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1995/11/21 第134回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第134回国会 本会議 第16号
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1995/11/21 第134回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第134回国会 本会議 第16号

#1
第134回国会 本会議 第16号
平成七年十一月二十一日(火曜日)
    ―――――――――――――
  平成七年十一月二十一日
    午後零時五十分 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
  脱税の防止のための日本国政府とヴィエトナ
  ム社会主義共和国政府との間の協定の締結に
  ついて承認を求めるの件
 サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書
  の締結について承認を求めるの件
 あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条
  約の締結について承認を求めるの件
 接収刀剣類の処理に関する法律案(文教委員長
  提出)
 橋本通商産業大臣のAPEC大阪会議等出席報
  告及び河野外務大臣のAPEC大阪会合を中
  心とする外交案件に関する報告及び質疑
    午後零時五十九分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(土井たか子君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 小森龍邦さんから、海外旅行のため、十一月二十六日から十二月三日まで八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
#5
○山本有二君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とヴィエトナム社会主義共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書の締結について承認を求めるの件、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、右三件を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#6
○議長(土井たか子君) 山本有二さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とヴィエトナム社会主義共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件サービスの貿易に関する一般協定の第二議定害の締結について承認を求めるの件あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
#8
○議長(土井たか子君) 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とヴィエトナム社会主義共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書の締結について承認を求めるの件、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長三原朝彦さん。
    ―――――――――――――
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とヴィエトナム社会主義共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔三原朝彦君登壇〕
#9
○三原朝彦君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、日本・ヴィエトナム租税協定について申し上げます。
 ベトナムとの租税協定は、平成七年十月二十四日ハノイにおいて署名されたもので、国際的な二重課税を可能な限り回避または排除することを目的とし、近年我が国が締結した租税条約とほぼ同様のものであります。
 本協定は、協定の対象となる租税、企業の事業所得及び国際運輸業に対する課税、配当、利子及び使用料についての源泉地国の税率の制限並びに自由業者、給与所得者、芸能人及び学生等の人的役務所得に対する課税原則等について定めております。
 次に、サービス貿易一般協定第二議定書について申し上げます。
 ウルグアイ・ラウンド交渉の成果の一つとして、サービス貿易についての国際的規律を規定したサービス貿易一般協定が世界貿易機関協定の附属書として作成されましたが、金融サービス分野については、交渉が難航し、世界貿易機関協定の効力発生後も交渉が継続されました。その結果、本年七月二十一日に世界貿易機関の金融サービス貿易委員会及びサービス貿易理事会において、金融サービス分野についての特定の約束に係る約束表及び最恵国待遇義務の免除に係る免除表が附属する本議定書が採択され、その後、確認期間を経て、十月六日に作成されました。
 本議定書は、金融サービスの貿易について、世界貿易機関の関係加盟国が基本的に最恵国待遇の義務を負いつつ、市場アクセス、内国民待遇等に係る特定の約束を行うことにより多角的自由化を進展させることを目的とするものであり、本議定書に附属する約束表及び免除表を従来の約束表及び免除表にかわるものとして発効させるための手続を定めたものであります。
 最後に、人種差別撤廃条約について申し上げます。
 本条約は、昭和四十年十二月二十一日の第二十回国連総会において採択されたものであり、人権及び基本的自由の平等な享有を確保するため、あらゆる形態の人種差別を撤廃することを目的とするものであります。
 本条約は、人種差別を撤廃するための政策を遅滞なくとること、人種差別の思想の流布及び扇動が処罰すべき犯罪であることを宣言すること、本条約の目的及び原則普及のため迅速かつ効果的な措置をとることを約束すること等、締約国の果たすべき義務について規定しております。
 なお、我が国は、本条約の締結に当たり、人種的優越または憎悪に基づくあらゆる思想の流布等の処罰に関する規定に関し、留保を付することとしております。
 以上三件は、去る十一月二日外務委員会に付託され、同月六日野坂外務大臣臨時代理から提案理由の説明を聴取し、本二十一日質疑を行い、質疑を終了し、サービス貿易一般協定第二議定書は、討論の後、採決を行いました結果、多数をもって承認すべきものと議決し、他の二件は、採決を行いました結果、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(土井たか子君) これより採決に入ります。
 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とヴィェトナム社会主義共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及びあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の締結について承認を求めるの件の両件を一括して採決いたします。
 両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。
 次に、サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書の締結について承認を求めるの件につき採決いたします。
 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の皆さんの起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#12
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
#13
