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1995/11/28 第134回国会 参議院 参議院会議録情報 第134回国会 宗教法人等に関する特別委員会 第4号
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1995/11/28 第134回国会 参議院

参議院会議録情報 第134回国会 宗教法人等に関する特別委員会 第4号

#1
第134回国会 宗教法人等に関する特別委員会 第4号
平成七年十一月二十八日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任
     阿部 幸代君     橋本  敦君
 十一月二十八日
    辞任         補欠選任
     大森 礼子君     益田 洋介君
     峰崎 直樹君     伊藤 基隆君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐々木 満君
    理 事
                尾辻 秀久君
                関根 則之君
                松浦  功君
                白浜 一良君
                平井 卓志君
                渕上 貞雄君
                有働 正治君
    委 員
                上杉 光弘君
                岡部 三郎君
                鎌田 要人君
                久世 公堯君
                倉田 寛之君
                小山 孝雄君
                下稲葉耕吉君
                中島 眞人君
                楢崎 泰昌君
                服部三男雄君
                保坂 三蔵君
                村上 正邦君
                荒木 清寛君
                猪熊 重二君
                魚住裕一郎君
                釘宮  磐君
                直嶋 正行君
                益田 洋介君
                山下 栄一君
                和田 洋子君
                伊藤 基隆君
                齋藤  勁君
                竹村 泰子君
                前川 忠夫君
                峰崎 直樹君
                橋本  敦君
                本岡 昭次君
                国井 正幸君
   国務大臣
       内閣総理大臣   村山 富市君
       通商産業大臣   橋本龍太郎君
       法 務 大 臣  宮澤  弘君
       外 務 大 臣  河野 洋平君
       大 蔵 大 臣  武村 正義君
       文 部 大 臣  島村 宜伸君
       厚 生 大 臣  森井 忠良君
       農林水産大臣   野呂田芳成君
       運 輸 大 臣  平沼 赳夫君
       郵 政 大 臣  井上 一成君
       労 働 大 臣  青木 薪次君
       建 設 大 臣  森  喜朗君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    深谷 隆司君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 野坂 浩賢君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  中山 正暉君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       高木 正明君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  衛藤征士郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       宮崎  勇君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       浦野 烋興君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  大島 理森君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  池端 清一君
   政府委員
       内閣法制局長官  大出 峻郎君
       内閣法制局第二
       部長       秋山  收君
       警察庁長官官房
       総務審議官    山本 博一君
       警察庁生活安全
       局長       中田 恒夫君
       警察庁刑事局長  野田  健君
       警察庁警備局長  杉田 和博君
       総務庁行政管理
       局長       陶山  晧君
       防衛庁参事官   澤  宏紀君
       防衛庁参事官   別府 信宏君
       防衛施設庁建設
       部長       田中 幹雄君
       経済企画庁国民
       生活局長     坂本 導聰君
       法務省民事局長  濱崎 恭生君
       法務省刑事局長  則定  衛君
       公安調査庁長官  杉原 弘泰君
       外務大臣官房長  池田  維君
       外務省総合外交
       政策局長     川島  裕君
       外務省アジア局
       長        加藤 良三君
       外務省北米局長  折田 正樹君
       外務省条約局長  林   暘君
       大蔵省主税局長  薄井 信明君
       大蔵省国際金融
       局長       榊原 英資君
       国税庁次長    若林 勝三君
       文部大臣官房長  佐藤 禎一君
       文部大臣官房総
       務審議官     辻村 哲夫君
       文部省初等中等
       教育局長     井上 孝美君
       文部省高等教育
       局長       吉田  茂君
       文部省学術国際
       局長       林田 英樹君
       文化庁次長    小野 元之君
       農林水産大臣官
       房長       高木 勇樹君
       中小企業庁次長  鴇田 勝彦君
       郵政大臣官房審
       議官       品川 萬里君
       労働大臣官房長  渡邊  信君
       建設大臣官房長  伴   襄君
       建設省住宅局長  梅野捷一郎君
       自治大臣官房総
       務審議官     湊  和夫君
       自治省行政局長  松本 英昭君
       自治省行政局選
       挙部長      谷合 靖夫君
       自治省税務局長  佐野 徹治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青柳  徹君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○宗教法人法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐々木満君) ただいまから宗教法人等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十七日、阿部幸代君が委員を辞任され、その補欠として橋本敦君が選任されました。
 また、本日、大森礼子君が委員を辞任され、その補欠として益田洋介君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(佐々木満君) 宗教法人法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○白浜一良君 私は、きょうまず最初に取り上げたいことは、昨日から参議院におきまして本委員会で総括質疑が始まりまして、きのうの質疑を見ておりまして、特に自民党の皆さんの質疑の中で、いわゆる参考人招致に焦点を当てた質問をされている。それはまあどういう審議をされようと御自由でございますが、私は審議を聞いておりまして、必然性を感じません。必然性を感じません。非常に無理な、意図的な展開があるということを感じるわけでございまして、例えば、きょうは一つだけそのことを例示したいと思います。
 きのう、関根さんが随分SGIの話をされました。そして、いわゆる一九八八年の海外渡航に関する書類を通して言われましたが、私もその書類を見せていただいたんですよ。外務省の便宜供与という問題を取り上げていらっしゃるんですが、ところが、肝心なことを意図的に外しているんですね。大使館の皆さんに何かエージェントみたいなことを頼んでいるというふうな、そういうことを言っているんですが、そういう事実はないんです。
 例えば、ホテルの依頼とか車両の使用、こういうことをしてはいけないと言っているんですよ。私はその書類を見ました。わざわざこの書類の中にも丁寧に「ホテル・車両等の手配については、当方で一切行います。」と、わざわざ誤解を招かないようにこのように明記されているんです。
 同じ書類を持っていながら、この部分をカットして、そういうことがあること自身が便宜供与なんだというような展開をされているわけですよ。だから、(発言する者多し)もう黙っていなさいよ、私が質問しているんだから。あなたの質問が意図的だから私は言っているんです。何言っているんだ。
 だから、総理、きのう使用されたこの書類は一九八八年です。それで、きのうの答弁では、五年以前は資料がないと、こうおっしゃいました。
 そうしたら、外務省に伺いますが、この五年間でそういうホテルを依頼したり車両を依頼したような事実はございますか。はっきり言ってください。
#5
○政府委員(池田維君) お答えを申し上げます。
 昨日、この委員会で御審議がございまして、外務省が行った便宜供与の内容について、過去五年間の実態について至急調べるようにという、そういう御要望がございました。私どもといたしましてはその御要望を踏まえまして、目下鋭意調べている最中でございます。
 したがいまして、結果が判明いたしましてから、ただいまの御質問に対してもお答えを申し上げたいというように考えております。
#6
○白浜一良君 いや、海外に交流で行かれる場合にこういう御案内されているわけですね。少なくともその書類の中には、この五年間ですよ、資料はあるはずですから、ホテルとか車両を頼んだことはありますかと具体的に言っているんです。調べているのはわかりますけれども、このぐらいわかるでしょう、言ってくださいよ。
#7
○政府委員(池田維君) ただいま申し上げましたとおりでございまして、御指摘の御質問につきましても、その点も踏まえまして調べてまいりたいと思います。
#8
○白浜一良君 これ調べて、すべてを公にされたら私はいいと思いますが、ないんです。ないんです。そんなことを依頼された……(「そんなことを聞くなよ」と呼ぶ者あり)いや、あなたが意図的にこういう部分を、わざわざホテルとか車両は要らない、これは当たり前でございますが、丁寧に明記されている。そこを抜いて意図的に、何か特別に便宜供与を受けているような言い方をされるから、私はこの問題をまず冒頭に取り上げたんです。
 だから、昨日のあなたの議論の展開というのは、およそそういう参考人招致なんていうのは必然性に当たらないということを私はまず冒頭に明確に言っておきたいと思います。
 それから次に、今回のこの宗教法人法の改正案につきまして質疑を進めたいと思います。
 私どもの立場は、きょうはテレビ中継を通して国民の皆様がごらんになっているわけでございますから、私は明確に申し上げたいと思うんです。それは、いまだかつてなかった、あってはならないオウム事件のような、ああいう事件が起こってしまったわけでございます。ですから、ああいうテロ行為、いわゆる宗教団体、あってはならない。そのために、こういう再犯防止はどうするか、またそういう再発をどうして防止するかということが国民の一番の関心事なんです。だから、私どももこの点に関しましては全力で取り組んでいくべきだという立場であることは、これは明快なんです。
 ですから、後でいろいろまた述べたいと思いますが、破防法の適用を含めて、やはり厳しい態度でこれは取り組んでいかなきゃならない、こういうことで私どもはまず基本的立場があるわけでございます。
 そして、今回の宗教法人法の改正は、そういう意味ではいかにもオウムのような事件の再発を防止しなきゃならないという建前ではつくられておりますが、しかし実際はオウムのような事件の再発防止には役に立たない、そのための目的ではないんだ。オウム事件がきっかけなんだと総理は何回もおっしゃっております。そうであるならば、合目的に宗教法人というのはどうあるべきか、こういうことであれば、それは幅広く時間をかけてその議論をすべきじゃないかというのが私たちの立場なんです。
 何か十五人の審議会の委員がいらっしゃって七人が反対されている、これ一つ見てもまとまっていない、まとまっていないのになぜ無理してそういう法律をつくられるのかなと。これは国民の皆さんだれが見てもわかることなんです。
 ただ、国民の目から見れば何か宗教法人法を改正すればオウムのような事件の再発防止、再犯防止につながるんじゃないかという、そういう期待を持っていらっしゃるから、それを一緒にされているから改正すべきだという意見が強く出ているわけでございます。しかし……(発言する者あり)黙っていてね、黙っていてね。だから、私は、私どもの基本的立場はそういうことであるということをまず明確に申し上げておきたいと思います。
 そこで、まず取り上げたいのは、政府もこのオウム事件に関してもっと真剣に取り組むべきじゃないか。何かそういう誠意が感じられないという点をまず冒頭にいろいろ指摘したいと思うんです。
 それは、総理も御存じだと思いますが、アメリカの上院でオウムの公聴会が行われましたね。証言リストも含めてすごいレポートが出ているんですよ。これは御存じですか、総理は。
#9
○国務大臣(河野洋平君) アメリカの上院政府活動委員会調査常任小委員会におきまして、化学、生物、核などの大量破壊兵器の拡散に対する懸念から、オウム真理教を一つのケーススタディーとして取り上げるとの趣旨のもとで、オウム真理教のこれまでの活動、あるいは外国での活動などについて調査の結果を報告書として取りまとめた上で、十月三十一日及び十一月一日、二日間にわたって公聴会を開催いたしております。ただし、同委員会において本件についてその後議論がなされたとは承知しておりません。
 ちなみに、そこで報告されました報告書の概要を申し上げた方がよろしければ申し上げますが。
#10
○白浜一良君 いや、いいです。
#11
○国務大臣(河野洋平君) それでは、結論だけ申し上げますが、その報告書の結論は、オウム真理教の脅威は未知である、まだわからない。どのようにしてあれだけの武器と技術を、それもアメリカの情報機関も気がつかないうちに入手したかということに大きな問題を我々は感じておる。今後、アメリカの情報機関の活動、政府諸機関の調整、類似事件への対応の強化、大量破壊兵器関連物資の輸出規制の強化、多国間協力などについて検討を行っていくべきである。これが結論でございました。
#12
○白浜一良君 今そういうものがあったという事実を御報告いただきましたけれども、その中で非常に詳しい調査が出ているんですね。これはどこの部局になるか知りませんが、例えばこういう内容の部分があるんです。「ある筋によると、オウム真理教のメンバーは、彼等の認証を確実のものとするために、複数の地方議員に対して東京都の職員がオウムを認証するよう圧力を掛けさせるためのロビー活動を積極的に行った。」と、これはこのレポートにまとまっているんです。レポートにまとめればこういう表現をされているんですよ。
 これはアメリカですよ。この起こった日本の政府といいますか皆さん方のお立場で、例えばこう指摘されている事実をどの程度認識もし、対応もされているのか、ちょっと伺います。
#13
○国務大臣(深谷隆司君) アメリカ側の調査の方が日本においでになって警察関係にもさまざまな資料の要望をしたようであります。しかし、捜査の過程でございますから、具体的な事柄について、あるいは出してはならない書類については当然のことながらお出しをしておりません。
 私の知っている範囲では、ただいま委員御指摘のその部分まで我々の方から出たということはありません。同時に、あわせて調査員はマスコミ関係その他もろもろを訪ねて調査をしたようでございまして、どこからかそのような話があったのかと推定されます。
#14
○白浜一良君 日本で起こった事件ですよ。それを何か評論家みたいなことを言わんといてくださいよ。それは捜査中だから言えないことはあります。そのぐらいわかっていますよ。だけれども、これだけ国民が不安を覚えた事件です。アメリカはここまで委員会をやって国民に対して公にしているわけですよ。日本じゃ何もないじゃないですか。
 今のお話を伺ったら、公安委員会というんですか自治省の範囲というんですか、そういう範囲でお渡しした資料の範囲の中にはこういう事実がないと、こうおっしゃっているだけですね。それじゃ、こういうふうに指摘されたのは、だれかマスコミの人とかにいろんな調査、聞き取りしてレポートをまとめたことだと、そういうことしかおっしゃっていないでしょう。だけれども、こういう事実があるかないかということは大変大事な問題なんです。
 そういうことに対しても積極的に、まあ言えることと言えないことがあるのはわかります、捜査中だと、必ずこうおっしゃるから。だけれども、そういうことも含めて全容解明に取り組んでいるんだということは言えますか。
#15
○国務大臣(深谷隆司君) アメリカの公聴会で出された問題の資料について、どういうところからという意味での御質問があなたからありましたから、私は淡々とそれにお答えしただけでございます。
 そのこととオウム真理教の捜査に全力を尽くしているという我々の姿勢については直接かかわりはなくて、あなたも御存じのように、わずかな証拠の中で、しかも特別ないわばカルト集団のような宗教集団が証拠隠減等を行っている中で、今日まで着実に一歩一歩解決を求めて警察官が全力を挙げて努力をしてきた。このことはぜひ御理解と御協力を賜る意味でこの際申し上げておきたいと思うのであります。
#16
○白浜一良君 私は、警察の方が頑張っていないとかそんなことを言っているんじゃないんです。全力でやっていらっしゃる。ただ、こういう事実も含めてやっていらっしゃいますかということを聞いただけであって、サボっていらっしゃるとか全力を挙げていないとか、そんなことは私は一つも言っていないですよ。
#17
○国務大臣(深谷隆司君) 言うまでもなく、犯罪捜査は犯罪の要件がある場合に捜査を行うのでございまして、そういう意味ではあらゆる法律に従って厳正適切に捜査を行ってきたと承知しております。
#18
○白浜一良君 何のことかよくわかりません。これは私は国民の皆さんが聞いていて失望すると思いますよ。
 じゃ、もう一つ聞きます。こういうレポートがあるんですよ。
 「教団の資金源に、違法な薬物製造がある。この薬物製造については、後段で詳細な説明があるが、教団は多くの科学に熟知した信者を利用して暴力団向けに違法な薬物の製造を行っており、LSDなどの薬物を売却していた。オウムと暴力団との関係の詳細は未だ不明であるが、密接な関係を保持していたことは疑う余地もない。」と、こういうふうにレポートされておるわけでございますが、この御指摘に対してはどのようにお考えになっていますか。
#19
○国務大臣(深谷隆司君) 具体的な捜査の状況でありますから、刑事局長から答弁させます。
#20
○政府委員(野田健君) オウム真理教が薬物を製造していたということについては間違いないと思っておりますが、それが暴力団の資金源になっているとか、あるいは暴力団と非常に密接な関係があってそういうことをしていたという事実に関しては、現在のところ掌握しておりません。
#21
○白浜一良君 捜査の過程だからいろいろ表現しにくいことがあるのもよくわかるんですけれども、総理、私は率直に思うことがあるんですよ。
 それは、三月二十日ですか、サリン事件が起こって、教団がその犯行に関与したということが立証されるまではなかなか捜査に踏み切ることは難しい、これもよくわかります。ですから、いろんな別件逮捕でいろいろ傍証を固めていかれた、そういうこともよくわかります。
 しかし、非常に国民の目から見てわかりにくいのは、捜査当局の方から国民向けのいわゆるアピールがないんですね。アピールがないから情報がないんです。だから、ああいう上祐なんというのが重宝がられて、彼は教団の中枢メンバーですよ、一方的にアナウンスをテレビとかそういうことを利用してやっている、そういう問題に私は本当にもう少し、確かに捜査というのは秘密主義、それはよくわかりますよ。だけれども、もう一方で国民に対する広報というか、もっと安心できるようなシステムをつくらないと、何となく上祐なんというのが出てぺちゃぺちゃいいことを、もうあることないことぺらペらしゃべって非常に一方的に情宣されている。それで、つかまってしまったら、ああ全部言ったことが間違いだったと。だから、その間国民の意識といいますか不安感といいますか、そういうものを解消する方法が、すべがなかったわけでございます。だから、これは非常に難しい問題かもわかりませんが、こういう大きな犯罪の場合、特にそういう国民に対する広報のあり方というものを、それは捜査の秘密主義というのはよくわかります。だけれども、何かやっぱりアナウンスしなければ国民に対する情報が偏ってしまうということが起こり得ると思うんですよ。また起こり得たわけです、これ。起こったわけです。
 こういうことに関しまして、総理、御感想はございませんか。
#22
○国務大臣(村山富市君) 今、委員からもお話がございましたように、捜査過程においては守るべき秘密は守って、そして捜査に支障のないように配慮しなきゃならぬと。したがって、どこまでその過程で公表をして、そして国民の皆さんに知ってもらう必要があるかというようなことについては適正な立場から行われてきていると思うんです。
 ただ、民放がいろいろ報道することについては、これは言論・報道の自由というものがありますからとやかく言うべきものでもないと思いますが、そういう意味では、そういう民放の報道と関連をしながら、国民に安心をしていただけるような、そして政府なり警察を信頼してほしいというようなことについてきちっとやってきていると私は思います。思いますけれども、おのずからそれは限界があると思いますから、そこらに工夫する必要がある点がもしあるとするならば工夫もしなければならぬと思いますけれども、しかし私はそれなりに捜査に支障のないような範囲内でやるべきことはきちっとやってきているのではないかというふうに思っております。
#23
○白浜一良君 捜査は捜査なんですよ。それを私どうこう言っているんじゃないんです。要するに、警察の方からも、政府と言ってもいいんですが、何か国民向けにPR、広報をしないとわからないんですね。だから、非常に情報が偏ってしまうというか、民放は民放でやられたらいいんです。それを私どうこう言っているんじゃないんです、別に。そういうことも必要じゃないかということを私は申し上げているわけで……(「何を言っているのか全くわからないじゃないか」と呼ぶ者あり)わかりませんか、こんな単純なことが。ああそうですかね。(「めちゃくちゃだ」と呼ぶ者あり)いや、そうじゃないんですよ。要するに、捜査の秘密主義というのがあるけれども、できる範囲で国民の不安を解くためにきちっとした広報をすべきじゃないかということを言っているだけの話なんです。これは当然じゃないですか。
#24
○国務大臣(深谷隆司君) 恐らくオウム真理教の捜査の過程で、国民の皆さんがどうなっているのかといういら立ちがあったということは私どもはよく承知しています。しかし、捜査当局というのは、一々それに対して反論を加えたり説明するような立場ではありませんで、全く陰の力で黙々と捜査を積み重ねて、事件の解明をすることによって国民の正しい御理解をいただくということを考えて努力をしているわけでありまして、そこのところはどうぞ御理解をいただきたいと思うのであります。
 上祐発言について私個人もしばしば怒りを感じましたが、そのことについてそのたびに反論すべき立場ではないと思っております。
#25
○白浜一良君 これ以上議論はやめますが、これだけの大衆社会でございますから、国民に対する広報ということは、いかに警察行政であれ、私は大事であるということだけを言っておきたいと思います。
 それで、次に申し上げたいのは、これは総理にもう一度確認いたしますが、今回の宗教法人法の改正はオウムの再発防止のためじゃないと、たびたびそういう趣旨の発言をされておりますが、今回の法改正の目的をもう一度言っていただけますか。
#26
○国務大臣(村山富市君) 今回の宗教法人法の改正がこれだけ議論をされるようになりましたのは、やはりオウム事件が一つの契機になったということは間違いないと思います。それだけ国民の関心も高まってきているわけですから間違いないと思います。しかし、今度の宗教法人法の改正がオウム事件のようなものを再発防止できるかといえば、これは何らかの形で宗教活動全体を把握するという意味では私はそれなりの役割はあると思います。しかし、この宗教法人法の改正のみによってこうした再発が防止できるかといえば、それだけでは不可能であるというふうに言わざるを得ないと思います。
#27
○白浜一良君 だから、きっかけであると。宗教法人に対するいろいろ関心が高まった、これでいいのかというきっかけになったと、それは私もわかります。
 ところが、この国会の議論をいろいろ見てみますと、ここのところが非常にごっちゃになっているんですよ。何か今回の法改正がオウムの再発防止対策のように、こう思われるような議論の展開というのがたくさんございました。
 ちょっと具体的に申し上げますが、これは参議院の決算委員会の質疑の中で、例えば山梨県の上九一色村でいろいろな法令違反があった、建築基準法違反とかあったと。しかし、県においても、お願いして村から調べに行っても、いやまだ建築中であるとか、これは宗教的行事ですから一切拒否しますと言われたと、こういう例証が一つされている。それから、幾県に及んだにしてもその認証した県以外については手が及ばないんだ、東京都で認証しているから山梨県では手が及ばないんだと、こういうある委員の質問に対して、文部大臣は、「私も先生と全く同じ受けとめ方をいたしております。」と、このようにおっしゃっている。
 だから、この議論の展開を見ましたら、要するに、宗教法人だから、宗教団体だから一切もうあかん、宗教行事に介入するからあかんと言われるからいけないんだとか、それから認証した県以外のところではできないんだ、手が及ばないんだ、だからできなかったんだと、こういう地元の山梨県の問題を取り上げていらっしゃいますが、そのための法改正ですか、これは。
#28
○国務大臣(島村宜伸君) 宗教法人として認証を得ている法人も十八万四千あるわけです。それはいろいろな宗教法人があります。
 ただし、一たび認証いたしますと、今備えつけの書類その他についての閲覧権もありませんし、どういう御活動をなさっているのかわからない。これが実態です。しかも、所轄が一つの地方自治体にあるとしますと、他の自治体に何か活動が行われていることを現実に調べるといってもなかなか困難であります。
 例えば東京都と申しますけれども、宗務関係の担当者は四名と聞いております。こういう人が、例えば山梨である、あるいは静岡である、熊本である、これを全部調べることが可能でありましょうか。それだけを担当している人間ではないということも含めて、御理解をいただきたい。
#29
○白浜一良君 そうじゃないんですよ。
 例えば山梨県で建築基準法違反だと、そういうことがあれば、それは山梨県の職員が調べればいいんじゃないですか。別に東京都の宗務課の職員が調べるんじゃないんです、そんな法令違反を。だから、そこが非常に論理の展開に矛盾があるということを言っているんです。
 だから、要するに、宗教的行事ですから一切拒否しますと言われればだめだというんですね、こういう立場が一つ。それから、県を越えているから手が及ばないんだと。この二つの指摘に対して、文部大臣は、全く同じ受けとめ方をしていますと。
 そうしたら、私は全然関係ないと思うんですよ。宗教的行事だから一切できません、拒否しますと言われる、そのもの自身がおかしいんですよ。今回の法改正をした上でこういうことを言われたら、法改正したことによってこういう教団側の主張を拒否というか無視できるんですか――いや、そういうことなんですよ。まあ言ってください。
#30
○国務大臣(島村宜伸君) どうも私の聞き取り方が悪いのかどうか、ちょっと御質問の趣旨がわかりにくいのですが、例えば建築基準法の問題その他は私の担当ではございません。
 ただし、建築基準法違反であれあるいは医師法違反であれ、そういう個別のことについていわば東京都が云々と、あるいは山梨県なら山梨県が調べればいいとおっしゃいますが、実際問題として、いろんな報道等から得た情報あるいは知識からいたしましても、現実にオウム真理教の活動を、仮に東京都であれ山梨県であれ把握することは極めて困難な状況にあったと私は考えております。
#31
○白浜一良君 把握じゃないんですよ。そういう法令違反があったら早期にどう取り締まるかということが大事なことでございまして、それができなかった理由が、一つは宗教行事と言われたら入れないという理由と、もう一つは認証が東京都だったらそれ以外の他県では手が及ばないんだと、そういうことが理由になりますかと言っているんですよ。
#32
○国務大臣(島村宜伸君) 逆にお伺いいたしますが、白浜議員のお住まいになっている自治体の所轄の団体が東京であれあるいは仙台であれそういう活動を展開されている場合に、果たして限られた職員でそういう調査ができるとお考えでしょうか。
 私は、調査というよりは実態を把握することが可能であるかというのなら言い直しても結構ですが、例えば所轄の問題で言うならば、二つ以上の自治体にまたがる場合は、文部省がこれを所轄するのが常識的だと思いますし、これらは何も文部省の希望や意図でこういう改正案の基礎が組まれたわけではございませんので、あくまで宗教法人審議会の御検討の結果を踏まえてこの改正案ができていることを御理解いただきたいと思います。
#33
○白浜一良君 いや、だから、別に宗務課でこういう法令違反を調べるものじゃないでしょうということを言っているんですよ。例えば上九一色村のサティアンの場合は、少なくとも犯罪立証されたのが、要するに建築基準法違反と大気汚染防止法違反ですか、これは立証されているわけですよ。こういうことは、いわゆるこの法令違反というのはやる気があればできるんですよ、現行法で。
 私の言いたいのは、何でかと言いましたら、今回の法改正の目的の意味も含めて、宗教的行事ですから一切拒否しますと言われればだめなんだ、それから認証した県以外については手が及ばないんだと、そういうことに対してそのとおりだとおっしゃっているから、そうじゃないでしょうと。いろんな法令違反を摘発するのは、現行法だって八十六条を適用すればいいわけです。やる気があればできるんじゃないですかと。そして、今回の法改正でそれをクリアするようなそういう法改正の内容がないじゃないですかということを私は言っているんですよ。
#34
○国務大臣(島村宜伸君) 総理も御答弁なさいましたように、オウム事件がきっかけとなって今回のいわば宗教法人法についての検討をお願いしたことは事実でございますが、しかし今までの例えは宗教法人法でいいのかどうか、これはあなた御自身ももとよりでありますが、このテレビをごらんの国民の皆さんにも御理解いただきたいところでございますが、所轄の問題にしても、情報開示のあり方にしても、活動報告の把握のあり方にしても、この三点に絞って御検討いただいた結果というのは極めて常識的、しかも必要最小限のものと受けとめておるわけで、この法改正に問題があるというならともかく、そのことについて具体的な御指摘をいただきたい。
#35
○白浜一良君 だから、私が言ったでしょう。そういうことを聞いているんじゃないんですよ。私どもの基本的な立場というのは、オウム事件の再発防止、再犯防止、これが一番大事だと。宗教法人法の改正ということであれば、もし必要があれば、要するに時間をかけて多くの方々から意見を聞いてやればいいということを言っているわけで、それが私の基本的立場ですよ。私が今言っているのは、この宗教法人法の改正とオウム事件を関連づけて答弁されている、そういうニュアンスで、だからそこに非常にあいまいでごまかしに近いものがあるということで、私はくどくこれを指摘しているわけでございます。
 だから、山梨県の上九一色村のサティアンの建築基準法違反を取り締まるのは別に東京都の宗務課の職員がやるんじゃないんです。山梨県の職員がきちっとやればいいんです。だから、なぜできないかということで、もうはっきり言いますわ、宗教的行事ですから一切拒否しますと言われれば手が出せない、こういうことしかおっしゃっていないんですよ。こういうことであれば、あなたのおっしゃるとおりそういうことであれば、今回の法改正をしても一緒じゃないですか。宗教的行事だから一切拒否しますと言われれば取り締まりできないんですか。できるんですか、今回の法改正で。そこの議論立てがあいまいだから私は言っているんですよ。
#36
○国務大臣(島村宜伸君) 今回のオウム真理教事件の対策として云々ではなくて、今までのように、一たん認証を与えたら全く事実の把握ができないということの中に、例えば……(発言する者あり)ここは大事なことだからお聞きください。オウム真理教事件もそこに一つの遠因があったと思います。やはり私たちは、継続的に所轄庁としてある程度宗教法人がどういう活動をなさっておられるかということを把握することは必要だと、そのための今回の改正であります。
#37
○白浜一良君 私が申し上げていることとは違うんですよ。今回の法改正は、法改正のそれは文部大臣なりの意義づけはあるでしょう。だけれども、このオウムのような事件が起こってはいけないということとこの法改正がイメージがダブっているから、私はもう少し厳密に議論をしているわけでございまして、そこを法改正の趣旨だけ言われても、これは全然議論がかみ合わない。
