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1995/11/08 第134回国会 参議院 参議院会議録情報 第134回国会 本会議 第9号
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1995/11/08 第134回国会 参議院

参議院会議録情報 第134回国会 本会議 第9号

#1
第134回国会 本会議 第9号
平成七年十一月八日(水曜日)
   午前十時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十号
  平成七年十一月八日
   午前十時開議
 第一 科学技術基本法案(衆議院提出)
 第二 高齢社会対策基本法案(第百三十二回国
  会本院提出、第百三十四回国会衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、租税特別措置法の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 一、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力
  及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区
  域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に
  関する協定第二十四条についての新たな特別
  の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との
  間の協定の締結について承認を求めるの件
  (趣旨説明)
 以下議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(閣法第一号)について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。武村大蔵大臣。
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(武村正義君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近における社会経済情勢にかんがみ、株式市場の活性化の観点から、上場会社等による利益をもってする株式の消却の促進を図るため、上場会社等が株式の利益消却を行った場合のみなし配当について、特例措置を講ずるものであります。
 まず、上場会社等が、利益をもってする株式の消却を行った場合には、その消却された株式に対応する資本の金額のうち消却されなかった株式に対応する部分の金額については、みなし配当課税を行わないこととしております。なお、法人株主については、受取配当として申告することを選択できるものとしております。
 次に、公開買い付けによる株式の消却に応じた個人株主が交付を受ける金銭の額のうち資本等の金額に対応する金額を超える部分の金額については、みなし配当課税を行わず、株式の譲渡による所得として課税することとしております。
 これらの措置につきましては、この法律の施行の日から平成十一年三月三十一日までの間に、利益をもってする株式の消却を行った場合について適用することといたしております。
 以上、この法律案につきまして趣旨を申し上げた次第であります。
#6
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。直嶋正行君。
   〔直嶋正行君登壇、拍手〕
#7
○直嶋正行君 私は、平成会を代表して、ただいま提案のありました租税特別措置法の一部を改正する法律案と関連する諸問題について、村山総理並びに関係大臣にお尋ねいたします。
 政府は、過去数次にわたり総額四十五兆円にも上る景気対策を行い、また、公定歩合の引き下げも延べ九回、今や○・五%という最低水準に達しております。にもかかわらず、景気はいまだ回復軌道に乗っているとは言えず、企業にも国民にも奇妙な閉塞感、無力感が蔓延しつつあると言えます。
 村山総理は、みずからの内閣を景気回復内閣と言っておられますが、現下の日本経済の危機的状況にかんがみたとき、これまでの政府の対応は果たして適切であったのかどうか。その答えはノーと言わざるを得ません。
 例えば今般の経済対策にしても、規模はともかくその内容面で見る限り、相変わらず旧来型の公共事業を従来どおりの配分で組み立て、また、タイミングも完全に失しており、とりわけ問題の核心ともいえる金融機関の不良債権問題や金融不安に対しては適切な手だてを示せず、問題を先送りしていることであります。
 そこで、質問に移らせていただきます。
 初めに、自己株式の利益による消却の際ネックとなっていたみなし配当課税の特例措置についてお聞きをいたします。
 今回の措置は、制度に実効性を持たせる点で意義があり、基本的に政府案に反対するものではありません。しかし、平成六年の商法改正時点で既に問題はわかっていたはずであり、七年六月の政府の追加景気対策にもうたわれている経緯からすれば、なぜ新進党が同じ法案を出したさきの国会において決めることができずここまで時間がかかったのか疑問であります。野党の提案であるがゆえに意図的に先送りしたのであるならば、与野党が前向きに議論し合う議会政治の根本を問われることになります。また、そうでないとするならば機動力のなさを問われるものでありますが、村山総理、いかがでしょうか。御見解をお伺いいたします。
 また、自社株買いをする企業がどれだけ出てくるかが今後のポイントになると思われますが、行政の立場から企業等に対しどのような理解活動を進められるのか、大蔵大臣にお聞きします。
 自己株式の消却と同様に税制がネックとなるのが、過日導入が決定したストックオプション制度であります。
 これは会社が役員、幹部社員に対して自社の株を買い取る権利を付与する制度でありますが、権利行使の際、実際には現金化しない所得に課税されるため、納税資金を捻出すべくすぐ株を売却してしまうので、制度の趣旨が生かされないおそれがあります。まさに仏つくって魂入れずとはこのことで、せっかく制度をつくっておきながら、ネックとなる部分に手をつけないばかりに効果を発揮できない。
 先ほどの自己株式の消却もそうでありますし、後に触れる土地対策も同様でありますが、村山内閣の政策にはこうしたちぐはぐが極めて多い。これは内閣が一丸となって日本経済を回復させようという意欲もリーダーシップも欠落しているからではないかと思います。総理の御見解があればお伺いいたします。
 ストックオプションについては、課税時期を株式売却時に繰り延べ、キャピタルゲイン課税のみ適用すべきと考えますが、大蔵大臣並びに通産大臣の御所見をお伺いいたします。
 また、今回の措置は、ベンチャー企業への特例のため、通産省が認めたわずかな企業しか対象とされておりません。しかし、新産業を創造し経済を活性化するためにも広く一般的な制度とすべきと思いますが、通産大臣と、あわせて、商法を所管する法務大臣にもお伺いいたします。
 税制について、もう一点お聞きします。
 新進党は、証券市場の活性化、証券市場の国際的調和、資本市場の空洞化対策、景気対策の観点から、有価証券取引税の三年間凍結を提言しております。株式の課税についてはさまざまの議論がありますが、有取税のみを景気対策として臨時異例的に切り離して考えることも必要ではないかと思います。
 税制の改正は常にプラスとマイナスを伴うものであり、フランスでも有取税の撤廃が効果を上げた前例があり、また、四千六百億円の増収という民間の試算もあります。有取税による四千億円の目先の税収も大切ですが、我が国経済を回復軌道に乗せ、中長期的に税収を増大させるということも必要であり、まさにそこを決断することこそ政治決断というものではないでしょうか。総理、あなたはどのような決断を下されるのでしょうか、お伺いいたします。
 現在の経済不況を立ち直らせるために、早急に検討すべき課題があります。
 不動産市場の低迷は、金融機関の不良債権処理にも影響を与え、景気回復の足取りを重くしております。一刻も早くバブルを清算するために土地を売却したいが、税金の負担を考えると売ることができないという企業の声をよく耳にします。
 新進党は、今日の日本経済を活性化させるためのカンフル剤として、三年の時限措置として、長期保有の土地譲渡益課税の軽減を初めとする土地税制の緩和を提言しております。
 土地譲渡益課税の軽減については、昨年自民党が同様の提案をし、また、さきの自民党総裁選の折、橋本副総理は、地価税凍結、固定資産税軽減を含め、土地の保有税や譲渡益課税、有価証券取引税などの証券税制、法人税などの企業税制を抜本的に見直しますと公約して自民党の総裁となられました。
 橋本副総理、あなたは自民党総裁として公約実現に向けどのように取り組むおつもりですか、お伺いをいたします。
 また、橋本副総理の公約について、ともに連立内閣を組む村山総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、土地政策に関連して、不良債権の担保不動産の問題について伺います。
