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1995/03/08 第132回国会 参議院 参議院会議録情報 第132回国会 予算委員会 第10号
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1995/03/08 第132回国会 参議院

参議院会議録情報 第132回国会 予算委員会 第10号

#1
第132回国会 予算委員会 第10号
平成七年三月八日(水曜日)
   午前十時二十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月七日
    辞任         補欠選任
     鈴木 栄治君     野村 五男君
     楢崎 泰昌君     宮崎 秀樹君
     吉村剛太郎君     岩崎 純三君
    日下部禧代子君     川橋 幸子君
     篠崎 年子君     本岡 昭次君
 三月八日
    辞任         補欠選任
     岩崎 純三君     吉村剛太郎君
     川橋 幸子君     大森  昭君
     菅野  壽君     渡辺 四郎君
     寺澤 芳男君     風間  昶君
     中村 鋭一君     寺崎 昭久君
     西山登紀子君     林  紀子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         坂野 重信君
    理 事
                伊江 朝雄君
                片山虎之助君
                成瀬 守重君
                山崎 正昭君
                穐山  篤君
                山本 正和君
                藁科 滿治君
                猪熊 重二君
                井上 哲夫君
    委 員
                遠藤  要君
                大塚清次郎君
                加藤 紀文君
                木宮 和彦君
                沓掛 新男君
                河本 三郎君
                斎藤 文夫君
                下稲葉耕吉君
                野間  赳君
                野村 五男君
                服部三男雄君
                宮崎 秀樹君
                吉村剛太郎君
                大渕 絹子君
                大森  昭君
                大脇 雅子君
                川橋 幸手君
                北村 哲男君
                瀬谷 英行君
                竹村 泰子君
                堀  利和君
                峰崎 直樹君
                本岡 昭次君
                渡辺 四郎君
                荒木 清寛君
                風間  昶君
                北澤 俊美君
                都築  譲君
                寺崎 昭久君
                和田 教美君
                磯村  修君
                武田邦太郎君
                有働 正治君
                林  紀子君
                西野 康雄君
                下村  泰君
   国務大臣
       内閣総理大臣   村山 富市君
       外 務 大 臣  河野 洋平君
       法 務 大 臣  前田 勲男君
       大 蔵 大 臣  武村 正義君
       文 部 大 臣  与謝野 馨君
       厚 生 大 臣  井出 正一君
       農林水産大臣  大河原太一郎君
       通商産業大臣   橋本龍太郎君
       運 輸 大 臣  亀井 静香君
       郵 政 大 臣  大出  俊君
       労 働 大 臣  浜本 万三君
       建 設 大 臣  野坂 浩賢君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    野中 広務君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 五十嵐広三君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  山口 鶴男君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)
       (国土庁長官)  小澤  潔君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  玉沢徳一郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       高村 正彦君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       田中眞紀子君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  宮下 創平君
       国 務 大 臣  小里 貞利君
   政府委員
       内閣法制局長官  大出 俊郎君
       内閣法制局第一
       部長       津野  修君
       総務庁行政管理
       局長       陶山  晧君
       防衛庁参事官   別府 信宏君
       防衛庁経理局長  秋山 昌廣君
       防衛施設庁建設
       部長       田中 幹雄君
       科学技術庁長官
       官房長      石井 敏弘君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   落合 俊雄君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   工藤 尚武君
       科学技術庁研究
       開発局長     沖村 憲樹君
       国土庁計画・調
       整局長      糠谷 真平君
       国土庁大都市圏
       整備局長     荒田  建君
       国土庁防災局長  村瀬 興一君
       法務省民事局長  濱崎 恭生君
       法務省入国管理
       局長       塚田 千裕君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高野幸二郎君
       外務省条約局長  折田 正樹君
       大蔵大臣官房長  小村  武君
       大蔵省主計局長  篠沢 恭助君
       大蔵省理財局長  田波 耕治君
       大蔵省銀行局長  西村 吉正君
       文部大臣官房長  佐藤 禎一君
       文部省学術国際
       局長       岡村  豊君
       文部省体育局長  小林 敬治君
       厚生大臣官房総
       務審議官     太田 義武君
       厚生省保健医療
       局長       松村 明仁君
       厚生省社会・援
       護局長      佐野 利昭君
       厚生省老人保健
       福祉局長     阿部 正俊君
       農林水産大臣官
       房長       高橋 政行君
       農林水産省経済
       局長       東  久雄君
       農林水産省構造
       改善局長     野中 和雄君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     日出 英輔君
       農林水産技術会
       議事務局長    山本  徹君
       食糧庁長官    上野 博史君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        大宮  正君
       中小企業庁長官  中川 哲雄君
       運輸省鉄道局長  戸矢 博道君
       労働大臣官房長  伊藤 片平君
       労働省労働基準
       局長       廣見 和夫君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
       建設大臣官房長  伴   襄君
       建設省都市局長  近藤 茂夫君
   事務局側
       補任委員会専門
       員        宮本 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成七年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成七年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成七年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(坂野重信君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 平成七年度一般会計予算、平成七年度特別会計予算、平成七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き、総括質疑を行います。大協雅子君。
#3
○大脇雅子君 阪神・淡路大震災によります被害といいますのは、活断層上の建物の不可避の倒壊に加えまして、軟弱な地盤の上に建てられた民家、老朽家展、手抜き工事による建物などがさらに被害を私大いたしました。そのため、被害弟の多くは低所得者層に集中し、社会の構造的矛盾をそのまま映し出しております。
 そして今、その矛盾はますます拡大いたしまして、復興資金のある人とない人、職場のある人とない人、融資を受けられる人と受けられない人の格差が拡大しつつあります。したがって、政府や地方自治体の援助なくしては生活の再起が不可能であります。
 その中で、神戸・尼崎地区労とか神戸ワーカースユニオン、武庫川ユニオン、労働弁護団が雇用ラインを設置いたしまして、三月三日現在、九百一二十九件という相談事例を受けております。
 そのプロファイルを申し上げますと、総じてパートタイマー、女性、零細企業の労働者を直撃しているということが言えます。まず大量解雇の通告が続出しております。神戸のホットラインの九〇%は解雇の相談であります。はがき一本で、御苦労さまでした、とりあえず自分の生活は自分で見ろ、そのうち連絡する、将来に責任持てない、とにかく待機せよ、休業補償を考えよう、あるいは大手のスーパーの事例は、ただ神戸の支店それ自身が被害に遭ったというだけで六百三十人に退職州の提出を求めています。そして、何とその都合は自己都合退社と書けということであります。また、大手の食品会社に至りましても、便乗解雇といったような事例が出てきております。
 さらに第二の特徴といたしましては、先ほど申し上げましたように、ほとんど女性が被害を受けているということであります。男性は正社員が六五%の相談事例ですが、女性はパート、アルバイトが九〇%に争っているということであります、さらに零細企業の特にサービス業、飲食業については全く出口がない、そういう状況であります。
 こういう深刻な状況に対しまして、労働大臣は、こういった差別的な解雇というものに対してどのような認識をお持ちになり、どのような対策を講じられようとしているか、お尋ねいたします。
#4
○国務大臣(浜本万三君) お答えいたします、
 私といたしましては、今回の震災に伴いまして、今、議員からお話がございましたように、多数の被災企業がパート労働者を含めまして従業員の解雇を行い地域の雇用情勢に深刻な影響を与えることに関しまして、強い懸念を括っておる次第でございます。このため、事業主団体の皆さんに対しまして、被災地域の雇用の安定について強く要請を行ったところでございます。
 そのほか、被災地域内で雇用の維持を図ることが最重点であると考えまして、労働省といたしましては、議員御承知のように、雇用調整助成金や失業給付の特例措置を講じながら、現地の公共職業安定所に設けました相談窓口等におきましてきめ細かな相談を実施しておる次第でございます。
 また、雇用保険が適用されるようなパートタイム労働者であるにもかかわらず適用の手続が行われていない人につきましては、請求があれば遡及いたしまして認定を行うことによりまして雇用保険制度を通じた積極的な救済措置を図っておる次第でございます。
 こうした措置にもかかわらずやむなく離職される方々につきましては、失業給付を活用しながら、本人の希望も尊重しながら山就職の支援を行っておるような状況でございます。
#5
○大脇雅子君 労基法二十条は、事業の継続が不可能なときには労働基準監督署の除外申請の認定を受けることになっております、しかし、ホットラインに集中いたしました相談例は、ほとんど除外申請をしない即時解雇というものが続出しておりますので、労働省におかれましては現場における厳重な法規の運用をお願いいたしたいと思います。
 先ほど浜本労働大臣は、雇用調整助成金の支給というものでの対応をお答えいただきましたが、確かに雇用調整助成金の迅速な被災地への適用ということは、雇用維持のため有効に機能しつつあるということを願うものであります。しかし、この雇用調整助成金の申請手続は非常に複雑でありまして、申請する前に中小企業がそれをあきらめるとか、あるいは通常は支給までに三カ月かかるということで、その間に被災省の中小企業は体力がもたないというような状況があります。
 どのようにこの規定の弾力的運用に努めておられるか、あるいはまた現在この申請件数はどのような数に上がってどれだけ利用しているかという現状についてお尋ねいたします。
#6
○国務大臣(浜本万三君) 手続の簡素化につきましては、これまでにも支給額の算定方法の大幅な簡素化等を実施してきておるところでございますが、被災事業主にかかわる手続等につきましては、書類を紛失しておるような場合がございます。また、それにかかわる書類がうまくできないというような事情もございます。そういう点につきましては、できるだけ簡略な方法で手続を済ましていただくようにいたしております。
 また、被災地域外にある本店、支店等におきましても、申請事務が行われるような措置もとっておるわけでございまして、これらの方法によりまして、できるだけ迅速かつ簡略化いたしました方法で申請の手続を受けるようにいたしておる次第でございます。
 それから現征の状況でございますが、今般の雇用調整助成金にかかわる申請作数につきましては、現在、地元の担当者の方が申請を受理する事務に追われておりますので、確実な数字を把握しておりません、したがって、早急にその内容を把握するように今指導をしておるような次第でございます。多分もうしばらくいたしますとその状況が把握できるのではないかというふうに思っております。
 ただ、三月二日現在で雇用調整助成金についての約一万件に上る相談件数がございますので、その数字を勘案いたしますと相当多い申請になるのではないかというふうに思っておる次第でございます。
#7
○大脇雅子君 雇用調整助成金で雇用の維持を図るということは、日経連の団体からもきめの細かい要望が出ているところであります。しかし、雇用の維持をいたしましても本体の中小零細企業が倒産して再起できないということであれば非常に心もとないわけでありまして、ここは中小零細企業の支援がリンクすべきであると考えます。
 通産大臣にお尋ねいたしたいのですが、中小企業あるいは零細企業に対する震災の万全の対策についてお答えいただきたいと思います。
#8
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、雇用調整助成金につきましての御質問がありましたが、我々としては、労働省にお願いをしながら、弾力的な活用を図っていただくことによって労働者の方々に対して少しでも手厚い保護がと願ってまいりました。
 しかし同時に、被災地の労働者の雇用を安定させてまいりますためには、中小企業を初めとする各企業にいかにして事業の再開にこぎつけてもらい、そして産業のインフラが整備をされるかということが非常に大事なことと考えております。
 中小企業の対策につきましては、既にもう委員も御承知のように、去る二月九日には過去の災害対策より一層踏み込んだ被災中小企業支援対策を発表して、この対策の中に盛り込みました仮設工場あるいは仮設店舗の一日も早い整備を図る、同時に資金調達の円滑化、きめの細かい経営相談の実施などに努めて、立ち上がりを支援することに全力を挙げてまいりました。
 中小企業の相談につきましては、日弁連、税理士会等のボランティアの方々にも非常に積極的に参加をいただきまして、総合相談に加わっていただいて対応を図っております。また、仮設工場につきましては、先般、長旧区の中に三カ所の用地を県、市の方で決めていただきましたので既に建設にかかっておりまして、早い部分は三月末には入居が可能になると考えております。
 いずれにいたしましても、こうした対応策を実施するに当たりまして、県、市と連携をとりながら、同時に地元の産業界の声にも十分耳を傾けながら努力をしてまいりたい、そのように考えております。
#9
○大脇雅子君 仕事を失った労働者にとりまして最後の命綱となっておりますのは、雇用保険における失業給付であります。雇い主が保険未加入でありましても労働保険適用労働者であれば遡及確認手続をして救済をするという今回の積極的な措置は、労働者にとって大きな支援となっております。
 しかし、労働時間が週二十時間以下または雇用保険の適用要件を満たさない一カ月未満のパートタイマーや、六カ月未満の正社員で雇用保険が適用されない労働者というのは数知れなく出てきております。とりわけ、一九九三年いわゆるパート法ができましてから、パートの労働時間が減少させられまして二十時間に切り下げられていくという状況が出ている事例が輪作されている折柄、より事態が深刻化しております。
 この救済策について、労働省はいかなる対策を持って臨んでおられるのでしょうか。
#10
○国務大臣(浜本万三君) パートタイマーで二十時間以下の人を含めまして失業者に対するきめ細かい再就職への支援活動をやっておるわけでございます。そういう被災により失業されたあらゆる求職者につきまして、本人の希望を尊重しながら、その再就職の促進に向けましてきめ細かな相談また職業紹介等を実施しておるところでございます。
 こうした中で、全国の公共職業安定所のネットワークを生かし広域的な職業紹介を実施いたしますとともに、再就職に当たり各種の職業訓練が必要な人につきましては、職業能力開発制度を積極的に活用いたしておるところでございます。特に被災によりまして事業を継続できなくなった自営業者や家内労働者につきましては、これは無料で公共職業訓練を受講できるようにいたしておりまするし、また受講期間中の訓練手半も支給をいたしまして再就職への支援を行っておるところでございます。
 なお、雇用保険が適用されるべき労働者であるにもかかわらず適用の手続がとられていない者につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、これは遡及制度を活用いたしまして雇用保険の適用をするようにいたしておるところでございます。
 また、被災いたしました失業省に地元における臨時的な雇用の場を提供するために、三月一日に公布、施行されました公共事業就労促進法に基づきまして、できるだけ地元の復興作業についていただけるような支援活動も行っておるところでございます。
#11
○大脇雅子君 神戸を希望のない町と呼ばないようにというのが働く人たちの今大きな望みになっていることを御理解いただきたいと思います。
 次に、神戸市は復興計画のスローガンといたしまして「市民参加による協働のまちづくり」というものを掲げています。しかし、現実の区画整理事業において、これまでの手法では本当の意味の市民の豊かなアイデアを吸収することはできないのではないか。市民参加のシステムづくりはどのようになっているのでしょうか。
 私は、地域ごとに自治体と地域住民との再建委員会をつくり、市民の豊かなアイデアを吸収いたしまして、上からの近代化ではなく、今こそ下からの町づくりと、命を中心とした都市計画が壮人な実験として神戸でやられるということを心から願っているものでありますが、それに対してどのようにお考えでしょうか。とりわけ、その際には、活断層その他、的確な情報公開が住民に図られるべきものと考えます。自治大臣、災害対策の大臣、あわせて御返事をいただきたいと思います。
#12
○国務大臣(野中広務君) 委員御指摘のとおりに、被災地におきます復興計画は町づくりの基本でございまして、兵庫県、神戸市を初め被災地の地方公共団体が地域住民の方々の意向を十分反映しながら主体的な町づくりを作成することとしておりまして、現に鋭意それが進められつつあると承知をしておるところでございます。
 兵庫県におきましては、三月中に復興計画ビジョンの作成、六月中に阪神復興計画を作成するべく、今、各領域の県民が復興のための課題について討論をするために、ひょうご住宅復興会議、産業復興会議あるいは外国人県民復興会議、保健医療福祉復興県民会議、男女共生のまちづくり推進会議等々各種の県民会議を開催いたしまして、その意見を反映することとしておるわけでございます。
 また、神月市を初めとする被災の地方公共団体におきましてもそれぞれ、今、委員が御指摘になりましたような各種市民の声を吸い上げる会議や相談所の開設等、さまざまな形で地域住民の意向をくみ」げ、住民による主体的な町づくりの推進を図っておると聞いておるところでございます。