 私の言いたいのは、要するに今回の法改正はオウム事件がきっかけ、これはわかります、きっかけのところぐらいはわかります。契機、それはわかります。しかし、国民が期待しているような、オウムのような事件の再発防止につながる法改正ではないということを、そこを私は口を酸っぱくして言っているんです。今回の法改正をやっても決して……(「厳しくやろう」と呼ぶ者あり)だから後でそれは言います、厳しくやるのは。そこのところを私は申し上げたいわけです。
 ちょっとくどくなりますけれども、文部大臣、要するに今回の法改正では、法改正をしました、そうしたらちょっと違反と疑わしき教団がある、そして調べようと思ったけれども、いやうちはもう宗教団体だからだめだ、そういうことを言われた場合、今回の法改正でもう一歩突っ込んでいけるんですか。
#38
○国務大臣(島村宜伸君) 少なくも、宗教法人法には御承知のように収益事業の停止命令とか認証の取り消しとか解散命令の請求とか、法七十九、八十、八十一条、厳しい規定を持ってはおりますけれども、実態的にはそれを把握する手段がない。そういう意味では、今回は宗教法人審議会にお諮りして、そういう疑いがある場合には報告を徴収したりあるいは質問権を行使することができます。そういうことで今までとは違った実態把握ができるというふうには受けとめております。
#39
○白浜一良君 だけれども、我が教団はこんな悪いことをしていますというような報告をするところは全然ないですよ。
 結局、例えば解散命令にしたって何にしても、いろんな犯罪を立証しないとそんなことは証明できないんですよ。だから八十六条があるんですよ。だから、今回の問題はその八十六条をきちっと執行できなかった方に責任があるんじゃないかということを私は言っているわけです。
 じゃ、もうこれは水かけ論だから一つ伺いますが、例えば八九年に坂本弁護士が本当に不幸な事件に見舞われたわけでございます、失践された。これは警察になるんですかね。そのときに、少なくとも坂本さんの御自宅にはあのオウム真理教のプルシャというバッジが落ちていた。このプルシャが落ちていたという一つの事実に対して警察はどの程度捜査されたんですか。
#40
○国務大臣(深谷隆司君) 具体的な質問でありますから、刑事局長から答弁させます。
#41
○政府委員(野田健君) 坂本弁護士一家の事件でありますけれども、平成元年の十一月四日未明に所在がわからなくなったということであります。平成元年十一月十七日に、いわゆる一課事件ということで本格的な捜査本部を設置して広範な捜査を進めた。
 それはなぜかといいますと、弁護士一家、特に弁護士がオウム真理教被害者の会の救援活動に従事して、そのため同教団との間に激しい対立関係があった。あるいは同氏宅に同教団のバッジ、プルシャと言われておりますが、それが残されていたということで、オウム真理教の関与についても初期的段階から視野に入れて捜査を推進してきたという、そういう状況にございます。
#42
○白浜一良君 それはわかるけれども、プルシャが落ちていた、オウム真理教に疑義があるということをどの程度お調べになったんですかということを私は聞いているんですよ。
#43
○政府委員(野田健君) オウム真理教のバッジでありますプルシャが家に残されていた、そのこと一事をもって、オウム真理教が犯行を企てた、あるいは犯行を行ったということについて断定するわけにはまいらぬと思います。
#44
○白浜一良君 それはわかっています。わかっているけれども、家の中にいろんな証拠物件というか、あるかないか捜査されるわけでしょう。そういう意味では、プルシャのバッジがあったということは大きな証拠じゃないですか、その証拠に対してどこまで徹底して調べたのかということを私は聞いているんですよ。
#45
○政府委員(野田健君) プルシャについては十一月八日に差し押さえ、押収の手続になっておりますけれども、その後、教団で製造状況がどれぐらいかとか、あるいは配付状況はどうか、そういうことについて幹部、信者等からの事情聴取等を行っております。
#46
○白浜一良君 幹部から事情聴取したと。でも、これも報道によりますと、プルシャというバッジは最初は物すごく少なかった、ところが、オウムは追及されるから、何かたくさんあるように偽装されたというふうに報道されているわけです。幹部に聴取して、いや、うちではございません、ああそうですかと。もっと厳しく追及して、わからなかったんでしょうかね。
#47
○政府委員(野田健君) オウムのバッジであるプルシャでありますけれども、これは通常オウム真理教の関係者が持っているということだろうと思いますが、坂本弁護士自身も一つ手に入れておられたということがございます。
 その他、バッジを持っていたということで教団の犯行を企てる人間であるというようなことは、とてもそれだけの事実をもっては言えないということでありまして、それぞれ取り調べに当たりましては真剣に行ってきたと思っております。
#48
○白浜一良君 だから、真剣に行ってきて、こういう悲惨な結果になったわけですね。私は何もサボっていらっしゃるとかそういう意味で言うつもりはございません。もっと早期捜査、そういうものが未然にさまざまな不幸を防げるんですよ。
 じゃ、ちょっと角度を変えて聞きます。
 長野県の松本でサリン事件が起こりました。このとき、大臣、警察はどのような捜査並びに対応をされましたか。
#49
○国務大臣(深谷隆司君) 具体的なことは刑事局長から答弁させます。
#50
○政府委員(野田健君) 松本サリン事件につきましては、平成六年六月二十七日の深夜に発生したわけであります。当初、中毒症状があらわれたということで病院に多数運ばれるというような状況があって認知したわけでありますが、翌日早朝に特別捜査本部を設け、懸命な努力をしたということでございます。
#51
○白浜一良君 それはもう少し詳しく言わなだめですよ。
 これも新聞報道によりますと、事件の翌日に自宅を強制捜査しマスコミに個人名を発表する暴挙に出た、マスコミにも当局があれだけ自信を持っていれば犯人に間違いないだろうとそのまま流し続けた、県警は任意の事情聴取という形をとりましたが、実際には容疑者に対する取り調べと同じでした、ポリグラフにかけ自白を強要しました、犯人はおまえだと断定してきました、このように新聞報道されているんですよ。これはどうですか。もっと具体的に言ってくれな困るんです。
#52
○政府委員(野田健君) 河野さんという方が第一通報者でありまして、被害者として御協力をいただいたわけでありますが、河野さん宅あるいはその周辺が犯罪の被害発生現場である。また、犯行に密接に関係ある場所と思われたことから、被疑者不詳ということで捜索差し押さえ許可状及び検証許可状の発行を得まして、河野さん宅及びその周辺の死者が出たお宅その他について捜索、差し押さえ及び検証を実施したわけであります。
 なお、連日のように記者会見が行われておりますけれども、その過程で、河野さんについてはあくまでも被害者あるいは第一通報者ということで事情聴取する旨お話ししているところでございます。
#53
○白浜一良君 私がなぜこの問題を取り上げているかといいますと、これ以上の議論は時間がかかるのでやめますが、間違いだったんですね、河野さんは。これは大変な被害者の立場に立っていらっしゃる。ところが、これは大臣御存じかもわかりませんが、聞いておいてくださいね。
 要するに、県警では遺憾の意を表明された。ところが、謝罪ではないということで県議会で問題になりまして、長野県の県議会で県警の方が謝罪されたわけですね。ところが、河野さん自身は、私は県警から何のアプローチもない、謝罪も受けていない、これは御自身のお言葉なんですが、大臣、この事実に対してどのように思われますか。河野さん自身がそうおっしゃっているんです。
#54
○国務大臣(深谷隆司君) 松本サリン事件の捜査というのはあくまでも法令の許す範囲内で適正に行われたと私どもは承知しています。
 ただいま刑事局長から答弁いたしましたように、記者会見その他においても被疑者であるとか容疑者であるという言葉を使ったことはございませんで、あくまでも第一通報者、そして被害者であると記者会見でも申し述べてまいったわけであります。
 先般の衆議院の委員会でも話が出たのでございますが、報道の問題も含めて、河野さんの疑惑というのがひとり歩きをしてしまった、結果において御迷惑をおかけしてまことに申し訳ないというのが私どもの率直な気持ちであります。そのことは前任者の野中前大臣も表明しているところでありまして、我々の意を御理解いただきたいと思うのであります。
 そしてまた、特異な毒ガスを使うというかつて経験のない事件でありました。私たちは本当に今まで経験のない事件を十分な参考にして、二度とこのようなことを起こさないということによって河野さんに対する御迷惑の償いをしていきたい、そう考えております。
#55
○白浜一良君 大臣、これは先ほど言いましたが、河野さんは野中前大臣がお見舞いに行かれたんですね。これは私も知っています。ところが河野さん自身は、具体的に取り調べたのが県警ですから、県警の皆さんからは県議会では謝罪されたかもしれないけれども、私自身には謝罪していただいていない、そういうふうにおっしゃっているんです。この河野さん、大変不幸な被害者の立場でございますが、こうおっしゃっているという事実に関してどのように受けとめられますか。
#56
○国務大臣(深谷隆司君) 私は、河野さんの今のお気持ちがどういう状態だか判断はできませんが、御迷惑をかけたことは事実でありますから、私は国家公安委員会委員長という立場で申しわけないということを申し上げているわけであります。
#57
○白浜一良君 くどいからやめますが、県警の方にもそういう趣旨のことを言ってあげてください。
 そこで、私が今なぜくどく議論してきたかといいましたら、結局オウムのこの事件というのは、かつてなかったような事件であったとはいえ、また対象が宗教団体であったにせよ、もう少し八十六条に規定されているような厳正な対応をすれば、私はこのような大きな被害にならなかったということを言いたい。そして、今回の法改正がこのような再犯防止に直接つながるものではないということを私は理解をしてもらうために具体的に議論を展開してきたわけでございます。
 そこで、総理、ちょっとお伺いしたいと思いますが、私は初めて選挙権を持ちましたときに、大学生でございましたが、国政選挙で、参議院選挙でございましたが、社会党に投票いたしました。戦後、日本の歴史を考えましたら、大変厳しい冷戦構造の中で社会党の皆さんが果たしてこられた役割というのは大変大きなものがあった、私はそう理解しています。特に平和と人権という観点から申し上げたら、大変厳しいお立場で主張されていたわけでございます。それは承知しております。ところが、冷戦構造が崩壊して新しい時代を迎えたとはいえ、そのような政党の系譜の中に総理もいらっしゃるわけでございます。
 ちょっと宗教問題とは立場は離れますが、沖縄県のいわゆる基地問題、予算委員会で私は総理と議論しました。いろいろ基地縮小の問題、地位協定の問題等、随分やりました。昨日ですか、大田知事から代理署名の勧告拒否の態度が明らかになってこっちに郵送されてくる、こういうふうに報道されておりましたが、いよいよ総理みずからが代理署名しなければならない。社会党の戦後の歴史を見ましたら、私、大変そういう意味では苦渋に満ちた選択だとはそれは理解できます。
 どうですか、ちょっと感想をお聞かせいただけますか。
#58
○国務大臣(村山富市君) 一番最初に選挙権を得て投票されたその投票に社会党に入れていただいたことについて心からお礼を申し上げたいと思います。
 今お話もございましたように、冷戦構造の中ではそれなりに私は社会党の役割はあったと思っておりますし、役割を果たしてきたと思っております。ただ、冷戦構造も崩壊してこういう国際情勢の変化の中で、日米安保条約を堅持し日米安保体制を維持するという前提に立つならば、基地の提供というのは日本に課せられた一つの義務ですから、したがってその条約に基づく義務は果たさなきゃならぬという立場に立っているわけです。これは機関委任事務で今まで市町村長さんやあるいは知事さんに代行してもらっておりましたけれども、一連のいろんな事件があって県民の心情を考えた場合に、知事さんがその代行はできないということになれば、これはやっぱり総理大臣がかわってやらざるを得ないという状況に立っているわけです。
 私は、知事さんに率直に申し上げたんですけれども、もう知事さんに代行をお願いするという気持ちにはなかなかなれません、あなたの立場はよく理解できます、したがって今度は私がその役割をしなきゃならぬと思っております、その立場はお互いに理解をし合えるんじゃないかと思いますというようなお話も申し上げたんです。私は、代行署名をするにしても、お互いに立場というもの、あるいは状況というものを理解し合ってするのと理解がなくてやるのとは大分違うと思いますから、そういう意味の話し合いは十分する必要があると思って、最初に会った日には五時間近くいろんな意味における話し合いもしたわけです。
 私は、これから日米が特別行動委員会というものもつくって話し合いをするわけですけれども、これは一部の新聞で誤報があったと思いますけれども、「基地の整理・統合・縮小」という言葉は明確に入れてありますし、これから議論をする議題の中にも入っているわけです。そういう意味で、沖縄の県民の心情というものも十分踏まえた上で、その期待にこたえ得るような努力というものは精いっぱいやらなきゃならぬというふうに考えて、できるだけそういう話し合いを進めていきたいというふうに思っているわけです。
 基地を提供して、基地を円滑に活用していくためには、この間も申し上げましたように、国民の理解なり、その施設、基地のある周辺住民の理解と協力がなければ円滑な供用はできないということは当然の話なんで、そのためにはそうした方々の心情というものも十分踏まえた上で率直な話し合いをする。率直な話し合いをした上で、お互いに合意を求めて、そして理解をしていただくということが何よりも大事ではないかというふうに思いますから、そういう方針でこれから全力を挙げて取り組みたいというふうに思っているところなんです。
 いろいろな話を聞いてみますと、現地では三者協議会というのがあったんですね。これは軍の責任者と知事と施設庁の局長が出ていくという三者協議会というのがあったけれども、軍からノーと言われたら、もうそれ以上話のしょうがないというので、あるだけであって実際に効き目がない、効果がないというふうなこともありましたし、同時に、それ以上問題の解決をするルールがはっきり決められておらない、だからどこにそうした問題をぶつけていいのかなかなかわからないと、こういうようなこともございましたから、そういう苦情なりあるいは問題の処理をするルールをしっかりつくる必要があるというふうに思いますから、この三者協議会ももう少しお互いに責任が持てるような協議会にするということが一つ。
 それからもう一つは、私はこの間も申し上げましたけれども、戦前、戦中、戦後を通じて受けてきた沖縄県民の心労なりあるいは苦悩というものを国民全体が共有する必要があるという意味では、政府ももっと責任を持って対応する必要があるのではないかというので、沖縄県と政府と協議をする機関を設けて、そして具体的な問題についてお互いに真剣な取り組みをしていこうと。そして、特別行動委員会に反映をして、そこでも具体的に解決していただこう、一年以内に何とか結論を出そうという話でアメリカとも合意ができていますから、これから精いっぱいそういう努力をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
#59
○白浜一良君 えらい長々と答弁いただきまして、きょうはこれが本題じゃないんです。私はもう一つの方を聞きたかったんです。
 人権という面で申し上げましたら、信教の自由というものを護憲という立場から見ましても皆さんは大変大事にしてこられた、そのように私は伺っています。そこで、例えば靖国問題に関しましても、当然でございますが、一貫して公式参拝は違憲だと、こういうお立場でやってこられたわけです。
 ちょっとその関連で伺いたいんですが、要するに、戦前非常に日本が軍国主義化しましたね。その中で国家神道が果たした役割、責任というのは総理はどのように御認識されていますか。
#60
○国務大臣(村山富市君) 戦争中に国家神道を、何といいますか国が法律で決めて、そして制度としてもつくり上げて、他の宗教団体は一切の活動を認めない、こういうやり方はまさに独裁政権のすることであって民主主義にはそぐわないものですし、基本的人権は全く無視されたものだというふうに言わなきゃならぬと思います。
#61
○白浜一良君 そういう反省のもとに戦後のいわゆる宗教法人法、憲法もそうでございますし宗教法人法も制定されたわけで、総理みずから答弁されていますね。憲法二十条、これを根本にしていわゆる宗教法人法という法律ができているんだと、このようにおっしゃっているわけでございますが、そういう意味でいわゆる宗教の持つ現代社会の中における役割というか、そういうものは総理はどのように認識されますか。
#62
○国務大臣(村山富市君) 宗教というのはやっぱり人間個人個人の心の中の問題ですし、どういう信仰を持つかということについては、これはもう自由でそれぞれの人が持つものである、まさに基本的な人権にかかわる問題だというふうに思っておりますから、あくまでも信教の自由というものはそういう意味できちっと保障されなきゃならぬものだというふうに私は受けとめています。
#63
○白浜一良君 一部自民党の幹部の皆さんが宗教というのは民主主義と相入れないんだと、そういう趣旨の発言をされていると報道されておりますが、総理はどうですか、宗教という問題と民主主義。
 今のお話を伺ったら、信教の自由というのは基本的人権であり民主主義の基盤だと、こうおっしゃった。私もそういう認識です。近代・現代史を見ましたら、宗教というのは、きのう議論がございましたように、ああいうカソリックの教会が世俗的権限を支配したそういう時代は別ですよ。しかし、近代、現代においては非常に人間の良心とかヒューマニズムとかそういうものの基盤になっているのもこれまた事実なんで、私はそのように理解しているわけでございますが、いわゆる宗教と民主主義の関係について総理はどのように認識されていますか。
#64
○国務大臣(村山富市君) 宗教と民主主義の関係という意味がよく私にはわからないんだけれども、信仰の自由というものは基本的権利として保障されておる。同時に宗教というものの意味というのは、例えば宗教団体がある、その宗教団体がどういう活動をしているかというようなことについては、これはさまざまあると思います。したがって、そういうものに対する政治家としての意見というものはいろいろ私はあるんではないかというふうに思うんです。
 ただ、信仰の自由、信教の自由というものは基本的人権として保障されなければならぬものですから、その限りにおいては、それが保障されるということは民主主義の基盤になっておるということは、私はそのように理解をしております。
#65
○白浜一良君 もう少し厳密に言いますと、信教の自由といわゆる宗教団体みたいな関係で今ちょっとおっしゃったような気がするんですが、例えば自然崇拝みたいに一人で宗教心を持つ、こういう場合もございます。ところが、多くの方はあるいろんな教えの中で信者として存在されている、いわゆる教団の中で信仰を保たれているわけです。ですから、信仰の自由というのは、要するにそういう教団の中で自由に信仰できるという、それが信教の自由だと私は思うんですよ、単に個人だけじゃないわけで。だから、いわゆる宗教団体にしても、それは結社の自由、宗教団体をつくる自由も当然認められているわけでございます。
 ですから、私が申し上げたいのは、宗教は民主主義と相入れないというようなそういう議論というのはおよそ私はもう見当違いだと思うわけでございますが、総理、もう少し今のところ、さっきちょっと立て分けておっしゃったわけでございますが、今の私の議論に対してコメントください。
#66
○国務大臣(村山富市君) これは宗教団体が団体としてどういう宗教活動をやっているかとか、その宗教団体に属している信者がどういう状況と環境に置かれているかとか、やっぱりさまざま私はあると思います。したがって、具体的に事実関係が明確にならないと一概に言えないと私は思います。思いますけれども、しかし基本的な人権として信教の自由というのはあるわけですから、したがって信ずることも自由ですし信じないことも自由だということの保障というものはきちっとあるべきだ、それが民主主義だと、私はそう思っています。
#67
○白浜一良君 今のお話を伺っていまして、私ちょっと気になることがあるんです。要するに、それはいろんな宗派があって教えがあって団体がある、だからどういう活動をやっているかによって違うんだというようなニュアンスで今受けとめたんですけれども、そういうふうな各宗教団体の活動の内容によって判断されるということですか。
#68
○国務大臣(村山富市君) いや、あなたの質問の中に、一部の政治家にそういう意見があると、こういう話でしたから、そういう宗教団体の活動を客観的に見て、それはそれぞれの政治家の見識で判断をされることですから私がとやかく言うべきではないと、私はそう申し上げたわけです。ですけれども、この基本的人権というのはあくまでも人間個人に課せられておる一つの権利です。したがって、ある宗教を私は信じますということも自由ですし、この宗教は私は信じませんということも本人に課せられた自由だということが民主主義の原則ですと、こう私は申し上げているわけです。
#69
○白浜一良君 なかなか議論が深まらないので、角度を変えて総理に聞きます。
 一部、きのうの議論なんかもそうなんですが、憲法二十条のいわゆる規定の解釈を変えるべきだと。何かきのう盛んに一方通行だ、一方通行だとおっしゃっていましたが、憲法の規定そのものは、あれは両方から規定しているわけでございます。国家の権力が宗教に介入してはならないし、宗教もまた国や地方自治体のそういう統治権に介入してはならないんです。それは両方規定されているわけでございます。ただ、そういう一種の解釈を変えようというか、そういう動きが一部ございますが、そのことに関しましてきのうは総理は従来のいわゆる見解を述べていらっしゃいましたが、しかし一部の自民党の皆さん方の中に解釈を変えようと、そういう動きがございますが、そのことに関しまして総理はどのようにお考えですか。
#70
○国務大臣(村山富市君) これは、絶対というものは私はないと思いますから、したがって憲法解釈について政治家が自分の見識でそれぞれ見解を持つのはこれまた自由ですし、述べることも自由だと思います。ただ、政府としては、昨日も答弁したように、これは統一見解というのがあるわけですから、その統一見解はきちっと踏まえてやるつもりですということを申し上げているわけです。
#71
○白浜一良君 これは総理でも官房長官でもいいんですが、要するに宗教団体に憲法上認められている政治活動の限界に対する統一見解、このように報道もされているし、きのうそういう趣旨の御発言をされました。これをちょっと確認しておきたいんですけれども、これは要するに従来のそういういわゆる二十条の解釈を変えるということなんですか。具体的ないわゆる解釈を変えるということなのか、それとも具体的な活動のそういう水際みたいなものを決めますということなんですか。これはどういうことになるんでしょうか。
#72
○国務大臣(野坂浩賢君) お答えをいたします。
 昨日、関根議員あるいは尾辻議員からもこの憲法の二十条の問題につきまして厳しく質問がございました。
 したがいまして、政治は宗教に介入をしない、宗教団体の政治活動なりそういうものは一体どうなのかというような点が強調されておりまして、一つの見解だろうと思いますけれども、我々は憲法二十条、憲法というものは極めて重大であると。したがいまして、皆さん方の御議論あるいは国の世論、国民の声、こういうものを聞いて、憲法二十条はいかにあるべきかということについて統一見解を出しますが、事は重大でありますので慎重に検討していきたい、こういうふうに考えております。
#73
○白浜一良君 いわゆる憲法解釈の統一見解は今はあるわけですね、あるんですよ。そこを……(「統一見解はないよ」と呼ぶ者あり)統一見解はあるんです。
 それで、その見解を拡大するか是正するかわかりませんが、その見解を検討するということですか。
#74
○国務大臣(野坂浩賢君) 昭和四十五年の佐藤内閣のときに、きのう法制局長官が御答弁していましたような見解は出されておるわけですね。それについていろいろと御意見があるということで、憲法二十条というものの考え方、その基本というものについては十分に御議論をちょうだいしながら、解釈を変えるか基本方針をそのままいくか、憲法二十条というものの重さというものを十分に考えながら対応していきたい。
 したがって、まだ検討中でございますから、明確に申し上げることはできない。(「どうした、この前と違うじゃないか、閣内不統一だよ、これ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#75
○白浜一良君 質問は私がやっているんです。(「蛇が出てきた、本当のことが出てきた」「品格がないやじだな」と呼ぶ者あり)もっと品格のあるやじだったらね。
 私、今の官房長官の答弁ではちょっとわかりにくいんです。
 総理、どうですか。この見解は変えない、総理はそういう答弁をされているわけですが、私はもう一度この見解に対して総理の答弁を求めます。
#76
○国務大臣(野坂浩賢君) 十分に検討して間違いのない統一見解を出します。その出した上で御討論をいただければ結構だと思います。
#77
○白浜一良君 じゃ、総理、これは……(「要らないじゃないか」と呼ぶ者あり)いやいや、大事だから言っているんですよ。変えようということを前提とした議論なのか、変えるか変えないかも含めた議論なのか、どっちなんですか。
#78
○国務大臣(野坂浩賢君) 変えるか変えないかを含めて、両者を含めて十分に慎重に検討するということです。
#79
○白浜一良君 非常に危険なものを感じます。(「論理的に検討することがどうして危険なんだ」と呼ぶ者あり)何言っているんだよ。憲法を恣意的に解釈してはいけないから私は言っているんだ。
 それで、だんだん時間も差し迫ってきましたので、今回の法改正の内容についてちょっと二、三お伺いしたいと思うんです。
 文部大臣、これはよく言われていることでございますが、今回の法改正の中でも、このオウム事件を例にとりましたが、一番大事なことは財産の保全なんですね。その規定が、要するに今回の最も関心の高い、必要性のある財産の保全という規定がないわけですね。この点はなぜですか。
#80
○国務大臣(島村宜伸君) 財産保全措置の問題は宗教法人法の解散命令制度と密接にかかわる問題であり、宗教法人審議会においても解散命令制度のあり方は検討すべき項目の一つに挙げられていたところであります。しかしながら、解散命令制度のあり方は基本的な問題でありまして、検討にはかなりの時間が必要なことから、とりあえず優先的に審議すべき事項としては挙げられず、今回の審議会の報告では触れられていないところであります。
   〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
 今回の改正案は宗教法人審議会の報告を踏まえたものであり、この問題には触れていないものであります。この問題は、他の公益法人との均衡の観点等も踏まえながら、関係省庁とも連携を図りつつ、今後慎重に検討されるべき課題であると考えております。
#81
○白浜一良君 いろいろ御説明されましたけれども、いわゆる時間が足らなかった、それから審議会でテーマにはなっていたけれども詰まらなかったと、そういうことですね。そういう大事なものを欠落してなぜおまとめになるんですか、この改正案を。
#82
○国務大臣(島村宜伸君) 私が承知しているのは、宗教法人審議会では、例えば財産保全の問題もそうですし、認証の問題もございましたけれども、とりあえずの問題としては、認証の問題と情報開示の問題と、そして活動報告の把握のあり方の問題、この三点に絞られて御検討いただいたと、こう承知をいたしております。
#83
○白浜一良君 いや、私が聞いているのは違います。先ほどいろいろ説明をされましたけれども、オウム事件を例にとると、いずれこの財産の問題が出てきて、解散命令したって、確定をするまではもうどんどん財産隠しをされるわけですから、非常に緊急性を要する。そして、非常に大事な問題は、いわゆる財産保全の問題なんですよ。だから、そういうふうなものがまとまらないうちになぜ改正案を、それはいろいろ関係省庁との打ち合わせは必要でしょう。それはよくわかります、そんなことは。だけれども、改正するんでしたら一番大事な内容ではないですかということを言っているわけ。その一番大事なことを欠落してなぜ急いで取りまとめられる必要があるんですかというんですよ、改正を。
#84
○国務大臣(島村宜伸君) ただいまも申し上げたように、この問題は他の公益法人との均衡の観点、あるいは関係省庁とも連携をしながら検討されるべき性質のものでありますから、恐らく宗教法人審議会におかれても、この三点のみで検討課題は終わりとしたのではなくて、とりあえず改正すべき点としてこの三つの点に現在は絞られている、こういうふうに思います。
 したがって、認証の問題も今のままでいいと御判断なさったとは思いませんし、財産保全の問題も可及的速やかに何かの法整備をする必要がある、こうお考えだと私は判断しております。
#85
○白浜一良君 これまた水かけ論になりますからね。私は思うんですが、非常に大事な財産保全の問題は、それは他の公益法人との関係とかいろいろございます。そういうことを欠落しておまとめになったということに非常に疑義を感ずるわけでございます。これは私の主張です。
 それで、逆に言いましたら、これは宗教法人審議会で取りまとめができなかったから先送りになっているんですね。だから、今回の改正案に入っていない、これはそういうことでございますね。
 ところが、逆に宗教法人審議会の取りまとめの内容にないものが今回の法改正案に入れられているわけですね、今回の改正案の中に入っているんです。宗教法人審議会で取りまとめられましたね、報告を。そこに入っていないもので今回の改正案の中に入っているものがあるんですよ、具体的に。これは御存じですか。
#86
○政府委員(小野元之君) 今回の法改正でございますけれども、基本的に宗教法人審議会の報告の内容を尊重して作成したものでございまして、基本的な部分について審議会の報告に入っていないものは今回の法案に盛り込まれていないというふうに考えております。
#87
○白浜一良君 そうおっしゃいますが、例えば立入権ですか、これは審議会の取りまとめの中にはなくて今回の法改正の中に入れられたわけですね。これはなぜですか。
#88
○政府委員(小野元之君) 審議会の報告では、立入検査は行わないということが明確に盛り込まれております。その趣旨は今回の法案にも入っているわけでございます。ただ、質問する場合に相手方の宗教法人の同意を得てそこに入って質問をするということは今回の改正の中に入ってございますけれども、これは立入検査とは違うわけでございまして、質問を行う場合に宗教法人の同意を得てその中で質問させていただくということでございますから、報告の内容と法案が食い違っているということではないというふうに理解をいたしております。
#89
○白浜一良君 あなた、言葉の上ではそうおっしゃいますけれども、同意を得てと言ったって同意がなければどうするんですか。同意がなければ、はい、じゃあきらめますということになるんですか。
#90
○政府委員(小野元之君) 立ち入りをお願いして、それは同意が得られないという場合でございましたならば、立ち入って質問するのではなくて別の場所で質問させていただく、あるいは所轄庁に来ていただくということもあるかもしれませんが、別の場所で質問させていただくということになるわけでございます。
#91
○白浜一良君 じゃ、もう一つ。
 審議会報告でなかったいわゆる報告徴取に応ずる義務、これを過料をもって強制しているんですか。これも審議会報告にはないですね。これはなぜ入れられたんですか。
#92
○政府委員(小野元之君) これは過料、行政罰で現在宗教法人法にもほかの部分について同じような規定についての過料の規定があるわけでございます。
   〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
 したがいまして、特定の事項について収支計算書あるいは財産目録等をお出しいただくという規定を今回設けているわけでございますけれども、この法律の全体の体系の中で、当然のこととしてそういった義務を履行していただけないという場合には過料になるという部分が入るわけでございまして、これは審議会報告の基本を外れたものでは全くないというふうに考えております。
#93
○白浜一良君 これ以上議論はやめますが、いろいろおっしゃっていることに本当に食い違いを感じるわけでございます。
 閲覧請求権に関しまして若干お伺いしたいと思いますが、きのうもいろいろ議論が出ておりました。いわゆる帳簿の閲覧権、ただ商法で言えば非常に限定されておりまして、だれでもできるというものじゃないわけで、発行株の三%以上所有の方に限定されているわけでございますね。ところが、今回の閲覧請求というのは信者並びに利害関係者ならできるということになっておりますが、その信者の概念があいまいだということはきのう議論がございました。
 私はちょっと角度を変えまして、帳簿の閲覧権も当然あるわけでございますが、議事録の閲覧権もあるわけですね、これ。ところが、商法なんかで言いますと取締役会の議事録というのは裁判所の許可を得てしかできない、こういうふうに規定されているわけですね。(「宗教法人法と商法は違うんだよ」と呼ぶ者あり)いいんだよ、質問しているんだから。
 ところが、この議事録の閲覧というのも請求できるということになっているわけでございますが、法務省、どうですか。これは御相談ございましたでしょうか。
#94
○政府委員(濱崎恭生君) この法案につきましては、一般的な形で相談はいただいておりますが、特にその点に限定した個別の相談ということではございません。
#95
○白浜一良君 相談がないということで、これは何か私は非常に問題を感じることがあるんです。例えば、文化庁の方から責任役員会の議事録というのはこういうふうにつくるんですよといういわゆる様式が出ているわけでございます。
 小野さん、こういうものを信者に閲覧させるということですか。
#96
○政府委員(小野元之君) 研修会の資料といたしまして、責任役員会の議事録のひな形といいますか、サンプルのようなものをお示ししているわけでございます。
