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1995/10/31 第134回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第134回国会 科学技術委員会 第2号
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1995/10/31 第134回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第134回国会 科学技術委員会 第2号

#1
第134回国会 科学技術委員会 第2号
平成七年十月三十一日(火曜日)
    午前九時四十六分開議
出席委員
  委員長 野呂 昭彦君
   理事 臼井日出男君 理事 栗本慎一郎君
   理事 原田昇左右君 理事 上田 晃弘君
   理事 上田 清司君 理事 笹木 竜三君
   理事 今村  修君 理事 渡海紀三朗君
      小野 晋也君    小渕 恵三君
      塚原 俊平君    萩山 教嚴君
      林  義郎君    福永 信彦君
      宮下 創平君    近江巳記夫君
      斉藤 鉄夫君    鮫島 宗明君
      藤村  修君    沢藤礼次郎君
      松前  仰君    三野 優美君
      吉井 英勝君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      浦野 烋興君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     石井 敏弘君
        科学技術庁長官
        官房審議官   青江  茂君
        科学技術庁科学
        技術政策局長  落合 俊雄君
        科学技術庁科学
        技術振興局長  工藤 尚武君
        科学技術庁研究
        開発局長    加藤 康宏君
        科学技術庁原子
        力局長     岡崎 俊雄君
        科学技術庁原子
        力安全局長   宮林 正恭君
 委員外の出席者
        議     員 尾身 幸次君
        議     員 原田昇左右君
        議     員 渡海紀三朗君
        議     員 今村  修君
        議     員 鮫島 宗明君
        科学技術庁科学
        技術政策局政策
        課長      中澤 佐市君
        科学技術委員会
        調査室長    吉村 晴光君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月三十一日
 辞任          補欠選任
  林  義郎君      福永 信彦君
  沢藤礼次郎君      三野 優美君
同日
 辞任          補欠選任
  福永 信彦君      林  義郎君
  三野 優美君      沢藤礼次郎君
    ―――――――――――――
十月三十日
 科学技術基本法案(尾身幸次君外八名提出、衆
 法第一六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十月二十七日
 原子力発電所の立地に伴う安全確保及び恒久的
 福祉対策の確立に関する陳情書(福井市大手三
 の一七の一福井県議会内中島弥昌)(第一七八
 号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術基本法案(尾身幸次君外八名提出、衆
 法第一六号)
     ――――◇―――――
#2
○野呂委員長 これより会議を開きます。
 尾身幸次君外八名提出、科学技術基本法案を議題といたします。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。尾身幸次君。
    ―――――――――――――
 科学技術基本法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○尾身議員 科学技術基本法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 我が国は、科学技術に関して、いわゆるキャッチアップの時代、すなわち目標となる先進国が常に存在し、かなりの分野で技術導入が可能であった時代の終えんを迎えております。今後は、フロントランナーの一員として、みずから未開の科学技術分野に挑戦し、創造性を最大限に発揮し、未来を切り開いていかなければならない時期に差しかかっております。
 とりわけ、天然資源に乏しく、人口の急速な高齢化を迎えようとしている我が国が、経済の自由化・国際化に伴う経済競争の激化と相まって直面することが懸念されている、産業の空洞化、社会の活力の喪失、生活水準の低下といった事態を回避し、明るい未来を切り開いていくためには、独創的、先端的な科学技術を開発し、これによって新産業を創出することが不可欠であります。
 また、環境問題、食糧・エネルギー問題、エイズ問題など人類の将来に立ちはだかる諸問題の解決に対し科学技術への期待は大きく、この面での我が国の貢献が強く求められているところであります。
 さらに、科学技術は、我々の自然観や社会観を大きく変え、新しい文化の創成を促すという側面を有するため、これを人間の生活、社会及び自然とのかかわり合いの中でとらえていく必要があり、このような視点も踏まえ、新たな視点に立った科学技術を構築していくことが求められております。
 翻って我が国の科学技術の現状を見ると、まことに憂慮すべき状態にあります。特に、独創的、先端的科学技術の源泉となる基礎研究の水準は欧米に著しく立ちおくれており、基礎研究の担い手たるべき大学・大学院、国立試験研究機関等の研究環境は欧米に比べ劣悪な状況に置かれております。また、科学技術の高度化・専門化に対応して総合的、学際的な取り組みが緊要となっているにもかかわらず、大学、国立試験研究機関、民間等の研究者が、組織や専門分野の壁を超えて十分に有機的に連携しているとは言いがたい状況にあります。さらに、将来の我が国の科学技術を担う若者に科学技術離れの現象が見られることは、国の将来にとってゆゆしいことであります。
 以上の基本認識に立って、将来にわたり先進国の一員として、世界の科学技術の進歩と人類社会の持続的発展に貢献するとともに、真に豊かな生活の実現とその基盤たる社会経済の一段の飛躍を期するためには、科学技術創造立国を目指し、ここに改めて新たな視点に立って、科学技術の振興を我が国の最重要政策課題の一つとして位置づけ、科学技術振興の方針と基本方策を明らかにするとともに、関連施策の総合的、計画的、かつ積極的な推進を図ることが不可欠であり、このため、本法案を提案した次第であります。
 次に、本法案の主な内容を御説明申し上げます。
 第一に、科学技術振興の基本方針として、科学技術が我が国及び人類社会の将来の発展のための基盤であり、科学技術に係る知識の集積が人類にとっての知的資産であることにかんがみ、研究者等の創造性の発揮を旨として、人間の生活、社会及び自然との調和を図りつつ、その振興を積極的に行うこと、広範な分野における均衡のとれた研究開発能力の涵養、基礎研究、応用研究及び開発研究の調和のとれた発展に留意することを定めております。
 第二に、科学技術振興に関する国及び地方公共団体の責務を規定しております。
 第三に、国及び地方公共団体による大学等に係る施策の策定等に当たっては、大学等の研究活動の活性化を図るとともに、研究者の自主性の尊重などその研究の特性に配慮することとしております。
 第四に、政府は、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、科学技術会議の議を経て科学技術基本計画を策定することとしております。
 また、政府は科学技術基本計画について、その実施に関し必要な資金の確保を図るため、必要な措置を講ずるよう努めることとしております。
 第五に、国は、多様な研究開発の均衡のとれた推進、研究者、技術者及び研究支援者の確保、研究施設の整備、研究開発に係る情報化の促進、研究開発に係る交流の促進、研究開発に係る資金の効果的使用、研究開発の成果の公開、民間の努力の助長、国際的な交流の推進、科学技術に関する学習の振興等に必要な施策を講ずることとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその主な内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○野呂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○野呂委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。臼井日出男君。
#6
○臼井委員 私は、自由民主党・自由連合として、議員提案されました科学技術基本法について質問させていただきたいと思っておりますが、初めに、この法案を、四党の提案者の皆さん方が大変精力的に御努力をいただいて今日まで持ってこれたということは、私どもの大変長い間の宿願ともいうべきものでございましたので、心から敬意を表しておきたい、こう思う次第でございます。本当に御苦労さまでございました。
 そこで、先ほど趣旨説明の中にもございましたけれども、今まではいわゆる日本は欧米に対するキャッチアップの時代だ、こういうふうにおっしゃっております。私も、日本の場合は日本独自のいわゆる日本型の科学技術研究システムといったものがあったんじゃないだろうか、欧米と比較をして。そこで、そのいわゆる評価、なぜ今基本法なのか、この点についてまず最初にお伺いをしておきたいと思います。
#7
○尾身議員 臼井先生お言葉のとおり、今までの我が国の科学技術はいわゆるキャッチアップの時代であったというふうに言えると思うわけでございます。つまり、目標となるべき先進国が常に存在をし、技術の動向とか、あるいは技術のニーズの変化に関する予測の可能性が高く、かなりの分野で技術導入が可能でありました。我が国は、このような技術の導入をしつつ改良、改善を重ねて、すぐれた技術をつくり出してきたという状況であったと思うわけでございます。
 しかし、現在に至りますと、このキャッチアップの時代の終えんを迎えまして、これからはフロントランナーの一員として、みずから未開の科学技術に挑戦をし、創造性を発揮して未来を切り開いていかなければならないという時期に差しかかったと思うわけでございます。
 そういう中で、人口の高齢化とかあるいは非常に厳しい国際競争に直面しております我が国が、産業の空洞化あるいは社会の活力の喪失、生活水準の低下というような事態を回避いたしまして、真に豊かな生活を実現し、科学技術におきまして、社会経済の一層の飛躍を期するためにこの科学技術の果たす役割はますます増大すると考えているわけでございます。
 しかし、現在、独創的、先端的科学技術の源泉ともいうべき基礎研究の水準は、欧米に比べてかなりおくれている。そして、その主な担い手というべき大学とか国立試験研究機関の研究環境も極めて劣悪な状況に置かれているわけでございます。
 そこで、新たな視点に立ちまして、科学技術創造立国を目指して、そういう国の基本的姿勢を明らかにいたしまして、科学技術の振興を我が国の最重要課題の一つとして位置づけて、その総合的、計画的かつ積極的な推進を図っていくべきである、そういう考えてこの科学技術基本法の制定が必要であるということで提案をさしていただいた次第でございます
#8
○臼井委員 この提案理由の説明の中にもございました。今お答えの中にもフロントランナーという言葉がございました。私どもは、戦後五十年たって、振り返ってみますと、相当早い時期にいわゆるキャッチアップと言われる時代は終わっておったはずであったんだ、しかし、私どもがかまけておって、産業界が頑張ってくれる、こういうことでもっていわば手を抜いてきた、そのことによってキャッチアップの時代から実は抜け出ることはできなかった、こういうふうに思っているわけで、現在に至ってしまった私ども政治の責任というのは大変私は重い、こういうふうに思っております。
 いわゆるこれからはフロントランナーと申しますか、ラン・ザ・トップというか、世界の科学技術のトップを走る我が国としてさらに将来に向けてしっかりとやっていかなければならぬ、こういうわけでございます。
 そこで、繰り返しになるわけですが、この趣旨説明にもうたっていただいているわけですが、この法案で、私どもの日本が目指す将来の新しい科学技術の研究システムというものは一体どういうものを目指していくんだろうか、このことについてお聞かせをいただきたいと思います。
#9
○渡海議員 先ほどの尾身先生の答弁にもございましたし、今臼井先生のお話にもございました。これからはやはりキャッチアップということではなくて、独創性を発揮するフロントランナーとしての役割が大変大事であるということであります。そのことを考えますと、これまでの研究システムなり日本全体の社会のシステムそのものも変えていかなければいけない、こんな観点から今回の提案がなされておるわけでありますけれども、さまざまな議論があろうと思います。
 また、法案の中にありますようなこの基本計画の策定、この段階でもまた新たな議論をしていかなければいけないというふうに思っておりますが、提案側のさまざまな議論の中で私どもが考えておりますのは、これまでの環境の中でいろいろな問題があった、それを踏まえて新たな研究環境を整備をすることが何よりも重要であろう。そして、その中で政府が果たす役割、具体的に申し上げますと、政府の研究開発投資というものを、これまでの単なる予算の仕組みではなくて、抜本的にシェアを変えていくといったような、大きな変化を来すようなそういったことがまず第一のポイントとして挙げられるのではないか。
