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1995/02/15 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 科学技術特別委員会 第2号
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1995/02/15 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 科学技術特別委員会 第2号

#1
第132回国会 科学技術特別委員会 第2号
平成七年二月十五日(水曜日)
   午後一時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十七日
    辞任         補欠選任
     及川 順郎君     浜四津敏子君
 二月十四日
    辞任         補欠選任
     乾  晴美君     古川太三郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         高桑 栄松君
    理 事
                河本 三郎君
                志村 哲良君
                久保田真苗君
                浜四津敏子君
    委 員
                井上  孝君
                鈴木 栄治君
                二木 秀夫君
                前島英三郎君
                守住 有信君
                吉川  博君
                穐山  篤君
                稲村 稔夫君
                瀬谷 英行君
                泉  信也君
                林  寛子君
                古川太三郎君
                西山登紀子君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       田中眞紀子君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        関根 則之君
       科学技術庁長官
       官房長      石井 敏弘君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   落合 俊雄君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   工藤 尚武君
       科学技術庁研究
       開発局長     沖村 憲樹君
       科学技術庁原子
       力局長      岡崎 俊雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    笹谷  勇君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        堀籠 秀昌君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
 (平成七年度科学技術庁関係予算に関する件)
 (阪神・淡路大震災に関する件)
 (技術試験衛星Y型「きく六号」の不具合原因
 等に関する件)
 (派遣委員の報告)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(高桑栄松君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 議事に先立ちまして申し上げたいと存じますが、このたび、阪神・淡路大震災によりまして五千三百人を超える方々がお亡くなりになりました。まことに痛恨のきわみでございます。
 ここに、犠牲者の御遺族に対し衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
 この際、犠牲となられた方々の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。
 御起立をお願いいたします。黙祷。
   〔総員起立、黙祷〕
#3
○委員長(高桑栄松君) 黙祷を終わります。御着席を願います。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(高桑栄松君) まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る一月二十七日、及川順郎君が委員を辞任され、その補欠として浜四津敏子君が選任されました。
