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1995/10/13 第134回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第134回国会 予算委員会 第4号
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1995/10/13 第134回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第134回国会 予算委員会 第4号

#1
第134回国会 予算委員会 第4号
平成七年十月十三日(金曜日)
    午前九時開議
出席委員
  委員長 上原 康助君
   理事 池田 行彦君 理事 桜井  新君
   理事 近岡理一郎君 理事 保利 耕輔君
   理事 伊藤 英成君 理事 草川 昭三君
   理事 鳩山 邦夫君 理事 三野 優美君
 理事 五十嵐ふみひこ君
      伊藤 公介君    越智 伊平君
      越智 通雄君    奥田 幹生君
      菊池福治郎君    小杉  隆君
      後藤田正晴君    近藤 鉄雄君
      関谷 勝嗣君    高鳥  修君
      橘 康太郎君    中山 太郎君
      中山 正暉君    原田  憲君
      御法川英文君    村山 達雄君
      若林 正俊君    安倍 基雄君
      伊藤 達也君    石井 啓一君
      石田 勝之君    岩浅 嘉仁君
      上田 清司君    江崎 鐵磨君
      川島  實君    左藤  恵君
      笹木 竜三君    実川 幸夫君
      樽床 伸二君    月原 茂皓君
      西川太一郎君    野田  毅君
      冬柴 鐵三君    松田 岩夫君
      村井  仁君    山口那津男君
      山田  宏君    渡辺浩一郎君
      今村  修君    佐々木秀典君
      佐藤 観樹君    坂上 富男君
      細川 律夫君    横光 克彦君
      前原 誠司君    穀田 恵二君
      松本 善明君    矢島 恒夫君
      海江田万里君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  村山 富市君
        法 務 大 臣 宮澤  弘君
        外 務 大 臣 河野 洋平君
        大 蔵 大 臣 武村 正義君
        文 部 大 臣 島村 宜伸君
        厚 生 大 臣 森井 忠良君
        農林水産大臣  野呂田芳成君
        通商産業大臣  橋本龍太郎君
        運 輸 大 臣 平沼 赳夫君
        郵 政 大 臣 井上 一成君
        労 働 大 臣 青木 薪次君
        建 設 大 臣 森  喜朗君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     深谷 隆司君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官
        )       野坂 浩賢君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 江藤 隆美君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      高木 正明君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 衛藤征士郎君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      宮崎  勇君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      浦野 烋興君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 大島 理森君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 池端 清一君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 大出 峻郎君
        内閣法制局第一
        部長      津野  修君
        行政改革委員会
        事務局長    田中 一昭君
        警察庁刑事局長 野田  健君
        警察庁警備局長 杉田 和博君
        総務庁人事局長 池ノ内祐司君
        総務庁行政管理
        部長      陶山  晧君
        総務庁行政監察
        局長      大橋 豊彦君
        防衛庁参事官  小池 寛治君
        防衛庁育訓練
        局長      粟  威之君
        防衛庁経理局長 佐藤  謙君
        防衛施設庁建設
        部長      田中 幹雄君
        経済企画庁調整
        局長      糠谷 真平君
        経済企画庁物価
        局長      大来 洋一君
        経済企画庁総合
        計画局長    土志田征一君
        経済企画庁調査
        局長      澤田五十六君
        科学技術庁長官
        官房長     石井 敏弘君
        科学技術庁研究
        開発局長    加藤 康宏君
        科学技術庁原子
        力局長     岡崎 俊雄君
        環境庁長官官房
        長       田中 健次君
        国土庁計画・調
        整局長     塩谷 隆英君
        国土庁土地局長 深澤日出男君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 永井 紀昭君
        公安調査庁長官 杉原 弘泰君
        外務省総合外交
        政策局軍備管
        理・科学審議官 河村 武和君
        外務省アジア局
        長       加藤 良三君
        外務省北米局長 折田 正樹君
        外務省欧亜局長 浦部 和好君
        外務省経済局長 原口 幸市君
        外務省経済協力
        局長      畠中  篤君
        外務省条約局長 林   暘君
        大蔵大臣官房長 涌井 洋治君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    武藤 敏郎君
        大蔵大臣官房参
        事官      河上 信彦君
        大蔵省主計局長 小村  武君
        大蔵省主税局長 薄井 信明君
        大蔵省関税局長 久保田勇夫君
        大蔵省理財局長 田波 耕治君
        大蔵省理財局た
        ばこ塩事業審議
        官       宝賀 寿男君
        大蔵省証券局長 日高 壮平君
        大蔵省銀行局長 西村 吉正君
        大蔵省国際金融
        局長      榊原 英資君
        国税庁次長   若林 勝三君
        国税庁長官官房
        国税審議官   日高 正信君
        文部大臣官房長 佐藤 禎一君
        文部大臣官房総
        務審議官    辻村 哲夫君
        文部省教育助成
        局長      遠山 耕平君
        文部省高等教育
        局長      吉田  茂君
        文化庁次長   小野 元之君
        厚生大臣官房総
        務審議官    亀田 克彦君
        厚生省健康政策
        局長      谷  修一君
        厚生省生活衛生
        局長      小林 秀資君
        厚生省薬務局長 荒賀 泰太君
        厚生省年金局長 近藤純五郎君
        社会保険庁運営
        部長
        兼内閣審議官  横田 吉男君
        農林水産大臣官
        房長      高木 勇樹君
        農林水産省経済
        局長      堤  英隆君
        農林水産省構造
        改善局長    野中 和雄君
        農林水産省畜産
        局長      熊澤 英昭君
        食糧庁長官   高橋 政行君
        通商産業大臣官
        房長      中川 勝弘君
        通商産業大臣官 横川  浩君
        資源エネルギー
        庁石油部長   河野 博文君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 太田信一郎君
        中小企業庁長官 新  欣樹君
        運輸大臣官房長 戸矢 博道君
        運輸大臣官房総
        務審議官
        兼貨物流通本部
        長       相原  力君
        運輸省鉄道局長 梅崎  壽君
        郵政大臣官房審
        議官      品川 萬里君
        郵政省郵務局長 加藤豊太郎君
        郵政省貯金局長 木村  強君
        郵政省電気通信
        局長     五十嵐三津雄君
        労働大臣官房長 渡邊  信君
        労働省職業安定
        局長      征矢 紀臣君
        建設大臣官房長 伴   襄君
        建設省建設経済 小鷲  茂君
        建設省都市局長 近藤 茂夫君
        建設省道路局長 橋本鋼太郎君
        建設省住宅局長 梅野捷一郎君
        自治大臣官房長 二橋 正弘君
        自治大臣官房総
        務審議官    湊  和夫君
        自治省行政局長 松本 英昭君
        自治省財政局長 遠藤 安彦君
        自治省税務局長 佐野 徹治君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局民事局長  石垣 君雄君
        参  考  人
        (日本銀行総裁
        )       松下 康雄君
        予算委員会調査
        室長      堀口 一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月十三日
 辞任         補欠選任
  志賀  節君     橘 康太郎君
  中尾 栄一君     小杉  隆君
  村岡 兼造君     御法川英文君
  工藤堅太郎君     樽床 伸二君
  野田  毅君     村井  仁君
  今村  修君     横光 克彦君
  矢島 恒夫君     穀田 恵二君
同日
 辞任         補欠選任
  小杉  隆君     中尾 栄一君
  橘 康太郎君     志賀  節君
  御法川英文君     村岡 兼造君
  樽床 伸二君     西川太一郎君
  村井  仁君     野田  毅君
  横光 克彦君     今村  修君
  穀田 恵二君     不破 哲三君
同日
 辞任         補欠選任
  西川太一郎君     実川 幸夫君
同日
 辞任         補欠選任
  実川 幸夫君     岩浅 嘉仁君
同日
 辞任         補欠選任
  岩浅 嘉仁君     渡辺浩一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  渡辺浩一郎君     上田 清司君
同日
 辞任         補欠選任
  上田 清司君     江崎 鐵磨君
同日
 辞任         補欠選任
  江崎 鐵磨君     工藤堅太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成七年度一般会計補正予算(第2号)
 平成七年度特別会計補正予算(特第2号)
 平成七年度政府関係機関補正予算(機第2号)
     ――――◇―――――
#2
○上原委員長 これより会議を開きます。
 平成七年度一般会計補正予算(第2号)、平成七年度特別会計補正予算(特第2号)、平成七年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍基雄君。
#3
○安倍(基)委員 総理、聞いていらっしゃいますか。今度のいわば補正予算、まあ景気対策が中心でございますけれども、最初から要するに細かいことを総理にお聞きしませんからあれでございますけれども、よく聞いていただきたいのですけれども、これは経企庁長官にお聞きしましょう。
 今まで景気が悪くなってから四十五兆というような対策をして、公共事業において三十一兆という対策をしてきたわけですけれども、たしか本会議で我々の米沢副党首が、過去の要するに景気対策のいわば実績を踏まえて、どうしてこうやって景気が上向かないんだろうかというようなことをもう少し検討しながら新しい対策を考えにゃいかぬということを言ったはずでございますが、経企庁長官にまずお聞きいたしますけれども、なぜこう要するに景気がいつまでも回復しないのか、その辺の一番の根本原因をお聞きしたいわけです。
 私は、もちろんせっかく回復してきたころに円高が来たりあるいは阪神大震災が来たり、いろいろな要件があって、まあ少し回復しかける途端に足を引っ張られたという実情はわかりますが、しかし、それだけではなさそうだ。もちろん構造的な要因がございましょう。例えば景気対策そのものにやはり大きな問題点があったのじゃないかな、今もあるのじゃないかなと思われますけれども、その点を踏まえて、ひとつ経企庁長官にその点をお聞きしたいと思います。
#4
○宮崎国務大臣 お答えいたします。
 最初に、これまで何回か経済対策が打ち出されたにもかかわらず余り効果がなかったではないかということでございますけれども、政府を中心にいたしました対策はそれなりに効果があったと考えております。
 数字で恐縮ですけれども、例えば公共投資が経済成長率にどれぐらい寄与しているかという数字でございますけれども、九二年度成長率が〇・三%で、そのうち一・二%が公共投資による寄与でございます。それから同じく九三年度は、成長率がマイナスの〇・二%でしたけれども、公共投資の寄与度は一%になっておりまして、大変大きい数字になっております。もっとも九四年度は、成長率が〇・六%の中の〇・一%が公共投資による寄与度ですから、若干は低下しましたけれども、過去を見ますと、それなりに経済対策の効果があったというふうに思われます。
 にもかかわらず、先生御指摘のように、従来の景気回復と比べまして今回の景気回復のテンポが非常に緩いということは事実でございます。それは、ただ単に従来の伝統的な需給バランスが崩れたということだけではなくて、例えばバブル経済が崩壊いたしまして資産の価値が下落をした、したがって、消費者ですとか企業者が先行き消費ですとか投資活動に対して非常に慎重になったということがございます。それと裏腹の関係で、金融機関が不良債権を抱え込んだということも景気を悪くしている原因だと思われます。
 それから、御指摘のように急速な円高が経済にマイナスの影響を与えたという点がございますが、特に急速な円高が、いわゆる空洞化現象みたいなことを通じまして先行きに対する不安感を持っている、こういうことが全体として景気の回復を従来に比べておくらせたということだというふうに思われます。
 したがって、今回の対策では、従来の内需拡大、量的な拡大による刺激だけではなくて、景気回復の阻害になっている要因を除去する問題ですとか、あるいは構造調整を進めなければいけないという問題を対策の中に含めたわけでございます。
#5
○安倍(基)委員 私は、第一に公共投資一本やりという考え方にちょっと問題があるのじゃないかと。公共投資といってもだんだんと波及効果が減ってきている。たしかいろいろの公共事業なんかにおける土地の取得費が約二割から二割を超えていると聞いておりますけれども、結局いろいろな産業に波及する効果が減ってきているということと同時に、民間設備投資が全然盛り上がらない、しかもその相当部分が海外の方に流れている、この辺に一番の原因があるのではないかなと思いますが、この点、いわば民間設備投資が公共投資に比較してどう動いているのか、そのどの程度が海外に流出しているのかその二点についてお聞きしたいと思います。
 そしてもう一つ、公共投資のいわば効果の、要するに、いわば投資乗数といいますか、そういった効果の減少の状況、昔と比べまして、その点を長官にお聞きしたいと思います。
#6
○宮崎国務大臣 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、今回の対策はただ単に公共投資を中心として内需を刺激するという問題だけではなくて、構造的な問題も対策の中に含まれております。
 なお、先ほど申し落としましたけれども、個人消費について直接的に刺激する政策をとるべきじゃないかという御議論がこの委員会でもございました。この点については今回の対策では触れておりませんけれども、前の経済対策で、本年度、個人所得課税につきましては既に恒久的な三兆五千億の制度減税に加えまして景気に配慮した二兆円の特別減税を上積みにしているということを申し上げましたし、それから、景気がこのような状況がなお続くとすれば、八年度にも継続するということを申し上げました。
 それから、お尋ねの公共投資がどれぐらい経済に対して波及効果を持っているかということでございますけれども、波及効果と申しますのは、いろいろの測定のやり方があると思いますが、公共投資を一定の量ふやしますと、どれぐらいそれによって経済が拡大をするかということでございます。私どもの世界経済モデルというのを使いますと、公共投資の経済に対する波及効果は、いろいろの条件によりますけれども、第一年度は一・三二、二年目は一・七五、三年目は二・一三というふうに後年度になるほどだんだん上がってきております。
 それから、この数字自体は一九八三年から一九九二年の四半期別データに基づいて計測したわけですが、先生御指摘のように、趨勢的に見ますと若干低下をしてきております。例えば七九年から八八年のときと比べますと、一まではいきませんでポイント何がしかですが、低下をしているというのは事実でございます。それほど顕著な下がり方ではございません。
 それから、民間設備投資は御承知のように過去三年間ずっと低迷を続けてまいりまして、マイナスが続いているわけで、ようやくこのところプラスに転じてきております。けさほど経済閣僚懇談会でも月例報告で御報告申し上げたのですが、かなりはっきりした設備投資の回復傾向が見られるわけです。しかし、この一、二年は全く低迷をしておりまして、その間に海外投資、海外に対する設備投資がふえているというのは御指摘のとおりであります。
 現在、海外に対する設備投資は国内の設備投資に対して、九四年度のデータですが、大体一〇%ぐらいになっております。これは、世界経済の中で分業体制が進んでいるということに即応して日本の企業が海外投資をやっているという一面と、それから、これは余りよくない理由による面もあるわけですが、急速な円高によって海外投資せざるを得ないという部分もございます。いろいろ理由を分けて考えなければいけませんが、かなりふえているという傾向にございます。
#7
○安倍(基)委員 いわゆる公共事業というより、私ども組み替え動議でも、もうちょっといろいろ波及効果のある方向に投資を向けようという議論をしておりますけれども、いずれにいたしましても、どうも公共投資一本やりという気がしてならない。
 公共投資というのは名前はいいんですけれども、一番、例えば、新しい、発展途上国に港をつくるとか、そうするとそこにどっと民間のいろんな私的投資が集まってくるとか、そういう経済効果の大きい公共投資ならまだいいんですけれども、当初のうちは公共投資というと大体そういったものを考えられていたわけです。
 最近は、公共投資と称して、余り大したことのないところに道路をつくったり、それから下水道とかああいったものも、それは確かに生活開運でございましょうけれども、しかしそれはむしろそこの住民が負担すべきものであって、いわば国の公費がどっと流れ込んでいけば、それによって均てんする場所もあればしない場所もある。
 そういう意味で、いわゆる公共投資ということの効率性というのをよほど考えていかなくちゃいけない時代になってきている。どうも現在のやり方は、ただ量を増す。もちろんそれは今企画庁長官がそこそこいろんな方向へ使いますとは言いますけれども、投資の効率性の意識が非常に薄らいできている、そこに一番大きな問題があると思います。
 それで、私はもう一つ、これは次に金融問題に絡まるわけですけれども、やはり民間投資をしようにも銀行が全然貸してくれない。非常にプロジェクトとしてはいいんだけれども、ともかく銀行は後ろ向きだ。そういった意味で、何が日本経済のボトルネックか。ボトルネックという言葉は御存じですね、総理。要するに、瓶の首ということで、隆路というか、そこが障害になってうまくいかないというのがボトルネックでございますけれども、経済のボトルネックに投資して初めて本当の意味があるんです。ところが現在は、ともかく量をふやせ量をふやせという形ばかりで来ている。ここに日本経済の非常に大きな問題点がある。どうしたら民間投資をふやすことができるのか、それに本当に腐心しないと、経済のこの傾きを公共投資ばかりで支えているという感じがするわけです。
 それとともに、今度のいわば補正で、一体地方自治体、つまり、いろいろ事業をやるといっても、地方自治体がその財源にたえられるのかという問題がございます。今度の補正で地方自治体が用意しなくちゃいけない財源はどのくらいでございますか。
#8
○深谷国務大臣 お答えいたします。
 今回の経済対策における国の補正予算に伴う地方の負担は、約二兆七千億円でございます。
 それで、これらは原則として地方債に全額を任せますが、元利償還金につきましては、後年度、普通交付税で対応していきたいと思っております。
#9
○安倍(基)委員 これは大蔵大臣にお聞きしますけれども、現在の国債残高、あるいはそれを含めたいわゆる隠れ債務というのがございますが、それは大体どのくらいでございましょう。
 それから、地方債残高は、これは自治大臣と思いますけれども、その二点をお聞きしたいと思います。
#10
○武村国務大臣 今回の補正を含めて、今年度末では、国債の現債高二百二十一兆円と推計をいたしております。まあ、隠れ借金という言葉は公式にはないわけでございますが、さまざまなやりくりを、当面の財源措置を重ねているわけでありまして、このことを御指摘いただいているのかもしれません。国鉄の整理基金等を含めて、これは約四十兆ぐらい、四十二兆前後であろうかと思っております。
#11
○深谷国務大臣 地方公共団体の借入金の残高は約百二十兆円を超えると思われます。ただいま先生の御指摘は、地方債の発行残高はということでありましたが、これは交付税特別会計の借入金残高を除きますと百十兆円と見込まれます。
#12
○安倍(基)委員 大蔵大臣にお聞きしますけれども、現在の国債費はどのくらいでしょう。まず最初にそれをお聞きしましょう。
#13
○田波政府委員 平成七年度の二次補正後に見積もられております国債費の総額は、十二兆九千億余りでございます。
#14
○安倍(基)委員 これは大臣にあらかじめ予告はしていなかったのですけれども、法人税収入というのは大体どのくらいか御存じですか。これは私ちょっと意地悪い質問がと思いましたけれども、要するに、非常に日本の法人税は高い高いと言われております。それはどのくらいかということを大臣は御存じないですか。
#15
○薄井政府委員 本年度の予算上は十三兆六千億ぐらいだったかと思います。
#16
○安倍(基)委員 私は大臣にあらかじめ通告していなかったんですけれども、ただしかし、大蔵大臣たる者が、これだけ重たい法人税法人税と言われているのが、総額が大体どのくらいかという程度のことは、これは把握してもらわなくちゃいかぬぞと。
 私がここでお話ししているのは、国債費に大体十三兆使っているわけですよ。法人税が丸々国債費に打っちゃっているんですね。この事実を皆さん余り気がついていない。というのは、日本の法人税は高い高いと言われているのが、国債費だけで食われているという事実ですね。
 もう一つ、今の全部の総額を加えますと大体三百八十兆くらいになりますね、国債と地方債と隠れ債務。そうすると、日本の人口一人当り大体三百万円くらいの債務があるわけですよ。一世帯で一千万を超えるわけですね。
 それで問題は、地方債の場合に、大体償還は地方交付税でやりますと言っているわけです。地方交付税というのは、すなわち国税なんですよ。結局その懐は一つしかない。
 ここで一々、何といいますか、細かい質問を大臣にするのは気の毒ですからお話ししますと、法人税が十三兆とすれば、所得税二十一兆、消費税六兆、酒税二兆、大体年間で五十六兆くらいしか入ってこないのです、国税が。そうすると、将来一体どうするんだね、五十六兆でいろいろな経費を賄いながら国債費を払っていくのかねと。
 そういうことを考えますと、公共事業、公共事業という名のもとに、どんどんどんどん債務をふやしていっていいのかな。これは、当然帰するところは増税か、あるいはインフしかそのいずれかによってしか消していけないのです。私はこの事態を本当に、たしか総理が財政再建について考えます、こう言っていました、本会議で。
 ただ、一方において、日本経済のこの低落する形を一生懸命公共事業で支えている。支えておるのはいいんだけれども、そのうちに一人当て何百万という債務ができてきている。この現実をもう少し考えねばならないぞ。確かに公共事業が成長率に影響を及ぼしたといいます。しかし、ある意味からいうと、民間投資を誘発しないような公共事業というものは余り大きな効果がないのです。ここがやはり私は日本の経済が低迷を続けている一番の原因じゃないかと、この問題が本当に深刻な問題であります。
 でありますから、一つは公共事業というもの、公共事業という名前はいいのですけれども、ただ物をつくって物が残るということだけでこれは本当に経済性があるのか。それはいろいろな波及効果があるかと思います。
 しかし、これは最初のころの、戦後の場合には、傾斜生産方式と称して大事なところに全部金をつぎ込んで、要するにエネルギー産業をまずつくった、石炭とか。そういう非常に重点的なところに投資をするということがあって初めて国の経済がいくのであって、今の公共事業は社会資本の整備といろいろいいますけれども、それはやはり、例えば下水道とか道なんというのはその都市のそれぞれの住民がむしろ負担すべきところであって、たまたまそれは回ってきたところは得をします、回ってこないところは損をします、そこでそれぞれの代議士ができるだけ国からの公共投資を持ってこようという競争になる。この辺をよほど考えませんと、幾らこの景気対策を続けていっても、最後はインフしか大増税がで処理しなければいけないことになると私は思います。
 そこで、本当に現在の経済のボトルネックは何だろうと。その点について、ひとつ経済企画庁長官のボトルネック論というか、どこが日本経済のボトルネックかということについての御見解を承りたい。
#17
○宮崎国務大臣 お答えいたします。
 一般的に生産要素といたしまして、資金と労働力と技術ということがございますけれども、現在の段階では労働力がボトルネックになっているわけではございません。御承知のように、失業率が三・二%というような高い状況でございますし、労働力はむしろ過剰の状況にございます。
 それから、資金につきましても、資金自体が不足しているというのではなくて、資金需要が少ないということでございます。したがって、資金のボトルネックとか、あるいは労働力のボトルネックという点はないと現在判断しております。
 ただ、技術進歩と申しますのは、文字どおり日々進歩するわけでございまして、これが追いつかないということになれば競争力がだんだん弱まってくるというようなことがございまして、今回の対策でもそうでございますけれども、科学技術を中心にして技術進歩を促進するという基本的な対策のほかに、いろいろ規制緩和を通じて競争を促進させるというようなことで、産業構造の高度化を図りながら全体としての経済力の活用を図っていくべきだというふうに考えております。
 従来の伝統的な意味におけるボトルネックというのは現在ございませんで、新しい技術開発能力をどうするかという点が一点、問題になっていると思われます。
#18
○安倍(基)委員 私は第二の、いわば資金の問題は、これは必ずしも需要がないだけではない、やはりいわゆる金融機関が閉塞しているというか、金の流れがストップしているというところが一つの大きなボトルネックじゃないかと思います。これは、新しい企業を始めようと思ってもなかなか銀行は貸さないという話が大きいわけでございますから、その意味で、私は、経済のボトルネックは、一つは金融にあると考えます。もう一つは、私は、土地にもあるんじゃないか、これは規制緩和の問題で後から触れますけれども。
 いずれにいたしましても、我々は、現在の日本経済をどう持っていくかというときに、日本経済のボトルネックは何かということを見据えた上で考えていかねばならない。
 それは単に大規模に――私は、技術の問題も大きいと思います。これから日本が生き残るためには相当技術の方に力を入れていかにゃいかぬ、それに対する投資をしていかにゃいかぬ、まさに私は同感でございます。ただ、従来のいわば景気対策というものが、公共事業、公共事業という名のもとに、本当に私は、それをすればいいんだという調子で来過ぎているんじゃないかと思います。
 それとともに、私は、これは事務当局でもいいのですけれども、いわゆる日本のように、建設公債、赤字公債と区別している国がございますかど
うか。
#19
○小村政府委員 先生御存じのとおり、日本の財政法第四条では、建設公債、特例公債の区別をしておりまして、特例公債は発行を認めないということでございます。
 他の国におきましては財政赤字という概念でとらえておりまして、私の記憶によりますと、ドイツにおいて日本と同じような考え方で建設公債、特例公債等の考え方の区分があると存じております。
#20
○安倍(基)委員 つまり、建設公債というといかにも後に物が残るからいいよという錯覚に陥るのです。ところが、後に物が残るといっても、本当に経済の基幹となるものもあれば、ただただ物があるという程度のものもある。物によっては粗大ごみになるものだってあるわけです。
 となりますと、建設公債、赤字公債といって、赤字公債は絶対発行しない、建設公債ならいい、いいという今までのいわばトレンドが、考え方がこれだけの国債の累積を招いている。そのつくった物から本当に収益が上がればいいですよ。経済効果があるんだ、あるんだといったって、見えないのです。
 私は、ある意味からいうと、例えば高速道路なんかは道路公団で独立採算でやっていますね。ああいう程度のことがあればそこそこみんなもコストの意識があるのですけれども、いわゆる建設公債という名のもとに、何か物が残るから安心だというような気持ちてきている。これは赤字公債そのものであると我々は意識しなくてはいけない。この点、大蔵大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#21
○武村国務大臣 確かに、建設国債を充当いたしておりますさまざまな事業、そもそも六十年償還でございますから、そういった社会資本に六十年間耐用年数があるのかという、そういう厳密な議論もあるわけでありますし、また、個々の事業についても、本当にしっかりした社会資本、資産が残って、目に見える形で効果を発揮しているのかというふうな先生の論点から見ていきますと、いろいろ議論があることは事実であります。
 しかし、少なくとも借金でありますから、一定の歯どめをかけるべしというまじめな考え方が根底にあるわけで、そのことが建設国債と特例国債を分けるという日本の財政法の仕組みを生み出しているんだというふうに思っております。
#22
○安倍(基)委員 ちょっと今の認識はおかしいと思いますね。借金であるから歯どめをかけるべしという話であれば、建設公債だって借金なんですよ。そこの、いわば赤字国債を出したくない、歯どめをかけるべしはいいんですけれども、建設国債ならいいよという感じがどうしてもびまんしている。借金においては変わりないんですね。その辺がどうも、私が今大蔵大臣に答弁を求めたのに対する答えとして、歯どめをかけるのは赤字公債だけではなくて、建設公債も含めて歯どめをかけにゃいかぬわけですよ。その点どうお考えですか。
#23
○武村国務大臣 建設国債の対象事業であればどんどん目をつむって公債を発行してよろしいという考えを持っているわけではありません。可能である、道が開かれているという認識でありますから、本当はゼロが一番望ましい、国債は。そういう中で、やむを得ざる場合にそういう建設国債を発行することができるということでありますから、先生のおっしゃるとおり、同じ認識であります。
 ただ、それでも対象事業で一応枠を設定しておりますが、特例公債の場合はもう対象が特定しませんからどんどん広がっていく。過去の経験からいってもそういう性格の違いがあるということを申し上げたわけであります。
#24
○安倍(基)委員 じゃ、最後に、ほかの問題に移る前に総理のお考えを承りたいんですけれども、現在、これからの日本経済の運営において何が船路であるかという点に視点を絞って、そこに金をつぎ込むということをやはり考えていくべきじゃないかな。公共事業、公共事業という、名前はいいんですよ、いかにも公共のためと。だけれども、繰り返すようですけれども……(発言する者あり)まあ、天下国家のことを言っているんだから。
 要するに、本当にどこにボトルネックがあるかを考えて、そこに金をつぎ込む。公共事業、公共事業という、名前はいいけれども、たまたまそれに均てんする者が喜ぶだけなんですね。
 ちょっと一つの例を申しますと、ちょっとこれは細かい話ですけれども、私、かって大蔵委員会でこういう質問したことがあるんですよ。四谷から新宿まで拡幅工事があった、あれに幾らかかったかねということを言いましたら、たしか三千億くらいと言っていましたかね。その中の国費は幾らかと言ったら三分の二だと言うんですね。あの拡幅工事で利益を受けるのは東京都民ですよね。ところが三分の二の国費がつぎ込まれては、これはほかの全体のサラリーマンは泣くに泣かれないわけですよ。公共事業という名のもとに一部の者が裨益をするということが随分大きいんです。
 そう考えますと、私は、ボトルネックを解消するという方向で国の資金を要するに考える。公共事業一本やりというのはおかしい。もう一つは、今いみじくも出ましたように技術開発、こちらの方に相当投資をしていかないと、日本というのはこれからの国際分業にたえていけないと思います。この点について総理の御見解を問いたいと思います。
#25
○村山内閣総理大臣 委員御指摘のように、公共投資が経済成長に寄与する割合というのは大変大きいものがあることは、私は否定できないと思います。ただ、従来のような考え方だけで公共投資というものを考えていいのかということになれば、やはり現状を見据え、将来を見据えた立場で、今お話もございましたように、公共投資の配分のウエートというものをどこに置くことが一番いいのかというような配分の見直しとか、公共投資自体の質の問題とか、そういう問題についてはもう絶えずやはり検討していく必要があるんではないかということが一つです。
 それからもう一つは、今お話もございましたように、経済成長を阻んでおるボトルネックは一体どこにあるのか。これは私は、従来のように公共投資、あるいは減税、あるいは公定歩合の引き下げといったような手法だけでもって今の日本経済の現状に対応できるのかということになれば、やはり資産価値の下落とか、あるいは証券市場の問題とか、いろいろな経済全体を取り巻く諸条件があるわけですから、そういう現在直面しているいろいろな課題についても果敢に取り組んで、やはり打開をしていく必要があるということも当然だと思うんです。
 同時にまた、これから日本の経済が二十一世紀に向けて大きく羽ばたいて伸びていく分野というのは一体何なのかということを考えれば、今お話もございましたように、例えば科学技術の問題とか、あるいは情報通信の問題とか、そういうものにもう少しやはり先導的に予算の配分をしていくとかというようなことも十分考えていく必要がある。
 ですから、九月二十日に決めました経済政策というのは、内需を拡大するという当面の課題と、現在直面しておる資産価値の下落の問題やらあるいは不良資産の問題やらあるいは証券市場の活性化の問題やら等々についても果断に取り組んでいこうではないかということが一つと、そして日本経済全体が持っておる構造的な問題についてもこの際思い切って改革をしていく必要があるというようなことについて、経済政策の中では盛り込んでいるわけでありますから、そういう点についてもひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。
#26
○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、日本の経済というのは容易ならざる事態です、後から空洞化の問題についてもお聞きしますけれども。
 こう考えますと、我々がこういう今までの考えをそのまま継続して、公共投資をふやしていけばいいのだ、公共事業をふやしていけばいいのだという考え方は成立しないのじゃないかという点について、総理もある程度御理解を得たと思います。
 二番目に、これは金融の問題です。私は、日本経済の今ボトルネックは何かという中の一つに、やはり金融問題がある。ボトルネックと言われているよりも、もっともっと深刻になってきたわけです。
 私は、実は若いころ、東海財務局の総務部長というのをしたことがございますが、そのときに、豊川信金の取りつけ事件というのがあった。豊川信金というと、余りもう皆さんも記憶にないかと思いますけれども、ある女の子がちょっと変なうわさ話を立てたら、だあっと取りつけに来た。私どもは一生懸命、日銀と相談しながら資金を用意して帰ってもらった。それで事なきを得たということがあるのですけれども、現在はもうそれ以上の状況に、もうそのときは何も取りつけの原因もなかったのだけれども、それでもそうなった。