 また、研究開発ということを考えてみたときに、ある意味の競争なり、ある意味の自分たちの研究の中身そのものをクローズをしていくといったような傾向があるわけでございますが、逆に、やはり有機的な連携の中で総合力を発揮する、こういった研究交流を促進をする、産学官といいますか、こういったことも大いにやっていかなければいけないというふうに思っております。
 また、より総合力を発揮するためには、データベースをしっかりつくりまして、そしてその中で、情報化時代でありますから情報に常に触れることができる、そしてより総合的な力が発揮されるような、そういった情報化の進展なり研究者を支援するためには、やはりさまざまな研究機会をつくっていく、その中で意欲のある、能力のある若い研究者が思い切って研究ができるといったような、こういったことも必要であろうと思っております。
 そういった環境をつくることによって、意欲のある多くの研究者がその英知を結集して、独創的でまた先端的な研究開発に取り組む、こういった研究環境が整備をされることを我々は目指して、この基本法を立案をさせていただいた次第でございます。
#10
○臼井委員 今お話しのとおり、研究者がやる気を起こすような、そういう形というものを目指していただくということだろうと思います。こうした時代の要請に的確に対応するためには、国や企業やあるいは大学、そういったものが壁を取り壊して新しい研究に積極的に取り組んでいかなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。特に今お話ございました、研究者がやる気を起こすような、すぐれた研究者を正しく評価する評価システムというのでしょうか、しかも競争原理がしっかりと働くシステム、そういうものを早急につくり上げるということが必要だろうと思います。
 そこで、この基本法立案の過程で、先ほど私は大変御苦労いただいたということを申し上げたわけでございますが、大変各党各会派でもってさまざまな御意見があったということを伺っております。結果的に大変バランスよくそれらのものを取り入れてまとめていただいた、こういうことでございますが、それらの論点の中でもって特に注目すべき主要な論点というのはどういうものがあったのか、お聞かせいただければと思います。
#11
○尾身議員 この科学技術基本法につきましては、こういうものをつくろうという考えが持ち上がりましてから既に二年の期間を経ているわけでございまして、私自身は自民党でございますが、自民党の中の議論を通じ、また、ここに提案をいたしました各政党、あるいは科学技術関係の例えは科学技術会議とかあるいは大学の先生とかあるいは経済界、労働界など、各方面から意見を聞いたところでございます。そういう中でいろんな意見がございましたが、主な意見、分けますと七つくらいになるのかなということでございます。
 一つは、国及び国立試験研究機関、いわゆるパブリックセクターの部門を中心として研究開発投資を抜本的に拡充すべきであり、そしてそのための資金的な裏づけを持った基本計画をつくるべきである、そういう御意見がございました。
 二つ目は、基礎的、独創的研究の強化が必要であり、研究人材の確保とかあるいは施設の整備あるいは研究交流促進というような研究環境の整備充実が必要である、そういう意見がございました。
 三つ目は、いわゆる自然科学のみでなく、人文科学についても基本法の対象にすべきであるという議論もございました。
 それから四つ目でありますが、この基本法の中に科学技術を平和目的に利用するということを盛り込むべきであるという御意見もございました。
 五つ目に、科学技術の研究開発、活用に当たって、安全性の確保の問題とかあるいは社会、人間生活全般との調和を図るべきである、そういう御意見がございました。
 六つ目には、情報公開の考え方を盛り込むべきであるという御意見がございました。
 七つ目は、大学の活性化、科学技術の教育の充実を図るべきである、そういうような御意見がございました。
 そういうさまざまな御意見に対しまして、この法律の内容でそれなりの対応をし、これらの御意見をいろんな形で盛り込んだところでございます。
 最初に申し上げました、第一の資金の確保につきましては、第九条で科学技術基本計画の策定を定めているわけでございますが、その第九条の六項に、「政府は、科学技術基本計画について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上する等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」ということで、資金の確保についての基本的な考え方を示しております。そして、この基本計画の中におきまして、必要な資金的な計画につきましても極力基本計画の中に盛り込んでいただくような措置をとっていただきたいということも考えている次第でございます。
 第二に、独創的、基礎的研究を強化すべきであるという御意見でございましたが、これに対しましては、他方でむしろ戦略研究を重視すべきである、こういう御意見もございまして、そこで、基礎的研究か戦略研究かというような研究の内容の方向づけの問題につきましては、むしろ法案で書くよりも基本計画の中で議論をしていただき、そこに盛り込んでいただくべきではないかということになりました。
 ただしかし、基礎的、創造的研究の分野については、第五条におきまして「この基礎的部門については「新しい現象の発見及び解明並びに独創的な新技術の創出等をもたらすものであること、その成果の見通しを当初から立てることが難しく、また、その成果が実用化に必ずしも結び付くものではないこと」というような性質を持つことにかんがみまして、この分野における「国及び地方公共団体が果たす役割の重要性に配慮しなければならない。」という規定を入れまして、つまりパブリックセクターのこの分野における重要性という観点で問題を整理させていただいた次第でございます。
 それから人文科学の問題につきましては、立法者の基本的な意思として、自然科学と人文科学の共通分野についてはもちろん対象に含むわけでありますけれども、例えば哲学とか文学とか、そういう人文科学のみに係るものについては除いている、対象にしないというのが私どもの気持ちでございます。
 しかしながら、人文科学が置いてきぼりを食うということに対する御心配もございましたので、この点につきましては第二条におきまして、「自然科学と人文科学との相互のかかわり合いが科学技術の進歩にとって重要であることにかんがみ、両者の調和のとれた発展について留意されなければならない。」という基本姿勢を示すことにいたしまして、御理解をいただいたところでございます。
 四番目の平和目的云々の件につきましては、この科学技術基本法といえども、平和国家を理念とする日本国憲法のもとにありまして、この日本国憲法を逸脱するようなことがないことは当然でございまして、法律の中に特に明記をしなかったわけでございます。
 五番目の社会、自然との調和等々の問題につきましても、第二条に、人間の生活、社会及び自然との調和を図りつつ、科学技術の研究開発を積極的に行うということを盛り込みましたし、また十六条の研究開発の成果につきましても、その適切な実用化の促進を図るということで、安全性にも配慮しながら実用化を進めるという考え方を盛り込んだものでございます。
 情報の公開の問題につきましては、第十六条におきまして、研究開発の成果の公開あるいは情報の提供等、その普及に必要な施策を講ずるということを定めさせていただきました。
 大学における研究の活性化等につきましては、第六条で、大学における「研究活動の活性化を図るよう努める」ことを定め、また、教育につきましても、科学技術に関する学習振興、教育等をより活発化するということを十九条で定めているところでございます。
 以上、主な関係方面の御意見と、それに対するこの法律の内容についての盛り込み方について、おおよそのところを御説明させていただきましたが、いずれにいたしましても、こういう内容の変更といいますか、そういうことを法律に盛り込むことによりまして関係方面の御理解をいただきまして、今日ここに超党派の議員立法で提案することができたわけでございまして、関係の皆様の御協力と御理解に大きな感謝をしている次第でございます。
#12
○臼井委員 基本法によって国は基本計画を立てることになる。したがって、基本法といってもいろいろあるわけで、本当の基本的なものを短くまとめたような議員立法というのはたくさん最近出ているわけですが、私はこの法案を評価しておりますのは、そうした漠然としたものではなくて、我々国会の意思というものを政府にしっかりと伝える、こういう点が非常に明確になっているという点が私はこの基本法の、科学技術基本法の最もすぐれた点である、こういうふうに思っているわけです。
 特に、国際貢献の問題もしっかりとうたわれておりますし、教育の問題、人材開発あるいは知識の普及、学習、こういった点もしっかりとうたわれております。また、国ばかりではなくて地方公共団体の責務もしっかりとうたっていただいている、こういう点、私は非常にしっかりつくっていただいている、こういうふうに思っている次第でございます。先ほど四項目めでございました、平和の問題というのがありましたけれども、これも附帯決議でうたっていただいておりまして、そういう手法で私は結構だろう、こういうふうに思っているわけです。
 この法案の成立によりまして、国は、いわゆる総合的な施策の策定とその実施を国と地方公共団体ともどもに責務を負う、こういうことになるわけであります。今のお話の、各党協議の中でもって出ておりました中で、まず最初に出てきたのはやはり資金の問題である、こういうことであったわけです。
 この資金の確保の問題というのは、皆様方が各党で御協議をされる場合にも一番問題になったであろうし、この基本法が成立をして基本計画を政府がつくるときにも、ここが最も最大のネックでもあり、また重要なところになってくるだろう、こういうふうに思っているわけでございまして、私ども国会の議会の立場として、ぜひともこの点だけは我々国会の意思というものを明確に政府に伝えておきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
 御承知のとおり、私どもの現在の日本は、シーリングというシステムがございまして、厳しく財政というものが縛られている。まさにこのシーリングの壁というものをどういうふうに打ち破っていくかということがこの基本法、そして将来の基本計画が成功するかどうかというものの分かれ目になるのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。先ほど第九条の六項で、国の財政について明記をしている、こういうお話でございました。書いていただいております。
 ただ、私がやはりちょっと気になるのは、その九条の中で「国の財政の許す範囲内で、」云々ということがあったわけでございまして、うっかりしますと、「財政の許す範囲内でこということが一種の、何と申しますか、逃げ道になって、財政難というものを理由にして基本計画というものがスムーズに運行していかないという、今までもよくそういうことがあったみたいだそうで、私どもは一番心配をいたしております。
 そこで、先ほど申し上げましたとおりに、国会としても我々の意思というものをはっきりしたいということで、立法者としてこの点についての御見解をお伺いをしたいと思います。
#13
○尾身議員 ただいま臼井先生のおっしゃいましたことは大変に大事な点でございまして、私どもがこの科学技術基本法の議論をするに当たりまして、科学技術研究開発に要する資金の確保を立法府としてどう位置づけていくかという、大変に重要な問題に直面をしてきたわけでございます。
 そこで、先ほど申しましたように、基本計画の実施に要する経費に関しましては、第九条の第六項という項目を設けて、最大限の努力をするべきであるという規定を盛り込んでいるわけでございますが、では、基本計画に資金的なものをどういうふうに書くかという問題につきまして、かなりの議論があったわけでございます。
 もとより、現実に基本計画をつくる段階では所要の手続を経ましてつくるわけでございまして、基本計画の内容そのものを法律に書くわけにはいかないわけでございますけれども、立法府といたしましては、この基本計画は十年程度を見通した五年間の計画といたし、その作成に当たっては、この計画に基づき我が国が科学技術創造立国を目指すため、政府の研究開発投資額の抜本的拡充を図るべく、この基本計画の中に、例えば講ずべき施策とか、あるいは資金規模等を含めまして、できるだけ具体的な記述を行うよう努めるべきであるというふうに考えております。そして、その具体的な記述を行いました基本計画に基づきまして必要な資金の手当てをするよう、政府に求めてまいりたいと考えているわけでございます。
 我が国の研究開発投資は全体としては、GNP対比で見ましても一九九三年に約十三・七兆円となっておりまして、GNP比二・八五%ということで、先進国に比べましてトータルとしては遜色のない水準になっておりますが、内容を見ますと、我が国の場合には政府と民間の比率が二対八ということになっておりまして、ほかの諸国が大体四対大前後になっているのと比べまして、パブリックセクターの研究開発投資額が比率的に見てその半分になっているという現状にございます。そういうわけで、パブリックセクターの研究開発投資をさらに充実強化すべきであるということも、この基本法の基本的な考え方にあるわけでございます。
 そういうわけでございますので、この科学技術基本法が成立をいたしますれば、今までございました科学技術に関しますいわゆる予算のシーリングの問題につきましても、この基本法の科学技術創造立国を目指すという基本的な考え方に基づきまして、そのシーリングの見直しも実現されていくと期待をしているわけでございますし、私どももその方向で努力をしていきたいと考えているわけでございまして、ぜひそういう意味で委員の諸先生方の御協力をお願いをする次第でございます。