 今回の閲覧請求は、基本的にはそういったものを参考にしながら宗教法人でおつくりいただいて、そして備えつけられる。この備えつけ書類について、正当な利益があり、かつ不当な目的でない信者その他の利害関係人の方々が閲覧できるということになっているわけでございます。
#97
○白浜一良君 このひな形を見ましたら、例えばだれだれから無利息でお金を借用しとか、何々工務店に工事を依頼するとか、こういう事細かなことが書かれているわけですが、要するにこういうことまで含めて一信者が閲覧できるということですか。
#98
○政府委員(小野元之君) この閲覧請求は、その書類、例えば今お話しございました議事録、この書類を見ることについて、正当な利益があり、かつ不当な目的でない信者その他の利害関係人の方が見られるというものでございます。したがいまして、そもそも財産目録あるいはこういった議事録等、書類を事務所に備えつける義務というのは、基本的にはそれは宗教法人としてきちんと管理運営を行う、その結果を書類としてきちんと残しておく、それを信者その他の利害関係人の便宜のために備えつけるというのが恐らく基本であろうと思うのでございます。
 そういったことも勘案いたしまして、今回の法改正におきましては、一定の信者その他の利害関係人に制限をつけながらも閲覧請求権を認めることで宗教法人の民主性を高める、あるいは透明性を高めるということにねらいを持っておるものでございます。
#99
○白浜一良君 民主性を高めるとか透明性を高めるというのはわかりますよ。しかし、そんな個別具体的なことまで、きのうもあったような定義も不明確なような方が閲覧できるというのは、非常にこれからの、どの宗派も私はそうだと思うんですが、教団運営に混乱が起こるということは私は絶対言えると思いますよ、こういうことは。閲覧できる人も定義が非常に不明確、そしてどんどん本当に教団運営の責任役員会の事細かな議事録までそういう方が介入できる。教団運営の民主性とか透明性、それは大事ですよ。だけれども、それは教団自身が自主的に行うことであって、権利としてそういうことを保障される、法律で保障するなんというようなたぐいのものじゃない、大混乱が起こる、そのことだけ私は申しておきたいと思います。
 最後にもう一つ御質問したいわけでございますが、質問権のことでございます。
 質問権の議論の中で、衆議院も含めました議論の経緯を見ましたら、これは小野さんに答えていただいたらいいです、宗教法人審議会の意見を聞いた上で質問できると、こうなってございますね。宗教法人審議会が、それはもう聞く必要ない、質問する必要ない、こう答えたらどうなんですか。
#100
○政府委員(小野元之君) これは、宗教法人審議会の意見を聞くということにしておりますのは、所轄庁が恣意的にといいますか、そういった権限を行使することに制限をかけるという意味で、慎重を期する意味で審議会にお諮りをするということにしているわけでございます。
 したがって、宗教法人審議会にあらかじめ諮問することをしないで所轄庁がそういったことを質問したり報告徴収をするということは、基本的にはできないというふうに考えております。
#101
○白浜一良君 いや、答えていませんね、小野さん。だから、審議会がこの場合はあかんと言うた場合に質問できますかということを言っているんですよ。
#102
○政府委員(小野元之君) 審議会がこういったことについて聞く必要はない、それは信教の自由を侵害するおそれがあるということで聞く必要がないということであれば、所轄庁としてはその判断は尊重すべきものというふうに考えております。
#103
○白浜一良君 尊重するですか。
 要するに、質問できるかできないかということを私は聞いているわけで、法律の建前としてそれができるんですかできないんですかと言っているんです。
#104
○政府委員(小野元之君) 審議会の判断を尊重すると私が申し上げましたのは、例えばこれ以外のこと、一般論で宗教法人にいろいろお尋ねを仮に所轄庁がした場合、これは法律に基づく権限ではありませんけれども教えていただけませんかと申し上げた場合に、相手方が協力いたしましょうということでお答えいただく場合があるわけでございますから、そういったことはもちろんこの法律の規定にかかわりなくできるわけでございますけれども、この法律の権限として行う七十八条二項の規定に基づく質問なり報告徴収というのは、審議会がそれはやるべきでないという御判断をされたとすれば、その判断を尊重すべきだというお答えをしているわけでございます。
#105
○白浜一良君 尊重するという意味を聞いているんですよ。要するにできるのかできないのか。これは法律のいわゆる建前を言っているんですよ。これを言ってください。尊重するなんというような言葉を言われたらわかりにくいですよ。
#106
○政府委員(小野元之君) 所轄庁としては、審議会に諮問をするわけで、その審議会の御判断が出たわけでございますから、その意見を尊重するというのは、これは一般に各省庁が審議会に諮問してその答申等をいただく、それを尊重するということと同じだと思うのでございます。
#107
○白浜一良君 じゃ私、具体的に言いますよ。
 衆議院の審議であなたはこの質問をされたときに、「規定でもって、宗教法人から質問したり報告を求めるということは法律の権限としてはできません。」、あなたはこうおっしゃっているんですよ。これは議事録ですよ。できませんと言っているんですよ。これは変わらないですか。
#108
○政府委員(小野元之君) 七十八条二項の規定に基づいたいわゆる権限として質問するということはできないということで、御答弁申し上げていることはそのとおりでございます。
#109
○白浜一良君 そこがこの法律の構成が悪いんですよ。
 要するに、この法律では「宗教法人審議会の意見を聞かなければならない。」と、こういうふうに書いてあるんです。審議会の意見に従わなければならないんじゃないんですよ、聞かなければならないと。聞かなければならないというのは、それこそあなたがおっしゃっている尊重すると一緒で、聞くことができないという、あなたがおっしゃったできないということにはならないんですよ。これはどちらが、聞かなければならないというのはできないということじゃないんだ、できるんだと。尊重するだけで何ぼでもできるんだということですか。
#110
○政府委員(小野元之君) 宗教法人が七十九条とか八十条、八十一条に違反している疑いがあるということで諮問する場合でございますから、かなり所轄庁の側も具体的に質問事項あるいは報告を求める事項を限定して審議会にお諮りするわけでございます。
 その場合において、審議会としての判断としてなお、所轄庁はそう言うけれどもこの点については聞く必要はないとか、あるいはこの書類については報告をとる必要がないという具体的な判断が審議会としてなされたということがあった場合に、先ほど来申し上げておりますように、所轄庁としてはその判断を尊重するべき立場にございますし、尊重しなければならないというふうに考えております。
#111
○白浜一良君 もう少し聞いていることを言ってくださいよ。
 だから、法律の建前は「審議会の意見を聞かなければならない。」と。これは要するに尊重せないかぬということでしょう、ただそれだけのことでしょう。「聞かなければならない。」というのは、それは尊重しなきゃならないというのと一緒ですよ。ところが、あなたは衆議院の審議の過程で、「法律の権限としてはできません。」と。こっちが間違っているんでしょう、この言い方が。私はそういう矛盾点を言っているんですよ。
#112
○政府委員(小野元之君) 七十八条の二の規定に基づいて質問をしたりすることはできないというのは先ほどから申し上げているとおりでございます。
 ただ、私は一般論を申し上げているわけでございますが、所轄庁としてこの七十八条の二の規定にかかわりなく、一般論としてこういった点について教えていただけませんかと宗教法人にお願いして、それは結構です、私どもの立場をぜひ御理解ください、説明を聞いてくださいというようなことでお話を聞く場合もあるわけでございます。そういうことはもちろんこの規定にかかわらずできるわけでございますけれども、一応この規定、審議会に必要的諮問事項ということで諮問するわけでございます。それに対して審議会が七十八条の二の規定の発動ということでそれは行うべきではないということであれば、その判断は所轄庁としては尊重するのは当然でございますし、尊重しなければならないものというふうに考えております。
#113
○白浜一良君 あなたの言い方が非常に厳格じゃないから私は言っているんですよ、これ七十八条の二の問題で言っているんだから。
 そこで、法文は、審議会の意見を聞かなきゃならない、できないとしたら意見に従うべきである、こういう規定なんじゃないんですか、法律的に。法制局長官どうですか、法律の建前の問題で。
#114
○政府委員(大出峻郎君) ただいまの御議論は、今度の改正法案の中の七十八条の二第二項に関連しての問題であるわけであります。
 そこでは、要点として、所轄庁は宗教法人審議会の意見を聞かなければならない、こういう規定ぶりになっておるわけであります。このような場合の審議会についてでございますけれども、行政庁は審議会に諮問し、その意見を聞いて行政行為をすべきものとされている場合には、一般にその意見を尊重しなければならない、これは当然のことでありますが、法的な意味で拘束されるものではない、こういう趣旨だと理解をいたしております。
#115
○白浜一良君 だから、小野さん、法的な拘束を持つものじゃないんですよ。だから、あなたが衆議院で答弁された「法律の権限としてはできません。」というのは、これは間違った答弁なんですよ。(「そんなことない、行政庁としてはできないよ」と呼ぶ者あり)いやいや、今法制局長官が言っているんじゃないですか。(「法制局の方がおかしいんだよ」と呼ぶ者あり)いや、どっちか調整してよ、それなら。
#116
○政府委員(大出峻郎君) 先ほど申し上げましたように、七十八条の二の第二項のようなケース、こういう場合におきましては、先ほど申し上げましたように審議会の答申に対して行政庁はその意見を尊重しなければならない、これは当然のことであります。ただ、それでは全く答申どおりに行政庁はやらなければいけないかどうかということでまいりますというと、法的な意味で拘束されるものではないということであります。
 ただ、先ほど文化庁次長の方でお話しなさっていたのは、この七十八条の二の二項とは別の場面といいますか世界において、いわゆる法律的な意味ではなしに、事実上相手の同意があったような場合にはということで、事実関係の問題として話をされているというふうに思います。
#117
○白浜一良君 そんなことはわかる。この規定以外のことで聞いて答えるのはあるんですよ。それはようわかっているんですよ。ただ、この七十八条の二の規定の問題を私は言っているわけです。
 小野さん、もう一遍言ってください。あなたはできない、法律の権限としてはできないとおっしゃっているが、今法制局長官の答えを聞けば、聞かなけりゃならないというのは尊重するという程度の話なんですよ。だから、それをもう一度きちっと聞かせてください。
#118
○政府委員(小野元之君) 法律の解釈権は最終的にはもちろん法制局にあるわけでございますから長官のおっしゃるとおりだと思いますけれども、私の申し上げておりますのは、審議会の意向を無視して、審議会の御判断があったにもかかわらず、法的権限はただ尊重するだけだから尊重しない場合もあるんだと、したがってどんどん審議会の意向を無視していろんなことを、報告を求めたり質問をするというのは私は行政官としていかがなものかと思うものでございますから、その点については基本的にできない、そのことを先ほど来意見を尊重しなければならないということで御答弁申し上げているものでございます。
#119
○白浜一良君 要するに、宗教法人から質問したり報告を求めるということは法律の権限としてはできません、規定でもってと。そのあなたの答弁がおかしいんじゃないですかと、法律の建前からいって。そのことばかりを言っているんですよ。不明確でしたとか、何か言いなさいよ。
#120
○政府委員(小野元之君) 衆議院段階でそのように申し上げている点、確かにそれ以外の詳しい説明をしておりませんので、その点、私の説明が必ずしも十分でなかったと思います。その点は御指摘のとおりだと思いますが、審議会にせっかく諮問をして審議会の意見をお伺いするということでございますから、基本的に審議会の答申を尊重してそれに基づいて対応するということは、そのとおりだというふうに思っております。
#121
○白浜一良君 文部大臣、この議論のやりとり、もうこれ以上は水かけになると思いますが、これは法文の解釈の問題だから、聞かなけりゃならないというのは法制局長官がおっしゃっているような意味なんですよ、この間かなけりゃならないというのは。
 ところが、衆議院の議論の中ではちょっと不明確な言い方をされている。私は遠慮して言っていますが、本当は間違っているんだけれども、少し不明確な言い方をされている。私はそういう指摘をしているわけでございますが、大臣どうですか、どう思われますか。
#122
○国務大臣(島村宜伸君) 今、小野文化庁次長がお答えしたとおりです。
#123
○白浜一良君 これは本当におかしいですよ。同僚議員の時間もございますので私はこれで終わりますけれども、法律の意味、それが非常に不明確である。この改正案そのもの……(発言する者あり)いや答弁からそうなんだよ。だから、そういう改正案であるということを私は御主張申し上げて、私の質問は終わりたいと思います。(拍手)
#124
○魚住裕一郎君 平成会の魚住裕一郎でございます。白浜委員に関連して質問をいたします。
 ただいま白浜委員の質疑の中で憲法二十条の解釈の問題がございました。統一見解を出す出さないというような問題でございますけれども、きのう総理は解釈を変えないとおっしゃった。今、官房長官は変えるか変えないかを含めて慎重に検討しますと、そういうような御答弁でございました。どっちが本当なんですか。総理、御答弁を願います、今の点につきまして。
#125
○国務大臣(村山富市君) 私は内閣総理大臣として、これまでとってきた政府の統一見解、憲法第二十条の解釈については変える意思は持っておりません。
 しかし、これだけ議論があるんですから、その議論も踏まえて勉強をしなきゃならぬということは当然のことだと思います。
#126
○魚住裕一郎君 今、法案の審議をしていますけれども、本来は憲法の解釈はこうなんだ、だから法案はこうなるんだ、まず憲法はこうあるということを決めなければ後先の議論できないじゃないですか。きちっと答弁してくださいよ。
#127
○国務大臣(村山富市君) いや、統一見解を変えるなんということはだれも言っていないんですよ。ですから、この法案を審議する前提として憲法第二十条の解釈は変えません、変える意思はありませんと、こう言っているわけですから。
#128
○魚住裕一郎君 官房長官、今の総理の答弁でよろしいんですか。
#129
○国務大臣(野坂浩賢君) お答えをいたします。
 憲法の二十条には、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」と。これの解釈をめぐっての御意見でございますが、確かにおっしゃるように、総理大臣は四十五年に佐藤内閣の際にお答えになったこの考え方に基づいて変えないとおっしゃった。
 しかし、国会の議論の中でいろいろな議論がたくさん出た。したがって、二十条のこの法律の解釈の問題については、従来の同意と範囲内というものを考えながら、だから今、白浜さんにお答えしたように、変える必要があるのか変える必要がないのかということは、総理大臣の発言も重く見て、また議員の皆さん方の御議論も重要視をして、変えるか変えないかということは、相当の期間がかかるけれども十分に検討して皆さん方に御提示申し上げたい、こう言っておるんです。
#130
○魚住裕一郎君 納得できない答弁です。時間かけて変えるか変えないか検討するというんじゃ、総理が変えないとおっしゃっているのに全然違うじゃないですか。もう一度、官房長官。
#131
○国務大臣(野坂浩賢君) 私は、皆さんの意見を十分に聞いて、変えるか変えないかということについては慎重に討議をしていかなきゃならぬと。総理大臣の意見というものは重く受けとめておりますけれども、内閣としてはどのようにやるかということについて検討します、そういうことでございます。
#132
○魚住裕一郎君 今、総理の意見は慎重に思うけれどもというような言い方でございました。どっちの発言が、意見が重いんですか、村山内閣の中で。総理、御答弁願います。
#133
○国務大臣(村山富市君) いや、これは官房長官も変えるとは言っていないんですよ、変えるとは言っていないんです。
 この法案を審議する前提として、いろいろそれは疑問が出ているわけですから、したがって私は、今の内閣としては憲法第二十条の解釈を変える意思はありません、考えはありませんと。しかし、これだけ意見があるんですから、また憲法学者の意見もいろいろあるでしょう。そういう憲法学者の意見やら何かをこれを契機にして勉強させていただきたいと言っているわけです。
#134
○魚住裕一郎君 それじゃどこに総理のリーダーシップ、指導性があるんですか。私はこういう解釈で考える、そして変えないんだと言っている。それを官房長官は、変えるか変えないかわかりません、皆さんの意見を聞きましょうと。
 だれが一国の総理なんですか。明確じゃありませんね。総理、もう一度答弁を願います。
#135
○国務大臣(村山富市君) ですから、これはもう何度も同じことを言っていますけれども、憲法第二十条の基本的権利、この憲法第二十条の解釈を変える今考えはありません、しかしこれだけ意見もありますし、憲法学者の解釈もあるわけですから、したがってそこらについても意見を十分踏まえて勉強させていただきますと、こう言っておるわけです。
#136
○魚住裕一郎君 貴重な時間でございますので次に進めたいと思っておりますけれども、私の知人で、三月二十日、地下鉄に乗ってサリンを吸ってしまったという方がおります。幸い重症に至らなかったわけでありますけれども、今でも夜寝ていて夢の中でうなされるということがあるわけであります。そのお話を聞いて、本当に悲惨な事件だなと思うわけであります。
 だから、私としては、国民の本当の願いというものは、先ほど来もありましたけれども、オウムのサリンの類似事犯の再発防止、これに真剣に取り組んで、そしてこれをここで議論する、これが私は本筋ではないか、そういうふうに考えるわけであります。政府においてもこのサリン類似事犯の再発防止についてしっかりやってもらいたい、まずこれを一点御要望したいと思います。
 さて、きのうからの議論を聞いていますと、何かオウムから始まって、これは平井委員の言葉でございますけれども、オウムから始まって出口は創価学会だというようなことでやっております。しかも、自民党の委員の質問の中ではもういわゆる学会つぶし、特定宗教教団に対する政治的意図を持ってこの場で質問をしている、そう思わざるを得ないわけであります。
 この参議院も国権の最高機関であります。その一院が権力をもって一宗教団体の問題を取り上げる、これ自体憲政史上一大汚点になる、このように言わざるを得ない、そういう危惧を私は持っております。この前提におきましてこの宗教法人法の問題も議論をしていきたい、これは人権にかかわる大事な問題でございますので。
 さて、法二十五条、今、提出義務とか閲覧が出ておりますけれども、ここでは備えつけ帳簿、こういうのを備えつけなさいよというようなことが規定されております。しかし、これについては提出義務が規定されていない。これは立法のときはどうしてこの提出義務まで及ばなかったのか。法制局長官、御答弁をお願いします。
#137
○政府委員(小野元之君) 昭和二十六年にこの法律ができているわけでございますけれども、その時点ではこういった備えつけ書類を所轄庁に提出する義務を定めていないわけでございます。当時の時点におきましては、こういった備えつけ書類を所轄庁に提出する必要がない、その時点ではそのような判断があったというふうに理解をいたしております。
#138
○魚住裕一郎君 午前中の審議の時間が終わりましたけれども、ただ総理と官房長官の今の憲法二十条の問題はお昼休みを利用してきちっと統一見解を出していただきたい、私はこう思います。
#139
○委員長(佐々木満君) 魚住君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#140
○委員長(佐々木満君) ただいまから宗教法人等に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、宗教法人法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#141
○魚住裕一郎君 午前中に引き続きまして御質問をいたします。
 午前中の最後のところで、憲法二十条の解釈につきまして統一見解を出してもらいたい、こういうお願いをいたしました。午後一時間、時間がありますのでお願いをしたわけでございますが、どうなったでしょうか、官房長官。
#142
○国務大臣(野坂浩賢君) お答えいたします。
 総理からもお話がありましたように、国会の中でいろいろと議論がありますので、私どもは十分勉強して、そして皆さん方に納得のいけるような、総理大臣もおっしゃっておりますから、基本的には総理大臣と認識は一致しておると、こういうふうに考えております。
#143
○魚住裕一郎君 きのうの荒木委員の質疑で、総理は変えないんだと明言されました。しかし、今の御答弁であります。
 国の基本は憲法で定める、そしてその上に各法律がある、そういう構造になっているわけですね。その解釈を変えるか変えないかはこれから検討しますと、そういうようなまだ発言であれば、その上に乗っているというか憲法で授けられた権限としての立法権、その審議をする、これはできはしないじゃないですか。
 委員長、この点、きちっと言ってくださいよ。まず、前提問題からきちっと議論しなきゃできないじゃないですか。委員長、ちゃんと答弁させてください。
#144
○委員長(佐々木満君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#145
○委員長(佐々木満君) 速記を起こして。
#146
○魚住裕一郎君 どうもすっきり私はわからないんです、日本語として。総理は変えないとおっしゃった。官房長官は変えるか変えないかを検討しますと。やっぱりニュアンスが全然違いますね。
 官房長官、もう一度そのところをお願いします。
#147
○国務大臣(野坂浩賢君) お答えをいたします。
 総理とは基本的には認識は一致しております。まずこれが一つ。二つには、いろいろと議論がありますので、その議論も踏まえて勉強させてもらいますと、こういうことです。
#148
○魚住裕一郎君 今の二つ目がよくわからぬのです。総理はもう確定的にきちっと変えないとおっしゃった。ところが、官房長官はこれから勉強しますという感じなわけですね。
#149
○国務大臣(村山富市君) いや、官房長官も総理の見解と同じですと、こう言っているわけです。私は、今日、憲法第二十条の解釈を変える気はありません、考えはありませんと。しかし、これだけ意見がありますし、憲法学者の意見もそれぞれあるわけですから勉強させていただきますと、こう言っておるわけです。
#150
○魚住裕一郎君 まだ全然すっきりしないわけでございますけれども、わからないから聞いているわけでございます。村山内閣の中でもいろんな意見の方がもちろんおられると思いますけれども、この間、十一月二十五日の土曜日の毎日新聞を見てびっくりしたわけでございますが、その中に野呂田農相の発言が出ておりました。
 私は平成会でございますけれども、党所属は新進党でございまして、その新進党について農相の発言が記載されているわけでございます。「新進党についても「特定の宗教にだけ貢献する政党。学会の道具となって政教合致を目標にしている」と非難した。」というようなコメントで記載されているわけでございますけれども、農相はその認識なんですか。
#151
○国務大臣(野呂田芳成君) ただいまの御質問は、去る二十四日、私が根室地区における自民党政経セミナーに呼ばれまして話したものであります。
 その際、私が申し上げたことをきちっと申し上げておきたいと思いますが、我が国の宗教団体で政党を結成しているのは二つあります、一つはオウム教の真理党であり、一つは創価学会の公明党である、そういうふうに申し述べた上で、そしてオウム教はサリンで政権をとり日本を牛耳ろうとした、そして学会は選挙で政権をとろうとしている、手法は違っているけれども政権をとろうとする目的では同じだと、こう言ったのであって、ある新聞の……(発言する者多し)ちょっと黙って聞いてください。ある新聞の記事のとおり、創価学会はオウムと同じだ、そういうことを言った事実は全くありません。私は、手法は違うけれども、政権をとろうとした目的は同じだと言っただけでありまして、創価学会がオウムと同じだとは決して申しておりません。
 それから、今の御質問のとおり、新進党は特定の宗教にだけ貢献する政党だ、こう言ったという御質問についてお答えさせていただきます。
 私がその際申したことは、一つの宗教団体が日本の選挙を牛耳ったらどういうことになるか。こんな団体が政権をとると特定の宗教にだけ貢献する人が、あるいは政党が生まれるわけでありますから、これは国民よりも特定宗教が大事だという政権ができるわけであります。そして、(発言する者あり)聞いていただきたいのでありますが、そこで私は新進党とか創価学会とかという具体的な固有名詞は一切使っておりません。そういう政党ができればそういうことになるという一般論を述べただけであります。
#152
○魚住裕一郎君 この記事は、今、仮定のことで発言したという御答弁でしたね。しかし、この中身は公党に対する侮辱以外の何物でもありませんよ。総理の御認識はどうですか、新進党に対して。
#153
○国務大臣(野呂田芳成君) 私はまじめに事実を述べたわけで、侮辱したつもりは一つもありません。
#154
○魚住裕一郎君 それが事実誤認だからこうやって質問をしているわけであります。
 新進党も、私は入っていて、多くの宗教団体ともおつき合いもある。特定の宗教団体だけではないんです。日本の信教の自由、これを守るために一生懸命やっているわけですよ。これは基本的な人権ですよ。そこをこういうような発言があったらとんでもない発言である。陳謝してくださいよ。
#155
○国務大臣(野呂田芳成君) 私の発言は事実に反しているとは思いませんので、陳謝を……(「オウムと同じだと言った」と呼ぶ者あり)オウムと同じたとは言っておりません。手法は違うけれども、政権をとろうという点では同じだと申しただけでありまして……(発言する者あり)
 それならば申し上げますが、このたびの佐賀の選挙を見ますと、きのう来の各委員の質問にもありますとおり、私も佐賀へ行ってまいりましたが、これはもう創価学会の皆さんと新進党の皆さんとが一体となって我が党の候補者や他党の候補者を落として新進党を当選させようということでやっておるわけでありますから、私はしたがって……(「何が悪いんだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)私は悪いとは申しておりません。ちょっと聞いてください。
#156
○委員長(佐々木満君) 御静粛に願います。
#157
○国務大臣(野呂田芳成君) 私はそのことは悪いとは一切申しておりませんですよ。だから、そういう状態が、一体となって選挙をやっているということを言っただけでありまして、陳謝をする気持ちは一つもありません。
#158
○魚住裕一郎君 全然認識誤認としか言いようがないことを前提にして論評を加えているから、私はこうやって聞いているわけでございます。
 総理、この点についてどういうような御認識を持っておられますか。(発言する者あり)いやいや、大事なことですよ。
#159
○国務大臣(村山富市君) これは野呂田議員が自分の見識で政治家としての見解を述べたのであって、私がコメントする限りではない。
#160
○魚住裕一郎君 いや、任命権者のあなたの御認識はどうなんですかということを聞いているんですよ、私は。
#161
○国務大臣(村山富市君) これは内閣のやっていることに関係があれば別ですよ。政治家が個人として見解を述べたことについて一々コメントをしておったら切りがないですよ。内閣はもちませんよ。
#162
○魚住裕一郎君 だけど、内閣は政治をやっているんでしょう。行政権の行使という形で政治を行っているんじゃないですか。総理の指導のもとでやっているんじゃないですか。だから、私は総理の御認識はどうなんですかということを聞いているわけですよ。
#163
○国務大臣(村山富市君) この信教の自由と同じで言論は自由ですよ。一々政治家として見解を述べたことについて、内閣はこんなことをどうかと言われてみても、これが内閣のつかさどっている仕事の中に関係があれば別ですよ、関係のないことをここで言われても、それは内閣の責任は問われることではないと思いますよ。
#164
○魚住裕一郎君 これ以上押し問答しても時間が、本当に大事な信教の部分でございますので、次の質問をさせていただきたいと思います。
 この宗教法人法二十五条の中で、提出義務というのが今度改正案の中で出てくる。しかし、これは非常に多くの宗教団体あるいは学者の方も心配されておるわけであります。私もそうだなと思います。調べてみますと、昭和二十六年当時の議事録を見ますと、信教の自由、政教分離があるから、備えつけまでは義務づけるけれども、提出とかそこまで踏み込まないんだ、そういうようなことで議事録が書いてありました。私は全くそうだなと。今度はこれを提出させようという、そういう改正案になっているわけですね。
 ここで具体的にお聞きしていきたいと思いますけれども、文部大臣、提出を予定されている例えば財産目録でありますとかあるいは収支計算書、具体的なサンプルでも結構でございますけれども、そういうのをごらんになったことはありますか。
#165
○国務大臣(島村宜伸君) 見たことはあります。
#166
○魚住裕一郎君 私もなかなかわからなかったものですから、資料が何とかないものかと思っておったわけでございます。そうしたら、文化庁文化部宗務課でつくっておられるこの「宗教法人実務研修会資料」というのが手に入りました。
 この中で、財産目録というサンプル例があるわけでございます。財産目録ですから、資産とか負債、そう書いて、特別の財産であるとかそういうことを書くわけですね。その中身として宝物、何々像という記載があるわけなんです。これは、何々像というと、仏像であるとかあるいはキリスト像であるとか、そういうことを書きなさいということになると思うわけでございますけれども、こういうものを提出しなさいと、そういうことを言っているわけですか、文部大臣。
#167
○政府委員(小野元之君) 御指摘ございましたのは、私どもの方で研修会の資料として、一つのサンプルといたしまして財産目録のひな形といいますか、そういったものをお示ししておるわけでございます。その中に宝物何体といったようなものが確かにあるわけでございますけれども、こういったものを提出いただくということになるわけでございます。この宝物につきましては、この宗教法人法上、もしこれを処分するといったような場合には信者等に対してその旨の公告を行わなければいけないということがあるわけでございまして、財産目録については、そういった意味で宝物について区分して記載していただくということが必要だと思うわけでございます。
 ただ、そういったものが入っております財産目録を提出いただくということでございますけれども、この趣旨は宝物がどういったものであるのかといったことを知りたいということではございませんで、宗教法人の財産の状況を全体として把握したい、そういった意味で総体としての財産目録をいただくというものでございます。
 収支計算書等につきましても、当該年度の会計の全体がわかるということで、そういったものをお出しいただくことを今回の法改正でお願いしているところでございます。
#168
○魚住裕一郎君 今、趣旨はそういうことだというふうな答弁でございますけれども、ただ、出すことによって国家が、各宗教団体、宗教法人の信仰の対象といいますか、そういうことが結果的に毎年毎年把握される、そういう結果になるわけですね。
 だから、仏像であるとか本尊であるとかキリストの像であるとか、あるいは神社であれば御神体、こういうものがありますよと、そういうことが毎年毎年結果としてわかるわけですね。これは私ども、信仰対象そのものが報告の対象になる、だから憲法に大問題が生じるのではないか、そういうことで質問をしているわけでございますけれども、この点どうですか、文部大臣。
#169
○国務大臣(島村宜伸君) 今回の改正案の基礎となったこの報告は、宗教法人関係者が十五名中十一名おられて、その道にそれぞれ詳しい方々が十分御検討なさった結果が前提にあることを頭に置いていただきたいと思います。
 そして同時に、要するにこの宗教法人法二十五条二項の財務関係の書類は、宗教法人の個々の具体の活動内容をあらわしたものではなくて、総体としての財務会計の状況を客観的に記載したもの、こういうふうになっているわけであります。
 その意味で、今回の法改正で財務関係の書類の提出を求めるのは、宗教法人がその目的に沿って活動していることを所轄庁が継続的に把握し、宗教法人法の適正な運用を図るためのものであります。このような書類の内容及び法改正の目的に照らして、宗教法人にこの財務関係の書類の提出等を求めても信教の自由の侵害にはつながらない、そう考えます。
#170
○魚住裕一郎君 同じくこの研修会資料の中で収支計算書のサンプルが出ておりますが、その科目の中で細々と書いてあります。例えば収入でありましたら、布施収入であるとかあるいは御供収入あるいは会費の収入。支出項目で言えば、祭典費であるとか儀式費、法要費、礼典費。宗教活動そのものの費用が出てくるわけであります。それを見れば、大体こんな活動をやっているなというふうにわかるわけですね。
 先ほどの財産目録で出てきた宝物、これは信仰対象である。それから、収支計算書に出てくる活動費用。そうしたら、信仰の対象も活動も毎年国の方であるいは所轄庁の方で把握しますよ、ずっと見ていますよと、そういうことになるわけですね。これがやはり憲法二十条の信教の自由を著しく侵害していく結果になるんではないだろうか、そういうことで聞いているわけでございます。
 この財務諸表をつくる段階におきまして、御案内のとおり、いろんな計算書類をつくる場合には明瞭性の原則というのがあります。わかるように書きなさいということであります。例えば家計簿であれば、一カ月締めれば、この一カ月こういう活動をしてきたな、こんな動きでやってきたなというのがわかるわけですね。
