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1995/02/15 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 環境特別委員会 第2号
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1995/02/15 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 環境特別委員会 第2号

#1
第132回国会 環境特別委員会 第2号
平成七年二月十五日(水曜日)
   午後一時十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         篠崎 年子君
    理 事
                小野 清子君
                佐藤 泰三君
                大渕 絹子君
                山崎 順子君
    委 員
                狩野  安君
                笠原 潤一君
                須藤良太郎君
                西田 吉宏君
                野間  赳君
                南野知惠子君
                足立 良平君
                長谷川 清君
                山下 栄一君
                有働 正治君
                西野 康雄君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  宮下 創平君
   政府委員
       公害等調整委員
       会委員長     西山 俊彦君
       公害等調整委員
       会事務長     桑原  博君
       環境政務次官   喜岡  淳君
       環境庁長官官房
       長        大西 孝夫君
       環境庁企画調整
       局長       石坂 匡身君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  野村  瞭君
       環境庁自然保護
       局長       奥村 明雄君
       環境庁大気保全
       局長       大澤  進君
       環境庁水質保全
       局長       嶌田 道夫君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        林 五津夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (公害対策及び環境保全の基本施策に関する件
 )
 (平成七年度環境庁関係予算に関する件)
 (平成七年度各省庁の環境保全関係予算に関す
 る件)
 (公害等調整委員会の事務概要等に関する件)
 (派遣委員の報告)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(篠崎年子君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 議事に先立ち、去る一月十七日に発生いたしました平成七年兵庫県南部地震により亡くなられた方々に対して御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。
 どうぞ御起立をお願いします。黙祷。
   〔総員起立、黙祷〕
#3
○委員長(篠崎年子君) 黙祷を終わります。着席してください。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(篠崎年子君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。
 まず、公害対策及び環境保全の基本施策について宮下環境庁長官から所信を聴取いたします。宮下環境庁長官。
#5
○国務大臣(宮下創平君) 第百三十二回国会における参議院環境特別委員会の御審議に当たりまして、環境行政に対する私の所信を申し上げます。
 所信表明に先立ちまして、去る一月十七日に発生いたしました兵庫県南部地震により亡くなられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表するとともに、負傷された方々や避難生活を続けておられる方々に心からお見舞いを申し上げます。