 自治省といたしましても、このような地域住民の方々や学識経験者等の意見も十分踏まえまして、地方公共同体の復興のための取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
#13
○国務大臣(小里貞利君) ただいまの説明と重複を避けまして、復興の概要を私の方から申し上げたいと思います。
 御承知のとおり、被災市街地におきまして、面的にそして集中的に焼失または倒壊をいたしました地区を中心にいたしまして区画整理事業あるいは市街地の再開発事業が今進められつつございまして、それらの都市計画決定のための第一段階におきまする手続が行われておりますことは御承知のとおりでございます。
 それらの事業を円滑に進めるために、まず都市計画の決定あるいは事業計画の決定あるいはその次に事業の実施、そういう三段階を経て逐次進められるものと、さように承っておりますが、その間におきまして、ただいまもお話がございましたように、土地区画整理事業をやるところが約十カ所あるいは市街地の再開発事業が六カ所、北淡町を含めまして合計十六カ所という大変多くの箇所にわたっておるわけでございますが、お話しのとおり、それらのすべての段階におきまして、まず罹災者あるいは関係市民の理解そして納得を得て進めるということが一番肝要であろうと、さように私どもも認識をいたしております。
 なおまた、御承知のとおり、現在進められておりまする先ほど申し上げました三段階の中におきまする都市計画決定につきまして、住民の皆様方の縦覧に供しましていろいろ御意見を承っておりますことも、新聞、テレビ等でも御承知のとおりでございます。
 特に住民のあるいは罹災者の意見を承るために直接、市役所あるいは町の役場等は当然でございますが、現地に相談所も六カ所設けておいでになるという話を承っておりまして、あるいはまた、そのほか広報、チラシ等々でできるだけ具体的にその計画概要を承知いただきたい、また通告をいたさなければならないと、そういうようなきめ細やかな段取りが進められておることを承っております。
 なおまた、今申し上げましたように、事業実施に至るまでの間におきまして、罹災者の皆さんの生活、生業の再起または安定につきましても、その相談所等を通じましてきめ細やかにいろいろと御助言あるいは御相談にあずからなければならない、そのような配慮が建設省を中心になされておるということも細やかに承っておるところでございます。
 なおまた、御承知いただいておりまするように、これらの一連の再開発事業を直接間接に応援するために、さきに特別再建措置法も、いわゆる復興特別措置法も、あるいは財政措置も講じたところでございまして、以上申し添えておきます。
#14
○大脇雅子君 都市づくりに住民の自発的、意識的なアイデアを豊富に取り入れて新しい町づくりができることを心から祈るものでございます。
 次に、九四年の九月に開始されました大阪婦人少年室におきます住友金属工業株式会社の雇用機会均等法に基づく調停事件についてお尋ねをいたします。
 調停申請いたしましたのは、住友金属工業技術企画部などに働く女性社員七人が申請をいたしました。そして、三人の調停委員の中で調停案が提出されたわけですが、その示された調停案というのは、事業所採用の一般職員も男女にかかわらず本社採用の総合職へコース転換できる制度を導入して円滑に実施せよという三項目にわたる調停案が示されたわけですが、問題は、調停を求めた女子労働者は個別的に差別の是正を求めたものでございまして、この個別的な救済の制度として調停委員会の制度というものが設定されていると考えるわけでございます。
 毎日新聞の社説も、「調停に個別判断が必要だ」という批判などを出しておりますが、この調停事件に関しまして、労働大臣のコメントと申しますか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
#15
○国務大臣(浜本万三君) 私といたしましては、その後双方の当事者が調停案を真剣に受けとめて紛争の円満な解決が図られることを期待しておったわけでございますが、その後の状況を見ておりますと、調停が不成立に終わりましたことをまことに残念に思っております。
 なお、会社からは調停案に応じる旨の回答がありましたことから、調停案に沿った雇用管理が今後当該企業で行われるものだというふうに期待をしておるわけでございます。
#16
○大脇雅子君 これまで、男女雇用機会均等法に基づきまして行われました調停申し立て事件というものは今まで何件あったのか、それからどのようなケースであったのか。
 一九八五年に雇用機会均等法ができまして、迅速で簡便な救済制度としてこの調停制度に働く女性たちの大きな希望がかけられておりましたけれども、法律的に見ますと、これは相手方の同意と婦人少年室長の調停開始を相当とするという判断と、二つの壁をクリアしなければ調停に乗らないということであります。
 先ほどコメントいただきました調停事件も、九年目にしてやっと一件という状況であります。こういった状況についてどのように考えておられるのでしょうか。
#17
○国務大臣(浜本万三君) まず状況を申し上げますと、昭和六十二年度に二社二件の調停申請が行われました。その後、平成二年度以降毎年一社から三社、件数にいたしまして約二十件前後の調停申請が行われております。平成七年三月七日までに合わせますと十一社百二件の申請が行われているところでございます。
 内訳を申しますと、そのうち、婦人少年室長が調停開始のために事業主の同意を得る過程において事業主が差別的取り扱いを是正したため女子労働者が調停を取り下げました件数が三件でございます。調停が開始されましたのは、先ほど委員が御指摘になりましたように、一件でございます。調停が不能となったものが六社となっております。そのほか、最近申請がありました一社につきまして現在事情聴取を行っておるというのが現在までの状況でございます。
 さらに、議員が申されましたように、調停が開始された実績がたった一社ではないかと、こういう御意見でございますが、そのような御意見を含めましてさまざまな御意見や御論議があると思いますが、均等法上、紛争解決の手段といたしまして、調停のほかに、婦人少年室長の紛争解決のための助言、指導等も規定されておるところでございます。
 その実績を見ますと、この八年間に年平均四十件が申請をされまして、ほとんどが解決をしておるという状況になっております。ですから、案外、婦人少年室長の助言、指導というものが紛争解決に役立っておるのではないかというふうに思いますから、こういう点も皆さんに御説明をすれば、あるいはその方法も活用していただけるのではないかというふうに思っております。
#18
○大脇雅子君 労働大臣の今の御認識と現場における女性労働者の認識には大きな隔たりがあるのだというふうに認識いたします。
 確かに婦人少年室の助言、指導というものによっての是正はなされておりますが、均等法ができましてからも、東京都の苦情処理委員会、職場における男女差別苦情処理委員会、これにはいわゆる相手方の同意条項がありませんからそこへ申し立てをするというケースがありまして、婦人少年室への申し立てはゼロであります。それから近時、とりわけ賃金差別に関しまする訴訟のケースというものが何件か裁判所に提出されているわけであります。
 今まで提起されました百三件という、いわゆるこれはなぜそんなに多いかというと、一人一件として数えるからでありますが、十一社の申し立てにつきましては愛知婦人少年室と大阪の婦人少年室でありまして、ほかはほとんどない。
 私は、国会に参りまして、どういう予算措置がなされているかということをお聞きいたしましたら、一年、各都道府県一県当て二千百万というものが予算措置をされている。しかし、これはほとんどそれに使われることなく十年見過ごされている。これは明らかに働く女性の期待を裏切るものであると思わざるを得ないわけであります。
 とりわけ雇用における我が国の女性の差別というものは、平均賃金におきましても男女の格差は一九九〇年で五〇%強というような状況でありまして、男性の約半分の賃金ということであります。
 これは国際的にもさまざまな批判が出ておりまして、女性の権利のマグナカルタと言われます女子差別撤廃条約、これは日本も批准しておりますが、ここにおける報告制度で政府の報告書が提出されております。エキスパートと呼ばれる委員のコメントが国際的な批判と評価を決めるというシステムになっておりますが、昨年からコンクルーディングコメント方式というのが採用をされました。ことしの女子差別撤廃委員会で、我が国の第二次、第三次の政府報告書に対するコメントがなされたと聞いておりますが、その内容を紹介していただきたいと思います。外務省にお願いします。
#19
○政府委員(高野幸二郎君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘のとおり、本年一月の女戸差別撤廃委員会、ニューヨークで開かれました。そこにおきまして、昨年一月に日本政府が提出いたしました報告が審議されまして、最終コメントというものが出ております。ただし、この報告書自体まだ公表されておりませんで、私ども、事務局からの内報という形で承知しております。
 その中で、御質問の点につきましてはこういう趣旨になっております。
 日本政府は、民間部門が雇用機会均等法を遵守することを確保すべき旨及び民間部門における女性に対する間接的な差別に対しとった措置につき報告すべきであるという趣旨のコメントになっております。
#20
○大脇雅子君 今は、女子差別撤廃委員会のコンクルーディングコメントですが、一九九三年の十月二十七日、自由権規約委員会で日本政府の第三回定期報告書の審議がなされました。
 この会議は、女性の権利は基本的な人権であるという、いわゆる地球規模のコンセンサスが形成された会議であるというふうに評価しているものでございますが、この委員会における問題項目、質問リストによるコメント、女子差別撤廃のための措置に関してはどのようなコメントがなされているでしょうか。
#21
○政府委員(高野幸二郎君) ただいま委員御指摘のいわゆるB規約委員会の意見、コメントの関係部分、これは第十項でございますが、読み上げさせていただきますと、
 委員会は、雇用の報酬に関し、日本の女性に対し残存しているように思えるその他の差別的慣行に対し懸念を表明するとともに、「事実上」の差別問題がより一般的に引き続き存在することに留意する。
 委員会は、日本の当局によりこれらの慣行を禁止するための法的手段がとられ及び機会均等を促進するための包括的プログラムが存在しているという事実を認識する。しかしながら、日本においては、法令の制定と社会の特定の部門の実際の行動との間に乖離が存在するように思える。以上でございます。
#22
○大脇雅子君 以上が国際的な各委員会における日本の均等法とその施行に関する評価であります。
 今、均等法というのは、募集、採用、配置、昇進というものが努力義務になっておりまして、調停制度も十分に機能していず罰則もないという状況でありまして、この一、二年の女性に対する就職差別というものは大きな社会問題となっております。
 とりわけ面接セクハラという言葉が世をにぎわせまして、これは就職難に泣き寝入りしない女子学生の会、それから働く女性の権利のための弁護団のホットラインから出てきたものですけれども、面接でスリーサイズを聞かれるとか、彼氏はいるのとか、あるいは全身の写真を送れとか、あるいは体にさわるとか、あるいは後から電話をかけて交際を申し込むとか、あるいはさまざまな顔に対するコメントをするとか、もう既にそういうことはアメリカ、イギリスその他先進国ではほとんど質問事項から除外されている以上の人権侵害があるということが報告されまして、私ども先輩としては本当に若い人たちにどう返事をしていいのか電話口で絶句をするという状況があったわけですが、均等法の改正問題についてどのように取り組まれるお気持ちか、お聞きしたいと思います。
#23
○国務大臣(浜本万三君) 先ほどの御質問の中で、調停開始件数が一件しかなかった、これは双方同意することが前提のためではないかというお話があったんですが、数字を拾ってみますと必ずしもそういうことではないということがわかっておりますので、ちょっとその数字を申し上げますと、これまで調停不開始になったのは九社八十八件でございます。このうち事業上の同意が得られず不開始となったものが二社二十二件でございますので、必ずしも使用者の同意がないから件数が少ないということは申されないのではないかというふうに思っております。
 それから均等法の見通しの問題でございますが、これは男女機会均等法の施行を契機といたしまして、雇用管理を法の要請に沿ったものに改善した企業が多数見受けられるところでございます。女子労働者自身の職業意識や女子を積極的に活用しようとする社会の機運も高まっておるところでございます。法は着実に浸透しております。しかしながら、一部には雇用管理に問題のある企業も見られるところでございまして、これはまことに残念だと思っております。このため、今後とも法の定着に全力を挙げますとともに、法の趣旨をさらに徹底させるための有効な方策について幅広い検討を行っていく必要があると思っております。
 見直しの具体的な考え方でございますが、これは労働基準法の女子保護規定とあわせまして、その見直しについては婦人少年問題審議会におきまして今御審議をいただいておるところでございます。労働省といたしましては、その審議の結果を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
#24
○大脇雅子君 ともかく国際的な批判を明確にクリアできるような法体制をつくっていきたいというふうに考えるわけであります。
 もう一つ、男女同一価値労働同一賃金の原則を定めたILO百号条約というものがありまして、我が国ではかなり前に批准をしておりますが、ほとんど機能していない。そのために勧告適用委員会からさまざまな形で日本の雇用慣行どこの原則の適用についての質問が出ておりますが、その勧告文書と日本政府の回答、そして日本政府のこれからとるべき施策というものを御説明いただきたいと思いますが、外務省、よろしくお願いします。
#25
○政府委員(高野幸二郎君) 直近の日本政府からILOに対する報告書、これは九三年に出ております。その内容は三点ございます。
 第一点は、産業、職種別ごとに年功、技能の程度によって区分された男女別の平均実収入の統計については、かかる区分に従って統計を作成することは困難であることから、かかる資料が作成されていない。
 第二点は、労働者の募集、採用、配置、昇進については男女雇用機会均等法に基づく指針が策定され、その指針については婦人少年室長が助言、指導または勧告を行い、さらには本法の趣旨をさらに徹底するための方策について検討がなされていること。
 三点目は、本条約の定める男女同一賃金の原則にかかわる労働基準監督機関の監督の結果等について。
 以上、三点について回答を行ったところでございます。
#26
○大脇雅子君 一九九四年にもコメントが来ておりますが、それについてどうぞお願いします。
#27
○政府委員(高野幸二郎君) ただいまの委員の御質問は、本来の建前がこの種の定期報告は毎年行われるというかつての手続規則に基づいての御質問かと思いますが、その後、手続規則が事務局の負担、事務能力を考えまして改正されまして、二年に一回ということでございまして、直近の報告は九二年が最後でございます。九四年は出ておりません。
#28
○大脇雅子君 一九九四年の八十一会期のいわゆる総会、インターナショナル・レーバー・コンファレンスのオブザベーションにおきましては、日本にさらに男女災なる労働価値の比較評価をするためにとられる措置について報告をなお求めるということが来ていると思いますが、これについてはいかがでしょうか。
#29
○政府委員(高野幸二郎君) 九四年につきましては、専門家委員会における報告が求められたというのはそのとおりでございますが、その点につきましてはまだ報告書が出ておりません。
#30
○大脇雅子君 いつごろ報告書を提出される予定でしょうか。
#31
○政府委員(高野幸二郎君) 専門家委員会の方から日本政府に対して正式なアプローチがまだございませんので、そのアプローチがあり次第しかるべく対応をいたしたいと考えているところでございます。
#32
○大脇雅子君 車ほどさように我が国の女性の権利の問題に関する報告書は後手後手に回りつつあるというふうに考えられるわけです。でき得る限り人権を尊重する日本の国というイメージを損なわないような対応をしていただきたい。
 とりわけおくれている雇用上の男女平等問題に関して、総理、それから外務大臣、婦人問題担当大臣であります官房長官、それから労働大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
#33
○国務大臣(浜本万三君) ILO百号条約は同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬の原則を定めた重要な条約でありますが、本条約において、「「同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬」とは、性別による差別なしに定められる報酬率」と定義されております。
 我が国におきましては、労働基準法第四条により、労働者が女子であることを理由とする賃金についての差別的取り扱いを禁止しておることなどにより、条約の規定が担保されておるのではないかと思います。したがいまして、一九六七年にこの条約を我が照が批准したということになっておると思います。
#34
○国務大臣(河野洋平君) 女性担当大臣、今、記者会見で席を外しておられますので、私、先に御答弁をさせていただきますが、我が国におきましては数年前から女性担当大臣を置くということになりまして、私は実は初代の女性担当大臣をさせていただいたわけでございます。その後、各内閣はいずれも女性担当大臣を置いて、女性担当大臣はこの問題にも関心を当然のことながら持ってきていると思います。
 国際的に見て日本の女性の地位というものがまだまだ十分ではないという御指摘はございます。私どもも、この問題の先進国という国から見れば、まだまだ十分ではないと言われてもやむを得ない部分があろうかと思います。しかし、こうした問題については、女性の能力を十分に発揮するために社会全体、例えば家庭においてあるいは職場においてそれぞれの努力がなされなければなりませんし、男女双方の意識そのものにももう少し積極的なものが必要であろうというふうに私は感じているわけです。
 こういう言い方をすると、どうも男性は問題を女性の方に押しつけているのではないか、こういう御指摘があるいはあるかもしれませんが、いずれにせよ、男女共同参画型社会を目指して我が国としても、もちろん国際的なもろもろの指摘もさることながら、我が国自身がそういう方向に向かって努力をしていくことが重要であって、今その努力が始められ、少しずつではありますけれども成果は上がりつつある、こんなふうに考えております。
#35
○国務大臣(村山富市君) 大脇委員が議員としてまた法律家として、災害の現地に参られましていろいろ調査をされた上まとめられました貴重な意見や提言をちょうだいいたしましたけれども、十分検討もさせてもらっておりますが、この席をかりて心からお礼を申し上げたいと思うんです。
 今、ずっとこの議論を聞いておりまして、私はちょうど男女機会均等法が審議される際に社労の理事をいたしておりましてその審議に参画をした場面を思い出して、あれから世の中がどういうふうに変わってきただろうかというようなこともそれなりに考えておるわけでありますけれども、やっぱりこれから社会の中における女性の果たす役割というものが極めて重要になっておりまするし、その役割を無視してはもう社会の構成はできないというところぐらいまで来ているんではないかというふうに思います。
 とりわけ、今、労働大臣との間で議論がございましたように、雇用される機会の均等あるいは雇用されてからの待遇、あるいは退職等々に至る一連の雇用関係の全般にわたる段階段階の中でどのような現状にあるかということをつぶさに見てみますと、御指摘されるような点はまだまだ多々あるんではないかということは私はやっぱり肯定せざるを得ないと思うんです。
 したがって、せっかくこの均等法というものもできているわけですから、これからさらに指導なり助言を強めて、そして少なくともその均等法のねらいが、目的が達成されるような、そういう努力をやっぱり総体的にこれからも推し進めていく必要がありますし、とりわけ国際的にこれだけ人権問題が言われ、日本の政府みずからが開発と女性といったような問題まで提起をしてこれから取り組んでいこうという気構えを示しているわけですから、国内の問題は、今御指摘のあったような点については、これからもさらに積極的に取り組んでいかなきゃならぬ課題であるというように私は思っております。
 例えば政府の委員の中に占める女性委員の比率を平成七年度中に一五%にしてほしいということについてはほぼ達成される見通しでありますけれども、それだけではなくて、今、外務大臣からもお話がございましたように、男女が共同参画した社会をどうつくり上げていくかということについても、今、内閣を挙げて取り組んでおりますから、そうした各般にわたる条件をやっぱり整備して環境を整えていくということも大事なことだというように思っております。
 そういう全般的な立場を踏まえながら、男女が機会均等で平等に扱われる社会をどうつくっていくかということについてはこれからも方を注いでまいりたいと思いますし、内閣一体となって取り組んでいきたいというふうに考えておることだけは申し上げておきたいと思います。
#36
○大脇雅子君 どうぞ総理初め労働大臣、ぜひ期待をしておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 次いで、今度は外国人の人権問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 このところ、摘発や収容の際における外国人に対する暴力事件というものが多発いたしまして、中国人の女性に暴行をいたしました係官が減給処分の上自殺を図ると、哀切きわまりなき現象が現出しております。国境線上の人権もまた日本国の人権のありようを示すものであると考えますが、法務大臣、今後このような状況についてどのような措置をお考えか、お尋ねしたいと思います。
#37