 現在は、本当に取りつけが始まるというか、かつて昭和の初めでしたかな、金融恐慌は、何か大臣が何々銀行はどうかしましたという話からだあっと始まったといいますけれども、現在はそういうような状況さえも要するに懸念される。
 たしか私どもの西岡委員が大臣に、声明を出せ、絶対預金者は安全だということをした上で、いろいろ開示などをしろという話をしましたけれども、まさにこの金融不安、これをどう解消するのか、これについて、大蔵大臣のいわば御見解を承りたい。
#27
○武村国務大臣 たびたびお尋ねをいただいておりますが、我が国のこの不良債権を中心にした金融問題、ある意味では、今着々と手を打ちながら不良債権の克服に取り組んでいるというふうに御認識をいただきたいと思うのであります。何も手がついていなくてこれから始まるという状況ではありません。
 まず、御指摘のような個別金融機関の破綻というケースは、これまで、昨年暮れの二信組から始まって、五つの信用組合と地方銀行で起こりました。それなりの対処をしているところであります。
 そして、私も既に申し上げておりますように、少なくとも大きな個別金融機関については、これで山を越したと思っていますとあえて申し上げましたのは、この状況がどんどん拡大していくということはありません。もっとも、破綻する金融機関が全くないという意味で申し上げているわけではありません。大きなという形容詞をつけておりますが、一兆円オーダーのそういう大きな金融機関がどんどん倒れていく、そういう状況ではありませんよということを申し上げているわけであります。
 しかし、破綻した金融機関に対しては、しっかりスキームを持ちながら対処をしてまいらなければなりません。そして、四十兆に上る不良債権につきましても、先般来申し上げておりますように、それぞれの金融機関が必死でこれに対する対応力をつけてきているわけでありまして、少なくとも二十一行を例に取り上げれば、もうかなり、四分の三ぐらいは事実上対応能力を持っている、あと四分の一ぐらい残っているという状況まで近づいているということも、数字を挙げながら御説明を申し上げた次第であります。
 もちろんこの問題もまだ残っておりますが、何といっても一番大きな問題は、四十兆の外にあります系統融資を含めた住専の問題です。これが最大の、一番困難な課題として残っております。これを何としても年内に関係者の合意も得ながら解決策を見出していきたいというふうに思っているわけであります。
 今、金融問題、対処の過程にあるというふうに御認識いただきたいし、あと住専も含めて、しっかり対応をしていかなければならないという認識でございます。
#28
○安倍(基)委員 割合と大蔵大臣はのんびり構えておられるようだけれども、大衆心理というのは怖いもので、もし預金が危ないとなったら殺到してくるかもしれないのですよ。この辺を、あと住専さえ処理すればいいという程度の話で考えてもらっては困る。本当にまず安心を与えることが第一と、それから、これからどういう方向に持っていくかということをきちっと示さなければいかぬ。
 私は、これは事務当局で結構ですけれども、アメリカやイギリスで同じようないわば不良債権の処理問題があった。それに対してどう対処したかというのを簡単に御説明願いたい。余り時間もないですから。
#29
○西村政府委員 御指摘のように、世界各国いずれも金融問題に苦しんだ時期がございます。
 アメリカにおきましては、八〇年代の後半から九〇年代の初めにかけまして、SアンドLの問題を中心に金融問題に取り組みまして、その際には、一般の商業銀行については自助努力で、みずからの努力で預金保険を中心に対応いたしましたが、SアンドLにつきましては、多額の財政資金をつぎ込んでその再建を図るということがございました。
 また、イギリスにおきましては、中央銀行の音頭によりまして、民間金融機関も協力をして融資を行い、立て直しを図ったというような事例もございます。
#30
○安倍(基)委員 現在、公的資金の導入問題が非常に浮上しております。これについて是か非かという議論が非常に沸騰しておりますけれども、この点につきまして大蔵大臣と日銀、きのう副総裁が答えられましたけれども、何か総裁がわざわざお見えでございますので、それぞれからお聞きしたいと思います。
#31
○武村国務大臣 私どもは、まだ公的資金の導入について方針を決定したわけではありません。六月に私どものこの問題に対する全体の姿勢を発表しましたときに、公的資金の導入も含めた公的な関与の可能性を真剣に見詰めるという趣旨の発言をしたところであります。
 諸外国の例もございますが、しかし片方、東京都の二信組の例にありますように、公的な資金の導入については国民の中でも厳しい御批判もございます。議論が分かれるところでございますだけに、この秋の国会の論議やあるいは国民の皆様の御論議を踏まえながら、関係者の話し合いを基本にして最終の判断をさせていただきたい、こういうふうに慎重に構えているところでございます。
#32
○松下参考人 金融機関の不良債権問題の処理につきましては、基本的には、各金融機関における自主的の努力、あるいは関係金融機関による適切な支援というような、みずからの努力によってやっていくというのが原則でございますけれども、場合によりましては、それらの努力を尽くしましてもなお、金融機関の破綻のおそれから金融システム全体に対する不安を生ずるような事例も間々見られるところでありまして、そのようなおそれが生じましたときには、全体としての金融システムの安定を図りますために何らかの公的資金を導入をするという点は、海外にもその例がございますし、日本にも古くその例もあった次第でございます。
 今回のいろいろな金融機関の不良資産問題につきましては、先般来の幾つかの信用組合等の破綻に際しまして日本銀行がこのための特別の資金融通を行ったという例もあるわけでございますけれども、それらは一種の、既に公的資金の導入の実例であろうと思います。
 私どもといたしましては、中央銀行の立場として、もしも現実に金融システム全体に不安を生じさせるおそれがあるような場合で、かつ日本銀行以外にはその破綻金融機関に対して資金供給を行うことができる者がないという場合におきまして、関係経営者等がしかるべき責任を十分に追及をされ、これを果たすという条件の中で、そのような日銀における特融措置のようなものも制限的に考えざるを得ないということでまいっているわけでございます。基本的には、これは流動性の支援にとどめるべきものではございますけれども、若干の場合にはそれを超える場合もございます。
 ただ、これ以上に、さらにどういうふうな場合に公的支援の問題を処理すべきかという点は、大蔵大臣もお答えになりましたように、金融制度調査会の委員会の中間報告等も受けまして、ただいま全体的なコンセンサスをつくる努力が行われているところでございますので、その努力を見守ってこれに対応してまいりたいと思っております。
#33
○安倍(基)委員 公的資金導入の是非については、それぞれいろいろな議論があります。
 なお、私の個人的な見解を言わしていただければ、責任をきちんとして、逆に、そういった破綻を生じた者に対する本当の意味の責任をとらせた上で、ある程度の資金の導入はやむを得ぬじゃないか。
 というのは、同じ公共投資として今、関連しますけれども、何兆円というお金をつぎ込んでいるんですね。これが果たしてどのくらい効果があるかということを考えたときに、私は、公的資金がいわゆる経済におけるボトルネックを解消する意味があるならば、今までの放漫経営に対する責任はきちっととらせた上で、それで要するに導入する、むしろその方が正道ではないか。それは、責任をあいまいにしたままの公的資金の導入であれば反対ですけれども、責任をきちんととらせた上の公的資金の導入であれば、ちょっとした公共事業をやるよりはよほど大きな効果があるんじゃないか、私はそう思います。これは全く個人的な意見で、まだ論議したわけではございませんけれども。
 それとともに、ちょっと私は事務当局にお聞きしたいんですけれども、いわば公的資金の導入あるいは日銀特融、いろいろな要素をやったときの経済効果の差がそれぞれあると思います。日銀特融であればこういう効果、あるいは公的資金であればこういう効果、そういう若干経済的な効果の差があると思いますけれども、その点についてはいかがでございますか。
#34
○西村政府委員 私、御質問の趣旨をきちんととらえておるかどうか自信がございませんけれども、もし損失がある場合の対応方法ということになりますと、これは主として財政資金により対応しなければいけないというような効果があろうかと思います。
 また、つなぎの資金あるいは流動性というようなことに対する対応策の場合には、日本銀行の対応によって対処していくというようなことであろうか、そういうことが基本であろうかと思いますけれども、その間におきまして、いろいろな施策の組み合わせというものによってその効果を工夫していくということは可能であろうかとも考えております。
#35
○安倍(基)委員 これは、日銀信用でやる場合、日銀が不良債権を抱え込むことになりますから、ある意味からいうと信用増大みたいな形になりかねない。公的資金を導入すればそれなりの、いわば経済的には中立的な格好になるという要素があると思いますけれども。
 それとともに、今住専問題が出ました。これは草川委員がいろいろ議論されました。草川委員の御意見のとおりでございます。やはり住専はばばをつかまされた。やはりこれは当局の言うようにある程度話し合いの問題、ある程度というか、基本的にはそうでございますから、その結果を待ってということでいいと思いますけれども、ただ問題は、やはりこれからのいわば新しい体制の中で、こういう用途が限定されている、つまり何で農協がああいったことになったかというと、金はたくさん集まるわ、しかし運用の先はないわというのがあるわけです。
 ここで私は、これからそれぞれ銀行はいろいろな要素をディスクローズして、非常にコンペティティブに、競争的にやる。今や、御承知のように東京銀行、三菱銀行あたりが大合併して、もうどんどんどんどんと強力な銀行でないとやっていけなくなる。国際金融に太刀打ちしていくにはそうなっていく。そうすると、いわゆる弱小金融がどうなるのだろうと。しかもその中で、例えばいろいろございます、いわば農協のように、金はたくさん集まるけれどもどう運用していいかわからぬ、結果的にはそういう大きなところへつぎ込まざるを得なくなって、そこでもって大損を食っちゃう。
 でございますから、これからの、金融不安を解消した後、どういう形のいわば金融システムに持っていくのか。これは恐らくは、恐らくはというか、世界の大勢といたしましてはもっともっと自由な、やはり自由競争の方向に行くだろう。そういったときに、この農協とか、あるいはもう少し中小の弱小金融機関、あるいは郵貯とか、そういうものを先々どう考えるのかという大問題が控えておる。私は、この金融不安の解消ということの次には、そういう金融制度をどう持っていくのかという大問題が控えていると思うのです。
 この点、今金融不安の解消に血眼になっている皆さんに、この問題も解決しろと言ってもなかなか大変かもしれませんけれども、これからの、要するにそういった金融機関をどう持っていくのかということについて、現在恐らく検討中でございましょうけれども、これは大蔵大臣にお聞きしてもちょっとすぐは答えが出てこないかもしれません、そんなこと言っちゃ悪いけれども。ひとつ大蔵省としての見解を承りたいと思います。
#36
○西村政府委員 金融自由化が進展する中で、金融システムの安定性を確保していくためには、ただいま御指摘のございました農協等の中小金融機関も含めまして、すべての金融機関が自己責任原則に立脚し、内部管理の充実や適切なリスク管理を通じて経営の健全性確保を図っていくことが一層必要になっていると考えております。
 このため、当局といたしましては、中小金融機関に対しましても、金融機関の自己責任原則の一層の徹底を図る観点から、内部検査等の充実強化を求めるとともに、ディスクロージャーの拡充による市場のチェック機能の活用を図ること等により、金融機関経営の健全性確保に努めてまいる所存でございます。
 このように申しましても、現実には非常に厳しい金融環境になろうかと思います。そのような中で、ただいま弱小というような御指摘もございましたが、それぞれの中小金融機関も含めまして、それぞれの役割分担を担いながらその分野で的確な行き方を市場原理、自己責任原則に立脚しつつ求めていく、そういうことかと考えております。
#37
○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、この金融不安はどこから来たかという原因とともに、これから、本当にマネーは世界を回るというか、非常に競争的な状況になってくる。
 そこで、やはり一つどうしても浮かび上がってくるのが、これは総裁選で小泉さんと橋本さんがちょうちょうはっしやった問題でございますけれども、郵貯というものがどうなのかな。結局金融不安になりますと、例えば要するに郵貯にやっておけば安全だ。郵貯の方の資金運用は、いわゆるコマーシャルベースじゃなくて、いわば国、いわば行政が管理するような形になってくる。すると、私今すぐどうのこうのじゃないのですけれども、この金融行政がこうやってきたときに、郵貯問題というのはやはり避けて通れない話になってくるのではないかな。これは別に小泉さんの肩を持つわけでもないけれども、これをどうするかというのはまだ決まってないにしても、どういうぐあいなものにしておくのかな。
 これはまた大蔵省の財政の関係とも関連するわけです。郵貯という大きな資金源がなくなりますと、今の公共事業にしても何にしてもなかなかやりづらくなるよと。だから、非常に根幹にかかわる問題ですけれども、この問題について大蔵大臣はどういう御見解を持っていらっしゃいますか。
#38
○武村国務大臣 明治以来続いている制度でありますし、国民の間にも大変定着した金融の国家経営のシステムでもありますし、加えて、これが原資として我が国の財投という巨大な資金になっていることを考えますと、軽々に結論を言うべきではないと思っております。
 ただ、金融制度全体の中でも、官業はあくまでも民業を補完する立場に徹すべしということから、郵貯が余り肥大し過ぎますと、民間を基本にした我が国の金融制度そのものに大きな影響を与えるという問題もございます。
 ただ、財投だけの立場で申し上げますと、郵貯は年金原資と並んで財投を支える大きな資金であるということだけで、だから郵貯制度は変えるべきでない、絶対必要であるというふうには、私どもは単純には思っておりません。そう簡単に変えるべきだとも思っておりませんが、今理財局長のもとでも、財投制度そのものの根本的なあり方をめぐって専門家を中心に議論をしているところでございまして、こういう問題は今後も真剣に見詰めてまいりたいと思っている次第であります。
#39
○安倍(基)委員 これは、いわば資金の適正配分を民間でやるのか、国が大きく関与するのかという大問題にかかわりますから、まあ軽々には結論が出ないと思いますけれども、これはやはり問題意識としては持っていなくてはならない話であると思われます。
 それからもう一つ、西岡委員も指摘したんですが、金利が非常に低金利になったと。それで、この問題でございますけれども、西岡さんが指摘し、私も指摘しようと思っておったのですけれども、これが非常に消費にもつまり影響する。これだけ金融資産が大きくなっているときに、この前、たしかどなたかの回答で一千百兆円くらいの資産がある、それが一%下がればもう十兆になる。でございますから、非常に高金利のころから比べますと金利生活者が困るだけでなく、彼らの消費にも影響する。
 この点につきまして、一つは、この金利の低下が消費の減にどの程度影響していたのか。もう一つは、これは企画庁だと思いますけれども、よく、この金利の低下というのは結果的には銀行を太らせたんだ、銀行がそのためにいわばすごい利益を上げて、そこでもって不良債権を償却したんだという議論がなされているわけですけれども、この金利引き下げによって、いわば消費がどのくらい影響しているんだろうか、あるいは銀行がどの程度利得をしているんだろうか。これはそれぞれ企画庁と大蔵省から答えていただきたい。
#40
○宮崎国務大臣 お答えいたします。
 金利の低下が預金の金利の場合ですと、それは生活者に直接響くというのは事実でございます。
 今度の経済対策では、公共投資を中心にして内需の拡大をするということで、民間の需要を刺激して、それを通じて国民の購買力をふやす、それが消費の源泉でございますので、基本的にはそういう考え方をとっております。
 ただ、金利が低下しているということで、マイナスの面があることは事実でございます。特に、御指摘のように、高齢者世帯に対しては、金利で生活している面が非常に大きいものですから、十分に考えなければいけないと思います。
 全体の預金額は、先ほど先生御指摘のような数字がございますが、六十五歳以上の高齢者世帯にとりますと、預金の残高が、これは平均でございますので若干高く出ておりますが、平成六年で千五百十三万円という数字がございます。片一方では、借金と申しますか負債がございまして、百八十二万ぐらいございます。したがって、一千万円ぐらいございますので、その分について、例えば四%の利子から一%あるいはそれ以下の金利ということになりますと、当然収入が低下するわけでございます。
 ただ、高齢者につきましては、老齢福祉年金の受給者等に対して福祉定期預金で優遇をしているということがございます。
 一人当たりの所得で申しますと、金利が四・五%ないし五%から今日のような状況になりますと、五十万円ぐらい一世帯当たり低下いたします。
#41
○安倍(基)委員 トータルでどのくらいになりますか、何兆円くらい。
#42
○宮崎国務大臣 世帯の数が高齢者で三百八十三万ですから、五十万円といたしますとその合計の数字でございますが、ちょっと数字が。後ほど申します。
#43
○西村政府委員 今回の公定歩合の引き下げは、国内景気だとか金融市場の動向等を総合的に勘案して決定されたものであって、決して金融機関の救済を目的としたものではないと私どもは理解をしておりますが、しかし、御指摘のように、一般的には公定歩合の引き下げを伴う金利の低下局面においては、金融機関の調達コストの低下が先行してあらわれることから、金融機関の業務純益が増加する傾向にあるというふうに言われております。現実にそういう傾向もございました。
 しかし、六年度の決算におきましては、運用利回りの低下が既に進んだこと等から、業務純益は、金利低下局面であるにもかかわらず、前年度に比べまして〇・九%の伸びにとどまっているという状況でございまして、金利低下による金融機関の業務純益の増加はあくまでも一時的なものと考えられるところでございます。
#44
○安倍(基)委員 数字としてはなかなか推計できませんか。大体何兆円とか。
#45
○西村政府委員 業務純益の増加ということになりますと、例えば都銀でございますと、六年度は二兆三千億から二兆一千億程度に低下をしております。他方、地銀でいきますと、九千六百億から一兆二千五百億ぐらいに増加しております。
 業態ごとにまちまちでございますが、一例を申し上げれば以上のようなことでございます。
#46
○安倍(基)委員 この金利一つでもって、だあっと違ってくるのですよ。我々は公的資金の細かい話をしている反面、金利をちょっと動かしただけで消費ががあっと落ちてみたり、銀行ががあっと、要するに不良債権を償却できるだけの余裕を持ってみたり。
 私は、ここで、日銀総裁わざわざ来ていらっしゃいますから一つお聞きしたいのですけれども、こういう公定歩合の引き下げというのはやむを得なかったと思います。アメリカとの関係もございますし、アメリカが下げるんだったら、こっちは高くしているとそれだけにまた円高の方になりましたからね。そういう国際状況の問題もあろうし、あるいは景気回復という話もあるかもしれませんけれども。
 ただ、私が考えておりますのは、通常これだけ金融資産が膨大になった社会、そこにおける金利政策は、つまり我々が戦後金利を下げて大いに投資をふやそう、そういうことで考えた時代と少しさま変わりしているんじゃないか。だから、かつては金利を低下させることが投資を刺激するという意味で非常によかった。
 ところが、現在は金利を下げてみても今の金融不安、金融の閉塞の状況で、一向に貸し出しは伸びない、投資はふえない、反面、消費というものが冷えてくるという意味合いにおきまして、これからの金利政策というのは従来の金利政策とちょっとさま変わりしているのではないかな。金融資産が蓄積した社会における金利政策と、終戦から今までのように一生懸命投資、投資としてきた時代と少し意味が違ってくるんじゃないか。
 それとともに、いわゆる国際通貨との関連で金利をどうするか。通貨の価値が上がったり下がったりするのは金利が大きいわけでございますから、そういう意味で、今度の金利引き下げはやむを得ないかと思いますけれども、そういう結果を生じているという意味合いにおいて、これからのいわば金利政策についての御感想というか、私どもの主張に対する、いわばどうお考えになるかという御見解を承りたい。
#47
○松下参考人 今回の金利の引き下げ措置につきましては、私どもも、御指摘のように日本経済をできるだけ早く金融面から支えることによりまして回復の歩みを確実なものにいたしたいという趣旨でございます。
 しかしながら、その過程におきまして、御指摘ございましたように、一般預金者にとりましては金利水準の低下という結果を招くわけでございまして、この点につきましては、私どももこの政策実行上まことに心苦しいことであると存じておる次第でございます。
 しかしながら、この金融政策をとることによりまして日本経済の回復の過程が早まることができますれば、それは全体としての国民経済におきましての雇用の安定あるいは所得の増加ということを通じまして、預金者の方々を含めて国民全般の福祉の向上に将来役立っていくものという判断のもとでこういう政策を講じているところでございます。この点、預金者の方々にも御理解をいただきたいと思っております。
 なお、いろいろな情勢の変化をどう考えるかということでございますけれども、おっしゃいましたように、金利低下のいろいろな影響は金融の自由化に伴って変わってまいると思います。ただにその貸借の金利水準だけでなくて、例えばこれが株式市場における株価の形成に影響を及ぼすとか、あるいは外国為替市場における為替レートにも影響を及ぼすとか、非常に総合的な影響を持ちますことは御指摘のとおりでありますので、今後とも私どもは、金融政策の運営に当たりましては、それらのいろいろな事情、また預金者の方々のいろいろな御事情も総合的に勘案をしながら対応をしてまいりたいと思います。
#48
○安倍(基)委員 これで総裁の質問は終わりますから、どうぞ、よろしゅうございます。
 こういったことで、金融の金利一つでもってこれだけのいわば不良債権問題にも絡まってきている。結局、銀行が不良債権を大幅に償却できているという要素の中にはこういう要素があるということでございますので、私はこの点を注意を喚起したいと思っています。
 大分時間もたちましたものですから、そろそろ話を変えますが、現在一番我々が心配しなくちゃいけないのは空洞化の問題です。私は、よく労働組合なんかの連中に演説をするのですけれども、あと五年後、彼らが本当に雇用を守っていけるのかなと思うと、本当に深刻な気持ちになります。
 ここで余り説明が長くなると質問時間がなくなってしまいますから、簡単に、現在空洞化がどの程度進んでいるのかなということを、事務当局でも結構ですし大臣からでも結構でございますから。
 私の理解しておりますところは、本当に最近は、私も浜松でございますけれども、あそこは輸出の産業が多いところですけれども、自動車なんかも下請あたりはどんどんどんどん各地に出ております。出ざるを得ない。自分たちが生き残るためには仕方がない。電機もそれ。本当にこれは空洞化をこのまま放置しておくとどうなるのか。放置しておくといっても、やむを得ないというか、企業としては仕方がないということで出てくるわけでございますから、その辺の状況をちょっと、事務当局でも大臣でも結構でございますから御説明願いたい。
#49
○橋本国務大臣 今委員から御指摘のありましたものを数字で申し上げますと、製造業の海外生産比率は、九〇年には六・四%でありましたものが、九三年度では七・四%になっております。恐らく現在八%台の後半ぐらいまで来ておりはしないかと心配をいたしております。個別の製品ごとに見ますと、例えばカラーテレビでありますとかテープレコーダーなどは、海外生産比率は既に七割を超えるという状況になってきております。
 私自身、今委員が御指摘になりましたように、これ以上製造業が日本から逃げ出さないためにどうすればいいのかそういう視点で今この問題をとらえております。
#50
○安倍(基)委員 私の友人で大場君というのがいますけれども、彼が書いた本の中に、二十世紀末には海外生産比率が一五%になるだろうということまで言っているのですね。これはまあ予測ですから当たるか当たらないかでございますけれども。
 確かにそれは円高もあるのですけれども、基本的には、日本の周辺に発展途上国というか賃金がべらぼうに安い国がひしめいておる。そこにおいて、例えばさっき言ったインフラみたいな、港をつくるとか、そういうのは全部日本のODAで随分やっているわけです。大分もう外資がどんどん入ってきても大丈夫なような状況になってきている。
 そうすると、我が国の新鋭工場がそのまますぱっと行って、何十分の一の労賃の中で生産する。かつて日本はなかなか、技術は出さない、出さないと言っておったのですけれども、今やもう背に腹はかえられず、工場が丸ごと打っちゃっている。最新鋭設備が行っている。こういう状況なんですね。これは本当に私は、雇用、どうなるのだろうかと、五年後には。これはちょっと難しい話かもしれませんけれども。
 これは労働省にお聞きしたいのですけれども、これから一体、現在の雇用がこのくらいだが、あと五年後にはどうなるのだろう。例えば、一つの仮定を設けて、海外生産比率がこのくらいになったらこのくらいであるというような、いわば推計というか、試算をしておられますか。
#51
○青木国務大臣 安倍先生の質問にお答えいたしたいと思いますが、どういう業種が海外に移転するかというようなことによっても内容は違ってくるわけでございますが、安倍先生もそうであります、私の地元もそうでありますけれども、浜松市あたりは自動車の城下町と言われるくらい機械工業、自動車の部品工業が発展をいたしておるところでありますが、ここの自動車生産に伴う部品工業は、日本でなければなかなか大変じゃないか。
 しかし、例えば組み立てその他の関係で、いわゆる労働集約型の産業というものが企業丸ごと移転をしていくというような場合におきましては、今後において、例えば労働省でことしの六月に雇用失業問題についていろいろ検討し、試案をまとめたわけでありまするけれども、それでいきますと、雇用はそういった面における発展を見合わせて二百九万人ふえるであろう。しかし、製造業等の関係については相当これは減るというようなことで、製造業が二十一万入減っていくのじゃないかというようなことが実は考えられているわけでございます。
 そういったような問題を考えて、これからどういう対策をとっていくかという点について、今度も中小企業等の労働力確保に関する法律の改正案を出しまして、そして今後における、今も安倍先生が指摘されましたように、いわゆる科学技術といったような面における対策等を真剣に検討しながら、例えばベンチャー企業等の育成というような問題を中心としながら、現在の中小企業の活力を活用した中において、例えば能力開発事業、労働省では御案内のようにそういったような問題がございますから、そういったことを考えて対応してまいりたい、こう思っているところであります。
#52
○安倍(基)委員 具体的な数字としてはなかなか難しいかと思いますけれども、私はこれは、例えば自動車総連の全国大会でも、為替相場が八十円くらいだったら、あと何年後には十数万人が減るというような試算もしておるようでございますけれども、これは私は、通産と労働とよく打ち合わせて、これから空洞化問題に、私どもも野党にそれだけの全部スタッフがいればそれはやりたいのですけれども、シンクタンクも含めまして、これから空洞化が進むのについて、雇用にどう影響するかというのを具体的に少し検討していただきたい。これは深刻な問題です。
 私は、これはいろいろな審議会なんかで論議するのもいいのですけれども、具体的にこのぐらいだったらこうなる、それなら我々は少し、海外進出の指導と言ったら変だけれども、やはり基本技術は日本に残しておけとか、いろいろな対策を講じないと、今のところはみんな各企業は生きるの
に精いっぱいですから、どんどんどんどんと出ていく。
 結局日本の社会は、私はしばらくの間オーストラリアにいましたけれども、あそこは第一次産業というか羊毛とか資源で食っているのです。あとのものは全部、ほとんど要するに大したことないんだけれども、集まったお金でみんなが分け合っている。日本というのはどちらかというと今まで第二次産業、製造業でそういうことをやっていたのですよ。だから、簡単に第三次産業、情報産業と言うけれども、これだけの雇用を確保し、これだけの富を世界から集められるものがなくなったら人ごとなんですね。
 私は、本当の問題意識として、これは通産大臣にお答えいただいても結構ですけれども、通産、労働がよく相談して、空洞化に関連して雇用にどう響くかというような問題を検討していただきたい。通産大臣いかがですか。
#53
○橋本国務大臣 今委員が述べられましたような問題意識、私どもも非常に深刻なものとして現在持っております。
 そして、昨年の六月でありましたか、産構審が答申を出されました中で、いわゆる今後成長を期待される十二の分野を挙げながら、それぞれの条件を満たし、全力を挙げて産業構造の転換を図っていった場合に、これくらいの雇用が出てくるという数字はございます。
 しかし一方で、今委員が述べられましたような非常に厳しい産業の海外への進出の速度というものを考えましたときに、それだけをかざして済む話ではないと心得ておりまして、御指摘のような角度を踏まえながら、労働省とも緊密な連携をとり、今後に対処してまいりたい、そのように考えます。
#54
○安倍(基)委員 それから、今度ひとつお聞きしたいのですけれども、これはむしろ大蔵省だと思いますけれども、結局海外に出ていったいわば企業が、それなりの利潤なりなんなりを送金できませんと、結局、向こうに工場ごと持って出ていった。そこで幸い利益を上げた。ところが、それが全部課税されたり、こっちへ金は入ってこない。結果的には日本に、日本全体を養うものがなくなっちゃうんですよ。
 その辺、ちょっと課税関係あるいは送金関係を簡単にお知らせください。
#55
○榊原政府委員 御質問の点で、送金についてお答えさせていただきます。
 工場が進出した国で送金に対してどういう外国為替管理法上の制約があるかということだと思いますけれども、世界各国すべてについて御説明する時間がございませんので、東南アジアを例にとって御説明させていただきます。
 例えばシンガポール、タイは全く制限がございません。それからフィリピン、インドネシアは若干の制約がございますけれども、原則は自由でございます。それからマレーシアは一万リンギ、これは大体四十万でございますけれども、四十万円以上は承認が必要ということでございます。
 送金を受け取る日本の側は、これは全く制約がございませんけれども、送金が五百万以上になったときには報告をしていただく、こういうことになっております。
#56
○薄井政府委員 企業が海外に進出するケースは二つのケースがあろうかと思います。第一に、法人を設立して進出するようなケース、それから第二には、支店や工場等を出していくというケースがあると思います。
 第一のケースにつきましては、現地での収益につきまして現地の国内法で税金がかかる。また、現地の法人が親会社に配当いたしますと、実際の送金の有無にかかわらず現地国内法に従って源泉課税がされるわけでございます。ただし、相手国が我が国との租税条約を締結しておりますと、相手国の源泉課税が軽減されるケースが多いと承知しております。
 なお、我が国にある親会社につきましては、子会社から配当が来るわけですけれども、これは、実際の送金の有無にかかわらず、法人税課税が行われるということでございます。この場合、現地で課税された源泉税、それから配当の原資となった子会社の所得に対して現地で課税された法人税のうちの一定部分、この両方が我が国の法人税から控除される、いわゆる直接外国税額控除と間接税額控除がここで行われるということになります。
 なお、もう一つの形態、支店形態あるいは工場等のみが進出した場合にはどうなるかというケースがございます。この場合は、進出先での支店に対しては、当然のことながら現地での収益について現地で法人税課税がされますし、他方、本国へ送金する場合は、これは同じ法人の中でございますから、課税関係は生じないということでございます。
 また、本店課税はどうなるかということになりますが、我が国への送金の有無にかかわらず、現地での収益はその発生年度においてすべて我が国で課税される、これは全世界所得課税と言われているものでございます。
 最後にもう一点、なお、現地で課された支店に対する法人税を我が国の法人税からは控除することができる、これは直接外国税額控除と言われているものでございます。
 以上が課税関係でございます。
#57
○安倍(基)委員 総理、APECの問題があると思いますけれども、これはやはり日本がどんどん海外進出したときに、ちゃんと送金が保証されたり、向こうで得たものを全部吸い上げられたりとそういう話じゃこれは困っちゃうわけで、今のところ、例えば国によってはいらっしゃい、いらっしゃいという格好でやっておきながら、最後に今度また逆の方向に動いても困るので、やはりAPECの存在意義というのが、こういう域内におけるいわばそういった制度上というか、のお互いに信頼し合える関係をつくるということが必要なんですね。この点総理、いかがお考えですか。細かい話はいいですよ。
#58
○村山内閣総理大臣 これはWTOもそうですけれども、国際的にこれだけ貿易・投資の自由化が言われているときに、その貿易・投資の自由化に伴って各国々の投資なりあるいは受け入れの条件なり等々が大きく違っているということは、これは貿易・投資の自由化の阻害になるわけですから、そういう点では、十分にやはり話し合いをして、そしてある程度の条件の均一化を図っていくということはこれからの課題としても当然のことであるというふうに思っています。
#59
○安倍(基)委員 空洞化と関連して、大分榊原さんの活躍によりと、こういろいろ週刊誌なんか書いておりますけれども、円高が是正された、こう言われております。これはどの程度、ずっと永続するかしないかという問題もありますけれども、これから現在のいわば為替相場を維持する、あるいはこれからもっと円安に持っていくということについてはどういう手を打ったらいいか、その辺につきまして、これは大臣でもいいしあるいは榊原君でもいいけれども、ひとつ御回答願いたい。
#60
○武村国務大臣 先般のG7では、私ども努力をいたしまして、おかげさまでG7全体としては私どもと同じ認識を持つことができました。既に発表いたしておりますように、四月から今日までの「秩序ある反転」をまず歓迎するという認識でありますし、あわせてこうしたトレンドがこれからも継続することを歓迎したい、するということであります。私どもの表現では、現在の状況は反転の過程にあるとたびたび申し上げてまいりましたが、ほぼこれと同じ認識を共有することができたと思っております。
 今の御質問に対しては、一つは、やはり不均衡を是正する。不均衡の場合は、御承知のように、経常収支の不均衡もありますし、各国のマクロ経済の中における財政不均衡もございます。それぞれ財政赤字の問題は共通の課題でもありますが、日米間では大きな経常収支の黒字、赤字が横たわっているということも当然含んでこういう表現を使っているところであります。不均衡の縮小、是正。
 もう一つは、G7を中心にして緊密な国際協調ということがやはりこの半年間の経験に照らしても大変大事だ。そういう意味で、先般、文書で明確に世界に向かってG7の蔵相・中央銀行総裁がメッセージを発出することができたことは大変意味があったというふうに思っております。
#61
○安倍(基)委員 じゃ、次の問題に移りますが、西岡委員がいろいろ規制緩和に関連して御質問して、規制緩和はある意味からいうと雇用にも影響があるぞということを発言しました。まさに私はそのとおりだと思います。自由競争というものはそれなりに優勝劣敗ですから、いろいろな諸国も規制緩和の過程で失業の問題を抱えた。
 ただ、私はひとつ重点的に考えてもらいたいと思うのは土地の規制の問題ですね。というのは、さっき企画庁長官は、経済の要素として労働、資本、技術と、まあ土地は資本の一種かもしれませんけれども、これはある意味からいうと資本の非常に大きな部分だと。土地というのはなかなかほかのものと比べて動かないわけですから。きのうあたりは、定期借地権ですか、いろいろ海江田委員が言われましたけれどもね。
 私の一つのあれは、現在一番問題となっているのは、これは農林省に対しては悪いけれども、日本の農業というものを守ろうということで土地が本当に厳しく使用制限されているということでございます。
 ちょっと事務的であれですけれども、事務当局でいいですけれども、土地転用、農地を要するにほかのものへ転用するときの手続というのを簡単に話してください。余り長々と話されると質問時間がなくなっちゃいますから、もう二、三分で、一分くらいで。
#62
○野中政府委員 農用地の転用でございますけれども、基本的には都市計画法に基づきまして市街化区域と市街化調整区域の区分というのをしておるわけでございまして、市街化区域内の農地の転用につきましては、農業委員会への届け出で済むわけでございます。それから、市街化調整区域あるいはそれ以外の、その他の区域の転用につきましては、農地の区分に応じまして優良農地からそれほどでもない農地というようなことで基準を設けているわけでございまして、それに基づきまして、原則として不許可なところあるいは許可をしていくところというような区分をいたして運用をしているわけでございます。
 こういう農村部の土地利用につきましては、こういう運用の中で、基本的には優良農地を確保する、それから転用の必要に対しましては、市街化区域といいますか、既存の集落等々に隣接をした農地、あるいは農用地区域に指定をされていない農地、生産力の低い農地からできるだけ転用を進めていただくというような基準にしているわけでございまして、転用上もその他の用途に対して対応をしているということでございます。基本的には、そういうような基準に基づきまして都道府県知事の許可をもってこの制度を運用している、こういうことでございます。
#63