 そういうわかるように書きなさいというのが会計基準といいますか会計原則のこのつくるときの基準であるわけでございますけれども、この点が私は憲法上大問題ではないか、そういうふうに思うわけです。つまり、全部国の方で把握してしっかり見ましょう、そういうことですね。これは現行法の、あえて提出義務を課さなかった、この信教の自由に配慮した今までの憲法の議論と全く相反するんではないかと、こう思いますが、いかがですか、文部大臣。
#171
○国務大臣(島村宜伸君) この件は細部にわたりますので、文化庁次長から答弁させます。
#172
○政府委員(小野元之君) 御指摘ございました収支計算書でございますけれども、私どもも研修会資料で様式を示しております。その中で、例えば宗教活動収入あるいは宗教活動支出といったものも出てくるわけでございますけれども、これらの科目についてのそれぞれの記載というのは、収支計算書の性格上、個々具体の宗教活動の中身についてなされるというものではなくて、一会計年度におきます総体としての収支の状況が計数で記載されるというものでございます。
 したがいまして、これらを所轄庁として毎年お出しいただくということでございますけれども、私どもとしては信教の自由の侵害にはもちろん当たらないと思いますし、念のためでございますが、この二十五条の第五項に、所轄庁はこういった収支計算書等の「書類を取り扱う場合においては、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。」という規定も置かれているわけでございます。こういった趣旨からも信教の自由の侵害には当たらないというふうに考えているものでございます。
#173
○魚住裕一郎君 納得できる答弁ではありませんけれども、時間でございますので終わります。(拍手)
#174
○竹村泰子君 宗教法人法の法案審議に入ります前に、二、三お聞きしたいと思います。
 総理、APECのときに首脳会談において金泳三大統領と話し合われました。相次ぐ閣僚の発言に対して厳しい反省が迫られているわけですけれども、歴史の共同研究をというふうなお話で合意されたと報じられておりますけれども、そのあたり、今後どのような具体的な方法が考えられているのか、お考えがありましたらお聞かせください。
#175
○国務大臣(河野洋平君) 日韓首脳会談の前に日韓外相会談がございまして、その外相会談におきまして、私と韓国の孔魯明外務部長官との間で今お話しの問題がございました。
 この問題につきましては、かねてから日韓フォーラムという集まりがございますが、日韓フォーラムから日韓双方に対しまして幾つかの提言が出ておりまして、その提言の中で今お話しの歴史研究についての御提言がございますが、こうしたことをひとつやってみようではないかという話し合いを双方でしたところでございます。この線に沿って、この双方の話し合いに沿って私どもは作業をこれからいたしたい、こういう合意をいたしました。
 首脳会談におきましては、村山総理から外相会談で話し合ったことをしっかりやりましょうと、こういうお話であったと記憶しております。
#176
○竹村泰子君 具体的な方法とかそういうことまではまだいっていなくて、共同の研究を十分進めていきましょうということでございますか。
 それでは、やりましょうやりましょうだけではなかなか進まないですから、ぜひ実現をしていただくために、どうぞ具体的なターゲット、そしてカリキュラムと言うと変ですけれども、きちんと順序立てて具体化していただきたいというふうにお願いをしておきます。
 ついでにと言ってはなんですが、戦後五十年の企画の中で懇談会の設置がされておりますアジア歴史資料センター、この進捗状況、準備の進みぐあいはいかがでございましょうか。
#177
○国務大臣(河野洋平君) ちょっと突然のお尋ねでございまして、至急資料を取り寄せたいと思いますしばらく時間をおかしいただきたいと思います。
#178
○竹村泰子君 突然お尋ねしているわけではなくて、私はちゃんとこれはレクしてございますので、通告してございますので、ぜひ今どんな段階でどんなふうになっているか、おわかりの方、官房長官、わかりますか、教えていただきたいと思います。
#179
○国務大臣(野坂浩賢君) 歴史資料センターの問題は、私どもが担当しなきゃならぬというふうに考えておりますし、現在検討を始めたというところでございまして、確たるものはまだでき上がっておりません。
#180
○竹村泰子君 私がお聞きしましたのは、以前は新聞にもよく書かれておりましたけれども、最近ちょっと鳴りをひそめているかなと、懇談会の様子がですね。ぜひきちんとはかどるようにプッシュしていただきたいということなんです。
 それで、アジア歴史資料センターをどこにつくるかということで、何も東京にのみ考えなくてもいいのでありまして、あるいは東京とどこかに分館ということも考えてもいいのでございまして、一つは特別の歴史を持った沖縄につくる、こういうふうなこともぜひお考えのうちに入れていただきたいと思いますが、総理、どうぞよろしくお願いを申し上げます。これは考えていただきたいという提案でございます。
 それでは、法案に入っていきたいと思いますけれども、オウム真理教による一連の事件、これは国民に衝撃を与えました。宗教法人法制度や宗教活動のあり方が論議を呼ぶこととなったわけであります。私ども日本社会党でも宗教問題対策委員会を設けまして、六月六日から七回の委員会を開き、宗教関係者、学者、そして弁護士などなど、皆様からヒアリング、討議等を行ってまいりました。
 総理、衆議院から参議院とずっと何回ももうお聞きになっておりますけれども、宗教界からは、おおむね戦前、戦中の国家権力による誤った宗教弾圧の歴史をやはりなかなかぬぐい去ることができないで、そして改正案の所轄庁の移管や調査の質問権などが信教の自由を侵すのではないかという懸念から、かなりの反対を表明されていることはもう御存じのとおりだと思います。この審議の状況もじっと国民は見ていてくださる、宗教界も見詰めているというふうに思います。
 また一方、宗教の名をかりて霊感商法とかあるいはマインドコントロールとか、インチキな募金だとか、そして洗脳とか、オウム真理教のテロ行為や殺人集団とまではいかなくても、そういった悪質な団体が数多く存在することもまた私たちの憂慮するところでございます。
 今回、宗教法人法の改正を機会に、宗教について、あるいは信教の自由について、また社会的に許されない多くの問題を持つ宗教団体についても国会で議論できることは、私は大変貴重な機会だというふうに思うわけでございます。災いを転じて幅としたいというふうに思うわけでございます。
 そこで、質問でありますけれども、今回の法改正に至る経緯、そして一部法人に対して所轄庁を文部大臣に変更する理由を、もう何回も繰り返しお尋ねがありましたけれども、改めて文部大臣お願いいたします。
#181
○国務大臣(島村宜伸君) 御高承のとおり、宗教法人法は昭和二十六年制定のものでございまして、社会も大きく変化をし、宗教法人の実態もまた大きく変わったところでございまして、率直に申して時代にそぐわない問題がいろいろ出てきております。そこで、オウム事件をきっかけといたしまして示教法人法を改正すべきと国民の声も非常に高まりましたので、前文部大臣であります与謝野さんから宗教法人審議会に検討を依頼したところであります。その結果、五回の総会、八回の特別委員会で御審議をいただき、その結果を踏まえての報告が九月二十九日に出され、これをもとにして私どもは改正案を作成したところでございます。
#182
○竹村泰子君 そこで、その所轄庁の変更について大臣は、国民の利便、国民の理解、国民の安心、それらを配慮した規定と答弁しておられます。これは衆議院の宗教特別委員会での与謝野委員に対する文部大臣の答弁でございますが、これは今回のオウム真理教のような集団に対して所轄庁が責任ある態度をとりやすくする趣旨と、そう理解してよろしいですか。
#183
○国務大臣(島村宜伸君) 今回の改正がオウム真理教事件をきっかけとしたことは事実でありますが、いわば宗教法人法は宗教法人の規制とか取り締まりのための法律ではございません。そういう意味では、オウム真理教事件の再発を宗教法人法の改正のみによって防止することは困難であります。
 しかしながら、今回の改正によって、万が一オウムのような事件が再び起こった場合には、所轄庁が所要の手続を経た上で宗教法人から報告を求めあるいは質問をすることが可能となりますので、裁判所に解散命令の請求をする等、その責任を現在より適切に果たすことができるようになると思います。そして同時に、継続的に宗教法人の活動をある程度把握できることによって、従前のように全くわからないままにこういう事件につながるということは避け得るのではないか、こう考えております。
#184
○竹村泰子君 国民の安心のためというお言葉をお使いになりましたんですけれども、これは宗教団体一般に対する一種の不信感というか、そういう意味合いがあるようにもとれるわけでありますけれども、この発言に対する大臣の真意は何でございましたか。
#185
○国務大臣(島村宜伸君) ほかの御答弁でも何度も申したことですが、私は信仰というのは非常に大切なものだと考えておりますし、宗教法人で極めてまともなまじめな、しかも社会的にも非常に意義ある活動をなさっている宗教法人をたくさん存じ上げております。
 ただ、十八万四千も認証を受けた法人がおることでありますから、中にはこれが宗教法人と言えるかどうか大変疑義を持たざるを得ない宗教法人の活動もあるわけでございまして、これらについて今度は所轄庁として責任が持ち得る環境に前進ができると、そう考えておるわけであります。
#186
○竹村泰子君 今回の改正は宗教法人に対する監督権限を強化しようとするものではないと私は理解しておりますが、所轄庁が文部大臣になることによって、都道府県知事であった場合と比べて宗教法人に無用の手続というか不便を強いるようなことにならないかどうか、教えていただきたいと思います。
#187
○国務大臣(島村宜伸君) 所轄庁が都道府県知事から文部大臣にかわりましても権限は全く変わりがありません。したがいまして、今回の法改正によって所轄庁が文部大臣となっても監督権の強化につながる、こういうことはございません。
#188
○竹村泰子君 そうしますと、所轄庁がかわってもさほど不便を感じさせることにはならないということですね。
 所轄庁が都道府県知事から文部大臣に移行するまでの事務手続上の流れを教えていただけますか。
#189
○政府委員(小野元之君) 所轄庁、今回の改正によりまして、ほかの都道府県内に境内建物を持っておるという宗教法人につきましては、この法律が公布されますと六カ月以内に現在の所轄庁に対してその旨を申し出ていただく。そしてそれを経由いたしまして、文部大臣としては、現在知事所轄法人であるけれどもほかの都道府県内に境内建物を持っておる法人というのが把握できることになるわけでございます。
 そして、把握できた後、この法律が施行になりまして所轄が具体的に知事から文部大臣に移るわけでございますけれども、もちろんこの段階では再認証といったものは全く必要ございませんし、先ほど大臣からも答弁申し上げましたように、知事所管法人であっても文部大臣所管法人であっても法律の権限関係については全く同一というものでございます。
#190
○竹村泰子君 所轄庁を都道府県知事から文部大臣に変更することによって、例えば、特に数年にわたって収支計算書などが全く出されていない休眠状態であると考えられる宗教法人について、その確認が必要な場合など、これまでの所轄庁との協力体制の整備が必要と考えられますけれども、それについて大臣及び文化庁の御所見を伺いたいと思います。
#191
○政府委員(小野元之君) いわゆる休眠している法人というのがございますと、それを悪用するといったようなこともあって所轄庁としては非常に困るわけでございますけれども、今回の法改正をお認めいただきますと、毎年、財産目録、収支計算書等の財務関係書類をいただくことになるわけでございます。
 仮に休眠していらっしゃるということであれば、そういった書類が出てこないということで、それをなぜ出てこないんですかというお尋ねをして、そしてどこにも関係者がいらっしゃらない、あるいは事実上全く法人の実体がなくなっておる、休眠しておるということがわかるわけでございます。その意味で、今回の法改正によりましては、休眠法人を整理していきますと、そういったことについては大変意義のあることだと思うわけでございます。
 もちろん、休眠法人が確認できました場合に、元の役員でございますとか関係者等に対していろんなお尋ねをした上で、事実上実体がないということで解散命令請求を行うということになるわけでございますけれども、そういった段階では法人との協力体制、法人に協力いただく、あるいは法人の残っていらっしゃる関係者に協力いただくということは大変必要なことだと思いまして、そういう意味でそういった方々の協力を求めながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
#192
○竹村泰子君 宗教法人側からの反対の非常に多くの声を私たちも聞いておりますのですけれども、衆議院ではできなかった参考人や公聴会などで参議院ではじっくりと意見を聞かせていただきたい。私たちは、例えば、霊感商法対策弁護士連絡会の山口広弁護士でありますとか、宗教家でもあります寺内大吉さんでありますとか、そういう方を候補に挙げて参考人、公聴会などのじっくりとした開催を願っているところでございますので、その点どうぞ決意とそれからそういう意見をどう聞いておられるか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#193
○国務大臣(島村宜伸君) これは国会の方でお考えをいただくことでございますので、私の感想は御遠慮申し上げます。
#194
○竹村泰子君 ごめんなさい、言い方が悪くて。私が聞きましたのは、宗教法人やたくさんの宗教団体からのさまざまな意見をどのように聞いておられますでしょうか。
#195
○政府委員(小野元之君) 基本的には宗教法人審議会の委員の方々というのは、ある程度そういった宗教団体の代表的な方々でございます。
 それから、私どもいろんなおつき合いがございまして、宗教法人の方といろいろお話しする場合もあるわけでございますが、そういった段階におきましても宗教法人の方々の御意見をお聞きすることはいたしているわけでございます。また、宗教法人審議会におきましても、宗教法人審議会に代表を送っていらっしゃらない団体、宗教法人等からのヒアリングといいますか御意見をお聞きするという機会も設けたところでございます。
#196
○竹村泰子君 私は文化庁に聞いたんじゃなくて大臣にお聞きしたので、文化庁が答えることはないです。
 大臣にお聞きしたいと思いますが、そのことと同時に、この所轄庁を国に移管することについて、地方分権という観点ではいかがでしょうか。両方あわせてお答え願いたいと思います。
#197
○国務大臣(深谷隆司君) 地方分権問題の御質問でありますから、所管の私からその点についてお答えしたいと思います。
 国家公安委員会委員長として私は上九一色村等の視察も行いました。オウム真理教のいわば、毒ガスをつくったり、人が殺されたり、彼らの重要な拠点が山梨にあって、そこに認証を求めていないで東京都知事が認証している。これはとても難しい話だなと実感をいたしました。
 文部大臣が言われましたように、昭和二十六年の宗教法人法成立の時代と広域性だとかさまざまな点で大きな変化があった。したがって、そういう二つ以上にまたがる境内建物を所有している宗教団体は文部大臣のところで認証をしていく、所轄をかえる、これは当然なことだというふうに理解をいたしました。
 一方、地方分権というのは、御案内のように、地方はそこに住む住民たちの声をじかに聞けるわけでありまして、そこの自主性だとか自立性というものを大事にしていく。今までのように二割行政とか三割行政ではだめなので、地方にもっと権限を与えようという流れでございまして、ことしの五月に地方分権推進法というのができ上がりまして、推進委員会もできて、今どの部分を国がやり、どの部分を地方がやるのかというすみ分けを初め、やがてはそれに伴う予算等の割り振りも決めていかなければならないわけでございます。
 しかし、地方分権といいましても全部の仕事を地方に回すということではありませんで、国がやるべきもの、地方がやるべきもの、きちっとすみ分けするという観点から考えてまいりますと、今度の宗教法人法の法律改正で所轄がかわるということは、私は地方分権の流れに逆行するものではない、そのような理解をいたしております。
#198
○竹村泰子君 じゃ、質問を変えましょう。
 総理にお聞きいたしますけれども、たくさんのいろんな反応が出ておりますが、国家と宗教の適切な関係のあり方に対する御認識、きのうも大分ここで審議されておりましたけれども、いかがでしょうか。国家と宗教は一体どういうふうにあればいいとお考えでしょうか。
#199
○国務大臣(村山富市君) これは、宗教団体を宗教法人法の認証をすることによって、信教の自由、政教分離の原則、先ほど来議論がありますね、そういうものを前提にした宗教団体としての活動に対して物的な基礎を与えていくという意味では、この宗教法人法に基づいて公益的な役割を担った団体として活動していただく必要がある、それを国家としては行政を通じて保障していく、裏づけをしていくというような関係にあると思います。
 ですから、国の行政というのはあくまでも憲法、法律に基づいてやっているわけですから、憲法で保障されていることについては国も責任を持ってそれを裏づけていくというのが当然のことで、国家と宗教の関係はそうあるべきではないかというように私は思っています。
#200
○竹村泰子君 大変大きな国家と宗教なんという問題は、歴史的にもいろいろなことを私たちは、人類はと言った方がいいんでしょうか、体験をしてきた教訓があるわけでありまして、幾ら総理大臣だといっても一言で、それはこうあるべきだなんてぱっと言えるものではないということは十分承知しながらお聞きしたわけでありますけれども、やっぱりお互いに侵すべからざるものを持っている。
 しかし、私がこれから申し上げます、たくさんの例がありまして、時間が許す範囲でどのぐらい御披露できるかわかりませんけれども、きちんと管理しなければならないという問題も多々ございます。それは、もう宗教というよりも違った団体になってしまっているというような場合でありますけれども、そういうことで非常に難しい大きな問題でありまして、私たちここで審議をしているわけですけれども、宗教団体の社会的責任というのも問われると思うわけです。
 私の知っている範囲では、本当にもうオープンにディスクロージャーも全部やってきちんと運営している宗教団体がたくさんございます。けれども、社会的責任を全く持たない宗教団体もたくさんあるわけでありまして、文部大臣、その辺のところをどういうふうに社会的責任についてお感じになっておりますでしょうか。
#201
○国務大臣(島村宜伸君) 私は、まず宗教というのは人の心を安定させる、あるいは精神文化に深くかかわって、現代においても国民の生活に広く定着し、かつ社会の安泰に大変大きな貢献をしている、こういうふうに受けとめております。
 その意味で信仰は極めて大切なものと、そう考えているところでございますが、本来性善説に立った宗教法人法によって認証を得た宗教団体の中にも、そういう性善説を全く裏切る、いわば社会的にむしろ害毒を流すと思われるような活動をしている宗教法人があることもまた指摘されるところでありまして、こういう点について所轄庁としての責任を果たすということから今回の法改正をお願いしている、そういう意味でございます。
#202
○竹村泰子君 それでは、宗教団体が個人の信教の自由を侵してしまっている、オウムとかその他いろいろな宗教でそういう場合があると思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。
#203
○国務大臣(島村宜伸君) 宗教団体といえども法令に従って活動を行わなければならないのは当然のことでありますが、法令に違反する場合には当該法令によって処罰をされることになっていることは宗教法人法八十六条に定めております。したがって、宗教団体が信者の脱会の自由を認めないとか、強制的にお布施を出させるなど、個人の信教の自由を侵害することがあってはならないところであります。その意味では、場合によっては刑法上の問題にもなり得ることがあると思います。また、効能のないことを知りつつ効能があるとして物品を売りづけることなどが法律上許されないことは一般の場合と何ら変わらないものであります。
 私としては、法令や世の中の常識を基礎とした上で、どの宗教団体も良識を持って活動されることを期待する次第であります。
#204
○竹村泰子君 では、少し細かく伺っていきたいと思いますけれども、二十五条に関連して、昨日もこの委員会の中で出ておりましたけれども、信者その他の利害関係人の定義というのがあるんでしょうか。
 それと、正当な利益があり、不当な目的によるものでないと認められる者の定義というのがあるんでしょうか。
#205
○政府委員(小野元之君) 法律上、信者について定義があるわけではございません。信者の定義につきましては、各宗教団体の特性や慣習によりまして個別に判断すべき部分がございます。信者かどうかということは、この委員会でもたびたび御答弁申し上げておりますように、宗教法人が判断するということになるわけでございます。ただ一般的には、信者といいますと、例えば寺院の檀徒、神社の氏子さん、総代、宗教教師、こういった方々を指すというふうに考えております。
 それから利害関係人でございますが、これは宗教法人と法律上の権利義務関係を有する者というふうに理解をいたしているところでございます。
 それから、正当な利益があり、かつ不当な目的でないという部分でございますけれども、正当な利益と申しますのは、そういった当該書類を見せてほしいということについて法律上の正当な利益があるという意味でございますし、不当な目的という点につきましては、これを閲覧させてもらうことによって、そうやって得た情報を第三者に売却しようという場合でございますとか、あるいはそういった情報を知ったことで法人を害しようといったような目的を持っているとか、そういったことが一般的には考えられるというふうに思うものでございます。
#206
○竹村泰子君 だから、こういう人のことを指すというふうな定義はないけれども、しかしそれは宗教団体がきちんと判断をして、そしてディスクロージャーするべきかどうなのかということを決めるというふうに解釈してよろしいですか。
#207
○政府委員(小野元之君) 御指摘のとおりでございます。
#208
○竹村泰子君 あくまでもその宗教団体の自主性というのが尊重されなければならないと私は思うんですね。いい宗教団体と言うと変ですけれども、本来のまともな宗教活動をしている宗教団体ばかりであれば、こういういろいろ余計な心配はしなくてもいいし、団体自治ということでその団体が自発的に申告をし、そしてディスクロージャーをして、求められれば応じていくということであれば一番いいのだと私は思い、早くそういうふうになればいいと思いますけれども、残念ながら今はそうではないということですね。
 この二十五条の五号の議事に関する書類というのは、これはイコール議事録のことでありますか。
#209
○政府委員(小野元之君) 御指摘の二十五条五号の書類、例示いたしますと責任役員会の議事録、そういったものであろうかと思います。
#210
○竹村泰子君 議事に関する書類というこの言葉は、必ずしも議事録とは私はとらなくてもいいような気がするんですけれども、大臣いかがですか。
#211
○政府委員(小野元之君) この第五号の書類でございますけれども、例えば責任役員、あるいは規則で別段の定めがなされれば別の会議があるわけでございますけれども、そういった機関により決められました宗教法人の意思決定の経過、あるいはどういったことを決めたかという決定事項の記録でございまして、そういったものを通常、議事録と言っておりますので、例示すれば議事録ということではないかと思うわけでございます。
#212
○竹村泰子君 そこのところは柔軟でいいわけですね。議事録がないからだめだというふうな切り捨てはしないということですね。
#213
○政府委員(小野元之君) 備えつけをお願いする場合でございまして、もちろん宗教法人が自主的に判断されるわけでございますけれども、宗教法人の意思決定の経過と決定事項がきちんと記録されておればこの五号の書類に当たるというふうに考えております。
#214
○竹村泰子君 わかりました。
 そして、その次の「正当な利益があり、かつ、その閲覧の請求が不当な目的によるものでないと認められる者」というのはどういうものでしょうか。そしてまただれが判断するんでしょうか。
#215
○政府委員(小野元之君) この点につきましても宗教法人が判断されるわけでございますけれども、不当な目的と申しますか、先ほど少し御説明いたしましたけれども、例えば法人が一般に公開していない情報、そういったものを閲覧請求することによって得た情報を第三者に売却しようというような場合でございますとか、それから閲覧して知った情報によって法人を害しよう、法人のためにならないことをしようという目的でそういったものを見せてほしいという申し入れをする場合などが当たると思います。
#216
○竹村泰子君 それから、私はきょうは認証について少しお聞きしたいと思ったんですけれども、これは時間の関係で次に譲りたいと思いますが、オウムの場合、一体どういう認証の手続とどういう認証が行われてオウム真理教は宗教法人となったのか。これは調査をしていただいて、この次の機会に、ぜひ東京都とも相談をしていただいて、どんな経過で、どういう手続でオウム真理教に宗教法人の許可をおろしたのか、これを教えていただきたいとお願いをしておきます。よろしいでしょうか。わかれば教えてください。
#217
○政府委員(小野元之君) お答えを申し上げます。
 オウム真理教でございますが、平成元年の三月一日に東京都知事に対して規則の認証申請書が出されたものでございます。東京都知事はこれを審査の上、認証のための要件を備えているということで八月二十五日に認証したわけでございますけれども、その具体的な経過といたしまして、三月一日付で申請書が出てきたわけでございます。これを都知事は預かったわけでございますが、この宗教団体につきましては申請時に苦情等が寄せられておりました。
 主な苦情としては、家族がオウム真理教に入信したけれども帰ってこない、会いに行ったけれども会えない、あるいは高額のお布施を納めさせられたと、こういったような苦情が寄せられておったわけでございます。
 東京都としては、こういったことについて事実関係の確認の調査等を進めたわけでございますが、申請書については書類上の不備がないということを確認いたしましたので、五月二十五日にこれを受理したわけでございます。
 そして、その後も苦情等に関する事実関係の調査あるいは確認、それから規則が認証の法的要件に該当しているかどうか、これは十四条の規定があるわけでございますけれども、当該団体が宗教団体であること等々について審査を行ったわけでございます。しかし、法令違反等の事実が確認できなかった。規則認証の要件を満たしているというふうに判断をいたしまして、八月二十五日に規則を認証したというところでございます。
#218
○竹村泰子君 そういう手続上の経過をお聞きしているんじゃなくて、オウム真理教のような宗教がなぜ宗教法人として認められてしまったのか。ほかにもありますよ、たくさん。そこを私は、どういう審議の網をくぐってくるのかということをお聞きしたかったので、それは多分文化庁は今は答えられないと思いますから、十分調査して答えてください。
 答えられますか。短く答えてください。
#219
○委員長(佐々木満君) 答弁は簡潔にお願いします。
#220
○政府委員(小野元之君) この十四条一項で宗教法人の認証についての要件が書いてあるわけでございます。
 一つは当該団体が宗教団体であること、これが一つございます。宗教団体であるかどうかについて東京都もオウム真理教についてはいろいろ確認をさせていただいたというふうに聞いております。それから二つ目の要件は、当該規則が宗教法人法その他の法令の規定に合っているかどうか、この点でございます。それから三つ目は、当該設立の手続が宗教法人法十二条の規定に従ってきちんとなされているかどうか。
 この三つの要件、これらすべてを備えているかどうかについて東京都としては慎重な審査をしたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、いろんな苦情等が寄せられておったわけでございますけれども、最終的には規則認証の要件を満たしておるということで認証したものでございます。
#221
○竹村泰子君 だから、これからもオウム真理教のようなそういう宗教法人が出てくるかもしれないわけですよ。私たちは、二度と再びこのような問題を宗教団体が起こしてはいけない、どの集団も起こしてはいけないと思うわけで、それで聞いているんです。何か取っかかりがあればその宗教団体は認証してはいけないんだということができるんだろうか。これは、ここのところ審議しております宗教法人法の中では、恐らく私はこの宗教団体は認証してはいけないんだというふうなことはきちんとできないと思います。
 ですから、後で申し上げようと思いましたけれども、今後こういう宗教団体に関する、あるいは悪質な宗教に関する調査会なり委員会なりがきちんと把握できるような、そして認証すべきでないものに対してはどういうふうに私たちが防衛すればいいのかということを考えていかなければならないというふうに思うわけでございます。
 オウムの問題もさることながら、全国霊感商法対策弁護士連絡会というのがありまして、これは統一教会が主ですけれども、霊感商法に対応しておられる弁護士たちがこの弁護士連絡会をつくっておられまして、七月に村山富市総理大臣初め文部大臣、東京都知事、法務大臣、自治大臣、大蔵大臣、外務大臣に対して要望をしておられるんですね。その要望のことを私は各大臣にお聞きしたいというふうに思います。
 つまり、こういう霊感商法のようなことを、あるいはインチキな募金とかそういうことをやっている宗教、このことが、これをきちんと取り締まることができなかったからオウムのようなことが起きてきたのではないかと思いますので、まず文部大臣、お聞きしたいと思います。
 これは、ちょうどことしの七月というのはあの有名な合同結婚式が韓国で行われたときでありまして、その合同結婚式についてこの連絡会の皆さんが要望書を出しておられるわけでございます。
 この結婚式が準備中であるけれども、参加者一人について参加費として三十万円及び感謝献金と称する百四十万円などの支払いを指示している。これは一万人行けば一万人が持っていくわけであります。そして、この合同結婚式の参加者に対して極秘裏に、社会通念上の婚姻意思の形成がなされていないにもかかわらず、婚姻届の提出が家族にも相談せず出されている。
 こういうふうな実体のない届け出、これまでに行われた合同結婚式によりますと、日本人の信者が外国人男性と強制的に結婚をさせられる、こういうことも起きているわけでございまして、法令に違反して著しく公共の福祉を侵害し、しかも宗教団体の目的を著しく逸脱した組織活動であると広くみんなが思いながら、なかなか国会でも議論の場がなかったというふうなこの問題につきまして文部大臣に対して要望が出ておりますが、いかがでしょうか。
#222
○国務大臣(島村宜伸君) 御指摘のとおり、私は人道上も、また今回のその費用の負担においてもまことに法外であると常識的に考えますので、非常に困ったことだと、そう受けとめております。
#223
○竹村泰子君 困ったことだとだけでは困るのでして、これは合同結婚式を中止させよとか、是正させよとか、そういうことはなかなか難しいとしても、これは日本の国民ですからね、花嫁として行かされているのは。そういう意味において、私たちはこのことをもっと問題としなければならないと思うんです。
 それでは、法務大臣と自治大臣にお伺いいたしますが、この資金獲得活動の中には恐喝罪、詐欺罪に該当する事案が多く認められると。これは弁護士連絡会が駆け込まれ、持ち込まれた一つ一つの事案についてそう言っているわけでありまして、この幹部の指示による婚姻届の提出は公正証書の不実記載などに関するものというふうに思われますけれども、その辺はどうお考えになりますでしょうか。
#224
○国務大臣(宮澤弘君) ただいま統一教会に関連をいたしまして、幾つかの具体的な犯罪の疑惑と申しますか、これについて御質問がございました。
 個々具体的な事案につきまして、それについて犯罪が成立するかどうかということは、これは捜査機関が収集した証拠に基づいて個別的、具体的に判断をするものでございますので、今ここで法務当局として一括して御答弁を申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、一般論といたしましては、検察は刑事事件として取り上げるべきものがあれば、警察当局側とも密接な連絡のもとに適時適正に対処しているものと思っております。
#225
○国務大臣(深谷隆司君) 警察といたしましては、いかなる団体であろうとも犯罪の容疑がございますれば法に照らして適切に対応してまいるというのは当然のことでございます。
 具体的な例につきましては、生活安全局長がおりますから答弁させたいと思います。
#226
○政府委員(中田恒夫君) お答え申し上げます。
 基本的にはただいま大臣からお答えしたとおりでございますけれども、私どもといたしましても、人をだましたりあるいは人の弱みにつけ込むような悪質な商法に対しましては、内容に即してあらゆる法令を適用して厳正な取り締まりを行っておるところでございます。
 例に挙げられましたいわゆる霊感商法等でございますが、これにつきましても他の悪質商法と同様に、違法行為がありますれば厳正に取り締まりを行っておるところでございまして、今までに詐欺罪でございますとか恐喝罪、訪問販売法違反あるいは薬事法違反というようなことで法令を適用して検挙してまいったところでございます。
 ただいま御指摘もございましたので、今後ともさらにまた実態を見きわめまして、法に触れるところがございましたら各種の法令を適用して厳正に対処してまいりたいと思います。
#227
○国務大臣(島村宜伸君) ちょっと御説明に不足がございましたので、補足をさせていただきます。
 御高承のとおり、世界基督教統一神霊協会、いわゆる統一教会は東京都知事が所轄する単立の宗教法人でございます。
 それで、この弁護士連絡会から出された要望書に対しまして、所轄庁の東京都は要望書を統一教会に送付するとともに、統一教会の方に任意で来庁を願い、宗教法人としての公共性及び社会的存在の認識を持つことなどを要請したところと承知しております。
