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1995/11/10 第134回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第134回国会 本会議 第14号
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1995/11/10 第134回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第134回国会 本会議 第14号

#1
第134回国会 本会議 第14号
平成七年十一月十日(金曜日)
    ―――――――――――――
  平成七年十一月十日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 武村大蔵大臣の大和銀行問題についての発言及
  び質疑
    午後一時三十三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(大和銀行問題について)
#3
○議長(土井たか子君) 大蔵大臣から、大和銀行問題について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣武村正義さん。
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#4
○国務大臣(武村正義君) 大和銀行のニューヨークにおける一連の事件について申し上げます。
 今回の事件は、大和銀行からの報告によりますと、大和銀行ニューヨーク支店において、昭和五十九年から十一年間にわたり元職員による権限を逸脱した米国債の簿外取引等が行われ、約十一億ドルの損失が発生するとともに、同行の現地法人であるダイワ・トラストにおきましても、昭和六十二年以前に同社元役職員によりほぼ同様な取引が行われ、約九千七百万ドルの損失が発生したとするものであります。
 この一連の事件に関して、日本時間十一月三日、米国連邦準備制度理事会、連邦預金保険公社及びニューヨーク州銀行局の各金融監督当局は、大和銀行に対して同意命令を発出した旨、公表をいたしました。これは、大和銀行、ダイワ・トラスト及びその職員が、危険かつ不健全な銀行業務を行い、長期にわたる重大な法律違反を行っていたという情報に基づくものであり、大和銀行の米国内のすべての支店、代理店等及びダイワ・トラストの業務を順次終結させるというものであります。
 この措置に伴い、大和銀行及びダイワ・トラストの米国拠点におけるすべての業務は、原則として平成八年二月二日までに終結することになります。
 なお、大和銀行は、本年八月以降、アメリカ当局に対し損失の隠ぺいを行っていたこと等の理由によりまして、米国司法当局から、同日、起訴されたところであります。
 今回の大和銀行の一連の事件につきましては、従業員の不正行為に加え、銀行による不適切な業務運営が指摘され、大和銀行が米国金融監督当局から極めて厳しい措置を受けるに至ったことはまことに遺憾であります。
 大蔵省は、同日、検査等による実態把握や大和銀行から提出された調査報告及び今回の米国金融監督当局の決定等を踏まえまして、大和銀行に対し、銀行法第二十六条及び金融機関ノ信託業務ノ兼営等二関スル法律第四条で準用する信託業法第十八条の規定に基づく命令並びに外国為替及び外国貿易管理法第十三条に基づく処分を発出いたしたところであります。
 また、事件の全容が明らかになった段階でさらに問題となる事実があれば、関係法令に照らして厳正に対処をしてまいります。
 大蔵省としましては、日本銀行とも協力して、今後の事態の推移を見きわめながら、必要に応じて適切な対策を講じ、我が国金融システムの維持に向けて万全を期する所存であります。
 今後、海外拠点の問題について、外国金融監督当局との一層緊密な情報交換に努めてまいりますとともに、海外拠点に対する監督・検査の充実を図っていく必要があると考えており、このため、省内にその具体的な方策を検討するための局長クラスから成る委員会を発足させることにいたした次第であります。これにより、我が国の金融行政に対する内外の信頼を確保してまいる所存であります。
 いずれにしましても、大蔵省としましては、今回、邦銀の海外拠点に対する監督のあり方等についてさまざまな論議があったことを謙虚に受けとめ、これを貴重な教訓としてまいりたいと考えます。(拍手)
     ――――◇―――――
国務大臣の発言(大和銀行問題について)に対  する質疑
#5
○議長(土井たか子君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。野田毅さん。
    〔野田毅君登壇〕
#6
○野田毅君 私は、新進党を代表して、ただいま議題となりました大和銀行問題についての発言に対し、総理並びに大蔵大臣に質問を行います。
 質問に先立って、一言申し上げます。
 先ほど、宗教法人に関する特別委員会において、与党は一方的に審議を打ち切り、我々新進党の慎重審議の要請を無視し、強引に採決が行われました。国民の基本的人権である信教の自由にかかわる法案をこうした一方的、専横的な委員会運営のもとに扱われることは、到底許されることではありません。我々は強く抗議をするものであります。
 次に、江藤総務庁長官の発言についてお伺いをいたします。
 河野外務大臣が江藤発言について韓国を訪問されるとの報道がありますが、何をしに行かれるのか。韓国側が理解をすれば残留させ、ノーと言えば辞任を求めるのか。何とも主体性のなさは情けないものであります。村山総理が江藤発言に理解をしたのか否か、みずから判断すべきことではないのですか。任命権者としての総理のお考えを明確に承りたいと思います。(拍手)
 ところで、総理はジャパン・プロブレムという言葉を耳にされていると思いますが、この言葉をどういう気持ちで受けとめておられるのか、まずお伺いいたします。
 今までは、戦後幾多の課題を克服して世界にもまれな発展を遂げてきた日本経済の強さに対して、驚きと敬意と警戒心を持って見てきた諸外国の目が、わずか数年の間にさま変わりとなり、特に村山内閣成立後、今や全く日本を見る目が変わっているのです。その認識がおありでしょうか。