○山本有二君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 文教委員長提出、接収刀剣類の処理に関する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
#14
○議長(土井たか子君) 山本有二さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 接収刀剣類の処理に関する法律案(文教委員
  長提出)
#16
○議長(土井たか子君) 接収刀剣類の処理に関する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。文教委員長柳沢伯夫さん。
    ―――――――――――――
 接収刀剣類の処理に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔柳沢伯夫君登壇〕
#17
○柳沢伯夫君 ただいま議題となりました接収刀剣類の処理に関する法律案について、趣旨弁明を申し上げます。
 本案は、連合国占領軍に接収され、この法律施行の際現に東京国立博物館に保管されているいわゆる接収刀剣類の処理につき必要な事項を定めようとするものであります。
 本案につきましては、本院の山中貞則議員が問題の所在に気づかれ、その処理方につき熱心に取り組まれたものであり、本日の文教委員会においてこれを成案とし、全会一致をもって文教委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 その主な内容は、
 第一に、文化庁長官は、接収刀剣類ごとに、その種類、形状その他文部省令で定める事項を官報で公示しなければならないこととすること。
 第二に、接収刀剣類を連合国占領軍に接収された者は、官報公示の日から起算して一年以内に、文化庁長官に対し、文部省令で定めるところにより、接収刀剣類であることを証する事項を記載した書面及び接収の事実を明らかにした書面を提出して返還の請求をすることができることとすること。
 第三に、文化庁長官は、返還の請求があったときは、返還請求者がその返還を請求することができる者であるかどうかを審査し、その請求をすることができる者であると認めたときは、その旨を遅滞なく書面により返還請求者に通知するとともに、請求に係る接収刀剣類を返還請求者に返還しなければならないこととすること。
 第四に、返還することができない接収刀剣類は国に帰属することとし、その保管及び処分は、刀剣類に関し広くかつ高い識見を有する者の協力を求める等により、適切に行われるものとすること。
 第五に、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。その他、所要の規定を設けることとすること。
 以上であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(土井たか子君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(APEC大阪会議等出席報
  告及びAPEC大阪会合を中心とする外交
  案件に関する報告)
#20
○議長(土井たか子君) 通商産業大臣から、APEC大阪会議等出席報告のため、及び外務大臣から、APEC大阪会合を中心とする外交案件に関する報告のため、発言を求められております。順次これを許します。通商産業大臣橋本龍太郎さん。
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#21
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先週大阪にて開催されたAPEC閣僚会議、APEC非公式経済首脳会議について御報告いたします。
 まず、十一月十六日から十七日まで開催されたAPEC閣僚会議におきましては、私は河野外務大臣とともに共同議長を務めるとともに、多くの経済閣僚を中心に会談等を持ち、APECを中心に意見交換を行いました。
 本年のAPEC大阪閣僚会議の最大の課題は、昨年のボゴール宣言を受けて、これを実行に移すための「行動指針案」を策定し、首脳に提出することでした。今年の一月からこの作業を開始したわけですが、その策定、調整の過程は必ずしも容易なものではありませんでした。特に、包括性の原則、同等性の原則及び無差別原則の三つの点については、閣僚会議に至るまで調整がつかず、閣僚レベルの調整にゆだねられたわけですが、我が国も議長として調整に努めた結果、最終的には合意を形成することができました。
 今回、日本が議長として、「行動指針」の取りまとめに成功したことには極めて大きな意義があります。
 第一に、アジア・太平洋地域の信頼をから得ることができたということです。
 今回の取りまとめの過程において、多くの問題について、米国、中国といった大国やASEAN、さらにその他の国々の間でさまざまな意見の相違が存在しました。その中において、日本がいずれの問題についても、特定の側に偏ることなく、中立公正な形で調整を行ったことは、多くのメンバーに評価されております。これは、この地域における将来の日本の経済外交にとって、はかり知れない財産となるでありましょう。
 第二に、交渉あるいは拘束的、強制的な手法によるのではなく、自主性を基本としつつ、それを協調させていくというアジア的な自由化、円滑化の推進を協調的自主的自由化という形で正式に位置づけたことであります。
 従来の交渉を中心とした自由化の推進は、一方で緊張を高める場合もあります。特にAPECのように多様なメンバーが集まっている場合には、交渉に基づく自由化は必ずしも最大の成果をもたらすとは限りません。その意味で、自主性を基本とした自由化の重要性が、とかく二国間の交渉を重視しからであった米国等の先進国にも認められたということは、極めて意義深いことと考えております。
 また、今回の「行動指針」の中には、APECメンバーが平等なパートナーとして進めていくべき経済・技術協力の指針と具体的な協力行動の内容が十三の分野において定められております。自由化や円滑化は経済活力の増進に大きな意義を持ちますが、他方、自由化、円滑化の順調な推進を可能にし、成長の制約を取り除いていくためには、エネルギーや技術など多くの分野において存在する制約を打破していく必要があります。今回まとめられた経済・技術協力に関する行動指針は、こうした制約の打開に大きな力を与えてくれるものと言えるでありましょう。
 十九日に開催された非公式首脳会議においては、閣僚会議から提案された「行動指針」が承認されるとともに、これを踏まえて、二十一世紀に向けての成長制約要因である人口、食糧、エネルギー、環境といった問題に対する強い決意を持って取り組んでいくことが表明されました。さらに、各首脳が自由化、円滑化への決意を示すものとして、各首脳が「当初の措置」を大阪に持ち寄りました。これは、すべてのメンバーのAPECという地域社会に対する強いコミットメントの表明と言えましょう。
 我が国は、戦後多くの課題を乗り越えながら奇跡ともいうべき経済成長を遂げ、今や世界の最先進国の一つであります。これは、我が国が、APEC地域の多くのメンバーが今後直面するであろう多くの困難を既に経験してきたということでもあります。その意味で、我々には分かち合うべき経験、知識、情報などが豊富にあります。これを有効に活用し、地域内における連携を強化していくことは、地域の発展につながるばかりではなく、日本自身にとっても大きな意義のあることであります。
 今回のAPECは、東京以外の都市で開催された最初の大規模な首脳、閣僚級の国際会議でした。そしてこれは、関係議員の皆様、地元各位を初めとして、多くの方々の献身的な協力があればこそ可能でありました。このAPEC大阪会議が成功し、他のメンバーから高い評価が得られたということは、地元の皆様への賛辞でもあります。これは、地方の時代の幕をあける一つの大行事であったとも言えるでありましょう。
 改めて感謝申し上げ、私の報告といたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(土井たか子君) 外務大臣河野洋平さん。
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#23
○国務大臣(河野洋平君) APEC大阪会合を中心とする外交案件について御報告申し上げます。
