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1995/02/15 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 国際問題に関する調査会 第3号
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1995/02/15 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 国際問題に関する調査会 第3号

#1
第132回国会 国際問題に関する調査会 第3号
平成七年二月十五日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月九日 
    辞任         補欠選任
     川橋 幸子君     北村 哲男君
 二月十四日
    辞任         補欠選任
     北村 哲男君     肥田美代子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         沢田 一精君
    理 事
                大木  浩君
                成瀬 守重君
                細谷 昭雄君
                松前 達郎君
                木庭健太郎君
                猪木 寛至君
                上田耕一郎君
    委 員
                上野 公成君
                岡野  裕君
                佐々木 満君
                下稲葉耕吉君
                林田悠紀夫君
                宮澤  弘君
                及川 一夫君
                志苫  裕君
                種田  誠君
                肥田美代子君
                山田 健一君
                荒木 清寛君
                中西 珠子君
                和田 教美君
                田  英夫君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        志村 昌俊君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際問題に関する調査
 (二十一世紀に向けた日本の責務――アジア太
 平洋地域の平和と繁栄に向けて――について)
    ―――――――――――――
#2
○会長(沢田一精君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、北村哲男君が委員を辞任され、その補欠として肥田美代子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○会長(沢田一精君) 国際問題に関する調査を議題といたします。
 本調査会は、第百二十四回国会において設置されまして以来、二十一世紀に向けた日本の責務――アジア太平洋地域の平和と繁栄に向けて――」をテーマに設定し、アジア・太平洋地域における信頼醸成の構築、国際文化交流の推進、政府開発援助のあり方などにつきまして調査を進めてまいりました。
 本日は、最終年を迎えましてそろそろまとめに入る段階に至っておりますことから、ただいま申し上げました問題を柱として、とりわけ委員の皆様方から多くの御議論がありました政府開発援助のあり方に焦点を当てつつ、いろいろと御意見を伺うことといたしました。最終報告を作成する時期も近づいておりますので、本調査会の成果を実り豊かなものといたしますため、忌憚のない御意見、御提言をお述べいただければ幸いに存じます。
 さて、本日の議事の進め方でありますが、理事会で協議いたしました結果、まず最初に、それぞれの会派から一人ずつ、一人十分以内で御意見をお述べいただきます。次に、意見表明が一巡いた化ました後、午後四時ごろまでをめどに自由討議方式により自由に委員の皆様方に御意見をお述べいただき、相互に論議を深めていただく形で進めることといたしたいと存じます。
 なお、御発言は御着席のままで結構でございます。
 それでは、各会派一人ずつこれから順次御意見をお述べいただきます。
#4
○大木浩君 本日は当調査会で扱っております「二十一世紀に向けた日本の責務――アジア太平洋地域の平和と繁栄に向けて――」というのが一応議題となっておりまして、もう少し細かく言いますと、信頼醸成措置の問題、文化交流、ODA、この三つになっておりますが、私は主としてODAの問題についての意見を述べさせていただきたいと思います。
 なお、その他の問題につきましては成瀬理事を初め我が党の各委員からも追加的に御意見の表明があると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 ODAにつきましてODA基本法構想というようなのがずっとこの調査会で議題になっておりますが、私の方でもいろいろと勉強いたしまして、一応、参議院自民党の中でも意見の取りまとめを図っておりますが、本日までに機関決定をしておるわけではございません。したがいまして、私の発言は参議院自民党の公式見解ということではございませんが、当調査会及び外務委員会のメンバーも含めてODA問題に関心のある党所属議員の多数意見を反映したものとして意見を述べさせていただきたいと思います。
 また、調査会に招致いたしました多くの参考人、特にODA問題を中心に意見を聴取した参考人の中で、ODAの継続を必要かつ望ましいと述べた松井、下村、杉下各参考人の意見につきましても、改めてODA実施機関の関係者等を通じまして私なりの検証、勉強を加えた上での発言をさせていただきます。
 まず第一に申し上げたいのは、やはりODAというのは外交政策の一環として行われるものであります。よく言われることでございますが、いろいろな要素がODAの理念の中に入っていると思いますが、やはり基本は外交政策の一環であるということであり、人道的見地からのみ行われる事業でもありませんし、純粋に経済的効果だけを目的とするものでもないと理解をしております。外交政策である以上は広い意味での国益に資するものでなければならないと思いますが、この場合の国益とは、一言で言えば日本の安全と繁栄に資するような国際社会環境をつくることにあると考えてよいかと思います。
 参議院では長い間ODA基本法をめぐる議論が続けられてまいりました。本日御出席の先生方の中にもこれに直接参加して努力してこられた先生も多いわけで、その御努力を多とするものでありますが、従来からの議論を聞いておりまして、ODAについて国会の関与を強める必要があるという議論の根拠といたしましていろいろあるんですけれども、大別しまして二つの考え方があるように思われます。
 一つは、国民の税金が大量に使われておるODAの透明度を維持するためには、国民の代表である国会が行政府によるODAの実施をしっかりと監視する必要があるというのが一つ。もう一つは、これはちょっと別だと思いますが、従来行政府の行ってきたODAの理念自体について問題がある、間違いがある、あるいは不十分である、だからこれを是正する必要があるんだ、こういうような考えもあると思います。ただ、この二つの考え方は、従来からの議論の中ではしばしば二つが混在して議論が行われてきたように思われるわけでございます。
 その二つ目の点、すなわちODAの理念ということでありますが、この理念につきましては、ODAがやはり先ほどから申し上げておりますように外交政策の一環である以上は、議院内閣制のもとでつくられた行政府がまず第一義的に責任を持って、その所信に基づき正しいと考えるODAを実施すべきである。行政府としてはODAについての基本政策を随時国民に示すとともに、国民に対する負担の限度を予算等の形でしっかりと示すということであれば、事前の報告としてはその責任を果たしているものと考えております。
 ODAの内容をあらかじめ法律で事細かく規制するというようなことは外交上やはり得策とは考えられないと思いますし、外国のいろいろな例を調べてみましても、そのようなことをしている国はむしろ少数であります。また、米国のように、従来国別プロジェクト等に関しまして国会の介入を行っておったという国におきましても、最近はこれを是正する方向で法律改正を行っているというように理解をしております。
 それから、先ほど申し上げました第一の点、すなわちODAの実施を国会が監視し、できるだけ国民に対して透明なものとするということにつきましては、これはもちろんそれ自体は望ましいことでありますが、この場合にも国会の関与は主として事後のチェック機能に重点を置くべきであり、国会議員が個別のプロジェクトについて事前にいわゆる族議員的な介入をするということは、むしろマイナスではないかと感じております。
 現在、我が国のODAにつきましては、既に参議院の決議等も反映したODA大綱というものが制定されております。また、最近は毎年ODAの実施に関する報告書も提出されておるわけでありまして、差し当たりはこの枠組みの中で国会としての監視を続けていくのが妥当ではないかと考えております。
 もちろん、将来、国際情勢の変化等によりODA大綱の内容を補足、修正するというような必要が出てくることは当然考えられますけれども、現在はまだその時期ではないというふうに判断をしております。
 むしろ、現在、国会及び行政府が協力してなすべき急務は、増大したODA業務が適切に行われるための実施体制の強化ではないか、このように考えるわけでございます。
 しかしながら、縦割り行政の、皆さん御存じのような官僚組織の現状を考えますと、現段階で行政機構の手直し等はかえって混乱を招くだけであり、当面はJICA、OECFなどのODA実施機関の内容の充実、すなわち現地駐在員に重点を置いた人員の増強、関係機関あるいは各国間の連係プレーの強化、あるいは中央の責任者が出先機関の意見を迅速かつ確実に吸収できるような体制の整備に重点を置くべきであると考えます。
 また、これらの実施機関の職員が安心して職務に専念できるような待遇上の改善、あるいは予算の単年度主義に伴う問題の解決など工夫を凝らすべき余地があると考えられます。これらの点につきましては、むしろ今後個別の問題として議員立法等も検討に値すると思われます。
 さらに、中長期的には、開発途上国に対する協力の問題を専門的に勉強し研修した人材を数多く育てるための教育、これは大学教育になると思いますが、教育の見直しも必要かと考えております。
 また、国会によるODA実施状況の監視につきましては、国会議員側にODAの実態に関する十分な知識、情報が欠けている場合には、適正な監視や建設的な意見を述べるということもできないわけであります。したがって、本調査会等国会のしかるべきグループが被援助国の視察を含むODA実情調査を十分に行えるよう、予算措置を含めた対策を考慮すべきであると考えております。
 なお、現在、我が国と開発途上国との関係は、単に援助だけではなく、貿易、投資、科学技術、文化交流等々、広範な協力関係が育ちつつあります。例えば開発途上国に対する技術移転とかマネージメント能力の育成というような点を考えますと、民間投資がODAに劣らない大きな効果を及ぼす場合も多々あると考えております。経済協力の目標の一つが相手国の経済的自立の促進、すなわち自助能力の育成であるということから考えますれば、ODA以外の交流も含めた総合的な協力関係を発展させることが外交政策としても適切なアプローチであると判断しております。
