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1995/05/12 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 地方分権及び規制緩和に関する特別委員会 第9号
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1995/05/12 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 地方分権及び規制緩和に関する特別委員会 第9号

#1
第132回国会 地方分権及び規制緩和に関する特別委員会 第9号
平成七年五月十二日(金曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十日
    辞任         補欠選任
     釘宮  磐君     続  訓弘君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     石井 道子君     松谷蒼一郎君
     岩崎 昭弥君     糸久八重子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小林  正君
    理 事
                斎藤 文夫君
                服部三男雄君
                山口 哲夫君
                渡辺 四郎君
                勝木 健司君
    委 員
                石井 道子君
                上野 公成君
                沓掛 哲男君
                高木 正明君
                野沢 太三君
                松谷蒼一郎君
                溝手 顕正君
                宮崎 秀樹君
                吉村剛太郎君
                糸久八重子君
                今井  澄君
                佐藤 三吾君
                竹村 泰子君
                峰崎 直樹君
                牛嶋  正君
                続  訓弘君
                広中和歌子君
                小島 慶三君
                星川 保松君
                吉川 春子君
   国務大臣
       内閣総理大臣   村山 富市君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  山口 鶴男君
       自 治 大 臣  野中 広務君
   政府委員
       総務庁行政管理
       局長       陶山  晧君
       大蔵省主計局次
       長        中島 義雄君
       自治省行政局長  吉田 弘正君
       自治省財政局長  遠藤 安彦君
       自治省税務局長  佐野 徹治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤  勝君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方分権推進法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小林正君) ただいまから地方分権及び規制緩和に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、釘宮磐君が委員を辞任され、その補欠として続訓弘君が選任されました。
 また、本日、岩崎昭弥君が委員を辞任され、その補欠として糸久八重子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(小林正君) 地方分権推進法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○斎藤文夫君 自前民主党の斎藤文夫でございます。
 本日は、地方分権推進法案審議の掉尾に当たりまして、御多忙の総理みずから御出席を賜りまして、まことにありがたく、厚くお礼を申し上げます。
 さて、地方の時代、分権の時代と言われてはや二十年が経過をいたします。臨調や行財政調査会等々でさまざまな答申が出されてきましたが、残念ながらなかなか具体化の兆しが見えませんでした。それが平成五年六月の衆参両院国会における決議、そしてまた昨年の十二月、閣議決定で分権大綱方針をお決めいただきまして、それを踏まえて村山総理の不退転の決意のもとにこの地方分権推進法案が提出をされたところでございます。いよいよ地方分権への道が見えてきた、現実のものになりつつあるという実感を持っておりまして高く評価いたしておるところでございます。
 また、私自身与党分権プロジェクトチームの一員として、二十八回に及ぶかんかんがくがくの意見交換、そしてまた総理及び山口長官に御提言等を申し上げさせていただいた一人として、今日を迎えましたことは大変喜びといたすところでございます。
 とは申しながら、二十一世紀の日本の姿を展望し、地方分権のあるべき姿を考えますときに、今後幾多の曲折が予想されます。むしろ、この五年の間につくられる分権推進計画によっては日本の社会が大きく再構築されていく、そういう重要な要素を含んでおりますだけに、いずれにせよ一内閣だけの問題ではなく、国民も国会も中央各省庁も、そして地方自治体も一丸となってこの地方分権に真剣に永続的に取り組んでいかなければならない、かように存じておるところでございます。
 総理の地方分権推進へのさらなる御決意を御披瀝いただきたいと存じます。
#5
○国務大臣(村山富市君) 今、斎藤委員からも御指摘がございましたように、地方の時代と言われ、あるいは地方分権がいろいろ議論をされまして約二十年間ぐらいを経過いたしております。今や地方分権というのは、ある意味ではもう時代の流れになっておる、むしろもう実行する段階だ、こういうように私は受けとめております。国と地方との役割分担を明確にして、地方がそれぞれ持っておる特性を地方の自主性によって十分発揮できるような、そして地方住民のニーズに十分こたえ得るような、そういう地方自治体というものをやっぱりつくっていくことがこれからの時代にふさわしいあり方である、こういう観点から今回の地方分権推進法案というものが提出をされておると私は確信いたしております。
 これは地方制度調査会やあるいは地方六団体やそうした方々の意見も十分踏まえてつくられた法案でございますから、一日も早く成立させていただきまして、五年のうちに必ずこの目的が達成されて実行できるような段取りをつけていきたい、こういう決意でこれからも臨むつもりでございます。
#6
○斎藤文夫君 我が国は、歴史をひもといて考えてみますと、鎖国から開国へ、そして大政奉還によって御一新を迎え、廃藩置県、断髪廃刀令等が行われ、百三十年前に世の中が大変大きく変わったところでございます。自来、欧米先進国を目標に、近代国家を形成するためには中央集権体制こそ合理的であり効果的でございました。それだけに、十分今日までの機能は効果を発揮してきたと率直に認めることができると思います。
 しかし戦後五十年、目標だった欧米諸国をキャッチアップした今日、世界一流の経済大国と日本はなりました。中央集権的な社会システムがいつまでもこれから続いていく、そういう時代ではなく、先ほども総理が御認識をされておられますように、まさに時代の要請の中で地方分権というものが取り上げられるようになってきておるところでございまして、その意味からも新しい時代に適応した社会システムというものをつくり直していく、そういう大きな時代の転換期に差しかかったと私は考えておるところでございます。
 そして、国際化、情報化、高齢化、そういう時代を迎えて国民の価値観やニーズが個性化、多様化してきた、そして集約から分散、一極から多極、中央から地方へとうとうたる流れが醸成されてきた今日でございます。個性あふれる活力に満ちた新しい地方自治がさらに強く要請をされる時代になったと言えると思います。
 先日、総理の郷里であります大分県に参りまして地方公聴会を開催させていただきました。平松知事、岩崎市長会会長、正本町村会会長、それぞれ御出席をいただきまして、積極かつ活発な分権についての御意見を拝聴してまいったところであります。さすが総理御出身の県だけありまして、地方分権の先駆けたらんと御努力をされておることに敬意を表してきたところでございます。
 その話の中で平松知事は、今日の中央と地方の関係を具体的に説明する例として、東京へ陳情すること年間七十二日間、一年の五分の一は東京へ出張しなければならない。いかに行政上大きな問題があるか、ロスがあるか、こういう姿が今日の中央対地方の行政の姿なのか、つくづく述懐をされておられたところでございます。要するに今のような状況では草木も東京になびく。だから、極論で平松知事がおっしゃるには、東京の一極集中排除あるいは首都圏をどこかに移転すればそういう状況が解消されるとお考えになっておられるようだけれども、今の中央対地方のシステムを改革しない限りは東京の一極集中というものは簡単には解決できない。四十七都道府県が三百六十五日のうち五分の一も中央へ押しかけて行かなきゃならない。自分一人ならいざ知らず、大勢の関係者あるいは県下の市町村関係者が東京へ東京へと陳情行政を繰り返して行かなきゃいけない。こういう実態というものをもっと真剣に、しかも掘り下げて対応を考えていかなきゃならないんじゃないか、私は本当にそうだと痛感させていただいたことでございます。だからこそ地方の社会資本を充実して地方の若者の定着を図っていかなければならない。
 例として、大分県の下水道の普及率はたしか二七、八%と御指摘になりました。全国平均から見ても非常に低い位置にある。こういうようなことでは若い人たちに快適な生活環境を提供しようといっても遠く及ばない。だからこそ中央と地方の都市の格差というものを社会資本の充実という姿で埋めてもらって、そして若者も地方都市に魅力を感じ定住してもらう、そういう要件を整備しなければならない。平松知事は切々とお訴えになったところでございます。そして多極分散を、地方分権を進めれば豊かさを実感できる環境づくり、きめ細かな市民サービスの向上ができる、だからこそ一極集中排除は地方への分権が一番の近道ですよ、こういう御指摘もございました。
 ややもすれば今の中央の行政のあり方というのは画一的と言われ、後追いと言われ、縦割り行政と批判をされておるところでございます。しかし、地方分権が進んでいけば、それが個性的であり自主、的であり、また市民のニーズに対応できる、即応できる生き生きとした幅広の地方自治というものが実現されていくのではないか
 二十一世紀の日本社会のあるべき姿というのは地方分権によって私はでき上がってくるのかな、こう思いますときに、総理は分権時代の日本社会、都市の姿でも結構でございますが、どう変わっていくだろうか、分権によってどんな社会が期待できるのか、お考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
#7
○国務大臣(村山富市君) 今、委員から地方公聴会の実情について、大分県知事や市長会会長やあるいは町村会会長等の発言を引用されましてお話がございました。私もまさにそのとおりだと思うんです。これはある意味から申し上げますと、やっぱり国際情勢なり国内外の情勢が大きく変わってきつつある。新しいそうした時代を想定した場合に、これまでのような中央集権的な、あるいはお話もございましたように一極集中的な今の日本の姿というものは、やはりそうした国内外の情勢の変化に十分対応していけないんではないか。そういう意味から考えましても地方分権の推進は必要である、私はこういう観点からも論議がされておるというふうに思います
 同時に、国の中の、今お話もございましたような国と地方自治体との行財政の権限のあり方というものを考えた場合に、何をするにしても中央の認証を得なければ仕事ができない、こういうようなあり方というものがやっぱり問題ではないかということが端的に私は指摘をされておると思うんです。
 地方はやっぱり地方の特性があるわけですし、それは人口も違いますし、環境も違いますし、地理的な条件も経済的な条件も違うんです。したがって、その地方の持っている特性が十分発揮をされて住民の要望というものに十分こたえ得るような、そういう自立性、自主性でもって運営ができるような、そういうあり方というものがこれからの時代にふさわしいあり方ではないか。そのことを通じて住民の意思が地方行政に十分反映できるような仕組みというものを考えていくことが大事ではないかというふうに私は思っております。