 日本の経済低迷、特に金融システムに対する不安が、日本発の世界金融危機をもたらすのではないか。一刻も早くその不安を除去するシナリオを示さなければならない村山内閣は、今何をしているのだろうか。住専問題でも、総理がリーダーシップを発揮しようとする姿勢すら見当たらない。すべて当事者任せ、人任せ。今日の為替の小康状態を保っているのも各国の通貨当局が我が国に対する不安から協調しているのであって、村山内閣の政策の結果ではないことは明白であります。にもかかわらず、村山内閣はそうした認識に欠け、重大事態に気がついていないのではないか。そのことが、また一層不安感を増幅させているのであります。
 同時に、さきの沖縄における不幸な事件は、日米安保条約のアジア・太平洋地域における意義と役割をクローズアップさせる結果となりました。今、総理初め政府がその位置づけを正面から国民に理解を求める姿勢が全くありません。日米安保条約の堅持が全く言葉だけで、本当に日本が信頼できる同盟国であり続けることができるのかどうかということに対する米国の不安を増幅させておるのであります。今、我々日本の政治家がなすべき課題は、日本及びアジアの安全保障の問題を正面から論議することであり、また、金融不安を脱して、一日も早く経済再建をなし遂げるための対策を徹底して論議することであります。
 にもかかわらず、これとは全く無関係の宗教法人法の改正を党利党略のために最大の政治テーマと位置づける村山内閣の姿勢には、諸外国はあきれて物も言えない。日本の政治は完全にずれていると言われても仕方がないのであります。(拍手)日本を取り巻く国際環境、時代認識からかけ離れ過ぎているとしか言いようがありません。
 今、日本の政府がなすべきことは何なのか、全くわかっていない。なすべきことをなさず、なすべきでないことに熱心な村山政権は、世界のためにも厄介な存在、世界じゅうの不幸であります。これがジャパン・プロブレムの正体であります。(拍手)
 総理は、みずからの内閣を景気回復内閣と大見えを切っておられますが、村山内閣の経済対策は常に後手後手に回り、数次における対策を発表するたびに、株は急落し、円は急騰、市場は失望を繰り返してきました。市場のいら立ちや苦悩が総理や大蔵大臣にはまるで届いておりません。その経済対策は、内外の市場から常にべっ視の対象とされ続けてきたのであります。我が国の経済財政運営は機能停止の状態に陥ってきたというのが本当のところではないでしょうか。
 政治家の要請は時を知ることにあるとも言われます。享保年間に活躍した太宰春台は、為政者のあるべき心得について、その著「経済録」に「凡経済ヲ論ズル者、知ルベキコト四ツ有リ。一ツニハ時ヲ知ルベシ。二ツニハ理ヲ知ルベシ。三ツニハ勢ヲ知ルベシ。四ツニハ人情ヲ知ルベシ。」と述べております。人心の赴くところをよく察知した上で時宜を外さない対策を講じる、これが経済政策の要請であります。
 将来展望がないまま、間違った対症療法と問題の先送りが繰り返され、実態の悪さに展望の欠如が重なって、日本経済の閉塞状況がデフレ経済の方向へ加速しており、日を追ってスパイラル的悪循環の泥沼に陥る様相を深くしています。この我が国経済を覆っている閉塞感の最大の要因は、村山内閣の経済の実情に対する無理解、無認識にあると指摘せざるを得ません。
 村山内閣の一日も早い退陣こそが最も適切な経済対策であり、ジャパン・プロブレム解決の第一歩、世界に対する我が国からのメッセージとして最良の方法だと考えます。総理はいかがお考えか、お伺いします。
 さて、武村大蔵大臣、あなたは、今日ジャパン・プレミアムと言われるようになったのは村山内閣になってからであり、その多くの責任が、あなた自身の経済運営、特に金融問題への対応のったなさから来ていることに責任を感じませんか。
 特にことしに入って、邦銀の格付が急速に低下し、今や途上国並みになろうとしている状況は、単に邦銀の自己責任だけで済まされない部分があります。
 国際金融市場では、我が国の銀行はジャパン・プレミアムと呼ばれる上乗せ金利を払わないと資金が集められない深刻な状況に立ち入っています。この意味するところは、国際金融における日本の銀行の信頼が急速に低下しているという市場の率直な表現であります。
 日本の金融機関の不良債権問題の処理スキームが一向に示されないことが最大の要因であることは常識であります。すなわち、ジャパン・プレミアムのかなりの部分は、武村蔵相への国際金融市場からのマイナスメッセージであると言っても過言ではありません。
 武村さんは、このほか、特殊法人問題への対応も腰がふらついたし、大蔵大臣をやめるやめないのドラマもありました。部下の不祥事のほか、本当にいつやめても、立派にみんなが納得する材料には事欠きません。
 特に今日の大和銀行問題に関して、国際金融市場から信用を失墜した罪は大きい。英国の金融専門誌ユーロマネーが武村大蔵大臣を九五年のワースト蔵相に選んだことは記憶に新しいところでありますが、ジャパン・プレミアムとは、武村プレミアムと言いかえてもおかしくはありません。この際、武村さんには大臣をおやめいただいて、タヒチに長期滞在された方が日本のためになるというちまたの声も、あながち方向違いとは言えません。
 また、為替における武村蔵相の認識の甘さも見逃すわけにはいきません。先月ワシントンで行われた主要七カ国蔵相・中央銀行会議が終わった後、武村大臣は、現在の為替相場が円安への反転の過程であることを確認できて満足していると述べておられます。しかしこれは、認識は余りにも甘過ぎます。深刻な長期の不況、不良債権の問題、大和銀行問題などに揺れる日本の惨状をこれ以上放置すれば、日本発の世界金融危機を恐れる先進諸国が協調しているだけの話であることは、皆さん御承知のとおりであります。武村大臣、みずからの政治責任をいかがお考えか、お伺いをいたします。
 さて、大和銀行に対する米国の退去命令の問題であります。
 大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失事件に対する日本政府の対処について、世界の反応は想像を絶するほど厳しいものがあります。先ほどの武村大臣の報告を聞いておりますと、いかにも自分には何の責任もないような大変能天気な御報告であったようにも思います。
 しかし、ニューヨーク・タイムズ紙は、ベアリングズ社シンガポール支店での巨額損失事件についての英国の銀行監督局の態度、まさに真っ先に事件の調査を行ったのに対し、これとは逆に、日本の大蔵省は騒ぎを最小限にして損失を隠すために大和銀行と結託したのではないかと酷評いたしております。また、ウォールストリート・ジャーナル紙は、社会党中心の偽りの連立政権の連中には、どんなに恥をかかせてもやめることはないし、何かに対して責任をとらせることもできないと書いて、あきれ果てております。
