておったと言われるところでございますので、そういうものを、日本の社会のといいますか、人類の知的資産というような言葉がございましたでしょうか、そういったところに役立てたいと、こういう法律の立て方のようでございますが、具体的には法律の中ではどのようにこれが述べられているということになるのでございましょうか。
#31
○衆議院議員(今村修君) 御指摘いただいた点も私ども大変苦労した点であります。
 今の国の予算制度でいきますと、具体的な成果の出てこないやつに予算がつかぬという形になっているわけであります。この課題を今度は基本計画の中でどう消化するか、これがまた一つ大きな課題になるわけであります。
 同時に、御指摘をいただいたように、世界の科学技術の歴史を振り返ってみるときに、一見何にも役に立たないようないろんな現象の中から新しい発見、発明がなされてきたという歴史がある。そういう点では、私どもは、すぐに役立ちそうにもない分野であっても、今度の計画の中で芽を摘むことがなくて芽をどんどん広げる、こんな形で基本計画の中に盛り込まれていくようにぜひとも努力していただきたいものだと思っているわけであります。
 そういう点では、第十条において、広範な分野における多様な研究開発の均衡のとれた推進に必要な施策を講ずる、このことを定めているのも、特定の重要な科学技術分野のみを重視するのではなく、広範な分野で多様な研究開発を推進することにより将来の科学技術の発展の芽を摘むことがないようにと、私どもの考えを盛り込んだものであります。
 御理解のほどをお願い申し上げます。
#32
○川橋幸子君 この法案に対しまして社会党の方でもう一点強く要望いたしましたのは、日本国憲法の理念がこの中に生かされてほしい、軍事目的の研究開発を規制しまして平和あるいは民需への転用、こちらの方を促進するようにということを要望させていただいたわけでございます。
 先ほど尾身先生のお話でございますと、日本国憲法のもとに体系づけられる基本法であるから当然憲法の理念、これは尊重されるものだという御説明がございましたことと、衆議院の中では附帯決議としてそうした趣旨のことが盛られておる、そのようにお話がございまして、この法律が成立した場合、参議院におきましても同様の決議を私は諸先生方に御賛同いただけないものかと思っているものでございます。
 先ほどノーベル賞の受賞者の数が非常に少ないという今村先生のお話が出ましたが、ちょっと話題提供の意味もありまして、私はきょう、最近読みました本の中から興味を感じましたものをここに御紹介させていただきたいと思います。
 湯川秀樹さん、ノーベル物理学賞をおもらいになりまして、ちょうど昭和三十年代の後半でございましょうか、戦争の荒廃から立ち直って日本人がこれから日本もキャッチアップできるというんでしょうか、非常に夢を与えてくださった科学者、サイエンティストでございます。科学者であると同時にさまざまな社会的な貢献活動をなさったわけでございます。この方が、一九六二年でございますから昭和三十七年、大分前の、三十年以上前の論文でございますが、大変今でも新鮮に生き生きと感じる論文がございます。
 タイトルは「枠からばみだした科学者」と、こういうタイトルでございます。枠からはみ出したというのは、きっと非常にもっと創造的、グリエーティブな部分に科学者の役割があるんじゃないかということを強調された。それとともに、アルキメデスの昔から二十世紀に至るまで、科学者というのは軍事研究をするのが当たり前といいますか、当然といいますか、そういうテクノロジーといいますか、役割を持っているわけです。でも、逆にこれからは軍縮をする方に科学者の知恵を生かすことも大切なんだ、それも一種の軍事研究なんだと、そういう意味で「枠からはみだした科学者」というタイトルで、今でも大変新鮮に感じられる、こういう論文があるわけでございます。
 さて、国連も五十周年を迎えました。これからの世界というのは、やはり平和といいますか、科学、テクノロジーの使い方について人類のモラルというものも生かしていくことが非常に大切な世の中になっているかと思います。そこで、その点について、附帯決議での処理は伺いましたけれども、提案者のどなたでも結構でございますが、お答えいただければありがたいと思います。
#33
○衆議院議員(尾身幸次君) 科学技術基本法は当然に我が国憲法の傘のもとにあるわけでございまして、この法案の中に殊さらそのような条文を入れなかったものでございます。
 もとより、この基本法に基づき科学技術振興に関する施策を展開するに当たりましては、日本国憲法の理念であります平和国家の立場を踏まえ、進んで全世界の科学技術の発展と国際平和に資するよう努めることが重要であるというふうに考えている次第でございます。
#34
○川橋幸子君 私の持ち時間、まだ少々、三分ぐらいあるのでございます。通告していなくて大変恐縮なんでございますけれども、今のような科学と平和というんでしょうか、人類のこれからの進歩に役立つという点から、行政の担当大臣からも二言いただけるとありがたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#35
○国務大臣(浦野烋興君) ただいま尾身提案者が答弁をされましたけれども、まさに基本法も我が国の平和憲法のもとに成り立っておるものでありまして、この基本法をもとに、私ども科学技術庁は省庁の一つといたしまして真剣に取り組んでまいるわけでありますけれども、憲法の理念を踏まえて平和に徹するという姿勢の中でやってまいりたいと思っております。
#36
○川橋幸子君 ありがとうございました。
 終わります。
#37
○阿部幸代君 日本共産党の阿部と申します。
 日本学術会議は、一九六二年に科学研究基本法の制定について勧告し、その後も一九六九年、科学技術に関する基本法等の制定について、一九七六年、再び科学研究基本法の制定について勧告し、その他の学術研究団体もこの種の提案をしてきました。ところが、政府は一九六八年以後ただの一度も提出していません。私は、このように政府が学術会議を無視し科学技術研究の振興に対して後ろ向きの姿勢をとってきたことは怠慢ではなかったかと思います。この点を最初に指摘して、法案に則して以下質問をいたします。
 第一条の括弧の中で、わざわざ「人文科学のみに係るものを除く。」としており、第二条第二項では、「自然科学と人文科学との相互のかかわり合いが科学技術の進歩にとって重要である」としています。これは結局、人文科学を単なるつけ足しと見る軽視ではないでしょうか。これでは調和のとれた科学の発展は望めないと思うんです。日本科学者会議第三十回定期大会決定が言うように、社会科学、人文科学を含む科学技術のバランスのとれた発展こそが人類の進歩にとって大切なのではないでしょうか。このことは、日本学術会議はもとより、新聞各紙でも指摘をされています。
 また、日本経済新聞九五年三月十八日付の社説では、「日本が尊敬に値する国になるには、豊かな文化を持つ国になる必要がある。基本法では、科学技術の文化的側面を強調すべきであろう。」と述べています。こうした指摘にも留意する必要があるのではないかと思うんですが、この二点について、提案者に伺います。
#38
○衆議院議員(渡海紀三朗君) 先ほどもこれは議論となったところだと承知をいたしておりますけれども、本法案の中で、特に先ほども尾身提案者からも御説明がございましたように、法律上人文科学を除くと。人文科学といいましても、自然科学とは直接関係をしない人文科学、こういった概念で法律はつくらせていただいております。
 しかしながら、委員御指摘のように、関連が非常にあるというものもたくさんあるわけでございまして、そういった分野について、例えば人工知能なりそういったものは言語学なりそういった人文科学系のさまざまな学術研究とも関連を持っておるわけでございますから、当然そういったものは本法案の対象になり得るというふうに考えているところでございます。
 基本計画をつくるということを非常に重要視しておりますけれども、ある意味、学問の性格上、例えば計画的、総合的に施策を推進するといったようなことが必ずしもなじまないような学問もあるというふうな認識もいたしておるわけでございまして、そういった点をぜひ御理解いただきたいと思います。
 ただ、つけ加えさせていただきますが、先ほどから御議論がございますように、人文科学が自然科学の分野に果たした役割、これも非常に大きいわけでございますし、また特に、先ほど肩先生も御指摘をいただいたわけでありますけれども、科学者、研究者を育てるといった意味で、やはり自然との調和とか社会生活との調和とか、そういったことを考えました場合に人間の問題というのは大変重要な問題だと、これは鮫島さんからもお答えをさせていただいたところでございます。
 そういったことを考えてこの第二項に、そのような項目を特に前に持ってきて我々自身もしっかりと打ち出させていただいた、法案の中でそういうふうな位置づけを補強させていただいたというのがこの法案の趣旨でございまして、きっちりとその重要性を認識しているという意味において、私は必ずしも人文科学を軽視しているという御批判は当たっていないのではないかな、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#39
○衆議院議員(鮫島宗明君) 科学技術の持つ文化的側面あるいは文化としての科学技術というものをどう考えているかという御質問だと思いますけれども、私ども科学技術というのは、科学と技術というふうに一言ではなくて二つの領域を示すものと考えていまして、科学するということは人類の知的フロンティアを拡大する営み、それから、技術開発については人類の産業フロンティアを拡大するための基礎となる営みというように考えますと、それぞれの領域において文化的側面は大変大きいものだというふうに考えています。
 例えば、ニューミュージックと呼ばれている世界は、電子技術の進歩どまさに表裏一体の世界ですし、新素材の開発がこれまでは想像できなかったようなデザインを持った自動車とか建造物の建設を可能にしていく。つまり、文化が技術を育てる、また技術が文化を育てるという側面がこういう技術開発という領域においてもあるのではないかというふうに思っています。
 また、科学することによる人類の知的フロンティアの拡大は、例えばライフサイエンスの世界で言えば、人類の遺伝子の中には生物の進化の記憶がすべて刻み込まれているというようなことを人類が認識することによって、自然観、地球観、生命観というものがまた新たな豊かさを持つことができ、それは文化を育てるという意味にも大いに関係するのではないかというふうに思っています。
 それを文言としてあらわしたのが、第二条における人間の生活、社会及び自然との調和を図りつつ科学技術を振興するという表現でありますし、また別の言い方をすれば、世界の科学技術の進歩と人類社会の持続的発展に貢献するためにこの科学技術を振興するのだというように表現されているというふうに御理解いただきたいと思います。
#40
○阿部幸代君 科学と技術の研究推進の計画は、本来、科学研究の論理に従って学問研究の自由と自主性に基づいて策定されるべきものですが、法案では、政府が科学技術基本計画を策定するとしています。その内容として、第九条第二項第一号で「研究開発の推進に関する総合的な方針」だとしています。第六条の研究者の自主性を尊重するというこの立場からも、個々の研究内容まで踏み込むようなことを基本計画で定めてはならないと思いますが、どう考えますか。
 また、既に衆議院でも論議がありましたが、研究者の自主性を尊重するためにも、科学技術基本計画を策定する際に、日本学術会議等の学術研究団体の意見を十分くみ上げる努力が必要だと思いますが、いかがですか。提案者に伺います。
#41
○衆議院議員(今村修君) 御指摘をいただいた学問の自由を阻害したりあるいは研究者の自主性を阻害するということが、この法律がつくられたことによってあってはいかぬと、私どもはそう思っているわけであります。
 私どもは、日本の科学技術振興のために、この基本計画については、昨日の附帯決議の中で、「十年程度を見通した五年間の計画とし、」、その策定に当たっては、「当該基本計画に基づき、我が国が科学技術創造立国を目指すため、政府の研究開発投資額の抜本的拡充を図るべく、当該基本計画の中に、例えば講ずべき施策、規模等を含めてきるだけ具体的な記述を行うように努める」べきだと、こう考えているわけであります。
 ただし、研究者の自主性の尊重、その他の大学等における独自の特性を踏まえ、大学等における研究の内容面に関しては基本的な方向の記述に心がけるなど記述ぶりをよく検討してもらう必要がある、こう考えているわけであります。いやしくも学問の自由、研究者の自主性を損なうことがあってはならぬ、こういう立場は同じであります。
