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1995/10/19 第134回国会 参議院 参議院会議録情報 第134回国会 建設委員会 第2号
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1995/10/19 第134回国会 参議院

参議院会議録情報 第134回国会 建設委員会 第2号

#1
第134回国会 建設委員会 第2号
平成七年十月十九日(木曜日)
   午後二時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月十七日
    辞任         補欠選任
     渡辺 孝男君     福本 潤一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         永田 良雄君
    理 事
                石渡 清元君
                太田 豊秋君
                片上 公人君
                緒方 靖夫君
    委 員
                井上  孝君
                岩井 國臣君
                上野 公成君
                大野  明君
                橋本 聖子君
                山崎 正昭君
                市川 一朗君
                長谷川道郎君
                福本 潤一君
                山崎  力君
                赤桐  操君
                大渕 絹子君
                山本 正和君
                奥村 展三君
   国務大臣
       建 設 大 臣  森  喜朗君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  池端 清一君
   政府委員
       阪神・淡路復興
       対策本部事務局
       次長       角地 徳久君
       国土庁長官官房
       長        竹内 克伸君
       建設大臣官房長  伴   襄君
       建設大臣官房総
       務審議官     小野 邦久君
       建設省河川局長  松田 芳夫君
       建設省住宅局長  梅野捷一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        八島 秀雄君
   説明員
       建設大臣官房官
       庁営繕部長    照井 進一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○建築物の耐震改修の促進に関する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(永田良雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 建築物の耐震改修の促進に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。森建設大臣。
#3
○国務大臣(森喜朗君) ただいま議題となりました建築物の耐震改修の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 本年一月の阪神・淡路大震災において、建築物に多数の被害が生じ、多くの貴重な人命が失われたことはまことに遺憾であり、地震に対する建築物の安全性の向上を図ることの重要性を改めて強く認識したところであります。
 今回の大震災における建築物の被害状況を見ますと、特に昭和五十六年以前に建築された現行の耐震基準を満たさない建築物の被害が顕著であります。一方、それ以後に建築された新しい建築物の被害程度は軽く、現行の耐震基準はおおむね妥当なものであると考えております。
 このため、国民の生命、身体及び財産を保護するため、現行の耐震基準に適合しない既存の建築物の耐震改修を全国的な課題として早急に推進することがぜひとも必要であると考えております。
 この法律案は、このような課題に対応するため、多数の者が利用する建築物の耐震診断及び耐震改修についての所有者の努力義務、建設大臣による指針の策定並びに所管行政庁による助言、指導及び指示について定めるとともに、所管行政庁が建築物の耐震改修の計画を認定してこれに対し建築基準法の特例の適用及び金融上の支援を行う等所要の措置を講じようとするものであります。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 第一に、多数の者が利用する一定の建築物の所有者は、当該建築物について耐震診断を行い、必要に応じ、耐震改修を行うよう努めなければならないこととするとともに、建設大臣がこれらの建築物の耐震診断及び耐震改修に関する指針を定めて公表し、あわせて、所管行政庁が必要であると認めるときは、指導及び助言を行うことができることとしております。また、このうち、病院、百貨店等不特定かつ多数の者が利用する一定の建築物について、所管行政庁が必要な耐震診断または耐震改修が行われていないと認めるときは、必要な指示を行うことができることとしております。
 第二に、建築物の耐震改修をしようとする者は、建築物の耐震改修の計画を策定し、所管行政庁の認定を申請することができることとしております。所管行政庁の認定に際しては、既存不適格建築物において耐震性の向上のみのための改修を認める等の建築基準法の特例措置を設けるとともに、認定を受けた住宅の耐震改修について住宅金融公庫の貸付金利の優遇措置を講ずることとしております。
 第三に、国及び地方公共団体は、建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るため、資金の融通等に努めることとしております。
 第四に、国は、建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るため、研究開発の促進のための措置を講ずるよう努めるとともに、国及び地方公共団体は、建築物の耐震診断及び耐震改修の促進に関する国民の理解を深める等のための措置を講ずるよう努めることとしております。
 その他、これらに関連いたしまして関係規定の整備を行うこととしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(永田良雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○岩井國臣君 私は自由民主党の岩井國臣でございます。去る七月の参議院選挙におきまして、比例代表として初めて当選させていただきました新人でございます。新人にもかかわらず、この建設委員会で質問させていただく機会を与えていただきまして、委員長並びに各委員の先生方にお礼を申し上げる次第でございます。
 そしてまた、質疑に入る前に、森建設大臣の御就任、まことにおめでとうございます。建設行政はますます重要になっておりますので、どうか建設行政の発展のために御尽力くださいますようお願い申し上げる次第でございます。
 さて、阪神・淡路大震災についてでございますけれども、御案内のとおり阪神・淡路大震災は死者、行方不明五千五百名を超える大災害ということでありまして、死傷者も四万人を超えるということであります。まことに悲惨、まさに言語に絶する大災害であったわけでございます。
 今や、地震に対します国民の安全性の確保に対する要求は大変高まっておりまして、政府としても積極的に取り組まねばならないまことに重要な課題になっておるのではないかと思うわけでございます。
 そして、死者、行方不明のほとんどが倒壊家屋の下敷きになられたというふうなことでございまして、したがいまして建物の耐震対策というものが最も重要な課題ではなかろうかと思うわけでございます。
 今後、建築物の地震に対する安全性の向上につきましてどのように建設省として取り組んでいかれるのか、まず最初に建設大臣の決意をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
#6
○国務大臣(森喜朗君) お答えを申し上げます前に、岩井議員から大変御丁重なごあいさつをいただきました。この間まで政府委員としてこちら側にいらっしゃったわけでありますから、今度は立法府で議員として建設省の後輩、同僚のためにどうぞひとつ御研さん、また御指導をいただきますように。
 きょうは特に攻守所を変えるといいますか、この間まで党の幹事長をやっておりまして、岩井さんをどうやって当選させようかといろいろ頭を痛めておりましただけに、今度は岩井さんから質問を受けるというのは非常に私自身、私の方が素人でございますから、そういう意味では余り厳しく質問をしないで優しくお導きをいただきたい、御指導いただきたいということをお願い申し上げておく次第でございます。
 今、岩井委員からお話しのとおり、この一月の阪神・淡路大震災、私も当時党の役員の立場、そして今回大臣に就任いたしまして早速また現地も訪れました。いろんな問題が多くございますが、御指摘ございましたように、個人の住宅の被害というのはやっぱり我々としてはこれはもう大きな政治課題になるなということを改めて痛感いたしました。五千五百名を超える多数の方々がお亡くなりになったということは極めて遺憾なことでございまして、心からお悔やみを申し上げますと同時に、御遺族の皆様方にも心からお慰めを申し上げる次第でございます。
 したがって、私どもとしては、この厳しい、苦しいこうした経験を踏まえて、そして本当に耐震性の強い国土、安全で安心して住める国づくりにお互いに努力しなければならぬ、改めてそう決意をいたした次第でございます。
 今回の建築物の被害状況にかんがみまして、国民の安全を確保するためには建築物の耐震性の向上を全国的な課題として早急に推進する必要がある、このように考えております。そのためには、市街地の再開発の推進、老朽建築物の建てかえの推進等、各種の施策をさまざまな角度で総合的に実施していくことが必要だと考えております。そういう意味で、この重要な施策の一環として、今回のこの法案を提出させていただいたものでございます。
 建設省といたしましては、耐震改修を促進するための法的な枠組みをぜひ確立したい、このように考えております。耐震性の向上に関する各種の施策を推進することによりまして、建築物の地震に対する安全性の確保に積極的に取り組んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#7
○岩井國臣君 どうもありがとうございました。
 さて、今回の法律案に関しまして若干の質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初でございますけれども、今回の震災時におきましては四十万棟もの家屋、建物の被害があったということでございます。私、何度か現地に行かせていただきましたけれども、私の印象といたしましては、大ざっぱに言えば壊れるべくして壊れたといいますか、もちろんコンクリートのビル等で、ピロティー方式といいますか特別な設計の関係でやられておるというものもありますし、それから若干施工不良というふうなものもあるかと思いますが、結構立派に残っておるものもあるわけでございます。壊れるべきものが壊れたかなというのはちょっと乱暴な言い方ですけれども、そんな印象がございます。
 もちろん建設省におかれましても、建築物の被害の原因究明というのをやっておられると思うわけでありますが、改めてその概要とかあるいはその結果をどう見ておられるか、結果の評価につきまして御説明いただければと思います。
#8
○政府委員(梅野捷一郎君) 今回の震災の被害につきまして、私ども建築物の関連につきましても被害の状況あるいは原因につきまして調査分析をいたしたわけでございます。特に、建築の関係の専門の先生方にお集まりをいただいて調査委員会という組織をつくりまして、そこにおきまして調査分析を行っていただいたわけでございます。
 調査いたしました対象は、この委員会で、いろいろなデータあるいは現地を視察するという直接お調べいただく点も相当ございましたし、各種のそれまでに行われましたいろんなところで調査をされましたものも極力すべてを集めて、それらもあわせて分析しようというような姿で調査を進めていただいたわけでございます。
 この委員会といたしましては、七月二十八日に中間報告、調査分析の内容としてはかなりのところまでおまとめいただいた内容になっておるわけでございますが、その中間報告としておまとめいただきまして、それによりますと、この震災によります大破、倒壊等の甚大な被害を受けたものは、そのほとんどが五十六年、この年に現在の耐震基準という形で改正をしたわけでございますが、それ以前の基準によって建てられた建物というものがほとんどであったということでございます。
 また、具体的な内容といたしましては、ただいまお話ございましたけれども、ピロティーその他、壁の配置がバランスが非常に悪いとか、若干設計上に無理があるといいましょうか、建物の性質を十分に安全面でとらえ切れていないような建物、そういうものがやはり技術的な意味では傾向としてはそうであったというふうな御報告でございます。
 また一般的に、今の五十六年以前、特に四十六年以前の建物でございますが、特にRCの柱の帯筋がそれ以降の基準に比べますと飛んでいる、まばらにしか入っていないというようなことでございますけれども、そういうものは非常にもろく壊れているというような傾向の御報告をいただいているわけでございます。
