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1995/12/08 第134回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第134回国会 本会議 第19号
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1995/12/08 第134回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第134回国会 本会議 第19号

#1
第134回国会 本会議 第19号
平成七年十二月八日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十三号
  平成七年十二月八日
    午後一時開議
 第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(瓦
    力君外二十五名提出)
 第二 政党助成法の一部を改正する法律案(瓦
    力君外二十五名提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案
  (瓦力君外二十五名提出)
 日程第二 政党助成法の一部を改正する法律案
  (瓦力君外二十五名提出)
市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与
  等に関する法律案(河村たかし君外五名提出
  )の趣旨説明及び質疑
    午後三時五十三分開議
#2
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律
  案(瓦力君外二十五名提出)
 日程第二 政党助成法の一部を改正する法律
  案(瓦力君外二十五名提出)
#3
○議長(土井たか子君) 日程第一、公職選挙法の一部を改正する法律案、日程第二、政党助成法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員長関谷勝嗣さん。
 公職選挙法の一部を改正する法律案及び同報告書
 政党助成法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    〔関谷勝嗣君登壇〕
#4
○関谷勝嗣君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案及び政党助成法の一部を改正する法律案につきまして、公職選挙法改正に関する調査特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、公職選挙法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、衆議院議員の選挙の投票方法について、これを記号式から自書式に改めるものとし、小選挙区選出議員の選挙については候補者一人の氏名を、比例代表選出議員の選挙については一の衆議院名簿届け出政党等の名称または略称を自書して行うこととするものであります。
 なお、この法律は公布の日から施行するものとし、改正後の公職選挙法の規定は、この法律の施行日以後その期日を公示されまたは告示される選挙について適用することといたしております。
 次に、政党助成法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、その年分として各政党に対して交付すべき政党交付金の額について、当該政党の前年における収入総額の三分の二に相当する額を上限とする交付限度額の制度を廃止いたしますとともに、政党交付金の交付時期を四月、七月、十月及び十二月とするものであります。
 なお、この法律は平成八年一月一日から施行することといたしております。
 両案は、去る十一月八日に提出され、十二月六日本委員会に付託されました。
 本委員会におきましては、昨七日提出者を代表して瓦力君から提案理由の説明を聴取し、質疑及び討論の後、採決を行った結果、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#5
○議長(土井たか子君) 両案につき討論の通告があります。順次これを許します。田端正広さん。
    〔田端正広君登壇〕
#6
○田端正広君 私は、新進党を代表して、ただいま議題となりました自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけの三会派共同提案の政党助成法の一部を改正する法律案並びに公職選挙法の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論をいたします。(拍手)
 まず冒頭に、両法案に反対の立場をとる基本姿勢について一言申し上げます。言うまでもなく、我々は国民の信託を受け、国民との信頼関係のもとに政治の場で活動しております。国民との信頼関係なくして本来の政治家は存在し得ず、本来の政治もまたあり得ないのであります。しかしながら、今日、国民の政治家に対する不信感は、政治家と国民の間の信頼関係を突き崩すほどに深刻なものとなっています。そして、国民との信頼関係の崩壊は民主政治の危機と言っても過言ではありません。
 私たちの考えでは、この不信感の根底にあるものは、第一には、国民に真実を語らずに当面を取り繕う政治家の御都合主義であり、第二には、相次ぐ政治家の不祥事に見られるごとく、正常な倫理感覚の麻痺であります。現在の国民の政治及び政治家を見る目は極めて厳しく、不信に満ちたまなざしでありますが、それだけに、我々は御都合主義を排し、不正に対し襟を正すことによって国民の信頼を取り戻すことが急務であると考えている次第でございます。このような基本姿勢に立つ限り、今回の両法案には絶対に賛成できないのであります。
 以下、具体的な反対理由を述べさせていただきます。
 反対の第一の理由は、朝令暮改であるからであります。
