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1995/11/08 第134回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第134回国会 法務委員会 第3号
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1995/11/08 第134回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第134回国会 法務委員会 第3号

#1
第134回国会 法務委員会 第3号
平成七年十一月八日(水曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 加藤 卓二君
   理事 太田 誠一君 理事 斉藤斗志二君
   理事 志賀  節君 理事 永井 英慈君
   理事 冬柴 鐵三君 理事 山本  拓君
   理事 佐々木秀典君 理事 枝野 幸男君
      白川 勝彦君    橘 康太郎君
      倉田 栄喜君    左藤  恵君
      富田 茂之君    堀込 征雄君
      山田 正彦君    坂上 富男君
      細川 律夫君    正森 成二君
      小森 龍邦君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 宮澤  弘君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      津野  修君
        法務政務次官  古屋 圭司君
        法務大臣官房長 原田 明夫君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 永井 紀昭君
        法務省民事局長 濱崎 恭生君
        法務省刑事局長 則定  衛君
        法務省保護局長 木藤 繁夫君
        法務省人権擁護
        局長      大藤  敏君
        法務省入国管理
        局長      塚田 千裕君
        公安調査庁長官 杉原 弘泰君
        公安調査庁次長 河内 悠紀君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   中島 勝利君
        警察庁警備局警
        備課長     近石 康宏君
        防衛施設庁施設
        部連絡調整官  坂本 憲一君
        大蔵省主計局主
        計官      長尾 和彦君
        大蔵省主税局調
        査課長     西原 政雄君
        大蔵省主税局税
        制第三課長   伏見 泰治君
        大蔵省銀行局銀
        行課長     村木 利雄君
        大蔵省銀行局調
        査課長     内藤 純一君
        文部省初等中等
        教育局中学校課
        長       加茂川幸夫君
        文部省高等教育
        局大学課長   近藤 信司君
        文化庁文化部宗
        務課長     佐々木順司君
        農林水産省構造
        改善局建設部設
        計課長     森田 昌史君
        建設大臣官房技
        術調査室長   鈴木藤一郎君
        建設大臣官房官
        庁営繕部営繕計
        画課長     田村 至敏君
        建設省建設経済
        局調整課長   小笠原憲一君
        建設省建設経済
        局宅地課長   尾見 博武君
        自治大臣官房企
        画室長     森元 恒雄君
        最高裁判所事務
        総局総務局長  涌井 紀夫君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  堀籠 幸男君
        最高裁判所事務
        総局民事局長  石垣 君雄君
        法務委員会調査
        室長      河田 勝夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月六日
 辞任         補欠選任
  富田 茂之君     赤羽 一嘉君
同日
 辞任         補欠選任
  赤羽 一嘉君     富田 茂之君
    ―――――――――――――
十月二十七日
 裁判官の大幅増員等に関する陳情書(仙台市青
 葉区片平一の六の一菅原瞳)(第二〇号)
 治安維持法犠牲者への国家賠償法制定に関する
 陳情書外一件(福岡県糟屋郡粕屋町大字仲原五
 粕屋町議会内黒瀬精一外一名)(第二一号)
十一月二日
 治安維持法犠牲者の国家賠償法制定に関する陳
 情書外一件(和歌山県海南市日方一五二五の六
 海南市議会内岡本孝嘉外一万二千八百一名)(
 第二〇二号)
 外国人被告人に対する処遇改善等に関する陳情
 書(東京都中野区中央五の二〇の二尾崎英行)
 (第二〇三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国
 内治安、人権擁護に関する件
     ――――◇―――――
#2
○加藤委員長 これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所涌井総務局長、堀籠人事局長、石垣民事局長、高橋刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#4
○加藤委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田誠一君。
#5
○太田(誠)委員 本日は、大臣の出席を予定して質問を用意しておりましたけれども、四十分後にならなければ来られないということでございますので、順番を変えて質問をいたします。
 まず、最高裁判所の方にお伺いしたいのですが、司法試験の制度について、あるいは研修制度について、この間正森委員の方からここで質問があっておりました。研修期間を短縮するという案を提示されておるようでございますが、研修期間を短縮する理由は、司法試験の合格者の数をふやしたために受け入れ側の体制が整わないということが理由になっているというふうに仄聞をいたしております。そうしますと、合格者の数が千人ぐらいになると、本当に施設が対応できないのかどうかということをお尋ねをいたしたいと思います。
#6
○堀籠最高裁判所長官代理者 私どもが修習期間の短縮が必要であると考えている理由は、次のようなものでございます。
 今日の社会のテンポが速くなっていること、それから、修習期間の二年というのは間延びしているという意見も少なくないこと、責任のない状態で長期間研修を行うよりも、早期に責任ある立場に立って実践教育を実施した方がより早く大きな効果が上げられるのではないかというようなことが大きな理由でございます。
 なお、現行の司法修習の中心をなしておりますのは実務修習でございまして、これはいわゆるマン・ツー・マン方式をとることがより多くの効果、成果が上がっているということでございます。この方式のもとにおきましては、現在のように修習期間が二年でありますと、一定の期間二つの期が重なって配置されるという状態が出るわけでございまして、この時期における実務庁における受け入れの現状が、一期七百五十名というのが現在でございますが、これがどうもほぼ限界の状態になっているというようなことでございます。現在のような実務修習というものを維持しつつ修習生を大幅に増加するということになりますと、どうしてもダブらないように修習期間を短縮せざるを得ないのではないかというふうに考えている次第でございます。
 したがいまして、キャパシティーの問題かとお尋ねでございますが、物的なキャパシティーというよりも、司法修習生を受け入れる裁判部の実情というようなものが大きな理由になっているということでございます。
#7
○太田(誠)委員 修習期間が二年というのは法律に書いてあることだと思いますので、法律はこちらの方でつくるわけですから、そういう法改正を要請するということになるわけですか。
#8
○堀籠最高裁判所長官代理者 私ども申し上げておりますのは、修習期間を短縮してもいいのではないかというふうに考えておりまして、この修習期間の問題、これは法曹養成制度そのものでございまして、司法制度にかかわる問題でございますので、この改正についてお願いするということになりますと、法曹三者の協議ということが前提になるかと思います。その際には、私どもの意は法務省それから日本弁護士連合会に十分説明して、その上でということになろうかというふうに考えております。
#9
○太田(誠)委員 我々法曹三者でない者が法曹三者と言われると、いつもからんとくるわけでございます。それは立法の問題ですから、法改正を要請するとすれば、そちらはその根回しかあって、つまり、例えばこの法務委員会でそのことは取り扱われるわけですけれども、それは立法府に対してはそういう法改正を要請するということだと思いますけれどもね。
#10
○永井政府委員 委員御指摘のとおりでございまして、裁判所法の六十七条に、修習期間は少なくとも二年ということが規定してございますので、国会で御審議をいただくということになるかと思います。
#11
○太田(誠)委員 もう一つ、試験制度の中で、五年前ですかね、五年間様子を見て、司法試験の合格者の若返りがなされなかったらば、丙案というのですか合格者を二つに分けて、若い世代の人の枠がちゃんと設けられて、その中で合格できるようにするというふうな案があったと思うのでございますが、丙案というのは、三〇%ですか、三〇%を目標として、それを達成したらばそういうふうにはしないけれども、達成しなければ考えるのだということだったと思うのです。今の時点で達成していないかどうかわかりませんけれども、相当の世代的な改善というとあれですけれども、目覚ましい変化があったのではないかということが言われますけれども、そこはいかがですか。
#12
○永井政府委員 いわゆる丙案と言われております合格枠制という制度がこの国会でも御審議いただきまして、それを来年、八年度からとることができるというふうにされております。これは五年間の状況をよく見て決定しよう、そういう考え方でございまして、この基準と申しますのが、三年以内の合格者が三〇%以上、または五年以内の合格者が六〇%以上であれば、そういう合格枠制というものを実施しない、こういうことになっていたのですが、現在、ことしの司法試験の結果を見ますと、三年以内の合格者がまだ二三・八%という状況で、とても三〇%には到達しません。それから五年以内の合格者も五二%前後でございまして、とても六〇%には到達しておりません。そういう状況でございますので、いわゆる丙案というものが司法試験管理委員会によりまして決定されることがあるのだろう、こういうふうに考えております。
#13
○太田(誠)委員 もちろん、決められたことには達しないかもしれないけれども、過去に比べれば目覚ましく改善されるというか変わったというふうなことを言われる向きがあるのですが。
#14
○永井政府委員 改善はほとんどされておりません。
#15
○太田(誠)委員 わかりました。
 次に、我が国の不良債権の問題についてお聞きをしたいわけです。
 今、未曾有の停滞状態に我が国の経済は入っておると言われるわけでありますけれども、その中でも中心的なテーマといいますか根っこになっておるのは不良債権の問題だと思います。そこで、不良債権問題について、住専の問題などについて公的資金を導入するというようなことが方々で議論され、ほぼそういう方向だということも確認をされているわけでございます。しかし、この不良債権の問題を解決するのに公的資金を導入するというのであれば、その債権の回収とか金融機関経営者の法的な責任について相当厳格な取り扱いがなされない限り、国民に対して説明のしょうがないということがあるわけであります。
 それで、アメリカのことがよく言われるわけでありますけれども、アメリカはRTC、整理信託公社というものを創設をして、債権回収について驚異的な実績を上げてきたと言われるわけであります。大体もう仕事は終わった、五月以降は仕事がなくなっちゃったと言われるくらい、徹底して短期間に物事の解決をいたしたわけであります。そこで、そのRTCに相当する機関が我が国にはないわけであります。債権買い取り会社というのも民間の金融機関が集まってつくったけれども、これはそういう性質のものではないわけであります。
 RTCは、監督官庁の方から財産保全人にまず任命をされて、金融機関を接収する、経営権をRTCがとってしまう、そして債権の回収と資産の売却を行うということをまずやってみるわけであります。そして、再建の見込みがそれをやってもないということになると、次に破産管財人に任命をされる、そして経営の再建の見込みのない金融機関を清算するというふうに言われておるわけでございます。その過程で経営者の違法行為も当然摘発をしなければいけないし、相当強権的に債権回収を行うということが言われるわけであります。
 そこで、我が国でも同様の機関をつくるということが当然期待をされますし、我々もそのことを考えながら公的資金導入の問題については考えたいと思っておりますけれども、RTCが持っている司法的な権限、機能というものがどういうものであるのかということをちょっと教えていただければと思うわけでございます。
#16
○内藤説明員 米国におきまして、金融機関は一般企業を対象といたします連邦倒産法の適用除外となっておりまして、貯蓄金融機関、SアンドL等でございますが、それが破綻した場合にはRTC、整理信託公社でございますが、これが破産管財人に任命され、同時に破産裁判所としての機能も果たすこととなっております。
 一九八九年に制定されました金融機関改革救済執行法、通称FIRREAというふうに呼んでおりますけれども、これによりますと、RTCは破綻に陥っている貯蓄金融機関の資産及び負債を受け皿金融機関へ移転をし、自由に清算、処理することができるとされているところでございます。さらに、債権回収につきましては以下のような権限が与えられております。すなわち、破綻金融機関から接収いたしましたすべての資産を換価・回収すること、資産処分を迅速に進めるために権利関係の整理や債務者との融資条件変更交渉等をみずから行う、不良債権の競売や公開入札の開催、抵当債権及び担保不動産をパッケージした上での証券化などが挙げられております。
 以上のようなRTCの権限の多くは破産裁判所や破産管財人としての機能にかかわるものと考えられておりまして、こうした多様な債権処理方法の活用等によりまして、RTCは八九年八月の設立以来九五年六月までに、破綻貯蓄金融機関から接収した資産の簿価の八七%を回収したというように聞いております。
 以上でございます。
#17
○太田(誠)委員 情報が少ないので、今初めて聞くことも多いわけでありますが、お許しをいただきたいと思います。
 その破産裁判所という機能を持たせるということは、これは罰金を幾らということをそこで決められるということになるのだろう、あるいは競売も、我が国の場合は裁判所でなければできないけれども、そういう機能も持っておる。行政と、司法といいますか裁判所の機能を両方合わせた機能を持っておるという、大変強力な機能だと思いますけれども、経営者責任についてはどうなんですか。経営者の責任を、つまり背任とかそういうことについてはそこで判断するのですか、RTCは。
#18
○内藤説明員 RTCはいわば破産管財人の役割を中心に担っているところでございまして、刑事罰等の問題につきましては、裁判所を通じて刑事訴追という形で追及をされているというふうに聞いております。ですから、司法当局が刑事訴追を担当しているというふうに聞いております。
#19
○太田(誠)委員 こういう機関をつくる際には、従来は我が国の場合は、銀行の関係であれば大蔵省の銀行局がこういうものをつくりましょうというふうなことを考えて提案したりするものでございます。しかし、すぐれて司法的な機能を持っているものをつくるというときには、これは必ずしも大蔵省のリーダーシップだけで物事を進めてはならないわけでございますので、法務省もぜひ関心を持っていただきたいと思うのであります。
 ちなみに、証券取引等監視委員会というものを数年前につくりましたけれども、そのときに、主としてこれは当時の自民党の財政部会で討論をいたして骨格を決めてその制度はスタートをいたしたわけでありますけれども、いまだに証券取引等監視委員会の委員長と事務局次長は法曹界から出していただくようにお願いをし、そのとおりに実行されたわけであります。
 日本版RTCを創設する際にも、もしそのような司法的な機能を持つ、持たなければいけないと思いますけれども、持つということになれば、それは当然また法曹界に人材を求めるということになろうかと思います。そういうことであれば、それはもともとそういうものをつくるときに知恵を出さなければいけない。もちろんこれは立法しなければいけないわけでありますから我々の責任もあるわけでございますけれども、法務省の方もこれは何か知恵を出さなければいけないということになるわけでございます。従来は、そういうことは大蔵省が決めて、枠組みを全部決めて、そのもとにぽんと、証券取引等監視委員会のときはぽんと乗っかってきたといいますか、たまたま任命されただけだということだったわけですけれども、それではちょっと今度の場合は困るなというふうに思っているわけでございます。
 その辺について、別に感想を求めるのもおかしいわけでありますけれども、だれに聞いたらいいですか。
#20
○濱崎政府委員 今大蔵当局から御説明のありましたRTCという制度について、私ども、まだ内容を承知しておらないところでございますし、また、こういったいわば準司法機関をつくるということについて、大蔵当局においてまずどうお考えになっているかということも承知しておらないところでございますが、もし、そういうものをつくられるということを前提にして考えれば御指摘のとおりでございまして、私どもとしては十分関心を持ち、意見を申し上げるべきことは申し上げなければならないというふうに思っております。
#21
○太田(誠)委員 ありがとうございました。
 次に、例の大和銀行のスキャンダルについてお尋ねをいたしたいわけでございます。
 ここで、まず最初に、物事の考え方というのをはっきりさせておかなければいけませんけれども、罪刑法定主義という言葉があるわけであります。私は法学部の出身ではありませんから、この言葉の含んでいるものすべてを知っているわけではないけれども、これは憲法三十一条に、たしか国民を罰するというふうなときには法律の手続によらなければならないということがわざわざ書いてある。それはどういうことかというと、国民が主権者であるから、主権者である国民が、自分自身が服すべきルールを自分で決めるというのが民主主義国家の建前である。そうすると、自分自身が服すべきルールの中で、特にみずからが罪を犯した場合には、自分が一番、痛みといいますか非常に危険な立場に陥るわけでありますから、そのような、国民が自分自身をルールで縛るというときに、そのきついものについては、これは国民の代表である国会で決めたきついルール以外のものは認めない、こういう意味だろうと思うわけです。
 そういたしますと、また、我が国の憲法は、立法権は国会が持っておって、内閣に執行権を与えているわけであります。そうすると、立法権を持っているものが執行権者とどういうふうにかかわるかというと、法律によって執行権を与えるわけですから、その執行権がどのように行使岩れているかということについては、国会は常にチェックをしなければいけないということになろうかと思うわけであります。したがって、刑罰というのは、これはそれこそ一番国会が神経質になって、その刑罰を、法律で定めたことをどのように執行しているかということについて関心を持つのは当然でありますから、これは、この法務委員会で検察庁がどのように執行しているのかということを関心を持ち、そこをただすというのは当然のことだろうと思うのですけれども、そこはどうですか。今まで私は十五年間ここにいて、大体木で鼻をくくったような答弁しかなかったわけですけれども、どうですかそこは、刑事局長。
#22
○則定政府委員 今、立法の役割と行政、検察運営というのも一つ行政の枠内でやらせていただいておるわけでございますので、御議論された考え方があるかと思います。
 ただ、もう一つ、司法という三権の一翼があるわけでございまして、私ども、刑罰の適用の過程と、それからまた適用結果といいましょうか、こういったものにつきましては、司法そのものの分野と、それから司法に極めて密接にかかわる部分がございます。そういう意味で、国会、適用法令を立案、制定される立法府に置かれる国政調査権と検察権の運用といいましょうかこの問題はかなり一般の行政法規の執行分野とは違う色彩を帯びる場面があろうかと認識しておるわけでございまして、そういう意味で、従来から検察権の運用の問題につきまして御質問がございましたときに、一定の限界を認められつつ、それなりの対応をさせていただいたということになるかと思います。
#23
○太田(誠)委員 それは捜査に影響を与えるということであって、現に捜査をしていないものについては、すぐ終わった後のものとかその前のものとかいうのは、これは当然法務省が検察庁を監督しておるわけでございますから、法務省はその監督責任において、ここで誠実に法務委員会での質疑には答えなければいけないのではないかというふうに私は思っているわけであります。
 そこで、今の大和銀行の話でありますけれども、大和銀行がどういう罪名といいますか、どういう法律に触れて今起訴されたという話があっているのか。あるいは、現に直接携わった人はもう逮捕されているのだと思いますけれども、どういう罪名で、今だれがどういう取り扱いを受けているのかということを、あらかたを、聞いてもよくわからないので、この際きちんと説明をいただければと。大蔵省。
#24
○村木説明員 御説明いたします。
 今回の大和銀行をめぐる一連の事件につきましては、まず、十月十九日に井口俊英、これは前の大和銀行ニューヨーク支店の職員でございます、今回十一億ドルの損失を発生させたディーラー自身でありますが、それからまた、十一月二日に、これは現地時間でありますが、大和銀行それから津田昌宏、これは前の大和銀行ニューヨーク支店の支店長でございます、これが米国の金融当局を欺くための共謀あるいは銀行帳簿書類への虚偽記載等によりまして、米国の連邦法典十八章、これは我が国の刑法等に相当いたしますが、これらの規定に基づきまして起訴されているところでございます。
 もう少し詳しく御説明申し上げますと、まず、ディーラーの井口俊英の罪状でございますけれども、これは一九八四年ごろから九五年まで約十一年間にわたりまして、総額十一億ドルに上る損失を発生させた。その過程におきまして、まず、五十万ドル以上に上る資金を個人的な利用のために横領したという罪で問われております。それから、これはアメリカの場合、銀行監督当局に四半期ごとに、コールレポートと称しておりますけれども、銀行の財務の状況を報告することが義務づけられておりますが、これを四月三十日に提出した際に虚偽の通知を行ったというようなことも言われております。それから一九九二年に、これは大和銀行と共謀して、FRBの検査について、これを敷くような行為を行った等々の形で起訴されております。
 それから、大和銀行自身でございますけれども、大和銀行自身は、まず、一九九五年におけるFRBを欺く共謀ということで、この損失が発覚いたしましてから、七月の下旬でございますけれども、九月に実際にFRBに届けるまでの間にFRBを欺くようなことを行った。それから、重罪の軽視という罪があるようでございますけれども、これは銀行あるいは顧客財産の流用でありますとか支店帳簿記録の虚偽記載とか、これは重罪に当たるようでございますが、これらについて裁判所等を欺く行為があった、あるいは銀行帳簿書類への虚偽記載があった等々の罪で、あるいは、先ほど井口のところで申し上げましたけれども、金融機関の検査の妨害行為があったというようなことで起訴されております。
 それから、最後に、前ニューヨーク支店長津田昌宏が起訴されている件でございますが、これも同様に、九五年七月下旬から九月に実際に報告するまでの間にFRBを欺く共謀行為を行ったというようなことでありますとか、さらに、重要犯罪の隠ぺいということで、銀行や顧客の資産の流用でありますとか支店の帳簿記録への虚偽記載とか、こういったことについて、そういったことが重罪に当たることを知りながら、故意または意図的にこういったものを隠ぺいしたといったような罪状で起訴されているところでございます。
#25
○太田(誠)委員 そこで、これはアメリカで起こった犯罪になるわけでありますけれども、とはいえ、我が国では、海外で起こったにしても我が国の企業の支店でありますから、我が国の方では、何か法に触れるようなことがなかったのかということは当然、よそで起こったことだけれども自分の国に本店があればそれは我が国の法にも触れているのではないかということで、当然何かアクションがあってしかるべきだと思うわけであります。
 例えば、我々も大蔵委員会でさまざまな制度改革をここ数年来やったわけでありまして、その中で、信託業というものとそれから銀行業務というものは厳正に区分をされなければならない、特に財産そして勘定というものは厳正に区分されなければいけなくて、そこにファイアウォールという言葉が使われたり、あるいはこの場合はチャイナ・ウォールと言うのかもしれません、チャイナ・ウォールというふうなことでもって、そこを越えて、例えば損失補てんのようなことが起こってはならないということをさんざん議論をして法律をつくったわけでございます。
 そして、その上で制度改革を行って、銀行が信託も子会社としては持てるとか、そんなふうないろいろなことをやったわけでありますが、そういう中で、両方の勘定を分けるということに反しているのではないか。つまり、分別管理というのですかそういう管理に違反をしているのではないかという疑いがあるわけでして、そうであれば、信託勘定の方は我が国の方で受託をしているのではないのですか。つまり、そこは、ニューヨーク支店の話だけではなくて、我が国の、例えば信託業法に抵触をしているということはないのでしょうか。
#26
○村木説明員 御説明申し上げます。
 先生おっしゃるとおり、これは、大和銀行は信託も営んでおりますので、自己の財産でございます銀行勘定の財産と、それからいわば委託者の財産であります信託の財産とは厳密に分別管理をする必要性がありまして、その旨、信託法等にも規定されているわけであります。
 今回のことに即して申し上げますと、分別管理そのものはきちんと行われておったということのようでございますが、ただし、先ほど申し上げました、井口職員が十一億ドルの損失を生じさせた、これを実は、大和銀行の銀行勘定で保有している米国債、それから預かり財産ですね、信託勘定で持っておった財産、両方を売却いたしまして損失の穴埋めをしております。
 信託財産の部分につきましては、これを穴埋めに使ったわけでありまして、これは分別管理とは別に、信託法のたしか二十条だったでございましょうか、善良なる1受託者ですね、この場合は銀行に当たりますが、「受託者ハ」「善良ナル管理者ノ注意ヲ以テ信託事務ヲ処理スルコトヲ要ス」という形になっておりまして、今回の事件に即して考えますと、ディーラー自身がいわば保護預かり業務を一緒にやっておった。そういうことは、明らかにこの信託法二十条の善良な管理者の注意義務をきちんと銀行は果たしていたと言えないのではないかということで、私どもはこれに違反するのではないかというふうに認定いたしまして、それなりの命令を発したところであります。
 具体的には、例えば海外信託財産の管理等を伴う新規の信託につきましては、当分の間、この引き受けを停止させるというふうなことを、これは信託業法第十八条に、銀行の業務または財産の状況に照らして、必要がある場合には、大蔵大臣はその業務の一部または全部の停止とかその他必要なる措置を命ずることができるという規定もございますが、この規定に基づきましてこういった措置をとらせていただいたところでございます。
#27
○太田(誠)委員 ただ、これは、厳密に言うと、そういうチャイナ・ウォールを越えて損失穴埋めをしたというふうなことに、もし大和銀行自身が全体として加担をしておるということになると、それは今のようなことでは済まないわけでして、信託業務そのものを、一時停止ではなくて、そのような受託資格というのは剥奪をしなければいけないということになるのではないでしょうかね。
#28
○村木説明員 一つは、まだ現在起訴とか裁判が進行中でございますので、そういった過程でさらに新たな事実が出てきますれば、私どもそれなりに厳正な対処をしたいと思っていますが、現段階で判明した事実に基づきましてこういった措置をとらせていただいたということで、御理解賜りたいと思います。
#29
○太田(誠)委員 それとあわせ、銀行法に、これは銀行法にも関係してくるのだと思いますけれども、銀行法には、虚偽の報告をした場合には、はっきり覚えておりませんが、一年以下の懲役とか何万円の罰金とかいうことがあったと思うわけであります。
 そうすると、それは、虚偽の報告をしたということについて、アメリカといいますか、国際社会、国際金融の世界は大変厳しいということが今度身にしみてわかったわけであります。我が国では、虚偽の報告とか隠ぺいとか報告のおくれというのは、日常茶飯事とは言わないけれども、だれでもまあまあと、こういうことで今までやってきたのではないかというふうな疑いを私は持っておるのでございます。
 証券スキャンダルというのがまたこれも数年前にありましたけれども、証券スキャンダルのときに、あれは国税庁の調査で発覚をしたわけでありますけれども、じゃ日常直接監督をしておった証券局の検査課は何をしておったのだろうか大蔵省証券局全体が何をしておったのか、この問題についてそれがどういうふうにかかわっておったのかということを、全課長においでをいただいて、お一人お一人の話を承ったわけであります。差しさわりがあるから何課長とは言わないけれども、差しさわりがあるので申し上げませんけれども、そのときにある人が、損失補てんの、実は証券スキャンダルの本質は損失補てんです、損失補てんの事実を実は検査担当者は知っておったと言うのですね。(「けしからぬ」と呼ぶ者あり)それはけしからぬことなんだけれども。それで、余り悪びれた風がないので、私も、そんな悪いことじゃないのだろう、こういうふうに思っておったわけであります。まあそういうことをほじくるのも大人げないと思って、そのときは私も見過ごしたといいますかやり過ごしてしまったことはやや後悔が残るわけであります。
 今回も似たような話で、まず話は三つあるわけですね。一つは、横領をしたところまではまさに純粋に刑事的な事件でありますけれども、それを虚偽の報告をした、そしてその虚偽の報告を聞いた大和銀行がまたそれを虚偽の報告をした。大和銀行は虚偽の報告をしたというよりもまさに隠ぺいしようとしたとか、あるいは故意に報告をおくらせたというふうなことがずっとあるわけであります。そうすると、大和銀行が大蔵省にこのことを報告をしてから、実際、直接の監督官庁たるFRBにその事実を知らせるまでの間に相当の期間があいたということであって、そこが非常に問題になるわけであります。
 そうすると、その間に虚偽の報告をしたという、虚偽の報告じゃなくて隠ぺいとか故意におくれたというふうなことであれば、そこは、今度のこのFRBやFBIがとった措置というのは、実は大和銀行に対してのみならず、我が国の金融制度の運営といいますか、管理をしておる大蔵省そのものに対しても、これは問題ありというふうに言ったに等しいというふうに私は思うわけであります。
 そういうことがあって、他方で懲役刑とか罰金とかいうのが我が国の銀行法にも書いてあるわけだから、ここは大蔵省の監督責任とは別に、刑罰の対象になることが現にアメリカで起こっておって、そのことで起訴されておって、我が国の検察庁は大蔵省とは別に、つまり大蔵省は、この場合は第三者というよりもやや被告に近い立場にあるわけであります。被告に近い立場であれば、検察庁は、そこは刑罰の対象になっているものであれば、この間の二億組のときも背任の疑いで、最初に、大蔵省とは関係なくやった、こういうふうに誇りを持って言っておられるわけでありますけれども、今度の場合はどうなんですか。ないのですか。ないと言い切れるのかな、関係は。
#30
○則定政府委員 大和銀行のニューヨーク支店におきます一連の問題につきまして、私どもも関心を持ってもちろん見守ってはいるわけでございます。ただ、犯罪地が外国である、現に、外国といいましょうかアメリカの連邦検察庁等が捜査を開始しておるわけでございまして、一番、いわば原理として効率的に連邦法等を適用してやっておるわけでございます。
 日本の捜査当局といたしましては、銀行法等、御指摘の罰則があるかと思いますけれども、いわゆる外国における犯罪について、その行為について、それらの監督を適正に行うための罰則が適用されるかという問題が一つございます。
