くにさくロゴ
1995/10/05 第134回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第134回国会 本会議 第5号
姉妹サイト
 
1995/10/05 第134回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第134回国会 本会議 第5号

#1
第134回国会 本会議 第5号
平成七年十月五日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  平成七年十月五日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 決算委員長辞任の件
 決算委員長の選挙
 科学技術会議議員任命につき同意を求めるの件
 臨時大深度地下利用調査会委員任命につき同意
  を求めるの件
 公安審査委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
 日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求め
  るの件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 決算委員長辞任の件
#3
○議長(土井たか子君) お諮りいたします。
 決算委員長石井一さんから、委員長を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 決算委員長の選挙
#5
○議長(土井たか子君) つきましては、これより決算委員長の選挙を行います。
#6
○山本有二君 決算委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
#7
○議長(土井たか子君) 山本有二さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。 議長は、決算委員長に中島衛さんを指名いたします。
    〔拍手〕
     ――――◇―――――
 科学技術会議議員任命につき同意を求めるの
  件
 臨時大深度地下利用調査会委員任命につき同
  意を求めるの件
 公安審査委員会委員任命につき同意を求める
  の件
 日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求
  めるの件
#9
○議長(土井たか子君) お諮りいたします。
 内閣から、
 科学技術会議議員に関本忠弘さん及び中根千枝さんを、
 臨時大深度地下利用調査会委員に芦田甚之助さん、植下協さん、大田弘子さん、鎌田薫さん、岸谷孝一さん、五代利矢子さん、今田徹さん、鈴木精二さん、鈴木礼治さん、藤田宮靖さん、松本嘉司さん及び味村治さんを、
 公安審査委員会委員に鮫島敬治さんを、
 日本銀行政策委員会委員に後藤康夫さんを任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の皆さんの起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#11
○議長(土井たか子君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。米沢隆さん。
    〔米沢隆君登壇〕
#12
○米沢隆君 私は、新進党・民主会議を代表し、政府の財政演説に対しまして、重点的な問題に絞り、私どもの所信の一端を申し述べつつ、総理並びに関係大臣の見解をただしたいと思います。
 今日、我が国の経済は、戦後最悪、未曾有の構造不況下にありまして、将来に明るい確たる展望も開かれないまま、社会全体に重苦しい閉塞感が広まっています。我が国が戦後五十年目に迎えた最初にして最大の危機と言ってもいいのかもしれません。このかつてない閉塞感は一体どこから来るのか。
 顧みますと、昨年村山政権が誕生して以来この一年余の間、我が国にはろくなことが起こっておりません。昨年末の三陸はるか沖地震に始まり、明けて一月、阪神大震災に襲われましたが、空前の惨禍を前にして日本の緊急危機管理システムは正常に作動せず、多大な人命が犠牲になりました。その上、地下鉄サリン事件など想像を絶する凶悪な犯罪が白日のもとに明らかにされ、日本の社会を不安の極に陥れたのであります。いまだにその残像が続いています。
 とにもかくにも、ことしは例年にない不幸な出来事が多発した結果、日本の安全神話が崩れ去ろうとしていることへの不安の高まりがあることもさることながら、とりわけ国民の閉塞感を助長している最大のものは、長引く厳しい今日の経済不況に対し、政府が的確な処方せんも書けず、明るい展望も描けず、総理の顔は全く見えないまま、事態は刻々と深刻になっていることへの国民のいら立ち、一言で言うならば、今日までの村山政権の経済無策に対し国民が絶望していることに尽きるのではないかと考えます。(拍手)総風の所見を伺います。
 例えばの話をいたしましょう。
 阪神大震災のショックも冷めやらぬことしの三月、突如大幅な円高が日本経済を襲しました。これは、アメリカの経常赤字という構造的不安要因の上に、前年末のメキシコの通貨危機、マルクや円の急騰が引き起こされた投機資金の流出が激変し、ドルの急落が重なり、それが引き金になったものと言われておりますが、政府はこの円高を回避するためにどれほど具体的な適切な手を打ったのでありましょうか。
 黒字基調を変えられない日本経済が円に対する投機を誘発し、その結果、極端な円高が助長されていることは明らかでありますが、そうであれば、このとき時期を失せず、政策当局は世界のマーケットに対して政策的に黒字を削減していくという確かな決意とメッセージを発信すべきでありました。そのためにあの時点で政府ができることは、財政支出を思い切ってふやすこと、金利をさらに一段と下げること、そして何よりも、さらなる市場開放につながる規制緩和の実行を、数値目標を示して約束することだったと思うのです。
 しかし、円急騰から三週間目の三月末に発表した規制緩和五カ年計画は全く内容に乏しく、市場はかえって反発して、円高に振れてしまったことは御案内のとおりであります。金利を下げるタイミングはおくれ、さらにおくれて編成された補正予算は貧弱で、流れを変えるほどのメッセージにはついにならなかったのであります。これでは適切な円高対策を打ったとは言えないではありませんか。
 その上、指摘せざるを得ないことは、そのタイミングの遅さであります。新進党は、急激な円高の進行とともに我が国経済への影響を憂慮して、三月七日には直ちに対応策を官房長官に申し入れ、円高が一層の進行を見せた三月二十八日には、非常事態に対処するため緊急経済対策を提言いたしました。その後、一段と円が急騰を見せた四月三日には、官房長官に再度緊急の対応をとることを申し入れ、続いて、一ドル八十円台を迎えた四月七日には談話を発表し、緊急対策を促すなど、終始政府に時期を失しない機動的な対策を提言したのであります。
 しかし、政府の対応は鈍く、政府が緊急円高・経済対策を発表したのは、円の急騰が始まってから一カ月と一週間目の四月十四日のことでありました。これまた翌日は、いつものように株は下がり、為替は円高に振れたのは当然のことでありましょう。これがなぜ緊急対策なのでありましょうか。この一連の動きでも明らかなように、政府の円高無策の結果、それでなくても弱々しい景気回復の足取りをとんざさせて今日に至っているのであります。総理並びに大蔵大臣の責任は重大です。見解を伺います。
 これらの経緯を顧みるとき、これを経済無策と言わずして何と言うのでありましょうか。それとも、円高是正に全力を挙げたのだと強弁なさいますか。
 幸いにして、今日、為替は一ドル百円台の前後に一時回復しておりますが、これは日本の金融危機を危惧したアメリカなどの自発的な協調介入によるもので、日本経済の体力を反映したものではありません。政府の対応がアメリカ頼みだという現状は、この春以降の円の急騰局面と本質的には何ら変わっておらず、為替動向に対する不安要因を抱えたままであることはしかと認識すべきであります。大蔵大臣、政策当局の努力で現在の為替レートが当面は続いていくと思っていいのでしょうか。
 さて、経済構造改革についてお尋ねします。
 つい数年前、バブル景気のもとで、世界の市場を席巻し、世界最強と羨望のまなざしで見られた日本経済も昔日の面影はなく、今や重い病の合併症に悩んでいると言っても過言ではありません。
 合併症の兆候は至るところに噴き出しております。明らかに行き過ぎた円高基調の定着によって内外価格差は拡大し、産業の空洞化はますます顕著になりました。みずからの体質改善を怠れば、やがては日本経済の衰退が待っています。産業の空洞化は雇用不安を増大させ、今や完全失業率は最高水準に張りついたままであります。経済を支える金融・証券市場を初め、空港、航空、情報通信などさえ、コスト高や行政の過剰介入、過度の規制、過保護行政、そして自己改革のおくれなどのために確実に取り返しのつかない空洞化が進みつつあります。
 東西冷戦の崩壊によって世界は自由市場主義に統一され、大競争時代が到来しました。我が国経済の高コスト体質ゆえに、我が国の国際競争力は急速に力を失い始めております。また、バブル崩壊によって一挙に資産デフレが生じ、不良債権処理のおくれた金融システムの信用秩序が危機にさらされているなど、数え上げたら切りのないほどの複雑な合併症であります。
 この経済危機を我々はどう認識すべきなのか。それは、我が国が欧米を目指して走り続けたキャッチアップの時代が終わり、我が国の経済発展を支えた成長神話が消滅し、成熟した先進国としての私たちの生き方が求められているにもかかわらず、日本経済の枠組みは依然として旧態依然の準統制経済的なものから抜け出し切れていない、そのギャップが今日本経済にさまざまな矛盾を生み出し、それを放置しているために症状が急速に悪化しているのではないかと考えるべきではないでしょうか。だとすれば、この経済危機を克服するただ一つの道は、我が国の経済構造の抜本的改革以外にないと言わなければなりません。
 総理は、さきの所信表明演説の中で、改革推進政権として経済構造改革や行財政改革など中長期的な視点に立った改革に引き続き取り組む決意を表明されました。しかし、失礼ではありますが、過去一年余の村山政権の改革への取り組みは、後で申し上げますように、言葉の遊びだけで実を伴わない空疎なもので、国民から見たら失望の連続であったことは明らかであります。とても改革推進政権と呼ばれるようなものではありませんでした。
 この際、お尋ねしておきたいことは、日本経済が直面する歴史的な変化や構造変革の時代的要請を総理はどう認識しておられるのか。また、今後この構造改革にどのような処方せんを用意されて改革を実行されようとしておられるのか。総理は、中長期的視点に立った改革に取り組むと既に逃げを打っておられますが、時間はそう残されていないと思いますが、どうでしょうか。
 以上、基本的な見解を伺っておきたいと存じます。
 さて、規制緩和の推進についてであります。
 規制緩和は、日本を現在の構造的、閉塞的な状態から救出する最も重要戦略だと言わねばなりません。