○安倍(基)委員 私は今考えていますのは、確かに農業というのをずっと日本は守ってきた、これからも守らなければいけない要素がございましょう。ただこれは、結局第二次産業がどんどん発達して、それでもって世界から金を集めてくる。だから、非常に生産性の低い農地に対しても、ある程度予算を通じたりなんか通じて、さっき、オーストラリアの第一次産業がオーストラリア全体を養ったように、第二次産業がもうけてきた金でもってある程度生産性の低い農業も保護してきたと言わざるを得ないんですよ。
 ところが、これは、日本がどんどん空洞化が進んできますと、そう言ってはいられない。そうすると、私は、近い時期には、逆にもう工場は出ていってくれるな、この土地をただで提供するからというような動きさえ必要なんじゃないかなと。
 私は、これはどの省に聞いたかあれでしたけれども、海外で要するに工場を建てるときと日本で工場を建てるときと、そういった取得費などはどの程度差があるか。これはどの省に聞きましたかな。
#64
○橋本国務大臣 これは、大変やはり工場用地というものが各地域ではらついております。当然のことながら、大消費地との距離の問題、あるいは周辺に港あるいは空港が整備されているかいないか、あるいは道路の整備状況、こうしたことで単純比較が非常に難しいのでありますが、海外の主要都市のビジネスコストを比較したオーストラリア・ビクトリア州政府が公表した資料がございまして、これは我が国で大阪と対比をいたしております。そして、その大阪の工業用地のコストが各国の主要都市と比べておおむね二、三倍程度という数字が出されております。
 出典は、これはオーストラリア側の資料でありまして、我が国の資料ではございませんけれども、今委員の御指摘に一番答えられる近いものとして調べてみますと、このオーストラリア・ビクトリア州政府資料、九四年九月のものがございまして、大体そんな数字が出ております。
#65
○安倍(基)委員 私は、いずれにいたしましても、日本の土地というのは狭い、それをますます狭くしている、その辺に一番大きな問題点があるのじゃないか。
 私は、逆に建設省の方にお聞きしたいのですけれども、市街化調整区域を市街化区域に要するに直しているようですけれども、もうちょっと建ぺい率とか容積率とか、それから市街化調整区域の見直しとか、こういうのを積極的にやるつもりはないか。確かに乱開発を要するに防止する意味で市街化調整区域を設けていることはわかります。しかし、いかにも、市街化自体も余り十分使われていない。
 これはある意味からいうと、道路は狭いとかいろいろな要素があると思いますけれども、ただ、日本のこれからの一つの内需拡大のための大きなあれとしては、需要としては、やはり住宅だと思うのですよ。住宅に対する需要はとても大きい。これはこれから高齢化していく、老人ホームが要る、いろいろな要素もあって、私はこの狭い国土、まあ農地でまた狭くして、そう言っては悪いですけれども、それでまた要するに市街化調整区域をたくさん設けて市街地は狭くする、市街化区域はなかなかつくれない。これをまた東京あたり、上から見ても、高いビルは幾つかありますけれども、ほとんど平たい。もうちょっと土地を有効利用できないかな。それに対しては、建ぺい率、容積率の緩和あるいは市街化調整区域を市街化区域にするというのをどんどんやっていけないかなと。
 私もいろいろ事務当局の説明を聞きますと、いや市街化区域でも建ぺい率は十分使われてないんですよというようないわば返答も来ますけれども、しかし、これは私としては、これから一番需要の伸び得るものは住宅じゃないかな、みんな狭いところに住んでいますから。その意味で、内需拡大についてはやはり土地規制の緩和というものを大きく打ち出さなければいかぬと私は思っていますが、今の容積率、建ぺい率とか、そういったもの、市街化調整区域のいわば市街化とか、その辺についての建設大臣のお考えを承りたい。
#66
○森国務大臣 基本的には、安倍委員おっしゃいますように、できるだけ緩やかな規制緩和をしていく、あるいは容積率については割り増しをしていくというその方向に、我が省としても基本的にそういうスタンスはとっております。
 今委員からお話がございましたように、特に委員のおっしゃりたいことは、土地の高度利用ということは大事だろうと思っておりますし、もう一つは、住宅をだんだん求めていく、良質なものを求めていくと同時に、住宅の居住環境というものをやはり考えていかなきゃならぬ、これも大事な一面だろうと思います。
 ですから、そういう意味で容積率の規制というのは、これはやはり地方公共団体が都市計画を定める上において重要な社会的な規制でありますから、そういう意味では、一律に全部これを緩和を
していくということになれば、やはり居住環境が非常に悪くなる、あるいは交通も混雑をしていくということになるから、一律に緩和をしていくという考え方はとり得ない、そう思っております。
 しかし、既にこれは平成七年の五月から施行されました、三月に閣議決定されました規制緩和推進計画に基づきまして、個別の優良なプロジェクトにつきましては、この容積率の割り増しを行う特例制度というものを拡充をしております。したがいまして、これからもこれの積極的あるいは弾力的な活用の推進をしてまいりたい、このように考えております。
#67
○野呂田国務大臣 先ほど農地が何か市街地の拡大の阻害要因になっておるような御指摘がありましたけれども、私どもは決してさようには考えておりません。
 現在、市街化区域というのは、おおむね十年以内に市街化をする区域として都市計画法で指定になっておるわけですが、その市街化区域の中で、百四十万ヘクタール市街化区域があるわけですけれども、そのうち農地が十三万八千ヘクタールあります。これは、東京都の面積が二十一万ヘクタールですから、市街化区域の中に東京都の区域の七割に相当する農地があって、これはもう転用許可も要らない区域でありますから、そういう膨大な農地が市街化区域の中に現在ある。だから、農地法で規制があるために市街化が進まない、住宅が建たないという御指摘には必ずしも納得いかないところがあります。
 また、三大都市圏の中に耕作放棄をした農地が五千六百ヘクタールございます。これは、三百九市町村について調査したところ、そういう膨大な耕作放棄をした土地もある。これを有効に活用しようということで、建設省や国土庁とも十分協議をしながら、この一年間にその利用方策を定めよう、こういうことで今協議しておりまして、市町村や都道府県農業会議あるいは宅地建物取引業界などの団体を通じてそういう情報を集めたり、利用の方策を定めたりしながら合理的にやっていきたい、こう考えているということをちょっと申し添えさせていただきます。
#68
○安倍(基)委員 農林水産大臣の気持ちもわかりますけれども、個々のケース、いろいろと取り上げれば幾らでもございますが、全体的にやはりこれからは農業も、本当に農業を大規模にやっていくところと都市周辺、これはどんどんと宅地あるいは工場用地にしていくというような区分で、やはりもうちょっと土地を有効利用していかないといかぬのじゃないかと私は思っております。
 そういった意味で、規制緩和というのはいろいろございますけれども、土地規制の緩和というのが非常に大きな目玉じゃないかなと私は考えております。この話は、次に移れませんから、その辺にしておきますが。
 そこで、あと十五分くらいしかございませんから、外交問題についてちょっとお聞きしたい。
 中国の核実験がございました。我々は強硬に抗議をしました。円借款をどうするかという問題で大分もめました。これは円借款を凍結というようなことをずっとなさいますか、どういたされるのですか。
#69
○河野国務大臣 中国の核実験は、我が国国民感情あるいは我が国の一貫した非核政策から見て決して我々として認めるべきでない、こう考えているわけでございます。
 したがいまして、再三再四あらゆるレベルで中国に対して、核実験を行うべきでないと。この核実験を行うべきではないという我々の主張は、総理大臣を初めあらゆるレベルで近年行われたわけでございますが、そうした日本の立場を最も強いメッセージで中国に送るということが、無償資金供与の一部例外を除いて凍結をするということでございます。
 今、議員、円借款にお触れになりましたけれども、私どもは現在円借款を凍結する気持ちはございません。これは日中間におきます歴史あるいは将来ということを考えまして、我が国としては、日中共同声明以後、中国の改革・開放路線というものを支持していくことが中国にとって、また日本にとっても有益なことである、こう考えているからでございます。
 無償資金の一部例外を除いて凍結、これは、中国がもはや核実験をやらないということをはっきりさせるまで私は凍結すべきだというふうに考えているところでございます。一部例外は、人道的なものあるいは緊急事態に対応するものなどを指しております。
#70
○安倍(基)委員 これは防衛庁にお聞きするのかあるいは外務省にお聞きするのかあれですけれども、中国がロシア、そこからいろいろ軍事的に提携するというか、ロシアは今のところともかく軍事産業が行く先がない、それで食っていかなければいかぬ、せっかくあるのを何かに使いたい、中国の方は軍備を拡大するという方向でいっているわけです。
 九月二十三日の産経新聞に、「軍事協力を加速」とか書いてあったり、戦闘機を買うとかいろいろございますけれども、この辺の情勢というものを防衛庁あるいは外務省は把握されているかどうか。
    〔委員長退席、保利委員長代理着席〕
#71
○衛藤国務大臣 安倍委員にお答えを申し上げます。
 御案内のとおり、中国は最近とみに軍事費を増強しておりまして、一九九四年を見ますと、対前年度比で、財政支出に対する軍事費の割合が約一〇%、伸び率にいたしまして二二・四五%、また一九九五年は、同じく財政支出に対する軍事費の割合が九・九二%で、対前年度伸び率が二一・二五%。こういうような背景のもとに、最近ロシアとの軍事交流を高めておりまして、ロシアからキロ級潜水艦あるいはスホーイ27、地対空ミサイル等の新型装備を積極的に導入しておりますし、なお、本年五月にはロシアのグラチョフ国防相が北京を訪問するなど、人的交流も深まっておるようでございます。
 私どもといたしましては、一九九一年から一九九二年にかけて、ロシアからスホーイ27を二十六機程度導入し配備している、このように見ておりますし、さらにロシアからスホーイ27を追加購入する動きがあるとの、そういう情報も得ております。
 以上であります。
#72
○安倍(基)委員 総理、今、我々は平和憲法でずっときたわけですけれども、例えば中国、今の無償供与のものを凍結するということで手を打ちましたけれども、今やだんだんと、いわば中国はそういう方向に動いているわけですよ、簡単に言いますと。今、ケ小平が恐らく、まあそう言っては悪いけれどもいなくなるという時期には、私は、軍がやはり相当発言権を増してくるんじゃないかと。社会が動揺するときに、軍というのは必ず表へ出てきますから。こういう状況なんですね。私は、だから、これはちょっと国の中も大変だけれども、外もこれは大変だなという気が非常にしているわけです。
 そういうときに、問題は、台湾の問題ですけれども、李総統が、かってアメリカのコーネル大学に呼ばれて行きました。恐らくまた日本の京大に、京都を出ておられるから、京大にも行きたいという話になるでしょう。あるいは、このAPECに出るか出ないかで大分もめたわけでございますけれども、これに対してどういう、つまり台湾に対するどういうスタンスを持っていくのかな。これは一面、もちろん中国は一つという大きなプリンシプルもありましょうけれども、また反面、台湾というものが相当それなりの実力を得てきているわけです、資本的にも。東南アジアにおける華僑あたりに対する影響も非常に強い。これをどう外交上位置づけるのかなという問題は非常に大きな問題です。
 でございますから、李登輝さんの訪日は、そういった国際会議に出るということ、あるいはそういう同窓会に出るとか、そういうことも含めてどうお考えになるのか。これは、やはり最終的には総理の御判断だと思いますが。
#73
○村山内閣総理大臣 今お話がございましたように、台湾が近年著しい経済発展を遂げてまいった、APECにもこれは参加をしているわけでありますが、今やアジア・太平洋地域における経済的な立場というものは非常に強くなってきておるということは否定し得ないと思いますし、最近中台間の交流というものも非常に活発化しておる、こういう傾向に私はあると思いますから、こういう点は非常に歓迎すべきことではないかというふうに私は思っております。
 ただ、今お話もございましたように、日本と台湾の関係というのは、一九七二年の日中共同声明に基づきまして、非政府間の関係として維持をされる。そういう関係がずっとこれまで発展をしていっておるわけでありますから、この関係というものは大事にしていかなければならぬというふうに私は思うのです。
 今お話がございました李登輝さんの訪日の問題につきましては、具体的に計画があるというお話は全然承っておりません。私は承知いたしておりません。
 しかし、いずれにいたしましても、我が国は、日中共同声明を守る、同時に、この日台関係は非政府間の関係であるということもしっかり踏まえていかなければならぬというふうに思いますから、こういう点を踏まえながら、これからも慎重にやはり検討しなければならぬ課題だというふうに思っております。
#74
○安倍(基)委員 まあ、まだ具体的な話まで発展しないかもしれませんけれども、例えば京都大学の同窓会に出たいとか、たまたまコーネル大学に行かれましたけれども、そういう問題が起こったときにはどういう御判断、そのとき考えるということですか。
#75
○村山内閣総理大臣 今申し上げましたように、日中共同声明でこれはもう明確にしておるわけでありますから、その明確にした立場というものを踏まえて私どもは対応していく必要があるというふうに思っています。
#76
○安倍(基)委員 まあ、私はどちらかというと台湾の方にちょっとシンパシーを持っているグループですけれども、今のお話だとイエスともノーともはっきりしていないわけですな。つまり、日中の共同声明の範囲内ということは、逆に、来るのは困るということですか。
#77
○河野国務大臣 総理が御答弁になりましたように、日中共同声明を受けまして、我が国としては中国と、政府間の折衝は北京と行う、これはもうはっきりしているわけでございます。一方で、台湾とは経済を初めとして各種の交流が行われる、民間レベルの交流が行われるということは、これまた、先ほど総理が御答弁になりましたように、アジアの経済発展その他を考えましてもそれなりに意味のあることでございますし、我々もそうした点に注目をしているところでございます。
 今の議員のお尋ねでまいりますと、李登輝氏が台湾におきます。その政治的な立場というものがございますだけに、我が国政府として、この政治的な立場を考えますと、今、李登輝氏の訪日ということについて、我々はそれを認めるということは極めて難しいということを申し上げたわけでございます。
    〔保利委員長代理退席、委員長着席〕
#78
○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、この台湾のこれからの位置づけというのはよく考えていかなくちゃいけない問題でございます。まあ私、今個人的には台湾シンパと言いましたけれども、それなりのやはり外交における、特に中国がこういう形になりつつあることに対してどう対処するのかという問題も含めまして、よく考えていかなきゃいかぬと思います。
 ちょっともう一つくらい聞くつもりでしたけれども――一つくらい聞けるかな。
 かつて私は、税制特別委員会で南京事件のことを取り上げました。そのときに、委員会が違うよと言われました。あのときは主として橋本さんを追及したんですけれども、まあ歴史に学べといろいろ言われますけれども、私がそのときに申したのは、広島でさえ、長崎でさえ、当時において死者が十一万、七万である。南京の三十万というのはいかにも要するに現実離れしていると、私は前からそう言っておるんです。
 これは中国を怒らせまいとして一生懸命、まあそれはオブラートで包むということは考えられないではないですけれども、まあこれが、例えば原爆を投下されるときでも、日本は三十万人も虐殺したんだというような口実にもなりかねない。こういったことは、やはりもっと民間の学者の間で十分討議させて、中国と日本の本当は歴史学者あたりが史実をきちっとつかまえて、それでやはり結論を出すべきなんじゃないかな。ただ、向こうがそう言ったから仕方がないというわけじゃないんじゃないかな。
 もう一つちょっと変な話ですけれども――もう時間がないかな。
 長征という言葉御存じですか、長征。長く征伐する。御存じですか。総理、御存じですか。御存じですね。結局あのころ、まあ総理も大体御存じのようですからこれ以上言いませんけれども、中国共産党と国民党とが死闘、本当に争っていたわけです。瑞金というところから延安まで、毛沢東が率いて向こうへ行ったわけですよ。そこで国共合作ということが行われて、国民党と共産党とが手を握り、そして日本に対抗してきた。でありますから、一説によると、盧溝橋事件なんかも本当にその原因はよくわからないとか言われているのですよ。
 だから、歴史に学べというのなら、歴史をもう少し、民間の学者がお互いに忌憚のない議論をして、そして明らかにしていくべきではないかな。特に私は南京事件なんかにつきましても、これは子供のころからみんな、南京に行っては、ここで三十万人虐殺されたと言っているわけですよ。これはやはり長期的に見て、決していい話ではない。もう少し歴史的史実として、学者同士のいわば検討をさせるべきではないかと思いますが、羊の点いかがでございますか。
#79
○村山内閣総理大臣 本件に関しまして、事実関係をめぐっていろいろな角度からいろいろな議論があることは、私も承知をいたしております。ただ、日本軍が南京に入城後、非戦闘員の殺害あるいは略奪行為等があったという事実については、私はこれは否定できないと思うのですよね。
 そういう事実をやはり謙虚に直視をして、そして、私は八月十五日に、そういう意味で、五十年の節目に当たることもありまして、総理談話というのを発表させていただきましたけれども、そういう事実は事実として認めた上で、謙虚に反省をして、そしておわびもするし、これから未来に向かってお互いに平和のために力を合わせていきましょうということを確認し合うということは大事なことだというふうに思っております。
#80
○安倍(基)委員 要するに、じゃ、民間の学者に十分お互いに検討させるということを必要とお考えですか。いかがですか。
#81
○村山内閣総理大臣 五十年の節目に、アジア全体のそういう過去の歴史について共同してお互いに研究をしていこうという意味のことはこれまでも申し上げておることでありまして、私はそういう意味で、各国が共通した理解と認識を持ち合うということは大事なことだと思いますから、そういう過去の歴史についてお互いに一緒になって学んでいくということは大事なことだと思います。考えています。
#82
○安倍(基)委員 これをもって質問を終わります。
#83
○上原委員長 これにて安倍君の質疑は終了いたしました。
 次に、山田宏君。
#84
○山田(宏)委員 おはようございます。
 まず、昨日我が党の草川理事が質問をさせていただきました点について、総理の御見解をお伺いをしておきたいと思います。
 昨日、この「国会決議実現にむけて」というものについて、草川理事が、このODAの内容について、これは事実誤認ではないか、こういう質問がございました。そのことに関して、橋本通産大臣も、極めて遺憾である、また武村大蔵大臣も、正しく理解されていない、こういう答弁がございました。
 これは総理が調査をするということですが、まず、当初は総理は、これは過去のことについて、過去そういう判断があったんだという記述ではないかというお答えでございましたけれども、よく読まれているでしょうし、社会党が公に出した文書ですから、このことについてどう処理されておられるか、お考えをお聞きしておきたいと思います。
#85
○村山内閣総理大臣 御指摘のありました点については、早速調査をいたしました。
 それで、これは誤りであるということを私は率直に申し上げます。それで、訂正をさせることにいたしました。
#86
○山田(宏)委員 随分お配りになっているだろうと思いますけれども、正式にこれは誤りだということで訂正をされるということですから、これはおきまして、次に、総理が五日の参議院本会議で行った日韓併合条約発言について、韓国または北朝鮮から大変な反発また非難が起きているという報道がございますけれども、このことについて総理は今どういうお感じになられているかコメントをいただきたいと思います。
#87
○村山内閣総理大臣 五日の私の本会議における答弁について、若干舌足らずの点もあったのではないかと思いますが、波紋の大きさに私も非常に懸念をいたしておりました。せっかくの機会ですから、改めて申し上げたいと思います。
 私が申し上げましたのは、日韓併合条約は、形式的には合意として成立しておりまするけれども、実質的には、やはり当時の歴史的事情というものが背景にあって、その背景のもとにそういう条約が成立した。その当時の状況というものについては、我が国として深く反省すべきものがあったということでございます。したがって私は、この条約は、締結に当たって双方の立場が平等であったというふうには考えておりません。
 いずれにいたしましても、この問題については、法的議論によって日韓関係に水を差すというようなことが本意ではなくて、過去を直視して、未来に向けて日韓関係はさらに発展させなければならぬ、こういう意味で私は申し上げたつもりでございます。
 そうした私の思いを込めたこの過去の歴史に対する認識については、八月の十五日の談話に、こうした問題も含めて私は申し上げたつもりでありますから、そのように御理解を賜れば幸いであるというふうに思います。
#88
○山田(宏)委員 もう一度確認をしておきたいのですが、この日韓併合条約は、形式的には法的に成立をした、こういう考えでございますか。
#89
○村山内閣総理大臣 これは今も申し上げましたように、形式的には、これはやはり条約としてあったわけですから認めざるを得ないと思うのですね。しかし、その条約が結ばれた当時のその背景というものを考えた場合に、それはやはり力関係の違いもあったりして、実質的には私は、この条約が成立したその背景というものを考えた場合に、当時の歴史的事情というものをやはりしっかり踏まえておく必要がある、だから私は、過去についての植民地支配に対する反省というものも厳しくやはりやらなければならぬというふうに申し上げているわけでございます。
#90
○山田(宏)委員 要するに、形式的には、法的には成立した、だけれども、背景をいろいろ考えると、実質的には、ちょっと語弊がありますけれども、総理のお考えを想像すると、例えば実質的には不当な条約であった、こういうことですか。
#91
○村山内閣総理大臣 これはまあ歴史をずっと振り返ってまいりますと、そういう条約が締結をされておったという形式的なものは存在しておるわけです。しかし、実質的にはやはり、その中身としては、これは当時の力関係やらいろんな国際情勢の背景というものもあって、植民地的な支配がされたという実態というものを私はやはり率直に認めるべきであろうというふうに考えておりますから、そういう歴史的な事実についてはやはり厳しい反省を踏まえて、私は、これからも一層そういう点を踏まえた上で友好関係というものを築いていくことが大事ではないかというふうに申し上げているわけです。
#92
○山田(宏)委員 この点に関しては、橋本通産大臣はどうお考えでしょうか。
#93
○橋本国務大臣 ちょうど私が当選をいたしましてしばらくしたとき、昭和四十年、日韓基本条約の締結の国会に臨むことになりました。その国会の始まります前に、私は、当時党の指示を受けまして、学生数名とともに初めて韓国を訪問をいたしました。その時点で私が遭遇をいたしましたのは、我々が当時の学校教育の中では学んだことのなかった日本の植民地支配の実態でありました。何カ所かで私は実は立ち往生じて、答弁のできないような場面にも遭遇をしたことを、今御質問を聞きながら思い出しております。
 私は、今総理からもお答えがありましたように、当時条約が存在をし、これが日韓基本条約が締結された時点で否定をされた。ただ、その条約が存在したかどうか、いつまで有効であったかということについては、当時から、両国の関係された方々の中に意見の違いがあったように覚えております。その当時、その条約交渉の中でどういう論議が行われたのか詳細を私は存じませんが、食い違いがあったように覚えております。
 ただ、今私は、そうした問題を云々するよりも、我々はやはり、これから先を考えるとき、まさに、かつて我々の先輩の中に、私自身が例えば創氏改名といったようなものを求められたとすれば私は耐えられない思いをしたでありましょう、同じような感じを与えてしまったということは我々は素直に認めるべきことだと、そう思っております。
#94
○山田(宏)委員 この条約によってその後生じた、または行われたいろいろなことについては、私も同じような思いを持ちます。
 その点は同じなんですけれども、後でなぜこの問題を今こういうふうに申し上げるかということを申し上げたいと思いますけれども、この日本側の、形式的には法的に成立したとされている日韓併合条約は、韓国の政府はこれは無効と当初から今通産大臣がおっしゃられているように言われてきましたけれども、韓国の政府がおっしゃられる無効の根拠というのは一体どういうところに求められているのかお聞きをしたいと思います。
#95
○林(暘)政府委員 今すぐに、ちょっと手元に資料が出てまいりませんけれども、私の記憶によりますれば、条約の締結に当たって強制があったということと、それから、全権委任状が発出されなかった、批准が行われていなかったということが、彼らが無効であるという主張をしている理由だというふうに記憶をいたしております。
#96
○山田(宏)委員 ある面では、両方の対立を黙って目をつぶりながら未来を見ていくということも一つの解決の方法だと思いますれけれども、しかし、両国の主張がこういった形で、時によっては先鋭化した形で出てくるということを考えてきたときに、やはり韓国の政府の考え方というものをよく知っておく必要があると私は思うわけです。
 今も答弁ございましたけれども、韓国政府の主張は、とにかく強制でやられた条約じゃないかという点を一つ論拠として挙げておられますけれども、日本の一部の方々の中には、日韓併合条約は威嚇と強迫のもとで強要されたものだという主張がありますけれども、こういう状況については、首相はどのような認識をされておられますか。
#97
○村山内閣総理大臣 どういう言葉が使われたか、今お話があったようなことがあったかどうかということは別にして、当時の状況を考えれば、双方の立場が平等であったとは考えられません。
#98
○山田(宏)委員 威嚇と強迫のもとで強要されたということはよくわからない、こういうことですか。(発言する者あり)今から言いますから、黙っていてください。
#99
○林(暘)政府委員 国際法上、条約の締結が無効とされるような場合、威嚇、強迫があったということは、その交渉当事者、締結者個人に対する、身体に対する強迫であるとか威嚇であるとかそういうものであるわけでございますが、少なくとも当時の国際法上の問題については。そういうものが締結当時にあったというふうには承知をいたしておりません。
#100
○山田(宏)委員 今の御答弁で総理大臣もよろしゅうございますか。
#101
○村山内閣総理大臣 当時のことですから、威嚇と強迫があったかどうかというようなことについて、私がここであったとかないとかいうようなことを言えるだけのものを持っておりません。
 ただ、先ほど申し上げましたように、当時の現状を考えた場合に、決して平等の立場で結ばれたものではないということは想定できますし、言えるのではないかというふうに申し上げているわけです。
#102
○山田(宏)委員 「国会決議実現にむけて」という社会党のことしの四月一日に出されたパンフレットの問題がきのう草川理事によって取り上げられました。この中に社会党が、「過去は謝罪を求めている」という文章の中で、ちょっと読ませていただきますけれども、「韓国への侵略と日韓併合」という項目がございます。
  その後も韓国への圧力はとどまりませんでした。日露戦争に勝利するやいなや、一九〇五年には韓国から外交権を奪う韓国保護条約を結び、続いて一九〇六年には内政をも支配する統監府を設置します。そしてついに一九一〇年には、海上に数十隻の軍艦を浮かべ威嚇を加えながら、併合条約の調印を強要、名実ともに韓国は日本の植民地となったのです。社会党の文書に書いてありますよ、これもきのうのですけれども。総理、いかがですか。
#103
○村山内閣総理大臣 そのパンフレットは、先ほども申し上げましたように、いろいろ調査をしてみましたら政審の審査も経ていないというようなことの事実もはっきりしましたから、ですから私は、訂正をさせる、これはもうODAの関係だけではなくて、その文書全体についてそういう点検をさせているわけです。そのことについては、そういう扱いをしているということについて申し上げておきたいと思います。
#104
○山田(宏)委員 この問題は、先ほどいろいろと意見がございましたけれども、なぜ取り上げているか。本当は取り上げる必要があるのかないのかという議論もあるかもしれませんけれども、社会党さんが四月の一日に公式にこういう文書を出して、現在こういうような問題が韓国と北朝鮮の方で問題になっているということがやはりあるわけですね。
 首相の出身母体である、委員長をなさっておられる社会党の、まあ今は政審の結論も、審議も経てない、こういう内部のお話がございましたけれども、こういうような文書を出して、そして一方で、これは形式的には法的に有効に成立している、こういうような判断をされるというのは、一体どっちが村山首相のお考えなのか、そういうことをやはり国民は疑うんじゃないですか。また、外国との問題も関係があるんじゃないですか、これは。
 これは、ちゃんと検討しなかったからどんどん訂正させていきますというような文書なんですか。
#105
○村山内閣総理大臣 そのパンフレットについては先ほど来申し上げているとおりですし、今提起されている問題に対する私の見解というものは、先ほど来申し上げておりますように、形式的にはこれは存在しておったわけですから、それは否定できないと思うんです。
 ただ、その中身について、実質的にどうなのかということを検証してみますと、やはり必ずしも平等の立場で結ばれたものではないし、これは植民地支配というものがあった事実は否定し切れない事実ですから、したがって、その点は厳しくやはり反省をして、そしておわびをするところはおわびをして、お互いにこれからの友好協力関係というものを、信頼関係というものをしっかりつくっていくことが大事ではないかというふうに申し上げておるんで、私の見解については、それはそのとおりに受け取っていただきたいというふうに思います。
#106
○山田(宏)委員 この問題については、社会党の信頼性が問われている問題だと私は思います。そういう意味では、この文書は総理の認識とは違う、またはこれでいいんだ、こういうお考えですか。それとも、もし違えばまた訂正されますか。
#107
○村山内閣総理大臣 そのパンフレットに具体的に書かれておるいろいろな事実関係とか表現等については、私はそのとおりとは思っていませんけれども、しかし植民地支配があったという事実については、これはもう否定し得ない事実でありますから、その植民地支配をしてきた日本の過去の歴史というものを私どもは直視して、そして厳しく反省する点は反省をして、そして出直すところは出直して、これからお互いの信頼関係を結んでいくことが大事だという私の八月十五日の談話について、これは率直に申し上げているわけですから、そのとおりに御理解をいただきたいというふうに思います。
#108
○山田(宏)委員 民法九十六条は、例えばの例で申し上げますけれども、「強迫ニ因ル意思表示ハ之ヲ取消スコトヲ得」と、こう書いてあるわけですね。強迫による意思表示は取り消すことができると。これは、詐欺または強迫による意思表示は取り消すことができる。つまり、そういう形での意思表示というのはきずがある意思表示だから、それによって生じた契約というのはきずがある契約で不完全なものだ、これが一般的な法解釈なわけですよ。これは民法だけれども。
 しかし、この社会党の文書をそのまま考えてみたら、今韓国の政府がおっしゃっておられるような主張というものも社会党側は一応認識をしてやっておられるというふうに見えるんだけれども、その点はどうですか。
#109
○村山内閣総理大臣 私は、その当時の歴史的な事情というものをいろいろ考えた場合に、そのパンフレットに書かれてあるような、この表現がいいか悪いかは別にして、そういうやはり事実はあったということは否定できないのではないかというふうに思っています。(発言する者あり)
#110
○上原委員長 御静粛に願います。
#111
○山田(宏)委員 この問題については、もし威嚇、強迫というものが国際環境の中であったときには、私個人の考えは、やはりきずのある意思表示だ、こう思います。ですから、そういう点では、この条約の正当性というものについてはやはり不完全なものだ、こういうふうに認識せざるを得ないんじゃないか、こういうふうに私個人は考えるのですけれども、どうですか。首相は同じですか。
#112
○村山内閣総理大臣 それはもう私が先ほど来申し上げておりますように、その条約が締結された当時の状況というものを考えた場合に、これは対等、平等の立場で結ばれたものではないということも認めておりますし、それから、そのパンフレットに書かれているような事実関係もあったのではないかということも私は肯定いたします。同時に、植民地支配があったという事実は、これは否定し得ない事実としてきている。そういう意味で、歴史をあくまで直視をして、反省する点はきちっと反省せないかぬというふうに申し上げているわけでありますから、あなたが言われることと私が言っていることとどういう違いがあるのかというのはよくわかりませんけれども、私の言ったことについては、そのまま御理解をいただきたいというふうに思います。
#113
○山田(宏)委員 次に、いわゆる戦後五十年を記念する集会についてお聞きをしておきます。
 当初、この集会は八月十五日に予定をされておりましたけれども、なぜこの集会が延期をされたのか、お聞きをしておきたいと思います。
#114
○野坂国務大臣 お答えいたします。
 御案内のように、八月十五日に総理大臣談話が日本はもとより世界各国に放たれましたことは御案内のとおりであります。それを記念をして、本年度中にこの五十年の式典をというふうに考えておりました。しかし、相当の準備も必要でございますので、前官房長官とも打ち合わせがありまして、これを延期したらいかがかということで、閣内で延期をすることに決まりました。
 したがって、本年度の予算にも確定されてございますので、この問題については、本年中に実施をして、国民の皆さんに、お互いに五十年を振り返り、将来の展望をして、アジア・太平洋地域の皆さんとも仲よくして繁栄をする方向で式典を開催をしたい、こういうふうに原案づくりを行っておる段階でございます。
#115
○山田(宏)委員 ということは、またこれを行うということは内閣では決定していないということですね。
#116
○野坂国務大臣 いろいろ解釈はあろうと思いますが、一つには、本年度実施という予算が上がっております。それから、それは延期をしたということがあります。延期をしたということは取りやめしたということではありません。したがって、私は責任者として、今、本年中にやらなければ意味はないと考えておりますので、その作業を急いで、閣議には具体的に提案をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#117
○山田(宏)委員 総理もこの集会については強い思いを持ってやられているようにお聞きをしておりますけれども、報道によりますと、政府はこの集会を十二月に行うというような報道もございます。首相のこの集会にかける御決意のほどをお聞きをしておきたいと思います。
#118
○村山内閣総理大臣 今官房長官からも答弁がございましたけれども、五十年の節目に当たって、やっぱりこの五十年の歴史というものを国民全体が振り返りながら、未来に対して日本の国際的に果たす役割なり日本の立場というものをしっかりお互いに考え合って、そして誤りのない方向というものをしっかり見定めていこう、こういう意味で、私は、ことし五十年目の節目にこういう集会を持つことは極めて意義のあることだというふうに思っておりますから、ぜひ実行したいというふうに思います。
#119
○山田(宏)委員 首相の思いというのは、やはり八月十五日の首相談話に示されているような、そういう趣旨というか考え方を基本とした集会になるということでしょうか。
#120
○村山内閣総理大臣 そのとおりであります。
#121
○山田(宏)委員 今総理のこの五十周年の記念の集会に対しての強い決意が示されましたけれども、自民党も首相の意向に沿う形での開催を認めていかれるというふうに受け取ってよろしいですか、橋本通産大臣。
#122
○橋本国務大臣 今官房長官から御答弁がありましたように、その詳細をまだ私ども存じている状況ではございません。
 しかし、いずれにいたしましても、この第二次世界大戦敗戦以来五十年という、その時代を振り返りながら、過去に思いをめぐらせ、同時に、これから先の日本が世界の中でどのような姿勢で役割を果たしていくべきか、そうした思いを込めたものになることを願っております。
#123
○山田(宏)委員 橋本通産大臣も、自民党総裁としてこれはぜひとも推進をしていく、こういうお考えであるということでよろしいですね。
 というのは、新聞を見ていますと、もうあと十二月までぎりぎり三カ月、いろいろな準備を考えますと、もうそろそろきちっと決めないと、これは今官房長官がおっしゃられたように予算もついておりますけれども、実現不可能じゃないか、こういう声も聞かれます。自民党内でいろいろな御意見があるというふうに伺っておりますけれども、総裁としては、ぜひ首相の意向も踏まえて詳細もよく見た上で進めていきたい、こういうふうにお考えである、こう認識してよろしいですね。
#124
○橋本国務大臣 記念の式典を行いたいというのは内閣として決定をし、予算編成においてもその経費を計上したものでありまして、その意思は当然のことであります。そして、今後、官房長官の方から最終的な日程、構想等がお示しになられるでありましょうが、そうした内容を党は見なりに御判断をさせていただく、そうした場面もあろうかと存じますが、方向として、これを進めていくということに異論があることではありません。
#125
○山田(宏)委員 それでは、オウム真理教をめぐる破防法の適用の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 実は、私の選挙区であります杉並や中野や渋谷、とりわけ杉並には大変たくさんのオウム真理教の施設がございます。十カ所とも八カ所とも言われておりまして、住民は大変な不安感の中に今置かれております。