 今、当然の御質問でございますので、その当該罰則が外国で適用できるかどうか自信はございませんが、多分それは無理だろうという気がいたしております。その他、では背任罪でどうかといった問題もこれあろうかと思いますが、当面は、アメリカにおきます一連の捜査、あるいは司法処分といいましょうか、こういったものを私どもは注意深く見守りつつ、アメリカサイドから何らかの、司法共助なり捜査共助なり、そういった要請のアクションがあれば、これにつきましては、我が国の法制上許される範囲内で御協力すべきものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
#31
○太田(誠)委員 それはいかにもそのように、おっしゃることはもっともなことのようにも思えるわけでございますが、本店がこちらにあって、それでは大蔵省に対する質問にもなるのかと思いますけれども、こっちの大蔵省に対して虚偽の報告というのは一切なかったと言えるのですかね。あるいは虚偽の報告があったかもしれない。向こうに虚偽の報告をして、こっちにも虚偽の報告があったのではないかと当然、普通は考えるわけで、そうしたら、それはアメリカで起こったことだから知らないということではなくて、こちらの問題にもなるのではないですかね。
#32
○村木説明員 二つの事件が絡まっていると思っております。
 一つは、ダイワ・トラストという会社の関係でありますが、これはニューヨークにあります大和銀行の一〇〇%出資の子会社であります。ここで、一九八四年から八七年まで、職員でありますとか一部幹部職員によりまして、簿外のやはり米国債取引が行われまして、約九千七百万ドルに上る損失が生じていた。これが簿外で処理されておりまして、本来の貸借対照表やあるいは損益計算書に十分反映されておらなかったということでございます。このことにつきましては大和銀行自身も、本店の一部幹部も承知しておったということでございますので、私どもは、これに基づきまして次のような措置をとらせていただいたわけでございます。
 それは、ダイワ・トラストに関しましては虚偽の報告があったということで、大和銀行本体がダイワ・トラストの財務内容に反映させないまま、これは外為法がございます。外為法の報告省令第七条に定める対外直接投資に係る外国法人の業務に関する報告を行っておるのですけれども、これは外為法上、一定の出資額、本邦の銀行が一定の出資をした法人につきましては、年に一回業務の状況につきまして報告を求めております。これに十分、きちんとした本来の、簿外でありましたから本来の報告になっていなかったということで、これが虚偽報告であったということに基づきまして、今回外為法の第十三条に基づく処分をしたところであります。
 なお、大和銀行ニューヨーク支店の事件に関します問題につきましては、米国におきます今後の裁判の推移等を見きわめる必要があると考えておりますが、今後事件の全容が明らかになった段階で判断していくこととなろうかと思います。
 それからもう一つ、ニューヨーク支店の方の事件の銀行法との絡みでございますが、これは先生御指摘のように、銀行法上も、例えば業務報告書、これは中間決算ですとかあるいは本決算の後に求めておりますけれども、あるいは適宜私どもが報告を求めております、銀行法二十四条の規定がございまして、適宜その必要な状況について報告を求めることができますけれども、これらの報告書につきまして、仮に虚偽の報告があった場合には罰金がかかることになっていまして、五十万円以下の罰金に処する、こういう形になっております。
 ただ、ニューヨーク支店の事件につきましては、現在、大和銀行自身起訴されておりますけれども、大和銀行自身が、これは井口本人の個人の犯罪なのかあるいは銀行の幹部等も絡んだ組織としての犯罪なのか、そこについては争うということになっておりまして、あくまでも銀行法上は銀行がこういった虚偽の報告をした場合ということになっておりますので、そこにつきましては、今後の裁判の状況等も見きわめながら、必要があれば厳正に対処していくということであろうかと思います。
#33
○太田(誠)委員 今わかる範囲では処分をされておるということでございますから、我が国の国内法にも抵触をしておるということだと思います。
 どのくらい厳正なものなのか、どのくらいの犠牲を払うことになるのかわかりませんけれども、言ってみれば、うそをついたということに対して厳しいことをしなさいということが、これが国際金融の世界が我が国に対して言っていることでありまして、それに対して、大蔵省が本当にそこのところがわかってそれにこたえているのかどうかというところが今は問題なのだと思うのですね。何かこう、今までのようになあなあでやり過ごして、我々も非常に、何といいますか、ルーズな対応をしておる。立法府もルーズな対応をしておるということで、なあなあで進んでおる。
 例えば、何か合併をやるというふうなことが報道されておりますけれども、合併をするということは、このような、例えば信託業法に違反していて受託資格を停止されたり、信託業務そのものを大和銀行ができなくなったというときになったらば、これは合併とかなんとかいったって、その信託業務の信託したものについてはだれかが引き継ぐということについては司法的な判断で決まるのではないかと思いますが、今どき合併話がリークされてやっておるということは何だろうかと思うのですね。どうなっていくかわからないものについて、何かまだ、終わってしまったような、一件落着をしたときにはそれは合併話があるのは構わないのですけれども、そういうことになるのではないかというふうに思いますが。
#34
○村木説明員 いろいろと報道がなされておりますけれども、今回、大和銀行は米国の金融監督当局から九十日以内にすべての米国拠点における業務を終結しなさいという命令を受けまして、これをスムーズに撤退していくために、それからもう一つは、大和銀行自身がいろいろ国内の取引者がおりますので、これらの方々との、例えば米国で決済を伴うような外為業務、それらにつきまして住友銀行の全面的な支援を仰ぐということが、住友銀行と大和銀行の間で合意がなされておるようでございます。
 ただ、合併につきましては、これは両行の頭取が記者会見の際等に言っておるようでございますけれども、今後の推移によって、そういったことも視野に置きながら推移によってはということでございまして、あくまでもこれは今後の推移とそれから当事者の経営判断の問題でございまして、それ以上のことを私ども、現在合併について大蔵省として伺っているわけではございません。したがいまして、仮にそういうようなことに今後なるとすれば、その時点におきまして法に照らして適正に判断していくということになろうかと思います。
#35
○太田(誠)委員 大臣が到着されるのをお待ちしておりました。やっとお着きになりましたので別のテーマに。あとは宗教法人の関係でございますので、どうぞもう今の方、御苦労さまでした。
 今、宗教法人法を改正するということで特別委員会が開かれておるわけでございます。同時にやっておられるわけでございます。きょうは、宗教特別委員会のメンバーも重複しておられるわけでございますが、こちらにいていただいて本当にありがたいことでございます。
 ここでお聞きするのは、やはり多少とも法務省に関連をした側面についてお聞きをしたいわけでありますが、政教分離という言葉がありますが、この言葉は我が国において使われておる意味と諸外国で使われておる意味が違うというふうに思います。
 例えばイギリスは、国教を持っておりますから、国教会というものは国の機関であります。それからプロテスタント、ローマ・カトリック、ユダヤ教など歴史と伝統のある宗教については、礼拝所登録法という法律によって特権を与えられておるということがあるわけであります。そういう意味ではイギリスは政教分離の国ではないと言われております。そういう、国によって宗教というものについての取り扱いは我が国のようにすべてのものに対して申立てはないというのが一般的であろうかと思います。
 ですから、政教分離というときに、さまざまな国がそういうことを言っておっても、それはちょっと意味が違うんだというふうに我々は認識をしなければならないと思いますが、そういう歴史的な伝統のある宗教団体とそれ以外の宗教団体との区別というものがある。そうすると、それ以外の、伝統的宗教以外の宗教に対してどういう法律でもって位置づけておるのかということは我々はきちんと認識をしておかなければいけないわけであります。
 イギリスについてはどうですかね、どういう法律でもってその他の宗教団体は。
#36
○濱崎政府委員 私ども、イギリスのそういった制度について必ずしも十分に承知しているわけではございませんが、いろいろな文献とか調査の結果を踏まえて承知している範囲内でお答えさせていただきます。
 イギリスにおきましては、今御指摘のように、イギリス国教会とか伝統的な一定の宗教団体については特別の取り扱いがされているようでございますが、それ以外の一般の宗教団体に法人格を付与する法律といたしましては、チャリティー法という法律がございまして、これは一九六〇年に初めて制定されて一九九三年に新しい形での立法がされているということと承知しておりますが、そういう法律で取り扱っているということでございます。
 それで、その法律は宗教団体だけを取り出してこれに法人格を与えるというものではなくて、そのほか、貧困の救済とか教育の増進といった各種の慈善目的のための団体一般に法人格を付与する法律として位置づけられているというふうに承知しております。
#37
○太田(誠)委員 時間が迫ってまいりましたのでまとめてお聞きをいたしますけれども、ドイツにおいては、カトリック教会と福音主義教会及びユダヤ教が公法上の団体として特権を与えられておる。そのほかの宗教団体についてはどういう法律上の位置づけがあるのかということをお聞きしたい。
 フランスは、これは政教分離が徹底しておると言われながらも、カトリック、プロテスタント、ユダヤ教の三団体は、その信徒会は政教分離法の適用を受けている。その他の宗教団体はどういう扱いになっておるのかということをお聞きしたいと思います。
 アメリカは、これは州によってばらばらだからちょっと答えようがないというところがあるわけでございますが、独、仏について。
#38
○濱崎政府委員 これも必ずしも正確に把握しているかどうかわかりませんが、まず、ドイツにおきましては、公法人として取り扱われるもの以外の宗教団体の法人格の取得というのは、これは一般法であるドイツ民法典によっておるわけでございまして、これはもちろん一般法でございますので宗教団体だけを特別に取り扱っているわけではない、非営利団体一般について法人格を付与するという法律によっているというふうに聞いております。
 フランスにおきましても、これは結社法、一九〇一年法でございますが、その規定によっておりまして、これも同様に、非営利社団一般に法人格を付与する法律の中で取り扱われているというふうに承知しております。
#39
○太田(誠)委員 今お答えをいただきましたけれども、これは今は文部省文化庁が所管をしておる宗教法人法ということで我が国は対応しておるけれども、他の国は我が国の宗教法人法に対応するような法律は実はない、そして、それぞれ特定の限られた宗教を除いて一般の宗教というものは民法の非営利法人というカテゴリーに位置づけられておって、その中での取り扱いになっているということでございます。したがって、これは、国はそれぞれ国会でそれぞれの立法をするわけですから勝手なことだ、勝手にそれぞれやるんだということでありますけれども、もともと政教分離とか信教の自由、そういったことは憲法に書いてあるから、そこから私は宗教法人法というのもつくられたのだ、そこを根拠にしてつくられたのだと思いますけれども、憲法そのものは、よく知られているとおり基本的にはアメリカ人が書いたものだと言われるわけでありますし、アメリカの憲法とそっくりの内容になっておるわけでございます。
 そうすると、もともとそういう民主主義とか信教の自由とかいうことを考えた世界では、一般の宗教法人は民法上の扱いであって、それで、それをまねてと言ったら悪いけれども、そのお弟子である日本でつくる制度は宗教法人法を特につくっておるというところは、私はよく認識しておかなくちゃいけない。今まであったことは一つの歴史で、もう五十年もたっておるわけでありますから、これがいいとか悪いとかいうことじゃなくて、よその国の政教分離ということと我が国の政教分離とは違うのだということは、これははっきりしておかなければいけないことだと思います。
 そこで、非営利法人の扱いでございますけれども、民主主義の社会というものは何かの方法でもって一カ所に権力が集中をするということを恐れる、権力といいますか、経済力とかあるいは人的な力が集中をすることを恐れる。相当の権力の集中や力の集中が生じたことは避けがたい、自由競争の社会でありますから避けがたい。しかしそのときには、その内容を開示するというのが、これは、開示をすることによってその活動というものに対して自制心が働く、みんながその一つの勢力が何をしているか内容をよく知ることによって、人の批判にみずから身をさらすことによって自分自身の行動を律するということになるわけでありますから、それがディスクロージャーというのは、民主主義社会においては基本的に大切な権力の集中に対する牽制になるというふうに私は思うわけでございます。
 そういう観点と、それからもう一つは、特に非営利法人の中の公益法人というふうに言われる扱いを受ける場合には、これは公益法人というのは、結局のところ、課税上の何か有利な取り扱い、免税とかあるいは減税とか、減免税の取り扱いを受けるというときには、これは当然、その開示ということといわゆる租税上の有利な条件というのはワンパッケージになるべきものではないかというふうに思うわけでございます。
 そうすると、この点については各国は果たしてどうなっているのかということでございます。非営利法人だからあるいは非営利社団であるから直ちにそういうふうな課税上の特権を与えられるはずはないわけでありまして、何かの基準をもって課税上の特権を与えられる、またあるいはその特権を維持することができるということになろうかと思いますけれども、その判断は課税庁が行うことになるという国もあるし、そうではないという国もあるかと思いますけれども、まずアメリカの場合はどうですか。これは大蔵省。
#40
○西原説明員 お答え申し上げます。
 各国における宗教団体を含みますいわゆる公益団体に対する非課税の仕組みということでございますけれども、私どもも必ずしも全部を承知しているわけではございませんが、先ほど来お話がありましたように、やはり国それぞれで取り扱いが違う。やはり社会風土ですとか歴史それから制度の違いというようなものがあろうかと思いますが、共通して言えることといえば、諸外国におきましても我が国と同様に、基本的に、宗教団体につきましてもいわゆる公益に関する団体の一つとして位置づけられております。すなわち慈善ですとか、慈善活動あるいは学術ですとか教育、こういったことを目的とする公益団体、これの一つとして位置づけられておるわけですが、そういった宗教団体につきましては、税制上他の公益団体と別の扱いをするというようなことは各国においてもございません。
 そういうぐあいに承知しておりますが、それでこの宗教団体を含む公益団体でございますが、それに対する課税の制度につきましては、各国それぞれいわゆる非課税団体として満たすべき要件というものを、一定の要件を定めておるわけでございまして、その要件を満たしている公益の団体につきましては、本来の事業に係る収入についてはいわゆる非課税というような扱いにしているものと承知いたしておるわけです。
 そこで、今御質問のアメリカでございますが、アメリカにつきましては、現在、内国歳入法典といういわゆる税法でございますが、こちらの方で要件を定めてございます。この要件につきましては、その内国歳入法典の五百一条のCの三というところで定められているものですが、これにつきまして三つの要件が書かれてございます。いわゆる専ら本来の目的の遂行に当たるということと、それから私物化をしてはならない、こういうこと、それから三番目としては、政治活動はいけないよ、こういうことでございます。
 そのような形で要件が定められているわけですが、税法でこういうふうに規定しているというのはなぜなのかということを考えてみますと、実は税制以前の問題といたしまして、アメリカの場合は連邦制をしいている国でございます。そのようなことで、いわゆる宗教団体を含みます公益団体、これにつきましての法人格の付与ということに関しましては、各州のレベルでそれをそれぞれの基準で判断をしている、各州マターの話になってございます。
 そこで、今度は税の関係なんですが、税につきましては、いわゆる連邦レベルでは、それではこういった公益団体についてだれが判断をしているのかといいますと、日本とは違いまして、主務官庁というのはございません。そこで、連邦レベルでもって課税をするという場合には、国税の優遇措置、その判定といいますのは、その判定基準いわゆる非課税要件、先ほど申しましたものでございますが、それについて連邦法の中の内国歳入法典、これで定めざるを得ない。そこで、それに基づいて課税当局が判断をしているということでございます。
#41
○太田(誠)委員 ドイツは質問出てなかったですか。いや、出してなければいい。質問出してなかった。ドイツも何かある。
#42
○西原説明員 ドイツにつきましては、先ほど来もお話がありました公法人いわゆる公認宗教というものが、プロテスタントですとかカトリックですとかそういうのがあるわけですが、それ以外の宗教団体につきましては、他の公益団体と同様な扱いになるわけですが、それにつきまして非課税団体というぐあいになるためには、やはり同じように税法上で、これは租税通則法というようなことでございますが、そこにおきましてやはり規定がございまして、課税当局による承認を受ける、それによって非課税団体となるというようなことと承知しております。
#43
○太田(誠)委員 ありがとうございました。
 イギリスではチャリティ・コミッショナーという制度だ、こういうことでありますけれども、これはイギリスでの伝統的宗教以外の取り扱いについては開示とかあるいは監督当局がどうだという件についてはこれはどうなんですか文部省。
#44
○佐々木説明員 イギリスでは先ほども御説明がございましたように、国教会あるいは既成宗教、一定の既成宗教以外はチャリティ・コミッショナーの登録ということで団体になるわけでございますが、私どもが承知をしておる限りにおきまして、いわゆる情報開示的な話といたしましては、慈善団体委員会に年次報告を提出をするということになってございまして、その年次報告書は一般の閲覧に供されるというふうになっているというふうに承知してございます。
#45
○太田(誠)委員 INFORMという団体については何か聞いておられますか。
#46
○佐々木説明員 お尋ねのINFORMでございますが、正式名称はインフォメーション・ネットワーク・フォーカス・オン・レリジアス・ムーブメントということのようでございまして、私どもも現時点では文献情報でしか承知をしてございませんが、概要を御説明をいたしますと、これは法人格を持ったチャリティ、先ほどの話でございますが、公認慈善団体という位置づけでございまして、一九八八年に内務省からの基金それからイギリス国教会その他主流の教会などから資金援助を受けまして設立された団体ということだそうでございます。
 目的でございますが、新しい宗教団体の活動についてのできる限り客観的で中立的な最新の情報を提供する、それで公共の福祉に資するということとなっております。
 業務内容でございますが、新しい宗教団体の活動につきまして、さまざまな信仰あるいは信者あるいは教団組織についての情報、新宗教運動の信者さんあるいは社会にとっての重要な影響についての情報、これらにつきまして収集をする、分析をする、あるいは一般に提供するということを内容としてございます。
 具体的には、例えば新宗教運動についてのいろいろな問い合わせに対して答える、さらにINFORMは国内外の専門家の広範なネットワークを持っておるそうでございまして、そういったネットワークに入っている専門の研究者等への照会も行っている。あるいは、これは規模は小さいそうでございますが、新宗教運動の関連の問題に対してのカウンセラーの養成、これもやっておられるようでございます。それから、セミナーを開催したり、あるいは学校等へ講師を派遣する、そういう活動もやっておられるという状況でございます。
#47
○太田(誠)委員 さっき情報の開示と非課税扱いということの二つはワンパッケージだという話をいたしましたけれども、それの適用に当たっては、公益的な団体ということでは、課税庁が判断をしたり、あるいはさまざまなそれぞれの国において判断をするということだと思います。これは、我々はそれこそ前から政教分離という言葉を使ってまいりましたけれども、例えば我々自身も大変幾つもの宗教団体のお世話にこれまでなって、それぞれ選挙で御支援をいただいてきておるわけでございますけれども、それはもちろん、そういう日本的な政教分離という言葉の使い方によって我々も非常に助かった面はあるわけでございますけれども、これは必ずしも自明のことではないということは、我々は胸にとめておかなければいけないことだと思うのですよ。ですから、当たり前だというふうなことは必ずしも言えないというふうに思うわけでございます。
 その辺について、急に聞かれても困るかもしれませんけれども、せっかくお戻りいただきましたので、何か御感想を大臣の方から。
#48
○宮澤国務大臣 ただいまお話を承っておりましたが、政教分離というような考え方につきましては、お話しのように各国いろいろ伝統もございますし、扱い方、考え方も違っていると思います。かつ、我が国におきましては、おっしゃいましたように憲法に基本規定がございますけれども、それに基づいて、それでは政教分離を具体的にどう考えるかということにつきましては、私は余り知識が豊富ではございませんが、なおやはりいろいろな議論がございまして、政教分離について確定的な見解と申しますか考え方というものは、どうもまだ出ていないのではないか、こういう感想を持っております。
#49
○太田(誠)委員 例えば、シンガポールという国がなぜできたのかというと、これは俗説かもしれませんけれども、シンガポールという国ができたのは、もともとマレーシアという国の中にシンガポールはあって、その中で、マレーシアで回教が国教化されるということで、それを受け入れないという人がシンガポールという国をつくったんだという、それは本当かどうか知りませんけれども、そういう説があるぐらいでありますし、また、国家の成り立ちというのは宗教、民族というふうに言われるように、国家の成り立ちというものに非常に関係を持っておるわけでございます。その割に、我々は今まで国家と宗教あるいは宗教と政治とか、そういうことについて実は余り議論してきてないわけです。
 申しわけないけれども、海外の法制がどうなっているかということについても、私自身も、今度宗教法人法が、特別委員会ができるというので、初めてちょこちょこいろいろな資料をもって勉強したわけであって、相当日本人全体が勉強不足、悪いけれども皆様方も余り知らなかった。勉強してなかった。そうなんですよ。大体みんな勉強不足で、俗説というか誤解というか全く間違った物の考え方というのが平気で流布していたりするわけでございます。
 だからそれは、ああやって特別委員会をつくっております。私は向こうに行ってちゃんと質疑を聞いておるわけではありませんけれども、各閣僚の答弁も、本当に勉強をしたとかよく考えた上で答弁しているのかどうかということも、ここはこうだということは言いませんけれども、やや安易に答えちゃっているところもあるのではないかというふうに思います。ですから、特に博学で見識の高い法務大臣におかれましては、閣議において、日本人全体が十分な知識を持ってないということについては、ぜひ注意を持って臨んでいただきたいというふうに思うわけでございます。
 まだあと数分ありますので、今回の宗教法人法の改正の話というのは、これは民法の改正ということなのか民法の具体化ということになるのか、非営利法人の規定あるいは特に公益法人に関する規定というのは、これは減免税であれば大蔵省がそういう判断をすることになるのか、いずれにしても、やはり民法の非営利法人の中で位置づけをすべきことだと思うのですね。特に非課税というようなことについてはそういうことだと思うのです。
 さらに、それは、商法改正をいたしてまいりましたので、商法改正も、この民主主義社会の中における一つの経済力の集中というものに対してどうするのか株主と非常に巨大化した企業の関係をどうするのかというふうなことで、ディスクロージャーということを我々も数次にわたってこの法務委員会でやってきたわけでありますけれども、商法で、株式会社というものに対する株主のチェック・アンド・バランスの考え方とこの非営利法人というものも、やはり同じような考え方でアプローチがあってしかるべきだというふうに思います。ぜひその点についてまた問題意識をお持ちいただきたいと思うのでございます。
 今度の宗教法人法改正のことは、オウム真理教のことで始めたということでありますけれども、実はもっと早くから問題のある活動というのがあったわけでありまして、それは統一教会であります。私も自民党におりましたから、一時は友好団体になっておったから、まるで知らないわけではありませんので、一方的に言うのはなんでありますけれども、統一教会に対しては、アメリカで一九七八年にフレーザー報告というのが出されておって、そこで統一教会の信者勧誘のあり方について内容を暴露するというふうなことがあり、またヨーロッパ議会、つまりECの議会でありますけれどもEUの議会、ヨーロッパ議会では、一九八四年に加盟各国がとるべき対策について決議がなされた、議会で決議がなされたわけであります。それもまた信者勧誘の方法についてこれを問題にする、あるいは批判決議のようなものが出たわけであります。そして同じころに、脱税で統一教会の文鮮明という人が有罪確定をした。一年後に釈放されたということでございます。そして、それから八年たって、我が国に九二年三月に入国をしておる。九二年の夏に韓国で集団結婚式を行うというようなことがずっと続いているわけでございます。
 この間、各ヨーロッパでも統一教会の活動に対して大変色惧の念を持つ声が高まり、それ以前に米国でそのような警告を発する報告が出されたということでありますけれども、我が国はこの間それに対して、週刊誌はおもしろいからどんどん書いた、週刊誌はたくさん書いたけれども、議会で決議をしたようには私は覚えてないのです。もう議員になっておりますが、何か決議をした覚えがないわけでありますけれども、どこかであったのかもしれません。役所が何かこれについて警告を発する発表を世間に問うたということはあるのかどうか余り覚えてない。みんな週刊誌的なおもしろい、好奇心をくすぐる話だということでもってしか処理されていないけれども、これは重大な社会問題だということで、ヨーロッパでもアメリカでも位置づけられているわけであります。
 そういう状況の中で法務省の入管局がこの人の入国を認めたということは、私は誤った選択であったというふうに今でも思っております。これは法務大臣の職権でやられたことでしょうけれども、それまで大変ずっと慎重に、この問題については慎重に対応してきたという経緯があるにもかかわらず、まことに残念なことであったと今でも思っております。私に意見を聞かれれば、これは反対であるということを申し上げるはずでありましたが、たまたまそういう立場になかったものですから、そういうことを申し上げられなかった。
 ですから、我が国はよその国で起こっていることについて、当然この国でも同じことが起こっているわけだから、それに対して、要するに公益といいますか、パブリックインタレストといいますか、あるいは公衆、パブリックに与える悪い影響とか社会的な問題についてアクションをとることが少ないということが反省をされるべきではないか。入国を認めたことも含めて我々は反省すべきではないかというふうに思うわけでございます。
 これはちょっと時間が過ぎてしまいましたけれども、最後に、これから宗教法人法が通れば相当な権限を持つことになるであろう文部省の、これまでのことについて何かお考えがあればお話しください。それで終わります。
#50
○佐々木説明員 なか狂が先生の御趣旨にぴったり合うようなお話ができないかもしれませんが、統一教会につきましては、お話しのように種々の報道がされてございまして、世の中でいろいろ問題を指摘されているということは、私どももそれは承知をしてございます。
 宗教法人の活動と申しますのは、憲法の信教の自由という原則に従いまして、基本的に自由でございます。もちろん宗教法人の行為でございましても、それが法令に違反するというようなことがございますれば、これは厳正に対処されるべきものでございまして、宗教法人法もその旨明記をしているところでございます。
 それで、これまで文部省なりあるいは所轄庁としての東京都は何をやってきたかというおしかりの言葉でございます。(太田(誠)委員「いや、そんなことない」と呼ぶ)
 それで、一つ私どもそういう状況、個別の問題についてということではございませんが、宗教について諸外国でどうなっておるのかあるいは国民から宗教についていろいろ御疑問もある、場合によっては苦情もあるというのは、残念ながら事実でございます。こういう点につきまして、私どもは平成八年度、例えば海外におきますカルトの対策を含めた宗教事情の調査、あるいは、我が国におきます。そういった宗教についての苦情の相談について、どういうシステムが考えられるか等々につきまして調査研究をやってみたいということで、大蔵省に今概算要求をしているところでございます。平成八年度以降、そういうことが認められますれば、そういう点につきましても精力的にやっていきたいと思っております。
#51
○太田(誠)委員 ありがとうございました。
#52
○加藤委員長 山本拓君。
#53
○山本(拓)委員 山本拓でございます。
 まず、大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、たしか、いろいろな委員会というか今やっているのは宗教特だと思うのですが、宗教特別委員会、今回の破防法に関して大臣は大臣なりの判断をしますという答弁をされておったのをちょっとテレビで見た覚えがあるのですが、それは間違いないことでしょうか。
#54
○宮澤国務大臣 破防法の問題につきましては、目下、公安調査庁を中心に検討をいたしているわけでございます。そして、御承知のように破防法におきましては、処分の申し立てをいたしますのは公安調査庁長官というふうに法律の規定で定められております。しかし、公安調査庁も申し上げるまでもなく法務省の外局でございまして、法務大臣として指揮監督をする立場にございますので、そういう立場を十分に踏まえてこの問題に対処していきたいと思っております。
#55
○山本(拓)委員 その対処というのは、大臣は大臣なりの判断をするということでしょうか。
#56
○宮澤国務大臣 そのとおりでございます。
#57
○山本(拓)委員 そうすると、その大臣の判断というのは、いわゆる一般的に政治判断と行政判断と二つよく使われているのですが、それは政治判断になるのですか大臣の行政判断になるのですか。
#58
○宮澤国務大臣 破防法を適用するかどうかにつきましては、御承知のように四つの条件がございますので、団体の存在とそれから団体活動、さらに暴力主義的な破壊活動を行ったこと、それから、今後継続反覆して行われる危険があるかどうかということが条件でございます。それを法とそれから証拠に基づいて判断をするわけでございまして、私は私の立場で、今度の具体的な案件がその条件に適合するかしないかという判断をいたしたいと思っております。
#59
○山本(拓)委員 だから、昔、私ら行政手続法の勉強会で通したことがありますが、そのときの思いから言っているのですが、結論的には法と証拠によって結論を、大臣なりの判断を出すということですけれども、その大臣の判断というのはいわゆる行政判断と理解してもいいのですか、いわゆる政治判断ということですか。
#60
○宮澤国務大臣 おっしゃいます行政判断、政治判断という意味と申しますか、はっきり私は了解いたしかねる面がございますけれども、今度のオウムの問題に限って申し上げますれば、オウムの事案というものが破防法に定める条件に該当するのかしないのかという判断を私はいたしたいと思っております。
#61
○山本(拓)委員 それでは公安調査庁長官にお尋ねしますが、長官は専権事項としてやられるわけですけれども、これは何に基づいて判断するのか。そしてまたその長官の判断は、いわゆる政治家でございませんから政治判断することはないと思いますが、行政判断でやるということが明言できるのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
#62
○杉原政府委員 ただいま法務大臣から御答弁ございましたとおりでございますが、最終的に規制請求をするかどうか、あるいはその前提としての弁明手続を開始するかどうかの判断の基準といたしましては、破防法という法律に定められた規制請求の要件に合致するかどうかという点につきまして、証拠を十分に、慎重に検討し、それに従って判断をする、こういうことでございます。
#63
○山本(拓)委員 そうすると、要するに、長官の判断は政治判断は含まれないということですね。
#64
○杉原政府委員 政治判断ということのお言葉の解釈が、先生のお考えになっていることと私が考えていることと同一かどうかわかりませんが、私なりに解釈いたしますと、政治判断というのは、法と証拠に従って、破防法所定の団体規制の要件に該当するかどうかということの判断、つまり、これは言いかえれば法律的な判断であろうと思うのです。その上にさらに別の意味の政治的な配慮を加えるという意味での政治的判断という意味であるとすれば、私はそのようなものはないのではないかと考えております。
