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1995/03/24 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 科学技術特別委員会 第5号
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1995/03/24 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 科学技術特別委員会 第5号

#1
第132回国会 科学技術特別委員会 第5号
平成七年三月二十四日(金曜日)
   午前十時四十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     三上 隆雄君     山口 哲夫君
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     泉  信也君     釘宮  磐君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         高桑 栄松君
    理 事
                河本 三郎君
                志村 哲良君
                久保田真苗君
                浜四津敏子君
    委 員
                井上  孝君
                鈴木 栄治君
                二木 秀夫君
                前島英三郎君
                守住 有信君
                穐山  篤君
                稲村 稔夫君
                瀬谷 英行君
                山口 哲夫君
                泉  信也君
                釘宮  磐君
                林  寛子君
                乾  晴美君
                西山登紀子君
                下村  泰君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       田中眞紀子君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        関根 則之君
       科学技術庁研究
       開発局長     沖村 憲樹君
       科学技術庁原子
       力局長      岡崎 俊雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    笹谷  勇君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        堀籠 秀昌君
   説明員
       科学技術庁原子
       力安全局次長   近藤 隆彦君
       科学技術庁原子
       力安全局放射線
       安全課長     矢野 周作君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○放射性同位元素等による放射線障害の防止に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(高桑栄松君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、三上隆雄君が委員を辞任され、その補欠として山口哲夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(高桑栄松君) 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○河本三郎君 自民党の河本でございます。大臣、きょうもよろしくお願いいたします。
 まず、今回の放射線障害防止法の改正、制定以来約四十年ということでございます。民間からの規制見直しの要望を踏まえて規制の合理化を行うものと承知をしておりますが、改めて法律改正の趣旨をお聞きしたいと思います。
#5
○政府委員(笹谷勇君) お答えいたします。
 今回お願いしております改正は、放射性同位元素の賃貸に対するニーズ等、放射性同位元素の利用に関する新たなニーズが生じてきたこと等にかんがみまして、安全性の確保を前提といたしまして放射性同位元素に関する規制の合理化を図るということでお願いしているものでございます。
 改正点の主なものは三点でございまして、放射線障害防止対策がとられていることを前提に放射性同位元素の賃貸を認めること、また安全性の高い特定の放射性同位元素装備機器の使用者についての管理義務を合理化すること、また許可証の訂正手続を簡素化すること、こういうような中身になっておりまして、これによりまして医療、環境その他の分野でこういう機器の導入が円滑になるというふうに考えているわけでございます。
#6
○河本三郎君 今回の改正は、放射性同位元素装備機器等についてもリース、レンタルを認めてほしいというニーズが国民の間に生まれてきたことに的確にこたえるものであると思います。
 そこで、今後の放射線利用の進展にとって大きな効果が期待される賃貸業について具体的に質問したいと思います。賃貸の対象機器としては具体的にどのような機器が挙げられるのか、その効果をお聞かせいただきたいと思います。
#7
○政府委員(笹谷勇君) 今回新たに賃貸を認めるということによりまして、放射性同位元素装備機器等を調達する際、借り入れによる調達も可能となるわけでございまして、高額の機器の調達が容易になり、また陳腐化する機器の更新も容易になると考えているわけでございます。このことによりまして、がん治療装置等医療機器、またガスクロマトグラフ等の環境分析機器、あるいは非破壊検査装置等検査機器、こういうものの利用の拡大が見込まれるというふうに考えております。
 具体的にどの程度この機器が拡大するかということにつきましては、私どもの事前の調査によれば、正確に申し上げることは困難でございますが、こういう機器について二百件を上回る賃貸の希望がございます。
#8
○河本三郎君 次は、安全性についてお伺いします。
 使用が容易になることは、結果として一般の国民が恩恵を受けるということで望ましいことだと思います。しかし、効率性ばかりを追い求める余り安全性がおろそかになるのではないか、こういうふうに心配をしております。この辺の安全性の問題についてお聞かせいただきたいと思います。
#9
○政府委員(笹谷勇君) 今回の改正により、放射性同位元素の賃貸が認められることになるわけでございますが、あくまでも安全性が確保されるということが大前提でございます。放射性同位元素の賃貸を新たに認めることによって安全確保上支障が生じないように、この賃貸業者に対しましては、許可制度のもとに安全確保の義務がほかの使用者と全く同じように課されることになってございます。
#10
○国務大臣(田中眞紀子君) ちょっと私冒頭におわび申し上げたいんですが、先回、聖路加病院に行きまして遅刻いたしましたことをきょうもまた重ねておわび申し上げます。
 それから、今の河本先生のお尋ねでございますけれども、先ほど来安全局長が申し上げていますように、医療とか環境とか工業、農業等の分野で、例えばガスクロマトグラフというものが非常に普及をいたしております。こうしたものの利用が非常に高まっているからこそ規制も緩めていくということになって、一般に広く利用されるようになるということは歓迎すべきことでございますけれども、そうであればあるだけに、その廃棄処分という問題等も含めまして、人間の健康に影響を及ぼす危険性というものもやっぱり有しておりますから、安全管理ということにつきましてはより一層、私はいつもアクセルとブレーキということを申し上げますけれども、一般に普及すればするだけそういう危険ということに対する意識も高まっていかなければならないわけでございますから、そういうことの安全確保も遺漏のなきよう万全の体制で臨む覚悟ております。
#11
○河本三郎君 ありがとうございました。
 放射性同位元素から発生する放射線、これはがん治療の医療分野、物質分析、計測等の工業分野といった国民生活に密着したさまざまな分野においてその利用が進展をしております。
 そこで、放射性同位元素を取り扱う事業所の数もかなり増加してきていると思いますが、放射性同位元素等の使用事業所はこれまでどのように増加し、現在どのような分野にどの程度存在するのかをお聞きしたいと思います。
#12
○説明員(近藤隆彦君) お答え申し上げます。
 この法律は昭和三十二年に制定されましたのでございますが、当時は放射線関連事業所は五十程度でございました。それが、施行後三十数年を経まして現在では五千事業所ほどございまして、ほぼ百倍にふえてきております。そのうちの大部分が使用者でございますけれども、さらに販売業者、それから一部廃棄業者がございまして、合計でほぼ五千事業所程度でございます。
#13
○河本三郎君 少し細かい話になるんですが、計測関係でどなたか御答弁していただければありがたいんですが、例の原発の熱交換器の冷却管、冷却チューブ、これらの肉厚計測についても、これはレンタルでやられておるんですか。この辺おわかりになりましたら。わからなかったら後で個人的に教えてください。
#14
○政府委員(笹谷勇君) 私の記憶でございますが、熱交換器の細管の健全性のチェックは放射性同位元素を利用してはおりませんで、渦電流という現象を利用いたしまして…
#15
○河本三郎君 エディーカレントですな。わかりました。
 それで、もう一方でボイラーチューブの溶接、このことについても後で教えてください。
 次の質問です。
 放射性同位元素は、放射線により人間の健康に影響を及ぼす危険性を有していることから、その取り扱いには十分注意する必要があると思います。このため、従来より放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に基づき、放射線を利用する場合の安全の確保が図られてきたものと承知をしております。