 一応差し当たりの意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。
#5
○細谷昭雄君 まず最初に、本調査会の基本テーマであります「二十一世紀に向けた日本の責務」、そしてサブタイトルの「アジア太平洋地域の平和と繁栄に向けて」、我が国の国際的責務を果たすに当たっての基本的な社会党としての考え方、姿勢、こういったものについて最初に申し述べたいと思います。
 本年は太平洋戦争の終結から五十周年に当たるが、我が国が過去に行った行為は国民に多くの犠牲をもたらしたばかりでなく、アジア・太平洋地域の近隣諸国の人々に今なお大きな傷跡を残している。
 一昨年、参考人の中江元駐中国大使が述べられたように、アジアを中心に日本の責務を考えた場合、アジアの中の日本と言えるかを私たちは真剣に考えるべき問題であると思います。
 私たちは、戦後五十年を迎えようとする今日、我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことについて認識を新たにし、歴史の教訓を踏まえた謙虚な反省の上に立って、アジア・太平洋地域の諸国はもとより、世界各国と未来志向に基づく友好信頼のきずなを確固たるものとし、恒久の平和を築くことを改めて誓うべきであります。あわせて、私たちは、我が国の行為に伴い心身にいやしがたい傷を負われた人々に対する我が国の誠意をあらわす方策の具体化を進めるべきであると思います。
 現在、アジア・太平洋地域は驚異的な経済成長を遂げ、二十一世紀の世界の成長センターとして注目を集めておりますが、我が国はアジア・太平洋地域の経済発展に目を奪われてはかりいてはならないと思います。すなわち、我が国がアジア・太平洋地域の平和と繁栄に向けて我が国ならではの国際的な貢献を果たすに当たっては、過去の歴史を直視し真摯な反省の上に立ち、我が国憲法の崇高な平和の理念に基づき、未来志向型の友好信頼関係の構築に努めるべきことに絶えず思いをいたすべきであると思います。
 このような認識のもとで、二十一世紀を展望したアジア・太平洋地域の平和と繁栄に向けた我が国の国際的な責務を考えた場合、まず第一に、軍事バランスの均衡を重視する軍事的な安全保障ばかりではなくて、災害、飢餓、病気、さらにはいろいろな意味での抑圧などの脅威から人間の安全が守られるという意味での人間の安全保障にも視点を当てて、信頼醸成措置の進展によるアジア・太平洋地域の平和の構築が図られるべきであると思います。
 第二に、昨年参考人の五十嵐東大教授から、我が国は国際社会においてみずからの存在価値が認められるよう、経済的、文化的交流、信頼感の醸成に努める必要があるとの示唆に富む指摘をちょうだいいたしましたが、国際的な相互信頼感をはぐくむ観点から文化交流の推進を地道に進めることが大切であると思われます。
 第三には、アジア・太平洋地域の繁栄への我が国の寄与と、その原動力の一つとなった我が国の政府開発援助のあり方について、環境と開発の両立、国民の幅広い理解と支持などの視点から見直しを深める時期が到来しておると考えられます。
 二番目の、アジア・太平洋地域における信頼醸成の構築についてでございますが、アジア・太平洋地域における信頼醸成の構築については、多くの参考人の先生方や委員の皆様の発言にあったように、ASEAN地域フォーラムやアジア・太平洋経済協力会議などの多国間の枠組みづくりを促進し、政府や外交・防衛当局のレベルだけでなく、議員や民間の研究者などのレベルにまで幾重にも多角的に積み上げた形で、各国のさまざまな特性、歴史、文化を尊重しながら、政治、安全保障面における対話が進められたらよいと思います。
 このような意味で、前期の中西一郎会長のもとでの外交・総合安全保障調査会において、全会一致で提言されました積極的平和の考えに基づくアジア・太平洋議員フォーラムの具体案を最終報告に盛り込むことについて御提案を申し上げたいと思います。
 さらに、アジア・太平洋の地理的環境が海によってつながっておるということ、この地域がアメリカ大陸も展望するいわゆる環太平洋火山帯によって囲まれていることなどを考えると、海上保安、海洋環境の保護、地震、風水害などの防災対策を初めとする非軍事的な分野での協力のネットワークを多角的に築いていくことが目に見える形での信頼醸成の構築の一つの姿ではないかと提言するところでございます。
 第三に、国際文化交流の推進に当たっては、国際文化交流の推進については、昨年来、参考人の平野東大教授、平山東京芸大学長、青木大阪大学教授などから体験を踏まえた含蓄のあるお話を伺っております。すなわち、留学生受け入れ体制の充実を初めとする国際文化交流の実施体制の拡充、平山画伯の提唱に係る文化財赤十字構想など、国際的な文化財の保存、修復活動への支援の充実、日本からの文化発信に関する基盤の整備などについて、その着実な推進に努めるべきであると思います。
 先般、私は本調査会の委員派遣で九州を訪れた際、古来からアジア・太平洋地域と交流のあった九州地方の特性を生かし、アジア・太平洋諸国との交流拠点となる施設を設置したいとの地元の考えを伺いました。また今般、震災により被害を受けた関西地区も、アジア・太平洋地域との交流には歴史的に極めて深いものがあります。そこで、関西の復興計画の一つの柱にアジア・太平洋情報文化センターを設置することと、さらに、九州地域にその特性を生かしたアジア・太平洋地域との交流拠点を設置することをあわせて御提案したいと思います。
 第四番目の、最後になりましたが、アジア・太平洋地域における我が国のODAが相応の役割を果たしてきたことは広く認められるところでありますが、環境と開発の両立、住民の権利の保護など解決すべき問題は山積しております。何よりも、世界的な期待の高まっておる我が国のODAを、いまだ景気の回復が思わしくない国内状況や関西大震災の復興経費が膨らむと予想される中で、今後とも維持していくことは、国民のより一層の理解と支持が欠かせない問題でございます。
 それには、国民参加型のODAを従来にも増して進めるべきであること。すなわち、NGOによる協力は、開発途上国の住民のニーズに機動的に対応することができ、大変好評を得ているところ保でありますが、組織的、資金的にNGOの努力には限界があります。既に草の根無償協力やNGOの事業補助金などの制度がありますが、例えばODA予算の一%をNGO共通基金というような形で、NGOの自主性を尊重しつつ、NGOの事業展開の工夫にゆだねることはできないだろうか。国民の税金の使い道でもありますので会計の透明性を確保しなければならないが、知恵を絞る余地は十分にあると思われます。
 何にも増して、納税者たる国民の理解を得るためのODAを規制する法律が必要であると考えます。
 詳しくは同僚委員の発言に譲りたいと思いますが、援助の理念、基本原則、国会に対する報告など、これを盛り込んだODA基本法の制定を目指すべきことは、この問題について第一期の外交・総合安全保障調査会以来取り組んできた本調査会の重要な課題でございます。
 いずれにしましても、外交・総合安全保障に関する調査会から数えて九年を含め、本調査会のこれまでの調査で煮詰められるべき問題は相当絞られてきたと思われます。本調査会のこれまでの調査を生かし、ODA基本法の成案が得られるよう、委員の皆様方の御協力をお願いして、私の社会党を代表する意見にかえたいと思います。
#6
○木庭健太郎君 私は、新進党並びに公明が所属しております平成会といたしまして、アジア・太平洋地域における信頼醸成という大きなこの問題、そしてODAの問題について、我が会派内の状況も説明しづつ意見を述べたいと思います。
 一つは、まずアジア・太平洋地域における信頼醸成という問題でございます。
 先ほども御指摘ありましたけれども、今は戦後五十年という大事な時期を迎えているわけでございます。アジア各国、特にかかわりの深いアジア各国は、日本が過去の歴史とどう折り合いをつけるかという問題についても今注目していることも事実でございます。また、二度と人類にとって不幸な戦争を引き起こさないことを全世界へ表明するために我が国としてどうすればいいか不戦の決意をどういう形で明確にするかという問題も今大事な問題だというふうに我々は認識をしております。例えば、この問題については不戦の国会決議をするということも一つの信頼醸成のあり方だというふうに私どもは考えております。
 もう一つは、やはりアジア地域における交流、対話の促進という面でございます。この点につきましては、一つは、NGOという民間の、これはODAを使った形でやられている方々もいらっしゃいますけれども、この方たち、アフリカもございますけれども、主にアジアで活躍されている方が多い、団体が多い。こういったものをより一層支援する必要があるし、もちろん文化交流という問題もございます。また、地域と地域、国と国ということでなくて、その地方地方との交流という問題についても取り組んでいくことがこの信頼醸成の大きな一つの観点だと考えております。
 また、一つのあり方として、現在、ドイツが近隣のフランスとの間で現職の外交官を交換するというような制度を持っているところもございます。これが欧州における一つの信頼醸成へつながったという評価もございます。例えば、日本においてもこういった問題、例えば外交官の交流問題、それからそれだけでなく職員であってみたり、防衛の問題、安全保障という問題では大事でございますから、こういう実務者を交流する制度というものも考えていくべきではないかという考えを持っております。
 さらに、今回、阪神大震災の問題がございました。特にアジア・太平洋地域というのはこういう自然災害が多く発生する地域でもありますし、そういった意味では、アジア各国とこういう防災の問題について研究し、また大規模なものが起きた場合、この防災の問題に共同して取り組めるような形の、これは形としてセンターになるのかどうかわかりませんけれども、そういった形のあり方も考えるべきではないか、このようなことを考えておる次第でございます。
 さて、政府開発援助、経済協力の問題で、基本法に触れる前に幾つか述べておきたいことがございます。
 一つは、先ほども自民党の大木理事の方から話がございましたけれども、今日本が期待されている技術移転という問題でございます。この問題について、日本が活躍する、また、日本の技術に対して期待が多く集まっているという問題がございます。これについて三点ほど提案をいたしたいと思います。
 一つは、我が国が主要な出資国となって技術移転のための国際機関を設置するというようなことを考えてはどうかというのが一つ。二つ目が、これまでいろんな研修生の受け入れをやっておりますけれども、これをさらに強化し千人規模以上の研修生の受け入れ、また、帰国後直ちに役立つような実践的な技術を習得できる国際技術研修センターのようなものを考えてはどうかと考えます。また、この問題について専門家を育成するためには、日本だけでなく、そういった方々を交えた一つの大学的機能、仮称でございますけれども経済協力大学のような物の考え方も一つある、このように考えております。
 次に、ODAの問題で基本法に触れる前にぜひこれは我々が仕上げなくちゃいけない問題として、事後評価の問題がございます。先日行われた調査会で杉下参考人がおっしゃっておりましたように、現在行われている事後評価というのは極めて短期間で不十分、長期的視野に立った評価体制が今ないという問題がございます。