 このオウム真理教の施設に対して、時には建物の明け渡しを求めたり、また時には立ち退きを求めたりというような住民の運動も広がりを見せておりまして、オウム真理教が一体どういうふうになっていくのか、今後また再びああいった悲惨な、しかも許しがたい犯罪を犯していく可能性はないのかあるのかということについては大変注視をしているところであります。
 そういった点で、きょうの新聞を見ますと、総理は、新聞報道ですからちょっとお聞きをしておきたいのですけれども、宗教法人の解散命令というものが出てから破防法の適用問題は検討していくというようなお考えのように報道されております。そういう報道がございましたので、総理のお考え、本当に、まず宗教法人法でやって、その後、その状況を見て、また捜査やいろいろな犯人の検挙等を見て、そして決める、こういうようなお考えであるのかどうか、お聞きをしておきたいと思います。
#126
○村山内閣総理大臣 宗教法人法に基づいて解散命令を裁判所に出していただくということと、破防法を適用するということとは、全然これはまた趣旨もねらいも違うわけですから、同一視して考えるわけにはいかぬと思うのです。
 けさの新聞の報道を見て、私もちょっとこれはまたどうしたんだろうかというふうに思いましたけれども、破防法の扱いに対する考え方というのは、私はこの委員会でも明確に申し上げてあります。これはもう、今お話もございましたように、国民の皆さんが非常に不安に思っておる、こういう凶悪な事件が二度と起こらないようにしなければいかぬというので、今捜査も徹底してやって、そして、やがてオウム全体の事件に関する真相というのは解明されていくと思います。
 今、公安調査庁でも、破防法の適用に関して、団体規制の適用要件に合致するかどうかというようなことについて慎重に検討されておると私は思いますね。
 これは先般も申し上げましたけれども、やはり基本的な人権に関するような問題もございますから、法と証拠に基づいて厳正にこれは対応して、慎重に扱う必要があるということはたびたび申し上げておるとおりでございます。
 しかし、その要件がそろえば、それでまたお互いの議論の中で当然そういうふうにすべきだというような結論になれば、それはその結論について政治的にいいとか悪いとかいうようなことの論評はすべきものではない、これはもう準司法的な扱いにすべきだというふうに私は思いますけれども。
 しかし、破防法を適用する段階というのは四つの段階ぐらいがありますからね。ですから、手続を開始するかどうかという、その段階については、行政上のそういう意味の責任と判断というものはやはりあっていいのではないかというふうに思いますから、その責任は感じながら、十分慎重に対応していきたいというふうに思っています。
#127
○山田(宏)委員 今総理が、準司法的な意味合いもあるからという御答弁がありまして、私も全く同意見でありますけれども、検察による犯罪者の起訴というものと、それは全く合致はしませんけれども、しかし、今総理がおっしゃられたような準司法的という意味は、公安調査庁が十分に証拠を集めて、きちっと要件に該当するというふうに公安調査庁が判断すれば、その判断に対していいとか悪いとかというような政治判断は加えない。
 先ほどの例えで言うならば、検察庁がいろいろ犯罪の構成要件を見て、そして犯罪事実があるというふうに認定して、起訴をすべきだ、こう判断したらそのことに行政が口を入れられないように、同じような意味で、公安調査庁がきちっと要件を確定をして証拠を十分に集めれば、これは政治判断を加えない、準司法的という意味はそういうふうに受け取らしていただいてよろしいですか。
#128
○村山内閣総理大臣 規制の手続の概要というのを見ますと、最初に弁明手続というのがあるわけですけれども、規制をする規制請求手続の開始というのがありまして、これは規制手続の開始を決定すれば官報に公示をして、そして弁明の期間があるわけですね。その弁明の期間が過ぎて、そしていよいよ規制の開始をするということになってまいりまして、またそれは官報に公示するわけですけれども、そして公安審査会というものが設けられて、その公安審査会でもって議論をされて、そしてそこで結論が出たら効力を発揮をする。そして、それに対して不服の者は訴訟でもって争うということになるわけですけれども、今申し上げましたように、第一段階の規制の開始手続をやりますという判断は、やはり私は行政的な責任はあるのではないかというふうに思いますから、そこは十分連携をとって、そして法に照らして、法と証拠に基づいて厳正な判断が必要だ、厳正にやる必要があるというふうに思いますからね。
 しかし、それ以降の手続については、これは公安審査会というものがあって、そこで決められたらこれは効力を発効するわけですから、したがって、それは政治的に、まあ政治的という意味は、政治的な判断でもって、それはやるべきだとかやらざるがいいとか、いいとか悪いとかそういう政治的な裁量でもって決めるべき性格のものではないだろうというふうに私は理解をいたしております。
#129
○山田(宏)委員 総理のおっしゃっているのは当然のことであります。要するに、弁明手続というものを行うんだという判断から以降は粛々と、法に決められたとおり、その指定される対象になっている団体から代表者を呼んで、いろんな証拠、反証を出してもらったりして、それを全く独立した、今お話のあった公安審査委員会できちっと書面審査をして、そしてそこには政治が関与をする、介入する余地は全くないんですよ、法律上。ないんですよ。
 その後、例えば審査委員会が、これは団体規制というか団体の解散に、または活動の規制に合致する、こういう判断がされれば、そこから効力は発しますよ。ですから、それに指定された団体は、不服があっても、不服の訴訟と同時並行で団体の行動が規制される、こういう法律になっていまして、いわゆる弁明手続に入れば、そこから先は、私は、政治的判断なんかしたら、これはもう法治国家に全く反することで、こんなことは犯罪的行為だと思いますし、それはもう当然だと思うのです。
 私が申し上げているのは、その弁明手続に入る前、今総理がおっしゃられた点ですね、ここは例えば、準司法的とおっしゃられた意味は、検察とはひとつ違いますけれども、もちろん違いますけれども、やはり公安調査庁が十分に慎重に証拠集めをして、公安調査庁がこれは要件に合致するものだ、こういうふうに判断すれば、それに対しては政治的な判断、これは要件に合致するんじゃないかしないんじゃないかというようなことを総理が判断されたり内閣が判断されたりということはあり得るのかということをお聞きをしておきたいわけです。
#130
○村山内閣総理大臣 規制の手続を開始するということを官報に掲載するということは、もう規制をやるということを前提にして私は官報に掲載されると思うのですね。したがって、その規制の手続が開始されるまでの段階は、これは公安調査庁といえども一つの行政機関ですから、したがって、やはり行政の長としての総理大臣の責任は当然あるというふうに私は思いますからね。したがって、その段階までの判断というものはあってしかるべきだと私は思いますよ。
 ただ、その判断というものは、やはり法と証拠に基づいて厳正にすべきことは言うまでもないことだし、同時に、この破防法というのは、成立の経緯から見て基本的人権にかかわる問題であるから、ですから、先ほども議論されておりますように、慎重の上にも慎重な手続というものもやはりとるようにしてあるわけですよ。
 そういう意味では、私は、そういう手続開始に至るまでの経緯というのは、何度も言いますけれども、法と証拠に基づいて厳正にやるべきだし、その基本的人権という問題も踏まえて慎重の上にも慎重なやはり判断が必要ではないかということを申し上げているわけです。それ以降については、これは、今お話があったとおりの扱いをすべきだということについては私も同じであります。
#131
○山田(宏)委員 こう申し上げているのは、やはり非常に不安が大きい、今オウムの施設が点在している地域に。あの例の青酸ガスがありますね。あれは簡単な知識ででき上がっちゃうものなわけですよね。そういうもの、単にサリンとかいうような毒ガスのみならず、そういうものがいつ使用されるかもしれないという不安が当然ながらやはり住んでいる人にはございます。そういう意味で、この団体が将来にもわたって同じような行為を犯すのではないかということがやはりいろいろな証拠のもとにきちっと判断されれば、当然ながらその手続に入っていくべきだ、こう考えておりますのでこういう御質問をさせていただきました。
 いろいろな不安がありますので、担当大臣に、もし状況がわかれば、ちょっと細かいことになりますけれども、わからなければ結構ですから、お聞きをしておきたいと思います。
 上祐容疑者が逮捕されましたけれども、それまではずっと上祐容疑者がいつもテレビに出てオウム真理教を代表した発言をされてこられましたけれども、今のオウム真理教は実質的な責任者が存在しているのかどうかということについてはどうでしょうか。
#132
○深谷国務大臣 教団側の公式な発表によりますと、今後の教団運営は村岡達子代表代行が行う、集団指導体制だ、こう申しているのであります。恐らく四人の正悟師が中心になると思われます。
 ただ、上祐逮捕の後、上祐が担当しておりました緊急対策本部長の席も空席でございますし、一体、全体をまとめるだけの力のある者がいるのだろうかという点においても不明でございます。極めて不透明な状態にございます。
 私どもといたしましては、この教団の今後の運営のあり方、組織のあり方、行動等を厳しく監視しながら、国民の不安を取り除くために万全の体制をしいていきたいと思っております。
#133
○山田(宏)委員 全体をまとめる人がやはりいるかどうか不安だ、不安な状況に置かれているという国家公安委員長の認識でございました。
 さらに、サリンを含む毒ガス、またはその原料、薬品の回収というものはどの程度進んでいるのか、もしわかればお聞きをしておきたいと思います。
#134
○深谷国務大臣 今日までさまざまな角度から薬物の押収などをいたしてまいりました。地下鉄サリン事件、松本サリン事件等に使用されたサリン等の有害物質については、これまでの関係被疑者等の供述等から総合いたしまして、ほとんど残存している可能性はない、極めて薄い、このような判断をいたしております。
#135
○山田(宏)委員 それから、ちょっと関心がありますのは、いわゆる「科学技術省」というところに配置をされている信者や「厚生省」と言われるところに所属をされている信者、こういう方々はみんなある程度の化学知識または薬物に対しての知識を持っているように聞いておりますけれども、こういうところにはどれぐらいの信者がまだ残っておられるのか、わかりますか。
#136
○深谷国務大臣 具体的な質問でありますから、担当者から説明をさせます。
#137
○杉田政府委員 オウム真理教の信者の動向については、日によっていろいろ異なってまいりますけれども、現時点で私どもが把握をしております数は、おおむねでありますけれども、上九一色村及び富士山総本部に約二百五十名ほどおるというふうに承知をいたしております。
#138
○山田(宏)委員 それから、検挙された者のうち、逮捕された者のうち、その後の脱会者は何人中何人ぐらいいるかわかりますか。わからなければ結構です。
#139
○杉田政府委員 正確な数はお許しいただきたいと思いますけれども、既に逮捕されましたのが百名ちょっとでございますけれども、そのうち約一割程度が脱会をしておる。しかし、これにつきましては、いわゆる口だけで言っておりますのか、実際そうなのかについてはつまびらかでございませんので、そういう点もあわせまして今後捜査を徹底してまいりたい、かように考えております。
#140
○山田(宏)委員 脱会するといっても口だけかどうかはわからないということで、それはそうだと思いますね。
 ところで、文部大臣に伺いますけれども、宗教法人の、きのうも質疑がございましたけれども、解散命令が出た場合、オウム真理教は、いわゆる債権債務の整理ということを主要な目的として、この解散命令の効果というものが進んでいくと認識しておりますけれども、それは正しいでしょうか。
#141
○島村国務大臣 事の性格上正確に申し上げますが、解散命令が確定いたしますと、裁判所によって選任された清算人において宗教法人の清算が開始され、宗教法人の資産は清算人が裁判所の監督のもとに管理し、債権債務の整理や残余財差の処分が行われることになるわけであります。また、清算手続が結了すれば宗教法人は法人格を喪失し、その活動の基盤である財産をも喪失することになるわけであります。
 しかしながら、任意団体である宗教団体としての活動ができなくなるわけではない、こう承知しておるところであります。
#142
○山田(宏)委員 端的なお答えをいただきましたけれども、要するに、宗教法人の解散命令ということから生じるのはいわゆる財産の整理であって、人の活動は当然制限できない。ですから、任意団体となってその宗教団体の信者を集めることもできるし、また会費も集めることもできるというふうに思いますけれども、その認識で正しいですか。
#143
○島村国務大臣 そういうことになろうかと思います。
#144
○山田(宏)委員 先ほど脱会者のお話がございましたけれども、きのうの新聞で岐部被告が懲役一年の実刑判決を受けた。岐部被告は、一応脱会は当分はしない、自分はまた教団に戻って仲間の説得に当たる、こういうような報道でございました。脱会していない容疑者が判決後に教団に戻っていくという可能性は、やはり十分考えられるのではないかと思います。
 また、麻原容疑者に精神的なきずなをまだ強固に持っている信者の人たちというのはたくさんいる。だから、この間の新聞にも出ておりましたけれども、新実被告を正悟師から正大師に拘置所の中から引き上げたり、弁護士を通じていろいろな指令を教団にメッセージとして伝えたり、そういった、いわゆる拘置所に入っていても、そういう精神的なきずなを使いながらいろいろな指示を行う状況にあるのじゃないか。
 また、先ほどもお話があったとおり、「科学技術省」や「厚生省」と言われるところにまだまだ化学的、薬学的な知識を持った信者の方々がたくさんいらっしゃる。そして、判決を受けた幹部でも、今申し上げたとおり、また戻っていく人もいる。
 こういった場合、宗教法人の法人格の解散、つまり財産の整理ということで本当に将来の不安がぬぐい去られるのかどうかここがやはり一番ポイントだと思うのですね。一番ポイントだと私は思います。
 これらの人々の活動は、宗教法人法の解散では規制できませんよね。
#145
○島村国務大臣 そのことに対する危惧する気持ちは、私は全く同じ考えでありますし、政治の責任においてこれは万全を期する必要があろうかと思いますが、宗教法人法上のいわば機能といいますか、その法律の持つ効力では、これはすべてを排除することはできない。
 ただし、社会的にもう認知されないわけでありますし、いわば法人格を失うわけですし、そして同時に、いわば財産その他を失うということは間接的な抑止をする力を持つのではないか、こう判断しております。
#146
○山田(宏)委員 それでは、破防法によって団体の解散指定が下されたときは、こういった問題にどういう効果が生じるでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
#147
○杉原政府委員 一般論として申し上げれば、破防法が適用されまして、解散指定の処分が効力を生じますと、破防法の第八条の規定によりまして、当該団体の役職員または構成員であった者は、団体のためにするいかなる行為も禁止されることになります。
 また、同法九条の規定によりまして、この禁止を免れるための脱法行為も禁止される、こういうことになっております。
 さらに、解散指定の処分が訴訟手続によって取り消しを求めることができないことが確定した場合には、破防法第十条によりまして、当該団体は速やかにその財産を整理しなければならない、こういうことになっております。
#148
○山田(宏)委員 問題になるのは、破防法の八条の「団体のためにする行為の禁止」、これが包括的な表現で、どういうものが禁止されるのか、あらかじめよくわからないのではないかというような指摘がなされております。
 そこで、破防法による団体の解散指定になった場合、どんな行為が例えば禁止の対象になるのか。例えば単なる修行、それから例えば勉強会、礼拝、こういったものまで規制されるのかどうか、または一体どういうものが団体のためにする行為として禁止されるのかこの際、明示をしていただきたいと思います。
#149
○杉原政府委員 具体的にどのような活動が団体のためにする行為として禁止されるかにつきましては、事実関係によって判断されるべきであるというふうに考えております。
 ただ、代表的な例を挙げるならば、暴力主義的破壊活動が行われた日以後、当該団体の役職員または構成員であった者が当該宗教団体のために資金を調達したり、当該宗教団体のために団体の拠点を確保したり、団体の主義、教義への支持者を勧誘するなどが考えられます。
 なお、個人的な信教の自由を規制することができないことは当然であるというふうに考えております。
#150
○山田(宏)委員 今団体規制の効果というものについてお話をいただきましたけれども、この効果を、破防法を適用するとなると四つの要件が必要だ、こういうふうにきのうも答弁ありましたけれども、この四つの要件を簡単に御説明いただきたいと思います。
#151
○杉原政府委員 破防法による団体規制の要件は、特定の団体が団体の活動として暴力主義的破壊活動を行い、かつ、継続または反復して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあることの四点でございます。
 このうち、破防法上の団体とは、「特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体又はその連合体をいう。」というふうに定義されております。
 次に、第二の要件であります団体の活動として行うというのはどういうことかと申しますと、団体の意思が決定され、その決定された団体意思に基づきまして、当該団体の役職員または構成員がその意思実現のために一定の行為を行うということを指しております。
 第三の要件であります暴力主義的破壊活動とは、内乱、外患誘致などの行為、または政治目的を持って殺人、放火あるいは強盗などの破防法所定の行為を行うことを指しております。
 最後に、第四の要件であります将来の危険性につきましては、当該団体が暴力主義的破壊活動を繰り返して行うことの明白な危険性があるということを指しております。
#152
○山田(宏)委員 一番やはり議論になるのは、第四番目の、将来の危険性というものに対してきちっと明確な証拠で示せるかどうかということだと思います。
 最初の、団体がどうかというのは、当然これはオウム真理教は麻原容疑者を中心とする教団でありますし、また、団体の活動として暴力主義的破壊活動が行われたということは、やはりこれは麻原容疑者の意思で組織として決定され、そして組織として松本サリン事件やまた地下鉄サリン事件等が引き起こされた。
 そこに政治上の主義があったかどうかということが一つの問題にはなるでしょうけれども、これは例えば祭政一致の真理王国をつくるんだとかそういったことをこの教団としては始終述べておりましたけれども、そういうようなものが背景にあるということであれば、これはやはりいわゆる暴力主義的破壊活動に適合するのじゃないかな、こういうふうに思いますけれども、なかなかこれはお答えしにくいかもしれませんが、公安調査庁はどういうふうにお考えですか。
#153
○杉原政府委員 ただいま議員の御質問の点に関しましては、調査の具体的な内容にかかわることでございますので、まことに申しわけございませんが、この段階では答弁を差し控えさせていただきます。
#154
○山田(宏)委員 将来の危険性という第四の要件についても、先ほど申し上げましたとおり、たとえ拘置所にいても麻原容疑者の指示ができる。または現在の教団のいろいろな化学的知識を持った人たちがまだ残存をしている。岐部被告が示すように、脱会をしない信者がまた戻ってくる可能性がある。そういったことをいろいろ考えてきますと、やはり将来への危険というものについても、まあ素人考えで大変申しわけないので、素人考えでこれは判断することでは全くありませんが、私はそういう不安があるということを申し上げたいのであって、やはりそういうことを考えてみると、この第四の要件についてもかなり該当していくのではないか、こういうふうに私個人は考えております。
 これも多分お答えはできないでしょうけれども、そういったような不安に対して野坂官房長官は、十月三日の、これは四日の新聞ですが、三日の午後の記者会見で、オウム真理教のほとんどの幹部が逮捕され、事件は終息に近づいており、再び同じような事件を起こす可能性は少ない、こういうふうな発言をされたような報道がございますけれども、こういう認識で本当に正しいのかどうか、事前にお聞きをしておきたいと思います。
#155
○野坂国務大臣 ぶら下がりでいろいろと御質問があったと思っておりますが、見方はいろいろございまして、根こそぎというような見方、あるいは相当数逮捕されたから幹部の指導性は失われたのではなかろうかという見方、いろいろな意見なり見方があろうかと思っております。
 そういう事情の中で、我々としては、私としては、今すぐにそういうふうな将来の危険性というようなものはないのではなかろうかなということを当時、十月の三日ですか、そのときにはそういうふうな発言をしたのではなかろうかな、こういうふうに思っております。一つの見方であったということでございます。
#156
○上原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
#157
○上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。山田宏君。
#158
○山田(宏)委員 それでは次に、大和銀行のニューヨーク支店をめぐる事件についてお尋ねをさせていただきたいと存じます。
 この事件は、今報道されておりますとおり、日本の金融システムまたは日本の銀行全体のリスク管理のあり方が本当に国際的に見てこれでいいんだろうかというような、そういう疑問が呈せられている象徴的な事件である、こういうふうに認識をしております。
 この事件の概要については報道されているとおりでありますけれども、簡単に申し上げれば、大和銀行ニューヨーク支店のエグゼクティブ・バイス・プレジデントとして証券等の売買、管理を統括していた井口俊英氏が、八四年から十一年間にわたって、簿外で無断で売買して生じた損失を同行保有の投資有価証券を売却することで穴埋めをしてきた、そして、その間の損失が約十一億ドル、日本円にして千百億円の損失を与えた、こういう事件でございます。
 ところで、まずこの事件は、大和銀行の当時の藤田頭取の九月二十六日の緊急記者会見で判明をしたわけでありますけれども、当の井口氏は、今は井口容疑者となっておりますけれども、FBIによって逮捕されたのはいつで、その容疑事実はどういうものであったか、わかれば簡単にお答えいただきたいと思います。
#159
○西村政府委員 たしか九月の二十六日、公表した日ではなかったかと思いますけれども、FBIに逮捕されたのはそのような日付だと聞いております。
 容疑事実は、ちょっと私調べまして、もう一度お答えさしていただきます。
#160
○山田(宏)委員 突然の質問なんで、正確にお答えは後でわかればいただきたいと思いますが、要するに、今銀行局長の答弁がございましたけれども、銀行局長でもすぱっとはすぐ答えられないほど、これは実は、アメリカの法令に従うべき大和銀行ニューヨーク支店という現地法人が、アメリカの法令に違反したという事例であるということが基本であります。
 この大和銀行の頭取にこの井口容疑者から告白状が届きました。それはいつで、また大和銀行がニューヨーク連銀に本件を連絡したのはいつか、簡単にお答えいただきたいと思います。
#161
○西村政府委員 先ほどの逮捕の理由は、権限外の売買ということだそうでございます。
 それで、今のお尋ねでございますが、井口の告白文が頭取に送付されましたのは七月の二十四日と聞いております。そして、FRBに大和銀行が通知いたしましたのは九月の十八日と聞いております。
#162
○山田(宏)委員 つまり、大和銀行のトップがこの事件を、アメリカの法令違反の事件を、事件の可能性と言った方が正しいのかもしれませんが、を知ったのが七月二十四日、そして、それをニューヨーク連銀に連絡をしたのが約二カ月おくれの九月十八日ということであります。
 ところで、この井口容疑者の告白状は、聞くところによると書留親展で社内郵便で届けられたということでありますが、この井口容疑者の告白状の内容を大蔵省が初めて知ったのは、きのう質問があったとおり八月の八日、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#163
○西村政府委員 このような問題が生じていることを初めて伺いましたのは八月八日でございますけれども、そのときに、手紙の存在というものは聞きましたが、内容そのもの、手紙そのものについては、私ども拝見したわけではございません。
#164
○山田(宏)委員 その八月八日については、昨日の質問でも、六時から大和銀行の会議所で会ってこの話を直接報告を受けたということですが、それでは、手紙の内容はわからないということなのですが、八月八日に報告を受けたのは具体的にどういう内容であったのか、この点についてお聞きをしたいと思います。
#165
○西村政府委員 私がそのときに伺ったと記憶しておりますのは、藤田頭取がその年のたしか春と伺ったと思いますが、ニューヨークに出張したときに会った行員の一人から手紙が来た、私信が来た、その中に非常に重大なことが書いてあって、十億ドルを上回るような損害を十年間以上にわたって生じたというようなことを書いておる、そのニューヨーク支店の行員からは、アメリカの国債取引で今申し上げましたような大きな損失を生じさせたという旨の手紙を受け取ったけれども、真偽のほどが明らかでないので現在内容の確認を始めたところである、事態の把握に努め、状況がわかり次第報告したいというお話でございました。そこで、私は、早急に事態の把握に努めて、状況がわかり次第報告をしてくださいと申し上げたところでございます。
#166
○山田(宏)委員 大和銀行の藤田頭取は、この告白状を受け取ってからすぐ、当時の山路常務をニューヨークに派遣して、この井口容疑者と話したと言われていますが、この事実を大蔵省は知っていますか。
#167
○西村政府委員 今申し上げましたように、そのときに、八月八日に現在内容の確認を始めたところであるとおっしゃっておられたのは、恐らくそういうことであったのだろうと思います。
#168
○山田(宏)委員 この山路常務は井口容疑者と話して告白状の内容はほぼ間違いないと判断された、こういうふうに聞いております。
 ところで、ちょっと話題を変えますけれども、この大和銀行に告白状が届いたのは七月二十四日、そのときにその手紙の中には、日本円でいうと十億ドルを上回る、千百億円の損失の記載があったにもかかわらず、大和銀行はその後の七月二十六日には第三者割り当てによる優先株五百億円を発行しましたけれども、これは、手紙を受け取ったときに、大和銀行は千百億円の損失が出ているかもしれない、こういうようなおそれがあったのに、それを知らぬふりをして行ったいわば株主に対する事実上の背任行為に当たらないか、こう考えているわけですけれども、その点についてはどういう御判断をされますか。
#169
○西村政府委員 大和銀行が優先株の発行を取締役会において決定いたしましたのは平成七年の六月二十九日でございまして、その払込期日が七月の二十六日でございます。なお、大和銀行が井口からの手紙を受領したのは、今御指摘のように七月二十四日でございますが、大和銀行からは、七月の二十四日以降事実確認に努めていたが、七月二十六日段階では内容の真偽について何らの確証がつかめていなかったとの説明を受けております。大和銀行の優先株発行は経営判断で行われたものでございますが、それを行う上での手続上特に問題があるとは考えていないところでございます。
#170
○山田(宏)委員 おっしゃるとおり手続上の問題はないにしても、頭取がこういう重大な話を知って、やはり道義上本来は優先株の発行というのは差し控えるべきものではなかったのか、こういうふうに思いますけれども、どうですか。
#171
○西村政府委員 ただいま申し上げましたように、その段階でどのように判断をするかというのは経営上の判断であろうかと思います。
 それから、伺いますところによれば、後からその引き受けた方に状況を御説明をよくされたというようなことも伺っております。
#172
○山田(宏)委員 また、この七月二十四日に手紙を受け取った後、大和銀行ニューヨーク支店は六月末までの業務内容報告をニューヨーク連銀あてに七月三十一日に提出しましたけれども、その中でこの事件については一切言及されなかった。
 もちろん、先ほどお話があるとおり、その事実確認をしていかなきゃいかぬ、こういうことだったことはわかりますが、しかし、ニューヨーク連銀から見てみますと、少なくともこの問題について言及をしてもらうか、または報告延期というものが可能であったはずだ、こう指摘がされていますけれども、大蔵省はどういう見解をお持ちですか。
#173
○西村政府委員 私どもが直接その点について言及する立場にはないと思うのでございますが、九月の十八日まで報告がなされなかったことについては、アメリカの当局が必ずしも満足しておられるわけでないということは漏れ承っております。
#174
○山田(宏)委員 今局長からお話があったとおり、二カ月余りにわたって結果的にアメリカの法令違反を大和銀行は報告をしなかった。つまり、結果的に違法行為を隠したことになった。このことに対してFRB、連邦準備理事会は十月二日に、犯罪の疑いのある行為を早急に通報しなかったのは法令違反というふうに発表しておりますけれども、このことについて大蔵省はどういう御見解をお持ちか。また、やはり株主や預金者の方から見ても一日も早い銀行の情報開示が必要だった、こういう意見がありますけれども、それについてはどう思われるか、御意見をお聞きしたいと思います。
#175
○西村政府委員 アメリカにおいて営業を展開しております以上、当然アメリカの法規に従って行動すべきものでございまして、本件につきましても、大和銀行はアメリカの法令に従ってFRB等への手続をすべきものだったと思います。
 株主等に対するディスクロージャーにつきましては、一般にディスクロージャーと言われておりますものは経営内容の開示の問題でございますけれども、このような不祥事等につきましても、できるだけ早く情報を公開するということは望ましい、必要なことであろうかと考えております。
#176
○山田(宏)委員 ちょっと今局長の御答弁がわかりづらかったのですが、要するに、大和銀行はFRBにもっと早期にこの事件の報告をなすべきであった、こういうことですね。
#177
○西村政府委員 私どもは、大和銀行は、その九月の二十六日にアメリカの当局に届け出るについては、アメリカの法律、法令に準拠して手続を踏んだというふうに考えておられると思います。したがって、その大和銀行の行為そのものがアメリカの法令との関係でどのように判断すべきかということについては、私どもの立場として言及は差し控えたいと思います。
#178
○山田(宏)委員 それでは八月八日、初めて局長がこの事件について知らされたとき、それを大蔵大臣に報告をされましたか。
#179
○西村政府委員 私が八月八日に伺いました段階での状況は先ほど申し上げたようなことでございますが、ともかくその段階では余りにも問題の性格に比較して情報としては不確実なものでございましたので、内容の確認を大和銀行の方もさらに進めるということでございましたし、私どももぜひそうしてほしいと思いまして、そのような状況が確認できました上で御報告を申し上げようと思っておりました。
#180
○山田(宏)委員 大蔵大臣に報告をされたのはいつですか。
#181
○西村政府委員 九月の十四日のことだったと思いますが、それは、九月の十二日に概況の御報告が大和銀行からございました。八月の八日以降いろいろと調べてまいりまして、その状況の報告が九月の十二日にございましたが、十四日に大臣に、ごく要点でございますが御報告をいたしたというところでございます。
#182
○山田(宏)委員 大臣、その報告を聞いてどういう判断、どういうお考えを持たれましたか。
#183
○武村国務大臣 もちろん概要ではありましたけれども、金額が大変大きいという印象をまず強く持ちました。これは一都市銀行の海外支店の問題であるだけに大変な事態だ、率直に言ってそういう認識を持ちました。
#184
○山田(宏)委員 大臣がそう認識されたこのいわゆる事件は、ニューヨーク連銀には報告をされましたか、大蔵省の方から。または、それはされたとすればいっでしょうか。
#185
○西村政府委員 私どもが書面で正式に報告を受けましたのは、九月の十八日のことでございまして、十八日に、十二日に聞いたような概要を整理したものを日米両国当局が報告を受けたわけでございます。そして、私どもからは、大蔵省のニューヨークの事務所を通じまして、私どもにもそのような報告があったということを御報告をしたところでございます。
#186
○山田(宏)委員 これはもうすべて、この事件はもう確実に起きて、もう全く疑う余地のないということが全部わかって、そして書面で正式に出てきたというのが九月十八日でしょう。だから、八月八日に知ってから九月十八日までの間、その間は、こういうことは今大臣が御答弁されたように大変な事態だということで認識をし、その事実調査に当たられてきたわけですけれども、しかし、アメリカの方から見ますと、アメリカの法令に違反した話を、違反している可能性のある話を日本の大蔵当局が先に聞いておきながら、それが確定するまでじっと黙っていたというふうに見える。そういうことは本当に、逆の立場になったときに一体どういうことになるんだろう。
 例えば、海外の銀行が日本国内の法人となって、日本の法令に従っているべきはずのものが法令違反をした。それがアメリカの大蔵当局または財務当局、金融当局に報告がそれなりに、こういう可能性があるということが先に伝えられて、それから一カ月以上も後に日本にその法令違反があったということが伝えられたとすれば、本当はゆゆしきことじゃないかというふうに思うのはやはり十分納得がいくというふうに思いますけれども、その点についてはいかがですか。
#187
○西村政府委員 我が国の金融行政におきましては、従来から銀行の内部管理上の問題につきましては、まず経営者の責任において実態を解明し、その上で行政上の措置をとるという手順が踏まれてきております。
 今回の大和銀行ニューヨーク支店の事件につきましても、八月の八日の段階では井口の手紙の内容の真偽のほども明らかでなく、また当時私が聞きました範囲におきましては、その後ダイワ・トラスト事件というのが十月の六日に発表されましたが、これはかなり組織的な色彩の強いものという印象を持っておりますが、そのような性格のものでもなさそうだというような情報でございました。で、同行自体がまず実態の把握に努めたいということでございますし、したがって、大蔵省といたしましては、まず大和銀行自身ができるだけ早く実態を解明すべきものであり、実態をきちんと把握した上で米国の金融監督当局に通報すべきであると考えた次第でございます。
 いずれにいたしましても、大蔵省としては、邦銀の海外支店の経営上の問題等につきまして、今後とも適時適切に関係国の監督当局に対しまして連絡をしていきたいと考えております。
#188
○山田(宏)委員 最後の方は聞いていないんですけれども、適時適切に今後やっていきたいということは、今回は適時適切であった、こういうふろに、今後ともなんだから、今回もそうであった、こういう認識なんですか、銀行局は。
#189
○西村政府委員 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、八日の段階の情報というものは、私ども自身にとってもその段階では十分確認を要するようなものであるというふうに感じましたし、したがって、そのように要請したわけでございます。
 したがって、この間、八月八日から十八日までの間相当な時間が経過しておるではないかという点につきましては、当時緊迫した金融環境もございまして、必ずしも手際のよい対応ができたと言えるかどうか、今後の貴重な教訓としてまいりたいと考えております。
#190
○山田(宏)委員 正確なというか持って回ったというか言い方としては、要するに手際よい対応ではなかったという感じはするというふうに、まあちょっと聞き方によっては受け取れる。そういう、つまり、今の反省は反省ですごく大事だと思うので、それはそれでやはりきちっと認識をしてもらわないと、またこういうことが起きるんじゃないか。
 つまり、どう海外から見えるかというと、今局長が御説明ありましたけれども、まず経営者の方で独自で実態調査をして、その後で、それができた上で行政が対応するものだ、こういうお話でしたよね。でも、大蔵省は八月八日に一応知っていて、そして実態調査が進んでいたわけで、どれぐらいそれが確実なものかというのはもちろん調査をしなきゃいけないでしょうけれども、何も九月十八日に、正式に書面が出てくるときにアメリカ、ニューヨーク連銀が知らされるということになれば、やはり向こうとしては、日本が幾らそういう日本の手続の事情があっても、その手続の事情というのは、日本がみずからの失敗を、銀行がみずからの失敗を国ぐるみで隠ぺいしようとしているんじゃないかというような疑いすら生じさせているという報道があるわけですよ。そうでなくても、日本の金融制度は不透明で、当局と金融機関の間でインサイダー的に運営されているという疑念は非常に各国に強い、こういう報道がなされております。
 そういう意味で、大蔵省としても、その事実を知ってから正式にニューヨーク連銀に報告されるまでの間に、やはりこの日本の中間報告でもきちっと連銀の方に話をしておくべきではなかったかこういうふうに思うわけです。
 銀行局長は、非常に信用組合の問題等で緊迫した時期ですけれども、海外から見れば、国内の金融システムを維持することに非常に熱心であって、海外の、特にアメリカのこういう国内で起きた犯罪行為については非常に後回しになった、こういう印象を与えたのじゃないでしょうかね。そういう点で、この大蔵省の対応というのはやはり適切さを欠いていたのではないかとは思います。
 今、認識、反省をしてというお話がございましたけれども、やはりどういうことを反省をしているのかということをはっきりさせた上で、日本の金融システムがもっと信頼ができるような仕組みに変えていく努力がそこから生まれるのだろう、こういうふうに私自身は思うわけです。ですから、何を反省されたのか、どういうことが今回は問題となったのかということをもう一度お聞きをしておきたいと思います。
#191