 したがって、あくまでも地方の自主性、自立性というものを尊重したことを前提として行政のあり方、あるいは税制のあり方、財源の持ち方等についても考えていく必要があるんではないか。そうなってまいりますと、私は地方自治体における行政というものは住民のこれからのニーズに十分こたえて、反映できて、もっと身近なものとして住民が地方自治体をとらえることができる、そういう社会に変わっていくのではないかというふうに考えておるところでございます。
#8
○斎藤文夫君 今、総理もお触れになりましたけれども、地方分権を進めてまいりますと、どうしても権限、財源、そしてまたそれに伴う人間、俗に三ゲンと言われておりますけれども、国から都道府県へ、都道府県から市町村へ移管をされていくことは当然でございます。
 そこで、時間の関係で一括してちょっとお話を申し上げ、お尋ねを申し上げますが、まず第一の権限の移譲は、これはもう国と地方の役割分担を明確化することが分権のまず第一義的な要素でございます。どこまで中央の集権を地方へ分権するか。
 実は総理御出身の大分県中津、私の大学の塾祖でもございますが、福沢諭吉先生が明治十年に「分権論」というものをお書きになった。私は大分から帰りまして「分権論」を一生懸命読みました。まさにあの封建社会、しかも中央集権発足間もない時期に福沢諭吉先生が地方分権をとうとうとうたいとげておるのに今さらのように頭の下がる思いがいたしました。その中で、中央の政権をガバメント、地方の治権をアドミニストレーション、こういう置き方で、国の政権は法律、軍事、税金、外交、通貨、国を一様ならしめる問題については国が引き受けましょう。ところが、地方の治権というのは警察、あとは道路、橋梁、堤防、学校、寺社、衛生、いわゆる住民に密着したものを地方の行政の権限としよう、こういうことを明確にうたいとげておるところでございます。
 私はこの「分権論」を見て、もう明治のあの時代にこういう提唱がなされたとすれば、訂二十年たった今日、当然このくらい思い切った分権を実現していかなきゃいけない、それが今に生きる政治家我々の後世に対する責任なのかな、このように考えておるところでございます。したがって、思い切ったスリム化を図り得るのかどうか、国と地方の職務の明分化をすべきである、その意味で総理はこの「分権論」を含めてどうお考えになっておられるか。
 時間がありませんので、あと当然それを裏づける財源の裏打ちがなければ地方分権の成功はありません。今のような三割自治と言われる中では、どうしても地方財源というものを充実してくれなければ、五割、六割、地方の自主性を高める行政というものは行われない。したがって、今の国が税金を集めて、そしてそれを補助金、交付金、あるいは起債という形で地方に配分する、このシステムを根本的に改めていかなければ本当の意味の地方自治の自主性、独自性は保てない、このように考えておりますが、いかがでございましょうか。
 もう時間がございませんので、最後に一つ。
 やはりそれには人間がついていかなければなりません。地方事務官の身分の問題とかいろいろあると思いますけれども、ただ国がスリム化しただけでこれでいいというわけにはまいりません。都道府県もあるいは市町村も全部が行革の中でスリム化を図り、そして効率を高めながら行政サービスに徹していく、そういう機能的な政治、行政というものをつくり上げていかなければならないわけでございます。この中で地方も人材を確保する、行政を高める、こういう努力をすべきでございます。
 以上、こういう観点を申し上げまして、思い切った分権こそ地方がそれを受け入れて勉強していく。受け皿が弱いよという論ではなくて、思い切って分権をし苦労させていくところに地方の発展があると思いますが、いかがでございましょうか。一言で御答弁をお願いします。
#9
○国務大臣(村山富市君) 一言で御答弁を申し上げますと、今、委員から御指摘のあったとおりだと私は考えています。
 今お話もございましたように、近代日本の変革期に大きな貢献をされた郷土の先輩であります福沢諭吉先生は私の尊敬する一人でもありますけれども、あの時代に今私どもが議論をしているようなことをもう指摘されたというのは、極めて先見性に富んだ全く驚嘆に値する意見ではないかというふうに考えております。
 お話もございましたように、やっぱり権限を付与する限りにおいてはその権限を実施できるような裏づけの財源というものが確保されなければそれはできないわけであります。したがって、第六条にもそのことは明記いたしておりまするけれども、その六条の趣旨に基づいて地方財源の確保のあり方について十分やっぱり検討していかなきゃならぬ課題であるというふうに思っております。
 同時に、分権された地方自治体がそれを十分受け入れて、そしてその法の趣旨にこたえて分権が機能して、住民のために十分効果を上げ得るような質というものも持つ必要がありまするし、同時にまた中央も今一生懸命行政改革をやっておりまするけれども、それと見合った形で可能な限り効率的にあるいは創造的に住民のために運営できるような地方行政のあり方、地方自治体のあり方というのもやっぱりお互いに努力をしてつくり上げていく必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
 そういう意味におきましては、これから人材の確保やらあるいは育成やら等々はやっぱり中央と地方とが足並みをそろえて、この分権の趣旨が十分生かされるような基盤というものをしっかりつくっていくためにお互いに努力をしていかなきゃならぬというふうに考えているところであります。
 いずれにいたしましても、これからの時代に対応できるような中央と地方のあり方が明確になって、それぞれの権限に応じて十分国民の期待にこたえ、市民の期待にこたえ得るような行財政のあり方というものを想定しながら実行していく必要があるというふうに、かたい決意を持ってこの内閣の重要課題としてこれからも取り組み、推進をしていく決意でございます。
#10
○斎藤文夫君 ありがとうございました。
#11
○溝手顕正君 自由民主党の溝手顕正でございます。
 私は、地方において自治体の長の経験をいたしておりまして、地方自治の確立には極めて大きな関心を持っているところでございます。そういった観点から若干の御質問をお願いいたしたいと思います。
 今回の法案の骨子、いろいろ紆余曲折はございましたが、最終的には多くの分権の議論を分権推進委員会の権限にゆだねる、そしてその勧告によって内閣が、中でも内閣総理大臣が全責任を持って推進計画を作成する、こういう形になったものと理解をいたしております。つまり、中央がみずからの判断によって分権すべき内容を決めるということで、ひとえに中央にその責任があるという形になっているのではないかと私は理解をいたしております。
 極めて俗っぽい言い方になりますが、事ここに至って初めてお上が腰を上げた。やっと腰を上げでみずからの判断によって、長年保持、行使をしてきた権限を下々に払い下げるんだ、こういうような受け取り方をする向きもあるんではないかと思っております。そういったことになりますと、当然余計なものをいただくと邪魔になりますし、望んでいたものをいただけないと腹が立って不平不満が起こる、これもすべてお上の責任であると、こういうような論理がまかり通る可能性があると私は懸念をいたしておるわけでございます。
 現在までの衆参両院の審議を通じました中でかなり具体的に目指す方向が出てまいったということも理解をしておりますが、地方分権が目指す対象となる各省庁の権限あるいはこの裏づけとなる法律、政令というのは極めて膨大な最になります。したがいまして、現在までの過程においてこれをすべて議論するということはまさに不可能だと思います。それだけに今後の分権推進委員会での議論というのは極めて注目されるわけでございます。しかしながら、そういった議論の中で、各省庁が果たして期待にこたえていただけるんだろうかどうだろうかと懸念を持っているものでございます。
 山口長官あるいは野中大臣の分権にかける意気込みというのは、十分審議を通じまして受けとめることができたものでございます。しかし、この両大臣の御出席のもとにやったわけでございまして、その他の大臣は全く姿をあらわしておられないわけでございまして、これは当然のことです。権限がないことに言及はできないわけでございますが、果たして農水省は大丈夫だろうか、大蔵省は大丈夫なのか、通産はどうなんだという懸念を持たれてもこれは否定できないことだろうと思います。ましてや、難儀をいたしましたあの大蔵官僚は大丈夫かと国民みんなが思っているのはこれは否定できないだろうと思います。
 そして、山口長官はこの前の審議の中で、その担保は国会決議をもって担保とするんだと、こういう発言をされますと、山口長官の発言に対して野中大臣は、国会決議が破られるなら大したことではないんだと、さきの米の問題がそうじゃないかというお話をされました。私もまさにそうだと思うんです。幾ら国会決議をしても、あの結果を一回経験している我々にとっては、あんなもので果たして信用できるかどうかという問題点もあるわけでございます。果たしてもっと地方分権を担保できる強力な手段があるのかどうかということを考えてみると、一抹の不安があることは事実でございます。そういった中で、国民のあるいは地方の厚い期待を裏切り、政治不信をさらに過熱することがあってはならないだろうと思いますし、総理大臣のよりはっきりした御決意を伺いたい。
 またさらに、最近の新聞報道を見ておりますと、総理は連立内閣での対応には限界があるというような御発言をされたと言っておられます。そして、この地方分権推進が果たしてその限界を超えたものとお考えになっているのか、連立でちゃんとできるとお考えになっているのか。そのあたりのしっかりした決意を表明していただきたいと思います。
#12
○国務大臣(村山富市君) 溝手委員は長い市長経験を踏まえた上でいろいろ御配慮された御質問だと私は思います。
 これは言われますように、今の中央と地方のあり方の中で一番指摘をされるのは私は縦割り行政ではないかと思うんです。これは、例えば建設省は県の土木部と直接的につながっておるというようなことがやっぱり地方分権を阻害する一つの要因になるんじゃないかということが心配されると私は思います。
 これは今お話もございましたように、総務庁長官の所管で提案をされておりまするし、自治大臣が一番関連があるわけでありますから、お二人がそれぞれこの審議の中では担当されてきたと思います。しかし、この法案そのものは内閣として提案しているわけですから、したがって閣議でも十分議論をして、そしてそれぞれが同調してお互いに了解し合った上でこれは提案をされているわけですから、内閣が一体となって推進をして取り組んでいくものだというふうに御理解を賜りたいと思います。
 それから、私はやっぱり連立政権というのは、いつも言いますけれども、それぞれ違った理念や政策を持っている政党が一緒になって一つの政権を担っている、こういう性格のものだと思います。したがいまして、その政策の違いというものがいろんなプロジェクトやらいろんな会議の場を通じてお互いにかんかんがくがく議論をし合って、反映し合っていく。これはある意味から申し上げますと、国民の意識も国民の期待も非常に多様化しておりますから、その多様化された意見がそういう議論を通じて反映されていく、そして可能な限りのいい合意点を見出していく。この合意点はある意味から申し上げますと、国民的なコンセンサスが得られたものになっていくのではないかと、こういうふうに私は思いますから、連立政権のよさというものは十分発揮をされる。
 私が限界があると申し上げますのは、一つの政党が持っておる政策がそのままストレートに実現できるかどうかということについては、連立政権というものはそういう性格のものだから、したがってそれは限界がある。しかし、必ずしも一つの政党が持っている政策がそのまま実現できることが国民の意識が十分反映され、期待にこたえられるものであるかどうかということは、これだけ多様化しておる今の実態の中からしますと、連立政権で合意を求めるような努力をしていくことの方がむしろ民主的に国民大多数の意見が反映されたものになるのではないかという意味で申し上げたのであります。
 そういう意味では、私はこの連立政権のよさが十分発揮できるような責任を持った体制をしっかり推し進めていくことが必要であるというかたい決意を持って政権を担当しているということだけは申し上げておきたいと思います。
#13
○溝手顕正君 大変力強い御決意をいただきましてありがとうございます。
