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1995/10/19 第134回国会 参議院 参議院会議録情報 第134回国会 法務委員会 第1号
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1995/10/19 第134回国会 参議院

参議院会議録情報 第134回国会 法務委員会 第1号

#1
第134回国会 法務委員会 第1号
平成七年十月十九日(木曜日)
   午後二時開会
    ―――――――――――――
   委員氏名
    委員長         及川 順郎君
    理 事         志村 哲良君
    理 事         野村 五男君
    理 事         平野 貞夫君
    理 事         橋本  敦君
                遠藤  要君
                下稲葉耕吉君
                鈴木 省吾君
                高木 正明君
                中原  爽君
                林田悠紀夫君
                魚住裕一郎君
                大森 礼子君
                山崎 順子君
                菅野  壽君
                千葉 景子君
                田  英夫君
                本岡 昭次君
                斎藤 十朗君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月五日
    辞任          高木 正明君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         及川 順郎君
    理 事
                志村 哲良君
                野村 五男君
                平野 貞夫君
                橋本  敦君
    委 員
                遠藤  要君
                下稲葉耕吉君
                鈴木 省吾君
                中原  爽君
                林田悠紀夫君
                魚住裕一郎君
                大森 礼子君
                山崎 順子君
                菅野  壽君
                千葉 景子君
                田  英夫君
                本岡 昭次君
   国務大臣
       法 務 大 臣  宮澤  弘君
   政府委員
       法務政務次官   古屋 圭司君
       法務大臣官房長  原田 明夫君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  永井 紀昭君
       法務省刑事局長  則定  衛君
       法務省人権擁護
       局長       大藤  敏君
       法務省入国管理
       局長       塚田 千裕君
       公安調査庁長官  杉原 弘泰君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   涌井 紀夫君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   高橋 省吾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (派遣委員の報告)
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(及川順郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る八月十四日、大河原太一郎君が委員を辞任され、その補欠として高木正明君が選任されました。
 また、去る十月五日、高木正明君が委員を辞任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(及川順郎君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、検察及び裁判の運営等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(及川順郎君) この際、宮澤法務大臣及び古屋法務政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。法務大臣宮澤弘君。
#6
○国務大臣(宮澤弘君) このたび法務大臣を命ぜられました宮澤弘でございます。
 内外にわたり極めて困難な問題が山積しておりますこの時期に法務行政を担当することになり、その職員の重大なることを痛感いたしております。
 申すまでもなく、法務行政に課せられました使命は、法秩序の維持と国民の権利の保全にあります。国民生活の安定を確保し、国家社会の平和と繁栄を図りますためには、その基盤ともいうべき法秩序が揺るぎなく確立され、国民の権利がよく保たれていることが極めて重要であると思います。
 私は、こうした認識のもとに、法務行政の各分野にわたり、時代の要請を踏まえ、適切な方策を講ずるよう全力を尽くして努力する考えでおります。
 皆様方におかれましては、日ごろから法務行政につきまして格別の御理解、御協力を賜っておりますが、引き続き御指導、御支援をお願い申し上げまして、簡単ではございますが、就任のごあいさつとさせていただきます。
#7
○委員長(及川順郎君) 続きまして、法務政務次官古屋圭司君。
#8
○政府委員(古屋圭司君) このたび政務次官に就任いたしました古屋圭司でございます。
 宮澤法務大臣の補佐役として、時代に即応した法務行政の推進のため誠心誠意努力をさせていただきたいと思いますので、委員の皆様方の御指導、御支援をよろしくお願い申し上げ、ごあいさつにかえます。
 ありがとうございます。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(及川順郎君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 去る九月十八日から二十日まで本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。志村哲良君。
#10
○志村哲良君 委員派遣につきまして御報告申し上げます。
 去る九月十八日から二十日までの三日間、及川委員長、平野理事、橋本理事、菅野委員及び私、志村は、司法行政及び法務行政に関する実情調査のため、北海道に行ってまいりました。
 第一日は、紫明女子学院を視察した後、札幌の高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、高等検察庁、地方検察庁、法務局、矯正管区、北海道地方更生保護委員会及び入国管理局の各機関から管内概況について説明を聞き、家庭裁判所の施設を視察いたしました。
 第二日は、釧路地方法務局の実情を視察した後、釧路の関係機関との意見交換を行いました。
 最終日は、網走刑務所の実情を視察いたしました。
 以下、その概要を御報告いたします。
 まず、裁判所関係の概況について申し上げます。
 北海道は、面積で全国の二一%、人口で五%を占めており、道内には高等裁判所のほか地方裁判所本庁及び家庭裁判所本庁が各回庁、地方裁判所支部及び家庭裁判所支部が各十六庁、家庭裁判所出張所が十二庁並びに簡易裁判所が三十三庁設置されております。
 最近の道内の事件処理状況は、民事事件では、受理件数は平成三年度以降増加傾向にあり、特に札幌地方裁判所管内の民事執行事件は過去三年間、前年度比一二%程度増加しております。これはバブル経済崩壊による影響と見られ、今後も増加が予想されます。簡易裁判所では、訴訟事件、調停事件とも平成三年以降大幅な増加を続けてきましたが、昨年度からようやく落ちつきを見せ始めております。
 刑事事件では、札幌高等裁判所の受理件数はやや減少傾向にあり、過去三年間の主なものは、覚せい剤取締法違反事件三二%及び道路交通法違反事件一一%であります。道内の地方裁判所の刑事事件数はほぼ横はいで推移しておりますが、ここ数年の特徴として、通訳人を要する外国人事件が急増しており、必要とされる言語の種類も増加する傾向にあります。
 家事事件では、平成三年以降漸増傾向にあります。札幌家庭裁判所管内で事件数の多いのは、審判事件では、子の氏の変更、相続放棄の申述、保護者選任等であり、調停事件では、婚姻中の夫婦間の事件、子の監護者の指定、親権者の指定または変更、遺産分割等であります。
 少年事件では、一般少年保護事件は減少傾向にあります。札幌家庭裁判所管内の事件別では、窃盗が五〇%を占め、次いで業務上過失致死傷、傷害、恐喝、虞犯及び毒物劇物法違反の順となっております。道路交通法違反保護事件は、受理件数が減少し続けており、平成五年度及び六年度は前年度比二〇%前後の高い減少率となっております。
 次に、法務省関係の概況について申し上げます。
 検察庁関係では、道内には高等検察庁のほか地方検察庁本庁が四庁と支部が十六庁及び区検察庁が三十三庁設置されております。道内の事件の受理状況は、一般事件は横ばい状態にありますが、犯罪動向は殺人等の凶悪事件及び暴力団員らによる覚せい刑事件、けん銃等発砲事件が後を絶たず、地方公務員らによる贈収賄事件も発生しており、楽観を許さない状況にあります。特に、覚せい剤の所持・使用が一般人にまで浸透してきたこと、密売方法もますます巧妙化・潜在化してきたことは憂慮されます。また、道内の交通関係事件では、道路事情が良好でスピードを出しやすいことから死亡事故が多発しており、死亡者数は全国第一位となっております。
 法務局関係では、道内には札幌法務局のほか地方法務局が三局、支局が十八局及び出張所が四十四庁設置されております。なお、出張所については、登記所の適正配置により昨年度までに合計五十九庁の統合を実施しており、今後も民事行政審議会の答申に基づき、市町村の合意を得て統合を進めるとのことであります。また、釧路地方法務局の管轄面積は日本一の広さを有し、本局のほか支局四庁及び出張所十二庁から構成されております。
 不動産登記事件数は、バブル経済崩壊後も横ばいを保っておりますが、近年、本人登記の申請や相談が増加しており、これらの対応に退職職員が活用されております。釧路地方法務局管内では、公共事業による用地買収や土地改良等の事業が活発であり、これに伴う特殊登記の事務量は今後とも増加することが見込まれております。また、コンピューター化は、現在、札幌管内で十庁が稼働しておりますが、旭川、釧路、函館地方法務局管内ではまだ稼働しておらず、コンピューター化の前提となる庁舎整備が緊急の課題となっております。
 なお、北方領土地域に所在する不動産の登記簿は釧路地方法務局根室支局に保存されておりますが、現在、同地域には我が国の施政権が及んでいないため、その登記事務は行われておりません。しかし、将来同領土が返還された場合に備え、所有名義人からの申し出により相続登記に準じた処理が行われております。
 また、人権擁護関係では、道内にはアイヌ系住民が約二万三千人おりますが、アイヌの人たちに対する人権侵犯事件がいまだに発生しており、このような差別をなくすことが啓発の重点目標とされております。
 矯正管区関係では、道内には刑務所が七、刑務支所が一、拘置支所が五、少年院が四、少年鑑別所が四及び泊まり込み作業場が六の合計二十その矯正施設が設置されております。行刑施設では、受刑者の約四一%は管外、主として関東地方から受送された受刑者であり、暴力団関係受刑者は全体の約四割を占めております。刑務作業では、農林水産業等の第一次産業や建設業の比重が高いことが特色となっております。
 道内唯一の女子少年院である紫明女子学院は、現在四十七名を収容しており、その約六割は覚せい剤事犯に係わる者であります。被収容者は、中学校、高等学校の教科とともに、販売上、ワープロ等の資格取得のための教育を受けております。
 また、開設以来百五年の歴史を有する網走刑務所は、千七百二十二ヘクタールに及ぶ広大な土地を所有し、二百七十三ヘクタールを農場として活用して構外作業を取り入れた農園刑務所として運営されております。刑期八年未満で年齢が二十六歳以上の犯罪傾向の進んだ受刑者B級を収容しておりますが、現在の収容人員は五百六十七名で、その約六八%は北海道外の出身者であり、暴力団関係者が四八%を占め、大半は覚せい刑事犯と窃盗等の財産事犯であります。受刑者は、構内における閉鎖的処遇から構外作業に、さらに泊まり込み作業へと順次開放的処遇へと移行しますが、その更生改善のため、職員は厳正な規律のもとに日夜御尽力されておられます。
 地方更生保護委員会関係では、北海道地方更生保護委員会は、委員六名のほか事務局職員二十名で構成されており、道内には四つの保護観察所が置かれています。保護観察事件では、少年事件が全体の約七五%に達しており、覚せい剤等の薬物乱用犯対象者が全体の半分を、さらに暴力組織や暴走族等の関係者が全体の三分の一を占めており、これらの処遇困難者の改善更生を促進するため、警察や福祉等の関係機関との連携強化や保護観察官による直接処遇の充実が図られております。また、道内には更生保護会が八施設ありますが、更生保護事業法が施行される来年四月に向けて更生保護法人への組織変更等の準備が進められているところであります。
 入国管理局関係では、札幌入国管理局は本局のほか六出張所から組織され、四十一名の人員が配置されておりますが、管轄区域の広さに比べ職員数が少ない状況にあります。昨年度、道内に入港した外国船舶及び国際線航空機の総数は約九千四百で、対前年比二三%増と大幅に増加しております。特に、カニ等の鮮魚を積載したロシア籍船の出張所のない港への入港が増加しており、職員が遠路出張して審査に当たるなどの御苦労をしていただいております。
 最後に、関係諸機関から管内状況等を伺い、実態調査の結果、若干の改善すべき点がありましたので、申し添えさせていただきます。
 第一は、法務局の庁舎の問題であります。
 昭和四十年代までに建築された庁舎は、登記事件の急増に対処するための職員の増員等により、事務室・書庫とも狭隘化している上、登記事務のコンピューター化に対応した庁舎整備が必要となっております。特に、釧路地方法務局の庁舎は、建築後三十年余の経過による老朽化、大型能率機器導入による狭隘化のほか、海岸特有の塩害及び二度の地震による被害を受けており、早急に新庁舎を建設する必要があると思われます。
