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1995/10/03 第134回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第134回国会 本会議 第3号
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1995/10/03 第134回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第134回国会 本会議 第3号

#1
第134回国会 本会議 第3号
平成七年十月三日(火曜日)
 議事日程 第三号
  平成七年十月三日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
    午後二時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(土井たか子君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。中野寛成さん。
    〔中野寛成君登壇〕
#4
○中野寛成君 私は、新進党・民主会議を代表して、村山総理の所信表明演説に対し、私たちの提言を述べつつ、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 まず、村山連立政権の政治姿勢についてであります。
 言うまでもなく、冷戦構造の崩壊、経済の国際化の急激な進展、マルチメディア社会の到来といった情勢の変化に伴い、世界は歴史的な激動期を迎えております。我が国がかかる激動期にその生存を図り、二十一世紀日本の明るい展望を切り開いていくためには、従来の発想を大胆に転換し、これまで定着してきた制度、システムの変革に勇気を持って取り組まねばなりません。政治に求められていることは、歴史に対する深い洞察、正しい時代認識と新しい時代を切り開くビジョンであり、勇気を持って改革を進めるリーダーシップの発揮であります。
 しかるに現実には、今なお自民、社会両党による五五年体制が旧態依然として残り、村山総理を初め歴代国対委員長経験者を中心とするいわゆる国対政治が続いております。そして、その国会対策とは、相変わらず自民党による社会党対策であり、その取引の象徴こそが総理の座であります。ゆえに、そこには政治理念や政策はおろか、野党の意見に耳を傾ける余裕さえ感じられません。
 今日、我が国は将来への展望を持てないまま停滞と混迷の中にあり、国民には言いようのない閉塞感が広がっております。その基本的な原因は、かかる村山連立政権の政治姿勢であります。
 ある経済団体が、村山政権の退陣こそ最大の景気対策と批判をしたように、村山連立政権が存続すればするほど日本をだめにします。昨日も言われましたが、政治の空白を避けるために解散をしないなどというのは詭弁であり、村山政権の存続こそが政治空白そのものであります。(拍手)日本の将来のため、国民の生活を守るため、村山連立政権は即刻退陣を決断すべきであります。
 また、村山総理自身に国政の最高責任者としての資質があるかどうか問題があることを指摘しなければなりません。
 最近の総理の発言は、実に無責任で矛盾に満ちております。例えば、社会党中心に新党をつくります、新党の党首にはなりません、総理は党首がやるべきだ、新党は十月中につくりますと言えば十月まで総理をおやりかと思いますと、来年の予算成立まで政権に責任を持ちます。何ですか、これは。結局、新党はできないということですか。総理大臣は国民の生命と財産を預かる国政の最高責任者であり、その使命はまことに重大であります。自分の利益や党利党略により総理の地位を云々することは、厳に慎まなければなりません。
 その昔、ナポレオンの辞書には「不可能」という文字がないと言ったそうでありますが、災害対策がおくれようと、経済政策が失敗しようと、そして選挙に負けようとも、村山内閣とその与党の辞書には「責任」という二文字がどこにも見当たりません。(拍手)総理は、深刻な雇用、生活不安に脅かされながらも必死の努力を続けている国民の姿に思いをいたし、速やかに退陣されるべきであります。総理の決断と答弁を求めます。
 次に、安心安全社会について質問いたします。
 政治の最も基本的かつ最低限の役割は、国民に安心と安全を保障することであります。
 一月十七日、あの大震災の当日、私も大阪の自宅におりました。早速、車で地元豊中市の被災地を巡回し対策を手配した後、直ちに伊丹市、西宮市など被災地を通って神戸市役所に向かいました。渋滞で車が動かず、消防自動車もまた立ち往生じておりました。
 総理は朝六時ごろ地震発生を知ったと語っておられますが、すぐに情報収集を指示し、対策を検討し、交通規制等に手を打つべきでありました。ところが、総理はほとんど何の手も打たず、翌朝も経済人と会食をするというのんびりとした対応でありました。その間に、実に六千人を超える人々が亡くなっていたのであります。
 さきの国会において私どもがこの点をただしたことに対し、総理は、初めてのことであり、やむ
を得なかったとか、現行制度ではでき得る限り最善の措置を講じたとか、まことに無責任きわまりない答弁をされましたが、あなたは本当に責任を感じませんか。良心の呵責を感じませんか。
 災害発生後八カ月が過ぎた今なお、被災者は困難な生活を強いられております。被災者が今一番困っていることの一つは、住宅問題です。避難所生活を余儀なくされ、仮設住宅にも移れない。二重の財政負担を覚悟しても、建ぺい率や容積率の関係で倒壊した家屋の再建もできない。公営の恒久住宅の建設を進めるためには、用地取得に国庫補助制度を創設する必要がある。総理は、このような被災者の住宅問題について一体どのように考えておられるか、お答え願います。
 神戸は、国際港として昔から世界じゅうの人々に親しまれてきた町であります。震災と円高のため、多くの物流がアジア近隣諸国に移りました。復興に際し、この際、国際ハブ港湾としての機能をさらに強化し、以前にも増して魅力ある国際都市の建設を提案いたします。
 コンテナ輸送の増加や船舶の大型化に対応する最新鋭のコンテナバースの整備、テクノスーパーライナーに対応できる多目的バースの整備、保税制度を活用したフリー・トレード・ゾーンの設置等々、積極的に推進すべきであると考えますが、総理の見解を求めます。
 さらに、今回の被災が広範囲の地域に及んだことも無視できません。マスコミでは余り取り上げられていない大阪府下の各地や、京都、奈良の文化財なども大変な被害を受けております。これらの地域を含めた被災地復興の総合的なビジョンの確立と対策についての総理の見解を求めます。
 また、阪神・淡路大震災においてボランティア活動の重要性が再認識されました。公益的、公共的サービスの供給者として、市民による、柔軟性に富み、機動性あふれる自発的、積極的活動が注目をされ、そうした市民公益活動を支援する制度づくりが、今後の友愛に満ちた社会をつくる上で重要であります。ボランティア活動の一層の振興を図るため、市民公益活動を組織的に行う団体に対し円滑に法人格や税制上の優遇措置を与える、いわゆるNPO法案を我が党はこの国会に提出する予定でありますが、総理の見解を求めます。
 次は、治安の問題についてであります。
 日本は、従来、世界の中でもとりわけ治安のよい国であると言われてまいりました。それが国民の誇りでもありました。ところが、現在、この認識を覆す大規模な事件が続発しております。オウム真理教による組織的な一連のテロ事件、住友銀行支店長射殺事件、夜間の店舗や路上をねらったけん銃強盗事件などのたび重なる銃器犯罪、社会の奥深く進行する薬物汚染など、日本の治安の悪化を示す事例には事欠きません。社会の秩序と安全が保たれることは、国民生活安定の基礎であります。今や、イザヤ・ベンダサンが指摘した「水と安全はただ」という甘えの体質から抜け出し、本来、政治の基本的な任務であるべき社会秩序の維持について正面から取り組むべきであります。
 そこで、まず第一にオウム真理教に関して、これを宗教法人法問題にすりかえるのではなく、まず破壊活動防止法の適用こそ今後のテロ行為の防止のために必要であると考えますが、与党内においても、社会党によって反対論が強力に展開されていると聞きます。この点について総理の見解を伺いたい。(拍手)
 第二に、銃器及び薬物の取り締まり強化を図るために捜査体制の充実が必要ですが、どのような措置をとられるおつもりか、国家公安委員長の見解を伺います。
 第三に、犯罪の複雑化、高度化に対応して、証拠収集手段の拡充、公判維持体制の整備、受刑者の収容・教育・更生のための体制整備など、刑事訴訟制度及び刑事政策のあり方についてどのような考えをお持ちか、法務大臣の御見解を承ります。
 なお、ここで宗教法人審議会のあり方についての質問を加えたいと思います。
 九月二十九日、宗教法人審議会は宗教法人法改正に関する報告書を文部大臣に提出いたしました。しかしながら、私たちはその手続に重大な疑義を持たざるを得ません。審議会のあるメンバーから聞いたところによりますと、宗教界の代表十一人のうち七人が報告書の内容に反対ないし慎重論であったといいます。当日は、審議会での議論が紛糾し、収拾がつかないようになったところで、文部省OBの審議会会長が強引に一任を取りつける形で審議を打ち切ったそうであります。また、文部省幹部から、きょうしゅうに何としてもまとめたいと強く要請されたとのことであります。これが事実とするならば、見過ごすことのできない重大問題と言わざるを得ません。これでは初めに結論ありきで、審議会に求められる公正さ、中立性を著しく欠落させるものと言わなければなりません。事は、信教の自由、基本的人権、国民の心に関することであります。こんな暴挙は断じて許されません。