○国務大臣(前田勲男君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の入管における不祥事は新聞にも報道されておったことでございますが、報道の中にはいろいろ誤報もないわけではございませんが、特にこの収容されておる外国人の方が大変現場では激しい抵抗の中と申しますか、具体的に申し上げますと、入管職員につかみかかり、指をかみ、足や腹をけり、つばを吐きかけるというような、まさに公務執行妨害的な行為があったこともこれまた事実でございます。
 しかし、やはり入管行政の中で、入管職員として、まさにプロとして、手を出すことはあってはならないことであろうと思っております。これは厳に慎まなければならないことでございまして、職員がその入管の使命をよく自覚して、法の執行者として人権尊重を基本理念にとらえて適切な職務の執行をする必要があろうと考えております。
 そこで、このような観点からも、職員の管理監督の徹底を図るために、具体的な行動指針というもので指導し、これを実践させていくということが重要であろうと思っております。特に昨今、入管職員は、海外からの多数のお客様と申しますか、我が国を訪れる方が多くなっておりまして、職員の数もおかげさまで急増しておる中で、まず教育の徹底ということが大事であろうと考えております。
 また、入管に関する地方あるいは警備課長会同、いろいろ会議を行っておるわけでございますが、その会議、会同等におきましても、指導的立場にある警備官等に適正な処遇を徹底させるためにいろいろ研修も行っておるようなところでございますし、なお具体的な実務マニュアルというものも現在作成をして、若手職員と管理職との意見交換を行うなどいたしまして、上気の高揚を図るとともに、綱紀の保持に一層努め、特に先生御指摘の人権の尊重については、現在、教育強化をいたしておるところでございます。
#38
○大脇雅子君 我が国ではそのような人権の問題を、さらに国際的に我々もまた人権を尊重する国であるということを宣明するには二つの条約の批准が必要だと思います。
 一つは人種差別撤廃条約であります。これは先進国は既にほとんどが批准をいたしておりますが、我が国はしていない。
 それからもう一つは、市長的及び政治的権利に関する国際規約、B規約の選択議定書であります。これは権利侵害に関する個人の申し立て制度でありますが、これにつきましては政府もこれらの条約、特に選択議定書と拷問禁止条約などですが、真剣かつ綿密に検討していますと、国際会議でもこう発言をしておられますが、この二つの問題の批准へのプロセスと努力についてどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。
#39
○政府委員(高野幸二郎君) まず人種差別撤廃条約でございますが、これは委員御指摘のとおり、政府といたしましては基本的には早期批准を目指して努力してきたところでございます。
 しかしながら、御承知のとおり、第四条の刑事罰と憲法の基本的人権との関係等の調整の問題がございまして、引き続き現在政府部内において慎重に検討中というところでございます。
 それからもう一つ、お尋ねのB規約の選択議定書、個人通報制度の件でございますが、これにつきましては、国内の司法制度との重複の問題であるとかあるいは調整の問題であるとかという問題がございまして、従来より政府といたしましてはこれを慎重に検討してきたところでございまして、現時点においても慎重に検討中というのが実情でございます。
#40
○大脇雅子君 それがもう何年か続いているわけでございまして、日本代表はすぐにでもプロトコルを批准すると言っていたのになぜ後退したかというような批判が相次いておりますので、ぜひ早急に一つの時間的な期限を設定されまして、鋭意推進をしていただきたいと心から思うものであります。
 時間が参りました。
 私は、第二次世界大戦後の国連の活動の唯一豊富な営みは、地球規模で国境を超えて人権を保障するシステムが構築されたことだと思います。経済大国から人権大国へという国際社会で名誉ある地位を占めるためにも、我々が今超えるべきさまざまなハードルがあると思います。差別を問う者はみずから内なる差別と闘うべきだとも言われますし、新しい社会を創造する者はみずから新しい価値を体現する主体でなければならないとも言われます。私は、国家もまた同じであるというふうに考えるものであります。
 在日朝鮮・韓国人の選挙権に関する最高裁の判決で唯一私が心打たれたフレーズは、「憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質」日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものである。」、これは最高裁の判決の画期的なフレーズだと思います。
 私どもも、ともに人権の保障機構のさらなる前進のために御努力をいただきたいものと心からお願いいたしまして、質問を終えさせていただきます。
#41
○委員長(坂野重信君) 以上で大脇雅子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○委員長(坂野重信君) 次に、武田邦太郎君の質疑を行います。武田邦太郎君。
#43
○武田邦太郎君 新緑風会の武田邦太郎でございます。
 まず緊急農業農村対策本部長としての総理にお伺いします。
   〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕
 昨年の十月十八日に、高度成長の中で農業農村が根本的な崩壊状況にあるということをペーパーをもって申し上げましたが、ことしの二月九日、しかしその反面において、高度成長の中で逆に農業の躍進する条件もあらわれている、その最大なるものは後継者が百軒に一人ぐらいになって規模拡大の条件が非常に高まっているということ、それから二次、三次産業の技術が非常に高まっている、農業がこれを縦横に活用するならば農業の生産性は非常に前進することが可能だということを中心に申し上げまして、総理は、全くそのとおりだ、若者に十分の希望と確信を与えるような農政の展開をしたい、こういうようなお話がございました。
 きょうはその一つの問題をさらに若干掘り下げまして、このたび決まりました今後六年間に六兆百億円の事業が遂行されたならば、そういう農業の躍進について青年に確信と希望を与え、農村を魅力ある地域社会にすることにどの程度の実現の可能性があるかということについてお考えを伺いたい、こういうふうに思います。
 それで、条件のよくないところですね。これは委員部にペーパーを。
   〔資料配付〕
#44
○武田邦太郎君 一つは、農地がどういう状況にあるかということであります。
 日本の農地は非常に傾斜が多くて大型農業をやるのに非常に都合が悪いというのが一般の通念になっておりますけれども、現実に統計によれば、これは水田は、百分の一未満というのは百メーター行って一メーター傾斜、段差がある、こういうことですね。これはもう全く平野部と言っていい傾斜の程度でございまして、そういうところ。畑では八度未満、これも全く平野部と言っていいわけです。大型農機が傾斜にさかのばって動いていくのは大体十二度未満ということになっておりますから、水出でいえば百分の一未満、畑でいえば八度未満、これが日本の農地の主体をなすということになります。
 ここでは団地規模というのが入っておりまして、これは非常にいい統計であります。団地が大きいほど大型機械が縦横に動けるわけでございますが、五十ヘク以上になれば、これはもう国際級の能率的な農機を動かすことが可能であります。そういうわけで見ますと、平野部と言っていいところは畑と田んぼと合わせまして三百六十二万ヘクタールある、全農地の七二・三%が日本の農地の平野部だと。
 それから水田で百分の一から二十分の一ぐらい、畑で八度から十五度ぐらいまでを緩傾斜と言うことができましょう。それは全農地の一六・四%であります。こういうところは、これは一番都合がいいのは果樹ですね。果樹は平野部よりも緩傾斜地の方が条件がよろしい。日当たりもいいし水はけもいいし、そして傾斜があるからなかなか機械化が難しいという通念がありますけれども、そんなことはありません。今までは等高線に果樹を植えておるやつをこれからは緩傾斜地に果樹を植えて、等高線を道路に使って自動車が走るようにする。この設計の仕方はもう相当各地にあらわれておりますが、そうすれば作業能率は全く平野部に劣らない果樹園ができるわけであります。
 恐らく緩傾斜地を利用するということになれば、これは日本の果樹は大体質が非常によろしいし、御承知のナシでありましてもリンゴでありましても、質のいいものは特にミカンですね、そういうものはどんどん先進国のマーケットに出ております。日本の農業で最も輸出品として価値の高いものは果物でありますので、果物はぜひこの緩傾斜地を活用しまして躍進するようにお計らい願うとありがたい、こう思います。
 問題の急傾斜地は五十六・四万ヘクタールでありまして、全農地の一一・三%、一一%ちょっとであります。でありますから、急傾斜急傾斜と言いますけれども、日本の農地の大体一割強しかないわけであって、それも農業的に使えないかというとそんなことはありません。急傾斜地は急傾斜地で使うことができる。
 大体標高の高いところでありますから、太陽の条件は非常に特色がありまして、施設園芸でありますとかあるいは盆栽づくりでありますとか、こういうようなことはむしろ急傾斜地を活用すれば非常に生産性の高い農業が立地するはずであります。あるいはまた、施設園芸なども、これは交通輸送の条件あるいは通信情報の条件さえ整えば、急傾斜地でも高生産性農業は十分やれます。最も注目できるのは、ヤギのような傾斜地ほど好む家畜、そして暑いところから寒いところまでどこでも飼える。そして、日本では大体ザーネンのようなおっぱいを利用するヤギだけでありますけれども、そうじゃなくて肉もおいしい品種がありますし、毛は最高級のもがとれる品種もあります。したがって、これから先、急傾斜地の利用につきましてはヤギの研究は非常に大事であると思います。
 こういう条件が農地にありますけれども、昭和三十五年から平成五年まで日本の耕地は九十万ヘクタール減っている、しかも現在なお毎年三万ベクから四万ベク減っている、こういう状況の中で食糧の自給率がどんどん落ちているわけです。これはこの前も申し上げましたが、穀物で大体二二%くらいしか自給しておらない。最近、平成五年度のが出ましたが、平成五年度は凶作ですから非常に下がりましたけれども、これは余り心配することはありませんけれども、そうでない状況で二二%しか穀物は自給しておらない。
 そういうことでありますので、農地はどんどん減っていく。自給率は下がっていく。これはごちそうを食べるようになって乳、肉、卵を余計食うから、えさを輸入するということが最大の理由でありますけれども、いずれにしましても、農地はどんどん減っていって自給率もどんどん減っている。こういう状況は本部長として十分実態を確認しておいていただきたい、こう思います。
 しかし、一番大事なことは、自由化ということは外国の農業と競争することでありますから、本部長としては、こういう条件の中でいい条件を活用して相手に打ち勝つ作戦を立てる、そしてこれを運動でいえばチームのメンバーに徹底させる、そして士気を高揚するということが最高司令官の一番大事なところであります。ところが、自由化を前にして、日本の農業は非常に努力はしておりますけれども内心びくびくしておりまして、自由化の影響を極力緩和するようにというようなことが今度出た書類にも出ておりますが、これでは戦になりませんね。相手をやっつけるんだ、勝つんだ、こういう士気高揚が一番大事なところだと思います。
 終戦直後、鉄や自動車がアメリカに勝つなんということは到底できないと思っておったのが勝っちゃったわけです。その後、電気機器、コンピューター、ロボット、もうことごとく先進国に打ち勝ちました。農業がそのようにならなければ、国民の中で有能な青年が農業には入らないということを意味しております。当然日本の農業も、国際的に第一級の農業になる条件はこの前申し上げましたが、士気を高めて、能力の高い青年が意気高く農業に突入するような、そういう御指導をお願いしたいと思うんですが、どうかひとつ。
   〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕
#45
○国務大臣(村山富市君) 農業に大変詳しい専門家の先生からいろいろ示唆に富んだお話がございました。
 確かに、やる気のある若い後継者が出つつあるという傾向は全国的にも見られるのではないか。それから同時に、規模が拡大される条件というものもいろんな社会構造の変化の中からできつつあるということも私はそのとおりだと思います。それから、これだけ日本の科学技術が進んでいるわけですから、これを農業生産の中に取り入れてもっと生産性の高い、コストを安く下げられるようなそういう農業経営というものをもっと工夫すべきだ、そういうものを総合的に生かし合えば決して日本の農業というものは世界の競争には負けないんだ、こういう意気込みを持ってやることが大事だということを今お話を聞きながらつくづく思わされたわけであります。
 これは、私は先生から見れば大分アバウトな方だと思いますけれども、しかし全体的に見ますと、輸出を前提にしてつくられた農業と国内の需要を賄うためにつくられた農業と、大分私はやっぱり前提として違いがあるんだと思うんですね。今までの日本の農業というのはやっぱり国内の需給を主体にした農業国であった。したがって、これだけ工業が発展をして、ある意味では農業がその犠牲になったというような言葉も使われているぐらいに農業の生産性を高めていくという分野がおくれてきておる。それだけにまた、自由化を前にして、その自由化の影響をどの程度緩和して日本の農業を守るかという受け身の立場に立っておるというのが偽らない現状ではないか、私は率直にそういうふうに受け取らざるを得ないと思うんです。
 しかし今、先生のお話を承っておりまして、そうではなくてもっと日を広く開いて、そして自動車でもコンピューターでも鉄でもこの小さな日本の国が世界に伍していったではないか、その経験を踏まえて農業を考えれば決してそんなものじゃないということを力説されておられるお話をじっと聞いておりまして、なるほど胸がわくわくするような、やっぱり希望を持って農業をやれるような条件というものを農政の中でどう生かして実現をさせて、本当に農業をやろうとしている皆さんにもっと希望をヶえるかということは大楽なことだなというふうにつくづく思わされましたけれども、十分ひとつ参考にさせていただきまして、今後の農政に生かしていけるようにしていきたいというふうに思いました。
#46
○武田邦太郎君 大変ありがたい本部長のお言葉で、意を強ういたします。
 ちょっと申し上げたいのは、さっき果物については輸出するとか申し上げましたが、そのほかの農産物は総理がおっしゃるように国内向けなんですね。だけれども、例えばアメリカの米生産では六十キロ、一俵当たりコストが二千円から三千円なんですね。日本のは今、万円です。それで、今度はそれを三分の一ぐらいに切り下げようという目標が出ておりますけれども、この二千円、三千円のお米が日本に着くと四、五千円になるわけですね。ですから、競争という意味からいえば我々はアメリカのお米の四、五千円のやつと競争して勝てばいいので、そこで勝つということを私は申し上げているので、世界のマーケットでアメリカの米とけんかして勝つという意味ではありませんから、大体輸出は果物ぐらいですね。
 さっき申し上げたように、自給率が非常に落ちているのでありますから、何といったってこの自給を高めるということが最も大事だと思います。これは御承知と思いますけれども。
 そういうことで、我々が特に大事に考えなきゃならぬのは、コーヒーとかバナナのようなものは仕方がありませんけれども、我々が食べるものは極力我々が住んでいるところで最もその自然を生かしてつくった食べ物が我々には一番いい食べ物だという、この農業と食生活の不可分の関係、これを確認していかないと、今のように八割近くも輸入するというのじゃ、もう日本人の肉体と農業とは完全に隔離された格好になっておりまして、非常に好ましくない状況なんですね。ぜひその点を、総理もおっしゃったわけですから、徹底して自給率を高めるということに重点を置いていただくようにお願いいたします。
 それから農水大臣にお願いします。
 農水大臣はもう毎回申し上げているように玄人だから聞くことはないのでありますけれども、あえて言って、私は大方、国会が暇なときは農村ばかり歩く人間でありますから、予算委員会で農水大臣と話したらこういう話があったということを土産話に話す程度であろうと思いますけれども、それでは話にならないから、あえていろいろ問題を提起いたしますと、例えば今度の発表された計画で、稲作の専業個別経営で十ヘクから、一十ヘク、それから組織経営なら三十五ヘクから五十ヘクです。主な従事者が三人でありますから、一人当たりは十二ヘクから十七ヘク、こういうことになります。
 このくらいのスケールで六十キロ当たりのコストを七千五百八十九円にする、こういうことになっておるわけでありますけれども、それで稲作専業農家の所得はどれくらいに見ておいたらよろしゅうございますか。
#47
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げますが、今の個別経営なり組織経営体の所得は、平成元年の価格を基準といたしますと、おおむね年間、個別経営で千百万円から千三百万円、組織経営体で三千万円から四千万円ということを想定しているところでございます。
#48
○武田邦太郎君 それで、今度は自由化、最初は部分的な自由化でありますけれども、自由化が実現した場合、お米の値段は今、大体政府の買い上げは一万六千四百円ですか、コストが二万円ですから、三千幾らの赤字をして農家は国に売っているわけです。ただし、それはコストからいった計算であって、コストの中にある家族労働費とか、大部分は自作でありますから自分の農地の地代が農家の収入になっている、赤字を決済してなお残っている、こういう格好になっているわけであります。
 これから規模拡大する場合、大体原則的に言えば、後継者のない家の農地を買い上げるか借りるかして規模拡大の意欲のある農家に売るか貸すかする、こういうことになっているわけであります。これは田んばで言いますと、今、大分田んばの値段が下がっておりますけれども、大体十アール百万から二百万くらいですね、北海道は五十万ちょっとでありますけれども。大体百万から百五十万ということは、六分の金利で六万から十二万ということです。
 そうすると、そういう高い田んばで金利を十アール当たり六万から十二万払ったら採算がとれませんね。したがって借地にならざるを得ない。借地ですと十アール当たり二万五千円から三万ぐらいです。だから、現在規模拡大をやっている農家は原則として借地で規模拡大をやっている。アメリカなんかも同じであって、規模拡大をしている農家は皆、借地で規模拡大をやっております。だから、これはどこでも同じなわけでありますが、そういうことで借地主体の規模拡大をやる場合でも、今申しましたようなやり方では飛び飛びになるわけです。
 そうすると、せっかく農機が能率的に動いても、あっち飛びこっち飛びでは非常に能率が下がってしまう。どうしても団地化しなけりゃならぬ、こういうことが政策の一つの問題に掲げられておりますけれども、これについて、どういうふうにすれば借地を団地化していくことができるかということをお考えでございますか。
#49
○国務大臣(大河原太一郎君) 育成していかなければならない農業経営体、これに対する生産展開の基盤をつくるのが農業基盤整備事業でございます。したがって、お話しのとおり、我が国の農村は、非常に分散錯綜といいまして非常に小さい農地が分散している、入り組んでいる。したがって団地化が大変難しいわけでございますが、基盤整備事業等を契機として交換分合その他の手段を用いまして田地化を図っていくということが基本であり、政策もそれで進めておるところでございます。
#50
○武田邦太郎君 これはお尋ねではないんですが、私どもの仲間が、御承知と思いますけれども、千葉県佐倉市の印旛沼土地改良区で、一番でかいのは州地が百二十ヘクありまして、二百五十戸ぐらいの農家が持っているわけですね。だから一戸当たりは五十アールから六十アールで、日本の農業でも特に零細な地帯なんです。それが、二百五十戸の農家が地主組合を結成してその百二十ヘクタールの農地を十ヘクタール区画に大圃場をつくりまして、これを自称世界一の田んぼだと言っております。その田んぼを有能な農家に貸していく、それで地上組合に小作料を納めさせて面積割りに地主に配当する、こういうことで完全な団地化をやって、そして自称にもせよアメリカの田んぼには負けない、こういう非常に能率の上がる、コストの下がる田んぼをつくっているケースがあります。
 そういう小さな所有権を大きく使って国際的に生産性の高い田んぼをつくっているケースがありまして、それを見習って熊本県とか岩手県に点々とその後を行かんとするのがあります。料手県なんかは県が非常に腰を入れているようでありますけれども、そういうことを、全部が全部そうじゃなくてもいいから、その地域の農家の歩調が完全に合った場合にこれを大いにやれと、こういうふうに農水省は腰を押していただくことができるかどうか。お願いします。
#51
○国務大臣(大河原太一郎君) 先ほど委員もお話があったように、国の新政策なるものも目標とする経営は十ないし二十ヘクタールを超えて相半大きな経営をねらっております。組織経営体ではもっと大きなものをねらっております。したがいまして、団地化によって規模が拡大されるということが最も大事なことだという点は委員と同様でございます。
 ただ、この点は、先ほども申し上げましたように、分散錯綜している零細な地縁を、しかも関係農家が崎主的に意思を統合してそして団地化する、これが泣きどころというのが我が国の構造改善の一番の問題でございます。
 したがって、地域地域、私も印旛のお話はしばしば承ってよく存じておりますけれども、各地域で自主的な農家の結合によってそのようなものができるということであればこれは進めなくてはならないし、現に今度の国内対策の緊急の農村農業整備事業、これにおいても基盤整備を契機としてその団地化を図ろうとしているというわけでございます。
#52
○武田邦太郎君 よろしくお願いを申し上げます。