 また、昨日、乾晴美君が委員を辞任され、その補欠として古川太三郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(高桑栄松君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例によりまして、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(高桑栄松君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に浜四津敏子君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(高桑栄松君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題としまして、まず、田中科学技術庁長官から科学技術振興のための基本施策について所信を聞くことといたします。田中科学技術庁長官。
#8
○国務大臣(田中眞紀子君) 昨年十二月に発生した平成六年三陸はるか沖地震の復旧のさなかの本年一月十七日、阪神・淡路大震災が発生いたしました。第百三十二回国会に当たり、まず、地震でお亡くなりになった方々とその御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、負傷された皆様や不自由な避難生活を強いられている方々に心からお見舞い申し上げます。
 地震は一たん発生すると、人命はもちろん、社会、経済に大きな影響を与えます。私も早速現地を視察いたしましたが、大きな自然の力の前に人間の存在がいかに小さく、現代の社会がもろいものであるかということを、これほど衝撃的に感じたことはありません。科学技術庁としても、できる限り技術的、物的能力を駆使して、一日も早い復旧のために最大限努力してまいります。
 今回のような都市直下型地震も含め、地震の発生メカニズムに関する研究等の基礎的研究のみならず、私たちの生活を支える防災科学技術全般を推進し、次の世代に誇りを持って引き継ぐことのできる社会の建設に努めたいと思います。
 昨年十一月、私は、みずからの職務をいわば未来担当大臣と位置づけ、二十一世紀を間近に控えた今日、人類共通の夢を実現し、新しい世紀の文化や社会を創出するために、積極的に科学技術の振興を図ると申し上げました。
 そして、私は今、文化を創造し、知的でダイナミックな未来社会を構築する原動力としての科学技術政策が持つ、未来に対する責任の重さを痛感いたしております。
 二十一世紀を目前に控え、いわばその助走の時期に生きる私たちが、社会のバイタリティーを維持向上させ、豊かな生活を実現し、持続的に社会を発展させるために、今、何を残し、何を伝えていけるのか。二十一世紀の扉を開くかぎとして、私たちの子孫への知的な贈り物として、私は、科学技術を積極的に推進いたします。
 また、二十一世紀の情勢変化にも柔軟に対応できる行政を実現するために、行政改革を推進することは政府全体としての未来への責務であります。このような観点から、私は、科学技術行政全般について、不断に意を払いながら、特殊法人の見直しなどを積極的に行い、未来に通じる科学技術振興体制の活性化を図ってまいります。
 このような認識のもと、科学技術による国際社会への積極的な貢献を念頭に置きながら、平成七年度には、以下に申し述べますような柱を中心として総合的に施策を展開してまいります。
 第一に、創造的・基礎的研究の充実強化と科学技術振興基盤の整備であります。
 科学技術は創造性豊かな人類の英知の結集であり、我が国が世界に向けて知的な貢献を行う立場からも、科学技術振興基盤を整備強化し、研究者が創造性を十分に発揮できる環境を整えていくことが必要です。
 このため、科学技術振興調整費等の基礎研究推進制度を拡充するとともに、特殊法人に対する出資金を活用して、基礎研究の充実を図るための調査を行います。また、研究情報ネットワークの整備、利用の促進や高度計算科学技術の推進等、研究開発の高度情報化を促進いたします。
 さらに、若者の科学技術離れ対策等に一層力を入れるとともに、大型放射光施設SPring8の整備を進めてまいります。
 第二に、国民生活に密着した科学技術の推進であります。
 この分野で、まず取り上げなければならないのは防災科学技術です。冒頭申し上げましたとおり、防災科学技術は、私たちが安心して暮らせる豊かな社会を構築し、次の世代に引き継いでいくために不可欠なものであります。この分野は、地震予知研究から雪害対策のための研究まで大変幅の広いものですが、海底地震情報ネットワークの整備を推進するほか、特に兵庫県南部地震に関しては、関係研究機関と共同で建築物の被害や地震断層等の調査を実施するなど、積極的に取り組んでまいります。
 同時に、生活者の立場を一層重視した科学技術の振興を図るため、生活者や地域社会のニーズに密接に関連した研究開発と、研究成果を生活者や地域社会へ適用するための技術開発を進めます。
 健康の維持増進は、いつの時代にも最も切実に希求されるものであります。特に、日本人の死亡原因の四分の一を占めるがんを撲滅するための研究については、放射線医学総合研究所における重粒子線がん治療研究等を進めるほか、高度情報ネットワークを利用した重粒子線高度がん治療推進センターの整備に着手し、重粒子線がん治療法の早期確立・普及を図ります。
