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1995/12/14 第134回国会 参議院 参議院会議録情報 第134回国会 文教委員会 第3号
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1995/12/14 第134回国会 参議院

参議院会議録情報 第134回国会 文教委員会 第3号

#1
第134回国会 文教委員会 第3号
平成七年十二月十四日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十三日
    辞任         補欠選任
     浜四津敏子君     西川 玲子君
 十二月十四日
    辞任         補欠選任
     上山 和人君     菅野 久光君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小野 清子君
    理 事
                森山 眞弓君
                山下 栄一君
                三重野栄子君
    委 員
                阿部 正俊君
                井上  裕君
                釜本 邦茂君
                馳   浩君
                石田 美栄君
                菅川 健二君
                西川 玲子君
                林  寛子君
                菅野 久光君
                竹村 泰子君
                阿部 幸代君
                堂本 暁子君
                江本 孟紀君
   国務大臣
       文 部 大 臣  島村 宜伸君
   政府委員
       文部大臣官房長  佐藤 禎一君
       文部大臣官房総
       務審議官     辻村 哲夫君
       文部省生涯学習
       局長       草原 克豪君
       文部省初等中等
       教育局長     井上 孝美君
       文部省教育助成
       局長       遠山 耕平君
       文部省高等教育
       局長       吉田  茂君
       文部省学術国際
       局長       林田 英樹君
       文部省体育局長  小林 敬治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青柳  徹君
   説明員
       警察庁生活安全
       局少年局長    宮本 和夫君
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    中島 勝利君
       法務省矯正局教
       育局長      板垣 嗣廣君
       厚生省児童家庭
       局福祉課長    大泉 博子君
       労働省婦人局婦
       人政策局長    坂本由紀子君
       労働省職業安定
       局業務調整課長  井原 勝介君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (いじめ問題に関する件)
 (大学教育と就職協定の在り方に関する件)
 (平成八年度文教予算の確保に関する件)
 (教職員定数の改善に関する件)
 (学生の就職問題に関する件)
○私学助成制度の拡充強化に関する請願(第六二
 号)
○義務教育諸学校の学校事務職員・栄養職員に対
 する義務教育費国庫負担制度の維持に関する請
 願(第一九三号外三件)
○すべての定時制・通信制高校生に対する教科書
 無償・夜食費の国庫補助の堅持に関する請願
 (第二〇七号外四件)
○私学助成に関する請願(第二五五号外二八件)
○義務教育費国庫負担制度の堅持に関する請願
 (第三三九号外七件)
○義務教育費国庫負担制度から削減・除外された
 費用の復元に関する請願(第三四〇号外四件)
○教育・大学予算・私大助成の大幅増額と学生・
 父母の経済的負担軽減に関する請願(第四〇五
 号外一件)
○すべての子供に対する行き届いた教育の保障に
 関する請願(第四七三号外二件)
○学校事務職員・栄養職員の給与費の半額国庫負
 担堅持に関する請願(第五〇六号外四件)
○大学院生の研究・生活条件の改善と大学の充実
 に関する請願(第五五五号外一件)
○私学への大幅公費助成の実現等教育関係予算の
 拡充に関する請願(第六四一号)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小野清子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、浜四津敏子君が委員を辞任され、その補欠として西川玲子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(小野清子君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○馳浩君 自由民主党の馳浩と申します。参議院議員となりまして初めての質問となりますので、よろしくお願いいたします。私は体は大きいんですけれども気は小さいので、どうぞお手やわらかにお願いいたします。
 私、大学を卒業した後に、一年半ですけれどもふるさとの石川県の星稜高校という学校で国語の教員として教壇に立っておりました。短い期間ではありましたけれども、子供たちと接して、自分は授業をしたりあるいはクラブ活動で接したりあるいは生徒課の教員として指導したりという中で、いろいろと疑問を感ずることもありましたし教員をしていてよかったなと思うこともたくさんありました。
 中でも、実際に現場に立っておりまして疑問に感ずることはたくさんありまして、ぜひそれをいつか自分の手で解決するような立場になりたいという夢がありまして、こうして参議院議員に当選させていただき、質問する機会を文教委員会で与えていただいたということを感謝しております。
 それで、きょうは私、マスコミ等の報道で皆さんも御存じだと思うんですけれども、いじめを苦にした自殺、これは事件と呼んでいいのかどうかと思いますけれども、この事件を、その実態の把握ということと当面の対策ということと、そして抜本的な対策ということにテーマを絞って質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、先月、十一月二十七日に新潟県上越市の市立春日中学校の生徒がいじめを苦にしてということでの自殺、この事件がありました。ここにその本人の、伊藤準君と言いますけれども、遺書がありまして、それを抜粋してちょっと読ませていただきます。
 「家族の皆様、さきだつ僕をおゆるし下さい。」と。いじめがあったということを述べた後に、そのいじめたいじめっ子がみんなたった一日で態度が変わって僕をいじめるようになったと。そのいじめの内容については、掃除の時間にトイレで服を脱がされたりあるいは水をかけられたり、いたずら電話をされたりと。また、お金の紛失もしょっちゅうあったと。あるいは学校へ行っても、友達はいるんだけれども、そのいじめっ子たちが周りの子供たちに自分を無視するようにしむけているというような訴えがあった後に、「僕は生きていくのがいやになったので死なせて下さい。」「家族のみなさん、長い間どうもありがとうございました。」と。
 十二歳の子供にこういう遺書を書かせるような事態に陥らせてしまった。いろいろと事情があったと思いますけれども、まず最初にお伺いしたいのは、こういう事件があったということに関しまして文部大臣はどのようにお感じになりお考えになっておられるか、見解をお願いいたします。
#5
○国務大臣(島村宜伸君) お答え申し上げます。
 またも中学校生徒のとうとい命が失われたことはまことに遺憾に存ずるところであります。昨年十一月以来、いじめの問題の解決のために取り組みを強化してきただけにまことに憂慮すべき事態であると受けとめております。
 いじめ問題につきましては、弱い者をいじめるということは人間として絶対に許されない、そういう認識に立ち、毅然とした態度で臨むことが必要であると、こう考えます。また、いじめの問題が起きますと、すぐ、学校は何をやっている、文部省は何をやっているというおしかりがあります。この御批判を回避するものではありませんが、根本的にいじめをなくするということになれば、私は、家庭、学校、地域社会、これらが一体となって取り組むことが必要だと、こういうふうに思います。
 私自身のつたない経験に照らしましても、我々の子供のころにも実はいじめの問題はありました。しかし、そのころのいじめの方が今のような陰湿なものでなかったように思います。いわんや、今の時代よりはるかに貧しい時代ではありましたけれども、友人から金をゆすり取るようなことはおよそ聞かなかったように思うんです。
 その背景を考えますと、我々の家庭では、ほとんどの家庭で人様に迷惑をかけてはいけない教育、もう一つは、弱い者をいじめるというのは立派な人間のすることでないと、こういうことをまさに口を酸っばくして教えられておりました。そういう人間が集まるわけですから、おのずからいじめというものにも、周りの制約といいますか環境的にそういうものを制御するような力もあったように思いますし、また同時に、一方で正義感を持つ人間が多かったわけですから、力が強い者が弱い者をいじめていると今度は周りがその人間をやっつけるといいましょうか、そんなような面もありました。
 したがって私は、今言ったようなことが横行するのも問題ではありますけれども、少なくもそういうことが起こりにくい環境をつくるためには、家庭の段階からきちっとしたしつけをしていかなければならない。そして学校は、しっかりしたしつけを身につけた子供さんをより正しい方向に指導していく。また地域社会もなるべく、ほかのことには無関心でいるのではなくて、地域の皆さんが場合によっては他人様の子供でもしかる、我々の時代にもそういうことがあったわけでありますが、そういうことがもう少し改めて考えられていいのではないか、こんなふうに実は考えているところであります。
 また、学校におきましては、議員はその御専門であったわけで経験者でありますけれども、少なくも教師が全人格的ないわば児童生徒との接し方を持ち、心の豊かな、非常に明るく生き生きとして生きていこうと、こういう人間の基本というものを学校の活動の中で教えていくということもやはり必要なのではないか、こんなふうに考えているところであります。
 なお、文部省といたしましては、少し長くなりましたけれども、これまでもいじめ問題の解決にいろいろ施策を講じてきたところでありますが、明十五日に、臨時の都道府県、指定都市のそれぞれ教育委員会教育長会議を開催いたしまして、いじめ問題の根絶に向かっていわば全力投球で取り組もうという会議を予定しているところでございます。
 以上です。
#6
○馳浩君 学校と地域社会と家庭の連携が必要だということと同時に、子供の豊かな心を育てていかなければいけないというお考えだったと思います。
 それでは、ちょっと細かいことになりますけれども、一般にいじめいじめと申しますけれども、何をもっていじめと文部省では認定しておられるのかということをお伺いしたいと思います。
#7
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 いじめの定義につきましては、一般的には、自分より弱い者に対して一方的に身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものとされておりますが、個々の行為がいじめに当たるかどうかの判断は、表面的、形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うことに留意する必要があると考えているところでございます。
#8
○馳浩君 今の文章というのは昨年の十二月に、昨年の十一月二十七日に愛知県西尾市で同じように大河内清輝君の自殺事件がありましたけれども、それを受けて出された文部省初等中等教育局中学校課の「生徒指導上の諸問題の現状と文部省の施策について」という、この中にあるいじめに関する定義をベースにしておられると思うんですが、昨年の十二月の段階では、ちょっと読ませていただきますが、「自分より弱いものに対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものであって、」、この次が実は今削除されていたんですけれども、「学校としてその事実を確認しているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わないもの」ということで、この「学校としてその事実を確認しているもの。」という断りが昨年の十二月の段階では入っておりまして、これは裏読みをすると、確認していないものはいじめではないと言っているようにも受け取れるわけですね。
 今お伺いしておりますと、この部分、「学校としてその事実を確認しているもの。」という一文が削除されておりましたけれども、それは何か意図的な理由があって削除されたのでしょうか。
#9
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のように、平成六年度の生徒指導上の諸問題の現状調査では、従来の調査における定義は先ほど先生がおっしゃっていたような表現になっていたわけでございますが、六年度以降は、「学校としてその事実を確認しているもの。」との文言を削除いたしまして、いじめを、先ほど申し上げましたような定義の考え方、そういうものとして、よりいじめの件数を正確に把握するという考え方からそのような訂正をさせていただいたところでございます。
 これは、いじめ対策緊急会議の昨年十二月の緊急アピール及び本年三月の報告を踏まえまして、各学校においていじめがあるのではないかとの問題意識を持つとともに、いじめであるかどうかの判断は、あくまでもいじめられている子供の認識の問題であるということを銘記いたしまして、表面的・形式的な判断で済ませることなく、子供の立場に立って細心の注意を払い、積極的ないじめの実態把握が行われるようにするため講じた措置でございます。
#10
○馳浩君 わかりました。
 ところで、今おっしゃいましたけれども、昨年の十二月九日に出されましたいじめ対策緊急会議の緊急アピールの文章ですけれども、これは浜四津敏子さんも昨年賀間しておられる部分なんですけれども、「いじめがあるのではないかとの問題意識を持ってこという、この「あるのではないか」という認識の甘さというものは、私はちょっと文部省として本当に大切な問題として取り組んでいるのかどうかという、そういう疑いを持たれてもおかしくはないと思います。
 というのは、ことしの六月に出されました日本PTA全国協議会の調査書に、学校とPTA側がいじめについて全く話し合っていないというところが三四%もある。それから、学校とPTAがいじめ防止に関しての検討委員会を設置していないとするところが七四%もある。ということは、これは文部省として学校やあるいはPTA側に対する働きかけが不十分なのではないかと思われます。その根拠となるのが、先ほど言いましたけれども、「いじめがあるのではないかとの問題意識を持ってこと、この部分に根拠があるのではないかと思います。
 そうではなくて、どの子にも、どこの学校にも起こり得る問題として取り組む姿勢を見せていただいて、そしてすべての小学校、中学校、高校に対して学校側とPTA側とがすぐに話し合いに入ることができるような通達をするなりお願いをするなり、あるいはそのように認識を改めると。
 これは、例えばいじめの件数が昨年よりことしが減ったからよかったなという問題ではなくて、一件でもあってはいけないことであると思いますので、その点の文部省としての取り組みを、もっと真剣な言葉に改めるというか態度を改めるという方向をお願いしたいと思うんですけれども、お願いします。
#11
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 文部省では、昨年十一月の中学生の自殺事件の後、ただいま先生からお話がございましたように、十二月九日にいじめ対策緊急会議を開催して、同会議より、「いじめがあるのではないかとの問題意識を持って、全ての学校において、」いじめは起こり得るということを前提として「直ちに学校を挙げて総点検を行うとともに、実情を把握し、適切な対応をとること。」という認識で、六項目から成る緊急アピールが発表されたわけでございます。先生がおっしゃるように、すべての学校においていじめは当然起こり得るものであるということを前提にしての、そういう認識を持った上でのアピールでございましたので、言葉が足りない点については、今後そういう誤解がないように私どもとしてもその点の趣旨の徹底を図っていきたいと思っております。
 また、もう一点、先生から日本PTA全国協議会の調査について御指摘があったわけでございますが、いじめの問題につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおり、学校のみで解決することに固執することなく、家庭や地域と共同して解決を図る姿勢が重要でございます。
 したがいまして、学校におきましては、日ごろから学校の指導の状況等について家庭や地域に対して理解を求める工夫を行いますとともに、いじめの行為やこれに関連すると思われる児童生徒の学校外における行動等に関しまして、学校に寄せられる情報に対しまして誠意のある対応を行うことが必要であるというように従来から指導しているところでございます。
 また、学校においては、それぞれの実態に応じまして、例えばいじめの問題に関し学校とPTAなど保護者や地域の代表者等との意見交換の機会を設けるなど、意義のある連携協力関係の構築に向けた一層の取り組みを行うよう各教育委員会を指導しているところでございます。
#12
○馳浩君 何度も同じようなことを質問して申しわけないんですけれども、すべての学校においてというのではなくて、すべての子供に起こり得るという認識をしていただきたいということなんです。というのは、いじめっ子になる場合もあるし、いじめられっ子になる場合もあるし、傍観者としてそれに加担するという見方も私はできると思うんです。
 そういう意味で、学校という単位ではなくて、個々の単位としてすべての子供に起こり得るというふうに認識をしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
#13
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 いじめにつきましては、学校生活において学友同士の人間関係から生ずることが多いわけでございますので、先生がおっしゃるように、そういう関係においてはすべての子供に起こり得るという可能性はもちろん秘めているわけでございます。
 ただ、その中で、学校教育におきましては、それぞれクラスにおきまして、学級づくりというものの中でお互いにそのクラスメート同士の人間関係の形成を円満に円滑に行う、そういうことによって学校生活をより楽しく、また充実したものにするという指導というのが基本にあるわけでございますので、そういう上に立って先生御指摘のようなところも十分認識して対応していくように今後とも指導していきたいと考えております。
#14
○馳浩君 何か十分な回答のようであってそうでないような気がするんですけれども。
 次に、ちょっともとに戻りますけれども、いじめを苦にした自殺ということに関しまして、昨年の愛知県の事件におきまして大変な話題をといいますか、問題を一般社会に対して提起したわけですけれども、ちょうど奇しくもといいますか、命日に当たる一年後の十一月二十七日に今度は新潟県の上越市でいじめを苦にした自殺が起こっている。
 私が懸念しますのは、自殺の手段や方法というのも、遺書を残したという部分も、あるいは首をつったということなんですけれども、何か最初のセンセーショナルな自殺というものが子供の心に非常に大きな影を落として、いじめに遭っていたときにいじめられっ子の方が解決の糸口を見出せない。それについてはまだ後で申し上げますけれども、解決策ではないと思うんですけれども、同じような方法で自殺に走ってしまったというふうに、どうも昨年の自殺が今回の自殺を誘発しているような懸念を抱きます。
 それで、まず警察庁の方にお伺いしたいんですけれども、昨年の大河内君の自殺の事件から、そしてことしの同じ命日の自殺、この一年の間に一体何件のいじめを苦にしたと思われる自殺が報告されているのでしょうか、お願いします。
#15
○説明員(宮本和夫君) 昨年の十一月二十七日から本年の十一月二十七日までの間、いじめが原因と推定される少年の自殺としてそれぞれの都道府県警察から警察庁に報告のあったものは、六年中が御指摘の事件を含めまして二件、七年中が三件の合計五件でございます。
 なお、ことしの十一月二十七日に発生いたしました新潟県の事案につきましては、現在まだ若干の事実関係を調査中でございますので計上はいたしておりません。
#16
○馳浩君 ありがとうございます。
 警察にまでの報告があって認定をしているということは、警察側としても恐らく、もちろん根本的にはいじめの防止なんでしょうけれども、いじめを苦にしたと思われる自殺、これの予防に向けてどういう対策を立てておられて、それによって新たにどういう問題点が上がってきているのかという、そういう認識がおありでしたらお願いいたします。
#17
○説明員(宮本和夫君) 警察といたしましては、いじめ問題につきまして、まず何よりも早期にそのいじめ事案の把握をしたいということで、少年相談活動の充実でございますとか地域住民への協力要請などを推進いたしておりまして、事実関係を把握した場合におきましては、その事案の事実関係、真相究明の徹底によりまして加害少年に対する適切な処遇を図りますとともに、被害少年につきましても、その性格、環境、受けた被害の程度、こういったものに応じましてきめ細かな支援、援助を行っておるところでございます。
 さらに、これらの対策を通じて解明した事案、これらの背景など、参考となる事項を関係方面の諸活動に利用するなど、具体的な対策の検討、推進によりまして早期解決、再発防止に努めておるところでございます。
 また、問題点ということでございますけれども、最初に申し上げましたとおり、いじめ事案の把握が最近困難になってきております。こういったことで、いじめ相談の充実とか関係機関、地域住民との連携協力、これらの諸対策を引き続き推進して、いじめ事案の早期把握と適切な措置を図るための取り組みを一層強化してまいりたいと考えております。
#18
○馳浩君 ありがとうございます。
 警察の方にお聞きして申しわけないんですけれども、やはり事件の温床というのは学校の中あるいは学校の周辺にあるというわけですので、警察として学校側やあるいは地域社会やあるいは家庭とどういった連携をとられているのかなということをお伺いしたいと思います。
 と同時に、先ほど加害者に対する適切な処置というふうに言われたと思うんですけれども、それは具体的にはどういうことなんでしょうか。
#19
○説明員(宮本和夫君) まず、学校、地域との連携でございますけれども、それぞれ少年警察活動の担当者が平素から学校当局とは綿密に連携をしておりますし、また、地域の方々には、いじめ事案などの発見しやすいようなところで活動されております方々に特にお願いをして、連携をとってそのいじめ事案の早期把握をお願いするとか、平素から警察の考え方などについてもお願いをいたしておるところでございます。
 それから、加害少年への適切な処遇ということでございますけれども、事実関係を把握いたしまして、これが犯罪ということであれば事件として送致をするということになりますし、犯罪でない場合にもそれぞれ少年法の規定に基づいた事案の処理、また、学校とか保護者の方とかと連携をとった上での指導などの措置をとっているところでございます。
#20
○馳浩君 ありがとうございます。
 では、文部省としてはこの一年間におけるいじめを苦にしたと思われる自殺の事件に関しまして、どの程度の把握をしておられるのか、そして、昨年来どのような対策を立てておられるのかということをお伺いいたします。
#21
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 平成六年度間におきますいじめが主たる原因と思われる自殺件数については現在集計中でございまして、近々発表したいと考えているところでございます。
 ちなみに、平成六年十一月から現在までの一年間にいじめがかかわった自殺事件としてマスコミで報道されましたものは、昨年十一月の愛知県の西尾市の中学生自殺事件を含めまして十件程度あったというように私どもは承知をしているところでございます。
 そこで、いじめ問題の対策につきましては、昨年十一月以来その取り組みを強化しているわけでございますが、昨年十二月九日のいじめ対策緊急会議からの緊急アピールの趣旨を、全国の都道府県教育委員会を通じて各学校現場までその趣旨の徹底を図ったところでございます。
 また、本年三月のいじめ対策緊急会議の報告を受けまして、各教育委員会及び学校に対しまして指導の徹底を図りまして、学校、家庭、地域社会が一体となった取り組みを行うことを重ねて求めますとともに、本年度から新たにスクールカウンセラー活用調査研究委託事業を実施いたしますとともに、国立教育会館のいじめ問題対策情報センターの設置など、種々の施策を講じているところでございます。
 また、スクールカウンセラー活用調査研究委託事業の効果につきましては、まだその研究結果は出ていないところでございますが、教育委員会を通じてその成果について聞いておりますところでは、現在までのところ、児童生徒や保護者、教師からの相談への対応、校内研修における指導などに関しましてスクールカウンセラーの評価はおおむね良好という報告を受けているところでございます。
 また、国立教育会館に設けましたいじめ問題対策情報センターにおける電話相談は、五月八日から十二月十二日までの時点で合計千二百六件を受け付けているところでございます。
 いじめ問題の解決に向けましてはさらに関連施策の充実を図る必要がありまして、そのため来年度概算要求におきましては、スクールカウンセラー活用調査研究委託事業の拡充を図るとともに、教師がいじめ問題についての正しい理解を深める必要がなおあると考えられるところから、いじめ問題対策パンフレットの作成、配付等を要求しているところでございます。
 今後とも、私どもとしては、いじめ問題の解決に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
#22
○馳浩君 よろしくお願いしたいんですけれども、私はなかなか横文字の言葉がよくわからないので、ちょっとスクールカウンセラーというのは具体的にはどういうことなのか、その定義をお伺いしたいのと、全国的な規模をお願いいたします。
 もう一つは、今年度平成七年度にいじめ問題対策事業として九千百万円という予算がついておりますけれども、これはどのようにお使いになっていらっしゃるのか、その対策事業の中身をお伝え願います。
#23
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 スクールカウンセラーは、学校における児童生徒あるいは教師あるいは保護者に対していろいろ心の悩み等につきましてカウンセリングを行う、相談を行うというための専門的な知識、経験を有する人、特に臨床心理士等を活用いたしまして、それによってカウンセリングを行う、相談を行っていただくという役割を持っている方々でございます。そういう意味では、学校の中で先生方だけでは必ずしもその的確な対応ができないという面もございますので、そういう意味で臨床心理士なりあるいは精神科医等の活用をスクールカウンセラー委託事業によって現在調査研究をしているところでございます。