 政府としましては、地震発生以来、全力を挙げて対策に取り組んでおりますが、環境庁といたしましても、職員を現地に派遣し、工場、事業場や測定機器の破損の状況を調査し、さらに、緊急の環境モニタリングを行っているところであり、今後とも二次災害が生じないよう努めてまいりたいと考えております。私自身、二月初め現地を訪れてまいりましたが、自分の目で確認してまいりました現地の状況や地元の皆さんの御要望を踏まえ、環境行政の面からできる限りの措置を講じてまいる所存であります。
 さて、委員の方々も御承知のとおり、昨年十二月、政府は、環境基本法に基づく環境基本計画を閣議決定いたしました。私としては、この計画を具体化し、循環を基調とする経済社会システムの実現、自然と人間との共生、環境保全に関する行動への参加、国際的取り組みの推進という四つの長期的な目標の実現を目指し、着実に各般の施策を進めていくことが、現下の環境行政の最大の課題であると考えております。そのために、次の施策に重点的に取り組んでまいります。
 第一は、環境基本計画を効果的に推進していくための取り組みを強化していくことであります。
 まず、昨年末に設置しました環境基本計画推進関係省庁会議などを積極的に活用し、政府を挙げて、関係省庁一体となった施策を展開してまいります。
 また、事業者、消費者としての国自身が率先して環境保全に向けた取り組みを実行していくことが必要であり、そのための行動計画づくりを本年夏を目途に進めてまいります。
 さらに、環境基本計画に掲げられた施策を全体として効果的に実施するため、環境基本計画の長期的な目標に関して総合的な指標を研究開発してまいります。このため、既に関係省庁とも連携をとりつつ調査検討に着手しております。また、長期経済計画や新しい全国総合開発計画の策定に当たっても、環境基本計画の理念を踏まえ、経済と環境、開発と環境の両立が図られるよう、十分な検討と調整を行ってまいります。
 加えて、環境基本計画に関する情報の整備提供を行うほか、地方公共団体との関係では、環境基本計画に沿って創意工夫を生かして行う先駆的な事業に対する補助制度を創設するとともに、地域の環境計画の策定に対する支援を行ってまいります。
 第二は、環境基本計画に掲げられた四つの長期的な目標に向けて具体的な施策を推進していくことであります。
 第一の、循環を基調とする経済社会システムの実現については、まず、大気環境をめぐる多様な問題に総合的に取り組んでまいります。地球規模の問題については、地球温暖化防止行動計画の推進に積極的に取り組むとともに、フロン等の回収・再利用・破壊の促進などオゾン層保護対策の推進に努めてまいります。
 また、酸性雨等の広域大気汚染対策を進めるとともに、窒素酸化物などによる大都市圏等における大気汚染対策として、交通等のさまざまな経済社会活動からの環境負荷の低減等に取り組んでまいります。特に、低公害車の普及促進に努めるほか、ガソリンなどの石油製品の輸入自由化による自動車燃料の質の低下を防ぎ、自動車排出ガス対策を着実に推進するため、大気保全上必要な自動車燃料の品質の確保等のための大気汚染防止法の一部改正案を今国会に提出することとしております。
 さらに、騒音・振動対策を含めよりよい生活環境の確保のための施策の充実を図ってまいります。特に悪臭については、人間の嗅覚を用いた測定法の導入などにより生活環境の保全と向上を図るため、悪臭防止法の改正案を今国会に提出することとしております。
 次に、水環境の保全については、水質保全対策の推進に加え、水生生物の生息状況等を指標とした水環境の評価や身近な水辺環境の整備も含めた施策を総合的に推進してまいります。また、生活排水対策や地下水汚染防止対策を初め、水利用の各段階における負荷の低減を図るとともに、海域や湖沼、水道水源となる水域における水環境の保全施策を充実強化してまいります。
 さらに、海洋環境の保全、土壌環境・地盤環境の保全のための取り組みを強化します。
 廃棄物、リサイクル対策については、経済社会システムにおける物質の循環を促進するための新しいシステムづくりなど適正なリサイクルの推進に努めるとともに、廃棄物最終処分に伴う環境汚染の防止のための取り組みを強化してまいります。
 加えて、化学物質による環境リスクを低減させるための総合的な取り組みや大気、水寺における有害な末規制物質への対策、農業対策、先端技術による新たなタイプの環境汚染の未然防止対策を一層推進してまいります。
 長期的目標の第二は、自然と人間との共生の確保についてであります。地域における多様な生態系の健全性を維持回復するとともに、自然との触れ合いの場や機会を確保し、自然と人間との共生を実現するため、次のような施策を積極的に展開してまいります。
 まず、自然との触れ合いを求める国民のニーズにこたえ、国民生活に密着した新しいタイプの公共事業として自然公園等の整備を総合的、計画的に進めてまいります。