 すなわち、政党助成法については法制定以来平成七年の一年間適用されただけであり、公職選挙法の衆議院議員選挙の記号式投票については法改正以来まだ一回も実際に適用されていないのであります。国会がみずからの意思で決定したことを、ただの一年の実施期間を経ただけで、あるいはただの一度も実施しないままに改正することは朝令暮改のそしりを免れ得ず、国会の見識を疑われてもいたし方ないと言わざるを得ないのであります。ましてや、与党各党ともに二年前の法律の成立に際しては賛成しているのであります。これでは朝令暮改であるばかりではなく、食言であり、国民の政治不信を加速するもの生言わざるを得ません。
 反対の理由の第二は、議題となった法案において削除されることとされている政党交付金の交付限度額は、まさに法案の中心的提案者である自由民主党が政治改革四法案の修正をめぐる交渉の中で提案されたものであるからであります。
 まだ我々の記憶に新しいところでありますが、まず、平成六年一月二十八日に締結された当時の細川総理と河野自民党総裁の合意書において、自民党による提案を受け入れて、「各政党に対する政党助成の上限枠は、前年収入の四〇%とする」との文言が入り、次に、その合意を受けてなされた同年二月二十四日の政治改革協議会の合意事項として、「各政党に対する政党交付金は、当該政党の前年収入額の三分の二を上限とし、前年収入額の算定に当たっては、政党交付金、借入金、重複計上分及び繰越金を除外する。」と具体化されたのであります。
 これは、当時、政治改革法案の成立を人質にとりつつ、新たな政治勢力の結成を困難にさせるという意図を持って自民党が強引に限度額の設定を主張した結果であります。みずから主張し実現させた条項に対しみずからその削除を提案するとは、まさに御都合主義であり、政治不信を招く最たるものと言わざるを得ません。(拍手)
 反対の理由の第三は、議題となった法案で記号式投票を自書式投票に戻すことは、時代の流れに逆行するからであります。
 記号式投票が世界の趨勢であることは、周知の事実であります。また、記号式投票の方が疑問票が生じにくく開票の機械化に適していること、その結果としての開票所要時間の短縮にも資することは論をまちません。さらに、記号式投票は、さきに触れた細川・河野合意書においても明記されており、政治改革協議会の合意事項でもあります。
 確かに政治改革協議会の合意事項には、「なお、参議院議員の選挙制度との整合性を考慮して、今後引き続き検討する。」とのなお書きがありますが、衆議院議員選挙以外の選挙における投票方法との整合性を問題とするのであれば、今述べた記号式投票の合理性を踏まえて、むしろ他の選挙の投票方法を記号式とすべきであります。
 今日あえてこのような改正を行おうとするのは、既成の政党とその候補者にとって自書式が有利であるとの判断に基づき、党利党略によって合理的な制度を改悪するものと言わざるを得ません。このことも政治不信を招くもととなることでありましょう。
 反対の理由の第四は、今回の改正が政治改革全体をなし崩しにする第一歩となるおそれがあるからであります。
 与党各党の中には、小選挙区比例代表並立制を実施することなく廃止し、以前の中選挙区制度に戻す動きがあると言われております。これが事実であるとするならば、まさにみずからも賛成した政治改革をみずから葬ろうとする背信行為であると言わざるを得ないだけではなく、中選挙区制度のもとにおける政策論争のない談合政治の復活に道を開くことでもあります。
 今日、経済社会等のあらゆる分野において大きな構造的転換が迫られている中で、政治に対して大胆な改革で新たな時代を切り開くリーダーシップが必要とされているそのときに、政治改革の後退は我が国民主政治の自滅を招くものと言わざるを得ません。
 以上、反対の具体的理由を述べてまいりましたが、冒頭で申し上げましたように、国民の政治に対する信頼を失わないために両法案に反対の立場に立たれることを期待して、私の討論を終わります。(拍手)
#7
○議長(土井たか子君) 斎藤文昭さん。
    〔斎藤文昭君登壇〕
#8
○斎藤文昭君 自由民主党の斎藤文昭であります。
 私は、自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの与党三党を代表して、ただいま議題となりました与党提出の公職選挙法の一部を改正する法律案及び政党助成法の一部を改正する法律案に対して、賛成の立場から討論を行うものであります。(拍手)
 まず第一に、公職選挙法の一部を改正する法律案について、賛成の意見を申し上げます。
 この法律案は、御承知のとおり、衆議院議員選挙の投票方法を記号式から自書式に改めようとするものであります。
 さきの公職選挙法の改正におきまして、衆議院議員選挙の投票方法は、投票用紙に印刷される候補者等の氏名等の上の○をつける欄に○の記号をつける、いわゆる記号式に改められたところであります。しかしながら、同じく国政選挙である参議院議員選挙の投票方法は自書式となっており、衆議院議員選挙と参議院議員選挙において異なった投票方法を採用することは有権者に無用の混乱を与える結果となるおそれがあり、両選挙の投票方法については、これを統一することが望ましいと考えます。両者を統一するという観点から、自書式を採用することが適当であると考えます。
 記号式投票には、以下のような問題点があります。
 特に大都市部の選挙区においては、候補者または名簿届け出政党等が極めて多数となる選挙区が生じることが予想されます。こうした場合には、多くの記載の中から○の記号をつける候補者名、政党名を探し出す方式よりも、むしろ自書式の方が有権者にとって効率的と考えられるのであります。
 また、選挙管理委員会の実務に関しても、投票用紙の調製、開票作業等の場面で記号式投票はかえって混乱をもたらすおそれがあること、とりわけ候補者の死亡等により補充立候補事由が生じた場合には、補充立候補の届け出を待って投票用紙の再調製を行わなければならないため、時間的な制約から混乱を生じるおそれがあることなどの理由から、公職選挙法の一部を改正する法律案に賛成いたすものであります。