 一番の問題は、大和銀行が、FRB、米国連邦準備理事会に報告を提出するまでの空白の四十日間、一体大蔵省は大和銀行から八月八日に報告を受けて以来何をしていたのでしょうか。九月十二日まで一カ月以上、なぜ早く詳細報告を求めなかったのか。なぜ四十日間も米国当局に何の連絡もとらなかったのか。米国側の異例の処分は、単に大和銀行に対してだけでなく、大蔵省をも意識して行われたと言われております。この点ほどう受けとめておられますか。
 私は、邦銀の格付問題を初め今後の国際金融市場における邦銀の活動への影響を考えるとき、この空白の四十日間をつくった責任は極めて大きいと考えます。武村大蔵大臣、どう責任をとりますか。
 今回の大和銀行ニューヨーク支店事件への対応については、国際金融不安解消のための国際協力という点からも大きな問題があります。国際決済銀行も、国際的な活動を行う市中銀行等への監督強化と当局間の相互協力義務や報告を受ける権利を明示した国際協定を結んでおります。米国が国家ぐるみの犯罪とみなしているとの見方もあります。この海外からの厳しい批判について、総理及び大蔵大臣の答弁を求めます。
 大和銀行事件に際して今政府が取り組まなければならない第一の課題は、もう手おくれとはいえ、事件の全容や大蔵当局とのかかわりを国内外に洗いざらい明らかにすることであります。そして、不都合なことは隠したがるというイメージを早く払拭することが必要であります。
 第二は、こうした事件が起きたときの当局への連絡、情報開示のルール、国際的協調体制について、いま一度総点検をしてルールを明確にすることであります。
 第三は、国際的な金融再編のうねりが始まっている中でどう対応するのかということです。アメリカでも最近、大規模合併が二件報告されております。不良債権を抱えて苦しんでいる日本の銀行が、従来どおり二十一行の体制のままでい続けることは考えられないことであります。住友銀行と大和銀行の合併だけで事足れりということにはまいりません。そうした事態を視野に入れた金融行政を展望する必要があります。これを機会に金融再編が大幅かつ急速に展開されると考えますが、大蔵大臣の御見解を伺います。
 先月、松下日銀総裁がイングランド銀行総裁に対して、住専問題が日本の金融システムのシンボルになっており、その解決を急ぐ旨の約束をしたとされております。年内にこの住専の処理スキームをつくる運びとなっておりますが、その割には総理も大蔵大臣も人任せで大変のんきな構えでおられるように見える。世界じゅうが注目している課題にもかかわらず、リーダーシップのかけらも見えない。
 特に公的資金投入の論議は重要であります。一口に公的資金といっても、日銀の特融や財政資金の投入など多様な形があるし、どの段階で、どの機関に対して、どういう条件のもとで投入するのか、抽象論では済まされない。金融混乱を避けるためには最終的には財政資金の投入を必要とすることを、今から大蔵大臣は国民に向かって正面から真剣に訴えて国民的合意をつくる努力をなすべきではないか。職を賭するだけの覚悟がなければ、この問題は絶対に解決できないテーマであります。
 既に十一月の半ば、具体的な処理スキームの基本的な考え方、方向性くらいは出なければおかしい。間に合わなくなると思います。明らかにしてもらいたい。もし年内にまとまらなければ、今度こそ武村大蔵大臣は責任をとりますか。
 今回の大和銀行に対する米国の処分によって、我が国金融機関の不良債権の償却について、徐々に行っていくという行政当局の願望は断ち切られたと考えます。その場合、一括処理に耐えられる銀行とそうでないところが出るのではないかと思いますが、一括処理で行うことができない金融機関についてどういう対応を考えておられるのか。これは極めて重要な課題だと考えます。
 最後に大蔵大臣の御見解を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(村山富市君) 野田議員の質問にお答えを申し上げます。
 まず、江藤総務庁長官の、日韓併合、植民地支配を行ったとされるオフレコ懇談の発言について御質問がございました。
 私も、新聞報道などを通じてその概要は承知をいたしております。その発言は、朝鮮半島の方々の気持ちをいだく傷つけるものであり、極めて不適切であると考えました。私は、本日朝、江藤長官を呼んで厳重に注意をし、改めて記者会見で発言を撤回して陳謝の気持ちを明らかにするよう指示をいたしました。長官は既に記者会見を行いました。この厳重注意は、この問題に対する政府としての強い姿勢を示したものであります。また、長官も真摯に反省をし、みずからの発言を全面的に撤回されました。意のあるところについて御理解をいただきたいと思います。
 なお、私は、日本が過去の一時期行った植民地支配によって多くの人々に耐えがたい苦痛と損害を与えたことに対し、深く反省をし、おわびをしなければならないと考えており、この旨は八月十五日の談話でも明らかにしたところでございます。
 次に、いわゆるジャパン・プロブレムについてのお尋ねでございますが、戦後五十年の節目を迎えるとともに二十一世紀を間近にした今日、戦後の我が国を支えてきた経済社会システムは大きな曲がり角に来ており、その思い切った見直しや改革が強く求められておると考えております。いわゆるジャパン・プロブレムと言われることにつきましても、同様の問題意識によるものと思われます。
 この内閣は、改革推進政権として、これまでも思い切った景気対策や経済構造改革を推進してきたところでございますが、内外の御意見、御批判に謙虚に耳を傾けながら、将来の展望を切り開いていくように引き続き全力を傾けてまいる所存でございます。(拍手)
 このように、我が国にとって重大な課題に不退転の決意で取り組んでいくことこそが我が国に対する内外の信頼を得ていく道であり、現時点では退陣は全く考えておりません。
 次に、大和銀行事件に関する行政批判についての御質問でございますが、まず、今回の大和銀行に対する米国の処分は、あくまでも大和銀行自体の行為に対して決定されたものであることは御理解をいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、政府といたしましては、今回、邦銀の海外拠点に対する監督のあり方等についてのさまざまな議論があったことを謙虚に受けとめ、今回の事件を貴重な教訓として、相手国の銀行監督に関する対応の仕方にも十分配意するとともに、国際化の進展に伴う監督手法の共通化の観点から、これまでの行政手法について再検討を行っていく必要があると考えておるところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手、発言する者あり)