 私は、地方分権に関しまして既に与野党の間に対立はないと考えておりますし、ましてやそういった決意によりましてより前進するのだろうと期待をいたしております。
 次でございますが、この法律の中には中央の責任と同時に地方の責任ということにも触れております。中央からの分権推進を座して待つのみではなくみずからも積極的に行財政改革をやるべきだと、こういう趣旨と理解をいたしております。当然、地方にも大きな責任がございます。私も先ほど申し上げましたように地方の公共固体で二期ほど務めさせていただきまして、地方に数多くの問題があるといろ、ことも理解をいたしております。
 中でも地方公共団体におきましては、行財政改革の推進に関しましては極めて大きな障害がございます。そして、その障害が実は地方分権推進のおくれとか縦割り行政のひずみとか地方自治法の不備とか、こういった制度上の問題に起因をしているのではなくて、地方自治体における労使交渉、いわゆる職員組合との関係に起因することの方がはるかに大きいんたということを御指摘申し上げたいと思っておるわけでございます。今回の地方分権の推進が、このことによってせっかくの努力が水泡に帰してしまうということになっては大変なことになります用地方分権を推進し、地方の業務をふやし、地方の活力を取り戻すのは結構ですが、地方の公務員がふえてより不効率な地方行政をつくってしまっては大変なことになると懸念いたしておるわけでございます。
 もちろん地方によって事情は違いますが、定員の削減であるとか弾力的な要員配置に関しまして地方公共団体が多くの悩みを抱えております。幼稚園、保育所、給食、ごみ処理、し尿処理あるいは水道やバス等の公営企業等の不効率、不能率というのは厳しく指摘をされております。そして私は、こういった原因の多くがそういった労使交渉の問題から起因をしていると、決して制度の問題ではないと考えているものでございます。そして、そういった労働組合、まさにこれは自治労と申し上げてよろしいと思いますが、この自治労の出身として、そして自治労が支える社会党の代表として内閣を引っ張っていらっしゃる総理の立場として、こういった自治労のお考え方が地方分権推進に……(発言する者あり)自治労が支えているのは間違いないんだ。余計なこと言いなさんな。
 そういう地方分権の推進に大きな支障になっては大変だと懸念をいたしておるわけでございます。そして、そのことが総理にとって極めて問題になることになるんだろうと思います。私が思いますに、村山総理の出現によりまして、我々は安保の問題も自衛隊の問題も日の丸の問題も君が代の問題も一定の解決方向を見ております。
 したがいまして、私はぜひこの地方分権推進に当たりまして、地方自治体における合理化問題に対するより積極的な自治労の取り組み姿勢、あるいは社会党の皆さんの取り組み姿勢ということをしっかり出していただきたい。そのことが結局は総理の力を助けることになるんではないか、こう思っておりますが、総理としての御所見を賜りたいと存じます。
#14
○国務大臣(村山富市君) 地方分権推進の成果を十分に上げていくためには、今御指摘になった観点というものも私は大事なことだと思います。
 単に国が権限移譲等に努力をするというだけではなくて、地方公共団体におきましても自主的、積極的に行政改革を進めることも必要でありまするし、同時に行政の公正の確保、あるいは透明性の向上とか、できるだけ住民に行政に参加してもらうというようなことも必要だと思います。そういう意味では、地方自治体自体もそうした意味におけるやっぱり努力も当然してもらわなきゃならぬ。
 そういう場合に、労使関係というものの中に具体的に問題になっている視点が私は出てくる可能性も全然ないと否定はできないと思うんです。しかし、これはその首長なら首長と、そして地方労働団体と十分やっぱり話し合いをして解決さるべき問題であると思います。これは私がここで自治労のことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、生民自治の確立と地方分権の推進ということは運動方針の中で一貫してきちっと明記されていることは私も十分承知いたしております。
 社会党も、これはもう政府が出す以前に地方分権推進法という法案をつくって、そしてむしろ政府に働きかけて推進をしてきたということもあるわけでございますから、そういうことに関する意見の違いは私はないというふうに考えております。一体的に協力し合って地方分権は推進されるというふうに確信をいたしておりますから、そういう観点からこれからもさらに努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
#15
○溝手顕正君 多少突っ込み過ぎかもしれませんが、私は自治労の方針もよく承知をいたしておりますし、目指す方向もよく承知をいたしております。
 しかしながら、問題は現実に起こっている姿を申し上げているわけで、私の二期にわたる経験から申し上げているわけです。そしてそのことが大きな陣容にならないようにぜひとも御高配を賜りたい。そのことによって初めて総論、各論相整った地方分権になるのではないかと期待をしているところでございます。
 大変失礼なことを申し上げましたが、どうぞお力を出していただきますことをよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
#16
○山口哲夫君 大変お忙しい中、総理の御出席をいただきまして、心からお礼を申し上げたいと思います。
 さて、私は三十年間地方自治体の現場で働いてまいりました。常に地方分権を主張してきた一人でもございます。そういう中で、今、村山総理の手によって地方分権維進法案が提出をされたわけであります。大変感慨無量なものがあります。考えてみますと、明治政府がつくられてから百三十年間中央集権の政府が続いてきたわけであります。それを今、今度は地方自治体が主権を持った地方の政治をつくっていこうという、大変行政的な面から見ると革命的なことであろうと思います。その第一歩を今踏み出そうとしているわけでございまして、国民の立場で見てもこれは大変大きなことではないだろうか、そう考えます。
 私は、一日も早く参議院の本会議でこれが可決されまして、そして今国会中に推進委員の任命も国会の承認をいただいて実現し、そしてとにかく推進計画がつくられて着実に地方分権の第一歩を踏み出していく、そういう日の来るように心から期待をしておりますし、私たちもまた努力を続けていきたい、こう考えているところでございます。
 そういう立場に立って、三つ、四つ総理に質問をしたいと思います。
 まず第一は、地方分権推進委員会が地方分権推進計画の指針についての勧告をいたします。その勧告を総理大臣が受けまして、今度は総理の手によって分権の推進計画を立てて国会に報告するわけでございますけれども、しかし今までのいろいろな分権に関連する審議会等の勧告を見ましても、それがなかなか思うように進まない。いわゆる官僚の抵抗というものが大変強いわけです。それを象徴するのがあのパイロット自治体であったと思います。
 これは相当私たちは覚悟してかからなければ、結局立派な法律はできてみたはいいけれども、実際やってみたら骨抜きになってしまったということになっては、これは大変なことでございます、私はぜひ、国家的な大事業であります地方分権を、そういう抵抗を断固排除してもこれを実現していかなければならない大変な政治力を期待するわけでございます。どうかひとつ、そういう抵抗に対しても毅然としてこの分権を進めていくという御決意をぜひお伺いしたいと思います。
#17
○国務大臣(村山富市君) 山口委員も市長の経験を持たれておる方であります。それだけに、今お話もございましたように、ようやく法案が提出されて、そして地方分権の実行段階に入ったということからすれば、私は歴史的、画期的なものではないかというふうに位置づけております。それだけに、やっぱり重大な決意で実行する必要があるというふうに思っておるところでございます。
 今御指摘もございましたように、地方分権推進委員会ができて、そこで十分御審議をいただいて、これは当然国会で衆参両議院で御議論をされた点も踏まえて私は検討されると思いますけれども、十分な審議をしていただきまして、そして政府に勧告していただく、その勧告を受けて政府が推進計画をつくって実行に入っていく、こういう経過をたどるわけです。
 その間には、先ほども申し上げましたように、縦割り行政といったような意味におけるいろんなやっぱり問題点もあることは十分承知をいたしておりまするけれども、しかしもう今や時の流れ、実行段階ということを踏まえた場合に、全体として内閣が一体となって分権を推進していくということについては、これはもう閣議でたびたび確認をされていることでもございますし、大綱でもしっかり示されておるところでもございますから、これはもう総理大臣が強力なイニシアチブを持って、今御懸念があったようなことのないように全力を挙げて取り組んで必ず実行していくという決意で臨みたいというふうに考えております。
#18
○山口哲夫君 期待してまいりたいと思います。
 さて、次は地方分権推進委員会、これは大変大きな実は役割を担っております。まず推進計画の指針を勧告する。その勧告が出れば総理はこれを尊重しなければならない。特に推進の実施状況についても監視をして意見を述べることもできる。それも尊重しなければならない。ですから、推進委員会の果たす役割というのは、これはもう地方分権を実際進めることができるかどうか、そのかぎを握っているとさえ言われるわけでございます。しかも、この条項については総理御自身が指示をされて入れたというふうにも伺っておるわけでございます。そうなりますと、この七名の推進委員にどんな人を選ぶかということは非常に重要な問題でないかというように思います。
 私は、三月十五日の当委員会で山口長官に質問をいたしました。官僚OBを推進委員に入れるとパイロット自治体のときのように中身が完全に骨抜きにされてしまうのではないだろうか、そういうことからいえば官僚OBは入れるべきではないのでないか、こういうふうに質問をいたしまして、山口長官はこのように答えております。
 私が今、どういう者はいいとか、どういう者は悪いとかいうことを言うことは控えさせていただきたいと思うんですが、ただ、昨年成立をいたしました行政改革委員会、五名の委員の顔ぶれを見ていただけばおわかりだと思いますが、まさに村山総理の指導性をもって任命した五名の方でございます。その顔ぶれを見れば、ただいま山口委員の御心配というものは解消されるのではないであろうかなというふうにも考えるわけでございまして、こういう答弁をされまして、私も納得をしたところでございます。村山総理も同じ考えと理解してよろしいでしょうか。
 そしてさらに、これは分権を受ける方の立場の地方自治体の経験者、そういう方を、できればやっぱり首長経験者を入れるべきではないだろうかというふうにも考えます。地方六団体からもそういう要請が出されておりますけれども、それについてのお考えもあわせてお答えいただきたいと思います。
#19
○国務大臣(村山富市君) 今お話もございましたように、この地方分権推進委員会がある意味では勧告権あり、それから実施段階における点検をしてそれに基づいて意見を述べるといったようなことができるような権限を持たせるということについてはさまざまな意見があったけれども、しかしもうそこまで踏み切らなければ地方分権は推進されないということを前提にして、地方分権維進委員会の役割やら機能やら権限やらといったものについて御提案されているような内容のものにしたわけであります。
 それだけに、そのことも十分踏まえた上で分権が推進されるということの性格を考えた場合に、分権推進委員会の持っている役割というものは大変大きいものがあるわけですから、したがってその選任については衆参両院の審議の経過やら地方六団体の提言やらあるいはまた地方制度調査会の御意見やら等々も十分踏まえて、この法案の目的が十分達成できるような委員の選任というものは考えていかなきゃならぬというふうに思っておりまするけれども、今ここで予見を持ってこれはするとかこれはしないとかいうようなことについては差し控えたいというふうに思います。
 今、委員から御指摘もございましたようなことも十分踏まえた上で委員の選任はしなきゃならぬものだというようなことについては、十分配慮して検討させていただきたいというふうに思っているところでございます。
#20
○山口哲夫君 国会におけるいろいろな意見が出ておりますからそういう点を十分踏まえて、特に私が申し上げた意見、山口長官が前回お答えになった意見、ぜひひとつ実現できるようにお願いをしておきたいと思います
 次に、国の役割について質問したいと思います。
 第四条で国の役割が三つに区分されておりますけれども、大変抽象的に書かれております。この案文だけを読みますと拡大解釈をしようと思えばできないわけではない、そんなふうにも心配されるわけでありまして、そこで具体的に一体この三つの区分というものはどういうものを指すのかということでございます。