 共国債権買取機構は不良債権の担保物件を処分するために設けられましたが、平成五年三月の業務開始以降、本年九月現在までの累計で、買い取り価格四兆三千億円に対し回収実績二千七百億円と、思うように処分が進んでおりません。
 せっかくの処理機関が機能しない理由は何か、複雑な権利関係をどう整理するのか、地上げ途中の不整地をどう活用するのか、そのための関係規制の見直しはどうするのか、非常に難解な問題ではありますが、政府の経済対策には具体的な方策は示されておりません。
 総理、難しいから先送りしているのでしょうか、それとも優先順位が低いから後からでもよいのでしょうか。
 一口に土地の流動化や不動産市場の活性化と言っても、正常物件、不良債権の担保不動産、公共襲用地、ビルの事務所需要などさまざまであります。政府は土地政策においてどこをターゲットとしておられるのか、また、経済を活性化するためにどのような優先順位をつけ、どこに重点を置いて取り組もうとされているのか、総理にお聞きをいたします。
 次に、金融機関の不良債権問題や、大和銀行事件などによる邦銀の国際的な信用の失墜について伺います。
 今回、アメリカ金融当局が大和銀行に対してとった米国内における業務終結命令は、同銀行を存亡の危機に陥らしめるものであり、住友銀行が合併を視野に入れた支援によって救済せざるを得ないほど深刻な事態であります。
 先日、大蔵大臣は、事件処理に対する日米の慣習の違いがわかり勉強になったという趣旨の答弁をされたそうでありますが、大臣が単に慣習の違いだけでこの問題をとらえているとすれば、国際社会のルールをまだまだ十分に理解されておられないと言わざるを得ません。
 国際経済社会において、何よりも守られなければならないのは公正な競争秩序であり、何よりも憎まれるのはアンフェアな態度であります。そして、それらを犯す者は厳格な処罰の対象となるのが国際経済社会のルールであります。
 大和銀行がここまで追い込まれたのは、巨額の債券不正取引の罪もさることながら、むしろ企業ぐるみで隠匿しようとしたアンフェアな行為を問題視されたからにほかなりません。それだけに国際社会における信用の失墜ははかり知れないものがあり、こうしたことがジャパン・プレミアムとして邦銀の資金調達に支障を来し、悪影響を与えています。
 さらには、日本の金融当局も、アメリカに対する報告が一カ月おくれたことが二重に問題視されており、金融行政の閉鎖性と不透明性は大いに問われるべきであります。
 この事態の重さと国際経済社会におけるルールに関する認識について、総理はどのように理解されているのか、御所見をお伺いいたします。
 また、村山政権においては、不良債権問題を初めすべてにわたって言えることですが、事件が起きた背景や事実関係の分析をあいまいにしたまま、表面的な対策で責任を果たしたかのようにお茶を濁し、本質的な部分に踏み込もうとしない体質があります。
 今回の事件の本質は、銀行の管理体制の甘さもありますが、その甘さを生んだ金融当局と金融機関とのもたれ合い体質及び国際ルールの中にそれを持ち込もうとした国際感覚の欠如にあると考えます。そこに踏み込まずして失墜した日本の金融機関の信用回復はあり得ないと考えますが、大蔵大臣の御認識をお聞きいたします。
 次に、最近の低金利政策についてお尋ねいたします。
 九五年一月に一・八%程度あった一年物定期預金の金利は今は○・三五%程度に低下し、個人の金融資産残高五百九十七兆円に対して、単純計算でも預金者は年九兆円の得べかりし利益を失っています。九兆円といえば、政府のおっしゃる経済対策の真水部分八兆円にも匹敵する、それを上回る規模であります。
 経済対策に巨額の資金をつぎ込む一方で、預金利息九兆円の減収は、消費マインドを冷やし、経済にとってマイナスに働いている可能性は否定できません。
 大蔵大臣は、かなりの銀行が自力で不良債権を処理できるとされていますが、低金利を背景とした好調な業務純益が寄与していることは確かです。しかし、銀行のバランスシートは改善はされるものの、担保土地は動かず、実体経済へのキャッシュフローは起こりません。
 公的資金の定義はいろいろ言われますが、低金利による減収は、国民の負担という点で、形を変えた公的資金もしくは公的支援と言えます。公的資金は金融システム維持が目的であり、銀行救済が目的ではないと言われていますが、低金利による公的支援はまさに銀行救済ではありませんか。
 政府は、低金利政策をどう評価し、国民の負担をどう認識しておられるのか、総理にお聞きをいたします。
 最後に、今日までの村山政権を評価すれば、行政改革は単なる特殊法人の数合わせに終わり、規制緩和は中途半端、羽田政権が一たん凍結した公共料金の値上げは安易に認め、経済対策に至っては冒頭述べたとおりのありさまであります。
 一方、政治の最低限の使命が国民の生命と財産を守ることとするならば、ことし初めの阪神・淡路大震災の初動体制のおくれも十分に反省せず、国民を震憾させたオウム事件の全容もいまだに明らかにされていません。
 また、さきに述べた金融行政の国際感覚のずれと政治のリーダーシップの欠如、及び沖縄米軍基地問題においては、日米安保体制のあり方が国民注視の状況にあるにもかかわらず、国民の前で十分に議論されていないのが現実であります。
 以上述べましたとおり、村山政権が政治のこうした喫緊の課題である重要問題に対し本腰を入れて取り組んでいるとは到底思えず、国の根幹をなす基本政策すら国会での議論を避けて通る姿勢が明らかであります。このことは、ひとり私だけではなく多くの国民が感じているところでもあります。
 現下の情勢にかんがみて、国家国民のための真の政治を取り戻すためには、村山総理、総理がこの重大な責任を自覚し、一刻も早く国民の信を問うこと以外選択の道はない。このことを強く申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(村山富市君) 直嶋議員の質問にお答えを申し上げます。
 第一の質問は、みなし配当課税についてのお尋ねでありますが、今回のみなし配当課税の特例の検討に当たりましては、自己株式の利益消却は我が国企業にとって初めての経験であること、実効性ある仕組みとする必要があること等にかんがみまして、企業・業界の実態等の把握に十分努力をしてきたところでございます。その結果、企業・業界の実態等を十分反映した全体として実効性ある制度を仕組むことができたと考えており、これを織り込んだ法案の提出が遅過ぎるという御指摘は当たらないものと考えております。
 次に、税制がネックで制度が活用できないという御質問でございますが、そもそも税制につきましては、適正公平な課税を念頭に置きつつ、これまでも社会経済情勢の変化に対応して適時適切な措置を講じてきたところでございまして、政策にちぐはぐな面があるという指摘は当たらないと考えております。
 ストックオプションが導入された場合の税制について、現行の税制上の取り扱いがストックオプションの魅力を減殺することにならないかといった指摘でございますが、例えば公平の観点から、経済的利益相当額を現金でもらった人との税負担上のバランスをどう考えるかなど、検討すべき問題があるところであり、いずれにいたしましても、八年度税制改正の論議の中で検討していく問題であると考えております。
 土地税制に関しましては、種々の意見があることは御承知のとおりでありますが、今後、政府としては議論を積み重ねる必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、土地税制につきましては、土地政策との関連を含めた幅広い観点から、平成八年度税制改正において結論を得るべく、総合的かつ積極的な検討を行ってまいりたいと考えております。
 また、今般、みなし配当課税の特例を提案しておりますが、ただいまお答えを申し上げたとおり、企業・業界の実態等を十分反映した全体として実効性のある制度の仕組みになっていると考えており、自己株式の取得・消却を短期に集中さ世、市場活性化に資するものと確信をいたしておるところでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
 次に、有価証券取引税を凍結すべきではないかとの御質問でありますが、これに関しましては、有価証券取引税の凍結が株式市場の活性化に資するのかといった効果の観点、株式取引に係る税負担の公平確保の観点、代替財源確保の観点などからさまざまな議論があることは御承知のとおりであります。
 いずれにいたしましても、有価証券取引税につきましては、政府としては、今後、株式等譲渡益課税を含めた証券税制全体の議論の中で十分検討を深めてまいる所存でございます。
 次に、土地税制についての御質問でありますが、土地税制につきましては、橋本自民党総裁の御見解を初め、連立与党内でもさまざまな議論があることは御承知のとおりであります。
