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1995/04/26 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 地方分権及び規制緩和に関する特別委員会 第6号
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1995/04/26 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 地方分権及び規制緩和に関する特別委員会 第6号

#1
第132回国会 地方分権及び規制緩和に関する特別委員会 第6号
平成七年四月二十六日(水曜日)
   午前十時二十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     今井  澄君     大脇 雅子君
     岩崎 昭弥君     野別 隆俊君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     大脇 雅子君     瀬谷 英行君
     竹村 泰子君     堀  利和君
     広中和歌子君     釘宮  磐君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小林  正君
    理 事
                斎藤 文夫君
                服部三男雄君
                山口 哲夫君
                渡辺 四郎君
                勝木 健司君
    委 員
                石井 道子君
                沓掛 哲男君
                野沢 太三君
                溝手 顕正君
                宮崎 秀樹君
                吉村剛太郎君
                大脇 雅子君
                佐藤 三吾君
                瀬谷 英行君
                竹村 泰子君
                野別 隆俊君
                堀  利和君
                峰崎 直樹君
                釘宮  磐君
                続  訓弘君
                鶴岡  洋君
                広中和歌子君
                小島 慶三君
                星川 保松君
                吉川 春子君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  山口 鶴男君
       自 治 大 臣  野中 広務君
   政府委員
       総務庁行政管理
       局長       陶山  晧君
       自治大臣官房長  秋本 敏文君
       自治省行政局長  吉田 弘正君
       自治省行政局公
       務員部長     鈴木 正明君
       自治省財政局長  遠藤 安彦君
       自治省税務局長  佐野 徹治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤  勝君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方分権推進法案(内閣提出、衆議院送付)
○委員派遣承認要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小林正君) ただいまから地方分権及び規制緩和に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十五日、今井澄君及び岩崎昭弥君が委員を辞任され、その補欠として大脇雅子君及び野別隆俊君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(小林正君) 地方分権推進法案を議題といたします。
 本案の趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明は前回既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○沓掛哲男君 自由民主党の沓掛でございます。質問をさせていただきます。
 国から地方への権限移譲等を計画的に進めることを目的とする地方分権推進法案が提案され、これから参議院で審議されるのですが、従来から地方分権を唱える人は、その必要性の一つとして、地域の利害にかかわる行政は地域住民の責任で地域の特殊事情に即して処理することが最も有効であり、監視が行き届きやすい。二つとして、地域内の具体の問題は他の問題と関連づけながら総合的な解決を図ることが効率的であり、住民の利便にも資する。特に省際的な問題については、省庁間交渉の困難さに比べて、住民に身近な一組織、県とか市町村ということですが、の調整で解決でき、その分迅速かつ効果的な対応が期待できる等が挙げられておりました。
 他方、地方分権に問題意識を持つ人は、一つとして、ナショナルミニマム型の政治行政を行う上で、ある程度の中央集権体制は公正、効率、合目的などの上ですぐれている、乏しきを憂えず等しからざるを憂うという国民性にも合致している。二つとして、地方の受け皿は大丈夫かということ。その内訳の一つとしては、機能的に大丈夫なのか、適切な人材等が確保できるのかという危惧。それから二つとして、民主主義の欠点としての公益と私益が混在することにより腐敗しやすいこと。また、首長は選挙により選ばれるので人気取りに走りやすく、その結果、調和のとれた行政が行えるかなどの懸念が地方分権によって増大するのではないかというようなことを言っておりました。
 数年前まではこのような考え方が拮抗していたというふうにも思います。国民の中からも余り地方分権の推進という要請もそんなに強くなかったようにも思います。ただ、ここ三、四年のうち、何でも改革改革の中で、地方分権も一種のブームに乗って進んできたようにも思います。
 そこで、本法案策定に当たり、地方分権の長所ばかりでなく、問題点についてもどのような検討がなされたのか。その上で、どのような判断のもとで法案が策定、提案されるようになったのかについてお尋ねいたします。
#5
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 今、委員が長所そしてまた短所、具体的な事例を挙げまして御指摘されました。私どもは、そういった点も十分配慮いたしました上で、この際、地方分権を推進すべきではないかという点におきまして各党の皆さん方も意見が一致いたしまして、二年前に衆参両院におきまして、地方分権推進に関する国会決議を国権の最高機関の意思決定として決定をされたという経過があると存じます。したがいまして、国会としてはそういった二つの議論を踏まえつつそういった方向を打ち出したということを私ども政府としても重く受けとめなければならない、かように考えた次第であります。
 同時に、地方制度調査会あるいは地方六団体等の答申あるいは意見等もございました。また、各方面の御意見というものも十分承りました。そういう中で、政府といたしましては昨年暮れ地方分権大綱を決定し、さらに検討を加えた結果、本法案を提出申し上げるということにいたした次第であります。
 確かに、御指摘のように明治以降、我が国が欧米諸国に対して追いつき追い越せと、ナショナルミニマムを引き上げていくという上におきまして中央集権的な体制というものが大きな意義を有しておったということは委員御指摘のとおりであろうと存じます。しかし、現在、世界の情勢も大きく変わりました。そういう中におきまして、国は内政に関する役割は思い切って地方公共団体にゆだねて、国は本来果たすべき役割についてこれを重点的、効果的に担っていくということが今や重要な段階に来たのではないだろうかというふうにも思っている次第でございます。
 そしてまた、委員御指摘のように、地方公共団体が受け皿としての体制整備をしなきゃならぬということはまさにそのとおりであろうと存じます。したがいまして、本法案におきましても第七条におきまして、地方公共団体は、行政の公正の確保と透明性の向上及び住民参加の充実、これらのための措置を講じなければならぬということもうたっておるわけでございまして、単なる人気取り的な施策ばかりをやっているということに対してはやはり住民の皆さん方が鋭い批判もなされるでございましょうし、そういう意味では、行政の透明性を確保し、住民参加の中で誤りなき地方自治体として仕事をやっていっていただきたい、そういう意味も含めて法案を提案いたしている次第でございます。
#6
○沓掛哲男君 それでは、具体的に質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この法案では都道府県と市町村は地方公共団体とだけ表現されておりますが、この二章の「地方分権の推進に関する基本方針」、三章の「地方分権推進計画」の策定に当たっても、地方公共団体と一括して取り扱うのか、あるいは県、市町村と分けてその関係についても検討されるのか。
 例えば、この問題については朝日新聞で神奈川県真鶴町長がこう言っております。「予算要求で、県による国への陳情を市町村にも求める」、県が市町村にも求めるという意味だと思いますが、「市町村にも求める構図は変わっていない。国の代官みたいな県が、地方の時代と言いながら、それを望んでいない。都道府県のあり方をしっかり見守っていく必要がある」と市町村の立場を語っておられます。
 このような市町村の立場も踏まえて、一体この二章、三章のものを策定していくに当たって、地方公共団体として一括していくのか、あるいは県と市町村とは別に扱って、あるいはまた県、市町村の関係にも踏み込んだ形での方針づくりあるいは計画づくりをなさるんでしょうか。
#7
○国務大臣(山口鶴男君) 地方制度調査会が答申を出されます際にも、あるいは政府の行革推進本部の地方分権部会におきましても、受け皿としての地方公共団体をどうすべきかということでさまざまな議論があったと承っております。しかし、結論といたしましては、現在の地方公共団体の二層制、都道府県、市町村、この二つの仕組みがあるということを前提にして地方分権推進に関する答申、意見というものをおまとめになったと、こう承っている次第であります。
 市町村は基礎的な地方公共団体、そしてまた都道府県は地域における総合的、広域的な行政主体、そしてそれぞれの役割を担っているということを認識いたしている次第であります。
 したがいまして、地方分権の推進に当たりましては、こうした都道府県、市町村の特性を念頭に置きまして、個々のケースに応じて権限移譲等の具体的施策を展開していくべきものというふうに認識をし、そのように進めることが事実的ではないかと、かように考えておる次第でございます。
#8
○沓掛哲男君 それでは、地方分権を進める上で、現状の都道府県と市町村という地方自治団体の分け方は適切とお考えでしょうか。どういうふうに考えておられましょうか。
#9
○国務大臣(野中広務君) ただいまも総務庁長官から答弁がございましたように、昨年の十一月の地方制度調査会の答申はもちろんのこと、総理を本部長といたします行政改革推進本部の分権部会におきましても、現在の市町村、都道府県という二層制を基礎とする地方自治制度は国民の間に広く定着をしているというところでございまして、市町村につきましては住民に最も身近なところで行政を行う基礎的な地方公共団体といたしまして、自主的かつ自立的にその施策が展開できるよう、その充実を図っていくことが重要であると考えておるところでございます。一方、市町村を包括いたします広域の地方公共団体としての立場で、都道府県が実態的にも意識の面でも定着の度を高めていることを考え合わせてみますと、都道府県、市町村の協力、連携を基軸といたします現在の基本的枠組みはその意義を失っていないと考えておるところでございます。
 また、答申におきましては、当面、現在の二層制を前提といたしまして地方分権を推進するべきであるとされておりまして、市町村は基礎的な自治体として、また、都道府県は地域におきます総合的かつ広域的な行政主体といたしまして、総務庁長官が申されましたとおり、それぞれ自主的、自立的な行政が展開できるよう、権限移譲や国の関与等の廃止あるいは緩和はもちろんのこと、地方の税財源の充実強化をも進めていく必要があると考えておるところでございます。
#10
○沓掛哲男君 それでは次に移りますが、国から県へ権限移譲いたしますが、県から市町村への権限移譲は、現在の市町村の力を見てみますと、もちろんそういうものに十分たえられる力のある市町村もありますが、かなりの町村等においてはなかなか権限移譲してもらっても県のやっていたいろいろな仕事まで受け入れられない、そういう町村もかなりあると思いますが、そういうことについてどう考えておられるか。
 県から市町村への権限移譲がスムーズに進まないとすれば、県庁の権限と予算というものが著しく増大することになって、またそれをこなす上においての人材その他のいろんな問題も出てくると思いますが、主に県から市町村への権限移譲について質問したいと思います。
#11
○政府委員(吉田弘正君) 県から市町村への権限移譲の問題でございますが、県と市町村の関係は、先ほど大臣からお答え申し上げたように、市町村は基礎的な団体として、また都道府県は総合的、広域的な団体としてそれぞれの機能を発揮して、それぞれ自主性、自立性を持って行政が展開できるようにすべきであるというふうに考えております。
 具体的に、県から市町村への権限移譲の問題につきましては、二十四次の地方制度調査会の答申におきまして、当面は国から地方への権限移譲につきまして、都道府県により重点を置いて進めることが現実的かつ効果的であり、その上で住民により身近な存在であり、地域づくりの主体である市町村への権限移譲を進めることが適当であるというふうにされているところでございまして、都道府県、市町村双方の意向を踏まえながらさらに都道府県から市町村への権限移譲を推進していく必要があると考えているわけでございます。
 お話がありましたように、市町村の中には小規模の市町村もあります。そういうところで本当に十分対応できるのかという問題もございますが、これらにつきましては市町村の広域行政処理という方式もございます。昨年の地方自治法で広域連合制度というものも創設いたしましたので、それも御活用願ったり、あるいは今回、この国会で市町村合併に関する合併特例法につきまして、その改正について既に成立させていただいておりますので、これを活用して自主的な合併を推進するということも一つの方法がというふうに考えている次第でございます。
#12
○沓掛哲男君 地方分権に関連して、国と地方公共団体の役割分担のあり方が論ぜられるとき、好ましくない例として機関委任事務がいつも取り上げられております。本法案の第五条で、地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務は、これがいわゆる機関委任事務ですね、整理及び合理化するとしております。整理及び合理化では方向がわかりにくい。この法案は地方分権の方向を示すことに意義があるというふうにも思いますが、筋を通して原則廃止となぜしなかったのか。
 もちろん、国政選挙の管理、執行や旅券の発給等、本来的には国の事務でありながら国民の利便性等の理由で地方が執行することが適当とされる事務も残っているのはわかりますが、そういうものは、残さなきゃならないものについては原則で読めばよい。いわゆる方向としては一応原則廃止、しかし今言ったようないろいろ理由のあるものは残していくという、そういうことができなかったのはなぜでしょうか。
#13
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 機関委任事務につきましては、個々の事務につきまして当然見直しを行いまして整理合理化を推進することにいたしております。その結果、廃止すべきという結論の出たものにつきましては当然廃止をすべきであるというふうに認識いたしております。
 また、機関委任事務制度自体のあり方につきましては種々の議論がございますけれども、一口に機関委任事務と言いましても、その中には国政選挙の執行でありますとか、旅券の発給でございますとか、あるいは戸籍の事務など国の事務として残らざるを得ないというものもあるのは委員御承知のとおりだろうと存じます。
 したがいまして、同制度のあり方につきましてはさらに議論を深めていく必要があると認識いたしております。今後、地方分権大綱及び本法案に基づきまして、機関委任事務制度につきましても国会の御論議を十分踏まえまして、そのあり方を含めまして検討が行われるものというふうに考えております。
 なお、原則廃止という御指摘があったわけでございますけれども、この原則廃止という表現はその意味するところがやはりあいまいでございまして、法律に盛り込むことにつきましては原則廃止という表現が必ずしも適当でないということは委員も御理解をいただけるんではないかと思います。したがいまして、私どもとしては原則廃止という言葉を用いず整理合理化を行う、そして個々検討の結果、廃止すべきものは廃止する。制度自体についても検討するという考え方であることを御理解いただきたいと存じます。
#14
○沓掛哲男君 それでは次に移ります。
 地方分権推進委員会は、独立した事務局を持ち、内閣総理大臣への勧告や地方分権推進計画に基づく施策の実施状況の監視や行政機関等に対する調査権を持つもので、地方分権の内容は事実上この委員会に、表現は適切かわかりませんが、お任せすると言っても過言ではないというふうに思います。
 そこで、この委員会の取り扱うことについて質問したいんですが、第十条の内閣総理大臣に勧告する地方分権推進計画の作成のための具体的な指針、これが出れば内閣総理大臣はそれを尊重する義務がございますし、極めて重要なものだと思います。その具体的な指針の重要性にかんがみ、指針の中間案を公表し、これに対する各界の意見等を広く聴取し、それを反映して最終案をまとめていく、そういうことが地方分権推進委員会に要請される。先ほど山口長官も第七条を例にして言われておりましたけれども、委員会に要請される公開制あるいは透明性にもこたえられるというふうに思いますが、こういうことについてはいかがでしょうか。
 もちろん、この委員会がある程度そういうことについては決めるというような意見もあるでしょうけれども、これはまた委員会だけにお任せするには余りにも重要なことですから、中間報告を一回出して、そしてそれを広くいろいろ議論をまとめて、それをまとめていただく。例えば、ここの委員会にすれば附帯決議でそういうことを要請するとか、そういうようなことができないものかについてお尋ねしたいと思います。
#15
○国務大臣(山口鶴男君) 今、委員が御指摘の問題につきましては、本法案が成立し、地方分権推進委員会が構成をされまして、その中で具体的にどのような形で指針を出していくかということにかかわる問題ではないかと存じます。
 したがいまして、この問題につきましては地方分権推進委員会自体がどのような形でこれを運営していくかという、いわば委員会自体のあり方の問題に触れる問題かと思いますので、この点は私どもの方で今予見を持って云々するということは控えさせていただきたい。
 各方面を代表する有識者である委員の皆さん方がお集まりになるわけでございますから、当然、御議論の結果、例えば中間報告をして、さらに意見を十分聞いて、それを参考にしてさらに検討してという、そういうような形をおとりになるかどうか、これはまさに委員会御自体の問題である。また、そのような委員の御指摘は十分念頭に置かれて有識者である委員会は運営をされるんではないだろうか、かように考える次第でございます。
#16
○沓掛哲男君 委員会の内容はそうですけれども、委員会といわゆる外部とのかかわり合いについては委員会だけに任せられるのかどうかという私は疑念もあります。この委員会そのものの透明性は、単に委員会にお任せするというよりも、やはり国会の附帯決議でそういうことを要請するなり、あるいはまた長官にリードしてもらう、そういうようなこともぜひお願いしたいというふうに思います。
 次に移りますが、今も言われました地方分権推進委員会の委員には各分野からバランスをとってすぐれた者を選んでいただきたい。ややもすると、日ごろから地方分権に関心のある人ばかりで、自治関係の権威者だとか、地方財政の権威者だとか、地方公共団体の経験者であるとか、そういう方ばかり集めたのでは広く国民の意思が反映できないので、幅広く各分野からひとつすぐれた人をぜひ選んでいただきたいというふうに思います。これは要請ですが、長官の御意見をお伺いします。
#17
○国務大臣(山口鶴男君) 法律にも書いてございますように、高い識見を有する方を内閣総理大臣が衆参両院の御同意を得た上で任命するということになっているわけでございまして、当然、内閣総理大臣としましては国の行政、地方の行政、両方につきまして高い識見を有する方をバランスよく配置されるということを念頭に置いて選考されるのではないだろうかと思います。また、衆参両院の御同意を得るわけでございますから、これは国権の最高機関としての立法府の御同意を得る、それにふさわしい人ということを考えて当然選考される。
 したがいまして、委員の御指摘につきましては、当然そのような趣旨は達成せられるものというふうに考えておる次第でございます。
#18
○沓掛哲男君 次に、第六条の財源関係についてお尋ねしたいと思います。