#42
○衆議院議員(尾身幸次君) 学術会議との関係についてお答えを申し上げます。
 科学技術会議におきまして基本計画の審議を行うに当たりましては、産官学の各界から有識者を集め、その英知を結集して計画を策定するということにしているわけでございます。学術会議に関しましては、学術会議の会長が科学技術会議の議員となっておりまして、この会長の発言等を通じましてその意見が十分反映されるように対応しているところでございます。
 なお、この科学技術会議の部内に日本学術会議連絡部会というのがございまして、より太いチャネルで学術会議の関係の皆様の御意見も基本計画の中に反映されるよう、また、もとより学術会議に限らず、関係方面の有識者の御意見が十分反映されるよう配慮しているところでございます。
#43
○阿部幸代君 教育に関してですが、私は、若者の科学技術離れ、またオウム教団の野蛮な行為の数々に科学技術の高等教育を受けた多数の若者たちがかかわっていたというこの事実、これらは日本の科学技術教育に大きな警鐘を鳴らしていると思います。対応を誤れば事態はさらに深刻になるんではないかと懸念をしています。
 基礎研究の充実なくして、また人文科学、社会科学、自然科学の調和のとれた発展なくして科学技術の進歩があり得ないということは既に申し上げましたが、青少年の教育も基礎学力をしっかりと身につけさせ、人格の全面発達を保障する方向へと再検討が求められているのではないでしょうか。
 具体的に申し上げます。私、文教委員もやっていますが、今日の学校教育における理科、数学の実態を見てみたいと思うんですけれども、子供たちは大変な困難を強いられているんです。算数の学習です。かつて小学校六年生が学んでいた、ミリリットルを今小学校二年生が学んでいます。
 次のような問題があるんです。「一デシリットルの升の二目盛りまで水が入っています。さて、この水のかさは何ミリリットルですか。」、大人でも即答できない人は案外多いんではないかと思うんです。理科も同様で、低学年の理科はなくなり、社会科と一緒になって生活科、心の教育に変えられました。
 発達に即して楽しく学びながら、しかも基礎的な学力を身につける、こういうことが軽視をされているんです。これからも科学離れが出てくるんではないか、ここにその大もとがあります。理科系がだめなら文系もある、芸術、スポーツもあるといって、いわゆる個性尊重の名で基礎学力を軽視すれば全面的な発達ができなくなるんです。こういうことが小さいころからやられています。この辺の検討が求められているのではないでしょうか。提案者に伺います。
 また、科学技術庁長官に、この基本法はもとより、科学技術行政を進めるに当たっては、学問、研究の自由自主性を尊重し進めるべきであると思います。大変大事なことなので、決意的見解を最後に伺いたいと思います。
#44
○衆議院議員(鮫島宗明君) 空手の有段者が凶悪犯人を捕まえて、時には英雄になることもあれば、その空手の有段者その者が凶悪犯になることもある。その場合に、空手という技術がいいのか悪いのか、これはあくまでもその技術を使う主体の心の持ちようだというふうに思います。
 現在、オウム教団に理工系エリートがたくさん参加していることが問題になっていますけれども、実際の比率からいうと文科系の人の方が多いということがありますが、理科系の技術者が発揮する技術の持つ影響の大きさというのが今回特にクローズアップされたのではないかと思います。
 申すまでもなく、あらゆる科学技術は、もろ刃の剣といいますか、天使の武器にもなり得れば悪魔の武器にもなり得るという二面性を持っているわけであります。これは、必ずしもハードサイエンスに限らずソフトサイエンスについても、血圧の降下剤を高血圧の方に打てはそれは福音でありますが、血圧の低い人に打てはそれは創業にもなり得るという両面性はすべての面で持っております。今日、地球環境問題と言われていることも、全く私たちが理解していない科学技術の負の側面が総合されたものが地球環境の悪化ということにつながっているのではないかという認識も私どもは持っております。
 委員の御質問は教育全体のあり方に及ぶ質問でもありまして、この基本法の中でその要請に全部こたえるということは難しいと思いますが、特に大学の教養学部あるいは高等学校の教育課程において、私が今申し上げました科学技術の持つもろ刃の剣ということを、やはり歴史的な事実も踏まえて、理科を学ぶ学生生徒に早くから学ばせ、そして使い方を間違えるとその科学技術というのは大変恐ろしいことになるんだということをカリキュラムの中にも、また教える主体の側も強く認識して教育現場につなげていくべきだろうというふうに考えております。
#45
○国務大臣(浦野烋興君) 先ほどノーベル賞の受賞者の数のお話が出ておりました。せんだって私はスウェーデンを訪れる機会がございまして、ざっと人口八百万、我が国は一億二千数百万。スウェーデンという国は、自然科学の受賞者が十五名おられるそうなんですね。我が国は五名ということ。このことは、我が国にはすぐれた研究者もおるわけでありますが、これからのフロントランナーとして我が国の科学技術を考える場合、御指摘の、環境として恵まれた中で研究にいそしんでいただく、またゆとりを持って研究に取り組んでいただく、こういうような仕組みというのは科学技術庁としてもこれまでいろいろな施策を講じてきたところでありますが、今回の基本法が制定を見、そしてそれに基づいて、これまた提案者からお話がございましたけれども、産学官幅広い方々の英知を結集し、活発な議論の中で私は立派な計画がつくられるだろうと確信をいたしておるわけであります。そうした点で、自主性を尊重するという観点でも、先生の御指摘どおりのものが私は計画に盛り込まれるだろうと思っております。
 私どもは、行政の立場からこの計画に基づいて実践をしていくわけでありますが、我々といたしましても、自主性を大事にするという観点に立って施策の実行に取り組んでいきたいと思っております。
 以上です。
#46
○佐藤道夫君 最後になりましたが、私から二点ほどお尋ねさせていただきたいと思います。
 その前に、本法案の策定に当たられました提案者各位の御尽力に対しまして、本席をかりまして深甚な敬意と謝意を述べさせていただきたいと思います。
 最初に、本法案はまことに画期的な法案であろうかと思います。我が国の科学技術の前進に限りない影響を及ぼすものだろう、こう考えておりますが、それにいたしましても、この法案が今日までなかなか日の目を見なかったその理由は何であろうかということを考えておるわけでございます。
 科学技術庁が発足したのは昭和三十一年、それから昭和四十三年に政府側からこのような法案が提案されて、遺憾ながら日の目を見なかったというふうにも承っておりますが、その間、各省庁間のセクショナリズム、いろんな隆路もあったろうかと思いますが、いずれにしろこのような法案が今日ようやく提案の運びになった、まことに慶賀すべきことではありましょうが、今日まで日時がかかった理由はこれいかん、こういうことでございます。
#47
○衆議院議員(尾身幸次君) 昭和四十三年に政府提案されました科学技術基本法におきましては、大学における研究に係るものを対象から除いているという点と、これは今回も同じでございますが、人文科学のみに係るものを除くという内容になっていたわけでございます。
 この点につきまして、提案した当時、政府提案でございましたが、大学の自主性という点もございまして大学関係は除くべきであるという議論があって除いた案で提案したわけでございますが、提案をされてみると、除いているのはおかしいではないかというまた逆の議論もございました。そしてまた、人文科学の関係につきましても、人文科学の方がないがしろにされるのではないかという御意見がございまして、そういういろんな議論の中で、まとめてみますと、産官学共同研究についての特に学界関係者の間のアレルギーが相当当時強かった、そういうこともございますし、また、科学技術立国に対するいわゆるコンセンサスができていなかった点もありまして、結果として法案が成立しなかったという事情でございました。
 今般におきましては、先ほど来お話にございますように、大学の研究開発も自主性の尊重はしながらもこの法案の傘の下に入れるということでございますし、また、社会科学と自然科学の調和ある発展という点も法案の基本的な精神の中に盛り込みまして、そういう点で関係方面の御理解をいただいたところでございます。
 本店には我が自民党の前科学技術部会長の志村哲良先生もおられるわけでございまして、この法案の成立過程におきまして、参議院の皆様も含めまして関係方面大変御努力をいただいたわけでございます。
 このたびにおきましては、先ほど来お話にありますような、科学技術創造立国という方向に日本が行かなければ日本という国の将来がない、国土が狭く資源の乏しい日本がこれからも世界の一流国としてその方向に活路を見出して発展をしていこう、そしてまた、それと同時に産官学の共同研究などにつきましてもむしろ前向きに取り組んでいくべきである、そういう点についての国民的なコンセンサスができ、関係者及び各党の間でそういう意見のコンセンサスができましたことが本法案を提案できた大きなバックグラウンドであるというふうに考えている次第でございます。
#48
○佐藤道夫君 ただいまの問題は既にして克服済みであるというふうに理解させていただきたいと思います。
 最後に、第七条についてお伺いいたします。
 七条は、政府に対しまして法制上の措置、財政上の措置、金融上の措置等を要望しておりますが、政府といたしましてこれを受けとめてどのような法律を制定し、またどのような制度を考えていくべきなのか、提案者側の御意見とそれを受けとめての政府側の見解をお聞きしておきたいと思います。
#49
○衆議院議員(渡海紀三朗君) 御質問のございました第七条は、科学技術の振興に関する施策を実施するために必要な措置を講ずることを政府に義務づけるというものでございまして、他の基本法等にも多く書かれているスタイルでございます。
 簡単に解説いたしますと、法制上の措置というのは、法律案の作成及び国会への提出、また政省令の制定、こういうものを意味しております。財政上の措置とは、予算案の作成及び国会への提出なり予算の執行等が考えられるところでございます。また、金融上の措置というのは、いろいろな新しい技術なんかが開発されました場合のその開発に関する低利の融資等、そういったものが想定をされているわけでございます。
 今、お問い合わせの最後に、具体的に何らかの立法というふうなお話もあったわけでございますけれども、これは、この法律の中にもございますように、この基本法に基づき政府が中心になってこれから基本計画をつくっていくわけでございまして、その過程の中で必要なものを見きわめて、それをきっちりつくっていくというのが現在考えられることではないかなと。何となく想定されるようなものはあると思いますけれども、個々具体的に、例えば税法などの改正も場合によっては必要でございましょうし、その辺のところは今後の検討の中で私どもも責任を持って煮詰めていきたいというふうに思っているところでございます。
#50
○国務大臣(浦野烋興君) 政府といたしまして、この基本法が成立した暁におきましてこの計画が審議されていくわけでありますけれども、法そして計画、このことをしかと念頭に置きまして、これに即した、今も答弁がございましたけれども、税法上の問題も出てくるかもしれません、また予算上の問題等もあろうかと思いますが、こうしたところをしかと検討して、その対応をしてまいりたいと思っております。
#51
○佐藤道夫君 終わります。
#52
○委員長(長谷川清君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は終局したものと認めます。
 本案の修正について立木洋君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。立木洋君。
#53
○立木洋君 私は、科学技術基本法案に対し、日本共産党を代表いたしまして修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
 これより、修正案提出の理由及びその内容について御説明申し上げます。
 修正点の第一は、法律案の目的条項に平和目的を追加し、明記する点であります。
 この二十世紀を振り返ったとき、我が国と人類にとって科学技術の発展、進歩により国民生活は改善向上が大きかったことは言うまでもありません。同時に、二度にわたる世界大戦によって数千万人の生命が奪われ、我が国が人類初めての原子爆弾の惨禍を受けておることをも忘れることはできないのであります。
