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1995/11/21 第134回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第134回国会 外務委員会 第6号
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1995/11/21 第134回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第134回国会 外務委員会 第6号

#1
第134回国会 外務委員会 第6号
平成七年十一月二十一日(火曜日)
    午前十時四分開議
出席委員
  委員長 三原 朝彦君
   理事 小杉  隆君 理事 田中 直紀君
   理事 玉沢徳一郎君 理事 東  祥三君
   理事 松沢 成文君 理事 秋葉 忠利君
   理事 伊藤  茂君 理事 前原 誠司君
      安倍 晋三君    柿澤 弘治君
      岸田 文雄君    斎藤 文昭君
      坂本三十次君    櫻内 義雄君
      鈴木 宗男君    二階堂 進君
      赤羽 一嘉君    岡田 克也君
      鹿野 道彦君   柴野たいぞう君
      高市 早苗君    山田  宏君
      若松 謙維君    松前  仰君
      古堅 実吉君    土肥 隆一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 河野 洋平君
 出席政府委員
        外務大臣官房審
        議官      谷内正太郎君
        外務省総合外交
        政策局国際社会
        協力部長    朝海 和夫君
        外務省アジア局
        長       加藤 良三君
        外務省北米局長 折田 正樹君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   法眼 健作君
        外務省経済局長 原口 幸市君
        外務省経済協力
        局長      畠中  篤君
        外務省条約局長 林   暘君
 委員外の出席者
        内閣官房内閣内
        政審議室内閣審
        議官      徳重 眞光君
        内閣官房内閣内
        政審議室内閣審
        議官      渡辺 芳樹君
        法務省人権擁護
        局人権擁護管理
        官       竹田盛之輔君
        大蔵大臣官房金
        融検査部管理課
        長       森田 好則君
        大蔵省銀行局銀
        行課長     村木 利雄君
        国税庁調査査察
        部調査課国際調
        査管理官    横山 恒美君
        厚生省社会・援
        護局保護課長  西沢 英雄君
        外務委員会調査
        室長      野村 忠清君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月八日
 辞任         補欠選任
  赤羽 一嘉君     久保 哲司君
同日
 辞任         補欠選任
  久保 哲司君     赤羽 一嘉君
同月二十一日
 辞任         補欠選任
  原田昇左右君     岸田 文雄君
  羽田  孜君     山田  宏君
  吉岡 賢治君     土肥 隆一君
同日
 辞任         補欠選任
  岸田 文雄君     原田昇左右君
  山田  宏君     羽田  孜君
  土肥 隆一君     吉岡 賢治君
同日
 理事秋葉忠利君同日理事辞任につき、その補欠
 として伊藤茂君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十一月七日
 フランス・中国の核実験の中止と核実験全面禁
 止条約の締結に関する請願(志位和夫君紹介)
 (第六二三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 連合審査会開会に関する件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国政府とヴィエトナム
 社会主義共和国政府との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第五号)
 サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書
 の締結について承認を求めるの件(条約第六
 号)
 あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条
 約の締結について承認を求めるの件(条約第七
 号)
 あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条
 約に関する件
     ――――◇―――――
#2
○三原委員長 これより会議を開きます。
 理事辞任の件についてお諮りいたします。
 理事秋葉忠利君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次に、理事補欠選任の件についてお諮りをいたします。
 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に伊藤茂君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#5
○三原委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とヴィエトナム社会主義共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書の締結について承認を求めるの件及びあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉沢徳一郎君。
#6
○玉沢委員 本委員会に付託されております三条約の案件の中で、私は人種差別撤廃条約について質問をさせていただきます。
 このたび我が国が本条約を締結をすることは、人権の尊重に対する国際世論の高まる中、我が国の人権重視の基本姿勢を国際社会に示す最も望ましいものである、そういう意味を持っておると思うのでありますが、本条約の締結の意義についてまず外務大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
#7
○河野国務大臣 玉沢委員御指摘のとおり、我が国がこの条約を締結をいたしますことは、人種差別の撤廃に関する我が国の姿勢を内外に示すもの
としてまことに望ましいものだと考えております。また、本条約の締結を契機といたしまして、行政府内のみならず国民の間に、人種差別も含めあらゆる差別を撤廃すべきとの意識が普及することが期待されるわけでございます。さらに、この条約の締結は、国際社会における人権の尊重の一層の普遍化に貢献する、そういう意味からも有意義なものと考えております。
#8
○玉沢委員 人種差別の定義につきまして我が国におきましてはこれまでもさまざまな議論がなされてまいりましたが、そのような中で、本条約の第一条の1で定義しております人種差別とはどのような差別をいうのか、まず御質問をさせていただきます。
#9
○朝海政府委員 この条約は、第一条1におきまして、本条約の対象とする人種差別について、「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するもの」と定義しております。したがいまして、この条約は、社会通念上いわゆる生物学的諸特徴を共有するとされている人々の集団であるところの人種及び社会通念上文化的諸特徴を共有するとされている人々の集団である民族、種族、こうしたことに基づく差別を対象とするものでございまして、例えば、社会的出身に基づく差別はこの条約の対象とされていないと解釈しております。
#10
○玉沢委員 この人種差別撤廃条約の趣旨は、あくまでも、全世界において人権が尊重され、差別のない平等な社会、これを実現をしていくということが一番大事である、こう思うわけでございますが、本条約の第四条の(a)、(b)は、人種的優越または憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動等が法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること等について規定しています。これらの規定について留保を付して条約を締結するとの結論に達した理由についてお伺いをいたしたい。
#11
○朝海政府委員 御指摘のとおり、この条約第四条(a)項及び(b)項では、人種的優越又は憎悪に基づくあらゆる思想の流布、人種差別の扇動等につき処罰立法措置をとることを義務づけておるものでございます。これらは、さまざまな場面におけるさまざまな態様の行為を含む非常に広い概念であることから、そのすべてを刑罰法規をもって規制することについては憲法の保障する集会、結社、表現の自由等を不当に制約することにならないか、あるいは文明評論、政治評論等の正当な言論を不当に萎縮させることにならないかなどについて極めて慎重に検討する必要がございます。また、これらの概念を刑罰法規の構成要件として用いることにつきましては、刑罰の対象となる行為とそうでないものとの境界がはっきりせず、罪刑法定主義に反することにならないかについても極めて慎重に検討をする必要がございます。
 我が国の現行法制上、名誉毀損や侮辱等具体的な法益侵害またはその侵害の危険性のある行為は処罰の対象となっておりますけれども、本条約第四条(a)及び(b)の求める処罰立法義務を不足なく履行することは、ただいま申し上げておりました諸点に照らしまして憲法上の問題を生ずるおそれがあるため、我が国としては、憲法の保障する集会、結社及び表現の自由その他の権利の保障と抵触しない限度において第四条(a)及び(b)に基づく義務を履行するという留保を付することにしたものでございます。
#12
○玉沢委員 法のもとにおける差別のない、平等な社会の実現、我々はともどもにその方向に向かって努力をしていかなければならぬ、このように思っておるのでありますが、本条約の批准に当たりまして、その方向に向かっての外務大臣の決意をお伺いをしたいと思います。
#13
○河野国務大臣 この条約の前文にうたわれております精神を踏まえれば、いかなる差別も行われることがあってはならないというふうに思います。政府としては、日本国憲法が保障する法のもとの平等の原則を十分尊重し、いかなる差別もない社会を実現すべく誠実に努力してまいりたいと考えております。
#14
○玉沢委員 終わります。
#15
○三原委員長 引き続いて、伊藤茂君。
#16
○伊藤(茂)委員 きょうの会議に出されました三条約、いずれも適切であり、また大事な問題である。賛成の立場で二、三質問させていただきたいと思います。
 人種差別撤廃条約に関してでございますけれども、ただいまも大臣の御答弁がございましたが、第一に定義の問題がございます。
 先ほどの答弁は伺いました。と同時に、大臣もおっしゃいましたように、やはりこの条約の批准を契機にして、日本の憲法の立場に沿って、あるいはまた差別なき社会の先進的な役割を我が日本は果たしていくということが、私どもの、特に政治としての重要な役割であろうというふうに思います。
 条約論的あるいは理論的なさまざまな解釈などはいろいろあるでございましょう。ただ、私が申し上げたいのは、部落差別と言われる問題、日本でも長く、また大きな社会問題として議論をされているというのが今日の現実の姿でございます。そういうものがこの条約の対象となるかならないかということについての議論がございまして、いろいろと私も資料を読んでいますと、部落差別がこの条約の対象となるという御見解をお持ちの有力な方々がいらっしゃいます。日本でも法学者あるいは人権運動家もございます。あるいはまた、日本以外でも国際的に著名な方々がそういう見解を表明されております。人種差別撤廃条約委員長を前に務められましたホセ・イングレスさんとか、さまざまなことを読ませていただきました。国際的にも国内的にも、これらにつきましてはさまざまの意見があるということを承知されておりますか。
#17
○朝海政府委員 この条約の対象にいかなる種類の差別が含まれるかについて、幾つかの意見があることは御承知のとおりでございます。私どももそのことを承知しております。また、人権と差別問題に関する与党のプロジェクトチームでいろいろ御議論が行われたこともよく承知しております。
#18
○伊藤(茂)委員 この条約、既にたくさんの国が批准をされているわけでありまして、マルチの条約であります。そういう幅広いマルチの条約の特性でございますけれども、趣旨において、目標において、みんなが賛同してこの条約を批准していこう、そしてまた差別のない社会、世界を目指すという意味では、みんな共通の決意と気持ちに基づいてやっておられるということだと思います。
 そういうマルチの条約の一つの特徴でもございましょうが、一つ一つの文言をどのように解釈をするのか、どういうふうに固めるのかということはなかなか難しい。これはやはりそれらの国々の中でこの条約の精神をどう前向きに生かしていくのかということが大事ではないだろうかというふうにも思うわけでございます。