 自民党としては、当然その政策の実現に向けて努力をされると思いますが、御案内のように、この政権は連立政権でありますから、各党が持っておる政策をそれぞれ率直に披瀝をし合い議論をし合って合意点を見出して、その実現に努力をしていく、こういう過程をとることになっておりますので、その点につきましては御理解をいただきたいと思います。
 次に、不良債権に係る担保不動産の処理促進に関する御質問でありますが、金融機関の不良債権の処理につきましては、共国債権買取機構の設立や償却・引き当ての改善等、その環境整備に努めてきたところでございます。今後、担保不動産等の流動化などに向けた努力が一層要請されておるところでございます。
 こうした観点から、政府としては、共国債権買取機構が保有する担保不動産に関する情報提供の一層の拡充等、金融機関等の保有する担保不動産等の流動化策の拡充を図るとともに、新たな流動化方策について検討を進め、可能なものからその活用を促してまいる所存でございまして、先送りする考えはないことは申し上げておきたいと存じます。
 次に、土地流動化等の土地政策についてのお尋ねでありますが、現在の土地を取り巻く状況は、景気回復のおくれによる実需の低迷に加え、不良債権処理の問題などから土地取引が停滞しているとともに、十分活用されていない土地が多く存在することが問題となっております。
 土地政策の観点から、適正かつ合理的な土地利用が実現されるよう土地の有効利用を促進することが必要であり、特に景気回復の観点から、今般の経済対策に盛り込まれた大都市地域に重点を置いた公共用地の取得や民間都市開発推進機構による土地取得など、各種の土地有効利用促進策を積極的かつ総合的に推進しておるところでございます。
 次に、今回の大和銀行の問題についての御質問でございますが、従業員の不正行為に加え、銀行による不適切な業務運営が指摘をされ、大和銀行が米国金融当局から極めて厳しい措置を受けるに至ったことはまことに遺憾でございます。
 今回のような海外拠点の問題については、相手国の考え方やそこにおけるルールを十分認識し、今後はこうしたことが起こることのないよう関係者の厳しい一層の努力を求めたいと考えております。
 次に、低金利政策をどう評価し、国民の負担をどう認識しているかとのお尋ねでございますが、厳しい経済情勢のもとでは、金利の引き下げは景気の早期回復を通じた国民生活の向上をもたらす効果があることを御理解いただきたいと思います。
 また、先般の公定歩合の引き下げは、国内景気、金融市場の動向等を総合的に勘案をして決定されたものでございまして、日本銀行が金融機関の救済を目的としてこうした措置をとったものとは考えておりません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣武村正義君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(武村正義君) まず、この法律の改正によりまして、実際に自己株式の取得・消却がどの程度行われるのかとの点でありますが、基本的には個々の企業の経営者の判断、ひいては株主の判断にゆだねられるものでございます。
 確定的なことは申し上げられませんが、例えば通産省が行ったアンケート調査によりますと、みなし配当課税が凍結された場合、七割を超える企業が自己株式の取得を検討する、あるいは場合によっては検討するとしておりまして、相応の企業の積極的な取り組みが期待されるところでございます。
 大蔵省としましては、自己株式の利益による消却は、会社の利益を株主のために使い、株主に目を向けた経営を行うという点で画期的であると考えられますし、昨年十月の商法及び証券取引法の改正以来、これまでも機会のあるたびに経済界に対しその積極的な実施を要請しているところでございます。
 さらに、今回のみなし配当課税の特例措置を講ずるとの政府の決定を受けて、経済界においても積極的な取り組みの機運が盛り上がってきているところでございます。今後とも経済界に対しその積極的な実施を要請していく考えでございます。
 ストックオプションが導入された場合の税制についての御質問でございますが、現行法上、役員や従業員がストックオプションの権利を行使いたしますと、権利行使時の市場価格、例えば千円と仮定しますと、これが権利付与時の行使価格、例えばこれを百円としますと、この差額九百円が役員等への経済的利益となりますために、これに対して原則給与所得課税が行われることになるわけでありますが、この税制上の取り扱いについて、御指摘のように、通産省から、ストックオプションの魅力が減殺されるという趣旨からの要望が出されてきております。
 しかしながら、例えば公平の観点から、経済的利益相当額を現金でもらった人との税負担上のバランスをどう考えるかなど、検討すべき課題がございます。
 いずれにしましても、来年度の税制改正の論議の中で結論を見出してまいりたいと思います。
 次に、大和銀行の一連の事件につきましては、総理から御答弁がございました。まず、この事件について、まことに遺憾であります。
 大蔵省としましては、邦銀の海外拠点に対する監督のあり方などについてさまざまな論議があることを謙虚に受けとめ、今回の事件を貴重な教訓としなければならないと考えております。
 今後、海外拠点については、相手国の考え方にも十分配慮をし、誤解を生むことのないよう外国金融当局との一層緊密な情報交換に努めてまいりますとともに、海外拠点に対する監督、検査の充実を図っていくことによりまして、我が国金融行政に対する内外の信頼を確保してまいります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員から御指摘をいただきましたとおり、ストックオプション制度に係る税制につきましては、役員などがストックオプションの権利を行使いたしますと、現行税法上は、その時点における株式の時価と権利行使価格との差額が経済的利益とみなされ、その金額に対して所得課税がなされることになります。さらに、売却時点におきましては、譲渡価格と権利行使時点の時価との差額に対して譲渡益課税がなされるものと考えます。
 こうした取り扱いがされました場合には、権利行使時点においては現金収入がないにかかわらず課税されることになりますし、納税資金捻出のために株式の売却を行わざるを得なくなる、そんな場合があることも考えますと、ストックオプション制度の魅力が減殺されるおそれは確かにございます。
 こうした視点から、平成八年度税制改正要望といたしまして、権利行使時点での所得課税を株式売却時点まで繰り延べること、株式売却時に売却価格と権利行使価格との差額に対し譲渡益課税を行うことを内容とする特例措置の創設を通産省として要請をしているところであります。
 いずれにいたしましても、税制の中立性、公正性を前提としながらも、新たに導入する制度が効果を上げるような方策を考えていくことが必要なことであると私どもは認識をいたしておりまして、八年度税制改正の議論の中で税制当局と調整を図ってまいりたいと考えております。
 また、そのストックオプション制度を一般的に導入することにつきましては、株主平等原則や株主の利益保護の観点から、慎重かつ多面的な検討が必要であると私どもは理解をいたしております。
 今回、新規事業法におきまして新株発行の特例を設けましたのは、新規事業法の認定事業者は、新規事業育成の観点から政策的支援の必要性が高い、また、限られた資金の中で有能な人材を確保するための必要性が特に高いことにかんがみまして、株主の利益保護のための情報開示規定を整備した上で特例として認めることにしたものでございます。
 次に、土地税制等についてのお尋ねがございました。
 私は、自由民主党総裁として、先般、平成八年度税制改正案の作成につきましては、我が国経済の再活性化に資することを目的として取り組むこと、とりわけ土地税制に関しましては、取得、保有、譲渡の各段階において流動化を促進するために有効な緩和措置を講ずることとの指示を党に対して行ったところでございます。
 今後、政府・与党内で税制改正について鋭意検討を行っていく中におきまして、私としては、こうした方針に沿った自由民主党としての考え方を積極的に提示しながら、政府・与党内における議論を尽くしていきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣宮澤弘君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(宮澤弘君) ストックオプション制度を一般的な制度といたしますために商法の改正が必要ではないか、こういうお尋ねでございますが、いわゆるストックオプション制度は株主の権利保護等の面から幾つかの問題がございますので、これを株式会社一般について直ちに導入することは困難であると考えております。
 今回のいわゆる新規事業法の改正によりまして一定範囲で新株発行の特例が認められることになりましたが、この制度が企業にとってどのようなメリットを生ずるか、株主の権利との関係で弊害は生じないか等、その運用実態をも踏まえまして慎重に検討していくべき問題であると考えております。(拍手)
#12
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。        