 なお、東京都は宗教法人に宗教法人法上の違反があった場合には法に照らし適正に対処する考えであるが、統一教会については宗教法人法上の違反の事実は確認していないと、こう聞いているところであります。
#228
○竹村泰子君 この合同結婚式のようなものを催して、そして莫大な現金を外国に組織的に搬出する疑いがある。これは、外為法などに違反するおそれはないのでしょうか。大蔵大臣、どうお考えになりますか。
#229
○政府委員(榊原英資君) 一般論として申し上げますけれども、外国への本邦通貨の持ち出しについては、外為法十八条で五百万円を超えるものについては大蔵大臣の許可を必要としております。
 なお、外国通貨の持ち出しについては自由でございます。
#230
○竹村泰子君 私は、統一教会につきましては、非常に被害が大きいものでありますので、きちんと折を見て私たちが問題として取り上げていかなければならないというふうに思います。
 オウム真理教のようなテロ集団、武器、兵器それから殺人とか、そういうことこそまだなかったけれども、特にきょうは触れられませんが、子供たち、未成年者を一方的に信教の自由を侵して連れ込んでいるとか、これはもう手口としてはオウムと全く同じようなことをやっているわけでして、私たちは見るに見かねている。
 そして、霊感商法も、たくさんの会社を持っておりますし、偽装集団をたくさん持っております。女性の集団も持って、一々私はきょうここで名前を、ここにありますが申し上げませんけれども、たくさんの偽装集団を持っている。うっかりすると、公民館とか市民会館とかで世界平和何とかというタイトルで講演会をやって、みんな、いい講師が来ているし行こうと。行くと、それは実は統一教会の集会であったというふうなことがもうたくさんあるんですね。ですから、こういうことをいつかの機会に私たちは取り上げないといけない。
 私がなぜ言いますかといいますと、今の子供、未成年者の問題については、御存じのとおり、EC議会、今のEU議会ですけれども、この間、日本の国会でも私どもかかわって会議を開きましたけれども、EU議会から十四人の方がお見えになっておりましたが、そのEC議会が、未成年者をそういうふうにして強制的に親の一方的な意思で連れ込んではいけないとか、幾つかの決議をしておられます。
 それから、統一教会については、米下院でフレーザー委員会というところの報告書が、私が持っておりますだけで訳されたものがこんなにあります。これは統一教会について実に克明な調査をしておられます。それから、オウム真理教については、先ほど同僚の議員がおっしゃっておりましたように、やはり米のこれは上院で公聴会が開かれて調査をしております。日本だけ何にもしていないんですね。
 私たちは、政治の責任として、この悪質な宗教の名をかたったたくさんの団体に対して一体何をしてきたんだろうか。オウム真理教のようなものがなぜ生まれてしまったのだろうか。もちろん、私たちの責任ばかりとは言わないいろんな条件があると思いますけれども、私どもの責任も非常に大きいと思いますので、そういうことで、きょうはちょっとさわりだけでありましたけれども、申し上げた次第でございます。
 もう時間がなくなりまして、税制に関しては峰崎議員がやってくださることになっておりますので、私はまとめをしたいと思いますけれども、当面の課題としては、一番私どもが大きな声で言いたいのは財産保全の問題です。
 オウム真理教に関しても、解散命令が出されたときにはもう既にたくさんのいろんな関連の企業にばらばらに財産が分与されてしまっている、被害者の方たちに返すものは何もなくなってしまっているということのないように、ぜひ緊急に財産保全をしなければいけないだろうと。
 この法案の中にも社会党としてはそれを入れてほしかったと強く要望いたしましたが、ちょっと無理だったんですけれども、この財産保全に関しては、ぜひ早い機会に検討を急ぐべき問題であろうというふうに思います。
 それから、税制問題についてたくさんのことがございますけれども、それは後に譲るといたしまして、私は、引き続き検討するべき事項として、こういった宗教団体が、霊感商法、あるいはテロ集団、あるいは殺人集団と化してしまうようなことに対する審議機関、あるいは新たな立法をつくるべきではないかということも提案しておきたいというふうに思います。これもEUとかほかの多くの国々では、アメリカでもそうですけれども、RICO法というのが成立しておりまして、そういう法律を考えていかなきゃならないんじゃないかと思います。
 それから、私は一人の女性として、母親の一人としても、オウムの子供たちのことも大変気にかかるんです。どうやってあの子たちに普通の社会に戻ってもらって、そして健全な育成をこれからしていってもらえるだろうかということがすごく気がかりなんですが、これも次の機会に譲りたいというふうに思います。
 ということで、これらの問題は信教の自由、それから宗教とは何かという宗教政策の基本にかかわる問題であり、あくまでも信教の自由は保障されなければならないと思いますし、ですから、拙速は避けて、国民的な英知を結集して、法案成立後もしっかりと検討していくような、そういう形にぜひ私どもは持っていきたい。
 例えば、宗教社会学者、宗教家、宗教被害にかかわる弁護士等を含む幅広い有識者による行政の調査会を設置することや、この問題を集中的に討議することができるようなシステムを国会の中につくることを提唱しておきたいというふうに思います。もちろん、さっきも申し上げましたように、参考人、公聴会、これらのことを開いてじっくりと開かれた審議をしていくことができるようにしたいということをお願いして、総理と文部大臣の御決意を聞いて、私の質問を終わろうと思います。
#231
○国務大臣(村山富市君) この法案の審議をどう進めていくか、できるだけ参考人の意見聴取やら幅広い方々の意見も聞きながら濃密な審議をしていきたいということについては国会でお決めになることですから、私の方からとやかく言うべき筋のものではないというふうに思いますが、しかし今いろいろ御指摘がございましたような問題点もたくさんあると私は思います。
 したがって、これはもう不断にこれからも勉強もし検討していかなきゃならぬことは、検討して遺漏のないようにしていくのが私どもの責任ですから、そういう努力は今後も続けていきたいというふうに思います。
#232
○国務大臣(島村宜伸君) 現在お願いしております改正案の審議につきましては、御指摘のとおり私も全く賛成でございます。
 それから、認証の問題とか財産保全の問題等についてもいろいろ御意見のあるところでございますが、こういう問題につきましても将来を見据えて必要があるものはさらに検討を続けていく必要があると、こう考えます。
 なお、財産保全の問題を改正いたしましても、不遡及の原則に照らしてオウム真理教には今すぐこれがまた該当いたしませんので、そういう意味ではこれからの宗教法人の健全なあり方のために必要なものがあれば、またそのように対応していきたいと思います。
#233
○竹村泰子君 終わります。(拍手)
#234
○峰崎直樹君 同僚の竹村委員に続きまして私は、宗教法人法、今回の改正案、さらには関連をいたしますいわゆる民法第三十三条、第三十四条の法人の問題について、主として税制の観点からお聞きしてみたいわけであります。
 と申しますのも、この宗教法人に与えられていますいわゆる国税あるいは地方税に関します非課税措置というのは大変優遇されているというふうに思うわけであります。これはもちろん宗教法人だけではございませんで、社会福祉法人や学校法人、その他の公益法人等に適用されていることは言うまでもないわけであります。
 そこで、この宗教法人というものにそのような課税上の特典というものを与えている根拠というのは一体どこにあるんだろうか、この点をまず明確にしておく必要があるかなというふうに思うわけでありまして、この点について課税庁であります大蔵大臣あるいは大蔵省、自治省、そして文部大臣等の御見解をまずお聞きしておきたいと思います。
#235
○国務大臣(武村正義君) 宗教法人は、我が国の法制上、数多くのその他の公益法人、社団、財団等々の法人と同じように、いわゆる公益に関する団体として位置づけられて今日に至っております。そういう意味では、公益に関する団体の中に宗教法人が入っておりまして、全体として法人税法上も同じ扱いをいたしているということであります。
#236
○国務大臣(深谷隆司君) 宗教法人を初め公益法人等については、一般の営利法人と異なりまして、公益的な活動を本来目的としている、そのことに特に配慮して非課税措置というものが講じられているわけでございます。
 宗教法人に対する地方税の課税の取り扱いにつきましては、法人住民税及び法人事業税については社会福祉法人、学校法人と同様に、公益に関する団体という位置づけで収益事業を行う場合を除いて非課税といたしております。また、固定資産税については、公益性とか公共性ということにかんがみまして、つまりその用途の特質性を考えてこれを非課税という措置にいたしているところでございます。
 宗教法人について申し上げなければならないことは、専ら本来の用に供する宗教法人法第三条に規定する境内建物及び境内地に該当するものについて、宗教の教義を広める、儀式を行う、あるいは信者を教化育成するという宗教活動の公益性にかんがみて非課税になっているという点でございまして、ここの部分は十分な注目が必要であると考えております。
#237
○国務大臣(島村宜伸君) 宗教法人は宗教活動を行うことを主たる目的とするものでありますが、宗教は人心を安定させ、また日本の精神文化を向上させるために重要であるとともに、神社、寺院、教会等、我が国における宗教法人の存在は国民一人一人の生活に深く定着し、大きな役割を果たしていると考えます。このことから、宗教法人の宗教活動につきましては公益性が認められていると考えます。
#238
○峰崎直樹君 いずれも公益性という観点を強調されたわけでございまして、この点はまた後で再度お尋ねしたいと思います。
 私は先ほど非課税ということを強調したわけでありますが、これは諸外国、アメリカやイギリス、ドイツ、フランス等と比較しますと、どうも日本の公益法人に対する課税の方法というのは、これは非常に特殊ではないかというふうに映るわけであります。
 調べてみますと、アメリカやイギリス、フランス等では免税制度ということであります。法人格を与えることと、そして法人格を与えるけれども、それに対する課税をするかどうかというのはまた別途課税庁で判断をする、こういう仕組みになっているというふうに聞いているわけでありますが、日本でもこういうやり方を、免税制度というふうに呼ぶんだそうですが、非課税から免税に変えたらどうだと、こういう意見があるわけであります。
 そこで、大蔵大臣、ちょっと戦後の税制にとって大変大きな改革と言われた例のシャウプ税制のときに、日本のこのような法人、いわゆる公益法人に対する税制のあり方について、宗教法人ももちろんその中に含むわけでありますが、そのあり方についてどのような提案がなされ、それについて課税当局はどのような判断をされたのか、その点をお聞きしたいと思います。
#239
○政府委員(薄井信明君) お答え申し上げます。
 御指摘の昭和二十四年、たしか九月だったと思いますが、シャウプ勧告がございまして、これに基づきまして昭和二十五年の税制改正が行われているわけでございます。シャウプ勧告におきましては、公益法人課税に関しましては、従来の公益法人に対する非課税制度を大蔵大臣の免税承認制度にすべきであるという内容の勧告があったわけでございます。
 それをどういう形で対応したかということを申し上げますと、実際問題として、大蔵大臣がすべての公益法人について個々にその事業内容を審査することには無理がある。また、日本の場合には各省庁がそれぞれの役割を果たしているということで対応できる。他方、シャウプ勧告とアメリカ税制は直接関係ありませんが、アメリカでは連邦制をとっておりまして、この種の仕事につきましては、統一的にはIRSというところが適当であるという考え方がベースにあったのかと思いますが、我が国ではその必要がないということで、昭和二十五年の法人税法の改正におきましては、現在の個別審査方式は採用せずに現在の方式を採用したわけでございます。
#240
○峰崎直樹君 今お聞きしておりますと、要するに省庁で、それぞれ所轄庁があるから所轄庁で、それぞれの公益法人が公益に従ってやっておるということがある意味ではチェックされるからそこでやればいいんだと、こういう話だったわけです。
 そうすると、先日来ずっとお聞きしていると、文部大臣がおっしゃっているように、とてもそれはもう掌握し切れなかったんだということになると、この宗教法人に与えた公益、いわゆる公益法人としての公益性があるという意味での宗教法人に与えたある意味では税制上の優遇措置というのは、本当はもっとじっくり議論されてしかるべきだったんだろうと。
 私は、実は当委員会に参考人の問題が出ておりますけれども、ぜひ参考人を呼んでいただきたいと思うのは、それは税法学者を呼んでいただきたいんです。と申しますのは、税法をやられた方々は大抵この宗教法人法に対しては、本当に今の宗教法人法がいかに問題があるかということをるる指摘をされます。しかも、大変それがもっともな私は意見が多いと思うんです。その意味でそのことを、当委員会にお呼びするように私もぜひお願いをしたいというふうに思います。
 具体的に固有名詞で言いますと、私も、朝日大学の石村先生、この種のことでは大変ベテランでございますから、そういう方あたりがいいんじゃないだろうかというふうに我が党を通じて要請をしたりしておりますので、この点もよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
 さてそこで、経済企画庁にお聞きしたらいいんでしょうか。実は、昨年の今ぐらいのときから私ども与党の中で、あるいは新進党にもそういう動きがあり、今回法案が提案をされたというふうに聞いておりますが、NPO、余り聞きなれない言葉でありますが、非営利団体に対して法人格を与える法案をつくろうということで、我々も随分議論をして、今、与党三党ようやくある段階までまとまりつつあるわけでございますが、まだ法案にまでは至っておりません。早急に法案を準備したいと思いますが。
 さて、阪神大震災の際に、いわゆるボランティア活動に対する、これを支援していくために十八省庁が集まって議論をされたやに聞いておりますが、その十八省庁で取りまとめられたものの中の、いわゆるこういうボランティアとかNPOと言われているようなものの法人格と税制の関係について、どのような整理が政府段階ではされているのか、この点をお聞きしたいと思います。
#241
○政府委員(坂本導聰君) 委員御指摘のように、二月以降十八省庁で検討を進めてまいりました。まだ最終結論を得ているわけではございませんが、現在までの検討結果によりますと、法人格と、それとそれに伴う税制上の措置は一応切り離したものとして考えまして、法人格についてはできるだけ簡易な手続で法人格が取得できるようにする。ただしその場合も、一たび制度ができると時用されるおそれがあるのでその防止措置を講ずる、これが第一番目です。その次に、さらにその団体がより一層公益性のある活動をするという場合に税制上の措置等も含めた支援措置を講じていくことを検討する、こういう内容のものを考えております。
#242
○峰崎直樹君 これは法務省に実は事前にお話をしていなかったんですが、私どもが、いわゆる市民団体が活動することに法人格を与えようとするときに、大変論議をしたのは、今お話がありました、簡単にできる限り法人格を与えようじゃないかということでいろいろ議論をいたしました。
 その中に、認可とか許可だとかあるいは認証だとか確認だとか届け出だとかいろいろ出ているのでありますが、これは事前にお話をしていなかったので、法務省、準備されているかどうかわかりませんが、その一番簡単な方法というのは一体順番に並べるとどういう順番に並ぶのでしょうか。これおわかりでしょうか。法務省はお見えになっておりますか。――じゃ、大臣、恐縮でございます。
#243
○国務大臣(宮澤弘君) 大変恐縮でございますが、御通告がございませんで、かなり専門的な御質問でございますので、必要であれば後刻また御連絡を申し上げたいと思います。
#244
○峰崎直樹君 ちょっと私の手違いといいますか、お話ししておけばよかったなと思ったんですが、しかし、いずれにせよこの認証というのは宗教法人法で出ておりますが、これは先ほど来の答弁を聞いておりますと比較的簡単にとれるということのようでございますね。
 そうすると、NPO、私たちの言葉ではNPO、NGOと言っているんですが、そういう新しい市民団体が法人格をとることについて比較的簡単にさせようということと、しかし、それは簡単であるがゆえにその後の公益という判断においては大変厳しい判断が伴いますよということを実は政府はおっしゃっているわけでございます。
 そうすると、この宗教法人法に関して、認証という形で比較的とりやすくしていると。と同時に、実は公益という問題もあわせてもう既にこの認可した段階というか認証した段階でそういう効果が生じているわけでございますね。
 それはどうしてそういうふうになっておるのか。これは宗教法人の由来みたいなものと絡むんだろうと思うんですが、文部大臣、その点はいかがなんでございましょうか。
#245
○政府委員(小野元之君) 御指摘ございましたように、宗教法人法では、宗教法人としての法人格を取得するためには、所轄庁の認証を受けなければいけないわけでございます。この認証は、この委員会でも何度か御答弁申し上げておりますが、法律で定めている要件を備えているかどうかといったものを行政庁の方が審査いたしまして、所定の要件を備えているというふうに認めたときにそれを行う、その旨の判断の表示でございまして、法律学的にはいわゆる確認行為であるというふうに言われておるわけでございます。
 宗教法人につきましては、そういった宗教法人となるための要件、認証ということで比較的信教の自由を尊重するという建前でできているわけでございますけれども、私どもとしては、この宗教団体、この要件の一つでございます宗教団体性の認定ということ等につきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、その要件にきちっと該当しているかどうかを審査していくことをきちんと進めていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
#246
○峰崎直樹君 文化庁次長、そのことは認証という言葉から認可とかそういうところにいわゆる一歩基準を上げるということなんでしょうか。
#247
○政府委員(小野元之君) 基準を上げるということではございませんで、例えば今回オウムの事件でいろいろ反省点が出ておるわけでございます。認証する時点でオウムの場合はそのことがはっきりわからなかったわけでございますけれども、認証の時点で明確に公共の福祉に反することが明らかである、著しく反しておるということがわかっておれば、それはいかに宗教団体性を備え、手続も備えて、規則も法律に合致しておりましても、そういったものについては認証すべきではないということをきちんと進めていかなければいけないと思うわけでございまして、これは認証の性格を変えるわけではございませんけれども、今回の事件等にかんがみましてその点を厳正に対処していく必要があるというふうに考えているところでございます。
#248
○峰崎直樹君 このNPOという法案は恐らく来年の通常国会等でまた議論になるだろうと思いますので、そこで本格的な議論をしたいと思うんです。
 きょうは法務大臣しか法務省はおられませんので、私は本当につくづく痛感をしておるのは、いわゆる市民運動の団体の方々が何か事を起こそうとされるとどうも所轄庁が非常にはっきりしていない分野がたくさん出ているんです。海外の医療援助をしようという人もいれば、いやいや国内のさまざまな福祉団体の人たちを支援しようとか、もう本当に所轄庁がまたがっていくようなものがたくさん出ておりまして、本当に今の民法のいわゆる公益法人と言われる所轄庁主義みたいなもので果たして適応できるのかどうか大変多くの問題を持っていると思っておりますが、この点はまた別に譲っていきたいと思います。
 さて、次の論点に移していきたいわけでありますが、先ほど公益という問題があったわけでございますが、昨日からの宗教法人法の中で憲法論争が起きてきているわけです。私も税の世界に絡めてまた憲法の問題にちょっと触れてみたいわけでありますが、憲法第二十条及び八十九条から見て、国から特権を受けてはならない、あるいは国の方もこの宗教団体には公金の支出をしてはならないということがこの八十九条そして二十条には明記をされているわけであります。
 そこでお尋ねをするわけでありますが、税法上の特典が与えられているということは、これは隠れた補助金だというふうに私どもはとらえているわけでありますが、隠れた補助金であるというとらえ方をすれば、これは実質上公金の支出に当たらないのかどうなのか、この点まず明確にしていただきたいと思いますが、これは大蔵大臣の方がよろしゅうございますか。
#249
○政府委員(薄井信明君) お答えいたします。
 先ほど来御指摘のように、宗教法人は我が国の法制上数多くの財団、社団等と同様に公益に関する法人ということで位置づけられておりまして、法人税法の世界では宗教法人だけでなくほかの団体も一緒に扱っているという関係にございます。
   〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
 したがいまして、御指摘の宗教法人についての税法上の取り扱いが方向として公金を支出することになっているではないかという性格論の程度の問題はあろうかと思いますが、宗教法人の公益性にかんがみて他の公益法人等と同様に取り扱っているという形でそれがなされている結果でございます。したがいまして、憲法二十条第一項の後段の国から特権を受けてはならないという規定に違反しているとは考えておりません。
#250
○峰崎直樹君 主税局長、隠れた補助金であるということについてはどうなんでしょうか。
#251
○政府委員(薄井信明君) お答えいたします。
 一般の営利法人との課税関係を比較いたしますと、そこには有利性がありますから、定性的に言えばおっしゃる御指摘が当たるかと思います。
#252
○峰崎直樹君 これは決して意地悪をして言っているわけではないのであります。有力な税法学者の中に、このように隠れた補助金を支出するということは、これは憲法違反にも値すると評価をする人もいるわけであります。もちろん、そうでない評価もあるということは、これは私どももよくわかっているわけであります。
 その意味で、先ほど三人の方にわざわざお聞きをして同じ回答をいただいたわけでありますが、そうすると宗教法人の場合に、この税法上のいわゆる陰の隠れた補助金と言われているようなものまですら受けている公益法人、宗教法人が本当に公益のために役に立っているかどうかということは、一体我々が本当に十分判断できるかどうかという、この点について文部大臣、公益性というものを宗教法人に認めるとしたときに、これは他の公益法人と同じような公益ということで理解をしてよろしいんでしょうか。
 ちょっとわかりにくい表現なのかもしれませんが、私の説は、もっともっと宗教団体の方々は、何か一朝事あったら、我々は社会の中でいわゆる補助金をいただいているんだから、隠れた補助金も、税の優遇を受けているんだから、率先してさまざまな活動の前線に立ってもらうべきだ、そういう意味での大変重要な公益性を持っているというふうに思っておるんですが、その点ほどのように考えておられますか。
#253
○国務大臣(島村宜伸君) 全く同じ考えてあります。
#254
○峰崎直樹君 わかりました。どうもありがとうございました。
 その意味で、私どもは既存の宗教法人の方々に、きょうテレビで映っておりますから、法人格が与えられているということはそれだけ公益性があるんだよということを認めているわけでありますから、認めた後もちゃんとそれが実践をされていないと困るんだということをぜひとも国民の皆さんも知っていただきたいなと思うわけであります。
 さて、ここから先は、昨日の大蔵大臣の答弁をお聞きいたしました、いわゆる宗教法人を含めた公益法人の税制のあり方についてでございます。
 そこでまず、年度税制改正というのは今もちろん与党の中で作業をやっているわけでありますが、平成七年度の税制改正にたまたま私も実はその一人のメンバーとしてその決定に参加をしたわけでございます。そこで公益法人の問題について昨年の十二月十五日に私どもは大変重要な確認をしているわけです。これは与党三党の確認でありますから、必ずしも政府全体のものになっているというふうに申し上げるつもりはないのでありますが、そこの中で、いろいろ事業内容のディスクロージャーだとか、今指摘されているようなことはもう全部実は昨年の十二月に与党三党で議論をしたわけでありますが、そこで次のように指摘しているわけでございます。
 ちょっと読み上げてみますと、「税制自体の問題としても、公益法人等に対する課税の適正化を図るため、軽減税率、収益事業の範囲、金融資産収益に対する課税のあり方、収支報告の義務付け範囲の拡大等について、鋭意検討」する。この最後の、「収支報告の義務付け範囲の拡大等について」と言っているのは、これは決してある意味では大した問題ではなくて、収益事業をやっていない公益法人は実は収支報告を出さなくてもいい、こういう仕組みになっているわけなんですね。この点については、収益事業をやっていない団体だから収支報告を出さなくてもいいというふうになっていることについては問題があるんじゃないかというふうに考えているんですが、この点は大蔵省はどのようにお考えですか。
#255
○政府委員(薄井信明君) お答えいたします。
 昨年の与党の税調の大綱で御指摘いただいておりまして、私どもも幾つかの懸案事項の中の一つとして勉強を続けさせていただいている分野でございますが、御指摘のように、現在の法人税法上では、収益事業を営んでいない公益法人につきましては、例えば収益事業開始のときに届け出書が要りませんし、また収益事業を全く行っていなければ毎年の確定申告も要らないわけですから、それに伴って書類を出すことも必要ないという法制をとっております。このことから、本当は収益事業をやっていながら無申告という形になりますと書類も出てこないという形があるのが実態でございます。
 したがいまして、御指摘のような収支報告書制度が、収益事業を行っていない公益法人等についても出しなさいというようになれば、この面につきましては一歩また前進するかと思っております。ただ、納税義務との関係でこれまでそういうようになっていなかったという事実がございます。
#256
○峰崎直樹君 今お聞きになっておわかりになったと思うんですが、恐らく公益法人と言われているものはもうたくさんあるわけです。法律に別表第二とか第三とかついておりまして、きょうは皆さんにお見せをしておりませんけれども、大変膨大なものがある、範囲もさまざまである。その団体で収益事業をやっていませんよというところになると、収支報告を、決算を出さなくてもよろしいということになっているわけです。
 どうでしょう。これは今回の宗教法人に限ったことではないのでありますが、ぜひとも、これは課税上の問題ではなくて一般的に公益法人という、公益性というものをみずからディスクロージャーする意味でも、本当はみずからディスクロージャーということになれば決して届け出なくてもいいんですが、この点は性善説に立脚をしたいわけでありますけれども、何が起きているのかわからないという、しかもお金の出入りというものがきちんとしていないということについて、これはやはりきちんとすべきではないかと思うんですが、この点は総理に答えていただいたらいいんでしょうか。――じゃ、大蔵大臣の方からひとつよろしくお願いいたします。
#257
○国務大臣(武村正義君) 御指摘の点はよく私どもも理解をさせていただかなければならないと思っております。
 ただ、非常に根が深いといいますか、前段の御質問にございましたように、そもそもこの国の公益法人全体あるいは宗教法人に対する税のかかわりも、シャウプ勧告の例もお引きになったように、日本は原則収益事業以外は非課税と、こういう姿勢で来ているわけです。
 アメリカやドイツ等々はむしろ原則課税、その中に事前に審査をして免税という形で除外をしていく。これは大変大きな違いであります。原則課税であれば、恐らく一年間の宗教法人の収支も税務当局には申告をして、その中で説明が行われているのではないか。加えて、アメリカなどは、今回の大和銀行事件のように大変情報開示の姿勢、ディスクロージャーの姿勢も徹底をしているかもしれませんし、自己責任原則というものもただされておりますから、そういう中でそういう課税の仕組みになっていると。
 我が日本の場合は収益事業以外はもう非課税と、こういう扱いのところに今御指摘のような一つの問題提起があるというふうに認識をいたしております。
#258
○峰崎直樹君 大変重要なこれは問題だと思いますので、法改正をするとすれば、これはいわゆる公益法人課税ですから法務省になるんでしょうか。
 法務大臣、今の私どものやりとりを聞いておってどのように考えておられるか、もし御意見があればお願いいたします。
#259
○国務大臣(宮澤弘君) ただいま御高見を承りました。ただ、法律、制度の改正につきましては、法制審議会その他慎重な検討も必要でございますので、ただいまの御意見はよく事務当局と今後検討をいたしてみたいと思います。
#260
○政府委員(薄井信明君) ただいま法制上の御議論がございましたが、この場で御議論いただいております、例えば公益法人等の軽減税率だとかみなし寄附金のお話と同様に今の御指摘の収支報告書の件もとらえるとすれば、法人税の世界の措置として対応は可能かどば思います。
#261
○峰崎直樹君 法制審議会というのは、私も商法だとか民法とかいろんなものを見ていると、何年かかったらこれはできるんだろうかというので、大変遅々として進んでいないので、そこに法務大臣に答えてもらったのは失敗したなと思って、今もお話ししようと思っていたんです。そちらの方でもし本格的にやっていただけるならできる限り急いでもらいたいなと思いますが、税法上の問題であれば、これは税法の改正ということで対応できるということで我々も対処していかなきゃいかぬなと思っているところでございます。
 さて、そこから先、いよいよ今度は四つの問題について大蔵大臣、ひとつこれからお話を聞いてみたいわけです。
 それは、先ほどの与党三党の昨年のまとめあるいは昨日の答弁を聞いておりまして、これから宗教法人も含む公益法人課税のあり方を見直してみたいということでございますから、そこでまず第一点、最初に聞いてみたいわけであります。
 それは、いわゆるみなし寄附金の問題で、三〇%を損金に、みなし寄附金ということで考えていたものを二七%に今から二年前の年度改正でなりましたですね。細川内閣のときです。このときはなぜそのように三〇%を二七%に削減したんでしょうか。その根拠、理由を明らかにしていただきたい。
#262
○政府委員(薄井信明君) お答えいたします。
 宗教法人を含めた公益法人の課税につきましては長年懸案とされてまいりました。いろんな部門があるわけでございますが、なかなか手がつけられないで来たわけでございます。政府税調の答申等でも懸案として指摘を受け続けてきたわけでございます。
   〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
 そういった中で、一昨年税率あるいはみなし寄附金等々について議論を重ねていただいた結果、みなし寄附金の部分については何とか措置ができたということでございまして、その理由はいろいろあろうかと思いますが、みなし寄附金につきましては、例えば協同組合等にはこの制度がございませんので、税率等と違って公益法人等のみを対象とできるといったようなことから、結果的にここに集約されたというふうに理解しております。
#263
○峰崎直樹君 そうすると、この公益法人のみなし寄附金という問題をさらにこれを切り込むというふうに、三〇%から二七%、前回一割カットしているわけですが、これは必要があればもっと切り込んでいくべきじゃないか。私どもはそういうふうに考えているわけでありますが、この点は恐らく大蔵大臣は与党三党の方あるいは政府税調の方にげたを預けておられるというふうに答えられるだろうと思いますが、この点はまた我々も議論していきたいと思います。
 もう一つ、二点目に移っていきたいと思うんですが、いわゆる法人税の軽減税率を適用しているわけです。現在二七%だと思いますが、その中で軽減税率を二七%にしてもう何年もたつわけでございますが、現在でも協同組合と言われているものの中で大規模な協同組合とそうでないものということで、たしかこれは十億円を超す売上高の生協については協同組合の法人税率は二七%、これを三〇%に引き上げてきたと思うわけであります。
 そうすると、今私たちが議論をしている宗教法人も含めたかなり大規模ないわゆる法人について、現行の二七%の法人税の税率が、これは公益じゃなくていわゆる収益部門でありますから、しかも固定資産税がない中でいろいろやっているかもしれない。そういう点では大変恵まれた段階でいわゆる収益事業をやっている。これが大規模になってまいりますと、一般の営利企業を圧迫してしまうということになる危険性があるんではないか。
 そうすると、生活協同組合でいわゆる売上高十億円を超すものについては高い税率を適用したということになれば、このような大規模な公益法人で営利活動を営んでいるものについては、これは同じ民間の企業同士が競争しているものについてはイコールフッティングでなければ、対等な平等でなければこれはおかしいんじゃないかという議論が出てくると思うんですが、その点については大蔵省いかがでございましょうか。
#264
○政府委員(薄井信明君) お答えいたします。
 公益法人等に適用されている軽減税率二七%をできることならばいわゆる一般の営利法人並みの三七・五にできないかということは、常々政府税調等では議論されていることではございますが、なかなか横とのバランスがありまして実現できないで来ているわけでございます。そういう意味で、一歩でも前進するという発想から、先生御指摘のような方向も一つの方向かと思います。
 ただ、一点だけ申し上げておきたいのは、現在行われている協同組合に対する課税の関係でございますが、これは昭和六十三年の改正で導入されたものでございますけれども、所得十億円までは二七%という制度でございまして、十億円を超えますとその部分については三〇%にすると。ただし、これは協同組合等で物品供給事業に係る収入金額について三つの条件を付しております。