 そういう意味で申しまして、今の答弁にございましたが、与党の人権と差別問題に関するプロジェクトチーム、いろいろと御努力をなさっておられるわけでございますけれども、この与党の合意の内容も読ませていただきますと、この条約の早期批准を求めるということ、そしてまた、この条約の内答についての経過、精神について大事にしなければならない、さらには、与党の人権プロジェクトといたしまして、この部落差別問題を解消するということについて、幾つかの提言も含めてなさっているわけでありますが、これらを政府としてどのように尊重されるべきだとお考えでしょうか。
#19
○朝海政府委員 与党の人権と差別問題に関するプロジェクトチームにおかれては、いわゆる部落問題の解消に関してさまざまな角度から活発な議論が行われたことを私どもも承知しておりますが、この条約は、いわゆる人種に基づく差別、あるいは民族、種族に基づく差別についての条約で
ございまして、その対象につきましては、先ほど玉沢委員の御質問に対してお答えしたとおりでございます。
 ただ、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、この条約前文に記された精神を踏まえれば、人種差別に限らず、いかなる差別もあってはならないと私どもは考えておるところでございまして、また、いかなる差別もない社会の実現のため政府として努力すべきことは、日本国憲法の法のもとの平等という原則に照らしても当然のことと考えている次第でございます。
#20
○伊藤(茂)委員 大臣に二つお伺いをさせていただきます。
 一つは、先ほど来御答弁をいただきましたが、言葉の定義その他ですね。議論がございます。さまざまの議論が内外にあるのは事実であります。しかし、それをぎりぎりどう詰めるのか、解釈をどう確立をするのかということが基本というよりも、この条約を批准いたしまして、国際的にもいい役割を果たす、国内においてもその前文にうたわれました精神を具体化していくことが大事であろうというふうに思うわけでございまして、そういう意味で、冒頭にさまざまの意見があることを承知しておられますかということを質問を申し上げ、また、それは承知をいたしておりますという趣旨の答弁をいただいたわけでございます。それで、大臣も先ほど来の事務方の答弁と同じであろうと思いますが、その認識。
 それからもう一つは、現在、部落差別とか、国会でも議論をされましたアイヌ問題とかあるいは外国人の権利問題など、現実に差別と指摘をされている実態があるわけであります。この条約批准を機会にいたしまして、より一層その解消と防止に努力をしていく、そして差別のない日本をつくっていく。できれば、アジアにおいて、世界において、さまざまこの条約と違う実態について日本が先導的ないい役割を積極的に果たしていくというのが日本のあるべき姿であろうというふうに思うわけでありまして、国内外含めまして日本が先導的な役割をこの条約の精神で果たしていくということが求められているというふうに思いますが、二つ目に大臣の決意をお伺いしたいと思います。
#21
○河野国務大臣 先ほど来お尋ねに対しまして政府委員が御答弁申し上げましたとおり、この条約の対象にいかなる差別が含まれているかということについては、議員御指摘のとおりさまざまな意見がある、こういうことは承知をいたしております。しかしながら、本条約は人種、皮膚の色などに基づく差別を対象としたものであって、社会的出身に基づく差別は本条約の対象とされていない、こういう解釈でございます。
 もう一点お尋ねがございました。
 この条約は、人種差別を非難するとともに、あらゆる形態の人種差別の撤廃を目的とするものでありますが、本条約の前文にうたわれた精神を踏まえれば、人種差別に限らず、いかなる差別も行われることがあってはならないというふうに考えているわけでございます。政府としては、日本国憲法が保障する法のもとの平等の原則を十分尊重して、いかなる差別もない社会を実現すべく誠実に努力をしてまいりたいと考えております。
 議員御指摘のとおり、国の内外、我々が知る範囲、さまざまな差別があるわけでございまして、それらについて我々は関心を持ち、そうした不当な差別に対して、これが解消されるべく努力をしてまいりたいと思っております。
#22
○伊藤(茂)委員 これは法務省ですか、伺いたいのですが、与党のプロジェクトチームで、人権擁護のあり方、実効ある人権侵害への対応のあり方について、現状では不十分であって、さまざま積極的な検討が必要だという提起をなさっておりますが、これらの関係について、概括の受けとめ方と対応をどうお考えになっておりますか。
#23
○竹田説明員 お答え申し上げます。
 法務省の人権擁護機関はこれまで、国民の間に人権思想の普及高揚を図り、また人権侵犯事件への対応に努めてきたところでございますが、先生御指摘の与党プロジェクト中間意見の指摘につきましては、これを私ども真摯に受けとめ、今後ともさらなる検討を加え、人権擁護委員を含む人権擁護機関の充実強化に努めるとともに、実効ある人権侵害への対応を積極的に行ってまいりたいと思っております。
#24
○伊藤(茂)委員 気持ちはわかりました。具体的なことをいろいろとされているわけでございますから、鋭意努力をお願いをしたいというふうに思います。
 本条約に関係いたしまして、もう一点、内政審議室でしょうか、お伺いいたしますが、「人権教育のための国連十年」につきまして、日本は率先垂範して取り組む必要があるというふうに考えるわけでありますが、文部省その他を含みまして各省庁にまたがってさまざまな措置がとられているというふうにも思うわけでございますし、もうこの十年の期間も一定程度経過をしているということでございますけれども、これらについて重点的な取り組みをどうなさっておられますか。
#25
○徳重説明員 お答え申し上げます。
 御指摘の本年からスタートしております「人権教育のための国連十年」につきましては、人権教育を行っていくことは重要であるという観点から、我が国も国連決議のコンセンサス採択に加わっておりまして、「人権教育のための国連十年」の趣旨に賛成をしているところでございます。政府におきましては、関係省庁の連絡会を開きまして本件についての取り組みについてこれまで協議をしたところでございますけれども、人権教育の重要性にかんがみまして、関係行政機関の緊密な連携と協力が必要であるということで、一体として進めるような推進体制の整備を含めまして、この問題につきまして適切な取り組みを行ってまいりたいというふうに考えております。
#26
○伊藤(茂)委員 一つだけ、これは大臣に、恐縮でございますが、気持ちを伺いたい。
 けさ方の報道を伺いますと、きょうの閣議の前に与党三党首が御相談をされまして、いわゆる沖縄の軍用地についての代行署名と申しましょうか、御相談があったというふうにも伺っております。また、けさ方のNHKなどを聞いておりますと、クリントン大統領来日が残念ながら延期をされましたが、予定されていた日米共同声明の案文には米軍基地の縮小という言葉が入っていないというニュースなどが流されておりました。いずれにしても、これは報道のことでございますから、中身のことは公表されるものでもないだろうし、また延期をされましたクリントン大統領と村山総理との首脳会談がこれからの時代にも意義あるようにぜひしていただきたいということを切望している次第でございます。
 一つだけ伺っておきたいのは、きのう2プラス2の下に、今までの日米合同委員会からいたしましたら強力にしてハイレベルの日米の行動委員会というものが設置をされまして、精力的な活動をぜひお願いしたいというふうに思っているわけであります。一面で、大田知事がお断りになりました軍用地の署名へと進んでまいりますと、言うまでもありませんが地方自治法百五十一条の二項によるさまざまな手続がスタートをするということになるわけでありまして、年内にも幾つかの山場が考えられるということになります。そういう中で、沖縄問題の打開のためのさまざまな問題の方がテンポが遅いということでは非常にまずいと思います。
 さまざまの要望その他、政府も与党も受けとめておりますけれども、中身によりましては、今までやってなかったのがおかしいので、やろうと思えばすぐできる、例えば嘉手納の騒音防止協定などがございます。あそこのコマンダーの方々と私ども与党の代表団でお会いをいたしまして、本土ではどこでもあります、沖縄にはありません、おかしいですね、せめて本土並みにそれらの努力を開始をすべきではないだろうか。米軍の関係の皆さんも、それは検討して日米相談できるようにしたいと思いますと、非常にフランクなお答えをなさっておりましたし、米軍の軍用車の車両ナン
バーなどもそうであります。やろうと思えばすぐできる、そしてまたやらなければならない問題もたくさんあるということでございまして、必要なのは、できることを、また、やらなければならぬことをお互いに日米間で信頼感に基づいてフランクに話をして、やろうという、その実績を次々と早期に上げていくという姿勢が非常に大事ではないだろうか。
 何か、その協議のペースが、数カ月後に一つの中間のまとめをつくる、それは結構だと思います。ただ、実務的に、その他いろいろなことを含みましてやれることをすぐやっていく。できたら年内に政府としてやれるごとをリストアップをして、これだけは年内にやろうではないかと。予想以上にアメリカの方も非常に機敏かつ柔軟に、いわゆる十案件についても年内にという態度をアメリカも表明をいたしておりますが、やはりそれを上回るような、年内にこれだけはやろうというふうな姿勢でもって次々と要望を具体化をしていくという姿勢が非常に大事なのではないかということを感ずるわけでございますけれども、どうお考えでしょうか。
#27
○河野国務大臣 大阪で行われましたゴア副大統領と村山総理との会談におきまして、総理からは沖縄の問題について言及がありまして、基地の整理統合、縮小についてというお話をされました。副大統領の方も非常に率直にそうした問題があることを認識しておられました。新しいそうした問題を検討する機構をつくろうという合意、これはまああらかじめペリー長官と私どもとで合意をしていたことでございますが、確認をされて、直ちにそれがスタートをするということで、昨日、その村山・ゴア会談の翌日、この新しい特別行動委員会とでも言うのでしょうか、をスタートをさせたわけでございます。この特別行動委員会がどういう作業の仕方をしていくかということについてはまだ私にはよくわかりませんが、双方の議論をもう少し詰めなければなりませんが、いずれにせよこの特別行動委員会が一年間で全体として話をまとめる、こういう期間を区切っているわけです。これまで何年も何年もかかっていた問題がございますけれども、一定の期限を切って、一年という期限を切ってここで議論をして結論を導き出す、こういうことでこの会議を始めたわけでございまして、今議員は、一年はともかくとして、まず年内に何ができるかを考えろ、こういうお話でございましたが、年内に何ができるかという話を、この昨日スタートをさせた特別委員会で議論をするのか、あるいはこれはこれまであるジョイントコミッティーのようなところでやるか、これは場所はいろいろだと思いますが、我々としては、お話しのようにやれることはできるだけ早くやるという気持ちで対応したい、臨みたい、こう思っております。
#28
○伊藤(茂)委員 終わります。
#29
○三原委員長 柴野たいぞう君。
#30
○柴野委員 新進党の柴野たいぞうでございます。
 外務大臣、APEC、大変御苦労さまでございました。
 それで、きょうは本会議で、APECの報告を受けて質疑もされるようでございますが、せっかくでございますので、一、二、APECのことにつきましてお伺いしたいと思います。
 まず、昨年のボゴールの採択を受けて、これから実行の時代に入った、こういったことでうたいとげているわけでございますが、実際にその行動指針を熟読をしてみますと、自由化の過程で柔軟性が認められるとか、あるいは原則を適用するよう努めるとか、協調的自主的アプローチという、新造語と申しましょうか、拘束力があるのかないのか、よくわかるようなわからないようなことになっておりまして、これは後々解釈の問題で大問題になるんじゃないかなということを大変心配をしておるわけでございますが、大臣、その辺いかがお思いでしょうか。
#31
○河野国務大臣 APECに参加をしているメンバーは、自由化を進めることがそれぞれのメンバーにとってメリットがある、こう基本的に考えているわけです。そうしたメンバーの方々がどういう自由化へ向かっての歩み方がいいかということについてそれぞれ考えておられるわけで、自由化に向かって進みたくないと思っているメンバーはおられないわけです。ただし、そのメンバーの中でもあらゆる分野について直ちに自由化ができるかといえば、必ずしもそうではない。メンバーの中でも分野として得手の部分もあれば不得手の部分、つまりウイークポイントも持っているわけで、そのセンシティブな分野についてどうするかということについて、みんなそれぞれのメンバーが頭を抱えるところもあるわけです。しかし、基本的には、このAPECのメンバーというものは、みんな自由化を進めることによってそれぞれメリットがあると考えて参加をしているわけですから、そのこと自体はそう心配はないと思うんです。ただし、メンバーの中にも、自分はここまで進むのに向こうの進み方が非常に遅いということでは困るな、できるだけ進んでいくその速度はなるべく一緒にしてほしいなという気持ちがありますから、そこは、自主的に自由化は進めるんだけれども、ガイドラインのようなものはつくって、そのガイドラインに沿って進むということでいきましょうねというような話があって、そこで自主的協調的行動、こういうことになっているわけでございます。