#8
○議長(土井たか子君) 静かにしてください。静かに。
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#9
○国務大臣(武村正義君) まず、今回の事件を含めてこの一年を振り返ってみますと、率直に言っていろいろなことが次々と起こりました。二信組から始まって、地震もございましたが、金融問題としては、コスモ、そして木津、兵庫銀行、そしてこの秋の大和銀行事件であります。もちろん、急激な円高があり、株安が春から夏にかけて起こりました。さらには、大蔵省の職員の不祥事件もこれに加わりました。経済が低迷している中で、実はことしは地震対策も含めて三回もかなり積極的な財政出動をせざるを得ませんでした。
 このことを率直に振り返りながら、少なくとも私自身は、野田議員の御指摘がありましたけれども、一つ一つのこの大事な問題に対して、全身全霊をもって間違いのないように判断をし、行動をしてきたものであります。(拍手)
 それにしましても、なぜことしこういうさまざまな問題が起こるのか。すべてとは言いませんが、率直にそのことを振り返ってみる必要があると思います。
 私は、やはりこの十年間の日本の経済の歩みを振り返る必要があると思います。端的に言えば、この十年間、異常なバブルが起こり、これが壊れて、崩壊をして、今こういう経済の低迷があるというこの経済の状況であります。
 金融の側面から見れば、まさにこの十年間に日本の金融機関は必死で自由化を進めてまいりました。行政もその努力をしてきたわけでありますが、金融機関も自由化への対応、そして世界への積極的な進出、国際化に取り組んできたところであります。明治以来の金融の歴史の中でこの十年ほど大きな変化はなかったわけであります。
 そういう状況、背景の中でことし次々といろいろな事態が起こっていることを私どもは考えますと、まず政治行政も含めたこの十年の経済を率直に振り返ることが必要でありますし、そこから何を反省するか、大蔵省みずからも過去の財政や銀行行政、どこを反省をしなければならないか、そのことに真剣に目を向けなければならないというふうに思っております。
 きょうは多くを語る場ではありませんが、金融の側面から見ても、私は率直に言って二つのことを反省しなければならないと思っております。
 一つは、やはり護送船団方式とかあるいはなれ合いとか過保護と言われましたように、明治以来、日本の金融の世界は行政と業界が一体ですべての問題を進めてきた、そういう嫌いがあります。そのことを考えますと、行政と業界の距離をあける、そしてお互いに緊張関係を持ちながらこの新しい時代に対応をしていく必要があるということであります。
 もう一つは、ディスクロージャー、情報公開の問題でありますが、今回の大和の事件を振り返りましても、野田議員の御指摘のように、これはアメリカの新聞等々の批評ではありますけれども、少なくとも日本の情報開示が徹底していない、かなり時期が、事件が起こってからずれているという御批判を受けております。
 そのことを率直に認めながら、今日までの大蔵省のこういう事態に対する対応は、まず金融機関みずからが、内部で事件が起こったときにはまずその真偽のほどや実態を明らかにする、真剣な調査をしてその事実をつかんで、その後大蔵省が銀行行政で一定の指示をする、あるいは行政措置をとる、こういう姿勢でやってまいりました。まずは銀行という姿勢が先にあったわけでありますが、そのことも今回のアメリカでのこうした事件の反省を踏まえますと、少なくとも問題はアメリカで起こっている、日本ではない、アメリカはアメリカの常識があり、アメリカの法律がありルールがある、そのことに対する思いが銀行も私ども大蔵省も必ずしも十分でなかった点は率直に反省をしなければならないと思うのであります。
 いずれにしましても、今回の事件を貴重な教訓として、世界に通用する、まさに二十一世紀を展望した金融システムの大きな変革に対応していくため、心新たに取り組んでまいりたいと思います。
 次に、四十日の空白の問題でありますが、これも銀行局長の報告を聞きますと、八月八日、大和銀行頭取以下数名の幹部が参りまして、銀行局長がこの話を聞いたわけであります。もちろん、それは事件を起こした本人からの告白をもとにした報告であります。まだ真偽のほどは定かでありません、これから大和銀行は一生懸命現地で調査をします、書類も何万枚かある中で全部チェックをして調べますが、相当な期間がかかるという頭取の報告に対して、西村局長はむしろ、急いでください、銀行の判断よりももっと早くしてくださいという指示を与えているところでございます。それでも結果的には四十日余りの日時がたって大蔵省に正式の報告が上がってきたわけであります。
 このことが大変遅いという御指摘を受けているわけでありますが、このことについては、先ほどお答えを申し上げたとおりでございまして、やはり外国で起こっていることについては、もう少し銀行も私どももそのことを重視して対応すべきであったという反省を強くいたしているところであります。
 今後、こうした貴重な経験を踏まえて、私どもは、局長クラスを中心にした大蔵省の中で新しい対応の委員会をつくりました。一つは、外国金融監督当局との一層緊密な情報交換の促進を図ってまいりたいと考えます。一つは、銀行の内部管理体制等に対する監督をより充実をしていきたいと思います。さらに、金融機関において一たん不祥事件が起こった場合には、この取り扱いについて適正な努力をしていかなければならないと思っております。最後に、海外拠点に対する検査の充実にも意を尽くさなければならないと考えております。こうした四つの点を中心にしながら、今回の経験を貴重な糧にして再出発をさせていただきます。
 先ほど私の責任問題に対するお尋ねも再三ございましたが、もう既に申し上げましたように、大和銀行問題に対する米国の処分については、あくまでも大和銀行自体の行為に対して決定がされたわけであります。日米の金融監督当局間の問題とは別であります。