 そこで今度は、米が自由化の段階に入った場合、これは関税率が問題になるわけです。最近はアメリカなんかで三〇〇%ぐらいの話が出ているようでありますが、仮に三〇〇%ということになれば、アメリカの米が日本に五千円で来た場合に一〇〇%だから四倍になるわけですね、二万円。そうすると、今の日本の自主流通米の一番安いのが二万円でありますから一応バランスがとれる。しかし、こっち側としてはそれではぐあいが悪いので、極力高く出発して、そしていつまでもそう高くしておれないでしょうからだんだん安くなるわけですね。それを安くなるスピードを極力スローにして、それでゆっくりと下げていくのが当然の作戦だと思いますけれども、そうなった場合に、最後的には完全に関税なしにするのか、どの程度の関税まで頑張るのか、そういうような方針はまだ確定しておりませんか。
#53
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 委員、先般、一昨年のウルグアイ・ラウンド農業協定、この米についての扱いはもう御案内のとおりでございまして、ミニマムアクセスを受け入れるけれども関税化はいたさないということでございます。
 今後どうするかという問題については、六年後のWTOにおける協定によって関税化をするかあるいは引き続いて特別取り扱いを望むかということは今後の問題でございます。したがいまして、我々としては関税化を前提としたような作業はいたしておりません。
 また、関税化する場合は八六年と八八年の基準年次の、何と申しますか、わかりやすく言えば内外価格差、それを前提として、関税化で仮にスタートする場合にはその一五%減で最初の関税を組むということになっておりますが、それらについても、その内外価格差がいかなるものをとるかという点も、もしも仮に関税化をとった場合にもそれをどうするかというような問題もございまして、委員がせっかくのお話でございますけれども、関税化を、自由化を前提としていかなる最終関税に臨むかという点については全く検討しておりません。
#54
○武田邦太郎君 現在の農政を預かっている農水大臣としてはそういう返事しかできないと思いますが、仮に三十歳の青年が農業に入るとして、三十五年農業をやるわけですね。その間関税化がないというようなことは、私などはもう年が年だから余り生きないと思いますけれども、これから農業に入ろうとする人たちがそういう問題を持ってきた場合に、大丈夫、今の農水大臣はやらないんだからと言っては返事にならないんですね。でありますから、自由化されても大丈夫だとかあるいはどんなに下がってもここまでは頑張れるとか、その前提においておまえさんたちの生産性はどこまでやれとか、こういうふうになりませんとぐあいが悪いということだけちょっと申し上げておきます。お返事は要りません。
 これは、私どものところへ来るのは皆、一生農業をやろうという意気込みで来る連中に対する返事でありますから、現在の農政、六年間の何とか、それは我々の一生涯における三十五年の中の六年間だと。この六年間は我々の一生においてどういう段階なのか。準備段階なのか、あるいは全体の六分の一ぐらいで今から本気でやるのか、それとも六年を準備しておけば七年以後さらに生産性の高い、輸入品と四つに取っ組んでぶん投げるというようなところに行けるのかということは、これは若い世代と話すときには非常に姿勢が変わってくるわけですね。
 だから私どもとしては、今のところでは大臣のようにおっしゃるのが一番安心ができるわけで、感謝すべき御返事なんですね。だけれども、さらに一生を考えます場合は、それがずっと行くというふうに言ったのでは承知しないです、若者は。それだけはお含みになっておいていただきたい、こう思います。
 それでは、もう一ついきましょう。
 四千円、五千円の米が入ってくる。関税化はしない、ミニマムアクセスで頑張るということだから、これは余計な話になるかもしれませんけれども、そういう状況の中で一俵当たり幾らもうかるのか。今後十年の経済成長、いろいろ考え方はあると思いますけれども、若者たちが要望しているのは、十年後にせめて千二百万ぐらいのお金が懐に入るようにしてもらいたいと。
 御承知の第二種兼業が一番豊かなわけです。第二種兼業は今、年間所得八百五十万ぐらいで、大体国民の平均ぐらいにいっております。ところが、八百五十万の年間所得の中で農業所得は五十万もないんです。だから、八街五十万の中で農業所得が五十万もないといえば、これは農家とは言えないような状況にもうなっているわけですね。
 しかし、これから先、午後にお願いしたいと思っておりますけれども、アメリカでライフスタイルファーマーと言われているように、ごく小規模の農業を楽しんでやるという、人生の態度としてやるというのは非常に好ましいことで、そういうようなのは極力多くの国民がやってほしいのでありますけれども、プロの農業であればやはり一俵当たり幾らもうけると、仮に一俵当たり三千円もうけるとすれば、千二百万のためには四千俵生産しなきゃならぬわけですね。そうすると、十アール十俵とっても四十町歩つくらないと千二面万の年間所得は得られない。千二百万というのはまず十年後のごく普通の状況であるとすれば、腕のある若者は千五百万あるいはそれ以上を目指すということになれば、もっと広い面積が必要だということになります。
 それで、今度の御計画では十ヘクから二十ヘク、組織経営でも一人当たり十二ヘクから十七ヘクということになりますと、これは三十町歩、四十町歩やるということを目指す若者にとっては一里塚である。今の一・四ヘクよりは躍進するけれども、我が一生の農業の目標はもう一つ高いところに設定せざるを得ない。こういうことになりまして、それだけの広い面積をやるためには、仮に四十ヘクやるということになりますと、一年間の稲作の労働時間というのは大体一千時間としたものでありますから、十アール当たり一時間半でやらなければならない。そういう計算から逆に行きまして、一区画の田んぼがどれぐらいの大きさであれば十アール当たり二時間半ぐらいの米づくりができるか、こういうことになってくるわけでございます。
 これは農水大臣から明確なお返事はなさりにくいと思いますので、研究教育の面で文部大臣へのお願いとしてさらに詳しく申し上げたいと思います。
 一応終わります。
#55
○委員長(坂野重信君) 武田邦太郎君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#56
○委員長(坂野重信君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成七年度一般会計予算、平成七年度特別会計予算、平成七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、武川邦太郎君の質疑を行います。武田邦太郎君。
#57
○武田邦太郎君 文部大臣にお伺いします。
 前回、文部大臣から、農水省と十分相談をしながら研究教育をハイレベルにすると、こういう力強い御返事があったわけでありますが、さらにきょうはそれについてやや具体的にお願いをしたい、こういうふうに思います。
 農業では、ややもすると特殊性を重んじまして、例えば工業と農業は非常に違うとか、そういうふうに考える人が多いし、それは間違いではないんですけれども、しかしまた、同じ経済行為であり産業の一部を持つわけでありますから共通のエレメントがたくさんあるわけですね。
 ちょうど大蔵大臣もお見えになりましたので御一緒に聞いていただくとありがたいんですが、お配りしていただきました二枚目のペーパーです。これは農地基盤整備です。田んぼや畑、果樹園も中に入ると思いますけれども、それをいかにハイレベルにつくり直すかというのが農地基盤整備ですね。
 それで、このペーパーは水田の場合で、圃場の区画が広くなればなるほど生産性が高くなる、こういうことを示した数字であります。これは年として私の研究所の若い人たちが農村を歩き回って集めた数字でございますが、一番上の、圃場区画が十アール、一反歩の場合、十アール当たり労働時間がどれぐらいかかるかというと百七十時間かかるというんです。
 これは主として昭和三十年前後のころの実態でありまして、現在はやや少なくなっているかと思いますけれども、大して変わってはいない。三十年ごろには十アール当たりの生産量が三百キロから三百五十キロでありますから、労働一時間当たりにしますと一・八キロから二・一キロがそのころの生産性だったわけですね。
 その後、圃場区画は広くなりまして。二十アール、三反歩になりました。これも農家の腕によっていろいろでありますけれども、まずまず稲作地帯で米づくりで生活を立てているという程度の農家でありますと、十アール当たり二十時間から二十五時間でやっております。そして、四百五十キロから五百キロ、腕のいい農家ですと六百キロぐらいとっております。そうしますと、労働一時間当たりにしますと十八キロから二十五キロとるという数字になります。これは概数でありますから大体そういうところだと、こういうふうに御了解願いたいと思います。それで、やはり田んぼの大きさが変わったことを一番大きなエレメントとしまして、労働一時間で十倍あるいはそれ以上生産するということがこれで明らかであります。
 今度、緊急農業農村対策本部の計画では、大体一ヘクタール、一町歩を主としてやろうということになって、大体十三時間のような数字になっておりますけれども、実際に一ヘクタールでやっている農家を歩いてみますと大体十アール当たり八時間から十時間ぐらいでやっておりまして、収量は五百キロから六百キロぐらいとっております。したがって、労働一時間にすると五十キロから七十五キロ、これは十アール当たりの時代と比べると雲泥の相違と言ってもいいくらいの労働生産性の違いがあります。
 しかし、これぐらいではまだ国際競争というわけにはいかないんですね。どこまで行けばいいかというと、アメリカやオーストラリアですと何十ヘクタールというような区画がありますけれども、実際はそれほどしなくても、三町歩、三ヘクタールにしますと二、三時間。三時間はかからない。
 秋田県の大潟村、八郎潟ですね、あそこのは一・五ヘクタールでありますけれども三時間以下でやっている農家がだんだんおりまして、九俵半、五百七十キロとっている実績がありますから、三町歩になれば一時間当たり百六十六・七キロから三百キロと。二百五十キロぐらいとるようになると大体国際的第一級であります。三百キロになれば恐らくアメリカを凌駕する生産性であります。ですから、日本の稲作が労働生産性においてアメリカに絶対がなわないということは迷信でありまして、そんなことはありません。
 それで、午前中見ていただきましたように、平野部の田んぼが二百万ヘクタールあるわけでありますから、これは全部三ヘクタール区画につくり直すことが可能であります。現在、十アール当たり五百キロ、一ヘクタール五トンでありますから、二百万ヘクタールであればこれは一千万トン。大体日本の国民が今一年間に消費するのは一千万トンでありますから、日本が持っている田んぼの平野部をハイレベルにつくれば最高の生産性をもってお米は国内で完全に自給できる、こういう目安が成り立つわけであります。
 ただし、これも申し上げましたが、今、毎年三万ヘクタールから四万ヘクタールずつ減っているんですね。これは重大問題でありまして、何とかして農地が減らないように、日本の国土の利用計画は何回か繰り返しておりますけれども、今度こそは本当に思い切ったレベルの高い国土計画をやりまして、そして今の農地は今後少なくとも三十年、五十年は農業として使うんだと、こういうところの面積あるいは場所を決定する。
 これは田中内閣の列島改造のとき、私、農業側の委員でありまして、持ち出して、田中総理は非常に賛成されて、ああそうだ、永久農地だねと、こう言われたことがありますけれども、その後もどんどん農地が減りました。このあたりで田中総理のいわゆる永久農地が設定できないのか。
 今、五百万ヘクタールちょっとありますが、これを四百七十万まで減らしても、もうこれだけは今後三十年、五十年は農業以外に使わないと、大体今農地がつぶれていくのは、道路、それから新幹線的なもの、それから宅地、特にふえているのはオフィス用地であります。そういうものが最高級の田んぼの中を虫食い状に食い荒らしていく。
 こういうことはもう農業だけじゃなくて国の土地の使い方に非常なマイナス要因になりますので、農地というものは今後三十万ヘク減ったらそれ以上は減らさないんだ、そういう国土計画を何とかしてつくってくださいませんと、これは日本の国民の食べ物を、私どもの計算では今、二二%しか内給していないけれども、七五%前後の自給率までは高めることが可能であります。それぐらいやっておりませんと、アメリカから食い物をやらぬぞと言われたらもうおしまいなんですね。
 だから、ドゴール大統領が食糧の独立なくして民族の独立なしと、こう言ったのは、現代ではややクラシックでありますけれども、日本にとっては余りに食糧の自給率が低いということは民族の独立に影響することは間違いない、こう言っていいと思います。したがって、農地は今後三十万ヘク以上は減らさない、こういうことを何とかして今度の計画でやっていただきたいと思うのであります。
 そういうことで、大蔵大臣にお願いしたいのは、同じようにお金を使っても、こういうように労働生産性が何十倍になりましても単収は下がらない。広い面積を一人の人間が余計やったら作業が粗末になって単収が減るだろうというのは間違いでありまして、単収はむしろ増加します。でありますから、これは工業その他に対する設備投資と全く同じでありまして、同じ金額の設備投資をやってどれだけの生産性が高まるのか、これが設備投資をやる場合の一番の問題でありますが、農業にとっての設備投資はこの農地基盤整備が九割を占めております。
 ですから、これをいかに上手に使うかということがこれから先の財政上の一番大事なところでありまして、もちろんこれは大蔵省はその点は十分注目されて、私どもがいい基盤整備をやっているなというところは大体大蔵省から主計官が行かれまして調べておられます。調べておられますけれども、現実には農水省に遠慮なさって、これは金の使い過ぎじゃないか、こうすればもっと安くて生産が上がるじゃないかという御注意を大蔵省から農水省におやりになったことはまだ聞いたことがありません。ありませんけれども、ここのところは何とかお互いに縦割りをなくして、大蔵省に要求すべきものは断固として要求する、大蔵省の方は文句を言うところは断固としてこれは出せない、こういうふうに言っていただくと非常にありがたいと思うのであります。
 そこで、ペーパーにも書いてありましたが、第四次土地改良長期計画はおととしから出発しまして十年間に四十一兆円の事業費を見込んでおります。これは恐らく今までの例からいえば一五%から二〇%が地元負担になって、八割から八割強は国が負担する格好になるんじゃないか。これは私、確認しておりませんけれども、多分そうなるんじゃないかと思いますが、そうなると大蔵省としては、三十何兆円のお金を十年間で、平均すれば三兆円ですね。今までの基盤整備の予算というのは大体年間一兆円くらいであります。それが今度はこれでいくと三兆円になる。そうすると最初の方が一兆円か一兆五千億円で出発したとしても終わりごろは三兆円、四兆円になりかねないわけでありまして、これは財政上非常にやりくりが難しいんじゃないかと、財政は私、素人でありますけれども、想像するのであります。
 それが早く進行すればするほど日本の食糧の自給率も高まりますし、まあ話は飛び飛びになりますけれども、一人当たりGNPは世界一なのに国民はその生活実感がないというのは、最大の問題は食べ物が高いのと土地が高い、したがって住宅が高い、こういうことになるわけでありますから、農業の合理的な運営によりまして食べ物はうんと安くなる、そして土地もうんと安くなります。
 でありますから、これは大蔵省としては農水大臣と十分の御連携をとっていただいて、この農地基盤整備費を財政事情の許す限りスピードアップして、そして効率の上がらない設備投資はやらない、こういうようにやっていただくと大変ありがたいと思います。
 それで、この高度成長期の製造業の跡を振り返ってみますと、大体、私どもの研究仲間が能率協会あたりにおりますけれども、あの時代は従事者一人当たりの年間生産量が十倍以上にならなきゃイノベーションと言わなかったというんですね。十倍、二十倍がざらであって、優等生の鉄と自動車は三十数倍になっちゃったと。これがイノベーションで、しかも品質はよくてコストが安い、これでなけりゃイノベーションではない、こう言ったものでありますけれども、これは私は非常に教訓的だと思いまして、農業に当てはめて考えるとやっぱりこれは全く同じであります、製造業と農業は。
 イノベーションによって一人当たり十倍、二十倍、それ以上つくって、そして品質がよくなってコストが下がる、これでなければ農業イノベーションじゃないということをはっきりさせて、それに即して大蔵大臣の方から設備投資のお金を出していただく、こういうことになると大変ありがたいんでありますけれども、大蔵大臣、ちょっとお願いできますか。
#58
○国務大臣(武村正義君) 大変大胆で夢のある日本の農業の将来について、御持論をお聞かせをいただいているわけであります。目が覚めるような思いで伺っておりますが、ぜひ基本的には武田先生のお考えが国や地方の政策におきましても生かせるように努力をしなければいけないというふうにも強く感じたわけであります。
 ところで、第四次土地改良長期計画は、今御紹介ございましたように、向こう十年間の計画で四十一兆円の事業費を見込んでおります。かなり幅広くこの事業費はとられておりますので、先生がおっしゃったよりはもう少し、もう初年度、二年度の事業費も三兆円前後という数字で私どものこの計画の枠内では数字が集計されているところでもございまして、狭い意味の圃場整備、土地改良とかなり幅広くとる場合で違うのかもしれませんし、地方の事業も全部入っておりますのでそういう結果になるわけでありますが、年度年度の事業費とかあるいは財源措置までは明らかにしておりませんが、ぜひ全体としてこの目標が達成できますように大蔵省としましても精いっぱい努力をさせていただきます。
#59
○武田邦太郎君 大変御理解の深いお返事で、感激にたえません。ぜひひとつその線でお願いいたします。
 それで、その次に、文部大臣の時間がほとんどなくなっちゃったんでありますけれども、これは我々が物を考える場合に世の中の動きを展望するということは、過去の歴史を十分調べて歴史の発展法則をつかんで、これから先もその法則を未来に投影して、これから先どうなるだろう、こういうことを考えるわけであります。
 それから農業を考える場合は、経済の一環として経済法則に照らして、これから先農業はこういうふうになると。規模拡大というのはもう必然でありまして、規模拡大しなければ農業をやる人はいなくなるわけで、いや応なしに農業というものは他産業とバランスのとれる所得が上がるようにならなければこれは農業をやる人はいなくなるわけです。
 したがって、今申し上げているようなことはややもすると理想だ理想だとどこへ行っても言われますけれども、実際は、歴史の発展の法則、経済論理の必然を目指して我々のプランをやっているわけで、やらなかったらこれは政治権力といえども、ちょっと言葉は悪いけれども倒れると。政治権力が健全にどんどんとやっていくためには、どうしても歴史法則、経済論理に従った政治運営をやらなければ政権がもたない、こういうことであって、その意味では必ずこうなるということを若い人たちに言っております。
 そこで、文部大臣にお願いしたいのは、今、農水省では生研機構がありまして、もう既にロボット農業の研究は十年ほど前からやっております。それで、工業と全く同じように、人間が全くタッチしないのに夜昼なしに精密きわまりない作業をやる、そういうロボット農業の研究が進んでおりまして、もう既に日本の大きな農機具会社でそれを具体的に掘り下げております。あと二年もすれば試運転できるんじゃないかと思います。そうなれば、これはもう日本の農業はいや応なしに世界のトップに駆け上がらざるを得ない。
 農水省ではそういうことをやっているわけです。ところが、文部省でそれをやって、それで学生生徒にそういうことの前途を教えてくださらなければ日本の農業の将来性を担う若者は育たないわけです。農水省がロボット農業を既にそこまでやっている以上、大学あたりでそれをやって、私も大学の先生を相当知っておりますが、すばらしい先生はたくさんおりますけれども、政治の側から大学に問題を提起して必要な予算や設備を与えていない。だから、幾らいいプロフェッサーがおっても自分の任務を果たし得ないという状況が非常にあります。
 だから、東京大学の農場へ行ってみれば、ああいう田んぼで自由化の研究ができるはずは絶対ありません、二十アールしかないんですから。それから筑波だって三十アールしかありません。だから、やはり私は、三ヘクタールならいけると見当がつけば、各地の大学では、三ヘクタールの田んば、畑ならば五ヘクタール、それで世界最高の農業生産性を探求する、こういう研究を大学でもやっていただかないと。
 このほか大学にお願いしたいのは、農業というだけじゃなくて農村地域社会ですね。今度の大地震で都市計画は大分飛躍するらしいけれども、それじゃ農村計画は、生産面だけじゃなくて農村地域社会の研究はできているか。できてないんですよ。できてないことはないですが。
 私も十年ほど前に建設省の都市計画中央審議会の委員を三年ほどやりまして、あの委員会では、都市計画と並んで農村地域社会がいかにあるべきかと。やはり集落は今、非常に小さなみみっちいものでありますけれども、もっと文化的な数度戸単位くらいの、農村の集落とはもう言えないわけでありますが、ある地域社会に人口十万ぐらいの都市的なところもあるし、それから農業地域には数百戸の集落があって、やはり都市に負けない文化生活ができる。そういうところでは、午前中ちょっと申しましたが、プロ農業じゃなくて、一畝か五畝でもいいがライフスタイルファーマーで、農村生活しながらとりたての野菜が食える。そういうことをアメリカでもヨーロッパでも、プロ農業じゃない、農業を生活の中に入れた農村生活が理想だというふうなことになっておりますが、そういうことを総合的に研究するのはやはり大学でなければならないんじゃないかと思うんですね。
 またお願いします。これで終わります。
#60
○国務大臣(与謝野馨君) 私、農業に余り詳しくございませんが、国際競争力を持った農業を育成するためには、大規模化あるいは適地適作、あるいは優秀な技術を開発する。また生産技術においてもあるいはバイオテクノロジーなどの新しい技術も導入する。また優秀な人たちに農業に従事していただく。いろんな分野のことを先生お話しくださいまして大変ありがたく存じます。
