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1995/02/15 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 産業・資源エネルギーに関する調査会 第2号
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1995/02/15 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 産業・資源エネルギーに関する調査会 第2号

#1
第132回国会 産業・資源エネルギーに関する調査会 第2号
平成七年二月十五日(水曜日)
   午後一時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十七日
    辞任         補欠選任
     小林  正君     浜四津敏子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         三重野栄子君
    理 事
                野村 五男君
                増岡 康治君
                一井 淳治君
                大脇 雅子君
                広中和歌子君
                乾  晴美君
                立木  洋君
    委 員
                合馬  敬君
                岡  利定君
                佐藤 静雄君
                関根 則之君
                楢崎 泰昌君
                南野知惠子君
                吉村剛太郎君
                久保田真苗君
                谷本  巍君
                山口 哲夫君
                藁科 滿治君
                牛嶋  正君
                長谷川 清君
                浜四津敏子君
                星野 朋市君
                西川  潔君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        堀籠 秀昌君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業・資源エネルギーに関する調査
 (二十一世紀に向けての産業・資源エネルギー
 政策の課題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○会長(三重野栄子君) ただいまから産業・資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る一月二十七日、小林正君が委員を辞任され、その補欠として浜四津敏子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○会長(三重野栄子君) 産業・資源エネルギーに関する調査を議題とし、二十一世紀に向けての産業・資源エネルギー政策の課題に関する件につきまして、本日は自由討議を行いたいと存じます。
 議事の進め方でございますが、先日、前回の自由討議での発言、提言等をまとめた資料等及び昨年行われました調査会長、委員を中心とした海外派遣報告書をお手元に配付しておりますが、細目につきましては資料を御参考に願い、前回の自由討議までに提起されてきました主要項目を中心に論議を掘り下げていただきたいと存じます。
 なお、前半を産業問題、後半を資源エネルギー問題として、委員相互間で自由に意見を交換してまいりたいと存じます。
 それでは、これからまず産業問題について意見交換を行いたいと存じます。御発言のある方は挙手をし、私の指名を待って御発言いただきたいと存じます。
 なお、たくさんの方に発言をいただきたいと思いますから、できればお一人十分以内で御意見をいただきたいと思います。
#4
○増岡康治君 今までこの調査会では非常によく御勉強なさっておるわけですが、私、最近しか知りませんので非常に申しわけないことになるかもわかりませんが、産業関係については参考人の御意見を聞いたり、皆さん方の御意見を聞いたりいろいろしておりまして、議題になったものを早く法案にしたらどうかという話もありましたが、今回、通産省さんが、例えば特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法案とか中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法案等々、今国会にタイミングよく出されまして、じゃ、我々の調査会はその先をねらわなきゃいけないんじゃないかとなると、本格的な空洞化その他の問題、さらに、これの法律だけではとてもついていけないぞ、こういう問題にだんだん入ってくるんではなかろうか、実行が大変なことだなと思います。
 先般も調査会で三条、燕等のところを見せていただきました。やはりみんな何か新しいものをやらざるを得ないということであれこれ本当に苦労されております。いざ特許を取ろうと思うと三年間かかりますというようなお話が出たり、それから、いいアイデアがあってもなかなか資金力がない、どうにかしてくれと、いろんな話が出ました。今回のこの法律等はよくPRしないと、これはそういう方々の耳に達しないような法律じゃないかと思っております。
 私は、去年から気になっておりましたことが法律によって今国会に出されたということは非常にうれしい限りでございますが、さあその次を産業関係でどうしようかとなるとだんだん労働問題に入ってくるし、幅の広いもので、きょうは皆さん方の御意見も伺いながら議論させていただきたいと思いまして最初の口火として申し上げた次第です。
#5
○一井淳治君 今そういうお話がございましたが、私は通産省が今度つくった法案にないところを、埋めるところはないだろうかという発想をいたしまして考え出したものが、お手元に配ったような資料――配っていただけますか。(資料配付)今度通産省がつくった法案は中小企業対策と、また、大企業とか中小企業にかかわりなく組み立て製造業等、海外に出ていく企業について法案が実はつくられております。しかし、海外に出ていく企業の周辺の企業についての法案がまだできていないわけでございます。
 お配りしております資料の一ページは、昨年の十一月に通産省がまとめた内外価格差の表でございますけれども、そこに黄色い線が引いてありますように、石油・石炭とか電力とかのエネルギー、それから金融・保険、運輸、通信といった企業に対する産業サービスを提供するもの、こういったものの内外価格差が非常に高くございまして、そのために海外に出ていかなくても済むような企業まで海外に出ていく心配があるということが言われております。
 通産省の報告書でございますが、ちょっと読んでみますと、「今後国内生産の縮小、海外生産の拡大を加速せざるを得ない状況に直面している。内外価格差を是正・縮小するための対策を講ずることなく、こうした状況を放置した場合、我が国経済の発展を支えてきた競争力のある産業から空洞化が始まり、我が国経済の将来の発展基盤が崩壊することが懸念される。」というふうに書いてあるわけでございます。
 二枚目から後は、まことに内容がお粗末でありまして、ドン・キホーテみたいなところもあるんですが、特定事業の効率化に関する臨時措置法案ということでまとめております。海外に出ていく加工組み立て型製造業とか鉱業とかいうものの周辺にあって、そういった産業に対してサービスを提供したり、エネルギーを提供したり、素材を提供している企業について効率化を進める。効率化というのは、料金を安くするとか、あるいは、例えば港湾荷役であれば港湾荷役の時間を早くするとか、そういった効率化を進めた場合に、第八にも書いてありますけれども、さまざまな税制上の特例などを与えてそういったものの効率化を進めていこうと。それによって、一つは空洞化が緩慢に進むように、急激な空洞化を防止していく。それからまた、そういった産業の効率化が高まるわけですから、日本経済全体の生産性向上のためにも役に立つのじゃなかろうかという思いでまとめたわけでございます。
 一番最後に、「記者席」という記事でございますけれども、これは調査会について、もっと立法とか、そういったしっかりした仕事をしたらどうかという朝日の記事がありましたので、私も、存在がすむでは困りますので、ドン・キホーテみたいになるのかもしれませんが、ちょっと申しわけないんですが、そういったものを使わせていただきましたので、御検討を賜りたいというふうに思います。
 それからもう一つ申し上げたい点は、物流でございます。やはり、二十一世紀に向けての産業政策の課題を論ずる場合に物流の問題を無視することはできないと思います。新幹線、道路、地下鉄など、人の流れについては票につながるからだと言う人もいるわけで、熱心な予算の分捕り合いが行われますけれども、物流については人流に比べて低調であるように思います。
 阪神大震災を契機に物流の重要性が認識されてきました。産業の動脈である物流が停滞して製造業や多くの産業において業務が停滞し、大きな混乱が引き起こされ、物流の重要性が身にしみてわかったわけでございます。
 物流のコストですけれども、売上高の平均六・七%ぐらいを企業が支払っているという報告もございますし、また物流の運賃が一〇%上がると総合卸売物価に〇・三%、消費者物価に〇・二二%はね返ると報告がございます。
 日本経済の発展との関係で見ますと、こういった部門の生産性が向上しないと二〇〇〇年時点で三・一%であるべき経済成長率が二・一%に下がるというふうな報告もございまして、物流というものについては二十一世紀に向けての産業ということを考える場合に、本気で取り組んでいかなくちゃならないと思うわけでございます。
 しかし、物流につきましては労働力不足とか道路の渋滞とか環境問題とか、あるいはコストがじりじり高くなっていくというような問題、さまざまな産業上のネックがありまして、物流の需要について二〇〇〇年ごろには十分に対応していけないんじゃないかというふうな心配もなされております。
 そこで、私の愚考するところでございますけれども、やはり物流については、第一に規制緩和とかあるいは取引慣行の改善、最近指摘されておることでございますけれども、考えていかねばならないと思います。
 第二に、現在はトラック輸送を中心とする物流体系でございますけれども、確かにトラック輸送は便利なんですが、しかし幹線物流体系においては過度にトラックに依存しないように海運や鉄道の活用を図るモーダルシフトを推進していかねばならないと思います。その場合、港湾や内航の規制緩和が大変重要な課題になってくると思います。
 第三に、物流のインフラの整備ですけれども、これは一企業では到底できません。国や公共団体が積極的に推進する必要があると思います。最近の予算を見ますと、道路予算は十数兆円ということですけれども、モーダルシフト関連の予算を合計しても非常に低い額になっておりまして、道路や人流に予算が集中している。公共事業予算を実績主義ではなくて、重要なものには傾斜していく配分方法をもう少し考えねばならないと思います。そのために、人流偏重ではなくて、物流インフラの整備のための予算が確保されねばならないと思います。
 それから第四に、物流業界には中小企業が多いわけでございますけれども、その資金調達能力が非常に脆弱ですから効率化のためには大いに共同化を進めていかなくちゃなりませんが、しかし都市内物流とかあるいは共同集配が言われておりますけれども、やはり一定の限界がありまして、インフラ整備のためには国や地方公共団体が力をかさねばならないと思います。
 それから第五は、一貫パレチゼーション等の合理化の施策を国の政策を含め、税制上の支援などを与えて強力に推進していかねばならぬのじゃないかと思います。
 以上でございます。
#6
○大脇雅子君 製造業の空洞化とかあるいは産業のリストラの中で、過剰となる雇用の受け皿をどうするかということが大きな問題であるという御指摘には同意いたします。とりわけ、ベンチャービジネスの支援とか中小企業に対する支援措置というのは通産省もかなり整備をしてきておりますけれども、じゃ一方、その過程の中でどういうふうに過剰な雇用を整理統合していけるのかということと、もう一つは、その中で労働者の生活や人権の侵害をできるだけなくしていく形でそれを保護できるのかという課題については余り深い議論がなされていないのではないかと思います。
 ここでも問題になりましたのは、労働省の雇用調整金とか雇用保険とか、あるいは職業安定所の機能の強化などが言われておりますけれども、しかし一方、その中で進んでおります雇用形態の多様化の中における不合理な差別の問題、それから労働時間の弾力化というものが進行していく中で、いわば労働時間の自己決定というような形で労働者の生活の自由を確保する方法というものをどうやって保障していったらいいのかという問題があろうかと思います。
 雇用形態の多様化の中では、パートタイム労働者の増加あるいはアルバイトや契約社員の増加、それから派遣労働の増加というものがありまして、確かにこれは企業のリストラの中で、雇用がまさに企業の調節弁として考えられているという日本の現状をどう克服するかということが議論されなければいけないのではないか。その中で雇用不安だとかが増大していけば、それは日本の経済の活力の低下にもつながるというふうに考えますので、いわば待遇の水準とか身分保障というものを公正な労働条件の決定システムの中でしっかりと確立していく必要があるのではないかというふうに思われます。
 その中で、いわば年功序列や終身雇用制が崩れていきまして、転職という形でさまざまな労働力の流動化ということがもう既に始まっておりまして、いわゆるピラミッド型の雇用管理というよりも、専門能力を生かしたネットワーク化という雇用管理が今問題になっていると思いますが、そのためには個人の能力をどのように開発していくかということが、国の労働力全体の質の向上といいますか、そういう視点からもう一度とらえ直さなければいけないのではないか。
 日本の職業訓練というのはこのごろ進んではおりますが、中心的な職業能力の形成というのはOJTという企業内の教育を中心に今まで行われてきた歴史がありますから、それを日本の義務教育も含めた教育制度の中に取り込みまして、生涯的一貫性を持った職業教育、プロフェッショナルの養成というものをきっちりとやっていかないといけないのではないかということを考えます。
 したがいまして、そのために必要な施策といたしましては、まず雇用形態の多様化の中で問題になっております男女の賃金格差、あるいは配置の差別などを是正するための雇用機会均等法の強化と整備ということは急務であろうと思います。
 それからもう一つは、高齢者などの雇用が増大する中で、これは女性にも非常に大きな影響があるんですけれども、年齢制限を雇用条件の中に入れているという今の現状について、やはり年齢制限撤廃法のようなものを整備していかないといけないのではないか。それから、年功序列、いわば終身雇用が崩れていく中で、次の公正なシステムの受け皿といたしまして、言ってみれば合理的な職務給制度の社会的コンセンサスというものを形成していく作業が必要であろうと思います。
