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1995/03/10 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 科学技術特別委員会 第3号
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1995/03/10 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 科学技術特別委員会 第3号

#1
第132回国会 科学技術特別委員会 第3号
平成七年三月十日(金曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     古川太三郎君     乾  晴美君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         高桑 栄松君
    理 事
                河本 三郎君
                志村 哲良君
                久保田真苗君
                浜四津敏子君
    委 員
                井上  孝君
                鈴木 栄治君
                二木 秀夫君
                前島英三郎君
                守住 有信君
                穐山  篤君
                稲村 稔夫君
                三上 隆雄君
                泉  信也君
                林  寛子君
                乾  晴美君
                西山登紀子君
                下村  泰君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       田中眞紀子君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        関根 則之君
       科学技術庁長官
       官房長      石井 敏弘君
       科学技術庁技術
       技術政策局長   落合 俊雄君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   工藤 尚武君
       科学技術庁研究
       開発局長     沖村 憲樹君
       科学技術庁原子
       力局長      岡崎 俊雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    笹谷  勇君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        堀籠 秀昌君
   説明員
       文部省高等教育
       局大学課長    近藤 信司君
       文部省学術国際
       局研究機関課長  早田 憲治君
       工業技術院地質
       調査所首席研究
       官        加藤 碵一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(高桑栄松君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二月十五日、古川太三郎君が委員を辞任され、その補欠として乾晴美さんが選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(高桑栄松君) 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○志村哲良君 私は、過日の大臣の所信表明に関しまして質問をさせていただきます。
 阪神・淡路大地震の見舞いに早速参上された田中大臣が、まことに目を覆うような大きな自然の力の前に立たれた感想として、この所信におきまして「大きな自然の力の前に人間の存在がいかに小さく、」云々と述べておられます。私は、自然に対して謙虚に対峙しようとする大臣の姿勢には大いに賛成の意を表するものであります。
 さらに、「科学技術庁としても、できる限り技術的、物的能力を駆使して、」云々と述べておられますが、どのような内容を考えておられるのかをお聞かせ願いたいと思います。
#5
○国務大臣(田中眞紀子君) ちょっと風邪をこじらせていて余り体調がすぐれないものですから、長時間お答えができなかったら申しわけございません。冒頭に申し上げておきます。
 一月二十九日、現地に視察に参りまして、そして、科技庁といたしましても最善の協力、努力をするべきと思いまして、関係の施設が持っておりますあらゆる物資も提供させていただきました。それから、あとは航空機ですとか船とかいろいろ提供させていただきまして、宿泊施設に利用していただきましたり、物資の運搬に役立てていただきました。
 それから、一番喜ばれましたのは、放医研が持っておりますラセンCTという診断車がございまして、それでもって大体六十七名ぐらいの方を診療してさしあげることができまして、おけがをなさった方々には随分喜んでいただくことができました。その現場にも私は行ってまいりまして、日赤の方からも大変高く評価をしていただいてよかったというふうに思っております。
 現場の問題はそれ以外もいろいろございましたけれども、むしろ地震の予知とか、この間の衆議院、参議院の予算委員会でも随分議論がございましたけれども、そういう防災の面でも科技庁は今後全力を挙げて研究していくべきではないかというふうに思っております。
#6
○志村哲良君 実は私は、昨晩、本日の質問に備えまして、何かあらはないかと思いましてこの所信表明を読み返してみたわけでありますが、まことによくまとまっております。
 さはさりながら、ここに立ちましてあれも結構、これも結構と申すだけではどうも質問になりませんので、幾つかの件に関して質問をいたします。
 次に、行政改革に関しましては、「特殊法人の見直しなどを積極的に行い、未来に通じる科学技術振興体制の活性化を図ってまいります。」とも述べられましたが、可能な限りの範囲で結構でございますから、具体的にお聞かせを願いたいと思います。
#7
○国務大臣(田中眞紀子君) 具体的には、新技術事業団とJICSTの統合ということを目指して、今鋭意努力をさせていただいております。
 幸い、皆様から大変御理解いただいておりまして、これを機会に六つありますすべての法人もむだ等の見直しをしたいということ、それから内庁に関しましても、機能的に仕事ができるような体制づくりということで若い世代の方も大変熱心に取り組んでおられるということを御報告申し上げたいと思います。
 いずれにいたしましても、二十一世紀の科学技術を振興するために、新しい視点で基盤整備をするということを目的として皆さん頑張っておりますことを御報告申し上げます。
#8
○志村哲良君 次に、創造的・基礎的研究の充実強化と科学技術振興基盤の整備に関しましては、「科学技術振興調整費等の基礎研究推進制度を拡充するとともに、」云々と述べられましたが、私は、これには全面的な賛意を表するものであります。
 次に、国民生活に密着した科学技術の推進については、「兵庫県南部地震に関しては、関係研究機関と共同で建築物の被害や地震断層等の調査を実施するなどこと述べられました。
 この中で私は、「地震断層等の調査」というのはちょっと賛成をいたしかねる言葉であります。この地震断層というのは地下に震源がありまして、地震活動が起こってきた、これが地表に達して地震断層と呼ばれる小さな断層等々をつくり出すということであろうと私は理解をしておりますが、この地震断層だけを追いかけて、だけではありませんが、結果として起きた地震断層を幾ら追っても、私は本当の地震の予知なりなんなりの基本的な問題に触れることはできなかろうと考えます。やはり地震対策に関しましては、例えば、そのもとでどのようにして活断層を起こす応力が発生するのか、そのような問題に触れていくことが地震予知にとってはかけがえもなく必要なものではないかと思うものであります。
 でありますから、この「地震断層等の調査」というのはちょっとこの場合賛成しかねますが、いかがでしょうか。
#9
○政府委員(沖村憲樹君) 今、先生御指摘のとおりでございまして、科学技術庁といたしましても、地震断層、これは活断層等は地震の原因となりますので調査は必要でございますけれども、それと同時に、この活断層がどうしてできるか、そういうことにつきましては、プレートの現状でありますとか地質の現状でありますとか、そういう問題についての基本的な研究を進めながらやっていかなければいけないというふうに考えております。
 それで、この点につきましては、大学あるいは科学技術庁の防災科学技術研究所、それから国土地理院等におきまして先生のおっしゃるような意味での基礎研究も大いに進めさせていただいているところでございますので、今後ともこの点につきまして力を入れてまいりたいというふうに思っております。
#10
○志村哲良君 またこの中で、「日本人の死亡原因の四分の一を占めるがんを撲滅するための研究については、放射線医学総合研究所における重粒子線がん治療研究等を進めるほか、高度情報ネットワークを利用した重粒子線高度がん治療推進センターの整備に着手し、重粒子線がん治療法の早期確立・普及を図ります。」と述べられましたが、これはまことに結構なことでして、多くの人々が心から待ち望んでいることであると私は思料いたしますが、この点、大臣いかがですか。
#11
○国務大臣(田中眞紀子君) 放医研におきましては、具体的には現在二十一人の方の治療をさせていただいております。それで、昨年の六月より臨床試行を開始しておりまして、さらに高度な診断機能を有する重粒子線がん治療施設、これは新しい病院でございますけれども、それを平成八年度に完成することを目指して現在建設中でございます。そのほか、遠隔治療の情報ネットワーク化をいたしますとか、あるいは外部の医療関係者等の養成及び治療法の高度化のための共同研究など、いろいろな機能を持つものを八年度を完成めどとして現在建設に着手をしているところでございます。
#12
○志村哲良君 さらに、先端科学技術分野の研究開発の推進という項目におきましては、宇宙開発の件に関して「ようやく欧米の水準に迫る技術的能力を得た我が国は、」云々と述べられましたが、私は、これに関しましては若干の懸念があります。
 思い起こしてみましても、月面着陸を目指したアメリカの宇宙飛行士アームストロング船長とオルドリン飛行士が月の静かの海に着陸されたのが一九六九年、昭和四十四年でしたし、その年に我が国においては宇宙開発事業団が発足をいたしたわけであります。その後、アメリカにおきましては六回の着陸が行われ、十二人の飛行士たちが月面におり立っておりますことは大臣が御承知のとおりであります。
 そんなことに思いをいたしますと、先ほどの「欧米の水準に迫る技術的能力を得た我が国は、」云々との所信を素直に受けとめてよいんだろうかという疑念がわくこともあります。ちょっと申し上げつらい質問ですが、ざっくばらんにお伺いをいたします。いかがでございますか。
#13
○政府委員(沖村憲樹君) 今、先生から御指摘いただきました点でございますが、我が国としましては、欧米に非常におくれて宇宙開発に着手したということがございます。その後、着実に自主技術の開発を進めまして、我が国で初めてニトン程度の静止衛星打ち上げ能力を有するHUロケットを自主技術で開発できたということがございます。これによりまして、ロケットにつきましては国際水準の基本的な技術といいますか、そういうポテンシャルを得ることができたんしゃないかという認識でございます。
 また、有人の分野につきましては、今先生御指摘になりましたとおり、アメリカやロシアでは大変な宇宙有人活動が行われておりまして、その面では全く画然たる差がある、大きな格差があるというふうに考えております。ただ、我が国といたしましては、こういう両国と差があることもございますけれども、我が国の宇宙開発の姿勢としては、これまで開発をしてまいりました宇宙開発の成果を踏まえまして、着実に効率的に我が国独自の立場からこれを進めていくということが必要ではないかというふうに認識をいたしておるところでございます。
#14
○志村哲良君 再びこのたびの阪神・淡路大震災に戻りますが、このたびの阪神・淡路大震災のすさまじさを目の当たりにいたしまして、私は改めて地震災害の恐ろしいことに思いを実はいたしたものであります。
 「選択」という雑誌があります。この一九九五年二月号の巻頭インタビューにおきまして、東海総合研究所社長の水谷研治さんという方がお答えになっておられることでありますが、同氏が東海銀行の調査部長をしていた一九八九年ころ、国土庁の推計をもとにしてシミュレーションした関東大震災と同じ規模の地震が東京を襲ったらどうなるかということに対する予測を実はこの中で述べておられます。
 いろいろな数値を挙げておられますが、それらはきょうは関係ないことですから割愛をいたしますが、ともかく東京が破壊されることによって、日本経済が一時的にせよ壊滅状態となるであろう。さらに、これが要因となって世界的な恐慌を引き起こす可能性があると述べておられます。
 世界的な恐慌に至る理由といたしましては、アメリカもその他の国々も日本からの借財が多分にあるわけです。首都が壊滅的な状況に陥ってきたというときには、日本がこれらの債務の返還を求めるようになるだろうと思います。そうなりますと、世界の経済は恐慌を来してくるのではないかという懸念も持っておられるわけであります。
 こんなことを目にし、耳にいたしますと、私は、改めて地震の予知というのは人類の悲願でさえあると痛感をいたすところであります。
 近年においては、しきりに東海大地震というのが予測されておりましたが、これの根拠は例のプレートテクトニクスという理論でありました。ところが、このたびの大震災が起こりましたら、せんだっても党の部会で地震予知の専門家の先生方三名にお越しをいただいて御説明をいただいたんですが、そのような先生方でも口を開かれると活断層、活断層と、テレビを見ても活断層、書き物を見ても活断層、活断層がこれはもう日本じゅうに命あふれるように出てきまして、このプレートテクトニクスなんというのは影を潜めてどこかにいってしまいました。
 もちろん、プレートテクトニクスというようなものは活断層を起こす要因になるということであると私は理解をいたしますが、やはり何といいましてもこのプレートなるものの、あれほど喧伝されたプレートなるものの正体をしっかりと把握することが地震の予知にとっては不可欠に大事ではないかなという思いを私はいたしております。
 それに対しましては、海洋科学技術センターに所属しております「しんかい六五〇〇」などが、この実態把握のために現時点では極めて有効な働きをしてくれるものではないかと私は考えておるものであります。
 実は、プレートの把握をもうちょっとしっかりしなくちゃいけないだろうと考えます理由は、大臣にも関係の深いことでありますが、一九八三年、日本海中部地震という大きな地震がありました。それを契機にして、実はそれまで樺太のあたりに引かれていた北米プレートというプレートがあったんですが、あの日本海大地震が起きたら、この北米プレートの境界線が一気に新潟のあたりまで引き下げられて引かれたんです。私は、それを見て何とあいまいだ、こんなあいまいなことで地震の予知などにこれが使われたら、どうも予知なるものも信ずるには値しないんじゃないかというふうに思いました。
 ただ、それにしてもやはりプレートというものは、今の世界では恐らく多くの方々がその存在を承認しておるのではないかと思いますし、もし仮にこれがプレートテクトニクスの理論のように地震の要因になるとしたら、我々はプレートの把握を一刻も早く明確にする必要があるのではないかと私は考えておるものであります。そのようなことを通じまして、地震の予知に我々はこれもかあれもかというあらゆる努力を続けることが必要ではないかと考えておるわけであります。
 先ほども申し上げましたが、幸い科学技術庁では以前から有人潜水調査船「しんかい六五〇〇」等によって深海の調査研究を進めておられるようでありますから、あの震度のすさまじさを見ますと、この際改めてこの「しんかい六五〇〇」に地震予知に焦点を絞った調査研究などをしていただいたら非常にこれは有効ではないのかという、実はこれは素人判断ですが、思いがいたすわけであります。そのような点を大臣、ひとつ御検討をお願いしたいと思う次第でありますが、いかがでしょうか。
#15
○国務大臣(田中眞紀子君) 地質学に造詣が深くていらっしゃる志村先生ならではの御示唆だろうというふうに思いますし、「しんかい六五〇〇」の利用につきましても、また専門家と相談をぜひさせていただいて御報告を申し上げたいと思います。
 ただ、地震のプレートのこと等、先ほど来ずっとおっしゃってくださっていますけれども、日本には二千を超す活断層があるわけでございまして、その活断層の上に日本列島が成り立っていて、その上で私どもが生活をしているという実態の中で、予知というものがこれだけあらゆる方々から叫ばれていますので、予知連の先生方との会合等を持たせていただきましたけれども、予知というものは、どこの地域にということはある程度わかるかもしれないけれども、いつどの規模で起こるかということについては特定はほぼできないということを結論として承りました。
 そうであっても、一応場所等がある程度わかっているんであったらば、事前に情報をやっぱり生活者に還元する、そのための予知であるわけですから、ただ学者がその情報を把持しているのではなくて一般に還元してほしいということを申し上げましたところ、そうなるとやはり社会的なコストがかかる面があるとか、それから学者の方の権威というものももちろんあるかもしれません、それから地価が下落するようなこともあるかもしれないとか、いろいろなことをやっぱり地震予知の先生方は心配なさっているらしいんですが、そういうふうなことではなくて、受ける方の我々国民がパニックを起こさずに冷静に対応できるようなシステムとか心構えというものをつくっていくべきではないかということを思います。
 この間来の委員会でも再三この議論は繰り返されておりますけれども、予知については気象庁やら国土地理院やら大学やら科技庁やらが総力を挙げて研究しておりますし、それを一元化していかなければならないと。そのための議員立法を考えておられる先生もおられますし、そういう方向に行くことはいいことなんですが、結果的には予知よりも、現実的には私は、観測ももちろん大事なんですけれども、防災とか避難訓練とか、そういうことを冷静に対応できるようなシステムづくりをしていくことが一番現実的ではないかというふうに思っております。
 それから、科技庁に直接は関係ございませんけれども、一政治家として思いますことは、都市の集中化を避けていくと。冒頭に志村先生も首都圏にこのような地震が起こったらどうかというお尋ねがございましたけれども、やっぱり一極集中ということも見直していかなければならない、長い目で都市の拡散ということも考えていかなければならないのではないかというように考えます。
#16
○志村哲良君 大臣が最後におっしゃった一極集中を排除するというこのテーマは、我々が絶えずこれに取り組みながら、しかも実現がされてきていないと、そこにベテランの井上先生なんかもおられますが、このたびの大震災に直面して私も一極集中はやはり排さなくちゃいけないなと心底考えておる次第であります。
 実はもう少したくさん時間をいただいておりますが、きょうは五時から本会議があるということでございますので、以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#17
○鈴木栄治君 よろしくお願いいたします。
 大臣、大丈夫ですか、鼻は。調子よくないですね。ことしの風邪は厳しいんですよ。私も引きまして、三日、四日寝ないと治らないですよ。本当におもしろい大臣で、私も好きなんですけれどもね。大臣、私、時間も余りないものですから、簡単なものでございますから、どうぞ私でございますから、気軽にお答えくださいませ。
 大臣、UFOを見たことありますか、ないですか。私もないんですよ。ところが、UFOシリーズというテレビ番組があるんです。それこそ円盤が飛んできた、宇宙人が来た、宇宙人に誘拐されたとか宇宙人と交わって子供までできたとか、非常におもしろいんですね。一回ごらんになったら、多分大臣なんかはキャッキャ喜ぶんじゃないかと思うんですが、そのくらい非常におもしろいんですよ。
 じゃ、UFOと私が何なんだといいますと、私その番組を見て新たな興味の道を聞かされたんですね。要するに、私それまで理科だとか科学なんてもう勉強もできなくて大嫌いだったんです。ところが、それを見て以来、私、天体に興味を持ち出しました。そうだよな、やっぱり地球だってこんな小さいのが一つ浮いているだけなんだ、天体にはあれだけ星もいっぱいあるんだから、どこかには宇宙人がいたっておかしくないだろうとか、いろんなことを自分で想像しながら、また今度はボイジャーが行っただとか火星だとか木星だとか、それから最近はきく六号だとか、そしてまた私はその中において、このエネルギーはどうなっているんだろうと。そういう意味で科学に興味を持ち出したのでございます。だから、私は中学生ぐらいにこのUFOシリーズをもっと見ていたら、ひょっとして私は科学の道を歩んだかもしれません。
 大臣、ここだと思うんですよ。最近、若者の科学技術離れが著しい。その中に大きな要因としておもしろみが感じられない、楽しさが伝わってこない、明るさがないというんです。ですから、やっぱり私何か、どんな切り口でもいいと思うんです、興味を持たせるということが特に若者にとっては大事じゃないかと思うのでございますが、この若者の科学技術離れについてどのようにお考えか、またはこうやったらいいんじゃないかという秘策があったらぜひお聞かせ願いたい。
#18
○国務大臣(田中眞紀子君) テレビでUFOとおっしゃったので、私はカップうどんか何かの宣伝か焼きそばかと思ったんですけれども、確かにそういうふうなモチベーションがあって子供はいろんなことに関心を持っていくんだなということを思います。
 結論から申しますと、私もこのことはずっと、科学だけではもちろんありませんけれども、科学技術離れということは言われて久しいわけですし、自分の子供たちを見ていましても、好きなことを一生懸命熱中してできるような教育体制にないと思います。科技庁長官にさせていただいてから、与謝野文部大臣に何度がお話ししてもなかなか受け入れていただけなかったものですから、この問題も含めて、科学技術離れの対策も含めまして、あとは塾の問題、これはちょっと話がずれますが、公教育の空洞化をどうするかという問題とか、そういう問題について、人づくりですから、五つほど公開質問状をお出しいたしましたら、さんざん時間がかかって返事が来たんですが、中身は空っぽでけしからぬと思っているんです。
 要するに、これは科学技術庁だけでできることではなくて、文部省が特にカリキュラムの見直しを含めてどうやって人の興味を引き出していくかというふうな本質的な問題を考えて構築してくださらないと解決しないと思っています。
 そして、私はいつもこの問題を申し上げるときに言っているんですが、入り口論と出口論がありまして、小学校の低学年ぐらいのときに、今、鈴木先生がおっしゃったように、何だろうと不思議に思うとかすばらしいと感動するとか疑問に思うとか、そういう素朴な思いが小さいときにあるじゃないですか、ビビッドな思いが。そういうものをずっと引き出していってくれるような、子供の気持ちを大事にするような科学教育といいますか理科教育というか、そういうものがあるべきなのに、まずこれを覚えなさい、生物はこうです、地質学はこうです、天体はこうですというふうな話でもってはっと入っていって暗記ばかりさせられてしまうので、人間の意欲が疲弊してしまうんですよね。
 ですから、そういう実験もそうですし観察もそうですし、すべての面で子供の関心、驚きとか喜びとか不思議に思う気持ちを大事にするようなカリキュラムづくりを、これは文部省なんかもう全然当てにしないで政治家がやっていかなきゃならないというふうに思います。
 それから出口のところでは、つい先日も都内の、これは東京大学でございますけれども、役所から家へ帰る途中に医学部とそれからもう一つのところを二カ所ちょっと寄らせていただきまして、実験室に突然行って拝見させていただきましたけれども、大変お粗末で大変貧弱で大変汚くて大変危険でして、消防庁が見たらあんなもの許すわけないと思うように薬品なんかだあっと廊下なんかに置いてあって、これが国立大学がと。こういう状況の職場環境といいますか研究室の中で本当に意欲ある人たちが育つのかなと。汚さと暗さと危険と、猫に注意なんというのが書いてあって、猫が勝手に出入りするところに薬品が置いてあって、こういう実態の中にいる方たちが、私たちは東大生だと思って誇りを持っていられるとすればそれは大間違いでして、何も豊かじゃないですね。それは物質だけではなくてやっぱり人間の意欲も疲弊してしまうんじゃないかなというような環境でした。
 ですから、そういうところにも予算も投じるべきですし、私学をもう少し見せていただかないと国立とは違うのかもしれませんけれども、そういう面でもやっぱり環境が整備されないとなかなか科学的なものに対して評価はされないし意欲も持てない。それから、社会に出てからも待遇がよくないとならない。
 この間もIHIの社長さんが科技庁に来られておっしゃっていましたけれども、社会の待遇で役所だけを見てごらんなさいと。科技庁だけじゃないですか、理系の人が局長になるのは。運輸省では理系の局長のポストは一個しかない。何で大蔵省や文部省やほかはないんですか。役人だけなればいいというものじゃもちろんないけれども、社会での待遇が、ああ技術屋さんといって評価されない。そうであれば、やっぱり人間の気持ちは疲弊してしまうんだから、もっともっとそういう理科的なものに対して社会が評価をしてあげないと、理科は幾ら予算をつけても、幾ら口でもってお題目を唱えてもだめなんだということをおっしゃっておられました。
 要するに、複合的なファクターがあるので一省庁だけでは何もできないということを思っておりますので、ぜひ先生からいろいろな機会をとらえてこのような御発言をいただくことも大変大きなヘルプになるというふうに思っております。
#19
○鈴木栄治君 本当に、今、大臣がおっしゃったことの中で、私も非常にそうだなと思うところが多うございます。特に、初め言ったように、まず興味を持たせるというのに初めから難しいことを言ってもやっぱり興味を持たないですね。