 私ども文部省で行っております農業関係の研究は、専ら国立大学における研究でございます。農業の研究は従来から農水省が中心となり、あるいは県の農林関係の研究機関、試験場等が行っております、私どもの国立大学が行っております研究は、一つは国の予算、科学研究費から出しております予算で行っておりますものと、それから農水省からいただいたお金で行う研究と、あるいは県からあるいは県の試験場等からいただく資金で行っている研究と大別して三つございます。しかし、テーマを調べてみますと、大体先生のおっしゃっているような内容の研究を行っております。
 例えば日米農業における生産性の差異とその要因に関する実証的研究、筑波大学。大規模水出農業の経営管理方法の開発、東京大学。作物管理用知能ロボットの試作研究、東京大学。農業ロボットの自立走行車両の開発、京都大学。
 そのほか、これは国の予算で行っておりますが、委託研究的に行われている研究も、例えばイネのゲノムの効率的解析王法、新形質米を川いた新しい調理食品の開発、需要拡大のための新形質水田作物の開発、種苗特性分類調査、水稲品種育成法の開発、ファームオートメーション農業に関する研究と、いろんな研究が行われております。
 これはいずれも先生が御指摘をくださいましたいろいろな日本の農業の将来に関する重要な研究でございます。農水省の研究所あるいは県の研究所とも協力しながら、国立大学の農学部において相携えて日本の農業の将来のためにやらなければならないと思っております。
#61
○武田邦太郎君 どうもありがとうございました。大学でそういう研究をやってくださるのは非常にありがたいですね。
 ですから、ぜひ農水省と連携して、それで国民の目の前で、圃場を使って、それでこれだけの能率が上がり、これだけの生産性が上がるということを、国民の目の前でそういう研究の進んだ実態をお示しいただくということが非常に大事だと思います。
 それから農水省の試験場では技術的には非常にレベルの高い実績が上がっておりますけれども、農業の経営となりますと、これは農業試験場ではほとんどやっていないと言うに等しいです。だから、経営だとかコストということになりますとやはり大学でやっていただかなければなりませんし、御承知のように、先進農業国では大学の先生がアシスタントを連れてみずから農村を歩き回って、日本では農業試験場が改良普及事業をやるんですけれども、そういうところでは大学がやって、大学の卒業生が大部分でありますから、時に農業者が大学へ行って研究室でディスカッションをすると。だから、日進月歩の大学の研究がすぐ農業経営に移っていくというような仕組みがあります。これなんかも、将来、大学と試験場の連携をどういうふうにするかというのは非常に大きな問題だと思います。
 それからもう一つ申し上げるのを忘れたんですが、基盤整備をやる場合に、これから先ほどうしても田植えをやらない、代かきをやらない、これで非常に労力が減るわけですね。それで単収はむしろ上がると。そういうことが今、点々と生まれてまいりまして、私どもの仲間も盛んにやっております。そういう稲麦連続乾田直播、水をためないで種まきをやってしまう、そのやり方でやりますと、基盤整備の金が少なくてコストがうんと下がるわけですね。それも東京大学の松本教授と私どもの仲間の佐賀の試験場長をやった大人と二人で構造改善局に行って、前の局長さん、もう林野庁の長官になりましたが、あの人の口ききて、今そういう稲麦連続乾田直播にふさわしい基盤整備の実験をやる予算を農水省にお願いしております。
 これは質疑じゃなくて陳情でありますけれども、大臣もよろしくお願いします。
#62
○委員長(坂野重信君) 関連質疑を許します。井上哲夫君。
#63
○井上哲夫君 新緑風会、同じところにおります井上哲夫です。関連質問で一つだけ厚生省に。ちょっとその他、総務庁の方は時間がないので、次の機会になりそうなのであらかじめお断りをしておきます。
 労働組合連合がこの二月に一つの発表を出しました。それは昨年来、組合員の人たちが年老いた両親の介護をどのようにしているか、あるいはそこにどういう問題が潜んでいるか、こういうことの調査をしまして発表したわけであります。そして二月の下旬に新聞にも載りました。その中には、特別養護老人ホームをたくさんふやしてほしいという声がやはり断トツといいますか、圧倒的に多かった。実は私は、きょうはそういう施設をふやしてほしい、人間をふやしてほしいというハードな面ではなくて、そうでないソフトな面をひとつお尋ねしたいと思って関連でお願いをしたいと思います。
 それは、年をとった方々、高齢者はどうなっていくかというと、だんだん死に近づいていくわけでありますが、その過程の中で意思能力を、つまりいろんな判断能力を徐々に失っていく、あるいはあるとき突然病魔に襲われて失うこともあります。そうした場合に、実は日本の法律の制度では、そういう著しく高齢化社会になっていくときに、高齢者が徐々に意思能力を失い、それについてどういう形で後見、後ろから支えるというふうなことで手当てをされているかといいますと、なかなかうまく手当てはされていないと言われております。
 ちょっと抽象的に過ぎるので具体的に申し上げますと、今の日本におけるそういう意思能力をなくした、あるいはかなりなくした人たちに対する補助といいますか後見は、後見人の制度がありまして、禁治産者あるいは準禁治産者の制度があります。あるいはそういうお年寄りをだましてお金を奪ったとか土地を奪ったという場合には、詐欺で、取り消して返してほしいというような制度もあるわけでありますが、現実に徐々に徐々に意思能力を失っていくお年寄りにうまくそういう制度が乗っているかというと、なかなか乗っていない。
 まして禁治産者なんといいますと、自分の親を禁治産者にして戸籍まで汚して、おまえは息子として娘としてそれで十分かと言われますと、戸籍にまで載ってしまってはこれはということ。しかし東京に住んでいて、はるかかなたの閉会で老人が、お年寄りがひとり暮らしをしている、あるいは二人暮らしをしているというときには気が気じゃないと。
 さらにもう一つは、そういう財産管理の面で見るだけでなくて、やれ医者へ行った、あるいは隣の人に急に倒れたときには寝ずの看病を頼んだとか、そういう身上監護といいますか、そういう側面になったら、日本の今の後ろ唐制度、法律的な後ろ唐制度というのはほとんどないわけですね。そういう点についてお尋ねをしたいと思うんです。
 アメリカのレーガン元大統領は、みずから自分がアルツハイマー病になって、これから自分の意思能力といいますか判断が徐々に奪われていく、国民の皆さん、本当にありがとうございましたということを言ったというので、新聞には大きく取り上げられました。しかし、そういう形で高齢者が徐々に意思能力を失っていく過程でも、高齢者の人格あるいは人間性というのは重分配慮されなければ本来はおかしいのではないか。まして若いときに非常に大きく社会的な貢献をされた方にとってはなおさらである。
 そこで、まず法務省に、現行禁治産あるいは準禁治産制度については欠点があると言われておりますが、そういう欠点があると言われている内容をお尋ねいたします。
#64
○政府委員(濱崎恭生君) 委員ただいま御指摘いただきましたように、そういう問題につきましては、現行法上、禁治産、準禁治産の制度がありまして、そういう方々の行為能力を制限することによってその財産保護を図る、あわせて身上監護につきましても、後見人にはその療養看護の義務を課するという制度が用意されておるわけでございまして、それでそういう事態に対して現在民法上も対応することができるという制度になっているわけでございます。
 ただ、この現行の制度につきましては、委員ただいま御指摘のような問題も含めまして、これからの高齢化社会を迎えるに当たっての老人の方々への対応としては、財産保護、財産管理という面から柔軟性に欠けるのではないか、あるいは老人に対するケアという面で制度として不十分ではないか、こういう御指摘をいただいているところでございます。そういう御指摘の状況については私どもも十分承知し、勉強をしているところでございます。
#65
○井上哲夫君 現行の制度では、徐々に失っていく意思能力をカバーするというんじゃなくて、禁治産とか準禁治産の宣告をしてゼロか否かというふうな形にしているし、あるいは財産管理だけを考えているという意味では大きな欠陥を持っていると言わざるを得ないんですが、そこで、これは参議院の法務委員会では質問をされていることでありますが、厚生大臣にお尋ねをしたいんですが、こういう背のやり方の後見システムと違って、新しい後見システムを考えなきゃいかぬのではないかという点についていかが御意見かと。
 特にイギリスでも、最近、やはり従来のコモンローの原則を修正しまして、持続的代理権の授権法という法律をつくってそういう現状に合わせた法律システムに変えておりますし、ドイツでもやはり三年前ですか、成年者世話法、世話法という言葉は法律家の間では余り歓迎されていないようでありますが、成年者の世話をする、そういう法律システムを従来のようなシステムから変えております。
 そこで、日本においてもそういう点で声も高まっておるわけですが、御意見を伺いたいと思います。
#66
○国務大臣(井出正一君) お答えをいたします。
 意思能力が十分でないため、みずからの権利を行使し享受することが困難な痴呆性老人が地域で安心して社会生活を送れるようにするためには、この痴呆性老人の権利を擁護していくシステムの構築が重要な課題であるということは私も認識しておるつもりでございます。
 実は、昨年の六月、厚生省に設けました痴呆性老人対策に関する検討会、これは水野筆先生に座長をやっていただいた会でございますが、ここからも報告書を実はいただいておりまして、現行の禁治産制度及び準禁治産制度が、その手続や効果の面で痴呆性老人の権利擁護という視点からは必ずしも十分なものとは言えない側面がある。
 そこの報告書で取り上げられている問題点としましては、禁治産宣告を受ければ後見人がつくけれども、痴呆の程度が相当重くないと禁治産宣告を受けることができない。あるいはまた、禁治産宣告や準禁治産宣告を受けるためには手続も面倒だし費用もかかる。さらに、禁治産宣告を受けた場合には法律行為は全部剥奪され、例えば選挙権まで取り上げられるので、禁治産宣告に対するためらいも非常に多い。こんな点が指摘され、老人が地域社会で暮らしていくためには、意思能力が十分でない場合に支援する新しい成人後見の仕組みを検討することが必要だ、法務省でもその検討が既に開始されておるようだから厚生省としてもこうした動きを少し支援したり研究すべきだ、こういう御指摘をいただいておるところでございます。
 そこで、厚生省といたしましても、法務省を初め関係省庁と連携をとって必要な検討を進めていこうと目下しておるところでございます。
#67
○井上哲夫君 たまたま三月五日の日刊紙の社説にも、お年寄りが施設に入った、ひとり暮らしのおばあさんで低所得者に分類されて市のサービスを受けていたが、亡くなったら今まで見舞いにも来なかった親類親族があらわれて、結局そのおばあさんの所有名義の土地と建物で一億六千万円の財産分けをして終わりになったというようなことで、施設の面倒を見ている人から見たら、恐らくそのおばあさんは自分が死んだら長い間お世話になった施設に自分のものを寄附したいと思ったかもしれないと。にもかかわらず、今の制度ではそういうことになってしまう。
 私もこういう特別養護老人ホームの管理にいわゆる法律家として少し関与したことがありますが、こういう話はごろごろしているんですね。こういう話を放置しておくということは、結局は亡くなっていく高齢者の人たちの偉大なる人格が本当に損なわれつつ亡くならざるを得ない、そして相続で分散ではいかにも寂しい。
 そういうことを考えますと、今の厚生大臣の答弁、なるべく早く急いでやっていただきたい、遅ければ何にもならないということを申し上げて、少し時間超過いたしましたが、武田委員が大分時間短縮に頑張りましたのでお許しを得て、私どもの質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#68
○委員長(坂野重信君) 以上で武田邦太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#69
○委員長(坂野重信君) 次に、風間昶君の質疑を行います。風間昶君。
#70
○風間昶君 平成会の風間昶でございます。行政改革についてお伺いしたいと思います。
 行政というのは、国の事務、それから地方の事務、それと国と地方との関係の事務、こういう三つの柱であるというふうに私は中身的に思っておるんです。したがって、行政改革というふうに言うとなると、国の国家事務の改革、それから地方事務、地方行政改革、そして国と地方との関係の改革、こういう認識を持っておるわけですけれども、総理、その認識、私が持っている認識の是非を伺いたいと思いますけれども。
#71
○国務大臣(村山富市君) 行政改革は、できるだけ簡素で効率的な政府を実現していくということが一つの目的でありますし、また時代の変化に対応して総合性のある国民から信頼される行政の仕組みというものをつくっていくということもやっぱり行革の目的だと思います。
 そうした目的を達成するためには当面何が必要かといえば、先般来議論もございますように、例えば特殊法人のあり方とか、あるいは規制緩和の問題とか、今、委員からお話のございました地方分権の推進とかいうふうなものが私はやっぱり当面行政改革の一つの大きな課題になるのではないかと。同時に、可能な限り民主的な運営をする、あるいはまた主権者である国民の皆さんによく知っていただくということからすれば、情報公開ということもやっぱり行革の一つの大きな要素になるのかなと。こういう課題が今、我々が取り組まなければならない行革の課題ではないかというふうに認識をいたしております。
#72
○風間昶君 総理から今るるお話しいただいたんですけれども、私の最初の認識はいいわけですね、三つの柱という。それはどうなんでしょうか。
#73
○国務大臣(村山富市君) 中央の行政のあり方について改革をする、それから地方の行政のあり方についてもまたこれはこのままでいいかといえば、それはやっぱり全体が変わっていくわけですから地方の行革もする必要があるだろうし、同時に国と地方との関係についても、行革をするという意味からすれば、私はやっぱり行政改革としては大事な問題だというふうに認識をいたします。
#74
○風間昶君 国会で行政改革を論ずる場合、地方の事務改革についてとやかく言うのは潜越ではないかという思いも私はありますから、国家事務の改革と国と地方との事務の改革に絞ってきょうは議論をさせていただきたいと思いますけれども、まず国と地方との事務改革については、やっぱり地方分権、今、総理がおっしゃったように、テーマになるというふうに思います。
 昨年の十二月二十五日ですか、閣議決定された地方分権の推進に関する大綱方針が出されました。私も受け取りました。その基本理念をまず明らかにしていただきたいと思います。
#75
○国務大臣(村山富市君) 地方分権の推進を何のためにするのかということにもなると思いますけれども、これはやっぱり地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるようにしていく、それから国と地方の役割分担というものを本格的に見直しをしていく、それから権限委譲や国の関与等の廃止、緩和、地方税財源の充実強化を進めていく、そして地方公共団体が自主的に自立的に行政ができるような姿勢というものをできるだけ強化していくということが私は地方分権のねらいではないかというふうに思っております。
 今、この国会にも地方分権の推進に関する法律案を提出して、これから皆さん方に御審議をいただくわけでありますけれども、その法案の中にもそういう意味のことが盛り込まれておると思うのでありますけれども、これからその法律を仮に制定していただければ、地方分権推進委員会というような委員会も設置をされて、そして具体的にどう進めていくかというようなことについて御議論をいただくということになるわけであります。
 そうした意味で、国と地方との役割分担というものを明確にして、そして、何でもかんでも中央に承認を求めなければ仕事ができない、どこに行ってももう画一的に箱物ができているというようなことではなくて、やっぱり地方の特性が十分生かされた個性を持った地方自治体が建設できるようにしていくということはこれからやっぱり大事なことだと思いますから、そういう意味で地方分権は大いに進めていかなければならぬというふうに考えています。
#76
○風間昶君 今、総理がおっしゃるように、共通の目的に向かって相互に協力する関係だというふうに私はとらえたわけですけれども、極めてそれは大事なことであると思うんですけれども、一面というか反面、文字どおり分権ということですから、権力を言葉上の意味だけで言うと国と地方に分けるということでありますので、その権力の相互抑制、牽制、こういう面も私は重視すべきじゃないかというふうに思っているんです。
 つまり現状では地方が国に対して余り物も言えないような状況という認識を持っている方もいらっしゃるわけでありますから、国と地方が同じ土俵に立つ、そういう中で対等に議論していく、激論する、摩擦も起こるかもしれないけれども、意見の対立ということもあるかもしれませんけれども、そういう状況をつくってもいかなければならないんじゃないかというふうに思うわけです。
 そういう意味で、今、総理が国と地方との関係を見直すための地方分権推進法案を出させていただいたというふうにおっしゃったように私は受けとめたんです。それでよろしいですか。
#77
○国務大臣(村山富市君) これはちょっと例え話のような話になりますけれども、ある人が私に、ある県庁に行って、そしてその課長を訪ねていった、そうしたら課長が留守だった、どこに行っているんですかと聞いたら、今本省に行っています、こう言ったと。本省というのはどこにあるんですかと聞いたら、その課長が属しておる政府のある省のことを言ったんだと。
 ですから、地方の職員と国の各省との関係というものが上下の関係にある、こういうふうな見方をされているところにやっぱり今の日本の地方分権を推進していかなきゃならない重要な問題点があるんではないかと、私はそのときにそういうふうに感じました。
 言われますように、これはある意味では国も地方自治体も同じ立場、同じ位置にあって、そしてそれぞれが十分に忌憚のない話し合いができる、協議ができる、こういうものになっていくことが必要ではないか。そのためにも地方分権というものは税制の面からもあるいは行政権限の面からも進めていく必要があるというふうに私は理解をいたしております。
#78
○風間昶君 今、総理がおっしゃった例え、じゃ私も例えを引かせていただきますと、今問題になっている二億組の問題で大蔵省と日銀と東京都の三者でお互いに何とかしようとしたけれども、都議会の対応が予想外、国にとって予想外だった、厳しいものであったということだから、大蔵大臣は現在でも、東京都の方に第一義的に責任があるというような発言をされているというふうに思いますが、もし東京都がこんなでたらめな信組は必要ないと、つぶすしかないんじゃないかという判断をした場合、大蔵省や日銀はそれを異議なく認めるかというと、そんなことはないはずだと思うんです。
 つまり先ほどの権力の抑制には当然責任も入ってくるんじゃないかという観点からいくと、結局、信用秩序の回復、維持という名目で都の判断をその場合ひっくり返すんじゃないかというふうに危惧するわけですけれども、そうすると大蔵省も責任はないとは言えないんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか、大蔵大臣。
#79
○国務大臣(武村正義君) これは責任論という場合に、機関委任がされておりまして、平常時、都道府県が精いっぱい機関委任を受けて御苦労をいただいている。そういう意味では、各信組のさまざまな行政指導、監督の職員を都道府県知事さんが果たしていただいているという意味で、第一義的な個々具体的な信組に対する責任は都道府県にありますと。しかし、大蔵省は責任はないと一回も申し上げたことはないんであって、平常時も信用秩序全体については責任を負っているわけであります。
 今回は、東京都がもう通常の形で処理できないと。過去、東京都も何回か信用組合の経営問題では御苦労をいただいていて、合併させたり、そのためには都の公金もお出しになっていることが二回あるわけですね。そういう御努力をいただいているところでございますが、今回はもう東京都といえどももはや処理し切れないぐらいに回収不能額等々経営破綻の状況が大きいという事態になって、大蔵省、日銀に話があったわけであります。三者一緒にそれからは責任を負いながら知恵を出し、さまざま議論を重ね、そして今回のようなスキームを三者で合意したということであります。ましてやこの合意に基づく東京共同銀行の監督は大蔵大臣にあるわけでありますし、今後二つの信組はなくなりますけれども、引き継いだ東京共同銀行の指導監督についても大蔵省は責任を全うしていかなければいけないということであります。
#80
○風間昶君 都議会の対応は、結局新しい都知事にげたを預けるような形になったというふうに私は認識しているんですけれども、我が国最大で最強な自治体である東京都ですらこういう状況だったら、自治体の活性化なんということを言っていても、国と激論を交わす仲でないと本当に活性化はできないんでないかというふうに思うんです。
 この信用組合救済問題も、国と東京都がやっぱり対等に議論して解決策を探っていくべきではないかというふうに思うわけですけれども、国側の意見として総理はどうお考えになりますか。救済問題は国と東京都が対等に議論して解決策を探っていくべきではないかと思うんですが、どうですかということです。
#81
○国務大臣(村山富市君) これは機関委任事務で、信用組合等の直接の監督権限は東京都にある、東京都の例で申し上げますと。しかし、信用制度全体、金融全体という立場からすればこれはやっぱり国に責任があるわけですから、したがってその責任のある三者がそれぞれの立場で意見を述べ合ってそして合意を求めていった。こういう経過ですから、その間にはそれぞれのやっぱり責任の分野に立った立場で話し合いがされた、それで合意された、こういうことだと私は考えていますから、それは別に不都合も不合理もないんではないか、当然の合意点ではないかというふうに私は受けとめております。
#82