#65
○山本(拓)委員 そうすると、長官の法と証拠、判断材料ですね、法はわかりますが、今言っている証拠というのは具体的にどのような概念のものなのでしょうか。
#66
○杉原政府委員 御承知のように私ども公安調査庁は行政機関の一つでございまして、ただ、行政処分としての団体規制に関する事実の解明を行うための調査というものを行うわけでございます。そういう意味で、この調査を進める過程で集めた証拠、これを私は今証拠と申し上げております。
#67
○山本(拓)委員 大臣にお尋ねしますが、大臣も先ほど、大臣として判断なされる場合に法と証拠をもってやるということですね。それと、今長官も法と証拠でやるということですね。大体法は一緒ですね。それで、長官の言う証拠と大臣の今おっしゃった証拠と同一ですか、それとも違いがあるのですか。
#68
○宮澤国務大臣 これは具体の問題でございますのでお答えできない点もあるかと思いますけれども、原則的には公安調査庁がその仕事としていろいろ調査をいたしております。したがいまして、私が事案を判断いたします場合にも、公安調査庁の調査をいたしました証拠というものが基本になるであろうと思います。
#69
○山本(拓)委員 ということは、二人とも法と証拠によって結論を出す、判断を下すという中で、その法と証拠の中身が、今の大臣だと、大臣は長官のやっている証拠を中心としているということであれば、結果的には長官の判断というのですかね、要するに、大臣としては長官の判断と違う可能性はないわけですね。
#70
○宮澤国務大臣 これはもう一般論として申し上げる以外にないのでございますけれども、具体的な事態、事案に法を適用するといった場合には、その法律の求めております立場なり解釈なりというものについては、それはみんなが同じような立場や解釈を持っていることにはならないと思います。
#71
○山本(拓)委員 ただ、今回の場合は、やるかやらないかという判断の選択肢は二つしかないわけでございまして、だから、同じ法と同じ証拠のもとで、お二人の間で判断の違いが出てくる可能性はあるのですか。
#72
○宮澤国務大臣 これも一般論として申し上げる以外にないのでございますけれども、先ほども申しましたように、破防法は四つの条件を定めておりまして、団体の存在と団体の活動、それから暴力主義的な破壊活動を行ったこと、それの中には政治的目的というのが入っております。それから、反復継続して同じようなことが行われる危険があるかないかということが条件でございますので、具体的な証拠をもとにした事態というものがその条件にどう合うかということについては、一般論としては、すべての人が同じように考えるかどうかということには、そこには問題があると思うわけでございまして、それを申し上げているわけでございます。
#73
○山本(拓)委員 ということは、要するに大臣の解釈が長官と違う可能性があるということですか。
#74
○宮澤国務大臣 まだ公安調査庁長官の解釈と私の解釈というような具体的な詰めまでいっておりませんので、それをそのままお答え申し上げるわけにまいりませんけれども、例えば四つの条件というものがどう妥当をするかという場合には、例えば反復継続して今後も行われる危険があるかないかというような判断というのは、これはまた人によって違うことがあり得るということを申し上げているわけでございます。
#75
○山本(拓)委員 今のお話ですと、いわゆる法の解釈は違わないと思いますね。要するに証拠の解釈の違いかなというふうに思うわけでありますが、長官にお尋ねしますけれども、その証拠の積み重ねの解釈というものは、これは少なくとも、いわゆる解釈の違いの余地は幾つか出てくるものなんですか。
#76
○杉原政府委員 その点につきましては、先ほど法務大臣からお答えになったとおりに解釈しております。法務大臣のお考えと全く同じでございます。
#77
○山本(拓)委員 では、具体的に大臣にお聞きしますけれども、大臣の判断をされる場合に、具体的な銘柄というか事柄、例えば、一概にオウム解散命令といいましても、いわゆる弁明手続の開始決定の判断、そしてまた、公安審査委員会に審査を請求するかどうかの判断ですね。審査委員会にかけた後の結論は関係ないわけですね、基本的には。だから、その二つに対する判断を大臣がなさるのか、それともどちらか片方になさるのか、それはどちらですか。
#78
○宮澤国務大臣 行政手続といたしましては、今お話がございましたように、弁明の開始ということが一つございます。それから、弁明が終わりまして、それでは請求をするかしないかという第二番目の段階がございますことはおっしゃるとおりでございます。そして、いずれの場合も、それは公安調査庁の長官が主になる仕事ではございますけれども、先ほど申しましたように、公安調査庁も法務省の外局でございまして、私が指揮監督をする立場にございますので、そういう立場で私も考えていかなければならないと思っております。
#79
○山本(拓)委員 とりあえずは、今言われておりますのが、弁明手続の開始決定をするかどうかというところから始まるわけですね、手続的には。そこの判断は今長官の方でやっているのですね。そこは法と証拠に基づいているわけでございましょうけれども、進捗状況はどうなっているのですか。
#80
○杉原政府委員 調査につきましてはほぼ詰めの段階に入っておりまして、現在、実務的な観点からその詰めの検討の作業を急いでいる、こういう段階でございます。
#81
○山本(拓)委員 また大臣としては、弁明手続の開始の決定についての判断に対して、いわゆる長官が今進めている法と証拠、法はいい、証拠の解釈について、まだ説明は全然聞いてないのでしょうけれども、違いはあり得るというふうにお思いですか。
#82
○宮澤国務大臣 具体的には、なお公安調査庁の方で詰めるべき問題が幾つかあるというふうに聞いております。したがって、私は今、公安調査庁が調査をいたしましたすべての問題について、全部聞いているというわけではございません。その上で、公安調査庁から調査の全容を聞きました上で、公安調査庁として弁明手続に入るかどうかという判断をする場合に、私も法務大臣として公安調査庁長官を指揮監督する立場にございますから、そういう立場で私も判断をしなければならないと思っております。
#83
○山本(拓)委員 先日、長官の答弁で、弁明手続の開始をするかどうかの権限は長官の専権事項だという答弁を、我が党の富田委員の質問になさっていますね。それは間違いないですね。
#84
○杉原政府委員 そのような答弁をしたことは事実でございます。
 その専権事項ということの意味について若干説明させていただきますが、これは、破防法による団体規制処分の請求手続の権限が、破防法上、公安調査庁長官に専属的に帰属しているということを意味しているわけでありまして、つまり、私の名前で行うということになっておりまして、それ以外の人の名前では行えない、こういう意味で専権事項という言葉が私ども部内で使われることもある、そういう意味で申し上げたわけでございます。
#85
○山本(拓)委員 そうすると、専権事項というものに対して大臣は、これは一般論でも何でもない、具体的な話ですが、どのように、一般の事務決定事項と、あえて法律で定められている専権事項と、同じように大臣としては、その中身の項目に対して、それはどう扱われるお考えですかそれともどこか違いがあるのでしょうか。
#86
○宮澤国務大臣 破防法で公安調査庁長官の権限として明定をしたという経緯なり背景なりは私は知悉をいたしておりませんけれども、普通の、一般の行政事務と違って、公安調査庁の権限として書かれているということは、これはもう明らかでございます。しかし、公安調査庁長官といえども法務大臣の指揮監督のもとにあるわけでございますから、そういう意識で私は対応をしていかなければならないと思っております。
#87
○山本(拓)委員 ということは、こういうふうに理解すればいいのですね。専権事項と明記してあっても、大臣にしてみれば一般の部下の決定権と同じ扱いである。私が思ったのは、要するに、確かに法務省の中の管轄ですから、あしたにでもおまえやめろと言ったりここへつけという、いわゆる解任とか任命の権限はあると思うのですね。そういう意味での権限はあると思うのですが、その中身の問題に対して、法と証拠に照らし合わせてきて長官のところで決定権がなされているその中身について、そういう配置図の中にあるからということで、大臣としては、言い方は悪いけれども、それに口を挟むこともできるという解釈でよろしいですか。
#88
○宮澤国務大臣 お尋ねの趣旨が、公安調査庁長官の権限として法律に書いてございますので、そのままいくのかそれとも、今のお話の表現を拝借すれば、大臣としてそれに口を挟むことがあるのかとおっしゃいましたけれども、一般論としては口を挟むことがあり得ると思います。
 ただ、今度のオウムの事件について、一体、公安調査庁長官の考え方あるいは判断と、私の判断とが違うかどうかということは、まだこれからやってみないとわからない問題でございます。
#89
○山本(拓)委員 大臣は政治家ですから――政治家ですね。だから、当然政治家として政治判断をするんだというのなら理解できるのですよね。だから、要するに行政判断というのは、例えば行政手続法なんかでは、一般の人は、大体行政というのは、法と証拠、そういう事実関係を積み重ねて結果が出るものだから、それが、著しく決定がおくれたり違った決定が出たらおかしいじゃないか。その過程を、これは逆に政治家が判断するのなら仕方ないけれども、行政判断でやる間はそんなに大きなぶれがあったらこれは明確にしなければならないという精神でつくった覚えがあるのですよね。
 だから私もこれは、要するに、大臣が政治判断をすると明言されるのならこれ以上言いませんよ。しかし、行政判断だ、ある意味では法と証拠に基づいてのみの判断だと長官が言われて、長官と同じようなスタンス、同じようなもので判断するということを今答弁されたと私は理解しているのですが、そういうことであるならば、結論は多少ぶれがあっても、これは、やるかやらないかという違いのぶれは百八十度違うわけですからあり得ないと思うのですが、そういうことも可能性はゼロではないということですか。
#90
○宮澤国務大臣 まだ具体的な話を全部聞いているわけではございませんで、その判断をする段階になっておりません。そういうことでまず御理解をいただきたいと思います。
 私がさっき申しましたのは、一般論として申し上げたわけでございまして、一般論といたしましては、それは、公安調査庁長官が判断することと法務大臣が判断することとは、一般論としては、必ずしもすべて一致するかどうかはわかりません。しかし、基本になっておりますのは、具体的な事案について破防法を適用する、その適用を誤りないように適用しようということは、私も公安調査庁長官も同じ姿勢であると思います。
#91
○山本(拓)委員 同じことを繰り返し質問していてもなんでございますが、ただ、一点だけもう一回しつこく確認します。
 いわゆる一般論として、むしろそんなに大きな違いは結論としては出てこないと私は思っているのですよ。要するに、同じ法と証拠、法と証拠でこれだけの、中身はもう、オウム真理教のやってきた、今回宗教法人の解散命令が裁判所で出ているものですから、それに基づいたというかそれに類似した証拠が積み重なっていくわけですね。それを長官が法と証拠に基づいて専権事項でやる、大臣も法と証拠に基づいてやる。そうすると、行政手続上そこに違いが出るとしたら、大きな違いが出るとしたら、政治判断しかないと私は思っているのです。それは全く一般論としてはそんなに多くはないと思うのです。結果的に大きな違いが出たときには、大臣としてこういう理由の違いで違いましたということを表明すべきだと僕は思っているのですが、こういう考え方は違いますかね。
#92
○宮澤国務大臣 先ほど来、政治判断あるいは行政判断というような言葉をお使いになりましたけれども、あなたも政治家ではないかとおっしゃいました。私もそれは政治家の端くれではございますけれども、今申し上げておりますのは、具体的な事案について法律を適用するということについて、法律の趣旨なり精神なりを間違えないようにしながら法律を適用していきたい、こういう姿勢については、公安調査庁長官も、その指揮監督権者である私も同じ立場であるということを再度申し上げたいと思います。
#93
○山本(拓)委員 それは当然のことだと思います。
 では一つだけお聞きしますけれども、先日、宗教法人の解散命令が裁判所から出されましたときに、いろいろな方がコメントを出されまして、野坂官房長官が、この解散命令でオウムがどういう変化を起こすか注目しなければならないと発言して、破防法の適用は宗教法人の解散命令の効果を見きわめる必要がある、これはいろいろな新聞に報道されているわけであります。
 長官にちょっとお尋ねしますけれども、長官のその判断の中には、今回の宗教法人の解散命令が出たその効果を見きわめるという、そういうものが長官が今言っている法と証拠に基づいた結論を出すプロセスの中に含まれておるのですか。
#94
○杉原政府委員 その前に一言申し上げたいのは、この宗教法人法に基づく解散命令の効果とそれから破防法を適用して団体規制を行った場合の効果、比較の問題があろうかと思うのです。
 宗教法人法に基づく解散命令の効果は、当該宗教法人の資格の剥奪と並んで財産の整理の効果、この二つがあるわけですが、破防法の場合にはそれだけではなくて、それだけといいますか、それ以外に団体の構成員並びに役職員の団体のためにする活動が禁止される、こういう効果が生ずるわけでございまして、宗教法人法による解散命令とまた破防法の問題とは別個の問題だろうというふうに一般的には考えております。
#95
○山本(拓)委員 ということは、再度確認しますけれども、時間がありませんから短く答弁していただきたいのですが、要するに、野坂官房長官が官邸でされた記者会見で、いわゆる解散命令の効果を見きわめるということは、要するにその判断材料に入らないことは明言できますね。
#96
○杉原政府委員 いろいろな議論があるところであろうと思っておりますが、私どもといたしましては、公安調査庁といたしましては、その問題はまた別の問題であろうというふうに原則として考えております。
#97
○山本(拓)委員 大臣も同じ考えですね。
#98
○宮澤国務大臣 公安調査庁長官がお答えをしたとおりでございます。
#99
○山本(拓)委員 ということは大臣、これは同じ村山内閣で官房長官が大臣と違ったことを言っているわけですから、ちゃんと抗議なり注文をつけることをやるべきだと思うのですが、やっていただけますか。
#100
○宮澤国務大臣 官房長官がどういうお考えで発言をされたかまた私もマスコミを通じて読むだけでございますので、その辺ははっきり了解をしているわけではございませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、法と証拠に基づいて判断をしたいということを再三申し上げております。
 証拠ということにつきましては、無論これまでのあった過去のいろいろな事象に基づく証拠もございますし、それから、裁判所で解散命令が出たというとき以降の、現に行われているものもこれは証拠としてあり得るというふうに考えております。
#101
○山本(拓)委員 だから今ほど長官が、ないという話で、官房長官がいわゆる宗教法人の解散命令が出たのを見きわめてから判断するという、見きわめてということは、要するに見きわめる時間が必要だという政治判断なんですね、これは証拠ではありませんから。だからそれはないということを、大臣も今の答弁で要するに同感ですということですからそれで理解をいたしますけれども、まさしく私が要望しておきたいのは――ただもう一点、これは総理が、これは朝日新聞だから、新聞の書き方だからわかりませんけれども、要するに同様な意向だということですから、これは著しく、公安調査庁、いわゆる行政レベルの、行政判断の中に入っていない分野を官房長官やら総理が勝手に言っている。ただ、それは総理大臣ですから、言うのは最高責任者ですからいいけれども、それはそういう法務当局としてはいわゆる政治判断の部類に入る、行政判断の部類に入らないという理解でよろしいですね、長官。
#102
○杉原政府委員 総理がどのような真意で発言されたのか私は、立場からコメントするのは適当でないと思っております。
#103
○山本(拓)委員 では、大臣の立場。
#104
○宮澤国務大臣 今、政治判断とおっしゃいましたけれども、どういう環境でどういう発言をなさったか、正確には存じないことは先ほど申し上げましたとおりでございますが、私が先ほど御答弁を申し上げましたように、見きわめてとおっしゃる、見きわめるという言い方がどうか、妥当であるかどうかということについては、これは考え方がございますけれども、先ほど申しましたように、法と証拠に基づいてという場合の証拠というのは、過去に起こった事例、事態に基づく証拠とそれから現に調査の結果出ている証拠、両方あると思うのです。現にと申しますのは、地裁で解散命令が出たということ以降のことも無論それは証拠として、調査をすべきものは調査をしなければならない、こういうことを申し上げたいと思います。
#105
○山本(拓)委員 そうすると、きょうの時点で、これから先、発生するだろうもろもろのことに対しての証拠も今回の開始決定の証拠に含まれるということですか。
#106
○宮澤国務大臣 過去のことばかりでなく、現に行われているというものも、それは証拠としてあり得るということでございます。
#107
○山本(拓)委員 現にということは、例えばきょうのこの十一時五十二分の段階をもって、これから先のものも含まれるということですか。
#108
○宮澤国務大臣 時計をごらんになって十一時五十三分とおっしゃいましたが、現にと申しますのは、十一時五十三分現在のことでございます。
#109
○山本(拓)委員 いずれにしましても、破防法適用、例えば長官のその開始決定時期がまず焦点になっているわけですね。これが要するに法と証拠という判断であるならば、先ほど長官がお話がありましたとおり、これは、見きわめるというのは相当の時間を要する。時間を要するということは、何が起きるかわからないわけでしょう。だからそれは、要するに一般で言う、長官の言う証拠には当たらないんですよ。これから先いつまで行くかわからないんでしょう。だからそれは著しく政治判断にかかわってくると私は考えておりますが、政治家としての判断は一切しない、政治家として、まあ政治家ですからね、大臣、端くれというよりも立派な我々の政治家でありますから、政治判断はしないということは明言できますか。
#110
○宮澤国務大臣 その前に、先ほど申しましたように、見きわめるという言い方をされたかどうかわかりませんけれども、見きわめるとおっしゃるのは一体どこの時点かという今もおっしゃいましたように議論もございますので、見きわめるというおっしゃり方については、さあ、どうかなという感想を持ちます。
 それから、政治判断はしないんだろうなとおっしゃいました、政治判断というその概念、解釈がいろいろございますけれども、法の適用過ちなきを期するというのが私どもの判断の基本であると再度申し上げておきたいと思います。
#111
○山本(拓)委員 だんだん時間がなくなりましたからあれですが、話を変えまして、破防法の目的というのは再発防止でありまして、一番懸念されるのは、今何人か刑務所に入っていますよね。刑務所に入っていると、考えられるのは、刑務所の中で布教活動をして、仲間づくりをして段取りするんじゃないかなという心配をする人もあるんですが、そういう懸念はないですかね。
#112
○杉原政府委員 委員が指摘されたそういう点も含めて、私どもの調査の中に、視野に入れまして調査をしているということだけ申し上げたいと思います。
#113
○山本(拓)委員 大臣、素人考えですよ、素人考えで今御質問したんですが、幹部が、刑務所の中身は僕知りませんけれども、大勢の大部屋に入れられるのか独房に入れられるのか知りませんけれども、仮に大部屋に入れられたとしたら、それは、布教活動じゃないけれどもそういう可能性が非常に多いと思うんですが、そう思いませんか。大臣としてそういう心配はないですか。
#114
○杉原政府委員 まことに恐縮ですが、その点については説明を差し控えさせていただきたいと思います。
#115
○山本(拓)委員 それじゃ、例えば今回の宗教法人法の適用で解散命令、これは結果はまだ出てませんけれども、最終決定は。まあ一般的に考えますと、これは出家した人は、財産全部預けてそこで暮らしているわけですね。それでそれをとられちゃうわけですね、いずれにしても。そうすると、本来ならばその人たちは食っていけなくなるわけです。あしたからの生活はどうなるのかなというふうに思うんですね。恐らく今のままでいきますと、会社組織に入れかえて、信者から社員になって食っていくんだろうという懸念があるんですが、そういう心配はないですか。
#116
○杉原政府委員 御質問の部分が今後の信者の動向がどうなるかということに関する部分で、どういうことも考えられる、いかなることも、いろんなことが考えられるわけですが、その事実関係いかんによって判断しなきゃならないことですし、私どもとしてはいろんなことを幅広く調べて、それを今回の適用の可否を判断する際に資料にするつもりで今調査を進めているということで御理解をいただきたいと思います。
#117
○山本(拓)委員 宗教法人法改正にしても団体解散にしましても、例えば団体解散をやるべきだと私は思っておりますが、その目的というのは再発防止ですから、せっかく団体を解散しましても、その構成メンバーがいわゆる、本来ならば食っていけないわけですよね。食っていけないけれども、やはりそれを生活保護で見るのか何で見るか知りませんが、その後のことは関係ないかもしれませんけれども、しかしながら、再発防止、一番困るのは団体を解散させて、そういう人たちが、例えば麻原さんはもう二度と出てこないでしょうけれども、上祐社長の株式会社をつくって、また同じメンバーが集まって飯を食う、経済活動を行う、そういうことは、今回の破防法でそれも禁止になるわけですか、それは認められるわけですか。
#118
○杉原政府委員 非常に具体的な御質問でありますが、一般論で申しまして、この破防法の団体規制の規定が適用されて解散の指定が行われますと、先ほど申しましたように、団体の役職員あるいは構成員、今回の場合ですと信者も含めまして、そういった団体の構成員がその後団体のためにする活動ができなくなる、こういう効果が生ずるわけです。それで、今委員が御指摘になりましたような例につきまして、それが団体のためにする行為であると認められれば、それを規制の対象にすることもあり得るということを申し上げたいと思います。
#119
○山本(拓)委員 私が言いますのは、大体、信者の人が普通に一般の社会に入りますと、例えば刑務所から出てきた人と同じような扱いにされる可能性が非常に強い。だから、結局また同じメンバーが集まって、そしてお互いに飯食っていかなきゃいけませんから、会社でもつくって、お互いの飯食う会ということで、また意思の疎通を図る可能性があるんじゃないかな。そこはオウムの再発になるのかの判断は難しいですが、これは大臣、どういう形で社会更生していくのが望ましいとお考えですか、そういう人たちは。
#120
○宮澤国務大臣 どういう形で社会復帰をしていくのが望ましいかという御質問でございますが、オウムのかつて信者であったというようなことが世間に明らかにならないで、ごく自然に子供が学校に行き、それから勤めに出る人は勤めに行くというような、ごく自然の流れの中で解決できれば、これが一番望ましい形だと思います。
#121
○山本(拓)委員 一般的に言いますと、捕まった人が釈放されたり、そしてまたいずれ釈放になるわけですね。そのときは、今の現枠組みでいきますと、更生保護会が対応してくるんだろうと思うんですね。
 更生保護は長い歴史がありますけれども、それぞれ優秀な人たちがやっておりますが、今までの犯罪形態と違って、犯罪ではないんです、これは。犯罪かもしれませんが、ちょっと思想犯になるのか何になるのか知りませんが、今までのいわゆる更生保護のメンバーとはまた別な要素も含まれてくると思うんですが、保護司とかそういう人たちの。
 要するに、やはり今後そういう、再発防止を含めて、また社会復帰をするに当たってのお手伝い役は更生保護が中心になると思うんですが、今後この更生保護に対して大臣としてどのように期待をし、拡充をし、またどういう形での保護対策というのですか、拡充策をもし具体的にお持ちでしたらお伺いをいたしておきます。
#122
○宮澤国務大臣 更生保護に関係をしてくださっている方々の御努力というのは、これまでも、非常に地味で目立たないことでございましたけれども、我が国の刑事政策上は極めて重要な役割をしていただいたと思います。
 特に今回の、今問題になっておりますオウムのような問題に関連をいたしますと、やはり先ほども申しましたように、関係をされた方々がごく自然に社会復帰ができるようなことを考えることが大変重要なことでございまして、それにはやはり保護司や更生保護関係者を初めとする民間の方々の御協力と申しますか、これがぜひ必要であるというふうに考えております。更生保護行政の円滑、適正な実施にさらに努めてまいりたいと思います。
#123
○山本(拓)委員 どうもありがとうございました。
#124
○加藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#125
○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行します。倉田栄喜君。
#126
○倉田委員 新進党の倉田でございます。
 私は、まず最初に、破壊活動防止法の適用の問題について、その最終的な判断権者は一体だれなのかということを中心にお伺いいたしたいと思います。
 まず最初に、この適用の問題について大臣の所信を、今まで何回もお答えになっておりますけれども、確認をさせていただく意味でお伺いしたいと思います。
#127
○宮澤国務大臣 破壊活動防止法は、もう私から申し上げるまでもなく、公共の安全を確保する、そのために暴力主義的な破壊活動を行った団体を規制していくということがその趣旨でございますけれども、同時にこの問題は、国民各位の基本的人権にかかわる問題でございますので、法と証拠に基づいて厳正かつ慎重に対応をしていきたい、このように考えております。
#128
○倉田委員 法と証拠に基づいて厳正に対応する、また基本的人権にかかわる問題であるので慎重にやっていきたい、私もそれはそのとおりである、そういうふうに考えます。
 ただ、今までの議論を通じて、聞いておりまして思うことは、この破防法を適用するか否かについては、これは総理も御答弁になっているように、一つの流れがあります。
 公安調査庁においては、まずその必要があるかどうか調査を始める。調査を始めるかどうかについても、どなたかの判断があるのかもしれません。調査をした後、規制請求手続があって開始決定がある。そこで、そのまず第一に、この規制請求手続開始決定、ここのいわば最終決断者というのはどなたなのか。
 そして、この規制請求手続開始決定があって弁明手続が始まるわけですね。それで、弁明手続が終了をして処分請求がある、ここまでは公安調査庁です。それで、公安調査庁の処分請求があって、公安審査委員会の審査があり決定が行われる、しかる後に裁判所に取り消し訴訟、そういう一定の流れになっておる。このそれぞれに、例えば最初調査をして規制請求手続の開始決定をする、そして弁明手続が始まって、公安審査委員会に対して処分請求書類を提出する。
 それぞれに、今までの御答弁を聞いておりますと、例えば法務大臣も、そして総理も、この弁明手続以前の段階については何か権限がありそうな御答弁でございます。私はどうもそれでいいのかなというふうな思いがしてなりませんので、この辺をきちっとお答えいただきたいと思います。
 まず、長官は前回の我が党の富田委員の質問に答えていますが、いわばこれは専権事項であるというお話をなされ、また専権事項のあり方については、宗教法人特別委員会で、長官の名前でそれはやるんだということで、総理大臣に対しても御報告をいたします、そんなお答えもしておられますけれども、もう一度この点について、それぞれ規制請求手続開始決定、それから公安審査委員会への処分請求を提出するかどうかそういう一つ一つの各段についての判断があるわけですが、その判断の問題について長官はどんなふうにお考えなのかもう一度確認をしておきたいと思います。
#129
○杉原政府委員 破防法による規制請求に必要な弁明手続の開始並びに弁明手続開始後の処分請求の要否についての決定というものは、公安調査庁の長官が、法律の規定上、その責任において長官名で行うことになっております。
 ただし、これらの手続は法務省の外局である公安調査庁が行う行政上の行為でありますから、この手続の開始に当たりましては、主任の大臣であります法務大臣の了解を得る必要があるというふうに考えております。
 また、内閣全体にも影響を及ぼす事案でありますので、行政の長である総理大臣の御理解も得ることになると考えております。
#130
○倉田委員 法務大臣には先ほど、破防法適用の、法と証拠に基づいて厳正に、また人権にかかわる問題であるから慎重にしたい、こういう一般論としてお伺いをしたわけですけれども、今ほど長官から御答弁がございました、調査後の規制請求手続の開始を決定する、あるいは弁明手続後に公安審査委員会に対して処分請求をするかどうか決定する、これに対して法務大臣はどんなかかわり方ができるというふうにお考えになっておられますか。
#131
○宮澤国務大臣 ただいまお尋ねの件でございますが、先ほど公安調査庁長官から御答弁を申し上げましたように、破防法上は公安調査庁長官が行うという建前になっております。しかし、これも先ほども申しましたように、公安調査庁は法務省の外局でございますし、私もまた主任の大臣としての立場がございまして、所部の職員を指揮監督するという立場にもございますので、そういう立場をもってこの案件に対処していきたいというふうに考えております。
#132
○倉田委員 破防法上は長官の名前でやる、今大臣は、そういう建前になっていると。そしてまた、公安調査庁は法務省の外局である、外局であるがゆえに法務大臣として指揮監督権を持つ。その指揮監督権として、いわばこの判断についても決定権がある。あるいはその判断についても、どういう立場で臨むことができるというふうにお考えですか。そこをもう一度法務大臣にお伺いしたいと思います。
#133
○宮澤国務大臣 指揮監督権がございますので、指揮監督権に基づいて、公安調査庁長官が行うことについて関与することができるというふうにお考えをいただきたいと思います。
#134
○倉田委員 恐らく、総理大臣、総理の関与の仕方についても、法務大臣を指揮監督する内閣総理大臣という立場で、多分そういうふうなお答えになるのかなという気がいたします。
 きょうは内閣法制局にも来ていただいておりますので、総理大臣も、弁明手続開始決定前、つまり具体的に言いますと、規制請求手続開始決定に関しては、いわば最高責任者として報告も受けたいし、相談にもあずかりたいし、私なりの判断もあるみたいな印象を受ける御答弁でございました。
 この今法務大臣がお答えになったこと、そして今まで内閣総理大臣がお答えになった根拠というものは、内閣法制局としてはどのようにお考えになっておられますか。
#135
○津野政府委員 お答えいたします。
 破防法の適用についての内閣総理大臣の権限と発言の根拠というようなお尋ねかと存じます。
 御承知のように、破壊活動防止法には内閣総理大臣の権限について定めた明文の規定はないわけでございますが、これはあくまで一般論として申し上げますれば、内閣総理大臣は行政府の最高機関であります内閣の首長といたしまして、まず内閣法第六条というのがございまして、この規定に基づきまして閣議にかけて決定した方針に基づいて行政各部を指揮監督し、また同法第八条に基づきまして行政各部の処分または命令を中止させることができるということになっているわけでございます。
 さらに、これは平成七年二月二十二日に最高裁判所のロッキード・丸紅ルート事件の判決がございましたわけですが、その判決によりますと、内閣総理大臣は、今申し述べましたような指揮監督権のほかに、閣議にかけて決定した方針が存在しない場合においても、内閣の首長であること、国務大臣の任免権を有することなど、その地位及び権限に照らすと、「行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するもの」と解されているところでございまして、これは一般論として内閣総理大臣の権限としてお答えする次第でございます。
#136
○倉田委員 今一般論としてお答えをいただいたわけですが、破防法適用の問題について、私は、一般論でお答えになった、あるいは法務大臣、長官がお答えになったことにどうも納得できないのであります。
 そこで、もう少しどうして納得できないのかということを詰めて議論をしてみたいと思いますけれども、長官にお尋ねいたします。
 独立行政機関というのがございます。文献等によりますと、独立行政機関の機関には、審査会等そして外局、その次に行政委員会、こういうふうに挙げでございます。先ほど法務大臣は外周というお言葉をお使いになりましたけれども、これは確認の意味で長官にお伺いをいたします。今私が申し上げました独立行政機関、ここに挙げられている外局、長官の所管するところはこの外局の中ですね。そこだけ確認をさせてください。
#137
○杉原政府委員 委員御指摘のとおり、法務省の一外局でございます。
#138
○倉田委員 私がお聞きしたのは、この外局というのは独立行政機関として位置づけられている、この独立行政機関としての外局であるのかどうかということをお尋ねしたわけです。