#14
○臼井委員 私どもの日本は、大蔵当局は財政単年度主義というのを言っているわけで、毎年毎年の財政の健全というものが大切なんだ、こういうふうに言っているわけですが、私はそうじゃない。財政というのは中期均衡でいいのだというのが私の持論なんですけれども、ことしのように景気が悪い、最終的には、いろいろ紆余曲折はあるけれども、赤字国債も出してでも頑張らなきゃいかぬ、こういうことになっているわけです。
 そこで、私は、ぜひとも科学技術振興のための予算は、シーリングというものを全く度外視した、当初の計画というものをしっかり守っていけるようなハイレベルのものをひとつしっかりと組めるようにお願いをしたい、こういうふうに思っている次第でございます。
 そこで、今お話ございました我が国の研究開発の経費というのは、非常に欧米と異なっている、民間のウエートが大きい、こういうお話がございました。研究開発投資総枠の八割程度が民間が担っている。こういう民間の重要さというものがはっきりわかるわけです。
 この基本法によりまして、各省庁間というものはしっかり連絡をとらなきゃいかぬ、大学ももちろんそうである。当然のことながら、民間の研究開発の機関等についても必要な施策を講ずるということを、講じなくてはいかぬということも明記してあるわけでございますけれども、この基本計画、基本法の中で民間の研究開発投資総枠、全体像をつくる場合は当然それは必要になってくるわけだと思うのですけれども、これを具体的にどのように目標を定めるべきかどうなのか、そういう点についてはどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
#15
○原田(昇)議員 臼井委員にお答えいたします。
 今委員が御指摘のとおり、我が国においては民間の研究開発投資というのが圧倒的に多い。諸外国は大体政府が四割ぐらい、民間六割ぐらいの割合でございますけれども、我が国においては民間が八割、政府が二割ということでありまして、民間投資が非常に活発だということは活力のある証拠でもありますけれども、それに比して政府の役割が大変弱いということはまことに遺憾でございますから、この基本法をつくったのも、そういう点で政府の基礎研究部門に対する投資を積極的に拡大していかなきゃならぬということがまず第一の理由に挙げられたわけであります。
 今度は民間について、じゃ、基本計画でどういうように民間投資を促進していくか。当然ながら、民間投資が非常に活発に行われておるということは結構なことで、さらにこれを引き上げていくためにいろいろな施策を講じなきゃならぬと思います。
 ただ、基本計画上民間投資を計画的に幾らとかきちっと書くことは事の性格上難しいわけですから、期待額をこの計画ではぜひ乗っけていただいて、そして、その規模について、どのように政府はその実現のために努力をするのかという誘導策といいますか、それをバックアップする施策ということに重点を置いて考えていかなきゃならぬのじゃないか。
 税制面でも、今の研究開発の増加、研究費に対してある程度の減税策が出ておりますが、あんなものでいいのか、もっと積極的にいろいろな面で民間投資も助長するということのために、必要最小限のものはこの基本計画に乗っけていただく、こういうように考えておる次第でございます。よろしくお願いいたします。
#16
○臼井委員 投資額自体を、民間のものを国でもってぴたっと決めるというわけにはもちろんいかないわけですが、しかし、国の施策によって民間の研究、特に基礎研究の経費というものが十分バックアップできるように、総粋についてもしっかり定められるような、そういう将来の基本計画が立てられるようにひとつお願いをしたい、こういうふうに思っております。
 我が国の科学技術政策にかかわる機関といたしまして、内閣総理大臣の諮問機関として科学技術会議というのがございます。定数が十名、長期的なかっ総合的な研究目標の設定等の役割を担っているわけでございます。
 私どもはいつも話に聞くのは、この科学技術会議、各大臣が、関係大臣が並ぶような、中心には総理大臣がおられる、こういうものしか頭にないわけで、そのわきで各省庁の担当の方が大変詳しく連絡をとりながら緻密な計画を練り、また緊密な連携をとってやっていただいておるということを実は余りよくわからないわけですね。しかし、主要七部会、政策委員会等の活動でもって、そうした大臣あるいは各界の代表の方々が出ておられるこの科学技術会議、この会議の成果というものを十分しっかりやっていただいている、こういうふうに思っております。そこで、この基本法が将来できて、そうした上でこの科学技術会議のウエートも強くなるのじゃないか。
 そこでお伺いをしたいのは、やはりこうした会議というものも、例えば通産あるいは農水、厚生省、それぞれ今大変重要な科学分野を持っている省がありますから、そういうところも入れるような、何かもう少し拡充をするような形というものが考えられるのではないかというふうに思っておりますが、この点についてお伺いしたいと思います。
#17
○渡海議員 全く臼井先生がおっしゃるとおりだというふうに思っております。
 ただ、現状いろいろとヒアリングをさせていただきますと、今臼井先生が御提案になりました、例えば通産大臣、農林大臣、厚生大臣等、ほとんど出席をされているというふうな運用が現在行われていると伺っておるわけでありますけれども、さらにやはりそういったことをきっちりと位置づけていくような科学技術会議の抜本的な充実と活性化を図る、そういったことを、この法案をより有効に機能させるためにも、また立法府の意思としてもこれをはっきりさせていくということを私どもも考えたいな、そんなつもりでこの法律をつくっておのます。
 また、政府としても、やはり先ほど来科学技術立国としての総合力ということを言わせていただいておるわけですが、一致協力してこの法律の推進に対して強力に推し進めていくということを考えていただきたいということを、この議論を通じてはっきりとしておきたいというふうに思っております。
#18
○臼井委員 おっしゃるとおり、お話を伺いますと常時出ておられるということですが、やはりはっきりとした位置づけというものが望ましい、こう私は思っております。
 以上、いろいろ御質問をしてまいりました。大臣、今お聞きのとおり、私は途中で申し上げましたけれども、この法案のすばらしいところは、国会の意思というものを非常に明確に強く打ち出している基本法であるという点だと私は思っております。この法案をごらんいただいて、政府としての御決意等をお聞かせいただきたいと思います。
#19
○浦野国務大臣 私ども科学技術庁、科学技術政策というものを担当いたしておるわけでありますが、本法案につきましては、ただいま御審議をいただいておりますように、超党派による議員立法という形をとっておられるわけでありまして、こうしたことは私どもにとりまして大変ありがたい、心強いものだ、こういう受けとめ方をさせていただいておるところなんです。
 御審議にも、また提案理由の中にもございましたけれども、これまでのキャッチアップの時代が終わって、当面する諸課題を解決していくために、また国土が狭く、そして資源に乏しい我が国にとって、科学技術の飛躍的な進歩というものは欠くべからざるものであり、そしてその果たす役割は極めて大きなものがある、こうした論調で述べられていると思います。
 そうした中でこの基本法は、科学技術行政の、まさにその名のとおり基本的な枠組みというものを決定するものでありまして、この基本法をもとにいたしまして、科学技術を振興するための大きなよりどころとなるものと思っておるところであります。
 当面、これにつきまして、基本計画というものを具体的に定めていかなければならぬわけでございますが、そうした点で、私を初め当庁といたしましても、重要な責任を感じながら進めてまいらなければならぬと思っております。そうした点で、臼井先生のお力添えを今後ともひとつちょうだいできればありがたいと思っているところでございます。
 以上でございます。
#20
○臼井委員 この基本法成立によって我が国は科学技術については新しい時代に入っていくんだ、こういうふうに私は感じている次第でございます。この法案が一日も早く成立をし、基本計画が一日も早く成立いたしますように心から祈念をいたしまして、終わります。ありがとうございました。
#21
○野呂委員長 斉藤鉄夫君。
#22
○斉藤(鉄)委員 新進党・民主会議の斉藤鉄夫でございます。
 私も、この科学技術基本法の議論に参加させてもらいまして、大変よくできていると認識をしているのですけれども、しかし、あいまいな表現もございますので、今回の質問は、そのあいまいな表現になっているところの立法者の意思を確認する、こういう立場から質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初は、先ほどの臼井先生の質問ともちょっと重なるのでございますが、今なぜ基本法がという点でございます。資源のない我が国は、科学技術、特にこれまでの場合は技術というところに重点があったのではないかと思いますが、技術を持って生きていかなくてはいけない、こういう認識はずっと前から、ある意味では明治維新のころからあったわけでございます。
 そういう意識のもとで、産官学、いわゆる産業界、官界、学術界、それぞれの立場で科学技術の振興に努力してこられました。また、先ほどの話にもございましたけれども、これまでも科学技術会議というものがございまして、総理大臣が議長ということで科学技術の振興が図られてきたのですが、そういうことで、今科学技術立国としての評価というのはある程度世界の中で日本は得てきたのではないかと思うわけです。
 そういう時期に、戦後五十年たった今、なぜ科学技術基本法なのか、また、これができれば今までとどこが変わるのか、この点についてまず最初にお伺いしたいと思います。
    〔委員長退席、上田(晃)委員長代理着席〕
#23
○尾身議員 先ほどもお答えを申し上げましたが、我が国の科学技術に関する状況は、いわゆるキャッチアップの時代からフロントランナーの時代に入ってきたと思うわけでございます。
 そういう中で、今斉藤先生のおっしゃいましたような意味で、これから我が国産業、経済の活性化を実現をし、空洞化を防ぎ、生活水準の向上を図っていくためには、科学技術創造立国を目指していかなければならない、我が国のいわゆる資源配分を研究開発、科学技術に重点をシフトをする方向にいかなければならないというふうに考えているのがこの基本法を提案した最大の理由でございます。
 その基本法の制定によりまして、国全体としてのコンセンサスが、より研究開発、科学技術を発展、促進をしていくという方向に向かっていくことを期待しているわけでございまして、そういう意味で、この基本法の持つ意味合いは大変大きなものと考えている次第でございます。
#24
○斉藤(鉄)委員 これからはこれまでとどこが違ってくるのかという質問についてはいかがでございましょうか。
#25
○尾身議員 一つは、私どもの期待は、特に政府関係の研究開発投資につきまして、シーリングの見直しも含めましてより充実したものになっていくであろう、また、それを実現をしなければいけないということでございます。
 それからもう一つは、研究開発体制につきまして、産官学の研究開発協力をより進めるとか、国際交流を進めるとか、情報化を進めていくとか、あるいは大学、国立試験研究機関等におきます若い研究者が意欲を持って研究できるような研究体制の改善整備を進めていくとか、そういうことを実現をしていきたい。そして、それを実現するための大きな基本的な方向を示したものがこの科学技術基本法であると考えている次第でございます。
#26
○斉藤(鉄)委員 私自身の理解は、これまで科学技術立国でなければ生きていけないという認識はあったけれども、今まで余りに技術に偏重し過ぎていた、これからは新しい文化の創造の一つのキーポイントとして、また担い手としての科学というものに力を入れていかなければ、技術そのものも発展しないし、また日本が文化の発信国として名誉ある地位を得ることも不可能になってくる、そういう意味で科学技術に力を入れていくのだと思っておるのでございます。
 次に、その問題とちょっと絡んでくるのですけれども、科学技術基本法の中にあります言葉としての科学技術、その科学技術の意味についてちょっと御質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどから何度も言っておりますが、日本ではこれまで技術に比重が置かれていたのではないか。欧米キャッチアップ型の技術開発、産業に直接役立つ技術の開発、それで、その技術を基本的に成り立たせている科学的知見については、これは欧米で得られた知見を利用する。
 例えば、今大変広く使われております液晶にしましても、原理はアメリカで発見されて、そしてそれを、あんなものを技術として実用化するのは無理だという常識の中で実際に技術にしたのは日本、それで商売でもうけたのも日本、こういうことになっておりまして、いわゆる基礎研究ただ乗り論が言われてきたわけでございます。日本の研究開発の八〇%は民間投資だということもそのことからうなずけるわけですけれども、日本の場合、いわば科学はつけ足しで、技術に重点があったわけでございます。
 そういう意味で、科学技術という言葉は、何といいましょうか、科学的な知見によって裏づけられた技術に重点があったわけですが、私は、これからはそうではなくて、科学と技術、そういうふうに解釈していかなければいけないのじゃないかと思うわけでございます。科学と技術は全く違うものでございます。
 科学は、物事の本質、物事の奥を流れている法則を見つけていろいろな現象を説明するという作業、これが科学でございまして、技術は、そこで得られた物事の現象の奥を流れている法則を利用して一つの人間に役立つ方法を見つけ出す、これが技術でございまして、これは全く別なものでございます。科学と技術、二つを切り離して開発することはできないわけで、中身的には一体でございますが、しかし人間の知的な行為としては全く別なものでございます。