 このような深刻な歴史体験と教訓に立って、戦後五十年の年に当たり、本法案の第一条の目的条項に、人類のための科学技術の振興を図ることに関しては、平和維持が不可欠であることを想起し、平和目的を追加し、明記すべきであると考えるわけであります。
 修正点の第二は、政府が科学技術基本計画を策定するに当たって、日本学術会議やその他の学術研究団体の意見を広く反映できるようにする点であります。
 九条三項には、政府は、科学技術基本計画の策定に当たり、「あらかじめ、科学技術会議の議を経なければならない。」と規定しておりますが、科学技術会議の議長は内閣総理大臣であります。これではお手盛りの計画とのそしりを免れません。また、その時々の政府の都合によって内容が左右されることにもなりかねないのであります。
 日本学術会議法は、第三条で、「日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする。」と定め、その職務は政府から独立して行うということになっております。したがって、政府が科学技術基本計画を策定するに当たっては、日本学術会議やその他の関係学術研究団体の意見を広く聞くべきであるという点であります。
 以上が、修正案提出の理由及びその内容であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#54
○委員長(長谷川清君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  別に御意見もないようでございますから、これより直ちに科学技術基本法案について採決に入ります。
 まず、立木君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#55
○委員長(長谷川清君) 少数と認めます。よって、立木君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#56
○委員長(長谷川清君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 吉川芳男君から発言を求められておりますので、これを許します。吉川君。
#57
○吉川芳男君 私は、ただいま可決されました科学技術基本法案に対し、自由民主党・自由国民会議、平成会及び日本社会党・護憲民主連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    科学技術基本法案に対する附帯決議
    (案)
  政府は、次の事項について遺憾なきを期すべ
 きである。
 一 科学技術基本計画は、十年程度を見通した
  五年間の計画とし、科学技術基本計画を策定
  するに当たっては、当該基本計画に基づき、
  我が国が科学技術創造立国を目指すため、政
  府の研究開発投資額の抜本的拡充を図るべ
  く、当該基本計画の中に、例えば講ずべき施
  策、規模等を含めてきるだけ具体的な記述を
  行うよう務めること。
 二 我が国の研究開発における民間の果たす役
  割の重要性にかんがみ、科学技術基本計画に
  民間の研究開発について必要な事項を定め、
  その研究開発が促進されるよう所要の施策を
  抜本的に強化すること。
 三 独創的、基礎的研究の抜本的強化を図るた
  め、大学、国立試験研究機関等における研究
  者の意欲を引き出すための人材、資金、研究
  開発成果等に係る制度面での改善を行うこと
  により、柔軟かつ競争的な研究環境を整備す
  ること。
 四 日本国憲法の理念である平和国家の立場を
  踏まえ、進んで全世界の科学技術の発展と国
  際平和に資するよう努めること。
 五 科学技術基本計画の策定に当たって科学技
  術会議の責務が拡大することから、総合的な
  科学技術政策の立案とその強力な推進のだ
  め、科学技術会議の抜本的な充実と活性化を
  図るよう努めるとともに、科学技術の研究開
  発を所管する各省庁は、相互に連携を強化
  し、一致協力して本法の強力な推進を図るこ
  と。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#58
○委員長(長谷川清君) ただいま吉川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#59
○委員長(長谷川清君) 全会一致と認めます。よって、吉川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、浦野科学技術庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。浦野科学技術庁長官。
#60
○国務大臣(浦野烋興君) ただいまの決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、政府として科学技術創造立国を目指し、科学技術振興に関する施策の一層の拡充強化に努めてまいる所存でありますので、議員の皆様の御支援をよろしくお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。
#61
○委員長(長谷川清君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○委員長(長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#63
○委員長(長谷川清君) 次に、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#64
○楢崎泰昌君 自民党の楢崎泰昌でございます。
 先月の十月二十六日は原子力の日でありました。この原子力の日というのは、さてどうして決まったんであろうかといっていろいろお尋ねをしてみますと、これは日本で初めて動力試験炉が発電をした日であり、かつ我が国が国際原子力機関、IAEAの憲章に調印した日でもある、非常に意義の深い日であるというぐあいに承っております。
 このIAEAは、先ほどから平和という言葉が随分出てきましたが、世界の平和のために原子力利用を促進する機関として設定をされたものでございます。ことしの九月にIAEA総会がございまして、科学技術庁長官が政府代表として出席をされており、かつ世界各国代表のトップを切って演説を行ったというぐあいに承っているわけでございます。
 それで、先ほども申し上げましたように、IAEA総会は、平和利用のための原子力開発利用、これを推進するという我が国の基本的な考え方、方針を御説明する格好の場面であったというぐあいに思いますし、我が国の原子力政策についての理解を世界各国に求めていくという場面であったというぐあいに理解をしているのでございます。
 最初に、長官は政府代表としていかなることを各国に訴えられたか、御説明を願えれば幸いだと思います。
#65
○国務大臣(浦野烋興君) 楢崎先生おっしゃっていただきましたように、九月、IAEAの総会に出席をいたしまして、幸いにといいますか、百二十四カ国と思いますけれども、その中のトップを切って演説をするという機会に恵まれたわけでございます。
 この演説の中で、私がどこを柱として主張したかということでございますけれども、まずはNPT、核不拡散条約、これの無期限延長が本年決定いたしましたことを踏まえまして、核不拡散に重点を置いた主張をいたしました。特に核実験、御承知のとおり行われておるわけでありますが、このことにつきましては強く遺憾の意を表明し、実験の停止を要求いたしたところでもございました。また、原子力の平和利用を進めてまいります上で不可欠な原子力安全の確保、また放射性廃棄物の処理処分について国際的な取り組みの重要性を強調いたしました。さらに、核燃料リサイクルの確立、これは我が国の原子力政策の基本でございますけれども、この中のプルトニウムの利用計画の透明性の確保に努力をいたしておることを訴えたところでありまして、諸外国の理解を求めた次第でございます。
 この経験を踏まえまして、今後とも、核不拡散、原子力安全の確保などの点で国際貢献を図りつつ、原子力の平和利用の一層の推進に努力してまいる所存でございます。
#66
○楢崎泰昌君 晴れがましい舞台で演説をなさっていただいたわけですが、核不拡散、核実験の停止等々について、あるいは核燃料リサイクルの透明性について御議論をなさったというぐあいに理解をいたします。
 さて、各国の反応はいかがでございました。
#67
○国務大臣(浦野烋興君) 実は、IAEAの総会というのは、ちょっと余談めくかもしれませんが、昼食会というところで各国の首脳との意見交換の場がつくられておりまして、ずっと我が国がそのホスト役を務めておるというふうに、私は就任してまだ間がないので初めての経験なんですけれども、そう聞いておりまして、事務局長のブリックスさんあるいはアメリカのエネルギー省長官のオレアリーさん、女性の方なんですけれども、こうした方々と昼食を挟みながらの意見交換をさせていただきました。
 その中で、ホスト役というような立場もあったのでありましょう、その昼食会に来られる各国の首脳が、お世辞も半分ぐらいあったのかもしれませんけれども、いい主張だったよ、意見だったよということで、多くの首脳から握手を求められたということがございました。
 もう一つ、あるいは後の先生の質問の中にもございましょうか、オレアリーさんが私の演説の後に演説されまして、日本のプルトニウムの透明度の高さというものにつきましてはかなり評価をしていただいたところでございました。
 もう一点、その機会にブリックス事務局長さんとの会談を行ったわけでございますけれども、その中で、我が国の「もんじゅ」の研究につきまして、日本は大変努力をしている、やがてこの日本の努力が世界から感謝されるであろうというような、そうした言葉が述べられたということを御紹介させていただきます。
#68
○楢崎泰昌君 大変高い評価を得られたということのように思いますが、さて、それをさらに細かく御質問させていただきたいんです。
 核不拡散のことは当然のこととして、実は今、目の前にあるのがプルトニウムを一体どうするかという問題がこれからの原子力行政についての大きな問題点であるというぐあいに認識をしております。
 先般、新型転換炉ATR実証炉の計画が残念ながら中止をされ、後でまた詳しくお伺いしたいと思いますが、そのかわりに別の軽水炉が出たということで、世間一般の中にあるいはマスコミの中にはよく理解をしないで、核燃料リサイクル政策の根幹が崩れたのではないかというような印象が持たれているところでございますが、それについてはどのようにお考えでございましょうか。
#69
○国務大臣(浦野烋興君) 言うまでもなく、我が国はエネルギーの多消費国でございます。資源小国である我が国にとって限られたウラン資源を最大限に活用していかなければならぬと思うんです。
 もう一つ御指摘の廃棄物の処理処分、これもまた適切なものにしなければならぬわけでございますが、こうした観点からいたしまして、原子力発電所から発生する使用済み燃料を再処理いたしまして、回収したプルトニウム、ウランを再び燃料として活用する核燃料リサイクルというのがこれまでの我が国の原子力政策の基本でございます。
 ただいま先生がおっしゃったATR実証炉の見直しに当たりましては、経済性のみではなく総合的な判断をさせていただいたということでございます。時に経済性に力点が置かれているのではないかという御指摘もございますけれども、もとより経済性につきましても検討いたしましたが、それを含めた総合的な観点から計画は見直しをいたしたわけでございまして、結果としては実証炉計画というものを中止いたしました。しかし、高速増殖炉、再処理等の核燃料リサイクルの基本の堅持は、このことは原子力委員会におきましても再確認をいたしたところでございます。
#70
○楢崎泰昌君 ATRをおやめになって、そのかわりにABWR、改良型沸騰水型軽水炉というものを建設なさるというぐあいに思っております。一方、高速増殖炉「もんじゅ」の方ですね、先ほどお話に出ましたけれども、順調に送電を行っているというぐあいに承っております。したがって、核燃料リサイクルという点においては、現在現象的には十分配慮をしてやっておられるというぐあいに思っております、
 結局、我が国のプルトニウム利用について、国内外から随分いろいろな問題点が提起されているわけです。持ち込むこと自体も問題があるという話もありますし、持ち込むときの輸送経路についても問題があるというぐあいにいろいろ国内外に批判というんですか問題点が提出されている。これは、世界の中で我が国が最もプルトニウムを利用しようということについて、少なくとも現時点においては熱心な国であり、また積極的に取り組んでいるということに起因はするわけでございますけれども、先ほどのお話ですと、立派な「もんじゅ」の成功であるというぐあいに国際的に評価されたというお話ですが、残念ながら、それでもなおかついまだに懸念を抱く国が随分、随分というのか少しというのかよくわかりませんけれども、あるというぐあいに聞いているんです。