#139
○杉原政府委員 政府の各行政部門にはいろいろな外局という部門があるわけでございまして、私ども公安調査庁もそれと同様に法務省の外局の一つである、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
#140
○倉田委員 どうもはっきりお答えになりませんけれども、いわゆる外局、どうして外局と位置づけたのか、あるいは公安調査庁の長官としての名称を付与されたのか私はそれは独立行政機関としての位置づけがあったからであろうと思います。長官はお答えになっておりませんけれども、合うなずいておられますので、そういうふうに私は考えますし、また文献もそうであります。
 そうであるとすれば、先ほど内閣法制局が、一般的な規定として内閣法六条、八条あるいは平成七年二月二十二日のロッキード・丸紅ルートの最高裁判決のいわばその指揮権を持ってきて、破防法適用の一般個別的な判断権の問題について、あたかも総理も法務大臣も指揮監督下の一事項としてあるかのごとき御答弁を合いただいておるのは、どうも少し、いわゆる独立行政機関としての公安調査庁に対する指揮監督というのはまた違うのではないのか、そうでなければ公安調査庁を独立機関として位置づけた意味がなくなるのではないのかと私は思いますが、この点について、長官、法務大臣、今私が質問をさせていただいておりまして、どういうふうにお感じになられますか。
#141
○杉原政府委員 公安調査庁が法務省の外局とされた理由については、委員の御指摘のような面もあろうかと思います。つまり、外局というのは、私の理解によれば、行政事務の中でも一定の特殊な仕事をする部門ということで、人事権あるいはその庁の運営等について本省の他部局とは独立させて一定の業務を遂行させる、そういう趣旨で外局として設けられている場合が多いと思われます。当庁につきましても、そのような趣旨で外局とされたものだと理解しております。
#142
○倉田委員 今長官お答えになりましたように、一定の特殊な仕事をする、しかもその独立性を担保するために人事権を長官が持っておられる。これは私は、公安調査庁が持っておる性質、その独立性を担保するがゆえのことだと思うのですね。もとより、独立行政機関であったとしても、例えば審査会、そして外局、そしていわゆる行政委員会、それぞれについて独立の程度は私は全く同じたとは思っておりません。しかし、やはりその独立性は強く担保されるべきであろうと考えておるわけであります。
 そこで、先ほど法務大臣は、例えば公安調査庁が調査をして規制請求手続の開始決定をする、これは長官の名前で行う。建前は長官の名前で行うけれども、法務省の管轄の中にある、外局であるけれども管轄の中であるから、指揮監督権を有する大臣として関与をしなければならない。また、処分請求するについても同じことである。この指揮監督ということで関与をする根拠があるんだ。内閣法制局の総理の根拠についても、六条、八条ですから、同じことだと思うのです。
 しかし、ここにも私は疑問があります。
 まず第一点の疑問は、公安調査庁というのは独立行政機関としてのその独立性を持っている機関なのではないのかこの点から少し今までの御答弁はおかしいのではないのかなということが一つ。
 それに、いま一つ申し上げたいのは、独立機関に対して、独立性の程度の問題がありますので、ある程度の関与はある。その関与のあり方として指揮監督権があるんだ。それでは、指揮監督権の中身は一体何なんだ、こういうことになるんだろうと思うのです。
 これも文献によれば、指揮監督権の種類と方法というのは、まず監視権があって、そして許認可権があって、訓令権がある。この訓令権のことを指揮権と考えていいのかな。あるいは、取り消し停止権、権限争議の決定権、こういうのがある。私は最終的には内閣総理大臣が持つ人事の任免権のところに帰着するんだろうと思うのですが、独立行政機関であるということを別にして、一般的な指揮命令監督権にしても、文献の中には、そういう指揮命令監督権はあるけれども、単に監視の方法のみによる監督、そうあるべきではないのか。個別具体的な法の適用の有無の問題について、具体的にその指揮監督権があるから判断権をも左右することになり得るのかどうか、私は疑問に思います。
 先ほど内閣法制局の方からは、その根拠として指揮監督権がある、こういうふうにお答えになりました。そこまで個別具体的にその指揮監督権というのは、先ほど申し上げました処分請求の有無、法文上長官が長官の名前でやる、その判断について、この個別具体的な問題ですよ、それについて指揮監督権があるから総理も法務大臣もその判断に関与することができるという根拠になりますかどうか内閣法制局の方からもう一度御答弁をいただきます。
#143
○津野政府委員 総理大臣あるいは法務大臣の指揮監督権の内容についてのお尋ねと思いますけれども、これも一般論で恐縮でございますけれども、この場合の指揮監督と申しますのは、一般的には、上級機関が下級機関に対しまして、その下級機関の事務処理に関しまして一定の行動を命ずるというような場合に言われるわけでございます。そして、先ほど私の方で御答弁申し上げましたが、ロッキード事件の判決の中でどういうことを言っているかと申しますと、「その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有する」というふうに言っているわけでございまして、一般論としてはそういうことでございます。
#144
○倉田委員 内閣法制局、きょうは一般論でしかお答えになれないのかもしれませんけれども、一般論はわかりました。しかし、公安調査庁というのは、外局として、独立行政機関として考えられる。この独立機関に対しても一般論的な指揮監督権の考え方でいいのかどうか。そして、要は個別具体的に破防法適用について調査をして、そして規制請求手続の開始決定をするかどうかという、破防法によれば長官の名前で行われることになっている。ここに、この判断に法務大臣も総理も指揮監督権の名のもとに関与することができるのかどうか、それを私はお尋ねしているわけです。
 そんなことできるわけないと思いますよ。そうでなければ、公安調査庁が独立行政機関として位置づけられた意味もない。また、先ほど長官が、一定の特殊な仕事をしているから外局として位置づけられているのだ、ぞうお答えになった。その特殊な仕事、それを担保することができなくなるのではないのかこう思うわけであります。
 法務大臣、今私の話を聞いておっていかがですか。
#145
○宮澤国務大臣 最初に、私も法律家でございませんので、果たして議員が納得されるような御答弁ができるかどうかいささか疑問に思っておりますことをまず申し上げておきたいと思います。
 今内閣総理大臣と法務大臣とそれから公安調査庁長官との関係についての御質問でございます。内閣総理大臣に関しましては、先ほど法制局の方から御答弁がございました。内閣法六条、この場合は行政各部を指揮監督するというお話が一つと、それから二番目が、しかし最高裁の判決によって行政各部に対して随時指導助言等の指示を与える権限を有するものと解されている、こう書いてございます。したがいまして、内閣総理大臣に関しましては指揮監督ということは、この内閣法六条の規定が動けば別でございますけれども、ただいま法制局の方から御答弁があったところに従いますれば、指揮監督ということはないのではなかろうかと私は思います。
 それから、法務大臣につきましては、私は公安調査庁が独立行政機関だとは思いません。比較的独立性の強い機関だと思っておりますが、法務省の組織の中にあります以上は、法務大臣として指揮監督ができるというふうに私は理解をいたしております。ただ、その場合に、先ほどもお話がございましたように、指揮監督の中身につきましては、恐らく世上いろいろな議論があるのだろうと思います。例えば、一番強いのは、先ほどもお話がございましたように、取り消し停止権でございますか、そういうこともあるのだろうと思います。やはり公安調査庁のような機関につきましては、取り消し停止権までがあるのだろうかということについては、先ほども申しましたように法律家ではございませんけれども、そこまではないのではなかろうかという私の考えを持っております。
#146
○倉田委員 まさに個別的な事柄が問題になるわけでありまして、大臣が一番冒頭に、破防法適用の問題については法と証拠に基づいて厳正に行いたい、しかも人権にかかわる問題であるから慎重に行いたい、私もこれはそのとおり、より慎重にやっていただきたいと思います。しかし、法と証拠に基づいて厳正に行う、そして人権にかかわる問題だから慎重に行う、それは調査をして処分請求をする、それが破壊活動防止法では長官の名前になっている、その請求をするかどうか、その最終的な判断に関して、法務大臣であれ内閣総理大臣であれ、個別の判断に何らかの権限があるような御答弁でありお考えを持っておるのは、私はどうも納得できないのであります。その判断の結果が間違っていたのであるとすれば、今大臣もお答えになっていますように、停止取り消しになったり、あるいは長官かわってもらうとか大臣かわってもらうとかそういう話なのではないのかな、こう思うわけであります。
 そこで、もう一度その特殊なところ、どうして独立てなければならないのかということについてお聞きをいたしますけれども、長官、弁明手続前の証拠資料収集活動、この調査活動というのはどのような性質を持つのですか。例えば刑事事件における任意捜査活動とどういうふうに違うのですか。
#147
○杉原政府委員 公安調査庁が行います調査は、破防法上の団体規制という行政処分に関する事実の解明行為であります。一方、捜査といいますのは、御承知のように、捜査機関が犯罪があると思料するとき、公訴の提起及び遂行のため犯人及び証拠を発見、収集、保全する手続をいうものであるというふうに承知いたしております。したがいまして、公安調査官が行う調査というのは、刑事事件の捜査とはその主体及び目的がおのずから違っている、こういうふうに考えております。
#148
○倉田委員 主体、目的が違うのは承知をいたしております。性質はどうなんですか、そういうふうにお聞きしたわけです。捜査も、例えば交通事故があったり窃盗があったり殺人があったりして捜査活動いたしますね。警視庁も行政機関の一種ですから、それは起訴するまでは行政だといえば行政なわけです。しかしそこに、あるいは行政の長であったとしても政治家であったとしても、捜査活動とうなっているの、今度起訴するの、そんなこと口出しできるはずがありません。そういう意味の比較で私はお聞きしたわけです。
#149
○杉原政府委員 捜査機関の行う捜査並びにその処分と、行政機関であります私どもの行う調査と規制請求の違いということでお尋ねだといたしますと、先ほど申しましたように、前者は刑事処分に関する捜査であり、後者は行政処分に関する行政調査である、こういう違いがございます。
 そこで、具体的にそれによってどういう違いができてくるのかという点についてのさらにお尋ねであろうと思いますが、例えば検察庁法の十四条ただし書きというのがございますけれども、ここでは、個々の事件の取り調べまたは処分については、法務大臣は検事総長のみを指揮することができるものと定めておりますが、これに対して、公安調査庁の調査官の行う調査についてはそのような法律上の制約はなされておりませんので、この問題については、先ほど申し述べましたとおり、一般原則に従って判断すべきものである、こういうふうに考えております。
#150
○倉田委員 いわゆる指揮権というのが規定をされてないということについて、類推でいくのか、反対解釈でいくのか、それは解釈の仕方はあると思うのですね。長官は今一般原則でいくべきである、一般原則だから、法務大臣のいわば指揮監督権あるいは内閣総理大臣の六条、八条、あるいは最高裁判例、こういうことなんですけれども、それはあくまでも一般的な話であって、個別具体的な事件に、この問題、破防法適用の問題について、大臣なり総理なりの、例えば適用をするかどうか、法と証拠に基づいて厳正にしかも慎重に、人権の問題だからより慎重にやった上で、じゃ処分請求をするか、規制請求手続開始決定をするかどうか、そして弁明手続後に処分請求をするかどうか、大臣も総理も関与ができるというのは私はどうも納得ができないのであります。
 私は、最終的に、大臣、総理にしても大臣にしても、関与の仕方のあり方というのは、任命権のみなのではないのかこう思うわけであります。公安調査庁において、長官御自身がいわゆる公安調査庁の職員の方々に対して任命権を持っておられる、それだけ強い独立性を担保された庁なのですよ。どうぞ長官、その独立性を、意義ということを自覚をしていただいて、報告は、必要がある部分あるのかもしれません、私はそこまでは詰めておりませんけれども、しかし、この請求手続開始決定あるいは処分手続の、するかどうかのこの最終判断、個別具体的なことについて、法務大臣なり内閣総理大臣が具体的な形で関与できるということは納得できないのでありますので、私もまたさらに勉強をさせていただきたいと思いますので、この問題は今後問題になるだろうと思いますので、どうぞ調査というのか、もう一度私が納得できる、ああそういうことなのかという御答弁を御用意をいただきたい、こういうふうに思います。
 首相の権限あるいは法務大臣の指揮監督という名のもとに、法と証拠に基づいて厳正にやられた結果が、仮に政治的にでも左右されるような結果になるのはやはりおかしい、こう思うわけでございます。長官、お答えがありましたら。
#151
○杉原政府委員 これまでにここで応答されました内容でほぼ明らかになっていると考えておりますが、なおお尋ねでございますので若干敷衍させていただきますと、私どもが行います処分請求あるいは処分請求を前提とする弁明手続の開始、これにつきましては公安調査庁長官がその責任において長官名で行う、これは先ほど申し上げたとおりでございます。ただし、これらの手続は法務省の外局であります公安調査庁が行う行政上の行為でありますから、この手続の開始に当たりましては、主任の大臣であります法務大臣の了解を得る必要がある、こういうふうに考えております。また、繰り返しになりますが、この問題は内閣全体にも影響を及ぼす事案でございますので、行政の長である総理大臣の御理解も得る必要がある、こういうふうに考えております。
 結局は、公安調査庁はこの破防法の適用の可否の判断につきまして、主管庁といたしまして、総理大臣から、国会の内外において、この問題の重要性にかんがみ、調査並びにその適用、この弁明手続の開始の要否の判断に当たっては判断を誤ることのないように、厳正かつ慎重に行うようにという一般的な指導をいただいているわけでございますので、私どもといたしましては、その一般的な指導助言に従いまして、判断を誤ることのないように慎重に調査並びに検討を進めている、こういうことでございます。
 したがいまして、私どもの主管庁としての判断の結果につきましては、その一般的な御指導に沿って動いた以上は、御理解がいただけるものというふうに考えております。
#152
○倉田委員 今の長官の御答弁は私も大筋のところで理解はできるのですよ。法務大臣に了解をいただかなければならない、あるいは内閣総理大臣に御理解をいただかなければならない。そのために報告もし、相談をすることもある。それは理解できなくもありません。しかし、今までの御答弁の中で、何となく、いわば長官が持っておられる請求手続開始決定あるいは処分請求開始決定、長官の名前で行うことは、長官御自身がここでお答えになったように、それは長官の専権事項なんですよ。(発言する者あり)建前じゃない、本当に。建前じゃないのです。長官の専権事項なんです。それについて、その判断はいかがなものかその判断を変えたらどうか、そういう形でもし法務大臣が、そして内閣総理大臣が関与できるとしたら、私はとんでもない。
 了解をいただくために、御理解を得るために長官が御説明に行かれるのは、私はそうかなと。だけれども、長官、御指導いただくために大臣とか法務大臣に私は行かれる必要はないと思いますよ。御理解を得て、了解を得られるために行かれるのなら結構。しかし、どうしましょうかと、その御指導をいただくために行かれる必要はないのだろうと私は思います。公安調査庁がいわば外局として、外局解釈いろいろあるかもしれませんが、私は独立行政機関の一つとして位置づけられている、しかもその任務は非常に重要である、そのことをどうぞ十分自覚をしていただいて、破防法の問題、法と証拠に基づいて、しかも人権にかかわる問題でございますから慎重に考えていただきたい、こんなふうに思います。
 大変申しわけございません。あとオウム関連事件、坂本弁護士事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件、それから波野村の和解契約の問題、銃規制の問題、愛媛と前橋の事件のことをお伺いしようと思ったのですが、ちょっと何となくこのことだけで終始してしまいました。質問を要求させていただきながら、御出席をしていただいて大変恐縮でございますが、お答えを聞きながら、この問題をもうちょっと詰めておかなければ今後に禍根を残すのではないのかな、そう思いましたので、あえてちょっとしつこく質問をさせていただきました。
 以上で私の質問を終わりたいと思います。
#153
○加藤委員長 山田正彦君。
#154
○山田(正)委員 私の方からは、今各地で法務局の登記所、出張所の統廃合がいろいろ問題になっておりまして、住民サービス、いわゆる行政サービスの面で多々問題がありそうですので、そのことについてきょうお尋ねしたい、そう思っております。
 先に、民事行政審議会から答申がこの七月に出されておりますが、これについて一つの登記所の適正な配置基準、こういったものについて種々その答申に書かれております。この中で、いわゆる答申をどういう位置づけで法務省が考えておられるか、それからお聞きしたいと思いますが、例えば米価を決めるときは、新食糧法五十九条によると政令で定めた審議会の意見を聞いて定めるというふうになっておりますが、この適正配置基準、これについてどのようにしてやっていくか答申と実際に法務省がやっている関係といいますか、それについてまず……。
#155
○濱崎政府委員 登記所の適正配置と申しますか、統廃合ということにつきましては、これは、法務省におきまして昭和三十年代以来、行政改革という観点から、あるいは事務の適正処理の体制の確保という観点から進めているわけでございますが、それをどういうふうに推進していくかということは、基本的には法務大臣の責任においてやられることであると思っておりまして、これについて特別、法律的に民事行政審議会の答申がなければならないというものではないと考えております。
 ただ、民事行政審議会という審議会、これは法令に根拠を有する審議会といたしまして、民事法務行政に関する国民に影響を及ぼす重要な事項につきましてはできるだけ各方面の意見を聞いて実施するのが適当であるということから、民事行政審議会にお諮りをして、そこで出された答申を踏まえて実施をしていくということで、これはこの問題だけではございませんで、登記に関するいろいろな行政のあり方、戸籍に関する行政のあり方といったことについてその都度諮問をして、答申をいただいて、それを踏まえて行政の指針としてやっているわけでございます。この登記所の適正配置に関する民事行政審議会というのも同じことでございます。
 さらに、今回の答申の経緯について申し上げますと、これは従来、昭和四十七年にいただいた民事行政審議会の答申、そこで示された整理統合の基準を踏まえて推進をしてまいったわけでございますが、その結果相当数の整理統合を実施してまいりましたけれども、平成五年に示された総務庁の行政監察局による行政監察結果の中で、登記所の整理統合・適正配置については、今までの基準よりさらに進めた新しい基準をつくって、より一層推進すべきであるという勧告をいただきました。さらにその後、平成六年の十二月には、地方支分部局の整理統合ということについては、引き続きこれを推進するという閣議決定もあったところでございます。
 そういう状況を踏まえて、この機会に、時代に適合した適正配置に関する新しい基準を設けて、それに基づいてさらなる推進をしてまいりたいということで、平成六年の十二月に法務大臣から民事行政審議会に諮問をいたしまして、本年の七月に答申をいただいたという経過でございます。
 ここの答申に示されているところは、委員も御案内のとおり、これから整理統合を進めていく上における基準というものを示していただいたわけでございますので、私どもといたしましては、この答申に示された基準というものを尊重しながら、それを具体的にどういうふうに進めていくかどういうふうに当てはめて進めていくかということについては、内部的にいろいろ検討しまして、具体的な推進を図っていきたいというふうに考えているところであります。
#156
○山田(正)委員 この答申の中身ですが、平成六年の十二月現在で千七十一カ所、法務局並びに出張所があるわけですが、この答申の中身では、基準は定めでありますが、どこまで減らすという数は記載されていないようですが、大体どれくらいまで行革を進めていく、統廃合をやっていくという考えでしょうか。
#157
○濱崎政府委員 御指摘のとおり、平成六年十二月一日現在で全国で千七十一カ所ということでございます。なお、現段階においては、七年十一月八日現在でその数は千四十二庁になってございます。
 御指摘のとおり、この答申には適正配置の基準を定めていただいているわけでありまして、これによって具体的に何庁整理していくということが示されているわけではございません。ただ、これを審議いただくに際して、私どもの方で内々に試算しましたところによりますと、この基準を仮にそのまま当てはめた場合には、千四十二庁あるものが五百数十庁程度になるのではないかという推計を持っております。
 ただ、これを具体的にこれからどう進めていくかということにつきましては、答申を踏まえて、さらに諸事情を考慮しながら、また期間的にも相当の期間をかけて実施をする必要がある問題でございますので、具体的な推進については、これからこれを踏まえて具体的な対象庁を検討していきたいと思っているところであります。
#158
○山田(正)委員 今相当な期間と言われましたが、どれくらいの期間を置いて考えておられますか。
#159
○濱崎政府委員 このたびいただきました答申は、当面これから推進していく場合の基準ということでいただいているものでございまして、私どもの考えとしては、ここ十年ないし十数年の間に推進していくべき基準であると受けとめております。
 ただ、実際に十年ないし十数年の間に今申しました五百数十庁になるのかどうか、あるいはまた十年、十数年たてばその時点での新しい基準というものを考えていかなければならないということになるかどうかその辺はまた将来の問題であると考えております。
#160
○山田(正)委員 法務局の統廃合を昭和四十七年から、最初の答申を受けてから始めたようですが、当初は千七百カ所ぐらいあったものが、もう既に千四十カ所に減ってきている、そういうことが言えるわけです。これからまださらに五百カ所ぐらい減らすということになると、住民にとっての行政サービスとかいろいろな意味で、今大変問題が生じてきていると思うのですが、現実に、実際にやるときにかなり急いでやっている、十分に住民の意見を聞いていないという面がかなり見られると思います。
 一つの例を挙げますと、これは平成六年の二月二十八日付、長崎県司法書士会の会長吉田省三さんが長崎地方法務局にあてた書面なわけです。これを読ませていただきますと、長崎の茂木というところの小さな出張所の廃止の仲なんですが、御庁よりこの件について直接通知を受けたのは平成五年八月下旬のことであり、僅か六カ月余という切迫した期間を置いてのことである。当会会員のうち、同出張所管内に事務所を置き、業務を行っている者は二名であるが、この会員にとっては唯一の生活の基盤であり、事務所所在地の登記所閉鎖という事態は筆舌に尽くせぬ事件である。そしてまた、昭和四十七年度に同出張所の統合廃止計画が決定され、今回の実施まで延期されていたのであれば、例えば昭和四十七年度から廃止の基準に合致しているという形のものであるという説明だったそうですが、そうであれば、せめて四〜五年前には実施を公表し、地元住民あるいは関係団体と十分な協議をしてそのコンセンサスを得たうえ今回の措置が取られるべきであったにもかかわらず、それがなされなかったのは当会としては大いに不満であり、同じく登記所を利用する立場の住民に対しても余りにも不親切な実施であり、尚一層の不満を表明するものである。そうなっておるわけです。
 局長はどれだけ事実を掌握しているかわかりませんが、例えばこの一年内に、十二月から現在、半年内に四十カ所ぐらい、今のお話を聞いていますと、いわゆる統廃合がなされていますが、それは一体いつごろその住民に話をし、あるいは司法書士会、関係者に話しておったか、それは大体わかりますか。
#161
○濱崎政府委員 直接の御質問からちょっとずれますけれども、前提として申し上げておきたいと思います。
 お聞きいただきたいと思いますが、具体的に特定の登記所を廃止して隣接の登記所に受け入れるという場合に、これはまずもって建物が、受け入れ庁がそれを受け入れることができるかどうかというような問題がございます。御案内のとおり、現在の制度では登記所というのは大量の簿冊を持っております。そういうものを収納する、もちろん職員の数もふえる、そういう収容能力があるかどうかということが問題でございまして、登記所の施設、だんだんよくなってきておりますけれども、まだまだ余裕がないところが多いという状況にございます。そういうことでございますので、当然、統合をお願いするというところにつきましても、施設の都合で統合ができない、延びているというような問題もございますし、これから、今コンピューター化を進めておりますので、そのコンピューター化の計画との関係でいつが適当かというような問題もございます。
 そういうことでございますので、もうあらかじめわかっているから最初からもう統合がわかっているということではございませんで、具体的にその統合ができるという時期をにらみながら、できるだけ早い時期から折衝を始めるということでやらせていただいているわけでございます。
 したがって、新しい基準に基づく具体的な適用が全国的に今すぐ決まっているものではないということは先ほど申し上げたとおりでございます。そういう考え方でやっておりますが、具体的に、その時期から何年前ぐらい、どのくらいから始めるかということはそれぞれの場合によって異なっておりますが、できるだけ時間的な余裕を置いて説明を始めるという姿勢で臨んでいるつもりでございます。
#162
○山田(正)委員 私が質問しているのは、平均して、一般に、廃止するときにどれくらい前にいわば住民に話しているのか、一般にですよ。二、三年前からやっているのか、半年前からやっているのか、あるいは五、六年前からやっているのか端的に答えていただきたい。
#163
○濱崎政府委員 端的にということでございますけれども、なかなか一概に数字をもって示せないところがございます。これは、御説明の仕方としても、いずれ近い時期に統合したいと思いますからお願いしますというふうに申し上げて、具体的な時期が定まったときに、それじゃいつごろお願いしますというふうにお話をすることもございます。それから、お話をしていろいろ説明している間に予定よりも若干その実施が延びるというようなこともございます。したがいまして、統合ができたときから起算して一般的にどのぐらいかということを具体的に申し上げるのはなかなか難しいということでございます。
#164
○山田(正)委員 局長、大体大まか、半年ぐらいとかあるいは三、四年とかそれくらいのことはわかっているんじゃないですか。
#165
○濱崎政府委員 これは具体的には現地の地方法務局長等が御説明に上がるわけでありますが、一応私どもとしては、一年ぐらい前にはお話を始めるようにということで指導しているところであります。
#166
○山田(正)委員 先ほど話した茂木の出張所の廃止については半年前ですが、広島県の因島、ここの出張所の廃止統合についても、これは平成六年の十月十七日に話し始めて、その次の三月か四月には廃止したいという意向を言っております。また、長崎県の対馬・豊玉町においても、平成六年の十一月二十四日だったと思いますが話を始めて、その次の、平成七年の二月にはもう廃止したい、そういった事実がございます。
 これで見ますと、大体半年の期間を置いて廃止したいという意向で話を持っていっているようですが、先ほどの局長の話では、この新しい基準に従ってでも、十年から十五年かけて廃止していきたい、そう言いながら、かなり急いでいる。住民にとって十分な了解をそれて得ているのかどうか、その辺は局長としてはどう考えられますか。
#167
○濱崎政府委員 先ほど申しましたのは、一般的には、できるだけ早く説明を始めるようにということで現場の管理者にお願いしているわけでございますが、これは、具体的な、受け入れ庁の整理の関係とか個々の、個別の関係がございますので、それよりも短い期間で折衝を始めるという場合もまあないわけではございません。
 今御指摘のありました因島、豊玉、そういったところについて、なぜその時期にしか話が始められなかったのかということについては、私個別の事情を承知しておりませんが、これは、説明を始めた時期と現段階において最終的にお願いしようとしている時期との間には結果的には相当の期間が経過しているということであろうかと思います。
#168
○山田(正)委員 局長はそういった実態をどれだけ把握されているのか私はわかりませんが、よく法務省内でも、各関係者、今大変困っておりますので、随分、三年なり四年なり少なくとも期間を置いて、慎重に考えていかなければならない。
 これは、さっき言ったコンピューターとか行政サービスとか新しい庁舎とか、そういった中での受け入れ体制ができてから、そういう意味で、答申も新しい答申ではそういう留意事項に触れているようであります。実際に、因島の統廃合の場合もそうですが、住民としては本当にそれで大変困るわけです。何時間もかかって新しい登記所に行かなければいけない。
 それで、いわばコンピューター化、あるいは今ファクシミリがありますが、そういったものについて具体的に、こうしてファクシミリが使えるからあるいはというような具体的な方法ですね、これはどうしても必要だと思うのです。
 それについてどれくらい検討をされているか、それをお聞きしたいのですが、その前に、実は、もう十年ぐらい前になると思うんですが、やはり長崎県の壱岐の郷ノ浦というところに芦辺町と勝本町の登記所がある、いわば廃止されて統合されたのです。そのときに、当時の長崎の法務局長さん、この法務局長さんがこういったことを言ってきたと言われております。住民が大変不便になるので、町役場で登記簿謄本の申請をすれば法務局の方から役場にそれを郵送して送ります、そこでとってください、これは随分前の話です。そして、将来必ずファクシミリでできるようにいたします、そういう話をしたと言われている。ところが、実際統廃合されてみると、役場で云々ということは全く、幾ら話しても、局長さんがかわると、私はそんな話は知らない、そう言っていてそのままになってしまった。大変非常に不信を持っているのです。
 そういった意味で、ファクシミリでも何でもいい、そういう行政、それにかわる新たなサービスですね、それをどう真剣に考えておられるか、それをひとつ局長にお聞かせ願いたいと思います。
#169
○濱崎政府委員 委員御指摘の具体的な事例については私どもも承知しておりませんし、そういう不信を持たれるようなことを申し上げているはずはないと思っております。
 それはともかくといたしまして、現在でも登記簿謄抄本の交付請求は、これは郵便でやっていただくことができるわけでございます。申請書に必要事項を記載していただいて、それに手数料を納付していただき、返送用の郵券を入れていただいて申請をされるということはできるわけでございます。あるいは現実に、役場にそういう申請書の用紙を置いておきまして、それを使っていただいて郵送で請求していただくというようなこともやっているところがあると承知しておりまして、そういうことを申し上げたのかなというふうにも思います。
 それはともかくといたしまして、ファクスという点に関しましては、これは今回、民事行政審議会の答申を七月にいただいたわけでありますが、その議論の中で、やはり統廃合を進める上においてはできるだけ廃止される地域の住民の方々の不便になることを少なくするための工夫、今ファクスというものが大変使われておるのでこれを使った申請のやり方というようなことも検討すべきではないかという指摘がございまして、そういう指摘を踏まえつつ、私ども、実際どういう方法でどういうシステムでやれるかという検討をしてまいりました。
 現在のところ、ファクスを置いて、そのファクスを使って申請をしていただく、それで申請書を受け取った登記所の方で郵便でその謄抄本をお送りする、こういうことが可能であるということになっておりますので、これから新しい基準に基づいて統廃合する場合におきましては、少なくとも廃止される近くの、これは現実には郵便局に置かせていただくということを考えておりますが、一カ所そういうものを設けて、少しでも登記所に直接行かないで謄抄本の交付が受けられるというようなことを考えてまいりたいと思っているところであります。
#170
○山田(正)委員 これは、実際に登記所を利用する場合、所有権移転登記など多いと思うのですが、そうなりますと、役場の方で戸籍から印鑑証明、住民票。そして評価証明というのは、今実態としては、実際登記所に行って登記官からの依頼状を持ってもう一度役場に戻る。少なくとも二回から三回所有権移転登記をするのにかかるということになるわけですね。