 第二に、政党助成法の一部を改正する法律案について、賛成の意見を申し上げます。
 さきの政党助成法の改正におきまして、政党の政治活動資金は、その相当部分を政党の自助努力によって得た国民の浄財で賄うのが基本であり、政党が過度に国家に依存することがないようにするとの趣旨から、いわゆる三分の二条項が設けられたところであります。その結果、政党交付金の交付限度額は、当該政党の前年の収入総額の三分の二に相当する額に制限されることとなっております。
 法施行後約一年が経過した現在、問題と思われますのは、前年実績に制限される結果、三分の二条項をクリアするため、かえって過度な資金集めをしなければならないという側面があることであります。
 申すまでもなく、政治改革の最大のポイントは、国民の政治に対する信頼の回復であり、政治資金の透明化を図り、政党中心の透明な政治を実現することであります。政治改革の大きな柱である政党助成法の規定が、従来問題とされてきました政治資金集めを加速させているとすれば、まさに政治改革に逆行する結果になると言わざるを得ません。
 同時に、現実の政党の状況を見ますと、その政党の歴史やその政党がどのような収入源によってきたかなどの各党の事情により、政党の財政基盤には相当の差異があり、三分の二条項があるために結果的に各党に交付される政党交付金の額に不平等が生じるおそれがあること、そして政党の運営の当否は最終的には選挙を通じた国民の審判にゆだねるべきであり、政党がその運営においてどの程度政党交付金に依存するかの選択については政党の自主性を認めるのが適当であることにかんがみ、三分の二条項の規定を廃止することは当然のことと考えます。
 無論、政治資金をただ国による助成に依存するばかりではいけないということも十分に自戒しなければなりません。政党中心の透明な政治資金の獲得に努めるとともに、国民の血税をちょうだいしているという自覚のもとに、国民が安心して暮らせる二十一世紀を切り開くため、そして国民の政治に対する信頼を回復するため、我々は最大限の努力を傾注してまいる覚悟であります。
 以上をもちまして、公職選挙法の一部を改正する法律案及び政党助成法の一部を改正する法律案に対する賛成討論といたします。(拍手)
#9
○議長(土井たか子君) 東中光雄さん。
    〔東中光雄君登壇〕
#10
○東中光雄君 私は、日本共産党を代表して、両法案に反対の討論を行います。(拍手)
 今、山口議員の逮捕を初め、政治家、高級官僚が関与した金融機関の相次ぐ不祥事に象徴される政官業の腐敗と癒着の構造に、国民の多くが怒りと不信を高めているのであります。
 これは、リクルート・金丸疑惑という金権政治を逆手にとって進められた政治改革なるものが、小選挙区制の導入、企業献金野放し、そして違憲の政党助成導入を推し進め、結局、政治と金の問題に何らメスを入れなかったからであります。その責任は極めて重大です。
 にもかかわらず、今回提案されている政党助成法の三分の二条項撤廃は、政治改革の名で行われた政治改悪を施行一年を経ずしてさらに改悪するものであり、世論が朝令暮改、御都合主義にはあきれると批判するのも当然であります。
 そもそも政党助成法は、政党支持のいかんにかかわらず、すべての国民から政党への献金を強制する憲法違反の制度であります。我が党は、その制定に強く反対をし、交付金の受領を拒否しているものであります。我が党は、国民の思想・良心の自由、政党支持の自由と政治参加の権利を侵害する違憲の政党助成制度の廃止を強く求めるものであります。(拍手)
 政党助成法改正案は、政党交付金は前年収入総額の三分の二を上限とする交付限度額、いわゆる三分の二条項を廃止して、何の制約もなく交付算定額の満額助成を受けようとするものであります。これは助成金総額の際限のない増額に道を開き、ひいては政党の本来のあり方をゆがめる大改悪であり、断じて許されません。
 第一に、三分の二条項は、政党活動資金を公費助成に頼り過ぎることは国民の理解を得られるものではないとか、前年の政党経費よりも助成額が多くなるのは問題である、こういって導入したものであります。この国民への説明を投げ捨てるということは、結局、国民を欺瞞することとなるのであります。
 第二は、三分の二条項の撤廃による直接的かつ党略的効果であります。
 九五年分の交付額でいえば、社会党は四億五千三百万円、さきがけは四千万円の交付金を上積みできることになるのであります。政党活動のこのような国費依存への傾向は、いわば公費丸抱えの政党をつくり出すこととなり、結社の自由に基づいて国家から独立し自主的に組織運営されるべき政党のあり方を財政面からゆがめ、政党活動の衰弱と議会制民主主義の根本的腐敗を生み出すものであるからであります。
 第三に、三分の二条項の撤廃は、政党助成金の際限のない増額に道を開く布石となるものであります。
 政党助成総額を一千億円にせよと小沢新進党幹事長が主張し、他方で、自民党は企業・団体献金の公開基準額を五万円超から百万円超に引き上げようと企図しているようであります。本法案を手始めにして、国からの政党交付金と企業・団体献金の両面において政治資金の取り分を拡大し、金権政治の拡大の道を進めることとなるのであります。強く反対せざるを得ません。
 また、公選法改正案は、自民党が小選挙区比例代表並立制の初めての施行に当たって、その投票方法を少しでも自民党に有利なものにしようとの党略的打算から持ち出したものと言わざるを得ません。投票方法が記号式であっても自書式であっても、民意の議席への反映をゆがめ、議会制民主主義の原則をじゅうりんする小選挙区制の有する害悪は、いささかも改善されるものではないのであります。
 最後に、日本共産党は、憲法違反の政党助成法の廃止、企業・団体献金の禁止、小選挙区制をやめて民主的選挙制度を実現するために奮闘する決意を表明して、反対討論を終わります。(拍手)
#11
○議長(土井たか子君) これにて討論は終局いたしました。
#12