 したがって、ボゴール宣言で、政治的な意図、つまり自由化に向かって、まさに細かい取り決めは一切なくて、政治的に自由化に向かって進もうという宣言がボゴールでなされたのに対して、今度の大阪APECでは、それを分野別に分けて一つ一つの分野についてこういうやり方でいこうという、具体性のある中身を決めることができた、しかし、その中身については、今申し上げたように、自主的なものであり協調的なものだ、それから、共同して行うものというものもまたある、共同して行うものについては全部みんなが共同して行う、それから、協調して、つまりガイドラインに沿って努力をするという部分もある、それで、それらはまた自主的に行う部分もある、こういうことになったわけでございます。
#32
○柴野委員 結果として拘束力のないものであるということを今連綿と言われたと思うんです。協調的、自主的と申しましても、やはり一つの期限を決めて、いつまでにどのようなことをするということを決めないとなかなかこれは進まないんじゃないかなというふうに危惧をいたしますし、また、結果としてこういうふうな行動指針になったということは、議長国である日本のリーダーシップといいますか、まあ村山さんなどはリーダーシップが発揮されたと言っておりますけれども、私などはちょっと懸念をいたしておる次第でございます。
 あと、さまざまAPEC関連はございまして、内政問題とはいえクリントン大統領が来なかった問題とか、あるいは江沢民主席に対して核実験の停止を要請したにもかかわらず明確な返答もいただいてない、その他もろもろあるわけでございますが、それは恐らく本会議でまた質疑になりますし、そのときは総理が御登壇になるので、この辺にいたしておきまして、今かかっております条約の問題につきましてお伺いしたいと思うんです。
 まず、人種差別撤廃条約でございますが、一九六五年に国連が採択したわけでございますが、以来、百四十五カ国が締結しているわけでございますけれども、なぜ我が国がこの三十年、たなざらしといいましょうか、審議の俎上に上らなかったのか、この理由についてちょっと伺いたいと思うんです。
#33
○朝海政府委員 政府としましては、あらゆる形態の人種差別を撤廃するというこの条約の趣旨にかんがみまして、できるだけ早期にこの条約を締結することが重要であると考え、検討を行ってきたところでございます。ただ、この条約第四条に規定します処罰義務と、先ほど答弁申し上げました表現の自由等、憲法の保障する基本的人権との関係をいかに調整するかなどの難しい問題もござ
いまして、長期にわたる検討を要したものでございます。関係省庁との慎重な検討の結果、今般、こうした問題について解決することが可能であるという結論に至りましたので、今国会においてその締結について御承認をいただくべく、この条約を提出した次第でございます。
#34
○柴野委員 本条約は、前文及び第三条に、南アフリカ共和国のアパルトヘイトを憂慮して、非難及び根絶を目指すことが明記されています。条約の主たる目的に南アフリカのアパルトヘイトの根絶があったことは明白でありますし、国連は、一九六二年、アパルトヘイトを非難し経済制裁決議を行い、各国も同調して国際的な経済制裁がとられたわけです。その後、南アフリカの一連の民主化の動きに伴って、一昨年の十月、国連は南アフリカの経済制裁撤廃決議を行い、そして昨年四月には、南アフリカ共和国初の全人種参加による議会選挙でマンデラ議長の率いる旧黒人解放組織のアフリカ民族会議が勝利して、マンデラ議長は大統領に就任し、南アフリカの白人支配は終わったわけであります。そして国連への完全復帰も承認され、また南部アフリカ開発共同体にも加盟し、国際社会への復帰は着々と進んでいるわけであります。
 ところで、ことし七月にマンデラ大統領が国賓として来日した際、我が国は約一億ドルの黒人生活改善事業、これはODAでございますが、これに取り組むことを約束しております。また、昨年六月に発表した総額十三億ドルの対南アフリカ経済支援の実施がおくれているようでありますが、現時点における我が国の対南アフリカ経済支援並びに民間レベルでの経済活動の進捗状況をお伺いしたいと思います。
#35
○法眼政府委員 お答え申し上げます。
 我が国は昨年七月、ただいま先生御指摘のとおり、合計十三億ドルの対南ア支援策を発表いたしました。その内訳は、政府開発援助が三億ドル程度、それから日本輸出入銀行の融資が五億ドル程度、それから貿易保険、海外投資保険枠、これが五億ドルということで、合計十三億ドルの対南ア支援策でございます。
 これにつきましては、そのうち政府開発援助につきましては、本年九月に、南ア政府からこれまで要請のございました給水計画、これはグワンテベレ給水計画というのでございますが、それとか地方社会のインフラ整備計画等、三案件に合計百四十億円の円借款を供与することを決定しております。それから、NGOの支援とか技術協力などが進展しております。それから、輸銀融資につきましては、南ア電力公社それから南部アフリカ開発銀行などに対して合計四百六十億円、ですから五億ドル相当でございますから、そのうちの四百六十億円というとかなりいいところまで来ていると思うのでございますが、等の融資調印を行いました。
 それから、昨年十一月に経団連ミッションが南アを訪問いたしましたのを初めとして、民間レベルの交流も活発化してきております。南アからの輸入も若干ふえております。政府といたしましては、本年四月から南アを特恵関税対象国に認定いたしまして、南アとのそういった形での民間の経済活動の促進に鋭意努めておりまして、今後ともその方向で一生懸命やっていきたいと思っております。
#36
○柴野委員 ところで、その南アフリカでございますが、過去に核兵器の開発をするんだということで宣言をされたこともございますし、また世界でも有数の武器製造国であるわけでございます。責任ある態度で武器輸出をする方針を発表している、こういった国であるわけでございますが、我が国のODAの四原則に照らして、その辺いかがなものかということを、ちょっと大臣にお答えいただければと思います。
#37
○畠中政府委員 南アフリカに対しますODAを供与いたします際の我が国のODA大綱との関係でございますが、ODA大綱の四原則につきましては、昨年の六月、我が国の経済協力調査団が南アに参りまして、そのときにヌゾー外務大臣を表敬いたしました。また、本年一月にはヌゾー外務大臣が訪日いたしました。そして、河野大臣と会談をされたわけでございますが、そういう際に、我が方から、ODA大綱並びに四原則について、その内容と考え方を説明いたしまして、先方から、日本側の考え方はよくわかったということで理解を得ているところでございます。
 武器輸出の点に関しましては、この点につきまして特に我が方の考え方と懸念を表明したわけでございますが、南ア側からは、武器輸出は紛争を助長することのないように極めて限定的に行うという方針の説明を受けておりまして、我が国の対南ア援助政策上基本的に問題はないと考えております。
#38
○柴野委員 今のお答えですけれども、ODAのせっかくの四原則があるのですけれども、核実験の問題ですとか、武器輸出をしているだとか、何となくしり抜けになっているというか、懸念をする次第でございます。
 次のテーマに移らせていただきます。
 ベトナムとの租税協定でございますが、経済のグローバル化とか、非常に国際化が進展しておりまして、国際的な脱税防止や二重課税回避のためにこういった租税協定が作成されているわけであります。我が国は既に四十一カ国とこういった協定を結んでいるわけでございますけれども、今回のこのベトナムとの租税協定の特徴、そういうものがありましたらちょっとお伺いしたいと思います。
#39
○谷内政府委員 ただいま先生から御説明もございましたように、本協定は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してまいりました租税条約と同様に、経済的、人的交流等に伴って発生する国際的な二重課税を可能な限り回避する、それと同時に、二重課税が発生する場合には、これを排除することを目的といたしまして、我が国とベトナムとの間の課税権を調整するものでございます。この協定は、協定全般にわたりまして、いわゆるOECDモデル条約案及び我が国の最近の租税条約の先例に基本的には沿ったものになっております。
 若干具体的な条約の内容に立ち入って、本条約の特色、特徴を申させていただきます。
 第一に、我が国が途上国との間で締結してまいりました租税条約と同様に、いわゆる恒久的施設の範囲を比較的広く設定しております。こういう点を含めまして、相手国、源泉地国においてより広範な課税権を認めている。これは第五条に規定がございます。
 それから第二に、配当の源泉地国における限度税率が一律一〇%となっております。これは第十条に規定がございます。
 それから第三に、最近の我が国の租税条約締結方針に基づきまして、いわゆるぺーパーカンパニーによる協定の乱用の防止について規定しておりまして、これは議定書の四にございます。それから、第二十四条の相互協議あるいは第二十五条の情報交換及び第二十六条の徴収共助等、広範な当局間協力につきまして規定しております。
 今とりあえず三点申し上げましたけれども、そういったものはこの条約の特色になるかというふうに存じます。
#40
○柴野委員 今御説明いただいたように、この協定においても、従来の条約と同様に、第二十五条には情報の交換という規定があるわけであります。実は、先日我が国の国税Gメンが、英国の巨額脱税事件で、スイスの銀行の隠し口座を突きとめた結果、調査官四人がイギリスの内国歳入庁から表彰されるということがあったわけであります。これは、十年以上にわたり所得を隠して、五百億円にも上る巨額脱税事件であったわけでございますが、これは我が国と英国との日英租税条約に基づく情報交換の規定により国税庁の国際業務室を中心に情報収集に取り組んだ結果、こういった成果があったわけであります。
 企業の国際化で海外取引が増大して、税務調査でも国家間の協力が求められる場合が多くなってきていると思いますが、今後我が国としてさらに
国家間の情報交換を積極的に行うとともに、こういった国税Gメンとか人材の育成、こういったものが大きな課題になると思うわけでございますが、この点についていかがでございましょうか。
#41
○横山説明員 我が国経済の国際化に伴う国際取引の増加により、これを利用した脱税、租税回避も認められることから、国税庁といたしましては、こうした事案に対応するため、各国の税務当局との国際的な協力を推進し、租税条約で情報交換規定を有する国との間で相互に資料情報を交換しているところであります。
 租税条約に基づく情報交換は、大別いたしますと、課税上問題があると思われる納税者について特定の情報を交換するもの、配当や報酬、使用料等に関する課税資料を交換するもの、さらには、自国の税務調査等を通じて把握した情報のうち相手国の税務当局にとって有用と思われる情報を交換するものがあり、平成六年中に交換した資料情報の総数は約二十一万件となっております。
 我が国といたしましては、今後とも、相手国税務当局と積極的に協調を図り、こうした方法による情報交換を適正かつ迅速に行い、国際取引等に対する適正な課税の実現に努力してまいりたいと考えております。
 また、人材の育成につきましては、国際取引関係については貿易実務、国際課税等の専門的知識や語学能力が必要とされますことから、税務大学校において国際課税及び語学に関する国際租税セミナー研修や実務に即した各種研修を実施しているほか、各国税局においても調査官の調査経験に応じた研修を実施しているところであります。
 国税庁といたしましては、こうした各種研修を通じて人材の育成に努め、租税条約に基づく情報交換が適正かつ迅速に行われるよう配意しているところであります。
#42
○柴野委員 少しずつそういった体制の整備が図られつつあるようでございますが、非常に頑張っていただきたいと思います。
 さて、この協定のベトナムでございますが、ことし四月、ASEANに加入をいたしました。そのASEANの外相会議に議長国のゲストとして参加いたしましたのがミャンマーでございます。政府は十月三十日、ミャンマー政府とヤンゴンの看護大学拡充計画に無償援助十六億二千五百万円の供与を約束する書簡の交換を行いました。これは、民主化運動指導者のアウン・サン・スー・チーさんが七月に自宅軟禁が解除されたことを受けたものであるとされていますが、一方、九月二十九日に政府が発表した九五年版ODA白書によれば、我が国の昨年度のODAは百三十二億ドル強で、四年連続して世界一となっているわけであります。こういった大変巨額なベースになってきておるわけでございまして、なおさらその背後にある理念や政策目標が明確化されることが求められているわけであります。なお一層情報の開示が重要なポイントだと思います。
 政府のODA大綱の基本理念の第一は人道的考慮であり、さらにODA大綱四原則では、援助対象国の軍備動向、民主化、市場経済、それから人権状況などを考慮に入れ援助を実施する、こういうふうになっているわけであります。