 国際的に我が国がそういう不信を抱かれないようにいろいろ広報活動、御説明等々なさらなきゃいけないわけですが、政府としては国際的に説得するどのような努力をしておられるか。またもう一つ、国民に対してそれをどのように説得なさろうとしておられるのか、御説明しようとなさっておられるのか、そこら辺のことをお聞かせ願いたいと思います。
#71
○政府委員(岡崎俊雄君) 先生も御承知のとおり、我が国は昭和三十一年に原子力研究開発利用に着手して以来、原子力基本法にのっとりまして厳に平和目的に限って進めてまいったところでございます。
 しかしながら、先生も御指摘のように、特に最近のプルトニウムを利用するに当たりましては、もちろんのこと核不拡散上の配慮が必要であるということからこの利用を円滑に進めなくてはなりません。その際、特に国内外の御理解を求めていくということがこれまで以上に求められていくものと認識をいたしております。
 このためには、何よりもまず安全確保やあるいは平和利用の実績を着実に積み重ねていくことがまず第一。第二点目に、適時的確な情報提供あるいは情報を積極的に公開していくことによってプルトニウム利用をめぐります計画の透明性を向上させていくこと。さらに第三点に申し上げたいことは、さまざまな機会を利用いたしまして、このような我が国の政策であるとか立場というものをできるだけ詳しく説明をしていくことが重要かと思っております。
 このような観点から、原子力委員会を中心といたしまして具体的な施策を講じておるわけでございますが、例えばその一つとして、昨年六月に原子力開発利用長期計画というものを策定したわけでありますけれども、その際も国民各層から広く御意見を賜ったり、あるいはこの長期計画策定の際に、外国の方からもいろんな意見を聞いた上で長期計画を策定いたしました。さらに、この長期計画におきましては、二〇一〇年までの我が国の将来のプルトニウム需給計画というものを公表いたしました。さらに、昨年の原子力白書におきましては、プルトニウムの我が国におきます管理状況をできるだけ詳細に公表いたしたところでございます。
 加えまして、このような我が国の実績を反映して、プルトニウム利用計画の透明性を向上するための国際的な枠組みづくりを今現在関係する七カ国で進めておるところでございますけれども、この国際的な透明性を高めるための枠組みづくりに我が国も積極的に貢献をしていきたいと思っております。
 このように、国内的あるいは国際的にこういう努力を積み重ねることによって、我が国のプルトニウム平和利用というものが内外の理解の一層の促進を促すような努力を引き続きしてまいりたいと思っております。
#72
○楢崎泰昌君 言葉で言えばそういうことになるんですけれども、問題はちゃんとした理解を得られるかどうかという問題なんですね。
 それで、プルトニウムの問題については安全管理の問題等々ございますけれども、やっぱり基本は、プルトニウムが日本に蓄積されて、それが原爆に利用されないか、すなわちプルトニウムの需給バランスがとれているのかということなんです。プルトニウムの需給バランスというのは、IAEAが厳重に監視をし、そして我が国がその優等生であることは言うまでもありません。翻って言うと、北朝鮮の問題についてもIAEAの査察が一体いつなされるのか、そういう不安を北朝鮮についても我々持っているわけです。日本の場合には、先ほど申されたように需給見通しについてしっかりしたデータを公表しておられるわけですね。
 ところが、さっきちょっとお話が出ましたが、原子力白書に我が国のプルトニウム需給見通しがきちっと書かれておりますが、これを読むと、一九九〇年代の需給見通し、これはほとんどプルトニウムありませんからこんなことでしょう。それから二〇〇〇年から二〇一〇年の問題、これも「もんじゅ」等と高速増殖実証炉等々についてこうだということが書かれておりますが、そうかなと。それで、累積需給があるわけです。それを見ていると、二〇一〇年までの累積の回収量、そこら辺が一体どうなるのかというのはちょっとあいまいなような気がするんです。「基本的には、海外でMOX燃料に加工した後、我が国に返還輸送され、全炉心MOX−ABWR及び軽水炉で利用する。」と書いてありますね。これは恐らくまじめにそのとおりお書きになり、そのつもりでおられるんでしょうけれども、そこら辺のところがちょっとあいまいなような気がするんです。
 現在、軽水炉でプルサーマルというような形で相当のプルトニウムが使用されることになっており、さらに、それが開発されて現在三分の一であったものが三分の三までなるというような御説明は承っていますけれども、この計画では相当の軽水炉がプルトニウム燃料を使用して発電をするという計画になっているように思いますが、そこら辺はしっかりした目算ないしは研究というのは行われているのでしょうか。まずは、その行われているということをいろんな場面で御説明が十分なされているのかどうか伺いたいと思います。
#73
○政府委員(岡崎俊雄君) 先生御指摘のとおり、ことしの白書におきましても我が国のプルトニウムの需給見通しというものを掲載いたしてございます。この需給見通しは、国内の再処理工場で発生するプルトニウムと、それから今はイギリス、フランスに再処理を委託してございますので、そこから発生しますプルトニウムと、確かに分けて書いておるわけでございます。
 他方、それに対しまして需要につきましては、どのような形でプルトニウムを利用していくのかということにつきましても、一九九〇年代後半までの分、それから二〇〇〇年から二〇一〇年までの分、このような区分に分けましてそれぞれのアイテムごとに年間どれぐらい処理をしていくか、あるいは累積としてどれぐらい処理をしていくかということを書かせていただいておるわけでございますが、特に今御指摘の、海外の再処理によりまして回収されるプルトニウムにつきましては、これから二〇一〇年ぐらいまで約三十トンございます。この海外で発生しますプルトニウムにつきましては、基本的には海外でいわゆる軽水炉用燃料の形で加工をいたしました後にこれを日本に持ち帰ってくる、このような計画にしておるわけでございまして、その裏づけとなります軽水炉におきますプルトニウム燃料の利用につきましても、先ほどの長期計画の中で今後の計画を明らかにしておるわけでございます。
 ただし、先生も御指摘のとおり、あくまでもこれはまだこれからの計画でございます。したがって、例えばプルトニウム利用計画もこの計画どおり進まないという可能性ももちろんあるわけでございますので、そういった点につきまして、今後この需給計画というものは、その時々に応じて見直しながら需給計画をきちっと立てていくということがこの需給見通しの中にも明らかに書いてございます。したがって、このように書いたから無理やりこう進めるというわけでもないし、かといって現実にこの計画にそこを来しておるときにはもちろんきちっとこの需給見通しを見直していくと、このような方針で臨んでいきたいと思っておるわけでございます。
#74
○楢崎泰昌君 そういうことだと思うんですけれども、どうもこの書き方がちょっとあいまいとして、いや、見直して何とかというものがあるものだからどうも歯切れが悪いですね。もう少しやはり、こういう計画なんですと、ただし、それは技術の開発で変わることもありますよというならわかるんだけれども、技術の開発の方が先に出ちゃって、言ってみれば非常に正直に書かれたということかもしれません。しかし、私どもとしては、プルトニウムの需給見通しというのは非常に大事だというぐあいに思っていますから、そこら辺はやっぱりはっきり議論なさった方がいいんじゃないでしょうか。そのようなことを思っております。
 それから、つい最近、新聞を見てみると、二十一世紀に向けて開発途上国というのが、これからどんどんエネルギー需要が増大をしていくわけですね。人口増加あるいは生活水準の向上によって、ちゃんとはかったわけじゃありませんけれども、世界全体のエネルギー需要は二〇一〇年には現在の一・五倍になるんだというようなことが言われているわけでございます。特に、世界人口の半分を占めるアジア地域でのエネルギー需要というのが急速に大きくなってくる。どうしてもエネルギー需給の安定強化というものがこれからの開発途上国にとって必要になってくるというぐあいに思われているんです。
 しかし、そうはいっても石油、化石燃料というのは有限でもありますし、既に東南アジアあるいはアジア地域にとってみましても、中国あるいは韓国において原子力発電の取り組み方が進んでいますし、また、インドネシア等においても研究・実証炉をつくっていく、このような情報にも私ども接しているわけですが、こういうようなアジアの諸国における原子力開発利用への関心の高まりに対して、日本としては基本的にはどういうぐあいに物を考え、どのように対処していくというぐあいに思っておられるか、お伺いをしたいと思います。
#75
○国務大臣(浦野烋興君) 先生御指摘のとおり、東南アジア諸国におきましては原子力発電に向けて非常な高まりを示しつつある昨今でございます。私の認識によれば、先生も化石燃料とおっしゃったわけですけれども、世界においては、石油が四割で石炭が三割、ちょっとアバウトな数字です、それから天然ガスが二割。現段階では原子力というのは七、八%ということなんです。アジア諸国は急速な目覚ましい経済発展を遂げておるという中で、エネルギーの需要量はもう飛躍的に伸びることは必至でございます。一方、化石燃料というのは有限であることは言うまでもない。あわせて環境問題という観点からいたしますと、やはりこれらの諸国も原子力、そうした点での志向を強めていくだろうと思っております。
 こうした点を既に政府といたしましても踏まえておりまして、平成二年から毎年これは三月なんですけれども、既に六回、アジア地域原子力協力国際会議というものを開催いたしておりまして、その結果を踏まえまして、原子力委員会といたしましては研究炉の利用、放射線利用、原子力の安全性、それから国民的な理解、こういった分野について積極的な協力というものを行っております。
 引き続いて、我が国といたしましては、これまでの我が国の経験も踏まえまして、その技術的な面でも人材の育成あるいは技術基盤の強化、制度面の整備、こうした点を重視しまして協力を強化していく必要があろうかと思っておるわけでございます。
 ただ、もう一言だけ申し上げさせていただきますと、これは協力をいたしますが、あくまで安全ということがまず大前提でございまして、あわせて、先ほど来お述べになっておられる核の不拡散の問題、協力をする中にもこうした点につきましては十分留意をしながらやってまいりたいと思っています。
#76
○楢崎泰昌君 最後に言われた点が非常に大事だというぐあいに思っております。我が国は、原子力については先進国でもあり、従来原子力の安全性について非常に強い関心を示してきた国でございますから、いろんなアジア諸国における原子力の開発、原子力発電についての需要というのは高まってくると思いますけれども、ぜひそのような観点から協力をしていっていただきたいと思います。
 さて、ちょっと場面を変えまして、先ほど本委員会において科学技術基本法が成立というんですか、この委員会としては可決をしていただきました。大変ありがたい方向であり、そのような方向を進めていかなきゃいかぬというぐあいに思っておりますが、我が国の研究開発の現状というのは大変やっぱりお寒いというのか、そのような現状であるように思っているんです。ただ、ことしの補正予算で戦略的基礎研究推進制度というのを始められている。来年は百五十億ぐらいの予算要求をしているというぐあいに伺っていますけれども、その構想とねらい、そういうものを若干お示しいただけますでしょうか。
#77
○国務大臣(浦野烋興君) 科学技術基本法、これが先ほど成立を見まして、私ども科学技術庁といたしましては大変心強く、またありがたく思っておるわけです。基本計画が審議され、私どもも重い責任を強く感じておるところでありまして、その中でフロントランナーとなるというところから、独創的、基礎的な研究に力を入れていくということになるわけでございます。
 そうした点につきましては、私なりに、これまでは諸外国から種あるいは苗というものを持ってきた、これを花開くものとして我が国でそれに改良を加えてきた、そうした点で世界で最もすぐれた製品をつくれる国になった。しかし、五十年たってみて、もうもはや諸外国を頼りにする状況にはなくなってきた。ゆえに我が国独自のしっかりとした科学技術政策を持ってやっていかなければならぬわけだろうと、そのように認識を持っておるわけであります。