○議長(土井たか子君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の皆さんの起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#13
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
 市民公益活動を行う団体に対する法人格の付
  与等に関する法律案(河村たかし君外五名
  提出)の趣旨説明
#14
○議長(土井たか子君) この際、河村たかしさん外五名提出、市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。提出者河村たかしさん。
    〔河村たかし君登壇〕
#15
○河村たかし君 河村たかしてございます。
 新進党を代表いたしまして、ただいま議題となりました市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず最初に、新進党の皆さん、そしてこの法案作成に大変に御努力、御尽力をいただきました関係者の皆さんに本当にお礼を申し上げます。この法律案は本当の手づくりの法律案でございまして、いわゆる役所のつくった言葉が一言一句入っておりません。市民団体の皆さん、そして学者、研究者の皆さん、宿舎に何日も泊まっていかれた学者もおみえになります。本当にありがとうございました。
 議員の魂は、私は法律をつくることだと思っております。国会は立法府である、そんな信頼がまたこの法案を通じて取り戻されますように。きょうここに並んでおりますのは皆フレッシュマンでございますけれども、どうも聞くところによりますと、こういうことは非常に珍しいことだということを聞いております。そんなことを許していただいた新進党、本当に元気の出る政党新進党はすばらしいな、そんなふうに思っております。(拍手)
 それでは、本法案の提案の理由をお話をしたいと思います。
 まず一つ目でございますけれども、この法律案は、社会構造自体の三権分立、いわゆる民間非営利セクターを創造する、そういった法律案でございます。
 いろんな人生の生き方があると思います。一つは公務員になられる方、そしてもう一つは営利の分野でお金もうけを通じて頑張られる方、そしてもう一つ、世のため人のためになって頑張ろう、そんな分野があると思います。
 しかし、まことに悲しいかな、残念ながら、我が国では、世のため人のために頑張ろうとしますと、民法三十四条というのがございまして、主務官庁の許可を得てください、こういうふうになっております。ですから、現実的には、本当に草の根で頑張ろうとしている皆さん、そして国際協力にどんどん乗り出そうとしている皆さんが法人格を持とうと思っても、何億持ってこい、何千人連れてこい、そんなことで非常に苦労しておるのが現状でございます。いわば民法三十四条がとても大きい規制になってしまっている、世のため人のための分野では。そんなのが今の現状でございます。そこに大きな風穴をあける、そんな法律案でございます。
 社会を三つの姿にする。公務員で頑張る人、そして営利企業で頑張る人、それから世のため人のために頑張る人、そういった社会の構造を三権分立にするのが、この法律のまず一番大きな趣旨でございます。
 もう一つ説明を申し上げますと、ボランティアという考え方もございます。ボランティアというのは無報酬ということでございまして、ボランタリーというのは自主性ということでございます。非営利というのは収益を分配しないということでございまして、ボランティアよりもうちょっと広い概念ということでございます。そういう非営利の分野で、そこで実際働きながら通常の給料をもらっても結構でございます、世のため人のための分野で働く、そういう経済セクターをつくっていく、そういうような積極的な意味のある法律案でございます。
 それから二つ目でございますけれども、この法律案は、雇用の受け皿を具体的に提供する法律案ということでございます。
 今まで企業は、日本社会におきましてはいわゆる終身雇用制度を中核といたしまして社会政策もやってまいりました。皆さん御承知のように大変な不景気でございまして、いよいよ企業もそんなことを言っておれないよ、もうそろそろ営利だけでやらなきゃならないよ、そんな時代になってまいりました。そんなところに新進党も三百万人雇用計画を出しておりますけれども、その計画の具体的な受け皿としてこの非営利セクターを確立していきたい、そんなふうに思っております。
 それから三つ目でございますけれども、皆さん御承知のように、二十一世紀の社会は高度情報化社会、多分これがリードをするだろうと言われております。
 双方向性が完璧になりますと、それぞれ一人一人が放送局のようになる。光ケーブルが入りますと、今までは放送というのはマスコミだけでございましたけれども、それぞれの個人が放送局のようになって、自分の積極的な意思をいろいろなところに発表できるようになってまいります。そういう時代のインフラとして、一般的には光ファイバーだと言われております。
 無論それも大切でございますけれども、その社会を支えるのは、いろいろな人がいろいろなことを言ってもいいよ、いろいろな団体をつくってどんどんやりなさい、そういうふうな人間一人一人を大切にしていく、そんな社会的なインフラがどうしても必要なわけでございます。そんな社会インフラを支えるために、この非営利法人法、NPO法案は大きな貢献をするだろう、そんなふうに思っております。
 それから四つ目でございます。小さな政府と福祉社会の共存を目指す法律案ということも言えると思います。
 御承知のように、財政も大変苦しい状況にございます。しかし、特にお年寄りの介護の問題を中心として、やはり福祉も大事にしなければなりません。どうしたらこの二つを両立させられるのだろうか。これは今、大変な国の問題であろうかと思います。国の方はなるべく公権力の行使にかかわる、そういうようなかたい部分にいたしまして、あとはなるべくみんなで、市民がいろいろなところで力を出し合ってやっていこう、そういうのがこの法律案でございます。