○西村政府委員 金融当局間の情報交換というのはなかなか難しい面もございまして、現在バーゼルの銀行監督委員会におきましてバーゼル・コンコルダートと言われておるものがございまして、監督委員会の勧告、援言でございますが、お互いに知り得た情報はできるだけ早く連絡するようにしようということで、私どももそのような精神に基づいて行政を進めていきたいと思っております。
 それぞれ各国の姿勢はまちまちでございますが、しかし、全体としてそのような考え方にのっとって金融情報の交換をしていこうという点では共通しているところはございますし、また、私どもも一生懸命そういう方向で進んでまいりたいと思います。
 もう一つ、我が国の金融行政においては従来から、これを内部管理の問題であったと理解するかどうかという点はいろいろな議論があると思いますが、内部管理の問題につきましては、まず行政が出ていくということではなくて、まず経営者の責任において実態を解明していくんだということでやってきておるということもございまして、この点は多少アメリカの行政の進め方とニュアンスの違うところがあるかもしれません。
 その結果、検査官の数だとかあるいは検査の体制だとかいうことにも仕組みの違い等もあるわけでございますが、しかし、ともかくアメリカで仕事をしている以上はアメリカのルールを守るということは当然のことでございますし、その背景にある行政としては、そのようなことに誠心誠意対応していくというのもこれもまた当然のことだと考えております。
 そういう意味におきまして、今回の問題につきまして私どもの対応が必ずしも手際のよいものでなかったという御批判もございますので、十分その点は将来の教訓として参考にしてまいりたいと考えております。
#192
○山田(宏)委員 アメリカ、アメリカとおっしゃっていますが、イギリスからも何か非難があるということであります。それは、イギリスの証券会社、ちょっと名前、今思い出そうと思ってど忘れしてしまいましたけれども、この間大きな損害を出した事件……(発言する者あり)ああ、ベアリングズ社、あれのときはやはり情報開示が早かったのじゃないですか。どうですか。
#193
○西村政府委員 私どもも決して意図的に情報開示をおくらせたとか隠したとかいうつもりはございませんで、先ほどから申し上げておりますように、実態の解明についてはまず経営者が行うべきものであるというようなやり方、あるいは当初サジェスチョンがありましたときには真偽のほどが必ずしも明らかでなく、行政当局の情報として提供するには余りにも不確実なものであったというふうな判断をしたわけでございまして、決して先延ばしをするとかましてや隠ぺいするとかいうような意図があったわけではございません。
 今後ともそれはそのような姿勢で臨んでまいりたいと考えております。
#194
○山田(宏)委員 当然隠ぺいをしようと思っていたとは思いません。ただ、結果的に隠ぺいをしたのではないかという疑いを生じさせる。それは、日本の金融システムに対してやはりリスク管理が弱いのじゃないか、こういう評価になって、いわゆるムーディーズなどの米国の格付機関などは日本の銀行の格付に非常に厳しい判断になるだろう、こういうようなことすら報道されております。
 そうすると、いわゆるジャパン・プレミアムの問題、きのうも出ましたけれども、ジャパン・プレミアム、邦銀に対するいわゆる外貨の貸付金利の高い分ですね、そのプレミアムがさらに拡大するのじゃないか、そういうことを、あるアメリカ、チェース・マンハッタンでしたか、の会社の副会長がそういうお話をしているということも聞いていますけれども、このジャパン・プレミアムが今どれぐらいになっているのかこれはわかりますか。わからないね。聞くところによると〇・二から〇・二五じゃないか、こういうふうに言われているのですよ。そうすると、これはどれだけ大きい数字がということなんですね。
 私、ちょっと調べてみたのですが、例えば銀行、都銀の十一行の平均の国内の総資金利ざや、つまり運用利回りから調達原価を引いたものですが、これは九五年三月決算時点では〇・三四%にすぎない、非常に薄い利ざやなんです。こういうことをやって商売をしているのに、調達原価が〇・二五%も上がるということになればかなりの利益が吹っ飛ぶことになりますよ。
 ですから、日本の金融システムをどう海外から信頼されるものにするかということは、我が国には我が国の考え方があっても、それがどう受け取られているかということをよく見ておかないとやはりこれからやっていけないんじゃないですか。やはりこの事件を機会に、今までの反省に立って今回の事件をとらえてみる必要がある。そういう意味でぜひいい機会にしていただきたいのですが、大蔵大臣、どういう反省に立ってどういう対策をとっていくか。
#195
○武村国務大臣 御指摘のように、今回の事件は将来に向かって大変大きな教訓にしなければならないと思っております。大体事のいきさつとプロセスについては局長から申し上げたとおりであります。私は、日本の行政あるいは日本の常識の範囲内の対応を局長はしてくれたかなという意味では、基本的にはそう矛盾を感じておりません。
 しかし、率直に言って、後から特に反省をいたしますのは、日本の常識とアメリカの常識ないしはルール、イギリスの例もございましたが、やはりこういう大きい事故というのは初めてかもしれませんが、こういう相手側が主体であるということをしっかり認識をして相手側の常識やルールを踏まえた判断をやや欠いた嫌いがある、私はそう反省をいたしております。
 最初の話は八月八日でありますが、これはまだ真偽のほどが明らかでない、しかし、それにしても額が大きい、しっかり調べてくださいよ、急いで調べます、こういうことですし、十二日には概略の電話報告があって、私にはその二日後に報告があって、それからは六日間のラグですね。
 それで、十八日にアメリカのFRBに報告をしようと思っています、そのときに正式に大蔵省にも詳細報告をさせていただきますと。概要の、確認した後のほぼ事実に近いということが連絡があったのは九月十二日でございますから、正式にアメリカと日本の、アメリカの連銀と私ども大蔵省に正式に報告があったのは十八日でございます。六日の差でございますから、その辺の何日かの早い遅いの議論はあるかもしれませんが、おおむねこの流れそのものは常識の範囲内かなと私は判断をいたしているところでございます。しかし、申し上げたようなことで、貴重な今後の教訓にしなければならないと思っている次第であります。
 なお、プレミアムの問題は大変これまた日本の金融機関にかかわる海外の信認、信用の問題でありますだけに、今御指摘のように、このことによって日本の海外への営業が一段と厳しくなってきているわけでありますから、これはすべての金融機関が同じプレミアムがついているということではないにしましても、このことも重視をして、言われております金融不安、不良債権の問題を早く解決をすることによってこの事態を改善していかなければならないと思っております。
#196
○山田(宏)委員 要するに、今回の大蔵省の対応はそれなりに意味があったというような形じゃなくて、やはり相手国の犯罪なわけですから、相手国で行われた、相手の現地法人の犯罪なんですから、やはりそういうものに対して今回の対応は適切でなかったからルービン財務長官におわびの電話をされたんじゃないですか、大蔵大臣。
#197
○武村国務大臣 ルービン長官には電話をいたしましたが、この状況をそれなりに責任者の私から振り返って、今ちょうど申し上げたようなことをきちっと御報告を、お話、説明をしようということでさせていただきました。
 アメリカは情報公開がもう少し早いということをルービン長官も言っておられました。それで、今後情報公開をなるたけ早くやるように努力をしていただきたいという、そんな話がございましたが、最終的には、きょうもルービン長官、記者会見で言っていますが、大蔵省との関係は極めて畠好であると言ってくれておりますが、昨今の為替問題も含めて、日米の財務省、大蔵省の良好な協調関係をしっかり維持していこうというあいさつでお互い終わりました。
#198
○山田(宏)委員 あと二問で終わります。
 今回の事態で大和銀行の首脳陣が退陣をされましたけれども、新聞報道によると、首脳陣として大蔵のOB、日銀のOBを迎え入れる方針といろ報道がなされておりますけれども、もしこういうことがまた行われるとなれば、日本が、金融を指導する監督官庁と金融機関とが何かこうインサイダー的ななれ合いがあるんではないか、こういろやはり疑惑をもたらすんじゃないですか。やはりこれは差し控えるべきだと思うんですが、いかがですか。
#199
○西村政府委員 私もそのような新聞報道は拝見いたしましたが、全く私どもが関知しないところでございまして、大蔵省といたしまして、そのような考えがあるということはないと申し上げてよろしいかと存じます。
#200
○山田(宏)委員 よく注意をしていただきたいと思います。
 外からどう見えるかということが非常に大事だと思いますが、今のいろんな話を聞いて、今回の事件についての村山首相のコメント、御意見をお聞きしておきたいと思います。
#201
○村山内閣総理大臣 外国に進出をしている企業、とりわけ金融機関というのは社会的に及ぼす影響も大きいし、ある意味では日本の信用が問われるような問題である。それだけにこういう不祥事の未然防止のために内部の管理体制というものをしっかりしてほしいということは当然の話でありますが、今回の事件を教訓にして、そういう面における不祥事の未然防止については金融機関等も一層推し進めて、最大限の努力をしてもらう必要があるというふうに思います。
 そのためにも、やはり今回の事件の事実関係を明確にして、その真相を明らかにして、再発を防止するということの改善策もしっかりやはりつくってもらう必要がある、そういうことについては今後とも厳正に対応していかなきゃならぬというふうに思っております。
#202
○山田(宏)委員 それでは、私の質問を終わりまして、山口那津男委員にお願いしたいと思います。
#203
○上原委員長 この際、山口那津男君から関連質疑の申し出があります。山田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山口那津男君。
#204
○山口(那)委員 新進党・民主会議の山口那津男でございます。山田委員の質問に関連して、これから質問させていただきます。
 今回の予算委員会で、同僚委員の質問の中で、宗教法人法の改正のいわば入り口である審議会のあり方について相当な疑義が申し立てられておりますけれども、この審議会のあり方というのは、行政の公正な運営、民主的な透明な運営を確保する意味で、行政手続法の精神からいっても極めて重要な、あり方が問われているわけであります。
 さて、そこで、まず総務庁に伺います。
 本年九月二十九日の閣議決定によりますと、国家行政組織法八条に基づく審議会を二種類に分類しております。一つは行政処分等を行う審議会など、それからもう一つはその他の一般的な審議会。そして、この一般的な審議会については会長等の人選や議事の公開等についてルールを定めているわけであります。
 この一系統、二種類の審議会、これは、国家行政組織法八条に基づく審議会が二百十九ありまして、この一般の審議会以外の審議会、つまり行政処分等を行う審議会は二十七である、こういう御説明を受けております。したがって差し引き百九十二の審議会がこのいわゆる一般の審議会に当たる、こういう御説明を受けておりますけれども、これで間違いございませんか。
#205
○江藤国務大臣 審議会、調査会と名のついておるのもあります、例えば税制調査会みたいに、二百十九あります。それから、非公開にしておるのが二十七であります。
#206
○山口(那)委員 そうしますと、この一般の審議会の内容をつぶさに検討いたしますと、これは例えば政策の建議とかあるいは法律の制定や改正等について制度改正を行う、こういうものの審議会がいわゆる一般的な審議会の大部分であるようであります。
 さて、その意味でもう一度念のため総務庁に伺いますが、法律の制定や改正について審議するものは、これは一般の審議会という分類に当たる、こう理解してよろしいですね。
#207
○陶山政府委員 そのとおりでございます。
#208
○山口(那)委員 そうしますと、この一般の審議会に当たらない、つまり行政処分等を行う審議会、これらの審議会に、このたびのいわゆる会長の人選ですとか審議の透明化ですとか、こういうルールを当てはめないことにした実質的な理由というのはどういうことなんでしょうか。具体的にお聞かせいただきたいと思います。
#209
○陶山政府委員 御説明申し上げます。
 先生御指摘のとおり、政策、制度問題について審議する審議会につきましては、閣議決定において御指摘のようなルールを定めたところでございますが、審議会にもいろいろな性格のものがございますので、検査とか検定とか不服審査でございますとかそうした行政処分を主として所掌事務とする審議会については、個人のプライバシーの問題を初め、一般的なルールを適用することについていささか問題になるという観点から、通常の審議会とは別の取り扱いをするということにしたわけでございます。
#210
○山口(那)委員 総務庁はかねてから、この審議会のあり方等も含めて、行政改革あるいは行政手続の整備の一環としてさまざまなガイドラインや決定を行ってきているところであります。
 それで、昨年の六月二十四日に「審議会等ガイドライン策定のための関係省庁連絡会議申合せ」ということで、表題が「審議会等及び懇談会等行政運営上の会合の運営等に関する指針」というものをお出しになっております。このときに既に、今御指摘のあったような行政処分等を行う審議会の範疇を定めまして、そして、それ以外の一般的な審議会についての指針というもの、つまり今回の閣議決定の前身となるようなルールについて申し合わせ事項を示しているわけですね。
 その申し合わせ事項のZの12という項目がありますが、つまり、一般の審議会について「各省庁は、審議会等の事務の一部が上記T.2.(1)@」すなわち行政処分等を行う審議会の類型「に該当する場合に、当該事務の性格に応じ、その事務にかかわる範囲内において、この指針の一部を適用しないことができる。」こうわざわざ定めているわけですね。この趣旨は、この透明化のルールを当てはめるべき審議会であっても、一部で行政処分あるいは不服申し立て等の事務を行う場合には、その事務に限って、事務の性格に応じて透明化等のルールを当てはめないことができると、いわば例外的適用除外を決めたルールであります。
 ということは、これは一般的な審議会であっても、その事務の性格に応じて柔軟にその審議会の、いわば二つのルールといいますか、公開、非公開二つのルールの当てはめを考えるんだ、こういうことをこのとき決めたということに理解できるわけでありますが、それでよろしいでしょうか。
#211
○陶山政府委員 昨年のガイドラインの策定につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。
 今回、与党の行革プロジェクトチームの御提言もございまして、改めて正式に政府方針として閣議決定という形式をとらせていただきました。その過程で、当然のことながらベースといたしましたのは昨年のガイドラインでございます。また、与党の濃密な御審議によって御提言のあった内容、それを基本的には内容的にそのまま取り入れた形の閣議決定にしたものでございますが、改めてこの閣議決定に当たりまして、与党とも御相談し、各省庁とも調整した上で決定したものでございまして、基本的な考え方は全く変わっておりません。
#212
○山口(那)委員 今の御答弁でおわかりのように、昨年の六月のガイドライン、これを基本的に踏襲する形で、現在の与党でも十分議論をしていただいた形で今回の九月二十九日の閣議決定に至った、こういうお話なんですね。
 そうしますと、宗教法人審議会は、法定された審議事項についてはなるほど行政処分等を行う審議会、つまり非公開ルールに当てはめる審議会と分類されております。これを文部大臣あるいは文化庁次長は、そのままそういう性質の審議会だとお答えになっているようでありますが、しかし、今回宗教法人法改正で議論になっている、つまり法改正についての議論をしている審議会なんであります。
 ですから、このガイドラインの趣旨からすれば、その事務の性質に応じて当てはめるルールを決めるということでありますから、この法改正について審議をするのであれば、これはまさに今回の二十九日の閣議決定の一般的審議会に当てはめるべきルール、すなわち会長の人選、あるいは会議の公開等の透明化のルールをまさに当てはめるべき審議のあり方である、こういうことになるわけですね。
 ですから、この閣議決定の趣旨からすれば、この宗教法人審議会が法改正を論議するに当たって、会長が文部省の兄事務次官であった三角哲生さんを起用されているとか、あるいは議事録、会議そのものを公開しない、ブリーフィングにとどめている、議事録を公開してくださいという要求にもこたえない、これは全くこの閣議決定の趣旨に反するあり方じゃありませんか。この点について総理のお考えを伺いたいと思います。
#213
○江藤国務大臣 偶然にも答申と閣議決定が一緒になったわけでありまして、意図的に同じ日にしたのではありません。そのことは御理解をいただきたいと思います。
#214
○山口(那)委員 図らずも同じ日にやった、しかもこの閣議決定が審議会の報告に先立って行われたということでありますが、総理大臣、どうぞ私の質問に答えてください。
#215
○村山内閣総理大臣 宗教法人審議会で宗教法人法の改正を目的にして私は審議をしたのではないというふうに思いますから、その宗教法人審議会で審議された中身について、どういう具体的な審議がなされたのかということについてはつまびらかにいたしておりません。
 したがって、今あなたが言われるように、その公開に該当するものなのか、あるいはこの審議会の持っている性格から宗教法人審議会は適用外になっておりますから、したがって、その適用外に類するような事案について審議をしたのか、その内容についてはつまびらかでありませんから、今ここで私がそのことについて、いいとか悪いとかいう結論は申し上げない方がいいと思います。
#216
○山口(那)委員 総理は私の質問をよく聞いていらっしゃらなかったようですね。今までの答弁の中で、法改正は一般的なルール、審議会のルールを当てはめるものだ、そういうふうに答弁しているじゃありませんか。しかも今回の宗教法人審議会も、まさに法改正をすべきか否か、改正するとすればどういう内容にするか、そのものを議論したんじゃありませんか。だったら、この九月二十九日の閣議決定のルールをそのまま素直に当てはめるのが、これがルールじゃありませんか。しかもこれは、去年の六月のガイドラインからずっと踏襲されてきた方針だと今お答えになったじゃありませんか。とんでもない話ですよ。もう一度総理、答弁してください。
#217
○江藤国務大臣 担当でありますから、お許しをいただいて。
 恐らく、宗教法人審議会の皆さんは、閣議でそのような決定がされたということを御存じなかったものと私は考えております。
#218
○山口(那)委員 総理、ちょっと答えてください。閣議というのはあなたが、閣議決定というのはあなたが主宰して決めたことなんですよ。答えてください。
#219
○小野(元)政府委員 審議会の中身にかかわることでございますので、私から少し御説明させていただきたいと存じます。
 宗教法人審議会は、行政処分、不服審査等を行う審議会ということで一応特例的な扱いがなされていることは、先ほど御論議のあったとおりでございます。
 なお、今回の制度改正に関する議論でございますけれども、実は、この制度改正に関する議論におきましても、このたびの審議は個別の行政処分を扱うものではございませんけれども、検討の過程におきましては個別の宗教団体の事例に触れるというようなこともかなりあるわけでございまして、そういったこともございますので、非公開を前提に今まで議論を進めてきたところでございます。
 宗教団体の御意見というものと審議会委員個人の意見というものも必ずしも同じではないということもございますし、審議の中立、公正を確保するということも必要でございますので、従来から会議や議事録を公開しないということで進めてきているところでございます。
 しかしながら、この制度改正のあり方につきましては国民の関心が非常に高いということで、審議会の審議に当たりましては、会議終了の都度、記者クラブにその概要を説明するということで審議状況等を公表し、情報の提供に努めてきておるところでございます。
#220
○山口(那)委員 百九十にも上る審議会がほとんど制度改正や政策提言を行う審議会なんですよ。ここには当然その関係者が委員に加わって議論しているのですよ。だから、今の宗教法人法だって関係者が加わって議論するなんて当たり前の話で、関係者がいるから議事録を公開できないなんと言うんだったら、これはそもそもルールをつくる意味がないのですよ。総理、いかがですか。
#221
○村山内閣総理大臣 今それぞれ説明がございましたように、審議会と調査会等、二百十九ですか、ある中で、二十七は適用外にしてあるわけですね。その適用外にしてある中に宗教法人審議会も入っているわけです。
 その宗教法人審議会でそういう個別の事案についてそれぞれ審議をした、議論をしたという経緯もあるものですから、したがって、施策一般について議論をしただけではないのではないか。ですから、これは非公開にやはり該当するんではないかと私は考えております。
#222
○山口(那)委員 個別の団体のことをやっているんじゃありません。この審議会の委員は、日本宗教連盟に加入する神道系の人、仏教系の人、それからキリスト教系の人、それから新宗教系の人、それぞれの団体から推薦を受けて委員が選ばれているんじゃありませんか。ですから、個別の宗教団体の利害じゃないんです。到底総理の答弁には納得できません。
 そこで、まあちょっと時間がありませんので、次の質問に移ります。
 きょうの報道あるいは昨日の報道でも明らかなように、審議会の委員であった方々から続々とこの審議会の報告あるいは審議のあり方について異論、疑義が続出しているんですよ。
 例えば昨日の、十二日付の中外日報、これによれば、竹田委員、出居委員、自柳委員、三者が、疑義を、反対意見を封殺したということでインタビューに応じているわけであります。例えば、日本聖公会の竹田真委員によりますと、
  宗教法人審議会委員の多くの人たちは、今回の宗教法人法の「改正」に反対もしくは慎重の立場だった。法を「改正」するか否かの議論の前に、いきなり「改正」に向かって、あわただしい審議になり、後味の悪い結果になってしまい、残念だ。こう述べています。それから、修養団捧誠会の出展茂委員は、
  ある宗教団体出身の委員も、戦前、日本政府から教義の内容にまで介入を受けたことを引き合いに出し、このたびの宗教法人法改正には絶対に反対すると言っていた。
  また審議会の進め方だが、最初の時から、各委員の基本的な見解、すなわち私はこの問題についてこういう立場ですよ――ということを表明するものをお互いに明らかにしてから、審議を進めてほしかった。これをしなかったから、肝心なところの詰めもできず、だらだらと回を重ねるだけに終わってしまった感がある。
  私は文部大臣への報告書にも、せめて各委員の個人的な見解も添付すべきであると考えており、しかし、どうしても二十九日にまとめたいとおっしゃるので、ではそういう意見があったことを記録に留めてもらいたいと申し上げた。
  一番残念だったのは八月頃から、この改正論議が政治絡みとなってしまったことである。これは現在の日本の体質が、最も如実に表われたことかもしれないが、これが一番の問題であったと言っても過言でない。こうおっしゃっています。さらに、カトリック東京大司教区の大司教である白柳誠一氏、この方は、法改正に反対の意見がおよそ半数あったにもかかわらず、会長一任という形で審議会が文部大臣に提出した「報告書」に、審議結果が「大方意見」とされたのは遺憾だ。具体的には今後、カトリック中央協議会が出す法改正に反対する声明に従う。こう述べているんですよ。
 これに先立って、昨日石田委員あるいは草川委員も指摘したように、杉谷委員という方、これは天台宗の宗務総長でありますけれども、本日の報道によりますと、「会長らに対し、委員各位から積極的な発言があり緊張した審議だった。」こう審議の模様を言っているんですね。「当局案に反対・慎重論の立場から、席上はっきり、審議の継続を口にしたのが七人ということだ。」こう述べているんですよ。「会長一任を求められたが、文相への報告では当然、慎重意見が半数いることが反映するものと思っていた。」こうも述べているわけですね。
 さらに、きょうの報道で明らかになったところによりますと、その二十九日、報告を提出した直後に記者会見で、審議のあり方について異議を唱えていた力久降積さんという委員がいます。この方が先ごろ、十月九日付で三角会長あてに抗議文を送りました。その内容がわかりましたので、ちょっと今読み上げますよ。
  私は第二十二期宗教法人審議会委員として文部大臣からの要請によりまして、宗教法人制度の在り方について検討する会議に参加してまいりました。貴殿は九月二十九日開催の第百三十九回審議会のあと、文部大臣に「報告書」を提出されました。その「報告書」は佐々木宗務課是より私にも送付されましたが、その内容に驚きを覚え、この文書をしたためることにいたしました。
  佐々木宗務課長から送付された「報告書」の内容が、九月二十九日に貴殿が文部大臣に提出したものと同じものであるならば、その「報告書」は審議会の審議の内容を正確に取りまとめた報告書ではないと申し上げるべきであります。
  九月二十九日の審議会では、宗教法人法の根本に関わる問題点や、議論の未成熟な点が指摘され、その日に報告書をまとめることについての反対意見や、審議を継続すべきなどの意見が。少なくとも半数はしめていたと存じます。当日、最終報告書を決すべしとの意見が明確であった委員は貴殿をのぞき五人の委員にどとまっていたと認識しております。
  にもかかわらず、数々の意見を切り捨て、一方的に会長一任という形で審議を打ち切り、しかも審議会での議論が反映されず、事務当局が提出したたたき台とほぼ同一の内容の「報告書」は、とうてい正確な報告書と評価できるものではありません。したがって、私はこの「報告書」の内容に責任を負うことはできません。
  ここに、かかる「報告書」の撤回を要求するとともに、審議会の再開をお願い申し上げる次第でございます。こう述べられているんですね。
 ですから、到底審議のあり方が公正であったとも思われないし、また、この最終結論に至る数の問題についても、文化庁は三人しか反対意見はなかった、こうおっしゃっていましたが、この方たちは複数の人が、七人いたというんですよ、七人。全く食い違っているじゃありませんか。しかも審議会で別途、四団体の宗教団体からヒアリングを行いました。そのうち三団体は反対、慎重意見だったはずですよ。
 そうすると、この審議会の委員十一者、そしてこの四団体を含めて十五者、そのうち実に十者が反対、慎重の意見だったということになるんですね。この四団体、ここから仮に代表で審議会委員を出していたとすれば、十九のうち実に十、つまり過半数が反対、慎重の意見だということになるんですよ。ですから、「大方の意見」だなどと言ってこの報告書を決めていくのは、これはまさに虚偽の報告だと言わざるを得ませんよ。総理、そう思われませんか。
#223
○村山内閣総理大臣 今委員の質問の中に、政治的に使われておる、こういう発言がありましたけれども、私どもは、これは政治的に使うなんという意図は全然ございませんよ。これはオウムの事件がきっかけになって、いろいろ問題点が指摘をされて、国民の世論調査を見ても、やはり大部分は、この際宗教法人法は見直しをすべきではないか、こういう世論の背景があるのですよ。世論だけに押されてやってももちろんこれはいけませんから、したがって、審議会でもって慎重な検討をいただいたということになっていると私は思うのですよ。
 その審議会の運営というのは、これはやはり委員と会長が責任を持って運営されておるのであって、それは会長の責任において、もう審議は尽くされたと思う、「大方の意見」として会長に一任するということになったので、その報告書をまとめて文部大臣に報告した、こういう経緯ですから、私は、やはりそれはそのまま素直に受けとめて理解した方がいいと思うのですよ。
 それは、利害関係のある宗教法人の団体の皆さん方には反対する声が強いかもしれませんよ。しかし、宗教団体だけの意見でもってこの問題は処理すべき問題ではない、これはやはり国民的な立場に立って検討して結論を出すべき問題である、私はそう思っております。
#224
○上原委員長 島村文部大臣。
#225
○山口(那)委員 いや、いいです。質問を続けます。大臣、いいですよ、結構ですよ。
#226
○上原委員長 簡潔にお願いします。
#227
○島村国務大臣 委員長の御指名をいただいたので申し上げておきますが、四月以来、まさに精力的にお取り組みいただいた審議会の結果でございますから、やはり虚偽の報告というような表現は遠慮願いたいと思います。
 それで、ここで一つぜひ改めて申し上げておきたいことは、この審議会のメンバーの構成をまずお考えいただきたい。これは、宗教関係者から十一名、学識経験者から四名、十五名から成り立っているわけでありまして、いわばそういう事情について偏りは全くないということが一つであります。
 第二点は、会長は委員の互選によって選ばれているということであります。
 第三点は、法七十四条に示されているとおり、会長は会務を総理すると決められております。
 第四点、四月二十五日以来、いわば総会五回、特別委員会八回、実に精力的に取り組んだ結果でございます。そして同時に、九月に入ってからも三回総会を持ちまして、最終、委員の方の会長一任を取りつけた結果の報告でございます。
 したがって、これを虚偽の報告ということを言われて、私がこのまま聞きおきますと、委員の方に大変失礼に当たりますので、一言申しておきます。
#228
○山口(那)委員 これは、一任をしたというのは、反対意見が盛られる、慎重意見が盛られるから異議を唱えなかったと委員が言っているのですよ。しかし、殊さら反対意見や慎重意見に言及しない報告書というのは、虚偽と言わざるを得ないじゃないですか。
 それに、政治的な思惑絡みというのは、これは審議会の委員が言った、私が勝手に言ったんじゃないのですよ。
 それから、きょうの報道によれば、三角会長みずからが、文部大臣は「半年かけて、この程度の報告も出せないとは思っていないだろう。文相の気持ちも勘案し、二、三の反対はあっても最終報告を引き延ばすのは、忍びなかった。」、こんなことを言っているのですね。文相の意向を受けてやった、こう言っているのですよ。これはまさに政治的思惑ありということの裏書きじゃありませんか。
 さらに、これだけ審議会の内容について疑義が持ち上がっているわけですから、これは正確な議事録を出してもらえなければ、これ以上審議を続けることはできません。
 委員長に申し上げます。審議会の議事録を、正確なものを全部出していただきたい。その上で、委員の各意見との違いを対照して、その上で正確な議論をしたいと思います。ぜひお願いします。――質問を続けられないです。審議の内容がわからないんだ。
#229
○上原委員長 山口委員の資料要求につきましては、理事会において協議をし、目下提出できるように努力中でありますので、御理解を願いたいと存じます。
#230
○山口(那)委員 これだけ真っ向から対立しているのですから、議事録と対比させなければ全然審議を進められませんよ。こんなもので質問しろと。委員長、あなた、私の立場だったら、それぐらいのことわかるでしょう。もっと誠意を持って対応してください。
#231
○上原委員長 山口委員に重ねて申し上げます。
 資料要求につきましては、目下理事会において協議をいたしておりますので、御質問を続けてください。
#232
○山口(那)委員 私の質問は続けられませんので、残り時間を留保したいと思います。出してください。
#233
○上原委員長 これにて山田君、山口君の質疑は終了いたしました。
#234
○上原委員長 この際、お諮りいたします。
 最高裁判所石垣民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#235
○上原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
#236
○上原委員長 次に、川島實君。
#237
○川島委員 新進党の川島實です。私は、既に通告をいたしております行政改革、規制緩和、内外価格差、高齢化対策、地方分権等についてお尋ねをいたしたいと思います。
 総理は、本年一月の施政方針演説において、行政改革は内閣の最重要課題であります、私は、言葉だけの改革に終わることのないよう、不退転の決意と勇気を持って実りのある改革を断行する所存であります云々と、こう述べておられるわけでございます。
 しかし、今日の我が国の、村山内閣が最大課題と言われておりますけれども、中央省庁の再編合理化や抜本的な規制の緩和、これらは余り十分であるとは言えない。特に特殊法人問題も、わずかな手直しで問題を先送りをしているようにしか見えてこないわけでございます。我が国も戦後五十年、硬直した縦割り行政に対し、今こそ批判の多い中央省庁改革にしっかり取り組むべきではないかと思いますが、どうでございましょうか。
 今、世界の国々は非常な速さで、国会議員を中心にして改革が進められております。特にニュージーランドや、このアジアの近くではシンガポール、カナダ等、日本へたびたび議員の皆さんがお見えになって、私どもはそれに参加をするわけでございますけれども、そのお話を聞きながら議論をしておりますと、本当に熱情あふるるその国の将来に向かっての姿が見えてくるわけでございますけれども、残念ながら我が国はそれが一向に不透明で、なかなか見えてこない。非常に残念に思うわけでございます。
 今、世界の中で非常に注目を集めておりますのがニュージーランドの大改革でございまして、その改革の中身について若干総理に聞いていただきたい。
 ことし三月にニュージーランドのビル・パーチ大蔵大臣がお見えになりまして、議員連盟で、向こうの招待で会談をさせていただきました。その後も、最近、アプトン科学技術大臣がAPECの打ち合わせの会議で参りまして、それも議員連盟で一応お会いをさせていただきまして、この国の改革について非常に熱っぽくお訴えをされた、この姿は今でも焼きついて離れないわけでございます。
 この中で、特にニュージーランドが改革をされた中身を申し上げますと、非常に多くの的確な改革がなされておるわけでございます。
 まず、究極の規制緩和は、すべての既得権を除け、こう言っております。
 それから二つ目は、税制改革の中では、間接税一〇%を一二・五%に上げましたけれども、法人税は四八%、それから個人所得税の最高六六%、これを全部一律にしましてわかりやすく三三%に引き下げております。それから、輸入の関係の関税でございますけれども、これを平均二八%を一〇%に下げております。それから、農産物価格の支持、農業向け優遇税制をこれを全部撤回。
 それから、鉄道、航空、営林など国営サービス産業二十四社を全部民営化。それから、通商産業省、科学産業研究省、エネルギー省などの中央官庁と特殊法人五十を廃止した。特にこれらの公務員七万六千人、まあ小さな国でございますから七万六千人でございますけれども、これを半分の三万六千人に切った。
 このことで、非常に赤字を抱えておった国がここ三年間世界の注目を集めるぐらい、五%に近い成長率を維持している、こういう形でございまして、大蔵大臣が見えたときも、日本語でできたこういうすばらしいパンフレットを我々にいただいたのですね。これはちょっと我が国の印刷技術をもはるかにしのいでおるようなもの。それから、科学技術大臣が見えたときも、こういうような形で日本語の内容のついた改革のいろいろな問題点が書かれているもの。
 このことを見るときに、私どもは日本の国の改革のことを考えますと、今一番大切なときに、ここにひとつ総理に不退転の決意を発揮していただきたい、こう思うわけでございますけれども、ひとつ総理の御所見をお伺いしておきたいと思います。
#238
○村山内閣総理大臣 今、ニュージーランドで行われた改革の中身についてるる御説明がございました。私も、ニュージーランドがどういう改革をやったかという大筋については、文書も拝見しましたのでよく見ておりますけれども、そうした諸外国の改革の実績というものに学ぶことは大事なことだというふうに思います。
 まあ人口やら、あるいは社会的な条件やら経済的な条件やら、それぞれの違いもありますから、それをそのまま適用するというのはなかなか難しい問題があると思いますね。しかし、やってきたことについて、学ぶべき点は大いに学んでやる必要があるということは当然のことだと私は思います。
 先ほど来申し上げておりますように、そうした教訓にも学びながら、内外の声も聞きながら、日本としてどういう改革を行う必要があるのか。とりわけ規制緩和の問題あるいは特殊法人の整理統合、廃止の問題、さらにまた政治改革、税制改革といったような改革について、今改革推進内閣ということまで銘打って取り組んでいるわけですから、内閣を挙げてやらなきゃならぬ課題だということの位置づけについてはいささかも変更はございません。その不退転の決意で改革を今進めている段階にある。
 とりわけ改革委員会というものも設置いたしておりますから、その改革委員会では規制緩和の小委員会あるいは情報公開の部会等も設けて、そして五年間で千九十一項目の規制緩和をやろうというのを三年間に前倒しをして、しかも毎年毎年見直しをして必要な項目についてはさらに追加をしてやろう、同時に、その改革委員会からもそうしたやっている実行についてのいろいろな問題点についての勧告もいただいて、そして総力を挙げて
取り組んでいこう、こういう取り組みをしていることについては御理解をいただきたいと思うんです。
 私は、やはりこれだけ国際化しておる状況の中で、日本が戦争五十年間経済成長を遂げてきた、そのことによって相当な無理もあったのではないかと思うし、これまで必要であったものが今必要でなくなった規制もあるし、同時にこれから発展をしていく過程で足かせになるようなものもやはりある。
 しかし、その規制を取り除くことについては、あるいはその痛みを感ずるものがあるかもしれない。しかし、その痛みを感ずるものがあっても、それは将来に発展をする一つの痛みなんだというふうに受けとめていただいて、私は、ここはやっぱり思い切ってやるべきことはきちっとやるということが大事だということは、内閣でもたびたび申し上げておりまするし、これは省の立場を超えて、内閣一体となって推進をしていこうということの了解、閣議決定もいたしておりますから、そういう方向で全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っています。
#239
○川島委員 御決意はお伺いをいたしました。