 また、先生から御指摘がございました平成七年度予算におけるいじめ問題対策事業でございますが、これは具体的には国立教育会館のいじめ問題対策情報センターの設置でございます。このセンターにおきましては、児童生徒、保護者、教員等からの電話相談、パソコン通信による全国の相談機関、いじめ問題に関する行政資料、いじめに対する対処事例についての情報提供などを行いますとともに、教育心理や生徒指導などを専門といたします学識経験者をアドバイザリースタッフとして要望があった場合には各教育委員会に派遣を行っているところでございます。
 来年度概算要求におきましては、このセンターの電話相談へのフリーダイヤルの導入と相談員の増員を盛り込んでいるところでありまして、今後ともこのセンターが積極的に活用されましていじめ問題の解決に資するように、その充実に努めてまいりたいと考えております。
#24
○馳浩君 ありがとうございます。
 いじめられっ子は自分がいじめられているんだぞということをなかなかはっきりと口に出して親や先生あるいは友達に言えずに、内にこもってしまうわけですね。そうしたときに、こういう文部省として事業をしていて、こういう体制を整えておりますということがあるならば、もっともっと広報を活用して、すべての小中高校の児童生徒に対して、こういうことをやっておりますのでいつでも相談をしてくださいよというふうな広報の部分での取り組みをもっと強化するようにお願いしたいと思います。
 それで、先ほどちらっともう言ったんですけれども、自殺に関する報道のあり方という点で質問を申し上げます。
 余りにもセンセーショナルな自殺の報道というのは、同じような状況にあるいじめられっ子をその解決の一つとして自殺に向けてしまうのではないかという懸念を先ほど申し上げましたけれども、私は、詳細なマスコミによる報道というのは二つの面があると思います。一つは、ある部分では貢献しているのではないか。もう一つは、弊害があるのではないか。
 貢献しているのではないかという部分は、実際に学校の教育現場でどういう問題があるのかという認識を国民に与えるという意味と、それによって、いじめてはいけないんだ、あるいはいじめられても自殺という道を選んではいけないんだという、そういう啓蒙するような効果があると思います。もう一つが、絶対にこういう問題が学校の教育現場で起こってはいけないという社会全体の取り組みのための警告を発する効果があると思います。
 と同時に、一番懸念をしますのが弊害の部分で、何かいじめ問題をある部分、社会に対して告発するような遺書を残して、そして自殺を選ぶ、首つりをする。その手段、方法などまで余りにも細かく新聞で報道いたしますと、その自殺という道を選ぶことが何かヒーローかヒロインにでもなったような感覚を子供たちに与えてしまうのではないだろうかという懸念を私は非常に感じます。
 そういう意味で、私がお願いしたいのは、報道の自由というのはもちろんありますし表現の自由というのはあるかもしれませんけれども、ある程度マスコミの皆さん方のモラルというものは守られてしかるべきだと思います。そういう意味で、今回の事件があったことによって、いじめ問題あるいはいじめを苦にした自殺というのはまだまだ根深いんだという認識の上で、ぜひ文部大臣から、これは具体的にこういう協会があるんですけれども、社団法人日本新聞協会やあるいは社団法人日本民間放送連盟、あるいは任意団体としてマスコミ倫理懇談会、これは倫懇と呼ばれておりまして、二十年以上経過していて非常に影響力のある団体ですけれども、こういった各団体に対しまして、文部大臣からということで以下の三つの段階を踏んでお願いをしていただけないだろうかと要望申し上げます。
 一つ目は、いじめを苦にした自殺と思われるような事件のときには報道協定を結んでもらえないだろうか。
 あるいは、報道協定を結べないならば、それを結んだらどうかという問題提起を文部大臣の方からマスコミの皆さんに対して与えると。
 あるいは、そういう協定と申しますとやはり縛りということで厳しい印象を受けますので、何か緩やかな倫理規範というものを、これは取り扱いは各マスコミの方にお任せしますから、緩やかな倫理規範でもおつくりになってできる限り自殺というものをセンセーショナルに扱わないように、いじめというものをなくすための根本的な取り組みが必要なんだという、そういう報道をしてもらえないか、あるいは命の尊厳を訴えるような、そういう報道のあり方であってもらえないか、そういう働きかけをぜひ文部大臣の方からする時期にもう来ているのではないかと思います。
 こういう要望を私は申し上げるんですけれども、いかがでしょうか。
#25
○国務大臣(島村宜伸君) 教育現場の経験をお持ちなだけに極めて具体的な御指摘でございますし、貴重な御意見だと思います。若年層の自殺には模倣性があるということや、報道のあり方が児童生徒の自殺の連鎖反応を引き起こすおそれがあるという指摘については承知をいたしているところでございます。
 このことにつきましては、文部省といたしましても、報道と自殺との因果関係について実証的な研究成果を得ているわけではございませんが、確かに御指摘の面も考える必要があるということから、報道機関においてもこのような指摘があることを十分に踏まえて、その責任を自覚し慎重に対応されるよう期待しているところであります。
 これからもさらに我々なりに検討を進めて、社会の啓発機関としてのマスコミの役割、またその極めて大きな影響力をむしろ善用していただいて、例えば命のとうとさを子供に教える、あるいは家庭のしつけのあり方、先ほど申したような事々もむしろ新聞やテレビ等を通じてきちんと呼びかけをする、そういうような面から御協力がいただけることは極めて効果の大きいことだと、こう承知いたしております。
#26
○馳浩君 私は、当面のいじめ対策に関しての幾つかの質問をさせていただいたんですけれども、今度は抜本的に、本当に根元からいじめ問題というものを解決していくためにということで、一つの方向として私なりの提言をさせていただきます。
 といいますのは、いじめというものを分析してみますと、十代前半という、思春期というのは、何か自分に悩み事があっても親や先生あるいは友達にも打ち明けないですね。ということは、子供のころからシグナルを発してくるのを待っているしかないという現状です。あるいは、いじめっ子の方にしても巧妙になっておりまして、人の見ているところでいじめたりはしないんですね。
 あるいは、私は一つちょっと懸念があるんですけれども、今、テレビのバラエティー番組などを見ておりますと必ずだれかいじめられ役というのがいるんですね。それで、それに対して、漫才で言うとボケとツッコミというんでしょうか、ツッコミをする側のタレントがいてテレビの中ではしゃいで、それを視聴率として判断されているようです。どうもそれを子供たちがまねをして、はたから見ていたらふざけ合っているようにしか見えない、どうもいじめているようには見えない、何だ、お互いに友達同士で楽しんでいるんじゃないかと。だけれども、やられる側にしてみればもう人ごとじゃないですよ。やられる側の人間の気持ちというのはその本人にしかわからない深刻な問題だと思うんです。
 そういうことで、子供の資質向上のために子供たち自身に、いじめというのはいけないことなんだ、そしてそれに対して、黙っていることもいけないことだ、傍観者でいることもいけないことだと。これは文部省流に言うと豊かな心を育てていくための一つの提言として、私は、学校教育の現場におけるボランティア活動をより一層推進しなければいけないのではないかということを申し上げて、以下、いろいろ質問させていただきます。
 ちなみに、イギリスでも同じようにいじめ問題はあるんですけれども、こういう取り組みをしている学校がありますのでちょっと紹介させていただきます。
 ロンドンの北部にあります公立アタラント・ハーディ中学校、ここではアンチ・ブリーインク・キャンペーンといたしまして、これはABCという英語で並べて、生徒が生徒のいじめのカウンセリングをするという取り組みをしているんです、そういう看板を掲げて部室をつくっておって、カウンセリングを受けたいという生徒が来たときに、そのいじめを受けている当事者といじめている側を呼びまして、三者面談といいますか、お互いに中立な人間がいて、いじめている側、いじめられている側という人間が話し合いをして解決の方向に持っていく。もちろん一回や二回のカウンセリングでは解決はしないでしょうけれども、それが大変な効果を上げているという事例が報告をされています。
 そういうことを考えると、やはり子供の問題は子供たち自身が解決するという、そういう方向に導くような施策というのが必要なのではないかと私は考えます。そういう意味で日本でも学校教育の現場においてボランティア活動というのをより一層推進しなければいけないと思っております。
 そこで、ボランティアという言葉はもしかしたら非常にあいまいで大き過ぎる言葉かもしれませんが、文部大臣は、学校教育の現場ということに限定してもよろしいんですけれども、ボランティア活動というその定義をどのように理解しておられますか、あるいは文部省として学習指導要領の中に打ち出しておられますか、お伺いいたします。
#27
○国務大臣(島村宜伸君) ボランティア活動は、一般的に個人の自由意思に基づいて、その技能や時間等を進んで提供し、社会に貢献することとされております。このようなボランティア活動は、豊かで活力ある社会を築き、生涯学習社会の形成を進める上で重要な役割を持つものであり、特に青少年期においては身近な社会に積極的にかかわる態度を培い、みずからの役割を見出す上でその教育的意義は極めて大きいと認識をいたしております。
#28
○政府委員(井上孝美君) ボランティアの定義についてはただいま大臣からお答えがあったとおりでございますが、学校教育におけるボランティア教育の位置づけについてお尋ねがございましたので、その点について補足して御答弁を申し上げます。
 ボランティア活動は、勤労のとうとさや社会奉仕の精神などを養う体験的な活動といたしまして、小学校、中学校、高等学校を通じまして、主として特別活動のクラブ活動や学校行事の中で指導されているところでありまして、具体的には地域の実情に応じ、各学校におきまして地域の清掃活動や老人ホームでの奉仕活動などさまざまな活動が行われているところでございます。
 また、道徳の時間におきましては、社会への奉仕の気持ちを深め、公共の福祉と社会の発展のために尽くす心や態度を育成いたしますとともに、児童生徒の興味や関心に即した教材を活用するなどしてボランティア活動に関する指導が行われているところでございます。
#29
○馳浩君 ここでちょっと、平成四年七月二十九日に出されました生涯学習審議会答申におきましてこういう記述があります。「学校教育においては、児童、生徒及び学生がボランティア精神などを培う体験的活動を行うことや、教育活動全体を通じて積極的な指導がなされることが重要である。」ということで、あるいは平成三年四月十九日に出された第十四期中央教育審議会の答申においてもボランティア活動の重要性というのが言われております。
 しかし、昨年、一九九四年の財団法人日本青少年研究所の高校生ライフスタイル国際比較調査という資料を読みますと、ボランティア活動に参加している高校生は、アメリカで六五・五%、日本が最下位で四・三%。これは、その次の数字を見ますと大体親もその程度なんですね。アメリカでは父親が参加していれば子供も参加している、日本では父親も参加していなければ子供も参加していないということを考えますと、よく考えたら私たち大人がまず率先して見本を示さなければいけないのかなという反省をまずいたします。
 ですけれども、平成三年度からあるいは四年度にこういった形で明確にボランティア活動の重要性を学校教育の中で言っておられますので、ならば、実際に今現在学校教育の中においてどの程度のボランティア活動に関する授業がなされているのか、活動がなされているのかということをお聞きいたします。
 といいますのも、私も教員をしておったからわかるのですけれども、日ごろの授業の予習・復習で大変忙しゅうございます。あるいは校務分掌で、クラブ活動や生徒会活動の指導などで忙しゅうございます。その上さらに課外活動として、おまえ、ボランティア活動も教えろよと、もしそういうふうに校長から言われたとしたならば、何でもかんでもすべて私たち教員に押しつけるのかということで、私は暴れたりはしませんけれども、やはり不満を感じずにはいられません。そういう意味で、現状としてどの程度取り組みをしておられるのかということをお伺いいたします。
#30
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 まず、財団法人日本青少年研究所の平成五年度に実施した高校生ライフスタイル調査については、先ほど先生からお話があったとおりでございますが、同じ研究所が日本の中高生を対象として平成六年度に実施した中学・高校生のボランティア意識調査によりますと、中学生については一五・二%、高校生につきましては一七・九%の者がボランティアをしていると答えているところでございます。
 そこで、文部省におけるボランティア教育推進の事業への取り組みでございますが、文部省におきましては、昭和六十二年度以降平成六年度にかけまして、主として奉仕にかかわる体験的な学習を通じまして、道徳的実践力の育成強化を図るため、奉仕等体験学習研究推進事業を実施してきたところでございます。また、平成六年度からはボランティア教育のあり方等につきまして、小・中・高等学校の教員等を対象としたボランティア教育研究協議会を開催いたしますとともに、一定地域の小・中学校の児童生徒に対しまして、地域の教育力を生かしつつ、さまざまな体験活動の機会を与えるいきいき体験活動モデル推進事業を実施しているところでございます。これらの施策を通じましてボランティア教育の充実が図られてきていると認識をしているところでございます。
 なお、現在ボランティア教育指導資料を作成しているところでございます。
 さらに来年度、平成八年度概算要求におきましては、新たに児童生徒が一定地域において他の人々への思いやりの心や社会に奉仕する精神を培うためのボランティア体験等を行うボランティア体験モデル推進事業の実施に要する経費を要求しておりまして、ボランティア教育の一層の推進を図っていくこととしているところでございます。
#31
○馳浩君 まさしくボランティア活動を通して子供の資質の向上がうかがわれる、その期待は大であるという今の報告であったと思いますので、これからもより一層予算をつけていただいて、ボランティア活動を指導することのできる先生の育成とともに、できましたらそのモデル推進事業というのを全国でたくさんの学校で行っていただきたいと思いますし、その効果は恐らくたくさんあると思いますので、それについての広報ですね、ボランティア活動を学校教育の現場でやったらこれだけ子供たちが生き生きと活動するようになりましたよ、人をいじめるような、あるいはいじめられて自殺に走るような、そういう弱い子供は、弱いと言ったら申しわけありませんけれども、そういう選択をするような子供は生まれませんよというふうな方向で私は取り組んでいただきたいと思います。
 それで、今現在、第十五期中央教育審議会、そしてその第一小委員会が九月からもう七回以上にわたって行われていると思います。これはまさしく、学校と地域と社会の取り組みは子供たちの教育にとって必要であると言われておりますけれども、ぜひその中に、今私が申し上げましたけれども、ボランティア教育の学校現場における推進とより一層の実現ということをその審議の中に加えていただきますように文部大臣にお願い申し上げますが、いかがでしょうか。
#32
○国務大臣(島村宜伸君) 私も全く同感と申し上げたい気持ちでございます。
 当然に、中央教育審議会にはそれぞれの実情に通じられた専門家がたくさん参加されておりますし、特にいじめの問題は大きな社会問題として今取り上げられている段階でありますから、これらに踏み込んだいろいろな御提言がいただけるものと期待をいたしております。
 なお、文部省としてもそういうことについていろんな意味でこれからもお願いを進めていきたいと、こう思います。
 ボランティア活動も非常に大事でありますけれども、私は就任以来、最近の児童の実態というのは我々のころに比べていろいろ随分変わっているようだと。それで、関心を持っていろいろ御父兄の方々に伺ってみると、非常に極端に変わっているように思うんですね。例えば、子供さんが三人、五人集まると、みんなで一緒に遊んでいるかと思うと、個々別々に遊んでいるというような現実を見て驚く。家庭は御承知のように少子化で子供が少ない。今いろんなものが逆にそろっておりますから、隠れんぼうとか縄跳びとか集団的な活動もない。そして、いろいろ地域の連合町会の運動会とかあるいは環境浄化運動とかに行ってみますとおよそ子供さんの姿が少ない。
 私は、こういうことの社会参加をしたことも評価に含めるぐらいの気持ちでそういう精神を育成していく必要があるんじゃないか。そして、その先にあるのは私はボランティア活動だと思いますし、子供をやたらに凝るよりは実際に触れてみると大変皆さん純粋なわけですから、そういうものを教えるいわば社会の構造といいますか仕組みといいますか、そういうことも積極的に教育の中に取り込むことは極めて重要なことと、こう考えます。できるだけ努めてまいりたいと思います。
#33
○委員長(小野清子君) もう時間ですから。
#34
○馳浩君 はい。
 よろしくお願いいたします。
 最後になりますけれども、イギリスのボランティアの父と言われております故アレタ・ディクソンという方がこういうふうに述べておられます。社会的な弱者に対して、あなたは社会にとって必要な人間なんだよということを常に大人が、そういう社会的弱者に対して、あるいは周りの人たちに対して、子供に対して訴え続けるべきであるというふうに述べております。
 そういう意味でも私たちは、行政としても取り組まなければいけないですけれども、私たち自身の周囲の子供たちに対してそういう姿勢で、いかに君が社会にとって必要な人材であるかということを訴えかけることをしていかなければいけないということを改めて感じまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
#35
○委員長(小野清子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、上山和人君が委員を辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。
    ―――――――――――――
#36
○阿部正俊君 引き続きまして、私から自由民主党の一員として質問をさせていただきたいと思います。
 馳さんはまさに新進気鋭の一年生でございますが、私は同じ一年生でございます。少し古手でございますが、一年生に変わりはございませんので、ひとつお手やわらかにお願い申し上げたいと思います。
 正直申しまして、つい六カ月前まで、いわば文部省の政府委員の方々がお座りの席に私も座っておったのでございますが、その際に大変思っていたことと関連しまして質問の前に一言申し上げさせていただきたいと思うのでございますけれども、委員会における質疑というのは何だろうかなということを時々考えさせられておりました。質疑といいますのはまさに疑いを質すと書くのでございましょうか。何か一方的にこれはこう疑問なんだけれどもという、政府委員に対しあるいは大臣に対しまして一方的に疑いを質していくということなんだろうと思うんですけれども、これが本来の一番の国会の中心であるべき委員会の審議というものの実態で、ほぼそれに尽きるということでいいんだろうかなというのを常に思っておりました。
 先ほど、いじめの話がございましたけれども、少し冷やかすようで恐縮でございますけれども、ある意味では国会議員が大臣及び政府委員をいじめるというんでしょうか、そんなことになりはせぬかなと、こんなふうに思っておったわけでございます。これじゃやっぱり少し残念だなというのを、政府委員として不満だという意味ではなくて、果たして日本の最高機関である国会の委員会の質疑の中身としていいんだろうかなというのを率直に思っておったところでございます。
 したがいまして、きょうは非常に短い時間ではございますが、私は本当に限られたテーマについて御質問といいましょうか、一応質問ということでいたしますが、できれば「質疑」という字を、疑いを質すじゃなくて委員会室で行う議論であると、こういう「室議」ということでできたらやらせていただきたいなと、こんなふうに思うわけでございます。
 いじめといいますのは、一方的に質問をして、正確に答えられないと後で怖いみたいな意味でのいじめもありましょうけれども、私は先ほど馳さんの議論を聞いていまして、いじめといいますのは、人間として無視をされるというものも相当のフラストレーションになり、自分の存在感というのが無視されるというのは、ある意味では私は一番根源的ないじめなんじゃないかなと思います。
 したがいまして、大臣なり局長さんにお願いいたしますけれども、余り私を無視して通り一遍の抽象的な議論でお済ましにならないで、どうか御自分の意見をおっしゃっていただきたい。その意見を交換することが一番大事なポイントなのではないかなと、こんなふうに思います。
 しかも私どもは、皆さん方も、その議論を行ったことにつきまして、今話題になっていますけれども、私どもも不逮捕特権というのがございますし、皆さん方も国家公務員というある意味じゃ非常に守られた身分といいましょうか立場にあるわけでございますので、そういう視点からひとつ御議論をお願いしたいものだなと、こんなふうに思います。
 さて、きょうは五十分間という大変短い話でございますので、私は大学教育の中の特に職業教育といいましょうか、より具体的には就職協定というふうなことにまつわる、今まで広い意味での文部行政でとってきた一つの路線につきまして意見交換をさせていただきたいというふうに思います。
 具体的な就職協定の議論に入る前に、大学改革等々につきまして二、三点、大臣並びに局長さんの御見解をお伺いしたいと思います。
 一つは、最近、幸いなことにいわゆる大学改革ということが相当の実績をもって進められていると私は思っています。大変、まあ評価するというような言い方は不遜でございますけれども、そう思っています。大学教育といいますのはさまざまなまだまだ多くの問題もはらんでおりますし、将来大きく変わらなきゃならぬということからするといまだ始まったばかりという感じは率直に言ってするわけでございますけれども、大学改革のねらいについて、これは当然のことかもしれませんけれども、改めて御確認といいましょうか、ということでお伺いしたい。
 ねらいは何かと言いますと、とうとうと十分でも二十分でも御答弁になるんでしょうから、それじゃ困りますので、あえて言わせていただきますと、全体の底上げといいましょうか、みんなもっとよくしていくんだということなのか、どっちかというと、そうではなくてそれぞれの個性を伸ばしていく、大学自体のあるいは大学の教育を受ける人たちの個性を伸ばしていくといいましょうか、みんな底上げじゃなくて、そういうふうにしていくんだというふうなことなのか。
 極端に言いますと、大学というのは何かつぶれないという神話があるそうでございますけれども、場合によってはうまく皆さんから歓迎されない大学ならばつぶれてもいいというふうなくらいの御覚悟でやっておられるといいましょうか、もう一回繰り返しますと、全体をよくしていくということなのか、それともむしろ個別化していくんだということなのかということについて大臣の御見解を賜りたいと思います。
#37
○国務大臣(島村宜伸君) 基本的には、我が国が今後あらゆる分野で活力を維持し、積極的に世界に貢献していくためには、学術の振興と人材の養成を担う大学院を含めた大学のいわば役割がますます重要となってくると、こういう認識に立っています。
 まさに我が国は国土小国、資源小国、これがさらに活力を維持するとなれば、当然人材大国とでもいいましょうか、やはり学術の振興を図って、これらを基本として国内の発展、さらには世界へも貢献していくということが大事でありますから、ますます私はこれから大学教育の重要性というのは増してくるんだと、こう考えているところです。
 その意味で、現在進行中の大学改革におきましては、このような認識のもとに、まず第一に大学の教育機能の強化、第二には世界的水準の研究の推進と高度な専門能力を持った職業人の養成、そして第三には生涯学習の視点に立って大学を柔軟で開かれたものにするということを目的として、各大学がそれぞれの理念、目的を明らかにした上で、その特色を生かして多様な発展を遂げていくことを目指すと、こういうことであります。
 従前のように、一時期だけ大学教育を受けて、それで卒業証書をもらえば、あとはそれで社会を歩くということでなくて、例えば、委員のように十分勉強なさった方でも、少しく時間に余裕が生まれれば、自分の専門外のことを勉強したいと、こういうお気持ちに駆られることもあるはずですね。
 社会でいろんな方々とお話ししてみると、このことが非常に多いし、不幸にして大学へ行く機会を持たなかった方で、非常なそういう意欲を持った方にもよく行き当たるわけでありますから、そういう方々にも門戸を開放して、御自分の勉強したいものが大学へ行って勉強ができる。やがては、その単位を全部集めてそれが一つの資格に結びついていくというようなことまで、文部省としてはいろいろ検討を進めているようでございますが、これは御専門の審議会でも十分御検討いただいていることなので、その結果を私は非常に期待を持って見守っていると、こういうことでございます。
#38
○阿部正俊君 吉田局長もおいでいただいていますので、今の大臣のお答えの中で、これはちょっと質問予定もしていなかったことなのではありますけれども、例えばこういう例がありますよというふうな、局長御推奨の大学改革の成果というようなことで一つ二つありましたら、ちょっと御見識のほどをお聞かせいただきたいと思います。
#39
○政府委員(吉田茂君) 具体的な成果でございますが、例示的に申し上げますと、例えば、外国語あるいは情報処理の実践的な教育カリキュラムを組んで学生に非常に高度な専門能力を身につけさせるということを正面に押し出している大学、あるいは大臣の御答弁にもありましたような、学びたい授業科目だけを履修して単位を取得できる科目履修生、これを受け入れる大学、あるいは昼夜開議制を実施する大学、こういった大学が最近非常にふえてまいっておりまして、こういった意欲的な取り組みが今後さらに進んでまいるだろうというふうに考えております。
#40
○阿部正俊君 ありがとうございました。
 この辺のテーマにつきましては、いずれまた機会を与えていただきましたならば、より突っ込んで議論をしてみたいなというふうに思っております。
 次のテーマでございますが、いわゆる学歴社会ということをよく言われております。最近では、いわゆる高齢化社会というのがまくら言葉になるようなケースが多いわけでございますけれども、学歴社会というのは日本はもう百年以上言われ続けているんじゃないか。それで一向に直らぬというのが学歴社会。多分まだ直っていないんだと思うんですね。これは本気で直すならば、やっぱり本気で直さにゃいかぬということなんで、ただ言葉で言い続けることで直るものじゃないということはもう一〇〇%明らかなんだろうと思うんですね。具体的な小さなことからでも一つ一つ積み上げていく工夫をしなければならぬのじゃないかなと、こんなふうに思います。
 多分、学歴社会は、というふうに聞かれますと、大臣もそれは是正しなきゃいかぬのだとおっしゃりましょうが、当然のことだと思いますけれども、もしそうであるならば、例えばこういう点でこういうふうに直していく、特に文部行政において、あるいは文部省として、あるいは大学として、こういったふうなことはやっていくべきではないかというようなことがありましたら、ひとつ御認識のほどと、具体的な是正のための取り組みの考え方ということにつきましてお聞かせいただければありがたいと思います。
#41
○国務大臣(島村宜伸君) なるほど、学歴というものもそれなりの私は意味を持つと思います。一生懸命勉強して非常に水準の高い学校に合格をして、そこですぐれた友人たちと一緒に学んだ人というのは、確かに優秀だと私は認識をいたしますが、ただ、そういう方が生涯を通じて優秀かどうか。