 特に、国立・国定公園におけるすぐれた自然について、その保全、復元、整備を総合的に進める緑のダイヤモンド計画の推進や、自然学習、自然との触れ合いの拠点となるエコ・ミュージアムの重点的な整備、身近な地域における自然との触れ合いの拠点や長距離自然歩道の整備を推進してまいります。また、自然との触れ合いのための水辺環境の再生整備を進めてまいります。
 次に、生物多様性の保全とその持続可能な利用に向けて、我が国の基本方針を示す生物多様性国家戦略の策定を初め各種の施策を推進するとともに、世界遺産として指定された白神山地、屋久島の保全に万全を期してまいります。このため、両地域の調査研究、保全管理等の拠点となるセンターの整備を行うなど、貴重な自然環境の保全に努めてまいります。
 また、希少野生動植物種の指定、保護増殖事業の拡充等野生生物保護に努めるほか、山地や里地における自然環境の保全、野生鳥獣の保護と被害防止、地域づくり等における快適な環境の確保といった観点から、幅広い人間と自然との共生の実現のための検討を進めてまいります。
 長期的目標の第三は、すべての主体の参加の実現についてであります。国みずからが率先して環境保全に向けた取り組みを行うための行動計画づくりのほか、地方公共団体、事業者、団体、個人等各主体の環境保全意識の高揚を図り、環境保全活動を推進するため、環境教育、環境学習や普及広報活動の推進に努めてまいります。また、事業者の自主的な環境管理・監査の促進を図るほか、市民総参加の環境保全活動の促進、地球環境基金を通じた民間団体による地球環境保全活動に対する支援などに積極的に取り組んでまいります。
 第四は、国際的取り組みの推進についてであります。我が国の国際的かつ大規模な経済活動が地球環境に大きなかかわりを持っているという点も踏まえ、環境の保全に関するさまざまな経験と技術を生かして、国際社会に占める地位にふさわしい国際的取り組みを積極的に推進してまいります。
 このため、気候変動枠組み条約、生物多様性条約、砂漠化防止条約などの地球環境保全に関する各種の国際条約等に基づく取り組みや、地球環境の変動についての科学的研究、貿易と環境等の課題についての国際的な議論に積極的に参加するなど、国際的な政策の連携を図ってまいります。特に、地理的、経済的に我が国と密接な関係にあるアジア・太平洋地域の環境と開発に関するプロジェクトや地球環境研究ネットワークづくり、東アジア地域における酸性雨モニタリングネットワークの構築に向けた取り組みなどを積極的に推進してまいります。
 さらに、環境と開発の両立に向けた開発途土地域の自助努力を支援するため、これらの地域との政策対話の推進、専門家の派遣や研修員の受け入れなど政策的、人的、技術的な援助を進めてまいります。また、こうした国際協力を円滑に進めるため、我が国における人材の育成確保にも努めてまいります。
 このほか、情報の提供等を通じて、地方公共団体や民間団体による環境面における自主的な国際協力活動を支援するとともに、事業者の海外活動等に関して適正な環境配慮が行われるよう、その調査、検討等を行い、施策の推進を図ってまいります。
 施策の重点の第三は、環境基本計画において課題とされた環境保全に係る共通的基盤的施策の推進を図ることであります。
 具体的には、まず、環境影響評価について、内外の制度の実施状況などに関する総合的な調査研究を平成八年夏に取りまとめることを目途として関係省庁一体となって精力的に進め、その結果等を踏まえ、法制化も含め所要の見直しを行うこととしております。また、社会経済活動に環境配慮を組み込むため、経済的手法の検討、環境に関する情報の提供体制の整備など、多様な政策手法の活用に取り組んでまいります。
 さらに、環境保全施策の基礎となる科学的知見の充実を図るため、国立環境研究所の機能強化などを通じて、地球規模の環境問題についての研究及び地域レベルでの環境問題についての研究を一層推進してまいります。
 環境保健施策の推進につきましては、公害による健康被害者の公正かつ円滑な救済と健康被害の未然防止に万全を期するとともに、水俣病問題については、認定業務の促進や水俣病総合対策事業などの行政施策を推進し、その解決に引き続き努力してまいります。
 また、公害の影響による健康被害者の遺族補償費を受ける子等が、十八歳の年度末まで支給を受けられるようにするとともに、認定の更新申請に関する特例措置を創設するため、公害健康被害の補償等に関する法律の一部改正案を今国会に提出したところであります。
 最後に、村山内閣が全力を傾けて取り組んでおります行政改革の諸課題につきましては、環境庁としても、その推進に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 以上、当面する課題について申し上げました。