 村山内閣は、誕生して以来、規制緩和を経済対策の主要な柱に位置づけられて、内閣の成立の翌週には、平成六年度内に五年を期間とする規制緩和推進計画の策定方針を閣議決定され、その後、国内外からの要望を受け付けるなどさまざまなパフォーマンスを経て、八カ月後の九五年三月三十一日、鳴り物入りで五カ年計画なるものを発表されました。
 しかし、この五カ年計画は、閣議で決定された規制緩和の大目的、すなわち消費者の選択の幅の拡大、内外価格差の縮小、内需の拡大、輸入促進、対外経済摩擦の解消などのための具体的なアクションプログラムとはとても言えない、前進したのはわずか、大部分はこれからの努力目標という期待外れの代物でありました。そのことは総理自身がよく御案内のとおりであります。
 勢い、国内外の失望のブーイングがわき、ある外国の新聞はこれを評し、「官僚が既得権の擁護のために計画の内容を無価値にした。その結果、真の構造調整が推進されないツケを円高などの形で市場が払わざるを得ない事態を招来している」と酷評し、折から我が国を襲った急激な円高を規制緩和無策のゆえと真正面から皮肉ったものでありました。
 かかる形だけの規制緩和五カ年計画ができても、後に三カ年計画になりましたが、規制緩和をやっているとして通っていくところに我が国の構造改革が一向に進まない原因があり、村山内閣の限界があると思わざるを得ないのでありますが、どうでしょう。総理並びに総務庁長官の所見を求めます。もし反論があるとすれば、総理に問いたい。
 歴史の大きな転換期を迎え、構造的危機に陥っている経済や産業を本当に強くし、国民生活を真に豊かなものにするために、総理はどんな基本認識を持って規制緩和というものを考えていらっしゃるのかどうか、どう取り組もうとしていらっしゃるのかどうか、お尋ねします。
 そして、規制緩和五カ年計画の作成の過程で、官僚の非協力という問題がたびたびマスコミをにぎわしました。仄聞するところ、今回発表された経済対策の中で、「規制緩和の一層の推進」に関する表現が、規制緩和に後ろ向きな役所側の抵抗で、原案より大幅に後退したと伝えられております。これはゆゆしき問題であり、総務庁長官にその真偽をただしたいと存じます。
 次は、景気対策についてであります。
 村山内閣の経済政策は常に後手後手に回り、数次にわたる対策を発表するたびごとに株は急落し、円は急騰し、市場は失望を繰り返してきた一年でありました。市場のいら立ちや苦悩が総理や大蔵大臣にはまるで届いていないとしか理解のしようがありません。内外の市場から、その経済対策は常にべっ視の対象とされ続けてきたのであります。我が国の経済財政運営は、機能停止の状態に陥ってきたというのが本当のところではないでしょうか。
 総理は、みずからの内閣を景気回復内閣と大見えを切っておられ、所信表明演説では、切れ目なく対策を講じてきたと述べられております。しかし、その実は、規模が小出しで、内容的にも要請された課題にこたえるものとはなっていないため、次々に追加措置を迫られてきただけにすぎないのであります。
 さて、去る九月二十日、総事業規模十四兆二千億、うちいわゆる真水分八兆円規模という、過去最大規模で質量ともに思い切った措置と政府みずから自賛される経済対策が発表されました。経企庁長官をして、需要追加の内需拡大は一応今回で終わりと言わしめた対策でありますが、果たして景気の足踏み状態を改善し、日本経済のデフレ傾向に歯どめをかけることができるのか、また、何よりもこの経済対策が日本経済の構造改革に前進をもたらす有効な対策たり得るか、今各方面からさまざまな論評がなされております。
 それを踏まえ、私は以下三点だけ政府の見解をただしておきたいと存じます。
 第一は、よく指摘されることでありまずが、バブル崩壊以後、政府は、九二年八月から九四年二月まで、補正予算措置を伴う経済対策を計四回、総事業規模で約四十五兆にも及ぶ景気対策を打ちながら、九二年以降連続して三年間ゼロ成長から脱却できなかったことは御案内のとおりであります。
 なぜ今日までの財政の投入が予期した以上に経済効果を生まなかったのか、なぜ民需の活性化に連動しなかったのか。余りにも大きな需給ギャップの存在や、バブル崩壊による資産デフレのデフレ効果や経済構造の変化など、いろいろな要因があったろうとは思いますが、その検証は定量的にも定性的にもなされたことがあるのかどうか。それはまた今回の経済対策にどのように生かされているのか。また従来のゼロ成長の轍を踏む可能性はないのでしょうねと、この点をしっかり承っておきたいと思います。
 さて、過去三年間の経済成長率の内容を見ますと、民間投資の不振がゼロ成長の大きな要因になっていることがわかります。九一年から九四年にかけて、民間消費や政府支出が大幅に伸びているにもかかわらず、民間投資は逆に大幅な減少を続け、民間消費や政府支出の分を相殺した上に、なお成長の足を引っ張るという現象がよく見えます。この傾向がことしも続くとするならば、今回もゼロ成長からの脱却が難しいということになりはしないのか。それなら経済対策の中身も大きく変えねばならぬということになりますが、要は民間投資の動向にかかっているわけで、政府はどのような見通しを持っているのか、お伺いしたいと存じます。
 次に、今日の対策には、土地流動化対策、証券市場活性化対策、それに科学技術への投資やベンチャービジネス企業の育成、中小企業対策など新しい施策も盛り込まれており、それなりに評価したいと思います。
 ただ、土地流動化対策を言うならば、なぜ、地価税の時限的凍結など土地保有課税の見直しや土地譲渡益課税の軽減、取得課税の軽減など、土地税制にまでワンパッケージで踏み込めないのか。また、不良債権の流動化対策として債権の小口化や証券化の推進が言われておりますが、何よりもその流通市場を早急に整備することが待たれます。この点、政府はどうお考えでしょうか。また、証券市場の活性化と言うならば、証券税制や手数料の自由化までなぜセットで提案されるよう議論が詰められないのか。以上、総理にお尋ねします。
 最後に、金融問題対策についてお伺いします。
 四十兆円を超える巨額の不良債権の存在に加え、経営困難に陥った金融機関に対する処理方針が場当たりで、あいまい、不透明なため、金融に対する不信・不安感を醸成しております。海外の邦銀に対する評価は、既にジャパン・プレミアムとして海外での調達コストの上昇を招いており、邦銀の国際競争力を著しく低下させております。日本経済を本格的なデフレの悪循環過程に陥らせないためにも、その足かせとなっている不良債権の処理を急がなければなりません。
 今日のこのような金融システムの不安定化をもたらした政府の責任は、護送船団方式下の銀行規制と監督責任、土地融資において平成二年発動した総量規制の対象から住専などを外したこと、不良債権の実態の公表を先送りし、国民の目から真実の姿を隠したこと等々、実に重大であります。
 場当たり的な行政主導の処理をこれ以上続けるには限界があります。まず必要なことは、金融の不良債権の情報開示、ディスクロージャーであります。大蔵省公表の四十兆円という不良債権の数値も、都銀等の三業態を除いて肝心の部分は推計に基づく数値であり、個別にどれだけの規模でその程度の内容なのか、今に至るも不明であります。金融システムの不安をここまで放置し、コストを膨らませた当局の責任は厳しく問われなければなりません。
 しかも、バブル崩壊後、株価や土地の上昇を待って漸進的に解決を図ろうとしたもくろみは完全に外れ、五年間地価や株価は塩漬けのままで推移したことによってまさに完全に外れ、一方、その間金利は自由化され、債務超過の銀行は異常な高利で預金を集めるなど、傷口は一層拡大いたしました。これまでの漸進的な解決策が限界に来ていることが明白な以上、この際、政府が全責任幸持って信用秩序の維持に当たることを宣言し、一気に不良債権の迅速な処理を行うべきであります。
 信組の破綻処理に当たっては、機関委任事務への見解が地方自治体と分かれ、処理に当たっての一つの大きな論点になっておりますが、機関委任事務とはいっても、自治体の長も国の一機関であることを考えれば、行政の責任は最終的には国に帰すると考えるべきであります。もちろん、都道府県が執行を怠れば、国、地方ともに責任が生ずることは当然であります。
 そこで、総理に伺います。
 事態をここまで深刻化させた行政の責任を一体どう考えるか。また、住専問題について公的資金を導入すべしというのが大蔵省の方針だと理解いたしますが、その道筋を明らかにしてもらいたい。また、機関委任事務における国と地方の責任分担のあり方についてどう考えるか。住専の不良
債権の処理における責任のあり方についてどう考えるか。総理の見解を伺って、質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(村山富市君) 米沢議員の質問にお答えを申し上げます。
 まず、これまでの政府の取り組みと今回の経済対策についてのお尋ねでございますが、政府では、急激な円高に対応して、四月に緊急円高。経済対策を決定した後も切れ目なく各般の対策を講じてきたところでございます。また、現在、為替や株式市場に明るい兆候が見られるようになってまいりました。この機を逃すことなく今こそ的確に効果的な景気対策を打つべきであるとして、去る九月二十日に経済対策を決定いたしたところでございます。
 今回の対策におきましては、早期に景気回復を確実なものとするため、総事業規模の十四兆二千億円のみならず、公共投資等の事業規模も十二兆八千億円と過去最大のものといたしております。内容につきましては、現下の経済情勢や景気回復の障害となっている要因を踏まえ、思い切った内需拡大策に加え、資産価値の下落に伴う諸問題を含めた直面する課題の克服及び経済構造改革を強力に推進することといたしております。
 政府といたしましては、今回の対策は現下の経済情勢に的確に対応した効果的なものとなっていると認識をしており、これを着実に実施することによりまして、先般の公定歩合引き下げの効果も加わって、我が国経済は今年度後半には着実な回復に向かうものと考えております。
 次に、構造改革についてのお尋ねでございますが、御指摘のように、歴史を振り返り、大胆な改革に取り組む必要があると考えております。我が国が、二十一世紀にふさわしい、自由で活力と創造性にあふれ、かつ国際経済と調和をした経済社会をつくり出すためには、経済構造改革に引き続き取り組むことが緊急の課題であると認識をいたしております。
 まず第一になすべきは、経済社会の活力の妨げとなっている諸規制の緩和や商慣行の是正であります。これにより、市場原理がより有効に働く自由な経済メカニズムを構築していく所存でございます。なお、規制緩和につきましては、行政改革委員会において活発な御議論をいただき、その意見を最大限尊重し、今年度内には規制緩和推進計画をより充実した内容に改定する決意でございます。
 さらに、経済フロンティアを開拓し、経済社会の活性化を一層強力に推進することも経済構造改革の重要な柱でございます。そのため、研究開発・情報化の促進、新規事業の育成策、新産業・生活インフラの整備及び輸入・対日投資の促進などについて、予算措置のみならず、本臨時国会への関連法案の提出を含め幅広い措置を講ずるつもりでございます。