 英語教育がいい例ですよ。私も中学校三年間、高校三年間勉強したんです。大臣は英語ぺらぺらでしょうけれども、私なんかもう。うちの学校は初め文法から入るんですよ。文法から入るからくそおもしろくないんですよ。あれを初め、例えば向こうの番組の映像を見せてくれて、わっとしゃべって、これはこうだよああだよとか、初めて行ったときにこんな失敗があったよと、そういうおもしろみを持たせてくれたら、私なんかも英語に対してより一層興味を持ったし、会話なんかもうまくいったんじゃないかと思うんです。ですから、まず興味を持たせることが大事。
 それと、やっぱりいろいろな制度があるし、いろいろな枠の中において科学技術だけはこうしろああしろと、大変難しいとおっしゃっていますが、まことにそのとおりだと思います。ただ、その中で私ちょっと思うのでございますが、今、映像の時代でございますね。ですから私は、おもしろい科学といいますか、そういうものを科学技術庁がつくるというよりも、どちらかというと協力するというような形で、そういうビデオテープみたいなものも、難しい言葉はだめなんですよ、もう小学生ぐらいにも、私は五段階でオール三でしたから、オール三にもわかるような言葉を使わなきゃだめなんです。
 それで映像を使って、大臣、全国にビデオショップというのは大体六千から七千店あるんです。お母さん方ももちろん、一番感受性の強い子たち、中高生たちがそのビデオショップへよく行くんです。ですから、そういうところで安く貸し出してやるとか、あとは書店に置いて、そういうビデオをかたくじゃなくておもしろく、例えばタレントさんを使ってもいいじゃないですか、そういうような形でおもしろおかしく興味を持たせると。
 日本は無資源国家でございます。これはやっぱり技術で立つしかないんですね。でも、技術というのはきょうあしたできるわけじゃないです。ですから、まずそういうところから興味を持たせて発掘する。その中からより一層興味を持っていることをぐっと引っ張ってあげる。そういう多方面の形から考えていったらおもしろいんではないかと、私はそう思います。
 田中長官はそういう意味ではユニークな方ですから、本当ですよ、この間もテレビ局へ行って、今の全国会議員の中でだれに出てもらいたいかといったら田中長官だと言うんですから、すばらしいですよ。でも、それだけのスターになったんですから、私はぜひ大いに科学技術をひとつ広めていただきたい。私も応援団の一人でございます。
 さて大臣、この間、向井さんがスペースシャトルに乗りました。日本人で初めての女性飛行士、大変脚光を浴びてよかったのでございますが、私自身も思ったんです、ああ向井さんよかったな、ところで宇宙実験というのは何やったかなと。非常に考えなきゃわからないんですね。
 それで、これはおれだけかな、おれが勉強不足なのかなと思って、きのう私ちょっと知り合いのところへ電話しでこのことを聞いたんです。十代の女の子です。なあ、この間、向井さん行っただろう、宇宙実験やっただろう、何やったかわかっているかいと言ったんです。これは十代の普通の子だと思うんです。よくわからないと言うんですね。今度は二十代の女性、何の実験やったと思うかと言ったら、たしかメダカを泳がせたわよと。メダカを泳がせたといったって、メダカが宇宙遊泳やるわけじゃないんですから。要するに、メダカということがここで出てきたんです。三十代の女性になると、これはメダカの飼育をやったんじゃないかと言うんですね。六十代になると、六十六ぐらいの女性ですが、どんな実験をやったか知っているかいと言ったら、田中眞紀子さんと交信したわよと言うんです。
 ということは、専門家の人はその意義だとかこうだとかよくわかっているけれども、でも、特に科学技術というのは専門家がわかっているだけしゃいけないと思うんです。やっぱりみんなが興味を持って、それと同時に科学技術を応援しようという気持ちになってもらわなきゃ困る。そして、その意義と成果は正確になるたけより多く国民に知らせなきゃいけないんじゃないかと思うのでございますが、じゃ、改めまして、今回の向井さんの宇宙実験の意義並びに成果をお知らせ願いたい、お答え願いたいと思います。
#20
○国務大臣(田中眞紀子君) 具体的な成果はことしの夏までに公表されるということになっております。
 今おっしゃった生物実験などのほかには、あの方はドクターでいらっしゃいますから、御本人と対談しましたときにも非常に興味を持っているとおっしゃっていたことは骨粗鬆症ですか、の研究でございますとか、そういうメディカルのことも幾つかなさっていますし、それから、私が一番興味がありましたのはやっぱり材料研究でございまして、チタンアルミ合金ですか、今も原子力の容器の問題、今回も高レベル廃棄物が返っできますけれども、ああいうもののコンテナの問題にしてもそうですし、原子炉にしてもそうですけれども、それは科技庁関係だけでもそれだけありますが、そのほかにいろいろと材料というものの改良というものが非常に望まれているわけです、材質といいますか。ですから、そういうものの研究もなさったというふうに聞いております。
 ですから、非常にいろんな私どもの生活の利便に供すること、それから、先ほどを言っていらっしゃるような一般の人の、子供たちなんかも主婦も含めた素朴な生物とか医学に対する興味、それから非常に高度な科学的な問いに答えるような実験等もなさっているというふうに聞いております。
#21
○鈴木栄治君 ひとつその成果はなるたけより多くの人に、こういうことをやって、例えば成果が出なかったときでもそれはしょうがないですよ、やったから必ず成果が出るということもないんですから。だから、そういうことをなるたけ多くの人たちにいろんな情報を提供してあげていただきたいと私は心からそう思います。
 次に、もう一つだけ御質問させていただきます。
 エネルギー、特に電力エネルギー、ことしも何か暑いんじゃないかといううわさがありますけれども、夏になるとクーラーをばんばん使って、それはどうしてもエネルギーが、電力エネルギーはもう何だかんだとよく言われます。特に電力においては、原子力発電に頼るのが現在三〇%強ですね。二〇一〇年には四〇%を超える、このように言われておるのでございますが、現在の原子力発電の建設並びにその辺の事情を御説明願いたいと思います。
#22
○政府委員(岡崎俊雄君) 先生御指摘のとおり、現在、我が国の総発電電力量の三〇%を超えるに至りました原子力発電は、今後二十一世紀を目指して着実にやはりエネルギー増加に対応した原子力発電所の建設というのは不可欠だろうと、こう思っております。
 具体的な数字でございますけれども、設備容量といたしまして、二〇〇〇年には総発電電力量の三三%、それから二〇一〇年には御指摘のございました四〇%、四二%という数字でございまして、原子力発電所の建設に当たりましては、発電所の地元の方々のもちろん十分な御理解をいただくことが大事でございますけれども、広く国民の皆さん方のやはり信頼感というんでしょうか、あるいは御理解というんでしょうか、そういうものが不可欠だろうと思っておりますので、この点についてのさらなる努力が必要だと、このように認識しております。
#23
○国務大臣(田中眞紀子君) さらに追加してちょっと申し上げたいと思いますけれども、原子力のことを今お尋ねになられましたけれども、基本的なエネルギーの問題についてちょっとお答え申し上げさせていただきたいと思います。
 日本は本当に資源が少ない国、先ほど鈴木先生一がおっしゃったとおりでございます。そしてまた、エネルギーの将来の需要が、ライフスタイルというのはなかなか変えられませんので、どんどんふえていくという見込みが世界じゅうであるわけでございます。
 そういう中にあって、化石エネルギーというものもどんどん使っていけば枯渇していくことはもうはっきりわかっておりますし、それから新エネルギー、ITERとか、それからどの先生も御関心がおありになることですけれども、太陽エネルギーとか、あるいはごみ発電ですか、廃熱利用とか、それから燃料電池とか、いろいろな新しい新エネルギー、クリーンエネルギーの開発というものも進めてもおりますし、また、進めねばならない面もたくさんあるわけでございます。
 その真ん中の中でもって、原子力というものの利用も、現在日本は三割やっておりますけれども、上手にバランスをとりながらしていかなければいけないわけです。それに付随して、決して完全ではなくて、いろいろな心配事等も人間社会にはやっぱりあるわけでございます。ですから、そういうことについてはやはり御理解を得ながら完全に安全利用ということを徹底しながらやっていかなければならない。それは私どもの英知、化石エネルギーと新エネルギー、それから現在使っている原子力エネルギーのバランスをよくして豊かな生活を維持できるようにしていくということが基本的な目的であろうというふうに思っております。
#24
○鈴木栄治君 そうですね。もうやっぱり人間の欲求というのは本当に、初めはうちわから始まって、それから扇風機になって、それからクーラーになってどんどんどんどん限りないですからね。
 これは私の友人なんですけれども、彼はよく原発反対反対と言っているんですが、彼のうちに行くと夏はがんがんクーラーはきかしているし、もう冬はばんばんヒーターたいているんですね。だから、おれが言ってやったことあるんです。あんたな、これだけ使うんだから、おれらもうしょうがないんだよ。やめろやめろじゃなくて、いかに安全にするかと、そういう肝心なところはいかにどうしようかと建設的に考えていったらどうなんだと、私話したことあるんですが、彼もわかったようなわからないようなところもありましたが。
 私は、こういう代替エネルギーを進める、これはもちろん大事なことでございます。それと同時に、やっぱり国民の原子力発電に対する理解、特に、今回の地震でも原子力発電大丈夫だったんですよ。そうでしょう。間違いないね。大丈夫だったんです。これは大変なことなんですよ。
 だから、つくるということは、それだけいろんなプレートを見たり、安全性だとか、こういうふうに一生懸命気を配ってやっている。やっぱりそういうことも、私、いろんな形を通じて、黙っているんじゃなくておっしゃってくださっても結構だと思うんです。要するに、いろんな議論において、どうしてもこれは必要なんだと。もちろん、代替エネルギーは追求するけれども、今の段階においてはいかに安全か、いかにこうするかということをみんなで考えていこう、建設的に考えよう、そういうお考えをどんどんおっしゃっていただきたいなと、私、そのように思います。
 少し早目でございますが、終わらさせていただきます。ありがとうございました。
#25
○久保田真苗君 きょうは三月十日でございまして、実は東京大空襲五十年になります。私、オールドタイマーなものですから非常によく覚えているんですけれども、江東区だけで十万人の方が亡くなられたということでございまして、御冥福をお祈りしたいと思います。
 また今回、想像を絶する阪神・淡路の地震でございます。大変な被害でもうびっくりしておりましたんですけれども、これ全国のストックに占める割合で見ますと〇・八%ということだそうでございます。しかし、太平洋戦争でのストックの被害というのは二五%でございまして、これは、日本では地上戦は沖縄だけでございましたから、主として空襲による被害が二五%に及んでおるわけでございます。そのほかに経済活動がほとんどストップしたという実態を考えますと、私は、やはり五十年のこの日に当たりまして、あらゆる戦争を回避する努力というものをぜひ新たにしたいと思う次第でございます。
 さて、今回の地震のすぐ後で田中長官が原発の視察をなさいました。私、大変適切なことをなさったと思いますし、また皆さん心強く感じられたと思うんです。
 それで、この際私は、災害につきまして、長官というよりはむしろ国務大臣として大臣にお願いしたいことがあるんです。それは、私、社会党の中での危機管理チームというものに参加していまして、それで各省からヒアリングをいたしました。その結果で見ますと、各省の大臣に五時四十六分の地震の通報がありましたのは六時か六時過ぎです。ところがそこでとまったんですね。総理は七時過ぎにテレビで、官房長官も同じくと、そういうことがあったわけでございます。つまり、縦系列の中では比較的情報はよく動いた。しかし、それを集中的に処理すべき内閣としての体をなしていなかったということだろうと思うんです。
 私、こういう図を拝見しております。これは、緊急対策本部と非常災害対策本部の関係という図でございまして、ごらんになっているだろうと思いますけれども、内閣に設置されたものでございます。このうち、非常災害対策本部というのは一月十七日の閣議決定で災害対策基本法二十四条で置かれているものなんです。本部長は小里大臣。そして、緊急対策本部というのが閣議決定で一月十九日に設置されていまして、これの本部長は総理大臣、副本部長は小里、五十嵐両大臣、そして全大臣が本部員になっておられるわけです。こちらの方は法律によらないところの閣議決定だけでの設置でございます。
 それで、私が申し上げたいのは、この緊急対策本部を、閣議決定でございますからこれで結構だと思うんですけれども、地域を特定しないで、そして臨時的に設けないで絶えず常設しておくということを御提案したいのでございます。なぜならば、今回非常に時間がかかったということがあるんですが、ヒアリングの結果で申し上げますと、七時半に事務レベルで非常災害対策本部を設置する手続の相談を開始した。それから、十時になって閣議を開いてその設置を閣議決定したということなんです。そして、その後十一時になって事務レベルの会議が持たれて、非常災害対策本部で何をやるかという打ち合わせがあった。そして、非常災害対策本部が初めて会合を持ったのが十一時半なんです。
 これが仮に、こうした内閣の総理を本部長とする体制が常設されていれば、七時半に既に集まれたはずだと思うんです。それで、災害、特に人命救助の出動というものがたとえ一時間でも二時間でも早かったらどんなによかったろうと思うんです。ただ、これは従来そうなっていたものでして、もちろん災害対策基本法というのはどれもこれも時間がかかるようになっています。ですから、これは改正されると思います。しかし、その間にも関東に大震災があるかもしれない、ほかに大きな洪水や何かがあるかもしれない。そういうことを考えますと、ともかくインフォーマルであれ何であれ、総理を本部長とし、官邸に全閣僚のそういうものを常設していくということが最もポイントだと思うんです。
 つい先日ですが、閣議決定で、官邸に事務レベルであれを置かれましたね、内政室と情報調査室、ここに一定の災害関係の任務を新たにお入れになった。これは確かに必要なことなんです。情報を収集する上では有効でしょう。しかし、行動を起こす上ではこれではとてもできない。私は、やっぱり内閣が連帯して国会に責任を負うということが一義的な任務であるならば、これを常設しておくということが閣議決定であろうが法律であろうがぜひとも必要なことだと思うんです。ですから、ぜひそういう御意見をおっしゃっていただいて安心させていただきたいと思うわけです。
 もう一度申しますが、地域を特定しない、そして常設にしておく、このことです。さもなければ、事務レベルに御自分の首を預けるということになるわけでして、これでは私はとても信頼は得られない、そう思う次第です。
 それから次に、地震予知の問題で既に志村先生から御質問が出ましたので簡単で結構なんですが、地震予知体制の一元化ということが問題になっています。実際、いろんなところで地震予知という名前の活動が行われているんですが、一般国民のサイドからしますと、どういうことをやっていてということがはっきりしません。そして、いざというときには役に立っていないじゃないかという印象もまたぬぐい切れないものなんですね。もちろん、無責任な予知ということはとても論外でございますけれども、しかし、国民にわかりやすい言葉で、どんなふうにみんなの判断で注意していきましょうというような語りかけはあってもよろしいんじゃないかと思うんです。
 それで、地震予知体制の一元化ということについての大臣のお考えと、それからその進みぐあいについてお願いしたい、こう思うわけでございます。
#26
○国務大臣(田中眞紀子君) いろいろと大所高所からの御指摘、御指導をいただきまして本当にありがとうございます。
 予知体制の一元化につきましては、私も本当に考えを同じくするところでございまして、早速そのようなことを私どもの事務当局にすぐに指導をいたしました。そして、具体的な状況で申しますと、二月二十二日、二十四日及び一番最近は三月八日でございますけれども、推進本部の幹事会というのを開いていただきまして、関係省庁間で具体化に向けて討議をしていただいております。
 それで、観測データなども全国的規模で気象庁に集中をして常時監視体制を構築するんだというふうなこと、その他いろいろと検討していただいておりますけれども、これは今実情で一番アップ・ツー・デートな三月八日までの情報を差し上げたのでございますが、これを聞いていまして、私がその後の感想を申し上げるとすれば、またこれが縦割り行政っぽいんじゃないかという感じがいたします。
 予知連の先生方にお目にかかりましたときに一番私が驚いたことは、気象庁、国土地理院、科技庁、大学等に行っている先生方が、同じ先生が同じメンバーが縦割りでいろんな役所に行って予知についてやっていた。このむだといいますか情けなさというか、それが実際に何も還元されてきていない。予知を我々に知らせなかったらだれのためにやっているのか、遊びじゃないわけでしてね。いや、私たちが下手に予知をしたりすると問題が起こることもあると先ほど申し上げましたけれども、社会的なコストがかかるんじゃないかとか、自分たちの権威性とかいろいろなことをおっしゃるわけです。一生懸命やっておられるのはわかるんですけれども、役に立たないことを縦割りでもってやっていても話にならない。それを一元化してくれと言っても、三回やってもらった結果を聞きましても、私は決してこれをよしとはしておりません。ですから、もう一度このような会に私自身も出席しまして実態を見て、先生がおっしゃるような状態により近づけたいというふうに思います。
 それから、先ほどおっしゃってくださった、地域を特定せずに常設して常にアラートな状態でいればということは大変いい御指摘なんですが、現実問題として、しょっちゅうそんなにビビッドに、常設してしまうと逆に機能しなくなるんじゃないかというような感じがないでもないので、これはちょっと、地域を特定せずということはもう確実でございますが、もう少し御指導いただけるとありがたいと思いますのですが、申しわけございません。
#27
○久保田真苗君 確かに本部というものがたくさんできまして、全然開かれない本部がたくさんあって、それをときどき整理していることは事実なんです。ですけれども、そうした本部もたくさんあって、常設されている本部は幾らもあるんです。その中には常設の必要がないものがいっぱいあります。
 ですけれども、災害に関してはそうではない。常設されていなければ駆け出しのところが間に合わないわけです。そのためのロスが非常に大きいわけでございますから、私は、これに限っては常設をし、そして地域を特定するというようなことが災害対策基本法の趣旨ですけれども、しかし、地域を特定できるほど予知が確実に発達するのなら別でございますよ。だけれども、そうではないのならそれなりの体制をとっておかなければ内閣として責任が持てないのではないか、そういうことを申し上げております。
 ですからこれについては、本部が形骸化したものが多過ぎる、多過ぎるという一般論ではなく、ぜひ常設しておいてすぐにでも集まれる。ということは、各閣僚にも情報が入ったら総理に通報する義務が出るわけですから、こういう方法で内閣は自分を自衛しなきゃいけないと思うんです。人任せで誰も伝えてくれなかったなどというお話は聞きたくもないわけでございますから、ぜひ御検討の上、しかるべく御発言をお願いしたいと思っております。
#28
○国務大臣(田中眞紀子君) 次の閣議で必ず発言をさせていただきます。お約束いたします。
#29
○久保田真苗君 次に、新エネルギーの問題です。
 先ほどあちらからお出しになりましたけれども、新エネルギーにつきまして大臣も大変御熱心と伺っておるわけでございます。私も、先日閣議決定された新エネルギー大綱を歓迎するものでございます。しかし、内容を見ますと、かなり歩みが遅いなという感じを受けるわけでございます。というのは、九二年、ですから今も大体そんなものだと思いますが、エネルギーの中に占める比率が一・二%です。そして二〇一〇年になってまだわずかに三%という状況なんでございます。そういう歩みでもって、石油その他のいろいろなエネルギー資源がだんだん先細りになっていく、そのタイミングと合うのかどうか、それをよくお考えいただきたいと思うわけでございます。
 それで、大臣にお伺いしたいのは、この新エネルギーについて科学技術庁としてはどんなことがおやりになれるのか、またやりたいとお思いになっていらっしゃるかを伺いたいと思います。
#30
○国務大臣(田中眞紀子君) 振興調整費は今回二十億円も増額していただきましたので、まず科技庁が当庁としてできることはこれを有効活用していくことでございまして、太陽電池の低コスト化や熱エネルギーの利用の効率化につながる新材料に関する基礎的な研究、そういうものに使わせていただきたいと思っております。
 私も就任いたしましたときに、原子力やらロケットの話もいいんですけれども、新エネルギーの開発というものは、これは急務じゃないですかということは冒頭に幹部の方にも申し上げでございます。
 そのときにいろいろな御意見が出ましたけれども、今回も振興調整費がついて今申し上げたようなことができるんだけれども、現実にもうこれは需要と供給の関係だから、例えばソーラー利用なんかについてどうかということをきのうも私は申し上げたんですが、結局はこれはエネ庁がやることであるとか、どこかでいつも縦割り行政にぶつかりまして、そういうことを私は通産大臣にもお話ししたこともございます。
 この間の夏も、あの水不足のときに海水の淡水化等について、これももう本当に具体化しなきゃいけないし、こういうことについて予算を使うことは国民のすぐ合意を得られることでもあるし、新エネルギーもそうではないですかというお話をいたしまして、ええ実はそうで、昔からこれこれこういう経緯があって、コストがかかって、実際にやってみたけれども、こうだああだと。それはもうわかったわと、あなたは昔ばなしをしている龍太郎かもしれないけれども、私は将来のことを言いたいんだというお話をしました。役所に行ってその話をしますとまた似たような話が返ってきて、これはあちらでございます、これは文部省でございますということになって、これをちょっと突破するにも、風邪のせいもありますが、私も相当疲れてまいりましたので、ぜひもう先生方からも応援をしていただいて、役所も政治家のこともけり上げていただきたいと思いますが、なお、具体的にもっと科技庁ができることがありますれば、事務当局からお返事申し上げたいと思います。何かあるのでしょうか。
#31
○政府委員(落合俊雄君) ただいま御指摘の新エネルギーでございますが、大臣の答弁に尽きているわけですが、若干補足をさせていただきますと、新エネルギーの研究開発につきましては、エネルギー研究開発基本計画という計画がつくられておりまして、それに基づきまして太陽エネルギーですとか燃料電池等の研究開発が行われております。
 それから科学技術庁に限って申し上げますと、先ほど振興調整費の活用での太陽電池の低コスト化ですとか熱エネルギー利用の効率化につながる新材料に関する基礎研究というお話を大臣から申し上げましたが、それ以外にも波力エネルギーの研究でございますとか、太陽光エネルギーの利用というような初期段階の研究開発などの先駆的、基盤的なエネルギーの研究開発を実施いたしているところでございます。
 なお、もう一つつけ加えて申し上げますと、現在の情勢の変化に対応するために、現行のエネルギー研究開発基本計画の改定作業を実施いたしているところでございます。
#32
○久保田真苗君 もちろん、私どもも大変熱心にやっておりまして、参議院には産業・資源エネルギー調査会というものがございます。
 つい先週、千葉の方ヘコージェネレーションとソーラー発電の見学に行きました。私自身は、コージェネレーション、ソーラー発電、そしてもう一つはごみ発電、それはもう資源が今手元にあるわけでございますから、そこが非常に有望でしかもむだにならないようにそれをどんどん利用していくというところが切り口だろうと思っているものでございます。
 ソーラー発電につきましては、確かにクリーンで無限の資源だと、しかもこういった新エネルギーは従来の地域独占型の発電と違いまして現場型、分散型でございますから、産業システムの上でも相当のインパクトがある、そのように産業のライフスタイルを変えていくという一つの発想を運ぶものだろうと思っているわけです。
 見学の結果は、ソーラーについては既に技術的には実用段階に入っている。ただ、これを量産ができないからコストが高いのだと。通産省が補助していらっしゃるのは、一台が六百万円で二百七十万円の補助をしていらっしゃる。ただし、七百戸どまりなんでございますのでも、それはことし始まったことなので大変歓迎しておりますし、またモニター事業というものもございまして、もう予想以上に全都道府県から応募があってというところまできていると思うんです。
 それで、私が国務大臣としての長官にひとつお願いしたいことは、今回、神戸の阪神・淡路の復興委員会というものができまして、これから復興のために政府も大いに協力していくということだそうでございます。小里さんの言われるには三年間で十万戸を建てかえるんだと、こういうときに差しかかっているわけでございます。私は何らかのコストを下げるような機会というものはそう得られるものではないので、この十万戸を建てかえる中に、特にソーラー発電、それから工場に関してはコージェネレーション、こういったものをできるだけ織り込んでいくような、そういう新しい御計画をお願いできないものかと思うわけです。
 あるいは、やってみたら無理があるかもしれません。しかし、私は、兵庫は先進県だと思っておりますし、旧に復するというのでは余りにも芸がなさ過ぎる。やはり新エネルギー都市といったようなことで全国をリードする、そういう先進県にぜひ生まれ変わってほしい。目安としてはコストが大体六百万が三百万になるというところが一つの分岐点ですね。そうすると政府の補助金ももっと減って、そして件数が多くできる、こういうことになると思うんです。そこの切り口のところで神戸が活躍してくれないか。国民としても、そういう形で還元されるのであれば、本当に御協力のしがいがあるというものだと思うわけです。大臣はどうお思いになりますでしょうか。
#33
○国務大臣(田中眞紀子君) 本当に、毎日毎日、復興は復興の問題、エネルギーはエネルギーで私も別々に考えておりましたけれども、大変鋭くて現実的なお話をいただきました。