 それで、地方六団体が示しました十六項目というのがあります。国は以下次のような仕事を行うといって十六項目が全部限定列挙されております。また、地方制度調査会と行政改革推進本部の地方分権部会の「本部専門員の意見」、大体同じですけれども、それを見ますと三つの柱に対して括弧書きといたしまして、例えばどんなものというように書いてあります。
 そういう列挙されているようなものを国の役割というように考えてよろしいかどうか、そのことについてお答えをいただきたいと思います。
#21
○国務大臣(村山富市君) 今お話もございましたように、地方六団体の意見やらあるいは地方制度調査会の提言等の中には、国の役割分担というものもある程度具体的に明記されておる点があることは十分承知をいたしております。
 しかし、これから地方分権推進委員会でそうした御意見やらあるいは先ほど申し上げましたような国会の御審議の経過やら等も十分踏まえて検討されるというふうに思いますから、今ここで限定してこれとこれとこれは国の仕事だというふうにすることについては、私は推進委員会がこれから審議をする前提としてむしろそれは推進委員会の御審議の方にお任せして、そしてもう基本理念は明確になっているわけでありますから、その理念も踏まえ、今申し上げましたような各固体やらあるいは地方制度調査会等の答申も十分受けた立場でこれから議論されるわけでありますから、むしろ限定しない方がいいのではないかというふうに私は考えております。その点を十分前提として踏まえた上で委員会でも議論されるものだというふうに私は理解いたしております。
 同時に、これは立法機能にも関する問題でありますから、そういう点を考えた場合にも限定は差し控えた方がいいのではないか、私はそういうふうに理解をいたしておりますから、そういう意味で今お話のございましたような点については誤解を生じないように扱わせていただきたいというふうに思っているところでございます。
 国の役割のあり方あるいは内容については、今申し上げましたような立場でこの推進委員会で十分議論をされるものだ、議論をされて勧告があればその勧告については国は尊重して実行するということについてはこれはいささかも違いはないわけでありますから、そういうふうに御理解を賜りたいというふうに思っているところでございます。
#22
○山口哲夫君 三月十五日の当委員会で実は同じ質問を山口長官に払いたしました。そのときの質問は、「本部専門員の意見」として専門員の意見が出されているけれども、国の役割分担について、例えば「国は、国家の存立に直接関わる政策に関する事務(例えば、外交、防衛、通貨、司法など)」、そのほか第一、第三と同じように、「(例えば、公正取引の確保、生活保護基準、労働基準など)」云々というふうに書かれている。したがって、こういうことを一応頭に入れて考えてよろしいんですねというような質問に対して、山口長官はこういうふうに答えております。
 「具体的にそれでは地方制度調査会のような内容なのかと、こういう意味を含めてのお尋ねだと思うんでございますが、そういうことをイメージしていることは事実でございます。」、こういう答弁をされているわけですから、大体こういう列挙されたようなことを頭に描いていらっしゃるというようなふうに解釈してよろしいんですね。
#23
○国務大臣(村山富市君) 今お話もございましたように、地方制度調査会におきましては、もう時間がありませんから申し上げませんけれども、三つに分類して、そして国の役割分担と責任というものを明記してあるわけです。
 私は先ほども答弁申し上げましたように、この地方制度調査会の答申やらあるいは六団体の意見やら等も十分踏まえ尊重した立場で推進委員会では議論をされるものだというふうに理解をいたしておりまするし、そういう受けとめ方をいたしておるということは申し上げておきたいと思います。
#24
○山口哲夫君 質問を終わるわけですけれども、ひとつ委員長にお願いしておきたいと思うんですが、先ほど溝手委員の質問の中に、たしか村山総理が自治労を代表しているというお言葉があったように思うわけです。村山総理は自治労の政治連盟の一員ではあります。私たちと同じ一員でございまして、決して代表をしているものではありませんし、何か自治労が政権を担っているのでないかというお言葉もあったように聞こえたものですから、これはもしそうであったら大変誤解を招きますので、後ほど議事録をちょっと審査していただきまして、もし間違いであれば委員長の責任でひとつ削除をしていただくようにお願いしておきたいと思います。後ほど委員長の御意見をお伺いしたいと思います。
 最後に、とにかく地方自治法が制定されて四十七年になるわけです。地方自治は民主主義の学校だと言われてまいりましたけれども、残念ながら必ずしもそうは今なっていない。民主主義がだんだん低下してきているんでないだろうか。その一つの象徴として自治体選挙の投票率が非常に低くなっている。これはやっぱり長年続いてきた補助金行政による中央集権的な行政、それから選挙のときに各党相乗りの中でなかなか征風に対して公約を明確に出せない、争点がない、そんなようなこともありまして、結局は住民自身が地方の行政というものは首長と議員に任せておけばいいんだという、そういうお任せ的な行政ということになってきているんでないだろうか。
 私は、やっぱり地方自治は民主主義の学校だと、これは名言だと思うんですけれども、本当に地方自治から、自治体から民主主義を定着させていくためには、そこで住民一人一人が自分たちがこの町の主人公なんだ、自分たちがこの町をつくっていくんだという、そういう政治をつくっていかなきゃならないと思うんですね。そのためにも分権を行って、首長が本当に町づくりの方針を明らかにできろ、国の力をかりなくともこういう方向で行きたいというようなことを明確にしていくことによって、住民も非常に選挙のときにも首長の争点というものがはっきりしてくる。そういう住民一人一人に町づくりに対する期待を持たせていくというのが地方分権の大きな役割だと思います。
 そういう意味で日本の民主主義を高めていくためにも、ぜひひとつ総理の手によってこれを着実に実現させていただきますように心からお願いして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#25
○委員長(小林正君) それでは、山口理事からの御指摘がございましたが、質問者の趣旨が山口理事御指摘の内容であるかどうかにつきましては、後刻速記録を精査いたしまして、理事会において検討させていただきたいと存じます。
#26
○渡辺四郎君 どうも本日は総理の出席をいただき、地方分権推進法案の審議もいよいよ大詰めを迎えた感を深くするものです。
 ほぼ二年前の九三年六月、お話がありましたように衆参両院の本会議で行った国会決議、この歴史的な大改革に向けて私崎身、こんなに早く法律案が提出をされるとはその当時正直言って思いもしなかった一人です。あれから約二年、そして今、法案の成立を間近にして、地方分権の着実な第一歩を踏み出す機が熟していることを深く感じると同時に、長年の地方自治体の夢が現実化しつつある、このことを思うと本当に感慨深いものを覚えます、
 私も地方自治の確立を叫び続けてきた。人として、あるいは先ほど溝手先生からお話がありましたが、若干やはり認識の違いもあるようですけれども、自治労は中央に法人格の地方自治研究センターも持っております。それから自治労という労働団体は全国各組織に地方自治研究所を組織して、そして多くの学者、文化人、研究者を入れて約三十年間地方分権問題について取り組みをしてまいりました。今度の与党のプロジェクトの中でも自治労代表の皆さんに来ていただきまして、運動体としての地方分権についての考え方も述べていただきました。与党としてもお話を聞きながら、全く我々の方向と変わりはない、より積極的に自治労の方が前に出て進めるような、そういうお話も聞かせていただきました。私たち与党プロジェクトとしても実は参考になったところも多かったわけです。
 そういう中で、先ほど斎藤先生からお話がありましたが、私も与党のプロジェクトの一員として約二十八回に及ぶ議論をしてまいりました。私は、細川前々内閣の当時からいわゆる与党の地方分権プロジェクトのチームの一員として、ですから共産党の皆さんが抜けた以外のプロジェクトのメンバーとはこの分権問題については議論をしてまいりました。そしてかんかんがくがく議論もやりました。各党の主張もありましたが、そういう中で全体的に見れば今の法案についていま一歩という感もなきにしもあらずという気はいたしますが、現段階では昨年末のいわゆる地方分権大綱から見れば一歩前進をした、踏み込んだということについて私自身もそう評価をしますし、あるいは地方六団体等を含めて多くの皆さんからもそういう評価もいただいておるところです。
 そういう点から見れば今一番求められていることは何か。それは本法案を速やかに成立させ、実質的に地方分権を進めていくことだというふうに実は考えておりますが、この点多くの委員からも総理の御認識のお伺いがありましたが、再度私の方からも総理の御認識をお伺いしたいと思うんです。
#27
○国務大臣(村山富市君) 冒頭に斎藤先生からもお話がありましたけれども、地方の時代になる、あるいはこれから地方分権の時代だというようなことが言われて約二十年ぐらい経過しているわけです。そういう経過を振り返ってまいりますと、これはまさに地方の時代の流れですし、同時にもう実行段階だというふうに言わなきゃならぬと私は思いまするし、こういう法案がようやく日の目を見て審議をされる段階になったということは感無量な感がするわけであります。それだけ歴史的、画期約なものであるという言葉を使わせていただきましたけれども、そういう性格のものではないかというふうに私は思っております。
 この法案は、先ほど来申し上げておりまするように、国会の決議も十分踏まえた上で御提案を申し上げているところでございまして、同時にその内容につきましては地方制度調査会やらあるいは地方六団体等々の意見、提言というものも十分参考にしてつくられておりまするし、そういう地方制度調査会やあるいは地方六固体からも評価をされておる内容であるというふうに私は確信を待たせていただいておるところでございます。
 したがいまして、皆さん方の御理解もいただきまして一日も早く成立をさせていただき、地方分権推進委員会も発足をさせていただきまして具体的に実行できる段階に早く入らせていただいて、そして政府は一体となってこの期待にこたえ得るような取り組みをさらに強化していきたいというふうに考えているところでございますので、何分よろしくお願い申し上げたいと存じます。
#28
○渡辺四郎君 ぜひ、我々も国会の方も大いにひとつ努力をして内閣と一緒になって進めていきたい、そういう決意も申し上げておきたいと思うんです。
 以下、数点について総理にお伺いをし確認しておきたいという点がございます。
 まず、本法案は法律の有効期限を五年と規定をしてあります。そのことは政府がその期限内に地方分権を積極的に進める、そういうことを国民の皆さんにお約束したものであり、この点については私自身も政府の決意を含めて評価したいと思う。しかし、そのためには限られた時間内に具体的な成果を上げなければなりません。地方分権という、先ほど山口委員からもお話がありましたように明治以来の内政のいわば大革命、大改革であるわけですから、五年という期間というのは余りある時間ではない、そういうことを思えばむしろ時間的には少な過ぎるのじゃないかという気もするわけです。
 法案成立後、法案のかなめであります地方分権推進委員会を早期に発足させなきゃいけない。そして委員会の活動をバックアップするための強力な事務局体制の整備、そして委員会が積極的に調査、審議を行い、早い時期にいわゆる指針勧告をお願いしなきゃいけない。そうしますと、指針勧告が示された場合には、政府として早急に充実した内容の地方分権推進計画を作成して国民の皆さんにお示しすることができると思うんです。
 さらに、これを実施していくということになりますと、限られた時間、先ほど言いましたように五年間という期限があるわけですから、集中的に実行していかなければ地方分権の具体的な成案はやはり目に見えてこない。終わってみたら、やっぱり中央省庁がいいところばっかり取って、あとの残りだけを地方に分権をしたというふうなことを言われたのではこの目的を達成することができません。
 そういう点、総理、こうした点に対する政府の格段の努力を期待するものでありますが、総理の断固たる決意のほどをひとつお伺いしたいと思うんです。
#29
○国務大臣(村山富市君) 有効期限を五年間というふうに規定してあるわけでありますけれども、こういう大きな仕事をするのに五年間というのはそれほど長い期間ではないというふうに私は思っております。