 ここで、確認の意味も込めて、現在の放射線障害防止法に基づいてどのような安全規制が行われているのか、御説明をいただきたいと思います。
#16
○説明員(近藤隆彦君) お答え申し上げます。
 放射線障害防止法に基づきまして、現在、放射線関連の業務従事者及び一般公衆の放射線障害を防止するために種々の規制が行われております。放射線を発生します同位元素でありますとか、あるいは放射線発生装置が持っておりますいろいろな潜在的な危険性に応じまして、その程度に応じた規制をしておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、まず第一に、その使用でありますとか販売に関しまして、厳しい許可制度のもとにおきまして、例えば保管の施設とかそういった施設面の安全規制、それから通常の取り扱いにおきますところの安全基準への適合、あるいは具体的な内部におきます管理するための関連規定の整備、あるいは健康診断とか訓練とかといったことでございまして、ハード面、ソフト面でいろいろな規制をしております。
 このように、放射線障害防止法に基づきまして現在も厳しい規制をしまして、一般公衆及び放射線業務従事者の放射線障害の防止に努めているところでございます。
#17
○河本三郎君 放射性同位元素の利用に当たっては放射線障害防止法による安全確保が図られ、今回の改正も安全レベルには影響を及ぼすことのない規制の合理化であるという御説明であります。安全確保はこれに携わる者すべての努力の積み重ねによって初めて達成し得るものであり、最大限の努力を傾注することを強くお願いしたいと思います。
 放射線利用はますます普及していくことが見込まれており、放射線利用の形態もこれまでに増して多様化していくことが想定されます。今後の放射性同位元素の取り扱いについての安全確保をどのように図っていくのか、最後に基本的な姿勢、方針を大臣にお聞きしたいと思います。
#18
○国務大臣(田中眞紀子君) 先ほど申し上げましたことと重なりますけれども、やはりいろいろな分野で国民生活にますます浸透していって利用されるようになるわけでございますから、また一方、放射性同位元素、RIですけれども、人間の健康に影響を及ぼす危険性というものも有しているわけでございますから、適切な安全規制の実施をいたしまして、特に、業務に従事している方々、それを取り扱う方々とか一般の方々に対する影響というものも十二分に考慮に入れまして、安全確保に遺漏のないように万全の体制をしいてまいります。
#19
○河本三郎君 終わります。
#20
○久保田真苗君 放射線障害防止法について伺います。
 私は、一般的に言いますと、事業所における機器の、OA機器まで含めてですけれども、リース制度というものの普及を歓迎しているんです。なぜかといいますと、この七月一日から製造物責任法というのが施行になりますけれども、ECなどでは以前からPL法を持っておりまして、PLからELへという段階に既に進んでいるということでございます。もちろん、ELというのはエコロジーライアピリティーでございまして、製造業者が設計からリサイクル、廃棄の最終処分まで一貫して責任を持つという体制でございます。
 それはどこがすぐれているかといいますと、設計の段階から既にリサイクルと廃棄を考えたデザインをすると、そうした製造方法が普及するということでございます。そしてそのためには、買い取りというよりはリースでやるのが、それが最も自然の形で普及する、そういう意味で私は一般的にリース制度を歓迎しているものでございます。
 それで、危険有害物についてはなおさらのことでございますけれども、そういう意味で、実際に廃棄なりリサイクルという段階になりますと、使用者がそれぞれ処分している今の形から見ますと一歩前進であるというふうに思います。私は、将来に向けて日本はそのように進んでほしいと思いますが、今回のリース制度というものをどのように受けとめていらっしゃるか、大臣の御所見を例えればありがたいと思います。
#21
○国務大臣(田中眞紀子君) このRIの機器というものは大変高額なものでございますから、これを賃貸化して、リースで貸していただけるようになれば大変うれしいということは医療現場のドクターからも伺ったこともございますし、時代のニーズというものにこたえていく方向であろうというふうに考えております。そしてまた、それを円滑に導入することができますし、手続の簡素化をすることによって事務的な負担というものの軽減にもなります。
 ですから、やはり先ほど来お答えしておりますように、こういうことは本当にいいお考えで、今先生のおっしゃったような方向に行くということはいいことですけれども、やはり常に安全ということ、今科技庁は全体の中で、規制緩和の中でもなかなか科技庁だけは原子力施設等のこともありますから、むしろ規制というものは強化する方向にあるわけでございます。こういう身近な生活に役立つ問題につきましては緩和の方向に行きますが、やはり廃棄の処分なんか、今後量がふえますから特に一番考慮していかなければならないと思いますが、方向としては大変いい方向に来ているというふうに思っております。
#22
○久保田真苗君 科技庁は安全を守る官庁ですから、規制を強化するという方向は確かにありますでしょう。でも、私は、これについて許認可が従来よりうるさくなる点を一つ認めるんです。それは何かといいますと、表示付ガスクロマトグラフというのがあります。放射線取扱主任が免除になるのはこの機器だけを使う人に免除になるわけですね、ですから、それは合理化であり恩典だと思います。この表示付ガスクロマトグラフというのは、平成五年度で千四百十台あるんです、既に。そして表示なしが四千二百三十七台ということになっております。
 この表示付というのは、使用に当たって許可でなく届け出で済みますし、施設検査、定期検査はなくなるわけです。放射線取扱主任も免除されると。その他、教育訓練の義務、放射線量の測定義務もなくなる、こういうことなんです。この点については規制が緩和になっているんですが、メーカーとして役所の設計の承認、それから一品ずつ製品の検査確認を要することになるわけなんです。一品ずつ検査していただくということは実際大変だと思うし、それから実際問題としてコストアップになると思うんです。それで、表示付は既にやっておられるわけですから、どのくらいコストアップになるのか、設計の承認にどのくらい日数がかかるのか、今までのところで御説明いただきたいと思います。
#23
○政府委員(笹谷勇君) この表示付制度についてちょっと御説明させていただきたいと思いますが、これは昭和五十五年に法律改正をお願いいたしまして、その時点で成立した制度でございます。
 この考え方は、放射性同位元素を装備した機器のうち、それ自体が放射線障害防止機構を持って取り扱いについて非常に安全なものだと、こういうものについて、それを使用する者の義務を軽減化しようと、こういう思想ででき上がったものでございます。したがいまして、安全上の水準は変えないという前提に立っておりまして、使用者の義務を軽減するかわりに同じものを幾つもつくりますから、設計承認という形で製造者側の方にその規制を課しているわけでございます。こういうことで、全体としては安全のバランスがとれていると、水準を維持するという制度でございます。
 ちょっと前置きが長くなりましたが、そういうことでございまして、表示付制度を法律に乗って選択するかどうかは、製造業者が一義的には選択できるわけでございます、どちらを選ぶか。その場合、表示付の方を申請し、役所のそういう審査に十分合格するものであるという場合はそちらを選択いたしますし、あるいは少しその機器自体、ちょっと長くなりますが……
#24
○久保田真苗君 ポイントで言っていただけますか。
#25
○委員長(高桑栄松君) 簡単にひとつお願いします。
#26
○政府委員(笹谷勇君) ということで、製造業者の選択によるものでございます。
 登録制度に乗っかりますと、先生御指摘のとおり、まず設計承認とかあるいはでき上がったものを一品ずつ検査いたしますので、それに伴うコストがかかります。全体で一個当たり五万円ほどコストが余計かかるかと承知しております。
#27
○久保田真苗君 日数は。
#28
○政府委員(笹谷勇君) 日数は、設計承認が全体で二、三カ月、それから機構確認、一個すっ、そういうものには二週間程度必要としております。これは五十五年以降の実績でございます。
#29
○久保田真苗君 これは安全という観点から必要なんだとは思いますけれども、承認とそれから検査に二、三カ月もかかって、また二週間もかかるというような状況というのはやはりできるだけ短くし、かっコストアップを抑えるという姿勢が必要だと思いますので、今後の状況でひとつ改善ができるものならしていっていただきたいものだと思います。御返事は結構です。
 次に、危機管理の問題にまいります。
 今まで地震と原発の問題について、大変皆様が質問をなさったんです。
 私は、危機管理の続きとしまして、きょうは原発の防災対策について二、三お伺いしたいと思うんです。いろいろ手引、マニュアル類を拝見したんですけれども、ここに原子力安全委員会がつくった「原子力発電所等周辺の防災対策について」という資料がございます。これは初め昭和五十五年六月につくられたもので、その後平成四年六月に一部改訂ということになっているんです。
 これで見ますと、いろいろなことが提案されているんですが、今まで私が拝見したマニュアルに関する限り、防災対策というのはすべて原発単独事故についての対策なんです。
 例えば、先日この委員会で稲村委員が指摘しましたように、地震による原発事故の可能性があるという以上、その場合の災害は複合対策になります。つまり、この中で示されているさまざまな手段、これは複合災害となるということにおいて選択の余地は極めて狭まってくると思うんです。
 私はそういった複合対策、これは原発の持っている宿命だと思いますので、複合対策に関するこういった二重、三重の対策を講じていただくことを期待するのは、国民の立場からいえば当然だと思うんです。大臣は、この辺についていかがでしょう、地震との複合対策、こういったことについて。