 第二は、刑務所職員、すなわち刑務官の待遇改善と増員の問題であります。
 刑務官は、看守という職務のほかに、受刑者の更生改善を図るという教育指導の職務を担っているにもかかわらず、警察官等に比べ待遇上に格差があり、休暇もとりにくい状況にあります。刑務官の待遇改善と増員に格段の努力をすべきであります。
 第三は、少年院等に配置されている法務教官の待遇改善の問題であります。その多くが教員の免許を有し、少年少女の矯正・改善という困難な教育業務に携わっているにもかかわらず、一般の教育公務員に比して待遇面に格差があり、早急に是正措置をとるべきものと思われます。
 なお、釧路地方法務局の新庁舎建設につきましては、昨日成立しました補正予算で財政措置がなされましたことをつけ加えさせていただきます。
 以上、今回の委員派遣の概要を申し上げましたが、私ども、道内の関係部局の方々に直接お目にかかり、意見を交換し、地方での実態にも触れることができるなど、種々勉強させていただきました。広大な北の大地、北海道の第一線で日夜御苦労されている方々に心から敬意を表しますとともに、その勤務条件の改善に取り組む必要性を痛感いたした次第であります。
 なお、調査に当たり、現地関係機関から御懇篤な御協力をいただきましたこと、並びに最高裁判所及び法務省当局から手厚い御便宜をお図りいただきましたことを、この席をおかりして厚く御礼申し上げる次第であります。
 以上でございます。
#11
○委員長(及川順郎君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(及川順郎君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 まず、政府から両案について趣旨説明を聴取いたします。宮澤法務大臣。
#13
○国務大臣(宮澤弘君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。
 政府においては、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は次のとおりであります。
 第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することとしておりますので、おおむねこれに準じて、これらの報酬または俸給を増額することといたしております。
 第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。
 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、平成七年四月一日にさかのぼってこれを行うことといたしております。
 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
#14
○委員長(及川順郎君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより両案に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#15
○志村哲良君 私はこの両案には全面的に賛成であります。
 実は、党の総務会あるいは政審等にも参りまして説明をいたして了承を得ておるところであります。ただ、党の政調などに伺いましたときにも若干困りましたのは、裁判官の場合には「報酬」と書いてあり、検察官の場合は「俸給」と書いてあります。これ質問されたら困るなと。もう本当にそうだったんです。困っておりましたが、幸いその質問はなかったものですから何とか切り抜けてまいりましたが、今もって実はわからないわけです。できましたらひとつ、どなたに質問したらいいのかわかりませんが、司法法制調査部長、じゃひとつお願いします。
#16
○政府委員(永井紀昭君) 裁判官につきましては報酬と言い、検察官については俸給と言っております。これは、諸手当を除いた基本的な給与のことを裁判官について報酬と言い、検察官につきましては俸給と言う、こういう言い方をしております。その意味するところの差異はございません。
 なぜこういうことになっているかといいますと、実は裁判官につきましては、憲法七十九条第六項それから憲法第八十条第二項におきまして、裁判官の身分保障の一環として「裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」という、こういう憲法の定めがあるわけでございます。そういうところから、裁判官につきましてはその基本的な給与のことを報酬という、憲法に基づいた用語が用いられているというわけでございます。
 検察官につきましては、一般の公務員の例に従いまして俸給という用語が用いられておりまして、これも法律に俸給という表現があるものですから、憲法と法律の定め方でその用語が違っているということで、中身は実質的な差異はございません。
#17
○志村哲良君 率直に申しまして、どうもわかったようなわからないようなところはございますが、またいずれゆっくりとお伺いをしたいと思います。
 実は、私ごとで恐縮でございます、私は山梨県の出身であります。そんなわけですので、本日は質問の初めにオウム真理教に関する若干の問題に関してお伺いをいたしたいと存じます。
 もちろんこの二法案は賛成でございます。
 オウム真理教をめぐる一連の凶悪犯罪は、司法当局の大変な御努力の中で裁判も本格化していると受けとめております。一方では、宗教法人オウム真理教の解散問題につきましては、去る六月三十日、宗教法人法による解散命令の請求がなされまして、現在東京地方裁判所において審理が進められておりますが、私は、今後は裁判所からの早期の解散命令を強く期待しておる次第であります。
 大臣または関係者にお伺いをいたします。裁判の見通しなども、ちょっとこれは難しいのかもしれませんが、お聞かせいただければと考えております。
#18
○政府委員(則定衛君) 御指摘の宗教法人オウム真理教に対します解散請求につきましては、東京地方裁判所におきまして、今月、十月二日でございますけれども、担当裁判部におきまして上九一色村の教団施設の検証を行っております。また、十月六日には関係者から審問を行ったと承知しております。
 今後の裁判所の判断の時期というお尋ねでございますけれども、これは当然のことながら私どもからお答えいたしかねるところではございますけれども、検察当局におきましては、従前、裁判所に対しまして速やかな決定がなされるよう種々努力をしてきたと承知しておりますし、今申しましたような現実の審尋なり検証なりが既に行われておりますので、早期に判断がなされるものと期待しておるわけでございます。
#19
○志村哲良君 ありがとうございます。
 実は、私のところには、大臣のところにももちろん提出されたかと思いますが、山梨県当局からこのような「オウム真理教対策に関する要望書」というのが来ておりまして、山梨県当局も随分と御苦労をしておられるところでありますので、伺いづらい点をもあえてお伺いをいたしましたわけです。
 次に、これも伺いづらいことですが、オウム真理教関係者による一連の不法事犯につきましては、さきの当委員会において捜査処理に関する中間報告を受けておりますが、その後のものも含めまして現在までの捜査処理の概要をお聞かせいただければと思い、お伺いをいたす次第です。
#20
○政府委員(則定衛君) 検察当局におきましては、本年三月二十日に発生いたしました地下鉄サリン事件を受けまして、地元東京地方検察庁に、この種の事件といたしましては異例になるわけでございますが、捜査本部を設置いたしました。また、関係各地方検察庁等におきましても十分な捜査体制を整えまして、最高検察庁を中心にそれぞれの上級庁の指揮・指導のもとに警察当局との緊密な連携を保ちながら今日まで鋭意捜査を行ってきたところでございます。
 その結果、これまでに御指摘の地下鉄サリン事件、松本サリン事件等、いわゆるサリンを使った殺人事件に関しまして、罪名といたしましては殺人及び殺人未遂等で合計四十九名を公判請求しております。このほか、信者に対するリンチ殺人事件について合計十一名をこれまた殺人罪等で、さらに公証役場事務長拉致事件につきまして合計八名を逮捕監禁致死罪、さらに坂本弁護士一家殺害事件につきまして合計六名を殺人罪でそれぞれ公判請求しております。そのほか逮捕監禁罪、営利略取罪及び武器等製造法違反等による者を含めまして、今日まで延べ約二百七十名を公判請求しております。
 検察当局におきましては、今後とも警察当局と緊密な連携をとりながら、現在捜査中の上祐史浩らに係ります偽証事件、及び東京都知事秘書室爆破事件を含みますオウム真理教にかかわると思われます各般の不法事犯につきまして、今後ともその全容解明と厳正な処分を行うために全力を傾注していくものと承知しております。
#21
○志村哲良君 重ねてのようになりますが、オウム真理教関係者による一連の事件につきまして、今後の公判維持に向けての御決意をお伺いできたらと思います。
#22
○政府委員(則定衛君) ただいまお答えいたしましたように、延べ約二百七十名の多数にわたる被告人を公判請求いたしまして、既に一部は判決がなされているわけでございますけれども、東京地方裁判所におきましては百名を超える人員が係属している現況でございます。
 これらの事件に検察といたしまして、その所期の目的を果たしますために、まずもってこの公判専従体制といいましょうかこれを強化しておるわけでございます。さらにまた、各担当検察官におきましては、公判立証が十分に行われますように事前準備を周到に進めるということを励行しておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、検察当局が起訴いたしました案件につきましては、いずれもそれまでの捜査過程で収集いたしました証拠によりまして、十分有罪判決が得られる確信のもとで起訴をしておるものでございますので、それぞれの裁判所におきます判断も検察官が期待するものになるよう、ほぼ間違いないという確信のもとでやっておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、厳正な裁判結果が確保できますように万全の体制で臨んでいきたいと考えております。
#23
○志村哲良君 ただいまのお話の中にも含まれておったかと思いますが、公判請求した者につきましては、既に判決を受けておる者もおりますが、現時点で何名の者が判決を受けておるのか、また実刑判決を受けた者は何名いるのかお教えを願えたらと思います。
#24
○政府委員(則定衛君) 今日までに判決がありましたのは、結論的に申しますと三十四名でございます。いずれも有罪判決でございます。これらの被告人のかかわりました案件は、一連のオウム関連事件の中では法定刑が比較的軽いものという部類に入っているように理解しております。また、その被告人の裁判所に対する対応の仕方も、おおむね事実関係については認めるというようなことでございます。
 そういうことで比較的早期に判決がなされたということでございますが、一面、その判決の量刑におきましては、三十四名中三十一名が執行猶予つきということになっているのは、今申しましたような次第でございます。一名につきましては実刑判決、これは懲役一年ということでございますが、既に東京地方裁判所で言い渡されております。
 以上でございます。
#25
○志村哲良君 よくいろいろオウムの問題はみんなで話題にいたしますが、オウム真理教が宗教法人法でもし解散されたとしても、任意な任意団体として活動はできるんだから、まだ問題を残すんじゃないかという懸念があるというようなことが会話の中に出てまいります。
 この際、破壊活動防止法によって解散させてはいかがかというような思いもいたしますが、これはどうもこの点は大分難しそうで、私などには判断つきませんが、大臣いかがでございましょうか。
#26
○国務大臣(宮澤弘君) 宗教法人法によります解散命令と破防法による解散の指定では、その効果が異なりますことは御承知のとおりでございます。宗教法人法による解散命令の効果は、主として法人格を消滅させることと、それから財産整理にあるのでございますが、破防法による解散の指定では、解散の指定がございますと団体のためにする行動が禁止をされるということが最大の効果でございます。再びあのような破壊活動を許さないために破防法を適用するというような場合については、法と証拠に基づきまして慎重に検討をすべきものと考えております。
#27
○志村哲良君 破防法を適用する場合にはどのような手続が必要であるかということをお伺いしたいと存じます。
 私などの若いころ、破防法が公布されるということで、中身の何たるかもわからないままに破防法反対と言って大分騒いたことを今思い起こしながら、若干淡い悔恨をも抱きながらお伺いをしておる次第であります。
 いかがでしょうか。
#28
○政府委員(杉原弘泰君) 破防法による団体規制の要件は大きく分けて四つございます。
 それは、団体が団体の活動として暴力主義的破壊活動を行い、継続または反復して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあるということの四点でございます。
 このうち、破防法上の団体と申しますのは、「特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体をいう。」というふうに定義されております。
 次に、第二の要件であります団体の活動として行うというのは一体どういう意味がと申しますと、一つは、それが団体の意思がまず決定され、そしてその決定された団体の意思に基づいて当該団体の役職員または構成員がその意思実現のために一定の行為を行うということを指すと考えられております。
 第三の要件であります暴力主義的破壊活動と申しますのは、内乱、外患誘致等の行為、あるいは政治目的を持って殺人、放火等の行為を行うことを指しております。
 最後に、第四の要件であります将来の危険につきましては、当該団体が暴力主義的破壊活動を繰り返し行うとの明白な危険性があることを指しております。
#29
○志村哲良君 破防法を適用しなくても、宗教法人法による解散命令と信者に対する刑事罰の適用によって犯罪の再発を防止できると主張する方々もおられますが、どうも私は冒頭にも申し上げましたように、オウムの地元でございますので、何かこれで本当にいいのかなと、少し生ぬるいんじゃないかなというような思いが率直にいたしますが、そこいらはいかがでしょうか。
#30
○政府委員(杉原弘泰君) 宗教法人法による解散命令の効果は、先ほど大臣からも御説明がございましたように、法人格の喪失と法人財産の清算ということにあるのでありまして、任意の団体として活動することについては何ら制約できないわけでございます。
 また、犯人を検挙することによって犯罪を予防する相当の効果はありますけれども、犯罪性の強い団体につきましては、他にも多数の構成員が存在しているので、過去の犯罪行為について個人責任を問う刑法等によっては直ちに団体を壊滅状態に導くということはできませんし、また事件の再発を完全に防止することも困難であろうかというふうに思っております。