 当面はILO百号条約の同一価値労働同一賃金の原則の我が国労使慣行の中への導入ということがあろうかと思いますが、そういう不合理な差別の固定化をこうしたさまざまな労働力の流動化の中で助長しないようなシステムというものを労働行政の中で早急につくらなければならない。そして、そういう中で労働時間の自己決定というものを基礎にして、新しい労働、公正な労働条件というものを確保して初めて公正、平等な日本の市民社会というものが組みかえられていくというふうに考えるものです。
#7
○乾晴美君 私もここの調査会には途中から入らせていただきましたものですから、全体のことをさっと見せていただいたんです。もう論じられているかもわかりませんが、今、大脇議員の意見を聞かせていただきまして、私も今後の日本の経済、産業のあり方を考えるときに、やはり経済の担い手である産業の担い手である働き手といいましょうか、労働者の姿がどういうような形にあるんだろうかということをしっかり押さえていく必要があるだろうなと思います。
 読ませていただきますと、ここの調査会でも企業の社会的貢献というのは随分論じられたようでございますけれども、そういう意味では今回の神戸で起こりましたあの大震災につきまして企業がどんな形でボランティア活動ができたんだろうか。年休をとって行ったんだろうか、それとも個人のあれで行ったんだろうか、そこまで行く旅費はどうだったんだろうか、時間カットはどうだったんだろうかというようなこともやっぱり洗ってみなきゃいけないだろうなと思うし、そういった大震災が起こったときに企業が社会的貢献ができるような形にしていく必要があるだろうなと思います。それと、やっぱり企業戦士のような形で利潤追求だけの企業ではそういうことはできにくいんだろうなということも考えられます。
 私は、生活者としてどうしていくかというようなことでいろんな条件を考えていこうというときに、まず働く仲間の皆さんの高齢化の問題もこれからあるだろうと思うんです。読ませていただきますと、提言の中で介護休業なんかも出ておりますけれども、これはもう深刻な問題だろうというように思っています。
 それは一つは、私は徳島県なんですけれども、徳島県で平成四年から五年まで学級の数が九十四学級減ったわけです。平成五年から六年度で九十七減っていまして、二年間で百九十一学級減っているという現状にあるわけなんです。子供の数がぐんぐんと減っていく中で百歳以上の人はどうなのかというと、昭和三十八年では百五十三人ぐらいだったというんですけれども、平成六年九月現在では百歳以上の方が五千五百九十三人いらっしゃるということになれば、ざっと考えて三十六倍になっている。それに引きかえてぐぐっと子供の数が減っていくということになれば、厚生省あたりが新ゴールドプランでホームヘルパーさんを二十万人つくりますよとかたくさんのことを言っていても、実際にホームヘルパーさんのなり手がないのではないかというように心配されるわけです。
 そうすると、働いている人たちが企業全体の中でどのように介護休業がとれるのかというようなことでは、もう何としてもこの介護休業が必要だなと思っていますが、今上がってこようとしている介護休業を見ると、休ませていただける期間が三カ月が限度になっているというようなことで、やっぱりこれは一年ぐらいは休めるようになる法案に何とかならぬだろうかなというようなことも考えるわけでございます。女性からいえばそういうことも含めて、また保育の問題といいましょうか保育制度の充実を図っていって、やはり子育てについても社会の支援というのも随分大切になってくるんだろうなというようなことを思います。
 企業優先ということではなくて、やっぱりこれから働きたいという女性も多くなりますし、完全雇用ということになってくれば、技術革新による生産向上と品質向上により、日本の産業や企業が国民の需要を開拓していくというようなことが基本に据えられてこなきゃいけないだろうなというように思っております。
#8
○立木洋君 もう既に同僚議員から雇用失業問題のお話があったんですけれども、雇用のあり方の問題等についても、それから失業の問題等についてもこれまでいろんな角度から当調査会で検討されてきた内容だと思うんです。
 ただ、私が考えているのは、最近の雇用問題、失業問題というのが本当に好転しているんだろうか。いろいろちょっと調べてみたんです。そうしますと、去年のあれは三月でしたか雇用サミットが開かれましたが、労働関係の大臣なんかが行って開かれたり、それから去年の七月にはナポリのサミットで雇用と成長というのが主要テーマになって議論されたということがあるんですね。しかし、実際に世界的な趨勢を見ると雇用の状況というのは好転しているんではない、依然として停滞しているという状態が続いていると思うんです。
 去年の二月に出されたOECDのリポートを見たわけですけれども、そこでは構造的な失業というふうな言葉まで使われているんです。今、OECD二十五カ国の中での失業者が三千五百万だと、失業率が八・五%になっているというふうな指摘もありました。
 それから、去年のILO八十一回総会での事務局長の報告もちょっと目を通してみたんですが、そこでは世界の労働者の推定三〇%は生産的な職についていないと書いてあります。この数字も私はちょっとびっくりしたわけですけれども。それから、全世界で失業者は一億二千万人以上に達し、潜在的失業者は約七億人いると推定される。これはILOの事務局長の報告です。それで、先進的な市場経済諸国の中でも二十年前はほぼ完全雇用が達成されていた。ところが、現在の段階になると一部には失業率が二〇%を超えている国も先進的な国の中である。東欧、ソ連なんかの諸国では失業率一五%を超えている国も少なくない。それから、一部発展途上国では貧困と潜在的な失業という深刻な問題は、十五年前に比べてさらに悪化しているというのがILO総会での事務局長の報告でした。
 雇用の問題、失業の問題というのをずっと見てみますと構造的な失業というような表現まで使われて、これが国際市場経済をやっておるサミットなんかで繰り返し問題にされ、雇用と成長がどうあるべきかということが主要議題として議論されておりながらも、依然としてこの雇用失業問題というのは好転しない。一体なぜなんだろうかということを考えてみる必要があるんじゃないかと思ったのは、日本の雇用失業問題というのもこういう国際的な動向の一環をなしているわけですし、そういう動向と無関係ではないというふうに考えるからです。日本でも去年の九月に経企庁は、景気は回復過程に入ったというふうに結局宣言しましたけれども、雇用失業問題というのは依然として大変な状態になっている。これはもうだれしもが認める状況なんです。ですから、国際的にだけ問題であって日本がよくなっているということではなくて、雇用失業問題というのは依然として重要な問題になっておる。
 その一つは、これは常に問題になっておりますけれども、リストラのために過剰資本の切り捨てを大々的に行う。ですから、海外にいわゆる低賃金地帯を求めて生産の移転だとか資本の移動なんというのが行われていく。つまり空洞化の問題、リストラの問題、それからME化が進んできましたから、ロボットの設置台数というのを見てみると、世界の三八・五%を日本が占めているというんですから大変なものだ。そうすると、やっぱりそういうME化なんかの問題も人員削減に強力に作用してきているというふうなことを考えてみますと、これはただ単に一分野での問題ではなくて、全産業分野にこれが波及してきている。どこかの産業の分野で失業者を救っていく、吸収する新たな産業というのが前も言われてきたんだけれども、今の時代でもなかなかそうなっていない。
 そういうもろもろの問題があるので、これは私の考えでは、この間も議論された中で出てきましたけれども、やっぱり産業空洞化というのはある程度進むという傾向にあるんじゃないか。海外に資本がどうしても出ていく。なかなかこれは抑えにくいと政府は言うわけですからやっぱり出ていく。そうすると、過剰資本を切り捨てていくという格好で海外に進出していくということになれば、じゃ、こういう海外に進出していく形での産業の空洞化あるいはリストラのあり方にどう政治が対応するのかという問題はやっぱり一つの大きな問題だろうと思うんです。
 それから雇用の形態、内容を見てみますと、日経連の方で最近出された今後の雇用システムの方向として雇用、産業形態の多様化というのを挙げでおるのを見たんですが、大体三種類ぐらいに今後雇用の形態が分けられていくんじゃないかというわけです。
 その一つは、これは企業が必要とする中核的な職能部分は少数の者なんですが、これは終身的な雇用という形で定期昇給もあり、昇進昇給も伴って手厚い福祉政策のもとで雇用されていく、そういう極めてよい形での雇用というのがAクラス。それからBクラス、Cクラスになってきますと有期の雇用形態。だから、長期的に雇用するというのではなくて有期、期限のある雇用の形態。ですから、ここでは高度の専門能力を活用するという形で、期限のある形でどう雇用を図っていくか、これがBグラス。それからCクラスになると雇用の柔軟化を図る。だから、不必要になれば早く言えば雇用が解除される、必要になれば吸収できる、そういう柔軟な雇用形態、これがCクラスだと。この三つのクラスに大体今後なっていくのではないか、また、そういう方向が望ましいんじゃないかというのが日経連なんかの考え方で出されてきているわけです。
 そして、そのB型、C型という、つまり企業が必要とする中核的な職能部分、十分な手当や雇用の充実した以外のB、Cの方が極めて多く占めるだろうというふうなのが出されていました。BとCのあれを見ますと定期昇給はないんだと、給料は時間給だと、そして福祉の面でもAクラスの雇用の形態とは違った限定された福祉の内容しか受けられない。こういう雇用の形態が日経連の方で提出されて、そういう方向を目指すんだというふうなことになっていくと、今同僚議員のお話のあった本当の雇用の充実という点から考えるとどうなるんだろうか。
 それからもう一つは、海外に資本が移転していくという方向で産業の空洞化が進んでいくというのを、政治という形で何らかの対応をしないで野放しにしていると、そういう形での失業問題というのは長期化する。
 それから同時に、これは日経連の永野会長が、今の状況で賃金を上げろと労働者が言うならば、我々は海外に出ていく以外に道がないんだというふうなことをはっきりおっしゃっている。だから今はもっと内需を拡充して、内需の中で六割を占める個人消費、これはやっぱり賃金を引き上げるということによって達成できるんだということでこれまでもいろいろ議論されてきたことがあるわけです。そういうことなんかも考えてみると、いわゆる日経連が今提起してきている雇用のあり方だとか産業の空洞化やリストラなどに対して、本当に今後の雇用の問題というのは、今までのただ単なる雇用政策の延長だけで果たしていいのだろうかということを真剣に考えなければならない時期に来ているんじゃないかということを、私は改めて今まで議論してきた内容を読み返しながら思っているんです。
 この問題も本当に十分な時間をとって、なぜこういう雇用問題、失業問題というのが好転しないのかという原因、どういう新しい抜本的な政策をとっていくことが今後求められるのだろうかということの議論をもっと深めたい。どうしたらいいかという私の考えはありますけれども、端的な形で申し上げましたけれども、いろいろ皆さんの御意見もお聞きしたいというふうに思います。
#9
○増岡康治君 立木先生と結論がよく似ているんですけれども、確かに今度通産省さんが空洞化のためにどうにかしようということでいろんな法律を出されました。これが七年間という時限立法なんです。ここらあたりがいろんな意味があるのかなと思っで見たんです。
 それで、今までの参考人の諸先生の御意見というのは、空洞化は前向きに受け取れと、前向きに受けとめた方が次の新しい雇用が出るぞというのが大半の大学の先生はそういう立場。ところが実際に政治をやっている方は、目で見ると弱いんですよね、大丈夫かなと。そういうお話がさっきも大脇先生から出ましたけれども、労働市場の流動化一つ取り上げても大変な問題でして、皆さんがついてくるか、企業者が。それでだんだん行くとやはり職業訓練のあり方だとか学校教育、ずっと幅が広い問題に突っ込まざるを得ないという感じで、やはりこれは政治の場としてはその辺を見詰めざるを得ない。あと、大きな経済を動かしているグループというのは大体経済学どおりにああそういうことだろうといって、頭ではわかるんですよ、皆。
 空洞化恐るるに足らずという意見も随分あるんですね。その理由はいろいろありますが、しかし本当にそうかなというのが、新しい時代を迎えた構造改革ですから、我々もわからないところはあるし、この問題はちょっと今おっしゃるように時間をかけないと、すぐ立法と言いましても、今芽のあることをやってみて、どこまでこの法律が動くのかということがどうしても気になります。
 私は、労働市場の流動化のあれがもう少しうまくいくような日本のあり方といいますか、そこまでメスが入っちゃうなということで、勉強せにゃいけないなということが今言える問題で、産業構造問題からくれば最後はやはりそこへ落ちつくような気がするんです、政治的な問題では。
 ただ、空洞化というものは必ず各国皆経過した歴史がある。それを踏み越えたじゃないかというのがみんな実証されるんです。そんなにうまくいくものかなというのが偽らざる個人的な意見で、ちょっとなじめないところがあるんです。まだまだ我々も勉強不足でございますけれども、諸先生の御意見も伺いたいと思います。
 それから、皆さん方がずっとこの調査会で随分御勉強なさった企業の社会的貢献ですね、今回のボランティア問題等は非常に近い存在になってきた。これを何か立法化したらどうかという話が出ておりますが、あれは窓口はどこなんでしょう。こういうものを扱うところというのはあるんですか。どなたか御存じないですか、経済企画庁でしょうか。
#10
○星野朋市君 今回の調査会は産業問題、産業一般はよろしいのですけれども、そもそもは企業のフィランソロピーの問題、それからボランティアの問題、これを重点的にやろうという形でスタートしているわけです。ですから、産業全般の問題、今問題になっている労働流動化の問題というのは大きな問題なんですけれども、当然主眼はそこにあるわけです。
 広中先生はボランティアに関する議員立法の準備を今なさっておりますけれども、どういう形でそれを出すかというところが問題になります。議員立法ですから、当然骨子と法制化が必要になりますけれども、私、後で申し上げたいんだけれども、ボランティアなりそういうものをどういう形で持っていくかによって、それは厚生になるのか労働になるのか、または文部になるのかというところが分かれると思います。それはちょっと後で申し上げます。
 きのう労働委員会で私申し上げたんだけれども、日本の今の産業といいますか、経済の状況をどう見るかという根本のところがちょっと違っているんじゃないか。村山総理は、日本の経済はまだ午前十時半だと。十時半なら今のまま続けていけば当分大丈夫なんです。私は、もうそうじゃないと思う、二時を相当回っているぐらいのつもりで考えないとうまくいかないんじゃないかということを申し上げたんです。ということは、今までの日本の経済というのは確かにアウタルキーなところがあるんです。何でも自分のところでやってしまおうとする。しかも大量生産というシステムができ上がっちゃった。これがもう曲がり角です。