#9
○岩井國臣君 建築基準法は、地震のたびごとに今まで何度か耐震基準を強化してきておられますね。今回の阪神・淡路大震災の被害にかんがみまして、大きく見た場合にそれぞれ致命的な問題になるのかもわかりませんが、今御説明いただきましたように、詳細に見ていくとやはり若干問題もあるのかなということで、今回もまた耐震基準の見直しというのが行われるのかなと、こう思ったりしておるわけでございますが、その点、基準の見直しにつきましてどのようにお考えになっておるのでしょうか。
#10
○政府委員(梅野捷一郎君) 建築基準法の耐震基準につきましては、現在の基準は五十六年に、私ども新耐震新耐震と、新耐震基準とこう申しておるわけでございますが、そのときにかなり大がかりな基準の見直しをいたしたわけでございます。
 今回の、先ほど申し上げました調査委員会の御報告によりましても、全体の基準の組み立て方、骨格といいましょうか、そういうものについては今回の震災の結果を見てもおおむね妥当であるという御報告をいただいているところでございます。
 しかし、先ほども申し上げましたように、個々の建物の部分あるいは形式というようなものに立ち入って見ますと、例えばピロティー形式の建物であるとか鉄骨の造によります柱脚の部分の構造の問題でありますとか、溶接に絡んだ部分とか、そういう点についてはなお問題があるという御指摘もいただいているところでございまして、これらは個々の建物の構造についての技術基準というところで扱うことになっておるわけでございます。
 法律上で言いますと、告示というようなレベルの部分でございますが、それらの部分については、今回の結果を受けましてそれなりの見直し、補強、修正というようなものを図っていきたい。全体の骨格をいじる、修正する必要はないと考えておりますけれども、そういう個々の具体的な技術基準の部分については基準の見直しを進めておるところでございます。
#11
○岩井國臣君 ぜひ見直すべき点は見直して、適正に改正をお願いしたいと思います。
 さて、現在の耐震基準に満たない、基準制定以前に建てられた建物がかなり壊滅的な被害をこうむった、こういうことでございまして、全国的に見ますとその基準に満たない建築物というのは随分あるわけでございまして、やはりこれは理想的に言いますと、基準に合うように建てかえるというのが一番いいんだろうと思います。
 いわゆる遡及適用の問題、私、実は現職のときに河川に関する構造物、橋梁とか堰とかいろいろあるわけでございますが、そういった構造物の安全基準、河川管理施設等構造令、これの制定に努力したことがあるんですが、そのときに法制局から、ちょうど千日デパートの火災の問題なんかがございまして、基準に合わない構造物が世の中にいっぱいあるんだから、やはり十年でも二十年でも猶予期間を設けて基準の遡及適用を図るべきじゃないかというふうなことで、大分かんかんがくがく議論をさせていただきました。結果は、やはり現実的にはそういうことは難しいだろう、遡及適用というのは難しいだろうということでございました。
 そういうことで、今回の耐震対策につきましても、建築基準法の遡及適用というものは現実的に無理があるだろう、難しいだろうということで、やはり今回の法律で考えられておるような耐震改修の促進というものが有効であろうと思うわけでございます。
 しかし、現行の基準に満たない、基準以下のものは千差万別だろうと思うのでございます。したがいまして、しかるべき診断に基づいて、ある一定の基準に満たないものにつきましてはやはり改修の実が上がるように特段の配慮が要るのではなかろうか、そんな感じがしておるわけです。
 河川の場合で言いますと、応急対策基準というのをつくりまして、その基準に基づいて全部やりかえるというふうなことで対応したわけでございますけれども、その点、いかがでございましょうか。
#12
○政府委員(梅野捷一郎君) ただいま先生から御指摘のように、今回の震災の経験を受けまして、従前の基準で建てたもので、今の技術レベルあるいは基準の内容から見るとなお問題が残っている建物についてどうするか、これが御審議いただいている今回の法案そのものでございますけれども、いわゆる遡及適用というものは、それぞれの条件が非常に厳密な条件もあるとか、技術的にも一律的な遡及適用というのは非常に難しいということもございまして、今回の枠組みとしては努力義務あるいは指導、助言、指示というような、そういう体系で構成をさせていただいているということでございます。
 今お話しございましたように、具体的な建物につきましては、既にでき上がっている建物でございますので、条件も、あるいはその不安全な状況というものも大変千差万別でございます。
 私ども、今回の法案によりまして法的な枠組みができた暁には、実際はそれ以前から公共団体と御相談をしておるわけでございますけれども、この体系に従って、改修をより実のある進捗を図るにはどういう一種のプログラムといいましょうか、どういうところから取りかかり実を上げていくかということを既に公共団体とも御相談を進めているところでございますので、そういう中で、できるだけ緊急を要するもの、あるいは内容が早く手を打たなければいかぬものというようなものを重視しながら、実の上がるような指導に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
#13
○岩井國臣君 特定建築物に努力義務を課して、それに対して指示を行ったり、あるいは耐震改修の計画の認定をして、これらに建築基準法の特例措置を講ずるということが今回の法律の趣旨で、それによって改修促進を図る、そういうことだと思います。私は、法律はそういうことで大変時宜を得た、まことに意味のある、意義のあることだと思いますが、やはりそれだけでは足らないのではなかろうか。建築物の所有者にとりまして、耐震改修は費用がかかるものでございます。やはり資金的な面での支援措置が必要ではなかろうか、そうでないとせっかく法律をつくってもなかなか実効が上がらないというふうなことになりかねない、そう思います。
 したがいまして、建築物の耐震改修に対する財政的支援を積極的に行うときではないか、こんなふうに思いますし、また税制面でも支援措置が必要ではなかろうか、こういうふうに思う次第でございますが、それらの点、いかがでございましょうか。
#14
○政府委員(梅野捷一郎君) 御指摘のように、既存建物の耐震改修を促進するためには、いろいろな資金的な問題も含めましてさまざまな支援措置を用意していかなければいけないということは、私どもも御指摘のとおり考えているところでございます。
 今の御指摘の中で、特に資金的な面での支援でございますが、やはり今回の一般的な対象となる建物は、私有財産といいましょうか、そういうものを一般的な対象としているということから、直接これに助成をするということはなかなかなじみにくい点もあるわけでございます。
 そういう点から、現在私どもが用意しております支援措置は、これらの改修にお取り組みいただく際の必要な資金をできるだけ条件のいい資金を御用意するということが一点でございまして、例えば住宅の改修につきましては、金融公庫の資金を金額面でもこれは一次補正でかさ上げをしたわけでございますが、また金利面におきましても最も有利な条件の金利の資金が使えるということにしたい。また税制面でも、これは今来年度に向かっての税制改正要望で要望しているところでございますけれども、特別償却制度をこのために設けたいというようなことで、支援措置を用意したいということで今努力をいたしているところでございます。
#15
○岩井國臣君 融資につきましてはこの法律に基づいて実施していく、税制につきましても十二月に向けて努力すると前向きのお答えでございますが、個人財産でございますので、資金的な援助、補助といいますか、そういったことにつきましては確かに問題があろうかと思います。
 御案内のとおり、大都市には老朽住宅といいますか古い住宅が密集しておるというところがいっぱいあるわけでございまして、もしそういったところで火災が発生しますと地域全体、その個人の家だけの問題じゃなくて、地域全体が大火になるというふうなことが実はあるわけでございまして、私もその辺を大変心配しておるわけです。そういうことで、地域全体の住環境の改善というふうな視点に立って何か財政的な援助ができないものか、こう思うわけでございますが、いかがでございますか。
#16
○政府委員(梅野捷一郎君) 先ほど個々の、個別のベースでのお話を申し上げたわけでございますが、ただいま御指摘のように、特に大都市におきましては木造住宅の密集した地域等が地域的に見ても地震あるいはそれに伴います火災の危険度の高い地域でございまして、そのような地域については密集市街地の再開発、改造を進めるということで各種の事業を進めておるところでございます。その事業の一環として、この今回の耐震改修というものもその中に主要なテーマとして取り上げて、助成措置が既にそういう事業にはついておるわけでございますので、この耐震改修という問題も取り上げて積極的に取り組みたいということで、予算措置も補正等におきましてもそういう面からは取り組んでいるところでございます。
#17
○岩井國臣君 都市における住環境の問題は大変重要でございますので、今言われたことのほかもいろいろ御検討いただき、都市における住環境の改善ということにつきましてさらに特段の御努力をお願いしたいと思うわけでございます。要望でございます。
 その次に移りますけれども、耐震改修を促進するためにその前提となります耐震診断というのがあるわけでございます。当然診断が必要であるわけですが、耐震診断は一体どのような人たちが行うのか、そしてまた、その診断を行う人の数というのは十分足りるのかどうか。その点、ちょっとお答えいただきたいと思います。
#18
○政府委員(梅野捷一郎君) 耐震診断がまず行われなければいけないわけでございまして、この耐震診断については建築士でなければいけないということにはなっておりませんが、やはり建築士あるいは建築士と同等程度の建築の専門的な知識を持っておられる方々がこれに当たるべきだというふうに考えております。
 しかし、建築士一般の方々がいわゆる耐震診断という実務に御経験が必ずしもあるわけではございませんので、現在、主として建築士でございますが、建築士を中心に、この耐震診断をできる人ということのために一種の再教育でございますが、全国的に講習会を開催している最中でございます。現在のところ約二千名が受講されておりますが、今年度の計画としておおよそ固まっておりますのは、全体としては七千名ほどのベースとしての技術力をお持ちの方々が、そういう改めて再教育を受けていただいて専門的な耐震診断に当たっていただけるというふうに考えているところでございます。
 また、耐震診断をお受けになりたいという方々がこういうしっかりした信用のおける方々に依頼をできるようにということで、この方々の例えは名簿でありますとかそういうものを整備いたしまして各行政庁の窓口その他に置きまして、皆様方がこういう方々に安心して御依頼いただけるような体制をぜひ確立していきたいというふうに考えておるところでございます。
#19
○岩井國臣君 家の改築を行う人の立場に立って考えますと、そういった診断をだれに頼めばいいのか、その辺が問題だろうと思うんです。その辺をやはり国民にわかりやすくするために、あるいはまた別の観点からいいますと公的資金、先ほどの融資にしても税制上の特例措置にしましても公的助成ということがあるわけでございますので、診断の内容をしっかりしたものにする必要があるのではなかろうか。
 そういった観点からいたしますと、ただ単にそういう研修ということではなくて、やはり診断士というような耐震診断に関する資格制度といったものが必要ではないかという感じもするわけでございますが、その点いかがでしょうか。
#20
○政府委員(梅野捷一郎君) 先ほど御説明いたしました診断のための専門家の社会的な確立ということで、実質面では、現在、先ほど申し上げたようなことで取り組んでいるところでございます。これは非常に緊急を要するということで実質的な体制を組もうということで先行して進んでいるわけでございますが、ただいま御指摘のように、これらの方々が現実にも、先ほど申しましたように七千名とか一万名とかという具体的な人々も確立してまいるわけでございますので、この診断技術者というものを社会的にさらにきちんとした形で位置づけるのをどういう形でやればいいのか。恐らく建築士法その他との関連を考えながら検討していくことになると思いますけれども、今後十分検討させていただきたいというふうに思っております。
#21
○岩井國臣君 建築物の耐震改修をこれから強力に促進していくためには、やはり病院とかデパートといったそういった民間の建築物に対する啓発活動、これを積極的に行う必要が当然あると思いますが、やはり同時に国とか地方公共団体の建物、それにつきましてまず模範を示すというふうなことで、官公庁施設など公共建築物につきましてみずから進んで耐震改修を行っていく必要があるかと思います。
 時間がちょっとなくなりましたので、その御要望だけ申し上げまして質疑を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#22
○市川一朗君 平成会の市川一朗でございます。
 私も岩井議員と同様、この七月に初めて当選いたしました新米でございますが、皆様のお許しをいただきまして質問の機会を与えていただきました。永田委員長を初め委員の皆様方に大変感謝申し上げますと同時に、国土庁長官、建設大臣、御苦労さまでございます。つたない質問でございますが、一生懸命に質問させていただきますのでどうぞお許しいただきたいと思う次第でございます。