 総理、二十九日の審議会で報告が取りまとめられるに際して、審議会委員の間できちんと合意が形成されていたのですか。事実関係を明確にしていただきたい。また、そもそも宗教法人法上、宗教法人審議会は法改正の諮問を受ける立場、権限など与えられておりません。今回、法改正の審議をし、文部大臣に答申ではなく報告をしたのは、一体法律上どのような根拠に基づくものなのでしょうか。明らかにしていただきたいと思います。
 次に、経済問題についてお尋ねいたします。
 今、日本経済は戦後最大の危機に直面しております。生産、消費、設備投資のどれ一つとっても低迷を続け、回復の兆しは見えません。景気の底割れを防ぐため、国費で十兆円を超える公共投資追加、有価証券取引税の廃止、土地譲渡益課税の軽減、不良債権の一括処理などを柱とした不況対策を早急に講じるべきであります。
 今、失業率は三・二%を超え、最悪の水準にありますが、ある試算によれば、統計にあらわれない実質的な失業者も含めますと、失業率は六・三%に達し、失業者は実に四百万人を超えるとの結果も出ております。中高年は言うに及ばず、三十歳代にも雇用調整のあらしか吹き荒れ、さらに、新卒者や若者は就職に困らないとの神話まで崩壊をし、とりわけ女子大生の就職戦線は空前の厳しさであります。フランスの作家ビクトル・ユゴーが「労働は生命なり、思想なり、光明なり」と述べていますが、勤労者が希望を持てない国に未来はありません。
 現下の厳しい雇用情勢の最大の原因は、雇用の
受け皿となる新規産業が育たないことにあります。今、戦時経済の枠組みを温存した官僚主導・生産優先・資源食いつぶし・輸出依存の経済システムを民附主導・生活優先・環境調和型・内需中心のシステムに改め、完全なる市場経済と自由競争を定着させ、産業と多くの雇用が生み出される体制を早期に確立しなければなりません。スクラップ・アンド・ビルドではなくて、逆にビルド・アンド・スクラップによって失業なきリストラを進め、勤労者が最大限に自己実現できる社会の構築に全力を注ぐ必要があります。この世紀の大事業を完遂させるために、我が党は「新産業創造・三〇〇万人雇用創出三か年計画」を提唱いたします。
 第一の柱は、大胆な規制撤廃の推進であります。
 ビジネスにおいて国境が消滅した今、世界に通用しない時代錯誤的な経済的規制は原則廃止するのが当然であります。特に、情報、金融、住宅の規制にメスを入れ、GDPの四割を占める規制分野を少なくとも半分の二割にし、一万九百四十五件の許認可権及び内外価格差を半減させるべきであります。
 第二の柱は、未来を切り開く新産業創造の支援であります。
 新しい法律をつくり、高い付加価値を生み、多くの雇用をつくり出し、アジアなど諸外国の産業の発展を誘発し、健全な国際分業体制の構築に資する将来の成長産業を戦略的に育てていくべきであります。例えば、新十Kと我々が称しております環境、高度情報化、高齢対策、国際化、子供、教育・文化、家族、雇用・人材、健康・心そして危機管理に関連する分野や、バイオ、住宅、新素材等の産業に最重点を置くべきであります。
 さらに、すべての分野で赤字企業にも店頭登録を認める日本版NASDAQの創設、科学技術予算の大幅増額、インターネットやCALSなど情報化対策の推進、法人税や地価など高コスト要因の是正などによって我が国企業の競争力を高めるとともに、外国企業を国内に積極的に誘致すべきだと考えます。
 第三の柱は、産業構造の変化に対応し、失業なき円滑な雇用構造への転換を図る政策の積極的な推進であります。
 官民の協力と施設の充実等により、職業紹介、能力再開発体制を整えるとともに、雇用保険制度の拡充など離職を余儀なくされた人々の生活の保障も図るべきであります。
 第四の柱は、新しい公共事業の実施であります。
 総額六百三十兆円規模の公共投資基本計画を一千兆円程度の規模に上方修正するとともに、公共投資の配分もまた抜本的に見直し、大幅に変える必要があります。その財源は国債すなわち世代を超えて国民が負担するものだけに、国民のニーズにこたえるものに絞り、むだな事業は取りやめるべきであります。特に、迫りくる少子・高齢社会に対応するためには、欧米に比べておくれているゆとりある住宅建設の促進、下水道や公園の整備等々生活基盤の充実と、頻発する大規模災害に対処するための安全対策に公共事業のシェア配分を大きくシフトさせる必要があります。さらに、一極集中や過疎化を是正するため、新政治首都建設、新しい拠点地域づくりを重点とすべきであります。
 以上、我々の提言について具体的に申し上げました。地球規模でパラダイムシフトが訪れている今、根本から発想を転換しなければ現下の経済危機を乗り越えることは不可能であります。日本再生のため、政府は我々のこの「新産業創造・三〇〇万人雇用創出三か年計画」を全面的に受け入れ、これを実施すべきだと考えますが、総理の明快なる御所見を伺いたい。
 次に、農業・農村問題について質問いたします。
 ウルグアイ・ラウンド交渉の決着を受けて、農業は本格的な国際化時代に突入し、疲弊化している農業はますます厳しい状況にあります。全国一律、惰性的な農業を続けていく限り、二十一世紀の日本の農業に未来はありません。しかし、私は、農業の国際化時代を消極的、悲観的にとらえるのではなく、この機会に発想の抜本的転換を図り、むしろこれを好機として日本農業の再生を図るべきであると考えます。すなわち、これまでの農業の形態、地域差を区別することなく一律に扱ってきた農政を改めて、地域別、目的別の三種類に分離した新しい農政を推進することであります。
 その一つは、他国に伍し生産性向上が期待できる地域では、徹底した大規模化、効率化を図り、大幅なコストの削減を実現したり、市場のニーズに対応する、より付加価値の高い農作物を生産する農業であります。
 二つは、日本のふるさととしての農村の活性化、食糧の生産のみにとどまらない多様な農業、すなわち、子供たちに自然との共生を教える教育型農業、定年退職者のための生きがい農業、長期滞在して自然や農作業を楽しむ観光型農業等々であります。
 そして三つは、条件の不利な地域において農林業を営むことにより日本の国土、環境、水源等を保全する方々に、その代償として国土建設予算等の中から所得を保障する農林業政策であります。
 我々のこのような提案に対してどのようにお考えか、総理の見解をお伺いいたします。
 次に、教育問題についてお伺いをいたします。
 学校現場では、いじめ、不登校の児童生徒が相次ぎ、知育偏重の教育が幅をきかせ、大学進学の受験地獄は相変わらずの過熱ぶりを示しております。そのあげく、教育の荒廃をあざ笑うように、オウム真理教事件にあれだけ多くのエリート青年が関与しました。戦後五十年、日本の教育は一体何をしてきたのか、これが国民の偽らざる心情なのであります。日本の高度に発展した物質文化とは裏腹に、国民は未来への深い不安とやりきれない悲しみを感じています。
 しかも、高度情報社会の到来とともに、世界の、知識が価値を生むと書く知価社会への移行はもはや必然であり、二十一世紀以降の日本の発展を左右する原動力はこれまで以上に教育にあるというのが我が党の見解であります。新進党は、さきの参議院選挙の直前に、本格的な学制改革案を提言しました。これには、カレッジの創設、大学及び大学院の改革など、あるべき高等教育のビジョンも提示しております。このように、私たち新進党は、日本の学校制度は今大幅な改革の時期を迎えているとの基本的な認識に立ちます。総理、学制改革を含む大胆な教育改革に取り組む意
思がおありかどうか伺います。
 教育改革で早急に取り組むべき課題は、いじめ、不登校問題が集中する中学、高校を一体化することであります。高校進学率は今一〇〇%近い高率に達し、中高一貫教育は十分に実現可能な環境にあります。また、かつての中央教育審議会の昭和四十六年の答申、さらに昭和六十二年の臨時教育審議会の答申でも、高校受験の廃止によって、中学、高校の期間を通じて将来を見据えた大学進学や職業資格の取得ができ、青年前期の多感なこの時期に文学や芸術など人間の内面の素養を高める教育にじっくり取り組めるなど数々のメリットが指摘され、その後の実験校の研究結果でも効果が実証されております。
 今こそ中高一貫教育の実現に具体的に着手すべきであると考えます。また、現在協議中の中央教育審議会の諮問事項に追加すべきであると思いますが、いかがでありましょうか。
 少子・高齢社会への対応についてお伺いいたします。
 二十一世紀初頭に迎える超高齢社会をどのような社会にしていくのか。とかく暗いイメージで語られがちな高齢社会を、そのイメージのごとく暗くじめじめした暗雲垂れ込める社会とするのか、それとも安心と潤いと活力ある社会とするのか、これら方向性を決めるのは政治そのものであります。
 さて、高齢社会の抱える課題の中でも、高齢者介護問題の解決が緊急かつ重要であることは論をまちません。急速に高齢化と核家族化が進んだ現在、これまでの家族介護に大きな限界があるのは明白であり、自助、公助、共助の適切な組み合わせ、社会全体で支え合うシステムの構築が急がれているのであります。
 既に老人保健福祉審議会において中間報告が出され、新しい介護システムの重要な柱として、社会保険方式を基本とした介護保険の創設が検討されております。同時に、保険制度の導入の前になされなければならないのは、質量、在宅・施設ともに全く不十分な現状の抜本的改善であります。さらには、マンパワーの養成確保、ボランティア活動の推進などが欠かせません。
 昨年十二月、政府は新ゴールドプランを策定しました。しかし、老人保健福祉審議会の中間報告の中でも、今後の検討課題として「新ゴールドプランに示された内容・目標水準の見直し」がうたわれているとおり、このプランが極めて不十分であり、福祉切り捨てであったことは既に各界の一致した意見であります。つい昨年十二月に策定したばかりのプランをわずか一年足らずで見直し云々されること自体、村山内閣の新ゴールドプランが国民に対しての裏切りであったことは明白であります。新ゴールドプランを見直し、新々ゴールドプランともいうべきものを早急に策定すべきではありませんか。お尋ねをいたします。