 いずれにしましても、私たちは、置かれているこの金融環境の厳しさを十分認識しながら、事件を貴重な教訓として、文字どおり日本の金融の国際化、世界に通用する、二十一世紀を展望した新しいシステムヘの変革に全力を挙げて取り組んでまいります。
 金融再編についてのお尋ねでありますが、大和銀行が米国との関連で必要な業務について住友銀行が全面的に支援することとなっているわけでありますが、これは大和銀行が米国から全面撤退しなければならないという個別の事情に起因するものであります。このことが直ちに日本の金融界全体の再編に発展をしていくというふうには認識をいたしておりません。
 次に、財政資金の投入の問題でありますが、金融機関の破綻処理につきましては、まず最大限の保険料引き上げを含む預金保険の発動など、金融システムの中での最大限の対応によりまして、破綻処理に対応していくことがまず基本であります。その上で、そのような措置が講じられた後においてもなお、破綻金融機関を消滅させる一方で、預金者に損失を直接分担させることを避ける必要がある場合には、公的資金の時限的な導入も検討をしなければならないという考え方であります。
 また、金融機関が破綻に陥る以前の段階におきましても、不良債権処理のおくれが金融システム全体に著しい悪影響を及ぼすことになるような場合には、公的資金の導入も含めて早期に問題の解決を図る、そういうあり方も検討しなければならないと認識をいたしております。
 いずれにしましても、公的資金の時限的な導入により納税者に負担を求めるということについては慎重かつ真剣な検討が必要でありますし、大蔵省としましては、今も申し上げましたように、金融システム内の最大限の対応や各方面における真剣な御論議を踏まえながら、最終の結論を出してまいりたいと考えます。
 次に、住専処理のスキームについてのお尋ねでありますが、住専問題につきましては、現在の不良債権問題の中で象徴的かつ緊要な問題であります。その早急な解決が、国内のみならず諸外国からも要請されてきているとも言えます。この問題への対応に当たりましては、母体、農協系等を含めた貸し手金融機関、住専自身など当事者の真剣な取り組みが重要でございますし、現在、当事者間における協議の場が持たれて話し合いが進められているところでございます。大蔵省としましては、この当事者間の真剣な協議を一層強く要請し、適切に役割を果たしながら、お約束を申し上げておりますように、年内に処理策の策定ができるよう全力を尽くしてまいります。
 最後に、不良債権の一括処理についてのお尋ねでございますが、住専に係る不良債権の償却の具体的な方法につきましては、住専の処理方策を踏まえて検討される必要があります。この住専をめぐる問題については、年内に処理方策を固めると今も申し上げましたが、現時点では、住専に係る不良債権の償却の具体的な方法や、特に償却の個別金融機関への影響について、当局として具体的な数字を申し上げられる状況ではありません。
 いずれにしましても、住専問題処理を含めた不良債権の早期処理を進めて、金融システムの安定化のために全力を尽くしてまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(土井たか子君) 畠山健治郎さん。
    〔畠山健治郎君登壇〕
#11
○畠山健治郎君 私は、自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの御了解をいただき、代表して、ただいま大蔵大臣から御報告のありました大和銀行問題について緊急に幾つかの点について御質問いたしますが、多言ではなく、国民に向けて明確に答弁をお願いいたしたいと思います。
 我が国を代表するともいうべき大手都市銀行が、国際金融センターの一つ、いや中心であるアメリカから米国内での業務全面停止という措置を命ぜられたことは、何か歴史のきな良ささえ覚え、まことに驚きにたえません。しかし、その原因が、ただいまの大蔵大臣報告にもありますように、大和銀行とダイワ・トラストが一連の事件で不健全な行為と極めて重大な長期間の法令違反に関与していたという以上、法と商業倫理に極めて厳しいアメリカであれば、このような措置は驚きには当たらないというべきでありましょう。これを一部ジャパン・バッシングなどと受けとめるのは、むしろ問題の本質を見失うものと考えます。
 大和銀行は、ニューヨーク連邦大陪審に二十四の罪で起訴されておることに対し、組織ぐるみとされている点については争うとされており、この点については裁判にゆだねるしかございません。しかし、銀行の犯罪ととらえていると思われる米国の今回の措置を奇貨として、我が国金融・証券行政のあり方を根本的に見直すことが、この際強く望まれているのではないでしょうか。
 その際、我が国が十分念頭に置かなければならないことは、大和銀行の問題が一行員による不正取引というスキャンダラスな問題に対する銀行の内部管理体制、あるいはこれにかかわる大蔵省の監督問題にとどまるものではないということであります。大切なことは、我が国金融システムを経済のグローバル化にどのように適合させるか、つまりドメスティックスタンダードとグローバルスタンダードの適合という基本問題の解決が問われていることを忘れてはなりません。
 以上のような観点から、私は総理並びに大蔵大臣にお伺いをいたします。
 大蔵省がこの問題を大和銀行より報告を受けたのは八月初旬とされております。しかも、この報告後も大和銀行は隠ぺい工作や不正な債権取引を行っていたことが、事もあろうに米国によって明らかにされているのであります。これは一体どう理解すればよいのでありましょうか。大蔵省が米国に知らせたのはそれからおよそ一カ月後、事が明るみになってからであります。これでは大和銀行のみならず大蔵省までもが不正取引の隠ぺいに加担していたと思われても、第三者的に見て仕方がないのではありませんか。
 大蔵省は、金融システムや証券市場への影響を勘案し、国際金融における波乱要因の種をまきたくないと考えてのことでありましょうが、しかし、他国の主権下における邦人企業、それも信用を最も重んずる金融機関の不正を速やかに米国に通知しなかった判断は、経済のグローバル化に対応するには余りにも内向きと指弾されても仕方がないのではないでしょうか。官民の当事者がそろって報告をおくらせたのではないかという国際的不信感を助長したことは、結局はジャパン・プレミアムの一因ともなっていることを知るべきであります。まず、この点についての大蔵大臣の所見を伺いたいと存じます。