 以上のような経済構造改革を進めるとともに、政府としては、今年中に経済計画を策定し、二十一世紀に向けた我が国経済社会の展望を切り開いていきたいと考えております。
 次に、規制緩和の具体策が規制緩和推進計画であるところに我が国の構造改革が一向に進まぬ要因があるとの御指摘でありますが、規制緩和推進計画は、千九十一事項という過去最大規模の具体的な規制緩和方策を盛り込んでいること、計画策定の過程において中間検討状況を公表するなど透明性の確保を重視していること、実現に向けての具体的なタイムスケジュールを明記するとともに、毎年これを改定していくプロセスを明らかにしていること、規制緩和の基本指針を行政分野別、規制の形態別に明らかにしていることなど、いずれをとりましても画期的なものであると考えております。
 なお、計画に関しては、内外から一定の評価を受けているところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
 次に、規制緩和の位置づけについてのお尋ねでございますが、経済活動の妨げとなっている諸規制の緩和は、競争を活発化させ、日本経済の高コスト構造を是正し、企業の自由な創意工夫を引き出すことによって新規事業を創出させるなど、経済や産業を強くさせるものでございます。また、このような規制の緩和による内外価格差の是正縮小は、実質所得を増大させて新たな需要を生み、新規事業の創出と相まって雇用を増大させるなど、国民生活を豊かにさせるものでございます。
 政府といたしましては、去る四月、緊急円高・経済対策において規制緩和推進計画の前倒しを決定したほか、今般の経済対策においても規制緩和等の一層の推進を図っているところでございます。また、行政改革委員会においても活発な御議論をいただき、その御意見を最大限尊重いたしまして、今年度内には規制緩和推進計画をより充実した内容に改定する所存でございます。
 次に、行政改革と特殊法人の見直しについてのお尋ねでありますが、もとより行政改革は特殊法。人の整理合理化にとどまるものではなく、規制緩和、地方分権、情報公開等に真剣に取り組んでおるところでございます。
 また、特殊法人の見直しにつきましては、行革審答申を踏まえ、行政の減量化と新たな時代の要請にこたえるため、総合的かつ全般的な見直しを行ったものでございます。この結果、十六法人の八法人への統合、五つの法人の廃止・民営化等に加え、すべての法人の事業の合理化、効率化、財務内容の積極的公開等を閣議決定したところでありまして、今後これらの改革を着実に実施してまいる考えでございます。なお、特殊法人に対する補助金等につきましては、概算要求の内容につき、その必要性も含め、今後、予算編成過程におきまして十分な検討がなされるものと考えております。
 次に、行革の総括と今後の具体的行革方針についてのお尋ねでございますが、政府といたしましては、行政改革を国政の最重要課題の一つとして取り組み、先ほども申し上げたとおり、各般の課題を着実に推進してきているところでございます。今後とも、規制緩和推進計画の改定充実、地方分権の推進、行政情報公開法制の整備を含め、国民の目に見える形で行政改革の成果を上げるよう全力を傾ける決意でございます。
 これまでの対策がなぜ所期の効果を生まなかったのかというお尋ねでございますが、御指摘のように、今次の景気局面において、累次の経済対策に伴う公共投資の成長率への寄与は大きなものでありました。にもかかわらず、景気の回復スピードが極めて緩やかなものにとどまっている大きな要因としては、資産価値の下落に伴う諸問題の存在や、我が国経済が構造問題に直面していることが挙げられると考えられます。
 政府といたしましては、こうした経済の現状に的確に対応するため、去る九月二十日に、事業規模として過去最大の十四兆二千二百億円に上る経済対策を決定したところであり、これにより、思い切った内需拡大、資産価値の下落に伴う諸問題を含めた直面する課題の克服及び経済構造改革を強力に推進してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、民間投資についてのお尋ねでございますが、民間投資はGDPの約二割と大きなウエートを占めている重要なものでございます。民間投資は、昨年ようやくプラス成長に転じた後、微増ながら増加を続けており、長かった低迷局面を終え、下げどまりから持ち直しに転じておると考えています。
 今回の経済対策におきましては、まず十二兆八千億円に上る公共投資等を実施することにより、有効需要が創出をされ、民間投資の活性化につながるものと考えております。また、新規事業育成や新産業インフラの整備等のための民間投資や中小企業の構造改革のための投資を促進するため、積極的に政府系金融機関等を通じた政策支援を行うことといたしておるところでございます。政府といたしましては、今回の対策を着実に実施することによりまして、一日も早い景気回復を図る所存でありますが、これに伴い、民間投資についても緩やかながら着実に上向いていくものと考えております。
 次に、財政再建十カ年計画を作成すべしとのお尋ねでございますが、そのような財政計画を作成するためには、まず今後の長期的な社会経済情勢や我が国を取り巻く国際情勢の変化を正確に見通す必要があるが、今日のように社会経済情勢が大きく変化する時代にありましては、そのような見通しを立てることは極めて困難であること等から、慎重に検討する必要があると考えております。
 しかしながら、いずれにいたしましても、我が国財政は、主要先進国と比較をいたしましても、一、二を争う極めて深刻な状況に立ち至っております。今後とも、財政改革を一層強力に推進していかねばならないと考えております。
 次に、一般会計、特別会計について適切な貸借対照表をつくるべきではないかとのお尋ねでございますが、国の会計は性格等において企業とは異なるものであり、一般的に政府の貸借対照表を作成することはなじまないところがございます。しかしながら、企業活動に近い特別会計につきましては、必要に応じ貸借対照表を作成しており、これを予算あるいは決算の添付書類として国会へ提出をしておるところでございます。なお、厳しい財政の現状については、今後とも広く御理解を得るべく努めてまいりたいと考えております。
 次に、財政投融資は、有償資金を用いて達成することのできる政策課題と、国の制度、信用に基づいて集められた郵便貯金、年金資金等の資金をつなぐシステムでありまして、この資金を一元的に管理運用することにより、国全体の立場に立った政策判断に基づき、国民のニーズに応じて資金を効率的、重点的に配分している仕組みでございます。このような有償資金を活用した政策課題が今後とも存在する限り、その政策課題に対応するという財政投融資の役割、必要性は、将来にわたって変わることはないと考えております。
 いずれにいたしましても、財政投融資については、平成五年十月の第三次行革審最終答申にあるとおり、社会経済情勢や国民ニーズの変化に弾力的に対応し、対象機関、分野、事業等について適宜見直しを行いつつ、資金の重点的、効率的配分に努め、その機能を効果的かつ適切に活用していきたいと考えているところでございます。
 次に、税制改革についての御質問でありますが、昨年十一月に、活力ある福祉社会の実現の視点に立った税制改革関連法が成立をし、個人所得課税の累進緩和等を通ずる負担軽減と消費課税の充実が図られたところでございまして、現在、その着実な実施に努めております。こうした状況のもと、法人課税、資産課税等の問題が税制改革後取り組むべき重要な課題であることは言うまでもございません。政府といたしましては、このような諸課題について、公平、中立、簡素といった基本原則のもと、高齢化、国際化などの我が国経済社会構造の変化等を十分踏まえながら、今後、鋭意検討に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、今回の経済対策では土地税制の見直しの具体策に踏み込まなかったのはなぜかとのお尋ねでございますが、今回の経済対策におきましては、土地税制についてはさまざまな議論があり、必ずしも国民の間にコンセンサスが得られている状況にないこと、また、土地税制の見直しの具体案を検討しようとする場合には、その前提として、土地に関する最新の各種データの収集等を行い再検証を行う必要があること等々から、土地税制に関して具体策を盛り込まなかったところでございます。
 いずれにいたしましても、土地税制につきましては、政府税調における幅広い観点からの御議論を踏まえつつ、平成八年度税制改正において結論を得るべく、総合的かつ積極的な検討を行ってまいる所存でございます。
 次に、不良債権に関して、債権の小口化や証券化等、流動化策の推進に関する御質問でございますが、金融機関の不良管権の処理につきましては、共国債権買取機構の設立等の諸施策の活用により、その処理が進められてきたところでございますが、今後、担保不動産等の流動化に向けた努力が重要となっているところでございます。こうした観点から、政府といたしましては、金融機関の担保不動産等の流動化策の拡充に努めるとともに、新たな流動化方策について検討を進め、可能なものからその活用を促してまいる所存でございます。
 次に、証券税制についてのお尋ねでございますが、これに関しては、証券市場の活性化の観点から、自己株式の利益消却の場合のみなし配当課税の特例措置を講ずることといたしておりまするし、そのための法案を既に今国会に提出をし、御審議をお願い申し上げているところでございます。
 なお、有価証券取引税の軽減、撤廃を念頭に置いての御質問でありますが、これにつきましては、株式市場活性化に資するのかといった効果の観点、株式取引に係る税負担の公平確保の観点、代替財源確保の観点などから、さまざまな議論がなされているところでございます。政府といたしましては、有価証券取引税につきましては、今後、株式等譲渡益課税を含め、証券税制全体の議論の中で十分検討を深めてまいる所存でございます。
 次に、手数料の自由化についてのお尋ねでございますが、株式委託手数料の自由化につきましては、本年三月末閣議決定されました規制緩和推進計画におきまして、「平成六年四月に実施した約定代金十億円超の部分に係る株式委託手数料の自由化について、その現実の影響を今後一、二年後に検証し、以後の自由化につき検討する。」こととしているところでございます。なお、現在極めて厳しい証券市場の状況を考慮しますと、株式委託手数料につきましては、直ちに自由化、引き下げを行うことは、今回の市場活性化策の効果を減殺しかねないと考えられるところから困難であることについて御理解を賜りたいと思います。
 次に、雇用対策についてのお尋ねがございましたが、国際化等を背景として産業構造の転換が一層進むと見込まれる中で、雇用の安定を図るためには、構造的な問題を抱える業種からの失業なき労働移動を進めるとともに、新産業創造と新たな雇用の創出を図ることが重要であると考えております。このため、さきの国会で成立いたしました改正業種雇用安定法に基づきまして、構造的な要因により雇用調整を余儀なくされておる業種の労働者ができるだけ失業を経ることなく労働移動することを支援しております。あわせて、失業者の 早期再就職に努めているところでございます。さらに、雇用の創出を図るため、政府としては、九月二十日に決定いたしました経済対策の中に、新規事業法に基づく支援措置の拡充を図るほか、中小企業の活力を生かした雇用機会の創出及び能力開発等の雇用対策を盛り込んだところでございます。その実施に当たっては、今国会に中小企業労働力確保法の改正法案を提出する等により必要な対策を総合的に推進してまいる考えでございます。