 ところが、ミャンマーにおきましては、最大野党であります国民民主連盟が、NLDと申しますが、新憲法制定国民会議に向けて本格的に活動を開始するためアウン・サン・スー・チーさんの書記長復帰を含め新中央委員会の執行部の人事を決定しましたところ、政府の選挙管理委員会が承認しなかった。驚くべきことに、ミャンマー政府は九一年以降政党幹部の大事にまで介入しているわけでありまして、政党が選挙なり何らかの形で人事を決定しても許可しないという大変な状況にあるわけでございまして、果たしてこれが民主化された状況なのか。そういった国に日本が援助を行うというのはいかがなものかという考えもあるわけでございますが、そのミャンマーの民主化の現状をどう認識されているのか、そして今後どのような支援を行うのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#43
○畠中政府委員 我が国は、ミャンマーにおきましては民主化及び人権状況の改善が必要であるという立場は、今も変わっておりません。しかしながら、伝統的な友好関係を基本といたしまして、対話を通じてミャンマー政府に対してこういった点を粘り強く働きかけていくことといたしております。
 援助につきましては、これまで、ミャンマーの状況にかんがみまして、原則停止してまいりましたけれども、先ほどお話がありましたように、アウン・サン・スー・チー女史の自宅軟禁措置の解除といった同国の事態の進捗にかんがみまして、本年七月、これまでの原則停止といった方針を一部見直しをいたしまして、今後、民主化及び人権状況の改善を見守りつつ、当面は、既往継続案件や民衆に直接役立つ基礎生活分野の案件を中心にケース・バイ・ケースで検討の上実施していくことというふうに、一部今までの方針を改めました。具体的には、先ほどお話がありましたように、無償資金協力による看護大学拡充計画について、先般十月に交換公文を交わしたところでございます。
 先ほどお話のありました、昨年のミャンマーに対します援助の実績の部分でございますけれども、これにつきましては、ミャンマーが過去において円借款で供与を受けたその部分の債務を返済してきた部分につきまして、我が国は、広く国際約束をしておりまして、LLDCから過去の返済を受けた部分については、それを無償で救済をするという措置をLLDC諸国にとっておりますので、その一環としまして、ミャンマーにもそういう一遍返してきたものを同額先方に無償で返したという措置でございまして、新規の経済協力なり援助をした部分ではございません。
 そういうことで、今後とも、ミャンマーの民主化及び人権状況の改善については、話し合いによって粘り強く働きかけてまいりますけれども、その進捗状況を見きわめつつ、徐々にその援助を基礎生活分野を中心に戻していく方針でございます。
#44
○柴野委員 徐々に進捗状況を見ながらというお話でございますが、まさに野党の委員長だとか書記長だとか、そういう人事を一々軍事政権の承認を得なければできない。これは、民主主義の原点と申しましょうか、最も基本的なフレームだと思うわけであります。
 これはもう一度お伺いいたしますけれども、こういったことが九一年以降まかり通っている現状を民主化されていると御認識しているかしていないか、ちょっとお伺いしたいのです。もう一度お願いします。
#45
○加藤(良)政府委員 我が国の政府が、ミャンマーにおける民主化、人権の改善が必要という立場をとっておって、ミャンマーの政府に対して、従来から伝統的な二国間関係を基本として対話を通じて粘り強くこういう面での働きかけを行ってきていることは御承知のとおりでございますが、先般もオン・ジョー外務大臣が日本に参りまして、河野外務大臣、福田外務政務次官から、ミャンマーの民主化及び人権状況の改善の重要性を改めて直接申し入れたというようなこともあるわけでございます。
#46
○柴野委員 とにかく、そういった民主主義の基本的なフレームを、軍事政権が承認しなければ人事も決められない、こんなことのないように、やはり政府としても働きかけをしていただきたい。
 それで、今お答えがあったように、向こうからいろいろな要人がお見えになっておりまして、オン・ジョー外相とかお見えになっておりますので、我が国の対ミャンマー円借款再開問題等が取り上げられておるわけでございますが、我が国といたしましてミャンマーへの円借款を全面再開する意思があるのかどうか。そしてまた、ODAの本格的な再開が、こういった現状を見てみますと、果たして本当に民主化というのですか、貢献できるのかどうか、これは疑問でもあると思うのですが、この二つですね。全面再開する意思があるのかないのか、再開したところが結果的にミャ
ンマーの民主化に功を奏すのか、この二点につきましてお伺いしたいと思います。
#47
○畠中政府委員 円借款につきましてお尋ねでございますので、今後の円借款の扱いについて御説明させていただきます。
 円借款につきましては、かつて過去におきまして一応コミットいたしました案件が七年間中断しておる状況でございますので、そういうものにつきまして、七年間中断しておった間にどういうふうになっているのか、技術的にどう戻していくのかといった問題がございますので、内部でそういったような問題を検討は開始しておりますが、再開自体につきましては、先ほど御説明いたしましたように、今後のミャンマー情勢等を総合的に見守りつつ、その上で改めて判断するということでございまして、現段階で再開ということを決めておるわけではございません。
#48
○柴野委員 本当によくよくその民主化の進捗状況を見きわめながらやっていただきたいと思いますし、本当に野党の人事すら決まらないという、こういった状況をよく踏まえていただきたいと思います。
 それでは次に、サービス貿易一般協定関連の方に移らさしていただきたいと思いますが、WTOの金融サービスについての合意であるこの議定書が発効することによりまして外国金融機関が国内で円滑に業務を開始するための枠組みが提供されるわけでありますし、また、この議定書交渉から離脱したアメリカとの間で、本年一月、日米包括経済協議の金融サービス協議が決着をいたしまして、アメリカの銀行も我が国での開業のための枠組みができ上がったわけであります。今後我が国で開業する外国金融機関がどんどんふえていく、こういった状況が予想できるわけでございますが、そうなりますと、ますます金融機関の検査及び監視のあり方が重要になってくると思うわけでございます。この問題の取り組み方につきまして、監督官庁である、大蔵省でございましょうか、お答えをいただきたいと思います。
#49
○村木説明員 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、米国を含めまして諸外国の金融機関の相互進出が一層活発化する中で、金融機関に対する検査及び監視を適切に行っていくということの重要性がますます高まってきておるというふうに考えておるわけでございます。
 委員御指摘の背景には、あるいは今回の大和銀行の事件が念頭にあるのではないかというふうに考えられますけれども、大蔵省としましては、今回の一連の事件に関連しまして、我が国の銀行の海外拠点に対する監督のあり方などにつきましてさまざまな議論があったことを謙虚に受けとめております。したがいまして、今回の事件を貴重な教訓としまして、相手国の銀行監督に関する対応の仕方などにも十分配慮しつつ、国際化の進展に伴う監督手法の共通化等の観点から、これまでの行政手法について再検討を行っていく必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
 具体的には、大蔵省の中に局長クラスから成ります委員会を発足させたところでございまして、次の四点、一つは外国金融監督当局との一層緊密な情報交換の促進、さらに銀行の内部管理体制等に対する監督の充実、三番目には金融機関における不祥事件の取り扱いの適正化、四番目は海外拠点に対する検査の充実、これらを中心に検討を進めまして、できるだけ早期に、国際化に対応した適切な監督、検査のあり方について成案を得ることにしたいというふうに考えておる次第でございます。
#50
○柴野委員 こういったことをあえてお伺いしたのは、もう御想像のとおりでございまして、大和銀行ニューヨーク支店の大変な不祥事件がございまして、特に我が国の金融機関、経営破綻によりまして非常に信頼性の低下が懸念をされておりますし、特に大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失及び国債不正取引事件によりさらに信頼性が低下したと、こういった状況にあるわけでございます。
 そこで、十年にもわたり延べ十一億ドル、元嘱託行員がこういった事件を起こしたわけでございますね、巨額損失の。こういう不正行為を十年にもわたって行ってきたわけでございまして、大蔵省の検査、監視機能をもってすらこれをチェックできなかったのか。すなわちこれ、検査、監視体制が不備であったのか、それとも検査官の手落ちがあったのか。いずれどういうことだか――今どんどん捜査当局でやっておると思うのですが、現状でわかる範囲で、その実態ですね、どういったところがミスであったのか、どういうところが不備であったのか、お伺いしたいと思います。
#51
○森田説明員 お答えいたします。
 ただいまの件に関しまして、従来から、金融機関に対して厳正な内部事務管理体制の確立といったことによって不祥事件の未然防止に最大限の努力を払う必要がある、そういう旨の通達を発出して注意喚起を行ってきたところでございますが、本件はいわば管理体制の基本が守られていなかったものでありまして、まことに遺憾なことでございます。
 ところで、今御指摘ございました十一年間におきまして、大蔵省の検査は一九八九年二月とそれから一九九四年の五月に実施しております。これら二回の検査におきましては、支店の貸し付けとか、そういう資産内容の健全性とかあるいは業務運営の状況、あるいは管理体制について検査を行ってきておりますけれども、まさに今回の事件は部外取引によって発生したものでございまして、かつ巧妙な隠ぺい工作が行われておりました。こういったことから、かかる内部管理体制の実態自体を十分に把握し得なかったということは反省点でございます。
 なお、その十一年間の間には、大和銀行自身による検査、監査もかなり行われておりますし、米国の金融監督当局による検査も八回行われているところでございます。
 しかしながら、先ほども銀行課長の方からお話ししましたように、今後は今回の大和の一連の事件を踏まえまして、またそれを貴重な教訓といたしまして、大蔵省としましては、大臣官房、それから銀行局、国際金融局の各局長クラスから成ります委員会を発足し、まさにただいま検討しております監督、検査の充実策をできるだけ早期に成案を得ることとしたいと考えているところでございます。
#52
○柴野委員 大蔵省も二回検査をした、あるいは銀行内部でも検査を行ったということでございまして、巧妙な隠ぺい工作云々と言いますけれども、これ十年にわたって大変巨額なお金がなくなっておるわけでございまして、一体その検査体制というものが本当に十分に機能を発揮していたのかどうかとまことに疑問を呈さざるを得ないわけでございまして、その対策を今お立てになって、そういう組織をつくって検討されているということでございますが、ひとつ頑張ってやっていただきたいと思います。
 それで、こういった検査体制というものが問題であったとともに、もう一つ、今、日米間に横たわる大変な問題があるわけでございます。これは、巨額損失事件が起きまして、大蔵省は八月八日に第一報を受けながら、米国金融当局への連絡を九月十八日までおくらせていた、その間に大和銀行は内外の短期金融市場で通常より多額の外貨建ての資金を調達したと言われておりますし、市場関係者からは、銀行の信用度にかかわる重大な事実を伏せたまま調達させたことは詐欺的行為だ、こういった厳しい指摘もあるわけでございます。
 アメリカ連邦議会の下院の銀行金融サービス委員会では、先月十六日、我が国の金融システムに関する公聴会を開催しましたが、ジム・リーチ委員長は、大和銀行巨額損失事件に関連し、米国の金融当局への通告をおくらせた大蔵省を厳しく批判したわけでございます。この事件に対する大蔵省の対応ぶりが日米間の新たな国際問題になっているわけでございまして、外交を所掌される責任者といたしまして、河野外務大臣、この問題につ
いてどのようにお考えか、それから、今後の対応についてもお伺いしたいと思います。
#53
○河野国務大臣 これまでの行政当局の手法というものではなかなか先方も納得しない、またこうした問題が起こるということであれば、我が方にとっても国際的信用を失墜するという大変な損害であるわけでありますから、行政当局としてはこの手法を再検討する、今お話がありましたけれども、再検討することが必要でありましょうし、また、外国の金融監督当局との間に十分な情報交換のシステムあるいは情報交換の促進を行うということが必要なのではないかというふうに考えております。今御答弁もありましたが、こうしたことは既に行っていく方針であるというふうに伺っております。こうした問題については、相手国の考え方にも十分配慮をしながら、一層の意思疎通の円滑化に努めていく必要があると思います。
 いずれにせよ、我が国にとって、こうした問題が今後再び起きないように十分な監督が必要だというふうに私は感じておる次第でございます。
#54
○柴野委員 大蔵省が故意にアメリカの金融機関に知らせるのをおくらせるという、まことにアメリカ人からいってフェアじゃない、本当に彼らからすれば許せないことであるということで、大和銀行は国外退去といいますか、営業できないような大変な事態になったわけでございます。