 それも、補助金に頼らず寄附金で、基金を集めて、出す方もこの団体はいいなと思ったらそこに出せる、そういう仕組みをつくっていくことが、福祉社会と小さな政府の両立に、両方ともうまくいくのだろう、そんなふうに思っております。
 例えば、お年寄りに給食をサービスする場合、そしてまた独居老人に話しかけるサービス、こういうサービスは、役所がやれば多分これは画一的になります。営利の部門というのも、これもやはり難しいと思います。これはやはり、世のため人のためになろう、そういう気持ちの人たちがそのコミュニティーに根づいてやるのが私は一番いいことだろうと思います。例えば給食サービス一つとってみても、この人はサンマが好きかアジが好きか、そういうこともやはり地域のコミュニティーであれば、これは非常に効率的に非常に役立つ、そういうことでございます。
 それから五つ目でございます。この法律案は、地方分権の具体的な受け皿となる法律案ということでございます。
 地方の活力、これはもう大変に今必要なことでございまして、地方分権の話はいつも出てまいります。国会も全会一致において法律を定めました。しかし、必ず出てくるのは、地方分権をしてもその受け皿は本当にあるのだろうか、そういうような話でございます。この法案によりまして、いろいろな地域の団体が、福祉をしたり、教育をしたり、国際協力に踏み込んだり、そんな団体がにょきにょきとたくさん出てまいります。そういう一番地方のベースから地方分権を育てることによって、本当の地方主権の時代、地方の時代がやってくると思います。それを支えるのが今回の新進党のNPO法案ということでございます。
 では、そのような趣旨に基づいて提出いたしましたこの法案の特色を申し述べさせていただきたいと思います。
 まず一番大きいのは、民法三十四条というのがございまして、やはりここで、こういった非営利公益の活動については主務官庁の許可を要しなさい、こういうふうに大きな枠が定めてあります。それと法体系の調整をする必要があるわけでございます。
 これは憲法第八章九十二条にございますけれども、地方自治の本旨、この内容は団体自治と住民自治と言われております。みんなの手で地方をつくっていこう、そういう精神に基づいたいわゆるコミュニティー振興を目指す法律、これは憲法の要請にかなっているから簡易に法人格を与えていいんだ、私どもそんな趣旨で法律案を提出させていただいたわけでございます。コミュニティーから、それは地域のことも、本当の福祉というような地域のこともございますけれども、国際協力もどんどんやっていただく、こんな法律案を提案させていただいております。
 最後、まとめでございますけれども、この法律案は、二十一世紀の日本の国家像を問う法律案と言うことができると思います。
 今まで私どもは、こういった世のため人のためになる部分というのは、税務署を通じてお金を出して、それを税務署、大蔵省を経由して一元的に管理していく、そういう世の中でございました。そういった面一的な社会がいいのか、それともいろいろなところからいろいろな団体が出てきて、みんなの手で支え合う、そういった多元的な社会がいいのか。画一的な社会がいいのか、多元的な社会がいいのか、どちらの二十一世紀の社会をつくるのか、そんな国家像を問う法律案でございます。
 最後に、国民の皆様、そして議員の皆様、この法律案は二年間練りに練った法律案でございます。
 新進党は、また結党宣言の中にもこれを掲げております。多くの市民が誕生を期待いたしております。草の根の善意の活動やら国際交流の芽に、ぜひ皆さん耳を傾けていただきたいと思います。ぜひ自民党の皆さんも、与党の皆さんも、党派を超えて皆さんも、余り与党と言いたくないのでございますけれども、いつかわるかわからぬということもございますが、しかし、党派を超えまして、皆さんもこの趣旨には賛同されております。しかし、残念ながら、この制度の必要性というのはまだまだ国民の多くの理解をいただくことにはなっておりません。しかし、本当に極めて大切な法律案でございます。
 私たちの子供が、ああいい国を残していってくれたな、そんなふうに思っていただきますように、どうか大きな議論が巻き起こりますように、皆さんの絶大な御支援を本当に心から心からお願いいたします。
 どうもありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 市民公益活動を行う団体に対する法人格の付
  与等に関する法律案(河村たかし君外五名
  提出)の趣旨説明に対する質疑
#16
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。熊代昭彦さん。
    〔熊代昭彦君登壇〕
#17
○熊代昭彦君 私は、自由民主党、岡山一区選出の熊代昭彦でございます。
 中身の御説明はございませんでしたが、自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけを代表し、ただいま趣旨説明のありました市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案、通称NPO法案について、質問を行うものであります。
 私は、自由民主党のNPO対策プロジェクトチームの座長であり、日本社会党及び新党さきがけの五島正規座長と堂本暁子座長とともに与党NPOプロジェクトチームの共同座長を順次務めさせていただいておるものであります。そういう立場にある者として、次の通常国会に提出します。我々与党の市民活動促進法案の中身と対比しつつ、質問をしたいと思います。
 まず第一に、新進党が法案を提出されたことは評価いたしたいと思います。
 与党と新進党が具体的な事項について競争的に対案を出せる状況になったということであり、お互いに切磋琢磨して具体案をよりよきものにできる競争的条件がそろったことでありまして、歓迎したいと思います。検討の過程で、共同で一つの案にしないかとの御提案もなかったわけではないのですが、私どもはそれに同調せず、お互いに切磋琢磨する道を選んだのであります。