 APEC非公式首脳会議におきましては、「アジア太平洋地域の豊かな未来の実現のための行動」という大きな課題のもとで、長期的観点から率直かつ幅広い議論が行われ、閣僚会議より提案された「行動指針」を採択するとともに、APEC経済首脳の行動宣言を発出いたしました。
 首脳宣言では、今次大阪会合をもってAPECが構想の段階を脱し行動の段階に入ったことを明らかにするとともに、「行動指針」の主要な考え方を説明しております。また、今後APECが長期的に取り組むべき人口、食糧、環境、エネルギー等の課題を示すなど、APECの今後の進路を示す有意義なものでありました。
 また、首脳会談の際には、自由化に真剣に取り組む決意を内外に示すため、各首脳より具体的な「当初の措置」が提示され、我が国も実質的で広範な「当初の措置」を提示いたしました。
 今回の会合を通じ、今後のアジア・太平洋地域の経済発展に向けた各国の強い意欲とともに、我が国の役割に対する大きな期待を改めて感じたところであります。我が国は、今後とも確固たる決意を持って「行動指針」を実施し、APECのさらなる進展に貢献するとともに、この地域の諸国・地域間の相互信頼関係を強化し、この地域の一層の平和と繁栄を構築していくべく力を尽くす考えてあります。
 また、今回のAPEC大阪会合の成功は、議員各位はもとより、開催地関西を初め多くの方々の多大な御尽力と御協力のたまものであり、深く感謝の意を表するところであります。
 また、APEC大阪会合の機会には、中国、韓国、マレーシア、インドネシア、豪州、タイ、フィリピンとの首脳会談を初め、さまざまな二国間会談を行い、実りある意見交換が行われましたが、特にアメリカ、韓国との関係について申し上げます。
 日米関係については、クリントン大統領の訪日が米国の国内事情により直前に延期となったことは極めて残念でありますが、その点につきましては、クリントン大統領、そして大統領にかわり訪日されたゴア副大統領より、村山総理そして日本国民に対しおわびの気持ちが示されたところであります。
 日米双方にとって日米関係が最も重要な二国間関係であることについて、両国政府の認識は完全に一致しており、十九日の村山総理とゴア副大統領との会談においても、できるだけ早い時期に国賓としてクリントン大統領の訪日を実現するべく、引き続き米側と具体的に日程を調整していくとの確認がなされました。
 また、村山総理とゴア副大統領との会談におきましては、日米安保体制がアジア・太平洋の平和と繁栄にとって引き続き重要な役割を果たしていくことが改めて確認されました。
 今後とも国民の広範な支持を得て日米安保体制を円滑に運営していくためにも、沖縄問題について日米が協力して真剣に取り組んでいくことが重要であります。そのため、ゴア副大統領との会談において村山総理より、重い負担を負っている沖縄県民の心情につきるる説明をし、施設、区域の整理統合及び縮小のため協力していく必要性を強調いたしました。同会談では、沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会を正式に設置し、二十日に第一回会合を開催することに合意しましたが、昨日、同会合を開催いたしたところであります。
 韓国との関係につきましては、最近、歴史認識の問題等をめぐり困難な問題が生じ、事態を憂慮しておりましたが、APECの際に行われた日韓首脳会談及び日韓外相会談において、歴史認識の問題、対北朝鮮政策等に関する率直な意見交換が行われました。その結果、過去を直視した上で未来志向の日韓関係を築いていくことの重要性、対北朝鮮政策についての日韓間の緊密な連携の必要性につき両国間で認識の一致を見、今後、日韓関係を前向きに進展させる端緒が得られたと考えております。
 また、この機会に、我が国が提出しておりました核実験の停止を求める決議案が、十七日、国連総会第一委員会において多数の国の賛成を得て採択されたことを御報告申し上げます。
 決議の採択は、核実験停止を求める国際社会の真剣な意思を明らかにするものであり、全面核実験禁止条約交渉の推進のためによい環境をつくるものと考えます。我が国としては、この結果を踏まえ、核実験の停止を強く求めていくとともに、全面核実験禁止条約の早期妥結のため、できるだけの努力を行っていく所存であります。
 また、我が国が提出いたしました究極的核廃絶に向けた核軍縮に関する決議案についても、多数の国の賛同を得て採択されたことをあわせて御報告申し上げます。
 政府としては、以上申し述べました点を含め、引き続き外交の諸課題に全力で取り組んでまいる所存であり、議員各位の御理解を得たく、ここに御報告申し上げた次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(APEC大阪会議等出席報
  告及びAPEC大阪会合を中心とする外交
  案件に関する報告)に対する質疑
#24
○議長(土井たか子君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小池百合子さん。
    〔小池百合子君登壇〕
#25
○小池百合子君 私は、新進党を代表し、先日大阪で開催されましたAPEC大阪会議に関しまして、総理並びに通産、外務大臣に質問させていただきます。
 まず、ただいまAPECに関する御報告を通産、外務各大臣からちょうだいしたわけでございますが、APECの議長を務められ、首脳会議に出席されたはずの村山総理大臣からの御報告がないことに、強い不満を感じるところでございます。国会での総理報告は不要と考えられるということは、つまり国会軽視と指摘せざるを得ないわけであります。
 さて、今から五十二年前の同じ月、十一月、東京において大東亜会議が開かれました。アジア各国の首脳が日本の地に集うのはそのとき以来、五十二年ぶりのことであります。戦後五十年の節目の年に、アメリカやオセアニア等の国々も加えて、戦場ではなく、自由な市場のあり方についての会議が持たれたことに深い感銘を覚えます。
 現在、APEC加盟国の人口は世界の四〇%、GDPの総計では五〇%に達し、中でも東アジア地域は世界の成長センターと目されるように目覚ましい発展を続けております。それだけに、APECの動向は世界経済全体に影響を与えるものとして世界が注目していたわけでございますが、今回採択された行動宣言を初め、アジア的なるあいまいさが目立ち、わかりにくいものとなっております。APECのAはアシビキュァス、あいまいのAではないかともささやかれているほどでございます。
 そこで、総理及び関係大臣にお尋ねいたします。
 まず、我が国にとって、国民にとって、APECとはどのような利点をもたらすのか、明らかにしていただきたいというのが一点。外務大臣、お答えください。
 二点目には、そもそもAPECをどう性格づけておられるのでしょうか。機構としての存在か、またはクラブ、フォーラムとしての存在なのか。特に、貿易と投資の自由化を強力に進めるためAPECの機構化を進めてきたクリントン・アメリカ大統領という牽引車を欠いた今回の会議において、APECの性格と流れは変わったと言わざるを得ません。APECの流れを変えることは、議長国として当初から予定しておられたのか、それとも結果的にそうなったのかについて明らかにしていただきたいと思います。
 三点目には、六七年に結成されましたASEANを初め、NAFTA、EU、そしてAFTA(ASEAN自由貿易地域)、さらにはASEANプラスEU、ASEANプラスNAFTAなどの冷戦後世界各地で台頭する地域経済機構とその組み合わせの中で、我が国が唯一加盟するAPECがどのように関連し、また今後どのような調整をしていくのか、世界の貿易のブロック化を日本はどう防ぐのか、総理に伺いたいと思います。
 また、マレーシアのマハティール首相が提唱するEAECですが、今回、形を変えて存在したと言わざるを得ません。APEC開催中、ASEAN諸国と日本、中国、韓国、それにあえてオーストラリアを加えて開かれました非公式閣僚会議がそれであります。外務省はこの会議をほとんど無視し、通産省はこの会合に積極的に臨んだと伝えられておりますが、これでは二元外交ととられても仕方がございません。EAECに対して我が国はどのような対応をとるおつもりなのか、総理、そして外務、通産各大臣に伺わせていただきます。
 さらに、行動宣言でうたわれておりますWTOとの整合についてですが、具体的な市場開放の推進に当たってWTOとの調整をどのように考えておられるのでしょうか。外務大臣に伺います。