 阪神・淡路大震災、ただいまも話題になっておりましたが、一月十七日に起きたわけでございまして、本日は十月十九日でございますから、九カ月と二日たつわけでございまして、ああもう九カ月たったかなと思う気持ちと、まだ九カ月だったかなと思う気持ちといろいろ複雑でございます。
 私も皆様方と同様大変なショックを受けたものでございまして、今さらながら被災者の方々のことを思いまして、また関係者の大変な御心労、御苦労を思いますと、二度と再びあのような惨事はあってはならないということを本当に思う次第でございます。政府に対しましては、もちろんしっかりやっていただきたいという気持ちを持っておりますと同時に、私ども日本の政治家は、本当に災害の多い日本でございますので、党派を超えてこういった事柄につきましてはしっかりと取り組む必要があると痛感しておるところでございます。そういう意味におきましても、被災者の方々のお立場を考えますと、何とか一日も早い復興をと願うものでございます。
 あの関東大震災のときに、当時の東京市の調査会のメンバーでございました寺田寅彦が膨大な調査報告書の中で、このような災害は何回も必ず起きてまいる、それが忘れたころに忘れたところにやってくるといったようなことで、そういったことをしっかりと踏まえて復興は精いっぱいやっていく必要があるということを後世の人に訴えましたし、また当時の内務大臣、ちょうどあの関東大震災が終わった直後に内務大臣に就任した後藤新平は、その直前に東京市長であったということも含めまして、大変早急に、かつ気宇壮大な復興計画も立てたのでございます。
 やはり実際、今になってみますと、なかなか計画どおりには実現していないという思いを新たにする次第でございまして、そういった意味も含めまして、あの本当にすばらしかった淡路島、神戸市、神戸市だけではございませんが、阪神地域全体が本当に一日も早く復興してもらいたいと思っておるのは私だけではないと思う次第でございます。
 政府におかれましても、その問題に一生懸命取り組んでおられると思いますが、今回、昨日成立いたしました第二次補正予算におきましても、阪神・淡路大震災復興対策費等ということで、国費七千七百八十一億円以上を計上しておりましてそれなりの取り組みの姿勢は非常に感ずるわけでございますが、私どもから見ますと、金額はよくわかったのでございますが、それがどうも復興という点では具体的にどういう形で進むことになるのか、その辺がいま一つびんとこない点がございますので、その辺をまずいろいろと御説明いただきたいと思う次第でございます。まず、政府の立場で復興計画の全体の概要あるいはその進捗状況等につきまして、できるだけわかりゃすく御説明いただきたいと思う次第でございます。
#23
○国務大臣(池端清一君) 阪神・淡路大震災の復興計画の概要とこれに対する政府の取り組み状況いかんという市川先生のお尋ねでございます。
 お答えを申し上げます。
 阪神・淡路地域の復興に向けましては、地元兵庫県が、第一に「二十一世紀に対応した福祉のまちづくり」、第二に「世界に開かれた、文化豊かな社会づくり」、第三に「既存産業が高度化し、次世代産業もたくましく活動する社会づくり」、第四に「災害に強く、安心して暮らせる都市づくり」、第五に「多核・ネットワーク型都市圏の形成」と、こういった五つを基本目標とした復興十カ年計画を策定いたしまして、この計画を基本といたしまして復興に目下取り組んでいるところでございます。
 この復興計画につきましては、下河辺委員長を長といたします阪神・淡路復興委員会からは、政府に対しまして全面的に支援する態度を明らかにするとともに、緊急を要するものから重点的に順次具体的に支援する措置を講ずべきであると、こういう御意見をいただいたところでございます。この復興委員会の御意見を踏まえて、政府といたしましては、去る七月二十八日、阪神・淡路復興対策本部におきまして、「阪神・淡路地域の復興に向けての取組方針」を決定いたしました。
 その第一は、地元の復興計画を最大限支援すること、第二は特に復興計画の前期五カ年において緊急かつ必要不可欠な施策を復興特別事業として位置づけ、それら事業の実施に全力を注ぐこと、こういう二つの基本方針を明らかにいたしまして、政府としての姿勢、取り組むべき課題、諸施策を明らかにし、現在鋭意この問題に取り組んでおるところでございます。
 先生、今御指摘ありましたように、きのう成立をいたしました平成七年度第二次補正予算では、この取組方針に基づきまして、生活の再建、経済の復興、安全な地域づくり、この三つの柱、三つの基本課題に対応した復興関連事業等を最大限盛り込みまして、事業費で一兆四千百億円、国費で七千八百億円に及ぶ復興対策経費を計上いたしたところでございます。
 さらに、こうした国費の確保とあわせまして、地元地方公共団体の負担の軽減を図るために、公的住宅供給や土地区画整理事業、市街地再開発事業について支援措置の充実を図るとともに、所要の地方財政措置を講じることとしたところでございます。
 阪神・淡路地域の一日も早い復興に向けて地元地方公共団体との緊密な連携のもとに、これら事業の円滑かつ着実な実施を図っていくことを初め、復興のための諸施策の実施に今後とも政府一体となって取り組んでまいる所存でございます。
 先生御指摘のように、災害は忘れたころにやってくると、有名な寺田寅彦先生のあの御意見もございます。のど元過ぎれば熱さを忘れる、こういうことのないように、何としてもこの阪神・淡路地域を不死鳥のように、フェニックスのようによみがえらせる、そのために最大限の努力を傾注してまいる所存でございますので、先生を初め委員の皆さん方の御協力と御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げる次第でございます。
#24
○市川一朗君 復興問題は非常に各般にわたる問題でございますが、こうして政府全体の中で担当大臣を決めまして、それで復興全体について当たってまいるという体制は、日本の政治史上といいますか行政史上でもなかなか画期的なことではないかと思いますので、池端国土庁長官、私どもしっかり応援したいと思いますので、立派な復興が遂げられますようひとつよろしくお願い申し上げたいと思う次第でございます。
 復興計画の進捗状況をもう少しわかりやすく理解したいと思いますので、その点質問を続けさせていただきますが、第二次補正予算を見ますと、五千六百七億円の一般公共事業関係費が計上されておりますが、そのうちの約九三%が建設省所管になっております。これは通常の予算のシェアとは大分違うように思いますが、五千二百十二億円という国費が計上されておりまして、その内訳を見ますと、一番多いのが住宅で二千百九十四億円、二番目が道路で千九百三億円。
 まあ、経済対策を兼ねておりますのでその金額が多いということで、それにいろいろなものが上乗せされて事業費になるということから、経済効果としての効果もあることはある程度わかることはわかるんですが、これが具体的にこういったような予算が計上されるとどういう復興が進むのかというところがちょっといま一つ私どもにわからないんです。全体を説明されるとまたわかりにくくなると思いますから、少し具体的な例を挙げてできるだけわかりやすく御説明いただきたいと思うんです。
 それから、金額は少ないんですが、市街地整備は百八十七億円ということで、これは四月二十八日に政府の復興本部でまとめた市街地整備のものも読んでみたんですが、どうもその文章を見ても文章が書いてあるだけでよくわからないんですね。せっかく一生懸命やっているわけですから、私どもにも何とか、ああそこまで進んでいるのか、そういう方向に行っているのかといったようなことがもう少しわかるように御説明いただきたいと思います。これは建設省の方からお願いします。
#25
○政府委員(小野邦久君) ただいま御指摘をいただきました点についてお答えを申し上げますけれども、先ほど国土庁長官からお話がございましたとおり、阪神・淡路復興対策本部において七月二十八日に「復興に向けての取組方針」というのが定められたわけでございますが、現在、建設省におきましては、この取組方針に基づき、全力を挙げて被災地の復興に取り組んでございます。幾つか具体的な例で御説明を申し上げます。
 まず、住宅対策でございますけれども、これにつきましては、先生御案内のとおり、ひょうご住宅復興三カ年計画というのがございます。これにつきまして、既に第一次補正あるいは平成七年度の第二次補正予算について、被災者向け公的な住宅、これは七万七千戸が全体の計画でございますが、これまでの補正の措置によりましておよそれ割、およそ七万戸弱の建設に必要な予算の措置を既に講じたところでございます。建設状況でございますけれども、およそ半分弱の三万戸につきましては既に用地の確保をいたしております。それから、一部既に着工したものももちろんございます。
 それから道路でございますけれども、阪神高速三号神戸線でございますけれども、この武庫川以東につきましては既に供用しているところでございますけれども、武庫川以西につきましては平成八年末の全線供用に向けて現在復興作業を進めているところでございます。それから、大阪−神戸間の連絡につきましては、本年度末には本年九月一日に完全供用がなされた阪神高速五号湾岸線等を活用することによって通行が可能となる、こういう予定でございます。
 それから、お話のございました市街地の整備でございますけれども、復興に必要不可欠な土地区画整理事業十一地区それから市街地再開発事業六地区等につきましては、現在、地元権利者等と十分な調整を図りながら順次土地区画決定を行っております。例えば、進捗の最も早い新長田駅周辺等の地区につきましては、年内を目途に事業計画の決定等に向けて事業の進捗、推進が図られるものというふうに考えております。
 建設省におきましては、今後とも事業の円滑な執行に努めて被災地域の早期復興に全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#26
○市川一朗君 計画はほぼ順調に進んでいるというようなことになるのかと思いますが、やはり具体的に火災に遭った場所とか、ああいったところで大体どのような状況になっているのかといったようなことにつきましては、私どももこれから現地視察等も含めましていろいろやってまいりたいと思いまして、その結果の要望もまたいろんな形で政府側にも突きつけてまいりたいと思っておりますので、そういうことも含めてこれからよろしくお願いしたいと思うんです。
 そういった中で、現在進められている復興事業に直接関連する問題でございますけれども、やはり地元の財政事情、それがなかなか大変なものでありまして、特にああいった大災害が起きますと、一県はもちろん、それから各市みんなどこももうお手上げの状態の中で、ただいま御説明のあった事業を決して全額国費でやるわけじゃないわけです。いろいろ地方の負担をいただきながらやっていくということになると思いますので、なかなか大変なことが多いんじゃないかと思います。
 私どもの方でお聞きしているところでは、例えば補助率の引き上げをやってほしいと。特に復旧関係は激甚災害の指定を受けますと通常よりもかなり補助率が引き上がるというシステムになっていますが、復興関係、こういうものは自動的には上がらないと。しかし、やはりそこで取りつけ道路とかそれから市街地整備に必要になってくる街路整備とか、主として街路の方が多いんじゃないかと思いますけれども、そういったものを通常の補助率でやっていくのはなかなか大変だというような要請も聞きました。あるいは公営住宅の用地の確保なんかはできるだけ新しい国庫補助制度を設けてほしいとか、そういったようないろんな話を承ったわけでございます。
 今回の補正予算の御説明等を拝見しますと、必ずしも補助率の引き上げ等地元の強い要望が実現されていないように私は思うわけでございますが、別途いろいろと配慮しているという説明も聞いております。この際、こういう公式の場でどういった配慮をしておられるのか、少し詳しくお伺いしたいと思います。
#27
○政府委員(小野邦久君) 先生御指摘の補助率アップの問題でございますけれども、これにつきましては、私どもの森建設大臣が現地に入られましたときにもいろいろな観点から全体の問題の一環としていろんな御要望もございました。
 今回、補正予算等につきましても平成八年度事業の前倒しということを含めていろいろな最大限の措置をとってきたわけでございますけれども、今回の措置に限らず、従来から、例えば復興のための市街地整備とかあるいは住宅供給等につきまして土地区画整理事業に対する一般会計の補助制度の創設をいたしまして、従来の道路整備特別会計の補助と並んで都市計画決定等のない道路につきましても区画整理に対しての補助制度の創設をいたしました。また、公営住宅の建設費等についての補助率のかさ上げとか、あるいは土地区画整理事業の補助対象幅員を、従来は十二メーターで補助対象にしておりましたけれどもこれを八メーターに引き下げて、実質的な補助対象を拡大するといったようなことを従来やってきたわけでございます。
 今回お認めいただきました平成七年度の第二次補正予算におきましては、先生御指摘の公営住宅の問題が大変大きな課題であったわけでございますけれども、住宅・都市整備公団が建設をいたしました住宅あるいは用地を公営住宅のために公共団体に譲渡できるようにするとか、あるいは土地区画整理事業の補助対象を道路幅員の六メーターへさらに引き下げるといったような、そういう実質的な支援措置というものを大幅に拡充をいたしました。