 一つは物品供給事業の部分が全体の収入の五割を超えていること、それからもう一つは組合員数が五十万人以上であること、それからもう一つは店舗の売上高が一千億円以上のものであること、これは一年間でということですが、こういう条件のもとに、事業年度ごとに先ほど申し上げた十億円を超える部分は三〇%という仕組みをとっておりまして、公益法人全体についてこれを広げていくということについてはいろいろと検討すべきことが残っているかと思います。
#265
○峰崎直樹君 もちろん今ここですぐに結論を出そうと思わないんですが、しかしいろんな基本的な考え方を国民の皆さん方にも聞いておいていただいた方がいいだろうと思っているわけです。
 この問題について最後の質問をしてみたいわけですが、それは、衆議院でももちろん議論のありましたいわゆる金融資産収益に対する課税・非課税の問題であります。
 この点は私どもは、例えば日本育英会だとか、あるいは年金を扱っていくための基金であるとか、こういうところにその収益に対して課税しますよと言ったら、これは大変だというのは我々もよくわかるわけであります。しかし、そういう基金というものの生み出す果実から出ている公益団体、公益法人と、それからそうでない団体ときちんと分けて、金融資産収益は、私たち普通の庶民というか国民は、マル優、マル特を除けば当然これは二〇%分離課税されているわけでありますから、その点はそういう形できちんと払うものは払ってもらうというふうに考えるべきではないかと思うんですが、この点はいかがでございましょうか。
#266
○政府委員(薄井信明君) 金融収益課税の適正化も私どものいただいている課題の一つだと思っておりまして、これも今後とも議論を続けていきたいと思います。
 財団、社団等の公益法人等の事業を見てみますと、基金を積んでその収益で本業の方を営んでいるというケースが少なくないわけでございます。典型的なものはわかりやすいんですが、何十万とある公益法人等についてそこの区分をすることがいかにも難しいということ、つまり私どもの知らないところで積み立てた収益で生きているという公益法人等もあるわけでございまして、これまでなかなかそこは難しいんではないかと言われてきたことではございます。ただし、再三申し上げますが、私どもの抱えている課題の一つだと承知しております。
#267
○峰崎直樹君 以上四点にわたって、総理、金融資産の課税の問題、繰り返しませんが、それをお聞きになって、これから議論を与党税調でも政府税調でも進めていくんですが、ぜひこの公益法人に対する課税を適正化していくということについての御決意というか御感想をお願いしたいと思うんです。
#268
○国務大臣(村山富市君) 御指摘がございました四点、お話もございましたように、これは与党三党が検討項目として鋭意検討していただいているということについては十分承知をいたしておりますし、そういう与党三党の検討の状況あるいは政府税調の動き等々もお聞きしながら、政府としても検討に値する課題だ、これから真剣に検討して何らかの結論を見出す必要があるというふうに考えております。
#269
○峰崎直樹君 我々もしっかり国民の負託にこたえて進めていきたいと思います。
 それでは、最後の大きな質問に移らせていただきたいと思うんですが、それは宗教法人が政治活動を行うことについて、一体これをどのように考えたらいいのかということなのであります。総理、宗教法人として政治活動をやることについてきのうから議論になっておりますが、これはいわゆる公益という観点からしたら、宗教法人というのは公益性というものは持たなきゃいけないんだよ、しかもそれは先ほども、税制上あるいは憲法八十九条の規定からしたらもっと積極的に打ち出さなきゃいけないんだよということを申し上げました。
 その観点から、宗教法人が政治活動を行うことは、これは公益活動のうちに本当に入るんだろうか入らないんだろうか。この点ほどのようにお考えになっておられるのか、お聞きしたいと思います。
#270
○国務大臣(村山富市君) 宗教法人が行う政治活動が公益事業の範囲に入るかということについては、これはいろんな見解があると思いますし、定かになかなか決められない問題ではないかというふうに私は思いますけれども、しかし宗教法人法が認証するという手続をとるというねらいは、これは信教の自由とかあるいは政教分離とかいうようなものについて、宗教活動を行うための基礎的基盤をしっかり保障していこうという意味で宗教法人法というものがつくられているわけです。
 そういう意味から申し上げますと、宗教活動を行うということが宗教法人としての主たる目的ですから、したがって選挙活動、政治活動をするということを予定して出したものではないというふうに私は思っております。
#271
○峰崎直樹君 そうしますと、先ほどのまた八十九条のところへ戻ってくるんですが、非課税特典を有する公益法人等が、これは宗教法人と考えていただいていいんですが、宗教法人が特定の政党や政治団体や政治家に対して政治的支出を行うということは、課税除外措置によって支出された隠れた補助金というのを、公的目的ではなくて当該公益法人独自の私的目的に流用するというふうにこれは考えられるんですが、この点ほどのように考えたらいいんでしょうか、総理大臣。
#272
○国務大臣(武村正義君) もう委員は勉強なさっていると思いますが、私も最近勉強したのでありますが、アメリカやドイツの場合は、宗教団体が政治活動を行う場合には、これはもういわゆる一般の宗教団体と同じ扱いをしない、非課税の対象にしないという措置をとっているようでございます。もちろんこれは、税法の中でそういう規定を置くというよりは、日本で言えば政治資金規正法のような、そちらの法律でそういう対処をしているようでございます。
 こういう先進国の例が示しておりますように、宗教団体の政治活動、特に非課税措置を受けている資金が、今は日本の政治資金規正法ではこれは認められておりますから、一定の制約のもとに認められておりますが、しかし一定の論議の対象にはなるんだなという感想を持っております。
#273
○峰崎直樹君 私も先に言おうかと思ったんですが、免税システムと非課税システムとは全然違いますが、アメリカの場合には、こういう宗教団体とかそういう公益法人が政治活動をするということになるとその資格を剥奪するというところまで行きかねないというふうによく指摘をされているわけでありますが、その点は、恐らくこれは単に宗教法人だけじゃなくて、それ以外の公益法人全体に絡む問題だろうと思うのであります。
 そこで、ちょっと自治省の方にお聞きしようと思っているわけですが、政治資金規正法による寄附と言われているものがあるわけでありますが、その場合に、いわゆるこういう公益法人と言われているものは、政治団体、とりわけ政党に対しては、政治資金団体についてはどのぐらい、それから資金管理団体に対してはどの程度、これは制限があると思うのでありますが、その点ほどのようになっているのでありましょうか。
#274
○政府委員(谷合靖夫君) 宗教法人が政治活動に関する寄附をする場合におきましても、会社あるいは労働組合以外のその他の団体といたしまして政党、政治資金団体に対するものにつきましては、その団体の前年における年間の経費によって定まってまいりますいわゆる年間の限度額、七百五十万円から一億円まででございますが、その範囲内において寄附をすることができますし、また資金管理団体に対するものにつきましては、同じく前年における年間の経費によって定まる年間の限度額、これは政党等に対するものの二分の一でございますが、三百七十五万円から五千万円の範囲内で、一つの資金管理団体に対しては年間五十万円以内という制限の範囲内においてそれぞれ寄附をすることができる、かようになっております。
#275
○峰崎直樹君 今のは、もちろん会社もそうでありますね、いわゆる営利法人もそうですね、それから労働組合ももちろんそうです。それからいわゆる公益法人もそうだという意味で、そうすると、一つの公益法人は一年間に政党あるいは政治資金団体に寄附をするとすれば一億円が上限だというふうに理解をしてよろしいわけですね。
 そうすると、このいわゆる公益法人などの中に含まれているものの中には随分いろんな団体が入っているというふうに聞いているんです。これはもし私の勘違いだったら教えていただきたいんですが、例えば自由民主党に、自由民主党との間にと言っていいんでしょうか、国民政治協会というのがございますね。これは団体の性格からしたら河団体になるんでしょうか。
#276
○政府委員(谷合靖夫君) 自由民主党から指定をされております政治資金団体になっております。
#277
○峰崎直樹君 自由民主党の政治資金団体ということになっているわけですか。
 そうすると、かつて国民政治協会というのはたしか民社党があったころに民社党にも献金されたと。だから、私自身は自民党だけじゃないというふうに思っていたんですが、たまたま私の頭にあるのがそれしかなかったから言っているんですが、そういう政治資金をある意味ではこの団体に寄贈して、そこから政党へという、かつて経団連等がそういう団体をつくって、それから寄附をするという方法があったように思うんですが、その団体もいわゆる自由民主党とかほかの政党が指定した、先ほど言った政治資金団体ということになるんでしょうか。
#278
○政府委員(谷合靖夫君) これは、政党のために政治資金を集めて拠出をするという形で指定をすることができることに政治資金規正法上なっておりますので、そうした形で指定をされているということでございます。
#279
○峰崎直樹君 私の誤解であったようでございます。
 各党がそれぞれ政治資金団体を持っていますから、それに対する理解ということで、ちょっと私は昔の国民政治協会とかそういったものがこの規定によってどうなったかなということを実は聞きたかったわけであります。その点は大変氷解をしまして、誤解を招いたことはおわびを申し上げたいと思うんです。
 しかし、いずれにせよ、宗教法人を含んだ公益法人がいわゆる本体も含んで非課税だと。それから、衆議院でももう私どもの同僚がやったように、二七%のいわゆる収益に対する課税を入れて、そしてそれがみなし寄附金で、実質上の収益事業の法人税率は一九・九一%というふうに低くなっている。
 それだけ非常に優遇された団体そのものが政党に対する政治的支援をするということについて、特にこれは私は、宗教法人の場合にはディスクロージャーというものが従来なかっただけに、この点についてはほかの政治資金との関係も含めて余り同等の競争をなさっておらなかったんじゃないかと思うんですが、この点は宗教法人を担当されている文部大臣、どのようにお考えでしょうか。
#280
○国務大臣(島村宜伸君) 宗教法人に対するお布施等の寄附の場合、憲法の保障する信教の自由の一内容として、信仰を告白し、あるいは告白しない自由が含まれると解されることとの関係で、宗教法人に対する寄附者の氏名を公表することには慎重な配慮が必要と考えております。
#281
○峰崎直樹君 もう時間も参りましたから、最後に総理から率直に、この宗教法人法の改正に伴って、我々がいわゆる税法の世界から見たときに一番よく問題になるのが宗教法人であっただけに、特に税という公平性が何よりも要求される問題できょうは質問させていただいたわけでございますが、最後に総括的に、そういった公平性というものに遺漏がないような努力といいますか、その点についての御決意を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
#282
○国務大臣(村山富市君) 主として二つの問題点が指摘をされたと思うんです。
 一つは、今お話がございましたように、課税の公平を期すために、そうした宗教団体を含む公益法人等に対する課税のあり方について、軽減税率やみなし寄附の扱いあるいはまた資産、収益に対する課税等々については検討する必要があるのではないかということについては、私は傾聴に値する議論だというふうに承りました。これからもそうしたことについては真剣に取り組んでいく必要がある。
 それからもう一つは、公益法人はそういう税制上の恩典等も受けているわけですから、そういうものが政治献金をしたりなんかすることについては問題があるのではないかと、こういう意味の御指摘だと思いますけれども、そういう議論があるということも私どもは承知をいたしておりますから、そういう点も含めてさらに勉強もさせていただきたいというふうに思います。
#283
○峰崎直樹君 ありがとうございました。
 終わります。(拍手)
#284
○橋本敦君 オウム真理教問題を契機にいたしまして、今、国民の前に宗教と政治の関係がどうあるべきかが厳しく問われております。我が党は、これまでも犯罪集団と化したオウム真理教と断固として戦い、また巨大宗教法人による政教分離という民主的原則をじゅうりんすることも厳しく批判をしてまいりました。
 そこで、まずオウム真理教問題から質問に入りますが、オウム真理教との戦いの先頭に立っていた坂本弁護士はまことに勇気のある正義の弁護士でありました。既に私どもも本院で追及したことでありますが、拉致された現場にプルシャなるオウム真理教のバッジが落ちていた、その他有力な証拠も残されていたという、こういう状況なのに、なぜ神奈川県警は直ちにオウムに踏み込んだ捜査をしなかったのか。もしそれをしておったならば、あの松本サリン事件、さらには地下鉄サリン事件という、こういった凶悪な事件も防げたのではないか。まことに無念のきわみであります。
 ところで、捜査に当たったのは神奈川県警でありますが、東京地裁の判決で明らかになって御存じのとおり、神奈川県警の警備・公安担当関係者らが、我が党の緒方参議院議員、当時我が党国際部長宅に違法なスパイ盗聴活動を行っていたことが明らかになりました。
 このように、民主運動を敵視するという、そういった神奈川県警だから、坂本事件が明白な誘拐事件であるにもかかわらず、失踪事件、こう言っており、そしてまた同時に、坂本弁護士が所属していた横浜弁護士事務所が具体的に捜査に協力をしていたにもかかわらず、警察の某幹部は事実に反して、横浜事務所は捜査に協力しないなどと発言している事実がある。まさに捜査のおくれの責任をこういったことに転嫁するなどもってのほかだと思うのであります。警察が犯罪に対して厳正公正な立場を貫いて捜査したのかどうか、まさに警察の責務にかかわる重大な問題であります。
 しかし、それにしても六年は遅過ぎました。坂本一家親子、冷たい土地の中で別れ別れに埋められていた。仮谷さんの遺体さえ発見されていない。こういうことを考えますと、我が党が厳しく指摘したように、警察庁は捜査のおくれについて反省すべき点はきっぱり反省すべきではありませんか。まずその点を伺います。
#285
○国務大臣(深谷隆司君) オウム真理教に関するさまざまな事件というのは、委員も御存じのように、かつて経験せざるような事態でございました。しかも、宗教団体という名前の陰でテロ集団に化していた。そういう点ではまことに今までの犯罪捜査の歴史の中でも難航をきわめる事件でございました。
 そのプルシャの問題一つにいたしましても、本当に限られたたった一つの証拠物件でございました、当初は。ですから、そのことで犯罪の相手を断定することができずに、捜査員は一つ一つそれこそ小石を積むような形で捜査を続けてまいりまして、かなり数多くの犯人を捕らえて、今日六合目、七合目まで至っておると思うわけであります。
 私どもは、時間がかかったという点に関して、今から振り返って、本当に年月を要したことは無理からぬものとはいうものの、しかしそれは一つの反省の材料として受けとめて、今後の貴重な捜査の規範というんでしょうか、資料というか、そういうものにさせていただきたいと思っております。
#286
○橋本敦君 それでは、捜査の現状に関して警察庁に具体的に伺いますが、去る十一月九日の参議院法務委員会で、私の質問に答えて警察庁は、現在、特別手配者十七名中十二名、一般手配者八十七名中八十五名を既に検挙した。サリンを含めて有毒物質は相当数押収をして、サリンそのものが現在残存している可能性は極めて少ない。VXガス、イペリットなどの有害物質も、関係者の供述やいろいろの角度から判断して存在可能性、これも極めて少ない。オウム真理教が現在財政的に困窮をきわめているのも間違いない。現在、上九一色村には信者が百二、三十名いると把握しているが、施設の中で修行している。
 私がこれらの者が犯行に及ぶ危険性はどうかと聞いたところ、現在のところ特異な動向は見当たらない、こういうことでありましたが、現在、その状況に間違いありませんか。
#287
○政府委員(野田健君) オウム真理教関連の指名手配被疑者につきましては、本年三月の強制捜査に着手して以降、現在まで百六名を指名手配しております。前回の委員会のときには百四名でありましたけれども、その後二人指名手配を追加して、現在捜査中ということでございます。
 このうち、特に凶悪な事件を犯した者については警察庁において特別手配ということで、現在までに十九名指定しておりますが、検挙をいたしましたのは十二名でありまして、現在七名を追跡中という状況にございます。
 なお、一般手配の方は八十七名中八十六名を検挙しておりまして、総計になりますと九十八名を検挙しているという状況になります。
 これらの指名手配をしている被疑者は、恐らくいわゆる在家信者あるいは出家信者でその後行方をくらましている者等の協力も得ながら逃走をしているんではないかということで、全国的に強力な追跡捜査を実施しているという状況にございます。
#288
○橋本敦君 その他の状況は私が指摘したとおり間違いないですね。簡単で結構です。
#289
○政府委員(杉田和博君) 教団の現況でございますけれども、現時点におきまして信者数は約一方でございます。そのうち、教団の施設等に依然として生活をしております者は、上九一色さらにまた富士山総本部、ここに大体二百五十名、都内の施設、ここに大体三、四百といったところでございます。
 教団の運営でございますけれども、上祐逮捕の後、残された幹部四名の集団指導体制をとっておりましたけれども、先般そのうちの一名を逮捕いたしましたので、現時点では三名による集団指導体制をとっておるところであります。
 なお、財政状況でございますけれども、御指摘のとおり布施が大幅に減収をしておる、さらにまた訴訟費用が大量にかかるといったことから相当窮しておることは事実のようでございます。
 しかしながら、依然として相当多数の信者が麻原彰晃に対して絶対的な帰依を表明しております。再発の防止の観点からも、現在逃亡しております指名手配被疑者の逮捕に全力を挙げますとともに、教団の動向というものに十二分に関心を払って厳密に把握する必要があると考えておるところでございます。
#290
○橋本敦君 先へ進みますが、この犯罪集団と化したオウム真理教を速やかに解散させる、これはまさに国民世論であります。そのためには、何よりも今急がれるのは、十月三十日に東京地裁が下した解散命令を速やかに確定させて宗教法人法による解散手続を厳格に進める、それであります。
 そこで、文部省に聞きますが、宗教法人法の手続によれば、裁判所の解散命令の確定によってオウム真理教は当然清算法人になる。裁判所によって選任された清算人はオウム真理教の宗教法人としての残務を速やかに結了させて、彼らの活動拠点となっているすべての施設、資産を管理する。そして被害者等から損害賠償請求があればそれに対する弁償などを考慮して、残余があるならばオウム真理教が認証を受けている規約どおりに国に帰属をさせる。こうして宗教法人オウム真理教は解散してなくなる。こういうことが当然の手続として予定されていますが、間違いありませんね。
#291
○政府委員(小野元之君) 御指摘のとおりでございます。
#292
○橋本敦君 そこで、総理、今警察からもお話がありましたが、施設に残っている信者、清算人はこれを退去させるでしょう。そしてまた、在家信者もいるでしょう。こういう人たちに対して社会復帰を適切に支持をする、支援をする、こういうことでまともに社会に入っていけるようにするということは、再犯の防止だけでなく、彼らの生活、人権を守る上からも緊要の課題にこれからなってくると思いますが、対策はどうですか。
#293
○国務大臣(村山富市君) 今御指摘があったような問題も含め、児童をどうするかというような問題もあるわけですね。したがって、それぞれ担当する省庁がありますから、その関係省庁と連絡をとり合いながら協議を続けて、事後にこのことで疎漏のないような対策を講じていく。同時に、関係市町村とも十分連絡をとり合いながら遺憾のないような対策を講ずるということで万全を期しておるつもりであります。
#294
○橋本敦君 これらの手続を厳正適正に進め、信者のマインドコントロールが解けて社会復帰が現実に進む、そうなればオウムの活動とその物質的・財産的基盤を根本的になくすことができるわけです。つまり、すべて何も残らない、そういった状況にさえなるわけです。このようにオウム真理教が、この状況を実際にやっていくならば、将来継続反復して暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるなどとは、これは到底言えないことは明白であります。破防法適用の要件などはない。
 総理は衆議院の特別委員会で、破防法の適用については、オウム真理教は裁判所の解散命令が出て解散されると思うので、そうした事態の推移を見ながら慎重に判断すると、こう答弁されていますが、まさにこのような状況をしっかり見きわめて、憲法を守る立場で慎重に判断することが必要ではありませんか。
 私どもは、憲法違反の、国民の言論、集会、思想、これを侵害し、市民団体あるいは政府に反対する政党に不法なスパイ活動を数々行ってきたし、現に、最近では神戸の震災のあのボランティアの活動、さらには官官接待を調査する市民運動、そういったことまで調査したという、まるで秘密政治警察のような公安調査庁、これの根拠法規になっているこの破防法などは断じて適用してはならぬ、こう考えております。総理の御判断を伺います。
#295
○国務大臣(深谷隆司君) 総理が破防法の問題についてはお答えなさると思いますが、前段の委員の御指摘の中に、オウム真理教の今後の見通しについて現実よりもかなり甘い部分がございますから、率直に私は申し上げさせていただきたい。
 先ほども私は、オウム真理教の捜査は六合目ないしは七合目に至っていると、こう申し上げた。頂上に達していないのであります。現に、七名の特別指名手配の者たちについてはかなり凶悪な動きを起こす可能性も残っているし、在家信者にいたしましても出家信者にいたしましてもまだそんなに減っていない、一割程度しか減っていない。そういうことを考えますと、オウム真理教はもう一安心だと考えることは非常に心配で、私どもは片時も心休めるときはない。警察は全力を挙げて完全な頂上を目指して頑張っているということだけ申し添えさせていただきたい。
#296
○橋本敦君 わかりました。
#297
○国務大臣(村山富市君) 東京高裁で一日も早く解散命令が出されることを私どもは期待いたしております。
 解散命令が出たからといって、これは宗教法人が解散するのであって、宗教団体としての活動あるいは信者としての活動は残っていくわけでありますから、そういう実態を十分見ながら、こういう凶悪な犯罪が二度と起こらないように国民に安心してもらう必要がある。そのために、法と証拠に基づいて今公安調査庁も厳正に実態を調査しているという段階だと思います。
 ただ、私はいつも申しますけれども、これは基本的人権に関する問題だから慎重に扱わなきゃならぬというのは当然でありますけれども、そのためにまた再発したというようなことになったら大変ですから、そこらの見きわめを十分しながら慎重に検討していかなきゃならぬ問題だというふうに考えております。
#298
○橋本敦君 自治大臣が言われたように、捜査を十合目まで早く達成させる、そして宗教法人法の手続でこれを厳格に進めていく、そういう総体の上に立っていけば破防法適用の要件はいよいよなくなりますよ、こう言っているんです。おわかりでしょう。
 次の問題に質問を移していきます。
 衆議院で我が党の正森議員は、宗教団体が政教一体となって特定政党のための政党支持活動、選挙活動をした場合に、それが本来の宗教活動と何ら区分されずに全部非課税となっているという問題は、これは憲法二十条、八十九条の原則から深く検討する必要があるのではないかという問題を提起しました。総理も大蔵大臣も検討の必要を認められている。
 私は、ここでは具体的に宗教法人の固定資産税の非課税問題について聞いていきたいと思います。
 まず、自治省に伺いますが、地方税法三百四十八条第二項三号によりますと、宗教法人の「境内建物及び境内地」が非課税とされるのは、明確に「宗教法人が専らその本来の用」、すなわち宗教法人法第二条に定める宗教法人の目的であります、教義を広め、儀式を行い、信者を教化育成する、そのことに供する場合と、こう明記されております。自治省、間違いありませんね。
#299
○政府委員(佐野徹治君) 固定資産税におきましては、公共性、公益性の強い一定の固定資産につきまして、その用途の特質にかんがみまして非課税措置を講じているところでございますが、宗教法人につきましては、「専らその本来の用に供する宗教法人法第三条に規定する境内建物及び境内地」に該当するものにつきまして、「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成する」という宗教活動の公益性にかんがみまして非課税措置が講じられておるところでございます。
#300
○橋本敦君 だから、そのとおりだと簡単に言ってくれれば結構です。
 そこで、法制局長官に伺いたいんですが、この「専ら」の意味について、内閣法制局は一九六五年三月二十九日に「宗教法人に対する固定資産税の課税について」という見解を出していますね。その中で、境内建物を「本来の目的のために限って使用する状態を指すものである」とはっきり書いてあります。当然のことですね。ただ、「たまたま例外的に他の目的のために使用することがあったという程度のこと」は許される、こう書いてあるんですが、法制局長官、間違いありませんね。確認です。
#301
○政府委員(大出峻郎君) 御指摘の法制局の見解は、昭和四十年三月二十九日に自治省税務局長照会に対し回答したものであります。
 その内容は、ちょっと中身を読んでまいりますが……
#302
○橋本敦君 簡単に説明してください。
#303
○政府委員(大出峻郎君) 先ほど御指摘のとおりでございます。
#304
○橋本敦君 それを読んで聞いているんだから間違うはずがないんだよ。
 そこで、各地にある創価学会の会館などの固定資産税非課税対象施設はどう利用されているか、この利用実態が問題であります。これらの施設は、全国で選挙のたびごとに恒常的に学会を挙げて特定政党支持の選挙活動の拠点、選挙戦の闘争本部のように使われているしゃありませんか。たまたま例外どころじゃないですよ。
 前回の参議院佐賀補欠選挙でも佐賀文化会館を初め県内八カ所が選挙活動の中心になったと言われておりますが、十一月二十一日の佐賀新聞は、取材記者の具体的発言として、「事実、九州どころか全国から会員が告示前から佐賀入りし、徹底したローラー作戦をやった。佐賀市の会館には県外ナンバーの車が連日立ち寄り、地図のコピーを持って県内各地に散っていた」、こういう報道がありますね。
 私は大阪ですから、大阪の例を挙げてみましょう。
 七月四日、聖教新聞は、公明党が一九五六年に大阪で最初に参議院選挙に勝利したんですが、それを記念する常勝四十周年開幕記念七・三大阪躍進支部長会を、今年選挙の告示日を目前にして関西戸田記念講堂において満員の会場でこれをやったということを写真入りで報道しております。
 また、投票日直前の七月二十一日の聖教新聞は、七月十七日記念の大阪大会と称する大会が、これも非課税対象の関西文化会館で開催されたことを伝えておりまして、そして「炎の七月、勝利することを誓い合った大阪大会」、こう書いて、池田名誉会長の和歌なる「七月の十七日のその時の逆巻く怒濤の関西魂」、こういう檄を飛ばしているわけです。
 この創価学会の七・一七記念日というのはどういう日か、文部大臣御存じないでしょう。御存じなくて結構です。この日は、実は池田氏が一九五七年四月の参議院大阪補欠選挙の際に公選法違反で逮捕されまして釈放された日なんです。これを記念してまさに選挙戦の渦中に集まっているわけです、この施設を利用して。
 このように、選挙のたびにこういう施設を利用している。これはもはや公知の事実ですが、文部大臣、こういう状況については文部大臣も御存じじゃありませんか、どうですか。
#305
○国務大臣(島村宜伸君) ある程度のことは承知いたしております。
#306
○橋本敦君 自治大臣、自治大臣もある程度のことは御存じでしょう、ある程度と言われれば。
 そこで、自治大臣、そういう使用は、これは法で言う「専らその本来の用に供する」という「専ら」とは言えないということはもうはっきりしているんじゃありませんか、どうですか。
#307
○国務大臣(深谷隆司君) 先ほどからお話が出ておりましたように、宗教法人の活動の公益性ということにかんがみて固定資産税等非課税になっているわけであります。しかしその場合には、委員おっしゃるように、その本来の用に供するということが大前提でありますから、ここにきちっと目をつけていくことが必要であり、その判断は市町村で判断すべきものであり、そのことについての指導は私どもがなすべきだと考えています。
#308
○橋本敦君 自治大臣、質問にお答えにならないんだ、これ。
 私が指摘したような事実は、「専ら」、法律に「専ら」と書いてある、法制局長官は、専らというのは本来の目的の用に限って使うことだと今答弁されている、だから専らと言えないというのは明白じゃありませんか。
 大阪市において、創価学会施設と固定資産税の関係が一体どういうものか我が党は調べてみました。配付資料の一覧表がそれであります。市内だけで三十五カ所ありますが、三十五番目はこれは宅地でありますからのけて、三十四カ所が非課税対象の境内施設等の建物であります。我が党は厳密にそれぞれ登記簿謄本その他で調査をし、専門家にも協力をしてもらってこれを調査した結果がそれでありますが、その土地の総面積は三万八千七百六十二平米に及んでおります。
 そして、ここに大阪市の土地の課税標準額の算出方法というのがありますが、こういう基準に正確に基づいて専門家の協力を得て固定資産税の算出を試みてみました。その大阪市三十四件全部で、そこに書いてありますように年額はおよそ二億一千六百六十八万円ということになりますが、これは土地と建物を含めて両方の価額でそうなります。じゃ、建物はどうかといいますと、その表にあるように、すべて登記簿謄本を調べて構造を明らかにしておりますが、その総面積は六万八千六百三十三平米。
 この建物と土地、これを具体的に専門家と協力して試算をして出したのがそこに書いてある二億一千六百六十八万円という年額の数字であります。これが毎年になりますから大変なものですね。そしてまた、建物については、建てた翌年からかかりますから、それを個別具体的に調べてみますと、これまでに総計で七億三千九百三十八万円と見られる金額が非課税として納められていなくて済んでいるわけであります。
 これらの数字は、私どもは専門家と協力しましたが、低目に見積もった額でありますから、実際ならもう少しふえる可能性もあります。全国で一千カ所とも言われる創価学会のこういった建物に対する非課税額の総体というのは一体どれくらいになるか、はかり知れない額でございますが、自治大臣、見当つきますか。
#309
○国務大臣(深谷隆司君) せっかくの委員の計算の結果でございますから、傾聴に値します。このことについては、税務局長が参っておりますので答弁させます。
#310
○橋本敦君 私の質問は、全国的に見当がつきますかという質問です。つかないでしょう、大臣。
#311
○国務大臣(深谷隆司君) 今あなたがおっしゃった数字に全国を掛ければ答えは出てまいりますが、即座に答えは申せません。
#312
○橋本敦君 そこで、総理大臣に伺いますけれども、こういったはかり知れない巨額の非課税の恩恵を一方は受けている。ところが、我が党はもちろん固定資産税を払っていますね。ほかの政党もそうでしょう。建物を借りれば賃料も要るでしょう。そういった自主的な活動で選挙をやるわけですが、こういうことと比べてみると余りにも不公平じゃありませんか。選挙の公正に反し法のもとの平等にも反する、そういう問題があるじゃありませんか。
 だから総理は、つい先ごろ、参議院本会議での我が党の阿部幸代議員の質問に対してはっきりこうお答えになっている。こうした宗教法人に対する固定資産税の非課税措置と選挙との関係については、御指摘のような事例が、税制問題とは別途に、公平な選挙の保障といった観点から論議がなされることはあろうかと思いますと、こうおっしゃっていますね。まさに問題がある、論議しなきゃならぬ、そのことをお認めになっているわけですね。結論だけで結構です。
#313
○国務大臣(村山富市君) 御指摘のような事例については、宗教と政治の関係や公平な選挙の保障という観点から議論があるところだと思います。
#314
○橋本敦君 まさに公平な選挙の観点という点から見れば大問題じゃありませんか。
 そしてさらに、今私は固定資産税の問題を指摘したんですが、欧米では、我が党の正森議員が指摘したように、宗教団体が政党支持活動をすれば免税措置が問題になる。我が国はどうか。これは、私が指摘したように、我が国でも決して野放しじゃありませんね。自治大臣が答弁されたように、明らかに境内建物、境内地は専ら宗教法人本来の目的に限って使用するのでなければ非課税にされない、はっきり法律上の制約があるわけです。
 そこで、まず法律の適用に関して総理に伺いますけれども、特定政党支持の選挙活動というのはこういう施設で行われる。その場合、その選挙活動そのものは本来その施設で行われる宗教活動とは別途のものである。これははっきりしていますね、どうですか。一緒じゃありませんでしょう。
#315
○国務大臣(村山富市君) それは、宗教活動と今言われる政治活動、選挙活動とは別個のものだと思います。
#316
○橋本敦君 そこで、文部大臣、自治大臣に重ねてお伺いしたいんですが、こういった創価学会の公明党、新進党支持のための学会施設の使用という問題は、先ほどから議論しておりますように、宗教の教義を広め、儀式を行う、あるいは信者を教化するという本来の目的と明らかに違うことに使っているんですよ。ですから、法の適用を厳格にしなきゃならぬ。
 自治大臣はさきの参議院本会議でも、その施設が宗教本来の用に供しているかどうかは重要な問題だとおっしゃった。この点は、利用の実態を見て、各市町村において判断さるべきものだが、今後とも、利用実態の適正な認定が行われるように必要に応じて市町村を指導すると答弁されましたね。そうなんです。まさにそのとおり、各自治体に対して創価学会のこの利用状況について適正な調査を行う、このようにまず指導すべきじゃありませんか。
 そして、その指導の結果、法制局長官が言ったように、あるいは自治省が答弁したように、専らその使用に供せられていないという利用状態だと認定できたら、固定資産税非課税措置というのは見直さなくちゃならぬ。どうですか。
#317