#13
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件について、提出者から趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。河野外務大臣。
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(河野洋平君) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴う経費の日本側による一層の負担を自主的に図り、日本国にある合衆国軍隊の効果的な活動を確保するため、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を締結することにつき、平成六年三月以来アメリカ合衆国政府と交渉を行いました。その結果、平成七年九月二十七日にニューヨークで、私と先方クリストファー国務長官との間でこの協定に署名を行うに至った次第であります。
 この協定の主な内容としましては、まず、日本国が、この協定が効力を有する期間、日本国に雇用されて合衆国軍隊等のために労務に服する労働者に対する一定の給与の支払い及び合衆国軍隊等が公用のため調達する電気等の支払いに要する経費を負担することとしております。さらに、日本国政府の要請に基づき、合衆国が合衆国軍隊の行う訓練を他の施設及び区域を使用するよう変更する場合に、その変更に伴って追加的に必要となる経費を負担することとしております。この協定は、二〇〇一年三月三十一日まで効力を有するものとされております。
 この協定の締結は、日米安保条約の目的達成のため我が国に維持されている合衆国軍隊の効果的な活動に資するものであり、ひいては日米関係全般並びに我が国を含むアジア・太平洋地域の平和及び安定に重要な意義を有するものと考えられます。
 右を御勘案の上、この協定の締結について御承認を得られますよう格別の御配慮を得たい次第でございます。
 以上がこの協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
#16
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。高野博師君。
   〔高野博師君登壇、拍手〕
#17
○高野博師君 私は、平成会を代表し、ただいま趣旨説明のありました在日米軍駐留経費特別協定に関連して、総理及び関係閣僚に御質問いたします。
 その前に、去る四日、忌まわしいテロの凶弾に倒れたイスラエルのラビン首相の死に対し、我々平成会は、謹んで深い哀悼の意を表するものであります。
 歴史的な中東和平を推進してきた故ラビン首相の勇気と努力の功績を高く評価するとともに、道半ばで倒れたことは、イスラエルのみならず、中東の、そして世界の平和を望むすべての人々にとって損失であり、まことに残念であります。
 ところで、故ラビン首相の国葬には、クリントン大統領を初め世界の要人が参列されましたが、最高首脳としてはG7の中では村山総理だけが欠席したのであります。その理由を総理は、「国会があるものだから。行けなくて残念だが、まあラビン首相とはこのあいだ話したばかりだしね」と説明した由でありますが、私はこの発言を知って唖然といたしました。そして、この発言ほど村山総理の政治姿勢、外交感覚、人間性を象徴しているものはないと感じたのであります。欠席という事実どこの発言は、これまでの我が国政府の中東和平への支援の成果を損ないかねないほどの重大性を有しており、そして我が国が本当に中東また世界の平和に役立とうとしているのかどうか、世界から疑われかねないと思うのであります。
 そこで、総理、葬儀出席よりも優先すべき国内の緊急課題とは何だったのか、具体的に明らかにしていただきたい。もしそれが宗教法人法の改正であるとすれば、余りにも国際社会の中における日本の立場を認識しておらず、国際感覚、外交感覚が欠如していると断ぜざるを得ないのであります。総理の明確な答弁をお願いいたします。
 それでは、在日米軍駐留経費特別協定について伺います。
 御承知のとおり、東西冷戦終結後、世界情勢は激動しており、地域紛争、国際テロ、難民、貧困、麻薬、地球環境等、人類が抱える重大な問題が山積しております。これらの諸問題に対し、人類は英知を出し合って解決に努力し、共生共存の世界を構築すべきであることは論をまちません。私は、激動する国際情勢に対応するには、これまでの考え方、視点ではとらえきれないと思います。すなわち、我々は大きな発想の転換を迫られていると思うのであります。
 前述した諸問題、人類的課題は、いずれも国家という枠を超えて存在するものであり、しかしながら人間の尊厳というものに注目しなければ根本的な解決は望めないものであると思います。国連でも提唱しているヒューマンセキュリティー、すなわち人間の安全保障こそが二十一世紀のキーワードであり、国家の論理から人間の論理への発想の転換が必要であると思います。そしてまた、我々は、国家益から人類益を目指して国際貢献、国際参加を積極的に行うべきであります。そのような外交理念に基づいて、国際上の問題を大局的にとらえることが必要であろうと思います。
 さて、戦後五十年の大きな節目に当たり、先般、沖縄で忌まわしい暴行事件が起き、日米安保体制を揺るがしかねない状況にあります。しかしながら、我が国とアジア、そして世界の安定と繁栄のためには、日米安保体制が重要な位置を占めておることは疑いを入れません。しかし、国民は、冷戦後も何ゆえ日米安保が必要なのか十分理解しているとは言えません。それはいわゆる五五年体制というものが日米安保を是か非かの単純な構図に追いやってき、加えて、村山総理が率いる社会党が政権についた途端、一夜にして安保堅持を打ち出したことから国民は困惑しているのであります。その責任は総理にもあると思います。
 この際、総理または外務大臣から、日米安保の必要性、重要性につき国民にわかりやすく説明していただきたいのであります。
 私は、これまでの我が国政府は、一面では安保体制に安住し過ぎたのではないかと思います。自国の防衛は米国に任せ、基地は沖縄県に任せきりで、経済発展だけに専念してきたと思うのであります。しかして、米国に対しては外交的に物を言うべきときにも言えないでき、また世界からは一国平和主義、一国繁栄主義と批判され、さらにはアジア諸国からは、日本は経済大国にはなったけれども、外交のリーダーではないとも批判されております。
 我が国の安全保障政策は、日米安保の堅持、防衛力整備、そして国際政治の安定を確保するための外交努力の三つの柱から成っております。私は、本当の安全保障はまさにこの三番目の外交努力があって初めて確保されると確信いたします。
 激動する複雑な国際社会の中にあって、外交当局は、長期的な展望に立ち、柔軟な、多元的な、そして明確な方針を持って積極的な外交を展開していただきたいと要望いたします。
 日本は顔が見えないとよく言われますが、顔よりも言葉が見えないのであります。特に外交問題に関しては、明快な言葉で我が国の意見を示していただきたいと思います。
 さてそこで、政府は新特別協定を締結し、在日米軍駐留経費の負担を継続することといたしましたが、その締結の意義及び継続理由につき、総理にお伺いいたします。また、我が国の厳しい財政事情の中で訓練移転費を負担増する理由についてもお尋ねいたします。
 次に、沖縄の基地問題について質問いたします。
 米軍用地の使用権原の代理署名については、先日の総理と大田知事の会談の後明らかになったように、知事は署名を拒否しております。宝珠山前長官の言ったとおりになるのは皮肉でありますが、総理は最高責任者として日米首脳会談までにみずから法的手続の決断を下すべきであると思いますが、総理の御見解を伺います。また、沖縄の米軍基地につきましては、冷戦後の国際情勢の変化を踏まえ、日米安保体制の堅持を前提に基地の整理、統合、縮小を図るため総合的見地からの見直しを行うべきであると思いますが、具体的計画につきお伺いいたします。
 また、先般、米側の要人に、四万七千人もの軍人が駐留していれば犯罪は起こり得るものだという趣旨の発言がありましたが、これは先ほど述べたように、人間の論理を無視してはならないと思います。また、先日の沖縄県民総決起大会の決議の中に、沖縄の現実に政府がどのような抜本的解決策を提示し得るか注視している、戦後政治と日本の民主主義が試されることにもなるとあります。
 かかる観点から、また、国民の生命と財産を守るという基本的認識から、被疑者の身柄引き渡しに関する地位協定十七条五項(c)の規定は、単なる運用改善などというその場しのぎではなく、見直しを行うよう誠意を持って米側と話し合うべきであると思いますが、総理の御見解をお伺いします。
 そして、沖縄の基地問題は、米軍と沖縄の問題ではなくて、むしろ国内問題、すなわち沖縄対本土の問題であります。長きにわたって沖縄県民に過重な負担を強いてきた事実を踏まえ、今後その代償としての沖縄振興のための具体的な支援策について、総理及び防衛庁長官の見解をお伺いいたします。