 ここで、金融機関に対する検査、監視体制の強化のためには単純に検査官をふやせばいいとかいうことではなくて、要するに我が国の体制でございますが、検査、監視体制を根本から改める、例えば政府から独立した第三者機関、そういったところに検査監視業務をゆだねるといった手法も今回の経験を踏まえましていろいろ取りざたされておるわけでございまして、そういった第三者機関を設置したらどうかということにつきまして、外務大臣、もし御所見があれば伺いたいと思うのです。
#55
○河野国務大臣 確かに、今回の問題は、大変大きな問題として国の内外で話題になった、このこと自体大変な、信用問題から考えまして大きな問題だと思います。今回の問題はきちんと解明されなければなりませんけれども、それと同時に、これらが貴重な教訓とでも申しましょうか、教訓としてもう一度いろいろと反省すべき点があるのではないかと私は思います。従来の監督、検査の手法、そういった点についても、もう一度きちんと省みて、直すべきところは直さなければいけないというふうに思います。
 ただ、今議員からお話がありましたような、第三セクターと申しましょうか、新たな機構を設けるということにつきましては、第一義的に、金融行政を所管する大蔵省の問題でございまして、私から意見をこの場で申し上げることはどうかと思いますので差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、こうした問題、二度と起きないように十分な体制を整えなければならぬもの、こう思います。
#56
○柴野委員 今大臣にこういったことをお聞きしましたのは、今、住専問題ですとか、国内でもいろいろな大きな問題が起きておりますけれども、要するに大蔵省の天下りが、皆さん会長だ社長だ頭取だという形で入っておりまして、相手先が先輩だから言えなかったとか、これは監督官の方が言っておりますし、新聞報道にもありますね。現役とOBとのかばい合いといいますか、もたれ合っておるというところが大きな問題になっておると思うわけでございますので、それを指摘したわけでございます。
 こういった天下りの弊害とか、いろいろあるわけでございますけれども、武村大蔵大臣は、こういった天下りを、公務員制度のあり方の問題としてとらえ、今すぐ禁止する考えはないと先月二十六日の衆議院予算委員会で発言しておりますが、河野大臣は、私見で結構でございますので、こういった天下りによる会長だ社長だ、頭取らが全部OBだとか先輩後輩がなっている中で、監督というのですか、監視体制というのはうまくいかないのではないかと私は思うわけでございますが、その辺についての御所見を伺いたいと思います。
#57
○河野国務大臣 大蔵省の方がどのくらい民間の金融機関に再就職をされているのか、私正確には存じませんけれども、いずれにせよ、かなり派手にそうしたことが報道されておりますことは、決していい感じは多くの方は持たれないだろうと思います。
 こうしたことが行政的な判断をゆがめるということになれば、もちろんこれはもう全く論外だと思いますが、そうしたことは決してないだろうと私は信じたいと思っておりますが、そうした問題が、行政をゆがめないまでも、ゆがめているのではないか、そういう天下りを受け取った方が受け取らないよりも何か得をしているのではないか、受け取らないと何かぐあいの悪いことが起きるのではないかというふうな話があちこちに起こるというようなことは、決して好ましいことではないと思います。
 もちろん、大蔵当局はそうしたことを十分お考えになって御判断をなさると思いますが、いずれにせよ、行政がゆがめられることがないということはもう当然のことでございまして、こうしたことははっきりさせなければならないと思いますし、さらに、全体的な判断から、こうしたことももう少し考えられることがいいのではないかという意見、議員からの意見について、私は、そうした御意見はよくある御意見で、私も耳を傾けたいと存じます。
#58
○柴野委員 時間が来ましたので終わります。
#59
○三原委員長 山田宏君。
#60
○山田(宏)委員 新進党の山田宏でございます。
 今回かかっております条約、とりわけ人種差別撤廃条約についで最初に何点がお聞きをしておきたいと思います。
 今柴野委員の方から最初に御質問させていただきましたけれども、なぜ三十年間もこの条約の締結がおくれたのかということに対しての答弁は、この条約にある処罰義務と、それから表現の自由との大変難しい関係に長期間検討する時間が必要だった、こういうお話のように御答弁を聞きましたけれども、これは三十年間もかかっておるわけですから、なぜ三十年間も検討していたのか。実際のところ、去年、問題になっております条約の第四条というところが、アメリカが締結をする際に留保を行うことができたということがあったから今回締結の運びになったのではないか、こう思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
#61
○朝海政府委員 この条約の第四条の処罰規定が憲法の表現の自由、結社の自由などとの関係で大変難しい法律的な問題であったことはさきに御答弁申し上げたとおりでございまして、複雑であり、憲法であるだけに十分慎重に吟味する必要がございましたために相当年月がだったことは事実でございます。
 他方、同時にこの条約は相当多数の国が既に締結してございます。あるいは、この条約の趣旨として人種的な差別を撤廃するということは甚だもっともなことでございまして、そういった条約のねらい、既に多数の国がこの条約を締結しているという事実、それに加えまして、委員御指摘の、例えばアメリカにおいて第四条を留保しているということなども検討の中に入れまして、今回この条約を締結するべく国会の承認を求めることにした次第でございます。
#62
○山田(宏)委員 ポイントはやはりこの第四条の留保ができたんだということだと思います。それで、なぜアメリカにできて日本にできなかったのか、アメリカがやれたのを見て、日本がそれに、そういう例もあるのか、そういうことができるのか、こう気づいて今回締結の運びになった、こう思うのですけれども、それは違いますか。
 この問題は、やはり三十年間も検討していたのはどう見ても普通じゃない。この難しい条文があったからだったわけですけれども、問題は日本がそこに気づかなかったのか、またはやろうとしたけれどもなかなかできなかったのか、できなかったのなら、なぜアメリカができて日本ができ
なかったのか、こういうところの検討はありましたでしょうか。
#63
○河野国務大臣 本条約を国会に御審議をいただくまでにいろいろな経過がございました。長い経過があったわけでございますが、今回村山総理の非常に強い御指示がございまして、与党三党の御議論、これも非常にさまざまな角度からの御議論がございましたけれども、最終的に与党三党の御議論がまとまりまして、政府といたしましてもそうした議論を踏まえて今回の国会提出の運びとなったわけでございます。
 今議員がお尋ねのような、外国がどうしたからということではなくて、我が国国内の議論が収れんをしたということでございます。
#64
○山田(宏)委員 この問題は長々とやれませんので……。
 外務大臣、我が国は単一民族国家ではありませんよね。
#65
○朝海政府委員 我が国は、人権規約に言うところのマイノリティーであるところのウタリの方々も存在する国であると承知しております。
#66
○山田(宏)委員 我が国は単一民族国家ではない。その中で、今お話しございましたようにアイヌの方々に対しての法律、明治三十二年制定の北海道旧土人保護法というものがございます。これは、いまだにその法律が存在しているわけです。これまで長い間、ウタリ協会等からこういう法律の廃止を要求されてきたところでありますけれども、これが明治三十二年以来百年近く、ずっといまだに続いているということは、一体どういう理由にその存在価値があるのか、または今後この法律について廃止をしていく意向があるのかないのか、お聞きをしておきたいと思います。
#67
○西沢説明員 北海道旧土人保護法につきましては、今お話のありましたように、明治三十二年に、土地の無償下付によりまして農耕を奨励するなど、ウタリの人々の生活の安定を図る目的として制定されたものでございます。
 その後、生活保護法の制定等いろいろな施策の充実によりまして、生活とか医療援助等の福祉的措置に係る部分は削除されましたし、また土地の下付につきましても、昭和十年代以降全く実施されていない状況でございます。したがいまして、現在におきましては、下付された土地の譲渡に係る北海道知事の許可、それから第十条によります共有財産の北海道知事による管理の規定以外は実効性を失っているものと考えております。
 この二つの規定につきましても、土地の譲渡許可につきましては、近年不許可の事例は全くございませんし、また共有財産も、現金百四十四万円のみであるといった状況から、今日におきましてはその存在意義を失っているものというふうに考えている次第でございます。
#68
○山田(宏)委員 この法律はもう存在意義を失っている、こういう御答弁がございました。ウタリ協会などからは、この法律にかわっていわゆるアイヌ新法を制定してほしいという声がございますけれども、政府内でも、官房長官のもとにこのアイヌ新法についてのいろいろな検討をする会議が設けられておりますが、現在その検討状況が一体どういった状況になっているのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
#69
○渡辺説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の点でございますが、ことしの春から、官房長官のもとでウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会というものを開催してきております。現在、七人の有識者の方に御論議をいただいておるところでございますが、これまで五回の会合を経て、また北海道の現地にも視察をつい最近行うなど、活発に御議論をいただいておるところでございます。本懇談会では、約一年をかけて、法制度のあり方を含めた今後のウタリ対策のあり方について御検討をいただくということとしておりまして、御指摘のアイヌ新法の問題につきましては、本懇談会の結論を踏まえて政府として適切に対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#70
○山田(宏)委員 それでは、せっかく外務大臣がおいででございますので、何点か昨今の外交問題について御所見をお伺いしたいと存じます。
 APEC、大変御苦労さまでございました。先ほどもお話がございましたけれども、沖縄の基地にかかわる首相の代理署名の決意を三党で合意した、こういう報道がございましたけれども、このことについて外務大臣としての御所見をまずお伺いをしておきたいと思います。
#71
○河野国務大臣 我が国が米国との間に日米安保条約を結んでおります以上、我が国としては、その目的達成のために我が国が果たすべき役割、義務と申しますか、そうしたものが決められているわけでございまして、すなわち、米軍が使用する区域、施設等について提供をするという取り決めがございます。その取り決めに基づきまして我が国としては施設、区域を提供しなければならないことになっておるわけでございますが、御承知のとおり、沖縄県におきまして在日米軍の施設の七五%が一つの県に集中しているという大変高い集中度、及びこの沖縄県にございます米軍施設が沖縄県民の日常生活にもさまざまな影響をもたらすという県知事初め沖縄県民からのアピール、そうしたことを踏まえまして、いろいろとこの問題については深刻に考えなければならない状況が生じております。
 すなわち、沖縄県知事はこうした状況にかんがみて、地方委任事務として、知事としての押印を今回はしないということを言っておられまして、村山総理としては、知事との間に大変長時間の会談を持たれて沖縄県知事のお考えを十分聞かれ、また、総理としてのお考えも固められたようでございます。
 その後、総理は、クリントン大統領の訪日を機にこうした問題についても十分お話し合いをしたいと考えておられたようですが、米国内の事情によりまして大統領の訪日は延期せられました。そして大統領のかわりにゴア副大統領がおいでになりまして、村山・ゴア会談というものが持たれたわけでございます。この村山・ゴア会談におきましても沖縄の問題についてのお話がございまして、日米双方でこの沖縄にございます基地の整理統合、縮小等について議論をする場をつくろうということで、沖縄におきます基地問題についての特別行動委員会などもっくられたわけでございます。
 総理としては、でき得る限りの努力をされた結果、その日程の問題もこれあり、本日の閣議におきまして、知事がこの代理委任事務をしないということである以上は自分がやらなければならないということを決断をして、その決断した旨御報告があったわけでございます。
#72
○山田(宏)委員 大変苦渋の選択だったと思いますが、大田知事は強く反発をしているようにお見受けいたしますけれども、今後どう対応されていくか、今お話しございましたが、短くお話を伺っておきたいと思います。
#73
○河野国務大臣 私どもといたしましては、日米間でも十分話し合って、この安保条約の目的と調和をさせるということのために最大の努力をしなければならないものと考えております。私としても、微力を尽くしたいと思います。
#74
○山田(宏)委員 先日、我が新進党でも沖縄の方にお伺いをさせていただき、いろいろとお話を伺ってまいりました。