○国務大臣(深谷隆司君) さきの委員会での答弁のとおり、この固定資産税の非課税措置に当たりましては当然枠を決めているわけでございまして、それは専ら宗教行事に、その用に供するということでありますから、このあたりは厳格に対応していかなければならないと思っています。
 しかし、その認定は市町村でございますので、私どもの方から厳正に行うように指導いたしたいと思っております。
#318
○橋本敦君 厳正に指導して、今私が言ったように、その結果が明らかになれば各自治体は適切な処置をすべきですよ。
 次の問題に進んでいきます。
 自治省に伺いますけれども、公職選挙法第二百二十一条一項二号の利益誘導罪、これは当選を得しめる目的で「特殊の」「利害関係を利用して誘導をしたとき。」には、「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処す」と、こうなっておりますが、ここで言う特殊の利害関係には、保険契約、これは入りますか。
#319
○政府委員(谷合靖夫君) 一般的に申し上げますけれども、御指摘の契約が法第二百二十一条第一項二号に掲げております「用水」等の中には直接的に規定はされておりません。
 しかしながら、この規定の仕方は例示であるというふうに解されているわけでございますので、この場合あくまでも具体の行為の実態に即して判断をされるべきものではございますが、特殊の直接利害関係には含まれないというまでは一概には言い切れないんではないだろうかというふうに考えております。
#320
○橋本敦君 ややこしいことを言いましたけれども、含まれないと一概に言えないという答弁だから、含まれることが十分あるということだ。そういうことでしょう。それはもうはっきりしていますね。
 そこで、そうすると、一般論として聞きますが、保険契約という特別の利害関係を利用して、特定の候補老を当選させる目的で、保険加入者が保険会社に対して協力してくれるならば保険契約額をふやしてもいいよと、そういうことを期待させて支持を要請するとなりますと、当然本罪の利益誘導罪に当たることは明白じゃないですか。刑事局長はどうお考えですか。
#321
○政府委員(則定衛君) 特定の保険契約が公職選挙法二百二十一条一項二号の利益誘導罪に当たるかどうかは、それぞれの事実関係いかんによるということでございまして、一般的にそれが当たる場合があり得るということでありましても、個々具体的に現実に当該罰則に該当するかどうかは、これは捜査機関が収集いたしました証拠に基づいて判断すべき事項であろうと思います。
 そういう意味におきまして、法務当局といたしましても御指摘のような案件が御指摘の罰則に当たるかどうかは一概に申し上げることはできない、こういうことでございます。
#322
○橋本敦君 一概に当たらないと言えないでしょう。法律の解釈だ。刑事局長、私が指摘したことは要件として利益誘導罪に当たらないと言い切れないんじゃないですか。あなたの答弁ははっきりしていない。はっきり答えろよ。
#323
○政府委員(則定衛君) 今申しましたように、一般的に保険契約が利益誘導罪に当たるかどうかという問題でございますけれども、それは当たる場合もあると言う以外にございませんが、当たらない場合もまたあるということでございます。
#324
○橋本敦君 当たる場合があるでいいんだよ。当然だよ。
 そこで、私は具体的に聞きますが、配付しておる資料の問題であります。これは我が方が調査によって安田火災から入手したものであり、会社もこの存在を認めておりますし、労働組合が抗議したことに対して会社もこれを認めております。これによりますと、見ていただいたらわかりますが、九五年六月八日付で安田火災の営業開発第一部長から、「旧公明党・創価学会の選挙支援要請の対応について」と、こういう文書が出されております。
 何を要請しているかというと、要請の内容としては、選挙協力人名簿を出すこと、そしてこの名簿を出すに当たっては、これは本部館内で別添の用紙、これは経歴書と個人票があるんですが、これを回覧の上記入してつくってくれということ。そしてこれについて学会から支社へ訪問があればそのときに渡してくれと。学会が取りに行くんですよ。こういうことまで言っていますね。そして、管内の支社に対して、訪問で要請があった場合にはそれぞれ住所・連絡先リストを提出する、そういった対応をお願いしますということまではっきり書いているわけですね。
 これを受けて近畿では、二枚目でありますけれども、六月十三日付で近畿総務管理部長から社外厳秘とした上で、全く秘密だとした上で、部店長、管理職あるいは関連会社等に「新進党(旧公明党)・白浜一良候補者選挙支援について」という文書が出されている。個人支持カードの作成について、職場で回覧の上これをつくってくれということをはっきり書いていますね。そして、個人支持カード記入者へは選挙事務所から電話連絡がありますから、しっかりした対応をしなさいということまで書いているわけですね。これはもう明らかに保険契約というその立場を利用して利益誘導をやったという、そういう実態であることは、明白であります。
 その証拠に、第一枚目の冒頭の文書を見ていただきたい。掲題について下記のとおり御連絡いたしますと書いて、学会管財契約、つまり学会の多くの資産、車両等との保険契約関係を言うんですが、管財契約に参入している他社、東京海上シェア五〇%、住友一五%、日動火災一〇%、富士数%、当社は二〇%、この他社に対しても同様の要請があり、協力度合いがシェアに反映されますので対応方よろしくお願いしますと、こう書いているんですね。
 どうですか。まさに、この協力度合いが保険会社のシェアにかかわってくるんだ、協力しなければ会社は営業上不利益になる。そういうことで、もうこれは嫌でも協力しなきゃならぬという、そういうことがありありと見てとれる文書じゃありませんか。これはまさに、創価学会による莫大な資産の保険契約者というその地位を利用して明らかに利益誘導をしている、まさにこういう問題だと思うんですよ。
 自治大臣にお伺いしますが、自治大臣は本会議で、宗教団体の政治活動が許されることはあるけれども、しかしそれは申すまでもなく公選法の厳しい規定に基づいてのことでありますとおっしゃった。当然ですね。今、私が指摘したような問題は、まさに公選法上買収罪の一種、最も悪質な買収罪の一種とされている利益誘導罪そのものの疑いがある事実ですよ。どう思われますか。
#325
○国務大臣(深谷隆司君) 私は過日の答弁の中で、宗教法人が選挙活動をすることは法律の上で許されている、しかしおのずからそこには限界がある、それは公職選挙法の規定に反していないかどうか、これはもう当然のことでありまして、どういう団体であろうと公職選挙法を守らなければならないのは当然であります。あわせて、そのとき申し上げなかったんですが、例えば憲法十二条では自由と権利の乱用を禁止するという規定もありまして、それが公共の福祉に反さない限りという、そういう条件にもなっているわけであります。もろもろのことを考えながら一体どうであろうかということを判断すべきだと思います。
 ただし、委員が御指摘の事実関係を私は承知しておりませんので、今ここでそのことが法律に触れるかどうかの判断はできかねます。
#326
○橋本敦君 自治大臣、法律的にどうかというのは、これはあなたに聞いているんじゃないんですよ。まさに公選法に違反するという疑いが濃厚な事実関係を私は指摘したんです。だから、まさに厳格に公選法のもとでなきゃ宗教団体は政治活動をしちゃいけませんよとあなたがおっしゃった、そのあなたの立場から見てもこういうことは好ましいと言えないじゃないですか。問題があるじゃないですか。その点ほどうなんですか。それははっきりできないんですか。
#327
○国務大臣(深谷隆司君) 私は、あなたの質問に対して好ましいことだなどとは全く申し上げておらないのであって、これが事実であるとするならば重要な問題だと受けとめています。しかし、事実関係をただいま私が掌握していないので、それについてのお答えは申しかねると申し上げました。
#328
○橋本敦君 この問題は大問題なんですよ。この文書で明らかなように、安田火災にこれが要請されただけじゃないんですよ。いいですか、自治大臣、この文書に書いているように、東京海上、住友、富士、その他にも要請があったということを言っているんですよ、シェアにかかわらずね。だから、そういう意味では大阪だけじゃなくて全国的にこういうことが行われた。これは重大な問題ですよ。
 そこで、総理、聞いてください。こういう公選法に違反する疑いが濃厚な利益誘導罪という、公選法の立場でいえば買収罪の一種と目される重要な問題が何を基盤にして行われたかといいますと、非課税の莫大な資産、これで形成された財産を基盤にしてやられているわけでしょう。保険契約というのはそれです。まさにここに本質的な問題があるんですよ。
 だから、まさにこのような利益誘導罪の温床である、基盤となっているこういう非課税の財産を利用してこのような、公選法に私は断固違反すると思いますが、違反することが濃厚な、今、自治大臣がおっしゃった決して好ましくないという、こういうような活動をしてよいのだろうか。総理大臣、どう思われますか。
#329
○国務大臣(村山富市君) これは、選挙運動については公職選挙法というのがあるわけですから、いかなる団体がやろうとも公職選挙法に照らして厳正な対応をすべきだというふうに思っています。
#330
○橋本敦君 総理、問題の本質をもう少ししっかり踏まえた答弁をしてほしい。お笑いですけれども、いいですか。
 公益法人たる宗教法人は社会的に重い責任を持っているんですよ。だから、本来の目的の、そのためにまさに公益目的として非課税措置がとられているんですよ。その非課税措置で蓄積された莫大な財産を基盤にして、保険契約という公選法で言う特殊の利害関係を利用して特定政党、特定候補の支持活動にこれを使うということは、社会的に見て相当ですか、許してよいことですか。本当にこの点については、公選法を守ったらいいですよと、そんな簡単なことで済むことですか。
 総理としてもっと責任ある、政治家として責任ある答弁で、この問題をどう見るか答えてくださいよ。国民の良識に照らして許されることじゃないじゃないですか。
#331
○国務大臣(村山富市君) 今、資料を提供されて、事実だというふうにお話もあったわけでありますけれども、私どもはその事実を、一方的にお話を承ったので、確認しているわけじゃありませんから、ここでそのことに対するコメントは避けた方がいいと思います。しかし、決して好ましいことだとは思いません。
#332
○橋本敦君 そこが答弁の限界かもしれませんね、あなたの。私はそういうことではだめだと思いますよ。(「えらいわかりがいいな」と呼ぶ者あり)わかりがよすぎていけませんね。(「与党なんだよ」と呼ぶ者あり)そうじゃないよ。もっと厳しい答弁を総理に私は期待しているんだよ。
 時間がありませんから次の問題に入っていきますが、言うまでもなく、政教分離はまさに信教の自由にかかわって重大な民主的な原則であります。
 創価学会は、そもそも政界進出の目的は何だったか。その基本目標は、よく知られておりますように、王仏冥合、すなわち国立戒壇をつくって創価学会が信仰する特定宗教を国の宗教にする、こういうことであったと。池田会長は、創価学会と公明党とは「ともに大聖哲の教えを奉じ」「王仏冥合をめざす私どもの同体異名の団体である」と池田会長全集にはっきりとおっしゃっています。同体異名である。そしてさらに聖教新聞で、六五年七月十六日の新聞ですが、「創価学会を離れて公明党はありません。されば、永久に創価学会と公明党は一体不二で進んでゆく」、こう述べて公然と政教一体を宣言しておられました。同体異名であり一体不二である。
 しかし、憲法違反の言論・出版問題ということが起こって、世論の厳しい批判を受けて、一九七〇年に池田会長は、「創価学会と公明党の関係はあくまでも制度の上で分離していく原則をつらぬいてゆく。選挙に際しても、公明党は党組織を思いきって確立し、選挙活動もあくまでも党組織の仕事として明確に立てわけていく」、こう宣言をされている。
 公明党も綱領から王仏冥合の文言を削除されましたね。この政教分離の宣言というのは、これは重いものだと思うんです。公益法人たる宗教法人、創価学会を代表する最高権威者の公の言明であり、あるいは公党として、公明党としても、ともに広く社会と国民に対する責任ある公約としてこれをおっしゃったと、こう思うんです。
 文部大臣、まさにそういう公約という重みを持っていたはずだと思いますが、ぞうお思いになりませんか。
#333
○国務大臣(島村宜伸君) 重みを持っていたと思います。
#334
○橋本敦君 しかし、それが守られたのだろうか。私が指摘した数々の今までの事実からも明らかなように、守られるどころかむしろ強化されてきたことは明らかだと思うんです。
 現に……(「何を証拠に言っているんだ、そんなことを」と呼ぶ者あり)証拠を言いましょうか。黙って聞きなさいよ。矢野絢也公明党前委員長も文芸春秋九三年十月号に発表した「政界仕掛人極秘メモ全公開」の中でどう言っていますか。(発言する者あり)聞きなさいよ。「やはり私たちはともかく政教一致という御批判をいただいているが、確かに状況をみてみると、そう言われても致し方ない面はある」、こう言っているじゃありませんか。
 また、何よりも政教分離宣言をした当の池田氏自身がどう言っているか。九四年九月十四日に行われた新聞各社との記者の懇談会の席上で、「学会は、政治とかかわることはやめません。こう言うとまた、政教一致などといわれますけどね。誤解しないでくださいよ。教義を実現するためには、政治の力がどうしてもいるんです。そういう目的で、公明党をつくったわけですから、これからも政治にかかわることに変わりはありません。」、こう発言しているじゃありませんか。この発言は、これは報道されましたけれども、創価学会は当時何の反論もしていませんよ。
 そうなりますと、文部大臣、この発言をどう受けとめられますか。一たん公に発言をした政教分離宣言を、まさにこれを破棄する宣言とさえ受け取られる重大な問題じゃありませんか。どう受け取られますか。
#335
○国務大臣(島村宜伸君) 私もそう考えます。
#336
○橋本敦君 まさにおっしゃるとおり、国民だれが見てもそうなんです。こういう政教分離宣言をみずから公然と破る政教一致の最高の責任者がまさに池田名誉会長であります。
 だから、その象徴的事実として、選挙のさなかに、選挙のたびに池田名誉会長は和歌を贈って激励しているんです。それは和歌というよりも、むしろ激励の文章ですよ。特定政党支持の選挙活動に学会員を駆り立てていく、政教一致で総決起させる、そういう進軍ラッパのようなものだと私は思いますよ。それは、池田氏の学会における信教上の絶対的権威からそういう力を持っているんですよ。
 ことしの夏の参議院選挙でも、各地に公選の友にとして歌を贈られた。神奈川の左へはこういう歌であります。「新しき仏の軍勢神奈川が歳とおわせば勝利は確かと」、仏の軍勢というんですよ。いいですね、仏の軍勢。そうして、七・三創価学会大阪支部長の大集会に対してはどういう歌か。「大関西見事に勝ちゆけ万才を諸仏と諸天とともにあげなん」、選挙に勝って仏様と一緒に万歳しようという激励の歌ですよ。そうでしょう。そして、さきの参議院補選、どうですか。まさに衆議院の特別委員会で政教一致の問題が厳しく批判され追及されている、そのさなかの佐賀の参議院補選でも和歌なるものを贈って、「佐賀の地を勝ちて築かん栄光の長者の城に確固と楽しく」、こう激励されているんですね。池田さんの責任は極めて重いですよ。
 総理、聞いてください。国民に向かってみずからが表明した政教分離という重大な憲法原則にかかわるその宣言、これは重いんですから、先ほどからも言っているように。それを守るというのは、まさに公益的宗教法人の代表者としての社会的責務じゃありませんか。真摯なる宗教法人が社会に向かって虚偽と信義に反するようなことをやったり言ったりしてよいわけはないんですよ。
 総理、これはまさに国民に対する重大な社会的な背信行為、明白な公約違反だと私は思いますが、総理はどうお考えになりますか。
#337
○国務大臣(村山富市君) それは、具体的な事実関係について私どもが正確に把握しているわけじゃありませんから、コメントを避けたいと思いますけれども、今言われたようなことが事実だとするならば、好ましいこととは思いません。
#338
○橋本敦君 公約違反は明らかなんですよ。いいですか。
 それだけじゃないんです。宗教団体による政党の支配という重大な問題の一つは、池田名誉会長が公明党に対しても強大な人事権を行使していることですよ。
 元公明党衆議院議員の大橋敏雄氏が政府に対して質問主意書を出しておられますが、その中で、「名誉会長による会と公明党の私物化」と、こう題して、「名誉会長の権力の専横ぶりは学会内にとどまらず、公党たる公明党にまで及んでいる」、「公明党に対し、主要な候補の決定権を握るなど、従来どおり実質的な支配を行い」と、こう書いていますよ。
 実際に、竹入委員長が公明党の初代委員長になったのは池田さんの指示だと、こう言われておりますが、さらに竹入委員長が委員長を続投するに当たって矢野絢也氏と対話をされている。その問題を矢野絢也氏が、今お話しした「政界仕掛人極秘メモ全公開」の中でリアルに書いている。
 これはもう文芸春秋に出ていますから皆さんお読みと思いますが、竹入さんが、学会で人事がありそうで、学会人事と党人事は関係ないと思うが、上がおれにしばらく続けろと、こう言っていると。上というのはもちろん池田名誉会長ですね。竹入氏は、実は本気でおれはやめたい、家内の病気がかなり重いと。それに対して矢野氏は、気の毒だが学会にそういう事情があるのなら率直にやるべきだ、学会が必要としているならやるしかないよ、こういうことを言っているわけですね。
 実際に、こういった人事権を行使して、そして具体的に政権に関与していくということになりますと、政教分離原則はどうなっていきますか。
 具体的な問題として、実際にこれまで議論された問題でもありますけれども、判決で明白になった創価学会幹部の我が党の宮本議長宅盗聴事件で、当時の創価学会顧問弁護士の山崎正友氏が、当時の現職検事であった神崎元郵政大臣にこの盗聴という犯行を隠ぺいするアドバイスを求めて相談をする。国会で問題になりましたね。
 また、矢野氏は、回想録「二重権力 闇の流れ」の中で、六九年の言論出版妨害事件が起こったときに、私と竹入とで当時自民党幹事長田中氏に調停を頼みに行ったと、こう書いて、政権党の力をかりて言論抑圧をしようという、こういうこともあったというんですね。
 こうなりますと、総理、これはまさに創価学会の政治権力への関与であるということは明らかで、これはまさに憲法の重大な民主的原則である政教分離を危うくするものである、こう言わなきゃならぬのじゃないですか。どうお考えですか。
#339
○国務大臣(村山富市君) どこまでが限界なのか、なかなか難しい判断だと思いますけれども、憲法第二十条の政教分離というのは、たびたび申し上げておりますように、信教の自由を実質的なものにするために政治権力が宗教活動に干渉してはならぬとか、介入してはならないとかいうことになっているわけです。
 同時に、だからといって選挙活動をすることまで禁止しているものではないと……
#340
○橋本敦君 それはわかっている。
#341
○国務大臣(村山富市君) そうでしょう。だから、そこでその限界というものがどこらで判断すべきかという問題については、なかなか微妙なものがあると思いますから、一概には言えないというふうに私は考えております。
#342
○橋本敦君 一概に言えないということで済まされるようなことではもう今やないです。宗教と政治との関係、とりわけ憲法上の大事な民主的原則である政教分離を徹底し、守るためにはどういうことが大事か、どういう考え方が大事か、はっきり政府としても対応して見解を出さざるを得ない状況になっているじゃありませんか。
 政教分離というのは、言うまでもありませんが、国家から宗教への介入、これは許さない、同時に、宗教団体の側から不当に政治権力に関与、あるいは政治権力を行使する、そういった状況をつくり出してはならぬ、こういうことが大事な原則だと思うんです。
 池田名誉会長に人事権を握られている、支配されている政党、そういった政党が政権に近づく、単独であれ連合であれ政権をとった場合には政治はどうなるか、政教分離は本当に守られるか、そういう危惧を国民は今持っています。民主的な政治が本当に守られるかという大事な問題にかかわっているんです。
 実際に、公明党が政権に入ったあの細川連立政権ができたときにどうだったですか。池田名誉会長は、有名な話ですが、閣僚の任命にかかわる重大な発言をしている。細川内閣の組閣の前日、幹部会で講演をして、出席していた婦人幹部に対して、「婦人部長。ご主人は、来てる。すばらしいご主人。これは、労働大臣ね、または総務長官、または郵政大臣になってもいいくらいのご主人です。」、そしてさらに続けて、「すごい時代に入りましたね、そのうち、デイジン(大臣)も何人かでるでしょう。もうじきです。まあ、明日あたりです、出るから。みんな、みなさんがたの部下だから、そのつもりで。」、こう発言をしている。我が党の正森議員もこの発言問題を指摘しましたけれども、新進党は宗教特別委員会でこの発言について何ら否定していませんよ。
 一つの問題は、創価学会の皆さんの部下だと言う、大臣が、政府の閣僚が。そんなことがありますか。そしてもう一つは、その翌日に細川内閣の組閣が発表される。その名簿を見ると、池田名誉会長が言ったとおり、公明党の議員からそのとおりの閣僚が誕生している。まさに人事権に介入し、あるいは行使したという、そういう疑いが濃厚にあるじゃありませんか。こういうことを避けなきゃならぬですよ。政教分離を正しく守っていくならば絶対にあっちゃならぬことでしょう。
 そういう意味で私は、この問題はこのまま看過できない、事実を正確にしなきゃならぬ問題だと思うんです。そういう意味からいっても私は池田名誉会長を参考人として当委員会にぜひ招致していただきたいと、こう思います。
 それは、宗教法人法の改正という問題についてじゃないんですよ。まさに宗教と政治という重大な問題にかかわって、私が指摘したようなもろもろの事実、その他衆参の委員会で指摘されたような事実について最高責任者である当の池田名誉会長御本人から事実の解明と意見を聞くというのが、これが今本当に大事な課題だと私は思うんです。
 総理、どうお考えですか。
#343
○国務大臣(村山富市君) 参考人を招致するかどうかということについては、これは委員会で決めることですから十分御相談をいただきたいと思います。
 この宗教と政治の関係というのは、ここでも議論がございましたように、もう戦前戦中から通じて国際的にもそれぞれ歴史を持っているわけです。大変難しい問題で、これは解ける問題じゃないと思いますけれども。今の日本国憲法は、そういう戦前の反省から、平和憲法のもとで信教の自由というものが保障されておるということになっておるわけです。したがって、それは守らなきゃならぬというふうに思いますし、しかしこの宗教と政治の関係は、今まで御議論もあった点も十分踏まえて、憲法学者の見解もあるわけですから、私どもは勉強させていただきたいというふうに思っています。
#344
○橋本敦君 池田氏の参考人招致については、それは国会の決めることだと総理はおっしゃいました。そのとおりです。私もそれはよくわかっております。わかっていてお聞きしたんですけれども、この問題は非常に重要だから総理の認識もお聞きしたいんです。
 最高裁判所が、池田名誉会長がどういう社会的影響力を持っている人か、どう言っているか御存じないでしょう。ここに、昭和五十六年四月十六日、最高裁第一小法廷の判決があるんです。その判決の中で、池田名誉会長の携わる「社会的活動の特質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度」ということで、最高裁判決が次のように言っているんですよ。よく聞いてください。
 記録によれば、同会長は、同会において、その教義を身をもって実践すべき信仰上のほぼ絶対的な指導者であって、公私を問わずその言動が信徒の精神生活等に重大な影響を与える立場にあったばかりでなく、右宗教上の地位を背景とした直接・間接の政治的活動等を通じ、社会一般に対しても少なからぬ影響を及ぼしていたことなどの事実があきらかであると。
最高裁判所の判断ですよ。
 こういう重要な地位と力と権勢を持ち、そして私が指摘したように、今日の宗教と政治とのかかわりについては重要な立場にある人ですから、どうしても当委員会において池田名誉会長を喚問する必要がある、このことを申し上げているんです。
 委員長、この問題については委員会において適正な措置が行われるようにぜひ御配慮をいただきたいと思います。
 私どもは、政治と宗教との関係が国民の大きな関心を呼んでいるこのときにぜひこれを実現して、そして政教分離原則を守っていくことに全力を挙げていきたいと思います。私どもは、信教の自由をこれからも将来も守ること、同時にまた民主政治の重大な原則であるこの政教分離の原則を社会と生活と法の中に、日本社会全体の中に徹底して広めていくこと、そういうことを目指して、綱領にも明記しておりますが、今後ともそのために奮闘していく決意であることを申し上げて、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。(拍手)
#345
○委員長(佐々木満君) 要請しましたか。
#346
○橋本敦君 はい、要請しました。
#347
○委員長(佐々木満君) それでは、本件については理事会で協議いたします。
    ―――――――――――――
#348
○委員長(佐々木満君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、峰崎直樹君が委員を辞任され、その補欠として伊藤基隆君が選任されました。
    ―――――――――――――
#349
○本岡昭次君 参議院フォーラムの本岡です。
 私は、今、論議になっておりますこの宗教法人法改正法案に対して賛成するか反対するか、態度は決めておりません。この私の質問を通し、また政府の御意見、また各党の意見を十分拝聴した上で最終的に態度を決めたい、このように考えております。
 しかしながら、きのう、きょうと議論を聞いておりまして、感想として、もう少し冷静に審議をし議論した方がいいんじゃないかと思いますし、何か宗教法人法改正ということに名をかりて、敵は本能寺にありというふうな感じがしないでもございません。
 そこで、私は通告をいたしました質問に入る前に、きのう、きょうのホットな議論にも参画させていただきたい、このように思うのであります。それは、憲法二十条の信教の自由というものをどう考えるかという議論を私なりに整理して、政府の誤りのない対応を求めたいと思うからであります。
 幸い速記録が配られました。非常にありがたいことであります。これを見ながら論点を整理していきますと、いろいろ議論が出ておりますが、一つの論点は、憲法二十条というのは、ほかのいろんな政党だとか信条の持ち主が政権をとる、政権に近づくために選挙をきちっと使ってやることは構わない、しかし宗教団体だけはだめよというのを書いたのが憲法二十条の第一項後段なんですという主張がここに一つありますね。ほかはだれがやってもいいと。だけれども、宗教団体だけは政権をとるための政治活動をしてはいかぬのだという、こういう論点があると、こちら側に、政府に対してそういう論点がある。これに対して総理はきちっと答えておられるわけなんです。
 総理のその論点というのは、一九七〇年の統一見解というものを、政府見解をきちっと踏まえられて答弁なさっております。そして、
 憲法の解釈というのは、これは条文の解釈がそのときそのときの事情によって変わるということはあってはならないと私は思いますね。ですから、憲法の条文の解釈というものはやっぱりきちっとしておく必要がある。
こう明快におっしゃっておられるんです。
 そしてさらに、
 思想・信条の自由とか言論・出版・結社の自由とか、そういう基本的な権利については私は普遍的なものだというふうに考えておりますから、今の憲法で保障されておるそういう基本的な権利というものはやっぱり維持し守っていくべきものだというふうに考えております。
というふうにおっしゃっておられるわけで、この総理の明快な答弁、私は支持をいたします。
 そこで、私は一九七〇年三月三十一日及び四月二十四日に出された統一見解なるものを繰り返し読んでみました。これは先ほどの質問ともかかわる重大な中身を持っておると思うんです。この統一見解自身を政府は変えないと、こうおっしゃっているわけです。先ほど官房長官から変えるのか変えないのかわからないような答弁があった。ですが、結果として総理のお考えと一緒だと、こうおっしゃったんだから、これを守っていくということになるんだと思います。
 そこで、今の質疑とも非常にかかわりますからこれを読んでみますと、
 政府としては、憲法の定める政教分離の原則は、憲法第二十条第一項前段に規定する信教の自由の保障を実質的なものにするため、国その他の公の機関が、国権行使の場面において、宗教に介入し、または関与することを排除する趣旨であって、それをこえて、宗教団体または宗教団体が事実上支配する団体が、政治的活動をすることをも排除している趣旨であるとは考えていない。
ここではっきり、何か先ほどの論議の答えもここで出ているわけです。
 さらに、具体的にここで論及がされているんです。
 宗教団体が政権を獲得するというのは、宗教団体が、公職の候補者を推薦し、または支持した結果、これらの者が公職に就任して国政を担当するにいたることを指すものと解されるところ、仮りに、このような状態が生じたとしても、当該宗教団体と国政を担当することとなった者とは、法律的には、別個の存在であるばかりでなく、また、前述のように、当該国政を担当することとなった者が、国権行使の面において、当該宗教団体の教義に基づく宗教的活動を行なう等宗教に介入し、または関与することは、憲法が厳に禁止しているところであるから、前述の状態が生じたからといって、直ちに憲法が定める政教分離の原則にもとる事態が現出するものではなくしたがって、前述の状態が生ずることそれ自体が、憲法に抵触するものとは解されない。とすれば、前述の意味における政権獲得をめざす政治的活動が憲法上許されないとされるべきはずがなく、その政治的活動の自由は、憲法第二十一条第一項が「集会、結社及び言論……その他一切の表現の自由」を保障している趣旨にかんがみ、尊重されるべきものと解する。と明快に書いてあるわけなんです。
 だから、お互いにためにする議論じゃなくて、この基本的人権の一つである信教の自由というものをもっと冷静に議論して、そしてこの問題の解決に当たらなければいけないんじゃないかと、ある意味では私は第三者的に先ほどから考えた次第でございます。
 そこで、総理、この非常に重要な信教の自由、それを保障した憲法二十条、これを政府がどのように遵守していくのかという問題にかかわることでありますので、明快にこの問題に対する答弁を私にもいただきたい、このように思う次第でございます。
#350
○国務大臣(村山富市君) 冷静に検討して冷静にお答えしているつもりであります。
 今、読み上げられました政府の統一見解、それを私は今日現在変える意思はありません。これはもう明確に申し上げておきます。
 ただ、これだけ御意見もありますし、憲法学者の意見もあるんですから、それらについても勉強させていただきますと、こう申し上げておるわけです。
#351
○本岡昭次君 そこで、先ほど農林水産大臣の発言の問題もここで議論になりましたが、少なくとも今私が読み上げました一九七〇年の四月二十四日の統一見解が政府のいわゆる憲法二十条、信教の自由政教分離に対する見解であるとするならば、農林水産大臣の御発言はこの政府見解と違うんではないか。いたずらに皆の気持ちをかき立てていくような意図的なものであったかどうかは別にしまして、閣僚として冷静な議論というものを信教の自由、政教分離という問題についてはしていただきたかったということを私はここで申し上げておきたいと思います。
 そこで、若干の質問を申し上げます。
 まず、宗教団体の自主性と行政の責任について伺います。
 村山総理は、衆議院において次のような発言をされております。
 やはり自主的に宗教団体が正すべきところは正していくというのが建前であるというふうにおっしゃっておる。建前という言葉がちょっと、そういうふうにおっしゃっているんですね。やはり自主的に宗教団体が正すべきところは正すべきである、これが建前だと、こうおっしゃっている。これは宗教法人法の根本理念を踏まえた私は御意見だと思うんです。
 ところがその後に、「しかし、今の宗教法人法を客観的に見た場合」、「本当の意味で信教の自由を保障し、政教分離を前提として守っていくためには、最低この程度のことはやっていただかないと行政としての責任が持てないのではないか」と思うと、こう続けられておるんですね。後ろにはいわゆる行政の責任というものを持ってきておられて、前には自主的に解決していくのが建前だと。だから、この自主的な解決という問題と行政の責任というものが総理のお考えの中にあるというのは、若干私は矛盾しているんではないかという思いを持つんです。
 そこで、宗教法人法というのは、この法律そのものは、行政が過度の責任を持って取り仕切っていくという管理監督権限を前面に押し出した法律でなく、むしろ総理が最初におっしゃった、この問題を自主的にみずからの問題として解決していくということを趣旨にしている法律ではないか、私はこう思うんですが、そのあたり総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#352
○国務大臣(村山富市君) 宗教法人法というのは、宗教団体に公益的な法人格を与えて、そしてそういう活動をやっていただこうというのがねらいですね。したがって、宗教法人法に基づいて、宗教団体がその法に照らして自主的にやっていただくというのは当然の話だと私は思うんですよ。しかし、全国に十八万四千からの宗教法人があって、そうでない宗教団体もあり得るわけですから、したがって、そういうものに対しては法律的に行政が責任を持ち得るような最低限度のものはきちっとやっておく必要があるというので今回の改正案を出されておると、私はそういうふうに受けとめております。
#353
○本岡昭次君 総理のそのお話もそれなりに筋は通っているんです。しかし、私はあくまで自主的に宗教団体が正すべきところは正していくというのがこの法の基本にあるんじゃないか、こう思うんです。
 大出法制局長官も衆議院の議論の中で、現行法が二十五条で財産目録、書類や帳簿の備えつけを義務づけながら提出義務を定めず、また解散を裁判所に求めることができると定めながら、そのときに質問権とか報告権とかいったものを決めなかったのはなぜかという質問に対して、次のように答えておられるんです。