 そうした点で、先ほど委員がおっしゃいましたような戦略的基礎研究推進制度、こうした一つの仕組みを考えておりまして、来年度予算には百五十億を要求しておるところでありますが、既に今回の第二次補正で五十一億の予算を獲得いたしておるところでございます。
 この仕組みは新しいものでございますけれども、これは特殊法人でございます新技術事業団の担当する事業と相なっておりまして、これはすべての大学あるいは国立試験研究機関、こうしたものに対して門戸を開くという形をとっておるところであります。今後、我が国において重点的に進めるべき研究領域において大学とか研究機関等から研究テーマを公募することにいたしておりまして、各大学の研究室あるいは研究機関等々から公募する中で、これはすぐれたものである、こう認知をいたしたときには、これに対して補助金という形で出すわけでございます。こうした中で、基礎的、独創的な研究テーマに対してそうした助成をすることによってすぐれた成果が得られるというものを期待しておるところでございます。
#78
○楢崎泰昌君 私は、この予算案の構想というのは大変興味深く見ているんです。科学技術庁がやっておられる中で、きょうはちょっと質問をしませんけれども、重粒子放射線ですか、重粒子によるがん治療研究、これなんかもすばらしいことだというぐあいに思っています。今回のこの政策は、うまく運営されればという限定をつけますけれども、大変すばらしいことだと思っています。
 実は個人的な話ですけれども、今おっしゃいました新技術事業団、これに私の親類というんでしょうか、よく知った人間が昔行っていました。今じゃありませんが、昔行っていまして、これ何やっているのかなと思ってみると、千万円単位で委託研究をやっている。それも基礎研究的なものじゃなくて応用的な研究をやって、なかなか成果が上がらないので大変だなと、随分議論をしたものでございます。
 また、国立の研究所その他においても、実は、研究費というのもいわゆる人単と称しまして、一人当たり幾らというような研究費を予算でつける。それに対して、それだけじゃとても足らないものだから、特別の研究テーマをこしらえて、この機械欲しいよといって予算をもらうというようなことの繰り返してございまして、なかなか成果が上がらないというようなことを経験いたしております。
 今回、数億円というオーダーを単位にして研究テーマを公募し、そしてやられるというのはすばらしい施策であるというぐあいに思います。ぜひ成功していただきたいんですが、ただ、まあどんな分野か、新しい分野だといってもなかなか香りが出てこないんですけれども、どんなことを想定しておられるか、どんなことを考えておられるか、どんな分野を考えておられるか、どんな分野が出てくるのか、ちょっと御説明をいただければ幸いでございます。
#79
○政府委員(工藤尚武君) 今の先生の御質問にお答えする前に、大臣の先ほどの答弁に若干技術的な補足をさせていただきますと、これは新技術事業団への出資金を財源とする制度でございますけれども、そこから大学、それから国立試験研究機関に対しまして共同研究あるいは委託研究という形で、大体一テーマ当たり一年間で二億前後の研究費をもって研究を行う、そういうことを現在考えているわけでございます。
 それから、今先生おっしゃいましたテーマ、分野でございますけれども、これはこれから科学技術会議のもとに学識経験者から成る懇談会を設けまして、そこでいろいろと助言をいただきまして決めていきたいと思っております。
 現在私ども考えておりますのは、大きく申し上げまして生命科学あるいは遺伝子工学、免疫学、そういったいわゆる生命体の分野が非常に一つの有力な大きな分野であろうかと考えておりますし、また物質でありますと、非常に極微小の領域の物質の解明、あるいはごく短時間に物質がどう動くかといった、そういった物質についての一番最先端の分野、それから場ということで極限環境、いろいろな宇宙空間とか、そういった極限的な環境における物質や生命体の動き、そういった分野を中心にやっていけばいいんではないか、これまでいろいろ研究者の方々、学識経験者の先生方に御意見を伺った結果としては、今そういうことを考えておりますけれども、これからさらにそういった懇談会の御意見を聞いて決めていきたいと考えております。
#80
○楢崎泰昌君 御成功を祈って、質問を終わります。
#81
○山崎力君 新進党の山崎力でございます。
 さきの七月の選挙の際の初当選組でございますし、委員会の質問というのも初めてでございますので、未熟な点とかあるいは今まで既に論議済みで解決済みというような点も若干あるかもしれませんが、その点はお許し願いたいと思います。
 科技庁の一番の問題、課題である原子力行政に関してこれから若干質問させていただきます。
 まず、この問題の大前提としては何より安全性の確保というものがございまして、これを抜きにしてはすべての問題は前に進まない。それを前提とした上で、今後の問題としてですが、これから若干経済性というものも考えていかなければいけないのではないだろうか。その際、いわゆる政府側、科技庁側と、若干前に楢崎委員の方からも出ましたけれども、いわゆる民間側といいましょうか、そういった側とのすり合わせ、情報公開というものがこれから国民に対しての理解を得る上で必要になってきたんではないかという問題意識を持っております。
 そういう観点からこれから若干進めていきたいと思いますが、まずそれとはちょっと違うんですけれども、今問題になっております熱核融合の問題、この実験炉を国際協力として我が国に誘致するやの報道その他がございます。我が国を初めアメリカ、ロシア、欧州といったところで国際協力をして核融合の研究を進めようということだそうでございますが、その際の我が国政府としての基本姿勢、それからトリチウムを取り扱うという観点からの安全性の確認の問題、そしてこれからの見通せる範囲のスケジュールというものをお伺いしたいと思います。
#82
○国務大臣(浦野烋興君) 安全等につきましては、若干技術的な点がございますので局長の方から答弁をいたしますが、核融合、これは科学技術庁としてというより政府といたしまして、二十一世紀のエネルギー問題の解決に大きく貢献する、この認識からいたしまして、このITER計画には積極的に取り組んでおるところでございます。現在の段階におきましては、工学設計活動、これは七月末に設計の中間的報告書案が提出されておるところでございます。
 お話しのとおり、今四極で共同して研究を重ねておるところでありますけれども、来年に至りまして、来年初頭からできるであろうと思っておりますけれども、その建設に関しての協議を進める段階に入っております。
 あと局長の方から補足させていただきます。
#83
○政府委員(岡崎俊雄君) 核融合の安全性につきまして技術的な問題を少し御説明させていただきたいと思いますが、もちろん核融合反応といえども、放射線であるとか放射能であるとか、こういう点もございますので、この安全性についてはもちろんのことながら十分注意をして取り扱っていかなければならない、このように基本的には考えております。
 しかしながら、幾つかの点を申し上げたいと思いますが、第一点目は、いわゆる固有の安全性と申しますでしょうか、いわゆる核融合反応を起こさせる燃料の供給を、外から供給してやるわけでありますけれども、その供給を停止すれば速やかに核融合反応が停止をするという点であるとか、あるいは核融合反応そのものの性格上、制御が不可能となるようないわゆる暴走的なそういう反応というのは非常に起こりにくいと、こういう本来持っている固有の安全性というのがございます。
 それから第二点目が、先生も御指摘のトリチウムというものを燃料として使用するわけでございますが、もちろんこのトリチウムは放射線を出すわけでございますけれども、その発生する放射線というのは大変弱い放射線でございますので、したがって、遮へいというものに十分考慮さえ払えればこの放射線というものを十分防護することができる、あるいはこういったトリチウムの取り扱いについて適切な閉じ込め等の慎重な取り扱いをしていくことによって、この取り扱いについては十分安全に行うことができるであろうという見通しがございます。
 それからもう一点、核融合反応によりまして中性子というものがいわゆる核融合装置の中で発生するわけでありますけれども、この中性子によりまして回りの、例えば鉄でありますとかそういったものが放射化をされる可能性がございます。したがって、この反応によって生ずる、私ども放射化生成物と呼んでおりますけれども、こういったものが最後の放射性物質としてこの施設の中に残るわけでございますので、こういった放射性廃棄物の取り扱いについても十分注意を払う必要がある。ただし、この点については、原子力発電所であるとか再処理工場とか、こういった経験が十分生かせる、あるいはその範囲内に十分とどまるということでございますので、総じて言えば、大変慎重に扱えば安全なものであるということを申し上げていいと思いますが、具体的な施設の安全性そのものについては、今後の設計が固まることによって十分な審査をしていくということも必要であろうかと思います。
#84
○山崎力君 その点はそれだけにいたしまして、今も出ましたが、いわゆる放射性廃棄物の問題で、高レベルというものがずっと課題になっているわけでございます。ことしの四月にフランスから高レベルの廃棄物が搬入された際、若干地元とのトラブルがありましたけれども、その際に、前任者の田中科学技術庁長官から地元の青森県知事に対して、青森県を要するに高レベル廃棄物の最終処分地にしないという旨の確約書が出された、書面が出されたというふうになっております。それは行政の連続性からいけば当然のことなんですが、具体的に後任の浦野長官にどのような形で引き継がれているか、またこれから何十年もそういった形でいくわけでございますので、どのような形で引き継いでいくかということをお知らせ願いたいと思います。
#85
○国務大臣(浦野烋興君) 私がこうした立場に就任をいたしましたのは八月八日でございまして、前田中長官からその友引き継ぎを受けたところでございますけれども、本年の四月二十五日付の文書は、知事の了承なくして青森県を最終処分地にできないし、しないことについて、科学技術庁として責任を持って確実に対応することを明確にこれはお示ししたところでございまして、この引き継ぎにつきましては、ただいま申し上げました前大臣と私との引き継ぎ書というものがあるんですけれども、その中に明確に記載されておるところでございます。
 先月のことでございましたけれども、木村守男青森県知事さんが私のところに来られた際におきましても、私から前大臣の青森県との約束はしかと遵守してまいりますと、こうお伝えをいたしておるところでございまして、このことにつきましては、今後ともこの文書に従って確実に実施されるよう私なりの責任を持って対応してまいる所存でございます。
#86
○山崎力君 この問題の背景には、やはり最終処分をどうするかというのが明確にできていないということがございます。そして、これまでの審議その他の中で、二〇〇〇年ごろを目途としてその処分の実施主体を設立するというふうになっておるそうでございますが、その辺への具体的なスケジュールは、もうあと五年を切ったと言ってもいいような状況ですが、どのようになっておりますでしょうか。
#87
○政府委員(岡崎俊雄君) 先生まさに御指摘のとおり、先般の原子力長期計画の中でも二〇〇〇年を目安に実施主体を設立するということを明確に目標として定めておるわけでございます。この処分事業の実施主体の設立に当たりましては、もちろん実施主体そのもののあり方ばかりではなくて、例えば資金をどうやって確保していくか、あるいはそれに関連するいろんな法制度をどのように整備していくかという多面的な検討が必要でございます。このような観点から、平成五年の五月に、国、電気事業者並びに動燃事業団が協力をいたしまして高レベル事業推進準備会というものを設立いたしました。この準備会がこのような観点から今精力的に審議を進めておるところでございます。
 他方、本年九月、原子力委員会は、地層処分の取り組みに当たっての方策というものを明らかにいたしたわけでございますけれども、その際、特にこの処分に向けた国民の理解と納得が得られますよう、社会的、経済的側面を含め、もちろん技術的な点も含めて幅広い検討を進めながら、国民的な御理解をいただくような懇談会の設置を決めたところでございます。
 したがいまして、私どもの検討、さらに先ほども申し上げました高レベル事業推進準備会の検討、さらにそういったものをこの懇談会の場におきまして広く情報を公開しながら、あるいは関係各界の御意見をいただきながら、ぜひ二〇〇〇年を目安にこの実施主体の設立等の高レベル廃棄物の処分対策に懸命に取り組んでいきたいと考えております。