 例えば、私の場合には必ずしも褒められた学生経験ばかりじゃないのですけれども、その後いろいろ皆さん、いろんなこういう方々にもまれて毎日を過ごしておりますと、正直言って、昔は大変優秀でもう全く模範的とされた人が自分の命日までの社会生活の中で学び得たものを全く生かしておられないケースにもぶち当たるわけでありますから、初めから、どこどこの学校の何学科を出た、その時の成績がどうであったというような事々で人が生涯を何か仕分けされるような、そういう社会というのは極めて非現実的ですし、社会のためにはある意味では大変な弊害ですらあると、こう思っております。
 したがって私は、今、生涯学習が非常に大きくクローズアップされてきておりますが、その後において学び得た知識や、あるいはその方のいわば総合的な見識とでもいいましょうか、あるいはまた、そこで後から得られた資格といいましょうか、そういう事々も常に柔軟に社会がこれを評価するというようなものに置きかえていくのがこれからあるべき姿なんだろうと、こう受けとめているところであります。
 私はそういう意味で、例えば文部省でも官学、私学、たしか来年度は半数ずっというふうに承知をいたしておりますが、それは何も意図的にしたことでなくて、それだけ大分変わってきているなということも実感していることを申し添えたいと思います。
#42
○阿部正俊君 ありがとうございました。
 私も、例えば就職に当たりましても、いわゆる学校歴というよりも、どういう勉強をしたのか、学習歴という表現になるんだそうでございますけれども、というようなことを重視する企業がふえたりしてきているので、大変いいことだと思いますし、もっともっと進んでいってほしいなというふうに思っております。
 第三点は、大学というものといわゆる職業教育というものの関連というのをどういうふうに認識したらいいのであろうかということの原理原則のようなものをちょっとお伺いしたいと思うのでございます。
 御存じのとおり、専修学校あるいはいわゆる高専というふうな、大方の見るところ純粋な職業教育というものがすぐ結びつく、まあ専門学校もあるわけでございますけれども、一方で大学というのがある。それで、進学率が何か四割から五割近くまで行きつつあるというふうな中で、じゃ大学というのは何の教育なのかというところが、高専なり専修学校なりと比べてもう一つ漠としているという感じを私は否めないわけでございます。
 ただ、私の見るところ、四割なり五割なりの人たちが大学進学というふうなことになりつつあるということは、いわゆる職業教育というふうなものを抜きにして大学教育というのはあり得ないんじゃないだろうか。純粋な学術研究ということも、それは大学としてはありますけれども、少なくとも入学しようとする人たちのそういうものを目指そうという割合は正直言って余り高いように思えないわけでございます。
 実際に私自身の、あるいは私の子供たちのことを考えましても、どっちかというと、大学なりの進学を考えるというのは、余り強烈な動機づけというのはそう多くはないんじゃないか。みんな何となく上等な人間というか、何かいい将来の条件づくりをするためには大学に行っておいた方がいいよみたいな感じが何となくあって、それで、明確な目的意識、例えば学術研究なりあるいは文学なりというのを研究したいんだということは非常に一部の方じゃないか。
 大方の方々は、将来、自分の社会人になったときのいい地位とかあるいは能力とか、少なくとも有利な条件をつくること、もっと具体的に言えば、職業教育というのがもっともっときちっとした形で大学というのは、少なくとも四割、五割なりの進学率を前提にするなら、そういうふうなものをもう少しきちっと位置づけられるべきなんじゃないのかなというふうな気がするわけです。
 改めてお聞きしますけれども、法文上はともかくとして、大学とそれから高専あるいは専修学校というものの違い、どこが同じでどこが違うのかということにつきまして、吉田局長にお伺いしたいと思います。
#43
○政府委員(吉田茂君) 御指摘の点でございますが、法文上の問題は別にしてと、こういうお話でございました。
 基本的にやはり大学は、幅広い教養、専門の学芸の教授と、こういうことが基本でございます。それによって幅広く深い教養及び総合的な判断力を培うと、こういう目的を有するわけでございますが、御指摘のように、こういった目的に沿った教育を実施する、こういう中で専門的な職業人を含めて広く社会の各分野で活躍できる職業人の育成を図るということは、当然あり得る大きなポイントであろうというふうに思います。
 これに対しまして、高等専門学校や専修学校、これは職業能力の育成を直接の目的としてそれぞれに対応する分野の職業人を育成するという、こういう考え方が基本にあるわけでございます。ただ、御指摘のように、その中で職業人、こういう概念は当然共通のものとしてあろうかというふうに考えております。
#44
○阿部正俊君 昔、私が役人をやっていますときに文部省のある研究会に行きまして、ある偉い方の席で、大学というのは例えばある学部のある教育が一番高度な職業教育ですねというのを言ったら、大変怒られまして、大学は職業教育するところじゃない、学問をするところだと、こういうふうに一喝されたことを今も鮮明に記憶しているんです。どうも文部省さんあるいはその周辺におられる方々にそういう感覚で物を見ている人が、まあ、局長はそうでもないようなことを言われましたけれども、どうもまだまだ多いのではないかなと勝手に思っております。まだ偏見は抜けません。
 本当の意味で、先ほど大臣もおっしゃられたように、新しい大学改革とかいうことは職業教育というのをもっともっとまともに見詰めてやっていく中から生まれる。正直言いまして、私どももいわゆる安保の世代の時期も過ごしました。したがいまして、昔は例えば産学協同だとかいうことになると、何となくうさん臭そうな気持ちで反対反対と言う。赤旗も持ちました。だけれども、そういう時代は私は率直に言って過ぎたと思います。
 今、学問の自由とかなんとかということで何か、昔は象牙の塔という表現がございましたね、そういう傾向がまだまだやはり大学にはしみついたものとしてあるというふうに私は思えてならぬのですけれども、これじゃこれから先、一定のレベルに達した社会、我が日本、ある意味での豊かになった社会がこれからさらに世界に伍して発展するかとなりますと、もっともっと自由な中での発展ということを考えないと私は行き詰まるんじゃないのかなと思えてならぬのでございます。
 そうなりますと、もっともっと役に立つ職業人あるいは人格的にも自立のできる職業人というものを大学四年間あるいは六年間の間に育成していくというのが、私は大方の方々に対する大学教育としての目標でなければいかぬのじゃないか。それの一番先に高度な研究なり学術なりというのがあるのでございまして、職業教育ということを抜きにして大学教育の発展というのを考えることは少し無理があるのではないかなというような気が私はします。
 ここはむしろ質疑というよりも期待ということで申し上げた方がいいのかもしれませんけれども、どうかひとつ、自立した職業人としての力、それと人格の形成というものを培うのが大方の大学のベーシックな目標といいましょうか目的でなきゃならぬのじゃないかということを期待し、そういうふうに進めていただきますことをお願い申し上げて、次に進ませていただきたいと思います。
 さて、最初に申し上げました今のような流れの中で果たしてどうかという意味で就職協定というのを私は取り上げてみたいと思うわけでございます。
 就職協定は直接的には文部行政ではないと思います。そのとおりだと思いますけれども、できますならば関連分野ということも含めましてひとつお答えを願いたいと思うのでございます。
 まず最初に、入り口ということで、いわゆる就職協定につきまして、いつ、あるいはだれによって、あるいはどういう目的でつくられたのかについて、簡単にちょっと御説明願いたいと思います。
#45
○政府委員(吉田茂君) 就職協定につきましては、目的といたしましては、大学等卒業予定者の就職活動につきまして、特に最終学年の学習に支障なく、秩序ある形で行われ、かつ学生が適切な職業を選択する公平な機会が得られるようにという観点から、昭和二十八年以来、就職協定の申し合せが行われておるわけでございます。当初は、企業側、学生側、大学側がそれぞれ申し合わせを行うという形で進んできたわけでございます。
#46
○阿部正俊君 ありがとうございました。
 それじゃ、今はどういう状態になっておって、特に就職協定と役所とのかかわりといいましょうか、この辺についてどうなのか。
 あわせまして、きょうは労働省の方がお見えだと思いますが、労働省も何らかのかかわりがあるやに聞いているのでございますけれども、労働省と就職協定とのかかわり方等についても引き続き御説明をお願いしたいと思います。
#47
○政府委員(吉田茂君) 現在の就職協定につきましては、先ほど申し上げましたように、大学側と企業側が別々に申し合わせを行うという形を改めまして、大学側と企業側双方が同一のテーブルに着いて就職協定協議会を開催し、ここにおいて申し合わせを行うという形になっております。
 役所のかかわりでございますが、文部省では、就職問題についての大学側の協議機関でございます就職問題懇談会、これは大学関係九団体で構成をしております。この就職問題懇談会の世話役といたしまして、大学側の意思の取りまとめを行う。それともう一つ、企業側にも検討機関がございますが、この企業側の検討機関との橋渡し、両者の意思疎通の調整役。こういう二つの役割を演じているというのが現在の実情でございます。
#48
○説明員(井原勝介君) 労働省と就職協定とのかかわりでございますが、以前は関与していたわけでございますが、昭和五十七年度以降、公式には参加をしておりません。ただ、大学側と産業界の自主的な申し合わせが行われているわけでございまして、この申し合わせに側面的に協力するという観点から、その趣旨、内容等の周知等については行っているところでございます。
#49
○阿部正俊君 労働省の方にちょっとお伺いしますけれども、何か昭和五十七年まではもっとダイレクトにかかわっておられて、五十七年以降は少し一歩引いたような形になっていると聞いたことがあるんですけれども、その辺はどうなんですか。
#50
○説明員(井原勝介君) 今も申し上げましたとおりでございまして、五十七年以前は積極的にといいますか関与しておりましたけれども、五十七年度以降はその就職協定には直接公式には参加をしておりません。
 この経緯でございますけれども、当時、協定が企業や学生において必ずしも守られていない場合もあるというようなことで、就職協定に従って活動する企業、学生等が逆に不利になるというようなことも見られたわけでございまして、労働行政としまして就職協定にそのまま関与し続けるということがかえって就職活動等にゆがみをもたらすということもあるということで、当時、行政として公平を保持することがなかなか難しいという観点から判断をいたしまして、現在のように公式には参加をしないという形になっているものでございます。
#51
○阿部正俊君 率直におっしゃっていただきまして、ありがとうございます。大変意味のある御発言ではないかなと思うのでございますけれども、そんなふうなことを絡めまして少し話を進めていきたいと思います。
 現在の就職協定の性格というものは、いわば行政ではございませんので、労働界と大学協会等々の大学側との間のいわゆる紳士協定というふうな性格なのではないかなというふうな気がします。
 先ほど労働省の方がおっしゃられましたけれども、それはそれとして、文部省さんとしては、現在の就職協定の性格というものとそれからその中身、簡単で結構ですが、それから現在時点における本来の意義ということにつきましてお答えをちょうだいできればと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#52
○政府委員(吉田茂君) 現在の就職協定の内容でございますが、ごく簡単に申し上げますと、七年度の就職協定はことしの二月の大学側、企業側双方によって構成されております就職協定協議会で申し合わせが行われたわけでございます。
 一つは、会社説明会への参加や、OB、OGとの接触等は七月初旬以降を目標とすること、採用選考は八月一日前後を目標として企業の自主的決定とすること、採用内定開始を十月一日とすることということをその場でお互いに申し合わせたという性格でございます。
 その意義は、就職採用活動の秩序を確立して、特に最終年次での正常な学校教育環境を確保したいということがまず一つ。それから、学生の就職機会、例えば首都圏とそうでないところでの学生のアプローチの困難度、こういったものを勘案いたしまして、学生の就職機会の均等、こういったことを意義として考えておるところであります。
#53
○阿部正俊君 ありがとうございます。
 さて、就職協定が、六月求人申し込み、学生への提示が七月、採用選考が八月一日前後、採用内定が十月一日と、端的に言いますとこういうことでございますが、これは本当に守られておるのか。遵守状況といいましょうか、これはどういうふうに文部省さんは判断されていますか。
 後で時間があれば、私自身の昔々の話でございますけれども、ちょっと触れたいと思うのでございますけれども、聞くところによりますと、あるいは役所の経験等々からしましても、このとおりきちんきちんとやっている企業なりあるいは、まあ役所は厳密に言えば対象じゃないのかもしれませんけれども、果たしてどこにあるのかなという感じが正直に言ってするわけでございますけれども、この遵守の状況はどんなふうに御判断でしょうか。
#54
○政府委員(吉田茂君) 遵守の状況でございますが、これにつきましては企業側はこの遵守のための懇談会を持って対応しておるわけでございます。
 御指摘のように、この協定によってすべてが一斉に行われているということではなく、一部に就職協定の期日に反する早期の採用活動の行われた事実ということがあることは承知をしておるわけでございます。必ずしもこれが実際問題としてはすべて一律に守られているというふうな認識ではございません。
#55
○阿部正俊君 歯切れのいい吉田局長としては少しよどんだような感じなので、局長、意見交換ですからひとつ御遠慮なく言ってください。
 私の聞くところ、先ほど吉田局長は、通常の教育活動を維持したいということ、それからあと、私は山形の選出でございますけれども、例えば東北なら東北という情報の非常に過疎な地域と首都圏の学生との間のいわば機会均等ということもあるしというふうな話でございましたけれども、どうもそうかなという感じが率直にするわけです。
 余り具体的なデータが今手元にあるわけではございませんけれども、特に最近のようないわゆる就職難ということになりますと、内定率等々を考えますと、全体が大変きついんですけれども、その中でも圧倒的にいいのは首都圏と近畿圏なんですね。東北、四国、九州圏はやっぱり内定率はがくんと小さいんですよ。これは機会均等と言えるのかどうなのか。
 就職というのは、いわば本人の意思と能力、それから企業の期待する人材、どういう企業戦略を将来持っているからこういう人材が欲しいんだというお互いのある種の自由な意思の約束事なんですね。これを何か大学の受験のような、あるいは一斉統一テストのような意味での機会均等みたいな発想でやること自体がそもそも無理なんじゃないかというようなこと。
 しかも、戦後間もなく開始された状況とを比べまして現在の状況は非常に変わってきている。大方の基礎的なさまざまな生活ニーズというのが満たされた中でのこれからの発展ということを考えますと、就職協定というのを何か、みんなで手をつないで渡れば怖くないという表現がございますけれども、非常に乱暴な言い方ですけれども、むしろ建前だけみんな手をつないでいて裏でみんなけ飛ばし合っているのが今の就職協定なのではないかなという気がします。
 一説によりますと、有名大学から採るときに、有名大学は、事前の足のけ飛しじゃないけれども、裏の方で七月一日前にかなり接触を図る。例えば、最近冬の時代と言われている女子大生あたりが来ますと、いや、うちは七月一日にならないとどうにもできませんからというのでお断りする。お断りするための口実に就職協定の期日というのが使われていはせぬかというふうな気さえするわけです。
 先ほど労働省の課長さんの説明がございましたけれども、文部省はその辺のことをもっと本音を言ってもらえばありがたいのでございます。それはお聞きしませんけれども、現代における就職協定の意義は果たしてどこにあるかというふうな御疑問を感じられていわば一歩引いたというふうに私は言っていいんじゃないかなと思います。
 質問という形にさせていただきますけれども、就職協定の存在自体が、もちろん何事も効果と弊害というのはあるのかもしれませんけれども、今やどっちかというと弊害の方が大きくなっていはせぬかなというふうに率直に思うわけでございますけれども、その弊害を生んでいないのかどうなのか、生んでいるとすればどういう点なのかということにつきましてちょっとお尋ねしてみたいと思います。
#56
○政府委員(吉田茂君) 確かに、先生御指摘のように、就職というものは本来やはり相手方、企業と学生の自由な契約に基づくものであると、こういう一番基本の視点というのは極めて大事だと思います。そういうことがないがしろにされてはならないということは、就職協定のある中でも大事にしていかなければならないということであろうかと思います。
 実は、就職協定につきましては、もう相当昔の時代でございますが、一時、大学の三年生の例えは一月、二月ころに就職が内定するというような非常に極端な事例も見受けられた時代もあったわけでございます。ということは、大学三年の一月、二月に就職が内定するということは、大学三年の学年の途中で活発な就職活動が行われるというようなことが当然予想されるわけでございます。
 実際、仮にそういったような状況になった場合に、大学における学習あるいは課外活動あるいは義務づけられております自宅学習、こういったものに大きな支障が生じるのではないか。学生本人にとっても非常に不安定で不安な状況に置かれて大学生活を全うすることができないのではないか、こういったおそれ、疑い、これにどう対応するかということが一つ大きな就職協定の存する理由としてあるわけでございます。
 それからもう一つ、先ほど申し上げましたように、いわば企業のいわゆるリクルーターの多い首都圏や近畿圏の学生のみが有利になるのではないか、こういったような点を勘案しながら今のような就職協定ができてきたわけでございます。
 ただ、御指摘のように、そのことによって有名大学生の一つの隠れみのになるのではないかとかいう議論、こういうものも確かに考えていかなければならない別の面からの問題提起であろうかというふうに私どもは思うわけでございます。ただ、今の時点で仮にこの就職協定がなかった場合どのような状況になるか。それが今申し上げましたようなかっての大学三年の一月、二月に就職が決まってしまうというような状況が果たして来るのかどうか、そこら辺は今の社会状況、かつての社会状況の差等を勘案してもそういうのは決して来ないという予測は立たないというようなことも一方で考えなければならない。
 いろいろな面でのいろいろな判断の中で、現在では大学側も企業側もこの就職協定が必要ではないかということで、両者意思を一致させてこの問題に対応しているということが実情ではないかというふうに考えるわけでございます。
#57
○国務大臣(島村宜伸君) 私に対する直接の御質問ではないのですが、実は私もこの就職協定については大変な関心を持っています。
 一つは、私が社会に出て就職した当時は大変な就職難でありました。今よりもっとすごかったように思います。そして同時に、私は会社へ入って人事の担当をいたしまして、このことを実際に扱ってきた経験も持っているわけです。したがって、私はなるほどこの就職協定があるおかげで最終学年の学習その他に支障を生じないとか、それから地域や学校等の差別がある程度防げるという意味からすれば就職協定というのは非常に有意義だと思いますから、その意味では大学側も企業側もお互いがその存在を容認しているということはよく理解できるんです。
 先般、私は女子の短期大学等を回って女子学生の意見などを聞きますと、今、御承知のように女子学生は大変な就職難ですね。そうすると、二月にスタートした人がまずまずで、三月、四月は出おくれたということをまず最初の理由に挙げて、何か百六十件ぐらい就職のための照会をしているということがあるんです。ちょっと聞き漏らしてはいけないなと思ったことは、表向きは女子学生を採るというように標榜しておきながら、実際はそれは見せかけであって、実際に資料要求その他をすると何だかんだと言ってえんきょくに断られる。我々は深刻な気持ちで就職に取り組んでいるときにこういう冷やかしは絶対にやめてほしい、そのために本当に傷つく学生の気持ちというものをもっと理解してほしいというような意見も寄せられました。
 ちなみに、男女共学の学校の女子学生が女子の大学へ来て、そこへ求人が来ていると、ああこれは本物なんだ、こんな認識までするようでありまして、私は今、時期が厳しいだけにいろんな企業側の事情もわからなくはないのですけれども、就職協定についてはある程度社会の歯どめとして必要だと。あるいはその効果を認める一方で、このあり方についてはもう一度我々の側からも強くそのあり方を考え直して企業側にもいろいろ御協議願いたいと、こう考えております。
#58
○阿部正俊君 文部大臣、やむにやまれぬお気持ちでみずから御答弁といいましょうか、ありがとうございます。
 私は必ずしも文部省の考え方と一致はしないわけでございますし、率直に申しまして、先ほどから大学のあり方なり改革の方向なりを少し迂遠なことをお聞きしましたのは、要するに、これからの大学のあり方というのを、職業教育というのを中心に据えて役に立つということをやっていきますと、その延長線上で当然のことに就職協定の存在というのは果たして何なのかということを、いわば廃止も含めて、むしろ私は廃止すべきだと思いますけれども、考えるべきなのではないかと、こう思うわけです。
 例えば、より具体的に言いますと、先ほど大臣は学歴社会の打破の一つの方法として生涯学習というのを一つのテーマとして掲げられました。それもそのとおりです。そうすると、一たん企業に就職してまた大学に行っている。その人が職に戻ると、これは何になるのか。もともとの就職協定ということで、一律でこうやるんだということから見ると合わないわけですね。
 同時に、逆に今度現役の学生もインターンシップということで一時企業に見学、あるいは報酬を払うケースもあるようでございますけれども、いわば所属してある経験をした上でまた大学に戻る。企業としてはできればある研究をしてまた企業に戻ってきてほしいという思いでやっているわけですね。でも、建前があるから実はこれは就職とは関係ないんだとかとうそっぱち言っているわけですよ。これじゃ本当の意味でのインターンシップにならぬわけです。
 だから、通年採用という仕掛けも徐々にふえていますね、四月あるいは十月一斉じゃなくて。となると、その延長線上では真に就職協定が必要かどうか疑問となってくる。十月なのか一月なのかというふうな議論をするからおかしいので、そもそもやめたらどうか。一年生のときから採用されるならどうぞ行きなさいと。なぜ悪いんでしょうか。大方の大学生が入るのは、そこで学問をしたい、もちろんありましょう。だけれども、大学生というのは大人なんですよ。何も保護的に何とか四月まで。逆に大臣、ともかく卒業させるまでというのは、ある意味では学歴社会を大臣がお守りしていると言われてもしょうがないじゃないですか。本人は実は就職してもいいんだけれども、大学で何とか卒業までしてくれよというんで引っ張っているという意味でもあるわけですね。
 というようなことなので、その辺はこれからの大学教育、職業教育を考えますと、その延長線上で私は就職協定の存在、私は廃止すべきだと思いますけれども、もっともっと自由に、自立した大学生として扱うというようなことを考えればもっともっと違う方向があるのではないかと、こう思えてなりませんし、実はそのところでできたら大臣に一言お願いしたかったのでございますけれども、いかがでございましょうか。
#59
○国務大臣(島村宜伸君) 大学教育は、現状は四年というのが常識になっていますが、この四年がこれからも続くのか、今、委員が御指摘になったように、一時期会社に勤めてまた大学に戻ると、こういうようなこともやがては起きてくるんだろうと思います。ただ、四年なら四年という大学生活を通じて学問の面で磨きのかかる面もあるし、また実際に実社会に出て社会人としていろんな意味で役に立つための勉強もできるし、これは両面あるんだろうと思います。
 そんな意味からすれば、いい会社に就職したいためにやむを得ず大学に行っているといいましょうか、そういう人も正直言っていると思うんですが、いい会社が採ってくれるとなれば、家庭の事情その他もこれあり、せっかくもっと磨きのかかるはずの人材が、目的のためにいい会社へ入るチャンスを逃さないということで入ってしまう。言いかえると、今度はそうでない取り残された人たちの行き先をふさぐということもありますから、大学は大学としてある程度の期間、きちんと教育がしっかり受けられるような環境をいわば維持することもまた大事なのではないか、そんなふうに考えます。
#60
○阿部正俊君 もう約束をいただきました時間も間近に迫っておりますのでそろそろやめますけれども、先ほどいじめの話がございましたけれども、どうも日本の社会というのは建前と本音みたいなのが非常にずれているところが多い。例えば、就職協定一つにしましても、外国に行って理解しろと言ったって多分だれも理解してくれないと思いますよ。現実にそういう仕掛けというのは多分ないでしょう。私は浅学にして知りませんけれども、多分ないと思います。
 これからより高度な社会として、国際的にもいわばひとり立ちした国としてやっていくためにもどうかなと思いますし、かつまた子供の教育という面でも、みんなで集まったときには守りましょう守りましょうで約束をしていて、うちに帰ると実は別なことをしているということでは、私は教育の最初のスタートがおかしいんじゃないかということなんだろうと思うんですよ。それを文部省がやっている。これはどうでしょうかというようなことがあるんで、どうかその辺余り裏と表を違うようなことをせずに、まともなことをやったらまともな形で報われるし、ある意味では結果もしょわなきゃいけませんよというふうなのを私は教育の基本にしてもらいたい、こんなふうに思うわけでございます。
 以上で私の質問は終わりますが、最後に委員長並びに理事の皆さん方にお願いしたいのでございますけれども、もう一般質問が文教委員会、ぎりぎりの会期末に近くなってというような、まあ喜ばしいことでありますけれども、ある意味ではできればもっと初めにやっていただければなという気もいたします。
 と同時に、多分文部大臣が今回別なテーマで大変お忙しかったからかもしれませんけれども、それはそれとして、もし差し支えなければ、大臣に対して何か質問するというだけではなくて、お互いの意見交換ということをやる機会でもいいのではないかなと思いますので、できますれば来国会以降、委員長並びに理事の先生方に、もっと自由な質疑が、いわば意見交換ができるような機会を持っていただくようにお取り計らいいただきたいということを最後に御要望申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。どうも大変失礼いたしました。
#61
○菅川健二君 平成会の菅川健二でございます。よろしくお願いいたしたいと思います。
 まず、私ごとで恐縮でございますが、私も行政経験が三十一年あるわけでございます。そのうちの約三分の一の十年間は、これはたまたまだと思うわけでございますが、なぜか地方教育行政に携わっておりまして、その半分の五年間は県の教育長をやっておったわけでございます。ここに御出席しておられます森山先生、そして井上先生がちょうど文部大臣でおられたころでございまして、大変御指導いただいたわけでございます。
 教育長というのは、文部省の方からのいろいろな御通知、いろいろな御指導とあわせて学校現場からの突き上げというのがございまして、両方から圧縮されまして、まるでスルメのようなそんな役割でございますけれども、現在おかげさまで健康ておりますのは何よりと思っておるわけでございます。