 今日の環境問題は、地球規模で、また、将来世代にわたって広がりを持つ人類共通の課題であります。我々は、経済社会活動や生活様式を問い直し、祖先から受け継いだ美しく恵み豊かな自然と環境を守り続けていかなければなりません。環境基本計画に基づき、人間と環境との間に望ましい関係を築くため総合的施策の展開に全力を挙げてまいることは、村山内閣が目標とする「安心して暮らせるやさしい社会」の創造のために不可欠なものであります。私は、本年が基本計画に基づく新たな環境政策を展開し始めるいわば環境基本計画元年であり、環境行政の真価が問われる年であることを肝に銘じて、環境庁の企画調整機能を十分発揮しつつ、環境庁の施策の充実はもとより、政府一体となって環境行政を総合的かつ計画的に推進することに全力を挙げてまいりたいと考えております、
 本委員会及び委員各位におかれましても、環境行政の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
#6
○委員長(篠崎年子君) 次に、平成七年度環境庁関係予算について説明を聴取いたします。大西官房長。
#7
○政府委員(大西孝夫君) 平成七年度の環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。
 平成七年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち環境庁予算要求額は七百十四億五千六百万円であり、これを前年度の当初予算額六百七十三億千七百万円と比較すると、四十一億三千九百万円、六・一%の増額となっております。
 予算要求額の主要な項目について御説明申し上げます。
 第一に、環境保全の企画調整等については、昨年十二月に策定した環境基本計画の推進を初め、環境影響評価制度特別総合調査の実施、環境保全のための経済的手法の検討、環境教育、環境学習の推進等環境政策の新たな展開に向けた取り組みを積極的に推進するとともに、気候変動枠組み条約を踏まえた総合的な地球温暖化防止対策の推進、開発途上国の環境問題への取り組みに対する支援、砂漠化防止対策の推進、アジア・太平洋地域における地球環境共同研究の推進等地球環境問題への取り組みを積極的に推進することとし、これらに必要な経費として三十二億六千万円を計上しております。
 第二に、公害による健康被害者の救済等については、水俣病問題の早期解決を図るため平成四年度より実施している水俣病総合対策を充実するほか、従来に引き続き、公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な実施を図るとともに、公害健康被害補償予防協会に設けられている基金により行う健康被害予防事業や環境保健に関する各種調査研究を推進することとし、これらに必要な経費として二百十五億五千七百万円を計上しております。
 第三に、大気汚染等の防止については、大都市地域の窒素酸化物対策の推進を初め、オゾン層保護対策、浮遊粒子状物質対策、未規制大気汚染物質対策等の推進を図ることとしております。また、騒音、振動及び悪臭対策についても引き続き推進を図ることとし、これらに必要な経費として十五億五千万円を計上しております。
 第四に、水質汚濁の防止については、国連海洋法条約に対応した海洋環境保全の対策を推進するとともに、生活排水対策、海域における富栄養化対策及び水質総量規制、湖沼水質の保全、水道水源水域の水質の保全並びに地下水質の保全等の対策を推進するための経費として十四億七千三百万円を計上しております。このほか、地盤沈下防止及び廃棄物対策費として二億二百万円、土壌汚染防止及び農業対策費として三億千七百万円をそれぞれ計上しております。
 第五に、環境事業団については、建設譲渡事業及び融資事業等を引き続き推進するほか、地球環境保全に取り組む民間団体の活動を支援するため平成五年度に創設された地球環境基金事業の推進を図ることとし、同事業団の事業に対する助成等に必要な経費として五十七億二千五百万円を計上しております。
 第六に、公害監視等設備の整備については、地方公共団体の監視測定体制等の整備を助成するために必要な経費として八億二千九百万円を計上しております。
 第七に、環境保全に関する調査研究の推進のための経費については、総額六十六億二千八百万円を計上しております。
 この内訳としては、まず、国立試験研究機関等の公害防止等試験研究費として十九億千八百万円を環境庁において一括計上するとともに、環境基本計画推進調査費として二億五千万円を計上し、環境基本計画を推進するための環境保全対策に関連する各省各庁所管の調査の総合調整を行うほか、地球環境研究総合推進費として二十四億五千万円を計上し、各省各庁の所管する国立試験研究機関等が行う各種の地球環境保全に関する調査研究の総合的推進を図ることとしております。また、公害防止等調査研究費として二十億一千万円を計上し、地球観測衛星ADEOS及びADEOSUに搭載する成層圏オゾン等の観測機器の開発、環境汚染による健康影響の解明、その他大気汚染、水質汚濁、自然保護等に関する各種調査研究を進めることとしております。