 今、世界一になり、世界に対してある意味ではODAの最大の援助国である日本がこれからどういった方向に進むかという意味でも、このODAの事後調査というものは極めて大事な問題であり、基本法にもかかわる問題ではありますけれども、一つは公平な第三者機関による監視体制の確立というものを形として国会もしくは、いろんなかかわり方があると思いますけれども、この監視体制の確立という問題を御指摘しておきたいと思います。
 三つ目が、ODAでいつも問題になるのは体制、機構、人員の不足の問題であります。
 もちろんこの実施体制の強化というのは最大の課題でございますけれども、それとともに、どうしてもどういう人材をつくっていくかという問題についても我々は力を入れなければならないと考えます。せっかく大学院等で開発問題の専門教育を受けてもその後活用できないという現実がございます。そういった意味では、国家公務員の採用試験の試験区分に例えば国際開発協力職といったような試験区分、専門職という形ができないものなのかどうか、そういったことも御指摘をしておきたいと思います。
 さて、ODA基本法の問題でございます。
 私ども、以前、社会党さんも含めて四党派でODA基本法を提出させていただきました。また、私どもの会派のほとんどの皆さんは、このODA基本法提出に賛成をし、提案者になった方々でもございます。ただ、私どもの中で、またいろんな方が入りまして形が会派としては変わった面もございますけれども、基本認識として、平成会としてODA基本法にどうするべきかと問われた場合は、ODA基本法はつくるべきだ、これをぜひ国会で成立させるべきであると、これが共通の認識でございます。
 何のためのODA基本法か。一つは、理念、原則の明確化でございます。
 本調査会及び各会派が出しましたさまざまなODA基本法を踏まえて政府がODA大綱をつくったことは事実でございます。まさに我々の成果がこの大綱につなかったと認識しております。ただ、この大綱につきましても三年前につくられたものであり、これでいいのかどうかという再検討をする必要がありますし、何よりこの世界一のODAの理念、基本原則を国権の最高機関である国会が国民の代表として、どういうあり方を問うべきかという基本理念、原則を法として制定するということは私はODAについて非常に意味のあることであり、大事な観点であると考えているところでございます。
 さらに、ODA基本法の必要性でいうならば、透明性の確保と国会の関与の問題でございます。
 現在、ODA白書が出され、なおかつ国会の報告というのを政府としてやるようなことが決められておりますが、これはあくまで政府が随意にやるという形にしかなっておりません。やはり報告という問題についてもきちんと義務づける必要があるし、また、ODAについて国会が事前事後評価についてもやはりかかわっていくべきであるというのが私たちの考えてあります。
 ただ、この国会の関与につきましてどこまでやるのかという問題につきましては、私たちの出しましたODA基本法では厳しいものとなっておりますが、現在この問題については平成会内でも論議を始めたばかりでございますが、どこまで国会の関与を一つのプロジェクトについてもやるのかどうかこういった問題については現在検討をさせていただいているところが現実でございます。
 また、もう一つありました、私たちのODA基本法では、十八省庁にまたがるこのODAの実施体制のあり方、また、一本化、一元化という問題も触れております。
 これにつきましても、現在、平成会内部では行革の問題もございます。賛成反対両論がまだこの一元化の問題にはございまして、この開発庁、我々の場合開発庁という言い方をしていますけれども、これをどこに置くのかという問題も含めてさらに、新しい会派、生まれたばかりの会派でございますのでこの辺の検討は今からさせていただきたいという状況でございます。
 最後に、本調査会がまさに長年の間この基本法の問題をめぐってずっと制定へ向けて努力をされたことに何より敬意を表し上げますし、私どもとしては、皆さん含めて具体的な協議をしていけば必ず接点はあるという確信を持っております。ぜひとも皆さん方の協力をいただきながら、参議院の調査会というあり方も含めて、一つの法案化というところまで行けるような努力をしていく決意はございますし、ぜひとも皆様方の御協力を心から要請をいたしまして、私どもの意見とさせていただきます。
 以上でございます。
#7
○猪木寛至君 私は、かねてから世界平和の確立と環境問題の解決に大変関心を持ってまいりました。また、スポーツを通じて世界の人々との交流を実践してきました。その中で、世界の数多くの国々、とりわけアジア・太平洋、中南米、中近東、アフリカの国々を訪れ、そこで数多くの人々が飢えや貧困、病気などに苦しみ、悩んでいる現実を見てきました。また、緑が少なくなる一方、砂漠化が進み、水の汚染も深刻になり、貴重な動植物が滅びていくなどとどまるところを知らない環境の破壊を目の当たりにしてきました。
 現在、世界の至るところでいろいろな紛争が起きていますが、もとを正せば、環境の破壊を防ぎ、飢えや貧困などを和らげていくことが紛争の解決、何よりも紛争の予防につながるものと思います。
 同時に、スポーツや芸術、文化を通じた庶民同士の心の交流を広げ、世界の人々がお互いに理解し、信頼を深めていくことが世界平和達成の近道であると思います。
 この国際問題に関する調査会は、二十一世紀に向けた日本の責務はいかにあるべきかについて調査を進めてきたわけですが、私は、我が国は世界の厚生省、環境庁となることを目指し、環境、人口、難民、エイズなど諸問題の解決に向け、その先頭に立つべきものと考えています。あわせて、我が国は、世界の文化、芸術、スポーツ振興のスポンサーの役割を果たし、世界の人々から信頼され愛される国となっていくべきものと思います。そして、我が国が世界の厚生省、環境庁、世界の文化、芸術、スポーツ振興のスポンサーの役割を果たす上でODAを効果的に用いていくことが大切だと思います。
 私は昨日まで北朝鮮に行っておりました。北朝鮮は私の恩師である力道山の故郷であり、私の恩師力道山に対する思いと緑もありまして、昨年の九月に訪問した折に提案した平和のイベントをことしの四月、平壌におきまして一大スポーツ交流平和イベントがいよいよ決定になりました。
 北朝鮮は、昨年、金日成主席の死去後、金正日書記の政権継承がどのようになっているのか、あるいは核ミサイルを日本に向けているのではないかなどと不可解な隣国と思われていることは否定できません。しかし、現実にスポーツ交流を進めている私の体験を申し上げれば、スポーツ、芸術、文化を通じた人々の心の交流の積み重ねにより相互の理解と信頼が深まるものと言えます。アジア・太平洋地域の平和を築いていく上でもスポーツ、芸能、芸術を中心とする人々に目に見える形で、わかりやすい国際交流を地道に積み重ねることが民族や宗教など難しい問題を原因とする紛争を予防することにつながるものと思います。
 さらに、国際問題調査会でも、参考人の先生方からお話があったように、ASEAN地域フォーラムとかアジア・太平洋経済閣僚会議など多国間の枠組みを活用して、民族、宗教、文化的なさまざまな特色を持っアジア・太平洋地域の特性に合わせた相互の信頼関係を育てるシステムづくりが大切であると思います。
 この関連で、アジア・太平洋の国々がお互いの防衛関係の情報をオープンにし、相互の不信感を取り除くために、いわゆる国防白書の作成と公表を促し、地域の国々の共同の人工衛星を用いて、軍事情報をモニタリングし、軍事情報の公開につなげるといったシステムづくりを試みることも一案ではないかと思います。
 このプロセスにおいて、地域の国々の防衛関係者が定期に協議するなど相互の交流を深めること、二国間あるいは多国間の枠組みでの共同訓練なども考えられます。また、アジア・太平洋地域の国々のためにPKOに関する共同訓練センターについて、我が国を初めとする地域の数カ国にその国の特性を生かした形で訓練センターを設置することも試みたらよいと思います。
 同様に、軍事的な分野に限らない広い意味での安全保障という意味において、また、このたびの神戸の地震の教訓を踏まえて、地震や台風などに対するアジア・太平洋地域の国々の共同の防災訓練センターを新たにつくること、災害の予防や、災害が起きた場合の相互の支援システムをつくることも大切だと思います。このような防災関係の分野においては、ODAのより一層の活用も考えられます。
 さらに、カンボジア、アフガニスタンなど世界の多くの国々で一億個を超える地雷が埋まっております。大変な問題になっています。これらの地雷の除去について国連など多国間の枠組みに基づいて、我が国がその推進役を積極的に買って出ることも大切だと思います。また、中国に残されている旧日本軍の化学兵器の処理について早急に具体化すべきです。
 このように、相手国の人々によく目に見える形で、我が国がアジア・太平洋地域の平和を築くために努力していくことを示すことが大切だと思います。
 先ほど北朝鮮とのスポーツ交流の経験を申し上げましたが、文化、芸術、芸能、スポーツなどの文化交流、何よりも二十一世紀を担う若者の交流が大事であると今までの経験を通じて切実に思います。
 この国際問題調査会で、参考人の平野先生などから、欧州で行われているエラスムス計画やコメット計画などのアジア・太平洋版を設けることが提案されました。このようなシステムづくりを大いに進めるべきだと思います。さらに、国際的な大学入学の資格制度である国際バカロレアヘの積極的な対応を図るべきだと思います。
 北朝鮮などでもそうですが、アジア・太平洋地域の国々の人々と接していると、我が国が過去に行った行為、アジア・太平洋地域と我が国との関係の歴史についてもいろいろと考えさせられることがあります。アジア・太平洋の国々との間で信頼関係を育てていく上で、歴史に対する認識を共通のものとするために、国際教科書センターといったものをつくり、将来は近隣の国々と歴史の教科書や副読本の共同編集に進むことができたらよいと思います。
 最後に、ODAについてですが、世界の厚生省、環境庁を目指す立場から、環境、人口、エイズ、麻薬問題などに対するODAのより一層の充実を望みたいと思います。特に、砂漠化を防ぎ、緑を育てていくために、緑のPKO基金、緑の青年海外協力隊のシステムをつくることを考えていくべきだと思います。
 このたびの関西の地震により、今、国民には内向きの雰囲気が出ています。しかし、ODAは、我が国が国際的な役割を果たすための大切な手段です。我が国がODAに本腰を入れて頑張っていることを内外に示し、また、国民の皆さんにはむだのないODAを行う決意を明らかにする意味からも、この国際問題調査会でODA基本法をまとめていくことができれば、大変すばらしい成果を得ることとなると思います。
 以上。
#8
○上田耕一郎君 私は、本調査会の主題である「アジア太平洋地域の平和と繁栄に向けて」について、日本共産党として意見を申し述べさせていただきます。
 一、信頼醸成構築について。
 アジア・太平洋地域の平和と繁栄について考える際に、アメリカの世界戦略とその一翼を担っている日本の今日の役割の検討が重要な前提となってくると思います。
 クリントン政権がソ連崩壊後、それまでのソ連封じ込め戦略から拡張戦略に変わり、アジア・太平洋地域においては日米軍事同盟を米軍の前方展開戦略のかなめ石としていることについては、本調査会の昨年五月の私の発言で指摘したところです。