 第三に、先端科学技術分野の研究開発の推進であります。
 科学技術全般の基礎となる知見を与え、また多くの分野の科学技術を先導していくためには、物質・材料、生命現象等を対象とする科学技術や、宇宙、海洋等、人間の活動領域を拡大する科学技術といった先端的な科学技術を推進する必要があります。
 このうち、宇宙開発は、向井宇宙飛行士の活躍などにより、私たちに一層身近なものになりました。ようやく欧米の水準に迫る技術的能力を得た我が国は、これを一層活用し、地球観測分野等の人工衛星の開発、宇宙ステーション計画への積極的な参加を初めとして、将来の無人有翼往還機の技術基盤の確立等、この分野の研究開発を推進いたします。
 昨年八月に打ち上げられた技術試験衛星Y型きく6号のふぐあい原因と対策等につきましては、宇宙開発委員会に設置された技術試験衛星Y型特別調査委員会における審議の結果が宇宙開発委員会で了承されました。本報告書での指摘を十分踏まえ、今後の宇宙開発に万全を期してまいります。
 人間活動のフロンティアを考えるとき、忘れてはならないものに海があります。海は、大航海時代の昔から、洋の東西を問わず、人間のロマンの対象でした。二十一世紀を迎えようとしている今、地球表面の七割を占めるこの海洋が、地球環境に大きな影響を与えていることが徐々に解明されてきております。私は、有人潜水調査船「しんかい六五〇〇」などにより深海調査研究を一層進めるほか、大型海洋観測研究船の整備、深海掘削船システムの研究開発等を進め、全地球規模でとらえなければならない地球環境問題の解明に努力をいたします。
 第四は、エネルギーの安定確保であります。
 エネルギー資源の八割以上を海外からの輸入に依存し、今後ともエネルギー需要の着実な伸びが予想される我が国にとって、現在及び将来にわたりエネルギーを安定的に確保することは極めて重要な課題です。
 このため、今後とも、原子力、核融合のみならず、太陽エネルギー等の新エネルギーに関する研究開発を進めます。
 特に原子力は、供給安定性や経済性、さらには地球環境の面ですぐれており、既に我が国の総発電電力量の約三割を賄い、脆弱な我が国のエネルギー供給構造の克服に貢献する基軸エネルギーとなっております。私は、昨年六月に改定された長期計画に従って、平和利用と安全確保を大前提に、情報の公開、透明性の向上に努めつつ、国内外の理解を得ながら、核燃料リサイクルの着実な展開とバックエンド対策等に取り組んでまいります。
 原子力の開発利用を進めるに当たっては、その安全の確保が大前提であり、今後とも一層取り組みを充実いたします。また、原子力の安全確保は、単に国内にとどまらず、国際的な取り組みが極めて重要であり、原子力安全に関連する分野全般における国際協力に積極的に取り組みます。
 また、我が国は、今後とも原子力の平和利用を堅持するとともに、世界的な核不拡散体制の充実強化に貢献してまいります。このため、大型再処理施設に対する保障措置体制の整備等、我が国の責務を誠実に履行していくほか、先進的リサイクル技術の研究等への取り組みを強化するとともに、プルトニウム利用計画の透明性向上に向けた国際的枠組みづくりへの貢献等を図ってまいります。
 北朝鮮の核開発問題に関しては、昨年十月の米朝枠組み合意の履行を通じた北朝鮮に対する軽水炉提供のための国際的な支援に当たって、平和利用への限定と十分な安全確保を求めてまいります。
 さらに、国民生活に密接に関連した放射線利用機器等を対象とする放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律について、安全性の確保に支障を来すことなく規制の合理化を図るため、今国会に同法の改正案を提出し、御審議をお願いすることとしておりますので、よろしくお願いをいたします。
 村山総理大臣は、施政方針演説で、知的資産の創造などの四つの創造を柱とした国づくりに言及されました。これらの課題に取り組むに当たっては、尽きることのない資源である科学技術が果たすべき役割は極めて大であり、私はこの四つの創造を支え、知的未来社会を構築していきたいと思います。
 未来への発展基盤である科学技術に課せられた重大な使命に思いをいたしつつ、科学技術行政の責任者として全力を尽くしてまいります。
 委員長初め委員各位の御指導、御協力を心よりお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(高桑栄松君) 次に、平成七年度科学技術庁関係予算について説明を求めます。科学技術庁石井官房長。
#10
○政府委員(石井敏弘君) 平成七年度科学技術庁関係予算の概要を御説明申し上げます。
 平成七年度一般会計予算において、科学技術庁の歳出予算額四千九百二十六億三千四百万円を計上いたしており、これを前年度当初歳出予算額と比較いたしますと、二百九十億二千三百万円、六・三%の増加となっております。また、電源開発促進対策特別会計において、科学技術庁分として、歳出予算額一千四百九十六億八千六百万円を計上するほか、産業投資特別会計から、日本科学技術情報センターに対し、三十八億円の出資を予定いたしております。