 産業の一部の空洞化、空洞化というのは実は言葉として余りよくないんです。私はもう昭和三十年代から台湾、韓国、中国、ロシア、それからアフリカ、東南アジア諸国に技術指導してきた立場から申し上げますと、要するに技術移転ということが先にあって、そこが大事だったんです。日本がやらなかったら、これはほかの国がやっているわけです。我々もドイツとかと競合してやってきましたからわかっているんですけれども、ここへ来て円高とこの影響が日本のドルベースで見た国際的な賃金というものを引き上げちゃったわけです。ここで、労働力の低廉な地域という形で、企業というのは採算をとらなくちゃならないわけですから、こういう形で移っていっているわけです。
 ただ、日本の技術移転というのが今のASEAN諸国で非常にうまくいったというこの実態は、これは看過できないんです。それは円高、賃金の高さ、それからもう一つ、この内外価格差の比較を見ても、基本的にはすべて日本の土地代と人件費の問題にあるんです。そういう形で、今生産設備が向こうへ移っでいっている。これはもう避けられない。幾ら法律をつくったって、企業家は実際問題として採算を考え企業の存続を考えたら移らざるを得ないところがあるんです。
 これは私は何回も同じところで言っているんですけれども、要するに日本の輸出過剰体質、生産設備が大量生産である限りもうそういう形ででき上がっている。これを稼働させなくちゃならないということからいえば、これは部品の優秀さとか、そういう問題で日本の黒字体質そのものはなかなか変えられませんけれども、それ以上に輸出超過になっているのは、結局稼働率という形で、どうしてもこれは今のままだったならば、冗談じゃない、働いて円高にして首を締めるという、この現実が残っちゃうんです。
 そのためにまずます円高になっていく日本の差損と、それから同時に円高で受けるメリット、いわゆる差益の部分が今の輸出入の類とそれから円建て比率、そういうものを考えますと、大体十円で二兆円というのがちょうどパラレルになっているんです。
 輸出の方は直ちに損失をこうむってしまう。ところが、円高メリットの輸入の方は、日本の流通過程の複雑さ、日本の産業労働人口の大体七百万から八百万人というのは流通に従事している。非常に多いです。学者は日本の流通コストは必ずしも高い方ではないと言いますけれども、それじゃどうして輸入物価が直ちに消費者のところに還元されないのか。
 だから、この前も私は予算委員会で百二十五円から百五円に為替レートが変わって二十円、ということは今の計算でいくと四兆円、四兆円なんです。そのうち、政府が直ちに対策がとれたのは電気料金の引き下げ二千三百億、それからガス三百五十億、その他は十億とか三十億とか、積み重ねたって三千億にもならない。そのうちの三兆五千億から六千億のものは民間の流通の中で多少ずつ吸収されちゃってなかなか末端まで及ばない、ここに問題があるんだということです。
 片方は円高によって競争力がなくなりますから、それは海外へ出ていかなくちゃならない。そういう形は今の状態だったらもうやむを得ない、こういうふうに割り切らざるを得ないんです。だから、そうだとすればこの円高というものはもっと直せるのか。みんなが採算とれるような百十円とか百十五円とか百二十円になるのかということだったならば、今の産業構造を相当変えない限りこれはそのまま残っちゃいますね。そこの割り切り方なんだと思うんですよ。
 それで、片方で労働省が進めている千八百時間とか、こういう問題がありますね。そういう形でもって今までの働いてきた構造を少し反省するということになれば、当然日本の経済の成長率をもう少し低目に設定しないと。三・五%という数字がまだ生きている、近々見直すと言っていますけれども。そしたら、この状態で今の日本人というのはやっぱり駆け足をし続けなくちゃならない、こういうことになります。
 それで、日本の労働市場全体においては、これも前から申し上げていますけれども、ホワイトカラーを含めた日本の労働生産性というのは、調査してみたら欧米の八〇%ぐらいしかないんです。きのう五時十五分だったかな、ゴールドマン・サックスの会長がホワイトカラーの生産性というのを論評していましたけれども、まさしく私が言っていることと同じなんですね。そうすると、先ほどから非難の対象になっていますけれども、企業のリストラというのはホワイトカラーを中心にして、これも経営者だったらやらざるを得ないでしょうね。
 それから、先ほども申し上げましたけれども、流通段階をもっと整理して、円高メリットが完全に消費者の方に還元できるシステムということだったら、恐らくそこからも四十万人ぐらい、流通段階に従事している労働者の五%ぐらいは失業として出てこざるを得ないだろう。それから、円高によるいわゆる産業の海外移転、空洞化というのは私は言いたくないから移転という形でやっぱり同じぐらい、これはもう徐々に進んでいますから。そういうものを含めると、今の三%という完全失業者、これは数で言うと約百八十万人ですよ、それに匹敵するぐらいの失業ではないけれども失業予備軍的な、これは日本の中に内在していると思うんです。
 そうすると、アメリカとかヨーロッパ並みに六%失業、一〇%失業というようなものが社会的にもう当たり前だと思っている社会を日本は認知できないと思いますね。恐らく三%の失業を超えたら日本の社会は大騒ぎすると思いますよ。
 だとすれば、どういうふうにこれを解決するかといえば、結果的にはある新しい産業が育つまでの間のタイムラグがありますね。この間はワークシェアリングの問題を考えなくちゃならないんじゃないかと私はこの前も提言したんです。
 もう一つ、これは新しい産業、マルチメディアなんかがいろいろ言われていますけれども、いわゆるベンチャービジネスを含めて新しい技術の種というのをどうやって育てるかという具体的な問題に入りますと、今、政府プロジェクトのような大規模な研究投資ができない団体で一番研究開発費が出るというのは、実は科学技術庁の下に新技術開発事業団というのがあります。これは恐らく皆さん余り御存じないと思うんですが、これは億の単位で研究費が出るんです。一年間の予算がせいぜい五十億ぐらいですから、大したことはありませんけれども。東レが開発したインターフェロンなんていうのは、まさしくこの新技術開発事業団のいわゆるプロジェクトの中で開発されたものです。ところが、これは今言ったように余り件数が多くないのと、一般にほとんど知られていない。
 それから、役所の縄張り争いがありまして、この研究開発のテーマが工業技術院へ行っても工業技術院は反応しないんですよ。どうしてかというと、これは成果が上がっちゃうと科学技術庁の手柄になっちゃいますから、通産省傘下の工業技術院は受け取るけれども一生懸命やらないですね。こういう弊害がある。それから、通産省がいろんな研究開発に補助金を出していますけれども、これはせいぜい数千万、三千万ぐらいの単位なんです。
 それで、地方のいわゆる発明家というものがいろいろ新技術をやっていますけれども、これが通産省に上がるまでに非常にネックがありまして、これはお役所の弊害ですから、資料を用意して何回も何回も行くことができない。ここら辺の開発の実態は地方の通産局長が一番よく知っているんです。だけれども、通産局長はそれを認可する権限を持っていないんですよ。非常に大きな発明というのはそれは大研究所からできるかもしれないんですが、小さな発明とか新技術というのは実は大企業の研究所でもなかなかできない。要するに、これは中が官僚化しちゃっていますからだめなんです。地方に結構いい技術なり発明家がいる。これを何とか育てる仕組み、今言ったことからいえば、通産局長にそれを認可する権限を与えるとか、こういうような形をとって新しい技術の育成に努めないといけない。
 私、るる述べてきましたけれども、日本の産業全体はもう今のままではそう長く続けられない、極端なことを言いますけれども、そういう状態になっているということを申し上げておきます。
#11
○藁科滿治君 NPO、NGOの立法化という問題提起が出ておりますので、私は賛成する立場で若干意見を申し上げたいと思います。
 当調査会では、アメリカ、カナダに行ってボランティア活動の現地視察をして、大いに見習わなきゃいかぬ面が多いという総合判断をして帰ってきたわけです。今回の震災の経験を経て、日本もこのことに関してはなかなか捨てたものではない。特に学生諸君など、団体はないけれども自発的に、自然発生的に活動に参加している。それほど被害がひどかったという面もありますけれども、そういう面でやはり評価できる点はきちっとしていきたい。
 しかし一方、今回の体験でやっぱり問題も多いわけですよ。多くを申し上げませんが、例えばせっかく活動で声をかけてくれても地方自治体にそれを受け入れる体制がない、あるところでは全く理解できなかったというような問題もあるわけです。それから今度は、現地へ行くと非常に好感を持って評価されて認められているけれども、期間が短くて、後のギャップが非常に大きいと、もう少しやってほしいというような問題が出ているわけです。こういう面からいうと、きょうここに提起されているように、やはり受け皿、環境整備ということを今こそしっかりやる絶好のチャンスじゃないかというふうに思うんです。
 今、与党、野党の会派を超えて危機管理の討議が始まっておりますけれども、私もそれに参加しておりますが、ぜひこの調査会のこういう経過をそういう場にも持ち込んで売り込んでいかなくちゃいかぬと思うんです。調査会の存在そのものが問われているわけだから、まさに災い転じて福となすということで、私もこの提案に全面的に賛成です。
#12
○広中和歌子君 先ほどの星野委員の御発言を受けて、さらに議論を膨らませていただきたいなと思ってちょっと二点ばかり発言をしたいわけです。
 一つは、つまりこれからは企業の海外移転ということも大いにあり得るし、そういう中で日本の雇用をどうするかという問題、そして最先端の分野で新たな産業を創出していくということ、これはもう本当に喫緊の課題だろうと思います。日本がどうやったらベンチャーキャピタルというんでしょうか、そういうものを起こしていけるかということの問題点としてこういうことが言われているわけです。
 例えば、ある小さな一人あるいは数人が新しいアイデアをやったといたします。そうすると、今の日本の現状では大企業がそのアイデアを引き取って競争相手になってしまう。もちろん大企業の方がどうしても資金力やなんかありますから、そういうようなことで地方の発明家の発明の芽というものは大きく企業として育たないままつぶれてしまうという問題が一つあります。
 それから、一方今度は資金の問題なんですけれども、こういう人たちは当然資金力がないのでベンチャーキャピタルというものを集めなきゃならないんですけれども、ベンチャーキャピタル市場というものが日本では非常に貧しいということ。そこへもってきて株式上場の規制が非常に厳しくて、十年ぐらい利益を上げなければ上場されないという状況なんですか、私は具体的なことを知りませんけれども、そういうような問題もあるんじゃないかと思うんです。
 そういうことを含めまして、株式市場というものに対して、もっと健全な目、偏見を持たずにきちんと育てていくという土壌がない限りベンチャーキャピタルというものはなかなか育たない。そして大企業も、シェア拡大、それも単なる自分たちの売り上げたけじゃなくて新規の芽まで摘んでしまうというようなやり方というのはやはりフェアなやり方じゃないと思うので、そういうことも企業人として考えていただかなくちゃならない問題だろうと思うんですが、私は専門家じゃないのでちょっと問題提起をさせていただきます。
#13
○星野朋市君 広中先生、それに関連して、要するにベンチャービジネス的なものを株式上場まで持っていくというシステムは日本にあるんです。
 これは投資育成会社というのがありまして、ある企業に対して投資育成会社が株式の保有を相当します。そしてそこの会社に投資するわけです。それで、この会社が上場企業まで持っていけるように資金提供をしながら育てていく、そういうシステムはあるんです、確かに。そして、上場したときに、投資育成会社は自分の保有している株式を市場に売りまして、そして資金回収をする。そうすると、もうそれならばここは立派に育ちます。そういうシステムがあるんですが、その投資育成会社の対象になるまでの企業というもの、ここが非常に難しいということです。
 だから、私はさっき一つの提案をしたんですけれども、地方のそういう新しい技術、そういうものに対しては、もっと地方の目で見てそこで育てるなり、それからさらに、投資育成会社の対象になり得るまでの間はどうするかというのは、証券会社が随分ベンチャー企業に対する資金集めを一時やったことがあるんです。だけれども、今ちょっと投資する方も熱が冷めちゃっていますから、そこが難しいところなんです。アメリカなんかの場合は、逆に、ベンチャービジネスを育てるためにファンドみたいなものをつくらせまして、そしてかなりの金をそこへつぎ込んでやる。こういうような形態をどう日本でうまくつくっていくかということだと思います。
#14
○谷本巍君 先ほど星野先生の方から、日本の製品というのは部品から完製品まで全部国内でつくって輸出をしていくあり方になっていると。その問題が円高との絡みでお話がありましたけれども、円高の問題と同時に、もう一つはやっぱり環境問題、それも大きな原因になっているんじゃないのかと私は思うんです。
 といいますのは、欧米の場合の貿易を見てみますというと、重量換算で見ても大体バランスがとれているんですね。日本の場合には、食料も含めまして輸入しているものを十としますというと、輸出しているのはせいぜい一前後でしょう。その差額の九というのは一体どこへ行ったんだと。産業廃棄物になるし、それからまた、今の水質汚濁問題などで言いますというと窒素過多の現象、これを起こしている最大の原因というのは、土に依存しない、輸入食料に依存した加工型畜産ですよ。そういう問題を引き起こしているだけじゃなくて、どうも最近の官庁の皆さんに聞く話よりももっともっと恐ろしいのは、産業廃棄物の不法投棄です。
 昨年、新潟へ行ったときも、ここの水はうまいからなと言ったら、いやいや山手の水は今一番危険なんだと、こういう話なんです。何ですかと言ったら、産業廃棄物の不法投棄がひどくなりましたと。それでもって、上越のある村などでは、東京ナンバーのものが来たら注意しろという話が出ておったが、それを注意してもだめだと言うんです。長野に来ますというと、長野県でナンバープレートをかえちゃって、それで入っていくからわからないと言うんですよ。その話を、山形へ行ってこういう話を聞いたと言ったら、いやおれのところだって同じだよという話を聞かされました。
 今のような貿易構造でいきますと、これはやっぱり日本列島は死の列島にやがてなっていきはしないのかと。ですから、これは円高問題だけじゃない。貿易というのは金銭的にバランスがとれるということも大事でしょうけれども、もう一つ重要なのは、欧米の場合で見ますというと重量換算でほぼバランスがつくようになっている。ここのところがやっぱり環境問題との絡みで重要になっているんじゃないのかという気がしましたので、ちょっと発言をさせていただきました。
