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1995/10/30 第134回国会 参議院 参議院会議録情報 第134回国会 決算委員会 第1号
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1995/10/30 第134回国会 参議院

参議院会議録情報 第134回国会 決算委員会 第1号

#1
第134回国会 決算委員会 第1号
平成七年十月三十日(月曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員氏名
    委員長         浦田  勝君
    理 事         大木  浩君
    理 事         佐藤 泰三君
    理 事         清水 達雄君
    理 事         山崎 順子君
    理 事         山下 栄一君
    理 事         筆坂 秀世君
                岩井 國臣君
                海老原義彦君
                景山俊太郎君
                笠原 潤一君
                清水嘉与子君
                陣内 孝雄君
                中島 眞人君
                長峯  基君
                松村 龍二君
                守住 有信君
                牛嶋  正君
                武田 節子君
                続  訓弘君
                寺澤 芳男君
                畑   恵君
                広中和歌子君
                朝日 俊弘君
                伊藤 基隆君
                今井  澄君
                栗原 君子君
                山口 哲夫君
                国井 正幸君
                水野 誠一君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月二十九日
    辞任         補欠選任
     畑   恵君     中尾 則幸君
 十月二日
    辞任         補欠選任
     広中和歌子君     星野 朋市君
     山下 栄一君     魚住裕一郎君
 十月三日
    辞任         補欠選任
     魚住裕一郎君     山下 栄一君
 十月十六日
    辞任         補欠選任
     清水 達雄君     上杉 光弘君
 十月十七日
    辞任         補欠選任
     上杉 光弘君     清水 達雄君
 十月二十七日
    辞任         補欠選任
     国井 正幸君     小島 慶三君
     水野 誠一君     堂本 暁子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         浦田  勝君
    理 事
                大木  浩君
                佐藤 泰三君
                清水 達雄君
                星野 朋市君
                山崎 順子君
                筆坂 秀世君
    委 員
                岩井 國臣君
                海老原義彦君
                笠原 潤一君
                清水嘉与子君
                中島 眞人君
                長峯  基君
                松村 龍二君
                守住 有信君
                牛嶋  正君
                武田 節子君
                続  訓弘君
                寺澤 芳男君
                山下 栄一君
                朝日 俊弘君
                伊藤 基隆君
                今井  澄君
                栗原 君子君
                山口 哲夫君
                中尾 則幸君
                小島 慶三君
                堂本 暁子君
   国務大臣
       建 設 大 臣  森  喜朗君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       高木 正明君
       国 務 大 臣  池端 清一君
   政府委員
       北海道開発庁総
       務監理官     松川 隆志君
       防衛施設庁施設
       部長       小澤  毅君
       沖縄開発庁総務
       局長       嘉手川 勇君
       沖縄開発庁振興
       局長       瀧川 哲男君
       国土庁長官官房
       長        竹内 克伸君
       国土庁長官官房
       水資源部長    山田 俊郎君
       国土庁計画・調
       整局長      塩谷 隆英君
       国土庁大都市圏
       整備局長     五十嵐健之君
       国土庁地方振興
       局長       岩崎 忠夫君
       国土庁防災局長  村瀬 興一君
       建設大臣官房長  伴   襄君
       建設大臣官房総
       務審議官     小野 邦久君
       建設省建設経済
       局長       小鷲  茂君
       建設省都市局長  近藤 茂夫君
       建設省河川局長  松田 芳夫君
       建設省道路局長  橋本鋼太郎君
       建設省住宅局長  梅野捷一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        貝田 泰雄君
   説明員
       公正取引委員会
       事務局審査部管
       理企画課長    梶山 省照君
       総務庁行政監察
       局観察員     田代 喜啓君
       環境庁長官官房
       審議官      菊地 邦雄君
       法務省刑事局刑
       事課長      小津 博司君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部水
       道整備課長    浜田 康敬君
       農林水産省構造
       改善局計画部事
       業計画課長    有川 通世君
       林野庁指導部計
       画課長      金子  詔君
       通商産業省環境
       立地局産業施設
       課長       相澤  徹君
       資源エネルギー
       庁公益事業部発
       電課長      真木 浩之君
       建設大臣官房総
       括監察官     福田 秀文君
       建設大臣官房技
       術審議官     井上 靖武君
       自治省行政局振
       興課長      伊藤祐一郎君
       消防庁消防課長  桑原 隆広君
       消防庁防災課長  高田  恒君
       会計検査院事務
       総局第三局長   天野  進君
       会計検査院事務
       総局第五局長   平岡 哲也君
   参考人
       住宅金融公庫総
       裁        高橋  進君
       北海道東北開発
       公庫総裁     宍倉 宗夫君
       沖縄振興開発金
       融公庫理事長   塚越 則男君
       日本下水道事業
       団理事長     木内 啓介君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○平成四年度一般会計歳入歳出決算、平成四年度
 特別会計歳入歳出決算、平成四年度国税収納金
 整理資金受払計算書、平成四年度政府関係機
 関決算書(第百二十九回国会内閣提出)(継続
 案件)
○平成四年度国有財産増減及び現在額総計算書
 (第百二十九回国会内閣提出)(継続案件)
○平成四年度国有財産無償貸付状況総計算書(第
 百二十九回国会内閣提出)(継続案件)
○平成五年度一般会計歳入歳出決算、平成五年度
 特別会計歳入歳出決算、平成五年度国税収納金
 整理資金受払計算書、平成五年度政府関係機
 関決算書(第百三十二回国会内閣提出)(継続
 案件)
○平成五年度国有財産増減及び現在額総計算書
 (第百三十二回国会内閣提出)(継続案件)
○平成五年度国有財産無償貸付状況総計算書(第
 百三十二回国会内閣提出)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(浦田勝君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 この際、森建設大臣、高木国務大臣及び池端国土庁長官から発言を求められておりますので、順次これを許します。森建設大臣。
#3
○国務大臣(森喜朗君) このたび建設大臣を仰せつかりました森喜朗でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 委員各位におかれましては、日ごろから建設行政の推進に格段の御理解と御支援をいただいておりますことを心から厚くお礼を申し上げます。
 御承知のとおり、建設行政は、国土の根幹を形成し国民生活に直結する住宅、社会資本の整備等を通じて、安全、安心、魅力と活力、ゆとりと潤いを備えた真に豊かな国民生活を実現するという極めて重要な役割を担っております。
 私といたしましては、最近の我が国の景気の状況を踏まえ、大きな経済波及効果を有する公共事業を積極的に推進していくとともに、特に未曾有の甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災の教訓を受け、防災性の高い住宅、社会資本の整備を強力に推進していくことが必要であると考えております。
 今後とも建設行政の推進に最大限の努力を払ってまいる所存でございますので、委員長初め委員各位の御指導と御鞭撻を心からお願いを申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
#4
○委員長(浦田勝君) 高木国務大臣。
#5
○国務大臣(高木正明君) 先般、北海道並びに沖縄開発庁長官を拝命いたしました高木正明でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、北海道について申し上げますと、豊かな自然と広大な国土に恵まれて、将来に向かって非常に開発の可能性を秘めた、しかも日本の食糧基地として非常に大事な役割を果たす北海道であると思っております。
 また、沖縄につきましては、多難な道を赤まれた沖縄が昭和四十七年五月に本土に復帰されて以来、沖縄の振興開発計画に基づいていろんな施策を講じられてきたところでありますが、いまだにまだ本土との格差がございまして、解決の課題が多分に残されている地区でございます。
 私は、この沖縄と北海道の問題につきましては、地元の方々と十分意思の疎通を図りながらこれらの地区の開発に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 また、先般沖縄で起きた米兵の少女暴行事件につきましては、極めて遺憾であると存じております。ただいま関係省庁におかれましては、それぞれ全力を挙げてこの問題に取り組んでいるところでありますが、私、沖縄開発庁としては、県民の立場に立って関係省庁とも連絡をとりながらこれに対処してまいる所存でありますので、どうぞ皆様方の格別の御尽力を心からお願い申し上げて、ごあいさつにかえたいと思います。
 よろしくお願いします。(拍手)
#6
○委員長(浦田勝君) 池端国土庁長官。
#7
○国務大臣(池端清一君) おはようございます。このたび国土庁長官を拝命いたしました池端清一でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 国民がゆとりと豊かさ、安心と安全を実感できる社会の実現を求めている中で、国土計画、大都市問題、土地、地方振興、防災、水資源など幅広い分野を担当する国土行政の役割はますます重要になっていると考えております。このため、関係省庁の御協力を得ながら、新しい全国総合開発計画の策定や国会等首都機能移転の具体化に向けた検討、災害に強く安心して暮らせる国土づくり、阪神・淡路地域の本格的な復興に向けた取り組み、総合的な土地対策の推進など各般にわたる施策を積極的に進めてまいる所存でございます。
 浦田委員長初め委員各位におかれましては、格別の御指導と御協力を賜りますように心からお願いを申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○委員長(浦田勝君) 委員の異動について御報告いたします。
 去る九月二十九日、畑恵君が委員を辞任され、その補欠として中尾則幸君が選任されました。
 また、去る二日、広中和歌子君が委員を辞任され、その補欠として星野朋市君が選任されました。
 また、去る二十七日、国井正幸若及び水野誠一君が委員を辞任され、その補欠として小島慶三君及び堂本暁子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(浦田勝君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと思います。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(浦田勝君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に清水達雄君及び星野朋市君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(浦田勝君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りをいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(浦田勝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#13
○委員長(浦田勝君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件の審査並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査のため、必要に応じ政府関係機関等の役職員を参考人として出席を求めることとし、日時及び人選等につきましては、これをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(浦田勝君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#15
○委員長(浦田勝君) 平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、建設省、北海道開発庁、沖縄開発庁、国土庁、住宅金融公庫、北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫の決算について審査を行います。
    ―――――――――――――
#16
○委員長(浦田勝君) この際、お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(浦田勝君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#18
○委員長(浦田勝君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#19
○委員長(浦田勝君) それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#20
○岩井國臣君 私は、自由民主党の岩井國臣でございます。
 去る七月の参議院選挙におきまして、比例代表といたしまして初当選をさせていただきました。全くの新人でございます。新人であるにもかかわりませず、この権威ある決算委員会におきまして本日は初めての質問をさせていただく機会を与えていただきましたこと、委員長初め各委員の方々に厚くお礼を申し上げます。初めてということでございますので大分緊張しておりますが、精いっぱいやらさせていただきたいと思います。
 決算委員会であるというようなことを多少意識し過ぎたのかもわかりませんけれども、若干細か過ぎるといいますか専門的過ぎるような質問になっておるかと存じますが、御勘弁をいただきたいと思います。
 逐次質問させていただきますが、まず最初に、平成四年度及び五年度の不当事項につきまして質問させていただきたいと思います。
 平成四年度と平成五年度におけます会計検査院の決算報告によりますと、建設省所管の公共事業につきましては、不当事項がそれぞれ五件と六件となっております。それをどう考えるのか。多いと考えるのか、まあまあこんなものと考えるのか、少ないと考えるのかそういうことでございます。
 言うまでもなく、会計検査院の検査というものは悉皆調査ではなくて、サンプリング調査というかごく一部の調査でございますから、その点を考慮いたしますと、私は必ずしも安心していいということではないというふうに思うわけでございます。その点、会計検査院の認識はいかがでしょうか。
 過去の流れ、あるいは近年の傾向にも触れながら、平成四年度及び平成五年度決算の結果につきまして評価をしていただきたいと思うわけでございます。もちろん建設省関係についてで結構でございます。よろしくお願いします。
#21
○説明員(天野進君) お答えいたします。
 平成四年度と五年度におきます不当事項はいずれも補助事業に関する指摘でございまして、近年、補助事業を実施する地方公共団体等におきましては、公共事業等の監査や検査要領等の整備を図ったり、専門検査員の配置や本院の指摘事例などを参考にしまして研修の実施などを行い、再発防止対策を講じているところでございます。こうしたこともございまして、不当事項はこの程度の件数で推移しているのではないかと思料いたしてございます。
 しかしながら、毎年度同様な指摘があることはまことに遺憾である、このように考えておるところでございます。
#22
○岩井國臣君 平成四年度と平成五年度におきましては五件または六件の不当事項が指摘された、こういうことでございますが、これは先ほど申し上げましたように、サンプリング調査といいますかごく一部の調査に基づく指摘事項でございますから、言うなれば氷山の一角であるわけでございます。
 それじゃ、見えない部分も含めて全体としてどれだけの不当事項、見えないんですから不当事項の予備軍と言った方がいいのかもわかりませんが、そういった見えない部分がどれだけあるのか。これは推測になるわけですけれども、そういう問題があろうかと思うわけでございます。
 もし検査がきっちりといいますか、全体について検査が行われたとしたら、不当事項として検査院から指摘を受けるであろう問題の工事設計あるいは工事積算、そしてまた工事施工、そういった全体を私は不当事項予備軍と呼んでおるわけでございますが、そういった全体量の推測の問題でございます。
 あくまでも推測で結構でございますので、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#23
○説明員(天野進君) お答えいたします。
 推測を申し上げるそういう問題の前に、本院の会計検査の方法について若干説明させていただきます。
 検査に当たりましては、毎年次、国会やマスコミで問題になり国民の関心の高い事項、予算額の急増している事業、あるいは過去の検査で引き続き検査が必要な事項などに重点を置いて検査計画を策定しております。そして、これに基づきまして、検査に当たりましては事前に工事に係る検査調書を検査対象の相手方から提出いただきまして、その調書によりまして検査対象工事を選定して、あらかじめ本院の方におきまして書面により調査を行っております。その後、実地検査を行う。こういうような状況になってございます。したがいまして、本院の検査は重点を置いた検査を行っている、こういう状況です。したがいまして、工事につきましては相当程度検査を実施していると考えてはおります。
 このような検査手法をとっているということもございまして、ただいま先生のお話しの一般的なサンプリング調査に基づく推計というのは相当本院の検査のやり方としまして違っておりまして、その辺で全体でどのくらい不当事項があるのかということを推測することは非常に難しいのではないか、このように考えておるところでございます。
#24
○岩井國臣君 先般、たしか九月二十一日であったかと思いますが、霞が関の国立教育会館におきまして会計検査院主催のフォーラムが開催されたかと思います。公共事業の検査とか監査なんかがテーマだったわけでございますけれども、そこで、たしか福岡市の代表の方だったと思いますが、公共工事の内部監査についての報告がございました。福岡市における平成五年度監査の実施状況というのが全体で一万八千件のうち九百八十六件について行った、つまり内部監査の抽出率というものが五・五%だった、こういう話が実はあったわけであります。
 先ほど申されましたように、従来から会計検査で行っておる検査のやり方というのがあるかと思うんですけれども、そういう全体の中で、はっきりした抽出率というような数字でなくてもいいんですけれども、おおよそ全体の中でどれくらいの検査をしておられるのか。実は、事前に会計検査院の担当の方に聞いたわけでありますが、先ほどお答えのございましたように、やっぱりわからない、そういうお答えでございました。
 平成五年なら平成五年において、建設省所管の公共工事、随分あるわけですけれども、契約件数でいってどれぐらいあるのか。これはもうわかるわけですよね、それはわかる。そのうち設計書で幾らチェックしたのか、あるいは積算書についてどれぐらい見たのか、あるいは施工不良につきましてどれぐらいチェックしたのか、そういったことが統計的な数字という形でないにしてもある程度わからないんだろうか、そんな気がするわけですが、大ざっぱな感じでいいんですけれども、そういうこともわからぬのでございましょうか。
#25
○説明員(天野進君) お答えいたします。
 本院の検査の方法につきましては先ほど申し上げましたが、若干さらに詳しく申し上げますと、本院の検査につきましては、ある工事を設計、積算、施工の各段階を追って個別的に検査をしたり、あるいは処置要求等を指向するような場合、例えば同種工事の積算を横断的に検査する、こういうような検査をいたしてございます。
 このような検査方法をとっている本院の場合、検査実績のとらえ方といたしまして抽出率という考え方はなじまないのではないかなと。従来より検査対象の実績の関係につきましては、検査対象箇所をベースに検査施行率を把握しているところでございます。ちなみに平成六年次の建設省所管事業に対する検査施行率は二五・二%となってございます。
 ただ、先生先ほどお話のありましたように、検査のそういう見方も私は非常に大事ではないかと思いますので、今後ひとつそういう方向での検査施行の実績につきましては研究させていただきたい、かように考えている次第でございます。
#26
○岩井國臣君 検査施行率というのを会計検査ではお使いになっておる、直轄の場合はそれが二五・二%であったという今のお話でございますけれども、やはり二五%というとかなりのところをチェックしているというふうな印象を実は国民にといいますか我々に与えるわけであります。私の言う抽出率と全く違うわけですね、何カ所の工事事務所へ行ったかとかそういうことで検査施行率とこう言っておられるわけでありますが。
 建設省の場合ですと工事事務所ということになろうかと思いますが、市町村の場合であればどうなるんでしょうかやっぱり市町村の現場の事務所ということになるんでしょうか。それとも、市町村の検査施行率というものを出されるときには、全国三千幾らの市町村がありますが、市町村単位でどれだけの市町村に行ったかというふうなことになるんでしょうか。その辺の検査施行率の定義というんでしょうか、それをちょっと御説明していただけませんでしょうか。
 そうでないと、検査施行率が二五%といっても、随分検査しておるんだという印象で、その中での不当事項が五件とか六件、いやもう大したことないなというような感じになるわけでありますので、会計検査院で言っておられる検査施行率の定義といいますかそこをちょっとはっきりさせていただけませんでしょうか。
#27
○説明員(天野進君) お答えいたします。
 本院の検査箇所でございますが、先ほど申し上げました比率の関係につきましては、建設省の直轄の関係につきましては事務所単位でございます。それからまた、都道府県の関係につきましては県単位の箇所数でございます。
#28
○岩井國臣君 市町村も同様に市町村の単位ということでしょうか。
#29
○説明員(天野進君) 市町村単位ではございませんで、都道府県単位でございます。
#30
○岩井國臣君 わかりました。
 今のように、会計検査院は検査施行率ということを言われる。私が言っております抽出率というものはわからない。その点につきまして私も理解できないわけではございませんが、私の論理で少し話を進めさせていただきたいと思います。
 補助事業の場合、都道府県だけではなくて市町村も含めて考えますと、私か言う抽出率、それは非常に小さいのではないか。契約件数単位で言っておりますので、私の場合は。市町村まで含めますと一%にも行ってないんではないかというような実は気がしておるわけでございます。調べたわけではないんですけれども、感じでございますが、そういう気がするわけでございます。
 仮にそうだとしますと、あくまでも仮の話でございますけれども、五件または六件の不当事項というのは、補助事業全体でやはり五百とか六百とかあるいはそれ以上のミスがあるということになりはせぬかなと、こんな気がするわけでございます。
 そういった私の認識が見当違いの認識なのかどうかその点いかがでございましょうか。
#31
○説明員(天野進君) お答えいたします。
 私どもの検査につきましては、先ほど御説明申し上げましたように重点を置いた検査をいたしている、こういうようなことでございます。したがいまして、先ほどの先生の抽出率に基づく全体の不当事項の件数が五百件なり六百件なりあるいはそれ以上という点の数につきましては、本院としてはなかなか推計するのは難しい、こういうふうに考えでございます。
 ただ、本院が指摘している四件、五件ではない、まだ相当あると、そういうこともございまして、本院の検査報告に指摘した事例等につきましてひとつ大いに参考にしていただいて、同種の事態が今後二度と起こらないように各地方公共団体等におかれましては御注意いただきたい、こういうような認識に立っておるところでございます。
#32
○岩井國臣君 おっしゃるとおりだと思います。私も長い間建設省におりまして、現場の仕事もやってまいったわけです。やはり会計検査院から指摘を受けないように常に注意をしてやってまいりました。そういうことをやっておると会計検査院から指摘を受けるぞというようなことを部下に言いながら、我々自身しっかり仕事をやってきたわけでございます。したがいまして、先ほど言われましたようなことは私はよくわかるわけでございます。
 しかし、大事な点は、不当事項五件とか六件とか言っているけれども、やはりそれは氷山の一角である、見えない部分がかなりあるんだと。特に補助事業に問題が多いということだと思います。
 平成三年度決算の審査におきましても補助事業、つまり都道府県でありますとか市町村におけるその執行体制というものが大変問題になりまして、既に警告決議がなされておるわけでございます。私は、補助事業につきまして執行体制に大変大きな問題があるように考えております。
 そこで、自治省にお聞きしたいと思います。平成三年度決算にかかわる警告事項に基づきまして、自治省は地方公共団体に対しましてどんな指導をやってこられたのか具体的に報告していただきたいと思います。
 なお、私は、既に幾つかの県に設置されております技術センター、ああいったものを積極的に育成したらどうか、技術センターといったものを育成することによってやはり地方公共団体の執行体制というものが強化されていくのではなかろうかなと、こんな感じがしておるわけでございますが、そういった点も含めてお答えいただきたいと思います。
#33
○委員長(浦田勝君) 答弁者は、挙手をして言ってください。
#34
○説明員(伊藤祐一郎君) お答えいたします。
 地方公共団体が外部委託いたしました補助事業の設計業務に対します審査体制の確立の問題でございますが、従来から、外部委託に当たりましては当該地方公共団体の適正な管理監督のもとに行政責任の確保を十分に図って外部委託を行うよう指導してきたところでございます。
 自治省といたしましては、御指摘のとおり警告決議をいただいておりますので、昨年十月事務次官通達をもちましてその旨改めて通達したところでございます。
 今後とも関係省庁と十分な連絡をとりつつ、適切な管理監督のもとに外部委託が行われますよう努力してまいりたいと考えております。
 なお、御指摘の技術センターにつきましては、地域の実情に応じまして適切な活用が図られているものと理解いたしております。
#35
○岩井國臣君 さて、建設省所管の公共事業、平成四年度及び五年度におきます不当事項もそうでございますけれども、近年における不当事項の指摘というものはほとんどが設計ミスによるものになっておるかと思います。
 それじゃ施工ミスというものはないのか。実はそこが問題なのでございまして、会計検査院の検査、検査官がやられるわけでございますが、通常、書類による検査と現場における検査、二通りの検査が行われているかと思いますけれども、やはり中心はあくまでも書類検査であろうかと思います。書類検査が中心でございまして、現場検査というものはどうしても補助的なものにならざるを得ないのではなかろうかこんなふうに思うわけでございます。書類検査で発見し得たものを現場で確認する。もちろん現場で初めて発見し得るという場合も当然あるかと思いますけれども、そういうケースというのは少ないのではなかろうか。
 誤解のないように言っておきますが、私はそれが悪いと言っておるのではないわけでございます。当然検査の限界というものがありますので、現状の検査方法でやむを得ないと思うんですけれども、会計検査院の決算報告を見て、施工ミスの指摘がほとんどないから、昔は随分あったんです、大変たくさんあったわけでございますが、昔はともかく今は施工ミスというものはほとんどないんだ、そんな認識が一般化すると大変困るなというふうに思うわけでお聞きするわけでございます。