 以上の各会計を合わせた科学技術庁の歳出予算額は、六千四百六十一億二千万円となり、これを前年度の当初歳出予算額と比較いたしますと、四百八億八千二百万円、六・八%の増加となっております。
 また、国庫債務負担行為限度額として、一般会計一千五百一億六千六百万円、電源開発促進対策特別会計四百五十七億八千八百万円を計上いたしております。
 さらに、一般会計予算の予算総則において、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を一兆二千七百二十二億円とするとともに、動力炉・核燃料開発事業団法第三十四条の規定により、政府が保証する借り入れ等の債務の限度額として九十二億円を計上いたしております。
 次に、予算額のうち主要な項目につきまして、その大略を御説明申し上げます。
 第一に、創造的・基礎的研究の充実強化と科学技術振興基盤の整備のため、八百三十六億二千八百万円を計上いたしました。
 まず、創造性を重視した基礎研究の推進といたしまして、産学官の連携により重要な基礎研究等を推進するための科学技術振興調整費を大幅に拡充し、百八十五億円を計上するとともに、創造科学技術推進制度等の重要な基礎研究推進制度を充実するほか、基礎研究の一層の充実を図るため出資金を活用する方策について調査を行うこととしております。
 また、科学技術振興基盤の整備といたしまして、研究開発の高度情報化の促進に必要な経費として七十六億六千四百万円を計上するとともに、大型放射光施設(SPring8)の整備等放射光利用の促進を図るため、百五十五億五千九百万円を計上いたしました。
 また、日本科学技術情報センターにおける科学技術情報の流通促進等のため、産業投資特別会計から同センターに対し、三十八億円の出資を予定いたしております。
 このほか、研究組織、研究分野等を超えた研究交流の総合的推進、国の研究施設の整備、人当研究費の拡充、科学技術系人材の確保養成、科学技術の地域展開等を進めることとしております。
 第二に、国民生活に密着した科学技術の推進を図るため、二百五十四億四千百万円を計上いたしました。
 これにより、高齢化社会への対応等生活者や地域社会のニーズに密接に関連した研究開発を行うため、生活・社会基盤研究開発制度を創設するとともに、広域深部観測施設の整備の推進等による地震予知研究等の防災安全対策の充実を図るほか、重粒子線がん治療等のがん関連研究、ヒト遺伝理解析等の健康の維持増進、食品成分データの整備等の生活環境の向上、及び人間特性に調和した科学技術の推進を図ることとしております。
 第三に、科学技術による国際社会への貢献を図るため、一千七百八十六億八千六百万円を計上いたしました。
 まず、宇宙からの地球観測を行うための環境観測技術衛星等の研究開発の推進や大型海洋観測研究船の整備を図ること等により、地球環境問題への取り組みを強化するとともに、宇宙ステーション計画、国際熱核融合実験炉(ITER)計画、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム等の国際協力プロジェクトに積極的に参加することとしております。
 このほか、アジア・太平洋諸国、旧ソ連を初め各国との研究交流支援、さらには、外国の研究者の受け入れ等を総合的に推進することとしております。
 第四に、先端科学技術分野の研究開発の推進を図るため、二千九百六十億五千百万円を計上いたしました。
 まず、宇宙開発利用の推進といたしまして、将来の多様な宇宙開発活動の安定的展開を図るため、宇宙往還技術試験機の研究開発を進めるとともに、通信放送技術衛星、技術試験衛星Z型、地球観測プラットホーム技術衛星、光衛星間通信実験衛星、環境観測技術衛星等の各種人工衛星の研究開発、並びにJIロケットの研究開発、さらに宇宙ステーション計画への参加等の推進のため、一千六百二十九億三千二百万円を計上いたしました。
 次に、海洋開発の推進といたしまして、深海環境研究開発、海洋観測研究開発等を行うため、百四十六億五百万円を計上いたしました。
 次に、核融合、ビーム利用等原子力研究開発の推進といたしまして、国際熱核融合実験炉(ITER)計画、臨界プラズマ実験装置等による核融合の研究開発、重粒子線がん治療等のビーム利用の高度化、高温工学試験研究等を進めるため、八百三十三億八百万円を計上いたしました。
 次に、超電導材料、インテリジェント材料、スーパーダイヤモンド等の物質・材料系科学技術の研究開発の推進のため、百十八億一千二百万円を計上し、また脳・神経研究等のライフサイエンスの研究開発の推進のため、二百七十五億六千六百万円を計上し、さらに、航空技術等の研究を推進するため、百十九億六千五百万円を計上いたしております。
 第五に、エネルギーの安定確保のため、二千十七億二千九百万円を計上いたしました。