 それから、もう一つ話題になっておる産業空洞化の問題であります。これは私見です保けれども、重厚長大型からどう脱却するかということでは、やっぱり高齢化社会に見合った産業構造に変えていくということが一つのテーマになり始めておるんじゃないでしょうか。
 つい最近、補聴器の業者の方に会って話を聞いたんですけれども、国産のものではまあまあというところは大体十万円前後ですね。輸入のいいものは二十万に近いというぐあいに伺いました。両方使うというと、いいものだと四十万近くになりますという話が出ておりました。テレビの受像機よりはるかに高いんですね。ところが、使っているのはどの程度ですかと言ったら、必要な方の約一割見当あるかないかですという話です。ですから、国産でいいものをどんどん開発していけば、低コストのものにしていけばもっとお使いになる方がふえるはずだという話が出ておりました。
 それもそうでしょうし、そしてまた、その次に出た話というのが入れ歯です。何かその方のお話ですと、自動車の販売額を上回ったといいます。ですから、高齢化社会になって新しい需要というのをどう開発していくか、そこに一つの勝負をかけていく、これが大事になってきているんじゃないかという気がいたします。
 車の世界で見ても、私どもの仲間の横浜生活クラブの皆さんなど、長洲知事と電気自動車の開発、ああいうことを民間の消費者団体の段階でもう既にやってきているわけです。日本の自動車というのが世界一になることができたというのは、結局中小型車で勝負をすることで勝つことができた。言うなれば省エネといいましょうか、ガソリンをたくさん使わない車を開発することで世界一になったといったような経過等から見ても、日本人が持つ言うなれば器用さといいますか、そういう能力というのをどう伸ばしていくか。それはやっぱり最近の環境問題、高齢化社会問題、ここのところと密接不可分の形で新しいものを開発していく、そこが産業空洞化時代の中で日本経済をもっと長持ちさせる方法として考えていく緊急的な課題になってきているんじゃないかという気がいたします。
#15
○牛嶋正君 ちょっとおくれてまいりましたのでさっきの議論がよくわからないんですが、今ちょっと空洞化の話が出ておりましたので、それに関連して少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 空洞化の問題はいつも雇用問題と結びつけてお考えですが、私は雇用問題に行く前にもう一つ重要なのは、中小企業の問題がそこに入ってくるんじゃないかというふうな感じを持っております。
 と申しますのは、私、以前大店舗法に関連いたしまして商調協の会長をやらせていただいておりまして、そこでの経験でございますが、御承知のようにある地域に大企業が進出するときに商調協が調整をするわけですが、そのメンバーというのは、一つは地元の商業の代表者、それから消費者の代表者、これがいつも両方意見が対立するわけです。それを調整する役割で学識経験者というのが入るわけですが、その学識経験者の中に製造業出身の企業の方も入るわけであります、私のように学者も入りますけれども。
 それで議論しておりますと、その製造業者の方がいつも言われますのは、商業というふうなところでは大企業と中小企業というのはお互いに競争関係にあるわけですから大店舗法などが必要になってくるわけだけれども、製造業では大企業と中小企業というのは非常に協調的なんだというふうなことをよく言われたわけです。
 それはそのとおりだと思うんですね。今までですと、大企業が親会社で中小企業が下請というふうなことで、恐らく技術の面でも大企業が中小企業に対していろいろな援助をしていたというふうに思いますし、資金面でも援助したと思います。そしてまた、やはり組み立て加工型の自動車産業などを見ましても系列化しまして、一番最後の組み立てのところは大企業ですけれども、そこに至るまでの過程で中小企業が大企業の系列の中でうまく調整しながら生産してきたと思うんです。
 ですから、これまでは中小企業の問題というのは、どちらかというと流通、販売の段階での大企業と大手スーパーと申しますか、そういうものと地元の小さな商店との間の問題というのが非常にクローズアップされてきたんですけれども、最近、空洞化に従いましてこれまで割合大企業と中小企業がうまくいっていた製造業にどうも亀裂が入りつつあるということであります。一つは、大企業がリストラをやる場合、このしわ寄せがどうしても中小企業の方に、下請会社の方におりてくる部分があります。そこがまずこれまでの協調関係が崩れていく一つのあれです。
 それからもう一つは、大企業が海外へ生産基地を移します。そうしますと、できるだけそこで部品を調達しようとするわけです。そうしますと、大店法のときに見ていた関係が逆に出てくるわけです。大店法のときには大きな企業が、スーパーマーケットが来たら困るということなんですが、今度は製造業では大きな企業が逃げていく、海外へ出ていくのは困るという形になってきているわけです。そういう意味で、私は空洞化の問題を雇用問題に結びつける前に、やはりもう一度製造業における大企業と中小企業のあり方の問題、これを議論していかなければならないのではないかというふうに思います。
 この前、私、中小企業の投資行動、投資ビヘービアについて御意見を述べさせていただきましたが、これまでの中小企業の投資ビヘービアというのは、系列会社で申しますと、自動車の売れ行きが伸びて、そして組み立て工場のところで、自動車会社のところで生産を拡大する、それに合わせて投資計画が立てられるわけです。それが全部系列会社にずっとおりてくるわけです。ですから、これまでの中小企業の投資ビヘービアというのは、自分たちで投資計画を立てるんじゃなくて、むしろ大企業が立てた投資計画に従って投資を行ってきたということなんですね。ですから、これからの中小企業の投資行動というのは大企業がやらなければもうやらない、しかも大企業が外へ出ていきますとますます投資計画が立てにくいというふうな形で、投資ビヘービアを議論しながら今のような問題をちょっと指摘させていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 この点については、我が国の経済構造というのは御承知のように二重構造と言われておりますけれども、やはり支えているのは中小企業なんですね、我が国の経済。ですから、ここのところが、今申しましたように大企業と中小企業の今までの協調的な関係が崩れていくということは日本の産業構造自体が崩れていくことなんで、この点についてこの調査会でもやっぱりもっと真剣に議論をしていかなければならないんではないか。産業の空洞化というのは、ただ単に雇用問題だけじゃないということをちょっと御指摘しておきたいと思います。
#16
○楢崎泰昌君 済みません、私ちょっと所用があっておくれてまいりまして、今までの論議の流れを十分把握しないまま申し上げることをお許し願いたいんですが、今、牛嶋先生が産業の空洞化に関連して中小企業と大企業とのビヘービアの関係をもっと徹底的に議論すべきじゃないかと、ごもっともだと思います。
 ただ、しかし現在の産業空洞化の流れはとうとうとしてやまない。それはどこに原因があるかというと、私が出ていないところでお話があったんだと思いますが、購買力平価の話ですね、ここら辺を全部見てみますと、やっぱり土地代が高いとか、それからつられてオフィス代が高い、それから人件費が高い等々いろいろ原因が分析をされているわけですけれども、つまるところは、日本の国内で生産をすればこれは高いんだ、だから海外に行かざるを得ないんだというのは、ある意味では経済原則に従ったとうとうたる流れになっているように思うんです。
 土地の方の話は若干とまっているように見えます。しかし問題は、やっぱり人件費の問題がどうしても出てこざるを得ないんです。これは当調査会においてはなるべく避けて通りたいところだと思いますけれども、それがなかなか本当はそうはいかないんじゃないかというぐあいに思っているわけです。
 東南アジアに行くと、ベトナムは日本国の百分の一だとか、インドネシアについ最近行ってきたんですけれども、インドネシアに行くと大体三十分の一とかそこら辺だと、タイに行ったら十分の一だというように賃金格差が非常に高いわけです。我が国が繁栄していくためには、それを乗り越えていく何かがなきゃいかぬわけです。購買力平価がこのように違っている主たる原因は、やっぱり中小企業だとかなんとかいろんな問題があるかもしれませんけれども、やっぱり人件費の問題がどうしても出てこざるを得ない。
 それが証拠には、当調査会でも、実は二年前には労働力が不足してくるんでそれをどうするかという議論をさんざんいたしてまいりました。ところが、今はさま変わりになって、どうやって労働を確保していくのかというのが問題になり、失業率は二・九になったんですか、ではあるけれども、実は潜在失業者が非常に多くいる、こんな状態だ。この問題はやっぱり議論をすべきであろうというぐあいに考えていることが一つなんです。
 それからもう一つ、実は社会的貢献に関する話ですね。社会的貢献の話は、実は税制と非常に強い結びつきがあるわけです。
 阪神大震災を目の前にいたしまして、ボランティアが大変な御活動をなすっておられます。非常に注目をされて、衆議院の方ではボランティアに関する法律をつくり上げていきたいというようなことを御議論なすっておられると思いますが、私も、何も会社のビヘービアとしてのみならず、これからいろんな側面でボランティアというものを真正面から見ていく必要があるんじゃないかということを考えているわけでございます。その中に、ボランティアは無償であるとはいえ相当のお金がかかるわけですから、それに対する支援を、社会があるいは国が何らかの形で脚後援申し上げるという姿勢をとる必要があるんじゃないか。それは給与の話もさることでありますし、寄附金の話もさることであるというぐあいに思います。
 さらに言えば、しかしそうは言ってもボランティアだけでは足らないという局面も出てくるわけで、人材派遣の問題も当然出てくるはずであろうというぐあいに思っておりまして、社会的貢献に対する税金を一体どういうぐあいにしていけばいいのか。それから、ボランティアの中で特に一番問題なのが傷害保険だと思います。それについての法的規制が今できていないように私は思います。それらの面をやっぱりこの調査会で詰めていただくということが必要ではないかというぐあいに思っていますので、まだこれからも何回か議論する機会があると思いますが、ぜひ御検討を承りたい、かように思っております。失礼いたしました。
#17
○星野朋市君 先ほど言及しなかったところなんですが、今、楢崎先生が御指摘になったところはまさしく私の言いたいところでありまして、これも何かのときに私触れたと思うんですが、アメリカの確定申告というのは俗にタックスリターンと言うんです。アメリカは約五百の団体というのが認定されている。そうすると、企業における労働者は、あるグループをっくってどこかの団体へ定期的に寄附をしているんですね。それが結局確定申告のときに、住宅ローンの金利とかと合わせてそういうものを申告するんです。それで、税金が戻ってくるので、俗称タックスリターンと。日本には寄附団体はたくさんあるんですけれども、今言った税金の控除の対象になるものはごくわずかしかない。ここに最大の違いがあります。
 それから、アメリカの高額所得者は、これは広中先生のように向こうで生活なさった方はよくわかるんですが、大体所得の三分の一というのは何かの形でそういうところに寄附をする、これはもう通例なんです。日本はまだそこまで行っていません。
 それからもう一つ、アメリカの場合で言うと、大都市は別ですけれども、地方の都市へ行けば都市の真ん中に教会というのがあって、日曜日はそこに集まってきて、彼らはお祈りするだけじゃないんですね、その後自然にボランティアをやる。それから、教育のカリキュラムの中にボランティア活動というのがちゃんと入っていて、高校に進学するときには中学である程度ボランティアをやった、それから大学に進学するときにはやはり高校である程度ボランティアをやった、こういうのが評価されているわけです。
 それで、私が言いたいのは、日本の場合口で言ってもなかなかうまくいかない。それから、今度の震災のときに若い人がかなりボランティアに参加したけれども、一番問題なのは受け入れ体制ができていない、そういう仕組みが基本的にできていないというところにあります。だから、これは私は、差し当たり受け入れ体制であるとかボランティア団体というのをつくるのもいいんだけれども、基本的には教育の中にこういうものを織り込んでいかないとこれはなかなか定着はしないんだと。まあアメリカの場合が必ずしもいいとは言いませんけれども、そういうところは少し参考にすべきじゃないか。
 それで、もし我々として立法化までということならば、一つはボランティアの仕組み、もう一つは教育課程におけるカリキュラムの設定、ここら辺まで踏み込むべきかどうかというのを私は提案したい、こう思っておるわけです。
#18
○広中和歌子君 先ほど星野先生から御紹介いただきましたので申し上げさせていただきたいわけですが、参議院の方におきましてもぜひ議員立法としてボランティア基本法案みたいなものを出させていただきたい。今法制化の作業が進んでおりまして、今月末にはでき上がることになっております。もう骨子はできておりますので、でき上がりましたらぜひ御協力をお願いしたいと思っております。
 なぜボランティア基本法みたいなものをつくったか。
 今まで御指摘がありましたように、保険とかそれから税控除の問題とか法人格が取得しやすくなるとかさまざまなこと、具体的なことも大切なんでございますけれども、まずそういうことを含んだ基本法というのを、要するにボランティアをやりやすいような基盤整備ということを考えてつくっております。今ここでお見せする段階ではございませんけれども。
 ともかく、こういう基本法をつくることによりまして、皆さんが本当に何かやりたいけれどもどうしていいかわからないとか、つまり情報がないとか、それから忙し過ぎてできない、企業の理解がない、社会の理解がないとか、いろいろ規制があって行動がしにくいというか、そういうようなことが解消されればいい、そういうような方向に向かえばいいというふうに思っているわけでございます。
 確かにこのたびの阪神大震災は本当に悲劇的な出来事でございましたけれども、しかし、国民の多くが何かしたい、どういう形でかかわれるんだろうかという思いを持ち、それを行動に移した方が少なからずいらしたということ、これは私は新しい時代を告げるものではないかな、そんなふうに思っております。そうした気持ちを追い風に、ボランティア基本法案みたいな法律が我が参議院で提出され、可決していただければ大変ありがたいと思います。
#19
○会長(三重野栄子君) 産業問題についての意見交換はこの程度にとどめまして、次に、二十一世紀に向けての産業・資源エネルギー政策の課題に関する件のうち、資源エネルギー問題について意見交換をお願いしたいと存じます。
 御発言のある方は挙手をし、私の指名を待って御発言願います。
#20
○久保田真苗君 余り総論でもないんですが、私、十二月十六日の閣僚会議の新エネルギー導入大綱というのを見て大変うれしく思ったんです。何がうれしいかといいますと、重点導入ということで幾つかの新エネルギーを選定しているということを歓迎したいんです。エネルギー問題の方向というのは既にわかっていることだと思うんですね。それが大綱によりますと、新エネルギーの導入というのは実はほとんど進んでいないという指摘があるわけで、これはいかなることかというふうに思うわけなんです。