 その後の事態もそのことを立証しています。例えばペリー国防長官は、昨年十一月の演説で、アメリカが軍事力を使用する三つの基本的カテゴリーを明らかにした際、北朝鮮の核疑惑に対して、アメリカの戦略を威圧外交に移行させ、韓国における我々の防衛力を増大させながら、北朝鮮に対する制裁に動き出したと明言しました。重大な問題は、ちょうどそのころ、フリーマン米国防次官補が米下院外交委員会で証言し、米国が北朝鮮の軍事的挑戦を受けた場合、末日同盟はいかなる任務をも果たすと確信していると、朝鮮有事の日米軍事同盟の発動について明言したことです。
 このように、日米軍事同盟はアメリカの戦争に日本を巻き込む危険性を今なお持っています。しかも、アメリカはその新たな強化、拡大を図る策動に出てきています。
 昨年九月に米国防総省が発表した核態勢の見直しは、攻撃型原子力潜水艦に核トマホークの発射能力を維持すると明記しましたが、これは、最近日本寄港がふえている攻撃型原潜による核持ち込みの疑惑を改めて提起する重大問題と言わなければなりません。
 また、昨年十一月のナイ米国防次官補の来日は、極東及びその周辺に限定されている現在の安保をアジア・太平洋、さらに冷戦後のグローバリゼーション、地球規模化に対応できるものに改め、PKOなどで一層協力を強めようというものだったと報道されたように、日米軍事同盟の地球規模への拡大の見直しを外務、防衛関係者に打診して回ったものでした。
 こうした情勢を直視するなら、アジア・太平洋地域での最も効果のある信頼醸成構築とは、日本がアメリカの拡張戦略の危険な拠点となる道から離脱すること、具体的には、日米軍事同盟を廃棄して、国連憲章と日本の憲法が目指す軍事同盟と核兵器をなくす非核非同盟の道に進み、非同盟諸国首脳会議に参加することです。その新しい日本は、国連で多数を占める非同盟諸国とともに、アジア、ひいては世界の平和と繁栄のために大きな役割を果たすことができると信じています。
 二、国際文化交流推進について。
 アジア・太平洋地域での国際文化交流を推進する上で大きな障害となっている第一は、敗戦五十周年を迎える今日、従軍慰安婦問題や閣僚のたび重なる辞任を引き起こした侵略無反省発言が示すように、日本がアジアの諸民族に二千万人の犠牲を負わせた侵略戦争について、いまだにその国家的責任を明らかにしていないことです。
 シュミット元ドイツ首相は、著書「シュミット外交回想録」下巻で、戦前同じ侵略戦争を行った日本とドイツとの間に生まれた戦後の国民的運命における基本的な相違を論じて、「日本政府は、日本の侵略と非行について遺憾の意の標も示さずに済まされると思い込むことによって、近隣諸国の間に信頼を築くことを不必要に困難にした。」、「彼らは、三〇年代と四〇年代の彼らの歴史の暗い面について、できる限り沈黙する。この点に日本的思考の展開にとっての危険がある。」と厳しく指摘しています。
 その無反省は、発展途上国の現状、特に国民生活の苦しみ、南北問題についての理解の浅さ、さらには無関心とも結びついています。このことは国際文化交流の第二の障害と言うことができるでしょう。
 日米軍事同盟から非同盟への日本の進路転換は、こうした障害を取り除いて、アジアの諸国民との温かな友好関係、国際文化交流を発展させる新しい条件をつくり出すことができるものです。
 三、ODA、基本法の立法化について。
 ODAについても、昨年五月の発言で基本点を述べました。ソ連の崩壊でいわゆる東西問題が消えた今日、世界のさまざまな問題の根底には、八○年代を失われた十年と呼ぶように、さらに深刻化した南北問題が横たわっています。貧困と飢餓、地球環境問題、地域紛争の問題、ウルグアイ・ラウンド合意をめぐる農業問題などなど、今世界が苦しんでいる多くの問題は、発展途上国の耐えがたい困難と結びついているからです。
 ODAについて、今日特に改革しなければならない点としては、次の点を挙げたい。
 一、アメリカの戦略補完的ODAから自主的ODAへ。
 アメリカの対外援助の著しい特徴は、軍事援助と経済援助との一体化であり、それに追随して、百五十を超える日本の援助対象地域のうち、米国が安全保障援助をしている国の上位十五カ国への援助だけで二国間援助総額の三八・一%に達しています。援助疲れを見せているアメリカの戦略補完的ODAから真に自主的、国民的なODAに改革することは急務となっています。
 二、ODAを海外進出支援の手段とする姿勢の是正。
 政府が相手国に対して税制上の優遇措置や規制緩和で日本の大企業が直接投資しやすい環境づくりを押しつけ、それに応じればODAを行うなどという態度を是正すること、海外に進出した日本企業に対し、公害防止設備設置の義務化、現地での労働権や生活権、環境権など基本的権利の侵害についての公表措置、環境アセスメントの実施などを実行することが必要です。
 三、経済的自立に役立つ経済協力と人類進歩を目指す連帯を最重点課題に。
 日本のODAの国別配分を見ると、最も援助を必要としている後発発展途上国、LLDC四十七カ国への配分が極端に低い。とりわけ、飢餓問題で国際的な注目を集めたアフリカのLLDC三十一カ国への実績、九二年度は四億八千七百万ドルで、二国間のODAのわずか五・八%、サミット参加七カ国中最低位です。また、国連開発計画の人間開発報告書九四年版によると、初等教育、基本的な保健医療、安全な飲み水、十分な衛生設備、家族計画、栄養などの人間優先分野に対するODAは、二国間援助総額のわずか二・九%で、ODA実施二十一カ国の平均七・〇%の半分以下です。人道的援助を大幅にふやすべきです。
 国際的にも注目され評価されているNGOに対する政府援助については、自主性の尊重と公正、平等、内容の公開などの原則に立って実施するようにし、政府や省庁の下請化を条件にすることのないよう制度的な保障を図るべきです。
 四、国会審議と国会承認など民主的公開の制度の確立。
 ODA、海外経済協力基金が国会の審議、承認が義務づけられていないことが、大企業の暴利追求、地球環境破壊、発展途上国への汚職、腐敗の輸出とその日本への逆輸入を許してきた理由の一つです。経済・技術協力計画及び予算の国会審議と承認、海外経済協力基金や国際協力事業団などの計画や実施状況の国会への報告は絶対に必要です。
 日本の経済協力政策を以上述べたような方向に転換させるためには、経済協力基本法を制定すべきだと考えます。
 本調査会が、前国会での中間報告の立法化の検討から立法化の実現に進むことを提唱します。その際、ODA基本法には少なくとも次の内容を盛り込むべきだと考えます。
 一、経済協力の目的を明記する。
 二、国会承認制を初め民主的公開の原則を確立する。
 三、海外経済協力基金や国際協力事業団の運営を民主化する。特に、官僚の天下りや渡りを規制し、真の援助専門家を育成する。
 四、大企業、多国籍企業による経済的侵略、対外援助を利用した内政干渉と介入をやめさせ、発展途上国の経済的な自立を達成し、現地の雇用拡大、所得の増大につながる事業を最優先させ、事業計画は途上国自身の自主的判断によって作成されるよう保障する。大企業による要請主義の悪用を規制する。発展途上国の要望にこたえ、ひものっかない援助を進める。行き過ぎた大企業助成については過剰な助成を廃止する。
 五・軍事政権てこ入れや紛争介入的な援助を禁止する。
 以上です。
#9
○田英夫君 私は、まずアジア・太平洋の信頼醸成について申し上げたいと思いますが、この問題を考えるときに大前提になることが二つあると思います。
 一つは、世界はいわゆる東西対立、イデオロギー対立の時代が過去のものになったということであります。今でもしばしば日本は西側の一員であるからというような言葉を聞くのでありますけれども、このような立場の上に立ってアジア・太平洋にもし日本が臨むならば それは不信を買うだけになるのではないかと思います。
 二番目に、日本自身は、ことしは戦後五十年ということでもありますし、まず過去の誤りを反省し、できれば国会決議ということの上に立って、はっきりと過去に対する誤りを反省する姿勢を示すこと、この二つの大前提があって初めてアジア・太平洋信頼醸成ということに対して日本が発言する権利が生まれるとさえ言っていいと思います。
 その場合にまず重要なことは、当然のことながら、アジアの人々の気持ちを重視するというこのことであって、しばしば現在アメリカが中心になったアジア・太平洋というそういうあり方があらわれていることに対しては、日本は反対をすべきだと思います。
 その一つの例がAPECであります。APECはやはりアメリカが中心になったアジア・太平洋の経済会議という色彩が濃厚でありまして、これに対して最も顕著な姿勢をとっているのはマレーシアのマハティール首相でありますけれども、マハティール首相の主張するEAEC構想というものはその意味でむしろ日本は注目すべきものではないかと思います。
 ところが、外務省はこれに全く否定的な姿勢をとっております。昨年、村山総理がマレーシアを訪問されたときにも、この点について明確な立場をとられなかったためにマハティール首相から反保撃をされるという結果を招いてしまいました。日本はアジアの一国として、こうしたマハティール首相のような意見に対して同調することはできなくとも、注目をするというそういう姿勢をとることが大切ではないかと思います。
 アジア・太平洋の問題を考えるときにやはり極めて重要なのは、中国に対する配慮あるいは姿勢だと思います。
 アメリカはアメリカの物差しで中国をはかろうとしている、そして声高に人権問題を取り上げて中国批判を繰り返しているわけでありますが、少なくとも日本はこのような態度をとるべきではない。日本と中国の間には、長い歴史そして文化の交流、そうした上に立った二つの民族、二つの国の関係があるわけでありまして、また特に、過去の戦争という、侵略戦争という日本の大きな誤りを考えたときに、アメリカと同じような姿勢で中国に臨むことが誤りであることは言うまでもありませんが、この点については冒頭に申し上げた中国のイデオロギーを取り上げて、中国が日本とは違うイデオロギー、社会主義体制をとっているということを理由にして中国に対する批判をしていくということはもちろん誤りであります。
 もう一つ、アジアの中で日本から見て重要なのは、朝鮮半島に対する姿勢だと思います。ここもまた、日本の過去の植民地支配という誤りに対する明確な反省が必要でありますし、また長い歴史、文化、そうした交流の上に立った関係というものを重要に考えるべきであって、例えば村山総理に対して私どもの仲間でTMD、戦域核ミサイルに日本は参加すべきでないという申し入れをしたときに、村山総理は明快にアメリカと日本は違うからなという言葉を言われましたけれども、この姿勢は正しいと思います。残念ながら、TMDについて来年度予算で若干の研究費をつけておりますけれども、このことは政府の誤りだと私はこの場をかりて指摘したいと思います。
 TMDは、言うまでもなく、アメリカが北朝鮮のノドン一号ミサイル、あるいは核疑惑と言われるものを取り上げて、それに対抗する手段という名目でつくり上げようとしているものでありまして、このようなものに日本が参加をするということはあってはならないことだと思います。
 アジア・太平洋の信頼醸成について、このほかにも個々の国あるいはグループ、そういうものに対するきめ細かな配慮が必要でありますが、この点はきょうは省略をいたします。
 次に、ODAについて考えを申し上げたいと思いますが、既に参考人に対する質疑などで私の考えは繰り返し申し上げてきましたので重複すると思いますけれども、大きな点だけ申し上げると、なぜODA基本法が必要なのかということです。今、各会派の方々からこの調査会でODA基本法をつくるべきだという御意見がありましたけれども、私も全く賛成であります