 次に、不良債権問題に関する行政の責任についてのお尋ねがございましたが、金融機関に多額の不良債権が発生した背景には、いわゆるバブル経済の発生、崩壊に伴う資産価格の大幅な変動が一あったものと考えられます。政府は、従来より銀行等に対して、業務の適切な運営、経営の健全性の確保等を図るべく検査・監督を行ってまいりましたが、いわゆるバブルの発生、崩壊という金融環境の激動期におきましては、事前の経営チェック機能が必ずしも十分果たされたとは言いがたい面があると考えます。
 政府といたしましては、金融機関の不良債権問題については、処理を先送りすることなく、引き続き果断に対応してまいるとともに、住宅金融専門会社をめぐる問題、預金保険制度の拡充等の問題についても年内に対応策がまとまるよう取り組んでおるところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
 住専問題について、公的資金導入についての御質問でございますが、公的資金導入に関しましては、納税者に負担を求めることについては慎重な検討が必要であると思います。今後、各方面における御議論を踏まえつつ検討を行ってまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、住専問題につきましては、政府としては、住専の今後の方向を含め、当事者間の真剣な議論を強く促すとともに、不良債権等の受け皿となる機関等について検討を行い、年内に処理方策を固めたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
 次に、機関委任事務における国と地方の責任分担のあり方についてのお尋ねでございますが、信用組合は地域性、協同組織性が強いことから、その監督は都道府県知事の機関委任事務になっております。したがって、個別信用組合の経営問題に対する具体的対応につきましては都道府県の行うべきものと考えますが、金融システム全体の安定性の維持にかかわる場合には、政府としても責任を持って対応する立場にあるものと考えております。
 次に、住専の不良債権処理における責任論についての御質問でございますが、住専問題には多数の金融機関が関係しており、問題解決のためにはこうした当事者間の御議論を尽くしていただく必要があると考えております。住専問題解決の緊要性にかんがみ、当事者が解決の具体策づくりに積極的に協力し合うことが強く望まれるところでございまして、その真剣な取り組みを一層促してまいりたいと考えているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#14
○国務大臣(武村正義君) 総理に対するお尋ねと重複しますが、経済対策について申し上げます。
 我が国経済は、バブル崩壊の後遺症に加え、年初以来の震災、円高等の影響によりまして、昨年末から本年度前半にかけての景気の足取りが鈍くなっていたところであります。このような状況に対処するために、私どもは、四月の緊急円高・経済対策を初めとして、六月は同対策の具体化・補強策を決定するなど、経済運営に努力を重ねてきたところであります。八月には円高是正のための海外投融資促進対策をとりました。九月には日本銀行が公定歩合の引き下げを行いました。これら切れ目のない政策努力の結果、足元の経済はまだまだ厳しゅうございますが、為替と株式市場に好ましい影響があらわれ始めているところであります。
 この機会をとらえて、景気の先行きに生じている御指摘の不透明感を払拭し、我が国経済の回復を確実なものとするために、今般、経済対策を取りまとめたところであります。この対策の着実な実施によりまして、景気の先行きに生じている不透明感、閉塞感が払拭され、我が国経済の回復は確実なものとなるものと考えております。
 為替の問題でございますが、最近の為替相場の動きは、四月二十五日のG7会合で合意を見た、また、その後ハリファクス・サミットで再確認をされた、いわゆる「秩序ある反転」の過程にあると考えております。我が国としましては、こうした「秩序ある反転」の流れを一層進めるため、引き続き為替相場の動きに細心の注意を払いながら、関係通貨当局とも緊密な連携をとりながら対処をしてまいります。(拍手)
    〔国務大臣江藤隆美君登壇〕
#15
○国務大臣(江藤隆美君) 経済構造改革の中心的役割を果たす規制緩和については全くその実が上がってなくて、内外の非常な不信感を買っておるではないかという、そういう御指摘であったと思います。
 歴代内閣が規制緩和、行政改革に熱心に取り組んできたのは、これは言をまちません。その最たるもので一番わかりやすいのは、私は中曽根内閣のときの電気通信事業法の改正だと思います。今までNTTが独占しておったものを一般に公開するということになったわけでありますから、今約百十五社余りが通信事業に新たに参入しております。したがって、それによって新しい産業が興り、新しいサービスが興り、今度は新しい料全体系ができていく、これがいわゆる代表的な規制緩和だろうと私は思っておるのです。
 その後の内閣におきましても、熱心にこれらの問題について取り組んでこられました。ことしの三月に千九十一項目を閣議決定したというのは、歴代内閣で私は村山内閣が最高のものであったと思います。その千九十一項目を五年間でやろうというのを、御承知のように三カ年でやろうということにしたわけであります。
 ちょっと時間をとりますがお許しをいただいて、例えば三カ年の前倒しといいますが、既に実施したものもあります。御承知のように、この七月から車検制度の改正をいたしました。いわゆる車検の期間を長くするとか、前点検、後点検というものを導入するなど、車検の制度を改正するということをやりました。あるいはまた、プッシュホンやらフリーダイヤルの料金、あるいは鉄道の寝台料金ですとか、あるいはまたグリーン料金の届け出制への改正などをやってきたわけです。
 ことしじゅうにやろうとしておりますのは、最たるものは、十一月から始まります新食糧法に基づく、いわゆる米の流通にかかわる卸業者、小売業者の登録制であります。実施は六月になりますけれども、既にこれは、十一月から新食糧法の発足とともにこのいわゆる制度改正が、規制緩和が行われていくわけであります。千九十一項目の中で大体本年度中に六〇%はこれができ上がるものと、ただいま努力をしておるところであります。
 ただ、全部ができないかという御意見があろうと思いますが、その中には、例えば大店法の問題があります。商店街との調整、こういう大店法の問題。あるいは新聞のいわゆる再販制度の廃止、これも言論自由の建前からいうと大きな問題であります。これらの問題が千九十一項目の中に含まれておるわけでありまして、何とかこれを三年間の間にクリアできないものかとただいま努力中であります。
 さらに、今、行政改革委員会において審議をいただいておりますから、年内にはその方針をお示しいただいて、来年の三月までには千九十一項目に加えてさらに規制緩和の上積みをするようにただいま鋭意努力をしておるところであります。
 今回の景気対策では、官僚の反対によってこの推進計画が後退したのではないかと……(発言する者あり)質問がありましたから答えておるのです。私は、規制緩和、行政改革というのは、各省庁、業界から褒められるようなことをやったのでは本当の改革にはならないと思っております。反対があるからこそ改革をしなければならないし、抵抗があるからこそそれを進めなければならない。それが今、村山内閣に与えられておる大きな役割だと私は考えております。もし、役所の諸君でこの時代的大きな役割に反する者があるとするならば、断じでそのような者の存在は許しません。(拍手)
 これから勇気を持ってこれらの行政改革、規制緩和に取り組んでまいりたいと思いますから、与野党を問わず国会の諸先生方の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
    〔国務大臣宮崎勇君登壇〕
#16
○国務大臣(宮崎勇君) 米沢議員の景気対策についてのお尋ねのうち、二点についてお答えいたします。
 まず、従来の経済対策の経験を今回の対策でどう生かしたかという点でございます。
 今次の景気の回復は、過去の累次の景気対策にもかかわらず、これまでの景気と比較しまして極めて緩やかな回復にとどまっております。これは、公共投資から消費、設備投資といった民間需要へのバトンタッチがうまくいっていないことによりますけれども、このように当初予想しました対策の効果が十分に出てきておりません背景といたしましては、総理が既にお述べになりましたけれども、次の三点があると思われます。
 第一は、家計、一般企業における負債比率の上昇が消費、投資を慎重化させているということであり、第二番目には、金融機関の多額の不良債権が金融機関の貸し出し態度に影響を与え、ひいては中小企業の設備投資の足かせになっているということであり、第三番目には、急激な円高によって産業空洞化の懸念や内外価格差の拡大、生産性の部門間格差の拡大等、構造的な問題に直面しているからであります。
 このような現状を踏まえまして、今回の対策は、着実な内需拡大策に加えまして、景気回復を緩やかなものにしている障害の除去と中長期的な発展に資するための経済構造改革の推進が重要であるという観点から策定されております。
 次に、民間投資についてでございますが、議員御指摘のように、民間設備投資は三年間低迷をいたしました。それが昨年第三・四半期に三年ぶりに増加に転じた後、今日、微増ながら増加を続けており、大企業製造業を中心に長かった低迷局面を終え、下げどまりから持ち直しに転じております。今回の対策によりまして、有効需要を創出し、あわせて中小企業、新規産業に対するきめ細かい対策を実施することによって、民間投資の活発化につなげていきたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(土井たか子君) 与謝野馨さん。
     〔与謝野馨君登壇〕
#18
○与謝野馨君 私は、自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけを代表し、財政演説につきまして、総理及び関係閣僚に質問を行います。
 今日、我が国の緊急かつ最大の政治課題は、景気の早期回復と経済の立て直してございます。第二次村山内閣の使命は、何よりも、有効適切な対策を講ずることによって、経済の先行き不透明感を払拭し、一日も早く景気を本格的な回復軌道に乗せ、我が国の将来に明るい展望を切り開くことであると考えます。
 村山内閣は、これまで、所得税減税の継続、公共投資の着実な推進等を含む景気に配慮した平成七年度予算を最短のスピードで成立させたほか、阪神・淡路大震災に対処する六年度第二次補正予算、緊急円高・経済対策を実施するための七年度第一次補正予算を成立させ、六月には上半期の契約率を七五%以上とする公共事業等の大幅な前倒しを決定するなど、矢継ぎ早に対応策を講じ、機動的な内需振興策の実施に全力を挙げて取り組んでこられました。