 もちろん、地方財政等につきまして自治省の方でいろいろな支援措置をやっておられるわけでございますけれども、こういうようなものとあわせて、実質的な地方に対する支援というのは相当拡充をされてきていると、こういうふうに考えております。これらの措置を今後は的確に実施することによって、罹災地域の復興に最大限の支援を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
#28
○市川一朗君 いろいろ御配慮いただいているようでございますが、やはり何せ復興の道のりは長いわけでございますし、また地方公共団体の本当に苦しい立場というものは私どももよく理解できるわけでございますので、これで十分だ、もうやっているよという気持ちではなくて、できるだけいい復興計画ができますように政府挙げて取り組んでいただきたいということを御要望申し上げたいと思う次第でございます。
 それでは、法案の内容の方にちょっと入らせていただきたいと思います。どうも国土庁長官、ありがとうございました。
 先ほど岩井議員の御質問でもございましたけれども、今回の大震災の被害の状況を見ますと、まず家屋等の倒壊による圧迫死が八七・八%、非常に多いわけですね。五千五百人の方が亡くなりましたうち四千八百三十一名の方が家屋、家具も入るわけでございますが、等の倒壊によって圧迫死している。それから、建物の被害状況を見ましても、三十九万八千棟の建物が被害を受けておりまして、そのうちの半分の約二十万棟の住宅が全壊もしくは半壊している、こういう状況でございまして、先ほどの住宅局長のお話ですと、新耐震の五十六年以前のものが大部分だとか四十六年とかという話がございましたけれども、四十六年の耐震基準、五十六年の耐震基準だけではちょっと説明できないような被害状況だと思います。
 私などもテレビであのころの被害状況を見たり、また現地へ行って見た状況ですと、重いかわら屋根で特に一階部分が押しつぶされたような状況などは、私ども今まで聞いておりました福井の大地震、あれは昭和二十三年だったと思いますが、あのときの被害が、そこで亡くなった方の大部分が一階に寝ておられた方で、二階に寝ておれば助かったのにというのが今でも福井地方では語り伝えられているというふうに私は承っておりましたが、それが淡路島や阪神地域へ行ってみますとそういう状況がやはりありました。
 そういったようなこと等を踏まえますと、これから対策を立てる上でいろんな原因を究明していかなきゃいけないと思うんですけれども、もう一度その辺につきまして住宅局長の専門的な御見解をお伺いしたいと思います。
#29
○政府委員(梅野捷一郎君) ただいま実例といいましょうか、現状に即した御指摘があったわけでございますが、いわゆる圧死につながってしまったという、これは今数字を申されましたように、調査によりますと、亡くなった方の九割が圧死ということによって亡くなられたという報告でございます。
 このところに関連します、先ほど申し上げました委員会の調査でも、当然そういう問題についての調査あるいは御検討もされたわけでございますが、一つは時間の問題も確かにあったと言われております用地震が早朝であったということもありますが、建物自体の倒壊につきましては、やはりかなりそのつぶれた相当の部分というものは大変古い建物、住宅であったということが一つございます。
 このことは、耐震性能そのものが当時のやり方でやっていたということが一つございますし、さらに材料の老朽化といいましょうか、そういうものが長年の使用の間にかなりどうも進んでいた。工法そのものが現在の工法よりも耐震性能が劣っていたということに加えまして、老朽化が相当進んでいたというふうに総括をされているわけでございます。
 また、特に戦後のああいう状況の中で設計され、あるいは施工されてきたということでございますので、今日的な目で見るとやはりやや適切な設計あるいは施工であったとは言いがたいのではないかというような、そんなことが大きな全体を通じた、特に木造系の住宅についての状況でございまして、このことが瞬時に倒壊をした、しかも早朝で就寝中の方がたくさんいらっしゃったということで、被害の状況としても圧死者が非常に多かったという不幸な結果になっているというふうに考えておるところでございます。
#30
○市川一朗君 それで、今回のこの法案は耐震改修ということですね。改修が必要な建物について対象にしているわけでございますが、私は思いますに、やはりもう改修では間に合わない、本当に建てかえなきゃどうにもならないんじゃないかといったようなものがかなり多いんじゃないかなと思いますし、今回の阪神・淡路の大震災でもそういうことが原因で壊れてしまった。
 だから、ああいうことが二度と起きないように、あるいはああいうことが起きないようにいろいろ全国的に展開しようと思うと、改修というんじゃなくて建てかえなきゃいけないんじゃないかなというようなものが多いんじゃないかと思うんですが、しかし今回はこの法案は改修に絞ってそれを促進させようと。どちらかというとビルあたりを意識しているのかなという感じもするのでございますが、その辺もにらみながら、この法案が主として対象にしている建物といいますか建築物というのはどういうもので、大体それはどれぐらいあるものと見込んで今回法案を作成されたのか、その辺をお伺いしたいと思います。
#31
○政府委員(梅野捷一郎君) 最初に大臣からも申し上げたわけでございますが、地震に対する安全性を全国的に向上させていくという上では、いろんな分野、今先生も御指摘のように、一般の戸建て、木造住宅と言われるようなものについては建てかえというようなことも当然積極的に進めなければいけないということでございます。
 現実にそういう分野におきましては、今の住宅の新しい住宅もかなりの比率で建てかえという分野で行われておるわけでございますが、その建てかえを通じて行われるものについては、より現状に即した安全性の高い姿で建てかえをいただくようにということについては、別途力を入れているところでございます。
 今回の法案は、今先生御指摘のようにあくまで改修という姿で取り組むことについての枠組みでございまして、現在、五十六年以前と以降ということに一応分けて考えますと、現在の基準ではなくてそれ以前の基準で建てられたもの、そういう中で、性能上も現在の基準に比べると劣っているのではないかというふうに我々が推計いたしておりますのは、住宅で約千二百万棟だと推計をいたしております。また、非住宅では二百二十万棟ほどがあるだろうというふうに考えております。その住宅の千二百万棟のうちの約千百万棟は木造系でございます。
 こういう中で、この法案に示しておりますように、一つの類型は特定建築物でございますけれども、努力義務を法律上も課して積極的にお取り組みいただこうという建物でございますが、これは約二十万から三十万棟程度ではないかというふうに私どもは現在は推計をいたしております。さらに、そのうちでも、多数の方々が御利用になる建物のうちの不特定の方々が御利用になるのはさらに絞られますけれども、それでも数万棟程度あるのではないかというふうに我々は推計をしておるところでございます。
 これらの、特に特定建築物系統のものについては、どちらかといいますと、先ほど御指摘ございましたように、やはり主力は当面改修ということを通じて耐震性を上げていくという施策がやはり大変重要なことなのではないか。住宅につきましては、建てかえということ、あるいは先ほどもございましたけれども広い面での再開発というようなことを進めるとか、それと改修というものが同時に並行していくという構図になっていくのかなということで考えているところでございます。
#32
○市川一朗君 今の御説明にもございましたけれども、条文を見ますと、第二条と第四条二項の中に、建物がいろいろ書いてあるわけですが、「特定建築物」、その中でも「不特定かつ多数の者が利用する特定建築物」と「多数の者が利用する建築物」ということで分けまして、努力義務を課す段階と指示まで行くものといろいろ分けておるわけでございます。
 今、対象の話が出ましたけれども、大筋は大体分かるんですが、頭の中にきちんと入れるのは皆さんのような専門家じゃありませんからもともと難しいかもしれませんけれども、しかしもうちょっと分かりやすく理解しておきたいなということで、ちょっと細かいんですが一、二質問してみます。これは最後は政令で定めるわけですね。そうすると、例えば図書館とかそれから寮とかいろいろあります。たくさんの人々が利用をするというのか、出入りするというのか、そういったものは当然入るじゃないかなと思いますけれども、その辺をどう考えておられるのか。
 それから、この不特定と不特定でないというものの仕分けが、これを見ますと学校と体育館と事務所は多数であるが不特定ではない。何かクイズ番組みたいな言い方で恐縮でございますが、学校と体育舘と事務所は除かれておりますね。そういったようなことで、一定の考え方があるんだと思います。大体分かるような気はしますけれども、その辺の物の考え方ですね。
 それで、ちょっと具体的なのをあわせてお聞きしたいんですが、例えば私どもが毎日利用している議員会館、衆議院と参議院を合わせますと三つあるわけです。宿舎の問題もあります。
 余り言いますと、国民の皆さんから、自分たちのことだけ心配しているんじゃないかと誤解されてもいけませんのでお断り申し上げておきますけれども、一応理解をしやすくするという意味で議員会館を一つ例に挙げてみますと、衆議院の第一議員会館は三十八年の十二月に竣工です。第二議員会館は四十年の九月に竣工です。それから、私どもの参議院の議員会館は四十年の五月竣工でございますから、先ほど来のお話でいくと、もう五十六年はもちろんですが、四十六年の耐震基準にも合っていない。そんなことでびくびくしていたんじゃ国の政治はやれませんから我々はしっかりやりますけれども、その辺、これはうちの方はどっちに入るのかということも含めまして、ちょっと御説明いただきたいと思います。
#33
○政府委員(梅野捷一郎君) この法律案におきまして特定建築物は、先ほど来ございますように、多数の方々が御利用になる建物であると。これは一定の条件といいましょうか今考えておりますのは、大体三階建て以上ぐらいのもので、千平米とか二千平米とか、そういう規模を一応づけようと思っておるわけでございます。
 まずは、多数の方々が御利用になる建物、これは仮に性能が十分でなくて倒壊するというふうなことになれば大被害につながる危険がそれだけ大きいということで、これについては所有者の社会的な責務というものはそれなりに一般の個人の住宅あるいはそういうものに比べればやはり大きいだろうということで、一つはそういう分類をいたしておるわけでございます。
 さらに、不特定多数の方々、いろんな方々が、一般の人々が自由に出入りをされたり、そういう利用のされ方をするという建物につきましては、より公共的な性格が強いということで、さらにその中で特別にもう一ランク別の取り出し方をしているという、これが全体の構図でございます。したがって、指導、助言というところまでと、指示までできるという区分をそこでつけているということでございます。
 法律の方にも例示が挙がっているわけでございますが、最初の一般の特定建築物ということにつきましては、そこに書いているほかには、ホテルあるいは飲食店、宿舎というようなものを全体としては考えていこうかということでございます。それから、そのうちでも、同じものになるわけでございますが、そのホテル、飲食店というふうなものは、病院、劇場、百貨店と同様に不特定の方々が御利用になるという意味で指示までつながる特定建築物という分類をいたしておるわけでございます。
 図書館というお話がございまして、図書館もいろんな種類がございますので一概に申し上げにくいわけでございますが、一般に、一般の市民が御利用になるようなそういう図書館は不特定多数の方々が御利用になるという分類になると考えております。専用の図書館というものがあるわけでございますので、そういうものはそれには当たらない。
 それから、例えば議員会館とか議員宿舎とかいうことでございますが、先ほどの建設年次の問題で、これは診断をしてみないとわからないわけでございます。現実に、震災を受けた際にも五十六年以前の建物も相当な建物が実は残っているわけでございまして、シェアというようなことで言いますと、十分きちんとした設計をしたものは残っている、あるいはメンテナンスのいいものは残っているわけでございますので、必ずしも五十六年の前のものが非常に危険だということではございません。したがって、それはぜひ耐震診断をすべきであるというふうに考えているところでございます。
 ただ、議員宿舎あるいは議員会館というものは最終的にどちらに判定することになるか。法律上の原理原則だけで言いますと、例えば議員宿舎というものは特定の方々が、先生方が、部屋は決まってお住まいになっているという意味では、不特定多数が利用する建物の分類には入らないというふうに考えております。ただ、議員会館になりますと、非常に最終的にどちらに入るかということは、もうちょっと法律的な意味では厳密に考えなきゃいかぬのかなというふうに思っているところでございます。
#34
○市川一朗君 どうも細かい質問をいたしましたけれども、御丁寧にありがとうございました。
 ところで、耐震診断をやるようにというお話でしたけれども、やっぱり金かかるだろうなという感じがちょっとあります。先ほど岩井議員の質問の中でも、技術者がしっかりいないと困るんじゃないかというお話もありました。
 私の今までの経験で言いますと、文化財保護の関係ですと、とにかく専門家がいないために、専門家が来られるまでちょっと待ってくださいという、そのちょっと待つのが一年も二年もたつといったようなこともありますから、やっぱりしっかりした技術屋さんがかなりの数、全国展開できるようにしていないと、耐震診断をしたいという意欲を持ち十分そういう金の用意をしてあるにもかかわらず人がいないから進まないということがあってはいけないわけですから、ここはやはり政府でしっかりと人材確保はしていただきたいと思います。