 第八に、自然環境の保全対策及び自然公園等の整備事業等について申し上げます。
 まず、自然環境の保全対策及び自然公園等の維持管理については、生物多様性に関する情報の収集整備等を初めとする生物多様性保全施策を総合的に推進するとともに、国立公園の保護管理の強化を図ることとしております。また、野生生物の保護対策については、絶滅のおそれのある野生動植物の保護対策の強化を図るとともに、野生鳥獣の保護等に関する調査検討を推進することとしております。これらに必要な経費として、合わせて二十一億四千九百万円を計上しております。
 次に、自然公園等の整備事業については、人と自然との豊かな触れ合いを確保するため、我が国を代表するすぐれた自然を有する国立・国定公園において、その保全、復元等の事業や自然学習、自然体験の場の整備等を総合的に推進するとともに、身近な自然との触れ合いの場や長距離自然歩道等の整備を推進するほか、国民公園の整備を図ることとし、これらの整備に必要な経費として百二億九千万円を計上しております。
 第九に、環境保全施設の整備については、野生生物保護管理施設等整備、大気保全施設整備、生活排水対策重点地域内の水質浄化施設及び水辺環境の再生等の整備助成に必要な経費として十一億二千七百万円を計上しております。
 第十に、環境庁研究所については、国立環境研究所において地球環境問題を初め環境全般にわたる研究を積極的に推進するために必要な経費として七十四億三千三百万円を計上し、国立水俣病研究センターの運営等に必要な経費として四億九千万円を計上し、また、環境庁研究所の施設の整備を図るために必要な経費として三億五千九百万円を計上しております。
 以上、平成七年度環境庁関係予算案の概要につきまして御説明申し上げました。
#8
○委員長(篠崎年子君) では次に、平成七年度における各省庁の環境保全関係予算について説明を聴取いたします。石坂企画調整局長。
#9
○政府委員(石坂匡身君) 各省庁の平成七年度環境保全経費等の概要について御説明申し上げます。
 まず、歳出予算について御説明申し上げます。
 地球的規模の広がりと将来の世代にわたる広がりを持つ今日の環境問題に対処するため、一昨年に環境基本法が制定され、昨年十二月、環境基本法に基づき、政府全体の環境保全施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画である環境基本計画が策定されました。
 環境保全経費は、従来、公害対策基本法等の施策体系に沿って取りまとめておりましたが、環境基本法及び環境基本計画で示された施策の対象領域は、環境問題の広がりに対応し、公害対策基本法等が対象として想定していた領域よりも広範なものとなっております。
 このため、平成七年度における環境保全経費につきましては、この環境基本計画に盛り込まれた施策の効果的な実施に資する観点から、経費の対象範囲及び事項の分類方法を抜本的に見直し、環境基本計画に示された施策の体系に沿って取りまとめております。
 平成七年度における環境保全経費の総額は二兆五千九百八十七億円であり、前年度の当初予算に比べ六千九百三十三億円、三六・四%の増となっております。前年度の当初予算について、平成七年度における環境保全経費と経費の対象範囲をそろえた上で比較すると、平成七年度における環境保全経費の総額は、前年度の当初予算に比べ八百六十三億円、三・四%の増となっております。
 これを事項別に見ますと、循環を基調とする経済社会の実現のために二兆千九百四十七億円、自然と人間との共生の確保のために三千二百八十一億円、すべての主体の参加の実現のために三千百五十五億円、共通的基盤的施策の推進のために二兆九百十九億円、国際的取り組みの推進のために四百九十九億円、その他として九十三億円が計上されております。
 なお、予算によっては複数の事項に重複して計上されているものがあります。
 主要な項目については次のようになっております。
 まず、循環を基調とする経済社会の実現のための経費のうちでは、建設省等に計上されている下水道事業費一兆千百十五億円、厚生省、運輸省等に計上されている廃棄物処理施設整備費千五百二十億円などがあります。また、自然と人間との共生の確保のための経費のうちでは、環境庁の自然公園等事業費百三億円、建設省等の公園事業費千四百九十三億円、すべての主体の参加の実現のうちでは、環境庁の地球環境基金関係経費十八億円、国際的取り組みの推進のうちでは、外務省の国連環境基金拠出金三十九億円などがあります。
 なお、近年の地球環境問題に対する取り組みの重要性にかんがみ、環境保全経費とは別に、環境庁において各省庁の地球環境保全関係予算を取りまとめたところでありますが、これによりますと、平成七年度における総額は五千七百八十億円であり、前年度の当初予算に比べ二百九十九億円、五・五%の増となっております。