 まず、国と地方公共団体が事務及び事業について役割分担を変えますから、それらの執行に必要な財源を得るため税源も変えることになるんだというふうには思います。
 そこで、今回の地方分権の推進は、第二条で「地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われるものとする。」となっております。県や市町村がそれぞれ自主・自立て事務や事業を行うのですから、それに必要な財源も新しく変えられるでありましょう。その新しい税源から自己責任で調達するのが基本ではないでしょうか。もちろん、それで十分でないものはいろいろ手当てするにしても、基本的にはそういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#19
○国務大臣(野中広務君) 地方公共団体の財政基盤の整備につきましては、その地方公共団体の行政活動に要する経費の財源は、委員が御指摘のように、本来その地域の住民の負担によることが望ましいという観点から、基本的には地方税を充実強化することとしておるわけでございます。
 一方では、御承知のように地域の経済力の格差が大変大きいわけでございますので、地域間の税源の偏在が著しい我が国の現状を考えてみますと、すべての地方公共団体に一定の行政水準の確保と、そして自主的、主体的な財政運営を保障するためにはどうしても地方交付税制度が必要不可欠であると考えておるところでございます。
 両々相まって地方自治財源の拡充に努めなくてはならないと考えておるところでございます。
#20
○沓掛哲男君 それに関連してですが、従前は各地方公共団体の行政について、ナショナルミニマムを確保させる観点から富裕県と貧しい県との財源調整を地方交付税で行っていたと思いますが、これから地方公共団体は自主・自立を高め、財源調達の自己責任を増大させるとすれば、例えば自己財源とされる地方税の税率を一定の幅の中で増減させながら税を取るという、そういう選択的なこともできるようになることを考えておられるのか。一定の率を決めて、その一定の率で画一的に全部取るんじゃなくて、地方公共団体によっては、ある程度の幅は決めるにしても、その中である程度変動させながら取ることができる、そういうようなこともこれから前向きにされようとしておられるのかどうか、その辺についてもお尋ねしたいと思います。
#21
○国務大臣(野中広務君) 地方分権の推進に当たりましては、地方税につきまして、地方におきます歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小をしなければならないという方向で、課税の自主権を尊重しながら充実確保を図っていく必要があると考えておるわけでございます。
 一方では、先ほど申し上げましたように、経済力の地域格差が是正をされ、著しい税源の偏在状況が解消されない限り、地方交付税制度は地方公共団体が一定の行政水準を確保していき、かつ自主的、主体的な財政運営を行っていきます上では、先ほど申し上げましたように必要不可欠であると考えておるところでございまして、このような考え方で進めてまいりたいと存じておるところでございます。
#22
○沓掛哲男君 質問が残りましたが時間でございますので、以上をもって終わりたいと思います。
#23
○吉村剛太郎君 自民党の吉村でございます。
 ただいま地方分権推進法の法案についての審議をしておるところでございます。
 まず私見でございますが、百三十年前、明治新政府が発足した次第でございますが、御存じのようにその当時の国際環境はまさに我が国は列強に取り囲まれておったという現状でございます。そういう中で早急に国の力を蓄え、また兵力も蓄えなければならないという現状の中で、しかしその当時の日本の国といいますものは幕藩体制から解放されたばかりでございまして、地方の民力といいますか、国民のレベルといいますものもまだまだ低いものであった。そういう中で、どうしても中央の強い指導力で国家を運営していかなければならない、そして富国強兵策をとった次第でございます。
 そういう国際環境の中でやむを得ずそのような形をとったということは、今から振り返ってみますと決して歴史的には間違っていなかった、このように思う次第でございます。明治時代のあの日露戦争をしのいだ、あの当時を見てみますとよく日露戦争をしのげたなという感もするわけでございますが、それはまさに中央の指導によって国家、国民が力を合わせた結果であろう、このように思う次第でございます。
 そして戦後、まさに廃墟の中からここまで進んできた、これもまた中央の強い指導力、心を一つにした結果であろう、このように思う次第でございまして、今日までの中央集権的な形といいますものは歴史的にやむを得なかったと思いますと同時に、それなりの役割を果たしたなと、このように思っておる次第でございます。
 そういう中で、我々は今日まで欧米諸国に追いつき追い越せということでここまで進んできたわけでございます。そしてまさに今追いつき追い越そうとしておるところでございますが、この段階になりますと、かつて非常に効率的であった中央集権的な体制といいますものが一つの桎梏となって、どうも日本の社会といいますものが閉塞状況に陥っておるんではないかなと、このように思っております。
 一般の企業でも、草創期はワンマン社長の強いリーダーシップで進んでいくというところに効率性もあり、またそれなりの効果もあるわけでございますが、だんだん大きくなってきますと、とても一人の人間では隅々まで配慮が行き届かない、どうしても権限の分散といいますものが必要になってくる。
 同じように、今日までの中央集権的な体制といいますものの評価は評価といたしまして、もうこれが限界に来ておる。これからはまさに権限を地方に移譲して、そしていわゆる一億三千万総国民の英知によってこれから日本の社会といいますものをどうするかということを打ち立てていかなければならないであろう、私はこのように思っておるわけで、今、我が党の沓掛委員がいろいろと質問されましたが、沓掛委員の見方は若干裏側から見られた面もあるのではないかと思いますが、私は表側から、まさに分権なくして今後の日本の国家というものはあり得ないというぐらいの強い考えを持っておるわけでございます。そういう中で、分権についての責任者としての大臣のお考えなりを聞かしていただければと、冒頭このように思う次第でございます。
#24
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 ただいま委員が御指摘されましたような歴史的な評価につきましては、私もほぼ同様の認識を持っております。
 確かに、あの明治維新のころ、欧米各国、列強がアジアの国々を虎視たんたんとねらっている、そういう状況の中でいかに我が国の独立を確保していくかということで当時の指導者の皆さん方が非常に御苦心をされた。そして、そういう中でこの際はやはり中央集権的な、権限も財政も中央政府に集中をして体制を強化していかなきゃならぬという方向をおとりになったこと、また戦後の荒廃から立ち上がるためにこれまた中央集権的な形で効率的な運営をやってきたということについては、これはそれなりの私は成果があったし、それなりの御見識であったと、委員と同様な認識を持つ次第であります。
 しかし、現在になりまして世界が大きく変革をいたしておりますとき、また国内の状況を見ましても、果たしてそういった中央集権的な手法がいいのかということについては、さまざまなやはり批判が生まれていることもこれまた事実だと思います。
 そういう中から、先ほどお答えいたしましたが、平成五年におきましては衆参両院において地方分権推進の決議もなされました。当時、私はこのことが必要であると思いまして、宮澤内閣のときでございましたが、与党の幹部の皆さんとも話し合いをいたしまして、この際国会が決議をやる必要があるということを提唱し、それが衆参両院において結実いたしましたことを私は大変うれしく思った一人でございます。
 そういった経過もございまして、今回、明治以来大きな歴史的な変革を目的とするこの法案を提出いたしたということでございます。
#25
○吉村剛太郎君 まさに大臣と私の考えは同じくするものでございます。
 これから未来永劫に日本の社会といいますものが民主社会として繁栄していく、いかなければならないのは当然のことでございますが、本来、民主主義といいますものは権力の集中を排除する、なるべく権力は分散させると。例えば国におきましても三権が分立しておりますが、やはり権力といいますものを分散させるところに民主主義の一つのあるべき姿があるのではないか、このように保思う次第でございます。
 そういう面からも、やはり今過度に中央に集中しております権限を地方に分散させる。そして、その中で地方がおのずからの力によって、また地域性、歴史や伝統によって英知を絞って栄えていくということがまさに必要な時代、これなくして私は二十一世紀の日本といいますものはないであろう、このように思っている次第でございます。そういう中で、大臣から御答弁いただきまして大変ありがとうございます。そして今、こうやって熱がこもった論議が国会でされておるわけでございます。
 ただ、今回の地方選挙、私も地元で方々走り回って支援もしたわけでございますが、口では地方分権ということをそれぞれの地方の首長または議員が申されておりますが、実態はなかなかその熱がないなど、我々中央の熱意と地方とはかなりの乖離があるのではないかということを実は身をもって感じた次第でございます。
 もっとも、昨年の九月、地方六団体によりまして地方分権の推進に関する意見書といいますものが出ておるわけでございまして、もう当然御存じと思いますが、そういうことで六団体のそれなりのクラスの方々は分権といいますものに非常に熱意を持っておられるわけでございますが、どうもそれ以下といいますか一般国民は分権の必要性といいますものをほとんどと言っていいほど身をもって感じていないのではないか、こんな感じがするわけでございます。
 私は、実は両大臣と同じように県会議員上がりでございまして、県会議員時代、執行部の者と中央に予算の陳情とがよく参っておりまして、これでいいんだろうかなというようなことを経験しましただけに分権については非常に私なりに熱意を持っているつもりでございますが、申しましたようにまだまだ一般大衆はそこまでいっていない。これはやはりこの熱意を国民にも反映させなければならない、できれば国民運動を起こすような形でこの問題に国民全体が取り組んでいかなければならないのではないかな、こんな考えも持っておる次第でございます。
 そういう中で、先ほど申しましたように地方六団体から意見書といいますものが出ておりますが、それぞれの自治体関係で、今日まで分権について地方団体が過去どんな取り組みをしておるか。また、いろいろなアンケートもとっておられるんではないかと思いますが、そういうこと。それから、これからの取り組みについて地方公共団体はどんなスキームを持っておるのか持っていないのか、非常にばらつきがあると思うんですが、何かその辺の情報でもあれば教えていただきたい、このように思います。
#26
○国務大臣(野中広務君) 委員から御指摘ございましたように、地方分権の推進につきましては、昨年九月の全国知事会を初めとする地方六団体からの分権推進のための意見の申し出、あるいは十二月には分権推進法の早期制定を目指しまして、地方六団体の主催によります地方分権推進・税財源確保総決起大会が東京において開催されます等、それぞれ熱心な取り組みがされたところでございます。また、各地方公共団体の議会からは分権推進法の早期制定を求めます意見書が数多く寄せられておるところの現状は委員御認識のとおりだと思うわけでございます。
 ただ、分権そのものの全体像あるいは具体的な像が見えないところから、委員が御指摘のようなさまざまな御意見も御批判もあるところは私どももよく承知をしておるところでございまして、地方におきましては、さらに分権の推進につきましての研究会を設けて独自に検討を行っておる地方公共団体も今日かなりの数に上っておると承知をしておるところでございます。
 このように、地方分権が地方公共団体の長年の要望であったことを考えますと、今回の地方分権推進法案の早期成立を期待する地方公共団体の思いは並々ならないものがあると私は考えますし、地方分権の推進に関しましては、その担い手となります地方公共団体みずからが大いに議論をしていただくことが大事であります。
 今後、具体的に地方分権を進めていく上でも、委員がただいまみずからの地方自治の経験を通されまして分権のあり方を御指摘いただきましたことを厳粛に受けとめながら、かつ分権なくして国の存立はあり得ないんだという強い熱意を示していただいたわけでございまして、私どもも地方公共団体がそういう期待にこたえられるように積極的な取り組みの展開が行われますように努力をし、期待をいたしますとともに、私どもとしても積極的に啓蒙、啓発を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
#27
○吉村剛太郎君 ぜひ、今、大臣がおっしゃったような形で努力をしていただきたい、このように思う次第でございます。
 ただ、皮肉なことに、余り中央が太鼓をたたいて、中央のお仕着せの地方分権であってはこれまた大変おかしなことでございまして、やっぱりこれは地方から盛り上がってくるものでなければならないという思いがするわけでございます。今、正直に感じますのは、どうも中央だけが熱くなっていて、地方の方はまだまだそこまで追いついていないなという感じがするわけでございます。
 この法案の中に、国民がゆとりと豊かさを実感できる個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を求められている。そのような地域社会になるんだという、地方分権によってそうなるんだという思いが国民の間に蔓延しないと、今のままで結構いいじゃないか、国から予算をとってきてもらう、そういう議員を育てればそれでいいんじゃないかというような考えがまだまだあるなということを実は私も感ずる次第でございます。
 ぜひとも両大臣、また総理を含めて今の内閣がまさに命運をかけて取り組んでいただくことを期待したい、このように思う次第でございます。
 次に、まさに今日の中央集権的な行政システムの一つの象徴的なものに機関委任事務というものがございます。今、機関委任事務の数は具体的に幾つございますか。
#28
○政府委員(吉田弘正君) 自治法別表に規定しております数で申しますと、全部で五百六十二でございます。
#29
○吉村剛太郎君 それは都道府県ですか。
#30
○政府委員(吉田弘正君) 都道府県と市町村のそれぞれの機関が機関委任されているものの合計でございます。都道府県と市町村の両方合わせての数字でございます。
#31
○吉村剛太郎君 別々に数字はありますか。
#32
○政府委員(吉田弘正君) 県の方が三百八十でございまして、市町村の方が百八十二ということでございます。
#33
○吉村剛太郎君 現状の機関委任事務は当然お金が伴うわけですが、どんな形でございましょうか。
#34
○政府委員(遠藤安彦君) 地方団体が行う事務に対する負担の関係でございますけれども、地方財政法の規定では、機関委任事務とか団体委任事務とか区別なしに、地方団体が行う事務については原則として全額地方団体が経費を負担するというのが基本になっています。ただ、国が進んで経費の負担を必要とする経費については国が全部または一部を負担するという形になっております。
 それから、一方で地方自治法上にも規定がございまして、これも団体委任それから機関委任を問わないわけでありますけれども、法律、政令等によりまして地方公共団体あるいはその機関に国の事務を処理させる場合の財源手当てでございますけれども、この場合、国は地方税あるいは地方交付税等の一般財源の充実、あるいは先ほど言いました国庫支出金、それから起債あるいは使用料、手数料、そういったようなものを確保して必要な財源を講じなければならないということになっております。
 例としましては、機関委任事務で全額国費で負担をするというものは、例えば国勢調査だとか国政選挙に関する事務については全額国が負担をする。それから、例えば旅券でありますとか戸籍の謄抄本のような場合については手数料を実際取ることによって、機関委任事務でありますけれども財源を調達する。そのほかの場合につきましては、一般的に、先ほど言いましたように一部国が生活保護費などのように負担をする場合もありますけれども、残りの地方負担の分については地方交付税の基準財政需要額に参入することによりまして、個々の地方団体に財源手当てをするということになります。
 したがって、例えば不交付団体のような場合には交付税は行きませんけれども、地方税でもってその部分を負担していく。それから、交付税の交付を受ける団体は地方税と地方交付税で機関委任事務の経費の一部を負担していくという形に相なっております。
#35
○吉村剛太郎君 もうちょっと具体的に、例えば道路とか河川とかそういうことに関しては基準か何かあるんですか。
#36
○政府委員(遠藤安彦君) 機関委任事務のうち、国と地方が共同して負担する責任がある事務、先ほど申し上げましたように生活保護でありますとか児童措置だとか、そういうものにつきましては法律、政令で国が負担すべき割合というものを国の責任度合いに応じて一つは決めております。
 それからもう一つは、今、委員お尋ねになりましたようにいわゆる建設事業でございますけれども、建設事業につきましても建設事業の重要度に応じて国と地方の負担割合を決めて、国が国庫負担金という形で地方団体に支出をしていく。これも法律において、どういう種類の事業について幾らの負担割合を決めるかという事業別に法律または政令で決められているという形になっております。
#37
○吉村剛太郎君 ただいまの御説明で現在の機関委任事務の実態、財政の裏づけも含めまして実態というのがわかったわけでございます。
 今回の考え方としては、機関委任事務といいますものを基本的にはなくしていこうということでございます。もちろん今お話しありましたようなパスポートの問題とか国勢調査とか、こういうものはどうしても残っていくものではなかろうか、このように思っておりますが、先ほど沓掛委員の御質問にもありましたが、積極的にこれをなくす方向でぜひ進んでいくべきではないか、私はこのように思う次第でございます。
 ただ、やはりこれは受け皿の問題がありますから一気に行かない。例えば、傾斜配分的に能力があるところからだんだんやっていくというようなことは実際問題としてはできないんでしょうか、画一的ではなくて。
#38
○政府委員(陶山晧君) ただいま吉村先生のお尋ねの趣旨を必ずしも正確に理解しているかどうかちょっと不安がございますが、仮に特定の一部の団体について、権限移譲等を初めとする国と地方の関係の特例的な措置を認めたらどうであろうかという趣旨であるといたしますと、このことについてかねていろいろ各方面で御議論があることも承知をいたしております。
 例えば現行制度の上では、政令指定都市の例でございますとかあるいは特定の事務についての権利の配分の特例を、保健所の設置でございますとか建築主事の設置でございますとか等々現行制度は認められているわけでございますが、それを現行の制度以外にもっといわば一般的に拡大をして特定事務ごとに、例えば一定の人口なり財政規模なりに応じて実験的にと申しますか、そういうことを対応したらいかがかというような議論につきましては、ここはかつて臨時行政調査会等でも議論があったことは承知をいたしておりますが、いわばそのことによって行政の責任主体が多様化する、あるいは個々の事務ごとに統一的な全体的な整合的な体系を維持するという観点からもいろいろな議論があることも事実でございまして、かなり慎重な検討を要する問題ではなかろうかといろふうに考えております。
#39
○吉村剛太郎君 わかりました。
 たまたま今、政令市の問題が出たわけですが、実は私は福岡市の出身でございます。福岡県には二つの政令市がございまして、福岡市の人口が百三十万、北九州市が百万、福岡県全体が四百八十万。約半分を政令市が占めておるというわけでございます。そういう中で私も福岡市出身で県会議員をやりまして、もちろん県会議員でございますから県全体のことを担当して掌握していかなければならないわけでございますが、どうも福岡政令市の出身の県会議員のやることといえば警察と県立高校ぐらいだ、こういうことがありまして、私は政令市の位置づけといいますものにかねてから非常に興味を持っております。
 今、政令市は全国で十二でございますが、県がある、政令市がある。そして横浜なんか三百三十万の人口でございます。これから分権という中で、都道府県と市町村、これは二層になっておりますが、政令市というものの存在については、まだ私自身もアイデアはないんですが、どういう位置づけをしていったらいいか、何かアイデアがあれば私見で結構ですからおっしゃっていただければなと、このように思っております。
 三百三十万の市と、一万を切った市もあります。これは全く別世界みたいなものですから、それを同一の法律でくくってしまうというところに何か無理があるんではないかなと、このように思っておりまして、今後の分権問題についての検討の一つの課題に政令市の位置づけといいますものをぜひともつけ加えていただければと、このように思っております。何か御意見があれば聞かせていただきたいと思います。
 ちょっと時間が残っておりますが、私の質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#40
○国務大臣(野中広務君) 吉村委員のお説のように、現在の政令指定都市制度のあり方、そしてこれにかかわる都道府県のあり方というのは、私はこれからの分権を進めていく上での重要な課題であると思いますとともに、現状が既に多くの問題をはらんでおると思っておるわけでございます。