 次に、核兵器の使用に関する国際司法裁判所の審理に伴う陳述についてお伺いいたします。
 長崎、広島両市長の陳述原案に対し、外務省は、核兵器使用は国際法違反という部分を削除修正させた旨の報道がありますが、事実関係をお伺いしたい。
 昨日、両市長は、法廷で違法性を明確に主張して、世界からも高く評価されております。ここで改めて、核兵器使用の違法性につき、外務大臣の見解を求めます。
 我が国政府は、フランスや中国の核実験に対しては反対の抗議をし、中国の場合は無償援助の凍結までの強い措置をとっております。一方で、核兵器使用については、これまで実定国際法上違法とは言えない等の見解を示してきました。一貫性がないと思います。我が国が本当に核のない平和な世界を望んでいるのであれば、核兵器使用の不当性を主張し、国際的な世論をリードしていくべきであり、それが唯一の被爆国としての人類に対する、また被爆者に対する責務であろうと思います。
 次に、テロ事件について質問いたします。
 先日、米国上院の公聴会でオウム真理教によるテロが取り上げられましたが、この無差別テロに対して日本と米国政府との適切な情報交換がなかったことが致命的な対応のおくれをもたらしたと関係者は述べております。また、来る日米首脳会談では、テロに関する国際協力について米国側から提案される可能性がありますが、日本側の対応の現状につき、総理にお伺いいたします。
 ところで、私は南米のある国に勤務しておりましたが、麻薬組織やゲリラ組織による誘拐、暗殺、無差別テロ等が連日頻発していた時期でありました。私は、直接現役のゲリラに会って治安情報もとり、また邦人誘拐の犯人とも直接交渉もやりました。
 彼らによれば、ダイナマイト爆弾のような無差別テロは数人で実行でき、必ずしも集団や組織であることを要しないというのであります。すなわち、テロの手段となる武器、弾薬、生物化学兵器となり得る材料さえ入手できれば事は簡単だというのであります。まさに現実にそれが行われているのであります。特に、コンピューター情報を使えば少人数による大都市における無差別テロが広がる危険性をはらんでおり、国際的な情報交換システムの確立が急務であります。これは国家の危機管理能力の問題でもあります。
 地下鉄サリン事件を契機に、国民が今望んでいるのは、安心して安全に暮らせる社会でありますしかるに、今、政府・与党が血眼になっているのは、オウム再発とは関係ないと言いながら、巧みに世論を誘導し、オウム事件とイメージをダブらせて宗教法人法の改悪をもくろんでいることであります。
 今、政府がなすべきは、まさにオウム事件のような無差別テロの再発防止の措置であり、そのためには、武器や生物化学兵器の原料のコントロールであり、宗教団体のコントロールではないのであります。無差別テロは、さまざまな各種法人、任意団体、さらには個人でも実行し得るという事実を正確に認識しなければなりません。政府の抜本的なテロ対策の現状につき、総理にお伺いいたしたいと思います。
 今、政府、共産党までオール与党に入っているのでありますが、与党が実現しようとしている宗教法人法の改悪は、信教の自由を脅かすおそれがあるばかりか、オウム事件再発防止とすりかえ、国民を欺いているものと言えるのであります。明らかに政治的意図を持って特定の宗教団体を抑えつけようとするものであります。
 オウム真理教は特定の宗教団体の要人を暗殺しようとして未遂に終わりましたが、政府のやろうとしていることは余りにも的外れであり、時代錯誤であり、また、一面からするなら基本的人権という人類の普遍的な原理を踏みにじろうとする暴挙であります。必ずや歴史に汚点を残すでありましょう。
 さらに、宗教法人法の改正については、アジア各国の新聞が改正反対ないし懸念を表明する論調を行っております。
 例えば香港の九月十四日付新報紙は、再度の侵略の野心に憂慮するとし、また、九月二十日付信報紙は、思い起こせば半世紀前、日本政府による宗教統制・弾圧が侵略戦争の伏線になったと報じ、また、十月五日付フィリピンのゴールド・スター・デイリー紙は、宗教が統制されれば権力を監視する力が弱まるとし、同紙十月十日付では、思想統制の黒い策略等と論じております。このほかマレーシア等の新聞も同様の危惧を表明しております。
 これらのアジア各国の動向に対し、政府はどう対応するのか、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
 宗教法人法の改正問題は、ひとり日本国内の問題ではないのであります。この背景には、総理の日韓併合条約に関する発言や島村文部大臣の侵略戦争に関する発言等、たび重なる不用意な発言があるのであります。
 我が国が国際社会の中で名誉ある地位を占めるためにも、そしてアジア各国と相互依存の信頼協力関係を築くためにも、政府の反省を促して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(村山富市君) 高野議員の質問にお答えをしたいと思いますが、ラビン首相の死去に対しましては、心から哀悼の意を表したいと存じます。
 そのラビン首相の葬儀についてのお尋ねでありますが、私といたしましては、つい先般イスラエルを訪問いたしまして、ラビン首相と親しくお目にかかって話し合いをしてまいりました。平和の戦士としての同首相の中東和平に対するかたい信念とその貢献にはかねてより敬意を抱いておりましたので、葬儀にはぜひ出席をしたいというふうに思っておりましたが、国会日程等の関係その他総合的に勘案をいたしまして、私の特使として河野外務大臣を派遣することとしたところでございます。
 新聞の報道等が誤って、私が先般会ったからもう行かなくていいんだというようなふうにとられておりますけれども、そうではなくて、全く逆のことを申し上げたのであります。ついせんだって会って親しく話し合いをしたばかりだから、ぜひ私は葬儀に参列をしたい、しかし国会等の日程があって行けないのは残念だと、こういうふうに申し上げたのでございますから、誤解のないように御理解を賜りたいと思います。
 次に、新たな特別協定の締結の意義及び負担の継続の理由についての御質問でありますが、冷戦の終結後も国際社会が依然不安定要因を内包している中で、日米安保条約は、引き続き我が国の平和を確保し、広くアジア・太平洋地域の発展を図っていくための不可欠な枠組みであるとともに、日米の緊密な協力関係を維持していく政治的基盤として機能していることは御案内のとおりであります。
 在日米軍駐留経費負担は、米軍の我が国における駐留を支える大きな柱であって、我が国は、日米安保体制の円滑かつ効果的運用を確保していくとの観点から、これまで自主的にできる限りの努力を払ってきたところでございます。
 新たな特別協定につきましても、このような観点から、今年度末で失効する現行特別協定にかわるものとして今国会においてその審議をお願いしているものでございますが、本件協定の締結は、日米安保体制の円滑かつ効果的運用、とりわけ在日米軍の効果的な活動を確保していく上で重要な意義を有するものであると認識をしていることについて御理解を賜りたいと存じます。
 次に、訓練移転経費の負担につきましては、これは安保条約の目的達成と周辺地域住民の要望との調和を図り、もって日米安保体制の円滑な運用を確保するとの観点から、日本側の要請による米軍の訓練の移転に伴う追加的経費を我が国が負担することによって、これらの訓練の移転を円滑にし、米軍の訓練が周辺地域住民の生活環境に与える影響をできる限り軽減することを目的として設けられたものでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、代理署名問題についてのお尋ねでありますが、本問題は極めて重要であると受けとめ、内閣全体の問題として取り組んでいるところでございます。
 去る十一月四日、私と沖縄県知事との会談において、同県が抱える基地問題等について誠心誠意話し合いを行ったところでございますが、この問題に関しましては、知事から代理署名に至らなかった事情、背景についての説明があり、署名押印拒否の意思はかたいものであると受けとめました。私といたしましては、その知事の気持ち、立場というものは十分理解できるものであること、また、今後政府としても責任を持って検討していくことをお話し申し上げたところでございます。
 いずれにいたしましても、今後、沖縄県側の御理解を得ながら、我が国として安保条約上の義務を履行できないような事態が生じないよう最大限の努力をしてまいる所存でございます。
 次に、米軍の施設・区域の整理縮小につきましては、かねてより沖縄を中心に強い御要望があり、先般の痛ましい事件をきっかけにこれがさらに高まっていることは、政府としても十分承知をしているところでございます。
 この問題につきましては、先般のペリー国防長官の訪日の際に、三事案の早期解決、二十三事案中未解決の十事案について年内に結論を得ることに合意するとともに、中長期的観点からの検討を行うための新たな協議の場を日米間に設け、今後はこの場を中心に本件についての話し合いを行うこととしたところであります。
 今後とも、政府といたしましては、安保条約の目的達成と地域住民の皆様の御要望との調和を図りつつ、米軍の施設・区域の整理統合、ひいては縮小のために真剣に努力してまいる所存でございます。