#30
○国務大臣(田中眞紀子君) 大変適切な御指摘だろうというふうに思います。
 今回の阪神・淡路の大地震震災後に、一番私ども衆議院、参議院の委員会等で質問をいただいたことは、やはり今おっしゃったような二重、三重に対策を講じて、複合対策を講じないでいいんだろうかというお気持ちが根底にあったというふうに理解をいたしております。
 そして、自然災害が引き金になって原子力災害につながったらいけないということももちろん念頭に置きながら原子力施設というものは多重防護をなされているというふうに思いますが、しかし、それは今回の震災が起こる前の状態でございまして、この後においてまた新たに見直しをしていくと、謙虚な気持ちで。
 しかも、ヒューマンエラーなんかがあっては特にいけませんので、そういうときの管理の仕方、避難の仕方もありますし、それから、そんなことが絶対あってはならないわけですけれども、今の段階ではこの震災後に、今御指摘がありましたような複合的な対策ということについて、再度やっぱり事業者と私どもも検討してみるということ、そしてその結果をやはり公表して皆さんに少しでも安心していただけるという方向にぜひ持っていきたいというふうに思っております。
 ありがとうございます。
#31
○久保田真苗君 複合災害になった場合の心配な点を二、三具体的に伺いたいと思うんです。
 その一つは、この手引によりますと、三段階の防護対策を言っているんです。最初は、屋内へ退避する。これは気密性に配慮する。そして第二段階は、屋内に退避するけれども、子供と妊婦は指示に従ってコンクリートの建物の中に退避する。それは気密性に配慮する。そして第三段階、これは成人も含めてみんなコンクリートの建物に退避するか、または避難するというふうになっているんです。
 今回の地震の経験で見ますと、屋内に退避することも、コンクリートの建物に退避することも、建物が破損ないしは窓ガラスが全部署れる、したがって気密性など保ちようがないわけです。そういたしますと、ここに出ている防護対策の初段階、中段階、そして最終段階の半分、これは地震との複合の場合には役に立たないということを前提として考えていただかないと、想像を絶するなんという言葉をまた言わなきゃならなくなります。
 でございますから、例えば、コンクリートのシェルターはあるのか、それから、仮にコンクリートの建物で無事なものがあったとき、どの住民はどこへ行くということが指示、周知されているのかどうか、その二点について伺います。
#32
○政府委員(笹谷勇君) お答えいたします。
 現在の防災の考え方は、長くは申しませんが、災害対策基本法に基づきまして地方自治体が主体的に実施し、これに国が支援する、これが基本でございます。
 それで、先生から御質問ございましたシェルターは、これ専用のものは今備えてございません。
 それから、この地域防災計画の中に原子力防災計画というのを別につくっております。これは、地域防災計画の中で災害別につくってあるものは原子力防災計画だけだと思いますが、この中で、こういう原子力の事故時にどこの住民はどこの地域のどの建物に行くというようなことは、計画の中に盛り込まれてございます。
 それに対しまして、パンフレット等を地方公共団体がつくりまして、できるだけ住民にそういうことを周知していただくような活動を行っているわけでございます。
#33
○久保田真苗君 私、時間がないので、どんどん先へ行きますけれども、今のお返事では非常に不安が残ります。
 シェルターはつくるように検討すべきだと。それから、コンクリートの建物の指示、それも住民に徹底しておくべきだと。なぜかというと、時間を争うんです、これは。そして、この建物がだめなときはどこというふうに二重、三重にやっていただきたい。このことを私、宿題としてお願いしておきます。
 次に、沃素剤の問題です。
 これは、事故の際放出される可能性のある放射性核種のうち、特に放射性沃素、これを経口で、または吸入しますと、甲状腺に蓄積されます。そして、内部被曝による障害、甲状腺がん等を発生させるということでございます。このマニュアルにも出ているところです。
 この沃素をブロックするために、安定性沃素剤の服用が必要なんです。このマニュアルによりますと、一番いいのは、体内に取り込まれる前に服用するのが一番よい。そして次によいのは、取り込んだ後三、四時間以内に服用することがよい、こうなっております。
 私が伺いたいのは、これは時間を争う問題ですから、沃素剤の備蓄、私は、初めの一日分、一日二錠飲めばよいそうですね、初めの一日分だけはあらかじめ配付しておくことが本当は危機管理だと思うんです。その点についてどうか。それから沃素剤の備蓄、それから保管場所、迅速な配付方法、この点について、今挙げたことを具体的にお答えください。
#34
○政府委員(笹谷勇君) 沃素剤等の配付につきましては、地方公共団体が迅速、的確に周辺住民へ配付できる体制を考慮の上これまで整備してきているわけでございます。
 具体的には、必要な服用量を周辺住民に配付できますよう、十分な量を病院あるいは保健所等に配備しているところでございます。全国の原子力発電所立地所在府県合計で一千六百万錠、約百万人に対しまして一週間分相当備蓄してございます。
 この配付方法につきましてでございますが、先生御指摘がございましたあらかじめ一日分を各戸に配付しておいてはどうかという御指摘でございますが、この使用につきましては、十分な効果が期待できるよう医師など専門家の意見も十分聞いた上で適正な使用をさせるというような側面もございます。
 それから、先生御指摘のように直ちに服用ができるような形にしておく、こういう二面性を持っておりますので、この点につきましては先ほどの御指摘もございましたが、今回の阪神の地震の災害等にかんがみまして、原子力安全委員会の中で専門部会、こういうところで指針等の検討を行っておりますので、その中で先生御指摘の点も踏まえて十分必要な検討を行ってまいりたい、かように考えております。
#35
○久保田真苗君 地方公共団体の責任だ、つまり保健所と病院。その配付するというのは、住民が病院へとりに行くわけにいかないと思います。そうしますと、だれが配付する、その配付の責任者はだれなんですか。そこのところをはっきり記録にとどめたいと思います。
#36
○政府委員(笹谷勇君) その自治体によりまして町役場に置いたり、先ほど申しましたように病院あるいは保健所、そういうところにおいていろんなケースがございますが、あくまでも配付の責任は地方自治体の職員が責任を持って配付するということになっております。
#37
○久保田真苗君 原発についてやっぱり責任がある科学技術庁としては、私はこれは、だれがどのように一戸ごとに持っていくのか、漏れのないように配れるのか。だって原発事故があったり、その上に地震まであったときに病院へ駆けつけなさいとか町役場へ行きなさいとか、そんなことは無理でございます。ですから、だれが二戸二戸配付していくのか。
 その点についてはもう結構ですが、私、大臣にこういうことを検討していただきたいし、それから、さっきのシェルターの話も、少なくともヨーロッパじゃやっていますよ、そういうことを検討していただけませんか。
#38
○国務大臣(田中眞紀子君) 今の久保田先生のお尋ねで、本当に具体性も統一性もないし緊急意識が全然ないんじゃないかと思っていら立っていらっしゃると、手にとるように先生のお気持ちを感じました。
 シェルターの問題もそうですが、本当に多重防護をして安全な施設ではあるといいましても、やはり今回の地震のことにかんがみまして、今先生がおっしゃるようなことというのは、私どもは切実に事実感じております。
 それは、サイト別に事業者、事業主体が見直す、そして地方自治体がそれぞれやる。ただ、やってできましたというお題目であったら、今回のサリンの事件もそうですし地震もそうなんですけれども、急なときは自分の身を守るとか周りを見ることの安全管理で手いっぱいで、沃素を飲めば治るなんということまで頭がまずいかないと思います、とっさの場合に。そういうときに、自動的に当然の権利としてそういうものが口にすぐ入れられるような体制をしけということが久保田先生の御指摘だろうと思いますので、これはやはり緊急性を持って本当に我々が緊張感を持って指示を出さないとなかなかそれぞれが慢心してしまうということはあると思いますので、安全確保は最優先ですが、その中に今おっしゃったような沃素剤の備蓄、配備、その手順等、具体的なことを各市町村にあるいは事業主体に義務づけられるように、今はそれぞれの事業体が集合体別にやるとか言っておられますが、一度やってみたらいいと思うんです、練習を。
 ただ、今まで私が恐れていましたことは、この九カ月間科技庁を預からせていただいて思うことは、何かがあってパニックが起こっちゃいけないとか余計な心配をさせちゃいけないとか、そういうことによって原子力施設は怖いとか思われたくないと思うんでしょうが、やっぱり私は有権者の意識は相当高まってきていると思います、エネルギー需要の高まりとかそのほか国情の問題とか。ですから、そういう中で本当に今現在の中で最善を尽くすにはどうするかという観点に立ちまして、具体的な指示をおろすように努力をいたします。
#39
○久保田真苗君 あと一つだけ。
 ここに出ております通報様式、それは軽水炉用でやってあるんです。その他のものについてはこれに準じてつくれと書いてあるんです。でも、私は態様に応じてやるべきだし、今MOX、プルトニウムをまぜて焼却しているところが十件ぐらいあるそうです。それから、「ふげん」なんかはもうとっくにプルトニウムもやっている。
 私は、いろいろな形の態様が必要で、特にプルトニウム関連施設というのははっきりとこれのマニュアルをつくってほしいと思うんです。なぜなら、プルトニウムというのは国民の大きな心配事なんです。そして、当然ウランとは基準も違うはずだと思います。というのは、大臣もよく御存じのようにプルトニウムというのは吸入したときの蓄積それからそれがとどまる年数、そして絶えず被曝を続ける、特に肺がんの原因になる。そういう意味においてウランとはもう次元の違うお話なんです。