 これに対して破防法による団体規制は、団体としての活動を制約、制限することによって将来の暴力主義的破壊活動を抑止する効果があるというふうに考えております。
#31
○志村哲良君 お伺いしましても、私どもには本当に何がいいのかわかりませんが、ともかくあの団体というのは、あらゆる手段を使ってやはりこれからの、今までのような非常に危険な、住民にとって国民にとって危険な活動ができなくなるようにひとつお考えをいただきたいと、あえて申し上げる次第であります。
 やはりそんなお互いの我々の法律や何かよくわからない者の会話ですが、オウム真理教が解散させられた場合、信者の一部は地下に潜っちゃうんじゃないかと、解散の効果は期待できないのではないかというような話も出ますが、その点、率直な御感想を伺いたいと思います。
#32
○政府委員(杉原弘泰君) 破防法の解散指定が行われますと、まず公然活動ができなくなるということによりまして、その活動資金を得ることや、その主張を広く一般に喧伝すること、あるいは全国的に組織の意思統一を図ることなどが著しく困難になるであろうというふうに考えられます。
 次に、一部の信者が地下に潜行して非公然活動を行うためには人員と活動資金が不可欠であろうと思うわけですが、これらの確保をするためには一般の信者による公然面での支援活動に頼らざるを得ないことになるであろうと。解散の指定によって団体のためにする活動が禁止されることになりますと、現実には非公然活動への支援は極めて困難となりますので、こういうような動きは封じ込むことができるのではないかというふうに考えております。
#33
○志村哲良君 私どもには具体的な法律の内容あるいは法の適用などがわかりかねるものですから、失礼なことをもお伺いしたかと存じます。何はともあれ、地元にオウムが住んでおりまして、この問題が発生して以来の皆様方の御尽力には本当に心からの感謝をいたしております。さらに困難は残るかと存じますが、一層の御尽力を賜るように本当に心からお願いを申し上げる次第であります。
 オウムに関する質問は以上にいたしまして、出入国管理に関する若干の問題をお伺いいたします。
 不法残留者の最近の状況をお伺いいたします。
 これら不法残留者のほとんどは不法就労をしていると聞くことがしばしばありますが、入国管理局で行っておられる不法就労対策の現況をお伺いいたしたいと存じます。
#34
○政府委員(塚田千裕君) 平成七年五月一日現在の私どもの電子計算機統計により、不法残留者数は約二十八万七千人で、一年前に比べますと約一万二千入減少しております。これは、これまで入国審査等の厳格化を図ったことや、平成五年以降、東京・大阪・名古屋入国管理局に摘発を専従とする特別調査チームを発足させまして、首都圏、関西地区を中心とした関係機関との連携を強化し、また積極的に不法残留者の摘発を行ったことなどから、不法就労を目的とする入国者の抑止や、新たな不法残留者の発生に歯どめがかかったことによるものと考えております。
 また、ただいま先生御指摘のとおり、当局が平成六年中に退去強制手続をとった外国人約六万五千人のうち、不法残留者が全体の約九〇%を占めております。さらに、そのうちの九一%、約五万九千人が不法就労者となっております。前年と比べますと、不法残留者は約五千入減少いたしました。
 なお、不法残留者の特徴として、当局の摘発から逃れるために潜在したり、あるいは地方への拡散化が見られるところでございます。
 このように、不法就労者がそのほとんどを占める多数の不法残留者が国内に潜在していることによる我が国社会に与える影響の大きさにかんがみまして、私どもとしましては、引き続き不法就労目的の入国防止とその定着化を防止しつつ、その減少を図ることを基本方針とした不法就労外国人対策を推進していくこととしております。
 具体的には、まず第一に、入国の事前の審査及び入国に当たっての審査並びに在留資格審査の一層の厳格化を図ることでございます。
 第二には、ブローカー介在事案はもとより、売春事案、偽変造文書行使事案、人権侵害事案、周辺住民に迷惑を及ぼしている事案等を中心とした悪質及び摘発効果のある事案を重点的に、より一層の摘発活動を強化していくことを考えております。
 昨年は、不法就労者が集中的に潜在している地域を管轄する東京、大阪及び名古屋の地方入国管理局におきまして、集中摘発努力期間を設けて摘発を実施いたしましたが、本年は、不法就労者の地域、地方拡散化に応じまして、全国の地方入国管理局において同様の方法での摘発を実施しております。
 最後に、外務省とともに査証発給の厳格化及び査証免除協定の一時停止等の措置を検討し、警察庁及び労働省等とは定期協議を開催しておりまして、合同摘発の推進や不法就労助長助長罪の効果的な適用による悪質事犯の厳重な取り締まりの実施、並びに国内、海外に対する広報活動の強化を図るなどしまして、関係機関との連携の強化をさらに推し進めていく、このようなことを考えております。
#35
○志村哲良君 ありがとうございました。
 今伺いますと、順調に不法入国者への対策がとられておるようでありますが、私は、もしさらにこれ以上不法入国者がふえるなどというときには、現行の入管法を見直してでもこれを厳しく取り締まることもお考えになられたらいいんじゃないかなと、これは素人が考えることですが、思いますことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
 どうも本日はありがとうございました。
#36
○平野貞夫君 平成会としましては、最初に、大変山積しております問題を一般国政調査でただすべきではないかという意見でございましたが、給与法という急がれる案件でございますので、それを優先させることにいたしました。法案の審議ということでございますが、幅広に問題を取り上げますので、御理解をいただきたいと思います。
 まず宮澤法務大臣に、御就任直後でございますが、法務行政の責任者として最近の問題を踏まえてどのような姿勢で臨まれるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
#37
○国務大臣(宮澤弘君) 最近、無差別な大量殺人事件が発生をいたしましたり、また銃器を使用いたしました凶悪犯罪が続発をいたしておりまして、まことに残念に思っております。
 私は、国政の基本というのは、国民一人一人が安心して暮らすことのできる安全な社会を構築することにあると考えております。また、法務行政の基本的使命が法秩序の維持と国民の権利の保全にあることも改めて申し上げるまでもないところでございます。
 私は、他人の権利を侵害し法秩序を乱す行動に対しましては厳正に対処いたしますとともに、国民の遵法精神の高揚を図るなど、あらゆる面から適切な方策を講じまして、安定した社会の最も重要な基盤を維持いたしますために最大限の努力を払いたい、このように考えております。
#38
○平野貞夫君 宮澤法務大臣の御就任についてはいろいろいきさつがあったわけでございますが、私たち野党も含めて国民こぞって期待の大きいところでございますので、ただいまの御所見をしっかりとひとつ御実行していただきたいと思います。
 話はもとに戻りますんですが、給与二法案につきましては賛成でございます。このことで特別な質問はございませんが、裁判官、検察官という職員は社会正義実現のためにまことに重大でございまして、私自身は待遇についてはもっと根本的に見直すべきじゃないかという意見を持っております。今後、各党の先生方とともに努力してまいりたいと思いますことを申し添えておきます。
 オウム事件で破防法適用問題についてお尋ねいたします。
 私は、参議院本会議あるいは当委員会で再三この問題を取り上げてまいりました。私の意見は、この事件は我が国の憲法体制に対する挑戦という、そういう性格があったと見ております。したがって、公安問題として対処すべきという意見を一貫して申し上げてまいりました。
 その後ずっと政府部内の動きを、これは報道でしかわかりませんが、見てみますと、なかなか複雑な動きだったと思います。
 一つの流れは、このオウム事件を単なる刑事事件としてとらえて、これを宗教法人のあり方という問題にすりかえて、そして封じ込めて、それを政治的思惑に利用しようとする動き。これは私の考えでございますから、私の見方でございますから。
 それからもう一つは、やはり公安問題として正面から、真っ正面からとらえてこれを対応していこうという、こういう動き。この二つの動きがあったと私は観察しておるんですが。
 法務大臣はこの事件についてどのような位置づけ、御認識をお持ちかお聞かせ願いたいと思います。
#39
○国務大臣(宮澤弘君) ただいま平野委員から御指摘がございましたが、このオウム真理教の事件は、刑事事件としてのみ処理するのではなくして、公安上の問題として真っ正面から取り組むべきでございまして、既存のあらゆる法令を十分に活用して対応する必要がある、そのように考えております。
#40
○平野貞夫君 大変御明快な御答弁で、評価するものでございます。
 公安調査庁長官、大変御苦労されておるようでございますが、私はこの事件が発生以来、破防法の適用を主張してきた一人でございますが、やみくもに何が何でも適用しろという意見ではございません。事実関係、証拠、構成要件、そういったものが法に照らして該当するなら、いろいろ制定のときに議論され問題があると言われた法律でも、オウム事件というのはやはり異常であった、国家の危機管理、秩序維持という点から、政治的思惑でこれを云々すべきでない、決断するときには決断すべきだ、そういう法的要件というのが整ったとすれば、そういう意見でございます。
 六月の八日、当委員会でその趣旨のことを主張しまして、長官の方でも、時期が時期でございますので明確には言えないが、いろいろ慎重に検討していくという、こういう趣旨の御答弁があったんですが、それから四カ月たっております。その後、政府部内でも、あるいは外にもいろんな議論があるわけでございますが、この問題についてどのような検討、準備、そしてそれが現在どういう状況にあるか。
 また、仮に適用するということになれば、あとどの程度の期間あるいは見通しあるいはどんな手続が要るのか、御説明いただきたいと思います。
#41
○政府委員(杉原弘泰君) まず、破防法適用の問題につきましての一般的な物の考え方につきまして、今、委員から御意見がございましたが、全く私も同感でございます。この問題につきましては、法と証拠に基づいて厳正に判断すべきものである。というふうに考えております。現在、公安調査庁の調査は詰めの段階にありまして、種々の実務的問題について検討をしているところでございます。
 次に、仮にこのオウム真理教について破防法が適用された場合、今後どのような手続がなされるのか、またどのくらいの時間がかかるのかというお尋ねでございますが、団体規制の手続をその順序に沿って御説明申し上げますと、まず公安調査庁長官が当該団体に対しまして規制請求の事由の要旨並びに弁明期日の日時、場所を官報で公示して団体側に通知することになります。
 次いで、弁明期日において報道機関にも公開の王公安調査庁側から事実及び証拠を提示し、これに対しまして当該団体側から意見陳述や有利な証拠、つまり反証の提出を促すことになります。
 この弁明手続の結果、団体規制の処分を行う必要があると最終的に判断したときに公安調査庁長官が公安審査委員会に団体規制を請求し、この委員会が審査、決定を行うという形になっておりまして、この手続はいわゆる準司法的なものであって、極めて公明正大な手続であるというふうに考えております。
 これらの手続に要する所要時間につきましては、破防法に定められた官報公示期間等、事務的に必要な期間に加えまして、弁明手続や公安審査委員会の審査などの手続が必要でございますので、このための相当の期間が必要と考えております。
#42
○平野貞夫君 ありがとうございました。
 長官の御説明は、法に該当する場合にはこれは決断すべきだと、こういう非常に明快なお話ですが、先ほどの大臣の志村先生への答弁、あるいは村山総理大臣の他の委員会での答弁を聞いておりますと、法と証拠に照らして慎重に検討する、こういう言葉でございますが、この意味は、これは総理大臣がいませんから総理大臣に聞くわけにはいきませんが、法と証拠が整っておれば適用するという意味なのか、それでも慎重にいろいろ考えるというのか。普通、日本人の言い方からすれば、慎重に検討するということは、しないという実質的な意味なんですが、そこら辺が非常にやっぱり国民の人たちが理解できない部分ではないかと思いますが、そこら辺の認識について何かお聞かせいただければ。
#43
○国務大臣(宮澤弘君) ただいまお話しのように、総理は国会においてそのような趣旨の御答弁をしておいでになると思います。私どもは、このオウム真理教の問題は国の治安にかかわる重大な問題であると思いますが、同時に破防法を適用することにつきましては基本的人権にもかかわる問題でございますので、したがって法と証拠に基づいて慎重に判断をしたい。慎重に判断をするというのは、法と証拠に基づいて慎重に判断をしていきたいというのが総理が言っておられるところではなかろうかと思っております。
#44
○平野貞夫君 今、極めて重大なお話でございましたが、総理は慎重に検討するという話、線だったんじゃないかと思うんですが、慎重に検討するということと慎重に判断するということは私の理解ですとかなり意味が違う感じがするんですが、長官どんな感じでございましょうか。
#45
○政府委員(杉原弘泰君) 委員御指摘の非常に微妙な言葉のあやにつきまして、私の立場から申し上げるのはいささか問題があろうかと思います。今、大臣が答弁されたとおりに私も理解いたします。
#46
○平野貞夫君 わかりました。
 これ以上そのことについては申し上げませんが、非常に乱暴な言い方をしますと、村山総理はこの問題についてその都度言い方を変えている。それがいろいろ政治不信の一つにもなっているんじゃないかと私は感じております。
 ちょうどここのところ日米地位協定問題で、沖縄の事件以来、やっぱり政府の事務当局と政権、官邸との間でいろいろそごが出たり、批判が出ている。まさかそういうことはないと思いますが、破防法の適用でああいうようなことがあっては、私は日本の法秩序というのは守れないと思っておりますので、ひとつ宮澤新法務大臣のしっかりとした御決意と御対応を期待しまして、ちょっと御所見をもう一度お聞かせ願いたいと思います。
#47
○国務大臣(宮澤弘君) 法秩序を維持して国民の権利を守るということが法務省の基本的な課題でございますので、私はその基本的な課題に沿って仕事を進めてまいりたいと思っております。
#48
○平野貞夫君 わかりました。
 次に、宗教法人法改正問題について触れさせていただきたいと思います。