 したがいまして、文部大臣並びに文部省の皆さん方には申し上げたいことはたくさんあるわけでございますが、きょうは時間が限られておりますので、先ほどお話がございましたように、後々議論の場はたくさんつくられるという御提案もございますので、宿題をたくさん残しながら、きょうは、先ほど来議論になっております今日的課題でございますいじめ問題を中心にいたしまして、文部省の指導行政のあり方と、あるいは時間があれば教育改革につきましても若干触れさせていただきたいと思います。
 新進党では、先週の月曜日、十二月四日でございますが、いじめ問題調査団が、去る十一月二十七日にいじめにより自殺されました伊藤準君の在籍いたしておりました春日中学校のございます新潟県上越市と、ちょうど一年前に同じような原因によりまして自殺されました大河内清輝君が在籍しておりました東部中学校のある愛知県西尾市に、二班に分かれまして現地調査をしてきたわけでございます。隣の石田美栄委員と私は上越市に参りました。西川玲子委員は西尾市の方に参ったわけでございまして、それぞれ二人で分担いたしました。
 いじめ問題につきまして、現地調査を踏まえた上で、むしろ私といたしましては、文部省の対応のあり方につきまして、御提案なり御質疑といいますか、御質問をさせていただきたいと思います。
 いじめ問題対策につきましては、先ほど馳委員からもいろいろ御質問ございましたけれども、特に昨年の大河内君が自殺して以来、文部省におかれましても、昨年十二月十六日付で、「当面緊急に対応すべき点について」の初中局長通知とか、あるいはことしの三月にいじめ対策緊急会議の報告や通知が出されるなど、いろいろ努力されておることはわかっておるわけでございます。しかし、残念なことでございますが、大河内君の自殺以降もいじめを背景としたと見られる子供の自殺でございますが、先ほど警察庁の方は五件、それから文部省の方は十件程度ということを申されたわけでございますが、いずれにいたしましてもまだ後を絶たないわけでございます。
 そこで、質問でございますが、文部省とされては、この一年間を振り返っていただきまして、いじめ問題対策につきましてどのような反省なり課題をお持ちであろうかということについてお聞きいたしたいと思います。
#62
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 委員におかれましては、県の教育長という重責を担われて、教育行政については大変御苦労をいただいたわけでございまして、そういう点で私どもは感謝を申し上げる次第でございます。
 そこで、いじめの問題につきましては、先ほどお話がございましたとおり、文部省からの通知等を差し上げまして、各教育委員会におきましては、その周知徹底のための会議や教師の指導力向上のための研修会等が開催されまして、そうした取り組みを通じて各学校や教師への周知徹底や指導が行われていることは御存じのとおりでございまして、そういう点で最大の努力をしていただいているというように考えているところでございます。
 他方、いじめの早期発見や解決のためには教師が児童生徒と接する機会を確保することが大切でございますが、校務の多忙によってこうした機会を十分に持つことが困難であるとの声があることも承知をいたしております。しかしながら、学校が子供の教育の場である以上、子供の教育を第一に考えるべきでございまして、そのような考え方は主客転倒と考えているところでございます。
 学校の運営はあくまでも児童生徒を中心に考えるべきでございまして、校務運営の効率化を図りつつ、児童生徒や保護者と接する機会の確保と充実に努めることが大切であると、このように考えているところでございます。
#63
○菅川健二君 今いろいろ努力されておることにつきましてはそれなりに歩といたしておるわけでございますが、この一年間に出されました文部省の通知や報告書を何遍か読ませていただいたわけでございます。
 その中で、対策上最も重要な役割を果たさなければならない学校につきましてはたくさんの項目が挙げられておるわけでございまして、学級担任の自覚と責任、教職員相互間の緊密な情報交換、職員会議の活用、全校的な組織の設置、校内研修の実施、外部講師の活用、関係機関や保護者との連携強化、教育相談の充実、積極的な生徒指導の展開など、膨大な校務といいますか、そういうものの通知がなされておるわけでございます。
 もとより、こういった事項が完全に学校現場で実施されれば問題はないわけでございますけれども、こういった通知があるたびごとに、あしたは何か県の教育長を呼ばれるようでございますが、まず学校現場では校長が県に呼ばれましていろいろな会議をする、それを学校に持ち帰りまして今度は職員会議とかいろいろな会議の連続になるわけでございます。
 それから、校外にはいろいろな関係機関がございますので、関係機関との連携もございますし、それから保護者との連携、またカウンセリングについての研修も受けなくてはならぬというようなことに多くの時間がとられるわけでございまして、先ほど御指摘のように、先生と生徒の接触の時間を本来多くしなければならないということが逆にこういった通知をいただくたびごとに減っていく、少なくなっていくという皮肉な結果に陥りがちでございます。
 現に、私が調査いたしました上越市の春日中学校の校長先生は、あそこの学校は不登校児といいますか登校拒否児がかなりあるような学校でございまして、そういった問題児の対応等、校務に忙殺されて、自殺した生徒のサインを受けとめることができなかったと涙ながらに訴えられたわけでございます。
 ここで、少し一般論になりますが、いじめ問題を含みます文部省の指導のあり方についてお尋ねいたしたいと思います。
 まず、文部大臣にお聞きいたしますが、文部大臣はこの八月に御就任されて以来、何回学校を視察され、学校の現場の声を聞かれましたか。これは別にいじめではございませんので、気軽にお答えいただきたいと思います。
#64
○国務大臣(島村宜伸君) 私は、八月八日に文部大臣に就任をいたしまして、二学期が始まって九月二十九日に臨時国会が開会されるまでの間、一カ月弱でございますが、その間に小学校二校、中学校、高等学校及び養護学校各一校、合計五校を訪問いたしました。地域は山形県と東京都内、この二部県でございます。訪問した学校では、児童生徒や教職員、保護者と懇談を行うとともに、児童と給食をともにしたり授業参観などをさせていただきました。
 私自身できるだけ現場の実態を把握するというのを基本姿勢にしておりますので、これから間もなく臨時国会終了の予定でございますが、時間がまた得られましたらできるだけ全国の実情に触れたいと、こう考えております。
#65
○菅川健二君 私が予期していた以上にいろいろ聞いていただいておるので安心いたしましたけれども、国会終了後、またぜひひとつ現場の声を多く聞いていただきたいと思います。
 同じ質問を井上初中局長にいたしたいと思いますが、たしか井上局長はこの一月に就任されたわけでございますが、いかがでございますか。
#66
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 私は、平成四年七月以降、初等中等教育行政を担当させていただいておりまして、初等中等教育の教育条件等を担当する教育助成局長在職時と、教育内容・方法等を担当しております初等中等教育局長就任後、現在までを通算して申し上げさせていただきますと、小学校十七校、中学校十一校、高等学校十一校及び特殊教育小学校四校の合計四十三校を訪問させていただきまして、できるだけ各県におけるいろいろな教育上の実情をお聞かせいただき、そういう意味では可能な限り学校を訪問させていただいて、学校の実情の把握に努めてきているところでございます。
 どうしても私ども文部省の行政は、都道府県教育委員会、市町村教育委員会等を通じて学校の教育活動ということになりますので、間接行政になってしまいますので、そういう意味では直接学校を訪問させていただきまして、実情を把握することは非常に重要であるというように認識をいたしているところでございます。
#67
○菅川健二君 ぜひその姿勢で今後とも御活躍いただきたいと思います。
 ただ、私がただいまお聞きいたしましたのも、文部省がいろいろなことで通知を出されるわけでございます。今回の場合でもいじめ問題について膨大な通知を出されておりますし、私が教育長をやっておったときに、やはり登校拒否の問題が大変でした。実は、私は広島県でございまして、あのときに風の子学園事件というような大変不幸な事件を起こしたその県におったものですから、大変登校拒否の問題についても御迷惑をおかけいたしたわけでございますが、そのときも大変な御指導をいただいて、何遍も通達、通知、会議をやっていただいたわけでございます。
 しかしながら、そういったものを受け取る側から見ますと、大変膨大な仕事を与えられるわけでございまして、それが果たして教育の現場で消化できるのかどうか。教育現場の実態に合った通知といいますか、そういったものにぜひ心がけていただきたいと思います。
 どちらかといえば、どうも文部省の役人の方がデスクにおられまして、デスクの中でいじめとはこういうものじゃなかろうかとか、あるいは登校拒否はこういうものではなかろうかということを想像されて、あれもある、これもある、あれもあるという形で、物すごい項目を羅列して、これだけ出しておけば文部省の、と言っては失礼でございますが、責任は免れるだろうというような感じで出されておるものもあるのではないかという感じがいたすぐらいでございまして、それを受けとめる教育現場といいますか、県の教育委員会、市町村の教育委員会もその中間にあるわけでございますが、大変な労力になるわけでございまして、それが即、いじめ問題ならいじめ問題、登校拒否なら登校拒否問題に大変有効な手だてになればいいわけでございますが、必ずしもそうなっていないという現実があるのではないかと思うわけでございます。
 したがいまして、釈迦に説法でございますけれども、文部省の方で指導行政を進められる場合、まず教育現場の実態を把握されまして、そして教育現場の教育関係者と十分議論を尽くし、情報交換をした上で有効な手だてをお進めいただきたいと思うわけでございます。
 今改めまして文部省の指導行政に対しまして教育現場の実態から学ぶという姿勢が必要であろうかと思いますが、文部大臣、文部行政を推進するに当たっての基本姿勢につきまして、再確認の意味でひとつお聞かせいただきたいと思います。
#68
○国務大臣(島村宜伸君) 実は、私は就任の際に、文部省の世間一般の評価というものが余りよくないように感じておりましたので、率直にそのことを申して、これから本当に国家百年の大計を預かる重要な職員を担う役所として、戦後五十年の節目に立って、大胆に教育のあり方を見直そうと、こう呼びかけをしたところですが、いささか不明を恥じておりますことは、どうしてどうして文部省の人というのは非常にやる気満々ですし、夜を徹していろいろな仕事をしている現場にもぶつかるわけでございまして、私はそういう点では非常にうれしい誤算だと今受けとめているわけです。
 ただ、何といっても長い経験の中に培われたいろいろな制度あるいはいろいろな教育の方針等々が基本にあるものですから、どうしても地道で余りぱっとしないと。こういうことで、何かそれがともすれば無気力あるいは慣習に依存というふうにとられがちでありますけれども、私は今、教育、学術、文化、スポーツ、各分野にわたって極めて積極的な教育の展開、文部省としての行政の展開をしようという意欲に燃えた各職員と一緒に仕事ができることに非常に感激して仕事をしているわけであります。
 そういう意味では、先ほども少しく申し上げましたけれども、何といってもよって立つ原点は国土小国、資源小国でありまして、この国が世界のGNPの一七・五%も維持するというのは、これは大変なことをやってのけているわけでありますから、小さい体で大きな子供を産むのと同じようにそれ相応の苦しみがつきまとうのは当然でありまして、これを克服し、よりさらに新しい前進の機能を発揮するためには文部省の役割は極めて重要である、基本的にはそういう意味で教育を初めとする我々の職員を存分に果たしていきたい、こう考えているわけであります。
 したがいまして、菅川委員もかつては県の教育行政の頂点におられた方でありますから、十分御理解をいただいた上で御発言いただいていると思いますが、私は教育行政に関しては、いじめの問題を初めといたしまして、党派を超え、それぞれの持てる力をあるいは知恵を集め合って我々は国政を担う責任を果たすべきだと、そういう意味では、文部省はもとより仕事は存分に進めてまいりますけれども、ぜひとも皆様のお知恵もお力もおかしくださるように改めてお願い申し上げる次第であります。
#69
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいま大臣から基本的な方針についてはお答えがございましたので、まさにそのとおりでございますが、先ほど委員からいじめ問題あるいは登校拒否問題については学校の実態と乖離しているのではないかというような御発言がございましたが、その点誤解があるといけませんので、若干御説明をさせていただきたいと思います。
 私どもは従来から、例えばいじめ問題にいたしましても登校拒否問題にいたしましても、学校関係者、教育委員会関係者あるいは学識経験者など、いじめ問題あるいは登校拒否問題等に関する種々の分野の専門家によって構成された調査研究協力者会議、専門家会議を設置し、また開催いたしまして、その中で実際の各県における実情をその専門家にも調査していただきながら、学校現場の実態を踏まえ、地域によってかなり取り扱いが異なる面もございますが、そういうものに対しまして共通の面としてどうしても必要であるというような対策等について御提言をいただいて、各教育委員会に対して御通知を申し上げ、指導を行っているところでございます。
 今回の上越市のいじめによる自殺事件につきましても、私ども、今まで講じてきたいじめ対策についてどこか問題点がなかったのかどうかということにつきましては、来る二十日に専門家を派遣いたしまして、実際に今までの対策等について検証していただきまして、その上に立って、学校のそういう実態を踏まえた総合的な対策について今年度中に専門家会議から再度御提言をいただいて、学校、教育委員会、家庭、地域社会における取り組みについてお願いを申し上げたいと、このように考えております。
 そういう点で、私どもとしてもそれぞれの学校、家庭、地域社会の実情というものを絶えず念頭に置きながら、前提としながら対策を講じているということもまた御理解を賜りたいと思います。
#70
○菅川健二君 学校現場の実情等について十分反映しておるということでございますが、例えば初中局の一番重要な審議会でございます中教審のメンバーを見てみましても、初中局関係の学校現場におられた委員の方というのは私が見る限りたった一名ではないかと思いますが、何名になりますか。
#71
○政府委員(辻村哲夫君) かつて小中高の先生を経験された方は四名委員の中にございます。
#72
○菅川健二君 かつてということにつきましてはよくわかりませんけれども、現在、現実に学校現場におられる方というのは校長先生が一人というふうに把握しておりますが、それでよろしゅうございますか。
#73
○政府委員(辻村哲夫君) 委員の中で、現在、小中高の校長等をなさっておられる方は確かに一人でございます。経験ということでお尋ねでございますとすれば、かつて経験をした方を含めますと四名いらっしゃいますと、こういうことでございます。
#74
○菅川健二君 いずれにいたしましても、教育現場の声が文部行政に十分届くように、ひとつ今後とも御努力いただきたいと思います。
 いじめ問題の次に参りたいと思いますが、文部省の通知におきましては、教師が児童生徒と接する機会を確保することや児童生徒相互の良好な人間関係を育てるための集団活動の推進が挙げられておるわけでございます。もとより大変重要なことであると思うわけでございますが、ただ、学校現場の実態を見ますと、御案内のように、平成四年九月から学校週五日制、この時点では月一でございますけれども、この四月からは月二回の実施になっておるわけでございます。その状況を見てみますと、授業時間の確保ということが最優先されております一方におきまして、学校行事や各教科外の活動というものが、その精選という名のもとにかなり時間数が減っておるわけでございます。
 文部省の指定されました調査研究協力校の実績を若干例にとってみますと、中学校二年で年間の授業時数におきまして、教科等の時間は学校週五日制実施前と後とではこれはほぼ同数の時間になっております。千四十三時間になっておるわけでございますが、学校行事はそれに対しまして約十八時間、生徒会活動は六時間減少いたしておるわけでございます。私たちが調査いたしました春日中学校におきましても、がんばり遠足とかキャンプとか文化祭とか入学当初の宿泊セミナーなどが逐年なくなっていっておるわけでございます。このことは、学習指導要領というものが教科等の授業を重視する結果、学校生活で最も重要と思われます教師と生徒が触れ合う時間とか、あるいは生徒同士の良好な仲間づくりの機会が減ってきておることをあらわしておるわけでございます。
 私は、学校週五日制の実施というのは時代の趨勢でございますので、これを是とするものの、現行の学習指導要領との間でそれを無理につじつま合わせをされておるんじゃないかと。むしろ、この際学校週五日制というものの制度導入に対応した新たな学習指導要領、現行の学習指導要領の全面的な見直しを早急に実施すべきではないかと思うわけでございます。どのようにお考えでございますか。
#75
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 月二回の学校週五日制は、先生ただいま御指摘がございましたとおり、調査研究協力校の研究の成果などを踏まえまして検討した結果、学校行事の精選や短縮授業の見直しなどの授業時数運用の工夫改善、あるいは個に応じた指導や体験的な学習の重視などの指導内容、指導方法の工夫改善を行うことによりまして、現行の教育課程の基準のもとで実施できると判断したものでございます。
 学校行事の精選につきましては、一律に削減するのではなく、個々の行事の教育的な効果を十分検討していただき、学校行事の準備に要する時間を削減したり、複数の学校行事を統合してより効果的に実施したり、教科の内容として位置づけて実施するなど、学校の実情に応じて必要なものを適切に行うことが大切であると指導しているところでございます。
 また、教科の授業におきましては、体験的な学習や問題解決的な学習を取り入れますとともに、チームティーチングなどを導入するなど、個に応じた指導を工夫、改善することなどによりまして、教師と児童生徒、児童生徒同士の触れ合いや交流を深めるようにすることが大切であると考えております。
 このような趣旨を踏まえた取り組みが各学校や教育委員会において行われますよう、実施通知や事例集を作成、配付するなどして文部省としては指導に努めてきているところでございまして、今後とも学校週五日制の趣旨を踏まえた各学校において適切な取り組みが行われるように指導してまいりたいと考えております。
 そこで、今後の学校週五日制のあり方についてでございますが、現在、中央教育審議会において御審議をいただいているところでございますので、その審議結果を待って適切に対応していきたいと、このように考えているところでございます。
#76
○菅川健二君 今の文部省の御指導の内容というのは、私が教育長のときに学校週五日制が導入されましたのでよくわかっておるわけでございますが、現実に平成四年から既に三年を経過いたしておるわけでございます。実態として見ますと、学校の授業時間というものは確保されながらも、逆に学校行事、生徒会活動が減ってきておるという実態があるわけでございます。その実態を踏まえた上で、改めて学習指導要領を含めて今後のあり方をこの際改めていただきたいと思うわけでございますが、再度ひとつ御答弁いただきたいと思います。
#77
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 学校週五日制の今後のあり方は、先ほど御答弁申し上げましたように、中央教育審議会において御審議をいただいているところでございまして、その審議結果を待って完全学校週五日制という方向が出るとしますれば、それを踏まえて学習指導要領の改訂ということが検討課題になってくるわけでございますので、その際、現在の月二回の学校週五日制の定着状況、あるいは二十一世紀を目指して学校教育のあり方、そして学校、家庭、地域社会のそれぞれの役割、またその連携のあり方、そういうようなものについてすべて中央教育審議会で一定の方向をお示しいただくことになっておりますので、そういう点を踏まえた上で教育課程審議会を設置して、そこで御論議をいただくことになるというように考えているところでございます。
#78
○菅川健二君 私は、現状の学校週五日制が月二回でも大変問題があるのではないかということを申しておるわけでございまして、これから恐らく数年後には完全週五日制ということになるのではないかと思いますが、それを待たずして学習指導要領を早期に改訂すべきではないかということでございますので、ぜひその点もよく学校現場のそれこそ意見を聞いていただきまして対処されるように要望いたしておきたいと思います。
 それでは、いじめ問題の次に移りますが、学校におきましては悩みを持っている児童生徒の心の居場所が必要だと言われておるわけでございます。現状では、養護教諭のおります保健室がその役割を担っておるわけでございます。もちろん、登校拒否児等に対しましては、この役割というのは大変大きいということは実証済みでございます。
 私は、この際もう一つの心の居場所をぜひ全校に設置していただきたいということを提案いたしたいと思うわけでございます。それは、臨床心理士の資格など専門の能力を持った専任のカウンセラーのおります、まあ名前は何でもいいわけでございますが、悩み事相談室といいますか、そういった相談室でございます。この点につきまして諸外国でたくさんの例は私は承知いたしてないわけでございますが、数年前にアメリカに参りましたときに、パージニア州の高等学校ではこういった専門の職員が学校に配置されておりまして、当然専門の部屋が設置されていた例があるわけでございます。
 朝日新聞の切り抜きの中で、アメリカに五年おられました教育ジャーナリストの多賀さんという方が書いておられるわけでございますが、
 ニューヨーク州では学校がカウンセラーを置き、いじめた子供を呼んで成育歴や家庭環境を聞き出し、絵を描かせたりロールプレーをしたりして心理療法を施す。親も呼んでカウンセリシグする。
 こうした取り組みでいじめは減り、少なくともいじめによる自殺はほとんどなくなった。
 日本の学校は風通しが悪く、担任が一人で対処することが多い。もっと専門家に任せてもよいのではないか。ということを言っておられるわけでございます。
 そこで、先ほども質問がございましたけれども、文部省ではスクールカウンセラーの調査研究を行うため、本年度から一都道府県三校配置し、来年度は一都道府県十校配置する予算要求を行っておられるようでございますが、本年度の実施状況につきましては先ほど若干説明がございましたけれども、例えば各都道府県の三校といった場合の、その選定の基準なり配置の状況はどうなっているのか。また、来年度以降どのような配置の見通しを持っておられるのか、お聞きいたしたいと思います。
#79
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 スクールカウンセラー活用調査研究委託事業は、ただいまお話がございましたように、今年度から学校におけるカウンセリング等の機能の充実を図るために実施しているわけでございまして、スクールカウンセラーとしては臨床心理士など、心の問題について高度な知識、経験を有する専門家を学校に派遣しているところでございます。
 そこで、具体的には各県三校で百四十一校に委託をしているわけでございまして、そのほか、阪神・淡路大震災の関係から補正予算で兵庫県関係で十二校を追加して配置をしているところでございますが、その実際の配置状況は中学校が一番多く、中学校が九十三校、それから高等学校が三十二校、小学校は二十九校、合わせまして百五十四校というような状況になっているところでございます。
#80
○菅川健二君 今の対策は一歩前進ではあるわけでございますが、私がぜひ必要だというのは、各学校に常駐した専任の職員と部屋が必要であるということを申しておるわけでございます。それを早く実現するということからいいますと、まさに焼け石に水に近いのではないかと思うわけでございます。したがいまして、こういった観点から私は学校教育法を早急に改正いたしまして、カウンセラーの職の設置とその任務を明確に位置づけるべきではないかと思うわけでございます。
 そして、現在、教職員の定数改善計画は、義務教育諸学校におきましては平成五年度から十年度まで第六次の改善計画が進んでおるわけでございますが、その中にぜひ早急に組み込んでいただきたいと思うわけでございます。いかがでございますか。
#81
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 まず、スクールカウンセラーにつきまして、学校に必要な職として学校教育法に規定すべきではないかというお話がございましたが、先ほども申し上げましたように、スクールカウンセラーの活用調査研究委託事業は今年度から調査研究を始めたところでございまして、したがいまして、今後の充実方策につきましては、その調査研究の成果を見きわめつつ検討することとしているところでございます。
 そこで、全校配置についての御提案がございましたが、スクールカウンセラーの養成方策あるいは財政措置等検討すべき課題は少なくないわけでございまして、そういう点を勘案しながら今後研究してまいりたいと考えております。
#82
○委員長(小野清子君) 一応時間でございます。
#83
○菅川健二君 はい。
 ぜひ早期に実現されるよう、文部省の御努力を期待いたしたいと思います。
 それでは、時間が参りましたので終わりにさせていただきたいと思いますが、教育改革等は後に議論させていただくことといたしまして、いじめ問題につきまして文部省当局のさらなる御努力を期待して、終わりにさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#84
○委員長(小野清子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時二十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時二十一分開会
#85
○委員長(小野清子君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#86
○西川玲子君 平成会の松あきらこと西川玲子でございます。
 私は、一主婦としての視点でいじめを中心とした質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 一九九五年ももう終わろうとしております。二十一世紀は本当に目前でございます。教育問題もたくさんの課題を指摘されておりますけれども、価値観の多様化とともに、二十一世紀にどのような社会をつくれるかということが私たちにとってとても大切な、大事なことであるというふうに思います。よりよい社会の構築のためには、やはり教育に培われた人間性を大事にするべきであると私は考えます。
 先日、経済審議会が村山首相に新経済計画を答申いたしました。この中で、人材育成について述べられております。画一的教育訓練でなく、個人の能力を重視し、学歴よりも学習歴を重視した人物評価を推進し、能力開花型社会を構築とうたわれております。
 これまでの日本の成長は、高い教育力と勤勉で、欧米に追いつき追い越せでやってまいりました。このためには、画一的な教育はこれまでの社会の要請に十分こたえるものでありましたけれども、しかし、近年日本は大きく体質を変えようとしております。求められる人材の質にも変化があらわれていると私は思います。この経済審議会の答申にも、画一的教育訓練ではなく、個人の能力を重視し、あるいは先ほども出ましたけれども、学歴より学習歴を重視した人物評価を推進したいと言っております。
 こうした提言を大臣はどう受けとめておられますか、御所感をお伺いいたしたいと思います。
#87