 そういう意味で、この科学技術基本法は科学と技術、その両方を発展させていくんだ、こういうふうに解釈しなければいけないと私は思っているわけですが、その点についてどういうふうにお考えでしょうか。
#27
○渡海議員 今の斉藤先生の御指摘は、私ども提案者の側も全く同じような認識でございます。
 そういった点で議論のスタートになるというふうにも考えておるわけでありますけれども、我々、今までこの日本の工業技術というものを先輩の皆さんが大変御努力をされて、戦後キャッチアップという体制の中で日本の国を発展をさせてきた、それが現在の日本の社会を構築する上においても、また日本の経済の面においても非常に大きな役割を果たしてきたことは、これは疑いのない事実であろうと思います。
 しかし、ここへ来て、やはりそれだけで我が国の役割が果たせるのか、また我が国の将来があるのか、こういった危機感が非常に強くなってきているわけでありまして、そういった意味でも、今回この法律によりそういった基本的なパラドックスをやはり大きく変えていくというふうなことも我々は意図しながら、今先生がおっしゃいましたような認識で、科学及び技術、どちらがより重要だとかそういうことではなくて、双方とも非常にやはり重要な問題だということをよりはっきりとこの中で位置づけさせていただいて、そして今後の日本の科学技術政策というものを展開をしていきたい、そんな趣旨で考えておりますので、先生の御指摘のとおりだというふうにお答えをさせていただきたいと思います。
#28
○斉藤(鉄)委員 非常によくわかりました。ありがとうございました。
 一九六八年、昭和四十三年に科学技術基本法が一度提案され、廃案になっております。当時は高度成長の真っただ中で、公害問題は既に起こっておりましたけれども、まだ社会問題化しておりませんでした。いわばバラ色の科学技術文明というイメージがあったわけでございますが、その中で科学技術基本法が議論されながらなぜ廃案になったのか、今回の基本法との差は何なのか、また、そのとき廃案になったその原因は今回取り除かれたのか、そのような意味でちょっと御質問させていただきます。
#29
○尾身議員 昭和四十三年に政府提案されました科学技術基本法におきましては、現在私どもが提案をしておりますものと大きな差が二つございます。一つは、大学における研究に係るものを対象から除くということになっていたわけでございますし、もう一つは、これは現在とも同じなのでありますけれども、人文科学のみに係るものを除く、こういうことになっていたわけであります。
 これは政府提案をされました段階で、大学の研究開発に例えば科学技術基本計画で干渉するのはおかしいというような議論が一部の間でございまして、大学は除く、こういうことになっておりまして、そしてもう一つは、現在と違いまして産官学の研究協力、研究交流というものに対します、全部ではございませんと思いますが、一部の学界からの非常に強いアレルギーがあった、そういうことがございまして通らなかった、廃案になったわけであります。
 私、今申しました、なぜ廃案になってしまったのかということでございますが、結果として考えてみますと、その基本的な原因は、我が国が科学技術創造立国を目指していくべきであるという点について現在ほど強い国民的コンセンサスが得られていなかったということではないかというふうに考えております。
 今度提案をいたしました科学技術基本法におきましては、大学における研究開発もこの科学技術基本法の対象にいたしました上で、第六条で、大学及び大学共同利用機関に係る科学技術に関しては、「大学等における研究活動の活性化を図るよう努めるとともに、研究者等の自主性の尊重その他の大学等における研究の特性に配慮しなければならない。」という研究者の自主性に配慮するという項目を入れて、関係者の御理解をいただいたところでございます。
 それから、人文科学との関係につきましては、第二条に、自然科学と人文科学の調和ある発展に留意されなければならないという基本的な姿勢を入れまして、関係者の御理解をいただいたところでございます。
 そういう内容の変更もございました上に、今回の法律におきましては、例えば研究者の確保あるいは処遇の確保、それから研究施設の整備、情報化の促進、研究交流の促進など、新しい状況に応じまして現実に研究開発を進めていく具体的な、基本的な方向づけもしているわけでございます。
 そういう変更をした上で今回超党派で提出させていただいたわけでございますけれども、現在の状況、例えば産官学の共同研究開発はどうしても、むしろ必要であるというような考え方に国民的なコンセンサスがございますし、また、先ほど申しましたように、科学技術の研究開発を推進をして科学技術創造立国を目指していく、そういうことについても国民的なコンセンサスができ上がっている、そういうわけで、官民挙げて科学技術基本法の制定が望まれているという状況になってまいりました。それが、全体として私どもが今回科学技術基本法を超党派で提案できた基本的な要因であるというふうに考えている次第でございます。
#30
○斉藤(鉄)委員 国民的な要請、合意が昭和四十三年に出たときと大きく異なっている、私はその点についても同感でございます。当時は、バラ色のイメージはありましたけれども、しかし際立った努力をしなくてもこのままうまくいくだろうというふうな感じがあったかと思います。今は、まさに国民挙げて努力しなければ大変なことになってしまう、日本は沈没してしまう、そういうイメージがあるかと思います。
 先ほど尾身先生、産官学ということについておっしゃったわけでございますが、この産官学ということについてちょっと御質問させていただきたいと思います。
 私は、日本の科学技術をこれから発展させていくのに一つの大きな障壁は、この産官学の間に立ちはだかっている壁だと思うわけでございます。アメリカは産官学のほかに軍がございましてちょっと事情が複雑になりますが、軍を除いて産官学で考えますと、間の壁は非常に低い、このように思います。産業界が大学や国立研究機関にお金を出して研究をさせる、その研究成果を民間が使うというふうなことも非常に広くされております。
 それから、官の国立研究所といいましても、実質は研究員は民間人でございまして、国はお金を出しているだけ。そのお金を出しているだけでもナショナルラボラトリー、国立研究所と言っている。研究所自体は民間が請け負って民間研究者がやっている、そこで得られた研究成果は広くまた民間で使われる。こういうことで産官学の垣根が非常に少ない、それがアメリカの科学技術発展の一つの大きな原因ではないかと私は思いますけれども、この正本でも産官学の壁を少なくしていく、薄くしていく、低くしていくということがこれから非常に重要になると思うわけでございますが、この科学技術基本法、立法者の意思として、産官学の壁の問題についてはどのようにお考えでございましょうか。
#31
○鮫島議員 確かに、委員がおっしゃるように、いわば産官学の壁を低くして自由な連携をとれることが科学技術の振興にとって大変重要なことだと思いますけれども、この基本法の中では、第二条に、科学技術の振興は研究者及び技術者に創造性を十分に発揮させることを旨として行われなければならないことを定めるとともに、その基本的な考えのもとで研究者等の養成確保、また研究支援者の充実、産官学の研究交流の促進、研究資金の効率的な使用等の施策を講じるものであることを定めております。
 さらに、やはり制度的な問題としては、年金の一本化とか、あるいは渡りに伴う処遇の変化というようなものについて、やはり今後関連の法整備等を含めつつ、研究にかかわる人材が、その資質に応じて、あるいは研究の発展段階に応じて、その三種類のセクター間を現在よつもより移動しやすいような措置を講じることが必要なのではないかという認識を持っております。
#32
○斉藤(鉄)委員 今後、産官学の壁を低くする具体的な方策についても、我々議員の間で議論をして提案をしていくということを提案したいと思います。
 それから、第一章第一条の「人文科学のみに係るものを除く。」という点についてちょっと質問させていただきますが、これは先ほども臼井先生御質問になっておりましたけれども、先ほど渡海先生が、科学技術という言葉の意味は科学と技術なんだというふうな御答弁がございました。
 科学と技術ということであれば、その科学についてちょっと考えてみますと、科学が明らかにする、例えば宇宙の姿、それから生命の姿、こういう新しい科学の知見が新しい技術を生み出していくわけですが、それと同時に私たちの人間観、人生観、それから宇宙観、そういうものに大きな影響を与えていくわけでございます。人間に、生き方に直接かかわる文化という側面を科学というものは持っております。まさにこれからの科学における創造性というのは、この科学の文化的側面を強調しなければ生まれてこないと思うわけですが、その意味で、この「人文科学のみに係るものを除く。」とあるのは、どうしてもちょっと理解をできないわけでございます。
 例えば、夜空の星は地球を覆っている天蓋にあいた穴なんだ、こういうふうに考える宇宙観と、宇宙には銀河が何千億個とあって、その一つ一つの銀河に何千億個という太陽があって、我々の太陽はそのうちの一つにすぎないと考える宇宙観とでは人生観がまるで変わってくると思いますし、また、そこから生まれる文学、芸術等も全く異なったものになってくると思うわけでございます。
 そういう意味で、人文科学と自然科学、特に科学技術の中の科学を線引きするのはもうほとんど無意味なことである、そういう意味でこの第一条の文章はどうしても理解できないわけでございますが、この点について御質問申し上げます。
#33
○鮫島議員 お答えいたします。
 確かに、特に法文の場合ですけれども、「科学技術」という言葉の後にいつも括弧がついて、「人文科学のみに係るものを除く。」という言葉がついていることについては、一般的には違和感を感じる表現というのは、委員おっしゃるとおりだと思います。
 ただ、委員も御承知のように、コンピューター科学の発展、コンピューターサイエンスの発展というのは、人文科学と自然科学の境界をある意味では取り払ったような科学の領域ではないか。現在、コンピューターのソフトを開発している最先端の開発者たちが依存している学問は心理学、言語学、社会学といった領域ですし、一瞬にして情報が世界を飛び交うという意味では、国際政治もこのコンピューター科学とは無関係ではあり得ないというのが現状でございます。
 それから、さらに、地球環境の問題が最近は大変深く認識されるようになってきましたけれども、この領域においても、哲学とか宗教学というのがこの地球環境の問題とは無関係でないというように認識されつつあるところだと思います。
 そういうような新たな融合領域の発展ということから考えますと、この人文科学のみに係るものを除く。」という表現があったとしても、人文科学のみにかかわる人文科学というのがだんだん少なくなっているのではないかというふうに私どもは認識しておりまして、それほど、こういう表現があっても、これは関連法案も全部こういう表現になっておりますから、あえてこの基本法の中でも、横並びで整合性との観点から採用させていただいているわけです。
 先ほど申し上げましたように、科学技術の世界が、人文科学と自然科学との融合領域が非常にふえてきているということで、人文科学のみにかかわる人文科学というのはだんだん少なくなっているなというのが私どもの認識でございます。
#34
○渡海議員 なお、少し補足をさせていただきますけれども、法案上では、そういった趣旨も含めて、第二条の一項には「人間の生活、社会及び自然との調和を図りつつ、積極的に行われなければならない。」ということを書かせていただきまして、また、第二項では、「自然科学と人文科学との相互のかかわり合いが科学技術の進歩にとって重要であることにかんがみ、両者の調和のとれた発展について留意されなければならない。」基本計画を策定するに当たって、やはり、振興施策はこういった基本的な考え方でやるということもはっきりと法案の中で書かせていただいた次第でございます。
#35
○斉藤(鉄)委員 よく理解できました。
 科学技術基本計画について、一つお伺いいたします。
 本質的な議論ではないのかもしれませんが、これからはまさに独創性のある研究、独創性のある発想を育てる、それを大きく育てる、そういう科学技術的な環境、研究環境が必要ではないかと思います。一見、何の役にも立ちそうにない、そういう研究、発想、そういうものも包容する研究環境でなければいけない。これは民間でも国立研究機関でも大学でも同じかと思うわけでございます。
 大体、百研究すれば、本当に物になるのは、そのうち一つあるかないかだと言われておりますけれども、そういう、本当に日本の将来にとって大事な、革命的な研究になるかもしれない、その芽をどう育てていくかということが大事かと思うのです。
 科学技術基本計画の中で、戦略的研究ということでかなりからっと決めてしまいますと、お金をつぎ込むのにみんなが納得する研究だけが取り上げられるという可能性もあるわけでございまして、科学技術基本計画を立ててしっかりやっていかなければいけない、これも非常によくわかるのですが、反面、本当に大事な研究の芽も摘み取ってしまわないか、そこら辺をどう担保、どう育てるかということについてお伺いさせていただきます。
#36
○今村議員 御指摘いただいたように、ともすると、これは予算の仕組み上、具体的な成果が出てこないものについて予算がなかなかつかない、こんな感じの仕組みになっているわけであります。
 この科学技術基本法をいろいろ議論する過程の中で、ぜひとも今御指摘をいただいたような内容を克服をしたい。世界の科学技術の歴史、発展を振り返ってみると、御指摘のあったように、何の役にも立ちそうもない研究が大変な結果をもたらす、こんなものが数多くあるような気がするわけであります。