 ほかにもあいまいな点をこの際クリアにしておきたいと思います。
 「行動指針」にあります「強制されない自主的な自由化」という意味をもっとわかりやすく御説明していただきたい。
 ちなみに、総理は記者会見で、「各メンバーの自主的行動と共同行動を組み合わせるというアジア・太平洋方式を提示するもの」と答えておられます。自主的行動と共同行動を組み合わせることのどこがアジア・太平洋方式なのか、明らかではありません。自由化という言葉は、結局、各国が自分に都合のよいように自由にするという意味の自由化なのでありましょうか。
 また、「強制されない」という部分について通産大臣に伺います。
 ボゴール宣言にうたわれました「先進工業経済は遅くとも二〇一〇年までに、開発途上経済は二〇二〇年までに自由で開かれた貿易及び投資という目標を達成する」というのは、結局、自主的な努力目標にすぎないということなのでありましょうか。それで達成が可能なのでありましょうか。議長国としての責任も問われますので、ここは明快にお答えください。特に、市場開放に後ろ向きになりがちな我が国の目標達成が気になるところでございます。
 また、ちなみに、先進工業国と開発途上国の目安はどこに置くのでしょうか。国民一人当たりのGDPでございますか。
 さて、議長としての大任を果たされました村山総理、御苦労さまでございました。聞き役に徴され、議事進行に努められたと伺っておりますが、議長としては当然のことであり、たとえ開催地が日本でなくとも、また議長が他の国の首脳であっても、必要な要件がと思います。
 ただ、それだけでは必要十分条件とは言えません。今回の大阪会議では、議長として以外の立場、つまり我が国の総理大臣としてAPECのビジョンづくりにいかなるリーダーシップを振るわれたのか。行動計画の作成という実務的作業段階であったとはいえ、総理のリーダーシップやメッセージが伝わったかというと否定せざるを得ません。
 唯一挙げるならば、前進のためのパートナー、PFPに対しまして百億円を拠出するということでしょうか。しかし、それは旧態依然とした小切手外交の域を抜け出ておりません。会議の根回しには口を出さずに官僚に任せ、お金だけは出すという姿勢では、会場提供者にすぎなくなってしまいます。いや、そうではないとおっしゃるのならば、総理はどのようなリーダーシップを振るい、どのようなメッセージを発信されたのか、ここで改めて伺いたいと思います。
 これまでAPECでリーダーシップを発揮してきたアメリカのクリントン大統領の訪日中止ですが、米国政府の機能停止という事態への対処が最大の理由であります。しかしながら、アメリカのAPEC担当大使でありますサンドラ・クリストフ女史は、大統領の訪日中止決定前からこう話っています。「今回のAPECは、日本が議長国としてリーダーシップを発揮せず、APEC全体の自由化推進を妨害する見通しが強いため、大統領が出席してもプラスとなることは少ない」。訪日中止の背景にはそんな思いがあったからと考えざるを得ません。
 大統領の訪日中止の意味は、日本にとって、APECへの不参加もさることながら、国賓としての日本公式訪問取りやめという側面の方が大きいと受けとめる必要があると思います。
 それには幾つかの背景があります。
 第一は、沖縄の米軍基地問題です。
 沖縄の少女暴行事件は、同じ女性としても許しがたい事件であります。アメリカ兵の暴行は決して許されるものではなく、ましてや、先日即刻辞任したマッキー太平洋軍司令官の発言は火に油を注ぐような愚劣なものでありました。また、アメリカは、ボトムアップ・レビューなどの国防総省の公文書において「ジャパン・アンド・オキナワ」といった表現をいまだに平気で使っていることにも本質的な問題がございましょう。
 しかし、日本政府の対応のまずさをここで見過ごすわけにはまいりません。沖縄の土地を米軍に基地として提供しているのは、ほかでもない日本政府でありますのであればこそ、少女暴行事件の発生直後、まず最初に沖縄の人に謝罪すべきだったのは日本政府だったのではないでしょうか。それなのに、今回の事件発生直後の日本政府の対応は後手に回るばかりでありました。事は、日米関係のみならず、沖縄問題、国内問題なのです。代理署名についてようやく決心されたようでございますが、防衛庁の高官が進言したとおりの結論にたどり着いた今、問題を複雑化させた責任をどうお考えなのか、総理、お答えください。
 第二の理由は、大和銀行事件であります。
 大蔵省がこの犯罪にかかわったとする見方がアメリカでは大半を占めているところに、国際金融局長が文化の違いという日本の特殊性を声高に訴えるなど、開き直りの姿勢さえ見られます。この問題についてのその後の日本政府の対応は、アメリカの司法当局の結論を待ってということで、全く人任せ、問題の重要性を軽視しておられるのではありませんか。
 総理、こうした問題先送り、明確な対応を避ける村山政権が得意とするこれらの姿勢が、結果としてアメリカ大統領の訪日をおっくうにしたのではありませんか。APECのかなめであるべき日米関係を一層強力にするためにも、今後、沖縄の米軍基地問題の解決に向けてどのような対応をなさるのか。そしてまた、大和銀行問題に対しては大蔵省関係者を含んでどのようになさるのか。総理、はっきりとお答え願います。
 また、江藤前総務庁長官の発言をめぐります政府の混乱について伺いたいと思います。
 問題は、江藤発言に関しまして野坂官房長官が記者会見の席上、「事態を静観する。様子を見る」と述べられている点でございます。相手の出方を見てからということは、韓国側が日韓首脳会議の中止といった強硬な反応を見せなかったならばそのまま看過したということでございましょうか。つまり、自分では何も決めない、できればそのうち事態がおさまってくれればいいなといった楽観論、ひとりよがりではありませんか。総理、閣僚の罷免・任命権者は一体だれなのか、お答えください。
 最近、株式市場は村山総理辞任説が流れたことで三日間にわたって株価が連騰いたしました。株式市場は本音の世界でございます。最大の景気対策は総理がおやめになることを市場が催促しているのであります。(拍手)
 総理の任命権者は、直接、間接的に国民であります。ちなみに、さきの佐賀県での参議院補欠選挙におきましては、全国で数少ない自民党の牙城であっただけに我が党は苦杯をなめましたが、社会党候補については、公選法九十三条が定めるところの供託金没収という事態に陥るほどの低い得票に終わっております。佐賀県民の貴重な一票が生かされないのに、なぜ社会党委員長であるあなたが延々と総理を続けておられるのか、理解に苦しみます。世界の七不思議でもあります。
 「日本は東洋と西洋のかけ橋の立場にある」と述べましたのは重光葵外相です。一九五六年十二月、国連総会において我が国の国連加盟受諾演説の結びの言葉でありました。国連創立五十周年のことし、APECという新しい機構の議長国である我が国が、東洋でもなく西洋でもなく、かけ橋どころかどこからも信頼されず漂流する日本。我が国を一体どこまで漂わせるおつもりでしょうか。このままでは、ボゴール宣言で定めました目標達成期限について、我が国は二〇二〇年を目標とする国に転落するのではないかとさえ思うのであります。
 現在でも空洞化している我が国の政治の現状にあって、みずからの進退、そして国民に信を問うお考えが総理におありかどうか伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#26
○内閣総理大臣(村山富市君) 小池議員の御質問に答弁をする前に一言ごあいさつを申し上げたいと思いますが、APEC大阪会議は、十六日から十九日、四日間の日程で無事に全日程を消化することができ、成功裏に終わることができました。皆さんの御理解と御指導に対して心からお礼を申し上げます。(拍手)
 なおまた、大阪府、大阪市、関係市町の知事さんや首長さん、職員の皆さんからは、先ほどもお話がございましたが、献身的な御協力を賜りました。ここで厚くお礼を申し上げたいと思います。(拍手)