 これを事項別に見ますと、国際的枠組みづくりに係る経費として百二十億円、観測・監視、調査研究に係る経費として千六十四億円、技術開発、普及に係る経費として四千四百四十億円、環境分野の政府開発援助等に係る経費として百三億円、環境配慮に係る経費として三十九億円、地球環境保全型の社会経済活動、普及啓発等に係る経費として十五億円となっております。
 次に、環境保全関係財政投融資は、貸付規模等において総額三兆二千四百五十三億円を予定しており、前年度の当初計画額に比べ三千三百六十一億円の増となっております。
 機関別の主な内訳としては、環境事業団が事業規模で九百十億円、中小企業金融公庫が貸付規模で二千億円、日本開発銀行が貸付規模で八百億円を予定しているなどのほか、地方公共団体の下水道整備、廃棄物処理等の事業を推進するため、地方債計画において二兆八千二百九十二億円を予定しております。このほか、環境衛生金融公庫、北海道東北開発公庫、中小企業事業団等において産業公害防止対策等所要の融資を引き続き行うこととしております。
 最後に、今国会において御審議いただく租税特別措置法等の改正案に盛り込まれております環境保全関係の税制改正措置について御説明申し上げます。
 まず、水道水源水域の水質の保全対策の観点から、水道水源特定施設の移転等を促進するための所要の特例措置の新設を行う予定であります。また、廃棄物の適正処理対策につきましても、広域臨海環境整備センターの事業の用に供する施設や産業廃棄物の適正処理に係る特定施設の整備事業の促進のための特例措置の拡大を行う予定であります。さらに、都市の良好な環境の形成につきましても、緑地保全地区内の緑地の保全のための特例措置の拡大を行う予定であります。このほか、公害防止用設備の設置やリサイクル、省エネルギー、低公害車導入、オゾン層保護の促進に関する特例措置の延長など、所要の税制上の措置を講ずることとしております。
 以上、平成七年度の各省庁の環境保全経費等の概要につきまして御説明申し上げました。
#10
○委員長(篠崎年子君) 次に、公害等調整委員会の事務の概要等について説明を聴取いたします。西山公害等調整委員会委員長。
#11
○政府委員(西山俊彦君) 公害等調整委員会が平成六年中に行った公害紛争の処理に関する事務及び平成七年度総理府所管一般会計公害等調整委員会歳出予算要求額について御説明申し上げます。
 まず、公害紛争の処理に関する事務の概要について御説明申し上げます。
 第一に、平成六年中に当委員会に係属した公害紛争事件は、長野県等の住民から日本鉄道建設公団等を相手方として申請のあった北陸新幹線騒音防止等あっせん事件、水俣病と認定された患者とチッソ株式会社との間で患者個々人ごとに具体的な損害賠償額を定める水俣病損害賠償調停事件、長野県等の住民から日本鉄道建設公団を相手方として申請のあった北陸新幹線騒音防止等調停事件、神奈川県の住民から東海旅客鉄道株式会社を相手方として申請のあった東海道新幹線騒音・振動被害等調停事件、静岡県等の住民からプロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク本社を相手方として申請のあった液体洗剤水質汚濁被害等調停事件、香川県の住民から同県豊島の産業廃棄物処理業者等を相手方として申請のあった豊島産業廃棄物水質汚濁被害等調停事件、東京都等の住民から三井東圧化学株式会社等を相手方として申請のあったCNP水質汚濁被害調停事件、東京都の住民から埼玉県の高圧ガス集配事業所等を相手方として申請のあった高圧ガス集配所騒音被害等調停事件、東京都の住民から埼玉県の鍛造事業者等を相手方として申請のあった金属加工工場騒音・振動被害調停事件、新潟県の住民から三井東圧化学株式会社等を相手方として申請のあった新潟県CNP水質汚濁被害調停事件、東京都の住民から小田急電鉄株式会社を相手方として申請のあった小田急線騒音被害等責任裁定事件の合計二十二件であり、これらのうち、平成六年中に終結した事件は八件であります。
 なお、以上のほか、水俣病損害賠償調停事件については、調停成立後に申請人の症状に変化が生じたときに行われる水俣病慰謝料額等変更申請事件が十九件あり、うち十三件が終結しております。
 現在係属中の事件につきましては、適切な解決が図られるよう鋭意努力してまいる所存であります。
 第二に、平成六年中に都道府県公害審査会に係属した公害紛争事件は百十六件であり、工場・事業所及び近隣生活の騒音等に係る事件が多くなっております。これらのうち、平成六年中に終結した事件は四十九件であります。
 公害紛争処理法においては、当委員会と都道府県公害審査会とはそれぞれが独立の機関として職務を遂行することとなっておりますが、公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るという観点から同審査会との間での連絡協議に努めるとともに、参考となる情報・資料の提供を積極的に行っているところであります。