 まず、核燃料リサイクルの着実な展開とバックエンド対策の推進を図るため、ウラン資源の確保、ウラン濃縮、使用済み核燃料の再処理、高速増殖原型炉「もんじゅ」の性能試験、高レベル放射性廃棄物等の処理処分対策等についての研究開発等を行うとともに、民間における核燃料サイクル施設建設計画の円滑な事業化等を促進するため、一千三百九十七億三千二百万円を計上いたしました。
 また、未来エネルギーの研究開発を推進することとし、究極のエネルギー源として期待される核融合の研究開発の推進を図るとともに、新エネルギー研究開発の新たな展開を図るため、三百六十六億四千四百万円を計上いたしました。
 さらに、原子力の開発利用に対する国内外の理解の増進と情報の公開を図るため、地元と原子力施設が共生できるよう、周辺地域住民の福祉の向上、地域振興等に必要な施策を講じるとともに、一般国民の信頼感、安心感を得ることができるようきめ細かくわかりやすい広報活動等を展開するため、二百五十三億五千四百万円を計上いたしました。
 第六に、原子力安全対策及び核不拡散対応の充実強化を図るため、五百七十三億二千八百万円を計上いたしました。
 まず、原子力安全規制行政の充実、安全研究の推進、放射能調査研究の充実等原子力安全対策の充実強化のため、五百十五億六千四百万円を計上いたしました。
 さらに、原子力平和利用の確保という我が国の責務を果たすため、保障措置、核物質防護対策を充実強化するとともに、透明性の向上を図りつつ、世界的な核不拡散体制の充実強化に積極的な貢献を果たすため、五十七億六千五百万円を計上いたしました。
 以上、簡単でございますが、平成七年度科学技術庁関係予算につきまして、その大略を御説明申し上げました。
#11
○委員長(高桑栄松君) 以上で所信の表明及び予算の説明は終わりました。
 次に、阪神・淡路大震災に関する件について科学技術庁の説明を求めます。科学技術庁沖村研究開発局長。
#12
○政府委員(沖村憲樹君) 阪神・淡路大震災への当庁の対応につきまして御説明申し上げます。
 まず、政府全体としての対応への参画でございますが、まず非常災害対策本部へ参加をいたしております。また、政府調査団に対しまして当庁から研究者を派遣しておるところでございます。また、兵庫県南部地震対策関係閣僚会議あるいは兵庫県南部地震緊急対策本部あるいは兵庫県南部地震復興対策緊急立法検討プロジェクトチームヘ参画をいたしております。
 二番目に、科学技術庁としての対応でございます。
 まず、地震予知研究の促進でございますが、大臣が本部長となっております地震予知推進本部に関連いたしまして、一月十八日に幹事会を開催し、また二月十日に本部会合を開催いたしまして、今後の地震予知の観測、研究の充実強化方策につきまして、中長期的な観点から、地震予知連絡会とも協力をしつつ検討を進めているところでございます。
 二番目に、科学技術振興調整費緊急研究の推進でございます。
 五ページ(参考3)をごらんいただきたいのでございますが、ここにございますように四つの項目、大規模地震火災と消防活動に関する調査研究、災害時交通対策に関する調査研究、土木構造物・建築物被害等に関する調査研究、変動地形・地震断層調査といった項目につきまして、その下にございます八省庁十機関の参加を得まして、現在振興調整費緊急研究を進めさせていただいているところでございます。
 三番目でございますが、防災科学技術研究所等による現地調査の実施でございます。
 防災科学技術研究所及び金属材料技術研究所の研究者が、一月十九日から二十二日にかけまして、被害の実態等の地上調査を実施いたしております。また、防災科学技術研究所及び通産省工業技術院地質調査所の研究者が、一月二十日から二十一日にかけまして、航空宇宙技術研究所が所有しております航空機ドルニエ228を活用いたしまして、航空写真等によりまして現地上空からの調査を実施しておるところでございます。
 次に、政府全体としての対応への協力でございます。
 まず一番目でございますが、岡山県玉野に停泊をしておりました海洋科学技術センターの船舶「よこすか」につきまして、当初は物資の輸送手段としての利用を国土庁、近隣自治体等に申し出を行っておりましたが、最終的には、国土庁を通じまして厚生省からの依頼を受けまして、一月二十九日から神戸港におきまして、地方自治体等から派遣されて被災民への医療活動を実施中の医療関係者の宿泊施設として利用されております。また、二月九日からは、「よこすか」にかえまして、「かいよう」を同様の任務に充てております。現在まで合わせて七百六十人の方が利用をしていただいているところでございます。
 二番目、航空宇宙技術研究所が所有をしております航空機ドルニエ228の活用の申し出を、国土庁、消防庁等の関係省庁に行っておるところでございます。
 また、三番目、日本科学技術情報センターにおきましては、一月十八日から、インターネットを通じまして義援金等の関係情報を国内外に提供しておりまして、現在までのところ、海外、国内から合わせて四千件以上の問い合わせが参っております。
 四番目、当庁関係機関が保有いたします物資、簡易ベッド、寝具、防寒具等でございますが、これを提供いたしておりまして、国土庁から指定されました神戸市の兵庫県消防学校にこれを輸送いたしております。