○国務大臣(島村宜伸君) 今日の教育の実態を考えますと、画一性や知識偏重の御指摘があることはよく承知をいたしております。また、いじめの問題を含めて心を痛める状況があることも事実でございます。
 これからの学校教育におきましては、子供たち一人一人が心豊かな人間性を持ち、かつ個性を発揮しながら創造的に生きていくことができる力をはぐくむようにすることが重要であると、こう考えております。
 このため、文部省では、先ほど来御説明申し上げておりますように、チームティーチングなど個に応じた指導の工夫、改善、あるいは生徒の選択の幅の拡大、あるいは新しいタイプの高校づくり、入学者選抜方法の改善、生徒指導の充実など、従前からの慣習にこだわることなく、いわばそれはそれとしての流れの中で大胆にいろんな内容の改善を図っていこうということで取り組んでいるところです。
 今後は、中教審の審議の結果も踏まえまして教育改革の推進に取り組んでまいりたいと、こう考えます。
 ただ、公教育といたしますと、御承知のように中学三年までは義務教育でございます。この段階におきましては多少は画一的でないと、教育を皆さん同じような状況で学んでいただくという、教育の機会均等と言うとまたかた苦しいですけれども、そういう点もございますので、それは段階を踏んで、できるだけいい意味で個性的な、伸び伸びとした教育が実現できるように頑張っていきたいと、そう考えております。
#88
○西川玲子君 ありがとうございました。よくわかります。
 しかし、今のお答えのような生徒に育てるためには、私は今の学級定員では多過ぎると思っております。かねがね私は三十人学級を主張してまいりましたけれども、正直言いまして今すぐには、小学校は平均もう二十八人になっているそうでございますけれども、中高ではなかなか三十人にはなりにくいと。いましばらくは四十人あるいは四十五人の学級の制度でいくとしたならば、まさしくおっしゃったチームティーチング、つまり担任を二人にすると、こういうこともあっていいんじゃないかと。
 私は、西尾市の東部中の大河内君の学校に行ってまいりましていろんなお話を伺ってきましたけれども、この大河内君の担任の先生も実は大学を出たての若い女性の先生でございました。例えば大学を出たての若い先生にはベテランの先生を、あるいはスポーツマンの先生には学究タイプの先生を、いろんな組み合わせで、お一人だけでしたらなかなか大勢の子供たちに目が行き届かないわけですよ。でも、違った視点があれば子供たちそれぞれにまた目が行き届く、あるいは先生の中でも悩んでいる先生、そういったときに二人いれば相談し合いながらできる。
 こういったことで、私は、そうしなければいけないということではなくて、そういった学級あるいはクラスがあってもいいんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
#89
○国務大臣(島村宜伸君) 公立学校の学級編制基準につきましては、これまで数次にわたる教職員の配置改善計画においてその改善を図ってきているところであります。現在は、平成五年度から十年度までの六年計画で個に応じた多様で柔軟な新しい指導方法が工夫できるような教職員配置を行うための改善計画を推進しているところであります。これにより児童生徒一人一人の理解が一層深まり、きめ細やかな指導が実現できるものと考えております。
 文部省といたしましては、この改善計画の着実な推進を図っているところでありまして、学級規模の問題については、現行の改善計画終了後の児童生徒数の状況等を踏まえ今後研究していきたいと考えております。
 確かに、少人数のクラスというのは非常にきめ細やかな先生の指導が行き届きますし、生徒への観察もまた行き届くという面では非常にプラスの面が多いと思うんですね。ただ、例えば私どもの場合ですと中高一貫教育であり、かっ五十六名編制でございました。この面にも少しく見落とせないプラスの面があると思いますのは、毎年クラスの編制がえがありまして、いろんな人と交流ができる。そして、みんな知り合えた友達はこれがもう生涯財産みたいな面にもなるわけです。極端に数が少ないという場合で余り小さくまとまりますと、今度は交流の幅も多少制約を受けるわけですから、この辺を、それぞれの長所をどう生かしたらいいのかなという疑問がある面もまた事実でございます。
 したがって、私は、ついせんだって私の就任祝いを大体年次の近い先輩、同僚、後輩がやって数百名集まったわけですが、驚くなかれほとんどだれもわからない人がいなかった。何十年ぶりに会ってもみんな昔の仲間そのものである。これは大変な財産だなと思ったこともありますので、私もできるだけ数の少ない行き届いた教育に進むということがこれからの要請だろうということは十分考えておりますけれども、確かにそういう面の交流の場も何か配慮する必要があるのかなと、こんなふうに考えているところであります。
#90
○西川玲子君 ありがとうございます。
 私はよくわかりますけれども、人数が少ないから交流が少ないといったことはないと思うんです。人数が少なくても交流できることはできると。私の子供はイギリスの学校に途中で中学から行きましたけれども、クラスは二十人ほどでした。そして二クラスしかありませんでしたけれども、非常に伸び伸びと、別に小さく固まっているということはないというふうに思います。
 昨年十一月二十七日、愛知県西尾市の東部中学二年生の大河内清輝君、皆様よく御存じだと思いますけれども、いわゆるいじめによる自殺という大変痛ましい事件が起きて一年になります。こういった事件は二度と起こしてはいけない、起こってほしくないという私たちの気持ちの中で、もちろん文部省にとってもいじめ対策緊急会議をつくって緊急アピールをとりまとめての本当に大きな大きな意味があった一年であったというふうに思います。
 平成五年度の調べでは、公立学校の高中小で二万一千五百九十五件もいじめがあったという数だそうですけれども、私は実際にはもっとあるのではないかというふうに思います。これは数の上では出てこないいじめが発生している。つまり、いじめというのは、これこれだからいじめということではなくて、昔からあるわけなんですけれども、今、特にうちの学校ではいじめが発生している発生していないでなくて、常にどこかで小さないじめがあるんだというふうに学校の方で認識していて、それでちょうどいいくらいではないかなというふうに思います。そうでないと、やはりいろいろなサインに対して本当に見落としてしまうのではないかというふうに思います。
 そしてまた、さっきも馳議員がおっしゃいましたけれども、本当に先生がお忙しい。もういろんなことでとっても時間がないわけですね。何か、子供たちの点数つけは家に持って帰って夜中になさると、こういうような状況なんだそうなんですね。それぐらい忙しい。
 そういう事情もあるでしょうけれども、私たち父兄という立場から見ると、また先生の質と言ったら申しわけないんですけれども、これだけ子供たちも多様化している中で、例えば教職課程の見直しもしていただいて、そして、教師の待遇ももっとよくしてと言うと変ですけれども、時間もない、もちろんいろいろな手当等のこともあると思うんですけれども、そういうことも見直していただいて、そして、昔でしたら先生でも、しか、というんですか、先生でもなるかとか、先生じかないかみたいなことでなった時期も昔はあったそうでございますけれども、これからはぜひ、先生になりたいんだ、そのために教職課程も学問という意味だけではなくてもっと人間教育を、その中で子供たちを指導していくわけですから、そういった指導もする教職課程であってほしい。
 そういったことで、教師になる制度をもう一度見直していただけないかなという思いでございます。これについてお答えをいただきたいと思います。
#91
○国務大臣(島村宜伸君) 細かい点は政府委員から御説明いたさせますが、最近は御承知のように児童生徒は大変な減少傾向にあります。したがって、教師の数にはむしろ余裕が生まれる。現状のクラス編制でいくならば余裕が生まれる計算になるわけですね。
 しかしながら、今御指摘のように、最近先生方が大変忙しい、とても手が回らない、こういう悲鳴も一方で聞こえるわけです。私はそういう意味からすれば、忙しいということは、昔の方がたくさんの生徒を抱えて忙しかったのではないのかという考えもありますけれども、最近は教育に対する要請も極めて多様化しているところですから、我々の気がつかないところで大変な思いをなさっているということが勉強すればするほどだんだんわかってくるわけですね。したがって、私は、クラス編制とあわせて、またその一方では先生方の負担の軽減というものも配慮しながら、いわば教育の現場に充実を期するということが肝要なんだろうと思います。
 ただ、本当に前途のある中学生が自殺をなさる。まことに残念だと思うんです。ある意味では、やっぱり人の命のとうとさというものをもっともっと家庭でも学校でも教える必要があろうかと思いますし、また同時に、弱い者をいじめるということがいかに人間として許されないことかということもきちっと教えることがまた大事なんだろうと思います。
 そういう意味で、先生方も大変ですけれども、家庭できちっとしつけるということを私は御父兄の方にもお呼びかけして、これは結果的には御父兄の皆さんの将来にもつながることなんですから、立派な次代を担う方を育成するためにも家庭のしつけというものをもう一回勇気を持って呼びかけをしていく。そして、ある程度のわきまえを持った生徒さんを学校がお預かりするようになれば、先生方の負担もそちらの面からも軽減できるんじゃないか。
 生徒に対するいじめがいろいろ話題になっておりますが、意外と先生がそういうつらい、苦しい立場に追い込まれている面も、私の方にはそういう苦情が持ち込まれているところでありますから、それらを総合的に判断するために、我々は家庭、学校、そして地域社会と一体となっていじめ対策をしなきゃいけないと、こんなふうに思っているところです。
 たまたま、先ほど皆さんに御披露する機会がなかったんですが、この表、(資料を示す)小さくて恐縮なんですけれども、この赤、黒でとんがっている部分がいじめの児童生徒の数なんですけれども、中学一、二年が集中して多いということですね。そして、例えば小学校一年と高等学校三年でいうとほとんど微々たる数になる。この辺にもいじめ対策のかぎがあるのかなと、こんなふうにも思います。
 それは精神的にいろいろな意味で揺籃期にあるといいましょうか、子供から大人へ伸びていく過程の気持ちの揺らぎや受験の壁やいろいろなこともあるのかもしれませんが、私はこの辺を少しく専門的に解明していただいて、いじめというものをいろんな角度からもう一度洗い直して根絶を図りたいと、こんなふうに考えていて、あしたお集まりいただく教育長の方々には、各地方自治体がいわば競争してでもいじめを根絶させる、こういう具体的な施策を、今までも再三やってきていることですが、改めて根絶をお願いする、こんな気持ちであしたの会議を待っていると、こんなようなことでございます。
#92
○西川玲子君 ありがとうございました。
 愛知県の西尾市の東部中学に私は先日視察に行ってまいりました。事件から一年たちまして、最初のうちは学校側と大河内家とのいろいろな確執があったようでございますけれども、現在は先生とPTAの皆さんの御努力で非常にいい状態であるという、これは私はうれしく思って、よかったと思っております。また、学校側も非常にさまざまな努力をなさって生まれ変わろうとしている、そういう決意に燃えてやっていらっしゃる。本当にそれはすばらしいというふうに私は思いました。
 一般的に親は学校をとても安全なところ、安心して預けられるところと思っているわけです。そしてまた、なかなか機会がないと、授業参観等もありますけれども、学校に出ていくことができないといったことが現状ではないかというふうに思います。
 また、先生も、東部中の先生もおっしゃっておりましたけれども、本当に忙しくて家庭訪問もなかなかできないんです、一年に一回、それも一軒について五分から十分ぐらいできればいい方ではないか、自分たちは本当はもっと長く一軒一軒お訪ねしてお話ししたいんだけれども、それができないのが現状だというふうにおっしゃっております。
 いじめ対策緊急会議の中で、家庭・地域のよりよきパートナーとしての努力、今、大臣もおっしゃいました、社会、家庭、学校が一体とならなければこれは根絶できない、私も本当にそのとおりだと思います。学校だけが、教師だけが、また家庭だけがではないと、これはよくわかっております。
 そこで、二つの提言がございますね。一つは開かれた学校、もう一つは連携のための取り組みという提言がありますけれども、これは具体的にどのような施策か、一度御説明をしていただきたいというふうに思います。
#93
○政府委員(井上孝美君) いじめ対策緊急会議の提言の中で、今、先生から御指摘の点でございますが、開かれた学校ということにつきましては、従来、ともすれば学校が閉鎖的であるという批判を受けていたわけでございまして、そういう点から、学校におけるいろいろな問題等につきまして、PTA、父兄の皆様方、また地域社会にもそういう情報をお知らせするとともに、地域における、学校外における子供たちの活動状況についてもまた学校の方にお知らせいただくというような、そういうような情報のネットワーク化、また絶えず学校の先生方、父母の皆様方、地域社会の皆様方が話し合いをする機会を設けるような努力、そういうことによって学校が絶えず地域社会の中の存在としてみんなからよくその内容等についても知られるような、お互いの情報交換をし、また意見の交換をするということをしていくことが開かれた学校としての一つの方策ではないかというように考えている次第でございます。
 また、学校における諸種の取り組みにつきまして、学校側も積極的にPRするという努力が従来はともすれば不足しておりましたので、そういう点で学校におけるいろいろな現在の課題、取り組み、学校行事、そういうようなものについても地域社会の皆様方によく周知をしていくということによって学校が地域社会に親しまれる存在になるような、そういう努力をお願いしたいということでございます。
#94
○西川玲子君 ありがとうございました。
 家庭・地域のよりよきパートナーとしての努力ということでございますけれども、私は特にいじめの問題は先生と親との連携、話し合いがとても大切だと思っている一人でございます。
 我が家の話で恐縮ですけれども、私は夫と亡くなった奥様との間の子供を育てました。そして、中学一年の子供の担任の先生とは実は三日置きくらいに電話連絡をとり合いました。子供が中学一年を修了するときに私はその担任の先生にこう言っていただいたんですね。お母さん、私はあなたが芸能人だし二度目のお母さんだから色眼鏡で見ていました。でも、あなたみたいに明るくて、ガッツがあって、信念がある、愛情あるお母さんは初めてでした。というのは、うちの子供はお母さんを小さいときに亡くしていますので、心にいろんな悩みを抱えている子供でした。
 先生が、私はね、お母さん、二十数年教師をしているけれども、子供というのは一年くらいでそんなに変われるものじゃないんです。だけれども、あの子がこんなにいい子になって、こんなに変わった。こういう姿は、私は教師をこれだけしているけれども初めての経験でしたと言ってくださったんです。そして、自分の本当の子供さんでも悩んでいるお父さんやお母さんがたくさんいらっしゃいますから、お母さん、そういった方の相談に乗ってあげてくださいなんて言われました。
 もう私はびっくりいたしました。それは、こんな私にもぽつりぽつりと相談に見えるお母さんたちが多くなってきたんです。私は、どうしてなんだろう、本当にこんなに悩んでいる、先生にも話せない、ましてや専門家の門をたたくなんてことはできない、そういったお母さんたちが本当に多いんだな。そしてまた、もちろん子供さんの中にも親や教師や友達にも話せない、そういう子供さんがたくさんいる。
 私がすごくうまくいった、よかったと言われるのはなぜだろうというふうに考えました。そのときに私は、私の中に親でありながら第三者の目があったのではないかというふうに自分で思いました。そして、まさしく菅川先生が先ほどおっしゃいました、そういった体験から私は、学校の中に第三者の目、つまりスクールカウンセラーのような形で本当に浸透して、学校にそういった専門的な人が入れば、よりよく、それぞれの子供たちだけでなく、あるいは悩んでいる先生、悩んでいる御父兄、みんなのためにいいんじゃないかなと、私は自分の体験の中でそういうふうに思いました。
 それとともに、どうして私が三日置きくらいに先生に電話連絡をするようになったかと申し上げますと、入学して一カ月後ぐらいに家庭訪問がありまして、先生が我が家に来てくださって、一時間半くらいいろんなお話をしてくださったんです。私はそのときに、本当になんてこの先生は信頼できる先生だろう、この先生なら何でも御相談申し上げて、お話し申し上げられるんじゃないか、そういうふうに思いました。お別れするときはともに頑張りましょうと握手をしたんですけれども、とってもうれしかったんです。そして、そういったおかげでそれから勇気を持って電話をかけられるようになったわけですね。
 やはり私は、先生から少し愛の手をではないですけれども、何かちょっとした、親に対して少しのアドバイスをいただければそれにすがれる、それにすがって本当に親と教師がいい状態を保っていたらば、例えばいじめの問題にしても防げるんじゃないかな。
 もちろん私は、両親が仲よくて、本当に安心して安定した暮らしの中で子供が生活していれば、いじめる子は根本的には出てこないというふうに思っております。もちろんいろいろな要素がございます。今の受験地獄であり、偏差値教育であり、いろんな理由はありますけれども、私は本当は根本的にはそれが一番大事ではないかと思いますけれども、そういうことも考えまして、やはり一番大事なのは先生と親とがよきパートナー、そういうふうになるようにぜひこれからもそこのところを大事に推進していただきたいという思いでお願いを申し上げたいというふうに思います。
 それから、大河内君のいじめの事件でございますけれども、さまざまな話を伺いました。私は、きちっと過去のいろいろなことをわかっていないとこれから進めないんじゃないか、もうあれは終わったことだから仕方がないということではいけないというふうに思いまして、これは絶対にきちんとした形でまた私自身も勉強させていただこうという思いで行ってまいりました。
 あのときに加害者の少年たちはみんなかわいそうなことをしたと反省しているともちろん聞いておりますけれども、報道では少年院あるいは教護院へ入ったそうでございます。この少年たちが、例えば大河内君を川の中につけちゃったり、百十四万ですか、百万以上のお金を巻き上げちゃったり、ああいうことをしていると大人であれば刑務所へ行かなきゃいけないんだ、そして年端がいかない少年の場合は少年院あるいは教護院に行くことになるということを果たして本人たちが意識していただろうかと私は思います。
 そういった中で、学校の教育現場といいますか、授業の中等で少年院とかあるいは教護院について教えていらっしゃるんでしょうか、それともそういったことは全然教育の中には入っていないんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
#95
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 学校におきまして少年院や教護院について積極的に指導するという取り組みについては具体的には承知しておりませんが、学習指導要領におきましては、例えば中学校社会科公民的分野におきまして、「国民の権利・義務を保障し、社会の秩序を維持するため、法に基づく公正な裁判の保障があることを理解させる」こととされております。
 また、教科書におきましては、「ものを盗むとか、他人のからだを傷つけるというような犯罪(刑事事件)もおこる。こうした事件を、当事者だけにまかせておいたのでは、強い者の言い分だけがとおってしまい、正義と人権は守られない。」、「家族のあいだの争い(家庭事件)が、当事者どうしで解決できないときは、家庭裁判所で調停や審判をしてもらう。家庭裁判所には調査官や調停委員がいて、裁判官とともに解決に努める。家庭裁判所は、未成年者の犯罪(少年事件)の審判もおこなう。」、また「凶悪な犯罪も増えている。そのなかには少年によるものも目立ってきている。こうした問題をめぐって、死刑の存廃論や少年法の改正論などが話題となっている。」等の記述が見られているところでございまして、こういう教材に基づいて学校におきましては教育が行われているものというように承知しております。
#96
○西川玲子君 何かよくわかったようなわからなかったような気がいたしますけれども。
 それでは、法務省にお伺いをいたします。
 少年院について概略説明を簡潔にお願いいたします。
#97
○説明員(板垣嗣廣君) それでは、少年院の教育について概要を申し上げます。
 少年院は全国に五十四カ所設置されておりまして、入ってまいります少年の年齢とか心身の状況によりまして初等、中等、特別、そして医療と四つの種類に分けられております。もちろん男女は別に設けられておりますけれども、医療少年院だけは分隔をいたしまして一つの施設に入っているということになっております。
 少年院は罪を犯した少年と、それから虞犯少年、これから罪を犯すおそれがあるというような少年、これを虞犯少年と言っておりますが、この少年のうち家庭裁判所から保護処分として少年院に送致の決定を受けた少年を収容しておりまして、これらの少年に対しまして、心身ともに健全な少年の育成を図ることを目的とした矯正教育ということをやっております。矯正教育を授ける施設というふうになっております。
 少年院の教育というのは、一人一人の少年の特質、それから一人一人の少年の教育上の必要性、これに応じまして、これが極めて効果的に実施できるように個々人の教育計画、これを個別的処遇計画と言っておりますけれども、そういうものを作成いたしまして、社会への再適応を遂げるためにその少年にとって最もふさわしい内容や方法を計画的にあるいは集中的に実施しているということでございます。
 矯正教育の内容については五つの領域がございまして、一つは生活指導、第二が職業補導、第三が教科教育、第四が保健体育、最後が特別活動、学校の特別活動と同じでありますけれども、五つの領域がございます。
 第一の領域であります生活指導というのは、健全な物の見方とか考え方、それから行動の仕方ということを勉強するわけでありますけれども、職員と少年との信頼関係のもとに面接指導とか日記指導等をまず行いますが、そのほかにも、例えば出院後に直面するであろういろんな危機場面、それにどのように対応していくか、対処していくかというようなことを、模擬的にと申しましょうか、私どもは社会適応訓練というふうに言っておりますが、そういった訓練も交えて生活指導では実施いたしております。
 第二の領域であります職業補導ですが、これは勤労意欲をもちろん喚起いたしますとともに、将来の職業生活に必要な知識とかあるいは技術、技能、資格、そういったものを付与しております。最近ですと、介護サービスとかあるいは大型特殊自動車の建設機械運転というああいう資格も取って社会復帰をしているわけでございます。
 それから第三の教科教育でありますけれども、基礎学力とか……
#98
○西川玲子君 済みません、もう簡単で。一つ一つの説明はよくわかります。時間がございませんので。
#99
○説明員(板垣嗣廣君) はい、わかりました。
 それでは、先ほどの四と五の特別活動は飛ばしまして、いろんな今申し上げましたような教育をやっておりますけれども、一番大事なのは、私たちの生活指導、職業補導が願っているのは、一人の青年としての自立とかあるいはスムーズな社会復帰であります。ここで立ち直る、社会に帰っていけるというためには、保護者はもちろんのことでありますけれども、学校とか職場とかあるいは地域社会、そういった周囲の温かい受け入れということが何よりも重要かというふうに思っております。
 以上でございます。
#100
○西川玲子君 ありがとうございました。
 では、厚生省に教護院について、一分間でお願いいたします。
#101
○説明員(大泉博子君) 教護院は、児童福祉法に規定されました児童福祉施設でございまして、不良行為をなし、あるいは不良行為をなすおそれのある児童を入所させて非行性を取り除くという目的を持っている施設でございます。
 全国に五十七カ所ございまして、家庭的な雰囲気の中で生活指導、学科指導、職業指導というものを行いまして、子供たちを社会的に自立させるという仕事をしております。
#102
○西川玲子君 少年院あるいは教護院というところは、罪を償わせるということでなくて、少年たちのこれからの将来に配慮した教育施設なんだということがよくわかりました。ありがとうございました。
 被害者の大河内君は自殺という悲しい形で亡くなりましたけれども、加害者の少年たちは若くして大いなる将来に重い責務を背負ったと私は思います。とにかく、ただかわいそうなことをしたでは済まない人生が待っているわけです。本人たちは余り罪の意識がなくてほんのちょっとしたことと思っていたかもしれませんけれども、大事な人生を崩してしまうんだということをあらゆる機会を通して教えてもらいたいと思います。
 ところで、少年院とか教護院を退院しまして出直すことになった場合、私はこういう話を聞いたんです。とにかくそれまでの学校に戻すのは忍びない子供がいる、しかし学区の関係でどうしてももとの学校に戻さなきゃならない本当に悲しい例があるんですというふうに伺いました。やはり私は、こういった場合、せっかく立ち直った子供たちの将来のことも考えて、あるいはそういう子の場合は学区を外して違う学校を選べるような配慮もあっていいのではないかというふうに思います。これについての御意見を伺いたいと思います。
#103
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 市町村の教育委員会は、保護者から学校指定の変更の申し立てがあり、その申し立てが児童生徒に著しく過重な負担となることが客観的に予測される場合など相当な理由があると認められたときには、学校の指定の変更ができることとなっております。
 少年院や教護院を退院した者につきましては、原則として指定された学校に就学することとなりますが、その学校の指定の変更につきましては、市町村教育委員会が保護者の学校指定の変更の申し立てを受けて個別の事情を具体的に勘案した上、判断することとなります。
 どの学校に通学することとなろうとも、学校は細やかな教育的配慮を行いまして、教師、クラスメート、PTA、地域の人々などが温かい目で受け入れることが肝要であると考えているところでございます。
#104
○西川玲子君 ありがとうございます。ぜひ御配慮をよろしくお願いいたします。
 私は、とにかく最後に思いやりと感性豊かな人間教育の原点に今こそ立ち戻るべきであるという思いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#105
○三重野栄子君 日本社会党、三重野栄子でございます。
 教育予算・政策の問題、それから教職員の定数改善の計画、さらにいじめ問題の克服、三点につきまして質問並びに意見を申し上げ、御所見をいただきたいと思います。
 まず第一点でございますけれども、教育は未来への先行投資という問題でございます。
 二十一世紀を生きる子供たちは、国際化、情報化など激変する時代にありまして、従来以上に未知の課題に対して主体的、創造的に適応できる力、必要な情報を取捨選択し、多様な価値観や文化を理解する力、そしてみずから発信する能力を求められていると考えます。
 教育は、言うまでもなく、創造的で個性豊かな人間、地球社会の発展に寄与する人材をあらゆる分野で育成し、社会の活力を維持し、豊かな質の高い国民生活を実現する共通した基盤であるというふうに思っております。細川内閣から村山内閣に至る連立政権は、教育は未来への先行投資と位置づけてまいりまして、その具体化がますます迫られているところでございます。
 ところで、平成八年度の予算編成に今直面しているところでございますけれども、大変厳しい実情の中でありますけれども、特に申し上げたいのは、長年にわたりまして継続されてきた義教法による事務職員並びに栄養職員の国庫負担制度の堅持、また教科書無償制度の堅持、さらにまた高等教育の八〇%を占めていると言われます私学助成の充実等々の問題を勘案しながら、平成八年度の予算編成に、以上申し上げたものを含めましての大臣の決意をお伺いしたいと思うのでございます。