 この選定されたものほかなり現実性を持っておりまして、幾つかありますけれども、私見を申し上げますと、最も質のいい新エネルギーというのは恐らく省エネだろうと思うんです。これはエネルギーの資源を枯渇させないばかりか環境への負担を減らすという意味においてそうなんです。
 その次といいますか、それに近い。ものとしては、やはり大綱の一番に上がっております太陽光発電だろうと思います。この太陽光発電というのはもちろん無尽蔵で、使う現場で入手できる、そしてクリーンであって、本来的に言えば経済性の高いものであるということがあると思います。また、技術的にも実用段階に達しているということでございます。
 問題は、設備のコストというのがまだ割高だという御指摘がございます。この調査会に見えました山本参考人によりますと、短期間集中的に政府が公共投資をして需要をつくり出せば費用は飛躍的に低減していく、数年後には補助も要らなくなるほどだという試算をしておられます。私は本当に傾聴に値する試算だろうと思うわけです。そして、特に日本の立地からいたしますと、アジアの人口の多い、しかも成長の高い開発途上国の中にあるという状況でございますから、これはアジアの発展に望ましいというだけでなく、日本として国際協力の面からいって、また貿易、技術輸出という点からいって非常に望ましい方向ではないかと思うわけでございます。
 また、これに関連しまして、先ほど申しました省エネということに結びつけますと、この太陽光発電を導入していく上からしまして、建築そのものの断熱効果を高めるというようなものと合わせるということが当然ございます。スウェーデンの建築基準からいたしますと、この断熱効果というものが非常に高いという意味で、私は、この大綱の中にあります内外無差別原則、すぐれたものは海外から調達してもやるという姿勢は非常に大事なことだと思っております。
 ほかに、新エネルギー問題の進んでいく方向としまして大綱は五つ六つ挙げておりますけれども、その一つに廃棄物発電がございます。
 これも目につきますのは、二千のごみ焼却場のうち、たった百三十がごみ発電をやっているということでございます。私は、少なくとも一定規模以上の人口で一定量の廃棄物を排出せざるを得ないという都市については、やはりリサイクル、ごみ発電といった循環型のものを導入していくということに主力を置きまして、昨年暮れに決めました公共投資におきましてもそのような配慮が既になされておるわけでございますけれども、しかしこれ以外のものにはもう公共投資はやめるぐらいの気持ちでないといけないのではないかと思うわけでございます。
 また、コージェネレーションの問題でございますが、エネルギー生産性が日本の場合極めて低いわけでございます。エネルギー生産性からいいますと、一次エネルギー源の三割強が使われるけれども、七割弱は大気中にそのまま放出されてむだになり、かつ大気汚染、地球温暖化の原因をなしているということでございます。これなどもぜひ優先的に、現に失われている資源ですから進めるべきだろうと思うわけでございます。
 私としては、山本参考人の言われました公共投資によって需要を創出するというその点なんですけれども、今度の兵庫の地震で十万戸が倒壊、損傷しているわけでございまして、今、通産省が補助している住宅七百戸分に対する補助というものからしましたら、ここには非常に大きい需要があるはずだろうと思います。
 兵庫県という大変先進的な、神戸市という非常に先進的なこの地域の方々がぜひ立ち直って頑張っていただいて、こういったものを取り入れていただくことを政府としては復興計画の中に大きく位置づけて、全く新しい新構想の町づくりというものをやったらば、悩んでいる点がコストなんでございますから、この際一挙にそれを解消できるのではないか。コスト下げのためのスプリングボードとして、ぜひこの災いを福に転ずるような姿勢が政府として必要ではないかというふうに思うわけでございます。
 最後になんですが、私、日本のエネルギー対策の一つの不運があると思うんです。それは何かといいますと、押しなべて国民の資源エネルギー、環境意識というのはそう高いものではないだろうと思うわけです。例えばEU、特にドイツのように非常に環境で悩んできた地域、そういうところから比べますとまだのんきなところが大分あるなと思うわけでございます。国民と申しますのは、この中に生活者も生産者も、それから為政者も企業も含むという意味でございます。原油が今、低価格安定しているところから、石油依存度が全く足踏み状態になっているとか新エネルギーがほとんど進まないというのは、やはり私どものこの問題に対する意識面の迫力がもう一つ欠けているからではないかというふうに思うわけでございます。
 そのためにも、私は今、政府が至誠を持って大地震の復興計画に取り組むというのは、一大デモンストレーションの場であるし、また兵庫県が持続可能な成長のモデルという新しい羽ばたきをするという意味合いで大いに期待し、切望しているわけなんでございます。
 国民の意識を変えていくには、やはり非常にわかりやすく、今、私たちが、地球が直面している問題が何かということを知らせるべきだと思うんです。それにはやはり資源エネルギーの有限性という問題を一つ出すべきだと思います。
 石炭で言いますと二、三百年、それから石油はもっと少なくて恐らく数十年の採掘可能期間だろうというふうに言われております。本当にそれが最終的な数字がどうかはわかりませんけれども、しかしなくなっていくことは確かでして、そのプロセスで値段が上がったり戦略的な思惑から国際政治が不安定になったりということがあるわけでございます。先進国の国民としては、脱石油ということを今すぐに手がけてもこれはうんと時間がかかるということだと思いますので、そういった意味から進んでいきたいなという気持ちを持っております。
#21
○山口哲夫君 久保田議員と大体同じようなことを実は考えておったんですけれども、題名としては、電力供給に占める電源に、今、久保田議員からお話がありました太陽光発電の問題とそれから天然ガスの問題、こういうものをもう少し重点的に使用することを政策的に考えるべきではないかというような意見でございます。
 たまたま今お話がありましたけれども、昨年の十二月十六日に新エネルギー導入大綱についてという閣議決定がされました。同じ日に環境基本計画が実は閣議決定されているわけです。いわばこの環境基本計画に沿って新エネルギーの導入ということも考えられるというふうに解釈できるんですけれども、果たしてこういった大綱の方向が具体的に政策として上がってくるんだろうかという実は不安があるわけでございます。
 通産省の方で出しております電力供給目標なんかを見ておりますと、一九九二年ですけれども、原子力が全体に占める割合としては二八・二%が二〇一〇年には四二%に上がっています。石炭が一一%から一五%に。下がっているのは、石油が二七・八から一〇というふうに下がっておりますけれども、肝心の新エネルギーというのがほとんど見られない、〇・四しかないというようなことを考えたときに、新エネルギー導入大綱を打ち出したはいいけれども、果たしてどの程度実現するのかなという実は不安を持つわけであります。
 あえて申し上げるまでもないと思いますけれども、石炭火力それから石油火力が環境に及ぼす影響ということになりますと、硫黄酸化物それから窒素酸化物、こういったものを排出して、人の健康を奪うだけでなくして酸性雨となって今相当木々を荒らして大問題になっております。そういう点で地球から緑を奪ってしまうんではないか。それにもう一つ、二酸化炭素の問題は地球の温暖化につながって大変国際的な問題になっているわけです。それからもう一つ、やっぱり原子力発電、これは絶対安心だとは言うけれども、大量に生み出されてくる放射性廃棄物、これは永久に無害化することはまず困難だろうというように思います。
 それで、仮に阪神大震災のような大地震に襲われた場合に、この間、柏崎の発電所を見せていただいたときに、本当に大丈夫ですかと言ったら、間違いなく大丈夫だというようなことは言っておりましたけれども、しかし原子炉そのものは、原子炉というか中心的なところは大丈夫かもしれないけれども、しかし地震によって破壊されるのはそこだけではないんで、冷却機構、冷却装置、仮にそこを破壊されただけでも大変な放射能が排出されるということはもう間違いないわけでして、そういうことになったら取り返しがつかないことになるだろうということを考えたときに、原子力発電に頼っていくということは果たしてどうだろうかなという不安を実は持たざるを得ないわけであります。そういうことを考えたときに、やっぱり私たちとしてはもう少し新しいエネルギーの開発に力を入れるべきであろうというように思います。
 原子力発電についてあえでもう少しつけ加えさせてもらいますと、アメリカのニューヨーク州では、ショーラムという原子力発電、これは試運転だけでもう廃止されております。マサチューセッツ州の電力会社では、アメリカで最も古い原子力発電の運転期限の延長は断念するというところまで行っていますし、今後、老朽炉が次々と退役する一方で、反原発ムードから新規の原発の建設は恐らく難しくなるだろうとさえ言われております。
 それからスウェーデンは、御存じのとおり一九八〇年に、これは国民投票に基づいて、国会決議で二〇一〇年までに原子力発電の全廃を決定しております。
 それからドイツでは、新規の発注も新規の運転開始も今のところは全くない。昨年の七月、原子力法の改正がございましたので、恐らく原発の建設自体は事実上不可能になるだろうとさえ言われております。それから、アレンスバッハというドイツの研究所が世論調査をやりましたら、六六%の国民が今すぐに、あるいは中長期的にでも原子力発電は廃止すべきだという、そういう国民の世論があるということも発表されている。
 大体、世界的に原子力発電の見直しということが国民的な世論にもなっているし、また政府の方針にもなっているということを考えるときに、日本だけが絶対安全だという形でこ九からも推移していっていいものだろうかという疑問を持たざるを得ないということであります。
 そう考えたときに、それにかわるべき特に電力供給の電源について、まず天然ガスの問題を検討してみる必要があるんではないだろうかと思います。天然ガスは、燃焼時に発生する硫黄酸化物あるいは窒素酸化物それから二酸化炭素、この排出量というのは、石炭を一〇〇といたしますと、それぞれ〇、四〇、六〇というふうに大変低い数値でありまして、そういう点では大変クリーン性は際立っているものだというふうに思います。
 それからもう一つ、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせることができるわけでして、そういうコンバインドサイクルによって熱効率を五〇%以上にまで上げることができるというふうに言われておりまして、熱効率三〇%程度の原子力発電あるいは石炭、石油火力に比べて資源の節約にもなりますし、排出物の縮減にもつながっていくというように思います。
 そう考えたときに、天然ガスは今液化して輸入しておりますけれども、それだけではなくして、パイプラインを敷設することによってもっと本格的に安定的に利用することができるだろうというように思います。現に、関連六十社が広域天然ガスパイプライン研究会というものをつくって、国際協力によってパイプラインの建設が検討されているというふうにも言われておりますので、やはり我が国においてももっと積極的にこの天然ガスのパイプラインによる国内に対する開発を真剣に取り組んでいくべきときではないだろうかというように思います。
 それから、太陽光発電については今久保田議員のお話がございましたので多くを申し上げる必要はないと思いますけれども、石油等の電力供給目標が二〇一〇年に一〇%、それに対して太陽光発電による供給可能というのは、この間の山本参考人の発言の中からも千五百億キロワットアワー、一三・二%、石油を上回る供給可能な太陽光発電であるという発表がございました。
 ただ問題は、これに対して相当国家的な助成というものが必要になるだろうというふうに言われております。約二千億と当時言っておりました。もう少し具体的に調査してみましたら、大体個人住宅で千四百億、地方自治体の施設に対する補助で四百億、千八百億くらいの助成がこれから必要になるだろう、そういうふうに言われておりました。反面、太陽光発電というのは、これがもし実現できますと石油の節約効果というものが期待できる。それが三十七兆円というふうに言われておりました。それから、百万キロワットの石油発電所四十五基の建設費が十三兆五千億、合わせると五十一兆円くらいの節約の面が出てくるだろう。そういうことを考えれば、国家予算として約千八百億くらいの助成というものはそう高いものではない、一説にはそんなふうにも言われているわけであります。
 それで、政府としても、この新エネルギー導入大綱ができまして初年度である平成七年度におきましては、いわゆる住宅用、民家用に平成六年は七里戸分で二十億を今度は千二百戸分で三十二億にしておりますし、それから公共施設に対する補助も昨年は十億を今度は十七億に上げていることは、確かにそういう意欲を示していることは事実でございます。しかし、これでは本当に石油にかわるものとして二〇一〇年までに果たしてどれだけのものができるかといえば、この程度のスピードで行くならばまことに微々たるものに終わってしまうのではないだろうか。幸い公共投資四百二十兆を六百三十兆にするという計画もありますので、そういう中で日本の地球規模での資源、エネルギーということを考えたときに、もう少しやはり大幅な増額をこういった新しいエネルギーに対してつき込んでいいのではないだろうか。
 そう考えたときに、やはり政府としてクリーンエネルギーの導入に当たって政府の中にもう少し組織的な機構を設けて取り組む必要があるのではないだろうか。確かに、今通産省の中にはそれなりの機構も設けてはおるようでございますけれども、しかし、それは提起をするだけでございまして、それを政府の政策としてどう具体化していくかという、例えばどういうクリーンエネルギーをどの分野でいつまでにどのくらい使っていくかという、そういう具体性を持った内容をきちんと打ち出せるような政府機構というものを持つべきではないだろうか。例えばクリーンエネルギー導入対策委員会とか、そういうものを持って権威づけて具体的な方針を打ち出していくべきだろうというように思います。
 また、特に太陽光発電等については、これは国や自治体のいろんな施設がありますね、学校とか病院とかあるいは庁舎だとか、そういうものにはある程度設置を義務づけるような立法を考えられないものだろうか。そういう具体的な方策を考えながら、日本のエネルギー対策というものの方向転換をしっかりさせていかなければならない、そういうときに直面しているのではないだろうかという考えです。
 以上です。
#22
○立木洋君 最近起こっている問題について三つほどちょっと発言させていただきたいと思うんです。
 一つは、地球に優しいエネルギーということで当調査会でもいろいろ議論してきました。そのうちの一つは、今お話があったように二酸化炭素の排出量をどう削減するかという問題もあったわけです。