 さらに、八月には、円高是正のための海外投融資促進対策や公定歩合の限りなくゼロに近い史上最低の〇・五%への再引き下げ等の施策を講じられ、これら政策努力の結果、一ドル百円台に回復するなど為替や株式市場にも明るい兆候が見られるようになってきております。
 しかしながら、平成五年十月に景気の谷を迎えて以来、我が国経済の景気回復スピードは過去の回復局面と比較しても極めて緩やかであり、雇用面や中小企業分野では依然として厳しい状況が続いているなど、景気はいまだ本格的に回復するに至っておりません。為替や株式市場が持ち直しつつある今日こそ、この景気低迷に対処する最大かつ最後の景気対策を講ずるとの意気込みで、機を失することなく抜本的な景気対策を実施すべきであります。
 政府が事業規模として史上空前の総額十四兆二千二百億円に上る経済対策を決定したことは、政府・与党の景気回復にかける決意を示すまことに思い切った適切な措置であると考えますが、今回の経済対策の実施について、改めて総理の決意のほどをお伺いいたします。
 今回の対策は、内需拡大の面から見ても、十二兆八千百億円に上る過去最大規模の公共投資等の拡大を行う画期的なものでありますが、さらに景気対策が経済にインパクトを与えるためには、十分な規模を確保することに加え、現下の経済社会情勢に的確に対応した重点的な対策である必要があります。
 まず、震災からの一日も早い復興に向け、阪神・淡路大震災復興関連事業をできるだけ早期に実施していく必要があります。未曾有の大災害から九カ月が過ぎようとしております。今回の経済対策では復興関連事業として可能な限りの事業が盛り込まれていますが、被災者の生活の再建、国際貿易・観光都市神戸の経済の再建、震災の教訓を踏まえた安全な地域づくりのため、地元のニーズを十分に踏まえた事業の推進を要望いたします。
 次に、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴い我が国農業は極めて厳しい環境に直面しており、今回の経済対策においても、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の着実な実施を図っていく必要があると考えます。
 さらに、これら以外の一般公共事業の追加についても、十分な規模を確保することに加えて、かねてより財政硬直化の象徴として公共事業の配分の問題が指摘されていることをも踏まえ、従来の発想にとらわれることなく、二十一世紀に向けた我が国の発展のため不可欠な分野に思い切った重点的投資を行うべきであります。
 また、国民生活の質の向上を図る観点から、生活の基盤となる良質な住宅供給の促進を図る必要があります。このため、都心居住の促進や住宅金融公庫融資の拡充等を図ることが、住宅に係る民間投資をも誘発し、効果的な内需拡大策につながるものと考えます。
 次に、土地問題、中小企業対策、雇用対策等の直面する課題への取り組みについてであります。
 バブル経済の崩壊を受けた資産価格の下落に伴う問題が景気回復をおくらせている大きな要因の一つであることは、衆目の一致するところであります。今回の対策において、地方公共団体、民間都市開発推進機構を通じた都市計画道路、都市公園など公共用地の先行取得や、市街地再開発、都心共同住宅供給事業など、総額三兆二千三百億円に上る土地の流動化、有効利用促進策を講じたことはまことに適切な措置であり、その効果が最大限発揮されるよう、引き続き円滑な実施への配慮が必要であります。
 さらに、土地税制についても、政府・与党において、最近の経済情勢にかんがみ、平成八年度税制について総合的かつ積極的な検討を行い、結論を得ることとされております。自由民主党には、地価税の凍結、固定資産税の軽減等について強い意見がございます。今後、土地の流動化、有効利用に資するという観点から、十分議論を尽くしてまいりたいと考えております。
 また、中小企業は、円高の影響を最も深刻に受けており、厳しい環境のもとで、血のにじむようなリストラ努力により経営合理化を進めております。我が国経済のすそ野を支えているのは中小企業の活力であり、中小企業の経営強化を図らずして我が国経済の再生はあり得ません。中小企業の経営基盤の安定強化、構造改善を支援するほか、政府系金融機関からの高金利の既往債務の返済負担の軽減など、抜本的な中小企業支援策を講ずる。必要があると考えます。中小企業対策について橋本通産大臣にお伺いいたします。
 雇用情勢を見ると、八月の有効求人倍率は○・六一倍と引き続き低下傾向にあり、完全失業率も三・二%と高い水準で推移しております。雇用問題は国民一人一人の生活に直結する問題であり、経済構造改革に対応した中小企業の雇用創出等が求められているほか、女子大生にとって超氷河期と言われるように、新卒者の深刻な就職難が我が国の将来を担う若者の労働意欲を失わせ、経済の活力を損ないかねない状況にあります。
 「人にやさしい政治」を掲げる村山内閣として、こうした状況に対応するため、中小企業の活力を生かした雇用機会の創出、新分野展開を担う人材の育成、新卒者の就職支援、失業なき労働移動の支援などのため十分な雇用対策を講ずる必要があると考えますが、総理、いかがでしょうか。
 次に、経済構造改革への取り組みについて御質問を申し上げます。
 今回の景気低迷は、単なる循環的な要因によるものではなく、円高による産業の空洞化、発展途上国の追い上げ等の構造的な要因も大きく影響しているものと考えます。我が国の国際社会における地位や役割を考えるとき、新たな国際経済情勢に即応して国際経済との調和を図ることが極めて重要であります。こうした観点から、二十一世紀に向けた我が国経済の中長期的な発展を図るためには、新たな経済フロンティアを開拓するための新規事業の育成支援策、輸入・対日投資促進策といった経済・産業構造改革のための一層の取り組みが必要であります。
 また、経済構造改革の推進のためには、公共投資等の拡大についても、従来型の公共事業等の追加だけではなく、新たな産業の創出につながる科学技術・情報通信分野にハード、ソフトの両面で十分な配慮を行い、我が国経済の潜在成長力を引き出す必要があります。今回、連立与党三党のこの方針に沿って、研究開発基盤の整備、研究開発活動の活性化、情報通信インフラの整備、情報通信技術の開発などに積極的に取り組む道筋をつけたことは画期的なことであり、大いに評価されるものと考えます。
 一方、財政が極めて厳しい状況に置かれていることについても、改めて真摯な議論が必要であります。
 今回の経済対策の財源は、厳しい財政事情の中、その大宗を公債発行に依存するとともに、景気最優先のため赤字国債の発行による財政出動にもあえて踏み切る決断をいたしました。その結果、本年度末には公債残高は二百二十兆円を超えて国債費が政策的経費を圧迫し、また歳入面においても、平成六年度決算においては四年連続で税収が減少するなど、財政はまさに危機的な状況にあります。我が国財政は、主要先進国の中でも公債依存度、利払い率、長期政府債務残高のいずれも最高水準にあるだけでなく、来年には、我が国の財政事情はイタリアよりも悪化して、G7で最悪となる見込みとなることも忘れてはなりません。
 今後、二十一世紀に向けて財政が、急速に進展する人口の高齢化や国際社会における責任の増大などの新たな時代のニーズを的確に把握し、それに対応していくためには、私たちの子や孫の世代に過重な負担を負わせることのないよう、財政の健全な運営を確保し、本格的な高齢化社会を迎えるまでの間に財政の対応力を回復していく必要があります。このため、制度・施策の根本までさかのぼって歳出の抜本的な見直しを行うなど財政改革を一層推進し、国債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくための不断の努力が必要であります。今後の財政再建に向けての大蔵大臣の御決意をお伺いしたいと存じます。
 第二次補正予算の国会提出につきましては、切れ目のない経済対策を求める内外の意向を受け、政府において、早期編成、予算書の早期国会提出等に最大限の努力を払われたところであり、立法府として、改めて政府の御努力を評価すべきものと考えております。今回の経済対策を早期に実施し、景気を本格的な回復軌道に乗せるためには、一日も早い補正予算の成立が最大の景気対策であると確信いたします。
 次に、金融機関の不良債権問題についてお尋ねをいたします。
 我が国の景気低迷の要因の一つであり、さらに景気回復を妨げる一因となっているのが、金融機関の抱える不良債権問題であります。断固たる決意を持って本問題の早期解決に取り組む必要があります。
 金融自由化の進展の中で、バブル経済の発生と崩壊による資産価格、特に地価の下落が、金融機関が多額の不良債権を抱えることになった主たる原因でありますが、金融機関自身のいわば土地本位制ともいうべき過度に土地担保に依存した融資姿勢に問題があったことも明らかであります。金融機関の生命は信用でありますが、今やその信用が国内のみならず国際的にも失墜しつつあることはゆゆしき事態であります。
 まず第一に問われるべきは、かかる事態に至らしめた金融機関の責任の明確化であり、経営の健全性を確保することであります。同時に、いたずらに金融不安を引き起こすことなく金融システムの安定性に努めるべき立場にあった大蔵省の監督責任も、この際明らかにする必要があります。
 まず、我が国の金融機関の不良債権問題の現状についての認識と、今日に至った監督責任についてお伺いいたします。
 次に、個別金融機関の破綻処理についてであります。
 ここ二カ月来、コスモ信用組合、木津信用組合、兵庫銀行と、規模の大きい金融機関の経営破綻に対して、問題処理を先送りすることなく適切に対応し、預金者保護、信用秩序の維持に貢献していることは評価をいたします。これらの処理は現在進行中でありますが、関係者の協力のもとに迅速な処理を行ってもらいたいと考えております。ただ、金融機関の経営が破綻してから抜本的な処理を行うだけでなく、金融機関の経営の健全性を確保するための早期是正と、必要に応じて破綻処理手続を早期に開始させるような仕組みについても検討する必要があるのではないでしょうか。
 また、不良債権問題の中で、住専問題への対応が大きな課題となっております。
 この住専問題は、抱える不良債権が極めて多額であり、また関係する金融機関が多数に上ることから、我が国金融システム全体に与える影響にも重大なものがあります。我が国金融システム全体に対する国民の信頼のみならず、国際的な信用の回復に努めるためにも住専問題の早急な解決が不可欠であり、また、この住専問題の解決に当たっては、これまでの経緯を踏まえ、住専及び母体行、融資金融機関といった当事者が責任と自覚を持って話し合い、早急に結論を出す必要があります。
 現在、与党においてもプロジェクトチームを設け、金融機関の不良債権問題の解決方策や住専問題、預金保険機構のあり方、責任の明確化と徹底したディスクロージャーを前提として公的資金導入の是非について検討を行っているところであります。また、金融制度調査会金融システム安定化委員会の審議経過報告も出されております。