 詳しいことは私今申しませんけれども、そこのところをよく研究していただいて、そしてこのプルトニウムの発電所あるいは高速増殖炉、あるいはプルトニウムをMOXで燃しているところ、そうした十数基のものについてはマニュアルを、原子力委員会はこれをただ改訂しているというだけではこれは軽水炉ベースですから非常に無責任だと思うんです。プルトニウムについてのこうしたマニュアル、防災対策というのを私は別途、あるいはそこのところを特記してはっきり出していただきたい、そしてこの防災対策にコミットしていただきたいんです。いかがでしょうか。
#40
○政府委員(笹谷勇君) 先生御指摘の点は、この安全委員会の指針の中で別途そういうものを書くようにという御指摘だと思いますが、実態を御説明いたしますと、各プルトニウムを利用しているところにつきましては、この指針にのっとってそれぞれその対策を既に講じでございます。
 それから、軽水炉でプルトニウムを燃す、これはまた別の何かが防災上必要だというような御認識かと思いますが、そうではございませんで、この軽水炉にMOX燃料を入れるということは通常の軽水炉の燃焼状態とさほど防災上異なった形にはなりません。軽水炉の中ではプルトニウムが、燃焼末期ですと三分の一以上もう既にウランから転換してでき上がっておりますので、この軽水炉の指針はそういうことも念頭に置いてつくられているものでございます。
 いずれにしても、先生の御指摘は大事なことだと思いますので、これからさらに充実させていきたい、かように考えております。
#41
○久保田真苗君 それが同じでいいのなら同じでいいとここに書いてほしいんです。そうしなければ、プルトニウムというのは何も出てこないわけです。私は、はっきりと責任を持った報告を出していただきたい、このことを要求しておきます。
#42
○浜四津敏子君 それでは伺います。
 今回の改正のポイントは、先ほど御説明もありましたが三点あるということでございます。放射性同位元素の賃貸を認める、それから第二点が特定の機器について管理義務を合理化する、それから手続を簡素化する、この三点だということですが、その中でも主なものは賃貸を認める、こういう点にあるというふうに考えられます。
 この放射性同位元素装備機器等の使用者の賃貸に対する要望が強いということがその背景、必要性として述べられましたけれども、医療機関、研究機関あるいは企業等からの賃貸を認めてほしいという要望は昨年の十一月にあったという説明を伺いましたが、これは大体何年くらい前から出ていたことなんでしょうか。
#43
○政府委員(笹谷勇君) 正確な記録は残してございませんが、私の承知しておるところですと、もう数年前からそういうような要望がありまして、私ども現在の法律の体系ではそういう御要望におこたえできないということで何とかしたいということを考えておりました。法律改正をお願いするに当たりまして、そのほか、安全上合理化できるもの、また技術の進展によって法律の体系上組み入れるもの、いろいろ検討しておりまして、そういう要望が確かに以前からあったわけでございますが、今回法案を提出しお願いするまで多少時間がかかったということでございます。
#44
○浜四津敏子君 この三十年間で事業所が百倍になったというお話がありましたが、恐らく現場の要望というのはかなり前から、おっしゃるように数年前から非常に強かったんだろうというふうに思います。
 できれば、これは要望ですけれども、そういう現場のニーズを上がってくるまで待つのではなくてむしろ積極的にキャッチしていただいて、そして、もちろん今おっしゃったように慎重な準備が、また検討も必要かと思いますけれども、迅速的確にそういうニーズにこたえられるような体制をぜひこれからますますとっていただきたい、これを要望しておきます。
 それから、この機器の賃貸。こうした機器は放射線が放出される危険性があるわけですから被曝の可能性もある、こうした機器ですので、こういう賃貸を認めるに当たって、やはり皆さんが一様に心配されるのは安全性の問題、安全性の問題は十分に担保されているのか、規制は大丈夫なのか、その辺のところをお答えいただきたいと思います。
#45
○政府委員(笹谷勇君) この賃貸を認めるに当たりまして、あくまでも安全性の確保というのが先生御指摘のとおり大事な前提でございます。
 新たにこういう制度を認めるに当たりまして、法律の建前上は、許可という制度のもとで賃貸業者が有することになるその施設について安全基準を十分満たすものだというようなことの確保、その他放射線障害の防止のために必要なことについては、これまでの使用者と同様の義務を課すことになっているわけでございます。
 法律的にはそうでございますが、やはり賃貸業者が新たにこういう放射線を取り扱うような分野に入ってくるわけでございますので、そういう事業者につきましては講習とかその他必要な場合には適切な指導を加える等してこの安全確保がなされるよう努めてまいりたい、かように考えております。
#46
○浜四津敏子君 先ほどのお答えでは、今回の賃貸の対象となる機器は、ガスクロマトグラフ用ECD、電子捕獲検出器、こういう機器が対象になるということでございますけれども、この機器は、例えば水道の水とかあるいは空気の中の有害物質、あるいは食品の中の残留農薬含有量等の測定を行う装置であるというふうに説明を伺いました。
 この賃貸を認めることによって、医療機関、研究機関あるいは企業等だけではなくて国民の方々にとってもメリットがある、こういうことになるんでしょうか。その期待される効果について、特に国民にとってはどういうメリットがあるのか、少しわかりやすくお話しいただけますか。
#47
○政府委員(笹谷勇君) 私どもの説明が十分行き届かなくて先生に理解が得られなかった点、おわびしたいと思うんですが、この賃貸の業は、先生御指摘になりましたガスクロ以外にも放射性同位元素を装備した機器あるいは放射性同位元素そのもの、いろんなものを含めてこの制度で対象にするということでございます。おわびいたします、説明が不足でございました。
 それで、先生御質問のございましたこの機器を導入する効果でございますが、農業等では農業等の微量分析等にガスクロが利用できますし、医療でも薬剤等の分析等にこの機器がいろいろ使われるわけでございます。この賃貸の制度によりましてそういう機器がいろんなところで迅速に使用者が使用できるということになりますので、そういう面で国民の益につながるものかと考えております。
#48
○浜四津敏子君 こうした機器等については過去に何件か事故が起きています。例えば、平成四年二月から平成六年四月までの間に合計九件、うち七件が線源紛失、二件は照射用線源による被曝のおそれがあった、それから床の表面汚染があった、こういうふうに報告されております。
 仮に、賃貸している間にこういう事故が起こった場合に、その事故の責任というのはだれが負うことになるんでしょうか。
#49
○説明員(近藤隆彦君) お答え申し上げます。
 賃貸が行われている間につきましての放射線障害防止法上の放射線障害防止に係る義務につきましては、あくまでも借り受けております使用者が負っております。具体的には、借り受けております期間中は、その使用者が、施設面におきましてもあるいはいろんな管理面におきましても放射線障害の防止のための管理義務を果たす義務があるわけでございます。そういう意味で、一義的には使用者の方に法律上の安全管理の義務がございます。
 しかしながら、例えば機器に何か潜在的な欠陥があった場合には、民法上の責任とか場合によっては製造物責任法上の責任が発生する場合もございますけれども、これは放射線障害防止法におきます放射線障害防止の責務とは別物でございます。そういう場合もケースによってはあろうかと思います。
#50
○浜四津敏子君 確認させていただきますが、そうしますと、賃貸している間にこうした事故が起きた場合の責任は、借り受けている使用者がまず第一義的に負う、それから、場合によっては製造物責任によって製造者が負うと。そうしますと、所有者の責任というのはこういう場合にはないんでしょうか。
#51
○説明員(近藤隆彦君) 普通の場合には賃貸業者が所有権を持っております。賃貸が普通に進んでおりますと、賃貸業者は所有権を持っておりますけれども、実際の現物は使用者のところにございます。したがいまして、そういう場合は使用者が現物を管理する状況におきまして責任を持つということでございます。
 しかしながら、例えば賃貸契約の中断等で管理が賃貸業者の方に返ってくる場合には、その場合には今度は賃貸業者の方に所有権に基づく責任が法律上はあるということとなっております。
#52
○浜四津敏子君 それでは、次の改正のポイントの第二点ですが、特定の機器について管理義務の合理化を行う、こういうことになっております。
 そして、先ほど放射性同位元素装備機器についての表示付制度について御説明をいただきましたが、放射線障害防止法におきましては、表示の付されていない機器についても使用が認められております。それにもかかわらず、こうした表示付制度が認められている理由はどのようなところにあるのか、またこの制度の対象になることによってどういう利点が出てくるのか、御説明ください。
#53
○政府委員(笹谷勇君) 表示付制度は、先ほど申し上げましたように、五十五年の改正によりまして、この障害防止法の建前といたしまして、所有権というよりは放射性同位元素を使っている者、あるいは販売するときその販売する者が保管している間、その者に対して規制上の責任がかかっているわけでございます。
 表示付制度は、放射線障害防止の機能をそれ自体持っているというものでございますので、使用者に対する義務、安全上の管理義務を軽減するということが五十五年にもう既に法律で改正されまして、そういう制度で来ております。その制度に乗るか乗らないかといいますのは、先ほど申しましたように、製造メーカーが一義的に選択することになっております。
 この表示付制度のメリットでございますが、使用者は、取扱主任者の資格要件が従来ですと試験を受けなければもらえないものを講習のみで取扱主任者になるとか、そういうふうなことで合理化を五十五年に図って現在まで来たわけでございますが、この間得られました安全性が高いという実績によりまして、さらに合理的な形に今回お願いしているわけでございます。