○風間昶君 一般的に、またもとに戻しますが、今なされている地方分権の議論はかなり効率面を重視されているようで、国と地方の意見の対立によって一部非効率的な部分があってもそれは健全な民主主義のコストというふうに考えれば、地方分権の方向にブレーキをかけてはいけないというふうに思うんですけれども、やっぱり国と地方の役割の分担をきちっと、今回の地方分権推進法案ににじみ出てはいるけれども、かなりの部分でマイナスというか後退しているようなところはあるんじゃないかというふうに思うわけです。評価できるのはあるんですよ、地方分権推進委員会に勧告や監視などの権限を与えたりということがあるけれども、しかし例えば役割分担についての仕切りとか権限委譲についての具体的な内容はあいまいだというふうに私は感じるわけですけれども、どうですか。
#83
○国務大臣(五十嵐広三君) 具体的な事務の内容についての仕切りですが、これは国が国で一方的に、この仕切りはうちの方のものだ、これはおまえの方のものだということよりは、やっぱりそれは分権推進委員会があって、そこで国や地方の関係者あるいは有識者が議論をして、十分な議論の中でそういうものを整然と分けていくということの方が私は非常に正しい区分の仕方ができるんじゃないかというふうに思うんですね。
 そこで大事なのは、推進委員会そのものが偏らないといいますか、きちんとした結論を出すような保障を法律の上できちんとするということは大事なところで、そこが今度の分権推進法の一つのポイントであったというふうに思いますが、そのポイントは私はきちんと押さえて今回の法律案ができたというふうに考えるわけです。
#84
○風間昶君 それでは、今、国と地方との関係をお話しになりましたので、もう一方、車の両輪としてあるのはやっぱり国家事務の改革だというふうに思うんです。これはやっぱり中央省庁の見直しが大きな問題であり、また特殊法人の問題これありだと思うんですけれども、その両方やっていかないと失速してしまう、失墜してしまうんじゃないか、片肺飛行になって。
 政府として、中央省庁の再編に対してのビジョンとかスケジュールというのは、私、今までずっとニュースを含めて見ていてきちっと出されたという印象がないんですけれども、そういうビジョンなりスケジュールはありますか、総理。
#85
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 その前に一つ申し上げておこうと思うんですが、先ほど二つの信用組合に対する機関委任の話がありましたが、正確に言えば大蔵大臣が、東京都ではございません、東京都知事に対して機関委任をしている、これが正式な意味での機関委任事務でありますので、その点は御理解を賜りたいと思います。
 さて、中央省庁の統廃合の問題でございますが、行革審におきまして随分議論をいただきました。そして、あるべき姿としてはこういうイメージかなというイメージの提起もいただきましたが、結果的には明確な答申はいただきませんでした。そして、政府といたしましては、現在、総理もお答えになりましたように、行政改革を進めております。
 行政改革の柱は、一つは官から民へであり、一つは国から地方へだと思います。官から民へはいわば規制緩和であり、国から地方へは地方分権であろうと思います。そして、さらに具体的な問題として特殊法人の整理合理化の問題あり、行政情報公開の問題もございましょう。
 これらの問題について、今、村山内閣は進めているわけでございますが、問題は、規制緩和が推進され、そしてまた地方分権が推進されれば、当然中央官庁の仕事はスリムになるわけであります。そういった状況を見つつ、中期的な課題として中央省庁の統合の問題については考えていきたい、これが現在の村山内閣としての考え方でございます。
#86
○風間昶君 今の総務庁長官の答弁、車で例えれば二輪車の前輪と後輪みたいなもので、要するに地方が先に進まないと中央の後輪が進んでいかないというふうに受け取れるんですが、そうじゃなくて、両輪だというふうに思うんですけれども。
#87
○国務大臣(山口鶴男君) おっしゃるとおりだと思います。
 規制緩和を進めることは、これは中央官庁の問題として私たちは今現在進めております。同時に、国から地方へという形で地方分権を進める。この車の両輪を進める中で中央省庁がスリム化し、これに対して統廃合を中期的に考えたい、これが私どもの考え方でございます。
#88
○風間昶君 唐突な質問だとは思うんですけれども、国がやらなければならない国家の存立にかかわるような施策とか事業、最低限のものを五つ挙げてといって国民から総理にインタビューが来たら、総理、何を挙げられますか。
#89
○国務大臣(山口鶴男君) 総理にかわってお答えするのは大変恐縮だと思いますが、去る二十八日に提案いたしました地方分権推進法では、国と地方の役割分担についてはこのように規定をいたしております。
 「地方分権の推進は、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業」、こうありますので、結局、第一は国の存立にかかわる事務、例えば外交であるとか防衛であるとか、こういった事務はやっぱり国がきちっとやるべき事務だと思います。全国的に統一して定めることが望ましい事務といえば、貨幣の問題とか年金の問題とかいうものが当然あろうかと思います。また、全国的な規模であるいは全国的視点に立って行わなきゃならない問題というのは、全国的な開発計画の策定とか、そういったものがあろうかと存じます。
#90
○風間昶君 総務庁長官が挙げられましたけれども、同じですか、総理。
#91
○国務大臣(村山富市君) 今、総務庁長官は、国の分担をすべき仕事の中身はどういうものかというその基本的な理念についてお話があったわけですね。その理念を踏まえて、それを施行するために必要な行政の組織というものが今つくられているわけですから、したがって仮に五つに絞って何と何かというのに答えよと、こういうことは、今の姿からすれば大変複雑多岐にわたっておりますから、はっきりこれとこれとこれですと言うことはなかなか困難ではないかということについては御理解をいただきたいと思います。
#92
○風間昶君 そうですかね。国民からぱっとインタビュー向けられたら、複雑多岐にわたっているからこれこれこれと挙げるわけにはいきませんというふうに総理お答えしますか。そうはならぬと思うんですけれどもね。
 いずれにしても、今、総務庁長官が挙げられた国がやるべき仕事、なぜ必要なのかという議論、これを積み重ねていってこそ初めて中央省庁の見直しなり再編の土台になっていくんだろうというふうに思うわけです。
 もう一つ、済みません、今、貨幣の話が出ましたので、これは通告外なんですけれども、まさにきのう九十一円台に突入した円高問題。私は、国がここで威信をかけて門の防衛を図るべきだというふうに思っているんですけれども、世界に向けて不動の態度をやっぱり今こそ示すことが日本を守ることになるのではないかというふうに思うんです。もちろん各国協調のお話とかそういうのもありますが、もうそんな段階を超えるような状況になってくるおそれもあるわけです。
 例えば総理がコペンハーゲンに行かれている間にどっと八十円台に突入したら一体だれが責任をとるのかということもあるわけですから、総理のこの並々ならぬ円高問題に関する御決意を伺いたいと思います。
#93
○国務大臣(武村正義君) 昨今の円高を含めた国際通貨の急激な動きを大変憂慮し、日本としましてもこの事態を重視いたします。
 日本の側にこうした急激な円の変動をもたらす要因はありません。むしろ緩やかな回復基調に経済は入っております。このことは日銀短観等の経営者の見通しとも一致をしているところでございますし、また貿易を含めた経常収支につきましても、御承知のように、昨年どことしと比較しますと輸入は二割ぐらいふえております。経常収支全体としても着実にこれが減る方向に入っております。そんな中で今回の急激な円高が出来をしているわけであります。
 いろいろ報道もなされておりますように、一つはヨーロッパ通貨における動きであります。スペインのペセタが暴落をする中でポルトガルも引きずられる。EUはスペインとポルトガルの通貨の切り下げを急いで決定をしましたが、それでも効果がない。それがイタリアのリラやフランスのフラン、イギリスのポンドにまで波及をし始めているわけであります。結果としてマルクがひとりぐんぐん高くなっていくという状況が起こっております。
 片方、アメリカでは、隣のメキシコ通貨の不安、これはアメリカ経済と深くかかわっておりますから、そのこともあってドル安が一月の末から起こっておりまして、アメリカ経済に対するさまざまな見通しもありますが、アメリカの政治の中で財政赤字に対する憲法修正案が否決されるというふうな事態も起こりまして、これまたアメリカもドル安という状況に入っております。
 そういう米欧の動きが円高を招いているということでありますが、それにしてもきょうの動きも含めて大変急激であります。荒々しいと言ってもいいぐらいの状況が続いているわけであります。事態を重視しながら、一層米欧と連絡連携を密にしながらこの事態を真剣に見詰めて適切な対処をしていきたいというふうに思っている次第でございます。
#94
○風間昶君 ちょっと通告外で申しわけございませんでした。
 中央省庁の再編についてまた戻しますけれども、中央省庁の再編、地方改革とは逆にもっと私は効率を追求すべきだというふうに思うわけです。それで、非効率になっている元凶の大きな問題はやっぱり縦割りにあると思うんですね、縦割り制度。これ大胆にやっぱり改革していただきたいというふうに思うんです。
 例えば、細かな問題ですけれども、健康関連事業というか資格の中に、一人一人の個人の特性に応じた運動プログラムを提供する厚生省の健康運動指導士というのがあります。労働者の健康づくりに運動指導プログラムをつくる労働省のヘルスケア・トレーナ「というのがこれまたあります。年齢、体力などに応じた地域のスポーツプログラムの提供、相談、指導をするのに文部省のスポーツプログラマーというのがあるんですね。それぞれ四千人とか二千人単位の方々がいらっしゃるんですけれども、これはまさに縦割り行政の私は弊害でないかというふうに思うんです。
 三者の資格の間で、例えば受講資格だとか受講時間だとか受講期日だとか、そういう平準化が図れないものか、あるいは資格の相互乗り入れができないものかと。そんなことを改革していくことも、小さなものですけれども、それが積もり積もると相当大きなことになるのではないかというふうに私は思うのですけれども、これはそれぞれの大臣にお伺いしたいと思います。
#95
○国務大臣(浜本万三君) お答えいたします。
 労働省の立場から申しますと、高齢化の進展等によりまして、労働者の健康問題が重要な課題となっておりますことから、労働者の健康の保持増進を図るために、医師やヘルスケア・トレーナー等の指導者がチームを組んで健康指導等を行う事業を推進しておるところでございます。
 今、議員がおっしゃいました問題について絞って申し上げますと、ヘルスケア・トレーーと厚生省の健康運動指導士との受講期間につきましては、これはほぼ平準化が図られておりますが、さらに類似の講習科目もありますことから、平成四年からそれぞれの資格を既に取得した者を対象にいたしまして、科目の一部を免除した特別講習をそれぞれ実施しておるところでございます。
 一方、文部省の関係について申し上げますと、文部省のスポーツプログラマーは労働衛生に関する知識が含まれていないことなど、その目的、性格等がヘルスケア・トレーナーと大きく異なっている状態でございますので、両資格の受講期間の平準化、相互乗り入れは、現時点では難しいものだと考えております。
 しかし、今後とも可能な範囲で、議員が御主張なさっておりますこともよくわかりますから、他の資格との調整の余地がないか検討するよう講習実施団体を指導してまいりたい、かように思っております。
#96
○国務大臣(与謝野馨君) 私どもとしては、こういうものは趣旨、目的を若干異にいたしますけれども講習内容等一部類似するものもございますので、関係省庁ともきちんと連絡をとって、内容的に類似した講習科目の相互免除等について検討してまいりたい、私どもは話し合いをする用意がある、こういうことでございます。
#97
○国務大臣(井出正一君) 現状につきましては先ほど労働大臣が御答弁なさったとおりであります。今後さらに調整の余地がないか検討するよう、養成、講習を行っている関係団体等に指示をしてまいりたいと考えております。
#98
○風間昶君 非常に細かな問題のようだけれども、結局こういう問題一つとってみても、省庁粋を超えた、似たような事業を一括して行う、当該問題が起こったときにそれに対して非常設的なプロジェクトを組むようなぐらいの、そしてそういうプロジェクトがある程度の権限も持って予算も与えるということを、非常に現時点では難しいかと思いますけれども、そして結論が出ればそのチームから次官会議や閣議に報告を上げてプロジェクトは解散と、合理的かつ効率的だと私は思うんです。
 支持率よりも不支持率が高くなったことの挽回策としてもここで実行力を発揮すべきだと考えますけれども、総理に期待してお伺いします。
#99
○国務大臣(村山富市君) いろいろ支持率まで御心配いただきまして恐縮に存じます。
 今、委員からお話のございました資格制度というのは、それぞれ各大臣からも答弁がありましたように、安全や衛生をどう確保していくかとか、あるいは取引が公正に適正に行えるようにするために何が必要かとか、いろんな社会的、経済的諸条件の必要性によって資格制度というのはつくられてきていると思うんですね。しかし、そういう一面、一遍つくられますとなかなかそれを今度廃止することが難しいとか、あるいはいろいろ改善をすることが難しいとかというようなことがやっぱり積み重なってきている弊害というものは否定できないものが私はあるんじゃないかと思いますね。
 したがいまして、そうした社会経済情勢等の変化を踏まえて不断に見直しをすることは必要だと思いますし、できるだけダブるようなものについてはそれぞれ各省庁間で連絡をとり合って、そして例えば講習科目とかあるいは受講資格とか、そういう相互乗り入れ等を行いながら受験をされる方々の負担をできるだけ軽減していく、そして適切な運用が図られるようにやっぱり既存の資格についても不断に見直しをしながら検討していくことが必要であるというふうに思いますから、御指摘のような問題についてはこれからもさらに一層それぞれの各省庁で連携をとり合いながら検討させていただきたいというふうに思います。
#100
○風間昶君 検討ばっかりやっていると、どっちかがいずれ倒れるわけです。
 それはそれとして話を変えまして、国土庁として現在進めていらっしゃる首都機能移転を含めた国土計画について伺いたいと思います。
#101
○国務大臣(小澤潔君) お答えをいたします。
 我が国土の国土つくり、町づくりの一環として、国土庁では総合計画を立てて実施をいたしております。いわゆる全総計画であります。
 まず全総に始まりまして、現在は四全総まで来ております。いよいよ二十一世紀に向けまして、地球にやさしい地球環境の問題、そしてまた高齢化、少子化等々の社会、高齢化社会に向けての問題等々を加えた全総にかわる全総の計画をいたしておるところであり、昨年十一月十日に国土審議会を開催いたしました。総理並びに私から委員の先生方に全総にかわる全総をお願いいたしたところであります。平成八年度をめどといたしております。
 先生の御指摘は、まだ国土上軸とか一極集中とかの問題もあるようでありましたが、そこまで行っておりませんので、ひとつまたそれによっては答弁したいと思いますが、とにかく国土審議会においてこれからの二十一世紀にわたる全総計画を立て現在審議をしていただいてもらっており、計画部会もできました。月に一側程度で、一月、二月、三月ともう三回やっております。その中では防災の関係も検討をしてもらっており、来月からはやはり災害に強い国土つくりの審議もしていただくことに相なっております。
 以上です。
#102
○風間昶君 今、国土庁長官、私の次の質問をもう先取りして、けしからぬと思いますよ。ちゃんと皆さんに聞いてもらわないうちにその話をするなんというのはおかしい話です。
 まさに今回の大震災でも明らかになったとおり、現在の東京一極集中というのは危険この上ないわけですよ。危機管理の要請というのは危機の分散だというふうに、危険の分散管理にあるというふうに思うわけです。だから、仮に東京の首都機能が麻痺したとしても、第二首都ぐらいの機能を代替できるようなネットワークの構築、それを防災国土軸と私は言いたいんですけれども、これ新しい言葉ですよ、僕はそう思っているんだけれども、防災国土軸と呼んでそれを提唱したいんだけれども、その防災国土軸の私の案を、今度の全総にかわる全総、いつまでたっても伴奏に終わらないように、その視点を盛り込むつもりはないのかどうかということをお聞きしたかったわけです。
 もう先に揚げ足をとられちゃって質問ができなくなっちゃいますけれども、一言どうですか。とんでもない話だよ。
#103
○国務大臣(小澤潔君) 先ほど来、もう通告がございましたので、つい頭に浮かびましたので。しかしながら、そこまで行っておりませんので、これからその問題のお答えをいたしたいと思います。
 先生御指摘のように、首都機能は大規模災害発生時における災害対策の中枢と言える重要な任務を有しておることは言うまでもございません。南関東地震の被害の想定を、やはり来る場合には関東大震災規模が来るであろうということも想定をいたしておるところであります。
 そこで、先生のお尋ねでありますが、首都機能の移転につきましては、国会等の移転に関する法律に基づきまして、国会等移転調査会において、国会並びに行政及び司法に関する機能のうち中枢的なものの東京圏以外の新都市への移転の具体化に向けた調査、審議が精力的に進められております。国土庁といたしましては、今後ともこの調査会の調査、審議の円滑な推進に努めるとともに、その具体化に向けて積極的に検討をしてまいりたいと思います。
 先生御指摘の防災軸の件でありますが、我が国土には大きく分けて三つございます。その一つが北海道から九州まで、それが東京までと、それが第二国土軸でありましたが、現在では、上を北海道・東北国土軸、そしてもう一つが太平洋新国土軸となっております。そして大きなもう一つは、北海道から九州まで日本海を通る日本海国土軸、東京から九州まで行くその間が第一国土軸であります。そしてまた、太平洋と日本海を結ぶ縦の連携軸が地域連携軸と名づけております。
 どこで震災が起きても、その地域連携軸を通じまして交通が大混乱を起こさないような防災国土軸をひとつこれからはつくるべきである、これが主要なところであります。そして、災害に強い国土つくりを行うべくこれからも鋭意努力をしてまいります。
 以上でございます。
#104
○風間昶君 ありがとうございました。
 質問の答えが前後にひっくり返って展開されましたけれども、ありがたく国土庁長官の話を聞きました。しっかりやっていただきたいというふうに思います。
 次に、特殊法人の役員の問題について、以前から天下りとの批判が強くて、中央省庁からの天下りによって役員を占められて法人職員の士気に影響するという指摘もこれありだというふうに思うわけですけれども、役員の報酬についての基準について若干お伺いしたいんです。
 実際には法人と役員との法律関係は民法や商法で言う委任ですよね。委任であれば無報酬が原則だと思うんですけれども、ところが多くは特約によって報酬を受けていらっしゃいます。それはそれで仕事をされているからいいといえばいいかもしれませんけれども、それだけではなくて退職金の問題です。
 かつて政労連、政府関係法人労働組合連合が試算したもので、例えば動燃事業団に九年在籍した人の想定退職金は五千百六十三万、国際協力事業団総裁は六年在籍で三千六百八十九万、宇宙開発事業団理事長は四年間で二千五百二十九万。すべてこれは国民の負担による費用だというふうに思うんですけれども、公的要素も含まれる特殊法人において退職金の問題、もっと抑制的あるいは禁欲的な基準を僕はつくるべきだというふうに思うんですが、大蔵大臣、どうでしょうか。総務庁ですか、お金を扱うのは。
#105
○政府委員(篠沢恭助君) 特殊法人の役員の退職金についてのお尋ねでございますが、昭和五十二年の十二月、行革推進についての閣議決定がございまして、この際、在職期間一カ月につきまして当該役員の退職時の俸給月額の百分の三十六という統一的な方式で算出をするということに決められております。特殊法人の役員につきましては、特定された任期内において法人経営について重要な責任を負うという観念に基づく仕事でございますので、ただいま申し上げましたような形で統一的な方式の算出をしているわけでございます。
 この退職金の支給水準でございますけれども、民間企業役員の退職金の支給水準との均衡に配慮をしてこのようにしているわけでございます。直近の民間企業役員の退職金実態に関する調査と比較をいたしてみますと、民間企業役員の在任一年当たりの平均退職金約五百六十万円ということでございます。特殊法人の役員は約四百三十万円という水準となっておるわけでございます。
 それからただいま百分の三十六という統一的な数字を申し上げましたが、これは昭和五十三年度におきまして百分の四十五から百分の三十六に二割引き下げたのでございます。その当時、民間との退職金の比較調査をいたしました結果としてこのような引き下げを行ったといった経緯がございます。
 以上でございます。
#106
○風間昶君 私は、退職金のカットなどを含めてもっと禁欲的、抑制的に基準をつくるべきではないかというふうにお尋ねしたのでありますが、大蔵大臣、どうですか。
#107
○国務大臣(武村正義君) 今、主計局長から御説明を申し上げましたが、政府全体としましても、この問題については過去もいろいろ論議がございまして、そういう中で民間の相当の状況に比べれば、これは禁欲的と言えるかどうか知りませんが、抑えた額や率でルールをつくっているところでございます。
 今回、特殊法人全体の論議もある中で、なお今後もこの問題については真剣に検討を続けなければいけないと思っております。
#108
○風間昶君 この問題については、なお引き続き私の方も追及をしていく予定でございます。
 特殊法人役員の定数の純減について、正確かどうかわかりませんが、約八百二十人ぐらいの役員の方がいらっしゃると。その定数のあり方について、恐らく総務庁を中心に議論をされていると思いますけれども、定数の純減についてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#109