 同時にまた、関係民間団体の皆さんかうも御支援をいただき、特に警備に当たられました大阪府警、全国から動員されました皆さん方に、万全の警備態勢で一つの事故もなく無事に終わることができました、改めて心からお礼を申し上げたいと思います。(拍手)なお、APECに加盟されておりまする首脳を初め閣僚、関係者の皆さんからは、二国間会談等を通じましても高く評価をされてきたところでありますが、ボゴール宣言が発せられましてからこの一年間、先ほどもお話がございましたが、多様な段階にある国々の多様な困難な問題を抱えている状況の中でよくまとめていただいたということに対する高い評価もいただきました。私は、この仕事に携わってこられた関係省庁の皆さん方にも、この席をかりてお礼を申し上げておきたいと思います。(拍手)
 さて、質問にお答えを申し上げますが、第一の質問は、今回のAPEC大阪会議においてAPECの性格が変わったのではないか、政府としてはこれを当初から予定していたのかどうかとの質問でありますが、APECがビジョンから行動の段階に入ったということは言えますが、これによってAPECの性格が変わったとは認識をいたしておりません。
 次に、地域主義の問題に関連をして御質問がございましたが、そもそも我が国は貿易立国として多角的自由貿易体制の維持強化を推進していくとの立場でありまして、御指摘のような地域統合の動きが閉鎖的な経済ブロックとなるようなことがあってはならないとの立場でございます。我が国は、APECをアジア・太平洋の経済的な発展を進めていく上で中核となる協議の場であると認識をしておりまして、今後も、開かれた地域協力としてのAPECの一層の発展に努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、我が国のEAECに対する立場についての御質問でございますが、まず、さきの日曜日の経済閣僚の非公式昼食会については、タイが呼びかけたものでございまして、今回APECに参加したASEAN、中国、韓国、我が国の経済閣僚がアジア・欧州会合について意見交換を行ったものと承知しておりまして、EAECと全くかかわりはないことを申し上げておきたいと思います。EAEC構想につきましては、アジア・太平洋地域の関係国の理解を得ていくことが必要であると考えております。我が国としては、関係国の考え方をも踏まえつつ、今後とも検討してまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、「強制されない自主的な自由化」とは、国情や経済発展段階の異なる多様性を抱えたこの地域のメンバーが、できるだけ柔軟かつ現実的な形で自由化を進めることにするとの趣旨でございます。アジア・太平洋方式と申しますのは、アジア・太平洋という多様な地域でAPECの自由化を進めるための実際的で効果的な方法として、各メンバーの自主的行動と共同行動を組み合わせるという方法を指しております。このような方法によってメンバー間の相互信頼を醸成し、協調して自由化を進めていくことについてAPECとしての合意を得たところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
 次に、私が総理としてどのようなメッセージを発出したのか、小切手外交ではないか、単なる会場提供者ではなかったかといった御意見でありましたが、APECが行動の段階に入り、各論についての検討が始まる中での調整は容易ではありません。その中で、我が国としては、各メンバーの意見をよく聞き、議論を尽くした上でコンセンサスを取りまとめるという日本的なやり方でリーダーシップを発揮し、各メンバーより高く評価されたところでございます。(拍手)
 この間、私からは、高い経済成長率と人口増加が食糧、エネルギーへの需要を増大させ、環境への負担を高めていくという懸念に立って、APECメンバーとしても、長期的課題として議論をし、適切に対処することを提案し、各メンバーの受け入れるところでございました。
 また、APEC中央基金に対する百億円の拠出は、APECにおける貿易・投資の自由化、円滑化推進に関連する事業を支援するために我が国として貢献を図るべくイニシアチブを発揮したものでありまして、他のメンバーにおいても、同様の観点から積極的協力がなされることを期待しているところでございます。これが小切手外交であるとの指摘は全く当たらないと考えています。(拍手)
 沖縄少女暴行事件に関連をして御質問がございましたが、本件は、いたいけな少女に対する凶悪な忌まわしい事件でありまして、発生直後から遺憾の意を表明してきたところでございます。また、沖縄県知事との会談におきましても、被害者及び沖縄県民の皆様に対する私の心情を直接お伝えしたところでございます。
 また、本件を契機とした刑事裁判手続の改善並びに米軍施設及び区域に係る諸問題を協議するための政府と沖縄県との沖縄米軍基地問題協議会の設置や、米軍基地の整理統合・縮小の問題等について協議をするための日米間の沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会を設置するなど、政府として真剣な対応をしているところでありまして、私は何よりも沖縄県民の理解を得ることが必要であると考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、問題先送りの日本政府の姿勢が米国大統領の訪日中止を招いたのではないかとのお尋ねでありますが、大統領訪日中止はあくまでも米国国内情勢のもたらしたものでございまして、中止については同大統領より深甚なるおわびの言葉が直接伝えられたところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 次に、在日米軍基地の問題につきましては、日米安保体制を円滑に運用していくためにも、国民の広範な支持と理解を得る必要がございます。特に、沖縄県民の方々より強い御要望のある沖縄の施設、区域の整理統合・縮小の問題につきましては、日米両国が協力して真剣に取り組んでいく必要があると考えております。沖縄県民の心情やそれに基づく強い要望につきましては、去る十九日の私とゴア副大統領との会談においても、私よりるる説明をし、先方も十分理解を示したところであります。
 また、日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ、施設、区域のあり方につき真剣な検討を行うための特別行動委員会を設置することで正式に合意をし、同委員会の第一回会合が二十日に開催されたことは御案内のとおりであります。政府といたしましては、右委員会で十分な成果が上がり、沖縄における施設、区域の整理統合・縮小等の諸問題に進展が得られるよう、これからも全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、大和銀行事件に関する行政批判についてのお尋ねでありますが、まず、今回の大和銀行に対する米国の処分は、あくまでも大和銀行自体の行為に対して決定されたものであることを御理解いただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、政府としては、今回、邦銀の海外拠点に対する監督のあり方等についてのさまざまな議論があったことを謙虚に受けとめ、今回の事件を貴重な教訓として、相手国の銀行監督に関する対応の仕方にも十分配慮するとともに、国際化の進展に伴う監督手法の共通化等の観点から、これまでの行政手法について再検討を行っていく必要があると考えているところでございます。
 次に、閣僚の任免権についてのお尋ねでありますが、御承知のとおり、江藤総務庁長官はあくまでも自発的に辞意を表明され、これを受けて私が辞表を受理したものでございます。閣僚の任免権が内閣総理大臣たる私にあることは申し上げるまでもございません。
 次に、最後の質問でありますが、国民に信を問う考えがあるかとのお尋ねでありますが、戦後五十年の節目を迎えるとともに二十一世紀を間近にした今日、戦後の我が国を支えてきた経済社会システムの思い切った見直しや改革のためにこの内閣が取り組むべき課題は山積をいたしております。私は、景気回復推進内閣、改革推進政権として、国民の皆様の声に謙虚に耳を傾けながら、改革と責任ある政治に引き続き邁進をしてまいる決意でございます。(拍手)
 なお、ここ数日の株価の上昇は、ニューヨーク株式市場の史上最高値更新等を受けたものでありまして、御指摘は当たらないと思います。
 また、さきのAPEC大阪会合では、国情の大きく異なる多様な国の中で、我が国にふさわしいリーダーシップを発揮しながら、APECをビジョンの段階から行動の段階に移行させることができたものと考えています。今後とも、確固たる決意を持って我が国に課せられた国際的な責任を果たしていく所存でございます。