 なぜODA基本法が必要かといえば、まず第一に過去の誤りであります。過去に日本のODAが犯した誤りはマルコス疑惑などで明快に出ています。そして、その誤りにつながった源は戦後の賠億、フィリピンやあるいはビルマやインドネシアに対する賠償を実行するに当たって、日本の商社、企業そしてコンサルタントというものの存在の中でせっかくの日本の賠償が、必ずしもその相手国で生かされた使い方をされなかったというやり方がそのままODAの実施に引き継がれているという事実があります。このことを払拭しなければならないというのが第一であります。
 二番目にODA体制。これは資金協力の四省庁体制と、技術協力の十八省庁体制と言っていい数多くの省庁がかかわった体制で今行われているわけですけれども、この全体を政府としてコントロールする調整機能を果たすところが全くありません。これをきちんとしなければ、例えばODA外交ということが言われ、それは事実でありますけれども、外務省すら十八省庁のそれぞれが行っているODAの実態を把握できないでいる、これが事実であります。このような状態では、やはりそこをきちんとしなければならないと考えるのが当然ではないでしょうか。
 それから、外務省がODA大綱をつくっている保からそれでいいではないか、基本法は必要ない、保こういう意見がありますけれども、これは私ども四会派で昨年提案いたしましたODA基本法が要綱の状態にあったときに発表いたしましたので、実は言葉は悪いんですけれども、ODA大綱というのはそのつまみ食いであると言わざるを得ないと思います。重要な部分を政府が大綱という名のもとに決めました。これは決して悪いことではありませんけれども、そのような状態でいいのか。法律できちんと定めた方がいいというふうに思います。
 それから四番目は、一兆円を超す巨額な金額を使っているODAが、国民そして国会の目を全く通ることなく行政府によってのみ行われているという現在の状態は、やはりもっとガラス張りに国民の目の見えるところでわかるようにして行うべきだというふうに思いますから、その実際の方法としては、やはり何らかの形で国会をスルーする、通ると、これは事前の計画を承認するというやり方もありますし、事後の報告というやり方もあります。私どもの提出した四会派の法案は非常に厳しく、五カ年計画のあらかじめ承認を求め、来年度予算の提出につれてODAの年度計画を資料として出せ、この二つから成っております。そして事後の国会の報告でありますが、この点についてはいささか厳し過ぎるかもしれないという気もいたします。
 この点につきましては、いずれにしても、どういう方法が最も国民の目にわかりやすくなおかつ現実的であるかということを考えるべきではないでしょうか。
 以上です。
#10
○会長(沢田一精君) 六名の皆さん方、御意見の開陳、まことにありがとうございました。
 引き続きまして、各委員から御意見をお述べいただきたいと存じます。発言順序等は特に定めておりませんので、自由に御発言をいただいて結構でございます。
 御発言を希望されます方は、あらかじめ挙手を願い、私の指名を待ってお述べいただきたいと思います。
 なお、先ほどから申し上げておりますように、御発言は御着席のままで結構でございます。
 それでは、御発言を希望されます方は私から指名をいたしますので挙手をお願いいたします。
#11
○志苫裕君 細谷理事の発言に付言をいたしまして、ODA基本法の制定をめぐる論議の経過に触れながら、同法案に対する社会党と私の基本的立場を申し上げます。
   〔会長退席、理事大木浩君着席〕
 一九八七年に本院の外交・総合安全保障に関する調査会に国際経済・社会小委員会が設置されましたけれども、たまたま私が小委員長を承りましてODAのあり方をテーマとして調査を進めました。それから既に八年の歳月を経ようとしております。
 この間、私は八九年の五月に議員を辞職しましたが、矢田部委員が小委員長として取りまとめに当たり、同年六月には開発協力の理念と目的、諸原則、量的拡充及び質的改善、国際協力行政及び実施体制、国会と行政府との関係、国民の理解と協力、立法化の検討など、七項目の合意に達しまして、同調査会として当時の土屋参議院議長に最終報告を提出するとともに、加藤武徳会長を初めとする調査会委員全員の発議と賛成をもって最終報告の骨子を内容とする国際開発協力に関する決議案を提出、本会議で全会一致で可決されております。
 また、九三年六月には、当時の野党四会派共同提案に係る国際開発協力基本法案が本院に提出されたいきさつは御存じのとおりであります。
 当調査会においても、「アジア太平洋地域の平和と繁栄に向けて」のテーマのもと、ODAのあり方、ODA基本法の制定について専門家の意見の聴取を初め委員間で議論を交換し、昨年の中間報告では最終年に向けて立法化の検討を行うこととしているところですが、以上の経緯、とりわけ調査会合意や本会議での全会一致の決議採択という成果を踏まえ、さらにまた参議院四会派による基本法案の策定の努力をも生かして、当調査会がODA基本法案の制定に関し立法府としての責務を果たすこととしたいと思います。
 基本法の必要性について以下申し上げます。
 一、東西対立の冷戦構造が基本的になくなり、南北問題の解決は緊要な課題として取り組むべき優先課題となっております。とりわけ南北間の富の偏在、地域紛争の頻発、地球環境の破壊などは人々の英知と資源を投入して解決しなければならない重要な課題であります。南北問題の解決は冷戦後の新しい視点を含め現代史的で人類史的な問題であり、解決の柱であるODAのあり方について基本法を定め、理念、基本諸原則等に法律上の効果を持たせて内外に明示することは意義のあることであります。
 二、国民の代表である立法府がODAの基本理念、原則等を明確にすることは納税者である国民の理解を得る観点からも意義がありますし、参議院本会議で採択された決議は国会関与の強化をうたっているが、基本法によって国会がどのようにODAに関与するかなど、その方法と範囲を明確にすることは不可欠であります。
 政府のODA大綱は国会の論議を反映したものであり、運用上の指針としては評価できるが、大綱があるから基本法は要らないという論議は国権の最高機関の権威をおとしめるものであります。国会と政府がよい意味での緊張関係を援助外交の肯定的な発展に生かすべきだと考えます。
 三、日本のODAがアジア各国等から評価されている反面、その実施に伴って被援助国の政府と民衆のトラブルが発生する事態や近隣住区の生活基盤や環境を破壊するという事例が今なお現実の問題として起こっております。
 したがって、このような事態を被援助国の内政問題として傍観したり、外交は政府の専権事項だとして国会のODAへの関与を否定的にとらえるのではなく、よりよい援助外交の推進のために行政と立法府が協力できる基盤を基本法で規定するということに積極的な意味があります。基本法は援助の機動性、柔軟性を拘束するという指摘は、国会の関与の方法によって克服できる問題であります。国政調査権を持った国会の関与によってむしろNGOを含む援助外交の内実を高めることができると考えます。
 四、援助にかかわる省庁が十八省庁にも及び、援助行政は複雑である。援助予算がどのように流れ実施されているか、国会はおろか外務省もなかなか把握できないのが現状でありましょう。ODA大綱を具体的に実現するためには国際的なモニタリングを行い、これを援助とリンクさせることが必要でありますけれども、全く不十分であります。
 援助体制が現状のままでいいというわけにはまいりません。巨額な国民負担で世界一位の供与国となった現在、援助体制を整備し、援助行政の総合的推進、責任の所在の明確化、透明性の向上の観点から効率的、効果的な援助体制のあり方を検討することを避けるべきではありません。
 五、ODAは日本の国際貢献の主要な柱であるが、外務省と実施機関だけでなく、NGOを通じた積極的な参加など多くの国民の理解と参加があり、地方自治体の国際協力も拡大しております。このような国民参加を後押しする内容を基本法で明確にすることは、日本の広い意味での外交の幅を拡大し、国際的な相互理解を促進する上でも極めて重要な側面であります。
 そこで、最後に、基本法案の今後の策定作業について述べたいと思います。
 一、法案策定の方法論として、これまで当調査会及び各委員がかかわってきた調査会合意、参議院本会議決議及び四会派法案を下敷きにして内容を突き詰めていく方法を提案したいと思います。
 二、この中で、とりわけ四会派法案を軸に議論が進められる方が合理的だと考えます。この法案は参議院本会議決議の採択を受け、一九八九年に四党協議会が設置され、九三年六月の法案提出に至るまで精力的にヒアリングと意見交換を行い、策定作業を継続し、何回となく練り直し、やり直しして完成した法案であります。各党の議員諸氏だけでなく、ODAの専門家やNGO関係者など多数の英知と汗が結集したものであります。
 また、提出を機に、全会派一致を目指して当時の与党、参議院自民党との協議を開始した経緯があることもこの際付言をいたしておきます。
 三、九三年七月の解散・総選挙以来、政治環境の変化によって四会派は与野党に分かれてはおりますが、そのことによって四会派案はむしろ現在の与野党にまたがる法案として再生できるのではないでしょうか
   〔理事大木浩君退席、会長着席〕
 また、自民党においても、昨年三月、本院本会議における山本幹事長のODA基本法に関する発言もあり、さらには当調査会の意見交換においても委員諸氏の発言から、基本法案そのものの策定に肯定的な印象を受けてきたところであります。
 四、本日は法案の各論には言及いたしませんが、四会派案はODAにかかわる問題を網羅していると考えますし、ODAは日本外交の柱であると同時に日本の国際協力の重要な柱でもあります。さきに述べたように、日本外交を立法府がバックアップしていく基礎をつくるという意味においても、本院の調査会で継続されてきた成果が当調査会最終年のうちに基本法として実を結ぶよう精力的な論議を再度提案いたします。
 以上です。
#12
○上田耕一郎君 大木委員の発言に若干質問をさせていただきたいんですけれども、大木さんは、まず第一にODAは外交政策の一環なんだ、こう言われて、その後、だから人道主義によるものでも単なる経済政策を進めるものでもないと。外交政策の一環として国益に資するものでなければならないというようにおっしゃったように聞こえるんですけれども、もし私の聞き間違いでなければ、今、志苫さんの意見も広い意味での外交政策の中に入る、ODAを真剣にやることはと言われたように、日本という国が国際的な舞台で行うものなので広い意味では外交政策の確かに一環なんだけれども、それを外交政策の一環で国益を反映するものだから人道主義的なものとの間に違いを置くとすると、これは少し問題を含むように思うんです。
 例えば、今、志苫さんが言われた参議院の外交・安保調査会合意でも、理念のところでは冒頭にそういう内容を述べていますし、ここに比較した表がございますけれども、政府開発援助大綱も基本理念の第一はやっぱり人道主義で書かれておるわけです、四会派法案も。だから、人道主義をトップに置くというのは参議院の合意でも政府の大綱でも全部同じなんですね。政府の大綱、基本理念、「世界の大多数を占める開発途上国においては、今なお多数の人々が飢餓と貧困に苦しんでおり、国際社会は、人道的見地からこれを看過することはできない。」、これを冒頭に置いて、その後平和と繁栄の問題等々を置いている。