 それは、信教の自由と政教分離の原則を念頭に置いてそのような法制度になっていると思うというふうに答弁されているんです。この法自身の持っている性格なんです。総理は、最低この程度のことはやってほしいということがある、やってくれない宗教法人がある、だから行政としてそれは責任を持てるようにしたいんだ、こうおっしゃっているんですね。
 そこなんですが、私は行政権力によって強制するんでなくて、自由の中で、自主自助努力を続けて問題を解決し、改善していくことを宗教法人法は理念として求めているんだから、その方向性を大切にしていくということが行政庁の考え方として大事ではないか、こう思うんです。そして、おっしゃるように国が行政の責任だとして幾ら管理監督を強めても、宗教界の理解と合意というものが得られなければ実効性というものは出てこないんじゃないかというふうに思うんです。
 やっぱり大切なのは、総理も言われた自主的ということと、もう一つは責任ですね。悪いことしたらだめよ、法に違反したら徹底的に罰せられますよという、そのもう一方のところもきちっと押さえさせた上での運営をどうさせるか、どうしてもらうかということじゃないかと私は思うんです。
 そこで、宗教法人法の中に提出義務のないいろいろな書類があります。私は今まで知らなかったんですが、いろいろ本を読んでおりますと、宗教団体の中には自発的に活動報告とか会計報告とか、また一般会計の収支報告を所轄庁に提出している法人があるんですね。提出義務がないのに自発的に提出している。そして、信者に対して公示して公開している。それができる団体とできない団体がある。できない団体に対して行政として責任を持てないからといって法をかぶせるわけにいかないわけだ。自発的にやっているところにも法の網はかぶさっていくわけなんです。
 その場合に、私は、自発的に自主的にやれるところがあるんだから、そういうところをどうふやしていくかという、そういう努力というものをもう少しかき立てていくものがこの法改正の前にあってもよかったんではないかということを一つ思うんです。
 それからもう一つ、これは総理も文部大臣もしばしばおっしゃるんですが、法人として認証した後、認証した行政庁側は認証した法人の実態がわからぬ、何をしとるのかわからへんと、こういうことをおっしゃるわけで、そんなことを聞くと国民はえっと思いますよね。一体どうなっておるんだと思い、物すごく不安に駆られます。私もそう思いました。
 ところが、いろいろ調べてみますと、都道府県の中でも三人とか四人とか、大臣もおっしゃった少ない人数の担当課の人たちが、宗教法人として認証を届け出たところに対して許可をおろすについて調べなければいかぬ、認証の許可をしたところが一体どういう活動をしているのかということを、やはりそれはそれなりに法律を読んでもかなりな仕事量が私はあると思うんですよ。認証しっ放しということではいけない法律の中身があると僕は見たんですよ。
 そして、いわゆる休眠状態にある、活動していない宗教法人に対しては強制力を発揮できませんから粘り強く調査をして、そしてこれを休眠法人として、法人として存在させることが不適当であるということでもって裁判所に対して解散請求をやっているという府県もあるわけなんですね。認証した後、何もわからぬというんじゃなくて、そういう努力を続けているところも現に都道府県の中にはある。私の兵庫県なんて休眠法人を裁判所に訴えるということをかなりやっているようですね。かなり努力が要るらしいです。
 だから、四十七都道府県の担当者を集めて、一体何もわからぬのか、わかろうとするための手だてがないのか、あるいはここまでわかっているんだけれどもその先はできないんだという、そういうこともきちっと調査をした上で所轄庁の問題についても結論を出した方が、マイクの前に出られると、いやそんなことおっしゃるけれども認証した後はわからぬのですと、こういうのは私はいかがなものかと思うんです。そこはやっぱりまずいんじゃないかと思うんです。
 だから、宗教団体に自主と責任というものをどう持たせてやっていくのか、また所轄と言われているところも、信教の自由というものを前提にしたところでの関係を維持していくためには国が介入してはならぬ、管理監督してはならぬという前提を踏まえた上でどうやればいいのかということを、この法律を改正する前にもう少しやるべきことがあったんじゃないか、私は正直言って。
 私は今はどの立場にも属しておりません。全く白紙の状態で、久しぶりにそういう立場で出させていただいておる。ふだんならば大体もう賛成か反対かわかってやっておるんですが、今は自分の気持ちを率直にぶつけて議論に入って最終的に決めたい、こういう気持ちなんです。だからこういうことも言えるわけなんです。どうでしょう、もうちょっと時間を置いてという、もうここまで来たら無理かもしれませんけれども、私が持っているこの感じ、感覚というものをどう受けとめていただけますか、総理と文部大臣に。
#354
○国務大臣(村山富市君) 今、委員からもお話がありましたように、これは文部省もそうですけれども、都道府県でも担当の職員というのは本当にわずかですね。三、四人ぐらいじゃないですかね、平均は。そうすると、その三人ぐらいの職員で、その県に幾つ団体があるか知りませんけれども、全体を掌握するということは非常に困難だと言わざるを得ないと思うんですね。これはもう能力的に困難だと思います。
 そうした場合に、宗教団体が自主的に公益法人としての正しい運動をやっていただくということは当然ですよ、これ。しかし、そうでない団体もあるわけですから、したがってそういうそうでない団体、きょういろいろ議論もありましたけれども、それは悪徳商法を悪用して収益事業をやっているような団体もあるというふうなお話もありましたけれども、そういう団体について正確に恒常的にやっている活動をある程度理解ができるようにするためには、その程度のことはやっぱりやっていただかないとなかなか役所としては把握できないんではないか。また、それくらいのことをしなければ、それは認証をした立場からする責任が果たせないということも私はあり得ると思うんですよ。
 そういう点を考えた場合に、この程度のことは公益法人としてやっていただくのはむしろ宗教法人のためにもなるんではないか。これは社会的には信頼を増すことになるというふうに思いますから、ある意味では当然ではないかというふうに考えているわけです。
#355
○国務大臣(島村宜伸君) ほぼ総理のお話しになったことに尽きるわけでございますが、やはり所轄庁として認証し法人格を与えますとそれなりの責任があると思います。私は、そういう意味で税法上を初めとしていろいろな性善説を前提にした保護を受けられるわけですから、それなりの宗教法人としてのいわば責任というものが当然伴うと思うんですね。そういう意味では、先ほど先生御指摘になりましたように、国が今所轄する宗教法人三百七十三と記憶しますが、その約三分の一は自発的にもう報告をなさっていらっしゃる。そういう姿勢こそ我々の期待するものである、こう思います。
#356
○本岡昭次君 そこで、重ねてお伺いします。
 宗教をかたった犯罪者集団と私は思っておるんですが、あのオウム真理教から、宗教というのは何か危険なことをするんではないかとか、またお金の扱いが怪しいんではないかとかいう風潮が、あれだけもう明けても暮れてもテレビの前でいろんなことをやりますと国民の気持ちの中に定着していくというふうに僕は思うんです。だから、この際宗教法人を日常的に、何をするかわからぬから政府や都道府県が監視せないかぬのやということ、これはすとんと入るんですよ、割と話として。それはそうや、やってもらわないかぬと。
 私も家でその話をしていくと、私の方が少数なんです。それはお父ちゃん、おかしい、やっぱり監督せないかぬ、管理せないかぬと、こう言うが、いや、それは宗教法人法とか宗教とか信教の自由ということでしたらいかぬことになっているんだと言っても、これはなかなかわからぬ。長い間かかって議論して、最近はやっと味方になってくれていますけれども、またそういうことで来ているものですから、自由な宗教活動に対してどうしても国が責任ということでもって監督し、あるいはまた干渉しということに入らざるを得ない。
 私も昭和の初期に生まれた人間ですから、いろんな宗教と国の関係というものを教育の中でも体験した人間の一人ですが、こういうところからずっと入って、何か宗教弾圧というものが起こるのかなという危機も一万感じるんです。危機ですよ、危険性ですよ。いや、これは私だけじゃないと思うんですよ。そんなの感じへんという人と感じるという人はこれはあると思うんです、今の状況はね。
 それでお聞きしたいんですが、一九七〇年の信教の自由に関する政府の統一見解、そして宗教法人法の持っていた基本的なスタンス、そういうものを宗教法人法によって変えようとしているのか、政府が。それとも今までと同じスタンスでこれはいくんだということなのか。ここのところは、こうなってくると、とめようとしてもとまらぬなら、私は非常に大事なところになってくると思うんですね。
 宗教法人法の今まで持っていた基本的なスタンスは変えないんだといって議論が進んでいくのか、いや国の責任、行政庁の責任ということを具体化していくためにさらに、管理、監督、介入、干渉、言葉はいろいろありますが、そういうものを強めていかないかぬのやという方向に行くのかという分かれ目ではないかというふうに思うんです。
 今までの宗教法人法に対する基本的スタンスは変わらないとおっしゃるのか、いやこれから変えていくんですと、おっしゃるのか、ここのところはひとつ明快にお願いしたいと思います。
#357
○国務大臣(村山富市君) これはもう今までの議論の中でも明らかにしておりますけれども、基本的スタンスを変える考えはありません。
 それから、十八万四千の宗教法人があるというんですが、宗教団体はまだたくさんあると思いますけれども、宗教法人は今はそれだけある。その大部分は、私は自主的にまじめにまともに公益法人としての活動をしていると思いますよ。しかし、たまたま軌道を外れた者が出てきたりそういう法人が出てきたりするものですからこういうことになっているんだというふうに思います。しかし、それはそれだけに網をかぶせて指定してやるわけにいきませんから、全体として公平に扱うという意味ではその程度の最低のことは行政としてやるべき責任があるのではないかというふうに思いますし、国民の大多数も世論調査を見ましてもやるべきだという声が高いわけですから、政府としての責任は果たさにゃいかぬという気持ちであります。
#358
○本岡昭次君 最後の質問になるかと思いますが、先ほど私が質問に立ったときに、非常にホットな議論になっている、もう少し冷静に議論をした方がいいんではないですかという生意気な失礼なことを言いました。
 しかし、やはり宗教と宗教法人の問題が政争の具とされていくというのは余り好ましくないんじゃないかと、こう思うんですね。最近の週刊誌とかいろんな雑誌を見ておりますと、政府・与党の有力者が今回の法改正については特定の宗教団体の牽制と抑制をねらっていると。僕らの言葉で、関西の言葉で言うたらやっつけてまえというふうな何か非常に進軍ラッパが鳴っているような状況の中で議論が進んでいくというのは極めて私は遺憾だと、こう思うんです。
 結局、それは宗教と宗教法人をそれぞれの党の立場で有利か不利かという議論の中で党利党略、党ですから党利党略のない党なんて、これはもうナンセンスですけれども、しかしその宗教とか宗教法人を巻き込んでの党利党略で議論をして、そしてどこかの宗教団体をやっつけてしまうとかどこかの宗教団体をどうするとか、それに波及してほかの宗教団体もさまざまな影響を受けていくとかというふうなことは、結果として政治権力の宗教団体への介入を許すことであり、そして信教の自由を侵すということに私はなってしまうんではないかというふうに思えて仕方がないんです。
 冷静な議論をここでしている。外野のところでけんけんがくがく、やっつけてまえ、やってまえというふうな議論を慎んでいくようにしてもらいたいと思うし、やはり政府を構成している与党の方もそうした節度ある対応というものが私は必要ではないかと思うんです。ちょっと余りにも数多くの議論を政府を構成している与党の有力者が言っておるでしょう。それが多過ぎるんではないかと思えて私は仕方がないんです。
 ここのところを最後に意見として申し上げて、総理の見解をいただいて、終わりたいと思います。
#359
○国務大臣(村山富市君) 政府は政争の具にする意思は毛頭ございません。これはもう冷静に今の実態を考えた場合に、この程度の最小の法律の改正は、社会的にも国民の期待にこたえる意味でも政府の責任として必要なことだという意味でもって御提案を申し上げているので、ひとつ慎重な御審議をいただいて成立を御期待申し上げたいと思います。
#360
○本岡昭次君 どうもありがとうございました。(拍手)
#361
○国井正幸君 新緑風会の国井正幸でございます。
 私はこの七月の選挙で当選をさせていただきまして、まだぴかぴかの一年生でございます。したがいまして、新鮮な気持ちで素朴な質問をさせていただきたいというふうに思いますので、ぜひ率直にお答えをいただきたいというふうに思っております。
 私は、ほぼ毎日、選挙区の栃木から電車でこっちへ通ってきているわけでございます。そのときに、駅あるいは電車の中でたくさんの方とお会いをし、道すがらいろんな話をしてくるわけでございます。専ら話題というのは景気の話なんですね。景気が一向によくならなくて困った、このままで本当に年が越せるんだろうか、こういうふうな御心配をしている方もたくさんいらっしゃいます。
 あるいは、来春卒業する子供の就職がなくて大変困っているというふうな話なんかも聞いております。この私なんかでもいまだに二十通を超えるくらいの履歴書を預かって、どこかないか、こんなことを言われているわけでございますから、もう大臣の皆さんの事務所なんかには相当多くの方々からどこか見つけてほしい、こういうことで要請なんかもあるんじゃないかというふうに思うんです。大変深刻な状況だというふうに思っております。
 そういう意味では、国民は一刻も早い景気の回復というのを望んでいるでしょうし、あるいはまた安全、安心な社会、これをつくってほしい、こういうことを強く望んでいるというふうに思うんです。
 そういう意味で、総理に率直にお尋ねをしたいというふうに思いますが、今、政治あるいは政府が最も求められておる緊急的な課題はどんなことだというふうにお考えでしょうか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
#362
○国務大臣(村山富市君) 今、委員から御指摘がございましたように、景気が弱含みで足踏み状態にある、何とか景気を回復せにゃいかぬと、これはもう当面の大きな課題として内閣を挙げて取り組んでおります。それからオウム事件等についても、できるだけ国民に安心をしていただくということから、警察を挙げて今捜査に全力を挙げて取り組んで全容の解明に当たっているわけです。
 これは、政府というのは、景気だけやればあとはもう何もやらぬでいいというものじゃないので、それぞれ担当の大臣が責任を持って所管をして、内閣は重点を置いてやっているわけです。したがって、何もそれがあるからこれは必要ないじゃないかというようなことにはならないので、全般的に見渡して行政全体をやっていく必要があるという建前から、今回のこの宗教法人法の改正も現時点において国民がこれだけ期待をしているわけですから、その国民の期待にこたえる政府の責任はあると思いますし、現状を考えた場合にこの程度の、最小限度の改正は必要ではないかという判断から政府が責任を持って提案をしているので、十分ひとつ御審議をいただきたいと思います。
#363
○国井正幸君 今の総理の御答弁にもありましたように、やはり私は景気の問題は最も優先されるべき課題の一つだろうというふうに思っております。
 それと同時に、昨日以来、本院においても討議をされているわけでございますけれども、オウム教団によります大変凶悪な事件が起きたわけでございますから、それで先ほど来のお話にもありましたように、いまだ七名の逃亡している者もいる、こういうふうな状況でございますので、オウム教の信者による再犯の防止、あるいはこうした類似凶悪事件の再発防止、さらには銃器犯罪等の一掃など、こうしたことをクリアして安全、安心な社会というのがどうしても国民生活の上では求められていることだろうというふうに私は思います。
 そういう意味で見ていくときに、この宗教法人法の改正がそんなに緊急な課題なんだろうかというふうに私は率直に思います。
 と申しますのは、総理は衆議院の宗教特におきまして、これは鳩山委員の質問に答えて、オウムが引き起こした一連の凶悪な犯罪事件と今度の宗教法人法の改正とは直接的には結びつかない、ただこの宗教法人法の改正がこれだけ政治の俎上に上ってきたわけだから、そのきっかけになったことは間違いないけれども、直接的には結びつかない、こういうふうなお答えをしているわけでございます。
 それから、島村文部大臣におかれましても同じく衆議院の宗教特で、これは愛知議員の質問に答えているわけでございますが、「オウム真理教事件の再発を、今回の仮に宗教法人法の改正で完全に防ぐということは、これはもとより不可能ではございますが、従前の現行法と異なり、今回は宗教法人の管理運営の民主性や透明性が高まり、所轄庁も宗教法人の実態をある程度把握できるわけでありますから、もしこの改正案が成立すれば、宗教法人の不適切な運営の防止に資することにはなるわけであります。」云々というふうに答えているわけでございます。
 国民は今、宗教団体に関して言うならば、あの麻原によってマインドコントロールをされた信者や、先ほど申し上げましたように、逃亡中の被疑者などによって再びこうした凶悪事件が引き起こされるのではないかというふうなことで心配をし、あるいはおびえているわけでございます。オウム真理教という凶悪犯罪組織の一日も早い壊滅を願っているというのが私は率直な気持ちだろうというふうに思います。
 そして、先ほどもお話がありましたように、被害者に戻すべき財産というんでしょうか、これもあるわけでございまして、これは保全をしておくということが必要なんだろうというふうに思います。
 そういう意味からしますと、いわゆる再犯防止に直接的には効果がない、あるいは財産保全にも有効たり得ないこの法改正をなぜこんなにも拙速に急ぐんだろうかというふうに私は率直に感じるんですよ。そういう意味では、先ほど来もこの宗教法人法の改正というのは政争の具にしない、こういうふうなお話がありましたけれども、もっと冷静に議論というのができないんだろうか。
 そういう意味から見て、総理、どうも何かためにするような議論のように私も聞こえる部分があるんですが、どうなんでしょう、ほかに目的というのはおありなんですか。いわゆる法改正の目的ですね、これが本当にそれだけなんだろうかというふうに私は率直に感じるんですが、その辺はいかがでしょうか。
#364
○国務大臣(村山富市君) たびたび御答弁申し上げておりますように、今回の宗教法人法の改正は、政争の具に供するなんという意思は全然ございません。当面の社会情勢あるいは宗教法人、宗教団体の活動等々に照らしてみて、行政が責任を持って運営できる、しかも宗教団体が公益法人としての宗教活動がある程度透明度も高めて社会的にも信頼されてやれるようなものにしていきたいということから、最低限のこの程度の法律の改正は必要ではないかというので御提案を申し上げておるので、拙速拙速という言葉がありますけれども、私どもは拙速にやろうなんという意思はありませんよ。ですから、十分御審議をいただきたい、こういうふうに申し上げておるのであって、誤解のないようにひとつ御理解をいただきたいと思います。
#365
○国井正幸君 なぜ私がそういうふうに率直に感じるかというのは、実は、宗教法人審議会の運営とこの報告のあり方というのは大変問題であったんではないかというふうに私は率直に感じているわけでございます。
 十月二十五日ですか、このときに委員十五人中七人の方が署名入りで、報告書の取りまとめを不服だ、こういうふうなことで審議の再開、これを文部大臣に求めてきている、こういうふうなことが報じられているわけでございます。衆議院の議事録等を見ると、大変持ち時間がある方ですとそれらを読み上げることも可能なんですが、時間が少ないですからこれは一部省略をしたいというふうに思うんですが、十月二十五日の朝日新聞の夕刊にはかいつまんでこんなことが出ているわけです。
 力久さんら宗教界出身の七委員が二十五日、報告の取りまとめを不服として審議の再開を求める申し入れ書を文化庁に再度提出した。そして、力久委員らがまとめた議事録というんでしょうか、その要旨に、これは記憶をもとにまとめたということでありますが、メモや録音というのはとっていなかったということであります。
 それによると、取りまとめを求める三角会長らに対し杉谷委員が、事務方は今急いで報告書を出さなければならない理由があるのかというふうにただしたところ、小野文化庁次長は、とにかく伏してお願いをしたい、お願い申し上げますと頭を下げた。力久委員は、納得できないものに同意はできないということで反論をした。
 これに対して、報告取りまとめに賛成の委員が、この段階で継続審議を言うのは政治的背景があるだろうと言われても仕方がないというふうな発言をして、三角会長も、きょう報告書を文部大臣に出せなかったら私は成仏し切れないというふうに言っているというんですね。最後に上村委員が、何とか継続審議をしてくれ、民主主義の根幹、基本的人権の問題だ、軽々に扱う問題ではない、こう述べたが、その後各委員からの発言が錯綜して混乱のまま三角会長が閉会を宣言した。こういうふうなことが出ているんですね。
 私も長年農業団体に実は勤務してきたわけでございまして、審議会が幾つあるのかどうなのかというのはわかりませんが、例えば米価審議会なんというのも私は承知をしているわけでございますが、随分米価審議会等についても委員の意見が、生産者団体、消費者側委員あるいは公益委員というんでしょうか、意見が違う場合があるわけなんですが、少なくとも、審議会が終わった後、ほかから、自分たちの意見が入っていなかった、そういうことで言われるというのは私は聞いたことがないんですが、審議会というのはこういうものが普通なんでしょうか。これはどうなんでしょうか。審議会を所轄しているのはどこですか、総務庁ですか。私はこれは本当に異常じゃないかというふうに思うんですね。その辺いかがでしょうか。
#366
○国務大臣(島村宜伸君) 国井委員もいろいろな会議を御経験なさったと思いますが、会議中にいろんな議論を闘わせます。時には大激論にもなります。しかし、最終的に議論が民主的におさまったものについては、いろんな御意見をお持ちの方でもそれに従うというのが民主主義だと思います。
 今回の宗教法人審議会は、四月二十五日に総会を開きまして、二度の総会を持った後、六回特別委員会を開きました。特別委員会は宗教関係五つの団体の代表の方からそれぞれ選ばれたわけです。
 初めから申し上げますと、委員の構成は十五名でできていますが、うち十一名が宗教法人の方であります。そして、その方たちが今度は互選して決めた会長が今御指摘の三角会長です。その会長は会務を総理するということが法律で決まっております。そして、その審議会の皆さんのいろんな審議の過程で、これを集中的に審議すべきということから特別委員会が設けられました。これは八名で構成されておりますが、うち五名が宗教法人関係者です。
 したがって、恣意的に文部省なりなんなりがこの会の運営をするということは現実に不可能であります。しかも、都合八回開かれた特別委員会はまさに整々粛々として議論が暗礁に乗り上げるようなことは一切なかった、極めて整々粛々と行われて結論が出ているわけです。そして、議事録が出ないから云々といろいろ言われましたけれども、これは委員と初めから公開しないという信義がありました。
 もう一つは、要するにプライバシーにかかわる問題があるというので公開いたしておりませんが、一つだけわかりやすく申し上げますと、特別委員会なりが開かれた後、その議事をまとめまして、国民の意識も高いですから、単に記者の方々にブリーフを行っただけじゃなくて、審議会の皆さんにその記録をお預けして、もし御異議等があればと、そこまで実はしているわけですから、議事録は公開はいたしておりませんが、委員の方々はその内容を御存じであります。最終のものは、今度開かれる宗教法人審議会がいつになるかわかりませんが、そのときに出ることになると思いますけれども、それまでの間の議事録等を委員の方々皆さんお持ちのはずなんです。内容を知らないわけじゃない。
 したがって、そこまできちんといわば行政のルールに従って決まったことでありますから、その間紛糾したまま何かを結論づけたことでも何でもないわけでございますので、この点だけはひとつ誤解を解いていただきたい、こんなふうに思うわけであります。
#367
○国井正幸君 私も今、米価審議会の話をちょっと申し上げましたけれども、いろいろ意見があった場合は例えば両論併記とかそういう形であるというのが審議会等の通常のあり方ではないかと。こういう反対意見もありました、あるいはこういう意見もありましたと、そういうことを大体両論併記するとか、そして公益委員がまとめたとか、いろいろあると思うんですね。
 それがいわゆる報告によると、「本審議会は、以上のような審議検討の結果、大方の意見は別紙のようであったので、本日ここに報告する。」と、こういうふうなことになっているわけですね。そういうことになると、これは今、大臣がおっしゃいましたように、議事録はプライバシーの問題があって出せない、こういうふうなことのようでございますから、あるいは当初からの約束によって見ることはできないわけであります。
 それでは、大臣の話、整々粛々とやったと、こういうふうなことで、その前提に立ちますと、じゃ、この委員の方々は、一回終わった後、全くうそのことを言っているのかというふうに私どもは理解しなくちゃならないし、あるいはこの委員の方々がこれだけ社会的な地位もあり、それぞれの宗教を代表する方々であって、しかも実名入りでもって抗議を出しているというふうなことになれば、どっちがどうなんだという話に私はなるというふうに思うんですね。そういう意味で、私は何も全部の委員が全部意見がまとまるということはないと思うんですよ。ある場合もあるかもしれないけれども、あり得ないこともあるだろう。しかし、その場合は両論併記をするとか、そういうことが私は一般的な扱いなのではないかというふうに思うんですね。
 一方で、またもっと時間をかけて議論しようじゃないかというのに議論を打ち切って、ここでやらなかったら成仏し切れないなんという話というのは、私はちょっと理解できないですね。
 そういう意味では、小野文化庁次長、何で伏してお願いしますなんということを言ってそこまでに上げなくちゃならなかったのか、その辺はどうなんでしょうか。
#368
○政府委員(小野元之君) 九月二十九日の最終の審議会でございますけれども、先ほど委員から御指摘ございました、会長一任を取りつけないで混乱のまま閉会ということをおっしゃいましたけれども、私どもの方はそうではなくて、会長が論点は既に出尽くしているというふうに判断をされて、一任いただけないかという御提案をされたわけでございます。一部にはなお慎重に審議すべきだという御意見はございましたけれども、大方の委員は一任について異論はなく、会長に一任されたものでございます。
 私がなぜお願いするということを申し上げたのかという御質問でございますが、国民の世論は宗教法人法の改正を望んでいる、非常に高い率で改正すべきだということもあるわけでございます。それから、審議会で特別委員会を開きまして、大臣からも御答弁申し上げましたように、八回も特別委員会では本当に中身の濃い議論を進められてこられたわけでございます。私ども事務局としては、この時点で審議会として御報告をぜひお出しいただきたいという気持ちを持っておりましたので、その旨をお願い申し上げたところでございます。
#369
○国井正幸君 今の中で、国民が宗教法人法の改正を強く望んでいると、確かに世論調査の結果ではそういう形が出ていると思うんですが、これは先ほど前段で私が申し上げたように、これを改正すればオウム教の再犯が防げるのではないか、あるいは財産の保全ができるのではないか、ああいう事件が二度と起きないのではないか、こういうことを期待しているわけですよ。
 しかし、総理初め大臣の御答弁等を聞くと、これからの予防にはある意味ではなり得るかもしれないけれども、今、国民が求めている部分に即効性があるということではないと、こういうふうなことなんですよ。そこがやはり、国民が正確に理解をされていない部分もあるのではないかというふうなことを私は言っているわけですよ。
#370
○国務大臣(島村宜伸君) 法律をつくったならば犯罪がなくなるというものではないです。そして、法律には不遡及の原則がございますから、オウム真理教を今度法律をつくって裁くわけにはいきません。
 しかし、今までのように一たん認証したら宗教法人の動きが全くわからないと、こういう状況とは変わるわけですから、これからはそういうことに対して一応所轄庁として対応していける、以前よりははるかに前進できると、こういうふうに考えているところでございます。
#371
○国井正幸君 そういう意味では、これからの問題としては、それは確かにそういう部分もあるかもしれません。しかし、今一番求められていることというのは、オウム教の根絶あるいは再犯の防止、こういうことだというふうに思うんですね。このこととはストレートには連動しないのではないかというふうに私は思うんですよ。そういう意味ではもっと時間をかける余裕というのはあるのではないかということを私は申し上げたいわけでございます。
 こればかりやっていますと時間がなくなるので、一つだけ内容の問題でお聞かせをいただきたいというふうに思います。
 その一つは、今度の提案されている法案の二十五条のいわゆる財産目録等の作成、備えつけ、閲覧及び提出の関係でございます。ここの中の第三項には「宗教法人は、信者その他の利害関係人であって前項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項各号に掲げる書類又は帳簿を閲覧することについて正当な利益がありこ云々という部分があるわけです。私は、これは信者及び利害関係人であればだれでも見られる、こういうふうなことなんだろうというふうに思うんです、正当な理由があれば。
 そこで、ちょっとお聞かせをいただきたいんですが、商法の二百九十三条ノ六にいわゆる株式会社の株主の帳簿閲覧権の問題が出ているわけでございます。これでは「百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主ハ会計ノ帳簿双書類ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得」というふうなことになっているわけでございますが、なぜこれは一株の株主にはない権限を百分の三以上の者に与えたのか。そのことについて、これは法務大臣ですか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
#372
○政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、商法の規定におきましては、株式会社につきまして株主の会計の帳簿及び書類の閲覧請求については発行済み株式総数の百分の三以上の持ち株要件を要求しております。
 その趣旨についてのお尋ねでございますが、この対象となります会計の帳簿及び書類というのは、元帳、仕訳帳等の書類のほか、場合によっては伝票とか受取証とか契約書とかそういったものも含み得る大変幅広い範囲に及ぶものでございます。そういうことでございますので、この閲覧というものがみだりに行われる、乱用されるということになりますと会社の利益を害するおそれが多い、こういう株式会社の制度上の理由に基づいて、一株の株主ということではなくて一定の持ち株要件を定めているということでございます。
#373
○国井正幸君 文部大臣にお尋ねをしたいというふうに思うんです。
 今、株式会社の場合は、いわゆる一株の株主にもそういう帳簿を閲覧させた場合もろもろの不利益をこうむるおそれがある、こういうふうなことで発行済み株式の百分の三以上、こういうふうにしたということでございますけれども、この宗教法人に当たっては一人の者であってもみんな見せるというふうなことになって、いわゆる商法の二百九十三条ノ六の趣旨、そういうふうに百分の三以上にしたわけですね、商法の上では。この宗教法人の場合はこれを閲覧させてそういうおそれはないわけですか。いかがでしょうか。
#374
○政府委員(小野元之君) 商法と宗教法人法の違いの点でございますけれども、先ほど法務省から御答弁ございましたけれども、百分の三以上の持ち株株主が見られるというのは株式会社の会計の帳簿、書類の閲覧、謄写でございます。一方で、商法におきましては、本店等に貸借対照表や損益計算書などの書類を備え置くことが義務づけられておるわけでございますけれども、この本店等に備えつけが義務づけられている書類につきましては株主、債権者であればだれでも閲覧することが認められるというふうに商法二百六十三条あるいは二百八十二条で定められているというふうに私は理解しているわけでございます。
 今回の私どもの宗教法人法の閲覧請求の問題でございますけれども、こちらの方は、本来、各宗教法人において書類等を作成して事務所に備えつけてあるもの、その備えつけてあるものについての閲覧請求権の問題なのでございます。したがいまして、商法の場合とは若干規定ぶりが違うことも事実だと思うのでございます。
 私どもの方の宗教法人法におきましては、そういった備えつけの書類については、正当な利益があり、かつその閲覧請求が不当な目的でない、そういった条件をつけまして、そういった悪用といいますか、総会屋的な方が書類を見せて混乱を引き起こすということを防ぐための措置を置いているところでございます。
#375
○国井正幸君 時間もなくなりましたので、私は情報を開示するということを決して否定するものではないわけですが、しかし総会屋等もありまして、これは犯罪を構成していることもあるわけですね。そういう意味では、極めてこの宗教法人というのは心の問題でありますから、土足で人の心に踏み込んでくることがないように、十分な配慮というのが私は必要なんだろうというふうに思います。
 この問題について以後の委員会で別途時間をいただいて私も質問させていただきたいと思いまして、これで終わります。ありがとうございました。(拍手)
#376
○委員長(佐々木満君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。
   午後五時十七分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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