 少子化への対応も不可欠であります。出生率の低下の要因は、女性の社会進出と晩婚化、狭い住宅、高い教育費等々でありますが、男女共生社会の実現と健全な次世代の形成に向けて社会的に支援していくことが極めて重要であります。エンゼルプランを絵にかいたもちに終わらせることなく、直ちに総合的な対策として事業化していくことが重要でありますが、いかがお考えでしょうか。
 障害者施策について伺います。
 障害者の自立とノーマライゼーションの理念実現に向けて、政府は不断の施策の展開を図らねばなりません。中でも私が重視したいのは、障害者の地域における生活の場、働く場の確保であります。障害者、中でも高齢障害者、重度障害者や幾つかの障害をあわせ持つ重複障害者などのための制度、施設面での不備がありますが、働く場の確保は特に深刻であります。いかがお考えでしょうか。
 次に、外交・防衛問題について伺います。
 村山内閣の外交・防衛に対する姿勢は、理念なき談合政権と呼ぶにふさわしく、核実験問題、国連改革・常任理事国入り問題、ゴラン高原へのPKO派遣問題等と、どれをとってもその意思と行動が極めてあいまいであり、場当たり的であります。
 核実験問題については、核被爆国である日本として反対をするのは当然として、問題は、核保有国の核実験をどうすれば抑止できるか、そのためにどう行動するかであります。
 村山総理、河野外務大臣は、去る六月、サミットという絶好の国際会議の場で何も発言しておりません。後から幾ら反対を叫んでも、まさに後の祭りであります。フランスのシラク大統領は記者会見で、「日本の村山総理からは核実験について何も発言がなかった」と語っております。これではサミットどころか、全く、さみっともない姿であります。サミットという重要な場において、一国の責任者として焦点の核実験問題について明確な発言をしなかったことの意味と責任を総理はどう感じているのか、お答えいただきたい。
 さらに、中国の核実験に対する無償協力の凍結だけで効果があると考えておられるのか。形式的な対応では核兵器の全面廃絶が不可能なことは明白です。今後とも中国やフランスが核実験を強行した場合、政府はどう対応するお考えか、ODA大綱との関係においてどう対応するのか、お答えをいただきたい。
 また、我が党は、明確な理念に基づく透明で効果的なODAを実施するため、現在、ODA基本法のあり方について検討をいたしておりますが、総理の基本法制定についての見解を伺いたいと思います。
 さて、先月の国連総会の河野外務大臣の演説は、具体的な国連改革に対するビジョンはほとんど示されませんでした。逆に、アメリカが大胆な提言をいたしております。現在、少数の大国と多数の小国との間の確執が目立っております。今月で国連は創立五十周年、今こそ国連民主主義のあり方や国連機構の抜本改革について積極的に提言し、そのための国連改革サミットを日本に誘致してはいかがでしょうか。日本は国連のお客様ではありません。世界を運営する主人公の一人なのです。安保理常任理事国入りも、その認識と決意が必要であります。総理の見解を伺います。
 以上、我が党の提言を披瀝しつつ、村山連立政権の失政を追及してまいりました。
 さきの参議院選挙において、国民は村山政権に不信任の審判を下しました。あわせて、海外の村山政権に対する評価も想像を絶するほど辛らつてあります。村山政権の実績を目の当たりにした海外のマスコミも、最大級の侮辱とも言える評価を自社さきがけ政権に対して与えております。
ウォールストリート・ジャーナルは、「驚くほど無気力な対応しかできない村山政権は、ミイラの政権だ」「日本が一般国民の知性と価値観とを反映する政権を有し、無気力なミイラの政治階級を排するならば、全世界がそれを祝うだろう」とまで論評しました。また、英国の金融専門誌ユーロマネーが武村大蔵大臣を九五年のワースト蔵相に選んだことは、記憶に新しいところであります。
 国民からも世界からも軽べつされ、侮べつされ、見放された政権の選択する道は、即刻退陣をおいてほかにありません。(拍手)これ以上国民を犠牲にし、世界の人々に不安を与えることはもう終わりにしていただきたい。村山総理が就任中ただ一つ価値ある英断を下す機会があるとすれば、それは、みずからの退却を決することであります。
 以上申し述べて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(村山富市君) 中野議員の御質問にお答えを申し上げたいと思いますが、冒頭に、社会党の新党結成に向けて何かと御配慮をいただいた上で、私の進退に関するお尋ねがございました。
 私はこれまでも、透明かつ民主的な政策論議を重ねながら、長年にわたる懸案や改革の諸課題について一つ一つ誠実に取り組んでまいりました。戦後五十年の節目を迎えるとともに、二十一世紀を間近にした今日、戦後の我が国を支えてきた経済社会システムの思い切った見直しや改革のためにこの内閣が取り組むべき課題は、依然として内外ともに山積をいたしておると思います。こうした中で、政治に空白は許されるものではなく、私は、国民の皆様の声に謙虚に耳を傾けながら、その御期待におこたえし、将来の展望を切り開いていくため、改革と責任ある政治に引き続き取り組んでまいる所存でございます。(拍手)
 次に、阪神・淡路大震災に関連をした仮設住宅の問題についてお尋ねでございますが、応急仮設住宅につきましては、必要な被災者の方々に供給するため、地元自治体の要望を踏まえまして四万八千三百戸が八月十日までにすべて完成をいたしておりまするし、十月一日現在、四万七千百五十一戸が入居決定しているところでございます。
 なお、個別の事情で待機所等に残っそおられる方々につきましては、現在も、地元自治体を通じまして、個別の事情に応じ適切な仮設住宅のあっせん等に努めているところでございますから、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、建ぺい率や容積率の関係で倒壊家屋の再建ができないという問題についてのお尋ねでありますが、建ぺい率、容積率は安全で快適な町づくりを進める上で必要な社会的ルールであり、知事が市町村の意向を踏まえ、土地利用の状況及び将来像を総合的に勘案をして都市計画として定めたものでございます。したがって、それらの取り扱いにつきましては、関係地方公共団体が地域の実情に応じて判断すべきものと考えておりますが、例えば、被災マンションの再建に当たっては、建築基準法の総合設計制度を活用した容積率の割り増しを行うなど制度の弾力的な運用を図るよう、兵庫県、神戸市等を指導しているところでございます。
 次に、公営住宅建設推進のための用地取得に対する国庫補助制度の創設についてのお尋ねでありますが、被災者の方々の居住の安定を図るため、公営住宅を積極的に供給することは重要な問題だと認識をいたしております。このため、国としても、既に阪神・淡路大震災の被災地域における災害公営住宅につきましては、激甚法に基づく建設費補助率の引き上げ、用地費の一定割合について毎年度補助する制度の補助率の引き上げ等の措置を講じたところでございます。
 さらに、近く提出を予定しております平成七年度第二次補正予算におきましても、同地域において住宅・都市整備公団が用地を取得して住宅を建設し、地方公共団体に買い取り型災害公営住宅として長期割賦譲渡できるようにすることにより、当面の地方公共団体の財政負担の軽減を図ることとしているところでございます。今後とも、被災者の方々の居住の安定を図るため、公営住宅の供給を強力に支援してまいる所存でございます。
 次に、神戸港の機能強化についてのお尋ねでございますが、神戸港につきましては、震災からの一日も早い復旧と、大水深のコンテナターミナル整備など国際ハブ港湾としての機能強化に努力しているところでございます。現在、我が国では、シンガポール、香港にあるような大水深、高規格のコンテナターミナルはまだ供用されていませんが、今後、アジアの主要港と同程度の施設能力を確保すべく、神戸港、横浜港など我が国の主要港において、船舶の大型化に対応した大水深のコンテナターミナルを計画的に整備してまいる所存でございます。
 また、総合保税地域制度の活用については、御要望があれば、地元の御意見も伺って積極的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、被災地復興の総合的なビジョンの確立と対策についてのお尋ねでございますが、阪神・淡路大震災からの復興に向けては、地元において二〇〇五年を目標とした復興十カ年計画が策定されており、政府といたしましては、七月に、同計画に対する阪神・淡路復興委員会の御意見を踏まえ、阪神・淡路復興対策本部において決定をいたしました阪神・淡路地域の復興に向けての取組方針で、この地元の復興計画を最大限支援することを基本とした政府としての姿勢、取り組むべき課題、諸施策を明らかにしたところでございます。
 この取組方針に基づきまして、今次の経済対策及び近く提出を予定しておりまする平成七年度第二次補正予算案では、生活の再建、経済の復興及び安全な地域づくりの各課題に対応した緊急かつ必要不可欠な復興関連施策が広範に盛り込まれており、この中には、被災地の文化財の復旧経費も計上されているところでございます。今後とも、御指摘の点も踏まえながら、被災地域の一日も早い復興に向けて、政府一体となって必要な措置を講じてまいる所存でございます。