 したがって、この五年間にできるだけ充実した議論をしていただいて、そして必ず結論が出せて実行できるようなものにしてもらわなきゃならぬというふうに考えております。したがって、委員の選任につきましても、先ほどお話もございましたようにできるだけ国と地方との行政全体に対する見識を持っておるバランスのとれた人選もする必要があるというふうに考えておるわけであります。その委員会が例えば勧告を出したという場合に、その勧告を出すのに必要な資料の提供というものはこれは当然各省庁から協力してもらわなきゃならぬわけですね。
 そういう内閣が一体となって取り組む体制というものは極めて大事なことだというふうに考えておりますから、これは冒頭申し上げましたように、この内閣が政治改革を進めていく一つの大きな重要課題として地方分権というのを位置づけておるということは、これはもうおげいに明確に確認をしておるところでありますから、したがってそういうことのないように各省庁も積極的に資料の提供も願い、同時に委員会の審議にも協力してもらうということは当然ではないか、また私はそうさせなきゃならぬというふうに考えておるところでございます。
 同時に、事務局の体制につきましても、この法の理念に基づいて分権が具体的に実践的に推進をされる、そういうことができるような適正な人員の配置ということも十分考えて、委員会の構成やらあるいはそれを推進する事務局のあり方やら等々は御意見のあった点も十分踏まえてやらなきゃならぬものだというふうに私は考えておりますから、そういう点についてはひとつ皆さん方の御理解もいただきましてさらなる御協力をお願い申し上げたいというふうに思っておるところでございます。
#30
○渡辺四郎君 推進委員会の人選問題、そして強力な事務局体制、それに対する予算措置、今、決意をお伺いしましたから、ぜひひとつお願いを申し上げておきたいと思っております。
 あともう時間が余りないものですから、最後の問題で、財源問題で少しお聞きをしておきたいと思うんです。本法案の第六条で、国は地方公共団体が自主的かつ自立的に事業を行うことができるよう、国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実確保を図ることが規定をされています。地方税源の充実策については逆に何ら明示をされていないという点で実は心配があるわけですが、地方分権に当たっての地方税財源の具体策について、今後推進委員会に検討をゆだねた形になっているというふうに思っております。
 そこで、せっかくの機会ですから総理に伺っておきたいと思いますが、これまで、先ほどからお話がありましたように、国会の決議やあるいは地方制度調査会あるいは六団体等々のたくさんの答申なり指摘も出てまいっておりますように、例えば国税と地方税とのあり方について、やはり責任と経費負損の所在を明確にせよという多くの答申なりあるいは御意見等も実は出されておるところです。そういう点で、国と地方の歳入歳出のアンバランスを見直すことが大事で、国庫補助金についても整理合理化をして一般財源化していく、こういう視点で交付税全体を見直し、そして地方の独立財源をどう確保するかというところにひとつ力を入れてもらいたい。同時に、交付税そのものを今の方式でなくて直入方式に持っていって、もう別建てだというふうな方向で、そのくらいのやはり強い体制に整備していく必要があるのじゃないのか。
 あるいは、地方債の許可問題についてもいろいろと御指摘がありました。委員会の審議がありました。ぜひこれについても関与はやっぱり最小限にとどめてもらって、そして許可制度の弾力化、簡素化を大幅に進めてもらいたいというような点をひとつ申し上げて、地方の自主性、自立性を高めるために大いに今後ひとつ政府としても努力をしてもらいたいということを、最後に総理にその点についての御所見をお伺いして終わりたいと思います。
#31
○国務大臣(村山富市君) 今、御指摘もございましたように、国と地方との役割分担あるいは歳出構造等を考えた場合に、俗に言われますように、仕事は地方自治体が七割近くやる、しかし逆に歳入財源というのは三割くらいしかない、あとは全部国が補助金等を通じて国の権限でもって地方自治体の行政がなされておる、こういうことがたびたび指摘されておるところであります。
 したがって、そういうアンバランスをもっとバランスをとって、そして自立的に自主的に仕事ができるような税財源の保障というものを、裏づけというものをしっかりする必要があるというようなことはもう議論されてきている経過もございますから、そういう点は十分踏まえてやる必要があるというふうに私は考えておるところでございます。これはこの法律案の中でも第六条にその点は明記いたしておりますから、その六条を踏まえて推進委員会でも十分議論をしていただけるものだというふうに私は期待いたしているところでございます。
 それから、交付税特別会計にするのではなくて直入させたらどうかと、一般会計に入れて、一般会計から特会に回すというのではなくて特別会計にもう直接入れてそして地方に交付する、こういう仕組みにしたらどうかというような御意見があることは十分承知をいたしております。
 ただ、これは財政の基本的なあり方にかかわる問題にも触れる問題でありますから、そういう意見も踏まえてなお一層慎重にこれから検討しなきゃならぬ課題であるというふうに私は理解をしていることだけは申し上げておきたいと思います。
#32
○牛嶋正君 平成会の牛嶋正でございます、
 私は、前回御質問させていただきましたときには第二条の「地方分権の推進に関する基本理念」、この中でと地方公共団体の役割分担というのが非常に重要な概念であるということで、これに関連いたしまして若干の質問をさせていただいた経緯がございます。
 きょうは、非常に限られた時間でございますが、同じく第二条の条文の中から、地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図る」、このフレーズを取り上げまして地方自治と関連づけながら少し御質問させていただきたい、こんなふうに思います。
 これまで地方自治の議論の中では、地方自治は二つの側面を持つと言われてまいりました。一つは団体自治、そしていま一つは住民自治でございます。これが相まって地方自治の前進あるいは確立があると言われてきたわけでございます。
 このうち、地方自治は地方公共団体が旧主性と自立性を持ち、胴の干渉や関与をできるだけ回過して独自の行財政を展開していくということであったわけでありまして、その場合の条件として言われてきたのは自主財源の確保ということであったかと思います。この第二条ではそのことを「自主性及び自立性を局めこというふうな表現をされておりますので、地方分権推進の目的の一つがやはり固体自治の確立にあるということは明らかではないかというふうに思います。
 いま一つは住民自治でございます、これは地方公共団体が一組織として民主的に運営され、できるだけ住民のニーズをくみ取ってそれを行政に反映させていく、こういうことで私は住民課治は成り立つのではないかと思うんです。そして、住民自治がきちっと行われるならば、この第二条で言われておりますように個性豊かな活力に満ちた地域社会が実現していくということだろうと思います。
 ですから、第二条の地方分権推進の基本理念のところで、推進する日約はこういうふうに団体崎治それから住民自治の確立にある言うならば地方自治の前進であるということではないかというふうに思います。
 そういう観点でちょっと御議論をさせていただきたいと思います。
 昭和二十二年に地方自治法が制定されましてことしで四十八年になるわけでございます。この間、個々の地方自治体は地方自治確立のために努力を積み重ねてきたというふうに私は思うわけであります。この間に、昭和二十五年にシャウプ勧告に基づきましてシャウプ税制が確立されました。このときのシャウプ勧告の中で、地方自治の確立のためには地方が独自の財源を持たなければならないということで今の地方税制の大体の骨組みがここでできたというふうに思っております。
 ところが、先ほどもこういう言葉が出ておりましたけれども、当時から三割自治という言葉が言われたわけです。これは何を意味しているかと申しますと、歳入のうち税収入の割合、これを自主財源比率と言っておりますけれども、これが三〇%をちょっと上回るぐらいであるということで三割自治というふうな呼び方がされてきたと思うんです。
 それではこの四十八年間、この内主財源比率がどういうふうに推移してきたのかということを見てみますと、現在は四〇%をちょっと上回るくらい。ですから四割自治まで前進したということが言えるんでしょう。しかし、この間高度成長もあり、そして安定成長もあったわけでございます。それから見ますと、この一〇%前進というのはそんなに高くは評価できないのではないかというふうな気がいたします。
 なぜこの自主財源比率がそれほど高まっていかなかったのか、この点についてまずお尋ねをしたいと思います。
#33
○政府委員(佐野徹治君) お話のように、現在の地方の、これは地方税の地方歳出全体に占める割合でございますけれども、大体四〇%程度でこのところ推移はいたしております。ただ、これを長期的に見ますと、今、牛嶋委員の方からも若干御指摘ございましたけれども、地方税の全体、例えば国税と地方税の割合なり、歳出総額に占める地方税の割合なり、こういうことを長期的に見ますと地方税のウエートというのは徐々に高まってきておるところでございます。
 これは私ども、やはり地方税を充実することによって地方の自主財源を充実していく、こういう基本的な考え方で従来から対処してまいりまして、一応そういった基本的な方向に沿って地方税のウエートも高まってきている、こういうように理解をしておるところでございまして、これは今すぐに例えば四〇%を何%上げるということは簡単にはいかない問題でございますけれども、中長期的な問題といたしましてはやはり地方税を充実していく、こういう方向で努力をしてまいりたいと考えております。
#34
○牛嶋正君 自主財源比率を高めるためには、今も御説明ありましたように国税と地方税の間の税源配分を変えていかなければなりません。今、税源配分を見ますと大体国税六五%、地方税が三五%でございます。この比率はずっと余り変わってないんです。こういう状態のもとで自主財源比率を引き上げるといったってこれはできないことでございます。
 そういうことを考えますと、六条でせっかく「地方税財源の充実確保を図る」とおっしゃっていますけれども、今私が申しましたこれまでの六五対三五というような比率が余り変わってないことを振り返ってみますと、この文書は非常にそらぞらしく私には映るわけでございます。
 なぜ国税と地方税の税源の比率が変わらないのかということです。これは大蔵省がいつも言うことですけれども、国から地方へ税源を移した場合に、今でさえ地方公共団体間に大きな財政力の格差があるのにこれがどんどん広がる、もっと広がる、その格差是正はできないではないかと、こういう理由がいつも出されるんです。この点について自治省の方はどういうふうにお考えでございますか。
#35
○政府委員(佐野徹治君) 地方税の制度を見ますと、国税に比べますと現行の制度におきましても地域的な偏在度は少ないと思っておりますけれども、やはり地域間に経済力の格差がある現状におきましては、どうしてもある程度の税源の偏在というのは避けられないわけでございまして、私ども今後地方分権の流れに沿いまして地方税源の充実を図っていく、こういう場合でもやはりこういった問題は前提にせざるを得ないというように考えておるわけでございます。
 ただ、そこのところはやはり普遍性に富む税源と申しますか、そういう面に着目をいたしまして地方税源の充実を図るということも一方では必要でございまして、例えば先般の税制改革におきまして創設されました地方消費税でございますけれども、これはやはり比較的地域的な普遍性に富む税ではないか、こういうように考えておるわけでございます。
 今後ともそういった点から、所得、消費、資産、それぞれの間でのバランスのとれた安定的な税体系の確立を目指すということと、これらの税目をうまく組み合わせることによりまして税収の偏在が大きくならないような税体系をつくっていくことは必要であるというように考えておる次第でございます。
#36
○牛嶋正君 シャウプ勧告に基づくシャウプ税制、シャウプ改革と育ってもいいかと思いますが、以降、何回か抜本的な税制改革が行われてまいりました。しかし、いつもそこでの中心的な改革の税目というのは国税だったわけであります。地方税についてはほとんど国税に合わせるような形で、いわばついでにといいますか、そういう形で私は税制改革がなされてきたと思うんです、