 法務委員会と関係がないと言われますと大変困るわけでございますが、私の認識は、先ほど大臣のごあいさつの中にありましたように、法務行政の柱は法秩序の維持と国民の権利保全という二つの問題を出されております。私はこの二つの問題、柱というのは、この宗教法人法改正問題に深くかかわっている問題だという認識をしております。大臣は、当然、現在衆議院に提出されております宗教法人法一部改正案に閣議決定されるときに署名をされたと思いますが、法務行政との関係で、私が今申し上げたような問題意識はお持ちになっていたでしょうか。あるいはそのときの御心境はどういうものでございましたでしょうかお聞かせいただきたいと思います。
#49
○国務大臣(宮澤弘君) 今回の宗教法人法の改正でございますが、ただいま御指摘のように、私も閣僚の一員として閣議の当該案件を審査いたしましたところに参画をいたしております。
 今般の宗教法人法の一部を改正する法律案は、社会状況も大分変わってまいりましたし、宗教法人の実態も法制定の当時に比べて変化をしてまいりましたので、それに対応して宗教法人制度の適正な運用を図る、そのために所要の改正を行うというふうに私は理解をいたしておりまして、先ほども申しましたように、法務大臣といたしましては、法秩序の維持と人権の擁護という法務省の踏まえるべき考え方の基本というものは、無論当然のことといたしているところでございます。
#50
○平野貞夫君 ただいまのお話をまとめますと、今、政府が出している改正案は、法秩序の維持と国民の権利の保全という観点から見て格段の問題はない、こういう御認識をされておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#51
○国務大臣(宮澤弘君) 法秩序の維持と人権の擁護というもの、そういう考え方に反するものではないというふうに理解をいたしております。
#52
○平野貞夫君 反するものでないということですね。わかりましたが、それに照らして問題、反するかしないかという判断は非常に難しいんですが、問題はないかという御認識はないでしょうか。
#53
○国務大臣(宮澤弘君) 現在の宗教法人法の基本的な考え方の一つが、信教の自由という原則を守っていこうということであると思っております。今回の改正もその原則に従っていると理解をいたしております。
#54
○平野貞夫君 私も宗教法人法の見直しは、大臣のお話のように、社会状況あるいは時代の変化に伴って見直すべきところがあれば見直すべきだという、私もその意見でございます。
 そして、私はこの宗教法人法というのは、大臣のお話にもありましたように、信教の自由と政教の分離という基本的人権、これをより適切に徹底させるためにつくった、いわば憲法附属法規のような性格のものだと思っております。したがって、これを改正するときには相当慎重でなきゃならぬと思います。拙速は許されないと思います。そして各界各層、あるいは政府部内でも関係各省において十分な協議、調整が行われるべきだという意見を私は持っております。
 ところで、文部省が所管でございますが、法務省とそういう意味での協議、調整は行われたでしょうか。
#55
○政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。
 一般的に政府が提案させていただきます法律案につきましては、閣議決定の前に所管庁から各省にいわゆる各省協議というものがなされるのが慣例でございまして、本件につきましてもそのような協議がなされてございます。
#56
○平野貞夫君 その協議をなさったときに、どういう内容の協議をなさったかこれはわかりませんが、この法案の内容の中にいろいろ問題があるんですが、基本的人権の問題、信教の自由の問題、政教分離の問題等あるんですが、やっぱり法務委員会でございますので、一点だけ取り上げたいと思いますが、やはり法秩序の維持に深刻な影響のある部門がある、私はそういうふうに理解しております。
 御協議なさったときに、あるいはいろいろ打ち合わせなさったときに、法務省としてはそういうお気はっかなかったでしょうか。
#57
○政府委員(原田明夫君) 委員御指摘の点がどの辺にあるのか、私も専門的に検討したわけでございませんので、お答えするのがあるいは的を射ないかもしれませんが、この問題につきましては先ほども大臣から御答弁申し上げましたようなことで、所管の文部当局におきまして審議会等で慎重な審議を加えられまして、いわばその延長として一定の改正方針がなされた。法務省といたしましては、法務省の所管の立場からこれを検討いたしまして、その協議の結果、特段の御意見を申し上げるまでのことはないという結論であったというふうに承知しております。
 そういう意味で、確かに一部伝えられますように、宗教法人としてもいろいろな立場があって、その中で本改正によって行われることがさまざまな観点から危惧が持たれているということは承知しておりますが、そのあたりは法全体の趣旨から適切に、かつ誤りがないように執行されていくものであろうというのが法務省の立場であろうというふうに考えております。
#58
○平野貞夫君 大臣は、先ほど、この法改正案には法秩序の維持あるいは人権の擁護ということに反するものはないというお話でございました。また、官房長も同趣旨の経過的なお話でございましたが、この改正内容の中に、信者その他の利害関係人による財務関係資料の閲覧要求、要するに新聞等では情報開示という制度を導入するというものがございますんですが、審議会のいろいろやり方については言いたいんですけれども、これは法務委員会ですから言いません。ただ、非常に異常だということだけは一つ触れておきますが。
 この情報開示制度の導入に関連して、こういうことを私は複数のマスコミ関係者、マスコミの幹部、あるいは複数の国会議員、あるいはいろんな複数の人に聞いておるんですが、最近暴力団の間で宗教法人法の改正は暴対法で断ち切られた資金源を回復させることになると大変喜んでおるというんですよ、暴力団関係者が。それから、関西では、そういったものも含む総会屋に関係した人たちがある宗教に集団入信する準備をしているという話まで私は聞いております。だれから聞いたかというようなことになりますと、ちょっとここで申し上げるわけにはいきませんですが、私はこれは大変深刻な問題だと思いますよ。
 今回の宗教法人法改正が、たった一点だけしか私は言いませんが、意外なところで喜ばれている、アウトローの世界で。驚きます。檀家総会に総会屋が出席して、警察の監視下でそれが開かれるというような光景を私はこれからイメージします。
 それから、そういうことをしなくたって、相当これはいろいろ知能犯の、非常にそういう才能のある人たちのやることですから、さまざまなこれは活用が展開されるんじゃないかと思いますが、何のために暴対法をつくったか。それで、当委員会では大変苦労して商法の改正やったでしょう。
 こういう御認識はされないんですか、あるいはこういう情報をお持ちでないんですか、法務省は。
#59
○政府委員(原田明夫君) 今、委員御指摘の点は、この法律案におきまして宗教法人法の管理運営面の民主性あるいは透明性を高めるため、また宗教法人の適正な管理運用を図るために、信者その他の利害関係人で閲覧の正当な利益があり、かつ閲覧請求が不当な目的によるものではないと認められる者から請求があった場合に、一定の備えつけ書類の閲覧をさせなくてはならないという措置を講ずるものと承知しているわけでございます。その点につきまして、ただいま委員御指摘のような御意見があるということは、法務当局においても承っている面もございます。
 ただ、暴力団や総会屋が宗教法人に不当に介入するおそれにつきましては、もしこの宗教法人法が改正された場合の運用に関しまして、これが適正に運用されてまいりますとともに、個別の事案の内容によりまして刑法等の刑罰法規を的確に運用してまいることによって適切に対処していくべきものであろうと。
 また、ただいま委員からこのような形で危惧が表明され、また議論が行われているということ自体も、私どもも真剣に受けとらせていただいて、万が一にもそのような目的のために不当にこの規定が使われることのないように、私どもの分野におきましても心してまいりたいというふうに考えております。
#60
○平野貞夫君 大変的確な御答弁でございますので私も余り理屈を言うつもりはございませんが、昭和十四年につくられた宗教団体法、これは厳しい管理統制をやっておるわけなんですが、この時代にはテレビはないんです。それから、たちの悪い週刊誌も新聞も少ないですよ。現在というのは、それは役人の方は法律を文章でつくるしか、言葉でつくるしかそれはほかに方法がないからしょうがないでしょうけれども、一条一条憲法の枠を、ハードルをクリアして言葉を並べて条文をつくる。しかし、その一条一条は違反でなくとも、それは言葉がパスしていても、一体として機能させた場合、しかもそれを機能させる社会状況が違うんですよね。
 私ら、かなりマスコミに被害意識を持っておるわけですけれども、ちょっと悪質なマスコミを利用して、それを適正にやるというものの、特定の政治勢力がねらわれて書かれて、そういう実際の機能面から見れば、ちょっと拡大解釈してちょっと運用をすれば何でもどんなにでもなる。特に、この情報開示制度というのはそういう危険があると思います。
 だからといって、情報開示が全部が全部悪いとは私は言いません。それはやっぱり国民のため、公共の福祉のためにある程度のことはそれは必要だと思いますが、ただ、今の日本の社会事情、状況からいって、私はもうちょっとこのことについて、特にオウム教団というのが日本のアウトローの世界とのつながり、ここら辺が解明されていませんわね。それから第三国とのいろんな関係。私は大変な問題が含まれておると思いますが、それを若干反省するなら、こういう形の宗教法人法の改正というのはむしろオウム的なものを育成する、あるいは暴力的なものを育成する結果になるんじゃないかという危惧を持っているわけです。
 そういう意味で、もうちょっと法務省は積極的に文部省なら文部省なりあるいは政府なら政府なりに、こういう強い関心、強い危惧を、あるいは社会に対してでも結構でございますが表明すべきじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
#61
○政府委員(原田明夫君) 大変厳しい御認識のもとにおきます御質問でございまして、法務当局としてそのような立場で申し上げることが現段階で適切なのかどうか、正直申し上げまして直ちに私としても判断ができないところでございますが、御趣旨の意味は大変よくわかりました。このことをよく痛感した上で、今後とも、この法案がどういうことになってまいりますか私は判断する限りでございませんけれども、政府として提案しているものにつきましてこのような危惧があったと、法務委員会においてこのような表明があったということを念じまして、今後とも対処してまいりたいと存じます。
#62
○平野貞夫君 大臣にお願いをしたいんですが、特に関西方面を中心に、先ほど私が申し上げたような、この宗教法人法の改正で喜んでいる人たちの実態というものをやはり法務省としても早急に掌握すべきではないかと思います。そういう調査をお願いしたいんですが、いかがでございましょうか。
#63
○政府委員(原田明夫君) ただいまの委員の御指摘の点につきましては、必要があればそのような措置も含めて検討させていただきたいと思います。
#64
○平野貞夫君 わかりました。
 オウム事件発生直後、宗教法人法改正問題が話題になりまして、当時の与謝野文部大臣はいろいろ検討されていたようですけれども、与謝野文部大臣も冷静になられて、そして私の記憶ですと、四月の終わりごろには、二、三年の時間をかけて慎重に検討しようという、それが審議会の方針だったというふうに記憶しております。ところが、参議院選挙が終わって、八月末ごろから法改正の急激な動きが起こったと。特定な政治的目的があったということはこれは当然あると思いますが、私はそれだけでこういう乱暴な法案の提出、しかもこういう大きな問題を抱えている、私はとても内閣提出法律案とは思えませんが、一部の議員立法だというふうな、そういう印象を持つんです。
 ある会合に出ていましたら、多くの出席者から、この宗教法人法改正を非常に熱心に推進されている方たちの中にはとかくいろいろ言われている人がいると。率直に言って国民の間にかなり危惧がある。先ほどの話といろいろジョイントしてみますには、私はそういうふうには思いたくはないんです、立派な政治家の人たちだと思うんですが、国民の中にはそういう危惧があります。ぜひそういったことも含めて、官房長のお話のように、情報の収集、あるいはせっかくの憲法附属法規がおかしくならぬようなひとつガードをぜひお願いしたいわけでございます。
 私は、だからこそ、さまざまな利害関係、いろんな問題がありますから、この宗教法人法の見直しはまずは政治や政党から離れた第三者、当事者あるいは専門家、あるいは学識経験者、そういう人たちがあるべき見直しの内容を提示して、それをもとに政治あるいは行政が議論すると。私はそういう性格のものではないかと思うわけでございます。いかがでしょう、その点についてどのようなお考えをお持ちか。
#65
○国務大臣(宮澤弘君) ただいま宗教法人法の改正にかかわる問題につきまして御意見の御開陳がございました。この件につきましては、御案内のように、主管省において審議会の議を経て閣議で決定をして、今、国会の方に御審議をお願いいたしておりますので、国会においてあらゆる角度からいろいろ慎重な御審議をいただくべきものではないかというふうに考えております。
#66
○平野貞夫君 私、尊敬する宮澤法務大臣でございますからこれ以上の議論はいたしませんが、ただ、関西方面を中心に起こっているそういうような動きが、客観的にそういうものがやっぱり確認されて法務省としてそういうものが掌握できるようなことがこれからあれば、私は今回の改正案は撤回すべきだと思います。やり直すべきだと思います。そして、冷静な形での対応、議論をすべきであって、それはとんでもない冒涜だと思うんですよ、憲法に対する。
 そういうことを要望いたしまして、質疑を終わります。
#67
○魚住裕一郎君 平成会の魚住裕一郎でございます。平野委員に引き続きまして、若干質問をさせていただきます。
 まず最初に、この裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、このこと、これ自体私も賛成でございます。
 私も弁護士をしてまいりまして、多くの裁判官あるいは検察官を存じ上げているわけでございまして、裁判官につきましても手持ちの事件数が二百件を超えるような状況であるとか、あるいは検察官の多くもたくさんの事件を抱えて日夜奮闘している、そういう姿を司法修習等も踏まえて拝しているところでありまして、その労に対して本当に報いたいな、そういう思いがございます。そして、これは人事院勧告に伴うものでございまして、一日も早く支給をしていただきたい、そんなふうに思っているところであります。