 次に、大蔵省はこれまで、金融機関に不祥事があれば、金融機関自身の調査解明を優先させてまいりました。しかし、協和、安全の二信組問題を初めとする一連の不祥事を見ても、この手法は金属疲労を起こし、国内ですら通用しなくなっているのではないでしょうか。してみれば、迅速で透明性の高い解決策のあり方を追求する必要があります。
 そのためには、処理コストの軽減につながり、かつ、金融システムの安定化にも一層貢献するシステムの形成、すなわち事後処理よりも事前の対策にウエートを移すことが重要であり、情報開示の徹底は不可欠で重要な要素と言えます。早期是正に向けた早目のシグナルを発する仕組みとして、各金融機関の自己資本比率から回収不能債権額を除く方式、例えばアメリカで採用されている正味自己資本比率の基準等が参考になるかと思います。このことは、ジャパン・プレミアム問題に見られるように、不良債権の情報開示の不十分さにより邦銀全体が影響を受けていることからも緊急な課題であります。大蔵大臣の所見をお伺いいたしたいと存じます。
 今回の大和銀行問題のもう一つの教訓は、金融・証券の自己責任原則を打ち立てる新たな金融・証券システムを形成することにあると考えます。その場合大切なことは、金融・証券にかかわる規制についてこの際徹底的に見直し、グローバル化に対応する金融・証券制度を確立することではないでしょうか。そのため、政府は、規制緩和計画の一環として、金融・証券について特別な緩和計画を新たに策定する必要もあるのではないかと考えます。これが我が国の金融・証券に対する国際信用を高める構造対策と考えますが、大臣の所見をお伺いしたいと存じます。
 これと連動して、さらに重要なことは、これまでの金融行政の見直しの問題であります。自己責任原則の確立とあわせ、既存の行政機構を見直し、金融機関のルールに沿った活動を監視・検査する新たな機構を整備する必要があるのではないかと考えますが、大臣の所見をお伺いいたしたいと存じます。
 先月開かれた米国下院公聴会では、邦銀の経営破綻が国際金融市場を混乱に陥れるとの懸念が議論されたと伝えられております。住宅金融専門会社の不良債権問題の広がりを見れば、杞憂にすぎないとは言えません。重要なことは、問題解決をもはやこれ以上先送りしないということであります。問題発生、課題先送り、うやむや処理といった、とかくこれまで見られた我が国の処理方法は、国際的には通用いたしません。その意味で、貸し手責任、母体行責任と、問題のなすり合いでいたずらに時間を食うことは許されないはずであります。大臣の決意のほどを伺いたいと存じます。(拍手)
 最後に、総理にお伺いをいたします。
 今回起きている問題は、信用秩序の保持という問題は当然でありますが、我が国が国際金融・証券面でどのように国際貢献をするか、我が国の基本スタンスにかかわる問題であります。総理の基本的なお考えをお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(村山富市君) 先ほどの野田議員の質問に対して答弁漏れがございましたので、補足答弁を行います。
 野田議員の御質問の中で、河野外務大臣の訪韓目的についてのお尋ねがございました。
 これは、間近に迫りましたAPECの問題について、日韓の外相会談を行って若干の意見調整をする必要もございましたし、訪韓について打診をして、既に決めておったわけです。その後で江藤総務庁長官発言問題が起こったのでございまして、その目的のために訪韓するものではございません。
 次に、畠山議員の質問にお答えを申し上げます。
 我が国の国際金融・証券面における貢献についてのお尋ねでございますが、我が国は世界最大の資本輸出国として国際金融・証券の分野で重要な位置を占めております。今回のような海外拠点の問題につきましては、相手国の考え方やそこにおけるルールを十分認識し、今後こうしたことが起きることのないよう関係者の厳しい努力を求めたいと考えております。こうした努力により、我が国の金融システムに対する内外の信頼を確保することを通じまして、我が国が国際金融・証券の分野で一層貢献していくことが重要であると考えております。
 以上です。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#13
○国務大臣(武村正義君) ジャパン・プレミアムのお尋ねでございますが、まず、アメリカヘの報告のおくれに関しての質問がございましたが、先ほどもお答えをいたしました。
 これまでの大蔵省のやり方というか手法は、不祥事が起こった場合には、まず起こした金融機関の中で真偽のほど、事実解明をきちっとやって、その報告を受けた後、大蔵省が具体的な措置をとっていく、こういう姿勢の延長線上で今回も対応をしたことにあります。しかし、はっきり申し上げられることは、こんな大きな不祥事件を私ども大蔵省が隠ぺいするなどということは、だれ一人全く考えないことであります。この点は誤解のなきようお願いいたしたいと思います。
 あくまでも、八月八日に頭取以下が銀行局長に、告白があった直後でありますが、まずはその報告があって、告白でございますからまだ真偽のほどが定かではありません、ニューヨークヘ、これからスタッフが行って徹底して調べます、十一年間の書類は七万枚ぐらいあるということでございますが、徹底してこれを精査してきちっとします、相当期間がかかるという話があったのに対して、銀行局長は、それじゃ困る、もっと急いでもらいたいという指示をしたぐらいでございます。それでも四十日余りかかってしまった。これがアメリカの常識ないしはルールから見れば大変おくれた。大蔵省も隠ぺいに加わったのではないかというふうな、そういう見方が一部にはあるということであります。事実は今申し上げた状況だということを御理解いただきたいと思います。
 なお、ジャパン・プレミアムにつきましては、我々も注意深く、この動きについては日々状況を、朝昼晩状況を見守っているところでございますが、基本的には、あくまでもこれは市場の資金の需給関係によって決まる問題でございます。今回、幸いといいますか、大和銀行の事件がアメリカ当局によって発表された後、少なくともプレミアムは動きがない、影響がないという報告を受けております。
 次に、情報開示の徹底等についてのお尋ねでございますが、金融機関は、株主等投資家の保護などの観点に加えて、経営の透明性の確保のためにも、その経営に重大な影響を与える事実が発生したような場合には、関係法令に照らして適切なディスクロージャーを行うべきことはもちろんでございます。また、金融機関の健全性維持の観点からも、早期是正措置を導入していく必要性については私どもも十分認識をいたしております。