○国務大臣(五十嵐広三君) 特殊法人の役員の縮減を私どもとしても計画的に努力してきているところでございますが、今考えている縮減の方法ということになりますと、一つは、まず全体の中で常勤の役員が一〇〇%実はいわゆる天下りであるというような法人が十四あるわけですね。これはなくすようにしていこうと。そのためには役員の交代時に必ずこれは天下りでない人になってもらうという方針でいこうというので、このうち森林開発公団については既に一月になくしました。ですから、あと残り十三ということになりますが、恐らく平成七年度中にはこのうち五つくらいは解消することになるだろう。およそ三カ年ぐらいでこれは完全になくするようにしていこうというふうに思っています。
 それから全体的に見て今考えておりますのは、政府がこれらの役員の任命について発言をし得る法人といいますか関与し得る法人に関しましては、これはやはり総体として三年ぐらいで五割を切るぐらいのところに持っていこうというふうに考えておりまして、そういう計画のもとに現在作業を進めております。
 今回のこの特殊法人全体の整理合理化の方針の中でも、特に与党の方からの強い提言等もございまして、これらの人事運用に関しましても方針を示しているということでございます。
#110
○風間昶君 次に、骨粗鬆症対策について若干お伺いしたいと思います。
 札幌市では、中央健康づくりセンターで三十歳以上の女性を対象に一回千円の検診料金で週二回やっていらっしゃいます。二台の機械を使って一日約三十名受診されています、放射線の出ない超新波による装置でございますけれども。
 平成六年の四月から十一カ月間で六千名の方々が受診されて、骨そのものの強さと年齢との相関で判定を六種に、全く問題ないというのから要治療を含めて判定を行っていらっしゃって、その検診を受けた後、さらに先ほどの健康運動指導士の方がその人に合った運動のプログラムをつくり、栄養の点は栄養士さんが対応、相談を受ける、生活そのものについて、ライフケア、ライフスタイルの問題については保健婦さん、この三位一体で進めているわけです。
 現在、特に女性の方が多いわけですけれども、男性も七十以上になると骨がすかすかになってくるわけですが、女性は三十過ぎに一番号がかたくなるんです。それから生理との関係で次第に閉経に向かって骨が弱くなってくるということなんですが、今、大体六百万人ぐらいの方々が骨粗鬆、つまり骨の中の塩の量、骨塩量というふうに言いますが、それが少なくなってきている状況で、さらに骨塩量が少ない方を入れますと潜在的に一千万人ぐらいいらっしゃるんです、一千万。
 この骨粗鬆症というのは、いわゆる三大成人病と言われているがんとか脳卒中とかあるいは心臓病と違って直ちに死に至るものではないんですが、この一千万人もの骨粗鬆症患者さんを含めた問題、悩んでいらっしゃる方々がもっとふえてくることを考えますと、いずれ国家事業としてこれをどう抜本的に予防、検診、治療を含めてやらなきゃならないかということを考えるとかなり深刻な状況だと私は思うわけです。
 総理、札幌の、足、かかとをお湯が張ってあるところに入れて、三分ぐらいで終わるんですけれども、隣のコンピューターの方に連動されていまして、この方のかかとの骨だけですけれども、その方の骨の全体の量を知るようになっているわけです。
 自治体でこういう事業を積極的にやられているところとやられてないところ、ばらばらなんですね。これ地方だけに任せておくと本当に大変なことになっていくと思います。つまり、骨折を起こして寝たきりになったり、あるいは介護の問題でこの骨粗鬆症のファクターが加わると大変なことになりますので、ぜひこれは国でほうっておかないで、特に骨粗鬆症予備軍としての婦人の健康づくり事業にウエート、重点的に取り組んでいかれるような対策を、もう時間が来ましたのでまた別の機会に。
 厚生大臣、ちょっと見てください。(資料を示す)これ写っているのは僕なんですよ、宣伝なんですけれども。
 ちょっと時間がなくなりました。これは三大死因にはならぬけれども、この問題は物すごい大きな二十一世紀の問題になってきますから、ぜひ国家的なプロジェクトを組んだぐらいの気持ちで取り組んでいただきたいと思います。
 オーバーしましたので終わります。ありがとうございました。
#111
○委員長(坂野重信君) 以上で風間昶君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#112
○委員長(坂野重信君) 次に、北澤俊美君の質疑を行います。北澤俊美君。
#113
○北澤俊美君 閣僚の皆さん方、連日御苦労さまでございます。
 通告をしてあった部分について、十分な時間がとれませんので一部削除するかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 私は、東京共同銀行の問題について集中して御質問をしてまいりたいと、こういうふうに思います。
 この問題は、本委員会でも再三再四ずっと論議されてきておりますが、私は、基本的に信用秩序の維持という、大蔵省、日銀の責任における立場、それともう一つはハイリスクを承知の上で大口の預金者が救われるということに対する庶民感情、またこの整理の中で善良な出資者が出資金を没収されるというそういうことに対する不満、そういうような国民感情あるいは役所の立場というような対極があって、これを国民的な合意に持ち込むには相当な説得力のある資料がないと私はこの問題は国民に理解されないのじゃないか、こんなふうに思うわけでありまして、そういう意味においては資料が十分に国会へ届いていない、こういうふうに思います。昨日も衆議院の方へ院からの要請にもかかわらず十分な資料が届いていない、これはまことに遺憾なことであります。
 そこで、順次御質問をしてまいりますが、東京都が三百億の低利融資を凍結したわけであります。これによって今回の救済スキームに当然影響は出てくるわけでありますけれども、東京都の新たな対応を待たずに、これは大蔵大臣にお聞きしますが、三月二十日に営業をスタートしていくと。ここをまず第一に確認をしたいと思いますが、どうですか。
#114
○国務大臣(武村正義君) 東京都が議会の御判断があってやや、ややといいますか先延ばしになったこと、大変残念でございますが、こういう事態になりましても三者で合意した基本的な処理方策は大枠において変えるべきでないというふうに思っておりますし、現実に銀行の設立等の事務が進んでいることでもありますから、三月二十日開業という基本線は変えないでしっかり対応をしてまいりたいと思っております。
#115
○北澤俊美君 銀行局長にお聞きしますが、同じことですけれども、事務の進行状況からして、ただいま大臣か言われたとおりに私たちも理解して、事務的な立場でちょっと答えていただきたい。
#116
○政府委員(西村吉正君) 私ども事務当局といたしましても、ただいま大臣から答弁がございましたような方針に基づきまして対処してまいりたいと考えております。
#117
○北澤俊美君 そうすると、局長、もう一つお聞きしますが、民間金融機関の収益支援があるわけでありますけれども、この支援金は寄附金とみなされる、一部分損金に算入せざるを得ないと、こういうことになる。これに対する金融機関からの問い合わせも多分あるだろうというふうに思いますが、これについては問題は解決しておるんですか。
#118
○政府委員(西村吉正君) 税務上の取り扱いにつきましては、税務当局とも今後よく連携を保ちながら、遺憾のないようにしてまいりたいと考えております。
#119
○北澤俊美君 それは具体的にはどういうふうにしようとするわけですか。
#120
○政府委員(西村吉正君) 税務執行当局とただいまいろいろ相談をしておるところでございますので、私どもの方から現時点におきまして申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
#121
○北澤俊美君 三月二十日はもうすぐなんだね。内容も言えないと。しかし前例はあるわけでしょう、通達を出して、この前句とか機構というのをやったときに。それと同じ方法をとるんですか。
#122
○政府委員(西村吉正君) 三月二十日にスタートをいたしますのは、既にその出資はすべて終わりまして設立されております東京共同銀行の営業開始でございまして、今御指摘の資金援助そのものの問題は、また別途考えてまいる問題かと思っております。
#123
○北澤俊美君 おかしいんだよ。東京都は棚上げでしょう。それからこの問題もまだ、スタートした後だと。何もそろわないうちにどんどん既成事実だけが動いてくる、こういうこと。これをやっているとちょっと時間がないから次に移りますが。
 それじゃお聞きしますが、三百億が足りなくなったことは間違いないわけだけれども、これは後からどう処理するかということはそれぞれの立場で見解が違うわけだから、それを蒸し返しはしませんが、この三百億、当初考えたものが当面来ないということになるんですけれども、支障は来さないんですか。
#124
○政府委員(西村吉正君) 東京都におきましても、少し結論を出す時点が先延ばしにはなりましたが、基本的な御方針は従来どおりであると私どもは考えておるわけでございます。したがいまして、基本的な枠組みそのものが変わったわけではございませんけれども、もし当面、何らかの対応、臨時の対応措置が必要だといたしますならば、その点については工夫をしなければならないと考えております。
#125
○北澤俊美君 工夫をすると言うんだけれども、工夫って、あなた、お金はどこかから持ってこなきゃだめでしょう、考えていただけじゃ。どうする。どこから持ってくるんですか。要らないんですか、
#126
○政府委員(西村吉正君) この基本的な枠組みは、長い時間をかけて少しずつ債権債務の処理を図っていくという性格のものでございますので、枠組みが発足いたしましてその瞬間にすべて実行されるという性格のものではございません。逐次、段階を追って実施されていくものでございますので、そういう意味においてはいろいろな工夫の仕方があろうかと考えておるところでございます。
#127
○北澤俊美君 こんなことをやっていると時間がなくなるから。
 おかしいんだよ。毎年十二億ずつ利子をつくって、十五年間で百五十億ですか、そういうことがきちんとスキームの中に入っているのに、まだあなた、その原資の三百億が来ない。まあいいや、それは後にしましょう。
 次に、大蔵省、日銀は、今回の救済スキームから東京都を外してあくまで東京共同銀行構想を今申し上げたように貫くとすれば、今まで一義的に指導監督する立場にあるのは東京都だと、こういうふうにおっしゃってきた。東京都が抜けた中で責任を負うというのは大蔵大臣しかいない。そうすると、この点については責任が今までは第一義的には東京都だと言っていたけれども、大蔵大臣、全責任を負ってスタートしていくわけですね。
#128
○国務大臣(武村正義君) いやそれは御認識を変えていただきたいと思いますのは、東京都の監督の中でこういう事態が起こりました。東京都の処理に負えないという状況で、大蔵省、日銀に御相談があって、その瞬間から三者、いわば東京都に大蔵、日銀も入ってこの対策に苦慮をしてきたところでありますし、三者それなりの責任を分担するということもあって今回のスキームが合意されたところであります。
 問題の根源は東京の信用組合にあるということでありますから、確かに東京共同銀行は銀行法上の銀行でございますから大蔵大臣の監督でありますが、文字どおり今後も三者の共同責任でこの問題をきちっと対処していかなければならないというふうに思っております。
#129
○北澤俊美君 今のお話で、責任の所在が極めて不確かだということだけはよくわかりました。
 そこで、大蔵省は今度のこれを臨時異例の措置だと、こう言っているわけでありますけれども、今回のこのスキームは二つの信用組合に対して全く固有なものなのか、今後同様の金融機関が破綻を来したような場合の手法はどんなようなものが考えられるかということですけれども、つまりどんなふうに合併させるか、あるいはペイオフをするか、この二つのやり方しか半面考えられないわけでありますけれども、現状を考えるとなかなかもう吸収合併というのは難しい時代に入ってきた。結局、ペイオフしか今後の方法がなくなる。金融自由化の時代というのはそういうものだと。
 そこで、乱脈な経営を行っている金融機関を国民の負担で救済することが許されない時代だというふうに私は思うのでありますけれども、大蔵大臣のこれに対する見解を聞かせてください。
#130
○政府委員(西村吉正君) このたびのような経営の状況に陥っております金融機関というのは本当に例外的なものと存じますけれども、従来から経営の危機に陥りました金融機関というのは幾つかございました。そういうものにつきましては、まず第一には民間ベースで、先ほど先生御指摘のような吸収合併というような手法を講じながら対応していくというのが第一段階でございましょう。その次に、預金保険機構で資金援助というような方法もございますので、そのような現在の枠組みを活用いたしまして対応するようなケースも今までございました。
 そういう既存のあるいは従来講じられてきたような方法で対応できなくなった場合にどのようにするかという問題につきましては、御指摘のように、制度上はペイオフという手法もあるわけでございますが、現在の金融情勢下におきましてはそういう手法をとることは難しいということで今回のような方法をとったわけでございます。
 今後の課題ということで考えてまいりますと、経営危機の様相というものはあるいはその場合の経済環境というものはさまざまでございますので、ケース・バイ・ケースで最も適切な方法を選んでまいるということになろうかと考えております。
#131
○北澤俊美君 国の方がそういうような考えではあるけれども、もう時代がどんどん動き出して、預金者は自己の責任で金融機関を選ばなきゃならない、そういう時代になってきておる。ところが、その判断材料として金融機関はだれにでもわかるような経営内容の開示を行うように求められていながら、なかなかそれをしていない。大蔵省もその指導を怠っているというふうに私は思う。我が国のように預金性向の強い国民性からして、これもう大変なことなんですよ。
 こういう点について、銀行局長、今後国民に対して金融機関の内容の開示をどういうふうに進めていこうとするか、何かそういうプログラムでもあるんですか。
#132
○政府委員(西村吉正君) ただいま先生御指摘のとおりでございまして、私どもも十二月九日の時点で大臣の談話の中でも申し上げましたように、当局といたしましては、今後、金融システムの安定性を維持しつつ、より自己責任原則を強化する観点から、できるだけ早期に適切な環境整備を行っていくよう努めることとするというふうに申し上げているところでございますが、その最も重要な課題の一つは、ただいま御指摘のディスクロージャーという問題であろうかと存じております。
 もし預金者に自己責任というものを求めるのであれば、それにふさわしい情報を預金者に提供しなければいけないということも事実でございまして、その点では従来から金融制度調査会におきましてこの問題を検討しております。
 平成四年の十二月に中間報告が出されておりますけれども、基本的にはディスクロージャーを進める方向で、現在のいろいろな金融情勢に応じまして、またそれぞれの金融機関の状況に応じましてステップ・バイ・ステップでこれを進めていくという方針で今臨んでおるところでございます。
#133
○北澤俊美君 では次に、長銀とのかかわりについてお尋ねをしてまいります。
 マスコミ報道によりますと、東京協和信用組合の高橋前理事長は、不良債権と言われているもののほとんどは長銀管理下にあったときのもので、長銀はすべてを知った上で許可したものですとか、二億組の解体に動いたのではないか、そんなようなことを言って、日銀や大蔵省に対してそうした働きかけをしてきたはずだと、こんなふうに言っている。あれだけの乱脈経営をして告発までされている人物のことをそのとおりに信ずることはないけれども、一方でこれに反論するような資料というものは今全くないんだ。
 そこで、一つお尋ねしますけれども、長銀から一つの信組に職員が派遣された事実、また時期はいつなのか、それからまた人数は最高時でどのくらいの人数があったか。
#134
○政府委員(西村吉正君) 二つの信用組合のうち安全信用組合に対しましては、もともと日本長期信用銀行と特に関係がございませんで、日本長期信用銀行から職員を派遣したということはないと伺っております。
 他方、東京協和信用組合に対しましては、日本長期信用銀行から一時期若干名の職員が派遣されたことがあると伺っております。
#135
○北澤俊美君 知らないんですか。
#136
○政府委員(西村吉正君) 職員の派遣につきましては個別の大事に関することでもございますので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと存じております。
#137
○北澤俊美君 この問題の一番根源はそこにあるんだよ、その態度に。まあいいでしょう、それは後でまたやります。私のところにはみんな資料はあるけれども、後で突き合わせるときが来るだろうというふうに思います。私は、集中審議もそれから証人喚問も当委員会では当然にしてくれると、こういうふうに思います、銀行の態度がそういう態度であれば。
 次に質問をいたしますが、長銀及び長銀系グループからの融資の総額は、ピーク時でイ・アイ・イ・グループ全体の借入金の約六割、六千億だと本人も言っておる、またほかの資料によれば一兆円とも言われておるわけでありますけれども、長銀からの融資の総額はピーク時でどのぐらいあったんですか。
#138
○政府委員(西村吉正君) 日本長期信用銀行の個別企業に対する融資の具体的内容について私どもからコメントすることは適当でないと存じますけれども、今御指摘の高橋前理事長のインタビューの中でいろいろなことが言及されておるようでございます。私がその内容につきまして、それに対してコメントすることは差し控えたいと存じますが、必ずしも私どもの理解と同じでないところもございまして、その内容につきましては慎重に受けとめる必要があるのではないかと感じておるところでございます。
#139
○北澤俊美君 何を聞いてもだめだと、こう言うんでしょう。そんなものは金融雑誌に出ているじゃないか。こんなことが何で言えないんですか、あなた。金融雑誌に出ている。
 ただ、驚くことは、長銀の大口融資のトップは東京電力、次は日本リース、三番目が第一住宅金融、四番目が石油公団、五番目がイ・アイ・イ・インターナショナルと、こうなっている。長銀の超優良企業のトップランクに位置しているんですよ。ほぼ一手億がずっと続いている。こんなこと銀行局長が知らないはずがないでしょう。それでも答えられないんですか。
#140
○政府委員(西村吉正君) 私どもも、適時銀行検査等に入っておりますので、必要な限度におきましてその銀行の経営状況は把握しておるつもりでございますけれども、その具体的な個別の融資先に関する内容を申し上げるということは差し控えさせていただきたいと存じます。
#141
○北澤俊美君 委員長、世間一般に雑誌で数字があるわけですね。これはもう国民がみんな知っておる。しかし、国会のこの予算委員会の場になったらそれが明らかにならぬという、これだったら質問が続けられないじゃないですか。こんなことぐらい何でできないんですか。
#142
○政府委員(西村吉正君) 従来から、私どもが金融検査によって知り得た内容というものは公にしないということでやってまいっておりまして、この問題についても同様の問題と考えておる次第でございます。(「それだったら国の金を出すのはやめろ。あなたが自分で出せ、金を」と呼ぶ者あり)
#143
○北澤俊美君 全くだ。
 そんなにあれを聞いてもこれを聞いても答えられぬということで、大蔵省の不まじめな態度はよくわかったが、それじゃ角度をちょっと変えて質問します。
 長期信用銀行というのは普通銀行とは違う法律で、長期信用銀行法によって設立されておるわけです。これは同法の七条で「長期信用銀行は、長期資金に関する貸付等に基く債権について」と、こうなって、間を抜きますが、「確実な担保が徴し、又は分割して弁済させる方法をとる等特別の考慮をしなければならない。」、こういうふうに規定しておるわけであります。
 大蔵省が銀行監査に入って、債権の保全や回収のための担保が確実でなかったということで長銀に対して是正命令を出したことがありますか。
#144
○政府委員(西村吉正君) 御指摘のように、長期信用銀行法第七条によりまして、長期信用銀行は、長期資金に関する貸し付け等に基づく債権につきましては、その特殊性にかんがみ、その保全及び回収の確保を図るため、確実な担保を徴求すること等が明定されております。
 個別銀行の個別的な取引内容についてはコメントを差し控えたいところでございますが、日本長期信用銀行が行う融資におきましても、こうした法律上の趣旨を踏まえまして融資時において担保の確保等の措置を講じましたが、結果的にバブル崩壊による資産価額の下落に伴い担保不足という事態が生じたケースがあったと伺っております。
 日本長期信用銀行のイ・アイ・イ・グループへの融資は結果的に担保不足になったわけでございますが、これをもって当時の経営判断として直ちに長期信用銀行法第七条に反していたということにはならないと理解をいたしております。
#145
○北澤俊美君 官房長、来ていますね。お伺いしますが、この辺の監査は検査部でやっておるわけだけれども、検査部は官房に属しておるわけですが、この長銀の検査について定期的に何かルールがあってやるようになっていますか。
#146
○政府委員(小村武君) 検査部は、私どもの官房に先般の組織がえで所属しております。
 その内容につきましては検査部長が一括して責任を持ってやっておりますが、私の聞いている限りにおいては何年置きというようなルールはございませんで、金融機関の実態把握が十分できるように努力をしてこれまでもやっているというふうに聞いております。
#147
○北澤俊美君 きちんとしたルールがないんですよね。だから、どういう基準で検査に入るか、これはどうもいろいろお聞きしてみると、組織的には官房に入っているけれども、この分野については銀行局が直接指揮をしておるんですか。
#148
○政府委員(西村吉正君) 私どもの業務と密接な関連を持っておるものではございますけれども、指揮命令系統といたしましては大臣官房に属しているものでございます。
#149
○北澤俊美君 これが一つこの問題をあいまいにしてきたんですよ。検査部というのは、もともと検査を強化しなきゃいかぬと、金融自由化の時代に向かって、そういうことで独立させたわけでしょう。それで官房へ置いたわけだ。そうすると官房の、僕が官房長に答弁に来いと言ったら、余り直接関係ないから来たくないと、こう。言うんだ。それで銀行局長に答えると、銀行局長に聞いたら今、官房の方と。こんなことじゃだめだ。