 そこで、会計検査院にお聞きいたしますが、先ほど申し上げました去る九月に行われました会計検査院主催のフォーラム、あのフォーラムで会計検査院の深田官房総務審議官が実はこういうふうに言っておられるんですね。施工不良に関する指摘については、昭和二十年代の後半は補助事業を中心に年間一千件を超える不当事項があった。しかし、四十年代には百件以下になり、最近では非常に少なくなってきているけれどもまだ毎年数件ほど見られると。全くそのとおりだと思います。大変現場における施工管理というものが充実してきておるのは事実だと思います。
 しかし、こういう話を聞きますと、全国で行われておる公共事業の施工ミスというものが年間数件しかないんじゃないかとかそんな錯覚に陥るんじゃないか。そうじゃないんですよ。私は先ほど検査の抽出率と言ったんですけれども、検査の抽出率というものを勘案しますと、数件じゃなくてやっぱり数百件になるんじゃないか、そんな感じがするわけであります。
 さらに、検査のやり方についてでございますが、検査のやり方は先ほど言いましたように書類検査が中心なんですね、現場の検査というものはあくまでも補助的なものであって。その点を勘案しますと数百件ではなくて数千件にもなるかもしらぬなと、これはわからぬわけですけれども、そんな心配をしておるわけでございます。会計検査院では検査の抽出率というものがわからないようでありますので私は今あえて乱暴な議論をしておるわけですけれども、要は施工ミスが相当ある、ただ会計検査では発見できないだけだと、そうではございませんでしょうか。
 施工ミスというものにつきまして、会計検査院はどのように考えておるのか。私が言うように、会計検査という業務で施工ミスというものを発見することはやはり限界があるのかどうか、あるいは会計検査院の指摘内容が施工ミスの実態をやっぱりあらわしておると考えでいいのかどうか、その辺についてお答えをいただきたいと思うわけでございます。
#36
○説明員(天野進君) お答えいたします。
 本院におきます公共工事に対する検査につきましては、設計積算等のほか施工についても重点を置いて検査を実施しております。この結果につきましては決算検査報告に掲記して指摘しているところでございまして、建設省も含めまして公共工事関係の施工に関する指摘事項、過去十年ほど見てまいりますと三十七件に上っでございます。建設省の関係につきましては補助十二件、次に農林水産省の十一件、こういうような形でかなりの指摘をいたしているところでございます。それと、昨今の公共事業の関係の予算額も相当伸びてきてございますので施工不良となる事態の発生も懸念されるのではないかこういうようなことから公共工事の施工については十分留意して検査してまいりたいと思います。
 先ほど先生御指摘のように、従前と比較してみますと確かに施工不良の指摘は減ってきてございますが、本院におきましては限られた人員によりまして効率的な検査を実施してきておりますが、特に本年は阪神・淡路大震災で公共構造物に多大な被害を受けておりまして、公共構造物についての安全性に国民の関心が非常に高まってございます。こういうような点を考慮して、今後検査に当たりましては、新しい検査手法の開発だとかあるいは職員研修の充実などを図りましてより一層効率的な検査を行ってまいりたいと考えておりますので、どうかひとつよろしくお願いいたします。
#37
○岩井國臣君 さて、アリの一穴という言葉がございますけれども、河川の堤防というものは洪水によって壊れることがあるわけでございますが、その際の損害というものはただ単に堤防の被害だけではなくて、当然地域住民の人命と財産に関係するわけでございます。したがいまして、万が一にも堤防の工事に施工ミスがあると大変な事態になりかねない。例えば、利根川の堤防が切れれば何十万人あるいは何百万人の人命を失うことだってあるわけでございます。
 公共施設のうち、みだりにそれを傷つけて死刑になるというのは堤防だけなんです。道路にしても何にしても、公共施設をみだりに傷つけられては困るわけでございます。そういう不心得者がおっては困るわけでございますが、仮の話でございます。道路とかいろんな公共施設があるわけですけれども、傷つけても死刑にはならない。刑法上死刑の規定があるのは堤防でございます。
 したがいまして、利根川の堤防といったものを例に公共工事の施工ミスについて議論することは必ずしも適当ではございませんが、近年、施工ミスということについての認識というものが一般的に少し甘くなっているのではなかろうかと私は心配をしておるわけでございます。
 そこで、まず建設省にお聞きいたしますが、阪神・淡路大震災の後、道路施設、民間建築物の不良工事がマスコミで話題になりました。建設省でも独自の調査をしておられると思いますけれども、しておられるでしょうね。もししておられるようでしたら、それぞれその結果を報告していただきたいと思います。
#38
○委員長(浦田勝君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#39
○委員長(浦田勝君) 速記を起こして。
#40
○政府委員(橋本鋼太郎君) お答え申し上げます。
 建設省におきましても、震災直後から調査委員会、それは河川につきましても道路につきましても住宅につきましてもそれぞれ専門の調査委員会を設けまして、倒壊、被害の状況、さらに施工不良も含めて十分調査したところでございます。
#41
○岩井國臣君 その結果についてどうであったのか簡単で結構でございますので。要するに、欠陥工事というのか施工ミスというのがあったのかどうか、その点を明快にお答えいただきたいと思います。
#42
○政府委員(橋本鋼太郎君) お答えいたします。
 例えば道路事業につきまして調査をいたしましたが、一つの例で鉄筋の圧接の不良箇所があったのではないかというような御指摘もございましたが、確かに倒壊した鉄筋が圧接箇所で壊れているという事例はありましたが、それが施工不良であるということは究明できませんでした。
 実際としてそれが施工不良という指摘は、例えば道路関係で申しますとございませんでした。
#43
○岩井國臣君 なかなか答えにくいことかもわかりませんが、私も別に現地へ行って調査したわけじゃございませんので明確なことは言えないんですけれども、新聞とかテレビでは大変話題になったわけです。その溶接箇所の問題だけではなくて、あれはたしか道路じゃなかったかもしれません、鉄道だったかもわかりませんが、やはりコンクリート構造物の中に木片が入っているのがございました。そんな報道ですからね、私は確認したわけじゃないので明確なことは言えないのでございます。
 どうも今道路局長のお答えを聞いていますと、調査した結果、溶接箇所の問題、若干の問題はあったかもしれないけれども、施工ミスとは言えないんだということなんですけれども、私もそのことが原因で倒壊が起こった、そんなことを言っておるんじゃないですよ。それはまああれだけの外力ですから、施工ミスがあろうがなかろうが、それは確かに壊れているんですよ。それが原因で壊れたとかそういうことを言っておるんじゃなくて、やはり施工ミスがあったんじゃないかと。普通、外から見てわからぬのだけれども、壊れたらそういうようなのが出てきてわかったと、こういうことではなかろうかと思うんです。ですから、やはり私はそういう欠陥工事といいますか施工ミスについてもうちょっと厳しい認識を示していただかないといかぬのではなかろうかなと、そんなふうに思うわけでございます。
 そこで、次は会計検査院にちょっとお聞きいたしますが、会計検査院におかれましても調査をされたんでしょうか。もしされたんでしたら、その結果はどうだったのかお答えいただきたいと思います。
#44
○説明員(天野進君) お答えいたします。
 阪神・淡路大震災に関連します実地検査は、復旧作業等を配慮いたしまして本院の検査の受け入れ態勢が整うまで差し控えたと、こういうようなこともございまして、実地検査時におきましては、被害を受けた構造物は既に撤去されていたり、補修がなされたりしておりました。また、建設時点から相当年数が経過しておりまして、建設当時の工事関係書類もほとんど廃棄されたりしているという、こういうような状況での検査でありましたことから、当時の施工に起因するかどうかは本院としても判断がなかなか難しい状況でございました。
 いずれにいたしましても、今回の検査で入手しましたデータにつきましては、ひとつ今後の施工管理体制のあり方とかというようなことの一つの研究材料に、これは非常に貴重なデータでございますので活用させていただきたいと、このように考えております。
#45
○岩井國臣君 阪神・淡路大震災の後、マスコミで報道されました施工ミスということについて建設省も会計検査院もそれなりに調査をされたようでございますけれども、施工ミスであるのかどうか、ああいう混乱の中ですし、それからまた古い資料も残っていないわけですから明快なことはわからない、それはよくわかるわけでございます。
 しかし、答弁として私が予想しておった答弁といいますか、施工ミスを認める答弁ではないわけでありますけれども、私はもちろん現地を見たわけじゃないんですけれども、施工ミスというものがやっぱりあったと。報道のとおりであるかどうかはわかりませんが、やはり施工ミスはあったんじゃないかと思います。したがいまして、施工ミスの防止ということにつきまして、今後ともやっぱり大いに力を入れていかなければならないんじゃないか。
 会計検査院は、その点どのようにお考えになっておるのか。会計検査に対する質問の最後といたしまして、施工ミスに対する会計検査院の見解というものをまとめてお聞きしておきたいというふうに思います。
#46
○説明員(天野進君) お答えいたします。
 工事の施工ミスの関係につきましては、施工ミスを防止するためには、一義的には受注者において契約に基づき適正に施工されるということが必要でございます。発注者におきましても、工事の監督及び検査の重要性を認識し、施工管理の一層の徹底を図っていただきたいと考えております。
 また、本院におきましても、従来にも増して施工に重点を置いた検査を行っていきたいと、このように考えておる次第でございます。
#47
○岩井國臣君 前向きの回答をいただきまして大変ありがとうございます。
 建設省とも十分な意思疎通を図っていただきまして、建設省と連携して施工ミスの防止という観点に立った適正な検査をぜひ進めていただくようお願いいたしたいと思います。
 施工ミスというものをなくすためには、会計検査院が言われますように、受注者側、つまり受注業者の品質確保に対する責任ある態度というものが極めて重要だと思いますし、と同時に発注者側における工事の監督というものが基本的に重要だと思うわけでございます。
 そこで、受注者側が行うべき品質確保の現状をお聞きいたしますとともに、直轄工事と補助事業別に発注者側の監督体制がどうなっており、どのような監督が行われているのかその辺の実態をお聞きしたいと思います。
#48
○説明員(井上靖武君) 公共工事の品質確保において受注者側が行うべきものといたしましては、これは工事の仕様書、設計図書等に定められておりまして、そういったものに従って受注者も自主的に品質を高めるようにしなければならないということになっております。
 また、監督体制と内容でございますが、これは建設省におきましては、技術職員の中から総括監督員あるいは主任監督員等の監督職員を任命いたしますとともに、補助的な業務につきましては外部委託も活用いたしまして、監督のあり方を定めた監督基準に従い、契約条件、出来形、品質、工程などに関する監督に当たらせております。
 また、都道府県及び市町村におかれましても基本的には建設省と同様の監督を行うべく努めておられるというふうに承知しておりますが、一部の市町村などにおきましては十分な監督体制の確保に苦慮しておられるというような実情も聞いております。
#49
○岩井國臣君 都道府県及び市町村の監督体制については十分な技術者が確保されていないというそういうような例があるということですが、私は特に市町村につきましては大変大きな問題があるんじゃないかというふうに考えております。
 建設省としては市町村の体制整備につきましてどんなふうにお考えになっておるのか。私は、先ほど自治省に対しまして技術センターといったものを育成すべきではないかという質問をさせていただいて大いに御賛同をいただいたんじゃないかと、こんな気がしておるわけでございますが、建設省としてもそういった問題にいよいよ本格的に取り組むべきではないか、こんなふうに思うんでございますが、いがかでございましょうか。
#50
○説明員(井上靖武君) 市町村における工事監督の体制整備について、技術センター等の組織も育成すべきというふうに考えるけれどもどうだということのお尋ねでございます。
 公共工事に関します品質確保のためには十分な監督体制を確保することが重要であるというふうに考えております。市町村におかれても工事監督体制のより一層の整備に努められる必要があり、そのための財政的、人的指導については自治省及び都道府県において努力されているというところでございます。
 建設省といたしましては、工事監督事例の紹介とかあるいは品質確保に関する研修、講習などを通じまして、市町村が監督体制を整備するための努力に対して適切な技術的支援をしてまいりたいと考えております。
 また、建設技術センターにつきましては、これは市町村の業務支援などを目的に現在全国三十六の都道府県において設置されておりまして、またその他の都道府県におかれてもその設置に向けて鋭意努力されているというふうに聞いております。建設省といたしましては、その建設技術センター職員の参加する研修あるいは講習への講師の派遣、それから建設省の監督検査基準や積算システム、この紹介などによって建設技術センターへの積極的な技術支援を行います。これを通じまして、市町村が適切な監督を行えるように努めてまいりたいと考えております。
#51
○岩井國臣君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 さて、建設省の官房長にお聞きいたしますが、今までるる聞いていただきましたように、施工ミスというものは実態上なかなかなくならないんですよ。会計検査院にもう少ししっかりしてもらう必要があるのかもわかりませんけれども、幾ら検査をやってもやっぱり監督体制というものがしっかりしていないと施工ミスというのはなくならないわけでございます。
 きょうは時間の関係もございまして指摘だけにとどめさせていただきますけれども、実は建設省の直轄の監督体制につきましても問題がないわけではない。都道府県とか市町村に比べますと格段にそれはしっかりしておるわけでございますけれども、私に言わせますと必ずしも十分ではない。とすれば、発注に当たりましていかに不良業者を排除するか、直轄工事の指名におきましてもそのことは極めて重要な課題になるわけでございます。
 指名契約制度の改正によりまして、透明性、客観性、競争性というものはなるほど十分確保できるようになったと思いますが、反面、透明性、客観性、競争性が強調される余り、目下、不良業者がはびこりつつあるのではなかろうか、もしそうだとすればこれは大問題だと。疑わしきは指名せずというのはちょっと乱暴かもわかりませんけれども、疑わしきは指名せずというようなことも必要ではなかろうか私はそう思うわけであります。不良業者の排除という問題につきまして、現状を踏まえ、今後の対策について建設省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#52
○政府委員(伴襄君) お答え申し上げます。
 今、先生からるる御指摘がありましたように、何といっても公共工事で工事の品質の確保を図らなきゃいかぬ、そのためには不誠実な建設業者とかあるいは施工能力の劣る建設業者を排除するということは大変重要だと思っております。
 今、建設省の直轄工事におきましても、特に指名に当たりましては、不誠実な行為がないかどうかとか、あるいは工事成績とかあるいは技術的な適性等々の基準から工事を施工するのにふさわしい業者を指名するというようなことをやっております。
 例えば具体的に直轄工事の指名を行おうとする場合には、対象となる事業者が、これまで請け負っておりました請負工事につきまして、その契約の履行において不誠実であることがなかったかとか、あるいは下請契約関係において不適切な行為がなかったかとかあるいは特に過去二年間の工事成績をとっておりまして、その成績が例えば平均六十点未満というようなものは当然排除しますし、逆に言うと八十点以上になればそれは十分考慮するというようなことをやっておりますけれども、そういう工事成績とかそういったことを反映させておりまして、請負契約の相手方として不適切なものは指名しないという形でやらせていただいております。
 特に、先生御指摘のように施工ミスを防ぐということが大変大事でございます。そのためには施工能力のすぐれた建設業者を選定するということは大事でございますけれども、そのためにはやっぱり各工事におきまして工事成績をきちっとつけまして、その評定を客観化いたしまして、その結果を公表するということが必要かと思いますので、この点につきましていろいろ直轄でも施行しております。
 また、工事の品質に関する委員会というのを設けておりまして、そこでも検討しておりますので、そういった結果を踏まえて、例えば資格審査にそういった評定が反映するといったようなことも考えておりますので、いろいろ先生の御指摘を踏まえて的確な対応をしていきたいというふうに思っておりますので、よろしく御指導いただきたいと思います。
#53
○岩井國臣君 基本的には官房長のおっしゃるとおりだと思います。ぜひそういう考え方で今後進めていただきたいと思うわけでありますが、問題は、やはり具体的にどうするかというようなことになりますといろいろあるわけでございまして、私も今後いろいろまた御意見を申し上げさせていただきたいと思いますけれども、ぜひ今後とも引き続いて御検討をお願いしたい、そういうお願いを申し上げまして、次の質問に移らさせていただきたいと思います。
 次は、災害の関係で、自主防災体制というようなことにつきましていろいろ質問させていただきたいと思います。
 阪神・淡路大震災の際、その震源地に近い北淡町でございますけれども、大震災直後から消防団が中心になりまして懸命に初期の消火活動とか人命救助の活動をやられたわけでございます。短時間で大変な救助活動に成果を上げられたというふうに聞いております。その結果、多くの家屋の倒壊が生じたにもかかわらず、死者は倒れたときに圧死した人、圧死者だけでございまして、倒壊家屋の下敷きになっている人が随分多かったわけです。約三百名ぐらいおられたわけでございます。すべて救助されたということでございますし、行方がわからない人もその日のうちにすべて所在が判明したというふうに言われております。そして、火災もわずか一件しか発生しなかったと言われているんですね。また、地域の防災組織がいろいろな協力活動を行った避難所では、北淡町以外にも円滑な炊き出しとか物資の供給などが行われたというふうに言われております。
 しかし一方では、残念なことでございますが、これは私自身確認したわけじゃないんですけれども、あの地震後、あの日は大変寒かったですから、あちこちでたき火がたかれた、その火の粉が飛んでいって漏れていたガスに引火して火災になった、そういう報道もありました。これなどは、仕方がない面があると思いますが、もう少し地域の皆さんが注意をしていただいておればなというふうな気もするわけでございます。これは残念な例でございます。はっきりしたデータはないようですけれども、地域の住民が自主的に初期消火活動を行ったところとそうでなかったところとでは火災の延焼ぐあいが大いに違っていた、そんなふうに考えられるわけでございます。
 そこで、消防庁にお聞きするわけでございますが、今後の話として、地域における自主防災システムについて、神戸の状況に照らしてどんな反省点があるのかその辺をお聞きしたいわけでございます。
#54
○説明員(高田恒君) 阪神・淡路大震災におきましては、火災や救助事案が同時に多発し、あるいは建物倒壊等によりまして通行障害が生ずるなど、消防機関の消火活動や救助活動は非常に困難な状況にございました。こうした中で、御指摘の北淡町のように、消防団を初めとする地域の住民の方々が発災直後の消火活動や生き埋め者の救生活動に携わり、被害の拡大防止に大きく貢献していただきました。大規模災害におきます地域住民による自主的な防災体制の重要性が再認識されたところでございます。
   〔委員長退席、理事大木浩君着席〕
 消防庁といたしましては、こうした教訓を踏まえ、自主防災に必要な資機材の整備について国庫補助制度を創設したほか、資機材の操作や訓練方法等活動体制についての検討を現在進めているところでございます。今後ともコミュニティーレベルの防災拠点や資機材の整備、リーダーの育成等を通じ、地域の防災体制の整備が図られるよう地方公共団体に対する指導、支援に努めてまいる所存でございます。
#55
○岩井國臣君 消防庁の前向きの姿勢につきましてはよくわかりましたが、神戸の状況に照らして、どういう反省点があったのかというのはどうもちょっとわかりにくいわけでございます。
 昭和四十八年に「自主防災組織の整備促進について」という通達が出ていますね、昭和四十八年です。もう随分前です。さらに、平成四年十月に総務庁から震災対策を中心として勧告が出ています。これは平成四年ですよ。今話された程度のことでしたら阪神大震災が起こる前からちゃんとやられていないとおかしいんじゃないか、そんな気が私はするわけでございます。
 したがいまして、このたびの阪神・淡路大震災の状況に照らして、もっと根本的なところでの反省というものが必要ではなかろうか発想の転換を求めるようなそんな反省が要るのではなかろうかこんなふうに思うわけでございます。
 神戸市というのは、今まで消防署という行政組織については随分力を入れてきたけれども、消防団というような自主防災については余り力を入れてこなかったというふうなことをちょっと聞いたこともあるわけでありますが、神戸市における消防署の職員、それから消防団員の数、経年変化を見ればそういったちまたの声もうなずけるような気がするわけであります。
 どうでしょうか、この消防署といいますか常備消防というものを中心とする考え方、消防署中心の発想というものを逆転させる必要があるのではないでしょうか。その辺、お聞きいたします。
#56
○説明員(桑原隆広君) 神戸市におきましては、平成六年四月一日現在でございますけれども、市内に十一の消防団が配置されておりまして、団員の数は全体で四千名の体制となっております。一方で、常備消防の方は千三百八十四名の職員が配置されているところでございます。
 今回の阪神・淡路大震災におきましては、神戸市の消防団におきましても地震の直後から消火活動、救助活動等に活躍いたしまして、地震の直後から二月末までに延べで三万六千人余りの団員がこうした幅広い活動に従事したところでございまして、消防団の重要性も改めて認識されたところでございます。
 常備消防と消防団につきましては、いずれも地域社会におきます消防・防災の中核として重要な役割を果たしておりますいわば車の両輪のようなものでございますので、消防庁といたしましても今後ともその充実に努めてまいる所存でございます。
#57
○岩井國臣君 車の両輪ならいいんですけれども、一つが大きくて一つが非常に小さいんじゃないかという気がするものだから申し上げたわけでございます。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと話題を変えますけれども、ことしの七月十一日、長野県と新潟県の県境を中心に降った集中豪雨は国道とかJRをずたずたに寸断いたしました。旅館とか民家にも多大の被害をもたらしたわけでございます。
 そういう状況の中でございますが、姫川温泉というのがございます。そこでの出来事でございますが、山本さんという消防団員のまことに沈着冷静かつ責任ある行動のおかげで、宿泊客六十七名、従業員十七名、計八十四名が無事避難することができた。避難したすぐ直後にその旅館が濁流に洗われまして全壊したわけであります。その消防団員の活躍がなければ相当の死者を出していたかもしれません。
 この事例は、消防団員の存在というものが地域の危機管理にいかに重要であるかそのことを如実に示しているかと思います。水防団による土のう積みや木流しなどの水防活動は、この七月十一日の災害におきましても各所で行われました。逆にこの七月の災害におきまして自衛隊も派遣されたようでございますけれども、まずは空振りに終わったようでございます。水防団とか建設業者の活躍で十分間に合ったというふうなわけでございます。
 自衛隊が要らぬということを私は言っておるのじゃなくて、と同時にやはり水防団とか消防団というものが極めて重要だということを言いたいわけでございますが、地域の危機管理ということにつきましてやはり消防団を中心とした自主防災が基本だと思うわけでございます。
 そこで、自治省と建設省にお聞きいたしたいと思うわけですが、そういった重要性にもかかわらず、消防団員、水防団員の数は近年どんどん減ってきております。それはなぜなんでしょうか。原因をお聞きしたいと思います。
#58
○説明員(桑原隆広君) 消防団員の数は、平成七年四月一日現在で九十七万五千人となっておりますが、先生御指摘のとおり、その数は年々減少する傾向にございます。これは都市化に伴います住民の地域における連帯意識の希薄化、あるいは国民の就業形態の変化、具体的にはいわゆるサラリーマン化でございますが、あるいは過疎地域等におきます若者の減少、そういったさまざまなものが影響しているんではないかというふうに考えております。
 こうした問題に対処しまして、消防団員の確保、消防団の活性化を図りますため、消防庁におきましては、消防団の施設や装備の充実、あるいは消防団の処遇の改善、さらには青年層、女性層に対します消防団への参加の呼びかけなどに努めているところでございます。
 消防団の重要性は先生御指摘のとおりでございまして、消防庁としましてもその活性化に努め、消防団員の確保対策を推進してまいりたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
#59
○政府委員(松田芳夫君) お話のとおり、水防団員、消防団員を含めて水防活動に従事する団員数は、昭和五十年には約百二十万人ほどおられました。平成五年度に百万人を下回り、平成六年現在、約九十九万人となってございます。
 団員の減少の原因としては、直接的には地域住民の水防活動に対する関心の希薄化、コミュニティー意識の希薄化というようなこととなるかと思いますが、その遠因、バックグラウンドといたしましては、農村部における過疎化や高齢化の進行あるいは専業農家の減少による世帯主の地域外勤務によるサラリーマン化など、地域と密着した意識の希薄化も影響しておるのではないかと考えでございます。また一方、河川改修の進捗により激甚な水害が逐次減少してきていることも影響しているものと考えられます。
 建設省といたしましては、昭和六十二年度から毎年夏の初めの五月、北海道は六月を水防月間と定めまして、水防の重要性と水防思想の高揚を図るため水防訓練を実施するなど、いろいろ啓蒙活動に努めているところであり、今後ともその努力を継続してまいりたいと思っております。
#60
○岩井國臣君 自治省、建設省両省からのお話、表面的にはそのとおりだと思います。私もそんなふうに今まで言ってきましたので、そういうことだと思いますが、それはあくまでも表面的な理由でございまして、実はそうじゃないんじゃないか。もっと根本的な問題があるんじゃないか。今言われたようなことは従前からわかっておったこと、昔からわかっておった、それでも減ってきておるわけですから、ほかに何か原因がある。
 阪神・淡路復興委員会の下河辺さん、あの方が言っておられるわけですが、私も今回、阪神・淡路大震災によりましてっくづく思うわけでございますが、ここが大事なところです、災害で一番大事なのは行政は頼りにならないということなんじゃないんでしょうか。そういうことをしっかり認識することではなかろうか。
 そう言うと誤解を与えますのでちょっと補足しますが、行政のやるべきことはもちろんいっぱいあるわけです。いっぱいあるんだけれども、それだけではやはり災害はなくならないということなんですね。行政にはやはり限界というものがあるということ、そこをきっちり認識することではなかろうか。ですから、いざというときには行政を頼りにしない方がよい、何か別のことを考えておく必要があると。私はそれを自主防災、こう言っておるわけでございますが、建設大臣、ひとつ自治大臣と相談していただきまして、早急に自主防災体制の整備に御尽力いただけませんでしょうか。
 水防団員は、ほとんどの場合消防団員を兼務しておるわけです。全国ほとんどダブっております。ですから、少なくとも水防団員につきましては両省が協力してその育成を図る必要があると思うんでございます。水防センター構想というのが建設省にございますが、その設置を一つとりましてもなかなか事務的にはうまくいかないというようなこともあるわけでございまして、建設大臣、ぜひ御尽力をお願いしたいと思うわけでございます。
#61
○国務大臣(森喜朗君) 岩井委員はこの間まで河川局長をしておられたわけですから、大体皆承知の上で聞いておられるわけで、それにまたお答えをするというのも何かおかしなところがありますが、しかし、今いろいろ御議論ございました水防はもちろん、これはやっぱり郷土愛に燃えるといいますか郷土愛に基づく行動であろう、そういうふうに認識をしておりますから、自主防災の思想そのものは、自主防災体制を整備していくことがこれは水防災上極めて大事なことであるということは十分承知しております。
 先生御存じかどうか知りませんが、私の郷里に手取川という、今立派な河川でありますが、私のまだ生まれてないころはしょっちゅう堤防が決壊しまして、ですから何かあればすぐ半鐘が鳴る、あるいはサイレンが鳴る、ある程度の予想された以上の雨が降れば全員が出てそういう体制をとったということをよく祖父などから聞いたものでございます。
 ですから、これは行政に頼らないということでは私はないと思います。これはやはり行政の主導があって消防団も水防団もいろんな計画もできるだろうし訓練もできるだろうというふうに思いますから、まさにこれはやっぱり官民一体で取りかかっていくといいましょうか対応していく大事な問題だと思っております。
 これも委員十分御承知だと思いますが、地域の水防災上必要な河川防災ステーションというのを、これを今建設省としてもやりかけておるようでございます。昔何か水防倉庫と言ったそうでありますが、現代的に河川防災ステーションという名前をつけて、そしてそれぞれ決壊あるいはそういうおそれのあるところにそういうものを常備、つくっておいて、そして水防団員が集まってそういうところでいろんな、待機をしたり打ち合わせをしたり、コミュニケーションを図れるようなことを今これから建設省は進めようといたしております。
 それから、余り英語を使うのは私は好きじゃないんですが、役所にはハザードマップというのがあります。これは被害想定地図というんだそうでありますが、こういうものも絶えずつくって浸水・避難情報を提供して、積極的な自主防災体制を支援していくということであろうと思います。
 建設省としても、今お話がありましたとおり、深谷自治大臣もことし就任早々に、金額はどういう数字からおっしゃったか知りませんが、一兆円の防災計画をつくるということを神戸で記者会見をしておられますが、そういう中に今お話しになったようなことが全部含まれていると思いますので、十分建設省も自治省とも相談をして、積極的な自主防災体制、まして水防災については十分我々としても取り組んでまいりたい、こう思っております。