 これまで、たびたび申し上げましたように、こうした不祥事件への取り扱いについては、まず金融機関という考え方が常識化しておりましたために、このことを反省しながら、今後は、国際化の進展やあるいは国際的な監督手法の共通化の観点に立って、行政手法についても見直しをいたしてまいりたいと思います。そのために、大蔵省の中にもこの問題に対する委員会を発足させたところでございます。この結果を踏まえて、金融監督者等の国際会議の中でも、日本としては一定の提案をしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、金融・証券についての特別な規制緩和計画についての御提案と御質問でございますが、金融・証券分野におきましては、一つは競争を促進させる、もう一つは利用者の多様なニーズにこたえる新しい商品・サービスの提供、経営判断による創意工夫の発揮を促進する、さらにもう一つは我が国金融・証券市場の一層の活性化を図っていく、こうした観点からこれまでも規制緩和に取り組んでまいりました。今年三月には、特にこうした視点から規制緩和推進計画等を進めてきたところでございますが、さらに今後もこうした姿勢を貫いて、着実な規制緩和の実施に努力を重ねてまいりたいと考えます。
 監視・検査の新たな機構についてのお尋ねでございますが、いずれにしましても、今回の事件を貴重な教訓としながら、この分野、監視・検査機能の充実という分野におきましても工夫をこらしていかなければならないと考えております。金融機関の監督や検査は、一体として金融機関の業務、財産の健全性確保を図ることを目的としていることを踏まえれば、機構を新たに設ければいいという単純な発想は私どもはとりません。どうしたら実質、監督・検査の機能がより強化されるか、そしてこういう間違いを少しでも早く発見をし、未然に防止できるか、その一点に立って真剣に取り組んでまいりたいと考えます。
 最後に、住専問題の早期解決でございますが、先ほど野田議員の御質問にお答えをさせていただきました。決して先送りするという考えはとりません。年内、解決案のまとめに全力を挙げて取り組んでまいります。そのことを繰り返し強調をさせていただいて、終わらせていただきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(土井たか子君) 佐々木陸海さん。
    〔佐々木陸海君登壇〕
#15
○佐々木陸海君 私は、日本共産党を代表して、ただいま大蔵大臣から報告のありました大和銀行問題を中心に、幾つか質問をいたします。
 大和銀行の現地法人が千百億円という巨額の損失を出し、それを隠ぺいしてきたという問題をめぐって、大和銀行はもちろん、その活動を監督すべき立場の大蔵省の責任が国際的にも問われております。
 大和銀行の副頭取は記者会見で、「事件が生じたらすぐ届けることが米国のルールだということを、私も含めて役員はだれも知らなかった」などと言いました。日本の大銀行は、世界最大の金融勢力であります。そうであるにもかかわらず、その活動する国のルールも守らず、隠ぺい工作をやり、ルールを知らなかったなどと言い逃れる。そして、日本の政府がそれに事実上加担してきたのです。そのでたらめぶりが、今「世界の異端児」といった言葉さえ使って告発されているのであります。総理、そして大蔵大臣、こうした内外の糾弾と告発に、あなた方はどうお答えになりますか。それぞれの立場から明確な答弁を求めます。(拍手)
 大和銀行の問題に関して、日本の他の大銀行の役員たちは、総じて同情論ばかりを展開し、反省もなければ問題にメスを入れる姿勢もありません。大蔵大臣、こういう事態をどう考えますか。率先して大蔵省の責任と反省を明らかにすべきではありませんか。
 大蔵省ぐるみの談合という批判は、この問題の経過に照らして全く正当であります。我が党は、以前から天下り等を通じた大蔵省と銀行業界との深い癒着を糾弾し、銀行監督の仕事を大蔵省から独立させるべきことを主張してまいりました。こうした改革を直ちに実行する意思があるか否か、総理の見解を問うものであります。
 銀行のルール無視は国内でも横行しています。それがバブルの時期に国民に大きな被害を与えた典型例の一つが、変額保険問題であります。ハイリスク商品であることの説明がなされていなかったとして、被害者から三百件を超える訴訟が起こされており、その大半で保険会社とともに銀行が訴えられています。大蔵省は裁判の動向を見守る姿勢に終始し、監督官庁としての責任ある対応をとろうとしておりません。大蔵省としての判断を示し、違法な募集行為には厳正な態度をとるべきではありませんか。被害者救済に向けた大蔵省の積極的な対応を求めるものであります。
 金融にかかわる問題が重大問題となっている今、大蔵省と金融業界との癒着を断ち切るのはもちろんのこと、政党、政治家もいささかなりとも国民の疑惑を受けない態度をとることが肝要であります。東京協和、安全の旧二信組の乱脈事件をめぐる山口敏夫元労働大臣にかかわる疑惑なども、徹底的に解明しなければなりません。
 私は、さきの本会議で、昨年の銀行業界の政治献金が突出していることを挙げて質問しました。政党や政治家が、国内外での銀行のルール無視を黙認し、公定歩合の異常な引き下げを進め、不良債権問題で公的援助を行おうなどとしていることに対し、銀行業界からの多額の献金との関係を国民から疑われても仕方のない事態ではありませんか。大蔵大臣を党首とするさきがけが昨年受け取った献金の実に八六%が銀行業界からのものであったという点に関して、大蔵大臣は、政党助成法の三分の二条項にまで触れて、こうした献金を受け取ったことを肯定し、何の反省も示しませんでした。
 大蔵大臣に重ねて聞きます。
 こういう事態が政府や大蔵省の施策への国民の不信を一層深めるとは考えませんか。与党三党は、会期末のどさくさに紛れて、三分の二条項を取り払って憲法違反の政党助成金を目いっぱいもらおうなどというとんでもない法案を出してきましたが、大蔵大臣、あなたはこういう方向で問題が解決されると考えているのですか。この点は、新党さきがけの党首として明確に答弁してください。
 自民党の党首としての橋本通産大臣にも、前回に続いて重ねてお尋ねしたいと思います。
 日本の金融問題が大きな疑惑を含めて国際的な焦点ともなっている今、少なくとも金融業界からの自民党への政治献金を当面遠慮するというくらいの姿勢はとれませんか。国民への責任の問題として、明確な答弁を求めたいと思います。