 次に、新進党のNPO法案の提出についてのお尋ねでありますが、国際化や高齢化の進展などの我が国経済社会を取り巻く環境変化に対応していくためには、ボランティアや市民公益団体が行う市民公益活動の活性化が重要であります。政府としては、ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議を設置いたしまして、法的整備などの必要性を含め、その環境整備のあり方について鋭意検討しているところでございます。与党においても検討が行われていると承知をいたしておりますが、
国会においても十分御議論をいただきたいと存じておるところでございます。
 次に、破壊活動防止法の適用につきましては、その性格及び立法経緯等を十分に踏まえ、公安調査庁及び公安審査委員会において厳正慎重に運用されるべきものと考えております。こうした認識についての社会党と私の見解については、基本的な差異はございません。
 次に、審議会報告書の取りまとめ方についてお尋ねがございました。
 今回の報告につきましては、宗教法人審議会において慎重に審議を重ねた上で、大方の委員の意見がまとまったため報告の形で取りまとめ、会長から文部大臣に提出されたものと聞いており、問題はないと考えております。
 次に、宗教法人審議会の審議の法的根拠についてのお尋ねでございますが、今回の宗教法人制度についての検討は、宗教法人法第七十一条第二項に規定する建議事項である認証その他の審議会の権限に関連する事項であることから、宗教法人審議会に審議をいただくこととしたものでありまして、審議会としてのその審議結果が文部大臣に提出されたものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 次に、新進党提案の「新産業創造・三〇〇万人雇用創出三か年計画」についてお尋ねがございましたが、まず、大胆な規制撤廃を一つの柱として推進せよとの御指摘につきましては、政府は、規制緩和を進めるに当たっての基本的取り組み方針と、情報、金融、住宅分野を含む千九十一事項の具体的な規制緩和措置を盛り込んだ規制緩和推進計画を本年三月三十一日に閣議決定し、これに基づき、平成九年度までの三年間でその着実かつ計画的な推進を図ることといたしておるところでございます。
 規制緩和を具体的に進めていくに当たりましては、個々の規制の必要性について原点に立ち返って厳しく見直す必要がございまするし、御指摘のような許認可等の数や規制の存在する行政分野の半減といった一律的な手法をとることは、必ずしも現実的ではないと思います。政府といたしましては、今後とも、行革委員会を初め各方面の御意見を伺いつつ、現行計画をより充実した内容に改定していくなど、規制緩和に引き続き積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 新産業創造の支援についてお尋ねでございますが、我が国経済がさらに発展をし、二十一世紀に向けてゆとりと豊かさに満ちた社会を維持発展させていくためには、質の高い雇用の創出に寄与する新たな産業の創出が重要であると認識をいたしておりまするし、特に情報通信、住宅関連等の分野の育成が有望であると思料するところでございます。このため、政府といたしましては、これまでも中小企業創造活動促進法や事業革新法の制定を図るなど、新産業の創出に鋭意取り組んできたところでございます。
 政府といたしましては、さらに新規事業の育成を通じて新たな産業の創造を進めていくべく、新規事業の資金調達を円滑にするための公的機関による支援策を拡充強化するとともに、新規事業の人材確保を円滑にするための能力と成果に応じた成功払い報酬制度を導入するため、新規事業法の改正を含めた所要の対応を行っていく所存でございます。
 次に、産業構造変化に伴う雇用対策についてのお尋ねでございますが、国際化等を背景として産業構造の転換が一層進むと見込まれる中で雇用の安定を図るためには、構造的な問題を抱える業種からの失業なき労働移動を進めるとともに、新たな雇用の創出を図ることが重要であると思います。このため、さきの国会で成立いたしました改正業種雇用安定法に基づきまして、構造的な要因により雇用調整を余儀なくされている業種の労働者ができるだけ失業を経ることなく労働移動することを支援するとともに、失業者の早期再就職に努めているところでございます。
 さらに、雇用の創出を図るため、政府としては、九月二十日の新たな経済対策の中に、新規事業法に基づく支援措置の拡充を図るほか、中小企業の活力を生かした雇用機会の創出及び人材確保等の雇用対策を盛り込んだところでありまして、今国会に中小企業労働力確保法の一部を改正する法律案を提出する等により必要な対策を強力に推進してまいりたいと考えておりますので、何とぞ御理解と御協力のほどをお願い申し上げたいと存じます。
 次に、公共投資についてのお尋ねでありますが、昨年十月に策定されました公共投資基本計画は、今後十年間に国、地方、公的企業等の多岐にわたる主体が行う社会資本整備の基本的な方向を示すものでございまして、本格的な高齢化社会の到来を控え、二十一世紀初頭には社会資本は全体としておおむね整備されることを目標としております。計画期間中の公共投資額についても、経済全体とのバランス等を総合的に勘案し、諸情勢の変化等に柔軟に対応できるよう弾力枠三十兆円を含んでおおむね六百三十兆円とされており、これは二十一世紀の初頭に我が国の社会資本をおおむね達成させるのに十分な規模であると考えております。
 また、本計画におきましては、国民生活の豊かさを実感できる経済社会の実現に向けまして、下水道、都市公園、廃棄物処理施設、住宅宅地の整備等の直接的に国民生活の質の向上に結びつくものへの配分の重点化を継続しながら、この中で急速な高齢化の進展に対応した福祉の充実を図るとともに、高度情報化等にも適切に対応することとされたところでございます。
 なお、本計画の運用に当たりましては、各時点での経済財政事情を踏まえながら機動的、弾力的に対処することとされておりますから、その実施に当たりましては、財政の健全性を確保しながら積極的な計画の促進に努めることとされております。
 次に、農業・農村問題への見解についてお尋ねがございました。
 ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れなど新たな国際環境に対応した今後の農政の展開方向につきましては、昨年十月に決定いたしましたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱に示された具体的施策を総合的かつ的確に講じ、効率的かつ安定的な経営体を育成することを中軸に置き、農地利用の集積、高生産性農業の展開等への対応を行うこととしたところでございます。
 また、農業・農村の有する教育面、観光面での機能を生かしつつ、農山漁村滞在型余暇活動促進法の適切な運用、都市と農村の交流の推進等により、地域の活性化に資するよう多面的な施策の展
開を図ってまいる所存でございます。
 なお、御指摘のような直接所得補償については、国民的合意が得られるかどうか等々の種々の問題がございます。地域の資源を活用した農林業及び関連産業の振興を図ることを基本としながら、引き続き幅広い観点から検討してまいる所存でございます。
 以上、新産業創造、雇用創出、農林業政策についての新進党の提案に関連をして政府としての考えを申し上げましたが、私としては、現実的かつ着実な政策を推進していく決意でございます。
 次に、教育改革についてのお尋ねでありますが、先般、文部省において中央教育審議会を再開して、二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方について諮問を行い、現在、同審議会において鋭意審議をいただいているところでございますが、今後、文部省を中心に教育上の諸課題を見直して、心の通う教育を実現するための教育改革を推進してまいりたいと考えております。
 なお、学制改革につきましては、現行の学校体系が今日我が国社会に定着しており、その改革については国民や社会に大きな影響を及ぼすことから、社会の変化や生徒の実態等を十分見きわめ、国民の合意を得ながら慎重に検討すべき問題であると考えております。
 次に、中高一貫教育についてのお尋ねでありますが、このことにつきましては、これまでも政府の審議会から提言があり、文部省においてこれらを受けて調査研究を行っているところでございます。現在、文部省においては、中央教育審議会に対して、現行学制の中で学校間の接続の改善についても検討をお願いしておりますが、中高一貫教育につきましても、このこととの関連で御審議をいただけるものと承知をいたしております。
 次に、新ゴールドプランの見直しについてのお尋ねでありますが、現在、老人保健福祉審議会において新しい高齢者介護システムについて御検討いただいているところでございます。こうした新しい高齢者介護システムの導入に伴い、サービスヘの需要がさらに増大することが考えられます。こうしたことから、同審議会の中間報告におきましても、介護基盤について「ニーズの一層の増大・多様化を踏まえ、必要な財源の確保を図りつつ、高齢者の生活圏域を基盤とした介護サービスの整備水準・内容の一層の充実、強化を図るべき」との御提言をいただいたところでございます。
 介護サービスの基盤整備を進めることは、新たな高齢者介護システムを創設する際の重要な条件の一つと考えておりますので、審議会における御審議等も踏まえ、新ゴールドプランの見直しの必要性も含め、今後とも積極的に検討してまいりたいと存じます。
 次に、少子化への対応についてのお尋ねでございますが、次代を担う子供が健やかに生まれ育つ環境づくりを進めることが重要な課題であります。このため、多様な保育サービスの充実等を図る「緊急保育対策等五か年事業」の着実な推進を初め、子育て支援の総合的な施策の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、障害者施策についてのお尋ねでございますが、障害者対策に関する新長期計画の策定や障害者基本法の成立など施策の一層の充実に向けた枠組みが整備される中で、新たな時代を迎えつつあると認識をいたしております。こうした状況において、ノーマライゼーションの理念を踏まえ、地域における障害者の生活を支え、その自立と社会参加を促進していくことがこれからの大きな課題と考えておりますので、生活の場、働く場の確保はその中の大きな課題の一つであると考えております。