 そのことは、今の税体系を構成していると主要税目、これは都道府県税は都道府県民税とそれから事業税でございます。そして市町村税は市町村災税とそれから固定資産税です。これはいずれもシャウプ税制のときにつくられた税目なんですね。だとすると、地方税に関してはシヤウプ税制のときと例ら変わっていないということです。私はそこに問題があるのじゃないかなというふうな気がするわけであります。そして今の税制を前提に置く限りは、先ほど申しましたように国から地方へ税源を移せば格差が広がることはもう当然なんです。ここが問題なんですね。ですから、本当に国から地方に税源を移す気持ちがあるならば、私は今の地方税を構成している主要税目を抜本的に見直すべきだ、こういうふうに思うわけでございます。
 今の地方税の主要税目を見ますと、先ほども説明されましたように実はこれは地域洲の財政力、税収の格差をもたらすものばかりなんですね。特に事業税なんというのは、これは法人の経済活動が集まっているようなところは税収が集まることは当然なわけであります。ですから、こういった事業税を、例えば今の利潤に対する課税から外形標準課税に変える、こういった思い切った税制改革をしなければいつまでたっても国と地方の税源配分というのは変わらないのではないか。したがって、幾ら六条でこのようにおっしゃっておられても拡充というのはなかなか実現しないのではないかというふうに思うわけでございます。
 ですから、首相にお聞きしたいのは、今度やる税制改革は地方税体系の抜本的見直しを中心に税制改革をやる。言うならば新しいシャウプ税制改革をやるんだ、これくらいの決意を私は今お聞きしたいのでありますけれども、いかがでございましょうか。
#37
○国務大臣(村山富市君) 地方自治体のシャウプ勧告以後の歴史的な経緯も踏まえて御質問をいただいたわけでありますけれども、私は、団体自治としてのあり方と、それから一方、住民自治としての性格、これは選挙の仕組みというのも国の場合には議院内閣制です。しかし、地方の場合には大統領制で、首長も直接選挙になっておるというところに私はやっぱり地方自治の本質というものが位置づけられておると。住民自治というものは、そういうことを通じて住民がみずから首長を選ぶというところに今の日本の地方自治体のあり方の違いというものがあるということも十分踏まえた場合に、分権というものはそういうこともやっぱり前提にして進められなきゃならぬものだというふうに。考えていることが一つです。
 それからもう一つは、先ほど来お話がございますように、今の国税と地方税のあり方というものを考えた場合に、それはもう地方自治体は入口も違いますし、産業構造も違いますし、相当の格差があるわけでありますから、今の制度のままで地方自治体の税制というものを強化した場合には、これはもう格差は広がるばかりだ、こういうことになりますから、したがって税のあり方と財源のあり方というのはおのずから違うと。したがって、その財源というものをどう保障していくかというので、地方交付税は一般財源としてできるだけ均衡がとれた形でもって最低の水準というものは維持する必要があるというので考えられたものだと、私はそういうふうに位置づけておるわけでありますけれども、そういう機能は十分果たしてきておると思います。
 ただ、これから分権を推進していくということを前提にして考えているわけでありますから、したがって今御指摘もございましたように、事業税等のあり方につきましても外形課税をするとか、いろんな意味でこれは税制調査会からも意見が出ておりますが、そうしたものも踏まえて、私は地方税のあり方についても分権を推進するという前提に立った立場で抜本的に見直しをして検討する必要があるんではないかというふうに理解をいたしております。
#38
○牛嶋正君 今の御決意を私はお聞きしまして、ようやくこの法案に少し魂が入ったかなというふうな気がしております。これは国と地方自治体間の役割分担のところもそうなんですね。私は、四条、五条を読みましても、読み方ではもう今のままでもいいのじゃないかというふうな読み方もできるわけですね。ですから、後は推進計画を立てるときにどれだけその中に今の気持ちを含めていくかということだろうと思うんですね。
 それと関連いたしまして、今度は住民自治の方へ移らせていただきたいというふうに思います。
 先ほども申しましたように、住民自治というのは形式的には、首相も今おっしゃいましたように議会制度をとっておりますし、それから首長も公選でございますので、形の上では住民自治は十分に整っていると思うんですけれども、問題は、私は先ほどもちょっと申しましたけれども、住民報治が確立しているかどうかということは、それぞれの地方公共団体が住民の選好を正しくとらえて、そしてそれを満たしていくために行政にどういうふうに反映させていくかということだろうと思うんです。それができて初めて私は住民自治が実質的に一応確立したというふうに言えると思うんですね。
 ところが、今までの地方自治の議論の中で固体自治だけが議論されていたんです。先ほど申しましたように、自主財源の確保とか三割自治とか四割自治という議論は全部それなんです。今回そういう意味で、先ほども指摘いたしましたように、住民自治が真っ正面から取り上げられたということで私はこの法案が非常に意味があるというふうに思っております。
 今申しましたように、住民のニーズをできるだけ正確に把握してそれを行政に反映していくためには、私は相当個々の地方自治体が力を持たなければならないと思うんです。すなわち、そうするためには、ある一つの行政を取り上げてみましても企画立案さらには調整を行ってそして実施をする、すなわち総合的に行政を展開していかなければなりません。今までどらちかといいますと、企画立案のところは国がいろいろな形で関与をしてきた。法律とか政令というふうなことで関与をしてきた。ですから、今まで地方公共団体が本当にやってきたのは実施だけだったと思うんですね。そこの実施の段階で必要な行政能力というのは私は技術的な問題が多かったと思うんです。しかし、総合的に企画立案からやるということになりますと、情報をできるだけ収集しなければならない。そしてそれを分析して住民のニーズがどこにあるのかということを確認して、それに基づいて企画をし立案していく、こういうことですから、これまで以上の私は行政能力が必要ではないかというふうに思うんです。
 ところが、この行政能力というのは今まで余り議論されなかった。これはなかなかとらえどころがないわけでございます。財政力の場合は一人当たりの税収額とかあるいは財政力指数などであらわすことができます。しかも、その財政力に格差がある場合には地方交付税制度等で調整できるわけです。ところが、行政能力に私はどれぐらいの格差があるかわかりませんが、あると思うんですね。しかし、あったとしてもその行政能力を調整することはできないわけです。ここにこれからの地方自治、特に住民自治を推進していく場合のポイントがあるというふうに思うのであります。
 今までなぜ企画立案のところで国がいろんな形で関係してきたのかということですけれども、私は地方公共団体のそういった行政能力に対する国からの評価というのが過小評価があったのじゃないかというふうに思います。そういう過小評価を受けざるを得ないような場合もあったでしょうけれども、四十八年間の地方自治確立のためのそれぞれの努力によって私は相当な力をつけてきていると思うんですね。しかも、これまでは行政に対するニーズというのは個々の住民の間でそれほどばらつきがあったわけではありません。
 例えばごみ行政などを見てみますと、だれもが週二回ぐらい収集してくれればそれでいい、そして焼却というふうな形で衛生的に処理してくれればいいんだというふうなニーズだったと思うんです。ところが現在はそうじゃないですね。ごみを分別収集して再利用するものは叫利用したらどうだろうか、いろいろなニーズが出てきている。しかも個々の住民の間のニーズはそれぞれ多様であります。そうだとしますと、このニーズをくみ取って、やはりそれを行政に反映するのは化民に一番近い地方公共団体ではないかと思います。ですから分権推進が問題になるわけです。今まで露が関与してきた計画立案のところをもう地方に任せる。私は地方に任せるためには地方の方を信頼しなくてはならないのじゃないかというふうに思っているわけでございます。
 ここが問題でありまして、この後、推進計画がつくられていくに当たりましてどれだけ分権が進むかということです。これまでのように地方自治体あるいは地方公共団体の行政能力を過小評価しているような立場をとり続けるならば、私はせっかくこういうふうな推進法案ができてもやっぱり進まないんじゃないかというふうに思います。
 それでは最後に首相に、今、地方公共団体はいろいろあります、ありますけれども、全体的に見てどのように力を評価されておられるか。もうこれなら大部分任せてもいいのじゃないかというふうに評価されているのか。そしてあとは財源をつけてやれば何とかやっていける、こういうふうにお考えであるのかどうか。そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
#39
○国務大臣(村山富市君) 今、委員からお話もございましたように、財政力というのは支出でもって計算ができますね。はかれます。しかし、行政能力というのはそういうわけにはいきませんから、この程度の行政能力があるといってはかることはなかなか難しいと思います。しかし、もう地方自治法は施行されていますからね、半世紀も経過しているわけですから、私はそれなりに地方自治体も行政能力は持っておるというふうに評価していいものだというふうに考えております。分権を推進していく過程の中で、仕事も責任ある仕事をしなきゃならぬことになるわけですから、したがって十分対応できるだけの力はもう今や地方自治体も持っておるということを前提にして考えていく必要があるということは委員からお話があったとおりだと私も思っております。
 しかし、そうはいっても財源的にも行政的にも権限的にやっぱり中央に依存をする、こういう体質があったことだけは否定できない、やっぱりそういうならわしになっておりましたから事実だと思うんですね。それを今度は企画立案から施行から責任を持ってやるということになれば、今持っておる行政能力に加えてそれなりの努力はされるものだというふうに思いますから、その点の不安と心配はない、むしろ自信を持って、確信を持って地方分権は推進をしていいものだというふうに私は認識いたしておるということを申し上げておきたいと思います。
#40
○牛嶋正君 もう時間がございませんが、今の首相のお言葉を聞きまして私もちょっと安心させていただきました。
 結局、行政能力というのは非常にモラルと関係があるわけです。地方公務員一人一人のモラルと関係があります。ですから、やる気があれば、そんなに人間の素質は変わるわけでありませんからやれるんですね。今、首相がおっしゃいましたように、もう認めよう、そしてある程度お渡ししても大丈夫だというふうにおっしゃっていただきました。私は、これは一人一人の地方公務員のモラルを高めるのに非常にありがたい御発言だ、こういうふうに思っております。恐らく責任を与えれば十分やれると、そういう段階にもう来ております。そういうことを最後に申し上げまして、どうもありがとうございました。
#41
○小島慶三君 新緑風会の小島でございます。
 きょうは総理、御多用中のところ御出席いただきましてありがとうございました。また両大臣、連日御苦労さまでございます。
 きょう私の時間は十分しかございませんので、せっかく総理にお出ましいただきましたので、国政のかじ取りという面から見て二、三点お伺いをしたい。時間がなくなりましたら、最後のまま私は自分で飲み込んで帰りたいと思っております。
 まず総理も先ほど仰せられましたように、地方の時代と言われてから二十年もたつわけでございます。その間、私の友人の長洲神奈川県知事、今度やめましたけれども、彼あたりは、地方の時代なんてものじゃないよ、地方の困難の時代だよということをしょっちゅう言っておったわけであります。それがようやく時の流れが変わりまして、そしてこの法案が日の目を見るということになりまして、私どもその推進者の一人として全く欣快にたえないわけでございます。もっとも、法案の内容については若干異論がございますけれども、全体一歩を踏み出すという意味で大変これは喜ばしいことだと思っております。