 このように、内外ともに政治の空白が許されない現状においては、解散・総選挙は全く考えておりません。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#27
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私に対してまず第一にありました御質問は、十九日に行われました非公式閣僚会議についての御質問でありました。
 この閣僚会議は、明年三月に開催が予定されておりますアジア・欧州会合の準備のために、この会合の議長国であるタイのアムヌアイ副首相の呼びかけによりまして、アジア側の出席メンバーでありますASEAN、日本、中国、韓国の経済閣僚が集まり、この会議で取り上げられるべき経済問題などについて議論したものであります。
 アジア・欧州会合は、従来必ずしも強いつながりを持っていたとは言えないアジアと欧州との間の連携を強化する意味でも非常に意義のある会議でありまして、EAECとは無関係のものであります。そして、当日の会合におきましても、EAECについては一切話題が出ておりませんし、マレーシアの出席閣僚もこの問題については全くお触れにはなっておりません。EAECにつきましての考え方は、総理が御答弁されたとおりのものであります。
 次に、ボゴール宣言にあります二〇一〇年あるいは二〇年というこの目標というものは自主的な努力目標なのか、あるいは先進工業国経済と途上国経済をどう区別するのかといった御質問をいただきました。
 二〇一〇年あるいは二〇二〇年の自由化の達成期限と申しますものは、昨年のボゴールにおける非公式首脳会合におきまして合意されたものでありまして、これは確かに法的拘束力はありません。しかし、各メンバー首脳の共同の意思である極めて強い政治的なコミットメントであります。
 APECでの協調的自由化の考え方は、アジア・太平洋地域に既に存在しております自由化の動きに基礎を置きながら、さらにその動きをそれぞれのメンバーの協調的な努力によって確固たるものとするものでありまして、地域の実情に最も適した効果的な自由化の進め方であると私は考えております。ボゴール宣言における合意内容というものは再確認をされました上で、大阪会合におきまして、自主性を基本に置きながら協調して進んでいくことに合意をいたしました。そして、その協調の実を上げるためにレビューのメカニズムも採用しているわけであります。
 また、先進工業経済と開発途上経済との区別の目安についてのお尋ねでありましたが、この点につきましては、さまざまな要素を勘案していくことになろう、そして今後の自由化のプロセスの中で明らかになってくるものと思います。例えば、OECD加盟国であるかどうかといったことも一つの目安になろうかと考えております。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#28
○国務大臣(河野洋平君) 我が国が密接な関係を持ちますアジア・太平洋地域の諸国・地域間の相互信頼関係を強化して、この地域のさらなる経済発展を進めていくことは、我が国にとりましても国民にとりましても、十分利益があることだと思います。こうした観点から、我が国は、これまでAPECをアジア・太平洋の経済的な発展を進めていく上で中核となるフォーラムと認識し、特に本年は議長国として積極的な取り組みを行ってきたところでございます。
 APECは発展段階等の面で多様なメンバーを擁し、そこでの決定には法的拘束力があるわけではありませんが、他方、各メンバーの自主的なコミットメントを基礎としており、こうした意味で重みのあるものであります。なお、今回の大阪会合では、こうしたAPECの性格を踏まえて、自由化の進め方についても実際的かつ効果的な方法を採用することに合意したことは御承知のとおりでございます。
 ASEAN提案のEAECにつきましては、APECの枠内の協議体であり、太平洋に線を引くようなものではないとの御説明をASEAN側から受けております。ASEAN側においても、関係国の理解と協力を得る努力を行っていると承知をいたしておりますが、我が国としては、EAECについては、APECを中心としたアジア・太平洋協力が一層進展していることにかんがみまして、APEC域内の主要国の理解を得る必要性があるという認識でございます。我が国としては、本件構想につき目下検討中でございます。
 我が国は、多角的自由貿易体制の維持強化に強くコミットしておりまして、APECがWTO協定と整合的な開かれた地域協力の枠組みとして発展していくことを強く支持しております。かかる観点より、WTO整合性の原則を重視しております。
 また、APECがWTO体制の強化のために共同イニシアチブをとることが極めて重要と考えており、シンガポール閣僚会議に向けてAPECとしてのイニシアチブをとっていく旨、首脳宣言にもうたわれておるとおりでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○議長(土井たか子君) 簗瀬進さん。
    〔簗瀬進君登壇〕
#30
○簗瀬進君 私は、自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけを代表いたしまして、ただいまのAPECに関する報告に関連して質問を行うものであります。
 質問に先立ちまして、まずは、APEC大阪会議の議長役としての重責を果たされました総理並びに関係閣僚の皆様方の御尽力に心から敬意を表させていただきます。(拍手)
 近年、アジア地域は一貫して高い経済成長を遂げており、世界経済における比重と影響力を急速に増大させつつあります。二十一世紀に向け、アジア・太平洋地域の持続的経済発展を図り、この地域における成長を阻害するさまざまな制約要因を克服していくことは、世界経済にとっても、また我が国経済の活力を維持していくためにも、最重要な課題であります。
 シアトルにおけるAPEC会議は、アジア・太平洋共同体構想を高らかにうたいとげ、この地域の相互依存関係の深化、適切な分業関係の構築という基本精神を打ち出しました。
 今回の大阪会議においては、これを受けたボゴール宣言をさらに具体化する「行動指針」を採択し、投資・貿易の自由化に向けた長期的な枠組みを設定した上で、理念から実行の段階へと大きく一歩を踏み出したものであり、その歴史的成果を高く評価するものであります。
 さて、このたび採択された「行動指針」についてお伺いをさせていただきます。
 APECのメンバー相互の間には、人口では十二億人を擁する中国から二十六万人のブルネイ王国まで、あるいは一人当たりGDPで見ても日本と中国との間では七十倍以上の開きがある等、大変政治的、経済的、社会的に多様性に富んでおります。それゆえ、国内の産業構造や経済情勢が異なる中、具体的に自由化、円滑化を進めていくということは、ある意味では大変難しい作業であると思われます。
 このような多様性に富むAPEC参加各国の合意形成について、今回確立されたユニークなアジア・太平洋方式とでもいうべき新しい合意形成のスタイルは、画期的でありかつ積極的に評価すべきものと考えております。
 先ほど小池議員は、APECのAはアシビキュアス、あいまいだと評されましたが、私にとっては別な言葉が思い浮かんでまいります。まさにAPECのAはアンビシャス、意欲的、野心的な取り組みであるということが私にとってはすぐ連想されてくるわけであります。(拍手)
 ただ、他方において、「行動指針」の性格についてはさまざまなとらえ方がなされているようであります。そこで、この「行動指針」が各国をどのように拘束するのか、また、発展途上国と先進国の格差を拡大することなくアジア・太平洋地域全体の持続的経済発展を図るため、APEC参加各国がどのように自由化、円滑化を進めていくべきか、総理にお尋ねいたします。
 また、マニラ会議に向けた行動計画の策定において我が国がいかにリーダーシップを発揮していくべきか、特に我が国が包括的自由化の模範となるべく率先垂範し、一層の規制緩和などの市場開放策を進めるべきものと考えますが、その具体的方策について総理にお伺いいたします。