 そういったことを考えますと、今郵便局に置いてファクシミリのサービスをやりたいというお話を承りましたが、確かに広島県の因島の出張所の統廃合については、私どもの方に法務省の方から、「実施する行政サービスについて」という中に、「登記事務のコンピュータ化を促進し、迅速かつ正確な事務処理を行う。」その中に、「ファクシミリにより謄抄本等の請求を受け付け、郵送によりこれを交付する制度を創設する。」こういうふうに、これは法務省からいただいたものだそうですが、そうなっておりますが、法務局の方にいざ具体的に聞いてみますといってできるかわからないというお話なのです。
 例えば郵便局にファクシミリを置いてそれだけのサービスをするなら大した予算はかからないはずで、少なくとも統廃合をするところにはそういうファクシミリの、まあ今ならファクシミリだって一台二万か三万であるわけですから、郵便局と提携すればできるはずですから、そういう一つのサービス、こういったものを少なくとも実際にやってから廃止を実現する、そういうことにはならないものですか局長。
#171
○濱崎政府委員 このファクスでございますが、普通のファクスとはやはり違った構造が必要でございまして、具体的には、電話で同時にいろいろ相談をしていただけるような、電話をセットするとか、それから印紙がちゃんと張ってあるかどうかというようなことをきちんと確保するというような設備が必要でありますので、一台数万というわけにはまいらないということを申し上げておきたいと思います。
 いっできるかわからないという御指摘でございましたけれども、今まさに具体的な機器の最終的なチェックの段階にあるわけでございまして、現在の見通しとしては来年度の早い時期には配置することができる状況になるのではないかというふうに考えております。
 ただ、相当の経費がかかるものでございますのでその点についても御理解を賜りたいと思いますけれども、少なくとも今回の民行審の答申による新しい基準に基づいて実施していくというような場合については、地元の希望がある限りそういうものを設置するという方向で対処していきたいというふうに考えているところです。
#172
○山田(正)委員 来年から始めたいということですが、それでは来年度は、廃止予定とかいろいろな交渉をしているところにはそういうファクシミリができるものだ、そう理解してよろしいのでしょうね。
#173
○濱崎政府委員 地元のそういう御要望があれば、その廃止される庁の少なくとも一カ所の郵便局にそういうものを配置するという方針で対処していきたいと思っております。
#174
○山田(正)委員 答申の基準を尊重してそれに基づいてやりたいということでしたが、答申の基準の中に、この答申を実行するに当たってはぜひ留意していただきたいという事項があります。
 その中で、離島の特殊な事情、いわば「地域の自然的地理的諸条件(例えば、離島)」と記載されておりますが、これは一番最初の答申の中でも第一項目めに、昭和四十七年九月に出された登記所の適正配置に関する民事行政審議会答申、この中の留意事項の第一項目が、自然的地理的条件、離島についてはひとつ地域の実情に十分配慮するというふうになっております。
 そうすると、今回実は、因島も大三島というすぐ近くの島もそうですが、長崎県の対馬の豊玉というところ、この豊玉ですと非常に、登記所までバスで七十分かかる。そして一日に六便しかない。そうしますと、実際にそこにかかる登記の費用なんですが、これは私の方で調べましたら、司法書士に所有権移転登記を頼んだ場合に、実際に旅費、日当だけで三万四千六百円。それと、実際の登記申請費用が一万八千五百円かかりますので、かなり、五万何がしかかかってしまう。大変な負担を強いられるわけでありまして、従来ならば一万八千五百円でよかったものが、それだけの負担をしなければならなくなる。
 こういった離島の事情、これについて、今回、豊玉町は、来年の二月二十二日にいわば廃止したいというようなことの通知が参っているわけですが、その豊玉町の廃止の話を最初に持ってきたのが平成六年の十一月二十四日。それから考えますと、答申にある離島の事情というものを本当に考えてやっているのかどうか。その辺、局長からひとつ明確に御答弁いただきたいと思います。
#175
○濱崎政府委員 離島については、単に事件数とか交通時間だけでははかれない事情があるということで、特別の考慮をしなければならないということは従来から留意事項として示されているところでございますが、ここで離島と私ども考えておりますのは、要するに、船で行かなければならないということで、船ということであればいつ欠航するかわからないというような関係にあるということを考えているわけでございます。御指摘の豊玉の場合におきましては、これは対馬という大変大きな離島でございますけれども、その豊玉から厳原への統合ということでございます。その間は、要するに船で行かなければならないという関係にはないということで考えさせていただいているわけです。
 もちろん、御指摘のように、バスですと六、七十分ということでございますので、御指摘のようなある程度の、あるいは相当の御不便をおかけすることを否定するつもりはございませんけれども、この場合は、答申で言っている離島ということでは考えておらないということだけ申し上げさせていただきたいと思います。
    〔委員長退席、太田(誠)委員長代理着席〕
#176
○山田(正)委員 局長の頭には、離島というのは島から島に登記事務をということのようですから、かつて小値賀島と宇久島の登記所の統廃合、これも調べてみましたが、これに十一年間かかったようです。この場合には、小値賀から宇久までは二十分ぐらいで船が行きますので、むしろ距離的に、時間的に言ったら、対馬の中の豊玉と厳原よりもはるかに交通の便あるいは時間というのがかかりません。そういったことを考えると、自然的地理的条件というのは、もう少し離島の特殊な事情、そういったことも十分考えていただきたい。
 それと、随分時間がなくなってきたので私の方で話させていただきますが、豊玉町の場合には、殊に住民がことしの九月下旬まで全く知らなかった。町長といわば法務局との間で話しておった。それに議長さんも加わったようですが、議員さんも一部。そんな中で、結局九月の下旬になって住民がそれを知って、そしてそれから署名運動をやり、わずか五日間に二千百十一名の反対の署名、これを今集めたわけであります。
 本当に住民は知らない、知らない間に登記所がいよいよ廃止になっていく、それがほとんどの実態ではなかろうか。後になってわかって、反対署名運動とかいろいろな地域もまだまだあるかもしれませんが、そういう意味で、答申にある、本当に十分な住民の説得、理解、これを求めたのか、住民の意思というものを十分反映したのかそれはよく十分考慮していただきたい、そう考えております。
 次に、私の方でこの関係でもう一つお聞きしたいのですが、豊玉町の法務局の場合においては、実は、昭和四十七年に出張所の統廃合が問題になったときに、当時の豊玉町長斎藤武光さんから私、手紙をいただいておりますが、それによりますと、再三法務局の方に、何とかこれ住民が困るから存続してもらえないか、そういうお話を持っていったら、福岡法務局の方で、それならば町の方に土地を二百坪ほど提供してほしい、新しい出張所をつくりましょうと。それで、それに基づいて、存続していただけるのだったらということで、豊玉町は議会に諮って二百坪の土地を提供し、新しい鉄筋コンクリートの出張所が昭和五十三年にでき上がった。その事実からして、町としては、国との間に、土地を提供し新しい法務局ができることによってそれはずっと存続してくれる、そういう約束のもとになされたのだという理解をしているわけでございまして、そう町民が考えるのは当然でございます。それに対して、これは一方的に国がそれをいわばほごにした。一方的に、そう言えるのじゃないかと思うのですが、それはどうお考えですか。
#177
○濱崎政府委員 これは、全国でこれまで随分整理統合を進めさせていただいてきたわけですが、その多くの法務局におきまして、これは長年にわたって地元市町村と大変じっこんの間柄にさせていただいている。その中で、今のお話にもありましたように、土地の提供を受けてそこに法務局を建てさせていただいているというような事例、その中でも、法務局の近代化という目的のために整理統合するために撤退させていただく、そういう関係で地元の地方法務局管理者としては大変切ない思いでお願いに行くという事例が、これ、幾つもあるわけでございます。今のような関係でございますと、このままその一つの事例ということでございましょうけれども。
 この統廃合の推進というのは、ただ法務局が省力化したいというような気持ちでやっているわけではございません。これからだんだん高度化していく、登記を初め法務局の各種業務に寄せられる要請というものが高度化していく、それに適切に対応するために、新しい時代の中で、どんどん人もふやしどんどんお金もふやすというわけにもまいらないという中で適切に対応していくためには、やはりどうしても組織として集約をして充実させていかなければならない、それが長い目で見た国民の要請、ニーズにこたえる法務局の姿だ、そういうことで考えて推進していただいているわけであります。
 今回の民事行政審の審議におきましても、県単位、市単位、町村単位の代表の方々、合わせて六名の方に参加いただいて審議をしたわけですが、そういう方々からは、できるだけ統廃合は控え目にしてもらいたいという意見が述べられましたけれども、私どもの方で今申しましたような必要性というものを説明し、御理解をいただいて、今回の答申をいただいたということでございます。
 そういうことでございますので、そういう立場にも御理解をいただきたい。先生方にもぜひとも御理解をいただきたいと思いますし、また、私どももこの留意事項で指摘されているような事項を誠実にやって、できるだけ地域の御理解をいただきながら進めてまいりたいというふうに考えている次第でございまして、何とぞ先生方の御理解を賜りたいというふうに思っているところであります。
#178
○山田(正)委員 もう時間になってしまいました。
 最後に、大臣に、今言ったように民事行政審議会の答申にある内容を本当にひとつぜひ、その留意事項その他も踏まえながら、住民の立場、そして行政サービス、それを考慮しながら、ひとつ慎重に行っていただきたい。我々も、行革については十分に理解しておりますし、反対署名した豊玉町民にしたって、いわば行革そのものでいずれ廃止になることは十分理解しているわけです。どうかひとつ、全国的な問題だと思いますので、十分な配慮をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#179
○宮澤国務大臣 ただいまお話がございましたが、行政の効率化と住民の利便と両方を両立をさせなければならない難しい問題でございます。私も、就任になりまして、幾つか地元の方々のお話も承りました。やはり行政の効率化を必要といたしますけれども、同時に、先ほどのお話にもございましたように、ファクシミリを採用いたしたり、サービスの向上ということで地域の方々の納得を得ることも必要でございますので、お話のことは十分頭に入れて対処したいと思います。
#180
○太田(誠)委員長代理 左藤恵君。
#181
○左藤委員 オウム真理教の問題につきまして、いろんな面で皆さん方からいろいろ御質問があったわけでありますけれども、ある意味では、整理する意味におきましても、また、皆さん方がまだ触れておらない点につきましても若干質問をさせていただいて、この問題の、国民の理解のある、国民の皆さんが心配されないような形での解決を図っていただきたいという立場から、若干お伺いしたいと思います。
 まず最初に、警察庁の方にお伺いしたいと思いますが、今宗教法人法のいろんな改正の論議が国会において行われて、別の特別委員会で審議をされておるわけですけれども、このことに関連して、この宗教法人法といいますか宗教団体であったということで、聖域といいますかそういうふうな考え方があるので、一捜査を十分やることができなかったんじゃないかということが言われております。
 この点について具体的に、例えばもう随分、六年ぐらい前になるんでしょうか坂本弁護士の一家が拉致されて、そしてその結果、お気の毒に殺された、そしてばらばらに埋められておった、こういう事実が出てきたわけでありますが、そのときに、最初にそういうところで拉致された後すぐ捜査に入られたときに、例えばプルシャとかいうオウムのバッジが落ちていたというふうなことだけで捜査をすることが、これは例えばそういうことで家宅捜査といいますかそういうようなことをすることについて裁判所に対して請求をされて、そういうことをやることが不可能であったかこれだけで十分な証拠として捜査に入ることができなかったのかどうか、その辺のことについてまずお伺いしたいと思います。
#182
○中島説明員 お答え申し上げます。
 オウム事件捜査を通じまして、警察で捜査対象というものが、宗教団体等含めていかなる団体であったといたしましても、そういうことで捜査というものが直接おくれたりというふうな状況はございませんでした。
 それで、なお、坂本弁護士の件についてでございますけれども、坂本弁護士宅からいわゆるオウム真理教で使用していたと思われるプルシャが発見されたわけでございますけれども、当初神奈川県警におきまして、このプルシャにつきましていろいろ証拠吟味というものをやったわけでございます。その結果、このプルシャ一つだけで捜索等含めた強制捜査というものは無理であろうという判断をいたしまして、以後、いろいろの観点から捜査を進めてきて、先般事件解明が図られたということでございます。
#183
○左藤委員 今のお話ですけれども、その一つだけであったのでは捜査に踏み込むことができなかった、こういうお話ですが、私はそのほかにも、例えば電話のいろんないわゆる申告といいますか投書というかそういうようなものがあったり、いろんなことに対しての、例えば信者の人が拉致されたということで家庭からの警察に対するいろんな申し出みたいなものがあったんじゃないかと思いますが、そういうことに対して非常に消極的であり、なるたけ、悪い言葉で言えば触れたがらないような、そういうふうな警察の姿勢があったんではないか私はその点について、反省というかそういうようなものが警察庁にあるのかないのか、まずそれを伺いたいと思います。
#184
○中島説明員 オウム事件は、現在まだ捜査が継続をしておるところでございます。私どもにおいて、この一連の捜査というものが終わった段階では、いろいろ広域にまたがる事件でもございますし、それから、過去に私どもが捜査をやっておって経験をしたことのないいろいろな現象というものも見られたわけでございます。もろもろのそういうことを含めて検討あるいは検証というものをやって、これからの捜査に生かしていきたいというふうなことでございます。
#185
○左藤委員 そういったことが非常に消極的であったとかいろんなことで、私は、そういう宗教団体であるとかいうことで捜査がしにくかったというふうな点があればこれは非常に大きな問題だろうと思います。宗教法人法の改正という問題とは全くかかわりがないことであって、そういった容疑があればむしろ刑法犯の捜査をされるのが警察の仕事ではないかという点から見ますと、例えば、ある程度のそういったいろんな調査。これは公安調査庁の方が別にいろんなことについてその後も捜査されておりますので、その段階では、実際にまだオウム事件に対しての、オウムに対する調査というようなものは公安調査庁もやっておられなかったんじゃないか、私はそういうように思います。
    〔太田(誠)委員長代理退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕
 そこで、例えばそういったものをやっておられれば、これは結果論から申し上げるんですけれども、長野の松本におきますサリン事件のようなときに、第一発見者という人がその容疑をかけられたというふうなことがありまして、これについて、前国会において野中国家公安委員長は、一応御本人に対して陳謝をされておるのですけれども、警察としては何かまだ陳謝をしておられないんじゃないか私はこういうふうに思います。マスコミもそういうことについて、報道が誤っていたということで訂正の記事を出したりして陳謝しているのですが、何か警察庁は、これは不可能であったということで、そしてそういうことについては、そういうことも起こるのもやむを得なかったというふうな姿勢じゃないかと思いますが、この辺はどうなんでしょう。
#186
○中島説明員 松本事件が発生をいたしまして、第一発見者、通報者でございます河野さんにつきましては、私どもはいろいろと捜査の御協力をいただきました。その捜査の御協力をいただく過程で、河野さんに対して大変御迷惑をおかけしたというふうな点につきましては、これは事件を管轄しておりました長野県警の本部長も、県議会におきまして、このことについて、いわゆる申しわけないことであったというふうなことを表明しているところでございます。
#187
○左藤委員 まあそういうことで、今のお話のように、宗教法人であるがために捜査が非常にやりにくかったというふうな問題はないと考えていいんじゃないかと私は思いますが、その辺はどうでしょうか、最終的に。
#188
○中島説明員 私どもは、捜査を行う場合におきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、いわゆる事実解明というものを目指して証拠収集というものを行うわけでございます。
 御質問のような点というものは、私どもは、団体なりそういうふうなものがどうであれ、いわゆる事実解明というものを行っているということで御理解をいただきたいというふうに思います。
#189
○左藤委員 そこで、今度は公安調査庁の方にお伺いしたいと思います。長官いらっしゃる――次長ですか。
 ちょっとお伺いをさせていただきたいと思う問題は、公安調査庁としては、破壊活動防止法が制定されて、そして公安調査庁設置法で設置されて、破防法でもってそういうことについての予備的な調査といいますか、そういうようなものを開始されたと思いますが、このオウム事件に関して、公安調査庁はどういうふうな対応をされたか、どの段階から、どういうことで調査を始められたかちょっとお伺いしたいと思います。
#190
○河内政府委員 お答えいたします。
 公安調査庁におきましては、地下鉄サリン事件発生直後の三月下旬に特別調査本部を設置し、関連情報の収集に努めてまいりましたが、その後、オウム真理教が団体として事件に関与した疑いが濃厚となったことから、同団体を調査指定団体に指定し、当庁の総力を挙げて、破防法所定の団体規制の要件について調査を推進することとしたものでございます。
#191
○左藤委員 そうしますと、警察の捜査との関係はどうなんでしょうか。警察が――ある程度の事実で、今言った事件が起こった。そして、その事件で地下鉄サリン事件が、ある程度、オウムの問題だということ、オウムの人たちがやった事件であるということを、警察の捜査の状況を見た上で始められたのか。それとも、何か公安調査庁は別の調査をして、そういうふうな疑いがあるということから調査を始められたのかこの辺はどうなんでしょうか。
#192
○河内政府委員 オウム真理教をめぐっては、マスコミ等で種々の不法事犯への関与の疑いが取りざたされていた当時から、公安調査庁としても公共の安全の確保の観点から関心を持って注視しておりましたが、捜査の進展状況などの関係もあり、早い段階での調査活動が十分に行えなかったことは否定できません。
 いずれにしましても、地下鉄サリン事件が起こった以後、本格的に関連情報の収集に努めてきたところでございます。
#193
○左藤委員 そうしますと、オウム真理教を調査指定団体に指定したということがあるわけですが、これは麻原――被告ですね、今は。オウム真理教の教祖。この逮捕があった五月十六日以降、団体の容疑が固まったということで指定をして、調査指定団体として指定されたのかこういうことですか。その辺はどうでしょうか。
#194
○河内政府委員 委員御指摘のとおり、五月中旬に麻原が逮捕された以後、指定団体として指定いたしまして調査をしております。
#195
○左藤委員 オウム真理教を調査するのに現在の公安調査庁の体制で十分であるのか。これは全国的に非常に大きな、いろいろな活動をしている団体であり、そして次々と、関係者も非常に多い。警察の方も大変な捜査をやっておられるわけでありますが、それに基づいて公安調査庁は、警察の資料だけではとてもいかない、やはり実地調査もやらなければならないだろうと思います。そして、それを指定することにおいて、破防法の指定団体とするためにはいろいろな調査をしなければならないと思いますが、現体制で十分であるかどうかその辺をちょっとお伺いしたいと思います。
#196
○河内政府委員 お答えいたします。
 オウム真理教に対する調査は非常なエネルギーの要る調査でございますが、私どもは現有の勢力総力を挙げて現在やっておるところでございます。
#197
○左藤委員 そこで破壊活動防止法ですけれども、これは昭和二十七年に制定された法律であって、私も、制定されましたときの国会への衆参両院の委員長の報告書とかそういったものを見ておりましたら、これについては相当いろいろな論議があって、そしてその結果、当時の自由党、それから改進党とあったわけですが、改進党からとかいろいろなことであって、最終的には、修正案が出されたりいろいろな努力をされて、そして当時の自由党と改進党が賛成したのですかね。そして、その他の、社会党は右派、左派両方ありました。そしてまた共産党とかそれから労農党、協同党、そういったところは全部反対ということの中で制定された法律であるわけです。
 この破壊活動防止法、ここでもっていろいろ論議がされておりますが、この経緯の中でちょっとお伺いしておきたいと思います。
 一つは、「団体の規制を行政処分とした理由、」ということで、特に解散は慎重な司法処分とすべきではないか等の質疑に対し、政府より、国家の治安の責任は行政府にあり、行政処分をもって団体を解散することは他の法令にもその例多く、解散は刑罰ではないから、行政処分をもってすることは憲法違反ではなく、事案の迅速な処理を必要とする団体の規制は、内閣の全責任をもってすることが最も妥当と考える、こういう答弁があって、そしてこの法案が成立しておりますということがあるわけなのです。
 ここで「内閣の全責任をもってする」ということと、先ほど山本委員の方からの御質疑とかそういったことにつきまして、これは一方で現在の現行法でいけば、破壊活動防止法を実際に手続をする、始めるということにつきましては、これは公安調査庁長官の専権事項であるということであるけれども、問題は、その場合に対して法務大臣のかかわり方、内閣総理大臣のかかわり方というのと、今のここにあります内閣の全責任をもってするのが妥当と考えるというのとどういう関係になるのか、この辺ちょっとお伺いしたいと思います。
#198
○河内政府委員 お答えいたします。
 破防法による団体規制処分の請求手続の権限は、法律上公安調査庁長官に帰属しております。ただし、この団体規制処分の請求の手続は、法務省の外局である公安調査庁が行う行政上の行為でありますから、この手続の開始に当たりましては、主任の大臣である法務大臣の了解を得る必要があるものと考えております。また、内閣全体にも影響を及ぼす事案でありますので、行政の長である総理大臣の御理解も得ることになると考えております。
#199
○左藤委員 そうしますと、これは法務大臣なり、それから内閣総理大臣というのは監督責任といいますかそういう立場だけの問題であって、これはちょっと例を言うのは少し違うんじゃないかとは思いますけれども、前に一度ありました。非常に大きな問題になりました指揮権発動という問題がありますが、そういうことで、例えば公安調査庁長官がこれはどうしてもやりたいということでお考えになったときに対して、それで法務大臣、あるいはまたさらに内閣総理大臣がこれではだめだ、こういうことで言われたときには、指揮権発動的なそういうことが可能なのかどうか、これはどうなんでしょうか。性格は全く違うというのならば、どういう根拠でそういうようなところが違うか、ちょっとその辺をお伺いしたいと思います。
#200
○河内政府委員 ただいま申し上げましたように、破防法による団体規制処分の請求手続の権限は法律上公安調査庁長官に帰属しております。しかし、公安調査庁は法務省の外局でありますので、行政上の行為をする上におきましては、主任の大臣である法務大臣の了解を得る必要がある。また、内閣全体にも影響を及ぼすことでありますので、行政の長である総理大臣の御理解も得ることになる、こういうように考えております。
#201
○左藤委員 私の伺っているのはそうじゃなくて、いろいろ調査された結果、公安調査庁の長官はそういった弁明手続というのですか、それに入るということ自体を進めたい、こういうふうに考えられても、それをとめられたら、先ほどお話しした指揮権発動的なそういったことになるのか、そうではなくて全く違う何か問題が起こってくるのかということを伺っているわけです。
#202
○河内政府委員 仮定の問題でございますのでちょっとお答えしにくいところがあるのでございますが、破防法の適用については、国民の基本的人権に重大な関係を有するものであると同時に、破防法所定の団体規制の請求は、一つの行政行為である以上、弁明手続の開始に当たっては総理大臣には行政の長としてそれなりの責任があるものと考えており、当庁の調査活動に対する介入に当たるものではないと考えます。
 ところで、検察庁法十四条ただし書きにより、個々の事件の取り調べまたは処分については、法務大臣は検事総長のみを指揮することができるものと定められておりますが、これに対し、公安調査官の行う調査については、法律上行政行為の一つとされ、格別の制約がなされていませんので、一般原則に従って考えるべきものと思われます。
#203
○左藤委員 ということは、今お話しのように、指揮権発動ではないのだ、片っ方は行政行為の中の一環のことであるからそうではないのだ、こういう解釈でいいわけですね。それならそれでいいのですが、そうしたときの問題を私は伺いたいのです。
 これは仮のことですが、そういったことについて、総理大臣がほかの委員会なんかで答弁されているのを聞いておりますと、何か非常に破壊活動防止法というものについての、まあアレルギーと言ったら変でしょうけれども、過去の経緯とかそういったことがある。そのころに村山総理は議員であられたわけではないでしょうけれども、やはりいろんな一つの社会党というふうな党の中の伝統みたいなものもあるでしょうから、そういったことから、この破壊活動防止法に対して一つのはっきりした線を出されないで、具体的なお答えをなさっていらっしゃらないわけですけれども、こういうことが、そういう政治的な立場で、行政的な問題であってもそういうことについての決断をされるということであって、せっかくいろいろ公安調査庁で準備された問題が実行できなくなるということについては、私は非常に問題があるような気がしますが、そういったところに政治的な立場を入れられるということがいいのか悪いのかこれは非常に私は、また国民の皆さんも関心を持たれるだろうと思いますが、こういうことについて、まあ公安調査庁の意見をお伺いするわけにいかぬですが、法務大臣の意見はいかがでしょうか。
#204
○宮澤国務大臣 先ほど午前中もそれにかかわるような御議論が、お聞きになっておいでになりましたかどうか、ございまして、公安調査庁と内閣総理大臣との関係、それから公安調査庁と法務大臣との関係、私も分けてお答えを申し上げたわけでございます。
 内閣総理大臣の方は、まず法律論といたしますと、内閣法の規定によるものが動いておりませんでございますから、したがって、お聞きだったと思いますが、最高裁の判決等が引用されまして、指導助言でございますか、そういう立場であろうと思います。総理もしばしば国会の席でこの問題に対応する姿勢について答弁をしておられますけれども、それは私どもは、破防法の適用を誤りなきように慎重にやってほしいというお考えが基本にあって、それで行政の長としても責任を持っているんだとおっしゃっているのだろうと思います。
 一方、法務大臣と今の公安調査庁との関係でございますけれども、これは公安調査庁長官が破防法に基づいて権限を持っておりますけれども、先ほども申しましたように、法務大臣として法務省を所管しておりますので、公安調査庁長官を指揮監督する立場にあるわけでございまして、したがって、私といたしましては、その指揮監督権に基づいて対応をいたしていきたいというふうに考えております。
#205
○左藤委員 破防法、これからいろいろ論議されるわけでありますが、適用する場合に、今の弁明手続から入るのだろうと思いますが、そして、その後公安審査委員会の審査を経て、そして処分を決定する、処分を決定した場合にそこで官報に公示されるだろうと思いますが、それでもって完全に一つの破壊活動防止法による規制といいます。かそういうことで団体の活動をすることを禁止する、そういう手続を一応終わって、それから先またいろいろ裁判所とかそういうことで、三審制でまた上告する、控訴するとかそういった手続というものがあっても、そこで団体を一応規制することができる、こういうふうな判断なのでしょうか。そういうふうに解釈していいのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#206
○河内政府委員 お答えいたします。
 委員の御質問は、解散指定処分に対して団体側から処分取り消しの訴訟が提起された場合、解散指定の効果はどうかということと承りまして、お答えいたします。
 破防法による解散指定の効果につきましては、当該団体のためにする行為の禁止と当該団体の財産整理の二つに分けられますが、このうち、団体のためにする行為の禁止につきましては、解散指定の処分の決定が官報公示されたときから効力が発生することになります。この決定に対しては、行政事件訴訟法による取り消し訴訟が提起されても原則として処分の効力には影響を及ぼしませんので、団体のためにする行為の禁止の効力は維持されることになります。
 一方、財産整理につきましては、解散指定の処分が訴訟手続により取り消しを求めることのできないことが確定したときに開始されることになります。
#207
○左藤委員 そうすると、破防法を適用しても規制の手続というのが随分かかるわけでありますが、大体めどとしてどのくらいの期間が必要なものかということもひとつお伺いしたいということと、もう一点、この破防法を宗教法人に適用するに当たっては、憲法上問題があるのかないのか、この点についてもお伺いをしておきたいと思います。
#208
○河内政府委員 お答えいたします。
 破防法を適用するとなると期間的にどのくらいかかるかという御質問でございますが、破防法を適用する場合には、弁明手続や公安審査委員会の審査など、破防法で定められている所要の手続及びこのための所要期間が必要であると承知しております。
 それから、破防法を宗教法人に適用するに当たって憲法上の問題はないかという御質疑でございますが、破壊活動防止法による団体規制は、団体の活動として暴力主義的破壊活動が行われ、さらに将来継続または反復してこれが行われるおそれが明らかであると認めるに足る十分な理由がある場合には、当該団体の設立目的や性格などを問わず適用されることになります。このような破防法の規定は、決して憲法に反するものではないと考えております。
#209
○左藤委員 宗教法人法は、解散命令が出れば宗教法人として解散して、宗教法人はなくなるわけでありますから、その点はいいと思いますが、信教の自由という点からの侵害ということを、破防法を適用されることによって、そういうようなことを言われたら、これ非常にまた大きな問題になろうと思いますが、私はその心配はない、このように考えますが、どうでしょうか。
#210
○河内政府委員 破防法の解散指定によって規制される行為は、破防法八条に言う当該団体のためにする行為、すなわち当該団体の存続、再建あるいは発展のためになされる行為であります。教義を信仰することはもとより、個人的に自宅などで礼拝を行うことなど、内的信仰の保障は絶対不可侵であり、規制の対象とはなりませんので、破防法の適用によって信教の自由を侵害することにはならないと考えます。
#211
○左藤委員 そうしますと、総括しまして、宗教法人法による解散と破防法による解散との、団体の解散ですね、そういうものとの効果の違いといいますか、それはどういうところにあるのでしょう。
#212
○河内政府委員 宗教法人法による解散命令が確定した場合、宗教法人オウム真理教は法人格を喪失し、その法人財産を清算することになりますが、任意の団体として存続することまでは禁止できず、活動を継続できるものと承知しております。
 これに対しまして、破防法による解散指定処分の最大の効果は、当該団体の構成員等による当該団体のためにする行為を禁止できるという点にございます。解散指定処分の効力が生じますと、破壊活動防止法八条の規定により、当該団体の役職員または構成員であった者は、団体のためにするいかなる行為も禁止されます。また、同法九条の規定によりまして、この禁止行為を免れるためのいわゆる脱法行為も禁止されます。
    〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕
#213
○左藤委員 脱法行為というふうな話があるわけであります。