 そこで、今回、規制緩和小委員会から四十項目の緩和の是非についての内容が公開されました。これについていろいろ学者や報道機関等から意見が出ております。それから、規制緩和白書も公開されまして、それらの問題についてもいろいろお話が出ておりますので、この点についてひとつコメントをまたお伺いをしておきたいと思います。
 一つは、総理に対しまして、規制の見直しには非常に期待をしているという中で、その四十項目の事柄について、現在、戦後五十年を経て制度疲労を起こした日本経済の立て直し、二十一世紀に向けて真に豊かで自由、活力のある経済社会を実現するためにはまだまだ規制緩和は不十分な点が多い。特に賛否両論の併記に対し、行革委はどうさばいていくのか、緩和の方向があいまいである。さらに、行革委が示した決定をすぐに実行に移す強い決意が必要だが、その指導力が見えてこない、こういう意見も出ております。
 白書によりますと、規制緩和白書が出されてそれの問題点について指摘されておりますのは、効果を日本経済全体に広げるために一層思い切った緩和措置が必要である。利害関係を持つ省庁や業界の抵抗で実施や検討が見送られる規制項目が目立っている。措置困難とされた案件の内容や理由が、国民に対し具体的な説明がない。内容がいかにも官製で、実態がよく浮かび上がらず物足りない。規制緩和は行政運営の透明性、公正確保のためにも必要だが、その意識が弱いのではないか。当面やるべきことはたくさんあるのに歩みがのろい。省庁は既得権保持意欲があり、時代の変化に合わない。規制緩和に消極的なのは国民的なマイナスである。官庁依存型の規制緩和策の限界を示しておるのではないか。
 こういう指摘があるわけですが、これらの点について、どう受けとめておりますか。
#240
○江藤国務大臣 担当大臣でありますから、やろうと思ってこの職を奉じましたわけで、夢を見るときも、行政改革、規制緩和の夢を見ております。具体的な御指摘がありましたら、ぜひとも御指摘をいただきたいと思うんです。
 きのうも経団連との懇談会、短い機会でありましたから、私はぜひフリートーキングをやりたいと。それから、行政改革委員会の皆さんにも、規制緩和小委員会の皆さんにも、ぜひ時間をとって、四時間でも五時間でもひとつフリートーキングをやって、そして皆さんがおまとめくださったものは必ず誠意を持ってこの内閣でやり遂げますよという決意の表明もそのときにしたいと思いまして、そうした関係筋にもいわゆる話し合いの機会を持っていただくようにお願いを申し上げておるところであります。
 私もまだ就任二月でありますから、歩みがのろいと言われましても、そうその実感が伴いません。これからひとつしっかりこれからの歩みを見ておいていただきたいと思います。
#241
○川島委員 総理のこの件についての御所見を伺っておきたいと思います。
#242
○村山内閣総理大臣 行革委員会が今やっていることについて、できるだけその論点を公開して、そしていろいろな方々の意見を聞きながら、その意見をさらに反映させて取り組みをしていこうという行き方については、私は間違ってはいないと思うのですね。
 ただ問題は、これはもう大変利害関係の伴う問題もあるわけですよ。規制を緩和することによって、あるいは得をする者もあるかもしれないし、規制を緩和されたことによって困る方もあるかもしれない。ですから、これはいろいろあると思います。そういう意見をこもごもやはり反映させて、そして全体として、これは少々の犠牲があってもやらなきゃならぬことだということについては断じて実行していくということが大事なことであって、私は、そうしたことを行うためにも、できるだけやはり公開して、いろいろな方々の意見を反映させて、結論を見出して実行していくということは大事なことではないかと思います。
 そういう過程において、今御指摘のありましたような意見があることはまたあるいは当然なことだと思いまするし、そういう意見があれば意見は謙虚に聞き入れて、そして実行に反映させていくということも大事なことだというふうに思っております。
#243
○川島委員 もちろんこれらの意見を聞きながら、謙虚に受けとめて大改革に臨んでいただきたい、こう考えております。
 ただ、規制緩和小委員会の小委員長、座長からの「論点公開に当たって」という文書をいただいておりますけれども、この中身についてはまだわからない点がございますので、これは総務庁長官にお尋ねをしておきたいと思います。
 一つは、この小委員会の役割と任務でございますね。それから基本方針についてどのように進めていくのかこの件についてお伺いしておきたいと思います。
#244
○田中(一)政府委員 私の方から答えさせていただきます。
 今、初めの点、小委員会の役割と機能でございますが、行革委員は五人、民間の方から成り立っております。ただ、専門的に審議を深めるために、委員会の二人とその他専門家十四人を有識者としてお願いいたしまして、この四月十九日から現在まで二十回、毎週三時間ぐらいの議論をしていただいております。
 それで、今現在、九月からは議論を公開いたしまして、委員の御趣旨に沿ったような議論を展開して、この十一月末に取りまとめるべく努力しておられる、こういうことでございます。
#245
○川島委員 次に、この委員会では行政監察局に調査を依頼した、こういうふうにあるわけでございますけれども、この案件、それから期限はどのように切っておるのか。これらの緩和の実施計画については今後どう具体的に、いつまでにまとめるのか。さらにまた、千九十一項目のうち四十項目だけ出たわけでございますから、あとの問題、三年と、こう切っているわけでございますので、その具体的な実施計画というのはいつごろ明らかになるのか、この辺についてお伺いしておきたいと思います。
#246
○田中(一)政府委員 監察局にお願いしておる事項から申し上げたいと思いますが、審議だけでは必ずしも実態がよくわからないという問題につきまして、例えば四十項目に挙がっておる問題につきまして、水道指定工事店の制度の運用だとか、大店法の運用の実態だとか、それから基準・認証関係あるいは輸入手続関連、流通等の関連、危険物・防災・保安規制等関連と、全部で二十項目ばかりにつきましてこの巻お願いいたしまして、その結果については、来月中旬から下旬にかけて、行政監察局の方から御報告いただきまして、それを私どもの規制緩和小委員会の審議に反映させていくということでございます。
 それから、後段の話でございますが、確かに私どもの行政改革委員会の規制緩和についての役割は、規制緩和の政府の実施状況の監視でございます。それで、これは三月末の閣議決定におきまして、政府が、特に総務庁が全体をフォローアップされまして、それを我が方に御報告いただいて監視の参考にすることももとよりでございますけれども、その千九十一の中でなお結論が明確に示されておらないもの、むしろ急がれるもの、そういうものもいろいろございますので、重要と思われるものをいわば例示的に取り上げておることが一つ。
 それから、政府の方では、いろいろ各界から御要望がございましても、措置困難としておるような事項につきまして、私どもの委員の方で優先度を考えまして、それで四十項目、実はつい最近も追加の六項目を公開いたしましたので四十六項目になりますが、この項目は千九十一に対応するものでございませんで、かなり多くの事項をそれぞれが含んでおります。
 したがいまして、そういう問題を取り上げて議論していただいて、十一月末ごろまでには小委員会の結論を得て委員会の方に報告していただくということで、委員会から総理大臣の方に法律上は意見具申することになっておるわけでございますが、その時日については、年内になるのか、年初早々になるのか、そこら辺はまだ定かではございませんけれども、いずれにいたしましても、私どもの役割は、政府が毎年末までに見直し、改定を三月末にされることになっておりますけれども、それに反映させることが仕事でございますので、できるだけ早く政府の方に御提出する努力をしておられるということでございます。
#247
○川島委員 総務庁長官にお尋ねしておきますが、委員の一人がずっと公開で御意見を述べているわけでございますけれども、規制緩和の障害になっている問題ということで三点挙げております。
 その一つは、個別既得権益擁護に向けた官民一体の抵抗、二つ目は、検討課題の本質と全容に関する無理解、三つ目は、縦割り行政下で担当省庁、局、課に個別問題を長期間にわたって全面的に任せ過ぎた弊害、この三点を挙げているわけですが、これに対してどのように御所見をお持ちか、お伺いしておきたいと思います。
#248
○江藤国務大臣 進めていく中でいろいろ考えることがあります。例えば、国鉄、電電、あるいはまた、たばこを民営化した。胸を張ったが、果たして一〇〇%その成果を得たのかどうかという、いわゆる行革あるいは規制緩和等に対する反省というのは、私は、常になければならぬ、こう思っております。
 縦割り行政の弊害、あるいは事の次第を余り理解をできない、それらの問題もたくさんあろうかと思いますが、この千九十一項目の上に、さらに問題点として提起されたものが四十項目、さらに先般六つ追加されまして、四十六について今検討がなされております。
 私は、委員の皆さんを、その熱意と御努力を高く評価しておりますし、また、与党三党でも百数十回に及ぶ論議を重ねておられることでありますから、必ずやこれが実を結ぶときが来る、そうかたく信じながら今職務に取り組んでおるところでございます。
#249
○川島委員 次に、大蔵大臣にお伺いをいたします。
 今回の金融関係の倒産に関しまして、銀行業務の規制緩和を行うべきだという意見も出ております。そしてまた、預金保険制度というのは、本来ならば預金者の預金の払い戻しを行う制度であるべきところが、経営危機に陥った金融機関を救済する銀行に対して貸し付け、贈与を行う、こういう形になっておる。本来の設立目的に違っておるのじゃないか、こういう声が出てきておるところでございます。
 アメリカの預金保険の保険料の関係でいいますと、傾斜方式をとっておりまして、労災だとか老人保険等に、保険料率を危険度に関連づけてモラルハザードを防ぐために実施している、こういうことでございますけれども、今後こういう形を取り入れた預金保険制度の改革が必要でなかろうかと思うわけでございますけれども、この点について御所見をお伺いしておきたいと思います。
#250
○武村国務大臣 御指摘のように、預金保険機構は預金者等の保護を図ることが目的でありますが、金融機関が預金等の払い戻しを停止した場合に必要な保険金等の支払いを行ういわゆるペイオフがありますほか、破綻金融機関には、御指摘のように営業譲渡等に対して適切な資金援助を行うという手段を講じているところであります。
 しかし、破綻金融機関に対する支援といいましても、結局はその破綻金融機関そのものがもう消えてなくなるわけでございまして、私どもは、たびたび申し上げておりますように、その経営者とか、あるいは株主とか、あるいは出資者とか従業員を救済することは考えておりません。その破綻金融機関にそれまで預けられた預金者を保護するためにその金融機関を支援させていただく、そのために預金保険機構に出動してもらっているわけでございまして、間接的ではありますが、そういうふうに御理解を賜りたいと思うのであります。
#251
○川島委員 私は、やはり国民の理解が得られるような形できちっと直しておくべきだ、こういうふうに考えるわけでございますけれども、これはまあひとつ要望をしておきたいと思っております。
 それから、アメリカ政府から今回の規制緩和、行政改革に関する意見が寄せられておる。これはまあ各国ともでございますけれども、全体で、外国から寄せられているこれらの意見というのは、数がどのくらいあるんでしょうか。そしてまた、これらに対して恐らく答弁書か何か出されておるんじゃなかろうかと思うわけでございますけれども、この辺の内容について、お伺いをしておきたいと思います。
#252
○江藤国務大臣 アメリカ、EU、英国、ドイツ、オーストラリア、カナダ、韓国の七カ国及び二団体から出されております要望項目は、四百十三事項であります。これは、内容については、必要でありますならば事務当局から答弁をいたさせます。
#253
○陶山政府委員 今回の政府の規制緩和推進計画に当たりまして、内外からの要望を積極的にお伺いをしたわけでございますが、ただいま大臣から申し上げましたように、米国以下各国政府及び経済団体から御要望のあった項目数は大臣の御答弁のとおりでございます。
 特に、米国から具体的にいろいろな御要望がございました。計画に掲上いたしましたものについて幾つか簡単に御紹介申し上げておきますと、例えば、外国弁護士による国際仲裁代理の自由化の問題でございますとか、航空貨物に係る到着即時輸入許可制度の導入でございますとか、あるいは厚生年金基金に関する資産運用規制の緩和でございますとか、その他相当多くの事項がございますが、例えば米国政府から要望のあった対象につきまして、大部分のものが今回の規制緩和計画に政府の方針として盛り込んでございます。
#254
○川島委員 私の方も調べまして、具体的な規制緩和では、農業関連十一、自動車・自動車部品二十六、建築資材三、流通関係三十三、エネルギー関係一、金融サービス三、投資八、法的サービス三、医薬品・薬局二十、電気通信・情報十九、全部で百二十七。行政関係では、行政手続法が三、規則制定手続検討が一、諮問委員会及び研究会が七、情報公開が八、行政不服申し立て・仲裁が十一、競争政策強化に関係することが九、計三十九。このように具体的に受けとめておりますけれども、この中で、特に我が国の規制緩和について、民主主義的な方向での要求が出されております。
 三点について総理の御意見をお伺いしておきたいと思いますが、一つは、民間部門の参加のメカニズムをつくるべきだ、それに各国企業の代表を含む民間人から成る常任作業部会の設置とか行政
改革委員会に加えるべき、こういう要求が一つある。
 二つ目は、一般からの意見の定期的な聴取を行い、コメントを求めるべきだ、これが二つ。
 それから三つ目は、一九九六年度末までに情報公開法案を国会に提出すること。こういう三点の要求が出ておるわけでございますけれども、これについて御所見をお伺いしておきたいと思います。
#255
○村山内閣総理大臣 行革委員会を設置をするときに、相当いろいろ議論もありますし、問題もありまして、できるだけ民間人の意見が反映されるように、官主導でなくてやるべきだという強い意見があって、そういう点も十分配慮した人選が進められてきて、今の行政改革委員会が設置をされておる。
 しかも、その行革委員会の中に新たに、先ほど来お話がありますような規制緩和の小委員会と情報公開部会というものをこしらえて、そして、その小委員のメンバーやらあるいは部会のメンバーには、できるだけそうしたものが反映できるような民間人の選任をして、そして今進められておる。
 しかもその委員会は可能な限り公開をして、そして内外の声も必要に応じて聞きながら反映をさせてやっていく、こういうことも決められておりますから、私は、そういう意味における今お話のあったことについては、十分反映されて実行されているのではないかというふうに思っております。
#256
○川島委員 次に、内外価格差の是正についてお伺いをしたいと思います。
 日本の物価水準はアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの四カ国と比べて非常に高いと言われております。生活必需品、これが世界の物価に比べますと非常に高水準にある、こう言われているわけですね。特に賃金が高水準、物価水準も高い。で、アメリカと日本の内外価格差が、一ドル百二円の形で試算をいたしますと一・八二倍、それから、日本の衣食住の物価の中で食料品は二・四倍、こういうふうに出ておるわけでございます。
 それで、内外価格差を縮小するには生活水準向上計画の策定が必要である。内外価格差が平均して一割縮小すると物価全体が〇・七%下がる。
 これは経団連からのいろいろな試算も出ておりましたですね。五年間で消費者物価が二〇%下がれば、実質、差し引きすると、GDPが百七十七兆円、雇用創出が七十四万人、年間平均成長率が一・七%、こういうふうな試算も出ておるわけでございます。
 我が国の内外価格差是正についての今後の取り組み方針をお伺いしておきたいと思います。経済企画庁長官。
#257
○宮崎国務大臣 お答えいたします。
 内外価格差と申しますのはいろいろの定義がございますが、今先生がおっしゃったような測定の仕方もございます。
 私の手元にございます生計費で見た内外価格差でございますが、ニューヨークの生計費に比べまして東京の生計費は一・五二倍というのが一九九四年の数字でございます。いずれにしても日本の生計費が高いということでございまして、これはニューヨークだけじゃなくて、ヨーロッパの多くの都市と比べてもそういう数字が出ております。
 そして、どういうところが高くなっているかということでございますけれども、今御指摘のように、食料費などが高くなっておりまして、どちらかと申しますと、日本の自然的な条件が恵まれないようなものに関連した商品、あるいは規制がかかっている品目、そういうものが特に内外価格差が大きいという感じでございます。
 全体として内外価格差がどれぐらいであって、そして、どれぐらいまで下げるかということでございますけれども、内外価格差の性格上、マクロ的に全体として差をどれぐらい縮めるか、そして、そのことが雇用なり経済成長にどういうふうに影響するかというのはいろいろの仮定を置いて試算しなければいけませんので、経団連のやり方も一つの参考ではございますけれども、私どもは、むしろ一つ一つの個別の業種、品目に当たりまして、今実態がどうなっているか、少なくとも一年に一遍は実態調査をやって、その個別品目ごとに個別の内外価格差を縮小させていこうという方針でございます。
 マクロ的には、そのほか、取引慣行の是正ですとか規制緩和ですとか、いろいろ今年の六月に物価安定会議で出されました内外価格差の是正・縮小の基本方針に従ってやっております。
#258
○川島委員 ここに政府の経済対策閣僚会議の四月十四日のレポートがあるわけですね。ここにも内外価格差の問題だとか差益還元、それから規制緩和、具体的にたくさん書かれておるわけですけれども、まだ実施に移されていない問題がたくさんございますので、ひとつこれらをきちっと実行に移していただきたいと思っております。
 次に、総理並びに農水大臣にお伺いをいたしますけれども、ことしから食糧庁では輸入米の入札が行われて、輸入が行われてきておるわけでございますね。三十七万九千トンお米の輸入をしなきゃならぬことになってきております。
 そこで、業者との入札状況で、一キロ当たり差益が最大で二百九十二円、こういうことが試算されているわけでございますが、これらは総額で、輸入米と業者に売り渡す価格との差額というのは幾らになっておるんですか。まずお伺いしておきたいと思います。
#259
○高橋政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまの質問にございました二百九十二円といいますのは、ガット・ウルグアイ・ラウンドの合意の際に、日本側が輸入をしたときに取れる最高の差益といいますか、そういうものを言っておるのでございまして、先日行いましたSBSということで入札したときには、皆さん方の入札の価格が二百九十二円ということで入札をされたということでございまして、それはたまたまそういう金額であったということでございます。
#260
○川島委員 ちょっと、質問をきちっと聞いておいてくださいよ。輸入するお米と売り渡すお米の差額が一体総額で幾らになるか推計されているかと聞いているわけです。
#261
○高橋政府委員 そうしますと今の御質問は、本年度、ミニマムアクセスで三十七万トンの精米で換算いたしまして輸入をすることにいたしておりますが、それの差益がどのくらいになるかという、そういう御質問と理解してよろしいでしょうか。
#262
○川島委員 そうです。三十七万九千トンでございます。
#263
○高橋政府委員 そうしますと、それにつきましては、実はどのような種類のお米が輸入されてくるか、例えばジャポニカ系統であるかとか長粒種であるかとか、そういうことによって輸入する場合の価格というのはよくわからないわけですね。
 したがいまして、現時点で我々は幾らということを申し上げるわけにいきませんが、現在、予算上、昨年の十二月時点で、我々が売買差益としてどのくらい輸入することによって利益が得られるかということの一応の試算ですね、それをしておりますが、それによりますと二十九億でございます。
#264
○川島委員 その試算の二十九億の差額を民間備蓄だとか調整保管料に使用する、こういうふうに言われていると私は受けとめているわけですけれども、それで間違いございませんか。
#265
○高橋政府委員 新しい新食糧法のもとで今度政府は備蓄をしようということで、備蓄制度というのを位置づけました。それで、このための費用として、今申し上げました差益ですね、そういったお金はそういう備蓄の方の費用に充てていこうということを法律上決めさせていただいておる、こういうことでございます。
#266
○川島委員 ここで総理にお伺いしますけれども、国民は、二十九億の差益の問題について、農
林水産の予算に使われることについては別に反対していないわけです。ただ、安いお米を買って高い値段で自分たちが我慢をしなきゃならない、この不公平の問題について非常に不満が多く出ているわけでございますけれども、今後これを直していくというお気持ちはございませんか。
#267
○野呂田国務大臣 直すつもりはございません。
#268
○川島委員 総理も同じお答えでございますか。
#269
○村山内閣総理大臣 これは、先ほど来お話がありますように、ミニマムアクセスに基づいて輸入をするわけですけれども、その輸入差益については、どのような事態になろうとも米の安定供給ができることを確保するという意味では国民全体に対する利益につながっていくわけですから、私はそういう意味で、備蓄にそれを充当していくということは理解がいけるのではないかというふうに思いますし、そういう制度にしていることについて今改める考えはないということは、農林大臣から答弁したとおりであります。
#270
○川島委員 この辺のところが若干問題があるわけでございまして、農水省の予算に使われることには何も反対していないわけです。ただ、安いお米を買って全部そちらの政策に使って、国民の多くの皆さんに我慢をしろ。そして備蓄ならば、各家庭に、早く買った人はこれだけ安くなりますよということだってできるわけでしょう、いろいろ考えれば。もっともっと英知を結集すれば、安いお米が国民の皆さんの手に入るわけですよ。ただだめですという形では納得ができないのじゃないでしょうか。
#271
○野呂田国務大臣 米を備蓄していくためにはお金がかかります。米は何で備蓄するかというと、食糧の安定供給のためであります。とすれば、それは消費者も広く利益を受けることでありますから、そういうもののために食糧管理特別会計法を改正して、その差益を備蓄に使うことにしたわけでありまして、ぜひその点については御理解をいただきたいと思います。
#272
○川島委員 私は、国民の皆さんが納得ができない声が非常に多いから政府に提起をさせていただいたわけでございます。
 次に、政府は、特殊法人問題を含めて、高齢化時代の福祉や年金、医療、これらについて消費税を三%から五%に上げる、このことに対して政府みずからも身を削る努力をしていく、こういうことで行政改革が始まってきておるわけでございますけれども、年金問題で実は若干お伺いをしておきたいと思います。
 それは、いろいろ今、年金の問題では議論がなされてきておるわけでございますけれども、厚生年金は一六・五%から、三十年で二九・六まで値上がりをするということを決めております。五年ごとに変えていく。それからボーナス時一%。
 ところが、国民年金基金でございますけれども、最近、今年度になるわけですが、従来二十で三万円、五十五歳まで掛ければ五十万円もらえますよ、こういう施策があったわけですね。ところが、これが一挙に五〇%値上がりしまして、二十で四万五千円掛けなきゃ五十万円もらえぬ、こういうことに変わったわけなのですけれども、こうした急激な変更というのは、中身が今後また変わってくるのかどうか、この件についてひとつお伺いをしておきたいと思います。
 さらに、総理も御存じのように、年金福祉事業団が株の運用で五千七百七十億も赤字を出したという報道がなされている。これは、財投の関係で我々には若干理解ができるわけですけれども、国民の皆さんにはその辺が理解ができないわけでございまして、この辺のことについて厚生大臣からちょっと実情を含めてお伺いをしておきたいと思います。
#273
○近藤(純)政府委員 事実関係でございますので、私の方から申し上げたいと存じますが、まず国民年金基金の問題でございます。
 先生御承知のとおり、国民年金基金は国民年金の上乗せの制度としてできたわけでございまして、加入時に定められました掛金を六十歳まで納付いたしますと一定額の確定した給付が得られるということでございます。したがいまして、長期な、財政的な安定を図る必要があるわけでございますので財政再計算を行っているわけでございまして、これは今回四月に財政再計算を行いまして、具体的には資金運用というのは非常に苦しゅうなっているわけでございまして、こういう状況のもとでは、より安定した制度運用を行う必要がある、こういうことでございます。
 したがいまして、過去にさかのぼってということではございませんで、平成七年の四月以降の新規加入者につきまして、予定利率を五・五%から四・七五%に引き下げたわけでございまして、給付が一定でございまして運用利子が下がるということでございますので、先生は五〇%と申されましたけれども、平均では一五%でございます。年齢差がございますので若干幅はございますけれども、平均的にいたしますれば一五%の引き上げになっているわけでございます。
 それから、年金福祉事業団の自主運用事業でございますが、これについてどうかということでございます。
 これも株式の下落等の事情がございまして、投資環境が非常に低迷したわけでございまして、平成三年度以降、収益が借入利息を下回る、こういう状態が続いているわけでございまして、平成六年度におきましては約五千八百億、累積で約七千億円の赤字が生じているわけでございます。
 この事業は、御承知のとおり、資金運用部の方から七年から十年の固定金利で借りてきているわけでございまして、この資金をもちまして変動する市場の中で運用するということでございますので、利払いと運用の利回りの差というのが出てきているわけでございます。
 このものは、市場の好不調によって結果に差が出るわけでございまして、したがいまして、非常に悪い決算になったわけでございますが、この結果につきましては非常に私どもとして重大に受けとめているわけでございます。
 ただ、年金の資金というのは長期運用が可能な資金でございまして、その性格を踏まえまして、長期的な観点から投資政策を確立いたしまして運用することによりまして、長期運用というものに徹することによりまして収益を積み上げていく、こういうことで私どもの責任を果たしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#274
○川島委員 赤字が四年間連続。これで決算が、一九九四年度分ですね、五千七百七十七億円。これからも赤字が出ているわけです。
 借りなきゃいいんですよ、何も。赤字出ないんですから、差益で。こんな危ない経営は、民間だったら一遍に、一年で役員全部責任をとらされますからね。それを全然知らぬ顔でしょう。これは国民が納得しないですよ、これは。
 それで、もう一つ聞きますが、年間、国民年金の保険料を納めない人というのが二百万人ぐらいいるんじゃないかと思いますね。赤字額も三千億ぐらい毎年処理しているんじゃないかと思いますが、この点について具体的にお答えいただきたいと思います。
#275
○森井国務大臣 年金積立金の自主運用、先ほど局長から申し上げましたように、累積で、残念ながら七千億円の赤字が出ております。ただ、この制度は、昭和六十一年から始まっておりまして、約十年たっているわけでございますが、調子が悪かったのはここ三年ぐらいでございまして、始まった当時からは好調に推移をしていたわけでございます。やめたらどうかとおっしゃいますが、これはやめるわけにいきません。
 今、短期的には、おっしゃいましたように、株は安いわ、円は高いわ、もう円はひところは八十円台を切って七十円台に突入したぐらいの厳しい状況で、今はおかげさまで百一円、きのうまでの時点で百一円という形になっておりますけれども、いずれにしてもこれは大変です。株も一万四千円から一万八千円まで、これも乱高下がございまして、非常に運用に苦労しております。
 かてて加えて、御存じのとおりの低金利でございます。これはもうどうしたって景気回復には欠かすことのできない金利政策でありますから、私ども十分理解をいたしますが、それやこれや考えますと、今非常に運用は難しぐなっております。
 しかし、長期的に見ますと、特に年金でお金のかかる二〇一〇年から一五年あたりにかけて、長期的なスパンでやはり有利に運用して年金財政を守っていかなきゃならぬという大きな使命があるわけでございますから、ここしばらくは調子は憩うございましたけれども、今、補正予算の審議をお願いをいたしておりますが、景気が回復をすれば必ずまたもとに返るという確信を持っておりますので、この点についてはぜひ御理解をいただいておきたいと思います。
 それから、保険料の納付問題につきましては、局長から答弁をさせます。
#276
○横田政府委員 国民年金の未納者の人数ということでございますけれども、未納者の人で、これを一月納付しない人もおりますし、一年間ずっと納付しない人もいるということで、実は未納者が何人かということはなかなか難しいわけでありますが、私ども納付割合を普通月数でカウントしておりまして、検認率と言っておりますが、これが平成五年度で八五・五%でございます。これをもとに推計いたしますと、先生の御指摘にもございましたように二百数十万人程度になるのではないかというふうに考えております。
 また、保険料の方は、その現年度が過ぎましても、二年間督促をいたしまして納付をしていただいておりますが、これらを加えますと、最終的には九割ぐらいの納付率になるのではないかというふうに考えております。
 二年たちますと時効で取れなくなるわけでありますが、平成五年度におきまして、時効により徴収できなくなった国民年金の保険料は三千七百六十億円というふうになっております。
#277
○川島委員 総理、私、厚生大臣のああいうお気持ちとちょっと反対なんですよ。国民の大切な年金のお金を預かって、たとえ一銭たりとも赤字を出す、そういう組織だったらすぐやめる、気がついた途端にやめる。そして、年金のお金を払わない。こんなに三千七百億も毎年赤字が、二年ごとに出てくるという形が続いている。これは抜本的に、もっと国民の理解を受けるために大改革をやらなきゃいかぬですよ、このことはもう。高齢化時代の大切な、総理の不退転のこれは事業の一つなんですね。消費税の値上がりも、この中の一つの事業にこれからやっていくというのですけれども、焼け石に水ですよ、こういう状況では。
 それで次に、特殊法人の問題について、これも消費税値上げの一つの大きな公約の、スリムにする施策の一つでございますけれども、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
 実は特殊法人六十九に政府が出資をしておりますけれども、平成六年末で二十四兆五千七百九十億、内訳は一般会計で十三兆六千八百億余り、特別会計で十兆八千九百億余り、総額で三十兆近く出資をしておるわけでございます。これがほとんど軒並み赤字を抱えているんですね。
 この辺のところが改革の一つの大きなポイントだろうと思いますが、特に定数のある中央省庁、今職員が五十万五千四百八人ですかそれから特殊法人の本体が十一万八千四百人、ところが孫会社とかいっぱい下に会社ができまして、その人数が六万六千人もおるんですよ、我々の目の通らないところ。
 それで、会計検査院に、じゃ監査しているかというと、していることはしているんですね。ところが、おのおのの特殊法人に規約やなんかがございまして、役員がどれだけ報酬をもらおうと、規約に決まっていれば高いとか安いとか言えない、ボーナスも言えない、退職金も高くても言えない。本庁の事務次官クラスの給料を全部取っているわけです。それも、あっちへ渡り、こっちへ渡りと、こう、二、三カ所回ると大変な退職金をもらっておるわけでございます。
 今特殊法人の改革が非常に大きな課題になっておりますから、これらも含めて直していただける、こう確信をいたしておりますけれども、コメントをいただけませんか。U江藤国務大臣 特殊法人の見直しについては予、それから聖域を設けずにこれからやってい見と、こう思っております。
 ただいま御指摘になりました点等は、これは大事な一つの指針だと受けとめてまいりたいと思います。
#278
○川島委員 総理の御所見をお伺いしておきたいと思います。
#279
○村山内閣総理大臣 今総務庁長官から答弁があったとおりで私はいいと思いますけれども、今お話がございましたように、実態を公開して、そして国民の皆さんにもよく知っていただく、そういうディスクロージャーをきちっとやはり踏まえてやっていくことが大事ではないか。そうすれば、今お話のあったような点についてもそれはわかるわけですから、わかったところは直していくということは当然の話で、そういう努力はこれからもしていかなきゃならぬというふうに思っております。
#280
○川島委員 次に、最高裁判所の民事局長さんにお出ましいただいていますので、ちょっと質問をさせていただきますが、オウムの裁判等がございまして、裁判の長期化ということが心配されておるわけでございます。国民の裁判所に対する信頼が、長期化することによって損なわれるおそれがあるわけでございまして、国民の裁判に対する信頼を確保するために、裁判所は裁判の長期化を直していただいて、適正かつ迅速な裁判の実現を図ることが私は必要だ、こう思っておるわけでございます。
 そこで、裁判所における審理の期間の実情はどうなっているのか、そしてまた、二つ目は、迅棟な裁判を実現するためには具体的にどのような方策を講じたらいいのか三つ目には、裁判官の増員など人的手当てを含めて、もし必要ならばきちっとやらなきゃいけない。
 これと関連して、実は法務大臣にもお伺いしでおきたいのですけれども、我が国の弁護士さんというのは世界に比べると物すごい少ないのですね。なぜそういう規制がなされておるのか。
 この辺の事情もあわせて、裁判のおくれと弁護士さんの数の少なさ、この件についてひとつお伺いをしておきたいと思います。
#281
○石垣最高裁判所長官代理者 初めに、裁判所における審理期間の実情から申し上げたいと思いますが、代表的な例として、全国の地方裁判所の民事第一審通常訴訟事件の処理状況で申し上げます。
 昭和六十年度の平均審理期間は十二・四カ月でございましたが、平成六年度の平均審理期間は九・八カ月でございます。
 ちなみに、簡易裁判所の民事第一審通常訴訟事件の処理状況を見ますと、昭和六十年度の平均審理期間は三・四カ月でございましたが、平成六年度の平均審理期間は二・六カ月となっております。
 ただ、今申し上げました平均審理期間は、争いのない事件をも含んだ数値でございまして、争いのあるいわゆる対席事件、欠席でないという意味で対席と言っておりますが、対席事件のみの審理期間について見ますと、平成六年度の地裁における民事第一審通常訴訟事件のうち、対席判決で終了した事件の平均審理期間は十六・六カ月でございます。そのうちでも本格的に争われていると考えられる、審理期間が六カ月を超えている事件、この中には関心の高い事件もかなり含まれていると思いますが、そういう事件で対席判決で処理された事件の平均審理期間は二十三・四カ月、一審で二年弱という状況にございます。
 そこで、その対策でございますが、あるいはお耳に達しているかと思いますが、これまで裁判所としては、民事裁判の促進を図って民事裁判を国民にわかりやすく利用しやすいものとするという観点から、特に従来法廷が単に書面交換の場となっていたという指摘もございますので、これを実質的な討論の場にして審理を充実させる、そして、争点といっておりますが、誤解とかあるいは感情の行き違いによる争いの部分をできるだけ解消させて、本当に審理をすべきその争点をできるだけ早期に確定をさせて、その争点を中心に、しかも証拠調べもできる限り効率的、集中的に行うようにするということに取り組んでまいりました。
 そのような方法を実現するために、各地の裁判所ではいろいろな工夫を行っておりますが、特にそのような審理の実現のためには、当事者でございます弁護士の協力が不可欠でございますので、各地で裁判所と弁護士会との間で民訴、民事訴訟の運営改善について継続的に協議をしたり、研究会を開催したりするということが行われてきております。
 これとあわせて物的な面で言いますと、例えばラウンドテーブルというのがございます。双方の代理人がひざを突き合わせて率直な意見交換をするということによって争点を整理するというような、そういうことのできる法廷といいますか、そういうものを整備をしてきておりますし、また最近は、電話会議システムということで、双方代理人と裁判所との間で電話でやりとりをしながら、またお互いに相手がどういう話をしているかということもわかるようなシステムを導入をして、いろいろな期日の打ち合わせあるいは和解条項等の打ち合わせ等に活用をしているところでございますが、このような方向は、今後とも運営改善ということで、裁判所としては力を入れて国民の期待に沿いたいというふうに考えております。
 ただ、運営の改善で賄い切れない事項につきましては訴訟法の改善がどうしても必要であろうと思っておりますので、現在、法務省にございます法制審議会で、民事訴訟法の抜本的改正を検討いただいておりますが、裁判所としても、現場の意見をできるだけ反映をさせて、できるだけ早期に目的が達成されるように努力をしていきたいというふうに考えているところです。
 なお、委員から御指摘ございました人的な面の手当てでございますが、こういった運営改善とあわせて人的な充実ということも当然考えていかなければならないと思っております。過去にもずっと増員をお願いをし、それなりに御配慮をいただいてきておりましたが、今後ともなお、事件の動向等も見ながら努力を続けていきたいと思っておりますので、御理解をいただければと存じます。
 以上でございます。
#282
○宮澤国務大臣 諸外国と比較をいたしまして、我が国の弁護士の数が少ないということは御指摘のとおりでございます。そして、弁護士の数が少ないということが、一部の訴訟事件につきまして審理に比較的長期間を要している原因の一つであるというふうに指摘をされていることも承知をいたしております。
 法務省といたしましては、広く国民の法的要請にこたえるために、我が国の弁護士を含みます法曹人口につきまして、大幅な増加を図る必要があると考えております。そういうための具体的な方策といたしまして、ただいま学識経験者、大学関係者及び法曹三者によって構成されております法曹養成制度等改革協議会がございまして、そこでいろいろ協議、検討が行われておりまして、近く意見書が提出をされるというふうに予定をされておりますので、法務省といたしましては、その成果に期待したいと考えております。