 余計なことを申し上げるかもしれませんが、神戸の災害を見ておりましても、行政の皆さんというのはやっぱり大変な苦労をしておられたし、知事や市長やあるいは消防団や警察官の中には御自分の家にもそういう被害がある方々も随分おられた。それでもそうした自分の仕事をまず第一にというふうに献身的に、自分の家も捨てて顧みず市民のために働いておられた方もたくさんあるというふうに聞いております。
 自治省もそれから建設省も、職業の形態の違いであるとか都市化だとかいろいろ言っていますが、もう一つ根本的に言えば、もっと子供のときからやはり地域社会に対して、みんなで自分たちの地域は守っていくんだ、助け合っていくんだということを教育の中にも、もう少し日ごろから子供たちにしっかりと教えていくということも大事ではないかなと、委員のお話を伺いながら文部大臣の経験者としてそんな反省も私は合いたしてお聞きしておったところでございます。
#62
○岩井國臣君 大変力強いお答えをいただきましてありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは次に、震災後の道路の問題に移りたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、地震で最も大事なことは初期消火でございます。そしてその次に大事なのが道路の問題でございます。輸送路をいかに確保するかという問題でございます。地震後の救急医療活動のみならず、緊急復旧におきましても輸送路というものが不可欠であるわけであります。そこで、輸送路の確保という問題を考えてみたいと思います。
 今、東海地方などでは緊急輸送道路の整備が進められておると思いますが、緊急輸送道路というものはどういうものなのか、そして平成五年度に実施した事業につきましてひとつ御説明を賜りたい。これは建設省の道路局長ということになると思いますが、ひとつよろしくお願いします。
#63
○政府委員(橋本鋼太郎君) 御質問の緊急輸送道路につきましてでございますが、これは大規模地震対策特別措置法、昭和五十三年十二月施行でありますが、及び地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、昭和五十五年五月施行であります、これに基づきまして、静岡県の全域、山梨県のほとんどの地域、それから神奈川県、長野県、岐阜県、愛知県の一部というように六県から成る東海地震に係る地震防災対策強化地域におきまして、地震時の救援活動や緊急物資、生活物資の輸送に資する道路として関係知事が緊急輸送を確保するために必要な道路として定めるものであります。これを地震対策緊急整備事業計画として定め、その整備を図っているところでございます。
 本事業計画は、昭和五十五年から五年ごとに定められております。平成二年から平成六年度の計画を終え、現在、平成七年度からさらに五カ年で整備を推進していくということにしております。
 緊急輸送道路につきましてでありますが、この要件は、建設大臣の定める基準によりまして、高速自動車国道、一般国道及びこれらを連絡する道路、並びに知事が指定する地方公共団体の庁舎、指定地方行政機関あるいは指定公共機関、自衛隊の庁舎等、さらには緊急物資等の備蓄地点、集積地点、避難地等の拠点、これらを連絡する拠点的な道路として定められております。この地域におきまして緊急輸送道路は約三千四百キロ指定されております。これらにつきまして静岡県等六県におきましては、先ほどの事業計画におきまして平成五年度約百五十四億円をもって事業を進めております。
 事業の内容は、大型車がすれ違えるようにするという道路の拡幅、さらには橋梁の整備、道路のり面補強等を実施しております。
 また、今般新たに地震防災対策特別措置法が施行になりましたが、これによりまして地震防災緊急事業五カ年計画を策定して事業を進めていくということになりました。全国的にこのような緊急輸送路が指定され、その整備が本格的になっていくということでございます。今後、その整備促進に十分配慮してまいりたいと考えております。
#64
○岩井國臣君 今御説明ございましたように、緊急輸送道路というものにつきましては大変力を入れてやっておられる、こういうことでございます。ちょっとやそっとの地震で道路の橋梁が壊れたりのり面が壊れたり、要するに道路自体が壊れないようにしよう、こういうことでありますが、実はそれだけでは不十分でありまして、電柱が倒れたり沿道の家が壊れたりするわけであります。
 そういうことで、私はその緊急輸送道路につきましても、そういういろんなものが倒れていて使えない、道路を開いていく必要があるんじゃなかろうかと思うわけであります。道路啓開が必要だと思うのでございますが、緊急輸送道路につきましてもそういった道路啓開というものが必要なのかどうか。道路自体は壊れないかもしれないけれども、いろんな邪魔者が、支障物が倒壊してくるということで、道路啓開というものが必要なのかどうか、そこをちょっとお答えいただきたいと思います。
#65
○政府委員(橋本鋼太郎君) 道路啓開についてでございますが、これにつきましては、昭和四十六年の十一月に建設省の地震対策本部におきましても建設省の地震対策としていろいろ取りまとめております。その中で、緊急啓開道路整備事業というものが必要であるというふうに位置づけをしております。
 今御指摘のとおり、道路の損壊あるいは道路上の崩土、倒壊物、放置車両、このような交通障害物により通行不能になっている道路につきまして、これらを除去し、避難あるいは救急あるいは救急対策の実施等のために緊急輸送機能を回復することが極めて重要であります。そういう意味では、緊急輸送路の整備とこの道路の啓開を計画的に実施することがぜひ必要と考えております。
#66
○岩井國臣君 それでは、道路啓開ということにつきましてさらにちょっと突っ込んで議論させていただきたいと思います。
 阪神・淡路大震災の際、例えば神戸におきまして、国道、県道あるいは都市計画街路を含めて幹線道路の場合、道路の啓開というものがどのように行われたのか、具体的にちょっと御説明していただきたいと思うわけであります。
 地震発生後何時間ぐらいたって道路啓開が始まったのか、そして輸送路が一応確保できたかなと言えるようになったのは何日ぐらいたってからなのか、そしてまた道路啓開のためにどんな重機がどこから運ばれてきたのか、どんな苦労や問題点があったのか、今後の反省点なんかも含めてちょっとその辺の御説明をしていただければありがたいなと、こう思うわけであります。要するに、阪神大震災の後、道路啓開というものがどうであったのか、こういうことであります。
#67
○政府委員(橋本鋼太郎君) まず、震災直後、市街地の被災状況あるいは道路の被災程度等、現地状況を十分考えまして、各道路管理者が関係機関と協力いたしまして、やはりその中でも重要な路線から順次道路啓開を実施するということで実施したものでございます。
 高速自動車国道、阪神高速道路、直轄国道におきましては、地震直後より被災状況の調査を実施し、地震当日より道路啓開のための復旧作業を実施いたしました。
 例えば、阪神高速道路の橋脚が倒壊いたしました国道四十三号につきましては、これは延べ人数でありますが作業員約五千人、コンクリート破砕機等建設機械延べ約千四百台、ダンプ、トラック延べ約五千台を投入いたしまして徹夜の作業を続けたわけでございます。その結果、国道四十三号の一般道路におきましては、上下四車線でございますが橋脚の倒壊により通行不能になりましたが、しかし十一日後、一月二十八日には上下一車線の確保ができました。さらに、二日おくれまして十三日後の一月三十日には、上下二車線の確保が可能になったわけであります。
 また、その他の神戸市内の県道、市道におきましても、倒壊建物の中の人命救助、消火活動を優先させることなどにより翌日より道路啓開を開始し、国道等から区役所等の緊急救援拠点へのアクセス道路等主要なルートから順に通行を確保してまいりました。具体的には、主要な県道では市街地間を東西に結ぶ八路線、十区間を一月の二十日に啓開し、市道では主要な県道間を連絡する十五路線、十七区間を二十三日に啓開を完了したところであります。その後、引き続きましてこれらに接続する補助幹線道路の啓開を始め、一月末にはおおむね完了いたしました。このように報告を受けております。
 また、阪神・淡路大震災の経験から反省すべき点は多々あるわけでありますが、代替性を有し耐震性を確保した緊急輸送路のネットワークの整備、震災後における関係機関との緊密な情報交換、早期啓開を実施するための建設業界との協力、都道府県公安委員会等の関係機関との体制の整備、啓開区間の道路利用者への速やかな広報等、種々の課題があったと認識しております。
 今後、これらの課題につきまして、適切な対応策を検討してまいりたいと考えております。
#68
○岩井國臣君 今後、阪神大震災の経験に照らしていろいろ検討を進めていくということでございます。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、河川局長にお伺いしたいと思いますが、関東直下型地震を念頭に緊急用河川敷道路というものが整備されてきておると思いますけれども、緊急用の河川敷道路というものは一体どういうものなのか、どんな考えでいつごろからどんな構造のものをどんな予算でやっているのか、そして平成五年度の事業内容についても御説明いただければと思うわけでございます。緊急用河川敷道路というのが一般に余り知られていないように思いますので、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
#69
○政府委員(松田芳夫君) 緊急用河川敷道路の構想は、昭和四十六年十一月、かなり古いことになりますが、当時の建設省が関東大地震等に対応するというようなことで建設省の地震対策というものを作成したときに始まります。
 この中で、過密な市街地において残された広い空間である河川の高水敷を利用して、被災時に河川管理施設の復旧に使用するとともに、市街地の救援援護、緊急啓開の足場とするなどの目的に緊急用河川敷道路の整備が位置づけられております。
 この緊急用河川敷道路は、もちろん川の中の高水敷といいますか、河原の上を走っているわけでございますので、洪水が出たときには無論水没することになりますが、通常時はサイクリングとか河川の散歩というようなことにも利用されるものでございます。
 昭和四十七年度から河川事業として、特に人口や機能が集中しております大都市圏で、例えば東京の多摩川とか大阪の淀川とかあるいは名古屋の庄内川とか、五河川におきまして整備を進めてきたところであります。
 なお、当該道路の整備に際しましては、河川を横断する幹線道路との整合性を図るため、道路構造令に準じた車道の幅員や道路に接続するための堤防を登る坂路の確保等に留意して施工しております。
 平成五年度につきましては、四河川において事業費約九億円で延長十一キロメートルの整備を行ったところであります。延長に比べて事業費が安いように見えますが、これは国有河川敷の上につくるということで用地費が一文もかかっていないということが影響しているかと思います。
#70
○岩井國臣君 今、緊急用の河川敷道路について御説明いただいたわけですが、この河川敷道路と先ほど道路局長から御説明いただきました啓開道路、二つは大いに関係があるわけですが、その整合性の問題でございます。いろんな関係部局がうまく連絡調整をしてそごのないようにしなきゃいかぬわけでございます。
 例を東京都にとりましてちょっと聞いてみたいと思うわけですが、東京都に地域防災計画というのがございます。あれを見る限り、どうも啓開道路というのもちょっとはっきりしないし、それから緊急用の河川敷道路というものとの関係ですね。確かに緊急用河川敷道路は地域防災計画にのっているわけでございますけれども、それと啓開道路との関係がどうもはっきりしない。要するに、私は連絡調整が余りうまくいってないのではないかという印象を持っておるわけでございます。
 この辺、道路局長にお答えいただくのがいいのか都市局長にお答えいただくのがいいのかわかりませんが、そういう連絡調整あるいは整合性というふうなことにつきまして、簡単で結構でございます。
#71
○政府委員(橋本鋼太郎君) 東京都の場合で申し上げますと、緊急用の河川敷道路は、江戸川、荒川、多摩川、三河川で指定されております。また、啓開道路は四百十一路線、千三百七十三キロメートルが東京都の地域防災計画で位置づけられております。
 そういう意味で、両者はこの計画の中に定められているわけでありますが、これらにつきまして関係機関の連絡調整が十分であったかどうかという点については十分反省したいと思います。
 しかしその一方では、例えば建設省の関東地方建設局におきましては、南関東地域における地震災害の応急対策、防災体制の整備、施設の予防対策等につきまして震災対策基本計画を平成五年度に策定いたしまして、その中でも道路の啓開、緊急用河川敷道路の利用等についていろいろ基本的なことを定めております。
 こういうような調査研究も十分やっておりますので、これらを今後地域防災計画の中に十分反映していくように努力してまいりたいと思います。
#72
○岩井國臣君 震災後の輸送の確保というふうなことにつきましては、関係する部局が大変多いわけであります。建設省の中でも河川局と道路局、これは当然ありますし、それから東京都はどうだと。それからもう一つ、実際に道路を啓開していくときにだれがやるかというと業者がやるわけですね、建設業者がやる。そこの関係をどうするんだとか、いろいろ現場サイドといいますか、具体的には問題があります。だから、十分その辺の連絡調整をやっていただく。今全然やっていないんじゃないですか。いろいろやっておられるんですけれども、阪神大震災の経験に照らしてさらにその辺の連絡調整というものを充実してもらいたい、こういう思いでございますので、その点のお願いをさせていただきまして、次の質問に移りたいと思います。
 次は、中小建設業の保護育成の問題でございます。
 災害時におきまして、消防団あるいは水防団を中心とした自主防災がどのように行われるのか。そのことのほか、地域の危機管理のためには私は地域の建設業者の活躍というものが不可欠だ、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、建設省にお聞きいたしますが、阪神大震災の直後、神戸市の場合、道路の啓開に当たって地元の建設業者はどのように活躍したのか、あるいはできなかったのか。その辺、おわかりになっている点がありましたらお答えいただきたいと思うわけであります。
#73
○政府委員(橋本鋼太郎君) お答え申し上げます。
 例えば神戸市におきましては、先ほど御説明いたしました地域防災計画、こういうものの中で登録業者等に依頼して可能な限り作業員を確保し、応急対策事業を行う、このように定めております。もちろん今回の阪神・淡路大震災におきましても建設業全体の支援、御協力があったわけでありますが、特にこの神戸市内の登録業者あるいは協力の申し出のありました地元建設業者は、道路啓開にかかわる作業のほか、人命救助、行方不明者の捜索、現地状況の情報収集、報告、避難所の飲料水の確保、ごみ処理、建設機械及び資材の確保、物資輸送トラックの提供、余震活動による二次災害予防のための応急措置など、昼夜を問わず献身的な努力をされたと聞いております。
 このような活動に対して、我々としても大変な感謝をしているところでございます。
#74
○岩井國臣君 今、道路局長から御説明ございましたように、いざということになりますと大変地元の建設業の活躍というのがあるわけであります。人命救助からあるいはいろんな救援物資の運搬、仮設トイレの設置あるいは水の運搬とか、いろいろ実はあるわけであります。
 そういったものは全部ただといいますかボランティアでありますが、先ほどの道路啓開につきましては、あらかじめ建設省なら建設省、県なら県と業者が協定を結んでおって、その協定に基づいてやりますからただということじゃないと思いますけれども、結構ボランティアの部分というかただの部分が非常に多いわけであります。不眠不休の大変な苦労があるわけであります。
 そういったことは、大手といいますかゼネコンはなかなかできない。地元にまず人がおりませんし、機械もないんですね。そんなことでなかなかそういった非常の際の緊急の対応というのが大手は難しい。そういうことがあります。地元の建設業だけが頼りだと、ちょっと言い過ぎかもわかりませんが、そんな感じがするわけであります。
 そこで、二月六日の神戸新聞にこんな記事が載ったわけであります。地震後約三週間たっておるわけであります。それまでは、先ほど言いましたように大変な救援活動を地元はやったんですけれども、大手はやらなかった。ですけれども、新聞記事は「ゼネコン大手各社 神戸に社員大量投入「復興需要」見込み攻勢」、そういうような記事です。そして「地元業者に焦り」、こんな見出しがついておるわけであります。
 そのとおりなんですが、そのとおり地元業者に焦りが出たところでそんな記事が出たということで、これは大変地元業者の神経を逆なでした。そういうときに私は現地へぱっと行ったものですから、えらいおしかりをこうむった。二、三人の人から大変な怒りをぶつけられたわけでございます。こういう話は大変つらいわけであります。
 そこで、建設大臣にお伺いするわけでございますが、災害時のこともございますので、やはり地元の優良な建設業というものにつきましては常日ごろからしかるべき保護育成というものが図られてしかるべきではないか、こういうふうに私は思うわけでありますけれども、大臣いかがでしょうか。大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#75
○国務大臣(森喜朗君) 先ほど委員からいろいろとお話を承っておりました。例えば消防にいたしましても水防団員にいたしましても、地域のそうしたボランティアというような意識のもとに地域のことにいろいろとお手伝いをいただく。これはやはり比較的地域に密着した地元の建設業に携わっておられる方、建設関連に携わっておられる方が非常に多いと思います。私は、そういう意味では委員のおっしゃるとおり、そうした中小企業を健全に育成しておくということは極めて大事なことだと、こう思っております。
 そういう意味で、各種の構造改善対策を実施いたしておりますし、中小中堅の建設業者の技術力、経営力の向上を図るとともに、中小中堅建設業者の受注機会の確保に十分配慮する必要がある、このように考えておりまして、御承知かと思いますが、先般、七月及び十月に建設省における中小中堅建設業者の受注機会の確保対策というものを講じさせていただいた、そういう措置をさせていただいたところでございます。これはもう委員も十分御承知のことだと思います。
 このような観点から、官公需法に基づく中小企業者向けの契約目標に対しまして各発注機関がそれぞれ努力をしておられるところでございますが、建設省においても、発注の運用に当たっては中小中堅建設業者の参加機会を拡大する、今申し上げたとおりでございますが、その目標を定めまして、その目標達成に向けて努力をしておるところでございます。
 建設省としては、地域に密着した優良な建設業を育成していくことは、かかってその地域社会をまたみんなで守っていくということになるだろう、このように私も考えております。
#76
○岩井國臣君 地元の建設業とかあるいは中小建設業と一口に言いましてもいろいろありますので、やはり優良な業者、いい業者につきましてはぜひ保護育成を図っていただくようにお願いをしたいと思うわけであります。
 それでは、次の問題に移りたいと思います。
 次は上九一色村の地域づくりについてでございます。
 先月の決算委員会で我々の友人の中島眞人先生が、オウム真理教と関連いたしまして、上九一色村の再建といいますかこれからの地域づくりについて質疑をされました。私も関連で質問させていただきたいと思うわけであります。
 私たち同期の者が中島先生先導のもと上九一色村を視察に行ったいきさつというものは、先般中島先生が話をされたとおりでございますのでそれは省略いたしますが、まず建設省にお聞きしたいと思います。
 例えば建築基準法の場合、ほかにもオウムの施設に関連する法律といたしまして、これは上九一色村の場合ですけれども、消防法とか医療法、食品衛生法、水道法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、そういった法律がいろいろあるわけであります。しかし、建築基準法を代表例にしてお聞きいたしますが、なぜ立入調査がおくれたのか。警察の強制捜査が入る前の段階でもっと早く立入調査をしておれば、ああいう奇妙なといいますか建築基準法違反と見られるようなああいう建物がどんどん建つというのは防げたのではなかろうか、そういう批判の声が私たち調査団の中にもあったわけでございます。
 そこで、住宅局長にお聞きするわけでございますが、まずその辺の事情の御説明をいただきたいと思うわけでございます。
#77
○政府委員(梅野捷一郎君) 上九一色村のオウム真理教施設につきましては、ただいま御指摘の基準法の確認の対象、計画の確認をするわけでございますが、計画の確認の対象になりますものが十一棟ございまして、これらにつきましては手続上すべて建築確認をとっております。
 それから、その後の状況でございますが、警察の強制捜査が行われます以前に、そのうちの六施設については、一つは工事の途中の段階での調査権を利用して調査をしておりますし、また工事完了の届けを受けて現地を確認するわけでございますが、そういう工事完了に伴います現地の検査、これを含めまして六施設について行われているということでございます。
 捜査後は、捜査との関係もございまして、いろいろなそちらの動きとの関連もございますが、三施設について実地に、現地に入っておるという状況でございます。
 このように強制捜査以前にも一応現地に入っての検査、調査も行っておるわけでございますが、その段階では、例えば第二サティアンなどで地下室があるんではないかというようなことで事前に調査もしたわけでございますが、現地でも明確な事実を把握できなかったというような状況にございます。
 それから、通常のこういうものの施設につきましては、工事完了届けを受けまして、その段階で必ず現地へ行って、それでいろいろな違反ないしは不都合な点があれば、そこで是正をさせて、直した上でまた検査をして使わせる、こういう手順になるわけでございますけれども、その間にはそういう手続を利用して立入調査をしようということで、どうも使っているんではないか、でき上がっているんではないかというようなたび重なるいろいろな情報がございましたので、完了検査をするための届けを出せというようなことは随時やったわけでございますが、結果として、先ほど申し上げましたように、立入調査というものについては、今から考えますともっと頻度を上げて調査をしておけばよかったかなと。
   〔理事大木浩君退席、委員長着席〕
 あるいは調査の内容も、先ほど申し上げましたように、必ずしも入っても事実を把握できなかった点もあるわけでございますけれども、ほかの例えは警察あるいは関係部局でもいろいろな関心を持っておられたというふうに思われるわけでございますので、そういう点の関係部局との連携の強化というようなことをもっと図ることができなかったのかなというようなことを反省しているところでございます。
#78
○岩井國臣君 なかなか現在の法体系ではぴしっとした対応が難しいのかもしれない、そんな気もするわけでありますけれども、実は、私ども上九に行ったときに現地の公民館で現地の区長さんから聞いた話は、私にとりまして大変ショックでございました。そんなことが本当に何とかならなかったのかなと、そんな思いが今でもしておるわけであります。
 平成元年に始まって、平成三年から急速に土地の買収が進んでいった。あれよあれよと言う間に何とも言えぬ奇妙な建物がどんどん建てられていった。全部で三十四棟。しかも、富士山を背景にしたあのすばらしい高原にです。あの地帯が工業地帯に指定されているならいざ知らず、工場というか倉庫といいますか、あんな建物があのすばらしい高原に建つなんてだれが考えても異常としか言いようがない。全く異常だと思います。そんな異常がなぜほっておかれたのか。しかも、だれも気がつかないうちにそうなったのじゃなくて、地元とのトラブルが日増しに高まって上九一色村全体としても大変深刻な問題になっていたわけですね。
 そういう中でなぜ行政は何ら手を打てなかったのか。現地の区長さんは、この日本という国は本当に法治国家なのか、とても法治国家とは思えなかった、こうおっしゃっておるわけであります。数人の人ならいざ知らず、地域全体の人がこの日本という国は法治国家ではないのではないか、そういうふうに思われる、これは大変なことだと思います。
 なかなかこれは難しい問題でありまして、私もこれから引き続きいろいろ勉強したいなと思っておるわけですが、いずれにいたしましても現行の法制度ではどうにもならないという法制度上の問題に突き当たるのではなかろうかという感じもちょっとしております。やはり原点に立ち返って考えてみる必要があるのかなと。
 そこで、まだ突っ込んだ議論ではないんですけれども、ちょっと感じみたいな話で恐縮ですが、少し原点に返って考えてみたいと思います。
 慶応義塾大学の伊藤滋先生、日本都市計画学会の会長ですし、建築審議会とか国土審議会の委員もしておられまして、建設省の方々あるいは国土庁の方々にはおなじみの方でございますね。その伊藤先生がこうおっしゃっておられます。
 いじめ、婦女暴行、窃盗、自転車泥棒などの犯罪は、社会に対する人々の不安の象徴である。倫理的な行動基準をつくり、犯罪、災害、公害に対して町づくりの分野で対応すべきだ。その具体策がないと、町づくりの担い手である住民が安心して住めないと。
 こういった災害とか犯罪、そういったものを考慮に入れた町づくり。ただ単にハードな施設だけをつくればいいということじゃなくて、ソフトを考えた町づくり。ハードとソフトと無関係ではないので、本来は一体のものだと私は思っております。
 この場合に、例えばイギリスのグラウンドワークのように、地域住民が主体的に町づくりに参加するというようなことが重要だろうと考えておりますが、そういった伊藤滋先生の見解、大変これは難しいんですけれども、ちょっと感想みたいなことでいいんですが、都市局長、いかがでございましょうか。
#79
○政府委員(近藤茂夫君) 大変難しい含蓄のある御質問だと思うわけでございますが、伊藤先生おっしゃいましたように、私ども単にハードだけではないソフトも含めた町づくりを進めているつもりでございます。
 一般的に都市整備の目標として安全性、快適性、利便性、これが目標だということを言っているわけでございますが、安全性の中には当然、防犯、安全、安心という意味合いで犯罪が発生しにくい町、こういう意味合いも含めて進めているというふうに考えているところでございます。その場合、ともすれば私ども、都市計画というのはそういうあるべき都市、町づくりを進めるための手段という観点から考えていかなければいけないところが、どうしてもその手段である土地利用規制とか、施設整備、これを目的化してしまう、そういったところは反省しなければいけないというふうに考えているわけでございます。
 そこで、今先生御指摘の住民グラウンドワーク、イギリスでもグラウンドワークが進められているわけでございますし、私どももクラウンドワークあるいはボランティア活動、こういったものが町づくりには非常に重要だという認識は持っているわけでございまして、都市計画の中でとりわけ日常生活にかかわるいわゆる町づくり、この分野に関しましては、先生御指摘のとおり、住民が主体的に参加していく、これが重要だろうと思います。
 その過程において、先生か言われる意味のソフト中心の町づくりが進められていくということも期待できるわけでございまして、そういった観点から住民参加に関して徹底するよう考えておりまして、例えば今回の阪神・淡路大地震におきましては、長田区等の具体の街区づくりにつきましては住民協議会をつくっていただきまして、その住民協議会に対して公共団体は専門家を派遣する。この専門家の派遣費用についても、メニュー補助の一環として使い得る補助金の使い道の一つとしてあらかじめ決めております。そして、専門家を派遣して住民協議会の立場に立って町づくりを進めていく、こういうことも現実に動いているわけでございまして、日常生活にかかわる町づくりに関しましては住民本位の形で進めていきたい、このように考えているところでございます。
#80
○岩井國臣君 災害に強い町づくりというふうなことは割にわかりいいんですけれども、犯罪のことを考慮した町づくりというのはなかなかわかりにくいですね。ですけれども、伊藤滋先生はそのことを盛んにおっしゃっている、伊藤先生の持論になっているわけであります。私も勉強していきたいと思いますが、ぜひ建設省におかれましても、そういったことでひとつ大いに勉強を進めていただければありがたいなと思います。
 同様の質問を次に国土庁にさせていただきたいと思います。
 今後の地域づくり、町づくり、コミュニティーづくりにおきまして、地域の利便性とかあるいは自然環境だけではなくて、先ほど言いました災害、犯罪に対する安全確保、そういった観点も必要だ、今後そういった観点での議論をぜひしていただきたいなと、こう思うわけでありますが、国土庁につきましてはいかがでございましょうか。
#81
○政府委員(岩崎忠夫君) 一般に我が国の地域社会におきましては、これまでも消防防災とか防犯とか、地域の安全面に重きを置きましたそういった地域づくりが進められてきたものと考えているわけでありますが、御指摘の上九一色村のケースではそうした通常の地域づくりの対応では対処がなかなか困難である、そういったような問題ではなかったかと考えているところであります。
 上九一色村では、オウム真理教対策に追われまして、村の地域づくりや施設整備に大きな支障を生じたとも伺っているところでありまして、国土庁としても、上九一色村が過疎地域でありますことから、同村の過疎地域活性化計画に基づきます地域づくりにつきまして、関係省庁とも連携しつつ支援をしてまいりたいと考えているところであります。
 また、今後の地域づくりについての問題でありますが、先生からただいま御指摘賜りましたとおり、その地域の人々が安全かつ安心して生活ができますように、施設整備などのハードの側面ばかりでなく、防災、防犯といったソフト面をもともに考えた地域づくりがさらに重要になっていると受けとめておりまして、御指摘の点は今後の地域づくりに十分生かしてまいりたいと考えておるところでございます。
#82
○岩井國臣君 どうも前向きの御答弁ありがとうございました。
 時間がもうなくなってまいりました。実は都市整備の問題とか、これからの公共用地の確保の問題につきまして質問を用意しておったのでございますが、今国土庁にお答えいただきましたことと関連いたしまして、最後に国土庁長官にお願いをさせていただいて、私の質疑を終わりたいと思います。
 先般の決算委員会で中島先生が、上九一色村の再建のために特別立法を制定するとかあるいは閣議了解という形でもよいので、地域整備に何か特別の措置が講ぜられないかという話をされました。私も全く同様の思いを持っているわけでございます。
 そこで、国土庁長官には、必ずしもこれは国土庁の所管事項とは言えないかもしれませんけれども、国土庁はやはり地域づくりの総合調整官庁でもございますので、この点お願いだけさせていただきたいと思います。ひとつよろしくお願いしたいと思います。答弁は結構でございます。
 終わります。
#83
○委員長(浦田勝君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
   〔理事大木浩君委員長席に着く〕
#84