 私、この前の予算委員会でちょっとお尋ねしたときにも指摘した問題の中で、例えばいろいろオウムに関します教義とかそういうようなものを書いた図書といいますか、本があるわけです。これはそうしますと、活動としてそういったものを没収されるとか焼却されるとかいうことであれば、それはそれで一応私は問題解決すると思いますが、例えばそれが転売されるというふうなことになったときのそういう商業活動みたいなものに対してまで、この破壊活動防止法による団体の規制という効果が及ぶものかどうか、この辺についてお伺いしたいと思います。つまり、壊滅させるという趣旨があれば、そういったことがされたら困るわけでありますね。そういった点についてどうなのでしょうか。
#214
○河内政府委員 まず一般論として申し上げますと、破防法が適用され、解散指定処分の効力が生じますと、先ほど申し上げましたように、八条の規定により、当該団体の役職員または構成員であった者は、団体のためにするいかなる行為も禁止され、またこの禁止行為を免れるためのいわゆる脱法行為も禁止されます。さらに、解散指定処分が訴訟手続によって取り消しを求めることができないことが確定した場合には、破防法十条により、当該団体は速やかにその財産を整理しなければならないことになっております。
 具体的にどのような活動が団体のためにする行為として破防法八条及び九条の規定により禁止されるかという点でございますが、これは事実関係によって判断されるべきであります。代表的な例を申し上げますと、暴力主義的破壊活動が行われた日以後、当該団体の役職員または構成員であった者が、当該宗教団体のために資金を調達したり、団体の拠点を確保したり、当該団体の主義、教義への支持者を勧誘するなどであります。
 申すまでもないことでございますが、個人的な信教の自由を規制することができないのは当然であると考えております。
#215
○左藤委員 オウム真理教が解散された場合に、信者の一部が例えば地下の方に潜行してしまって、解散の効果が期待できないというような心配もあるわけですが、そういったことは公安調査庁としてはどういうふうに考えておられますか。
#216
○河内政府委員 まず、破防法の解散指定によりまして公然活動が全くできなくなる、こういうことになりますので、その活動資金を得ることだとか、その主張を広く一般に喧伝すること、また全国的に組織の意思統一を図ることなどが著しく困難になります。ところで、一部の信者が地下に潜行して活動を行うためには人員と活動資金が不可欠でございます。これらの確保には一般信者による公然面での支援活動に頼らざるを得ませんが、解散の指定によって教団のためにする活動は禁止されることになれば、現実には非公然活動への支援は極めて困難となりますので、このような動きは封じ込むことができると考えております。
#217
○左藤委員 そうしますと、今お話のあったようなことで、破壊活動防止法を適用することによって、将来のテロ活動といいますか、そういうものをオウム真理教が行う、そういう危険性は全くなくなる、こういうふうに考えておられますか、どうでしょうか。
#218
○河内政府委員 将来の問題ですので若干答えにくいのでございますが、先ほど申し上げましたように、破防法を適用しますと、団体のためにする活動を禁止することによりまして、その活動を禁止するという目的を達せられると考えております。
#219
○左藤委員 私はそういったことで、いろいろ準備、現在その条件に該当するかどうかいろいろな資料を集めておられる、調査しておられるのだ、このように思いますが、大臣にお伺いいたしたいと思いますが、今の調査とかそういった状況から考えて、オウム真理教に対しての破防法の適用は、時期というもののめどといいますかそういうようなものは何かお考えになって、見通しをお持ちであるかどうかお伺いしたいと思います。
#220
○宮澤国務大臣 ただいま公安調査庁の方でもなお幾つか課題を持っておりまして、それに取り組んでおりますけれども、全般的に申しますと、詰めの段階になっているというふうに承知をいたしております。できるだけ早く結論が得られるように努めたいと思っております。
#221
○左藤委員 刑事訴追といいますかそういった問題は一方でやっていただきましても、要はこういった宗教団体に名をかりて治安を混乱させる、国家の何といいますか安全を撹乱するようなそういった団体については、徹底的に私はそういったもの、これはもう何が何でも、国民の皆さんの立場から見ればこういった危険なものを放置しておくということについては一刻も早くやってもらいたい、こういう気持ちであるわけであります。宗教法人法による解散を命ぜられただけでは国民の皆さんは安心しないだろう、私はこのように思います。
 そういった意味で、準備はやる必要はあるわけでありますけれども、破壊活動防止法を適用することによって本当に国民の皆さんが安心してこの問題に、オウム真理教というものを壊滅して二度とこういったものが起こらないような安心感といいますかそういうことを、治安の一番もとになる問題でありますので、治安が何よりも大切なことでありますので、そしてまた、日本が世界で一番治安がいいという国にこういった問題が起こったことに対して、それぞれの役所のいろいろなお立場はあると思いますが、私は国民のためにそういった問題について破防法を適用して壊滅するということでやっていただきたい、このことを特にお願いをいたしまして私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#222
○加藤委員長 坂上富男君。
#223
○坂上委員 坂上でございます。
 本日の私の質問は大変多岐にわたっております。ものでございますから、答弁の皆様方からはもう結論だけで結構でございます。私の質問も、本当に項目だけを一つ挙げまして、その理由説明をいたしませんので、できるだけ御協力を賜りたいと思っております。
 まず一つは不動産登録免許税についてでございますが、固定資産税が、固定資産評価が非常に高くなっておる、そしてまた今地価が下がっておるというようなことから、これに関連をする皆様方が大変不動産登録免許税が高いということで本当に心配をなさっておるわけでございます。この点について、建設それから法務、大蔵からこれに対する対応をどのように考えておられるのか、各省別にお答えください。
#224
○尾見説明員 登録免許税についてのお尋ねでございますが、登録免許税は固定資産税評価額を課税標準としております。平成六年度の固定資産税の評価がえによりまして、固定資産税の評価額が時価の七割に引き上げられるということに伴いまして大幅な負担増となることが見込まれましたために、その抑制を図る見地から課税標準を圧縮する特例が設けられたところでございます。しかしながら、地価は依然として下落を続けておりますし、また土地の流動化という観点から、土地取得者に対するインセンティブを与えることによって土地の流動の円滑化を図る必要があるのではないかこういう御指摘があるわけでございます。
 このため建設省といたしましては、平成八年度の税制改正において、登録免許税についての臨時的な課税標準の特例措置を講じるということを要望させていただいております。
 以上でございます。
#225
○濱崎政府委員 不動産登記制度を所管する私ども民事局といたしましても、委員御指摘のような声を聞いているところでございまして、登録免許税が過大であるがために登記すべきものが登記されないというようなことにならないように、不動産登記の登録免許税の適正な負担のあり方について御検討いただくことを期待しているところでございます。
#226
○伏見説明員 登録免許税の土地に係る部分でございますが、今建設省の方からお話がございましたように、固定資産税の六年度の評価がえ、全体で三倍、大幅に上昇いたしました。そのため、負担軽減措置を講じでございます。具体的に申し上げますと、平成六年度と七年度につきまして課税標準を六割減額する、それから平成八年度につきましては五割減額をするという措置を講じております。したがいまして、税率自体は千分の五十になっておりますが、実質の税率といいますか税負担は大幅に引き下げられるという状況でございます。
 ただ、先ほど建設省の方からお話がありましたように、土地流動化というふうな観点から何らかの措置をとれないかという御議論が一方でございます。ただ、もう一方では、売買による土地の所有権移転登記といった場合、その負担水準、それがその土地の流動化の阻害になるかどうかといった議論もございまして、現在まさに土地税制につきましては、政府の税制調査会なりなんなり、この前の経済対策で、平成八年度税制改正において結論を得るべく総合的かつ積極的な検討を行っていくという方針が示されておりますので、政府といたしましても、その方針に従いまして、鋭意御審議をいただいて、その結論を踏まえまして措置をさせていただきたいというふうに考えております。
#227
○坂上委員 平成八年度が特別措置が百分の五十に引き上げられる、こういうことにもなるわけでございますが、これがいわゆる政府の税調でもって審議をされておる、こういうような状況のようでございますが、これはあれですか百分の四十を期待をしていいですか、大蔵省。
#228
○伏見説明員 その点につきましては、まさに土地税制の一環ということでございますから、これは土地税制と申しましても、保有の段階それから譲渡の段階、それとまさしくこういう登録免許税のような取得の段階、いろいろなものがございます。現在、それを総合的に御検討をいただいている最中でございますので、発言はちょっと控えさせていただければと、政府の段階ではまだどうこうという方針を申し上げられる段階ではないかなと思っております。
#229
○坂上委員 きょうは建設それから法務の意向を受けまして、大蔵省の方も税調の方に強くひとつこの申し入れを、また要請をして、御検討を賜るようにお願いをいたしたい、こう思っておるわけでございます。
 いろいろ申し上げたいのでございますが、時間もあれでございますから、もう一点だけお聞きをいたしますが、これは大体どの程度になっているんでございましょうか。一般会計から登記特別会計への平成五年以降の毎年度の繰り入れ額は大体どんな程度になっておりますか。
#230
○濱崎政府委員 お尋ねの一般会計から登記特別会計への平成五年度以降の毎年度の繰り入れ額ということでございますが、平成五年度、これは補正後のものでございますが、六百七十二億八千四百三十四万七千円。六年度、これも補正後のものでございますが、七百四億七千百二十九万三千円。七年度、これは第2号補正予算後のものでございますが、七百五十三億三千六百九十七万一千円となっております。
#231
○坂上委員 結局のところ、いわゆる登録税から収入を取る、そしてそれを今度は会計に回すというのは、差し引きいたしますと相当大きい負担をこの中にしておるわけでございますから、この点についても大蔵省、きちっとこれに対する対応もぜひひとつ、今の額が出ておるわけでございますが、御検討を賜りたいと思っておるわけでございます。
 ちょっと急ぎます。この次は、中小企業の計算の適正を担保する制度の創設についてでございます。いわゆる会計調査人という、商法問題でございますが、これは今どの程度、どういうふうな方向になっておられるか。そしてまた、これが制定される、創設されるまでは、決算諸表の公開制度、これは先行立法をなさらぬ方がいいのではなかろうかこう思っておりますが、法務省の御見解、どんなですか。
#232
○濱崎政府委員 御指摘の中小会社の計算の適正を担保する制度につきましては、これはかねてから検討対象になっておりまして、一つに、会社の計算書類を登記所に提出してもらって登記所において公開するという制度、それから一つに、中小会社の計算の適正を担保するために、例えば一定の資格を有する専門家によるチェックを介入させるという制度、そういった制度がかねてから検討の対象となっているところでございます。このうちの、今申しました後者の問題につきましては、関係団体との意見交換といったことも継続して行っているところでございます。
 ただし、今委員が御指摘になりましたような御意見も含めまして、これらの問題については、計算関係だけを個別に取り扱うのではなくて、中小会社にふさわしい会社制度全般のあり方の中で考える必要もある問題でございますし、また、関係団体や、新たな制度によって負担が増加することになる中小会社、そういった意見との調整の必要がある問題だというふうに受けとめておりまして、この点について今早急に結論を出すということはなかなか難しい状況にあるというふうに考えております。
#233
○坂上委員 要望でございますが、今、関係団体と協議をなさっておるということでございますが、この関係団体は、私の聞くところによりますと、税理士さんあるいは公認会計士さんとのことのようでございます。これには当然、私は、法律の規定からいいまして司法書士会団体あるいはまた行政書士会団体、こういう方からも意見を聴取をされまして、この問題は日本の経済界にも及ぼす影響、それから信用の問題、大変大きい問題でございますから、要望だけはしておきたいと思います。今結論出せと言っても御無理でございましょうから、要請だけはいたしておきたいと思っております。
 その次、不動産登記法第十七条の地図の問題でございますが、これはひとつ整備の促進、いつもいつも委員会で言われるのでございますが、ぜひその整備の促進をしていただきたいと思っておるわけでございます。
 特に私はお願いをいたしたいのは、都市部、市街地、準市街地における国土調査、いわゆる地籍測量の促進という点が一つでございます。それから、法務局における地図の作成作業を促進をしていただきたいということが一つでございます。この点について、ぜひひとつきちっと私の要望について期待のある御答弁をいただきたいと思っております。
 それから、今度、地図行政の一本化でございます。これは農水にもかかわりますし、建設にもかかわりますし、法務にもかかわります。この基準点をひとつ統一をして、これを公開をしていただくということが必要なのではなかろうかと思っておりますが、この点に対する各省庁の対応をひとつ御答弁いただきたいと思います。
#234
○濱崎政府委員 まず、いわゆる十七条地図の整備の問題についてお答えを申し上げます。
 不動産登記法十七条地図の現実の最大の供給源は、御案内のとおり、国土調査法の規定により登記所に送ってこられる地籍図でございますので、この十七条地図の規定に適合する地籍図の作成が円滑かつ迅速に行われるように、今後とも地籍調査の実施機関と緊密な連絡を図っていきたいと考えております。
 また、法務局におきましても、昭和四十二年度からみずから十七条地図の作成作業を実施してきておりますが、現在の段階では、地図が最も必要であるいわゆる地図混乱地域について重点的にその作業を実施しているところでございます。本格的な十七条地図作成作業の推進方策につきましても、いろいろ困難な問題もございますけれども、今後とも検討してまいりたいというふうに考えております。
#235
○森田説明員 農林水産省の設計課長の森田でございます。
 農林水産省におきましては、農業農村整備事業など、所管します公共事業の実施に当たりまして測量業務を実施しているところでございます。これら測量業務のうち、公共測量の成果につきましては、測量法に基づきまして建設省国土地理院の長に提出しているところでございます。
#236
○鈴木説明員 基準点の公開をというお尋ねでございました。建設省におきましては、国土地理院が、測量法に基づきましてすべての測量の基礎となります基本測量、これを実施しております。基本測量の成果につきましては、地形図だけではなくて、基準点を含めまして、すべて公開されております。
 このうち基準点、すなわちこの場合は国家基準点という言い方になるわけでございますが、国家基準点につきましては、国土地理院長の承認を受ければ、どなたでも利用ができます。また、国家基準点の座標値、座標値と申しますのは、例えば北緯何度、東経何度と、こんなようなものでございますが、座標値やその成果品の地図、その他の成果につきましては、国土地理院において閲覧していただけるようになっております。
 また、国土地理院以外の国の機関、先ほど農水省からもお話ございましたが、国土地理院以外の国の機関及び地方公共団体がそれぞれの行政目的に応じて行います、つまり、例えば道路をつくるですとか河川をつくるですとか、そういった行政目的に応じて行う測量、これを公共測量と申しまして、これは国土地理院が行う基本測量の成果、例えば国家基準点、こういったものを利用して測量が行われます。この公共測量において設置された基準点をいわゆる公共基準点というわけでございますが、この公共測量についての、公共基準点を含む測量成果の写しか国土地理院長あてに送付されることになっておりまして、これらの測量成果の写しは一般の閲覧ができるようになっております。
 そんなことで、今後とも測量の重複を、ダブりでございますね、重複をなくし、正確さを確保するという基本に立って基準点の公開を行ってまいる所存でございます。
#237
○濱崎政府委員 法務局で行っております法十七条地図の作成作業におきましても、最近では測量法に基づく公共測量として実施するとともに、その作業において設置した基準点の成果につきましては、国土地理院に送付するという方向で指導しているところであります。
#238
○坂上委員 ぜひともこの地図行政の一本化というのを図っていただきたい、こう思っておるわけでございます。役所は縦割り行政と言われておりますが、私たちは住民の、国民の立場に立ちますと、まちまちのことが、ましてや地図なんかでこういうようなことが出てきたら大変なことでございますから、ぜひひとつ基準点を一致するように、また、公開をするようにして、地図行政の一本化をお願いをいたしたい、こう思っております。
 その次は、今度は、公共嘱託登記協会の活用についてでございますが、行政機関の公共測量の発注に当たっては、表示登記を伴う地籍測量は他の測量業務と分離をして、公共嘱託登記協会に発注する体制の確立をぜひしていただきたいと思っておるわけでございます。
 一括して注文をなさいますと、土地家屋調査士さんのやる仕事と測量士さんのする仕事を一括注文をなさって、どうも職域侵害になるおそれがあるというようなことがいっぱいあるわけでございます。地方公共団体は割合に整備されているそうでございますが、どうも国の行政において問題があるそうでございますので、これはどの程度の御認識を持っておられるか。これは通告してあったかどうかわかりませんが、お答えいただけるなら御答弁いただきたいと思っております。
#239
○小笠原説明員 お答えいたします。
 建設省の直轄の用地取得に際しましては、あらかじめ取得対象の土地の実測平面図を作成する必要がございます。この作成に必要な用地測量につきましては、測量法により登録を受けました測量業者のみができることとされておりますので、当該測量業者に発注しているところでございます。
 そして、用地交渉を経まして用地を取得した場合、これは数カ月あるいは数年かかる場合があるわけでございますが、その後に登記手続を行うことになります。その場合におきましては、まず建設省の用地職員みずからが登記の嘱託を行うほかは公共嘱託登記土地家屋調査士協会に委託することとしております。
 今後とも、測量業者、土地家屋調査士などの専門家の活用を図りまして、円滑な用地取得に努めてまいりたいと存じております。
#240
○坂上委員 ぜひそのようにお願いをしたいと思います。
 今度は、ウルグアイ・ラウンドによるところの土地を集約するという国内対策が出てまいるわけでございます。これについても司法書士さんの仕事になるのだろうと思うのでございますが、役所が全部なさらないで、嘱託登記をなさるように皆さん方がつくっておられるようでございますが、この活用もぜひ、これからウルグアイ・ラウンドに伴う国内対策から出てくるわけでございまして、前に非公式に民事局長から文書をいただいたことがございますが、公開のこの席においてさらにそのことの確約もお願いをしたい、こう思っておりますが、いかがですか。
#241
○濱崎政府委員 御指摘の公共嘱託登記制度、これは、公共の利益となる事業に関して官公署等が行う登記の嘱託手続を適正迅速に処理するということに寄与するものであるというふうに考えているところでございます。これまでいろいろな機会を通じまして、この制度の合理性と積極的な利用をいただくようにということについての周知を図ることとしておりますけれども、今後とも協会と協力して広報に努めて、その利用の促進を図っていきたいというふうに考えているところであります。
#242
○坂上委員 ありがとうございました。
 今度はもう結論だけで結構でございます。ちょっと話題を変えます。
 一つは、私たち新潟県関山演習場に関することでございます。
 いわゆる沖縄の米海兵隊による県道百四号線を越えての実弾砲撃訓練の一部を関山演習場に移転させるということが検討されておると地元の人たちが大変心配をいたしておりますが、これをひとつ要約して簡単に御答弁、どんな状況なのですか。
#243
○坂本説明員 御説明申し上げます。
 県道百四号線越えの実弾射撃訓練の問題につきましては、その解決のため従来から日米間で話し合いを行ってきておりますが、九月の日米安全保障協議委員会におきまして意見交換が行われ、分散実施の方向で技術的、専門的検討を進めていくことで意見が一致し、十月五日の日米合同委員会におきまして、本問題の解決について検討を行うための特別作業班が設置され、検討を開始したところであります。
 今後、本問題につきましては、米軍の訓練の要請、移転先における自衛隊の訓練、地元の要望等との調和に十分留意しつつ、複数の演習場において分散実施の方向で技術的、専門的検討を行うこととなりますが、現時点では具体的な移転先の検討を進める段階には至っておらず、米側の要件を十分把握した上で関係各機関との調整を開始したいと考えております。
 また、運用上分散実施できるといたしましても、移転先の関係自治体や周辺住民の意向等にも十分配慮をする必要がありまして、結論を得るまでにはまだ時間がかかるものと考えております。
 お尋ねの関山演習場につきましては、県道百四号線越え実弾射撃訓練を実施しているキャンプ・ハンセンでは約四から五キロメートルの射程で行っておりますので、単にその距離を本土の演習場に当てはめれば関山演習場も同じ程度の距離を有しているということであります。
 いずれにせよ、現時点では具体的な移転先地等の検討を進める段階に至っているものではなく、今後特別作業班におきまして検討していきたいと考えております。
#244
○坂上委員 何としても関係地方自治体の承諾なくしてこういうことを進めないように要請をいたしたいと思います。
 その次は、新潟にいわゆる霞が関構想という、県庁の近くでございますが、官公庁を全部集めるということになっておるわけでございます。しかし、そういうかけ声ばかりでございまして、県民の目から見ると、どの程度とう進展しておるのか、これがちっともわからぬ状況であります。
 これに対して法務省なんかは、いわゆるコンピューターをやるためにバックアップセンターをここへ移したいという御計画があるようでございます。私たちも、バックアップセンターが一日も早くできて、コンピューター化を要請しているのでございますが、こうやってもたもたしておるものだから、なかなかこれができないという状況にあるわけです。
 だから、やるのだったらやるように、やらないのだったらやらないように、きちっと県民の前に発表していただかなければいかぬと思っておるわけでございます。平成六年度予算で調査費を三百万円だかとったわけでございますが、そういう点もひとつお考えをいただきまして、どういう状況になっておるか、御答弁を賜りたいと思うのです。簡単でいいです。
#245
○田村説明員 お答えいたします。
 御質問の新潟第二地方合同庁舎につきましては、新潟市内に散在いたします国の行政官署等につきまして集約、合同化を図るものでございます。現在までに、平成六年度に敷地調査を実施し、また、平成七年度予算で所要敷地の一部の購入費が計上されたところでございます。
 建設省といたしましては、今後着工に向けての諸条件が整いますれば、平成七年度の予算要求に向けて最大限の努力をしてまいる所存でございます。
#246
○坂上委員 平成七年ですか、九年ですか。
#247
○田村説明員 失礼しました。平成九年度でございます。
#248
○坂上委員 平成七年だから本当は始めてもらいたいのですが、平成九年、これはやむを得ないのだろうと思います。そのかわり、確実にこれを実現してもらわないと、態度が大変あいまいなものですから、住民が非常に迷惑をするという事態も起きかねませんので、建設省に強く要請をいたします。大蔵省への折衝はまた僕らも全力を挙げて協力したいと思っておりますので、ひとつ頑張っていただきたいと思っております。
 さて、今度はオウムの問題ですが、大阪のAPECにガス攻撃計画があったのだというようなことが米公聴会報告書の中で、テロへの危険を示していると報告書にあると言われておるわけでございます。世界の要人が日本に参られまして、万一のことがあったらこれは本当に大変なことでございますが、警察当局はこの辺の認識、どういうふうに考えておりますか。できるだけ簡単に要点だけ言ってください。
#249
○近石説明員 警察といたしましては、現在のところ、オウム真理教がAPECをめぐりテロを企図しているなどの動向は把握しておりませんが、過去のオウム真理教による一連の事件が組織的に引き起こされたということにかんがみまして、その動向には十分注意を払っているところであります。地下鉄サリン事件のような毒ガスを使用した無差別テロ事犯に対しましては、これまでも、関係機関と連携をとりつつ多数の警察官を配備して警戒を強化するなど、その再発防止に努めてきたところであります。
 来るべきAPEC警備におきましては、大阪府警が、全国からの応援警察官一万二千人を含め総計で二万五千人を増員するなどして一層警戒力を高めておりまして、オウム真理教による犯罪を含めあらゆるテロ、ゲリラ等の防圧に万全を期すこととしております。
#250
○坂上委員 アメリカにおける議会の調査報告についてお示しをしたのでございますが、これに対する御意見がありませんが、時間がありませんから追及しません。
 それから今度は、旧二信組の不正融資の問題に絡みまして山口敏夫代議士の御兄弟が背任で逮捕されたというようなことが出ておるわけでございます。また、山口敏夫代議士の問題についても解明がなされるという報道がなされておりますが、これの刑事事件への進展はどうなっていますか。
#251
○則定政府委員 御指摘のいわゆる旧二信組に絡みます背任事件の捜査につきましては、順次東京地方検察庁でこれまで実施してきておるわけでございまして、昨日、御指摘の背任及び業務上横領事件に着手したということでございます。
 そのかかわりでお尋ねの問題でございますけれども、具体的にどういう方向で今後の捜査を展開していくかこれはまさに捜査の秘密ではございます。しかしながら、この事案の全容を解明する必要はあるだろう、こういう観点で検察当局としては今後捜査をなお展開するものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
#252
○坂上委員 ひとつ、完全な捜査を期待いたしたいと思っております。
 それから、もう時間が経過しておるようでございますが、いま一つでございます。
 この間の東京地裁の決定書の中に、山梨県にオウムの方から第七サティアン等、等と書いてあるのですが、管理の委託を上申した、こう書いてあります。それから、信仰生活に必要のない施設の放棄も決意をしている、こうオウム側が主張したと事実摘示で書いてあります。
 この点についてはどんなように自治省は把握をなさって、これに対する対応は何かなさる予定はありますか。
#253
○森元説明員 ただいまの件につきましては、県に照会いたしましたところ、去る十月五日に、教団の方から県に対しまして、現在捜査当局により差し押さえられております第七サティアン等の施設について、差し押さえ終了後山梨県に管理を委託したい、こういう旨の要望書が出された。これに対しまして県といたしましては、現在警察が差し押さえている施設であり、将来的には解散後、清算法人によって処理されるのが適切であるとしてこの要望書を受理しなかったというふうに聞いております。その後、内容証明郵便で要望書が山梨県知事あてに送付されてきたのでございますが、翌六日、県といたしましてはこの要望書を教団に返送した、こういうように聞いております。私どもは、県の方から相談あるいは報告を受けたわけではございませんけれども、問い合わせをいたしまして、ただいまのような状況を把握いたしました。
 現時点での状況を総合的に勘案して、県のとった措置は妥当ではないかというふうに考えておりますが、今後、事態の推移等によりまして、県の方から御相談があったり、あるいはまた県の措置がいかがなものかというような場合には、必要に応じまして助言、指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#254
○坂上委員 ありがとうございました。
#255
○加藤委員長 佐々木秀典君。
#256
○佐々木(秀)委員 持ち時間が大変短うございますので、きょう私は、司法試験制度の改正問題と法曹養成制度に絞ってお伺いをいたします。
 この問題が、単なる司法試験、試験そのものを変えるというだけではなしに、これからの我が国の司法がどうなるかということと、司法制度の問題と非常にかかわりを持っている重要な問題だろうと心得ております。
 去る十月十九日の当委員会における審議でも各委員からその旨の御指摘があり、質問がございました。その後、法務省においても裁判所においても御承知だろうと思いますけれども、去る十一月二日に日本弁護士連合会は臨時総会を開催いたしまして、法曹養成制度等改革協議会に対する具体的提案に関する件を議題として、非常に真剣な討論が行われました後に、執行部の提案が賛成多数で採決された、議決をされたと聞いております。
 ここでは、結論としては、平成十一年から司法試験の合格者を千名程度に増員するということ、その後の増員については、改革協での議論を踏まえながら規模だとか必要性は法曹三者において検討する、それからまた同時に、裁判官や検察官の定員についても増員を明確にするというようなこと、司法修習の制度のあり方については、司法修習制度のこれまでのあり方についての基本理念とされている統一、公平、平等ということを旨として、修習期間の二年間という現行修習制度の原則は堅持する、これについても法曹三者でさらに協議をしていくというようなこと、あるいは司法基盤の整備についてこれも法曹三者で検討する、それから、俗に言われる丙案、これについては、これまた法曹三者で協議をしていくという旨の提案が採択されたと聞いております。
 しかし、これもお聞きをするところによりますと、これに対しては会員の中からかなりな反対があって、合格者の増員については八百名程度でいいではないかという意見も相当あった。採決の場合には六対四ぐらいの割合でこの執行部の提案が賛成多数で採決をされたわけですけれども、しかし、この反対をした方々も、単なる弁護士のギルド的な観点から反対をしたというのではなくて、冒頭申し上げましたように、我が国の司法制度がいかにあるべきか、そういう真剣な発想から意見が交わされたのだ、こう聞いておるわけであります。
 まず、法務省、最高裁それぞれにお聞きしたいのですけれども、この結論というのは、法務省、最高裁は、将来的には合格者を年間千五百人程度にしたいという御意向をお持ちのようですけれども、当面は千人程度ということを言われておる。そうすると、ここで当面は法曹三者の意見というのは少なくとも合格者に関する限り一致をしたということになるのではないか。
 そしてまた、この結論というものは、今申し上げましたような経過を踏まえての採決ですけれども、こうした決定を日弁連がした、日弁連というのは非常に良識的な、民主的な団体でございますから、反対があったにしてもこの結論が出た以上、会員全体としてはこの結論を尊重していくということになるのだろうと思いますが、これをどのように受けとめ、どのように評価されておられるかこれをそれぞれまずお聞きをしたいと思います。簡潔にお願いいたします。
#257
○永井政府委員 ただいま委員からお話しありましたとおり、日弁連では臨時総会で司法試験制度及び法曹養成制度の改革の具体案を決議されたと聞いております。こうした努力自体は評価されるものと考えております。
 ただ、その中身といいますか内容につきましては、十一月十二日に改革協の場面で提案されるものと聞いておりまして、改革協において協議されることとなります。したがって、現段階で法務省として具体的な内容についてコメントすることは差し控えさせていただきたい、かように思っております。
#258
○堀籠最高裁判所長官代理者 日本弁護士連合会が法曹養成制度の改革の具体的な案を決議するために努力されたことについては、私どもといたしましても評価すべきものと考えておりますが、その具体的な内容につきましては、今月の十一日に予定されております改革協で説明があり、協議される性質のものというふうに認識しておりますので、この段階でのコメントは、法務省と同様に差し控えさせていただきたいと思います。
#259
○佐々木(秀)委員 今の結論は、お答えがありましたように、十三日に改革協議会が行われるのですね。ここに提案をされるということになる。
 一方、法務省、最高裁は、この改革協に対してはどういうような提案をなさるのか、従来の提案との絡みでその態度をお伺いしたいと思います。これも簡潔にお願いします。
#260
○永井政府委員 私ども法務省の見解は、既に昨年の今ごろでございますが、一年前から表明しておりまして、その中身は、将来中期的目標として千五百人に増員する、それから修習期間につきましては一年に短縮する、その他民事訴訟法、刑事訴訟法の両訴を必須にしてはどうかとか、あるいは口述試験のあり方を改めてはどうかあるいは三者共同でするような継続教育というものはもっと考えられないかそういういろいろな提案をしているところでございます。