 今問題になっております例えば三事案についても、那覇軍港を移設する、また読谷補助飛行場を移す、県道を越えての射撃訓練場の問題もございますけれども、それぞれ大変難しい、こう思います。那覇軍港にしても、浦添市は市を挙げて大反対でございますし、また、移転予定地は、まだ埋め立ての許可もおりていないような地域の地先を使ってそこに移すんだという、いつ移されるのか、移すことも決められるのかどうかということすらめどが立たないのではないか、こういう認識を持っておりますし、読谷補助飛行場についても、読谷の方はもちろん計画を持っておられますけれども、移される方の自治体の方は反対運動が起きている、こういった状況で大変難しい。また、
この射撃訓練場の問題についても、本土内に移すという話がありますけれども、地域では反対運動が起きているということで、これはいつ可能なのかということはなかなかやっかいなことだと思っておりますが、本当にこれはめどが立つのでしょうか、どうでしょうか。
#75
○折田政府委員 今先生御指摘のいわゆる三事案でございますが、この三事案というのは、ことしの一月、村山総理が訪米したときに、クリントン大統領との間の話し合いの中から取り上げられた非常に重要な案件でございまして、防衛施設庁を中心に、地元の方々の御理解も得ながら、早期に解決すべく全力を尽くしているというふうに承知しておりますが、今先生がおっしゃられたように、いろいろ難しい問題があるというのも我々は承知しておりますけれども、政府としては誠意を持って対応していきたいと考えておるところでございます。
#76
○山田(宏)委員 それから、報道によりますと、クリントン大統領がおいでになったときの共同宣言の中には基地の縮小という文字はないんだ、こういう報道でございましたけれども、外務大臣、これはやはり縮小も含めて考えるということが今の政府の対応だ、こう認識してよろしゅうございますか。
#77
○河野国務大臣 首脳会談の際に発出される文章は外に出ておりません。縮小という文字が入っていないなどということを、何をもってマスコミが言ったのか、私にはよくわかりませんが、一昨日の村山・ゴア会談においても、総理からは沖縄基地の整理統合、縮小という言葉を明示的に使っておられますし、昨日発足をいたしました日米の特別行動委員会の冒頭で、私は、この委員会の目的の一つは沖縄の基地の整理統合、縮小について議論をすることが目的であるということをはっきり申し上げた次第でございます。
#78
○折田政府委員 今大臣の申されたとおりですが、一点だけ補足させていただきますと、きのう、沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会というのを発足させたわけですが、その検討事項として、日米間で整理統合、縮小を実効的に進めるための方策について真剣かつ精力的に検討を行うということを日米間で合意しているわけでございますのですので、縮小という言葉が日米間で、これでもう合意されているということだけ申し上げさせていただきます。
#79
○山田(宏)委員 結構でございます。
 縮小といっても、在日米軍約四万七千人という現兵力、これは動かさないのだ、こういうことで日米間で一致をしているということのようでございますけれども、その四万七千人の根拠というものについて、例えばナイ国防次官補は、これは主に北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の現存する軍事的脅威に対応するためというものを第一に挙げておりますし、また、最近出されました月刊誌のモンデール大使のインタビューの中にも、四万七千人の在日米軍の数字の根拠というのはこれはもう日本側と協議をしている、何もないところから出した数字ではない、この四万七千人は根拠ある数字で、そのうちのかなりの部分が沖縄にいなければならない、朝鮮半島で何か起きたときに二、三日しか猶予がないでしょう、こういった記事も掲載されておりますが、この認識は外務省も一致をされておられますか。
#80
○河野国務大臣 日米安保条約の必要性を論じますときに、我が国周辺にいまだに不確実あるいは不透明な地域、あるいは部分があるということについては日米双方の認識は一致いたしております。
#81
○山田(宏)委員 要するに大事なのは、北朝鮮の現在への対応という状況があって四万七千人という数字がある程度出ているんだという、要するに朝鮮半島が今の我々の主なる脅威なんだ、こう外務省は認識しておられますか。具体的にお答えいただきたいと思います。
#82
○河野国務大臣 ただいま申し上げましたように、我が国は、我が国周辺に不確実、不透明な部分があるということを言っているわけで、明示的にどこということを指して申し上げたことはございません。
#83
○山田(宏)委員 これは数字ですから、やはり四万七千人の根拠というものは、日米間で合意しているならばきちっと私は示していただきたい。不安定な要素だったら、じゃ六万人でもいいのか、七万人でもいいのか、三万人ではいけないのか、二万人じゃだめなのか、その辺が議論できなくなってしまうじゃないかと私は思うのです。私個人は、朝鮮半島に脅威がある限りはやはり日本が対応していかなければいかぬ、こう思っておりますけれども、この辺の外務省の認識が周辺に不安定な要素があるということで、やはり大事な沖縄の基地の縮小問題まで議論するときに、そういう抽象的な御答弁ではなかなか議論が前に進まないのではないかと思いますので、きちっとした御認識をお聞きをしておきたいと存じます。
#84
○折田政府委員 この四万七千人という数字でございますけれども、冷戦が終わったころの数字は五万二千人程度だったと思います。それを米側が五千人下げてきたわけでございますが、それを今度はボトムアップレビューというのをアメリカ側がいたしまして、そこでアジアの状況を考えて、アメリカ側が安保条約の目的の達成のためには、日本を防衛すること、それから極東の平和と安定ということを考えて、彼らが、アメリカ側が義務を達成するためにはこれだけの人数が必要である、もうこれ以上は下げられないとして判断した数字が四万七千人ということだろうと思います。
 そして、我が国を守る義務を負っているアメリカがその義務の履行としてこの数字が必要であるということについては、私どもはそういうアメリカの判断を尊重しなければいけないというふうに考えている次第でございます。
#85
○山田(宏)委員 モンデール大使はこの数字の根拠は日本側ともよく協議をしているというインタビューの記事でございます。直接お伺いしたわけではございませんから、なかなか正確にはお互いよくわからないかもしれませんけれども。この議論をしておかないといけないのではないかな、こう私は思うのですが、アメリカ側がそういうふうに言ったから我々も理解した、こういう認識で外務省はおられるということですね、今の御答弁は。つまり、外務省もよく協議をした上でいろいろなことを考えて、我が国としても、そうだな、この四万七千人というのは適切な数字だ、こう認識をされたのか、ちょっとその辺だけ今のところはっきりしておきたい、こう思っておりますので、もう一度お願いいたしたい。
#86
○河野国務大臣 四万七千人という数字は、今答弁申し上げましたけれども、アメリカが日米安保条約によって我が国の安全を確保するために重要な数字であるということをアメリカ側の判断として言われているわけでありまして、もちろんこの問題について我が方としても十分な議論、検討が加えられているというふうに私は承知をいたしております。私は、さまざまな議論の中ではいろいろな角度から検討が加えられたということであろうと思いますけれども、こうした場でどこの国が我が国の脅威であるというようなことを明示的に言うことが我が国の平和とか安全を維持する上で適当であるかどうかということもまた私としては考えなければならぬというふうに思っているわけでございます。
 我が国としては、朝鮮半島については平和的統一がなされることが望ましいということを申し述べているわけでございまして、ぜひともこの朝鮮半島の平和というものが維持されてほしい、こう思っているということを申し上げておきます。
#87
○山田(宏)委員 でもやはり、もうそろそろそういう議論もしておかないと、脅威という言葉がいいのかは別にしても、アメリカの公聴会なんかは非常にオープンにそういう問題について議論をしている。日本の場合は何となく陰に隠れてしまっている。そのしわ寄せのほとんどが、負担が沖縄県にかかっている。こういう状況、現実。今、問題に取り組むときに、やはりこの問題はきちっと今後の議論でもしておかなければいけない、こう
思っております。
 この朝鮮半島の問題について何点か今回のAPECで問題になりましたので、御報告なりお話を伺っておきたいと思います。
 十一月十五日の日韓外相会談の中で、孔魯明長官から朝鮮半島分断の責任論について河野外務大臣の考えをただした、こういう報告書を外務省の方からペーパーでいただいておりますけれども、これはどういうお話がこの中であったのか、お話をお聞きしておきたいと思います。
#88
○河野国務大臣 十五日に行われた日韓外相会談におきまして、私より対北朝鮮政策について説明をいたしましたのに対し、孔魯明外務部長官より朝鮮半島分断の責任論について伺いたいという御質問がございました。私からは、我が国としては南北対話の進展によって朝鮮半島における緊張緩和が実現し、ひいては朝鮮半島の平和的統一が一日も早く実現することを念願しており、現在の朝鮮半島の分断状況が解消するようその環境づくりにでき得る限りの貢献をする考えであるということを申し上げた次第でございます。
#89
○山田(宏)委員 これも非常に難しい問題で、今外務大臣のお話で、その質問に対してのお答えとしては一つの見識あるお答えだ、こう思いますが、日韓外相会談でこの問題をわざわざ向こうの外務大臣というのですか、長官が持ち出されたということは、一体どういうお考えがあるのだろうか、こう思うわけです。要するに分断の責任は一体どこにあるのかということ。今外務大臣のお話は、今後分断状況が解消されるように、平和的統一ができるようにこれからも我が国として努力していきたいというお考えで、今後のお話なわけですけれども、この問題も、過去の一つの責任論についてお隣の外務大臣が言及されたということでありますけれども、これはどういうような趣旨だったのか、もしお答えがいただければお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
#90
○加藤(良)政府委員 今般のAPECの際における日韓の首脳会談、外相会談が行われる前に、既に韓国側においていわゆる条約の有効無効の問題でございますとか、それから北朝鮮外交の問題でありますとか、南北分断の責任の問題でありますとか、こういうものが問題として取り上げられていた、それが日韓関係に影響を与えていたという状況があったことは御承知のとおりでございまして、今度の日韓外相会談の機会にその問題についても孔長官から提起があったということでございます。それに対して大臣が先ほど述べられたような応答がなされたということでございます。
 なお、この問題につきましては、十八日、日韓首脳会談が行われたわけでございますけれども、その首脳会談において取り上げられるということはなかったわけでございます。
#91
○山田(宏)委員 この日韓首脳会談、十八日に行われた中で、日本の北朝鮮に対する米支援に対して金泳三大統領の方から、北朝鮮の分断作戦に乗せられないように警戒が必要だと、わざわざこういう表明があったわけですけれども、そもそもこの米支援ですけれども、私は非常に当初から不明確、不明瞭、そして全くすっきりしない、こういう感じを抱いてまいりました。この点については、外務省、国交のない国ですから当然いろいろな各党間のあれがあるのでしょうけれども、いろいろな報道機関にも出ているように、この米支援についてはやはりどう見ても少し不明瞭ではないか、こう思っております。
 この際、日韓首脳会談でもこの問題が話題になりましたので、何点かお話を伺っておきたい、こう思っておりますけれども、ことしの五月末から米支援の問題が与党三党を中心に、軸に進められております。六月三十日の外務省からいただいた「外務大臣談話」というペーパーに沿って何点かお聞きをしておきたいのですが、「北朝鮮へのコメ支援に関する外務大臣談話 平成七年六月三十日 外務省」この中で第一に、「異常気象等により相当深刻な食糧難に陥っている北朝鮮の側からの要請を受けて、我が国としてはここうこうこういうことを決定した、こういうことですが、「異常気象等により相当深刻な食糧難に陥っている」、こう判断した根拠、この当時の根拠というのを明確に示していただきたいと思います。
#92
○加藤(良)政府委員 今御指摘がございましたように、六月の段階で支援を決定いたします際に、種々の情報というものを総合的に判断して、深刻な食糧不足があるということについて一定の認識を有していた。その認識というのは、今御指摘にございましたように、北朝鮮において異常気象があったということ、それから病虫でございますが、イネミズゾウムシでございますか、その病虫の発生なんかによって農業生産に大きな被害があって、おおむね二百万トン程度の穀物が不足している状況にある、どうもそういうことであるらしいということが判断されたということだと思います。
#93
○山田(宏)委員 それは明確な調査の数字があったわけですか。その後、九月に国連関連機関の北朝鮮の水害に対しての被害の調査団が出て、そこで幾らか明らかになった。それは後日談です。しかし、その六月三十日のときには二百万トンといった数字が一体どこから出てきているのか。
#94