 この報酬あるいは俸給に関連いたしまして、裁判官なりあるいは検察官の待遇といいますか、そのことに関しまして、過重な負担になっているんではないか、職務のですね、そういうことを感ずるわけでございます。また、裁判実務等を見ましても、一人が余りにも多くの案件を抱えて、訴訟遅延、裁判が長くかかり過ぎるというような国民の声、あるいはもう実業界の方からも裁判制度は敬遠したいというような声も出ているわけでございます。
 これを抜本的に解消していくには、やはり司法制度自体の容量をふやしていくということが必要なんだろうというふうに思うわけでございます。まず、過去二十年でも三十年でも結構でございますが、その間における裁判官あるいは検察官の増加状況、増員状況並びに事件数の増加状況、倍率でも結構でございますので、教えていただければなというふうに思います。
#68
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 裁判官の人員増の状況でございますが、ここ二十年程度の数字で申し上げますと、合計いたしますと百六十八名の増ということになっております。内訳で申し上げますと、判事が九十七名、判事補が五十六名、それから簡裁判事が十五名ということでございます。本年度の予算要求におきましても裁判官十五名の増員要求をしておるところでございます。
 事件の動向でございますが、これは大きく言いますと、民事事件は昭和六十年あるいは平成元年あたりまでは下降傾向でございましたが、平成二、三年ごろから非常に多くなっておりまして、現在もまたその増勢は続いておるという感じでございます。刑事事件の方は、どちらかといいますとずっと減少傾向が続いておりましたのが、ようやくその減少傾向がとまったかなという、そんなような状況かと思います。
#69
○政府委員(永井紀昭君) 検察官の定員について申し上げますと、副検事を除く検察官定員は、昭和三十年代、約四十年前、千名ということになりまして、その後増員が少し図られまして、昭和四十七年に千百七十三になりました。ところが、その後は一切定員の増がございません。
#70
○魚住裕一郎君 今、裁判所あるいは法務省、弁護士会等で司法試験の合格者数をどうするか、法曹養成制度の協議が進められておりますし、また行政改革委員会の中の規制緩和小委員会等でも、法律事務の取り扱いの独占とかあるいは大幅の法曹人口の増が議論されているというふうに聞いておるわけでありますが、それとは別にして、現在の与党、野党にいたしましても規制緩和ということが大きな声となっております。そしてまた、これはもちろん揺れはあると思いますが、長い年限から見れば大きくこの規制は撤廃あるいは緩和されていくんだろうというふうに思うわけであります。
 そして、その原理は自己責任の原則であると。そして、さらに後のトラブル、あるいはもちろん刑事事件に発展する場合もあると思いますけれども、それはもう司法的な解決の方に行かざるを得ない。そういう国のあり方というか、社会のあり方になっていくんではないだろうか、そう感ずるわけでございます。
 これに対応して、裁判所なりあるいは法務省におきましてどのような時代予測を考えて、この裁判官あるいは検察官の増員を考えておられるのか、概要をちょっと教えていただきたいと思います。
#71
○政府委員(原田明夫君) ただいま御指摘のような論議が行われている中で、法務省といたしましては、まず、検事の増員の問題について基本的にどのように考えているかについてお答え申し上げさせていただきたいと存じます。
 検事の定員は、先ほど調査部長から申し上げましたとおり、昭和四十七年以来増減がないまま据え置かれているのでございますが、この状況につきましてはいろいろな要素がございましたが、一つの大きな要素は、やはり検事の給源ということがある程度問題になってきておりました。さまざまな事件が発生し、検事をもう少し増員してもらいたいという声が現場にもあったことは事実ございますが、いかんせん検事の任官者数を十分確保することができないという中で、定員をいただきながらそれを充足させていくことができないような状況が相当長く続いたのでございます。そういうことを一方に放置したまま検事増員を求めていく、定員の増を求めていくということは、行政庁としては対応が極めて難しいような状況もございました。
 それから一般的には、やはり法曹全体につきまして、近代的な国家、現代のさまざまな要請にこたえていくために基本的にもっと増員を図っていくべきではないかという議論もございましたし、その中に、さまざまな複雑な事件、複雑な紛争解決に対応するためにさらに優秀な人たちをここに集めていく、若い人たちの希望をここに集めていくための方策はないかというような観点からさまざま議論がなされてまいりました。
 その中で、御承知のとおり、司法試験法の改正を初め、法曹養成一般にわたりまして各般の議論がなされました結果、その対応措置がとられていったわけでございます。その中で司法修習生の合格者増も図られてまいりました。さまざまな状況の中で比較的検事任官、これは裁判官も同じでございますが、任官者の確保も順調に進んでまいりました。その結果、私もかつてその衝に当たったことがございますが、最近になってようやく検事任官者を、しかもその質についても十分配慮しながら確保していく道が整ってきた、条件がまさに整備されてきたという感をいたします。
 近年におけるいわゆる経済関係事犯、特別捜査関係事犯など大型あるいは複雑困難化していく各種の事件、また銃器犯罪や一連のオウム真理教関連事件等の我が国の治安のまさに根幹を揺るがすような凶悪重大な事件の続発等によりまして、検察の業務は今やますます困難かつ多忙を深めているという感をいたします。
 そのような中で、一方、政府の規制緩和による経済活動の自由化、活性化の推進に伴いまして、公正な取引の確保が重要な課題となってまいります。違法な活動に対しては独占禁止法やあるいは証券取引法等の経済秩序の維持に関する各種法律を活用いたしまして、適切に対応していく必要がございます。
 検察がこうした状況の変化に適切に対応してまいるために、そして根本的な法秩序を維持してまいるために、検事の増員を初めとする体制の充実強化がどうしても不可欠という結論に至りまして、政府内で検討いたしました結果、平成八年度の概算要求において、現在、検事四十人の増員を認めていただきたいということで要求している状況でございます。
#72
○魚住裕一郎君 裁判所はいかがですか。
#73
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 裁判官の増員数を考えます場合には、やはり基本的に大きな指標になりますのは、事件数の動向がどうなるかという点であろうかと思います。
 それともう一つは、やはり民事の裁判といいますのは、これは裁判官が一人で処理するわけではございませんで、代理人をお務めになります弁護士の方との一種の共同作業という、そういう色彩を持ってまいります。したがいまして、その訴訟の運営の仕方につきまして、これまでにない適正迅速な処理のための工夫というのがいろいろ今考えられているところでございます。そういうものがどういう効果を上げていくか、そのあたりも見ながら考えていかないといけないだろうと思います。
 ただ、大きな方向としまして申し上げますと、規制緩和という問題に絡みまして、将来日本の裁判所に提起される事件数というのはやはり増加してくるであろうというふうな考えを持っております。その辺の事件数の動向も十分見ながら、着実な増員に努めていきたいと思っております。
 本年度も、先ほど申し上げましたように、裁判官十五名の増員要求をしているのはそういうふうな考えに基づくものでございます。
#74
○魚住裕一郎君 今の裁判所の御答弁は前の議事録でも読まさせていただいたわけでありますけれども、今後二十年、三十年先を考えていかなければいけないというふうに思うわけであります。司法制度を支えるのはまさに人材でございまして、人材というのは一年、二年ちょっと増員したからといって補えるものではもちろんないわけであります。
 そして、規制緩和ということは、ある意味からいえば、行政国家というような概念から、逆に司法国家という方向に行かざるを得ないだろうというふうに思うわけでありまして、そうするとやはり国民が司法にかける期待は大きい。また、司法の比重が大きくなってくるというふうに私は考えるわけでございまして、今の裁判所の御答弁だと、ただ状況追随型の対応しか私はやりませんよというような感じにしか聞こえないわけでございますが、この二、三十年先を見越しての計画的な増員というんでしょうか、この辺につきまして御所見なり決意なり、法務当局あるいは裁判所でいただければというふうに思います。
#75
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) この法務委員会の席でも何度かそういう御指摘をいただいておりまして、私どもの方でも内部ではいろいろ議論はしておるわけでございますが、二十年先、三十年先を見越した増員計画を立てるということになりますといろいろ問題がございまして、例えば事件数の動向自体も、これ非常にその当時の経済動向といいますか、そういうものに左右されて非常に大きく変わってまいります。果たして二十年、三十年後までどの程度正確に事件数の動向を予測できるかという問題もございます。
 それとやはり事件の処理のやり方といいますか、その方法自体もこの十年、二十年というスパンで見てみましてももう随分変わっております。従前に比べますと非常に効率のいいといいますか、審理ができるようないろんな工夫も行われております。そのようなあたりも見ながら計画を立てないといけないというと。ころがなかなか難しい。
 それともう一つはやはり給源の問題でございまして、例えば一定の計画を立てまして十年間でこれだけの人数をふやしていきたいということでありましても、現実の裁判官の給源といいますのは司法修習生でございまして、その中から果たして裁判官になっていただくにふさわしい資質を持った方をどの程度確保できるかという点についても、またこれなかなか難しい問題がございます。
 そういった点があるものですから、きちっとした形で十年計画、二十年計画というのを立てるのは非常に難しい。ただ、大きな計画といいますか、そういうものは常に頭の中に置いて着実な増員を図っていきたい、そういうふうな形でこれまで努力をしてきておるわけでございます。
#76
○魚住裕一郎君 増員は、先ほどお伺いをいたしましたけれども、微々たるものしかないなと。また、ほかの資料等を見ますと、事件数はかなり大きく数倍にはね上がっておる。もちろん、いろんな事件処理の仕方とか、そういうことで改善の余地はあろうかと思いますが、現場の裁判官なり検察官の思いは恐らく、状況追随的に少しずつふやしていってももうかなわぬというのが本当の声じゃないかなというふうに思うわけであります。
 司法関連予算は本予算におけるパーセンテージを見てもどんどん下がる一方でございまして、私としてはもっともっと裁判所あるいは法務省は大蔵省とかけ合って予算をいっぱい持ってくるように頑張っていただきたいなと、そういうふうに思うわけであります。
 続いて、審議会についてちょっとお尋ねをいたします。
 マスコミ等あるいはさきの予算委員会等におきまして、審議会ということがかなりクローズアップしてまいりました。法務省につきましては、所管の審議会等というのはどういうものがあるんでしょうか。
#77
○政府委員(原田明夫君) 法務省における審議会につきましては、中央更生保護審査会、それから法制審議会、民事行政審議会、矯正保護審議会、副検事選考審査会、検察官特別考試審査会及び公証人審査会でございます。
#78
○魚住裕一郎君 去る九月二十九日付におきまして、「審議会等の透明化、見直し等について」という、そういう閣議決定がなされました。その中で、二つ区分けをいたしまして、一般の審議会というものと、それと別個に行政処分あるいは不服審査等に係る審議会、大きく二つに分けて、これを透明化、見直し等について分けているわけでありますけれども、今教えていただいた審議会においてどのような区分けになるんでしょうか。
#79
○政府委員(原田明夫君) ただいま御指摘の九月二十九日付の閣議決定による一般の審議会と申しますのは、先ほどお答え申し上げました七つの審議会のうち三つでございまして、それは法制審議会、民事行政審議会、矯正保護審議会の三つでございます。
#80
○魚住裕一郎君 今教えていただいた三つの審議会、例えば法制審議会というのは非常に大きな重要な審議会かと思いますが、それにつきましてはこの閣議決定でなされている、特に第四項目の「審議会等の公開」、その中では「議事録」でありますとか、あるいは「データベースやコンピュータネットワークへの掲載に努める。」というふうにあるわけでございますけれども、当然適用されるわけですね、今の一般の審議会三つは。
#81
○政府委員(原田明夫君) 閣議決定の趣旨に従って検討しなければならないものだと考えております。
#82
○魚住裕一郎君 けさの朝日新聞第一面を見て私はぎょっとしたのでありますけれども、「審議会公開、省庁動かず」というそういう見出しだったんですが、この中で法務省の欄を見ますと「一部で要旨を公開」というようなことで、非常に後ろ向きな対応だというふうに報道はされているんですね。これは間違いであるということですね、今の御答弁は。
#83
○政府委員(永井紀昭君) 今の御質問の趣旨は、法務省全体の審議会についての対応でございますか。
#84
○魚住裕一郎君 はい。
#85
○政府委員(永井紀昭君) 私、全体のことを必ずしもつまびらかにしておりませんが、実は法制審議会の事務局を担当している部署にあるものですから、ちょっと法制審議会につきまして一言述べておきたいと思います。
 委員御指摘の九月二十九日の閣議決定におきまして、審議会の会議及び議事録につきまして、透明な行政運営の確保等の観点から原則として公開することとされているが、特段の事情があれば非公開とすることが許容されているという、こういう趣旨で閣議決定がされていると思います。
 ところで、法制審議会は、御承知のとおり極めて基本的な民事法、刑事法の改正をするという審議会の目的、性格等にかんがみまして、この法制審議会における会議の独立かつ公正な立場からの自由な討論を確保するという観点と、審議の過程で提供された公務上の秘密を保持するというためにこの会議を公開しないということが法制審議会令及び法制審議会議事規則で定められております。この趣旨から、会議の議事録については公開するのは適当でないという考え方で今対処しております。
 なお、法制審議会におきましては、これまで、基本法の改正審議でございますから、審議に際して問題となった事項あるいは審議経過などにつきましては常に相当の資料を公開しておりまして、また適宜報道機関を通じても発表する等の方法によりまして国民の意見を聞いたり、あるいは国民の理解を得るように努めてきたところでございます。