#261
○堀籠最高裁判所長官代理者 最高裁といたしましても、既に改革協議会で案を述べております。その案を維持するつもりでおるところでございます。
#262
○佐々木(秀)委員 ということだそうでございますけれども、私は今お伺いをいたしまして、法務省、最高裁が依然として将来的には合格者を千五百人程度を考えているということ、それからまた修習の期間、現状の二年を一年に短縮するという御意向をお持ちだということを聞いております。が、これはいずれも私は大変大事な問題、重大な問題だろう、今までの制度をすっかり変えることになりますから、少なくとも修習期間の問題は非常に大きな問題になってくるだろう、こう考えております。
 それで、とりわけ修習期間の二年を一年ということになりますと、今の期間がすっかり半分になってしまうわけです。私なども二年間の実務修習期間を経て、これは司法研修所での前期、後期の期間と合わせての二年間ですけれども、やはりそういうような研修所における教育というものも、全体に同じように行われる教育というものを私は非常に自分の経験からしても有効だったと思います。そして、これを単純に、二年から一年ということになりますと――各実務修習の期間、裁判所、検察庁それから弁護士の事務所、弁護士会、裁判所の場合には民事の裁判とそれから刑事の裁判とあるのですが、それぞれ四カ月ずつということになります。それで、単純に一年ということになると、これがいずれも半分の二カ月ずつで済ませるということになるのであろうと思います。けれども、これで果たして法曹三者に共通するような、よりよき法曹を求める法曹教育というものができるのだろうかということが非常に不安になります。この点は、きょうは時間がありませんから、またこれからも機会をとらえて私は議論をしていきたいと思いますけれども、いわゆる粗製乱造のおそれなしとしません。
 それからまた、今度は弁護士会としても司法試験の合格者を千人とすることについては決定を見たわけですから、早晩これはそうなるのだろうと思いますけれども、しかし、考えてみますと、私は昭和三十六年の合格ですけれども、私のときの合格者の数というのは三百八十人でした。それが、ことしの合格者は、ついこの間、十月の三十一日ですか発表になっているのですけれども、七百三十人を超えているわけですね。非常に多くなっているわけです。
 それで、これまで例えば規制緩和小委員会などでもこの問題が取り上げられているわけですけれども、しかし、これはひとり弁護士の数だけをふやしてみてもこれで足るというような問題ではない。だからこそ日弁連の今度の決議でも、裁判官、検察官の定員も見直して増員を明確にしてほしいということをうたわれているわけですね。
 弁護士が多くなり、裁判官や検察官について具体的な増員計画というものが、これはもちろんお金の関係もあるのだろうと思いますし、この予算の関係では後ほど枝野委員からも御質問があると思いますので、そちらに譲りたいと思いますけれども、そうでなければ、私は、非常に破竹的な司法制度になってしまう、決して国民の皆さんのニーズにこたえられる、国民に開かれた、国民のための司法の実現ということにはほど遠いものになってくるのではないかと思うのですね。そういうあるべき司法ということは、今の裁判所がこれでいいのか検察庁がこれでいいのか、裁判所の裁判官の数というのは一体どうなのかそれからまた施設だとか環境だとかがどうなのかということまで含めて考えないと、私は将来に向かって非常に禍根を残すことになるのじゃないかということを心配いたします。この点をひとつ法務省としても最高裁としてもしっかりとお考えをいただきながら改革協での議論に臨んでいただきたいというように思います。
 ところで、俗に言われる丙案ですね、これについては依然として必要だとお考えなのかどうか、これについて簡単にお答えください。
#263
○永井政府委員 いわゆる丙案、すなわち合格枠制の問題でございますが、既に委員も御承知だと思いますが、平成三年の司法試験法改正を当委員会で御審議願ったわけでございまして、これを受けまして司法試験管理委員会規則によって既にこの合格枠制というのは制度化されております。そこで法曹三者の基本合意に基づきました検証基準というものも客観的に公示されているわけでございます。
 ところが、この丙案を実施するか否かという問題は、ことし、平成七年の二次試験の結果に基づいて司法試験管理委員会が決定することでございまして、法務当局といたしましてこの場で何とも申し上げられないわけでございますが、本年度の結論を見ますと、その基準にはるかに及ばないというものとなっております。司法試験管理委員会においてこのような結果を踏まえて対応されるものと考えております。
#264
○佐々木(秀)委員 最高裁の方も大体同じお考えだろうと思いますからお答えは結構で、私の方から意見を言わせていただきたいと思います。
 今お話がありましたようなことが一応決められているといいますか、公示されているということは私も承知しております。しかし、この丙案の目的が何かというと、一つは検察官だとか裁判官にできるだけ若手の人を得たい、若手の優秀な人材を得たいというような思いがあった。というのは、その当時まで裁判官、検事のなり手が少なかった、若手の中から、そういうこともあった。しかしながら、最近の傾向を見てまいりますと、これも前の委員会でもお話があったように、裁判官、検事のなり手が、希望者が非常に多くなっているという傾向が出てきているわけですね。当初の深刻な心配というのは大分解消されてきているのではなかろうかと思うわけです。となると、事情の変更の原則というのがあるわけですから、事情が変わってきているということも考えながら、やはり前にそういうことが決められているのだからということにこだわらないで、むしろ大事なことは、現在から将来に向かってあるべき司法をどうするかという観点に立たなければならないのですからね。その点でしっかりとひとつ見直すということ、検討するということも私は必要なのではなかろうかと思うのです。
 それよりも、丙案の不合理性というのは、俗に言う若手の合格者を得たいがために回数で制限していこうというわけですね。いろいろな点でこれは不平等が出てくると思うのです。
 これは一つの例証だと思いますけれども、ことしの司法試験の論文試験の受験期間別、得点別人数分布基礎資料というものによりますと、通常合格者を五百四十五名、それから今の枠のはまった、優遇された枠の合格者二百二十六名ですね。こういうように仮定すると、成績で五百四十六番、これは受験回数の問題なんですが、受験回数で四回以内の者五百四十六番の合格者は、これは不合格になってしまう、ところが、三年以内の受験者で千五百十六番の者が合格してしまう、非常におかしなことになってしまうのですね。これは、場合によると私は憲法十四条の平等性の違反ということにもかかわってくるのじゃないかと思うのですよ。
 それで、時間がありませんから結論を申し上げますけれども、こういう合格者あるいは受験者の間からも、やはり試験というのは成績順にいくべきものだ、そういうような受験者の間で差別を設けるというのはおかしいのではないかと。中には、司法試験のよさというのは、学歴だとか年齢だとかそういうことを不問にして、だれでも平等に受けられ、その実力が試され、試験に合格した者から採られていくんだということが一番いいところなんだということもあるんですね。
 それからまた、ことしは障害者の方で合格した方がいらっしゃいます。聾唖者の方です。耳も聞こえない、口もほとんどきけないという方ですけれども、在学中から八回試験を受けて、八回目で合格したというのですね。こういう方々というのは本当に御苦労なすっているんですけれどもね。それはもう健常者に比べたらいろいろなハンディがある、やはり回数だって多くなる。しかし、やはりこういう方々にも門戸を開き、こういう方々に働いてもらうというところにも私は非常に大きなよさがあるのではないかと思うのです。
 そしてまた、オウムの顧問弁護士だった青山君のあの状況を見ますと、彼なんかはたしか二十一歳ぐらいで司法試験に合格したという、非常に頭のいい優秀だった人だと聞いておりますけれども、しかしそれだけではないわけですね。むしろ法律家として大事なものは何かということを考えた場合に、私は一概に、試験回数、早く通った人がよりよい法律家になるとはとても思えない。これは私の経験からいってもそういうように思っているわけであります。
 どうか、そういうことをお考えになって、丙案の問題も、それからまた修習期間の問題も、それから合格者の増員問題も、ひとつ真剣にお互いに法曹三者の間で再考したいものだ、こんなふうに思います。
 本当は裁判官や検察官の増員問題を、冒頭に申し上げましたようにあわせて考えなければ本当の意味での司法改革にならないと私は考えております。
 結論だけ申し上げますけれども、弁護士の数が他国に比べて足りないと言われるけれども、それ以上に足りないのは私は裁判官の数だろうと思います。イギリスの場合には裁判官一人当たりの国民数でいきますと千五百七十七人、ドイツの場合は四千四百六十人、フランスの場合には一万二千八百六人、日本の場合には何と四万三千七百四十六人に一人、こういうことなんですね。ここのところを考えないで弁護士の数だけを多くするなんということは根本的に問題があるのではなかろうか、私はこう考えております。
 お互いに、よい司法制度をつくるために、国民のための司法をつくるために、法曹三者そして国会においても真剣な論議を続けながらよい制度をつくっていきたいものだ、そういうことを申し上げて、質問時間が来ましたので終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#265
○加藤委員長 枝野幸男君。
#266
○枝野委員 私も司法試験改革の問題について質問させていただきたいと思っておりますが、その前に、きょう少しオウムの破防法の問題が議論になっておりましたので、私の所見だけ法務大臣その他法務省の皆様にお伝えをしておきたいと思います。
 けさほど来、法務大臣あるいは総理大臣の指揮命令云々という話が出ておりますが、もしも法務大臣あるいは総理大臣の指揮命令といったぐいのものが一切ないのだとしたら、公安調査庁の長官が破防法を適用するともしないともどちらの判断をとったとしても、内閣あるいは与党、政府というものは一切世間からあるいは野党から御批判を受けない立場なのであろうか。これはいずれにしても、公安調査庁長官がどんな対応をとったとしても、それに対する賛否両論、御批判を受けるのは政府・与党という形で、内閣全体であり、だからこそ内閣が連帯をして国会に責任を負うという議院内閣制の基本というものがあるのだ。そこのところの原則を考えるならば、政府として、内閣全体として、そして法務大臣あるいは総理大臣としての立場から、法の範囲内でそれなりの指揮命令というものがあるのは当然であると思っておりますので、ぜひ法務大臣にはそうした姿勢で臨んでいただきたい。
 それからもう一点、この破防法の適用については、実はさまざまな形で私どもも党内でも議論をしておりますが、私の個人的な見解でございますが、どうも議論をすれば議論をするほど少し心配が出てきております。
 それは、解散命令が出されるとしたら、それはそれでよろしいのでございますが、解散命令が出された後に固体のために何か行動を行うとそれが刑事罰の対象になる。この範囲がどこまでであるのか、どうもなかなかいろいろな議論がある。何をしたら団体のためにする行為として処罰をされるのか、何をやったらされないのかという基準がどうもわかりにくい。これは、憲法の定める罪刑法定主義というものの観点から見て現行法は果たして妥当なのかどうかということで、非常に検討すれば検討するほど疑問が出てくるという現実がございます。ぜひ法務大臣初め法務そして公安調査庁当局は慎重な対応をしていただきたいとお願いを申し上げます。
 さて、司法試験改革の問題でございますが、改めてもう一度私は現時点での法務省の立場をお伺いします。
 かつて、平成三年に司法試験法を改正して、いわゆる丙案というものを前提とした改正が行われた。その当時こうした丙案を導入しようということになった目的はどういったものであったのか教えてください。
#267
○永井政府委員 いわゆる丙案というものは、司法試験そのものが、合格までに長期間の受験準備を余儀なくされておりまして、種々の弊害が生じているという、こういう現状を緊急に改善して、法曹としての資質を持っているより多くの者が比較的短期間の受験で合格できる試験とする、こういうことを目的としていたわけでございまして、要するに、日弁連でもおっしゃっておりますとおり、当時からおっしゃっておりましたとおり、より多くの者がより早く合格するという、こういうことを目的として平成二年の法曹三者の合意に基づいて導入されたものだ、こういうように理解しております。
#268
○枝野委員 実は私はその当時まだ日弁連の会員ではございませんでしたが、法務省が平成二年の三月に日弁連に対して「単純増員案が採用できない理由」という文書を提出をされているそうでございます。そして、その中には「任官者総数がおそらくは百七十名程度確保できる態勢でなければ、判・検双方の欠員を充足させることはできず、まして、その増員を実現しうる状況にはならないと考える」、そして、丙案を採用せずに単純に定員増、合格者の増員をした場合にはせいぜい百二十人台の任官者しか期待をできない、丙案を採用した場合には百七十二名であるという予測を示しているという文書が日弁連に法務省から出されている。
 法務省あるいは裁判所の立場としては、特に若手、早く合格というのは、任官者のあるいは任検者の確保というのがメーンであったというふうにとらざるを得ないと思うのですが、そうした前提で考えますと、先ほど佐々木委員からの質問にもありましたとおり、最近の任官者、任検者合わせた数というのは百八十名前後までふえてきておりまして、幸いにも検察官の定員も、定員に満ちて定員増ができるという状況になっている。明らかに平成三年当時の司法試験改革、司法試験法を改正をしたときの状況と客観的な事実が違っていると言わざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
#269
○永井政府委員 確かに、その当時におきましては、検察官、あるいは裁判官も一部含まれますが、任官者が少ない、あるいは後継者確保に困難を生じているという、こういったことが背景にあったことは間違いない事実だと思います。ただ、その後法曹三者でいろいろな文書のやりとりがあり、いろいろな協議を重ねてきた過程の中で、結局もともとの、本来の発想が司法試験の現状がやはり異常ではないかというそこから来たということで集約されてきたものだ、かように思っているわけでございます。
#270
○枝野委員 そこで、少しデータを教えていただきたいのですが、ことしあるいはことしのデータがまだそろっていなければ昨年でも結構ですが、いわゆる三年以内枠で司法試験に合格した数の総数が幾つで、その中における二十五歳以下の人数がどれくらいで三十歳以上の人数がどれくらいかを教えてください。
#271
○永井政府委員 平成七年、ことしの一応大体確定した数でございますが、受験期間三年以内の合格者ですと百七十六名おります。そのうち、二十五歳以下が百五十三名、三十歳以上が十三名、こういうことになっております。
#272
○枝野委員 裁判所または検察庁、どちらでもいいのですが、ことしの四月に任官あるいは任検をされた人のうち、司法試験の合格の時点で受験三年以内であった者というのは何人ぐらい、何割ぐらいいらっしゃいますか。
#273
○永井政府委員 実は、こうしたデータにつきましては正確な調査は行ったことはありません。それで、委員からの御質問で、急ぎまして、年齢等から見て多分受験期間三年以内ではないかなと思われる者を見たのでございますが、検事任官者八十六名中二十数名であろうという推測をしております。
#274
○枝野委員 もう一つ。この丙案の導入が来年度からと予定をされているということで、受験勉強をしているのだけれども、近い将来受けるつもりであるのだけれども、その三年以内というカウントをされることを恐れて受験逃れをしている、要するに一年先送りをしたというような方が少なくないはずなんですが、そういった状況についてある程度の把握をされていますか。
#275
○永井政府委員 合格枠制というものが公表されまして、平成五年からいわゆる受験期間の算入が開始されているわけでございます。そういったこともあってか、平成五年、六年には例年よりも受験者が減少いたしました。約二千何百名減少しております。ところが、平成七年には、それ以前の平成四年並みの受験数に戻ってきております。
 これの比率といいますか、どういう割合であろうかということにつきましては、必ずしも客観的な調査分析は行っておりませんし、また、これを改革協の中でも行おうとしたのですが、非常に難しくて、結論を得るに至っておりません。
#276
○枝野委員 先ほど申しましたとおり、丙案を導入した前提の事実が変わってきているということだけではなくて、丙案の矛盾というのは今の数字でも出てきていると私は思っております。
 例えば、早く特に若い合格者を採りたいという話でありますが、三十歳以上でも三年以内の合格者というのは十三名、一割、まあ一割まではいきませんけれども、一定の数がある。それから、任官者の中の年齢でということをおっしゃいましたけれども、それが年齢が当たっているかどうか、今の数字から見てもわかりませんが、必ずしも三年以内の者が任官者の多数を占めているわけでもないという事実もある。そして、丙案導入ということを予期して、二年間受験者の数が大幅に減っていて、ようやく戻ってきた。それはどこかで戻るのですよね、トータルで受験する層が変わらなければどこかで戻ってくるわけですが、二年間にわたって二千人減っていたということは、これは相当の数が丙案を見越して、三年以内という枠に引っかからないようにということで受験をしていない。
 例えばこれは、今、司法試験を受験するのにほとんどの方が予備校に行っていらっしゃいます。予備校などとちゃんと連携して調査すれば把握できるはずなんですよね。
 それから私、幸い、まだ私の大学時代の同級生などで司法試験の勉強をしている仲間がたくさんおりますので、そういったところから生の声というものは聞こえてくる年齢なのですが、相当数、やはりこの三年以内というのを意識をして、本来ならば受験をできる、したいのにもかかわらず受けないというような方が決して少数ではない。特に若い人を中心に少数でないということで、これは弊害が出てくるんじゃないか。そして、先ほど佐々木先生などからも御指摘もありましたとおり、平等という原則から見て果たしていいのだろうかという問題が出てくると思っています。
 確かにこれは一度法曹三者で合意をした話でありますし、それから国会で法改正をした話でありますが、幸いにも私は、これが成立をした平成三年当時、まだ日弁連の会員でもありませんでしたし、国会議員という立場でもありませんでした。過去の皆さんが決めたことでありますので私は縛られる立場ではありませんので、あえて私から提案をすべきだろうと思っておりますので、この場をかりまして各党の皆様方に、いっそのこと司法試験法をもとに戻すという法改正を議員立法も含めて議論すべきではないかということを各党の皆さんに御提案をしたい。また、法務省もそのことを考えていただきたいという御提言をしておきたいと思います。
 さて、もう一つ、司法試験合格者の数の問題でございますが、先ほど佐々木先生からのお話がありましたとおり、日弁連は千人ということでは仕方がないというようなことで一応まとまりましたが、これが千人ということになっても法曹養成制度等改革協議会がまとまらない要素があるとすれば、司法修習期間の短縮という問題がなというふうに考えておりますが、そういう理解はよろしいでしょうか。
#277
○永井政府委員 日弁運の臨時総会での結論、正確な中身は私自身まだ確認しておりません。先ほども申し上げましたとおり、十一月十三日の改革協で正式に御提案されるもの、こういうふうに思っておりますので、果たして現段階で、改革協においてどのように取り扱われるかということについてお答えは差し控えたい、かように思っております。
#278
○枝野委員 じゃ、まあ仕方がないでしょう、そういう答えであるならば。
 じゃ司法修習期間の短縮に絞って議論をさせていただきたいと思いますが、午前中の話にもございましたとおり、司法修習期間の短縮については裁判所法の改正が必要である、法改正が必要であるということは明らかでございますが、午前中からの議論をずっと聞いておりますと、自由民主党の太田委員もこの修習期間の短縮については非常に慎重な御発言であったというふうに理解をしております。そして先ほどの日本社会党の佐々木委員の発言も、修習期間の短縮には消極であるという議論をされておりました。そして私は新党さきがけでありますが、新党さきがけの法務部会としても、この修習期間の短縮の法改正には絶対反対であるという立場をとらせていただいております。
 政府・与党一体という議院内閣制の考え方の中で、与党三党が、少なくとも二党が反対をし、一党が必ずしも積極的でないという状況の中で、政府がこうした協議会へ出ていって、修習期間の短縮という提案をすることは、立法府に対する立法府軽視ではないかと考えますが、いかがですか。
#279
○永井政府委員 結論的にはそれは当たらないと考えております。
 と申しますのは、今改革協は、四年前から行われている改革協は、むしろ日弁連が御提案になって、それで法曹三者で国民的見地に立った抜本的改革を協議しようじゃないかという呼びかけがなされ、これに基づいてこういう改革協議会を進めてきております。今ちょうど中締めといいます。か、一応の意見の取りまとめをしようとしている段階でございまして、そこで、その中でいろいろな学識経験者の意見が出、あるいは法曹三者それぞれの意見が今出ているところでございまして、それ自体をもって直ちに立法府に対する侵害であるかのように、まだ法案も出していないわけでございますから、そういうことを言われると、私ども研究のしようもない、こういうことになると思います。
#280
○枝野委員 この協議会には法務省あるいは最高裁の意見として提案がなされているわけですよ、実態として。法務省の役人の方や裁判所の方か一個人としての見解をあそこで述べているわけではなくて、それぞれ法務省や裁判所というものを背負って改革協の中で意見を提案しているのです。改革協の中で別の機関から出てくるならいいです。よ。一般の有識者の方から修習期間を短縮しろという話が出てきてそれを議論する、あるいは日弁連から出てくる、これなら話はよくわかります。
 しかし、政府あるいは裁判所という立場から、そこを背負って、代表する方が提案をされるのであるならば、当然立法府の法改正を要する問題でありますから、立法府の意向というものを踏まえて提案をしていただかないと、その提案をしてまとまったのはいいけれども立法府は通らないという事態にこれはなりますよ。この裁判所法を改正するときには反対している社会党もさきがけも消えてなくなっているかもしれないと思っていらっしゃるかもしれませんが、こんなものはどうなるかわからないわけですからね。三者協でまとめてきたって、我々が反対すれば裁判所法の改正なんか通らないわけですよ。そんな通らない可能性のある提案を出されて協議をするというのは不誠実じゃないですか、他の例えは日弁連や一般の委員の方に対して。
#281
○原田政府委員 三者協議、また法務省として裁判所また日弁連との間の協議にかかわることでございますので、私から一言御答弁させていただきたいと思います。
 御承知のとおり、司法問題の根幹に触れるようなさまざまな制度改革等については、いろいろなところで議論がなされるわけでございますけれども、そのうちの多くは、御指摘のように国会で法律としてお決めいただき、また改正していただかなければならないものが多数ございます。その中に、少なくとも司法に関係するものについては、これは衆参両院ともそのようでございますけれども、たびたび、当法務委員会もそうでございます。けれども、まずもって法曹三者で十分話し合いなさい、一方的な案だけ持ってきてそれで審議しろというのは困る、そういうことではいけないのだという御指摘がございました。
 そういう意味で、法曹養成問題につきましても、これは当然司法制度全体にかかわる問題でございまして、私どもといたしましては、立法府にお願いするに当たりましても、まずもって法曹三者で十分御議論を詰めさせていただく。そしてまた、その過程ではこれに関連する有識者の方々、学者の方々、また法曹の法律事務で直接影響を受けることになる国民一般の方々、また企業関係の方々の意見も十分聞かせていただいて、そして法曹三者として意見を詰めて、それから法改正について政府としての案をまとめ上げさせていただく。それが、この国会に対しましてこのような法案を政府として提出させていただきたいと申し上げるための必須不可欠の手続でございます。
 そういう意味で、その中で法務省として何を考え、どういう問題があるかということも勢いその場で議論させていただくというのが建前でございますし、また実際そのように努力させていただいているという状況でございますので、何とぞ、そこらあたりの事情をよく御賢察いただければと存ずる次第でございます。
#282
○枝野委員 国会に持ってくる前に法曹三者で協議しろという話はそのとおりで、ただし、それは歴史的な経緯というものを見てみれば話がちょっと違っていまして、裁判所なり法務省なりが日弁連ともしっかり話をしないで、日弁連が反対していると持ってこられてはたまらぬから、ちゃんと日弁連とも話をつけてから持ってきてもらわないと困りますよという趣旨であって、今回の場合はそもそも立法府の意思自体がかなりはっきりしているのですよ、この法務委員会の質疑の中で。新進党の方も、野党の新進党の方も共産党の方も、この修習期間の短縮については、ここ何回かの法務委員会の質疑を聞いておりますと消極である。立法府がどうも全体的に消極であるという話を、行政府として三者会議の場に持っていくということ自体が果たして誠実と言えるのかどうか。
 もしも必要であるならば、これは理事会で議論しなければならないでしょうが、修習期間の短縮には反対であるというような法務委員会の決議が必要だったら、そういうことを議論しても結構ですよ。だけれども、かなりこれは、ほぼ議論を聞いていただいていれば、修習期間の短縮ということについて消極というのは各党ともそろっている、立法府の意思はかなりはっきりしていると私は理解をしておりますので、その立法府の意思を無視して、意向をしんしゃくしないで議論をしていただいてもむだな議論をされるだけですよということを申し上げているのであります。
 このことについてこだわっていても仕方ありませんので、実際にその修習期間の短縮についての話を具体的に聞いてみますが、修習期間の短縮について、どうして短縮が必要なのか、しかもそれが司法試験合格者の定員増という話とどうして絡んでくるのかという問題でありますが、結局、修習生がふえると当然その分予算が必要になる、それから修習をするためのキャパシティーが必要になる、そうした意味で予算が必要になる、これが大きな柱だと思いますが、いかがですか。
#283
○永井政府委員 有識者にもたくさん入ってもらっております改革協におきましては、法務省の協議員だけではなくて、裁判所協議員あるいは外部協議員の多くも、やはり法曹養成制度の抜本的改革の一環として修習期間の短縮をしてはどうかという提案をされております。これは、議論の経過は非常に細かいことは省略いたしますが、基本的には、なぜ二年でなければならないのかという逆の問いかけも一つあったわけでございます。それからもちろん、修習というものがそもそも必要かという議論からいろいろ根源的な問いかけがあったわけです。
 しかし、やはり現在の実務修習を中心とした統一、公平な修習は維持したいという、そこにつきましても外部協議員等も御理解いただきまして、修習期間につきましては二年のままで漫然とやっていていいのかという問いかけがありまして、その理由は幾つかございまして、やはり修習期間というのはある意味で、モラトリアム期間としては非常にいいのですが、責任と権限がないという問題があるわけです。こういう修習を二年間続けていると、いわば一種のお客様的に修習をするという形になって、現実に自分の責任と権限を持って身についた形での修習というものがない、こういう考え方が一つあるわけでございます。
 それから、あと簡単に申し上げますが、二番目には、現在実務修習といいますのは、御承知のとおり、実際の事件に即して実務家によるマン・ツー・マンの指導が行われている。現在の受け入れ数というものが、もう既にこのような指導体制を維持し、あるいは適正な修習環境のもとにおいて修習の効果を期待できる数の限界に近いところまで来ている、こういう問題が一つございます。
 それから、これは司法研修所からの意見でございますが、修習生に対する指導経験の蓄積と指導技術の向上によって、修習期間を短縮しても十分な修習の効果を上げることができる、そういう考え方が理由になっております。
#284
○枝野委員 確かに、私も司法修習のあり方というのを未来永劫、今のまま変えるべきじゃないとは思っていませんし、時代の変化に応じて変える必要があるだろうということについては否定をいたしません。しかし、これは非常に慎重に物事を考えていかなければならない話だと思っております。
 例えば一つには、モラトリアム期間が二年間、長いじゃないかという議論は、それは一方ではそういった議論があるかもしれません。しかし法曹三者、まあ、まだ弁護士は依頼者の側で選択をするのだからともかくとして、検察官や判事補に研修所を出た段階でなれるわけです。判事補も令状などは一人でやります。それから検察官も、これは基本的には独任官庁でありますから、一人の、自分の個人の責任で捜査処分を行うわけであります。そういう立場になるということは、その責任の重さというものは普通の職務以上に重要である、権利と人権と命を預かっている仕事であると言えるわけであります。
 ということは、モラトリアム期間が長かろうが短かろうが、とにかく裁判官とか検察官として最低限の水準に立っているというところまでの修習の期間は持っていただかなければならない。それはどんなに長くても、十年だろうが二十年だろうが、必要だったらやっていただかなければ困るのが裁判官や検察官であります。ということは、二年間のモラトリアム期間が長過ぎるだなんという議論は、理由にはならない。果たして裁判官や検察官として、あるいは弁護士として最低限のことを身につけていただくのにどれぐらいかかっているのかということが大切であると思っています。
 それから、確かに修習の蓄積によっていろいろと短期間で効率を上げることができるようになっているかもしれません。しかし、逆に新しいことというものもどんどんふえています、時代の変化につれて。私の自分の修習の経験からいいましても、確かに民事の、刑事の通常の裁判手続などについては非常によく御指導いただいて、勉強させていただいたと思っています。
 しかしながら、二年間の修習の中であっても、例えば今こうした時期に特にニーズがふえております保全処分あるいは執行、破産手続、こういったものに対する御指導をいただいた時間というのは非常に短かったし、それから令状実務などに対する期間も非常に短かった。弁護士の方の世界でいえば、今まではどちらかといえば何でも屋の弁護士さんというのがほとんどでありましたが、もはやそういう時代ではなくなってきて、専門分野が非常に広がっている。例えば特許の問題はどうするのか、渉外関係どうするのか、企業法務どうするのかそういった指導は残念ながら今の二年間の修習期間ではむしろやる時間がない、足りないというぐらいが、むしろ実際に修習を終え、そして実務についた者の感覚ではないかと私は思っております。
 そしてもう一つ、キャパシティーの問題、要するに指導教官の問題ということをおっしゃいますが、例えば、現在はすべての本庁に修習生が配属されていると聞いております。法務省でも裁判所でもどちらでもいいですが、一番小規模の本庁よりも大きい支部というのは幾つありますか。
#285
○堀籠最高裁判所長官代理者 規模の比べ方にもよりますが、私どもでは、裁判官と現在する職員の数で比べますと、一番規模の小さい本庁は鳥取地裁でございます。この鳥取地裁の本庁よりも裁判官及び職員の数の多いのは四庁でございまして、東京地裁の八王子支部、大阪地裁の堺支部、神戸地裁の尼崎支部及び福団地裁の小倉支部ということでございます。
#286
○枝野委員 とりあえずこうしたところは修習生が配属されていない、こういったところの裁判官、検察官は修習生の指導に携わっていないというところで、この分の余裕はあるわけでございますね。
 それから、さらに言えば、現状のスケジュールでやっていくのがいいのかどうかということはまた議論はありますが、例えば現状のスケジュールでやっても、従来から四カ月間、二期にわたって修習生が重なる時期があったわけですけれども、裁判所、検察庁で修習生を受け入れる期間というのは三期間でありますから、残りは弁護士会です。から、弁護士会は少しぐらいふえても受け入れるということを基本的には表明しているのですから、裁判所、検察庁における三期間というのは丸一年ですから、重ならないようにすれば十分に対応し切れる、そういう工夫はあるわけであります。
 そういうところ、たくさん詰めたいところはあるのですけれども、こうしたように、司法修習は、司法修習期間ということだけでも、それだけとっても相当な議論を要するし、相当専門的な、具体的な議論を詰めた上で、むしろ僕なんかは長くすべきじゃないかぐらいに思っています。そうしたことを、とりあえず緊急性を要する司法試験の合格者をふやして法曹人口をふやそうという議論と必ずしも組み合わせる必要が果たしてあるのかどうか。千人ということではとりあえずまとまりそうなんですから、千人にするという話は話でまとめて、修習期間の問題については別途、あるいは同じ機関で継続してでも結構ですから、切り離して慎重に議論をすべきではないかと考えますが、いかがですか。