 第三に、全国の公害苦情の実態についてであります。
 当委員会の調査によれば、平成五年度において全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた苦情は約七万九千件となっており、苦情件数は、昭和四十七年度の約八万八千件をピークに以後減少傾向を示したものの、五十八年度から再び増加傾向を示しております。
 これを苦情の種類別に見ますと、いわゆる典型七公害に関する苦情では騒音に関する苦情が最も多くなっておりますが、いわゆる典型七公害に分類できない苦情も全体の約四六%を占め、年々増加してきております。
 公害苦情につきましては、都道府県または市区町村がその処理に当たっておりますが、当委員会としては、これらの地方公共団体に対し、職員に対する研修の実施、苦情処理に必要な情報の提供等を積極的に行っているところであります。
 続きまして、平成七年度公害等調整委員会の歳出予算要求額の概要について御説明申し上げます。
 平成七年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち公害等調整委員会の歳出予算要求額は五億八千八百万円であり、これを前年度の当初予算額五億八千六百万円と比較いたしますと〇・四%、二百万円の増額となっております。
 次に、その内訳について御説明申し上げます。
 第一に、当委員会に係属する公害紛争事案の審理経費等として五億五千五百万円を計上しております。第二に、公害紛争の処理を担当する都道府県公害審査会委員及び担当職員との連絡協議のための経費等として三千三百万円を計上しております。
 以上が平成六年中に公害等調整委員会が行った公害紛争の処理に関する事務の概要及び平成七年度公害等調整委員会の歳出予算要求額についての概要であります。
 公害等調整委員会といたしましては、今後とも公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るため鋭意努力してまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
#12
○委員長(篠崎年子君) 以上で所信及び予算等の説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#13
○委員長(篠崎年子君) 次に、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。大渕絹子君。
#14
○大渕絹子君 報告を行うに当たり、まず、派遣出発日の一月十七日早朝に発生いたしました兵庫県南部地震により被災された方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。また、この大震災の関係で派遣に参加できなくなりました委員がおられることも申し述べておきます。
 それでは、御報告いたします。
 去る一月十七日及び十八日の二日間、公害及び環境保全対策に関する実情調査のため、篠崎委員長、小野理事、笠原委員、萱野委員、それに私、大渕の五名が静岡県を訪れ、富士山の保全対策を中心に調査を行ってまいりました。
 初めに、調査日程の概略を御説明いたします。
 第一日目の一月十七日は、兵庫県南部地震の影響による交通機関の乱れから、静岡駅への到着が予定より大幅におくれました。このため、最初に予定していた大井川河川環境状況調査のための中川根町訪問はかなわず、当初の予定よりは下流域にかけての河川状況を車中から視察することにいたしました。次いで、金谷町の静岡リサイクルセンターを訪れ、建設廃材の再利用プラントを視察いたしました。その後、静岡県庁において、同県の環境行政の概要について説明を聴取いたしました。
 第二日目の一月十八日は、まず、富士宮市の田貫湖畔に赴き、環境庁、静岡県及び富士宮市の関係当局から富士山の保全対策等についてそれぞれ説明を聴取するとともに、田貫湖畔及び東海自然歩道等を視察いたしました。その後、清水町に移動し、名水百選「柿田川湧水群」を視察いたしまして、調査の全日程を終えました。
 以下、順次調査の概要を御報告いたします。
 まず、静岡県における環境行政の概要について申し述べます。
 同県の環境行政は、平成四年一月に改定された静岡県新総合計画の基本的方向を踏まえ、「地球にやさしい環境づくり」を目指して、@良好な地域環境の形成、A快適空間の形成、B省資源・省エネルギー社会の形成を三本柱として総合的、体系的な施策の展開を図ることとしております。特に、地球環境問題への対応としては、平成四年六月に「しずおか環境アクションプラン21」を策定し、県民・事業者・行政が一体となった地球環境保全のためのさまざまな取り組みが推進されております。また、環境基本法の理念を生かした新しい静岡県の環境行政の枠組みを構築するため、環境基本条例を制定する予定とのことであります。