 東京都が出しておりますパンフレットによりますと、マンションでも五百万から一千万ぐらいかかるという資料があるんです。これは入居者一戸一戸に、住宅一戸当たりに換算すると十万とかそういうオーダーになるのかもしれませんが、やっぱりかなりの金額になるんですね。こういった特に費用の面、この制度を推進するに当たりまして政府としてはどういうふうに考えておられますか。
#35
○政府委員(梅野捷一郎君) まず費用の関係でございますが、当然規模あるいは構造の形式、例えばマンションとかアパートのように一般的なケースでいいますと、構造的には比較的単純な形式でできているものとか、非常に複雑な形式の構造になっているものとかいろんなこともございますし、また普通の方々がお気づきにならない点もあるわけでございますが、例えば診断をする際に、もともと設計図書、資料が全くないケースの場合と設計図書等がきちんと残っているケースというようなことでも、診断の費用が大幅に違ってくるというのが実情でございます。
 余りその平米単価という形では置きかえるのは非常に難しいのでございますが、あえて申し上げれば、平米当たり五百円から、今申し上げたように非常に複雑で難しい場合には二千円ぐらいかかるケースもあるだろう。今までの実績から申しますと、そういうぐらい実は幅がございます。できるだけ私どもは、きちんとした費用で、妥当な費用でやっていただけるようにということでこの点の情報もできるだけわかりやすい形で広報すべきである、これも努力させていただきたいと思っております。
 それから耐震診断でございますが、先ほどの文化財の調査その他と若干違いまして、今申し上げましたけれども、一般の今回扱うような建物は建築の様式なり構造の形式というものはある程度類型化されておりますので、そういうことについての技術のある方をベースにいたしておりますので、比較的、先ほどもちょっと申し上げましたが研修をして再教育をする、再チェックをするというようなことで十分診断をやっていける方々として御活躍いただいているというふうに考えておるところでございます。
#36
○市川一朗君 耐震診断の結果の情報開示の問題についてちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、私のところにもビルの所有者の方々も来られますし、また市民の方々も来られましてなかなか難しい問題があるなというふうに私も思っている次第でございますが、所有者の方々は非常に積極的に改修していきたいという意味で診断に熱心な方が多いです。やはり、今度の地震は皆さん大変ショックだったということがよくわかるように思います。恐らく、きょう御出席の同僚の委員の皆さんも同じような感じを持っておられるんじゃないかと思いますが、ただ心配しておられますのは、その結果が公表されて、あのビルは怪しいぞとかそういうことで、何か入る人は、逃げるまではともかく、新しく入ってきてもらえなくなるんじゃないかというような問題等が非常に心配であるという意見もございます。
 しかし一方で、市民の方々からは、やっぱり市民の立場ではそれぞれのビルが耐震診断の結果がどうなのか、それを詳しく知りたい正確に知りたいという気持ちを非常に強く持っているんで、その込もう少し行政のところでシステム化するように働きかける必要があるのではないかという御意見をお持ちの方も非常に多いわけでございまして、いずれの立場からいいましてもそれぞれ理由があるように思うわけでございます。
 何といいましても最終的には本当に国民の皆さんの安全の確保の問題でございますから、そこのところはそういうことを基本にして考えていくべきだと思いますけれども、例えばこういった問題の具体的な感じといたしましては、この法案でもそうでございますが、所管行政庁が個別のビルについてもいろいろと情報を知ることになりますね。そういったような場合に、知った情報について公表してほしいといったようなことも必ず出てくると思うんですが、その辺を現時点で政府はどういうふうに考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
#37
○政府委員(梅野捷一郎君) 今委員から御指摘がございましたように、診断をした際の、あるいはもっとさかのぼれば診断をしたかしないかということを含めましてということになろうと思うんですけれども、そういうことに対する情報をそもそも開示するのか、公開するのかどうか、あるいは何らかの目的を持って世に公表するかどうかということは、今御指摘のように両面から大変難しいテーマだと私どもは考えております。
 それから、そういうものが行政庁サイドには集積されるわけでございますが、私どもとしては当面は、今回のような枠組みができたときに一定の期間といいましょうかそれ相応の期間にわたって、その期間の中でそれぞれの御事情の中で改修等の御努力をいただこうという枠組みをつくっているわけでございますので、少なくともそういう段階において積極的に公表する、あるいは一般的な意味での公表の御依頼があったときに公表するという考え方にちょっと今のところは立ちにくいなというふうに思っております。
#38
○市川一朗君 おどすわけじゃありませんけれども、必ず出てくる問題だと思いますので、よく詰めておかれた方がいいと思います。私どももよく勉強してみたいと思っております。
 もう一つ条文の中身でございますが、今回の法案の一つの目玉だと思いますけれども、一般建築物で改修する場合に、大規模修繕とか大規模模様がえの場合には、今までは耐震基準以外のいわゆるあれは集団規定というのでしたか、何かそういう都市計画法上のいろんな規制に関係してきて、建ぺい率の問題とかそういったことで結局はいじれないということで、なかなか思うに任せなかったところを今回の法案ではそれを何とか例外的に遡及適用しないようにして、とにかく耐震基準に適合するように修繕する分についてはほかの、わかりやすく言えば違反部分は目をつぶってやろうというような内容になっている。これは大変現実的な制度だと思うんです。
 ただ、条文をちょっと見ますと、こちらの思い過ごしかもしれませんが、第五条第三項第三号のイですね。この中に、結局のところそういう「耐震関係規定以外の」「規定に適合しないこととなることがやむを得ないと認められるものであること。」というのが入っております。この「やむを得ないと認められるものであること。」というのはちょっと解釈、運用によってはかなり厳しくなるんじゃないかなという感じもするんですが、その辺につきまして政府としてはどういう方針で臨むつもりでございますか。
#39
○政府委員(梅野捷一郎君) やや法律の専門的なことになってしまう部分もあるわけでございますが、建築基準法の体系の方が大規模な模様がえ等をやる場合には、必ずその段階での他のすべての不適格部分を修正しなければいけないという体系とのすり合わせのことがございまして、こんな表現に、この法律から見るとややかたい制約の表現になっている。しかし、もともとが今先生も御指摘いただきましたように、今回、改めて法律をつくってこういうことを一種の特例措置を設けた、規制緩和を設けようとして、特に安全問題に積極的に皆様方にもお取り組みいただこうという趣旨でございますので、そういう趣旨でこの規定が運用されるように十分留意したいと考えております。
#40
○市川一朗君 よくこういう規定がひとり歩きする場合がありますので、せっかく法律の趣旨を十分生かすためには、今局長から御答弁あった方向をぜひ徹底していただきたいと思います。
 それから、この法律は、結局のところ個々の建物ごとの改修に限定された法律でございまして、私はそれなりに一歩も二歩も前進はしていると思いますけれども、やはり災害に強い町づくりが達成されませんと、一たん災害が起きたときに直した建物だけはよかったというのでは本来の目的が達成されないわけでございます。先ほど来の議論の中にも、改修だけじゃなく建てかえもやらなきゃいけないというものもいっぱいあるわけでございますから、そういったものの計画的な建てかえとか、あるいは鉄道とか道路のような公共の構造物、そういったものもこの法律の対象にはなりませんし、もともと建築基準法の対象でもないですから、なかなか法律の世界で議論するのは難しいと思いますけれども、しかし究極のところ、つまるところ、災害に強い町づくり、国づくりを達成しなければ、二度と再びあのような惨事が起きないようにという我々の誓いの言葉が現実化しないわけです。
 そういう意味では、町づくりについて最も責任ある立場でおられます建設大臣の、やはり全体的なものを見て、この法律はこの法律としてやるとして、もっと幅広に取り組む必要があると私は思う次第でございますが、その辺の御所見と御決意もちょっと伺っておきたいと思う次第でございます。
#41
○国務大臣(森喜朗君) 答弁の機会がなかなかこなかったものですから。
 市川議員にも岩井議員同様にこの参議院の選挙で堂々と勝利を得られたわけであります。特に市川さん、役所におられましたときは、私と生年が同じだということで、しかもまだ、一番下の朗が朗らかというので何となく親しみを持たせていただきました。ただ、残念ながら政党が今度は違うことになりまして、いろいろとそれまで御指導いただいたことが多かったわけでございまして、きょう、岩井さんと同様に建設委員会でのこの御質問が第一回目だろうと拝察しておりまして、恐らく感無量であろう、私はそのように思っております。
 どうぞ、一層ひとつ建設行政推進のためにも国家のためにも郷土のためにも頑張っていただきますふうに、勝手に友人として心からそのことを期待いたしておるところでございます。
 今お話しのとおり、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、町づくりの基本はまず安全である、こういう認識に立って災害に強い町づくりを進めるということが極めて重要である、このように認識をいたしております。先ほど国土庁長官がおっしゃいましたように、のど元過ぎれば熱さを忘れてはいけないのであって、今まさに国民全体すべてが安全で安心のできる町づくりということに大変大きな関心を持っておられるところであろうと思いますから、この機会に、我々は政治の立場、行政の立場で心してこれらの期待にこたえていくということがこれからの日本の建設行政にとって最も大事なことだろう、このように考えております。
 このような観点から、市街地の防災性の強化を図るためには、御指摘のように計画的な建てかえや再開発の促進が必要である、このように考えております。平成七年度の第二次補正予算におきましても、安心できる暮らしを支える安全基盤の整備というそういう柱立てをさせていただきまして、国費で二千八十九億円、事業費で三千九百九十一億円を計上させていただき、このたびの国会でも成立をさせていただいたわけであります。
 その中にも、公共施設等の安全対策の推進あるいは安全性の高い市街地整備の推進、災害発生時の市民生活の安全性の確保、災害発生時の社会経済活動の確保というふうに、安心できる暮らしを支えるということに大きな願いを込めてこの予算を計上してありますこと、これも委員も十分御承知のことであろうと思います。
 これらの項目を一つの柱といたしまして、市街地再開発事業等の面的整備事業をさらに促進するための予算をこうして措置させていただきました。今後、この法案による建築物の耐震改修とあわせまして計画的な建てかえや再開発を進めて災害に強い町づくりに努めてまいりたい、このように考えておりますので、どうぞ今後とも御指導を賜りますようにお願い申し上げる次第であります。
#42
○市川一朗君 どうも森建設大臣の大変温かいお言葉をいただきまして、もうこれ以上は質問をやめなきゃいけないかなと思いますけれども、後ほどもう一問質問させていただきますので、どうかお許しいただきたいと思います。
 その前に、こうやって非常に地震に強い建物をつくっていく、それから災害に強い町づくりをしていくということになりますと、どうしてもコストがかかるようになるんです。コストアップの状況というのがいわば限りない問題になるわけですが、やっぱりこれは大変ゆゆしい問題で、コストの限界が災害に強い町づくりの限界になってしまうという心配すらあるわけです。特に、住宅の問題なんか一人一人の個人の負担にかかわる問題でして、例の日米建設摩擦のころにも日本の住宅とアメリカの住宅では圧倒的に日本の住宅が高いといったような指摘がありまして、いろんな事情で指摘があったと思いますけれども、こういう耐震問題も日本の場合基本的にあるわけです。
 やはり技術開発がおくれているんじゃないかという感じがしますが、局長は行政のプロでもあり建築のプロでもありますが、そういった問題につきまして日本の建築全体の責任者として技術開発の問題にもっと真剣に取り組んでいく必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
#43
○政府委員(梅野捷一郎君) この耐震改修は、今御指摘のように新築のケースに比べますといろいろな制約条件の中でやらなければいけない、そういうこともございまして、現実的な耐震改修の方法というものも非常に複雑多様であるというふうに考えておるところでございます。したがって、結果としてしっかりそめ点を意識してやらないとどうしても改修コストが高くなってしまうという危険をいつも持っている領域であるというふうに私も考えているところでございます。
 今回の震災は不幸にしてああいう災害になり、結果としては日本全体、私どもも含めまして大変な教訓を受けたわけでございますが、この既存建物の改修につきましても、従来から大変地味な分野ではございましたけれども、それぞれの構造、工法に合わせましてどういう診断をし、あるいはどういう改修をすることが技術的にもコスト的にも合理的なやり方であるかというようなことは細々ながら実はやってきた経緯もございます。今回のようなこういう機会あるいはこの法律がお認めいただけますと、しっかりした体系の中で進めていくという環境になるわけでございますので、一段と今後はこの点についても力を入れて、経済的な面でも技術的な面でも対応できるような体制に努力をさせていただきたいと思っております。