#287
○永井政府委員 とにかく改革協で議論を続けているところでございまして、それが一応、今回意見書等が提出されましたならば、また法曹三者でそういう技術的なことやいろいろなことを詰めていく、そういう考え方ております。
#288
○枝野委員 最後に、大蔵省おいでいただいていますね。
 今るるお話を聞いていただきましたとおり、法曹人口を千人にふやそうという話については法曹三者でまとまって、ここでもいろいろ議論が出ておりますが、ほぼまとまるかもしれない。修習期間の短縮については非常に反対が多くて、しかも切り離すべきだろうという話を今御提示させていただきました。法曹人口の問題と修習期間の短縮を切り離すとなりますと、法曹人口をふやす、修習生の数をふやすということで、修習期間を短縮しなければそれによって予算は必然的にふえることになりますので、そのことは御理解いただいていますね。
#289
○長尾説明員 今あそこでもいろいろ議論を聞かせていただきましたけれども、司法修習制度については、今三者のところでいろいろな議論がされているところでございます。その議論がどういう展開をしていくかわからない段階で、私ども、修習制度予算についてお答えしがたいことは御理解をいただきたいと存じます。
 いずれにいたしましても、この修習制度予算につきましては、そういった諸般の議論を踏まえ、法曹三者において適切な修習制度のあり方をお考えになり、そして修習制度予算を所管される裁判所がそれを予算全体の中にどのように盛り込まれるかをまず検討された上で、財政当局としては各年の予算編成過程で検討していくものと考えているところでございます。
#290
○枝野委員 裁判所も法務省も予算の問題じゃないということを言っているので、よく覚えておいてください。
 終わります。
#291
○加藤委員長 正森成二君。
#292
○正森委員 私は、まず法務大臣と刑事局長に、衆議院議員である山口敏夫氏開運の問題について伺いたいと思います。
 御承知のように、山口氏の実の姉と実の弟、あるいは秘書等が逮捕されました。ただいま同僚委員から質問もありまして、捜査の秘密もあるのでということでしたが、私の方が知っているところでは、例えば山口氏は、実の姉などが経営する「むさしの厚生文化事業団」が昨年五月ごろ、両信組から新たに融資を受ける目的で契約書を締結した際、連帯保証人になった、そしてそのときには、債務履行の合意事項、問題が起きた場合の手形訴訟や貸金訴訟について記載されて、元労相の署名があった、こうなっております。
 私は大蔵委員会にもおりましたが、個々の案件についてこれだけの額について保証しますというのじゃなしに、そもそも取引を始めるときの基本契約書に署名すれば、以後起こるであろう債務については全部保証するというように通常は理解されていて、大変な責任を負うものであります。それだけでなしに、それ以外の両信組との間に取引を始めた信用組合取引約定書というのを十年前ぐらいに結んだそうですが、それについても連帯保証人として判をついておる。これは両信組から借りる十億でも二十億でも三十億でも全部責任を持つという意味の契約であります。これは並大抵のことではありません。また、業務上横領ということになっておりますが、これはいずれも山口氏が関係し、自分の秘書などが重要な役職につく、あるいは親族がついておるというケースであります。
 そして、日常的にどうなっていたかといいますと、これは新聞等を総合した見解でありますが、非常に深く関与して経営指南をやっておる。ある新聞によると、平成四年、山口元労相は、睦商事、これは山口氏一族の中心的な会社ですが、東京支店の一室に弟である根本氏を呼んで、山口氏親族企業同士の資金のやりとりや「マンハッタン」への投資内容について詳しい財務資料を作成するよう指示したという。複数の元社員は、あれ以来、睦では山口氏からの直接指示が一層強まった。あるいはまた、山口氏周辺によると、昭和六十年代以来、平日はほぼ毎朝、根本氏を東京千代田区の自宅マンションに呼びつけ、睦商事グループの経営上の指示を与えていた。睦商事内で山口氏が根本氏を大声でしかりつける光景も日常茶飯事で、元社員らは、睦商事グループの実質オーナーは元労相だった、こういうように口をそろえて言っていると言われております。
 私は、そういうことを背景にして言いたいのは、十一月七日の朝日新聞の夕刊によりますと、これは記者会見もやって、テレビでも放映されましたが、山口敏夫代議士はこう言っています。親族が強制捜査の対象になったのは残念。事件の全容解明のためであろうから、捜査の推移を見守りたい。しかし、何人もの人を強制捜査の対象にしており、捜査が乱暴だ。私に事情を聴きたいのなら、私を強制捜査の対象にすればいい。国会中であろうとも、嫌疑をかけられれば、私の方から許諾請求をしてでも疑惑解明に協力します。こう言っています。これは新聞にも出ておりますし、よく御存じのとおりであります。
 私は、これは同じ衆議院議員として看過することのできない重大発言であると思います。
 今まで山口氏は、自分は潔白だ、政経分離だというように言い続けてきたはずであります。それならば、自分が仮に事情を解明するにしても、私は何らやましいところはない、しかし事情聴取したいというならいつでも出ていく用意があると言うならまだ話はわかります。ところが、実際の事業をやっている取締役であるとかそういう人が業務上逮捕されたごとにけちをつけて、事情が聞きたいならおれを逮捕しろ、何なら許諾請求しろということは、初めから自分が有罪の嫌疑を持っておるということを是認して、そして場合によったら逮捕しろと言っているのと同じであります。こんなことは、いやしくも潔白を信ずる衆議院議員が言うべきことではないんじゃないか私はそう思いますが、法務大臣はいかがですか。
#293
○則定政府委員 最後の点のお尋ねにつきまして私ども法務当局から直接お答えするのはいかがかと思いますけれども、御指摘のとおり、このいわゆる旧二信組に関連しました背任事件のかかわりで、東京地方検察庁におきましては、関連すると思われるいろいろなことを想定しまして今日まで捜査を進展してきているわけでございます。したがいまして、言及されました一連の報道等につきましても十分認識しているはずでございまして、先ほど別の委員からの御質問にもお答えさせていただきましたけれども、まさに事案の真相を解明するということで種々の捜査を展開しているところでございますので、御質問の趣旨は十分わかりますけれども、答弁としてはこの程度にさせていただきたい。と思っております。
#294
○正森委員 答えにくいことはわかりますが、先ほど同僚委員の質問に対して刑事局長は、捜査の秘密だが事案の全容を解明する立場で行う、こう言いました。私の今の質問には事案の真相をと言いました。これは同じことのようですが、問題意識を持って聞くと内容が非常に違うのですね。事案の真相という場合と事案の全容という場合は、全容の場合、今逮捕された者だけが全容ではない、それ以外のことも含めて全容を解明するという意味であって、私はこちらで聞いていて、これは、今逮捕された人以外にもし主導的役割を果たした人がいるなら、それも含めて解明するという決意の表明と受け取れました。しかし、今の事案の真相を解明するというのは、それからはるかに後退した答弁であります。もう一回答弁し直してください。
#295
○則定政府委員 同じ意味で答弁させていただいているわけでございまして、言及されました一連の報道等をも踏まえまして、事案の真相を解明するという前提で捜査を展開しているということでございます。
#296
○正森委員 それは全容と同じ意味ですか。
#297
○則定政府委員 そういうことでございます。
#298
○正森委員 それじゃ、そう答えたのなら、今、捜査の秘密で答えられない段階ですから、それ以上は申し上げないということにいたします。
 しかし、私どもは、金融機関の不正やあるいは国会議員の不正について、常にそれをたださなければならないという立場でございまして、きょうは私は、国会内あるいは宿舎で他の同僚委員、それも大臣経験の有力な人ですが、そういう人とも話をしましたが、もし正規の手続で許諾請求をされた場合には、それが何人であろうと、もちろん何人であろうというのは本件の関係者の話ですが、拒否することはできないだろうというのが大方の意見であります。私は、不正問題についてはいささかも遠慮することなく真相を解明すべきだ、あるいは全容を解明すべきだということを申し上げて、次に進みたいと思います。
 そこで、法務省に伺います。
 特に、司法調査部長というのですかあなたの答弁を聞いていると、非常に答弁が、簡略にしているつもりかもしらないけれども、簡にして要を得ない。簡にして要を得るというのが大事なことですが、簡なれども要を得ず、あるいはむしろ真実から離れた答弁をしている場合が少なくとも二、三見受けられる。
 その一つの例を挙げますと、一カ月前に私が質問しましたときに、鈴木良男という人物がおりました。これは、行政改革とかあるいは規制緩和小委員会あるいは改革協ですか、そんなところへも入ってきている人であります。この人が、裁判所は工場で弁護士は営業マンだ、事件をどんどんかき集めてこい、そうすれば忙しくなって裁判官もふえるんだというようなこと、その他いろいろなことを言っております。それについて私が相当批判しましたら、とことこと出てきまして、ただ一言、そうは言われてもこれは日弁連の推薦でございます、こう言うたのですね。
 私は、本当かな、日弁連にしてはとんでもない人物を推薦したものだなと思って、日弁連に本当かと言うたら、そんなことはないといって資料を送っていただきました。その資料を見ますと、その経緯がずっと書いてあります。改革協で相談をしましたのは、これを見ますと、五月十四日ですか、やっておりますが、そこで合意されたのは、大学関係者として東京大学、中央大学、早稲田大学、京都大学、九州大学から法学部の一名の教授の推薦を依頼する、それから学識経験者としては、日本学術会議に二名、NHK、日本商工会議所、主婦連合会に各一名の推薦を依頼し、原則としてその推薦に従って決定する、こういうことが決められているのです。そこで推薦をしたところ、日本商工会議所からとことこ出てきたのがその鈴木という人物なんですね。
 だから、日弁連が推薦したわけでもあるいは決定したわけでも何でもないのですね。これを見ますと、次に、六月十八日に、東大はだれだとかあるいは主婦連は清水鳩子事務局長とか、私も消費税の問題のときにお目にかかっていますが、立派な人であります。そういう方が推薦されて、そして日本商工会議所から鈴木良男氏、こうなっている。
 だから、日弁連が推薦したのでも何でもないじゃないですか。大枠の、どういう人たちを委員にするかということを決めただけで、それは商工会議所にお任せして、しかも向こうが言ってきたら拒否しないということまで決めてやったのじゃないですか。それを説明せずに、私が批判したら、そうは申しましても日弁連が推薦した者です。なんて、事実上、簡にして要を得ないところか簡にしてうそをつく、そういう答弁をするというのはもってのほかじゃないか。答弁。
#299
○永井政府委員 確かに、前回の答弁は舌足らずであり、必ずしも正確な表現ではなかった点を訂正させていただきます。
 正確には、ただいま委員御指摘のとおり、改革協の設置要綱によりまして、協議員のうち、学識経験者につきましては法曹三者の推薦によって決定するとされておりまして、他の学識経験者の協議員と同じように、鈴木良男協議員につきましても、法曹三者の推薦によって協議員となっているものでございます。
 ところで、その経緯でございますが、実は……(正森委員「詳しいのはいいよ」と呼ぶ)はい。経済界から一名お願いすることとなりました際、日弁連から、推薦を依頼する経済団体といたしましては、経団連や経済同友会とは違って日本商工会議所がいい、そういう意見が述べられまして、それで日弁連の意見を尊重いたしまして、その日本商工会議所に推薦を依頼したわけでございます。そこで鈴木良男委員の推薦をいただきましたが、その際、日弁連の方が鈴木良男委員のところにお伺いされまして協議会の役割を説明され、自由な立場で、あるべき法曹のあり方について意見を聞かせていただきたい、こういう御説明を日弁連の方がされたということでございまして、私どもの認識としては、実質的な意味で日弁連の方が深くコミットされておられたという趣旨でございますので、訂正いたします。
#300
○正森委員 結論としては訂正しましたが、私が日弁連に言って聞いたところとは違って、決まったのは、今私が読み上げたのは議事録に正式に残っていることであって、日本商工会議所があくまで決定して、それには異議は言わないということになって決まっているのですね。そういう経緯を全然言わないでそういう答弁をして、それで私の質問に対して切り返して、文句があるなら日弁連に言えというような、平たく言えばですよ、そういう答弁をするなんてもってのほかだ。
 きょうまた聞いておると、同僚委員、太田委員でありますが、増員をすれば若い合格者がふえるということを問題にして、平成二年か何かにやって、その後改善されましたかという質問をしたのです。そうしたら、改善されておりませんと、これも木で鼻をくくったような答弁をしているのです。私が本当かなと思って資料を見たら、改善も改善、大分改善されているのですね。
 例えば、ここに資料がありますが、二十四歳以下の合格者がどうだったかというと、平成元年は一八・四%でしたが、それが三〇・八%になり、実に一〇%以上改善されているのです。つまり、二十四歳以下がぐっとふえているのですね。それからまた、三年以内の合格者は二四・六%、五年以内は五三・一%で、これはいわゆる丙案を入れるかどうかの基準には達しておりませんけれども、しかし、平成二年と比べると、これは三年以内は六・四%増、五年以内は一〇・六%増、これは統計学的に言いますと顕著な前進なのですね。丙案を採用するかどうかの目標に達していないと言うかもしれませんけれども。
 それから、そもそもこういう案を出してきたのは、裁判官と検察官のなり手が非常に少なかったのです。これは平成二年の任官ですが、このときは、裁判官は六十一名で検察官は二十八名というような危機的状況で、このときの検事総長が大変なことだ、こう言ったわけです。それでこれを何とかしなければならないというので、今のままではだめだというので、丙案を採用してくれれば百七十二名ぐらいに裁判官と検察官でなる、こう言ったのですね。いろいろ言っておりますが、本当の原因はここにあったのです。
 そうすると、その点ほどうかといいますと、今まで同僚委員が質問がありましたが、例えば平成六年は、裁判官百四名、検察官七十五名で計百七十九名、丙案を導入したよりふえているのです。平成七年度はどうなったかというと、裁判官は九十九名で検察官は八十六名、有史以来の検察官志望者があって、計百八十五名。検察庁は、うはうは喜んでおるという話も私の耳に入っております。つまり、この点では、丙案採用だとかそれから司法修習生をべらぼうにふやすとかということの理由とされた事実、法律的には立法事実とかなんとな言う人もいるようですが、それは基本的には改善されているのですね。
 それからまた、ここに資料がありますが、合格者の平均年齢ですね。平均年齢も、例えば二十七・七歳で、去年の二十七・九五歳よりも下がっておる。なるほど、一般よりは高いですよ。しかし、それは試験制度からいってもそういうことはあり得るわけですね。
 ですから、そういう事実を全然言わないで、私やあるいは弁護士の者はそれぞれ弁護士会から資料ももらっていますから、聞いておって、ああ、また永井部長は簡にして要を得ない答弁をしておる、あるいは簡にしてうその答弁をしておるというようにわかりますが、知らない者はそういうぐあいに思うわけですね。あなた、一定の意図を持つというのはそれは許されるかもしらないけれども、意図あるゆえに簡単な答弁で済ますという外形のもとに、間違った印象を与えるという態度はよろしくないのではないですか。
#301
○永井政府委員 午前中の太田委員に対する答弁でございますが、丙案との関係で基準値三〇%、六〇%という問題がありまして、それに達しているか達していないかという問題があったものです。から、それにはほど遠いという趣旨で改善されていないと述べたわけでございまして、その質問の場合に、じゃ、過去何年間はどうだったという御質問であれば、数値を持っておりますので、御説明するつもりだったのですが、そういう関係で御説明……
#302
○正森委員 弁解は弁解として聞きます。しかし、私はちゃんとこの場で聞いていたんですが、太田委員の質問は、改善されたんですか、こう聞いたんです。だから、あなたの答弁は非常に不親切かつ不正確な答弁で、そういう政府委員のもとにこの権威ある法務委員会が行われていくと、政府は責任を持って正しい答弁をしておるというような印象を議事録を見て与えれば、これは、日本国民に対して法務委員会は責任を持てないというように言わなきゃならないんですね。
 法務大臣、こういう人を司法調査の部長にして答弁席に立たせるのは、法務大臣の人事権の問題として問題があるんじゃないですか。
#303
○宮澤国務大臣 答弁は、簡にして正確かつ要を得たものにしなければならないと思っております。
#304
○正森委員 答えにくい問題もありますからそのぐらいしかお答えになれないと思いますから、これだけしか申しませんけれども、本当に法務委員会の権威にかかわる問題で、何を聞いても本当の答弁はしない、知らないと思ったら、答えているようだが真相から外れた答弁をするということでは法務委員会の審議の権威がなくなるということは申し上げておきたいと思います。
 それから、今度は司法修習を短くするという問題でありますが、今までこれは法務省もお答えになり、裁判所もお答えになったんですが、今までの答弁は主として、裁判所の受け入れ体制が整わない、初めは物ですね、研修所だとかそういうものもあれだ、それからマン・ツー・マンで教育しなければならないから、裁判官が不足だというのが重点だったんです。
 私は、その点については前回の質問で、それは予算を請求するとか、あるいはそもそもマン・ツー・マンで裁判官が足りないくらい司法修習生をふやすというのは、現在の能力から見て異常なぐらいふやし過ぎるということじゃないか。現在の裁判官が十分に対応できるぐらいの人員増を毎年毎年繰り返していくというのが当然であって、それだからといって修習期間を半分にするなどというのは、着物が小さいから手や足を切れという議論、あるいは私は言いましたが、医者がたくさん必要だから、普通は大学四年だけれども、医者はたしか二年追加されて六年になっていると思います。そのほかに研修医制度があります。医者が必要だから、二年間の余分の教育を一年にしろ、研修医も半分にしろという議論と同じではないかそんなことを厚生省や日本国民やあるいは日本医師会が了承しますかという問題提起をしたことがあります。
 きょうの答弁を聞いておりますと、人事局長、あなたはいろいろ言われましたが、あなたの答弁のきょうの重点は、マン・ツー・マンの教育が必要だ、それに対してなかなか今の状況ではできないというのが答弁の主たる内容だったと思います。そうですか。
#305
○堀籠最高裁判所長官代理者 きょうの答弁では、短縮してもいいではないかという点も申し上げましたが、実務修習に限って申し上げますと、検察庁、裁判所、弁護士会でマン・ツー・マンの方式による修習をやっておりまして、これが非常に成果が上がっている、こういう方式のもとで大幅にふやすと、二期ダブるところでは今までのようなマン・ツー・マンの指導というのは難しくなるということを申し上げたわけでございます。
#306
○正森委員 その限りで私は人事局長の御意見に賛成です。私も法曹の一員でございますし、修習を受けました。その中で、研修所で確かに記録を見て勉強はしましたが、あれは大学時分の研究、勉強と余り変わらないで、やはりいろいろ問題はありますが、検察庁のときには被疑者を調べさせてもらう、それから裁判所では実際の法廷を見させていただく、そして、私なんかは成績が悪かったんですけれども、判決の下書きもして、それを裁判官に見ていただくというような中で法曹として成長していくわけです。ですから、実務修習、特に検察官や弁護士やあるいは裁判官からマン・ツー・マンの指導を受けるということは非常に大切なことだというように思っております。そうして初めて法曹はでき上がるんですね。
 ところが、これも永井さんの答弁ですが、あなたは、改革協の人の中に法曹以外の人がいて、そもそも修習は必要かという問題提起があるのだ、それから、修習はなぜ二年でなければならないのかという提起もあるということを言いましたね。私は、大学教授だか何だか知らないけれども、そういうことを言う人がおるということが問題だと思うのですね。
 そういう人は、憲法の規定を知っているのでしょうかね。憲法の七十六条の三項にはどう書いてあるか。「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」こうなっているのです。いいですか。一たん裁判官に任命したら、単独の場合はもちろん、合議の場合でも、裁判長、左陪席、右陪席といろいろありますが、独立して、良心に従い職権を行わなければならない、こうなっているのですよ。任官した以上、裁判長に、私はわかりませんが、どうしたらよろしゅうございましょうなどと聞くような陪席がいれば、これは憲法の趣旨に反するのです。
 幾ら秀才であっても、実務を知らない者が、修習もしないでいきなりぼんとほうり込まれて、それで裁判官が務まりますか。憲法の予定しているような、独立して職務が行えますか。そんなことができないのは明らかじゃないですか。そんなことも知らないで、そもそも修習が必要か、それから修習はなぜ二年でなければならないのかというのは、これは非常にずるい、ひきょうな聞き方じゃないですか。
 本来なら、修習二年を一年にしなければならないと言う者が、一年にしなければならない、一年でできるということについての、難しい言葉で言えば立証責任、挙証責任があるのです。それを、なぜ二年が必要かといえば、その責任を、現に二年というのを支持している現在の体系にぼんと投げかけるのです。
 仮にこれを教育にとってみましょう。今六・三・三・四制です。これを仮に、六年でなくて五年でいい、四年でいいという場合は、五年でいい、四年でいいということを立証し、挙証しなければならないのです。それを、なぜ六年必要なのだ、なぜ四年必要なのだ、おまえの方で証明してみる、こういう態度なのです。
 私は、研修所で、特に民事裁判のときに、立証責任、挙証責任の分配ということについては、民事の教官から繰り返し習いました。事実の摘示もありましたが、そこを書けたら優秀な成績で、私なんかはお声がかからなかったけれども、裁判官にならぬかというような勧誘があるのです。
 ところが、その根本を、初めからぼんとこちらへ投げつけるということをやっているじゃないですか。そんなことを言われて、これは一般の改革を求める者の立場と違うと、私が最高裁や法務省を代表して出ているのなら、頭からぼんと言いますね。
 ところが、永井氏の見解はそうじゃなしに、向こうの土俵の上に乗ってそれを、麗々しく国会に行って、国会、何か文句があるなら言ってみいというような、あなたはそう言っていないと言うかもしれませんよ。公平に議論を紹介しているのだと言うかもしれませんけれども、そういうような態度をとっていると言われても仕方がありません。私は今の、改革協だか何だか知らないけれども、そういうところでこういう議論が行われているということに、非常に危惧を覚えます。
 今さきがけの同僚委員が、政府・与党についても反対の意見があるというように言われました。また、私どもの名前を挙げて共産党も何とかと言われましたが、私どもはもちろん小さな政党であります。小さな政党ではありますが、事このことについては、私も及ばずながら、政府・与党がそういう立場なら応援させていただきたい。それはもう、司法の独立のためにも当然のことであるというように私としては申し上げておきたいというように思います。
 時間が参りましたので、ほかにいろいろ聞きたいことがありますが、これでやめさせていただきますが、最後に言います。
 この間、最高裁の人事局長の部下のある人が、私のところへレクチャーに来ました。そのときに言うたことは、なぜ二年を一年にするのだと言うたら、今までは、裁判所の施設がないとか裁判所の人員が不足でマン・ツー・マンができないとかいうように言っていたのが、五十年の経験にかんがみて、一年にしても十分やっていけるというように考えましたので、そういうぐあいに提案しているところでございますという意味のことを言っているのです。いいですか。これ、国会の法務委員会でこんなことを一遍も言ったことがないのですよ。つまり、次々に論点を変えていくのです。
 日本では、こう言えばああ言う、ああ言えばこう言うという言葉があります。オウム真理教のときに、上祐というのがおりました。それがテレビに出て来て、事実を曲げたりして反論して、自分が悪かったと言わない。そこで、こう言えば上祐とか、こう言えばああ言う、ああ言えば上祐という言葉がはやりました。
 今のようなことを、次々に論点を変えれば、こう言えば上祐、ああ言えば最高裁という言葉がはやらないとも限らないということを申し上げて、私の質問を終わります。
#307
○加藤委員長 小森龍邦君。
#308
○小森委員 時間が非常に短いので、なるべくひとつ答弁の方も、簡単にお願いをしたいと思います。
 一つは、オウム真理教のことに関係いたしまして、大変凶悪な犯罪が次々に国民の前に知らされてきております。そこで、私がお尋ねしたいのは、オウム真理教の幹部の中に、相当高学歴者がいます。確かに大学で知識は学んだのだろうが、知恵を学んでいない、こういうふうな気持ちがいたしております。したがって、文部省は、ここらの社会的な現象というものをどういうふうに感じておられるか。私は非常にむなしい感じを持っております。
 それから、同じく文部省にお尋ねをするのは、中学校とか高等学校の生徒の、非常にこれまた残虐ないじめ行為がしばしばマスコミでも報道されております。したがって、そういうことについても、教育の問題と社会荒廃、社会の全体的な荒廃の問題と関係があると思いますが、とりあえず、文部省の現在考えておられることをお尋ねしたいと思います。
#309
○近藤説明員 お答えをいたします。
 先生御指摘のように、オウム真理教へ高学歴者が入信いたしまして、いろいろな事件に関与していたことにつきましては、さまざまな個人的、社会的背景があるものと考えておりますが、大学教育につきましては、専門教育と教養教育の調和のとれたカリキュラムの実施を通じまして、専門的知識、技術の習得にとどまることなく、幅広い教養や、自主的、総合的に考える力を育成をする、豊かな人間性や高い職業倫理の涵養に資するものとなる、こういうことが重要であると考えておりまして、文部省におきましては、平成三年に大学設置基準を改正いたしまして、現在、その改正を受けまして、多くの大学でカリキュラム改革が進められておるところでございます。
 今後とも、そういった各大学における改革の取り組みを積極的に支援をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#310
○加茂川説明員 いじめ問題についてのお尋ねでございます。
 この問題の背景につきましては、いじめる側の子供に、他者の痛みがわかる心、善悪の判断、正義感、理法精神等が欠落している点があるものと私どもは考えておるわけでございます。
 その原因としましては、児童生徒の多様な能力、適性等に十分対応できていない学校教育のあり方の問題のほか、幼少時からの家庭におけるしつけの問題、生活体験の不足、あるいは物質的な豊かさの中で他人への思いやりや人間相互の連帯感の希薄化などの社会状況など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていると指摘もされておるところでございます。
 したがいまして、子供たちの豊かな人間性をはぐくむために、学校、家庭、地域社会が一体となりまして、それぞれの教育機能を発揮することが大変重要であると考えておるわけでございますが、特に学校におきましては、深い児童生徒理解に立ちまして、一人一人の児童生徒が生き生きとした学校生活を送ることができるよう努める必要があると認識をいたしておるわけでございます。
 学校におきまして、弱い者をいじめることは人間として絶対に許されないという強い認識を持ちまして毅然とした態度で臨むよう、文部省といたしましては教育委員会等を指導いたしておるところでございます。
#311
○小森委員 時間があれば突っ込んだやりとりをしたいと思うのですけれども、どうも時間が足りませんので次に移ります。
 オウム真理教に宗教法人法によって解散せよと裁判所の決定が出されました。ところで、宗教法人法による解散と破防法による解散とでは、この間法務大臣が特別委員会で答弁されておるのを私聞きましたが、それはやはり破防法の解散の方がより効果的であろうというような意味のことがございました。もちろん一般論という言葉が前についておりましたが。
 そこで、これは法務大臣にお尋ねしたいと思うのですけれども、破防法での解散というのは、もう相当きつくいろいろな行動を制約しております。したがって、そこから出てくる問題は、まじめな人もオウム真理教の末端の信者の中にはおられるのではないかと思いますが、信教の自由、これへの配慮はどういうふうにお考えになっておられるか、お尋ねします。
#312
○宮澤国務大臣 今おっしゃいましたように、破防法による解散の効果といたしましては、それ以降、団体のためにする行為、行動というものが禁止をされるわけでございます。しかし、それは、個人が信仰を持ち、また個人が宗教を持って行動するということは禁じられるわけではございませんので、そういう意味合いにおいて、信教の自由というものが侵害されるというふうには考えられません。
#313
○小森委員 そう言えば、腹の中に持っておることは自由だということになるかもしれませんが、やはりまじめな者同士で信仰を語るというようなことになると、もしそういうことが何かの媒体をもって公安調査庁の耳にでも入ると、こいつらは集団活動をしておるというようなことにならぬとも限らぬと思うのですね。そういう意味で、信教の自由ということが、かつての隠れキリシタンとか鹿児島の隠れ念仏、そういうふうなことへ追い込まれていって、事実上信教の自由というものが押し込められるのではないかと思うわけです。しかし、きょうこれでわずかな時間の間に結論を出すことはできませんので、答弁をされることは必要としません。
 次に私の言いたいことは、破防法の第二条によると、国民の基本的人権に重大な関係があるものであるから云々というのがありますね。その辺のところが、やはり先ほど申しました信教の自由というようなことに関して、立法者そのものが少し後ろめたさを持ってつくった法律ではないか、こう思いますが、公安調査庁長官、現在どう思われますか。
#314
○杉原政府委員 後ろめたさを持ってつくったという評価はいかがかと思いますが、要するに、団体規制そのものが国民の人権に重大なかかわりを有するものであるという点から、その規制のあり方並びに規制に関するような調査の遂行に当たっては慎重でなければならないということを規定したものが御指摘の第二条の趣旨であろうかと思うのです。破防法所定のいろいろな手続を進める上においても、すべての面においてそういう配慮が必要であるというふうに考えております。
#315
○小森委員 この破防法ができたころのことでありますが、私は多分高等学校を卒業した明くる年ぐらいではなかったかと思います。みんなと一緒になって、この破防法が成立しないようにと思ってそのころいろいろ行動したものです。
 そこで、つまり破防法に言う教唆、あるいは扇動でもいいですね、教唆、扇動と、一般法たる刑法に言う教唆、扇動、それについてどういう違いがあるのかちょっと教えていただきたいと思います。
#316
○杉原政府委員 刑法六十一条の教唆犯は、いまだその犯意を有していない者に対して特定の犯罪を実行する決意を生じさせて、その結果これを実行させることによって成立するわけでございます。
 これに対して、破防法三十八条、三十九条及び四十条に規定しております教唆犯と申しますのは、いわゆる独立教唆罪と呼ばれるものでございまして、内乱等の特定の犯罪を実行する決意を生じさせるに足りる行為をすることによって成立するわけでございまして、その結果被教唆者が当該犯罪の実行を決意したり、またはその実行に着手したりすることは必要ないというふうに解釈されております。
#317
○小森委員 だんだん私も思い出すのですが、そこが一番恐ろしいところじゃないかと私は思います。つまり、教唆を受けた者が実行行為に移れば、それは明確にそこのところがわかるわけです。けれども、実行行為に移らない段階でもこれは問題だというのが非常に重要なポイントをなしておると私は思います。
 したがって、もう時間が来てしまいましたからやめますが、くれぐれもひとつ人権侵害にならぬように、そうは言ってもなると私は思いますけれども、社会党から今ちょっと除名されたような格好になって時間が十分ないのですけれども、大まかに言って社会党勢力の中の相当数の者がこれを心配しておる、これをひとつ受けとめておいてください。
 終わります。
#318
○加藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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