 五番目でございますが、放射線医学総合研究所、日立メディコ、結核予防会千葉県支部によりまして共同開発をいたしましたラセンCT搭載検診車を日赤神戸病院に派遣いたしまして、現地の医療活動へ放射線医学総合研究所の医師等が参画をいたしまして行っておるところでございます。一月二十二日から二十九日までに、脳挫傷、脳梗塞、呼吸困難等の患者合計六十七名の診断を行っておりますが、現在、現地の日赤神戸病院等の都合によりまして、二十九日をもって診断を打ち切らせていただいているところでございます。
 以上でございます。
 次に、技術試験衛星Y型きく六号のふぐあい原因等に関する調査について報告を求めます。科学技術庁沖村研究開発局長。
#13
○政府委員(沖村憲樹君) きく六号の現状につきまして御説明を申し上げます。
 まず経緯でございますが、昨年八月二十八日、宇宙開発事業団が種子島宇宙センターからHUロケット試験機二号機により打ち上げました技術試験衛星Y型きく六号につきましては、ロケットから無事分離されたものの、衛星のアポジエンジンが故障いたしまして予定した静止軌道に投入することができず、楕円軌道を周回中でございます。
 これにつきまして三ページの(参考1)をごらんいただきたいのでございますが、外側の丸い円、これが当初予定をしておりました静止軌道でございます。これに投入することができず、現在、楕円軌道の一番外側の現軌道とある軌道、ここを周回いたしておるところでございます。
 また一ページにお戻りいただきまして、宇宙開発委員会における調査審議でございますが、宇宙開発委員会におきましては、技術試験衛星Y型に生じましたふぐあいに関する原因の究明及び今後の対策等について検討するために、昨年の九月十四日、技術試験衛星Y型特別調査委員会を設置いたしております。
 特に、アポジエンジンのふぐあいの原因究明と今後の対策につきましては、同調査委員会のもとにアポジエンジン分科会を設けまして調査審議を行いまして、昨年の十二月十五日、宇宙開発委員会の方に報告をいただきまして了承されております。
 また、その他のふぐあい、宇宙開発事業団等の開発体制等につきましても同調査委員会で調査審議を行っていただきまして、これも昨年の十二月二十七日に宇宙開発委員会の方に御報告をいただいておるところでございます。
 報告の要点につきましてかいつまんで御説明させていただきます。
 まず、アポジエンジンのふぐあいにつきましてでございますが、四ページの(参考2)をごらんいただきたいのでございますが、まず、アポジエンジンの出力が十分に出なかった原因、第1部の(1)のアのところでございます。
 読み上げさせていただきますと、打ち上ザ飛行時のランダム振動等により、二液推薬弁のばねが横に変位し、ピストンヘッドとケーシングの間に入り込んだ、かみ込みをしたということでございます。宇宙空間の高真空中で摩擦係数が増大し、ばねのかみ込みが外れなくなり、ピストンの動きを妨げ、推薬の流量が制限されたということが、アポジエンジンの出力が十分に出なかったという原因になっております。
 これに対しまして、宇宙開発事業団でどういう対応をしたかという考え方でございますが、その下の(2)のアポジエンジンの構造、二液推薬弁というところをごらんいただきたいのでございますが、読み上げさせていただきますと、ばねの大きな横変位は、地上では大きなランダム振動を加えた厳しい条件下では起きなかったが、実際の飛行振動環境と同等の小さなランダム振動を加える緩やかな条件下の方が発生し得るという特異な現象であることが判明をいたしております。
 ただ、地上試験で相当の回数の作動試験等が実施されたものの、今回のようなふぐあいの兆候は生じていないこと、一般に地上試験は飛行環境よりも厳しい条件で行われること、地上では完全な宇宙空間の真空度を模擬して摩擦係数が増大する環境で作動試験等を実施することは困難であったこと等を考慮すると、宇宙開発事業団が今回の特異な現象の可能性を予見し、それを弁の構造に反映させることは困難であったという先生方の御意見でございます。
 しかしながら、実際には予期せぬばねの横変位が生じたものと推定され、ばねの横変位を防止する構造となっていれば、ふぐあいは生じなかったものと推定される。宇宙での不測事態に対して、今後はより注意深い対応が必要であるという御指摘をいただいているところでございます。
 これに対する対策といたしましては、次の五ページをごらんいただきたいのでございますが、(3)のアの(ア)でございますが、今後、類似の二液推薬弁を使用する場合には、ばねのかみ込み防止策、真空中の金属間の接触、摺動の防止、改善等について検討する必要があるという御指摘をいただいております。
 また、地上試験につきましては、ここにございますように、開発過程における地上環境試験につきましては、実際の飛行環境よりも厳しい条件での試験という従来の基本的な方法の採用を基礎としつつも、HUロケットの実測データが蓄積されつつある状況にかんがみ、必要に応じ、それらのデータをもとに飛行環境に近い試験条件を設定し、地上環境試験を実施することも検討する必要があるという御指摘をいただいております。