 そういう意味におきまして、権限の問題につきましてはまた行政局長からお答えをいたしますけれども、私自身経験をいたしまして、福岡のように二つの政令指定都市を持っておるところの問題を御披露ございましたけれども、例えば私のところでは京都府全体で人口が二百五十万でございます。そのうち京都市が約百五十万を占めておるところでございます。そうしますと、委員が御指摘のように人口で都道府県会議員の定数が決められますと、都道府県会議員の約六割が政令指定都市に集中をするわけでございます。けれども、権限は委員がお話しになりましたように警察に信号の増設を頼むぐらいで全然ないわけでございまして、まして政令指定都市の市会議員の方が関係の府県会議員より何か止みたいな、そういう感じすらあるわけでございます。
 これは、やはり私はこれからの根本的な地方のあり方として、選挙制度のあり方をも含めて権限の強化等あわせて検討しなければ、税制面からも多くの問題を持っておると認識しておるわけでございまして、今後地方制度調査会等におきましてもこの種の議論を徹底して詰めていただきたいと考えております。
 権限強化等につきましては、行政局長からお答えをいたします。
#41
○政府委員(吉田弘正君) 今、大臣の方から基本的な政令市の考え方についてのお答えがございましたが、権限の問題につきましては、先生御案内のとおり、政令市につきましては大都市特有の課題を一元的に処理しようということで、社会福祉とか保健衛生、都市計画、土木行政といった住民に身近な行政を身近な自治体で処理するという見地から、事務配分の特例が設けられているわけでございます。
 市町村の規模につきましては、御案内のとおりもう非常に小さい市町村から大変大きな政令都市に至るまで千差万別でございます。そういう中で、実は政令市は既に長年の歴史を持っておるわけでございますが、さらに政令市に準じたような都市で人口なり面積が一定規模以上あるものについては、政令市に準じた事務権限を付与して基礎的自治体の充実強化をすべきであるというような答申が昨年二十三次の答申でございまして、それに基づいて地方自治法を昨年改正をいたしまして中核市制度を創設したところでございます。
 そういうことで、いずれにいたしましても基礎的自治体として住民の身近なところで身近な行政ができるようにということは大切な観点だというふうに考えております。二十三次の地方制度調査会の答申にもございますが、現在都道府県の事務とされているもの、あるいは今後国から都道府県に移譲されることになる事務についても、規模、能力に応じた事務移譲という観点に留意しつつ、可能な限り指定市なり中核市に移譲する方向で検討すべきだというように言われておりますので、そういう点も踏まえながら検討をしてまいりたいと考えている次第でございます。
#42
○山口哲夫君 地方分権の基本的な問題についてはさきの委員会でも質問をしておりますので、きょうはできるだけ具体的な問題について質問したいと思います。
 まず第一は、地方分権推進法の第十条に、地方分権推進委員会は「第八条に定める地方分権推進計画の作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告する。」、こういうふうにあります。したがいまして、地方分権推進委員会が勧告する指針というものも法文どおり大変具体的なものになるんでないだろうか、こう考えております。
 ここで言う「地方分権推進計画の作成のための具体的な指針」というのは、計画行政におきます三つの体系、つまり第一には基本構想、それから第二には総合計画、第三には実施計画まで入るというふうに考えるわけですけれども、それでよろしいでしょうか。
 また、実施計画は大変膨大な量になりますので、第一次、第二次と分けて勧告をしていただいた方が政府が計画を立てる上でも大変いいのではないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
#43
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 政府が策定いたします地方分権推進計画は、地方分権推進委員会が勧告する指針を尊重して政府が作成するということになっておるわけでございますが、指針の具体的内容につきましては、先ほどもお答えいたしましたが、まさに委員会の自主的な検討にゆだねられるべき事項と考えておるわけでございまして、政府といたしましては、委員会から基本的な物の考え方を初め、委員が御指摘のございますような個別の施策につきましても、可能な限り具体的な指針を勧告していただけるのではないだろうか、かように期待をいたしている次第であります。
 また、勧告を一次と二次に分けてはどうかという御意見でございますけれども、この点につきましても、基本的には勧告の内容いかんにかかわる問題であると認識をいたしております。委員会の自主的な判断によるべきものではないか、かように考えているわけでございまして、いずれにいたしましても、この法案は五年間に集中的な取り組みを行うことによって地方分権の成果を上げようとするものでございまして、委員会におかれましてもその点を十分に踏まえまして適切な時期に適切な勧告をいただけるものと、かように期待をいたしている次第であります。
#44
○山口哲夫君 確かに、推進委員会は自主的な判断で勧告をすることになるわけですけれども、しかし政府の立場というのは、この法案を提出しているわけですし、またこれが可決されますと実際に今度は地方分権の行政を執行するという立場にあるわけですから、そういう点では政府としての考え方というものを推進委員会の方にも十分伝えなければならないでしょうし、時にはやはり要望もしていかなければ実施に支障も出てくるのではないだろうか。
 そういうように考えますときに、まず一つは、この中で実施計画というものも当然具体的な指針というものに入るだろう。今、長官のお答えですと、私は三つの体系というものがあるというふうにお話ししたんですけれども、長官の考えとしては要するに具体的な問題について示していただけるだろう、こういうお答えだったと思うんですけれども、具体的な指針を示していただけるということは、この体系の中で言えば実施計画というものも入るというふうに私は考えるわけです。
 その実施計画というのは、例えば税財源の問題にとってみますと、これは当然役割分担に伴う税源の移譲という問題が出てくるわけです。したがって、今国が徴収している税を地方の方に今度は移譲するということになりますと税目の変更というものまで出てくるだろう。こういうものがいわゆる実施計画の中に入るものだ、そんなところまで出していただけるのではないだろうかな、そういう意味で実施計画も含まれるというふうに私は解釈するんですけれども、それでよろしいでしょうか。
 それから、もし実施計画をつくるということになりますと、これは大変膨大なものになります。したがいまして、各省庁ともこれは相当協議をしていかなければならない問題になると思うわけです。これは、政府の立場で今度勧告を受けて実施計画をつくっていく場合には、相当各省庁との協議も必要になるし、量としても大変膨大な計画になっていく。
 そして、分権の実施というのは、そういうことからいきますと段階的にやらなければいけないのであって、ある日を設定して一斉に分権をやるということは不可能な問題だと思うわけです。したがって、どうしても段階的にやるということになりますと、やはり第一次、第二次というふうに分けた勧告をいただかなければなかなか思うように進まないだろうというように考えるわけでして、そういう点では当然これは推進委員会の方にもそういった点についての配慮をお願いしていくことになるのではないだろうか。そんなふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
#45
○国務大臣(山口鶴男君) 政府といたしましても、地方分権推進委員会とは緊密な連絡をとりまして対応することは当然だと存じますし、また地方分権推進委員会が指針を勧告するに当たりましてさまざまな具体的な御議論をされると思いますが、その際に国会における議論の経過というものを十分尊重して対応いただけるのではないだろうか。
 したがいまして、今、委員が御指摘されたような問題も当然踏まえた上で委員会として御議論をいただけるものというふうに思っております。
#46
○山口哲夫君 次は、政府が勧告を受けまして推進計画を作成するわけですけれども、実施計画を政府がつくる場合にどんな形態をとるのか。例えば、規制緩和五カ年計画のときのように具体的に数百の項目を実施年次別に挙げて、あとは個別法の改正で処理するのか。それとも、十年前の機関委任事務の改正のときのように一本の法律で廃止すべき項目を列挙するのか。どちらの形態を考えているかという問題です。
 これは十年前の法案ですけれども、地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律案の要綱がたまたま手元にあるんですけれども、大変わかりやすいですね。四十三条に分けて各省庁別にずっと出しておりますので一目瞭然、なるほどこういうものを法律として出しているのか、機関委任事務がこういう形で移譲されるのかとよくわかるわけですけれども、私はできれば、やっぱり一本の法律で廃止するように項目を列挙していくという形態をとった方が国民にも分権の内容がよくわかるのではないだろうかというふうに思いますけれども、ちょっと先の話になりますけれども、どうお考えでしょうか。
#47
○政府委員(陶山晧君) 若干実務的な観点もございますので私から申し上げたいと存じます。
 ただいまの山口先生の御指摘でございますが、大臣からも申し上げておりますように、地方分権の計画の作成に当たりましては具体的な指針を委員会から勧告していただき、それを尊重しながら、かつまた法案の第二章に規定しております基本方針に即して作成をするということになりますが、現時点でこの計画に盛り込むべき内容とか、特にただいま御指摘のございました、いわば法律改正等を含む具体的手法について明確な御説明を申し上げるという状況にはないということは御理解をちょうだいいたしたいと存じます。
 ただ、ただいま御指摘のございましたような、過去、一括整理法といった手法で、例えば機関委任事務の整理合理化に対応してきたことも事実でございますし、それぞれの内容ごとにいわば最も適切な方法によって計画的に実施をしていくということになろうかと考えております。
#48
○山口哲夫君 午前中の最後の質問になりますけれども、先ほども自民党の吉村議員の方から、地方分権というのは何といってもやはり国民の側から盛り上がってこなければいけないというお話もありました。
 そういう点では、これから実施計画をつくっていく場合にも、国民の立場で見ても、なるほど分権の時代が来ればこういう仕事が自治体の方に移ってくるんだ、非常にわかりやすい実施計画というものをこれから政府としてもやっぱりつくっていただきたい。そういうことを考えたときには、今申し上げたような、できるだけ各省庁別に、国民が見てもすぐなるほどとわかるような、そういう形でこれからの実施計画作成というものを今から考えておいていただきたいものだということを要望いたしまして、午前中の質問を終わります。
#49
○委員長(小林正君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。
   午前十一時三十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時開会
#50
○委員長(小林正君) ただいまから地方分権及び規制緩和に関する特別委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、大脇雅子君及び広中和歌子君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君及び釘宮磐君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#51
○委員長(小林正君) 休憩前に引き続き、地方分権推進法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#52
○山口哲夫君 それでは第三問から入ります。
 四月十三日の衆議院地方分権特別委員会におきまして、我が党の畠山議員の、地方分権推進法第五条に規定する「その他所要の措置」には、当然機関委任事務制度の廃止と、廃止する場合の具体的措置の検討が含まれると解するが間違いないかとの質問に対しまして、総務庁長官から、法案第五条における「その他所要の措置」云々という内容には、「御指摘のとおり、政府における検討の結果、機関委任事務制度の廃止について具体的結論が得られる場合には、これを廃止することを含むものである」と御答弁されておりますけれども、この答弁には間違いないでしょうね。これが第一。
 それから二つ目には、機関委任事務が廃止された場合に、国の事務でどうしても自治体の協力を得なければならない事務として、先ほどの質問にもちょっと出ておりましたけれども、国政選挙、旅券、それから外国人登録、戸籍などの事務が挙げられると思いますけれども、いかがでしょうか。
 それから三番目、その際、自治体の協力を得るにはどんな方法が考えられるでしょうか。私は、機関委任事務制度を廃止するわけですから、これは当然個別法で対処をするべきものだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
 四番目、その場合、地方自治法第百五十一条の二、いわゆる長に対する職務執行命令などは根拠を失うわけですから廃止することになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#53
○国務大臣(山口鶴男君) 最初のお尋ねでございますが、法案第五条における「その他所要の措置」云々という内容には、御指摘のとおり、政府における検討の結果、機関委任事務制度の廃止について具体的結論が得られる場合におきましてはこれを廃止することを含むものであります。
 次に、機関委任事務に関して御指摘のとおり、その中には国政選挙の執行、旅券の発給事務、戸籍事務など、どうしても国の事務として残らざるを得ないものがあると考えます。具体的には、個別具体的に何がこれに該当するかについてはさらに議論を深め判断する必要があると認識いたしております。その際、政府といたしましては、機関委任事務制度そのもののあり方について検討することとしておりますが、その際には、国と地方の協力関係のあり方等についても十分検討されるものと認識をいたしております。
 次のお尋ねにつきましては、事務当局から答弁をいたさせます。
#54
○政府委員(陶山晧君) ただいまの大臣の御答弁に尽きているわけでございますが、山口先生から自治体の協力を得る方式の問題について、それに関連いたしまして現在の地方自治法に定める職務執行命令制度についてのお尋ねでございました。
 いずれにしろ、機関委任事務制度そのもののあり方について検討いたします場合に、大臣が申し上げましたように、どうしても国の事務として残らざるを得ない事務があるわけでございますが、この場合の国と地方との協力関係のあり方につきまして、御指摘のありましたような仕組みを具体的にどうするのか、裏から言えば国としての最終的な責任を担保する仕組みを具体的にどのように仕組んでいくのか、そういう問題については幅広い観点から議論が行われ、結論を得べき問題であろうというふうに考えております。
#55
○山口哲夫君 機関委任事務として、機関委任事務という制度は廃止することになったとしても、どうしても自治体の協力を得なければならない国の事務ということについて今私は四つほど例を挙げたわけですけれども、そのほかどういうものがあるかということはさらに議論を深めていかなければならないだろうという御答弁でございましたけれども、制度そのものを廃止するということが大原則になった場合には、できるだけそういう今、通称言われている機関委任事務というものは極力やっぱり廃止をするように政府としては努力していかなければいけないんじゃないだろうか、こういうふうに思いますので、その点はひとつ御努力をいただきたいと思うわけです。
 今度は全くそれとは別な観点なんですけれども、地方分権推進に関する地方制度調査会の答申の中に、国の役割の中で「全国的規模・視点で行われることが必要不可欠な施策・事業に関する事務(例えば、公的年金、宇宙開発、骨格的・基幹的交通基盤など)」というのが書いてあります。
 これは今提案されている法案の第四条の「役割分担」の中にも具体的な例としては書かれてありませんけれども、同じように全国的な規模で行わなければならないとする文言が出てきているわけですけれども、その中に当然地制調から出されている例の公的年金というのも入ってくるというふうに恐らく解釈はされていると思うんですけれども、ところがこの公的年金を一つとってみますと、これは果たして国の役割分担の中に含めていいものなのかどうなのかという実は疑問があるわけです。
 なぜかと申しますと、この年金というものは分類すると大体四つくらいの事務に分かれると思うんです。一つは、裁定の事務がありますね。ところが、この裁定事務というのは法律で基準だけを決めておきますと、あとはこれは自治体でできる仕事なわけです。それからその次には給付事務というのがあるんですけれども、これはもう自治体がやろうと思えば完全にできますし、徴収の事務、いわゆる掛金の徴収の事務もこれは自治体ができるわけです。そうすると、公的年金という仕事を一つとらえてみて国がやらなきゃならない仕事というのは年金財政の問題だけではないだろうか。
 こういうふうに考えますと、このいわゆる国が役割分担として担うべき仕事の中の具体例が挙がっておる中にも、よく検討してみたら自治体で行った方がいいという仕事があるということも考えられるわけでして、そういう点についてもこれは当然検討してみる必要があるんじゃないだろうか。一つ一つの事例について政府として検討してみて、なるほどこれは必ずしも国でなくても自治体でやれるというものがあればそれは自治体の方で行うような部類に入れていくべきではないだろうかと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。とりあえずそこの点についてお答えいただきたいと思います。
#56
○政府委員(陶山晧君) ただいま具体的な固有名詞でのお尋ねでございますが、一般論として申し上げますけれども、大臣からたびたび申し上げておりますことと重複するかもしれませんが、事務の性格によっていずれにしろ個別具体的に国と地方の役割分担を検討していくということになるわけでございます。
 その場合、ただいまのお尋ねに関連して申し上げますならば、いわゆるこの事務の名称と申しますか類型と申しますか、その一つのまとまった行政事務の中にもいろいろな範囲、内容の性格の事務が存在をするということはあろうと存じます。その場合には、個別の具体的な事務内容に応じた検討が行われるということになろうと考えております。
#57
○山口哲夫君 今、一例だけしか申し上げませんでしたけれども、そのほかにも幾つか例示されるものがありますから、ぜひひとつ検討を十分していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それから、三問の中の三番目に質問をいたしました、自治体の協力を得なければどうしてもできない国の事務、そういうものは個別法で対処するべきだという質問を私の方からしたわけですけれども、それに対しては別に具体的に肯定的な御答弁はありませんでしたが、この場合、機関委任事務の制度そのものが廃止になるわけですから、いわゆる今まで言われている機関委任事務というものがなくなるということになりますと、これはやっぱり別な形で地方自治体に対して国の事務に協力してもらうようなことを考えなければいけないと思うんです。
 そうなりますと、これは国と自治体との間で、例えば国政選挙あるいは戸籍事務、そういうものを個別に契約関係を結ぶようにするのか、あるいは個別法でどうしても地方自治体の協力を法律で求めるというそういう形にするのか、どちらかしか私はないのではないかなというふうに思うわけです。
 私は、むしろ個別法でもってきちっとやった方が協力も得やすいのではないだろうか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#58
○国務大臣(山口鶴男君) 本会議でもこの問題についてはお答えをいたしたわけでございますが、機関委任事務、その事務自体が必要ないというものは当然廃止するということになると存じます。それからまた、その事務自体は必要であるけれども、機関委任事務ではなしに地方公共団体の団体事務としてこれを処理するという形の整理の仕方ももちろんあろうかと思います。
 それから、御指摘のございますように、国の事務としてどうしてもこれはやらなきゃならぬ、そして地方公共団体の事務ということではなくて、国が出先機関をつくって例えば国政選挙の事務をやるとか、あるいは旅券の発行をやるとかということは、これは行政改革に反することでございますからそういうようなことはやるべきではない。そういたしますと、国が行う事務として、これを地方公共団体にお願いする場合にどういう方法がいいのか。これについては検討いただいて、その場合、機関委任事務制度は廃止をするという結論であるならばこれは廃止することも結構ではないか、こうお答えしたわけでございまして、その場合、地方六団体からの御意見等もあるように、何か違った形の扱い方というものが御議論の結果まとまりまするならば、そういうこともあり得るのではないだろうかというふうに考えておる次第であります。