○加藤(良)政府委員 二百万トンという数字は、北朝鮮側との接触などを通じていろいろ得られた情報を総合的に判断してそういう不足が生じているということで、その時点においてそういう認識が我が方としても得られたということでございます。その後、御指摘になられましたように、今度は洪水が七、八月にかけて発生いたしまして、十月三日ですか、北朝鮮側との間で追加支援の問題について確認するという経緯があったわけでございますけれども、その際に政府として、夏の豪雨で発生した洪水の被害に関連して、今委員が言及されました国連人道問題局の書記官が北朝鮮側から聴取した食糧需給、これに関する詳細な報告があり、それから北朝鮮側との協議において北朝鮮側から我が方に対して行った説明、これに基づいて食糧不足をまた判断した、こういう経過でございます。
#95
○山田(宏)委員 その六月三十日のときに判断した根拠というものを出せますか。なぜこんなことを言うか、後でだんだんお話を申し上げていきたいと思いますが、今回我が国が行った北朝鮮に対する米援助のあれは五十万トンでございます。そのうち十五万トンが無償、残りが有償というか借款というか、そういう形で我が国が外国から買った米を北朝鮮に支援をしたわけですが、買った価格で算出しますと大体三百四十七億円、この分を北朝鮮に有償、無償で譲った、こういう決断を六月三十日に下したわけです。その根拠が、今いろんなことをお話しされましたけれども、国民の中に明示ができますか。
 また、ここの重要な観点は人道的観点ということを何度も何度も我々聞きましたけれども、人道的というものは、もう世界じゅういろんな問題が起きているわけですが、人道的とこのときに判断した人道的の根拠、これをきちっと示してもらわないと、感情的に、印象論で人道的というもので、これだけの三百四十七億円の援助をするということは認められない。この人道的の根拠というものをきちっと文字に書けますか。
#96
○加藤(良)政府委員 二百万トンの不足、これが六月の段階でそういう判断がなされたということについては、その時点までにおけるいろいろな情報、やりとりから、積み上げられたものから判断されたものであるということだろうと思いますが、DHAの報告、国連人道問題局の報告によりましても、洪水発生前の時点における北朝鮮の穀物不足見込みが約二百万トンということになっておりまして、これは今申し上げた、六月の時点で我が方が認識していた数字を後から裏づける結果になっているということもあろうと思います。
 なお、人道的ということでございますけれども、その点につきましては、今申し上げましたような異常気象とか病虫の発生などにより農業生産に大きな被害が生じているということでございまして、この観点から人道的な援助ということを行うべきときであるというふうに判断されたという
ことだと思います。
 なお、この件につきましてはある時点で、出版物において、これが人道的な緊急な援助であるということと相入れないような記事というものが出て、若干物議を醸したというような経緯もございますけれども、その後、与党の側において北朝鮮側と接触を行いました結果、北朝鮮側の方から、これは緊急人道的な支援であるということで、それを日本に謝意を表するという趣旨の確認が得られたということもありまして第二次供与にこれが結びついたという経過でございます。
#97
○山田(宏)委員 全容淳書記が二度書簡を出して、それによって向こうも人道的と言い直しているということをもって人道的と認めるわけにはいかない。ここの外務省の資料「北朝鮮へのコメ支援について」によりますと、日本赤十字社から北朝鮮に援助した十五万トンの米、この配分状況に関する資料を日本の国に提出するようになっておりますけれども、十五万トンの配分状況の資料が提出されておりますか。
#98
○加藤(良)政府委員 まず、人道的な支援ということとの関連で若干申し上げたいと思いますけれども、これまでに約三十万トンのうちの、最初の三十万トンのうちの二十八万トンの米が北朝鮮に到着しておりまして、それらの米は各道に広く配給されて、民生用に適正に使用されているという説明を受けているわけでございます。
 その内容を道別に申し上げることもできるわけでございますけれども、追加支援の協議の際には、米の配給状況につきまして、有償分と無償分を分けて説明を受けてはおりませんけれども、無償供与された十五万トンの米について、御承知のとおり、日本赤十字社と朝鮮赤十字会の間の文書で、北朝鮮における民生用消費のため供与され、朝鮮赤十字会は、有の十五万トンの受領、配分の後で、日本赤十字社に対してその配分状況に関する資料を提出するということは決まっております。その資料自体はまだ提出されておりません。
#99
○山田(宏)委員 その配分状況について、資料の提出を求めていただきたい、または促進をしていただきたい、こう思います。
 また、新聞等によりますと、与党の一部がさらに三次支援に向けて動いているかのような報道もございましたけれども、三次支援をするという可能性は全くないというふうに認識してよろしゅうございますか、もう在庫がないわけですから。
#100
○加藤(良)政府委員 何回か国会でも答弁をさせていただいておりますけれども、今回の三十万トンと二十万トン、第一次、第二次合計五十万トンの米の供与は、在庫余剰米の範囲内において緊急人道的見地からとられた特殊、例外的な措置であるということがあるわけでございます。
 そしてまた、今回の日韓首脳会談、日韓外相会談を通じましても、北朝鮮に対する経済協力というものは、これは国交正常化が前提となる。国交回復というのがない限り、そういう経済協力はいたしませんということが確認されているわけでございます。
 絶対に、いかなる意味においても米の供与がないのかということになりますと、これはもう何か仮定の質問でございまして、それに対してお答えすることは適当だとは思いませんけれども、現在いずれの状況にいたしましても、在庫余剰米というものの存在がない、それから相手から要求がないということでございますので、そのような供与は想定されていないというのが現状だろうと思います。
#101
○山田(宏)委員 日本政府が対応した北朝鮮側の窓口というのは、朝鮮アジア太平洋平和委員会という組織でございますが、この組織は政府機関ですか。ここでも質問あったかもしれません。
#102
○加藤(良)政府委員 政府機関ではございません。
#103
○山田(宏)委員 この団体の副委員長をやられている方のお話は、これは雑誌の記事ですが、アジア太平洋平和委員会は、日本、アメリカ、カナダなど、国交のない国と交渉するためにつくられた新しい団体で、いわゆるNGOと思って結構である。NGO、非政府機関。日本政府は、この突然つくられた団体、非政府機関である、いわゆるNGOと交渉しているわけですか。
#104
○加藤(良)政府委員 NGOという言葉を使うのがいいかどうかあれでございますので、とにかく非政府機関であるということは申し上げたいと思いますけれども。
 御指摘にございました李成禄さん、この方は国貿促の座長、委員会の委員長をやっておられると同時に、政務院、すなわち政府の対外経済委員会の委員という肩書を持っているという人でございます。それと同じように、アジア太平洋平和委員会という組織についても、委員長は全容淳さんでございまして、この全容淳さんが労働党の書記の立場にある方でもあるということでございます。そういう意味で、法令上のものではございませんけれども、片方は政府、片方は党というふうに、何らかの系列的につながっているということはあろうかと思います。
 ただ、日本が、まさにそのような機関というものの代表者と交渉をするのは、国交がないということがこれをそのようにしからしめているというところがあるわけでございまして、こういう機関は、そういう国交のない国との間の交渉を行うためにむしろ設置されたものであるということではなかろうかと思います。
#105
○山田(宏)委員 国交がないから、相手側は非政府機関で、我が国は政府機関が当たるというのは何としてもおかしいではないかな、こう思います。
 もうそろそろ質問時間がなくなりましたので、この米支援については確かに、政府の意図はこういうものを通じて北朝鮮の門戸をあけて国際社会に何とか軟着陸させよう、こういう意図でやられていることだとは存じております。しかし、北朝鮮のこの間のコロンビアでの日本に対するオブザーバー参加の問題での対応とか、いまだに日本に対してのいろいろな非難を繰り返している言動とかそういうものを見ている限り、本当にこの北朝鮮が、我々がお人よしのように思ってやっているわけじゃありませんけれども、この米支援で、米だけとられてということになりかねないのじゃないかとみんな危惧を持っている意見は随分ありますよ。
 そして、このスタートラインからいって、与党の幹部があっち行ったりこっち行ったりしながら、私信みたいな形で書簡を往復させてスタートさせた米支援でありまして、十二分に外務省としてはかかわったわけですから、米の使途、それから現在の朝鮮の状況、やはりその点についてぜひ厳しく見ていただきたい、こう考えております。
 そういうものが背景にあって、もちろん在日米軍は、朝鮮半島が平和的に統一されればその兵力は削減されていくと思います。そういう点で初めて大きな縮小というものができ上がってくるだろうと思いますけれども、しかし、それに焦るばっかりに、やはり北朝鮮という国に対してはもう、釈迦に説法で大変申しわけございませんけれども、どう見ても、政府・与党の一部の人たちに引っ張られているのじゃないか、こういう印象を受けますので、ひとつ外務省として、毅然たる態度で臨んでいただきたい、こう思います。
#106
○河野国務大臣 繰り返し御答弁申し上げておりますが、議員ももう十分御理解をいただいておるところでございますが、北朝鮮と国交がないということになりますと、議員外交とでもいうべきそういうやり方、あるいは政党が窓口となって話し合うということは、日中の国交正常化以前などにもあったことでございまして、そのことは、いまだかつて全くなかったことではないわけでございます。
 今回の北朝鮮との関係につきましても、確かに御指摘のとおり、与党の一部の方々が窓口となって努力をされたということでございまして、そのことは私は、将来の日朝関係を考えれば、その一つの端緒を開くという意味で、一定の評価をしていいのではないか、少なくとも今の時点ではそう思っているわけでございます。しかしながら、今
議員が御指摘のとおり、このことがただ単にいっときの食糧難を乗り越えるためのことであるというようなことであっては、我々としては意味がなくなってしまうわけでございますから、十分考えていかなければならないことだと思います。
 それから、議員御指摘のように、先方が政府機関でないのにもかかわらず、こちらが政府機関というのはおかしいではないかという御指摘でございますが、我が国とは全く政治体制を異にする北朝鮮のことでございます。政府と党との関係というものは、我が国とは全く違う。どちらかといえば、労働党が非常に強い力を持っているという体制でございますから、そうした国とのやりとりを、我が国の仕組みを頭に入れて考えるというわけにはいかないと思います。
 それから、我が方が政府がそれに対応したのはなぜかというお尋ねについて申し上げれば、米は、我が国においては政府が管理するものであるという状況でございますから、米の問題について対応しようとすれば、政府が前面に出るのはやむを得ないことであろうかと思います。
 いずれにいたしましても、日朝関係を進めるに当たって、我が国としては、戦後の長い間の今日まで続いている状況、それから朝鮮半島におきます今日の状況、これが平和的、安定的なものになるということなどを考えて、十分慎重に、韓国との関係も十分頭に入れながら真剣に取り組んでいかなければならない、こう考えております。
#107
○山田(宏)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
#108
○三原委員長 古堅実吉君。
#109
○古堅委員 人種差別撤廃条約について、一点だけ念を押して伺います。
 あらゆる形態の人種差別という定義に、いわゆる部落問題が含まれるのかどうか、明確にしていただきたいと思います。
#110
○朝海政府委員 この条約はあらゆる形態の人種差別を撤廃しようというものでございますが、この条約の一条におきまして、この条約で言うところの人種差別は何であるか定義をいたしております。それによりますと、この条約で言いますところの人種差別は、「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。」という定義を置いております。
 そこで、この条約は、社会通念上いわゆる生物学的な特徴を共有するとされている人々の集団であるところの人種、それと、社会通念上文化的な特徴を共有するとされている人々の集団であるところの民族、種族に基づく差別、これらを対象とするものでございまして、例えば社会的出身に基づく差別はこの条約の対象になっていないと解釈しております。
#111
○古堅委員 各国も大体同様の解釈をしておるのですか。状況を簡単にお聞かせください。
#112
○朝海政府委員 そうでございます。
#113
○古堅委員 人権関係の条約は全体で二十四本ございます。日本が批准しているのは今回の人種差別撤廃条約を含めてわずかに九件であります。人権条約の批准がこのように少ないというと、日本は人権問題の後進国というふうに言われかねない。
 そこでお伺いしますが、残った条約の中で、これから批准に向けて準備中であるものはどういうものか、また、その他はどういう扱いをしようとしておられるのか、その二点からお伺いいたします。
#114