#88
○山崎力君 とかくこういったものというのは先送りしがちなものですので、順番といいますかスケジュールに従ってやっていただきたいと思います。
 続いて、先ほど楢崎委員の中にもありましたが、ATRの見直しで、私が冒頭最初に申し上げた経済性の問題が初めてと言っていいくらいに出てきた。本来、ATR炉というのは経済的にペイしない、ただし、将来の技術開発の意味も含めてということで計画が推進されていたはずなのが、電気事業連合会の方からもうギブアップですよという形で出て、それを科技庁側としては追認というかOKを出した、このように理解しております。
 その中で、経済性だけではないんだと先ほど楢崎委員へのあれがあったんですが、その点で一点確認したいんですが、電気事業連合会側からの科技庁への質問は経済性だけであったのか、それとも別の要素があったのかどうか。もし経済性だけであったとするならば、何をもって総合的判断を加えたと先ほど答弁なさったのか、お答え願えればと思います。
#89
○政府委員(岡崎俊雄君) 御指摘のとおり、本年の七月に電気事業連合会から原子力委員会あるいは科学技術庁、通産省に対しまして新型転換炉実証炉建設計画の見直しの要望がなされたわけでございます。
 その直接的な理由は、昨年の五月ごろに地元大間町におきます漁業補償問題が解決をいたしました。その解決を受けまして、電源開発が確定をいたしましたスケジュール等に沿って建設費の見直しを懸命に行ったわけでございます。その結果がこの三月にでき上がり、それを電源開発から電気事業連合会に説明がなされたわけでございます。残念ながら、電源開発が見直しました建設費が、従来考えていた建設費よりも相当大幅に上昇するということが判明をいたしましたので、そういった観点から、電気事業連合会がこの建設計画の見直しを申し入れだというのが経緯でございます。
 それに対しまして、原子力委員会はこれを受けまして、経済性、もちろんこの実証炉の経済性のみならず将来の実用化に至る経済性の見通しが果たしてどうなのかという観点も検討いたしました。加えまして大事な点は、やはり燃料サイクル上の位置づけ、あるいは将来のリサイクル、特にプルトニウム利用についての政策に果たしてどのような影響があるのかという点についても検討をいたしました。加えて、多年にわたって研究開発を進めてまいりましたことでございますので、こういった研究開発の点からも検討いたしたわけでございます。
 これらを総合的に勘案した結果、この新型転換炉実証炉建設計画はやはり残念ながら中止せざるを得ない。ただしその代替として、改良型の軽水炉におきます全炉心にプルトニウム燃料を装荷することを目指した計画を進めることが妥当であるという結論を得たところでございます。
#90
○山崎力君 その経過はわかりましたが、ただそうすると、当然そのATR計画自体が過去の計画ですけれども、何だったのかという問題は残ろうかと思います。
 そしてその次の問題として、今のお話の中にも出てまいりましたMOX燃料を全炉心に装荷するいわゆるABWR、これはプルトニウム利用の問題点で出てくると思うのですが、このMOX燃料を装荷するという、MOX燃料自体の原子炉の経済性というものがどうなっているのかという問題は当然出てこようかと思います。明らかにATRの場合は経済性で行き詰まった、こっちの方はどうなんだと、その辺の議論は今まで余り聞いた記憶がございません。その辺のところはどういうふうになっているのかということをお伺いしたいと思います。
#91
○政府委員(岡崎俊雄君) 先ほど申し上げました新型転換炉実証炉計画の見直しの審議に当たりまして、原子力委員会は、先生御指摘のその代替となるABWR、改良型沸騰軽水型炉の経済性の問題につきまして検討をされたわけであります。もちろんその前提として、技術的に本当に十分可能かどうかということも当然のことながら検討されたわけでございます。
 特に経済性の点について御説明申し上げますと、今現在計画されております改良型沸騰軽水型炉は、既に東京電力が柏崎刈羽原子力発電所の六、七号機で建設中のものがございます。したがいまして、この六、七号機の発電原価というものをベースにしながら、これに全炉心にプルトニウム燃料を装荷した場合の経済性ということについて御審議をいただいたわけでございます。もちろん、電気事業連合会からそのデータの提供等も受けながら審議をしていただいたわけでございます。
 その結果、初年度発電原価という、若干技術的な問題でございますけれども、平均発電原価が柏崎刈羽発電所の場合、キロワットアワー当たりが約十二円と想定されているわけでございますけれども、これに対してプルトニウム燃料を利用することに伴います固定費が当然のことながら少し増加をいたします。例えば、制御系ではほう酸水注入システムであるとか、あるいは逃し安全弁の設計変更を少しやるとか、こういった観点からの設備面の経済性がどうかという点について検討をされたわけでありますけれども、その結果、恐らく建設費の一割を超えるものではないという評価が得られておるわけでございます。
 加えて、燃料費が当然のことながらウラン燃料とプルトニウム燃料では異なるわけでございますけれども、この燃料費につきましても、例えば成型加工費についてはウラン燃料に比べてプルトニウム燃料というのは若干割高になるけれども、先生も御承知のとおり、原子力発電というのは発電原価に占める燃料費の割合というのは約二割と大変低うございます。したがいまして、プルトニウム燃料の経済性を見ましても、若干の割高要因はあるとしても、全体的には十分その経済性が期待し得るということが今回の評価の結論として得られたわけでございます。
#92
○山崎力君 それと関連しまして、つい最近でございますけれども、今青森県六ケ所村で建設の進んでおります再処理工場について、事業者側が建設費が高騰しておるということで設計の見直しというようなことが報道をされておりました。
 そういった点で安全確保という点は当然のことなんでございますけれども、繰り返しになりますけれども、そうした経済性というものと、それから、こうした事業者側というのはえてして経済性というものをどうしても重視しなければいけない、それと国側が原子力行政の中でこういう方向でいきたいというところのすり合わせが多少ずれてき始めたというのが見えてきたんじゃないか。これがATRであり今回の六ケ所村の再検討ということで出てきたのではないかという問題意識を持っておりますが、今後、国としてはどのように対応されていく考えでしょうか。
#93
○国務大臣(浦野烋興君) 六ケ所村におきます再処理工場、これは核燃料リサイクル、これを確固たるものとしていくために必要欠くべからざる施設である、我が国の原子力政策にとって重要な施設という位置づけにあるわけでございまして、先生御指摘のとおりの報道がございました。
 私どもは、現段階では、事業者において安全性の確保というもの、これを大前提としながら経済性の向上についても努力している、そういうことを承知しておりますけれども、具体的な建設費の中身あるいは設計が今後どうなっていくんだろうかということについてはまだ確定はしていないというふうに受けとめておるところでございます。
 今後の検討を今いたしておるというふうに聞いておりますけれども、どういう形になるか、現段階で定かではございませんけれども、もしもそうした設計の見直し等々というようなことになれば、当庁といたしましては、当然のことながら十分な安全が確保されるという立場からこの厳正な安全審査を行ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
#94
○山崎力君 時間でございますので、最後に要望という形で締めさせていただきます。
 この経済性という問題は、非常にこれからの我が国のエネルギー政策において重要な位置を占めると思います。私申し述べませんでしたけれども、プルトニウム利用がいわゆる経済性という面からいって果たしていいのかどうかという基本的な問題もあり、そこに事業者側の、いわゆる電気をつくる側からの経済性の問題もあり、その辺と国とが、どこまで援助してどこまで介入し、あるいは自主性を尊重するか、今まで余り論議されてこなかったような気がいたしますので、その点を今後の行政の中でお含みおき願い、国民に何より安心感を与える、情報をどんどん開いていくという姿勢で臨んでいただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#95
○川橋幸子君 先ほど、委員会前半の議員立法によります基本法の審議の中でも出てまいりました、キャッチアップからフロントランナーへということでございます。サイエンスフロンティアとテクノロジーフロンティアというような言葉も学ばせていただきました。そういうフロンティアを切り開いていくと、そういう科技庁の方の施策をお尋ねしたいと思いますが、その前に、私、新しい言葉を昨夜一夜漬けで勉強したばかりなんですが、シェネリックテクノロジーという言葉、通告しておりませんでしたけれども、うまく説明していただけませんでしょうか。これもまた、フロンティアを切り開くという意味で大変いい言葉のようでございます、シェネリックテクノロジー。
#96
○政府委員(工藤尚武君) 非常に基盤的な、汎用的な技術をいうというふうに理解しております。
#97
○川橋幸子君 ジェネラルという、英語の意味で汎用的なということなんでしょうけれども、これは調査室がまとめてくださいました最近の新聞記事情報なんでございますが、日本人は、シェネリックテクノロジーというと、それって何という顔をするとこの記事の中に書いてございまして、もうちょっとわかりやすく言いますと、社会にイノベーションを生み出すようなそういうテクノロジーだそうです。ジェネラル、総体的に、汎用性のあるということなんでしょうけれども、もう一つは、世代を生み出すというもうちょっと強い意味の言葉がございまして、これ一般的な言葉ではないのでしょうか。ぜひひとつこのあたりも一つのボキャブラリーとして御採用なさるといい言葉ではないかと思います。
 さて、そのシェネリックテクノロジーという意味で、今回の補正予算なりあるいは来年度の概算要求なりにつきまして戦略的基礎研究ということが打ち出されておりまして、大変基本法とも相まっていい行政展開がなされるのではないかと期待しているところでございます。
 先ほど楢崎委員の御質問の中の説明で目的なり意図なりこれからの転がし方なりは尽きているのかもわかりませんが、なお私としまして少々危惧をいたしますのは、ベンチャーなものを生み出すというのは官主導では非常に難しい。だからこそテーマを公募して、共同研究なり委託研究なりあるいは非常に個人のベンチャーなテーマに研究費が出ていくということなんだろうと思いますが、科学技術会議に語るときの諮り方を、ぜひ官主導ではなくベンチャーなものに、シェネリックテクノロジーに配慮されるように御工夫いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#98
○政府委員(工藤尚武君) 先生のおっしゃいますように、科学技術会議は半分ぐらい行政によって構成されておりますけれども、今私どもが考えておりますのは、そこのもとに第一線の学者の先生方あるいは産業界の方も含めまして、そういった学識経験者の方の御意見を吸収してやっていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
#99
○川橋幸子君 その際の要望でございますけれども、科学、技術といいますと女性は非常に弱い分野だという、今までそういう専攻科目をとる学生が少なかったこともあって、統計上の経験則からそのような社会通念みたいなものがあるような気がいたしますが、実は、やはりライフサイエンスというような本当に暮らしの中に役立っていく、そういう汎用性のあるベンチャーなものに対して、少し女性の感覚、センスを登用するという意味からも御配慮いただけないものかと思います。要望でございます。
 政府では、今、審議会の中の女性のパーセンテージを一五%間もなく達成ということでございますけれども、これ、きょう数字は伺いませんが、多分科技庁の場合は余り、その目標数値にはまだ少し間があるのではないでしょうか。もしそうではないという事実がありましたら言っていただいて結構なんでございますが、そういう政策決定に対して女性の、生活者の感覚を生かしていく、その方が日本の未来にとってもいいんだという意味からそういう御配慮をいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
#100