#44
○市川一朗君 しっかりとお願いしたいと思います。
 最後に森建設大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、私ども今回七月に当選いたしました参議院議員は、任期を会ういたしますと任期中に実は二十一世紀を迎えるわけでございまして、まことにそういう意味も含めまして感慨無量でございますが、大臣も、先ほどもお話しございましたが、本当に数々の閣僚の経験を踏まえ、それから自民党の幹事長までなされましてもう貫禄十分、私と同じ年齢とはとても思えない大変な政治家の道を歩んでおられるわけでございます。しかし、まだまだそういう意味では年齢も若うございますので、二十一世紀に向けて本当に大事なことをしっかりとやっていただける政治家に今進みつつあるというふうに頼りに思っている次第でございます。
 ただいまコストの問題でちょっと議論させていただきましたけれども、実は振り返ってみますと、我が国が明治維新以来進めてまいりました近代化というものは、いろんなソフトのシステムの面、教育の問題、政治の問題といろいろあったわけでございます。ハードの面でいいますと、例えば超高層ビル、これはニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディング、それからハイウエーといいますとドイツとかアメリカ、それから地下鉄はロンドン、パリということで、ちょうどもう今から百二十年ほど前に大久保利通とかあるいは伊藤博文、明治の元勲たちが一年半もかけて欧米を視察に回って、これが近代化の方向だということで進めてまいったわけです。
 この地震という問題を考えてみますと、それらの国々で地震があるのはアメリカの西海岸だけなんですね。したがって、東海岸を中心にほとんどのアメリカ、それからヨーロッパの大部分のところは地震がないんです。その地震がない国で開発されている施設の追求が日本の近代化であったという、非常にある意味で大変な矛盾に近いくらいの苦しみを我々は負ってきた。
 ところが一方で、私は宮城選挙区選出でございますが、昭和五十三年に宮城県沖地震が起きまして、仙台市一帯が大きな被害を受けましたときに、あの伊達政宗が最初に開きました城下町は実は被害がなかったんです。その城下町というのはどこかといいますと、現在の中心市街地でございます。いろんな地震の専門家に聞きましても、伊達政宗の一つの例を言いましても、どうも日本は古来地震がずっと多発しておりましたから、地震対策に対する英知というのは非常に進んでおったんじゃないかと。それがどうも明治以来の近代化の追求の中で軽視されるというか、余り評価されないといいますか、そういったような形になってきているんじゃないかと。そういったようなことを改めて考えさせられるのが今回の阪神・淡路大震災だったと思う次第でございます。
 二十一世紀に駆ける大政治家として森建設大臣の御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思う次第でございます。
#45
○国務大臣(森喜朗君) ちょうど九月二十六日、七日、八日、大阪で建設省としましては初めて国際会議といいましょうかそういうフォーラムを計画いたしました。もちろんこれは何年も前から計画されておったのか、野坂前大臣のときに計画されたんだと思いますが、たまたまその主催をしておりましたときに、私はちょうど大臣に就任したばかりでございまして大阪に三日間おりました。太平洋それからアジア地域の各公共事業担当といいましょうか建設大臣、そうした大臣の集まりでございまして、たしか十六カ国くらい、その中には今いろいろと市川さんの御指摘ありましたが、チリでありますとかコロンビアでありますとかそういう地震の多い国の大臣たちもおられました。
 これは偶然といいましょうか、神戸の隣であったものですから、それぞれ世界の閣僚は阪神・淡路大震災に大変大きな関心を持っておられまして、そこの視察も非常に細かくなさっておられました。そしてまた、私は余り専門家じゃございませんけれども、役所、建設省の諸君たちに非常に細かく対応策なども聞いておられました。
 そういう意味でこの大臣フォーラムは、一回で恐らく終わるかなと思っておりましたけれども、最終の閣僚会議では皆さんが異口同音にこれを毎年続けろということで、その関心は、やはり中国でありますとかアジア地域にとりましては先進国日本がどのように都市計画を進めていったとか、いろんなインフラ要素をどうつくり上げていったということにも興味がございますし、一方では地震の多発国といいましょうか、そうした国にとりましては災害、地震に対する対応というものに大変な関心を持っておられまして、非常に有意義なフォーラムであった、こう思っております。
 そういう意味で、日本の国は確かに市川さんおっしゃいますように数少ない先進国での多発地帯でございますから、この建築土木、構造物の地震防災技術に関する研究開発も積極的にこれから行っていかなきゃなりませんし、また現にこうした技術をもとに他の国々に対しての技術協力も行っておりますし、これからもしていかなきゃならぬ。我が国のそうした地震対策、災害対策というものは極めて大事な立場にあるというふうな、そういう私は印象を持ったわけでございます。
 今後、さらに地震防災技術の開発を推進しまして、地震国日本にふさわしい安全で住みよい町づくり、国づくりに積極的に取り組んでまいりたい、そしてまた国際協力にもぜひ努めてまいりたい、他の国々の模範になるように進めてまいりたいとこう思っておりますので、どうぞ市川先生を初め委員各位の皆様にもひとつ建設的ないろんな御指導を賜ればと思っております。ぜひ私も、市川さんと同様に平成七年この七月に御当選されました先生方と一緒に二十一世紀まで何とか国会議員として生き延びたい、こういう願望を持つ次第でございます。
#46
○山本正和君 岩井、市川の両専門家の議員の御質問でこの法案の性格、問題点等が大分明らかになったわけでございますが、私ちょっと素人流に質問をいたしますので、ひとつ局長も素人がわかるような形でお答えいただきたいと思います。
 まさにこれは時宜を得た法案です。改修をしようと思っている一般の住宅に住んでいる者、あるいは例えば旅館にしても私立の学校や保育園にしてもいろんなものが現にあるんですが、それぞれ心配しているわけです。それに対応しようという法案だということで、大変よく考えられたというふうに私は思うんです。
 ただ、これ見ていきまして心配するのは、しかし待てよと。ここに古いデパートがある、このデパートに人がどんどん出入りしている、しかし随分あれは古いぞと。おかしいんじゃないか、一応診断しようかと、こう言いますね。しかしそれに応じなかった場合、そして、いや大丈夫です、うちの建物はもう何年もたっても大丈夫なんです、こう言って直さないという場合に、この法案はどう見ても強制力ないんですね、こうずっと見ていくと。それは一体どうするんだろうか。何ぼ言ってもやっぱり古い建物が全部悪いとは言いませんけれども、例えばこの議場なんというのは古いんだけれども割合強いという話ですよ。
 だから、そういうことでいろいろと、本当にいいのか悪いのかという部分の診断がどうされるかということ、診断してどうもこれは危ないぞと思ったときにその強制力をどうするのか、その辺はどういうふうにお考えになるのか。
#47
○政府委員(梅野捷一郎君) ただいまの御指摘は、特にいろんな事情からかとは思いますけれども、なかなか我々の期待どおりに現実に具体的な御努力がいただけないケースということだろうと思うわけでございます。
 実は、例えば今例示に出されました百貨店というのは、この法案でも指示までできるということでございますので、誘導という、行政の中ではかなり強い行為であろうというふうに法律上は思っておるわけでございますが、それでもなお当然いかないケースもあるわけでございます。
 実は建築基準法というのが一方でございまして、建築基準法の方には、実は従来余り残念ながら使われていないので余りこういうところで大きな顔をして言えない面もあるわけでございますが、危険な建物という判定をする、あるいはそれを危険であるかどうかを調査する、資料を出せと、あるいは結果としては使用を禁止するというようないろんな強制的な手段が一方で用意をされてございます。
 私どもは、いきなりそこへ行くという、対象が非常に広いということもございまして、今回こういう制度的な枠組みができて御努力をいろんな準備をしながら進めていただくというものと、基準法の強制的措置というものが連続する体系になって、従来よりは本当に何とか強制的にでもやらせなければいかぬというものにはつなぎやすい環境にはなっていくんだろうというふうに考えているところでございますが、今申し上げましたように最終的な手段としては基準法の強制措置が控えているという構図になっているということで御理解いただきたいと思います。
#48
○山本正和君 基準法の強制力の問題はありますが、この法案でそれがきちっと内部でつながろうと思ったら、行政上のさまざまな連携、運用が必要だと思いますから、それは今後十分に指導をやっていただきたいと、こう思います。
 あわせて、実は病院があります。それから学校も私立学校があるわけですね。それはまさに人の出入りも多いし公共的な性格を持っている。しかし、所有している人は、私的所有といった場合、まあ財団もありますけれども、法人もあるけれども、その場合に本当はやっぱりある程度国が面倒を見てもいいんじゃないか、そのかわり強制力を持たせる。
 子供たちが通う私立学校の、いろんな中で事故が起こった場合どうするのか。これは公立学校の場合は県なり市町村なりが責任を持っていますからいろいろ対応できる。しかし、私の場合どうなるか。ところが、そうかといってそれは経営しているわけですから、なかなかコストの問題が出てくる。やっぱりある程度そういうものに対しては助成をする、補助を与える、そのかわり強制力を持っているということが必要なんじゃないのか。
 だから、本当はそういう意味からいったら、何とかこの法案が、これはもう今仕方ありませんけれども次の段階で、現に建っている建物を診断して、そして直そうという場合、こういう公共性の大きい、個人のものであろうと財団のものであろうと、そういうものに対する補助というふうなことはこの法案の次の段階として検討する考えはないか、この辺ちょっと聞いておきたいと思います。
#49
○政府委員(梅野捷一郎君) この法案を当然各省とも御協議をしながら決めてきたわけでございますが、従来文部省あるいは厚生省に行きまして、むしろそれぞれの所管官庁で、特に注目される今の御指摘のような点の用途についてのお取り組みはそれなりにやっていらっしゃったわけでございますが、私どもがこういう一般的な体系として今回整理をさせていただいたことを受けまして、それぞれの省庁におきましても従来のやり方を一歩進めなければいけないという御見解をいただいておるところでございます。
 また、この法案を閣議決定をお願いいたしました際の閣僚懇談会の際にも、後ほど大臣からあるいはお話があるかと思いますが、全体的な今御指摘のような建物についての取り組みについての御相談もあったようでございまして、その後私どもも大臣からも指示を受けておるところでございまして、これを受けた後の各省との協調、協力体制あるいは進め方というものを事務的にこれから始めるというような考えております。
#50
○山本正和君 ぜひお願いしたいと思います。
 そして、あわせてこれはこの法案にはかかわりませんが、公立学校が万一の場合にそこにいろんなものを備蓄するとか、避難の受け入れ態勢をつくるとかいうことも文部省でも議論しているようでございますから、その辺も含めて、これは大臣は文部大臣も通産大臣も御経験でございますから、省庁間のすり合わせをぜひお願いしておきたいと思います。
#51
○国務大臣(森喜朗君) この法律を閣議決定いたしました日に、閣議後の閣僚懇談会で私から各閣僚に、今山本委員からお話がありましたように、特に学校でありますとか病院でありますとか、子供たちなどがどうしても入ってくるところを、そうしたことを各所管同士てよく精査をするように、そしてそのことをぜひ国土庁長官に取りまとめてくださいということでお願いをいたしまして、各閣僚とも協力を、ぜひその体制をとりましょうということになっております。
 いろんな面で、まだまだ税制の面あるいは支援措置の面、今いろいろと御議論がございましたように強制力の問題、いろいろございますけれども、まずはとにかく、きょうも九州で地震が起きておりますし、どんな地震がいつ起きるかわからない、この意識を国民全体に持ってもらう。そして、法の枠組みを決めるということがまずプライオリティーとしては高くしなきゃならぬのではないか、このように考えたわけでございます。
 この委員会での審議、いろいろ先生方の御意見を踏まえて建設省としてもさらに一歩内容のあるものにしてまいりたいと、このように考えております。
#52
○山本正和君 そこで、法案には直接関係はないんですが、やっぱり心配なのは、地震が起こったときに川の堤防が壊れたらどうなるかというふうな心配が随分あるわけです。
 私は、自分の地元が長良川河口堰の場所なものだからとりわけ強い関心を持って、もうこの問題が一番最初に起こったときに、実は私は反対運動の先頭に立った。自民党の県会議長をした高木さんも反対運動に懸命だった、けしからぬというので。それから一生懸命勉強して、たまたまと言ったらおかしいんですが、四、五年前ですか、建設委員長についになってしまって、またもう一遍本格的に勉強した。そして、現地にも行きましたし、それから水資源公団ともあるいは建設省河川局ともいろんな話し合いもしたし、地元とも会ったし、反対派の人たちともいろんな話をした。