 そういう点では、御指摘のあったように、何も役に立たないような研究であっても、そこに科学技術の発展の芽が埋もれているのではないか、こういう考え方を持ちながら、私どもとしては、第十条において「広範な分野における多様な研究開発の均衡のとれた推進に必要な施策を講ずる」、こういう条項を設けまして、特定の重要な科学技術分野のみを重視するのではなく、広範な分野での多様な研究開発を推進することによって、将来の科学技術の発展の芽を摘むことがない、そのような考え方に基づいて対策を講じていこう、こういうことにしたわけであります。御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。
#37
○鮫島議員 今の斉藤委員の質問に対して一言だけ補足的に答弁いたします。
 独創的な研究の担い手は一般的に三十代の若い頭脳と言われておりますが、そのような若い頭脳の躍動を保障する環境をどう整備するかというのが御質問の趣旨だと思います。第十一条の中に「研究者等の適切な処遇の確保」というのがありますけれども、これは給与面だけではなくて、そういう若い人たちにも状況に応じて思い切ってリーダーシップを発揮できるような環境を整えることというのもこの中に入っているというふうにお考えいただければ幸いだと思います。
#38
○斉藤(鉄)委員 最後に、大臣に、この科学技術基本法につきましてこれからの施策の御決意をお伺いして、質問を終わらせていただきます。
#39
○浦野国務大臣 先ほど臼井委員からもお尋ねがございました。先生からのお尋ねの中にもございましたけれども、今我が国を取り巻くさまざまな諸問題、こうしたものを解決するために、この無資源国、無資源と言ってはいかぬのかもしれませんけれども、私は、天然資源に乏しい、国土の狭い我が国にあっては、人間の頭脳そのものが最大の資源だと思っております。ゆえに、当面する諸課題を解決していくという点では、我が国のこれまでのキャッチアップの時代から、まさに我が国が独創的な基礎研究を飛躍的に発展させる中で、二十一世紀に向けての我が国の成り立ちというものを考えていかなければならぬと考えております。
 そうした面で、この基本法が成立をする、さすればまさに科学技術、科学と技術の行政の最大のよりどころになっていくわけでございまして、私ども政府にある者、そして科学技術庁といたしましては、この基本計画というものをしっかりと立てていかなければならぬわけでありまして、そうした点で、まさに専心、まさに気持ちを込めてこの業務に取りかかってまいりたいと思っています。そうした点で、ぜひ今後ともいろいろな面で御指摘、御指導をちょうだいできればありがたいと思っておるところでございます。
 以上でございます。
#40
○斉藤(鉄)委員 終わります。
#41
○上田(晃)委員長代理 笹木竜三君。
#42
○笹木委員 新進党・民主会議の笹木竜三です。
 立法の提出者に対して主に質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、今回のこの基本法で、とにかく政府による研究開発投資の大幅な充実、これが速いテンポでこれから求められることになると思っております。しかも、明確な戦略のもとでそれを行っていく必要があると思うわけです。
 一九九二年度で、例えば研究開発費での政府負担の割合、先ほども一部お話ありましたけれども、日本が一九・四%、アメリカが四二・二%、フランスが四五・六%、イギリスが三五・四%。国防の研究費を除いた場合でも、日本の一八・六%に対して、アメリカが二三・二%、フランスが三二・九%、イギリスが二一・六%と、このような大きな差の数字になっております。こういった政府による研究開発費の低い水準というのは、一九七五年から一貫して、フランスに対しても、アメリカに対しても、イギリスに対しても大幅に下回っている、少ない比率になっているわけです。
 あるいは、先ほど産官学の交流の話もありましたけれども、政府からの資金の流れということで見てみましても、政府系から産業界への研究開発費の流れ、日本の場合には千二百七十三億円、これは一九九三年の数字ですけれども、アメリカが五兆二千九百二十一億円、フランスが五千五百三十六億円、イギリスが三千三百十五億円。シェアでいいますと、日本が一・四%、アメリカが二五・二%、フランスが一九・八%、イギリスが一三・四%。政府から産業界への資金の流れ、これを見ても、もうけたが違うというか、非常に大きな差になっております。
 あるいは、政府から大学に対する資金の流れということでいいましても、シェアでいいましても、アメリカに対しても、フランスに対しても、イギリスに対しても、かなり大きな差で日本は下回っている、こういった現状がございます。
 それで、お聞きしたいのは、こういった欧米の研究投資がますますふえる可能性が今非常に高まっている。しかも質問の中でもあったように、特に基礎研究は、なかなか民間だけに頼っていても、景気の動向によって左右される可能性が非常に高い、こういった現状もございます。
 そういった中で、最初の話に戻りますけれども、政府による研究開発費の大幅な充実、それを明確な戦略のもとで、速いテンポでやるべきだと考えておりますけれども、この点について提出者の基本的な御認識、御意見をまずお聞かせ願いたいと思います。どなたでも結構です。
#43
○尾身議員 おっしゃるとおり、この基本法を私どもが提案をしました大きな理由は、国民的な科学技術創造立国を目指すという立法府の意思を明確にして、それによって、政府の予算編成等におきましても研究開発投資、パブリックセクターの研究開発投資をさらに一層充実させたい、そういう趣旨で考えている次第でございます。
#44
○笹木委員 特に基礎研究の充実について、御意見で結構ですから、他の提出者の方にも基本的な御認識をお聞きしたいと思います。
#45
○鮫島議員 先ほどからの御議論の中にも出ていましたように、明治維新以来今日まで、日本はどちらかといえば基礎研究の成果は海外の先進国に依存し、その科学的な成果を利用する体系を発達させてきたというのがこれまでの我が国の科学技術の歴史ではなかったかと思いますけれども、ここに来て、やはり新たな科学技術を開発するためにはその基盤となる科学的成果の充実が不可欠だという認識が大変深まってきております。
 そのような観点から、これまでどちらかといえば技術に偏重していた我が国の科学技術政策を、科学と技術に等分の力点を置いた政策へと変更させていくことが必要ではないか。そういう意味では、基礎研究の重要度は今日ますます高まっているというふうに認識しております。
#46
○尾身議員 今先生のおっしゃいました基礎研究の問題につきましては、どういう方向で研究開発を進めるかということでありますが、基礎研究というものが、その性質上、新しい現象の発見、解明、あるいは独創的な新技術の創出をもたらすということにかんがみ、また、その成果の見通しを当初から立てることが難しく、必ずしもすぐに実用化に結びつかない、そういう面もある。
 そういう性質から見て、国及び地方公共団体、つまりパブリックセクターがこの面に特に重点を置いてやる必要があるということを第五条で明確にしているわけでございまして、パブリックセクターとして、基礎研究部門については今まで以上に充実した力を注いでいただきたいということを第五条で明確にしていると考えております。
#47
○笹木委員 次に、推進体制についてお伺いをしたいわけです。
 推進体制については、基本計画、その基本計画については科学技術会議の議を経てということがここで言われているわけですけれども、今言った基礎研究の充実も含めて、その研究投資額の充実も含めて、これからかなり長期の、例えば数十年先、あるいは最低でも十年先を見越したような基本的な五年計画ですとか、そういったものもどんどん行われていくのだろうと思います。
 そういった役割を担う推進体制である科学技術会議、現状、非常に頑張っていろいろ活動されているわけですけれども、例えば常勤者二名でなされているわけです。私としては、この推進体制のかなめとなる科学技術会議、これはかなり大幅に機能の拡充が必要だと考えております。これについての提出者の御意見を伺いたいと思います。
#48
○鮫島議員 確かに、委員おっしゃるとおり、この基本法が施行されますと、科学技術会議の役割あるいは科学技術会議に対する諮問事項は、これまでのように大綱を出してくださいということより一歩踏み込んで、より具体的な、しかもある程度タイムスケジュールの入った基本計画をつくってくださいという諮問になりますから、そういう意味では、これまで以上により広い視野と深い専門性がこの科学技術会議に要求されるのではないかというふうに考えております。
 また、ある意味では、生活者の視点をどう入れるか、さらに世界の科学技術の進捗状況をどう的確に把握しつつ基本計画をつくるか、それから若い人たちの発想をどう入れるか、そういう広さと深さを持った機関のもとにこの科学技術会議も運営されるべきだというふうに考えておりまして、今後、科学技術会議の抜本的な充実と活性化を図るよう努めるとともに、科学技術の領域も全領域にわたりますから、科学技術の研究開発を所管する各省庁は、相互に連携を強化し、一致協力して本法の強力な推進を図ってもらいたいというふうに考えております。
#49
○笹木委員 そこで、先ほどの質問にも一部ありましたけれども、今現在、科学技術会議の議員になられている方の中で、総理のもとで大蔵大臣、文部大臣、経企庁長官、科技庁長官その他の方々なわけですけれども、さまざまな分野で今後独創的な研究が必要になるわけですけれども、先端的な科学技術を開発して新産業を創出すること、これは非常に大事だと思います。
 同時にそれは、環境問題、食糧・エネルギー問題、エイズ問題、この趣意書にも書いてあるように、こういった問題に対応することも必要だと書かれているわけですけれども、これは別々のことではないわけでして、環境に対する分野ですとかエネルギーとか食糧に対する分野、あるいは医療とか高齢化に対応する分野、これが逆に新産業の新しい分野だとも言われているわけです。
 そうしたことからも、この科学技術会議の中に、さらに農水ですとか、環境あるいは厚生あるいは将来の情報化の時代ということで郵政、こういったところからもどんどん参加していただく体制がぜひ必要だと考えます。そのことについての御意見、御認識をいただきたいと思います。
#50
○鮫島議員 全く委員おっしゃるとおりだというふうに私どもも認識しております。
#51
○笹木委員 先ほども、大体他の省庁の方にも出ていただいている面もあるのだという話でしたけれども、特にそのことをぜひ制度的に位置づけていただいて拡充をお願いしたいと思うわけですけれども、再度御意見をいただきたいと思います。
#52
○尾身議員 科学技術会議には随時、例えば農水大臣とか厚生大臣あるいは通産大臣が出て、本会議の席では議論をすることにしております。
 そして、もとより事務局は科学技術庁でございますが、すべての科学技術研究開発にかかわる省庁は、科学技術にかかわっている分野に関する限りにおきましてはこの科学技術会議で扱うものでございまして、どこの役所の分野のものを取り上げるという限定的なものではございませんし、先ほど申しました医療やその他の分野の研究開発につきましても、あるいは農業関係の研究開発につきましても、当然、基本計画をつくるときには取り上げて、この基本計画の中に織り込むべきものであり、そしてまた、そのときには当然関係者の御意見も十分伺った上で基本計画に織り込むべきであるというふうに考えておりますし、現実の運用もそのようになっていると理解をしております。
#53
○笹木委員 ぜひその総合的な推進体制について、さらにより一層の充実をお願いしたい、そう思います。
 最後に、評価システムについてお伺いをしたいわけですけれども、本当にいい基本法がこれで実現することになるわけですけれども、ぜひ、この基本法のもとでいろいろなことを実行していく。その中で、科学技術政策ですとか振興のための大きなプロジェクト、あるいは予算の評価にかかわるそのような機関を立法府においても設置すべきだと考えております。アメリカなどでは、OTAですか、立法府の評価のための判断材料もたくさん上がってくる、それで評価をしている。こういったシステムがどうしても必要だと思うわけです。特に今回は議員の皆さんの超党派による議員立法なわけですから、提出者の方々にそのことについての御認識をお伺いしたいと思います。
#54
○鮫島議員 お答えいたします。
 確かに、今委員御指摘のように、この科学技術基本法は行政府における科学技術政策を強化拡大するための法律でして、やはり立法府における行政府の評価ということが必要だというのはこの法案を提案させていく中で大いに議論されたところでございます。
 評価というのは二通りありまして、今やっていることあるいはこれまでやってきたことを評価するエバリュエーションという分野と、将来予測的な、今後どうあるべきかということを評価するアセスメントという二つの領域があると思いますけれども、やはりこの二つの領域について、立法府としてその機能を持つべきではないかという議論が真剣に行われまして、今後その実現のために私どもも引き続き努力していかなければならないというふうに考えております。
#55
○今村議員 御質問いただいた点でありますが、この科学技術評価制度、この取り扱いについては基本法制定の中で私どもが最も議論した点の一つでもあったわけであります。私どもは、できれば、中身は別にしてこの基本法に盛り込むという形にできなかったのかな、こういうことに努力もしたわけですが、最終的には提案されている法案の内容で落ちつかせていただいたと思っています。
 ただ、先端的科学技術分野やあるいは戦略的投資分野の選択について国会での審議権を確保するという点では、私どもはこの提出法案、これは将来必要なものだと思っているわけであります。今後十分検討し、議論を進めながら、国会での意思統一を図ることができれば、こう思っているわけであります。よろしくお願い申し上げます。
#56