#283
○川島委員 ありがとうございました。
 次に、地方自治体における補助金、それから機関委任事務、国の出先機関のこの三点の問題について、総理並びに大蔵大臣と、自治大臣も入りますか、お伺いをしておきたいと思います。
 一つは、今宮官接待でいろいろ言われておりまして、この原因は、やはり中央官庁へ多くの陳情団が来る、このことが非常に原因をしておるわけだと見ております。名古屋市でも、年間二千人の人が来る、こういう形になっておるわけでございまして、この補助金が具体的に交付金みたいな形で地方が自由に使えるよう、これは総理も当初はそういう方針だったように受けとめておるわけでございますけれども、ぜひひとつそういうふうにやっていただきたいと思うわけでございます。これは大蔵大臣でございますか、御所見をお伺いをしたいと思います。
#284
○深谷国務大臣 自治大臣としての立場から先に申し上げさせていただきます。
 補助金獲得のために陳情団が続々とやってくる、あれは随分時間とお金のむだだなと思いますし、官官接待の一つの要因になっていることは委員御指摘のとおりだろうと思います、すべてがそうではありませんが。
 そこで、やはりこれからは、ことしの五月の地方分権推進法で明らかにしましたように、こういう補助金についての、あるいは負担金についての整理統合というのはどうしてもやっていかなければならないことだ、こう思っています。
 私どもは、率直に申し上げて、恒常的な補助金はもう地方財源に繰り入れてしまう、そこまでやっていく必要があるのではないかと思うのであります。現在、地方分権推進委員会でこれらの問題を含めて検討を進めているところでありまして、来年の三月には中間報告も出ますから、これらの動きをしっかり見詰めながら、そのような正しいやり方を確立してまいりたい。
 また、地方の財源を確保するという意味から地方消費税の導入などもあったわけでありますが、一層努力することが私たちの役目だと心得ております。
#285
○武村国務大臣 自治大臣のお考えにも沿いながら、大蔵省としましても、補助金の整理合理化、特に小さな補助金の整理あるいは全体ではメニュー化とか整理統合も含めて、地方分権の時期でありますだけに、一層積極的に対応をしてまいりたいと思います。
#286
○川島委員 重ねて、あとは中央省庁が地方自治体に委任しておる機関委任事務ですね、今銀行問題を含めていろいろ、信用組合ですか、ございますけれども、政府は、原則として廃止と最初はうたわれておった、それが廃止を含め検討。ところが、いつの間にかこれが見えなくなってきているわけでございますけれども、この辺のことについての経過を一遍お伺いをしておきたい。
 それから二つ目は、国の出先機関の整理合理化、これも大幅に整理縮小、こう言ってきたのです。これは縮小、廃止または地方公共団体に統合を図る、こう最初言われておったのですが、それが後退しておるような形になってきているわけですが、この辺のところについてもひとつ実情をお聞かせいただきたいと思います。
 これは総務庁長官ですか、自治大臣ですか。
#287
○江藤国務大臣 政府委員が答弁したいと申しておりますので。
#288
○陶山政府委員 お尋ねの機関委任事務の問題でございますが、先生も御案内と存じますけれども、昨年の十二月二十五日に「地方分権の推進に関する大綱方針」という閣議決定を行いました。この大綱方針に基づいて現在動いておりますけれども、地方分権推進法案を政府として国会にお願いをし、本年の五月に成立をさせていただき、この法律に基づいて地方分権推進委員会が本年七月から活動を開始したところでございます。
 機関委任事務につきましては、昨年の十二月二十五日の大綱方針の中では、「機関委任事務の整理合理化を積極的に進めるとともに、機関委任事務制度について検討する。」ということになっております用地方分権推進委員会では、既に二つの専門部会が発足をいたしまして、実質的な審議が始まっております。この地方分権推進委員会において、この機関委任事務の問題についてもいろいろな観点から今後御議論が行われるというふうに承知をいたしております。
 出先機関の整理合理化の問題につきましても、いわゆる第二次臨調の御答申を受けまして、政府としてこれまでブロック機関、府県単位機関、支所、出張所、それぞれのレベルのいわゆる地方出先機関、正式には地方支分部局というふうに称しておりますが、この整理合理化について毎年度の
行革大綱の中で具体的な整理合理化の目標を定め、これまで逐次実施をいたしてきたところでございます。
 いずれにしろ、今後とも行政組織の簡素合理化という方針の中で、政府として引き続き簡素合理化に取り組んでいくことは当然のことと存じております。
#289
○村山内閣総理大臣 今、川島委員の質問の中に、政府の姿勢は後退しておるのではないか、こういう発言がありましたけれども、これを推進する取り組みの姿勢については当初から変更はございません。
 これは、補助金にしても機関委任事務にしても関連のある問題ですから、やはり総合的に判断をして、そして地方分権を積極的に推し進めていく。同時に、そういうこととの見合いの中で出先機関の廃となり統合というものもやはり考えていく必要があろう。これは連関する問題ですから、全体として取り組んで、当初の目的が達せられるようにこれからも一層努力をしていきたい、その姿勢についてはいささかも変更はございません。
#290
○川島委員 総理は就任以来、時代の流れ、地方分権、こういう形で最重要課題ということで訴えておりますので、ぜひひとつつくり上げていただきたいと思っております。
 次に、大蔵省の分離についてお伺いをしておきたいと思います。
 これは、自民党の金融問題調査会、十月六日に決められているような状況で新聞報道がなされているわけでございます。与党の行政改革プロジェクトチームの座長を務める水野さん、大蔵省は大きくなり過ぎた、銀行、証券、国際金融の各局を分離して金融庁をつくり、通産省のノンバンク担当、郵政省の簡易保険担当、農水省の農協系金融機関担当の一元化を図るべし、こう言っているわけですが、大臣の御所見をお伺いをしておきたいと思います。
#291
○武村国務大臣 水野議員の御発言は新聞で拝見をいたしましたが、まあ、思いつきで言っているのではあるがと、こういう前置きもあるのですが、一つの提案として伺ったわけであります。
 実際によく考えてみますと、各省庁の所管する金融行政、例えば農林でいえば、農水省の金融行政はやはり農協の購買とか販売とか、そういうさまざまな事業と一体で行政指導が行われているわけでもあります。だから、金融を全部取り込んで一つの金融庁にすることがいいのかどうか。それはだめというふうには申し上げませんけれども、一長一短がある中で慎重な検討を要する提案だというふうに思っております。
#292
○川島委員 第一党の自民党さんが、内閣の主要な役割を占めている、そこから出てくるものですから、国民にとってみては、ああ、変わるのじゃないかな、こういうふうに見てしまうわけでございますけれども、一応大蔵省はこの検討については子とする、こういう受けとめ方でいいのですか。
#293
○武村国務大臣 大蔵省は今この問題を具体的に取り上げる考えはありません。
#294
○川島委員 次に、通産大臣にちょっとお伺いをしておきたいのです。
 国民が一番使っているレギュラーガソリンですね。規制も大分緩和されて喜んでいる人たちも多いわけなんです。例えば愛知県で、高浜市は八十六円、それから八十八円というのが出ているのですね。私のところの岡崎市も八十八円から百五円、レギュラーガソリン、リッター当たり。ところが東京、高いのですね、百十五円からと、こういうのです。このアンバランスはどのように受けとめたらいいのか、この点についてまずお伺いしておきたいのです。
#295
○橋本国務大臣 石油情報センターの調査を引用させていただきますが、九月十日現在のガソリン小売価格、確かに委員が御指摘のように、東京では百十一円、愛知県では百一円、全国平均で百十二円となっております。
 これは、市場メカニズムによって決まっていくものでありますけれども、その中には、地価でありますとかあるいはその輸送コスト、さらにそのガソリンスタンドの経営規模もございます、あるいはその固定客の比率といったような需給面、さまざまな要因が反映しているように思います。したがって、地域的に確かに価格差はございますけれども、石油の卸売価格、卸価格の地域格差というものが小売価格の地域格差につながっているケースも存在をするというような推測もございます。
 これは価格のあり方に直接介入することは適切ではないと思いますけれども、やはり極端な卸価格差があって、そのために販売業者間の競争条件がゆがめられるといったようなことのないようなチェックはいたさなきゃなりません。石油各社に対しても注意喚起を行ってきたところでありますが、今後とも必要に応じた注意喚起は行ってまいりたい、そのように考えております。
 東京の場合には、やはり私は地価というものが相当大きな影響を持っておるような気が私自身としてはいたしております。
#296
○川島委員 ガソリンと軽油の税の開きがあるのですね。CO2削減条約ですか地球温暖化、気候変動等の。我が国はその目標に到達するのに非常に難しいと国連に報告されているところでございますけれども、こういう状況で、ガソリンがまだアメリカの倍以上しているわけでございますけれども、これを税を下げて軽油と同じ税にすれば、もう少しCO2の削減ができるのじゃないかと思いますけれども、国際競争の関係で軽油の値段を下げるわけにいきませんので、ガソリンの値段は下げれば国民の、消費者の皆さんが喜ぶわけでございますから、この辺のことについて、大蔵大臣、いかがでございますか。
#297
○薄井政府委員 お答え申し上げます。
 ガソリンにつきましては、御指摘のように、消費税のほかに、現在個別物品税としての揮発油税等が課せられております。この結果、他の物品よりも高い負担になっているというのは御指摘のとおりでございます。
 ただ、これはどこの国でも、主要国では同様に課税しているという実情がありますし、また、これも御指摘ありましたが、ガソリンを初めとするエネルギーに対する課税につきましては、主要国ではCO2抑制のための性格も認識されているということでございまして、税金がかかっていることがむしろ環境対策になっているというような状況にもあります。
 そこで、揮発油税それから地方道路税という二つの税金がガソリンにかかっているわけですが、この負担水準について申し上げますと、アメリカと比較しますとこれも御指摘のとおり高いのですけれども、他の諸国に比べますと決して高いものではなくて、OECD二十五カ国の中で見ますと、むしろ比率としては低い方に属しているというように私ども思っております。
 また、あわせて我が国の場合には、道路整備のための財源としてこれは使われておりまして、道路整備五カ年計画遂行上、有効に使用されているということも申し上げておきたいと思います。
 そういうことを踏まえますと、こういう税金について軽減を行う状況にはないというふうに私は考えております。
#298
○大島国務大臣 川島委員にお答えします。
 事実認識がちょっと誤解されている点がありますので、改めて私から申し上げます。
 ガソリン税を下げますとガソリンに移行してそれがCO2を少なくするのじゃないかというのは、これは間違いでございまして、ガソリンの方がむしろCO2そのものは、排出する量は多いのでございます。ですから、認識としてはNOxとかそういうふうなものは確かにそうでございますが、CO2はディーゼルの方が比重は多いのでございます……(川島委員「だから、値段を下げればそっちにいく」と呼ぶ)いえ、ガソリンの方が多いのでございます。申しわけございません。ガソリンの方が窒素酸化物の排出を削減する効果はあるのですが、CO2を削減する効果はないのでございますから、そこはCO2対策としては先生の御認識はちょっと違うのではないか、こう思っております。
#299
○川島委員 従来から私は石油の方をガソリンと同じ値段にせよ、こう言っているのですけれども、それはできない、これは国際競争力が落ちるから、こう言って理由が出されているものですから、この際、ガソリンを安くすればそっちへ全部行く、こういうことを考えているわけでございまして、何も間違っていないと思いますよ。
 次に、科学技術大臣に一言お聞かせをいただきたいと思いますが、宇宙開発事業団というのは非常に、一兆円近い累積赤字を持っているのですね、特殊法人の中で。中身を聞くと理解ができるのですけれども、一般から聞いておりますと、研究費に、ばんと打ち上げるまではがばっといろいろ持っておりまして、全部出資金という形でお金がつき込まれておりまして、赤字が一兆円ですよ。これ、ちょっと国民にわかりやすくひとつ御説明いただけませんか。
#300
○浦野国務大臣 川島委員御指摘の件でございますけれども、宇宙開発事業団というのは、今おっしゃいましたように、ロケットまた人工衛星等宇宙開発に向けての中核的な事業をいたしておることは御承知いただけると思うのですね。
 宇宙開発事業団の事業費というのは、これまた今おっしゃいましたけれども、毎年国からの出資金という形で受け入れているわけでございまして、この事業費を研究開発費という形で投入する場合、その時期とその成果があらわれるまでに相当長い時間的隔たりがあるということからいたしまして、企業会計原則にのっとってこれは表示をいたしておるわけでありますが、したがってそれは欠損金として毎年生じてくる。これが累積をいたしまして今おっしゃったような数字に相なってくるわけでございます。
 私ども、説明が不足しておるという面もあろうかと思うのですけれども、私どもは、この研究開発によって技術の進歩発展が促されておる、そして国民共有財産としての有形無形の資産としてこれは残っている、こういう受けとめ方をいたしておるわけでございます。
 この宇宙開発事業団、いわゆる宇宙開発の重要性というものは委員もよく御理解をいただけると思いますが、一層私どもはこの宇宙開発には引き続いて力を入れていきたいと思っておりますが、しかしながら、わかりにくいという点、御指摘もございまして、いかにこの表示をいま少しくわかりやすくするかということにつきましては、実は検討を進めておるところでありまして、さらにこの検討の促進を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
 以上であります。
#301
○川島委員 ぜひひとつ大臣にお願いをしておきたいと思いますが、一兆円の累積赤字で堂々とやっている。それが我々が理想とする二十一世紀へ向かっての、宇宙へ飛ぶ、あの夢を追って飛んでいくロケットだと思われるとちょっと残念でなりませんので、ぜひひとつ経理内容等も含めて御検討をいただきたいと思っております。
 次に、現在の我が国の失業率ですね、三・二%と言われております。来春卒業する大学生の就職問題が今非常に心配をされているわけでございますが、今日現在、一体どのくらいまだ来年予定の卒業生が、男性も女性もどのくらい就職できないでおるのか。この辺についてのデータをひとつ、文部大臣ですか、労働大臣ですか、どちらでも結構ですが、お示しをいただきたいと思います。
#302
○吉田政府委員 お答え申し上げます。
 十月一日現在の内定をまだ受けていない学生の数については、現在調査中でございます。月末を目途にまとめる予定にしておりますが、ただ、ことしの就職状況の昨年に比べてもより厳しいという一般的な情報あるいは昨年十月現在の未定者の数、こういったものを勘案いたしますと、推計の数字で恐縮でございますが、この十月現在におきまして、やはり二十万人をかなり超える学生がなお内定していないのではないかというふうに推測しているところでございます。
#303
○川島委員 ぜひ推定と言わずに、こんな大事な時期でございますから、労働省も含めて一遍、新事業法等もあるわけですから、きちきちっと毎月データはちゃんと大臣のところに集まるようにしていただかないと、政府の取り組みが何かぬるい、こういう気がしてならないんですよね。だから、ひとつ責任者としてチェックしてくださいよ。これは要望しておきたいと思います。
#304
○青木国務大臣 これは何回も申し上げておりますけれども、三・二%の失業率とそれから有効求人倍率は〇・六一倍ということでありまして、依然として厳しい情勢下にあります。
 今、文部省の方から学生の未就職者が二十万人という話があったわけでありますが、先日も、東京ドームをお借りいたしまして集めました。そうしたら、学生が何と一万二千四百人集まりました。全国各地に学生職業センターが今六カ所あるわけでありますが、これを、この補正予算が通りましたならば、直ちに四十七都道府県全部に学生のいわゆる職業安定所、すなわち学生の職業センターをつくります。
 そして来年度の問題、これは高校生も中学生もあるいはまた現在の大学生の関係等についても、ことしの三月卒業した人の未就職者それから来年三月に卒業する大学生というものを含めまして、特に女子が一説によると〇・四五倍というようなことになっておりますので、これは極めて厳しいということで、労働省としては真剣にこの問題についてはすべてをささげて頑張ってみたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
#305
○川島委員 言葉だけでなく、ひとつデータをきちっと集めてください。
 次に、郵政大臣に一点だけお伺いをしておきたいと思います。
 アメリカ政府から第三種郵便料金の引き下げについて規制緩和が求められておるわけでございますけれども、これを引き下げれば通販会社がたくさん参入して新規事業がふえる、こうアメリカは述べているわけですが、この件についてどのような対策がなされているか、お伺いをしておきたいと思います。
#306
○井上国務大臣 既に御承知かもわかりませんが、もう七月から郵政省としては広告郵便物等の割引率を最高四三%引き下げています。さらには、今、第三種郵便物の割引制度も既に導入をいたしまして、その効果を皆さんにお示しをし、なおかつ、さらに本年の七月にカタログ小包郵便物についても既に割引の制度を導入いたしました。
 今後ともサービス等については十分意を配してまいりたい、かように思っております。
#307
○川島委員 次に、大蔵大臣にお伺いします。
 現在、たばこ、酒、こういう許認可業者は許可を持っておれば通りの繁華街へ出てくることができる。ところが、従来そこでコンビニのような小売をやっているお店が、その許認可を持っている業者が出てくることによって商売が一気に下がってしまうという不公正があるわけですね。この辺の不公正な競争状況についてひとつ改革をぜひやってもらいたいという要望が出てきております。
 それからもう一つ。たばこの民営化がなされて許認可がもう大丈夫だと思っておったら、いまだに大蔵省は許可をきちっと握っておりまして、ことしの四月に出したものが、二カ月ぐらいたって、あなたのお店は距離がちょっと近づき過ぎていますという手紙をもらって、改めて距離の違ったところへ今度は店の配置をつくって、一生懸命業者は添付書類をつくって持っていくと、今度は、この地域におけるたばこ屋の数はもう満杯でございます、売り上げがある一定額、四百万ぐらいなければだめですと、こういう条件が初めて出される。
 最初から、それなら国民にきちっとわかりやすく、こういう条件があってこうでだめですよと言えばいいんですよ。その間、だめですよと言うまでに審査期間がこの十月までかかったんですよ、四月に出されて。これでは国民が非常に大変な、中小企業の皆さん大変でございますから、この辺の、許可を受け付けてから返事を出すまで、そして内容について、きちっと取り組んでいただきたいと思います。
 もう一つ。酒の小売業の皆さんが共同で仕入れて、共同備蓄をして大手スーパーとやり合うわけでございますけれども、何か一つの倉庫で皆さんが共同で仕入れたものが一緒くたになっておると、判別できないからそういう備蓄はだめだとかいっていろいろな規制があるわけなんです。
 この辺のところを、もっと中小企業の皆さんの意見を聞いて即緩和をしてもらいたいと思うわけでございますが、この三点についてお伺いをしておきたいと思います。
#308
○日高(正)政府委員 最初に、酒の関係につきましてお答えさせていただきます。
 酒販免許制度につきましては、酒税の保全等社会的管理を含めて、大変私ども必要かつ有効な制度であると考えておりまして、しかしながら、制度の運用につきましては、平成元年以降累次の規制緩和策を段階的かつ着実に実施しておりまして、昨年七月の閣議決定以降も、大型店における自由化等、団地、オフィス街等における免許枠の拡大等さまざまな規制緩和策を実施しておるところでございます。
 酒販店につきまして、酒類の販売業をしようとする者について、いずれにしましてもそうした免許を受けなければならないということでございますけれども、これらの酒販店の免許付与につきましては、審査順位を公開、抽せんにより行う等、厳格な審査基準により適正公平に実施しておるところでございます。
 次に、酒類小売業者の共同購入あるいは共同備蓄の点についてお答え申し上げますと、現在、多数の小売業者が共同仕入れ組織を通じて酒類の仕入れを行うということにつきましては、現在でも卸免許を受けました協同組合を通じました共同仕入れなどが行われているところでございますし、また、共同の備蓄等につきましても、個々の小売業者が仕入れた酒類を共同の倉庫に単に貯蔵しておく、その名義等につきまして、酒類を明確に区分するということであれば、単に報告書の提出ということで済むような仕組みになっております。
 いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、こうした中小小売業者の共同仕入れあるいは共同備蓄につきまして、所轄の税務署ごとに十分に相談してまいりたいと思います。
#309
○宝賀政府委員 たばこの小売販売業につきましては、専売制度改革に伴う零細小売業者への激変緩和という観点から許可制度がとられているところでございます。
 現在、許可基準につきましては、距離、取扱高等によることにしておりまして、これらの基準が相まって零細小売業者の激変緩和に有効に機能しているというふうに考えております。これまで基準はいろいろ緩和してきておりますが、今後ともその方向で検討してまいりたいと思いますし、審査についてはできるだけ迅速に努めたいと思います。
#310
○川島委員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、既に通告をしております多くの大臣の皆さん、申しわけございません。またの機会にひとつよろしくお願いをいたします。
 ありがとうございました。
#311
○上原委員長 これにて川島君の質疑は終了いたしました。
 次に、穀田恵二君。
#312
○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。私は、阪神大震災の復興対策についてお聞きしたいと思います。
 阪神・淡路大地震からちょうどもう九カ月がたちます。そこで、被災者は依然として大変な困難な生活を強いられて、復旧、復興を初めとする、政治が本当に今こそ力を入れなくちゃならぬ、そういう課題であることは、総理も何度も御発言になったとおりです。
 そこで、私は、神戸市内中心部で見ますと、大きな被害を受けた長田区、灘区、そして東灘、中央、兵庫、こういうところでいいますと住民がまだ帰ってこれていない。ですから、ビルは少しずつ建ち始めているのだが、やはりおうちがなかなか建ってないで人がいない、こういう空洞化の現状が相変わらず出てきています。
 しかも、これまた議論になったところですが、仮設住宅は遠隔地に随分多いものですし、全体としては数合わせの嫌いかないでもないという、これは周知の事実ですが、そういう中で、やはり今度、仮設住宅にとどまらず、恒久住宅を初めとして住民がどうしたら帰ってこれるのか、どうしたら人のいる町を再び取り戻すことができるのかということが重要な課題だと思うのですね。
 私は、その点で、人がいない町になる状況をどうして克服すべきか今何がネックとなっているのかについて、復興対策本部の本部長である総理にまずお聞きしたいと思います。
#313
○池端国務大臣 穀田委員にお答え申し上げます。
 阪神・淡路復興担当大臣ということでございますので、まず最初に私から御答弁申し上げたいと思います。
 阪神・淡路大震災、未曾有の大災害でございました。この復旧、復興は現下の最大の急務である、こういう立場で村山総理を先頭にいたしまして、内閣一体となって、全力を結集して今その復興のために努力をいたしておるところでございます。いろいろネックはございますけれども、このネックを一つ一つ解消するために、我々は地元と緊密な連絡をとってその対策を推進をしておるところでございます。
 特に、私どもは個人の生活の再建、産業の復興、そして安全な地域、これを三本柱として、既に御案内のように二度にわたって補正予算を組み、二兆五千億円の国費を投じて復旧に当たってまいりました。そしてまた、今御審議を願っております補正予算におきましても七千八百億円の復興対策費を計上いたしておりまして、きめ細かな、被災者の実情に即した対策を進めておる、そういう状況でございます。
 特に、住宅の問題、これは本当に緊急の課題でございます。建設省も大変な御苦労をいただいておりますけれども、地元から要請のありました恒久住宅、特に公的住宅七万七千戸につきましては、七万戸を前倒しで建設をする、こういうような対策もとっておりまして、これからも地元兵庫県の皆さんと緊密な連携をとりつつ、その復興のために力いっぱい頑張ってまいりたい、このように考えております。
#314
○穀田委員 今お話がありましたように、個人の生活の再建、なかんずく住宅の再建というのは決定的だというお話もございました。私もそのとおりだと思うんです。
 そこで、先ほど私なぜこんなことを言ったかといいますと、中心部が大きな被害を受けて、結局そこから出ていかざるを得ない。そして、仮設住宅も周りに建てるものだから、肝心かなめの市街地の中心部分は空洞化になっている。そういう方々を戻らそうと思えば、今お話があったように、住宅を大量につくる以外にない。その点では、公共的な住宅とあわせて民間の力もかりるということについては当然です。
 そこで、神戸市の例を見てみますと、当局はこんなことを言っているんですね。滅失戸数が八万二千戸、それに対して公営住宅の建設の計画というのは六千戸しかないんですね。ですから、それ自身も、市内中心部への計画は極めて少数だということは言うまでもないんです。
 そのほか、民間に頼るといっても、もともと資産のある方々というのはもう既に建てているわけで、資力のある方々は建てているわけです。市内中心部に多かった高齢者だとかいう方々や借家人というのは自力でつくることが非常に困難だ。だから、いわゆる政府が原則で言う、自立自助とい
うことをいろいろ言うわけですが、その基礎が極めて壊れているわけだから、これに対してきちっとした援助をする必要があるんじゃないか。ですから、私は何度も個人補償の問題を言いましたけれども、今ほど住宅再建にかかわって個人補償が重要なときはないと思っています。
 そこで、小里前震災担当大臣は、個人補償の問題で、著書の「震災大臣特命室」というところでこういうふうに書いています。「やりたいけれども基本的には大きな問題だな、そういう感じを毎日持ちながら悩んでいるところでございます。」「国民、世論の支持、あるいは財政負担などに対する配慮が整わない限り、今ここでぽんとお答えできる筋合いのものではないこういう答弁をして、「個人補償問題は国家体制に係わる重要な問題とはいえ、本当に辛かった。」こう本の中に書いています。
 あわせて、私どもが非常に注目していますのは、二月の十九日のテレビ番組で「与野党激論!復興財源の行方」という番組がございました。その中で、実は私ども日本共産党の志位書記局長が「家を失い、財産を失った方に対する国としての責任をもった個人補償をやる必要がある」、こういう点を提起しました。
 これを受けて、自民党の当時政調会長だった加藤紘一幹事長は次のように発言をしておられます。「バランス論だけだと思います。ですから私たちは、そこだけを毎日考えて、財源の問題は何とかできると思います。」こう言っておられるんですね。さらに「今回のケースで一歩踏みだしている。」つまり、瓦れきの処理などを初めとした公費でのさまざまな援助をやったということを述べておられるわけですが、そして「今回のケースで一歩踏みだしている。だから完全個人補償していいかどうか、そこは国会でみんなで議論しましょう。これはあんまり与野党で角突き合わせて対立するような話じゃないんで。国民の間のバランス論ですから、ぜひ議論したい。」こう言っておられます。
 ですから私どもは、これは先ほど言いましたように、非常に注目していて、いつ実行されるのかということを見守ってきたわけですが、やはりこの時期、本当に復興の新しいうねりをつくっていく上でどうしても大事なときに来ているがゆえに、自民党総裁である橋本副総理に、テレビという公の場での発言ですから一種の公約ともいうべきものです。
 したがいまして、約束の実行の責任があるのではないかと私は思っておりまして、個人補償の問題についての各党協議の場を設置してはどうかということを求めるものですが、その点についていかがでしょうか。
#315
○橋本国務大臣 基本的に私は、院の中でどういう場を各党が御相談になっておつくりになるかを政府が答弁をすべきことではないと思います。
 その上で、今御指摘のありましたそのテレビの議事録を起こしてみました。そうしますと、その前に、雲仙・普賢岳の島原における例を引きながら、善意の多くの方々から寄せられた資金というものをベースにして基金をつくり、その基金でこういうことをしたということを加藤さんは話しながら全体の話を組み立てておられます。そして私は、同種の御論議というものは、このときだけではなく、その後国会でも随分、私どもも参加をさせていただきながら、政府・与党の間の議論もあったと思います。政府対国会の議論というものもあったと思います。
 そうして、そうしたさまざまな御論議をいただいた中から、むしろ、今委員も御指摘になりましたように、この被害の甚大さというものを踏まえて特別の立法措置を講じましたり、その中におきまして、被災者の方々の生活再建等への支援措置を拡充してまいった。個人補償という形ではありませんけれども、従来にない努力を政府としても行ってまいったと思っておりますし、今後も、私は、御論議が深まる中で、国会の御論議というものは当然ながら政府として今後の対策を立てていく上で十分に参考になるもの、そのように思います。
 ただ、国会の中にどういう場を設けるか、これは政府がお答えをすべき筋のものではありません。
#316
○穀田委員 私は、今、院の中でどういう場をつくるかということがまずお話ありましたけれども、これは、だから私は、政治家である橋本総裁にお聞きをして、当時政調会長がお約束をした内容というのは引き続き有効じゃないかということでまずお尋ねしたわけです。
 なおかつ、その議論の中で確かにそうお話ありますが、後ろの方でもこう言っているのですね。瓦れきの処理、あれは今まで個人でやってくださいと言ったけれども、これを公費でやっている。つまり、本来個人で賄うべきものについてさまざまな分野で公費で行っていた事例をわざわざ挙げて、当時の政調会長は、そういうものを前提として引き続き個人補償というものを議論する必要があるということを改めて言っているわけですね。それが一つです。
 二つ目に、お話がありましたように、確かに政府対国会という形で議論したと言いますけれども、それは、個別の問題について、確かに政府対国会という形で詰めた問題はございます。しかし、政調会長がお話あったような、そういう各党協議というか、広く国会で議論したということはなかったと私は思うのです。
 しかも、私は、そういった問題で、この発言が大事だと思うのですね。つまり、個人補償の問題で、当時の担当大臣はやりたい、財政負担などの配慮が整えばできると、財政負担の問題を言っておられた。続いて、それを受けて当時の政調会長は、財源は大丈夫だ、こう言っておられるのですね。財源の問題は何とかできると言っておられる。そういうことに私は着目しておるから、逆に言えば、広くこの問題についてどうするかという議論を起こし得る土台はあるのじゃないか。また、そういうために御尽力願えないだろうかということをわざわざお願いしているわけなんです。
#317
○橋本国務大臣 これは確かに、当時の加藤政務調査会長は、「がれきの処理、あれは今までは個人でやってくださいと言ったんだけど、あれは五日ぐらいで決断しましたから。それで数千億になりますから、たいへんな決断を役所がやった。ただ問題は、激甚災害が、たしかに三%で終わってたのを二・五までした、今回のケースで一歩踏み出している。だから」ということで、「完全個人補償していいかどうか、そこは国会でみんなで議論しましょう。」それは確かにみんなで議論しましょうと言っておられるわけですけれども、その後のほかの方々の御発言はそれを受けておりません。それもお認めをいただけると思うのです。
 そして私は、現に国会内で御議論は随分あったと思います。そして、個人補償というものが、気持ちの上ではわかります、それはちょうど小里さんと同じような思いを私は雲仙・普賢岳のときにやはり決断を迫られる部分がございました。今新進党におられる吹田さんが自治大臣で、二人はどうすべきか随分苦しみ、そのときも個人補償には踏み切れませんでした。しかし、それまでの対策よりは、基金という形で前に出ていくことを工夫してまいりました。
 私は、私有財産制の日本で議論をしてしまうならば――いや、お尋ねですからここは言わしてください、私有財産制の日本で議論をしてしまえば、個人補償というものは成立しない形のものだと思います。問題は、どうすれば一番被災者に対して有効な手だてを講じ得るかをお互いが議論をしていくことではないでしょうか。そういう努力を政府はこれからもしてまいりますと申し上げております。
#318
○穀田委員 私有財産制の問題を含めてというお話がございましたけれども、それも含めて一つの議論でありまして、そういうことについて言うならば、それらを含めて率直に議論し合おうじゃないかということを私は思っています。
 しかも、雲仙・普賢岳の場合でも、事実上のそんな形が実行されているわけですから、この際、被災者が何を要望しているかということを見た場合に、とりわけ首相はこの問題について、一番大事なことは被災者の要請にどうこたえるかだということを何度も発言しています。
 ですから、私は、今被災者の要望に沿って支援策を講ずる上で、その一つの中心的な問題としてこれを引き続き議論して、しかも国会の場で、政党としての公約と言ってもいいような御発言がございましたし、私有財産制に基づく議論か否かは別として、それらも含めて議論したらいいじゃないか、それについてお尋ねしているわけです。
 ですから、ついでに総理に、ついでと言ったら怒られますけれども、被災者の要望にこたえると言ってこられた総理に、やはりせめてそういうテーブルを設置すべきじゃないか、社会党の党首としての村山さんにお聞きしたいと思います。
#319
○村山内閣総理大臣 小里前担当大臣が書かれた書物は私も読みましたけれども、あれだけの大きな震災があって、しかも家も財産も全部なくして、そして仮設住宅に入っている皆さんの生活の実態を見たときに、これは何とかできないものだろうかといって悩み苦しまれたお気持ちは、それはよくわかりますよ。
 しかし、日本の社会の建前として、個人の財産の被害について国が補償するという仕組みにはなっていないんですね。だけれども、あれだけの大きな震災を受けて、どう復興していくかということから考えますと、瓦れきの処理なんという問題は、これはやはり全体の復興に関連のある大きな問題ですから、これはひとつ公的に金をつぎ込んでやろうじゃないかということで、瓦れきの処理は公的資金でやるということにしたわけです。それから激甚対策にしても、補助率を高めるとかあるいは法律をこしらえて、そして特別の融資制度をつくるとかいろんな工夫も凝らして、そして何とか個人の復興に対しても手だてができるようなものにしていこうじゃないかという最大限の努力は私はしてきたつもりであります。
 同時に、これは今雲仙の話もありましたけれども、そうしたものも含めた一つの知恵として、これは復興基金でもつくって、その基金でもって運用しながらカバーできる点はカバーしていこう、こういう方策もこしらえてやってきた。そういう経緯というものは十分ひとつ御理解賜りたいと思うのです。
 それから、今後、こうした問題の扱いをどうするかということについて、国会の中で御議論をされるとすれば、それは各党で御議論されることは、これは先ほど申し上げましたように、政府がどうのこうの言うべき問題ではないと思いますから差し控えたいと思いますけれども、私は、今度の阪神・淡路大震災につきましても、雲仙等の経験にも学んで、できる範囲の可能な限りのことについては工夫をしてやってきたというつもりでおります。
#320
○穀田委員 今お話にありましたけれども、私は、全体の復興にかかわる今の中心的な問題は、やはり住宅再建だと思うのですね。だからこそ、つくっていく上で自立自助といってもその基礎が失われている段階で、そこに対して手当てをするべき問題の補償について広く議論をしよう、本来国会として。改めてそういうことを、当時の政調会長が言っておられたこともあるから、どうしてもそれはやっていく必要があるんじゃないかということを提起しているわけで、そこは、今最後の方でお述べになった建前じゃなくて、そういう議論を含めてそれはしようと言っているわけですから、それは理解していただきたいと思います。そのことを、改めて私は、引き続き追及していきたいと思っています。
 一つだけ、では次に聞いておきたいと思うのです。復旧、復興にかかわる問題で、具体的にちょっとだけ、三点ばかりお聞きしたいと思うのです。
 一つは、先ほど述べたように、数字からいいますと公的住宅の建設が非常に少ないんじゃないか、それを大量にもっと建設すべきじゃないかということが第一点。
 二つ目に、公的住宅を建設するに当たって、用地取得に対する新しい国庫補助制度について創設してはどうか。
 それから三つ目に、民間住宅建設の支援の問題です。これは尼崎などの例で出ているのですが、市の当局の発表では、公費解体対象軒数の中に共同長屋住宅は二千五百軒にも上っているそうです、二千五百軒。これらの再建問題についても深刻です。したがって、家主にしてみれば、再建に当たって公費による補助対象の拡大ないし高い家賃が新しく建て直して見込めるという場合だったら再建の意欲がわくんだが、なかなかそうならない、借家人の側にしてみれば低家賃のところでないと入れない、こういう矛盾を解決するためにも、補助対象項目の拡大だとか新たな家賃補助が必要だと私は思っているのです。
 その三つの点で、建設大臣の見解を求めるものです。
#321