○理事(大木浩君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件を一括して議題とし、建設省、北海道開発庁、沖縄開発庁、国土庁、住宅金融公庫、北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫の決算について審査を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#85
○続訓弘君 私は、具体的な質問に入ります前に、まず本委員会の冒頭で、森建設大臣、高木沖縄・北海道開発庁長官、さらには池端国土庁長官から大臣御就任の力強いごあいさつがございました。まことにおめでとうございます。お三方にはそれぞれ所信に従って、国家、国民のために懸命の努力を誓われることをお願い申し上げます。
 さて私は、具体的な質問に関連をいたしまして、建設省の決算に関連をした官官問題についてまず御質問申し上げます。
 建設省は、去る十月十二日に、会計検査院の検査で地方自治体に交付された補助金が官官接待に流用されていた事実が明らかになった場合には、その返還を求めるとの方針を明らかにされました。
 マスコミ報道によりますと、島根県では、九四年度中における東京事務所の農林水産関係食糧費千七百四十五万円の約半分が公共事業費からの流用であったと。また秋田県では、九三、九四年度の公共事業費の事務費七億二千六百五十五万円が食糧費や旅費に流用されたと報じられておりました。このような官官接待に関する問題指摘の記事が連日報道され、今や国民的な怒りとなっております。
 そこで、我が新進党は、この問題を真摯に受けとめ、真剣に討議を重ねた結果、去る十月二十日、官官接待根絶のための提言を発表いたしました。
 その概要を申し上げますと、まずその根源は現行の中央集権的行政機構そのものにあるとして、その抜本的解決策としては、一日も早く衆参両院が三年前に全会一致で決議した地方分権の実現を図るべきであるとして、当面、次の六項目について具体的方策を提言いたしました。
 その一は、官官接待の禁止、その二は、地方分権の推進と補助金行政の改革、その三は、業務時間外の対外的会議もしくはこれに類するものの禁止、その四は、食糧費の透明性の確保、その五は、監視体制の強化、その六は、社会通念上許容し得る飲食基準の明確化等でありました。
 具体的、詳細なことは時間の関係で省かせていただきますけれども、建設省の九五年度予算の補助事業費は何と四兆六千三百十九億円の巨額に上っております。それだけに、所管大臣として、公共事業費の官官接待への流用問題については重大な関心と決意をお持ちであろうと思います。
 そこで、建設大臣に伺います。
 官官接待の根絶に対する御自身の方策と、ただいま申し上げました新進党の提言についての評価について、率直な森大臣の御見解を承りたいと存じます。
#86
○国務大臣(森喜朗君) 御質問前に、私ども三名に対しまして続委員から御懇篤なる御激励をいただきまして大変恐縮に存じております。
 地方公共団体も含めまして、職務上の関係者との打ち合わせ、これは社会常識に照らしまして節度あるものでなければならない、この点についてはこれまでもいろんな機会を通じて職員にも徹底してきていたところでございます。
 いろいろと今委員から例を挙げてお話もいただきましたけれども、必ずしも予算をもらうからとか予算が欲しいから接待をするとか食事をするということだけでも私はないと思う。お互いに地域社会をよりよくしていこう、国土をよりよくしていこうということで、これは地方の官僚の皆さんも中央の官僚の皆さんもお互いに努力して、いろんな議論をし、いろんな事柄を積み立てていく、そういう話し合いを終わって、ああよかったねということで食事をしたり、まあ一杯やろうかというようなことになる、これは一つの風土的なものでもあると思います。ですから、すべてのそうしたことがいけないということをやっぱりこれは私たちの立場からは言うべきことではないという感じを、私は個人的にそんな思いもあるんです。
 しかしながら、少なくともやはり税金を使っているというこの基本だけは決して忘れてはいけない。それから、国民の皆さんからそのことに対して批判を受けたり疑念を持たれてはいけない。これはもう公務員としては当然のことだというふうに私は思っております。
 しかしながら、こうしたことが出てきたということについては、これはもうだれかれとなく全員で厳しく反省をしなきゃならぬ。いたずらに冗漫に流れている、あるいは風土的なものでそのまま流されているということであってはならないと思うわけでありまして、その点につきましては、今委員からいろいろ御指摘いただきましたことは極めて傾聴に値する大事なポイントだろうと、こう思っております。
 八月十五日の閣僚懇談会におきまして内閣官房長官及び総務庁長官の発言を受けまして、今回一層の綱紀の粛正につきまして職員に徹底を図ったところでございます。
 ことしの八月二十八日、本省第一課長会議を皮切りにいたしまして、十月五日にも開きました。九月八日に地方建設局長を全員集めましてここで会議を開き徹底をいたしております。九月十四日には地方建設局の総務部長等の会議も開いております。十月四日には本省の幹部会議も開いております。また、最近、地方公共団体につきましては、九月十九日に全国土木建築主幹・部局長会議を開いてこれも徹底をしております。さらに十月十一日には都道府県の東京事務所の建設省の担当者会議というものを開きまして同様の趣旨の連絡をいたしております。十月十六、十七日は全国土木部の管理課長等の会議なども行っておりまして、こうした綱紀粛正の徹底を図っておるところでございます。
 あわせまして、補助事業の執行に当たりましては、従来から食糧費、事務費の適正かつ効率的な執行に努めるように指導してきたところでもございますが、今後とも適正かつ効率的な執行が図れるように厳しく対応していきたいと、このように考えております。
#87
○続訓弘君 ただいま森建設大臣から、税金の重み、そして国民の批判を受けてはならない、こんな力強い誓いの言葉がございました。せっかくのその誓いを無にしないようにぜひ所管大臣として御留意を願いたいと存じます。
 続きまして、第二番目に全国総合開発計画について伺います。
 戦後五十年を経て、我が国社会が大きな転換点を迎えております。すなわち、阪神・淡路大震災の発生、四十カ月を超える戦後最大規模の不況、世界経済に占める地位の低下、少子・超高齢社会の到来等々、難問山積の状況にございます。
 このような状況の中で、新しい理念と長期的展望のもとに、我が国における将来の国土のあり方が早急に国民の前に示される必要があると私は思います。そこで、以下二点御質問をいたします。
 第一点、現在、新しい全国総合開発計画が検討されていると聞いておりますけれども、この策定の意義と基本理念については所管大臣からお答えを願います。
 そして第二点、特に東京圏については、住宅、土地、通勤問題、交通渋滞問題等、生活面を中心とした課題の解決を図りつつ、これまでの集積を生かし、日本のみならず世界の中で中心的な役割を果たすことが期待されていると思います。新しい全総計画の中で東京圏をどのように整備しようと考えておられるのか、御所見を承りたいと思います。
#88
○国務大臣(池端清一君) 先ほどは続先生から御懇篤なる激励のお言葉を賜りまして、恐縮に存じております。初心を忘れることなく、微力でございますが国家国民のために全力を傾注して頑張ってまいりたい、このように決意を新たにしたような次第でございます。
 ただいま続委員お尋ねの新しい全国総合開発計画でございますが、四全総にかわる新しい全国総合開発計画については、目下、国土審議会で平成八年度中の策定を目指して鋭意御検討をいただいておるところであります。
 先生既に御案内のとおり、昭和三十七年に全国総合開発計画が策定されて以来、今日まで四たびにわたってこの総合開発計画が策定をされてまいりました。これは、東京を初めとする大都市の一極集中を是正して国土の均衡ある発展を図る、地域の活性化を図る、こういう国土行政の理念に基づいて策定をされてきたものでございます。しかし、今先生からも御指摘ありましたように、少子・高齢化社会の進行、あるいは産業の空洞化等々、戦後五十年を迎えて我が国の政治、経済、社会は非常に大きな転換点に立っているわけでございます。この厳しい時代に、本当に国民に明るい期待と夢を持つようなビジョンの策定が何としても必要である、こういう立場から現在作業を進めておるわけであります。
 その大きな視点といたしましては、やはり何といっても環境や福祉や文化というものを重視する、そういうビジョンにしていきたい。自然と共生できるようなビジョン、あるいは本当にゆとりと豊かさが実現できるような、そういうようなビジョンにしていきたい。それから二つ目には、やはり何といっても世界との共生を図っていく。とりわけアジア・太平洋地域との交流、連携というものを視野に入れたグローバルな計画にしていきたいものだと、こう思っております。三番目には、地方の声を重視する。いわゆる地方分権の時代であります。地方の主体性を尊重する計画を策定していきたい。
 さらに、午前中からもいろいろ言われておりましたけれども、安全で安心のできる国土の形成、さらには今の太平洋ベルト地帯、いわゆる第一国土軸とは別に、東京から離れた地域のいわゆる新国土軸、こういうようなものをやはり十分念頭に入れたところのものにしてまいりたいというふうに考えて作業を進めておるところであります。
 年内にも基本的な考え方がまとまります。これをひとつ世に問うて、戦後五十年を総括する中から、国民の皆さん、各界各層の皆さんの御意見を十分承って本当に実りのあるものにしてまいりたい、このように考えておりますので、どうぞよろしく御協力、御指導のほどをお願い申し上げます。
#89
○政府委員(塩谷隆英君) 現行の第四次全国総合開発計画におきましては、多極分散型国土の形成ということを基本目標といたしまして、この実現のために各般の施策を講じてまいったところであります。
 最近では、人口の社会移動が東京圏から転出に転ずるなど、東京一極集中の状況には新たな局面が訪れておると考えております。しかしながら、東京の過密問題等にはまだ解決すべき多くの課題が残されていることも確かでありまして、東京一極集中是正に向けて今後とも取り組んでいかなければならないというふうに考えております。
 新しい全国総合開発計画における東京圏の国土構造上の位置づけあるいは整備の方向などにつきましては、こうした状況を踏まえて計画策定作業の中で引き続き検討していきたいというふうに考えております。
#90
○続訓弘君 質問の順序を変更させていただきまして、高木長官に沖縄問題についてお伺いいたします。
 十月二十一日、八万五千人による沖縄県民の抗議行動を象徴する県民大会が開催されました。私は、東京都副知事時代に沖縄県庁に大田知事を表敬してしばし懇談の機会をいただきました。そのときの大田知事の沖縄県民に対する深い思いが今鮮明によみがえってきております。大田知事は、日本の平和、繁栄は沖縄県民のとうとい犠牲の上に築かれていると言っても過言でない。したがって、我々はだれよりもだれよりも沖縄県民こそ平和と繁栄を享受できる権利があると確信している。しかし、現実は全く違う。基地問題の解決も、復興、開発の問題も遅々として進んでおりません。ここに沖縄問題のすべてがあるのだと私にしみじみと漏らしておられました。
 十一月四日には、内閣の命運をかけると言明しておられる村山総理が大田知事と会談をされる予定になっておりますが、沖縄開発の責任者としての高木長官の沖縄問題に対する御所見、沖縄県民に深い愛情を語りかけていただければと思います。
#91
○国務大臣(高木正明君) お答えいたします。
 ただいまお話がありましたように、このたび沖縄におきましては、女子の小学生の痛ましい事件が発生したことは極めて遺憾であると存じます。このような状況に対して県民の方々に大きな不安や憤りがあることは私もよく理解できるところであります。そのお気持ちは察するに余りあるものがあると思います。
 また、沖縄県知事が代理署名、押印を行うことができないと言われていることについては、沖縄の現況あるいは県民の感情、さらにまた県知事の立場などをそんたくすると、心情的には私は十分理解できるところでありますが、この問題については国と県が話し合いを行い、しかも早急に問題解決の道を見出していく必要があると考えております。
 こうした沖縄の今回の問題をめぐる問題につきましては、現在、関係省庁においても努力をしているところでありますが、我が沖縄開発庁といたしましても、県民の生活を守る立場から、関係省庁と連絡をとりながらこの問題の解決に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
#92
○続訓弘君 沖縄県民の心を心とした心情を吐露して、懸命な努力をお願い申し上げます。
 続いて、高齢社会に向けた住宅、社会資本の整備についてお尋ねいたします。
 我が国における急速な超高齢社会の対応策としては、デイサービスセンターや老人ホーム等の施設整備やサービスの充実が基本であるとは存じますけれども、これに劣らず重要な課題は高齢社会に対応した住宅、社会資本の整備であると思います。
 そこで、以下二点についてお尋ねいたします。
 第一点、高齢者が住みなれた地域で安心かつ安全に暮らせるような高齢社会に対応した町づくりの総合的、体系的な取り組みが必要であると存じますけれども、建設省のこれに対する所見はいかがでしょうか。
 第二点、これら施策の推進には建設省だけでなくて、厚生省やほかの関係省庁間の連携が私は必要だと思う。どのように連携を図っておられるのかこの点についてお尋ねいたします。
#93
○政府委員(小野邦久君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の、今後の高齢者を含むすべての人々が住みなれた町で安心して生活できるような高齢化対応の住宅を、あるいは町づくりをどう進めるか、こういう課題でございますけれども、私どもは大変重要な課題と認識をいたしております。
 このため建設省では、従来から例えば住宅分野におきましては、床段差の解消でございますとかあるいは手すりの設置あるいは住宅棟へのアプローチのスロープ化と、いろんな政策をとってきたわけでございます。特に、高齢者対応仕様の公共賃貸住宅を供給するということは大変大きな課題だというふうに考えております。
 また、町づくりの分野におきましては、車いすが容易にすれ違えることができるような大変幅の広い道路をどう整備していくのか、あるいは公共建築物等を初めとして各種建築物のバリアフリー化をどう進めるかといったような観点からいろいろな施策をとってまいりました。
 こうした施策をさらに充実させるためにはいろんな施策が必要なわけでございますけれども、特に昨年六月に私ども建設省におきましては「生活福祉空間づくり大綱」というのを決定いたしました。高齢化社会に的確に対応するための住宅・社会資本整備の方向あるいは具体的な整備目標、特に福祉インフラ等のいろいろな整備目標ということを明らかにいたしまして、これによっていろいろな事業を継続していこう、こう考えておるところでございます。
 御質問の二点目でございますけれども、特に福祉等関連分野との対応で各省庁との連携が必要ではないかと、こういうお尋ねでございます。
 お話のとおりでございますけれども、特に私どもは、これまでもシルバーハウジングといいまして、公共住宅と例えばデイサービスセンター等の社会福祉施設が連携をした公共住宅といったようなものをシルバーハウジング整備事業ということで昭和六十二年からやってまいりました。こういうような住宅の供給を初めいろいろな観点で厚生省と連携を図ってまいりました。
 特に昨年十二月には、いわゆるゴールドプラン、高齢者保健福祉推進十カ年戦略でございますが、これの見直しが行われました際にも、建設大臣と厚生大臣との合意によりまして、住宅対策あるいは町づくりの推進に関する新しい施策を新しいゴールドプランの中に盛り込んだところでございます。
 今後とも、高齢福祉社会の対応には関係省庁との連携というのが大変重要でございますので、そのような方向に沿って一層施策を推進してまいりたい、こう考えておるところでございます。
#94
○続訓弘君 次に、東京臨海部の適正な整備に関連してお尋ねいたします。
 二十一世紀の新しい都市建設を掲げた東京都の臨海部開発構想には、政府としても税制、財政両面を含めて積極的に取り組んでこられました。これまで東京都が道路や上下水道、清掃工場等のインフラ整備に投入した費用は一兆六千億円を超える巨額に上っております。また、この地域は都心部の貴重な空間でもございます。これまで数次にわたる経済対策の実施にもかかわらず景気は依然として低迷の極にあり、今や一刻も早い、有効適切でかつ具体的な景気対策が必要であります。
 以上の視点に立って、以下二点にわたって質問をいたします。
 第一点、東京、大阪、名古屋等の大都市では、都心居住を進めることが職住近接を求める都市生活者のニーズに的確にこたえる道だと思います。つきましては、東京の臨海部を住宅開発へジフトした理想的な二十一世紀型大都市のモデルにしたらいかがかと存じますけれども、所見を伺いたい。
 第二点は、地価が下落したとはいってもサラリーマンにはまだ高い水準であります。したがって、サラリーマンが夢見る住宅の取得は現状では困難であります。そこで、臨海部での住宅整備には定期借地権の活用を進め、大量に住宅供給が図られ、サラリーマンの夢がかなえられるような施策を大胆に打ち出すべきではないかと存じますけれども、御所見を伺います。
#95
○国務大臣(池端清一君) 東京臨海副都心開発の問題に関連して住宅供給の御指摘がございました。七つ目の副都心開発におけるこの住宅供給については、本年度じゅうに約千三百戸の公共住宅が竣工する予定でございます。
 先般、入居募集を行いましたところ、相当の高倍率、倍率が高かった。二十二倍から四十倍という高さと、こういうふうに承知をしておるわけでありますが、これは都心居住ニーズの高さを物語っていると、こういうふうに私どもは理解をしておるところでございます。
 しかしながら、現在、臨海副都心開発につきましては、東京都におきまして社会経済状況の変化を踏まえまして、今、臨海副都心開発懇談会が設置をされて見直しの検討を行っている状況でございます。国土庁としても、この見直しの考えが示された段階におきまして、関係機関とも所要の調整を行っていきたい。現在、東京臨海部開発推進協議会という組織を設けておりますので、十分この中で調整を図ってまいりたいと、このように考えておるところでございます。
#96
○政府委員(梅野捷一郎君) ただいま国土庁長官からお話ございましたけれども、私どもといたしましても、都心居住政策というものにこのところ大変力を入れて取り組んでいるところでございまして、東京におきまして、そういう政策を進める上で臨海部というものがその中でも大変重要な地域であるというふうに認識するところでございます。ただいまございましたように、いろいろな見直し等が行われているわけでございますが、住宅供給という面が十分考慮されますことを大変関心を持って見守っているところでございます。
 また、既に動いているわけではございますけれども、ここで供給される住宅が一般の方々にアクセスしやすい住宅として供給されることは当然必要なわけでございまして、それを進める上では定期借地権という方法を活用することは大変有効だというふうに考えているところでございまして、一般的な定期借地権の活用につきましてもいろいろな研究も進めておりますし、条件整備に努めているところでございますが、この東京湾におきましてもそのような状況を見ながら、大いに活用できるところはぜひ活用しながら、一般の市民がアクセスしやすい住宅を的確に供給できるように努力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
#97
○続訓弘君 特に定期借地権は、私は公共が大いに利用する必要があるんじゃなかろうかと。したがいまして、ぜひ公共主導でこの定期借地権を広めていただきたい、このことを特に要望申し上げます。
 続いて、首都機能移転に関連をしてお尋ねいたします。
 首都機能移転につきましては、最近議論が活発化しておることは周知のとおりであります。現在の東京が世界都市として果たしている重要な役割を考えますと、本問題には慎重な検討を要するんではなかろうかと、こう一方で思います。
 そこで、何点かにわたって質問をいたします。
 その第一点は、政府はこの問題についてどのような姿勢で取り組んでおられるのか。特に、早急に実現を図るとすれば、ただいま検討されております総理官邸の建てかえ、あるいは既にもう引っ越しも終わりました人事院ビルの建てかえ等、官庁街の整備に力を入れるということは矛盾ではないかと思いますけれども、まずこの点について所管大臣の御所見を伺います。
#98
○国務大臣(池端清一君) 先生、東京の行政の責任者として、この首都機能移転問題についてはいろいろな御感懐があるかと思いますが、首都機能の移転は、東京一極集中の是正による多極分散型国土の形成、あるいは地震などの災害への対応力の強化という点にとどまらず、二十一世紀を展望した我が国の政治、経済、社会等、各般にわたる改革のためにも何としてもこの大事業は進めていかなければならない、こういうふうに私どもは考えておりまして、極めて重要な課題であると認識をいたしております。
 現在、国会等の移転に関する法律に基づきまして、国会等移転調査会におきまして鋭意検討を進められております。そして年内にも、移転先の選定基準あるいは移転の時期の目標、移転後の東京都のあるべき姿、こういうものについていろいろ御検討を願っております。
 国土庁としては、事務当局の立場で、これらの調査が十分進められますようにできるだけの協力をしてまいりたい、このように考えておりまして、移転の具体化に向けて引き続き積極的な検討を進めていきたい、これが私どもの基本的な考え方でございます。
   〔理事大木浩君退席、委員長着席〕
 しかしながら、先生御指摘のように、総理官邸や人事院ビルの改築が進められているじゃないかこれは矛盾するのではないかと、こういうお話でございます。総理官邸は、先生もう御案内のように昭和四年に建設されまして、よわい既に六十六、私の生まれた年と同じでございますが、非常に老朽化をしておる、あるいは先生御案内のように非常に狭隘化をしております。人事院ビルも昭和八年に建設されまして、既に六十二年の歳月が経過をしておるわけであります。
 緊急事態への対応についてもいろいろ問題が指摘されておるときに、これはやっぱり国政の停滞を許してはならないという立場でこの建設は必要である、こういう認識に立っておりますし、また、この国会等の移転については相当の時間を要する、こういうふうに考えられておりますので、これらの人事院ビルの建てかえや官邸の建てかえは既定方針どおり進めさせていただくと、こういうふうに考えておるところでございます。
#99
○続訓弘君 御案内かと存じますけれども、私どもはかって都庁の移転を新宿にやりました。それは、丸の内に九十七年間存在していた都庁を新宿に移す大事業でございました。しかし、美濃部知事時代には、それが十二年間で千二百億をかけて現地改築しようと、こんな構想が発表されておりました。これに対して知事は、今お話しのように、一極集中の是正といいますか、そのためには都みずからが努力をする必要があるんだということで、一気呵成に新宿に移転したわけであります。
 その例は今、総理官邸の話に移りますけれども、やはり隗より始めよ、政府が姿勢を示すべきである。例えば、今大臣もおっしゃったように、あと二年や三年で結論を導き出すというのであるならば、その新天地に私は大規模な総理官邸等をまずつくって腕より始める、そして国民に範を示す、それが政府のやり方ではないかと、このように思います。これは私の意見であります。
 最後に一つだけ、また大臣にお伺いいたします。
 それは、首都機能の移転に関連する問題でございますけれども、東京と神奈川、千葉、埼玉等七都県市が実はいろんな問題の相談ごとに首脳会議を開いております。その首脳会議の結論として、過度の東京一極集中から生ずる都市問題の解決と地方の活性化を図るためには、地方分権や規制緩和による新しい社会システムヘの転換及び展都が優先さるべきであるとかねがね主張を繰り返しております。この主張に対して、所管大臣の御所見を承って、私の質問を終わらせていただきます。
#100
○国務大臣(池端清一君) 先生、今御指摘のように、平成七年の六月七日にも開かれました首都圏サミットにおきましても、展都と分権によって東京圏の新たな創造を図るべきである、こういう御趣旨の決議が出ておりますことも十分承知をしておるわけでございます。
 しかし、先ほども申し上げましたように、首都機能移転は我が国の政治、経済の改革を進める上で極めて重要な課題である、こういうふうに認識をしておりまして、先生今御指摘のような地方分権、規制緩和という国政上の改革と並んで、これは車の両輪として進めるべき課題である、こういうふうに私どもは考えておるところでございます。
 今日まで、国土庁としても、諸機能の業務核都市への分散施策を展開してまいりましたが、そういうような施策も今後とも積極的に進めてまいり、そして東京一極集中の是正や災害対応能力の強化を図っていくということもあわせて同時並行的に進めてまいりたい、こう思っております。
 しかしながら、何としても東京は、これは世界都市東京であります。世界に冠たる東京であります。この東京を引き続き経済、文化の中心都市として整備することはこれも極めて重要な課題でありますので、これまた引き続きその整備に向けて努力を傾注してまいりたい、こう思っておる次第であります。
#101
○続訓弘君 質問を終わります。ありがとうございました。
#102
○山下栄一君 私は、主に建設大臣、また建設省にお伺いしたいと思っております。
 まず初めに、日本下水道事業団の発注工事、特に電気設備関係を中心にしまして入札談合事件が発覚しまして大変大きな問題としてクローズアップされたわけでございますけれども、地震やオウムの事件等々によりまして、また同じころ大蔵省のお役人の不祥事件も起きたわけで、ともすれば陰に隠れがちの事件でございまして、実は参議院の建設委員会、そして予算委員会、衆議院の建設委員会等でも質疑が行われ、そして特に事業団の理事長に対する参考人質疑も行われたわけでございます。国会の質疑は主に本年の三月、六月であったわけでございますが、三月と六月に公正取引委員会から告発され、そしてまた、特に発注側の日本下水道事業団が関与しておったという前代来聞のこのような不祥事に対しまして検察の起訴も行われた。
 検察の起訴は六月十五日だったと思いますけれども、その直後に通常国会が終わりまして参議院選挙に入ったということもございまして、この問題が余り問われないままに今日に至っているのではないかということから、国民の負託を受けた国会としてきちっとこの問題はやはり真実といいますか原因の究明もしっかり行って、そして国民に対してその原因の究明、そして再発防止につきまして明らかにすべきである、こういう観点からきょう質問させていただくわけでございます。
 きょうは理事長はいらっしゃっておりますね。
 では、まず今回のこの入札談合事件の経緯につきまして、また事実認定につきまして公正取引委員会の方から報告をお願いしたいというふうに思います。
#103
○説明員(梶山省照君) それでは、日本下水道事業団談合事件の経緯と当委員会で認定いたしました違反事実について御説明いたします。
 公正取引委員会は、日本下水道事業団が発注する電気設備工事の請負業者であります日立製作所ほか八社に対する独占禁止法違反被疑事件について審査を行ったわけでございますが、本年三月六日、同法に違反する犯罪があると思料しまして九社を告発しました。また、本年六月七日に、九社の従業員十七名及び事業団の発注業務に携わっていた者一名を検事総長に追加告発いたしております。
 また、本年七月十二日に、九社に対しまして行政処分でございます課徴金納付命令を行い、あわせて事業団に対しまして入札における独占禁止法違反行為の再発防止の徹底について要請を行っております。
 課徴金納付命令において公正取引委員会が認定しました事実は、九社は、事業団職員から事業団が発注いたします電気設備工事の件名及び発注予定金額の教示を受けた上、各社の部長級または課長級の者による会合等におきまして、あらかじめ定められた比率等に基づいて各社が順次受注希望物件を選択していくといった方法などによりまして、事業団が当該年度に発注いたします電気設備工事の新規工事の受注予定者を決定するとともに、受注予定者が受注できるようにした、こういった事実でございます。
#104
○山下栄一君 感情の伴わない御説明でございますので余りぴんときませんけれども、日本下水道事業団の事業というのは年間四千億を超える。日本全国の自治体から、終末処理場とかポンプ施設とかまた大きな下水管、管渠等の工事は非常に技術が伴う工事であるということで、専門家集団としての日本下水道事業団に委託される工事が多いわけでございます。その約四千億を超える日本下水道事業団の工事の中でも、土木建設工事、機械設備工事、そして今問題になっております電気設備工事、計装設備工事等々があるわけでございますけれども、この総事業の約一割が電気設備関係の工事であると。これはもうメーカーも、今も九社というお話がございましたけれども、主に大手五社、中堅四社というふうに大体決まっておると。ほかにもアウトサイダー四社とかいう言葉がいろいろあるそうでございますけれども、そういうある程度限られたメーカーが談合をして、そしてまたそれに発注側である事業団がかかわっておったと、こういうことでございまして、それが非常に大きな問題になっておるわけでございます。
 今お話がございましたように、去年三月に公取のメーカーに対する、五社、四社それぞれの立入検査がございまして、立入検査に基づいて一年がかりでことしの三月に告発されたと。三月においてはメーカーが、そして六月においては発注者側であります事業団の担当職員、幹部職員、並びにメーカー各事業者の従業員も告発された、そしてしばらくして検察の起訴も行われた、そういうことでございますけれども、この検察側の起訴事実、これにつきまして法務省の方、お願いしたいと思います。
#105
○説明員(小津博司君) お答えいたします。
 まず、会社及びその従業者である被告人らの公訴事実の要旨でございますけれども、被告会社九社はいずれも日本下水道事業団の発注する電気設備工事の請負等の事業を営む事業者であり、被告人十七名はいずれもその所属する被告会社の従業者であるが、被告人らはそれぞれ所属する被告会社の業務に関し、平成五年度に下水道事業団が指名競争入札の方法により新規に発注する電気設備工事について、平成五年三月十日ごろ、これらの工事を一定の比率等にしたがって配分して受注することとする手続を定めた上、平成五年六月十五日ころ、こうした手続等により受注予定会社を決定するとともに、受注予定会社が落札して受注できるような価格で入札することを合意し、電気設備工事の受注に関して被告会社らの事業活動を相互に拘束することにより、公共の利益に反して一定の取引分野における競争を実質的に制限したというものであります。
 次に、下水道事業団の元工務部次長の公訴事実の要旨でございますが、被告人は下水道事業団の工務部次長として下水道事業団の電気設備工事の発注等の業務に従事していた者であるが、被告会社の従業者である被告人らが下水道事業団の発注する電気設備工事について、ただいま述べましたように受注予定会社を決定するとともに、受注予定会社が落札して受注できるような価格で入札することを合意するに際して、その情を知りながら同人らに対して工事件名や予算金額等を教えることによって被告人らの犯行を容易にして、これを幇助したというものでございます。
#106