 大臣、どうですか、これ。
#150
○国務大臣(武村正義君) 証券のときもいろいろ論議がございましたが、行政指導の立場と、チェックする、検査をする、そういう立場を証券局なり銀行局の中に置いていたんではよくないという反省に立って、大蔵省の中ではありますが、検査部は官房に移したんではないかというふうに思います。
#151
○北澤俊美君 これはもう一度きちんと機動的にできるように、それから責任の所在がはっきりするように検討してください、
 次に、東京共同銀行設立のスキームで長銀が東京都信用組合協会の債権回収組織に二百七十億円を贈与することになっているわけです。これはどういう経緯で長銀が二百七十億を出すのか。民間金融機関全体で二百九十四億円。今のお話を聞いておると、何にも答えられないと言うから、答えられない奥に何かあるのかどうか知らぬけれども、何にも悪いことをしていない、むしろ被害省だという長銀が二百七十億円を贈与するということはどういう基準ですか。
#152
○政府委員(西村吉正君) 日本長期信用銀行は東京協和信用組合の前理事長が経営するイ・アイ・イ・インターナショナルのメーンバンクであったという経緯がございます。こうした関係にかんがみまして、当信用組合の整理に当たって、不良債権を移管いたします債権回収機関に対しまして応分の支援を行うという考え方のもとに、回収不能額の補てん分及び不良債権を回収するまでの金利相当分を含め約二百七十億円、これは元本ベース、例えば東京都で申します三百億円というようなカウントの仕方で申しますと約四百五十億円に相当するわけでございますが、その負担を行うこととされているところでございます。
#153
○北澤俊美君 その説明では二百七十億長銀が払うということはわからないんですよ。ただ、雑誌等を見て、高橋何がしのインタビューを読んでいると、これは二百七十億じゃ足らぬよ、もっと長銀がやるべきだと。まあ庶民感覚とすればそういうふうに思う。それが二百七十億なのか、もう一度答えてみてください。
#154
○政府委員(西村吉正君) 先ほど申し上げましたように、イ・アイ・イ・インターナショナルのメーンバンクであったという経緯がございますので、そういう経緯にかんがみまして、適切と認められる負担を、応分の支援を行うというふうに考えましてこのような額になったと理解をいたしております。
#155
○北澤俊美君 一向にわからぬのですよ。ただ、この経緯を追っていくと、どうも一九九〇年、このときに長銀は関連七社から十五億の出資をして、人も東京協和へ入れているんですよ。しかも、小口部門ができるといって非常に喜んだと、こう言うんだね。
 こういう経緯からすると、もう少し長銀とイ・アイ・イ、そしてまた東京協和、この関係を明らかにする資料を出してもらわなかったら私たちにはとても納得ができない。このままで何も資料が出てこないと、やれ政治家が裏で何かやったんじゃないか、官僚が一緒に飯食ったから、その飯食った中身は何か悪いことがあったんじゃないかと、こう憶測ばっかりが膨らむわけだ。ところが、大蔵省にとって大変迷惑な話だと思う。大蔵大臣は何もやましいものはないと、こういうふうに言い切っておるわけですけれども。
 私の立場からもう一度申し上げますが、長銀とのかかわりについて大蔵省としてもう少しきちんとした資料を出す、あるいは答弁をするという姿勢を考え直していただけませんか。
#156
○国務大臣(武村正義君) 大蔵省としましては、綱紀の厳正な保持に努めなければならないところであります。日常そうでございますが、今回は、週刊誌などで具体的な名前が挙げられて報道されている職員について、内部で本人から事情を伺ったということであります。その限りでは公務員としての節度を超えることはなかったという、こういう報告を受けておりまして、そのことを今まで申し上げているわけであります。
 もとよりこれは公務のかかわりではないわけでありまして、いわば私的なかかわりと想定されるものでありますから、これは検察、警察でない大蔵省の中において一々尋問をして調査をするわけではありません。私の判断では、少なくとも明確に言えることは、今回の処理スキームに対してそういうかかわりは、これはもう全くないと、これは自信を持って申し上げることができると思います。長銀というよりはイ・アイ・イの経営者であった高橋氏と個人的にかかわりのあった職員がだれなのか、どの程度のかかわりなのかというのは、そうして名前の挙がった者について調査して御答弁を申し上げているところでございまして、万一、そんなことはないと思っていますが、節度を超えるようなケースがあれば、これはきちっと処置をしなければいけないというふうに思っている次第であります。
#157
○北澤俊美君 官房長、長い大蔵省の歴史の中で、大蔵省が憎まれるのは日常茶飯事だ。だけど、いかがわしいと思われた歴史というのはないんじゃないですか。今度が、これは大変な事態ですよ。しかも、それを明らかにしようとしている我々に対して説明が不十分なんだ。省全体としてこの問題について考えませんか、どうですか。
#158
○政府委員(小村武君) 私どもとしましては、かねがね折に触れて職員に対し、綱紀の粛正、厳正な保持について注意を喚起してまいりました。ただいま大臣からも御答弁申し上げたとおりでございまして、私ども承知している限りにおいては、節度を超えた行為はなかったものと考えております。
 いずれにいたしましても、今後とも私どもとしましては、職員の綱紀の保持についてなお一層徹底してまいりたいと考えております。
#159
○北澤俊美君 時間も迫ってきました。
 この問題は基本的には、私、何で長銀のことを言うかというと、長銀の経営陣にもう少し理性があればイ・アイ・イあるいは協和との問題がこんなところまで来なかったはずだ。しかも、それは大蔵省の出身者が重要な役にみんなついている。挙げて大蔵省の責任は重大ですよ、これは。そういう意味でもう少しこれを究明する機会を私は得たいと、こう思っておりますので、委員長にちょっとお願いをいたしますけれども、資料請求をさせていただきたい。
 我々の会派とすれば既に理事会の方へお願いをしておりますけれども、さらにそれに加えて長銀の検査の内容を、これまた後ほど理事を通じて文書で申し上げますけれども、つまびらかにしていただきたい。それもちょっとお願いをしたいと思います。
#160
○委員長(坂野重信君) ただいまの発言につきましては、後刻、理事会で協議いたします。
#161
○北澤俊美君 そこで、最後に大蔵大臣にお聞きしますが、機関委任事務、これは私も長年の地方議会でさまざま見てきました。極めて形式的な部分が多い。
 今度のは、これは特に機関委任事務で委任されたところが問題の解決の能力が欠如しているとしたら、これはもう機関委任事務が機能しない、こういうことになるんですよ。これだけ膨大なものが東京都でできない。それがわかるから東京都にはとりあえず二百億でいいよ、三百億議決できなかったから後からいらっしゃいと。全くあなた方自身も、東京都に、機関委任事務を東京都知事にお願いしておきながら未熟だと思っているからそういうことになる。これ見直すべきじゃないですか、金融機関をあなた方がきちっと守っていくということならば。
 私は、地方分権の時代だから機関委任事務を、委任するものを少なくする、これがきちんとした本当の意味での地方分権ではないですか。できないものを、例えば国防の一部をそれならば東京都に、港のあるところへやるかと。そんなことはできないでしょう。それと同じことで、能力のないところへそれを委任するということ自体が間違っていたんじゃないか、こういうふうに思いますけれども、どうですか。
#162
○国務大臣(武村正義君) 確かに今回のこの信用組合の機関委任のケースは、今まさに地方分権の論議がこれから始まろうとしております。機関委任事務全体についても、廃止論が強い中でどう整理をしていくかという状況であります。
 ただ、私どもは、一つこういう事例が起こったからもう即機関委任はやめるという、そういう発想に立っていいのかどうか。東京都の御意向も必ずしもそうでないように伺っておりますし、全国の都道府県の中にはさまざまな御意見があろうかと思いますが、基本はやはり地方自治を尊重する立場で地方団体と私どもも真剣に、このケースを一つの他山の石としながら、意見交換をさせていただきたいと思っております。
 今のところは機関委任をやめる考えを持っておりませんが、今後、たとえそうであっても、どういう改善策があるかという点で真剣な相談をさせていただきたいと思っております。
#163
○北澤俊美君 質疑を通じまして、極めて不満足であります。大蔵省の姿勢は今の時代に全く合っていない。そのことを申し上げて、残余の質問は寺崎委員にお願いをします。
 ありがとうございました。
#164
○委員長(坂野重信君) 関連質疑を許します。寺崎昭久朴。
#165
○寺崎昭久君 まず大蔵省にお尋ねします。
 東京協和、安全画信用組合の預金残高ですが、去年の十一月末においては二千四百四十二億円となっており、二月末には半減したという報道がありますけれども、この間に東京都における融資の凍結決定もあったわけでありますから、直近の状況をお聞かせください。
#166
○政府委員(西村吉正君) 両信用組合の預金は、昨年十二月九日の処理スキームの発表以降、年末における預金者の資金事情等もございまして満期払い戻しも含めた払い戻しが多かったわけでございますが、ことしの一月以降は比較的落ちついた状況にあったと聞いております。
 しかし、二月に入りまして両信用組合に対するマスコミの報道が頻繁にありまして以降、大口預金の払い戻しが増加いたしまして、十一月末以降二月末まで約千三百億円の預金の払い出しがあったと聞いております。
 その結果、二月未の時点におきましては、その当初のスキームの発表以前に比べますと半分以下になっておるようでございますが、その詳細につきましては以上のようなことでとどめさせていただきたいと存じます。
#167
○寺崎昭久君 二月末の残高は新聞等でも報道されております。先ほど私は、東京都の融資凍結が決まったんだから、それを受けた変化はどうなっているのか教えてくださいとお願いしました。
#168
○政府委員(西村吉正君) 三月二日に東京都の都議会におきます委員会の議決があったわけでございますが、その時点、三月二日ないし三日にかけまして、これは両信用組合それぞれ恐らく事情が異なるかと存じますが、東京協和信用組合の方はそれほど大きな変動はございませんけれども、安全信用組合につきましては若干預金が減っておるように伺っております。
#169
○寺崎昭久君 私は残高を聞いているんですが。
#170
○政府委員(西村吉正君) 先ほど半額を下回っておると申し上げましたけれども、日々の残高そのものにつきましては、こういう場で個別の金融機関の残高を申し上げることは適切ではないと存じますので、差し控えさせていただきたいと存じます。
#171
○寺崎昭久君 預金残高も報告できないようなことでよく情報公開なんということをおっしゃると思って、私はあきれておりますが。
 ところで、資金ショートしないように手当てされているにもかかわらず、これだけ大量の預金が流出したというのはなぜなのか。大蔵大臣、どうお考えですか。
#172
○政府委員(西村吉正君) 両組合の預金につきましては、二月に入りまして預金者リスト等のマスコミ報道があって以降、大口定期預金の払い戻しを中心に払い戻しが増加したと聞いております。
 なお、御指摘のように、両組合の預金の払い戻しに必要な資金手当てにつきましては、預金者に迷惑をかけるような事態がないよう、その上部組織でございます例えば全信組連からの借入金等によりまして確保することといたしておりますので、その点は利用者の方々には余り御心配がないようにお願いを申し上げたいと存じております。
#173
○寺崎昭久君 私、そういうことを伺っているんじゃなくて、なぜ流出がとまらないのか、それをどうごらんになっているのかというのを伺っているんです。
#174
○政府委員(西村吉正君) この信用組合の状況につきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろなマスコミの報道がございます。預金者リストの問題であるとか、あるいは経営の状況に関します報道でございますとか、そういうものも利用者の心理に影響を及ぼしておるのかもしれないと存じております。
#175
○寺崎昭久君 今のお話ですと、実名を公表されたら困るという預金者もいらっしゃるんじゃないか、そういうような趣旨の発言だったと思うんですけれども、これはこれで大変問題だと思いますが、時間の関係でここのところはとどめさせてもらいます。
 それから先ほど東京共同銀行に係るスキームの件で、大臣は大枠は変えなくてもいい、それから銀行局長は工夫をするから大丈夫だというようなことをおっしゃいましたけれども、東京都知事選に出馬が取りざたされている候補者はいずれも融資に反対だということを表明しているわけです。大蔵大臣とか銀行局長は責任を持ってイエスと言わせるんですか。
#176
○国務大臣(武村正義君) 各候補者のお考えは私は承知をいたしておりませんが、東京都議会の今回の決議を尊重するとおっしゃっている方もあるようでございます。そうであれば、私どもはあの決議のときの五会派の声明、文書で発表されております、記者会見もございましたが、あのお考えを認識されているものというふうに理解をいたしているところであります。
 なお、表現はともかく、今回三者で合意をしたスキームは変えないでしっかり対応をしていきたいと申し上げたわけであります。
 幸いといいますか、これは銀行局長もお答えしましたように、それぞれ出資額とか支援の額もスキーム全体としてはセットされているわけでありますが、三月二十日の出発時点で贈与、支援あるいは出資が全部そろわなければスタートができないというわけではないわけであります。両信組の債権債務関係を新しい銀行が譲渡を受けますけれども、それをこれから相当な年月をかけて処理をしていくわけであります。だから、当座は出資金四百億、あるいは保険機構からの四百億等々ございます。どうしてもそれで足りなければ、局長がお答えしたように、全信連の緊急融資等の道もございますから、そういう意味でこのスキームは健全でありますし、大枠において変える必要はない、着々と進めていきたいという考えてあります。
#177
○寺崎昭久君 七日の新聞に、東京都信用組合協会の雨宮会長という方のインタビュー記事が載っておりました。都の融資分の穴埋めができなければ収益支援が減るおそれがあると。したがって、債権回収機関が債権の移管を受けるのは難しい。大体、債権を買い取るための元手も別に手当てする必要が出てきた。だから難しいということを言っているんですが、それに支障のない方法というのはどういうやり方を考えられているんですか。
#178
○政府委員(西村吉正君) 雨宮さんのインタビューの記事は私も拝見いたしましたけれども、雨宮さん御自身も今回のスキームそのものに対して疑問を持っておられるという意味ではないと私は理解をしております。いろいろと当初考えていた状況も変わってきたので、そういう点については工夫をしなければいけないという趣旨のことを言っておられるのだと理解をしております。
 都の対応にしましても、先日発表されました五党の共同修正案におきましても、「都の信用組合に対する機関委任事務の監理・指導責任は重く、信用組合の破綻による金融不安、預金者の保護に対しては、都の立場から責任を十分に果たしていかなければならない。」というような言及もあるところでございますので、そういう点については関係者も信頼を申し上げておるのではないかと考えております。
#179
○寺崎昭久君 今の発言は、東京都が収益支援を行いますという意味のことをおっしゃったんですか。
#180
○政府委員(西村吉正君) 私は、東京都の今後の対応についての五党の先日発表されましたものをそのまま申し上げた次第でございます。
#181
○寺崎昭久君 私は、東京都が融資凍結ということになりましたらこのスキーム自体は振り出しに戻ったというぐらいのことで考えなければいけない問題だと思いますけれども、これはこれでおきます。
 そもそもこうしたスキームを考えざるを得ないそういう状態になったのは、これまでの都信協の合併支援基金だとかあるいは預金保険機構では処理できないということからこのスキームも考えられたんだと思いますし、問題の出発点というのは、今の状態の中では経営破綻の処理もできない、金融システムの維持もできないということであって、今の仕組み自体に問題があるということなんではないでしょうか。そういう認識がないと、スキームをどうするといってもそれはびほう策にすぎないんじゃないですか。
#182
○政府委員(西村吉正君) 確かに御指摘のように、今回の二億組の処理に当たりましては、その資産の悪化の程度が甚だしいことから、現在制度化されておる枠組みの中では、もしペイオフという手法が難しいとすればなかなか対応が困難であるということで臨時異例の措置として講じた手法でございます。
 今後の課題といたしまして、そういう事態がこれは起こらないことを望むわけでございますけれども、そういう問題に制度的に何か対応しておく必要がないかという御指摘であるといたしますならば、私ども今回の問題を契機に、例えば預金保険制度の手法というものが現在のままでいいのかどうか、そういう問題を先日来、預金を考える懇談会だとかあるいは金融制度調査会の基本問題検討委員会という場で皆さんに御議論を始めていただいたところでございまして、今後、米国の例などをも参酌しながら勉強を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
#183
○寺崎昭久君 今、検討されている内容というのは、例えば米国のRTC、整理信託公社方式みたいなものを検討しているということでしょうか。
#184
○政府委員(西村吉正君) 国それぞれには社会経済の環境の違いがございますので、そのまま日本に適用してうまくいくかどうかということはなお検討する余地があろうかと思いますが、そういうものも一つの研究の対象ではあろうかと考えております。
#185
○寺崎昭久君 今回、両信用組合が経営破綻を来したのは、もともとはバブルに始まっているんだろうと思うんです。
 東京都によりますと、両信用組合以外にも経営が困難である、自力更生が難しいというところが幾つかあるという話をしておりますし、また都銀だとか長信銀あるいは信託銀行も膨大な不良債権を抱えている、また住専も大変大きな不良債権を抱えている。こういう不良債権というのはいずれ解消しなければならないし、されるんではありましょうけれども、時間がかかればそのことが景気の足も引っ張りかねないということも心配しているわけであります。
 そういうことを含めまして、今、金融機関の不良債権はどれぐらいあると把握されているのか。回収、償却の見通し、景気への影響、対処方針、そういったことについてお伺いしたいと思います。
#186
○政府委員(西村吉正君) いわゆる公表されております不良債権と申しますと、昨年の九月末現在で十三兆三千三百億ばかりでございます。これは一昨年、平成五年の九月をピークにわずかずつではございますが減少の過程をたどっておりまして、各銀行が不良債権処理のために手当てをいたしております債特勘定の繰り入れ等を勘案いたしますと、さらにこの不良債権の問題は解決のめどがついてきたと言えるのではないかと考えております。
 しかしながら、ただいま申し上げましたいわゆる不良債権の額は、マネーセンターバンク二十一行、大きな中心になる二十一行の銀行の、かつ破綻先の債権及び延滞債権を合計したものでございまして、これですべて不良債権の問題が解決するというわけではございません。
 先ほど先生御指摘のように、このほかにもいろいろな問題があることは事実でございまして、世の中では例えば金利減免債権がどうであるかとか、あるいはこれは二十一行の問題でございますがそのほかの金融機関の状況はどうであるかとか、そういう意味においては私どもが今後さらに取り組んでまいらなければいけない課題というものはたくさん残されておるわけでございますが、私どもはこういう問題に一歩一歩着実に取り組んでまいることによって、努力と時間は要するものと思いますが、必ずや解決できるものと信じておるところでございます。
#187
○寺崎昭久君 この不良債権が景気の足を引っ張っていないでしょうかという質問に対してはいかがでしょう。
#188
○政府委員(西村吉正君) 不良債権の問題はもちろん金融機関の経営との影響が一番憂慮されるところでございますが、この問題が経済全般に重苦しい雰囲気をもたらしているとするならば、そういう側面もまた十分考慮に入れながら私どもとしては行政に当たっていかなければいけないと考えております。
#189
○寺崎昭久君 金が回らないというのをどの程度重く見るかどうかということは大事なポイントだと思うんです。
 例えば共国債権買取機構というのがありますが、これは発足して以来持ち込まれたのは額面で六兆九千億円、それから買い取り価格で三兆二千億円ですが、回収されたのはわずか数%ということで三兆円以上の金が実際には寝ているわけであります。これをどうするかという問題はやはり日本経済にとって大きな問題だと思います。
 先ほど話を聞きましたら、きょうのドルは八十八円八十八銭つけたと。一ドル八十八円ということであるそうであります。株にしても大体一万七千円を挟んで動いているというのが実態だと思います。そういう中で、さらにお金が寝ているというような状態になれば、景気の足を引っ張るのは必至なんじゃないでしょうか。それでなくても、債権が減った、目減りしたということで怒っている人はたくさんいるんですよ。
 これを処理するために何らかのことを考える、例えば買取機構のてこ入れをするとか、そういうようなことを考える時期に来ているんではないでしょうか。
#190
○国務大臣(武村正義君) バブル経済の後遺症と言うべきか、金融機関が抱える不良債権の問題でもあると思っております。そのことの重要性を十分認識しながら今後対処をさせていただきたいと思います。
#191
○寺崎昭久君 終わります。
#192
○委員長(坂野重信君) 以上で北澤俊美君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一二時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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