 働く場の確保につきましては、まず、法定施設である適所授産施設の増設を行っています。また、いわゆる小規模作業所につきましては、運営費の助成対象箇所数の増を本年度も図ったところでありますが、授産施設やデイサービス事業の法定施設への移行を進めていくことが重要であると考えております。今後とも、障害者の自立と社会参加を促進するよう努めてまいる所存でございます。
 次に、ハリファクス・サミットで核実験問題について発言しなかったとの御指摘でありますが、私はサミット政治討議の場で、核実験は停止されるべきであると明確に述べましたし、河野外務大臣からもフランスの外相に対し、核の問題は日本にとって敏感であり、フランスの核実験再開決定は大変遺憾である旨伝えております。したがって、核実験問題について明確な発言をしなかったとの御指摘は、事実に合致しないと考えております。
 次に、対中国無償資金協力凍結についてのお尋ねでございますが、我が国のとった措置は前例のない強い措置であり、我が国の遺憾の意は明確に中国側に伝わったものと考えております。
 また、我が国として、今後ともあらゆる機会をとらえて中国、フランス両国に対し、核実験の停止を粘り強く求めてまいります。
 さらに、核実験の停止を求める国際社会の真剣な意思を明確にし、CTBT交渉の推進に好環境を提供するとの観点から、今次国連総会において核実験停止を求める決議案を推進するなど、あらゆる場で実験停止を訴えてまいりたいと考えております。
 次に、ODA大綱との関係につきましてお尋ねがございましたが、我が国としては、中国の核実験がODA大綱との関係から対中経済協力に対する国民の理解と支持を得る上で好ましくない影響をもたらすことを懸念しており、今後ともODA大綱を踏まえて中国に対する経済協力を行う所存でございます。
 次に、ODA基本法制定についてのお尋ねでありますが、政府は、従来より、明確な理念に基づく透明で効果的なODAの実施に努力しております。平成四年には、その一環として政府開発援助大綱を定め、その中で、援助の基本理念や原則を明らかにしたところでございます。政府としては、今後とも同大綱を踏まえ、先ほど述べましたように、的確な援助の実施に努めてまいる考えでございます。
 次に、国連改革についてのお尋ねでございますが、我が国としても、現在国連のさまざまな場において行われておる国連改革の問題に対しまして、引き続き積極的に取り組んでまいる所存でございます。国連改革を前進させる手段、方法としてはいろいろと考えられますので、御示唆のあった国連改革サミットの開催につきましても、貴重な御意見の一つとして承っておきたいと存じます。
 次に、我が国の常任理事国入りの問題についての政府の立場は、昨年九月の私の所信表明演説及び河野外務大臣の国連総会演説において述べ、また、先般、国連における河野外務大臣の総会演説でも改めて述べたとおり、我が国は、憲法が禁ずる武力の行使は行わないという点を含む我が国の国際貢献に関する基本的考え方のもとで、多くの国の賛同を得て、安保理常任理事国として責任を果たす用意があるというものでございます。いずれにいたしましても、この問題につきましては、今後とも、より多くの国々の賛同と国民の皆様の一層の御理解を踏まえて取り組んでまいる所存でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣田沢智治君登壇〕
#6
○国務大臣(田沢智治君) 中野議員にお答えを申し上げます。
 議員御指摘のように、組織的凶悪犯罪、銃器・麻薬犯罪が多発し、国民の不安が拡大していることは重要な問題であります。
 そこで、これらの犯罪に対する真相の解明と適切な科刑の実現に向けて、捜査・公判を充実するため、検察体制の強化を図るとともに、遵法精神の涵養など受刑者個々の特性に応じた適切な教育、釈放後の保護観察や更生保護の効果的な実施など、刑事政策的な観点を重視した処遇に鋭意努めておるところでございます。今後とも一層の努力を重ねたいと考えております。
 また、新たな捜査手法の導入を含め、刑事手続のあり方についても、適正手続の保障の観点や国民の司法に対する信頼の確保の観点などを踏まえつつ、犯罪情勢全般の変化や社会システムの進展に伴う捜査困難化の実情等を総合的に分析した上で、これにいかに的確に対応するかとの観点から、真剣に検討したいと考えているところであります。(拍手)
    〔国務大臣深谷隆司君登壇〕
#7
○国務大臣(深谷隆司君) 国家公安委員長としてお答えを申し上げます。
 中野議員の御指摘のように、日本は世界で有数の治安国家として評価が高かったのでありますが、昨今は、宗教団体に名をかりたオウム真理教関連事件とか、あるいは銃器とか薬物による凶悪犯罪が非常に多くなってまいりまして、やや陰りが出てきたような、そのような思いがいたします。
 銃器や薬物は、これはしっかり取り締まらなければ、いわゆる治安の根幹にかかわる問題でありますから、政府としては断固たる態度で徹底した捜査を行って、一刻も早く国民の不安を取り除きたいと考えております。
 具体的な対応について申し上げますと、総理の強い要請もございまして、関係閣僚会議というのを開催いたしました。そこで銃器対策推進本部というのを新たに設置いたしまして、官房長官みずから先頭に立ってこの対策に当たることにいたしました。これは、銃器は空から海からあるいは郵便物から、あらゆるところから入ってまいりますから、関係する省庁が非常に多うございます。その関連する省庁の連絡会議があったのでありますが、今度かさ上げをいたしまして、徹底して水際作戦を展開しようという、そういう考え方でございます。
 また、銃器の取り締まり月間というのを行っておりますが、今回は五十二日間という長期にわたって徹底した捜査を行おうというので、ただいま取り締まりを進めている最中でございまして、今日までの報告の中でも、かなりの成果を上げていると聞いております。
 また、銃器の所持の問題について調べてみますと、世界各国は意外にこれについては緩やかな法律であります。ですから、世界の協力を得ませんと銃器が日本に流入するということを防げません。そこで、来る十一月八日、九日の二日間にわたりまして、世界の人たちを集めての本格的な国際会議を開催いたしまして、いわゆる銃器管理の推進と国際的な捜査の活発化を働きかけてまいりたい、このように思っております。
 さらに、何といいましても国民が協力して立ち上がっていただくことが大事でございますので、総理もお招きいたしまして銃器根絶のための国民大会を今月末に開催する予定で、そこで国民の皆さんに訴えてまいりたいと思っております。
 薬物の問題については、現に青少年をむしばんでいるわけでありますから、これを看過するわけには断じてまいりません。従来から総理府を中心に、薬物乱用対策推進本部を中心に、供給の遮断と需要の根絶のために努力をいたしてまいりましたが、一層頑張って対応してまいりたい、そのように思っております。
 また、国際的な関係も非常に多うございますから、今春、アジア・太平洋薬物取締会議を開きましたが、第二回目も来春早々に開催すべく、ただいま準備中でございます。
 それから、大麻乱用の青少年の実態を踏まえて、国民的な防止のためのキャンペーンを展開したいと思っておりまして、これも積極的に行ってまいる所存であります。
 いずれにいたしましても、国民の皆さんの不安を一刻も早く取り除くことが極めて大事なことでございまして、警察官の増員も考えておりますが、警察一体となって頑張ってまいる所存でありますので、各位の御理解と御協力をお願いいたします。
 ありがとうございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(土井たか子君) 志位和夫さん。
    〔志位和夫君登壇〕
#9
○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、村山総理、橋本通産大臣及び武村大蔵大臣に質問いたします。
 この間、世界と日本の平和と安全にかかわって、多くの国民の怒りを呼び起こした二つの重大事件が起こりました。
 第一は、沖縄での米兵による少女暴行事件です。
 被害者の少女の恐怖と苦しみ、家族の怒りと無念さは、どんなに深いでしょうか。占領者意識むき出しの極悪非道な犯罪に対して、私は怒りを込めて糾弾するものであります。(拍手)
 事件は、日本国内で日本人に被害を与える犯罪が行われながら、日本側が二十六日間も逮捕・拘禁ができないという日米地位協定の屈辱的な実態を浮き彫りにしました。
 地位協定では、アメリカが公務中と認定した事件では日本側は裁判権すら保障されていないのです。そのため、これまでも沖縄では凶悪な犯罪を
犯した米兵が逃亡したり処罰を免れるなどの事態が繰り返されてきました。地位協定によってこうした屈辱的な立場に置かれているのは沖縄県民だけでなく、日本国民すべてであります。多くの国民から、これで独立国と言えるのかという怒りの声が沸き起こっているのは当然であります。
 総理、あなたはこうした地位協定の実態を我が国に対する重大な主権侵害と考えないのですか。日本共産党は、捜査権、裁判権にかかわる米軍の治外法権的な特権を撤廃するため、日米安保条約の廃棄を目指しながら、それが決着する以前にも、緊急の課題として日米地位協定の抜本見直しを要求するものであります。総理の見解を求めます。