 次に、新進党が法案を素早く出されたことはそれなりに評価すべきことではありますが、やや拙速に過ぎて、このような民法の特別法として極めて大きい意味を持つ法案としては極めて欠陥の多い法案になっているということであります。
 もう少しよく検討されて、幾ら野党が出される法案とはいえ、中身の充実した、我々が本当に脅威を感じるような迫力のあるものにしてほしかったと思います。現在の中身では全くの迫力不足であり、法として成立させる価値に乏しいものと言わざるを得ません。例えて言えば、上りくる太陽のように光り輝く我々の与党案に対して、静かに沈み行く明け方の月のような存在が新進党案であると言えるでありましょう。
 具体的に問題点を指摘してまいりたいと思います。
 問題点の第一は、本法案がその表題で示されているとおり、ほぼ全面的に法人格の付与に関することに限定されたことであります。
 我々の市民活動促進法案は、その名称が示すごとく、市民活動団体への法人格の付与のみならず、いろいろな市民活動促進策を盛り込んでおります。災害救助、福祉や環境問題、さらには国際協力等々に現に活躍しておられる多くの方々、さらには、今後ボランティア等として働いてくださる方は、将来的には数千万人に及ぶと思われます。この方々が自主的に楽しく有意義に働いてくださるよう環境整備するためには、ただ単に法人格の取得が簡単に行えるだけでは十分ではないからであります。
 有意義な市民活動を促進するためのもろもろの施策を推進すべき国、都道府県、市町村、個人、企業・団体等の責務、教育の取り組み、市民活動を行う人たちの社会的地位の向上等々が必要ではないでしょうか。
 なかんずく、税法上の優遇措置は最も重要な施策の一つでありますが、新進党案にはそれが抽象的に述べられているだけで、具体的な中身が取り込まれていません。これは致命的な欠陥であると思われるが、どうでしょうか。
 附属書類で見ると、来年の四月までに検討して税法を出すとされておりますが、今国会に半分出して、次の国会にもう半分を出すというのは、いかにも国会を軽く考えておられるのではないか。先ほどの演説でもそのように感じたところでございます。
 我々与党の案は、市民活動法人の認証により、収益事業のみに課税し、非収益事業部分の非課税を確立するとともに、その悪用を防ぐ措置を十分入れております。さらに、公益性が非常に高いものとして三年間の実績をもとに都道府県知事の認定を受ければ、現在の民法法人並みの税法上の優遇を受けることができる。さらに、著しく公益に貢献していると知事に認められれば、特定公益増進法人と同じ税法上の特典を受けることができることとしております。これと比べて、本法案のこれからやりますという規定は余りにも見劣りがするのではないか。御見解をお伺いしたいと思います。
 問題点の第二は、本法案第三条「定義」の規定でございます。
 同条によれば、市民公益活動とは、住民が一定の地域を基盤として行う公益を目的とする活動とされ、市民公益法人は、社員の過半数及び役員の三分の二以上が主たる事務所の所在地の都道府県の区域に住所を有する者でなければならないとされております。さらに、主として活動を行う区域が、主たる事務所の所在地の都道府県の区域内にあることとされております。これは余りに限定的に過ぎないでしょうか。
 我々与党の案は、一都道府県知事の認証で、日本国内はおろか、世界に羽ばたくNGOも世界に通用するリーガルステータスを持って活躍できるようにしております。ただし、宗教法人法の反省に基づき、従たる事務所を他の都道府県に設けたときは、そこにもきちんと届け出をし、そこの知事の監督を受けることとし、その他所要の規定を定め、宗教法人の二の舞を踏まないようにしております。これと比較してみても、新進党案は極めて不十分な欠陥案であると思いますが、どうでしょうか。
 また、五十万円の基本基金が必要であるとしておりますが、何の役に立つのでございましょうか。この程度のものはない方がよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 問題点の第三は、税法上の特典が人格なき社団と同じ段階にある市民公益法人に対し、知事が必要と認めるときはいつでも立入検査ができるということにしておられますが、厳し過ぎる規定ではないかということでございます。民法法人並みの特典を得た市民活動法人に対してのみ民法法人並みの監督を認めると我々の与党案では考えていますが、その方が公平ではないでしょうか。
 問題点の第四は、逆に課税逃れの防止策が十分でないことであります。
 収益事業のみ課税の市民公益法人でも、悪用防止策は十分しておかなければなりません。例えば、この法案では、解散した場合の残余財産の帰属については原則として定款の定めるところによるとされているので、定款にさえ定めれば、特定の関係者を定めることも可能になってまいります。さらに、法人と特別の関係にある個人、政治団体、宗教団体、会社などへの寄附も認められるようになっておりますが、これらを禁止しないと利益配当の禁止の脱法行為となってしまうのではないでしょうか。
 問題点の第五は、政治活動や宗教活動を市民公益法人に自由に認めている点であります。
 我々の与党案では、選挙活動、これは特定の候補者や政党の当選や落選、党勢の拡大もしくは妨害を目的とする活動と厳密に定義しておりますが、それを目的とする法人や、宗教活動、これも特定の宗教の教義を広め教勢を拡大しようとする活動と厳密に定義しておりますが、それを目的とする法人はいずれも市民活動法人として認証しないこととしております。また、認証された市民活動法人はこのような選挙活動または宗教活動をしてはならないこととしております。それは、このような活動はそれぞれ政治資金規正法の体系または宗教法人法の体系でおやりくださいという趣旨でありますが、これと比較して不当ではないでしょうか。