 次に、日米地位協定第十七条五項同問題への対応についての御質問でありますが、政府といたしましては、先般の沖縄における児童暴行事件を許すべからざるものとの認識を持って、日米地位協定のもとにおける刑事裁判手続の改善について米側と真剣かつ精力的な協議を行い、その結果、十月末、我が国の関心にこたえる形での手続の改善を見た次第でございます。
 次に、沖縄の振興策についてのお尋ねでありますが、沖縄の振興開発につきましては、沖縄の置かれた特殊事情を踏まえ、これまで沖縄振興開発計画に基づき毎年度所要の予算の確保、諸施策の推進を図ってきたところでございます。
 また、去る十一月四日の私と沖縄県知事との会談においても、県側から沖縄の将来像とも言うべきアクションプログラムについての御説明がございました。こうした沖縄県民の要望を十分踏まえ、今後とも第三次沖縄振興開発計画に基づき沖縄の振興開発を鋭意進め、計画の目標達成に向けて努力をしてまいる所存でございます。
 次に、テロ対策に関する国際協力についてのお尋ねでございますが、地下鉄サリン事件に際し、我が国としては、事件にかかわる情報交換を各国との間で行うことに意を用いてきたところでございます。
 テロ防止のための国際協力につきましては、本年六月のハリファクス・サミットの議長声明にもありますとおり、あらゆる分野においてこれを強化することが極めて重要であると認識をいたしております。
 なお、十二月にカナダにおいて開催予定されておりまするサミット・テロ対策閣僚級会合におきましては、我が国として、地下鉄サリン事件の教訓を踏まえ、化学・生物テロの脅威に対し、それらの防止方策、捜査手続について各国間の情報交換を強化することなどについて積極的に主張してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、オウム真理教が起こしたようなテロ事件の再発防止についてのお尋ねでありますが、オウム真理教が引き起こした一連の事件につきましては、犯罪史上類を見ない極めて凶悪な犯罪であり、こうした事件を再び許すようなことは絶対にあってはならないものでございます。
 オウム事件につきましては、今なお捜査当局において徹底した捜査が行われております。また同時に、関係機関においてこの種事犯の再発防止のための分析、対策の検討が進められております。
 政府といたしましては、今回のオウム事件を踏まえ、警察等において平素からテロ行為を行うおそれのある集団に関する的確な情報収集を行うとともに、関係省庁において関係法令を活用し、銃器や大量殺りく用兵器として使用される可能性のある物質等の規制を強化し、武器等の根絶に努め、国民の安全の確保に万全を期してまいる所存でございます。
 次に、宗教法人法改正についてのアジア各国の反応についてのお尋ねでありますが、宗教法人法が昭和二十六年に制定されて以降、社会状況や宗教法人の実態の変化等によって制度が実情に合わない面が生じており、広く国民からも制度の見直しを図るべきとの意見が高まっておることは御案内のとおりであります。
 今回の改正法案は、信教の自由と政教分離の原則を遵守しつつ、宗教法人制度の適正な運用を確保するため、宗教法人法について必要最小限の改正を行おうとするものでございます。
 なお、今回の改正がアジアの一部において、宗教団体法、治安維持法を制定し、国民の信教の自由、言論の自由を弾圧し、侵略戦争へ突入していった、いつか来た道への再現につながるという報道があると日本の一部の宗教関係新聞に報道されておりますが、法改正の趣旨はただいま述べたとおりであり、日本政府にはそのような弾圧の意図もないし、そのようなことは全くあり得ないことをこの際改めて内外に明確にしておきたいと存じます。
 アジア諸国におきましても、こうした今回の法改正の趣旨を十分御理解いただき、納得していただくよう希望しております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(河野洋平君) 日米安保体制堅持についての考え方は、先ほど総理が申し述べたとおりでございます。
 国民の皆さんにわかりやすく説明をすべきだ、こういう御指摘でございますが、日米両国政府はここ一年間について見てもさまざまな形で安保対話を集中的に行ってきております。このような対話の内容につきましては、国民の皆様の日米安保体制に対する関心を高め、理解を深めるとの観点から、できるだけこれまで公表してきたところでございます。さらに今後とも、明確な言葉で語れと、こういう御指摘もございました、そうした御指摘も踏まえまして、国の内外に対しまして理解を求めるために努力をしてまいりたい、こう考えております。
 核兵器に関する国際司法裁判所の審理に伴う市長の陳述についてのお尋ねがございました。
 核兵器に関する国際司法裁判所における口頭陳述についてでございますが、政府としては、今次口頭陳述に際しまして、広島、長崎両市長に対し、被爆の実相とその惨禍について客観的かつ科学的に証言をしていただくようお願いをし、両市長の了承を得ていたところであります。その後、両市長は日本政府代表団の一員として証言をされることから、割り当て時間等の観点などもあって、証言内容について調整を行ってまいりました。具体的な両市長の証言の内容については両市長にお任せをいたしております。
 また、核兵器の違法性に関する政府の見解についてのお尋ねでありますが、政府としては、核兵器の使用の法的評価については、国会におきます御議論を踏まえまして、既にICJに提出をいたしました陳述書と同様、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないと考える旨述べたところであります。
 テロに関するお尋ねがございました。日米首脳会談で」うした問題が出るのではないかというお尋ねでございますが、首脳会談の議題については現在調整中でございまして、具体的なことは決まっておりません。しかしながら、日米両国ではテロ問題の重要性に関する認識は共有をいたしておりますし、従来よりテロ対策に関し緊密に協議、協力してきております。もしこうした問題が話し合われる場合にも、今後ともこうした協力を推進していくとの態度で臨みたい、こう考えております。(拍手)
   〔国務大臣衛藤征士郎君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(衛藤征士郎君) 高野議員にお答えをいたします。
 沖縄県の振興開発政策につきましては、ただいま万般の問題につきまして総理から御答弁がございました。私に対しましては、基地の代償としての沖縄振興のための具体的な支援に限って質問がございましたので、お答えを申し上げたいと思います。
 防衛庁といたしましては、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に基づきまして、防衛施設の設置のために、あるいは防衛施設の運用に伴いまして障害が出てまいりますが、その障害を防止するための諸施策を鋭意講じてまいりました。
 特に、沖縄県の基地周辺対策事業につきましては、従来から、沖縄県の特殊事情にかんがみまして、本土に比較いたしまして高い補助率を適用いたしましたり、あるいは基地から生ずる障害の防止等のための住宅防音工事の助成、あるいは赤土流出防止対策事業等を積極的に実施してまいりました。
 いずれにいたしましても、沖縄県の基地問題の解決のためには、内閣を挙げて、内閣一体となって取り組むという村山総理の強い意向がございますので、防衛庁といたしましても、この立場をしっかり踏まえまして沖縄の基地問題の解決に当たりたい、かように考えております。
 以上であります。(拍手)
#21
○議長(斎藤十朗君) 先ほどの高野君の発言につきましては、速記録を調査の上、議長において適切に措置いたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
#22
○議長(斎藤十朗君) 立木洋君。
   〔立木洋君登壇、拍手〕
#23
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、日米地位協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する協定について、首相に質問をいたします。
 日米安保条約第六条に基づく在日米軍の地位に関しては、米軍の強い要求によって金丸信防衛庁長官の時代に受け入れた、地位協定に反する思いやり予算の数次にわたる拡大、さらに三回の特別措置の協定によって、米軍の負担が義務づけられている米軍雇用労働者の費用の全額と米軍の水光熱燃料費を日本国民の税金によって負担させるという世界的にも極めて異常な追随的協定を締結してきました。その上、この重大な本協定の国会審議入りでも、モンデール米大使の今国会でぜひという強い要求に従い審議時間を極めて短時間にすることは、国権の最高機関である国会を軽視する重大な問題と言わなければなりません。