 米軍基地が存在する限り県民の生命、安全が常に危険にさらされる、これが沖縄県民の声であります。日本の米軍基地の七割が集中している沖縄では、一九七二年の本土復帰以来、米軍による刑法犯罪は四千六百七十五件にも達し、殺人、強盗、女性への暴行などの凶悪事件だけでも実に五百八件も起きております。
 総理、あなたは、米軍基地の存在を認めて今度のような悲劇を根絶できるとお思いになりますか。二度とこうした事件を起こさないためにも、米軍基地の存在そのものを全面的に見直し、その撤去を真剣に検討すべきではありませんか。答弁を求めるものです。(拍手)
 第二は、中国とフランスの核実験の問題です。
 世界的規模での抗議に背いて、昨日フランスが核実験を繰り返したことは、絶対に許せません。これに対して、唯一の被爆国である日本の政府が今どういう姿勢をとるかが厳しく問われております。
 私は、総理に次の三つの点を伺いたい。
 一つ。フランスのシラク大統領は、核実験再開の最大の理由として、フランスを守るためには核抑止力は不可欠だと述べています。しかし、そういう立場に立つなら、核兵器を持たない世界の圧倒的多数の国はどうやってみずからの国を守ったらいいのか説明がつきません。総理は、こうした核抑止力論についてどうお考えですか。
 二つ。フランスと中国の政府は、日本政府に対して、「日本は核実験を批判するが、その日本もアメリカの核の傘のもとにいるではないか。アメリカの核抑止力の恩恵にあずかっているではないか」と居直り的な反論をしてきています。総理は、この反論に対してどうお答えになりますか。
 三つ。アメリカのクリントン大統領は、八月十一日の声明の中で、「核爆発実験を禁止する包括的核実験禁止条約を目指すが、そのもとでも、必要とあれば至高の国家的権利を行使して核実験を行う」と明言しています。総理は、アメリカには核実験を行う至高の国家的権利があるというクリントン大統領の立場をお認めになりますか。
 米ソが対立していた時代には、核抑止力論は、互いに相手の核兵器の脅威に対抗するという口実で説明されてきました。しかし、ソ連の崩壊でこの口実は崩れ去りました。核抑止力論が核兵器を永久に持ち続けるための核保有国の横暴で身勝手な論理でしかないことは、今やだれの目にも明らかではありませんか。
 総理、あなたの、核実験反対、核兵器廃絶という言明が真剣なものなら、これまでの歴代政府がとってきた核抑止力論肯定の立場と、日米安保条約のもとで核の傘を受け入れるという政策を根本から自己検討する必要があるのではないでしょうか。核兵器廃絶を究極課題でなく、期限を区切った緊急課題として掲げるべきではありませんか。明確な答弁を求めます。
 沖縄の暴行事件、中仏の核実験問題、どちらも政府の対応の問題点の根をたどってまいりますと、日米安保条約の問題に突き当たります。
 米軍基地による被害は、沖縄はもとより、日本全土に及んでおります。我が国の航空法を無視して超低空飛行訓練が行われ、多くの人々が不安と危険にさらされています。横田や厚木など首都圏の人口密集地で行われている夜間離着陸訓練は、耐えがたい苦しみをもたらしています。
 日米地位協定では在日米軍の駐留維持費はアメリカが負担すると明記しているのに、思いやり予算と称して国民の莫大な血税が注がれ、新しい特別協定によってこれが米軍の訓練費にまで拡大されようとしています。総理、アメリカが地位協定の特権を振りかざして日本の犯罪捜査権まで侵害する姿勢をとっているときに、日本が地位協定にすら負担義務のない思いやり予算を増額するいわれが一体どこにあるでしょうか。これはきっぱり中止すべきではありませんか。
 これまで歴代政府は、日米安保条約について、ソ連の脅威から国民の安全を守るという議論で説明してきました。しかし、ソ連が崩壊するもとで、この口実は成り立たなくなりました。政府は、十一月の日米首脳会談において安保条約の再確認を行うとしていますが、今なぜ再確認が必要なのですか。どこに新しい内容があるのですか。私は、それが日米安保の地球的規模への拡大という危険な変質を意図するものであることを厳しく指摘せざるを得ません。
 日米安保条約は、日本に屈辱的な主権侵害をもたらすとともに、地球的規模での日米共同の軍事行動に道を開き、世界の平和を脅かすものであります。私は、日米安保条約について、これまでの惰性にとらわれず、そのあり方を根本的に再検討し、その解消を真剣に探求することが、未来に責任を負っている政治家の務めだと確信するものであります。総理の見解を求めます。
 次に、経済対策について質問します。
 九〇年代に入って始まった不況は、戦後最悪の深刻な事態となっています。失業率は過去最高を記録し、就職できない若者が急増しております。異常円高と産業空洞化のもとで、中小企業は次々と倒産、廃業に追い込まれております。GNPの六割を占める個人消費が三年連続して落ち込んでいることは、不況によって国民生活がいかに痛手をこうむっているかを示すものであります。
 私が総理にまずお聞きしたいのは、不況の深刻な長期化を招いている政治の責任をどう認識しているかということです。
 政府の経済対策を見ますと、規模は十四兆円と巨額のものですが、景気回復の主役である個人消費を直接温める対策が全く含まれていません。あなた方は、公共投資の上積みがめぐりめぐって個人消費の回復につながると言ってきましたが、九二年以来過去五回にわたって総額四十八兆円もの経済対策を行い、そのうち三十四兆円も公共投資につき込みながら、少しも個人消費の回復につながっていないではありませんか。そのことは、政
府の経済白書も「公共投資の上積みが景気回復の主役である個人消費にバトンタッチされていない」と認めていることです。その総括もなしに規模だけ膨らましても、景気回復の保証はないではありませんか。政府は、これまでの経済対策が景気回復に効果を上げていないという事実をどう総括しているのですか。
 公共投資の上積みという従来型の対策を惰性的に続けるのではなく、そこに抜本的な自己検討を加え、庶民減税、雇用の安定、福祉の充実、阪神大震災の被災者の方々への個人補償の実現など、個人消費を直接温めるための思い切った対策をとるべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
 私は、さらに次の点について政府の見解を伺います。
 第一は、税制問題についてです。
 この問題で今、政府・与党、財界から聞こえてくるのは、法人税、土地税制、株の税制の減税をという声であります。しかし、その恩恵を受けるのは、ごく一握りの大企業、大銀行にすぎません。そして重大なことは、これが消費税の増税と一体のものであるということであります。財界首脳から、法人税減税の財源として消費税の六%以上の増税をという要求が出され、加藤政府税制調査会長からも、税率見直しで消費税を六%以上にという発言がされていることは、多くの国民を不安に陥れています。
 大企業減税のツケを消費税のさらなる増税で図るというのは、公約違反として許されないだけではなく、庶民の暮らしを冷え込ませ、不況を一層深刻なものとしてしまいます。税率五%への増税はもちろん、来年九月までの税率見直しての六%以上への再引き上げは絶対にやるべきではありません。この点について、特に税率見直しての再引き上げをやらない生言明できるのかどうか。与党三党の党首でもある村山首相、橋本通産大臣、武村大蔵大臣に見解を求めるものであります。
 第二は、異常円高についてです。
 今、為替レートは、一ドル八十円前後から少し戻して百円前後となっていますが、例えば横浜商工会議所の調査でも、一ドル百円の為替レートでも採算のとれる中小業者はわずか一六%にすぎません。政府は、今の為替レートの水準で中小業者の経営が成り立つと認識しているのですか。成り立たないと考えているのならば、政府は一体どういう為替レートの回復の目標を持っているのですか。
 この点で、私が驚きを持って読んだのは、ことしの経済白書が「円高とともに生きる覚悟を持て」ということをあからさまに国民に押しつけていることです。この立場に立ては、今大企業が進めている人減らしや下請業者に対する単価たたきなどを我慢して耐え忍べということになるではありませんか。それは、円高のさらなる加速と不況の一層の深刻化を招くだけであります。総理は、異常円高を本気で是正する立場に立つのですか。それとも、経済白書のように「ともに生きる覚悟を持て」という立場なのですか。はっきりとお答え願いたい。
 異常円高を是正するという立場に立つならば、労働条件と下請条件を抜本的に改善することによって、国際的にも異常な輸出巨大企業の競争力を正し、巨額の貿易黒字を是正する、私たちはこの道こそが唯一の道理ある活路であると考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。
 第三は、金融問題についてです。
 〇・五%という史上最低の公定歩合への引き下げは、国民生活、とりわけ年金や預貯金を頼りに生計を立てている高齢者に深刻な打撃を与えています。九回にわたる公定歩合の引き下げによる庶民の預貯金金利の目減りは、何と累計数十兆円に及ぶと言われております。こういうやり方を続けていては、ますます個人消費は冷え込み、不況が深刻になるだけではありませんか。
 政府が公定歩合の引き下げにどういう理由をつけようと、結果として、これによって莫大な利益を得ているのが大銀行であることは明瞭であります。大銀行は、バブルの時期に巨額の内部留保を蓄えた上、たび重なる金利引き下げによって空前の業務純益を上げており、不良債権処理の能力を十分に持っています。庶民から吸い上げたお金でその救済を図ってやるいわれは絶対にありません。ましてや、公的資金の名で国民の血税を注ぎ込むなど、論外であります。我が党は、大銀行の乱脈経営のツケを国民に回すやり方は中止すべきだと考えますが、総理の見解を問うものであります。