 次に、大井川の河川環境状況についてであります。
 古くは「越すに越されぬ」と言われた大井川でありますが、近代、特に昭和に入ってから多数の発電用のダムが建設されてきたことにより、本流を流れる表流水は著しく少なくなり、河川環境の面からも大きな問題となっておりました。
 こうしたことから、大井川中流域の川根三町の要請を受けて、建設省、静岡県、電力会社など関係者間の話し合いが持たれ、昭和六十三年以降、水利権の期間更新時期を迎える発電所についてダムの放流増が行われるようになりました。
 ただ今回、実際に河川状況を見たわけですが、その流量については、冬場の渇水期であったとはいえ、委員の間でも「もう少し水が流れないものか」との感想が持たれたように、今なお十分とは言えないような状況でありました。この点について静岡県当局からは、「発電所の理解も得られてきた。話し合いでやるしかないが、できるだけ水を戻したい」との考えが示されております。
 次に、静岡リサイクルセンターについてであります。
 同センターは、近年社会問題化している建設廃材の処理問題に取り組むべく、金谷町の道路建設会社など民間六社の共同出資により設立されたもので、アスファルト等の建設廃材の受け入れ、中間処理、再生製品の販売等を業務としております。同センターでは再利用プラントを視察いたしましたが、委員からは、廃材処理における環境対策のほか、再生製品のコスト、品質等の問題について熱心に質問が行われました。
 次に、富士山の保全対策についてであります。
 今回の調査は、さきの第百二十一回国会において富士山の世界遺産リストへの登録に関する請願を採択した後のものであっただけに、富士山の保全状況については委員の間でも特に大きな関心が持たれておりました。
 調査は、田貫湖畔など周辺地域からのものでありましたが、天候にも恵まれ、富士山のすばらしい景観美に大いに感動してきたところであります。しかし同時に、富士山にはさまざまな環境保全上の課題が生じていることも改めて知らされてまいりました。
 静岡県当局の説明においても、@自然景観や環境保全に配慮しない土地利用、A管理不十分な人工林の増加による土壌流出等の自然荒廃、Bオフロード車の走行による自然破壊、夏季における過密利用、C廃棄物の投棄、地下水汚染の危惧等及び湧水量の減少、D事業者、利用者等の富士山に対する理解と認識の不足といった課題が示されております。
 こうしたことから、環境庁においては、国立公園富士山地域の公園計画の再検討作業が進められるとともに、国会での請願採択を受けて、本年一月には、静岡、山梨両県、関係市町村の行政機関から成る富士山地域の保全対策協議会を発足させております。
 また、静岡県側では、富士山一斉清掃活動や富士山スカイラインのマイカー規制等が行われるとともに、富士山総合環境保全指針策定のための取り組み等が行われております。
 なお、今回訪れた田貫湖は、国立公園の特別地域になっており、富士山地域の国立公園指定六十周年に当たる来年夏には、湖畔で第三十八回自然公園大会が開催されることが内定しております。
 これら富士山の保全対策への取り組みに関して、委員からは、過剰利用によるし尿処理対策や田貫湖畔における施設整備等の問題について熱心に質問や注文が行われました。
 次に、柿田川湧水群の保全状況についてであります。
 この湧水群は、富士山の東斜面に降った雨や雪解け水が約四十キロ離れた清水町の市街地に忽然とわき出しているもので、富士山周辺では最大規模の湧水群であり、昭和六十年には環境庁の名水百選に選定されております。
 湧水群の水量は、近年減少傾向が見られるものの、現在でも日量約百万トンと極めて多く、静岡県東部地域の飲料水や工業用水等に利用されております。また、湧水及びその周辺には、清流にしか生息しない水生植物ミシマバイカモなど貴重な動植物が数多く見られます。
 こうしたすばらしい自然を保全するため、地元清水町では、昭和五十七年から周辺民有地の買収を開始し、自然の保護、保全等を目的とする柿田川公園の整備を進めております。また、ナショナルトラスト団体による保全活動も行われているとのことであります。
 なお、柿田川湧水群の水質については、かつてトリクロロエチレン等が検出され国会でも問題となりましたが、これについて静岡県当局は、「県の指導などにより、現在では問題はない」と述べておりました。
 最後になりましたが、今回の調査に多大の御協力をいただきました静岡県並びに関係各位に対し厚く御礼を申し上げ、報告を終わります。
#15
○委員長(篠崎年子君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五十四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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