 確かに、兵庫県が新しい新エネルギー都市として生まれ変わるというような発想というのが何で頭に浮かばなかったのかと、私もだんだん神経が疲れてきている証拠だと思って今伺っておりました。そういう提案は大変具体性がありますし、御示唆に富んでいますし、経済効果もあるわけですし、需要と供給の問題がネックであるというこのソーラー利用については大変大きな突破口になるというふうに思いますので、これも提案をさせていただきたいと思います。
 次々どうぞ、そういういいアイデアを、お力をかしていただければと思います。ありがとうございました。
#34
○久保田真苗君 やってみたらいろいろな問題は出てくると思いますけれども、乗り越えられるものは乗り越えるという御姿勢でお願いできれば幸いでございます。
 次に、プルトニウムの高レベル廃棄物についての今後の問題なんでございますけれども、科技庁からは大変懇切に何度も御説明をいただいてありがたく思っております。
 ところで、今イギリス船籍の船でコジェマからの高レベル廃棄物、これはガラスの固化体になって二十八本なんですが、一隻の船に積んで航行中でございます。
 私が将来計画について伺ったところでは、今後十数年間にさらに三千数百本の固化体を運ぶと。それから、プルトニウムそのものについては先般一トン余りのものを運んだわけでございますけれども、さらに三十トンを運ぶ必要がある。そうすると、十数年間というタイムから申しますと、本当にこれは百数十回あるいは二百回近いのかもしれません。そういう状態なんでございます。
 その政治的な難しさは別としまして、私は経費も大変なものだろうと思うわけでございます。そして、これが着いたらそのまんまでいいわけではなくて、地下数百メートルに当面数十年間これを保存して、また最終処分だと、こういうことになるわけでございまして、もう気の遠くなるようなお話だと思うわけでございますし、後世への負担を残してはいけないという趣旨からいえば、こんなに大変な負担を残すのかなという感じを持つわけでございます。
 きょうは時間がありませんので、少なくともこのフリンジといいますか、この核燃料リサイクル、それの施設の周りにあるこういう輸送とか処理とか、こういったものに一体どれだけ、だれがお金を払うのかということを教えていただきたいと思うのでございます。
#35
○国務大臣(田中眞紀子君) 先生のお立場、お考え、御疑念はよく理解ができますが、日本は核燃料リサイクルというものを原子力政策の中心として据えておりますし、その理由は先ほど鈴木栄治先生にお答え申し上げたようなことでございます。
 コストのことにつきましては、もう何度か多分うちの役所から御説明に上がっているのだと思いますが、先生がなかなか得心がおいきにならないかと思いますが、もう一度だけ事務当局からお答えをさせていただきたいと思います。
#36
○政府委員(岡崎俊雄君) 御説明を申し上げたいと思います。
 まず、今回のガラス固化体の輸送に当たりまして使用しております船は、先生も御承知のとおり、日本からイギリスあるいはフランスに使用済み燃料を運搬する船を使っております。今回は、この輸送容器一基、その中には御指摘のとおり二十八体のガラス固化体が収納されておるわけでございますが、それ以外にもいわゆる使用済み燃料の輸送容器、空の容器を八基積んできておるわけでございます。
 したがいまして、今回の輸送経費がどれぐらいかかるかということを特定するのは非常に難しいということをまず御理解いただきたいと思います。ただし、他方、先生も御指摘のとおり、こういった廃棄物の輸送であるとかあるいは将来の最終処分が、全体としてコストはどれぐらいかかるか、あるいはそれが発電原価に対してどの程度影響を及ぼすものかということに対しては、もちろん安全確保の問題とかいろんな点等を含めまして、この経済的な問題も十分我々考えていかないといけない問題だと認識をしております。
 ただし、全体の原子力発電コストの試算は、今おおよそ一キロワットアワー当たり約九円程度と言われておりますけれども、原子力発電の特徴といたしまして、いわゆる廃棄物の処分全体を含めた燃料サイクルのコストというのは約二割程度、全体のコストの中の燃料コストの割合が非常に低いという特徴を有しているわけでございます。
 さらに、この廃棄物の返還の輸送そのものは、もちろんこれから十数年にわたります。今回が第一回でございますので確たることを申し上げる段階ではございませんけれども、使用済み燃料の輸送等の経験から踏まえまして、このガラス固化体の輸送そのものはおおよそ全体のコストの一%にも満たない程度、このような割合。決してそれが少ないということを申し上げているわけじゃ必ずしもないわけでございますが、全体のコストの中に占める割合、そういうことでございます。
 さらに加えて、最終処分の問題についても、まさに今後官民挙げて真剣にこの問題に取り組もうとしている段階でございます。残念ながら、まだ正確にこの最終的なコストを算定する段階には至っておりませんけれども、この最終的な処分の問題も決してこの発電コストに大きな影響を与えるものではないと、あるいはそうでなければならない、こういう認識のもとに今後必要な施策を進めてまいりたい、このように思っておるところでございます。
#37
○久保田真苗君 結局、金額のことをいつも余り言っていただけないんですよ。これは私的契約の面もあるでしょう。国費がつぎ込まれる面もあるでしょう。だけれども、非常に大きい金額だというのが巷間の話でございます。
 そして、私的契約であっても、これは公共料金でございますから、そんなことはおおよそのことをつかんでいなければ、大臣としても、また私ども国会としましても、私は本当にこれは無責任な話だと思うんですよ。
 本当にこれがこれから今後百数十回も運航して、しかも護衛つきでやって、それでそれが一%と言うんなら、一体そのもとになるお金は幾らなのか、一度私はぜひそういうものを。計画かもしれないけれども、試算をなさらずにやっているはずはないんです。最終処分の場所だって決まっていないとおっしゃるけれども、こんなものの先が決まっていないなんてことじゃとてもだめですね。やめていただくしかないということになりますよ。
 ですから私は、一遍その辺の見取り図をはっきりと書いて、それに対する経費も書いて、私どもに大臣のお口から説明していただきたいと思うんです。今、それをお願いできるいいチャンスだと思っているんです。先に進みます。
 ところで、大臣のプルトニウム発電についてのお考え方をさっき述べられたんですね。私は、今は燃料としてあるいは安全性の問題についてやりません。それは問題なんだけれども、むしろ政治上の問題について大臣のお考えを伺いたいんです。
 それは、プルトニウム発電をやっております、日本は。そして今後、例えば途上国の大手、それから準先進国、そういうようなところが核燃料リサイクルに進むべきプルトニウムの再処理をやりたいと、またやっていると、やっているところもございますね、そういう状態に対して、大臣としては、そういったアジアの国々がプルトニウム発電に進んでいくことに、もし査察さえ受ければ御賛成なのか、あるいは軽水炉といったような形でやってほしいと思っていらっしゃるのか、どちらに思っていらっしゃるのか。プルトニウムを発電するのはIAEAのNPTも容認していることですから、ですから、もし日本並みになってもそれは歓迎すべきことなのか、そこら辺のお考えを、私、今後非常に大事になると思うんです。聞かせていただければと思います。
#38
○国務大臣(田中眞紀子君) 北朝鮮に対する軽水炉支援の問題などもいろいろございますけれども、基本的には、日本は原子力開発の長期利用計画というものにすべてが記述されているとおりでございまして、今先生がおっしゃったような、ほかの国がプルトニウム利用等、それから日本に対する援助のようなことを言われてきた場合には、やはりその国の技術的・経済的状況というものも十二分に考えて、そして判断し、関係国とも調整しながら進めていかなければならないのではないかというふうに思います。
#39
○久保田真苗君 私ども、北朝鮮の問題について言えば、日本はアメリカの外交の傘の下にいると思うんです。アメリカはプルトニウムの商業利用を全然やっておりませんから、軍用だけですから、アメリカはそういう意味ではクリーンハンドなんです。ですから、北朝鮮もアメリカがやってくれた。それに乗っかっていっているというのが実情だと思います。
 だけれども、今後こういう問題が出てきたとき、北朝鮮についてもこれはただでは済まないうんと高くつきますよ。そして、今後こういう問題が出てきたときに、やっぱりこのスタイルでいくのかどうかということは、NPTの延長問題が来月からニューヨークで始まるわけでございますから、今考え方を詰めておく必要が非常にあると思うんです。そうでないとただ流されるだけです。
 それで、NPTにつきましてはもう時間がありませんから、私の考えだけを言わせていただくのかもしれませんけれども、現在、無期限、無条件での延長ということで賛成国をふやす努力が行われています。ただ、私は過半数を得ることがすべてではないと思うんです。過半数の中にはLLDCなども含まれるわけでして、そういう国はそういうことには余り関心がない、どちらの票に投じてもいいと、そういう場合が多いんです。問題は途上国の大手、準先進国、そういったところが、このやり方でもって今入っているところまでが脱退しないかと、そこのところが私は非常に大事だと思っております。
 したがいまして、私は、村山総理がこの案に賛意を示され、しかし、核保有国の恒久化を是認するものではないという注釈をつけておられるんですけれども、もし恒久化を是認するのでないのならば、無期限延長というようなことは決して得策だと私は思わないんです。
 私は、日本の立場はやっぱり核兵器非保有国の立場を今まで堅持しているわけでございますから、その意味からいって、それはもう今回、クリントン大統領などが一生懸命軍用のプルトニウム備蓄を二百トン一方的に削減するんだとか、急にここにきて国防長官のお話も出ていますね。STARTVをどんどんやるんだとか、あるいは米ロだけでない他の保有国についてもこれを拡大するんだとか、いろんなアナウンスが出ています。それは来月のそれに向けて何がしかでも努力しているところを見せようというそのことがある。しかし、途上国が望んでいるのは、それも結構だけれども、核心は包括的核実験禁止条約というものを引きかえにとりたいわけです。それはもう過去に何度も何度もそれが出ているけれども、なかなかそこに行き着かれない。行き着かれないとすれば、私は、たとえ長期でも有期の条約締結ということをめどにするということを考えなければならない、私自身はそう思っておる次第でございます。もし御感想があればどうぞ。
#40
○国務大臣(田中眞紀子君) 十二分に拳々服膺させていただきたいと思います。
#41
○稲村稔夫君 今、久保田委員からかなり高い立場に立っていろいろと科学技術行政についての考え方、考えるべき姿勢というようなものについて質疑があったわけでありまして、私は、一転しまして少し技術的なことを中心にさせていただきたいというふうに思っております。
 それで、長官のお考えを今後いろいろと生かしていっていただくためにも、今の技術面からのいろいろなアプローチの仕方だとか考え方、現実がどういうふうになっているかというような問題など、これはやはり長官のお考えを進めていく上で、きちっとサポートしたりあるいは長官のお考え方を外した形でうまく物が進んでいくというような、そういう仕組みになっていなければいけないんだろうというふうに思いますので、特に私は、まず技術的なそういう側面からいろいろと伺って、長官からは最後のところを総括的にまとめてお考えを伺う、こういうことにしたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 そこで、今度の阪神・淡路大震災というのが本当に大変な事態でありまして、それこそ犠牲になられた方々には御冥福を申し上げるとともに、二度とこういうことを繰り返さないようにするにはどうしたらいいかというのが大きな課題になっていると思うわけであります。
 そこで、これは前置きの話になるんですけれども、実は、平成四年の八月二十一日に中央防災会議で南関東地域直下の地震対策に関する大綱というのが出ております。この地震に対する大綱、中をずっと見てまいりますと、今度の神戸でそれぞれこういうことがみんなある程度考慮されていたら、対応されていたら、大分様子が違ったところが出てきたんじゃないかというふうに思われる側面が随分あるわけであります。
 それだけに、先ほど久保田委員の質問の中にもいろいろとありましたけれども、こうやって中央防災会議というちゃんとした立派なところがきちっと提供している、これを南関東に限っちゃっているから、南関東以外は知らないで、おれのところは関係ないなどというようなことになっていたんだとすると、やっぱりこれは地震大国といいましょうか災害国であります我が国にとっては、非常に悲しい現実だというふうに思うんです。
 科学技術庁としても、その辺のところはしっかりと踏まえながら、それこそ災害には常に対応できる心構えと最低の体制だけはつくっておかなきゃいかぬ、こういうことでまずお願いをしておきたいというふうに思います。
 しかも、阪神・淡路地震がいろいろと提起をしております教訓の中に、特に私は、きょうは原子力発電の耐震設計の問題について大変心配になりますので、お伺いをしたいと思っております。
 先ほど鈴木委員から原発については大丈夫だったというお話がありましたが、これは地震が起こったところにはなかったわけでありますから、だから、原発の耐震設計は今のでいいんだということにはならないと思うんです。そこで、今度の地震は原発の耐震設計に一体どういう教訓を与えているかということなのでありまして、これは後ほど工業技術院からお見えをいただいて、また地質問題、活断層問題等についていろいろと伺いたいというふうに思っております、それとの関連がみんなあるのでありますから。
 とにかく震災が起こったときに大変なことになるというのは、必ずしも原子力施設だとかそういうものばかりではない。ほかの施設のところでも随分そういうことがあって、これは通告をしてありましたが、見つかったかどうかわかりませんが、六甲アイランド線、新交通システムですね、あれをつくるときに住民から訴訟が起こりまして、そのときに地盤問題が相当な論争になりました。そして、あそこの地盤は砂れき層でもって、地質学者の中にはあそこへ高架の鉄道をつくるなんてはかげたことだ、大変なことになるんじゃないかという感覚で問題を提起されたりしておりますが、これはいろんな教訓を含んでいると思うんです。そのときに指摘されたことがそのとおり起こっていることも随分あるわけでありまして、これはお調べになって確認ができましたか。
#42
○政府委員(笹谷勇君) 先生から御指摘がありまして、資料等集めておおよそのことは勉強させていただきました。
 六甲アイランドにそういう新しい鉄道を引くということで、住民の方がいろんな過去の事例を引きまして心配だという状況がその資料ではつぶさにわかりました。裁判等の詳しい資料は入手できませんでしたですけれども、先生御指摘されておりますような状況については私ども把握したと考えております。
#43
○稲村稔夫君 把握をされたら、その把握された中で、それは多くの教訓を含んでいるわけですから、今後のいろいろなことに生かしていかなきゃならないということなんですけれども、そういう姿勢は当然お持ちになっていると思うんですけれども、いかがでしょうか。
#44
○政府委員(笹谷勇君) 今回の地震発生二日後に、原子力安全委員会に耐震安全検討会を設置して、今回発生しました地震に対しまして、これまでの指針についての検討、また新たな知見が得られた場合にはそれに対応する見直し等を検討するために、今現在、事実関係の把握とかあるいは分析に努力しているところでございます。現地調査あるいは関係機関の情報の詳細な分析、また関係省庁の委員会への参加等を通じましてこれら努力を行っているわけでございますが、先生御指摘のございました教訓、そういうものを十分踏まえましてこの検討会で検討させていただきたい、かように考えております。
#45
○稲村稔夫君 そうすると、まだ今検討中ということなんですね。一生懸命調査結果を見ながら、いろいろなデータを入手しながら今検討をいろいろと加えているというところだと思うんです。
 そこで、少し細かいことを伺います。
 原子炉等の原子力施設の設計にかかわるもので審査指針、この審査指針の中でいろいろな細かい取り決め、指定がされているわけですけれども、まず第一は基準地震動S1、これはいわゆる設計用最強地震というふうに言われています。ここのところを私が幾らずっと見てみましても、活断層のA級についてはいろいろと書いてあるんですが、活断層のB、C級については書いていないんですけれども、これはB、C級は無視していいということなんですか。
#46
○政府委員(笹谷勇君) 指針では、先生御指摘のように基準地震動S1、設計用最強地震でございますが、これについてはA級についての記述のみでございます。
 この考え方でございますが、活断層は一定周期ごとにエネルギーを放出すると、これは地震学上の知見でございまして、私がこういうところで言うのもなんですが、それで、その活動度の高い、いわゆる地震の分類で言うAでございますが、この活断層については近い将来敷地に影響を与えるおそれがあるということで、S、なる設計用最強地震にはこのAクラスについて考えているわけでございます。活動度が高ければ高いほど近い将来敷地に影響を与えるおそれがある、こういう観点からS1にはAを考えているということでございます。
#47
○稲村稔夫君 だけれども局長、さっき僕は、教訓は生かしていくんですかと聞いたでしょう。今度起こった阪神・淡路地震は活断層の分類でいけば、活動度でいけばそれはB級でしょう、初めのうちは。後でこれもちょっと通産省に伺いたいと思っていますけれども、後でA級も中に加わってきているようでありますけれども、ずっとB級なわけです。そして確実度は一ですね。B級という野島断層のところで今度の震災というのは起こっているわけでしょう。そうしたら、S1のところではB、C級に触れないでいいという理由にはならないんじゃないんですか。
#48
○政府委員(笹谷勇君) 先ほどの繰り返しで恐縮でございますが、活動度が低くなれば周期はより長くなるわけでございます。そういうことを考慮いたしまして、S1の方では活動度の低い、すなわち繰り返しが長いというものを考えているわけでございます。
 現実的に、野島断層は、先生おっしゃいましたように、Aに近いようなBでございますが、そのような活断層が明確に立地地点あるいは立地周辺にあります場合にはそれを当然評価いたしまして、その評価したもので設計をすることになるわけでございますので、B、C級、すなわち周期の長いものについては全く考えていないというわけではございません。
#49
○稲村稔夫君 S2も伺うつもりでいたんです。S2は、A級活断層の場合は一万年前以降に動いたことがなければ除外するんですね。それから、B、C級は五万年前以降動いたものがなければ除外するんです。しかし、A級は比較的歴史等のあれの中から、既に起こった北伊豆地震なんかでは丹那断層とかで調査をしたり、いろんなデータなども証拠があってわかりやすいんですけれども、B、C級というのは基準が、いつ起こってどうなったかというのを決めかねているものが非常に多いんじゃないですか。それが地質学の現状でしょう。出発点がいつだかわからない、決められないというものが、何でいつ起こるという想定、五万年前以降に動いたことがなかったら大丈夫だと、そういう想定ができるんですか。こういう問題も一緒に出てくるんです。
#50
○政府委員(笹谷勇君) 日本の活断層でA、B、Cという活動度を分けておりますのは、航空写真で地形の変位等を観察いたしまして、それでA、B、Cに分けているわけでございます。
 原子力施設の耐震設計を行う場合には、この活動度を算出するに当たりまして、もちろんそういう日本の活断層に表示されております活動度というものは十分勘案いたしますが、私どもの立地調査の段階で別途ボーリング調査、露頭調査、その他もろもろの現地調査を行いまして、活断層につきましては、トレンチ調査と申しまして溝を掘りまして、そういうトレンチ調査ていつ起きたかということを年代的に確認いたしまして、また経験式からエネルギーと繰り返し期間というものがある程度得られておりますので、そういうものから繰り返し期間等を確認しているわけでございます。
#51
○稲村稔夫君 もう時間が足りなくて申しわけないんですが、第一は、航空写真でと言うけれども、航空写真ですべてがわかるわけじゃないですよ、これは。むしろ航空写真では取っかかりになるようなところをいろいろと見つけるという点では大変便利な手段だけれども、しかし、それで確実にみんな見つかるということじゃない。
 それから、トレンチ調査のことを言われたけれども、今度トレンチ調査をやったって、そのトレンチ調査というのは深さを一体どこまで見ていくことができるのかとか、そしてそこにたまたま活断層のあれにひっかかっていればいいですけれども、ひっかかるとは限らぬのですよ。いろんな要素があったら、例えばボーリングにかえようという。ボーリングにかえるといったって、ボーリングがうまいことそれを読むのに都合のいいところへすっと入ってくれればそれはいいですよ。だけれども、それは無原則に掘っていたらこれはとてもたまらないんですよ。そういう現状をちゃんと踏まえたら、そして、その辺の耐震設計というものについてはいろいろと見直さなきゃならない部分が、そういうことからまずやっていかなきゃならない問題があるんじゃないかということを僕は言っているんです。
 それからもう一つは、縦震動、鉛直震動です。これも指針の中でいけば、原子力施設の中のAクラスのものについてはこれは垂直震動の半分と、大体それがめどになっています。しかし、今度の神戸で起こっているのは、水平震動に対して垂直震動が上回っているという実態も起こっているということもあります。半分という計算がこれで成り立つんですかということがある。
 それからもう一つは、今までは大体関東大震災を中心にして物を考えたわけでしょう、最大の地震として。そうしたら、これが例えば平均加速度をやっていったら、大体水平のやつは四百ガルくらいに見てきたのが今までの例でしょう。でも、今度の阪神では既に八百三十三ガルというような大きなあれが出てくるでしょう。そうすると、それの半分としたってもう四百を超えるわけですよ。そういうふうに考えていったら、今度見直しをしなきゃならないいろんな要因というのが物すごくいっぱい出ているんじゃないですか。その辺をどうするんですかということを伺いたい。
#52
○政府委員(笹谷勇君) 先生御指摘がございました点、時間等がございまして説明が十分できないわけでございますが、現在の指針の考え方、これは定めた時点での地震学的な知見、そういうものを工学的な観点から考慮いたしましてそれで決めたわけでございます。
 そういうことでございまして、今回検討会で検討するに当たりましては、現在決めた指針が、ベースとなっております。そういう地震学的な知見あるいは工学的な考慮をしてでき上がったと、そういうものについても当然その検討の対象と考えているわけでございます。それが第一点でございます。
 また、今回生じました神戸の地震につきまして、現在事実関係の把握、またその分析に努めているわけでございますが、先生御指摘のあったようなデータも我々承知しております。そういうものについても十分検討させていただきたい、こう考えております。
#53
○稲村稔夫君 念押しをして恐縮です。
 さらに、例えばS2の場合、今度はさっき言った最強ではない限界ですね。まさに最強よりも今度限界としての地震、設計用限界地震、こう呼んでいるS2の場合、これでも今の審査指針では直下地震を想定するときにマグニチュード六・五ということになっているでしょう。今度神戸で起こったのは七・二ですね。そうすると、こういう基本的なことをかなり見直さなきゃならないんじゃないですか。そういうことを含めて見直す、検討をいろいろとしているということですか。
#54
○政府委員(笹谷勇君) 結論から申しますと、今回起こった事象についてはすべて検討の対象にしております。
 若干六・五という考え方を御説明いたしますと、S1あるいはS2を設定するに当たりまして、現地調査、いろんな過去の地震の歴史等を調べて、それで万全だというふうに考えておるわけですが、人間のやることですのでやはりミスが起こるかもしれないということで、それでも何か見落としがあるかもしれないということで、六・五というものも近くで想定して考えだというのが指針の考え方でございまして、その六・五というベースは活断層が十キロありますとマグニチュード六・五に相当いたします。我々のその時点での調査技術とかあるいは経験からしますと、十キロの活断層を見逃すことはその時点の検討ではまずなかろうと、したがって六・五で見落とし分をカバーできるのではなかろうか、こういう考え方で六・五を設定しているわけでございます。
#55
○稲村稔夫君 時間がなくなりましたから、ここで最後に長官のお考えを伺って、あと工業技術院もきょう来ていただきましたので、そちらから今度はこの地震の教訓をどういうふうに踏まえていくか、そして現在のレベルではどこまでがわかるんだろうというふうなことをいろいろと参考にお聞きしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それで、長官、今やりとりを聞いていただいた中で、やっぱり反省すべきものはきちっと反省をして、そしてその上に立って、技術というのは常に未知なものがつきまとっているわけですから、つきまとっている未知なものがあるという前提の上でいろいろな対策を立てなきゃならないということだというふうに思うんです。
 過去の知見の積み上げがすべて正しいんだという前提だけですべてを考えていったときには大変厳しい結果を将来起こすことがあり得る、こんなふうに思いますので、その辺のところは今後総合的に考えて、原子炉等の安全設計等についていろいろな検討のし直しが今されているけれども、それには余り形而上学的だとかあるいは過去の事実だとかというものにとらわれないで、本当に正直なものをぶつけ合って間違いのない指針ができていくように、大臣からもかなりきつくきちんと対応していただかないといけないんではないかという気がいたします。
 その辺、御所見を伺いたい。
#56
○国務大臣(田中眞紀子君) まず、事実関係の把握及び分析という段階でございますけれども、やはり地震が起こった役とそれ以前とでは、原子力施設の安全性に対しては、それ以外ももちろんそうでございますが、原子力施設、特に最重要と私も思っておりますが、そういうことの安全性、それから見直し指針の問題すべてについてあらゆる方たちがやっぱり認識が違ったと思います。
 ですから、お題目ではなくて、あらゆる立体的な現実に即した角度から自分のこととして確認をしていくということはもう絶対に遂行すべきでございますし、そうでないと私どももこの政策は堅持していけなくなりますので、責任を持って検討するようにしていきたいというふうに思います。