 最後に、今、オウム事件を口実として、公安調査庁が破壊活動防止法の団体規制の適用を進めようとしていることについて質問いたします。
 もともと破防法とは、思想、信条、言論、出版、結社の自由を乱暴に抑圧する、憲法とは絶対に両立し得ない民主主義破壊法であります。また、民主団体や運動に対して違法、不当なスパイ活動を行っている秘密警察、公安調査庁の根拠となっているものであります。
 破防法が制定された一九五二年の当時の経過を振り返ってみますと、日本共産党はもとより、当時左右に分裂していた社会党の双方が、戦前の治安維持法の再現としてこれに反対し、総評も抗議ストライキを行うなど、国論を二分する大きな運動が広がりました。法律学界の大勢も、憲法違反の数々の重大な問題点を批判し、これに反対いたしました。だからこそ、この法律がつくられて以来四十三年間にわたって団体規制は一度も適用されていないのです。
 万が一にも村山内閣のもとでこの悪法が適用されることになったら、日本の民主主義の未来を極めて重大な危機にさらすことになります。この問題を行政の一部局にすぎない公安調査庁任せにして、悪法の適用に道を開くことは許されません。
総理は、日本の民主主義と国民に責任を負う立場にある者として、この問題の重大性をどう認識しているのですか。見解を求めるものです。
 オウムの解散は、既に宗教法人法に基づく解散請求が行われておりますが、これに基づいて早期の解散を決定することこそ最も道理があり、オウムの違法活動の防止という点でも最も実効性があるものです。
 日本共産党は、憲法と民主主義をあくまでも守り抜く立場から、憲法違反の破防法の適用に断固として反対することを表明して、私の代表質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(村山富市君) 志位議員の質問にお答えを申し上げます。
 今回の沖縄の事件について、地位協定のもとでの裁判権の取り扱いが主権侵害に当たるのではないかとの御質問でありますが、今回の事件は、米軍構成員の公務外における犯罪であって、地位協定によって日本側が第一次の裁判権を有するものであることは明らかでありまして、九月二十九日に本件事件の被疑者三人の身柄は米側から我が国に引き渡されており、御指摘のような主権侵害に当たるとは考えておりません。
 次に、日米地位協定の抜本見直しを要求するとの御質問でありますが、地位協定第十七条は、米軍人等の犯罪に対する我が国の裁判権の存在を確認した上で、我が国の刑事裁判権と米国の刑事裁判権が競合する場合の調整等につき定めたものでありまして、NATO等の他国の例もほぼ同様の内容となっており、御指摘のようないわゆる治外法権的特権を与えたものとは考えておりません。
 いずれにいたしましても、日米協定十七条五回の規定については、今般、刑事裁判手続に関する特別専門家委員会を設置し、同委員会において真剣かつ精力的な検討を行い、早急に結論を得るよう全力を尽くしてまいる所存でございます。
 次に、米軍人による犯罪を根絶するためには米軍基地を撤去すべきではないかとの御質問でありますが、今回の事件は極めて遺憾な事件であり、政府としても、先般、日米外相会談、日米安全保障協議委員会等あらゆる機会を利用して米側に再発防止を強く申し入れてきたところでございます。
 これを受けて米側も、沖縄に駐留する海兵隊の反省の日を設け、通常の訓練を休止し、地元への責任等についての討論、講義を終日実施すること、午後九時以降の基地内における酒類の販売を禁止すること、従軍牧師が暴力の防止についての指導を行うこと、米軍の機関紙及び放送を通じて個々の米軍人の責任感を喚起すること等々の具体的な措置を相次いで発表したところでございます。
 政府といたしましては、引き続き米側に対し再発防止について強く働きかけを行うとともに、現在専門家レベルで検討している刑事裁判手続の問題についても早期に結論を得るよう努力する考えであります。なお、基地問題にかかわる諸問題については、日米合同委員会等の場を通じて努力をしてまいりたいと存じます。
 次に、フランスの核抑止力論についてのお尋ねでございますが、現実の国際社会においてはいまだ核兵器を含む多大な軍事力が存在しており、各国は、こうした現実のもと、おのおのの戦略環境を踏まえた安全保障政策をとっていると承知をいたしております。こうした中で、我が国は、核兵器の究極的な廃絶を目標として現実的な核軍縮措置を着実に積み重ねていくことが重要であるとの立場を一貫してとっておりまして、今後ともすべての核兵器国に対し核軍縮に真剣に取り組むよう強く訴えてまいる所存でございます。
 我が国が核抑止力の恩恵にあずかりながら核実験を批判するのはおかしいではないかとの反論についての御質問でありますが、我が国としては、従来から核兵器の究極的廃絶を目標とし、これに向けて現実的な核軍縮措置を一歩一歩積み重ねていくことが重要であるとの立場に立っております。我が国としては、いまだ核兵器を含む多大な軍事力が存在している現実の国際社会において、米国との安全保障条約を堅持し、その抑止力のもとで自国の安全を確保することと、究極的に核兵器のない世界を目指して核軍縮を推進し、その過程で核実験の中止を求めることは、何ら矛盾するものではないと考えております。
 次に、核実験に関するクリントン大統領の立場については、現在交渉中の全面核実験禁止条約案を含め、通常の軍縮条約において共通して見られる脱退条項の文言を念頭に置いての御質問と思われますが、同大統領は、全面核実験禁止条約により、規模の大小にかかわらずすべての核実験及びすべての核爆発が禁止されるべきとの米国の立場を明らかにしており、米国が現実に核実験を行うとの意図を示すものではないと考えております。
 次に、核実験反対ないし核兵器の究極的廃絶と核抑止力とは矛盾するのではないかとのお尋ねでありますが、我が国としては、核兵器の究極的な廃絶を目標として現実的な核軍縮措置を着実に積み重ねていくことが重要であるとの立場を一貫してとっており、このために種々努力をしてきております。全面核実験禁止条約交渉の推進も、こうした努力の一環であります。
 その一方で、国際社会の現実を踏まえれば、核兵器を保有しない我が国としては、民主主義的価値を共有する米国との安全保障条約を堅持し、その抑止力のもとで自国の安全を確保していく必要があります。政府としては、こうした現実の状況を踏まえつつ、究極的には核兵器に依存する必要のない世界を目指して、今後とも核軍縮を推進してまいる考えでございます。
 核兵器廃絶を期限を区切った課題にすべきとの御意見でありますが、政府としては、核兵器の廃絶を究極的な目的として、米ロ両国による戦略兵
器削減条約の実施、国際的な全面核実験禁止条約交渉の早期妥結といった実現可能な具体的核軍縮措置を一歩一歩進めていくことが重要との立場であり、現時点においては、あらかじめ核兵器廃絶の期限を設定するということは現実的ではないと考えております。
 在日米軍駐留経費負担を中止すべきではないかとの御質問でございますが、冷戦の終結後も、東アジアを初めとして国際社会が依然不安定要因を内包している中で、我が国が引き続き安全を確保していくためには、日米安保条約は必要であります。また、日米安保体制は、国際社会における広範な日米協力関係の政治的基盤ともなっており、さらに、アジア・太平洋地域における安定要因としての米国の存在を確保し、この地域の平和と繁栄を促進するために不可欠と認識をいたしております。
 在日米軍駐留経費負担は、米軍の我が国における駐留を支える大きな柱であって、我が国は、日米安保体制の円滑かつ効果的運用を確保していくとの観点から、これまで自主的にできる限りの努力を払ってきたところでございます。このような観点から、今般、今年度末で失効する現行特別協定にかわるものとして新たな協定について署名を行うに至ったところであり、政府としては、所信表明演説でも申し上げたとおり、適切に対応していきたいと考えておりますので、在日米軍駐留経費負担について中止する考えはありません。
 次に、安保条約の再確認についての御質問でありますが、冷戦後の国際社会においては、地球的規模の戦争の可能性は大幅に減少したことは事実ですが、他方で、依然としてさまざまな不安定要因も存在しております。このような状況の中で、日米安保体制の円滑な運用を確保していくことは、日米両国のみならずアジア・太平洋地域にとっても重要であり、これが最も効果的に機能するために安全保障面で日米がいかなる協力を進めていくべきかについて、これまで米国との間で種々意見交換を行ってきたところでございます。十一月にクリントン大統領が訪日される際、このような意見交換の成果を踏まえ、日米安保体制の重要性を首脳レベルで総括することができれば極めて有意義であろうと考えております。
 次に、日米安保条約の解消を探求すべきではないかとの御質問でありますが、冷戦の終結後も東アジアを初めとして国際社会が依然不安定要因を内包している中で、我が国が引き続き安全を確保していくためには、日米安保条約は必要であります。また、日米安保体制は、国際社会における広範な日米協力関係の政治的基盤となっており、さらに、アジア・太平洋地域における安定要因としての米国の存在を確保し、この地域の平和と繁栄を促進するために不可欠と認識をいたしております。したがって、日米安保条約を解消することは考えておりません。
 これまでの経済対策が効果を上げていない、また、不況の長期化を招いている政府の責任をどう認識しているかとのお尋ねでございますが、今次の景気局面において、政府が講じてきた累次の経済対策の実施に伴う公共投資の成長率への寄与は大きなものであり、かなりの経済効果を示してまいりました。また、金利も史上最低水準になる等、金融緩和基調を維持しております。