○尾身議員 立法府内に研究開発の成果について評価する何らかの機関を設けるべきであるという有力な御意見があるわけでございますが、今回は、この基本法とはこの問題は別途切り離して検討しようということでございまして、この問題に関する提案者の間のコンセンサスはまだできていないというふうに理解をしております。
 我が国におきましては議院内閣制をとっているわけでございまして、立法府の多数の意見が、意思が行政に反映されるという仕組みになっているわけであります。その意味では、立法府の多数の意思と異なるような活動を行政府が行うことは予定されていないという仕組みであるとも考えられるわけでございます。この国会の中にOTAのような組織を設立するという問題につきましては、このような仕組みとの関連等も、よく考え方を整理した上で検討していかなければならないというふうに考えているわけでございます。
 さらに、国会の中にそういう組織をつくるというようなことになりますと、人員とか予算とかそういう問題もございまして、今後の検討課題として、この事柄は大変重要でございますので、十分意見のすり合わせをしてまいりたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、この問題は、各党間また各党内におきましても十分に議論がなされた上で立法府としての意思を確定していかなければならない、そんなふうに考えている次第でございます。
#57
○笹木委員 ぜひお願いしたいと思います。
 今お話あった、議院内閣制だから政府と立法府の多数の意思が常に一致している、それはどうかなとちょっとびっくりした御意見ですけれども、ぜひ超党派で取り組んでいただいて、この基本法と同じように国会での評価システムの確立、それをお願いしたいと思います。どうも御苦労さまです。ありがとうございます。
#58
○上田(晃)委員長代理 松前仰君。
#59
○松前委員 松前でございます。
 一番最初に、大臣にお伺いするわけではありませんが、最後に御感想をお伺いしたい。
 この科学技術基本法、せっかく提出されておりまして、やはり科学技術庁としてしっかりした考えの上に立ってこれを受けとめてもらわなければいけない。そういうことで、私は最初に、この提案理由というところについて私なりの意見を申し上げておきたい。そのことについて、最後に御感想でもいただければありがたいと思っております。
 私、この科学技術基本法、大変よくできているというような評価もございますが、非常に不十分だということは、私自身もいろいろ見ていますとそういう感じがいたしますけれども、しかし、ここで一歩前進をしてくれたなというような意味において、これから先これを基本にして、それこそ基本法、それを基本にして一歩、二歩と前進を続ける、前進できるという基礎づくりができたな、そういうふうに思っております。
 不満なところを申しますと、大体この提案の理由の最初のところに、「新産業を創出することが不可欠であります。」という言葉が書いてある。これは何も科学技術基本法をつくってやるべきような内容であるのかなというように私は思います。
    〔上田(晃)委員長代理退席、委員長着席〕
 これまで一生懸命やってきた。そして今ここまで来た。そして今新産業というのは一体何かというと、日本が高度に成長して、そして一番世界で豊かな国になって先進国化した。開発途上国化の時代において一生懸命科学技術をやる場合においては、非常に物が売れるような、経済に貢献するものが必要であった。そして今、先進国化してきたら、今度はそういうことをやるよりも、もっともっと別の貢献をしなければいけない。
 そうしたらだんだんと、現在の開発途上国、これも経済成長してきて、そちらに仕事がとられていくというような現象が起こる。アメリカ化というのでしょうか、そういうような現象が日本も起こってきている。そこでの不満が今、経済空洞とか何かいろいろな、産業空洞とか言っていることでありまして、この辺については私はそれほど強く言いたくはない。
 今一番求められているのは、この二番目、環境とか食糧・エネルギー問題というような言葉がございまして、我が国がそういうような世界的な問題について貢献を求められているというところに非常に大きな問題が、意識が私は存在していたのであります。
 大体、今人口が五十六億人、そして二〇二五年になりますと百億人近くまでなる。そしてその百億人近くになった人たちが、開発途上国の人たちがふえていくということになります。ところが、開発途上国の人たちを、何といいましょうか、そのままの経済の今の貧困な状態、貧困ではないけれどもかなりレベルの低い状態のままで置いておけるかというと、違うわけですね。どうしたってこれは、何とか経済を成長させて立派な国にしてあげたいというのはだれも思っていることでありましょう。
 そうなった場合に、二〇二五年、百億人近くの、八十億人と言われているけれども、その人たちが経済成長した暁に一体どういうことが起こるかというと、エネルギー消費だけ見たって今日の約三倍近く使うというのはもう言われています、みんなが。私は随分前にそれを計算して皆さんに、科学技術庁に示したこともありましたけれども、三倍近く。
 三倍のエネルギーを今どこから調達しますか。今、石油にしたってもうすぐ、二〇二五年、ちょうど二五年、こう言っていますが、枯渇をする、なくなると言っている。なくなるときに、石油にかわる資源は何だといったら、原子力がというと、原子力は、これは幾らやったってどんどん将来環境破壊になるようなものをつくっていくことになりますから、そういうものはまずいじゃないか。
 そうすると、それだけ、三倍ぐらいのエネルギーをどこから求めるかということになると、これは今、解決策は何もないわけですよね。やはり何かすごい技術のブレークスルーがなければいけない。そのための頭脳というのは今日本にあるのか、世界にあるのかといったら、ありはしない、全然ない。
 ですから、そういうようなことを含めて将来の、もう目前に迫っております、非常な大変な時代が来るというようなときに、どうやって世界じゅうが豊かな状況で新しい時代に飛び込んでいけるかということを考えれば、科学技術を振興といいましょうか、その新しいブレークスルーをしなければどうしようもない、そういうように思うわけですね。ですから、そういうところに私たちは頭脳をしっかりと蓄積をしてそして具体的な努力ができる、そういう国づくりをしていこうというのが科学技術基本法だろう、そういうふうに私は理解しているわけでございます。
 そして、我が国は、やはりそのときに科学技術というものが、我が国がそういう場合に、やる場合に、一体どういうアイデンティティーを持ってやるのかということをしっかり持たないと、尊敬される国にはならないと思います。やはり日本としては尊敬される国にならなければいかぬ。
 国連の常任理事国になろうなろうといってなってみたって、中身のない国がなったって、これは足をすくわれたらすてんとひっくり返ってしまうに決まっています。ですから、中身をしっかりして、そして尊敬された暁において、国連常任理事国といったらこれはもう大変な、平和の努力をどんどんやればみん宣言うことを聞いてくれるのですから、そういう国になろうじゃないですかというのが、私たちの、科学技術をやってきた人間としての今国会で一生懸命やろうと思っている理由でございます。
 そういうことで、アイデンティティーは何かといったら、やはり平和憲法があるじゃないか。その平和憲法に従って世界じゅうを日本の平和憲法で、それにマッチするような国に、世界にしていこうじゃないか。それにはやはり日本はすごい発言権のある国になるべきである。発言権があるには、中身がなければいかぬ、実力がなければいかぬ。その実力はどこにあるかというと、将来の大変な時期に対して我々が本当に頭脳で貢献できるという国、そういう国づくりをしよう、そんなことで科学技術基本法があるのではないか、そういうふうに思っております。
 アメリカはアイデンティティーがきちっとあって、二百年のフロンティア精神、それのまねをしてはいけないですよね。いいところもあるけれども、そればかりじゃない。日本は日本でちゃんとしたアイデンティティーがある、そういうふうに思いますので、この科学技術基本法というのは、そういう意味で非常に私は、内容は十分ではないかもしれないけれども、一歩進めた形として、これから我が国が世界の中で立派な国として世界じゅうから認められる一歩を踏み出した。それが行政を強めるとか何かいろいろあるけれども、やはりそういうようなブレークスルーの研究をやるとお金もうけになりませんから、お金もうけにならぬような技術は、最初の新産業創出なんというところでやっていったのではこれは全然振興しないわけですよ。
 だから、やはり政府が何らかのお金を出すというような方向をやっておかないと、これは絶対できない。お金なしだって仕事はできるけれども、しかし、やはり今の時代、多少はお金がないとできませんので、そういう意味でこの基本法、ぜひとも私も成立をさせたいということで一生懸命やってきたわけであります。
 しかし、その中で、いろいろと細かい問題点がありますので、その辺について提案者の皆さんに多少お聞きをしたいと思っておりますが、ちょっと言葉足らずのところがあるのじゃないかな、その辺を、どこかに書いてあるのかもしれないけれども、レベルが低い質問かもしれないが、お答えをいただきたいと思っております。
 最初に、新しい独創性に基づく研究成果、ブレークスルーが必要だ、そういうためには、独創性に基づく研究成果というもの、これが日本では随分今まで低かったわけですけれども、その自主性とか創造性を尊重することが大切だということを言われていますけれども、この辺について、この基本法ではどういうところできちっと書かれているのかということについてまずお伺いをいたしたいと思います。
#60
○今村議員 アイデンティティーの問題については御指摘を受けた内容だと思っておりますので、そういう前提でお答えをさせていただきたいと思います。
 キャッチアップの時代からフロントランナーとしての役割を果たす時代に変わってきている、こういう状況の中でその役割を担うことができる、こんな日本をつくりたい、こんなことで今回の基本法を提案をした内容になっているわけであります。
 御指摘のあった研究者の自主性、創造性を尊重する、こういう点では当然のことだと思っております。この法律の第二条において、科学技術の振興は、研究者及び技術者の創造性が十分に発揮されることを旨として積極的に行われなければならない、そのことを定めるとともに、第六条においても、大学等に係る施策の策定等に当たっては、研究者等の自主性の尊重と、その他の大学等における研究の特性に配慮しなければならないことを定めており、御指摘のあった研究者の自主性、創造性の尊重をその中に盛り込んでいる、こういう内容で考えているところであります。
#61
○松前委員 その次ですけれども、基礎的な研究に取り組みやすいようにするということですね。それから、すぐに役立ちそうもない分野でも軽視しないというようなことがこの基本法の仕組みの中にあるわけでありますけれども、このことについて、具体的にどういうところできちっと表現をされているのかということについてもお伺いしたいと思います。
 基礎的な研究に取り組みやすいようにすることというのはいろいろな面があって、基本法で今言われていること以外にもいろいろと私は感づいているところもありますが、お答えいただいてからちょっと意見だけ申し上げておきたいと思います。
#62
○今村議員 基礎的な研究に取り組みやすくするようにすること、すぐに役立ちそうにない分野であっても軽視しないこと、そのことが人類の知的資産の集積にとって大事だ、こういう点での御指摘を受けたわけであります。
 振り返ってみると、さきの委員の質問にもあったわけですけれども、ともすると具体的な成果のない研究にいわば予算がつかない、そのことが基礎的、創造的、いろいろな科学技術の発展に多少のマイナスをもたらしてきたのではないか、こんな指摘もあるわけであります。そういう点で、この法律の中に、ぜひともそういう思いを込めながら、それらの研究も進む、そんなことでの記述をさせていただいたと思っています。
 第二条第一項において、「科学技術が我が国及び人類社会の将来の発展のための基盤であり、科学技術に係る知識の集積が人類にとっての知的資産である」との認識を定めるとともに、第二項において、科学技術の振興に当たっては、基礎研究、応用研究及び開発研究の調和ある発展について配慮されなければならないこと、自然科学と人文科学の調和のとれた発展について留意されなければならないことについて定めたわけであります。
 また、第五条において、「基礎研究が新しい現象の発見及び解明並びに独創的な新技術の創出等をもたらすものであること、その成果の見通しを当初から立てることが難しく、また、その成果が実用化に必ずしも結び付くものではないこと等の性質を有するものであることにかんがみ、基礎研究の推進において国及び地方公共団体が果たす役割の重要性に配慮しなければならない。」ことを定めており、基礎的研究に取り組みやすいようにすることを科学技術振興に当たっての基本的な考え方として明記したわけであります。
 さらに、十条において、「広範な分野における多様な研究開発の均衡のとれた推進に必要な施策を講ずる」ことを定めているわけです。これは、特定の重要科学技術分野のみに力を入れるのではなく、どのような研究から将来の新しい科学技術の芽が出てくるのかはわからないことにかんがみ、すぐに役立ちそうもないような分野も含めて、広範な分野での多様な研究開発を推進することを政府に求めたものであります。
 このように、基礎的な研究に取り組みやすいようにすること、すぐに役立ちそうにもない分野であっても軽視をしないこととの考え方は盛り込んだつもりであります。
 以上であります。
#63
○松前委員 意見を申し上げようと思いましたけれども、時間が大分迫ってきておりますので、もう少し聞きたいことがありますので、次へ進ませていただきます。