○山下栄一君 公正取引委員会に確認いたしますけれども、このいわゆる官製談合、発注者側である事業団が直接かかわっておったと。この事業団は建設省の認可法人でございますけれども、これはいつから始まったのかこれをきちっと調査されたかということをお伺いしたいと思います。
#107
○説明員(梶山省照君) 当委員会が行政処分をいたしましたのは、平成四年度及び五年度の工事でございます。
 このほか、事業団に要請するに際しまして、平成二年度から同様の行為が行われた、平成二年度及び平成三年度についても同様の行為が行われた、疑いがあったということを言っております。
#108
○山下栄一君 電気設備関係の工事以外の工事、例えば土木、建設、その他機械設備、計装設備工事、そういう工事においてこの事業団のかかわりの談合はなかったかどうか。
#109
○説明員(梶山省照君) 事業団関係につきましては、電気設備工事について審査してきておったものでございますので、電気設備工事以外については事実認定するに至っておりません。
#110
○山下栄一君 今お話しございましたように、公取の事実認定では、今回告発の対象になったのは四年、五年の、まさにこの決算委員会で対象になっている時期の工事でございますけれども、実は平成二年から、もっと前からそれは行われておったと。特に、事業団がかかわっておった疑いが極めて強いという、そういう表現でございますけれども、あったということでございます。
 会計検査院にちょっとお伺いしたいと思います。
 実は、会計検査院の平成三年度の決算検査報告の中に、日本下水道事業団がかかわった工事、発注した工事、特にこれは機械設備関係の工事でございますけれども、この工事において不当利得があったということで指摘があったわけでございますが、このことについて少し御説明をお願いしたいと思います。
#111
○説明員(天野進君) お答え申し上げます。
 日本下水道事業団につきましては、平成三年度の検査報告において、「送風機等の設置工事の施行に当たり、機器費の積算を誤ったため、契約額が割高になっているもの」として指摘したものがございます。
 その概要を御説明申し上げますと、日本下水道事業団では千葉県の委託を受け、江戸川第二終末処理場におきまして、平成二、三両年度に送風機や電動機、始動用制御器等の機器を工事費一億五千七百四十二万円で設置しております。
 このうち始動用制御器について、三百二十キロワットの規格のものの価格は事業団が制定した標準価格表にないため、標準価格が定められている三百十五キロワット、三百五十五キロワット等の規格のものの価格を用いて、価格と規格との関係をグラフにして三百二十キロワットの価格を読み取り、二千六百四十万円としていました。
 しかし、このグラフを作成する際に誤って十倍の価格を記入していたため、先ほどの価格は十倍の金額となっておりまして、正しくは三百二十キロワットの規格のものは二百六十四万円となるものであります。したがいまして、この正しい価格に基づいて工事費を計算しますと一億二千七百十万円となり、その結果、契約額は三千三十万円割高になっていたと認められるものでございます。
#112
○山下栄一君 今、送風機ですか、要するにこれは電気設備じゃなくて、終末処理場における機械設備工事にかかわる内容でございます。
 受注されたメーカーは、これは平成二年の工事だけではなく、それ以前からもずっと、五回ですか受注しておったメーカーなんですけれども、今お話ございましたように発注者側が予定価格を間違った、要するに事業団側が間違ったと。本来二百六十四万円のはずが二千六百四十万円と計算して予定価格を考えておったと。ところがメーカー側は、本来の十倍に積み上げられたその価格を若干下回る金額で受注しておるという、だからこれは要するに入札予定価格を知らずに受注したとは言えない。そのような事件でございますけれども、これで不当利得があるということでメーカー側に会計検査院が返還しなさいということを指摘されたわけでございます。
 これは平成三年度の電気設備じゃなくて機械設備の方の工事でございますが、このことについて公取は調査されましたですか。
#113
○説明員(梶山省照君) 公正取引委員会といたしましては、独占禁止法に違反する疑いがあるという具体的な端緒に接した場合は所要の調査を行い、調査の結果、違反する事実があると認定された場合には法的措置をとっております。
 先生御指摘の件については、法的措置はとってはおりません。
#114
○山下栄一君 調査もしていない。
#115
○説明員(梶山省照君) 具体的に法的措置以外に、端緒的にどういうことを個々やったかということ、個々の具体的な活動については答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#116
○山下栄一君 先ほども説明ございましたように、平成二年度以降、電気設備関係については談合が行われておったということが明らかになっておるわけでございます。電気設備じゃなくて機械設備においても極めて疑いの強い、そのような指摘が会計検査院で行われたにもかかわらず、調査したかどうか言えないというお話でございますけれども、電気設備関係以外の工事でも同じような談合が行われ、場合によってはそこに事業団もかかわっておったかもわからないという、極めて疑いの強い事案であると思うわけでございます。
 事業団の方にお伺いしたいと思いますけれども、いわゆる官製談合、事業団がこのメーカーの談合にかかわっておったということにつきましては、前理事長は一貫して否定され続けたわけでございます。国会答弁でもそういうことはないとおっしゃり続けたわけでございますけれども、しかし結果的には本年六月に事業団の職員がかかわっておったということで公取に告発され、そして検察によっても起訴されたという事実につきまして、事業団はどのように受けとめておられますか。
#117
○参考人(木内啓介君) 先生御指摘ございましたように、当事業団の発注の電気設備工事に関しまして告発、起訴がなされる事態となりましたことは極めて重大なことと認識しまして、大変厳粛に受けとめております。
 地方公共団体の下水道整備の支援を使命とする私ども事業団にとりまして、今回の事態は決してあってはならないことがあったとされているわけでございまして、公的団体である事業団の発注業務の公正さにつきまして国民の皆様の大きな不信を招いたことに対しまして重大な責任を痛感しているところでございます。
#118
○山下栄一君 これは前建設大臣でございますので森大臣じゃないんですけれども、去年の三月、六月に公取がメーカーを立ち入り検査した、そして九月ごろに新聞の記事で事業団も実はかかわっておったんだということが指摘されたことに対しまして、これが事実ならば大変なことだということで前大臣は理事長を呼んで確認したという話、そこから始まるわけでございます。以降六回にわたって大臣は理事長を呼ばれていろいろ事実を聞かれるわけですけれども、そういう事実はないということだったわけです。
 そして、その前理事長のお言葉によりますと、国会答弁でございますけれども、十七回にわたって内部調査を行った、だけれどもそういう事実はないと、こういうことを答弁されているわけでございますけれども、先ほど申しましたように、だけどそれは六月になって明確になり、理事長は依願退職という形で実質解任されたというわけでございます。
 一体、事業団はどういう調査をされておったのか。調査体制はどういうふうにしたのか。前建設大臣のお言葉によりますと、国会答弁でございますけれども、調査委員会を設けて調査するようにということを指示したということでございますけれども、何をどう調査され、どういう体制で調査したのかということを事業団理事長にお伺いしたい。
#119
○参考人(木内啓介君) 平成六年九月二日付の毎日新聞で下水道事業団の工事発注にかかわる疑惑に対しての報道がございました。それを契機としまして、事業団としましては発注業務調査委員会というのを設けました。それで、構成メンバーは、中本理事長、福本副理事長を初めとして企画総務担当理事、経理担当理事、工務担当理事が中心となって調査を行いました。
 調査の対象は、事業団の職員及び元担当者並びにメーカーの担当者から事情を聴取しまして、事業団担当者の入札談合への関与はなかったかどうかというふうな点を中心に調べまして、この段階ではそういう関与がなかったというふうな回答を得ております。その旨を建設大臣に御報告した次第でございます。
#120
○山下栄一君 要するに、十七回も調査を繰り返し行って、結局それはわからなかったということでございまして、全くこれは事業団として自浄能力がないと言わざるを得ないわけでございます。
 理事長にお伺いいたしますけれども、事業団の関与は、起訴された、また公取から告発された、前というか元というか工務部次長の単独犯行である、このようにお考えでしょうか。
#121
○参考人(木内啓介君) これから裁判も行われることでございますので、事実関係としてはコメントを差し控えさせてもらいたいと思います。
#122
○山下栄一君 コメントを差し控えたいと。
 先ほどの公取の報告にもございましたけれども、平成二年度から事業団の関与は極めて疑いが強いという御報告でございます。この告発され起訴された担当の方は、平成三年以降横浜から出向で来られて二年半在籍された。その以前からもう事業団のかかわりがあったということでございますので、これはもうちゃんと上からの指示とか引き継ぎがあったとか、そういうことでないとこの方は一人でできないわけでございますので、これは単にその方だけじゃなくて事業団もそういうのはよく存知しており、そして事業団が直接かかわってこういう談合事件が起きたとしか言わざるを得ない、このように思うわけでございます。
 これは、まだ裁判始まってへんとかいう、もう起訴されているわけですから、そういうことを理事長はお認めにならないということですね。
#123
○参考人(木内啓介君) これまでの事業団の調査では、そういうことが残念ながら確認されておりませんので、後は裁判の結果を注目して見守ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。改めて再度調査をしたわけでございませんので、事業団としてはそういう形で見守ってまいりたいと考えております。
#124
○山下栄一君 裁判の結果、事業団の組織的なかかわりがあったということがわかれば大変なことになりますね。
 建設大臣にお伺いしたいと思うわけでございますが、この一連の事件、特に事業団が直接かかわっておったということにつきまして、現大臣でございます森大臣はどう受けとめておられるかということをお聞きしたいというふうに思います。
#125
○国務大臣(森喜朗君) 建設省は御承知のように法律上事業団の業務を監督する立場でございます。しかし、事業団の個々の具体の契約業務に関しまして直接監視するということは必ずしも適切ではないわけでございますし、また人員的にもこれは不可能なことだというふうに承知をいたしております。
 しかしながら、今、山下委員からるるいろいろと御説明、御質問を含めてございましたように、今回のこの不祥事が公共工事の入札及び施行に関し関係法令を遵守すべき旨の指導の徹底を図っている中で起こったということは極めて遺憾でございまして、制度的にもこのような事態を回避する仕組みが十分機能しなかったという点では反省すべき点があると、このように考えております。
#126
○山下栄一君 今回の事件につきまして建設省が、これは事業団法では「事業団は、建設大臣が監督する。」という明文があるわけでございますけれども、この今回の不祥事に対しまして建設省みずからが調査され原因究明を行ったということはあるんでしょうか。
#127
○政府委員(近藤茂夫君) 建設省自身としての調査という点でございますが、私どもはまず最初の段階において事業団に調査委員会を設置していただきました。そして、その調査委員会の状況報告を絶えず受けると同時に、新聞報道等で新たな事実が展開した段階ではその点についてのまた事実関係の調査についてもお願いしてきたわけでございます。そして、公正取引委員会が刑事告発、そして検察において起訴された段階以降におきましては、そういった結果を見守るということを基本的に姿勢としてとってきたわけでございますが、最終的に起訴された段階では、大臣の特別の指示に基づきまして特別監察ということで、全体の状況調査、そして業務改善の一般的な改善措置についての究明、そういった措置を講じたところでございます。
#128
○山下栄一君 今お話しございましたように、これは去年の三月から公取が立入検査を始めてから一年後にメーカーを告発し、検察が事業団そのものを家宅捜査するということもあり、そしてついにこの六月に事業団のかかわりが直接明確になりまして公取が告発し、そして検察が起訴したという、その段階になってやっと大臣の特命によって特別監察が行われたということでございます。
 これは事業団法における、事業団法四十二条、事業団は建設大臣が監督するんだと、そのために直接立ち入りもできるんだ、立入検査をすることもできるんだ、また業務上必要な命令も出すことができるんだ、こういうことが書いてあるわけですけれども、こういうことは一切やらずに、そして、これ前大臣でございますので今官邸に行って官房長官に、野坂さんに言うわけにもいきませんので現大臣にお伺いするしかないんですけれども、去年の三月に公取がメーカーに立入検査して、それで去年の九月の段階で新聞報道があって、大臣はこんなことがあれば大変なことだ、官製談合なんかあったら大変なことだというふうなことで厳重に対応したいということをおっしゃった。それが去年の九月です。
 そして、ことしの三月になって事業団そのものが検察によって家宅捜索されたというこの時点でもまだ建設省は対応をみずからしないで、ともかく理事長からいろいろ報告を聞いて、何もないというから信じなきゃしょうがない、こういう対応をされ続けてきたわけでございます。起訴されて初めて特別監察というようなことでは、私はこの事業団法四十二条の「事業団は、建設大臣が監督する。」ということをきちっとやっていない、このように思うわけでございます。
 この点につきまして、大臣、御見解どうでしょうか。
#129
○国務大臣(森喜朗君) 先ほども申し上げましたように、監督の責任は当然ございます。しかしながら、この契約業務に関して建設大臣が立ち入るということが果たして適当であるかどうかということ、私はやはりこれは直接監視するということは必ずしも適切ではない、当然事業団がこの契約業務を正しく行うということが大事だというふうに考えております。
 そういう意味で、いろいろと委員から御指摘がございますけれども、そうしたことの事態がきちっと起訴された時点で建設省としてはその対応をいたしたということは、こうした事件といいましょうか、こうしたものの流れとしては私はやむを得ない当時の措置ではなかったかというふうに思います。当時、私は直接担当しておりませんでしたので、あえて今求められればそのように申し上げることが適当かと思います。
#130
○山下栄一君 今の御答弁をお聞きしながら、今回の事件の深刻さを大臣はどこまで感じておられるのかなということを思うわけでございます。
 先ほど申しましたように、去年の九月の時点で新聞報道があり、事業団が直接この談合にかかわっておるということが報道されて、その時点で建設大臣は大変なことだというふうにおっしゃって理事長から事情聴取されるわけですけれども、半年後のことしの三月にメーカーが告発されて、そのときに公正取引委員長は事業団の担当者が関与していたということを明確に記者会見でおっしゃったわけです。そして、その直後に東京地検が事業団そのものを家宅捜索し、担当の部局の元工務部次長を、個人の家も家宅捜索されたというこの段階でも建設省は全然対応してないと。
 公正取引委員会という同じ行政府の独立委員会が半年がかりで一生懸命調査して、そして事業団の担当者がかかわったことは間違いないということをおっしゃって、地検も捜査に入っているのに、その段階で全然対応しておらない。そして、もう事実がはっきりして起訴された段階でやっと特別監察なんというようなこと。四十二条で言う「事業団は、建設大臣が監督する。」、そのために建設大臣は「業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」、四十三条では「事業団に対して」「事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。」と書いてあるわけです。
 これ、いつやるんだと。今おっしゃるようなことであるならば、公正取引委員会が調査しても動かない、検察が起訴してやっと特別監察というのでは、これは建設大臣が事業団を監督すると、建設大臣の直接の認可法人ですから、それでは全然責任を果たせない。起訴された段階で前大臣は事業団の理事長に裏切られたと、六回も調査しながらわからなかったというようなことでそんないいかげんなことをおっしゃっているわけでございまして、私は今回の建設省、また建設大臣、森大臣じゃございませんけれども、これは大変なことであると思うわけです。
 今この下水道事業というのが生活開運の公共事業ということで、非常に公共事業の中でも徐々に、徐々にといいますか大幅に公共予算も増額しているわけでございまして、国民の生活に深くかかわることである。
 そしてまた、そういう事業にもかかわらず国民の信頼を裏切るような、技術が非常に高いということで、信頼があるということで全国の各自治体がこの事業団を信頼して発注しているにもかかわらず、そんな事業団が直接談合にかかわっておったというようなことになったわけでございますので、深刻に受けとめて素早い対応をせないかぬ。検察が起訴して初めてそんな調査をしておったんでは何のための監督かと、このように思うわけでございますけれども、もう一度建設大臣の対応につきまして御答弁をお願いします。
#131
○国務大臣(森喜朗君) 前大臣が当時、その責任ある立場でどのような御判断、どのような御発言があったかということは私も直接は伺っていないわけでございます。
 したがいまして、建設省事務当局として大臣をどのように補佐し、どのような経緯で調査してきたか、これを事務局から答えさせることでひとつ御了承をいただきたいと思います。
#132
○山下栄一君 大臣、直接前の大臣からお伺いしておりませんというような問題じゃないんですよ。
 現在、今も森大臣がこの下水道事業団を監督する立場の最高責任者ですから、どんなことが行われてこういう大変な失態を起こしたということについて、二度とこんなことがあってはならないと。だから、これの対応についてはやはり反省して、今後は素早い対応を、これは四十二条、四十三条に書いてあるわけですから、それすらも対応しなかった建設省の極めて怠慢であるということを厳しく認識して、そんなことは当然、私は担当じゃなかったから詳しく聞いていないというような問題じゃないと思うんですよ。僕は大臣のとは受けとめ方が極めて厳しいなというふうに思うんですね。
#133
○国務大臣(森喜朗君) これから法律の中で裁かれていくことでございますから、先ほども関係者から発言がございましたように、今の時点で私からこのことについて申し上げることは適当ではないと思っております。
 ただし、おっしゃるとおり、こうしたことが事実であれば極めて遺憾なことでありますし、今委員の御質問の中にもございましたように、下水道事業というのは極めて大事な、またできるだけ早期に整備をしていかなきゃならぬ事業でございますから、これにかかわることについてこうした不祥事が起きるということは大変残念なことだと思っております。おっしゃるとおり、こうしたことは二度とあってはならぬ、当然監督していく立場でそういう認識でおります。
 ただ、当時何もしなかったのかとか、怠慢だということを言われて、私はその当時直接担当していたわけじゃございませんから、今の立場でそういう事態は詳しく承知をしておりませんので、どういう対応をしたかということを事務当局から説明させますと、こう申し上げておるわけであります。
#134
○委員長(浦田勝君) 質問者にちょっとお尋ねしますが、都市局長がさっきから答弁したいということでありますが、必要ありませんか。
#135
○山下栄一君 委員長の御配慮ですから、簡単にやってください。
#136
○政府委員(近藤茂夫君) 事実関係について少し補足的に説明させていただきたいと思います。
 実は、公正取引委員会が法人を告発した段階で、事業団の元職員が関与している疑いがあるという御指摘が記者会見で発表されました。その段階で建設大臣は、直ちに電気設備工事に関係いたしまして、透明性、競争性の高い公募型一般競争入札制度に変えるように指示いたしました。同時に、建設省ないしは事業団の調査においては限界があるということで、公正取引委員会の調査には全面的に協力するように事業団等に対して指示いたしました。
 こういった事実関係があるわけでございまして、刑事告発の段階で特別の措置をとったということではないということを御理解賜りたいと思います。
#137
○山下栄一君 特別監察は建設省の内部規程で行われる監察だと思うんです。四十三条に基づく調査は今回行われていないですね、どうですか。
#138
○政府委員(近藤茂夫君) 事業団法の四十二条という関係の調査ということでは今回の調査はございませんで、業務全般についての制度的背景がどういう状況であったかと、それを踏まえて業務全般についての改善措置を監察したというのが今回の調査、特別監察の内容でございます。
#139
○山下栄一君 だから、この事業団法の四十三条の建設省みずからの調査というのはいつやるのか。こんな大変な不祥事、大臣みずからが監督すべき事業団で、事業団の職員みずからが談合にかかわっておったという国民の信頼を裏切るようなことがあって、そして起訴されてから内部規程による特別監察しかやっていない。では、この事業団法の四十三条は何のためにあるんだ、今回のような事件でやらないならばこれはいつやるんだ、このように私は思うわけでございます。建設省の、また建設大臣の対応が極めてひど過ぎる、このように言わざるを得ないと思うわけでございます。
 特別監察に基づく調査の中で、実態調査もされたようでございますけれども、原因究明はどこまでできたのかということについてお伺いしたいと思います。
#140
○説明員(福田秀文君) 事業団の業務に関する特別監察でございますけれども、六月七日から大臣の命を受けて実施したものでありまして、今回の事件のようなことの再発を防止するとともに適正な業務執行を確保するという観点から、執行体制の改善整備をいかに図ったらよいかということについて重点を置いて監察を行ったわけでございますが、その結果、発注における一層の透明性、客観性の確保等々の点についてなお改善整備の必要があると認められましたので、これを改善措置事項として取りまとめまして、八月一日に大臣から事業団の理事長に対して直ちに措置をとるように指示したものでございます。
 それで、その改善措置事項の中身でございますけれども、重立ったものを申し上げますと……
#141
○山下栄一君 中身は、時間がありませんので結構です。
 今も何かこれからの改善措置のことを中心におっしゃっておりますけれども、この建設省の監察規程の中には、「不正不法行為の糺明発見に当っては、その因つて来たる原因についても充分な考察を行うこと。」と、こう書いてあるわけですけれども、これ十分にやってないということですか。
#142
○説明員(福田秀文君) 今回の監察におきましては、下水道事業団の本社、東京支社それから東京支社の管轄の工事事務所を伺いまして、実地に調査する等して監察したわけでございまして、必要なヒアリング、必要な資料等々によりまして事実関係を監察していったわけでございます。
 ただ、今先生おっしゃった事実関係の解明でございますけれども、監察を行うに当たりましては強制捜査権みたいな権限が与えられておりませんので、例えば談合の関与があったかというような事実については確認できなかったということでございます。
#143
○山下栄一君 大臣、もちろん起訴された後でございますけれども、今回、発注者側である建設省認可法人の下水道事業団みずからが談合にかかわっておったというふうな前代来聞の事件がなぜ起こったのかということも含めまして、私は、特別体制で調査されて、単に内部規程の監察だけじゃなくて省を挙げて、こんなことは二度とあってはならないと、再発防止のためにしっかりと原因究明を行って、そして厳しい改善措置をやる、そういうふうな方向でやるべきであるというふうに思うんです。
 大臣みずから六回も理事長を呼んで調査したにもかかわらず、全然それは事実はなかったということを繰り返されて、大臣は裏切られたかもわからないけれども、国民は大変な行政に対する信頼を失ったわけでございますので、やはり建設省が特別体制の調査委員会を設けて再発防止のための原因究明並びに改善措置をしっかりと行うべきである、そして国会に対して報告を行うべきである、このように私は思うわけでございますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#144
○国務大臣(森喜朗君) 先般行われました特別監察は、このような事態が起こることのないように、その制度的背景の調査、それを踏まえた執行体制の改善措置等について、事案の重大性を踏まえまして建設省として全力を挙げて取り組んだものでございます。建設省としても、今委員御指摘のように、二度とこうした事態が起きることのないようにこの特別監察に基づく業務改善措置を着実に行わしめ、国民の信頼の回復を図ることが最も重要だと考えております。
 なお、今回の事件にかかわる事実関係そのものの究明につきましては、これは建設省が行うことについては限界がございまして、また公判中の案件でもございますので、その推移を見守ってまいりたいと思っています。
 委員からのいろいろの御指摘の点については十二分に参考にさせていただきたいと思います。
#145
○山下栄一君 時間が参りましたので終わります。
#146
○今井澄君 初めに、森建設大臣、それから池端国土庁長官、御就任おめでとうございます。非常に政務多端の折、御尽力をされ心を砕いておられることに敬意を表したいと思います。
 さて、本日の質問に入ります前に、実は九月二十七日のこの決算委員会で、ちょうど科学技術庁の審査であったわけですが、そのとき、ATR、新型転換炉が高くつき過ぎるということで建設中止になった、そのことにまつわって、巨大プロジェクトの見直しの必要性、国費のむだ遣いがあってはならないということを私は申し上げて、そのときに、あわせて高速増殖炉の開発、核燃料サイクルについても見直すべきではないかということを申し上げたんです。
 科学技術庁は、これは日本の国策であるということで言っておられましたが、早速十月二十四日の朝日新聞には、六ケ所村の核再処理工場がやっぱり高くつき過ぎる、当初八千四百億円と見積もっていたのが一兆七千億円、倍以上になるということで、またこれも電事連の方からこのままいくと電力料金にはね返る、それぐらいだったら国内でつぐらずに、今イギリス、フランスに委託しているので、海外の方がよっぽど安い、そうしたらどうかというふうな御意見まで既に出ているようですね。そうしますと、今度は「もんじゅ」の燃料のプルトニウムが国内では足りなくなる、海外に委託すればまたプルトニウム輸送で世界各国の批判を浴びるということでやっぱり大変問題だと思うんですが、それを一つの前置きにいたしまして、本日はダム問題について質問をしていきたいと思います。
 六月三十日に、当時の野坂建設大臣が、ダム等の建設事業の途中に当否を見直す第三者参加の事業評価審議委員会を設置するというふうに発表いたしました。
 まず、建設省にお尋ねしたいんですが、建設省の所管でこれまでにどのぐらいの数のダムを建設したのか、また現在建設中あるいは実施計画調査中、計画中のダムですね、それは幾つあるのかということ、それから平成四年度及び平成五年度の決算においてダム建設に要する事業費がどのような決算額であるのか、それをお答えいただきたいと思います。
#147
○政府委員(松田芳夫君) 建設省の所管ダムにつきまして、これまで建設したダムは三百六十五ダムでございます。また、現在通常のダム三百二十七、小規模生活ダムと申しまして特定の地域に小規模な水を供給したり、あるいは治水計画に役立てるという小規模生活ダム百六、計四百三十三ダムが現在建設または実施計画調査中でございます。
 なお、通常ダム三百二十そのうち、実施計画調査中のダムの個数は八十五となっております。
 また、ダム等の事業費につきましては、平成四年度に執行した決算額は五千百八十三億円、平成五年度に執行した決算額は六千七百九十二億円となってございます。
#148
○今井澄君 今と同じ質問を通産省に対して伺います。
#149
○説明員(真木浩之君) お答えいたします。
 水力発電にかかわりますダムの数でございますが、既設のものが五百二十五カ所、建設中十九カ所、計画中が九カ所でございます。
 また、決算額でございますが、水力発電事業につきまして、中小水力の発電所の建設に対しまして建設費の補助金あるいは利子補給を行っておりますが、このトータルの額で申し上げますと、平成四年度は地点の数が三十三地点、十八億六千万円でございます。平成五年度は地点の数が三十一地点、二十一億八千万円でございます。
#150
○今井澄君 またほかに通産省、工業用水がありますね。
#151
○説明員(相澤徹君) お答え申し上げます。
 工業用水道事業につきましては、事業体でございます地方自治体に対しまして、ダム等を含めた施設の建設費等に対しまして補助金を交付しております。
 ダム自体の所管は建設省あるいは地方自治体等でございますので、したがいまして通産省の所管しているダムというものはございませんが、これまで工業用水の関係いたしましたダムで完成しておりますものは全国で百三十四カ所ございます。それから工業用水の補助対象ダムにおきましては、現在建設中のものが三十六カ所、計画中のものはございません。
 最後に、ダム等の建設にかかわります工業用水道事業費補助金の決算額でございますが、平成四年度におきましては百二十二億円、平成五年度におきましては百二十億円ということになっております。
#152
○今井澄君 同じことを農林水産省に対してお伺いいたします。
#153
○説明員(有川通世君) お答えします。
 土地改良法が施行された昭和二十四年度以降平成七年度までに国営土地改良事業で建設したダムは、北海道、沖縄も合わせて百二十六ございます。さらに建設中のものが四十一、計画中のものが二十八ございます。
 また、ダムの建設にかかわる決算額につきましては、ダムにかかわる費用のみを区分して国費で決算しておりませんことから、国費ではなく事業費でお答えいたしますと、北海道、沖縄も合わせまして、平成四年度は四百七十七億七千五百万円、平成五年度は四百九十二億八千七百万円になります。
#154
○今井澄君 最後に、厚生省に対して同じ質問をいたします。
#155
○説明員(浜田康敬君) 水道用水に利用されますダムといたしましては、水道専用のダムのほかに特定多目的ダムなど、洪水調節あるいは工業用水などほかの目的とあわせて利用されるダムがございますが、平成六年四月現在の数字で見ますと、完成済みのもの三百七十一カ所、建設中または計画中のもの二百九十七カ所であると承知しております。
 また、ダム建設にかかわります水道の国庫補助金といたしましては、水道水源開発施設整備費というものがございまして、ダムに付随いたします導水施設の整備事業等も含めました決算額は、平成四年度他省庁計上分も合わせまして八百五億八千五百万円、平成五年度同じく九百二十四億四千二百万円という数字でございます。
#156
○今井澄君 現在言われたものの中には、本日の対象である北海道開発庁、沖縄開発庁もあると思います。重複していると思いますので以上ですが、事前にいろいろお聞きしたのと大分数字が違っているところもあるのでわかりませんが、建設済みのものが千以上、ダム年鑑によりますと、建設省の数字では二千五百五十四ということになるわけですか、今の数字を全部足すと千ちょっとということになると思うんですが。まあ、いいです。その数字は後でまた詳しくあれします。