 それにもかかわらず、日本経済の回復のスピードは、従来の回復初期の局面に比較をして極めて緩やかなものにとどまり、最近の景気は、足踏み状態が長引く中で、弱含みで推移しているのも事実でございます。政府といたしましては、こうした経済の現状に的確に対応するため、四月の緊急円高・経済対策以降切れ目なく各般の対策を講じてまいりましたが、為替や株式市場に明るい兆候が見られるようになっている今こそ的確に効果的な景気対策を打つべきであると考え、去る九月二十日に、事業規模として過去最大の十四兆円を超える経済対策を決定したところでございます。
 政府としては、今後とも本対策の着実な実施と機動的な経済運営を行っていくことにより、一日も早く景気の先行きに生じている不透明感を払拭し、我が国経済の回復を確実なものとするとともに、中長期的にも我が国経済の持続的発展を確保してまいる所存でございます。
 次に、経済対策についての御提言でございますが、政府の今回の対策においては、思い切った内需拡大策に加え、直面する課題の早期克服及び経済構造改革を一層推進するという観点から、公共事業の重点的な配分、教育・医療施設の近代化、社会福祉施設等の整備、総合的な中小企業対策や雇用創出に重点を置いた雇用対策、研究開発・情報化の促進、新規事業育成等々、的確かつ効果的な対策を講じたところでございます。
 また、個人所得課税につきましては、三・五兆円の恒久的な制度減税に加え、景気に配慮をいたしまして、七年度において二兆円の特別減税を上乗せすることにより六年度と同規模の減税を実施しているところでございますが、この六月の緊急円高・経済対策の具体化・補強策において、八年度においても、景気が特に好転しない限り特別減税を継続することとされているところでございます。
 消費税率の引き上げについての御質問でございますが、消費税率につきましては、昨年成立した税制改革関連法において、平成九年四月一日から新たに創設されました地方消費税と合わせ五%に引き上げる旨が決められております。また、その附則におきまして、いわゆる見直し規定が設けられているところでありますが、現時点では、何ら予断を持つことなく、見直し規定に盛り込まれた諸点を勘案し、検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、今の為替レート水準で中小企業の経営が成り立つかとのお尋ねでありますが、最近、為替相場が円高是正の方向に動いてきていることとは
いえ、中小企業の経営が好転するまでには至っておらず、中小企業の多くは依然として厳しい状況に直面しているものと認識をいたしております。
 為替レートの回復の目標についてのお尋ねでございますが、政府としては、最近の為替相場の動きは、四月二十五日のG7会合で合意され、ハリファクス・サミットで再確認された「秩序ある反転」の過程にあると考えております。我が国としては、こうした「秩序ある反転」の流れを一層進めるために、引き続き為替相場の動きに細心の注意を払いながら、関係通貨当局とも緊密に連携をとりながら対処してまいりたいと考えております。
 次に、円高の是正に関するお尋ねでございますが、ことしの経済白書では、円高による競争力の低下や内外価格差などの構造問題は、日本経済が有しておる生産性をさらに向上させることで解決可能であるとし、円高のメリットを活用し、円高とともに生きる覚悟を持って、日本経済のシステムや体質を為替レートの変動に適応させる努力をすることが必要であると指摘をしております。しかしながら、同白書においても、為替相場が経済の基礎的諸条件を反映した水準から大幅に乖離した状況での産業調整、雇用調整は極めて深刻であることに留意すべきであるとし、年初以来の円高については、その乖離の解消が何よりも重要な政策課題であるといたしております。
 政府としては、四月の緊急円高・経済対策以降切れ目のない施策を講じてきているところでございまして、引き続き為替動向を含めた内外の経済動向を注視しながら、機動的かつ弾力的な経済運営に全力を挙げてまいる所存でございます。
 次に、輸出巨大企業の競争力を正し、円高を是正すべきであるとの御指摘でありますが、我が国の貿易収支黒字の削減、円高の是正は、政府として現在最優先で取り組んでいる課題の一つでございます。このため、政府といたしましては、この春以来、規制緩和や輸入促進策を盛り込んだ緊急円高・経済対策やその具体化、補強を図るための諸施策、さらに円高是正のための海外投融資促進対策など切れ目のない施策を講じてきており、最近では為替相場は円高是正の方向に動いてきておると思っております。さらに、この機を逃すことなく、景気の早期回復を図るため、先般の経済対策においても過去最大規模の内需拡大策を講じることとしたところでございます。
 なお、労働条件の改善、下請条件の改善につきましては、雇用政策、中小企業政策の観点から、引き続き遺漏なきを期していく考えでございます。
 次に、公定歩合引き下げと個人消費、景気との関連についてのお尋ねがございましたが、先般の引き下げにより、公定歩合は史上最低の〇・五%の水準にございます。また、累次にわたる引き下げによりまして、各種金利は低い水準にございまするし、金融緩和の効果の一層の浸透が図られるものと考えております。金利水準の低下は、金利負担の軽減を通じて企業の活動に好影響を与え、景気回復に大きく寄与するものと考えられ、これがひいては消費にも好ましい影響を及ぼすものと考えております。
 なお、老齢福祉年金の受給者等に対しては、現在、福祉定期預金の受け入れにより対応しているところでございます。
 次に、大銀行の乱脈経営のツケを国民に回すべきではないとの御指摘でありますが、金融システムは経済の動脈ともいうべきものであり、早期に不良債権の処理を行い、金融システムの機能回復を図ることは、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるために喫緊の課題であると考えております。
 金融機関の破綻処理につきましては、まず金融機関の自助勢力や最大限の預金保険料引き上げを含む金融システム内での最大限の対応が求められますが、そのような措置を講じた後にもなお、金融機関を消滅させる一方で、ペイオフにより預金者に損失を負担させることが困難な場合には、公的資金の時限的な導入も検討課題になろうと考えます。
 ただ、これにより納税者に負担を求めることにつきましては慎重な検討が必要であり、政府といたしましては、金融システム内の最大限の対応努力を求めた上で、公的資金の時限的導入など公的な関与のあり方についても検討を進めてまいる所存でございます。
 次に、オウム真理教に対する破防法適用問題についてのお尋ねでございますが、オウム真理教が引き起こした一連の事件につきましては、犯罪史上例を見ない極めて凶悪な犯罪であり、こうした事件を再び許すようなことは絶対にあってはならないものでございます。同時に、この法律は、国民の基本的権利に重大な関係を有するものであり、厳正かつ慎重に運用されるべきものであると考えております。公安調査庁では、本件に関し、法と証拠に基づいて、破防法所定の団体規制の適用要件に合致するか否かを慎重に検討している段階にあるものと聞いております。オウム事件を口実にして破防法の適用を進めようとしているとの御批判は全く当たらないと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#11
○国務大臣(橋本龍太郎君) 消費税率の見直しについてお尋ねがございました。
 消費税率につきましては、昨年成立した税制改革関連法におきまして、平成九年四月一日から、新たに創設された地方消費税と合わせ五%に引き上げることが定められております。また、その附則において、いわゆる見直し条項が設けられているところでありまして、現時点では何ら予断を持つことなく、見直し規定に盛り込まれた諸点を勘案し、検討を進めてまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#12
○国務大臣(武村正義君) 私も、消費税の御質問でありますが、村山総理大臣の御答弁と全く同じ見解であります。法の見直し規定の趣旨に沿って、予断を持たないで真剣に検討をしてまいりたいと思います。(拍手)
#13
○議長(土井たか子君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#14
○議長(土井たか子君) 御報告することがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員下平正一さんは、去る八月二十五日逝去されました。
 永年在職議員として表彰された元議員鈴木強さんは、去る九月五日逝去されました。
 まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 下平正一さんに対する弔詞は、去る九月十日、鈴木強さんに対する弔詞は、去る九月二十七日、議長においてそれぞれ既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議
 をもってその功労を表彰され さきに交通安全
 対策特別委員長の要職にあたられた正三位勲一
 等下平正一君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞
 をささげます。
    …………………………………
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議
 をもってその功労を表彰され さきに物価問題
 等に関する特別委員長の要職にあたられた従三
 位勲一等鈴木強君の長逝を哀悼し つつしんで
 弔詞をささげます。
     ――――◇―――――
#15
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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