 さて、先ほど総理がおっしゃいましたように長い地方の困難な時代、これを逆に考えてみれば、それだけ中央集権への依存度が高かったということであろうと思うのであります。それで、これも先ほど斎藤先生が非常に格調高い御質問の中で明治維新にお触れになった。明治維新のこの中央集権までの過程を私も考えてみますと、これは版籍奉還、廃藩置県というのは本当に大変ないわば革命でございまして、西郷さんあたりはもう。戦やるかな、やらなきゃだめかなということをおっしゃっておられたそうでありますが、それが実に疾風迅雷のごとく片づいたということで、これは西洋のいろんな雑誌にも載っておりますけれども、日本はどういうことなんだということで大変疑問に思ったそうでございます。なぜ領地を持っている者がそれを返すんだということがわからなかったと。それで最後にはハッピーディスパッチ、これは腹切りという意味でありますが、日本人特有なハッピーディスパッチであろうということになったというんですけれども、それほどのことで、これはやっぱりいろいろその背景を探ってみますと、当時の藩が既にもう実際上破産していたということがあるようであります。そこでそういうふうな迅速な措置ができたわけであります。
 今回のそういった中央集権を直すという意味においても、これはシステムの改正ということで私はやっぱり革命に値するものであろうと思うのであります。ですから、これをなし遂げた暁には、村山内閣は後世に残る金字塔として大変大きく評価されるというふうに思っております。
 しかし、ここに一つ問題がないわけではないのでありまして、確かに鉄は熱いうちに打てと言われますから、もう断固として一気にやってしまうということもお考えのうちにあろうと思います。先日、山口大臣のお答えにも、五年とは言うけれども、その中で二年で大体のアウトラインは決めて、それを評価してというふうにお答えがあったんですけれども、果たしてそういうことでよろしいのかどうかという点が私は一つ大変疑問があるわけであります。
 というのは、先ほど渡辺議員からも五年ということについての御質問がありました。今度これを推進していく時期というのは、私は大変難しい時期だと思っております。というのは、危機管理というものはこれは我々の上に覆いかぶさっているわけであります。これは何といたしましても阪神のかの悲しむべき大震災、それからとどまるところを知らない円高、そしてもう一つこれは何とも我々も理解に苦しむサリン事件というのが次々に起こってきまして、これはやはり国難だというふうに私は受けとめております。これをうまく通り起さないことには日本のあしたはないというぐらいにまで思っております。そういう点から見ますと、危機管理のシステムを構築するというのがやはり政府の最大の課題ではないかというふうに思っているわけであります。
 そういう点で、今回の分権の推進を考えてみますと、分権の推進の仕方によっては危機管理とマッチするという面があるかもしれません。しかし逆に、これはもう少し中央の統制力といいますかそういうものを強化しないと危機管理体制というものができないというものもあるかもしれません。そういう意味においてはジレンマだと思うんですけれども、やはりある程度これは危機管理を優先するといいますか、そういう立場から分権についての手綱を緩めるといいますか、そういう必要が出てくるかもしれないということを私は危惧しているわけであります。ですから、その間、推進の過程ではかなり試行錯誤ということが政治の現実の課題になってくるのではないかというふうにも思っておるわけであります。
 ですから、私の言いたいことは、要するに分権の問題は非常に大きな課題で、早くやるにこしたことはないんですが、やはり少し長目のスタンスで諸般の情勢を考えて、そして推進をされるという必要があるのではないか。拙速をとるべきでないというのが私の申し上げたい点なのでありますが、その点、総理はいかがお考えになりましょうか。
#42
○国務大臣(村山富市君) 今お話もございましたような視点というものも私はやっぱり大事な視点だと思います。しかし、先ほど来御意見もございますように、国が持つ役割分担と地方自治体が持つ役割分損、そして先ほどもお話がございましたけれども、地方自治体というのは団体自治と住民自治と両面を持って、そして住民に身近な問題については可能な限りやっぱり地方自治体が責任を持ってやるということの方が個性も生かされるし、きめ細かな行政もまたやっていただける。こういう意味では大変大事なことだし必要なことだと私は思うんです。
 しかし、これまでの日本の歴史の中で、戦後からこれだけの経済力を持った国になるためには、ある意味では中央集権的な行政のあり方についての一定の役割を果たしておるというふうに私は評価いたしておりまする。しかし、分権というのはこれだけ変わった時代の中における一つの流れだというふうに受けとめておりますから、分権というものはそういう意味でこれからさらに進めていく必要があるというふうに思います。しかし、最近起こっているようないろんな問題に照らして考えてまいりますと、私はそういう分権が進められている状況の中でも、国と地方自治体あるいは地方自治体同士の連携といったような調整機能というものをお互いに持ち合って、そして対応できるような仕組みというものも十分考えておく必要があるのではないかというふうに考えておりますから、そういう意味でそういう点はやっぱり補っていかなきゃならぬ問題だというふうに考えた方がいいんではないかというふうに私は思いますから、そういう点もこの推進委員会の中では十分議論される課題であるというふうに思っております。
#43
○小島慶三君 時間がもうなくなってしまいましたけれども、私が第二番目にお伺いしたいことは、先ほども溝手先生の方から縦割り行政の問題についてお触れになりました。この点が今後のやはり分権推進との関係で非常に大きなものがあるというふうに私は思っております。
 先般も地方公聴会で富山県に私は参りました。中沖さんは詩からの友人でありますが、彼の主張として従来言われていたことは、地方分権でなくて地方集権だって春うんですね。私、これも大変意味のある考え方だと実は思っております。それでこの地方集権という意味は、中央の省庁からあるいは県から、仮に地方の市町村というものを最終の受け皿にした場合にいろんな問題が上からおりてくる、それを住民に密着してまとめた立場で受けとめるというところに地方集権という意味があると思うんです。
 しかし、それが中央なり県なりとの交渉でいろいろ地方から意見をフィードバックされる場合に、相手はもう各省それぞれの立場でお互いに十分な話し合いができないという状態ですと、せっかく地方で抱えて、与えられて、そして意欲を持って推進したいという問題がそこで切れてしまうということになると思われますので、これをどうしても中央の省庁の統合再編成という、これも大きな課題でございますか、それを同時にお進めにならないと地方分権が実らないということがあると思うんですが、この点はいかがでございましょうか。
#44
○国務大臣(村山富市君) これは国、地方を問わず、やっぱり世の中は変化していくわけですから、行政組織というのは変化に十分対応できるような能力を持つということも大事なことですし、同時に整合性やら総合性やらそういうものもやっぱりきちっと確保されるというようなことも必要でございます。しかも、できるだけ簡素にして効率的な行政というものも考えていく必要があるというような視点を踏まえて、分権を推進する過程の中で中央省庁のあり方もこれでいいのかというようなことは当然やっぱり問われなきゃならない課題だというふうに思います。
 これは簡単にできる問題ではないと思いまするけれども、しかしせっかく分権を推進していって国全体の行政のあり方というものが見直されるという段階にあるわけでありますから、したがって中央省庁の行政改革についても中長期的な視点に立ってこれは検討されなきゃならない課題だというふうに受けとめて検討する必要があると私は理解をいたしております。
#45
○小島慶三君 もう時間が参りましたので終わります。
 最後にお伺いしたかったことは、実はこの地方の時代という問題の始まりは東京への一極集中ということから始まったと思うんです。ですから地方分権と同時に、首都圏の移転といいますか、そういう問題もいずれはお考えを伺いたいというふうに申し上げておきまして、私の質問を終わらせていただきます。
    ―――――――――――――
#46
○委員長(小林正君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、石井道子君が委員を辞任され、その補欠として松谷蒼一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#47
○吉川春子君 総理に質問をいたします。
 地方分権を推進する場合に中央省庁が握っている権限をそう簡単に放すはずがない、なかなかうまくいかないんじゃないかと、こういう声もたくさんあるわけですけれども、その場合にやはり世論の力といいますか、国民世論、住民参加の問題が非常に大きな力になるのじゃないかと思いますが、この地方分権と住民参加の点について総理はどのようにお考えでいらっしゃいますか、
#48
○国務大臣(村山富市君) さっきも御答弁で申し上げましたように、首長が直接選挙で選ばれるというところがやっぱり議院内閣制である国の行政と地方自治体との違いなんです。これは、首長が直接選挙で選ばれるということは、それだけ住民の意向を十分反映させて行政というものはなされなければならないものだということになっておるという性格を考えた場合、今御指摘もこざいましたように、住民自体が分権というものに対してより理解を持ってみずからのものにしていくと、こういう受けとめ方をしていただくことは極めて大事なことだというふうに思いますから、分権推進委員会の議論なりあるいは国会における審議なり、こういうものを通じて私は国民の皆さん方にも十分御理解をして受けとめてもらう必要があるというふうに考えておることは、そういうふうに御理解を願いたいと思うんです。
#49
○吉川春子君 総理は衆議院の分権特別委員会でリーダーシップ云々の質問にお答えになって、こういうふうにおっしゃっているんですね。物事の決め方のプロセスは、できるだけ民主的に透明度の高いものにする必要がある、透明度の高い民主的な、国民の皆さんによく判断していただき、理解していただくような手だてが必要だ、時間がかかるかもしれないけれども、民主的な運営は大切にしなければいけないとおっしゃっておられましで、私はこの点、賛成なんです。
 それで伺いますけれども、第十一条は修正されまして国会への報告ということが盛り込まれたわけですが、これは委員会がその都度報告するということではなくて、出された勧告について報告するということですね。しかし、途中経過について国会は十分知り得ないということであってはならないと思うんです。それでその後、分権に伴う法律の改正とかいろいろあるわけで、国会も当然重要な役割を果たしていかなければなりませんし、何よりも国権の最高機関という立場からこのプロセス、その内容についても十分知り得る手だてが講じられなければならないと思うんです。
 それで、私としては二つ要求したいと思うんですが、一つは、審議の議事録それから委員会で湿られた資料、そういうものをその都度国会にお示しいただきたい。それからもう一点は、今、総理がおっしゃいましたように国民の皆さんに周知していくという点から、議事録あるいは審議要録を発行して閲覧とか配布とかそういうことを可能な状態に置くと。そういう点について具体的に総理から御答弁いただきたいと思います。
#50
○国務大臣(村山富市君) 委員会の審議の持ち方、あり方については、これは基本的には委員会御自身がお決めになることですから、私がここでとやかく言うことは差し控えなきゃならぬというふうに思うんですけれども、しかし、前提として私が申し上げましたように、住民自治という建前からすれば。それは住民自身がどのように分権というものを理解して、そして住民自体のものにしていくかということでなければ、本当の意味で住民自治というのはできないわけですからね。
 したがって、そういう経過から考えれば、私はできるだけやっぱり国民の皆さんから、あるいは住民の皆さんから御理解をいただくということは大事なことだというふうに思いまするし、国権の最高機関である国会がそういう点については十分また御審議もいただかなきゃならぬ、そういうふうに思っております。したがって、これは地方行政委員会もありまするし、分権の特別委員会もあるわけでありますから、そういう委員会の審議を通じて御議論もいただけるものだというふうに思っておりますから、その勧告があった過程あるいは委員会審議の過程等における問題点につきましては、国会の中では十分御議論もいただけるものだというふうに思っております。
 そういうものを通じて国民にもまた一層理解を深めていただくことになるだろうというふうに思っておりますから、前提として申し上げましたように、これは住民自身が住民のものにしていくというところに分権を推進する大きな意味もありますし、そうでなければ住民自体のものにならないというふうに思いますから、そういう点はやっぱり十分配慮して考えていく必要がある問題だというふうに私は理解をいたしております。
#51