 それで、現在建設中のものが二百九十で実施計画調査中が百十九、合わせて四百余りというふうなことで大体把握していいと思いますが、平成四年度の決算額は、今お聞きした額を足しますと大体六千五百億ぐらい、それから平成五年度が九千億ぐらいになるんではないだろうかなと思います。こういうことで非常にたくさんのダムがこれまでつくられており、今もたくさんつくられていると。
 一方、かなりの額が年々国費として支出されているということは今の御答弁で大体わかりますが、その中でも、工業用水については専用のダムというのは今一つもつくられていないということ。それから電力については、電力会社がつくるのは全く自前でつくるわけですから、ダムの数として非常に多いけれども、今通産省の所管ではほとんどないと。建設中、計画も合わせて七つというふうなこと。厚生省もほとんど現在は上水用はない、建設中が二つあるだけですね。そんなふうなことで理解をしておきます。
 ところで、最初に申し上げた見直しの件ですが、この六月に建設省では、大規模公共事業に関する総合的な評価方策検討委員会を設置したわけですね。そして、六月三十日に当時の野坂建設大臣が、ダム等の建設事業途中に当否を見直す第三者参加の事業評価審議委員会を設置すると発表されました。
 それで、建設省としては七月十四日に河川局長通知を出して、実際に評価事業というか見直し事業に取り組んでいると思いますが、この事業の目的及びその後あるいは現在どうなっているのかどういうふうに進んでいるのか、その経過を、設置に至る経過ももしできたら簡単に触れながら御説明いただきたいと思います。
#157
○政府委員(松田芳夫君) ダム等事業審議委員会、これは前の野坂建設大臣からの御指示で発足したものでございますが、ダム、堰事業が大規模な事業であり、その建設に長期間を要し、また地域に与える影響も大きいにもかかわらず、建設省の他の事業に比べて地域住民の意見を聴取する都市計画のような手続が制度上十分でなかったとの指摘がございました。そういう指摘を踏まえまして、事業者である建設省が、当該ダムあるいは堰事業の目的、内容等について地域の意見を的確に聴取することを目的として設置するものであるということでスタートしております。
 審議委員会は、原則として今後新たに事業化する事業すべてを対象とするほか既に着手済みの十一事業を対象として設置することとしており、現在、八月十八日に設置された北海道開発局の沙流川総合開発事業審議委員会を手始めとして、十一の事業のうち八事業について審議委員会が設置され、既に審議が始まっております。
 なお、審議委員会の設置がおくれている事業、三事業残っでございますが、この事業についても関係地方公共団体の協力を得てできるだけ早期に設置するよう努力してまいりたいと考えております。そういう現状でございます。
#158
○今井澄君 そこで、ちょっと会計検査院に対してお尋ねしたいんですが、先ほど各省庁から平成四年度、五年度の決算に関して決算額を報告いただいたんですが、会計検査院としてはこのダム建設事業関連で建設省、通産省、農林水産省、厚生省あるいは水資源公団その他に対して、決算のしおりですか、決算のいろいろな資料を見ましても不当事項とかの指摘はないですし、特に掲記を要すると認めた事項にも記載がない。また、特定検査対象ともなっていないようなんですが、平成四年度、五年度は全くこういうことは検討の対象にならなかったんでしょうか、あるいはそれ以前はどうだったんでしょうか。
#159
○説明員(天野進君) お答え申し上げます。
 過去の指摘事例といたしましては、昭和五十二年度及び五十八年度の決算検査報告におきまして、多目的ダム等建設事業について事業効果の発現が著しく遅延している事態を特に掲記を要すると認めた事項として報告した例などがございます。
 お尋ねの平成四年度及び五年度決算に関しましては、ダム建設事業に関しての検査報告、掲記事項はございません。
 以上のような状況でございます。
#160
○今井澄君 それは多目的ダムの建設が遅延したことについて特別に掲記したということで、ダムの効果については検討したことがないわけですね。
#161
○説明員(天野進君) ダムの事業効果等につきましてもあわせて調査、検討いたしてございます。
#162
○今井澄君 総務庁に同じようなことをお聞きしたいんですが、平成四年度、五年度のダム建設事業関連で、先ほどお答えいただいたような各省庁の関係等について行政監察の対象としているのかいないのか、またそれ以前にダム建設事業でやったことがあるのかどうか、お尋ねいたします。
#163
○説明員(田代喜啓君) お答えいたします。
 お尋ねの平成四年度、五年度事業にかかわります建設省、農水省等が実施するダム建設事業を対象とした行政監察は実施してございません。
 なお、それ以前、平成四年以前につきましては、平成元年の七月から九月にかけまして、水利用・管理の一層の合理化、適正化等を図る観点から、水資源の開発・利用に関する行政監察を実施しております。平成二年の九月に、水資源開発基本計画の変更でございますとか農業用水、工業用水等の利用の合理化、ダム建設の促進、ダム管理の適正化等につきまして国土庁、建設省等に対しまして勧告を行ってございます。
#164
○今井澄君 そこで、建設省に対してまたお尋ねいたしますが、ことしの六月というか七月から着手されたわけですが、既にこの問題については平成五年十二月十一日、当時の五十嵐建設大臣が、細川総理、それから石田総務庁長官と会談をされまして、長期大規模プロジェクトを見直すための機構を政府部内に創設することを提案しておられまして、総理もそういう方向でやろうと、当時の総理大臣が了解をしているわけであります。
 ところが、それからはるか一年半ぐらいたちまして、やっとことし五月になって、時あたかも長良川河口堰運用開始のその日に、今度は官房長官になられた五十嵐官房長官が閣僚懇談会で第三者機関の設置を提案されまして、建設省としてやっと六月の末に着手されている。長良川河口堰の問題はそれ以前からもうずっとあったわけでありますし、こういう形で平成五年の暮れに提起されて以降、今回の着手はどうも遅過ぎたんじゃないだろうか。建設省内部ではこういうことについてどのようにこの間一年余り検討してこられたのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
#165
○説明員(井上靖武君) 大規模事業につきましては、計画策定以降の社会経済情勢の変化により見直しを行う必要がある場合には、これは所管省庁みずからの行政責任として社会経済情勢の変化に即して不断に必要な評価を行っていくべきものでございまして、建設省としてもこのような認識のもとで責任ある行政判断を行うことに努めてきたところでございます。
 五十嵐元建設大臣は、事業期間が長期に及ぶ大規模事業については、その間の社会経済情勢の変化等を踏まえ事業を計画どおり進めるべきかどうかの判断を要する場合があるという考えに立って、平成五年の十二月十一日には大規模事業について見直しをする政府内の機構について、そしてまた平成七年の五月二十三日には大規模公共事業を進める上でのチェック機能の確保について提案されたというふうに承知しております。
 建設省といたしましては、より国民にわかりやすいシステムの実施が求められており、またこれにこたえなければならないという野坂前建設大臣の指示を受けまして、直ちに本年六月初めに大規模公共事業に関する総合的な評価方策の検討に着手いたしまして、先ほど来語がございましたように、六月三十日にはダム事業について新たな試行システムの提案を行い、去る十月十一日には検討結果を取りまとめ、公表させていただいたところでございます。
#166
○今井澄君 今、回答にもありましたように、大規模でかつ大体長期にわたるわけですね。一たん始まるととまらない。こういうものについて見直さなければならない。だれしも思っていたことだと思うんです。そういう意味では、先ほど申し上げました新型転換炉の中止、ある意味では勇気あるというか、当然と言ってもいいんですが、決断だと思いますし、今度の建設省の見直しについても私はそれなりの評価をするわけです。
 ただ、先ほど御質問したのは、ちょうど長良川河口堰の運用開始の日から始まったということは、既にその前から、閣議の後の閣僚の話し合いで総理にまで了解を得ていたものが長良川河口堰の運用開始まで始まらなかったということは、やっぱり始まったものをまずやってしまって、それから手をつけたというふうに思われてならないんです。やはりもっと前からその長良川河口堰の問題を含めて再評価ということがきちっと行われるべきだったんではないかと思いますが、これが契機になって進んだことはそれなりの一つの前進だろうと思います。
 ところで、建設省にお尋ねしたいんですが、事業評価方策の試行の対象となった十一事業について、先ほどは全部の名前は挙げられませんでしたね。一応一通り名前を挙げていただいて、それらを取り上げた具体的な理由、なぜその十一事業を取り上げたのかということ。それともう一つは、やはり幾つかに類型化できると思うんですね、この事業は。建設省の方としてはその十一を幾つぐらいに類型化して問題にしているのかお答えをいただきたいと思います。
 またついでに、ついでにではない大きな問題なんですが、これらの十一事業の事業費の見積額は総計で幾らぐらいになるのか。そして、現在までのところ執行されている十一事業についての決算額は総額幾らになるのか、これもお答えいただきたいと思います。
#167
○政府委員(松田芳夫君) お答え申し上げます。
 建設省直轄及び水資源開発公団の事業のうち、今回の事業評価方策の試行の対象となったものは、類型別に分けますと二つあると考えられます。
 一つは、法定計画の作成に先立って評価をいただきたいもの、つまり計画を確定する前に評価をいただきたいものというのが一つの範疇でございます。二つ目は、法定計画作成済みの事業であっても、計画作成から長期間経過し、社会情勢等の変化等により改めて議論することが必要と判断されたものという二つ目の範疇になります。そして、これらの評価基準といいますか範疇から原則として各地方建設局ごとにおおむね一事業を選定したものでございまして、全国で十一事業というふうに試行の対象として考えでございます。
 それで、全部名前を列挙せよ、こういうお話でございますが、前者、つまり法定計画の策定に先立って評価をいただきたいものといたしましては、利根川の渡良瀬遊水池総合開発二期事業、それから足羽川ダム、それから四国の第十堰という堰の改築事業、それから四国のダムでございますが細川内ダム、以上四事業が最初の範疇に入ります。
 後者の法定計画作成済みの事業でありますが、計画作成から時間がたったので社会情勢等の変化に応じて議論しようというものが、北海適の沙流川総合開発事業、東北の小川原湖総合開発事業、黒部川の宇奈月ダム事業、それから中部地方に行きまして矢作川河口堰事業、中国地方に参りまして苫田ダム事業、九州に参りまして川辺川ダム事業、それから岐阜県に戻りますが徳山ダム事業、以上七事業でございます。
 それで、これら事業の全体事業費は、個々のダムの事業費がまだ確定していないものもございますが、これら十一事業のうち既に事業費が確定されたものを積み上げますと、おおむね八千四百億円になります。
 それからまた、これら十一事業についてこれまで執行された決算額は、平成五年度までの総計で四千四百二十七億円となってございます。
#168
○今井澄君 相当の額になるわけですが、この中でも小川原湖総合開発事業などは、むつ小川原の開発計画そのものが、もう既に親の事業が見直しということになっているわけですから当然のことだろうと思いますが、あとは非常に時間がかかっているもの等ということで、今出されたものの中で典型は四国の細川内ダムだろうと思いますが、このことについてちょっとお尋ねしていきます。
 細川内ダムの建設計画は、総貯水量が八百万トン、総事業費が一千百億円のいわゆる多目的ダムというふうにお聞きしておりますけれども、この建設予定地の徳島県の木頭村では、建設計画が明らかになった一九六八年以来ずっと村民の反対運動が続いている。村長が先頭に立ったり、あるいは村長がちょっとあいまいな態度をとったりするともう早速リコールをされたりという歴史があると思います。
 それで、現在も村長さんが先頭に立っているわけですが、村の議会は十回にわたって建設反対を決議しておりますし、昨年の末にはダム建設阻止条例といってもいいような条例が制定されている。ことし一月、村議会選挙が行われたわけですけれども、そこではダム建設反対派の方への投票が総投票の八〇%と、こういう状況なわけですから、全くめどが立たないと思います。
 それで、先ほどのお答えで、この事業審議委員会、三事業についても近いうちにというお話だったんですが、この細川内ダムについては地元の村長が参加しないと言っているわけです。そうしますと、なかなかめどが立たないんじゃないかと思うんです。村長さんは、賛成派が多数の委員会に参加しても反論を聞きおかれるだけだ、むしろ合理化につながると困ると言って反対しておられるわけで、今後の成り行きが心配されるわけであります。
 また、細川内ダム建設事務所、建設省の事務所がことしの八月から九月にかけて地元で説明会をやっておられます。それにも木頭村の当局者はだれも賛成しないというので、説明会自体が開けなかったわけです。開いた八市町村でも結構いろいろな疑問、質問が出ているというふうに聞いております。
 さて、その細川内ダムについてですけれども、これは多目的ダムということですから治水とか利水、農業用水、それにあそこは工業用水ありましたかね、それからいわゆる正常な流れを保つという、まあなかなか目的はいいんですがあいまいな目的で、どこに焦点があるかわからないわけなんですが、その治水目的が一つの大きな目的とされていると思います。
 現にここでは、一九七六年の九月に台風が来たときに一日の降水量が千百十四ミリと、百五十年確率と言われるくらい最高の降水量があったわけです。日本一だなんていうふうに書いてある新聞もあるわけですけれども、そのときに上流でも下流でも被害はほとんどなかったんです、非常に軽微だった。その下流の方に幾つかダムがありまして、そのダムがだんだん土砂で埋まってくるということがあったり、あるいはこういうふうに降水量が多いときの放流とか、そういうことでむしろ被害が出ている方が多いということすら言われているわけで、下流のダムをしゅんせっしたり、さまざまな手を打つそういう代替手段の方がむしろ有効だと言われていると思います。
 それから、工業用水や農業用水の利水の方も必要性が非常に問題になっているというふうに言われております。特に九一年度以降、工業用水の使用量はどんどん減っていると。現に一日当たりにこの那賀川から取水が認められている約五十一万トンのうち実際に使われているのは六割弱にすぎないんだと。今さら全く必要ないという話もあります。現に水を大量に使う重化学工業の時代ではもうなくなっているわけです。
 農業用水に関しては取水量のデータすらないというふうに聞いているわけなんですけれども、果たしてこの細川内ダム、治水あるいは工業用水や農業用水のために必要だと建設省ではお考えなのかその点について簡単で結構ですからお答えをいただきたいと思います。
#169
○政府委員(松田芳夫君) 今お話がございましたが、この細川内ダムというのは徳島県の南部の那賀川という川に設けられるものでございますが、治水につきましては過去、昭和二十五年の九月にジェーン台風という非常に大きい台風に襲われたのを初め、昭和四十六年の台風二十三号、あるいは昭和五十年の台風六号、あるいは最近では平成二年の台風十九号など、たびたび洪水被害をこうむっております。その中には、被害の発生形態その他いろいろございました。
 那賀川水系の工事実施基本計画という那賀川の河川全体の基本的な計画をつかさどる計画がございますが、この計画の中では、基本高水流量毎秒一万一千二百立方メートルのうち、細川内ダムなど上流ダム群により毎秒二千二百立方メートルをカットするというのが治水計画になってございます。細川内ダムはその中に位置づけられておりまして、那賀川の治水安全度を向上させるために有効な施設であると私どもは考えでございます。いろいろ議論の過程で代替案といいますかいろんな御意見が出ているということは私どもも十分承知しております。
 また、用水の問題につきましては、那賀川の河川水は通常の河川と同様、農業用水、工業用水等に広く利用されておりますが、河川の水の流れの変化が激しいといいますか、雨が降らないと非常な渇水になる。これは瀬戸内海とか四国とかというところは最近も渇水の事例がございましたけれども、非常に川の流れの変化が、ないときにはない、あるときはたくさんある、こういうようなことでございまして、この川からとっております。水の取水というのは非常に不安定でございます。最近でも平成元年、二年、五年、六年、ことしと毎年のように取水制限が強いられてございまして、細川内ダムはこれら不安定な既得の用水を安定化する効果もございます。また、新たに上水道や工業用水の水需要についても、地元徳島県等からダムに参画したいという意向があるというふうに現地を通して聞いてございます。
 このように、建設省としては、細川内ダムの建設は那賀川流域の治水上、利水上必要かつ重要な事業と認識しておりますが、今回試行することとしたダム等事業審議委員会を通じて把握した地域の意見も踏まえ、事業者として総合的に判断してまいりたいと思っております。
#170
○今井澄君 この問題についていろいろさらに突っ込むことについてはちょっとやめまして、もう一つ例を出したいと思いますが、先ほどお話のありました九州の川辺川ダムですけれども、これは一世を風靡した子守歌で有名な五木村を湖底に沈めるダムで、総貯水量が一億三千三百万トン、総事業費が一千百三十億円ということで、これも治水、農業用水、それから発電のための多目的ダムなわけですけれども、目的別に見ますと総貯水量の八割が治水用、要するに水をためてカットするということですね。ですから治水が主だろうと思いますが、二割が農業用水、この辺がちょっとまた問題で、発電はわずかに一%なわけです。
 そもそもこのダムの予備調査が始められたときは、これは昭和二十八年ですけれども、十数万キロワットの発電を行うというのが目的だったわけですね。ところが、その後火力発電が主力になってきて、水力発電は採算に合わなくなったということで昭和三十四年には発電計画が断念されたわけです。ところが、高原台地の総合開発計画を県が進めているということで、県が引き取る形で、今度はかんがい用にダム計画を引き継いだということになったわけです。ところが一転してまた昭和三十八年から三年連続水害が発生したということから、今度は建設省が治水専用ダムとして建設計画を発表して、時代や状況が二転三転変化したにもかかわらずこの川辺川ダムの建設自体はずうっと生き残ってきたんですね。
 これはもちろん、時代の変化とともに目的が変わったじゃないかと言えばそのとおりなんですけれども、逆に言うと、何か初めにつくることが、ここに結構大きなダムができるぞということになったら、時代が変わっても何か目的を入れかえながら引き継がれてきた。こういうふうに、初めにダムありきということになっちゃったんじゃないかというふうにも考えられると思います。
 農業用水については、ここには委員の中に地元の専門の先生がおられるので私が質問するのもどうもかえって恥ずかしいような気もするんですが、農業用水については、まず水田は聞いてみますと九割がもう区画整理を終わっていて、効率的な水利用ができているので農業用水はほとんど要らないと言われていると。しかも、減反があったり今後の農業後継者の問題もあって、今の計画でいくと平成十六年ですかそのころの水は要らなくなるんじゃないかというふうなことが言われている。畑作の方もなかなか予定どおりいっていないわけですね。初め国営の土地改良事業として事業計画がやられてきたんですが、途中で見直してみたら、国営の採択基準よりも造成にしろかんがい面積にしろ減ってきているということで、この利水の方は、これは世の中全体の情勢だと思いますが、ここでも要らなくなっている。
 一方、治水については、これは必要だという御意見もあるんですけれども、いろいろまた反対意見も出されておりまして、確かに四十年代までは洪水が多かった、しかしその後洪水は減っているということが一つあります。それは、その他の中小河川の支流の改修が進んだり、それからもう一つ大きかったことは、昭和二、三十年代に乱伐をして山が丸裸になった、それがだんだん植林でいわゆる緑のダムが出てきた、そのことによって減ったんだとかそれからむしろ起こるのは川辺川中流域のもっと下の方の、人吉市より下の方の洪水の方が問題で、それはその下にできたダムに砂がたまって、かえってその害ではないかとか、いろいろな意見が出ていると思います。
 また、一応このダムは八十年ないし百年に一度の確率の洪水に対してつくられているということなんですが、しかしほかに全国各地にいろいろあるんですが、例えば百年確率でつくられたダムがつくられて、二年後に予想外の洪水があってだめになっちゃったとか、いろいろあるんです。そうしますと、このダムも百年確率でつくっても場合によっては役に立たないこともあるんです。それはしょうがないんです、災害というのは人知を超えるものがあるわけですから。
 ですから、私が言いたいのは、治水というのはどういう確率でつくろうと役に立たなくなることもあるんだと。要するに、ほかに代替手段があればやっぱりそういうことを総合的に考えるべきではないだろうか。ダムだけで治水ができるかのように考え、そしてダムという巨大な時間のかかる事業に専ら力を注ぐということがやはりここでも見直しを必要とされているんではないか。
 また、さっき渇水のお話がありましたけれども、渇水のときにはかんがい用に役立ちますよと言うんですけれども、やっぱり渇水のときも、例えばこの川辺川ダムは十年に一度の渇水に対しては供給すると。しかし、それ以上の渇水になると、川の正常な流れを保つためにかんがいには水を回せませんよと、こういう話にもなっているということなんで、多目的ということは非常にこれは危険でありまして、アブハチ取らずといいますか、やっぱり見直していかなければならないと思っているんですが、この辺は建設省はいかが考えておられるでしょうか。
#171
○政府委員(松田芳夫君) 川辺川ダムにつきましては、熊本県の南部にございまして、人吉盆地から五木村へ入っていく球磨川の支川の川辺川というまさにダムの名前どおりの支川に設けられる予定でございますが、ここの洪水といいますと昭和四十年の七月の洪水を初めといたしまして、四十六年、四十七年、五十四年、五十七年など、古くからかなり頻繁に洪水被害に遭っでございます。
 それで、球磨川の工事実施基本計画におきましては、人吉盆地の中心市の人吉市における基本高水流量、毎秒七千立方メートルのうちの三千立方メートルを川辺川ダムと既に設けられております市房ダムというダムによって洪水調節をすることにしております。それで、かなりこの調節の量は多うございまして、川辺川ダムの建設というものは、球磨川の洪水に対する治水安全度を向上させるための根幹となる施設と私どもは考えでございます。
 最近洪水が少ないというお話もございましたけれども、数日前にもフィリピンで大洪水があったかと思いますが、最近は東南アジア、中国、あるいは北朝鮮、アメリカ、ヨーロッパ、世界じゅうで気候異変と申しますか洪水が起きておりまして、私どもは余り油断してはいけないというふうに身を引き締めているところでございます。
 また、用水の問題につきましては、現在でも球磨川の水は農業用水あるいは発電用水、それから一部工業用水、それから名物の船下りということで、川の水がいつも峡谷の中を流れていなくてはいけないというような、そういった水の確保というようなことを通じて地域社会に非常に寄与していると考えでございますが、渇水時にはやはり流量が著しく減少し、支障がいろいろ発生してございます。
 そういったことで川辺川ダムの目的にも、渇水時に河川水の補給を行い、河川維持用水あるいは正常な水の確保というような表現をしておりますが、船下りの支障の改善とかあるいは水質改善、それからアユなどの動植物の保護、あるいは既存の一千ヘクタールに上る農地のかんがい用水を安定化させる、それから先ほどお話がございました国営土地改良事業のかんがい用水の供給とかあるいは発電増、そういったことも目的としてございます。
 それで、建設省といたしましても、川辺川ダムは球磨川の治水利水上極めて重要な事業と考えでございますが、地元の方々にもいろいろ御議論があることは十分承知しておりますので、今回試行することといたしましたこのダムの審議委員会を通じて皆様の意見を的確に聞き、事業者として対応できるものは対応してまいりたいというふうに考えてございます。
#172
○今井澄君 確かに油断してはならないわけで、人の命を守るというのは非常に大事ですし、建設省の使命も人の命、財産を守る使命、非常に大事であることは私もわかっておりますが、やはり総合的にあるいは代替手段等を考えてやらなければいけないと思います。
 あと自然保護の問題なんかもあるわけですが、本日はそれは省略いたしまして、もう一つ、私の地元なんですが、これは直轄事業ではない補助事業ですけれども下諏訪ダムというのがあります。これは諏訪湖に流れ込む小さな砥川というのの支流の東俣川にダムをつくろうというんですけれども、これがまたまたいろいろ問題でして、事業費は約二百四十億というんだから余り大きくはないんですが、そもそもこの治水は、初め砥川の本流に手をつけようと思ったら活断層があってだめだというので支流に移ったような経過もあったというふうに聞いておりまして、支流の方に手をつけてもどうもということがありますし、大体大洪水の経験は今までないんですね。そして問題なのはやっぱり天井川になっていることで、しゅんせつをきちっとやるとか堤防をつくるとか、もっと下流部をきちっとすれば何とかなってくるんですね。
 かつて諏訪湖周辺は大分洪水が起こったんですけれども、それも釜口水門を改良しまして天竜川にうまく放流することで、諏訪市の床上浸水等は今なくなってきているんです。ですから、そういう総合的なことでやっていくべきだと思っているんですが、そっちの代替手段の方は一切考慮せずに、何しろ上の方にダムつくりゃいいんだと。ところが、ダムをつくったってこれは寿命がありますし、決壊することもあるし、いろいろあるんです。
 問題は、非常におかしなのはこの利水なんですね。最初は、昭和六十一年に岡谷市が一万トン水が欲しいと。それから、六十二年にはそれに加えて下諏訪町もしゃ五千トン水が欲しいと、上水ですけれどもやったんですが、いろいろ研究した結果、下諏訪町では五千トンの水は要らないと、もっと漏水とかなんかをなくせば十分やっていけるということになって昭和六十三年には利水計画からおりたんですね。そうしたところが、平成元年に今度は県の方から利水にどうしても参加してほしいというふうに言ってきた。そこで翌年、高度に政治的な判断で最終的に利水にもう一度参加することになった。今度は一千トンで参加することになったんですね。
 こういうふうな非常に不明朗な計画をたどりまして現在進んでいるわけですし、岡谷市の一万トンというのもこれはおかしいんで、岡谷市は西山開発というのをやって四千人の人口をふやしたり工場を誘致しようと思ったんですが、バブルも崩壊しましたし全くその予定がないということです。しかも、今岡谷市は水源の供給能力が一日三万五千トンあるんですが、平均二万五、六千トン、最大使用時でも三万トン前後なんですね。一万トンぐらいむしろ水が余っているんではないかというところで、さらに一万トンということ自身がおかしい。
 やっぱり動き出した計画はとめられない、あるいはやめようとするとどこかからブレーキがかかって、この場合は県だと思うんですけれども、こういうことがあると思うんですが、このことに関して建設省としては何かお考えがありますでしょうか。
#173
○政府委員(松田芳夫君) 下諏訪ダムは、お話のとおり建設省直轄ということではなくて県営ダムでございます。建設省の立場から申しますと補助ダムということになりますが、洪水調節、流水の正常な機能の維持、それから岡谷市と下諏訪町の水道用水の確保を目的とする多目的ダムとなっております。
 お話のとおり、この砥川という河川の下流部、諏訪湖に流入している川で下諏訪町の中心部を流れておりますが、川底が周辺の土地の高さより高く、いわゆる天井川となっております。また、周辺に人家が密集しております。そのため、河川の拡幅を行おうとしても非常に困難であるということ、それから天井川の改修というのは本質的には流量を減らすとか川幅を広げるということでございますが、なかなかそういう町の中の天井川というものを広げるというのは非常に困難である。そういうようなところから、実際は大水に対して非常に危険な状態でございます。そこで、種々治水対策を検討した結果、抜本的な治水対策ということでダムに依存しようということの計画でございます。
 また、水道用水につきましては、岡谷市と下諏訪町は地下水に依存しておりますが、たしか昭和五十八年ごろから地下水の水質汚染というものが非常に激しくなりまして、やはり汚染の少ない河川の表流水に水源を確保した方がいいんではないかということから、利水上の観点からも当事業の必要性があるものと県当局は考えておりますし、私どももその説明でなるほどというふうに考えてございます。
#174
○今井澄君 個別のことはそのぐらいにしまして、利水の問題は状況変化で大変いろいろ問題が起こっていると思うんです。
 国土庁に質問をしたいんですが、高度成長の真っただ中というかバブルのころ、昭和六十二年、「全国総合水資源計画 ウォータープラン二〇〇〇」というものを策定されましたね。これによると、昭和五十八年に対して西暦二〇〇〇年の水需要を生活用水が一・三七倍、工業用水を一・四一倍、農業用水で一・〇七倍を見込んでおられますけれども、平成七年版の「日本の水資源」いわゆる水資源白書を見ますと、ほとんど農業用水も工業用水も横ばいですね。平成四年を昭和五十八年に比べると、生活用水で一・二一倍、工業用水が一倍、農業用水も一倍ということなんですね。
 やっぱり各地で水、水と言って、要らなくなっているのにこういうことでダムに乗っていくということは、根本は国土庁のこういう「ウォータープラン二〇〇〇」なんかに問題があると思うんですが、見直す予定はないでしょうか。
#175
○政府委員(山田俊郎君) 先生御指摘の全国総合水資源計画は、昭和六十二年六月に策定されました第四次の全国総合開発計画と整合をとりまして、昭和六十二年の十月につくったものでございます。長期的な水需給の見通しの上に立ちまして、二十一世紀に向けた水資源の開発、保全、そして利用に関してとるべき今後の基本的方向を明らかにしたものでございます。
 しかしながら、計画策定後の我が国の社会経済状況の変化は大変大きなものがございますので、それにまた新しい全国総合開発計画も現在策定作業中ということでもありますので、こうした情勢を踏まえまして、全国総合水資源計画も現在総点検を作業実施しております。平成八年度以降、新しい計画を策定することとしたいというふうに考えております。
#176
○今井澄君 幾つか具体的な例を挙げながらダムの問題を質疑してきたわけですけれども、多目的ダムは無目的ダムと呼びかえてもいいぐらいだと私は思っているわけで、目的がはっきりしなくなってきている。いろいろ理由をつけてやっているということを見直すべきだと思うんです。特に発電は今はとんと目的とならないわけですね、小規模なもの以外は。それから治水については、先ほどから繰り返し申し上げているように、水源涵養林やしゅんせつなどいろいろの代替手段がある。利水については産業構造が変わってきているということもあると思います。