 また、関連事項といたしましては、高真空環境下での凍結や摩擦係数の増大のような、十分なデータが蓄積されていない宇宙空間特有の現象につきまして、関連する調査研究を推進する必要があるというような御指摘をいただいているところでございます。
 次に、開発体制でございますが、これにつきましては、六ページの(3)に御指摘をいただいているところでございます。
 宇宙開発事業団を中心とする開発体制につきましては、まず技術研究本部の要員を増強して専門技術者を養成し、この専門技術者を開発の審査に加えることによりまして、宇宙開発事業団における審査体制の充実及びこれを支える技術能力の向上、蓄積を図る必要があると指摘をいただいております。
 また、宇宙開発事業団の技術能力の向上を支援し、審査の客観性を確保するために、幅広い分野の経験を有する外部専門家等のアドバイスを開発の各段階に適時的確に反映できるようにする必要があるという御指摘をいただいております。
 またさらに、開発プロジェクト全体の成功のためには、宇宙開発事業団とメーカーの一層緊密な協力とともに、我が国全体の総合的な技術能力の厚みとすそ野を広げていく必要がありまして、このためには、宇宙開発事業団だけでなく、メーカーにおいてもインテグレーション技術、要素技術の能力を高めていくことが必要であるという御指摘をいただいております。
 このほかにも、将来の宇宙開発の大規模化、複雑化にかんがみまして、今後、より効率的な技術情報システムの高度化と活用を推進することの必要性が指摘をされておるところでございます。
 二ページにお戻りいただきたいのでございますが、この報告書をいただきまして、科学技術庁といたしましては、宇宙開発事業団に対しまして、同報告書で指摘された点を踏まえて、速やかな具体的な対策を取りまとめるよう指示をいたしております。
 これを受けまして宇宙開発事業団では、具体的な対策について直ちに実施できるものは実施し、また外部の学識経験者の意見も参考にしながら、開発体制等検討に時間を要するものにつきましては、本年の四月を目途に検討を進めさせていただいておるところでございます。
 また、きく六号の運用状況について簡単に御説明を申し上げます。
 先ほど御説明したとおり、きく六号につきましては現在楕円軌道を周回中でございます。衛星の軌道が当初と違っておりますこと、あるいは運用期間の短縮等から、所期の目標すべては達成できないものの、衛星のバス、衛星の構造体系の機器につきましては、アポジエンジンの機能確認、機器の寿命評価を除きまして相当程度の実験が可能であります。
 また、きく六号の軌道を通信実験に適した軌道に変更いたしまして、制約条件はあるものの、三日置きにある程度の通信実験が可能となっております。
 これによりまして、現在までに大型太陽電池パドルの展開、アンテナの展開、三軸姿勢制御技術の確立、バス系、構造体系の機能の確認、搭載実験機器を用いた実験、可能な通信実験などを逐次実施をさせていただいているところでございます。
 詳細につきましては、(参考3)の方をごらんいただければと思います。
 以上でございます。
#14
○委員長(高桑栄松君) 田中科学技術庁長官は退席されて結構でございます。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#15
○委員長(高桑栄松君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#16
○委員長(高桑栄松君) 次に、百三十一回国会閉会中、当委員会が行いました委員派遣について、派遣委員の報告を行います。志村哲良君。
#17
○志村哲良君 委員派遣についてその概要を御報告申し上げます。
 去る一月十七日及び十八日の二日間、高桑委員長、河本理事、稲村委員、瀬谷委員、長谷川委員及び私、理事志村の六名は、佐賀県及び長崎県に派遣され、九州電力株式会社玄海原子力発電所、ハウステンボス熱供給株式会社及び長崎大学医学部を視察してまいりました。
 以下、調査の概要について申し上げます。
 まず、九州電力株式会社玄海原子力発電所は、玄界灘に面した玄海町値賀崎の突端に位置し、現在、加圧水型軽水炉三基が運転中であり、一基が建設中となっております。
 昭和五十年十月に一号機が五十五万九千キロワットの電気出力で運転を開始して以来、五十六年三月には二号機が、平成六年三月には三号機が、それぞれ五十五万九千キロワット、百十八万キロワットで運転を開始いたしました。現在、四号機が約三千四百億円の工費をかけ、平成九年七月に百十八万キロワットで運転開始の予定となっております。
 同社には、このほか、川内原子力発電所に原子炉二基があり、これら原子力発電の占める割合は平成五年度の実績ベースで二百四十二億キロワットアワー、全発電電力量の三六%となっております。今後、原子力発電は、平成十年度には三百四十七億キロワットアワー、全体の四六%に上る予定であるとの説明でありました。
 同社では、原子炉の建設に当たり、異常の発生の予防、事故の発生、拡大の防止及び周辺への放射性物質の異常放出防止といった多重防護の考えに基づき、原子炉機器の厳重な品質管理のもと、運転・補修要員の資質の向上等により安全性確保には万全を期しているとのことであります。
 今回視察いたしました三号機は平成六年三月に運転を開始したもので、国の改良標準化計画を取り入れ、従来の鋼板製原子炉格納容器にかわりプレストレストコンクリート製の格納容器を採用するなど、小型化及び耐震性の向上が図られております。また、中央制御室は、人間工学に基づくマン・マシン・インターフェースの改善による操作性、監視性及び居住性の向上が図られているとのことであります。
 なお、三号機は、昨年十二月より第一回目の定期検査が開始され、約三カ月の間に、原子炉設備、タービン設備、電気設備及び制御設備の細部にわたる分解、点検が行われることとなっております。視察の当日は、タービン建屋では開放点検が行われており、タービンの羽根車を間近に視察できました。
 また、国の内外で発生したトラブル等についても定期的な検討会が開かれており、必要に応じ、定期検査において改善策を実施するなど安全対策がとられております。原子炉の運転上の安全確保のためには運転員や補修要員の能力、資質の向上が重要であり、同社では、社内の訓練のほか、運転員の能力に応じて計画的に原子力発電訓練センターに派遣し、原子炉の基礎理論からシミュレーションによる異常時の判断措置訓練に至る訓練が実施されております。
 次に翌日は、まず、ハウステンボス熱供給会社において概況説明を聴取し、コージェネレーション施設及び海水淡水化装置等を視察いたしました。
 ハウステンボスは、その設計段階から施設と地域環境の融合を基本コンセプトとし、都市における多様なニーズに応じ、施設空間の快適性と安全性の確保及び都市環境・景観整備などと同時に、エネルギー消費の適正化にも力を入れております。
 同社では、エネルギ「有効利用の一手法として、ガスタービン発電設備と廃熱ボイラーの組み合わせによるコージェネレーションシステムを採用し、地域に電力及び熱の供給を行っております。
 ガスタービン発電設備は電力会社と常時系統連系を行い、受電電力の平準化を図り効率のよい運転を行うとともに、非常時及び停電時には非常用発電設備として、各防災、保安等の負荷に電力を供給するシステムとなっております。このほか、開発計画のポリシーの一つである自然環境との調和、環境保全の考え方に立ち、天然ガスの計画的利用が展開され、さきに述べました地域冷暖房熱源やコージェネレーションシステムの燃料のほか、ハウステンボス内の各施設の温水器、厨房ガス機器にも使用され、環境保全の見地から大気汚染や地球温暖化防止に努めております。
 また、長崎県においては、昨年来から厳しい給水制限が行われておりますが、ハウステンボスでは上水から下水に至るまで地域内でリサイクルを行っており、上水の供給に関しては、現在、常設の海水淡水化装置プラントに加え仮設プラントが全面稼働しております。これにより、日量千二百トンの上水が供給され、同地における渇水対策に非常に役立っているとのことであります。
 最後に、長崎大学医学部を訪問し、同学部の概況説明及び遺伝子解析にかかわる研究について説明を聴取いたしました。
 同大学医学部は、徳川幕府が海軍創設のため、オランダから招いた第二次海軍伝習派遣隊の一員であったオランダ海軍軍医ポンペが、安政四年、日本で初めて開設した長崎医学伝習所がその始まりであり、その後、幾多の変遷の後、昭和二十四年に現在の長崎大学医学部の体裁を整え、現在に至っております。
 医学部には、附属の施設として原爆後障害医療研究施設、原爆被災学術資料センター、動物実験施設があり、それぞれ被爆者の治療及び放射線の人体に与える影響の研究、原爆被災についての医学的資料の収集、整理、活用、並びに実験用動物の飼育開発を行っております。
 ヒトゲノム解析は、ヒトの全遺伝子の塩基配列を解明することを目的とした研究であり、がん、アルツハイマー病等の疾患の原因解明及び治療に資するものとして関係省庁等において研究を進めているところであります。同大学においては、不明の遺伝子疾患の原因遺伝子の単離を主なテーマとして研究を進めてきており、研究対象及び周辺領域の遺伝子の解析を行うことによりゲノム解析全体に貢献しているとのことであります。
 原爆後障害医療研究施設においては、染色体顕微切断法による難聴に関係する遺伝子の単離に成功し、さらに幾つかの難病の原因遺伝子の単離を進めているとのことであります。
 大学等において先進的な研究を進めるためには、十分な人材と研究費が不可欠でありますが、現在、特に深刻な研究支援者不足が指摘されており、この点については速やかな改善策が必要であると思われます。
 以上でございますが、最後に、今回の調査に当たり御協力を賜りました関係者各位に心から感謝を申し上げ、報告を終わります。
#18
○委員長(高桑栄松君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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