 今後とも閣議決定の趣旨を踏まえて、法制審議会の総会にいろいろ御意見も聞きながら適切に対処したい、かように考えております。
#86
○魚住裕一郎君 状況はわかりましたけれども、法務省の中で一番大事な法制審議会が今そういう状況であるということを知って、ちょっとある意味ではショックなわけであります。
 審議会というのはやはり国民の、学識経験者も含めて、衆知を集めて審議をするというところにあるわけでございますし、また民事、刑事の重要な法制度について議論をするわけで、人権に直結するようなそういうことを議論するわけであります。
 予算委員会等で、宗教法人審議会につきまして、そのあり方が非常に疑念を呼ぶ、不透明感を醸し出しているという状況がございますけれども、法務省における審議会におきましては、みんなが信頼できるようなそういう審議過程である、またそれを担保できる手続をぜひとつていただきたい、こう要望いたしまして、質問を終わります。
#87
○千葉景子君 きょうは、宮澤法務大臣にもごあいさつをいただきまして、ありがとうございます。ぜひまた、大変いろいろな問題が山積をしているところでございますけれども、そのお人柄と御見識で頑張っていただきますようにお願いをしたいと思います。
 きょうは給与二法の審議ということでございますが、私もこの給与二法につきましては賛成でございます。やはり裁判官、検察官の皆さんも生活という問題もございます。決して余裕のあるということでもなかろうかというふうに思いますので、早期に皆さんの御期待におこたえをできるようにと、そんな思いで、直接この法案につきましては問題がございませんので御質問はさせていただきませんけれども、多少関連をする分野について何点か質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、一九九〇年、平成二年の十月ですが、ちょうど当時、司法試験の多数回受験者、何回も回数を重ねてなかなか、そういう方が大変ふえているという状況もあり、それから先ほどもお話に出ておりましたけれども、検察官やあるいは裁判官などが絶対数として不足をしているのではないかというようなこともございまして、そういう問題を解決していこうという状況の中から、法曹三者によって司法試験制度改革に関する基本的合意と、そしてそれを抜本的に協議していこうということで改革協が設置されました。
 この内容は、一つは法曹三者、学識経験者から成る改革協を設置して、司法試験制度と法曹養成制度の国民的な見地に立った抜本的改革について調査、研究、検討をして法曹三者に提言していこう、これが大きな柱でございます。
 それからもう一点は、先ほどの多数回受験者にかかわることでございますけれども、司法試験合格者を七百名に増員する。そして平成七年試験において検証基準、これは三年以内の受験者が三〇%または五年以内の受験者の合格者が六〇%、これが未達成の場合には平成八年から合格枠制ですね、当時丙案と言われておりましたけれども、合格枠制の導入の道を定める、こういうことが決定をされたかというふうに思います。これはそのとおりでよろしいかどうか確認をさせていただくと同時に、これもそろそろ平成七年の試験などの合格者も見えてまいりますし、それから協議も相当重ねられてきたというふうに思われます。
 そこで、まずその改革協での論議の状況ですね、どんな議論が重ねられてこういう方向性が出てきたとか、あるいはこういう問題点についてはまだまだ意見の違いやあるいは調整がまた図られているというようなことがございましたら、この状況について多少御報告をいただきたいというふうに思います。
#88
○政府委員(永井紀昭君) まず第一点でございますが、ただいま委員からお話がありましたとおり、平成二年十月に法曹三者によります司法試験制度改革に関する基本的合意がされたこと、その内容におきまして法曹養成制度等の改革を行うべく法曹養成制度等改革協議会を設けること、また合格者を増員させ、平成三年から平成七年までの間にいわゆる検証を行って合格枠制を採用するかどうかを決めるという、こういうことにつきましてはただいまお話しになったとおりでございます。
 それから第二点目は、現在、法曹養成制度等改革協議会でどういう議論が行われているかという点でございます。
 これ自体は、議事の詳細をここで紹介することは差し控えたいと思いますが、現在の協議状況の概要を簡単に申し上げますと、司法の機能を充実して国民の法的ニーズにこたえるためには法曹人口を増加させる必要があり、そのために司法試験合格者を増加させる措置をとるべきであるという点ではおおむね意見が一致しております。合格者の具体的な増員数及びこれに伴う司法修習制度の具体的な改革については、なお意見の一致を見ておりません。
 ただ、合格者につきましては、法曹人口を大幅に増加させるため、中期的には年間千五百人程度を目標としてその増加を図り、かつ修習期間を大幅に短縮するということを骨子とする改革を行うべきであるという意見が多数を占めております。これに対しましては、法曹人口の増加は裁判官、検察官の増員や法律扶助等の司法基盤の整備と一体のものとして行うべきであり、これらに関する具体的な計画を策定し合格者の増員を検討していくべきであると、また修習期間の短縮に反対であると、こういう少数意見があるという、こういう状況でございます。
#89
○千葉景子君 それにつきましてはちょっと後ほどお尋ねをしたいと思います。
 もう一つの司法試験合格者の検証基準ですね。これについては平成七年の択一式の試験、これですと、ちょっと私が聞いている範囲では三年以内での合格者がほぼ三〇%近くになっているということではなかろうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。この達成状況についてはまだ最終的な結果は出ないかというふうに思いますが、これまでの択一式あるいは論文式などの経過から見るとどんな状況でしょうか。
#90
○政府委員(永井紀昭君) 本年はまだ最終合格者は決定するに至っておりません。今、口述試験をやっているところでございます。
 それで、論文式試験は既に発表されまして、その合格者はことしは七百五十三名でございました。そのうち三年以内合格者が百八十五人、二四・六%でございます。それから、五年以内合格者は四百名で、五三・一%となっております。したがいまして、三年以内合格者が最終的に三〇%にいくのは相当難しいのではないかと、こう思っております。あるいは五年以内合格者も六〇%にいくのは難しいという、こういう感じを持っております。
#91
○千葉景子君 今、そのような御報告をいただきました。
 確かに検証の基準からいいますと、まだそこまでは達し切れていないというのが実情であろうかというふうに思いますけれども、やはり合格者数が増加をしてきている、全体として。それに準じて、旧来よりもやはり若年あるいは回数の少ない受験者の合格率も大分上がってきているのではないかというふうに私は受けとめるんですけれども、これは実際ことしの最終の合格者数、その基準を見て、合格枠制ですね、これの導入についてはどういう方向になっていくでしょうか。
#92
○政府委員(永井紀昭君) まだ、先ほども申し上げましたとおり、本年、最終合格者は決定に至っておりませんが、昨年の司法試験最終合格者は七百四十名でございましたが、そのうち三年以内合格者は二四・七%、五年以内合格者は五二・三%。これを見ますと、昨年どことしほとんど同じでございまして、そういう意味では多分基準には達しないんだろうという、そういう印象でございます。
 ところで、既に司法試験法の改正等をこの委員会でもお願いしてできておりまして、もしこの基準に達しないのであれば、やはり司法試験管理委員会の方でいわゆる合格枠制というものを実施するかどうかの決定をしていただくという、こういう手順になろうかと思っております。
#93
○千葉景子君 私は、率直に言って、しゃくし定規に基準をぴったり三〇%あるいは六〇%を超えないと全くもう当然のごとき合格枠制をとるというのは、もう少し経過を見た方がよろしいのでないかなという感覚はするんですけれども、今後のその検討状況などを拝見させていただきたいというふうに思っているところでございます。
 さて、もう一点ですが、先ほどの改革協での議論の中で、法曹人口を増加させていくということではほぼ大きな合意を得てきているというお話でございました。私もそれには決して異論を唱えるものではございません。しかし、先ほど魚住委員の御質問にもございましたように、やはり法曹人口をふやすといいましても、バランスをとって増加が図られていくということが必要だろうというふうに思うんです。弁護士だけがふえるということでもこれは国民のニーズにこたえることができませんし、それから検察官、裁判官、こういうところがやはり体制がきちっととられませんと、これからのさまざまなニーズにこたえ切れないという部分があるだろうというふうに思います。
 何度も私も質問した記憶があるので、どうもこれもちょっと重なる質問で恐縮になりますけれども、やはりこの問題の発端というのは、弁護士が不足しているという問題よりは、やはり検察官が不足をしているというようなことからもこの法曹三者での協議などが始まってきているわけでございますので、やはり検察官の増員については、先ほどの官房長の御答弁もございましたけれども、これはもう意見として受けとめていただいても結構でございますが、例えば十年間でこれくらいの体制にしたい、それには一年ごとにこういう増員体制をとっていきたいというような計画などがやっぱりとられると、法曹人口の増加についてもバランスのとれた方向性が見えるのではないだろうかというふうに思います。これは同じお答えになろうかというふうに思いますので、御答弁をいただく必要はございませんけれども、ぜひそういう方向も考えていただきたいというふうに思っているところでございます。
 そして、特に私が指摘させていただきたいのは、やはり司法が国民のために機能を果たすためには、人の体制、これを充実させていくということも当然でございますけれども、やはりそれ以外の司法全体の基盤整備あるいは条件整備、こういうものも当然図られていかなければならないだろうと思います。多分、これは改革協などでもいろいろなテーマになっているものと思われますけれども、先ほど予算の話がございました。
 裁判所の予算で考えますと、平成六年ですと国家予算のわずか〇・四%ということでございます。私たちも予算策定の際にはでき得る限り裁判所や法務省などの応援団でいるつもりではございますけれども、ぜひそういうところの皆さんのお取り組みもいただきたいというふうに思っているところでございます。
 あるいは法務省にもいろいろな御努力をいただいて、法律扶助制度、これなども大分改善が図られるようになってまいりました。しかし、やはりこういう制度もより一層充実をさせていく必要があるだろうというふうに思います。
 あるいは被疑者の弁護制度、これは今弁護士会などを中心にして当番弁護士制度などを設けて、非常にこれは役割を果たし始めています。私の調べている範囲では、全部の身柄事件約八万件くらいのうち、当番弁護士がいろいろな形で面会をするなどしたのが一万四千件、約二割弱くらいになっていると言われております。そして、その中から受任をしたものが四千三百件余り、五、六%を受任するということで、やはり第一歩のときに、被疑者の段階から弁護人が何らか接触するということが非常に大きな役割を果たして、そして権利保障にもつながっているということが言えるんじゃないかというふうに思います。
 そういう意味では、常日ごろからこの委員会などでも被疑者段階の国選弁護の問題なども議論されているところでございますけれども、そういうこともこれからの大きな改善のやっぱり基盤整備の一環になってくるだろうというふうに思っています。そういう条件も整備をしながら、そして法曹人口をバランスよくふやしていくということがやっぱりこれからの求められている方向性であろうかというふうに思っておりますので、ぜひ改革協の中などでも実りある議論をまとめていただけますようにお願いをさせていただきたいと思います。
 そして、もう一点でございますけれども、やはり先ほども魚住委員の方からもお触れがございましたけれども、今、行政改革委員会の規制緩和小委員会の方でも法曹人口の増加というものがテーマになっているようでございます。ただ、ちょっと私が気になりますのは、当然これからニーズがふえてくるということもございますけれども、一つは、規制緩和それから経済の活性化ということとこの法曹人口あるいは司法制度の整備という問題とは必ずしもパラレルにいくんだろうかと。経済活動と同列に扱うことはどうなのかなという、ちょっと懸念がございます。
 やはり司法の場合には、公正な司法あるいは公的な機能、国民の権利擁護というような観点がございます。そういうことも含めて問題に取り組んでいかなければいけないかというふうに思いますけれども、法務省としては、この法曹三者による改革協や、あるいは今指摘をされております規制緩和の面などからの指摘、こういうものについてどう受けとめて今後取り組んでいかれるのか、その辺のお考えがございましたらお聞きをさせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#94
○政府委員(永井紀昭君) 現在、改革協におきましては、いよいよ意見書を取りまとめるという段階になっておりまして、十一月中旬をめどに最終的な意見の取りまとめ作業に入っているところでございます。
 この改革協自体が日弁連の御提案で、国民的見地から抜本的な司法試験制度あるいは法曹養成制度をどう改めていくか、これを検討するという課題で行ってまいりました。その中には、今、千葉委員から御指摘がありましたように、日弁連の方からは司法基盤整備という観点からいろんな付随する問題点なんかも指摘がありまして、それについてもお互い討論はしております。
 それから、規制緩和小委員会におきましては、これは急遽、ことしに入ってこういう話題が行政改革委員会の方で出たものですから、法務省及び日弁連両者がそれぞれ対応しております。今、委員の御指摘のような、これが果たして規制緩和という観点で見るべきものなのかどうかという日弁連からの御意見もありましたが、やはり大きな意味では、法律専門職、しかも弁護士法七十二条で独占している弁護士の規制緩和という観点があるんじゃないかという、そういう視点で、将来的な我が国における社会の透明性あるいは法的解決の重要性という観点からやはり司法というものの重みが多くなるんじゃないか、そのためには司法試験に合格させて法曹人口をふやしていくべきだという論点で議論されているようでございます。私ども法務省と日弁連と、十分これらに対しては慎重な対応をしていきたいと、かように思っているところでございます。
#95
○橋本敦君 まず、オウム真理教問題から質問に入りますが、二十六日にいよいよ教祖麻原彰晃に関して公判が開かれることになっております。