 しかも、今回の特別協定はそれにとどまらず、沖縄での米兵三人による非人間的な暴行事件によって、沖縄県民はもとより、日本の良識ある広範な国民の激しい怒りが広がり、地位協定の抜本的な見直しか強く求められているさなかに、アメリカ側の要求に従って、米軍が負担すべき軍事費用を一層日本側の負担に押しつけるものであります。このことは本協定の従属的、屈辱的本質を一層露骨に示したものであるということは明白であります。はっきり答えていただきたいのであります。
 在日米軍の駐留経費のうち日本側負担額は、一九九五年度には日米防衛協力のための指針が定められた一九七八年度の三倍以上に膨れ上がり、この十七年間の合計は何と六兆五千三百四十五億円にも上る膨大なものであります。九五年度の日本が負担している米軍駐留直接経費は、米議会調査局報告書によりますと、何とドイツの五十五倍、イギリスの八十三倍にも上るという驚くべき異常さであります。このことは、米国防総省による「東アジア・太平洋地域におけるアメリカの安全保障戦略」が、日本はこれまでどの国よりも気前のいい受け入れ国支援を行ってきたと繰り返し指摘していることによっても明らかであります。首相はこの事実をどう認識しているのでしょうか。答弁を求めるものであります。
 しかも、十一月一日の日米会談では、地位協定の抜本的見直しを行わず、米軍のアジア・太平洋地域に十万人の前方展開戦力、日本の四万七千人を駐留する戦力維持を確認したことは、米軍の基地恒久化につながるものであって、沖縄県民を初め日本国民の要求に真摯に臨むなら、日本政府としてとるべき態度でないことは明確ではありませんか。
 重大なことは、今回の協定は前協定の負担をそのまま維持継承した上に、米軍訓練費の日本側負担に初めて踏み切ったことであります。その上、米軍が訓練の場所を変更することに伴う移動費や訓練に付随する経費など、米軍経費の日本負担は際限なく拡大されることになります。現に、米軍の訓練経費の一部負担といっても、どこで行われるいかなる訓練かは無限定なもので、見積もりもアメリカ側が行い、それを日本側で調べて算定することもできず、ただ考慮することだけが日本側に義務づけられているのであって、財政面でも事実上アメリカ軍の言いなりではありませんか。
 こうした米軍を主体とする従属的な日米安保条約と日本国民の根本的矛盾について、もし首相が日本の安全のためという理由を挙げるのならば、一九五二年から一九九四年までの四十二年間に、米兵の公務中、公務外を問わず、事件と犯罪によって一千四十一名の日本人の生命が奪われているのは一体どういうことになるのでしょうか。戦後五十年間、これほどの日本人の生命が奪われて一体何が安全なのか、明確に答えていただきたい。
 裁判権に関しては、第一次裁判権を決める公務中、公務外かは米軍側が決めるものであって、しかも一九五二年以来昨年末までの米兵の公務中による事件、犯罪は四万四千百六十六件、死者五百八名に上っています。ところが、米側の第一次裁判権を有する犯罪についての軍事裁判に付したものはゼロであります。しかも、その場合、裁判権の放棄を求めて日本側で裁判を行うことができることが可能であるにもかかわらず、日本政府の態度は、検察当局で十分検討はしましたが、しかし裁判権を求めるまでのものではないということで要求していない、こういうわけであります。
 米側の公務中に五百人に上る日本人の生命が奪われて、どれだけの日本人が涙を流しているのかを考えることもなく、裁判を要求するまでもないということは一体何たる態度でしょうか。日本国民の生命、人権を守るべき日本政府の主権の放棄と言われても仕方がないではありませんか。
 日本側に第一次裁判権がある公務外の米兵の事件、犯罪についても、この十年間の起訴率を見てみると、一九八五年の起訴率八六・六%が一年ごとに低下して、一九九四年には何と五四・五%というありさまであります。
 私は、かって一九七八年四月、これらの問題を明らかにして追及したとき、当時の園田直外務大臣は、「地位協定については、時代の変遷、世の中の移り変わりにつれてこれはよく話し合わなきゃならぬ」と強調して、「地位協定の中の不平等な日本の生命、人権に関する問題等を逐次見直していかなきゃならぬ」と国会の場で公約されたのであります。それから十七年余りたった今日、地位協定の不平等の根本に関する問題で一体何の見直しかなされたというのでしょうか。
 沖縄県では、既に十項目にわたる地位協定内容の抜本的改定要求を提出しています。地位協定の不平等な内容の抜本的改定は、少なくとも直ちに行うべきであります。これらをあわせて答弁を求めます。
 日本側があくまで地位協定の裁判について国民的要求を無視し続けるのは、日米間の秘密取り決めが存在しているからではないでしょうか。
 一九五七年一月二十二日、アメリカ国務省極東調査部には「米国との安全保障取り決めについての日本の要求」という極秘の内容を含む文書が存在しています。そこには、「結局NATOの同種の条約が、NATOで米軍人に関して発効した時点で、これを日本に適用する。それまでの間、在日米軍は米軍人へのほとんど全面的な裁判権を保持するという妥協が成立して解決を見た。しかしながら実際には極秘了解ができ、日本側は大筋において裁判権の放棄に同意しているのである」と述べ、秘密覚書の存在を指摘しています。
 この文書は、既に一九七八年に解禁されているものであります。この秘密覚書は今でも有効なのか、それとも効力を失っているのか。失効しているとしたら、その根拠を明らかにしていただきたい。
 さて、最後に、日米安保条約に対する日経新聞の最近の世論調査では、「日米安保体制を維持していく」については、八月の五九・八%から四三・五%に激減し、「解消すべきだ」が、八月の二八・七%から四〇・三%に急増しています。
 首相、この世論調査の急激な変化を何と考えるのか、明確な認識をお伺いしたい。
 米軍の維持的経費のさらなる拡大は、物品役務融通の日米協力の企てと相まって、アジア・太平洋地域及び地球的規模の諸問題に日米両国の部隊が共同して対処しようとする日米安保条約の再定義なるものを先取りするものにほかなりません。こうした末日の軍事力依存の強化と安保体制の強化拡大の中で、首相が沖縄の軍用地問題でみずから署名代行するという強権発動に踏み切る姿勢を示していることは、沖縄県民、日本国民へのまさに挑戦的態度であります。
 私は、本特別協定に断固反対し、代理署名をするという強権発動をやめるべきであることを強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣村山富市君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(村山富市君) 立木議員の質問にお答えを申し上げます。
 最初の質問は、在日米軍駐留経費負担のための新たな特別協定についての御質問でありますが、冷戦の終結後も国際社会が依然不安定要因を内包している中で、日米安保条約は引き続き我が国の平和を確保し、広くアジア・太平洋地域の発展を図っていくための不可欠な枠組みであるとともに、日米の緊密な協力関係を維持していく政治的基盤として機能しておることは御案内のとおりであります。
 在日米軍駐留経費負担は、米軍の我が国における駐留を支える大きな柱であって、我が国は日米安保体制の円滑かつ効果的運用を確保していくという観点から、これまで自主的にできる限りの努力を払ってきたところでございます。新たな特別協定についても、このような観点から、今年度末で失効する現行特別協定にかわるものとして今国会においてその審議をお願いしているものであり、本件協定が従属的かつ屈辱的なものとは考えておりません。
 次に、在日米軍駐留経費負担についての御質問でありますが、他国の駐留米軍支援については、各国が行っている支援内容が異なるのみならず、それぞれの国情や安全保障体制の形態等が異なり、一概に比較を行うことは困難であると思います。
 我が国の安全の確保を初めとする日米安保体制の重要性についてはさきに述べたとおりでありますが、米軍の我が国における駐留を支える大きな柱である在日米軍駐留経費負担につきましては、このような日米安保体制の円滑かつ効果的運用を確保していくとの観点から、これまで自主的にできる限りの努力を払ってきているところでございまして、本件経費負担は適切なものであると考えております。
 次に、十一月一日のペリー米国防長官と河野外務大臣、衛藤防衛庁長官との会談についての御質問であると思いますが、この会談においては、沖縄県における米軍の施設・区域のあり方につき中長期的な観点から検討するため、新たな協議の場を設けることで合意するなど、在日米軍の施設・区域の問題に最も多くの時間を割いて協議が行われたところでございます。また、私からもペリー長官に対し、直接この問題の解決のため努力していくことの重要性を指摘したところであります。
 なお、施設・区域の整理統合以外にも米軍の駐留に関連してさまざまな問題が生じていることは政府としても十分承知しているところでございまして、今後とも日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ、日米合同委員会等の場において改善に向けて誠実に努力してまいる考えでございます。