#54
○浜四津敏子君 それから、二十条二項で、「政令で定める表示付放射性同位元素装備機器」、つまり管理義務の合理化の対象となる機器というのは現時点で具体的にどういうものを考えておられるんでしょうか。
#55
○説明員(近藤隆彦君) 今回の改正で使用者側におきます管理義務の軽減をしようと思っておりますのは、表示付ガスクロマトグラフ用ECD一件だけでございます。
#56
○浜四津敏子君 ちょっと私、先ほど誤解しておりましたが、今回の賃貸の対象の機器というのは、この管理義務の合理化の対象となる機器であるガスクロマトグラフ用ECDを含めもっと広いわけですね。失礼いたしました。
 そうしますと、この表示付ガスクロマトグラフ用ECDについては、今回の改正で、放射線取扱主任者の選任、届け出義務を免除する、あるいは教育訓練義務を免除する、そしてまた放射線量等の測定義務の免除、この三つの義務が免除されることになりますけれども、これによって安全上の問題が生じることはないのか、この義務免除に対応する安全の担保としては何か考えておられるのか、お答えください。
#57
○説明員(矢野周作君) この機器でございますけれども、設計・構造上大変安全であるということで、御指摘のような三点につきましては義務の免除を行うこととしております。
 担保という御質問でございますが、放射線障害予防規定の中で、安全管理責任者等をここで明示することといたしますとともに、さらに注意事項の掲示等を充実するというふうに考えております。
#58
○浜四津敏子君 一方で、表示付でないガスクロマトグラフ用ECDもあるということですけれども、なぜこの使用が認められているのか。表示付でないECDに対する安全規制というのはどういうふうに行われているのか、御説明ください。
#59
○政府委員(笹谷勇君) 表示付の場合は、それを使用する者が管理義務をかなり軽減されるわけでございます。
 先ほど申しましたように、メーカーはどちらでも選択できますから、表示付でない方を選択しました場合には、それを利用する者は一件一件許可制に基づきましてこの法律に基づく規制を受けますので、今免除をするようなことになっているようなもの、あるいは合理化するようなものについても全く対象になりませんで、そういうものもすべて適用されます。
 以上でございます。
#60
○浜四津敏子君 表示付でないECDについては、先ほどちょっと述べさせていただきましたような事故の例が発生しているわけですけれども、こうした事故は、今回対象とするこの表示付のECDにはなかったんでしょうか。
#61
○説明員(矢野周作君) 表示付のECDにつきましては、昭和五十五年から新しく制度として導入されておりますが、使用に伴う事故は今まで一度もございません。
#62
○浜四津敏子君 ということは、表示付のECDの方が表示付でないECDより安全であって望ましいということになるんでしょうか。
#63
○政府委員(笹谷勇君) その装置自体が放射線障害防止を持ったものがこの表示付制度にのっとるという大前提でございますので、いわゆるトラブルというのが被曝のトラブルあるいは紛失というものといろいろございます。今お答えしましたのは、その両者とも全くなかったというわけでございますが、被曝という点からいいますと、確かに表示付制度の方が安全といいますか設計承認制度でやっておりますので、使用者にとっては安心して使えるという言い方もできようかと思います。
#64
○浜四津敏子君 最後に、今回の改正は、医療機関、研究機関あるいは企業等、民間団体からの要望を踏まえて行われたというふうに理解しております。今回のこうした要望以外にも科技庁関係で提出されている要望はあるんでしょうか。あるとすればどのようなものなのか。また、そうした要望についてはどう対処されるおつもりなのか。
 先ほどちょっとお話しさせていただきましたけれども、こうした現場で一生懸命取り組んでおられる方々の声をいち早く迅速に的確に掌握していただいて、またそれに対して適正に対応していただくということが望まれるわけですけれども、田中長官いかがでしょうか、こうした要望に対してどのように対応されるのか、お答えいただきたいと思います。
#65
○国務大臣(田中眞紀子君) 昭和三十三年に五十の事業所があって、三十年間に百倍になっているという目覚ましい勢いで民間での利用が高まっていて、その民間団体からの強い要望を受けて今回はこういうふうな規制を緩めていく方向になったという実情がございます。私もこれは決して、先ほど浜四津先生がおっしゃったように速やかであったとは思いませんけれども、安全というものの考え方とか機械の進歩等考えながら、やはり慎重にも慎重にした結果であろうかというふうに思っております。
 そのほかにつきましてもいろいろまだ検討すべきこともあると思いますので、安全性の確保を最前提にいたしながら、現実をよく見詰めて着実に緩和していきたいというふうに考えます。
#66
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
#67
○乾晴美君 よろしくお願いいたします。
 放射性同位元素の取扱事業所に対する放射線検査官による立入検査についてお伺いしたいと思うんです。
 先ほどから同僚議員へのお答えの中で、皆さんの方からは一九五八年のころには五十一事業所ぐらいであったのが、一九九四年三月では五千百二十一事業所になっている、その間約百倍になっているんだということなんです。この検査が毎年行われているということなんですが、一九九三年度には三百三十二の事業所に行われているわけです。全体からいえば約十五分の一ぐらいの事業所に当たるかと思うんですけれども、これはちょっと少な過ぎるのではないかというような気持ちもいたしますし、賃貸の事業を許可するとなった場合、この立入検査はどうなるんでしょうか。そしてまた、今まで立入検査の結果、不適格というようになった事業所はあるのでしょうか。もしあるとすれば、それは全体の何%ぐらいになるのでしょうか。お伺いいたします。
#68
○説明員(矢野周作君) 立入検査についてでございますが、放射線障害防止法に基づきまして使用者にいろんな義務を課しているわけでございますけれども、こういった義務が適切に遵守されているかどうかということを確認するため必要に応じ行っております。
 御指摘の賃貸業者につきましても、使用者、販売業者同様必要に応じまして立入検査を行いまして適切な指導を行っていくこととしております。昨年度約三百三十件行っておりますが、このうち不適格な例といいますか、それは大体四割ぐらいございます。
 この中身でございますけれども、例えば、帳簿に使用者の名前を書きなさいとかあるいは管理者の印を押しなさいとか、そういったようなきめ細かいところまでの規定もあるわけでございますけれども、そういったのがなかったというようなことの軽微な例がほとんどでございます。
   〔委員長退席、理事志村哲良君着席〕
#69
○乾晴美君 四割というのはちょっと多いというような心配な気がいたしますけれども、この法律第十二条の九に規定されている定期検査というのは、政令で定める期間ごとに必要に応じて受けなければならないというんですが、それはどれぐらいの期間で、だれがどんな資格でそれを検査していくのでしょうか。
#70
○説明員(矢野周作君) 定期検査についてでございますけれども、一定量の貯蔵を有する者につきまして定期検査等をやることになっております。その期間でございますけれども、放射線発生装置等を使用する者にありましては五年に一度、それから密封されていない放射性同位元素の貯蔵能力が一定規模以上であるような使用者につきましては三年に一度やっております。
 この定期検査をやっている機関でございますが、原子力安全技術センターというところが国の代行機関として任ぜられておりまして、この原子力安全技術センターが定期検査を行っているところでございます。
#71
○乾晴美君 法律第十六条の詰めかえの基準というのはどういうふうになっているんでしょうか。そして、この廃棄物はどう処理されるのでしょうか。
#72
○説明員(矢野周作君) 詰めかえの基準でございますが、放射性同位元素の小分けなどの詰めかえを行うに当たりましていろんな措置を講ずることとされております。
 具体的には、放射線業務従事者につきましては、法定線量限度を超えないような必要な遮へい等を設ける、それから、放射性同位元素によって汚染されたものでありまして法定限度を超えるものにつきましては、みだりに管理区域から持ち出さないようにすること、そういったような各種の義務を課しております。
 また、詰めかえの際に生じました廃棄物についてでございますけれども、放射線障害防止法において定められておりますいろんな廃棄の安全基準に従いまして適切に廃棄をされることになろうと思っております。
#73
○乾晴美君 法律第三十条の二の海洋投棄は、これまでどんな場合にどんな場所に行われてきたのでしょうか。安全上問題はなかったのでしょうか。場所はどこなんでしょうか。
#74
○政府委員(笹谷勇君) 法律上の海洋投棄は、形はございますがその規則等を設けてございませんで、実態上現在できない形になっております。過去、海洋投棄は、昭和三十年から四十四年まで主に房総沖に十五回行っております。これはコンクリート固化したものでございまして、全体で千六百六十一個、放射能量は、コバルト60が主体でございまして、当時四百七キュリー投棄してございます。
 この投棄したものにつきましては、コンクリート固化体でございますので放射性物質が漏えいしにくいこと、またコバルト60というものは海中に溶けにくいという点、またこの投棄海域につきましては水産庁が調査をいたしまして、主に生物でございますが、異常は認められないということで特段の問題は生じておりません。
   〔理事志村哲良君退席、委員長着席〕
#75
○乾晴美君 それでは、法律第二十三条に規定されている健康診断というのが定期的に行われるということなんですけれども、その期間とか賃貸業者についても確実に健康診断というのが行われていくようになるのでしょうか。
#76
○説明員(矢野周作君) 健康診断についてでございますが、新たに放射線業務従事者になる者、あるいはそれ以後作業を行いまして、期間は一年に一回でございますが健康診断を行うことになっております。