○森国務大臣 震災復興に関しまして、委員の住宅に関する、あるいはまた民間住宅に対する援助、大変御関心を持っておられますが、先ほど総理からもお話がございましたように、政府も、またそれぞれ各党の皆さんも、思いは同じだと思います。
 具体的には、兵庫県と十分これは相談をして進めてきておる、神戸市とでも当然でございますが、兵庫県の住宅復興三カ年計画、これを円滑に実施をさせる、これを強力に支援するということが基本線でありますから、そういう意味では、既に、この平成七年度の第一次補正では三万八千五百戸、それから今回の二次補正では三万一千四百八十戸、合わせましてこれで約七万戸でございますから、兵庫県が住宅供給をしたいと万七千のうちの約九割、これを建設できる態勢は整えた、このように理解をしていただきたいと思います。
 それから、災害公営住宅につきましても、激甚法に基づきまして、建設費の補助率の引き上げも、三分の二から四分の三にいたしております。
 それから、民間住宅につきましても、今いろいろと御意見がございましたが、個人の自力による住宅の再建、取得の支援策につきましては、住宅金融公庫貸付制度の大幅拡充や既往貸し付けに対する救済措置等の措置も講じております。もう既にお調べで御存じだろうと思いますから、余計なことを申し上げるのは御迷惑かもしれませんが、貸付限度額の大幅な引き上げを、五百万から一千万、いたしておりますし、据置期間の延長もいたしております。それから、激甚災害地域での据置期間中の金利は三%にいたしております。
 そのほか、親孝行ローンの導入とか受け付け期間の延長とか、いろいろな仕組みを取り入れておりますから、基本的には、まあ総じて家賃の補助ができ得るような、そういう措置を、これは基本的な原理は先ほど橋本副総理からもお話しになりましたけれども、個人私有財産というものの限界もあるわけでありますが、全体としては、できる限り、やり得る限りの措置は、この各党の皆さんの国会を通じての御意見等を踏まえて、その措置は万全にしてある、そのように考えております。
#322
○穀田委員 それでは私、では実際に住んでおられる方々はこれで希望を持てるのかということについて、ぜひ見ていただきたいと思うのですね。地元の新聞などでは、「被災者の不安の一つは、家を求めている人々を受け入れるのに十分な戸数が供給されるのだろうか、ということだ」と。確かに復興住宅全体として十二万五千戸という計画ですが、それは「破壊された家の戸数約二十万と比べると、だいぶ少ない。」ということで書かれています。
 私は、調べてみますと、都市住宅学会の調査によりますと、公営住宅相当階層が、入るべき階層が中心の木造賃貸住宅や文化アパートの全半壊の戸数というのは十四万六千戸になっていると調査では言われています。これらはその地域における三〇%を占めていると数字を報告されているのですね。
 そういう換算をしますと、兵庫県の全体の数字でいえば、県の発表では十八万八千戸ですから、それの三割としましても、公営住宅の建設というのは約六万戸必要となるわけですね、十八万八千戸ですから。そうしますと、私は、計画上は、兵庫県の計画が今お話あったように一万八千戸ですから、もともと激甚法による、滅失した住戸の戸数の五割に相当する戸数は建てられる、こういう換算からしましても極めて少ないと思うのですね。
 だから、そこを私は言っているのですよ。しかも、仮設住宅に入られている方々のアンケートによりますと、五三%の方々が公営住宅へ入りたいと、半分の方々をもう超えているのですね。しかも、家賃はといった場合、三万円以下にしてほしい、こういう二つの中心的希望があるわけですね。そうしますと、ほんまにそれにこたえられるだろうかという疑問を持つのは当たり前だと思うのですね。ですから、そういう被災者の実態から見ていただきたいということが一つです。
 用地費の問題につきましても、今お話がありましたけれども、それは百分の六の四分の三にしかすぎないわけですから、百分の四・五ということになりますわね、補助は。ですから、その程度ではやはり用地の取得の補助に事実上ならない。だから、普通、建設費といいますと、上物に関しては四分の三、それこそ実質の四分の三補助しているわけですから、百分の六の四分の三とは違って、全体の四分の三補助しているわけですから、七五補助しているわけですからね。そういうぐらいのことにしなくちゃならぬのじゃないかということを私は言っているわけです。
 その点だけ、再度そういう実態をよく見ていただいて、今後も努力していただきたいと思うのですが、いかがですか。
#323
○梅野政府委員 ただいま公的住宅の供給の点についていろいろな御指摘がございましたけれども、私どもといたしましては、御案内のとおり、地元でそのような、今御指摘のような被害の実態を踏まえて、現在三カ年の供給計画として、全体としては十二万五千戸という枠の中で公的住宅を七万七千戸ということで、それを私どもは最大限支援をするという、現在途中であるわけでございます。
 それで、入居者をどうするかということについては、例えばこの十月三十一日から十一月十五日にかけまして第一回の募集も始めたところでございまして、そういう建設の供給と募集の状況、そういうものを今後十分見守らなければいけないというふうに考えているところでございます。
 現在私どものやっておりますのは、あくまで、地元でつくりました三カ年の兵庫の住宅復興計画というものをベースにやっておるということを御理解いただきたいと思います。
#324
○穀田委員 ですから、今後そういう実態の中で、一層私は、それ以上の数字を含めて出てくると思うし、そういう事実をよく踏まえていただいて御努力をお願いしたいと思います。
 最後に、官官接待の問題について、もう時間がありませんので、一言だけ、総務庁長官にだけお願いします。
 私、オンブズマンの資料を見まして、まあ本当にひどいことだと思いました。和歌山県の東京事務所の食糧費だとか、それから同じく広島の食糧費なんて見ますと、もう見ているだけで腹が立ってくるというのが率直な感じです。一日でとにかく十カ所、二十カ所という話で、一日五百万円も使うということで、それで平気でいるという神経は、およそ私はどうかと思うのです。
 問題は、やる側も確かに一定の是正をするという話はずっと出ています。そこで私は、受ける側の問題がやはり根本だ。結局、昭和五十四年に、そういうことをしてはならぬということで、接待をしてはならぬ、受けてはならぬと決めているのだが、実際には続いていた。こういうものについて、要するに昭和五十四年に出した、今日言われている官官接待というのはあの禁止した事項に当たるのかどうかということをしっかり見ていただいて御発言願いたい。
 それが一つと、したがって、私は、もうこの際に、受けてもそれは変わらないよ、受ける必要がないんだ、これは全廃するよということを中央省庁の側から言う必要があるという時期に来ていると思うのです。その点の御見解だけ二つお伺いして、質問を終わります。
#325
○江藤国務大臣 五十四年の十一月二十六日に官房長会議で申し合わせを行いました。今回の行為は明らかに、残念ながらそれに私は反しておるものだと思います。それの反省の上に立って、今回閣議でもってお互いに官官接待はやめようということを決めまして、そして各省の事務次官あるいは人事担当者の会合を通じて、そして周知徹底を図る、こういうことにいたしましたわけであります。
 いやしくも、国家公務員たる者が、あるいは地方公務員たるとを問わず、その財源がすべからく税金であるという認識に立ったならば、私はかかる行為は今後行われないものとかたく信じておるところであります。
#326
○穀田委員 信じておるのは五十四年も信じておったと思うのです。結果的にはやられておったわけですよ。しかも、一つの省だとか二つの省と違うのですよ、全部と言っていいぐらいのあれなんですよ。しかもこれは、やる側はもしそれをやらなければ差があるのではないかというようなことまで気にしておられるわけなんですね。そうじゃないんだ、そんなことはやっても意味がないんだ、我々は受けないということについて、それを受けてはならぬということをやはり総務庁長官が言ってしかるべきだということを主張して、終わります。
#327
○上原委員長 これにて穀田君の質疑は終了いたしました。
 次に、海江田万里君。
#328
○海江田委員 まず、沖縄開発庁長官にお尋ねをします。
 日米地位協定の問題が議論されておりますが、それと同時に、沖縄の民生の安定も大事な問題であります。まだ本土と格差のある沖縄の経済的な開発、調和のとれた開発でございますけれども、これにも力を入れなければいけないと思っておりますが、いかがでしょうか。
#329
○高木国務大臣 海江田先生の御質問にお答えいたします。
 確かに沖縄は、いろいろな特殊な事情によって、いまだにまだ本土との格差など解決しなければならない多くの課題を抱えていることは事実であります。
 沖縄開発庁といたしましても、復帰以来三次にわたる沖縄振興開発計画に基づいて沖縄の開発振興のために努力してきたところでありますが、いろいろな問題もありまして、これは単に沖縄開発庁だけの問題ではなくして、内閣全体の問題として取り組んで、これからも頑張っていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
#330
○海江田委員 それでは大蔵大臣にお尋ねをします。
 きょうの午前中の答弁で大臣は、住専の処理問題で、公的資金の導入についてはまだ決定をしたわけではない、公的資金の可能性について述べただけだとおっしゃられましたけれども、私はこの答弁を聞いておりまして、大蔵大臣は公的資金の導入に消極的なんじゃないかなという印象を受けたんですが、いかがでしょうか。
#331
○武村国務大臣 六月に公的資金導入の可能性を示唆をさせていただいたことによってかなり論議が起こっておりますし、また深まってきているというふうにも思うわけであります。したがって、まだ決めたわけではないのはそのとおりでございますが、真剣に目下の論議の行方を見詰めながら、私ども責任を持って判断をしなければならないというふうに思っております。
#332
○海江田委員 その六月の論議からスタートをしまして、七月四日から金融システム安定化委員会がかなり審議を重ねた。この金融システム安定化委員会の審議の中間的な報告が九月の二十七日ですか、出ましたね。
 これは専門家が十分に議論をしたわけですけれども、これを読みますと、どう読みましても主要二十一行の不良債権の方は、これは、九五年の三月末で不良債権の額は十二兆五千五百億円。本当はこれだけじゃないと思いますが、とりあえず十二兆五千五百億円。ところが、要処理債権額になると、三兆二千三百億円になる。しかも、この二十一行の業務純益がたしか二兆八千億ぐらいありますから、これについては公的な資金を導入しなくても片はつくのではないだろうか。
 ところがもう一つ、一番きょうも問題になっております、この予算委員会で一番問題になっております住専の問題でございますが、これは、当初は八兆六千億円ぐらいのたしか不良債権額ということでございましたけれども、またいろいろ調べてみると、どうも――八兆二千億円ですか、当初は。ところが、これがどうも九兆円ぐらいの不良債権じゃないだろうか。しかも、回収不能額が六兆三千億円、当初は。これも当然、八兆二千億が九兆になったわけですから、大体七兆円ぐらいになるのじゃないだろうか。しかも、この住専の場合は業務純益なんかも出ていませんから、ここはやはり公的な資金を導入をしなければどうにもならないのじゃないだろうかというのが、この金融システム安定化委員会の審議経過の報告だろうと私は理解をしておるわけですね。
 だから、ここから先の議論というのは、そういう報告が出た、専門家が、とりあえず中間報告だけれども、そういう報告、議論をしたという場合、ここから先の問題は、やはり、いつ、どの時点で公的な資金の導入の決断をするか。あるいは、その公的資金を導入するためにはどのような環境整備をしなければいけないかということについて、条件が幾つありますよ、三つありますよ、四つありますよ、それからそのためには法律をつくらなきゃなりませんよということを議論するのがこの場所ではないだろうかと思っておったわけですが、結局、大蔵大臣が結論を出しませんからそういう議論が全然進んでいかないわけですよ。
 しかも最近は、新聞報道なんかによりますと、政府保証債を出して、これを、金融機関が債権を放棄するその見返りにこの政府保証債を持ってもらって、そしてその引き受けた債権を、これを何とか処理をして回収をして、そしてこの政府保証債の元利払いに充てようじゃないだろうか。そこでもってだめだったら、公的な資金を導入しようじゃないだろうかというような議論が出ておるということですけれども、この債権の回収というのはそんなに簡単なことじゃないわけですね。
 先週も新聞に大きく出ておりましたけれども、東京共同銀行についても、これは正常な債権とみなして東京共同銀行が引き受けたわけですよ。ところが、その正常な債権だと思って引き受けた債権がちっとも正常でなくて、しかも地価もだんだん下がっていくし、実際にはこれが不良債権だということで、結果的に超過債務になって、はっきり申し上げまして、前の国会で議論をしたこの東京共同銀行のスキームというのも今崩れつつあるわけですね、これは。もうほとんど破綻していると言ってもいいわけですね。
 だから、そういう意味ではどこかの時点で、これはやはり時間稼ぎをやるのでなくて、時間稼ぎと問題先送りをやるのでなくて、どこかの時点で私は公的な資金の導入について結論を出して、決断をして、そして、そのための環境整備や、何をやらなければいけないのか、責任はだれがとらなければいけないのか、法律は何をつくらなければいけないのかということを議論すべきだと思っておるのですが、一体いつごろそういう結論を出して、本当は僕は遅いと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#333
○武村国務大臣 おっしゃるとおり、私どもは、示唆をさせていただきながら、真剣に議論を見詰めているところでございまして、ぜひ海江田さんがどうお考えなのかをお聞かせいただきたいと思いますし、少なくとも金融制度調査会は、その方向を示しながら、受け皿機関ということも問題として提起をいたしております。そんな中で、どういう形が可能なのかということだと思っております。
 大蔵大臣が先に結論を発表するというのは、そういう意味で私はよろしくない、むしろ年内という最終リミットをみずからには課しておるわけでございますので、遅くとも年内、少しでも年内の中で早い方がいいという気持ちでこの問題に対処をしてまいります。
#334
○海江田委員 ですから、専門家の意見というのは、まあ導入しなさいよということだろうと私は思うのですが、それについていかがですか。そうでもないですか。
#335
○武村国務大臣 まあ専門家も、どうでしょうかね、私もあらゆる情報を承知をいたしておりませんが、さまざまかなと、今、賛否両論分かれているかなと。ひところ、例えば二倍組の東京都の公的な支援のころはかなり批判が多うございましたが、最近はやむを得ないという考え方もふえてきていると思っておりますが、それでもまださまざまといいますか、議論が分かれているという、今のところはそんな認識でおります。
#336
○上原委員長 約束の時間が過ぎていますので、よろしく。
#337
○海江田委員 もうこれで最後にしますので。
 総理の公的資金導入のお考えというもの、これはまだきちっと承っておりませんので、限られている時間でございますけれども、どういう条件があれば――場合によっては、それこそ自分が責任をとるから公的資金を導入をしろ、それが総理の花道になるというようなお覚悟があるのかどうなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#338
○村山内閣総理大臣 これはもうこの委員会でもたびたび議論がございましたように、金融秩序をどう維持していくかというのは、日本の産業の動脈みたいなものですから、これは当面解決しなければならない喫緊の課題であるという認識については、全く同じです。
 ただ、こういう事態になった責任というものはきちっと所在を明確にして、そして、公的負担というのは納税者に負担をしてもらうわけですから、やはり国民の理解と納得を得る必要があるということも十分前提に踏まえて取り組まなければならぬ問題でありますから、年内に一応現状に対する取り組みの方針を決めて、その上で判断をすべき問題であるというふうに考えております。
#339
○海江田委員 ありがとうございました。
#340
○上原委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして平成七年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#341
○上原委員長 ただいままでに、新進党・民主会議鳩山邦夫君外二名から、並びに日本共産党松本善明君外一名から、それぞれ平成七年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。
 この際、両動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。まず、鳩山邦夫君。
    ―――――――――――――
 平成七年度一般会計補正予算(第2号)、平成七
  年度特別会計補正予算(特第2号)及び平成七
  年度政府関係機関補正予算(機第2号)につき
  撤回のうえ編成替えを求めるの動議
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#342
○鳩山(邦)委員 私は、新進党・民主会議を代表して、平成七年度第二次補正予算案外二案につき政府が撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案理由及び概要を御説明いたします。
 我が国は、今、昭和恐慌の再現が危惧されるほど危険な状態であり、海外からは、世界恐慌の震源地となるのではないかとの懸念で凝視されております。
 しかし、村山内閣には、こうした我が国経済が直面する深刻な状況に対する厳しい認識が全くうかがえず、提出された平成七年度第二次補正予算は、景気回復、構造改革などの要請にこたえるには極めて不十分なものであります。
 我々新進党は、三月の急激な円高局面以降、我が国経済への深刻な影響を考慮して、責任野党として直ちに実行できる対案を示し、時期を失しない機動的かつ万全な経済対策を講じるよう、再三にわたり政府に要求してまいりました。また、参議院選挙直後には、経済対策を速やかに講じるための臨時国会を八月中の早期に開催することを要求してきたところであります。
 しかるに、村山内閣は、こうした国民の声や内外の強い要望を全く無視し続け、その結果、これまでの数次にわたる対策は、その都度すべて市場からの失望、べっ視に基づく円高・株安という厳しい不信任を受けてきたのであります。時期を失した対応のおくれは、積雪寒冷地帯など地方の景気に対しても効果が及ばないという致命的な欠陥ともなっております。
 今回提出された第二次補正予算も、これまでの例に漏れず、事業規模で十四兆を超える最大規模といいながら、国費ベースの公共事業費はわずか四兆七千百億円程度であり、相も変わらない水増しで、景気浮揚効果の点で全く不十分であります。
 我々新進党が要求してまいりました道路、港湾、空港、防災、安心・安全の街づくりなど良質な社会資本の大幅な整備拡充や、あるいは通信、医療、福祉など高齢社会づくりに備えるための新しい社会資本の拡充、あるいは社会福祉対策、中小企業対策等についても十分な措置がなされておりません。また、土地税制の緩和措置がないこと、また証券市場の活性化対策として有価証券取引税の非課税化の措置がないことなど、今本当に必要な施策が欠落しております。
 よって、政府は、平成七年度第二次補正予算案を撤回し、次の重点事項について、施策の充実を図るよう組み替えるべきであります。
 組み替えの重点事項は、以下のとおりです。
 まず第一は、社会資本等の拡充であります。
 特に、一般公共事業・施設等整備費について、一般道路の整備、治山治水・砂防事業、国際空港の整備促進、整備新幹線五線のフル規格化、国際港湾の整備、増設、農山漁村等の下水道・排水の拡充等の経費に重点を置いて事業の推進を図るべきであります。
 また、震災復旧、復興事業、防災関連公共事業等の拡充については、神戸港の港湾・埠頭公社整備等を含む神戸市復興計画、兵庫フェニックス計画の支援等の震災復旧、復興事業費を拡充すべきであります。
 次に、時代的な要請となっている新しい社会資本等の拡充について、特に、高度情報化社会に向けた新技術等開発、情報通信関連事業等の拡充を図るとともに、教育、研究施設等の整備の拡充のための経費を拡充すべきであります。
 さらに、住宅、社会福祉施設等の拡充のため、住宅を核としたネットワーク社会づくりの実現に向けた、通信、福祉、介護等の環境整備のための新しい社会資本の拡充のための経費を拡充するとともに、焦眉の急である防災、銃器対策等の安心・安全の街づくり対策等のために、抜本的防災・防犯都市づくりのための経費等の事業費を拡充すべきであります。
 次に、その他緊急に講ずべき施策として、中小企業等関係費の拡充を図るべきであります。
 特に、国民金融公庫、中小企業金融公庫など中小企業関連の政府系金融機関の既存の貸し付けに係る金利について、負担を軽減するための経費を拡充し、あわせて、円高対策費等の拡充として、石油輸入・備蓄、金の緊急輸入、レアメタルの緊急輸入、長距離輸送機等の輸入の促進を図るべきであります。
 また、低迷する景気の活性化並びに急激な円高が地方経済・財政に及ぼす影響に対する緊急支援措置として、すべての自治体に緊急の財政支援を行うべきであります。
 次に、現下の厳しい経済情勢に対応するために、証券市場における活性化対策及び国際的な制度との調和化や、土地の流動化対策として譲渡益課税等の土地税制の緩和や、あるいは有価証券取引税の非課税化等の税制上の措置を講ずべきであります。
 以上、歳国会計十二兆七千二百七十億円、減税千六百五十億円の総計十三兆八千九百二十億円の国費をもって措置するよう要求するものであります。
 これに要する経費は、公債金収入並びに予備費及び行政経費の節減によって措置するよう要求いたします。
 以上が動議の概要であります。
 国民生活の安定と景気回復を図るため、委員各位の御理解、御賛同を賜りますよう、ぜひともよろしくお願い申し上げ、私の説明を終わります。(拍手)
#343
○上原委員長 次に、松本善明君。
    ―――――――――――――
 平成七年度一般会計補正予算(第2号)、平成七
  年度特別会計補正予算(特第2号)及び平成七
  年度政府関係機関補正予算(機第2号)につき
  撤回のうえ編成替えを求めるの動議
    〔本号末尾に掲載〕
#344
○松本(善)委員 私は、日本共産党を代表して、平成七年度補正予算三案につき政府がこれを撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案理由及び概要を御説明いたします。
 まず、撤回、編成替えを求める理由についてであります。
 政府の経済対策とこれを具体化した補正予算案は、過去五回、総額四十八兆円もの経済対策を行いながら景気が回復しなかったことに対する総括もなしに、従来型の対策を惰性的に拡大するもので、矛盾を一層深刻にするものとなっております。
 第一に、GNPの六割を占める個人消費が三年連続して落ち込んでおり、この個人消費を直接温めるための思い切った対策をとるべきなのに、政府の対策にはこの点が全く欠落しております。
 第二に、過去の経済対策で三十四兆円も公共投資につき込みながら、それが少しも個人消費の回復につながらなかったことへの反省が全くありません。
 第三に、異常円高是正策が全く欠落していることです。
 第四に、九回にわたる公定歩合の引き下げで庶民の預貯金金利を数十兆円も目減りさせてきた問題であります。
 第五に、新たに四兆七千二十億円もの国債を追加発行し、財政破綻を一層深刻化させていることであります。
 私は、補正予算を撤回し、次の方向で再編成することを強く要求いたします。
 編成替えの概要について述べます。
 第一は、個人消費を直接温める対策を行う問題であります。
 消費税増税の中止と食料品非課税を実施すべきであります。二兆円の特別減税を来年度以降恒久的な制度減税に切りかえて継続することであります。
 雇用問題では、労働時間短縮を促進し、超過密労働を改め、雇用を拡大すること、男女差別をやめさせ、女子大生の雇用を保障すべきであります。
 中小企業問題では、中小企業向け官公需を緊急に五〇%に引き上げ、農村・農業問題では、米価を下支えする対策を緊急に立て、野菜、畜産物については直ちにセーフガードを発動することであります。
 阪神大震災の復興対策で万全の措置をとるとともに、行き場のない避難者に入居できる住宅の確保と食事支給を再開することであります。
 高齢者など福祉対策では、特別養護老人ホームの建設、ホームヘルパーや訪問看護の増員など、福祉の緊急改善策を実施すべきであります。
 金融不安の問題では、保険対象預金額を引き上げ、一般預金者の不安を解消することであります。
 第二は、財源対策であります。
 財源は、国債発行に頼らず、公共投資のむだや軍事費の削減、国債の低利借りかえによる利子負担の圧縮、大企業優遇税制の是正などによって確保すべきであります。とりわけ、正面装備の発注の中止、軍事訓練の取りやめなどによって軍事費を大幅に削減するとともに、少女暴行事件などを引き起こし日本の主権と国民の安全を脅かす在日米軍への思いやり予算を削減、中止することなどであります。
 以上が動議の概要であります。
 委員各位の御賛同を期待して、趣旨弁明といたします。(拍手)
#345
○上原委員長 これにて両動議の趣旨弁明は終了いたしました。
#346
○上原委員長 これより討論に入ります。
 平成七年度補正予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議二件を一括して討論に付します。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。近岡理一郎君。
#347
○近岡委員 私は、自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけを代表し、ただいま議題となっております平成七年度補正予算(第2号)三案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 政府・与党は、現下の厳しい経済情勢に対応し、景気回復を確実なものとする観点から、去る九月二十日に経済対策を決定しており、今回の補正予算は、対策に盛り込まれた広範な施策やその他の緊要な施策を実施するための裏づけをなすまことに重要なものであります。
 以下、賛成する主な理由を申し述べます。
 その第一は、経済対策で決定された思い切った公共投資等の拡大を実施するための歳出追加が行われていることであります。
 我が国経済の現状を見ますと、景気の足踏み状態が長引く中で、弱含みで推移しております。
 政府・与党としては、四月の緊急円高・経済対策の策定、その実施のための平成七年度第一次補正予算の編成、公共事業等の施行促進等の機動的な内需振興策を初めとして、経済運営に万全を期してきたところであり、こうした一運の政策努力の結果、為替や株式市場に明るい兆候も見られるようになってきております。
 先般、この機をとらえ、景気回復を確実なものとするため、事業規模として史上最大の、総額十四兆二千二百億円に上る経済対策を決定いたしました。本対策においては、過去の対策を大きく上回る十二兆八千百億円規模の公共投資等の拡大を行うこととしております。
 このうち公共事業の追加等について、今回の補正予算では、阪神・淡路大震災復興対策費、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策費を優先的に確保するとともに、一般公共事業関係費については、二十一世紀の我が国の基礎的条件として不可欠な防災、生活、発展基盤関連の分野に思い切った重点投資を行うこととしているほか、災害復旧の進度を大幅に高めるための災害復旧等事業費を確保しており、まことに適切な措置であると考えます。
 賛成の理由の第二は、土地の有効利用の促進、中小企業対策、雇用対策など、現在直面している課題の克服のための適切な措置が講じられていることであります。
 今回の補正予算において、現下の経済情勢のもとで喫緊の課題となっている土地問題に対処するため、土地有効利用特別対策費を計上するとともに、厳しい経営環境下にある中小企業等を支援するため、政府関係金融機関等からの高金利の既往債務の返済円滑化、負担軽減措置を含む中小企業対策等の充実強化を図り、さらに、厳しい雇用情勢に対応するため、雇用機会の創出等の施策を講じていることは、まことに時宜を得た措置であると考えます。
 賛成の理由の第三は、経済構造改革の一層の推進を図る観点から、研究開発・情報化の推進、新規事業の育成等のための歳出の追加が行われていることであります。
 新たな産業創出等を図る観点から、今回の補正予算において、平成七年度第一次補正予算を上回る科学技術・情報通信振興特別対策費を確保するとともに、教育・社会福祉施設等の整備を推進し、新規事業の育成等のための融資制度の充実強化等を図っていることは、我が国経済の中長期的発展を確保する観点から極めて高く評価されるものと考えております。
 なお、今回の補正予算では、経済対策の重要性にかんがみ、厳しい財政事情のもとではありますが、思い切った財政措置を講ずることとしております。このため、既定経費の節減や税外収入の増加によってもなお不足する歳入について公債の追加発行を行うこととしており、このうち二千百十億円については特例公債を発行することとしておりますが、これは、現下の経済情勢のもと、早期の景気回復に万全を期さなければならないこと等にかんがみれば、やむを得ない措置であると考えます。
 以上、三点にわたり理由を申し述べましたが、私は、本補正予算が、現在我が国が直面している社会経済情勢等に的確に対応し得るものと全面的に賛成の意を表するものであります。その一日も早い成立を強く望むとともに、本補正予算の諸措置が速やかかつ着実に実施に移されることが最大の景気対策であるということを申し上げて、私の賛成討論といたします。なお、新進党・民主会議提出の撤回のうえ編成替えを求めるの動議及び日本共産党提出の撤回のうえ編成替えを求めるの動議については、見解を異にするため、反対いたします。(拍手)
#348
○上原委員長 次に、伊藤英成君。
#349
○伊藤(英)委員 私は、新進党・民主会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成七年度一般会計第二次補正予算案外二案に対しまして、我が党提出の動議に賛成し、政府原案に反対する立場から討論を行います。
 昭和恐慌の再来さえ懸念される我が国にとって今必要なことは、十分な財政の出動を行い、緊急の景気対策とあわせ、経済構造の改革につながる思い切った対策を講じることであります。
 しかるに、本補正予算案の内容は、その柱とする財政需要の追加など、いずれを見ても極めて不十分な内容と規模だと言わざるを得ません。我々新進党がこの春以降、平成七年度当初予算の組み替え動議や、その後にたび重ねて要求した円高・経済対策の緊急提言等の内容について全く措置されておりません。村山内閣の政治姿勢には、成立以来一貫して、国民の声に真摯に耳を傾ける謙虚さを欠いていることを指摘せざるを得ないのであります。
 国民生活をおろそかにし、連立政権の枠組み維持にのみきゅうきゅうとして、国民や国会に対する謙虚さを欠いた村山内閣の姿勢に改めて反省を促しつつ、以下、平成七年度補正予算案に反対する主な理由を申し述べます。
 反対する理由の第一は、財政需要の追加の内容と規模が不十分ということであります。景気対策に資する国費ベースの額として総額四兆七千百五十億円が計上されております。これでは、デフレの本格化が深刻に懸念される景気の現状に対しましては全く不十分であります。
 反対する理由の第二は、経済の構造改革に必要な新しい社会資本の拡充に対する取り組みが不十分なことであります。本補正予算案では、教育・研究・社会福祉施設の整備等として七千百十二億円が計上されておりますが、二十一世紀の高齢化社会においてゆとりと豊かな生活を確保し、国際競争力のある産業のシステムづくりを推進するには、新技術等の開発や情報通信基盤の整備拡充等の環境整備が不可欠であります。村山内閣の未来に対する構想力の貧弱さとともに、このままでは生活あるいは経済において世界に劣後する危険性を強く指摘せざるを得ません。
 反対する第三の理由は、安心・安全の街づくりに十分な措置を講じていないことであります。緊急銃器対策として三百二十五億円が計上されておりますが、質、量ともにまことに不十分な額であります。この際、鉄道やあるいは一般道路の整備補強、また救急医療体制の整備など、抜本的な防災・防犯のための社会づくりに向けた大胆な施策が必要だと考えます。
 反対する第四の理由は、その他緊急に講ずべき施策として、中小企業等関係費、円高対策費、さらには地方経済・財政への緊急支援措置に著しく欠けることであります。また、現下の厳しい経済情勢に対応するために不可欠な土地の流動化対策、証券市場活性化対策が欠落していることであります。
 以上、平成七年度第二次補正予算案に反対する主な理由を申し述べてまいりましたが、これでは、村山内閣が内外の市場から失望とべっ視に基づいて不信任を表明されるのも当然と言わざるを得ません。村山内閣が内外からの厳しい批判をどのように受けとめているのか、全く理解に苦しみます。我が国経済の構造的な改革につながる対策や新しい社会資本の整備拡充、新技術等開発・整備等のために、我が党が提案する十三兆円を超える大規模な対策を速やかに講ずることを要求いたします。
 以上、我が会派提出の動議に賛成し、政府原案に反対する理由を申し述べ、私の討論といたします。
 なお、日本共産党提出の編成替えを求めるの動議については反対するものであります。
 最後に、本予算委員会で、宗教法人審議会の運営の不透明さと報告書そのものに著しく瑕疵があることが明らかになったことを指摘して、討論を終わります。(拍手)
#350
○上原委員長 次に、穀田恵二君。
#351
○穀田委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の一九九五年度第二次補正予算三案に反対、日本共産党提出の編成替え動議に賛成、新進党・民主会議提出の編成替え動議に反対であることを表明し、討論を行います。
 今日の不況は戦後最悪の事態となっており、不況の長期化、深刻化を招いた政治の責任が今ほど厳しく問われているときはありません。ところが、今回政府が発表した経済対策とこれを具体化した補正予算案は、過去五回、総額四十八兆円もの経済対策を行いながら、景気が回復しなかったことに対する総括もなしに、従来型の対策を惰性的に拡大するもので、矛盾を一層深刻にするものとなっているのです。これが政府案に反対する理由の大前提です。
 次に指摘しなければならないのは、不況打開の主役である個人消費に対する対策が全く欠落していることです。
 個人消費が三年連続して落ち込んでおり、政府もこの点を認識していながら、対策となると、これを直接温めるための思い切った施策が、この委員会の質疑でも明らかになったように、全くありません。庶民減税などは眼中になく、消費税率を五%に引き上げた上で、見直しての六%以上への再引き上げを否定しない政府の姿勢は、消費低迷と不況の悪循環に一層拍車をかけていると言わざるを得ません。
 公共投資への莫大なつぎ込みも大問題です。過去の経済対策で三十四兆円も公共投資につき込みながら、それが少しも個人消費の回復につながらなかったことへの反省は全く見られません。公共投資の上積みがめぐりめぐって個人消費の回復につながるという政府の言い分は、事実の前に既に破綻しています。大企業優先の硬直化した配分、むだと浪費の構造を温存したままで規模を過去最大に膨らませるだけでは、同じ失敗を繰り返すだけです。
 さらに重大なのは、財源対策です。
 新たに四兆七千二十億円もの国債発行で、年間の国債発行額が初めて二十兆円を突破します。国債依存度も実に十二年ぶりに二五%を超え、財政破綻がさらに深刻となります。
 今政府・与党、財界から聞こえてくる税制論議は法人税、土地税制、株税制の減税であり、その一方で消費税の増税の方向づけです。これらが国民への一層の重税にはね返ることは明らかです。
 日本共産党は、経済政策の中心は、国民生活を守り、購買力を高めることにこそ置くべきで、それに背を向けた政府の政策では不況の悪循環が加速されるだけであり、これをどうしても抜本的に転換しなければならないと主張してまいりました。
 私は、財源を国債に頼らず、公共事業のむだや軍事費の削減に求め、消費税の増税を中止するほか、中小企業向けきめ細かな施策や阪神大震災被災者の生活と営業の再建などを内容とする日本共産党提出の補正予算組み替え動議に賛成するものであります。
 新進党提出の編成替え動議は、政府案と同様に国民の懐を直接温める対策が欠落しているほか財源を国債に依存しようとするもので、賛成できません。
 以上をもって私の討論といたします。(拍手)
#352
○上原委員長 委員の先生方、そのままでしばらくお待ちください。――よろしゅうございますね。
 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#353
○上原委員長 これより採決に入ります。
 まず、鳩山邦夫君外二名提出の平成七年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#354
○上原委員長 起立少数。よって、鳩山邦夫君外二名提出の動議は否決されました。
 次に、松本善明君外一名提出の平成七年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#355
○上原委員長 起立少数。よって、松本善明君外一名提出の動議は否決されました。
 次に、平成七年度一般会計補正予算(第2号)、平成七年度特別会計補正予算(時第2号)、平成七年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#356
○上原委員長 起立多数。よって、平成七年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました平成七年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#357
○上原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#358
○上原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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