#59
○山口哲夫君 機関委任事務制度そのものが廃止ということになりますと、今までのような形態をとらないで、ぜひひとつできるだけ個別法でもってやるように、その際、政府の方としても検討しておいていただきたいものだと要望しておきます。
 次に、四問目ですけれども、地方分権推進法が成立いたしますと、地方自治法や自治省設置法、これも全面的改正が必要になるというふうに私は思います。いつの時点でこの二つの法を改正すべきなのか、もし考えがあったら示していただきたいと思います。その場合、例えば自治体の執行機関など大変規制が厳しくされています。分権の時代は、もっと自治体が自由に事務の執行ができるようにしても私はいいのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
 また逆に、分権法に基づいて地方自治法を改正しなくても、地方自治体がやる気があればできる事務はたくさんあるのではないかと思います。一例を挙げますと、住民投票制度なんかがそれに当たると思います。法に書かれていないというだけで、禁止規定がなければ当然自治体の自主性でこれは執行できるものというふうに私は解釈してもよろしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#60
○国務大臣(野中広務君) 地方分権の推進に伴いまして、委員が今御指摘されましたように、地方自治法等の見直しについてのお尋ねでございますが、地方分権推進計画を受けまして地方自治法等の所要の改正が必要となる場合もあると考えております。
 地方分権を進める具体的な方策の一つといたしまして、昨年、地方自治法の改正によりまして中核市の制度やら広域連合制度が創設をされたところでございますけれども、外部の監査制度の導入等、地方制度調査会の答申で提言された検討課題もあるわけでございますので、今後とも地方分権の推進の状況に応じまして所要の地方自治法等の見直しの検討を行ってまいらなければならないと考えておるところでございます。
 現在でも地方自治体がやる気があればできることがあるのではないかという御指摘でございますけれども、地方公共団体は法令に特別の定めがある場合を除きまして、委員御指摘のように、その区域内における事務の幅広い処理をする機能を有しておるわけでございます。地方公共団体といたしましても、創意工夫を図ることによりまして地域に関する行政を自主的、主体的に担っていくことが一番大切なことであると考えておるのでございます。
 なお、御指摘の住民投票につきましては、個別の関係法令との抵触を生じないように、また法令に基づく議会及び長の権限を侵すことにならないように十分留意する必要があると考えておるところでございます。
#61
○山口哲夫君 自治法それから自治省の設置法をいろいろと読んで見ますと、相当やはり自治体の執行に対しても制限を加えているという項目がたくさんあるわけです。
 小さい問題ですけれども、例えば県においては機構として部は幾つつくれとか、そんな細かいことまで載っているわけなんで、分権の時代になったらこれはもっともっと自治体が自由に執行ができるような改正というものをまずつくっていかなければならない。自治省はそういうことを率先してまずやっていかなければならないところだと思うので、自治省に関係する、特に自治法、自治省設置法などというものについては全面的にやっぱり改正していかなければいけなくなるんではないだろうかというように思いますので、ぜひひとつ今から検討しておいていただきたいものだというふうに考えます。
 それから住民投票なんですけれども、これには随分いろんな御意見があるように思いますけれども、一説に、住民投票を実施するということになると当該事項について権限を有する議会または長の権限を侵すことになってはならないんだというそういう見解が述べられるわけですけれども、私は果たしてそうだろうかなという実は疑問を持つわけです。例えば、オリンピックを自分の町でやるかやらないかということを仮に決める場合に、今はほとんど議会でもってその承認を得ればそれで決まるんでしょうけれども、そうではなくして、これを住民投票にかけるというような場合に、果たして議会の持っている権限というものがそのことによって侵されるかどうかということになると、私はそういうことにはならないと思うわけです。
 例えば、議会が住民の投票の結果というものを尊重して議決をするというような条例をつくっておけば、何も機能を侵すことにはならない。それからまた、長の執行権に対してもやはり侵されるのではないかと言いますけれども、首長が執行する判断を住民投票に置く、住民投票の結果というものを執行する場合の一つの判断にするんだということを条例で決めておけば、これは執行権の侵害にはならないだろうというように実は思うわけです。
 例えばスイスの例なんかをとってみますと、一つの建物をつくる場合でも模型を二つつくりまして、そして住民の投票に付して、A案かB案が。A案が多ければA案で執行をするということになっているわけです。ですから、我が国においても、例えば百億以上の施設をつくる場合においてはそういう住民投票にかけて住民投票の結果に基づいて執行するという、そんなような方法というものを条例上とっていけばこれは決して長の機能まで侵す結果にはならないだろう、そういうふうに思うんです。
 私は今、住民投票制度を一つ例にとりましたけれども、法律に書かれていないような問題についてはもっと自由に自治体が事務の執行を行ってもいいというような判断に立って、一つの例として申し上げたんですけれども、この住民投票についてさらに御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。
#62
○国務大臣(野中広務君) 一般的には、委員のお説のように、地方公共団体は法令に違反しない限りにおきまして地方公共団体の事務に関しまして条例を制定することができるものでございます。しかし、具体的にどこまで条例で定め得るかは、個別の関係法令との抵触関係の有無が検討をされなくてはならないということは、もう委員御承知のとおりだと思うわけでございます。
 また、我が国の地方自治制度の基本的な仕組みが、先ほどお述べになりましたように代表民主制でありますわけでございますから、法令に基づく議会及び長の所定の権限が認められているところが認識をされまして、すなわちこれらの権限に実質的に抵触しないかどうかという検討が十分され、いわゆる地方分権というものが成熟した過程では、お互い、今お説のような個別事例に対してそれぞれ住民投票等考えられるべき時期は来るのではなかろうかと思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、長及び議会の権限との整合性ということについては十分慎重に配慮されるべきだと考えておるところでございます。
#63
○山口哲夫君 今、大臣の方から自治法ではなくして別な個別法に抵触するようなことについてもやっぱり検討しておく必要があるというようなお答えですね。
 そう言われますと、具体的な例を出さなきゃならないと思うんですけれども、例えば中野区における教育委員の任命の問題がありました。あれは区長が任命するという、たしか教育関係の法律で長が任命するということになっていますね。しかし、その長が任命するという手続的なことについてはたしか書いてなかったと思うんですね。そうすると、長が任命する場合にその判断を何に求めるかという場合に、住民投票に求めるという条例をつくれば私はそういう個別法の抵触は受けないで済むんじゃないだろうか、こんなふうに実は思うわけなんですよ。
 だから、今それは別にここで議論しようとは思いませんけれども、ほかの個別法に抵触する、住民投票をやってはいけないとかそういうようなことが書かれているなら別だけれども、ほとんどそういうものは書かれていないので、長の任今、議会の承認というところしか書かれておりませんから、あとの承認をするに当たっての手続とかそういうことを住民投票に求めても私は一向に個別法に抵触するものではないだろうというように思うので、そこはもう少しやっぱり、解釈をもっと緩くというんですかね、余り厳格にするのではなくして解釈していかないと、分権の時代に住民参加の自治というものがだんだん狭められていったのでは何にもなりませんので、ぜひそういうことも御検討いただきたいものだということを要望として申し上げておきたいと思います。
 次は五問目ですけれども、国の役割分担についてであります。第四条の一行目の下の方から「全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務」、こうあります。そして、これが地制調では括弧してたしかさっき言った公的年金ほか云々というふうになるわけですけれども、その地制調で言うところの、地方制度調査会の二十四次の答申ですか、平成六年の十一月二十二日に出された「地方分権の推進に関する答申」の中の、これは「第二 国と地方公共団体の役割分担の基本的考え方」の「2 それぞれの役割に応じた事務配分の考え方」の「(1) 国はこの中のB、「全国的規模・視点で行われることが必要不可欠な施策・事業に関する事務(例えば、公的年金、宇宙開発、骨格的・基幹的交通基盤など)」というふうに書かれておりますけれども、これと全く同じような内容だというふうに解釈してよろしいでしょうか。
 随分文言が違っているので、文言によっては、拡大解釈すれば別な事務までここに含めることができるんじゃないかというふうにさえ思われるような文言に変わってきているものですから、心配なのでちょっと確認しておきたいと思います。
#64
○国務大臣(山口鶴男君) この第四条につきましては、委員が御指摘をされました地方制度調査会の答申、また地方六団体の意見等々も踏まえまして作成したものでございます。第四条に言いますところの「全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務」、さらに「全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、」云々とこうありますが、「全国的に統一して定めることが望ましい」云々、それから「全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない」云々という条文は、委員御指摘のとおり、地方制度調査会の答申のA、Bという趣旨を踏まえました上で作成したものでございまして、そういった地方制度調査会の答申の趣旨を踏まえておるものというふうに解していただいて結構だと存じます。
#65
○山口哲夫君 失礼しました。私、質問の中でBを読みましたけれども、Aですね。Aの方がここの条文で言うものと全く同じような趣旨として解釈していいかというふうに訂正しておきたいと思います。
 すなわち、「A 国内の民間活動や地方自治に関して全国的に統一されていることが望ましい基本ルールの制定に関する事務(例えば、公正取引の確保、生活保護基準、労働基準など)」、これと全く同じ考え方かということでしたけれども、同じように解釈してよろしいということですね。それなら問題ないと思いますけれども、たまたまこれを読んでみますと、「全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務」ということで、「準則」という言葉をどういうふうに解釈したらいいのかなというように考えたものですから、拡大解釈してまた別なものを何かこれでもって、これは国の事務だというふうに言われたのでは大変だなと思ったものですから、大変細かいことでしたけれどもお尋ねをしてみたわけです。
 それでは次に移りますけれども、次は、自治省には大変失礼なことを申し上げるかと思いますけれども、地方分権で一番得をするのはどこだといったら自治省だというんですね。これは各省庁の方からそういう声が実は私たちの耳に入ってくるんですね。なぜですかと尋ねますと、だって自治省は地方分権の時代になったら、交付税制度というものは絶対これはなくならないでしょう。それが一つと、それから起債の許可権も自治省はなくさないと言っている。そういうことからいえば、自治省は何にもなくなるものがないんだ、むしろ逆に権限強化されるんじゃないかということさえある。それがある省庁の役人の方の言っている実は言葉なわけです。私は一理あるなというふうに思うんですよ。
 それで、財政問題についてまず質問をするわけなんですけれども、地方自治体の役割分担に伴う財源をどういうふうに与えていくかということは、これは分権の極めて重要な事項だというふうに思うわけです。もし国の関与が財政の面で強くなるということになりますと地方分権の精神というものは完全に薄れてしまうんでないだろうか、そう思うときに、地方自治体が参加できるような制度、機関を税財政の面でやっぱりつくるべきでないだろうかというふうに思うわけです。
 例えば、国と地方自治体で第三者機関をつくって交付税の配分をするということを考えてみてはどうだろうか、そう思うわけです。要するに、地方分権の時代の地方財政というものは国と地方自治体が共同で決定をするという制度をつくっておくべきだ、地方自治体の権限というものをできるだけやはり財政の面にもあらわせるような形を考えるべきだ。
 だから今のように、自治省が全部交付税の算定から何でもやるわけでしょう。そうすると、よく選挙になりますと政治家が中に入って交付税を少し多く取ってやったとかなんとかかんとかという、政治家との問題まで自治省というのは疑われるわけですね。そんなことはないと思いますけれども、特に特別交付税なんかは選挙になると必ず引き合いに出されるわけですね。そうすると、知らない国民にしてみますと、政治家でもそうやってやればある程度は取れるのかな、それにしても自治省の権限というのは大変なもんだな、こんなような陰の声も聞こえてくるんですけれども、財政の公正化を期すためにはそういう自治体も参加できるような交付税の配分についての第三者機関をやっぱりつくっておいた方がいい、そう思いますけれども、いかがでしょう。
#66
○国務大臣(野中広務君) 地方分権に当たりまして自治省が巨大な権限を持つような役所をさらに目指すようなことがあってはならないわけでございまして、これは分権を推進する上で自治省みずからがそれぞれ地方の発展の上にどのように寄与し、また自治省の権限を地方に移していくか、また他省庁の範を垂れていくかというのは自治省が当面する重大な課題であると私は基本的に認識をしておるわけでございます。
 ただ、委員から今御指摘ございました地方交付税の問題でございますけれども、地方交付税の規定に基づいて行われておることはもう万々御承知のとおりでございまして、具体的な算定方法につきましては法律の定めるところによりまして自治省令で定めておるわけでございまして、自治省令の改正、各地方公共団体に交付をいたします地方交付税の額の決定等につきましては地方交付税法の改正に際しまして国会の御審議を得ることといたしております。また、地方六団体の推薦されます委員を含めて構成されております地方財政審議会の意見を聞くことになっておりますことは委員御承知のとおりでございます。
 さらに、具体的な算定方法につきましては、毎年度の定期及び随時に地方団体の意見を聴取いたしまして改善を加えるなど、地方団体の意見を十分尊重し、適正な運営に努めておるところでございます。
 さらに、地方分権の推進に当たりましては、地方公共団体が地域の実情に即した自主的、主体的な財政運営が行われるように地方交付税の総額の安定確保を図らなくてはならないわけでございますし、その算定の方法は地方団体の財政事情により的確に反映できるものでなければならないと思うわけでございます。
 また、財政調整機能の一層の充実を図る必要があると思うのでございます。ただ、基本的にやはり国土が均衡ある発展を行い、市町村みずからがみずからの税源でそれぞれ財源調整を必要としないような状況に持っていくことが地方自治の基本でございますので、そのような方向づけにつきましては、私どもも今後十分認識して取り組んでいかなくてはならない課題であると存じておるところでございます。
#67
○山口哲夫君 確かにこの交付税の問題については、大臣が今お答えになったように、いろいろな団体の意見を聞くような制度はとっているわけですけれども、しかしそれはやっぱり決定の段階には参加していないわけですね。
 だから、私の言うのは、交付税の配分決定の段階で自治体の意見というものがそこに反映されるようにしていく必要があるんだと。そうなりますと、意見を聴取するだけではなくして、審議の中に実際に自治体の代表が入ってくるような、そういうような機関というものをつくっておかなければ本当に民主化された交付税の配分ということにはならないだろうというふうに思うわけですね。恐らくこれからは、考え方によっては交付税そのものの枠というものが非常に大きくなってくるのかもしれません。そういうことになったときには、なおさらやっぱりその必要性が私は生じてくるというように思うんですけれども、再度御意見があったら聞かせていただきたいと思うんです。
 それから、起債の許可権については、これは前にも聞いておりますので余り詰めた議論はどうかなというふうに思っていたんですけれども、どうも起債の許可権を自治省が分権の時代になっても握るということになると、やはり各県からの陳情というものはなくならないし、それから各市町村から県に対する陳情というものは恐らくなくならないだろうと思うんですね。分権の時代になったときには、政府に対する陳情だとか都道府県に対する市町村の陳情というものは極力なくするような方向にしていかなければ意味がないのではないだろうか、そんなふうに思うわけです。
 そうしますと、起債も一定の基準だけをつくっておけば、あとは自由に自治体にやらせていいのではないだろうか。例えば、起債総額が予算に対してどの程度とか、あるいは償還額が一般の収入額に対して何割程度とか。それを超える場合にはある程度の協議は必要にいたしましても、一定の上限までは決めておいてあとは一切自由にやらせるというのでなければ、一つ一つの起債まで許可をとらなければならないようなことではこれは分権の精神に反していくと思うので、そういうもう少し詰めた議論を自治省内でやっていただけないものだろうか。
 何か前の御答弁を聞いておったら、起債だけはどんなことがあっても自治省は放すわけにいかないというようなふうにとれましたので、それについて御意見があればお聞かせください。
#68
○国務大臣(野中広務君) 地方交付税の配分に対します自治体の参加等につきましては、財政調整機能のより一層の充実を図りますとともに、今後とも地方公共団体の意見、実情が委員御指摘のような状態に反映されますように十分配慮を加えてまいりたいと存じておるところでございます。
 地方債の許可制度につきましては、やはり地方財政計画を通じまして地方債の元利償還財源を保障しなければならないということが大きな私は一つの柱であると思いますし、今日まで自治省といたしましては、臨時行政改革審議会の答申あるいは地方分権推進大綱に示されましたように、起債の枠配分を通じて弾力的により簡素にこれが行えるようには十分配慮をしてまいりましたし、これからもそういう姿勢で進んでまいりたいと思うわけでございます。
 私自身の経験を通じましても、すべての地方公共団体を一律に見ることは非常に不可能でございますし、また四年目に一度の公選制のある中における地方債のあり方というものは、委員がおっしゃいますように一つの基準を定めてやらなくてはならない、そういう状況は私自身も思うわけでございますけれども、さはさりとて、これが無制限になるようなことになれば後に大きなツケを残すことにもなるわけでございますので、十分な基準を定めておかなくてはならないし、そして財源調整の意味におきましても、これからの社会資本の整備等を十分踏まえながら個別に適応できるような配慮というものは加えていかなくてはならないと考えておるわけでございまして、一挙にこれをすべて地方公共団体にゆだねるようなことはなかなか難しいんではなかろうかと、これは私の貧しい経験を通して感じておるところでございます。
 御意見のあるところは今後も十分検討を加えまして、そして地方債のあり方等につきましても、さらに御意見のあるところを十分生かせるように努力をしてまいりたいと存じておるところでございます。
#69
○山口哲夫君 自治省は何といっても地方分権の推進役を担っているわけでございますので、ほかの省庁の方から地方分権をやって自治省が一番もうけるんだなんということが陰口として言われないように、ぜひ率先して分権の精神にのっとって財政問題についても御検討いただきたいものとお願いをしておきたいと思います。
 次は七問目ですけれども、地方分権推進法の今度は第六条でございますけれども、「国は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保を図るものとする。」、こういうふうにあります。すなわち、自立的に地方公共団体がそれぞれの事務事業を執行するわけですから、自立的に執行するということは自分の財源を持ってできるようにしていかなければならない、こういう考え方が法の精神だと思いますので、そうなりますと、全体的に税財源の底上げというものが当然必要になってくると思うんです。
 そうなると、まず第一の質問は、不交付団体がふえてくるだろうというように思うけれども、いかがでしょうか。
 二つ目。不交付団体がふえますと財政調整制度は変わらざるを得ないというふうに思います。すなわち、今は垂直的な形で行われているわけですけれども、それが今度は水平的な調整も含めてやっていかなければいけない、こういうふうに考えるけれども、いかがでしょうか。
 それから三番目。分権というのは先ほど来議論がありましたように二層性を持っておるわけですけれども、その二層性の都道府県の主要な財源というものを何に置くべきなのか。また、市町村の財源というものは何に置くべきなのか。二層性にあわせて税財源の考え方についてもあればお示しいただきたいと思います。