 次に、新特別協定における訓練移転経費の負担に関する御質問でありますが、この経費負担が行われるのは日本政府が経費負担を前提に移転の要請を行った場合に限られており、また、各年度ごとに我が国が負担する額は米側から提供される見積もり等の情報を考慮し、あくまでも日本国が決定することとなっており、財政面でも事実上米軍の言いなりとの御指摘は当たらないと思っております。
 次に、米兵による事件、犯罪についての御質問でありますが、遺憾ながら、米軍の構成員による交通事故、事件、犯罪によりこれまで日本人の方々が生命を絶たれてきたことは極めて遺憾な事実であります。政府としては、米軍に対し、このような事故、事件、犯罪が発生しないよう従来から綱紀粛正について強く申し入れを行ってきているところでございます。
 このたびの沖縄における少女の事件はまことに痛ましいものであり、沖縄の方々を初め国民の皆様の憤りは十分承知をいたしております。政府といたしましては、このような事件の再発防止、綱紀粛正につき強く申し入れを行い、米側としてもこれを真摯に受けとめ種々の具体策を講じたものと承知をいたしておりますが、政府としては、引き続き綱紀粛正、再発防止のために全力を挙げて取り組んでいく決意でございます。
 次に、米側が第一次裁判権を有する犯罪について、我が国において第二次裁判権を行使しないのは主権の放棄ではないのかというお尋ねでありますが、米側から第一次裁判権を行使する旨の通告がなされ、米側において第一次裁判権を行使する以上、我が国は第二次裁判権を行使できないこととなっており、このような場合に我が国が第二次裁判権を行使することはありません。これは米側と我が国の裁判権が競合する場合の調整を図ったものであり、第二次裁判権を行使しないことが我が国の主権の放棄となるものとは考えておりません。
 次に、一九七八年当時の園田外務大臣の刑事裁判手続に関する答弁についての御質問でございますが、政府といたしましては、日米地位協定が根本的に不平等な条約であるとの認識は有しておらず、従来より、刑事裁判管轄権に係る地位協定の規定の適正な運用に努めてきているところでございます。
 ただ、先般の少女暴行事件を契機に、種々御指摘のあった地位協定第十七条五項(c)につきましては、米側との間で真剣かつ精力的な協議を行った結果、十月二十五日、特定のケースについて起訴前に被疑者の身柄を日本側に引き渡すことを可能にするよう手続の改善を図ってきたところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、沖縄県からの地位協定の見直しに関する要望についての御質問でありますが、政府といたしましては、従来より、米軍の駐留に関するさまざまな問題について、日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ、改善に向けて日米合同委員会等の場を通じて努力してきたところでございます。
 政府といたしましては、今後とも合同委員会や新しい協議の場などを通じてさまざまな努力を続ける所存であります。今回、沖縄県側より提起された日米地位協定に関する要望につきましても、沖縄県側からの詳細な説明を聞き、実質的にどのような改善ができるか真剣に考え、取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
 次に、刑事裁判権の放棄に関するほぼ四十年前の米政府文書の内容についての御質問でありますが、いずれにいたしましても、我が国が大筋において第一次裁判権を放棄することにつき米側との間で秘密裏に合意したという事実はありませんので、この際はっきり申し上げておきたいと思います。
 次に、日米安保条約に関する世論調査の結果についてどのように考えるかとの御質問でありますが、このたびの沖縄における痛ましい事件が発生したことは極めて遺憾であり、沖縄県民を初め国民の皆様に大きな不安や憤りがあることはよく理解しておるところでございます。他方、冷戦の終結後も東アジアを初めとして国際社会が依然不安定要因を内包している中で、我が国が引き続き安全を確保していくためには日米安保条約が必要でございます。
 政府といたしましては、国民の皆様の広範な支持のもとに日米安保体制の円滑な運用を確保していくためにも、このような重要な意義を有する日米安保体制に関する国民の皆様の御理解と御協力を得るため、一層努力してまいりたいと考えているところでございます。
 代理署名問題についてのお尋ねでありますが、本問題は極めて重要であると受けとめ、内閣全体の問題として取り組んでいるところでございます。
 去る十一月四日、私と沖縄県知事との会談において、同県が抱える基地問題について誠心誠意話し合いを行ってきたところでございますが、この問題に関しましては、知事から代理署名に至らなかった事情、背景についての説明があり、署名押印拒否の意思は固いものであると私も受けとめました。私としては、その知事のお考えや立場というものは十分理解できるものであること、また、今後政府としても責任を持って検討していくことをお話しいたしました。
 いずれにいたしましても、今後、沖縄県側の御理解を得ながら、我が国として安保条約上の義務を履行できないような事態が生じないよう最大限の努力を払ってまいる所存でございます。(拍手)
#25
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#26
○議長(斎藤十朗君) 日程第一 科学技術基本法案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。科学技術特別委員長長谷川清君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔長谷川清君登壇、拍手〕
#27
○長谷川清君 ただいま議題となりました科学技術基本法案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院提出によるものでありまして、科学技術が我が国経済社会の発展及び国民の福祉向上、人類社会の持続的発展に果たすべき重要な使命にかんがみ、我が国におけ各科学技術の水準の向上を図るため、科学技術基本計画の策定等、科学技術の振興を総合的かつ基本的に推進するための施策の基本となる事項を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者を代表して尾身幸次衆議院議員より趣旨説明を聴取した後、科学技術立国として半世紀が経過した中で、基本法案を改めて提出した理由、科学技術基本計画の実施と科学技術評価との関連、独創的・基礎的研究の抜本的強化の方策、科学技術振興に向けての財政的支援のあり方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了しましたところ、日本共産党を代表して立木委員より修正案が提出されました。
 次いで、採決の結果、修正案は賛成少数で否決され、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、本法律案に対し、五項目にわたる附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#29
○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#30
○議長(斎藤十朗君) 日程第二 高齢社会対策基本法案(第百三十二回国会本院提出、第百三十四回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長官崎秀樹君。
    ―――――――――――――
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
   〔宮崎秀樹君登壇、拍手〕
#31
○宮崎秀樹君 ただいま議題となりました法律案につきまして、御報告申し上げます。
 本法律案は、第百三十二回国会において本院の国民生活に関する調査会長より提出され、衆議院において継続審査となっていたものであります。
 その主な内容は、我が国における急速な高齢化の進展が経済社会の変化と相まって国民生活に広範な影響を及ぼしている現状にかんがみ、高齢社会対策の総合的な推進を図るため、高齢社会対策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、大綱の作成、国会への年次報告の提出、高齢社会対策の基本となる事項、高齢社会対策会議の設置等を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、趣旨説明を聴取した後、直ちに採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#33
○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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