 そういう中で、私の今日の認識は、実はこの前も視察に行ってきたんですけれども、そうしたら新聞はいろんなことを書くんですよ。アオコが発生したといって、それは河口堰の責任だと書きまくった。それで、新聞社に取材をどこでしたのと聞いたら、いや管理事務所の発表ですというわけです。管理事務所はどういうふうに発表したかといったら、たまたまその日は非常に高温の日で、伊勢湾の真ん中まで赤潮が浮いていたんですね。そして、実は堰をつくった部分のある一部分にちょこっとアオコが出たんです。それをすらあそこの管理事務所は全部公平に皆発表した。こんなに情報公開しているお役所はないんじゃないかと思うくらい、完全に情報公開した。その情報公開した中にアオコと、ちょこっとあった。それを鬼の首をとったみたいにそれ見たことかと、こうくるわけです。シジミが死んだという。シジミも死んでいない、立派に生きているのがたくさんあるのに、その部分は取材しないわけです。
 それはいいんですが、いずれにしても大変なこれは大騒動になりました、マスコミを挙げて。また、反対派の人も一生懸命反対したんですね。その人たちはその人たちの信念があったかもしらぬけれども、私はどうも役所の取り組みが、宣伝が下手とは言わぬけれども、本当に反対派の人に見せて、私は河口堰のあそこの部分を、魚が上がるのをずっと見てきたが、恐らくこれは、先ほど市川議員のお話で日本は何もかもまねしたというけれども、河口堰は世界に誇る最新的な技術を導入して、自然環境にも負けぬような、自然環境を保護するためにも物すごいやつだと私は思っているんです。
 しかし、それにしてはどうも建設省の国民に対するアピールの仕方が、下手とは言わぬにしてもまだまだ足りないんじゃないか、こんなことを思うんですが、河川局長、今後の国民の理解を得るための取り組みについてはどういうふうなお考えですか。
#53
○政府委員(松田芳夫君) 長良川河口堰につきましては、運用前におきまして、調査データ等の情報の公開、それからたび重なる説明会や見学会の開催、あるいは詳細なパンフレットの配付など、国民の皆様方の理解を得るよう最善の努力をしてきたところであります。運用開始後におきましても、環境や防災のモニタリング調査というのを継続して行っておりまして、調査は公開で行い、その結果は逐次公表してきたところであります。今後とも、この方針はいささかも変わることなく続けていくことにしております。
 また、一般の市民からの河口堰に対するさまざまな疑問や質問につきましては、これまでもあらゆる機会を通じてお答えしてきたところでありますが、今後ともこれまでと同様に情報を広く公開しつつ、誠意を持って説明し、引き続き国民の皆様の理解を得るよう最善の努力をしてまいる覚悟ております。
#54
○山本正和君 いずれにしても、大きな事業をするということは国民の理解と納得がなければ大変難しい問題が起こってくる。そして、小さな誤解から本当につまらぬことまで問題が発展するということをこの河口堰の問題はあらわしていると私は思うんです。
 しかし、建設省というこの役所はいやでも応でもやっぱり国づくりというか私は川の問題というのは国を治める問題だと思うんです。治水ですよ、治水に政治の安定がすべてかけられている。中国は常に黄河との闘いですね、自然との。その中でいろいろの歴史がある。日本の国も、これは山が非常に険しく傾斜して平野部が少なくて、水の問題を抜きにしては日本列島の安全はないんですね。ただ、そうかといって川だけの話ではないので、これは森林も守らなければどうにもならないんです。
 それから、やっぱり日本のすばらしい景色また日本人の心というものも全部川と結びついている、私はそう思うので、そういう意味でこれは河口堰に限りませんけれども、公共事業というものを今からやっぱりやっていかなきゃいけない。そして今、先ほどからお話があったように、地震の問題が大変大きく我が国には条件づけられている。そういう中でこれから公共事業をやっていくについて、これは大臣、ひとつ我が国の国づくりという観点から公共事業の進め方についての基本的なお考えをこの際お聞かせいただきたいと思います。
#55
○国務大臣(森喜朗君) 山本委員も建設委員長をなさいましたし、建設行政に極めてお詳しい。私は、どちらかといいますと余り建設委員に今まで衆議院で二十五年間一度もさせてもらえなかった。いや、させてもらえないと言う方がいいのでありまして、建設委員になりたいという希望者はやっぱり衆議院では非常に多うございまして、なかなかさせてもらえないといいますか、できるだけ若い人たちに優先的に建設委員になってもらおうというようなそんな党の方針もございまして、余り勉強する機会がございませんでしたことを大変今、大臣になりましてから慌てふためいておるところでございまして、先ほどからの諸先生方の御意見、また今の山本委員の御質問、いろいろと教えられることが多くございまして大変私自身勉強になる、そう思って感謝をいたしているところでございます。
 改めて専門家の、永田委員長もそうでありますし、専門家の皆様にここで大見えを切るなんというような、そこまで愚かな人間でもございませんが、建設省の皆さんに私は就任のときも申し上げて、とにかく景気回復という大きな下支えをするという役割はあるけれども、国民の税金をまず優先的に公共事業に投資をすることによって日本の国づくりをしていく、そのことにみんな誇りを持ってやろうと。特に、ここまで経済成長をしここまで伸びてきた日本ですから、これからやっぱり質の高い住環境をつくる、あるいは先ほどから議論になっておりますように安全で安心な町づくりをやろう、魅力と活力のある町をつくろう、地域をつくろう、そしてまたゆとりと潤いのあるそういう日本にしよう、こういうことが今の建設省が取り組んでおります大きな三つの柱でございます。
 河口堰につきましても、私の前任者であります野坂大臣がこれまでの経緯あるいは昨年一年間の調査結果、円卓会議での議論、地元自治体等の意見を十分踏まえて治水上しゅんせつを急ぐということで、また利水上必要であるということから本格運用の決定をされたものでございまして、七月六日から全ゲートの操作を開始しているわけでございます。また、その間、特に地元ということで山本委員にも大変な御尽力を賜りましたこと、建設省のみんなも大変感謝をいたしておるところでございます。
 現在、長良川の治水のかなめでございますマウンドと言われております河床の高い部分、このしゅんせつを三カ年で何とか完成をしたい、こういうことで努力をいたしておるところでございます。運用に至るまでの経緯あるいは国民的な関心を踏まえまして、堰運用後の周囲への影響や環境の変化を把握していくために、先ほどお話が出ておりましたようにモニタリング委員会を設置いたしまして、水質や生物を初めとする環境や防災面の諸観測を継続的に実施しておるところであります。
 しゅんせつに伴います塩害を防いで本地域への安定的な淡水補給を行うという河口堰本来の目的を達成させるためにも、今後とも長良川の環境保全には十分配慮しつつ、適正な、今委員からおっしゃいましたようにまさに建設省としてはこれはすべて公開をしながら、国民の皆様にこれだけの関心を持っていただいた事業でございますだけに、また、山本委員の御指摘ございましたように世界に誇る先進的な河口堰の模範になるように、ぜひこれをしっかりと守っていきたい、このように考えております。
 今後ともいろんな意味でのまた御指導を賜りますようにお願い申し上げて、答弁とさせていただきます。ありがとうございました。
#56
○山本正和君 終わります。
#57
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
 初めに、この法案に対する基本的な考えを述べておきたいと思います。
 阪神・淡路大震災では建築物の倒壊による犠牲者が圧倒的に多かったわけですけれども、耐震基準を満たしていない既存の建築物を早急に強化する、そういうことは社会的な要請であり、また急務であると思います。そういう目的を促進するという趣旨に立って私はこの法案に賛成するものです。
 しかし、極めて不十分な点があると思うんです。二つ挙げたいと思うんですが、第一に耐震改修の目標なんですけれども、不特定多数が利用する施設や災害時に重要な役割を果たすべき施設、こういうものについては震度七を目標としていない現行耐震基準に基づく改修では不十分ではないか、そういう点です。もう一つは、耐震改修の促進の手段なんですけれども、強制力のない指導や指示、低利融資による誘導だけでは果たしてどれだけ実行の効果があるか、その問題です。
 私の最初の質問は耐震基準についてなんですけれども、建設省の建築震災調査委員会の報告、中間報告ですけれども、この中に「新耐震設計法に基づく建築基準法改正以降の建築物については倒壊に至るような大きな被害は少ない」、そう書かれているわけですね。先ほど住宅局長からの答弁でもありましたけれども、新耐震設計法はおおむね妥当、そういうふうに言われました。今回の法案も、現行耐震基準の再検討はしないまま新耐震基準を満たす改修を行おうというものだと思うんです。新耐震設計法がおおむね妥当という意味は、大規模地震については人命に被害を及ぼすような倒壊あるいは落階がない、そういう新耐震の目標、そういうことを前提にしているものだと思うんです。
 私は、実は今月の十日、十一日、神戸をずっとこの法案の観点から視察してまいりました。やはり今でも壊れている建物がいろいろありまして、例えば柱や何かが曲がって、あるいは構造壁が割れたりコンクリートが欠け落ちたりしている相当ひどい建物がまだあるわけですね。こういうひどく破壊している建物についてどう見るのかということについて専門家に伺いますと、新耐震でも人命に被害を及ぼす倒壊、落階ではないのでこの程度なら合格だと、そういう返事が返ってきまして、私は非常にその話に驚きました。こういうものが許されるような耐震基準では、国民の生命、健康及び財産の保護を図るという建築基準法第一条の目的に合致しないではないかと思うんです。
 そこで質問なんですけれども、阪神大震災の教訓を生かすためにも、震度七でも国民の常識のレベルで安全が確保される基準にする必要があるのではないか。その点についてお聞きしたいと思います。
#58
○政府委員(梅野捷一郎君) 地震に対しましてどういうことをもって安全であるかということについては、いろんな考え方が当然あり得るわけでございます。私どもが先ほど来御説明申し上げております見解は、今も先生から御指摘ございましたように、現行の基準は、まれにしか起こらない大地震、そういうものに対しては少なくとも人命というものに影響を及ぼさないようにというレベル、そういうことを一つのめどとして耐震のレベルを考えてきておるということでございます。
 これは、当然ながら基準法の場合、一般的な建物全体を通じる話でございますので、そういうものをさらに引き上げた目標、どんな地震が来てもびくともしない、建物自体もびくともしないというような基準を定めるかどうかということについては、経済的な問題とのバランスというものをどうしても考えなければいけないレベルでございます。
 今先生も申されました、今私も申しましたようなそういう基本的な考えに沿って判断するならば、今回の調査委員会の御報告でも言われておりますように、現在の我が国が建築基準法で持っております耐震基準の全体的な組み立て、骨格というものについては大きな問題はないという結論を今のところ持っているわけでございます。
 しかし、建物にはそれぞれいろいろな性格、特色がございます。そういうものにアプライする際にもっと慎重にあるいは丁寧に当てはめるべきいろんな技術的な部分があるわけでございまして、それがよく例示として申し上げておりますようなピロティー形式の建築物というような点でございまして、それらについてはなお技術基準というものは十分再検討をして補強していく必要があるだろうというふうに考えているということでございます。
#59
○緒方靖夫君 たまにしか起こらない地震というそういう考え方じゃなくて、やはりそういう地震が起きたときに人命をもちろん救う、それから国民の財産を救う、そのために最善の準備をするということが大事だと思うんです。
 これは十月四日付の毎日新聞の社説なんですが、「耐震性は本当に大丈夫か」、この中で例には原発を挙げているわけですけれども、やはりこういう疑問を大勢の国民が持っているんです。ですから、やはり根本的には耐震基準を見直していくという方向を、今も若干言われたと思うんですけれどもそういう方向にぜひ考えを進めていっていただきたい、そのことを要望しておきます。
 次に、公共建築物の耐震強化についてなんですけれども、特に問題になるのが被災時の人命救助活動あるいは応急復旧活動で重要な役割を果たさなきゃならない警察、病院、消防署、庁舎、学校、電話局、そういう施設だと思うんです。
 例えば、私いろいろ取り寄せてみたんですが、警察ですけれども兵庫警察署が全壊、あるいは伊丹署の阪急駅前の交番が全壊で、それぞれ一名の警察官が殉職されているんです。あるいは病院でいいますと、長田区の西市民病院を初め全壊の病院が六つにも上っている、そういうことが起こっているわけです。
 ですから、こういうことを考えてみたときに、やはりこういう問題、対策をどうするのかということになるわけです。建設省は省庁、自治体などを対象に独自の耐震基準の有無を調査しているわけですけれども、その結果について述べてください。
#60