#106
○国務大臣(島村宜伸君) 何といっても我が国は今日まで大変偉大な発展を遂げましたけれども、それは日本人の優秀さに磨きがかかった、まさに家庭、学校、地域社会の教育が大きくこれに貢献していると、私はそう思っております。
 この国がよくなるもこの国が悪くなるもこれからの教育のあり方にかかっていると言っても私は決して言い過ぎでない、そう考えておりますので、まさに教育は未来への最も価値ある先行投資であると、こういうふうに受けとめております。
 そういう意味では、国民一人一人の人格の完成を目指しつつ、次代の国家社会を形成するために、創造的かつ個性的な人材を養成するためにこれを国づくりの基本に置いて、最重要政策の一つと受けとめて努力をしなきゃいけないと、こう考えております。
 教育の成果は、改めて申し上げるまでもありませんが、いわば我が国発展の源泉ともなり、かつ国民的資産、人類共通の知的資産として永久に残るものでありますし、その意味で私はこれから文教行政の責任者として最善を尽くして努力をしなければいけないと、こういうことに毎日新たな考えで取り組んでいる次第であります。
#107
○三重野栄子君 最後の、大変重要な平成八年度の予算編成に対する御決意をお願いします。
#108
○国務大臣(島村宜伸君) 平成八年度予算につきましては、まさに教育、学術、文化、スポーツ、各分野にわたりまして、我々は今申したような基本に立って当然に要求額満額獲得を目指して頑張ろうと、こういう基本に立っております。
#109
○三重野栄子君 ただいま要求満額ということでございますが、大変しつこうございますけれども、事務職員、栄養職員の国庫負担並びに教科書無償の問題、それからまた私学助成の充実という問題も当然含まれていると思いますが、大変恐縮ですけれども、もう一度確かめさせていただきます。
#110
○国務大臣(島村宜伸君) 大変ごもっともでございまして、個別のことに触れなかったことは恐縮でございますが、細部にわたって責任ある御答弁を申し上げるべく政府委員からと思いました。では、私から申し上げさせていただきます。
 当然のことに事務職員あるいは栄養職員等を学校の基幹職員と認識いたしておりますので、従前どおり、これらは今後とも、今までの経緯を踏まえて、国庫負担の堅持を図っていきたいと思います。
 また、教科書の無償給付あるいは私学助成につきましても、我々はこれを堅持していくということを基本に置いております。特に私学助成につきましては、最近は児童数も非常に減少もいたしておりますし、また同時に、一方で教育に関する負担が年々増加をいたしておりますので、大変苦しい経営状態にあることを十分認識いたしておりまして、これらについては当然に我々は健全な形で維持できるような応援をしていきたいと、こう考えております。
#111
○三重野栄子君 大変力強いお言葉をいただきまして、義務教育に携わる者、保護者、それからまた私学に携わる者、本当に全国の皆さんが喜ぶと思いますので、満額達成のために、私どもも一生懸命応援しますので、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、二十一世紀を展望した教育のあり方に関連して意見を述べてみたいと思います。
 教育への投資は、即効的な効果よりも、もちろん言うまでもなく後になって成果があることが多いのでございますけれども、二十一世紀を準備し、今後の五年ないし十年間何をするかということを徹底的に考える重要な時期に現在はあるというふうに思います。
 ただいま平成八年度の予算編成にありましては、もちろん可能な限り先行して実施をする努力は言うまでもありませんけれども、二十一世紀初頭に目標を設定した場合に、中期的な教育プランを策定してそれに基づいて重点的な投資を行う場合に、ソフト面を含めて総合的な教育インフラの計画的整備を図る必要があると考えるのでございます。
 そこで、私自身のこれらに関するプランの具体的な問題につきまして申し上げる時間がなくて残念でございますけれども、未来志向型の教育投資を推進するに当たりましては、公共投資基本計画の前倒し実施、あるいはまた配分の見直しを図るとともに、現在のような予算シーリング方式のあり方を改め、そしてまた国債発行等の検討も早急に着手する必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。
 また、投資を効果的にするためには、今までも大分あちらこちらから皆様方がおっしゃいましたけれども、教育改革を推進することも必要だろうと思いますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#112
○国務大臣(島村宜伸君) 具体的な御提言として公共投資前倒し等を改めておっしゃいましたけれども、これは御高承のとおり、平成景気というのはイザナギ景気に次ぐ長期にわたる好景気を維持いたしましたけれども、それが極めて異常なくらいの高い水準にあった。これに酔った国民の中には、いわばバブルに酔って思いがけない不良な債務を抱えるということが、個人においても企業においても、あるいはふだんは景気回復の原動力とも言うべき金融機関等にもこれが累積いたしておりまして、こういう事々のいわば緊急避難的な措置として行われたもので、これがずっと継続的に行われていくというふうには考えておりません。
 しかし、その一方では、円高その他の国難とも言うべき大変な経済環境もあるわけでございますから、これはこれといたしまして、この国の将来というものを長期的に我々が確かな形でとらえていくためには、何といっても教育に重点が置かれるのは当然である、これは私はかたくそう信じているところであります。先ほども予算についての御質問がございましたけれども、まさに国民環視の中で、教育に対して我々の内閣がどう取り組んでいるか、その姿勢も問われていると、こう考えています。
 したがいまして、これから二十一世紀に向けて国民一人一人がゆとりと潤いのある生活を実感し、かつ多様な個性を発揮しながら自己実現を図ることのできるような社会、こういうものをつくり、これからの新しい日本の発展を期するためには、ますます教育の果たす役割というのは重要になると、こう受けとめております。
 そういう意味で、これから次代を担う子供の教育につきましては、ともすれば戦後教育は知育に偏ったという反省があるわけでありますから、徳育、体育、まさにいわば健全な人格形成のための教育というものが実現できるようにしなきゃいけないし、そのためには、先ほど来申し上げているように、家庭と学校と地域社会が一体となってこれを支援する、この形が確保されなければならないと、こう考えているところであります。
 なお、もう長寿社会を迎えているわけでありますから、また新しい時代に即応する教育としては、単に学校教育の段階、今時点で常識にとらわれている学校教育の段階を終えて、お互いに生涯を通じて学問を身につけあるいはスポーツを楽しむというような環境が維持できるように、教育は広い視野に立ったこれからの展開が必要だと、こう考えているところであります。
#113
○三重野栄子君 大変広範に御説明いただきましてありがたいわけでありますが、ただ、今、家庭と学校と地域が一体となって子供の問題に取り組むということでございましたけれども、今縦割り行政でございまして、この問題を文部省あるいは学校だけに一任していく、背負っていくというのは大変難しいのではないかと思います。先のことかもわかりませんけれども、例えばどのような方法でこのような一体化をしようと思われるのでしょうか。
#114
○国務大臣(島村宜伸君) これは、学校といわば父兄との間にはPTAの組織がございます。こういう意味の連携もさることながら、私はもう一歩踏み込んで、地域社会を代表する方々との交流というものを含めて、今まで進めてきたこの三者の協力体制というものをより強固なものにしていく必要があるだろうと、こう考えております。
 ただ、独立して家庭内で責任をお持ちいただきたいことは、幼児教育の段階から子供さんというのはいろんな形でそれを後に引きずっていくということが最近は学問的にも言われているところでありますが、私自身、自分のつたない経験でも、本当によちよち歩きのころから親にどういうことを言われたかということは意外と覚えているものですね。私は数え年四歳から幼稚園に行きましたけれども、幼稚園の先生の洋服のほころびまで今でも記憶しております。どういうことを言われて、どういうことを教わったかというのを園長先生のお顔とともに結構がなり正確に覚えておるんですね。子供というのはそういうものなんだろうと思います。
 幼児教育の重要性というのは、私は素人ですけれども、そういう面からきちっと育てていくことは学校教育の及ぶ範囲ではありませんので、私は御家庭でもきちっとしたしっけをなさって、ちょっとこの言い方は適当かどうかわかりませんが、いわば素焼きのお人形を預けて、壊したら承知しないよというのでは、先生方は責任を持ってたくましい生徒を育てるわけにはいかないと思いますから、家庭である程度きちんとしたしつけをなさって、それで心身ともに健全な形で学校にお預けいただいたら教育の効率も上がりますし、また先生方もより責任のある教育というものを施していただけるんだろうと、こう私は考えておりますので、それらがまともに御理解いただければありがたいと、こう思います。
#115
○三重野栄子君 ただいまの一体化の一つの提案を聞かせていただきましたが、これからも研究課題だというふうに思います。特に就学前の子供の教育の問題につきましては、生涯教育と関連して研究の課題ではないか、どこがどう責任を持ってやっていくかという意味も含めましてこれからの課題ではないだろうかと思います。
 次に、教職員の定数改善の計画についてお尋ねいたしたいと思います。
 個性をはぐくむ、一人一人を大切にする教育推進のために、教職員の定数の改善は重要な施策の一つであるというふうに思います。ドイツなどに学びまして先進国並みの水準を目指すためには、現在の第六次教職員配置改善計画を前倒しすることはできないだろうか。そして、平成十年度からは第六次の改善計画に入れるように準備をしながら、そのことは学級を三十人編制にすることによって、チームティーチングやあるいはマン・ツー・マン指導など、きめ細かい多様な授業活動ができるのではないかというふうに考えるわけであります。
 先ほど大臣も、これからは少子化であるし、それから教師も多忙であるし、そういう面ではやはり教職員の定数の問題については考えるべきところがあるというふうなこともお話がございました。また現実に、今は免許外の指導をしなければならないという苦悩も大変現場の先生方は持っているところでございます。
 そういう意味をもちまして、平成八年度につきましては満額獲得の問題で頑張っていただくわけでございますけれども、今申しました前倒しの問題を、平成十年から第七次計画を始めるというような定数改善計画についてはいかがお考えでございましょうか。
#116
○政府委員(遠山耕平君) お答え申し上げます。
 一クラス当たりの生徒数の基準でございます学級編制基準につきましては、これまで数次の教職員配置改善計画等におきましてその改善を図っておるわけでございます。平成三年度に完成しました前回の第五次の改善計画におきまして、小中学校とも四十人をその標準としたところでございます。
 平成五年から六年計画で進めております現在の第六次の公立義務教育諸学校教職員配置改善計画でございますが、一学級当たりの児童生徒数の全国平均の現状は、大体小学校で二十八・五人、中学校で三十二・二人となっておりますが、今後児童生徒数がかなり大幅に減少することに伴いまして、学級規模もある程度縮小されていくということ等も総合的に勘案しまして、学級編制の標準を一律に下げるのではなくて、新しい学習指導要領の趣旨を踏まえまして、教育の個性化を推進するために、各学校においてチームティーチング等価に応じた多様で柔軟な新しい指導方法が工夫できるような教職員配置の改善を行うことを中心としているところでございまして、これによりまして児童生徒一人一人の理解が一層深まり、きめ細やかな指導が実現できるものと考えております。ホームルームの定員は一学級四十人が上限でございますが、このようなチームティーチングの実施によりまして実際の学習集団はこれよりは小規模になるわけでございます。
 それから、今回の改善計画におきましては、生徒指導の重要性それから困難性にかんがみまして、いじめや校内暴力あるいは登校拒否などの生徒指導上の問題を多く抱える学校に対しまして生徒指導担当教員の加配も行っているところでございます。
 したがいまして、現在進行中の第六次の公立義務教育諸学校教職員配置改善計画を円滑に、かつ着実に推進していきたいというぐあいに考えております。
#117
○三重野栄子君 大変前進をしているということを聞かせていただきまして、ありがとうございました。
 その場合に、もう一つ要望があるわけですけれども、学級編制の基準があります。先ほど大臣は一年に一度学級編制があるようなことをおっしゃいましたけれども、現実はそうはなっていないんです。教職員の定数というのはもう本当に教育現場で目に見えない苦労をしています。人口増減の激しい地域の学校は、例えば定数四十人の一名減るか一名ふえるかでもってクラスが二つになるのか一つになるかで物すごく大違いなのでございます。
 それで、三月の終わりぐらいになりますと、あなたのところは四月に入って引っ越してくださいとか、おうちができているけれども子供はいるだろうかと、もう先生は一生懸命走り回っているのが現状でございます。一年間の学年途中でもクラスがかえられるというような現状でございますので、本当に心豊かに、そしていじめもないようなそういう状況をつくるためには、学年途中で定数が一名減った場合には今までどおりに減ったままで、一名ふえたときは速やかにふやしていただくと。大変虫がいいような感じですけれども、しかし子供に行き届いた教育をするためにはそれぐらいのゆとりがあっていいのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#118
○政府委員(遠山耕平君) 教職員の定数を計算する場合には、学級数を基礎としてその数をはじくわけでございますが、先生がおっしゃられるように、途中で児童生徒数がふえまして、そのために学級数をふやすということも考えられるわけでございます。
 それは市町村の方で都道府県の方に認可を受ければ学級編制の改善ができるわけでございますが、年度の途中でクラスがえをやるのが教育上妥当なのかどうか、そこら辺は慎重に考えて行う必要があるのではないかと思います。
#119
○三重野栄子君 ぜひそのような体制をお進めいただくようにお願いしたいと思います。
 定数問題でもう一つでございますけれども、阪神・淡路大震災に遭遇された現地の皆様には何とお見舞い申し上げてよいかわからない、現状も本当に大変だというふうに思います。学校関係に限ってみましても、教職員自身が被災者であっても、みずからの自己の被災を顧みることなく、本来の教育活動、さらにまた二十四時間体制で勤務をしてきた、お世話をしてきたという状況に、本当に献身的にしてこられた教職員の皆さんに敬意を表するところでございます。
 校舎の施設などは補正予算等でおおむね復興する、あるいは復興したやに伺っているところでございますけれども、心の健康管理と申しますか、心のケアの実現というのはまだまだ回復しないのではないかと思うわけでございます。
 そこで、心のケアは児童生徒だけではなくて献身的に活動してきた教職員にも必要なことであります。したがいまして、教職員の教育活動については当該県で既に市町村への配慮が行われて間もなく一年を迎えるわけでございますけれども、一月十六日現在の教職員の加配という状況で現在していただいておりますけれども、いよいよもう一年たつわけでございますけれども、まさかかえられるということはないと思いますけれども、そのところの温かい心のうちを見せていただきたいと思います。
#120
○政府委員(遠山耕平君) お答え申し上げます。
 兵庫県の平成七年度の教職員の定数につきましては、兵庫県の実情あるいは要望を踏まえまして、年度途中において一時的に県外に避難している児童生徒が戻ってくる際にクラスがえなどをしないでいいように、学校運営上の支障やあるいは教育指導上の混乱が生じないように、平成五年五月一日の在籍児童生徒数に基づく教職員定数に平成八年三月までに兵庫県に戻ってくると見込まれる児童生徒数に基づく定数を加えた定数を年度当初から保障することとする特例措置を、標準法の政令を改正しまして講じたところでございます。
 それからまた、先生からお話がございました児童生徒の心の健康の問題の相談に適切に対応できるように、カウンセリング担当教員の加配も行ったところでございます。
 兵庫県からは、平成八年度においても児童生徒が県外から戻ってくることが見込まれること、それから児童生徒の心の健康への問題の対応が引き続き必要とされる状況にあるという説明と、それから定数措置の御要望がありましたけれども、まだ具体的に詰める話の段階にはなっておりません。
 したがいまして、兵庫県における平成八年度の教職員定数の取り扱いにつきましては、今後さらに兵庫県から詳細な説明を聞きながら、学校教育が円滑に実施されるよう必要な配慮をしてまいりたいと思います。
#121
○三重野栄子君 兵庫県、詰まっていないというように伺いましたけれども、兵庫県の教師たちは保護者も含めまして今までと同じように対処してもらいたいという切実な要望がございますので、何としても継続されるように重ねてお願い申し上げたいと思います。努力のほどよろしくお願い申し上げます。
 最後に、いじめの問題の克服についてお尋ね申し上げます。
 いじめに対する問題は、もう既にそれぞれの先生方から質問がございました。文部省におかれましては、今日までさまざまな対応をされてきておることも伺いました。
 しかし、いじめ、自殺、不登校など、とどまるところがないわけでございますけれども、この原因につきまして、先進国共通の環境の事情、自余の変化、あるいは子供を取り巻く環境の悪化という問題をいじめの背景として指摘することができるわけです。しかし、現実にはいじめがクラスやクラフや友人集団など学校を舞台に発生している以上は、文部省も大変だと思いますけれども、子供を主人公とする教育改革が必要であるという意味で、この点少し私の意見を述べさせていただきたいと思います。
 学校では文部省による学習指導要領、教科書検定制度などによって教育内容が統制をされていると思います。多数の生徒が授業についていけば、落ちこぽれもできてくるし、また生徒を画一的に校則などにより管理し、学校の要求する形あるいは尺度に合わない子供は規格外として排除される傾向にあるのではないだろうか。生徒が主体的に参加を楽しむ場所が少ないのじゃないか。これは少し表現がきついわけでありますけれども、多少そういう面があるのではないかと思うわけです。さらに、いわゆる受験競争が激化しておりまして、小学生にまでその傾向は及んでいると思います。子供が主人公というのは建前だけで、実態はやはり子供を管理する対象としての傾向が強く生徒に反映しているのではないかというふうに思うわけでございます。
 先ほど、大臣は初等教育におきましてはある一定の規格的あるいは基礎的な問題もあるというふうに言われたわけでありますけれども、そのことを一応認めたといたしましても、教育現場の中では生徒も教師も非常に強いストレスを生じているというふうに思っております。これがいじめを生む背景の一つであると思うわけでありますけれども、その点に関しまして文部省としてはどのようにお考えでございましょうか。
#122
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 いじめの問題につきまして、ただいま先生から学校内におけるあり方、そういう点からの御指摘があったわけでございますが、一般にいじめは、学校生活におきまして弱い者、集団とは異質な者を攻撃したり排除しようとする傾向に根差して発生することが多いわけでございます。このような傾向は我が国の社会一般にも存在する問題ではありますが、特に学校をめぐっては、教師が単一の価値尺度によって児童生徒を評価する指導姿勢や児童生徒に対する何げない言動等に大きなかかわりを有している場合があることも留意すべきであります。
 そういう点で、学校におきましてはあくまで児童生徒一人一人を多様な個性を持つかけがえのない存在として受けとめて、教師の役割は児童生徒の人格のよりよき発達を支援することにあるという児童生徒観に立つ必要があるというように考えております。このような児童生徒観のもとに、道徳教育、心の教育等の推進を通じてお互いを思いやり尊重し合う態度等の涵養を行うことが重要であるというように考えております。
 また、この問題の解決につきましては、先ほど来文部大臣が御答弁申し上げておりますように、学校のみならず、家庭、地域社会の一体となった取り組みが重要であるわけでございまして、そういう意味で、学校におきましては、ただいま申し上げましたことのほか、まず一人一人を大切にし個性を生かすという学習指導要領の趣旨を実現する教育を着実に推進していく必要があるというように考えているところでございます。
#123
○三重野栄子君 大勢の子供が相手でございますから、そしてまた先生方も多様でいらっしゃいますから、なかなか難しい面もあると思いますけれども、子供が主人公の学校になるようにぜひお進めいただきたいと思います。
 特に、今年度は子どもの権利条約も批准をいたしましたし、また来年は国連人権教育の二年目に入るわけでございますので、子供の人権を主体として大切にするような、そういう教育も含めましての学校になりますように御努力をお願いしたいと思うわけであります。
 次に、いじめの具体的な問題として、人にやさしい政治の一環としていじめの対策は既にいろいろ今お伺いしたところでございます。カウンセラーの配置につきましても、来年度にはさらに増員、増額のことも伺いました。それから、先ほど保健室あるいは保健婦さんが、一つの駆け込み寺ではありませんけれども、大変相談の重要な役を果たしておられるということも伺いました。
 このカウンセラーの校内配置の問題について、先ほどもおっしゃいましたが、全校に最低一名を配置していただきたいという要望と、もう一つは、不登校になった原因として、今までは学校内の保健婦さんに相談したけれども、あれもどうもおかしい、あいつが言ったというように言われないようにということで、だんだん不登校になるという子供もいるようでございます。
 そういたしますと、このカウンセラーの問題につきましても、校外といいましょうか地域の協力をしていただいて、ある一定のところでカウンセラーを配置していただく、その相談所をつくるということは、保護者あるいは地域の有力者の方々の協力も得て、先ほど大臣もおっしゃいましたその一環になるかどうかわかりませんけれども、そういう問題も含めて、校外にカウンセラーを配置するということも考えられないかどうか。御検討をいただきたいと思いますけれども、検討に値する問題でしょうか。お答えをお願いします。
#124
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 スクールカウンセラー活用調査研究委託事業は、先ほど来申し上げておりますように、臨床心理士など、心の問題について高度な知識、経験を有する専門家をスクールカウンセラーとして委嘱して学校に派遣しているものでございまして、今年度各都道府県三校、来年度はさらにそれを拡充して各都道府県十校の概算要求をしているところでございます。
 そして、先生からただいまお話がございました学校外における教育相談についてでございますが、都道府県や市町村におきましては、児童生徒、保護者、教師がいつでも相談できるように教育センターや教育相談所等の相談窓口を設けておりまして、その体制整備を図りますとともに、その利用について広く広報活動等によって周知徹底を図るよう努めているところでございます。
 地方財政措置におきまして、各市町村に必ず一人配置できるような地方財政措置、約十四億円も措置しているところでございまして、そういうような教育相談員の設置についての各市町村における取り組みについても私どもはさらにその充実を指導していきたいと、このように考えているところでございます。
#125
○三重野栄子君 年々充実されているところを伺いまして、大変力強く思います。特に地方分権の時代でございますから、ここの印とここの町は同じでなければならないということはありませんわけですから、その町あるいはその学校の特徴に応じて今おっしゃったようなことが、十四億円も計上してあるそうでございますから、そういうものが生かされていけばいいというふうに思います。
 最後に、いじめの問題ですけれども、いじめ問題対策情報センターが既に発足をいたしておりますけれども、その活動状況についてお伺いしたいと思います。
#126
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 文部省では、平成七年五月に国立教育会館にただいま先生からお話がございましたいじめ問題対策情報センターを設置いたしまして、児童生徒、保護者、教員等からの電話相談、それからパソコン通信による全国の相談機関、いじめ問題に関する行政資料、いじめに対する行政事例についての情報提供などを行いますとともに、教育心理や生徒指導などを専門といたします学識経験者の派遣を各教育委員会の要請に応じて行っているところでございます。
 五月八日にこの情報センターが発足いたしまして、十二月十二日までの時点での電話相談は合計千二百六件という多数に上っておりますし、また、学識経験者をアドバイザリースタッフとして派遣した件数も十三件に上っているわけでございます。
#127
○三重野栄子君 いじめの事例からの教訓というのはたくさんあるわけでございますけれども、その中から考えてみますと、特別な援助がなくても自分の気持ちを理解してくれる友人が一人でもいたら最悪の事態を切り抜けたという事例も多うございます。しかし一方では、それを切り抜けるためのお友達がいない、親にも相談できない、教師にも相談しないというようなことで、ついに最悪の状態に至ったという事例もあるわけでございます。今おっしゃいましたように、地域でも、それからいろんなところで、あなたの周りには不安なく話ができるところがあるのよということを常に広報宣伝する必要があろうというふうに思います。
 そこで、今御説明いただきましたいじめ問題対策情報センターの事業の二点について質問いたしたいと思います。
 まず、電話相談の問題でございますけれども、これは三月に上山議員だったと思いますけれども、無料にできないだろうかと。それで、検討しましょうというお返事をいただいたそうでございますけれども、それはその後どうなっているか。それで、もしその問題についてだめだということなら、よくわかりませんけれども、私はさらに、大人が電話したならともかく、子供という場合にはぜひ無料にできるようなことをお願いしたいと思いますが、その点についてのお返事をいただきたいと思います。
#128
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 ただいま先生の御指摘の点につきましては、来年度概算要求におきまして、このセンターの電話相談へのフリーダイヤルの導入を盛り込んでいるところでございます。
#129
○三重野栄子君 どうもありがとうございました。
 最後の問題ですが、今の事業の中の二点目でいじめ問題に対する学校の対象事例等の情報提供、この事業がございますけれども、この中にはいろいろこういう方々はお尋ねくださいというふうになっておりますけれども、現実にはプライバシーという問題も含めまして教育委員会からじゃないとこの情報はいただけないという現場の話を聞いているのでございますけれども、その点はいかがなものでしょうか。
 私は、教育委員会だけではなくて、出所を明らかにした場合には教師あるいは父母、ここに書いてあります項目に当てはまる方がお尋ねの場合にはぜひ情報を提供していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#130