○政府委員(石井敏弘君) ただいまの女性の感覚あるいはセンスを活用するというようなこと、私ども当然非常に重要なことと考え常々そのような姿勢で対応しておりますが、特に、具体的に御質問のいわゆる審議会の女性の活用というものにつきましては、総理府が音頭をとりまして一五%目標でやっております。科学技術庁にも航空・電子等技術審議会等大臣の諮問機関がございます。これらにつきましては私どもの全体で申しますと一六%というような形でございまして、したがいまして、女性の委員の御活躍というような場を常に確保して努力しておるということでございます。
#101
○川橋幸子君 大変失礼いたしました。その努力大変ありがたいと思いますし、なおよろしくお願いしたいと申し上げまして、次の原子力行政の問題に入らせていただきたいと思います。
 これも先ほどの基本法の審議のときに大変いい表現だなと思って伺っておりましたのが、天使の剣にもなるし悪魔の剣にもなると。戦後五十年、核の歴史の五十年でもございます、こういう節目の年でございます。長崎に投下されました原爆の中にプルトニウムが入っておったということから、それから一転いたしまして平和利用のための原子力行政ということで御努力いただいているわけでございます。
 原子力白書も原子力の日に合わせて発表されたばかりでございますが、この五十年目の節目における原子力白書のポイント、それから、科技庁としてこれからの日本の課題と思っていらっしゃることを御紹介いただきたいと思います。
#102
○国務大臣(浦野烋興君) この平成七年度の原子力白書でございますけれども、これは国内と国際、この二つに大まかに分けて記述をいたしておるところでありますが、国際動向としてのまとめといたしますと、本年五月に決定をされました核不拡散条約、NPTの無期限延長、それからフランス、中国による核実験の実施に対する遺憾であるという意思表明、それから北朝鮮の核開発疑惑等の核不拡散をめぐることについて取りまとめておるところでございます。
 一方、国内動向といたしましては、高速増殖炉「もんじゅ」の初送電の成功、また八月の新型転換炉実証炉建設計画の見直し等の核燃料リサイクルをめぐるところの動向についてまとめておるところでございます。また、そのほかでは、この原子力開発利用を進める上での避けて通ることのできぬ重要な課題であります、これまで御審議をいただいておりますけれども、放射性廃棄物の処理処分に関する原子力委員会の取り組み姿勢、これを明らかにいたしておるところでございます。
 こうした動向を踏まえまして、今後私ども科学技術庁といたしましては、国民各位の幅広い理解を得つつ、高レベル放射性廃棄物の処分に向けた施策を着実に推進してまいるためにその取り組みを強化してまいりたいと思っております。また、プルトニウム利用のより一層の透明性の向上を図りつつ、核燃料リサイクルを着実に推進してまいりたい。また、国内外の理解の増進を図るために積極的な情報を提供する、こうした課題に真剣に取り組んでいくことが重要であると考えておるところでございます。
#103
○川橋幸子君 国内と国際に分けて白書は述べられておるということでございますけれども、原子力行政の一番の悩み、科技庁の皆さんが抱えていらっしゃる悩みといいますか日本の悩みは、絶えず絶えず国内問題でおさまらないで国際的に大きな問題になるということではないかと思います。
 プルトニウムといいますものを、何というんでしょうか、燃料と考えるのかあるいは困った廃棄物と考えるのか、あるいは国際的な監視の目というのは絶えず軍事利用されるのではないかという、この三つのポイントをめぐって、この非常に難しいトリプルの課題を国内と国外でどうやって調和させ解決させていくかということではないかと思います。
 すぐにこれがいいという解答はないのかもわかりませんが、これはちょっと日付がわからないのですが、アメリカのマサチューセッツ工科大学、MITの報告の中で日本のプルトニウム利用に対する一つの提言が出ているようでございます。
 結局、日本の燃料としての商業利用というものが核を拡散させてしまうのではないか。それは、日本国内でどのように透明にしてルールに従って管理していると言っても、例えばの話、日本のことは私ども自信を持って言ったとしても、他国から見ますれば、私どもが北朝鮮に対してさまざまな懸念を持つような、そういう思いがよその国にもあるのではないかと思われます。
 この提言といいますのは、何と予算は動燃事業団から出ていて委託されたようなものでございますが、出ている結論が、日本はやっぱり研究開発に限定した方がよいのではないかというような、こんな提言になっているようでございます。これも具体的な質問項目にはないのでございますけれども、原子力白書の考え方の延長線にある質問としてお尋ねさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#104
○国務大臣(浦野烋興君) マサチューセッツ工科大学の新聞記事は私読んでおりません。答弁になるかどうかちょっと不安なんですけれども、日本が研究開発だけにとどまっていいのではないかという見解については、私は同調できない認識を持っておるわけであります。
 研究開発、もとよりこれは先ほど来出ておりましたフロントランナーとしての立場をこれから確立していく、そうした面での努力はまことに重要でありますけれども、我が国のエネルギーを安定的、確実な形で確保していくという点では、やはり原子力政策、核燃料リサイクル、この仕組みはさらにしっかりとしたものにしていかなければならない。
 そうした点で、確かに諸外国からすればいろいろな目で見られる向きも現存としてあるわけでございますけれども、しかし、これまで我が国の姿勢というものをいかに理解していただけるかということからして努力を続けてきたわけであります。先ほどちょっと御紹介をいたしましたけれども、さきのIAEA総会でオレアリー長官からは、日本のこうした透明度を高める意味での取り組みについて称賛の言葉があったということもございます。
 確かに、先生もおわかりいただいておるところでありますが、非常に難しい課題であることは事実でありますけれども、私は、我が国のエネルギー政策の中でこの原子力というものは、内外の理解を得つつ、安全性、平和という観点の理解をさらにいただく中で確立をしていく必要があると思っております。
#105
○川橋幸子君 やっぱり私も、大臣がおっしゃるように、研究開発の中では余りにも狭過ぎると、個人的にはそんな気持ちが強うございます。
 そう思いつつも、アメリカの大学でございますので、アメリカとしてはやはり核不拡散の方に重点があるのかなという感じを持ってはおるのでございます。私も全文見たわけじゃなくて、この新聞の記事だけで恐縮なんでございますけれども、一つもっともだなと思います指摘は、日本の国内事情への国際社会の理解不足ということが書かれております。先ほど来、国民にもよく説明して理解を求めるというようなことがるる述べられておりますけれども、国際社会の中でも、ぜひ大臣を初め幹部の皆様めげずに継続的にしっかりと、日本の国内事情への理解を求めるようなそういうプレゼンテーションをこれからも御努力いただけますようにお願いいたしまして終わります。
 ありがとうございました。
#106
○立木洋君 私も、原子力の安全の問題について長官にお尋ねしたいと思うんですが、長官御承知のように、スリーマイル島やチェルノブイリで大惨事がありまして、一九八八年の二月に国際原子力機関の安全諮問委員会で国際的なシンポジウムが開催されました。いわゆる過酷事故に対する対策の問題でのシンポジウムだったわけですが、それが開かれまして、そういう過酷事故を想定した安全対策、防災対策の強化ということが問題になって、それから国際的にもさらにシビアアクシデントに対する対策がさまざまに検討されるという方向に動いてきているというふうに承知しております。
 そこで、原発のシビアアクシデントという問題について長官が基本的にどういうふうに認識なさっておられるのか。それから日本としては、今後それに対する対策を基本的にどういうふうにしようとお考えになっているのか、基本的な点だけで結構でございます。
#107
○国務大臣(浦野烋興君) 私は、就任いたしましてから、職員に対しましては、これでもかこれでもかという気持ちを、緊張感を持ちながら安全性というものを高める、安全性を確保する、こうした気持ちで取り組むべしという指示をいたしておるところであります。
 今、先生のおっしゃったシビアアクシデント対策、これにつきましては、私の認識するところ、我が国の原子力発電所の立地、また防護対策、こうしたものについては、予想される限りのものに対しては十分対応できる。さきの震災につきましても検討を加えたところでございます。しかし、今は一応結果としては安全であるという結論が出ましたけれども、しかし、これに甘んずることは決していかぬ。さらにさらに知見あるいは研究開発、こうしたものの高まり、進歩というものを進めていかなければならぬ、こういうことで取り組んでおるところでございます。
#108
○立木洋君 私は、長官が就任された直後、新聞でのインタビューの中で、原発の安全性の問題については、安全の上にも安全というふうに強調されたものだというふうに私印象を持って見たんですけれども、ここで一言だけ言わせていただきたいのは、つまりアメリカの場合は、原発が危険だということを公然と口にすることができないような人は原発を扱うなということが、アメリカの安全委員会では言われているということぐらい厳しい問題だということを特に強調しておきたいと思うんです。
 それで、「もんじゅ」は、去年の五月十二日でしたか、反応度のテストをやりまして、その反応度が実際にどうかと、設計値と実際値とが合うかどうかという問題が問題になりました。この内容を私がここで繰り返そうとは思いません。去年の十一月でしたか、その問題について科技庁の方にお尋ねしたんです。その問題の数値がどうかこうかということはありますけれども、この問題で多くの人が疑問を持たれている、また不安を持たれている、設計値と実際値が違ったものですから。その問題についてやっぱり必要なことは、原子力基本法の第二条で決められている公開の原則、これはきちっと公表して、ここに問題があったからこうなったんだというふうなことをやることが非常に大切なことなんです。それをやらないで隠そう隠そうとすると余計裏があるんではないかということになる。私は、この原子力基本法の第二条ということを非常に重視してほしいということをそのときも強調したわけです。科技庁の方からは、もちろんそれはこれからも努力をいたしますし、「もんじゅ」の問題に関しましても当然そのようにさせていただくように努力をしたいというお約束をいただいたのは去年の十一月なんです。
 ところが、最近この「もんじゅ」の、一九八四年十二月からことしの三月までの「もんじゅ」についての「設計及び工事の方法の認可申請書」というのが科技庁のいわゆる閲覧室で閲覧、公開されたわけです。
 それを見てみますと――私が全部見たわけではありません、これはページ数だけでも三万五千ページというから、これは一人で見るなんというのはとてもじゃないけれども大変な状況になりますけれども、そこにファイルされているのは百七冊あるんです。その中で最も重要な耐震設計上のデータ、これはほとんど空白なんです。書かれていないんです。あるいは耐震性能を示すデータにしてもそうですし、それから原子炉の揺れの固有周期の問題についても、あるいはほかの部品についての耐震計算や解析結果、解析方法、こういうものがもうほとんど空白なんです。
 今、非常に関心を持っている人々が、この問題で全く事実が公表されていないということを見るならばどういうふうに感じるだろう。だから、なぜ耐震設計のデータ等について公表ができなかったのか、その理由をまずお聞きしたいと思います。
#109
○政府委員(宮林正恭君) お答えさせていただきます。
 原子力施設の安全性に関します情報につきましては、できる限り公開をするというふうなことで努力をしてきたところでございます。しかしながら、核物質防護でございますとか核不拡散あるいは財産権の保護といったような観点から公開することに支障がある、こういうふうに思われる情報につきましては非公開という考え方で進めてきております。
 今般、社会的な関心が高いと考えられます高速増殖炉「もんじゅ」に関しまして、設計・工事方法の認可申請書を公開させていただいたわけでございますが、公開に当たりましては、この一般的な方針に従いまして非公開としたという部分があることはまことに申しわけございませんが御了解いただきたい、こういうふうに思っております。
#110
○立木洋君 その説明は私、全然納得できませんよ。核物質防護の問題との関連というふうにおっしゃいますけれども、だけれども、原子炉の揺れを調べる固有周期について、これを隠すことが何で防護に関係があるのかという問題になってくるわけです。私は、これ以上これを議論しようとは思いませんけれども、そういう問題について全然出されていないという点に大変私は不信感を持つということだけ表明させていただきます。