 今から二十年も三十年も、あるいは場合によっては四十年も前にダムの建設地としてピックアップされたところが、ここにダムができるというふうなことで、何か巨大公共事業を誘致するといいますか、そういうふうな形で地元の方もそれを自己目的化しているようなところもある。
 つい最近も、あるところに行きましたところ、かつて人口が六万あったところが、産業構造の激変で人口が一万六千に減っている。そこで、大変お気の毒なんですが、地域活性化のために一番いろいろ努力しておられるんですが、最後にそこの市長さんが別れ際に、地元にはとにかく七百億のダムがあるんだと、これを二十年かけてやるんだと。何かそういうことに地域の活性化を求められているようなところもあるということを見ますと非常に悲しい思いがしますし、経済的にも今こういう情勢ですから、非常に効率的に国費を使っていかなければならないということからも考えなければならないと思います。
 そこで、五月二十四日付の日経新聞の社説にはこのことに関連してこういうことが書いてあるんですね。「まず事業実施官庁が絶えず見直し作業をすべきだが、ひとたび予算が付くと、あくまで完成させることにこだわり続ける。行政が決めた公共事業計画をチェックするのは、本来国会の仕事である。だが、これまで国会は公共事業にブレーキを掛けるより、アクセルを踏むことに熱心だった。」というようなことも言っているわけです。目的を厳密に吟味して、コストパフォーマンスはどうなのかほかに代替手段がないのか検討しなければならないと思うんです。
 ついでにもう一つ。昨年五月、アメリカ内務省開墾局のビアード総裁が演説しているんですけれども、アメリカのダム建設の時代は終わったというふうに言っている。その理由として主に大きく五つ挙げているんですが、まず第一は、ダム開発の費用よりも得られる利益の方が少ない。第二番目は、社会的支持を失った。第三番目は、環境や文化に及ぼすコストが大きい。第四は、世論が生態系と文化価値を重視している。第五は、ダム以外の代替手段がある。こういうことで終わったと言っているわけですね。
 以上のようなことをちょっと申し上げまして、建設大臣に、建設大臣としてまた政治家としての御所見がありましたらお聞かせいただきたいんです。
 特に、今回の審議委員会によるダム建設の再評価を直轄事業だけじゃなくて補助事業、県の事業にも行うように御指示を出される、都道府県に働きかけられるおつもりはないか。さらにまた、こういう評価を建設省内だけでやるんではなくて、政府部内で全体として第三者機関をつくっておやりになるおつもりはないかどうかお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。
#177
○国務大臣(森喜朗君) 今井委員の、大変幅広くダムそのものに対して、もちろん有意性をも説きながら、またいろいろ見直していかなきゃならぬ、治水、利水、いろんな面で再検討していくべきだという大変御見識の高い御質問をいただきまして、先生に何かお答えするような立場ではないような、そんな感想を実は持ちました。
 一般論といたしまして、社会経済情勢の変化によって事業計画の見直し等を行う必要がある場合は、これは事業者みずからの責任において絶え間なく必要な見直しを行っていくということは、これは当然であろうと考えます。
 ダム事業におきましても、そのような観点から今回建設省内での議論を経まして、ダム等事業審議委員会という新たな評価システムをつくったわけであります。これにつきましては、先生なりのまた御意見をいただいておるわけでございます。
 今後、本システムの試行を通じまして地域の意見を的確に把握する、そしてそれとともに、このシステムが制度として確立していくかどうか、これをもう少し見据えていかなきゃならぬと思います。ごく最近こうしたシステムをつくったわけですから、これがどのような効用、効能を発揮していくかということもよく見据えていくことが大事だろうというふうに思います。
 もう一つ、これをいわゆる補助事業に対してどうかということでございましたが、今回の建設省直轄、水資源開発公団が実施する事業を対象に試行することとしたダム事業審議委員会、これは基本的には補助事業の実施については責任を有する都道府県知事のやっぱり判断によるものであろうと、このように考えます。しかし、建設省としては、現在執行いたしております十一事業の審議の状況を見守りながら総合的に判断して今後の対応を考えていきたい、このように考えます。
 現時点では、補助事業にまで適用するような、都道府県に働きかけるということは考えてはおりませんが、直轄、水資源開発公団事業の執行に関する情報は各都道府県にこれからも提供していきたい。要は事業主体である都道府県がどう判断をするかということではないかと、このように考えます。
#178
○今井澄君 政府部内でもぜひ、きょう三大臣おそろいでおられますし、全体として各省庁にわたるわけですし、また主務官庁がやるということはとかく批判の矛先が鈍るということもありますので、政府全体でもお取り上げいただけるようにお願いしたいと思います。
 さて、会計検査院と総務庁に対して、これまで以上にきょうの質疑をお聞きになって力を入れていくおつもりがあるかないか簡単にお答えいただきたいと思います。
#179
○説明員(天野進君) お答え申し上げます。
 ダム建設事業につきましては、検査対象としても重要な分野でございますので、ただいま先生から御指摘がありましたような点も十分念頭に置きながら今後も検査に取り組んでまいる所存でございます。
 なお、六年次検査においてもダム建設事業については重点を置いて検査しているところでございまして、現在その調査結果の分析、検討を進めているところでございます。
#180
○説明員(田代喜啓君) 総務庁におきましては、中期的視点に立ちまして行政上の重要課題を体系的にとらえまして、その中での優先度というものを考慮しながら行政監察を実施してきてございます。現在、平成八年度から向こう三年間の中期行政監察等予定テーマというものの作成の検討をしている段階でございます。
 御指摘の水資源に関するテーマにつきましては、先ほどから議論もございましたように、近年、渇水等というようなこともございますし、水資源の確保というようなことの重要性等々を考えまして、現在中期行政監察等予定テーマの一つとして検討をしているところでございます。そういうところでございますので、本日の御議論等を踏まえながら、またさらに検討を深めていきたいというふうに考えてございます。
#181
○今井澄君 もう繰り返すのもなんですけれども、長く続く長期にわたる巨大プロジェクト、やはりもう高度成長の時代じゃありませんので、効率を考えて見直すべきだということをもう一度申し上げ、それから本日は環境等の問題については申し上げませんでしたが、やはり新しい価値観の時代であることも御配慮いただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#182
○筆坂秀世君 まず最初に、高木大臣にお伺いしたいと思いますが、先ほどの答弁の中で、大田沖縄県知事が米軍用地の強制使用について代理署名を拒否している、その心情はよく理解できるという趣旨の御答弁をされましたけれども、大田知事がなぜ代理署名を拒否されているか、大臣としてどういう認識が、まず最初にお伺いしたいと思います。
#183
○国務大臣(高木正明君) お答えを申し上げます。
 沖縄県に所在する駐留軍用地の使用権原の取得にかかわる事務は防衛施設庁の所管に属する事務であり、同庁において従来からその円滑な処理のためにいろいろ努力をされているところと承知をいたしております。
 今回、沖縄県知事が代理署名、押印を行うことはできないと言われていることについては、沖縄の現状だとかあるいは県民の感情、それから県知事の立場をそんたくすると心情的には十分理解できることであると私は申し上げておりました。しかしながら、総理も言われておりますように、国と県がお互いに誠意を持って話し合いを行って早期に問題解決の道を見出していくことが必要であると考えております。
#184
○筆坂秀世君 大田知事が代理署名を拒否されているのは、少女暴行事件があったからだけではないんですね。議会での答弁やあるいは記者会見で正式にコメントも出されていますけれども、それを見ますと、もともと沖縄の米軍用地というのが銃剣とブルドーザーで強制的にとられたものだと、このことを大前提にして四つの理由を挙げておられます。
 第一は、基地だけじゃなく、沖縄は空も海も奪われている、しかもそれによってあの少女暴行事件であるとか騒音被害であるとか、復帰後だけだって犯罪件数は四千六百七十五件数えている、大変な基地被害を受けているというのが第一だ。第二は、したがってこの沖縄を何とかしたい、沖縄の振興を図るためにはどうしても基地撤去が必要だと日米両国政府に繰り返し言ってきたけれども、遅々として進まない。これが二つ目。しかも、三番目には、基地縮小どころかソ連は崩壊したけれども、アメリカは東アジア戦略報告でアジア・太平洋地域に十万人の米軍を引き続き駐留させると。そして第四に、しかも十一月に行われる日米首脳会談では、安保再定義ということでこの安保体制が強化されようとしている。そして、政府がいわばにしきの御旗にしているような那覇軍港問題、一〇四号線越えの射撃演習あるいは読谷補助飛行場、この三事案についても関係自治体の反対で全く解決のめど、見通しがたってないと。だから、慎重に考えたけれども、到底県民の声を代表する知事として米軍用地の強制使用に代理署名などはできないと。これが大田知事の代理署名拒否の理由ですよ。
 先般の予算委員会集中審議を私も聞いておりましたけれども、話し合いをすると。私たちはこれは説得に行く、説得だというふうに思いますけれども、ともかくその言葉はどっちでもいいです。しかし、話し合いをしなくたって沖縄県の要求、県民の願いというのはもう今さら聞かなくたって明らかだと思うんですね。
 沖縄の振興開発に責任を持つ大臣として、先般、県民代表団の方々に対して基地の縮小を積極的に進めていくという趣旨の御回答をされていますけれども、その姿勢は引き続き堅持されますか。
#185
○国務大臣(高木正明君) お答えをいたします。
 私の所管する役所は沖縄開発の振興をどうするかというところの問題点が所管でありまして、今先生がお話しのような基地の問題等の問題については所管外の大臣でありますが、ただ県民を守る立場からいけば、私はできればやはりそういう障害がある程度一つ一つ除去された後で、その後の土地対策、計画が立てられた後どうするかということは沖縄開発庁でする仕事でありますので、ちょっと所管外のことについては答弁を差し控えておきたいと思います。
#186
○筆坂秀世君 所管外ではありますけれども、沖縄の振興開発を考えていく上で基地の問題を考えなきゃ、基地について物を言わなきゃ、これは到底振興開発に責任を持つといったって、基地の存在が一番ガンになっているんですから。だから、県民代表団に基地の縮小を積極的にやると言いながら、議会じゃ答弁できないと。そんなばかな話はないでしょう。
 それはもちろん権限外だということはわかります。しかし、開発庁長官としてそのためにそれでもでき得ることはやるというのが私は政治家たる者の責任だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#187
○国務大臣(高木正明君) 私が申し上げたのは、所管外だから何もできないということではありません。九月十九日の閣議の後の閣僚懇談会で、基地の問題は所管外であるけれども、県民の生活を守る立場からいくとそれぞれの所管官庁において全体的に内閣全体として取り上げてほしいということを申し上げておったわけでありますから、その面については極力積極的に主管大臣にお願いをして進めていきたいと考えております。
#188
○筆坂秀世君 防衛施設庁にお伺いしたいと思うんですけれども、大田知事の代理署名拒否の態度というのはこれは断固たるものですよ。
 先般の八万五千人が集まったという県民大集会でまず大田知事はどういうことを言われたかというと、あの少女を守ることができなかった、まずこれを県民の皆さんにおわびしたいと、県知事として。そして、今から三年前、九二年にやはり当選直後で公告縦覧を知事が代理でやるというときに、このときに公告縦覧に応じた、これは間違いだったと厳しくみずからを批判されています。
 先般、参議院の内閣委員会で宝珠山前防衛施設庁長官が、今、知事に対して勧告、そして執行命令を出すけれども、もしそれに知事が従わない、そうすると裁判になる、この場合には大体決着がつくまで短く見ても五カ月間ぐらいはかかるだろうというふうに答弁されています。
 したがって、もし知事が今の態度を貫けば、代理署名だけじゃないですから、次は公告縦覧がありますから、二度にわたって強制命令を出す、そして裁判をやる、単純に計算すると五カ月が二回かかる。大体十カ月ぐらい、約一年近くそれだけだってかかるんじゃないですか。
#189
○政府委員(小澤毅君) お答え申し上げます。
 先般の宝珠山前長官の発言については我々も承知しております。しかしながら、本件の問題につきましては極めて重要な問題であるというふうに受けとめまして、十一月四日には内閣総理大臣と県知事が会談することが予定されるなど、話し合いによる解決に向けて現在政府で全力を挙げているところでございます。
 我々としましては、いずれにせよ、我が国として条約上の義務を履行できないような事態が生じないよう今後とも最大限の努力をしてまいる所存でございます。
#190
○筆坂秀世君 あなた方が努力するのはそれは勝手ですよ。しかし、裁判をやれば何カ月かかるかと聞いているんだよ。前施設庁長官は答えられた、短く見積もっても五カ月ぐらいかかると。これは否定するの。いや五カ月じゃない、一カ月でできるんだというんじゃないでしょう。それを聞いているんです。
#191
○政府委員(小澤毅君) お答え申し上げます。
 先ほど御答弁申し上げましたように、宝珠山前長官がそのような御答弁をなさったということは我々も十分承知しております。しかしながら、現在も話し合いで努力しているということを御理解いただきたいと思います。
#192
○筆坂秀世君 つまり、十カ月かかるということなんです、二回やれば。それで終わらないですね。さらにその後、裁決の申請が土地収用委員会に対して行われる。そこで、土地収用委員会で審理が行われて、そして使用権原を取得するということになっていくわけですね。前回あるいは前々回、裁決申請から使用権原取得までどのぐらいかかりましたか。
#193
○政府委員(小澤毅君) ちょっと今手元に具体的な資料ございませんけれども、おおむね一年半からそこら近くかかっているのではないかというふうに記憶してございます。
#194
○筆坂秀世君 おっしゃるとおりです。施設庁からいただいた資料だと前回が一年六カ月かかった、一年半。前々回は一年九カ月、権原取得までかかっております。つまり、今から一番短いケースを見積もったってまだ十カ月かかる。それから一年半あるいは一年九カ月かかるわけですから、どんなに短く見積もっても二年半、権原取得までかかるということなんです。場合によってはそれ以上かかることもあります。
 ところが、知事が代理署名しているうちの一つ、楚辺通信所というのがございます。これは使用期限が来年の三月三十一日ですよ。あと五カ月しかない。通常やれば二年半かかる、五カ月しかない。これはどう考えたって期限内に使用権原を取得することは不可能でしょう。
#195
○政府委員(小澤毅君) お答え申し上げます。
 日米安保条約の目的の達成のため、我が国に駐留いたします米軍に施設・区域を円滑かつ安定的に提供することは我が国の条約上の義務でもあります。一方、現在、駐留軍用地特措法を適用しているような事例もございます。我々としましては、現在、駐留軍用地特措法を適用しようという手続を進めているものにつきましては全力を挙げて問題の解決に努めているところでございます。
 御指摘の楚辺通信所につきましては、来年の三月三十一日に賃貸借契約に伴います使用期間は満了いたしますが、いずれにしましても取得できない場合というような仮定の御議論につきましては、現在コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
#196
○筆坂秀世君 そういう答弁をされるんだろうと思っていましたけれどもね。
 しかし、もう論外でしょう。二年半かかるのに、あと半年しかないんだから。だから、そういう議論なんというものじゃないんですよ。いや、これはぎりぎりだというならわかりますよ。今直ちに勧告やって強制命令、執行命令出して、ぎりぎりですと言うならわかるけれども、半年しかないんだから。
 だから、楚辺通信所のことでそういう答弁しかできないのなら、それはそれでいいですが、楚辺通信所だけじゃないでしょう。あとの六つの施設、全部で七つありますよね、ひっかかっている、代理署名を拒否しているのが。それだって使用期限は再来年の五月十四日ですよ。あと一年七カ月です。最低二年半かかるんでしょう、どうやるんですか。だから、権利取得できない可能性だって当然あり得るわけでしょう。
#197
○政府委員(小澤毅君) お答え申し上げます。
 繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、現在そのような条約上の義務を履行できないような事態が生じないよう、政府として最大限の努力をしてまいるということで御理解いただきたいと思います。
#198
○筆坂秀世君 もし権原取得できないということになれば、それでもそこに基地があると、使っているということになれば、これは一般論でいいですよ、もしそういう事態になればこれは不法に占拠している、占有している、あるいは無権利状態なのに使っているという事態になるわけでしょう、それは。
 そうならないように努力しているとおっしゃるけれども、少なくともそういうことに、もしそういう事態になれば、これは仮定の話ですよ、一般論で、それは当然そうなるわけでしょう。期限が切れたって権利はあるんだと、米軍基地だと、文句なんか言うなということにはならないわけでしょう。一般論でいいですよ。
#199
○政府委員(小澤毅君) これも繰り返しの答弁で大変恐縮でございますけれども、そのような事態が生じないように今現在鋭意努力しているということで御理解をいただきたいと思います。
#200
○筆坂秀世君 そんな答弁じゃだめだよ。半年しかない、二年半かかるんだよ。だめだよ、せめて一般論ぐらい答えなさい。努力しているのはわかるよ、今。
#201
○政府委員(小澤毅君) お答え申し上げます。
 一般論として申し上げれば、国が使用の権原がなくなるという事態になるということは御指摘のとおりでございます。
#202
○筆坂秀世君 そう言うというと一般論になるが、一般論ではなくなっちゃうから。
 今、代理署名拒否している施設名は具体的に七カ所ですよね。名前挙げてくれますか。
#203
○政府委員(小澤毅君) 申し上げます。
 施設の名前は、瀬名波通信施設、楚辺通信所、嘉手納弾薬庫地区、トリイ通信施設、キャンプ・シールズ、嘉手納飛行場、那覇港湾施設でございます。
 なお、先ほどの答弁でございますけれども、一般論として申し上げましたけれども、国としては一方で条約上の義務があるということをつけさせていただきます。
#204
○筆坂秀世君 今、七つの施設挙げましたね。例えば極東最大のアメリカの空軍基地と言われているのが嘉手納です。この滑走路にかかる、あるいは滑走路のすぐ近くにだって今こういう代理署名拒否をしている土地がございますね。
#205
○政府委員(小澤毅君) お答え申し上げます。
 嘉手納空軍基地につきましては、沖縄市の部分がたしか県知事に署名、押印をお願いしたことがございます。その地区は主として住宅地域またはその他一般の学校等の所在している施設だというふうに理解しております。
#206
○筆坂秀世君 確かに沖縄市ですよ、署名拒否されているのは。滑走路のすぐ近くですよ、滑走路のすぐ近くです。楚辺通信所だって、象のおりと言われる丸い通信施設ですよ、そのすぐそばですよ。
 しかし、こういうところが代理署名を拒否されてもし使えなくなれば、大体嘉手納の場合は滑走路一本使えなくなりますよ。楚辺通信所なんかでもしそこに何か変なもの建てられれば、これは通信施設としての機能が麻癖しますよ。
 だから、この問題というのはまさに日米安保体制の根幹を揺るがしかねない。私たちは揺るかして結構だと思っているんですが、立場はともかくとして、そういう問題なんですよ、そういう問題。
 しかし、知事はそのことを承知の上で断固としてこれはもう署名できないという態度をとっておられるということです。私は、これは当然で、例えば沖縄が本土に復帰するときによく本土並み、本土並みということが言われました。しかし、一九七二年五月に本土に復帰してからどうだったか。例えば基地の縮小は、本土では五八%減っているんです、米軍基地は。沖縄は一四・七%、約一五%しか減っていない。一番基地が集中した沖縄の基地返還、基地縮小は遅々として進んでいない。
 さっきも言いましたけれども、今政府がにしきの御旗のように言っておられる三事案、那覇軍港、読谷補助飛行場、県道一〇四号線越えの実弾演習、これいずれも移設、移転ですよ、完全になくするというわけじゃないんです。
 那覇軍港は牧港補給地区に持っていくんです。これは、多少米軍が使う面積は減ります。何でかというと、牧港に持っていった方がはるかに便利だからです。今の那覇軍港から牧港に持っていけば、有事に備えた海兵隊の出動とその倉庫と、それが全部一体となってワンセットになる。だから米軍側から出してきた提案ですよ。あるいは一〇四号線越えの実弾演習は東富士に持っていこうとか北海道に持っていこうとかいろいろ出ているけれども、全部受け入れ先は拒否しています。当たり前です。
 そして読谷補助飛行場、パラシュート降下訓練やっている。これはキャンプ・ハンセンに持っていくと言うんです。キャンプ・ハンセンの関係自治体はどこかというと金武町であるとか恩納村、宜野座村。いずれも村長、町長が、とんでもない、あんなパラシュート降下部隊を持ってこられるなんて迷惑だと。
 もう三事案完全に行き詰まっている。だから大田知事は、例えば一〇四号線越えの実弾演習については廃止だ、こういうことを強く言っておられるんです。
 さっき大臣は、所管ではないけれども大いに積極的に閣議の場等々で頑張りたいという旨おっしゃったけれども、やはりこの程度のことでは到底沖縄県民を納得させることはできない、沖縄の県民が納得しないのは当たり前だというふうにお思いになりませんか。
#207
○国務大臣(高木正明君) この問題については、所管の役所でなくして内閣全体として取り組まなければならないということを総理から強く申し上げられておりますので、全体の中で努力していかなければならないと思っております。
#208
○筆坂秀世君 三事案だけじゃないんですね。よく十七施設二十二事案だとかこれは日米合同委員会で合意をされているものです。あるいは沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会、軍転協が要望しているのが二十五施設三十一事案、そして今言いました政府提案の三事案、これ全部合わせて面積は三千三百三十二万七千四百平方メートル。これ八〇年代からずっともう何年も問題になってきたんですよ。幾ら返ってきたか。三十一万七千二百平方メートル、要望しているうちの○・九五%、一%にもいかない。
 それだけじゃない、しかもこのほとんどが返還といっても実は移設なんです、移すだけなんです。日米合同委員会で合意した十七施設二十三事案のうち返還済みのもの、未返還のものを入れて実に十一事案は移設です。移設というのは基地を近代化するんですよ。基地縮小どころか基地を強化するんですよ。そして、残っていると事案についても移設条件がつく、その可能性も十分あると思うんです。移設がどういうものかというと、キャンプ瑞慶覧の泡瀬ゴルフ場、これ移転しますと言う。どこへ持っていくかというと、読谷村が公園やあるいはリゾート開発やろうと、そこへ米軍の泡瀬ゴルフ場持っていこうというんです。こんなものだれが喜びますか。ほとんどが移設条件つきですよ。
 これを見直さないと、そして本当に文字どおり抜本的な基地の縮小、撤去、この方向で進まない限り、大田知事は納得されないし県民も納得されないということを私申し上げたいと思うんですが、最後に大臣の御所見をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
#209
○国務大臣(高木正明君) 先生のおっしゃるとおり、今の問題点が解決されなければ大田知事の態度はかたいということはそのとおりでありますので、内閣全体として努力をしてまいりたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
#210
○筆坂秀世君 終わります。
#211
○中尾則幸君 参議院フォーラムの中尾則幸でございます。
   〔委員長退席、理事大木浩君着席〕
 私は、きょうの参議院決算委員会で、北海道開発庁並びに建設省が現在北海道で進めております千歳川放水路計画、この問題について幾つか御質問したいと思います。
 石狩川水系千歳川流域の治水対策を目的にこの放水路計画が始まったわけでございます。総事業費が何と四千八百億円、たしか長良川河口堰の総事業費は一千四百九十九億円ですから、単純に事業費だけを計算いたしましても長良川河口堰の三倍、大きな国家プロジェクトでございます。
 決算委員会でございますので、まず平成四年度、五年度のこの調査費等の決算の概要を簡単に御説明願いたいと思います。予算はともに二十五億円と聞いております。
#212
○政府委員(松田芳夫君) 千歳川放水路事業で平成四年度、五年度に執行した予算は、今お話ございましたとおり両年度とも約二十五億円でございます。その内訳は、両年度ともそれぞれ放水路計画に直接かかわる調査の費用といたしまして二十一億円、その他間接的に調査に必要な機械器具費等として四億円、計二十五億円となっております。
 調査の概要といたしましては、環境影響調査として、放水路のすぐ近くにございます自然の湖沼でありますウトナイ湖あるいは美々川という川の調査、あるいは放水路予定地周辺の動植物、地下水などの調査あるいは気象調査、この辺が環境影響調査でございます。
 第二番目に、農業・漁業影響調査として、放水路沿いの地域の農業、それから日本海あるいは太平洋の漁業への影響と対策等の調査でございます。
 三番目に、社会影響調査として、酪農あるいは農業の経営実態の調査、それからあと現地試験として、防風林の植栽試験とか掘削土の盛り土の試験、その他放水路の詳細構造の検討、あるいは地形・地質調査ということで測量とかボーリング等の広範な調査を実施しております。
#213
○中尾則幸君 計画以来、北海道開発庁、建設省中心に環境あるいは地域開発の面で大変調査を行っている。私もつい先日現地調査に行ってまいりました。
 さて、こうした調査に多額な国費を使っているにもかかわらず、残念ながら漁業団体あるいは一部農業団体あるいは環境団体の合意がいまだに得られておりません。計画からちょうど十二年たったやに思いますが、先ほど今井委員からもダムの問題で御説明ありましたけれども、公共事業をスタートさせたらもうしゃにむに前に突き進むということじゃなくて、経済情勢の変化あるいは洪水対策の技術の進歩等にかんがみて、この際、私は放水路計画をもう一度抜本的な治水対策として一時凍結あるいは代替案を検討すべき段階に来ているのではないかなというふうに思いますが、建設大臣の所見を伺います。
#214
○国務大臣(森喜朗君) お答えをいたします。
 大規模事業では、これは一般的にでございますが、事業が環境や地域社会に与える影響が大変大きいということで、利益を受ける地域と事業の影響を受ける地域、これが同じでない場合というのがあるわけでありまして、そういうケースの場合、事業についていろんな意見が出されるということは十分承知をしておることでございます。これらの事業につきまして、今先生がおっしゃいましたように、当然なことながらしゃにむにではなくて、時間をかけて十分な調査を行って、関係する地域や自然環境等に細心の配慮を行った計画として十分な理解を得てから実施していくことが必要であろう、このように考えております。
 今御指摘の千歳川放水路は、過去たびたび甚大な浸水被害を受けている千歳川流域の抜本的な治水対策として計画されているものでありまして、北海道発展のために重要なプロジェクトであると考えております。私といたしましては、北海道知事の要望、それに関係市町村等の意見を十分尊重しつつ、ラムサール条約の登録湿地でありますウトナイ湖等の貴重な自然環境の保全や、農業、漁業等への影響の軽減に十分配慮して進めていきたい、このように考えております。
#215
○中尾則幸君 私もたび重なる千歳川、石狩川水系のはんらんを報道記者として当時心を痛めて見ていた一人でございまして、治水対策の要望については決して私は無視するものではございませんし、積極的にやるべきだというふうに思っております。
 しかし、十二年たって大変な反対の意見がございます。何点か御質問申し上げます。
 その前に、この千歳川放水路なんですけれども、基本計画の段階におきましては事業主以外、地元関係者の意見を制度上反映するシステムになっておらないというふうに承知しております。また、長良川河口堰の場合は閣議決定が必要でございましたが、この千歳川の場合は閣議決定を経る必要がございません。大変言葉はきっいんですが、こうした上意下達の計画決定が問題の解決を私はおくらせてきたのではないかというふうに思っております。
 こうした反省点に立って、今月、建設省は「大規模公共事業に関する総合的な評価方策検討」と題する委員会報告書をまとめました。つまり、調査計画段階における第三者の意見を反映したい、反映させなければならないというシステムの改善であります。大いに結構でございます。
 さて、この第三者の意見反映システムには千歳川放水路も対象とされておりますけれども、具体的には第三者の意見をどう反映させるのか、お伺いいたします。
#216
○政府委員(松田芳夫君) 今お話しの大規模公共事業として千歳川放水路のプロジェクトはどう反映させるかというお話でございます。
 千歳川放水路につきましては、建設省に設けられた大規模公共事業に関する総合的な評価方策検討委員会報告の中で、大規模公共工事の一層の透明性、客観性の確保を図る観点から、調査計画段階における計画策定、事業実施システムの改善策として、事業の実施に当たって都市計画手続をとることを事業者から知事に要請する事例として千歳川放水路が挙げられてございます。ダムの場合にはダム事業審議委員会というものを設けるという報告書になって現在試行しておるところでありますが、千歳川放水路については流域の市町は皆都市計画区域を持っているところでございますので、事業者から知事に都市計画手続を要請する事例として挙げられております。
 都市計画手続は、御案内のように知事の判断により行われるものでありますが、千歳川放水路事業につきましては今後、先ほど申し上げました諸調査の進捗により、市町村を初めとする地元関係者の事業に対する基本的理解が整った段階において、事業実施者である北海道開発局が北海道知事に対して都市計画手続を要請することになるものと今のところ考えております。
#217
○中尾則幸君 ただいまの答弁にございましたこの報告書に基づき、今後行われる千歳川放水路の都市計画手続の知事への要請の見通してございますけれども、どうなのか。今後のことも踏まえて、高木長官にぜひお答え願いたいと思います。
#218
○国務大臣(高木正明君) お答えをいたします。
 千歳川放水路については、水害の常襲地の千歳川流域の抜本的治水対策として重要な事業であると認識いたしております。