 四つ目は、本格的に地方分権が確立されたときは、税の徴収はすべて地方自治体が行いまして、国の事務に必要な財源分を地方自治体から国に納入をするという制度を検討してみたらどうだろうか。ドイツなんかはそれをやっているわけです。税金は全部自治体が徴収いたします。そして、その何割かわかりませんけれども、半分なら半分は国の方に自治体から納入いたしましょう、それで国の仕事をやってください、あとは自治体の方でやりましょうと。もちろんこの交付税制度のような財源の再配分はやっているようですけれども、本格的な分権の時代になればやっぱりそういうことも考えてみていいのではないだろうかというように私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
#70
○政府委員(遠藤安彦君) 前段の御質問についてお答えをさせていただきたいと思います。税源が強化された場合に、不交付団体がふえるかどうかというお尋ねでございます。
 地方分権ということになりますれば、当然権限の移譲は地方団体に行われるわけでありますので、事務事業がふえてくると。それに対する財源を一つは手当てする必要があるということは言うまでもないことであります。その場合に、地方税財源の中で、地方税源のみによってそういった事務事業の財源をふやすということになるかどうかという点は一つあろうかと思います。
 しかしながら、地方税源が増加をいたしますれば当然交付税の算定上は基準財政収入額がふえるわけでありますが、一方で事務事業もふえるわけでございますので、逆に言いますと交付税の基準財政需要額の方もふえるわけでありますから、その両方を考えあわせて、税源がふえるから不交付団体が当然ふえるということには必ずしもならないのではないかという面もあろうかと思います。
 仮定の話ですけれども、基準財政需要額を据え置いて基準財政収入額だけふやせば、これは当然不交付団体が増加するということにはなろうと思います。ただ、この地方分権にあわせまして、地方団体が自主性、自立性をふやすという観点から地方税源の充実ということが非常に重要視されるわけですが、やはり日本の地方団体は今税源の偏在が非常に大きいわけでございますので、税財源の中ではやはり地方交付税の充実ということも考えていかなければならないというように私ども思っている次第であります。
 それから、不交付団体がふえれば財政調整制度の考え方も変えるべきではないかと、水平的な調整を検討すべきだというお考えでございます。
 この財政調整制度のあり方の問題でございますけれども、確かに現在やっているような垂直的な調整、それから東京都と特別区の間に行われておりますような水平的な財政調整というものもあるわけではありますけれども、この地方分権に伴って地方の自主性、自立性ということになりますれば、やはり地域住民が自分たちの属する地方団体の財政的な基盤は自分たちが、住民みずからが支えるんだという、いわゆるタックスペイヤーとしての自治意識の問題、これに対する影響、あるいは地方団体が徴税や税源関与を幾らしてもオーバー分については水平的調整でどこかに吸い上げられてしまうということになりますと、やはり地方財政運営上の自主性、自立性というものが必ずしも強化されるとは限らないと、こういった点がいろいろ指摘をされているところでございます。
 したがって、地方自治の本旨にかかわる地方税制度の基本問題を含んでいるというようなことでございますので、やはりこの水平的調整といったことを考えますときには慎重に対処していかなければいけないのではないかというように考えている次第であります。
#71
○政府委員(佐野徹治君) 地方税源の問題でございますけれども、地方団体がその責任を適切に果たしていきますためには、安定的でかつ伸長性のある税財源が付与される必要があると、これが基本的な考え方でございます。
 過去をさかのぼりますと、昭和二十四年のシャウプ勧告では、この地方税の基本的な考え方といたしましては、地方税における市町村税の優先的な拡充、それから道府県税と市町村税の税源の分離、こういう基本的な方針のもとで、住民税と不動産税、これは固定資産税でございますけれども、住民税と不動産税は市町村税とすると、それから事業税、入場税、遊興・飲食税は道府県税とすると、こういった提案がなされていたわけでございます。
 現在、このシャウプ税制を基本的に受け継ぎまして、道府県税は法人関係税を中心とした税体系となっております。一方、市町村税は個人住民税と固定資産税を中心とした税体系となっているわけでございます。
 今後、地方税におきましては、道府県、市町村のそれぞれの果たすべき役割に応じた形で、所得、消費、資産、これらの間でよりバランスのとれた安定的な税体系を求めると同時に、その充実強化を図っていくということが必要であると考えておりますけれども、やはり市町村税につきましては、個人住民税、固定資産税中心の税体系は維持されるべきものと考えておる次第でございます。また、道府県税につきましては、現在、法人所得課税に偏った構造、こういったこともございましたので、その安定的な税体系の構築を図るという観点から、昨年成立させていただきました税制改革関連の法案では、地方につきましては地方消費税が創設されたところでございます。
 いずれにいたしましても、今後安定的な地方税体系の構築という観点から、かねてより課題となっておりますような現行事業税の外形標準課税を含めた地方税制上の諸課題につきまして、税制調査会等の審議を通じて協議検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
 それから次に、税の徴収の問題でございますけれども、連邦制の国家でありますドイツにありましては、これは共同税につきまして州政府が税の徴収等の事務を行い、州政府は収納した税収の一定割合を連邦に納入するという制度を採用しておるわけで、これは先ほどお話のあったとおりでございます。
 税の徴収のあり方につきましては、それぞれの国の事情に応じた多様性があり得ると思われるわけでございますけれども、我が国におきまして本格的に地方分権が確立されました後の税の徴収のあり方につきましては、税制調査会だとか地方制度調査会等の御審議もいただきながら検討すべき課題であると考えておる次第でございます。
#72
○山口哲夫君 それでは問題を変えまして、総務庁長官にお尋ねいたします。
 この法律は時限立法で五年になっているわけですね。したがいまして五年以内に地方分権を終わらせなければならない、こういうことだと思います。
 そこで、五年間の大まかな計画についてお聞きしたいと思いますけれども、推進委員会が作成する実施計画までの勧告は遅くとも前半の二年ぐらいで出していただいて、そして政府は、この勧告に従って半年間くらいで推進計画を作成して国会に報告した後、後の二年半で関係法案の提案を行い、国から県に事務の移譲を終わらせると考えてよろしいでしょうか。
#73
○国務大臣(山口鶴男君) 御指摘のとおり、この法律は五年の時限立法でございます。この五年間で全力を挙げて地方分権を実行してまいりたいと考えておるわけでございますが、そうなりますと、政府が策定いたします地方分権推進計画は少なくとも前半にこの計画を樹立する必要があると存じます。となりまするならば、地方分権推進委員会が指針を勧告いただくのはそれに十分間に合うような形で指針の勧告をいただきたいものと、かように考えておる次第でございます。
#74
○山口哲夫君 ぜひそういうことで進めていただきたいものだと思います。
 次は九番目の質問ですけれども、五年間で上げるということは、これは相当事務局体制がしっかりしていなければいけないと思います。
 それで、第二臨調のときは百人以上の専任職員が配置されて、その上に専門委員制度もたしか設けたというふうに記憶をしておりますけれども、今度の場合は第二臨調以上に事務量が多くなるんではないだろうかなというように思います。そういうことからいきますと、これだけの大改革をやるためには総定員法に余り拘束されないで、定員をふやしても事務局体制を整えるべきではないだろうかというように思いますけれども、その決意のほどをお聞きしたいと思います。
#75
○政府委員(陶山晧君) 事務局の体制の問題でございますので、私から申し上げたいと存じます。
 今国会で法案を成立させていただけますならば、できるだけ速やかに事務局の設置について準備をスタートさせたいと考えておりますが、そのためにもできるだけ早く準備体制を設置して具体的な作業を進めていきたいと考えております。ただいま自治省とも相談をしながら検討を始めたところでございます。
 ところで、山口先生お話しの事務局の問題でございますが、現在、申し上げましたような状況でございますので、どの程度の規模にするとか、どの程度の事務量になるとかというような問題について具体的な御説明を申し上げられる状況にございません。ただ、一般論として申し上げますならば、委員会の審議の状況に応じまして、事務局の体制はその審議を補佐するに十分なレベルの体制を組んでいくということが必要であろうと考えております。
 いずれにしろ、委員会の業務に支障のないような体制を確保していくということになるわけでございますが、その場合にも、行政改革が叫ばれている今日の状況でもございますので、いずれにしろ簡素化を旨としながら委員会の任務を補佐する上でその業務に支障のない体制を組んでいくということを申し上げておきたいと存じます。
#76
○山口哲夫君 次の十問目ですけれども、そこで問題は事務局長のことです。私は前の委員会でも質問したんですけれども、たしかそのときの御答弁は、なかなか民間から起用するということは非常に難しいだろうけれども優秀な人材を充てたいというように山口長官の方からお答えがあったというふうに記憶しております。
 私はそれに対しまして、政府の中から仮に事務局長を持ってくるという場合には、少なくとも事業の実施官庁の幹部だけは充てるべきではない、そのことを強く要望しておきました。それはどうしても、自分たちが今までやってきた仕事を、その権限を自治体に与えようというのですから、そういう仕事をやってきた人にそんな分権の仕事をやれと言ったってそれは酷な話なんで、そういう意味で申し上げたわけですけれども、その要望に対してどのようにお考えでしょうか。
 また、この仕事は各省庁に対しまして相当指示をするとかあるいは要請をするとか、そういうことが多いポストだと思います。それだけに、第二臨調のときのように次官クラスの人材を充てませんとなかなかこれは仕事が進まない、そういうふうに思うわけで、できればやっぱり専任の次官クラスを事務局長に据えるべきではないだろうかな、そんなふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。
#77
○国務大臣(山口鶴男君) 私、本会議でもお答えいたしましたが、今回の地方分権推進法案に関しましては、村山総理が非常な熱意を持ちまして、また総理としてのリーダーシップを発揮いたしまして、この地方分権推進委員会は必ず法案に織り込まにゃいかぬと。しかも地方分権推進委員会の任務は、単に意見を述べるということではなくて、監視という仕事もできるし、また内閣総理大臣に勧告もできる、そういった強い権限を付与した委員会であるべきだという総理の強い御意思もございまして、今回提案いたしましたような法案を御提示いたした次第でございます。
 そういった村山総理でございますので、この法案が成立いたしまするならば、委員の任命は衆参両院の御同意を得て行う、同時に、事務局長の人選につきましても、総理が任命権者でございますので、そういった地方分権推進に極めて熱意を示しておられる総理が任命する人事でございますから、私は委員が御懸念されるようなことはないのではないか、十分地方分権推進にふさわしい立派な事務局長を選任するということになるのではないかと推察をいたしている次第であります。
#78
○山口哲夫君 素直に御答弁を受けまして、期待をしておきたいと思います。
 そこで、推進委員の人事ですけれども、確かに今回、推進委員というものに非常に重要な役割を担っていただくことになった。総理の大変強い要請で、分権大綱よりも一歩踏み込んだ法案ができてきたというのは私どもとしては大変高く評価したい。今まで大綱よりもいい法案が出たというのは余りなかったと思うんですね。大体ちょっとバックするのが普通なんですけれども、逆に前進をするという、大変そういう点では総理を初めお二人の閣僚も随分頑張っていただいたと思うんです。そういう点では非常に私は敬意を表したいと思うんです。
 そこで、最も重要な推進委員の大事について、前の委員会で質問したんですけれども、七人の委員の中に自治体経験者の中からも選出してほしいといったしか要望が地方六団体からもあったというふうに思うわけです。
 それで、改めて地方六団体の「地方分権の推進に関する意見書」を読んでみますと、その中にこういうのが出ております。「地方分権委員会」、まだこのときは推進委員会ではなかったと思うんですが、「地方分権委員会の委員の定数は、五人とし、そのうち、二人については、地方自治法第二百六十三条の三第一項に規定する地方公共団体の長及び議会の議長の全国的連合組織が推薦する者とする」。要するに六団体が推薦した者をぜひ入れてほしいというふうに言っているんですけれども、地方分権の二層性ということから考えますと、やっぱり県側から一名、市町村側から一名の二名、しかも首長の経験者。現職はとてもこの事務には耐えられないと思うんですね、事務量が多過ぎるわけですから。ですから、私はそういう経験者を出すべきだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
#79
○国務大臣(山口鶴男君) 法案につきまして委員の方から高い評価をいただきましてありがとうございます。
 先ほどお答えしましたように、総理大臣の強い決意、そしてまた担当いたしました私並びに自治大臣、相ともに協力をいたしまして、大綱方針よりも法案の方が前進したというのは珍しいと評価もいただいたわけでございますが、自治大臣ともども努力をしたと評価いただいたことを感謝する次第でございます。
 ところで、委員の任命の問題でございますが、これはもう本会議でもお答えしたわけでございますが、国、地方の行政につきまして高い見識を有する方々をバランスよく配置する、そういう必要があるというふうに認識をいたしておる次第でございます。村山総理が衆参両院の御同意を得て任命をするわけでございますが、委員が今御指摘ございましたように、二層性ということであるならば、当然都道府県、市町村ということについても配慮すべきだという御意見でございますが、そういった国会の御議論等も十分踏まえました上で、総理は、先ほど申し上げましたように、高い識見を有する方をバランスよく配置するという観点から私は任命をいただけるものというふうに考えておる次第でございます。
#80
○山口哲夫君 いろいろと細かい、しかも具体的な問題について絞って質問し、いろいろとお答えをいただきましてありがとうございました。
 地方分権というのは、これは行政面での立場から見るとまさに革命的なものだというふうに思います。それだけに相当の決意を持ってやらなければならない問題でありますし、これがやっぱり民主主義を高めていく非常に大きな力にもなるというように考えますときに、ぜひひとつ両大臣、全力を挙げて頑張っていただきたい、このことを強くお願いをして質問を終わります。ありがとうございました。
#81
○続訓弘君 私は、統一地方選挙が終わりましたが、それを踏まえまして今回の選挙結果を分析しながら、私自身の反省を込めながら私の意見を述べ、大臣の所見を以下お伺いしたいと存じます。
 今回の統一地方選挙の第一の特徴は、何といっても首都東京、そしてまたそれに準ずる大阪、この二大都市に無党派の知事が当選をされた。しかも、相手方はそれこそ行政のエキスパート官僚であり、しかもその推薦者は自民党を含め各党でございます。そういうことからすれば当然私は当選してしかるべきと思いましたけれども、結果は残念な結果に終わったわけであります。
 そして、第二の特徴は投票率の低下であると思います。
 四十三の道府県議会議員選挙の平均投票率は五六・二三%、市長選挙は六〇・〇三%、町長選挙は八三・五三%、市議会議員選挙は六〇・二五%、町村議会議員選挙は八三・四一%、東京都の特別区長選挙は四四・二八%で、同じく特別区議会議員選挙は四三・六九%。知事の選挙は五五・一二%で若干の微増ではございますけれども、これらを除いてすべて過去最低の投票率でございました。
 その結果、もう既に御案内だと存じますけれども、自民党は前回の得票率を三・七%落とされて一〇・四%の得票率、社会党は前回より二・五%落とされて七・九%、そして共産、公明は横ばいでありました。無所属はそれに比べて七・八%増の六〇%の得票率であります。
 その結果の市議選の都道府県別当選者数は、もちろん自民党は千名を割られました。千名を超えたのは公明のみであります。特に私の関心のあるのは東京都の区議選なり市議選であります。自民党、社会党は大変票を落とされ、かつ議員を落とされました。
 また、青島知事の得票率なり、あるいはだれがどういう投票行動をしたかという分析を朝日新聞の分析をおかりして申し上げますと、世代では青島候補には四十代が四六%、三十代が四四%で、二十代が三九%、六十代が三一、五十代が二八、七十代が二四という、こういう比率であります。これに対して石原候補の場合は、一番多かったのは七十歳代以上が四三%、六十歳代が三〇%、五十代は二五、そして青島知事の四十歳代四六%に対して何と一七%であります。三十代が青島知事が四四%に対して石原さんは一五%、二十代は青島三九%に対して石原一八%。しかも、この職業別を分析してみますと、何と会社員、公務員が青島四九%に対して石原三七%でありました。自営業者、専業主婦は石原氏が合わせて四二%に対して青島氏は三一%、こんな投票行動でございました。
 しかも、さらに分析を朝日新聞によって見ますと、政治に満足をしている層が石原氏に投票し、政治に満足をしていない人たちが青島氏に投票している、こういう調査結果でありました。
 私は、この選挙を通じまして、語る会や励ます台やあるいはいろいろな会に出て市民のあるいは議員さん方の御意見を伺いました。政治改革あるいは地方自治制度の改革等に対して大変関心を持っておられました。したがいまして、せっかくの分権の委員会ではございますけれども、この選挙結果はそれに無縁でないと、そのことを分析いたしましたがゆえに、あえてこういうお話を申し上げておる次第であります。
 そして、二十四日付の読売新聞では、「相乗り市長選にシラケ」という大きな見出しで、「「無党派候補」善戦の市も 政党離れ、地方に拡大」、こんな見出しで報じられておりました。
 統一選前半戦の四十三道府県議選に続き、各党の消長を占う目安として注目された市議選は、自民、社会両党がともに過去最少の当選者を記録する一方、政党色を出さない無所属の当選者が、前回(六千五百十三議席)を大幅に上回り、七千人を超えた。既成政党の低調を横目に増加する無所属の当選者は、道府県議選と同様、政党の求心力低下や中央政界の流動化に戸惑う有権者の意向を反映したものと見られる。こんな記事がございました。
 選挙戦を通じて、ぜひこの際地方分権をと、特に東京の場合は関心が高こうございます。せっかくこれまで地方の時代と言われ、そして衆参両院のあの全会一致の決議があり、そしてこの法案が出ている。その法案をもう少し具体的に、より地方に希望が持てるような法案にしてもらえないか、こんな意見がございました。
 先ほど沓掛委員や吉村委員も大変建設的な意見を申されました。沓掛委員は、機関委任事務について原則廃止をなぜうたわなかったのか、また吉村委員は、分権なくしてあすの日本はない、こんなお話をされました。また、山口委員はかねがねの持論をここに展開をされました。私はこのお三方の議論を通じながら大変感銘を受けました。
 私ども平成会は、この参議院で全党一致の賛成を得て、私は修正案を出させていただく用意をしております。以下、修正案の内容についてお話を申し上げますけれども、先ほどお三方がお述べになりました御意見と全く同じでございますので、この際ぜひ御理解を賜りたい、このように思います。
 具体的にお話をさせていただきますが、この地方分権の背景は、言うまでもなく、昭和二十四年のシャウプ勧告以来、地方自治に対するいろんな議論が高まってまいりました。そして、さらに最近は、国会の先ほど申し上げました衆参一致の決議をてこに、それこそ政治問題とされております。細川政権の誕生によって、地方分権は政治の大きな流れとなったことは御承知のとおりであります。今回提案をされました地方分権推進法案の枠組みも、実は細川政権時代に構想されたものと私は思います。しかし、分権への具体的方針を示していない政府案では地方分権が骨抜きにされるおそれがあり、そうならないために、新進党として実は平成七年三月八日、衆法第二号をもって修正案を提案申し上げました。
 その具体的な特徴点をここであえて申し上げますと、一つは、役割分担では、国の役割を最小限にし、その内容を明確にすることを明記した上で、自治体の行政が企画立案、調整、実施を一貫して自主的・自立的に行うこと。二番目は、機関委任事務、地方事務官制度の廃止を明記すること。そして三番目は、財政的には、自治体の自主財源である地方税の充実強化を基本として、地方交付税の財源調整機能の強化、補助金の整理合理化、地方債許可制度の弾力化、簡素化という具体案を提示しました。そして四番目には、地方分権推進委員会の審議内容についても定期的な公表を義務づける等々が盛り込まれているわけであります。