 御指摘の賃貸業者につきましてもこの健康診断は課されますので、また適切な指導等を行ってまいりたいと思っております。
#77
○乾晴美君 三月七日の朝日新聞の話なんですけれども、これは昨年の九月ごろ、学生に対して、学校内の放射性同位元素等の取扱施設から放射性物質を含んだ試料を持ち出すことを許可して、農学部の実験室で遺伝子組みかえ実験をさせたというようなことがありまして、その新聞記事なんです。
 琉球大学農学部の助教授が放射性物質を含む実験試料を学内施設から違法持ち出しした問題をとり上げられましたら、同大学の砂川学長が三月六日に記者会見して謝ったということで、助教授の施設利用を禁ずるとともに、調査が済んだ段階で処分を決める方針ということが新聞に載っていたわけなんです。
 こういった事件につきまして、まず長官の御意見といいましょうか御感想を聞かせていただきたいと思います。こうしたことはよく起こり得ることなんでしょうか。こういうことが次に起こらないように、再発防止にはどのようなことをなさいますか、お伺いしたいと思います。
#78
○政府委員(笹谷勇君) 私の方から事実を御説明させていただきます。
 先生御指摘がございましたように、そういうような事件がございました。私ども、従来からこの放射性同位元素の取り扱いにつきましては安全意識の向上とか、あるいは講習会等を通じまして各事業所に対して安全については十分徹底するように指導してきたわけでございますが、今回、承認を受けた場所以外で使用したということでございまして、このようなことが起こったことについてはまことに遺憾なことだと考えております。
 この新聞報道がございました後直ちに、当日電話で事実確認、さらに、六日には担当の係官を現地に派遣いたしまして事実関係あるいは管理体制等の状況を確認しております。また、その後十四日には中間的な報告をこの大学の事務局長と放射線取扱主任者から聴取してございます。
 今後このようなことが起きないよう、現在は大学に設けられました検討会の結果を待っているところでございますが、私どもといたしましても再発防止に向けて最善の努力をしていきたいと考えております。
#79
○国務大臣(田中眞紀子君) 事実関係は今安全局長が申し上げたとおりでございますけれども、私は、これは根本にあるのは、今回のサリンの事件もそうですけれども、化学物質に対する国民の意識というものが相当高まっていかないとならない、それが基本になると思うんです。管理を強化するとか再発防止委員会とか、そういう対策法もいいんですけれども、やはり需要があるから供給量がふえる、供給量がふえれば危険が高まっていく。そういう中で最終的にどうやって管理するかというと、一人一人の意識の問題ですし、それから化学物質に対する認識というもの、それがないとならないと思います。
 やっぱり科学技術の振興ということも大事ですけれども、それに対する人間の、人間がすべて操作をするわけでございますから、ヒューマンエラーがないように、エラーだけではなくて、意図的にやろうなんてとんでもないことでございますから、罰則も強化しなきゃいけないでしょうし、そういうことも同時並行してやっていきたいというふうに考えます。
#80
○乾晴美君 法律第十七条に保管の基準というのがあると思うんですが、この「放射線障害の防止のために必要な措置」というのはどのようなものなのでしょうか。そしてまた、この保管の方法が変わったら届けなさいとかというんですが、保管の方法というのは何種類もあるのでしょうか。
#81
○説明員(矢野周作君) 保管の基準についてでございますが、幾つか義務等を課しております。例えば、貯蔵能力を超えて貯蔵してはいけないとか、あるいは貯蔵箱または容器をみだりに持ち運びできないような措置を講ずること、または放射線業務従事者が法定の線量限度を超えないように必要な遮へい等を設ける、こういったような義務を課しております。
 また、保管の方法についてでございますけれども、いずれも耐火性の貯蔵室または貯蔵箱において保管すること、こういった指導等を課しております。
#82
○乾晴美君 私はもうこれで質問を終わるわけなんですけれども、この前の委員会でも申し上げましたように、こういった科学技術の特別委員会はやっぱりパネルなどを使って説明していただくともっとわかりやすかったんだと思いますし、国会改革の一種でもあるので、やはり進んでそういったパネルなんかを使って説明をしていただけるような、そういうことを工夫していただけたらということを要望申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
    ―――――――――――――
#83
○委員長(高桑栄松君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、泉信也君が委員を辞任され、その補欠として釘宮磐君が選任されました。
    ―――――――――――――
#84
○西山登紀子君 放射線の平和利用に当たりましては、人の健康を確保し、また環境の保全に配慮したものでなければならないことは言うまでもありません。したがって私は、放射線障害を防止するためには無用な放射線被曝はできるだけ避ける、避けられない被曝はできるだけ少なくするという放射線防護の原則に立った対策が必要であるというふうに考えます。
 そこでお伺いするわけですけれども、国際放射線防護委員会、ICRPが九〇年に勧告を出しております。この勧告を国内法に取り入れる検討が放射線審議会で進められているというふうにお聞きしましたけれども、どこまで進んでいるでしょうか。
#85
○政府委員(笹谷勇君) お答えいたします。
 平成二年にICRPが一九九〇年勧告を採択したわけでございますが、それを受けまして、放射線審議会という場がございまして、その場でこの勧告を国内法令にどのように取り入れていくかということについて検討してきたわけでございますし、また現在もその検討の最中でございます。
 勧告の中身はいろいろございますが、検討の経過をごく簡単に申し上げますと、まずその勧告の内容の把握あるいは取りまとめの方向あるいは検討すべき項目の把握等に努めまして、まず職業被曝に対する線量限度、それから公衆被曝に対する線量限度、また女性の職業被曝の線量限度、作業場所等について、それぞれ検討を進めてきたわけでございます。また現在、自然放射線による被曝、内部被曝線量測定とその評価について精力的に検討を進めているところでございます。
#86
○西山登紀子君 このICRPの九〇年の勧告というのは、一九七七年以降十三年ぶりに出された勧告なわけです。この勧告は相当の決意を持って勧告されたというふうに私は思うんですけれども、例えばこういうふうに書いてあります。最近数年間における進展から今や全く新しい一組の勧告を出すことが必要になった、このように新勧告を出すに当たって国際放射線防護委員会は述べているわけです。
 その中身ですけれども、特に新しい特徴ということで、今少しお話にも出ましたけれども、一つは職業被曝の実効線量の基準というのがかなり厳しくなっているということ。それから、そのほかに新しい内容としてつけ加わったものとして、技術的に高められた自然放射線、ラドンによる被曝だとかジェット機の乗務などに対する放射線防護、これを新しく職業被曝の一部に含める必要がある、こういうふうに指摘をしているところに私は新しい特徴があると思うんですけれども、当然この内容についても検討されているのでしょうか。
#87
○政府委員(笹谷勇君) 検討状況について御説明した中にも若干触れましたが、今回勧告された自然放射線の被曝のうち航空機乗務員等に関する審議会のこれまでの審議では、データの収集とかあるいは航空機内の線量レベルの測定方法、またその管理のあり方等について、現在総合的に審議されているところでございます。
#88
○西山登紀子君 九二年の日本産業衛生学会で大変注目される研究成果が発表されています。「民間航空機乗務員の放射線被曝」というテーマで滋賀医科大学の予防医学の渡部教授らが発表されているわけです。この研究の目的というのはこういうふうに述べられています。「高々度を飛行する航空機乗務員は、地上生活者とは異なる自然放射線被爆状態にある。ICRPは九〇年勧告に、ジェット機乗務を職業的被曝の範囲に加えたが、被曝実態の把握は不十分である。そこで、被曝管理を考えていくために、日航客室乗務員組合と日本乗員組合連絡会議の協力を得て、被曝量調査を行った。」。調査期間は九一年七月から十二月です。
 こういう労働者を集団的に調査をしたのは大変世界でも珍しい本格的な調査だそうでありますが、その結果では、やはりルートによっても被曝線量率に差があるし、緯度によってもいろいろ差がある、そういう結果が出たわけです。いろいろ総合して結論的には、国際線の客室乗務員の年間飛行時間を八百時間というふうにいたしますと、年間の被曝線量は二・八ミリシーベルトになる。これは私たちのような地上生活者の約四倍に当たるという結果でございます。
 さらに、そういう研究はその後も続けられておりまして、いろんな航路があるわけですけれども、それをその後もいろんな航路にわたってこの調査をしている。どれぐらい受けているかということの研究を続けていらっしゃるわけです。例えば、一九九四年三月から五月の中旬、こういう季節によっても被曝量が違うわけですけれども、成田−ニューヨーク路線というふうなことで調査をいたしますと、年間やはり二・八ミリシーベルト、こういうふうな被曝の実態が出てまいりました。
 私は大変驚いたわけですけれども、原発で働いている民間労働者の被曝の現状というのは、原子力安全白書では毎年下がってきていると、そして九三年の平均では一・四ミリシーベルト。これから比べますと、航空機に乗っていらっしゃる方の被曝量というのは実にその二倍以上、本当に高いんだなということで驚いたわけです。
 このような貴重な調査がされているわけですけれども、先ほど御答弁に少しありましたけれども、こういうジェット機の乗務員、パイロットやスチュワーデスの方々の被曝の実態、これをどのように認識されているでしょうか。
#89