 実は、ことしの三月にベルリンで地球温暖化防止条約締約国の会議が開かれます。これは二〇〇〇年の二酸化炭素排出量を九〇年の水準に抑えるという目標が既に決定され、それが署名されたことを踏まえて開かれる会議です。
 最近、国連の地球温暖化防止条約に基づく日本など十五カ国のCO2の排出状況を調査し、その結果が報告されていますけれども、それによりますと、CO2の排出量を二〇〇〇年に目標の一九九〇年レベルにまで抑えるというのは、日本を含む少なくとも半数以上の九カ国が難しい状況だというふうに国連の報告書の中では指摘されています。そして、日本などこの九カ国は何らかの追加的な手段をとらなければ目標達成は極めて困難だ、だから新たな施策の強化が必要だという指摘がされているわけです。
 日本政府が去年の八月一日に発表した報告によりますと、日本の場合、これから各種の対策を講じても二〇〇〇年でのCO2の排出量は九〇年度に比べて三・一%増加する見通しだ、だからさらに一層努力が必要だという報告が既に出されているわけです。
 そうすると、今お話があった、本当に計画的にそういうCO2なんかの排出量を削減していく、それをどういう分野でカバーしながらそういうことをやっていくのかなんというような具体的な計画、こういう問題等が十分にあったのかどうかということも問題になるわけです。本当に今こういう形でどんどんふえていくということになると国際的にも大きな問題になりますし、既に一九八八年の国連総会で政府間のパネルにおいてこの問題が議論されたときに、気象専門家による九〇年の報告ではCO2の排出量の六〇%以上を直ちに削減するというふうに結論が出されて、そういう対策をとらなければ二十一世紀末までに気温が三度、海水面が三十センチから一メートル上昇するというふうな予測が出されていたわけで、ですから、このCO2の排出量をどう計画的に削減していくのかという問題は極めて重視されなければならないんじゃないかと思います。
 これはこれまでの経過の中で、当初議論し、その後、実際にそれを抑制するような措置がどうとられてきたのかという議論は、まだ当調査会では十分されていなかったというふうに思いますので、例えば、なぜCO2が三・一%これまでの期間に増加したのか、その原因と、先ほど久保田議員の方からも幾つかの問題点が指摘されて、そういう努力の必要性が強調されたわけですけれども、新しいエネルギーとしての太陽エネルギーなどをどの程度計画的に拡大していくのかという問題、それから実際にCO2の発生量の多い産業、運輸部門なんかにおける重点的な対策がどうであったのかというふうな問題。さらには、発電などのエネルギー転換で廃熱などとして失われる転換ロスが三二%、需要段階のロスが三三%と言われているわけで、そういうもののロスをなくしていくような努力が実際にどう行われてきたのか。これはやはり今言われたような極めて計画的な、総合的な対策を立てないと、地球に優しいエネルギーということを言ってみても現実的には進まないということになるので、これは当調査会としてもさらに議論を深めていかなければならない問題の一つではないだろうかというふうに感じます。
 それからもう一つの問題は、先般の大惨事になりました阪神・淡路大震災ですが、この問題に関しては、こういう事態があった直後、調査会としては報告書が出されることになるわけですから、今、日本の構造物、建築物の耐震指針の見直しがいろいろやられております。現実にあの地震が震度その激震だったというふうなことも政府として述べられておりますし、さらに原子力安全委員会の原子力施設耐震安全検討会が開かれて、現行の指針は一九八一年に決められたものですけれども、原発の耐震性を見直すための検討を行うということが決められているわけです。当調査会としても、具体的にどこまで言及するかは別としても、そういう検討会が行われるということを踏まえて、これまでの枠内にとどまらないで厳重に再検討し、既存の原発についても安全性がチェックされるように要望するということは当然あってしかるべきことではないだろうかというふうに考えるのが二つ目の点です。
 それから三つ目の点では、実は二月三日に北炭空知炭礦が会社更生法の適用申請を出しまして、いわゆる空知炭礦と言われた産炭地域がこれで完全に灯が消えてしまう、産炭の灯が消えてしまうというふうなことにこれが進めばならざるを得なくなるという問題等があって、これは関係自治体なんかのお話や、それからそこでの労働組合の事情、それから関連業者あるいは地域経済等々のお話を聞きますと極めて深刻な状況になっているわけです。
 私は、この八次策の問題がありましたけれども、政府として石炭政策をどうするのかという問題はやっぱり十分に検討してしかるべきだ。なし崩し的にどんどんつぶれていってそれでいいのかどうなのか、どういう形でやるのか。あるいは今、露炭鉱だけは残す、露頭鉱だけは残すと、露天掘りみたいな、これは採算が立つから残すんだというふうなことなんかも現地では言っておるようですけれども、現実にどうなるのか。
 日本での石炭の消費率というのはまだまだ一定の量、十数%あるわけです。しかし、これはクリーンでないという問題がありますから、これをどうかえていくのか、クリーンエネルギーにかえられる可能性がどうかということを、私も前回そういう点での技術的な検討を深める必要があるんじゃないかというようなことを申し上げたんですけれども、現実に今施策としては産炭地域の振興対策等、政府としては方針があるわけで、実際にはそれが生かされていないという問題等も聞きました。
 だから、石炭政策はどうあるべきかということは、エネルギーの一環として現実に十数%使われて、輸入に大半を依存しているという状況はありますけれども、これについては検討する必要性があるんではないだろうかというふうなことを空知炭酸のああいう事態を見て改めて痛感したので、このことも最後の問題として述べておきたいと思います。
#23
○長谷川清君 私もそう思います。石炭の再認識という点においては、私は立木先生と同感でございます。
 また、立木先生が冒頭言ったCO2の排出量を減らす、これも経団連の環境部会が出しておる一番新しいデータによりましても、CO2は日本は世界の中では最優等生、それでいいとは言いません、さらに努力をしなきゃなりませんが、優等生の断トツの成績をおさめている。それもこれも、やはり原子力というものの利用率、これを最大限に日本の場合は活用しているということが非常に大きな貢献度になっている。その点についても立木先生の認識と私は同感であります。
 途中からでしたけれども、私は山口先生の御意見を聞いておりました。最初の方を聞いておりませんでしたからちょっと誤解があってはあれですけれども、少なくとも聞いている限りにおきましては、トータル的に原子力というものを見直すべきだ、こういう視点に立った御意見だったと思います。アメリカやスウェーデン、そういうところについては撤収しでいおではないか、こういうこともおっしゃっていましたが、いずれもそれは資源のある国であり、日本は資源のない国。一番大事なことは、やはり世界のエネルギーの全体の消費量とそれに対する供給力、日本の国内における消費量とそれに対する供給の関係、そこには日々刻々の生活、産業、経済、すべてが絡んでおります。したがいまして、そういう全体的な立場から見たときの原子力というものの平和利用。
 私、疑問に思いましたのは、村山総理は、従来の社会党の方針によりますと原子力は撤収していく、原子力の新増設関係については反対という態度を、すべてこれを容認していく、新増設についてもこれを認めると、こう総理になられてからおっしゃいました。今のお話を聞いておりますと、そうではないのかなと。私は今野党の立場でありますが、これは政府を支える与党という立場、自民党さんはどう考えていらっしゃるのか、今の山口さんの意見というのはお一人の意見ならわかります。したがって、そういう点についていろいろと疑問を感じております。
 今まで私は原子力というものについて、何も原子力だけが大事で、それだけをという主張はしておりませんし、いつも言っておりますようなベストミックス、資源のない国であるだけに、あらゆる電源の要素、水であれ、太陽光であれ、風力、波力、火力も含め、LNGも含め、天然ガスと言いましたが、あるいは原子力も、すべてどちらがよくてどちらが悪いというのではなく、それぞれの資源はすべて長短が同居しているものでありますから、その短所を閉じ込めて、長所を生かして、その供給力に役立てる。
 こういう視点からいきますと、これまで何十人かの先生方をお呼びいただいて御意見もずっと聞いてまいりましたが、だれ一人命の原子力をやめると、こう提言されたことはなかったと思います。私はもっと立派な資料に基づいて一つ一つそれに対する反論があったと議事録には書いておいてもらいたいのですが、時間の関係でもう省略いたしますけれども、この調査会としての今日までの流れというものについて、やはりそれはそういう起点の上に立って、より前向きにこれをとらえていく。
 太陽光の話も山口先生から出ておりましたが、これとても実用化のために国も民間も地方も大いに努力をすべきである。それ以外の風力、波力、地熱あたりはもう既にやっておりますけれど、これらの部分も最大限、トータル的にそれがコストアップになってしまうと料金にはね返るようなこともありますから、トータルとしてやはりバランスシートを組んで考えていくということが大事な時期ではないか。
 二〇一〇年になりますと総需要に対して供給力は七%不足するというデータに既にもうなっているわけですから、それはどの電源でも十年から、少なくとも原子力の場合十五年かかるわけでありますから、いろんな意味にとらえてやはり今が大事だと思います。突然ぽんと十年後が来るわけではありませんので、そういう視点に立っての計画性、永続性、そして設備のみならずその技術の継承ということ、何よりもやはり国民的コンセンサスということ、そういったようなことなどをどうこの調査会においてよりましなものにしていくかという視点が私は大事だと思います。
 以上です。
#24
○増岡康治君 私は、長谷川先生の意見と非常に近いんです。と申しますのは、昨年でしたか、需給関係からすると二〇〇〇年までに幾ら要る、二〇一〇年は幾ら要る。それに対して原子力は幾ら、水力は幾ら、石油はどうだ、石炭、新エネはどうだと。でも、実際は大変なんですね、一つの部門の専門家に聞きますと。一生懸命やってもそこまで供給できるだろうかというのが本当の姿なんです。もちろん社会的には省エネの世の中でこれはどんどんやりながらも、これで精いっぱいの仕事でして、それほどエネルギーが要るんだなと、こういう感慨を持っておるんです。今おっしゃったように、各パートに非常に専門の方がいらっしゃいまして、みんなもう将来の安全性だとかいろんな問題を環境問題を含めて各パートごとに非常に議論をなさっています。
 したがって、今おっしゃるように、お互いが相補いながら行く中で新エネルギー問題というのはこれはもう大いにやらにゃいけないんですが、しかし具体的に、原子力のかわりに太陽光だと、初めからもうそういう発想でなしに、そういうものを育てていくにはどうしたらいいかという場合に、先般も私は発言したんですが、ある地域がこういうことをしたい、太陽光の町をつくりたいあるいはコージェネレーションのいい町をつくりたいというような地域の発想があって、そこへ何か補助する、住宅関係は一部やっておりますけれども。これを拡大するのは一つの方向でしょうが、今回の阪神大震災の後をどうするかというのは私は非常に興味があるんです。あんなになったんですから、広い広場が要るんですから。そうすると、こういった設備やそういうものを選択されるかどうか、これは非常に私どもも大いに関心があり、こういうときにこそ何かやってみないとわからない。コージェネレーションは東京でも幾つか成功しておるんですね、実際には。それを案外皆さん知らないけれども。
 だから、そういう地味な民生部門の問題も含めてみんなでやらにゃ解決つかぬかなと思って、それは皆さんのおっしゃるのはみんな正しいのでございますけれども、ただ、これのかわりにこれというのはちょっとオーダーが違うものですから、そういう印象を持っております。
 先般、柏崎に行きました。私は先生と逆の立場で、私が考えた以上にやっぱり考えていたなと、同じ原子力発電所を見ても見方が違う。さらにこういうように注意して注意してやればもう少し国民の支持を受けるんじゃなかろうか。もうあそこでも見学者が年何万人ですから、そういう多くの方がみんな見においでになって勉強しておられる。私は広島生まれだから原子力になるとすぐあれを思い出すんですが、その人間すら、やはりこれは大切に核融合まで続けていかにゃいかぬなというような感じがひしひしとしましたが、立場が違えば見ることも違うなということで申し上げました。
#25
○大脇雅子君 最近、大蔵省の財政金融研究所が環境保全と経済成長という意見書を出しまして、そこの中のエネルギー問題について書かれていることに関しまして、私は政府のそういう報告書で初めて原子力発電の問題を、立地にかかる費用、放射性廃棄物の地球に及ぼす影響、それから廃炉の費用というものも含めて経済性について再検討というか、もう一度見直すという視点を打ち出したフレーズに非常に心をとめさせられたのであります。原子力発電というと、クリーンとか安全性とかをどのようにミックスして安定的なエネルギーを供給するかという問題が議論されているわけです。
 私の地元でも、芦浜原発で、まだ建っておりませんけれども、その立地に対する資本の投下の方法と、それによってその村落が本当に引き裂かれて、人間関係が全く破壊されて、そしてその上で初めて建つといった社会学的な現象を見るにつけ、むしろ環境保全と経済成長みたいな視点から原子力発電をもう一度根底的に見直してみる必要があるのではないかという思いを強くしております。
 それからもう一つ、エネルギーの生産性が非常に悪くて、そしてCO2などの抑制政策が十分とられていないということで、私はこの間、EUの環境のゼミナールに出まして啓発されたことですけれども、炭素税とか環境税の問題、もう一度日本の税制を哲学の視点から見直す必要があるのではないかと考えています。
 と申しますのは、私たちの税金というのは、一生懸命働きまして、貯蓄をしたり、それから収入を上げたりして、そしてそれによって累進的に税金が課せられる。そして、それが所得の再配分という形で非常に貧しい人たちと公平、公正な社会をつくっていくときに役立つわけですけれども、これだけ環境問題が大きくなりますと、環境に負荷を与えている経済活動、それから企業、個人というものの、いわば環境に与えたマイナス効果というのは、廃棄物の問題も含めまして税金ですべて賄われていくという考えが根底にあるんです。やっぱり、そこは少し不平等ではないかという感じがいたします。
 ですから、たくさん環境に負荷を与える活動をしているものからはたくさん税金を取って、そしてそれを公平に分配するという意味では、このプラスの所得の再分配ではなくて、地球環境に対するマイナスの活動に対する税金というものを根底から考えないと公正な社会と言えないんじゃないか。
 そういう意味で、EUのゼミナールの中でこの炭素税とか環境税というものはもうプラスもマイナスも含めた、いわばイコールライツの観点から考え直して、税金それ自身のシフトを変えていかなきゃいけないという議論が積極的に行われていたということで、私は日本の税制も少しそういう視点から見直す必要があるのではないか、そういう研究が積極的に政策の問題として検討される時代ではないかというふうに思います。