 これらも踏まえ、不良債権問題、金融機関の信用回復、金融システムの安定化に具体的にどのように対応されるかお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(村山富市君) 答弁をする前にお断りをしておきたいと思うのですが、米沢議員の質問の中で、私の答弁が、質問がない部分の答弁があったという御指摘がございました。しかし、十二時ごろまで次から次に質問の追加がありまして、そして、ここで質問を聞きながらその見分けをするというのは大変難しい問題であるということについては御理解をいただきながら、御了承をいただきたいと思います。(拍手)
 次に、与謝野議員の質問にお答え申し上げたいと思いまするが、まず私に対する質問は、景気に取り組む決意についてのお尋ねがございました。
 御指摘にもございましたように、最近の景気の動向を見ておりますと、ようやく為替や株式市場に明るい兆候が見られるようになってまいりました。こういう傾向のときにこそ、私は、切れ目なく次から次にやはり有効な景気対策を講じていくことが必要であるということから、お話にもございましたように経済対策を打ち出して、そして、これまでにもない事業規模約十四兆二千二百億円にも上る、また公共投資等の事業規模も十二兆八千億円に及んでおる大きな規模の事業計画というものを経済対策の中で打ち出したところでございます。
 私は、これをさらに景気のてこ入れとして活用するためには、御意見にもございましたように、政府としては、内閣一体となって何としても景気のてこ入れと景気の回復に努めなければならぬ、こういう決意で臨むつもりでありまするけれども、それだけにこの補正予算なり関連法案については、慎重な御審議の上、一日も早く成立をさせていただきますように心からお願いを申し上げたいと思います。(拍手)
 次に、雇用問題についてのお尋ねがございましたが、御指摘もございましたように、雇用問題は極めて厳しい状況にございます。とりわけ新卒の方々やあるいは女性の雇用問題というのは本当に厳しい状況にあるということは、共通した認識を私も持っております。
 それだけに、雇用対策については真剣に取り組んでいく必要があるというふうに考えておりますが、そういう雇用問題が深刻になっている背景というのは、これだけ経済が国際化してきたということや、あるいはまた産業構造の転換が求められておる、その産業構造の転換に乗り切れないような中小企業あるいは産業といったようなものについては、雇用が非常に深刻な問題となってきておる。
 したがって、そういう構造転換が要請されて、それに乗り切れないような産業が抱えておる雇用労働者が、失業することなく次の職場に移動できるような仕組みというものをしっかりつくる必要があるというので、先般御審議もいただき成立をさせていただきました改正業種雇用安定法に基づきまして、そういう流動化する雇用に対しても給付金を支給する、こういう制度をつくって、できるだけ失業者が出ないような方策を講じてまいったところでございます。
 同時にまた、新しい分野を開拓してできるだけ雇用の分野を拡大していくということも大事なことでありますから、新規事業の分野に積極的に取り組んでいって、そして雇用市場を開拓していく。
 同時に、私は、高齢化していく社会の中で、介護の問題やあるいは福祉の問題や、そういう問題を充実することによって、そこにも新しい雇用を求めていくということも大事なことではないかというふうに考えまするので、二十一世紀を展望する中から、これから日本の国がどういう変化をしていくか、その変化の中で必要な事業というものを積極的に推し進めていって、そこに新しい雇用を開拓していくということも大事なことだと考えておりますから、そういう部面にこれからも全力を挙げて取り組んで、「人にやさしい政治」の実現を図っていきたいと考えておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#20
○国務大臣(橋本龍太郎君) 中小企業対策に取り組む基本姿勢についてお尋ねをいただきました。
 中小企業は、申し上げるまでもなく、我が国の全事業所数の九九%、全従業員数でも七八%を占めるなど、我が国経済社会において極めて重要な地位を占めており、国民生活を支え、雇用を支え、地域を支える活力の源泉であります。しかし、現在、こうした中小企業の多くが、累次の円高の影響等もありまして、極めて厳しい状況に直面をしており、最近の為替の状況の中で多少好転の動きがあるとはいいながら、その経営が好転するまでには残念ながら至っておりません。
 こうした中で大事なことは、思い切った内需拡大策によりまして、我が国全体の景気回復に向けた足取りを確かなものにしていく中で、中小企業の経営基盤の安定強化を通じて中小企業の先行き不透明感をどうやって払拭していくか、また、中長期的な視点に立ってその構造改革に向けた努力をどう支援し、変革の波を乗り切っていくかということであると考えております。また、このことが、御指摘のように、我が国経済の活力の維持強化を図っていく上でも極めて大切なことであります。
 このため、今回御審議をいただく第二次補正予算案におきましても、中小企業対策について約一兆二千五百億円の貸付規模を追加いたしますとともに、中小企業対策の補正予算規模としては過去最大の二千七百六十八億円に上る予算を追加計上し、思い切った対策を講じることにいたしました。
 具体的には、中小企業が政府系中小企業金融機関に有する既往の高金利債務の返済の円滑化・負担軽減措置、また中小企業信用保険法の改正等による信用補完の充実等の中小企業の経営基盤の安定強化策、さらに、創造的な事業活動を行う中小企業を支援するための新たな直接金融制度の創設や空き店舗対策等の構造改革推進策等を実施していくことといたしております。
 中小企業の皆さんが明るい見通しを持って仕事に取り組めるように、第二次補正予算案並びに関連する諸法案を、どうぞ御審議の上、速やかに成立させていただきますようにお願いを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#21
○国務大臣(武村正義君) 我が国財政は、連年の公債発行によりまして、その残高が平成七年度末には二百二十兆円を超える見込みであります。この増嵩する利払い費のため、毎年度の政策的経費が大きく圧迫される状況になってきております。
 例えて申し上げますと、本年度第二次補正後における税収は約五十三・六兆円でありますが、国債費は約十二・九兆円であり、本年度特例的な措置として停止をいたしております定率繰り入れ等に係る額三・二兆円を加えますと、税収の中で約十六・二兆円が公債の元利払いのために先取りされるという、こういう状況になってきております。国民の貴重な、一年間のいただく税収が五十三兆円、それに対して過去の借金の元利払いのために約三〇%近い十六兆円が消えていく、五十二兆円ありながら当該年度に使える金は三十七兆円しかない、こういう状況になり、それが年々額が膨らんでいくという深刻な状況にあります。
 しかも、税収そのものも、平成六年度決算において四年連続して減少を続けております。今後、景気が回復したとしましても、バブル期のような大幅な税収増は見込みがたい。我が国財政は、主要先進国と比較しましても、与謝野議員の御指摘のとおり、一、二を争う極めて深刻な状況に立ち至っております。
 公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくというこの努力目標に積極的に取り組むことは極めて重要な課題であり、今後とも、歳出面においても制度の根本にまでさかのぼった見直しや優先順位の厳しい選択などを行いながら、税外収入等歳入面においてもあらゆる努力を傾注して、この国の財政改革に取り組んでいかなければならないと考えます。
 次に、不良債権問題でありますが、我が国金融機関の不良債権の総額は、たびたび申し上げておりますとおり、本年三月末時点で、推計でありますが、約四十兆円であります。
 しかしながら、破綻先債権、延滞債権に係る引き当て状況等を考えますと、不良債権の全額について今後処理を要するわけではありません。要すれば、不良債権イコール回収不能額ではないということであります。
 また、全国銀行の業務純益あるいは貸倒引当金、有価証券の含み並等の状況を見ますと、金融機関全体としてはこの不良債権問題を克服する能力を持っていると私は考えております。
 さらに、この夏、経営悪化が懸念されていた三つの金融機関の破綻処理が開始をされ、これまで懸案となっていた個別金融機関の経営をめぐる大きな問題の処理にも一応めどが立つことになりました。
 これらの点を踏まえますと、金融機関の不良債権問題については、関係者の厳しい努力が前提ではありますが、金利減免等債権の処理も含めて、本格的な取り組みを行う基盤が整ったと考えております。
 金融機関に多額の不良債権が発生した背景は、いわゆるバブル経済の発生、崩壊に伴う資産価格の大幅な変動であると考えます。大蔵省は、従来より金融機関に対して、業務の適切な運営、経営の健全性の確保等を図るべく検査・監督を行ってきたところでありますが、いわゆるバブルの発生、崩壊という金融環境の激動期においては、事前の経営チェック機能が必ずしも十分果たされていたとは言いがたい面があると思います。
 今後、金融制度調査会の議論も踏まえ、ディスクロージャーの一層の促進等による金融機関経営の健全性確保を図るとともに、当局による検査・モニタリングの結果、多額の不良債権の発生等が認められた場合等には、時期を失することなく金融機関経営の早期是正を促していく方法を導入するなど、検査・監督機能の一層の充実を図ってまいりたいと考えます。
 次に、金融機関の不良債権につきましては、その処理を先送りしてはなりません。果断に対処してまいりたいと存じます。また、九月二十七日、「金融機関の不良債権の早期処理について」を発表いたしましたが、金融機関の不良債権問題に対する当面の対応方針をお示しをしたところでございます。
 具体的には、ディスクロージャーの拡充や預金保険料の引き上げや、あるいは破綻処理方法の改善、信用組合の健全化のための所要の措置を講ずるほか、御指摘の住専をめぐる問題や公的資金の時限的な導入を含めた公的な関与のあり方について検討を進めているところでございます。金融制度調査会の審議等を踏まえながら、年内にはこの問題に対する対応策をまとめてまいりまして、次期通常国会には必要な法律改正を進めてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○副議長(鯨岡兵輔君) 佐々木陸海君。
    〔佐々木陸海君登壇〕
#23
○佐々木陸海君 戦後最悪の深刻な不況に直面して、首相が景気回復内閣を宣言するような事態に対し、私は、日本共産党を代表して、一昨日の志位書記局長の質問に対する政府の答弁も踏まえ、政府の経済対策の方向の転換を求めて質問をいたします。(拍手)
 まず第一に、今どういう経済対策が求められているかという問題であります。