 だから、外交政策の一環だという、確かに全く否定はできないんだけれども、その言い方が少し狭いとこれは人道主義の問題点とちょっと離れてくる。そうなると、前の八九年の外交・安保調査会合意やそれから参議院本会議の決議の大筋とも若干矛盾する点が出てくるのじゃないか、その点一つ御質問したいと思います。
 それから二番目に、これは国会の監視等の問題で幾つかの問題を出されました。行政府が第一義的に責任を負うので、その実行方針と予算を国会に提案することによって行政府として国会に対する責務はちゃんと果たしている、法律で事前に規定されることは得策でもないし、諸外国でもそうはなっていないという趣旨の話がございました。
 この点も八九年のときに確かに一番大きな議論が行われた点で、下稲葉さん御出席ですけれども、下稲葉さん、理事として大変御苦労をしていただいたんですが、そのときもいろんな議論を経て、国会との関係で申しますと、このまとめの十四ページにありますけれども、参議院の合意で、「国会と行政府との関係」、「@国際開発協力の重要性にかんがみ、これに対する国会の関与を強めることとする。」、こういう言い方で一致点に達したんですね。関与を現状よりは強めると。「Aこのため、本院に国際開発協力に関して審議する場が必要である。」、審議の場を設ける。「B政府は、外交上特段の支障のない限りこという条件が下稲葉さんの強い主張で入って、だから、外交政策がまずい影響を受けない限りということで政府は方針とか措置それから資料提出、これをやらなきゃならぬと。それからCとして、これは事後になりますけれども、実施状況の報告、実績報告、こういうふうになったんですよね。
 だから、これはあの当時のいろんな議論を経てなんですけれども、ここまであのときは合意がいったので、この線から見ても先ほどの御発言は私の聞いている範囲だとやや後退の感じがします。やっぱり中間報告で、最終年度でこの基本法の立法化について検討するというふうに書いたので、せめてここから出発しないと、これから後退するとまた議論をやり直ししなきゃならないので、若干私の受け取り方も一面的だったかもしれませんが、その二点、質問させていただきます。
#13
○大木浩君 今の上田先生の御質問でありますが、まず、私が申し上げました外交政策の一環だと、だからということで、別に外交政策だから人道上の問題とか経済的な効果ということと相反するものじゃなくて、それのみではないということを私は申し上げているわけでありまして、人道とか経済効果というのはこれは重要な柱の一つなんですよね。その外交政策の中でも、日本が大いに人道的なことをやっているというふうに世界各国から評価されるということは、もちろんこれは外交政策上も望ましい一つの要素です。ですから、私が申し上げたのは、あくまでものみじゃないというところを強調したわけでございます。
 それから、国会の方の関与について、国会の関与、これは結局詰めて一言で言うと、私は、やっぱり国民に対してODAなりもっと広い経済協力全体の透明度を増すということだと思うんですね。そういう意味での国会の関与ということは、もちろんこれを私は否定しておるものではございません。
 ただ、その関与の仕方が事前、事後と。これはいろんな先生方も常に御意見あるわけで、どの程度まで事前にやるかあるいは事後にやるかということでは、私が先ほど申し上げましたように、一応基本的にはある程度予算で大体の大枠は示しております。それから、政府も大綱でここ数年といいますか差し当たっての方針は示しておるわけですから、今そこに足してどういうことが言えるかということで、その辺になりますと、先生、私はやっぱりまだ理念については必ずしも各党間で完全には一致していると思わないんです。
 人道上の問題だけじゃないと申し上げたのは、実は、ちょっと先生の言葉じりをとらえて恐縮なんですが、前に先生お話しされたときもそれは主として人道上の問題だというふうに私は受け取っているものですから、余りいろんな外交戦略などというようなものは入れるべきではないというふうに言われたかどうかわかりませんが、私がそういうふうに受け取ったものですからね。
 ということを考えると、やっぱりまだ各党間に多少理念についても詰めというか合意ができてないということもあるものですから、じゃそれを今度は立法化するとどういうことになるのかなという疑問があるということもちょっと申し上げたいと思います。
#14
○上田耕一郎君 今の議論の続きなんですけれども、外交と人道という問題を必ずしも対立させているわけじゃないんだけれども、田さんの意見もありましたように、日本のODAというのは賠償から始まったわけでしょう。日本の大企業を中心とする貿易、海外進出の手段としてやっていくと、賠償をもね。それがODAになっていくという歴史的経過がある。それから私が指摘したアメリカとの関係などもあって、今までのODAに関する外交的見地というのはやっぱり問題があって狭い。それをもっと二十一世紀に適合するようないわば全人類的なレベルと規模でのODA、そういう外交に上げなきゃならぬ、そのことを人道上ということで言っているんですよね。
 その人道上ということの主な中身は南北問題の解決ですよ。南北問題の解決、これは志苫さんも強調したし私も先ほど強調したんですけれども、今の世界の最大の問題でなかなか見通しがつかぬのです、格差が広がっていますしね。そういう南北問題を、特に北の国々の、しかも最も経済的力のある日本としてこの南北問題の解決にどういう主導権を発揮していくか。
 その南北問題の解決を今までの狭い外交的な見地だとか国益的見地だけで見ていると、この南北問題の解決どころかますます格差が広がっていく、困難はますます拡大していくので、北の国に属する日本として南北問題の本当の解決にどれだけ本格的に取り組むかということを人道の重視、これは政府の大綱でも言っているような発展途上国の恐るべき状況を人道的見地から解決しようというのがやっぱり主眼に置かれる。
 だから、それを主眼に南北問題を人道的見地で北の国として解決するということが、これは単なるこれまでの外交上の一手段、一手段というか外交的政策、外交政策の一つというレベルから踏み出していくことになるんで、そこの踏み切りをやるためにやっぱり国会で各党がもう一度この問題を審議して国の基本法をつくろうということと結びついていくのではないか、そう私思うんですよね。
 私が述べた非同盟諸国首脳会議の参加という行き方は、北の国でありながら実は南の国、アジアの国でもあるので、その南の国々と一緒になって日本が南北問題を解決するという基本的姿勢に立つ道でもあるということで申し上げたつもりなんです。
#15
○大木浩君 どうも論争を続けておると恐縮なんですけれども、一言だけ。
 外交政策というのは、そのときの日本の置かれた状況とか国力とかいろんなことによってやっぱり変わってくると思うんですね。私は、正直のところ、日本もかつて非常に外貨がないころは経済協力をやることによって日本の輸出というようなものもある程度伸ばしていきたいという考慮はあったと思うんです。
 もちろんそれはODAに限りませんけれども、いろいろと輸出の振興のための政策税制とかそういうものがあったんです。最近はむしろ輸出はなるべく控え目にして、輸入促進のためのいろんな政策をやろう、こういうことですから、私は、それはやっぱり状況によって変わってくるということですから、変わるということについては十分わかります。それは一つこれを理念の問題としてとらえるか政策の問題としてとらえるかは別ですけれども、そういう世の中がだんだん変わってくるということは十分私もそうだと思います。
 それから、一言だけ。先ほど上田先生もおっしゃいましたけれども、アジアとアメリカの中にあって日本がどうするかということは非常に今大事な問題で、当然にアメリカ一辺倒ということでいいとは私も思っておりません。ですが、これもまたいろいろとアジアの力、アジアとアメリカとの関係というのもだんだん変わってきますから、そういったようなものも十分に踏まえて適切なる政策は見出していかなきゃいかぬということになるというふうに思っております。
#16
○荒木清寛君 私もつい先日まで理事をやらせていただいておりまして大変執着を持っているんですが、ODA基本法はぜひ、この場をおかりして超党派の話し合いでつくりたいというふうに思っております。
 それで、もう木庭さんも詳しいお話をしていただいたんですけれども、今評判になっている本で「人間を幸福にしない日本というシステム」というのがありまして、ちょっと読んでみましたんですが、書いてありますことはごく当たり前のことではありましたが、大変本質に迫る指摘というのがたくさんあったわけなんです。
 その著者が言いますには、日本というのは一言で言うと政治化した社会であると。要するに、社会の隅々にまで政治の影響力が及んでいる社会である。その政治について、じゃ、だれが一番権力といいますか実権を持っているかというと、それは官僚である。その官僚は国民に対して説明する責任を負っていない。しかも、この著者は「偽りのリアリティ」という言葉を使っておりましたが、国民の間にも、官僚は善であって政治家は腐敗している、そういうことが信じられていると。こういう国は決して民主主義が実現をしているとは言えないというような指摘をしてあったわけなんです。
 これは、日本の産業政策を念頭に置いて」ういうことをいろいろ言っておったわけでありますけれども、私は、今、国会が本当に行政府に対するコントロールという本来の機能を回復すべきそういう時期に来ているのではないかということを痛感したわけなんです。
 そういう意味で、今回のODA基本法の問題でありますけれども、いろいろ細かい点ではなかなか合意が難しいわけですが、このODAという大きな事業といいますか国の仕事に国会が事前また事後にコントロールをしていく、そういう仕組みはぜひともつくらなければいけない。それが国民から選ばれた国会の責任ではないかということを感じるわけでありまして、せっかく議論を詰めてきたわけでありますので、何とか成案を得るように頑張っていただきたいといいますか頑張りたいと思います。
 以上です。
#17
○成瀬守重君 先ほど上田先生のお話を聞きましても、政府開発援助というのは当初からいろいろな形態や社会情勢、世界情勢の変化に即応して性格が変わってきているということをおっしゃった。私らもそう思うんですが、そうすると、その理念とかあるいは原則とかそういった問題についても、これは平成四年六月に閣議決定されました政府開発援助大綱につきましても、今非常に社会が激動していますが、これを法案化してしまうと、この激動する世界情勢、特にアジア地域に対するそういった情勢に対して柔軟な対応というのができないんじゃないか。
 そういう懸念を非常に感ずるわけなんですが、まさにそれこそいろいろな面で、東南アジアあるいはその他の国々あるいは東欧諸国の状態というのはもうかつて予想しないようなそういった変化が行われているわけですから、そういう意味において、柔軟に対応する意味においても、むしろ現在行われている政府開発援助大綱というもの、これをなぜ法案化せにゃならぬか。今、意義があるというお言葉もありましたけれども、どういった意義があるのかというような面も考えるべきじゃないか。
 現実に、年度計画とか中期計画の作成というものも、これもやりようによっては外交の機動性だとか柔軟性というのを失わせますし、国会関与というお話もございましたが、これは国会への報告も行われておるわけですし、また、いろいろ実施体制で国際開発援助庁、協力省というような問題もありますが、現在、規制緩和あるいは各省庁の統廃合という問題、そういったような面での論議も行われているときだけに、むしろ屋上屋を架すようなものじゃないか。そういった省庁をつくっても、各十八省庁が十八省庁の中にやはりそれを受けてその問題に取り組んだりなんかするセクションというものが要るわけですから、結局屋上屋を架すような形になるのではないか。