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 このセンターのいじめ問題に関する対象事例につきましては、国立教育会館のパソコン通信ネットワークに加盟していただいております都道府県教育委員会、教育センター、市町村教育委員会等、約三百八十カ所でございますが、これらのネットワークに加盟している方々については検索できることとなっておりまして、現在でも各学校の先生方はこれらの機関を通じて利用することが可能でございます。
 なお、先生がおっしゃるように、教員が直接情報を得られるようにすることについては今後検討してまいりたいと思っております。
#131
○三重野栄子君 以上で質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#132
○堂本暁子君 初めて島村大臣に質問させていただくわけですが、きょうはずっと朝からいじめの問題が出通しに出てまいりました。
 私も三十年前に文部記者会におりまして、そのころに登校拒否が数は少なかったんですけれどももうスタートしたわけですね。十五年ぐらい前は、どこかでお子さんが亡くなってはそこへ行き、千葉へ行き、秋田へ行き、関西へ行きと、そういう自殺が出るたびにその現場へ行って、親はどういうことを考えていたんだろう、地域では何があったんだろう、学校の先生はどう考えていたんだろう、ずっと記者という形で取材を続けてまいりました。
 本当に先生も悲嘆に暮れておられたし、親ももちろんそうでしたし、つらい思いを周りの方はしていらっしゃいました。それから文部省もその時々で、例えば生育歴とおっしゃった時期もあるし、いろいろなおっしゃり方でしたけれども、それなりの努力をしていらした。
 しかし、減っていないんですね。どんどんふえている。あした教育長をお集めになって絶滅を目指してとおっしゃいますけれども、果たして可能なのか。三十年間見てきて減らない。それは家庭とか地域と協力すれば解決する問題ではなくて、私はもっと大きく、先ほど三重野さんもちょっとおっしゃいましたけれども、大きく時代性だと思っております。
 外国へも参りましたけれども、外国でも同じようなことがあります。何が日本と違うか、それは学校の外での教育を認めるか認めないかということだと私は思っております。子供にとって一番教育が保障されるべき学校の場が子供にとって生き地獄になったとき、それでも子供は学校へ行かなきゃいけないのか。
 日弁連でお出しになった「子どもの権利 マニュアル」という、こういう厚い本がありますけれども、この中で日弁連は、法的には子供は学校へ行く義務があるのではない、子供は教育を受ける権利が前提になっているのが義務教育であって、子供は権利者として存在しているんだというふうに法律家の解釈を書いておられるんですけれども、大臣はその点についてどういうふうにお考えになるか、まず伺いとうございます。
#133
○国務大臣(島村宜伸君) 登校拒否が実に昨年の数字で、平成六年度ですが七万七千四百人に上っています。まさに年々増加の一途をたどっておりまして、まことに頭の痛いことでございます。
 これはいろいろな対応の仕方があろうかと思いますが、これをもし学校外の教育を認める、しかも義務教育段階でこれを認めるということにした方がいいのかどうか。これは今いろいろ御検討もいただいていることではありますが、私の私見をということでございますから申し上げるならば、やはり学校に行っていただく、そして義務教育に国家が責任を持つという仕組みは維持した方がいいのではないか、こうまず私は思います。
 なぜならば、これはかなり古い自分の経験になりますけれども、実は中学の一、二年、先ほどいじめの一番多い時期と言われたそのころは、自分もかなり落後しかけていたような時期で、俗に言う悪餓鬼であったと今でも反省をしているところですが、そのころ、じゃなぜ学校へ行ったのか。学校へ行かなくてもいいという仕組みや環境があれば私は行かなかったと思うんですね。
 ただ、自分が自分の意思で学校へ行こうと思った気持ちの背景を考えてみると、まず家で自分だけがいわば学校から引きずりおろされる、私の親は非常に頑固な人でしたから、そんなことすればすぐもう学校をやめさせられてしまうというおそれが一つありました。それから、地域社会でたくさんの仲間が一緒に学校に行っているわけですが、これから外れるのも嫌でした。学校にはすばらしい友人たちがたくさんおりました。私は野球部の選手でしたから、野球部で野球をやることが非常に楽しかったし、そっちの面の救いも実はありました。
 そんなことで、環境的にも許されないことから学校へ行っているうちに、学校へ行くことの楽しさがいつの間にかまた舞い戻ってきて、結果的に今日があると、私はこう考えているわけです。
#134
○堂本暁子君 大臣が学校に行かれたころともう大変に時代が違っております。私も大臣と同じような経験を子供のころに持っていますけれども、私が実際に見た子供たちは、精神病院に送られたり、それからもっと本当に悲惨のどん底。ヨットスクールというのもありました。佛祥庵というのもございました。一週間水も与えられないで監禁されるそんな子供もいたんです。それは大臣が学校へ行かないで、おうちにいらして学校の楽しさをごらんになったのとは全然違います。
 今ちょうど入ってきた子供たち、みんな学校へ行かれない子供たちです。まあ、みんなかどうかわからないけれども、行かれない経験を持った子供たちです。私は、私が質問するんじゃなくて、この子供たち、今七万七千四百人いるとおっしゃった、その七万人を代表して伺わせていただきますけれども、そういうことなら行くんです、この子たちは学校に、大臣と同じように。そうじゃない、もっともっと行かれない状況があるから行かれないんです。
 とすれば、大臣、教育の権利が認められているんだとすれば、フリースクールとか、もうアメリカやなんかは七〇年代からそういうことをやっています。その子供たちを学校に行かなきゃいけないということで練るから。私が最初に取材した子供はもう四十歳です。そういう間ずっと日本の文部省は、大臣がおっしゃるように、制度を守るためにと。私もそれがいいと思ってきました。でも、ここまで三十年たっても直らないのなら、学校というその道はとてもいいかもしれません、しかしそこにバイパスがあってもいいんじゃないでしょうか。これだけ価値が多様化している中でどう考えるかということだと思います。外国ではフリースクールが多く認められているわけですから。
 もう答弁でお答えいただくのではなくて、この子供たちの方へ向かって大臣がどうお考えになるかをおっしゃっていただきたい。外国ではもうフリースクールは認められている。とすれば、日本は、四十歳になる子供たちはそういう権利が与えられなかった、そのバイパスを通っていいということを。もう現実なんです。現実対応をするということをどうお考えになるか、個人的見解で結構ですから伺いたい。
#135
○国務大臣(島村宜伸君) 成長期の人間には文化が違っても共通点があろうかと思います。ただ、各国にはそれぞれの歴史があり、伝統があり、また社会環境があり、またその中に生まれ育った文化というものがあると思いますから、外国の例と日本の例をいきなり同一に考えることは必ずしも適当でないと、こう思います。
 私自身は、現時点で学校へ行かない生徒がむしろ過半数なのに文部省はかたい頭で従前どおり学校へ行くことをどうこうするならともかく、ふえつつはあっても、むしろ登校拒否というものが起きないような環境をつくることの方が我々はベストなんではないか、そう考えております。
#136
○堂本暁子君 十年前も二十年前もそうおっしゃったんです。文部大臣は。でもそれは変わらない。それは努力で変わることではなくて、私は時代だと思います。もう価値観が大きく変わっている。
 次の質問に行かせていただきますけれども、子供たちは学びたいんです。学習力旺盛です。そういった子供たちが学校に行かれない時期だって学ぶ場を与えられたならば、それはお認めになることの方が現実対応ではないでしょうか。みんなこの子供たちがフリースクールのようなところへ行っているわけですね。とすれば、そういったものをきちっと教育NGOとしてお認めになる気はございませんか。
#137
○国務大臣(島村宜伸君) 私はまだフリースクールの実態というのをよく存じておりません。それで、それが大勢であるならば、私はやっぱりそれに従うべきだと思います。しかし、現実にいろいろ問題を抱えたり、いろいろ疑問を持ったり、不満を持っていながら学校へ行っている生徒さんの数が多いわけであります。
 今ちょっと秘書官に質問したのは、中学生の数を照会したところで、答弁内容等を質問したのじゃないのですが、問題は、大勢の方がみんな中学へ行って、あるいは小学校に通って授業を受けているとすれば、そういう人たちの立場というものも考えてみる必要がありますから、余り早計にこれを何かフリースクールを認めるという形にまで踏み切れるかというと、私にはいささか疑問がございます。
#138
○堂本暁子君 数の問題ではございません。けさからずっと出ている、子供が自殺するなんというのは異常なことです。大臣がお小さいときにそういうことは周りにございましたか、まずそれをお聞かせください。私の周りで子供がいじめに遭って自殺したということは、私が子供のころにはございませんでした。大臣、子供のころに周りで子供が自殺しましたか。
#139
○国務大臣(島村宜伸君) 自殺した友人は二人おります。ですからゼロだったとは思いません。しかし今ほど多くなかったことは事実です。
 たまたま今自殺の話が出ましたけれども、私の記憶に間違いなければ、たしか昭和五十二年、五十三年、五十四年がピークですね。いずれも三百人台を記録している、三百二十一、三百三十五、三百八十とこう記憶しています。昭和五十四年をピークとして、現在は幾らか。平成五年の数字まで出ておりますが、百三十一名。大きく減少して約三分の一に減っております。
 その一方で登校拒否がふえているわけでありますが、問題は登校拒否の数字、今正確に調べてもらいましたら、小学生が八百五十八万人中、登校拒否の小学生は一万五千七百七十三人。もう一回申し上げます。八百五十八万人の小学生中、一万五千七百七十三名です。中学生は四百六十八万人中、六万一千六百二十七名でございます。
 私はこれをパーセンテージで片づける気はございませんが、やはりほとんどの方は小学校なり中学校なりに通っていられるわけでありますから、これをにわかにフリースクール制に置きかえるとか、そういう道も開いてしまうということが果たして日本の国の教育にどういう影響をもたらすのか、この辺は慎重に考える必要があるものと思います、
#140
○堂本暁子君 別に、公教育とか義務教育とか公的な学校をなくしてくださいと申し上げているのではございません。
 大変な数でございます。この一万五千人の小学生、六万一千人の中学生、この子たちはどうするんですか、学校に行かれない子供たちは。この子たちにだって教育を受ける権利はありませんか。
#141
○国務大臣(島村宜伸君) 詳しいことは政府委員から御説明いたさせますが、小学校、中学校に行けなかった、しかし途中からまた学業の道に戻りたい、今はかなり弾力的にそういう道を開くように制度上もどんどん改善をいたしているところです。この辺については政府委員から。
#142
○堂本暁子君 結構です、大臣。次の質問に移ります。一時間あるときならいろいろ細かくまた伺わせていただきますので、局長、そのときはよろしくお願いいたします。
 大臣、その子供たち、学校へ帰る道がある、しかし帰れない子供もいるんです。私は見ました、学校で本当にどういういじめがあるか。もし私がその子供だったら二度と学校へ行かないなと思ったいじめを見ました。本当につらいいじめです。性的ないじめもあります、女の子にとってもう学校のお友達の顔を見たくない。先生の顔も見たくもない。そうしたときにその子供は死を選ぶのか、それともずっと学校というところに行かずに生きるか、どっちかしか道がないんです。幾つになってもやっぱり行かれない。もうアレルギーですね。もう学校というところが怖いところになった。そういうような子供だっているんです、この七万人の中には。
 それで、私はパーセントでおっしゃっていただきたくない。すべての子供たちは憲法で教育を受ける権利を持っているはずです、日本人でも外国人でも。当然のことでございます。ですから、この数はわずか何%だから、その子供たちが学校へ来ないのなら教育を受けなくていいんだという理屈はないはずです。
 ですから、学校の制度はそのままでもいい。だけれども、現状はどんどんふえているわけでしょう。減っているのならわかりますよ。当時、私が取材していたころよりも今は十分の一になっちゃったというのならば、日本は特殊な国で、そういうことに非常に成功した国になるかもしれません。しかし、日本だけじゃなくて外国でも価値は多様化しております。いろんな生き方があります。そして、大臣や私が子供のときのように外で遊ぶだけではなくて、コンピューターあり、いろんなことがあるわけですね。
 そういった中で、必ずしも学校というところになじまないような子供たちだって育っている。でも、その子たちは音楽の天才かもしれない、美術の天才かもしれない。そういった子供たちが違ったところで教育を受けることをある程度認めることが、むしろこういった七万人の子供たちが学校へ戻れる一つのチャンスでもありましょうし、一切戻りたくない子供たちはそこから卒業していく、そういったことも認めるべきでありましょう。イギリスなんかは学校へ行かなくても試験だけでずっと教育されていくという制度もあります。
 そういった観点からいいますと、もうそろそろ文部省も日本の現実を考えてそういったことに踏み切られる。もしかしたら文部省にとって一番嫌な質問を私はきょうは申し上げているかもしれない。ずっと文部省はそうおっしゃってきました。三十年間ずっと同じです。しかし、こんなに、けさからずっとでしょう、どんなに悲惨な子供たちがいるか。親だったらどうするんですか。大臣は親と同じ気持ちで多分本当に胸を痛められたと思いますよ。今、文部大臣であられるんだから、文部大臣としてその辺の決断をきちっと伺いたい。そして、例えば学校へ行かないことの理由、そういったことも、親や子供が怖いと言ったときはきちんと認めるということもしていただきたいと思います。これは局長に後で例えばいいことだと思いますが、細かい点については。
 しかし、現実を踏まえて、本当にきょう私は、一人一人知っているわけじゃないけれども、あの子たち見てください。この子たち学びたいんですよ、大臣。向こうに向かって私は言っていただきたい、この子供たちをどうしてくださるか。
#143
○国務大臣(島村宜伸君) 私たちは公の教育を預かる立場でございますから、やはり国民の皆様もそう考えるであろうと我々なりの判断ができれば、それはそれなりに急転直下、今御指摘のようなことも考えなきゃいけないと思いますが、先ほど来申しておりますように、最大公約数と言うとまたパーセンテージの話になりますが、そういう意味でなくて、私は逃げもいたしませんし、すべてのことにまじめに対応する人間だと自分でも自負しておりますから、今、急速この数字も調べたわけで、自分の手帳には大づかみの数字は入っておりました。
 今時点で学校を休んだらその人自身がもう戻れないようなことになるということではなくて、既に文部省でもそれには弾力的な対応ができるように幾つかの措置がなされております。しかしそうかといって、すべての学校の制度を義務教育段階でフリースクールも全く同列視してしまうと、そういうことは立場上できません。
#144
○堂本暁子君 私がお願いしているのはそういうことではないんです。公的な教育はより充実していただいて、よりいい教育をしていただくことが大事だと思っております。
 そうではなくて、現実の問題として、死ぬまで我慢して学校へ行っている子を、そんなことさせておく必要がありますか、大人が。それは私は国によっての余りにも乱暴なことだと思います。幾ら大臣がそうおっしゃっても、その子がなぜ死ななきゃならなかったのか、そのことをもう一遍私は白紙に戻ってお考えいただきたいんです。
 文部大臣というお立場だけじゃなくて、その子を私たち大人が死なせてしまったことというのは、議員にも責任ございます。大臣はもっと責任があると思います。局長にだって責任あります。学校の先生にも、みんなに。ですけれども、子供たちはそういう形で抵抗しているんです。発言しているんです。死をもって物を言っているんです。私はそう申し上げたい。とすれば、公教育は大事です。しかし、現実に行かれない子供たちの避難場所としてそこをお認めいただかなかったら、死でもって抗議している子供たちは浮かばれませんよ、大臣。
#145
○国務大臣(島村宜伸君) 先ほど自殺者の数が大きく減少を見ていることはお話を申し上げましたけれども、これも偶然の結果だと私は思いません。やはり関係当局、いろんな御関係の方が、地方自治体に至るまで、御家庭その他の御協力もあってかなりそういうものの減少するような努力をされて、その結果があらわれたと思います。
 登校拒否についても、我々が今果たすべき務めというのは、いかにしたら登校拒否の生徒さんを減少させることができるか、そして同時に、そういう方たちがまた学校に復帰するための道を開くか、そういうことが我々の今の務めだと思うんですが、これをいきなり堂本委員御指摘のようにすべての人たちに対応できるような制度を国においてつくれということは、にわかにはちょっと無理なお話だと思います。
#146
○堂本暁子君 では、最後の質問。
 さっきから申し上げているように、並列にということではないんです。どうしても行かれない。死を賭してまで学校に行くぐらいならば避難場所が必要だ。何だってそうだと思います。嵐の中にいるときに、屋根の下に軒を借りるときだってあるんです。その七万人の子供たちはお小遣いだってない。フリースクールへ行くんだったらお金だって要る。そして、定期券のことはこの間少し認めていただきましたけれども、まだなかなかうまくいっていません。そういった片方のバイパスのあり方をもう現実の問題としてお認めいただきたい。それが一つの国としての子供たちに対しての責任ではないか。
 それは公教育と同じに認めてくださいと申し上げているんではないんです。避難場所のフリースクールや、それからいろんなそういった塾なんかもあります、子供たちが行っている。そういったところで避難している子供たちが、そこで健康に育つためのもう一つのバイパスを文部省が考える。その子供たちを戻すのがいいとおっしゃる。戻っていますか。七万人、これは全然戻っていないんですよ。七万人というのは大変な数でございます。
 ですから、その辺のところは私は時代性だと思います。どこまでも日本がそういった時代に対応しない教育をしているとすれば、余りにも子供たちが不幸だと思いますので、今後ぜひとも御検討いただきたい。多分、子供たちもそう思っているだろうと思います。
 質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#147
○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。
 初めに、学生の就職問題について伺います。
 超氷河期とも言われ、深刻さを増している学生生徒の就職難解決、特に性差別を受ける女子学生並びに高校生の就職難解決のための対策についての質問です。
 来春卒業予定者の求人倍率の低さ、また就職内定率の低さは、具体的な数字は省略しますが、大変深刻の度を増しています。この問題の根本問題というのは求人確保、若者たちの働く場の確保の問題だと思うのですが、まず労働省に伺います。
 私の地元埼玉県では、ことし五月に入ってからもまだ就職できていない学生生徒のための企業の合同説明会が行われ、大変歓迎されました。行政の努力と働きかけで、こうした合同説明会などの取り組みの回数をふやし、各地でも継続的に行われるようにするべきだと思うのです。これは学生の要望でもありますが、どうでしょうか。労働省、お願いします。
#148
○説明員(井原勝介君) 労働省といたしましては、非常に厳しい就職環境のもとでできるだけの就職支援を行っていく必要があるというふうに考えておりまして、その一つの大きな方策といたしまして、学生とその企業の方々が一堂に会しまして面接をするという合同面接会を一つの大きな柱として位置づけておりまして、東京ドームで首都圏の大面接会を九月に開催いたしました。
 それを皮切りにいたしまして、全国の自治体におきまして就職面接会を順次開催しておりまして、昨年度は三十五都道府県で五十会場において面接会を開催しております。本年度はさらに積極的に実施することといたしまして、八月以降現在まで三十六都道府県、六十六の会場において開催したところであります。一つの県内においても複数回開催されているところもございます。さらに今後とも、三月に向けまして就職面接会を積極的に開催していきたいというふうに考えているところでございます。
#149
○阿部幸代君 大規模な合同説明会も回数をふやしていただきたいし、同時に都道府県単位の説明会ですね、今のお話ですとまだ未実施のところが大分ありますね。それらも含めて実施するような働きかけをぜひしていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
#150
○説明員(井原勝介君) 各都道府県におきましても、我々としましては積極的に開催していただくようにということでお願いをしておりまして、各都道府県の実情に応じまして計画を立てていただきまして、順次開催していただいているところでございます。先ほど申し上げましたように、既に三十六都道府県で開催しておりますが、今後とも順次計画的にやっていかれるだろうというふうに思っております。
#151
○阿部幸代君 この問題では、新卒者の就職難は構造的問題であり、根本的には景気がよくならないと相当長期化するということが財界筋では言われるんですけれども、この立場に陥ってしまいますと、就職難は仕方がないんだという宿命論に陥ってしまうんですね。そうではなくて、実際にリストラ、合理化で人減らしや賃金抑制などをやってもうけを上げているところも現に出てきているわけで、こうした構造にメスを入れる立場で、求人確保はまだまだ可能なんだという立場に立っての行政の側の系統的な働きかけを要望したいと思います。
 次に、文部省に伺います。
 私は、こういうときだからこそ、大学における就職指導、学生の立場に立った就職指導が非常に大事であると思います。その意味で、今年度から国立の女子大学に配置された就職指導専門員の役割に大変注目をしているんです。実際の仕事ぶりを大学にまで出かけていって見させていただきました。
 実際の仕事ぶり、率直に言ってまだまだポストが置かれただけというところもありました。同時に、長年の就職指導の蓄積の上に立って、教職員相互の、また教職員と卒業生の緊密な協力体制ができていて、長くその大学で働いてきて今度就職指導専門員になられた方がそうした協力体制の中のかなめとして生き生きと仕事をしているところもありました。
 この後者の場合、学生の信頼も大変厚いんですね。これも就職指導の一環としてつくられたそうですが、「就職活動体験記−先輩からのメッセージ」です。これ全部私は目を通してみたんですけれども、この中にも、「厚生課の方にも協力していただいてまめに求人票をチェックするのがよいです。厚生課の方はとても親切です。」と、こういうふうに書かれていて、学生に大変頼りにされている様子がよくわかりました。
 ここでは、学生が就職相談に来やすいように厚生課の部屋も改装されて、テーブルといすも置かれてありました。今年度の求人票はもちろんですが、前年度までの各企業の求人実績とか、どこの会社に行くとどういう先輩がいるか一目でわかるような顔写真入りの資料とか、大変豊富な資料が学生が利用しやすいように備えられていました。労働省婦人少年室との連携もできていて、労働省のアンケート用紙も備えられていました。何といっても、厚生課長、専門員、係長、新採用女性職員、この四人の日常的な指導体制が大変心強い限りでした。
 各大学の自主性を尊重しつつこうした指導体制をつくること、そのためにも少なくともすべての国立大学に就職指導専門員を配置することが必要ではないでしょうか。「就職難に泣き寝入りしない女子学生の会」というのがあるんですが、そこで出したこの「就職黒書」、労働省にも渡っていると思うんですけれども、この中に、「大学に就職部がないので、大変だ。」という国立大学があるんですね。こういう状況をなくす必要があると思うんですが、どうでしょうか。文部省、お聞きします。
#152
○政府委員(吉田茂君) 御指摘のような就職指導専門員でございますが、これは本年度、国立の二つの女子大学に設置をいたしたわけでございます。仕事は先生御指摘のような的確な就職指導が中心でございます。やはり、就職に関しましては豊富かつ正確な就職情報が一番大事でございますので、そういったことを中心に仕事を進めていただいているというふうに承知しておるわけでございます。
 来年度の概算要求におきましては、考え方といたしまして、地方の大学が地域における採用数が少ない、それから大都市圏に比べて今申し上げましたような情報量が少ないというようなことから、地方の大学を中心に、現在、国立五大学、岩手大学等につきまして御指摘の就職指導専門員の要求を行っておるところでございますが、何分非常に定員状況が厳しい中で厳しい折衝でございますが、現在、予算折衝中でございます。こういうような専門員を中心に、いろいろな情報をネットワークしつつ、的確な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
#153
○阿部幸代君 就職指導体制の拡充の方向での努力を要望したいと思います。
 男女雇用機会均等法が制定されて十年になります。私が実際に話を聞かせていただいた就職指導専門員の方がおっしゃることには、均等法は罰則規定がないから守る必要がない、こういうふうに平然と言われたと学生が泣きついてきたという話もあると、こう言っていました。また、先ほど紹介した「就職黒書」の中では、企業の本社セミナーで社長から、「欧米の女性は、何でも頭で考えるから、恋も仕事も混同しないけれど、日本人女性は子宮で考えるから、恋をしたら仕事がおろそかになって困る」と、こう言われたと告発がされています。同じ女性として、また女の子を育てる母親として本当に怒りいっぱいになります。
 均等法及び指針違反の実態とそれへの労働省の対応状況について、特に労働省の指導によっても改善されない具体例などをお聞かせください。時間が少ないので、簡潔にお願いします。
#154
○説明員(坂本由紀子君) 労働省では、就職に当たりまして女子が男子と差別して取り扱われることのないように、均等法とその指針につきまして、その遵守を各事業主に周知徹底を図っているところであります。
 全国の婦人少年室にこの六月から女子学生のための就職問題についての特別相談窓口を設けまして、各種の相談に当たってまいりました。六月から十月までの間に約九千件の相談が寄せられております。そのうち均等法等に係るものは七千八百件ほどになっております。特に多いのは、四大卒の女子は採用しないと言われたとか、あるいは資料請求したけれども送ってもらえなかったとか、あるいは自宅通勤というような条件がつけられていたというようなものでございます。
 それで、企業名がわかったものにつきましては、婦人少年室の方で個別に事業主に対し改善の指導を行っております。おおむね改善をしていただいておりまして、そういう意味では、資料が送られたとか、あるいはそういう女子だけにつけられていた条件が削られたということで、基本的には守らなくてはいけないという御認識を持って改善が図られてきているというふうに認識をいたしております。
#155
○阿部幸代君 この均等法違反を常態化させないためにも企業に対する監視の目を光らせる必要があると思うんですが、そのためには学生自身に均等法を周知徹底するということがとても大事なような気がするんです。知らずじまいや泣き寝入りしないようにする必要がある。そのために、大学で行われる就職ガイダンスあるいは就職セミナーですか、この中にもっと均等法の学習、周知徹底を位置づける必要があると思うんですが、どうでしょうか、労働省。
#156
○説明員(坂本由紀子君) 労働省では、女子大学生のためのガイドブックなどをつくりまして、その中には均等法ではこういうことが書かれているというようなことを盛り込んで、均等法についても十分理解をして就職活動してくださいということでやっております。全国の婦人少年室で、各大学とも連携をとりながら、そういう機会にそのようなお話をさせていただくような形で学生への周知を図っております。