 検察庁に伺いたいんですが、この二十六日の公判は、公訴事実、罪名、どういう点で審理が行われることになっておりますか。
#96
○政府委員(則定衛君) 突然のお尋ねでございますので、正確を期する意味で、大変たくさんの公訴事実がございますので、直ちに調べて回答させていただきます。
#97
○橋本敦君 法務大臣にまず御見解をお伺いしたいんですが、このオウム真理教の問題については、やはり国民は厳正な法令の適用、そして刑罰法規の厳正な適用ということを中心にして、一刻も早く真相の解明を国民は要求しています。
 刑事裁判となりますと、被告人の権利はもちろん人権を尊重しながら、迅速な裁判というのが非常に大事な課題になると思うんです。ですから、このオウム真理教の裁判を迅速に進める、そして刑事訴訟法の基本精神にのっとって刑罰法令の適正な適用をやっていくというためには、私は、裁判の迅速ということについてかなり検察庁も協力しなきゃならぬし、裁判所もそれなりに腹をくくって対応を検討していただかなければ容易でないだろうと思います。今お聞きしたように、二十六日にどういう公訴事実で公判が行われるかということ自体たくさんあって、正確に検討しなきゃならないという、こういう状況ですね。
 しかし、あの田中角栄の裁判が余りにも遅かったということは国民的な批判の一つになりましたが、まさに法秩序を守り法の権威と国民の信頼をこれはやっぱりしっかり受けとめる大事な問題として、オウム裁判の迅速な進行ということは私は大事な大事な課題だと今思うんですね。そういう点について、法務大臣、御所見いかがでしょうか。
#98
○政府委員(則定衛君) 最初に事務当局から御答弁させていただきます。
 御指摘のとおり、一連のオウム関係事件では、全国的に見まして、既に約二百七十名を超える被告人が起訴されておるわけでございます。中でも東京地方裁判所におきましては、実人員百名を超える被告人が起訴されております。これらの被告人等につきまして既に一部判決も言い渡されておるわけでございますが、先ほど御指摘ございました十月二十六日の麻原彰晃に関する殺人等の事件を中心といたしまして、大変重い事件が今後公判が開始されていくわけでございます。
 これらの事件につきまして、検察といたしましては、できるだけ速やかにその立証活動を尽くしまして、所期の判決を得るよう最大限の努力を、事前準備を含めて現在やっておるわけでございます。
 そのためには、複雑な証拠関係を適切に精査していわゆる説得力ある公判活動を行うため、必要な事前準備のほかにやはり人員が必要でございまして、東京地方検察庁におきましては既にオウム関連事件に専従する公判担当検察官の増員を図っております。現有勢力の中で、また全国的な検事の配置の中で重点的にそれらの体制を固めるということをまずもって尽くすわけでございますが、なお今後数年かかる事案も抱えているわけでございますので、先ほど官房長からも答弁しましたように、来年度の概算要求におきまして検事について四十名をぜひ認めてもらいたいということで、現在、政府部内で調整しているわけでございます。
 そういった人員の手当ても含めて、できるだけ一連のオウム関連事件につきまして所期の裁判結果が得られるよう今後とも鋭意努力していきたいと考えておるわけでございます。
#99
○国務大臣(宮澤弘君) ただいま刑事局長から御答弁を申し上げたとおりでございまして、関係地方検察庁におきましては、裁判所を初め訴訟関係人の協力を求めつつ、審理の促進に努めているものと承知をいたしております。
#100
○橋本敦君 問題は、審理促進に対応できる体制づくりということを私は質問の主題としてお聞きしたわけで、今御説明がありましたから、法務省としては人員増も含めたそういう対応でいきたいということはわかりました。
 裁判所の方はいかがでしょうか。個々の裁判官の訴訟指揮にわたる事項についてお尋ねするつもりはありませんが、裁判所自体も訴訟の進行を速やかにやるために特段の工夫と努力と体制づくりが私は必要だと思うんですが、それらの点についてお話しいただけますか。
#101
○最高裁判所長官代理者(高橋省吾君) オウム関連事件の特色は、極めて多数の被告人が重大事件を含めた多種多様な事件で起訴されているということでございます。それで、この種事件が多数係属しております東京地裁におきましては、刑事部全体を挙げてこの事件に取り組むこととしておりまして、令状部を除いたすべての部においてオウム関連事件を配てんして担当することにしております。
 また、これらの事件を迅速かつ適正に処理するために、事件の配てんをするに当たっては事件の内容、被告人の役割等に応じてグループ分けをして、同一グループの被告人を同一の部に配てんして、それぞれの部が合理的な訴訟進行をすることができるようにしております。
 既に事件を担当する受訴裁判所におきましては、第一回公判の前から検察官及び弁護人と訴訟の進行について十分な打ち合わせを行い、これらの訴訟関係人に対して、争点中心の集中的審理の実現のため綿密な事前準備をしていただくように働きかけております。
 また、できる限り開廷間隔を縮めた審理をするために、訴訟関係人に多数回の期日をあらかじめ予定してもらうように働きかけて、複数の期日を一括指定するなどしております。
 もとより、こういう重大、大規模な事件をどのように審理していくかということは、これは個々の事件を担当する受訴裁判所の問題でございますけれども、最高裁の事務当局としましても、審理を担当している裁判所を援助ないし補助するために司法行政上できるだけの措置をとってまいりたいと考えております。
#102
○橋本敦君 その司法行政上の措置の一つとして検察庁は、人員増を来年度要求ということで、そこまでも組み込んで検討されておりますが、裁判官の増員という問題は直接かかわって御検討になっていませんか。
#103
○最高裁判所長官代理者(高橋省吾君) この種事件の適正迅速な審理のために具体的などのような措置をとるかどうか、それにつきましては現在の段階ではまだ申し上げるような状況でございませんので、その点御理解をいただきたいと思います。
#104
○橋本敦君 もう一つ、迅速な審理のためには弁護人の問題があると思うんです。私選弁護人がある場合はそれでよろしいですが、そうでない場合は、憲法上当然の要請として国選弁護人をつけなくちゃならぬ。この国選弁護人については、日弁連あるいは当該単位弁護士会に対して裁判所から特別に要請をしていただくなり、選任について支障がないように、そしてまた普通ならば一人の弁護人ということですが、事件の難易に応じては、重大性に応じては国選弁護人といえども二人ないし三人ということもこれは被告人のためにあり得る、そのことが訴訟進行にもまたプラスになるという場合もあります。そういう点も含めて御検討になっているかどうか。
 それからもう一つは、国選弁護人の報酬問題で、かねてからその引き上げを日弁連が要望し、私どもも議論してきたこともあるんですが、このオウムの事件について選任される、国選弁護を担当する弁護士の報酬については、これは本当に大変な事件ですから、一般的な報酬基準の引き上げをまつまでもなく、特段の配慮をする必要もあるのじゃないかという点もあります。こういった問題について検討されているでしょうか。
#105
○最高裁判所長官代理者(高橋省吾君) 御質問の第一点でございますけれども、委員御指摘のように、国選弁護人は通常一名でございますけれども、受訴裁判所が事案の重大性、それから複雑困難性、あるいは取り調べが予想される証拠の分量、被告人の立場や争い方などを考慮して複数の国選弁護人を選任することは可能であると考えております。実際にオウム真理教関連事件においても、地下鉄サリン事件等で起訴された被告人に対して二名ないし三名の複数の国選弁護人を選任している例がございます。
 御質問の第二の、国選弁護人に対する報酬額の点でございますけれども、この報酬額につきましては、受訴裁判所が事件の難易、当該弁護人の訴訟活動の状況、それから開廷回数その他の事情を総合的に考慮して決定するものでございます。で、最高裁事務当局としては具体的な事件に関する報酬に関してお話しできる立場にないことを御理解いただきたいと思いますけれども、今回の一連の事件につきましては、その事件内容の複雑困難さ、あるいは弁護人の訴訟活動の負担等を考慮して、将来、受訴裁判所におきまして適正な報酬の支給決定がなされるものと考えております。
#106
○政府委員(則定衛君) 先ほどは失礼いたしました。
 その点につきまして調べました結果をお答えいたします。
 十月二十六日の麻原彰晃こと松本智津夫に対します公判におきましては、いわゆる地下鉄サリン事件、これは殺人事件です、それから施設内におきます信者リンチ殺人事件、それとチオペンタールナトリウム等の製造ということで薬事法違反、この三件について当日審理が行われると承知しております。
#107
○橋本敦君 いよいよ殺人事件という、まさに凶悪犯罪の核心に迫る裁判が行われるということで、審理の促進について、この点について要請すると同時に質問をしたわけです。再発防止という観点からいいましても、刑罰法令の適正な適用を早くやるということは本当にこの事件で大事であります。
 同時に、もう一つ問題になっているのは、オウム真理教の解散問題です。この問題については、私は、宗教法人法に基づく解散こそが本筋で、これを速やかにやるべきだという立場で、破防法の適用は絶対に反対ということでありますから、お隣の平野先生とは正反対の意見を持っておるわけです。
 それはともかくとしまして、現在、宗教法人法に基づく解散請求手続がかなり進行しておりますので、この裁判所の判断を早く仰ぐということが何より大事であるというように思っておりますが、検察官自身もそういう請求をして責任を持ってこの手続を進めていらっしゃるわけですから、裁判所の判断が一日も早く出るように検察庁としても特段の努力をされていることは間違いないと伺っていいのではないかと思いますが、どうですか。
#108
○政府委員(則定衛君) 御指摘のとおりでございまして、六月三十日に宗教法人法に基づきます解散請求を東京地方検察庁検察官の名前においても請求しておるわけでございます。これまで所要の資料等を積極的に提出しておるわけでございますが、現に裁判所におきましても、本年十月二日に現地の検証、それから六日には関係者の審尋ということで、もちろん検察官も参加をさせていただいたわけでございますが、そういうふうに進んできておるわけでございまして、検察当局といたしましてはできるだけ速やかに裁判所がいわゆる検察官の所期の目的の裁判をなされるよう期待しているところでございます。
#109
○橋本敦君 関係者も裁判所に対しても大変熱心に要請をしておりまして、きのうオウム対策弁護団が中心になりまして集めた署名二十二万五千、これを裁判官に提出をして早期の御判断を要請しているという、こういう状況になっているわけです。
 きょうは時間がありませんから、この解散に伴う手続について詳しく私は質問する時間がなくなったんですが、要するに法務大臣がおっしゃった基本的人権にかかわる重要な問題なので、法の要件、適用も含めて慎重にというその御判断にかかわって、この破防法がいかに基本的人権にかかわるという意味で重大な問題かという一点を指摘したいんです。
 まさに団体規制ということで、公安調査庁はひそかにいろんな団体に対して情報収集をやるという意味でまさに日本版CIAと言われているぐらいでしょう。それで我が党に対するさまざまなスパイ活動からも顕著なわけですから、皆さん御存じだと思いますが、法務大臣、職員上どういう団体に対して調査しているかお知りになることはできるかもしれませんけれども、法務大臣になられるまでは公安調査庁は一体どこにどういう調査をやっているか、これは全然御存じないんじゃありませんか。どうですか、簡単に、御存じかどうか。
#110
○国務大臣(宮澤弘君) お尋ねでございますが、率直に申しまして、法務大臣に就任いたします前は、余り具体的な事例その他、マスコミ等で承知はいたしておりますけれども、細かい知識はございませんでした。
#111
○橋本敦君 どこを調査すると発表してやるわけじゃないですから、ひそかにやるんですから、そういう意味では全く秘密政治警察的存在だというふうに私たちは言っている。それで我が党に対する調査だけじゃなくして、裁判官に対する情報収集までやったという事実があるんですよね。これは、裁判官が学者を呼んで研修なさった裁判官会合で一体どういう研修をしたのかそんなことを裁判官に対して公安調査庁は情報収集で接近をしてそれを知ろうとするという、こういう事件まで起こっている。これは最高裁に私は調べておいてほしいと言ったんですが、事実そういうことがあって、当時の矢口最高裁人事局長はまことに遺憾であるという抗議の趣旨の談話まで発表されているはずですが、間違いありませんか。
#112
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 何分、相当以前の事件でございまして細かいところになりますと定かでない点がございますが、私どもの現在承知しております事実関係で申し上げますと、昭和四十六年十月当時、裁判官の有志による懇談会に出席しておりました、当時、名古屋地裁に勤務しておりました裁判官が公安調査庁調査官から情報提供を求められたことがあったようでございます。これに対しまして、十一月十八日に当時の人事局長が、公安調査庁の公安調査官が現職の裁判官についてこういう懇談会に関する調査を行おうとしたことは遺憾である、こういう談話を発表した事実はございます。
#113
○橋本敦君 法務大臣、お聞きのとおりなんですよ。裁判官に対してまでそういうことをやるというのだから、本当にこんな憲法と両立する法律じゃないんですよ、破防法なんて。だから、まさに法の要件と言うけれども、憲法との関係において、おっしゃった基本的人権との関係において、こんな法律を適用してよいのかどうか、これは本当に真剣に考えていただかないと我が国民主政治そのものに重大な禍根を残すことになる。
 そういう意味で、きょうは時間がありませんけれども、法務大臣のそういった憲法上の問題としての慎重な厳正な御判断をぜひお願いしたいということで法務大臣の御意見を伺って、質問を終わりたいと思います。
#114
○国務大臣(宮澤弘君) 破防法の適用につきましては、破防法自身が公共の安全を確保するということを目的として、暴力主義的な破壊活動を行った団体を規制するのが目的でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、基本的人権に大変深い関係がございますから、法の適用につきましては慎重かつ厳正な対応をしていかなければならないと思っております。
#115
○橋本敦君 最後に一点だけです。
 検察庁に伺いますが、ちょっとこれは私は、週刊誌に出たからそのとおりということで、検察庁に究明するという質問じゃないんです。