 しかし、その修正案も、衆議院ではわずかに修正したのみで去る十四日に参議院に送付されてまいりました。私どもはこの案を見て、せっかく地方分権の高まりの中で、送られてきた案が最善だろうか、これを党内で議論をいたしました。一生懸命議論いたしました。その結果、衆法第二号に提出した新進党案にさらに修正を加えて、この際、国民の期待にこたえる最善の案を提案したらどうだろうかと、こんなふうな結論を得たわけであります。
 そして、このことについて勝木理事が本会議で述べられました。その内容を引用いたしますと、「細川元総理は、分権の思想が全く明確でなく極めて不十分、従来のおすそ分け的な発想の域を出ない法案が成立することによって、今後当分の間、現状が固定化されてしまうことは、地方分権そのものの促進を妨げるものであり、千年禍根を残すもの」と述べたように、将来に禍根を残さないよう真摯に議論を進めて、法案の実効性を高め国民の期待にこたえるべきだという平成会の結論でございました。
 以下、修正案の内容について御説明申し上げます。
#82
○委員長(小林正君) ちょっと速記をとめてください。
   〔午後三時二十分速記中止〕
   〔午後三時三十三分速記開始〕
#83
○委員長(小林正君) 速記を起こしてください。
 まず、冒頭、続訓弘君の質疑について、今理事間で協議いたしましたところ、修正案の提案と受け取られるような趣旨の発言があったとの指摘がございました。このことについて速記を精査して検討させていただきますが、続委員の方からその前後について趣旨を十分誤解なきように御発言をいただければと思います。
#84
○続訓弘君 先ほど大変言葉足らずで恐縮いたしましたけれども、今考えている予定の修正案をこれから御提示申し上げながら御質問をさせていただきたい。今考えている予定の修正案……(発言する者多し)
#85
○委員長(小林正君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#86
○委員長(小林正君) 速記を起こして。
#87
○続訓弘君 党として修正を要求すると思われる諸問題について質疑を今から申し上げます。
 さて、私どもが考えている意見は、意見はですよ、意見は、実は参議院で特に宮澤先生が中心になって地方自治法の改正をされました。それは平成五年、私が議員になって直後であります。その改正の要点というのはどういう点かといえば、今まで自治体あるいは長は、国会に対して、総理大臣に対して、自治大臣に対して意見書の提出が認められた。だけれども、団体はその意見書が認められなかった。今回、宮澤先生を中心とした全会一致で参議院が議決をしたその案に基づいて地方六団体が提出した案がございます。それは皆様御案内のとおりだと思います。
 したがって、私どもは、せっかく参議院が修正をした法律をつくった、その法律に基づいて地方六団体から意見を申し出られたことに対して、参議院議員として真摯に受けとめることは当然のことだと存じます。それが私どものベースでございます。そのことを篤と御理解願いたいと存じます。
 それは既に平成六年の九月二十六日に提出されました。国会に、総理大臣に提出されたものであります。その中に最後にこんな言い方をしておられます。「「新時代の地方自治」のあり方を見据えつつ、地方公共団体の総意を結集した今回の意見書は、地域住民の期待に応えるための、地方公共団体自らの決意表明であり、国に対する具体的な初めての意見具申である。地方六団体の「地方分権実現」に向けての考えについて、理解を強く求めたい。」。こんな内容であります。これが私どものベースであります。
 その具体的な箇所、私どもが想定している箇所は第四条であります。これは「住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理する」というところに、効率的に処理する、「効率的」という言葉を挿入したらいかがだろうかと、こういうことであります。
 第二点、第五条の前半部分について、先ほど沓掛委員がおっしゃいました、原則廃止と。地方事務官制度を原則廃止ということをうたわれました。私どもは、原則をとって廃止にしたらいかがなものだろうかと、これが第二点。
 第三点、これは地方債の許可制度の関連でございます。先ほど山口委員は廃止すべきだと、こうおっしゃいました。私どもも全く同意見で、廃止を行うということを明記したらいかがなものだろうかと、こういうことでございます。
 第四点、これは地方財政のいわゆる自主性を尊重するという意味で一項を加える。国は地方公共団体が行う地方税の課税についてその自立性を尊重するものとする、この一項を加えたらいかがなものだろうか、このことによって私は地方自治が完全なものになるんじゃなかろうかと、そういう願いを込めての提案であります。
 第五点、これは先ほど山口委員がおっしゃいました。委員の任命は、私どもがせっかく参議院で修正をした、法案を出した、その法案に基づいての実は提案であります。前項の七人の委員の中には次に掲げる者を含まなければならない。その第一は、全国の都道府県知事及び都道府県議会の議長の各連合組織が共同推薦した者一人。第二項は、全国の市長及び市議会の議長の各連合組織が共同推薦した者から一人。さらに二層制云々をおっしゃいました。したがって、三番目に全国の町村長及び町村議会の議長の各連合組織が共同推薦した者一人、これを入れたらまさに地方のことが議論できるんじゃなかろうかと、こんな趣旨を加えております。
 そして、さらに四項目に、委員の任期は、これは時限立法、五年とする、ただし補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。これは単なる文言の整理であります。
 さらに私どもは、この委員会を、先ほどもいろいろ心配をされましたが、いわゆるこういう大変な地方分権の名実ともに国民の期待にこたえるような制度をつくるには、今の総理府のもとに置いていいものだろうかと。だとするならば、やはり特別の機関をつくってやったらどうだろうか、こういう議論がございます。これは例の選挙制度の改正の際に小選挙区の区割りの問題で、その区割りは行政に任せないで衆議院に置いたらどうだろうかという法案が出たことがございます。その例に倣って、本委員会は国会に設置したらいかがなものだろうかと、こんなものが私どもの考えている議論の点でございます。
 したがいまして、先ほどいろいろ議論がございましたけれども、今申し上げました私どもの議論こそこの場で、良心と良識を持っている参議院の場で真摯に議論していただくべきものではなかろうかと私は思います。(「今あなたは質問しているんだよ。答弁求めなさいよ」と呼ぶ者あり)いや、大変恐縮です。私が申し上げたのは、そういう趣旨から議論を深めていただきたいと、こういうことでございます。
 そこで、具体的に御質問申し上げます。
 地方債の許可制度の問題についてでございますけれども、実は東京都地方分権検討委員会答申というのが平成七年の三月に出されました。これは東京都知事に対してです。この委員は、座長が、元法制局長官、そして自治省の要職を務められまして最高裁判所の判事をされました角田禮次郎氏であります。そして、副座長は第二十四次地方制度調査会の副座長を務められました横浜国大の名誉教授の成田教授でございました。そのほか委員十五人、全体で十七人の委員の方々が、平成六年五月二十三日に知事から、東京都の地方分権のあり方について具体的な方策を調査検討してほしい、こういうふうな要請があって、それを受けてその結論を出されたのが三月十六日であります。
 その中で、特に地方債の関係についてこんな記述がございます。
 地方債許可制度の廃止
 地方債は、社会資本整備の財源として、計画的な財政運営を確保するうえで大きな役割を果たすものである。しかし、起債が許可制度のもとにあるため、事業の性格や財政状況に応じた弾力的な活用ができず、地方自治体の自主的かつ計画的な行財政運営が阻まれている。
 地方債は、昭和二十二年以来「当分の間」として、許可制が採られてきた。しかし、起債は、議会の審議を経て予算で定められることから、住民の意思は十分反映されており、地方自治体の判断と責任について、財政状況や財政事情に応じ、適切に地方債を活用できるようにしていくことが必要である。
 許可制の理由の一つとして、地方自治体の財政の健全性を確保するために、国が関与しなければならないことがあげられている。将来の元利償還費などの財政負担を懸念するためであろうが、財政の健全性は、本来、地方自治体の自主的な判断に委ねるべきものであり、許可制度存続の根拠とはならない。
 以上のことから、地方債許可制度は、廃止すべきである。
 なお、許可制の別の理由として、公的資金の配分の公平を図るということもある。許可制廃止後も公的資金による地方債の引受けの役割は残るため、公的資金枠や配分方法の決定について、地方自治体の意見を反映する場が必要であり、前述の調整会議において協議することが適当である。こういう実は内容になっております。
 このことについて、先ほど山口委員の質問に対して自治大臣はお答えになりましたけれども、こういう答申に関連して再度御所見を例えればと存じます。
#88
○国務大臣(野中広務君) 続委員から前段に統地方選挙の問題あるいは細川元総理の問題について、これは我々の意見を求められたわけではないわけですか。違うんですか。
#89
○続訓弘君 違うんです。
#90
○国務大臣(野中広務君) そうですか。それじゃ、それに触れることは避けたいと思いますけれども、少なくとも私は、細川さんも議席を持ってそれぞれ両院において満場一致議決された地方分権の推進につきまして、またこれを推進する立場の知事経験者といたしましても、さらに一国の総理をおやりになった方が、衆議院におきまして、最終の法案の取りまとめは与野党一致してそして満場一致で議決をする態勢ができて委員会決議が行われ、さらに本会議に出されたものでございます、少なくとも議会制民主主義を基本として理解される一国の総理を経験された方が、議席を離れ審議権を放棄することによって、何か委員の御発言をかりると、今回の分権のあり方というのは千年の禍根を残すようなものなどと言われることは、私は議員としての資質を疑うほどでございます。まことに残念に思っておる次第でございます。一言触れておきたいと存じます。
 次に、地方債の許可につきましては、続委員年来の御主張でありますことはよく承知をしておるところでございますけれども、行政経験の豊富な続議員でございますので、全国三千数百にわたる地方公共団体の財政運営についてそれぞれ御理解をいただいておると思うわけでございます。
 先ほど山口委員にも申し上げましたとおりに、許可制度につきましては、一つには地方財政計画の策定を通じまして地方債の元利償還財源を保障しなければならないし、さらには地方財政及び個別の団体に対する適正な地方債の発行規模を維持することが必要でもございます。また、お述べになりましたように、財政力の弱い団体におきましても、社会資本整備あるいは地方のそれぞれ地域の活性化のために必要な資金が円滑に調達できるようにしなければならないのでございます。こういう意味から、そのそれぞれの諸点を考えますときに、これを存続する必要があると私は考えるわけでございます。
 ただ、臨時行政改革審議会において述べられておりますとおりに、あるいは昨年の閣議決定によります地方分権の推進に関する大綱でも示されておりますとおりに、その地方債の許可の弾力化や簡素化というのはこれからも十分認識をして弾力化、簡素化に努めてまいらなくてはならないと存じておるところでございます。
#91
○続訓弘君 さらにこの答申によりますと財政問題について提言をしております。それは私どもが先ほど議論として申し上げました財政自主権に対しては、課税自主権を保障してほしい、保障すべきだ、こんな趣旨の事案を検討しておるということを申し上げましたけれども、この答申の中にやはりそういうことがうたわれております。
 私は、この東京都地方分権検討委員会の答申は、先ほども申し上げましたように、各界の有識者のしかも大変な方々がお入りになって真摯に検討され、将来の日本を、そして将来の自治のあり方を検討された結果の私は答申だと思います。しかも、当時は全国知事会の会長であった知事が諮問し、そして知事に対しての、鈴木知事に対しての答申でありますだけに、私はこの答申の内容というのは相当重みがあると、先ほど申し上げました地方六団体の要望と同じような重みのあるような感を深くするわけであります。
 その中に、今申し上げましたような地方債許可制度の廃止、あるいは機関委任事務の廃止、あるいは地方事務官制度の廃止、あるいは財政自主権の拡大等々が褒言をされております。
 そしてさらに、先ほど行政局長から機関委任の問題について、事務の数について申されました。それは県として千三百八十、市に百八十二の機関委任事務がある。東京都のこの検討委員会も悉皆調査をいたしました。東京都の各局にどんな事務が機関委任事務としてあるのか。その結果、国が関与している総数は千二百七十二、その中で権力的関与、命令だとか許可だとか認可等が三六%の四百六十二件、非権力的関与が八百十件、これが六四%ある、こういう結果であります。
 しかも、この問題点について同答申はこんなふうに述べております。
 第一は、機関委任事務があることで広範に国の関与が行われ、地方自治体の主体的な判断を制約し、地方自治体は国の下請け機関のような位置に置かれていることである。
 第二は、本来は地方自治体が独自に行うことができる自治事務についても、国は広く関与していることである。地方自治体が地域の実態に即した施策を実施するうえで支障となっている。
 第三は、国の関与は、法律で定められた場合以外にも、政省令、通達、さらには非公式な手段によっても事実上行われていることである。包括的な委任による政省令に基づく関与は問題がある。通達や非公式な手段などによる関与は、行政の公正・透明性という点でも問題がある。
 第四は、国は、地方自治体に計画を策定させるとともに、その策定にあたって関与していることである。これにより、地方自治体の自主的、総合的な行政の展開を制約している。
 第五は、地方自治体の組織や職の設置にまで国が関与していることである。このため、地域の実態を踏まえた、時代に即応した柔軟な対応を妨げている。こんな機関委任事務に対しての問題点を指摘しております。
 これについて総務庁長官の御所見を伺いたいと思います。
#92
○国務大臣(山口鶴男君) 衆議院におきまして、細川議員も在籍しておられるわけでございますが、その衆議院が全会一致をもって可決をいたしまして参議院に御送付いたしました案につきましては、私どもとしてはこれが最善のものというふうに理解をいたしている次第であります。もちろん参議院における審議権というものは当然あるわけでございますので、これは参議院における御審議の経過を私どもとしては見詰めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 さて、東京都の意見書の問題でございますが、御案内のように去る二月二十八日、政府におきまして分権推進法案を閣議決定いたしました。この閣議決定に際しまして、地方制度調査会の宇野会長も歓迎するというコメントを発表いただきましたが、東京都知事の鈴木俊一氏が会長を務めております全国知事会、あるいは全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会、いわゆる地方六団体一致をいたしまして、閣議決定いたしました地方分権推進法案についてコメントをいただきました。内容は、地方分権の推進が具体化に向け大きく前進したものであり、喜ばしいことであります。
 本法案においては、地方分権を推進していく上で中核となる独自の事務局を持った地方分権推進委員会の設置が盛り込まれ、政府が作成する地方分権推進計画について具体的な指針の勧告や推進計画の実施状況について監視し、意見を述べる機能が付与されておりますことから、地方の意見を反映した地方分権が着実に前進するものと期待しているところであります。
 ここに、内閣総理大臣はじめ政府関係者のこれまでのご理解とご努力に対し深く敬意を表するとともに、本法案が是非とも今国会において、すみやかに可決成立いたしますよう関係者の更なるこ尽力をお願いする次第であります。こう述べておられるわけでございまして、先ほどお述べになりました意見書が提出された東京都知事を含めた地方六団体がこのようなコメントを発表いただいていることを私どもは大変力強く思っている次第であります。
 そして、お尋ねの機関委任事務につきましては、先ほど来お答え申し上げておりますけれども、私どもは機関委任事務を残そうと思っているわけではございません。これを思い切って整理合理化したいというふうに考えておるわけでございまして、事務の必要がないものについては廃止、これは当然であろうと思います。また、事務の必要があるというものにつきましては地方公共団体の事務としていわゆる団体事務としてこれを存置をするという方法があろうかと思いますし、そして国の事務としてあくまでも存置すべきものだというものにつきましては、これは国の出先機関でもって処理をするという方法もあろうかと思います。
 しかし、これは行政改革推進の上からいって問題点があるのではないかという見解も申し上げました。地方公共団体に国の事務として存置するものを実施を依頼するもの、これにつきましては機関委任事務として残るというものがあるいは議論の結果あり得るかもしれません。あるいは事務の処理の仕方についてはこれは機関委任事務にかわる新たな仕組みを考えるべきだという結論が出るかもしれません。そうなれば当然機関委任事務というものが廃止をされるということも含むものであるということは先ほど来お答え申し上げているとおりでございます。
#93
○続訓弘君 今、大臣もお答えになりましたけれども、確かに機関委任事務の受け皿として団体委任事務が用意されている、こういうお話のことも今伺いましたけれども、実は団体委任事務は本来条例等々をつくって団体が自主的に事務ができるということになっておりますけれども、実際はそうはいかないのが実情でございます。
 例えば小さい問題で大変恐縮でございますけれども、保育所の入所の関係についても団体委任事務になっておるわけです。ところがすべて厚生省の指図に基づかないとうまくいかない。保育所あるいは老人ホームの建設に際しても、本来団体委任事務でありますけれども、これまた制約がされております。車ほどさように、いわば建前は団体委任事務、その団体が条例、規則等を制定して自由に事務が処理できるということになっているのにかかわらず、実際はそうでないというのがたくさんございます。そのことについてはこの東京都地方分権検討委員会の中にも指摘しておられる。それらのことについて御承知あるのかどうなのか。
 さらに、そういう問題について大臣として今度は名実ともに団体委任事務としての機能を果たせるような御指導をいただけるのかどうか、その辺のことを伺っておきたいと思います。
#94
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 先ほど申しましたように、事務の必要性がないものはこれは廃止すればいい、事務の必要性があるもの、これについては地方公共団体のいわば事務とするということもあると思います。それからまた、御指摘ございましたような地方自治法の別表第一、第二にあります団体委任事務として扱うという方法もあろうかと思います。それからまた、機関委任事務として浅さざるを得ないものあるいは新たな仕組みを考える方法、さまざまあると思いますが、これらにつきましては地方分権推進委員会におきまして十分な御議論をいただきまして、御議論の結果出ました結論を私どもは尊重いたしまして、そしてその考え方を織り込んだ地方分権推進計画を策定し、これに基づいて法律案を作成いたしまして衆参両院の御審議をお願いする、こういう段取りになっているのではないかと思います。
 したがいまして、先ほど来お答えいたしておりますように、いわばそういった御議論の結果新たな仕組みということを考えるとすれば、当然、機関委任事務について廃止ということも含まれるものである。これが私たちの考え方だということを繰り返し御答弁申し上げておる次第でございます。
#95
○続訓弘君 先ほども申し上げましたけれども、地方自治を本当の地方自治にするためには、私はもう大臣も御案内のように、地方の課税自主権、これを保障する必要があるんじゃなかろうか。
 例えば、実は狂乱土地のときに、固定資産税の減額をしてほしいという都民の要望がございました。それに対して、今の自治制度ではそれは不可能である、なぜならば制約条件がございますと。したがって、昭和六十三年だったと記憶しておりますけれども、窮余の策として知事の権限に基づく都市計画税の減免を行いました。そのときにも実は自治省当局に大変な折衝を余儀なくされたわけであります。
 少なくとも長が都民の要望にこたえて施策を果敢に実行する、そういう保障がない限り、私は地方自治の実現はない、こういうふうに思います。
 そして、例えば標準税率以下の税を取る場合には起債の制限がございます。それはその団体が富裕だということで制限をされる。そうなりますと、いわゆる地方の自主性は結果として損なわれる。いろいろ確かに問題はあるかもしれませんけれども、私はそういう課税の自主権が保障されて初めて地方自治のあしたがある、こんなふうに思いますけれども、自治大臣としての所見を伺いたいと存じます。
#96
○国務大臣(野中広務君) 御指摘の課税の自主権の尊重についての御質問でございますけれども、委員もう十分御承知のとおりに、地方税制度におきましても課税に対します標準税率によらないことが法的に可能でございます。超過課税などができることは御承知のとおりでございます。また、地方団体の課税に関する自主性を尊重する立場から、財政上の特別の必要があると認められる場合におきましては法定外普通税を課税できる制度を設けておるところでございます。