 ですから、現在行われている援助大綱というものをもう一回再検討して、一体これをどういうふうにしていったらいいのか、より弾力的に運用できるにはどうしたらいいか、そういうような形でこれを考えた方がいいんじゃないか。NGOを参加させるとかあるいは御婦人の方々の参加を呼びかけるとか、いろんな生かす道というのがあると思いますので、現段階においてこの基本法を制定して運用の硬直化をもたらすようなやり方はよくない、私はこう思う次第でございます。
#18
○志苫裕君 ちょっと補足ということでもないんですが、確かにODAも転換期ですね。さらに、今ODAばかりでもないと思うんですよ。日本から国際金融機関を経由して出ていっている金も北から南へ流れているわけでして、大体それが四千億くらいになっているんでしょうか。ODAを含めれば相当なものです。
 ですから、ちょうど転換期に来ておりますし、また一口に南と言っても、成長している国あり、さっぱり成長しない国ありと。そういうモニタリングも余り十分じゃないわけですけれども、それは時代の推移はありますが、八年間もぼんやりしてきたわけじゃないので、その都度議論も重ねてきまして、大体このような目的でこのような理念でこのような原則でという、そういう分野の話はまさに不動の地位を逆に得ているんじゃないかと思うんですね。
 今も国益論議がありましたけれども、それは国益というようなことをぼんと言いますと何か侵略主義的な、いや、そうではないんだ、みんな世の中がよくなればそれは大きい国益ですしね。だから相互依存だけ言いますと、お世話になっているから出すんだと。じゃ、お世話にならぬところは出さないのかと。問題を狭くとらえるか広くとらえるかの問題なんですが、そういう議論は一通りクリアをして本会議決議まで至っているわけです。
 それを踏まえて政府大綱ができて、そうすると結局ぎりぎりどこが残っておるかというと、国会の関与というものが機動性、柔軟性を逆に拘束をしないか。アメリカなんかは法律があるけれども、逆にそいつが邪魔だというようなこともないわけでない。問題は、そうなってくれば国会の関与をどのレベルでどんな方法でという、そういう相談をすればいいので、国会が関与せぬでもいいなどということを言えた義理でもない、こんな話は。ですから、そういうふうに詰めていけるんじゃないかなと。
 それから、実施体制の問題も、ただ、いろんなところにまたがっておるからまとめればいいということを乱暴に言っているのじゃないんです。またがっているために実はさっぱり統一的な機能を発揮できないところもあるんですよ。ODA大綱でさまざまな諸原則、理念を掲げていますね。しかし、それを本当に国際的な視野で見てモニタリングできるだけの体制が一体どの省庁にあるのだと。それもできないで昔どおりに金を出していれば、ODA大綱の理念や諸原則は単なる文章でしかないわけですね。
 そういうふうに見ていきますと、体制の不備というようなものはたくさんあるんですよ。今言いました、人が足らぬ、それにふさわしい者もおらぬとか、在外公館なんてこんなものをやる能力なんてどこへ行ってもありはしませんよ。
 そういう問題も含めて絞られてきているのは国会の関与と実施体制のところに来ていまして、これをこれからどういう形で詰めるか知りませんが、しかるべき場で詰めていけば、私は大体合意が出てくるのじゃないか。
 それともう一つは、基本法と実施法というのが普通の法律体系にあるわけで、基本法にはどこまでうたって、必要ならば実施法をどこでうたうかという問題も整理をしながらいけば合意に達することは不可能ではあるまいと、こう思っていますので、だから、そういう観点でもひとつこれからの議論を交換してもらいたいと思います。
#19
○猪木寛至君 私もまだ不勉強な部分がありまして、今皆さんの意見を聞きながら判断をしているところなんですが、たまたま先ほども申し上げた中で、北朝鮮の訪問の中で、南北の問題においても非常に微妙なのは、金日成主席が逝去されたときに南がとった態度が気に食わないと。これは歴史的に積み重ねた部分、そういうそれぞれの民族が持っている気質というものがあって、先ほど田先生が言われた西洋におけるというか、アメリカ的な物差しでアジアをはかってしまう。これは我々が一番気をつけなきゃいけない。その国のやはり目線というか、あるいは今まで日本がとってきた経緯というか、経済成長したことを基準に今のアジアの諸国に対して同じような物差しではかってしまう。
 だから、その国々のやはり成長の速度とかいろんな問題を考えながら、そこでこのODAの援助というのも、やはり戦後の急成長の中で賠償問題から始まってきたという話が先ほどありましたが、そういうもともとの基本が違っていたというかそこでちょうど今転換期を迎えて、ましてや今までそういう援助の対象にならなかった国がこれからどんどん出てくる。
 その場合に、今回大変大事な部分は、例えば国交のない北朝鮮という国が今回の大震災に対して義援金を百万ドル送ってきました。それに対して政府の見解が全くない、お礼がないと。これは先方が何かを言っているわけじゃないんですが、一つのやはり国とかというより人間と人間のルールの中に一番大事な部分を犯しているというような気がするんですね。そういうことを大変厳しい国がやるということは、何かのメッセージがその裏にあるんだろうということを読み取らなきゃいけない。
 そこが私も、いろんなところを歩いて感じることは、ずばり言えば、いろんな機材を送っても野ざらしになっているというのは、もう私が申し上げるまでもなく皆さん御存じだと思うんですが、もうちょっと本当に効果のある援助というものを、そういうことを再三この委員会でも議論されたわけですけれども、人がいないとか先ほど言われた国会決議がなければ動けないとかいろんな問題があるんですが、本当にずばり言いますと、この問題に絞ってもうちょっと時間をいただければ具体的に我々ももっと知恵が絞れるかなと。
 最終的には、だからこの基本法ができたという仮定をしましたときに、当然それが完璧であるということはあり得ないのかもしれませんが、やはり今、我々の思い、あるいは国民のそういう晴れない部分というものが一番今回のこのODAに対する不信感だと思う。やっぱりガラス張りというか透き通った部分、国民から見たそういう形がとれれば私は一番いいのではないかなと思っています。
 また意見を述べさせてもらいます。
#20
○肥田美代子君 ODAのあり方と教育支援についてちょっと意見を述べさせていただきたいと思うんですけれども、昨年の夏、ミュンヘンの国際児童図書館を見てまいりました。自民党の成瀬先生も私よりも先に視察していただいておると承知いたしております。
 この国際図書館は、現在、世界じゅうの子供たちの本を五十万冊集めておりまして、毎年各国から研修生を招聘して、世界的な子供の本の情報発信源として大変注目を集めている図書館なんです。この図書館は、実はドイツが敗戦後すぐにユダヤ人のレップマン夫人という方の提唱でつくられたものなんですが、このレップマン夫人の基本的精神は、民族間の理解は国境のない子供の本を通じて行うことがより早く最も確実な方法である、平和を理解するのは子供が一番であると、そういう精神で貫かれたわけです。
 今、アジアに目を向けてみますと、発展途上国では、子供たちはその最も感性の豊かな時期に基礎的教育を十分に受けられず、まして童話や絵本に出会うことも少ない。働き手として暮らさなければいけないという事情があります。人づくりが国づくりの基本であるとするならば、ODAはこういう小さな子供たちにこそ十分行き渡らせなければいけないし、そうすることがやはり最も手早く最も確実ないい結果をもたらす方法だと思うわけです。
 それで、そういう意味から申しますと、平成七年度に国際子供図書館が、まだ調査費の段階ですけれども計上されたことは画期的なことだと思うわけです。この国際図書館が発展途上国の人たちの研修員を受け入れて、その子供たちへの本のつくり方からのノウハウをきっちりとお教えしていくこととか、それから子供の童話とか絵本、そういう子供の本を通して国際交流でありますとか国際協力をする、そういう拠点にこの国際子供図書館がなるということは私はとても意義が大きいと思うんです。
 ですから、そのユダヤ人のレップマン夫人がくしくも申しましたように、国境のない子供の本を通してODAをいかにこれから有効に使っていくかということは、このレップマン夫人の精神が一つの示唆になるんじゃないかということで申し上げました。ありがとうございました。
#21
○成瀬守重君 今、肥田先生のおっしゃるように、私も肥田先生に教えられて実は行ってきたわけなんですが、本当にあそこで非常に教えられるところがあったわけです。
 そこで、改めてODAも、やはり世界に金を援助するというその根本を言えば、やはり信頼関係をつくり、お互いが各国との友好親善、あるいはそういった信頼関係の構築というような問題が大きな根本的なものとして横たわっているわけです。そういう意味においての文化交流、これも今までODAの問題だけですけれども、今回の国際問題調査会の大きな柱の一つでもあるわけですから、そういった問題についてまだまだやっぱりこの調査会の中でも論議し、またその問題について考えていかなきゃならぬ問題があるんではないか。
 例えば、いろんな海外の留学生の受け入れだとか、あるいは我が国では特にいろんな企業や個人からいろんな寄附をする税制上の優遇措置とか、そういったような問題、特定公益法人なんかの認定の促進とかそういったものもまだまだ十分に認識されておりませんし、また入国手続の簡素化なんかも今後の大きな問題としてあるわけです。
 また、先ほど肥田先生の言われたような児童図書館についてもようやく調査費がついた段階ですけれども、こういったものを単なる図書館、さらにそこが児童文化の研究センターであるとかあるいは交流の場であるとか、そういったいろんなフェスティバルをやるような場としても。今後の国際文化の交流という問題は、やはり資金的なODA援助だけではなくて国際的な信頼関係をつくったり、あるいはアジア地域の人たちの心の中に大きな影響を及ぼすんじゃないか。
 私もかつて留学生の方たちの支援ということでいろいろ勉強させていただいたことがあるんですが、日本には国際交流協会とかそういったものがありまして、海外から来る世界各国の人たちが一年間そこで学んで、各大学やあるいは研究所や企業などに行って学んで、そしてそこから海外各国に行き、そういった人たちが今それぞれの国の中堅指導者として活躍し、年に一回とか二年に一度いろいろな交流、研究なんかもやっているようですが、それが大きく人と人との交流ということでもってNGOやその他いろんな活動の中で生かされているわけです。
 ですから我々も、今回の国際問題調査会も、そういったものに対してもこの調査会として提言できる問題はたくさんあるはずですから、そういう問題についてもやはり研究して、今回のまとめとかそういった問題でもって提言していくことを会長にもぜひお願いしたいと思います。
#22
○中西珠子君 これまでも国際問題調査会の前身である外交・総合安全保障調査会が一九八七年に国際経済・社会小委員会をつくってODAの集中審議を行ってきましたし、それがまた合意事項に達して参議院決議という形をとったことをこれまで田議員、また志苫議員、その他の議員もお触れになりましたので、それについてはもう触れませんけれども、九年にわたって参議院ではODAをどのようによくしていくかということにつきまして一生懸命考えてきたわけでございます。