 私、週刊誌を読んでいますと、大蔵省の中島元主計局次長に関する接待問題で、その中島さんの最大のスポンサー、「ナニワの金融王」と言われたノンバンクECCの代表者、この方に大阪地検特捜部の検事十名以上がごちそうになった、こういう報道があるんです。こんなこと、私、本当かどうかよく知りませんが、そういうことがあっては検察の威信にかかわりますし、こんなことはないと思うんですが、こんな報道を御存じでしょうか。
#116
○政府委員(原田明夫君) 本日発売されました週刊誌にただいま委員御指摘のような事実に関する記事が掲載されたと聞いております。ただ、私自身まだその記事を詳細に検討したわけじゃございませんが、必ずしもあの記事自体が大阪地検の関係者が委員御指摘の人物に接待されたということで書いているようには受け取れない面もあるというふうに承知している、なかなか微妙な言い回しをしているものだというふうな報告を受けております。
 しかしながら、ただいま委員から御指摘もございましたように、週刊誌でそういうことに関する記事が出されたようでございますので、その内容をよく検討させていただきました上で、必要があれば事実関係を確認するなどいたしまして、適切に対応させていただきたいと思います。
#117
○橋本敦君 終わります。
#118
○本岡昭次君 本岡でございます。
 もう私の準備しておりました質問は大方出ましたのでやめてもいいんですが、せっかくいただいた時間ですので、角度を変えて質問いたしますので、ひとつよろしくお願いします。
 私も法務委員会は初めてでございます。そこで、初めに大臣にちょっとお聞きするんですが、宮澤大臣、今は改革の時代だと、こう言われております。司法、立法、行政すべてにわたっての改革も必要ですし、経済的にもまた教育の分野でもすべてで改革をしなければ新しい時代に対応できないという状況にあります。
 そこで、ある記事の中にこういう言葉がありました。新聞だったと思うんですが、司法も従来のような貧弱な司法制度のままで新しい規制緩和とか規制撤廃するとか国際化の激動する時代の中にこのまま入っていったら、ブレーキのきかない車に乗っているような不健全な社会になってしまうんではないか、こう書いてある。
 私は、司法は改革せぬでもいいということにはならぬと思いますし、司法も当然改革問題を提起されておると思うんですが、文字どおり、ブレーキのきかぬ車に乗って不健全な社会へふらっと入ってしまうということに、ほかの仕組みが変わっているのに司法が、だから司法は逆に言えば、そういう新しい仕組みをつくる社会よりもう一つ、一歩前へ出て改革して、社会が変わるものを待ち受けるぐらいの立場でなければいかぬじゃないですか。
 ところが、先ほどの話を聞いておると待ちの姿勢ですよね、完全に。驚きました。二十年間も検事が一人も増員されない。なぜかといって私も質問したかった。先ほどの答えを聞いておると、何ですか、任官者を得ることができなかった、二十年間も。定員増をしてもらえる要件はあったんだけれども、任官者がなくて二十年間もそのまま放置しておった。私はこんなことが許されるのかなと。裁判所とかあるいはああいう中に入っておれば、これはもう一般社会から隔絶された真空地帯みたいなものだろうなと思います。常識では考えられないようなことが起こっているんですよね。
 どうですか大臣、司法制度の改革、このテーマをやっぱり大臣としてしっかり受けとめていただいて、果敢にこれをやっていただかなければならぬのじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#119
○国務大臣(宮澤弘君) ただいまおっしゃいましたように、我が国の社会は最近非常に激しく動いております。先ほど来お話がございました規制緩和の問題も、あるいは社会の国際化というような面もまたその一つのあらわれではなかろうかと思っております。
 そういった意味でも、国民の法的な需要と申しますかニーズと申しますか、今後ますます増大するものと考えられますので、これに対応いたしますことをおっしゃいますように考えていかなきゃならない。例えば、各種の紛争解決制度の適正な運用というものを確保いたしまして、ともに先ほど来お話がございました法曹人口の増加というようなこともその中に含まれる重要なテーマではなかろうかと思っております。
#120
○本岡昭次君 今、法曹人口という言葉が出ました。私も初めてこの法曹人口という言葉の意味をここの委員会に出るために勉強しました。
 それで具体的に、G7にかかわる先進国、アメリカとかイギリスとかドイツとかフランスとかそういう国々と比べて一体どうなのか。私の得た情報では、アメリカの二十二分の一だとかあるいはイギリスの十分の一だとか、ドイツの七分の一であるとかフランスの四分の一であるとか、こう言われておるんですが、これは事実なんですか。
#121
○政府委員(永井紀昭君) 判事、検事、弁護士のそれぞれの人口につきましては、国によって制度が異なっておりますために単純に比較するのは非常に難しゅうございます。
 ただ、法曹人口、今御指摘のありましたとおり、アメリカはやや多過ぎるという逆の批判はあるんですが、日本の今おっしゃったように二十倍以上の人数がいるわけです。それからイギリスも十倍という、それからドイツでも、人口比でございますが七倍、あるいはフランスが比較的少なくても日本の四倍と。したがって、世界的に非常に少ない国は、我が国と韓国が非常に少ないようでございますが、ただ韓国も司法試験の合格者を急いで増加させようという、こういう動きが出ている、そういう状況でございます。
#122
○本岡昭次君 その司法試験に合格する人が少ないからこの法曹人口というものが外国に比べて低いんですか。日本人の知能程度ということにかかわってくるんですか。
#123
○政府委員(永井紀昭君) 決して日本人の知能程度が低いという問題ではございません。
 これは、実は司法試験という試験制度は二つの面を持っておりまして、一つは本来資格試験的なものであったはずなんです。ところが実際は、合格した後二年間修習をさせるという制度になっているわけです。それでやっと法律家の卵を養成して、裁判官、検察官、弁護士に行かせるという、その二年間の修習制度があるわけです。その修習制度を預かっているのが最高裁判所で、司法研修所というところがございます。そこで二年間教育するんですが、その修習のやり方が非常にマン・ツー・マンで丁寧にやるものですから、一挙にたくさんの人間を試験合格させて入所させられないという、いわば入所試験的な要素もあるという、こういう現実があったわけです。ずっと最近まで年間の合格者は五百人程度に抑えていたものですから、合格率が、二万二千人ぐらい受けても五百人しか合格させていないという、そういう現状があったわけでございます。
#124
○本岡昭次君 そうすると、それは仕組みの問題だということになるわけですね。そうすると、その仕組みを改革すればいいわけじゃないですか。
 それで、こんなアメリカの二十二分の一とかイギリスの十分の一とかドイツの七分の一、こういう状態から脱して、やはり欧米諸国と法曹人口についても肩を並べられるように一日も早くやってください。
 それから、貧弱な司法制度の象徴的なこと、先ほどもちょっと千葉委員の方から出ましたけれども、この法律扶助制度というものですね。この法律扶助制度というのも、簡単に言えばこれは国民が裁判を受ける権利を保障するための制度だと私はこう思うんですが、そういう理解でいいですか。
#125
○政府委員(大藤敏君) 委員が御指摘されましたとおり、法律扶助制度は国民の裁判を受ける権利を実質的に保障する制度でございます。
#126
○本岡昭次君 とすれば、その制度が充実している国は国民の裁判を受ける権利をよりよく保障しようとする国であり、それが非常におくれて貧弱な国は国民の裁判を受ける権利をないがしろにしておると言うたら大げさかもしらぬけれども、それに近いような状態だと言ってもいいわけだね。
#127
○政府委員(大藤敏君) 我が国の法律扶助制度につきましては、委員が今お話をされましたようないろいろな問題点の御指摘があることは私どもも十分に承知いたしております。
 ただ、この法律扶助制度を評価するに当たりましては、それぞれの国の民事訴訟制度、訴訟事件の数、弁護士の数、さらには法律扶助制度でどのような紛争が解決されているのかというような、法律扶助制度を取り巻くいろいろな事情を総合的に考慮しなければならないというふうに考えております。
#128
○本岡昭次君 それで、私の手元にある資料で申し上げてみます。これは一九九一年度の法律扶助国際比較表というものです。
 根拠法というのをイギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、韓国はそれぞれ持っております。例えば韓国は法律救助法。ところが日本はありません。根拠法そのものがないんです。そして、実施内容及び規模、支出額合計、国庫の負担といろいろあります。支出額を見ますと、日本は事業費として十二億円です。韓国が七億円、フランスが百億円、ドイツが三百五十五億円、アメリカが六百四十六億円、イギリスが二千三百億円という金額で、これを国民一人当たりの国費負担で見ていくと、日本は一円、韓国は十五円、フランスは百七十七円、ドイツは五百七十円、アメリカは百六十四円、イギリスは三千四百七十三円、こういうふうになっておるんです。それで、国庫の負担を見ても、日本はしたがって一円ですから一億三千八百四十九万円、こういうことであり、最も多いイギリスは千九百億円。
 これは、先ほど言ったように、それぞれの制度の違いがあるといっても、余りにも差があり過ぎるのではないかというふうに思うんですが、このことだけをもって私が貧弱など、こう言えば言い過ぎになるかもしれません。だけれども、なぜこのように他国と違うのかということは、これは非常に大きな疑問を持つわけなんですが、宮澤大臣も、こんな数字を私が今読み上げて、認識されたのは初めてじゃないかと思うんですが、こういうことはどういうふうにお考えですか。
#129
○国務大臣(宮澤弘君) ただいま数字のことをおっしゃいましたけれども、私もその数字、そんなに違うものかなという感慨を持って伺っておりました。
#130
○政府委員(大藤敏君) 法務省におきましては、我が国の司法の現状と将来の状況を踏まえまして、法律扶助制度のあり方を調査し研究する必要があるというふうに考えております。そういう観点のもとに、昨年の十一月に法律扶助制度研究会を発足させたところでございます。
 そして、この研究会におきましては、我が国の司法制度に適合した望ましい法律扶助制度のあり方などについて、法律扶助制度の理念、現行制度の現状と問題点、さらには外国の諸事情等を調査して分析しながら、現在鋭意本格的な検討を行っているところでございます。なお、外国の制度あるいはその事情につきましての調査分析の結果につきましては、それがまとまった段階で研究会に報告される予定になっております。
 また、委員が心配されておりますように、法律扶助事業の重要性にかんがみまして、真に法律扶助を必要としている者が扶助が与えられないで救済されないというような事態が生じないように、今後ともこの制度の充実強化のために努力をしてまいりたいと考えております。
#131
○本岡昭次君 時間に協力する意味で最後に大臣にお伺いして終わりますが、先ほども議論にありましたように、私も含めて裁判所に行くとかいうようなことは、自分が裁かれる立場でなくとも何となく距離を置きたいという感じがあります。これは国民の中にも多くあると思うんです。弁護士さんとの関係もそうだと思うんです。
 しかし、これからは僕はやっぱり規制緩和の時代で、それぞれ自由に自分の持つ能力を発揮して競争して、そして精いっぱい自分の最大の幸福を自分が受け取ろうと。しかし、それにはルールがありますよ、お互いに公平にやらにゃいけませんよ、透明でなければいけませんよというのがあるんですよね。しかし、公平か、公正か、透明かルールに反しているか反していないかという問題をだれかが判断をするというのかやっぱりそれが必要に今まで以上になってくると思うんですよ、規制がなくなるんですから。
 だからそういう意味で、いわゆる訴訟社会というんですかそういう時代にどんどんと入ってくる。裁判所とかいうようなところも、今までは何となく距離を置きたかったところがそうでなくなるという時代が来ると思うんですよ。だから僕は、裁判官自身も従来のように建物の中に閉じ込もって法律の中だけで物を見ておっては間違いを起こすようになってくるし、そういうふうにやっぱり社会が、訴訟社会という言葉がいいのかどうか知りませんが、少なくとも僕はそういう社会に入っていくと思う。
 そういう意味で、そうなったときにいわゆる裁判を受けるのにお金が要る、弁護士さんとあれせにゃいかぬというそういうときに、経済力によって差が生じたらこれはだめなわけですから、そういう意味でさっきの法律扶助制度というんですか、そういうものがしっかりと社会の中に根づいていかなければならぬ、こう思うんですよ。
 そのほか、医療の面でも補助を受けているじゃないですか、生活保護でも。全部そういうものがあるわけで、訴訟をしたい、どちらがいいか悪いか裁判所で裁きをつけてもらいたい、弁護士に相談したい、しかしそのことはお金がないからできないという状態を続けたらいかぬわけで、そこをどうするかという問題はこれから積極的に改革していく僕は大事な視点ではないか、こう思っておるんですが、大臣のひとつ所見をいただいて、質問を終わります。
#132
○国務大臣(宮澤弘君) 私は、今仰せになったことをそのとおりだと思います。規制緩和というような面から申しましても、規制を緩和された結果、やはり人と人とが直接接触をするという機会が非常にふえてきて、しかもその場合に摩擦が生じますれば、その解決は最終的には司法的な解決ということにならざるを得ない。そういう社会ということを今後予測をすることは決して間違いではないと思います。
 そういう意味から申しましても、国民が司法に、私は余り片仮名の言葉を使うのは好きじゃございませんが、容易にアクセスできるようにということを今後あらゆる面で考えていかなければならない、こう思っております。
#133
○本岡昭次君 終わります。
#134
○委員長(及川順郎君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですから、これより直ちに両案の採決に入ります。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#135
○委員長(及川順郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#136
○委員長(及川順郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#137
○委員長(及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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