 主な欠点を挙げるだけでも以上のようなものがあり、早期提出を目指す余り、残念ながら検討不十分なものを提出されたという思いを禁じ得ないのでございますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、我々与党は、十二分に検討したものを、税制上その他の促進策をしっかりと取り込んだ法案として次の通常国会に提出し、何千万という市民が生き生きとボランティア活動その他の市民活動に取り組むことのできる新しい日本をつくり出していく決意であることを御披露し、質問を終わるものであります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔上田清司君登壇〕
#18
○上田清司君 新進党の上田清司であります。
 御質問にお答えする前に御指摘させていただきますが、まず、質問者はしばしば与党案と比べてという言葉を使って新進党案を御批判なされておりますが、日本社会党、新党さきがけに確認しましたが、与党案はまだ合意に達していないという返事をいただきました。したがって、法案を見せてほしいというお願いもいたしましたが、出せないと言われたわけであります。独自の視点から新進党案の問題点を指摘されるならともかく、与党として決定もしていない与党案と比べて我が党案を批判するのは、まじめに法案を研究されておられる社会党さんやさきがけさんに対しても失礼ではないか。(拍手)それとも、自民党だけが与党と思っておられるのでしょうか。
 また、拙速で欠陥の多い法案という全体的な御指摘がございますが、欠陥は一切ありません。そして、新進党は結党宣言に重点政策として盛り込み、足かけ二年にわたってボランティア団体とも協議をして、十分に検討された経過を持っております。むしろ、与党のNPO対策プロジェクトチームこそ、設置されたのが本年二月十五日、法案を練り上げるにはいささか時間が少なかったのではないかと危惧するものであります。本日も三党間で調整をなさったと聞いておりますが、熊代議員の質問とは反対に、合意なされていないというお話であります。失礼も省みず申し上げれば、質問者こそ拙速で欠陥の多い御批判ではないかと思います。(拍手)
 それでは、御質問にお答えします。
 法人格の付与に限定しているという指摘についてお答えします。
 本法案は、法人格の付与はその内容の中心ではありますが、決してそれにとどまることはありません。例えば、市民公益法人センター、第六章、税制上、財政上の優遇措置の第五十四条及び国民の理解を深めるための措置、第五十五条など、法人格付与以外にも市民公益活動を促進するための措置をとっております。特に、財政上、金融上の措置や国民の理解を深めるための措置の対象は広く市民公益活動一般となっておりまして、法人格を取得した市民公益法人に限定したものではありません。法律案として正式に国会に提出しているものでありますから、御質問者は少なくともその条文ぐらいは丁寧に読んでいただきたいものであります。
 このような法人格の付与以外の措置は、一方では、過剰な支援・援助措置が往々にして行政介入をもたらすおそれがあること、他方では、市民公益活動の自主性、自立性を最大限に尊重する必要があることを考えて、両者のバランスをとった適切な措置だと考えております。したがって、法人格の付与を中心としつつも以上のような措置をとっているということで、法案の題名を市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案としている次第であります。
 なお、与党案の内容は世に出ていないので、はかりがたいところでありますが、市民活動促進と銘打っでどのような促進施策を盛り込んでおられるのか、また、その促進施策が市民の自主性、自立性を阻害することにならないのか、そうしたところが心配であります。
 次に、税制改正についてお答えいたします。
 新進党として、他の税制改正事項とまとめて年度改正として法律案を提出する予定であり、来年四月一日以降の施行を考えているわけであります。なぜなら、税制のように政策的なバランスす。なわち政策的な体系を特に要求される分野においては、個別政策をつまみ食い的に、単発的に提起するのではなく、政権を担い得る責任政党として全体像を示すことが重要であると考えているからであります。与党におかれましてはいざ知らず、我が新進党では現在税制調査会できちんと精査をしているということを申し添えておきます。
 以上のように、本法案及び税法改正の内容は確たるもので、関係者から高い評価を受けているところであります。公党の重大な任務としてその政策を法律案として広く世に問うことが重要であることを考えれば、いまだ法律案の正確な内容すらも見えない政府・与党と我が新進党のどちらが上りくる太陽のように光り輝くものであり、どちらが沈み行く明け方の月のような存在かは一目瞭然であります。(拍手)
 大変失礼ながら、質問者におかれましては、次なる機会のときはしっかり法案に目を通していただきますことを切に要望申し上げて、答弁を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔富田茂之君登壇〕
#19
○富田茂之君 熊代議員の御質問にお答えいたします。
 まず、市民公益法人の定義についてのお尋ねでございますが、本法案は、民法の特別法として、非営利公益団体のうちの一定部分を取り出して、これに簡易な手続で法人格を付与するというものであり、本法案に言う市民公益法人の定義は、多くの市民公益活動を行う団体のニーズに合致したものとなっていると考えております用地方分権、地域振興という時代のニーズにこたえるとともに、それのみに限定されずに、従たる活動を他の都道府県や海外において展開することも可能となっているのであります。
 もし、この特別法の対象を非営利法人一般とし、あるいは公益法人一般とした場合、現行民法を前提として制定、施行されている多くの特別法の見直し等が必要となってくることは必至であります。与党の皆様はこの点に気づかれていないのではと危惧するものであります。一刻も早くNPO法案を成立させてほしいという市民の切実な要求にこたえ、現実的で誠意のある政策論争をしようではありませんか。
 次に、従たる事務所に対する監督に関する御指摘につきましては、事務所の設置は登記事項として一般的に公示されるものであり、他の都道府県知事も当然にこれを把握できる状態になっておりますから、御指摘のような欠陥は全くないものと考えております。そればかりか、従たる事務所の設置いかんにかかわらず、従たる活動を行っている都道府県において法令違反等の行為があった場合にも、その都道府県知事は必要かつ最小限の範囲内において是正措置を講ずることができるものとしているところであります。これは、市民公益法人の自主性、自立性を最大限に尊重しつつも、その悪用防止のための必要最小限の監督規定を設けたもので、まことに適切な措置であると考えます。
 第三に、五十万円以上の保有義務を課している基本基金の制度についての御指摘でありますが、一方では、法人格を与えるにふさわしい独立した経済的取引主体たる実態がなければならないという要請、これはまた同時に最小限の悪用防止策でもありますが、この要請と、他方では、余りにそのハードルを高くして、さまざまな形態のあり得る市民公益活動団体の設立を阻害してはならないという要請とを総合的に勘案したもので、ない方がよいなどという批判は全く当を得ていないものであると考えます。
 最後に、監督についてでありますが、市民公益法人に対する立入検査は、御質問のように知事が必要と認めるときはいつでも行えるわけではありません。条文をきちんとお読みいただければ、「法令、法令に基づいてする行政庁の処分及び定款が遵守されているかどうかを確かめるため必要があると認めるとき」に行うことができるという限定をしていることに気づかれると思います。どうかきちんと読んでいただきたいと思います。これは、市民公益法人が自主的に定めた目的に従った市民公益活動を法律違反なく立派に行っている場合には行政は一切介入せず、反公益活動等を行ったと認めるとき等最低限必要な場合に限って監督を行うことを定めた趣旨であります。
 熊代議員の御説明の与党案では、民法法人並みの特典を得た市民活動法人にのみ民法法人並みの監督を認めているとの御主張でございますが、このような法人につきましても自主性、自立性が尊重されるべき必要性のあることにかんがみますと、そちらこそ監督はより限定的な場合に行われることとする必要があるのではないでしょうか。
 残余の御質問につきましては、山田宏議員より御答弁させていただきます。(拍手)
    〔山田宏君登壇〕
#20
○山田宏君 二点だけ御質問にお答えをさせていただきます。
 再度で大変恐縮でございますけれども、課税逃れの防止策が不十分である、特に残余財産の問題について言及がございました。本法案全文に目を通していただければすぐおわかりになろうかと存じますけれども、本法案の第十一条第二項により、残余財産の帰属主体は、解散した法人と同一または類似の目的を有する他の市民公益法人その他公益を目的とする活動を行う法人のうちから選定すべきものとしております。定款に規定すれば特定の関係者に帰属させることができるなどということには決してなっておりませんので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 なお、本案については、第三十二条で、役員及びこれに準ずる者の報酬に関する事項を記載した書面の作成、各事務所への備え置き、さらに都道府県知事への提出を義務づけております。これは、過大な役員報酬という手段によって非営利性の要件が脱法されることを防止しようとしたものであります。さらに、第二十五条において、役員について親族支配の防止の措置も行っているのでありまして、かかる手当てまでしている本法案こそが、特定の関係者が私腹を肥やすことを防止すべく労を費やしているものと言えると考えております。
 次に、政治活動、宗教活動と当法人との関係についての御質問がございました。
 今回の我々の法案におきましては、対象としている市民公益法人の行う活動は、住民が一定の地域を基盤として行う教育・科学の振興や文化の向上あるいは社会福祉への貢献等といった公益を目的とする活動なのであります。公益とはすなわち不特定多数の利益あるいは社会一般の利益を意味するのでありまして、熊代議員御指摘のような、専ら特定の政治家を応援する後援会のような、いわゆる特定の者の利益のみを追求するような活動を行っている団体は、最初から対象となっておりません。
 他方、今回の我々の法案におきまして最も気を使いました点は、先ほど来繰り返し申し上げておりますとおり、多様な価値観を有する住民の行う市民公益活動の自主性、自立性が行政による一方的な価値観で侵害されることなく、こうした活動を積極的に推進することであります。したがいまして、市民公益法人の行う活動の内容に対して行政があれやこれやと口を出すことのないよう、法令違反、定款違反等の、法律で定められた一定要件に該当する場合を除いては行政の介入を極力排除しているのでありまして、それ以外に市民公益法人の行う特定の活動を取り出して活動の内容を云々するというようなことは、この法案の立法趣旨にかんがみ厳に慎んでおるところでございます。
 つけ加えて申し上げれば、いまだ与党の皆さんの法案をちょうだいしていない段階ではっきりとしたことは申し上げられませんが、今熊代議員が御指摘のとおり、例えば市民活動法人の認証を行う際、政治活動や宗教活動を目的とする団体であるかどうかというのをどうやって判断されるのか。その際、認証と言いつつも、さらに当該団体の活動の中身にまで踏み込んで、いわゆる実態審査が必要となってくるのではないか。このことが市民活動法人に対する行政の不当な介入につながる危険性はないのか。そういったこと等々をもう少し整理された段階で改めて私どもの法案のどこが問題なのか議論をしていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。(拍手)
#21
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
#22
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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