 そして、いろんな法案も提出されましたし、またその法案に対する反対の意見というものもお持ちの方もございますけれども、一応私どもが、そのころの四野党の共同提案で、そして無所属の方も二院クラブの方もみんなお入りくださって提出しました国際開発協力基本法案というものをたたき台にしていただきまして、もう少しこの国際問題調査会においてODAに関する審議というものをやっていただきたいと心から要望させていただきます。
 ODAの効率性を高め、また透明度というものを増して国民の理解を得ることが絶対に必要でございまして、ODAなんかやらないで神戸の大震災に対してもっともっと援助をしてほしいという声があることは皆様も御承知のことと思います。
 この前の調査会におきまして、おいでになりました二人の杉下参考人、下村参考人は、非常に国会の関与、殊に事前の関与につきましては反対でいらっしゃいまして、そういう事前の関与を議員がやるといわゆる癒着が起きて、ODA族のような利害が絡んできて好ましくないとはっきりと言われましたし、下村参考人は、援助の現場担当者が政治の世界から分離されることによってODAが浄化されるというふうにおっしゃっております。
 ということは、政治家に対する不信感が非常に大きいということではないかと私は受けとめたわけでございますけれども、国民の選ばれた代表である私ども政治家にとりまして、やはり国会、最高権威を構成している者にとりまして、本当に真剣に将来を考える場合、私どもは真剣になってこのODAの問題も取り上げて、そして深く審議を重ねていかなければならないのではないかと思っております。
 何しろ、その当時の四野党が出しましたODA法案は、非常に厳しいものではございますけれども、とにかく日本のために、国民のためになるODAにしたいと。また、国際関係において信頼醸成にもっともっと資するような、そして草の根の途上国の人たちが潤っていくように、女や子供それから身体障害者、老人、そういった本当に底辺にある人たちをも含めて草の根の人たちが潤っていくようなODAにしていきたいという気持ち、そういった気持ちと国民の税金を使わせてもらっているのだからという気持ちも非常にありまして、純粋な気持ちで始めたことでございます。
 これは、ODA基本法などは要らないという御意見の方もございますけれども、この国際問題調査会におきましてやはりODAの問題をもう少し続けて審議していただきまして、できれば皆様の御理解と御協力を得て何らかの形のODA基本法案というものをつくって、国会、参議院全体、また衆議院に対しても我々が九年間やってきた成果というものを実を結ばせたいと考えるわけでございます。
#23
○上田耕一郎君 先ほどの御意見で、政府開発援助大綱でこう決まっている、情勢が非常に動く、国会で法律をつくるとかえって縛ってしまって情勢の変化に対応できないんじゃないかという御意見があったので、大事な問題ですのでちょっと申し上げたいんです。
 政府開発援助大綱は、このリストにもありますように、参議院の合意その他も反映していることもあると思うんですけれども、建前としてはちゃんと理念、原則がうたわれているんですよ。例えば、人道主義についても明確に発展途上国の飢餓と貧困に対して人道的見地からやるということをうたってあり、それから平和の問題でも、開発途上国の安定と発展が世界にとって不可欠だと。それから基本理念でも、開発途上国の離陸へ向けての自助努力を支援することを基本とすると。
 特に基礎生活、難民等を対象とする、そういうところが大事で、つまりこのODAというのは、ここにも明らかなように南北問題なんですよ。南北問題を、これだけ困難なところで本当にその国の自助努力をどう援助するか特にその国の貧しい民衆の生活をどう上げて自助努力を進めていくかというのが一番の基本なんです。
 その原則は、多少情勢が変わっても、変えなきゃならぬどころか、これを一貫させなきゃいけない。むしろ我々が問題にしているのは、そういう政府の大綱にもうたわれている正しい原則が貫かれていない現実が日本のODAにはあるじゃないかと。
 それは賠償から発展してきたという歴史的経過もあるし、それから日本の企業、多国籍企業のさまざまな行動様式がありますよ。だから、問題になる公害輸出の問題も出てくるし、それからマルコス疑惑等々、腐敗等々の問題が出るし、進出した国の反動勢力と結びつくという問題等々もやっぱり出てくるわけでしょう。それから、今公取が手を入れて立入調査を始めている問題、あれは技術協力だけじゃなくて無償援助や何かに広がりそうなんですね。そういう問題まで生まれてくるので、そこをどう直すかということ。
 鷲見参考人がここにおいでになったときに、日本のODAの援助対象がどういうふうに決められていくかということで、きょうは持ってこないけれども詳細なリストをお出しになった。鷲見参考人の出したリストは、世銀やIMFが構造調整融資を決めると直ちにそれにつながって日本でもさっといろんなところを決めていくと。だから、政府の開発援助大綱に定められている正しい原則に基づいて検討して、じゃ、本当に南の国々の諸困難をどうやって解決するかということで自主的に決めていくんじゃなくて、IMFや世界銀行、これはやっぱりアメリカ主導ですよ、そこで何か決めるとそれに対応してはばっといろんなことを決めると。これは詳細な資料を鷲見さんが出されたんです。そういう現状があるわけです。
 だから我々は、そういうみんなが一致している原則を国会でもきちんと確認して、本当にそれと矛盾するさまざまな諸問題がある日本のODAをどうやって改革するか。そのためには、行政府に一任するということだけでは直らないので、だから国会でも基本法をつくり、まず国会でも必要で可能な審議、承認を行って、本当にその原則に基づく国民的なものにしようじゃないかということを提案しているので、そういう点で先ほどの御意見、そういうものを国会で決めると現実に間に合わないというのは私は賛成できない。
 こういうことを国会で決めて本当に国民的なものにして初めて、うたわれた原則に忠実な内容の、本当に発展途上国の真の自立的発展に貢献し、八○年代が失われた十年と言われたように南北問題の格差がますます広がっている現実を、最も経済力もありODAも世界一のものをやっている日本の責任として、直すために必要だということを主張しているということをつけ加えさせていただきます。
#24
○下稲葉耕吉君 先ほどからお伺いいたしておりましてなかなか感慨深いものがあるんですが、上田先生、志苫先生、和田先生、中西先生、田先生、昔、八年前、いろいろ御指導いただいた先生方でございます。
 ちょうど私、手元に今資料を持っておりませんが、人道援助の問題について先ほどから議論がございました。あのときにも大変議論をされました。特に、上田先生が戦略援助との関連でいろいろ発言がございまして、そこでこの調査会で合意が出ましたのは、人道援助と二つ並べであったと思うんですね。世界の平和と安全に寄与することが日本の平和と安全にも寄与するんだ、この二本でいこうというふうなことで当時あの理念というものが話し合いがついたことを思い出します。
 それから、どういうことかといいますと、私はあれからこの八年の間に日本の経済協力も大分変わってきたと思うんです。昭和二十九年でしたか賠償援助みたいなことから経済協力が始まって今日まで、私どもが議論したときにはまだ草の根援助というものは一円もございませんでした。それからNGOに対する援助というものもゼロでした。それが今年度の予算では草の根援助が十億から三十億になっています。それからNGOに対する援助も七億幾らくらい伸びてきているんですか、というふうな形でやってきている。それから、箱物中心だった援助からだんだん援助の中身が細かくなっちゃって、できるだけニーズに応ずるような援助をしようということで努力していることも、これもやっぱり否定するわけにはいかないと私は思うんです。
 猪木先生おっしゃいましたように、それはなかなか実効の上がっていない援助もないわけじゃないと思います。これはやはりやらぬといかぬ。まさしく志苫先生おっしゃったように、私は今一番何が抜けているかといいますと、やっぱりそういうふうな援助体制といいますか、一つ一つの案件に対する事前審査から実施の段階、フォローアップ、そしてそれに基づいて新しく、じゃ、どういうふうなことをやるかというこの問題が抜けている、これが一番大きいんじゃないかと思うんです。
 だから、私どももここで議論していろんなことを申し上げます。議論して、そして一つの報告をまとめると。報告をまとめて、終わってよかったよかったというんじゃ、これは何も前進がないわけなので、本当にむなしいですよ。
 そういうふうなことから言いますと、例えばJICAが本当に人員が足りないのか足りているのか。あるいは量の問題のみならず質の問題もあります。むしろそういうふうな問題に踏み込んで具体的に、ただ増員すればいいとか価すればいいというんじゃなくて、どういうふうな問題についてどういうふうな質の人たちをもっとやればいいんじゃないかというふうなことの議論の方が、私は実質的には実りのある個々の議論になるんじゃないかと思うんです。
 なるほど国会でも議論する場をつくらぬといかぬといって、妥協の産物でああいうふうな表現になったのは私も承知しています。まさしくここが、私は、そういうふうな意味で前向きのための議論をする場所じゃなくちゃならない、こういうふうに思うんですよ。
 ですから、そういうふうな意味で、議論して三年たって何か報告書をまとめて、それで済んだ済んだというのではとてもじゃないが話にならないので、それはもう予算のときだとかいろんな機会にいろいろなことをやはり調査会なら調査会として、何も族をつくれとかなんとかというわけじゃないんですから、というふうな形でやっぱり一歩でも二歩でも前進するような、役に立つような調査会であったらいいなと、こういうふうに思います。
#25
○会長(沢田一精君) 今、下稲葉先生からお話がありましたので会長としてちょっと私の考えを申し上げたいと思うんですが、実は二年目の中間報告、御承知のようにいろんなことを提言いたしました。
 その中で、留学生の受け入れ体制の充実、あるいは国際文化財保存修復協力センターの設置、あるいはポリオ根絶等医療協力の充実といったようなこと、それからさっきもお話がありましたが、国際子供図書館に対する予算措置、そういった提案が、不十分でありますが、一応平成七年度の予算案にも若干反映をされておりますことは、やっぱり本調査会の一つの具体的な成果であろうと、こう思うわけであります。
 きょうも各委員の先生方からいろんな具体的な御提案がございました。そういうのをひとつ理事の皆さん方と十分協議をいたしまして具体化するようにしていきたいと思います。
 それから、特にODA基本法案の立法化の検討につきましては、これまたきょう貴重な御意見あるいは各委員の先生方の関心の方向を踏まえまして、理事の皆様方と御相談して対処していきたいと、こう考えるわけでございます。
 それでは、他に御発言もないようでございますから、意見の交換はこの程度で本日は終わります。
 委員の皆様方には貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。
 会長といたしましては、今申し上げましたように本日の御論議を踏まえまして、本調査会の成果が実り豊かなものになりますよう、今後理事の皆さん方と御協議の上、対応してまいりたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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