#26
○増岡康治君 私は昔の行政官時代、川の汚し税でもって、それを防災だとか川の環境に充てようとした。なかなか難しいですね、反対があって。そういう発想があるんですね、諸外国には。確かにその議論は音やったなと、思い出しました。
#27
○大脇雅子君 でも、日本で基本的にそれを始めないと、やはり公正な社会という観点からはおくれていくんではないかなと危惧している次第です。
#28
○楢崎泰昌君 今お話のあった炭素税的なものですね、環境全般の問題がありますから、大いに議論されてしかるべき問題だと思います。
 ただ、増岡先生が言われたように、なかなか国民の意見を求めがたい側面があることも事実だというぐあいに思っていますが、当然議論に値するものだと思います。
#29
○大脇雅子君 それは産業の成長率というのを一番価値のあるものとして見る見方があるから、やっぱり人間の暮らしというものを視点にすればもう少しコンセンサスができるのではないかなと私は思うんですが、それはどうしたらよろしいんでしょうか。
#30
○楢崎泰昌君 それは御意見として承りますけれども、難しい問題があるのかなと。これは議論を深めていかなければ何ともならぬ問題だと思います。
 私が申し上げたいのは、先ほど長谷川先生、山口先生の議論になっております、現在のエネルギーの源をどういうぐあいに選択していくかという問題についてであります。長谷川先生がさっき言われたように、二〇〇九年においても供給力という点からいうと問題があるというところが一つの問題点であろうと思います。それからもう一つ、山口先生が言われた、原子力に大きく依存しているんだけれども、原子力じゃなくて太陽エネルギーとか、あるいはLNGだとか、そういうものに依存したらどうかという問題点について、若干言及を申し上げたいと思うんです。
 太陽光発電について申し上げますと、太陽光発電が日本の国のエネルギー政策として直ちに取り上げられない理由はコストの高さにあるんだと思うんです。エネルギー源としてのクリーンさ、それからさらに、御言及なさいました資源のない日本で無資源でできる。そういう点は本当にすばらしいことだと思うんですけれども、ただ、資料で出ておりますように、現在コストが大体普通の電力の八倍ぐらいのコストになっているんです。一基について三キロワットでつくると六百万円というコストになっている。それに対して補助金を出しても、現在の電力に対して非常に高い電力を、補助金を出すとは言い条、押しつけるというとちょっと語弊がありますけれども、相当御趣味のある方じゃないと、とても採用できないというようなコストであるわけです。
 そこで、いろんな方に聞いてみますと、いやコストは下がるんだと。確かに量産化すれば下がるでしょう。下がっていったときにどこら辺まで下がるんだというところが一番の問題点でございまして、ここに通産省の資料だと思いますけれども、量産化によるコスト目標というので、二〇〇〇年度には四十万キロワットの普及規模でワット当たり三百円、そして二〇一〇年度には四百六十万キロワットの普及規模で二百円パーワットと。それはキロワットアワーで言うと二十円であるというぐあいに記されているわけですが、もう技術開発のレベルは相当のレベルまで進んでいる。
 あとは、量産化技術というものをどういうぐあいにして確立するかというところなんですけれども、聞いてみますと、現在の部品その他はほとんど手づくりに近いんだというぐあいに皆さん言っておられます。量産化すればなるほどコストは下がるんだろうなというぐあいに思うんですけれども、果たして量産化されていってここまで下がるのかねというような非常に疑問を私は持っているんです。
 ですから、もし量産化されて、量産化をどういうぐあいにするかということも若干御検討になっておられるようですけれども、ある会社に聞いてみますと到底そこまでは行かないと。実際に太陽エネルギーをやっている会社ですよ。そういうところでは、量産化しても到底そこまで行かないというようなことも言われている。
 そこで、太陽エネルギーは確かにすばらしいことであり、これについての研究を促進し、そして普通の電力に対してそれがペイするならば、黙っていたって当然普及するはずのものがなかなかそこまで行かないという情勢にあるんだということだけはしっかり頭に置いておかないと。ただ太陽エネルギーはいいよいいよと、それは確かにいいに決まっている。しかし、その経済性というものを抜きにして物を論ずるわけにはいかない。それは我が調査会でも、量産が本当に行われたらこの程度のものになるんだということはぜひ確認をしなければならないというぐあいに思っているということが一つでございます。
 それからもう一つ、山口先生がLNGのことについて御言及になりました。確かに、現在石油発電をストップさせて石炭に転換しているような感じすらするんです。石炭はどんどん強化する、石油は強化しないということで、何か地球温暖化とは逆行しているなどいう感じを持つんです。
 実は、長谷川先生が御言及になったように、一つの発電所をこしらえるということは、十数年の歳月がかかって初めて出てくるわけです。したがって、二〇一〇年の発電目標というものは、現在手がけている発電立地、それに引っ張られてというと語弊がございますが、恐らくLNGの計画そのものが現在民間においても十分行われていない、今行っても十数年後にはなかなかそれに達しない。こういう問題がLNGの発電を余り伸ばさないということになっていると思います。また、電源そのものは多様化していかなければならないという思想もあるというぐあいに思っています。
 そこで、電力会社等々が計算しているように、二〇〇九年になって供給量が足らないというような事態になったら困るわけです。困るというよりも、それは全部通産省の計画のもとに目標どおり発電できるとしての話ですからね。そういう意味からいうと、私自身は日本の発電総量というものが実は非常に危機になっているんじゃないか、それは電源立地が推進されないからだというぐあいに思っているんです。
 電源立地が推進されない理由は幾つもあると思いますけれども、既に当調査会で何人かの委員が御発言になりましたように、地元はやっぱり電源立地されると何となく反対しちゃうんですね。原子力の場合には原子力特有の理由で反対するし、石油のときにはそれなりに反対をするというようなことがあって、なかなか立地が進まないというような事情がございます。
 特に、地元にお金が落ちるけれども、そのお金の落ち方が非常に短期的なものであり、自分たちの労働力をそこで生かせる、すなわち大きな電源立地がされても自分らの住んでいる土地には経済効果というものを十分及ぼさないんじゃないか、雇用の機会もそんなに多くないんじゃないかということが問題になっているわけですから、先般来議論をしておりますように、何らかの形で公共事業を通じて電源立地に際してベネフィットを与える。あるいは、これは私が申し上げましたけれども、電力料金を飛躍的に安くして工場立地ができるような、そのような地元に対するベネフィットをどう考えるかということをやっぱりこの調査会では議論をしていかなければいけないんじゃないかというぐあいに思っているわけです。
 さらに申し上げますと、原子力について避けて通れないじゃないか、議論を徹底的にやらなければいけないんじゃないかということを申し上げているわけです。太陽光エネルギーはすばらしいんだという御説はございます。確かにすばらしいでしょう。しかし、それによって我が国の電力需要がきちんとできるというわけじゃないわけです。極端な人はそんなに原子力が嫌いだったら節電しろというようなことまで言われているわけですから、電力需要全体のことを頭に置いて、原子力というものをどういうぐあいに考えていくのかということを御議論願わなければならないんじゃないだろうか。現時点においで、太陽光エネルギーがすばらしいからそちらの方に全力を挙げるべきだという御意見は御意見であり、それはまたそのようにして構わないんだと思いますけれども、原子力の議論は、現在の日本経済のエネルギー需要からいってなかなか避けて通れない問題であるというぐあいに私は思っております。
#31
○佐藤静雄君 環境税、炭素税の問題で大脇先生の御発言にある程度賛成なんでございますが、この問題はグローバルな視点でとらえないと全然意味がないんですよ。グローバルな視点で物をとらえたときに、非常にシリアスな問題が出てくる。まだ発展途上国とか南北問題とか、今まで全然エネルギーを使ってない国のことを考えないと、発展途上国の問題を抜きにしてはこの炭素税も環境税もだめなんですよね。
 例えば、今発展途上にある中国とかインドとかあるいはアフリカとか、そういうところで我々と同じように使ってもいいよということになると、これはほとんど意味がなくなってしまう。だから、この問題についてはやはり世界的な規模で相談をしながら、そして北の部分の国はある程度譲ってやらなきゃいかぬ、そういう問題が根っこにあるわけですから、これはこの調査会でとことん検討することに値する大きな問題です。ですから、私は賛成でございます。今からどんどんやっていただきたい、こう思っております。
 それから二番目のLNGでございますが、これもそのとおりだと私は思っております。ただ、この賦存地域を考えますと、ざっくばらんに言いますと、一番我が国に近くてパイプラインで持ってこれるというのはロシアですね。そうすると、その次のカントリーリスクをどういうふうに考えていくのか、そういう問題が大きな問題としてあります。あるいはこの調査会でも一回お聞きしましたが、中国から持ってきたらどうか、これも大きなカントリーリスクがございます。
 だから、やはりエネルギーというのは国の存亡に関することでございますから、理論的にできるといっても、やはりその辺はよく見きわめないと、いざとなったときにそこから供給を断たれれば日本が生存できないわけでございます。そういうシリアスな問題がこれにもあるということをひとつ皆さん方とこれから一生懸命討論してみたい、こう思っております。
 それから太陽光、これは私は大いに伸ばしていかなきゃいかぬと思いますけれども、これもやはり根源的な、根幹的なエネルギーにはなり得ないんですね。というのは、例えば民生用の高層ビルが一つでっかいのができますと大体十万キロと言われております。民生用の高層ビルの窓を全部太陽光にしたって、十万キロなんというのは絶対できないんです。だから、先ほど先生がおっしゃったように石油の消費を圧縮していくとか、そういう面では非常に役立つと思いますので、補完的には私はいいと思いますけれども、これが根幹的なエネルギーということになりますと、国民経済上非常に問題だというふうに私は思いますので、その辺ももう少し議論を深めていただきたいと思っております。
#32
○関根則之君 ちょっと一言だけ。
 佐藤先生のおっしゃったことに尽きるんですけれども、やはり日本のエネルギーのことだけ考えていたんじゃどうにも解決にはならないだろうと思います。特に、中国が今、改革・開放という路線で年率一〇%を超えるようなスピードで経済成長を遂げておりますから、このエネルギー使用の伸び率なんというのは物すごいことになってくるんじゃないかと思います。東南アジアがもちろんそうですし、それからインドもそうでしょう。アフリカ諸国が同じような経済発展、一挙には無理かもしれませんけれども、三十年、四十年の間には相当なスピードで経済発展を遂げてくる可能性があるということになりますと、どうしてもそういう地球上全体のことを考えながらやっていく。日本だけどうするのかという視点では答えが出てこないんじゃないか。答えが出てこないだけじゃなくて、世界の問題を解決するために日本がどこまで役に立つんだろうかという視点をいつも持っていなきゃいけない。
 それはやっぱり科学技術の問題だろうと思うんですね。太陽光の発電の問題だって、もっと転換効率を高めていく技術が開発されれば、一ポイント上がってくるだけで原価が一割も二割も変わってくるというようなことも言われているわけですから、そういう意味で、世界を眺めた形で日本の問題をどうするのか。それを片づけるための技術開発をして、中国あるいは東南アジアの資源エネルギーの問題解決にどう役立てるのか、それをやっぱりいつも考えていかなければいけないんじゃないかなと思います。
 それから、エネルギー問題を考える場合にはマクロの話と、ミクロといいますか積み上げの話とは別に考えていかないといけないんじゃないかと思うんですよ。長谷川先生がおっしゃるように、太陽光発電で今マクロを間に合わせるなんということはできるはずがないんですから、マクロの、全体のシェアをどういうふうに持っていくのかという問題が一つ一方に絶対的な制約としてある。と同時に、太陽光発電というのは、例えば砂漠地帯なんかへ持っていけば物すごく有用だと思うんです。そういう経済発展も余り進んでないところでは物すごく自給的というか自足的に使えるものになるんじゃないか。東南アジアあたりだってそうだと思うんです。そういうところは結構あるだろうと思うから、そういう局地的な問題を考えますと極めて有効であると思います。だから、マクロでは余り役に立たないからといってなおざりにする必要は全くないし、かといってミクロの点で物すごく有効だからといってマクロまで太陽光発電で全部カバーできるのかというと、これはまたなかなか難しい問題でございます。
 先ほどから繰り返しお話がありましたように、原子力発電所一つつくるのに十五年といったって今とても十五年じゃできないような状況のようですし、可採年数を考えたって、石炭が一番多くたって二百十年ということでしょう。そうするともう間に合わないんですね、今からやっていかないととても間に合わない。例えば、石炭にしてあと五十年しかないなんという時代が来たら、資源を温存するための大変な競争が世界的に起こってくる可能性がありますから、これはとてもそこまで押し込んでいってしまうわけにいかないと思うものですから、今から準備をするという意味におきましても原子力という問題は避けて通れないといいますか、それこそ真剣に対応しなければいけないし、太陽光発電を中心とした新エネルギーの問題にも力を尽くしていかなければいけない、そんな感じがいたします。
#33
○乾晴美君 大脇議員の御意見のことなんですけれども、エネルギーに対して環境税というか、そういうことでどうですかと言うんですが、それは非常に難しい、いろいろ考えなきゃなりませんよというような御意見だったと思います。
 例えば、資源の問題でごみの問題もあるかと思うんです。でも、今はもうごみ出し放題ということで、大量のごみをどうするかというような問題も出てくるだろうと思うんです。やっと粗大ごみというか、大きいごみについてはお金が要るようにはなりましたけれども、そのほかのことはほったらかしということで、そこら辺からでも何かいい方法はないだろうかということを思っているわけなんです。
 琉球大学の比嘉照夫という方が、こういうように「地球を救う大変革」というようなことで、食糧、環境、エネルギーの難問をEMで全部解決できるんだという、漫画になっているわけなんですが、非常にいい提言をなされているんです。このEMというのはエフェクティブ・ミクロ・オーガナイズムズ、有機的微生物群というか、そういうものでいろんなことをやっていけば、お米は一反当たり九俵ぐらいしかとれなくてもこのEMのぼかしを使ってやれば十四俵から十五俵ぐらいとれるんだとか、それからごみの問題でも、岐阜県の可児市では年々六%もふえ続けていたごみの回収量が逆に八%も減少していますというようなことだとか、もうにおいはなくなるし、それから家庭の生ごみも水分をとってうまくやれば全部肥料としてできるというわけです。