○吉川春子君 住民参加という点で大変積極的な御答弁だったと思うんです。それをもう一歩進めて、総理、議事録といかないまでも、なるべく審議の経過あるいは資料等について国会に明らかにするということは即国民に明らかにするということでもありますので、そういうことを今までのどの審議会、どの委員会、八条委員会に比べてもやっぱり積極的にやっていただきたい。
 ややもすれば、いろんな審議会がありましたけれども、割と秘密主義なんですよ。結構マスコミの方の方が詳しく知っていて、国会議員には渡さないというようなことすらある場合があるわけなんです。そういうことですので、やはり審議の内容をオープンにしていただいて、しかもこの委員会というのは外交、防衛にかかわりませんから、私たち、外交、防衛ならば隠していいという立場ではありませんが、しかし政府が隠そうとしている外交、防衛とも関係ないわけですから、やはりその内容についてもう全然秘密はないんだと、できるだけ多くのものを公表していただく、そういう点で努力していただきたいと思います。もう、度その点をお願いします。
#52
○国務大臣(村山富市君) 情報公開というのもやっぱり今、時の流れになっているのではないか。行革委員会の中では二年間をめどに公開の結論も出す、こういうことになっておりますから、したがって私は、そういう全体の行政の流れからすればできるだけ情報は公開して皆さんにもよく御理解をし知っていただかなきゃならぬものだというふうに考えております。
 ただ、冒頭に申し上げましたように、委員会自体がどういう運営の仕方をしていくかということについては、これは委員会が構成されれば委員会自体がお決めになることですから、私はここでとやかく言うことは差し控えたいと思いまするけれども、そういう客観的な情勢の流れというものは委員会の皆さんも十分踏まえた上で扱っていただけるものだというふうに私は期待をいたしております。
#53
○吉川春子君 それと、推進委員会は地方分権推進計画の作成のための具体的な指針を総理に勧告されるわけで、それを尊重して案がつくられていくわけで、そこに国民の声がまさに委員会の審議の段階で反映される必要があると思うんですね。それで、国民の声を聞く制度を具体的に持っている審議会もあるわけで、例えば運輸審議会では公聴会を開いて国民の声を聞いているわけです。分権推進委員会も公聴会を開くなど、積極的に自治体の長、議会の代表、個々の国民の声、こういうものが反映できるようなそういう委員会であってほしいなと思いますが、その点についても総理の積極的な御意見を伺いたいと思います。
#54
○国務大臣(村山富市君) この委員会でも恐らくこの法案の審議をするのにやっぱり公聴会も開かれて、そして先ほどお話もございましたように各知事やらあるいは市町村長やら等の意見も十分聞いた上で御審議をされてきておるということの経過は先ほどお話もございましたけれども、私はこの地方分権推進委員会もそういう意味から申し上げますと委員会が勧告をする案をつくるためにはそれは各省庁の意見も十分聞く必要があるし、同時に地方自治体のそれぞれの意見も十分聞くし、あるいはまた住民の意見も聞く、こういったような審議の仕方というものは、これは公聴会等を通じて十分やられるものだというふうに思っておりますし、同時に国会の審議というものも十分踏まえた上で、そういう点を配慮しながらこれから進められていくものだというふうに思っておりますから、今、委員からお話のございましたような点については十分踏まえた上で推進委員会の審議は行われていくのではないかということを期待いたしておるということだけは申し上げておきたいと思います。
#55
○委員長(小林正君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○委員長(小林正君) 御異議ないと認めます。
 地方分権推進法案の修正について勝木君から発言を求められておりますので、これを許します。勝木健司君。
#57
○勝木健司君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となっております地方分権推進法案に対し修正の動議を提出し、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。
 今回提案されました地方分権推進法案は、衆議院において修正を経た法案ではありますが、また本委員会においても熱心に質疑をしてきたところでありますが、しかし、地方分権の姿が見えない、具体性に乏しいなど、いまだ不十分な内容にとどまっております。
 真の地方自治の確立による民主主義の健全な発展と、少子・高齢化の進む中で生活者重視の行政を進めるためには地方分権の推進が不可欠であり、国民の強い期待であります。こうした国民の期待にこたえ、法案の実効性を高めることによって本法律を真の地方分権の実現に資するものとすることこそ、我が参議院に課せられた使命であると考え、ここに修正案を提案いたします。
 以下、修正案の内容について御説明いたします。
 第一に、目的及び基本理念についてであります。
 本法の目的に、行政権限の過度の集中による弊害を除去し、それぞれの地域がその特性を生かして発展できるようにすることの緊要性をうたうこととし、基本理念において、国民福祉の増進を図るためには行政は地域の実情に応じて処理されることが重要であることをうたうことといたしております。
 第二に、国と地方公共団体の役割分担についてであります。
 原案の第四条に規定されております国の役割をより限定するとともに、地方公共団体の役割を明確にするため、地方分権の推進は、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動もしくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務、または全国的な規模で行われることが不可欠な施策及び事業の実施、その他の国が本来果たすべき最小限の役割を明確にし、これを重点的に担い、地方公共団体においては住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において効率的に処理するとの観点から、地域における行政について企画立案及び調整を含め一貫して目主的かつ自立的にこれを実施する役割を広く祝うべきことを旨として行われるものといたしております。
 第三は、地方分権の推進に関する国の施策についてであります。
 原案の第五条に規定されております地方分権の推進に関する国の施策の方向性を具体的に示すため、国は、国と地方公共団体との役割分担のあり方に即して地方公共団体への権限の委譲を推進するとともに、機関委任事務制度及び地方事務官制度はこれを廃止し、国の地方行政機関の整理及び合理化を行い、並びに地方公共団体に対する国の関与及び必置規制を法令で特に定める必要最小限のものとするほか、地方公共団体に対する国の負担金、補助金等の支出金の整理及び合理化並びに地方債の許可制度の廃止を行う等、地方分権の推進を計画的かつ集中的に行い、おおむね五年をめどに具体的成果を上げるものといたしております。
 また、国は、地方公共団体への権限の委譲を推進するに当たっては、できる限り基礎的な地方公共団体である市町村へ権限が委譲されるよう配慮するものとしております。
 第四は、地方公共団体の財政基盤の整備等についてであります。
 原案の第六条に規定されております地方税財源の充実確保を地方公共団体の財政基盤の整備一般に拡張して、国は、地方公共団体が住民本位の行政をみずからの判断と責任でより能率的かつ効果的に処理できるよう、地方公共団体の自主財源である地方税を充実強化することを基本として地方税財源の充実強化を図るとともに、地方交付税の財政調整機能を強化する措置を講ずる等、地方公共団体の財政基盤の整備を図るものとしております
 これに加えまして、国は、地方公共団体の課税その他の財政の運営の自律性を尊重するものといたしております。
 第五は、地方公共団体の行政体制の整備及び確立についてであります。
 原案の第七条に規定されております措置を具体化して、地方公共団体は、広域的な行政需要への適切な対応、監査機能の充実、情報公開の推進及び住民参加の拡大のための措置その他の必要な措置を講ずることにより、地方分権の推進に応じた地方公共団体の行政体制の整備及び確立を図るものとしております。
 第六は、地方分権推進委員会についてであります。
 委員会は第十条に定める勧告をし、または意見を述べたときは、その概要を公表するとともに、定期的にその審議の概要を公表することとしております。
 また、委員会の委員のうちには、地方六団体が推薦する者三人を含まなければならないものといたしております。
 そして、委員には五年の任期を設けることといたしております。
 最後に、この法律を五年間の時限立法としております原案の附則第三項を削ることとしております。
 以上、修正案の趣旨及びその内容を御説明申し上げました。何とぞ良識の府でありまする本参議院の委員各位が御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#58
○委員長(小林正君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、勝木君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#59
○委員長(小林正君) 少数と認めます。よって、勝木君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#60
○委員長(小林正君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 勝木君から発言を求められておりますので、これを許します。勝木健司君。
#61
○勝木健司君 私は、ただいま可決されました地方分権推進法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、平成会、新緑風会の各派協同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読します。
    地方分権推進法案に対する附帯決議(案)
  地域における行政の自主性・自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図るため、政府は、本法施行に当たり、左記の事項について善処すべきである。
 一、国と地方公共団体との役割分担を明確にすること。
 二、地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理・合理化については、廃止を含め積極的に推進するとともに、制度そのものの在り方についても検討すること。
 三、地方公共団体が事務事業を自主的・自立的に執行できるよう、課税自主権を尊重しつつ、地方税財源の充実・強化を図るとともに、地方債許可制度については、一層の弾力化、簡素化を図ること。
 四、地方分権推進委員会の委員の人選に当たつては、地方公共団体の意見が十分反映されるよう配慮すること。また、地方分権推進委員会の運営に当たっては、自主性が確保されるとともに、審議状況ができるだけ周知されるよう配慮すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#62
○委員長(小林正君) ただいま勝木君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#63
○委員長(小林正君) 全会一致と認めます。よって、勝木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、山口総務庁長官及び野中自治大臣から発言を求められておりますので、この際、順次これを許します。山口総務庁長官。
#64
○国務大臣(山口鶴男君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえつつ、今後努力してまいる所存でございます。
#65
○委員長(小林正君) 野中自治大臣。
#66
○国務大臣(野中広務君) 法案につきましては慎重御審議を賜り、御可決をいただきましてありがとうございました。
 ただいま総務庁長官から発言がございましたように、附帯決議につきましては、その御趣旨を体して善処してまいります。
#67
○委員長(小林正君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(小林正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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