○政府委員(笹谷勇君) 先生御指摘の点、私どもも現在放射線審議会で検討しているわけでございますので非常に関心を持って見守っているわけでございます。
 事実関係を若干御説明いたしますと、今回、ICRPは、人工放射線被曝を管理するという観点から五十ミリシーベルトというものを職業被曝限度として勧告したわけでございます。
 ヨーロッパの航空機乗務員の年間線量でございますが、これは公衆の線量限度一ミリシーベルト、こういうものがあるわけですが、それよりも高い、先生御指摘にもありましたような二・五ミリシーベルトであるというような国理科学委員会等のデータも明らかになってございます。
 そういうようなこともございまして、ICRPが今回人工放射線に加えまして、通常の公衆の受ける自然放射線による被曝、これは平均二・四ミリシーベルトぐらいでございます。これは通常の公衆、我々が自然界から一年間に受ける被曝量でございます。これと比べて無視できないという量の自然放射線被曝、これは先ほど来御説明ありましたパイロット等乗務員が二・八とか、そういうような被曝を受けているということを踏まえまして、今回そういう被曝の対象として加味すべきだというようなことを勧告していると承知しておりまして、我々もこの審議状況を注意深く見守ってまいりたい、こう認識しております。
#90
○西山登紀子君 今ヨーロッパの例を出されたわけですけれども、日本の国内で空で働いていらっしゃる人々の被曝の実態についての十分なデータが今はまだないわけです。先ほども御紹介しましたように、民間の方々が労働組合などと協力をしてやっているデータはある。大変貴重なデータだと思います。
 それで、各国で研究が進んでいるわけですけれども、このデータを集めるというのは非常に系統的でなければいけませんし、また大がかりなものでなければいけないというところから非常に財政的にも負担がかかります。
 そこで、各国はどのようにやっているかということですけれども、一つはノルウェーなんです。ノルウェーでは放射線被曝と発がんの関係に対する全乗務員を対象にした広大な調査に乗り出しているわけです。一九九三年末から調査の研究がスタートいたしまして、九四年末に第一段階の調査結果が発表される予定なんですけれども、問題は、それをだれがやっているかということなんです。この調査の研究には、必要なすべての機関、国の機関、航空会社、パイロット、キャビンクルーの団体、こういうところが調整し、合意をもって当たっている、ここが非常に大事な点ではないかと思うのです。
 こういうふうなプロジェクトチームをつくりまして、この調査研究の目的というのは、宇宙線の微量被曝に発がん性があるか、もう一つは、航空機乗務員の疫学的調査研究の質問に答える可能性があるかというような二つの目的で、国家的プロジェクトをつくって調査に乗り出しているというようなことが言われているわけです。
 そこでお伺いいたしますけれども、こういう被曝の実態について、科技庁がイニシアチブを発揮していただいて疫学的な調査などをしていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。短くお答えください。
#91
○政府委員(笹谷勇君) 現在、放射線審議会で慎重に本件について検討、審議中でございますので、その審議状況を見守りつつ、被曝の調査等が必要であれば、関係省庁と連絡をとって必要な調査の実施について検討してまいりたい、かように考えております。
#92
○西山登紀子君 最後に、大臣にお伺いをしたいわけですけれども、日本の航空機の乗務員、パイロット、機関士などを含めて五千人を超える、これにスチュワーデスを加えますと一万人を超えるというふうに言われてもいます。さらに、旅行会社の添乗員の方もいらっしゃるということでいえば、この航空機乗務員の場合の放射線の被曝が非常に大きい、地上生活者の約四倍、原発に働いていらっしゃる方の二倍、こういうことは非常に私は重要だと思うわけです。特に、スチュワーデスの場合は若い女性が多いですし、ICRPの勧告でも、特に女性の職業被曝を、従来の職業被曝の三分の一という基準から腹部表面で二ミリシーベルトというふうに基準を厳しくしているということからも、胎児などへの影響が大変心配されます。
 ですから、こういう実態について把握をきちっとするということ、そして急いで予防の対策をとるということが求められていると思うんですけれども、そういうことについての大臣の御見解、御感想でも結構ですが、お聞きしたいということ。
 そして最後に、今回のこの国際放射線防護委員会の勧告を前向きに受けとめて国内法に生かしていただきたいわけですけれども、その際に、やはり専門家や労働者の意見をよく聞いてくださるということ。
 それから、前回の勧告を受け入れるまでに十二年かかって大変長い間かかっているということなんですが、今回は速やかにそれの受け入れを考えていただきたい、積極的に大臣のイニシアチブを発揮していただきたいという点。
#93
○国務大臣(田中眞紀子君) このたびの科学技術特別委員会は、本当に女性の議員の先生方が牽引をしていらっしゃるものですから大変心強く思っておりますし、大変御示唆に富んだ明快な御指摘をいただいてありがたいと思っております。
 確かに、現在は一九七七年度の国際放射線防護委員会の勧告にのっとっておりまして、これからは一九九〇年勧告について放射線審議会で審議をして、その結論を受けてできるだけ法令化をしていくようにしたいというふうに思います。それは二つ目の問いに対するお答えでございます。
 それから、最初のお尋ねに対しましては、時代の変化が非常に早くて、法律の対応も非常に遅いということもあると思います。結局は人間の意識がついていけないほど、航空会社の方というと賃上げ闘争か労働時間の短縮かと思いますと、客室乗務員の方のこういう被曝の問題まで来ているというふうなことで、やっぱり一般の認識がなかなか高まっていないということもありますけれども、我々はそんなことはかり言っておられませんので、職業被曝という問題をやはり厳しく受けとめまして、そして技術的、専門的な立場からも十二分に審議をしていただいて、それを行政に反映するように努力をしていきたいというふうに考えます。
 ありがとうございます。
#94
○下村泰君 この法案の御説明を科学技術庁の方からお話を受けたときにはわかったような気がしたんですけれども、どうも目に見えないものほどわからないものはないので、余り例にしてはあれですけれども、おならでもそうで、音のするのは余り臭くない。しないやつほどえげつなく臭い。見えないものほど不安。放射線といったって、どこに線があるのからっともわからない。こういうふうになりますと、放射線の人間の体に及ぼす影響なんというのは一体どういうふうになるのか。安全基準というのがあるんでしょうけれども、それは決められているんでしょうけれども、一体どういうふうになるのか。その内容と根拠についてちょっとお話ししてください。
#95
○政府委員(笹谷勇君) 先生御指摘のとおり、放射線は見えないものですから、私ども、日ごろから原子力の安全性について説明するに当たっても非常に苦労しているところでございます。できるだけわかりやすいように説明しなきゃいかぬと自戒の念を持っているところでございます。
 放射線被曝の基準でございますが、国際放射線防護委員会という、これは政府機関でもありませんし、何かあるところから財源をもらってやっているところでもございません。純粋な、中立的な、学者の集まった機関でございます。その勧告というのは、原子力に関係しているところの放射線による障害防止の基準として各国とも使っている権威のある機関でございます。そこがいろいろ勧告を出しているわけでございます。
 この基準になっている勧告の考え方は、まず、広島とか長崎の被爆者を対象として広く行っております疫学調査、こういうものが一つでございます。それから、動物実験等の放射線による影響に関するいろんな研究が各国で行われています。放射線を動物に当ててどういう症状になるかとか、そういうようなデータ、こういうものを全部集めております。それから、最近の科学的知見をそういうことで全部集めまして、それで影響があるかないかわからない、そういう放射線の強さがごく低いところは影響があるという前提で考えています。これが勧告するに当たっての基礎的な考え方でございます。
 すなわち、過去のそういう疫学調査、最新の科学技術のデータ、動物実験、それに加え、ごく少ないところはそういうものが影響あるんだという前提でこの勧告ができているものでございまして、私ども、非常に信頼あるものとしてこの法律の基準等法令に取り入れているものでございます。
#96
○下村泰君 お話を承っていてもよくわからない。
 こういうのがあるんです。これは九三年の新聞なんですけれども、青森県の医師会が、  白血病をはじめとする小児がんの患者発生状況や治療方法などに関する全県的な調査研究を開始する。県内で核燃施設が次々と操業を始め、原発の建設も予定される現状をにらんだ措置。将来、健康面に影響が出るかどうかを判断するため、比較検討の前提となる基礎データを整える。全国的にも例を見ない取り組みだ。
こういうような記事も出ています。
 本当にこの放射線というのはよくわからない。例えば、私の家はどういうわけだか女の子が一人もいない。男の子ばかり生まれるんですよ。あるとき調べてみたら、そうしたらレントゲンの技師さんというのはほとんど女の子が生まれる。何でといったら、放射線でもって染色体がやられるから、男の方の染色体が弱くて、かみさんが強い弱いにかかわらず女の子が多く生まれるんだという説も読んだことがある。そうすると、今ダイエーの監督の王貞治はどうなんだと。あれは丈夫なんだけれども、別に放射線の技師でも何でもないけれども女の子ばかりしか生まれない。こういうところに何か非常にわけのわからないことがあるんです。今おっしゃったような安全基準があるにもかかわらず、まだまだわからないことがたくさんあります。
 アメリカで骨髄バンクがつくられたのは、これは海軍が最初なんです。何で海軍が骨髄バンクを最初につくったかといったら、いわゆる核兵器を扱う、そういう関係でどうも海軍が初めて骨髄バンクの方に手をつけたという説がある。もちろん、つくったときの提督にもお会いしたことがありましたけれどもね。ただ、この放射線、核というものに対する国民の不安というのは、大きいものがあっても決してそれは小さくはなっていないし、安全安全などということは全然あり得ないというふうに思うわけです。