 都市計画の手続については、一層の透明性、客観性の確保を図り、開かれたわかりやすい行政として望ましいものであり、北海道開発庁といたしましても基本的な条件が整った段階で北海道知事が手続を開始するものと考えております。
#219
○中尾則幸君 時間がございませんので、先を急ぎます。
 さて、放水路計画については、先ほども申し上げましたけれども、さまざまな反対意見、疑問視する声が出されています。もちろん、受益者側はこれはもう早くやってくれというのは、これはわかるわけです。しかし、こうした反対の声をきちっと、住民合意が私は先決だと思いますので、質問させていただきます。
 特に、漁業団体からは、御存じのように白紙撤回を強く求める声が出されております。昨年、平成六年五月でございますが、全道、北海道の漁協組合長会議が、これ白紙撤回を決議しております。苫小牧漁協の決議の理由書をちょっと御紹介しますけれども、
 開発局が漁民に示した漁業影響除去、軽減対策等も小手先のもので常識論としては考えられないことであり、特に漁民サイドから見た場合この対策も皆無に等しい。よって、放水路の及ぼす被害は永久的に甚大で受忍の限界をはるかに越える等々の理由をつけております。これ、道開発局は、昭和五十九年からたしか専門機関に調査を委託していると思いますけれども、現場の声を聞きますと、大変説得性に欠けるあるいは現状と大変乖離しているという指摘でございますけれども、これはどう考えるか、お答え願います。
#220
○政府委員(松田芳夫君) 千歳川放水路に関します漁業の関係でございますが、漁業影響調査につきましては、昭和五十九年度から専門の学識経験者の指導を受けながら、日本海側あるいは太平洋側及び内水面を対象に種々調査を実施しているところであります。
 その調査結果につきましては、これまでも毎年漁業関係者に説明し、種々御意見をちょうだいしておりまして、それも参考にして調査を進めてきているところであります。
 先生お話しございました、昨年五月の北海道漁業協同組合長会議の千歳川放水路の計画への反対が決議されているということは私どもも十分承知しておりますが、建設省といたしましてもこの反対決議を受け、漁業関係者の方々の懸念の点については今後も調査を継続し、影響の除去や軽減策についても検討し、漁業関係者との一層の話し合いに努め、理解を得ていきたいと考えております。
#221
○中尾則幸君 昭和五十九年からやっているわけです。大変難しい調査だとは思いますが、なかなかそれが説得性に欠ける。特に現地の声を若干御紹介しますけれども、ここの周辺の川に鵡川とか沙流川というのがございまして、これは平成四年の八月、大雨による洪水いわば濁流が海に流れ出た。その折に鵡川沖のホタテガイ、漁場でございまして壊滅的な被害を受けた。それからもうかれこれ三年たっておりますけれども、いまだに後遺症が続いておるというような懸念があるわけです。調査結果との乖離というのはそこの点だろうと思います。
 特に、苫小牧市の主要漁場、これは皆さん御存じのホッキガイでございますが、今漁業も大変きつい情勢に置かれておりますけれども、栽培漁業振興の主軸といってホッキガイを育成しております。年間千二百トン、日本一の水揚げです。八億円余りある。
 こうした現地の声を、学者先生の調査も私は大切だと思いますけれども、そうした中でやっておかなければ、私は先ほど申し上げた上意下達、最初に計画ありきというところが膠着状態ではないかというふうに思っているんですが、一言で結構です、お答えください。
#222
○政府委員(松川隆志君) 平成六年に組合長会議が反対を決議したことは、北海道開発庁として大変重要に受けとめております。
 それで、今先生の方から御指摘がございましたように、いろいろと鵡川の洪水の際の被害等もありまして、千歳川放水路についても同様の問題が起こるのではないかということが非常に懸念されているわけであります。したがいまして、この放水路による影響に対する対策を十分用意いたしまして、誠意を持って話し合うように開発局を指導し、漁業関係者の理解を得るように努力したいと思います。
#223
○中尾則幸君 ここは高木長官、高木長官というか先生は、もう本当に北海道を愛するに人一倍の方だと私も大変尊敬する先生でございますが、きょうは質問者ということできつく申し上げておりますが、これ、いまだに話し合いのテーブルに着かないと言っているんです。このままでは放水路の計画は延び延びになっていく、どちらに向かっても延び延びになっていくんです。例えば洪水対策、これは二十年かかるわけです。当然、現行の洪水を防ぐ工事はやっておりますけれども、話し合いが延び延びになって何の幸せもないわけでございます。
 ですから、私は先ほど申し上げたように、計画の見直しも考えてもいいのではないかと、百五十年に一回の水量計算じゃなくてと。このことは時間もありませんから別の機会に譲りますけれども、この漁業団体との合意を得るためにどうするおつもりなのか高木長官に一言伺います。
#224
○国務大臣(高木正明君) 全道の漁組の会議で反対を決議されたことは十分承知をいたしております。
 確かに、お聞きをいたしますと、漁組の方々が反対するのは、やはり中尾先生がおっしゃるとおりいろんな問題があってその対策が十分でないからでありまして、先ほどお話がありましたように、私は北海道開発局に対して、十分誠意を持ってどうしたら漁民が納得してくれるか早急に結論を出していただくように、誠意を持って理解を得るように話し合いを進めてほしいということを申し上げておりました。できるだけ早期に解決するように努力してまいりたいと思います。
#225
○中尾則幸君 もう一点、自然環境に対する影響について、これも自然保護団体あるいは一部の市民を含めて大変懸念する声があります。
 先ほどもお答えの中にありましたけれども、このルートを一部迂回させました。しかし、ルートを一部迂回させましても放水路によって地下水脈が分断される、これはどうしても避けられない。これにより周辺の地下水位が低下する、その影響も若干あると。これは開発局も認めております。
 特に、ウトナイ湖周辺はラムサール条約の登録湿地でございます。美々川というのが水源でございますけれども、その自然環境が損なわれるという声がございます。現段階で、私も現地に調査に行ってまいりました。その止水壁、二百メートル余りの巨大な放水路の、私も専門家じゃございませんけれども、壁をつくって水を通さない、そのかわりポンプで水をくみ上げる、これは揚水でございます、そして注水していくという大変複雑な工法を今調査しておりますが、技術的に大変困難ではないだろうか。あるいは、ただその水の量を確保しても、私も美々川源流を見てまいりましたけれども、自然のわき水ですね、湧水、これについては枯渇のおそれが十分ございます。自然河川を人工河川にしてしまうんじゃないか、生態系が壊れるんじゃないかという私なりの認識を持ってまいりました。これについてお答えを願います。
#226
○政府委員(松田芳夫君) お話のように、千歳川放水路を掘削いたしますと、お話の美々川の東側に地下水を供給している地下水脈を放水路が切ることになります。何らかの対策を講じないと地下水が美々川という川に到着するのを妨げることになります。その結果、美々川の水量が減少し、ひいてはウトナイ湖に流れ込む水量の減少につながるということが考えられる、これが反対派の一つの根拠になってございますが、その対策としていろいろ考えられますけれども、今一番可能性があるというふうに考えて検討中の案が、放水路の両側に止水壁を設け地下水が放水路にしみ出ないようにするとともに、放水路の東側に集水井戸を設けまして分断される量に相当する地下水を集め、これを放水路の西側に渡して美々川に補給するということも検討しております。
 これらの対策により、美々川の流量が確保され、美々川、ウトナイ湖の自然環境への影響を最小限にすることができるものと考えております。また、集水された地下水の補給方法については、もとの地下水層へ注水することが技術的に可能であれば行いたいとも考えております。
 しかし、いろいろ問題あるいは議論もございますので、これらの地下水対策については現在、現地実験を実施しているとともに、地下水、地質、河川などの専門家から成る地下水工法調査委員会を昨年の十月に発足させ、その指導、助言を得て今後最終的な工法を選定することといたしております。
#227
○中尾則幸君 今もお答えございましたが、この四千八百億という巨大な開発、川の幅が最大幅二百八十メートル、築堤を入れると四百メートル、これはもう海が石狩平野から流れると。
 大変御苦労されているのは、私も現地で調査の実態を目の当たりにしましてよくわかりました。しかし、この十二年間、なかなか漁民の方々、環境自然保護団体の方々、市民あるいは住民の方々の一部の理解を得られないというのは、やはり巨大プロジェクトであるがゆえに納得できる資料が足りない、乏しいと私は思うわけでございます。この点について再度。
 それから、今の地下水の問題ですけれども、水量だけを確保できるという見通しは現地に行って伺ってまいりましたが、水の量だけを確保すればいいのか私はそうはならないと思うんですが、それについて端的にお答え願います。
#228
○政府委員(松田芳夫君) 千歳川放水路のPRといいますか、地元の方々への御説明が下手なのではないかというようなお話の件あったかと思いますが、技術調査報告書というような非常に精緻な報告書をつくりまして、それを現地の重立った方に配付させていただき、その内容について各地あるいは各団体に説明させていただいております。精粗まちまちでございますが、延べ三百回程度の説明会を現地でやったと現地の開発局の者からは聞いております。
 それから、先ほどの地下水対策で、量だけのことでいろんなことを考えると解決にならないのではないかという御趣旨の御質問があったかと思いますが、私どももそれは当然量だけの問題ではないということも一つの要素だと考えでございますが、現在設けております地下水の工法研究会でその辺も含めて議論を賜りたいというふうに思っております。
#229
○中尾則幸君 通告した予定の半分も進まないで、大変御準備いただいて恐縮なんですが、まとめて私、高木長官から伺いたいと思います。
 昨年八月、当時宮下環境庁長官がこの問題に触れまして、建設の是非については一概に言えないとした上で、自然保護の価値観を尊重するという視点からチェックし調整的役割を果たしていきたいと。これ、言ってみれば環境に対する懸念のあらわれかなと思っています。環境庁とこれからどのように話し合い、環境の保護を含めてこの千歳川放水路を位置づけるか。さらには、早来町と周辺町村、ただ通りっ放しじゃないか。私実は地元でございまして、私の先祖が千歳川のところでございます。そして、私の住んだところが遠浅川という、今度全部追い立てられている。そうした問題を総合的に高木長官の所見を伺って、質問を次回に譲ります。よろしくお願いします。
#230
○国務大臣(高木正明君) お答えいたします。
 前段の環境庁長官の発言の問題になりますが、自然を尊重することは当然であり、千歳川放水路についても十分配慮して計画されているところであると思います。
 実施についても、閣議決定に基づく環境アセスメントの手続の中で、主務大臣から意見を求められた場合に環境庁から意見を述べる仕組みになっておりまして、この制度により進めていくものと考えております。
 後段の問題は、これは確かに中尾先生の地元でありますから十分御承知だと思いますが、現地においては影響解消のために大型水田や牧草畑を平成三年度から造成して、米や牧草を栽培する現地試験を行い、地域の方々の理解を得るように努力してきているところであります。
 放水路の通過によりまして地域にとってマイナスの影響が生じないように、地域の将来計画を地域の方々や関係行政機関とともに検討いたして実現に向けて努力することが重要と考えており、北海道開発庁としても実現に努力する考えであります。
#231
○中尾則幸君 一分ほど超過しまして申しわけありませんでした。ありがとうございました。
#232
○堂本暁子君 前回に続きまして、生物多様性国家戦略について質問させていただきます。
 現在、この地球上で最も深刻なのは温暖化とそして生態系の崩壊、つまり生物の食物連鎖ですとか、それから空気ですとか水とか土とか、そういった非生物をも含めての循環にひずみと申しますか狂いと申しますかが起こっていることだと思います。そのことへの危惧から、九二年の地球サミットで生物多様性条約が採択され、そして日本も批准したわけです。
 国連は、国家戦略はNGO、市民団体ですとか専門家そして広く国民の総意をくみ上げてつくるようにというふうに求めています。前回の九月二十八日の決算委員会で、私は、決定を一年延期していただきたい、それは市民からの強い要望であるというふうにお願いをしたんですが、先日環境庁からいただきましたこの修正文というのには、もう既に、きょうは三十日なんですが、三十一日に地球環境保全に関する閣僚会議で決定したと、早々と書いておありになるわけです。あした閣僚会議が開かれなかったらどうなるのかと思いますけれども、とにもかくにもそういうふうに書いてある。
 私は、非常にそのことに関しては、そういうふうに断定されている、多くの市民がそのことを望み、そして私ども議員もそのように望みながら、しかも日本全国から寄せられた二五二十五の意見の三分の一はそういった市民の参加がなかったということを問題にしているわけですが、そのことも無視されてしまった。そのことについては非常に残念でもございますし、遺憾でございます。ただ、前回の質問で二十八日に、環境庁長官が継続的にNGOと話し合いをさせていただくというふうに答弁されました。それを実行に移す以外にないというふうに今考えております。
 では、本題に入ります。
 ダムに関して今井さんやそれから中尾さんからも多くの質問が出されました。私も、木頭村に細川内ダムは見に行ってまいりました。どうしてここに今からダムをつくらなきゃならないのか、本当に理解に苦しんだんですけれども、二百年に一度の洪水の安全性を保障するためという御説明でございました。
 今問題にしたいことは、二百年先に一体私たち日本人あるいは人類はどうなるのか。その日本人や人類も今危機に瀕している。皆様もしかしたらば、まあ何とたわ言をとお思いになるかもしれませんけれども、それは現実でございます。洪水でない危険、それが迫っているというのがこの地球上の現実でございます。
 洪水からの安全と同時に人類の生存自体を保障する必要が出てきています。それがまさに生物多様性条約の目的であり、そして条約の内容でございます。日本も批准している以上はこういった問題にきちんと取り組んでいく必要があると思いますし、そうしない限り、洪水からの安全があってもそこにもう人は住んでいなかったというようなのは、これはもう皮肉というか何とも言えないアイロニーそのものだと思います。そういった事態をもたらさないためには、国土開発自体もしっかりとその条約の内容を私たちは加味しなければいけないのではないか。
   〔理事大木浩君退席、委員長着席〕
 国土庁は、現在第五回目の全国総合開発計画を策定していらっしゃいます。生活の豊かさと自然環境の豊かさが両立する世界に開かれた国土の構築と。今まで自然環境の形成ということが入っていなかったということを聞いて私は非常に驚いたんですが、私はやはり豊かな自然というだけでは条約の理念がきちんと盛り込まれないというふうに思いますので、国土庁長官に、一番大事なことは、生物多様性という大変わかりにくい言葉でございますけれども、やはりそれを書き込んでいただくということが何より大事なのではないかと。書いてあれば、みんな、ああこれはどういう意味なんだろう、どういうコンセプトなのだろうというふうに考えます。
 そこで、まず国土庁長官にそのことを、ぜひこれから書かれるものについて生物多様性と書き込んでいただきたい。いかがでございましょうか。
#233
○国務大臣(池端清一君) 堂本委員の開発の理念を生物多様性国家戦略と調和させる必要があるという御指摘だと思うのでありますが、私は全く先生の御主張に同感でございます。
 先ほども申し上げたのでありますが、国民の自然環境に対する認識の高まりを背景として、これからの開発に当たっては人と自然とのよりよい共生共存を図る必要がある、このことは十分私どもは重要な課題として受けとめていかなければならない、そう思っております。したがいまして、現在策定を進めている新しい全国開発計画においてもその点をひとつ重視をしていきたい、先生御指摘の生物多様性国家戦略との連携も十分留意をしてまいりたい、こう思っております。
 先生が書かれました「生物多様性」という貴重な労作、私も拝見させていただきまして、その中で生物多様性が崩壊すれば人類も絶滅するという厳しい警告があることを重く受けとめていかなければならない、こう思っております。
#234
○堂本暁子君 生物多様性というこの五文字を次の全国総合開発計画に書き込んでいただけますでしょうか。
#235
○国務大臣(池端清一君) あすの地球環境保全に関する閣僚会議で生物多様性国家戦略を決定する予定になっております。政府の方針としてこれはきちっと決定をするわけでございますので、先生の御趣旨を十分踏まえてこれからの開発計画に対応していきたい、こう思っております。
#236
○堂本暁子君 それでは、その言葉を必ずや書き込んでくださるということを信じて、次に建設大臣に伺いたいと思います。
 同じような続きでございますけれども、開発か自然保護かというようなパターンは終わったのではないかというふうに思います。むしろ生物多様性を保全する、要するに人間も絶滅しない、別にパンダとかトキの問題ではなくて、私たち人類も絶滅しないということがとても大事なことで、そのためには住みやすい環境をつくる。そして、自然という言葉だけではなくて、建設省の場合も生物多様性ということをあえて書き込んでいただきたいわけです。
 建設省にどういうことをやっているかということをお願いしたところ、二つ資料を持ってみえた。非常に残念なのは、生物多様性に関して建設省としてはこういうビジョンを持っていますということは何一つ来なかった。これを見てみますと、自然についての保護ですとか緑を多くするというようなことは多々書いてございますけれども、生物多様性の理念というのは緑の政策大綱並びに環境政策大綱には書いてございません。残念ながらと私はあえて申しますけれども、生物多様性国家戦略があした閣議決定される以上は、これから建設省がいろいろ自然環境との調和ということを意図なさるのであれば、その言葉をきちっと使っていただきたい。ぜひ大臣にそのような認識を持っていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#237
○国務大臣(森喜朗君) 先ほど国土庁長官からも御答弁がございましたように、明日の関係閣僚会議でそのような戦略を政府として認めるといいましょうかそういう認識を持つということだろうと思います。
 お手元の資料にそういうのが書いてなかったのは、建設省としてまだ、結論としては緑豊かにして自然を大事にして開発行為をしていかなきゃならぬ、国土づくりをしていかなきゃならぬということは言うまでもありませんが、そうした言葉が入っていなかったということについては今後事務当局に十分検討させていきたい、こう思っております。
 いろいろとこの問題につきまして大変先生は取り組んでいらっしゃいますし、国土庁長官は先生の御本をお読みになったそうですが、私は金曜日にいただきまして、土曜日、日曜日に仲人したりいろいろやっておりまして、残念ながらまだ拝見をしておりませんで、先ほどお昼休みに少しぱらぱらと斜め読みいたしまして大変興味深く読ませていただきました。十分これから勉強して、事務当局にもよく読ませるようにいたしたいと思います。
#238
○堂本暁子君 ありがとうございます。本を書いておいてよかったと今思っているところです。
 例えばエコロードといいますのは、ネズミとかそれからいろんな動物がその道を通れるようなトンネルがございましたり、それから小さい階段があったりするんですが、循環ということからいいますと、そういう動物たちが人間の道のようなところを果たして使ってくれるかどうか。長良川の急遽なんかも同じですけれども、果たして魚がそういった人間のつくった道を行くのかどうかこれも大変疑問でございます。
 やはり生物多様性という形での本当のエコロードというのはむしろ、これはちょっと伺いたいことなんですけれども、オオヒシクイというこれはガンの一種ですけれども、もうガンが関東には来なくなりました。それは今度圏央道が建設されるところが唯一の生息地です。そこを外してあげるぐらいの思い切ったことをなさることが建設省としては価値の転換を示してくださることだろうと思いますが、いかがでございましょうか。
#239
○国務大臣(森喜朗君) 今、圏央道のお話が出ましたが、この道路はどういう道路であるかということは、これは先生のお時間がだんだんなくなりますから省かせていただきますが、茨城県の江戸崎町の地先におきまして、オオヒシクイの主な生活場所から約二キロメートル離れたところにこの道路が通過する計画でございます。
 このため、建設省、茨城県におきましても、専門家の指導を得ながら三年間にわたりまして現地調査を実施するとともに、鳥類、社会工学、地域計画の専門家等で構成されましたヒシクイ保護検討委員会を設置しまして、幅広い見地から検討しました結果、鳥獣保護区の拡大等の対策を講ずることにより圏央道とオオヒシクイとの共存は可能であるということの提言をいただいております。専門家の皆さんからいただいたものでございます。
 この援言を受けまして、当該ルートの都市計画決定が平成六年四月になされたところでございますが、今後事業の実施に当たりまして、オオヒシクイを保護する観点から実態調査を継続しながら、この提言に示されている遮光対策、あるいは防音対策、それから工事中の配慮等も十分実施して進めてまいりたいと、このように考えております。
#240
○堂本暁子君 どうもありがとうございました。
 次に、沖縄県のことについて伺いとうございますけれども、沖縄県では絶滅危惧種に指定されているヤンバルクイナとかノグチゲラの数が著しく減っています。これは、森林法に基づく造林事業費の補助で毎年二百ヘクタールの割合で生息地が伐採されている。それから、森林法の百九十三条に基づく流域森林総合整備事業、それから育成天然林整備によって森の下草が刈られてしまう。飛べない鳥であるヤンバルクイナは姿を隠すことができないということだそうです。そして、水の保全もだめになってきている。さらに、森が乾燥してしまって赤土がむき出しになっているというようなことで今度は海も汚れてきているということで、山原では皆伐されていることがすっかり山を荒らしているということで、大変危惧されております。
 今、ここに「沖縄やんばるの森 世界的な自然をなぜ守れないのか」、日本の中で一番豊かな自然、それを今どんどん壊しているということが書かれている本です。
 林野庁に伺いますけれども、ヤンバルクイナの生息している森林の皆伐、こういったものをもう少し見直していただけないかという点です。
#241
○説明員(金子詔君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の育成天然林施業というものがございますけれども、流域森林総合整備事業におきます育成天然林施業、これは天然林を天然力を活用いたしまして的確に更新いたしますとともに保育作業を実施する、こういうことによりまして森林の持ちます諸機能を維持増進するということを目的として実施しているところでございます。
 御指摘の沖縄県におきましては、北部の地域におきまして森林の多くが戦後の手入れ不足等によりまして小径木が密生じた株分となっているということから、育成天然林施業によりまして森林造成を実施してきたところでございます。
 今後とも、野生生物の生育環境等の保全、これには留意して施業を行うよう指導してまいりたいと思っておるところでございます。
#242
○堂本暁子君 ありがとうございました。
 私も沖縄を随分見ていますけれども、ここは行っていませんが、随分やはり本とは違います。
 自然破壊は人間にとって大きな問題です。森林の伐採が森という天然の貯水池をなくしてしまい、干ばつ時には水不足、そして豪雨には大洪水を起こしているということです。そして、なぜ復帰後の自然破壊がひどいのか。それは沖縄開発庁を通じて流れ込んだ多額の国家予算、特に土木事業、それから今の森林なんかの事業ですが、そういった問題で森林が皆伐されているために急速に自然が失われているという指摘がこの一冊全部の中に書いてあります。天然林を手入れしてよくなっているというふうには非常に理解しにくいことがあります。
 環境庁に伺いますけれども、絶滅危惧種のヤンバルクイナやノグチゲラの個体数の減少について調査を行っていらっしゃるかどうか、それから予算はどの程度なのか、それから猫など外来種を駆除することはできないのか、この点を環境庁に伺いたいと思います。
#243
○説明員(菊地邦雄君) 御説明申し上げます。
 御指摘のとおり、山原というのは我が国の野生生物保護上特に重要なところと理解をいたしております。従前より、私どもレッドデータブック等の中で調査を続けておりますが、特に来年度よりこの地域の生態系、動植物を含めた調査を多様性調査の一環として改めて着手したいというふうに思っております。
 なお、ノネコ、マングース等の移入種につきましては、現在のところ山原まで入っているというふうには確認いたしておりませんが、今後とも注意深く調査等を続けていきたいというふうに思っております。
#244
○堂本暁子君 実際には、飛べないヤンバルは、アマミノクロウサギもそうですけれども、随分と犬や猫に食べられているということがあるようです。ぜひ十分に調査して駆除をしていただきたいというふうに思います。
 長官、沖縄は日本の中でガラパゴスに比較されるぐらい、しかし何が違うかといえば、ガラパゴスは観光客を島に上げないぐらい、飛行機で着くともう船にとめるぐらいに自然が汚染されないように気をつけている。ところが、今お話がありましたけれども、沖縄について言えば、非常にデリケートな自然が言ってみれば大なたでたたかれているような形で今壊れていっているわけですね。これは将来沖縄の方たちが生きていく上に一番大事な自然を失っていってしまう。そして未来、やはり一度絶滅した種は二度と戻ってきません。道路はまたつくれるかもしれないけれども、種は、私たちはどんなに科学が発達してもそれを戻すことはできません。
 沖縄の今の自然を大事にしながら、やはりもっと沖縄の方にはいっぱいの豊かさがあっていいと私は思いますけれども、それは自然を壊さない形での豊かさを工夫していただく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
#245
○国務大臣(高木正明君) お答えをいたします。
 最初に、先生からいただいた「生物多様性」、読ませていただいて、大変研究の深さにただただ敬意を表するだけであります。ありがとうございました。
 沖縄の自然環境は、御承知のように、豊かな太陽エネルギーと白浜に恵まれた海岸線を有する島嶼やあるいはその周辺のサンゴ礁、緑豊かな原生林や、そこに住むヤンバルクイナ、ノグチゲラといった貴重な動植物など多彩な特色を有しておりまして、これらの自然特性は現在の世代にとどまらず将来の世代にとっても貴重な財産であることは認識をいたしております。
 私ども沖縄の振興開発に当たっては、ヤンバルクイナやノグチゲラといった貴重な動植物の保護を初めとする沖縄の自然環境の保全に十分配慮する必要があり、そのことは当然であると思っておりまして、従来から公共事業の実施に当たりましては、必要に応じ環境アセスメントを行うほか、工法等についても工夫を凝らすなど細心の配慮を行ってきております。
 時間がありませんからどういう工夫を行っているかは詳細に申し上げられませんが、今後とも関係省庁との連絡を密にとりながら、振興開発と自然環境の保全との調和に万全を期してまいりたいと考えております。
#246
○堂本暁子君 どうもありがとうございました。
 恐らく沖縄とか北海道、それにきょうは小笠原からも傍聴に来てくださっていますけれども、小笠原など本当に日本にとっては宝のようなところだと思います。ですから、もしかしたら大変予算はかかるのかもしれませんけれども、工法を変えていただくとか工夫していただくとか、そういうことでやはり自然の循環をきちんとできるような形にしないと、大変に日本は将来、今はわかりませんけれども、十年後二十年後に貧困な自然を持つようなことになると思います。
 特に、九二年の地球サミットまではサステーナブルディベロプメント、持続的開発という言葉が世界のキーワードでしたけれども、あの地球サミットが終わってからというものは、持続性と生物多様性というのが世界のキーワードに今なっております。そういうことから申しますと、日本は、いささかこの翻訳がわかりにくいというせいもございますけれども、世界の中でこのコンセプトが非常に弱い。
 実は私もおとといまで自然保護連合というスイスの大きい団体の国際会議を東京で開いておりましたけれども、日本は一体どうやって環境政策を立案しているのか。それが日本だけにとどまらず、今や日本の生物多様性に対しての配慮のなさが世界を植民支配し始めたという非常に怖いことを外国の専門家から言われました。
 私たちの住むこの日本列島だけではなくて、やはり私たちは世界を目にしたときに、私は日本の建設全部が決して悪いとは思いませんけれども、先ほど今井先生も指摘なさったように、大胆に、もしかしたらより多く予算がかかるかもしれないけれども、古い計画は修正するなり中止するなり、そしてより今の時代に合った建設という方向が大事なんではないかと思いますが、最後に建設大臣に御感想と申しますか、御決意のほどを伺って終わらせていただきたいと思います。
#247
○国務大臣(森喜朗君) むしろ堂本さんのお話を非常に感慨深く承っておりました。
 開発か環境がというそういう議論ではなくて、やはり我々はもう二度と昔のように戻れないわけですから、人間がやっぱりわがままで、文化と文明というものを両立させていかなきゃならぬ。まさに文明というのは経済行為であり開発行為だろうと思うし、それから経済の持続的な発展もさせていかなければならぬわけです。文化はやはりお金で買えないものだろう、環境等すべてそれに類するかなと思っております。
 ですから、文化と文明をどう調和させていくか、それをクリアしていくことが人間の英知だろうと思うし、それをやはり導いていくのは政治の大きな力だと、こう思っております。
 先生が大変努力をされて、この問題に非常に大きな発言をされておられますこと自体が、日本の政府も日本の国会も、また多くの人たちもそのことをずっと認識しなければならぬ。そういう今日の事態になったということは、やはり先生初め多くの皆様の御見識だろう、御努力のたまものだろうと、こう思っております。
 改めて先生の御本、もう一遍よく読ませていただきますが、先ほど斜め読みしまして、非常に感動的だったのは、富山の呉羽の森を千年の森にしなきゃならぬとおっしゃっていました。私も幸い森でございまして、森を大事にするということはとても大事だということで、大変共鳴をいたした次第であります。
#248
○堂本暁子君 どうもありがとうございました。終わらせていただきます。
#249
○委員長(浦田勝君) 他に御発言もないようですから、建設省、北海道開発庁、沖縄開発庁、国土庁、住宅金融公庫、北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫の決算の審査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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