#57
○稲村稔夫君 ありがとうございました。
 それでは、工業技術院の加藤さんに伺いたいと思います。
 きょう来ていただきましたのは、あなたが小出さん、山崎さんと共著で出しておられる「地震と活断層の本」、これ私もずっと詳しく読ませていただきました。私は素人ですからわからないとことも随分ありますけれども。そして、初版本といろいろと比べさせていただいたんですが、内容的には技術的な側面は初版本と全部同じであります。ただ、今度の阪神・淡路震災に遭われたことを、「あとがき」の中でいろいろと今後の問題点などにも概括的に触れておられましたので、そこでいろいろと教えていただきたいというものがあってきょうは来ていただきました。
 時間がもう実はなくなってしまいましたので、詳しいことはちょっとお聞きできなくて申しわけありませんが、まず第一は、非常に初歩的なことになるのでありますけれども、このごろ「日本の活断層」という本が随分売れまして、「日本の活断層」を見ればみんな何でもわかるような変な感覚が出てきています。あそこでA、B、Cの活断層の階級分類というのをされております。
 そこで、A、B、Cのクラス分けというのは、地震の大きさと連動している要因が含まれているんだろうかどうだろうか。主として私は、もちろん長さであるとかそれから再来期間の問題であるとかというものと蓄積されるエネルギーとの相関関係がありますから、その辺ではあると思いますけれども、この分類をされるときにはそういう相関関係を含んだ形で決定をしておられるのだろうか。その辺のところはどういうふうな形になるんでしょう。
#58
○説明員(加藤碵一君) 活断層のA、B、Cの区分は、長期間にわたります平均的な変位速度の大きさによって分類しておるわけでありまして、その活断層から予想される地震の大きさとは直接の関係はございません。
#59
○稲村稔夫君 ありがとうございました。
 それから、今度の阪神・淡路地震の野島断層について。これ「日本の活断層」の初版本のときはB級だけでございました。だけど、新編で再版されましたときからかなり活断層の分布が多くプロットされるようになりまして、そしてその中で野島活断層についてはA、Bと、AからBというのが加わっているんですけれども、これはどうしてこういうあれになったのか。それと、そういうAからBという少しわかりづらい評価がこの中へ入ってきているのをどういうふうに考えたらいいのか。その辺はどういうふうに理解したらいいでしょう。
#60
○説明員(加藤碵一君) 野島断層は全体としまして有馬・高槻・六甲活断層系と呼ばれるものの一部でございまして、有馬・高槻・六甲断層群自体は全体としてBクラスと従来言われております。このA、Bは、先生御存じかと思いますが、千年間に一メートル程度以上動く場合にAクラス、それ以下を一応Bクラスということにしております。あくまで人為的な基準であるわけですが、野島断層の場合には、従来の研究ですと横ずれだけをとりますと千年間に〇・九メートルから一メートルということになります。ところが、横ずれのほかに若干ではありますが縦ずれ成分も持っておりまして、それらを合わせて総変位量ということで平均変位速度を見直しますと一メートルを上回りますのでAクラスと。したがって、現在Bの上位からAという微妙なところに位置するというふうにみなしております。
#61
○稲村稔夫君 それでその次に、今度「科学朝日」の「地震科学最前線」という緊急増刊号が出ておりまして、これを見て、私もショックを受けたり繰り返しわからなかったりというところがあるんですけれども、この中で東京大学の池田助教授の「神戸の直下で伏在断層が動いた」という表題の記事がございます。要するに、我々がわかっていない断層がいろいろとあるというような意味にとれるんですけれども、まず第一は、伏在断層の存在というのは考えられるのかどうか。それから、我々がわかっていない断層というのはやっぱりあるんだろうかということについて、これはどういうふうに理解したらよろしいでしょうか。
#62
○説明員(加藤碵一君) 前半の部分で先生の御質問の御趣旨は、神戸の平野側に伏在する活断層があるのではないかという御質問がと思いますが、地質調査所の現在までの調査によりますと、伏在断層がある可能性は非常に少ない。と申しますのは、余震が既存の六甲断層系に沿ってのみ線状に集中しております。もし伏在断層があるとすれば、平野部でも余震の線状分布というのが見られるわけですが、それが見られないということが根拠の一つでございます。
 それから、それ以外の平野部の地下の伏在活断層の可能性についてでございますが、一番新しい沖積地層が非常に厚く分布しているということ、それから、平野部は大概都市域にございまして地表が人工的に改変されておりまして、活断層を確認するための微少な変位地形とか断層の露頭というものを地表調査によって得ることは非常に難しいので、活断層研究会のこのデータ集にいたしましても、平野部については一般論としまして伏在の活断層がある可能性はございます。
#63
○稲村稔夫君 次に、我が国の活断層というのは実際との程度確認をされているんだろうかということなのであります。活断層研究会の発行した「日本の活断層」、これを見ると、まさに切られの与三みたいな形で満身創痍というような感じがするんですが、それでもこれですべてなんだろうかということになるんですけれども、まずその辺はいかがでしょうか。
#64
○説明員(加藤碵一君) この活断層研究会のメンバーには当所の研究者も参加しておりまして、全国的なレベルでここ十年以上にわたりまして網羅的に調査をしております。したがいまして、先ほども言いましたように、平野部の沖積層下の伏在活断層を除きましてはほぼリストアップされているとみなして差し支えないかと思います。もちろん、Cクラスで長さが数キロメートルというような断層は今後見つかる可能性はございますけれども、ほとんどそれは地震という面で考えますと問題にならないようなわけなので、ほとんどリストアップされているとみなして構わないと思います。
#65
○稲村稔夫君 そこで、あなた方がお書きになられた本の中で、先ほども科技庁の方の答弁の中にもありましたけれども、航空写真で大体押さえられてということが書かれております。そして、この本の中で指摘しておられるのは、航空写真で読まれるのはあくまでもらしきものを確認するのであって、実際にそうかどうかというのは、これはそれぞれ地上から実際にいろんな調査をした上でないと確認できないということなんだと思うんです。そういうことを御指摘になっている。そうすると、今の「日本の活断層」にあるやつは、これは全部そうされているわけですか、確認をされているわけですか。
#66
○説明員(加藤碵一君) そのおのおのについて学術的な論文が出されているというわけではございませんが、そのほとんどが現地調査によって確認をされております。
#67
○稲村稔夫君 そうすると、同時にあなたの本で御指摘になっているものの中で、例えば山間地なんかの場合、これは侵食だとか堆積のスピード、それから平均変位速度、それとが同じあるいは侵食の方が速いというようなことがありますと、これはなかなか見えるものじゃない、発見できるものじゃないというようなことも御指摘になっているようにも思いますが、今はとんと掌握されていると言うけれども、その辺の関係はどういうふうになりますか。
#68
○説明員(加藤碵一君) 先生御指摘のように、侵食速度が断層の活動を上回っておりますと、その微少な変位地形は錯覚されてしまいますから地表では見られないことになりますが、逆に侵食が激しいと露頭としてあらわれてくるという面もございまして、活断層の露頭そのものが見つかる、あるいは例えば跡津川のように工事をやっているときにそっくりそのまま断層などが見つかるというように、かえって人工的な改変によっても見つかるということで、また別の地質学的な手法でその存在を検知していくということが可能かと思います。
#69
○稲村稔夫君 それからもう一つは、先ほどあなたもちょっと触れられました市街地分についてということ、特に市街地はそうなんでしょうが、建物等もあるからなおさらということでしょうが、非常に厚い沖積面を持っていますともう地上からは全然見えません。それから、ボーリングをしましても、かなりの深さにならないとということもあったりする。そういうようなところは何か調べる方法というのはあるんですか。
#70
○説明員(加藤碵一君) 一つには、地球物理学的な手法を用いまして地下の状況を検知する技術が発達してまいりましたので、浅層反射による弾性波の探査ですとか、より精密な重力探査によりまして地下の断層を検知するということが技術的には可能となりつつあります。
#71
○稲村稔夫君 もう時間が来ましたので、本当はもう少しいろいろと伺いたいことがございましたが、今のレベルでわかる範囲はどの程度かというおよそのことを私も私なりの掌握の仕方をさせていただくことができました。加藤さん、どうも大変ありがとうございました。
 以上で私の質問を終わるんですけれども、問題は、こうした地震についての研究というのは、先ほどもずっと話題が出ておりましたが、我が国は地震大国でありますだけに今後とも非常に重大な課題だと思います。常に緊張感を持って今後の対策を進めていただきたいということを要望いたしまして、終わりたいと思います。
#72
○委員長(高桑栄松君) 午前の質疑はこの程度にとどめまして、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十分開会
#73
○委員長(高桑栄松君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#74
○浜四津敏子君 平成会の浜四津でございます。
 それではお伺いいたします。
 大臣は所信で、若者の科学技術離れ対策等に一層力を入れると述べられました。その対策として、科技庁としては科学館等の活性化や科学技術の殿堂等を考えておられるようですが、この程度のことでは科学技術離れ防止対策としてはまだまだ不十分であると思われます。また、この問題の根本には、製造業等での研究者の処遇が他の職種に比べて悪いということが要因に挙げられます。こうしたことを考えずに対策等に一層力を入れるといっても、根本的な解決策とはならず、的を射ていないものになってしまうと思われますが、いかがでしょうか。
 この問題に対処するためには、直接的には、長官が関係大臣と連携をとられて、例えば日経連等に研究者等の処遇改善を要望するなどをされてはいかがでしょうか。また、科学技術庁等の国の研究機関の職員の数及び待遇の改善からまずなさってはいかがでしょうか。それが波及効果としていずれ全体の処遇のレベルが上がってくるのではないかというふうに考えますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
#75
○国務大臣(田中眞紀子君) 科学技術離れの問題は大変に根が深くて、そんなに一朝にして解決できる問題だとは私も思っておりません。殊に今、浜四津先生がおっしゃいましたように、製造業等あらゆる面に技術者がおられて、残念ながらやはり日本の社会では全体的に待遇が十二分になされていないという側面はあると思いますので、確かに今おっしゃったように、関係の大臣にも事あるごとに、特に通産大臣とはこういうふうなお話を私もよくしておりまして、一省庁だけで、科技庁だけでもってできる問題ではないということは十二分に認識をいたしております。
 それで、先ほどの鈴木先生のお尋ねにもございましたけれども、入り口論、出口論を申し上げましたけれども、それは一般の教育機関の中での問題でございまして、社会全体で処遇を改善するためにはどうすればいいかということは、あらゆるジャンルの方の御意見を求めながら高めていく方向づけをするしかないと思っております。
 それから、視点を変えまして行革でございますけれども、行革をしながらもやはり科技庁関連の方々の中での質を高めていく、待遇を高めていくという努力もしていきたいというふうに考えております。
#76
○浜四津敏子君 今回の行政改革においては、科学技術庁としては、現在、日本科学技術情報センターと新技術事業団の統合が検討されているというふうに伺っております。見直しが検討されているのはこれだけでしょうか、科学技術庁にお伺いいたします。
#77
○国務大臣(田中眞紀子君) 細かいことは事務方がお答え申し上げますが、とりあえずこの二カ所の統合を検討いたしておりますが、午前中のお尋ねても御返事させていただきましたけれども、本庁はもちろんのこと、やっぱり基盤整備をして効率化を進めていくという意味では、あらゆる面で総合的な見直しというものを図っております。
 具体的なことは事務方からお返事申し上げます。
#78
○政府委員(石井敏弘君) このたびの特殊法人見直しにつきましては、大臣の指示に基づきまして科学技術庁関係の六法人すべてにつきまして事業の合理化案をまとめるということをやってきた次第でございまして、これと同時に、すべての法人についての統廃合問題についても真剣に検討いたし、新技術事業団と日本科学技術情報センターを統合すると、このようにいたしたところでございます。
 その他、今申しましたように、各法人につきましては具体的事業の中身を総洗いいたしまして、より合理化していくべきもの、あるいは今後の科学技術政策の方向をにらんで事業の統廃合を行うもの、こういったものを総洗いいたしまして、二月二十四日の閣議決定の特殊法人の整理合理化案にまとめられたような方向をとりまとめたところでございます。
#79
○浜四津敏子君 それでは、少し前まで行革の対象として挙がっておりました日本原子力研究所と動力炉・核燃料開発事業団の統合は、今回なぜ対象外とされたんでしょうか。
 この原研と動燃、いずれもその根拠となる法律がありますが、日本原子力研究所法第一条には「設立の目的」、一部分だけですが、「原子力の研究、開発及び利用の促進に寄与することを目的」とすると。それから動燃法の方でございますが、これも同じく第一条「設立の目的」、「原子力の開発及び利用の促進に寄与する」と。違っている点は、原研は研究が主たる目的と、法律上はそういうことになっているようですが、片や動燃は「もんじゅ」等のプロジェクトを行うために設立されたものでございます。しかし、動燃でもガラス固化体の研究等原子力に関するさまざまな研究が行われている状況でございます。
 こうした状況のもとで、もはや動燃と原研とを別々の組織体にしておくことは余り意味がないのではないかというふうにも思われますが、したがって、これらを統合した方がよいのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
#80
○国務大臣(田中眞紀子君) 原研と動燃は、両方の事業の目的とか性格が異なっておりまして、アクセルとブレーキと申しますか、推進とそれから規制というふうに分離の観点からつくられておりますので、その違った目的のものを統合するということは難しいというふうに考えましてこのたびはいたしませんでした。
 今回の統廃合の行革では、そのようなことをしたらどうかというふうな御意見が幾人かの方々からお寄せいただきまして、私も検討はさせていただきましたけれども、実態からいきまして、このたびのJICSTと新技術の方がより統合が速やかにいくと、機能の効率化を進めることができるというふうな判断をいたしました。
#81
○浜四津敏子君 それでは次に、核査察の問題についてお伺いいたします。
 現行の日本の原子力施設等の保障措置に関しましては、協定によりまして、日本政府の査察官の査察が不十分とみなされる場合にのみIAEAの査察官が補助的に査察を行うことになっております。しかし、実際にはIAEAの査察官はほとんどの場合、日本の査察官の査察については不十分であるということで、補助的にではなく全面的に査察を行っている状況にある、こう言われております。これでは日本政府として余り保障措置に力を入れていないと言われてもやむを得ないのではないかというふうに考えます。
 日本政府の保障措置に関する基本姿勢をもう一度考え直していただいて、この査察官の量や質の向上、そして保障措置にかける予算の増額等を行いまして、日本政府の保障措置体制の充実強化を図っていくべきであると思います。
 現在は、科学技術庁、そして通産省の職員が査察を行う、これが原則になっておりますが、この現在のシステムでは人数の制限も厳しくて、また職員の方々、通常二、三年ごとに交代されます。本来、査察には専門的な知識、能力が必要でありますけれども、その能力開発も中途半端に終わったり、あるいはせっかく能力開発が行われてもかわってしまいますとまた一からやらなくてはならない、こういうことになりまして効率的にも大変悪いし、また業務の継続性にも支障が出るというふうに指摘されるところであります。また、職員の方にもある意味では気の毒という面もあります。ぜひこの改善を図っていただきたい、この関係の予算増額、そしてまた日本政府の保障措置体制の充実強化、これをぜひ前向きに図っていただきたいというふうに思います。
 そしてまた、このことは六ケ所村に建設されております大規模再処理施設等の原子力施設を考えればなおさらのことでありまして、こういうところにたくさんの人材が必要でございます。国際社会における日本の非核兵器保有国としての信頼を維持するためにも必要不可欠なことだというふうに考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
#82
○国務大臣(田中眞紀子君) 日本の査察官の質というものが劣っているというふうには認識はいたしておりません。
 そして、ちなみに定員は現在二十二名、関連予算は約七億円ということでございますけれども、必要最小限は確保されているかと思いますが、今先生の御指摘もございますし、見直しといいますか、そういう実態をもう一度よく確認するという作業はするべきかと思います。
 予算確保については、なかなかいろいろ限られた中で厳しいかと思いますが、常に念頭に置きたいと思います。
#83
○浜四津敏子君 それでは次に、大臣は所信で、「生活者の立場を一層重視した科学技術の振興を図るため、生活者や地域社会のニーズに密接に関連した研究開発と、研究成果を生活者や地域社会へ適用するための技術開発を進めます。」と、こう述べておられます。
 科学技術庁といいますと、一般的には原子力あるいは宇宙開発等のイメージがありまして、ややもすると一般の方々の生活に余りなじみがなさそうに感じられるところであります。今回のこの大臣の所信は生活者を重視する、こういう方向での考え方でありまして、大変望ましいものと受けとめております。
 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、生活者等のニーズに密接に関連した研究開発というのは具体的に何を指しておられるのか。また、研究成果を生活者等へ適用するための技術開発とは具体的に何を指していらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。
#84
○国務大臣(田中眞紀子君) 科学技術の発展というものは大変高度な先端技術という面もございますが、反面、私どものごく身近な生活に役立つものというような視点も忘れてはならないというのが私の発想の基本にございます。
 例えば、医療機器なんかがございますが、特に福祉関係なんかでは、私は議員になる前からずっと思っておりましたんですけれども、科学とまで言わないまでも、改良をしていくとかこの医療関係につきましては厚生省に随分私も意見を伺わせていただいた機会もございます。そういうときにはやっぱりいろいろな規制があったりいたしまして、機材とか科学製品とかそういうものが簡単に使えるものばかりではなくて、かなり規制が厳しいんだなということがよくわかりました。それが規制緩和の面でまた内閣でも努力していただかなければいけないんですが、そういうふうな身近な福祉、医療に関する品物をもっと使い勝手をよくするとか新しいものに改良していくというふうなこと。
 それからもう一つ、私は新潟県の出身でございまして、豪雪で障害者の方やらお年寄りやら、過疎化の進んでいるところで除雪に大変苦労しておられるという実態を長いこと見てきております。そういうことにもソーラーパネルを利用するとか、それから先ほどごみ発電も申しましたが、こういうものは本当に資源の有効利用だと思いますので、むだを省いて自分たちの身の回りでできることをもう少し科学で進めていく、そういうことによって私どもの生活の利便に供するというような視点もぜひ組み込みたいという意味でございます。
#85
○浜四津敏子君 ありがとうございます。私どももそういう観点からの推進、応援させていただきますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 ところで、大臣は、科学技術庁長官を未来担当大臣と、こういうふうに位置づけられ、所信でも「知的未来社会を構築していきたい」と、こう述べておられます。確かに資源のない我が国といたしましては、国際社会で生き残っていくためには科学技術立国を目指す、これが唯一の道でありまして、科技庁にも大いに頑張っていただきたいというふうに期待しております。しかし、残念ながらこれまでの政府の対応は必ずしも十分ではなかったのではないかというふうに考えております。科学技術立国を築くにはまだまだ不十分ではないかと考えております。
 自然科学部門の日本の研究費総額、平成五年度では十三・七兆円、そのうち政府負担額は三兆円、政府負担割合は二一・六%となっております。一方、アメリカの自然科学部門研究費総額は十七・九兆円、これも平成五年度でございますが、そのうち政府負担額は七・六兆円、政府負担割合は四二・三%でございます。また、ドイツ、フランス、イギリスでも政府負担割合はそれぞれ、ドイツが三六・六%、これは平成三年度の数字でございます。フランスは四五・六%、同じく平成四年度の数字。イギリスは三五・四%、これも平成四年度の数字でございます。また、これを政府負担額のGNP比で見ましても日本は〇・六三%、これに対しましてアメリカは一・〇七%、ドイツは〇・九七%、フランスは一・一一%、イギリスは〇・七五%、いずれも日本よりも上でございます。
 この数字は、日本政府の科学技術振興の消極的な姿勢を示すと言われてもやむを得ないのではないかというふうに思われます。天然資源がなくて、今後日本が国際社会の中で生き残っていくためには、人的資源あるいは技術力に頼らざるを得ないという現状でございますが、他の先進諸国の中で政府負担割合が極端に低い状態であります。
 いかに日本の研究活動というのが民間部門に頼っているかということがよくこの数字を見てわかるわけでございます。民間部門はあくまでも利潤追求のための研究を主としておりますから、どうしても基礎研究には余り力が注がれない、こういうことになってまいります。日本は基礎研究が弱いと、こういう結果となって出ております。これまでは、基礎研究が多少弱くても他国の成果をおすそ分けしてもらう、こういうことで日本は発展してきたわけでございますけれども、しかし、先進国の一つとして世界の中で重要な地位を占めるようになってからもう久しいわけですけれども、もはやこういっただ乗りというのは許されない状況でございます。
 としますと、基礎の弱い日本は、今のままですと世界の中で先進国としての地位を維持し続けるというのは非常に難しいのではないかというふうに危惧しております。確かに政府の財政事情が悪いことは承知しておりますけれども、しかし、日本の将来を考えますときに、日本として、また日本政府として科学技術に関する研究費、殊に基礎研究費というのは大幅に充実、増額させていくことはもう不可欠であるというふうに思います。
 科学技術を積極的に振興していくと、こう所信で述べられた大臣といたしましては、日本政府のこれまでどちらかといえば消極的と言われてもやむを得ない、数字としてそう出てきている、これをどうお考えか。また、日本の将来のためにこの研究費の予算を増額すべきというふうに考えますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
#86
○国務大臣(田中眞紀子君) おっしゃるとおり、確かに今までの政治情勢の中におきましては、科学技術はなかなか優遇していただけなかった面があることは認めざるを得ないと思いますが、このたび十四年ぶりでございますけれども、振興調整費も百五十五億プラス三十億円という特大の御配慮をいただきましたし、それから、全体から見ますと建設公債というものも利用させていただけるように平成八年度から動き出すことになりました。それから、公共投資の重点化枠も三十億円ということになっておりまして、随分この村山内閣になりましてから、総理が科学技術は未来への先行投資とおっしゃっていることが具体的に目に見える形で予算づけされてき始めているということは大変喜ばしいことだろうというふうに思っております。
 そして、基礎研究というものはもちろん言わずもがなでございますけれども、そのほかいろいろやはり科学技術を振興していくことを、基本的なことをしっかり踏まえて発展させていくということは、またそれは新しい産業の創出というものにつながって経済効果も生むというふうに思いますので、着実にできることから仕事をしていくべきだろうというふうに思っております。そういう方向づけはこの村山内閣によって、三党の先生方皆様の御協力によって随分前向きになってきたというふうに私は認識いたしております。
#87
○浜四津敏子君 それでは次に、文部省にお伺いいたします。
 今回の地震によりまして、大型地震がどこの地方でも起こり得るということがある意味で証明された形となってしまったわけであります。茂木清夫地震予知連絡会会長もこのように述べておられます。予知するための観測体制が確立しているのは東海地震だけである、それ以外の地域の観測や研究は予知に向けた研究段階にあると。これは本年二月四日付の日本経済新聞大阪版に載っております。例えば、京都大学防災研究所、この防災研究所は観測機器の精度などでは全国でもトップレベルだと言われているところであります。また、関西の地震予知の中心的な存在というふうに言われている研究所でございますが、この研究所でさえその内容は研究陣がわずか二十八人、膨大な量の観測データを処理するのがこの二十八人では、それだけでもうやっとである、これはここの教授の住友教授がおっしゃっておられます。
 今後、適切な観測網等を東海、関東地区だけではなくて全国的に広めていくということがどうしても必要になるかと思われます。
 また、先日の新聞報道によりますと、科学技術庁の防災科学技術研究所長がこうおっしゃっておられます。予知に投じる資金があれば防災対策に投じたほうがよいという考えは間違っている、自然災害と防災の研究には人と資金を投じてもよいんだと、こういう旨の発言をしておられます。