 さらに、我が国に期待されるのは多様な経済・技術協力であると考えます。先ほど通産大臣のお話にもあったとおり、我が国には、明治以来の急激な近代化や敗戦の荒廃から奇跡の経済復興をなし遂げた等の、激変する歴史の環境を乗り切ってきたハード、ソフト両面における広範なノウハウが蓄積されています。かつてマレーシアのマハティールさんをしてルックイーストと言わしめた我が国のノウハウを、プラスのものもマイナスのものも含めて積極的にAPEC参加各国に提供していくことで、大いにリーダーシップを発揮していくべきであると考えますが、いかがでありましょうか。
 特に、伸び続けるエネルギー需要と環境問題の深刻化に対しては、各国の協調行動が欠かせません。エネルギー・環境問題についてどのように貢献していかれるおつもりか、具体的な計画を通商産業大臣にお伺いいたしたく存じます。
 次に、包括性の原則について、「柔軟に対応」という言葉が取り入れられたところでありますが、この点につき特に農業問題についてお伺いをいたします。
 アジアの人口は急増しつつあり、それに対して食糧生産は減少の傾向にあります。特に、中国における生産の停滞と都市部に古流と言われる人口の集中により、将来数億トンの食糧輸入が必要ともささやかれております。そのような将来の食糧不足の懸念がある中で、どのように自由化原則を当てはめていくおつもりか、また将来の日本の農業のビジョンについてどのようにお考えか、総理並びに農林水産大臣にお伺いいたしたく存じます。
 さて、APECの将来像を思い描くに当たり、私は、すべての外交の基本に置かれるべき信頼関係醸成プログラムについて、ぜひとも質問させていただきたいと存じます。
 今回の大阪会議の直前にも、歴史認識をめぐって我が国と韓国、中国との間に鋭い緊張が生じました。ヨーロッパがEUという過去の歴史を超越した新しい国家を模索しているのを横目で見ながら、我が国がいつまでも過去の歴史の呪縛から解放されずにいる現状は、何と悲しく情けないことなのでしょうか。
 二年前、私は韓国の独立記念館を視察してまいりました。そのときに目にした戸籍謄本の原本が今でも目に焼きついております。「宏秀全」という戸籍の記載の名前の上に赤鉛筆で太く棒線が引かれており、そのわきに赤字で「広山秀夫」と書きかえられておりました。祖先から引き継ぎ、親から与えられた姓名をたった一本の赤鉛筆で抹消された人の心の痛みは、恐らく一生消えることはないでしょう。
 歴史の現実は、それを見る者に圧倒的に迫ってまいります。アジア・太平洋地域が真に共同体として相互に不可欠のパートナーになるためには、まず歴史をしっかりと認識するところから出発すべきだと思います。(拍手)そして、彼我の歴史認識のずれを埋めていく共同作業がぜひとも必要であると考えます。そこで、総理、歴史認識を中心にした今後のアジア・太平洋地域における我が国の信頼関係醸成プログラムの具体的内容をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、APECメンバー間に共通の情報政策について質問をさせていただきます。
 なぜなら、情報インフラの整備こそ、今申し上げた信頼関係醸成プログラムの必要条件と考えられるからであります。パソコンやインターネットによる情報は、今や国境を越えて全世界に広がっています。そして情報の及ぶ範囲は、国家のレベルを軽く越え、個人の、市民一人一人のレベルまで及んでおります。
 アジア・太平洋地域が真に共同体となり、域内の多様性がやがて高められて普遍的友情になっていく、そんな相互の信頼関係を深めていくためにも、域内の共通の情報基盤整備はぜひとも重要だと考えられます。ソフトからハードの技術開発支援のみならず、法制面までを含む総合的な共通政策を考える時期に今来ているのではないでしょうか。この点具体的にどのようにお考えか、御自身もネットワーカーとして毎日発信をしていられる、そのように聞いております通商産業大臣にお伺いをさせていただきます。
 最後に、クリントン大統領の訪日中止について質問いたします。
 このたびのクリントン大統領訪日には、APEC出席とともに、日米首脳会談において、沖縄の米軍基地の整理縮小問題、日米安全保障条約の再定義について協議するという重要な目的がありました。クリントン大統領の訪日中止によるこれらの問題への影響と今後の訪日の見通しについて、総理並びに外務大臣にお伺いをさせていただきます。
 くしくも今から五十二年前の昭和十八年十一月五日、この国会議事堂内の現在の参議院第一委員室において、アジア六カ国の指導者を集め、大東亜会議が開催されておりました。会議の冒頭で日本国代表東条英機内閣総理大臣は代表演説を行い、戦争遂行の決意と大東亜共栄圏の確立を内外に宣明いたしておりました。
 日本のためのアジアという幻想と虚構に陥って犯した五十年前の失敗は、二度と繰り返してはならないと考えます。まさにアジア・太平洋共同体実現のために全力を尽くし、日本のアジアではなく、アジアの日本を目指すべきであることを最後に訴えて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣村山富市君登壇〕
#31
○内閣総理大臣(村山富市君) 簗瀬議員の質問にお答えを申し上げたいと思います。
 このたびのAPEC大阪会議で採択をされました「行動指針」が各国をどのように拘束するのかとの御質問でございますが、APECにおける貿易・投資の自由化、円滑化は、ガット、WTO的な交渉によらず、各メンバーの自主性を基本として進められていくものでありまして、「行動指針」では、まさにこのような方式を反映し、APEC各メンバーが、自主性を基本とした協調的な行動や共同の行動を通じて、貿易・投資の自由化、円滑化を進めていくことになっております。
 次に、APEC各メンバーがどのように自由化、円滑化を進めていくべきかとの御質問でございますが、今次大阪会議において「行動指針」が策定され、今後、各メンバーは、この「行動指針」に従いまして、二〇一〇年、二〇二〇年までの目標達成に向け、自由化、円滑化を進めていくこととなります。
 具体的には、各メンバーは、「行動指針」に従いまして直ちに具体的かつ実質的な行動計画の策定に着手をし、明年のフィリピンにおける閣僚会議にそれぞれの行動計画を提出することになると思います。行動計画の実施は一九九七年一月に開始をされ、実施状況は毎年レビューされ、必要な場合にはその結果が各メンバーの行動計画に反映されることとなります。
 また、我が国がいかにリーダーシップを発揮していくべきか、また一層の市場開放策をどのように進めていくのかとの御質問でございますが、今後、我が国といたしましては、一層規制緩和と市場開放等を進めることにより、我が国の経済構造改革を推進していく決意でございますが、このような施策をとる一方で、適切なイニシアチブをとり、リーダーシップを発揮していく所存でございます。
 次に、農業についてどのように自由化原則を当てはめていくのか、また日本の農業のビジョンについてのお尋ねでございますが、APECの自由化、円滑化の過程は、すべての分野、すべての措置を対象とするものでございまして、我が国の農業分野も対象となりますが、自由化、円滑化に当たりましては、各メンバーの多様な状況を考慮し、柔軟性が認められることとなっております。
 また、ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れなど新たな国際環境に対応した二十一世紀に向けての今後の農政につきましては、第一に、農業を誇りを持って携わることのできる魅力ある産業として確立すること、第二には、国土資源の有効利用により可能な限り国内生産を維持拡大し国内供給力を確保すること、第三に、消費者に対する良質・安全・新鮮な食料の適正な価格水準での安定供給を図ること、第四には、住みやすく活力に満ちた農村地域を建設することを基本方針といたしまして、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱に示されています具体的施策を中山間地域対策にも意を用いながら総合的かつ的確に講ずることによりまして、遺憾のないよう取り組んでまいる所存でございます。
 次に、今後のアジア・太平洋地域における信頼関係の構築についての御質問でございますが、我が国がアジア・太平洋地域の繁栄と平和のための共同作業を進めるためには、国家間、国民間の相互信頼が必要であり、過去の歴史を直視し、アジア近隣諸国等との間で相互信頼を強化していく必要があることにつきましては、御意見のとおり、私も全く同感でございます。