 地方の自主性ということを考えましても、しかしこうした制度につきましては、社会経済活動が広域化し流通も発達しておる今日でございますので、異なった地域に住む納税者間の負担の公平感ということを十分配慮していかなくてはなりませんし、また地域間での財政力の格差の拡大やら地方財政の健全性の確保といった点からも、そこには一定の制約があらなければならないと私は考えておるところでございます。また、特に流通課税につきましては、税の性格上一定の税率の設定といった制約があることはやむを得ないというように存ずる次第でございます。
 したがいまして、現行の地方税制度におきまして地方団体の自主性を配慮したものとなっておると私は考えるわけでございますけれども、提案いたしております法律の文言は、地方分権推進大綱方針等を踏まえた上での地方税財源の充実確保につきまして基本的事項を規定したものでございまして、ぜひその点は御理解をいただきたいと存ずる次第であります。
#97
○続訓弘君 私どもは、今申し上げたような願いを込めて、第六条の二項に、国は地方公共団体が行う地方税の課税についてその自立性を尊重するものとする、こういうふうにいたしたらいかがなものだろうか、そうすることによって私が先ほど申し上げました地方自治のあしたがあるというふうに理解をするものであります。
 そこで、先ほども申し上げました、また山口委員も御質問されましたけれども、この委員に対してやはり地方団体の、先ほど山口長官は、もちろんそういうことは配慮するのは当たり前だ、こうおっしゃいましたけれども、地方団体側からすれば、私は、参議院で修正をした地方自治法の改正の団体、それは知事会、市長会あるいは市町村長会、議長会も含めまして、そういう地方六団体の中からそれぞれ一人ずつ選んで推進委員会の中に委員として参加していただく、それが一番安心できる、しかも法案の中にそういうことがうたい込まれれば安心されるんじゃなかろうかと思いますけれども、そのことについて長官の御所見はいかがでしょうか。
#98
○国務大臣(山口鶴男君) 先ほどもお答えいたしましたけれども、委員が御指摘をされた地方六団体としての意見書、私どもはそれを十分踏まえまして今回法案を御提案申し上げたわけでございますが、この法案の閣議決定を行いました際意見書をお出しになりました地方六団体が出しましたコメントにつきましては先ほど読み上げた次第でございます。
 確かに、御指摘のような意見を地方六団体が申しておられることは私もよく承知をいたしておりますが、しかしそれを踏まえました法案全体としては、地方の意見を反映した地方分権が着実に実施されるものと期待をしている、今回の法案については速やかに成立することをお願いする、こう言っておるわけでございますので、この点は意見書をお出しになりました地方六団体も、政府が提出いたしました法案、衆議院で二点の修正がございましたが、その法案については十分評価をいただいているというふうに認識をいたしている次第でございます。
 したがいまして、委員の任免につきましては、先ほど山口委員にもお答え申し上げましたが、いずれにいたしましても、地方分権の推進に非常な熱意をお持ちであり、リーダーシップを発揮してこられた村山総理大臣が国、地方のバランスを十分考えて、しかも両院の御同意を得られるような高い識見をお持ちの方を任命する、こういうわけでございますので、その点は御理解いただけるのではないかと存じます。
#99
○続訓弘君 私たちは議論のための議論をしているわけじゃありません。やはり地方分権というのが歴史的にどういう状況のもとで叫ばれ、そして位置づけられなければならないのかということを十分踏まえた上で、実はこれが千載一遇のチャンスだ、ぜひ法案の審議の中でもし補う必要があるならばやはり補ってほしい、こういう願いを込めての質問であり、私どもの議論でございました。
 若干誤解を生んだような最初の出だしで大変恐縮でございましたけれども、私どもは決してそうではない。先ほど冒頭に申し上げましたように、吉村委員が、地方分権なくしてあしたの日本はないと。また、沓掛委員が申されました、機関委任事務を原則廃止すべきではないか。さらには山口委員がかねがね自分の議論を展開されました。私どもこの委員会は、常にそういう方向で議論をしてまいりました。特に地方行政委員会でもそうでございます。私どもは右も左もありません。ただあるのは、ひたすら地方団体を、地方自治を、どうすれば本当の意味の地方自治ができ上がるのか、そして都民あるいは国民の期待にこたえ得るのか、一点それだけでございます。
 その辺のことを篤と御理解を賜りまして、ぜひ最終的に私どもが御提案申し上げるかもしれない案に対して御理解を賜れればとお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#100
○小島慶三君 両大臣、長工場でお疲れになったと思いますが、もうちょっと辛抱いただきたいと思います。
 私は、きょう議院運営委員会と重なりましたものですから途中の時間を外させていただきましたので、あるいは重複することがございましたらお答えいただかなくても結構でございます。
 まず申し上げたいんですけれども、私は先生方のようなこの問題の専門家ではございませんので素人めいた質問になって恐縮でございますが、時間の関係もありまして二問ほどお伺いをしたいというふうに思っております。
 私、自分のことを申してはなんですけれども、この十年ほど村づくり、地域おこしといったようなことに携わってまいりましたし、それから全国に二十五ほど小島塾というものを持っておりますので地方を歩くことが非常に多いわけでございます。そういった観点から見ましても、先ほど来議論がありましたように、この地方分権推進法案というのは極めて画期的な法案でございまして、ある意味では我が国の将来の命運を決めるというぐらいの重大な法案であろうというふうに思っております。そういう意味でこの問題に対して非常に関心も持っておりますし、ぜひこの法案の成立、この問題の推進をお願いしたいというふうに思っております。
 それで、伺いたい点の一つでございますが、この地方分権と人材という問題でございます。
 先ほど吉村先生の御発言の中にも、中央が燃えているほど地方は燃えていないという、そういったお話がありました。私も地方を回りまして、全くそのとおりではないか、中央とかなりギャップがあるという感じがいたしております。
 それで、例えば何かをしようという市や町や村でも、例えば村おこしをやる場合に中央のシンクタンクから先生を呼んできて設計をしてもらおうというふうなことで、自分たちの伝統とか歴史とかそういうものを踏まえた地域おこしてはなくて、そういうふうなことに頼りがちであります。そうしますと、非常に壮大な庁舎の建設とか、あるいは公民館、体育館はいいといたしましても、ゴルフ場の建設で町に十以上もあるといったようなところもありますし、それからリゾートというようなものにのめり込んでしまっているところもある。水族館がはやれば水族館だけ方々ではやる、あるいは駅前の開発なんかをやる場合にはもうほとんど似たり寄ったりの光景ができてしまうというふうに、極めて画一的に物事が推進される、そういうことを見て回ったわけであります。
 恐らく地方分権でそういうものがさらに加速されるとは私は思いません。この法律の推進によって本当に新しい自立性、自主性に富んだ地方が建設されるというふうに期待するわけでありますが、そう思いますのは、立派に自分のところの発想で自分のところの力で町おこしをやっているところがあるという例を幾つか見ているからでございます。
 例えばこれは岩手県のある町でございますが、人口三千、新幹線も縦貫道路も何も通っていないという町ですけれども、そこの町にすばらしい、これは武村さんの「小さくともキラリと光る」じゃないですけれども、もう本当に先端産業の粋のような工場が二つ出ているんですね。この工場をやっておりますのは東京の小島塾のメンバーでございまして、分社制ということをやっているんです。要するに、従業員百人以上は面倒を見切れない、工場をつくってもやっていけない、百人ぐらいならばその人間の個性も家族もそれから考え方も全部わかるという姿勢で、百人ぐらいの単位になると、本社から工場をどんどん分けていくわけですね。分社制というので今二十六ぐらいの会社になっていますけれども、これは世界的にも注目されまして、彼の書いた「分社制」は世界の十七カ国語にも訳されておる。
 その工場が二つ、岩手県の町に進出をしたんです。それで私、お前さんどうして岩手県のあんな不便なところを選んだのだと聞きましたら、こういう答えが返ってきました。まず町長さんのところへ伺ったら、その町の庁舎がおんぼろで廊下を歩くとギシギシ鳴るというんですね。それで町長さんに、こんな古い庁舎をほうっておいていいのかと言ったら、三千の住民の最後の一人までが庁舎を建て直してくれと言うまでは私は手をつけませんと言うんです。それで大変彼は感動して、こういうところならいい仕事ができるだろうというのでそこへ工場をつくったわけです。非常にこれは世界的な工場でありまして、大変隆盛をきわめております。
 だから、やっぱり立派な人がいて、そしてリーダーシップを発揮して、若い青年たちがそれに共鳴して、もう一生懸命になってやれば町づくりというのはできるんだというふうに思いまして、その町づくりの動きを後をずっとフォローしているんです。
 国有林の払い下げを受けまして、それで牛と豚と、それから羊とシカと鶏と、それぞれ牧場をつくりまして、またその必要とする飼料とかそういうもののために、水田のほかにトウモロコシとかそういったものもつくってこれも自活する。そして、それを単に後は流通過程に任せちゃうというんじゃなくて、加工して、そしてそれをみんなで食べる食堂もつくり、それから宿泊施設もつくる。それから宿泊施設の周りにはハーブもつくって、そして観光施設としても立派に成り立っている。毎日数千人から、日曜なんかには万という人がその貧寒たる町に見に行っているわけですね。ですから、一次産業から五次産業まで全部あるというのが彼の自慢なんですけれども、そういう町づくりもできると。
 それにはやっぱり町長さんのリーダーシップというのがなきゃなりませんし、それから町民の共感、感動の共感というのがなければいけませんし、そういうものをつくっていく町づくりをしていくためには、どうしてもこれはやっぱり人がいなければだめだというふうに思うのでございます。
 今度の分権法案もそういう人材が問題を受けとめていくようでなければこれは成功は非常に難しいと思いますし、また逆に、ある程度そういう人材が育ては分権というものもどんどん推進されるという鶏と卵のような関係に立つと思うんですけれども、こういった点について余り議論がされてないんですけれども、この辺、どういうふうにこの人材の開発という問題を受けとめておられるか、これは野中大臣にお伺いしたいと思います。
#101
○国務大臣(野中広務君) とうとい経験と非常に高い見識をお持ちで、かつ各地において人材育成に情熱を傾けていただいております小島委員から具体的な御提言やらあるいは内容を承りまして、私ども地方自治を進めていく立場の者として深い感銘を受けますとともに、また一面、地方からの分権に対する熱い熱意の伝わり方、あるいはみずから考えみずから行動するという地方のあり方や人材育成についてとうとい御見識をただいま伺ったわけでございます。
 私どもといたしましても、今回の地方分権を推進するためには、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるような状況をつくり上げるために、国と地方との役割分担、先ほど来御議論をいただいております権限移譲や国の関与等の廃止、緩和、あるいは税財源の充実強化等をこの中で盛らせていただいているわけでございますし、それを期待しておるわけでございますけれども、同時にそれ以上に地方公共団体においてみずから積極的に行政改革を進めますとともに、この行政の公正や透明性の確保や能力の向上というものを、そして自己チェック体制というものを整備をしていかなくてはならないと考えておるわけでございます。
 それだけに、今日まで約八年ほどの経過を踏んでまいりましたけれども、あのふるさと創生事業というのは、それぞれ地域がみずから考えて工夫して立ち上がる、そして市町村長がリーダーシップを発揮してやれば、金太郎あめのような状態じゃなしに個性のあふれる市町村をつくるという、私はそういう実績を多くの市町村で生むことができたというように喜んでおる次第でございますけれども、今お話しございましたように、何といっても若者が定着をし、そしてそこに魅力を感じて町づくりに参画してくれる環境というものをつくっていくことが何よりも大切でございますので、市町村の職員の研修の問題あるいは採用の問題、そして人事交流の問題、こういう問題を中心とし、あるいはまたさまざまな施策を投入することによりまして、市町村に根づく若老のいわゆる魅力ある地域づくりというものをより一層進めてまいって分権の実をつくり上げていかなくてはならないと存じておるところでございます。
#102
○小島慶三君 ありがとうございました。ぜひそういうふうにお願いをしたいと思っております。
 それから、これはもう御存じのことでございましょうが、地方を歩いておりまして感じますことは、それぞれの地域、日本の各地域は非常に個性に富んでおる。それから歴史的に見ても、古い話ですけれども、例えば江戸時代なんかには地方に随分人材がいたわけです。それで、例えば幕府は、中央集権的と言われましてもあれは一大名にすぎないのでありまして、藩が実際は国ということになっておった。そして、では藩が直接住民をコントロールしているかというとそうではなくて、藩と住民との間に村方三役とかそういった人たちがおりまして、これはもう実に立派な仕事をしている。産業にも経験がある、生活の知恵もあるという人、村方三役が大体の仕事をやっているというので、江戸時代には庄屋仕立てと言ったそうでありますが、そういう言葉が生き生きとして、非常に立派な人材を輩出し、そしてまた「地方落穂集」といったようなすばらしい行政経験の書も出ておりますし、各地域には必ずそういう伝統と歴史があるというふうに思っているわけでございます。中央集権で埋没しちゃったんではないんだろうというふうに思うので、ぜひそういった歴史と人材の発掘ということをお願いしたいと思うのでございます。
 それに関連しまして感ずることは、今度の地方分権のいわゆる地方というのは一体何かということでございまして、例えば国民生活に密着したということになりますと、これは自治体と市町村ということになりましょう。しかし、それでは余りに分散的で、そして分権推進能力についても問題があるというのでしたら、これは広域市町村、広域自治体といったようなものを考える必要がございましょうし、あるいは昔の郡単位ぐらいのものを考えないとそういった目的を達せないかもしれません。しかし、そのままでいけばこれは県との二重行政になるということにもなりますし、県を本位として考えるという、六団体ですか、いろいろな御意見なんかもあるようでありますが、この辺のバランスを一体どう考えていくのか。
 それから、県を主体として考える場合には、一時盛んに出ておりました道州制という問題が出てまいると思うのでございます。その道州制についても、これはどういうふうになるのか。例えばイギリスがやりましたのは一九七八年の八月にスコットランドの分権法案というものを通して半独立国みたいにしたわけでありますが、これはもともと国であったんだからそういった動きが出てもおかしくはないと思うんですけれども、恐らくそこまでの道州制というのはお考えにないと思うんです。
 こういった、例えば上からの体制からいうと国、道州制あるいは県、そして広域自治体あるいは市町村といったような仕分けをどういうふうに考えていくのか。この辺のところは恐らく今度できる委員会で議論を詰められることになると思うんですけれども、今まで伺っている範囲ですと余り道州制とか広域市町村とかそういう議論が出てこないように思うんですけれども、この辺はいかがなものでしょうか。お差し支えなければ教えていただきたいと思います。
#103
○国務大臣(野中広務君) お説のように、この受け皿としての考え方はいろいろあろうかと思いますけれども、昨年の地方制度調査会の答申によりまして分権の推進に関する答申が行われたわけでございますけれども、「当面、都道府県により重点を置いて進めることが現実的かつ効果的である」というように位置づけられますとともに、その上で住民により身近な存在である市町村への権限移譲が適当であるというようにされておるところでございます。
 委員御指摘のように、今日、広域行政が非常に多様化し、そしてその広域行政のあり方が求められておるところでございますので、先般、地方自治法の改正等によりまして、中核市やあるいは広域連合制度の創設をもお願いすることができたわけでございますので、今後ともこういう広域行政のあり方を十分受け皿として考えながら、私どもは、当面、現在の二層制を前提とした地方分権を推進していきたいと考えておるところでございます。
 今お話のございました道州制の導入につきましても、それぞれ御意見のあるところでございます。今後の地方自治制度の基本的な構造にかかわる極めて重要な問題でございますので、中長期的な問題点といたしまして、地方制度調査会の御審議を踏まえながらも、とらえてまいらなくてはならない重要な課題であると認識をしておるわけでございます。
#104
○小島慶三君 ぜひいろいろ議論を積み重ねていっていただきたいと思います。
 やはり、くどいようですが、地域には地域の個性というものがございまして、その地域の自立性、自主性というものを中心としたシステムができ上がるということが望ましいと私は思っております。ですから、最終的にどういう形で収れんしていくかわかりませんが、余り画一的でなくて地方の独自性が生かされて、そして人がやる気になってという、そういう理想的な分権推進をぜひお願いしたいとお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
#105
○吉川春子君 質問いたします。
 憲法理念との関係を伺いますけれども、憲法の言う地方自治の本旨は、地方自治の目的は地方公共団体における住民の基本的人権の保障にあり、そのためには区域住民の意思が自治体の組織や運営に反映されるという住民自治と、またその前提として、自治体は国との関係において対等、並立の関係に立つことが原理的、理念的に求められているという団体自治というふうに解されているんですけれども、本法案の地方分権の推進も地方自治の基本理念に基づいて行わなくてはならないと考えます。本法案のどこにこの点を読み取ればよろしいんでしょうか。具体的に何条というふうに言っていただきたいと思います。
#106
○国務大臣(山口鶴男君) 第一章総則、第一条目的、第二条の地方分権の推進に関する基本理念、国及び地方公共団体の責務、そして第二章の地方分権の推進に関する基本方針という点をごらんいただければ、憲法に言う地方自治の本旨、それを守るために今回、地方分権推進法を御提案申し上げたということが御理解いただけると存じます。
#107
○吉川春子君 憲法の地方自治の本旨に基づいて地方分権の推進が行われるということを確認した上で次の質問に移りたいと思います。
 地方自治を拡充する上では、国から地方への大幅な権限移譲が不可欠だと思います。とりわけ住民生活に密着した福祉、教育、町づくり、村づくりにかかわる権限の移譲が求められていると思います。
 それで、第四条の国と地方自治体の事務についてお伺いいたしますが、「国と地方公共団体との役割分担」で、国は「国際社会における国家としての存立にかかわる事務」、二番目に「全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務」、三番目は「全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施」、四番目は「その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い」、このようにしていますね。
 一から三についてもかなりあいまいなんですけれども、特に四は国の事務を思い切って広くしたもので、読み方によってはあらゆる事務を包含することになりかねずに、地方公共団体に移譲すべき事務が極端に狭くなるのではありませんか。この点についていかがでしょうか。
#108
○政府委員(陶山晧君) ただいま大臣からも御答弁ありましたように、この法案の全体を通じまして国、地方の関係についての物の考え方というものを目的規定以下、整理をいたしておるところでございます。
 ただいま御指摘のございました国と地方団体との役割分担の条文につきましては、地方団体の御意見等の中には、個別具体的な事務を個別に列挙して整理されたようなものがあることも当然承知をいたしておるわけでございますが、法律の規定ぶりとして、その法律の規定の表現として整理をいたします場合に、当然のことながら立法技術上の制約もありますれば、また複雑膨大な行政事務についてそれを個別にすべて法律の条文の上で仕分けをするということも大変に技術的にも難しい問題であることも事実でございます。
 ただいまの先生の御指摘のところについては、地方制度調査会の御意見あるいは地方六団体の御意見の趣旨も十分そんたくをし、法制的な観点も含めて政府部内で十分議論を詰めた上での法律の規定ぶりとなっておりまして、決して国の事務の内容を拡大するという前提なり考え方なりがあるという意味では全くないということを申し上げておきたいと存じます。
#109
○吉川春子君 今、地方六団体のことを言われましたけれども、地方六団体は例えば十六項目を国の事務と限定して、そのほかは全部地方自治体の事務ですよと、こういう形に決めておりますので、今それをそんたくして決めたというのですけれども、全く道なんです。