○説明員(照井進一君) ただいまお尋ねの調査でございますが、官公庁施設の耐震基準等調査ということで調査を私どもでしております。これは実は今回の阪神・淡路大震災にかんがみまして、従来から私どもが制定しております官庁施設の総合耐震計画標準というのがございます。これを再検討すべきかどうかということで検討の際に参考資料として調査したものでございます。
 この調査の内容でございますが、各省庁それから都道府県等にアンケート調査をやったものでございまして、回答といたしましては百五十機関の回答が寄せられました。その中で、例えば独自の上乗せ基準というようなものを制定しているところは百五十団体のうち一三%ございました。内容につきましては、ほぼ私どもとそれほど変わらないと思いますが、建物の用途に応じまして、例えば一〇%ないしは二〇%を割り増しするというようなことで耐震性能を上げて基準をつくっているというのが大体の概要でございます。
 以上でございます。
#61
○緒方靖夫君 特に耐震基準について対策をとっていないというその数は、そうすると百五十からそれを引けばいいわけですね。
#62
○説明員(照井進一君) そういうことです。
#63
○緒方靖夫君 そうすると、その数というのはこの調査を見ても大体九十三機関、六二%に上ると、そういうふうに理解するわけですけれども、そういう施設、それはどういうところか具体的に挙げていただけますか。
#64
○説明員(照井進一君) 今一三%という数字は申し上げましたけれども、その独自の基準でなくて、例えば建築学会とかもしくは私どもが制定しているような資料を参考にしてその実際の整備に当たっているところもかなりあるように見受けられます。あと、ほとんどそういうことのないところも、六〇%ぐらいは、ちょっと独泊の基準とかまたそれからほかを参考にして運用基準のような形で作業していなくて何もやっていないところがあるかと思います。その辺のそのどこかという詳細についてはちょっと今簡単に資料がないのでございますけれども。
#65
○緒方靖夫君 それは後に出していただけますか。
#66
○説明員(照井進一君) はい。
#67
○緒方靖夫君 お願いします。
 私の方で幾つかの省庁に照会して調べたんですけれども、例えば建築基準法以外に基準がないところ、消防庁がそうなんですね。これは自治省がそういう回答をよこしております。あるいは病院がそうなんです。ですから、地震が起こったときに一番大事なそういうところが何も対策をとっていないと、特に上乗せするような方針をとっていないということなんですね。ですから、私はやはりこの辺は大事な問題と思うんです。
 そこで、お尋ねしたいんですけれども、建設省の官庁施設の総合耐震計画標準は防災拠点として機能する官庁施設についてどういうふうに定めているか、それをお尋ねします。
#68
○説明員(照井進一君) 私どもが制定しております官庁施設の総合耐震計画標準でございますが、これにつきましては、建築基準法の耐震規定によってほとんどのものはそういうことで整備を進めているわけでございます。しかし、災害時の災害対策または避難救護の活動拠点と言われるようなものにつきましてはこれはこの標準に定めまして、重要度係数を割り増ししてそのより高い耐震性能を課すことを目的にしてこの重要度係数を採用している次第でございます。
#69
○緒方靖夫君 結局上乗せしているということですね、標準の基準に対して。
 私、この計画標準を読ませていただきましたけれども、これは昭和六十二年、一九八七年につくられたものですね。こういう必要性がわかっていたわけですけれども、またここで述べられていることが必ずしも十分だと思いませんけれども、しかしそれにしてもこういうことを営繕ではやっているわけです。そのほかのところはやってこなかった、あるいは提起してこなかったということはやはり私は全体として怠慢ではないかと思います。
 そこで、大臣にお尋ねしたいんですけれども、重要な建築物について震度その直下型地震でも機能が喪失しない、そういうことを目標にしていくこと、また、それに見合った改修を要する建物を直ちに洗い出して改修の年次計画を明らかにしそのための特別の財源措置を講ずる、そういう考えについて大臣の考えをお伺いしたいと思います。
#70
○国務大臣(森喜朗君) 先ほども山本委員の御質問の際も御答弁申し上げましたように、まずこの法的な枠組みをとにかくつくるということが緊急の課題だろう、こう考えております。御指摘どおり、いろんな角度から見ましてもまだまだ完全なところにまですべてが完備しているというふうには私ども考えておりません。
 ただ、地震はきょうも九州でありますように、まずは国民全体がこの建築基準というものに認識を持ってもらって、そしてそれぞれの個人の建物、住宅等について十分なる関心をまず持ってもらうこと。
 それから、これは先ほど申し上げましたように、閣僚会議では各大臣に所管のそうした公共建築物について十分にそれを精査してもらいたい、このように申し上げてございまして、国土庁長官の方でそれを取りまとめていただくようにお願いをし、長官からもその取りまとめをしたい、こういうふうに御発言もございました。総理からも強いそういう御要望もございました。
 したがいまして、今ここでそのプログラム、どういう日程でどう進めるかということを申し上げるそれだけのまだ準備ができておりませんけれども、委員の御発言の中にあります御趣旨は十分よく私どもも理解ができますので、この法律をまずおつくりいただきまして、さらに先ほどお話がございましたように支援措置、あるいはまたいわゆる税制面での優遇を八年度の改正にぜひ実現をさせたい、このように思って逐次改善をしていく意味で取り組んでまいりたい、このように考えております。
#71
○緒方靖夫君 非常に大事な問題ですので、政府全体として取り組んでいただきたいと思います。特に、消防庁舎に対してその対策が打たれていないとは本当に驚くべきことだと思うんですね。ですから、よろしくお願いしたいと思います。
 次の問題ですけれども、住宅の耐震強化の問題です。
 阪神・淡路大震災では、参議院の建設委員会調査室の調査にもありますように、あるいはまた先ほど市川先生の方からもお話がありましたように、死因の何と八七・八%が家屋などの倒壊による圧迫死ということになっているんですね。ですから、こういったことを考えてみたときに、特に現地で見たときに、古い木造住宅あるいは木賃住宅がもう軒並み倒れているんです。そこに住んでいるのは高齢者あるいは低所得者が多いわけで、こうした弱い階層が一番犠牲を受けている、これが実態だと思うんです。
 現地で話を聞くと、今回も聞いてきましたけれども、要するにあの木造住宅が倒れなければ、燃えなければあんな犠牲は起こらなかったんだと。これが一番心からの市民の叫びだということを痛感いたしました。
 古い木造住宅の所有者の多くは耐震改修を行う経済力がない、あるいは木賃住宅の所有者も耐震強化のために多額の投資をする、そういうことがなかなかできるものではないという現状があると思うんです。低利融資だけではこうした住宅の耐震強化はほとんど進まないだろうと思います。大地震が起きたときに弱者が一番犠牲になるという構図は、これではいつまでも変わらないと思います。阪神・淡路大震災の犠牲を二度と繰り返さないために、国として従来の枠を超え、あるいは発想を超えて、個人の住宅についても特別に助成する施策を編み出すことがどうしても不可欠だと思います。
 先ほど岩井先生の方から財政支援、補助の必要性の問題についても出されました。国として耐震改修の助成を行うべきだと私は考えるんですけれども、その点を大臣にお伺いしたいと思います。
#72
○国務大臣(森喜朗君) 耐震改修の実施は相当な経済負担になる、こういうことから、特に資力のない方々の建築物の耐震改修を促進するためにはやはり適切な支援措置が必要だと、私もそういうように考えております。
 住宅の耐震改修に対する住宅金融公庫の融資限度額の引き上げを第一次補正予算で措置をいたしました。御承知のように二百四十万から五百二十万と枠を広げております。さらに、この法案によりまして、住宅の耐震改修に対する住宅金融公庫による貸付金利の優遇措置、これも規定をいたしております。
 先ほども御答弁申し上げましたが、税制上の措置としまして、耐震改修を行ったときの所得税等の特別償却制度の創設についても現在これを要望いたしておりまして、八年度の税制改正でぜひ実現を図りたい、こう考えておりますので、ぜひ諸先生方のお力添えも賜りたい、こうお願いを申し上げる次第でございます。
 これらの優遇措置の活用を図りまして、耐震改修の促進に全力を挙げて努力してまいりたいと考えております。
 確かに、財政的な支援措置ということは、これは岩井委員からも、また多くの先生方からもそういうお話がございますが、先ほどからくどくど申し上げて恐縮でございますが、まずは法的な枠組みを決めて、そして国民の皆さんにこれに関心を持ってもらうということが大事かと思います。そして、国民の多くの皆さんから、そうしたことに対するやはり支援措置を進める、あるいは税制の優遇措置をやるべきだという国民的なそういう声を背にしながらさらに改善をしていく努力をしてまいりたい、このように考えております。
#73
○緒方靖夫君 地震が起こったときに国民の命と財産を守るという問題、これは個人任せでいいのか。これがやはり阪神の地震で問われた非常に大きな問題であり、また教訓だと思いますので、やはり私さっき述べました個人の住宅への助成、そのことをぜひ進めていったらと思うんです。
 最後になりますけれども、私どもの調査では、今自治体でこういうことをいろいろ進めているんですね。例えば自治体でいいますと大阪市、それから横浜市、東京の中央区、台東区、練馬区、渋谷区などでこういうことが始まって、東京都ではこの十月から改修の助成も進めるという、そういうことになっているんです。
 私は、これは非常に大事だと思うんです。地震が起こってからでは遅過ぎる、その前に可能な限り万全な耐震対策をとっておけばよかった、これが阪神の被災者たちの声だと思います。今回これを……
#74
○委員長(永田良雄君) 緒方君、割り当て時間を超過いたしておりますので、簡潔にお願いします。
#75
○緒方靖夫君 はい、承知しました。簡潔にいたします。
 こういう犠牲を繰り返さないためにも、国と同じように財政難にある自治体で始めている努力を国がどうしてできないのか、また助成を行う自治体への国の助成は考えられないのか、このことを重ねて大臣にお聞きしたいと思います。
 以上で質問を終わります。
#76
○国務大臣(森喜朗君) 先ほどから申し上げました国民のそうした声の高まりというのは極めて大事だと思いますし、地方の自治体の方もいろんな、今御指摘がございましたような地方自体での考え方を進めておられますことも建設省では十分把握をいたしております。
#77
○委員長(永田良雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 建築物の耐震改修の促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#78
○委員長(永田良雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 片上君から発言を求められておりますので、これを許します。片上君。
#79
○片上公人君 私は、ただいま可決されました建築物の耐震改修の促進に関する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、平成会、日本社会党・護憲民主連合、日本共産党及び新党さきがけの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    建築物の耐震改修の促進に関する法律案
    に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点につ
 いて適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを
 期すべきである。
 一、国及び地方公共団体は、自らが所有する建
  築物の耐震診断及び耐震改修に可能な限り努
  めること。
 二、国及び地方公共団体は、民間の建築物の耐
  震診断及び耐震改修を支援するための助成制
  度の充実・強化を図るよう努めること。
 三、耐震診断及び耐震改修を円滑に推進するた
  め、耐震診断を行う技術者を育成し、その確
  保に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#80
○委員長(永田良雄君) ただいま片上君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#81
○委員長(永田良雄君) 全会一致と認めます。よって、片上君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、森建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。森建設大臣。
#82
○国務大臣(森喜朗君) 建築物の耐震改修の促進に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。
 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
 どうもありがとうございました。
#83
○委員長(永田良雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○委員長(永田良雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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