○朝海政府委員 人権関係の国際条約は多数ございます。そこで、我が国としましては、国際社会における基本的人権の尊重を一層促進し、普遍化することの意義を十分認識しておりまして、国連において作成された人権関係条約は一般的に重要な役割を果たしておると考えているところでございます。
 そこで、我が国は、人権関係の中で最も基本的かつ包括的な条約であるところの国際人権規約を締約しましたほか、御指摘のとおり、八件の条約を既に締結しております。これに加えて、今回御審議いただいている人種差別の撤廃に関する条約の締結をしよう、それにつき国会の御承認をいただきたいと考えておるところでございます。
 このほかにも幾つか人権関係の条約がございます。未締結のものもございますし、これらにつきましては、各条約の目的、意義、内容あるいは国内法制との整合性、そういった点を十分勘案の上、その一つ一つの取り扱いにつき関係省庁とも検討を続けてまいりたいと考えております。
#115
○古堅委員 大臣にお伺いしますが、国連人権委員会では、日本が国際人権規約のいわゆるB規約の選択議定書を批准していない、そのことが大きな問題になりました。B規約の、第一の方ですが、選択議定書を批准すべきではないか、こう考えますが、いかがですか。
#116
○朝海政府委員 御指摘のB規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約、いわゆる国際人権規約B規約でございますが、その選択議定書は、委員御承知のとおり、この規約に掲げられる権利の侵害に関する同規約の人権委員会への個人からの通報に関する制度につき規定したものでございます。
 この制度は、人権の国際的保護という見地から注目すべき制度であると考えております。他方、この制度は、我が国の立場として考えますと、特に司法権の独立を侵すおそれがないかといった点を含めまして、我が国の司法制度との関係等慎重に検討すべきであるという指摘もございます。こうした指摘も踏まえまして、関係省庁との検討等を通じて、この議定書の締結問題について検討を進めているところでございます。
#117
○古堅委員 次に、在日米軍を統括する米太平洋軍のリチャード・マッキー司令官の暴言問題について伺います。大臣にお答えいただきたいと思います。
 十一月十七日、米国防総省で同司令官が行った沖縄の少女暴行事件についての記者説明の中で、米兵が犯行に使ったレンタカーを借りた金で女を買うことができたのに、全くばかげた事件だという趣旨の暴言を吐き、辞任に遣い込まれています。まことに唖然とさせられる言語道断の暴言です。私は、この暴言に対してあえて憤りと抗議を表明し、大臣に以下の点をただしたいと思います。
 一つは、米太平洋軍司令官のこの発言は、被害者の少女を冒涜したばかりか、日本国民、なかんずく日本の女性をべっ視し、侮辱する許せない暴言だと思うが、どうか。それが一点です。
 二つには、彼はその暴言の冒頭で、私は何度も言ってきたと述べていることでも明らかなように、不用意に出た発言ではなく、駐留米軍の占領者意識に基づく傲慢な態度であり、根の深いものだと考えるが、どうか。
 三つ目は、マッキー司令官は辞任したと報道されているが、辞任で済まされる問題ではありません。日本の女性、国民が侮辱を受けている発言であります。その名誉を重視するのであれば、きちっと抗議を表明し、謝罪を要求すべきではないか。
 以上の三点、お答えいただきたい。
#118
○河野国務大臣 私は、マッキー氏の発言について、アメリカ側から通報がございまして、そのときに、全く信じがたい発言だということを申しました。アメリカ側、これはモンデール大使からでございますが、大使は、こうした発言の責任をとってマッキー氏は辞任をした、こういう御報告でございました。私は、責任をとって辞任をされたということについて、それは辞任をするだけの重大な発言だという認識を持った次第でございます。十分御本人もその発言の重大さを認識をされて辞任をされたものと思います。
#119
○古堅委員 私が三点にわたって、そういうところに深い問題があるなということを考えてお伺いしたわけですよ。それにお答えはいただけません
が、当然のことながらこの問題、全国的にもう大問題になりました。
 沖縄でも、大田知事が「事件に対する重大な認識不足と女性を侮辱するという、決して許すことのできない暴言だ」、このように表明しておりますし、沖縄キリスト教短期大学の学長であります原喜美さんは「女性を侮辱するにもほどがある。軍隊の本質だ。アジアに対する人種差別もあるんじゃないか。」このようにコメントを出しています。沖縄県の女性の県職員はこう言っています。「レイプするか金で買うか、どっちにしても女性を性のはけ口としかとらえていない発想で、従軍慰安婦と同じ問題だ。いったい女性の人権をどう考えているのか」。また、沖縄在住の米国人宣教師エド・フランシスさん、こう言っています。「暴行事件はもちろん、司令官の発言は同じアメリカ人としてとても恥ずかしい。事件は、欲しいものは力ずくで奪い取るという軍隊の構造的問題が背景。」にある。「それに対する上官の感想が「女を買えば良かった」では本当に情けない。」このように言っています。
 大臣も、モンデール駐日米大使からその通報を受けて信じがたいと考えた、このように今ありました。
 ところで、日本国民に対するそれほど大きな許せない侮辱はないというふうに思いますし、わけても女性に対する本当に許しがたい暴言というふうに申さねばならぬと思いますが、信じがたいとおっしゃるだけで、明確な、それに対する抗議や謝罪の要求はせぬのかということが残っています。改めて大臣からもう一度お聞かせください。
#120
○河野国務大臣 発言をされたマッキー氏は、その発言が過ちであったということをみずから認めておられますし、その職を辞しておられるわけで、私は、大変大きな責任をとられたというふうに思っております。
#121
○古堅委員 時間が参りましたから終わりますが、このような重大な発言があり、侮辱きわまりないと国民全体がこう見ている。わけても沖縄では、まことに許しがたいという立場から知事を初め今紹介したような発言もある。そういうものに対して政府の担当者が、それに対して怒りを込めて抗議をし、謝罪を要求するなどということもできないところに、アメリカをしてこのようないいかげんな、増長させるような要素がある。そういう政府の態度に対しては、あの一〇・二一県民大会においても軟弱外交を糾弾するというふうに言われている、そういう態度です。まことに政府の態度自体も許せないものがあるということを厳しく指摘して、終わらしていただきます。
#122
○三原委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#123
○三原委員長 これより所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とヴィエトナム社会主義共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#124
○三原委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#125
○三原委員長 次に、サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書の締結について承認を求めるの件に対する討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。古堅実吉君。
#126
○古堅委員 私は、日本共産党を代表して、サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書に対する反対討論を行います。
 反対理由の第一は、もともとサービスの貿易に関する一般協定は、アメリカがサービス分野で有する圧倒的な競争力を維持し、拡大するためにつくられたものであり、国民生活に大きな影響を与える規制緩和を促進させる点でも、地方自治権の侵害につながる点でも賛成できる内容ではないということであります。
 第二は、本件第二議定書によって日本が約束するもののうちには、一億円を超える外貨建て海外預金に係る包括許可制の導入のように、大口の資金移動に対する政府のチェックを困難にし、また金融派生商品の直接取引の一部を許可不要とする措置のように、政府による活動実態の把握を難しくさせるものがあります。また、年金運用市場への投資顧問業者の参入は、年金資金の運用を不安にさせるものであります。
 第三は、本議定書のような枠組みを引き続いて維持することは、アメリカの際限のない不当な自由化要求を避けがたくすることにほかならないからであります。
 以上で反対討論を終わります。
#127
○三原委員長 これにて本件に対する討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#128
○三原委員長 採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#129
○三原委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の締結について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#130
○三原委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#131
○三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#132
○三原委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。
 ただいま委員長の手元に、玉沢徳一郎君外四名から、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び民主の会の五派共同提案によるあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。
 この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。伊藤茂君。
#133
○伊藤(茂)委員 私は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び民主の会を代表いたしまして、ただいま議題となりました動議につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約を批准するに当たり、我が国として今後とも国際人権の促進に寄与していく決意を明らかにするとともに、我が国に存在する部落問題やアイヌ問題、定住外国人問題などあらゆる差別の撤廃に向けて引き続き努力を重ねていくことが肝要であると認識し、次の決議案を提案いたします。
 案文を朗読いたします。
    あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約に関する件(案)
  あらゆる形態の人種差別の撤廃をめざす本条約を締結することは、国際社会における人権の尊重の普遍化とともに、わが国における人権尊重の取り組みを一層強化する意味において、きわめて有意義なものである。
  政府は、本条約の批准にあたり、左記の事項につき誠実に努力すべきである。
      記
 一 政府は、あらゆる差別の撤廃に向けて、一層の努力を払うこと。
 一 国連の人種差別撤廃委員会に報告を提出した場合には、当外務委員会に対しても同報告を提出すること。
  右決議する。
以上であります。
#134
○三原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 玉沢徳一郎君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#135
○三原委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
 この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣河野洋平君。
#136
○河野国務大臣 ただいまの御決議に対して所信を申し述べます。
 政府といたしましては、ただいま採択された御決議の趣旨を踏まえ、日本国憲法が保障する法のもとの平等の原則を十分に尊重し、今後とも、いかなる差別もない社会を実現すべく誠実に努力してまいる所存であります。
#137
○三原委員長 お諮りいたします。
 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#138
○三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#139
○三原委員長 次に、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。
 国際情勢に関する件について、安全保障委員会及び沖縄及び北方問題に関する特別委員会から、それぞれ連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#140
○三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、連合審査会の開会日時につきましては、関係委員長と協議の上決定いたしますので、さよう御了承ください。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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