 この科学技術基本法、平和憲法という、先ほどアイデンティティーの話を申し上げましたけれども、そういうものが、全部が認識が一致しているということならばいいわけですが、ややもするとそれが破られる可能性もあるものですから、平和の問題ということで軍事目的の研究開発を規制するということ、このことについて何らかの歯どめとして附帯決議を必要とするのではないか、そういうふうに思います。そのことについてお伺いをしたいということ。
 それから、連続してちょっと申し上げますが、先ほどのOTA、評価の問題であります。評価の方法、特に私は事前の評価ということが必要だろうと思っておりますが、そういうことを評価するに当たっても、本当は、その評価する人が、人間が、能力ある人が必要でありますから、科学技術基本法がしっかりと制定されて、そしてそこで人づくりができなければ、評価なんて幾らやったって無理な話であります。しかし、そうはいっても、そういう制度をつくり上げてスタートすることも必要だろう、そういうふうに思います。その辺についての認識。
 それからもう一つ、研究の情報の公開。オウム真理教のような、あのような変な研究をやられる、そういうことがあってはならぬと思いますので、そういうような情報公開についてもお伺いをしたいと思います。
 三点まとめて御答弁いただければ、どなたでも結構です。
#64
○原田(昇)議員 まず第一点の、平和利用の問題についてお答えいたします。
 日本国憲法の平和理念に基づいて研究を進めることは当然のことでございまして、これについては、お説のとおり、附帯決議でも確認することをいたしたいと存じます。
 ただ、例えば基礎研究で原子の研究をしておった。それがたまたま核爆発に利用されてくるというような、結果としてそういう不幸なことになったわけですが、じゃ、原子の研究を規制するかというと、そういうわけにはまいらないわけでございまして、松前先生よく御存じのように、規制という場合には大変難しい問題をはらんでおりますので、ひとつあくまでも研究者の自主的な努力、そして我々の施策の面でも平和利用についての徹底ということを通じて確保していくことが大事ではないかな、こういうように考えております。
#65
○渡海議員 あと二点、お答えをさせていただきます。
 先ほど来の議論の中でかなりお答えをさせていただいておるところもございますが、先生が御指摘になった点につきましては、法案策定の段階で実は随分議論をさせていただきました。
 まず安全性のチェック等についてでございますけれども、そういったことも踏まえて、第二条に「科学技術の振興は、」「人間の生活、社会及び自然との調和を図りつつこということをこの法案の設置目的の中にはっきりと書かせていただいたということでございます。また、十六条では、実用段階では、この研究開発の成果の適切な実用化ということをちゃんと書かせていただいて、ここに安全性に配慮しなければならないという趣旨を込めさせていただいたつもりでございます。
 なお、そういったことに関する周辺の関連法案等も、例えば現在PL法がもう既に制定をされておるわけでありますし、最近の水俣病の問題、そしてエイズの薬害訴訟の問題等の社会的な動向を見ましても、今後さまざまなチェックの環境というものは整いつつあるな、そんなふうに理解をさせていただいております。
 もう一点につきまして、研究開発の情報公開ということでございますが、このことにつきましても、先ほどお話を申し上げました研究段階での成果ということで、十六条に成果の公開、研究開発に関する情報の提供等その普及に必要な施策及びその適切な実用化」云々ということで、はっきりと法律の中に明示をさせていただいた次第でございます。
#66
○松前委員 ありがとうございました。
 最後に、今お話がちょっとありましたけれども、やはり研究者自身の問題というような、倫理観の問題等の話もちょっと出たと思いますけれども、原子の研究のところでそういうお話がありました。
 科学技術をやっている人間が、科学技術だけを一生懸命やっていて、世間のことも何も知らぬというようなことであれば、これはやはり人間社会の中でその人が有用かどうかということを判断すると、そういう人はそれほど有用ではないという判断を下さなければいけないことも起こしてしまう。
 ですから、やはり教育の問題というのは非常に重要じゃないか。科学技術を専攻する人間にとってみても、科学技術が本当に好きな人間であっても、その社会性、倫理性というような教育、そういうような方向の教育が施されることが必要ではないだろうか、そういうように思うわけでございます。
 それから、理工系離れの傾向というのも、やはり全体の中で倫理観を持った理工系の人間というものをつくっていくということが将来の我が国にとって非常に重要だということもあるわけでありますから、教育全体について、きちっとどこかでその辺の改善についての表現というものが明記されていると思いますが、それについて御意見をいただきたいと思います。
#67
○鮫島議員 冒頭、委員から大変深い認識を示していただきまして、私もきょうは日本の近代史にとって歴史的な日だと思っています。日本の近代史の中で、初めてサイエンスに市民権が与えられる日がきょうではないかと思っています。
 ただいま教育の問題、理科離れを含めて御指摘がありましたけれども、特に初等中等教育においては、子供たちに科学する楽しさをいかに教えるか、あるいは自然の摂理の奥深さをいかに学はさせるようにするかというのがポイントではないかと思います。そのためには、理科の好きな先生に理科を教えてほしいし、あるいは文部省の方々ももっと理科が好きになっていただきたいという気もいたします。
 それから、大学の教養課程においての教育ですけれども、やはり科学技術の持つ二面性、場合によっては天使の武器にもなる、と同時に悪魔の武器にもなり得るという科学技術の持つ二面性を歴史的な事実も踏まえてやはり若い学徒の方々に教育する必要があるのではないか。そのような認識から、第二条で人文科学と自然科学との調和ある発展というふうに表現してあるのは、これは当然教育の場にもそのような考えを反映させてほしいという気持ちのあらわれでございます。
 それから、科学者、技術者の養成過程についてですけれども、確かに現状では幾つか問題がありまして、大学院においては、学ぶ人という側面だけが強調されて、働く人という側面が無視されている。あるいは国の研究機関や民間の研究機関においては、働く人という側面だけが重視されて、学ぶ人という側面が無視されている。このような問題は、今後日本の科学技術の基盤を強化していくという面から、制度面も含めて検討していかなければならない問題だというふうに認識しております。
#68
○松前委員 時間が終わってしまいましたが、大臣、このことについて、最初に申し上げたとおり、一言御感想をお願いします。
#69
○浦野国務大臣 先生の冒頭の御意見、極めて貴重な御意見であったと理解をいたします。我が国だけの科学と技術の進歩そのものではなく、これから大きく変貌する国際社会、世界人類のために我が国の科学と技術がいかに貢献していくか、そうした観点に立って取り組んでまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#70
○松前委員 終わります。
#71
○野呂委員長 吉井英勝君。
#72
○吉井委員 私は、科学技術の発展に役立つ法律の立法に当たっては、研究に携わる学者とか、また試験研究機関などの研究者、研究支援者などの、これは非常にすぐれて学問研究の自由や、あるいは研究の自主性、自立性の尊重や保障が求められる分野であるだけに、日本学術会議が六二年の三十六回総会、七六年の七十回総会の二度にわたって勧告を出しております。「科学研究基本法の制定について」という、そのときに法律試案を出しておりますが、それらをたたき台などにして、学者や、あるいは研究にかかわる、識見を持つ方々を国会へ招いての意見陳述などを求めながら法律に仕上げていくというのが最善の道であるというふうに考えているものです。
 そういう基本的な立場に立って、以下数点について、尾身提出者に立法の趣旨を確認する質問をさせていただきたいと思います。
 先日、パグウォッシュ会議がノーベル平和賞を受賞しました。
 第二次大戦中、ナチスからの亡命科学者たちがルーズベルト大統領に原爆研究の開始を進言し、これは後にマンハッタン計画となり、原爆は完成したわけですが、その日本への使用を前にして、実はシカゴの冶金研究所のジェームス・フランクを委員長とする委員会がつくられ、陸軍長官あての報告書では原爆投下反対を表明しました。それから、原爆製造計画に参加した六十四名の科学者も同一趣旨の請願書をトルーマン大統領に出したわけですが、しかし、広島、長崎で使われてしまうということになりました。
 実はここから、戦後、科学者の社会的責任という問題が大きく問われるようになり、一九五五年にラッセル・アインシュタイン宣言が出され、五七年にはノーベル賞受賞の科学者を中心にしてパグウォッシュ会議が組織されていきました。科学研究や技術開発というのは平和目的に限るという強い意思が示されてきたわけです。これらについては、詳しくは湯川秀樹博士や朝永振一郎博士らの著書などに譲ることとしたいと思いますが、日本の戦後の科学研究の歴史も、実はその道を明確にしてきました。
 一九四九年の第一回日本学術会議総会声明では、我が国科学者がとってきた態度について強く反省し、平和的復興に貢献せんことを誓う。
 六一年三十三回総会の声明では、学問を平和に役立たせ、科学の成果が何に使われるかについても科学者はその責任を分担しなければいけない。
 それから七四年の六十六回総会の「科学技術の基本的なあり方」とその「申合せ」の中で、科学技術の基本目的、社会的任務として世界平和の達成に貢献することとしてきました。
 六二年三十六回総会と七六年七十回総会の二回にわたって決議された勧告、「科学研究基本法の制定について」の法案試案の中などでも、科学研究が世界平和の確立に貢献するものであるということを明記しております。
 八〇年七十九回の学術会議総会で採択された「科学者憲章」の中でも、自己の研究の意義と目的を自覚し、世界の平和に貢献するとしているわけです。
 それから六七年の四十九回総会で「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を採択し、七二年六十二回総会では「科学技術平和利用の原則の堅持についての要望」を採択して、実は、科学技術というのは平和のためにのみ役立つものであると考え、戦争を目的とする科学研究には従わないということを表明してきたとした上で、原子力委員長と宇宙開発委員長を兼務する科学技術庁長官の国防会議への参加に懸念を表明するという声明も出しているわけです。
 これは日本学術会議の戦後の決議、声明等などの幾つかのものの紹介ですが、これらは学術会議のほかにも、日本物理学会とか科学者会議、地質学会、素粒子論グループを初め、多数の学術研究団体から平和目的の科学研究や技術開発についての意見書、声明が出されております。内外の二十世紀の科学研究の歴史的教訓の中から出てきている研究を平和目的に限るというのは非常に大事な意義を持つものと思われるのです。
 そこで、提出者の立法意思を確認しておきたいのですが、第一条「目的」に、立法者の意思としては、条文上の文言はないけれども、平和に貢献することを目的とするということが入っているのかどうかということと、意思として入っているとすれば、条文上に平和を加えた方がいいと思うのですが、その点についての提出者の見解を求めておきたいと思います。
#73
○尾身議員 この科学技術基本法の立案に当たりましては、私どもも学術会議の皆様の御意見も聞いたところでありますが、私どもといたしましては、科学技術基本法も平和国家を理念とする我が国憲法のもとにあり、これを逸脱することはないという考え方で条文に明記しなかったところでございます。
 科学技術基本法に基づき、科学技術の振興に関する施策を展開するに当たりましては、日本国憲法の理念である平和国家の立場を踏まえ、進んで全世界の科学技術の発展と国際平和に資するよう努めることが重要であると考えております。
#74
○吉井委員 次に、第九条三項の関係で「あらかじめ、科学技術会議の議を経なければならない。」としているわけですが、この科学技術会議というのは、第五条で議長を総理大臣が務めることとし、また第六条で、議員の中には大蔵大臣、文部大臣、経済企画庁長官、科学技術庁長官など閣僚が入ってのものです。つまり、内閣のいわば附属機関的といいますか、分科会的存在でもあるわけです。そこへ第二条で、総理大臣が科学技術会議に諮問するとなっているわけですから、結局、総理が総理に諮問して、答申するという形になるわけです。
 本来、科学者、技術者の意見がよく反映されるような仕組みをつくって科学技術基本計画を策定するというのが望まれるわけで、そういう点では、内閣だけのいわばお手盛り計画のようになりかねないという、もちろん議員の一人に学術会議会長が入っていることもわかっておりますが、十分くみ尽くされるということを期待するのはなかなか大変じゃないか。
 そこで、科学技術基本計画を策定する過程で、日本学術会議など学術研究団体の意見をよくくみ上げる努力を尽くすということについては、これは立法者の意思として政府に強く期待されるところであろうと思うのですが、この点についても立法者の意思を伺っておきたいと思います。
#75
○尾身議員 科学技術会議は、いわゆる閣僚議員だけではなく、各界からすぐれた有識者が、学識経験議員五人おりますが、議員として任命されておりまして、その議員で構成される本会議の下に政策委員会やあるいは各部会がございまして、そこで産官学の各界から大勢の有識者あるいは学者を専門委員として集めまして、その皆様の意見の集約をして議論を行い、その結果を答申等でまとめるものでございまして、お手盛りという批判は当たっていないものと考えております。科学技術会議におきまして科学技術基本計画の審議を行うに当たりましては、当然今のようなシステムのもとで産学官各界から有識者を集めて、英知を結集してこれを行っていただくという考え方でございます。