 公共投資中心の政府のこれまでの不況対策が効果を上げていないではないかという我が党の質問に対し、総理は、これまでの対策の成長率への寄与は大きいと強弁をいたしました。しかし、成長率への寄与といっても、日本経済が四年連続ゼロ成長であることは動かせない事実であります。そのことは、総理自身の答弁で、「最近の景気は、足踏み状態が長引く中で、弱含みで推移している」と認めていることではありませんか。不況がこんなにも長引いて国民を苦しめていること自体が、これまでの政府の経済対策の方向の見直しを鋭く迫っているのではありませんか。政府はこの責任をどう自覚し、どう自己点検しているのか、総理の明確な答弁を求めます。
 政府の経済対策は、膨大な公共投資を中心としていて、景気回復に一番肝心な、GNPの六割を占める個人消費を温める対策が全く含まれていないという我が党の追及に対して、個人消費を直接温めるものとして総理が具体的に挙げたのは、二兆円の特別減税を一年限り継続する、このことだけでした。この面で個人消費を本当に温めるつもりがあるならば、総理、減税を臨時的なものにとどめないで恒久的な減税とし、課税最低限の引き上げによって、本当に庶民が潤うものにすべきではありませんか。
 政府の対策の中心である公共投資そのものも、中身が問題です。産業基盤整備のための投資と住宅や下水道など生活密着型の投資との割合、このシェアは三対二であり、ほとんど変わっていません。ゼネコンに発注される公共事業のコストが異常に高いという問題にもさっぱりメスが入れられていません。さらに、中小企業向けの官公需の割合も三八%前後と一貫して変わっていません。結局、今度の対策は、額が大きくなっているだけで、効果がなかったこれまでの対策の惰性的な延長線の上のものでしかないではありませんか。
 政府のこうした対策が繰り返されてきたもとで、大企業はいわゆるリストラを進めて従業員を減らし、新規採用を抑制して雇用を悪化させているばかりか、賃金を抑え、中小企業、下請をどんどん切り捨てつつ、みずからの経常利益は大幅にふやしています。そのもとで、日本経済は引き続き不況にあえぎ、国民は苦しんでいるのであります。
 総理、この実態を一体どう見るのですか。政府の対応は、大企業の利益拡大をもたらしても、景気の回復につながっていないことは明白ではありませんか。経済対策の方向と内容を大きく転換すべきではありませんか。明確な答弁を求めます。
 関連して、我が党が一貫して要求してきた震災被害者の個人補償の問題について聞きます。
 人災と言ってもいいあの震災で家をなくし財産をなくした人々の生活の再建、ひいては地域の経済の再建が、総理、個人への補償なくして実現できると思いますか。日本は私有財産の国だから個人補償はできないという冷たい否定論を総理は繰り返していますが、私有財産を本当に大事にするのであれば、防災の備えを欠いた結果として起こった大震災で失われた個人の財産を、政府の手で補償するのは当然ではありませんか。
 被災地での公営住宅の建設戸数は必要に照らしてごく少数であり、多くが民間、個人の住宅再建に任されているもとで、生活の土台を打ち砕かれた被災者の自立への最低限の支援策、個人補償として、住宅再建への助成に今こそ踏み切ることを強く要求します。総理の答弁を求めます。
 第二の問題は、異常な円高の是正という問題です。
 現在の一ドル百円前後の為替レートの水準で中小企業の経営が成り立つのかどうかという我が党の問いに対し、総理は「中小企業の多くは依然として厳しい状況に直面している」という認識を述べました。そう認識するなら、為替レートをさらに是正することが当然必要です。総理はその方向について、「現在の「秩序ある反転」の流れを一層進める」と述べました。それなら、一体どういう反転の目標を持っているのですか。どこまで反転させればいいということですか。成り行き任せでないというなら、はっきりさせていただきたいと思います。
 総理は答弁の中で、経済白書の内容に触れて、一方で、「円高による競争力の低下や内外価格差などの構造問題は、日本経済が有しておる生産性をさらに向上させることで解決可能」と言い、同時に、「今の為替相場では、産業調整、雇用調整は極めて深刻である」とも言いました。円高を受け入れ、これに適応するために努力するというのが総理の基本姿勢で、円高が極端になった場合には是正するということなのでしょうか。そうであれば、どんな水準を妥当と考えるのかを含めて明確な方向を示していただきたいと思います。
 私たちは、一部の巨大企業の異常な輸出競争力を正すことを主張しています。輸出大企業の下請に対する過酷な単価切り下げや過密労働によって異常な輸出競争力が生まれ、貿易黒字と円高の悪循環が繰り返されてきたからです。我が党が最近、浜松市で行った自動車産業の調査の中では、十五年前の下請単価を今押しつけるという事例や、年間二十日間の有給休暇を六日しかとらせないという事例もありました。
 総理、下請二法と労働基準法などを大企業に遵守させ、下請単価の切り下げや常態化しているサービス残業を是正させ、雇用をふやしてこそ、内需拡大、国内生産の拡大につながり、不況打開になります。また、黒字を減らして円高の是正が進みます。そうすれば、日本経済の主役である中小企業、さらには日本経済全体の健全な競争力を高めることになります。今こそ内閣を挙げてこの方向に力を尽くすべきであります。総理の答弁を求めます。
 第三は、金融問題です。
 総理も大蔵大臣も、史上最低の〇・五%という公定歩合について、何の痛みもないかのように語りました。総理、この四年間九回にわたる公定歩合の引き下げで、ささやかな貯金から合わせれば数十兆円の金利が奪われてきたこの庶民の怒りや苦しみが、総理には全くわかっていないのではありませんか。
 特に、私は一昨日の総理の次の答弁には全くあきれるほかはありませんでした。すなわち、「金利水準の低下は金利負担の軽減を通じて企業の活動に好影響を与え、景気回復に大きく寄与するものと考えられ、これがひいては消費にも好ましい影響を及ぼす」、こういう答弁です。
 総理、これは、公定歩合の引き下げが大企業や大銀行を助けるものだということをみずから認めたものではありませんか。「これがひいては消費にも好ましい影響を及ぼす」とは一体何ですか。庶民の懐から莫大なお金を吸い上げておいて、よくもこういうことが平然と言えるものだと、本当にあきれざるを得ません。こういう庶民いじめの政策は抜本的再検討が必要であります。答弁を求めます。
 このような異常な低金利にも支えられて、巨大銀行十一行は、この四年半で業務純益を十兆五千億円も稼ぎ出しています。大蔵大臣、住専の不良債権問題などでは、これらの銀行自身に責任をとらせて解決することを基本とすべきではありませんか。
 その銀行業界は、昨年一年間に多額の政治献金を行っており、それは二千万円を超す大口献金全体の実に四四%以上を占めました。自民党が受け取った政治献金総額の三七%、新進党の五四%、さきがけの実に八六%が銀行業界からの献金であります。
 大蔵大臣に聞きます。大蔵官僚のスキャンダルに加えて、大臣自身が党首を務めるさきがけと銀行業界とのこういう関係、これでは、不良債権問題で政府や大蔵省が信用秩序の維持と言っても、その立場が本当に公正かどうか、国民が信用できないということになるとは思いませんか。(拍手)
 また、さきがけの党首である大蔵大臣と自民党総裁である通産大臣に聞きますが、金融機関と政治の癒着が社会問題になり、金融機関の責任が政治問題になっている折、党として、銀行からの政治献金の受け取りを中止すべきだとは考えませんか。
 最後に、政府の経済対策、補正予算案は、単に景気回復への効果が期待できないだけでなく、将来の国民に重大なツケを残す危険を持つことを警告しなければなりません。景気対策を口実に、再び赤字国債の発行が恒常化されようとしています。九五年度の新規国債発行額は二十兆円を突破し、国債依存度も二五%を超えました。赤字国債の恒常的発行が国民の福祉や暮らしを圧迫し、増税を招くことは、七〇年代以降の経験で余りにも明らかであります。
 大蔵大臣にお聞きしますが、来年度予算は初めから赤字国債に頼らなければならないのではありませんか。さらに、与党の新三党合意は新型国債を検討すると言っていますが、これは国債の発行対象を拡大し、事実上の赤字国債の一層の増発に道を開くものではありませんか。
 今度の補正予算の編成に関して、財政制度審議会会長も「今回の措置に伴い、これまでにも増して財政体質の構造的な悪化が進む。根本的な取り組みを図っていかなければ取り返しかつかなくなる」と述べています。総理、軍事費の大幅削減、大企業優遇税制の是正、国債の低利借りかえなど、今こそ根本的、抜本的な対策をとるべきではありませんか。答弁を求めます。
 日本共産党は、以上述べてきたような転換を実現するため、全力を尽くして奮闘することを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(村山富市君) 佐々木議員の質問にお答えを申し上げます。
 これまでの経済対策についてのお尋ねでございますが、今次の景気局面において、それから政府が講じてまいりました累次の経済対策の実施によりまして、お話にもございましたように、公共投資の成長率への寄与は大きいものがあったと考えております。また、金利も史上最低水準にあるなど、金融緩和基調を維持してまいりました。しかし、それにもかかわらず、日本経済の回復のスピードが従来の回復初期の局面と比較をして極めて緩やかなものにとどまっておりますが、その大きな理由としては、資産価値の下落に伴う諸問題の存在や我が国経済が構造的問題に直面していることが挙げられると思います。
 政府といたしましては、こうした経済の現状に的確に対応するために、たびたび申し上げておりますが、去る九月二十日に、事業規模としては過去最大の十四兆二千二百億円に上る経済対策を決定したところであり、これにより、思い切った内需の拡大、資産価値の下落に伴う諸問題を含めた直面する課題の克服、さらに経済構造改革を強力に推進してまいりたいと考えております。そのためにも、先ほど来申し上げておりますが、補正予算や関連法案の御審議をいただき、速やかに成立さしていただけることを心からお願い申し上げたいと思います。
 次に、特別減税を恒久化すべきではないかとのお尋ねでありますが、御案内のように、政府としては、六十三年の十二月に比較的低い層の所得税減税を行いました。そのために中堅サラリーマン層のカーブが少し上向きになって税が重くなってきておる、こういう累進税率構造の欠陥もございましたから、昨年そこを是正して、そしてなだらかに、可能な限り所得に見合った形で負担をしていただくような税率に改正をしたわけであります。それで、私は、個人所得課税のあるべき姿はある程度公平が期せられて実現をされたのではないか、こういうふうに考えておりますから、これ以上制度減税について実施をする考えは持っておりません。
 また、課税最低限については、昨年の税制改革においても引き上げられたことでございまするし、国際的に相当高い水準にあることから考えてみましても、これ以上引き上げることは適当ではないと考えております。
 なお、特別減税の継続についての御指摘がありましたが、これは、平成八年度における特別減税については、この六月の緊急円高・経済対策の具体化・補強策におきましても、景気が特に好転しない限り特別減税を継続するということにしておりますが、この具体的な扱い方につきましては、平成八年度の予算編成の際に、景気全体の動向を見ながら検討していきたいというふうに考えております。