 この法案は「その他の国が本来果たすべき役割」、だから全部ひっくるめるわけですよ。その前に百歩譲って、三つはいろいろ例示的にしてあるんだけれども、それをさらにプラスして「その他の国が本来果たすべき役割」、国が果たすべき役割というふうに国が考えれば全部それが国の事務になる、こういうある意味では無限定的な定義ではありませんか。その点についてはどうでしょうか。
#110
○政府委員(陶山晧君) 重ねて申し上げますけれども、ただいま先生の御指摘の趣旨が国の役割はいわば限定すべきであるという趣旨で御指摘があったとすれば、繰り返しになるかもしれませんが、広範多岐な国の事務権限に関しまして厳格にその範囲を規定するということは必ずしも現実的ではないということだろうと思います。また、国会における立法機能との関係でもいろいろ議論のあるところでございますし、そういう意味からも誤解を生じるおそれがあるのではないかというふうに考えております。
 いずれにしろ、個別具体的な事務の国、地方の機能分担につきましては、この法律案の物の考え方に沿いまして、個別具体的にその事務の性格ごとに吟味をした上で権限移譲なり関与の問題についての議論が詰めていかれることになるというふうに考えているところでございます。
#111
○吉川春子君 私は、地方六団体の考えがいいとか悪いとかということはきょうは言うつもりはないんですが、今おっしゃったのはつまり限定すべきではないというお答えですから、地方六団体の考えとは逆だということだけ今はっきりわかりました。
 同時に、国の事務との関係で、地方公共団体の事務についてこの法案は、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理するとの観点から地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うべきことを旨として地方分権の推進を行うと、こういう形になっていますけれども、この範囲も非常に広いというか、あいまいですね。
 それで、例えば大綱方針では、地方公共団体は、「地域に関する行政を主体的に担い、企画・立案、調整、実施などを一貫して処理していくものとする。」と、こういうふうになっていますし、行革審の最終答申でも、「地方行政は基本的に市町村と都道府県の責任で完結することが可能となるような総合的な自治行政主体として確立されること。」、あるいは「地域に関する行政は、基本的に地方自治体において立案、調整、実施するもの」としているわけですね。これも私は評価は全然きょうは言ってないんですけれども、余り賛成できるものじゃないものも今言っているんですが、しかしそれと比べてもこの法律は非常にあいまいではないかという印象がぬぐえないわけですね。
 それで、国が企画立案あるいは一般的な基準を設定するという機能を担って、自治体がこれを実施する機能のみを担うと、そういうような考え方が背後にあるんじゃないかとさえ思うんですけれども、その点についてはいかがですか。
#112
○国務大臣(山口鶴男君) 局長からお答えがございましたけれども、第四条にあります規定は、国において処理する事務につきましては三つ事例を挙げているわけですね。「国際社会における国家としての存立にかかわる事務」、それから「全国的に統一して定めることが望ましい」云々という事務、「又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業」、これが中心でありまして、「その他」の方に別に私どもウエートを置いてこの法案を作成しているわけではございません。やはり地方制度調査会が@、A、Bと掲げて括弧して具体的な事例を挙げておりますけれども、あの趣旨を踏まえてこの条文をつくっているということで御理解いただきたいと存じます。
 それから、「地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割」のまさにその「自主的かつ総合的な実施」というのは、地方分権大綱で言いますところの企画立案、調整、実施などを一貫して処理していくという趣旨で自主的かつ総合的な実施ということをうたっているわけでございまして、分権大綱に言う内容とこの条文にあります「自主的かつ総合的な実施」というものとは同じ趣旨のものであるということで御理解をいただきたいと存じます。
#113
○吉川春子君 そうすると、法律技術的な問題でそういうふうに表現が変わったんですか、大臣。
#114
○政府委員(陶山晧君) ただいま大臣からも御答弁がありましたが、いわばこの法律の規定は審議会の答申あるいは研究会の報告等々をそのまま表現ぶりとして利用できる場合ももちろんございますけれども、諸般の法制的な性状の観点を含め法律の条文として吟味をいたします過程で、必ずしも表現ぶりとして同じ表現にならないというような場合もあるわけでございます。
 総合的に吟味をいたしました結果こういう法文になっておるわけでございますが、ただいま大臣が申し上げましたように、その企画、調整、実施等々の分権大綱の意味内容はこの法案の規定の中に含まれているというふうに理解をいたしております。
#115
○吉川春子君 私が今質問をしました趣旨は、要するにこれから何を地方公共団体に対して権限を移譲していくか、それを法律でかなりはっきり書かれていなければ、非常に地方の事務も国の事務もあいまいで広範囲でというようなことになると、その具体的に決めていく作業は分権推進委員会に白紙委任的に任されていくんじゃないか。ここが問題なのでちょっと厳密に伺っているんですが、その点はいかがですか。白紙委任的にそういうものはもちろん任されるべきじゃないし、そういうことであったら大変だと思うんですけれども、大臣いかがですか。
#116
○国務大臣(山口鶴男君) 白紙委任するということでは問題があることは私もそのように思います。
 だからこそ、第二章の「地方分権の推進に関する基本方針」、第四条の「国と地方公共団体との役割分担」というところで先ほどお答えいたしましたような記述をいたしているわけでございまして、この四条の役割分担、そうして地方公共団体は、先ほどお答えしましたが、「地域における行政の自主的かつ総合的な実施」というのは企画立案、調整、実施を含む、それを一貫して実施するという趣旨であるということもお答えを申し上げておるわけでございます。
 そういったものを踏まえました上で、地方分権推進委員会が有識者の立場からさまざまな御議論をいただきまして、そして指針を勧告いただく。政府はそれを受けて地方分権推進計画を策定するという形になっているということを御理解いただきたいと存じます。
#117
○吉川春子君 今、私が指摘しましたのは、その法律の条文自体が非常にあいまいだということなんです。それと同時に、分権委員会が七人の委員会で、これは国会の大事に係るわけですけれども、しかしさっきのお話ではそれだけではできないから専門委員とかいろいろ使って、もっと具体的にいろいろな移譲すべき事務の内容を決めていくということです。
 そうすると、国会のコントロールを受けるのは七人だけで、そのほかの専門委員というものについては国会の承認人事ではありませんから、そういうところの人が中心的にやって、専門委員が最後に目を通すかもしれないけれども、そういうところで権限移譲の事務の内容が決められていくということも非常に問題だし、条文が非常にあいまいだということで、何か国会の関与ということが非常に形骸化というか、国会のコントロールの外に置かれている部分がかなり多いんじゃないか、こういう感じがいたします。これは私は大変よくないと思いますが、いかがですか。
#118
○国務大臣(山口鶴男君) 事務局の役割は、当然七名の地方分権推進委員の皆さん方のいわば監督のもとに事務をやっていただくわけでございますので、衆参両院の御同意をいただいて任命いたしました地方分権推進委員の皆さん方のいわばリーダーシップのもとで作業が進められるということは御理解をいただきたいと思います。
 私も国会に出させていただいたのが一九六〇年でございますが、まず籍を置きましたのは地方行政委員会でございました。約十年間、地方行政委員及び理事をいたしてまいりまして、そういう意味では私の国会議員活動の原点はまさに地方自治の本旨を守るということでございました。したがって、衆参両院における地方分権推進の国会決議も、当時与党でございました自民党の役員の皆さんに私が提唱してこの決議を推進いたしました。
 また、御案内だと思いますが、地方分権という字句のあります法律は既に成立しているものはたった一つしかございません。これは国会等移転に関する法律でございまして、私が提案者でございました。国会等の移転は地方分権の推進と的確に関連づけてやるというふうな法律の条文を私が書いた次第でございます。
 そういう意味では、今日まで私は国会活動に三十年ほど携わっておりますけれども、地方分権の推進、地方自治の本旨を守るということを私の政治家としての一つの信念として今日までやってきたつもりであります。そういう立場から、総理大臣の指導も受けまして地方自治推進を心から願って今度の法案を出したわけでございますし、自治大臣も同様なお気持ちだと存じます。
 そういうわけでございますので、決してこの地方分権をサボっていこうとか、あいまいにしていこうとかというような趣旨でこの法文をつくったつもりでは絶対ございません。
#119
○吉川春子君 ちょっと技術的な質問なんですけれども、今の山口長官の御説明ですと、七人の委員が決めて、専門委員等は置かなくてあとは事務局だと、こういうことですね。
#120
○政府委員(陶山晧君) 吉川先生のただいまの御質問の中で専門委員というお言葉をお使いになったと承知しておりますが、大臣がただいま申し上げましたのは、事務局が委員会の指揮監督のもとに委員会の業務を補佐するという意味を申し上げたところでございます。
#121
○吉川春子君 要するに、それでは七人の委員がやって、今まで幾つかの審議会でやってきたような専門委員とか分科会とか、そういうものをつくってそういうところでやるんじゃなくて、もう七人の委員に任せてやっていくということですね。それでよろしいんですね、ちょっと確認だけ。
#122
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 事務局のメンバーをどうするか、事務局の構成をどうするか、どういう方に委嘱をして作業を進めるかという問題は、まさに地方分権推進委員会御自体がお決めになる問題だと思いますので、私の方が今こうなるであろうということを申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
 要は、国会の御同意を得て任命されました七名の地方分権推進委員の皆さん方の指揮監督のもとに事務局は作業を進めるということで御理解をいただければと存じます。
#123
○吉川春子君 ちょっと不明確なんですけれども、そうするとその七名の委員の方がたくさんの専門委員が欲しいとおっしゃって、そういう方を任命されれば、そういう方によって作業が進むということにもなるわけですね。
#124
○政府委員(陶山晧君) ただいま先生が御指摘なさいましたのは、恐らくは臨時行政調査会とか行革審の審議に当たりまして、専門委員あるいは参与というような方々が正規の委員とは別途に審議会の運営に参加をされ、部会とか小委員会という形で審議に参画されたというようなケースを想定された御発言ではなかろうかというふうに推察いたします。
 いずれにしろ、地方分権推進委員会の運営が具体的にどういう形で行われるのかということにつきましては、今国会で法案が成立をさせていただけますならば、私どもはその準備をできるだけ早く進めたいと思っておりますけれども、いずれにしろ委員会が発足をして、委員会自体がどういう形で運営をされるのか、それはみずから議論の上でお決めになる問題であろうというふうに考えております。
#125
○吉川春子君 そういうことはもう委員会に任されるんだと、こういう御答弁だったと思います。私は、やっぱり国会のコントロールというか、そういうものもきちっと八条委員会のあり方として指摘をしておきたいと思います。
 時間の都合で次に進みますけれども、いわゆる天下り問題について質問いたします。
 総務庁にお伺いしますけれども、国から地方公共団体への出向の実態を報告していただきたいと思います。人数、役職を含めてお願いします。
#126
○政府委員(秋本敏文君) 自治省から地方公共団体に出向しておると申しますか、自治省から地方団体に行って勤めておる者ということで申し上げますと、本年の一月で特別職を除きまして百七十人ほどでございます。
#127
○吉川春子君 どういう役職ですか。
#128
○政府委員(秋本敏文君) 特別職を除きます百七十人ほどということで申し上げますと、都道府県庁の部長級あるいは課長級、また市町村におきましても同様に部長、課長。県庁におきましては総務部長だとか企画部長だとかいろんな部長、あるいは財政課長その他の課長をやっているという状況でございます。
#129
○吉川春子君 一遍にまとめてお答えください。それぞれその役職の人数、部長級何人とかそういう人数も含めて。
#130
○政府委員(秋本敏文君) 都道府県庁の部長級で申し上げますと五十人、課長級で申し上げますと八十八人、それから市町村におきましては部長、課長合わせまして三十三人ほど、こういう数字でございます。
#131
○吉川春子君 きのうも本会議で星川先生が質問されましたけれども、たしか総数は七百六十近い数だったと思いますけれども、自治省に限らず全省庁合わせますとそういう数が副知事とか部長とか課長とか主要なポストを占めて地方政治を支配すること、これは地方自治を侵すんじゃありませんか。それから地方分権の推進ということにも反するじゃありませんか。
#132
○国務大臣(野中広務君) 本会議におきましても御質問のあったところでございますけれども、私は実は市町村の行政議会、そして都道府県の行政議会を経験して、この十カ月間自治省で仕事をさせていただいております。
 その経験を踏まえまして、この間も申し上げましたように、自治省に入省いたしまして二、三カ月で各都道府県にそれぞれ見習いとして出かけていきます。帰りまして、また本省で仕事をいたしまして、なお二十歳の後半から三十歳前半で地方のあるいは市町村の課長クラスで出かけていきます。また帰りまして、請われて主幹的な課長として出かけ、また帰り、部長として出かけることがあるわけでございます。少なくともそういう経験を踏まえて二つは地方との人事交流において非常に相互に切磋琢磨して資質の向上が期待できておりますこと、あるいは能力やフレッシュな感覚が地方行政に生かされておること、また国、地方の相互の経験をすることによって理解と信頼度が高まっておること、また先ほど数字を申し上げましたけれども、地方からもまた自治省に来て研修をいたしております。
 したがいまして、第一には、地方に出かけてその地方の持つそれぞれの特色をよく肌で感じ、そして人と交わることによって非常に幅の広い人間をつくり上げていくこと、あるいは地方の独自の特性やら個性やらあるいは地方の痛みを経験して帰ってそれを国の施策の中で生かしていくことというのは、非常に私は大きな経験を積んでおると思います。
 何よりも、二十歳後半から地方に出かけていって地方の議会で選挙で選ばれた人たちと触れ合って、そして厳しい意見を、私のところなんかは京都ですから、共産党の皆さんから大変なまた議会でいろいろと御意見を賜るわけでございますけれども、そういう議会の皆さんの地域から出された生の声を体で受け、そして議会の根回しから議会の答弁等、こういうのを得ていくというのは何物にもかえられない大きな経験だと思って、私はいささか手前みそかもわかりませんけれども、自治省におる職員の諸君というのはそういう点で一つの組織だけを回ってくるのじゃなしに、非常にバランスのとれた人材形成ができておると考えて喜んでおる次第でございます。
#133
○吉川春子君 国会でも地域の実情を私はぶつけながらいつも質問しているつもりでございます、地方議会だけではないと思いますが。
 ともかく大臣はそうおっしゃいますけれども、私は予算委員会の提出資料をここに持っているんです。例えば建設省、九五年一月一日現在、都道府県ほとんどすべてに課長職以上のポストに職員を多数派遣しているんですね。
 例えば宮城県へは、土木部長、土木部砂防課長、土木部建築宅地課長、土木部河川課長、土木部道路建設課長、この五人を送っているわけですね。これはもう宮城県の土木行政の主要なポストを建設省が占めて支配しているというふうにも言われるくらいの数ですよね。それから、岐阜県も建設省からの出向が、土本部長、河川課長、道路建設課長、住宅課長、都市計画課長、総務部総合政策課長、この五部門を占めているわけですよ。そのほか、あの地震があった兵庫も、それから岡山も土木課長以下五つの主要ポストを、土木部門を占めているんですよ。建設省の官僚が全国の都道府県の土木部の主要ポストをほとんど独占しているんですよ。そういう事態です。
 これは建設省だけじゃないんです。時間の関係で建設省だけ申し上げましたけれども、厚生省で言えば衛生、保健、環境の各都道府県の主要ポストを占めているし、もう各省庁とも、文部省は文部省でまたそういうことをやっているし、そこのポストを占めることが本省へ帰ってきてから次の昇進の一つの前提であって、人事交流だとか肌で地域の住民の声に接するとか、そういう水準じゃなくて、もうどこの県のどこのポストはだれが行くと決まっているじゃないですか。
 そういうようなことをやっていることはまさに地方自治体の行政の自主性というかそういうものを侵すものじゃないですか。人事交流一般のことを言っているんじゃなくて、こういう主要ポストをこんなにもたくさんの中央省庁の出身の官僚が占めていいのか。そして、日常的にずっと県のそのポストに行くわけですからね。そういうことが行われている。こういうことは国による地方支配ではありませんか。
 そういうことでもいいんだと、地方分権もやるけれどもそういうことはもうそのままずっと今後とも続けるんだと、そういうお考えですか。総務庁長官、自治大臣のどちらでもいいですけれども。
#134
○国務大臣(野中広務君) 私はそういう考え方は持っておりません。
 地方分権が進んで機関委任事務がそれぞれ地方に渡されていったら、中央で研さんを積み豊富な経験を持った国家公務員というのは当然地方に配置されて、そして地方でその能力を生かしながら活躍してくれなくてはならないわけでございまして、機関委任事務をしたけれども国家公務員の定数は変わらないんだということになれば何のための分権をやったかわからないわけでございますので、これは当然優秀な人材が地方において活躍をしてくれることと考えております。
 今、委員がおっしゃいましたことは、これは中央省庁が押しつけているんじゃなしに、むしろ地方の首長がそれぞれ中央のすぐれた識見なり経験を生かして県政の発展に寄与したいという要請に基づいてやっておるということは御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#135
○委員長(小林正君) 吉川君、もう時間が終わっておりますので。
#136
○吉川春子君 私は山口長官にも聞きたいんです。
#137
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 御指摘のあります出向人事の問題でございますけれども、これは一般的に言えば国と地方公共団体の人事交流が地方公共団体の主体性を侵すような形であってはならない、かように私は考えます。やはり受け入れる側の地方公共団体、その意思が受け入れるかどうかということを決めるわけでございますから、やはり地方分権推進の過程で地方公共団体それなりの主体的な意向というものを固めながら地方分権を推進していただけるものと、こう私は考えておる次第でございます。
 また、自治大臣がおっしゃったように、機関委任事務が整理合理化されていきますならば、当然今度は出向してまた本省へ戻ってくるというのではなくて、まさにその自治体の地方公務員として真剣にその地域発展のために尽くす、そういう方々が国家公務員の中から数多く出てくるということは望ましいことではないか、かように私は考えておる次第でございます。
#138
○吉川春子君 終わります。
#139
○委員長(小林正君) 本日の質疑はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#140
○委員長(小林正君) この際、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方分権推進法案につき現地において意見を聴取するため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#141
○委員長(小林正君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#142
○委員長(小林正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#143
○委員長(小林正君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方分権推進法案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#144
○委員長(小林正君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#145
○委員長(小林正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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