 日本学術会議に関しましては、学術会議の議長が科学技術会議の議員となっておりまして、このシステムを通じて、学術会議の意見が十分科学技術会議の審議に反映されるというふうに考えているところでございますし、また、この科学技術会議の中に日本学術会議連絡部会という部会もわざわざ設けておりまして、学術会議の意見も科学技術会議の議論の中に広く反映されるシステムをとっているわけでございまして、いずれにいたしましても、基本計画の策定に当たりましては、広く有識者の意見を聴取し、それを取りまとめて我が国の科学技術の研究開発の基本的方向を定めていただけるものと確信をしております。
#76
○吉井委員 第九条六項とともに、第十条、十二条、十五条関係について次に伺いたいと思いますが、これまで、少ない研究費の中でプロジェクト研究主義に走ると他の研究分野が圧迫されてしまう、一層貧困な研究費となるという根本矛盾がありました。
 そこで、九一年五里二十一日の国立大学協会会長、大学審議会会長、日本学術会議会長、日本学術振興会会長、日本私立大学団体連合会会長らの集まった大学財政懇談会より、「高等教育費充実についての要望」が出され、私も予算委員会や科学技術委員会などで、現場の学者、研究者の皆さんの声を紹介しながら取り上げたことがあります。
 この要望の中で、少なくとも純粋基礎研究が大学の研究の本領であり、それが大学においてしっかりと行われていなければ応用研究の基礎が崩れ、応用を目的とした大学外研究機関の研究成果もゆがんでしまうとして、一般歳出が厳しく抑制される中で、日本の大学は疲弊し始めた、文部省予算の中の物件費が八一年度の一兆六千億円から、九一年度には一兆円にまで下落した、その結果、既存機関の教育研究活動さえ深刻な打撃を受けつつありとした上で、この高等教育に対する公費負担率が、アメリカのGNP一・二%、イギリスの一・二%、旧西独の一・三%に比べて日本は○・七%で半分だ、こういう事態になったのは、八二年以降、画一的に適用されてきた厳しい概算要求基準にある、この制度が十年も続いてきたために国立大学は疲弊し、私立大学は私学助成の実質的削減の結果学費の連続高騰を招いた、まだ今なら取り返しがきくと思いますという切々たる訴えが出されました。
 そこで、立法者の意思は、こうした大学財政懇談会など大学や国公立試験研究機関の財政的裏づけを求めるということについて、その期待にこたえる法律となることを企図してつくられているものと考えてよろしいでしょうか。この点を伺っておきたいと思います。
#77
○尾身議員 私ども科学技術基本法の検討に当たりまして、基礎研究も含めました科学技術研究開発費全般の拡充、特にパブリックセクターからの資金の拡充を図っていきたいというふうに考えているところでございます。そういう状況の中で、今年度の第一次、第二次補正予算におきましても、大学の試験研究施設の充実等大学及び国立試験研究機関関係の研究開発費はかなり重点的に充実されたものと考えております。
 この科学技術基本法は、全体としてパブリックセクターの研究開発投資額がまだ不十分である、この抜本的拡充を図ることにしたいということも大きな目的の一つにしているわけでございまして、この法律の成立を契機といたしまして、政府においても科学技術に関するシーリングの見直しも前向きに進めていただき、従来よりも全般的に見て研究開発投資額の増大を図っていただけるものというふうに期待をしているところでございます。
#78
○吉井委員 最後に、科学技術庁長官に伺っておきたいのですが、大学、国公立試験研究機関などの経常研究費の落ち込みというのは非常に深刻なわけですね。先ほど大学財政懇談会の文書を少し長々と引用いたしましたが、私なんかも見に行きまして、本当に大変です。
 そこで、来年度予算編成に当たっての、この法律が実現されるからには、この法の立法者の意思を体してうんと研究費の増額に当たるという点での大臣の決意を伺って質問を終わりたいと思います。
#79
○浦野国務大臣 宮澤内閣当時、科学技術政策大綱というものが決定されまして、それに基づきまして今日まで国の研究開発投資、予算、こうしたものはそれなりに上昇してきておるわけでございますけれども、先生御指摘のとおり、まだまだ十分ではないという状況でございます。
 私も就任いたしましてから、科技庁の所管する各研究機関等を視察、見学をいたしておりますが、おっしゃるとおり、まだまだ十分ではない。狭い部屋で営々と、こつこつと研究をしておるという状況でございまして、何とかこうした環境というものを、また処遇というものを高めていかなければ、およそ立派な法律ができたとしても成果は上げ得ないと思うわけでございまして、おっしゃるとおり、来年度予算等に向けましても全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
 そうした点では、提案者の諸先生方にも御尽力をいただいておりますし、ぜひ私は、吉井先生、この特別委員会の先生方の応援もいただければありがたいと思っておるところでございます。よろしくお願いします。
#80
○吉井委員 終わります。
#81
○原田(昇)議員 答弁します。今の御質問に関連しまして……
#82
○野呂委員長 ちょっと待ってください。今の関連ね。
#83
○原田(昇)議員 関連しまして御答弁申し上げますと、確かに基礎研究について抜本的にひとつ資金を供給するということが非常に大事ではありますけれども、同時に、研究者の意欲を大いに引き出すということが大事だと思うのですね。それには、研究環境が今までのものでいいのかどうかということも含めて検討していただかなければならない。
 つまり、もっと競争的な条件を導入する必要があるのじゃないかとか、あるいは研究者が自主的に、いろいろな研究を選択可能な形にするとか、あるいは成果に大いにインセンティブを与えるとか、そういうことを、いろいろ制度面での工夫もあわせてやらなければならない、こういうように我々は考えておる次第でございますので、そういう趣旨もぜひ附帯決議に盛り込ませていただきたい、こういうように考えております。よろしくお願いいたします。
#84
○野呂委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#85
○野呂委員長 この際、本案に対し、日本共産党吉井英勝君から修正案が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。吉井英勝君。
    ―――――――――――――
 科学技術基本法案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#86
○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、科学技術基本法案の一部修正案についての趣旨と理由を御説明いたします。
 修正点の第一点は、法律案の目的条項に平和目的を追加し、明記することであります。
 科学技術の振興を図る目的は、科学技術の水準の向上や我が国経済社会の発展だけではありません。私たちが生まれ、生きているこの二十世紀は、我が国と人類にとって科学技術の驚異的な発展をもたらした時代で、科学技術の進歩により、国民の生活は大いに改善、向上しました。しかし、同時に、科学技術の発展によって、二度にわたる世界大戦において人類が経験したことのない大規模な殺りくが行われ、さらに我が国は人類史上初めての原子爆弾の悲惨な洗礼を受けました。
 このような深刻な歴史体験と教訓に立って、戦後五十年の年に当たり、本法案の第一条の目的条項に平和目的を追加し、明記するべきものと考えます。
 修正点の第二点は、政府が科学技術基本計画を策定するに当たっては、日本学術会議やその他の学術研究団体の意見を広く反映できるようにすることであります。
 本法案の第九条第三項では、政府は科学技術基本計画の策定に当たって、「あらかじめ、科学技術会議の議を経なければならない。」と規定しております。
 御承知のとおり、科学技術会議の議長は内閣総理大臣であります。これでは、政府が決める基本計画に初めから内閣総理大臣がまとめた結論が押しつけられる形ともなり、お手盛り計画とのそしりを免れません。
 日本学術会議法は、第二条で日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする。」と定め、その職務は政府から独立して行うことになっています。
 したがって、政府が科学技術基本計画を策定するに当たっては、政府から独立した権限を有する日本学術会議やその他関係学術研究団体の意見を広く聞くべきであります。
 以上の趣旨と理由から、本法案の第九条三項を修正するものであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明を終わります。
 以上です。
#87
○野呂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#88
○野呂委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 科学技術基本法案及びこれに対する吉井英勝君提出の修正案について採決いたします。
 まず、吉井英勝君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#89
○野呂委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします」
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#90
○野呂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#91
○野呂委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、原田昇左右君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。原田昇左右君。
#92
○原田(昇)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党・自由連合、新進党・民主会議、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけを代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    科学技術基本法案に対する附帯決議(案)
  科学技術基本法に基づき科学技術振興に関する施策を展開するに当たっては、政府は、次の点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
 一 科学技術基本計画は、十年程度を見通した五年間の計画とし、科学技術基本計画を策定するに当たっては、当該基本計画に基づき、我が国が科学技術創造立国を目指すため、政府の研究開発投資額の抜本的拡充を図るべく、当該基本計画の中に、例えば講ずべき施策、規模等を含めてきるだけ具体的な記述を行うよう努めること。
 二 独創的、基礎的研究の抜本的強化を図るためには、まず、大学、国立試験研究機関等における研究者の意欲を引き出すことが必要であり、そのため人材、資金、研究開発成果等に係る制度面での改善を行うことによって、柔軟かつ競争的研究環境を整備すること。
 三 我が国の研究開発における民間の果たす役割の重要性にかんがみ、科学技術基本計画に民間の研究開発について必要な事項を定め、その研究開発が促進されるよう所要の施策を抜本的に強化すること。
 四 日本国憲法の理念である平和国家の立場を踏まえ、進んで全世界の科学技術の発展と国際平和に資するよう努めること。
 五 本法の施行により科学技術会議の責務が拡大することから、総合的な科学技術政策の立案とその強力な推進を図るため、科学技術会議の抜本的な充実と活性化を図るよう努めるとともに、科学技術の研究開発を所管する各省庁は、相互に連携を強化し、一致協力して本法の強力な推進を図ること。
以上であります。
 各事項の内容、趣旨につきましては、案文及び委員会の審査を通じ十分御理解いただけることと存じますので、詳細の説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#93
○野呂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 原田昇左右君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#94
○野呂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、浦野国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。浦野国務大臣。
#95
○浦野国務大臣 ただいまの決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、政府として科学技術創造立国を目指し、科学技術振興に関する施策の一層の充実強化に努めてまいる所存でございます。委員各位の今後ともの御支援をお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#96
○野呂委員長 お諮りいたします。
 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
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#98
○野呂委員長 次回は、来る十一月七日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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