 今言われた安全基準がさまざまなことへの基礎的なことになるわけだと思いますけれども、原発で働く労働者の労災認定の問題でもそうだと思いますけれども、下請、孫請、ひ孫請、中には原発の放射線でそうなったのではないんだとひた隠しにしている時期もあったというふうに承っております。こういうのはよくテレビの時代劇なんかでやるやつですな、やみからやみへ葬るというやつ。できるだけ外へ出したがらない。けれども、新聞の記事を見ますと、やっと認定されたという記事も出ているようです。その意味で、安全基準の設定の仕方というのは可能な限り厳しくあらねばならないと思うわけです。
 そこで、今の基準で本当に大丈夫なのかどうか長官にお伺いをいたします。
#97
○政府委員(笹谷勇君) 私が最初に事実関係を御説明させていただきます。
 今御指摘ございましたように、放射線の基準またはそれに基づく管理、こういうものは非常に重要なものでございます。先ほど来申し上げておりますように、この国際放射線防護委員会が出しております勧告、これを我が国を含めて各国とも取り入れているわけでございまして、今回一九九〇年の勧告は、現在の基準より放射線被曝の量を減らすような方向になっておりますので、この内容をできるだけ早く法令に取り入れて低減化に努めてまいりたいというふうに考えております。
#98
○下村泰君 次は、がんの研究についてちょっとお伺いします。
 放射線を使ってがんを治療するというのは大分行き届いているようですけれども、そこで対がん十カ年総合戦略というのがございますが、この成果について御説明ください。わかりやすくお願いします。
#99
○政府委員(沖村憲樹君) 御指摘の対がん十カ年総合戦略でございますが、昭和五十九年から平成五年にかけまして十カ年にわたりまして、科学技術庁、文部省、厚生省、三省庁がそろいまして、がんのメカニズムといいますか、がんの本態解明を目指しまして、その成果を予防、診断、治療に反映させるということでスタートさせていただいております。
 この戦略の中身といたしましては、六つの重点研究課題を定めまして、と同時にがんの研究者の育成でありますとか、国際協力の進展でありますとか、がんの研究に必要な細胞や遺伝子、そういった材料を整備するといったシステムの面もそろえまして取り組んでまいったところでございます。
 それで、具体的ながんのメカニズムの面では、人のがんにつきましては、がんの遺伝子あるいはがんを抑制する遺伝子とかいろいろな複数の遺伝子が相互に影響し合いましてがんが発生し、あるいは悪性化していくといったようなことがわかっております。また同時に、いろんながんがあるわけでございますが、幾つかのがん、例えば胃がんの発がんの遺伝子でございますとか、それからそれに関連します抑制遺伝子でございますとか、幾つかの遺伝子の解明もできております。
 それから、がんが発生するに当たりましては、ウイルスがいろいろな作用をするわけでございますけれども、そのウイルスにつきましても幾つかの発見がございました。例えば日本の場合ですと、肝臓がん、肝がんの原因はC型肝炎ウイルスというものが影響しているそうでございますが、この発見をいたしております。また、子宮頸部がんにつきましても、それに関係いたしますウイルスの発見をしたりいたしております。
 また、新しい放射線の治療法といたしましては、重粒子線がん治療装置がことし治療を開始したということも先生御案内のとおりでございます。そのほか広範にわたりまして幾つかのいろいろな成果が上がっておりますし、また、がんの生存率も十年前に比べて非常に上がってきているわけでございますけれども、ただ、まだまだこれはがんを征服したというような状態じゃございませんで、これからも大いにやっていかなければいけないという状況でございます。
#100
○下村泰君 実は、私のかみさんのおふくろなんですが、子宮がんで東京医大の秦さん、これはもう子宮がんに関しては日本の人権威者である方に執刀していただいたんです。私は自信を持って手術しましたと、しかし三年たったらもうだめですよと言われた。コバルト照射というのをやったんです。そうしたら、何と完璧に治ったんです。十八年後にまた肝臓がんで亡くなりましたけれども、十八年生きていたんです。コバルト照射、すごいんだなと思ったんです、こういうことをやると。
 ところが、こういう記事が出ているんです。これは九四年、去年です。
 「学会で発表される大部分のがん研究は目的意識があいまいで、がんの解明や治療にほとんど役立たない」。十九日から名古屋市で始まる日本癌学会のシンポジウムで、著名ながんの基礎研究者がこんな厳しい問題提起をする。
 発表では、「科学技術の未来予測では二十一世紀初めにがんが征服できるとされているが、無責任な予言にすぎない」と、予防や治療の難しさを指摘。今後の課題として「ヒトのがんを強く意識した目的志向型の研究と、それをあえて無視した基礎研究の二つが重要だ」と主張する。
こういう記事なんです。
 もう一つ、これは九四年十二月二十四日の記事なんです。
 科学技術庁の「放射線医学総合研究所」は今年五月、十九年にわたって続けてきた速中性子線によるがん治療研究の総合評価を行ったが、評価委員会に提出できた研究データは、これまでに照射してきた約二千人の患者のうち約五百人分にとどまっていたことが、放医研の資料なとで明らかになった。一定のルールを定めないまま無計画に患者を受け入れ、まちまちの方法や線量で照射をしてきたためといい、多くの種類のがんに対する速中性子線の有効性の有無が、科学的に検証できない結果となっている。この研究は「従来の放射線では歯が立たないがんにも効果がある」と期待され、少なくとも約二十七億円の国費がつぎ込まれたが、成果をほどんど上げられないまま事実上、収東へと向かうことになった。こういう記事も出ているわけです。
 そうすると、私も小児がんの子供たちの問題でも随分取り上げてきたんです。先ほども言った骨髄バンクの設立ても、国会で初めて取り上げまして、厚生省には担当の窓口がなくて、あっちうろうろこっちうろうろしたんです。やっと骨髄バンクもでき上がりましたけれども、時間と手間がかかり過ぎる、こういうことに。
 もちろん、それは基礎医学がしっかりして、これこれこういうふうにやるとこういうふうになるんだというふうに割り切れる時代も来るんでしょうけれども、研究者の縦割り、行政の縦割りのためか情報が公開されない。国民に希望が持てるように研究情報、研究成果がオープンにされて、せっかく地道にやってこられたこういうこと自体をもっと胸を張って国民の前に堂々とどんどん宣伝してほしいと思うんです。変に何か、こそくという言葉はおかしいかもしれませんが、こそこそという感じじゃなくして、本当に胸を張って、国はこういうことをやっているんだともっと大きく言っていいと思うんです。それにはもう少し研究している情報をもっと公開すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、長官お答えください。
#101
○国務大臣(田中眞紀子君) 先ほどから対がん十カ年総合戦略の説明も事務当局からございましたけれども、科技庁、厚生省、文部省等でも縦割りでやっているわけでございます。それが決していいとは思いませんが、科技庁だけに関して申しますれば、今先生が御指摘の重粒子線がん治療というものの成果が、たまたまきのうですけれども、放医研のお医者様と事務方が来られまして、パネルを持ってきて役所で実例を説明されました。ちょうど二十一ありまして、そのうちの一名は不幸にも亡くなられてしまいましたけれども、一人の方は副鼻腔のところにできたものを重粒子線がんの治療をしたわけです。
 簡単に申しますと、それこそパネルでも持ってきていれば、いつも先生方が御指摘くださるように、乾先生がおっしゃるように、こういうときこそ一目瞭然ですから事務当局が準備してくださることを私は希望いたしますけれども、普通のエックス線だとクロスしてしまうので、放射線がその部位よりも突き抜けていっちゃうわけです。ところが、重粒子線はそこの場所でぴしっととまるらしいんです。ですから、三掛ける五であればそこのところにきちっと、その後ろに行かない、はみ出さないということがあって、余計な照射をしなくて済むという画期的なことらしゅうございます。
 その技術者の養成という問題もあるようですが、そのほかの部位もありまして、それは、きょうですか、何か報道を通じて、個人のプライバシーもございますから余り具体的な写真はお見せできないんですが、そういう研究結果は公表していくそうでございます。
 私はそれを聞きましたときに、厚生省とどうやっていますか、文部省とか何かはどうですかということを言ったんですが、悪意はなくても、今先生がおっしゃったように、やっぱり自分のところでもって押さえ込んじゃうようなところがあります。
 要するに、国民の税金を使って研究していますので、がんの解明はここまではわかっている、治療はこういうところまで進んでいますということを私たち生活者に情報を還元しなかったら、行政も医学もやっぱり進歩はないですし信頼もされません。これは私一人ではとてもできませんので、ぜひ先生方のお力添えを得ていかないと、この縦割り行政というのは本当によくすみ分けちゃっていて、もううんざりするほどでございますので、またお力添えをいただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
#102
○委員長(高桑栄松君) 他に御発言もないようですから、質疑はこれで終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#103
○委員長(高桑栄松君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#104
○委員長(高桑栄松君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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