#157
○阿部幸代君 同じ質問ですが、私も就職ガイダンスというのを一覧表を見たんですけれども、また学生の声も直接聞いたんですけれども、どちらかというと企業の側のお話が多くて、学生の権利を守る、そういう立場での学ぶ機会が少ないんですね。そういう意味でも、文部省としてももっと均等法を学生に周知徹底するという位置づけを強めていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#158
○政府委員(吉田茂君) 実際のガイダンスにおきましては、やはり企業側の情報も欲しいということで、企業が参加してもらうケースも多いと思います。しかし同時に、御指摘のような点は非常に大事でございますので、均等法の周知等はさらに徹底するような形でガイダンスを進めてまいりたいというふうに考えております。
#159
○阿部幸代君 学生の就職問題で、最後に大臣に伺います。
 大臣はこうした学生の、とりわけ女子学生の就職難の実態をどう見ていらっしゃるかということです。経団連等にも行かれ、また先日の十六日には、大妻女子大学と共立女子大学ですか、女子学生とも懇談されたと聞いています。私は大臣にもっともっと学生の生の声を聞いていただきたいと思うんですね。例えば、女子学生の就職難では、「就職難に泣き寝入りしない女子学生の会」が大変けなげに頑張っているんですけれども、何でしたら私が仲介の分もとりますので、ぜひお話を聞く機会を持っていただけないでしょうか。
#160
○国務大臣(島村宜伸君) 私も実は大変な就職難のときに各社を回った経験を持っています。本当に廊下を歩く腕まくりの人がうらやましくて仕方がなかった。そんな経験がありますので人ごとではありません。
 先般、私は今御指摘のところを回りましたけれども、これでよしと思っておりません。もし私たちが少しでも回って実態把握ができる機会があれば、どの辺でも伺っていろんな方の御意見を伺いたいと、こう思っています。
 今、御承知のように、約二十四万人のいわば来年度卒業生、大学、短大の人がいますが、そのうちの四分の三が女子学生です。そのほかに過年度卒業生が約六万人いて、約三十万の人が先行きのまだ不安にあえいでいる。人ごとではありません。私はそういう意味では決していいかげんにこの問題に取り組む気はありませんので、もし機会があれば私はどこへでも伺おうと、そのつもりでおります。
#161
○阿部幸代君 次に、保健室の問題について伺いたいと思います。
 大変寒くなってきたんですけれども、エアコンの問題ですが、学校の保健室のエアコンの設置状況についてです。まず、保健室の設置状況を文部省はっかんでいると思うんですが、どうでしょうか。
#162
○政府委員(遠山耕平君) お答え申し上げます。
 公立の学校でございますが、公立高校の保健室に空調が設置されている割合は大体四割程度でございます。それから小中学校でございますが、小中学校の保健室に空調が設置されている割合は大体二六%でございます。これは空調の施設でございますので、このほかに窓に冷房装置、冷房器具を取りつけた学校も若干あるものと思いますが、その数については把握しておりません。
#163
○阿部幸代君 保健室というのは心身のぐあいの悪くなった児童生徒の休養の場です。ですから、それにふさわしい快適さが求められるのは当然だと思うんですが、私は大変驚いたんですけれども、埼玉県の県立高校百五十五校について調べてみたんです。すると、エアコンが設置されているのはほんの数校。それも自衛隊基地の隣接の高校とか、事故で脊椎を損傷して体温調節ができなくなってしまったという、そういう生徒が出て初めて昨年設置された学校とか、その程度なんです。
 現場の声を少し紹介したいと思うんですが、例えば、「心臓病のある生徒が体調不良を訴えた時、暑い中帰すこともできず、保健室も暑いので、回復が困難であった。体育時、うつ熱・熱射病を起こし、運ばれたが、氷で冷やすなど処置が大変で予後の心配も残った。」、こういう声があったり、「熱中症が続出した昨年、今年、患者の全身を冷やし体温を下げなければならないのに、扇風機と氷だけで室内はムンムン状態、回復せず、病院に送った」。「「生徒の安全」と言うことで管理職に毎年お願いしているが、糠に釘。死亡事故が起こらなければ改善しないのか。」、こういう声もたくさんたくさん出てきているんですね。
 本当に深刻で、私は人間を大切にする教育というのは学校の施設設備面にも貫かれなければならないと思うんです。保健室のこの実態を知って人の命が粗末にされているなと思いました。少なくとも保健室にはエアコンの設置が急務だと思うんですが、今後の対策について伺いたいと思います。文部省。
#164
○政府委員(遠山耕平君) 公立高校あるいは公立小中学校の保健室の空調施設の整備でございますが、これは文部省の方で施設整備方針で決めているところでございますけれども、気象条件あるいは地域の実態等を勘案して整備をするということでございますので、基本的には設置者の判断であると考えます。学校については、夏休み等は学校が休業日でございますので、そういうことを勘案して設置者の方で判断するものと思います。
 そして、設置者の方で必要と判断して整備する場合には、文部省では平成六年度から、原則として積雪寒冷地を除く地域の学校について、保健衛生室の空調施設設置工事を大規模改造事業の補助対象として国庫補助三分の一でございますが、補助をしているところでございます。
#165
○阿部幸代君 気候等の条件で客観的に設置が必要であるというところはやっぱり設置すべきだというふうに私は受けとめますが、よろしいですね。
#166
○政府委員(遠山耕平君) 基本的には設置者の判断であるというぐあいに考えます。そして文部省では、積雪寒冷地を除く地域の学校について補助制度をもって行っているということでございます。
#167
○阿部幸代君 補助制度を大いに生かすという方向で働きかけていきたいと思います。
 それから、来年度の予算問題について伺いますが、来年度の予算案の編成作業が大詰めを迎えて、財政当局から財政難を理由とした私学助成などの教育予算削減の動きが強まることが大変心配されます。
 先ほど三重野議員さんも質問なさっているんですが、念のために私も質問したいと思うんです。学校事務職員並びに栄養職員の給与費等の国庫負担堅持と大学の学費問題についてですが、いじめや自殺のない、人間を大切にする教育の実現にとって、教職員の一丸となった取り組みが期待されます。学校事務職員や栄養職員もその一翼を担って奮闘しています。この学校事務職員と栄養職員を給与費半額国庫負担の対象から除外するようなことは、その果たしている役割を見ず、教育の機会均等とその水準の維持向上を図るという義務教育費国庫負担制度の破壊であり、断じであってはならないと思うんですが、これは大臣の決意を伺います。
#168
○国務大臣(島村宜伸君) この件は先ほども御質問にお答えしたところでございますが、義務教育費国庫負担制度は義務教育の妥当な規模と内容とを保障するための重要な制度でありまして、その対象となっている事務職員、学校栄養職員は学校の基幹的職員と我々は認識しております。その意味で、堅持の姿勢を続けて今後とも対処してまいる所存でございます。
#169
○阿部幸代君 また大蔵省は、来年度の予算編成の中で、九七年度入学者の国立大学の授業料の値上げとともに、学部別の授業料の導入を検討していると伝えられています。
 全日本学生自治会総連合の資料によりますと、私立大学の平均学部間格差と同じ割合で国立大学に学部間格差をつけると、入学した年に払う学費は、理工系で百万円弱、医学部で二百万円以上、歯学部では三百万円にはね上がります。こんなことでは、例えば、「妹は今中学三年であるが、兄と私が大学に進学したので、学費のことを心配して大学に進学することをあきらめている。」、これは香川大学の学生のアンケート調査の声の一部なんですけれども、こうした本当に切ない兄弟や親子がどんどんふえてしまいます。
 また、今国会で科学技術基本法が成立しましたが、科学技術立国の大もとである人づくりにも反する事態になると思うんです。教育の機会均等の原則を守り、学費値上げと学部間格差導入をやめて、世界人権規約の「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとする」というこの精神を生かしていく方向こそ大事であると思うんですけれども、これも大臣の決意を伺います。
#170
○国務大臣(島村宜伸君) 国立大学の授業料につきましては、人材育成の必要性や教育の機会均等の確保の観点を踏まえつつ、私立大学の授業料水準あるいは社会経済情勢の変化等を総合的に検討して決定していくべきものと考えます。
 また、学部別授業料の導入につきましては、経済的な理由によって希望する専門分野への進学の機会に制約を生じますので、私は個人の能力に応じた教育の機会均等が損なわれるおそれがあると思います。そういう意味で慎重に取り扱うべき事柄だと考えます。
#171
○阿部幸代君 終わります。
#172
○江本孟紀君 私が最後ですので、よろしくお願いします。
 私は、この委員会はいじめの問題だけを思いっ切りやるのかなと思って楽しみにしておったんですけれども、楽しみという言い方はおかしいんですけれども、いろんな問題が余りにも多いので、どなたがどういうような御意見を出されるかということで楽しみにしておったんです。
 先日のあのオウム事件によって、宗教法人法の問題が文教委員会を飛び越えて特別委員会までつくって熱心にやられたんですけれども、そのオウムで宗教法人法を改正しなければいけないというような大きな問題と、今社会問題になっているこのいじめの問題と、どっちが重いか軽いかというふうにちょっと思わざるを得ない。そういうことで言いますと、私は、どちらも大変大きな問題なので、いじめは特別委員会までつくってでも徹底して解決策を皆さんで議論して、何とかしなければいけないという非常に逼迫した状況であるというふうに思っております。
 委員会がなかなか行われなかったんですけれども、日ごろ私が考えていることと、そして、今ここで言ったからといってすぐどうにかなるものではないというつらさもありますけれども、少し意見を言わせていただきたいと思います。
 まず私は、いじめという言葉そのものが大変あいまいで、そしていろんなものに余りにも使われ過ぎている。そしてそれがまた軽く使われ過ぎている。何でも起きたことを軽くいじめというふうにひっくくってしまうと、その中には最近問題になっておる自殺の問題も出てきます。
 私は、いじめと暴力、これはもう分けなければいけない。それからいたずら、こういったものとある程度けじめをつけないと、何でもかんでもすべていじめだいじめだと言うと、例えば自殺まで追いやってしまう。これは犯罪的に言いますと、そう詳しくはありませんけれども、例えばおまえ死ねと言ったら、これは自殺強要罪になると思うんです。それから、おまえ金持ってこいと言えば、これは恐喝です、まあ私の中学時代も多かったんですけれども。それから、みんなで突っついたり水をかけたりして傷を負わすということは、これは集団暴行罪です。これはれっきとした犯罪だと思うんですね。
 そういうことで言いますと、今簡単にいじめという言葉でとらえられているので、まあこの程度はやってもいいんじゃないかとか、これはいじめなんだよとか、それからちょっとしたことでも、今度はやられる方はちょっといじめられてというふうに、非常に言葉があいまいになっていると思うんですね。
 私は、このいじめという表現についてもう少し考え方をはっきりしなければいけないと思いますけれども、ここで大臣にお伺いしたいんですけれども、このいじめという表現について少し御意見をいただきたいと思います。
#173
○国務大臣(島村宜伸君) 文部省としては、御指摘のような集団による徹底した仲間外れ、あるいは金品の強要、略奪といったかなり悪質な行為のみならず、冷やかしやからかい、持ち物隠しといったものまでその態様をかなり広い範囲でとらえていじめという表現を用いております。
 また、いじめであるか否かの判断は、あくまでもいじめられている子供の認識の問題である旨、指導の徹底を図っているところでありまして、そういうことをする子供さんたちが、そういうつもりでなかったという言いわけはよく聞くところでございますが、それによって甚だしくは死に追い込む、こういうようなことについてはもう少し子供さんがきちっとした認識を持たなきゃいけないと、そういう考えに立った指導を行っているところです。
 このように、その態様や程度が多様な行為をどのように呼称すべきかについては、御指摘のような考えもあると思いますが、社会一般の用法としてはやはりいじめという言葉が定着しているというのが現状であります。
 なお、今いろいろお話がございましたけれども、刑法によりまして、十四歳未満の少年少女でございますが、この人たちは刑罰法令に触れる行為をした場合でも刑事責任は問われません。また、二十歳未満の少年少女につきましては、少年でもいいんですが、少年法上特別な扱いがなされることになっておるわけであります。
 以上です。
#174
○江本孟紀君 その刑罰の問題はあると思いますけれども、そういう行為は犯罪であるということをきちっと教えなければいけないんじゃないか。今の子供は賢いですから、これはもうこの程度やっても刑務所へ入らないとか警察に引っ張られないとかぐらいはもう知っているんです、そういうことは。だから、いじめというのはどんどん広がっていくんではないかと思います。
 そこで、最近問題になっておる自殺の問題ですけれども、こういったものも報道する一つの大きさによって影響を受けるんではないか。報道の仕方、それから我々の認識の持ち方によって子供は自殺を美化するんじゃないか。自殺をしてしまって、今度はそのやったやつにやり返す、報復の唯一の手段だというふうに思ってしまう。
 それから、自殺をしましても、さっきもどなたかから出ましたけれども、これは逆にやった方はそんなつもりじゃなかったのに、ついそこまで深く思い過ぎて自殺行為があったと。そうすると、今度は遺書なんかにも、これは最近の遺書は新聞に全部出ますね、名前は確かに書いていませんけれども、何々君と。そうすると、これは多分あそこの餓鬼がやったとかあそこの坊主がやったんだといって近所で逆いじめみたいなことがまた起きる。悪いことがどんどん循環していくわけです。
 そういう中で、報道の仕方とかそういったものを本当に注意深く、それから我々も認識してやらないと。例えば最近の自殺のやり方というのはもう全員首つり自殺なんですね、全部首をつるんですよ。それは、新聞に首つり自殺だと書いているからそれが一つのスタイルになるわけです、まあスタイルという言い方はおかしいですけれども。そういうふうに影響を受けるわけですね。だから、こういった自殺というのはとんでないことだよということをまた一方ではきちっと知らせる。
 私は、そこで少しお聞きしたいんですけれども、実際に首つり自殺の悲惨さというのは、現場で見たことはありませんけれども、いろんな人から聞くことはあります。そこら辺も警察庁の方に悲惨な死に方だということを皆さんに少し知らせていただきたいと思います。
 それから、そういったものも含めて報道その他のあり方は、さっきも言いましたように暴力といたずらといじめとは違うというようなことも含めて、自殺したときのまた報道の仕方もやはり注意深くやるべきではないかと思いますので、その辺について大臣の御見解を伺いたいと思います。
#175
○国務大臣(島村宜伸君) 若年層の自殺には模倣性、いわゆるまねをして自分も死んでみたいというような、そういういわば傾向があると、こういう指摘があります。
 それで、これが報道によって何かかえって助長されるとかあおられるとか、そういうようなことを憂慮する向きがあることは承知いたしております。私のところにもいろんな手紙が来たり電話がかかってきたりしますけれども、何か悲劇のヒーローみたいに扱うことは果たしていかがなものか、報道に自粛を要請すべきではないかと、こんなような教育者の御指摘も来ているところです。
 これらについて文部省としては、報道と自殺との因果関係について実証的な研究成果を得ているわけではありませんが、報道機関においてもこのような指摘があることを十分に踏まえて、責任を自覚してその影響力を行使していただきたいと、こう思います。
 また、子供さんたちには命のとうとさ、やはり親御さんたちが大変な御苦労をなさって今日があるということもきちっと教えていくことも大事なんだろうと、こういうふうにも思います。
#176
○説明員(中島勝利君) 縊死、通常は首つり死と申しておりますけれども、申すまでもございませんけれども、脳血流の阻害停止によりまして酸素欠乏というものを来して死に至るわけでございますけれども、そのいわゆる首つりの仕方、方法というのはいろいろあるわけでございます。
 私ども、通常、法医学の観点からは定型的な縊死あるいは非定型的な縊死というふうなことを申しておりますけれども、どういう死体状況かということを一言でちょっと申し上げるのはなかなか難しいことでございますが、一般論として申し上げさせていただきますならば、いわゆる普通の定型的な縊死、これは普通の死に方をされている死体現象でございますが、顔面が蒼白になる人もおりますし、場合によったら顔面が相当うっ血をしているという状態もございます。あるいは皮膚等に出る溢血点というふうなものも見られる場合がございますし、また時としては鼻汁あるいはよだれ、ふん尿、それから失禁等を伴った死体現象が通常見られるところでございます。
#177
○江本孟紀君 あえて死んだ後のものをと言ったのは、これは子供はわからないんですよ、いかに汚いかということが。だから、そういう美化する中の一つに、死んだらそのまますっときれいに死ねて、遺書も書いて仕返しができるんだというふうに思ってしまうことを、何とかそうじゃないぞということを言いたかったんです。
 そこで、議論をいろいろしても今までこのいじめの問題は本当に解決はしていないんですね。そういうことで、もう今からは、その対策をどうしたらいいかと。先ほどずっといろいろ聞いておりますといろんな対策をされておる、文部省の中でもやられているというのは確かによくわかりますけれども、私が先日見た新聞の切り抜きに、九月六日ですけれども、「いじめ問題で専門の企画官文部省が設置方針」ということで書いてあるものがありました。この中に「企画官のもとに専門の職員三人を置く」というふうに書いてありますけれども、この専門の職員というのはどういう人たちのことを言うんでしょうか。
#178
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。
 御指摘の点につきましては、平成八年度の機構定員要求におきまして、いじめ問題に対応するための体制を整備するため、文部省の初等中等教育局中学校課にいじめ問題対策企画官一人と専門職員一人の設置を要求しているところでございます。
 文部省としての要求の趣旨、内容を申し上げますれば、いじめ問題対策企画官は総合的な生徒指導関連施策の企画立案を担当することとし、専門職員やスクールカウンセラーを初めとする教育相談体制の整備のための事務を専ら取り扱うものでありまして、いずれも事務官をもって充てることといたしているところでございます。
#179
○江本孟紀君 そういった人たちで何とかしようという気持ちはわかりますけれども、私はここで提案を一つしたいと思います。
 それはどういうことかといいますと、最近の子供は大きくなったら何になりたいかというと、大体金持ちと言うそうですね。ちなみに政治家というのはほとんどないそうですけれども。そういった流れから言うと、どうもいじめはあのバブルのころに起きたような社会問題じゃないかというような、その産物みたいなことを言う人ももちろんいます。
 そんな中で、さっきから盛んに出ていますけれども、学校、先生とそして親の問題だというふうにも盛んに言われておりますけれども、僕はもう今さら親も学校の先生も何をしてもできないんじゃないかと思うんですね。今やはり子供のために対応するだけの能力はない。そういうことであれば、今出ましたいじめ問題対策企画官というものも大変すばらしいと思いますけれども、むしろ外部からもっといろんな人を採用してそれに当たらせたらどうか。学校に学外の人を少し入れてそういうものの対策に充てられるというふうにした方がいいんじゃないかと思うんです。
 例えば、一番いいのは、警察をやめられた元刑事さんとか、私のおやじも昔、少年係の専門の刑事でして、それで息子は立派になりましたけれども。そんなことはないんですが、やっぱり嫌なものでして、そういう人がそばにいるということは結構子供の抑止力というものになるんです。それから婦警さんとか、それから武道とか剣道とか、例えば馳さんとかいらっしゃいますが、ああいう方がいると何となく安心感があるとか、それから、やられるとちょっと言っていきたいとか。学校の先生とか親というのは頼りなくて相談に行けないんですよ、早い話が。
 だから、そういう人たちを少し採用するような方法というのもいかがかなと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
#180
○政府委員(遠山耕平君) お答え申し上げます。
 児童生徒の問題行動につきましては、日ごろから教師一人一人が社会で許されない行為は子供でも許されないという認識に立って、スクールカウンセラー、あるいは家庭、地域社会との密接な連携をとりつつ、校長のリーダーシップのもとに全教職員が一致協力した体制を確立して、問題行動を早期に発見してその解決に取り組むことが一番大切でございます。したがって、御指摘のような形で教員以外の専門家を学校で採用することは必ずしも適当ではないのではないかと考えます。
 また、問題行動の状況が一定の限度を超えまして各学校において対応が困難な場合には、やはり警察など適切な関係機関の協力を求めるという必要はあろうかと思います。
#181
○江本孟紀君 例えば、もう社会の中では、そういう中では対応できないということで、この前もちょっとある週刊誌に「「イジメ解決します」のニュー・ビジネス」というのが出てきたんですね、徳島県で。こういうものがどんどん出てくるんじゃないか。これは「警察庁広報は戸惑い気味だ。」と書いてありますけれども、いじめの解決に調査業者を使ってどうかと。それで、これは料金が四十日間で四十五万円。でも、これはすがる人がいるということですから、こういうビジネスがはやってきたらどうするかという問題があります。多分出てくると思いますね、こういうことは、これから先。
 私はこの前にちょっと「KOBAN」というのを読ませていただいたんです。この中に、交番相談員制度というのが警察庁の中にございますけれども、例えば現役のお巡りさんだとやっぱりちょっと相談に行きにくいんですね、交番にいても。この交番相談員制度というのは、やめられたOBとかOGの方が交番でちょっと警察官がいないときにそこにいていろんな相談を受ける、それで直結して警察官と相談したりとかという制度があるそうですけれども、こういったものを逆にいじめ一一〇番みたいな形で置いておけば、ちょっとそこへ行って相談しようかと。お巡りさんに相談するのは嫌だけれども、お巡りさんの格好でない、もう年とったおじさんだからちょっと言ってみようかというふうになるかもしれませんし、親もそういう人には相談しやすい。
 今までずっと問題を聞いていますと、親が少しそういうことを感じて学校へ行っても学校は対応してくれないとか、いろんなそういう問題がある場合が多いわけです。だから、私は警察警察と盛んに言いますけれども、別に特別なあれはありませんけれども、そういう人を活用して、学校も自分たちだけで対応するんではなくて、そういう有効に使える人たちを使って社会全体でいじめをなくそうということを考えるべきじゃないか、そのうちの一つの方法ではないかなと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
 先ほど学校以外の人は入れにくいと言いましたけれども、ここはもうそろそろそういう学外の人を採用したり、そういった人たちを有効に利用するということを考えたらいかがかと思います。
#182
○政府委員(井上孝美君) 従来、学校は校内の問題等にはともすれば閉鎖的な傾向がありまして、問題の解決をおくらせる結果ともなる場合が少なくないという指摘もあったところでございまして、今回、特にいじめ問題あるいは登校拒否の問題等に対応するため、スクールカウンセラー等について調査研究委託事業を開始しまして、外部の臨床心理士あるいは精神科医等の御協力を得てカウンセリング等に当たってもらうというような体制も現在調査研究をしているところでございます。
 また、学校は日ごろから、教育委員会はもとより、警察など地域の機関との連携を十分にとって問題解決に当たっていく態度が大切でございまして、昭和三十八年以降、地域によりましては学校警察連絡協議会というものを設けまして、絶えずそういう点で緊密な連携をとりながら、問題が起こった場合には適切に早期に解決を図っていくということが必要であるというふうに私どもも考えているところでございます。
 ただ、公立学校の管理責任は各教育委員会にございますので、校内の問題について直ちに警察の御協力をいただくということではなしに、学校でまず第一に教育的な配慮のもとにその問題の解決に当たり、その問題解決が校内では対応し切れないという場合には、警察等との連携を密にしてその問題の解決に当たるということが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
#183
○江本孟紀君 ぜひいろんな人を活用していただきたいということを要望したいと思います。
 それから、さっき堂本先生も大変立派なお話をされていましたけれども、あそこに来られた子供さんの顔を見たらほとんどスポーツに縁のないような顔をして、ぜひやっぱりこういったものを、せっかく釜本さんとか馳さんがいらっしゃるので、我々も仲間がふえたと思って、ああいう子をぜひ、学校へ行かなくても運動場へ引っ張り込む。これは、スポーツの世界にはほとんどいじめはないんですよ。しごきはあります。だけれども、いじめとしごきは全然質が違います。だから、そういったことも含めてぜひ私は、スポーツ議員としてはスポーツをいじめの問題にもぜひ取り入れていただきたいと、そう思って、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#184
○委員長(小野清子君) 本日の調査はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#185
○委員長(小野清子君) これより請願の審査を行います。
 第六二号私学助成制度の拡充強化に関する請願外六十四件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第六二号私学助成制度の拡充強化に関する請願外十七件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第二〇七号すべての定時制・通信制高校生に対する教科書無償・夜食費の国庫補助の堅持に関する請願外四十六件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#186
○委員長(小野清子君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#187
○委員長(小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#188
○委員長(小野清子君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化及び学術に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#189
○委員長(小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#190
○委員長(小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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