 防災対策も当然大事でありまして、今後も十分な予算を投じていくべきでありますけれども、ただ予知の面でも、世界一の地震国と言われている日本が積極的に研究を進め、予知研究の進んでいる中国とかあるいはギリシャなどとともに、あるいはそれら以上にイニシアチブをとっていく必要があるのではないかというふうに思われます。
 そうしますと、今後、特に大学機関等において地震研究観測機関で活躍する人材育成というのが非常に重要になってくるのではないかと思います。
 現在、地震に対する教育研究を行っている国立大学は、九十八大学中十九大学、公立大学は四十八大学中四大学というふうに伺っておりますが、文部省としましては、このような観測研究を全国的に進めるために国公立大学に地震予知研究のための学部、学科の新設、増設、あるいは講座の新設あるいは増設、これを考えておられるのかどうかお伺いいたします。
#88
○説明員(近藤信司君) お答えをいたします。
 私ども文部省におきましても、地震予知研究の重要性にかんがみまして、そういった研究者でありますとか、あるいは観測研究に従事する人材の養成確保、これを図っていくことが重要な課題である、こういうふうに認識をしておるわけでございます。
 今、先生おっしゃいましたように、地震予知に関する教育研究につきましては、国公立を通じまして、主として理学部を中心にして行われておるわけでございまして、現在二十三大学で行っておる、このように承知をしておるわけでございます。とりわけ、地震予知研究の高度化が進む中で、大学におきます人材養成につきましては、今後は、学部よりもむしろ大学院レベルが中心となってくるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
 例えば、東京大学や京都大学におきましては、それぞれ地震研究所や防災研究所の教官の協力を得まして、大学における教育研究体制の充実が図られているところでございますし、今先生お尋ねになりました国公立大学における地震予知関係の学部、学科あるいは研究科、講座等の設置につきましては、そういう地震予知の重要性というものにかんがみながらも、また今後とも各大学におけるそういった検討状況、大変厳しい財政状況ではございますけれども、そういった大学における研究状況等も踏まえまして適切に対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#89
○浜四津敏子君 それでは、科技庁にお伺いいたします。
 昨年五月に、放射線医学総合研究所が十九年間にわたって二十七億円をかけて行ってきた速中性子線によるがん治療研究の総合評価を行ったところ、具体的な実施計画がごく一部の種類のがん治療にしかつくられていなかったために、照射の方法、それから線量など患者ごとにまちまちでありまして、従来の治療法と科学的に比較できるデータとして評価委員会に提出できた研究データは、これまでに照射してきた約二千人の患者さんのうち約五百人分にとどまっていたと、こういう報道が、これは昨年の十二月に朝日新聞になされました。
 この報道にあるように、大半が無計画であったとするとこれは少し問題ではないかというふうに思われます。その事実関係、また原因、一体どうなっているのか、納得がいくように御説明いただけますでしょうか。
#90
○政府委員(岡崎俊雄君) 私どもも先生御指摘の新聞記事は大変驚かされたわけでございます。
 少し時間をいただきまして御説明を申し上げたいと思いますけれども、放射線医学総合研究所におきましては、昭和五十年から中性子、特にエネルギーの高い速中性子線を使ったがんの治療研究というものを開始いたしました。現在までに約二千百例の症例を対象に臨床研究を実施してきたところでございます。
 これらの臨床研究につきましては、今も御指摘がございましたとおり、平成四年の八月から平成六年の五月にかけまして、東北大学の坂本先生を委員長といたします速中性子線の治療評価委員会というものを設けて評価をしていただいたわけでございます。
 その評価につきましては、いろいろな角度から速中性子線のがん治療の効果について評価をいただいたわけでございますが、例えば幾つかのがんにつきましてはこの速中性子線が非常に有意であるとか、あるいは今後とも進めるべきだという御指摘もある反面、幾つかのがんにつきましては期待したほどの結果を得られていないということも御指摘をいただいておりますし、さらにその他のがんにつきましては、今まさに進めようとしております重粒子線の方がより適切だと、こういった具体的な指摘もいただいておるわけでございます。
 先生の御指摘をいただきました点につきまして、二千百例の中からごく一部しかこの評価に使われていないのではないかという点について、さらに御説明を続けさせていただきたいと思います。
 速中性子線の効果を評価する場合に、専門的な言葉で恐縮でございますけれども、がんの局所制御率、こういうものを評価いたしたようでございますが、この局所制御率を評価する場合には、がんの治療には幾つかの治療法を併用する場合がございます。したがって、速中性子線の効果をより純粋というか明らかにするために、速中性子線が主として使われた例というものを取り上げるということ、したがって、併用した場合、ほかの効果が混在するような場合には、それはこの局所制御率の評価の対象から外すということであるとか、あるいは病巣の位置等から見まして、この局所制御の様子が治療した後に継続して観察が困難な症例もございます。したがって、それらを総合的に勘案しました結果、速中性子線の局所制御率を評価する観点からは約五百例が適切である、こういう観点からこの五百例を選んだということでございます。
 したがいまして、決してこの五百例以外について何も評価されてないということではございません。これはそれなりにそれぞれの観点から評価なされていることは当然でございますし、さらに昨年の報道等を踏まえまして、現在、放射線医学総合研究所ではこのがんの局所制御率の観点のみならず、広く総合的に速中性子線の評価というものを行うための委員会をこの三月から設置をいたしまして、約一年間ほどかけまして速中性子線全体の評価を、この二千百例全体にわたりまして今評価を行いつつあるというところでございます。
#91
○浜四津敏子君 それでは次に、大臣は所信で、核燃料リサイクルの着実な展開に取り組んでいくというふうに述べておられますが、現在、ドイツ等ほかの国におきましては、ウランの値段の下落等を理由といたしまして核燃料リサイクル計画の凍結等がなされております。
 他国で凍結されるにはそれなりの根拠があるものと思います。もちろん、国によって事情は異なりますけれども、日本はどのようなスタンスで取り組まれるのか。本当にリサイクルが必要だというなら、それに対応した取り組みが必要と思いますけれども、今後どのようにこの計画を進めていくのか、お答えいただきたいと思います。
#92
○国務大臣(田中眞紀子君) エネルギー政策は、それぞれの国情によって違ってくるということはもうやむを得ないことだろうというふうに思います。そして、日本は資源が少ない国でございますし、将来エネルギーの需要というものは増大することが見込まれております。そうした中でエネルギーを安定供給していくためにはどのようにすればいいか。安全確保そして平和利用ということを堅持しつつ、確実に透明性を高めながら、そしてその途中の段階でいろいろなことが生じますが、そういうことはやはり当然地元の皆様の御理解を得つつ着実に推進していくべきものだろう、かように考えております。
#93
○浜四津敏子君 以上で終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#94
○泉信也君 長官の所信についてお伺いをいたします。
 所信の第二で述べられました国民生活に密着した科学技術の推進という中で、「この分野で、まず取り上げなければならないのは防災科学技術です。」と、こう述べておられます。大きな震災の後でありますだけに大変評価できる内容だと思っておるわけであります。
 科学技術庁でも振興調整費の緊急研究を早速始められるということも承知をいたしておりますが、二次補正予算一億四千三百万というこの金額は、科学技術庁当局が当初考えられた金額とどれほど隔たりがあったのか、また、その内容はどうであったのか、まずこのことをお尋ねいたします。
#95
○政府委員(沖村憲樹君) 先生の御質問の御趣旨は、補正等なるべくいろんな機会をとらまえて地震予知・防災研究を進めるようにという御趣旨だと思うのでございますが、私どもこの一億四千三百万で補正を組ませていただきました趣旨は、今回阪神大震災に関連をいたしまして淡路島・神戸地区でいろいろ余震等が考えられまして、それに対応いたしまして地震計等を配備しまして、その観測をきちんといたしまして防災に役立てたいという趣旨から、一億四千三百万という数字を計上させていただいたところでございます。
 これにつきましては、私ども緊急でございますので、差し当たって六年度の緊急といたしましては、こういういただいた数字でできるだけのことをやっていきたいというふうに考えております。
#96
○泉信也君 余震観測のための観測機器を整備するということは承知をしております。
 私がお尋ねしたのは、科学技術庁としては一億四千三百万ということで金額的によかったのか、あるいはまた、こういう余震のことをやることだけで当面の六年度補正はいいと、そういうふうに判断されたのかということをお聞きしておるわけです。
#97
○政府委員(沖村憲樹君) 六年度補正の趣旨が淡路島・神戸地区の緊急の措置ということに限られておりましたので、とりあえずこういう措置をさせていただきました。
 今後の対策につきましては、七年度補正とか来年度要求とかそういうことで対応させていただきたいというように考えております。
#98
○泉信也君 そこでお尋ねしますが、七年度の本予算でどういうことをやられるのか。既に私どもは組み替えを要求いたしました経緯があるわけですが、組み替えはしないまま本予算が今参議院で議論をされております。
 そうしますと、本予算の中でどういう対応を考えておられるのか、お話しください。
#99
○政府委員(沖村憲樹君) 当庁の予算といたしましては、一番主なものは防災科学技術研究所でございますが、防災科学技術研究所につきましては組み替えをいたしておりませんので、地震予知関係の予算としましては首都圏直下型対応という予算が主になっております。
 ただ、当庁としましては、振興調整費等もございますので、そういう予算も使いまして、各省庁とも相談しながらこの七年度の事業費につきましては弾力的に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#100
○泉信也君 役所の答弁としてはそういうことになるのかもしれません。しかし、今年度予算を一部カットすると申しますか、五%一律削減とかいろんなことを言われておりますので、当然既に科学技術庁としてはそうした本年度予算に対応する基本的な考え方をもっと整理しておくべきではないか、私はそんなふうに思います。
 そこで、今のような状態で七年度の一次補正についてお尋ねするのはお答えが期待できないわけですが、どんなお考えを持っておられますか。
#101
○政府委員(沖村憲樹君) 補正全体につきまして、政府全体でどういう対応をするかということはまだ固まっていないわけでございます。
 それで、七年度に緊急にどうしてもやらなければいけないことにつきましては、繰り返しになりますけれども、振興調整費をもちまして対応させていただきたいというふうに考えております。
#102
○泉信也君 今お話がありました振興調整費について、これは私のお願いであり、また考え方を聞かしていただきたいわけですが、今週の月曜日に、つくばにあります工業技術院の機械技術研究所でお話を伺ってまいりました。いわゆる地電流の研究に対してもっと取り組んではどうかという話を伺い、私もそう思ったわけです。もちろんまだ緒についたばかりですから、このことが本当に予知につながるのかどうか大変問題点を残しておることは当局の方もおっしゃっておられますし、私もそう思いますが、科学技術振興調整費をこういう研究に振り向けていただくということは可能でしょうか。
#103
○政府委員(沖村憲樹君) 今、先生御指摘いただきました地電流の研究でございますが、これにつきましては、平成二年度から平成四年度にかけまして科学技術振興調整費で、私どもの防災科学技術研究所と、先生の今お話ございました機械技術研究所の研究者が一緒になりまして研究をいたしました。その成果をもとに今研究を継続させていただいているところでございます。
 それで、新年度の科学技術振興調整費でございますが、基本的には科学技術会議でそのテーマ等を決めるわけでございます。今一番地震予知研究のメーンは、いろんな微小地震のデータを重ねて地殻の研究等からこの問題に取り組むというところがメーンでございますけれども、そのほかに、今先生御指摘いただきました地電流の研究とか地磁気の研究とかいろんな方法があると思うのでございますが、これにつきまして一回検討会を設けまして、その全体を先生方と御相談いたしまして、どういう方法、研究が有効かということも議論を進めさせていただく準備を今いたしております。
 そういうことを踏まえまして、科学技術会議で御議論いただいて、取り上げていただくような方向で進めさせていただくということになろうかと思います。
#104
○泉信也君 御相談いただいておることは大変結構ですが、この地電流の研究等は、御承知のように、地震予知では亜流だというふうな位置づけがなされておるんではないかというふうに思うわけです。ですから、その位置づけを突破していただけるように科学技術庁としては積極的に取り組んでいただきたい。
 長官の所信の中で、防災科学技術を積極的に取り上げるというふうにお述べをいただいたわけでありますけれども、今お聞きのように、必ずしも腰が据わっていない。すべて金額で評価をすることは避けたいと思いますが、七年度本予算に対する対応あるいは一次補正に対する考え方、こうしたものは早急に取りまとめをしていただきたい、このように思うわけであります。
 次に、やはり所信で述べられました第四がエネルギーの安定確保でございます。ここで長官は、このためにも太陽エネルギー等の新しいエネルギーの研究開発に取り組みたいと、こういう所信を述べておられますが、この中身、六年度あるいは七年度の予算でどういう取り組みを科学技術庁はなさったのか、御説明ください。
#105
○政府委員(落合俊雄君) 新エネルギー研究開発に関連した取り組み状況でございますが、平成七年度予算で御説明を申し上げたいと思います。
 一つは、海洋エネルギー利用技術の研究開発ということで、波力エネルギーを利用いたしましてマイナィーホエールというものの開発を行うというのが一つございます。金額ベースで申し上げますと、予算額で一億三千二百万円を平成七年度予算案に計上いたしております。
 それから、光合成科学研究でございますが、これは太陽光エネルギーを利用いたしまして炭酸ガス、水からアルコール、水素ガス等の燃料物質に変換するための方法の研究ということで、平成七年度予算案では一億二千四百万円を計上させていただいております。
 次に、太陽光発電エネルギー利用の可能性に関する研究ということで、冬季の雪国におきます太陽エネルギーの利用可能性の拡大のための基礎的な研究ということで、これは新規項目でございますが、平成七年度予算案で千二百万円、それ以外にIEAの共同事業への参加というような国際協定への参加のための分担金というようなものも計上をいたしております。
#106
○泉信也君 今お聞きしますと、あるいは七年度予算の説明資料で見ますと、新しいエネルギーへの項目は二億七千百万と、大筋こういうことになろうと想像するわけでありますが、これがまた本当に所信表明でお述べをいただいたお言葉と合致するのかどうか、私は実は少し不満があるわけであります。
 また、長官は七月十八日の当委員会での発言の中で、ごみ発電あるいは燃料電池の開発を例示をされまして、やはり新しいエネルギーの開発ということを力説しておられますが、七年度予算はこの分野についてはどうなっていますか。
#107
○政府委員(落合俊雄君) 先ほど私が御答弁申し上げましたのは科学技術庁関連のものとして計上されているものでございまして、政府全体として申し上げますと、エネルギー研究開発基本計画というものが平成三年七月に策定をされております。その中におきまして、今御指摘の各種エネルギーにつきましても積極的な研究開発を行うということで、各省の中で燃料電池、それからごみ発電というようなものもいろいろと取り組まれているというふうに理解をいたしております。
#108
○泉信也君 局長、理解をしておられるという言葉を私はお尋ねしておるんじゃないんです。局長が理解しておられても国民はわからないわけでありまして、私がお尋ねしておるのは国民にわかるように説明をしていただきたいと。
 私がお尋ねしたことについては直接お答えがございませんでしたが、十一月九日の所信表明でも、長官は太陽エネルギー、燃料電池についても言及をしておられるわけでありまして、これは、他省庁がどれだけやっておるかということも大変重要ですが、科学技術庁がどう取り組んでおるかということは実は所信表明の中で述べられておると私は思っておるわけです。
 ですから、もう一度お尋ねしますが、ごみ発電、燃料電池について科学技術庁はどれほどの予算を計上していらっしゃるか、お尋ねをいたします。
#109
○政府委員(石井敏弘君) ただいまの新エネルギー絡みにつきましては、先ほど政策局長が申し述べましたような科学技術庁の関係機関でやっているもののほかに、科学技術振興調整費の中に新たに生活・社会基盤研究開発制度というものを創設いたしておるところでございまして、この中で、大臣がおっしゃっておられますごみのリサイクル技術でございますとか、あるいは廃熱の有効利用技術に関連する研究、こういったものを取り上げるという方向で現在検討を進めておるところでございます。
 これは、具体的には平成七年度の予算で、かつ四月から新年度に入った後、科学技術会議の方針に沿って具体的テーマ等を定めてまいりますので、事務当局といたしましては、ただいま申しましたようなテーマにつきまして科学技術会議の場で十分説明し、関係各省こぞって協力してこの研究を進めるというようなことで考えておりますので、今、具体的数字を申し上げるということはできないという段階でございます。
#110
○泉信也君 これは所信に基づく、あるいは予算の構造をつくり上げる段階からどういう所信を長官がお持ちになっておるかと裏腹になっておると思うんです。ですから、科学技術振興調整費でこれから考えますとおっしゃると私は何ともお尋ねのしようがなくなるわけですけれども、どうも長官の御意向と予算の組み立て方に整合性が私は必ずしもないのではないか。国民は、長官の所信あるいは年次報告書を見ながら科学技術庁はどういうことをやっておるのかということを知るわけでありまして、所信に書いてあることと予算の組み立て方に必ずしも整合性がとれていないのではないかということだけとりあえず指摘をしておきます。
 次に、やはり所信の中で、今回、従来と違ってといいますか、前の長官と違って、科学技術による国際社会への貢献という項目が実は落ちておるわけであります。これまでの長官の御意向といいますか、前長官の御意向と田中長官のお考えに差があることは当然あり得るわけでありますが、所信の五つの大きな柱に掲げられなかった理由はどういうことでございましょうか。
#111
○国務大臣(田中眞紀子君) 私が申しておりますのは、やっぱりこの国際化の時代でフェローシップなんかもございますし、そのほかのいろいろなプロジェクトも日本国有に自分の能力だけでは限界を超えている。例えば核融合なんかにしてもそうでございますけれども、国際的にはやっぱり協力していくような局面に、段階に達しているんではないかというような認識があるわけでございますけれども、それにいたしましても「科学技術による国際社会への積極的な貢献を念頭に置きながらこと申しておりますことは、全体のあらゆるプロジェクトといいますか分野にかけて発言をしているつもりでございます。
#112
○泉信也君 確かに二十文字ほど基本認識の中に入っております。それは私も承知をいたしておりますが、前委員会で科学技術庁予算についてという御説明をいただきました中にはちゃんと項目が設けてあるわけですね。予算規模からいきますと、この六つの項目の中で第三番目の額を持っておるわけです。全体の科学技術庁の予算が八千五百億弱、八千四百億強と言った方が正しいと思いますが、この中で、国際社会への貢献という費目は千八百億弱の金額を持っておりまして、決して項目として挙げ得ない、そういうものではないというふうに私は思っております。どうでしょうか。
#113
○政府委員(石井敏弘君) ただいま先生の御指摘の点はもっともでございますが、先ほど大臣が申されましたように、大臣の所信表明は、全項目にわたりまして国際協力、国際社会への貢献の重要性の所信を述べておられるところでございまして、従来から私ども、先生御指摘のような科学技術による国際社会への貢献ということで一項目設けておりますが、これは具体的には、創造的・基礎的研究の充実強化とか、あるいはエネルギーとか宇宙とか、いろんなところにばらまかれたものを取り出して、説明しやすく御説明するという非常に事務的な形でこれを取り上げておったということもないわけではございません。
 したがいまして、大臣の所信で項目全般に係る基本的な思想ということで所信を述べられたわけでございまして、決して国際社会への貢献ということを否定されるとか小さくされたのではなしに、より全体に係るというより高い考え方を述べられたものというようなことでございまして、私が予算の項目で説明したものと食い違いがあるわけではないと理解いたしております。
#114
○泉信也君 それはそうでしょう。恐らくおっしゃるとおりだと思います。しかし、日本が経済協力をする、あるいはPKOで世界に貢献をする、そうした幾つかの日本に課せられた使命があるわけです。私は、科学技術を通じて世界に貢献をするというのは大変重要な課題だ、こういう思いを持っておりまして、なぜそれが項目から脱落をするのか。今の御説明でもちろんそうしたお考えが否定されておるとは思いませんけれども、むしろ科学技術庁としては前面に出していくべきような大変重要なことだと私は思うんです。
 長官、いかがでしょうか。これがたまたま落ちたのか、それとも長官の強い御意思で落ちたのか、いかがでしょうか。
#115
○国務大臣(田中眞紀子君) 先ほど来官房長もお返事申し上げておりますけれども、全体的な意味で、あらゆる分野、ジャンルでもって国際貢献というふうなことが必要になっていますし、特にエリア的に申しましても、いわゆる欧米一辺倒ではなくて、これからは中東、旧ソ連系、それからアジア・太平洋地域等、カバーするところも広くなってきていますし、いろいろな分野のプロジェクト等もございますので、そういう意味で御理解いただければいいのであって、新しい項目をどうしてもこれ用に幾らとうたわなければいけないという性質のものではないというふうに考えておりますんですが、いかがでございましょうか。
#116
○泉信也君 実は長官は、十一月九日の所信でも、科学技術の成果は人類全体に対する偉大な贈り物であり、我が国が国際的に貢献していく場面は今後ますます拡大していく、こういうことをおっしゃっていただいているわけです。
 ですから、繰り返しになりますが、私としては、長官の意向を事務方が正確に受けるならば、ぜひきちんと項目を挙げて世間に問うべきである、このように思っておるわけです。
 今、三つの問題を指摘いたしましたけれども、私は、先ほど触れましたように、書いてあるけれども必ずしも十分ではない、予算措置はきちんとしてあるけれども所信表明の中にはごく二十文字程度しか触れていない、ここに、私の思いとしては所信表明に若干のそごがあるのではないか、こんな思いを持っておるわけであります。
 もう一つ、少し角度を変えましてお尋ねをさせていただきますが、所信表明の中で北朝鮮の問題についてお触れをいただいております。
 けさ、日本時間で早朝に、KEDOというんでしょうか、朝鮮半島エネルギー開発機構というのがいよいよスタートしたようであります。そのことを受ける前に、ここに「平和利用への限定と十分な安全確保を求めてまいります。」という所信を述べておられます。政府が閣議でKEDOに取り組むことを確認したのがつい最近でありますので、そのことと長官の所信との関係が若干私は気になりますが、ここでは触れずに、これの文言を前提に少しお尋ねをさせていただきますと、長官は、国際原子力機関総会で北朝鮮の核開発疑惑に対する懸念を表明したという御報告を当委員会でされておりますが、その懸念は払拭をされたのかどうか。ここにお書きになった文言を読みますと、長官としては払拭をされたというふうに私は受けとめたくなるわけですが、いかがでございましょうか。
#117
○国務大臣(田中眞紀子君) 払拭されるように持っていかなければいけないわけでございまして、この北朝鮮の核開発の問題というものは世界の核不拡散という観点から大変重要であろうというふうに思っておりますし、政治的な表現をいたしますと、北朝鮮を孤立化させるといいますか追いやるというか、そういう状態に持っていくことは決して賢明ではないというふうに思います。
 そういうことから、KEDOの設立ということにも、アメリカ、ヨーロッパ、そして韓国はもちろん、日本もですけれども、いろいろ時間をかけて討論、議論を繰り返してこられた経緯があるというふうに思っておりまして、そういう観点からいきましても、これは米朝合意というものは決して完璧なものではないかもしれませんけれども、日本、極東の安定とか平和というふうなことに直結する問題でございますので、ですから、ぜひこれが前向きに国際社会全体から評価されるように、なるほどよかった、いい方向に向かっているんだと思われるように、方向づけるように日本も協力をしていくということがやはり国際社会でのあるべき姿ではないかというふうに思います。
#118
○泉信也君 韓国型の導入について、御承知のようにガルーチ代表と北朝鮮の考え方は違うようで、この行き先が大変憂慮される事態がこれからも起きてこようと思いますが、設立されたKEDOの組織が動き出しましたというか動き出すわけでありますが、科学技術庁としては、平和利用と安全確保というこの問題に具体的にはどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#119
○政府委員(岡崎俊雄君) 私ども原子力の平和利用を預かる者といたしまして、先ほど大臣が御説明申し上げましたとおり、平和利用と安全の確保というのはまさに大前提であろうかと思います。したがって、北朝鮮に対する軽水炉支援が今後進むに当たりまして、この点について我々は十分配慮しないといかぬと、こう肝に銘じておるところでございます。これはまさに原子力基本法の精神にも合っている、このように理解しております。
 具体的に、今回設立をされましたKEDOの協定の中身におきましてもこの考え方は第四条の中に明確に述べられております。ちょっと読み上げさせていただきますと、機構というのはすなわちKEDOのことでございますけれども、「機構により行われるプロジェクトに関連して北朝鮮に移転される核物質、設備及び技術が専ら当該プロジェクトのために及び平和的目的にのみ利用され、かつ原子力の安全利用を確保する方法で利用されることの公式の保証を北朝鮮から得る。」、このような形でKEDOの設立に当たりましても具体化されておると認識しております。
 さらに、今後具体的な軽水炉の供与に当たりますいろんな話し合いがこれから進んでいくわけでございますので、その具体化の進展に応じて、私どもの考え方が十分生かされるように対応していくのが私どもの務めではないかと思っております。
#120
○泉信也君 所信にもお述べをいただいておりますように、この問題についてはぜひ科学技術庁としても全力を挙げて取り組んでいただきたい、このように思います。
 そこで、このKEDOの協定で、多年度にわたる資金拠出ということが規定される可能性が非常にある。日本の分担、五十億ドルの中でどれだけ分担するのかわかりませんが、四十億ドルとか五十億ドルと言われます中でよくわかりませんが、国務大臣として田中長官はその協定の国会承認が必要であるというふうにお考えなのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
#121
○政府委員(岡崎俊雄君) まず、事務的に御説明申し上げたいと思います。
 本来この問題は外務省が御説明すべきテーマではございますけれども、今回のKEDOの設立は、あくまでも国際機関であるKEDOの機構の設立に関する取り決めてございます。この取り決めにつきましては、外務大臣が参議院の予算委員会でも御説明されておられますとおり、あくまでも行政取り決めの範囲内であるということを説明されておられます。
 今、先生御指摘の、今後軽水炉の供与に当たりまして、我が国の関与がいかなる形になるかということについてはまさにこれからその話し合いが始まろうとしておるわけでございますので、その内容を待って判断すべきものではないかと認識しております。
#122
○泉信也君 事務当局にお尋ねをしてもお答えにはならない。今のは私がお尋ねしたことには全く答えておられないわけでありまして、私は国務大臣田中長官にお尋ねをしたわけです。
 科学技術庁の守備範囲を超えておるということは承知の上で実はお尋ねをしたわけでありますが、今の局長のお答えは私としては甚だ不満でありまして、局長は大平外務大臣のときの答弁は御承知でございますね。それとは矛盾しないんですか、今の局長のお答えは。
#123
○政府委員(岡崎俊雄君) 私が有権的にその問題についてお答えする立場にはないわけでございますけれども、私どもが外務省からお聞きしておりますところによりますと、そのとおりでございます。
#124
○泉信也君 外務省は国会承認を必要とすると、こういう見解を述べておりますが、それは御承知ではありませんか。
#125
○政府委員(岡崎俊雄君) このKEDOの設立に関する協定につきましては国会承認に当たらない協定、すなわち行政取り決めである、このように承知をいたしております。
#126
○泉信也君 この議論をあなたとやるつもりはありません。ありませんが、念のために大平大臣のときに三つの要約をしておられる中の二番目に、いわゆる財政事情を含む国際約束も国会承認条約に該当いたしますと、こういうふうにお答えになっておるわけです。今の答えは違いますね。長官、どうでしょうか。
#127
○政府委員(岡崎俊雄君) 外務大臣の御説明も、今、先生御指摘の大平三原則の第二項めについても十分認識された上での御説明であったかと承知しております。
#128
○国務大臣(田中眞紀子君) この件につきましては外務省からもレクチャーに来ていただきまして意思疎通を図っておりますけれども、外務大臣が国会でおっしゃっているとおりでございます。
#129
○泉信也君 この問題はこれから議論をしていかなければならない大変大きな問題だと思います。少なくとも、国民の税金を国会に諮ることなく政府の一存でやっていいというものでもないと私は思いますし、また、こうした大きな問題は内閣がかわった途端にだめになるような仕組みでは国際社会に笑われるわけでありますので、私としてはぜひ国会できちんと議論をし、そして必要な手当てをしていくという方向で取り組んでいただきたい、これは私の長官への要望でございます。
 それから、先ほど行政改革についてのお話がございました。これは繰り返してお尋ねするのもいかがかと思いますが、対象になりました二つの事業団、情報センター、この内容を読ませていただきますと少し私としては疑問があるわけであります。この情報センターの成果は相当に活用されておるのかどうか、その点をまずお答えをいただきたいと思います。
#130
○政府委員(工藤尚武君) 情報センターで今科学技術の文献情報を中心に非常に多数のデータベースを蓄積しておりますけれども、これを非常に広範に販売をしておりまして、大体八十億程度の売り上げがこれによってなされております。
#131
○国務大臣(田中眞紀子君) より身近な例で申し上げますと、JICSTでは、このたびの震災でございますけれども、余震とかそういう関係のデータだけを拾いましても三千以上ございました。そういうものをすぐ地方公共団体に流すことにいたしまして、それはそれぞれの団体で利用していただいていると思いますけれども、そのような形でも役立っております。
#132
○泉信也君 確かにいい成果が出ておると思います。
 そこで、もう一つお尋ねしますのは、この情報センターが海外を含めてデータの収集をされるに当たって、こういう特殊法人でなければ手に入れがたい、例えば民間では相手国があるいは相手機関が情報を提供しないというような具体的なお話があったことはございましょうか。
#133
○政府委員(工藤尚武君) 公表されているデータが中心でございますので、そういうものも全然ないとは言えないかとは思いますけれども、基本的にはそういうことはないかと思います。
 したがって、今、一番何によって特殊法人になっているかと申しますと、そのデータベースをつくるのに非常にお金がかかるわけでございまして、非常に地味な仕事の積み重ねでございますけれども、これはデータの中身は基礎研究でございますので、これをコマーシャルベースで売るというわけにはいかない、それではコマーシャルベースが成り立たないわけでございます。お金がかかっても立派なデータベースをつくってそれを幅広く普及させていく、これが日本の研究開発全体の基盤を形成していく、そういう考え方でございます。
#134
○泉信也君 私はこのセンターの果たしておられる役割を評価するものです。しかし、今、局長おっしゃったように、これが本当に特殊法人という形態をとっていかなきゃ成り立たないのかどうか、自己改革をすることによって民間ベースでも成立するのではないか、こういう思いを持っておりますことだけ。
#135
○政府委員(工藤尚武君) 先生の御指摘はごもっともの面もあるかと思いますけれども、今私が申し上げたように、基礎的な研究開発に関するデータベースづくり、これは各国でも行われておりますけれども、いずれもみんな国の資金でこれは行っております。それでもやはり必要だということでございます。
#136
○泉信也君 もう一方の新技術事業団の内容は大変今の情報センターと違って、私としてはこれはもう要らないんではないか、こういう思いを実は持っております。内容をこのパンフレットで見せていただいた程度ですから、きょうここで立ち入ってのお尋ねをするつもりはございません。余りにもその知識がありませんので、これ以上お尋ねをいたしません。
 先ほど来あるいはけさからの質疑の中にも多分何度かこの行政改革の問題はお尋ねがあったと思いますが、私は、科学技術の問題はこれからの日本を支えるといいますか、引っ張っていく上において大変重要な意味があると思っておりますので、単なる数合わせと言うと長官は怒られるかもしれませんが、どうかそういうことで統廃合を考えないでいただきたい、必要なものはあくまで必要だということで頑張っていただきたいということを申し述べまして終わらせていただきます。ありがとうございました。
#137
○乾晴美君 民主改革連合の乾でございます。よろしくお願いいたします。
   〔委員長退席、理事志村哲良君着席〕
 午前中の論議の中にもありましたが、まず、若者の科学技術離れについて私も非常に関心がありますので申し述べてみたいと思うんですけれども、午前中では鈴木議員からいろいろ提案がなされました。私もこの前の十一月十六日の科学技術のこの委員会で科学技術離れについても質問させていただきました。本日もそうでしたけれども、大臣はその際、入り口論と出口論ということをいつもいろんなところでおっしゃっていらして、きょうもおっしゃいました。入り口の方は、まず初等中等教育のカリキュラムを見直してちゃんとやるべきだと、また出口の方では、大学の施設が非常にお粗末ではないか、そこら辺をもっとちゃんとしなきゃいけないし、待遇の問題も問題として、非常に冷たい待遇のされ方をするとそういうことになるのではないかというようにお答えになったと思います。
 ずっとそういうことでお答えいただいておりますので、これは具体的にもう新年度が間近に来ているわけなんですけれども、あれ論議されてから今日までどんな点が一歩前進したというようにとらえさせていただければよろしいんでしょうか。特に、予算面でどのように反映されているのかということを紹介していただけたらと思います。
#138
○政府委員(落合俊雄君) 若者の科学技術離れの問題点、けさほどからいろいろと御議論ございまして大臣からも御答弁がございましたが、基本的に、私ども昨年十二月に科学技術系人材の確保に関する基本指針というものを決めておりまして、この中で、けさほども議論がございましたが、技術者の処遇の改善を含みます人材確保対策、それから研究者の処遇改善というようなことをやっておりまして、この基本指針につきましては、経済団体連合会を初めといたします経済団体それから各種業界団体等にも説明を行って御理解を求めているということでございます。
 それから、今御質問の中に予算金額の御質問がございました。私どもといたしましては、平成七年度の政府原案におきまして、人材の養成確保に係る経費といたしまして八億六千百万円を計上いたしております。これは六年度予算に比較いたしますと二四・二%の増加という大幅な増加になっております。
 具体的に申し上げますと、国研等におきまして若者に最先端の科学技術に接する機会を与えますサイエンスキャンプ、これは科学技術体験合宿と呼んでおりますがサイエンスキャンプ、それから若者の科学技術に対します理解を促進するための参加体験型の展示ソフトの開発というような経費を計上いたしているところでございます。そのほか、若手の研究者に対する多様な研究機会の提供のための科学技術特別研究員制度でございますとか基礎科学特別研究員制度というようなものの予算上の充実も図っているところでございます。
#139
○乾晴美君 白書にまで出して頑張っていただけありまして二四・二%も増額していただいたということで、非常に力強くうれしく思います。
 これは中等教育になりましたら文部省とも関係するんですけれども、科学技術庁というのはそのほかのことでもいろんな各省庁とも連携するといいましょうか総括しなきゃならないというように思います。午前中から地震予知の問題もありましたわけですけれども、予知をやるところはどれぐらいあるのかということ、たくさんあると思います。ざっと考えてみただけでも建設省の国土地理院の地震予知連絡会がある。それから文部省の測地学審議会がある。それで、気象庁の地震防災対策強化地域判定会、科学技術庁の中にまた地震予知推進本部と、このほか大学にもたくさんあるんだということでございますけれども、こういったたくさんあるものを科学技術庁が統合して、そして効率化していくということですね。二月十七日でしたでしょうか、長官もおっしゃっているわけなんですけれども、三つの点についてちょっと尋ねてみたいと思うんです。
 その一つは、やっぱり先ほども問題になっておりました科学技術振興調整費の緊急研究について、八省庁十機関が行っているということなんですが、それはそれぞれがどのような予算措置をしてそれをどのように総括していくのかというのが一点と、科学技術庁と各省庁のあり方の中で、それぞれ総括のあり方といいましょうか、どういうやられ方をしているんでしょうかということと、このほど宮林審議官が座長になられるということなんですが、科学技術庁の地震対策タスクフォースというんですか、そういうのが発足したというふうに聞いているわけなんですが、どのような活動をなさるんですか、ちょっと教えていただけますか。
#140
○政府委員(沖村憲樹君) ちょっと現在の現状から御説明をさせていただきたいのでございますが、まず予知体制でございますが、今先生御指摘ございましたように、まず地震予知に関します学術的な計画でございます、これは文部省の測地学審議会の方でお決めになっておられます。それから、その計画を受けまして内閣全体でその計画を具体化し、あるいは連絡調整をするという役割が科学技術庁長官が本部長になっておられます地震予知推進本部という本部でございます。この本部のもとに、国立大学、先ほどおっしゃいました国土地理院、気象庁、それから私ども科学技術庁、通産省の地質調査所、いろいろな機関が集まりまして、全体総合調整をしながら予知体制の具体化等をやっておるところでございます。それからもう一点、観測しましたデータの情報交換というものを予知連絡会というところが中心になってやっておりますが、これは国土地理院長の諮問機関でございます。
 この体制につきましていろいろな御議論がございまして、これにつきましては大臣からの御指示もございまして、特に地震情報に関しますデータの集中一元化、それから社会にこのデータをどう還元していくかということも中心にいたしまして、予知体制全般につきまして少しすっきりしたものにしようということで、現在、大臣の御指示のもとに地震予知推進本部幹事会を数回開きまして、事務的な詰めを行わさせていただいているところでございます。
 それから二点目でございますが、科学技術振興調整費の御質問がございました。これにつきましては一月二十六日に、地震が起きましてすぐ、とりあえず本年度内緊急に調査できるものを各省集まって調査しようということでやっております。これは、ばらばらにやるんじゃなくて、むしろいろんな機関が集まって連絡をとりながら総合的にやった方がいいということで、先生が今御指摘になったような機関が集まりまして、今、鋭意進めさせていただいているところでございます。
#141
○乾晴美君 いや、このタスクフォースというのは何をやるんですか。
#142
○政府委員(沖村憲樹君) 失礼いたしました。
 これは一月十七日、この地震が起こりました翌日に、大臣の御指示のもとに庁内で全庁的にこの問題に取り組むために、宮林審議官をヘッドといたしまして各局、官房等集まりましたチームをつくらさせていただいております。
 ここで行いました措置につきましては、今一番大きな仕事は、今申し上げました地震予知推進本部のこういう基本的な問題への対応でございます。そのほかに先ほどのいろんな施策をとらせていただいておりますが、一つの例としましては日本科学技術情報センター、ここでは、先ほど大臣が御説明しましたような地震の情報を各地方自治体に配付させていただきましたが、そのほか義援金のアクセスをこのJICSTのJOISというオンラインシステムを使いまして受け付けております。これは五千件近くのアクセスが現在ございます。それから、緊急に振興調整費で調査をさせていただいたこともその中の一つに入っております。
 そのほか振興調整費による調査の前に、当庁の防災科学技術研究所でありますとか、金属材料技術研究所でありますとか、それから通産省の地質調査所の研究者が地上あるいは飛行機を使いまして現地に参りまして、とりあえずの調査もこのチームの連絡のもとに進めさせていただいております。
 また、そのほか放射線医学総合研究所におきましては、ラセンCTという診断車がございまして、それに放射線医学総合研究所のお医者さんが一緒に参りまして神戸で診察をしたりしておりますし、また海洋科学技術センターの方では、海洋科学技術センターの所有しております船舶を神戸の港に着けまして、都道府県から参っております医療関係者の宿泊施設に使っていただいているとか、あるいは当庁の特殊法人、研究者、研究所等が保有しておりますベッドとか、そういうものを送らせていただいたり、とり得るあらゆることを、考えられるいろんなことをこのチームを中心に大臣の御指示のもとに進めさせていただいておるところでございます。
   〔理事志村哲良君退席、委員長着席〕
#143
○国務大臣(田中眞紀子君) 庁内で連絡をとっていただくようにということはお願いはいたしましたけれども、タスクフォースなどというハイカラな名前の命名者は私ではございませんので、一言つけ加えさせていただきます。
#144
○乾晴美君 ありがとうございました。わかったような気になりました。頑張っていただきたいというように思います。
 今、お答えの中で放射線医学総合研究所の話がちょっと出たわけで、ちょっとそのことについて聞いてみたいと思うんですが、重粒子線を使ったがん治療の臨床実験が始まった、実験というと悪いんですが、そういうことが始まっているということで、午前中のお話の中にも二十一名の方々がそれぞれ治療を受けられたというような報告がございましたけれども、どんな部位に受けられたのか、そしてまた今後どういう部位に、平成七年度にはどこら辺まで進めたいというようにお考えなのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
#145
○政府委員(岡崎俊雄君) 皆さん方の御支援のおかげでこの重粒子線の装置が完成して昨年六月から臨床試行に移っております。午前中も大臣から御説明申し上げましたとおり、二十一名の治療が進んでおるわけでございます。現在まで、その部位につきましては、頭頸部のがん、すなわち口の周り、舌がんであるとかそういったがん、それから肺がん、脳腫瘍、こういったところの部位につきまして現在臨床を進めておるところでございます。
 さらに、今後できる限り患者さんの数もふやしていきたい、こう考えております。できれば平成九年度ごろには数百人規模にしたい、こう思っております。それから対象といたしますがんの部位につきましても、先ほども申し上げました三つの部位に加えまして、肝臓がんあるいは前立腺がん等順次慎重に広げていきたい、このように考えておるところでございます。
#146
○乾晴美君 私、地元でいろんな集会があるたびに、すばらしい重粒子を使ったがんの治療装置が世界でたった一つ日本にできていますよというようなことで紹介させていただくんです。そうすると、多くの方々からその資料の要求がたくさん私のところに参ります。それぐらいたくさん資料要求が参るということは、今がんに対する恐怖といいましょうか関心といいましょうか、非常に高いなというように思っております。
 そういうすばらしいものが千葉県千葉市稲毛というところだけじゃなくて、やっぱりもっと日本国じゅうにそういうものができるといいのになというように思ったりするんですけれども、そういうものは相当なお金も要ることでしょうけれども、今後そういう計画がおありなんでしょうか、いかがでしょうか。
#147
○政府委員(岡崎俊雄君) 御指摘のとおり、この重粒子線のがん治療法というものが一日も早く確立をされ、この成果が広く日本全国に広がっていくということが大変望まれるわけでございます。既に兵庫県におきましては、兵庫県のがん対策の一環として昨年九月から基本設計に着手をされたということもお伺いしております。だんだんこういう動きが広がっていくことが期待されるわけでございます。
 科学技術庁あるいは放射線医学総合研究所といたしましても、来年度からお認めをいただきました重粒子線高度がん治療推進センターというものがこういった開かれた施設ということをねらいといたしております。関係する方々に対して広くこの成果を普及するとともに、この分野の人材の育成あるいは共同研究、そういった点でこのセンターが大変大きな役割を果たしてくれるんだろう、こう思いますので、こういったセンターあるいは放射線医学総合研究所の施設の活用そのものもできるだけ内外に開かれた形で進めていきたい、その成果が広く全国に広がっていくということに対して我々も努力をしてまいりたい、このように思っております。
#148
○乾晴美君 国民の期待は非常に大きいものがあろうというように思います。
 今、兵庫県の西播磨SPring8の話が出ましたが、あそこは阪神地震のときはどうだったのでしょうか。被害はなかったのでしょうか。
#149
○国務大臣(田中眞紀子君) 幸いなことに全然被害がなかったというふうに聞いております。
#150
○乾晴美君 ここのSPring8もまだ完成されていないと思うんです。平成九年度が完成だと言われておりますけれども、今進捗状況はどこら辺までできているのでしょうか。
#151
○政府委員(工藤尚武君) 平成六年度までの予算で大体半分ぐらいの建設の状況でございます。そして、来年度予算、今大体百五十六億円の計上をしていただいておりますけれども、これが認められますと、正確に申し上げますと六四%ぐらいの進捗率になる予定でございます。順調にいきますと平成九年度一部供用開始というのは可能と考えております。
#152
○乾晴美君 それじゃ、まだ見学も可能なわけでございますね。いろいろ見せていただけるんじゃないかというように思います。よろしくお願いしたいと思います。
 次に、やはり地震のことなんですけれども、SPring8は、そばですごいエネルギーの地震があったわけなんですけれども、幸いにして無傷であったということで、喜ばしいなというふうに思いますけれども、やっぱり原子力発電所の耐震については何としても心配なわけでございます。いろんなところで大臣も、大丈夫ですよ、大きな岩盤の上に建っているから大丈夫だということを繰り返し説明もされているようですし、今のところは大丈夫だと言っているんですけれども、やはり私は非常に心配なわけです。それは、余り科学に能力がありませんものですから、今までアメリカの地震で高速道路なんかが倒れたときにも、アメリカは倒れたけれども日本は大丈夫ですよとか、新幹線はどうなんでしょうねと言うと、新幹線は大丈夫ですよとか、それから、日本の家屋はほとんど木造ですから、木造家屋は耐震性が強くて地震は大丈夫ですよとかいろいろ言われていたんですが、その神話といいましょうか、想像以上の地震ではあったと思いますけれども、そういったことがすべて崩れてしまったわけです。
 そういうことで、やっぱり原子力を持った発電所では本当に大丈夫なのかということを再度確認していかなきゃならないと思っておりますが、やはり科学技術庁としては今現在では大丈夫だというように言い切られるのでしょうか。
#153
○国務大臣(田中眞紀子君) この問題につきましては、衆議院でも参議院でもいずれの予算委員会でもう何十回となく御質問がございました。と申しますことは、それだけ皆様が関心がおありになって、心の底から信頼していいかどうかとまだまだ逡巡していらっしゃる証左ではないかというふうに感じております。
 そして、現在はこの地震の事実関係を、資料を収集いたしまして、分析、解析をしなければならない段階ではございますけれども、そしてまた、原子力施設というものは、今、乾先生もおっしゃってくださいましたように、あらゆる角度から調査をして、そして岩盤のところに耐震構造で建っていて、いざというときには自動制御もできるし、手動でもとめられるようになっております。
 完全とは言われていますけれども、やはりこれだけの地震を経験してみますと、それ以前に言われたことと、また今後何が起こるかわからないという素朴な不安の中で、安全審査とかそういうふうなもの、耐震性ということはもちろんですけれども、すべてをやっぱり総点検していくというような謙虚な姿勢は必要だと思いますし、できる限りのことはしてまいりたい、また現在もいたしております。
#154
○乾晴美君 先ほどもちょっと述べましたように、今度、建築学、それから土木工学といったようなことが、果たして地震学だけで予知が正しく予測できて絶対に大丈夫だというようなことに研究が正しくできているかどうか、今後そういうことに向けて研究なされるおつもりなのかどうか。
#155
○政府委員(笹谷勇君) 原子力施設の安全性につきましては、大臣から御答弁があったとおりなんですが、最近の知見をどのように原子力施設の耐震性に生かしていくのかというようなことかと思います。
 安全審査の段階では、その道の専門家の方に最新の知見をもって審査をしていただいております。また原子力安全委員会でも、原子力施設の耐震についての研究を総合的に推進しておりまして、そういう成果も生かして安全性の確立を図っていくということを行っております。
 地震そのものについての解明等は、現在神戸地震については鋭意進められているわけでございますが、午前中の答弁の中でもお話ししましたが、地震学そのものは刻々進展しているわけでございますので、そういうものも十分反映させていただきたいと思っております。
#156
○乾晴美君 建物は大丈夫だということでありましても、やはり原子力発電所の中には長い配管とかそれから電気回路というのが非常に複雑に張りめぐらされているんだろうと思うんですね。そういうところでいろんな影響が出てくるんじゃないかと思います。
 明石架橋がかかっていますけれども、あのロープが一メートルほどどっちかへ行くとどうなるんだろうと。今度一メートルちょっと寄ったようですけれども、ああいう長い距離の中でも一メートルというのはやっぱり誤差のうちなのかどうなのか、よくわかりませんけれども。ああいうことで非常に複雑な影響が出てくるのではないかというように思いますが、そこら辺の点検の仕方、どのようになさるんでしょうか。
#157
○政府委員(笹谷勇君) 配管あるいはその他設備の耐震についてちょっと御説明させていただいた後、その点検の方に入らせていただきたいと思います。
 建物ばかり耐震設計をやっているというわけではございませんで、安全上重要な設備についても建物と同じように耐震設計をしているわけでございます。その場合は、震動等も考慮して設計しておりますので、現在の知見でいいますと、この指針によって行えば十分安全は確保されるものと考えております。
 点検については、通常の原子力施設につきましては絶えず日常的に点検をやっておるわけでございますが、今回の地震にかんがみまして、大臣の指示もありまして、さらに一層そういう点検を徹底させるように文書で指示をしたところでございます。
#158
○乾晴美君 事故は起こらないだろうと思うんですけれども、もし万一そういった事故が起こった場合の対処のマニュアルというんですか、それはどういうふうになっているんでしょうか。自治体との連絡はどうなのか、それから近隣の自治体との連絡、それから支援体制とかいったようなことについてはどうなっているんでしょうか。
#159
○政府委員(笹谷勇君) 原子力防災の観点から御説明させていただきますが、現在の防災の考え方は災害対策基本法というものがベースになっております。これは地方自治体が一義的には防災の措置を講じることになっておりまして、地域防災計画に基づきまして災害対策本部をつくるとか、あるいは緊急モニタリングをするとか、住民に対する立ち入り制限をするとか、そういうようなことがきめ細かく盛り込まれてございます。
 国といたしましては、こういう地方自治体が行います防災活動に対し原子力固有の観点から支援をするという形で取り組んでいるわけでございまして、緊急時には原子力安全委員会に緊急助言組織というものを設置いたしまして、その現状を的確に把握し、必要な指示あるいは指導、助言を行うことになっております。また、必要な場合には、現地へ専門家の派遣をするようなことも、常時派遣する資機材もあわせて備えているわけでございます。このように、地域が行います防災活動については、国はその指導、助言をするということで万全の体制をとっているわけでございます。
 また、御質問のございました国と自治体との連絡でございますが、これは施設それから地方自治体、国との間には専用線あるいはファクスの回線が常時設けられておりまして、ただいま申し上げましたような必要な措置が直ちにとれるような仕組みになっております。
 また、近隣自治体とのそういう連絡あるいは支援体制についても、地方自治体が定めております地域防災計画の中に克明に連絡網も含めまして記載されておりますので、そういう形で適切な対応がされるものと考えております。
#160
○乾晴美君 災害というのはやはり予期しないところに起こってきますので、重ね重ね万全を期していただきたいというように思います。自然の力というのは非常に大きゅうございます。これは前に長官も、大きな自然の力の前には人間の力は小さいということをおっしゃいましたけれども、想像以上のことが起こるなというように思います。
 それは私も産業・資源エネルギー調査会でいろいろ論議をしている中で聞かせていただいておりまして、今人間が地球の環境を汚染しているんだ、そしていろんなフロンガスとか何かでオゾン層が破壊されるんだというような論議がありました。地球儀を回してみますと陸地は赤道からほとんど北半球にあるわけでして、七〇%ぐらいの陸があると思います。また、人口も九〇%ぐらいの人がその北半球の方に住んでいるにもかかわらず、なぜ南極の方のオゾン層が破壊されるのか、大方海なのにというようなことで、それを産業・資源エネルギー調査会に来ていました参考人の方々にお聞きしましたら、それは、お答えとしてはわかりません、今研究しているところでございますというようなお返事でございました。
 ですから、医学にしてもなぜ食したものが血液になるのか、ほとんどの血液は骨髄から生成されているんでしょうけれども、それが食したものがなぜ血液になっているかといったようなこともまだ究明されていないというようにも聞かせていただいておりますので、いろいろ不思議なこともありますし、我々の想像以上のことがあるかと思います。
 科学技術庁がおっしゃることというのは、私たち日本国じゅうの人はすごく信用もしますし、信じてしまうところもあるわけです。ですから、少し気候の変化があって、そら温暖化だとか何だとかというようなことになりますと非常にパニックも起こりますので、非常に慎重を期しながら、しっかり科学技術の研究開発にこれからも力を入れていただきたいというように思います。
 時間が来たと思いますので終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#161
○西山登紀子君 日本共産党の西山でございます。
 まず最初に、長官に御質問をしたいわけですが、私も京都ですので、二月の初めに京大の防災研究所に行ってまいりまして、いろいろと多方面の勉強をさせていただきました。
 大変びっくりいたしましたのは、防災研究所にパネルルームのようなものがつくられていて、いろんな阪神大震災の展示、それから先生方もいろいろ相談に応じるというようなパネルルームがつくられていたわけですけれども、そこに子供さんを背負ったお母さんだとかおばあさんだとかが熱心にそのパネルを見て、活断層の地図のコピーをいただいて帰ったりとかいうふうなことをしていらしたのに大変びっくりいたしました。地震に関する府民あるいは国民の皆さんの不安が大きいと同時に、また予知、観測に対する期待も大きいなと。これにやはり政治としてはこたえるべきだというふうに痛感をして帰ったわけです。
 予知に関しましてですけれども、大変悲観的な見解もあるわけですが、私は、まだ地震の予知というのは動き出して三十年ほどしかたっていない新しい分野の科学だと思っておりますし、阪神のあの地震が予知できなかったからもう地震の予知は不可能だ、無力なんだというふうな立場には立つべきではないだろうというふうに思っております。必要なデータをしっかり集める体制もない中でのことでもございましたし、あのような状況で予知がもう不可能で無力だというふうになってしまいますと、これは予算の立て方、政治のあり方につきましても大変変な方向に行ってしまうんじゃないかというふうに思います。予知はもうだめだというんじゃなくて、防災をきちっとやるのはもちろん必要です。しかし、防災対策を立てるためにも予知、観測は非常に必要じゃないかというふうに思っています。もちろん、予知を過大評価するというふうなこともよくないわけです。
 私は、国民の期待にこたえていただくためにも、また将来の世代のためにも地震予知の推進は非常に重大だというふうに思うわけです。基礎的なデータを集めること、そして地震学や予知の技術それから解析の技術などを発展させる基礎研究も大変必要じゃないかと思うんですけれども、長官の地震予知に対する基本的な御見解をまず最初にお伺いいたします。
#162
○国務大臣(田中眞紀子君) これはもうずっと、この大地震が発生いたしましてから、予知の重要性はあちらこちらで御指摘いただきまして、専門家の御意見を伺ったりもしておりますが、確実ではございませんけれども、少なくともかなり予知できる範囲に来ているというのは東海地震だけでございまして、それ以外は難しいという実情を聞けば聞くほど本当に残念だと思っております。
 ですが、そこでギブアップすることなく、先生がおっしゃいましたように、データの収集でございますとか解析とか、やはり科学技術、基本的な問題、もちろん科技庁だけではないと思いますけれども、あらゆる縦割りの中でもって予知の機関がいろいろとあるわけでございますから、国土地理院にしましても気象庁にいたしましても大学にいたしましても科技庁にいたしましても、それぞれ違う形でやっていますので、それらをやはり情報を一元化して何とか分析していくと。
 それから、予知の学者さんもたくさん新しい方がおられるのかもしれませんが、これも科学技術離れというか、こういう分野の学者の方の層の薄さなのかなということを私、最近ちょっと感じたりしておりますけれども、新しい視点でもって新しい学者の人が予知ということに関心を持っていかれるというようなことは求められてしかるべきことじゃないかと思いまして、かなり固定化した権威者といいますか、そういう先生方がこのジャンルに集まっておられるんですね。もう少し空気を入れて新しい視点から、もっと違った視点から素直な気持ちでもって予知するにはどういう角度があるかしらという新しい発想、そういう学者の方も今後やっぱり育成していかなければいけないのではないかと思ったりいたしております。
#163
○西山登紀子君 科学技術庁長官は地震予知推進本部の本部長という立場でもございますので、積極的な立場を堅持していただきたいというふうに思っております。
 地震の予知・観測体制の強化という点では二点あると思うんです。一つは、兵庫県の南部地震の余震に対する備えの問題、それから二つ目は、中長期的な全国的な地震予知・観測体制の強化、この二つの点で御質問したいと思います。
 まず、当面の余震の体制についてですけれども、二月二十日に予知連が、マグニチュード六クラスの余震の発生する可能性は低くなったと見解をまとめておりますけれども、しかし、今後十分な注意が必要だと言っております。余震というのは百日後に最大余震が起きた例もありますし、例えば私の京都の例ですけれども、一九二五年に兵庫県の但馬地方で大きな地震が起こった二年後に丹後地方でマグニチュード七・二という大きな地震が起こりまして、二千七百人の方が亡くなられた。こういう大きな地震を経験しているわけです。
 そして、さらに私は大変不安に思いますのは、紀伊半島南方の地下で発生するいわゆる南海地震には周期性がありまして、地震発生の前には内陸部の阪神だとか京都の地域で前兆活動としての直下型地震が観測されるというわけです。大変気になるわけです。ですから、今度の兵庫の地震の後の予知をどういうふうにしてきちっと観測していくかということの体制、これ大変和気になります。
 京大の防災研の先生にもお伺いしたわけですけれども、地震の直後には京大防災研のある部屋を急遠大学の共同観測ネットという形で、二十五カ所の新しいポイントをつないだネットワークをつくって、どんな地震が起こるかという余震を観測するというネットワークを持っていた。二月末まで何とか文部省の予算で持っていた。最近は体制を若干縮小いたしまして、東大の予算でもって三月末までは何とか二十五カ所のポイントをつないだ余震の観測に当たっている。三月末に、その時点ではやりくりをして何とか続けるというふうなことなんですが、こういう京都大学の防災研究所の観測が何とか東大の予算で継続が図られているということをお聞きしまして、何とも寒い思いがしたわけですけれども、そういうことであってはいけないだろうと思っています。
 それで質問ですけれども、この近畿地方というのはもともと特定観測地域という指定がされていた地域でもありますし、今回のような大地震も起こり、その余震も大変心配されている地域でもございますので、早急にこの余震をきちっと観測する体制を強化していただきたいと思います。それと同時に、長期的にはこの地域には深井戸の震度計、いわゆるノイズがたくさんありますのでどうしても深く井戸を掘らなければきちっとしたデータが得られないと。海底地震計も必要だと。これは京大防災研究所の先生方が言っておられるわけですがね、ぜひ必要だと。
 それから、GPSの観測も引き続き箇所数をふやしたいというようなことも言っておられるんですけれども、ぜひスタッフもふやしてこういう地震の予知・観測体制をこの地域に強化していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
#164
○政府委員(沖村憲樹君) 今、先生御指摘賜りましたように、現在地震予知が可能な地域はいわゆる東海地震ということで、この地域につきましては気象庁にデータを集めまして、常時予知のための観測ということで、そういう体制をしかせていただいておりますが、その他の地域につきましては、今先生御指摘ありましたように、特定観測地域ということで、阪神地域はそういう地域として気象庁、国土地理院のほか、京都大学の防災研究所と従来から重点的な観測をしていただいているところだと思います。
 今、御指摘ございました余震対策でございますが、平成六年度の二次補正によりまして、国土地理院もGPS観測、これをこの地域に重点的に配備をしております。
 また、私どもの防災科学技術研究所も、先ほど御説明しましたように、余震のための地震計の配置等も行わさせていただいておりますし、また京都大学を初めとする大学におきましても、この補正によりまして余震のための観測の強化をさせていただいております。
 長期的な問題につきましては、今先生いろいろな手段、深井戸でありますとか海底観測計、GPS、いろいろ御指摘ございましたが、地震予知推進本部におきまして関係省庁とよく話し合ってまいりたいというふうに考えております。
#165
○西山登紀子君 いろいろ観測点をふやすとか深井戸を置くだとかいう場合に、いわゆる縦割り行政の弊害が出ないように、振り返ってみると後ろの方に何か観測地点が置かれていたとかいうことがないように、それぞれの大学なら大学、それから気象庁、科学技術庁も含めてきちっとやっぱり連絡調整をうまくやらないと、そういう弊害も懸念が出されておりましたので、その点はよろしくお願いをいたします。
 次に、全国的な地震の予知・観測体制の強化についてお伺いをしたいと思います。
 日本の地震というのは、世界の地震の一割が日本の周辺で発生するというふうなことも言われているほどの地震国であります。ですから、どこでも大きな地震が起こり得るという認識が必要なわけですし、また、日本の最先端の科学技術をもつでそういう地震研究を強めますことが、国民の命と財産を守ることだけではなくて世界の防災対策に貢献する道でもあるというふうに思っています。
 そこで地震の予知体制について、この間の日本のそういう体制がどうだったのかということで振り返ってみたいと思うんですけれども、昭和四十四年以降地震予知連絡会が、これはもう御承知だと思います、八つの特定観測地域と、それから南関東、東海、二つの観測強化地域を指定してまいりました。特定観測地域というのは、過去に大地震があった、最近起きていない、それから地震発生の活構造の地域であるということ、三つ目が最近地殻活動が活発な地域です。さらにはその中で、社会的に重要な地域、それから異常が観測された地域は観測強化地域として指定をされてきたわけです。
 地震予知連絡会のそういう指定をもとにいたしまして、第二次地震予知計画、これは昭和四十二年ですから一九六八年に計画の中にその地域が指定をされています。その第二次地震予知計画ではこういうふうに指摘をしています。「地震予知の基盤となる観測種目の範囲をすみやかに確立するとともに、すでに基盤となることが認められた種目の観測を順次充実し、もって地震予知の実用化の推進につとめる。」と、実用化の推進に努めるということを既にこれは二十七年前ですけれども、地震予知の計画の中に盛り込まれておりまして、これは建議として出されていたわけです。この精神がその後私は生かされてこなかったんじゃないかと思います。
 一つは、地震予知関連の予算の推移です。この十年間、少ないときは五十億、最近でも百億程度でして、科学技術庁の予算でも少しふえてきているとはいえ私はやっぱり少な過ぎると思うんです。あの阪神大震災で失ったものの大きさと比較をいたしますと、これは余りにも少な過ぎるというふうに思います。
 それからもう一つは、観測機器の配置状況がどうだったのかということなんです。これ、いただきました平成六年度三月末現在の地震予知推進本部が調べた各強化地域の観測施設の配置はどうだったかという状況です。少しパーセンテージを私はじいてみました。観測強化地域というのは南関東と東海の二つの地域です。それ以外は八つの特定観測地域なんですね。
 例えば、地殻変動の連続観測をするひずみ計、そういうものがどうかといいますと、これは五六%が観測強化地域、そしてあと三八%が八つの特定観測地域、それ以外はその他なんですね。そして、GPSはどうかといいますと、二つの観測強化地域に八九%が配置されている。八つの特定観測地域にはわずか七・二%しか配置がされていない。微小地震の計測というのは大変重要なわけですが、これは観測強化地域が四四%、そして八つの特定観測地域が四一%、こういう比率になっております用地下水の観測はどうかといえば、観測強化地域は八〇%、八つの特定観測地域はわずか二五%。明らかに観測施設の配置に、二つの強化地域と八つの特定観測地域では私は偏在が認められるんじゃないかというふうに思います。
 これは他省庁のことではありますけれども、例えば気象庁では、五十九年度に千四百三十七カ所あった震度観測地点が現在百四十カ所に減っているだとか、国土庁の三角点の測量も十年かけて最近は三千カ所しかやられていないとかいうふうに、予知・観測体制という点では、予算の面におきましても、観測の偏在という点におきましても、地震の危険地帯だというふうに地震予知連、専門家の方々が警告を発していらっしゃったその警告にこたえる体制としては大変不十分じゃないかと思います。
 ですから、この点に根本的にメスを入れていただいて、全国的な地震予知・観測体制の抜本的な拡充を早急に図る必要があると思いますし、最近では北海道だとか三陸はるか沖なんかのように、指定地域以外でも大きな地震が発生しているというところからも、こう考えていきますと、日本全土に密度の高い地震観測網を張りめぐらせる必要があるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
#166
○政府委員(沖村憲樹君) ちょっと今の御質問の前に、先ほど観測地点、縦割りではないかというお話がございました。これにつきましては、観測地点をお互いに出し合って、調整し合いながら観測しておりますので、それからまた、出ましたデータにつきましてはお互いに利用し合いながらやっております。
 それで、今の御指摘の全国的な観測網の整備をもっと図るべきじゃないかということでございますが、ちょっと先ほどのお答えと繰り返しになって恐縮でございますが、現在、東海につきましては予知が可能ということで、予知前提の観測体制でございますから多少厚目になっております。また、南関東につきましても若干そういうところがございまして、それに比べますと、全国的に見ますと、先生の御指摘のように比率から見ますと低い比率のところがあるわけでございますが、これにつきましては気象庁、国土地理院も、もうちょっと全国的な観測を強化しなきゃいけないという御意見もございます。
 これにつきまして、地震予知推進本部におきまして、どういうふうな観測体制を各関連機関が整合性を持って観測体制を強化していったらいいかということについては、今話し合いを進めておりますので、またその結果について御報告をさせていただきたいというふうに思います。
#167
○西山登紀子君 今度のような非常に大きな被害が起こった後でありますので、深刻に受けとめていただいて、ぜひ改善を早急に図っていただきたいと思います。
 次に、活断層、先ほどもお話に出ましたけれども、今度の地震で非常に活断層という言葉が一般的、日常的にも茶の間の話題に上るというほどになりました。「日本の活断層」という非常に高価な専門書も売れているというふうに聞いております。この活断層ですが、活断層が動いて地震が起こるということは確かだということでございます。しかし、この活断層を研究するというのは非常に地味な仕事であるわけですが、こういう研究が今までは、どちらかというと研究者の有志の資格というんですか、そういうふうなことでやられてきたのではないかと思います。
 この活断層の研究が進んで危険度などが判定できるようになりますと、自衛隊や個人の防災対策にも役立つというふうに思いますので、費用とか体制の面からいきまして、国の事業として計画的にやるべき時期に来ているのではないかと思うのですけれども、いかがでしょう。
#168
○国務大臣(田中眞紀子君) 振興調整費等を使いまして、特に緊急を要すると思われているような活断層から調査を進めていくようにするべきだというふうに思います。
#169
○西山登紀子君 次に、先ほど長官のお話にもありました新しい視点、そういうことにも関連するかと思いますが、この地震の予知と観測ということについて新しい技術開発の成果を取り入れてはどうかということで、具体的に三つばかり提案をしたいと思います。
 一つは、もう既に使われているわけですけれども、人工衛星を使った精密測地というんですかGPS、全地球測位システムというんですね、私も京大の防災研究所で見せていただきましたけれども、実に一ミリのもっと小さな誤差で測定が、測地が可能だというのでびっくりをいたしました。これは全国的に一千カ所整備しても二百億から三百億で十分だという学者の指摘もあるわけですが、これを行ってはどうかというのが一つです。
 それからもう一つは、これは学者の皆さんの中でもいろいろ御意見はあるだろうと思いますが、電磁波による異常の観測、これはどうかということ。
 もう一つは、先ほどもお話に出ました地電流、この観測研究。ギリシャではこれで地震の予知に成功したというようなこともテレビで報道がされているんですけれども、こういう新しい観測手段、科学、こういったものも科学技術庁として評価をして、新しい観測体制の強化に努めてはどうかと思いますけれども、どうでしょう。
#170
○政府委員(沖村憲樹君) まずGPSでございますが、今先生御指摘のように大変性能の高いものでございます。これにつきましては、国土地理院を中心に、私どもの防災科学技術研究所もそうですが、逐次これを拡大して取り入れていこうということにしております。もちろん大学の方もそういう御方針だと思います。
 それから、今ございました地電流、電磁波の変化等新しい研究でございますが、これにつきまして、実は私ども科学技術庁が中心になりまして、地震につきましてこういういろんな新しい研究をやっていらっしゃる先生方にお集まりをいただきまして、一度フォーラムのようなものを開催いたしまして、それをもとに評価をして、どういうふうに取り組んでいくかということも考えていきたいというふうに思っております。
#171
○西山登紀子君 それでは、その点もよろしくお願いをいたします。
 次に、長官にお伺いしたいわけですけれども、地震予知推進本部の役割ということなんです。
 私も少し勉強をさせていただいたんですけれども、これは実に複雑で、体制というのはばらばらで実効性に乏しいんじゃないかと、こういう体制のもとで仕事をするということは本当にやりにくいんじゃないかというふうに思ったわけです。
 それにつきましては平成四年の十月、行政監察が出ておりまして指摘がございます。「地震予知推進本部の場において、測地学審議会の建議の趣旨を踏まえた総合的な調整を更に推進するとともに、長期観測を行うための観測施設の新設に当たっての調整、各地震予知研究機関等が保有する観測データの相互活用を一層推進すること。」と、こういう指摘があるわけですけれども、この指摘について長官はどのように受けとめていらっしゃいますか。
#172
○国務大臣(田中眞紀子君) 私もこの間一度会議に出て、これはもう大変動きの悪いというか重たい組織といいますか、今まで余り機能していなかったのか、最善を尽くされておられたのかもしれませんけれども、こんなことではとても時代に対応できないというふうな認識を持ったことは正直なところでございます。
 それもやっぱり縦割り行政の中でもって何かえらくすみ分けができて、これは私の印象でしかありませんから実態が違っているかもしれませんけれども、えらく簡単にすみ分けが上手にされてしまっていて、これを本当に機能させていかなければいけないというふうな必然性を余り感じないで長年来ておられたんじゃないかという感じがしました。
 そして、西山先生が先ほどおっしゃったお言葉の中で非常に印象深かったのは、この予知の実用化、これは予知に関してですけれども、ということをおっしゃって、これは非常に含蓄のある言葉だと思います。それはやっぱり観測データその他、集まったものすべてをまず一元化する。そして、そこでホールドしておくのではなくて、それを今度は情報の流通を拡大して、速やかにばっと配付していくんだということを目的としないと、ただ情報を自分たちだけで持っているとか、それをほかに流さないとかそれからそのスピードに長短があったりすれば、結局情報は、その予知というものも、そのほかあらゆる情報というものすべてが実用化されないと思うんです。実用ベースに乗らない情報なんて何の価値もないわけですから。
 そのためには、これは私もこの次、ぜひ会議があるときにやはりもう一回自分で出席して実態を見てみたいと思うんですけれども、どれだけ意欲のある方が集まっておられるのか。ぴりぴりこんなに委員会でいろいろな先生が御指摘を下さっていますのに、それが生きたサジェスチョンとして現場に到達していないのではないかと思いますので、私も、国会の予定がなければ、この次の会合にはぜひ出していただいて、実態をよくまた見せていただいて、御報告できるようにと思っております。
#173
○西山登紀子君 私も本当にこの組織図なるものを幾ら教えていただいてもよくわからないというか、非常に複雑だし、また機能的じゃないというふうに痛感をしておりますので、何も長官の決意だけで事態が私は改善するとは思いません。そして、情報を一元化しただけで実用化が進むかというと、そうでもないだろうというふうにも思っています。
 問題は、その集まった情報を分析し、そして解析をし、そして判定を下す、そして国民の皆さんやあるいは国会や地方自治体に対して必要な対策をとれるまでにしていく、そういう生きた全国的なシステムが今国民が求めているシステムだと思うわけですよ、そうでしょう。
 それで、そういうことを思っていらっしゃると思うけれども、例えば、先ほど長官が地震の予知というのは遊びじゃないというようなお話がありましたが、私、文芸春秋のことしの三月号に、予知連の前副会長をしていらっしゃった力武さんという方がこんなふうなことを言っていらっしゃるので少し御紹介しますと、予知連というのは法律に基づいてつくられたものではない、だから予知連がここが危ないですよと指摘しても、少なくとも法律的には行政機関は知らぬ顔していても構わないというふうなくだりがあって、いろいろ意見を述べていらっしゃるところがあります。
 ですから、やっぱり生きた全国的なシステムがどうしても今後必要となっていくと思いますが、この点いかがですか。時間が少ないので、少し短くお話しください。
#174
○国務大臣(田中眞紀子君) お答えにぴったり合わないかもしれませんけれども、要するに、先ほど言ったように、情報がいろいろ一元化が仮にされたにしても、それを責任を持って運用する人というか、その責任体制がないというのがあの組織の欠陥ではないかということを私は思いましたので、それに科技庁はできるだけコミットしていきたいというふうに思っております、
#175
○西山登紀子君 それでは、最後に文部省にお伺いいたします。
 私、京大防災研を見学させていただいたときに、京大防災研の先生の中に、予知できなくて大変申しわけないと私たちに頭を下げられた先生がいらっしゃいました。その真摯な研究者としての態度には胸を打たれましたけれども、しかし、ひとり研究者の責任ではないというふうに思いました。
 大学の研究施設、大変貧弱だと思いました。中でも、問題を指摘したいと思いますのは、一つは、今度は耐震研究の部門なんですけれども、塑性構造耐震部門というところがありまして、そこで耐震構造の実験施設というのがあるんですが、何しろ百トン近い力を加えて、それが耐えられるかどうかという実験をするわけですが、その実験施設に技官が一人もいないわけです。教授が大学院の学生の助けをかりてその装置を動かしている、ぜひ技官が欲しいと思うんだけれども、要求しても補充はされない。
 さらに驚いたことには、その耐震構造実験施設のための研究資材を入れておく倉庫がビニールのテントなんですよ。そうすると、風は吹いてくるわ、雨漏りがする、腐食も激しいということで、どうしてこんなテントなんですかというと、建物がないからだという。いや、本当にびっくりいたしました。
 さらに、耐震構造の次に別の部門に参りますと、二十八年前に購入をいたしました耐震構造の実験施設なんですけれども、今回のような直下型の地震を想定したものではないので、水平度、横揺れの実験はできるけれども今回のような直下型の地震の実験はできない。これは二十八年前に買っているから、既に二十年過ぎまして維持費がもうつかなくなったので精度も年々落ちるばかりだ。こういうふうなことをお聞きいたしました。
 国民の期待に応じ切れないという京大防災研の先生方のお声に文部省はどうこたえていただけるのか。実態を即座に調査をしていただきまして直ちに改善をしていただきますように、質問いたします。
#176
○説明員(早田憲治君) お答え申し上げます。
 京都大学防災研、先生御視察をいただいたとおりでございますが、御指摘のように、塑性構造耐震研究部門には技官が配置されておりません。それから、耐震構造試験装置の維持費は平成二年度までは文部省として措置をしておりましたけれども、維持費は原則としまして装置購入後十年間の措置をするというルールにいたしておりまして、特にこの装置につきましては延長を二回いたしまして、五年五年の延長をいたしまして二十年間文部省としても本省の予算でつけてきたわけでございますが、いろいろな新しい装置等も入ってまいります方に予算を回していかなきゃいけないというようなこともございまして、平成三年度以降は京都大学の学内措置によって必要な維持費については措置をされておるところでございます。
 それから、技官の配置あるいは装置の整備がされないという御指摘につきましては、結果としてはそのとおりでございますが、実は、御質問の通告をいただいてから早速京都大学にも問い合わせたわけでございますけれども、この関係の要求につきましては、実は京都大学から文部省にまで出てきておりませんで、申しわけございませんが、文部省としてはその事実については昨日承知をしたというような状況でございます。
 それから、研究資材の確保のための施設についても同じように要求がございませんということを御報告させていただきたいと思います。その研究資材というのは何かといいますと、先生ごらんいただけたかもしれませんが、鉄骨でございますとかコンクリート材とかそういったものでございまして、比較的建物の中でなくてもよかろうというような、そういう意味では施設整備の優先順位が京都大学の中では低い部類に入る、あるいは防災研究所の中でも非常にこの地震予知関係の体制の整備等がありまして、全国各地に観測所等を整備を続けてきたわけでございますけれども、そちらの方の整備が優先をされておるというような事情があって、大学から予算要求の形では文部省には出ておらなかったというようなことでございました。
 そういう実情でございますが、今後の対応といたしましては、私どもといたしましても、学術研究の推進と人材養成の担い手でございます大学あるいは附置研究所の教育研究条件の改善ということは、将来の我が国の発展あるいは国際貢献を図っていく、災害の面でも国際協力を非常に進めていかなければいけないというようなこともございまして、極めて重要な課題であるという認識をいたしております。
 そういう意味で、教育研究支援職員の確保でございますとか、施設設備の老朽化、狭隘化、陳腐化等いろいろございますが、こういう改善のために今後とも一層努力をしていきたいというふうに考えている次第でございます。
#177
○西山登紀子君 私が行きましたときには、京大防災研の事務官の方、京大防災研から予算要求を出しているというふうにお聞きをしましたけれども、少し事実が違っているようですが、防災研からそういう予算要求が出てくればきちっと対応していただきたいと思います。また、横揺れだけで縦揺れができないようなそういう実験装置が果たして今マッチしているのかということでも、やっぱり文部省としても直接その辺は検討していただきたいというふうに思います。
 終わります。
#178
○説明員(早田憲治君) 実際、大学ともよく相談をいたしながら、適切な対応をしていきたいというふうに考えております。
#179
○下村泰君 科学技術委員会では初めてでございますが、まあ本当に弱ったと思っているんです。私は、科学なんというのはまるっきり縁のない人間ですから、理数系なんというのは大嫌いなんです。計算なんというのは足し算と引き算と掛け算だけができりゃいいと思っていたんですけれども、こういう羽目になってえらい悩んでおります。
 大体、私が国会へ来た原因というのは、今は亡くなった伴淳三郎と一緒に、森繁さんと一緒にあゆみの箱という運動を昭和三十七年から始めまして、毎年毎年北海道から沖縄までチャリティーショーというのを行いまして、その都度障害者の方々を御招待申し上げていろいろとお慰め申し上げてきたんですけれども、そのうちにその方々の身内の方たちから、だれかあゆみの箱から国会へ行って私たちの現状を直接国会に訴えてくれる人はいないのかと。森繁久弥じゃ先が見えているし、伴淳はもうよぼよぼだし、坂本九じゃ若過ぎると言ったが、その坂本九があんな事故になりまして、トップさん、あんたはふだんからそういうことばかり言っているんだからあんたが一番適任じゃないかと言われているうちに、私は江戸っ子ですから、次かされると際限なく上がっていきますから、それじゃやってみようかというので昭和四十九年に参議院に出たら間違えて当選しちゃったわけなんです。
 突然変異でフナが金魚になったみたいで、国会というところは何をやるところかさっぱりわからぬでここに来たのはよかったんですが、幸いにして法務委員会というところに入れられました。おもしろいものですね、国会というところは。数の多いところからみんなとっていきますから、残るのは法務委員会しかない。そこに入れられまして、そうしたら不幸中の幸いというか、ここにいらっしゃる長官のお父さんの事件が毎日のように、それこそ法務委員会なんというのは余り開かれない委員会ですよね、あれは御存じのごとく。それがもう定例日には毎週二回ずつやる。それで開かれましたので、ああなるほど国会というのはこういうことをやりゃいいのかと。法務委員会でも身体障害者のことはできるんだなということがわかりまして、それで一番最初に手がけたのが、ベーチェット病のリハビリステーションをつくらせていただいたのが最初なんです。ですから、ここへ参りましても科学技術なんということにはまるで縁のない人間、あの委員会だけは行きたくないなと思っていたらこうなっちゃって、実にどうも困ったことで。
 ところが、こういうことが出ているんです。一九九一年、平成三年七月に「ゆとり、優しさ、快適さのための科学技術の実現に向けて」という報告書が出ているんです。これを見たときには、ああなるほどな、高齢者、障害者に対するこういうことも、科学技術庁というのはどんなことをするんだかわからないんだけれども、やるのかなぐらいに思っていたわけです。そうしたら、今度委員になってしまったんでどうしようもなくなって、いろいろと調べさせていただきました。私は、もう国会にいる私のゆえんというのは、障害者とか幅広く高齢者の方々以外の問題を除いては私の存在価値はありません、自分でそう思っていますから。ですから、そういうことを土台にして質問させていただきますが、ひとつよろしくお願いをいたします。
 それで、まず最初にお伺いしたいのが「ゆとり、優しさ、快適さ」というこれでございますけれども、これのひとつ御説明を願いたいんですが。
#180
○政府委員(石井敏弘君) ただいま御指摘の、平成三年七月にいわゆるゆとり科学報告書というものが出ておりますが、これは、要するに人と生活のための科学技術、こういったことにつきまして、当時の科学技術庁長官が有識者を集められまして意見交換を行い、その結果を取りまとめたものでございます。
 その基本的な認識といいますのは、社会の高齢化あるいは女性の社会進出、こういった我が国におきます社会構造の変化、こういったものを頭に描く、そしてこのような社会動向を踏まえつつ、生活優先の社会を築いていくために必要な科学技術、こういったものは何だろうか。こういうようなことでいろいろ検討が行われ、具体的には身近で親しみの持てる人間本位の科学技術、こういったものを推進しなければならない、あるいは地球環境問題への対応とか、変化する社会や国民のニーズを的確に把握しこたえる、さらには積極的な国際協力を進める、さらに生活の質の向上につながるような基礎的な研究を推進しなければならない、あるいは生活に根差した身近な科学技術の推進、こういったような視点が今後の科学技術政策において重要視されるべきであるといったようなことを基本内容とした報告書として取りまとめられております。
#181
○下村泰君 内容を一つ一つ伺っていると、まことにごもっともなことだと思うんです。「科学技術に求められる新たな役割」としてここにこうあります。「日常生活における食事、休息及び運動が心身に及ぼす影響に関する科学的知見を高めるとともに、がん等の成人病やアルツハイマー型痴呆等の老年病の原因を遺伝子レベルで解明し、その治療法や予防法を確立するための基礎的研究が重要である。」。そして、「高齢者の生きがい形成を支援するためには、通勤の負担軽減、労働環境の向上、移動能力の拡大が特に重要である。このための技術開発としては、サテライト・オフィスや自宅での勤務を可能にする情報・通信基盤の整備、高齢者に適した、使いやすい職場機器の開発等が必要である。また、高齢者や障害者の移動を支援するため、操作しやすい車椅子や移動の不便を感じさせない道路、駅等の交通機関のあり方について、科学技術の観点からも検討する必要がある。」、こういうふうに言われております。
 それで、また具体的な提言としてこの中にも幾つか挙げられております。「高齢者の健康確保のためのシステム開発」、その中に「高齢者の健康診断システムの開発 高齢者の健康維持システムの開発 高齢者の生活支援システムの開発 高齢者の高度医療支援システムの開発」。そのほかにも「ハイテクで高齢者、身障者に優しい生活を現在までの社会システムは健常者の力、スピードに合わせて設計開発されてきた。老少人口の逆転が迫っている今、高齢者及び障害者の生活を支えるための設備機器の開発を行うとともに、医療福祉に関する技術を早急に開発、拡充する必要がある。経済活動に向けられたハイテクを生活の場面に導入し、更にこれを都市計画へと拡充することで、高齢者、身障者の社会参加を図りたい。」、こんなふうになっている。
 一つ一つよく見ますと、ほかの省庁でもやっていることが随分重なっているわけなんですね、これ。科学技術庁としてこの報告書をその後どのように生かされたのか、それを聞かせてください。
#182
○政府委員(石井敏弘君) 本報告書は先ほど申し上げましたような内容でございまして、ただいま先生御指摘のようなことを種々書いておりますが、いわば科学技術政策の方向性のパラダイム変換といったような観点からの御議論というようなことでございまして、確かにおっしゃるように、関係省庁、その他省庁におきましても、いろんな施策が行われるところでございますが、科学技術庁自身がこれまでやってきた、あるいは今後やるべきものもこういった思想のもとにやっていこうということで、がんの関係でございますとか、あるいはエイズといったような関連の研究、あるいは遺伝病等への対応といったような趣旨も含めたヒトゲノム解析の研究とか、あるいは高齢化社会を支援するような研究のための振興調整費の活用といった各種の事柄についてこの報告書の方向に沿った努力をこれまでもしてきておるところでございます。
#183
○下村泰君 実は、神奈川県企画部の科学技術政策室というところから昨年の七月に、高齢者・障害者へのヒューマンテクノロジー応用研究プロジェクトの報告書が出たんです。
 その内容にこんなものがあるんです。
 「(1)高齢者・障害者を考慮した移動システムの研究@住居内及び日常生活圏の移動機関の研究A日常生活圏における交通機関の研究(リフト付きバスの開発)Bモビリティー確保に関する研究。(2)ニューメディアによる高齢者・障害者の社会参加に関する研究@高齢者・障害者が情報を受け、発信する機器と障害者を取りまく環境の研究(在宅重度障害者による情報通信ネットワークの利用の実際、画像情報通信のための入力マウス・エミュレーターの開発)A高齢者・障害者の情報通信を支援する社会システムの研究。」、こういうことが述べられております。
 この研究は、一九九一年、平成三年からスタートしたものなんだそうですが、先ほどの懇談会報告の年にこれはスタートしたわけなんです。今月の十五日には合同研究発表会も開かれると聞いておりますが、さて長官、科学技術が障害や難病の人々、高齢の人に対してどういう役割が果たせるか、また何をしなくてはならないのかお考えがあればお聞かせください。
#184
○国務大臣(田中眞紀子君) 科学技術との関係で私が一番最初に視察をさせていただきましたところに理化学研究所というのがございまして、そこでは脳の研究をやっておりまして、きのうも下村先生は参議院予算委員会で難病の問題、高齢化の問題をいろいろ鋭くお尋ねになっていらっしゃいました。あのときは和服姿が大変よく似合っていらして、きょうはお洋服が大変またよく似合っていらっしゃいますが、質問は同じことを聞いていらっしゃったわけですが、理研に行きましたら、脳の状態をいろいろと解析したりしながら、どういうところに難病原因があるかということも科学者が研究、分析等をしておりました。
 ですけれども、そういう難病の問題とか老化のメカニズムを解明するとか、先ほどおっしゃったようなアルツハイマーとか、それから先ほど官房長が言ったようながんですとかエイズとかいろいろなものがあるんですが、メディカルなそういう分析とはまた別の面で、今下村先生が読み上げられたように、いろいろな福祉機器とか、そういうものを障害者の方が使いやすくするようにハイテクを駆使するというふうなことの機械の開発といいますか、そういうことは大いにできることと思いますし、私も科技庁長官にしていただきましたときに最初に言ったことの二つ、三つのうちの一つがまさしくそれでございます。
 ただ、それもよく考えてみますと、私もいろんな福祉機器を見てみましたけれども、入浴手伝いとか介助をするとか車いすとかありますけれども、あれは余り難しいと障害者や年をとっている付き添いとか子供が付き添ったら操作できないんですね。ですから、そういうものをもっとわかりやすい形で、コストも安くしてできるように普及すると、そこにやっぱり人間の優しさとか配慮がないと、ただハイテクを駆使しても、とてもじゃないけれども人間が使いこなせるものではないと思います。
 ですから、むしろ冒頭申し上げましたように、理化学研究所のようなところで難病とか何かの解明というものは医学的にはやっている。そういうことも科学技術庁はできますけれども、片や技術の面で、今申し上げたようないろいろなツールといいますか道具といいますか、そういうものの使いやすさ、生活を便利にする優しさのある機械の開発というふうなことは大いにするべきだろうと思いますし、その研究のためにもいろいろな予算を使っていかなければいけない、かように考えております。
#185
○下村泰君 長官のお話を聞いていると、本当に優しい科学技術庁という感じを受けるんですね。ところが、私は先ほども申し上げましたように、勉強不足でまことに申しわけないとは思うんですけれども、ここにある科学技術白書、これを読ませていただいても、科学技術大綱にいたしましても、何かそのあたりの位置づけが弱いような気がするんです、どうもこれを読ませていただいても。その点、やっぱり長官もそうじゃないかなという気がするんですけれども、もう一度伺いたいと思います。
#186
○政府委員(落合俊雄君) 我が国の科学技術政策の基本を示しますものに、科学技術政策大綱というのは御存じのとおりでございます。平成四年の四月二十四日に閣議決定をいたしております。
 この政策大綱のもとになりましたのは、平成四年一月二十四日に科学技術会議が行いました「新世紀に向けてとるべき科学技術の総合的基本方策について」という答申でございました。この答申では、がんですとかアルツハイマー、エイズなどの完治困難な疾病や社会問題化している疾病の診断、治療法の開発など、健康の維持増進のための技術、それから高齢者、身体障害者等が大きな不便を感じることなく生活したり、さらに積極的に社会参加することが可能になるようなきめ細かな福祉技術というようなことを今後充実する必要があるという答申をいただいておりまして、科学技術政策大綱はこの答申をもとにしてつくられております。大綱そのものは非常に薄く簡単な表現でございますが、その背後にございますのは、まさに先生御指摘の考え方があるというふうに考えております。
#187
○下村泰君 一般の国民にしてみれば、科学技術庁というと、ドーンとあの衛星を上げることしか考えてないんですね。それで、あれが失敗するたびに、おいおいまた税金何は使うんじゃと、このぐらいにしかみんな思わないですね。だから、本当に科学技術庁というのが、今おたくがお答えになったようなアルツハイマーだとかエイズだとか、そこまでいってませんよ、科学技術庁が果たしてそこまでやるのかと。それは厚生省がやるんじゃないか、こんなふうにしか思いませんよ、みんな。だからそういう意味では、科学技術庁というのはもっと広く国民に宣伝しなくちゃいけないんじゃないですか。衛星ばかりぼんぼこぼんぼこ打ち上げて、そればかりが科学技術庁のやることじゃないと思うんです、せっかくそういうことをやっているのに。
 技術予測調査という資料をお借りしました。ありがとうございました。
 その中で、私としては、がんだとかエイズだとかアルツハイマーなどの難病問題や社会生活には大変強い関心を持つわけなんですけれども、その調査の目的、それが今あなたがおっしゃったことに尽きますか。もっとほかにありますか。
#188
○政府委員(落合俊雄君) 科学技術予測調査でございますけれども、一九七一年以来五年ごとに実施をいたしておりまして、最新版は第五回の科学技術予測調査、平成四年十一月に公表をいたしております。
 この目的でございますが、今後の我が国の技術発展の長期的な方向を探るというのが目的でございまして、この第五回の調査におきましては、一九九一年、これは調査時点でございますが、それから二〇二〇年までの三十年間を予測期間といたしまして、材料でございますとか、ライフサイエンス、環境それから保健・医療というような十六の科学技術の分野におきまして、千百四十九の課題を摘出いたしました。それの重要度、実現予測時期、実現に際しての阻害要因等々につきまして専門家の回答結果を取りまとめたものでございます。
 これが昨年十二月に科学技術会議から先端的基礎科学技術に関する研究開発基本計画というものを科学技術会議でまとめていただき、昨年十二月二十七日に内閣総理大臣決定をいたしておりますが、これの基礎になっているものでございます。
#189
○下村泰君 私、ちょっと今混乱してますから御説明していただきたいのですが、科学技術のいわゆる科学の方の分野と、医学の方の進んでいった、例えば薬品などをつくる場合のどんどん進んでいった分野と、これどこか接点ありますか。
 科学技術庁に伺いますけれども、例えば薬をつくる、つくるというのはおかしいですね、発見するというのですか、いわゆる病原体、原子、分子なんというものをどんどん調べていく間にある程度のところへ到達して、それを撲滅するためにはこれこれこういうふうにやった方がいいんだと。その結果こういう薬ができた。
 この分野を分けるとすれば、どこからどこまでが科学技術に入って、どこからどこまでが薬品の方なんですか、厚生省とか。
#190
○政府委員(石井敏弘君) 私どもが科学技術と言います場合は、単に先生の今イメージされているようなものだけではないんだろうと思っております。非常に広く、物理、化学、生物、さらに生物の中には、おっしゃるような医学まで入った、あるいは農まで入った広い分野を頭に描いておりまして、先ほど来出ておる科学技術会議というものが日本の科学技術政策の基本を議論し、政府といたしましても科学技術政策大綱というものを定めておりますが、その範囲は理、工、農、医、すべての科学技術全分野に及んでおりまして、いわゆる工学部的な物理的な分野だけが科学技術ではございませんで、全分野を広げてやっておるというように御理解いただきたいと思います。
#191
○下村泰君 お話の推移はわかるんですけれども、例えば、遺伝子なんというのを一つ取り上げたら、どこまでが化学の方でどこまでが医学になるんですか。
#192
○政府委員(石井敏弘君) DNAの概念あるいはその各部位がどのような働きをするかといったようなことは当然研究が行われておるわけでございますが、その知見をもとに、あるものをあるところがある病気の情報を持っておる、がんの引き金を持っておるとか、そういったようなことがわかる、あるいはそれを探っていくのは研究ですが、そのわかった後にそれを現実に応用する、これは医療的な行為と、このように認識をいたしておるところでございます。
#193
○下村泰君 何で私はそんなことをお尋ねしたかといいますと、第五回技術予測調査というのがあるんです。これを拝見しますと、「ほとんどすべての種類のがんについてがん化の機構が解明される。」、「アルツハイマー型痴呆に対する有効な予防法が開発される。」、「AIDSの治療法が確立される。」、「慢性腎不全患者に対する血液透析に代わって、装着もしくは埋込型人工腎が開発される。」、「在宅のままで健康状態がチェックでき、適切な診断が受けられるシステムが実用化される。」、「寝たきり老人や心身障害者の排泄や入浴等の看護を看護対象者に合わせて行う多目的看護ロボットが実用化される。」。
 ここまで来るというと、これはすごいなと思うんですね。こんなふうになったらこれは大したもんだと思いますよ。こういうことを見ますと、これは人間にとってはすばらしい世の中になるんだな、こういうふうになります。
 じゃ、「実現に際しての阻害要因」というところがあるんです。そこを見ますと、「ほとんどすべての種類のがんについてがん化の機構が解明される。」というところを見ると、資金的に四六%、人材の養成・確保面が二五%、研究開発体制面が三六%。今度は、「がんの転移を防ぐ有効な手段が実用化される。」というところを見ると、資金的に三一%マイナスで、人材の育成どうのこうのとあります。その次に今度は、「全部のがん抑制遺伝子が固定され、がん比との関係が解明される。」というところを見ると、資金面が三七%、人材の養成・確保面が三九%、研究開発体制面が三〇%。それから、「アルツハイマー型痴呆等の老人性痴呆が治癒可能となる。」というところを見ると、資金面が二四%、人材の養成・確保面が三四%。こういうふうになっています。
 こういうふうに拝見していきますと、すぐに何とかならないのかなという気はするんですけれども、こういう予測調査を生かすと、そうした視点からの対応を進めることと思いますが、こういうことをお聞きになっていて、長官はどういうふうにお考えになりますか。
#194
○政府委員(落合俊雄君) 今、先生御指摘の中の幾つかについて、若干御説明を申し上げたいと思います。
 例えば、「ほとんどすべての種類のがんについてがん化の機構が解明される。」、これにつきましては、非常に全体の中で重要度は大きいということが専門家の意見でございますが、「実現に際しての阻害要因」の欄を見ますと、技術的な部分が阻害要因だという専門家は七五%に達しております。それから、資金面での阻害要因が四六%、研究開発体制が阻害要因だというのが三六%ということで、かつ、がんの機構解明は二〇一〇年ごろに実現が可能であろうという予測結果でございました。
 これは、この調査時点での専門家の意見が、二〇一〇年ぐらいには実現できるであろうが、一番重要なのは技術面での阻害要因を解決することであるというふうに理解できるわけでございます。したがいまして、今後の研究といたしましては、まず、がん発生の機構の解明という基礎的な技術の部分から取り組むべきだというふうに読めるわけでございます。
 それ以外の項目では、例えば技術面だけではなくてそれ以外に、今挙げられました中では例えば、アルツハイマー型痴呆症の発生機構が解明されるというのは、実現時期が二〇〇七年、技術面での阻害要因が七五%というような。これもやはり技術面からの基礎的な研究が必要であるという方向性を示しているということでございまして、今後の研究としてはやはり基礎的な研究を積み重ねていく必要があるんだというのがこの専門家の予測結果であるということでございます。
#195
○下村泰君 今おっしゃったようなものはこの表に出ています。
 ところが、こうやって拝見しますと、科学技術庁のやっていることがとにかく意外と我々の日常生活の中に非常に密着していることが多い。逆に、下手すると厚生省より密着している部分が多い。殊に命を預けるとなると、これは科学技術庁に預けた方がいいんじゃないかと思うんです。アルツハイマーだとか、やれがんの克服であるとかエイズだとか、殊に今エイズなんというのは大変な広がり方を見せています。
 ただ、私は期待をしたいのは、かつて性病というものがあって地球上に蔓延して、この性病の蔓延の仕方というのは、長崎に上陸したら一年たって北海道で出た、津軽藩の侍だとか町人に出たというぐらいもうとにかく早いんです、性病のうつり方は。しかし、それが現代の世の中においては完全に克服するだけの医療が施されている。なれば、エイズも必ず治るであろう。とすれば、痴呆症であるとかアルツハイマーであるとか、あるいはそういった今人類で本当に制御しなきゃならないようないろんな病が必ずや抑えられる時期が来るのではないかと思うんです。
 そういう意味で、これだけのことを科学技術庁がやっているとすれば、ひとつこれは大いに喧伝する必要がありますね、先ほど申し上げましたように。人工衛星のほかり取り扱わないで、こういう方もやはり国民の皆さんに知っていただけるような宣伝も少しやった方がいいんじゃないかというような気がしますが、長官どうですか。
#196
○国務大臣(田中眞紀子君) 本当におっしゃるとおりです。
 ただ、基礎研究の段階でございまして、これを実用化していくのはやはり厚生省、医学で治療で効果をあらわしていかなければならないと思います。やはり基礎研究がまだ不十分であるということは大変残念でございますけれども、ただ、それが科技庁の守備範囲であるということ、ロケット、原子力だけでなくてそういうこともやっているということは大いに宣伝をしたいと思いますし、下村先生に特に声を大にしていただきたいので、ぜひ御協力いただければありがたいと思っております。
#197
○委員長(高桑栄松君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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