 次に、経済対策における公共投資についてのお尋ねでございますが、過去最大の事業規模を確保しておるのみならず、その内容におきましても、国民生活の質の向上や安全の確保に資するものに重点投資を行うことといたしております。具体的には、下水道や都市公園等快適な都市生活に必要な施設の整備のほか、教育・医療施設の近代化、社会福祉施設の整備や高齢者向け住宅の供給の推進、さらには災害に強い町づくりなど、従来にも増して思い切った施策を講じようとしているところでございます。
 公共事業のコストにつきましては、建設省におきまして昨年十二月に策定いたしました公共工事の建設費の縮減に関する行動計画に基づきまして、建設費の縮減を推進しているところでございます。
 官公需における中小企業者の受注機会の確保につきましては、従来から、いわゆる官公需確保法に基づきまして、毎年度国等の契約の方針を閣議決定するなど努力をしてきているところでございまするし、今後ともさらに全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 政府といたしましては、今回の対策は現下の経済情勢に的確に対応した効果的なものとなっていると認識をしておりまするし、これを着実に実施することによりまして、先般の公定歩合引き下げの効果も加わって、我が国経済は、本年度後半には着実に回復の兆しか見えてくるというふうに考えております。
 次に、大企業の利益が拡大しても景気の回復につながらないのではないかとの御指摘でございますが、我が国経済は、バブル崩壊後、長期にわたる景気後退を経験する一方、円高等により国際経済環境が大きく変化する中で、産業構造の転換が迫られております。政府といたしましては、このような事態を深刻に受けとめ、雇用や中小企業への悪影響をできる限り生じさせないよう十分に配慮しながら、景気の早期回復を図るとともに、経済構造改革を円滑に推進するための施策に取り組んでいるところでございます。
 また、先般の経済対策におきましても、たびたび申し上げますが、過去最大規模の内需拡大策の実施、中小企業対策や雇用対策等の直面する諸課題の克服、新規事業の育成や規制緩和による経済構造改革を強力に推進してまいりたいと考えて取り組んでおるところでございます。今後とも、雇用及び中小企業の実態を注視しながら、引き続き遺漏なきを期してまいる所存でございます。
 次に、震災からの再建が個人補償なくして実現できるか、財産を補償すべきではないかとの御指摘でありますが、一般的に、自然災害により個人が受けた被害につきましては、自助努力による回復が原則となっております。しかしながら、政府といたしましては、被災者の実情に配慮した支援措置を幅広くかつきめ細かく実施をし、一日も早く被災者の生活再建が実施されるよう努力いたしているところでございます。
 特に阪神・淡路大震災につきましては、被害の甚大さにかんがみまして、特別立法などにより、被災者の生活再建への支援措置を拡充しており、個人補償という形ではありませんが、各般の行政施策を補完する阪神・淡路大震災復興基金への地方財政措置を行うなど、大幅な支援措置を講じておることにより適切に対応しておるところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 次に、住宅再建への支援策についてのお尋ねでございますが、阪神・淡路大震災による甚大な住宅被害に対応し、被災者が自立をして生活できる環境をつくるため、被災者の住宅の再建、確保は極めて重要な課題であると考えております。このため、政府といたしましては、兵庫県の「ひょうご住宅復興三カ年計画」等に基づく公的賃貸住宅等の大量かつ早期の供給を促進することといたしております。また、住宅金融公庫貸付制度の貸付限度額の大幅引き上げ等を通じた個人の自力による住宅の再建、取得の支援策についても、積極的に展開をいたしておるところでございます。今後とも、被災者の方々の自立に向けた住宅の再建、確保に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、為替相場の目標についてのお尋ねでございますが、政府といたしましては、最近の為替相場の動きは、四月二十五日のG7会合で合意され、ハリファクス・サミットで再確認された「秩序ある反転」の過程にあると考えております。我が国としては、こうした「秩序ある反転」の流れを一層進め、為替相場が経済のファンダメンタルズをより正しく反映したものとなるよう、引き続き為替相場の動きに細心の注意を払いながら、関係通貨当局とも緊密に連携をとりながら対処してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、円高の是正に関するお尋ねでありますが、最近は反転しつつあるものの、年初以来の一時の急激な円高は、中長期的な生産性等の経済の基礎的諸条件から正当化されるものではなく、これが長期にわたることになれば産業調整、雇用調整が極めて深刻なものとなることから、こうした円高の是正が何よりも重要な政策課題であると考えております。政府といたしましては、四月の緊急円高・経済対策以降切れ目のない施策を講じているところでございまして、引き続き為替動向を含めた内外の経済動向を注視しながら、機動的かつ弾力的な経済運営に全力を挙げてまいる所存でございます。
 なお、御質問にもございました為替レートの水準について云々することは、影響も大きいので妥当ではないと考えております。
 次に、貿易収支黒字と円高の悪循環の是正に関するお尋ねでございますが、我が国の貿易収支黒字の削減、円高の是正は、政府として現在最優先で取り組んでいる課題の一つでございます。このため、政府としては、この春以来、規制緩和や輸入促進策を盛り込んだ緊急円高・経済対策やその具体化、補強を図るための諸施策、さらに円高是正のための海外投融資促進対策など切れ目ない施策を講じてきており、最近では為替相場が円高是正の方向に動いてきております。さらに、この機を逃がすことなく景気の早期回復を図るため、先般の経済対策におきましても、過去最大規模の内需拡大策を講じることとしているところでございます。
 大企業に下請二法と労働基準法を遵守させるべきとの御指摘でございますが、下請取引条件の適正化を図るとともに、法定労働条件を確保するため、引き続き法の運用に遺漏なきを期したく考えております。
 次に、公定歩合の引き下げ及び金利水準の低下についてのお尋ねでございますが、金利水準の低下は、企業、家計を問わず、金利負担の軽減等を通じまして経済全体にプラスの効果を与え、景気回復に大きく寄与し、国民生活にも好ましい影響を及ぼすものと考えております。したがって、庶民いじめという御批判は当たらないと考えております。
 次に、防衛関係費は、一段と深刻さを増しておる財政事情等を十分に踏まえて設定されたものでございます。具体的には、全体の約八割は義務的経費である人件費、食糧費及び歳出化経費で、残りの一般物件費も自衛隊の維持運営費等の必要な経費であり、極めて抑制された内容となっておると考えております。
 次に、大企業優遇税制を是正せよとの御指摘でございますが、税負担の公平確保については、企業関係の租税特別措置等の整理合理化など、従来から不断の努力を続けてきておるところでございます。租税特別措置等につきましては、今後とも引き続き一層の整理合理化に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、国債の低利借りかえについての御質問でありますが、国債の繰り上げ償還等は制度的には可能でありますが、御指摘のような低利借りかえは、国債保有者に不測の損害をもたらし、国債保有に対する安定性を著しく損なうことになりかねません。その結果、国債の発行条件の悪化をもたらし、必ずしも財政負担の軽減につながらないのみならず、国債の消化そのものに重大な支障を生ずるおそれがございます。したがって、御指摘のような低利借りかえを実施することは適当でないと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#25
○国務大臣(武村正義君) 不良債権問題の処理は、何よりも金融機関の自助努力により対応すべきものであります。各金融機関における最大限の合理化努力や早期の引き当て、償却等の実施が求められるところであります。各金融機関におきましては、これまでも不良債権の処理を着実に進めてきておりますが、今後とも業務純益を主たる財源として、含み益なども活用しながら不良債権の処理を積極的に進めていくものと思います。
 現在の喫緊の課題であるこの不良債権問題の早期処理については、先般の金融制度調査会金融システム安定化委員会の審議経過報告を踏まえて、大蔵省としての当面の対応方針を発表したところであります。今後、各方面における御論議を踏まえながら、国民各層の御理解を得て、年内には対応策がまとめられるよう、全力で取り組んでまいります。
 企業献金の是非については、いろいろ意見があることは承知をいたしております。新党さきがけとしましては、この問題の論議には、政治資金規正法の見直し条項を前提にしながら、今後も積極的に参加していく考えであります。しかし現状では、三分の二条項もあります。企業献金を受けざるを得ないところであります。そして、受ける以上は、業種によって企業を区別するわけにはいかないと考えております。
 なお、御指摘のありました金融機関からの献金は、対象政党の議員数に比例して行われたと聞いております。その他の業種や個人の献金が私どもの党は少ないために、御指摘のような比率に上がってしまったと思っております。
 なお、私自身は党への献金に一切関与をいたしておりません。
 次に、来年度の予算編成と赤字国債の御質問でございますが、八年度予算編成については、これから本格化していくところでございます。まだ具体的な見込みを申し上げられる段階にはないことを御理解賜りたいと思います。
 最後に、新三党合意にある新型国債の意味内容は、必ずしも一義的に明確にされているわけではありません。一般論として申し上げますと、これまでは公債対象とされていない経費を公債対象とし、その財源を公債で賄うことは、事実上、建設公債原則を放棄して特例公債を発行することにほかならないという問題が出てくるというふうに考えているところであります。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#26
○国務大臣(橋本龍太郎君) 企業も社会を構成する一員であり、法人として政治に参加し、また民主主義を守るコストを負担することは、一定の節度の中で許されていると思います。
 一方、今社会的に問題となっている金融問題は、それ自体についてただすべきはただすべき問題として審議されるべきでありまして、この問題と社会を構成する法人としての政治参加の問題は、別の次元のものだと考えております。(拍手)
#27
○副議長(鯨岡兵輔君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#28
○副議長(鯨岡兵輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト