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1947/12/08 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 懲罰委員会 第3号
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1947/12/08 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 懲罰委員会 第3号

#1
第001回国会 懲罰委員会 第3号
昭和二十二年十二月八日(月曜日)
    午後一時三十七分開議
 出席委員
   委員長 大原 博夫君
   理事 井伊 誠一君 理事 中村 又一君
   理事 本田 英作君
      梶川 靜雄君    宮村 又八君
      武藤運十郎君    森 三樹二君
      安田 幹太君    荊木 一久君
      打出 信行君    小川 半次君
      神山 榮一君    八並 達雄君
      鈴木 仙八君    高橋 英吉君
      古島 義英君    三浦寅之助君
      山口 好一君    中野 四郎君
 委員外の出席者
             議員 石田 一松君
 衆議院規則第二百四十條による出席者
   理事 倉石 忠雄君 理事 有田 二郎君
   理事 山口六郎次君
 衆議院規則第五十三條による出席者
        衆議院衞視長  坂本 新治君
        衆議院主事   鈴木千代治君
        衆議院主事   佐藤 宗一君
        衆議院主事   奧野富太郎君
        衆議院主事   土屋 常安君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 議員倉石忠雄君懲罰事犯の件(議長宣告)
 議員有田二郎君懲罰事犯の件(議長宣告)
 議員山口六郎次君懲罰事犯の件(議長宣告)
    ―――――――――――――
#2
○大原委員長 これより開會いたします。
 倉石忠雄君、有田二郎君、山口六郎次君、三君の議長宣告にかかる懲罰事犯の件を付議いたします。
#3
○三浦委員 私の非常に不審に思つたのは、この前の懲罰委員會のとき、公報が私のところに来ない。翌日の朝著いたのです。委員會の開會は公報をもつて通知するというならば、少くとも私は、委員に完全通知がなければならぬと思うのでありますが、委員に通知がなかつた場合に開かれた委員會というものには、私は法律上非常に疑問をもつのでありますが、こういう點に對して、委員長の御見解を聽きたい。
#4
○大原委員長 委員長の見解は、公報の到著せざる場合は、今までもしばしばあることでありますから、これをもつて委員會が無效であつたという解釋はできないと思います。
#5
○三浦委員 無效だと言うのじやない。今までもそういう例はたくさんあるのでありましようし、それをどうこう文句を言うじやない。事いやしくも議員の資格に關する重大問題、懲罰というようなことは、これは議會における重大問題であつて、この重大委員會の際において、公報をもつて通知するしないは別として、少くとも委員の所に送達される方法を委員長において十分注意をもつてなさるべきが當然だと思うのであります。そういうような委員に對する完全なる通知の方法をしないで、委員會を開催するということについて疑問をもつのでありますが、それでも委員長は差支えないと言うならば、私はそれでもいい。完全なる通知をしなくても、委員會は成立して差支えない。またそうしても委員長は何らの責任を感じないというのでありますか、その點を……。
#6
○高橋(英)委員 決議を出すとすぐやじが飛んで、何かもませでもするように不純な動機で發言するように思われるといかぬですが、そういう意味でなしに、懲罰委員會は最も厳正にやらなければいかぬのですから、なるべく手續は合法的にしてもらいたいと思う。今公報の到著問題も問題ですが、これらも人の審理、審判は愼重にやらなければならぬという、そういう目的をもち、そういう立法精神をもつた規則だと思う。殊に私きのう調べてみると、今の本人に出頭を命じたり、證人を出頭せしめたりすることは、議長を経由しなければならないことになつておるようです。一昨日の本人の出頭並びに證人の出頭は、おそらく議長を正式に経由していないと思うのですが、しかしそれによつてとやかく言うわけではありませんが、要するにそういうような手續を必要とするということは、事を愼重にしなければならないという建前だと思ふのです。だからさいわいに進んで出てもらつたのだがら、何も議長を經由しなければならないという理窟を、私ども申し上げるのではないのです。根本精神、立法精神というものは、こういう重大なことを議するについては、手續に最も愼重を必要とするし、一人でも委員の意見を聽かなければならないし、また證人その他の問題についても愼重なる取扱いによつて、愼重審議をしなければならないという建前におるべきだと思うのですから、今度はいろいろ手違いもあつたかも知れませんけれども、その點についても、なるべく今後、委員長において、適當に、そういう間違いのないように、手續に行き違いがないようにお願いしたいと思います。――證人の申請は議長にも書面で行つたと言われるけれども、あの際に、委員會において決定すると間髪を容れずして、本人や證人が來ておるのですから、その實際上においては、そのいとまがなかつたと思うのであります。現にその手續はあとからできておる。形式のものですから何ですけれども、あのときに委員長は本人を出頭せしめ、必要な證人を云々というような場合に、その間に議長を經由して本人に傳達されて、本人が來たという正式の經路は、實際上には本人が行つたあとでそういうことができておつたにしましても、できていないのです。とにかく何にしても、こういう問題は愼重にやらなければならないといういろいろこまかい規定もできておると思いますから、手續問題なんかでも、そう不純な動機でやるということじやなしに、やじを飛ばさぬように、空氣を荒立たさぬように、お互いに研究だけはしたいと思います。
#7
○大原委員長 高橋君にお答えいたします。これは當日は早く大體の要求書だけは出してあつたので、その手績は書記においてはつきりやつております。
#8
○高橋(英)委員 それを先に出してあつたのがいかぬのです。あなたがここに諮られて……。
#9
○大原委員長 要求書を出しておつても、それは諮つた上でなければ、證人を喚問しないのですから――だからその點を諮つたのですから……。
#10
○高橋(英)委員 はつきり言えば、ここで皆が同意したる場合に、委員會の名においてそれぞれの手續がとられるのがほんとうで、事前にやつたとかやらないとか言われても、いろいろ問題がありましようけれども、愼重にさえしてもらえば、私は……。
#11
○大原委員長 そういうように一應の順序は履んで、それに基きましてその上お諮りして御同意を得ましたから、そこで喚問したいということになるのでありますから、御了承を願いたいと思います。また公報についても、公報が到著するということが普通であろうと思いますけれども、今日の状態でありますから到著しなかつたことによつて、委員會が開會されても、これは無效というわけにもまいらぬと思う。從つてこの委員會開會については、私は無效ではないと思う。こう考えておりますから、その點を御了承願います。
 なお前會の續き、井伊委員から、鈴木千代治君に對して質問があるということでありますから、これを許します。
#12
○井伊委員 先日の鈴木千代治君の供述の中に、ややはつきりしない點がありますので、二、三補充して質したいと思います。證人が速記臺に著席した場合の位置ですね。それは演壇の方から見て右側になるのであるか、左側になるのであるか。それから二人相竝んでおる二人のうち、演壇に近い方におるのであるか、遠い方におるのであるか、それをお聽きしたいのです。
#13
○鈴木證人 お答えいたします。これは(略圖について)速記臺のこちらが演壇ですね。
#14
○井伊委員 上が演壇です。
#15
○鈴木證人 こつちが演壇ですか。それだと、私はこの位置にすわつておりました。速記者は二人組んで出ますが、主が外側、副が演壇に近い方にすわります。當日私は主で、この席にすわつておりまして、ここに御承知の通りずつとさくがあります。有田さんたちはここにおつたのであります。
#16
○井伊委員 そうすると演壇から見て左側の少し遠い所におるということになりますか。
#17
○鈴木證人 さようでございます。
#18
○井伊委員 その次に奧野富太郎君の席は、やはり演壇の方から見たならば右側でありますか、左側でありますか。竝んでおつたときは演壇に近い方ですか、遠い方ですか。
#19
○鈴木證人 私からお答えいたします。奧野君は私の次の出番でありまして、奧野君は主として、演壇から向つて右側の外側にすわります。
#20
○井伊委員 それから有田さんと言われたのは、有田二郎君のことでありますか。
#21
○鈴木證人 さようであります。
#22
○井伊委員 有田さんが證人の用紙とシヤープを拂いのけたと、こう言われましたが、それは有田君が速記席の圍いの外にからだをおいてやつたことでありますか、それとも圍いの中にはいいてやつてやつたことでありますか。
#23
○鈴木證人 有田さんは、私が此處にすわつておりまして、ちようど此處におられました。それから臺に手をついて上半身跳び上つて、それから私の原稿とシヤープを拂いのけました。
#24
○井伊委員 原稿とシヤープを拂いのけられたというのは、現にもつているシヤープ、もつておる原稿用紙を拂いのけたというのでありますか。それとも補助的にわきに用意されたものを拂いのけられたというのでありますか。それともその双方でありますか。
#25
○鈴木證人 シヤープは大がい手にもつているのと、用意に一本そばにおいてあります。私の右手にもつているのは飛ばなかつたのですが、用意のためにそばにおいてあるのが飛ばされました。原稿用紙は左手で輕く押えてあつたのですが、これは完全に飛ばされました。
#26
○井伊委員 その用紙のところにはすでに速記しておつた分もあつたのですか。
#27
○鈴木證人 すでに議長の開會宣告、その他數項の發言が書いてありました。
#28
○井伊委員 拂いのけられたことによつて、その原稿は破損されるということはなかつたのですか。
#29
○鈴木證人 全然破損はしておりませんでした。
#30
○井伊委員 鈴木千代治君に對する質問はこれで終ります。なお奧野富太郎君から一點お聽きしたい。
#31
○大原委員長 奧野富太郎君の證言を求めます。
#32
○三浦委員 始める前に、私はこの前出なかつたので、一言お聽きしたいのです。
#33
○大原委員長 三浦君。
#34
○三浦委員 有田君がそういうぐあいに妨害しておつた際に、その當時議事の進行はしておつたのですか。それともあまり騒擾のために議事は進行しないで、その當時……。
#35
○鈴木證人 その點は、もうすでにこの前の委員會で、當時の事情を話したときに申し上げました。ちようどそのときは議場が騒然としておりまして、議長の發言……。
    〔私語する者あり〕
#36
○大原委員長 私語を禁じます。三浦さんに對する答辯がありますから…。
#37
○鈴木證人 ちようど原稿用紙が拂いのけられた際は、議場が騒然としておりまして、議長の發言はありませんでした。しかし私たちとしては議長がいつ發言されるかわかりませんから、始終シヤープをもつて議長の顏を見ております。それからやじでも、あとで問題になるようなことがあるといけませんから、ちよくちよく記し得る態勢をとつて注意しておりました。
#38
○高橋(英)委員 念のためにお聽きするのですが、議場騒然というのは、速記録を見るといつも議場騒然のために聽き取れぬというふうなことを書いてありますが、あの程度ですか、あれ以上の騒擾の状況はどういうふうなものでしようか。
#39
○鈴木證人 あのとき議場におられた方は、おそらく皆さん御存じのはずだと思いますが、私はここにすわつておりまして、ここにさくがございます。ここでもつてばたばたやられますし、それから著席しておられても、名札でばたばたされますし、議長のちよつとした發言はほとんど聽取不能でございます。
#40
○高橋(英)委員 速記にいつも書いてある通りですか。
#41
○鈴木證人 そうです。
#42
○山口(好)委員 鈴木さんに一つお尋ねいたします。有田君の言われるのにはあなたのシヤープや紙を自分は落していないと言うのです。その圖面が掲げられてありますが、有田君は中央突破というような言葉を使つていましたが、それはこちらに赤線がずつと矢印して書いてあります。そこを自分は上らうとした。それて演壇、速記臺の前に三つ赤丸がついておりますが、そこには別な人がおつて、いくらか騒いでおつた。自分はかるがゆえにシヤンプを落したり紙を落したりすることはなかつたわけだ、こう言つておりますがあなたとしては有田二郎がそういうふうにやつたと記憶なすつておりますか。
#43
○鈴木證人 お答え申し上げます。有田さんはここにおられます。私はここにおります。交代の奧野君と土屋君はまだ見えておりません。私とここにおられる佐藤君がここにおりました。二人でながめておつて、有田さんはここにおられました。これが有田さんの速記席に侵入された徑路だとおつしやいますけれども、私と佐藤君のちようどまん中からはいられたのですから…。
#44
○山口(好)委員 そうするとあなたの机からは遠い方ですか。
#45
○鈴木證人 私はここにおりますから直ぐ眼の前です。
#46
○山口(好)委員 もう一人の、あなたの前の正面になるところの机のようにあなたの指では見えます。
#47
○鈴木證人 私はここにおりまして、佐藤君はここにおります。二人のおりますまん前ですから、ちようどこの邊であります。
#48
○山口(好)委員 そうしますとあなたの前の方の机というのですか。
#49
○鈴木證人 私の原稿とシヤープはここにあります。ここから上半身をここへ乘り上げて、ここへ故意かどうか知りませんがはいられたのです。
#50
○山口(好)委員 そのときには、有田君のほかにもそこにおりましたか。
#51
○鈴木證人 それはこの前に證言しましたが、すでに私の背後に十一人おられました。
#52
○山口(好)委員 有田君がいないから、私が代つてあなたに聽いてみたのです。
#53
○鈴木(仙)委員 鈴木さんにお尋ねします。ただいま何かそのときやじでもあとで問題になることは一々つけてあるというふうなことをおつしやいましたが、それに相違はないのですか。
#54
○鈴木證人 お答えいたします。一々全部書き取るわけにはまいりません。たくさんのやじですから……。
#55
○鈴木(仙)委員 それでは、あとで問題になるようなやじを何點かあなたはおしるしになつた覺えがあるのですか。あとで問題になるようなやじを、何點かあなたがおしるしになつた覺えがあるのですか。
#56
○鈴木證人 あのときは、議場が騒然としておりまして、ほとんどやじはもう四方八方から亂れ飛びましたから、おそらく書いてないかと思いますけれども、いつでも書き得る状態にはしていなくちやならぬわけです。
#57
○鈴木(仙)委員 全然あなたはやじを書いてないのですね、問題になるようなやじはなかつたですな。
#58
○鈴木證人 あのときはおそらく書いてないかと思います。
#59
○鈴木(仙)委員 重ねてお尋ねしますが、こうした場合、議長がはいた言葉を、問題になるようなことはお書き留めになるのですね。
#60
○鈴木證人 聞えれば議長のは書きます。
#61
○三浦委員 有田君と僕は違うのですが、それはいいとして、速記臺の前には、衞視の方がずつと列んであつたのではないですか。
#62
○鈴木證人 あのときは衞視さんは、まだ全然ここには列んでおられなかつた。議長席の周圍には衞視さんは列んでおられましたが……。
#63
○三浦委員 あなたの言うのは、速記臺に上から飛び乘つたと、こういうのですね。
#64
○鈴木證人 そうです。ここから…。
#65
○井伊委員 私は佐藤宗一君の證言をお聽きしたいと思つております。佐藤宗一君は、前囘には有田君の行動については、鈴木千代治君の申されたところと全然同一であると、かように申されたのでありますが、本日鈴木千代治君が補充的に申し述べられたところと違うところがありましたならば、述べられたいと思います。同じでしようか。
#66
○佐藤證人 連日の會議で非常に疲れておりますから、はつきりした記憶はありませんけれども、當時有田さんが演壇へ上半身を伸ばしまして、原稿をはじかれたときまでは、はつきり覺えております。それから私は議長の發言を書き取るために、議長の顔を見ておりましたために、だれが右の席へはいつたかわかりませんけれども、一人、自分の右側のあいた席へかけた人がありました。私は多分次の交替の速記者が來てかけたと思つておりましたけれども、あとで右側を見ましたら、有田さんでありました。
#67
○大原委員長 それでは奧野君に證言を求めます。
#68
○奧野證人 私が申し上げますことは、この前の囘に鈴木さんから言われました證言の中に、交替のためにあいておつた席へ議員の有田さんが腰かけられた。そのあいておつた席にすわるべきであつたのが私でありまして、そのことだけをこれから申し上げますので、それ以外の事實というものはございませんから、その點御承知を願いたいと思います。私が前の組から引繼ぎを受けまして、時間は九時四十一分か二分であつたと思います。この階段を上つて、ここへまいりましたときに、ふと見ましたら、私の席にだれかが著席されたのです。そのときには、これが有田さんであつたということは私はわからなかつたのですが、ちようど私がここへ出てきたときにかけられた。そこへ、ちようどかけられたときに私が出てきたのであります。私の組のもう一人の土屋君は、こちらから上つて、議長から見て左側の内側へ腰をおろしました。私は著席できませんので、しばらくこの階段を上り切つた所で待つておつたのであります。この席をのいていただかなければ、當然速記者としての執務ができないわけでございますから、私としては、聲をかけてどいていただくようにしようかと、こう思つたわけであります。そうしましたら、このさくの外から、どなたかは存じませんが、議員の方が有田さんをひつぱつておろしたのであります。で有田さんがこの邊からこちらへずるずるとひつぱられて飛び降りられた。そのときに、ちようど私がうしろにおりましたので、また、私も自分で聲をかけてどいていただこうと思つておりましたときですから、有田さんの體にぶつつかりまして、私は階段の方へ二、三段突き飛ばされたようなかつこうになりました。結局有田さんは、こちらへおおりになりましたので、私はそのあとへ著席することができたのであります。私がここへ上つてまいりましてから、その著席した後も、このさくのまわりは、ずつと取巻かれておりまして、この机の上をばたばたとたたかれておりましたが――こういうてすりのような所をばたばたとたたかれておりまして、前囘鈴木さんが證言されましたように、議長は騒擾を鎮めるために何事か發言なすつておられましたけれども、その大部分というものは聽取ができなかつたようなありさまでありました。大體これだけが私の申し上げることであります。
#69
○井伊委員 それは日はいつでございましたか。
#70
○奧野證人 先月の二十一日であります。
#71
○高橋(英)委員 簡単に奧野さんに質問したいのですが、一問一答になる場合があるかもしれませんが……。
#72
○大原委員長 速記が困りますから、一つ一つやることにしましよう。高橋君。
#73
○高橋(英)委員 たいへん同僚の有田君が御迷惑をかけて相濟まぬと思つておりますが、その腰をかけておつた状態は、速記の妨害というような積極的な目的をもつてやつておつたように見られますか、何かの拍子でやつたように見受けられますか。
    〔「早うやれよ、心證を害する」「客觀的にわかつているじやないか」と呼び、その他證言する者多し〕
#74
○大原委員長 奧野君から答辯します。
#75
○奧野證人 ただいまも申しましたように、私が議場に出てまいりましたときには、すでに有田さんは著席されたその直後でありましたので、その有田さんの意思が那邊にあつたかは、私としては判斷ができなかつたのであります。
#76
○高橋(英)委員 どういうふうに思われたかというのであります。積極的に妨害するというふうな言動が見えたか、それとも何かの拍子で、そこに腰かけておつたと思われたか。それは周圍の事情によつて、環境によつて、そのくらいな判斷ができないことはないのだから、――これは自分の仕事をじやましておる、自分の仕事でなくとも、少くとも速記者の仕事をじやましておるというふうな、非常な義憤を感ずるような粗暴な言動が、有田にあつたかどうかというくらいのことは、あらかじめ判斷がつかぬというようなことはないでしよう。そのときにどういうふうにして來たか、そこに落ちこんで來たのか、息切れがしてそこで休んでおつたのか、あるいは速記の妨害でやつて來たのかということは、その瞬間において直感的に感ぜられることはないだろうかというのです。(笑聲)笑うことはないじやねいか。(「感想は證言の中にはいらない。」と呼ぶ者あり)感想じやない。そのときの空氣を聽いておる。そのときどういうふうに思われたかという事實環境を聽いておる。主觀を聽くのじやない、そのときの状況を聽くのです。
#77
○奧野證人 私としては、ただいまお答え申し上げた以外には、ちよつと申し上げることはできないと思います。
#78
○三浦委員 あなたの言う證言の中に卓をばたばたとたたかれておつたと言いますが、そうするとすでにその場合には速記の妨害の状態にあつたわけですか。それでは有田君に關係なく、他の状況によつてすでに速記のできないような状況になつたわけですか。
#79
○奧野證人 そのときその卓やてすりをたたかれることによつて、非常に妨害になつておりました。
#80
○三浦委員 有田君がしなくとも、當然速記はできない状態にあつたわけですね。
#81
○奧野證人 議長の發言なんかが非常に聽きにくかつたというのは、やはりそういう非常な騒擾状態によつてそうなつておつたのであります。
#82
○三浦委員 私の言うのは、有田君に關係なく、すでに速記の臺がたたかれておつて、速記が妨害される状態になつて、そうして速記のできない状態にあつたのかというのです。それは有田君の問題として考える場合には重大問題だから、私は特に念を押す。
#83
○奧野證人 それは非常に速記の妨害になつておりました。
#84
○三浦委員 速記ができない状態にあつた、こういうのですか。
#85
○奧野證人 速記の困難な状態にあつたのです。
#86
○大原委員長 土屋君に證言を求めます。
#87
○土屋證人 十一月二十一日の夜でありますが、そのとき、先ほど奧野さんは、私が先に議場に出たかのように言われましたが、それは奧野さんの感違いであつたのかと思います。そのとき、私が議場に出ましたときは、奧野さんの方がやや先に議場の方に出ておりまして、私がちようどこの階段を上りまして、上に上つたときに、奧野さんはどなたかと衝突をして、大きくうしろの階段二段目あたりまで、よろめいておるのを目撃しました。そのときは奧野さんの姿に氣をとられておりましたので、だれであつたかわかりませんでしたが、その突き當つた方が速記者席のまわりのさくを大きく乘り越えて、下に跳び下りるときの横顔をはつきり見ましたが、それは鑛工業委員會などでよくお名前を承知しておる有田二郎さんであることを、はつきり見ました。有田さんについてはその程度であります。
#88
○大原委員長 同じ問題ですが、有田君の話だけ出たのですが、山口六郎次君の話が出ていないのです。それに關する證書がありますか。
#89
○土屋證人 有田さんが外へ出ましてからしばらく經つて、私と鈴木さんが竝んでおりますが、そのうしろから二人の方がまだ速記者席へはいつてまいりました。それでその方は議長のそばにおりました衞視長さんに注意されまして、すぐ外へおりましたが、その二人の方はどなただつたか、お名前も知りません。記憶にありませんが、あるいはその方がそうであつたんじやないかと思いますが……(「あるいはじや困る」と呼ぶ者あり)それは存じません。
#90
○鈴木證人 有田さんがこの席から外へ出られましてからか、それと同時ごろであつたか、はつきり存じませんが、私の背後に二人の代議士の方がはいつておられました。これは速記席でなく、ここに階段のところの手すりがあります。そこの手すりに片足をかけて、外の代議士の方に、はいれはいれと號令をかけておられた方が私の背後に一人、この邊に一人はいつておられました。ちようど私の背後ですし、私もちよつと振向いて見ましたが、顔は全然見えませんので、どなたか、全然私にはわかりません。
#91
○山口(好)委員 土屋君にちよつと伺います。土屋君ははいつて來て、あなたは鈴木さんのわきの席へ腰かけられたわけですな。
#92
○土屋證人 そうであります。
#93
○山口(好)委員 そのときには、だれもそこにはおらなかつたのですか。
#94
○土屋證人 そのときは確かにおりませんでした。私どもの方の側の席にはおりませんでした。
#95
○山口(好)委員 そうしてあなたがすわつたときには、もう有田君はおりたわけですな。
#96
○土屋證人 私が階段にこう上つてまいりまして、ちようどこちらの方が地下室になつていますから、低くなつております。この速記席の光景が見える段の所まで上つて來たときに、奧野さんがだれかと衝突してこちらへよろめいておるのを見ました。それで自分が、自分の席へすわると同時ごろであつたと思いますが、そのぶつかつた方が外へ飛びおりるところを見ました。そのときにお顔をはつきり見ましたが、それが有田さんでありました。
#97
○山口(好)委員 そうしますと、今、鈴木さんが自分のうしろの方にだれか來ておつた、はいつておつた。こう言うが、その人はわからない。そのうしろの人は、別段に速記には妨害しなかつたですな。
#98
○土屋證人 そのあとで二人はいつてまいりましたが、その方は衞視長さんに注意れましてすぐおりたので、その方は速記の妨害になつたとは、自分は記憶しておりません。
#99
○大原委員長 その他に鈴木君、佐藤君、奧野君、土屋君の中で、山口六郎次君に對する證言は何かありませんか。
#100
○鈴木證人 たれも見覺えた方はなかつたようであります。
#101
○大原委員長 從つてその當時速記臺の上で妨害したようなことはありませんでしたね。
#102
○鈴木證人 全然ありません。
#103
○梶川委員 今の山口君の問題ですが、これは速記の方に聽きたいのですが、山口君が出なかつたという確たる證言があるのですかないのですか。または、だれか妨害をしておつたが、山口君の顔を知らないから、それが山口君であつたかどうかわからないというのでありますか。
#104
○鈴木證人 私たちの背後に二人はいつておられましたけれども、顏は全然見えないので、どなたかはつきりしません。それから速記妨害の事案はありません。ただ速記者席に闖入された方が二人あつたことは事實であります。それ以外にはわかりません。
#105
○梶川委員 その下の方の上る所ですね、あそこの前の所でばたばたしたというのに、山口君がはいつておつたか、いないかという點についてどうですか。
#106
○鈴木證人 たくさんの方が竝んでおられますし、私はここに二十年ばかり奉職しておりますが、古い方のお顏は存じておりますが、新しい方のお顏をまだはつきり覺えておりませんので、どなたとどなたということはわかりません。
#107
○森(三)委員 山口六郎次君がまだここへ來て釋明していないのですが、顔もわからぬというのですが、山口六郎次君に釋明を要求します。
#108
○大原委員長 山口君釋明いたしますか。
#109
○山口六郎次君 お許しを得ましてさせていただきたいと思いますが、よろしゆうございますか。
#110
○大原委員長 山口君。
#111
○山口六郎次君 私は過日議長の宣告によりまして、本委員會の懲罰に付されましたが、議長の宣告とまつたく事情を異にしておる點がございますので、一應辯明させていただきまして、皆さん方の御了解を得たいと思います。非常に長々しいようなことで、まことに御迷惑と思うのでありますが、大體山口という男がどういう男であつたか、過去において、また從つて現在において、將來におきまして、そうした關係におきまして、一應私の平素の心構えをお聽取りを願いたいと思うのであります。
#112
○大原委員長 簡單にお願いいたします。
#113
○山口六郎次君 きわめて簡單に申し上げます。私の申しまするところによりまして、私はその結果がどうであろうとも、それはもう十分に皆樣方の御審議によりまして、その點は御自由、御隨意であるのでありますから、一應お聽取りになつて、どうか私の人間性を聽いていただきたいと思うのであります。
 まず議長さんの宣告の事實は、まつたく相違しているということが、私の申し上げたい全部であるのであります、私は學生時代から、スポーツを常に愛好しておりまして、しかもそうした環境におきまして、あるいは神宮競技、ないしは上海、マニラ等の極東オリンピツク等においても、あるいは關係いたしました競技團體等の環境におききしても、常に私は日本精神、スポーツマンとしてのフアン・プレイを強調してまいつたものであります。そうした事實は、私のあらゆる多くの友人を通しまして、証明し得る多くの事實をもつておるのであります。常に私は殊に昔、日本精神を體現してまいつたものは武士であつたけれども、この今日の時代においては、軍人が武人ぜにを愛し、あるいは國を滅ぼすような現在の世相においては、スポーツマンこそが日本精神を體現するものだという意味におきまして、私はスポーツ精神というものを常に高く強調してまいつたのであります。しかして私の政治經歴はきわめて乏しいのでありますが、その政治經歴に入りました環境におきましては、この議會におきまして一代の人格の名議長とうたわれました粕谷義三先生と郷里を同じゆうするゆえんをもちまして、ある時は先生の秘書として、また議會の最も古い尊敬いたしまする先輩でありますところの尾崎行雄先生からも、特に知遇をかたじけなくいたしまして私の選擧等には、あの老齡を提げて御後援をいただいておつたような、私はそうした立場に常におつたのであります。従いまして、私は常にそうした精神的な意味において政治を具現してまいりたい、そうした氣持を常に高く持しておつたものであります。昨年の選擧におきまして初めて選擧に臨んだのでありますが、その當時私は、從來の政黨のあり方に對しましては、相當痛烈な批判の意味をもつておりましたので、あえて無所屬をもつて立候補したのであります、當時私は、あの敗戰後の日本の政治の情勢を見まして、これは必ず日本ではたくさんの政黨ができるに違いない、あの敗戰後の日本の姿を見まするときは、この民主主義が個人主義となり、個人主義か利己主義と、そういうように考えられておる國民感情の中におきまして、この日本の政治の姿は、今こそ幾つかの大きな政黨があるけれども、これは必ず七つも八つもの小黨分立の傾向になるに違いない。しかもそうした政黨のあり方を見まして、今むしろ掲げられた看板によつて政黨にはいるよりも、私もさいわいに當選したならば、その曉において十二分に檢討し、そうして話し合つて、その政黨に身を投じてまいりたい。そうした氣持で私はあえて無所屬から立候補したのであります。そうした気持でおつたその私が、今囘の選擧におきましては、何ゆえにしからば自由黨にはいつたか。私の周圍の友人ないし私の先輩の諸君は、お前は自分で理想主義を高く主張しておるがゆえに、だからお前は落選したんだ、四萬九千何票かの票を頂戴したのでありますけれども、この四萬九千餘の票で、きわめてわずかの差をもつて敗れたのでありますけれども、これはお前が政黨にはいつておらなかつたからだといつて、いろいろと忠言も受けたのであります。そうして本年も……。
#114
○大原委員長 山口君、すみませんが、ひとつ簡單に願えませんですか。
#115
○山口六郎次君 私は私の気持を…。
#116
○大原委員長 それはそうなんですが、ここの問題にかかつておる問題に關係のあることだけでひとつ。
#117
○山口六郎次君 それでは、その點は省略いたしまして、なるべく結論に急ぎます。そうした氣持でおる精神主義の私が、何がゆえに懲罰に附されるような――私には元來そうした素質がないと私は考えておるのであります。私は政黨政治生活の中にはいつてまいりましてから、先般組織されましたあの議會肅正議員連盟のごときも、私が卒先提唱した一人であつたのであります。私はそうした氣持でこの議會をながめ、そうした氣持で政黨のあり方を冷靜にながめておつたのであります。自由黨の運營にいたしましても、他會派の運營にいたしましても、私が見て滿足を得たとは思つておりません。從いまして、私はそうした氣持で、しかもまだ政黨政治生活にはいつたばかりの私が、なまいきにも私の乏しい觀察をもつて意思表示をせることは、どうかと思いますから、私は自由黨内におきましても、部屋の隅で、きわめて乏しい、あるかないかのごとき存在であります。私は一年生といたしまして、謙虚な氣持で、十分そういう議會の内部、あるいは常任委員會、あるいは議會に對しましても、そうしたもろもろの議會の運營の仕方につきまして、十分そういうものを身につけてから、自分の信念や意思を達せしめてまいりたい、こういう氣持でおつたのが、私の過去數箇月の議員生活であつたのであります。はからずも鑛工業委員に專門家の方面の一員として推されまして、鑛工業委員會に臨んだのでありますが、鑛工業の多數の委員の中におきまして、私はあの委員の中で、少くとも私が最高のエキスパートである、あるいは石炭、亞炭の連合會の會長といたしまして、あるいは石炭増産協力會の常任委員といたしまして、あるいはそうした關係をもつ商工省、軍需省あるいは石炭廳の囑託として、そうした私の過去の實績からいたしまして、私はゆたかな經驗とあえて申すのでありますが、その經驗に徴して、私は少くともあの委員會においては、私こそが十二分に裏からも表からも意見を表明し得ると主張できる、かように私は信じておつたのでありますけれども、なかなかそうした自分勝手な考えがありましても、その委員會の運營の從來の慣例等もありまして、私どもか發言する機會は、冒頭においてはなかつたのであります。しかも私どもは先例等も知らぬのでありますから、十分先輩等の意見も聽いて、自分たちがその後出ていつて意見も開陳し得る機會があると思つて、靜かにその日に備えて、十二分にあらゆる資料等も備えて待つておつたのであります。
 御承知の通り鑛工業委員會は、九月二十五日以來最初の二箇月ほどは、ともかくも順調に進んでいつたようでありますが、あの皆さんの方御承知のごとき時期の段階に参りましてから、もう正しい姿においてその法案の審議というものは行われておらぬと思います。これで一體議會というものはよいのかしら、こうして法律案の審議をして、これで國民の選良として國民の方に法律を公布してよいのかと、私は良心的に非常に惱んだのであります。しかもそうした過程におきまして、私はあえて聞き苦しいかもしれませんけれども、委員長だけを言うのではありませんから、どうか耳の痛い方はふさいでいただきたいのでありますが、委員長の行動にしても、私は非常な不備がある。かの最後の二日間の行動に對しては、絶對に議員として、委員長として許すべからざる行動であると思うのであります。私はそうした心境のもとに、鑛工業委員會の推移を見守つておつたのでありますが、しかもその鑛工業委員會の中間報告を、委員長がいたすについてのその經過等を見まして、ここに至つて私はこれではいかぬ。いかに自分が新人であつても、先例を知らなくても、これでよいものではないという確信に到達したのであります。
#118
○大原委員長 山口君、ここの問題に関係のあるだけをお述べ願いたいと思います。
#119
○山口六郎次君 そういうわけでありまして、從つて議長の當日の宣言に對しては、私は非常な失望と不備とを感じたのであります。私はいろいろな機會に松岡議長を知つておるのでありますが、私は黨人松岡議長は、あれでもよいと思つておるのか、あるいは黨人としてうらさびしさを感じておるだろうと私は思います。おそらく人間松岡駒吉は、心で泣いておるだろうと思うのであります、きつとそうであると思うのであります。そうした状態において議事は進められていつたのであります。私は點つて見ておるわけにいかなかつたのであります。あの議長の横暴な態度に對して、いかにやさしい私であつても、默つておられぬから、私は議長に警告をしたいと思つて飛び出したのであります。ところが、御承知のように、あの階段には人が一ぱいでありまして、私ごときが行く場所はないのであります。そこで私は一番手取早い場所はどこかと探したのが速記台の正面であります。しかも速記臺の正面は、私のごとき背の小さな男が手の屆く場所ではありません。私の周圍には何十人かの諸君が立つておつたのあります。その諸君のうしろに私もおつて議長々々と連呼しておつたのでありますが、おそらくこれらの大多數の中で、この私の一番貧弱な姿が目に留つて、人身御供にあげられたのだろうと私は思つております。そこで私は自由黨の議員總會において、また役員會におきまして、お前は結局懲罰委員會に付されるようだという話を聞いたのであります。私はただちに幹部に反駁することを知つております。しようと思つたのでありますけれども、そのとき倉石忠雄君、有田二郎君、この二人がやはり懲罰に付されるということを聞いたのであります。その前に社會黨あるいは民主黨、あるいは自由黨から數多くの懲罰委員に付するという動議が出ておりました。それからまた議長不信任案も出まして、それらの交換會議を聽いたのでありますが、こうしたことが一體懲罰委員の本質であるか。出した動議者も動議者、ひつこめるやつもひつこめるやつと、私は輕い義憤、公憤を感じたのであります。さらに私は私の名前が出て、最後に私と倉石君とさらに有田君の三人が懲罰に付される。そのときに私は反駁することは知つておつたのでありますが、倉石忠雄君は――私がその前日でありましたか飛び出したとき、多くの守衞の諸君及び同僚の諸君から、私が小さいものですから押し出されて。ちようど守衞からけられたか押し出されたようなことがあつたものですから、そのあり方に非常に義憤を感じて、飛び出して行つて何か守衞と爭つたようなことを、聞いたのであります。大したことはなかつたそうでありますが、倉石君が懲罰に付される。また鑛工業の委員といたしまして、長い間この議案に對する審議と、しかもその委員會のあり方に對しまして、一緒に苦勞をしてまいりました有田二郎君が懲罰に付される。しかし他の懲罰委員の動議の撤囘という、そうした諸般の關係から、これはおれの罪ではない、自分は何ら犯しておらぬけれども、せめて倉石、有田兩君の罪を少しでも輕くするためにおれは参加してもよい。私はそうした氣持であの議員總會で沈默してしまつたのであります。私はそうした氣持で、ただ付されたことに對して、默認をしてまいつたのでありまして、ただ議長の宣言を聞きまして、これは容易ならぬ、おれは全然しておりはせぬのだ、何かの錯覺か、何かのバーターのように、私が人身御供にあげられたとするならば、これは私はどこまでも究明しなければならぬ、かように現在の心境はなつておるわけであります。
#120
○大原委員長 有田二郎君は、何か證言がありますか。
#121
○有田二郎君 一昨日の證人の話されましたのと、實際とが違いますので、お聽き願いたいと思います。一昨日の速記者の證言されましたあとで、私が鉛筆をとばしたとこういうお話でありましたが、私は君の鉛筆をとばしたことはないが、一體どこから跳び上つて君の鉛筆を飛ばしたのか、こういう質問をしたのであります。すなわち速記者はここに坐つておられたのであります。私はここからやつてきまして、ここにはすでに七、八人の人がおられたので、ここに飛び込んだのであります。飛び込んでここから上ろうとしたら、ここには深い階段がある、階段があるということを知らずに飛び込んで、その階段に轉げ落ちたのであります。そうして、ここから上つてきて、この腰掛に私がすわつた。そうしたところが、ここに速記者がおられるために、ここから上ると速記のじやまになるから、私は山口喜久一郎君の御注意を聞きまして引下つたのでありまして、この速記者の鉛筆をここから跳び上つて飛ばした、有田さんがここから跳び上り鉛筆を飛ばした、こういうお話でありますが、私は人垣があつてここにはいなかつた。そうでありましたかという一昨日の速記者のお話でありました。ですから、私はここから上に上つて、議長に注意をしたい、こういう考えで來たところが、ここに階段があつて下に轉げ落ちるような形になつたものですから、ここを上ろうとすると、ここに速記者がいるし、速記臺に上ることは速記のじやまになるから結局引揚げた、こういう次第なのでありまして、すなわち速記者としては、私の名前だけを知つておられて、當時はこの臺の上に一人上つて立つておられた方もありましたし、ここに一人入つた、私はここに、七、八人の人がおられたので私はここに飛び込んだので、速記者の鉛筆を飛ばした事犯につきましては、何ら關係がない、この點をひとつ御了承願いたいと思います。
#122
○大原委員長 倉石忠雄君を辯明をせられますか。
#123
○倉石忠雄君 私どものために、本委員會が開催されましたことを、まことに遺憾に存じますが、郷里に歸つておりまして昨晩到著いたしましたら、今日議長から出頭の正式な御命令がありましたので参りましたわけであります。當時の事情を簡単に御報告いたしたいと存じます。
 議院にまいりまして、本委員會に議長から付議せられましたその速記録を拜見いたしますと、その中に「倉石忠雄君は去る十一月二十日開會直後、議長の許可なくして演壇に上らんとして衞視に制止せられております際に、衞視を毆打せられました、」こういう宣言でございますが、私といたしましては、この議長の御宣言は事實と違つておるということを申し上げたいと思います。ちようどあの日は山口君のお話になりましたように、炭鑛案がああいう状態になりまして、われわれの方はみな相當興奮いたしておつたのであります。たまたま議場に入りまして間もなく、山口六郎次君が議長に向つて右側、つまり共産黨の諸君の議席の前の方の演壇から議長席に交渉に行かれようと上られそうになつた、ところが、私は議席のすぐそばで見ておりますと、すぐに數名の衞視がかけ下りてきて、山口君の上にこうおおいかぶさつた、そのとき、いかにも私の席から見ておりますと腕力を揮つたように見えたのであります。そこで私はかけていつて、背が高いものでありますから、そのまま議員のからだに手を觸れるのはいかぬといつて、だれでありましたか、氣がつきませんでしたが、その押えておつた右の肩を相當強く私はたたいたのであります。それが滑つて顏に當つた顔を打つたというふうに言われておりまするか、その事情はよく記憶ありません。それだけのことであります。そこでその騒ぎが濟んでから、山口君が議席におるところに來て、あの守衞は實に亂暴な奴だ、君痛かつただろうと聞きましたところが、いやぼくはたたかれやしないのだ、ただ押えつけられておつただけだ、こういう話でありました。そこで私はしまつた、自分は君が毆られたと思うたから行つてうんとおこつたんだが、それはぼくが、やり過ぎた、そこでこう申したわけであります。それから十數分後に民主黨席のうしろ、つまり田中副議長のおられた席のあたりで小競り合いがありましたときに、私がさつき強く肩を押した金筋の入つた衞視の人だろうと思いますが、それがおつたものでありますから、そのそばに行きまして、君がさつき演壇のところで山口君に腕力を揮つたように自分は見たから君のところに強くやつたが、山口君に聞いたら間違いだそうだ、お氣の毒なことをいたしましたといつて肩をたたいたわけです。そうしましたら、その人は私ににこにこしながら、どういたしまして、そんなにおつしやられれば恐縮ですが、私どもは決して議員さんたちに手を揮うようなことはいたさないわけでありますから、こういうことで、この了解を求めて歸つてまいりました。しかしながら、どうも守衞を毆つたというふうに言われることは、私自身の氣持が許さないものでありますから、翌日午前十時ごろ登院いたしまして、すぐにその足で警務課長を訪ねまして、昨日はこれこれの事情であつたのだ、あなたにも了解をしていただきたいということを申し入れました。ところが、たいへん警務課長は喜んで、ちようどそこにその本人がいるから、あなたからもう一遍挨拶していただければ結構だ、こう言われまして、それはもう私は人を毆るような意思は毛頭なかつたのだから、お話をいたしましようといつて、その人たちのおられる所に行つて、昨日の状況と自分の氣持を率直に申し述べました。そうして歸つてきたというのが、當時の實情であります。
#124
○中野(四)委員 倉石君の陳辯について、十一月二十日に事實上そのことの起つたという、日にちの相違點、あるいは實際の被害者であつたという坂本衞視長を喚んで、十二分に意見を求めるということは、前もつてこちらから要求してあるのでありますが、まだ衞視長はこの席上に來て陳辯をしておらぬようですが、これを明確にしていただきたい。
#125
○大原委員長 呼びに行つております。
#126
○中野(四)委員 それから鈴木速記者に伺いたいのでありますが、先ほど有田君竝びに山口君の陳辯によりますと、どうも鈴木君のこの前の陳辯された點と相當相違する點があるように思います。混亂な時期でありましたから、明確にこれを把握することはできぬまでも、いやしくも國會議員の一身上に関する重大な問題であるがゆえに、端的にこれを表現せずに、あくまでも愼重に、その人のあり方を述べるべきであると私は考えるのでありますが、鈴木君から特に伺つておきたいのは、有田君の先ほどの陳辯は、お聽きの通りですが、あれで相違がないかどうか、山口君の陳辯について相違がないかどうか、この點を鈴木君から明確に承つておきたいと思います。
#127
○鈴木證人 中野さんにお答え申し上げます。第二點の山口さんの方からお答え申し上げます。山口さんに關しては、われわれは全然記憶がありませんから申し上げるまでもないと思います。
 第一點のただいまの有田さんの證言でありますが、先日の懲罰委員會散會後、ちようど有田さんが私たちのそばに來られて話されたのですが、私はあのときちよつと酒氣を帯びておつたが、今あなたはこの中からはいられたと言われたが、私は全然記憶がない、この端の方からはいつたように思うのだという話だつたから、いいえ、私と佐藤君の眼の前で速記臺に上られた、これは絶對間違いないと申し上げたところ、そうだつたかねと言われたので、今有田さんのお話を聽いて、私は非常にふしぎに思います。これだけお答えいたします。
#128
○安田委員 私は議事進行に關してでありますが、衆議院規則の二百三十九條に、「議員は、自己の懲罰事犯の會議及び委員會に列席することはできない。但し、議長又は委員長の許可を得て、自ら辯明し又は他の議員をして代つて辯明させることができる。」という規定があるのであります。規定を盾にとつてどうということを申し上げるわけではござませんが、議員は國民選良でありまして、非常な威力をもつているのであります。その議員の一身上の問題に關することを、院内に勤められる人々が申すのは、非常に申しにくいことも多いだろうと思うのであります。私はかような趣旨で、この規定ができているものだと考えるのであります。ただいまのような、當の被告に當る委員の方が御列席の所で證言を求めるということは、こういう人たちにとつても、私は氣の毒だと思います。そこであくまでこの規定に從い、關係の委員の方々の辯明を求めてから、退席していただいて、今の點を進められることがいいと思います。
    〔「同感」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#129
○高橋(英)委員 安田議員は、この規則の解釋をお誤りになつておるように思います。列席というのは、こういう所にわれわれが正式に列しておることを、列席しておるというのである。傍聽のことまで言つておるのではない。傍聽を禁ずるならば、祕密會にしなければならぬ。懲罰委員會が常に祕密會になるのは、その點があるからであつて、あなたの要求は祕密を要求されておる。祕密會の宣言があつて傍聽人を退けなければならぬ。これは懲罰事犯にかかつた人たちのためにこしらえられたところの規則であつて、傍聽席までの規則ではない。列席というものは、ただいま會議に列するものであつて、決して傍聽席で傍聽するということまでの關係を規定していないのであります。これはちよつと誤解だと思いますから、その點私から御注意申し上げておきます。
 それから倉石君にちよつと質問したいと思いますが、これはわかりきつた、はつきりしたことでありますが、倉石君が衞視長に暴行せられたというふうなことになつておる。事犯は議事の妨害とか、議長に交渉に行かれるとか何とかではなしに、山口君が衞士の方にやられたというふうなことを目撃せられて、いやしくも國會議員に手を觸れることは、國會議員に妨害を加えるというのは、不都合千萬であるというお考えで行かれたということになるのですか、そうなるだろうと思いますが、それと山口君のそのときの行動は、何か非常に亂暴で、衛視の方から、そういうふうな倉石君から見て、暴力行爲によらなければ靜止できないというふうにまで粗暴な行爲、亂暴な行爲でもせられておつたというふうに見られたものか、その點についてちよつと……。
#130
○倉石忠雄君 お答えいたします。私が先ほど陳述いたしましたように、私は自席の方で見ておつて、山口君の上に皆がおつかぶさつてきたのを見て、山口君に腕力を揮われたのだと誤解いたしたので、それ以外に他に何もない。山口君は議長のところに交渉に行かれるつもりで、そこまで行つたのでありまして、山口君は何ら暴行というような行動に出られたのではない。ただずつとそこに上つて行つたのを押えられただけであります。
#131
○三浦委員 ついでに倉石さんにお聽きしたいのすが、そうすると、あなたの行つたのは、同僚の山口君がそういうような状況にあつたので、結局それを防ぐか、あるいはそういう危險な状態から引離そうというつもりでやられたというのですか。
#132
○倉石忠雄君 その通りであります。山口君はからだが非常に小さいのに大勢の人におつかぶせられてしもみくちやになつておるので、私はそういうことをしてはいかぬといつて、山口君を引離すだけのつもりでそこに行つたわけであります。
#133
○安田委員 ただいまの問題はあとにして、この際山口さんに一應伺いたいと思います。先ほどの御辯明では、問題がはつきりいたさない。議長から懲罰に付されましたような事實をお認めになるのか、お認めにならないのかということを、はつきり述べていただきたいと思います。全然ないとおつしやる趣旨でございましようか、あるいは、事實はあるが、氣持が違う、こういう趣旨に解してよろしいか、はつきりしていただきたい。もしその議せられました事實がはつきりいたしませんようでありましたならば、委員長から一應事實を説明していただいて、それを認めるかどうかということを聽いていただきたいと思います。
#134
○山口六郎次君 私は議長の宣告を全然認めません。なぜならば、先ほど申し上げましたごとく、私は議長の正面から、議長々々、議長横暴を連呼して、その正面で言つたことはあります。その正面の速記者席のわきの高いへいは、とうてい私などの手の屆くところではないのであります。私の前にはすでに十數名の諸君が、同じように議長横暴を連呼し、卓をたたいておつたのであります。從つて私は事實を認めないものであります。
#135
○小川委員 ただいま山口六郎次君の辯明を聽いておりますと、速記臺には、わずかしか觸れていないようにおつしやつておられますが、山口君は上半身を速記臺の上に完全に乘せて、盛んに速記臺をたたいて、おつた事實を、私ははつきり目撃しております。私は、ですからこの進行にあたつて、根本的にかくのごとく相違があるという點について、委員長にもつとつつこんだ證言方を明らかにしていただきたいと思います。
#136
○大原委員長 私は證言あるいは辯明を聽いて、そのあとについては各位の御解釋があると思いますから、その後において意見を發表してもらえばいいのではないかと思います。從つて辯明または證言を求めていきたいと解釋するのであります。
#137
○三浦委員 先ほどからの事實を聽いておりますと、本人の言うことと、證人の言うこととが、大分かけ離れております。そういうことでありますから、私はこの際實地に現場においてこれを檢證し、同時にその際に衞視長の方の證言を聽くことが、最も正しく事實の判斷ができることだと思うのでありまして、私は現場において衞視長の證言をお示し願いたいと思います。
#138
○大原委員長 委員長はその必要はないと考えております。
#139
○三浦委員 どういわけで必要がないか、その理由をお示し願いたい。
#140
○大原委員長 今は證言と辯明とを得て、その後において各委員の意見を聽きたい。こういうまとめ方をいたしたいと思つております。
#141
○三浦委員 かくのごとき問題は申し上げるまでもなく、事實の眞相を十分につかんで、絶對に間違いのないというところにおいてのみ判斷すべきであつて、私はそういうような事實を完全に判斷する意味においては、現に證人と本人の陳述がごらんの通り食い違つております。しかもまた起訴事實との食い違いがあるのであります。しからば現場において十分にその當時の状況をわれわれは見て、同時に證人もその場所において聽くことが、事實の眞相をつかむに最も妥當な方法である。ただここで聽くだけでは、十分に眞相をつかめないと思いますから、ぜひこの點は御採用願いたいと思います。
#142
○大原委員長 委員長は、この次に衞視長の證言を求めたいと思います。坂本新治君の證言を求めます。
#143
○坂本證人 お答えいたします。十一月二十日午後七時四十分ごろあつたと思います、職業安定法案の審議中でありましたが、非常に議場が混亂いたしまして、その際たくさんの議員の方々が演壇附近及び議長席附近に押寄せられましたので、議長は再三交渉委員以外の方の降壇を促されたのであますが降壇をされませんので、私どもは交渉委員以外の方の降壇を促しつつ、西例の階段の附近に參りました。ところが倉石議員が階段下まで出てこられまして、私のネクタイを強く引かれたのであります。それで私が上體が前によろけましたところを、二囘私の左ほおを打たれたのであります。事實はその通りであります。
#144
○中野(四)委員 坂本衞視長に重ねてお伺いしますが、階段下でネクタイを引いた者と、毆打した者とは、同一人でありますか。それからの動機というものは、ただ氣違いではないので、あなたが出たとたんにはりたおすというわけではないから、その動機を明確にしていただきたい。この二點をお答え願いたい。
#145
○坂本證人 お答えいたします。ネクタイを引されたのも、殴打されたのも、同一人であります。それで私が交渉委員以外の方に降壇を命ずるのを阻止せんがために、毆打されたのではなかろうと思つております。
#146
○中野(四)委員 もう一度伺いますが、倉石君であるということは、あなたが倉石君と知合いの間柄であつて、十二分に知つているのか、あるいは後に倉石君と知られたのであるか、この點を聽きたいと思います。
#147
○坂本證人 倉石さんは、議員におなりになる前にも、議院の方へはよく出入されておりましたので、平素から倉石さんの顏はよく知つております。倉石さんに間違いありません。
#148
○井伊委員 打たれたのは二囘であるということですが、これは平手でやつたものですか、こぶしでやつたものですか。
#149
○坂本證人 こぶしであります。
#150
○井伊委員 そのときに、それによつて負傷したようなことはありませんか。あるいは今眼鏡をかけておられますが、そういうものが飛んだというようなことはありませんか。
#151
○坂本證人 混乱の際に、よく眼鏡等で負傷するといけないと思いまして、その場合には眼鏡ははずしてまいりました。それで負傷はいたしません。
#152
○鈴木(仙)委員 坂本さんにお尋ねいたしますが、議長が議場整理のために、いろいろあなた方に何かおつしやいますけれども、議長は私の聽いたところによりますと、この連中を追つ拂つてしまえというような言葉をはいたことがあります。それらについて、あなたはどう思いますか、聽いたことがありますか。
#153
○坂本證人 全然聽いておりません。
#154
○鈴木(仙)委員 私はこの連中を追つ拂つてしまえということを議長が言われた、そういうことをよく覺えている。それに對して議長を難詰したことがある。また議長は、先日あの交渉委員會の休憩の席上で、そのことを私が申し上げたら、決してそれを否定しなかつた。苦笑しておりました。その態度は、それをあたかも是認しているような態度である。それであるのに、あなたの態度はどうもおかしい。
#155
○梶川委員 そのことは本懲罪事犯とは、何ら関係のないことと思いますから、省略されて議事進行をせられんことを望みます。
#156
○鈴木(仙)委員 これは重大な關係がある。後に、これをお互いが審議する場合に、重大な關係がある。その當時の混迷状態、すでにこれを議長が宣告されましたとき、二十日と言つたとき、私は日にちが違いはしないかと議長に申し上げました。これは私の錯覺でした。私どもの方の倉石君が本日參りまして、私はこれを再確認いたしました。ところがやはりそれは二十日であると、はつきり倉石君は申しております。であるのに、あのとき議長に、私は日にちのことを再確認をしてくれと言うと、議長さんが、あの宣告の當時、それは日にちは二十日か二十一日だ、とにかく報告があつたからというふうなあいまいな態度でした。しかも議員の各位の中には、二十日でも二十一日でもいいじやないか、それをやつた事實があれば、日にちの相違はどうでもいいというふうなことを言つている方がありました。こういうふうに、當時の状態はあいまいである。みんなとにかく興奮をしております。興奮をしているから、私は先ほどもあの鈴木さんという速記の方にお尋ねしたのは、議員の中からやじを飛ばした場合に、重大な關連性があることは一々記してあるというふうなことを申しておりました。であるから、私はこれをお尋ねしたわけでありまして、しかも議長が議員に對して、そういう者は追つ拂つてしまえというふうな、けだもの扱いの命令を下すとか、とにかくあの公開の席上で、議長がああいうふうな態度をとり、ああいうふうな放言をするにおいては、われわれのいない陰では、どういう命令を下してあるかわかりません。從つてそういうことになると、衞視長を初め、衞視の諸君のあのときの殺氣立つた氣持、いわゆるあれは止めるのではない、挑戰的な態度、何というか、まるでごろつき連中がけんかでもするような、血相かえた、ただならない表情でもつて、議員に對抗しております。そういう際に、山口君をかばう同僚の態度もやはり考えられるのでありまして、これは今、梶川さんが申しますけれども、あとの審議に重大な關係がありますから、私はこれを申し上げておるのであります。これは別にこの件に對しては關係がないように仰せられますが、決して關係のないことじやない。あの當時の状態、衞視長の態度、あるいは衞視の態度、これから派生しているいろいろな問題が起るのであろうと私は考えますが、どうですか。
#157
○坂本證人 當日混亂いたしておりましたのは、議長席附近ばかりではありません。議場内は、あちらでもこちらでも混亂いたしておりました。私はあすこばかりでなく、議場内にも參りまして、衞視とともに混亂の中にはいつておりました。それで、はたしてそのときに議長がどういつた發言をされたかは、全然知りませんです。
#158
○鈴木(仙)委員 ただいま衞視長さんは、議長がどう言つたかわからぬとおつしやいますけれども、私はさつきも鈴木さんに聽いたのですが、鈴木さんは、あの議場においでになつていて、一々やじのことまで、將來重大なことがあればいかぬというので、お氣づきになつたところは書いてある。しかも議長があの議場整理にあたつてそういうふうな暴言をしたことを聽かれないわけはない。しかも普通の言葉ではない、こいつらを追つ拂つちまえというような議長の言葉が、聽かれないことはないと思うが、鈴木さんは聽いたことがないのか、はつきり答えていただきたい。
#159
○鈴木證人 坂本さんの事件の起つたのは、十一月二十日、私たちが出ておつたは、有田さんの事件のときでございまして、十一月二十一日ですから、一日違つております。從つて私はその當時の議長の發言は全然聽いておりません。
#160
○山口(好)委員 坂本衞視長さんにお尋ねします。二十日の日の出來事の直前の議場の光景、この西側の階段におきまして、山口六郎次さんがこれを上ろうとして、多數の衞視さんから押えられておつたという、その状況は、目撃いたしておりますか。
#161
○坂本證人 お答えいたします。たくさんの議員さんの演壇に上つて來られました方の顏は覺えておりません。はたしてその際に山口議員さんがおいでになつたのかは、よく知つておりません。議員さんの顏は覺えておりません。
#162
○三浦委員 これはその當時の議場を混亂に導いたときからのすべてが、最後の判斷の資料になるのであり、あるいは常識問題に關係するから、お聽きしておきたいのでありますが、當時議長が衞視の方を議場内に多數入れた、入れなければならぬというようなことで、衞視の方に御命令になつたのは、いつでございますか。その日、議場にあなた方がはいつて、そうして守れというふうに議長から命令されたのは、いつですか。
#163
○坂本證人 お答えいたします。それはいつも議場が混亂すると豫想される場合には、衞視長において大體手配をしておきまして、すぐに中に衞視を入れしむるように、別に議長からそういつた御命令がなくても、衞視長の方で大體の手配はいたしております。その當時、別に議長からこういう手配をしろというような命令はございません。
#164
○三浦委員 それからあなた方のはいつたのは、開會前ですか、開會後ですか。
#165
○坂本證人 開會後であります。
#166
○三浦委員 開會後、あなた方は必要と認めて、そういうふうにはいつたというのですか。
#167
○坂本證人 そうです。
#168
○三浦委員 議長からは何らの命令がなくても差支えないのですね。
#169
○坂本證人 ございません。
#170
○三浦委員 それから、あなた方がそこへはいつて、議長の壇に登る所と速記臺の前を圍つた、開會前に速記臺を圍つたことがございますね。二十日だつたか二十一日だつたか、今はつきりしないが、開會前に速記臺の前をずつとあなた方が取巻きましたね。
#171
○坂本證人 それは開會中であります。開會前には、そういうことはいたしません。
#172
○三浦委員 開會前ではなかつたですか。
#173
○坂本證人 前ではありません。開會前に中へはいつているのは、平素四名しかおりません。
#174
○三浦委員 私は始まる前と思つたのでありますが、そうではなかつたですか。
#175
○坂本證人 兩脇には配置いたしてありますが、速記者の前には配置いたしません。
#176
○三浦委員 あのときは何人くらい衞視の方が動員されたのですか。
#177
○坂本證人 私どもと衞視とで大體二十名内外ではないかと思います。
#178
○本田委員 有田君と山口君にお尋ねいたします。あの騒動の際に、衞視からけられたようなことはなかつたでしようか。
#179
○有田二郎君 私はあまり衞視の近くへ寄らなかつたので、そういつた事實はありません。
#180
○山口六郎次君 私は議長から宣告せられておりまする懲罰事犯の日と、日が違うと思いますが、神田議員が中間報告に關する討論に立つた日があるのであります。そのとき、神田委員に二十分という時間の制限をせられまして、それがために非常に議場が混亂したのでありますが、その二十分という制限は、議長の權限によつてやつたのだそうでありますけれども、あの討論に對して、議長がいかに權限があるといいましても、從來の議院運營の慣例等からみまして、事前に了解事項で諮らべきであるにかかわらず、そうした態度で運營をしたことに對しまして、非常に不滿を感じまして、その專横な宣言に對して議長に警告に參つたのであります。神田議員がちようど階段の中途におりてまいりましたので、今、君はわれわれの言わんとする要旨が、二十分では少いではないかといつて、階段の所で神田議員と話し合つたのでありますが、多分私と同じような意思を抱いた諸君があとから続いてまいりまして、ちようど神田議員と私と話し合つておる場所を中心といたしまして、神田議員の背後にも十數名の衞視の諸君が集まり、私の背後にはさらに多くの議員諸君が神田議員を中心として押し合つたわけであります。視衞諸君の態度というものは、神田議員を降壇させようとする議場の意思の遂行の行動であつたろうと思うのであります。私のあとについておる諸君は、議長の宣言に對する警告をしようとする私の氣持に同調したのだろうと思うのであります。そこでかなりの時間がかかつたようでありまするが、そのとき神田議員に對しては、結局衞視の諸君はなかなか頭がよいようでありまして、下に押したのではだめだ、上にもつていつて、議長のうしろのドアーから退場を命ぜられたわけであります。そこで殘つたのは私と衞視諸君の相對したあり方があつたのであります。そこで衞視の諸君は、神田議員を議場外に去らしたのでありますが、今度は下におろすほかないのであります。そこで私が押されたわけであります。もちろんそのときは私の意思の行動はないのであつて、私は私の目的である神田議員に言わんとすること及び議長に言わんとすることは終つたのでありますから、その後私には用はないのでありますが、私のあり方は私の背後の議員諸君によつて押えられ、衞視の諸君はその全體の議員諸君をおろそうとする努力が行われたのでありまして、その私の突きおろされる姿に興奮を感ぜられたのが、倉石君の姿であつたろう、私はそういうように想像いたします。
#181
○本田委員 坂本衞視さんに、ちよつと今の騒動のあつた後が、後日に倉石忠雄君から何か前日のことについてどうも失禮をしたとか、そういう挨拶を受けられたことがありましたか。
#182
○坂本證人 當日倉石さんは、すぐに私にも議場におりました場合に來られまして、先ほどは興奮したために非常に失禮したといつたような、挨拶の言葉がありました。また翌日警務課に參られまして同樣のお話があつた。
#183
○山口(好)委員 倉石君にお尋ねいたしたいと考えます。倉石君の先ほどの説明によりますれば、山口六郎次君が衞視たちから押えられておおいかぶさるような態勢にあつたために、議員に對して暴行をるすのではないかと、こうあとになれば思い違いをしたというのでございましたが、そのときそう思つてそれで出かけていつて、山口君を押えておつた守衞さんの肩を強く押した、そのはずみにそのうしろにおつた人のほおに腕が當つたのだ、こういうように自分は考えておるというような説明がありましたが、坂本衞視長の證言によりまして、自分がネクタイを押えられて、左のほおを二つ毆られた、こういうように言つておるのだが、倉石君は先ほど言つたことがほんとうであるか、また坂本衞視長をいかようにネクタイをひつぱつて毆つたか、その點を明らかにしていただきたい。
#184
○倉石忠雄君 ただいまのお尋ねでありますが、私は先ほどお話になつたような行動はとらないと思います。それでネクタイをひつぱつたというお話でありますが、實は私は、そのときの相手方の顔を覺えておりませんでしたけれども、先ほど申したように、山口君に聽きましたところが、毆られたのではなかつたというお話でありましたから、これは惡かつたと思つて、一體相手はだれであつたろうかと思いまして、先ほど申すことを忘れましたが、最初に第一議員倶楽部の横の席に、さつきの相手の人ではなかつたかと思うような方がおられたものですから、そこに行つてあなたでなかつたかといつたら、いや私ではありません、そのときに私は安田という者ですと答えられたような記憶がありますが、それでああこの人ではなかつたかと思つて、そのうちに先ほど申したように、田中副議長の議席のうしろの方で小競り合いになつたときに、どうもさつきの方に似ている人だと思つてそこに行きましたところが、私の知つている衞視の人がおつて、さつきあの小競り合いのときに私が肩を押したのはあの人ではないかといつたら、そうだと答えました。その人は守衞長だとは言いませんで、守衞副長というようなことを申しまして、そうしてあの人だ、こう守衞から指されましたが、それでその人に私はさつき申しましたような釋明をいたしたのであります。その日には眼鏡をかけておいでになりませんでしたし、その方はネクタイを取つておいでになつたことを私は記憶しております。それから翌日警務課長のところにまいりましたときにも、警務課長がおつたそのすぐ右側に並んでおいでになつた、あなたでしたねとその人を指しましたが、その人は今お目にかかる守衞長とは顔が違うのでありますけれども、私はその人の顏をここにもつて來られればわかりますけれども、當日ネクタイをその人はしめておいでになりませんでした。それから山口六郎次君があの小さなからだで、とてもひどいもみくちやのかつこうをしておられたのを、私は議席から見て出かけて行つた、こういうことであります。
#185
○山口(好)委員 そうしますと、結局今ここにおいでになつておる坂本衞視長さんのネクタイを引いてほおを毆つた、こういうことはないわけですか。
#186
○倉石忠雄君 私にはネクタイをひつぱつたというような記憶はありません。左手で肩を押しただけの記憶しかもつておりません。繰返して申しますが、田中副議長の議席のうしろの方で私がお氣の毒しましたといつて肩をたたいた人は、ネクタイをとつておつて、ここのボタンをはずした樂なかつこうをしておられました。
#187
○中野(四)委員 坂木君にちよつと伺いますが、田中副議長の扉のところの小競り合いというのは、私が前に、議場閉鎖を命じられて後に出入りをした議員ありと認めて田中副議長にこれを質し、その應諾を求めて現場に行きましたときに、民主黨の小島徹三君、椎熊三郎君、小坂善太郎君の三君が、わが黨の副議長が何を言うかというので、私がそこでわが黨の副議長とは何か、衆議院の副議長を君らの私物視するとは何かと言うたのが、小競り合いのもとだが、そのときあなたはおいででしたか。
#188
○坂本證人 そのときはおりました。
#189
○大原委員長 では證言及び釋明は、この程度で打切りたいと存じます。
 この上はこの場合各委員諸君のこれに對する意見を求めたいと存じます。
#190
○中野(四)委員 その意見の前に、この取扱い方をどうするかということです。結論的に申しますれば、先ほどこちらの安田さんが仰せられたような、關係者の御列席のもとでよろしゆうございますか。
#191
○大原委員長 それは皆さんの御請求があれば、さようにいたします。
#192
○中野(四)委員 ちよつと待つてください、ただ私から取扱いの點だけをお諮り申して、それから後でも結構です。たとえば、有田君の陳辯と、鈴木速記者の陳辯に、相當食い違いがあります。さらに倉石君の陳辯と、坂本衞視長の陳辯にも、相當食い違いがあります。本人の相違ということがあります。特に山口君の場合は、鈴木速記者の陳辯に基けば、その結果としまして、議長宣言と相當相違する結果になる。これは重大なることとなるので、この取扱いいかんが、また委員會の運營上、多くの問題を残すことと思います。もし當委員會における判定によつて決せんとすれれば、山口君の場合は、他に有方なる證據證言、あるいは證人を必要といたしますから、まず有田君、倉石君の場合と山口君の場合とは、おのずから趣きを異にするのでありますから、まずこれをどう取扱うかということから決定して、そして、しかる後に各委員會の意見を求められることがいいのではないかと思います。しかるべくおはからいを願いたいと思います。
#193
○森(三)委員 ただいま中野君から、山口六郎次君に對する取扱いについて、證言あるいは證據等の取調べを必要とするものではないかという御意見がありました。われわれといたしましては、すでに當日のでき事に對しましては、われわれ自身が目撃いたしておるのであります。ただいま證人もいろいろお聽きいたしましたが、私は先ほど小川君も言われたように、山口六郎次君の當日における行動は、十分了承しておるのでありまして、これ以上の證據を調べ、あるいは證言を採用するという必要はないものと考えます。
#194
○中野(四)委員 これは個人、私的なことはおのずから別にして、お互いが認めるとか認めぬとかいう問題ではない。われわれは議會における懲罰委員としての任務を受けて、公平嚴正にこれを糾して、しかる後に適當なる裁斷を下さんとするに至つて、委員がおれが見たとか見ぬという證言をここでいたすことは、私は非法だと思います。(「意見ですよ」と呼ぶ者あり)待つて下さい。先ほど來、山口君は、自分に全然覺えがない。それから鈴木速記者の證言によりましても、山口さんとは判定できない。こういう場合が起つてまいりますと、從つて別の觀點に立つて證據として證言證人を必要とするのです。その場合に、あなたが證人に立つてすれば別ですが、懲罰委員の立場からおれが認めるからというような言動は私は正しい懲罰委員の行動でないと思います。だから、あなたの方がもし小川君といい、森君という別の觀點に立つて、證人として堂々とやるというならば、その點を求められて、こういう事實をこういう場合に、こういう段階に認めたということを明らかに陳述なさる必要があるので、「(必要なし」と呼ぶ者あり)それが私は公平な行き方だと思います。
    〔「裁判じやない」「刑事訴訟法通りやらなければならぬということはないよ」と呼び、その他發言する者多し〕
#195
○大原委員長 靜かに願います。
#196
○安田委員 ただいまの御意見、それから昨日の高橋委員の御意見を承つておりますと、懲罰委員會と刑事裁判を同樣に取扱うように私は承ります。これは高橋委員は、非常な御自信をもつてお述べになつておりますが、私も法律をやつておりますが、私は全然違うと考えます。刑事裁判は、事實に關係をしない裁判官が、まつたく白紙の裁判官が、まつたく白紙の上で證據を集めて、その證據に現われたところで事實を認定して、裁判をいたすのであります。國會における懲罰委員會は、われわれが、われわれの中に起つた事件を、自分で處理いたすのであります。そこで被告の尋問あるいは證人の證言というようなことも、規定をしていないのであります。事實は當然わかつておるということが、前提となつておるど私は考える。ここに根本的な考え方の違いがあると思うのであります。もし刑事訴訟法を延用いたしますならば、ただいま私が申しましたような被告人たる方々は、列することができない、許可のあるときは陣辯ができるという規定ができるはずはないのであります。内輪で起りましたことを、内輪で裁くのでありまして、刑事訴訟と同一に御論じになることは、私は考え違いだろうと思います。さような意味におきまして、この程度以上に證人を喚んで、記録の上に事實を明らかにするということは、必要ないことだと思います。
#197
○三浦委員 私は今の議論に對しては、非常にふしぎに思うのであります。なるほどわれわれは刑事裁判と同一な考えをもつておりません。しかしながら事いやしくも議員の一身上に関する問題を認定するのであります。しからば、私は何をおいても、事實の眞相をはつきりしないで、われわれがここに認定するわけにはいきません。われわれの中でできた問題だから、われわれの意見できめる。多數であるから、何でもかでも多數で押し切るということは、私はとんでもない獨裁的な非立憲的なやり方だと思います。私どもあらゆる觀點から事實を認識し、事實をわれわれは調査し、または間違いのないところで、われわれがやるのである。またこれは司法裁判所の手をまつまでもなく、われわれの手によつて判斷するのであります。といつて、われわれの手によつて事實を十分に探究しないでただあのときの騒ぎは、だれが見ても、だれがやつたかわからないような混亂状態にある場合に、それを事實がはつきりしない人に向つて、懲罰委員會によつて懲罰に付する。どんな輕い懲罰でも、懲罰に付するということになれば、重大問題だと思うのであります。しからば私は事實の認定に對しては、たとえわれわれが、問題として、われわれの範圍内においてきまるからといつて輕卒に取扱うべきであるということは、斷じて私は反對いたします。そういう態度に絶對反對しなければ――この問題につましては、決してわれわれは延ばすとか何とかいうことでなく、事實の審査に對しては、十分なる反省をし、事實われわれは認めなければならない。事實を認識したという議員の諸君があるならあるで、それを聽いて、事實の認定をするか否やをきめ、それから現場において十分に私どもは事實を檢認して事實を確かめ、事實と間違いないということをきめることは、どの議員も認めるところで、われわれは事實の認定を基礎として、われわれの問題として判定すべきで、そういうことは必要なし、この程度でいい、われわれが見たという態度に對しては、私は絶對に反對します。
#198
○高橋(英)委員 實は先ほど打切の動議が出ましたときに、私は理由を申しませんで贊成しておつた。しかしこの程度でいい。それは第一に山口君の提訴、これはわれわれ見れば法律關係の者が揃つておるのですが、明らかに無罪の證據があがつて來た。小川君が、きのうも私的に語つておるということを言うた。こまかいことをお知りのようだから、それなら證人として出なければいくまいと私は冗談に言つたが、小川君が證人に出て、森君が證人に出て、一つの資料になれば別ですけれども、そうじやないという程度で打切るのは、武士の情で、あなた方は山口君だけは無罪の宣告をなすに違いないと私は思う。そうして、あとの倉石君なり、有田君の問題については、これはまた懇談的に何とかそこに最も妥當な判決ができるであろう。懲罰ができるだろうというようにも考えたりしまして、あえて理由を言わなかつたのでありますが、しかしただいまの安田君の議論などを聽きますと、これはフアツシヨデス(「ノーノー」)最も惡いこれは獨善である。多數決政治ということは、私が言うまでもなく、これは非常な美點ももつておりますし、これよりほかに、今のところ民主政治の妥當な、穩健なものはないということになつておる。多數政治の一番惡いところが、從來の懲罰委員會に行われておるのであります。すなわち白を黒とし、黒を白とする思想のものであつて、多數黨の者が亂暴した場合には、懲罰委員に付さない。付したところでこれを無罰にする。それに對して、少數黨の者がちよつと行き過ぎがあつて脱線したら、それを懲罰委員會にかけて懲罰に付する、そして多數決によつて白を黒とし、黒を白とするというような、眞實に反するところの決定を、從來なしてきたがために、多數政治の最も惡い面が現われて、議會政治が堕落したと稱せられ、國民から愛想をつかされる原因になつている。私は刑事訴訟法における刑事裁判とは違うという意味において、双手をあげて贊成するが、結論は違います。刑事裁判ですらも、あのくらいな愼重な態度に出る。いわんや國會議員の一身上の重大問題を議する際において、立法権を制定するこの立法府においては、最も模範的な、刑事裁判上の道義的な審理過程がなければならないと私は思うのであります。そういうふうな意味において、先ほど私が言いましたように、山口君の場合は武士の情で何とかお考えになつてくれるだろうというような意味で、言わなかつた。またそうでなくても、もう大概結論はわかつているのだから、お互いに話してわからないことはないから、結論づけようという氣持になつておつたけれども、刑事訴訟法と違うとか、ここは眞實を發見しなくてもいいとか、各自の主觀が絶對的なものであるというふうな考え方、これこそフアッシヨであり、獨善である。それは森君なり、小川君がそういうふうに知つておられるならば、進んで證人に出られて、その證言を材料として、ここに判斷せられたらいい。何もあなた方はうそを言われているとは思わないが、ほんとうのことを言われれば、それによつて山口君はいたし方がないと、同僚としても考える。しかしそれをそういうふうな考え方でやられるということについては不贊成です、私は絶對贊成しません。しかし打切りはこの程度でも私は差支えないと思う。けれども、そういうふうな頭での打切りは、私は贊成しないのです。それは山口君くらいは、この程度の打切りだつたら、當然無罪にせらるべきものだと存じまして、それを前提として打切りに贊成します。
#199
○安田委員 時間の關係で、私は議論にわたることは避けます。私が申しましたことは、われわれ委員は、みな事實を目撃しているものでありますから、あらためて證人として出て證言をする必要はない、こういうことを申し上げるのであります。もしわれわれ委員で疑いがあり、他の證人に聽かなければならないような事實があつたならば、證人を喚びますが、すべての委員は、議場に列席して事實を知つておるのでありますから、おのおの證人をして證言させるというような、刑事裁判所と同じような手續は要らないということを申し上げるのであります。從つて委員以外の方から證人として承ることは、これ以上必要がない、私はかように申し上げたのであります。(「その通り」)
#200
○井伊委員 審理も盡きたと思いますので、採決に入られんことを望みます。
#201
○中野(四)委員 安田君、はなはだぶしつけなお尋ねですが、私がお尋ねした結論と結論との中の、結論をとられるというお考えですか。たとえば、當委員會において判定によつて決定しよう、こういうお考えでおいでになるのですか、お答え願います。
#202
○安田委員 ただいまの判定という意味が、はつきり私には了承できませんから、もう一度その内容を御説明願いたいと思います。
#203
○中野(四)委員 それは先ほど申し上げたように、特に山口君の場合は、本人の陳辯と、證人に出られた鈴木速記者との陳辯とに基いて考えますれば、鈴木君も、山口君と認定しがたいと言うのです。山口君も、事實上において覺えがないと言うのです。そういう結論になりますと、結局議長宣言によつて懲罰に付されたという理由に、相當相違を來す結果になるので、この取扱いをどうするかということを、私は結論に申し上げ、さらにもし當委員會において、それはそうであるけれども、判定によつて決すればいいじやないか、こういう御議論であるならば、私は求むるに、さらに山口君の場合は、他に有力な證人の證言を必要としないか、こういうことをお諮り願いたいと委員長に申し出た。ところが、あなたの御議論は、その線からやや逸している感があつたので、お尋ね申し上げるのですが、この結論のいずれをとられんとするか、この點を伺いたい。
#204
○安田委員 お答えいたします。討論みたいになつて恐縮ですが私はこの程度の食い違いがあつても、十分に判定ができるから、これ以上證人を喚ぶ必要はないということを申し上げたのであります。
#205
○中野(四)委員 私はこの場合、安田君にもう一度御反省願いたいと思います。たとえば、この委員會は、最初に申し上げたように、事實がわかつているといいながら、われわれがもし別な觀點から、良心的に當日の状況を考えて見れば、まだまだ他の者で  社會黨の諸君の中にも、自由黨の諸君の中にも、民主黨内には生方君を除いてなかつたようですが、この兩黨の諸君の中から、もつと厳罰に處すべく、われわれが事實を認定しているところの、いわゆる懲罰に付される資格をもつた人間がたくさんいる。このような者を全然抹殺して、單に政治的交渉の結果、山口、有田、倉石の三君を罰せんとする矛盾、これをこのまま政治的に解決しようというやり方は非常に恐るべき結果を來すと私は思う。判定という言葉は、たいへん意味がありますが、でき得るならば、本人の陳辯する點と、證人が陳辯する點とを十二分に食い合わせて、しかる後に滿足點に到達せぬまでも、それにやや近い點にもつていつて、初めてこれと結論をつけるというふうに進められることを、私は非常に望んでいるのであります。しかも日にちの遷延することをおそれておるから、なるべく早い機會に、本日でも結構ですから、できるだけ御相談の機會を得て、そういうふうに進めていきたい、こういうふうに望んでおります。どうかこの點について、安田君にいま一度御反省願いたいと思います。
#206
○安田委員 ただいま私の反省を求められましたが、私は山口君の行動に對しての事實の認定は、この程度で十分できると申し上げましたが、御説のように、山口君よりも、より重い人が他にあつたかどうかは別個の問題であつて、私はそれについて意見を述べておりません。そういう人が多數あつた中から、山口君が選び出されて懲罰委員會にかけられたのですから、これについて、いかにするかということを申しているのであります。
#207
○古島委員 大分お話も出ましたが、中野君のただいまの證人喚問の必要ということは絶對に必要だと思います。それは判定も認定もできるでしようが、しかし不都合な判定や認定では、判定なきにひとしいのですから、その判定をするには、正確な判定をしなければならない。そこで正確な判定をするには、どうしても證人を喚問することは重々わかつている。それどころではなく、倉石君の衞視に對する毆打という事實については、どの場所において、どういう状況の間において毆打したかこれを明瞭にしなければならぬのであります。そこで議場はすぐ近い所だから、一應檢證いたし、檢證の結果、この場所においてかように毆打せるものだということを確定する必要があると思いますから、この檢證をしてくれということを申し立てます。
#208
○三浦委員 今まで調べたところによつても、三名の事實を判斷すべき材料は――殊に山口君に至つては全然判定すべき何ものもない、それから他の二君にしても非常なる食い違いがある。この通り事實の食い違つたものを基礎として、いやしくも衆議院議員の懲罰をやるということが、一體どこから出てきたか。そういう意見ができるだろうかということを、私は非常に了解に苦しむのであります。しかも、この程度でよいというのは、この程度でどこがよいか。われわれ議員がみな認めておるというけれども、そう言う人は認めておるかもしらぬが、われわれは絶對に認めておらない。あの當時のことを見ても、認めた人と認めないという人とある。それならばその違つた意見の人の證言をやはり得なければ、事實の認定はできないわけです。この程度において、一體事實を認定しようという委員長の態度も、私はまことに恐れ入つた態度であると思う。これはただ事實を解決しようとして、一時も早く何でもかでも多數によつてこれを押し切つて、何らかの懲罰にしようという豫斷によつて、この委員會は開會せられるということは、まことに遺憾であります。委員長の態度といい、決して私は個人的にどうこう言うのではありませんが、事實の認定の少しも明確になつていないものをもつて、事實を認定しようという態度は、最初から事實の豫斷をもつて本委員會に臨んでおるとしか考えられないことは、まことに遺憾であります。私は少くとも懲罰委員會は、政黨政派を超越して、われわれ代議士の身分の問題を十二分に考えるという、公平なる判斷のもとにおいてお取扱い願いたいと思つておるのであります。その意味におきまして、私はこの古島さんの檢證なり、また證人等の十分なる取調べをすべきものであるということを、重ねて要求します。
#209
○大原委員長 三浦君に申し上げます。委員長は、この議會内の懲罰委員會は、あるいは證言、あるいは辯明をもつて大體足りる のと心得ております。これは、私、委員長を指名いたされまして以來、いろいろなものを調べてみました。しかしながら、これは他の法廷とは違つて、辯明、釋明、または證言によつて、大體事足りるものだと考えておるのであります。從つて釋明、證言については、いろいろと御質問せられまして、了解ができたのでありますから、この程度で大體進めていくべきものであろう、こう解したのであります。從つてこの上は、各自の御意見をはいていただいて、これは先ほどのような御本人の釋明にもない、また證言にもないというものが、罪におとされるということは考えられないのでありますから、それらは適當に各自意見を出しまして、その意見の結果、あるいは相一致すればこの上もなし、あるいは場合によつたならば、ちよつと少憩いたしまして、申し合わせてやつても結構であります。こういうような意味合において進行いたしたいと存じます。御了承願います。
 これでは御意見がありまする方は、ひとつお述べ願いたいと思います。なお、この場合、先ほどからお話のように、あるいは祕密會等にすることを御希望でありますならば、祕密會で取扱いたいと思いますが、その點は御意見はありませんか。
#210
○古島委員 證人のことはこの程度でよいということの御宣言がありましたが、檢證を新たに申し出ております。しかもその檢證は、演壇のもとにおいて毆打行爲があつたか、あるいは倉石君の議席の所においてあつたか、もしくは通路においてあつたか、その點を判定せねば刑の量定にも重大なる影響があることだと思います。もしも倉石君が議席におつて、その議席の所を通行した衞視を毆つたというならば、これはばかか氣違いでなければ、あまり得べきことじやない。その刑の量定にすこぶる重大な關係がありますから、はたしてどの場所において、どの程度毆つたかということを明瞭にする必要があろうと私は思うのであります。この點はどうでありますか。
#211
○大原委員長 ただいまお諮りして、大體その點は打切りしたわけでありますが、その點でひとつ御了解願いたいと思います。
#212
○中野(四)委員 私は、先ほど申し上げましたように、有田君、倉石君の場合とは別に、山口君の問題は取扱われたいと思います。その理由は、重ねて申し上げる必要はないと思いますから、省略いたしますが、この三君をこのまま一律に律して懲罰に臨むということは、不當であると思います。この理由も先ほど來申し上げておりますから、特に有田君、倉石君と、山口君とを別個に取扱つていただきたい、これは懇談の席上でも結構です。ここで四角ばつてのお話でなく、懇談の席で十分できると思いますから、この點を希望いたします。
#213
○小川委員 私は特に政治的、國際的の面から、この問題に關して意見を申述べたいと存じます。私は新憲法の國會においては、懲罰問題などという悲しむべき事態の起らないことを希つていたのでありましたが、私のこの日ごろの希望がはかなくも裏切られ、ここに懲罰に關する問題を審議しなければならない事態に至りましたことを、まことに遺憾に思うものであります、新憲法において戰爭放棄という、世界に誇る大宣言を明らかにした日本は、その姿を事實によつて示さねばならないのであります。すなわち、その姿とは、眞に美しき倫理性に富んだ香り高き平和國家の建設であります。しかしてその平和の象徴は、國家の最高機關である國會にあらねばならぬと思います。國會みずからが品位を高め、民主的な性格と愛情ゆたかなゆとりを持つことによつて、國民全體を平和の郷へ導くことができるのであります。國會の行動が國民に與える波紋は、實に甚大でありまして、平和的民主國家が築かれるか否かは、國會自體の行動のいかんによつて左右されるのであります。平和の敵は暴力であり、民主主義の敵もまた暴力行爲であります。國家の最高機關である國會において暴力行爲が用いられたとしたら、それは明らかにフアツシヨであり、國家はまつたく暗黒となり、いわんや、平和國家の建設などは、とうてい望まれないのであります。現下日本は、世界列國の嚴しい批判と監視の中にあることは、申し上げるまでもありません。さいわいにしてマツカーサー元帥は、日本の民主主義が著々進みつつあると世界に報道されたのであります。われわれ國民はこの報道に感奮興起して、今や眞の民主主義國家を建設すべく、一段の努力を拂いつつあるのであります。しかるに、その民主主義の象徴たらねばならぬ日本の國會が、過日のごとき、暴力國會として、非民的な醜い姿をさらしたことはマッカーサー元帥の報道を裏切るものであつて、國家の内外に大きな影響を及ぼしたのであります。これがため、列國の中ではあるいは日本の民主主義を疑い、日本は平和の假面をかぶるものとの疑念をもたないとも限らないのであります。この疑念を生ぜしめたところの、直接の原因者である衆議院議員倉石忠雄君、有田二郎君、山口六郎次君の責任は、斷じて輕々に濟まされないであります。すなわち、外に對しては、日本國會の信を世界に失わしめ、内においては、民主主義を妨害し、平和を破壞し、國民を失望の底につき落したこの罪は斷じて許されないのであります。倉石君、有田君、山口君らは、いやしくも國會議員として、列國が日本の行動を監視しているということをよく御承知のはずであります。また國會の行動が國民に及ぼす影響がいかに大きいかをも、よく御承知のはずであります。新憲法下の國會は、過去の國會とは違つて、最も高く権威あらしめねばならぬのであります。軍閥華やかな時代には、國會が輕視され、國民もまた、國會よりも軍部の言動を重視したのでありましたが、今や國民の頼りとするのは、ただひとり國會あるのみであります。かかるがゆえに、國會議員はみずからの行動に責任をもち、一片の非民主的なところなく、また暴力的なところなく、みずから民主國家、平和國家の礎石とならねばならぬのであります。國會議員が、日本の民主的平和國家建設のために、より多く犠牲を據い、默々として奉仕するところに、國民の胸を打つものがあるのであります。國會の名を汚し、信を世界に失わしめるがごとき暴力行爲を、神聖な議場にあえて行いながら、みずからの責任を感ぜざるごとき議員は、政治家としての資格なきものといわねばなりません。もし倉石君、有田君、山口君にして、眞に國會議員としての責任と體面を感ぜられるならば、生方代議士と同樣に、みずから議員を辭任すべきではないかと思うのであります。しかも、生方氏の場合は、衞視を毆打したり、速記者の公務を妨害したりしたのではなく、まつたく事實無根のデマに陷れられたのであります。この生方氏に比べて倉石君のごときは、無抵抗の衞視を毆打したことは事實であり、また有田君、山口君の場合は、速記者の執務を妨害したことは、事實として明らかなところであります。これらはただ單に暴行や公務執行妨害の罪のみならず、暴力をもつて國會の審議を不能ならしめんとする行爲は、明らかにフアッシヨであり、われわれは民主主義の名のもとに、かかる暴力行爲者を、この際國會から追放しなければならぬと存じます。もし今囘のごとき事件を輕く取扱つたならば、今後再び同樣の不祥事件が惹起されて、衞視が職務につくことができなくなり、速記者もまた執務不能となり、ひいては立法機関の破壞となり、さらに議會フアッシヨ化のおそれなしとしないのであります。私はこの際、國家の内外より廣く觀察し、かつ國會の品位を高め、將來の憲政を權威あらしめるため、個人的な安價な同情を寄せてはならないと固く決意し、倉石君、有田君は、いずれも同樣に議員除名の懲罰、山口君な三十日の登院停止の懲罰を主張するものであります。
#214
○高橋(英)委員 小川君のただいまの御意見は、私とも倉石、有田、山口の三君に對する點、すなわちこの三君に對する批判的な言葉や、またその結論に對しては、贊成いたしませんけれども、その他のことに對しましては、双手をあげて贊成する。私が思つておつてここに言おうとすることを、そのまま小川君は言つてくれたと思う。小川君の今言われよたうな立場に、日本の議會が置かれておる、われわれ國會議員が置かれておるからこそ、私は一昨日からも、なぜもつと眞劔に、民主的に、新憲法の精神をくんで、この懲罰委員會を妥當適正に運營しないかと叫んでおる。なるほど議會内における暴力ざたの問題、これはよいことではない、決してほめたことではない。むろんこれを嚴罰にしなければならないという理由をたくさん包んでおるのでありますが、しかし私は、五十歩にして百歩を笑うものの愚をののしりたいと思うであります。さらにまた百歩にして五十歩をののしり、二百歩にして五十歩をののしるものもまた同樣に笑うべき存在と思うのであります。大體問題は二つにわかれてきますが、嚴罰にしなければならないという、そういう暴力行爲、これは議會から絶對に排撃しなければならぬことは同憾であります。われわれは心からこれを望んでおる。われわれの控室で、今のこの懲罰問題についてどういうことを言われておるか。今度はこの懲罰委員會において、なるべく嚴重な刑罰に處してもらいたい。倉石君にしても、有田君にしても、また山口君にしても、三君ともにもし非違があつたならば、それに對しては斷乎たる嚴罰に處してもらいたいということを希望しておる、一つの例をつくつてもらいたいということを申しておるのであります。それはなぜかと言うならば、現在われわれ自由黨は、野黨であるけれども、いつまでも野黨の立場にはおらないと私どもは確信しておる。われわれ自由黨が與黨になつた場合に、野黨になるものはだれであるか。野黨になつた場合における暴力行爲に出ずるもの、すなわち野黨戰術として暴力ざたに及ぶ可能性のある政黨はどれであるか。自由黨の野黨ぶりよりも、どこの政黨の方が、どの團體の方が野黨ぶりが猛烈であるか。それを考えますときに、われわれは今囘の事件において、もし非違があるならば、この三者がもし間違つたことをしておるならば、ぜひ嚴罰に處してもらいたい、かように望んでおる。これは過去において實例が示しますがごとく、五十歩にして百歩を笑うような状態が續いておる。どういう場合に懲罰が起つても、結局そういうことになつておると私は思つておる。今後においても、またこれが繰返されぬとはたれが保證することができるか。現にこの懲罰委員會における審議ぶりを見ても、わかるのであります。小川君はりつぱにああいうことを言われたが、正式な發言を得ておる者に對して、不正式な發言をもつて、いわゆるやじをもつて言論を妨害せんとした者はだれであるか。またわれわれは眞實を發見するために、あらゆる許されたところの合法的な立場をとろうとすることを、頭から多數をもつてこれを彈壓しようというような態度に出られたのはどこであるか。私は今の小川君の言葉そのものは今諸君に返上したいと思う。この懲罰委員會の審議ぶりをもつてしても、將來諸君が野黨になられた場合のその野黨の猛者ぶりが、私は想見されるのであります。そのときのために事實不法行爲に出た者、非違を犯した者は、この際嚴罰に處してもらいたい。これは嚴罰として贊成です。しかし實際においてこの三君が非違を犯しておるかどうか。不法な行動があつたかどうかということは、また別個の問題となつてくるのであります。私は必ずしもこの三君が、今、小川君が言われたほどの重大なる不法、非違を犯しておるとは考えられないのであります。生方代議士の事例を引用されましたが、この引例は、私は非常に誤つておると思うのであります。この三君が擬せられておるところの罪質は、もしその通りであつたら、起訴事實の通りであつたら、まことに排撃しなければならないところの行動ではありますけれども、これこそまた見方によりますならば、憂國の熱情のほとばしり、愛國の熱情のほとばしり、愛民の熱情の行き過ぎでありまするけれども、議場内で放尿することと、愛國の熱情と、どこに關係がありますか。手段は惡いでしよう、この行き過ぎは、暴力ざたは、手段は惡いかもわからないけれども、これみな諸君とともにわれわれが藏しているところの、もつているところの愛國の熱情のほどばしりとも言えるのであります。放尿事件は、政治的の問題とかかわりがあるかと、かように私は思つておる。生方代議士は放尿されたかどうか、そんなことは私は知りません。またかりにそういうことがあつても、泥醉の結果そういうことをせられたところで、私はそれほど除名をしなければならないほどのことではない。人が人間である以上は、神でない以上は、ときに過ちがあるのであります。懲罰委員會にあれがかけられても、私どもはもつと違つた考え方をもつている。そういうふうなことで、生方氏の問題と同一視されることは、大いに私どもは遺憾といたす次第であります。それならば、事實関係において、この三人はどういう立場にあるかといいますると、先ほど申し上げましたごとく、山口議員はまつたく無罪であります、冤罪であります。なるほど委員の中では、見たという方があり、確信があるという方もありまするけれども、これは一つの判斷の材料としては、ここに出ていない。判斷の材料として出てくるようなものは、すなわち本人の辯明であり、また證人の證言である、その他いろいろな證據であります。その證據がここに現われていない。この證據がなくとも、刑事訴訟法のごとく、證據がなくとも判定ができるという議論のごときは、頭からフアッシヨ的であり、獨善的である。すなわちそれならば、本人の辯明を初めから許さなくてもよろしい、證人を喚ばなくてもよろしい、證據も出さなくてもよろしいということになつてくるのであります。いやしくも本人の辯明を許す制度があり、證人が出頭して證言する制度がある以上は、すなわちそういう客觀的な嚴たる事實、そういう材料によつてその判定の資料として、この判斷が下されるということになつてくる。はたしてしからば、山口議員の行動は、少しも證據が上つていない。客觀的な材料はないのでありまするから、無罪がほんとうであると私は思う。
 それから倉石君の場合はどうかということになりまするが、これは新聞なんかにも現われているようでありまして、あるいは一部誤解を受けるような行動があつたかもしれないと思うのであります。本人は毆打の意思はなかつたが、突いたところが、手が滑つたというふうなことになつておる。見ようによつては、これも常套的な辯解の辭のようにも思われまするけれども、しかしあの興奮した際、あの混亂のときにおいて、往々にしてそういう誤りがないということも保しがたいのであります。さらにその動機に至つては、決して不法行爲をするがために、非違を斷行するがために、ああいう行動に出たのではなく、坂本衞視長のからだにさわつたということではないのであります。山口六郎次君が衛視から毆れらた、暴行を受けたというようなことに義憤を發し、すなわち代議士がその尊嚴を冒された、代議士が衞視連中に暴行を受けたということに義憤を發して、それに對する偶發的な一つの行動であつたのであつて、議事の妨害に出るとか、速記の妨害に出るとか、その他議場内において不法、非違の目的をもつて、倉石君がその行動に出たものではないということは、これはもう疑いのない事實であります。古島議員の言葉を借りていいますならば、氣違いでもなければ、そう理由もないのに、突然人を毆つたりすることはないという、その言葉が證明しておりますがごとく、すなわち山口君が暴行を衞視連中から受けたというそういう誤解を抱かなかつたならば、この事件は起つていない。從つて衞視連中から山口君が暴行を受けたかどうかということは、これは事實においてあつたかなかつたかは、わからないのであります。あつたかもしれないし、なかつたかもしれない、これは事件をしげくいたしまするから、私はここではつきりは申し上げませんけれども、先ほど鈴木君が申し上げましたところの事實、鈴木君に對して松岡議長がどういう言葉を發せられたか、松岡議長が公然とああいう言葉を發せられる以上、その裏においてどういう申合せがあつたか、どういうふうなことが相談されておつたかということは、これはとうてい私どもが想定する限りではありません。臆測になるかもしれませんけれども、よほど重大なる決意のもとに、ある種の協議が行われておつたということは、衞視と衝突いたしましたところの各關係者の言葉を總合しますと、およそその一班がわかるというような状態である。從つてそういうふうな状態でありまするから、倉石君が、山口君が暴行を受けたと誤解いたしましたといたしましても、そう認定したといたしましても、決してこれはそう眞實に遠いものではないのであります。そういうふうな意味におきまして、動機にいたしましても、また事實上倉石君がやりましたところの行爲にいたし しても、そう重大なる過ちではないと私は思うのであります。そういう意味において、倉石君に對して、極刑の除名處分という小川君の御意見は、非常に偏つており、そこに冷靜なる理性的なる判斷が除外されているのではないかと思われるのであります。私ども、先ほど山口君が言われましたように、議會に初めて去年入りましてから、今日議會こそはまさに理性の府ではなくして、感情の府である、單に強硬論を唱える者ばかりが相當たくさんいるような所であつて、愼重に、理性的にものを判斷するのに適していないところの空氣をはらんでいる、そういう空氣の所であるというふうに考えておりますけれども、小川君の意見が、もしこの理性の府であるべき國會の意見として、それに反する分子が少しでも含まれているとしましたならば、これはどうぞ御反省を願いたいと思うのでありきす。公平に言つて、はたしてこれが除名に値するものであるかどうか、これは言わずして明らかであると思うのであります。
 それから今の有田君の問題に至つては、これは私、山口君同樣に、無罪論を主張したいと思うのであります。あまり長くやるなというふうな御注意でありますから、結論だけ申し上げます。
 私が説明しなくてもおわかりのように、決して有田君は平素からそういう妨害行爲に出るような人物ではない、また速記者の速記を妨害するような状態になつていない。たびたびの應答によつて、この委員會で明らかになつておりますように、當時は議場騒然として、速記することが不可能な状態になつておつたのでありますから、何を苦しんでか、有田君がことらさに速記の妨害をする必要があろうか、速記の妨害をしたというふうな積極的な言動も、また動作もなかつたようであります。鉛筆が飛んだとか、紙が飛んだとかいうことで、有田君を誹謗しておりますが、かりに事實がそういうことであつたといたしましても、それは妨害のために故意に鉛筆を飛ばしたものではない。すなはち議長に對する行動の飛ばつちりが、そういうふうなことになつたのであつて、それはあたかも有田君が歸りに速記者と衝突して奧野速記者がよろめいたことが、有田君の暴行行爲でないということと同じことであると思います。すなわち故意がない、妨害の意思がないと思うのでありますから、その點から、有田君は私は絶對的に無罪だというふうに思つておるものであります。
#215
○森(三)委員 先ほど小川君から御意見があり、また高橋君から御意見があつたのでありますが、私は簡單に所見を述べてみたいと思うのでがります。すなわち先ほど小川君からるる申し述べられたのでありますが、國會は國民の代表であり、われわれは國民から大きな負託を擔つてこの國會に出ておる。いかなることがありましても、われわれは暴力を揮つてはならないのであります。これはわれわれのほんとうの信條でなければならないと考えておる。しかるに先般來のあの議會の出來事は、報道機関をして、議會はさながら動物園化したと言われておる。われわれ何をもつて國民に顔向けがなりましようか。國民は、議會に出ておる議員は、われわれの代表として、眞に信頼できる人々が選擧されておると考えておつたのである。しかるに、その代表であるところの人々の集まりが、先日は動物園に化したといわれておる。われわれはこれを實に悲しまざるを得ないのであります。われわれはどうしても國會の權威、品位を保持して、國民の信頼に副わなければならぬ。この意味におきまして、ただいま問題となつておりますところの事犯を起した人人は、嚴肅な判斷を下されなければならぬ。すでに倉石君の事犯におきましては、先ほど被害者であります衞視長から十分證明をされております。また有田二郎君の件につきましてはそこに圖面までも張り出されまして、有田君がどこからはいつたか、そうしてまた速記のシヤープやペーパーをはねのけたかという、この事態も明白になつておる。有田君自身は、議長の方へ行こうと思つたが、自分は行くところがなかつたから、中央突破をしようと思つたという言葉づかいまでしております。皆さん、中央突破とはいかなることであるか。それはわれわれあの戰時中よく聞いた言葉である。結局暴力行動を自分が是認しておる言葉である。自分が暴力をもつて中央突破しようとしたことを、客觀的に證明しておるのであります。高橋君から、速記を妨害する意思はなかつたし、故意もなかつたのであるということを盛んに申されたのでありますが、有田君のこの中央突破をする意思であつたという言棄によつて、有田君が完全にあの議會の尊い記録をすることを妨害しようとした意思が、明確にわれわれには考えられるのであります。從つてこの兩君に對しましては、これはほんとうの嚴罰をもつて臨まなければ、われわれ自身の責任を果したとは私は言えないと考えております從つて兩君に對しては、まことに同僚の義理としてわれわれは忍びないものがありますけれども、やはりわれわれは小川君と同じように、除名の懲罰に付したいと考える次第であります。
 山口六郎次君についても、われわれは先ほどから申し上げましたように、目撃をいたしておるのである。しかも彼はやはり議長に對して自分の主張をせんとして議長に近寄つて、そうして喧騒をしたということも、これは明らかなことであります。しかしながら、有田君あるいはまた倉石君らの二君から比べれば、ある程度の酌量をしなければならない、ように考えますので、山口六郎次君に對しましては、三十日間の登院停止をもつて懲罰にしなければならぬ、かように考えます。
#216
○三浦委員 議會の權威と信用を高める意味において、暴力を排除するというその趣旨においては、異存はない。ただ今囘の問題を考えた場合に、これが三君だけの責任であり、しかも三君とも極刑にしなければならぬ、懲罰にしなければならぬという趣旨は、全然私は發見できないのであります。一體議會がかくのごとく暴力化したということは、決して今日できたのではない。少くともわれわれは今の森君のような議論をするならば、前の議會當時から、森君自身、社會黨自身が反省しなければなりますまい。終戰後の第一國會當時におけるところのあの選擧法改正において、いかなる行動をとつたか、これはよく考えてみればわかるのであります。あの選擧法改正當時連日いかなる行動をとつたか、そういうところからすべてが來ておる。あの當時において、しかも委員長を暴力もつて毆打しあるいは傷害を與え、器物を毀損し、連日のごときあの暴力によつて、暴力化して、最後には血を見たのではないか。そういうようなことをやつたところの諸君が、何ら懲罰委員會にもかけられなかつたそれが不問に附されてきておるのであります。しかも今度の鑛工業委員會の場合において、しかも社會黨の中心であり、書記長代理であるところの淺沼君が、いかなる行動をとつたかということは、私が説明しなくてもわかつておるところである。こういうような行動のすべてが原因をして、しかもわれわれ自由黨の立場から言うならば、あの國管問題に對するところの法律のために、われわれ鬪わなければならなかつた。しかも鬪う場合において、それに對するところの正當なる途を與えず、正當なる審議の状態を續けられたかどうかということは、諸君みずから反省するがよろしい、もし諸君が、口で言うようなきれいな態度をとつておつたならば、あの國管問題は正々堂々とそれが審議されたであろう。それを引延ばし、あるいは妨害し、しかも最後においては委員會の採擇も經ずして、そしてこれをやろうとしたところのあの態度というものは、暴力議會のその大きな原因をこさえて、しかもその原因をこさえたのは實に諸君ではなかつたか。しかもその責任をたなにあげて、ここで非常にきれいなことを言うこと自體、私はまことに遺憾に思うのみならず、一體こういうことは、どこを突いたら言えるかということを言いたい。自分の行動というものが、みずから正しく、民主議會らしい行動をもつて、議會の品位信用を高める行動を正々堂々私はいたしたい。殊に本件の問題を起しました鑛工業委員會においての態度がりつぱであつて、しかもこの問題が起きたというならばそれはわれわれも十分なる責任を負わなければならぬ。しかるに事ここに出でずして、ただ多數をたのんで、しやにむに自分の體面を維持するのであるか、何であるかは知らぬけれども、その審議を十分盡さずして暴擧に出でんとしたがために、あのとき全部が興奮のうずに巻かれたことは御承知の通りであります。委員長の注意もありますから、簡單に申し上げますが、あのときすでに開會せんとするや、衞視が二十數名もおつて、そうして議長から速記臺まで取巻いて、あの審議が進められたのであります。いかにも挑戰的であり、しかも興奮しておるときに一層その興奮を高めて、あの審議が續けられたから、あの際は爭奪になつて、喧々囂々たる騒ぎになつたのである。決してこの大きなる騒動の原因は、三君の責任ではない、斷じてない。これは言うならば、むしろそういう大きな原因をつくつた諸君みずからの、そういう行動をとつたところの態度が、議員のそういう態度が、この原因をなしたことを、われわれ考えなければならない。しからば、そういうような興奮状態から、いろいろそういう大きな原因をなしてあの騒擾の喧々囂々たる議場の空氣を生んだので、それを注意せんがために、有田君は議長に注意せんとした。あるいは倉石君はみずから辯明する通り、同僚が非常に危險なる状態にあり、あるいは衞視から暴行を加えられたというふうに錯覺を起して、その問題を防止し、あるいはそれを引離さんがために、單純なる氣持から出た行動であることは、倉石君の辯明においてまことに明瞭であります。この點において、衞視長とのその場合の食い違い、あるいはネクタイの問題等の食い違いがあつて、衞視長の言うこともわれわれ判斷に苦しむのでありますが、しかしながら、倉石君の動機、倉石君のとつた行動というものは、ただいま申しましたように、ただ同僚が暴力を受けたがごとく錯覺を起し、その錯覺に基いて起きたところの單純なる行動である。何らそこに本件のごとき重大なる責任を及ぼす理由は何一つ含んでおらない。
 また山口君に至つては、どこを衝いて一體責任と認められるのか、何らの事實もなければ證據も上つておらない。あるいは先ほど委員長の説明の通り、證人なり、あるいは本人の陳述なりの事實から判斷するとよろしいが、證人なり本人の事實の辯解等からみても、これは山口君のどこに一體そういうように認められる事實があるかというのであります。それはただ小川君あるいは森君の言われるのは、小川君、森君の獨斷的見解に基くものである。そういうようなことによつて、そうして少くとも一國の衆議院議員をして、これを懲罰に付し、いわんや極刑を科すがごときに至りましては、まことにその考えの誤つて分ること、あるいはその考えこそ、私は恐るべきフアツシヨ的、暴力的なりといわざるを得ないのであります。こういうような、むしろ諸君が平和民主議會を口にしながら、その實質においてはそういう平和民主議會を冒涜するがごとき考えが存在しておるから、かくのごときことが行われるのでございまして、そういうことはまことに遺憾であります。かく考える上において、本件におきまして、私は繰返して先ほど來申し上げましたように、いやが上にも愼重にわれわれはこの事實を判斷し、間違いのない事實のもとにおいて、われわれはこの懲罰に付さなければならないということを考える際におきましては、いずれも完全なる證據と認むべきものはない。いわんや本件のごとき事犯を起した議會の暴力化した原因は、斷じて三君にはない。三君なりという論據のもとに主張された小川君のお話は、まつたく矛盾もはなはだしいものであるということを考えてきますと、私はそういつた十分な事實を調査しないで、事實を判斷する以上、まだ私は懲罰に付すべき時期にも達しておらないと思う。私は本件は、本來ならば懲罰に付すべき事實はまだ完全にない、證據不十分なる状態にあるといわざるを得ないのでありす。こういう意味におきまして、私は未だ本件は懲罰に付すべきところの事實に立至つておらないということを申し上げて、兩君に對して徹底的なる反對をいたします。
#217
○中野(四)委員 私は議論はしないでいいと思う。ただ先ほど森君がこの點にたいへん強い言葉を用いられた。私は森君は、ほんとうはこういう場合は圓滿に議事を進める交渉係として、議院運營委員の一人として、かなり私らも何囘も折衝しておるのだから、まとめる方にもつていかれる立場におる人と思つておる。もしあなたの先ほどの議論をそのまま承れば、これはごもつともだと思う。ごもつともな代りには、私はここで口を開くたびに申し上げるような不自然な形において三君を懲罰に付すことは許されない。現に議場においては、院の内外とも認めておる事實があるのですから、それに律して嚴正なるところの懲罰の事犯を調査して、それぞれ適當なる處置をされたる後に、並行してこの三君を同じように審査するというような過程に行かれるならば、私はあなたの先ほどの言葉は了承できます。しかしながらあなたは、現在第一黨である社會黨の相當の代表者として、各派の交渉會に出てこられて、いろいろと事案をまとめ、すベての議事の圓滿なる運行をはかられようとする、當面の相當重要なるポストにある。あなたからああいう強い言葉を聽くことは、私ははなはだ遺憾だと思う。これが民主黨の方、あるいは國民協同黨の方から、もしくはわれわれから、強い言葉を申し上げるならば、だれが受取つても、なるほどとうなずけますけれども、今日の段階において社會黨と自由黨というものは、公の見地から言えば、兩方とも相當これは論議される過程にあるのでありますから、この點をひとつお互いに考えられて、後ほど委員長がおそらく休憩でも宣せられたときに、御懇談の席でいろいろ申し上げたいと思つております。ただ問題は、この四つの懲罰に對しては方法がありますけれども、最高が除名であります。この除名の過程に行くまでの事實に對しては、當然この三君は律せられないということは、ここで特に爭うほどのことはないのです。結局われわれはあとの三つのことを考えますと、大體議場において議長の戒告か、ないしは公開の議場において陳謝するか、あるいは一定の期間の登院停止をするとか、この三つの幅でお互いの話合いが濟もうと思う。むしろここでお互いの議論を盡すとすれば、兩方に議論の根據もあり、またそれぞれの言いがかりもありましようから、むしろこの際は委員長におかれて、適當なる時間の間休憩をせられて、そうしてお互いがひとつ圓くなつてこの點について御懇談申し上げて、しかる後にこの議事を進めていくようなおはからいを願いたいと思う。どうぞそういうようにおはからいくださらんことを願います。
#218
○鈴木(仙)委員 私は法律家でにありませんから、簡單に同僚のために辯護の言葉を述べさせてもらいます。小川さんのおつしやることは非常に同感です。無理はないと思います。その通り暴力議會であつてはならないと思うのです。それから森さんの先ほどおつしやいましたことも、その通りなんだが、除名論はあまり酷だろうと思います。あの當時の状態は、森さんはよく御承知だろうと思う。私は同僚のために、これはあえて申しますけれども、あの開會の日に、わが黨の小澤さんが山本幸一君にぶんなぐられた。ぶんなぐられた。ぶんなぐられて顔面蒼白になつた。私は小川さんの言われるように、議會に出てまいりましても、やじ一つ飛ばしたことのない非常におとなしい人間です。今までかつて人樣の言動に對して、決して批判がましいことを言つたことはないのですが、小澤君はこの前の議會において選擧法の問題で岩本君と一緒にぶん毆られた、またこの間毆られた。しかも山本幸一君にぶたれたというので、議場騒然となつた。ところが、議長は毆られた小澤君に退場を命ぜられたので、小澤君が非常に興奮したときに、私は森さんのところに行つて、とにかく、山本さん、陳謝してください。さもなければ議場は騒然になつて困るとお願いしたことは、森さんはよく覺えておるだろうと思います。あれやこれや考えると、東京市會あるいは府會の長い同僚であり、そして崇拜しかつ敬慕している温厚そのもののような淺沼稻次郎さんのような方でも、鑛工業委員會の速記を破つたとか、どうとか、しかも今、社會黨の書記長代理をしておられる方でさえ、こういうふうな問題もある。私は先ほどくどくしく申し上げましたけれども、議長におかれましては、あの温厚な方が、そいつらを追拂つてしまえというような、興奮の言葉を漏らしたことを私は聽いて、それで議長に議長横暴だ、われわれ國會議員を何と考えるかということを追究し、なおかつ別の席で、私は議長にこれを糾したことがある。しかしそれさえも衛視長は知らぬ存ぜぬと言われる、議長の言葉によつて議場整理をしなくてはならない衛視長でさえも、知らぬ存ぜぬと言う。一面から考えれば、われわれにさえ聽えたあの言葉が、衛視長自體に聽えないということは、これはうそだろうと私は考える。ことごとく作意じやないかというふうに考えられる。またかりに生方さんの問題にしても、デマを飛ばされてああいう立場になつて、私どもは生方さんに對して氣の毒である。なぜああ手取り早く辭職されたか、あれはわれわれがやつたのじやない。各新聞紙上に、生方は議場で小便したのじやない、國民の面へ小便をひつかけたのだというようなことが出て各方面に傳わつたために、ああいう結果になつた。あれやこれや取立てていけば、この三君のやつたことは、ごく輕微のことだろうと思います。あの議場に参りましたとき、私はふだん人をやじつたことのない人間でありますが、罵詈雜言が社會黨の席からも、あるいは民主黨の席からも出ておりました。しかしそういうふうなことを取立てて言えば、きりのないことであります。またわが黨の議員も暴行された人もあります。またこの委員會に列席しておる方の中でも、わが黨の幹部室へ闖入してきた人もあります。そういうようなことを一々言つたら、きりがないことであります。そういうふうな問題を取上げて、これを對照をして見ますれば、倉石忠雄君のこと、有田二郎君のこと、山口六郎次君のことは、ごく微罪であろうと思います。私は交渉會の結果がどろなつたか知りませんが、總括的にあの議場の當時の空氣、しかもその原因の發生はどこにあつたかを考えると、それは議長の態度が數を頼み、頭を頼み、その力によつて押し切ろうという、今までの弊害が私は惡いと思うのであります。どうかこの點をよく御了察くださいまして、そうして議會を眞に光輝ある議會とし、國民から反省を促されるような議會でないものをここに實現されるならば、しかもこの三君の問題に對しては、ごく輕徴な取扱いをして、そして今後こういうふうなことのないようにしていただきたいことを、私は申し上げたいのであります。以上によつて、私は有田君竝びに倉石君、山口君は無罪を主張したいと思うのであります。
#219
○山口(好)委員 御意見も出盡しましたから、ごく簡單に同僚議員のために辯護をいたしたいと思います。先ほど森君、小川君から、法廷で申せば檢事の論告に比すべき、まことに峻嚴なる論告があつた事を判定いたす場合には、決して檢事的な態度をもつて望んではならないわれわれ懲罰委員會の委員としましては、嚴正公平なる態度をもつて批判を下さなければならないことは、申すまでもないことであります。そもそもさような見地から、本件はまずもつてこの波の起きました原因、すなわち風起らざれば波は立たないのであります。その波立たせた原因がいずこにあるかということを、先ほど委員諸公も申されたが、これをまず最もよく認識いたさなければならないのである。あの鑛工業委員會の審議の状況が無視されて、そうしてただにち本會議に提出、報告をいたされ、しかもその本會議におきましては、他の議案に先立つて、何ものにも先立つてこれを取上げて、數をもつて押し切つてしまおうというようなことは、これは何黨から申しても、否むことのできない非常に不當不法なる議長の行動であつたということはこれは、何人も是認しなければならないと思うのでありまして、この風波の起つた原因は、決して偶然ではない、非常に無理がある、風波が起きたということは、何人も否めない事實であると思うのでありまして、これをまずわれわれ懲罰委員としましては、認識いたさなければならないと思うのであります。しかして最後に、いかなる種類の處罰に處せらるべきかということにつきましては、その人物の平素の人柄も、十分考慮をいたさなければならないと思うのであります。すなわち山口君にいたせ、また有田君にいたせ、さらに倉石君にいたせ、決して普通の状態であつたならば、また今後におきまして、通常の場合に決してかような行動に出ずべき人物ではないということは、はつきり言うことができると思うのであります、すなわち倉石君にしましても、十五分後において、その過ちであつたことを覺りまして、被害者に對しては謝罪をいたしておるのであります。これをもつて、私は十分倉石君の人柄もわかり、決して後に懲罰委員會などにおいてさらに追究をして、殊に嚴罰を科するというようなことは決して妥當でないことを痛感いたすものであります。有田君にしましても、御承知のごとく有田ドラツクの社長でありまして、決してそのような暴力行爲に出ずべき人物ではないのであります。また山口君にしましても、先ほど自ら心境を述べられたことく、決してさような暴力行爲に及ぶべき素質のものではないのであります。さらにこの事犯についてのわれわれの見聞したところは確かだと言いますが、これくらい確かならぬものは私はないと思います。安田君でありましたか、この委員はすべてあの状況を目撃いたしたと言つておりますが、中には目撃をいたしておらない人もあります。實際に議場におらなかつた方もおられます。またわれわれも決してそういうところは見ておりません。かなりそういう人もおありだと思うのでありまして、これを自分の兩眼をもつて的確に見たと言つている人でも、その記憶は、はなはだしく不明確なものでありまして、先ほど坂本衞視長は、あのときに職業安定法案が出ておつたと言いましたが、決してさような法案が出ておらなかつたのであります。これは議事録によつて明確です、それほどわれわれの記憶は不明確であります。この間私が有田二郎君の代りに釋明いたすために、その事實を調べたところと、最初考えておつたところとは、實際に議事録その他によつて調べましたところとは、たいへんな違いがあつたのであります。森君の言われたことく、自分の認識が非常に正しいと思われたならば、これは大いなる間違いであるのであります。その不明確なる記憶によつて事を行わんとするがごときは、斷じて許されないと私は確信するものであります。さような點から、まず明確なるものとしてわれわれが取上げ得べきところの證據から申しましたならば、山口六郎次君については、あの速記者のすべてが――奧野君にしろ、土屋君にしろ、鈴木君にしろ、佐藤君にしろ、有田二郎君からは速記の妨害を受けたが、その他の何人からも妨害を受けていないということを、はつきり言つております。議長は速記の妨害をもつて山口六郎次君を起訴したのであります。ところが、速記者の何人も、そのときに居合せました鈴木、佐藤、奧野、土屋というすべての速記者が他の人からは何らの速記の妨害を受けておらぬ。また山口六郎次という人が近くにおつたことは、少しも認識をいたしておらないということを、はつきり申しておるのであります。どうして速記の妨害がここであつたと言えましようかが斷じて速記の妨害はなかつた、これは事實であります。現に山口六郎次君は、何ら速記の妨害はいたしておらないのでありますから、もとより無罪であります。これは無罪のほかの何ものでもないのであります。
 有田二郎君の場合におきましては、その答辯と本人の説明とは異なるところはありまするが、これまた決して速記をいたしておる所を直接に妨害をいたしたというような事實がないことは明白なのでありまして、これを除名をもつて論ずるというがごときことの不當なることは、われわれ議員としては、心の中に深く認識いたしておると思います。ただ一部の人が檢事的な立場から、事を誇張いたしまして、除名というようなことを考えておられるのだろうと思うのであります。
 また倉石君の場合におきましても、さきほど他の委員からいろいろ申し上げたように、實際に間違つて手を出したところが、間違つてまた他の人にそれが及んだ、こういうのでありまして、ただちにその間違いを改めて、そうして謝罪をいたしておるような次第であります。
 以上をもつてみましても、私は除名というような極刑をもつて臨むべき何らの事實はない。また今まで議會に行われましたかような行動につきまして、かような事犯で除名されたというような例はないと私は考えるのであります。また個人の情實は、もとより抜きにいたさなければなりませんが、かかる國會の状況におきまして、すなわち風波を起すべき相當な不法なる、不當なる原因の存在したこの議場においてのかかる行動につきまして、われわれが眞に立場をかえて、そうして自分の立場もそれに引きかえまして考えたときに、何をもつてわれわれ同僚議員の除名というような極刑をもつて臨むことができるかと申し上げたいのであります。われわれの同僚に對し、よろしく妥當な、立場をかえましたところの、眞に同情のある公平なる立場において――われわれ公平嚴正なる徴罰委員會の委員としましては、さような考えのもとに、最も妥當なる、中野君の言われましたごとき結論に導かれんことを希望します。山口君は、もとより無罪であります。これを私は自分の意見として強く主張するものであります。
#220
○大原委員長 この場合、石田一松君から、委員外の發言を要求せられております。ただいま理事の方と御相談いたしたのでありますが、簡單なものであつたならばよかろうということでございまするから、この場合發言の御了解を得たいと思います。石田君。
#221
○石田一松君 委員長の許可を得まして、まことに僭越だと思いますが、この件については、終始私も交渉會あるいは運營委員會等で關連をもつておりましたので、一言申し上げたいと思います。
 私がいまさら申し上げるまでもございませんが、この除名という問題は、議員にとつては死命を制する實に重大問題であります。でありますからこそ、この問題は、本會議場において出席議員の三分の二以上の贊成がなければ、これを認めないことにもなつております。それほど重大に扱われておる問題でありまして、ここでもし決などとられて、それが決定したとしても、おそらく現在の本會議の議員の分野においては、三分の二ということは不可能ではなかろうかということも、實際問題として私は考えられると思うのであります。しかもこれは政策の問題と違いまして、その政黨々々によつて一致團結して、その方針に進むということも、私たちは受け入れられないのであります。これは各議員のほんとうに誤らない良心によつて判斷さるべき問題であつて、黨議によつて決定さるべき問題ではないと私は考えます。そういう觀點からいたしまして、私たちはとにかく日本の現段階のあり方を考え、議會の威信が保て、今後の議會の信用が國民から囘復される方法が講じられるならば、何も同僚議員をここで除名するというほどの強い意思表示をしなくても、われわれを選出してくれた國民は了解してくれると思うのであります。私は決していずれにひいきをする、いずれにどうというのではありませんが、民主黨の小川君あたりのお氣持もよくわかります。また社會黨の森君あたりの御意見も、よくそのお気持はわかるのでありますが、ぜひとも先ほど議に上りましたように、中野委員もおつしやつたように、一應この際休憩という時間をおもちくださいまして、冷靜なる判斷のもとに、黨意識にかられない、いわゆる良心的な判斷でこの問題が處置されて、この三君が犠牲となつてお立ちになつたこと、先ほどの山口君あたりの答辯をも御斟酌になつて、まず除名という極論にいかないで、私たちの同僚が、今後なごやかに議會運營がなされるようにと、特に僭越でございますが委員外の發言を求めまして、各委員の御了解を得たいと思うのであります。(拍手)
#222
○大原委員長 この場合二十分を限りまして少憩をいたします。
    午後四時五十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時十分開議
#223
○大原委員長 これより開會いたします。
 休憩前に引續いて審議いたします。
#224
○森(三)委員 先ほど休憩前におきまして、私は三人の懲罰動議に付せられている諸君に對して、それぞれの觀點から、有田二郎君、倉石忠雄君の兩名に對しましては、この懲罰の制裁として、最高の除名を主張いたしました、また山口六郎次君に對しましては、三十日間の登院停止を主張いたしましたのでありますが。その後休憩になりまして、委員諸君の御意見も種々懇談裏にお聽きいたしたのでありますが、事案の内容は、相當重視しなければならぬという見解においては、一致はいたしております。しかしながら、國會議員たる地位を剥奪するにひとしい除名ということは、あまりにも苛酷ではないか、今後ただいまの三人の人々竝びにこの國會が、眞に國會の審理を嚴肅に行うという心構え、またそれが眞に國會に實現するならば、そうした極刑に處すべきではないというような御意見も相當に出てまいつたのでありまして、この際私どもといたしましては、倉石忠雄君並びに有田二郎君の兩名に對しましては、除名より一段下りました三十日間の登院停止を要求することに、大體意見がまとまつたのであります。なお山口六郎次君に對しましては、先ほどは三十日間の登院停止を主張いたしましたが、十五日間の登院停止を主張いたします。
#225
○大原委員長 これより討論に入ります。
#226
○古島委員 私はごく簡單に申し上げます。およそ刑の量定問題については、先ほど委員外の方からお話があつた通りであります。ほんとうに實行のできる刑を言い渡さなければ、何らの權威もないことであります。もしこの委員會において重大な決議をいたし、委員會が通過いたしまして、もし本會議でこれが通過いたさぬことになれば、委員會の威信にも關する重大なことになると思うのであります。もちろんすべての犯罪には時效があります。これは議長の訴追いたした事案でありますから、もちろん自由にできるのでありますが、精神は同樣であります。もし議員同士でこれを動議として出すならば、三日以内で出さねばならぬということは、規則に書いてある通りであります。しかもこの事件の起きましたのほ十一月二十日、二十一日であり、訴追されたのは十二月の五日であります。その間十五日もある。何ゆえに三日以内で動議を出さなければならぬということにしたかといえば、三日後においてはその状態が平常なのであります。その状態を破るということの方が、かえつて秩序を害するということから、三日も放つておくのならば、そのままでおこうではないかという精神から出てまいつておるのであります。それと同樣に、これが十一月二十日、二十一日にできた事案であれば、その後十五日も經たということは、かえつてこれを出したがために、そのときの状況がまざまざと再び繰返されることになるので、當時の事案というものは、かえつてそれがために亂されることになつてまいるのであります。こういう事情から、何かの政治的目的があつてこれを訴追いたしたということは、もちろん考えられるのでありますが、訴追自體がそういう状況からまいつたのでありますから、その事情から申しましても本件はむしろ委員會では一切これを否決して、とらぬというくらいにやつてこそ、ほんとうに委員會の權威があるのだと思うのであります。しかもそうでなくて、各派が相談の上に、これを出すことに、なつたということを聽きましたので、私はむしろ審議することをはばかつて、各派交渉會の結果、こういう訴追をしてもらうことに話ができたというのであれば、私は委員の一員ではあるが、審議にはいらないという考えをもつておつたくらいであります。ところがいよいよ話が進んでみますと、結局除名問題論等も出るという強硬な態度でありますので、一言私はその點を申し上げてみたいと思うのであります。實際から言えば、この事件がはたしてそういう極刑に處すべきような事案であるかどうかということは、先ほど大勢の方々が意見として申し述べてくれたので十分であります。ただ私が心配をいたしますのは、およそ宣言、決議の威力というものは、それが實行ができることにおいて威力があるのであります。除名するということにいたしましても、除名が實際に行われないことになれば、委員會の威信はかえつて墜ちる。また三十日の登院停止にすること、十五日の登院停止にすることも、お考えとしてはごもつともでありましよう。しかしこれは實際問題として、三十日に値するだけの事案であつた、十五日に値する事案であつたという宣言にすぎないのでありまして、實際の目的は、わずかに一日ということになるのであります。それくらいでありますから、私はむしろこの問題は、御討論くださるような場合においては、もう少し讓歩してくださつて、ほんとうに實際刑の執行のできるような程度において御要求を願いたいと思うのであります。私は自由黨の代表といたしますれば、もちろんこの山口六郎次君はその證憑不十分でありますので、無罪の御決定を願いたいと思います。倉石君及び有田君は、兩人とも不法な行爲が、なるほど想像はできるのでありますが、處罰をするにはまだ不十分であります。中央突破するというような自白もあつたようでありますが、はたして突破できたのかどうかということも問題であり、そうして轉げ落ちたということを言つておりますから、突破することと轉げ落ちるということとは、かえつて自白が矛盾をするのでありますから、これはそのまま轉げ落ちたということに認めてやるのがよかろうと思うのであります。それから倉石君が毆る意思は毫もなかつた、まつたく手を出して、受けようとしたらば、その手が當つたのだというのでありますから、その辯明を認めて、多少の不穏當な行動はあつたが、處罰をするにはきわめて證憑不十分という意味において、これは三人とも無罪の御決定を願うことが正當だと考えます。
#227
○森(三)委員 動議を出しまして、それに對して私は大體各黨の代表の方々からお一人くらいずつ討論をしていただいて、それで討論を終局に導いていただきたいと思うのであります。從つて私はここに動議を提出いたします。先ほど私が結論的に申し上げましたように、倉石忠雄君竝びに有田二郎君に對しましては、登院三十日間停止の懲罰に付し、山口六郎次君に對しましては、登院十五日間停止の懲罰を付することを、ここに動議として提出する次第でございます。
#228
○小川委員 私は先ほど發言の際に、國會の權威を高め、かつまた品位を保つ建前から、この問題は最も嚴罰にすべきであると主張したのでありましたが、その後各委員諸氏からの御發言がありましたので、私は先ほどの強硬論をこの際撤囘しまして、ただいま社會黨の森君から御發言のあつた通りにいたしたいと思います。
#229
○本田委員 私は日本自由黨を代表いたしまして、ただいまの森君の動議に反對の意見を申し上げたいと思います。國會肅正ということのために、その懲罰問題を十分に嚴肅に論議を進められるわけでありますが、われわれその趣旨に對しましては何ら異存のないものであります。ただ同僚諸君がすでにるる申し述べられました通り、三君の事犯は十分な證據としてわれわれが納得して、森君が御發議になつたような判決を下すには不足と思いますがゆえに、われわれ自由黨員としては、ただいまの御動議に贊成することができない次第であります。
#230
○大原委員長 この場合討論終結といたしまして御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#231
○大原委員長 御異議がなければ討論終結いたします。この場合森君の提出された動議に對して採決いたします。森君の動議に贊成の方は御起立を願います。
    〔贊成者起立〕
#232
○大原委員長 多数であります。よつて森君の動議通り決定をいたしました。
 まことに不慣れな者でございましたが、ここに無事に終結をいたすことができ、謹んで感謝をいたしまして、本日はこれをもつて散會いたします。
   午後五時二十八分散會
ソース: 国立国会図書館
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