 最後に、大蔵省あるいは政党、政治家と金融業界との癒着を断ち切るというこの重大問題について総理の所見を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(村山富市君) 佐々木議員の質問にお答えを申し上げます。
 今回の大和銀行の問題についての御質問でございますが、本件は、先ほども申し上げましたように、元従業員が不正行為を行ったことに加え、銀行自身による不適切な業務運営が指摘をされ、大和銀行が米国金融当局から極めて厳しい措置を受けるに至ったものでございまして、まことに遺憾なことでございます。
 今回のような海外拠点の問題につきましては、相手国の考え方やそこにおけるルールを十分認識し、今後こうしたことが起きることのないよう、関係者の厳しい一層の努力を求めたいと考えているところでございます。また、政府といたしましても、今後、外国金融監督当局との一層の緊密な情報交換に努めるとともに、海外拠点に対する監督・検査の充実を図ることによりまして、我が国の金融行政に対する内外の信頼を確保していかなければならないと考えております。
 次に、天下り等を通じた銀行業界と大蔵省との深い癒着を糾弾し、銀行監督の仕事を大蔵省から独立させるべきではないかとの御質問でございますが、大蔵省は従来より厳正かつ公正な行政を行っているところであり、銀行業界と大蔵省が癒着をしているとの御指摘は当たらないものと考えております。
 また、現在大蔵省が担っている予算編成、徴税、金融等のすべての機能は、いずれも経済運営上密接に関連する重要な政策手段でございまして、これらの機能を一つの省で一体的に運営することが我が国経済の円滑かつ効率的な運営に必要不可欠であると考えているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 次に、大蔵省、政党、政治家と金融業界との癒着を断ち切るべきではないかとの御質問でございますが、大蔵省においては厳正かつ公正な金融行政に努めており、何らかの配慮により金融行政がゆがめられたということはないと承知をいたしております。今後とも、引き続き綱紀の厳正な保持について注意を喚起し、その徹底を図ってまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣武村正義君登壇〕
#17
○国務大臣(武村正義君) 今回の大和銀行の一連の事件につきましては、先ほど冒頭の報告で申し上げましたように、大和銀行の元従業員が不正行為を行ったことに加えて、銀行自身が不適切な業務運営を行っていたことが指摘をされて、大和銀行が米国金融監督当局から極めて厳しい措置を受けるに至ったものであります。すなわち、今回の米国の処分はあくまでも大和銀行自体の行為に対して決定されたものであります。金融監督当局間の通報の問題で何らかの処分が行われているわけではありません。
 次に、問題にメスを入れる姿勢がないという御指摘でございますが、この点は先ほど来の御質問にもお答えをしてまいりました。従来の考え方を反省して、特に国際化時代の中で、世界共通のルールあるいは相手国のルールというものに、より真剣な目を向け、新たな努力をしていかなければならないと考えております。
 金融監督当局との一層の情報交換を進めることも必要でございますし、また、銀行の内部管理体制に対する監督の充実ということも、今回の事件から大いに新しい知恵を出していかなければなりません。一たん不祥事件が起こった場合には、これをどう迅速に処理していくのか、特に外国での不祥事件の扱いについても適正化を図らなければならないと思っております。
 最後に、検査の機能をどう充実さしていくか、海外拠点における検査をどう充実さしていくかという問題につきましても、この事件から新たな知恵を生み出してまいりたいと考えております。
 変額保険をめぐる訴訟につきましては、生命保険会社とともに、銀行の行為につきましても、保険募集人以外の者が保険募集を行ったことが保険募集の取締に関する法律に抵触するのではないかといった点から問題とされていることは、承知をいたしております。ただし、銀行の責任を問う判決については、いずれも一審のものでございますし、現在までのところ、判決が確定したものはないと承知をいたしております。
 あえて申し上げますと、銀行は銀行法に基づく免許企業であり、この社会的役割や公共的側面にかんがみまして、法令等を遵守し、顧客との間で無用のトラブルを生まないよう努めるのは当然のことでございます。大蔵省としては、今後とも適正な業務運営がなされるよう、引き続き銀行を指導してまいります。
 最後に、さきがけの政治資金と三分の二条項についての御批判でございますが、先般本会議でお答えを申し上げたとおりでございます。さきがけは、たまたま昨年は他の業種や個人の献金が少なかったために、金融機関からの献金の比率が高いということになってしまいました。しかし、そのことが政府や大蔵省の施策への国民の不信を一層深めているとは思っておりません。しかし、三分の二条項がなくなれば、それにより、少なくとも三分の二条項をクリアするための不本意な企業献金要請はなくなるという効果も一面あるというふうに私は認識をするところであります。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#18
○国務大臣(橋本龍太郎君) 佐々木議員にお答えを申し上げます。
 企業も社会を構成する一員であり、法人として政治に参加し、また民主主義を守るコストを負担することは、一定の節度のもとで許されております。一方、今社会的に問題になっている金融問題は、それ自体についてただすべきはただすべき問題として論議をされるべきものでありまして、この問題と社会を構成する法人としての政治参加の問題は別の次元のものであると考えます。
 なお、いわゆる政治とお金の問題について、その透明性、公正性を確保しなければならないことは当然のことであります。(拍手)
#19
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#20
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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