 この問題と関連があるんですが、長官、つい先日、原子力施設耐震安全検討会が兵庫県南部地震を踏まえて、耐震設計審査指針、これは一九八一年につくられたものです、この審査指針には問題がないという報告書を九月に出して、この検討会は解散したんです。それで、私幾つか見ますと問題点が非常にあるんです。何でこんなことを早期に結論を出して解散するのか。
 一つの問題は何かといえば、今度の場合には、神戸市の六甲台に神戸原発を建てるということを板として、そこで現行の耐震設計指針で設計を行う、それが現実に兵庫県南部地震と比較して現行指針が妥当だったかどうか、妥当性があるかどうかということを判断することを基準として検討したというわけです。これ、検討の内容です。それで、もし仮に実際を踏まえてやるというならば、兵庫県南部地震で得られたデータとこの指針が想定する地震動、これを唯一比較検討されているのは神戸大学のものなんです。私も見ました。報告書の中ではこの地震動の検討が行われていないんです。
 問題は何かといいますと、ボーリングをやった結果、これは岩盤上のものではないという結論を出しているんです。私は、この報告書の中でボーリングをやったのがいわゆる岩盤上のものでないというのが偽りだなどと言うつもりはありません。それはそのとおりかもしれない。しかし、もしかボーリングをやって岩盤上の問題が見つからなかったならば、なぜ岩盤上の問題として明らかに出されている神戸大学の資料を取り上げて検討しなかったのか。これは土質工学会の機関誌「土と基礎」の三月号の中で行われた報告書の中で、地震動を検討する岩盤上のデータとして神戸大学のものが適切である、妥当である、そういう証明までしているんです。なぜこれを検討会で取り上げなかったのか。これは私の最大の疑問の一つです。
 もう一つの問題は何か。もう一つは、神戸での地震動が部分的には上回っているということは認められているんです、この報告書の中で。しかし、上回っているのは部分的だから、だからそれは問題ないといって切り捨ててしまっているんです。なぜそれをもっと突っ込んで検討しなかったのか。私はこれは問題だと思うんです。設計基準の基準地震動を実際の揺れが部分的にでも上回る食い違いが出たということは、これは基準地震動の決め方に問題があるということを裏づけることになるかもしれないんです。それほど重視されなければならない根本問題なんです。なぜこの問題が検討されなかったのか。こういう重要な問題があります。
 まだたくさんありますけれども、時間がないので私は余り言えませんけれども、こういう問題点がなぜ検討されなかったのかということについて、不十分さがあったならあった、しかし、問題ではないというなら問題ではない、簡単で結構です、あと時間がわずかですから、まだもう一言私しゃべらなきゃならないので。
#111
○政府委員(宮林正恭君) 第一点でございますが、神戸大学の地震計の設置地点の地盤につきましては、耐震安全検討会においても現地調査を行いまして、原子力で言う解放基盤面というふうなことには当たらないけれども、岩盤に比較的近いものであるということで、観測記録には多少の増幅の影響が出てくるかもしれない。しかしながら、それがあったとしても、むしろ評価は安全側に評価することになっている、こういうことになっておりますので、むしろこの場所をまさにモデルの地域ということで使うということにさせていただきました。
 それからもう一点は、いわゆる応答スペクトルといっておりますけれども、地震動のスペクトルが、神戸大学で観測されたものにつきましては、指針に基づき想定されるスペクトルに比べると長周期側において少し大きい部分がある、こういう御指摘だというふうに思いますけれども、これにつきましては、実際に検討はこの検討会によって行われております。
 その結果といたしまして、まず先ほど申し上げましたように、観測記録につきましては、表層地盤の増幅などの影響が考えられるので安全側に評価されているということが第一点。それから、原子炉施設の安全上重要な建物とか建築物、機器あるいは配管系といったような剛構造でございまして、どちらかといいますと固有周期は短周期側に集中しております。したがいまして、長周期側につきましては問題としなくてもよろしい、こういうふうな評価をいたしまして、妥当であるという判断がなされております。
#112
○立木洋君 第一の点の説明については、それを取り上げて検討もしないということはやっぱり責任を持っていない、責任を持つ態度ではないということだけ私は指摘をしておきたいと思います。
 もう一つは、固有周期の問題については、長周期の場合が多少上回っているので短周期の場合は上回っていないから結構だと、問題にならないんだと言うんだったら、なぜ長周期のデータを耐震設計の場合に必要とするんですか。必要とするからこそそういうもののデータをとっているわけでしょう。だから、長周期であろうと短周期であろうと上回るということは基準そのものに問題があるということなんですよ。それを長周期が多少上回って短周期が上回らなかったから結構だなんて言って切り捨てるというやり方は極めて科学的じゃない、私はそう言いたいんです。
 それで、もう時間がありませんから最後、非常に重要な問題を含んでいるんです、この問題。それで、私は調べました。今、この問題に関しまして、例えばこの兵庫県の南部地震を受けて本当に地震に強い町をつくらぬといかぬ、人間の命を大切にせぬといかぬということで、日本人が力を合わさぬといかぬという非常に大切な時期なんです。そういう時期に、例えば空港・航空保安施設耐震性検討委員会があります。もう一つは港湾施設耐震構造検討委員会があります。さらには鉄道施設耐震構造検討委員会があります。それから建築震災調査委員会があります。それから地震に強い港湾のあり方に関する検討調査委員会もあります。
 これは第四まで、建設の問題、港湾の問題、鉄道の問題、空港の問題、これらの問題、最終結論を出した委員会はただの一つもないんです。最後の一つだけなんです。地震に強い港湾のあり方に関する検討調査委員会は八月末に調査報告を出しました。これらの重要な問題がまだ中間報告の段階で最終結論が出し得ないとなっているときに、この地震の問題についての基準を決めたのは一九八一年です、そのときの基準で問題ありませんなんという結論を出すというようなことは、科学技術委員会の名において私は許せない。本当に責任を持つ態度であるならば、十分な検討をやって、あらゆるデータを調査して十分な検討を行うという態度があってこそしかるべきだというふうに私は思うんです。それぐらい重視しなければならない問題だと私は思うんです。
 結局、言えば長いことになりますけれども、原発の場合も、大変なことにはならない大変なことにはならないと言ってきました。しかし、この問題に関しても一九八八年以後問題になってから、当初日本政府は、日本においては過酷な事故は起こりませんと言って拒否してきたんです。しかし、その後の原発、いろいろな問題が出てきました。福島の問題にしたってそうです。その問題があったからこそ一九九一年、日本の原子力安全委員会がそれを十分に調査せよといって関係省庁や関係の電力会社に指示をしたんじゃないですか。そして、その改善のためには努力をせよという方向に一歩でも進めるという努力をしたんです。
 私は、この問題は、安全の上にも安全と長官がおっしゃるその言葉の意味を本当に深く考えていただいて、本当に地震に強い町、日本は地震と切り離して住むことは私たちはできないわけですから、このことについては本当に真剣にやっていただきたいということを最後に申し述べたいんですが、その点についての大臣の御所見をいただいて、事務当局は結構です。私はまた検討します。大臣。
#113
○国務大臣(浦野烋興君) 今の問題につきまして、私は検討委員会においては国内屈指の権威の方々の御参加をいただいてこうした結論に達したというふうに理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、いろいろ先生からの御指摘もございましたけれども、私は、今回の結論はそれとして評価をいたしております。
 しかしながら、まさに安全はこれでいいという限界はないものと心得ておりますので、引き続いて努力をしてまいることを申し上げさせていただきます。
#114
○立木洋君 終わります。
#115
○佐藤道夫君 またまた最後ですが、これが本当の最後だと思います。
 私は、北海道は幌延町の貯蔵工学センターの問題に絞ってお尋ねいたしたいと思います。
 私もつい最近まで北海道に居住しておりまして、あの付近を散策したこともございまして、その際、見学ということで立ち寄らせていただきました。施設見学といいますが、施設なんて何もないわけでして、広々とした原野の中に一定用地を区切って、これが建設予定地、こういうふうになっております。職員も何人がおりまして、親切に説明してくれましたが、彼らの仕事というのは大体私のように好奇心を抱いて訪れてくる見学者の応接ということのようでございました。
 そもそもあの施設計画が発表されたのは一九八四年、ほぼ十年前ということになります。何か地元町の非常に熱心な誘致があったというふうに聞いておりますが、その後、周辺の町村が反対に回りまして、一九九〇年には北海道議会が反対決議をしたと。反対の理由は、高レベル放射性廃棄物の最終処理処分地にされてはかなわぬ、こういうことのようでした。当時の北海道知事、横路さんがこれに賛同いたしまして、最近、知事の交代がありましたが、新しい知事もまた白紙撤回を求めておるということでございまして、計画発表以来十年余りたっておる。これからの見通しが一体どういうことになるのかちょっと御説明していただければと思います。
#116
○国務大臣(浦野烋興君) この経緯等につきましては、私よりも担当者の方から説明させていただきます。
#117
○政府委員(岡崎俊雄君) 貯蔵工学センターに関します経緯は、先生が御指摘のとおりであろうかと思います。したがいまして、今後この貯蔵工学センターの計画につきまして、先ほども御説明申し上げましたとおり、放射性廃棄物の処理処分問題の解決というのは大変重要な課題でございますので、この貯蔵工学センターにつきましても広く北海道あるいは地元市町村の理解を得るべくぜひ努力を進めていきたい、このように思っております。
#118
○佐藤道夫君 この施設が地元が懸念するように最終処分地になる可能性があるのかどうか、これもできましたらはっきりさせておいていただきたいと思います。
 それから、先ほど山崎委員の質問に出てまいりましたけれども、高レベル放射性廃棄物の最終処分地として青森県もノー、北海道もノーと。別に適地というわけじゃございませんけれども、青森、北海道がノーということになりますと、最終的にどこに行くのか、その辺の見通しもあわせて御説明いただければと思います。
#119
○国務大臣(浦野烋興君) この高レベル廃棄物の処理処分、ここはやはり他国に頼ることなく我が国でこれは処理をしていかなければならぬことと思っておるわけでございまして、率直に申し上げまして、時間がそうあるわけではございません。
 しかし、私どもはこれまで懸命にその処分をするにどのような方向、方法がいいのか、これは先生御承知をいただいておるところですけれども、各国の一つの共通認識としては地層深いところに入れる、こういうふうに一つの方針としては認知されておるところなんですけれども、我が国においてはいかなる方法で処分をするかまだ研究段階の状況でございます。やがてはっきりとした実施主体を定めまして、そしてその実施主体のもとに貯蔵するところを定め、そこに納めるようにしていかなきゃならぬわけでありますが、先ほど率直にと申し上げたのですけれども、懸命に努力をいたしております。
 その中の研究場所としての幌延は有力な候補地でございますけれども、まだ御理解をいただいていないわけでありますが、引き続いて御協力をいただくような努力を重ねてまいる所存でございます。大変難しく受けとめております。
#120
○佐藤道夫君 大変難しい問題だとは思いますけれども、地元の協力、理解を得るために格段の御努力あらんことをお願いしておきます。
 それから、思いつきではありまするけれども、これは各国が抱えている問題でございますので、国際的な問題として取り上げて、国際的な最終処分地を考えるということも可能なのかどうなのか、それも視野に入れて検討願えればと思います。御答弁は結構でございます。
 終わります。
#121
○委員長(長谷川清君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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