 そのEMを使ったぼかしをつくるのには、魚のかすとか米ぬかとかおからとか生ごみを一緒にまぜて密閉したものの中に入れておくと、何日かすると下に液がたまってくる。その液を何倍かに薄めて散布するだけでいいんだということで、台所もいけるんだ、カーペットもいけるんだ、げた箱のにおいもなくなるんだ、それからおふろも毎日かえなくてもお水は全部使えるんだとか、ペットやトイレのにおいもなくなると、もういいことずくめのすばらしいことを書いてあるんです、こういう「地球を救う大変革」というようなことで。
 先日徳島県でEMぼかしを使った啓発ということがありまして、この比嘉先生がおいでになって勉強会がありましたので、私も参加させていただきました。こういうものを本当にやっている方もいらっしゃるわけなんで、こういうのがもっともっと多くできていくといいなというように見ておりましたら、もう既にブラジルとかよその国ではなさっているんです。EM消費量はブラジルが月産で七百トン、これは世界一だそうです。続いてタイが二百トンですが、日本は年産で百トンぐらい。だから、できていることはできているんですけれども、非常にすばらしいものがあるということなんで、こういうものを研究し発表している人たちを大いに我々もPRするとか、実際に有効なものであるならばバックアップしていくというようなことをしていけばすばらしいなというように思っております。
 以上です。
#34
○長谷川清君 先ほど楢崎先生、佐藤先生、それから関根先生のお三方の話は、短い時間の中で、私はその奥にあるエネルギーというものに対する考え方はまことに同感なんです。
 さらに言葉を加えていけば、一つは佐藤先生、関根先生がおっしゃったいわゆるエネルギーはインターナショナルであると。つまり、それはエネルギーがぽんとあるのでなくて、そのもとになっているのはすべて資源であるということです。その資源は限られている、したがって世界じゅうが奪い合う、そういう状況でやはりエネルギーは一国だけのものではない、一国平和主義ではないということだと思います。
 そういう点において、太陽光の話が共通して出ておりますし、楢崎先生からはコストの問題というのが出ました。
 まず、このコストの問題をクリアすればすべてOKかというと、もう一つ問題なのが、一つ一つの資源には長短があると言いましたけれども、太陽光の場合には三百六十五日全部日照りだとは限らないということであります。梅雨どきになりますと来る日も来る日も太陽が照らない、そういうときには電気はつかない、それを補完する供給というものも必要です。太陽がさんさんと照って余った電力は売電するということも必要でしょう。
 いろんなことを考えますと、やはり私どもは参考人の意見の中でも勉強したように、世界のベストミックスということ、そういう視点に立って、例えば太陽光はそれに匹敵する、ちょうどあの場合にはまず三つの条件が備わらないと、大きなスペースの問題、それから日射率が高いということ、それから容量です。これは佐藤先生もおっしゃいましたが、容量が限られていること、キャパシティーが。そういう意味においては、日本の十三倍もサウジアラビアは太陽光に主眼を置いているわけです。これも世界のベストミックスという点からすると、世界の人類に太陽光一二%は非常に寄与しているということだと思うんです。
 それぞれの国々がそれぞれの、例えば原子力という問題はただ原子力をやればいいというんじゃなくして、技術力なり経済力なり資源がないとかという、いろいろとその国々の置かれた状況の中でベストを尽くすということこそ世界のベストミックスに寄与している、トータル的に環境においても。そういう視点がどうしても欠かせない。そして需要と供給がいつもつきまとう。こういう関係に、エネルギーというのは何も電力、原子力だけではなくして石油においても、あらゆるエネルギーはすべてそういう視点でやはり見ていく必要があるのではないか。
 したがいまして、楢崎先生もおっしゃっていたように、一つ一つには限度があるということをやはりいつもわきまえながらトータルをどう確保していくのかと、しかもこれは次世代のことは考えなくていいという視点ではなくして。そういう意味においては、ケインズが一つ過ちを犯したとすれば、次世代のことを余り考えなかった、ケインズ経済というのはそこに一つの大きな欠点があったんじゃないか。
 だから、新しい視点と価値観に立って私たちはこういうエネルギーからいろいろひもといていくと、今の経済活動なり国づくりなりそういうものにみんなこれはかかわってくる概念、そしてもとになっているやつは大事な資源なんですから、その資源を活用して、たいているエネルギーに対しては節約をして大事に使いましょう、これが環境に対する理念と一致するんだと。エネルギー、何か便利だからばんばん使いましょうというのではなくして、そういうトータル的にどんどんふえていく需要というものをどう抑制するかということです。
 今、私が心配なのは、二〇一〇年までの計画の中では、七%といえば大きな県一県全部が停電になってしまうという量であります。そうなったときにそれを太陽光で補おうとしてもさっき言った壁にぶつかってしまうので、そして今やろうとしている政府の方針はそれを省エネルギーでやっていこうというんです。ところが、今までずっと省エネ省エネではやってきても、なおかつこの不景気な三年四年の間に需要は伸びているという現実があります。
 そして、参考人からこれも勉強になったことは、なぜ景気が悪くても需要は伸びてしまうのか。特に家庭用で伸びちゃうということですね、この現実をどう受けとめるのか。参考人はこう言いました。人間に欲望がある限りこの需要は伸びる一方と。じゃ、それにただ追いつけばいいのかと。
 こういった人間、人類、そういうものとエネルギーということをもう少し掘り下げて考える必要がある、そういう視点が大事じゃないのか、こう思うんです。何か最初からある特定のものを毛嫌いしていくということは、現実、きょうというものを大事にしていない態度になるのではないか、こう思います。
#35
○星野朋市君 このエネルギー問題は、要するに第一次エネルギー需給計画というものがあったんですね。ここを始点にしないと今までの皆さんの議論がちょっと立場上一方的になる、こう思います。
 それはどういうことかというと、まず二〇一〇年には日本のエネルギーの石油の依存度を五〇%以下にしましょうと。それで、日本のエネルギーの需要は年率三・五%の成長に弾性値〇・三八という、これはエネルギー計画が決まった過去十年の日本のGNP一に対する弾性値だったんです。〇・三八を掛けて、それでCO2の発生率を要するに一九九〇年台に抑える。この意味でつくられたのが第一次計画だったんですよ。
 これが物の見事に失敗したのは、産業用は確かにゼロ成長したときですから抑えられていたんだけれども、要するに弾性値〇・三八というのに間違いがありまして、そのときにはもう既に弾性値は一だったんです。これは民生用が非常に伸びていたことと、それからいわゆる輸送機関におけるエネルギーがはるかにそれを上回るということで、昨年その計画を変更したわけですよ。変更したんですけれども、依然としてその思想が生きているんですね、二〇一〇年には石油の依存度を五〇%以下にすると。
 それで、これはこの前エネルギー庁長官を呼んだときに私が聞いた記録がありますから調べてもらえばわかりますけれども、大きく違ったのは、要するに新エネルギー五%と言っていたのを三%に訂正したわけですね、そこまではとても行かないと。それで、その中心は何かというと太陽光。その他の新エネルギーはかなりネグっちゃったわけです。それは難しいんですよ、もう。例えば風力で言うと、日本全体の中で風力を稼働させると稼働率というのは一〇%ぐらいしかないんですね。これは、要するに質の面でもとても安定的なエネルギー化はなかなかできないと、それで太陽光を中心にしてこれは三%と。
 それから、もう一つ大きな問題は、原子力発電の二〇〇〇年までの発電量、これのカーブをかなり落としちゃったんです。ところが、最終的には一致させるために二〇〇〇年から二〇一〇年までの発電量を急に角度を高めているんですよ。弾性値という言葉は使っていないんだけれども、年に一%ずつ増加するという今度の基本なんですね、ここが要するに問題点なんです。
 そうすると、原子力が思うようにいかなければそれを補うのはやっぱり石油しかないんです、LNGはかなり伸ばしましたからね。そうすると、CO2の問題というのをどう解決するかが出てきます。要するにそこは抑えておいて、原子力発電がそのとおりいかなかったらどうなるかというと、長谷川先生が心配しているように不足問題が起こるんです。去年の夏、東電はほかから相当買電をしてやっと綱渡りでこの夏を越したんです。
 だから、今いろいろな議論はありますけれども、最終的にしゃ我々はどれを選択するんだと、そういう国民合意を得ないとこの問題は解決しませんね。要するに原子力に頼る、それが政府の需給計画のとおり達成できなければ、それを補うのは石油なんですから、CO2の問題というのを許容しちゃうのか、世界的にごめんなさいと謝って許容しちゃうのか。それから、節約節約と言葉では言っているけれどもなかなか節約できないで、最後は供給不足になって大停電を一回起こすか、日本人は一回経験しないとなかなか懲りないからね。だから、大東京停電、政治的には許されないけれども、そのぐらいのことを経験しないと日本人はなかなか本格的に目覚めない。
 それからもう一つは、非常に皆さんきれいごとを言っているけれども、節約というのは価格かタックスかあとは罰則、この三つのどれかでないとだめなんですよ。そのうち家庭用の電力というのは、多く使うものは既に高い金を払っているんですね。
 私は、節約という問題を重点的に置くならば、この前も申し上げたとおりある一定の開発地域にはもうコジェネを義務づけてしまう。それから、ある一定以上の病院であるとかスーパーであるとかこういうところにはその導入を義務づける。そのぐらいのことをやらなければ、なかなか言葉で節約と言ったってこれは難しい。今の私の家なんかかなり家庭用の電力は多く使っていますから、それでもやっぱり便利さというものを考えるとそこら辺は余り考えないんだね、そういうことがあります。
 だから、第二次需給計画で一応できている、要するにこれをどう守るかということですよね、今度は。この計画は無理だと基本的には思っていますけれども、これをどう守るかということによってどこかが欠ければどこかの欠点が出る、それでもいいんですか、さもなければ、節約節約と言いながら供給不足を起こしていつかバンザイすると、それでもいいんですか、それを国民はどこを選ぶのか、そういう状態であると、今すぐとは言いませんけれども、私はそう思います。
#36
○牛嶋正君 エネルギー供給の問題は、経済学的にいうとピークロードの問題なんですね。すなわち、需要が一定の時間に集中するということなんです。道路もその問題があるわけですね。満遍なく一日じゅうずっと交通量がありますと、三車線とか四車線の道路をつくる必要はないんです、一車線でも十分に流れるわけです。ところが、ラッシュのときにばっと集中するから、それに合わせて三車線、四車線、むだな投資をしなきゃいけない、これが経済学で一番大きな問題なんです。
 エネルギーの場合もそうですね。電力需要も甲子園がやっているようなときにピークになるわけです。そうじゃなくて、一年じゅうどの家庭も同じだけ電力をもし需要してくれれば、私は今の施設の三〇%はカットできると思うんです。
 ですから、先ほど長谷川先生がおっしゃいましたように、恐らくそのピークロードの問題はやっぱりずっと残っていくということで、先ほど不足が七%というふうなことをおっしゃったと思うんです。ですから、今私が言ったような問題を需要側でならすことができなければ、蓄電してピークのときにそれを放出する、こういうふうな技術にもっと力を入れる。
 太陽熱というのはいいことはいいですけれども、これは間尺に合わないんじゃないかと思うんです。天気エネルギーを使うんだったら、今言ったような蓄電、これは電気自動車の問題もありますから、私はここに力を入れるべきじゃないかな、こんなふうに思っております。
#37
○山口哲夫君 先ほど長谷川先生から名指しで御指摘いただいたので、一言だけ申し上げておきますけれども、調査会というのは政党政派に余りとらわれないで個人的な立場で大いに議論しようというところによさがあるので、そういう立場で申し上げているわけで、その点は御了解いただきたいと思うんです。
 私は、天然ガスだとかそれから太陽光発電そのものが根幹的なエネルギーになるとはそう簡単には思っておりません。せっかく政府の方としても新エネルギーの方針を出しているし、みんながクリーンエネルギーは絶対大事なんだから、もっともっと研究をして開発もしていかなきゃならないというところも全部共通しているわけです。ただ問題は、それが遅々として進まないところに問題がある。ですから、一体我々政治家としてはこれをどう進めていくかということを真剣に考えるべきだと思うんですね。
 例えば、太陽光発電がたまたま今大きな問題になった。この間、参考人の意見をちょっと聞いただけですが、これはやっぱりいろんな先生がいると思うんですよ、参考人一人でなくて何人もいらっしゃると思うんです。それに反対の先生もいらっしゃると思うんです。だから、そういう人を呼んで徹底的に、せっかく出た問題なんですからとことん詰めていく必要があると思うんです。
 そして、一つの方向が出れば、それに対してそれじゃ政策としてどうあるべきなのか、立法を考えるべきなのかというところもできるんだけれども、今まで調査会の中でも相当いいいろんな議論はするんだけれども、最後の締めがどうもないというところで、私はあえて理事会で御検討いただきたいのは、たまたま出たこういう太陽光発電、そういう問題に絞ってでもいいから徹底した議論をやって何か一つの方向を出すことができるのか、あるいはだめならだめだと結論するのか、そういうところまでやっぱり一回きちっとやってもらったらいいんじゃないかな、そんなふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
#38
○会長(三重野栄子君) ありがとうございました。
 資源・エネルギー問題についての意見交換はこの程度にとどめます。
 以上で、二十一世紀に向けての産業・資源エネルギー政策の課題に関する件についての本日の自由討議は終わりました。
 委員の皆様には貴重な御意見、御提言をお述べいただきまして、本当にありがとうございました。いただきました御意見、御提言につきましては、本調査会の活動の成果に結びつけていきますように理事会において協議、検討を進めたいと存じます。
 なお、本日使用いたしました参考資料のうち、海外派遣報告書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○会長(三重野栄子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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