 特に、未来志向に立った歴史認識の差を埋めていく共同作業につきましては、政府といたしましては、昨年八月の私の談話で平和友好交流計画を発足させることにいたしておりまして、今後とも本計画のもとでの具体的な事業を着実に実施してまいる考えでございます。
 次に、クリントン大統領の訪日の延期に関する御質問でございますが、訪日が延期されたことはまことに残念でありますが、クリントン大統領の訪日をできるだけ早期に実現することで日米両国政府の認識は一致しておりまして、その際に、日米安保体制に関する共同文書も発出したいと考えております。この点につきましては、十九日の私との会談で、ゴア副大統領も同様の認識を示されたところでございます。
 沖縄の米軍施設、区域の問題につきましては、十九日の会談において、私よりゴア副大統領に対し、重い負担を背負っている沖縄県民の心情につきるる説明をいたし、日米両国が十分に話し合い、日米安保条約の目的達成との調和を図りながら、施設、区域の整理統合及び縮小を推進する必要性につき強調したところでございます。これに対してゴア副大統領より、沖縄の少女暴行事件につき遺憾の意と深いおわびの気持ちが表明されました。
 また、この会談において、沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会を正式に設置することに合意をしたところでございますが、第一回会合を昨日二十日に開催したところであります。政府といたしましては、本委員会が十分な成果を上げられるよう、米側と協力して、今後とも全力を挙げて努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#32
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私には二点のお尋ねをいただきました。
 第一点は、エネルギー・環境問題について、どうこれから具体的な行動をとっていくのかという御指摘であります。
 御指摘のとおり、アジア・太平洋地域は、その経済の拡大に伴いまして、域内のエネルギー需要の急速な増加、環境問題の深刻化、これは大変な懸念を持たれております。我が国は、昨年のインドネシアでのAPECの閣僚会議、首脳会議の場におきまして、アジア・太平洋地域において経済成長、エネルギーの安全保障、環境保全の三つの問題を同時に達成していかなければならないという必要性につき提言を行ってまいりました。今回のAPECの首脳宣言におきましても、これらの相互に関連する問題に対し共同で取り組む必要性についてうたわれております。
 このような問題に対し、「行動指針」におきましては、域内のエネルギー問題についての一層の共通認識を醸成すべく、まず域内エネルギー需要見通しを一九九七年までに作成し、これをもとに、中長期的にはエネルギー政策目標の合意あるいはエネルギー政策の相互審査の実施を通じまして、緩やかな政策協調を築き上げていきたい、推進したいと考えております。
 また、エネルギー分野における環境負荷の低減を図るべく、我が国が保有しておりますクリーンコールテクノロジーあるいは省エネ、新エネルギーの技術等の、適用促進を目指して、積極的な技術移転の促進やそのための研修等の実施を進めていきたいと考えております。今後とも、当省といたしましては、他のAPECメンバーと協力しながら、エネルギー・環境問題に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、アジア・太平洋地域における高度情報通信インフラの整備等についてのお尋ねをいただきました。
 情報通信インフラの整備やソフト、ハードの両面にわたる情報関連技術の開発等情報化の推進は、各国の国民が情報をより自由に主体的に活用していくためには極めて重要なことであり、御指摘のとおり、経済の活性化や産業分野における生産性の飛躍的な向上、豊かな生活の実現を図る上で必要不可欠なものだと考えております。
 こうした観点から、本年五月に、韓国のソウルにおきまして、アジア・太平洋地域の情報インフラにつき、その推進に向けた目的と原則が合意をされました。さらに、先般の大阪APEC閣僚会議、非公式首脳会議におきましては、その「行動指針」の中で情報通信分野における協力がうたわれております。
 日本といたしましては、五月の会合におきまして、APECにおける高度産業情報ネットワークプロジェクトの推進、電子設計・生産・調達・運用支援システム、いわゆるCALSでございます、あるいは電子商取引の共同研究の推進、さらに貿易関連情報、受発注情報の電子的交換の推進を提案してまいりました。アジア・太平洋各国の状況にも留意をしながら、各国との協力を図り、アジア・太平洋地域の情報化に向けて今後も積極的に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣野呂田芳成君登壇〕
#33
○国務大臣(野呂田芳成君) まず、今後どのように自由化原則を当てはめていくつもりかというお尋ねでございますが、このたびの「行動指針」の般原則におきましては、包括性の原則と同時に、柔軟性の原則が明記されているところであります。この柔軟性の原則は、APECメンバー間の異なる経済発展段階やメンバーの抱える多様な状況を考慮して、APECでの自由化に関する対応等について、各メンバーの柔軟な取り扱いを可能とするものであります。これは、我が国の農業についても認められるものであります。したがいまして、APECにおける我が国の農業分野の取り扱いにつきましては、この柔軟性の原則に基づき、ウルグアイ・ラウンド農業合意を堅持するとの方針で対処していく所存であります。
 次に、将来の日本農業のビジョンについてのお尋ねでありますが、農業・農村の活性化なくして我が国の経済社会の調和のとれた発展は期しがたいのでありますから、農業・農村を二十一世紀に向けて持続的に発展させ、将来にわたって我が国経済社会における基幹的な産業及び地域として次世代に受け継いていくことを期して取り組んでまいる考えであります。
 具体的には、平成四年の六月に公表いたしました「新しい食料・農業・農村政策の方向」に基づきまして、望ましい経営感覚を持った効率的で安定的な経営体が生産の大宗を担う農業構造がそれぞれの地域の創意工夫を生かして実現されること、また農村地域が住みやすく活性化すること、これにつきましては、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱に示された具体的な施策を、中山間地域にも十分意を用いつつ総合的かつ的確に講じていくことと考えております。
 また、生産者が将来の農業経営に意欲を持てる生産の方向を示そう、こういうことで、平成十七年度を目途にした十カ年の農産物の需要と生産の長期見通しを現在検討しており、間もなく公表できる段階であります。また、新しい農業基本法の制定に向けて、今鋭意検討中であることを申し添えたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#34
○国務大臣(河野洋平君) 延期をされましたクリントン大統領の訪日につきましては、できるだけ早い時期に国賓として訪日を実現するべく、引き続き双方で具体的に日程を調整していく考えであります。
 また、クリントン大統領訪日の機会には、これまでの日米間における安全保障面での対話の成果を踏まえて、日米安保体制の重要性を首脳レベルで総括する共同文書を発出したいと考えております。
 さらに、沖縄の施設、区域の整理統合・縮小等につきましては、沖縄における施設及び区域に関する特別行動委員会を設置することで正式に合意をいたしまして、同委員会の第一回会合が昨日、私及び衛藤防衛庁長官も参加をして開催されたところであります。政府としては、日米安保体制の円滑な運用のためには、国民、特に施設、区域周辺の住民の皆様の十分な理解が必要であるとの認識のもとに、本件についてできる限り十分な成果が上げられるよう、米側と協力しつつ努力してまいりたいと考えております。(拍手)
#35
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#36
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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